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1983-03-18 第98回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月十八日(金曜日)     午前九時三十一分開議  出席委員    委員長 森  美秀君    理事 越智 伊平君 理事 大原 一三君    理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君    理事 鳥居 一雄君 理事 米沢  隆君       麻生 太郎君    木村武千代君       熊川 次男君    小泉純一郎君       椎名 素夫君    塩川正十郎君       平泉  渉君    平沼 赳夫君       藤井 勝志君    森  喜朗君       森田  一君    山崎武三郎君       与謝野 馨君    上田 卓三君       戸田 菊雄君    広瀬 秀吉君       柴田  弘君    正森 成二君       蓑輪 幸代君    小杉  隆君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  塚原 俊平君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       高倉  建君         大蔵大臣官房審         議官      吉田 正輝君         大蔵大臣官房審         議官      塚越 則男君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君         大蔵省関税局長 松尾 直良君         国税庁次長   酒井 健三君         国税庁税部長 角 晨一郎君         国税庁徴収部長 谷   始君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局調査官  大橋 孝郎君         大蔵大臣官房調         査企画課長   長富祐一郎君         厚生大臣官房審         議官      藤田 恒雄君         厚生省医務局指         導助成課長   柳沢健一郎君         厚生省保険局医         療課長     寺松  尚君         運輸省航空局監         理部監督課長  土坂 泰敏君         日本専売公社総         裁       長岡  實君         日本専売公社総         務理事     岡島 和男君         日本専売公社理         事       森  宗作君         日本専売公社管         理調整本部職員         部長      丹生 守夫君         大蔵委員会調査         室長      大内  宏君     ───────────── 三月十八日  理事粕谷茂君同日理事辞任につき、その補欠と  して越智伊平君が理事に当選した。     ───────────── 三月十八日  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案内閣提出第三六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第一二号)  製造たばこ定価法及び日本専売公社法の一部を改正する法律案内閣提出第一三号)  災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第三二号)      ────◇─────
  2. 森美秀

    森委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事粕谷茂君より、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森美秀

    森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの粕谷茂君の理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森美秀

    森委員長 御異議なしと認めます。よって、理事越智伊平君を指名いたします。      ────◇─────
  5. 森美秀

    森委員長 租税特別措置法の一部を改正する法律案製造たばこ定価法及び日本専売公社法の一部を改正する法律案災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
  6. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大臣質問をいたしますが、臨調最終答申が出されまして、御承知のように増税なき財政再建の路線を堅持するということが述べられているわけであります。  この増税なき財政再建ということについて、昨日は政府税調会長に来ていただきまして質疑をいたしましたら、大変迷惑であるみたいなお話がございました。私どももいかがかと思ったのですが、この臨調最終答申にある増税なき財政再建について、大臣はまずどうお考えですかというふうに聞きますと、大体大臣がいつもお答えになるのは、そっちの答弁の方にも書いてあるのじゃないかと思いますが、行革推進のてことして堅持をしていきたい、しかし、とことん削減してなお現行施策制度維持の必要があるときには負担増考えなければならない、臨調答申哲学を示したものと理解すべきであって、権威ある政府税制調査会でも御議論をしていただきたいと考えておりますというふうな答弁をいつもなさっているわけですね。いままでございましたその月並みの答弁を繰り返して伺ってもつまらないので、それと同じでしたら結構ですが、違いましたら、もうちょっとはっきりとお考えを述べていただきたい。要するに、税に関する専門委員会ですから、具体的にどうするのかということを国民の前に議論をしなければならないという気持ちで私どもいるわけでありまして、その辺の道筋をお伺いしたい。  同時に、この増税なき財政再建という言葉を振り返ってみますと、大平さんが一般消費税問題を出されて、それから大平さんがああいうことで急にお亡くなりになりまして、その後、鈴木総理大臣、一昨年の春ごろだったと思いますが、増税なき財政再建政治生命をかけるということを強調されておりました。また、臨調が発足する、現総理の中曽根さんは土光さんと心中してやりますという時代が一昨年春ごろあったわけであります。  増税なき財政再建という言葉は否定しないでそのままつながってはいるけれども、昔の名前で出ていますじゃないが、名前だけは残っているけれども、正直に言って、その取り扱い、姿勢腹の中というものは非常に変化をしたというふうに思わざるを得ないということではないだろうか。ですから、政治生命をかけると鈴木総理が言われたことといまと同じなのか違うのか、違うとすれば一体どういう点が違うのか、お考えを聞かしてください。
  7. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、政治生命あるいは心中する、どっちも実際は別に変わってないと思うのであります。  そこで、いままでと時点が変わったということを前提に置けば、これは何としても最終答申が出されたという事実があるわけです。そうなると、きょうの閣議でも総理から御指示がありましたように、これを最大限尊重して具体的な対応策について、なかんずく国会審議いただかなければならぬ法律案等々もありますので、早急にそれが検討にかかれ、こういうことです。  そこで、再三申し述べているように、まさに哲学であり、大きなテコであり、そして言葉を見ましても、糧道を断って歳出削減をやれと、こう指示されておる。普通の役所で書く文章にはめったに糧道を断つなんということは使わないわけですから、それだけ意欲が強烈にあらわれておると考えなければいかぬ。全体を見ますと、まさに歳出に対する考え方が述べられ、歳入に対する面ではその哲学と、いま一つは、公平税制あるいは所得税課税最低限税率構造直間比率と、これだけしか書いてないわけですね。  だから、臨調の見識というものは、われわれは大筋哲学を示す、それのぎりぎり詰めた議論政府でやれ、そして税というものになれば、それこそ、権威あるという表現を申しましたが、税調等意見を聞いて、国会論議も踏まえ、こう書いてありますから、そういうものでこれをやっていけということであって、みずから行革の、いわゆる臨調としてのあり方の中にそこまで具体的に、歳出削減の対象として三十二項目が挙げられておるというような具体例を示さないで、大筋姿勢を示すということでもって作業が進んだ、その結果がこの最終答申じゃないかと思いますので、臨調へ行って、この意味はどうでございますとかいって聞くべきものでもないし、その意を体しながら政府部内でこれから検討していかなければならぬ問題だ、具体的にそういうふうに思っております。
  8. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 そういたしますと、受け取り方としては、鈴木総理政治生命をかけると言われたときには完全実施ですね。人勧ではありませんけれども、一〇〇%実施を目指してがんばっていこう。いまの大臣お答え伺いますと、環境もいろいろとより深刻な事態である、大臣が前に大臣席におられたときの財政再建前夜よりもえらく暗くなっちゃったという現実の中で、完全実施、一〇〇%実施政治生命をかけるというよりも、状況は違ったというふうな意味ではないだろうかというふうに私は思うわけであります。  ただ、その辺が、新聞報道を見ますと、あなたの手下の大蔵省幹部あるいは事務方最高事務次官とかがいろいろなことを言われておるようでありまして、ある新聞を見ましたら「臨調基本理念となっている増税なき財政再建については抽象的な文句だけで、事増税に関してはフリーハンドを与えられたものである(大蔵省幹部)」、それからこれは実名で松下事務次官、秀才の幹部松下次官記者会見で、たとえば負担率についても何%が上限というふうな具体的な論議は必要ない、広く常識的に受けとめ、個別の税制論議について最終答申は否定をしていないと強調しているというようなことを書いてありますね。  そうすると、何となくたてまえ論よりは緩めた方に解釈をいたしまして、腹の中はそれでやるんだぞというふうに、あなたの下にいらっしゃるところの幹部皆さんは受け取っている。そんな印象のことがいろいろと新聞でも報道されておりますが、大臣としては、一体、そういう大蔵省首脳幹部をどう指導なさるおつもりですかというのが一つ。  それから、いま大臣がおっしゃいました、その哲学堅持をしてとことん削減をして、なおそれから後現実のことになるわけでありますが、とことん削減してということに関連をして、五十七年度はゼロシーリング、五十八年度はマイナスシーリング、かつてない厳しいことであったわけであります。それから、これからの収支見通し、A、B、Cとか三種類見ましても非常に厳しい。間もなく予算成立をいたしますと、これから後の具体的見通し作業に入るわけでありますし、当委員会にもお見えになったことのない主計局長中心にして、そういう作戦もそろそろ考えているということじゃないだろうかというふうに思いますが、これから先、たとえば少なくとも五十九年などもことし以上のマイナスシーリングで臨む、ことし程度、まあ逆に石油その他さまざま税収が見込まれるかもしれないし、ここまで切り込んだら大変だし、多少は緩めなければならないだろう。そこら辺は、今日の現状を踏まえた上でどういう姿勢で臨まれるべきであるとお考えでしょうか。
  9. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、財政改革という立場に立って歳出全般にわたって徹底した見直し、抑制を行う必要があります。したがって、まずは各省庁にお願いをして、所管される施策経費全般にわたって厳しい見直しを行ってもらって取捨選択をしてもらうという必要がございます。したがって、五十九年度の概算要求限度額、いわゆるシーリングというのは厳しいものにならざるを得ない、基本的にはそういう考え方でございます。それは、まだ予算成立しておりませんし、成立したら、直ちにそういう概算要求限度額の問題については厳しい姿勢議論を進めて御協力をいただかなければならぬようになるのじゃないかというふうに思っております。  石油価格の下落というものは、総体的に見れば、わが国経済に全体的にいいと言えると思いますが、しかし一時的には、まさにいわば石油備蓄等高いものを持っていらっしゃる、それの在庫の評価がえ等もございましょうし、直ちに税収に響いてくるものであるかどうか。また、それだけのものが産油国に対する輸出が減ってくるんじゃないか、こういう問題もあるわけでございますので、この問題についてもにわかに結論を出すわけにはまいりませんので、いずれにしても、歳出については厳しいシーリングお願いするようになるであろうというふうに考えております。
  10. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 それから、もう一つ大臣のいつもお答えになっていることでは、税制についても、税制最終決定には権威ある政府税調というものもございます。いままでの論議を伺っても、大臣御自身ははっきりしたことを言わないで、ミッチー節の当時とは変わって大分慎重な言い回しをされていることが多いわけでございますけれども、政府税制調査会審議にまつというふうなお考えをしばしば伺うわけであります。  昨日も小倉会長にお越しいただきまして議論をいたしましたが、私も学生時代には特別講座で学校で講義を聞いたことのある方ですし、りっぱな方だと思いますが、一体国民の中から、政府税調というのは権威があるのかどうか、普通でしたら大分ぶしつけな御質問ですが、そういう言葉が各委員から出ていたわけであります。現実問題としては、一般消費税経過その他を考えてみますと、税調全体としては褒められた状態ではない。少なくとも、国民信頼をかち得ているあるいは国民信頼がつながっているということではないだろうというふうに実は思わざるを得ないわけであります。そして、今度三代目から間もなく四代目にかわる。総理の任命ではございますけれども、実際には大蔵省が担当してその選考に当たられるというふうなことになるのではないかと思います。  私は、大臣に、これは折り入っての希望なわけでありますけれども、税についてもまさに国難とも言うべき困難な時期ということであろうと思います。まさに国難に対処するという時期であろうと思います。そういたしますと、行政の方の御都合が望ましいか望ましくないかという物差しで考えるべきではないんで、やはり全国民的な視野から見て権威のある、公正で、ある意味では気骨のある、そういう人が中心になって、国民の合意を求めながらどうしていくのかというさまざまの新しい議論をしなければならないという時期ではないだろうか。  それで、気持ちをお伺いしておきたいのですが、私は、一つは、いままでの自動延長のシステムでいいのかという疑問は広くあるのではないかと思います。さまざまな新しい努力をしなければならないという時期ではないだろうか。ですから、これからの持っていき方についても、いますぐ具体的にどうという答弁をいただくというつもりはございませんが、心構えとして新たな今日の時代にいまの国難と見る情勢に合った御活動をお願いをする、それから行政のサイドから見て、恐縮な言葉ですが御しやすいとかそんな狭い考え方ではなくて、社会的に権威のある、公正で気骨のある、そういう人を選んでいく。公募ではありませんから、あちこち大臣なり関係者意見を聞いて回るわけにはいかぬでしょうけれども、ざっくばらんにそんなことについての大きな関係各界意見なども非公式に求めてみたりしながら、国難に対処する新たな税調というものを考えていく。これから卒業論文を書いてからの話ですから、時期的にはちょっと先になりますが、さまざまそれらの準備をと考えますと、心構え大臣から実は伺っておきたいし、ぜひそういう面は折り入って注文したいという気持ちがするわけでございますが、いかがでございましょうか。
  11. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、国民的次元ということになりますと、どこが一番ティピカルな存在かと言えば、これは国会だと思うのです。したがって、国会議論等消化能力があるということが大事な一の要件であると思います。  だがしかし、その国会において指名した者が内閣総理大臣でございますから、それなりの道順は踏んで総理がまた任命される。その配慮というものに対しては、従来とも各界のしかもそれぞれ権威ある人にお願いをしておるということでございますので、一般論として、人選に対しては最も慎重であらなければならぬという原則は言えますが、まだ任期があるときに、いわば再任があり得るとかないとかそんな問題になりますとやはり非礼にも当たりますし、一般論として貴重な御見解として承りましたということにとどめさせていただきたい。
  12. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大臣がいらっしゃる短い時間に、所得減税について二、三伺っておきたいと思います。  一部の新聞報道では、衆議院予算成立通過参議院審議、そういう段階にいまあるわけでありますが、衆議院で終わった後、当面の最優先課題として、減税実施のための具体策着手をする、当然ですが、財源探しに着手をするということであるというふうなお話もございました。そういう報道もございました。また、そうでもないような報道もございます。一昨年、昨年、ことし、大臣よくよく御承知のこの国会内外経過でありまして、当然そういうことは主税局に命じてか、あるいはどこかに命じておやりになっているというふうなことではないだろうかと思いますが、その中間的な取り組みがどうなっているのかお伺いをしたい。それが一つ。  それから、昨日も商工会議所通常総会永野会頭から、所得減税実施についての強い要望があったようでありますし、大臣とは緊密な関係にある二階堂さんも、新聞でちょっと読んだだけですからあれですが、ちょっぴり減税なんかしない、大規模にやるんだというふうな発言商工会議所通常総会という場で実はやられたようであります。  私は、そういう面を考えますと、大臣、いままでその額、時期、非常に抽象的な御発言しかされていないのですが、一面では、大蔵大臣としての立場から見ればそうかなという面もあると思いますし、別の面で考えると、大蔵大臣こそ一つめどなり方向なりを示されるという責任といいますか、そういうポストにあるのではないだろうかという気もいたします。この経過をいろいろと伺いましても、書記長幹事長レベルの場でも、二階堂さんも胸をたたいてわれわれは大自民党だからけちけちしたことはしない、とにかく大自民党のプライドにおいてふさわしいことをやりますというお話があったそうでありますし、そのたんかを切られた大幹事長と仲よしの大大蔵大臣ですから、全く同じ気持ちで党務にも政務にも当たられているということじゃないだろうかと思います。  合意されたといいますか、議長見解などされた文章といたしましても、初めは何か五十八年度に生じるという話だったそうでありますが、五十八年につくり得る財源、つくるというのは黙って見ているというのとは違うわけでありまして、何か七月めどなんという話がよく新聞に出ますけれども、七月というのは、五十七年度の決算が出るという話でありまして、五十八年度の見通しは先にいかなければならぬ、それらをずっと見ていると年末になってしまうという、これはあたりまえのことでありまして、つくるなるばつくるなりの努力をきちんとやるということが前提だろう。  それから、幾つも重なって恐縮ですが、そういう中で、一つ話題として石油諸税の問題があります。五ドル値下げ、さらに連鎖値下げが続くのではないだろうかと言われているわけでありますが、五ドルでも一兆数千億円と言われているわけであります。これをどのように使うのか、あるいはどの方向に政策誘導するのかということは、さまざまな意見があることは事実であります。この間も同僚委員からも電力を値下げという主張もございましたが、減税財源として石油諸税という話も話題としてときどき報道されておりますが、その辺はどうお考えか。  幾つか重ねて伺いまして恐縮ですが、お出かけになるそうですから。
  13. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、やはり野党も含めて代表者の方というものははずいぶん賢いなと思いましたのは、景気浮揚に役立つ、そして財源をも含めて、こういうところまで御指摘いただいておる。そして、それが景気浮揚に役立つというのは、直ちにいまその規模とか時期とか言えないだろう。したがって、概念的なものを挙げる、そこに政府としては知恵を出せ。やはり各党代表の方々はそれなりのいわゆる結論というものには深いおもんぱかりがあるものだなという感じを深くしております。  それで、確かに勉強はいつでも開始していなければならぬ問題でございます。しかし、正式にさていつから検討に入るか、こう言われれば、やはり原則的にはこの五十七年度の決算が確定した時期というのが、私は、一つのけじめのつく機会だというふうに考えております。  だが、もう一つ非常に慎重な配慮をしておりますのは、わが国国会二院制、憲法六十条を見れば、よかれあしかれいま最善のものとして御提案した予算参議院において審議されておる。異なった議決ということとしても、学問的にはあり得る、事実そういう経過はございませんにしても。したがって、その前提の上に立って、いまの予算書の書きかえとかあるいは補正を予測するとかという議論に対してのお答えは、やはり二院制というものの現実を踏まえた場合はおのずから限界があるじゃないか、こういうことで非常な慎重な配慮をしておるわけです。これは、私も長らく国会におりまして、国会というものの権威に対して、おのずから政府答弁し得る限界というのはわきまえておるべきだ、これはだれが政権をとるかわからぬわけでございますから、そういうことだけは大事にしていなければならぬなと思っております。  それから、当然今度は勉強の中身として石油諸税という御議論がいまございましたが、ただ、石油諸税というものは、確かに石油税そのものを見れば従価税でございますから、値段が下がればそれが落ちるだろう。そうすると、代替エネルギー開発等目的財源がなくなるじゃないかとか、こういう議論もありましょう。しかし、いまやっとOPECが決まったばかり、いままでは予測の段階、そのときに直ちに観念的にあるいは直観的にあっこれだなといってかかり得るものじゃないじゃないか、こういう感じがしております。  非常に歯切れの悪い答弁でございますが、元来歯切れが余りよくございません。この辺でひとつ御勘弁願います。
  14. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 歯切れの悪い答弁をなさってお帰りになりましたが、関連をして、これは主税局長にいまのつながりでお伺いをしておきたいと思います。  何か減税問題の扱いも七月ということですね。さっきも言ったように七月というのだけれども、七月というのは、五十七年度の決算は確かにわかるのです。五十七年の締めくくりの結果がどうなるのか。この間の主税局長お話を伺っておりますと、プラス・マイナス・ゼロになればいいところかなみたいな顔つきでお話を伺っておりましたが、どっちにしても、ここで数千億円ぽこんとできました、前主税局長と比べて私は大変幸せでありましたということになるのかどうか、非常に疑問だというのが現実ではないだろうか。そうすると、七月にはそれがわかるということであって、五十八年度にどうなるのかというようなことは、七月の時点で来年三月までわかるわけじゃないし、何か七月ということは、私は全然そのめどがわからぬわけであります。  私は、本来から言ったら、とにかく国権の最高機関の場でさまざまの大事なお話がなされたわけでありますから、大蔵省皆さんとしては、早速その検討、実行にかかるというのが筋であろう。とにかくグリーンカード問題でも、主税局長も言われたように、何しろ多数与党の動き、御意向がございましたのでということを言われている状態ですから、多数与党の幹事長が胸をたたいて言ったのだから、これはそれこそ必死になって、やり過ぎて怒られることは全然ないと思うわけであります。  それから、当然のことですが、あなた方も研究する。つくるのですよ、つくる研究をする、ぼんやり見ているのではなくて。それから政府税調にも、最優先課題として検討してくれ、一カ月、二カ月のうちでも緊急に返事をしてくれというふうな検討を依頼するのが当然筋だろうと思うのですが、そういうことは主税局長としては義務感に燃えてやられていると思うのですが、そのとおりですか。
  15. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 与野党で合意がございました所得税減税の取り扱いの問題でございますけれども、これは、たびたび当委員会等でも大蔵大臣から答弁がございますように、それからただいま委員から御指摘がございましたけれども、検討着手する時期が早くて七月以降ということを申し上げておるわけでございます。  それは、一つは、五十七年度の税収決算が確定いたします時期でもございますが、同時に問題は、例の五十三年の制度の改正によりまして、五十八年度の税収が本格的に入ってまいります時期が実は現在の制度では六月以降でございますね、そういうことも一つございます。それから、これは税収関係はしない問題といたしまして、現在非常に経済の情勢が流動的でございますので、世上一般に言われておりますように、七月あるいは八月時点、夏以降の時点で、五十八年度の税収展望も含めまして経済展望がかなりはっきりしてくるだろう。  そういう時期から、財源を含め、それからまた与野党合意に「景気浮揚に役立つ」という文言があるわけでございますが、そういう時点での経済局面を考えながら、どのような方法で、どのような時期に、どのような規模で、財源考えながらどういう措置をとるべきであるかという具体的な検討を始めるのが七月以降、こういうふうな含意がある、インプリケーションがあるというふうに、私ども事務当局では受け取っているわけでございます。
  16. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 まじめな主税局長に言うのは気の毒なんだけれども、これは大臣のことなんだけれども、代理の政務次官もいらっしゃるが、私は、こういう状況の中で、この二、三年、特に主税局長とかそういうところはずいぶん悩んだことが多かっただろうと思うのです。過大見積もりをせざるを得なかったのか、みずからしたのか知らぬけれども、史上最高の財政赤字も生まれる、臨調との関連もある、若干の数千億の増税をしようかと思って勉強を始めたけれども、なかなかそうもならぬ、いま減税問題の処理がある。  皆さん方は日本の金庫を預かっているプライドをお持ちだそうですが、少なくとも七月ごろとか夏以降、経済動向とか、いまの話は五十八年度に生ずる銭があるのかないのかという姿勢ですよ。これはつくる話ですから、そういう意味での研究なり、いま答弁しなかったけれども、少なくとも緊急に政府税調の方に、とにかくいまやっていないのなら今月中でも何でも緊急に諮問をして、取り急ぎ勉強を始めて、研究を大至急始めてもらいたいとなるのが筋だろうと思うのだけれども、何か七月とか夏以降とかいう話なんですね。もうちょっとまじめに答えてください。
  17. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、五十八年度に減税の具体的な取り扱いをどうするのかという問題に絡みまして時期とか方法とか規模の具体的な検討を開始する、あるいは検討着手できる時期は、五十八年の七月以降ということを申し上げたわけでございます。  ただこれも、たびたび大蔵大臣答弁にもございますように、五十八年度の政府税調の答申には、今後の所得税の基本的な問題は、課税最低限なり税率構造を含めて五十九年度以降早い時期に税制全般の見直しの中で抜本的な検討をしなければならないという宿題はあるわけでございます。  したがいまして、所得税の基本的な見直し作業というものは、国会の御審議が一段落いたしました後、これは恒例でございますが、なるべく早い時期に毎年、国会での税制の御議論税制調査会に報告いたしまして検討を早急に開始していただくということをやっておるわけでございますが、ことしはそういった所得税減税論議もございますので、私どもは、税制調査会の場では所得税の抜本的見直し、これも当委員会でたびたび議論になっております利子配当課税のあり方等、それから、昨年の秋で作業が中断いたしておりますが、申告納税制度の基本的な制度の検討等も含めまして、所得税全般についての税制調査会での作業は、国会の御審議が一段落いたしました春以降なるべく早く検討に入っていただくという作業のもくろみは持っておるわけでございます。
  18. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 春なるべく早い時期にというのは、今月中ですか、来月早々ぐらいですか。
  19. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、やはり国会における五十八年度の税制改正の御論議が一段落いたしました後、国会での御論議をまず報告するという形で税制調査会の作業をスタートさせていただきますので、税法等が国会で御承認いただきましたらなるべく早く、こういう意味でございます。
  20. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 税法が通る通らないと関係なく、とにかく国権の最高機関の場で出ていることですから、与党からグリーンカードで何か言われて作業も中止したのと比べたら、大蔵省職員のあり方として大変おかしいというふうに私は思わざるを得ない。  確かにむずかしいことは私もわかりますよ。いまのあなた方の立場は、全体の仕組みの中でどうやって景気浮揚に役立つようなものをつくれるのか、相当の苦労もしなければならぬし、あちこちぶつかりもしなければならぬだろうということはわかりますよ。だけれども、生ずるじゃなくてつくるのだから、つくる努力をあちこち壁にもぶつかってみてやるというのが当然の姿勢ではないだろうか。要するに、ぼんやりしていたら何もできないのですから、不可能と言われたことを可能にするのが政治の真髄であるという話がありますが、そんなことなら気骨のあるナポレオンでも局長に持ってきてやったらいいのじゃないかと思うぐらいですが、これはもちろん政治家である大臣にも言うことでございますけれども、事務方皆さんにもひとつ強く要望しておきたい。  減税関連で、もう一つだけ伺っておきたいのですが、いずれにしても、間もなく所得税減税について税調審議を要請するということになるでありましょう。そのときはどういう骨格をお考えですか。いままでの議論、その他報道などを見ますと、課税最低限をどう上げられるかということは当然でありますが、それに加えまして、累進率を変えていく、最高の七五を六〇程度にするとかいう問題あるいは刻みの十九を十か十二程度にするとか、それから最低の方の基準を一〇を一二ぐらいに持っていくとか、いろいろな報道がなされておりますが、それらについて所得税の当面検討していただかなければならない、大蔵省としても検討しなければならない幾つかのポイントがあると思うのですが、どういう心づもりを主税局長はお持ちですか。
  21. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 これは、先ほど申し上げました五十八年度の制度改正の答申にもございますが、従来から税制調査会での御議論にもございますように、わが国所得税の基本的な特徴といたしまして税率構造の刻みが非常に多い、しかも最低税率は諸外国に対して非常に低いし最高税率は非常に高い、そういうことで累進構造が非常に急になっているという点が指摘されておるわけでございますが、これは、同時に各種の所得控除と税率構造の組み合わせをどう考えるかということにも関連してくるわけでございます。  したがいまして、現在の時点で、今後のわが国所得税を具体的にどういう方向あるいはどういう点をどういうふうにしていただくということを予断を持っているわけではございませんが、恐らく税制調査会の御議論の中では、各種の所得控除の現在の体系それから税率構造も含めまして基本的な見直し作業お願いしたいと私どもも考えておりますし、そういう検討が行われるというふうに考えておるわけでございます。
  22. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 次に、これまた主税局長伺いたいのですが、租税弾性値の問題でどういうお考えをお持ちか。名目GNP対比税収の伸びを見てみますと、五十四年度が一・九五、五十五年度が一・四二、五十六年度〇・六三、五十七年度補正後ですか〇・七六、五十八年度見込み一・〇五とか、いま数字を見るわけでありますが、これに関連して実はさまざまの議論があります。  弾性値が構造的に一以上になることはないという経済、税収構造になったのではないかという見方があるわけであります。たとえば産業構造が変化をした。物をつくる部面の方が相対的には比率として縮まって、そして第三次産業、サービスという部面が非常に拡大をする。先般の経企庁が出された「二〇〇〇年の日本」、長期の分析を見ましても、そういう方向がさらに顕著に進むであろうということが述べられております。そういう産業構造の変化の中で、構造的に弾性値が一以上にならないのではないかという見方もあります。  それから、景気論から見る見方もあるわけでありまして、いまなかなか不況の出口が見つからない、これから今年度多少薄明かりでも出るであろうかと、政府の方もさまざまな景気対策を考えなければならぬということのようでございますけれども、特に法人税が落ち込んでいる。そういうことが弾性値を一以下にしてきた最大の理由であって、景気がよくなれば、法人税の方が上がってくれば、弾性値は一以上に安定して回復するという見方もあります。  それから、いまの税制構造から弾性値は落ちざるを得ない税制構造にあって、これは全面的に見直しをしなければならない、改めて言う必要もないと思いますが、確かに主な税目の弾性値がえらく違う、特に源泉分の大きいのに比べてということが評論で指摘をされるわけでありまして、こういう税制の構造をほっておいたらますますゆがんでくる、弾性値も一以上にならないという見方もあるわけでありますが、その辺はどうお考えですか。
  23. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 弾性値の最近の計数につきましては、ただいま委員が御指摘になったとおりでございます。弾性値の議論考えます場合に、二つの側面があるわけでございまして、一つは実体経済の動向、それからもう一つは御指摘のありました税体系でございます。  近年のわが国の税の弾性値の実績を振り返って見てまいりますと、高度成長期特に第一次オイルショック前で区切るという意味で四十年度から四十八年度の平均をとりますと、一・四でございます。ところが、それ以降五十六年度まで、これは実績でございますが、第一次オイルショック、第二次オイルショックをカバーする時期の弾性値が実は〇・九二、一を割っておるわけでございます。  税目によって非常に違うということをおっしゃいましたが、それはまさにそのとおりでございまして、基本的に申しますと、まず所得税は累進構造を持っておりますから、経済成長率がプラスである以上は名目成長率は必ず一を上回るわけでございます。それから、法人税というのは比例税率でございますから、非常に長期的に見て、しかも経済が安定的であれば弾性価は一である。それから間接諸税でございますが、わが国のように個別消費税で、しかも従量税率が非常に多い場合は、むしろ毎年毎年税率のいわばインデクセーションをやりませんと、弾性値は一を下回るという傾向がございます。過去の実績を見ましても、高度成長期の時期でも間接税の弾性値は〇・八でございます。一を下回っておるわけでございます。それから法人税の弾性値は、高度成長期が一・三、所得税は弾性値は二ということでございまして、経済が非常に上向きでございますと、本来長期的には一であるはずの法人税の弾性値が一を上回るということは見やすい道理でございまして、たとえば前年度赤字決算をやった法人が、経済が上向きのときはもちろん黒字決算をやるあるいは新規に企業が参入してくるということでございますので、当然一を上回る。  実は、第一次オイルショックまでは、そういう法人税の勢いもございまして、それから当然名目成長率も高かったわけでございますから、所得税の弾性値も当然高い、二を上回るという水準でございましたので、それが合成された結果、一・四という高い弾性値であった。それが、第一次、第二次オイルショックを含めました現時点では、実は一を下回っておる。  それは、一つは、所得税につきましても、名目所得の成長率と申しますか増加率が高度成長期よりも下回っておりますから、同じ累進構造のもとでも弾性値は二よりも下回る、これは当然の議論でございます。それから間接税につきましても、一般的に一を下回る傾向が、消費がそう大きく伸びないということになればやはり高度成長期よりも下回ってまいる。それから法人税につきましては、これは現在、石油の値下がりの傾向も含めまして法人税収がどうなるかということが非常に議論の的になっておるわけでございますが、第一次それから第二次オイルショックの過去の経緯を見ましても、原油の値下がり後一年あるいは一年半くらいのタイムラグをもちまして、法人税収が顕著にダウンをしておる。いま、むしろこれからこれが持ち直していく時期かと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、この期間法人税の弾性値が実は一を下回っておるということでございます。  したがいまして、御指摘のように、わが国の現在の税体系で構造的に弾性値が一を上回らないというかっこうになっているかとおっしゃいますと、私どもは、そうは考えておらないわけでございます。というのは、今後経済の局面がもう少し変わってまいりますと、法人税を中心にして弾性値が上向いてまいります。現実に私どもの現在の税収見積もりにおきましても、五十八年度では一を若干上回るという税収見積もりになっております。したがいまして、今後の経済の動向いかんにもよるわけでございますが、一を下回る長期的な傾向があるというふうに私どもは考えておりません。しかし、現在の税体系と今後の経済の安定基調ということを考えます場合に、高度成長期のようなトータルとして高い弾性値が結果としては出てこないであろうということは確実に言えるかと思います。
  24. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 主税局長考え伺いましたが、私は、この辺の分析をさまざましてみなければならないと思うのです。  改めて揚げ足をとるつもりはありませんが、御承知のとおり、昨年度も当初は税収見積もりは大丈夫、途中では神に祈るような気持ち、最終段階では大幅補正という経過をたどったわけでありますが、どちらにしましても構造的に、しかも経済動向、経済構造の変化それから税収構造、税制がその時代にふさわしいかどうかという多角的な議論をしなければならない時期ではないだろうか。従来の仕組みでいきますと、どうしても税制としての合理性を中心にした議論になるわけでありますけれども、もっと幅広い視野からやらないと、社会経済の現実に合う長期の見通しをどう考えるのかという検討にならない面があると私は思うわけでありまして、そういう意味では、これからの皆さん方の勉強も、私どももそうですけれども、政府税調特に新しい体制の国民権威のある税調などでそんな議論を大いになされるということが、国民立場から見て各界各層に対する責任として必要なときではないだろうかというふうに実は思うわけであります。  そういう気持ちで次に伺いたいのですが、その前に、いま主税局長も言われた税目による伸び率の差が著しいという問題ですね。これは、一面では景気動向から来る法人税という面もあるでありましょう。しかし、それだけではない視点というものを持たなくてはどうにもならぬというところであろう。源泉の伸び率がこれは五六でしたか、申告が三・〇、法人税がマイナス一・一云々ということで、申告の中でも青と白で大分違う数字が出ているわけでありますし、あるいはまた、三年前から法人税と所得税の額が戦後初めて所得税の方が上回るという構造に転化をした。理屈を言えば、国民所得構造からいってそれでいいんだとか悪いんだとか、諸外国の場合でもどうだとか、いろいろなことがあると私は思うのですね。  ただ、現実の日本の経済あるいは各層の税負担のあり方などを考えれば、国民的なコンセンサス、国民的な御理解を得る方向としては、少なくともサラリーマンが払う分と会社が払う分と同等ぐらいというのが大体の数字ではないだろうかという気がするわけであります。ところが、逆転方向はますます広がってくるというふうなわけでありまして、さっき税調に諮問するお話伺いましたが、また租税負担率の範囲内でどう洗い直すのかというふうな議論も前にございましたけれども、そういう視点も含めてやられるべきではないだろうか。税調自身が卒業論文を書くのは税調が自主的にやることでありますからあれですが、いろいろとそういう前向きの意見とか問題意識を強く提起するということは当然差し支えない、必要なことではないだろうかと思うわけでありまして、ちょっと簡単にそこだけ伺いたい。     〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕
  25. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 税目別に税収の伸び率、結果的には弾性値ということにもなるかと思いますが、これが非常に違う、特に所得税の中でも源泉所得税の弾性値が非情に高いという御指摘でございます。  これは、後ほど先ほどの御指摘に関連いたしまして述べさせていただきたいと思うのですが、ただ、その前提といたしまして、源泉所得税が非常に伸びるのは給与所得者だけが税負担を重く負わされている結果ではないかという御指摘がよくあるわけでございますけれども、これは、マクロ経済を見ましても、労働分配率と申しますか国民所得に占める雇用者所得の割合というのは、四十年代から五十年代を見ましても、一〇%ポイント以上上回っておるわけでございますね。源泉所得税のうち七割以上は給与所得に関する源泉徴収でございますから、そういう実体経済の構造を反映しておるということも、私ども忘れてならないと思うわけでございます。  それからもう一つ、私ども税収見積もりをやりまして痛感いたしますのは、法人税が先ほど来議論になっておりますように弾性値の起伏が非的に激しいと申しますか、税収の安定性がない。諸外国におきましても、税収見積もりで一番むずかしいのは法人税でございまして、ヨーロッパ諸国では付加価値税を持っておりますが、付加価値税というのは税収見積もりと結果の狂いが比較的少ない。私どもの経験からいたしましても、間接諸税につきましては税収見積もりと結果の誤差が平均的に少ない。というのは、やはり法人税は企業収益が課税対象でございますので、これは経済の局面によって大変起伏が激しいことの反映であるということでございます。  前置きはそういうことでございますが、そうは申しましても、世上、給与所得者については源泉徴収ということで所得の捕捉が完全に行われる、一方事業所得も含めましていわゆる法人税、それから申告所得税も含めまして申告所得の場合は、所得の捕捉が必ずしも十分ではないのではないかということで、大多数の納税者を占めます給与所得者からの不公平感が非常に高まっておる、これは客観的事実としてございます。  そこで税制調査会でも、トーゴーサンとかクロヨンという、そういう計数面でいろいろ御指摘があることはともかくといたしまして、不公平感があるという客観的事実に即して、主として申告納税制度について一体どういうふうにすればより的確な申告が行われるのか、あるいは源泉徴収を受けている納税者から見て不公平感が払拭されるような制度であるのかというふうな観点から、実は昨年の六月でございましたか、税制調査会の中に特別の部会を設けていただきまして、これは東京大学の金子先生が部会長になられまして、現在作業を続けていただいておるわけでございますが、去年の秋この作業は一たん中断されております。  これは、先ほどの関連もございますが、ことしの春以降できるたけ早く作業を再開していただきまして、帳簿記録による申告それから推計課税の問題あるいは立証責任の問題等々も含めまして、より的確な申告納税制度をどういうふうに形づくっていったらいいのかという点について御検討いただきまして、できれば年内にでも御結論を得まして、制度としてまた国会の御審議を仰ぎたいというふうに考えておるわけでございます。
  26. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 主税局長にもう一つ伺いますが、先ほど言ったように、狭い意味での税制合理化論議と同時に、もっと広い意味での議論をする、そういう立場から、今後の税制の中長期的なあり方を含めて懸命に勉強しなくてはならぬというのがいま置かれている時期であろう。  そういう意味で、出されている資料などもいただいて若干読んでみたのですが、たとえば「日本経済の潜在成長力」という通産省が去年の秋出されたレポートもございますし、それから、皆さん方の方で館先生を座長にしてやられたレポートも読ませていただきました。それぞれ個性もあるし、希望的観測も背景にあるかもしらぬしと思って読んでみたのですが、それらの論争はさておき、これからの税収それから経済施策、銭勘定は大蔵省、景気をどうするかは通産省か、あとをながめるのが経企庁という構造では、この国難に対応するというわけにはまいらぬという気がしてならないわけでありますが、たまたま宮崎勇さんが雑誌中央公論に書かれているのを年頭来興味深く読んでおりまして、この内容は昨年も一昨年も予算委員会でも議論をされたことと関連をしている。これは何か知っていますね。見ましたか。政務次官もどうぞ勉強してください。  長い時間やるのはなんですから、私から簡単にやろうと思いますが、要するに、財政再建税収、景気対策というものを幾つかのシミュレーションを描いてみたら一体どうなるのだろうかということになるわけであります。宮崎さんが、大和証券の有能な専門家を集めて、一定の計量モデルを用いて計算をしたというわけでありますけれども、①、②、③、④、⑤、⑥とケースが述べられております。     〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕 説明の文章の方はなくてもわかると思います。公共投資一単位を初年度だけ削減する場合、増税の場合、それから減税の場合、またその組み合わせの場合などがあるわけでありますが、これを見ますと、私は、大体妥当な一つ結論といいますか、多少見解の違いがあっても大体こういうことの効果ではないかということだろうかと思います。  この六つのケース、①から⑥までのさまざまのケースというものから、経済財政政策と財政バランスの将来というものを考えてみますと、いろいろな意味で、私はこの⑥のケース、「個人税減税と公定歩合引下げの財政バランスに及ぼす効果〔③と⑤の組合せ〕」ということになっているわけですが、現実問題として、これは一面では景気対策、税収、一面では税の不公平、さっきも主税局長が言われたように不公平感が現実に広範に存在するというものを、これは社会的政治的にどう打開していくのか。さまざまな要因を含めて、これが一番妥当な対応ではないだろうかという気がするわけでありますが、従来予算委員会その他で行われた場合でも、公共投資の景気効果、将来の税収効果、減税の景気効果、将来の税収効果という議論がなされたわけでありますけれども、宮崎先生はもうちょっと幅広く御研究になったというふうなところではないかと思います。  また、考えてみますと、減税問題はいよいよもって何とかしなければならぬというところに、これは政府の責任でやらなければならぬというところに来ている。これをごまかしたら、幻にしたら、大蔵省政府国民権威失墜ですね。公定歩合の方も、けさの新聞を見ましたら、西ドイツの引き下げ一%というふうな報道もされておりましたし、最近の石油の値段の状況、円高その他から見れば、私は、正直に言って、日本銀行の方が一月のときにはタイミングを間違ったということではないかという気がしているのですが、決断をする時期であろうと思いますし、それから、今度の政府がおやりになると報道されている景気対策の中でも欠かせない問題である。  そういうことを考えてみますと、現実的な諸条件がそこに来ている。またそういう角度から、つじつま合わせだけではない経済、それから不況打開などを含めた、あるいは税の不公平是正ということも含めた一つ方向づけというものが計数としても証明されているのじゃないだろうか。これも本当に主税局長に聞く話かどうかあれなんだけれども、どうですか。
  27. 長富祐一郎

