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1983-05-13 第98回国会 衆議院 大蔵委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十三日(金曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 森  美秀君    理事 越智 伊平君 理事 大原 一三君    理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君    理事 鳥居 一雄君       麻生 太郎君    今枝 敬雄君       木村武千代君    熊川 次男君       小泉純一郎君    椎名 素夫君       塩川正十郎君    平沼 赳夫君       藤井 勝志君    毛利 松平君       森  喜朗君    森田  一君       柳沢 伯夫君    与謝野 馨君       阿部 助哉君    上田 卓三君       大原  亨君    塚田 庄平君       戸田 菊雄君    堀  昌雄君       武藤 山治君    柴田  弘君       正森 成二君    蓑輪 幸代君       小杉  隆君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      前田 正道君         大蔵政務次官  塚原 俊平君         大蔵省主計局次         長       宍倉 宗夫君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 棚橋  泰君  委員外出席者         厚生省年金局企         画課長     渡辺  修君         大蔵委員会調査         室長      大内  宏君     ───────────── 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     小杉  隆君 五月十三日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     毛利 松平君   広瀬 秀吉君     大原  亨君 同日  辞任         補欠選任   毛利 松平君     粕谷  茂君   大原  亨君     広瀬 秀吉君     ───────────── 五月十日  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案内閣提出第五三号) 四月二十八日  南方軍国鉄派遣第四・第五特設鉄道隊軍属処遇改善に関する請願中西啓介紹介)(第二九六四号)  同(森下元晴君紹介)(第二九六五号)  同(相沢英之紹介)(第三一一五号)  納税者記帳義務法制化反対等に関する請願五十嵐広三紹介)(第二九六六号)  同(伊藤茂紹介)(第二九六七号)  同(小林恒人紹介)(第二九六八号)  同(松沢俊昭紹介)(第二九六九号)  同(吉原米治紹介)(第二九七〇号)  同(大島弘紹介)(第三一一六号)  税制改革に関する請願枝村要作紹介)(第二九七一号)  同(森中守義紹介)(第三一一七号)  自動車関係諸税の減免に関する請願五十嵐広三紹介)(第二九七二号)  同(稲葉誠一紹介)(第二九七三号)  同(上原康助紹介)(第二九七四号)  同(小川省吾紹介)(第二九七五号)  同(加藤万吉紹介)(第二九七六号)  同(島田琢郎紹介)(第二九七七号)  同(高田富之紹介)(第二九七八号)  同(山口鶴男紹介)(第二九七九号)  所得税課税最低限度額引き上げ等に関する請願永井孝信紹介)(第三一一四号)  一兆円の減税等に関する請願土井たか子紹介)(第三一一八号) 五月十二日  共済年金制度改悪反対等に関する請願広瀬秀吉紹介)(第三一四一号)  所得税減税申告納税制度改悪反対等に関する請願山本政弘紹介)(第三一四二号)  南方軍国鉄派遣第四・第五特設鉄道隊軍属処遇改善に関する請願佐藤隆紹介)(第三一四三号)  同(江藤隆美紹介)(第三一七一号)  同(山崎拓紹介)(第三一七二号)  同(山崎武三郎紹介)(第三二六四号)  税制改革に関する請願岩垂寿喜男紹介)(第三一四四号)  同(武藤山治紹介)(第三一四五号)  同(山本幸一紹介)(第三一四六号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第三一七四号)  同(上田哲紹介)(第三二六五号)  同(高沢寅男紹介)(第三二六六号)  同(山本幸一紹介)(第三二六七号)  同(吉原米治紹介)(第三二六八号)  一兆円減税等に関する請願上田哲紹介)(第三一四七号)  一兆円の減税等に関する請願上田哲紹介)(第三一四八号)  大型消費税阻止不公平税制是正に関する請願外二件(伊藤茂紹介)(第三一四九号)  同(飛鳥田一雄紹介)(第三一七七号)  同外二件(伊藤茂紹介)(第三一七八号)  同(伊藤茂紹介)(第三二七六号)  所得税課税最低限度額引き上げ等に関する請願上田哲紹介)(第三一七〇号)  納税者記帳義務法制化反対等に関する請願河上民雄紹介)(第三一七三号)  同(阿部未喜男君紹介)(第三二六三号)  身体障害者使用自動車に対する地方道路税揮発油税免除等に関する請願(吉田之久君紹介)(第三一七五号)  同(米沢隆紹介)(第三一七六号)  同(石井一紹介)(第三二六九号)  同(奥田敬和紹介)(第三二七〇号)  同(矢山有作紹介)(第三二七一号)  同(山下元利紹介)(第三二七二号)  同(綿貫民輔紹介)(第三二七三号)  同(渡辺省一紹介)(第三二七四号)  同(渡辺美智雄紹介)(第三二七五号) は本委員会に付託された。 五月一日  一兆円の減税等に関する請願(第一五三〇号)及び納税者記帳義務法制化反対等に関する請願(第二六四四号)は「田口一男紹介」を「井上普方君外一名紹介」にそれぞれ訂正された。     ───────────── 四月二十八日  所得税大幅減税に関する陳情書外十三件(第一九三号)  たばこ販売店指定制度定価制度の存続に関 する陳情書(第一九四号)  たばこ専売制度に関する陳情書(第一九五号)  たばこ塩専売制度存続に関する陳情書(第一九六号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案内閣提出第五三号)      ────◇─────
  2. 森美秀

    森委員長 これより会議を開きます。  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府より提案理由説明を求めます。竹下大蔵大臣。     ─────────────  国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員及び公共企業体職員に係る共済組合制度統合等を図るための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  この法律案は、臨時行政調査会行政改革に関する第三次答申の趣旨にのっとり、高齢化社会の進展に対処するための公的年金制度再編統合の一環として、国家公務員公共企業体職員との共済組合制度統合し、長期給付給付要件等一致を図るとともに、国鉄共済組合に係る年金の円滑な支払いを確保するための財政調整事業実施等措置を講ずることといたしております。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、国家公務員公共企業体職員との共済組合制度統合についてであります。  各公共企業体共済組合改正後の国家公務員等共済組合法規定により設けられる国家公務員等共済組合とするとともに、この法律施行後も引き続き公共企業体職員である者については、その者が各公共企業体共済組合組合員であった間、国家公務員等共済組合組合員であったものとみなし、国家公務員公共企業体職員長期給付給付要件等一致を図ることといたしております。  また、この法律施行の日前に公共企業体職員等共済組合法規定により年金を受ける権利を有していた者についても、改正後の国家公務員等共済組合法規定に準じて算定した額の年金を支給することとし、その額が従前年金額より少ないときは、従前年金額を保障することといたしております。  なお、国家公務員等共済組合連合会は、当分の間、公共企業体組合以外の組合をもって組織し、公共企業体組合に係る長期給付事業等は、引き続き、当該組合が行うことといたしております。  第二に、国鉄共済組合に対する長期給付財政調整事業実施についてであります。  国家公務員等共済組合連合会及び公共企業体組合は、国鉄共済組合が行う長期給付事業に係る財政現状にかんがみ、当分の間、同組合年金の円滑な支払いを確保するため、拠出金拠出し、これをもって国鉄共済組合に対し交付金交付を行う等の長期給付財政調整事業実施することといたしております。  なお、国家公務員等共済組合連合会に、学識経験者並び連合会及び各公共企業体組合を代表する者で構成する長期給付財政調整事業運営委員会を置くこととし、同委員会は、昭和六十年度以後における財政調整五カ年計画を定めるほか、財政調整事業に関する重要事項について審議することといたしております。  第三に、長期給付に要する費用に係る国または公共企業体負担につきましては、昭和六十年度以降、いわゆる事業主負担に相当する部分を除き、拠出負担給付負担に変更することといたしております。  第四に、公共企業体職員で二十年以上勤続して退職したものに対する退職手当の三%の減額措置につきましては、国家公務員公共企業体職員との共済制度統合に伴い、これを廃止することといたしております。  以上のほか、国家公務員に係る定年制度実施に伴い定年等による退職をした者のうち、退職年金等を受ける権利を有しない者で一定の要件に該当するものに対して、特例退職年金を支給する等の特例措置を講ずることとする等の所要改正を行うことといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 森美秀

