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1983-03-02 第98回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二日(水曜日)     午後一時二分開議  出席委員    委員長 森  美秀君    理事 大原 一三君 理事 粕谷  茂君    理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君    理事 鳥居 一雄君 理事 米沢  隆君       今枝 敬雄君    上草 義輝君       木村武千代君    熊川 次男君       小泉純一郎君    笹山 登生君       志賀  節君    椎名 素夫君       白川 勝彦君    津島 雄二君       平泉  渉君    藤井 勝志君       森  喜朗君    森田  一君       柳沢 伯夫君    山崎武三郎君       与謝野 馨君    阿部 助哉君       塚田 庄平君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    武藤 山治君       柴田  弘君    玉置 一弥君       正森 成二君    蓑輪 幸代君       小杉  隆君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      塩崎  潤君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      田中誠一郎君         大蔵政務次官  塚原 俊平君         大蔵省主計局次         長       窪田  弘君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君         大蔵省理財局長 加藤 隆司君  委員外出席者         大蔵省造幣局長 石川  周君         大蔵委員会調査         室長      大内  宏君     ───────────── 委員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     津島 雄二君   平沼 赳夫君     上草 義輝君   毛利 松平君     志賀  節君 同日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     平沼 赳夫君   志賀  節君     毛利 松平君   津島 雄二君     麻生 太郎君     ───────────── 二月二十八日  大企業優遇税制是正等に関する請願野坂浩賢紹介)(第一〇一四号)  同(藤田高敏紹介)(第一〇一五号)  同(八木昇紹介)(第一〇一六号)  同(井岡大治紹介)(第一〇四四号)  同(上坂昇紹介)(第一〇四五号)  同(中村茂紹介)(第一〇四六号)  同(森井忠良紹介)(第一〇四七号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第一一三二号)  同(加藤万吉紹介)(第一一三三号)  同(村山喜一紹介)(第一一六二号)  同(山口鶴男紹介)(第一一六三号)  みなし法人課税制度期限延長に関する請願河野洋平紹介)(第一〇四三号)  税制改革に関する請願玉置一弥紹介)(第一〇八一号)  同(中野寛成紹介)(第一〇八二号)  同(西田八郎紹介)(第一〇八三号)  同(宮田早苗紹介)(第一〇八四号)  同(横手文雄紹介)(第一〇八五号)  同(吉田之久君紹介)(第一〇八六号)  同(市川雄一紹介)(第一一一〇号)  同(中井洽紹介)(第一一六〇号)  同(三浦隆紹介)(第一一六一号)  塩専売制度維持に関する請願鈴木強紹介)(第一一〇八号)  一兆円所得減税に関する請願伊藤茂紹介)(第一一〇九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  造幣局特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出第一一号)      ────◇─────
  2. 森美秀

    森委員長 これより会議を開きます。  造幣局特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。阿部哉君
  3. 阿部助哉

    阿部(助)委員 初めに、大変初歩的な質問でございますが、財政法十三条で「国の会計を分つて一般会計及び特別会計とする。」こう定めておるのでありますけれども、その理由はどういうことなのですか。
  4. 窪田弘

    窪田政府委員 財政法十三条にございますとおり、「国が特定事業を行う場合、特定資金を保有してその運用を行う場合その他特定歳入を以て特定歳出に充て一般歳入歳出区分して経理する必要がある場合に限り、法律を以て、特別会計を設置するものとする。」とございますので、こういう場合に特別会計を設けて区分経理をしているわけでございます。
  5. 阿部助哉

    阿部(助)委員 財政は統一的な会計原則ということで、できるだけ一般会計で、特別会計というものは設けない方がいい、こういうことなのでしょう。
  6. 窪田弘

    窪田政府委員 簡明という点からいきますと、そういうお考えもあろうかと思いますが、昨年暮れの臨調の部会報告にもありますように、事柄の性質上区分をした方がわかりやすい、そういう場合には、むしろ特別会計を設けた方がいいという場合もあろうかと思います。
  7. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それはそうだと思うのですよ。だから、特別会計というものも例外的というか認めておるのだろうということであって、私の意見と違うわけではないのでしょう。一般会計でなるべく統一的に明快に国民にわかりやすいようにした方がいい、特別にやらなければいかぬし、やった方がよりいいという問題もあるでしょう、だけれども、できるだけ統一的会計原則というものにのっとってやった方がいいだろう、こう私は言っておるわけで、私の意見と違うのですかな。
  8. 窪田弘

