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1983-03-15 第98回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月十五日(火曜日)     午前九時三十二分開議  出席委員    委員長 森  美秀君    理事 大原 一三君 理事 中西 啓介君    理事 中村正三郎君 理事 伊藤  茂君    理事 野口 幸一君 理事 鳥居 一雄君    理事 米沢  隆君       今枝 敬雄君    植竹 繁雄君       熊川 次男君    小泉純一郎君       古賀  誠君    椎名 素夫君       泰道 三八君    浜田卓二郎君       藤井 勝志君    森田  一君       山崎武三郎君    与謝野 馨君       阿部 助哉君    上田 卓三君       戸田 菊雄君    堀  昌雄君       正森 成二君    蓑輪 幸代君       小杉  隆君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  塚原 俊平君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       高倉  建君         大蔵大臣官房審         議官      吉田 正輝君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君         国税庁次長   酒井 健三君         国税庁税部長 角 晨一郎君         国税庁調査査察         部長      大山 綱明君  委員外出席者         経済企画庁調整         局財政金融課長 宮島 壯太君         日本専売公社総         裁       長岡  實君         大蔵委員会調査         室長      大内  宏君     ───────────── 委員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     古賀  誠君   白川 勝彦君     浜田卓二郎君   平沼 赳夫君     泰道 三八君   柳沢 伯夫君     植竹 繁雄君 同日  辞任         補欠選任   植竹 繁雄君     柳沢 伯夫君   古賀  誠君     麻生 太郎君   泰道 三八君     平沼 赳夫君   浜田卓二郎君     白川 勝彦君     ───────────── 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第一二号)  製造たばこ定価法及び日本専売公社法の一部を改正する法律案内閣提出第一三号)  災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第三二号)      ────◇─────
  2. 森美秀

    森委員長 これより会議を開きます。  租税特別措置法の一部を改正する法律案製造たばこ定価法及び日本専売公社法の一部を改正する法律案災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野口幸一君。
  3. 野口幸一

    野口委員 おはようございます。  質問に入るまでに一言申し上げますが、私のくせでありますけれども、関西では、人の命とコンニャクの裏表はわからないといいますが、もう一つわからぬのが政府答弁でありまして、大臣は非常に頭脳明晰、しかも大臣は二度目という御経験のお持ち主でございますから、よもや私の質問にわからない答弁をなさるとはゆめゆめ思いませんが、政治的という立場があるのかもしれませんが、問うた質問に余りきちっとお答えいただけない。いつもすれ違いで核心に触れない御返事というのが間々多いものでございます。これは大臣だけではないのですが、官僚皆そうなのですけれども、どうか、短い時間でございますから、聞いていることにすかっとその趣旨をとらまえて、明確な御答弁をいただきたいということをまずお願いをいたしておきます。  それからもう一つは、官僚皆さんでありますが、答弁をするときに、すぐさま「先生も御承知のように」ということをよくお使いになりますが、承知しておったら質問をしないのでありますから、先生承知のようになんというようなことを全然おっしゃらないで質問に答えていただきたいと思います。承知していたら質問はしないのであります。質問というのは、ただし、問うと書いてありますから、ただして、知らないものを知っている人に聞いているのでありますから、先生御存じのようにというようなことをおっしゃらないでいただきたいと思います。まず、そのようなことを申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。  大臣、もう御存じのように、昨日行革の指針が出そろいまして、再び、増税なき財政再建、こういう見出し堅持といいますか、それがメーンになっております。いまさらお尋ねするのもどうかと思いますが、もう一度、増税なき財政再建という言葉の持つ意味はどういうところにあるか、少しくお答えをいただきます。
  4. 竹下登

    竹下国務大臣 きょうも閣議で行管長官から御報告がございましたが、いま御指摘のように、昨日いわゆる臨調最終答申、こういうことでございます。増税なき財政再建という言葉がそのまま厳然と生きておるわけであります。私どもとしては、これは増税なき財政再建というものがやはりてこだというふうに理解をしております。  されば、増税なき財政再建定義は、こういうことになりますと、これは、勉強してみましたが、なかなかむずかしい問題であります。一般的に、前の答申で見ますと、現行租税負担率というものについて言及されております。ところが租税負担率というものも、考えてみれば、これは景気動向によって分母、分子が違ってまいりますから、必ずその初めから確定してつくられるべき性格のものではない。そうすると、新しい税目によって幅広い増収を得るようなものをやっちゃいかぬ、こういうことをおっしゃっているのかなというと、それは幅広い範囲はどこかということになると、これも厳然とした規範的なものは存在しない。だから結論から言うと、やはりこれをてことしてやれ、安易に増税ということが念頭にあったらもう行財政改革はだめになるよ、こういう理念を強調されたものであると理解すべきであるというふうに考えております。
  5. 野口幸一

    野口委員 いまのお答えは余り、そうですかというお返事はできないのですが、前の大臣渡辺さんは、昨年私は同じようなことをお尋ねしておるわけでありますけれども増税なき財政再建というのは財政用語にはない、ましてや会計学用語でもない、一種の政治用語である、私に言わせれば決意表明のようなものだ、こういう御表現がございました。  いまも、いわば安易な増税をしないで極力歳出削減が前段に来るように、そういう意味で、いわば後ろの方からとりでといいますか、そういうものをきちっとさせる意味で、増税なき財政再建というものが柱なんだぞと言っているだけにすぎないのであって、増税そのものを全面的に否定したものではない、こう解釈すべきである、こう大蔵省筋は言っていると新聞には載っているのでありますが、いかがなものでございますか。
  6. 竹下登

    竹下国務大臣 ぎりぎり詰めていけば、これは新たなる税目とかそういうものを一切否定しておるということは考えられないと思います。また、今回消える、消えるという表現は適切でありませんが、今回あるいはと思っておりました税負担の問題、構造の問題についても検討すべしという答申も載っておりますので、したがって、渡辺大臣決意表明とおっしゃったわけでありますが、やはりこれをてこにしてやれよという一つ哲学を提示されたということに理解すべきじゃないかな。しかし、だから増税してもいいんだ、こういう安易な考えが一番けしからぬことだというふうにおっしゃっておると受けとめております。
  7. 野口幸一

    野口委員 そこで、先ほどの話に戻るわけでありますが、国民にわかりやすいという立場から言いますと、そこのところがわからぬのであります。新聞で、たとえば一般の人が、「「増税なし」を堅持」、こういうような見出しが出ます。ところがよく読んでみると、最終的には、これは大臣の写真が載っているわけですが、「大型間接税検討」という言葉がまた次のページには見出しになって出ているわけです。  そうなると、増税なしを堅持して、そして片一方では大蔵省ではいわゆる大型間接税検討、これは一体どういうことだ。国民から見れば、何かこう、表向きは増税なき財政再建という言葉を使っているが、これは本当に、先ほどの話ではありませんが、スローガンにすぎないのであって、実際は増税をするんではないだろうか、増税があるんじゃないだろうか、こう思わざるを得ない。ここのところが普通の人にはわからぬ。一体どちらが本当なんですか。それはそうですね、新聞見て同じページに、裏返してみたらそうなっているんですから。  確かに、いま大臣の御答弁にもありましたように、これは部会はどこの部会だったか、とにかく大蔵省は、租税負担率については具体的な議論がないので常識的に受けとめるべきではないか、いわゆる租税負担率については具体的な議論が出てないから、これは先ほどの話じゃありませんが、常識的に受けとめるべきであるという態度で、まず分母を考えておられるようでありまするから、したがって、その上に乗せられる増税の問題というのは、具体的にはその問題を検討するように一方では指示をしている、こういう解釈をしてもいいのではないか、こう思われるような解説が載せられているわけであります。  こうなってきますと、国民は、一体増税なき財政再建というのをどこまで本気にやろうとしているのか。一方、私どもも、決して安易に増税そのものを認めようと思っているわけではありませんけれども、ことしの予算内容を見てみますと、普通の家庭でいうならば、ありとあらゆる金をかき集めてやりくり算段をして予算をつくった。子供の貯金からばあさんのへそくりまで洗いざらいに、とにかく家じゅうにある金という金はかき集めて、やっとこさ今日の形態を保つに至った。あしたはどうなるかわからない、その日暮らしみたいな形になってきている。一方また、国債の問題についても、行革自身は明示していませんね、いつまでに脱却しろとかどういうことをすべきかとか、そういうような具体的な額面も、していません。しかし、そうかといって、野放しに特例国債を出してもよろしいというわけではありませんから、これも一応の縛りがあるとしなければならない。  片方は節減の方でありますけれども、ことしもいろいろ考えて、さらにまた来年度においては、特に補助金の問題なんかもさらにもう一遍洗えと言われているわけでありますから洗うとしましても、これもまた、今年度予算の話をしている最中に来年度の話をするというのはおかしな話かもわかりませんが、とてもじゃないが、見通しとしては財源を一体何に求めて次の予算を組むべきなのかということになりますと、全然、増税といいますか税金の問題を抜きにして話ができないと思うのです。  そこで率直に、一体どうすれば今後の財政再建のスケジュールが組めていくのか。大臣、この前も私は本会議でちょっとお聞きしましたが、これはありきたりの御答弁でございましたので、きょうは少し砕いて、財政再建の道筋を少し大臣としてお答えをいただきたいと思います。
  8. 竹下登