    森委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     ─────────────
  5. 森美秀

    森委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西啓介君。
  6. 中西啓介

    中西(啓)委員 いよいよ国会終盤戦を迎えるわけでありますが、竹下大蔵大臣におかれましては、連日大変御苦労さまでございます。  きょうは、略称年金統合法案、これは、老齢化社会大変急ピッチで進んでいくわが国にあって、将来これは大変なことになるであろうという意味で多くの方々が深い関心を払っておられる案件でもありますので、このことについて、一、二大蔵大臣に御所見をお伺いしてまいりたいと思っております。  老齢化社会というのは、人口に占める六十五歳以上のお年寄りが七%になったときに初めて老齢化社会だというふうに定義づけられるわけですが、わが国も一九七〇年にその世界の仲間入りをいたしましてから、物すごい急ピッチで進んでおるわけです。いま、その比率が大体九%程度であろうと言われておりますが、最大のピーク時は昭和九十五年、このときは二一・八%というふうに言われているわけです。世界でも最高、こういうことになるだろうと予想されております。これに対して、現在、社会経済年金制度を中核的に担っている二十から五十くらいまでの人は全人口の大体五六%、こういうふうに言われているわけです。しかし、二十一世紀に入りますと、このいわゆる勤労世帯が過半数を割ることが確実である。  そこで、高齢化社会においても活力ある社会を維持していくためには、どうしても高齢者雇用環境の整備を図って生産年齢層の拡大を図っていくことが是が非でも必要である。二十代から六十五歳までの人が現役勤労者として働くということにすれば、総人口の五五%が勤労世帯、こういう状況を醸し出せるわけです。このように高齢者雇用を拡大していくことは、高齢者に対しても生きがいを与えることにもなるし、年金制度に対しても非常にベターな環境ができていくわけであります。また、高齢化社会にあっては、老後の生活設計の中核となる公的年金制度役割りがますます重要になると考えられるのでありますが、今後は、現在よりもさらに年金受給期間が長くなり年金給付費用が増大していくのに対し、制度を支える勤労世代の減少により年金制度が成熟化していくことから、現状給付負担のままでは年金財政は将来確実に困難になっていくことが考えられます。  現在、公的年金制度の今後のあり方については各方面でいろいろ議論が行われているわけでありますが、国民年金制度に対する関心はもう異常な高まりを見せておるわけだし、また、若い人たちには公的年金の将来について大変な不安を感じている人たちもたくさんおります。二十一世紀においても公的年金制度が長期的に安定し、その機能を十分発揮し得る制度となるようにいまから改革に着手して、国民公的年金に対する信頼を失わないように適切な施策を講じていくことが最も必要な政策課題であると私は考えておるわけであります。  さらに、わが国公的年金制度は現在八つの制度に分立しておりまして、その制度の目的や沿革が異なっていることから、給付内容成熟度合いなどに相違があり、公的年金としての制度間の比較を困難にしているばかりでなく、国鉄共済組合の特に今日の状況に見られるように、一企業、一産業に年金財政基盤を置くような小単位での運営が行われていることによる問題も現実に生じてきているわけであります。今後は、年金制度全般にわたって給付負担を通ずる抜本的な見直し制度再編統合を図っていくことが絶対必要だと思うのでありますが、共済年金制度を含む公的年金制度の全体の長期的なあり方について、大蔵大臣はどのようにお考えになるか。  また、特に行政改革を中心とした鈴木内閣から当時の行政管理庁長官であった中曽根総理が跡を受け継がれたわけでありますから、やはりこの法案を通さなければ仏つくって魂入れずというような感も免れない。そこら辺のことも含めて、大蔵大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  7. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいま、私に対する見解を述べろということでございます。  私は、先般永年勤続二十五年の表彰をいただきましたが、そこで二十五年前を調べてみましたら、老齢化人口が五百七万人で五・五%、いまが千百三十五万人でちょうど二・二倍になって、そうして総人口に占める割合は九・六%、こういうことになっております。その上に、わが国平均寿命が男性でおよそ七十四歳、女性で七十九・一歳、これは二十五年前に比べますと、男女ともにそれぞれちょうど十歳平均寿命が高くなっております。そうして、世界に七十以上の平均寿命を持つ国は、日本、スウェーデン、ノルウェー、オランダ、イスラエル、デンマーク、スイス、ギリシャ、カナダ、イギリス、この十カ国。これは、私が平素演説しておる文句でございますので、よく覚えております。そういう飛び抜けた高齢化社会というのが考えられるわけでございます。  したがいまして、これらに対する対応はいまから考えておきませんと、いまはまだこの国会平均年齢がちょうど私とおおむね同じでございます。したがって、大正の二けたで生まれられた方々、すなわち私を含む者が六十五年にすでに年金受給者の資格を有して六人の方に御迷惑をかける、こういうことになりますので、自分のこととしても、はてさてそのころ年金がちょうだいできるようになるかいな、こういうような気持ちすら持つわけでございます。したがって、いまからやはりこれに対してきちんとした二十一世紀を展望したものをやっておかなきゃならぬということでございます。それについては、構造的な年金水準適正化でございますとか給付負担の両面にわたっての見直しを行って長期的に安定した年金制度の確立を図る、これが年金担当大臣、いま林厚生大臣でございますが、これらが設置されて、いわば将来のあり方についての検討がこれからなされていくわけでございます。  いずれにいたしましても、言ってみればその第一歩だという意味におきまして、このたびの法律の御審議をいただいておるわけでございますので、この法律は、先ほど申し述べましたように、まさに国家公務員公共企業体職員共済年金制度統合というものによって公的年金制度全体の再編統合の第一段階、こういう位置づけであるということに御理解をいただきまして、可及的速やかに議了していただくならば幸いこれに過ぐるものはない、このように考えております。
  8. 中西啓介

    中西(啓)委員 でき得れば今国会で通したいという意味だと受け取ってよろしゅうございますか。
  9. 竹下登

    竹下国務大臣 その法律を、今度は国家公務員共済の方は私が所管でございますので、したがって、政府部内で意思統一をして内閣一体の責任で提出いたしました限りにおいては、今国会会期中に議了をいただきたいという一つ悲願を持つ、これは当然のことであります。  ただし、会期そのものの御決定はハウスの意思によって決まることでございますので、それを政府が勝手にある種の予見を持った希望を述べれば間々国会がストップするという前例もよく存じておりますので、その辺は大変警戒をしながら、謹んでただ悲願を持っておるということを述べるにとどめさせていただきます。
  10. 中西啓介