    ○長富説明員 御指摘のシミュレーションにつきましては、昨日もいろいろと興味深く拝見いたしたわけでございますが、先生も先ほど御指摘がございましたように、大変に第三次産業とかサービス経済化ということが進んでまいっておりまして、物量中心でまいった時代とは違いまして、計量的にシミュレーションというもので具体的な政策を引き出していくということが、ここにも宮崎先生が書いておられますように、なかなかむずかしい時代になってまいっておりまして、ただ、御指摘のポリシーミックスをどう考えていくかということは、これは大変に大切な話であると同時に、きわめてむずかしい問題になっておりまして、先ほども御紹介いただきましたように、いま館先生方に研究をお願いしているところでございます。  いま先生は、公定歩合の引き下げと減税が一番有効ではないのかという点に御質問の御趣旨があろうかと思いますが、公定歩合につきましては、御承知のとおり日銀の専管事項でございまして、私ども、円、為替の動向とか国内金利水準とか、いろいろ非常に気にしながら見ている、日銀さんはどうお考えになるかということで見ているわけでございますが、金利政策そのものにつきましては、もとより状況に応じまして弾力的にやっていかなければいけないというふうに考えております。  税の問題についてはちょっと私、適当ではございませんので、答弁をかわらしていただきます。
  28. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 おもしろいテーマですから、自由討論のときにもう一遍やりましょう。ただ問題提起だけしておきます。皆さん、こういう視点も含めてよく勉強していただきたいと思います。  いまお答えになったように、数字として確実に見通せるかどうかなどの点から言えば、不確実性の時代かどうか知らぬけれども、確かにそれはむずかしい問題です。幅を持ってあるいはまた現実の見込みとしては相当弾力的なローリングの発想でやらなくちゃならぬ、これはあたりまえのことですが、ただ大筋見通しとしてどういう処方せんが必要なのだろうか、そして税金が何ぼ入るかという計算だけではない総体的なことがないといけないし、全体的な経済社会構造の変化に伴った税収のあり方という角度からの権威ある議論をするということが必要だろうと思いますし、また機会がありましたら、一般質問の機会に自由討論でもやらしていただきたいと思いますが、ぜひ問題提起として受けとめていただきたいということにしておきたいと思います。  次に、国税庁に、まず税務執行の体制をさらにさまざま改善をする必要があるのではないだろうかということで、二、三見解伺いたいと思います。  一つは、税務職員の問題、これは同僚委員からすでに何回かこの委員会でも議論がございますし、しかるべき御答弁もいただいていることになるわけでありますが、やはりこれも年齢構造その他御承知のとおりでありますから、どこまでできるかという現実問題もありますけれども、毎年毎年、ことしは十人か、来年は二十人かとかいうことがありますけれども、間もなく大きな変動が来るわけですから、やや中期的な計画性というものが必要だろうと思います。  その問題と、それからもう一つは還付の問題でありまして、何か聞くところによりますと、これはきちんと答えていただきたいのですが、いままで特に給与所得者、サラリーマンのさまざまな還付ですね、確かに知識もずいぶん行き渡ってきたことも事実なわけでありますが、この数年来タックスペイヤーの側にはこれだけの権利がありますよということを、ポスターでお知らせをしたり印刷物で配ったり、いろいろな形で納税者に知らせる。その面、税務署も事務が大変でありますし、税収も、お返しをするわけですから減ることは事実でありますが、公正な税制信頼を得るという当然な立場から、そういう御努力をなさってきたというふうに思っているわけであります。  十分か不十分かは別にして、いろいろとおやりになった経過は私どもも認識をいたしておりますが、ことしは確定申告を前にして、特に勤労者の皆さん、この場合にはこうという形での大規模ないままでのようなPRは、ことしはほとんどやっていないか中止をされたというふうな話をちょっと聞いたわけでありますが、その辺はどうお考えですか。どうなっておりますか。確かに、五百万件の還付請求ですから、大変なことは大変ですよ。この時期、これから先、その処理、税務署の皆さんも本当に大変だと思います。私も、その実態はよくわかります。  ただ、本来は税制を変えるべきことなのに税制が変わらぬから、こういう事態が発生していることは不満の爆発の一つのあらわれだろうと思うわけでありまして、本来だったら、こういうことは休みなくPRもする、お知らせをする、漏れなくわかるように、タックスペイヤーの側が損をしないようなお知らせはちゃんとやる、場合によっては、還付担当の専門の部門みたいなこともきちんとして対応することも必要ではないだろうかと思うわけでありますが、やめたという話を聞きましたので、どうなっておりますかということ。  それからもう一つ、これは主税の方ですか、税法上の問題でありますが、所得税法二百三十九条及び二百四十条、二百四十一条によりますと、サラリーマンの給与から源泉所得税を徴収しなかった者は三年以下の懲役、五十万円以下の罰金あるいはその両方である。また、徴収して納付しなかった者については三年以下の懲役、百万円以下の罰金あるいはその両方。二百四十一条では、サラリーマン以外のことになるわけでありますが、一年以下の懲役、二十万円以下の罰金、場合によっては免除される可能性もある。これが何倍も違うわけでありますが、事前に聞きましたら、いや、片方は人様の税金をお預かりして払わない、いわば猫ばばしたわけでありますから、これは罰は重い、サラリーマン以外の場合に罰が軽いのは、それとは性格が違うというような説明でありました。  しかし、じっと法律を読んでみますと、徴収して納付しなかった者は二百四十条にあって、二百三十九条は徴収しなかった者を言うわけでありますから、直接に払ったか間接に払ったかは別にして、二百四十一条で言うのと中身としては大体似たような話じゃないだろうか。性格がえらく違うというものじゃないだろう。ところが、罰則はえらく違う。しかほどさようにサラリーマンをいじめているという見解があるわけでありますが、重ねて恐縮ですが、税務執行に関したことで簡単にお答えください。
  29. 酒井健三