    竹下国務大臣 いま御指摘になりましたように、実際問題、大変むずかしい問題であります。そこで、臨調の御答申の背景で一つどもが推察いたしますのは、いわゆる財政制度審議会、それから政府税調というものがある、だから、そこまで具体的に踏み込むという以前の、ある種のフィロソフィーというものをきちんとするまでが限界だという考え方で御答申は触れられておるではないかと思う点がございます。したがって、私は、てこという言葉を使っておるわけでございますが、御指摘のようにやりくり算段、また赤字国債脱却期間、これも五十九年度はギブアップいたしました。こう申して、ではいつかと言われれは、セブラルイヤーズでございますというようなことを言っておる。確かにその辺、国民皆さん方に明快な形で図式にしてお示しするような手段は整っておるとはいえないと思います。したがって、これこそまさに、国会の御意見質疑応答を通じたり、国民各界各層意見を通じながら、それを逐次具体化していくということになろうかと思います。  それで、節減の問題、また補助金の問題もお触れになりましたが、事実、法律補助が約八割、公共事業、文教、社会保障で約八割、あるいは地方を通じて交付するものが約八割。そうなると、やはりこれは法律改正の中身にまで触れないと、これ以上なかなか削減というものはできないという気がしております。したがって、今度はそこまで踏み込めということが、いわば臨調増税なき財政再建てこにしてやれよとおっしゃっているその哲学も、そこまで踏み込むべきだということにあるではないかというふうな理解でもってこれに対応していかなければならぬ。  もちろん、しかし、最終的には国民選択の問題です。現行制度施策はすべて残すべきだ、こういうことになれば、計算上いろんな自然増というものの支出も出てくるわけですから、したがって、これから、むずかしいところはそれらの問答を重ねながら、まず歳出削減国民皆さん方——受益者国民であれば、負担する側も国民であるわけですから、どういうふうにその調和点を求められていくかということをこういう議論を通じながら模索して、逐次手法も明らかにしていく方向へ進んでいかなければならぬ問題だなというふうに考えております。  だから、国民のお方にも明快に、かくかくしかじかの手法をということを申し上げるには時間もかかります。しかし、それを逐次明らかにいたします、また、皆さん方の御意見もお聞かせください、現行施策制度というのはまさに国民選択の集積がこうなっております、これをどう見直しますかということを一緒に考えていかなければ、とても政府だけでやれる問題じゃないというふうに理解しております。
  9. 野口幸一

    野口委員 いまの御答弁でも、まだ恐らく国民の諸君は理解できないだろうと思うのであります。  それで、私なりに解釈をいたしますと、つまり、大臣、こういうことじゃないでしょうか。増税なき財政再建というのは、大臣も言ったように、てこである。つまり、そういうことを念頭に置いてやらないと思い切った歳出削減ができない、したがって歳出削減は、法改正をやるあるいはいろいろな制度を改革する、ありとあらゆる手だてをやって、できる限りの歳出削減をとにかくまずやるのだ、どうしても歳出削減がこれ以上は国民の意思とも反するし、あるいはまた制度上これ以上いろいろな点から考えてもむずかしいというところに、極限のところに来たときに、初めて増税という手段を使う、その程度でまあひとつ増税なき財政再建という意味は受けとめてもらえぬものかということでしょうか、こういうような解説では国民は納得しますか。どうですか。
  10. 竹下登

    竹下国務大臣 結論からいうと、いまおっしゃったとおりです。  私も、ちょうどこの間、皆さん方のおかげで永年勤続二十五年というものをいただいて、二十五年前と今日のあらゆるものを比較してみました。当大蔵委員会余り関係のないもので申しますと、当時の流行歌は何であったかというと、「有楽町で逢いましょう」と「おーい中村君」、いまは「待つわ」とか「北酒場」とか、大分変わってきております。それで今度は、その後人口の高齢化がどれだけ進んだか、また、その経済規模から賃金物価賃金十三・五倍で、物価が四・六倍、土地の値段がべらぼう、こういうことになるな。財政の問題も、当時一兆三千億の予算が五十兆、三十八・四倍、社会保障が七十・三倍、防衛費が十八・八倍とか、いろいろ比較してみました。  だから、その間に、われわれも高度経済成長の中にいささかなれの点ができているんじゃないかな、世界一に何もかもなっているわけですから。そうすると、その辺も見直すべき問題もあるんじゃないかな。国民皆さん方意識転換を要請するほど、これはおこがましくございませんけれども、やはりこういう国会問答なんかを通じながら、国民皆さん方にもある種の合意というものが得られるような形でないと、急激な変化というのは、結論から言うとできるものじゃないなという考え方でやってみよう。  確かに私の答弁は、どこへ行っても、どうもおまえの言うことは余りはっきりしない、こんにゃく問答みたいな感じが率直に言って自分でもしております。だから、質問はわからない者がわかった者に質問するのではなくして、国会においては議院内閣制でございますと、わかった人がわからぬ人に質問することも場合によってはあるわけですから、だから、わかった人がわからない者に意見を交えた質問をされる、そういうものを体しながら国民合意の形成をしていくということじゃないかな。お互い政治家としてそんな感じがしております。
  11. 野口幸一

    野口委員 大臣、どうぞ参議院の方へお越しください。  政務次官、いらっしゃいますか。政務次官にお聞きします。それでは、大臣にお聞きしようと思っておりました問題は、次は減税問題なんでありますが、これは主税局長答えてください。  二階堂さんの発言の中で、景気浮揚に役立つ程度減税を行いたいと言われておるのでありますけれども、この事実は御存じですね。そうしますと、景気浮揚に役立つ額というのは、あなたから見て一体どのぐらいの額を言うのですか。
  12. 梅澤節男

    梅澤政府委員 この問題につきましては、三月二日の衆議院予算委員会官房長官発言がございまして、ただいま委員から御指摘になりましたように、与党の幹事長のお言葉として「国民世論動向にこたえ、景気浮揚に役立つ相当規模減税」という言葉が使われておるわけであります。  大臣いらっしゃらないわけでございますけれども、私ども税制当局といたしましては、結論から言いますと、いまの時点景気浮揚に役立つ相当規模減税ということにつきまして、金額でもって明示するわけにはいかない、できないし、また適当でもないというふうに考えております。  ただ、そうは申しましても、やはりこれだけのことが言われておるわけですから、結果的にどういう結論が出ましたにしても、そういう政府が最終的にとります政策なり決定が、この文言の批判にたえるようなものでなくてはいかぬだろう。ただし、それは、そのときの経済局面にもいろいろ影響してくるだろうと思います。そのときの経済局面景気浮揚と結びつくということでございますので、経済の現段階のステージから言いましても、いまの時点で幾らぐらいの規模でなければならぬという金額を明示するということは適当でない、いまそういう意味も込めて申し上げているわけでございます。
  13. 野口幸一

    野口委員 いや、主税局長、そんなにかたく考えなくてもいいのですよ。たとえば景気浮揚に役立つというのは、経済的に考えて一体どのぐらいが税として減税というような形で出されたら、いわゆる学説的にというのか一般的に物を考えてみたら、できるできないは別として、二兆円、三兆円、四兆円、多いほどいいかもわからないし、多いとまた変なことになるかもわからない。それはいろいろ議論の分かれるところだけれども、最低どのぐらいが景気浮揚に役立つ金額かなという、そういうあらかたのアウトラインといいますか、そのぐらいのことはわかるのじゃないですか。皆さんそういうことを専門になさって、先ほど僕が言いましたように、知らない者が知っている方に聞いているわけですから、ただして質問しているわけでありますから、ちょっとお答えいただけませんでしょうか。
  14. 梅澤節男

    梅澤政府委員 大変むずかしい御質問でございますけれども、理屈から考えますと、そういうものを計量的に、あるいは金額に結びつけるということになると、まず、減税規模の前提として実体経済がどういう姿になるのが景気浮揚かということになるわけですね。そうすると、じゃ景気浮揚というのは、たとえば成長率が何ポイント上がるとか、あるいは生産指数が何ポイント上がるとかいう議論が果たしてできるかというと、これはなかなか一義的にそういう議論はできないのだろうと思うわけでございます。  衆議院予算委員会でも、そのやりとりはたびたびございまして、たとえば塩崎経済企画庁長官は、全体の経済界動向として、これで経済が明るくなったというむしろ心理的なもの、それすらも景気浮揚と観念することも不可能ではないというような議論もございまして、結局、これは計量的に一義的に決めるというのは、いかんせん非常にむずかしい問題であることを御理解願いたいと思います。
  15. 野口幸一

    野口委員 この問題、日をかえ、人をかえて申し上げたいと思います。  もちろん、いま局長おっしゃっておるように、景気浮揚というのは一体どういうことかという定義から入っていかなければならぬ問題でしょうし、確かに減税規模も大切ですけれども、その資金の調達財源をどういうふうに使うかということ、これによってまた違ってくるわけでありますし、本当言うと、そういう点を大臣からある程度アウトラインを聞かせていただこうと思っておったのですが、時間がちょうどなくなりましたので、かわりに質問申し上げましたが、この点は、また日を改めてお聞きすることにいたします。余りまた同郷の人をいじめると怒られますからね。  それでは話題を変えまして少しく伺います。  「昭和五十六事務年度における法人税及び源泉所得税課税事績について」という報告昭和五十七年、昨年の九月に国税庁から出ております。これは、いわゆる脱税行為といいまするか、世の中に言われているところの実地調査等によって実績を上げておられる経過について、その内容を御報告されたものでございます。  これを拝見いたしまして感ずることは、一口に申し上げて、非常な御苦労をいただいてはおりますものの、どうも数字の面から見ますると、毎年同じ程度のものが同じような額で同じように挙がってきている、こういうような雑感といいますか、概括的な感じがしてなりません。  そこで、これからしばらくその問題についてお聞きをいたしてまいります。  まず、申告所得税の場合の確定申告者の数でありまするが、これは、昨年とことしの場合もそうでありますが、額も税も増加をしてきております。これは、いわば毎年ずっとこういう傾向にございますかということをひとつお聞きをいたします。
  16. 角晨一郎

    角政府委員 最近の申告所得税確定申告者数、これは還付申告者ども入っておるわけでございますが、五十四年が千百六十八万人、前年に比べて六%増。五十五年分は千二百四十二万人、これは前の年に比べて六%増。前回の五十六年分は千三百八万人、前年に比べて五%増。こういうことでございまして、最近数年間をとりましても、年々五、六%の増加を見ておるところでございます。
  17. 野口幸一

    野口委員 そういう傾向の中にありまして、実は、今度は法人税の場合、確定申告によって納税をしたと言われる全企業のパーセントは昨年度四七・八二%であって、赤字であると言っていわゆる税金を納めなかった法人は全体の五二%であった、これもそれで正しゅうございますか。
  18. 角晨一郎