    中西(啓)委員 悲願であるということはよくわかりました。  それじゃ、次に厚生省に一点お聞きします。  これは、四月一日の公的年金制度に関する関係閣僚懇談会、そこで「公的年金制度改革の進め方について」というものが決定されているわけです。ここでは、昭和五十八年において国家公務員公企体職員共済組合制度統合地方公務員共済年金制度内の財政単位一元化を図ることとするほか、昭和五十九年から六十一年にかけて、国民年金厚生年金保険、それから船員保険関係整理を図っていく、また、さらに共済年金についてもこれらの制度との関係整理を図ることとされておるわけです。  私は、今後の年金制度改革を進めていく上で、国民年金被用者年金関係整理が適切に行われることがもちろん基本であると考えるわけですが、その意味からすれば、第二段階改革に相当する国民年金厚生年金関係整理というものは非常に重要な改革になるわけです。どのような関係調整を図っていこうとするのか、また、その改革案みたいなものは大体いつごろをめどにつくろうとしているのか、その二点ちょっとお答えください。
  11. 渡辺修

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、私どもといたしましては、二十一世紀に入りましても公的年金制度がその本来の機能を発揮できるように安定した制度としていかなければならないということを考えているわけでございまして、そのためには、年金制度を支えます現役世代年金給付を受けます老齢世代との世代間の均衡を図る、さらには、公的年金制度が全体として整合性のあるものになっていなければいけない。一言で申しますと、縦と横、世代間、世代内の公平性の確保を図るということが重要ではないか。  そういうことから申しますと、厚生年金なり国民年金なり、これが日本公的年金制度の九割を占める大きなものでございますけれども、それぞれの制度の枠内だけで考えていたのではいけないのではないか、制度の枠組みを含めて基本的な見直しをしていく必要があるだろう。こういう意味で、四月一日の閣僚懇決定の中で国民年金厚生年金船員保険関係整理を図るという決定がなされたものと考えておりますけれども、具体的な内容につきましては、いま鋭意関係審議会懇談会形式で御検討をくださっているところでございます。私どもは、来年、次の通常国会所要改正法案が提出できますように鋭意作業を進めている、こういうことでございます。
  12. 中西啓介

    中西(啓)委員 時間もあれですから、最後に運輸省にちょっとお聞きいたします。  ここに「各制度別成熟状況推移及び一人当り退職年金額推移」という表があるのですが、この成熟状況を見てみましたら国鉄が圧倒的に高いのですね。昭和五十六年で八一・二。その次に高いのがどこですか、専売も若干高いのですかな。とにかくずば抜けておるのですよ。それで、このままの状況でいくとこれは大変なことになりますので、国鉄共済自助努力についてどんなような指導を行っていくのか、また、この法案に対する基本的な運輸省考え方、その点お答えいただいて私の質問を終わります。
  13. 棚橋泰

    棚橋政府委員 先生ただいま御指摘のように、国鉄共済組合成熟度というのは著しく高いわけでございまして、このままで推移いたしますと昭和六十年度には一千億を超える赤字を出し、その後支払いも不能になるというおそれがあるわけでございます。  国鉄共済組合がこういう状態になりました理由はいろいろあるかと思いますけれども、やはり大きなものは、国鉄という一つ企業体一つ共済組合を持っておる、そういう意味国鉄という企業体がこうむる社会的経済的変動というものを共済組合年金がまともに受けてしまった、こういうことではないかと思います。そういう意味におきまして、今回の法案は、類似の共済組合等との統合を図り、将来の公的年金一元化第一歩であるというような意味で、私どもといたしましても、大変有意義なもので、このような方向でぜひお願いをいたしたいというふうに考えております。  またその際に、国鉄共済組合はお助けをいただくわけでございますから、それなり自助努力が必要であるということは申すまでもございません。したがいまして、一つには、企業体としての国鉄本体、それがやはり相当の自助努力負担をしなければいけないというふうに考えております。それから二番目に、組合員である職員というものもやはりそれなりの高い負担をしなければいけない、そういう意味努力をいたさせたい。それからもう一つ三番目には、給付を受けておりますいわゆる年金受給者、この方たちにも、現役に高い負担をいただき、また他の共済組合からお助けをいただくということでございますので、給付を受ける年金受給者の方もそれなり自助努力と申しますか、そういうものをしなければいけない。以上三点につきまして、国鉄をこの法案の関連で指導していきたいというふうに考えております。
  14. 中西啓介

    中西(啓)委員 時間があと十分ほどですが、基本的な考え方を聞きましたので、これで質問を終わります。
  15. 森美秀

    森委員長 御苦労さまでした。  野口幸一君。
  16. 野口幸一

    野口委員 この法律案審議するに当たりまして、私は思い起こすのでありますが、日本の誇るべき平和憲法、またアメリカの高度な生活水準、そしてソビエトの行き届いた社会保障、この三つがミックスされた国家というものが仮にこの世界に出現することができたならば、これほど人類にとって幸せな国家はないのではないかということを言われた政治家がいらっしゃいました。私も、その言葉をいまつくづくとかみしめて思うのであります。  先ほどの御質問の中でも出ておりましたが、あと十七年ばかりで二十一世紀を迎えようといたしております。現在地球上に人類は四十五億住んでおりますが、これが五十億あるいはまた六十億になるまでの年数というのはそんなに遠いものではなくて、案外近い将来にその数字が満たされると言われています。もちろん、私の生存中というような時代ではないわけでありますけれども、少なくとも私どもの子供の時代にはその実現が可能である、あるいはまた可能を予測せざるを得ないという状況であると言われております。  人口はそういうことでありますが、これに加えて、やはり老齢化の問題もこれまたずいぶんと加速度をもって進んでいるのでありまして、こういう時代に、いわゆる公的年金あるいはまた老後保障、福祉政策全体を含めてでありますけれども、根本的にといいまするか抜本的に対応を考えないと、ことしの予算案ではありませんけれども、単なるつじつま合わせだけで事を済まそうというようなことではどうにもならぬのじゃないか。もっと大局的な見地に立って、先行きの展望を明らかにしつつ、さらに、この提案の中にもおっしゃっておられますけれども、十分な対応を国民の合意の中でつくり上げる必要があるのじゃないかと思うのであります。  ところで、私は、今回のこの法案審議に当たりまして一番疑義に思いますのは、これは新聞報道によって聞いておるわけでありますけれども、この法案の要綱等を諮問されました国家公務員共済組合審議会、略して国共審と言われておるものでありますが、中身では相当議論が紛糾いたしまして、最終的な結論と申しますか答申と申しますか、そういうものが出すに至らなかったということを聞いておるわけでありますけれども、この国共審がなぜこんなに混乱をしたのか、このことについて大臣にお聞きするわけではございませんので、大臣にはまた後ほど総括的な御意見をちょうだいするとしまして、担当の方から、どうしてこんなに混乱を招いたのか、その原因は一体何であったのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  17. 竹下登