    ○酒井政府委員 お答え申し上げます。  第一点の、国税職員の定員の問題でございますが、当委員会におきましてもたびたび御指摘のように、私どもの課税対象としております内容が質量とも大変ふえてきております。それに対しまして、職員の定員の増加というのは若干強含み、横ばいと申しますか、そういうような状況でございます。  特に、今後の問題を考えた場合、私ども約五万三千の職員がおりますが、五十歳以上の職員が約三割でございます。そういう方々は、これから十年たたない間に退職していくということで、これは与件としては非常にはっきりしておりまして、そういうものを数字的な前提の上で、私ども、中期的な対策を考えていかなければいけないと思っております。  私ども、これまでも事務の合理化、効率化等によりまして一生懸命努力してきておりますが、今後もそういう努力は重ねるといたしましても、効率化、合理化にもそれなり限界がございますので、関係方面の理解を得まして定員の増加にさらに努力をいたすとともに、非常に熟達した職員がこれから十年たたないうちに大量にやめていく、そういう問題につきまして、先日も人事担当の職員を集めましていろいろ議論をしておるところでございまして、中期的な展望を持って対応するように努力してまいる考えでございます。  第二の、還付の問題でございますが、私ども国税当局といたしましては、法令で定められた義務のみならず、納税者の権利につきましてもPRすることは当然と考えておりまして、従来も機会あるごとに新聞、テレビ、週刊誌などマスコミの媒体を利用するとか、税に関する冊子とかパンフレットの作成、配布あるいは「税を知る週間」の行事など日常の広報活動に努めるとともに、また確定申告期におきましては、サラリーマン向けの簡易な還付申告書や各種の控除の説明書を用意するなど、サラリーマンのためのわかりやすい広報に努力してきております。  しかし御指摘のように、還付につきましては、たとえば医療費控除がすでに昭和二十五年から行われておるとか、住宅取得控除の制度が四十七年から行われておるというようなこともございまして、国民の皆様方にも制度が大分周知されていると思っておりますが、なお、制度改正の際にはもちろんでございますが、必要に応じまして適時適切にPRを行ってまいる所存でございます。  還付の問題につきましては、私ども、おおむね従来同様のPRを行ってまいっておりまして、特にそれを削減、廃止するようなことは行っておりません。ただ、御承知おきのように、還付の件数が非常にふえてきておる状況でございますので、還付の処理に大変な労力を要しておる現状でございますが、還付の処理の事務もおおむね昨年並みに進んでいるというふうに把握しておる状況でございます。
  30. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 いま突然の御質問で条文を見ておったわけでございますが、おっしゃるように、二百四十条というのは源泉徴収義務者が源泉徴収をしておって納付しない、これは、人の税金を預かって払わなかったわけでございますから、非常に罪が重くなっておるわけでございます。それから二百四十一条は、申告所得税義務のある人が申告しなかった場合の罰則でございます。これは申告しなかった場合でございます。  委員は、二百三十九条は、たとえば私が源泉徴収を受けるべき税金、たとえば扶養親族をごまかしたりなんかした場合の罰則でございますが、それが重くて、申告義務を負っている人の罰則が軽いではないかということなのでございますが、そういう観点から比較する場合には二百四十一条ではなくて二百三十八条。これは、申告義務を負う人が偽りその他不正な行為による、つまり、ごまかした行為をした場合には罰則が非常に重くなっているわけでございますので、それは、サラリーマンである私が扶養親族をごまかしたよりも罪が重くなっているわけでございますので、その意味での比較では二百三十八条と二百三十九条を比較すべきであって、二百四十一条というのは単純無申告の場合の罰則でございますので、御理解願いたいと思います。
  31. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いずれにしても主税局長、こんな話が出るのも、サラリーマンの税金、所得税について、私どもが提案しているように取り過ぎにならぬように物価調整制度を世界並みに導入するか、あるいは選択制にするか源泉を全部廃止するかすれば、こんな理屈はなくなるわけであります。  もう一つ、これも主税と国税庁の方ですか、公益法人の課税問題について、三つまとめてすみませんが、お伺いをいたします。  公益法人の課税問題がさまざまな分野でいろいろと論議になっておりますし、私の方も、たとえば労働組合の課税問題、これはグリーンカードの当時からさまざまな議論がございまして、新たな一つ論議になっているわけであります。憲法問題から始まって、何がどうというさまざまの議論があることは御承知のとおりでありまして、そこまで突っ込んだ議論をいま全面的にこの時間でやるつもりはありませんが、私は、それらのことをやって、また国税庁の方にもいろいろと具体的な御努力お願いしたりいろいろ対応してもらったり、この一年間してまいったわけでありますが、その経過を振り返りながら、疑問に思うというか問題意識を実は感ずるわけであります。  たとえば、労働組合と税金というような問題にしても、処方せんなり物の考え方はいろいろあると思いますが、税法とたとえば労働組合法、これも具体法から基本法までさまざまあると思いますが、そういう意味でのあり方の議論というのは、国会でも余りやられたことはないですね。  それから、社会福祉事業法とかさまざまの法律に基づいた公益法人というのがある。それは人格のあるものないもの、いろいろと多様に何十万件も存在をしている。一番多いのは宗教法人だそうでありますが、存在をしている。それらの全部を調べたわけじゃありませんけれども、個々のケースを勉強してみますと、この団体は、同じ収益事業をやるにしても相当普通の民間の事業と競合する、しかるべき御負担をいただいても当然であろうというのもありますし、それから、そういう収益とかもうけとかという概念は全然抜きにしてか存在しないような意味で、いろいろと教育、学術あるいはさまざまの社会福祉などで貢献をされている、そういう団体も実はあるわけであります。  そういうさまざまの法律、さまざまのジャンルで起きているたてまえの方と、それから税法の方は、そこに収益がありそこに利益があれば税の対象となる、これは単純明快な税法のたてまえであるわけですね。そういうものを含めた検討とか議論というのは、私もいままで余りしたことありませんで、いろいろな問題意識を感ずるわけであります。そういうのをいろいろやってみますと、これはあたりまえだな、これはそこに収益金があれば課税の対象となって大変気の毒だなというふうな気もするさまざまの例があるわけでありまして、何か社会的に御理解得られるような区分けができぬだろうかという気もしたりするわけでありますが、急いでそれをどうするかと言っても、なかなかむずかしい面も確かにあると思います。  いずれにいたしましても、税法による理論といいますか態様、さまざまのそういう団体、法人というものの基本的な設立の趣旨、あり方の問題、きょうはその中身に立ち入ってまであれなんですが、要するに、問題提起か問題意識として、そういうことをすぐ政府税調に諮問しなさいという意味ではないのですが、やはりいろいろと研究、勉強してみるということではないだろうかという思いを非常に深くしたわけでありまして、これはぜひ皆さん方の方でもそういう研究をしていただきたい。  要するに、今日あるいはこれからの社会のさまざまのジャンルでの活動、ボランティア的ベースに立ったさまざまな運動も広がるとか、いろいろな変化があるわけでありまして、そういう中での税法とのかかわり合いという研究なり勉強をひとつやっていただきたい、そういう必要があるんではないかということが一つであります。  二つは、通達行政といいますか、税務行政と通達の問題でありまして、一昨年十一月の法人税基本通達、さまざまの実は議論が起きまして、私どももそうではないかというふうに思っておりますけれども、その内容を見てみますと、とにかく整理合理化、復活とかいう説明があります。復活の裏は廃止でありまして、通達によってあるものは何年かやめたり、通達によって突然復活したりということになりますと、これは租税法定主義といいますか税の本来の基本のたてまえと食い違ってくる。一般通達か基本通達かは別にして、通達によってとにかく徴税の対象になったりならなかったりというふうなことは、復活という言葉がありましたので、僕は非常に思ったのですが、基本的にこれはおかしいんではないだろうかというふうに実は思うわけであります。  また、租税法定主義という基本論に反することがあってはならないという気がするわけでありますし、先輩議員に聞いてみますと、一般通達は別にして、税法の改正に伴って基本通達を変更するあるいは新しいものを出すというときには、立法府の方といろいろ御相談といいますか、意思疎通があるとかというふうなこともあったんだと聞くわけでありますが、今回の場合なんかは私どもも詳しく気がつきませんで、後になってさまざまと出ているというふうなことがあるわけであります。ですから、そういう面で、租税法定主義のたてまえにふさわしい立法府と税務行政それからまた通達のあり方というものに、いろいろと疑問、問題点を感ずるわけでありますが、どうお考えかということです。  それから三つ目に、これは簡単に伺っておきたいのですが、さまざまの納税団体と税務当局との関連でありまして、労働組合などの問題についても、とにかくいきなり「お尋ね」なんという文書がばらばらと行ったものですから、みんなびっくり仰天して、非常に誤解と不信感が高まって、これは私どもの方からも、当事者同士がフェアに大いに話をしていただくということをお願いいたしまして、双方真剣にいろいろと御努力されたことについては私は評価をいたします。  さまざまの部面で、これは当然のルールでありますし、そういうことがさらにあるべきだと思うわけでありまして、そういう経過で言いますと、この組合の問題についても、労働組合の実態それから労働運動の実態というものを、法人格があるなし問題とか、考えてみると僕もよくわからない、非常にいろいろな問題があるわけですね。税務当局の方でも十分研究し、あるいはその実態を踏まえて、相互に話し合って理解を共通にしていく。そういう共通の認識をお互いに深めながら、認識されたことについてはお互いに誠意を持ってこれを執行する、尊重していく、末端まで整然と対応するということにしていただきたいと思いますが、なるべく簡単にお答えください。
  32. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 まず私から、制度面での問題の御提起に対しましてお答えを申し上げます。  ただいまおっしゃいましたように、労働組合の場合、法人格がある場合と法人格でない場合、所得税法では若干取り扱いを区分けしておりますが、法人税法上は、収益事業で利益が生じた場合に二五%の、一般税率よりは低い税率でございますが、課税されるということになっております。  これは、制度の考え方といたしましては、公益法人等というのは、普通の営利法人等と異なりまして、そのやっておられる仕事が宗教とか学術とか慈善とか、そういう公益的な事業である。同時に、剰余金が出ましても分配をされるわけでもないし、解散した場合の残余財産が特定の個人に帰属するわけでもないということで、原則は非課税、課税すべきものではないということではございますけれども、たまたま、その本来の事業をおやりになるための付随的な事業といたしまして特定の収益事業を行われます場合には、いわば常利法人とのバランスを考えて課税をする。で、その収益事業というのは政令で制限列挙されておるわけでございます。  この問題につきましては、五十五年、税制調査会の中で企業課税の小委員会というのをつくっていただきまして、法人税制全般についていろいろ御議論願いました。そのときにも、この公益法人課税の議論が取り上げられましたが、税制調査会での御議論方向というのは、むしろ収益事業の範囲を広げて、課税すべきものは公益法人についてもなるべく課税していくという方向検討すべきではないかという御議論方向でございます。  同年の税制調査会の答申にもそういうふうに盛り込まれておるわけでございまして、世上、いま公益法人等にかかわります課税論議というのは、むしろ課税すべきものはきちんと課税すべきではないかという御意見の方がかなり強いというふうに私どもは考えておるわけでございますが、ただ、委員が御指摘になりました労働組合と税法との関係というのは、これはこれとして今後どういうふうに対応すべきか、一つの問題の御提起として勉強させていただきたいと思います。
  33. 酒井健三

    ○酒井政府委員 お答え申し上げます。  第二点の、通達の問題でございますが、国税庁の通達は、御承知おきのように、国税庁長官が、税法の適正な執行のためにその所掌事務につきまして職員に対して発しているものでございます。  税務行政の執行におきましては、税法を具体的に適用するに当たって解釈上の疑義を生ずる場合が少なくございません。仮にも、税務の第一線にある税務署等におきまして、その取り扱いが異なるようなことが生じますと、法律の趣旨やあるいは税負担の公平に反する課税が行われるというような問題が生じますので、そういうことを極力避けなければいけない。そのために国税庁としては、基本通達であるとかあるいは個別の通達を発しまして、法律の解釈や取り扱い基準を明らかにいたしまして、各税務署等における取り扱いの統一を図ることにいたしております。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕  この通達は、あくまでも上級官庁かち下級官庁に対する命令示達の一つの形式でございますけれども、私どもといたしましては、通達の制定改廃に当たっては、当然のことながら、租税法律主義の原則及び課税の公平の見地から慎重な検討を行っておりまして、必要に応じまして有識者の御意見を徴することもいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、今後とも、実際に出した通達を御要請に応じまして御説明し、内容の御批判も仰ぎたいと考えている次第でございます。  第三番目の、労働組合に対する収益事業課税に関する点についての御指摘でございますが、先生の御指摘まことにごもっともと私どもは拝聴いたしておるわけでございますが、私ども、公益法人等に対する収益事業課税の問題につきましては、従来から各法人の実態把握に努めてその適正化を図っているところでございますが、労働組合につきましても、十分にその実態を踏まえまして、よく話し合いの場を持つ等をしまして、適切な指導に今後とも一層努めてまいりたいというふうに考えております。
  34. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 残り時間、たばこの関連質問をさしていただきます。  恐縮ですが、五点ほど伺いたいことがございまして、駆け足で申し上げますので、御答弁の方も簡潔に要点をお願いをしたいと思います。  最初は、大蔵省側に対する質問ですが、法律が出てまいりまして、配付をされてぱっと見て、これは神経を疑ったのですけれども、「製造たばこの小売定価の適正化を図り」から始まっています。これは百八十円が不適正であって、二百円にするのが適正である、こういう頭脳構造が一体どこから出てくるのだろうか。どっちにしたって、実態としては赤字財政の穴埋めのために取るという話なわけですからね。  しかも、一定のたまっているお金から借りるとかというのじゃなくて、事実上の増税ですね、全部大衆転嫁をする。とにかく、ぜひともそうしなくちゃならぬからそうしたい、私どもは反対ですよ、だけれども、というのならば正直に書けばいいのですね。「たばこの小売定価の適正化を図り」から始まっています。何が一体不適正で、何が適正なんだ。一体、こんな神経がどこにあるのだろうかというふうに実は思うわけであります。主税局長が点検して出したのか、だれか知らぬけれども、やはりいけませんですね、こういうことは。われわれが見てもおかしいと思うし、一般国民にこのとおり説明したら、何と言いますか。とにかく神経を正常にして提案理由をやってもらいたいということを、まず頭に思ったわけであります。  それで伺いたいのは、平均一一・五%、品目によって違いますが、大体一本一円、合計して約二千二百六十億、二年間というわけであります。この二千二百六十億円を、〇・三四を掛けて取るというわけでありますが、一体、この額というものは、あるいはまた、この二年間というのはどういう意味なのか、どういうことから出てきたのか。これぐらい無理してくれよというような話じゃないかと私は思うのですがね。前回の公社法の制度改正の経過その他から見ても、あのときに議論した経過から見ても、まさにこれは無理を押し通す、道理が引っ込んで無理が通るというのか、横紙破りというような形になるわけでありますが、一体、どういう基準とどういう考え方でこの額とか二年とか出てきたのか。  それから、どっちにしても、こんなことはやる方も全く乱暴な話だし、それから財政再建の大道を行くという努力とは違った、苦し紛れの措置ということでありまして、将来とも二度とこんなことはあってはならぬ、二度とこういう法案を提出されることはあってはならぬというふうに思うわけでありますが、後段の分は、大臣にかわってどなたか、とにかくこんなことを二度としない、あってはならぬと思っておりますというふうに答えていただきたい。
  35. 高倉建

    ○高倉政府委員 お答え申し上げます。  今回の定価改定が、大変窮迫しております財政の事情によってお願いをするものであることは御指摘のとおりでございます。  どういう基準で額を算定したかということでございますが、御承知のように、たばこの財政負担というのは、たばこの定価に一定の納付金率を掛けましたものになっているわけでございまして、いわば定価が固定されている限りは定額的になっているわけでございます。私どもとしてはいろいろ考えまして、前回の定価改定、五十五年四月でございましたが、それ以降の物価の変動を勘案いたしまして、一本一円の値上げをお願いするということを基本に考えたわけでございます。  一本一円の値上げをいたしますと、これまた、納付金率が法定されておりますので、その一定割合が本来でございますと公社に帰属をすることに相なるわけでございますが、現時点で公社の立てました損益の見通しによりますと、五十八年度それから五十九年度は、現状のままでもなお公社の損益がもつという見通しが立ちましたものでございますから、これは先生御指摘のとおり、大変財政の苦しい折でございますので、あえて公社にお願いをいたしまして、この二年間は、本来公社に帰属すべき部分も国に納付をしていただきたいということで御相談を申し上げまして、関係法案を御提案したわけでございます。  二年間といたしましたのは、六十年度になりますと、いまの見通しから申し上げますと公社の損益が赤になる可能性がございますので、そういう事態であえて国が特例納付をお願いするということは、これはできないことだと思いまして、私どもとしては、公社の損益がもつと見込まれる期間である二年間に限って特例納付をお願いすることにしたわけでございます。  それから、先生、二度とこういうことはやるなというお話でございます。私どもとしても、たばこ事業をめぐる環境は大変厳しいわけでございます。対外競争は激化しておりますし、需要は停滞しておるわけでございまして、軽々に定価改定ということを考えるべきではないと思っているわけでございます。  ただ、基本的に、たばこ事業は財政専売制度のもとに営まれておりまして、たばこという商品が財政専売物資という位置づけをされているわけでございますので、今後慎重に対処しなければならないことは当然でございますが、財政専売物資という性格を考えまして、あるいは財政の事情、それからもちろん国民の御負担の状況、それから公社の経営状況、こういうことを慎重に考えながら対処してまいりたいと思っているわけでございます。
  36. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いろいろお答えになりましたが、まことにこれはけしからぬ話で、最後の方にも財政難とか専売物資でございますとかいろいろとございましたけれども、要するに、前回の法律の改正、賛成か反対かは別にして、あれに従ってどうするのかというのが確かに一つのルールですよ。今回はルール違反なんですよ。何か場合によってはさらにルール違反をやりますという悪いたくらみをいま持っているのですか、あなた。
  37. 高倉建

    ○高倉政府委員 お答え申し上げます。  私ども、先ほど申し上げましたとおり、今後の定価改定は、大変厳しい状況のもとにございますので、軽々に行うべきものではないということは重々承知しておるつもりでございます。
  38. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 公社の方に伺います。  一つは価格の問題でありまして、たとえばマイルドセブンの百八十円は不適正であって二百円が適正だという意味の提案理由になっておりますが、さっきのは説明にも何もなっておりませんで、こんなばかげた理屈はない。とにかく提案をするのならば、こっちは賛成しないけれども、無理なことを申し上げましてまことに恐縮でございますけれどもこの際と言って出るべきなんで、まことにおかしいと思います。  一体、これからたばこの値段というのはどうなっていくのだろうか。この前の五十五年の値上げのときに、私当時の泉さんに御質問いたしましたら、こういう新しい制度ができて、国に納める分、それから公社が一生懸命努力して内部留保を高めてより質のいい会社になろうという努力はそちらの方と、はっきりしましたので、それらとこれからの経済見通し考えますと、はっきりは言えませんけれども、次の値上げの時期は大体五十九年とかその辺をめどとして、というお話が泉さんからございました。  今回は、五十八年、五十九年と二回値上げになる、そして公社取り分の〇・三四分を政府が全部取る。一体これはどうなるのですか。二年やったら、その後値上げ分を戻して当然です。二年の時限ですから、二百円のマイルドセブンは百八十円に戻るという法律になるわけですね。片方、五十九年ごろから上げなくちゃならぬという公社の経営から来る一つの状況がある。それとオーバーラップしてまいりますと、一体、二年たったらもとに戻すのか、あるいはそのときにいまの値段をずっと維持していくのか、それに重ねて今度は全部政府が取ってしまうわけですから、公社の経営から来るものが出てくるから、たとえば五十八年、五十九年にやって、六十年にどうしてもまた上げなければならぬとか、重ねて上がってくる可能性があるのか。  前回のときのそういう見通しから考えますと、いまの物価水準がどこまで続くか知りませんが、五年や六年はとにかくがまんするという努力が必要ではないかと思いますが、その辺の値段の見通しというものを一体どうなさるのかということが一つであります。  もう一つは、どっちにしても公社は損するだけの話なんで、上げた分全部政府がいただきます、公社の方はゼロであります。ゼロではなくて、本数は減る、売り上げは当然減る、あるいは今日の社会状況でたばこ離れにも拍車をかけてくるということになるでありましょうし、成り行きによりましては、公社の内部留保金の方が計画どおりにいかないわけですね。損しちゃって計画を下回るという可能性とか、いろいろなものが生まれてくるということになるのじゃないかと懸念をするわけであります。  値段のことと公社経営への影響。前々回のときには、何年かとにかく本数がもとに戻らなかった。この前のときには、ほぼ一年間一〇%近いくらいでしたか。今回の場合にはどうか。値段のことと公社経営の立場から見た率直な御答弁を聞かしてください。
  39. 長岡實

    ○長岡説明員 まず値段の点でございますが、御承知のように、最近たばこの需要が停滞ぎみでございますので、そういう時期にたばこの値上げをするということは、公社の企業経営的な立場からすれば、率直に申し上げて、時期的には大変つらいということを申し上げざるを得ないと思います。  伊藤委員の御指摘になりました価格の適正化の問題でございますが、これは、私からお答え申し上げるのはいかがかと存じますけれども、私の理解している点を申し上げますと、通常の商品であれば、消費者といいますか需要する立場からすれば、やはり非常に安い価格で供給できるということが一番望ましいことでございまして、私どもも私どもなりに、公社の経営の立場からは、できるだけ合理化を図ってコストダウンをしていくという努力はしておるつもりでおります。  ただ、たばこが普通の物資と違いまして財政物資である。財政専売である。表現は適切ではないかも存じませんけれども、一種の間接税のようなものでございます。そういう点からいたしますと、やはり相当長期間にわたって定価が据え置かれた場合には、実質的にはその税負担は安くなるという事実もあるわけでございまして、その辺を勘案しながら、どの程度の価格までは値上げが許されるかという判断もあってしかるべきではないかと存ずる次第でございます。これは、私が申し上げるのはいささかいかがかと存じます。  それから第二点の、この異常な財政逼迫のための財源を確保するための措置というふうに考えておりますけれども、五十八年度、五十九年度だけの値上げで、六十年度に入ってまた、たとえばマイルドセブンが百八十円に戻るというふうには私ども理解いたしておりません。六十年度には公社のいただく分も発生するのだろうと考えております。もしそれがないといたしますと、まだ将来の見通しというのが定かではございませんけれども、現時点では、どうも六十年度に赤字になる、たばこ事業に損失を生ずる可能性もあり得るわけでございます。  それから、六十年度以降、今回御審議お願いいたしております定価が続くといたしますと、それじゃ五十八年度から考えて五年ぐらいは当然のことながらその値段が維特できるのかという御趣旨の御質問でございましたけれども、五年というはっきりした見通しはまだ立っておりませんが、何とかいろいろの努力をいたしまして、六十二年度とかあるいはもう少し先くらいまで定価を維持したいという気持ちではおります。  それから、公社の事業に及ぼす影響でございますけれども、今回の値上げによりまして、値上げなかりせばという場合に比べますと、国内の紙巻きたばこの販売の本数が約四十億本くらい減少するのではないか。その分は公社損益には、たばこ事業の純損益の面でございますが、約百四十億円くらい売り上げの減少といいますか、販売本数の減少に伴いまして約百四十億円近い損と申しますか、利益の減少と申しますか、そういうような影響が五十八年度において生ずる見込みでございます。
  40. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 どっちにしても、政府の方は二千数百億お金を取るけれども、あとはみんな損をするという構造になるわけですね。  百四十億円という話がございましたが、いろいろとこれからの公社の経営も大変なことだと私は思います。それに加えまして、外国たばこの問題が出てくるわけでありまして、これは関税法の議論にもかかわりますから簡単に伺っておきたいのですが、一つは、今回の関税引き下げ、三五から二〇と、この前、さらにその前には大幅に下げたばかりになるわけでありますが、現在のラーク、マイルドセブンでいけば価格差百円、輸入たばこの値段の方も関税の引き下げに伴ってどうするのか、いずれにしても、今月中には結論を見なくてはならぬという問題でありましょう。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、価格差というのがどうなっていくのか、半分くらいになるのか、半分以下になるのか、あるいはいまの価格差は維持するということになるのか、その値段の問題が一つ。  それから、関税引き下げに関連をして、自民党の中でも大騒ぎがありまして、六者合意とか何がどうとかということも報道で実は伺っておるわけでありますけれども、やはりいろいろな措置が必要であろうと私は思います。当然でありますが、与党の中でも、与党・政府の重鎮が集まって、関税引き下げは今回をもって最後とするというお話をされたということも報道で読ましていただいているわけであります。  あるいはまた減反についても、これも政策的には矛盾なんですが、次の減反を押しつけるとか、そういう影響は与えないとか、可能な助成措置を講ずるとかあったようでありますが、それらをひっくるめて、とにかくますます外国たばことの競争が激しくなるという条件、その中で関税は今回が最後という話のようでありますけれども、それらを含めた対応というものをどうなさるのか、関税引き下げ、外国たばこの値段、その対応のポイントだけ簡単にちょっと聞かしてください。
  41. 長岡實

    ○長岡説明員 関税の引き下げの問題は、別途御審議お願い申し上げるわけでございますけれども、そもそも今回の日米交渉で関税引き下げが非常に大きな議題になりましたことは、アメリカにとりましては、日本の国内で売ります輸入たばこの価格を引き下げる、したがって内外の製品の価格差を縮小するということが目的でございますから、この法律成立いたしました暁には、内外の製品の価格差は縮小すると存じます。  ただ、それがどの程度の値段になるかという点につきましては、実はまだこれから外国のメーカーと私どもとが交渉に入る段階でございまして、その交渉の基本は、一体アメリカのたばこのメーカーがいかなる値段で日本に売ろうという意思を持っておるかということがその出発点になるわけでございますけれども、そういった点を含めて交渉が今後でございますので、いまのところ、価格差がどの程度になるかということをお答えする段階ではございません。  ただ、今回の関税の引き下げの措置は、先ほども申し上げましたように、たばこの需要が停滞しているときに輸入品の値段を引き下げる、あるいは輸入品を取り扱うたばこの販売店の数をふやすといったようなことを行うわけでございますから、私どもの経営にとっては決して影響なしとしない、いわば大変深刻な問題でございます。  そういったようなことでございまして、今回の関税率の引き下げは、私どもといたしましても、日米関係の大変な貿易摩擦問題の一環として取り上げられた問題でございまして、こういうことがさらに引き続き行われることがあってはならないのではないかということを率直に考えております。
  42. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 時間ですから、あと一つだけ伺いますが、それは臨調対応、経営形態問題と、もう一つは職員の待遇の問題になるわけであります。  臨調の答申、三公社それぞれさまざまの議論がなされているわけでありますし、閣議決定のたてまえもありますし、各公社、専売公社としてもさまざまの対応の研究それから検討をなさっているように伺っているわけであります。  一つは、経営形態、民営化、あるいは当面は特殊会社、さらに当面は外国たばこの販売についての特殊会社とか出ているわけでありますが、どういう立場で、どういう内容で公社がそれに対する内部の検討をなさっているのかということは、時間がございませんから、いろいろ資料も伺っておりますから、伺いたいのは、ポイントのところだけ、どういう立場でどういう姿勢で総裁御検討をなさいますか。調査会の方が四月からフリートーキングに入って、四月末にも報告を出すのではないだろうか、それがすぐ審議会の場に移る、それが直ちに事実上の政府案となるんじゃないかという話も聞くわけでありますが、その辺の大体の持っていき方というものを総裁としては一体どうお考えになっているのか。  それから、それに兼ね合って、これは御要望も含めて伺いたいのですけれども、総裁は大蔵省の元大幹部で大秀才でありますから、私なんかにはわかりませんけれども、やはり大秀才というのは普通の人よりも何百メートルも何キロメートルも先をぱぱっと読んで有能な対応をするということだそうでありますけれども、大幹部、大秀才の総裁に鈍才の方からお願いするのはなんですけれども、粘っこくやっていただきたいと思うのです。  この間には、やはりさまざまの大きな問題がありますし、関係のさまざまの業界あるいは耕作者、小売店その他大きな問題があるわけでありまして、密室ではなくて、十分やはり意見を求めながら、しかもそれらに悪影響を与えないような措置を含めて、どう対応するのか。私は、秀才型よりも粘っこくひとつ対応していただきたいと思うわけであります。そういう意味での企業の自主性の発揮、業務範囲の拡大、将来像としてのさまざまのあり方、私は、基本的には、パブリックな部面を否定することがおかしいと思いますけれども、その辺の経営形態、対応のことが一つであります。  もう一つは、それと兼ね合った形の職員の問題であります。これは総裁にだけ、きょうは時間がありませんから伺っておきたいと思います。私ども同僚議員やさらに参議院にまたがって、この中では十分強く私どもも要望なり質疑を行いたい。総裁の御意見だけきょうは伺っておきたい。大蔵省には、こういう重大な問題意識があるぞという警告だけ聞いていてもらうということにしていただきたいと思います。  これは、私から申し上げるまでもなく、今回の納付金を受け取るということのしわ寄せとか、外国たばこの競争条件の圧力とかあるいは合理化とか、さらには、申し上げるまでもなく、さまざまの法的な労働基本権に対する拘束とか、二重三重四重のしわ寄せが来ているということになっているわけであります。ましてや、そういう中でおつき合いしながら見ておりますと、大体公社の皆さんもまじめ人間で、組合の皆さんもまじめ人間で、もうちょっとはでにやった方がいいんじゃないかと思うぐらい、非常にまじめにおやりになっているという感じで受け取っているわけであります。  たとえば、郵政省の管轄の電電なんかと比べると、えらい差がある。やはりあっちの方は近代産業のせいもあるのか、真藤さんの方も組合の方も最先端でじゃかじゃかやっていますね。それと同時に、郵政省の管轄で郵政省は非常にうまくそこを――大蔵省の直接管轄するこの専売公社というのは、大蔵省というのは子供いじめの親みたいなものじゃないかと思うのですが、ぎゅっぎゅぎゅっぎゅいじめて、それでという子供いじめの大蔵省という感じがしてならぬわけでありまして、職員の努力に対して意気込みが出るような、あるいはまたお互いに合理化し努力をした一部が還元されるような、そういう具体的な努力というものは、こういうしわ寄せがきついだけに当然あるべきじゃないかと思うわけであります。時間になってほかの委員に恐縮でございますから、簡単にひとつ。
  43. 長岡實