    窪田政府委員 そのとおりと考えます。
  9. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この特別会計を設ける理由は、独立採算制によって自己責任において経済的な財政処理を個別に行わせるためであります。いまお答えのとおりであります。したがって、資金運用やその剰余金というものの活用が認められておる、造幣局特別会計もまたこの趣旨でつくられた、こう思いますが、どうですか。
  10. 窪田弘

    窪田政府委員 造幣という事業を行うためにつくられているものでございまして、お話のとおりと思います。
  11. 阿部助哉

    阿部(助)委員 造幣局特別会計を見ると、たとえば五十六年度決算では、歳入総額百九十六億円のうち、八七・五%に当たる百七十一億円がいま問題となっておる補助貨幣回収準備資金からの受け入れ額であります。このように、自己資金の積み立ての運用益による特別会計財政処理は、特別会計制度を設けた趣旨からいって当然だと思うのですが、なぜ取り崩しを行わなければならないのか、その理由を述べていただきたいのです。
  12. 窪田弘

    窪田政府委員 造幣経費補助貨回収準備資金から繰り入れていることは、御指摘のとおりでございます。  これは、補助貨の発行により得られた利益あるいはその積立金運用により得ました利益から、この造幣経費を支弁するという趣旨でございまして、現在は補助貨流通額と同じ額を資金として積み立てておりますが、しかし、そこまで積み立てなくてもこの造幣経費を賄うには十分であるということで、最小限必要な流通額の一〇%程度を置いておけば、造幣経費あるいは回収に必要な経費を賄えるという見込みのもとに、その残余を今回取り崩させていただくことにしているわけでございます。
  13. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そういう理由はことし初めてつくのですか。昨年はそういう事情ではなかったのですかね。
  14. 窪田弘

    窪田政府委員 実は昨年、この積立金を取り崩して減税に充てたらどうかという御指摘がございました。  しかし、この資金そのもの貨幣に関する制度にかかるものでございますので、軽々に手をつけがたいということ、あるいは、この資金そのもの運用部に預託されておりまして、これを使う場合にはそこから崩してこなければならない。さらに、減税ということになりますと、その影響が後年度まで続くわけでございますが、この積立金多額に取り崩し得るのは初年度だけである、多額を使えるのはほぼ一回だけである、こういう事情によりまして、私ども、これを減税財源に充てることは適当でないという意見を申し上げていたわけでございます。  しかし、それに対しまして、この多額のものをそのまま置いておくのはどうか、もっと発想の転換をしたらどうかという御指摘が再々ございまして、私ども、昨年の六月に今後の財政運営についての課題をいろいろ検討いたしまして国会にお出しいたしましたペーパーにも、この回収準備資金の取り崩しを一つ検討課題として初めて取り上げさせていただいたわけでございます。その後、財政制度審議会にお諮りするなど慎重に検討をいたしました。また、五十八年度財政事情には五十六年度の欠損の補てん、穴埋めという臨時の一時的な事情がございましたので、この際、あえてこれを取り崩してそういうものに充てようということで決断をした次第でございます。
  15. 阿部助哉