    竹下国務大臣 正確に事務当局からお答えいたします前に、確かに答申の取りまとめの段階におきまして組合員代表の方と他の委員との意見が対立をいたしまして、それから、中断といいますのかあるいは開けない状態といいますのか、そういう状態が続きまして、私も特に組合員の代表の方と個々にもお会いいたしまして、その意見をいろいろ承ったり、運営の姿勢についての意見交換もいたしてみましたが、基本的なことは私の認識は浅うございますので、宍倉主計局次長からお答えすることをお許しいただきたいと思います。
  18. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 国共審は、昨年の十二月の二十七日に懇談会を始めまして、懇談会を四回やりまして、今年の二月の二十一日から審議会という形で諮問が正式に行われまして、それから六回やりまして、三月の十一日になりましてから、労働側の代表の方が、このままの状況では審議会に出席できないという御通告がありまして、約二週間近く中断をいたしました後、三月の二十三日に、これはきちんとした答申はいただいているわけでございます。  その間、二週間近く中断し、いま大臣からお話しございましたように、審議会としては混乱した状況にございましたのですが、どういう原因かという詳細につきましては、実は審議会は非公開で行われるということになっておりまして、各委員の御意見を私がこの公の場で、かくかくというようなことで、それぞれ御意見の違いがあったのでございますと申し上げるのは適当でございませんので差し控えさせていただきたいと存じますが、大まかに申し上げまして、労働側の委員方々、それから中立側の委員方々、その他の委員方々と、答申案を取りまとめる基本的姿勢におきまして意見の相違があり、その相違点を相違のままとして取りまとめたらいいではないかという御意見が片一方にあるのに対しまして、労働側の委員方々は、労働側の意見のように取りまとめるということでないと自分たちとしては出席できない、こういうようなところに原因があったわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、三月二十三日までの間におきましてこの間の調整ができまして答申をいただいた、こういうことでございます。
  19. 野口幸一

    野口委員 秘密会議じゃあるまいし、中身の話ができないということじゃないと思うのであります。対立したというか、いわゆる労働者側あるいは政府側といいますか、政府側と言うとおかしゅうございますが、会長を初めとする提案者の方々、労使公益の三者構成になりますから、どこの段階でどういう形の中身の対立があったのかということはお話しになってもいいのじゃないかと思うのですが、それはいかがなものですか。秘密会議だから全然しゃべれないというものですか。(「問題点ぐらい言えるだろう」と呼ぶ者あり)
  20. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 その問題点は確かにあるわけでございますが、意見の違いは違いといたしまして、最終的には意見が一致する点だけを取りまとめて答申をしよう、こういうことで意見がまとまっておるわけでございます。  最終的になるまでの過程におきまして、どの点とどの点を整理をしたのだということにつきましては、実は社会保障制度審議会の審議をこの国共審の審議の後でお願いをしてございますけれども、その審議会でも実は明らかにしろというお話がございまして、私ども、労働側の委員方々にこのような御要求があるのですがいかがでございましょうかということでお伺いをいたしましたところ、労働側の委員方々から、それは非公開という原則から公の場では言わないでほしいという御要請がございましたので、社会保障制度審議会の方にも実はそういうことで御勘弁をいただいているわけでございます。そういうことでございますので、当事者の方々の御要請からいたしますと、いま申し上げましたように、この場で御披露させていただくのは差し控えさせていただきたいと存じます。
  21. 野口幸一

    野口委員 ここは国会の場でありまして、これに関係する法案をこれから審査するのですね。だから、その前段にありました国共審の中で対立した項目だけでも、何と何がどういう状況の中で対立をして意見がまとまらなかったのか、どういう理由でそれがそういう争点になったのかということを明らかにできないというままでは、この法案審議はできないじゃないですか。もう少し詳しく言ってください。
  22. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 詳細は先ほど申し上げましたようなことでございますが、問題点の一つは、国鉄共済組合を破局から回避するための救済措置を必要とするというところでは意見が一致しておるわけでございますが、この救済の仕方をどういうふうにするかというところでさらに意見が若干分かれておったという点がございます。  それからもう一つ給付水準を統一するわけでございますけれども公的年金制度を将来一元化していく方向については御意見は分かれなかったのでございますけれども、いまやるか、それともいまやらないかという点、将来の方向はよろしいのでございますけれども、いまの時点でやるかどうかという点で差があった、こういうことでございます。
  23. 野口幸一

    野口委員 何遍聞いてもわからないのですけれどもね。  確かに私の方にもその御報告はあります。国共審におけるところの労働者側の御意見としての御報告はいただいておりますし聞かされておりますけれども、こういう公の場ですから、その公の場で、何と何の対立点があって、そしてそれが合意に至らなかったということは少なくとも明らかにしてもらわないと、議論をする前段の問題として、私の方はたとえば労働側から聞いてきた、それだけでは、あなた側の方だって、それはそちらの方の情報でお聞きになったのでありましょうというようなことをよくおっしゃるので、少なくとも、この国共審というのは重大な諮問機関なのですから、そこで対立になったことはこういう形で対立になった、だからこの点はこうなったということの経過はきちっと言ってもらわないと、これから審議するのに非常に困る。これは私一人が質問するのじゃなくて、後ほどわが党も、また各党も質問をする際にその点については恐らく言及されるでありましょうから、きょうはその点で私はさらに追及はしませんけれども、この対立の問題はしっかりと言ってもらいたいと思うのです。  それから国共審の問題ですが、国家公務員共済組合法の百十一条にこの国共審の任務が明記されていると思うのですが、この国共審の任務というのは一体どういうことになっているのですか。国共法の第百十一条の精神というのはどういうものなのか、ちょっと御説明いただきたい。
  24. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 百十一条は、国家公務員共済組合制度の健全な運営を保証いたしますために、組合に関する制度及びその行う給付その他の事業運営に関する重要事項につきまして大蔵大臣の諮問に応じて調査審議する国家公務員共済組合審議会を設け、そうしてこの国家公務員共済組合審議会は、また同条第二項におきまして大蔵大臣に積極的に建議することもできるということで、もって共済組合制度を維持発展させるための趣旨かと存じます。
  25. 野口幸一

    野口委員 百十一条というのは、もっと正確にお答えをいただきたいのですが、ここに条文がありますけれども、「この法律に基く組合に関する制度及びその行う給付その他の事業運営に関する重要事項について、」云々、こういうことになっておりまして、この国家公務員共済組合法というものの性格から考えて、どう読んでも、公共企業体共済組合を廃止するとか、いやどうするとかというようなことはここで審議することはできないのですね。これは、どういう理由でこんなことができるのですか。
  26. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 今度、公企体共済組合制度を廃止いたしまして、国家公務員共済組合制度の中に入ってくるわけでございます。そのことは、公共企業体共済組合の方では廃止の問題でございますが、こちらの国家公務員共済組合の方にとりましても、両方の制度が一緒になるということできわめて重要な問題でございますからして、この国家公務員共済組合審議会でこのことについて御議論いただくのは百十一条にぴったり合うわけでございます。  では、公共企業体の方の組合の廃止の問題はどうするんだ、こういうことは片一方にあるわけでございます、廃止だけについて考えてみればですね。それは、三公社の共済組合の方につきましては、制度的にそのような審議会というのはないわけでございます。(野口委員「つくらなかったんじゃないか」と呼ぶ)ないわけでございます。  でございますから、それはそちらの方の審議会はないわけでございますから、こちらの方の審議会は審議会として、国共済の方は、国家公務員制度の方からいたしまして重要な事項でございますから、当然百十一条の中には入っているわけでございます。
  27. 野口幸一

    野口委員 国鉄を呼ばなかったのですけれども、いまそんなことを言うからおかしくなってきたのです。  では、結婚する場合でも、男と女と結婚するのに、男の方はどうしてもあの娘が欲しい、娘の方は嫌がっているのに、男の方は関係するから男の方だけ審議して、こちらの方だけで決まったから来いというのは、そんなことができるのですか。そんなばかなことはできないでしょう。昔はできたか知らぬが、いまはできないですね。  そんな、百十一条をへし曲げて拡大解釈して、そしてこの中でやれるんだということを考えるのがそもそも間違いなんだよ。名前が国家公務員共済組合審議会なんでしょう。「等」というのをときどきお使いになりますが、等というものを入れたら全部何もかもできるんだというような、そんな拡大解釈をやったら、これは法律一つあったら、等という字が入れば何もかも全部どこまででも広がってできるのですか。国家公務員等というのが仮に入ったとすると、等というのはどこまでが入るのですか。
  28. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 国家公務員等共済組合審議会にいたしたいというのは、この法案の中身でございます。その等にするのはどこまで入るかというのは法案に書いてございますけれども国家公務員とそれから三公企体の分でございます。  それで、いまの御議論は、その国家公務員等共済組合になる前のいまの国家公務員共済組合の話かと思います。お話は多少……
  29. 野口幸一