    ○長岡説明員 お答え申し上げます。  まず臨調答申の問題でございますが、その取り組みの基本姿勢といたしましては、日米関係一つを取り上げましても競争が激化するといったように、私どもを取り巻いております環境が最近は大変厳しくなっておりますので、そういう将来環境の中で私どもの企業は生き延びていかなければならない。日本のたばこ産業を維持していく上におきましても、その中核に位置する私どもがおかしなことになっては大変なことでございまして、そういう厳しい環境の中で生き抜いていくためには、どういう制度なり経営形態なりが望ましいかという基本的な考え方を常に念頭に置きながら、一方におきましては、葉たばこ耕作農家あるいはたばこの小売店といったような、いままで公社の仕事と非常に関係の深かった分野の方々が、将来にわたって非常に不安動揺を感ずるというようなことがないような配慮をしながら考えてまいりたいと思っております。  タイミングにつきましては、私どもの制度改正どれ一つをとりましても大変むずかしい問題がございまして、簡単なことではないと存じますけれども、ただ、私どもは、政府全体の方針としていつごろまでに結論を出すかという方向が定まりましたときに間に合わないということではいけませんので、部内的には鋭意問題を詰めている段階でございます。  それから、第二点の問題でございますけれども、伊藤委員御指摘のように、値上げの問題、それから関税率の引き下げによる輸入品との競争の激化の問題あるいは需要の停滞その他大変むずかしい局面に私ども当面いたしておりまして、この局面を打開するためには、従来にも増して事業運営の合理化を図っていかなければならない場合も多いのではないか。そのことをやっていくためには、全職員が一体となった意欲的な参加を求める何らかの措置を講ずる必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  44. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 終わります。
  45. 森美秀

    森委員長 柴田弘君。
  46. 柴田弘

    ○柴田委員 たばこ値上げ法案に関連をいたしまして、専売公社の当面する諸問題ということで、いろいろ御質問したいと思います。  それで、まず臨調答申、昨年の七月三十日に第三次の答申が出されました。この骨子は、特殊会社にとりあえず移行する、それからあと民営化である、こういうような大まかな答申が出されているわけですね。それで、直ちに総裁が談話を発表されまして、この答申に対しては疑問なしとはしない、つまりいろいろな問題があるんだ、その一つは、民営形態、これに対してはやはり問題があるんじゃないか、こうおっしゃっております。それからいま一つは、国内産業たばこの取り扱いあるいはたばこ小売店の扱い、こういった提言に対しては現実との調和の面においていろいろ問題がある、こうおっしゃっておりますね。  私も、公社の経営形態の問題については機会あるごとに御質問もしてまいったわけでありますが、この臨調答申の民営化について、総裁ひとつ正直にお答えいただきたいわけでありますが、賛成なのか反対なのか、反対であればその反対の理由は何だ、まずひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
  47. 長岡實

    ○長岡説明員 将来の民営化の問題につきましては、賛成、反対という非常にはっきりとした答えを持っておるわけではございませんが、柴田委員御指摘のように疑義なしとしないという気持ちはいまだに持っております。  どういう点かと申しますと、まず、私どもが扱っておりますたばこという財の性格から見ても考えられることでございまして、一種の高課税物品である。そういう意味からいっても、公正かつ責任ある対応が必要な財であるというたばこの性格もございます。  それから、喫煙と健康の問題等につきましても、これは民営であればそういう問題に対する配慮が欠けるというわけではございませんけれども、私ども、そういう点も考えながらたばこをつくり、たばこを売って、しかも国と地方の財政に貢献していくという立場にございまして、そういう点から、完全に民営に割り切れるかどうかという点については、いまだに私は、何と申しますか、疑義が払拭できないという感じでございます。  それから、民営化になりますと、当然独禁法との関係で恐らく最低三つの会社に分割ということになるのではないかと思います。御承知のように、たばこにつきましては、国際たばこ市場におきまして巨大資本の寡占化が非常に強く進んでおります。そういう意味におきまして、現在の私どもの経営の規模は、一応ビッグスリーと言われております米英の巨大資本に対応し得る程度の規模を持っておると理解いたしておりますけれども、これが三分割ないし四分割されるということは、日本のたばこ産業全体に大変な影響があるというようなことも考え合わせまして、やはり疑義が払拭できないというのが正直なお答えであろうかと存じます。
  48. 柴田弘

    ○柴田委員 ついでに総裁、いまの臨調答申では、葉たばこ耕作の問題ですね、全量買い取り制度、耕作許可制度の廃止ということを提言しております。それから小売人の問題は、小売人指定制度の廃止、そして契約にする、こういうことを言っておりますね。これも恐らく問題がなしとはしない、こう思うのですが、この辺はどうですか。これは簡単で結構ですが。
  49. 長岡實

    ○長岡説明員 お答え申し上げます。  臨調の答申を受けとめてどういう方向を求めるかという場合に、やはり激烈な競争のもとで生き抜いていけるような体質を備えなければならないというのが最大の問題点であろうかと存じますけれども、一方において、現在のたばこ産業の秩序そのものに非常に混乱を及ぼすような改革というのは現実的ではない。葉たばこ耕作農家につきましても、それからたばこの小売店につきましても、この両者に非常に混乱を与えるような方向での改正は現実的ではないというふうに考えております。
  50. 柴田弘

    ○柴田委員 そこで、本来ならば大蔵大臣にお聞きするわけですが、きょうはお見えになりませんが、政府側の御意見をちょっとお聞きしていきたいわけであります。  いずれにいたしましても、この臨調答申を受けて昨年の八月十日に閣議の決定がなされております。第三次答申に関する対処方針、それで、これを最大限に尊重して、逐次所要の結論を得てその実現を図る、こういうように言われておりますね。それから、同じく昨年の九月二十四日には、閣議決定をされまして、「今後における行政改革の具体化方策」、つまり行政改革大綱の中で、専売公社の改革については第三次答申の趣旨に沿って今国会に法案を提出する、改革法案、こういうふうになっておるわけであります。  そこで、この法案はいつ提出されるのですかということは、これは大蔵大臣に次の機会に私質問しますが、政務次官、先ほど総裁からおっしゃいました民営化の問題、これは、昨年私も御質問をしたときには、当時の川崎政務次官は、問題だ、反対だとはっきりとおっしゃいました。どうでしょうか。
  51. 塚原俊平

    ○塚原政府委員 専売公社の経営形態というのは、わが国のたばこ事業の健全な発展に資するために、企業性の発揮が可能なものでなければならないというふうには考えております。しかし、私ども茨城でございますので、何かあいつは地元意識があるのじゃないかということを言われるかもしれませんが、全くそういうことは抜きにいたしまして、葉たばこ耕作者への影響等は十分に配慮しなければいけないということは当然だと思います。ですから、関係各方面と十分に調整を図りながら、慎重に検討してまいりたいと考えております。
  52. 柴田弘

    ○柴田委員 それで総裁、今度は輸入品の別会社、つまり民間会社をつくってやりなさいと。臨調答申では、特殊会社への移行に伴う主な制度改正の中で「競争原理の導入を図るため、流通専売制度は廃止する。」このように言われておりますね。「輸入品については、民営の一般会社に取り扱わせることとするが、外国企業との契約により、特殊会社にも輸入品を取り扱わせることができるものとする。」こういうことになりますね。  これは、もう相当国産品の販売に影響が出ると私は思います。やはり昨年このような質問をいたしましたときに、当時の泉総裁は、この流通専売制度の廃止の問題は、これは大きな国内問題である、そこで専売制度の根幹に触れる問題でもあるし、臨調答申がどういうふうに出されるかどうかわからないが、これはよほど慎重でなければいけない、こういった御答弁を昨年の当委員会において私もいただいておりますね。  そこで、臨調答申が言う輸入品を民営の一般会社に取り扱わせることとする問題、これは大きな問題があると思います。先ほど申しましたように、国産品の販売に相当な影響が出てくると私は思いますが、この辺はどのように考えていらっしゃるかどうか。それから賛成か反対か、はっきりひとつ御答弁いただきたい。
  53. 長岡實

    ○長岡説明員 臨調答申で指摘されております輸入品別会社案につきましても、私ども、現在鋭意検討を続けておる段階でございまして、まだ結論に到達いたしておりませんが、これは前総裁からもお答え申し上げましたように、流通専売制度の廃止につながる問題でございまして、大変大きな問題であることは間違いございません。そういう意味で、たとえば税制の面一つをとりましても、輸入品の取り扱いだけで、専売公社が現状のままでありましても、その部分については納付金制度を改めなければいけないという問題にまでつながっておりまして、簡単な問題ではございません。  ただ、近年の日米貿易摩擦の中の象徴的存在になっておりますたばこ交渉等を通じてうかがわれますことは、アメリカその他の諸外国も恐らくそうでございましょうけれども、いまの日本の制度でいえば、いわば日本の国内で競争相手になるべき国産たばこを製造し販売している専売公社そのものの手を通さなければ自分たちの製品が売れないということに対する欲求不満と申しますか、反対と申しますか、そういう空気が大変強うございまして、この問題について何らかの方策を講じないで済むかどうかという点について申し上げますれば、私は、余り楽観的ではございません。大いに知恵をしぼって、できるだけ国内での混乱を生ぜしめないような方法で何らかの対応策考えていかなければならないのではないかというのがお答えではなかろうかというふうに考えております。
  54. 柴田弘

    ○柴田委員 また、この問題に関連する事項については後で御質問いたしたいと思います。  もう一つ臨調答申の「公的関与」の問題ですね。臨調答申では、特殊会社に対する公的関与、これを必要最小限にとどめなさい、こういうふうに言っているわけでありますが、そして「業務範囲等を拡大し、海外での事業活動、その他経営上必要な業務及び投資活動を認める。」こういうことが提言されております。やはりこの公的関与は、私は、できるだけ排除をしていく必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。具体的には、特殊会社移行の段階において最低限予算あるいは給与、このぐらいは排除すべきである、こういうふうに考えているわけでありますが、見解はどうでしょうか。
  55. 長岡實

    ○長岡説明員 お答え申し上げます。  臨調答申を受けての経営形態の変更がどのような姿になるかという点につきましては、現在、鋭意関係方面とも打ち合わせしながら詰めている段階でございまして、まだお答えができる段階ではございませんけれども、要は、先ほど来申し上げておりますように、厳しい環境の中で私どもが生き抜いていけるような自主的な企業経営が発揮できるような経営形態が望ましいということであろうかと存じます。  そういった観点から考えますれば、柴田委員が御指摘になりましたもろもろの点について公的関与ができるだけ緩和される、それによって、私どもが企業的な判断のもとに自主的、弾力的、機動的な企業運営ができるような方向が望ましいと存じます。  ただ、具体的に予算あるいは給与に関する問題といったような個別の問題になりますと、これは最初に申し上げました、どんな経営形態になるかによりまして、やはりおのずから制約がございます。政府関係機関であるのか、政府関係機関の中にもいろいろなタイプがございまして、その辺のどこに位置づけられるのかといったようなこととも関係がございますので、具体的な個別の項目について公的関与を排除する、しないの問題につきましては、現在、まだはっきりお答えできる段階ではございませんけれども、基本的な考え方としては御指摘のとおりであろうかと存じます。
  56. 柴田弘

    ○柴田委員 では、次に趣を変えまして、専売公社の東京病院の一般開放の問題についてお尋ねをしていきたいわけであります。  この東京専売病院、これは職域病院として東京と京都にあります。京都はすでに一昨年の七月に一般開放をされております。ところが、東京はまだ開放されておりません。  それで、東京病院の実態を見てまいりますと、非常に優秀な設備、優秀な医師、病床数も三百十二床ありまして、ICUあるいはCT装置などの最新の医療設備もありますし、いわゆる名実ともに近代的な総合病院であります。ところが、現在のベッドの稼働率は、五十七年度四三・二%、それから収支率も五〇%ちょっと、非常に悪いわけでありますね。それで地域関係住民からも、何とかひとつ一般開放していただきたい、こういった要望がなされていると承っているわけであります。とにかく地域医療機関と協調を図りながら地域医療に貢献していくということが、こういった職域病院としての社会的な使命であり要請である、私はこんなふうに思うわけであります。ところが、一般開放されていない現状で、健康保険等の社会保険が適用されませんので、救急医療とか老人医療、これもその費用が全額患者負担ということになるわけで、事実上利用が困難であります。とにかく、現在の国民皆保険のもとで患者がどの医療機関でも自由に診療を受けることができるはずであります。一般開放されていない、このことはきわめて社会的な損失である、こう言わざるを得ないわけであります。  政府といたしましても、とにかく一般開放については積極的な促進を図るという方向であり、会計検査院の実施した検査の結果を見てもそうである。あるいはまた、第二臨調の第一次答申を見てもそうである。行政管理庁の調査結果報告書を見ても、そういった方向であるわけですね。これはもう時代の趨勢であるということなんです。もちろん、これについて専売公社は異存はないと思いますが、京都はすでに開放されておりますが、その開放についてのお考えと、それから、開放について今日までどのような取り組みをされていらっしゃったのか、この二点についてお伺いをしていきたいわけであります。
  57. 長岡實

    ○長岡説明員 一般開放問題について事態が進展をいたしておりません点につきましては、私どもも大変遺憾に存じております。柴田委員お話しになりましたように、京都ではすでに実現しておる、東京がまだ実現していないという点について大変遺憾に存じております。  御承知のように、保険医療機関への指定申請につきましては、昭和五十六年二月十三日に東京都知事に対して指定申請を行っておるわけでございますけれども、港区の医師会の反対等も相当強うございまして前進をしていないのが現実でございます。私どもとしては、やはり何と申しましても港区の医師会との間の関係を改善することが大事だと存じまして、いろいろと話し合いも進めておるわけでございますけれども、現在までのところ、はかばかしい進展を見ていないというのが実情でございます。
  58. 柴田弘

    ○柴田委員 今日までのこういった公共企業体の病院の開放の状況は、郵政逓信病院が名古屋、大阪などですでに十六の病院が開放されておる。それから電電の病院が長崎、東海などの十七病院、林野病院が秋田の一病院、それから印刷病院が小田原等の二病院、国鉄も広島、大阪等の二十の病院がすでに開放されているわけです。  それで、ほかのところが開放されて、なぜ東京の専売病院だけが開放されないか、これは一つの大きな問題でもありますし、もうすでに、この病院開放については地域住民から昭和四十七年七月の病院の改築の折に要請があって、公社も約束をしておられるわけであります。そして五十四年の十一月には、三田ですとか麻布の関係自治町内会長がこの開放についての利用促進協議会を結成いたしまして、五千名の署名をとりまして、関係各方面への陳情、そして請願を行っておるわけであります。  これは申すまでもありませんが、先ほど総裁もおっしゃいましたが、この開放については健康保険法四十三条の三によるいわゆる指定を受けなければいけない。つまり、保険医療機関としての指定を受けなければならない。そのために、昭和五十六年の二月十三日には、何はともあれということで、公社としては東京都知事に対して申請を行いました。もう二年以上たつわけであります。この指定のための都の社会保険医療協議会も現在まだ開かれていない状態であるというふうに私はお聞きしておるわけであります。  先ほどちょっとお話があったわけでありますが、このような実態、地域関係住民を全く無視したこの実態というものは一体どういう理由によるのか。通常、指定申請をすれば、その月あるいは翌月にはこの指定が行われるわけでありますね。ちょっとお話がいまあったのですが、大体推察はつくわけでありますが、こういった状態、なぜ指定がなされないのか、これは一遍はっきりと総裁、この場で御説明をいただきたいと思います。
  59. 丹生守夫

    ○丹生説明員 私から御説明させていただきます。  先ほど総裁からお話がございましたように、都知事あてに申請をいたしました後、東京都の指導によりまして、まず地元の医師会と十分に話し合いを行いまして、極力合意を得てもらいたいというお話がございました。私どもといたしましても、法律上そういうことが必要かどうかは別といたしまして、当然医師会の皆様方の御理解をいただかないことには円滑な運営はできまいということで、指定申請の前から、相当以前から、実はもう十年近くの間お話し合いを続けているわけでございますが、二年ほど前、申請をいたしました後、改めてまたお話し合いを続けているわけでございますが、実際問題として、ほとんど中身に入らない状態で反対をされているわけであります。  私ども推測をいたしますのに、港区の医師会あるいは東京都の医師会が御反対になっているという理由あるいは一般開放について疑義を持っておられるというあたりにつきましては、おおむね五点あるのではないかというぐあいに考えております。  一つ法律上の問題で、法律上疑義があるということを言われているわけでございますが、医療法との関係におきましては別段の問題はないと思います。私どもが厚生省に一般開放するについて事前に問い合わせもいたしておりますが、厚生省からは、一般開放に当たっては現在の病院の開設目的を変更するというようなことは特段必要はない、現在の状態で設備を整えて書式を整えて都に申請すればよろしいということであったわけでございます。  さらに、医療法の七条という問題もございまして、医師会はこの辺についても問題提起をされているようでございます。医療法七条では、営利を目的とするような医療施設を開設するについては許可は与えないことがあるというような書き方になっているわけでありますが、私どもの病院は、当然営利を目的として行うものではございません。特に地元の住民の大変強い要望におこたえしたいということがございますし、あるいは公社退職者、関連産業の方々からの大変強い要望もございまして開放をいたしたいということでございます。営利の問題はないと思います。  それから、もちろん公社法上から申しましても何ら問題はないと思います。さらに、共済組合法上も何ら問題はないという点について見解を得ております。  それから二番目には、診療料金について医師会の方からは、職員が受診をする際に、受診をして当然いろいろな医療費がかかるわけでございますが、企業として公社がある程度負担をしているではないかということを言っておられるわけでありますが、企業内病院でございますから、ある程度の企業の負担はあってしかるべきであろうということは、一般民間の企業内病院においても当然ございます。労務管理という側面も一つございますので、その辺については、ある程度の企業負担はあってしかるべきだろうと思います。また、初診時に本人の負担が免除されているような言い方がございますが、この点については、共済組合法上、初診料については共済組合が負担をするということになっておりまして、それによっていることでございます。共済組合は当然本人の掛金と公社の負担金を財源として運営をしているということでございまして、免除ということではございません。もちろん、医療費の支払いについては共済組合で十分に厳重な審査をいたしております。  さらに関係をいたしまして、一般開放が進んでまいりますと、公的病院におきましてはいわば財源の負担というものが、たとえば経営の収支が悪いというような場合にはめぐりめぐって国民の負担になる、あるいは国の負担になるということがあるのではないかというような点を強調されているようでございますけれども、私ども専売公社の病院におきましては、専売公社自体が年々の事業収入の中で経費を生み出していくという、いわば独立採算的な立場で運営をしておりまして、この点につきまして、国なりあるいは国民の皆様に負担が転嫁されるというようなことはないわけでございます。私どもが一般開放いたしたいということは、何よりも現在持っております医療資源を住民の皆様方の御要望に沿うようにできるだけ広く利用していただきたいということでございまして、このことが大変大事だろうと思います。もちろん、経営収支が悪化するということは防がなければなりません。これは企業体として当然でございまして、この辺についての努力はもちろん経費節減ということでやっておりますが、それだけではやはり採算をとるということはなかなかむずかしゅうございます。収入の増ということも必要でございまして、一般開放によりまして、この点の改善も期待をしていることは事実でございます。  それから、地元の医療需給から言って港区は医療状況が大変過密である、こういう点から反対をするという立場がございますが、私どもが見ておりますところによりますと、私どもの病院の周辺の地域というものは、決して医療設備が過剰であるという状態ではないように見ております。現に、東京病院近隣の実態を見ますと、近くにも幾つかの病院がございますけれども、皆さん住民の方々のお話では入院も外来も大変混雑をしておりまして、特に入院患者さんは数カ月待たされるのが常態であるというようなお話でもございます。現に、五千人からの地元の方々の署名をもっての要望書も出ているくらいでございますから、この辺の地域の医療関係が大変過剰であるというようなことは毛頭ないというぐあいに私どもは考えております。  五番目に、さらに、もし一般開放するのであれば、特別の難病の患者さんだけを受け入れたらどうかという考え一つございます。ただ、私ども一般開放いたします場合の理由といいますのは、やはり現在でも一般職員あるいはその家族がいろいろな種類の病気にかかります。それを広く治療していくという立場でやっておりますと同時に、さらに地元の要望を考えますと、これは決して難病というような特定された病気だけではございません。一般のさまざまな病気に対する治療を求めているわけでございますので、特別の病気に限定するということでは、御要望にこたえられないというぐあいに考えております。もちろん特殊な病気につきましても、私どもとして、できる限りはお引き受けしていきたいという気持ちは持っております。  こんな状況でございます。
  60. 柴田弘

    ○柴田委員 いま、るると御説明をいただきましたが、とにかく昭和五十六年の二月十三日に指定申請を東京都へした。二年間たっても全然なしのつぶてである。  次に入る前に、厚生省にちょっとお尋ねしておきますが、いま御説明では、一般開放することは医療法において全然問題ない、いまそういう御説明をいただきました。特にこの七条四項との関係について、簡潔でいいですから、問題ないのかどうか、ひとつ御説明を賜りたい。
  61. 柳沢健一郎

    ○柳沢説明員 厚生省としても、特に問題ないというふうに考えております。
  62. 柴田弘

    ○柴田委員 つまり、医療法から言っても、公共企業体職員等共済組合法の立場から言っても、日本専売公社法から言っても、法律的な問題は何もありません、これは当然ですよ。ほかの京都なんかで、もう一般開放されているんですから、法律的に問題がない。  それから、いま御説明になったのは、昭和五十六年の十月二十三日に港区医師会の方から東京都知事あてに「日本専売公社東京病院の保険医療機関指定に関する件についての要望書」と、こうあって、指定保留をしてくれ、これは、私はあるところから手に入れたんです。この問題をどう考えるかということですね。  それから、一般開放についていろいろな見解が出されているわけですね。これは、いま職員部長さんですか、るる彼らの言っていることは問題ありませんよと。それでなおかつ、いま一般開放されていない。指定保留をしてくれ。しかも、この二年間協議会すら開かれてない。これは、私は、開放してくれという地域関係住民の切なる要望を考えるときに、一体そういったあり方でいいのかどうか、きわめて疑問に感ずるわけでありますが、どうでしょうか、こういった一連の動きに対して、公社と厚生省はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、率直な見解をひとつお示しいただきたい。
  63. 長岡實

    ○長岡説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、大変遺憾に存じております。一刻も早く一般開放が図られますように、私ども誠意を持って話し合いの場を求めていくといったような努力を今後とも実施してまいりたいと考えております。
  64. 寺松尚

    寺松説明員 いまの先生の御質問に対しましてお答えを申し上げたいと存じますが、五十六年の二月に指定申請が出まして以来、東京都としましては、それなりに局長レベルあるいは部長レベルでいろいろと関係の者と折衝をし、話し合いを進めてまいったわけでございますが、残念なるかな、現在はまだ話し合いは解決いたしておりません。  そこで私ども、いま先生からいろいろ御指摘いただきました地域の事情あるいは関係の機関の言い分、その辺も十分また東京都を通じまして解決のための糸口をつかみたいと考えておりますので、早急に東京都の責任者を呼びまして、この問題につきまして、先生の御指摘を踏まえて対応してまいりたいと思っております。
  65. 柴田弘

    ○柴田委員 厚生省に重ねてお聞きしておきますが、早急にやりますとあなたはおっしゃいましたね。いままで二年間何やっていらっしゃったんですか。しかも、昭和五十六年の九月十八日には、参議院決算委員会においてわが党の鶴岡議員が当時の村山厚生大臣質問をいたしました。そのときに厚生大臣は、指導、その指導の中でも強力な指導をしていきますよと御答弁になって、当時の保険局長さんも、そのような趣旨の御発言があったわけであります。それから一年半たっていますよ。こう言って国会で、当委員会において私が質問したから早急にやるということなんですが、これは、厚生省として行政怠慢以外の何物でもない、私はそんなふうな感じがいたします。特に地域住民の立場に立てばですよ。どうなんですか。一年半何やっていたんですか。
  66. 寺松尚