    角政府委員 法人税事務年度ということで整理をしておりまして、昨年六月までに終了しました事務年度、最新でございますが、申告のございました稼働法人は全国で百六十万件ございますけれども、その五一%に当たります八十一万件が赤字申告をしておる法人でございます。
  19. 野口幸一

    野口委員 そうしますと、全体の法人の数は百六十万、その約半分、大体八十万というわけですね。八十万が赤字ですね。八十万の会社赤字年度を越している。私は、別に倒産を奨励しているわけじゃないですけれども、毎年倒産をしていく会社の件数は、昨年の場合は大体二万件前後と聞いておるわけですが、これは赤字年度を越すが倒産はしないという、ずいぶんいい会社がたくさんあるわけですね、考えてみると。赤字決算をする会社が半分以上あって倒産はしないのですね。二万件くらいしか倒産しないというのですから、この差は、非常にたくさんの会社赤字のままで生き残っておる。どういう経営形態になっているのか、中身がわからないというような気がするわけです。  その議論は別にしまして、そこで、いろいろと税務署においては審査をなさる。これはちょっと話が前後いたしまして恐縮ですが、所得税の場合を考えますと、審査をしますと、まず書面審理というのを納税者の来署を求めておやりになる。何らかの是正を求められる。もちろんこの是正というのは、いわば申告技術の誤りといいますか、思い違いといいますか、そういうような単純な誤りによるものと、いわゆる故意といいますか、隠そうというようなものがあってやられている部分と二つあると思うのですが、後段、いわゆる不正というものが意味されるような形で納税者に対して是正を求めて、その申告書を整理、いわゆる事後処理という名前が使われていますが、それをしている件数は全体の何%くらいありますか。
  20. 角晨一郎

    角政府委員 申告書が納税者から提出されますと、申告書の審理を行うわけでございます。その中身には、申告書の記載の非違とかそれから総合すべき所得が漏れておるとか、いろいろな態様を含んでおりまして、そういうものを総称して事後処理としてやっておるわけでございます。事後処理は、五十五年分の計数を持っておりますから、五十五年分の場合の営庶業所得者で申し上げますと、全国で十四万二千件処理しております。その中身は軽微なものが中心でございます。したがいまして、相当内容の濃いものでございますと事後調査の方に移行しておりますので、この計数には入ってこないということでございます。
  21. 野口幸一

    野口委員 そこで、ちょっとお聞きしますが、事後調査に回したものは十四万七千二百二十四件という数字が報告に出ているわけですが、その前のものですね、つまり、事後調査に回すまでにはいってないのだけれども、呼び出して解決はしているのだけれども、その中で一応不正申告らしきもの、疑わしいという形の中で是正を求めたものは一体全体の何%あったのか。事後調査まではいかないけれども、そこで是正されたのはあったのかなかったのか。それとも、その部分では単なる常識的な間違いにすぎなかった、あるいは思い違い、たとえば基礎控除を二重に引いたとか所得があるにもかかわらず扶養親族に書き入れていたとか、そういう単純な間違いの部分だけであったのか、それとも不正の部分も入っていたのか、そこの辺のところを教えてほしいのです。
  22. 角晨一郎

    角政府委員 事後処理いたしますのは内容の軽微なものでございます。したがいまして、不正なものにつきましては事後調査によって解明をする、そういうことでございます。
  23. 野口幸一

    野口委員 わかってないんだな。私の言い方が悪いのかな。私はこう言っているのです。  申告する人の大体何%が真っ当な報告でそのまま通過していくのか。何かひっかかる部分があるのは大体どのくらいか。そのひっかかる部分で、いわゆる単純な間違いでひっかかる部分はどのくらいだけれども、不正という名前をつけられるものは一体どのくらいのパーセントでひっかかってくるのか。その数の中で、事後調査と言われるものに回していくのは十四万何千件、それはわかっているんだ。その一番初めの段階では、どのくらいあるのかということが聞きたいのです。これは調査報告に出てないから聞いているのです。わかりませんか。わからなかったら結構です。後でまた……。
  24. 角晨一郎

    角政府委員 私どもも、おっしゃるような形で数字は持っていないわけでございますけれども、営庶業者の場合で達観的に申し上げますと、大体一割弱のものについて事後調査ないしは先ほどから申し上げております事後処理を行っておるわけでございます。大体両者の数字が十四万件程度で数字的には同じようなレベルでございますから、それから御推察を願いたいと思います。
  25. 野口幸一

    野口委員 わかりました。  それでは、その次の問題を申し上げますが、次に、実地調査というのをおやりになっておられます。これは所得税の場合と法人税の場合両方あるわけでありますが、今度は法人税の場合を申し上げてみますと、事後調査に回ってきた部分の一〇・四%を実地調査をしたということになっておりまするが、この一〇・四%というのは、要員的にこれ以上もうできないという数字なのか。あるいはまた、このくらいでよかろう、一割くらいやろうじゃないか、こうやって一割というのを決めているのか。一体この一〇%という調査の数字はどこから出ているのですか。やむを得ず一〇%しかできないという意味なんですか。この辺を聞かせてください。
  26. 角晨一郎

    角政府委員 御指摘のありました一〇%というのは、最近の調査活動の結果としての数字でございます。年々法人数がふえてきておりますし、法人規模も大きくなっております。また取引の形態も複雑になっております。私ども、いろいろな状況を踏まえまして、できるだけ調査の深度を保ちながら実地調査の割合を維持し、かつ、できれば向上させたいということでやっておるわけでございまして、実調率どのくらいが適当かということについては、いろいろな要素がございますので一律には申せませんけれども、できるだけ事務のやり方を工夫しながら、調査対象について、できるだけ充実した調査をやるように努力をしておるということなのでございます。
  27. 野口幸一

    野口委員 現在やっているのを工夫をしてもっとたくさんやれるようにします、それはもちろんやってもらわなければなりませんが、調査の結果を見ますと、全体の八一%が何らかの更正決定を受けているわけですね。そうしますと、これはもっとやればもっとあるというような感じがするわけですよ。  もちろん、このパーセントは下がっていくだろうと思うのです。悪そうなものから選んでやっているわけですから、倍の数を調査したら倍のものが出てくるとは思いません。思いませんが、まだまだあるような気がするのです。だから、この辺は将来は、私ども先ほども大臣とやりとりしましたが、増税があるかないかということはいろいろと議論のあるところでありますけれども、いずれにしても、国民が納得をし得る状態にしないことには、増税という問題に取りかかるにしろしないにしろ、やはり何といっても不公平税制というのが頭にある限りにおいては、その問題は進展しない問題でありますし、何としても、今日クロヨンだとかトーゴーサンとか言われているものを少しでも解明していくには、こういった税務署といいますか大蔵省特に国税局の担当の皆さん方がもっと力を入れて、こういった不正の申告というものを摘発していく、是正させていく、こういう姿をもっと積極的にお持ちになっていただければいいがと思う。  だから、たとえば率直に、いま要員が足りないのだ、もっと人をふやしてください、それなら一生懸命やります、こういうのが率直なお答えなのか、人は幾らふやしてもらっても技術的にこれが限界でございますという返事が来るのか、この一〇%というのはいかがな数字なのか、その辺のところが私の話の聞きたい核心なんです。
  28. 角晨一郎

    角政府委員 一〇%というのは、現在の環境に対するわれわれの努力の一定年度における実績でございます。  私ども、調査をすれば、御指摘のように高額、悪質重点ではやっておりますが、なおいろいろな非違が出てきておるという状況を踏まえて考えますと、でき得べくんばもう少し実調率を上げていきたい。そのためには、調査事務量をさらにふやさなければならない。そのためには、内部努力にもおのずから限界がございますけれども、機械化その他の合理化をさらに徹底する。同時に、厳しい財政事情ではございますけれども、定員の増加によってカバーすべき分はわれわれの主張として繰り返して申し上げていく、そういうスタンスで実調率について一気にこれを急激に高めるということについてはおのずから制約条件もございましょうけれども、維持向上を着実に図っていくというつもりで努力をしておるところでございます。
  29. 野口幸一

    野口委員 私の提案ですが、この実調率を倍の二〇%程度にするにはどういう手だてを必要とするか、どうすれば二〇%ということが可能になるのかということについて、少しく後でお聞かせをいただきたい。これは後ほどの機会で結構でございますが、調べたい。  それから、前年度とことしとを比べてみますと、故意による不正所得が二千二百七十四億円で、二百四十九億円、一二%も上がっているわけなんですが、毎年このようにたくさん上がっていくというのではなくて、特に去年の場合は特別にこれだけ大きなものが何かあったのか、それとも、毎年このような増加傾向を示しているのか、その辺はいかがですか。
  30. 角晨一郎

    角政府委員 最近数年度法人税の不正所得の推移を見てみますと、二千億前後となっておるわけでございます。  対前年比、五十六事務年度の場合には一二%ということでございますが、その前の年は三%、さらにその一年前は七・七%ということでございますから、五十六事務年度において不正所得の伸びが若干高くなったということでございますが、税務調査に当たりましては、できるだけ各種の情報を積極的に収集し活用して、的確な対象選定に努めておるところでございます。若干ずつ不正所得がふえておるということでございますが、年によって数%の伸び率の振れがございますが、それはいわば結果として、対象選定及びその調査の結果としての数字だというふうに私ども理解をしておるところでございます。
  31. 野口幸一