    野口委員 わかった。それじゃいいです。  そこまで前へ進んで話したんだから私も言いますけれども、それじゃ、国家公務員等に今度三公社を入れるんだ、そして片方政府は、電電公社は今度は公社を解体をして別のところにやろうというんだ。あなたのところだけが国家公務員に入れたいのですか。三公社を国家公務員にするのですか、どうなんですか、その辺は。
  30. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 電電公社の経営形態問題につきましては……(野口委員国鉄もそう」と呼ぶ)国鉄も同様でございますが、まだ確定いたしているわけでございません。  いま委員が御質問のように、経営形態を変更したらどうかということにつきまして、今後の検討というのが進めていかれるような状況になっておることは確かでございます。で、経営形態が仮に民営に変更になったといった場合におきまして、共済制度といいますか年金制度も直ちに厚生年金に、民営でございますれば厚生年金というのが原則でございますからして、厚生年金に変えるかどうかということは、それは立法政策の問題でございますから、イコールすなわちという形になってはこないわけでございます。  私どもはどう考えているかと申しますと、国の国家公務員とそれから公共企業体職員との年金制度といいますのは、古くからの沿革それから現在の制度の中身を考えましても、きわめて近いいわば親類同士、親子兄弟みたいな関係になっておりますものですから、今後の公的年金制度再編統合考えてまいりますときには、その近しいグループにつきましては、一括した物の考え方で取り扱っていった方が再編統合はやりやすい。同時にまた、個別でそのときそのときで、たとえば厚生年金に移行するということを考えましても、技術的に見ましていろいろむずかしい問題があるということでございますので、ここのところ、いずれ昭和七十年代までには公的年金再編統合をしていくわけでございますから、その中間過程におきましては、一括した形で経営形態のいかんを問わず共済システムの中で物を整理していって考えてまいりたい、こういうふうに思っております。  このことにつきましては、私どもが五十五年の六月からいろいろ御検討いただきました、大蔵大臣の私的諮問機関ではございますけれども、共済の研究会の結論でもあり、また同時に、第二臨調の御答申の中にも同様なお考えが出ているところでございます。
  31. 野口幸一

    野口委員 理屈をそういうようにおつけになりますけれども、この百十一条を読んだ限りでは、どう解釈してみても、とにかく国家公務員と全く関係のない公共企業体共済組合、三公社の共済組合を廃止するかどうしようかというような問題を論議することはできないと思うのですね。  なるほど、いまおっしゃったように、この法律で等という字が入るということになりますが、まだ入ってないのですよ。入ってないのに話をしているのでしょう。それじゃ全く越権行為じゃありませんか。法律が通ってない先に、通るということを見越してそういうことをやっているのですか。等というのが入らない前に、いみじくもあなたがおっしゃった、この法律によって等という字を入れていただいて、その中に入れて一緒にやりたいんだ、入ってない段階で国共審の中ですでにもうそういう話をしておられるわけでしょう。そういう審議をしておられる。これは越権行為じゃないですか。
  32. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 先ほどもお答えしたとおりでございますが、委員が先ほどちょっとおっしゃいました比喩をおかりして御説明申し上げますと、比喩のことですから多少不正確かとも存じますが、国家公務員の方を男性だといたしまして、それで公企体の方を女性だといたしますと、これは結婚をするときに男性の方は審議会があるわけでございます。男性の方も結婚するわけでございますから男性として審議会で御検討いただかなければならないわけでございますが、女性の方には審議会がないわけでございまするからして、女性の方の立場からしますと審議会におかけする必要は一切ないわけであります。  ただ、この審議会につきましては、上部構造的に社会保障制度審議会というのがもう一つございますから、この審議会には、男性の方の側も女性の方の側も両方社会保障制度審議会にはおかけしなければならない、これはおかけしているわけでございます。当然のことでございます。という関係でございますから、その国共審、つまり男性の方の審議会におかけすることが越権行為だということにはならないと思います。
  33. 野口幸一

    野口委員 私がたまたま言ったのは、相手の側の、いわゆる三公社側の対応をすべき問題点まで言及して、特に女性とあなたがたまたま言ったから僕は言っているのですけれども、そちらの側の、いわゆる廃止される側、統廃合ということはなくなってしまうわけですから、女性自身をけっ飛ばしてしまうわけでしょう。たまたま男女問題で話をしたのですけれども、いわばけっ飛ばしてしまうような問題を、男性側の方で勝手にやめさせてしまうことを、そういうふうになれば女性をやめさせるということになるわけです。そんな話はやめましょう。  いずれにしても、三公社のこの共済組合を廃止をするということになる問題までこちら側で検討することができるかどうかということですよ。できないでしょう、こんなことは。全く越権行為じゃないですか。これは、どう解釈すればそれができるのですか。
  34. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 国家公務員共済組合の方としてはきわめて重要な事項なわけでございますから、そういうことで国共審には御審議をいただいているわけでございます。  何遍も繰り返し申し上げますように、公企体の方には、国共審と同じレベルといいますか同じ段階での審議会というのはないわけでございますから、制度審に御相談を申し上げる、こういう仕組みになっているわけでございます。
  35. 野口幸一

    野口委員 公益側の委員からも、この問題については疑義があったのですね。いわゆる労働者側だけが言っているのじゃないのですよ。この審議会でこんな問題を検討するというのはおかしいじゃないかということを公益側の委員が言っているのですよ。あえてそれを、いわば突っ走って、いわゆる国共審の中でこの問題を討議したのでしょう。つまり、いわば三者構成になっている二者がおかしいじゃないか、そう言っているにもかかわらず、これを突っ走ってしまったのでしょう。——首ひねっているのは何でなの。
  36. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 多少違うと思いますのは、公益の方がおかしいじゃないかということをおっしゃったわけではございません。そういう事実はなかったと思います。公益の方から御注意があったことは間違いございません。労働側の方から疑義がございまして、その疑義についてはきちんと議論を整理しておかないと、基本の問題であるから、後で問題になるからよくその議論をしておくように、こういう御注意があったことは事実でございます。
  37. 野口幸一

    野口委員 おかしいじゃないですか。さっき審議会の内容を、その経過を詳しく説明しろと言ったら説明しなかったじゃないか、あなた。そうして、こういうことになってきたら、そこのところを詳しく説明する。それはおかしいじゃないか。あなた、さっきは守秘事項だからその中身の問題については言えないと言ったじゃないか。今度はその中身の問題を言うんじゃないの、どこどこがどう言って、だれがどう言ったって。そんなばかなことがあるのですか、あなた。それじゃ全部初めからしまいまでその審議内容を言ってくださいよ、どこで対立して、どこの部分がどうなったかということを。それでなかったら審議できませんよ。おかしいですよ、そんなことは。
  38. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 先ほども申し上げましたように、答申の最終段階の話につきましては、私ども、そういうことがございましたから明示的に労働側の委員の方及び関係者の方々に御相談を申し上げてその御意向を承っておるわけでございます。でございますから、先ほど非常に大まかなことしか申し上げられなかったのはそういうことでございますので、御勘弁いただきたいと存じます。
  39. 野口幸一