    寺松説明員 いま私が簡単に申し上げたのでございますけれども、五十六年の二月に指定申請が出ましてから、東京都におきましても専売公社あるいは地区の医師会等と積極的に話し合いを進めるように、私どもの方も要請いたしましたし、それから東京都も、そのように指示しておるわけでございます。また、港区の区役所に対しましても、助役等にも折衝をされたように聞いておりまして、その辺の話し合いの解決のための努力、あっせん等の努力お願いをしておる、こういうわけでございます。  しかしながら、先生おっしゃいますように、医師会等の言い分等を受けまして、都が地域医療の確保の観点から話を進めておるわけでございますけれども、やはり保険医療の運営も円滑にいかなきゃならぬ、こういうふうなこともいろいろ心配しておるようでございまして、中央医療協の運営、その辺でもいろいろと気を配っておるようでございます。  したがいまして、私どももその辺の話を、また早急にと申しましたのはそういう意味でございまして、一応また、その後の話の進展のぐあいあるいは考え方というようなものも聴取いたしまして、そしてこの対応策につきまして検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  67. 柴田弘

    ○柴田委員 厚生省、とにかく一遍しっかりやってくださいよ。いいですか。もうとにかく二年、質問が出てから一年半、これは異常事態としか言えないと思いますよ。なぜ、ほかの都道府県が指定が受け付けられて、東京都だけできないか、これは私も非常に疑問に思います。しかも相応な理由があればともかく、いまいろいろと公社の方からお話があったように、法律的にも何も問題がない。地域医療を破壊するというようなこともない。  私がこの問題を取り上げたときに一番心配したのは、その地域医療が崩壊するということです。それは民間も、こういった医療機関の経営の問題というのが非常に悪化してくる、こういうふうに影響が出てくれば、これは大問題です。しかし、いま御答弁いただいたように、これは問題がありませんよと、こういうことであれば、これはもう、いままでこの二年間もほったらかしにしているということ自体が、私は異常事態であると言わざるを得ない。こういう観点から、あくまでも地域住民の要求という立場に立って、私はこの問題を質問をしているわけなんです。  そこで、ひとつ行政管理庁にもちょっと御要望しておきたいのですが、それはなかなかむずかしい問題かもしれませんよね。まあ五十六年の九月の決算委員会では、わが党の鶴岡議員から健康保険法を改正せよという議論も出たわけでございますが、やはりこの健保法の中で何とかしなければいけないと私も思うわけですが、行政管理庁としてもこういった問題に、あなたの方も早いところ開放せよということを言っているわけですから、何らかの協力なり対応というものをしてしかるべきである、こんなふうに私は思うのですが、どのようなお考えで対応していただけますか、その辺をひとつ御説明を賜りたい。
  68. 大橋孝郎

    ○大橋説明員 行政管理庁としましても、国立医療機関等の業務運営に関する調査を行いまして、関係大臣に通知してきたところであり、大臣通知後、先生御存じのように一般開放は全体的に着実に進んでおります。ただ、東京都内に所在する病院については全く一般開放が進んでいない。こういう情勢を踏まえまして、厚生省に対しても強く東京都を指導するように要請してきているところであります。この問題につきましては、近い将来、各省においてその後とられた措置について御回答をいただくという予定にしております。
  69. 柴田弘

    ○柴田委員 ぜひひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。公社もひとつそういった観点に立って、いろいろと大変でしょうが、一日も早く地域住民のために、これは約束がしてあるわけなんですから、開放を前向きに、いままで大変な御苦労をいただいたと思うのですが、よろしくお願いいたしたいと思います。厚生省と行政管理庁の皆さん、よろしくお願いいたします。  それから、あと残り時間わずかでございますので、最後に、これは公社に、輸出会社の問題についてお聞きをしていきたいと思います。  とにかくアメリカ、イギリスのフィリップ・モリスだとかBATだとかレイノルズだとか、三大メーカーにやっつけられないように何とかしなければいけない、こういうようなことで、今度何か輸出会社をつくられて輸出をする、こういうことでありますが、そこら辺の構想はどうかということですね。いつから、そして事業計画、どこを相手にやられるのか、こういうことですね。簡単でいいです。
  70. 長岡實

    ○長岡説明員 ただいま国会で御審議中の五十八年度予算の中に輸出会社に対する出資金の予算が含まれておりまして、予算成立いたしますと、輸出会社をつくる方向で私ども検討を開始するわけでございまして、現時点におきましては、会社の発足の時期がいつかという点はまだはっきりとはいたしておりません。  ただ、輸出会社の必要性は私ども非常に強く認識いたしておりまして、外国との競争が厳しくなっていく場合には、輸入もふえてくるかわりに、私どもも輸出をふやさなければ、国内のたばこ産業の規模というものは縮小の一途をたどるわけでございますから、何とか輸出にも力を入れたいという認識のもとに会社の設立を考えまして、そういう観点から申しますと、人選その他にも非常に慎重に対処をいたしております。そういった点で、五十八年度中のいつごろに会社が発足するかという点は、まだはっきりとお答えできる段階ではございません。いずれにいたしましても、公社という一つの公共企業体の立場ではなかなか活動に制限がある、そういったようなものを超えまして、輸出に全力を傾けられるような会社が早く誕生することを希望しておる次第でございます。  輸出会社の営業の対象区域としては、これもまあいろいろの考え方があろうと存じますけれども、まず考えられます当面の対象地域は、たとえば東南アジアとか中近東とか、比較的日本に近いところが中心になろうかと考えております。
  71. 柴田弘

    ○柴田委員 それで、あと一点ですが、この輸出会社、私は別に賛成も反対もしませんが、ただ心配していることは、公社はいままで確かに輸出はやっていらっしゃった。先ほど来ちょっと説明があったわけでありますが、たばこの世界市場の現況を見てまいりますと、いま三大メーカーのシェアが四六%、そして一九七四年から八〇年までですかの六年間の伸びが二一%ですね。しかも彼らの寡占化の状態である。しかも、たばこだけでなくて、どんどん他の企業にも進出をしている。ここへ専売公社が武家の商法で乗り込んでいくというのは、私は並み大抵の努力ではないと思いますね。  しかも、一面から言えば、この貿易摩擦、日本に対する外国たばこの市場開放という問題が、これからますます圧力がかかってくるのじゃないでしょうか。仮に今度関税を引き下げますね。これは市場開放の一つの対策ではないかと思うのですが、関税を撤廃せよと向こうも言っているわけですから、やはりこういった三大メーカーを中心とする企業戦略の中でやっていくということについて、私は、非常に一つの危惧を持っているわけなんです。  それから、やる以上は、東南アジアを中心とする市場ということでありますが、もうすでに香港においては、聞くところによると、この三大メーカーが七〇%のシェアを占めているということで、これは非常にむずかしい問題があると私は思いますね。そういった問題はどうでしょうか、ひとつ簡単に御説明を賜りたいと思います。
  72. 長岡實

    ○長岡説明員 全く御指摘のとおりでございまして、私どもも、これは容易なことではないという認識はいたしております。大変苦労を伴う仕事だと存じます。しかも、当面の問題としては、輸入の増加をカバーするだけの輸出の増加も期待できないということも考えておりますけれども、ただ、長期的に見た場合に、いまからスタートしていまから努力を積み重ねていくということが必要だという基本的な認識のもとに、今回予算お願いを申し上げている次第でございます。
  73. 柴田弘

    ○柴田委員 あと時間が十数分あるわけですが、委員長お願いしておきますが、あとは、例の臨調答申を受けました専売公社の改革法案の問題、それから、先ほど質疑のありましたように民営化の問題、これは、公社の考え方もありますが、やはり大蔵大臣のお考え方をこの二点を中心にちょっと質問したいと思いますので、別の機会に十分間だけ質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。  以上をもって終わります。ありがとうございました。
  74. 森美秀

    森委員長 午後二時より委員会を開会することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ────◇─────     午後二時五分開議
  75. 森美秀

    森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。米沢隆君。
  76. 米沢隆

    ○米沢委員 御案内のとおり、わが国の専売事業は、明治三十一年、日露戦争の戦費調達のために発足し、明治三十七年に現在のような財政確保を目的とした専売制度が創設された後、戦後昭和二十四年に日本専売公社に衣がえして今日に至っております。この歴史的な経緯からいたしまして、専売事業の目的は、あくまで財政収入を得るというのがその原点であることは論をまちません。  そこで、財政収入を得るというのが専売の原点であるならば、少なくとも専売事業のあり方は一貫して、過去においても将来についても、最低のコストで最大の利益を上げる、このことに公社経営陣が全力を挙げねばならないことは当然であり、かつ至上命令であるはずであります。しかし、専売公社の現状を見ましたときに、果たしてこの原点に忠実であったのかという点に、私は大きな疑問を呈さざるを得ません。  ただ、このことは今日になって結果論的に言えることでありまして、皆さんにははなはだ申しわけないと思いますが、今日の国内産の葉たばこの標準在庫を大幅に上回る過剰在庫問題、これに要する過剰在庫分の保管費用は三十九億ぐらいになるということでございますし、また、この過剰在庫の理由を公社は近年におけるたばこ需要の伸びの停滞等に求めておられますけれども、それだけではないのでございまして、それよりも、公社の従来のたばこ耕作者に対する生産指導の誤り、この方が重大な理由の一つではないかと私は思うわけでございます。  また、国内産の葉たばこの収納価格の国際価格からの大幅な乖離も、何か人ごとみたいに言われておりますが、これとて、昭和三十年代から四十年代にかけまして耕作者がだんだん減ってきたことは事実でありますが、これに歯どめをかけて耕作を刺激するために、四十七年、四十八年、四十九年、五十年、五十一年と買い入れ価格を公示価格の対前年度比、公社からもらった数字を見ますと、七・八%、一六・六%、四四・三%、一四・九%、八・〇%と大幅に引き上げをして生産を刺激し過ぎた結果であり、その間、それと同時期に、御承知のとおりスモーカーの嗜好に合わせて品質を向上させるという名目で外国産の葉たばこの使用をふやしている。その分だけ国産の葉たばこの買い付けが減るわけでありますから、この買い入れ量と耕作の自然減をうまく組み合わせればよかったものを、全然逆のことをやっておる。これも当局の失政だと言っても過言ではないと私は思うのでございます。  そして、いまさら生産調整の強化だとか葉たばこ価格の適正化などと言われましても、農家にとってははなはだ迷惑なことでございまして、その上、結果的には日本の葉たばこは一挙に国際競争力を失う、そして、かかる時期にまた市場開放の波が高まっておる、これがたばこ事業を取り巻く率直な現状ではないか、こう思うわけです。  こういう流れを通して見たときに、専売事業の原点、最低のコストで最大の利益を上げる、そして財政収入を確保すべきというこの原点に、公社自身、経営者陣は果たして本当に忠実であったのだろうか。その反省がなければ、今後の専売事業は荒波を乗り越えていくわけにはいかないと私は思うのでありますが、まず総裁の御見解を聞きたい。
  77. 長岡實

    ○長岡説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、公社としましては、できるだけコストを引き下げまして、事業の健全な運営を通じて専売納付金及びたばこ消費税を国と地方公共団体に納付することが専売事業の責務であると考えております。  ただいま御指摘がございました葉たばこ耕作に関する現在までの経緯につきましては、御指摘の事実はございますけれども、これは私が聞いておるところでは、四十年代の末には世界的なたばこの需給事情のタイトな状況が発生いたしまして、専売公社といたしましても、葉たばこの増産をしなければ日本のたばこの生産そのものに影響がある、生産に影響があれば、いま申し上げました私どもの本来の責務である財政専売の実も上げ得ないということから、面積をふやし、また価格の面につきましては、御承知のように、日本農業全体について農業離れもございましたけれども、その問題と加えまして、オイルショックに端を発します物価の大幅上昇、労賃水準の引き上げといったようなことを反映いたしまして、毎年たばこ耕作審議会等で議論をされた上で決定されて、今日に至ったわけでございます。  何と申しますか、大変悲劇的でございましたのは、そのような方針をとりました直後に、オイルショック不況並びにインフレも影響があったと存じますけれども、世界的にたばこの需要が大変落ち込みまして、それが今日にまで尾を引いているといったようなことから、直ちにその動きに対応して減反を耕作農家にお願いするということが実施しにくかったという面もございまして、過剰在庫を生じたわけでございます。  ただ、これが公社の経営に及ぼす影響も御指摘のとおり負担になっておることは事実でございまして、昭和五十六年の夏に開かれました耕作審議会においては、その辺の議論を十分に詰めていただきまして、大幅減反をして単年度需給均衡面積にまで面積を減らすことについて、耕作農民の御協力をいただくようにした次第でございます。
  78. 米沢隆

    ○米沢委員 そこで問題は、この国際価格からの大幅な乖離ですね。それから品質が、努力するにもかかわらずどうもうまくいかない。この品質の問題あるいは先ほどの過剰在庫の問題。いまから耕作農家等のことを考慮しながら検討をする、その言葉しか出てこないのでありますが、しかし、具体的に一体どういうふうなかっこうで、たとえば過剰在庫をいつごろまでに解消するのか。品質については、これはちょっと気候、風土的な問題があって解消できないと思いますが、そういう意味では、国内産の葉たばこというものをどういう位置づけにしていくのか。あるいはまた、国際価格からの大幅な乖離というものを一体いつ縮小していって、ある程度納得できるような線に持っていくのか、そこらを具体的に聞かしてもらいたいと思うのです。  耕作農家の問題を考慮しながらと言われましても、決意しにくい、決定しにくい事柄もたくさんありますから、いつまでもこの問題は尾を引いてしまうのじゃないですか。そうした中で国際化はどんどん進んでいく、外国のたばこはどんどん入ってくる、そうしたときに、果たして公社なんという存在そのものが基盤的にも失われていくんじゃないか。もう少し具体的な御答弁をいただきたい。
  79. 長岡實

    ○長岡説明員 葉たばこの過剰在庫分が約一年分ございます。これを何年計画で完全に解消するかという計画は、率直に申し上げまして立っておりません。  先ほど申し上げましたように、五十六年夏の耕作審議会において答申をいただいて私ども決めさせていただきました面積によって、これ以上過剰在庫をふやさないというところまでは減反も行われたわけでございますが、今後は、まず葉たばこの生産について、品質改良それから耕種改善といったようなことでできるだけ品質のいいたばこを、しかも耕種改善等を通じてコストを引き下げながらつくっていただく。それを受けまして、私どもは、できるだけ国産葉をたくさん使用いたしまして、なおかつ国民皆さんに吸っていただけるような新しいたばこを生み出していくという努力を積み重ね、一方におきましては輸出等の対策ともあわせまして、相当の期間はかかろうかと存じますけれども、過剰在庫の解消に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  80. 米沢隆

    ○米沢委員 これ以上過剰在庫をふやさないということは、現在の生産調整ですか、限度をそのまま続けるということですか。それとも、過剰在庫を減らすために少々努力されるというつもりですか。
  81. 長岡實

    ○長岡説明員 現在の面積の決定に当たりましては、五十六年の夏の時点ではございましたけれども、将来数年間にわたっての需給事情を勘案いたしまして現在の面積を計算いたしておりますので、これを毎年度改めるということは考えておりません。  それでは、未来永劫この耕作規模を維持するのかという問題でございますが、今後のたばこの需要がどのような推移をたどるかといったような点についていろいろと未知数がございまして、将来を推定することがなかなか困難でございますけれども、先ほど来申し上げておりますようないろいろの努力を積み重ねましても、なおかつ、たばこの需要が停滞いたしまして在庫がどんどんふえていく、それが公社の経営をも脅かすといったような事態になりかねないときには、また改めて耕作審議会で十分に議論を尽くしていただいた上で、耕作面積の規模見直しを行うこともあり得ようかと存じます。
  82. 米沢隆

    ○米沢委員 ということは、かなり長期間たった後でないと、その審議会の議を経てまた検討し直すということはしないということですな。  たとえば、いま五十年代に入ってからの伸び率は大体一%か二%くらいの割合ですね。もし、そういうものを前提とするならば、現在の十二カ月分の過剰在庫というのは、一体いつになったらなくなるのですか。
  83. 長岡實

    ○長岡説明員 先ほど来お答え申し上げておりますように、過剰在庫を何年間で解消するという具体的な計画は持ち合わせておりません。  しかしながら、先ほど申し上げました現在の面積というのを相当長期間維持するかどうかという御質問に対しましては、過剩在庫が今後もふえるような傾向にあるときには、当然その時点で十分に検討していただいた上で方針を決めるということになると存じます。これが何年先であるかという点については、まだはっきりとした見通しを得ておりません。
  84. 米沢隆

    ○米沢委員 私が質問したのは、たとえば一、二%ずつ販売数量が伸びていったときに、いまの十二カ月分の在庫があるならば、一体いつごろ解消するんですかと聞いたのです。これは数字の問題です。
  85. 長岡實

    ○長岡説明員 最近の一、二%の需要の伸びという傾向は、将来これが大幅に改善をされて需要が大きく伸びるということは見込みがたいと存じます。  過剰在庫の解消に最大の重点を置くとすれば、ここで思い切った減反を行わなければ解消できないと存じますが、それは、耕作農家に与える影響その他から申しまして、私ども、現実的にはなかなかとりがたい事情にあると存じます。  したがいまして、公社は、ある程度過剰在庫による負担があることを覚悟した上で、何年計画というのはいまのところ持ち合わせておりませんけれども、できるだけ過剰在庫を減らすような努力をするという姿勢で今後とも臨んでまいりたいと考えております。
  86. 米沢隆

    ○米沢委員 できるだけ過剰在庫をなくする努力をするというのは、どういう努力をされるかということを聞いているのです。
  87. 長岡實

    ○長岡説明員 たとえたばこの消費がそれほど伸びませんでも、国産たばこに使う葉たばこの使用量がふえれば、それだけ在庫が減るわけでございます。  ただ、これはなかなか簡単な問題ではございませんけれども、私どもは、葉たばこ生産そのものの努力を通じて、品質のいいそしてコストの安い葉たばこをつくっていただきまして、それをたくさん使ってなおかつ国民に喜ばれるようなブランドを開発していくという努力は従来も行ってまいりましたし、今後も引き続きやってまいりたい、これが具体策の第一点であろうかと思います。たとえば、この四月から全国拡販を予定しておりますキャスターというたばこがございますが、これは従来のたばこの中では非常に国産葉使用率の高い銘柄でございまして、そういったようなものを今後とも研究をして開発していきたいということを考えております。  第二点は、これは即効性はございませんけれども、国内の需要が停滞ぎみではございます。しかも、そこにもってきて輸入たばこが国内で消費がふえる傾向にあることは否定できませんが、それをただ甘受するだけではなくて、私どもは、やや長期的な計画ではございますけれども、国産たばこの輸出にも力を入れたい。輸出が伸びれば、それに使われる国産葉の使用もふえるといったようなことも考えております。  そのような方策をでき得る限り積み重ねて、じみちではございますけれども、過剰在庫の解消に努めてまいりたいと考えております。
  88. 米沢隆

    ○米沢委員 それから、国内産の葉たばこの調達の合理的なルールを設定しようという命題があるわけですが、これはどういうような検討がなされているのですか。
  89. 長岡實

    ○長岡説明員 御指摘の点は、臨調の答申に出ている問題であろうかと存じますけれども、臨調の答申では、現在の全量購買制を廃止する、いわゆる葉たばこ専売制度を廃止して、契約制度にすべきであるという御提案がございます。  この問題については、他の面とも関連いたしまして、今後制度改正を求めてまいります場合に大変急激な制度の改善に結びついて、葉たばこ耕作農家あるいは小売店等に不安動揺を与えるのは現実的ではないというふうに考えておりますが、同様に指摘されております点で、現在は、耕作審議会の議を経て、その意見を尊重して、私どもは購買の数量、価格等を決定いたしておりますが、その審議会の性格を、これは実は総裁の諮問機関でございますが、それを総裁の諮問機関ではなくて、もっと第三者的な性格を持ったものにして、生産者である耕作農家とユーザーである専売公社と、その両者の意見を公平に酌み取って判断されるような第三者機関の設置が必要ではないかという御意見がございます。この点につきましては、私ども、現在、もろもろの制度改善の一環として、そのような機関の実現が可能であるかどうかというようなことについて、真剣に検討している段階でございます。
  90. 米沢隆

    ○米沢委員 次は、この専売公社の合理化の件でございますが、五十六年十二月に出されました例の行管の監察結果報告書によりますと、公社は昭和三十六年度以降、中長期計画を策定して経営の合理化努力をされたということを認めつつも、後継者難等に伴う耕作者の著しい減少、葉たばこ主産地の変化、工場における設備機械の高性能化等の状況から見て、その機構及び要員の配置のあり方等について再検討の要ありとの指摘がなされておりますけれども、事実、公社たばこ事業を取り巻く環境の変化、そして財政収入確保という専売制度の原点を考えましたときに、事業の一層の効率的な運営がますます重要になってきておると思うのでございます。  そこで、まず昭和五十六年以降、事業の効率的な運営や合理化等についてどのような検討がなされてきたのか、いままた将来の青写真をどういうかっこうで描かれておるのかという点について、御見解を承りたいと思います。
  91. 長岡實

    ○長岡説明員 私どもも、公共企業体という立場に安住いたしまして経営の合理化を怠ってはならないという気持ちは非常に強く持っております。  従来から、私どもは私どもなりの経営の合理化に努力をしてきた所存でございますが、ただいま御質問のございました五十六年度以降で申し上げますれば、京都、高槻、茨木という三つの工場を整理統合した関西工場が昨年の秋から稼働を開始いたしております。また、そこには性能の非常に高い高速機も導入いたしておりまして、そういう意味で、要員配置の合理化にも大変資するような工場が生まれております。また原料工場では、九州の三重原料工場の廃止が行われたばかりでございます。それから昭和六十一年に向けまして、福岡と鳥栖の二工場を整理統合いたしまして、北九州工場という、まだ仮称ではございますが、新鋭工場に統合する、それによってまた工場の生産性が非常に大きく上がり、要員配置についても合理化が図られるだろうと存じます。  ちなみに、ここ数年間の予算定員の減少傾向を申し上げますと、昭和五十五、六年度ごろには毎年百四、五十人から三百人ぐらいの定員の減少でございますが、五十七年度には千九十二人、ただいま御審議お願いいたしております五十八年度予算では千二百二十二人という相当大幅な要員の合理化も実施いたしておりまして、要員合理化は、まだ数年間この規模で続けなければならないのではないかというふうに考えております。
  92. 米沢隆

    ○米沢委員 そこで、本法案の中身でございますが、本法案の意図する増収策は原点そのものですから、財政収入を増収に結びつける提案として理解はできるわけでありますが、問題は、なぜこの際、紙巻きたばこが十本当たり十円、パイプたばこが十グラム当たり十円、葉巻きたばこが一本当たり十円の引き上げになるのか。  先ほども議論がありましたが、製造たばこの小売価格の定価の適正化を図るというのは一体どういうことなのか。また、なぜ昭和五十八年、五十九年両年度に限り専売納付金納付の特例措置が行われるのか。金を何とか確保したいという気持ちはよくわかるのですが、何やら適当にやっておられるという感じが、どうも横から見ていてするのですね。一体、こういう引き上げをされようとする場合、専売公社が赤字になってどうしようもないというならまだ理屈が立ちますが、今度は財政確保のためにやられる。国の財政が大変厳しいことも重々承知をいたしておりますが、そういうときに、安易に何かたばこあたりの値上げが簡単に決定されるという印象を私は否めません。  そういう意味で、一体こういう引き上げ等について、どこがどういうかっこうで決められていくものか、それを御説明いただきたいと思うのでございます。
  93. 高倉建

    ○高倉政府委員 お答え申し上げます。  今回のたばこ定価の改定が公社の損益上の事由によるものでなく、財政の大変厳しい状況という財政の事由による定価改定であることは御指摘のとおりでございます。その際、私どもといたしましては、どの程度の負担をお願いするかということで、いろいろ検討いたしたわけでございますが、前回改定いたしました昭和五十五年四月以降の物価の変動等を勘案いたしますと、消費者物価がたしか一〇%強程度上がっているということになります。現在のところの紙巻きたばこの平均的な単価に一〇%を掛けますと、おおむね一本一円という数字になります。したがいまして、一本一円の定価改定を基本として御負担をお願いしたいと考えたわけでございます。  それと同時に、最近、海外からのわが国市場に対するいろいろ厳しい批判がございますが、その中で、内外製品の価格差ということがかなり神経質な問題になっておりますことを考慮いたしまして、この定価改定措置によりまして内外製品間の価格差が拡大も縮小もしないように措置をしたい、こういうことで一本一円という、いわば従量的な定価改定をお願いすることとしたわけでございます。  それから、なぜ専売納付金の特例措置を二年間としたのかという御質問がございました。これにつきましては、たばこの定価改定をいたしますと、五十五年の制度改正で、国、地方の財政収入になる分、それから公社に帰属する分というのが決められたわけでございますが、総平均いたしますと、一本一円のうち三十四銭が本来であれば公社に帰属する分であるわけでございます。ところが、現時点で公社の損益を試算いたしますと、五十八年度、五十九年度は現状のままでもなお公社の損益は黒字であると見込まれることがございまして、大変財政の状況が苦しゅうございますので、この二年間は、本来公社の取り分でございます一本当たり三十四銭を専売納付金として国に納付をお願いするということで、これはいわば公社に御協力をお願いし、関係法案を提出させていただいているわけでございます。  六十年度になりますと、ただいまのところの見込みでは公社の損益がもたないということになりますので、これは当然、公社の取り分である一本当たり三十四銭を六十年度からは公社本来の収入としてお戻しをする、そのことによって公社の損益がなおしばらく黒字を続けることができるという見込みに立っているわけでございます。
  94. 米沢隆