    野口委員 いずれにしましても、とにかく年々件数もふえ、さらに内容的に金額もふえるということになってきていることは事実のようであります。したがって、この調査の内容について、私どもには詳しく御報告をいただいておらないわけでありますが、特に目立ちますのは、この中で不正申告の割合の高い十業種という小分類をしたものを新聞なんかでもさきに発表されておられます。  これに出ておるわけでありますが、これを見ますと、前年の順位が十位以内にもちろんなかったものが、ことしは一位に上がっているというのがあるわけですね。去年の十位以内にあった中で、ことし全然出てこなかった分というのは四つぐらい抜けていて、全然出てこなかった分が飛び抜けて一位になったというものがあるわけです。それからまた、不正脱漏所得の大きさで分類する業種別の順位も、これまた貸金業が去年も一位、ことしも一位というのは納得できるのだが、その他はほとんど出てこなかったものがこの分類の中に出てきている。  こういうことを見ますと、いわゆる実地調査というのは、どういうやり方を基礎にやっておられるのか。つまり、不正の金額別なのか、業種別なのか、地方別なのかということが、私どもにはわかりかねるという気持ちがございますので、一体、どういうやり方で実地調査というものをおやりになっているのか。
  32. 角晨一郎

    角政府委員 毎年法人税の事務事績を発表する際に、産業分類で区分したものの中から、不正申告割合の高いもの十とか、一件当たりの不正所得金額の大きいもの十業種とかという形で新聞等に資料提供もしておるわけでございますが、その場合の十業種と言いますのは、毎年各業種を通じて一定件数以上の調査が行われました業種の中で、不正申告割合が高いものを取り出して掲げておるわけでございまして、これは、いわば実際の調査結果を統計的に並べたということでございます。ですから、必ずしもこれからその当年の重点調査が順番に並んでおるということではないわけでございます。  調査に当たりましては、高額、悪質重点という基本方針のもとに、できるだけ問題のある法人を的確に対象選定するということに心がけておるわけでございます。その中で、経験的に不正の多い業種とか現金収入の割合の高い業種とか、そういう業態の特異性、さらには業界の好況、不況といったようなものも十分念頭に置くわけでございます。地域的な差、業種によって地域的に好況、不況の差が若干あるわけでございますが、そういうものも各国税局別に十分織り込んで調査対象を選定する、そういう調査対象選定のもとに調査をした結果、産業分類的に一定件数以上を並べてみるとこの資料提供のような傾向になる、そういうことでございます。
  33. 野口幸一

    野口委員 いまのお答え、私と少しくすれ違っている部分があるのです。  どういうことかと申しますと、私の主張としては、つまり、先ほどもちょっと申し上げたように、税の不正というものをいかに少なくしていくかというところに問題点を置いているわけです。だから、いわゆる実地調査そのものをどのように効率的に実施をすればいいかという点について視点を置きながら物を考えているわけであります。そうしますと、この表で見る限りにおいては、そのような特例が出ているわけでありまして、前年とことしとの場合、前年の十位にもならなかったものが、ことしは一位にぱっと出てきたというようなことは、たまたま出てきたというような、たとえばいまちょっとおっしゃいましたけれども、ことしは景気がよくて収入が多かったのに隠したのだということで出てきた、こういう御答弁もあったようでありますけれども、そういうのじゃなくて、たとえば地域的なものがそこにあって出てきたというような感じがする。たとえばここの場合、一位がバーでしょう。四位がすし屋、五番が喫茶店、九番に外国料理店、それから八番にその他の飲食店(大衆食堂、ドライブイン等)、こういうサービス業といいますか、飲食業というのが中心に一位から十位の間にランクされているわけですね。  そうすると、そういう業態を中心にいわゆる実地調査をなされたのじゃないかというような気がするので申し上げてみたのですが、そういうことはやっていないのだ、やっていないのだけれども、たまたまこうなったんだ、こういうお答えなんですが、そこのところをちょっとはっきり言ってください。
  34. 角晨一郎

    角政府委員 当然、第三次産業でここに特掲してあります業種は、いわば好況かつ問題業種も多いわけでございますので、調査対象とする場合には念を入れてこういうものの中から選定をしておるということは事実でございます。  それから、先ほど一定件数以上ということを申しましたが、御指摘のありましたバーとかすし屋とか外国料理店、前事務年度も相当の不正割合はあったけれども、ここに掲げるだけの調査件数がなかったからここに挙がってない、こういう事情もあろうかと思います。
  35. 野口幸一

    野口委員 それでは、その次の問題を申し上げます。  さらに、その現地調査の関係に関連いたしまして、国税査察官という制度がございまして、国税査察官、俗称脱税Gメンと言われている人が全国に八百八十名いらっしゃるわけですが、これは、いま発表になりました現地調査に直接かかわっておられる方なのか、それとは別におやりになっているものか。どういう形態で国税査察官というのが動いていらっしゃるのでしょうか。
  36. 大山綱明

    ○大山政府委員 お答え申し上げます。  査察調査と申しますのは、大口、悪質な逋脱犯の告発を目的として調査をいたすのでございまして、ただいま直税部長がずっと答えてまいりました調査とは性格を異にいたします。ただいま数字がいろいろ出ましたが、その中には査察官による調査の分は入っておりません。
  37. 野口幸一

    野口委員 それで、別の御報告の中にあるわけですが、昭和五十五年度の着手件数が二百三十一件、五十六年度は二百三十二件。処理件数は、五十五年が二百三十五で、五十六年も二百三十五。告発件数は、五十五年も百六十七、五十六年も百六十七。告発率は同じパーセント。それぞれのものがほとんど毎年同じというような数字が出ているのですが、こういう傾向はずっと続いているのですか。
  38. 大山綱明

    ○大山政府委員 査察調査は、公訴維持のための証拠収集を十分に行わなければならないということがございますものですから、大変事務量を要するわけでございます。  一方、査察官の定員は若干ずつはふやしていただいておりますけれども、それほど大幅なものでございません。一つ一つに、いわば手づくりとでも申しましょうか、そういったように時間をかけて査察調査をいたしますものでございますから、ただいま先生が御指摘になりましたような、そういった大体似通った数字で連年処理を了していくということになっております。また、こういった傾向は今後の査察調査におきましてもそう飛躍的にふえるとかいうものではなく、こういった数字がずっと続くものと考えます。
  39. 野口幸一

    野口委員 私は不思議に思うのですが、毎年毎年同じ件数で同じような処理がされているというのは、何か、事務的にといいますか、このくらいやっておけばいいと、そんなことはないだろうと思うのだけれども、何かこう、保険屋さんが目標額を掲げて、その目標を達成したらそれで終わり、というようなことをやっておられるわけじゃないだろうと思うけれども、どうも同じ数字がずっと毎年続いているというのは不思議に思うのですね。  たまたま数字的に並んだからこうだと言ってしまえば、そうかもしれないけれども内容的に、どうももう少し変化があってしかるべきではないのだろうかというような気がするわけですが、そこで、国税査察官がいまやっておられるやり方というのは、僕は実際見たことないわけでありまして言えないわけですけれども、この八百八十名というのはどういう形で運用をされておられるのか、この際ちょっとお聞かせをいただけませんか。たとえば国税局別に分類してお出しになっているのか、あるいはまた、それは同時に一ヵ所に置いておいて、出張とか、そういうような形でもって、大量に調査する場合は何百名という人間を使ってやる場合も存在するのか、そういう点はいかがなものですか。
  40. 大山綱明

    ○大山政府委員 先立ちまして、先ほどちょっと先生指摘になりました点に触れさしていただきますと、決して二百三十何件でいいのだということで、それでとめてしまうということではございませんで、むしろ、毎年毎年取引が複雑になってまいりますとか、犯則の手段方法が手が込んでくるというようなことから、時間がますますかかるような傾向がございます。ですから、むしろ逆でございまして、何とか去年の数字はことしも達成しようということで苦心、苦労しておるというのが実情であるということを申し上げさしていただきます。  次に、八百数十人の査察官の実動の状況でございますが、各国税局にそれぞれ張りついておりまして、たとえば東京には、八百何十人の中の約半数が東京国税局に所属をいたしております。大局、大阪局、名古屋局、こういったところにはそれなりの多い人数の査察官が張りついておりますが、そのうちの約半分ぐらいが情報の収集などにもっぱら当たっております。そこで、情報の集収をいたします査察官が事件を具体的にまとめて、その中から大口、悪質であり、真に社会的非難に値するというものをピックアップいたしますと、それを残りの半数の調査に当たります査察官が、裁判所の令状をもらって現地に入りまして調査をいたす、そういったような手法で査察調査を続けているところでございます。
  41. 野口幸一

    野口委員 もう時間がなくなりましたので、本当はこれから問題点として、いわゆる地下経済といいまするか、もぐられている問題について、いま査察官は、主に調査と情報収集、いわゆる下世話な言葉で言うところのガサ入れとネタ集めと言われているそうでありますが、それを特におやりになっているということでございます。その内容的なものを実はお聞かせをいただいて、今後いろいろなものに対応していく手だてとしたいと思っておったのですが、時間もありませんので、次の機会に譲らしていただきたいと思います。  いずれにしても、いま八百八十名というのがこの査察官という数字の中に出ているわけでありますが、決してこれが十分であるということではないということを私も聞き及んでおりますが、結論として、今後こういう地下経済というものがさらに活発化をしていく傾向にあることだけは間違いないと思いますので、今後とも、こういう査察調査の充実について一層の御努力をいただきたいということを付言いたしまして、私の質問を終わります。
  42. 森美秀

    森委員長 この際、休憩いたします。     午前十時三十一分休憩      ────◇─────     午後零時六分開議
  43. 森美秀

    森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。戸田菊雄君。
  44. 戸田菊雄

    ○戸田委員 大臣、立ち食いで申しわけありませんが、時間がないものですから直ちに質問してまいります。  最近の経済動向を見ますると、当初の五十八年度予算案の策定に当たっての経済指標というものが、どうも余り楽観できない状況ではないか、こう判断をするわけです。そこで、問題は、この五十八年度経済成長率、実質は三・四%、名目で五・六%、こうしているわけでありますが、五十七年度成長率の実質見込み、これは実質が三・一一と名目が五・一一、これは五十七年度補正で下方修正したわけですね。しかし、この実質と名目は、私は、どうも達成できないのじゃないかという気がするのですね。五十七年度経済力から判断して、この実質見込みが実現できる見通しがあるかどうかということについて、まず大臣としてどういう見解を持っておられるか。
  45. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、いろんな指標を見ますと、諸外国に比べれば格段の実績を示しておるとは言われながらも、輸出の減少は見られますし、生産、出荷が伸び悩むなど、経済社会構造の変化の中で厳しい対応が迫られておることは、私も否定をいたしません。  そこで、今後の日本経済ということになりますと、在庫調整がやや進展しておること、それから何としても物価の安定、これだけは続くと見込まれる。そういう明るい材料もございますし、そして、アメリカの方がいきなり四・〇%というような問題も出てはおりますものの、世界経済も、少なくともインフレの鎮静化ということと、若干ながら高金利是正というようなことを見ますと、徐々に回復していくのではないか。  したがって、わが国経済は、とはいえやはり内需を中心にして、経済成長率は五十七年度の実質三・一%、五十八年度は三・四%、御指摘のとおりでありますが、さらにその上に円安是正の傾向というようなことを考えますと、石油価格の下落というのはトタに影響があるとは思いませんけれども、自律的な回復を一層高める要素にはなり得るということになりますと、私は、経済成長率というものは見込まれ得るものではないかという前提の上に立っておるわけであります。
  46. 戸田菊雄