    野口委員 そんなばかな話があるか。私は、もう少し静かに質問しようと思ったんですけれども、そんな不誠意な態度で私どもに対応されるんだったら、質問できないですよ、これは本当に。私、自分のことを言うんじゃないけれども、こんなに怒ったのは初めてなんだよ。こんなことで怒りたくないんだよ。もっと真っすぐ話をして、いろいろな質問をしたいと思っているんだよ。どうしてそれを言ってくれないんですか。中身がどうなって、何がどう対立してこうなったのか、だからこういう問題が起こっていますということをどうして言ってくれないんですか。そして最後のところでおかしいんじゃないかと言ったら、それじゃ百十一条の解釈の問題についてはわりあい詳しく審議内容の話をするなんて支離滅裂じゃないですか。
  40. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 先ほども申し上げましたように、その答申案の中で二点につきましてこれは削ってほしいというのが最後の話になったわけでございます。(「二点というのは何だ」と呼ぶ者あり)ですから、いま申し上げます。  それで、削った文章をすっと読んでみます。「本諮問の内容は大きく分けて二つある。その一つは、国共済と公企体共済の統合・一本化であり、その二は、財政的に崩壊に瀕した国鉄共済の救済である。前者については、公的年金統合ないし一本化は高齢化社会を迎える時代の要請であり、今回、もと同根の国共済と公企体共済とがこれに先鞭をつけることを評価する意見と、公的年金の将来展望が明確に示され、かつ、経営形態変更問題のめどがついた後に取り上げるべきであり、いまはその時期ではないとする労働側意見とに分かれた。」この部分が消えております。要すれば、意見が両方分かれた部分は消そう、こういうことでございます。  もう一点でございますが、「諮問原案の考え方を支持する側からは、現実問題として、再計算による負担増と国鉄共済への拠出分が重なるのであるから、筋を曲げない範囲で最大の配慮が望ましいという意見が出された。労働側は、当面の措置として国鉄共済の不足財源について国及び年金グループからの貸付金による補てんを主張した。」この部分が消えてございます。そこのところを消すか残すかというのが最後の点でございました。
  41. 野口幸一

    野口委員 審議会では、もっと時間をかけてゆっくりといろいろな各方面からの意見を聞いてやろうというのに、とにかく法案提出に間に合わないからといって急がしたんでしょう。そして結局、八十かになっていらっしゃる会長さんのおしりをたたいて何とかしてまとめさせたというのが、まあ会長不在のままの骨抜き国共答申案、答申全文というのを読ましていただいておるのですけれどもね。これは答申になっていないですね、とにかく中身は。意見対立のままということになって、これは答申じゃないです。意見が書いてあるだけ、意見が書いてあるというか並べてあるというにすぎないわけです。  ちょっと戻りますが、先ほどのこの百十一条の解釈ですが、法制局来ていただいておると思いますが、内閣法制局、この問題について、この法律の解釈、この百十一条はどうお考えですか。
  42. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 これまでの御論議に関連してお答えいたしますと、仮に公企体共済組合を廃止するとか公企体共済組合を仮に地方公務員組合統合する、そういう問題でございますれば別でございますけれども、先ほど来大蔵省の方から説明をされましたように、言ってみますれば公企体の組合を国共の組合に吸収する、そういう意味におきまして国共の制度自体についても重要な問題でございますので、まさに国共法第百十一条で規定をしております制度に関する重要な事項に当たるということだと思います。したがいまして、国共法百十一条との関係で申しますれば、むしろ国共審で審議をしなければ国共法の面では不十分であるということになると考えております。
  43. 野口幸一

    野口委員 それは全く拡大解釈で、つるんでいる方だから仕方がないとしても、しかし国家公務員という枠の中にある法律を、国家公務員でない者を統合させるためにそこで議論しようというのだから相当無理がある。これは、先ほどの話じゃないが、拡大解釈をして今日までやってこられたんだろうと思うのですけれども、しかし、私どもから言えば、全くこれは越権行為であり、しかも法律の違反であると言わざるを得ないと思います。  しかし、仮にそのことが今日の経過の中にあって審議されたのか意見が述べられたのか、答申そのものが不十分でありますから、その成果は何もなかったと言ってもいいと思うのですけれども、しかし、それでは、かつて国の機関の中にあった電電公社あるいは国鉄専売という三公社がそれぞれ公社に移行していった経過を持っている。これは、三公社が年金関係だけは今後も国家公務員共済組合年金ということになるわけですが、こんなことになるのはほかにも例があるのですか。
  44. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 国家公務員と三公社が同じだというのは、たとえば退職金に関する法律なんかも同じかと思います。あと一つ二つあったかと思いますが……(野口委員年金ですよ」と呼ぶ)年金は、ですから今度一緒になるわけでございますから、年金につきましては、御承知のように八つに分かれておるわけでございますね。それで八つに分かれて分立しているものが、今度の法案をお願いをいたしまして、これをお認めいただきますと制度的には七つになる、こういうことになります。
  45. 野口幸一

    野口委員 だから、こういう関係のものというのは今回が初めてだということですか。それでは国家公務員統合したという例はいままでないのですね。
  46. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 制度的に違うものを統合したというのは今回が初めてかと思います。ただ、たとえば国家公務員共済組合制度の中で、共済組合が違ってございます造幣ですとか印刷ですとか、そういった組合一つ連合会にするという例は前にございます。
  47. 野口幸一

    野口委員 なし崩し的にそういう小さなところを統合してきた経過というのは、私もそれなりに聞いているわけでありますが、法案以前の問題をもっと言わなければならぬと思いますが、時間の関係もありまして、まだたくさん残っておりますけれども、また次回に譲ることにいたしまして、内容に少しく入っていきたいと思います。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕  この法案の基本姿勢になっております前段に、公的年金制度再編統合の第一段階、こういうことを言われておる。先ほども、大臣からもこういうお言葉がございました。第一段階ということはどういう意味でございますか。
  48. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 先ほども御議論ございましたように、公的年金制度は、将来の高齢化社会を迎えまして早急に整備をしてまいりませんと、負担給付の関係がバランスがとれてございませんものですから、二十一世紀前後におきまして混乱を来すのではないか。したがいまして、これをできるだけ早くやってまいりたい。  できるだけ早くやってまいりたいという内容でございますが、基本的には、給付負担との関係を見直しませんと制度の実態はよくならないわけでございますが、しかし、制度の実態をよくするために給付なり負担なりを見直しますときに、ただいま八つに制度が分かれておる、分かれていることとの兼ね合いにおきまして制度間の違いというものがどうしてもございますし、それが官民格差と言われたりあるいは官官格差と言われたりすることが多いわけでございまして、そういう格差に対する国民の皆さん方の意識というものがあるままで給付なり負担なりを見直していくということはなかなかむずかしいことでございます。  したがいまして、年金財政の基盤を拡充していくということからも、それから格差を是正していくという面からいたしましても、再編統合というものはやってまいらなければならない。そのやってまいります手順なり具体的な内容というのは五十八年度末までに確定をしよう、こういうことになってございます。  ただ、五十八年度末までに作業をするわけでございますけれども、何もなしに各省、つまり八つに分かれてございますから主管庁も分かれております。そういうところでばらばらに作業をしてもいけないということで、その作業をいたしますおよその手順というものを先日四月一日に公的年金制度に関する関係閣僚懇談会で決めたわけでございまして、その第一段階といいますか、その第一歩といいますか、最初に出てくる話と申しますのが、この国家公務員とそれから公共企業体職員共済組合制度統合ということと、地方公務員共済組合制度財政単位一元化、こういうことでございます。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕  国家公務員公共企業体職員共済制度の相互におきましては、いわゆる官官格差と言われておるように制度間の違いというものがございますので、将来国家公務員及び公企体を合わせました共済年金制度というものを民間の厚生年金制度と合わせていく場合には、まず中で違う相違を合わせておきませんと合わせづらいということになるわけでございまして、そういった意味では第一段階というふうに言えるのかと存じます。  なお、第一段階、第二段階という言葉がよろしいかどうかということでございますけれども、第二段階という言葉を強いて使えば、五十九年度を目安といたします厚生年金国民年金船員保険関係整理と言っておりますが、基本的にそこで今後の公的年金制度の基本というのが固まってまいると存じますが、それに合わせた形で共済年金制度改革をしてまいって、今度はいわゆる官民格差の是正というものをやってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  49. 野口幸一