    ○米沢委員 次のたばこ引き上げの時期ですが、いまのところ五十八年、五十九年については公社は黒字だから国家の財政の方に三十四銭は差し上げる、六十年時点においては公社は赤字になるから三十四銭はいただく、いただいて、ある程度の年度黒字が続くというふうにおっしゃったのですが、そういうふうに理解していいんですか。
  95. 長岡實

    ○長岡説明員 将来のたばこの需要の傾向いかんにもよるわけでございますけれども、現時点で私どもが判断いたしておりますのは、少なくとも六十年度、六十一年度は赤字に陥らない、六十二年度も、まあできれば何とか赤字にならないように努力したいと考えております。したがいまして、次の値上げの時期がいつであるかという点についてははっきりとした見通しは立ちませんが、六十二年度もしくはそれ以降といったところではないかと考えております。
  96. 米沢隆

    ○米沢委員 こういう情勢は、特に国の財政状態は昭和六十年時点はいまよりもよくなるとは思えませんね。少なくともまだ厳しくなる状況ですね。そして、公社そのものが六十年、六十一年、六十二年前後は三十四銭を返してもらえば何とか赤字にならない。  そういう意味では、昭和六十年から六十一年前後に、今度は公社の赤字補てんも含めた、そして国家財政にまた寄与するようなたばこの引き上げというのが予想されそうな気がするのですがね。それはその時点においての議論でしょうが、そういうところからしましても、今後も、企業性といいましょうか、先ほど申しました採算性といいましょうか、そのために、いろいろ過去の経緯の中から残骸がたくさんたまっておるところもあるわけですから、ぜひ全力を挙げて経営の効率化のために努力をしていただきたい、こうお願いを申し上げておきます。  それから、先ほど来議論をしておりますが、たばこ販売数量の推移、いわゆるたばこ需要の伸びの推移を見ますと、昭和五十年ごろまでは毎年五%から七%ぐらいの伸びで着実な伸びを示しておりますが、しかし最近は、先ほど申しましたように需要の伸びが停滞傾向になっておりまして、大体五十年になってから一、二%しか伸びておりません。これには、成年人口の伸びの鈍化とかあるいは喫煙等健康問題に関する社会的関心の高まり等々の理由がありましょうが、しかし、この理由そのものは需要の構造的な変化だと見て差し支えないのではないか、こう思うのです。  そういうきわめて厳しい、特に需要に対してきわめて厳しい状況において小売価格を値上げするということは、この需要停滞に何か加速度的にマイナスの方に働く要因として従来の値上げのときよりも強く、大きくなっていくのではないか、そんな感じがするわけでございます。国鉄あたりが運賃を値上げして乗り手が少なくなって結局赤字になるという、そこまではいかぬにしても、時期が時期であるだけに、私は、この小売価格等をいじるということが需要に相当大きなインパクトを与えて従来以上にマイナス要因に働くであろう、そういう危惧の念を持つわけでございます。  ことしは、値上げをされてマイナス一・三%ぐらいを見込んでおられますが、これはもうちょっと大きくなるのではないか、そういう意味で、将来のことでありますから多分にわからない部分がありますが、今後の需要の動向というものを専売公社としてはどういうふうに見ておられるのか、同時に、その需要の停滞に一体どういう対応策があるのか、その二点についてお伺いしたい。
  97. 森宗作

    ○森説明員 お答えいたします。  今後の販売動向でございますが、まず本年度の販売見通しにつきましては、私どもは、販売計画の上では三千百億本というふうに見込んでおりまして、本年度は厳しい環境下にございますが、何が何でも目標の達成をいたしたいということで努力をいたしておる次第でございます。  なお、今後の販売数量を予測するに当たりまして、私ども、幾つかの要因を喫煙構造要因という形でとらえまして試算をいたしておるわけでございます。その一つは、ただいま先生御指摘のございました成年人口の伸び率でありますが、過去に比べまして最近では伸び率が大変鈍化をいたしております。また、喫煙者率という要因もございますが、この喫煙者率も、女子につきましてはほぼ横ばいということでございますが、男子につきましては毎年漸減という形になっております。いま一点、一人当たりの喫煙本数というのが大変大きな影響を持つわけでございますが、この喫煙本数につきましては、これまで低タール、低ニコチン、こういうようなたばこの開発によりまして増加は示しておりましたが、最近ではこれも微減というような形になっておりまして、こういった要因のほかに、これまた御指摘がございました喫煙と健康問題に関する社会的な規制、また、経済の成長の度合いといったようなものを考えますと、過去にありましたような伸びというものを達成することは、なかなか困難ではないかというふうに考えております。  こういう情勢の中で、来年度の販売見通しでございますが、私どもは、停滞がない場合には三千百億本ということを予定をいたしておりますが、停滞によりまして約四十億本減というような影響が出てまいりまして、三千六十億本というのを来年度の計画ということに見ております。こういう厳しい情勢の中で、私どもとしましては、さらに輸入品の国内におきます伸びというものを予想されるわけでございますが、国内品につきましての需要の維持を図っていくためには、一つには新製品の開発というもの、さらにこれの市場投入ということで考えておりますし、このほか、営業活動の充実強化というようなこと、また、販売店対策につきましてのいろいろの充実の施策、さらには消費者サービスの向上というような一連の施策をとりまして、今後とも需要の早期回復並びにこれからの需要の維持というものについて全力を挙げたいというふうに考えておる次第でございます。
  98. 米沢隆

    ○米沢委員 今度の引き上げに伴いまして生ずるであろう例の地方たばこ消費税の減収については補正がなされるということでございますが、今度の引き上げをして、結局売上量が減ってくる、小売業にはどういう影響が出てくるのですか。
  99. 長岡實

    ○長岡説明員 小売店につきましては、販売数量が減りますけれども、値上げによりましてマージンの手取りの一箱当たりの額はそれだけ上がるわけでございます。全体としては手取りの増加になるはずでございます。
  100. 米沢隆

    ○米沢委員 それは、五十年の値上げの時期あるいは五十五年の値上げの時期も、そういう結果になっておるわけですね。  そこで、たばこの需要の中で未成年者がどれぐらい吸っておるか、計算ありますか。
  101. 森宗作

    ○森説明員 お答えいたします。  専売公社におきましては、未成年者の喫煙者率につきましては、これまで調査をいたしたことはございません。
  102. 米沢隆

    ○米沢委員 未成年者といったら大学生ですね。大学生あたりかなり吸っていますね。それから、いま高校生、中学生までかなり吸っていますね。  そこで、そういう数字が調べたことがないというのは、表向き調べられるようなかっこうではないと私は実際そう思いますが、かなりの量を未成年者が吸っておるだろう。御案内のとおり、未成年者喫煙禁止法というのがありまして、「満二十年ニ至ラサル者ニ其ノ自用ニ供スルモノナルコトヲ知リテ煙草又ハ器具ヲ販売シタル者ハ十円以下ノ罰金ニ処ス」こう書いてあるのです。この法律は書いてあるのですから生きておるわけですが、未成年者喫煙禁止法の第四条、販売者の処罰という項目はほとんどもうなきがごとくになっておる、そう思うのです。しかしながら、依然として社会的な問題として未成年者に対してはたばこを吸わせない、そういうことはやはり一方では社会の規範として堅持しなければならない問題だ、そう思うのです。  そこで、皆さんも御承知のとおり、去年でしたか、滋賀県の多賀町で、未成年者にたばこ自動販売機が深夜もオープンになっておることは連中にたばこを買うチャンスを与えるようなものだから、青少年の健全育成という観点から地方ぐるみで深夜の自動販売をとめてもらいたいという要請があって、ちょっとトラブルがあったというふうに聞いておるわけです。その際に専売公社の方は、僕もそこに立ち会ったわけじゃありませんが、やはり二十四時間自動販売機が回ることが前提であって、利用者のために便宜を与えることが至上命令であるから、そういうことができないということから始まって、実際は町の言うとおりにいまのところ深夜については禁止になっておるのだそうでありますが、全国的にこういう動きというのは広がっていく可能性があると思うのです。  われわれも、何も未成年者にまでたばこを吸わして国家の財政の収入確保に協力するなんということはだれも考えてないわけでありまして、私は、少なくともこういう運動があったときには、確かに自動販売機を置いて深夜に買えるから、それがイコール不良化につながるということにはならぬにせよ、町ぐるみで青少年の非行を、少なくとも一歩でもいいから非行防止のために努力をしようという、こういうときには、専売公社もかたくなにならずに、少々はとめてあげますという、なぜそういう議論になっていかないのだろうか、こういう感じを私は実際持つわけです。その点について、今後の運動はこういうものは広がっていくと思いますが、その際やはり公社としても、ある程度の対応の仕方を決めておいてもらいたいと思うのです。  同時に、この未成年者喫煙禁止法というものについては、何しろ未成年者が自分のために買うであろうということを知って販売したる者、こうなっておりますように、自動販売機なんというのはだれでも買えるわけですから、単に大人だけに便宜を供与するのではなくて、未成年者の連中だって買えるということを知った上で自動販売機があるのだから、私は、そのあたりも考慮に入れられて、やはり今後の青少年非行防止の一助になるような動きをしていかねば、何か売りさえすればいいという感じ、こういう感覚では大変だと思う。いかがでしょう。
  103. 長岡實

    ○長岡説明員 自動販売機問題でございますけれども、たばこの需要者の購買の利便の点あるいは販売店の経営の合理化の点といったようなことから自動販売機が出現して、今日相当の台数になっておるわけでございますが、公社といたしましては、営業活動の自由の立場からいたしますと、これに強制的に介入するわけにはいかないと存じます。  ただ、ただいま御指摘もございました多賀町の問題等、未成年者の喫煙の防止の問題、これはやはり社会的に放置できない問題でございますので、昨年の七月でございますが、全国たばこ販売協同組合の連合会に対しまして、公社から、自動販売機の深夜停止につきまして、話し合いに基づき地域との調和を配慮しつつ、個々の販売店の自主的な判断により、自動販売機の深夜停止を行う旨、協力要請をいたしたところでございます。
  104. 米沢隆

    ○米沢委員 きて、次は、たばこの関税率の引き下げが与える影響等について御質問いたします。  御承知のとおり、一月十三日の経済対策閣僚会議におきまして、「当面の対外経済対策の推進」ということで、たばこの関税率の引き下げが決定をされました。それと同時に、外国たばこの流通の一層の促進というものが決められたわけでありますが、この法律が通りますと、四月一日から実施になるのですか、これは先ほど来の議論にありましたように、たばこ耕作者を初めとするたばこ産業にかなりの影響が出てくる。そのような影響というものを、いま具体的にどういうかっこうで影響の程度を考えておられるのか、それが第一点です。  それから、当局の資料によりますと、世界のたばこ市場におけるシェアは、ブリティッシュ・アメリカン・タバコがトップで一七・七%、二位がフィリップ・モリスで一四・五%、わが専売公社が一三・七%、堂々三位を占めておられます。これにレイノルズ、ロスマンズを加えますと、上位五社で世界の六一・九%のシェアを占める、そして、この五社が世界市場でしのぎを削っている、こういう形になっていることを資料は物語っておるわけであります。  しかしながら、日本市場における外国たばこのシェアは、従来の高い関税の壁もありましてわずか一・五%で、その他はほとんど独占的な専売公社のシェアになっておるわけでありますから、日本市場を独占しているからこそ日本専売公社は第三位、言ってみれば競争なしの第三位と言っても差し支えないと私は考えるのです。しかしながら、御承知のとおり、五十五年十一月の日米協議の合意によって、たとえば紙巻きたばこが五十六年度以降関税率が九〇%から三五%に引き下げられ、今回また三五%が二〇%に引き下がるということになりますと、ほぼアメリカの関税率程度になるわけでありますから、流通の問題を除きますと、イコールフッティングと言いましょうか、公平な、対等な競争に入らざるを得ない、こういうことになると思うのですね。  そこで心配なのは、そのときの日本の競争力は一体いかがなものかという心配、そして、もし弱点があるとすれば、何か対策が講ぜられようとしておるのかどうかという問題、それから、国際たばこ資本というのはかなり進出意欲が旺盛だと聞いておりますから、関税が二割くらい下がってしまいますと、相当な勢いで日本に対する輸出攻勢がかけられてくると思うのですが、今後外国たばこのわが国におけるシェアは、この関税引き下げ措置でどういうふうに変わっていくと見ておられるのかという問題。当面、たばこ耕作者等に対する影響を考慮しながら、その手段は別としまして、言葉は悪いですが外国からの輸入量を調整していかざるを得ないと思うのですね。その意味では、外国たばこのシェアをどの程度のシェアにするか。まあ表には出せませんね、下手をしますと、また何のために関税を下げたんだと怒られますし、かといって、さあどうでもしてくれということになりますと、かなりの勢いで日本の市場を席巻するだろうと思います。  したがって、公社としても頭が痛いところでありますが、将来外国のシェアをどれくらいのものにしようという、言葉は悪いが小細工をしない限り大変なことになるのではないか、そういう心配もするのでありますが、その点をどういうふうにお考えになっておられるのか、お聞かせいただきたい。
  105. 長岡實

    ○長岡説明員 外国たばこ特にアメリカたばことの競争が今後ますます激化していくであろうということは、御説のとおりだと思います。  その場合の私どもの国際競争力の問題でございますが、シガレットの製造原価につきましては、これは、どこの国も企業秘密でございましてはっきりとしたことがわからないのですが、どうも私どもよりも安い原価でつくっておるようでございます。  その理由の一つは、葉たばこにございます。国産の葉たばこは、これは、わが国の農業の宿命とも申すべきものだと存じますけれども、経営規模がアメリカの農業に比べれば非常に零細でございますので、どうしても生産の合理化等に限界があって、コストがなかなか下がらないといったような問題がございまして、製造原価の内容の比較が細かくできませんけれども、原料の葉たばこについては相当程度の格差があるということは容易に想像し得るところでございます。この点につきましては、私ども、なかなか即効的な方策はございませんけれども、耕作農家にも呼びかけながら品種改良と耕作の技術の改善等を通じて、いわば葉たばこ耕作農業の構造改善といったようなものを目標といたしまして、できるだけ生産コストの低下を図っていくという努力を積み重ねて、彼我の価格差の縮小に努めてまいりたいと考えております。  それ以外に、今後競争力を確保していくために考えなければならないのが、私どもの企業体が企業体として経営の合理化に取り組み、かつ弾力的機動的な経営が営めるかどうかという問題にかかってくると思いますが、この点につきましては、現在、臨調の答申を受けての経営形態の変更問題の一環として、どういう経営形態をとればそういう条件が満たされるか、私どもとして十分に競争力が発揮できるような企業体になり得るかといった観点を一つの大きな視点として検討を重ねておるところでございます。  それから最後に、関税の引き下げ等によりまして、一体どの程度輸入品のシェアが高まっていくであろうかという問題でございますが、率直に申しまして、何%程度というめどは立てておりません。これは、普通の商品でございますと価格の競争力が大変物を言うわけでございますけれども、何と申しましてもたばこは嗜好品でございまして、たばこをのんでいらっしゃる方々の嗜好の程度がどの程度であるかということが、内外製品の伸びに大変大きな影響がございます。そういった観点から、どの程度のシェアになるかという見通しは大変つけがたいというのが事実でございます。  ただ、今回関税率の引き下げが実現いたしますと、やはり内外製品の価格差は縮小いたしますし、あわせて輸入品を売ります小売店の数も相当ふえるものでございますから、来年度においては相当程度輸入品がふえるであろうという覚悟はいたしておりますし、その場合には、昭和五十六年度に関税率が九〇%から三五%になったときに輸入品が約二二%近く伸びております、国産品全体は一%台の伸びでありながら、輸入品については二二%近く伸びた実績がございますので、その辺の数値を頭に描きながら、来年度ある程度の輸入たばこの伸びを覚悟しておるというのが現状でございます。
  106. 米沢隆

    ○米沢委員 それから、先ほどから、今後は輸出にも力を入れたいという話でございますが、現在の輸出の実績といいましょうか、クロスライセンスだとかアンダーライセンスという形での進出といいましょうか、同時にまた、ほかに輸出があるのかどうか、その現在の実績と将来の輸出に力を入れるという方針、何か具体的に、どういうところに力を入れていかれるのか、その点お伺いしたいと思います。
  107. 森宗作

    ○森説明員 お答えいたします。  輸出におきましての実績でございますが、国内品の五十六年度におきましての輸出数量は約十一億本ということになっております。ライセンス品でございますが、こちらから相手国への進出の数量といたしましては約七百三十万本、なお、このほかにアンダーライセンスというので一方通行のライセンスがございますが、これの合計が約二千万本という数字になっております。  輸出につきましては、従来からも公社は取り組んでまいっておるわけでありますが、もともと昭和三十年代までは国内の需要対応に追われまして、なかなか輸出まで手が回らないというのが実情でございました。昭和四十年代に入りまして、初めて本格的な輸出というようなことを考えてまいったわけであります。ただ、欧米の有力メーカーは、大変長い歴史の中で海外におきまして強固な基盤を持っておりまして、後発のメーカーとしまして私どもはこれに食い込んでいくというのは大変むずかしいということで、数量としましてはまだ十分な成果が上がっていないという現状でございます。  こういったような事態を打開いたしますために、このたび輸出戦略にかかるような専門の組織を公社の外につくるということにいたしまして、輸出専門のいわゆる別会社でございますが、それを現在の計画として持っておりますが、このたびの予算をお認めいただければ、具体的にその内容についてさらに検討を進めて、早急に設立を図ってまいりたいというふうに考えております。
  108. 米沢隆

    ○米沢委員 最後になりますが、小売人の大会などに行きますと、よく、たばこ消費税の実質上の前納に対して他方自治体からの報奨金を獲得しようというスローガンが掲げてありまして、たばこ消費税に関する報奨制度の確立というのがいつもメーンの要望事項になっておるわけです。これは地方自治体との関係であろうと思いますが、公社としてもやはり関係なしとしないと思うのですが、小売人がたばこ消費税に関する報奨制度をつくってくれ、こういう問題提起に対して、公社として何か御見解がありますか。
  109. 森宗作

    ○森説明員 お答えいたします。  実は、小売店が公社からたばこを買い受けます際には、いわばあらかじめ納付金あるいは地方消費税というものの入った金額で、要するに、定価から小売店のマージンを差し引いた金額で買い受けておるわけでございます。そういった意味では、いわば納付金なり消費税というものを前納しておるというような形にも考え方によってはなるわけでございまして、そういった点につきまして、何らかの各地方団体からの手当てというものが欲しい、こういうようなことがございます。  こういった点につきましては、各販売組合の方で主体的にやっておりますけれども、私どもの方でも各地方局の方に指示をいたしまして、そういうような要求がある場合には、これに協力をしながら地方自治体とのお話にも参加をさせていただくというようなことで指導をいたしてまいっております。
  110. 米沢隆

    ○米沢委員 終わります。
  111. 森美秀

    森委員長 正森成二君。
  112. 正森成二

    ○正森委員 先月の租税特別措置の質問のときに、他省庁に来ていただきながら時間がございませんで質問ができませんで大変失礼しましたので、森委員長のお許しを得て、最初に、租税特別措置関係質問を二、三させていただきたいと思います。その後でたばこ関係質問させていただきます。  まず第一に、厚生省お見えになっていると思いますが、医療法の改正という問題が出ておりまして、その中で大きくいって三つ問題点があり、第一番目が地域医療計画、二番目が乱脈経営の医療法人に対する監督権限の強化、三番目が一人法人を認めるということでございますが、官庁速報などによりますと、このうちの開業医が一人で医療法人を設立できる医師一人法人制については、厚生省の原案には盛り込ませないで、自民党が法案修正の形で厚生省案に追加するというようなことも報道されております。  そこで、この間の経緯等について御説明を願いたいと思います。
  113. 藤田恒雄

    ○藤田説明員 お答えいたします。  医療法の改正問題につきましては、三年前の富士見産婦人科病院事件に端を発しまして、地域医療計画とかあるいは医療法人の監督強化ということを中心として法案を出そうと考えたわけでございますけれども、関係方面との調整がうまくいきませんで、今日まで延び延びになっておるわけでございますが、昨年の老人保健法の改正の際に、野党側からも医療法は出すべきじゃないかというような御指摘もありまして、われわれ目下鋭意関係方面と調整中でございまして、今月中には何とか出せるのじゃないかというような見通しを持っておるわけでございます。     〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕  ただ、先生御指摘のいわゆる一人医療法人の問題でございますが、この問題につきましては、いろいろ昔からの経緯もございますし、それから、関係団体の要望もわれわれ承知しているわけでございますが、目下のところ、今回の医療法の改正の中でこの問題をどう取り扱うかにつきましては全く未定でございますので、御勘弁願いたいと思います。  非常に簡単でございますけれども……。
  114. 正森成二

    ○正森委員 主税局長にお伺いいたします。  いま厚生省はそういう御答弁でございましたが、そのうちの医師一人法人制というのは、たとえば日医なんかは、他の自営業者には法人設立についての人数制限がないのに、医師の場合だけ三人というのはおかしいとか、あるいは、最近では個人診療所建設でも場合によっては億単位の費用が必要になっているという場合に、実質上個人所得と医療経営のための費用というのがどんぶり勘定になっているようなのはおかしいではないかというような意見等もあるようであります。  これについて、一部には医師に対する税の軽減になるのではないかという心配をされている向きもあるようですが、他面では、医療経営と院長といいますか医師個人の収入を合理的な基準で分けることができ、院長個人の収入に対してはきちっと累進課税で正確に課税するという方が明朗ではないかという意見もございますので、たしか保険医団体等からも主税局に陳情があったと伺っておりますが、大蔵省としてはどういうぐあいにお考えか、御答弁を承りたいと思います。
  115. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 いま委員御指摘になりましたいわゆる一人医療法人の問題は、従来から御議論があるわけでございます。  税制のたてまえからいたしますと、医療法でそういう医療法人の手当てができますと、法人税並びにいま御指摘の一人のお医者さんの、まあそれは給料の形になるのでしょうか、所得税の問題、現行の税制ですっきりした整理はできると存じます。ただ、医療法で三人以上のお医者さんがいないと診療所に法人格を与えないというたてまえをどうするかというのは、これは何と申しましても、医療行政といいますか、そちらの方の判断が先行する問題でございますので、大蔵省として、それが望ましいとか望ましくないと言うことが果たして適当かどうかは存じませんけれども、医療法の方でそういう手当てをしていただきますと、税制上の処理はすっきりするという感想は持っております。
  116. 正森成二

    ○正森委員 政務次官にお伺いしたいと思います。  私がいま申しましたように、新聞等で報道されているところでは、厚生省の原案には入れないが、与党の方で修正案としていろいろ要望もあるのでそれを盛り込むというような報道がちらほら出ているわけですね。  そこで、五十四年三月六日の大蔵委員会の議事録があるわけですが、そこで、たしか公明党と思いますが坂口委員質問に答えて、当時の大平内閣総理大臣が「現在、医療法人は病院もしくは医師三人以上の診療所について認められておりますことは御承知のとおりでございますが、近年診療所につきましても、開設資金が相当大きくなっておる等の状況の変化もございますので、一人法人を認めることの意義については今後十分検討を加えてまいりたいと思います。」こう答えておられます。あるいは同日、安田委員質問に対しまして、同じく大平内閣総理大臣が「一人法人の意義も理解できるところもあります。したがって、これは一つ検討に値する問題だと思いますが、ほかの医療行政の問題、税金の問題もあわせまして検討させていただきます。」ということで、決して頭から否定するのじゃなしに、前向きに検討するととられる答弁をしておられるわけであります。  それで、総理大臣の言われたことを、大臣を通り越して政務次官というのもなにかと思いますが、ひとつ大きな気持ちで政治的なお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  117. 塚原俊平

    ○塚原政府委員 ただいま主税局長お答えいたしましたように、それぞれの担当官庁が判断する問題というのがあるわけでございまして、確かに大蔵省の御答弁としてはあそこまでが精いっぱいだというふうに思います。ただいま先生の御指摘につきまして、現実大平内閣総理大臣が御答弁を申し上げていることでございますので、またさらに関係機関の方に諮りまして、十分に検討をさせていただきたいと思います。
  118. 正森成二

