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竹下国務大臣 最終的に、福祉
国家というものに対するいろんな定義がございますが、先ほど
わが国の
平均寿命の長いお話をいたしましたが、実際問題、低い国を下から言うと、エチオピアの三十七歳、アフガニスタンの三十九歳、バングラデシュが四十一歳というふうにずっとあるわけでございます。
日本の歴史を見ましても、ちょうど二十五年目ごとに刻んでみましても、明治十六年、百年前が四十二・八歳、七十五年前が四十四・三歳、それから
昭和八年、ちょうど五十年前が四十六・九歳、それで戦後は五十歳、人生わずか五十年ということでずっと来たわけです。
そういうことを
考えると、先進国と言われる福祉
国家というのは、福祉政策が一番充実したというものは何であろうかというと、結局、
年金が充実した国が福祉
国家として一番充実した国であるというふうな定義もつけられるのではないかな、こういうふうな感じを持っております。そして、私は過疎地帯の出身でございますので、田舎へ帰りますと、
人口五千おりますが、
年金受給者がちょうど千人おります。大変なものだな、
先生、いつごろなくなりますでございましょうか、こんなに千人ももらっておっちゃ大変でございますというような話がございます。確かに
財政というものが
国民の中にいろいろ話題を提供するようになり、そしてまた、
年金問題に対してその種の不安を持つようになり、ちょうど
昭和六十五年になれば私も
年金受給者になる、いささか老境に達した感もないわけでございません。
そういうことを
考えておりますと、やはりこの際ビジョンを打ち立てなければいかぬ、これが基本的な問題である。しかしながら、ビジョンを打ち出すまでに形の上で成ってあらわれてくるものが今度御
審議いただく
法律で、それが
国会で論議されることによって、やはり
国会というところは将来のことについていろいろ論議してくれるところだ、ははあ、おれ
たちの
年金も大丈夫なんだなという、
国民にもそういう意識を徹底させる
一つの機会にもなるのではないか。いまおっしゃいましたように、なるほど慎重
審議をお願いしなければなりませんが、慎重という字は時間というだけで読めるものではございませんので、まさに慎重
審議して、かつ、速やかに御可決あらんことを心からお願いをしておる、こういうことになろうかと思います。