    野口委員 ちょっとここで大臣にお聞きしたいと思うのです。  いま、第一段階でそういうような形でやりたいというのですけれども、大臣も先ほどおっしゃったかとも思うのですが、いわゆる第二臨調の中で公社の経営形態の方向を示されているわけです。こういうときに当たって、しかもまた、厚生年金あるいは国民年金そのものにもメスを入れなければならない、こういう日程というか先行きがほぼ見通せる中にありまして、いまの時点で三公社の部分を国家公務員と一緒にしなければならない理由というのは、端的に言って一体何なんですか。これは国鉄を救うため、この一点に尽きるのですか。それは一体どういう目的で、このようないわばつじつまの合わない提案をなさるのですか、そこのところをひとつ大臣の方からお聞かせいただきたい。
  50. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、今日までもいろいろな立場で、言ってみれば国鉄共済救済法案じゃないかという趣旨の御質問もございました。  しかし、提案理由でも申し上げておりますように、その淵源をさかのぼれば、歴史的にもまた類型的にも国家公務員と公企体の共済組合というものがまず第一歩としてそれを踏み出し、あわせ国鉄共済というものの現状から見てそれにも対応していく、こういう精神で、まあいろいろ議論があったようでございます。私も余り詳しい方じゃございませんけれども、そういう形で今日に至ったわけでございます。  したがって、先ほど来御議論になっております国共審の問題も、私も全く知らぬわけでもありませんでしたが、そういう議論、そうしてまた運営の仕方等についても若干の、感情という表現は当たりませんが、必ずしも環境的に十分な場所ができ得なかったというようないろいろな経過を経て今日に至ったわけでございますので、私は、第一の目的は類似性のある国家公務員共済と公企体共済とを第一歩として踏み出すというところに意義があって、国鉄救済というのももとより並行した意義がありますが、それのみが先行して考えられた措置とは必ずしも思っておりません。
  51. 野口幸一

    野口委員 類似するとよく言われるのですけれども、三公社というのは国の機関から公社に移行しまして、その時点で本来民間の社会保険であります厚生年金に加入すべき要件を持っていたのでありますけれども、たまたま当時は、厚生年金が第二次世界大戦における戦費の調達の手段から出発をしまして、その歴史も浅く、また老後を保障するに足る要素が非常に欠けておりました条件にありましたので、加えてかつての恩給権を持っている者も中におるというようなことがあって、その解決策として国家公務員共済組合法という新法をつくろう、議員立法によって現行の公共企業体共済組合法が成立したという経過があります。  したがいまして、明らかに国家公務員とは異なった職域年金としての性格を強く持っているわけであります。そのために、公的年金制度にある国庫負担相当分についてすべて企業負担になっているという非常に異なった点があるわけであります。先ほどから類似点とよく言われるのでありますけれども、非常に異なった点を持っているということも、この際明らかに御認識いただかなければならない。これもわかっているはずであります。  詰めてまいりますと、結局、この三公社いわゆる公共企業体年金の中でいわばいろいろな理由があって、原因もございますけれども、とにかく国鉄を初めとする、特に国鉄でありますが、年金制度というものが非常な危機状態にある、これを何とかしなければならないということがどうも頭の先にありまして、そのことの解決策を本来政府が責任を持ってやらなければならないものを、統合という一つの手段を講じることによって政府が逃げ道をこしらえたい、こういう手段をお考えになったのが今回の年金統合問題だと断ぜざるを得ないのであります。全く私は不可解に思っております。  しかし、それをおきまして、次の問題点についてお聞きいたします。  厚生省にお聞きいたしますけれども、先ほどもちょっと前の質問者にもお答えになっておりましたけれども、二十一世紀に向けまして有識者一千名に対しまして年金問題に関するアンケートをお出しになった。どういう評価を今日お持ちになっているのか。第二次調査をやる予定であったのをおやめになった理由も含めて、第一次調査ではどういうようなものが出てきて、それに対する評価と展望を厚生省の方からお聞かせ願いたい。
  52. 渡辺修

    渡辺説明員 今回実施いたしました有識者調査は、今後の年金制度あり方に関しまして広く各界有識者の御意見を伺いまして、私どもが来年に予定しております制度改正の参考に資したいということでやったものでございます。幸い対象者の方々の御理解、御協力をいただきまして、この種の調査では大変高いと思われます六四%の回答率を得ることができました。私どもとしましては、次期制度改正に向けて貴重な御意見をちょうだいすることができたというふうに考えております。  それから、先生後段でお尋ねの第二回調査の件でございますが、私ども、昨年末に第一回目の調査をいたしますときに、必要があれば二回目の調査をさせていただくということを申し上げて御協力をお願いしたわけでございますけれども、第一回調査の結果を慎重に検討させていただきました結果、それぞれの項目につきまして有識者の方々の御意見が相当程度集約しておりまして、私ども、所期の目的がおおむね達成できた、こういうふうに判断いたしましたので、第二回目はやらない、見合わせることにしたわけでございます。
  53. 野口幸一

    野口委員 年金問題では財源の問題、給付水準、無年金者、さらにはまた婦人の年金権、いろいろ大きな問題がございます。中でも国民年金、これがこれからの一番重要な課題だと思うのですが、厚生省は、今日の段階国民年金の将来展望という問題についてどのような基本的な構想をお持ちなのか、厚生省にひとつこの際伺っておきたい。
  54. 渡辺修

    渡辺説明員 先生おっしゃいましたように、国民年金制度国民年金制度としていろいろ問題を抱えているわけでございますが、同時に、私どもが所管しております厚生年金等他の年金制度もそれぞれに問題を抱えております。  そういうことで、国民年金だけで将来どうするという国民年金に限局した考え方ではなくて、厚生省が所管いたします年金制度全体につきまして、将来とも安定的に制度運営が図られるように制度の枠組みを含めた検討をする必要がある。婦人の年金保障問題をとりましても、現在国民年金に任意加入できるようになっております被用者の妻の問題をどうするか。被用者の年金制度厚生年金保険制度でございますけれども、やはり制度をまたがって種々検討をしていく必要があるだろうということで、現在、国民年金につきましても厚生年金につきましても、次期通常国会改正案を提出することができますように鋭意作業を進めているところでございます。
  55. 野口幸一