    ○正森委員 これは、いろいろ意見もございますが、保険医団体あるいは日本医師会等では、内容については微妙なニュアンスの相違がありますが、大きな方向では要望していることですし、税制上もすっきりさせた方がいい面もございますので、そういう点を勘案して、総合的によく御検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  運輸省、来ておられますか。今度の租税特別措置の改正の一つに、航空機に対する特別償却制度で、特別償却率を若干縮減した上、二年延長するというのがございますが、縮減だけかと思っておりますと、一方では航空機の対象が拡大されているのですね。最大積載量が百三十トンから百二十トンというように引き下げられておりますが、その理由はどういうところにあるのですか。
  119. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 御承知のように、航空需要というのはどんどんふえておるわけでございますが、空港の制約が大変厳しい、騒音対策等の面でいろいろな制約がございます。  こういう制約のある中で、ふえていく需要に対応しようとしますと、やはり効率のよい機材を、それも騒音の低い機材を入れていく、こういう必要がございまして、従来から航空会社では効率のいい低騒音の機材を入れておるわけでございますが、今回、五十八年度から新しくB767という飛行機を予定しておる会社がございまして、これも本制度の対象になりますように制度の範囲を広げたということでございます。
  120. 正森成二

    ○正森委員 いま答弁がございましたように、全日空がボーイング767、百二十七トンというのを二十五機注文しておりまして、そのうちの七機が五十八年度に導入なんですね。そこで、これに対して租税特別措置の恩典を与えよう、こういうことだと思うのですね。そして、日航はいまボーイング767かA310かということで検討をしておりまして、これも近く決めるであろうということだと思うのですね。  こういうように、率は下げるけれども対象は拡大するというのは、今回が初めてではございませんで、五十一年度にもやっております。それから五十六年度は年率が一三%になった後、重量が五年ぶりに百七十五トンから百三十トンに下げておる、これも結局、東亜のA300というのが百三十七トンでございますから、これに対して恩典を与えるために導入したのではありませんか。
  121. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 先生の御指摘のとおりでございまして、厳しい空港事情の中で、逐次、低騒音の飛行機を入れてまいります場合に本制度の対象にするという意味で対象を広げておりますが、同時に、特償率の方も、租税の特別措置に応じるという意味で、逐次縮減を図ってきておるというのがいままでの経緯でございます。
  122. 正森成二

    ○正森委員 大蔵省伺いたいと思うのですが、この制度がそもそもできましたのは、たしか昭和四十八年度からだと思うのですね。これを導入したときの理由はどういうものになっておりますか。
  123. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 航空機特償ができましたのは、いま四十八年度とおっしゃいましたが、四十六年度でございます。そのときの償却率は初年度五分の一でございます。それから、最大離陸重量百九十トン以上。当時、いわゆるジャンボが航空業界に出てまいりまして、各国その導入を進めたわけでございますが、ちょうどその時点で、現在の航空機特償、この制度が設けられたわけでございます。
  124. 正森成二

    ○正森委員 結局、そういうのを考えてみますと、昭和四十七年ごろに、アメリカが日本との関係で輸入超過になっておるということで、例の有名な民間航空機の、わが国から見て輸入ということでドルを救済したわけですが、そのときのL一〇一一等の重量を勘案して百九十トンとか百九十五トンというのを決める。そして税金を特償でまけてやる。その後、率はある場合には下げられましたけれども、一貫して航空会社の購入する飛行機のトン数に合わせて、この航空機の特償制度というのが変遷を経てきたということで、これは結局、航空関係の大きな企業に対する非常に密度の濃い恩典を、会社の購入する飛行機に合わせて法律を変更してきたということになるので、現在の財政事情から見て決して好ましいことではないのじゃないかというように思いますが、政務次官、いかがですか。
  125. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 政務次官のお答えの前に、若干、従来の経緯の御説明をお許し願いたいと思います。  いま御指摘になりましたように、四十六年度に百九十トン以上ということで航空機の特別償却制度が設けられたわけでございますが、翌年四十七年度、これも御指摘のとおり、その対象範囲をDC8クラスまで広げております。そのときに償却率は、ジャンボクラスのものは五分の一をさらに四分の一に引き上げますと同時に、DC8クラスは五分の一ということになったわけでございますが、その後、五十一年度に租税特別措置の抜本的な見直しを行いました際に、この四十七年度に創設をいたしましたDC8クラスの、いわば中型機と申しますかの航空機の特別償却制度は廃止をいたしております。したがって、五十一年度の時点で大型機に対する特別償却制度ということに純化をした。同時に、特別償却率をそれ以降累年引き下げてきておるわけでございますが、五十六年度になりまして百三十トン以上に下げましたのは、実はECで開発されましたA300を念頭に置いての改正であったことは事実でございます。  ただ、現在この特別償却制度が果たしております政策的な意義と申しますか、私ども税制当局としての理解は、航空機が大型化するということは、たとえば空港の問題あるいは航空管制の問題等で社会資本の効率化にも非常に重要な役割りを果たすということと同時に、私ども専門家ではございませんけれども、大型化することによって性能が非常によくなることで、かえって騒音問題の解消に非常に役立つという問題、それから、輸送効率が高まるわけでございますから、省エネルギーと申しますか、当然そういう効果もあるわけでございまして、必ずしも航空会社に対する恩典という観点からのみこれを議論するということは、私は問題があるのではないかと考えておるわけでございます。  さらに、五十八年度百三十トンを百二十トンに下げましたのは、ただいま運輸省からも答弁がありましたように、ボーイング767というのですか、これはA300とほとんど性能は変わらないということでございますので、税制上のバランスからいいますと、A300を特償の対象にしてB767を対象にしないということもなかなか説明がつきにくいという問題もございます。そういった背景もございまして、今回最大重量を引き下げますと同時に特別償却制度も引き下げるということでございます。     〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕  もう一言付言させていただきますと、私どもも、ただいま御指摘になりましたように、困難な財政事情のもとで、なるべく特別償却制度というものは率を縮減していくと同時に整理していくという方向で物を考えているわけでございますが、諸外国の例を見ますと、航空機に関しては、先進諸国は全部かなりの手厚い加速度償却を認めておるという実情にもございます。そういたしますと、なかなか航空機業界というのはナショナルキャリアの競争の激しい分野でもございますので、いわばそういう国益的観点というものも入れた税制上のバランス論というのもあるのかなという感じを持っておるわけでございます。
  126. 正森成二

    ○正森委員 航空機会社に対する恩典のみを考えたのではないという、この「のみ」というところに非常に力を入れられましたが、その恩典もあるということで、しかし、それ以外にいろいろ国益その他を考えておるんだという答弁だったと思いますね。政務次官、それでよろしゅうございますか。
  127. 塚原俊平

    ○塚原政府委員 ただいま正森先生の御指摘に対しまして、主税局長が経緯の御説明を丁寧にさせていただいたわけでございますけれども、恩典等々ということ、確かに現象面から見ますと、それはある意味で恩典があるという現象面になるのかもしれません。背景にかなり深いものがあるという御説明をいたしたわけでございます。私ども、まだこれからさらに一生懸命このような問題に取り組んでいかなければいけないわけでございます。本日の先生の御指摘等を肝に銘じまして、さらに勉強をさせていただきたいと思います。
  128. 正森成二

    ○正森委員 それでは、次に中古住宅の問題について、もう一点だけ聞かせていただきます。  確定申告期の真っ最中で税に関する国民の関心が高くなっており、私のところへもいろいろ問い合わせが参っておりますが、五十八年度の改正で、住宅取得控除及び所有権移転の登録免許税の軽減措置を新たに適用できることになりました、いわゆる中古住宅の買い取り仲介の場合の要件についてお伺いしたいと思います。  昨年四月二十日の当委員会税制委員会で私も質問したこの問題につきまして、早速五十八年度で一定の改正の措置がとられたということを非常にうれしく思っております。この中で、十二月二十三日の自民党税制改正大綱によりますと、宅地建物取引業者が買い取り仲介により取得した既存住宅を一定の要件のもとに適用対象に加える、こうなっておりますが、政令ではどういう要件になるのか、お答え願える範囲でお答え願いたいと思います。
  129. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 既存住宅の要件につきましては、五十八年度、今回改正を予定いたしておりますところでございますが、現行は、御承知のとおり規模の要件がまずございます。それから譲渡者の要件、つまり前の所有者の要件、それから取得者の要件、それから新築後経過年数が幾らたっているもの以内という要件、それから価格の要件、五つの要件があるわけでございますが、五十八年度におきましては、まず譲渡者要件、つまり現行でございますと、前の所有者が三年以上所有しておって、かつ二年以内そこに住んでおった中古住宅でないと、この取得控除なり登録免許税の軽減の恩典に浴せないということにしておりましたが、この要件を一切廃止することにいたしております。  それから、取得者の要件といたしましては、既存住宅の取得前一年借家住まいをしている人でなければいけないということになっておったのですけれども、これも廃止いたします。それから、細かい話ではございますけれども、現行は新築後十年以内の中古住宅に限るということにしておるのでございますけれども、耐火構造の住宅の場合、これはマンションを念頭に置いているわけでございますが、これは十五年以内でもよい。それから価格の要件は、現行は固定資産税評価額平米当たり七万七千円以下ということになっておりますが、これを八万七千円以下に引き上げるということを予定いたしております。
  130. 正森成二

    ○正森委員 そのことによって適用を受ける人がずいぶんふえることになって結構なことだと思います。  それに関連して、中古住宅の取得に係る場合が多いのですが、所有権移転の登録免許税問題というのがございます。この場合に、租特法による軽減措置を知らないで証明書なしに登記をしてしまって、本法に基づく高い登録免許税を払ってしまった、その後で気がついて税金を返してくれぬかと言っても、現行法では、他の税目にほとんどある宥恕規定がないのですね。だから、還付措置が全くとられないということになっておりまして、たとえば東京の府中出張所では昨年一年間で十件ぐらい、渋谷、墨田でもかなりそういうことが出たようであります。新築住宅の場合には業者が、新品ですからね、かなり親切に書類を用意するのですが、中古住宅の場合には、要件も厳しくてそろえる書類が多いわけで、業者が親切でないということであわただしくやりますので、つい本法で払ってしまうということがあるようであります。  そこで、この問題についてもやはり宥恕規定を設けられないであろうか。万が一宥恕規定が一発勝負の流通税だというわけで無理なようなら、こういうことを周知徹底させる広報活動を国税当局なり何なりが市区町村と協力してやっていただくということでないと、せっかくいい税制をつくっていただいても、それの適用を実際上受けられないということも生じますので、主税局あるいは国税庁どちらでも結構ですが、御答弁を願いたいと思います。
  131. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 まず、税制上の恩典があるということを知らずに登記をしてしまったという場合に還付できないかということでございますが、これはもうただいま委員も御指摘になりましたように、登録免許税は国税通則法で納税義務の成立と税額の確定が同時の税目の一つということでございますし、同時に、その時点で登記官が受け付けて有効に登記が成立いたしますと、いまの登記法上におきましても、その登記が無効でない限り還付ができないわけでございます。  そういたしますと、税制上の恩典を知らないからという、いわば錯誤による登記なんでございましょうけれども、登記法上これは有効に成立するということになりますと、どうしても税を還付するということになりますれば、御指摘のとおり、特別の法律の手当てが要るという問題になります。ただ、これは流通税であって、しかも即時に税が確定するという税目でございますので、納税者がその制度を知らないからといって、それはお気の毒といえばお気の毒でございますけれども、それを還付するということになりますと、かなり税制の秩序の問題も私は出てまいると思いますので、非常にむずかしい問題であると思います。このPRをして親切に納税者に周知すべきであるというのは、まことにごもっともな御指摘でございますけれども、この点については国税庁から御答弁申し上げます。
  132. 角晨一郎

    ○角政府委員 住宅の取得に伴います住宅取得控除、それから登録免許税の取り扱い、これは納税者の方の関心も大変高いわけでございますので、従来から広報に努めてきたところでございます。  今回、住宅取得控除の制度の内容が変わることもございますので、一層念を入れた広報をいたします。また登録免許税は、これは法務省、建設省に関連することでございますので、国税庁から法務省、建設省にもよくその内容の周知方をお願いしたい、こう思っております。
  133. 正森成二

    ○正森委員 せっかく私どもも昨年委員会質問しましたのが改善されたわけですから、その実益が要件に該当する納税者には十分に均てんするように御努力を願いたいというように思います。  それでは、総裁、大変お待たせいたしました。たばこ関係について、これからしばらくの時間聞かしていただきたいと思います。  まず第一点ですが、他の委員質問されたことと若干重複しますのをお許し願いたいと思うのですが、法案要綱には「製造たばこの小売定価の適正化を図り、あわせて財政収入の確保に資するため、」こうなって、あたかも定価の適正化が先で、付随的に財政収入の確保を図るような印象を受けるのですね。ところが、これはフェアではないんであって、財政収入の確保を図り、あわせて小売定価の適正化を図るとすべきか、あるいは小売定価の適正化なんというようなことは全く要らない文言ではないか。文字どおりずばり税収――税収と言ったらいけませんね、税外収入ですから。財政収入を確保するため、あるいはそれのみによって値上げがされたというように言うべきではなかろうかと思うのですけれども、どういうように御理解なさっておられますか。
  134. 長岡實

    ○長岡説明員 今回の値上げは、御承知のように、公社の経営上の必要性と申しますよりは、財政収入の確保のためでございます。したがいまして、ただいまの提案理由の順序につきましては、あるいは財政収入の確保ということが前面に出ても差し支えないのではないかと存じます。  その適正化の問題でございますが、これは、私からお答え申し上げるのはいかがかと存じますけれども、私の理解いたしておりますところでは、普通の商品なりサービスを提供する企業の立場からいたしますと、できるだけ安い価格で消費者の要望にお答えするのが企業の責務と存じますけれども、たばこは御承知のように財政財でございまして、私どもは、また財政専売を国から仰せつかって実施しておる立場にございますので、そういった観点から考えますと、たばこの小売定価がずっと据え置かれておりますと、実質的には一種の間接税のような納付金等の率が相対的には低下してまいります。  そういったような角度から物を見ました場合に、今回、財政収入の確保を主たる目的とするものではございますけれども、その確保の限度等につきましてはやはり小売定価の適正化という観点の配慮が入って、今日御審議お願い申し上げておるような引き上げ幅になったと理解をいたしております。
  135. 正森成二

    ○正森委員 いまの総裁の答弁の後段の部分には若干意見がございますが、それはもうしばらく、三、四問してから改めて取り上げたいと思います。  それで、この納付金率の引き上げを大蔵省が打ち出したのが値上げの発端でございますが、公社は初めは値上げに、売り上げが落ちるんじゃないかとかなんとか言ってかなり抵抗したんじゃないんですか。新聞では、ここに毎日、読売、朝日、東京、日経などを持ってまいりましたが、それは、いずれも当初の段階では相当抵抗していたように報道されているんですね。それが、言うては悪いんですが、これは新聞に書いてあるんですよ、決して私が言うんではないのですが、「長岡実総裁が、元大蔵事務次官として財政再建を主張してきたこともあって、国の大事に協力するしかないと値上げに同調の姿勢を示し」、まあ「国の大事」ですな。これは読売ですね。それから「この勝負、最初からついていた、と言えなくもない。長岡総裁は、三代前の大蔵次官で、財政再建キャンペーンの先頭に立った人物。「実は、私が主計局長当時の五十三年、専売から千五百億円の特別納付金を、むりやり国庫に入れさせたことがある。当時の総裁の苦しみ、ジレンマは、いやというほどわかった。国の台所が苦しくなると、狙われるのは酒とたばこ。酒は二年前に上げているし……」」と暗にもうたばこはしようがないと言うほどだから。これも読売ですね。  だから、結局国の財政、お国の大事ということで、元大蔵事務次官である長岡総裁がやむなしということで決断なさったように新聞報道されているんですね。大体そういうことでございましょうか。
  136. 長岡實

    ○長岡説明員 新聞報道はおおむねそのとおりでございます。  正直にお答え申し上げますが、私自身も、最近のたばこの需要の停滞は非常に深刻な様相を呈しておりますので、でき得るならば、こういう時期に値上げをすべきではない、値上げをすれば、当然のことながらたばこの消費に影響がある、いわばたばこ離れが進むということは否定できませんので、でき得れば避けたいという気持ちを強く持っておりまして、大蔵省との間でも、そういう立場から交渉いたしてまいりましたが、私が大蔵省出身者であると否とにかかわらず、わが国の財政が異常な状態でございまして、しかも、財政専売をつかさどります私ども以外の政府機関にも、いろいろと税外収入の確保について協力を要請しておるということでございますので、私どもとしては、その要請を受け入れざるを得なかったというのが正直なお答えかと存じます。
  137. 正森成二

    ○正森委員 非常に率直な御答弁で、それは、いまおっしゃったことは全部本当だと思いますね。  そこで、新聞を見ておりますと、主税局長大蔵省が自然減税論を唱えているんですね、たばこの値段について。ちょっと総裁も間接的にお触れになりましたが、読売の一月十六日などを見ますと、物価はこの間一二%ふえているんで、その間たばこ定価は上がっていないから、結局これは言ってみれば自然減税をやっているんで、それを適正にするんだという論法なんですね。これは一つの見識だと思うのですよ。  しかし、それをおっしゃるなら、所得税の方は自然増税で大いにやられているわけだから、これの方を是正した上で、たばこが自然減収になっておるから値段を変えるというならまだわかるんですけれども、取る方のときは何とも言わないで、それで、こちらの方の場合には実入りが減るから自然減税だ、これはもとへ戻さなければならぬというのは、関西には俗な言葉でやらずぶったくりという言葉あるんですけれども、そういう感じで、税を納める方あるいはたばこ消費税等を払う方から言えば、ずいぶん身勝手だという気がせぬでもないのですが、主税局はどう考えておりますか。
  138. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 ただいま御指摘になりましたように、わが国の場合、たばこも実質上の個別消費税でございますが、従価税率の場合は別にいたしまして、従量税率の場合は、どうしても名目所得なり名目消費支出が傾向的に上昇するという経済の動きの中では、適当な時期に見直しませんと、つまりインデクセーションをいたしませんと、結果的に負担率が下がるという傾向がございます。したがいまして、従来も、主として酒税でございますが、これの見直しをさせていただく場合に、そういう意味での負担の見直しという観点から行わせていただいておるわけでございます。  税制プロパーの見地から申しますと、従量税率について適当なインターバルで税率を見直すということは、私どもは、それなりの根拠もあるし、合理的な手法であると考えておるわけでございますが、ただいま委員の御指摘は、それをやるなら所得税についてもインデクセーションのような考え方で対応すべきではないかという御指摘でございます。  所得税にィンデクセーションを入れるかどうかというのは、これは税制の大問題でございまして、その問題についてはいま触れることはあれでございますけれども、現在議論になっております所得税課税最低限の長年の据え置きはいかがかという議論につきましては、税制調査会の御議論にもありますように、財政が非常に困難な時期でもございますし、同時に、トータルとしての負担率が、先進諸国に比べましてわが国所得税負担が非常に多いという段階でもございませんので、五十八年度は何とか見送らせていただきたいという見地から五十八年度は見送ったということでございますので、何とぞ御了解を賜りたいと思います。
  139. 正森成二

    ○正森委員 念のために申し上げておきますと、調査室が作成した資料で申しますと、たばこの販売代金は、五十五年度が二兆五千七百九十九億円で、五十七年度はこれは見込みですが、二兆七千四百八億円、六・二四%の増です。それから専売納付金プラスたばこ消費税は、五十五年度が一兆四千三百九十億円で、五十七年度、これも見込みですが、一兆五千三百二十七億円で六・五一%増ということで、決して低下はしていないで増加をしているということは言えますし、今回の改正案が通りますと、五十八年度の販売代金予定は一六・二%ふえ、専売納付金プラスたばこ消費税は二二・六%ふえるということになるわけで、自然減税などというのは庶民の認識にはほど遠いということを言わなければならないと思うのです。  それから主税局長、これは結局は、実質は国庫へ入れる金をふやすということですね。これは、増税なき財政再建ということに抵触しないとお考えでしょうか。抵触するからこそ、一時は大蔵省も動揺して専売公社に、利益積立金から納付金にとれないかというような考えが出てきたことがあるというように聞いておりますが、それをやると、経営が悪化すると、今度は専売公社が借入金でいろいろなことを賄わなければならない、こういうことで今回のたばこ定価の改定に踏み切られたと思うのですが、そういう点はいかがですか。
  140. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 この問題につきましては、私からお答えするのが適当かどうかという問題もございますが、昨今、臨調答申が出ました後も、増税とは一体何かということをめぐって大変世上議論がございます。  これについては、本日は私もこの問題に直接触れることは避けさせていただきたいわけでございますけれども、たとえば五十八年度の税制改正を議論いたします場合に、私どもが税制改正の柱にいたしましたのは、適正な負担、公平な負担という観点から税制を見直す、したがって、その結果増収効果が生じても、これはいわゆる増税ではないという観点で税制問題を考えてきたわけでございますので、それをもってお答えにさせていただきたいと思います。
  141. 正森成二

    ○正森委員 私は理解力が弱いのかもしれませんが、いまの答弁では十分腹に落ちる理解はできないわけですが、次の質問に移りたいと思います。  五十五年にたばこについての法改正が行われまして、納付金と消費税の率を三段階でしたか、五六・五、五五・五、四四・五の三つに分けるということにしまして、これは税金相当分を明らかにして、そして、非常に厳しいけれども少なくともこれだけは自分のものだというので経営上の努力、当事者能力というのですか、そういうものを一生懸命やっていくということで改正をされまして、その後、物価上昇で赤字等になってきたという場合には、三〇%以下の範囲内で国会の議決を経ずにも値上げができるということにしたわけですね。ところが、今回恣意的に税金相当分を積み上げてやるということは、納付金率の法定化という前回の趣旨に反するのじゃないかと思わざるを得ないのです。  今回は、赤字になっていないのに改正が行われるということですから、その点との関連がございますし、それから、二年に限っているのはどういうわけでありましょうか。二年たったらどうするのかということで、二年たったら値段をもとへ戻すのか、それとも、二年たったらちょうどいいあんばいに赤字部分がふえてきて、ちょうど値上げをしなければならぬことになるから、国に納めるのは減らすけれども、それはそっくり公社がいただいて、それで経営状態をよくするのだ、そういう二年先を見越しているから、今回のことも比較的にこにこと専売公社も協力するというのであれば、これはずいぶん先を見通しているなということになるし、二年たったら、これでは税外収入が減って国庫がもたないからといって、またもう二年延長するなり定価を値上げすることをやるのか、そこら辺について、主税局と専売公社それぞれについて御答弁を願いたいと思います。
  142. 高倉建

    ○高倉政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、五十五年の制度改正で、それまでいろいろ御議論がございましたいわゆる財政負担の割合が明確でないということを、小売定価の一定割合と法定することによって明確にしたわけでございます。それと同時に、その納付金というものは、公社の損益にかかわらず納付するというたてまえになりましたものですから、その見合いとして、公社の経営の健全性を確保するということから、一定の要件のもとに、公社の経営上の理由からの定価改定を弾力的に行うことができるようにお認めを願ったわけでございます。  ただ、これは、ただいま申し上げましたような、いわば納付金率が法定され、公社の損益いかんにかかわらず納付するということになったこととの見合いであるわけでございまして、たばこが財政専売物資であるあるいは財政専売として公社が行われているという基本を変更したものではないわけでございまして、五十五年改正が、国の財政だけとは申しませんけれども、国の財政上の観点から定価を改定をお願いすることを否定したものではない、かように考えているわけでございます。  それから、二年に限定した理由ということでございますが、これは、先生も御指摘ありましたとおり、五十八、五十九両年度まではいまの水準でも公社の損益が黒字を保てる、六十年度になれば赤字に転落する、現時点での見込みではそういうことでございますので、この点は私どもがお願いを申し上げまして、公社の損益がもつと見込まれるこの両年度に限って、本来公社に帰属すべき分を国庫に納めていただきたいということで法律改正を提案しいるわけでございます。  その後はどうなるかということでございますが、いろいろ状況はあろうかと思いますけれども、ただいまの見込みでございますと、いまのような特例納付を六十年度も続けるといたしますと、公社の損益が赤字になると見込まれます。そうしますと、またそこで値上げということが起こってまいるのもいかがか。したがいまして、特例納付は二年間に限って、本来公社の取り分であるものは六十年度からは公社にお返しすることによって公社の損益がまた回復をするということで、なおしばらく損益がもつ、こういう仕掛けになっているわけでございます。
  143. 正森成二

    ○正森委員 本来公社の取り分になるものを国に差し出すと言われましたが、それはやや不正確なんで、六十年から赤字になるとすれば、六十年までは本来値上げをせぬでいいわけですからね。それを早手回しに二年前にやって国に入れるということに国民立場から言えばなるわけで、だから、いまの監理官の御説明は、いわばわが田に水を引くような意味もやはりあり得ると思うのですね。  そこで、政務次官ないし主税局長どちらかにお聞きするのですが、三年、四年もたそうと思えば上げ幅を少し大きくしておけばいいわけですけれども、この二年間と限られた理由ですね。勘ぐりますと――主税局長、ぴゅっと指さしましたけれども、本当は主税局長にも関係するのです。グリーンカードの延期が三年延期でしょう。それから、たばこ定価の特例が二年でしょう。そういうぐあいに、二年、三年というところをねらっているということは、大体ここ二年ないし遅くとも三年の間には、税制上の相当大幅な歳入構造の抜本的な見直しをやって、こういう小手先に頼らぬでもやっていけるだけのことをやってみせるのであるという大蔵省特に主税局の自信のほどを示しているのではないか。だから、まず大型増税、特に大型間接税導入等は、二年遅くもここ三年以内というように戦略、戦術を立てておるから、国会では言わないが、思わず色にあらわれ出にけりというのですか、二年とか三年とかいうことで特例措置を設けるということじゃないのですか。これは監理官の答えるべきことですか、それとも主税局長か、本来なら大蔵大臣が答えることじゃないのですか。
  144. 高倉建