    ○戸田委員 確かに、若干の明るい見通しの出てきたものもあります。しかし、総体的におしなべて、私は、やはり低迷の方向に行っているのではないかという気がするのです。昨年もそうでありましたが、景気浮揚の土台を国民消費、いわば内需主導型で、こういうことでありましたね。ことしも大体そういう方針を踏襲している。大臣の演説をお伺いしても、そういうことになっておるわけであります。  そこで、問題は、個人消費の低迷ですね。たとえば、百貨店の売り上げ、スーパーの売り上げの伸びの鈍化、これはもうはっきりしているわけです。それから輸出の不振で、十三カ月にわたって前年同月マイナスですね。それから設備投資の不振、これも売れ行き不振と設備過剰感から手控えている。なおかつ、前途の経済見通しが安定度を持たない、こういう不安感がありますから、どうしても手控えになってくると思うのですね。  最近の失業率を見ましても、総理府総務長官は、計算方式を変えた、こう言っていますが、大体二・七%、戦後最大ですね。こういう状況まで来ておる。ですから、アメリカ等で一〇%、ECでやはりそれにやや近似する、同じくらい失業が出ていますが、日本はそこから見ればまだいいということになりますが、しかし、日本の失業数の計算方式というものは、失業率に入っていくものは非常にむずかしい計算方式になっていますから、アメリカやECとは違っているのですね。だから、潜在失業者を含めたら、ちょっとそれを上回っているのじゃないかと私は思うのです。  こういうことになりますると、国民のふところぐあいというのは、おしなべてやはり冷え込んでいるということになりますから、どうもそういう角度から言って、この経済成長の指標というものは、これは三年連続歳入欠陥なんかあってはいけませんから、そういう意味合いで、もう一度厳密な点検をしてみる必要があるのじゃないだろうか、こういうふうに私は考えるわけであります。  そこで問題は、五十八年度経済成長は五十七年度よりよくなるという保証はありましょうか。いま大臣は二点を指摘して答弁なされたようですが、ございましょうか。たとえば個人消費で見ましても、五十七年度が七・二%、五十八年度が七・四%です。実質〇・二%増。住宅投資でもって五十七年度は一・九でしょう。五十八年度は四・三%ですから、実質二・四%の増ということになっている。設備投資は〇・二一、これに対して三・九一ですから、三・七%増ですよ。それに加えて、この五十八年度見通しですね。五十七年度より見通しが悪いという要素が、たとえば政府の資本形成、公共投資部面で五十七年度は一・八%でしょう。ことしはマイナスの一・六%ですからね。輸出は、五十七年度は四%に対して、若干下げまして三・五%、〇・五くらい下げましたけれども、こういった実質計数にいけるかどうかというのが非常に問題ですね。その辺の見解はどうでしょう。
  47. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、御指摘の数値を見ましても、これはよほどの努力が必要だという認識を私もひとしくいたしております。  今日、より大きな要因となるものは、やはり一つには物価の安定ということではないかと思います。それから、昨年に比して、現象面をとらえた場合に、円安基調の是正とでも申しますか、そういうものについてのある種の期待感と、それに対応する弾力的な経済運営とでも申しましょうか、そういうことが見込まれるわけであります。  そうなると、失業率の問題についてはいま御指摘がありましたが、もろもろの指標について再検討を加えるべきだという御指摘の中の一つとして、確かに従来方式でもう一遍、従来方式の分だったら幾らになるかということをやってみなければならぬということは閣内でも言われておるところでございますが、そういうもろもろの指標の中で、努力目標としてこれは達成可能である。その要因と言えば、大きくはやはり物価の問題と円安傾向の是正、いま一つは、段階的とは言え今日まで金利も低下しておりますので、今後の金利の問題は別といたしましても、それは弾力的な対応によって達成し得る努力値であるという認識のもとに前進しなければならぬと考えております。
  48. 戸田菊雄

    ○戸田委員 そこで、経企庁にちょっと二点ほど確かめておきたいのですが、いま私が指摘したように、補正で三・一一、五・一一ということで下方修正しましたね。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕 しかし、いろいろなデータを検討いたしますと、三月に行けばきちっとわかるわけですが、恐らく四月ごろですか、去年は四月七日に明確にわかったのですが、この五十七年度の実績、いろいろな調査を見ましても、二・五%ないし二・八%、こういうことを指摘されているのですね。そうしますと、たとえば二・五%をとった場合は、下方修正の補正予算より〇・六一、これがさらに減少することになりますね。それから二・八の場合は〇・三一、これだけまた目減りすることになる。大蔵大臣予算委員会等で、一%の景気浮揚でもって税収は大体どのくらいか、これは三千億だと、こう言われている。そうしますと、これは後でいろいろ触れてまいりますが、結局税収、歳入にも非常に影響してくるわけですから、こういうものが実質、見通しいけるのかどうか。この点の確信をひとつ伺わせていただきたい。  それから、いま言ったその差、〇・六一、〇・三一。いまの経済成長の中で浮揚力はそれだけあるのかどうか。もうすでに三月もいっぱいになっているのですから、できるのかどうか。どうでしょう。
  49. 宮島壯太

    ○宮島説明員 お答えを申し上げます。  先ほど先生具体的な数字を挙げられまして、民間見通しの五十七年度見込みが実質二・五から二・八になっている、それに比べて政府の見通しの実績見込み三・一が高いのではないか、こういう御指摘でございましたが、私どもは、先ほど大蔵大臣からの答弁もございましたように、五十七年度の最近の経済指標を見ますと、いい面と悪い面がございますが、家計調査とか住宅着工統計等を総合的に見ますと、現在、三・一%という見通しをつくったのは、先生も御案内のとおり、七月から九月、七—九期のQEまでをもとにしてつくったわけでございますが、その後の経済指標を見ておりまして、三・一%の成長軌道に乗っているというように私どもは見てございます。  と申しますのは、単純に、十—十二月期、それから一—三月期、残りの二つの四半期が三・一%達成のためには、平均いたしまして、実質前期比〇・四%伸びると三・一というわけでございますが、十—十二のQEが実は今月の半ばに出るということで、現在鋭意検討中でございますけれども、まだ私、直接に感触はつかんでおりませんけれども、大体こうした成長軌道に乗っているものというように私どもとしては考えております。
  50. 戸田菊雄

    ○戸田委員 まあ、それは本題じゃないですから、聞いて参考にいたしたいと思っています。  そこで、大臣、これは五十八年三月九日の日経の朝刊にも実は出ておったわけでありますが、五十七年度の税収見込みですね、大蔵省としても、どうも確保困難ではないかというようなことが出ておるわけであります。補正でもって六兆円余り減額をして、三十兆円余としたわけでありますが、その税収の伸び率が六%ですね、今年度予算の場合は五・三%増、こういう見込みです。これがその後、五十七年の十月以降一月まで大蔵省から税収の見込みが出されておりますが、これを見ますと、漸次下がってきていますね。こういうことでありますから、たとえば五十八年の一月は税収の伸び率四%ですね、こういうように落ちている。このままで行くと、やはり歳入が欠陥を生ずるのではないだろうか。これが一つです。  それからもう一つは、五十八年度の税収、補正後の税収を前提に見込んでいるから、五十七年度三月まで下がりますと、どうしても五十八年度も穴があくということになってきます。そういうことになりはしないかという心配がありますが、これはどうでしょう。
  51. 竹下登

    竹下国務大臣 御指摘の数値はそのとおりでございます。  今後の問題ということになるわけでございますが、これは、私のいささか私見で申しますと、大蔵大臣になりますと、率直に言って、増にしても減にしても、税収見込みが一%の範囲内ということがいつも念頭にございます。だから、いまの場合、私もそういうことを念頭に置きながら、ウエートの大きい所得税の確定申告法人の三月期申告などが残されておりますので、確たることを申し上げる段階にはございませんが、慎重にこれを見守っていって、これは、いまからどういう政策をやってすぐ実効の上がるものではございませんけれども、そういう私どもの期待に沿うようなことが結果として出るように期待をしておるところであります。  当然のこととして、この五十七年度のげたが下がれば、五十八年度ということになりましても、いま戸田委員指摘のとおりでございますので、いまやまさに慎重に事態の推移を見守っておるというのが率直な私どもの心境でございます。
  52. 戸田菊雄

    ○戸田委員 私の調査によりますと、結局、補正後税収確保には五・三%増を達成しなければいけないというのが方針なんですが、昨年の十月、大体七・一%の増になっています。十一月が六・八%増、十二月が六・三%増、一月に参りますと六%増、漸次ダウンしていますね。  そのダウンの理由は何かというと、先ほど経済指標でもって指摘したように、一つはやはり所得税、総体の六割を占めていますが、これが伸び悩みなんですね。御存じのように、給与ストップ、人勧凍結、年金その他を含めまして、おおむね一兆六千億見当の減収、こういうことになりますから、どうしても国民のふところぐあいというものがいま非常に窮迫状況にある。これは今後も解消できないのじゃないだろうか。それからもう一つは、利子配当の伸び悩みが出ていますね。それから、法人税の落ち込みもそのとおりです。戦後最大の月間千七百件ぐらい倒産しているわけですから、景気は思わしくない、こういう状況です。それから揮発油税の減収、これもどうも芳しくない。それから関税減ですね、これは輸入低迷でしょう。そうすると、景気浮揚にかかわる設備投資も貿易も、あるいは国民消費も、最もウエートの大きい五二%を占める国民消費がそういう状況です。これは全部軒並み各税目に減少傾向を来しておるわけです。これで、一体所定の目的を達せられるのかどうかということが非常に心配です。これはどうお考えでしょう、もう一度ひとつ。
  53. 竹下登