    阿部(助)委員 皆さんは、昨年こう答弁しておられるのは記憶があるでしょう。あなたは「いわば政府に対する一つの規律を課している制度だと思います。それが補助貨信認を維持しておると思います。そういうことから、幾らでも欠けてもいいんじゃないかということは絶対に申せません」、絶対に申せないと、こういうことなんだな。これは貨幣信認上、それを崩すということは絶対に許されないんだという意味のことを言っておられるのだな。ところが、ことしは「現在の厳しい財政事情のもとで、改めてこの制度のあり方について見直します」と、提案理由説明になっておる。  昨年、あれだけ減税問題が問題になった。そうして議長裁定までやって小委員会をつくった。その小委員会の問題は、もう皆さん承知のように、小委員会では、減税すべきだ、だけれども財源がないからこれはできなかったということなんでしょう。お礼に色はないのですよ。一応それを財源にして、ことしはことしなりの予算を組むということができないはずがない。昨年は、あれだけ皆さん貨幣信認だとかそう言いながら、ことしがらりと変えるというのは、これは大臣にお伺いするけれども政治不信を招くんじゃないですか。せめて五年か六年たった上で変えるというなら、これはまだわかりますよ。昨年はあれだけ頑丈に言って、しかも予算委員会で、あなたが大体自民党代表でつくられたみたいに、私は予算理事だったんだけれども、中長期に減税するみたいな話で、五十七年度も含みますよというような話で、しかも議長にまで問題を預け、小委員会まで開いてやって、なおかつ財源はありません、だからこれはだめだと言ったんじゃないですか。議長権威もなくなる、そうして与野党話し合いも踏みつぶす。そうして、なおかつやらないで、出さなかった金を運用部へ使っておるとか、いろいろな理屈をこねれば切りがありませんよ。  しかし、昨年あれだけ言っておいて、ことしがらりと手のひらを返して、ことしは崩しますというのじゃ、もうこれは政治そのもの不信の問題であって、私は、正直言って、これを取り崩すということにそれほど抵抗を感じませんよ。だけれども、そういう御都合の問題ではなしに、政治の姿勢の問題として私は何としても理解ができない。昨年はこう言いました、ことしはこうでありますと、手のひらを返すようなことは、国民を愚弄するものだし、政治家信念としてこれは許されない問題だと私は思うのですが、大臣、どうです。
  16. 竹下登

    竹下国務大臣 阿部委員の御質問は、私もそれなりによく理解できます。  御案内のように、昨年あのような経過を経まして小委員会ができた。小委員会の中で、いまおっしゃったような結論になりました。が、その大筋の背景は、恒久税制によることと、それから赤字国債はやらないことと、そういうある種の合意の歯どめの中で議論がされて、したがって、最終的に財源合意を見ることができなかった、これが中間報告の骨子であろうと思います。その段階において、これの取り崩しの議論があったことも承知をいたしております。したがって、当時まさにお答えをしたような考え方でお答えし、昨年の六月、初めて今後財源探しの中の一つとしてこれがございますということをペーパーでお出ししたわけであります。したがって、それを種々検討した結果、とにかくある種の一過性財源としてこれに着目して、そうして五十六年度に生じたものに対するお返しをする財源に充てよう、こういう結論になった。したがって、やはり一生懸命に探し当てたものであると思います。  と同時に、その間われわれとして、一番政治的に悩む問題といたしましては、この資金性格性格として、やはり先輩蓄積である、だから政治家としては、先輩蓄積を安易に取り崩すことと、いわゆる後世の納税者に負担をそのまま残すことと、この二つは大変考えなければいかぬことでございますが、しかし、やむにやまれず、いま一過性財源としてこれを使うことになった。その使い方の先が、私どもは、五十六年度に生じたものに対する借金返しに使わしてください、阿部先輩は、それよりも減税財源等に使えばいいじゃないか。そこのところは意見の分かれるところでございますけれども政治家としてある種の良心苛責を感ずるかとおっしゃれば、そのとおり、私も、先輩蓄積を取り崩すということにある種の良心苛責感じたということは、これは否定をいたしません。
  17. 阿部助哉

    阿部(助)委員 まあ、先輩蓄積云々というのは、それはわかります。しかし、良心苛責がありますというだけでは、政治は済まされない問題だと思うのです。  大体、近ごろの政治というものは余りにも無責任過ぎて、大臣や何かが自分の言ったことに責任をとろうとしない、自分のやったことに責任をとろうとしないところに、私は一番問題があると思う。だから昨年の答弁で、財投に使っておっていまだめなんですというだけならば、これは私はわかります。では、ことしは新しい予算を組むときに財投から外すということは、これは理解できないことはない。  だけれども、昨年はこれだけ、やれ貨幣信認であるとか、絶対にどうだこうだという、事ほど明快に答弁をしておって、ことしになったら手のひらを返すように、新しい厳しい財政事情。厳しい財政事情は、ことし始まったわけじゃない。昨年も同じなんです。それで、厳しい財政事情でことし取りつぶす、そのかわり、来年は財政はしゃんとするんです、だから、ことし一過性のものとして認めろというなら、これもまた、百歩譲って私は理解しないではない。  だけれども、私が一番申し上げたいのは、取り崩す、取り崩さぬという問題よりも、昨年言ってことしと言えば、時間があるようだけれども、きのう言ってきょう、この前の国会で断っておいて、次の国会ですぐ取り崩すというような、余りにも手のひらを返すようなやり方、私は、そこに一番問題があると思うのであって、政治として、みんな何か失敗しては、良心苛責があります程度で、国民竹下さんの心の中まで見えないですよ。何か形あるものでこれを証明してくれなければ、私は良心苛責感じておりますなんという程度で、こういう手のひらを返すような発言は、国会の場で正式に言った場合には私は問題があると思うのですが、その辺はどうなんですかな。良心苛責だけを感じます程度で、国民は納得しますかな。
  18. 竹下登