    ○高倉政府委員 専売納付金の特例措置は、先ほども申し上げましたとおり、もっぱら現時点で見込まれます公社の損益との絡みで二年と限定したわけでございまして、私ども、それ以外のことを念頭に置いて制度の立案をしたわけではないことは御理解願いたいと思います。
  145. 正森成二

    ○正森委員 それは監理官、答えになっているようで、なっていないのですよ。  つまり、値上げ幅を百八十円のものを二百円にするという程度だから、二年たったら赤字になるということなんで、それを二十円でなしに三十円なり四十円上げれば、それは赤字になるのは六十一年なり六十二年と延びるわけで、なぜ二年で赤字になるような程度にして、二年に限ってこういう特例を設けたかということを聞いているのです。それは、まさに大蔵省増税戦略というか、二年ないし遅くも三年以内には抜本的な増税策を講ずるという心が腹の中にあるから、こういう二年に限ってという特例にしたのではないか。それは決して邪推ではなしに、相当確度の高い確率になるのではないかということを言っているので、これは監理官の答えるべきことではなしに、主税局長ないしは大蔵大臣の答えることだろう、こう私は言っているのです。
  146. 塚原俊平

    ○塚原政府委員 私も政務次官になりまして間なしでございますけれども、日ごろの主税局長並びに主税局とのおつき合い等の中から、ただいま先生がお話しになったような大それた考えを持っているということはみじんだに想像ができないわけでございまして、ただ、この二年ということにつきましては、ただいま単純に技術論、技術的な御答弁であったわけでございますけれども、それ以外の何物もないという確信を持っております。
  147. 正森成二

    ○正森委員 それ以外の何物でもないという確信を持っておられるようでありますが、野党特に私としましては、二年あるいはグリーンカードは三年というように切っておられるのは、ここ二、三年の間に抜本的な措置をとるということを心にかたく期しておられるから、こういう短期的な二年、三年という数字が出てくるのであろうという、私の方の確信を今度は表明させていただきたいと思うのです。  私、総括質問大蔵省に、二年続けて税収不足になりまして、これは粉飾予算じゃないかということを言いましたけれども、あのときも時の渡辺大蔵大臣質問で問答しまして、どちらの良心、どちらの見込みの方が正しいかはいずれ時が解決するということになったのですけれども、結局野党の方の良心、見通しの方が正しいということになったわけで、そのとき政務次官は大臣になっておられるかどうかわかりませんが、また改めて御論議をしたいというように思っております。  最後に、時間の関係で、もう一問だけ聞かせていただきます。  公社や大蔵省は、臨調との関係で一体民営化を目指すのかどうか、今回のような値上げは民営化構想に逆行する、民営化しているのに、政府が金が足りないからといって、そういうことだけでどんどん値上げをするということになれば、民営でやっている方としてはある意味でたまらぬわけですから、こういうことは民営化構想に逆行するのではないかという意見がございます。  これは、各方面にも影響が非常に大きいわけですが、そういう点についてどういうぐあいに――私どもは、決して民営に賛成しているのじゃないのですよ。私どもは、民営になることによって、葉たばこ農家だとかあるいは専売関係の勤労者だとかあるいは喫煙者に結局は犠牲が転嫁されるのではないかというようにも思っておりますが、仮に臨調の民営化という構想を考えるとすれば、それとは非常に逆行する措置ではないかというように思うのですが、どういうぐあいにお考えになっておりますか。
  148. 長岡實

    ○長岡説明員 今回のたばこの定価改定と臨調の民営化の方向という問題とは、私は直接的な関係はないと存じます。  臨調が民営化の方向についてどういう考えを持っておるかという点につきましては、御承知のように、将来は完全民営化、過渡的な姿として一社独占の特殊会社に移行すべきであるという答申をいただいております。その背景に流れておりますのは、従来専売公社が財政専売の実を上げてきて、公共企業体として決して赤字にはなっていないけれども、将来の厳しい環境を考えた場合には、それでは済まないのではないか、もっと企業的な経営ができるような制度を求めるべきではないかという御趣旨と理解いたしております。そういう意味からいたしまして、私どもは、その指摘は謙虚に受けとめておりまして、当面どういう経営形態になるかという点につきましては、特殊会社になるかどうかはともかくといたしまして、臨調が指摘しておられるような、いわゆる厳しい環境の中でも生き抜いていけるような企業性を発揮できる経営形態を求めたいというふうに考えております。  さて、最終の民営化の問題でございますが、この点につきまして、私の立場から賛成、反対とはっきり申し上げる立場にはないと存じますけれども、これは、私の個人の考えと御理解いただいて結構でございますが、非常に割り切って完全民営に持っていくということについては、幾つかの疑義がどうも払拭できない。ただいま御指摘がございましたたばこという商品の特性、あるいは健康と喫煙の問題その他もございますし、それから、完全民営ということになれば、当然のことながら、独禁法との関係で三社ないし四社には分割される。それが国際競争力の面では大変深刻な問題になりかねないといったような観点から、どうも疑義を払拭できないというのが私の現在の心境でございます。
  149. 正森成二

    ○正森委員 疑義を払拭できないという点では私も全く同じ意見でございますが、時間の関係でこれで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  150. 森美秀

    森委員長 小杉隆君。
  151. 小杉隆

    ○小杉委員 すでに各党から、たばこの問題についていろいろな角度から質疑がありましたから、私は、なるべく論点をしぼりまして、一、二伺ってみたいと思います。  そこで、まず最初に伺いたいのは、いま等級別によく売れているものから順に、ひとつ値段もあわせて並べてみていただきたいと思うのですが、一級品から三級品まで。
  152. 長岡實

    ○長岡説明員 ただいま資料を探しておりますが、私から申し上げます。  一番売れておりますのは、マイルドセブン百八十円でございます。二番目がセブンスター、これも百八十円でございます。三番目がハイライト、これが百五十円でございます。四番目がキャビン85、これが二百円でございます。五番目が多分ショートホープだったと思いますが、資料に基づきまして正確にお答え申し上げたいと存じます。
  153. 高倉建

    ○高倉政府委員 専売公社の方からお答えすべき問題かと思いますが、ちょうど資料が見つかりましたので……。  たまたま手元にございますのは五十六年度でございますが、五十六年度のトップ銘柄はマイルドセブンでございます。これは一級品でございます。百八十円。その次がセブンスターでございまして、これも一級品で、百八十円。三番目がハイライトになっておりまして、これは二級品でございまして、百五十円でございます。その次に、たまたま五十六年ではまだショートホープが四位に入っております。これは一級品でございます。それから、五位に五十六年度ではエコーが入っておりまして、これは三級品になります。  以上が、上位五位と等級別の値段でございます。
  154. 小杉隆

    ○小杉委員 そうしますと、まず一番売れているマイルドセブンとか、それから二番目のセブンスター、これは一級品で、百八十円から今度二百円になるわけですから、値上げ率とすると一一・一%。それでは二級品のハイライト、これは全体では三番目に売れ行きがいいわけですが、これが百五十円から百七十円に上がるということですと、値上げ率が一三・三%ということになりますね。それから、三級品で一番よく売れているエコー、これが現行九十円ですね。ですから、百十円になりますと実に値上げ率が一八・二%と、だんだん等級が下に行くに従って値上げ率が高くなっている。大体倍近い値上げ率になってしまうわけです。  それでは、三級品でも昔なつかしい「しんせい」とかゴールデンバット、これは確かに売れ行きとしては余りよくありませんけれども、隠れたファンというのはたくさんいるわけですけれども、そうしますと、「しんせい」とかゴールデンバットというのは一体どのくらいの値上げになるのでしょうか。
  155. 岡島和男

    ○岡島説明員 お答えいたします。  現在お願いしております法案は最高価格の値上げということでございまして、この法律国会成立いたしました後、私どもといたしましては、大蔵省に対しまして認可申請をするということでございます。  それで、ゴールデンバットと「しんせい」の、先生おっしゃったのは率だと思いますが、値上げ率は、現在「しんせい」は九十円でございまして、これが百十円でございますから、先ほどのエコーと同じで二〇%強でございます。ゴールデンバットは五十円でございますから、これを七十円ということで申請するということになりますと四割という率になります。
  156. 小杉隆

    ○小杉委員 いまのお答えですと、今度の値上げというのは最高価格であって、実際に決まる単価というのは、この法律が通った後、専売公社で検討して決めるということですが、従来、昭和五十年とかあるいはその前の値上げのときに、最高価格とそれから実際に売り出した販売価格との間に差があったのでしょうか。あるいは、最高価格で決めたらそのまま販売価格として売ったのでしょうか。そういう過去のケースを御説明いただきたい。
  157. 高倉建

    ○高倉政府委員 お答えいたします。  現在、紙巻きたばこは公社におきまして三十数類発売しておりますが、それが一級、二級、三級、俗に特級と言っておりますもう一つ上もございますけれども、その四つに分類されておるわけでございまして、それぞれの等級に属します銘柄がすべて天井に張りついておるわけではございません。三級でございますと、現在の最高価格以下に幾つか並んでいる。二級でもそうでございまして、ただ、今回最高価格の引き上げをお願いいたしましたのは、それぞれの等級に現在最高価格に張りついている銘柄がございますものですから、定価の改定をお願いするために最高価格の引き上げをお願いをするということになっておるわけでございます。
  158. 小杉隆

    ○小杉委員 そうしますと、具体的に聞きますが、いま、さっき挙げたマイルドセブンとか、セブンスターとかあるいはハイライトとか、それから三級品のエコーとか「わかば」なんというのはわりと売れているのですが、いま挙げたような銘柄はほとんど最高価格が即販売価格と考えていいわけですね。
  159. 高倉建

    ○高倉政府委員 お答え申し上げます。  一級品の場合には、現在の最高価格は十本当たり百円ということでございますから、二十本にいたしますと二百円ということになります。したがいまして、現在最も売れておりますマイルドセブンあるいはセブンスターというあたりは一級品であって、二十本百八十円でございますので、十本にいたしますと九十円でございますので、最高価格に張りついているわけではございません。一級品の中に二百円という銘柄がございまして、これは最高価格に張りついておるわけでございますけれども、いま一番売れておりますマイルドセブンあるいはセブンスターについて見ますと、現に最高価格に張りついているわけではないわけでございます。
  160. 小杉隆

    ○小杉委員 マイルドセブンしか答えがなかったのですけれども、その他の答えをちょっと聞かしてもらいたい。
  161. 岡島和男

    ○岡島説明員 いま監理官が答えたわけでございますが、マイルドセブンは百八十円でございます。一級品でございます。それで、一級品の定価法上の最高価格は法律に十本百円と書いてもございますが、二十本ですと二百円でございますから、そこはまだ余裕がある。ただし、一級品で二百円にくっついたものがございまして、たとえば「みね」であるとか、エプソンであるとか、そういうのはくっついておりますから、その最高価格の部分を上げないと、マイルドセブンなんかも上がっていかない、こういうふうになるわけでございます。  その下の二級品でございますが、二級品は法律に十本七十五円、つまり二十本百五十円と書いてございます。ハイライトはこれにくっついておるわけでございますが、それよりもほかには大した銘柄はございませんから、二級品のハイライトは天井にくっついているというふうに御理解いただきたいと思います。  それから三級品でございますが、三級品は十本五十円、つまり二十本百円でございます。「わかば」は天井にくっついておりまして、二十本百円でございます。それでエコーは二十本で九十円でございますから、これは余裕がある。それから、ゴールデンバットは二十本で五十円でございますから、これもまだ余裕がある。その最高価格からその銘柄ごとの品質に応じまして価格体系ができ上がっている、このように御理解いただきたいと思います。
  162. 小杉隆

    ○小杉委員 そうすると、よくわからないのですけれども、「みね」とかそういう特殊なたばこは別として、マイルドセブンなんというのはまだ余裕があるわけですから、何も値上げしなくたって、この前決めた最高価格にすれば、これは済むことじゃないですか。なぜ、こういうふうに法律を変えなければいけないのでしょうか。
  163. 岡島和男

    ○岡島説明員 ただいまちょっと御説明いたしましたように、現在「みね」が二百円、マイルドセブンは百八十円でございます。したがいまして、「みね」とマイルドセブンの間にはやはり品質の差みたいなものがございますものですから、二十円の価格差がついているわけでございます。したがって、マイルドセブンを二百円に上げる場合には、「みね」の方も上げなければ価格体系が維持できないということでございますものですから、その「みね」の分をいわば二十円上げるために、最高価格の方を十本当でございますと十円、二十本当でございますと二十円上げさせていただく、こういうふうになるわけでございます。
  164. 小杉隆

    ○小杉委員 仮に、今度最高価格に全部張りつけると仮定いたしますと、さっき言ったように、一級品が平均一一・一%くらいの値上げ率に対して、ハイライトは現行でも最高価格に張りついていますから、それはそのまま上がると考えていいと思うのですが、そうしますと一三・三%上がる。それから、いま三級品の最高価格に張りついている「わかば」が百円から百二十円ということになると、二〇%上がっていくわけですね。  そうなりますと、高いたばこと安いたばこ、いわゆる高級品とその下の等級の品物と、こういうふうに値上げ率が変わってくるというのはちょっと解せないのです。いままでの値上げの際の上げ方にしましても、一律に一本一円という上げ方じゃなかったと思うのですよ。やはり比例して定率的に上がっていったと思うのですけれども、今回、なぜこういうふうに定額的に上級品も下級品もすべて一律主義で上げたのか、この点が非常に疑問なんです。
  165. 高倉建

    ○高倉政府委員 御指摘のとおり、従来のいわば率による定価改定と今回の定価改定が違っておりますことはそのとおりでございまして、これには幾つかの理由がございます。  一つは、従来定価改定を主として率の面で見て行ってきたわけでございますが、その結果と言ってはなんでございますけれども、正直に申し上げまして、下級品の分野にはコスト割れがかなり生じてきております。いわば赤字銘柄、そういう事態になってきているわけでございます。ところが一方、先ほどから種々御説明ありましたとおり、たばこ事業をめぐります環境は大変厳しくなっておりまして、これから外国品との競争も激化していくということを考えますと、コスト割れを一挙に解決することはできませんけれども、なるべくコスト割れを解消していく、もちろん公社の企業努力お願いしなければなりませんが、そういう意味で、ある程度価格体系の是正をするのが適当ではないかと考えたのが第一点でございます。  それから第二点は、今回お願いをしております専売納付金の特例措置によりまして、外国たばこも一律一本一円上がることになります。それに対しまして、最近の海外からのわが国たばこ市場に対するいろいろな批判といたしまして、価格差ということが非常に問題になっているわけでございます。それから、内外平等に取り扱えということがいろいろなことで言われておるわけでございます。そういう点を配慮いたしますと、外国品が一律一本一円上がることにそろえましてというか、国産品についてもいわば一本一円の原則で上げていくのが適当ではないかという判断がございまして、いわば従量税的な考え方で今回の定価改定をお願いするということにしたわけでございます。  低級品、下級品といいますか、それと消費者の嗜好というのはなかなかむずかしい問題でございますが、先ほど先生がおっしゃいましたとおり、アップ率ということになりますと下の方ほど高くなっていくわけでございますが、わが国のたばこの嗜好というのは非常に特定銘柄に偏っております。そういう意味から言いますと、先ほど申し上げましたマイルドセブンとかセブンスターとか、こういう百八十円物が中心になっているわけでございまして、一級品が八割ぐらいのウエートを占めております。そのうち百八十円物というのが大体七割ぐらいを占めているわけでございまして、こういうところを頭に置きつつ、先ほど申し上げましたような二つの理由から、今回の一本一円という定価改定をお願いしているわけでございます。
  166. 小杉隆

    ○小杉委員 いまの説明を聞いていると、ますます不可解だと私は思うのですよ。  マイルドセブンとかセブンスター、一級品で約八割、百八十円のこうしたもので大体七割をカバーしているということならば、そこの部分にスポットライトを当てて今度の値上げというものを考えたと思うのですけれども、それより安い三級品の部分は庶民のささやかな楽しみであるものを、ただ採算割れをしているということで、コスト割れをしているからこれを是正するんだなんて言う。主要銘柄のマイルドセブンとかセブンスターが相当大幅なコスト割れならば話はわかるのですけれども、むしろそうじゃない、ウエートとしては非常に低い下の方を思い切って上げたということは、どうも不可解でしようがないのですね。ゴールデンバットに至っては、五十円から七十円になったら四〇%の値上げですよ。ゴールデンバットについては、私も町でいろいろな意見を聞くのですが、非常に根強いファンがいるんですよ。ゴールデンバットを買いたいと思っても、なかなかどこにも売っていないということで、自然に販売本数も減っていってしまうと思うのです。専売公社は、どうもこういうメーンの売れる品物ばかり念頭に置いている。もっと努力をすれば、町に愛好者をふやせるという部分があると思うのですよ。そういうところはどんどん切り捨てていってしまう。今度ゴールデンバットを五十円から七十円に四〇%も値上げするお考えですか、そういったようなことをひとつお答えいただきたいのです。
  167. 長岡實

    ○長岡説明員 個別の定価をどう決めるかという点につきましては、先ほど私どもの岡島理事お答え申し上げましたように今後の問題ではございますけれども、基本的な考え方といたしましては、監理官からいろいろお答えがございましたように、今回の値上げにつきましては、一律に一本一円という値上げはやむを得ないのではないかというふうに考えております。  ゴールデンバットでございますが、現在私どもでつくっております場合に採算割れいたしております。やはりたばこは、たばこを吸っていただくことによって財政にも寄与するという性格のものであるならば、公社の経営そのものに採算割れが生ずるというのは、いささかいかがかと思われる点もございます。上級品、下級品、いわゆる一級、二級、三級品の間の価格差というものは大切なことでございまして、そういう点に対する配慮は忘れてはなりませんけれども、現在の価格差は十分に開きが保たれており、私どもの経営の立場からいたしますれば、たとえば採算割れの銘柄があるというように、三級品の中には少し価格差が開き過ぎている、率直な意見を申し上げて恐縮でございますが、開き過ぎていると思われるものもございますので、この際、いわば逆進的な姿にはなりますけれども、臨時に異常な財政の逼迫状態に貢献するために財政収入を上げるという趣旨から考えましても、一律の値上げでやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  168. 小杉隆

    ○小杉委員 今度の値上げの理由というのは、結局専売公社のたばこ事業が赤字になったからというんじゃないわけですよ。専売公社の事業経営そのものであれば、六十年度までは値上げしなくたってやっていけるわけなんで、もっぱら財政の観点から値上げをする、いわゆる専売公社側というか大蔵省側の発想だけでやっているわけなんで、値上げを受ける国民立場というのが余りきめ細かに考慮されていないんじゃないか。普通ならばあと二年、三年いまの値段でたばこを楽しめたのに、国の財政のために何でわれわれだけが犠牲にならなければいけないんだ、専売公社だってお得意さんがあってこそ事業が成り立っているのであって、そのために収入も入っているわけですよ。たばこを吸っている人は何か嗜好品だから、ぜいたくなんだから切り捨てたって、多少の値上げをしたって構わないなんという安易な発想でやられたのでは、事業者としては非常に問題であるだろうと私は思うのです。  それにしても、一級品が一一%の値上げに対して三級品が二〇%、倍ぐらいの値上げ、いままでの価格差に開き過ぎがあったというけれども、それは、いままでの値上げのときの公社なり大蔵省姿勢に問題があったんで、こういう緊急避難的に、当局の一方的な都合で値上げをする機会にそれを是正しようというのは、ちょっといただけないんじゃないかと思うんですが、こういう点で、たとえば「わかば」とかエコー、三級品の中でも比較的売れている銘柄について、いままで最高価格に張りついていたからといって必ずしも最高価格に張りつける必要がないのであれば、この点は十分考慮される必要があると思うのですが、その辺のお考えはいかがですか。
  169. 高倉建

    ○高倉政府委員 先生御指摘のとおり、逆進的な、アップ率という点から見ればそういうことになるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり二つの理由がございまして、一つは、ただいま先生もお話しになりましたコスト割れの問題でございますけれども、もう一つ見落とせないのは外国品とのバランスでございまして、特に内外平等ということはいろいろな面で大変強く出てきているわけでございます。そういう点にも配慮をしていく必要もあるわけでございまして、その両者をあわせ考えて、ただいま申しましたような一本一円の値上げ、いわば従量的な観念での定価改定ということをお願いしているわけでございます。もとより、今回の定価改定が財政の事由によるものであること、二千億円余の負担をお願いするということの重さは、われわれとしても重々感じているわけでございます。
  170. 小杉隆

    ○小杉委員 一般論でやると話が抽象的になりますから、さっきゴールデンバットはコスト割れという話がありましたが、「わかば」とかエコーというのはどうなっていますか。  それから、外国たばことの価格差ということであれば、むしろ一級品や何か高級なものは、一本一円にこだわらず、もっと一本二円とか三円上げて、できるだけ価格差を縮小した方が貿易摩擦解消に役立つんじゃないですか。そういうとらえ方は間違いですか。
  171. 高倉建

    ○高倉政府委員 別途御審議お願いすることになっております関税定率法等の改正で関税の引き下げが行われます。そういう、いわばもっぱら内外品の競争条件に直接かかわる措置は別でございますけれども、ただいま先生がおっしゃったように、国内品のあるものだけを高くすることによって、非常に極端な場合には国産品だけを値上げして外国品は値上げをしないという事態、これまた国内たばこ産業への影響という点から見るといかがかと思うわけでございまして、ここのところは一律平等に扱う、定価改定による競争条件の変更はしないということが最も穏当な考え方ではないかと思うわけでございます。
  172. 小杉隆

    ○小杉委員 最初の方の質問……
  173. 岡島和男

    ○岡島説明員 個別銘柄の個別的な数字は申し上げがたいわけでございますが……(小杉委員「「わかば」、エコーだけでいいです」と呼ぶ)「わかば」、エコーにつきましては赤字でございます。
  174. 小杉隆

    ○小杉委員 いまの外国たばことの価格差ですが、外国たばこがまだ一・五%のシェアということですね。  私たちは、アメリカや何かへ行って、もっと製品輸入をふやしてくれということをよく言われるわけです。いままでは、大体二十六万店のうち外国たばこを扱っていたのは二万店ぐらいしかなかった、今度それをふやすようですけれども、それと、値段の差がまだかなりあるわけでしょう。ですから、私は、貿易摩擦とかそういうことも考えて、価格差を理由に上げられるなら、低級品の方はできるだけ抑えて、むしろ高級品の方でうんと上げてバランスをとるべきではないか、緊急避難のどさくさに紛れてこういうふうなむしろ逆の累進性というか値上げの率はちょっと虫がよ過ぎるのではないかと思うのですよ。
  175. 長岡實

    ○長岡説明員 内外製品の価格差を縮小するという観点からは、現在御審議お願い申しております関税定率法の改正によりまして関税率を引き下げることによって、いわば輸入品の価格が安くなりまして、それによって内外価格差が縮まるわけでございます。  正式にと申しますか、直接私どもにそういうクレームが来ているわけではないのでございますけれども、私どもがたまたま耳にいたしますと、アメリカでは、日本は関税率を下げるという約束をした、それによって値段も下がるというふうに期待をしておる、にもかかわらず、今度たばこの定価を上げるようである、これは非常にけしからぬ話だというようなことを言っている向きもあるようでございます。そういうような誤解を避けるためにも、関税を下げて内外品の価格差を縮める問題と、今回の定価の改定とは全く別であります、いわゆる内外品の価格差は関税率の方の問題でありまして、今回の定価改定は内外品一律でございますという御説明をいたした方が要らざる誤解を招かないで済むわけでございまして、先ほど来監理官が申し上げておりますのも、そういう趣旨と御理解いただきたいのでございます。
  176. 小杉隆

    ○小杉委員 まだまだいっぱいありますけれども、もう時間もあれですから、この辺でやめますが、どうかひとつ、取る側の論理ばかりでなくて、値上げを受ける国民の側の論理を十分大切に考えられて、従来最高価格に張りついていたからといって、値上げをした後最高価格に張りつける必要は毛頭ないのであって、その点は特に庶民の人たちの立場考えてもらいたい。一律にやられますと、たとえば専売公社の資料によりましても、東京の人よりは沖縄とか九州とか東北の人は安いたばこをより多く吸っているわけです。だから、こういう影響は、東京とか大阪よりも、むしろ地方の貧しい地域の人々、また所得階層からいっても、低所得階層にいままでと比べてより大きな――それは専売公社のあれからすれば、いままでは赤字でサービスしていたのだから、この際取り戻していいじゃないかという発想かもしれませんが、買う国民の側に立ちますと、より弱い人たちの部分に大きな負担がかかっていくという今回の値上げについては、具体的な値段を設定する際に十分配慮していただきたいということを申し上げて、私は質問を終わりたいと思います。
  177. 森美秀

    森委員長 次回は、来る二十二日火曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十八分散会