    竹下国務大臣 いま、どういう政策を直ちにとって、どうこう変わってくるとも思えません。  それから、いま経済企画庁からもお答えがございましたが、十—十二のQEが恐らくきわめて近日中に出るという状態であろうかと思うのであります。そういうようなものをいろいろ勘案してみますと、ぎりぎりの、いわゆるわれわれが期待しております税収というものは、期待可能の範囲内に置かれておるということに尽きるのじゃないか。確かに、これからの法人決算にいたしましても、もうわずかしかございませんし、その中に急激な変化が起こるということはもちろん期待はできませんが、総合的に判断した場合、誤差と申しましても、おおむねその範囲内にとどまり得るのではなかろうか。いまやまさに推移を慎重に見守って、期待感を持ち続けておるという現状認識でございます。
  54. 戸田菊雄

    ○戸田委員 予算委員会でも、大臣はそのような答弁をなされておるようです。しかし、もっと事態は深刻ではないのかというふうに私は考えるわけですが、これは、また後でやることにいたしましょう。  それで、減税問題ですが、昨年以来、一兆円減税問題については、衆議院大蔵委員会でもって減税小その他を設置してやってまいりました。いろいろな経過措置がございますが、それは棚上げにしまして、今次国会において二階堂幹事長は、与野党会談で減税問題に触れて、景気浮揚に値する減税を実行します、こういう二階堂幹事長の回答です。それで、時期や額はわかりませんが、与野党会談では一応それを了承した、こういうことであります。  そこで、景気浮揚に値する減税というものは、どの程度大臣としてはお考えになっておるのか。それからもう一つは、財源をどこに求めていくのか。  予算委員会で大蔵大臣は、減税財源問題について、戻し税は好ましくない、こう言っています。それから、赤字国債の増発による減税は金融市場への影響を考えて直ちに念頭に置くべき問題ではない、こう言っております。三番目として、大型間接税との抱き合わせ減税は考えていませんよ、こういう回答をいたしておるわけです。  そうしますと、今後どういうところに財源というものをひねり出してやっていこうという構想なのか、これは実行すると言っておるのですから、そういう点について大臣の見解があれば教えていただきたい。
  55. 竹下登

    竹下国務大臣 まさに財政事情困難なときではございますが、与野党の合意というものを尊重して、この財政改革の基本的な考え方を踏まえつつも、減税実施のために真剣な検討を進めてまいらなければならぬという非常に大きな責任を感じておるわけであります。  全般的に申しますと、税収動向の見きわめとか、あるいは国会議論、それを御報告申し上げたりする税制調査会の検討も必要でございますので、その方法、時期、規模財源というようなものを明示できる段階には、率直に言ってございません。  私は、いささか私見にわたるのでございますが、景気浮揚に役立つという言葉が使われておるということそのものが、まさに各党の代表者の皆さん方でございますから、なかなかそれを具体的に、またある種の規範性を持たした表現というものがむずかしいだろうという配慮で、こういう表現になっておるのじゃないかなというふうにも思いますので、これから、与野党合意の中でも財源問題ということもうたわれておりますので、いまおっしゃいました従来の小委員会の経過等々はこの公式な場でどう論ずるかということは別といたしまして、その経過やら、そして御審議いただいた方々の意見も聞きながら、責任は私どもの方でとらなければいかぬ問題でございますが、模索していかなければならぬというふうに真剣に考えておるという、いまの現状認識であります。
  56. 戸田菊雄

    ○戸田委員 それは大臣、この前の減税小で財源探しをやるというのと今回の会談の決定は違いますよ。明らかに政府・与党がこれは責任を持ってやります、こうなったのですから、当然その限りにおいては、政府と自民党が財源を明確にして、そしてこういう実行をいたします、今度はこうこなければいけないのですね。それで二階堂幹事長が決断をやったのですから。私もいろいろと考えてみて、本問題と人勧の問題は高度の政治判断の問題だ、本当にやるということになれば、財源はどこにでもあるのじゃないか、こう私は考えておるわけなんですが、そういう点で、ひとつ十分な御努力をしていただいて、とにかく減税をやっていただきたい。  われわれの側からいけば、うちの嶋崎政審会長が本会議でもって予算の組み替え動議を出しましたが、そのように明確に一定の方針は提案をしているわけです。不公平税制の是正、こういうものに財源を求めなさいということで、われわれは具体的に数字的に出してやって、それで総体において約一兆六千億、これを減税しなさい。その一つは、六年間据え置きの課税最低限、こういうものをやはり手直しをして、そしてそれが大体一%と言われますが景気浮揚に値する、そういうものをやるべきだ、こうわれわれは明確に意見を提示しているわけですから、大臣が関係者の御意見も拝聴してと言うならば、この辺の問題についても十分私はしんしゃくしていいのじゃないかというふうに考えますが、その点はどうですか。
  57. 竹下登

    竹下国務大臣 いま御指摘のように、理路整然とおっしゃいましたとおり、これは政府・与党の責任において行うべきであるということを否定するものではありません。  ただ、やはり国会というのが国民の世論を代弁する最高の集団であるという認識の上に立った場合、いままで議論された問題等は大いに念頭に置いて、これからも知恵をかりていくという姿勢で臨まなければならぬ課題である。かねて日本社会党から御提示になっております不公平税制の是正とかあるいは土地増価税等々、いろいろ議論をいただいておるわけでございます。これらにつきまして、全くそれなりの反論といいますか、現状において手をつけることがむずかしい理由はございますものの、そういう意見が出されておるということは十分承知しておりますし、それも承知の上でまた相談に行くという姿勢を持ち続けるべきじゃないかな、こういうふうに考えております。
  58. 戸田菊雄

    ○戸田委員 大臣答弁にしてはどうも歯切れが悪いのですね。いつもの大臣と違うのですが、時間もありませんから、本問題については、いずれまた時間を見ましていろいろと論議をしてまいりたいと考えております。  そこで問題は、大臣、今回財特法ことに税外収入で四兆円以上も財源集めをやっているわけですが、そういうようなことができるなら、私は、逆の意味財源探しは幾らでもできるのじゃないか。当初、今回は予算編成に当たって大蔵省としては、おおむね不公平税制の是正、これでもって三千億ないし三千五百億の財源を考えて、これを一応減税に充てようじゃないかという考えのあったことは事実ですね。ところが、どうもこれが財界のあれによってストップしてしまった。結局やったものは二つしかないのですよ。いまの税制からいけばわれわれは不公平税制というものはある、こう言っているのですが、大臣の方は、政策判断でもって、そういう政策状況判断でやり得る場合もあるのだから、それは不公平じゃないというような論理を言いますけれども、今回金融保険業の貸倒引当金の是正とそれから価格変動準備金の是正、この二つしかやっていないのですね。ほかに大蔵省が考えたものには、交際費課税、確かに大企業の場合は全廃していますが、資本金五千万円以下、中小企業には三百万なしい四百万、こういったものを制定しておりますね。それを、でき得れば二千万以下の中小企業にしようということを大蔵省検討したはずですね。そのことによっておおむね七百億増収。それから退職給与引当金。全従業員が一斉にやめるという場合には大体退職金の四〇%まで、これは内部留保として非課税部分に入っておった。そういったものを認めておられるのですが、最近の定年延長その他状況変化によって、これらの比率についてもう少し検討してもいいのじゃないかということで三五%を考えたのでしょう。現行四〇%から五%引き下げる。これもだめになった。これをやれば大体二千億ないし二千二百億円の税収ができるのですね。それからもう一つは印紙税の強化。最近はコンピューターが非常に導入されておりますから、いままでのように印紙税を払わなくても済むような状況が多くなってきている。ですから、そういうものの関係で、これらに対して是正検討して若干の増収を図ろう、こういう考えが大蔵省にあったはずです。  そういったものがあったのだが、これらを全部取りやめにして、そして結局、税の増収体制というものは、住宅取得控除の拡充でもって平年度二十億マイナス、初年度で十億マイナス、中小企業の設備投資促進導入で三百億マイナス、初年度が二百二十億、価格変動準備金の整理とその他の租税特別措置の整理合理化、このことによって平年度二百二十億の初年度百四十億、そして貸倒引当金見直し、これで四百三十億、四百二十億、こうなって、相殺して三百三十億の増収体制ですね。本来なら三千億ないし三千五百億、それくらいやればいけるのですね。ところが、これをもやめてしまった。こういう状況ですから、不公平税制はいつまでも解消しません。  あわせて、私は、行革指摘する増税なき財政再建と不公平税制の是正というものは別次元の問題だと思うのですね。ところが、政府答弁を聞きますと、増税なき財政再建イコール増収はすべてやめろ、不公平税制の是正まで全部やめてしまった、こういうことは曲解じゃないかというふうに私は考えるわけですね。その辺の見解について大臣一体どうお考えでしょう。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 竹下登