    竹下国務大臣 国会答弁、昨年言った答弁、そして経過的に申しますと、手のひらを完全に返さないで、あるいは返すこともあり得べしというので、昨年の六月、資料を御提出を申し上げた。そして、その後各般の議論を重ねて、今日このようなことを法律改正の形で御審議をいただいて、御了解を得ようとしておる。こういう経過になるわけであります。  だから私自身は、現行制度政策というものは、言ってみれば国民の選択の積み上げの中に存在するものだから、それを、ありがとうございます、こう言って、先人蓄積を使うときには済みませんという感じがするということを素直に申し上げたわけであります。しかし、先人といえどもまた、その先人蓄積というものが後年度に対するいささかの役に立てばまたお許しいただけるだろう、こういう気持ちもございます。  ただ、政策というものが、手のひらを返すがごとくかごとくでないかという問題は主観の問題にいたしましても、国会において絶えず厳しい監視を受けて議論をしていただいて、そして、その都度身を引き締めて政策遂行に当たるのであって、阿部さんが手のひらを返すような政策だと言われれば、それはそれとしてやはり真剣に受けとめるべきことであるが、今日御提案申し上げて御審議いただいておるというわれわれの御説明の中にも、不合理なものばかりでなく、それなり苦心惨たんの跡の、合理性の追求が法案審議をお願いするという形になってあらわれておる、こういう御理解をいただくしかないなと思っております。
  19. 阿部助哉