    野口委員 年金問題は、いまも私ちょっと言葉が足りませんで国民年金だけを申し上げましたが、確かに厚生年金にも関連する点で大きな課題を持っているのでありますけれども、とにかく先ほど来話をしていますように、この年金問題は将来的には非常に重要な政策の課題である。しかも、老齢化社会がどんどん進んでいるという中にあって、基本的には将来を保障していく構想というものを明らかにしながら、恐らく統合をしたりあるいはまた合併をしたりしなければならないということもわからないわけではありませんけれども、しかし、幾ら統合しても財源問題が解決するわけではありませんし、あるいはまた、再編しただけでこの財政問題が解決していくものでもないことは明らかであります。  特に、私ども一番重要に思っておりますことは、その過程の中にありまして国が一定の保障、そういったものを今日まで行ってきたものを、途中でいわば財政事情が悪くなったからといって過重な負担一つの公社、たとえば国鉄なら国鉄に対して過重な掛金をかけさせる、またOBの退職年金のスライドの停止をさせるとか、いろいろなことを言っているようでありますけれども、そういったことをやるということは、公的年金という立場から考えて非常に問題がある。権利侵害でもあるし、年金制度というものが雇用の際におけるところの一つの契約条項であるとするならば、これもまた契約違反であるとも言える。  いろいろなことから考えてみても、今日の国鉄財政事情、共済の危機状態というものに対応する大蔵省の考え方というのは非常に安易であり冷たいと言わざるを得ないのでありますけれども国鉄職員に対してこういう措置をとりながらも、他のいわゆる三公社というものと国家公務員の共済とを統合することだけでそのことが推進するとはとても思われない。しかも、その中にあって、先ほどもお話がありましたが、国鉄自身も努力をするが受給者もがまんしろ、こんなことを言っているというようなことは許せないと思うのでありますけれども、大蔵省はこの点については一体どうお考えか、ひとつその点も明らかに聞かせていただきたいと思います。
  56. 宍倉宗夫

    ○宍倉政府委員 国鉄共済組合昭和六十年度ごろから財政危機に入りまして、六十一年になりますと全く支払い不能になるのではないかというように見込まれる状況でございますからして、この法案の中では、ほかの二つの公企体の組合国家公務員共済組合とで国鉄に応援をいたしますための財政調整事業というのを仕組んでやるわけでございます。その際に、国鉄助ける側の共済組合の方からは、助けられる国鉄におきまして自助努力を十分やってほしい、それを前提にしてでないと自分の方が助けるというわけにはいかない、こういう御意見が、先ほど御議論ございましたように、国家公務員共済組合審議会で代表に来ていただいて御議論いただきましたときにも強かったわけでございます。  助けられる方と助ける方との間の両方の立場の違いというものがそこに出てきているわけでございますが、その辺のところも踏まえまして、国鉄の現在の職員方々には掛金を、助けていただかないよりは安いのでございますけれども助けてもらっても他の共済組合よりは若干高いところでかけていただくということで自己努力をお願いし、同時に、これは国鉄の内部の話でございますけれども現役とOBとの間でその努力の仕方をどういうふうに分けたらいいんだということで、これも国鉄と十分御相談申し上げまして、まあ大体半分半分ぐらいにしたらいいのじゃないだろうかということに、いま大体そういうことで皆さんの御了承を得ながら話は持ってきておるわけでございます。これは、何も大蔵省が自分だけで考えたということでございませんで、この関係の方々皆さんの御意見を踏まえたところで出てきた結論なんでございます。  なお、そうは申しましても、このことにつきましては、最終的には運営委員会というものをこの法律の中でお願いをしてございますけれども、その運営委員会で各代表がお集まりになりましてお決めになることでございます。
  57. 野口幸一

    野口委員 財政上の措置の問題につきましては、これはもう全く異論のあるところでありますから、また日を改めて同僚議員あるいはまた私も再度質問させていただきますが、いずれにしましても、国鉄職員方々財政上の事情から、一定の期間であろうと思いますけれども、一定の期間であろうとも、その退職年金を減額されるあるいはまた掛金が異常に大きくなる、こういうようなことは許せないことでありまして、私どもは、単にそれは国鉄だけの問題ではなくて、年金受給者全体にかかわる権利の問題だということを考えるわけであります。  したがって、この問題は後日に譲って議論させていただきますけれども、いずれにしましても、今日の段階では、この財政上の問題のあり方にしましても、たとえば政府案は財調の計算根拠として五年ごとということを主張されておりますが、これは必ずしも五年でなければならないということでもないと私どもも思っておりますし、当面三年間というような考え方もないではない。いろいろなことから、私は、この問題についてはさらに十分論議を尽くしていかなければならぬだろうと思っています。  ただ、先ほども言っていますように、国共審の紛糾がそのまま国会に持ち越されたというような感じでこの法案提出の経緯になっているわけでありますが、大臣も少しく知っているとおっしゃっておられますが、いずれにいたしましても、この問題は、先ほどもちょっと私が申し上げましたように、三公社の経営形態の問題あるいはまた今後の国民年金あるいは厚生年金あり方、いろいろな答申がこの秋にも出てくる状況にあるわけでありまして、本当に何も、先ほどちょっとどなたかおっしゃいましたけれども、この国会で通過させるんだとか次のときにはどうするんだとかというようなことを口走っておられましたけれども、そんなものじゃなくて、慎重に審議をして本当に国民の納得のいくような年金制度というものを樹立しなければならぬ、こう思うのでありますが、大臣、最後にその点について一言お答えをいただきたいと思います。
  58. 竹下登

    竹下国務大臣 最終的に、福祉国家というものに対するいろんな定義がございますが、先ほどわが国平均寿命の長いお話をいたしましたが、実際問題、低い国を下から言うと、エチオピアの三十七歳、アフガニスタンの三十九歳、バングラデシュが四十一歳というふうにずっとあるわけでございます。日本の歴史を見ましても、ちょうど二十五年目ごとに刻んでみましても、明治十六年、百年前が四十二・八歳、七十五年前が四十四・三歳、それから昭和八年、ちょうど五十年前が四十六・九歳、それで戦後は五十歳、人生わずか五十年ということでずっと来たわけです。  そういうことを考えると、先進国と言われる福祉国家というのは、福祉政策が一番充実したというものは何であろうかというと、結局、年金が充実した国が福祉国家として一番充実した国であるというふうな定義もつけられるのではないかな、こういうふうな感じを持っております。そして、私は過疎地帯の出身でございますので、田舎へ帰りますと、人口五千おりますが、年金受給者がちょうど千人おります。大変なものだな、先生、いつごろなくなりますでございましょうか、こんなに千人ももらっておっちゃ大変でございますというような話がございます。確かに財政というものが国民の中にいろいろ話題を提供するようになり、そしてまた、年金問題に対してその種の不安を持つようになり、ちょうど昭和六十五年になれば私も年金受給者になる、いささか老境に達した感もないわけでございません。  そういうことを考えておりますと、やはりこの際ビジョンを打ち立てなければいかぬ、これが基本的な問題である。しかしながら、ビジョンを打ち出すまでに形の上で成ってあらわれてくるものが今度御審議いただく法律で、それが国会で論議されることによって、やはり国会というところは将来のことについていろいろ論議してくれるところだ、ははあ、おれたち年金も大丈夫なんだなという、国民にもそういう意識を徹底させる一つの機会にもなるのではないか。いまおっしゃいましたように、なるほど慎重審議をお願いしなければなりませんが、慎重という字は時間というだけで読めるものではございませんので、まさに慎重審議して、かつ、速やかに御可決あらんことを心からお願いをしておる、こういうことになろうかと思います。
  59. 野口幸一

    野口委員 終わります。
  60. 森美秀

    森委員長 次回は、来る十七日火曜日午前十時十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十二分散会