    竹下国務大臣 増税なき財政再建、これはまさに最終答申を見ましても、これをてことして事に当たれ。やはり臨調委員先生方の考え方の中にも、税そのものの実態については政府には権威ある税制調査会というのがあるじゃないか、それから歳出関係については財政制度審議会というものがあるじゃないか、だから、その方向なりある種の哲学を示すにとどめるという限界の上に立って御答申いただいたのじゃないか、読んでみますと、そんな感じがするわけでございます。  したがって、従来からの税調等の御答申を見ましても、いま戸田委員が御指摘になった問題についても、おっしゃいました印紙税についても、御指摘のとおり「経済取引の進展等に伴い負担の公平、適正化の観点から見直すべき面が生じているとの指摘があるので、」やはり今後引き続き検討しなさいよとされておりますし、中小企業の交際費課税につきましても、実態を踏まえつつ、引き続きそのあり方を検討する、こういうことがなされておるという意味におきまして、私は、いわゆるこの不公平税制という言葉は、言葉意味そのものは使う人によって異なって必ずしも明確な定義があるものではなかろうかとも思いますけれども、戸田委員の観点に立ったいろいろな御指摘の問題等は、もちろん引き続いて検討すべき課題であるというふうな認識を持っております。  そして、ただ退給は私が前回大蔵大臣のときに手をつけさせていただいた問題、あるいはこの印紙税等はその後でございますが、言ってみれば、比較的いまの時点に立って近い段階で手をつけたという問題については、やはり幾らか慎重にならざるを得ないという点も現実問題としてはございます。
  60. 戸田菊雄

    ○戸田委員 いま大臣答弁の中でも、財政審議会、税制調査会等々いろいろな答申がなされた、しかし最近の税調とか、どうも私は、このあり方について疑惑を持つ面もあるのです。たとえば昨年の十二月二十三日、政府税調が一定の答申を出した。そうしたら追っかけて同時に十二月二十三日、自民党税調も同じようなことを出しているのです。その内容を見ますと、何ら異なったようなものはないのです。私も一通り目を通してみましたが、ほとんど変わりはない。こうなると、私は、税調のあり方そのものも問い直されなければいけないのじゃないだろうかというような気がしてならないのです。これは本題じゃありませんから、いずれ機会があったときに、いろいろ検討してまいりたいと思います。  そこで、問題は、いまサラリーマンは大変な重税感に浸っていることは間違いないのです。これは、大臣もいままで再々答弁の中で言われておりますから、その理解においては同じだと思います。  そこで、私は、たとえば年収と税金の関係において一つの試算をしてみました。そうしましたら、五十七年の年収四百万円、夫婦子供二人給与所得者の各年のベア率六%、ですから、五十八年度仮に六%のベアがあったということで、五十二年、五十七年、五十八年の税引き後の手取り額の状況を計算をしてみました。  それによりますと、五十七年年収四百万、この方は六%ベアというと五十八年四百二十四万円。そうしますと、五十七年の四百万のときには、所得税が十六万四千二百円、住民税が十万三千七百円、税額計が二十六万七千九百円です。五十八年でまいりますと、所得税が十九万四百円、住民税が十二万三千百円、合計が三十一万三千五百円。これでいきますと、前年比でもってパーセントで一九%のアップですね。額にしますと四万五千六百円。そのほかに社会保険料、健康保険料とか年金とか、これが取られますから、それを含めますと、この額が約三十万円に達するようです。そうすると、所得、住民税の税額を引いて三百九十二万六千五百円ということになりますが、これから三十万円引きますと、実質三百六十二万円のいわゆる可処分所得といいますか実入りしかないのです。  だから、得てして政府税負担率の国際比較をやりますが、それもさることながら、私は、やはり可処分所得が他国に比較して一体どういっているのか、これでいきますと、アメリカなんかは可処分所得が日本の倍になっていますよ。ドイツだって一・五倍ぐらいになっていますよ。全くそれは違うのです。だから、生活が苦しいということになってくる、重税感がやはり大変だということになってくるわけです。  こういう状況ですから、ことに課税最低限の六年据え置き、これも試算ですから、間違っておれば指摘をしてもらいたいのですが、五十二年比で五十七年四百万の標準世帯、五十二年当時は二百九十六万と推計しているのですが、五十八年で六%のベースアップ、四百二十四万円。そうすると、五十二年比で四三・二%の増ですよ。税額は五十二年十万一千円のものが五十八年で二十七万九千円、二・八倍ですね。そうすると、税負担率は三・四%対六・六%、倍になっているのですね。このくらいやられているわけですよ。名目所得増が四三・二%、手取り額で三七・二%増しかないのですから、その差し引き六%は目減りということになりますね。  こういうふうに、課税最低限あるいは税率が据え置き、それから減税が行われない等々で、サラリーマンとしては重税感というものが強くのしかかっている。これは実態もそうですし、感じとしてもそうであります。だから、この辺で何としても私たちが提案をしているような角度で、基礎控除を初めいろいろな減税措置をここでもってやっていますが、このくらいは見直しをしてやらなければ、税に対する不公平感はなくならないし、その他意欲というものは国民はわいてこないと思いますね。この点について、大臣どうお考えでしょう。
  61. 竹下登

    竹下国務大臣 私どもといたしましても、これは国民生活の実態というものを見た場合、やはり可処分所得というものは大変ポイントであるし気になるところでございます。一方、またそういうことからして、増加率は別として、可処分所得というのは多少なりとふえておるのではないかという議論をしてみても、いわば一方の比較からして、ある種の重税感とかあるいは痛税感とでも申しましょうか、そういうものがあることを承知いたしておりますので、やはりそれらには政策としての対応が必要であるという認識は持っております。  ただ、いかにしても、高度経済成長期から、あるいはドルショック、第一次、第二次石油ショックを経過しながら今日までやってきた日本の財政運営が一つのピーク、悪い方向で言うピークに達したときに、その意味においては、いまやはりがまんしていただかなければならぬという考え方で、いま参議院で御審議いただいておりますが、現状における予算というものが最善のものなりとして提案しておるわけでございます。  そういう実態はございますものの、先般来の各党合意あるいはそれに伴う議長見解というものについて、いまのような御趣旨も絶えず念頭に置きながら、鋭意検討を進めていかなければならぬ問題だ。いたずらに、諸外国等から比べればあるいは高度経済成長の夢は捨ててください、だからがまんしてくださいと言うばかりで、生きた政治に対応する政策手段であるとは認識しておりません。
  62. 戸田菊雄

    ○戸田委員 大臣、参議院の予算委員会がありますからこれでいいのですが、ちょっと三点ほど、答弁は要りませんから一分間だけ聞いていってください。  私たちも、財源検討をしているものはあるのです。それは、一つは土地再評価税、これをひとつ検討していただきたい。もう一つは金融資産ですね、ことにアングラマネー、ブラックマネー、三百三十兆ぐらいあるのじゃないかと私は思うのですが、こういうもののいわば課税方式ですね。もう一つは、財特でもっていろいろな特別会計、私も全部拾い上げてみましたけれども、これをやるなら財源はたちどころに出てくると私は思う。仮に取り崩さないまでも、借りればいいのですよ。たとえば、いま造幣局取り崩し、印刷局しかり、外国為替資金取り崩し、産業投資取り崩し、そのほかに船員保険、国立病院あるいはあへん、国民年金、いっぱいございますが、そういったものの貯蓄その他からいきますと膨大な金がある。だから、財特法で金集めをやるというなら、こういう手法でもって一兆円減税とか、その間に完全な財源調達方式を考える。社会党が提唱しているような——別に赤字国債じゃなくても結構なんです。それはできます。だから、そういう面を含めてひとつ検討していただきたい。要望しておきます。足どめして申しわけありませんが、大臣結構です。  それでは、専売総裁の方に伺います。  今度、貿易自由化等をめぐりまして葉たばこの自由化も相当強要されつつあるのですが、強要と言うと不適当かもわかりませんが、アメリカは全面自由開放しなさいということできていますね。いままでわれわれもいろいろ検討してまいりまして、外葉の割合は大体二七、八%なら一番適正じゃないかという気がしておったのです。そうすれば、いまの葉たばこ耕作者の減反政策その他もやらないで、国内の産業の保護政策をとってやっていける。こういう均衡体制が大体できるのじゃないかということで考えておりましたが、この間ちょっと係官の皆さんに聞きましたら、現在三三%ないし三四%だと。私たちは二七、八%にとめようという考えなんですが、この辺の考えをひとつお聞かせ願いたい。  もう一つは、昨年の葉たばこ導入に伴って、耕作面積が五十六年は五万九千二十ヘクタール、それが四千九百四十三ヘクタール減少されまして、五十七年が五万四千七十七ヘクタール、五十八年になりますと七十ヘクタール減らして五万四千七ヘクタール、こういうことです。そうすると、これも普通の米作と同じようにだんだん減少傾向に追い込まれていくのじゃないだろうか。農家の実態というものは、結局、安いけれども食管で確保されている米、それと葉たばこしかないのですね、固定収入で農業収入として入ってくるのは。だから、これが減っていくということは、葉たばこ耕作者にとっては大変な影響力を与えるわけですね。だから、これ以上減反などをやらないような、そういう中で貿易自由化との調和をとっていくことが必要ではないかというふうに考えます。この点が一つであります。  もう一つは、今回の自由化に伴ってアメリカの意向というものは、たばこを国内で自由に売らせてくれ、こういうことですね。そうしますと、従前は、国内においては専売公社法に基づいて流通体制が確立されていた。小売認定その他でいくわけですね。それを外して自売方式でやらせてくれぬかというのが向こうの考えだ、こう言うのですね。  最近、たばこに対するいろいろな学説その他がありまして、人命との兼ね合いでやっていろいろあるものですから、たばこの消費も横ばい状況だ、こう言うのです。そういうときに大量の外国のたばこが入ってくる、それが自前の流通体制で総代理店か何か開いてやっていく、こういう意向のようだというのですが、そうなると、現行の専売流通体制というものに混乱が起きはしないかということが考えられるのです。この辺に対する考えをお聞かせ願いたい。
  63. 長岡實