    阿部(助)委員 昨年は予算委員会があれだけもめまして、竹下さんは自民党代表でおいでになって、何かやられて、それで議長のあっせんで小委員会までつくっておやりになったんでしょう。  そのときに、結論としては、財源がないということで国民の期待するような減税はできなかった。ただ、与野党だけの問題というのも問題あるけれども議長の手まで煩わして小委員会をおつくりになった。そのときに財源がありませんなんと言う。恒久的とかどうとかということは、これは何も金に色がついておるわけじゃないのですから、そこで恒久的な減税をやって、ことしの予算それなり財源を組めばいいことであって、私は、大臣答弁はいただけないのでありますけれども、それならば、もう少し提案理由や何かにちゃんとしなければ、昨年はこれだけはっきりと貨幣信認だとか言いながら、ことしこうやってくる。何か野党の意見というものは、ただ言いっ放しで、聞く耳持たないみたいな形でおられるんじゃないだろうか。余りにも政府はわがまま過ぎるんじゃないだろうかという不満を、正直言って私は感ずるわけです。  せめて、二、三年検討したけれども、これは余り必要ないからというなら、これもまたわからぬではない。だけれども、去年あれだけ明快にだめでございますと言っておいて、ことしすぐに変えるというのは、政治というものが余りにも国民にはわかりにくいものになるんじゃないだろうか。繰り返すようだけれども、ここで発言されたそのものは、やはり重大な国会での正式な答弁は、それなり権威を持たしてもらわないと困るということを私は申し上げておるのであって、その点では、いまの大臣答弁は、私にはどうも理解ができません。
  20. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、とどのつまりを言えば、主観相違ということにもなるでございましょう。しかし、国会における政府答弁綸言汗のごとし、私もそう思います。また、議長裁定というものは、これまた綸言汗のごとし、こういうことも承知をいたしております。が、その経過減税財源としてこれを議論したときには、まさにこれは恒久税制によろうじゃないかという小委員の専門の皆さん方のお話し合いがあったということを申し上げたまででございます。  したがって、この問題につきましては、まさに二、三年検討をした結果、あるいは国会でも問答したりした上で、やむを得ぬというならば理解ができないこともないがという、いわば御寛容な御発言もございましたが、その二、三年がちょっと一年に縮まったというような形で御理解をいただかざるを得ないのかな、これは私の学校の先輩でもあります阿部さんに対する、いささか甘えの感じも含めて申し上げたお答えになったというふうに思います。
  21. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そう言われれば、後はもう言いませんがね。だけれども、やはりお互い政治というものが国民に信頼を受けるためには、私はもう少しちゃんとしてもらいたいと思うのです。余りにもこれじゃおかしいし、主観相違とおっしゃるけれども理解ができないのは私だけじゃないと思います。  それで、恒久税制云々とおっしゃるけれども、昨年減税して恒久税制をやればよかったんですよ。それで、ことし予算のときにそのままでいけばいいんであって、私は、こういう御都合主義のことをやっておるから、財政は今日のような危機的な状態に入ってきたと思うのであります。私は、財政がこう混乱をしてきたときには、やはりもう一遍お互い原則に立ち返って、財政法原則に立ち返るということが必要なんだと思うのですが、何か最近は財政法はめちゃくちゃになってきたんじゃないか。  私は、予算委員会でも、ある意味で毎年同じ質問をした。大出君は、阿部さんの予算委員会の記録を見ると、同じことばかり言ってきたと言うから、そのとおりだ、私は政府が直るまで十年でも続けて同じことを言うんだ、しかし、同じことを言うのは、同じ質問をしておるというのは余り楽じゃないものなんですよ、本当は。これは楽じゃないですよ。だけれども、私は、財政法特に財政法四条なんというものは、戦後の戦争の反省の上にできた、ある意味で言えば平和憲法を保証するものだとあの制定者が述べておるように、私は、やはり財政法というものは大変厳密な、厳しい法律だと思います。確かに日本の財政法は厳しい法律だと私は思うけれども、こういうときこそ原則に立ち返るべきなんだ。ところが御都合主義で、何かあっちからこっちからやってみるというようなことばかりやられたんでは、私は、財政は立ち直るなんというものじゃなしに、ますますおかしなところへいってしまうんじゃないかという不安を持っておるだけに、私は、原則的なことを言い続けてきたわけです。  そういう点で、こういうことをやりながら財政がよくなるというめどを一体大臣はどうやってつけられておるのですか。皆さん中期見通しだとか何かあんなものを出したって、あれも大体私が予算委員会で、返済計画を立てなければならぬと言うから返済計画を出せと言うが出さない。そのかわりに、あの中期見通しみたいなものが出てきたのであって、あんなもの、皆さんが出したもの一つも当たったためしがない。あれぐらいよく見通しが外れたら、もうこの辺でああいうのは出さない方がいいんじゃないかと私は思っておるんで、そういう点で、何か原則をみんな外してしまっておる。私は、こういうことをやっておって財政見通しが立つだろうか、立っておるんだろうかという不安を持っておるのですが、いかがです。
  22. 竹下登