    ○長岡説明員 御質問の三点についてお答えを申し上げます。  第一点は、外葉の使用率の問題でございまして、ただいまおっしゃいましたように、現状では、外葉使用率が大体三三%程度になっております。私ども、国産のいわゆる葉たばこ耕作農業を維持していくことが、専売公社の重要な役割りの一つであるという認識は十分持っておるつもりでございまして、何とか現在の規模を維持していきたいというふうに考えておるわけでございます。  でき得れば、もっと国産葉をたくさん使用すべきではないかという御趣旨の御質問だったと思うのでございますが、戸田委員承知のように、たばこにつきましては、アメリカと比べました場合に、一つは気象条件の関係でどうしても、品種の改良あるいは耕種改善その他技術的な面でもいろいろと努力を重ねておりますけれども、正直に申し上げまして、味と香りの面でもう一つかなわない点がございます。  それから、日本農業の宿命と申しますか、経営規模が小さいために、主としてその理由で、価格もアメリカの葉たばこに比べますと割高でございます。したがいまして、できるだけ安い価格で味のいいたばこをつくって、競争激化が予想されるアメリカたばこ等に負けないようにしていくためには、どうしてもある程度外国の葉っぱを使わざるを得ないという宿命にあるわけでございます。ほっておきますと外葉がふえる可能性がある。しかし、私どもは、何とか外葉をふやさないで現状の率を維持することによって国産葉の使用も図っていきたいということを考えているのが現状でございます。正直に申し上げまして、国産葉の使用率を高めることはなかなかむずかしいと思いますけれども、今後の努力といたしましては、国産葉をたくさん使用した銘柄で国民皆さんに喜んで吸っていただけるような商品の開発には、全力を傾けてまいりたいというふうに考えております。  第二点の、葉たばこ耕作面積の問題でございますけれども、これも御質問で御指摘がございましたように、五十七年産の葉たばこをつくりますための五十六年夏に開かれましたたばこ耕作審議会におきまして、約五千ヘクタールに近い大幅減反をお願いいたしたわけでございます。  そのときの議論といたしまして、毎年大きな減反が行われるということは、葉たばこ耕作農家にとっては大変経営が不安定になるという御指摘がございまして、約五千ヘクタール近い減反というのは、やや長期的に見て需給が均衡する、これ以上葉たばこの在庫がふえないような面積というものを求めたわけでございます。したがいまして、私どもは、来年度以降もこの面積を簡単に動かすわけにはいかないという考え方を基本に置いて考えてまいりたいと存じます。  それでは、耕作面積は一切現在のままで据え置くのかということになりますと、これは、私どももそういう努力はいたしますけれども、いろいろの事情によって、仮に在庫がどんどんふえていくというような事情が出るような場合には、また御相談を申し上げなければならないというふうに考えております。  第三点の、小売組織の問題でございますが、御承知のように、外国、主としてアメリカから日本の市場にもっともっとたばこを輸出させろ、要するに、輸入たばこをふやせという要望が非常に強く出ております。その要望の中で、日本の国内市場におけるたばこの売り方が非常に閉鎖的であって、いわば一種の非関税障壁のようなものである、もっと自由に売らせろという要望が強いことも承知いたしております。  そのようなアメリカ側の要請に対しては、私どもも、その要請を無視するわけにはいかないと存じます。いろいろと検討いたしておりますけれども、ただ、その検討に際して根本的にわれわれが忘れてならないのは、流通秩序が混乱してはいけない、それから既存小売人に不安を与えてはいけない、この二点を十分念頭に置いて、どういう流通制度を求めるべきかということを考えてまいりたいというふうに存じております。
  64. 戸田菊雄

    ○戸田委員 総裁、ありがとうございました。  最後になりますが、国税庁の酒井次長の方にお伺いします。  私、去年もこれを取り上げたのですが、国税庁職員の管理政策の問題について、余り時間がありませんから、端的に申し上げますが、昨年、五十七年度では二十七名の増、ことしは新規増が五百九名で、第六次削減で退職が四百九十八名、プラス・マイナス十一名の増、これしか入っていないのですね。だから、この前もいろいろ税務職の繁雑その他指摘をしたが、業務量が相当ふえているのです。それは、コンピューター導入その他機械近代化もやっていましょうが、しかし、まだまだ、この業務量からして見れば要員というものは非常に少ない。  そういう状況でしたから、昨年渡辺大蔵大臣にも、これはやはり画一的に全部公務員を一%減らしていけということは機械的で、そういうものは妥当じゃない、だから十分弾力的に考えますよ、こういう話だったけれども、ことしは去年二十七名だったのが十一名ですから、結局十六名も減少している。業務量はふえているでしょう。だから、こういう点についての定員配置について妥当性を欠いているのではないだろうか、これが一つです。  それからもう一つは、最近チョンガー生活に追いやられている職員がいっぱいいる。時間がないから詳しいことはデータで申し上げませんが、私の調べたところでは、ちょっと間違っている点もあるかもしれませんが、最高で五年ぐらい家族から離れて遠隔地でもってチョンガー生活をやりながら執務をとっているというようなこと、それが生涯三十年ぐらい勤めるということになると、多い人で三回ぐらいやられているのがあるそうですね。そうすると、三十年の中で十五年もチョンガー生活をやらなければならない。そうすると、二重生活、子供の関係やいろいろあって、とても生活設計が成り立たぬというのですね。だから、最近非常に病弱者も多い、あるいは罹病率も高い、そういう状況が多発しているのですね。具体的に問題はありますが、きょうは個人の氏名は出しませんけれども、こういった問題について、もう少し厳格にやってもらう必要があるだろうというふうに考えます。  だから、私の考えを言えば、大体二年サイクルぐらいで、そしてやはり総体の生涯計画の中で、せめて七割程度は家族と同居できるような生活でなければいけないのじゃないだろうかという気がいたします。これは、何も妻帯者だけじゃないですよ。各職員に言えることだと思います。そういう点でひとつ十分検討していただきたいと思いますが、本問題についてどういう考えを持っていますか。
  65. 酒井健三

    ○酒井政府委員 お答え申し上げます。  最初の定員の件でございますが、先生指摘のように、五十七年度においては二十七名の純増が認められ、五十八年度につきましては、十一名の純増が認められたという数字になっております。  純増の数字が前年より少ないのじゃないか、これは御指摘のとおりでございますが、年々、厳しい財源事情等も考慮して、定員管理というのが厳しくなってきている。それからもう一つは、五十七年度の場合には、グリーンカードの実施の準備というような配慮もあったかと思います。  しかし、いずれにしましても、私ども執行当局としては、年々課税対象が増大してまいりますし、取引も広域化、複雑化、国際化してまいりますので、そういうような環境のもとで、国税職員の増員につきましては、従来から、関係方面に強く要望し、理解を求めるように努力をいたしております。私ども、課税の充実、公平確保のため、事務の合理化とか効率化というのを一生懸命やっておりますが、なかなかそれでは追いつけないのが現状でございます。定員の配分も、厳しい定員管理の中で相当の御配慮はいただいておりますが、私どもとしては、必ずしも十分とは言えないかと思います。しかし、諸般の情勢を考えれば、やむを得なかったかという気もいたします。  今後につきましては、私ども、事務の合理化とか効率化等にさらに努力をいたしますが、やはり私どもの仕事というのは手作業の仕事、入力に頼る仕事でございますので、国税職員の増員につきましては、今後ともより一層関係方面に十分な理解を得られるように努力してまいりたいと存じております。  第二点の、単身赴任の職員が非常に苦労しているという御指摘、まことにごもっともでございます。特に、先生の御出身の東北の方では、地理的な状況、交通状況等によりまして、単身赴任の比率が高いのも事実でございます。  私ども、職員の異動に当たりましては、個々に身上の希望とか健康等を的確に把握しまして、できるだけ個人的事情に配慮をすることにいたしておりますが、しかし現実の問題として、勤務官署が各地に所在しているということや、あるいはまた公務上の要請ということもございまして、結果的に、単身赴任や転居を要する職員がある程度発生することはやむを得ないかというふうに考えます。これらの場合には、宿舎の確保とか、単身赴任の期間が長期にわたらないようにきめ細かな配慮をしております。  単身赴任の期間をたとえば二年程度をめどにするというような考え方もございますが、各国税局管内の地理的条件や職員の年齢構成等に差異もございまして、なかなか一律的な運用は困難な状況にございますが、今後とも、公務上の要請の許す限り、職員の身上等に十分配意してまいりたいと存じております。
  66. 戸田菊雄

    ○戸田委員 ちょっと時間をオーバーしまして申しわけありませんが、三十秒で終わります。  次長、後で具体的資料で一度時間をかけてやりますので、それまで、関係資料をそのうち要請しますので、その資料を出していただきたいと思います。後で連絡します。  それから、主税局長に一点だけ。  昨年ここで渡辺大蔵大臣が、パートタイマーの課税最低限七十九万円、これは来年必ず底上げをしますよと約束をした。私たちは、九十五万円が当面至当であろう、こう考えておりますが、この点はどこを見ても出ていない。これは、まさに公約違反じゃないかと思いますね、この場で大蔵大臣は、来年やりますと約束したのですから。これはどうですか。
  67. 梅澤節男

    梅澤政府委員 いわゆるパートタイマーの課税の問題につきましては、従来、当委員会で長年にわたって御議論があることは承知いたしております。現行七十九万まで事実上配偶者控除の対象になりますし、御本人も税金がかからないという水準になっておるわけでございますが、これの引き上げという問題につきましては、御要望の点について、私ども、その背景については十分理解を持っているつもりでございますが、税制の問題といたしましては、やはり基本的に現在の人的控除の体系、場合によっては課税単位をどうするかという基本論にもかかわる問題でございますので、いずれにいたしましても、五十八年度の税制改正の税制調査会の答申にもございますように、今後早い機会に所得税の基本的な見直しというものが作業の日程にも上っておりますので、それとの関連で議論あるいは検討していただくという段取りということでございまして、五十八年度の税制改正においてこれが実現できなかったということは、何とぞひとつ御了解賜りたいと思います。
  68. 戸田菊雄

    ○戸田委員 われわれも、今後この制度の欠陥については十分検討して逐次出していきたいと思うので、これは十分ひとつ検討していただきたい。  終わります。ありがとうございました。     ─────────────
  69. 森美秀

    森委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、金融及び証券に関する小委員会において、金融及び証券に関する件について参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 森美秀

    森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明十六日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十二分散会