    竹下国務大臣 財政法の御議論阿部さん毎年予算委員会でやっていらっしゃる、それは存じております。そのとおりです。それはやはり事ほどさように、国家財政に対する自分信念を引き続き披瀝していらっしゃるから、またお互い国民の信をつないで国会にも存在しておるわけでございます。したがって、そのことは大いに評価してしかるべきことであると私も思っております。  ただ、いろいろな議論を重ねる中に、結局私どもも、予算編成、そして予算審議法案審議、いろんな資料をお求めに応じて出してまいりました。そこで、まず仮定計算に基づく収支試算を出して、それから中期展望を出して、そして今度は中期試算というふうなものを、その都度要求に応じて精いっぱいの工夫をして出してきております。で、それの試算というものが、一つ仮定の前提の上に等率、等差というようなものがあるだけに、確かに翌年比べてみますと、そこに大きな乖離が生じてきていることも事実であります。しかし私は、元来基本的には自由主義経済というものといわゆる計画経済というものとの差が、そういう主張とそれにこたえられない私どもの提案する資料との乖離というものにもなっておるというふうにも考えるわけでございます。したがって、立場は異なれどもそういう主張の中に最大公約数を見出しながら、いわば政治というものが、行政というものが継続しておる、それが議会制民主主義というものではないかな、こういう感じで私も日ごろ受けとめておるところであります。  そうして、されば今度は政府見通しというのは大変狂うじゃないか。かつて高度経済成長期に、私ども内閣官房等におっていろいろな統計を見ますと、民間の機関の誤差よりも政府誤差が非常に少ないといっていばっておりましたが、近ごろはちょっと逆な方向になっておることも、それは否定をいたしません。しかし、その中で、こういう御指摘なり御批判をいただきながら、それに精いっぱいわれわれの努力の範囲内において努力して資料提出したり、そうして質疑応答を重ねていくところに、それの最大公約数を政策として実行していくところに、やはり議会制民主主義というものの基本的な進め方があるのじゃないか、こういう感じがいたします。本来あれだけ御主張なすっておれば、それは立場を異にすれば、それこそまた違った政策選択も出てくるでございましょうけれども、そこのところまではまだいかないで、お互いの問答の中に国民それなりに許容する政策選択が行われて今日に至っておる、こういうことじゃないかなと思います。
  23. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いや、自由主義経済だとか財政民主主義ということになると、私、ちょっと意見が違うのですな。  財政民主主義とおっしゃるならば、私は、赤字の実情そのもの国民にもっとはっきりさせて、そうして国民にも理解をしてもらうような手を打つべきだと思うのです。減債基金の繰り入れの中止だとか、やれ独立採算制の骨抜きだとか、何かかにかみんなかき集める、私は、ちょうど戦争中の財政運営と似たものを感ずるわけです。もう何でもかんでも軍事予算のために金を集めてきてやった。そのことの反省があって、今日の財政法財政民主主義という点で厳しくできておると私は思っておる。ところが、今度は国民にはっきりさせない。何か赤字の圧縮のためにあらゆるものをかき集めてくるような形なんですね。  私は、本当を言うと、電電の金を持ってくるなんということをやるぐらいなら、料金を引き下げるべきだと思うのです。独立採算制。それならば料金を下げる。そうして取るべきものはきちんと税金で取るという、私は、つらいけれども国民にそれを訴えるのが政治家責任だと思うのです。ある意味で、それこそ男子の本懐じゃないけれども、ときにはそれも覚悟の上で、この非常事態の大蔵大臣というものを引き受けられたのじゃないか、私はこう思うのです。財政的にはまさに非常事態だと皆さん宣言しておる。基本的な権利まで踏みにじる。  私は、どうも最近の内閣は、中曽根内閣はわからぬですね。労働者のスト権という基本的な権利を抑えつけたのでしょう、皆さんは。そのために、この人事院勧告をやるということにした。これは、ある意味では基本的な権利だと私は思う。財政がどうだこうだというのは政府政策判断です。昨年よかったのかと言えばよくない。来年財政がよくなるかと言えばよくない。その政府の一方的な政策判断で労働者の基本的な権利を踏みにじるということは、私は、ある意味で独裁だと思う。武器輸出の三原則だって、国会で全会一致決めたものを政府が勝手にへ理屈をつけて、アメリカは別でございますなんという形でやられたんじゃ、理屈とこう薬はどこへでもひっつく、政府の勝手な解釈で、国会で解釈すべきものを政府が勝手にやるという最近の傾向を持っておるだけに、私は、こういう財政の運営のあり方そのものもまた、行政府余りにもわがままなんじゃないだろうか。  それが、いまこういう形で、昨年はやりませんと言いながら、ことしは手のひらを返すようにやってくるというところへ来た。財政もめちゃくちゃになってくるという点で、私は、竹下さんを責めたくはないけれども責任の衝に当たっておる大蔵大臣という重責を担っておるだけに、厳しくそのことを申し上げておきたいと思うのです。私は、そういう点で、余り便宜主義に何でもかんでもかき集めたりする財政はよくないと思うのです。大臣、どう思いますか。
  24. 竹下登

    竹下国務大臣 言ってみれば、歳入歳出というものが、一般的な税収の規模の範囲内、税収並びに税外収入とは言え、通常考えられる範囲内において歳出がこれに対応することができる情勢にあって物事が運ばれるのが私も好ましいと思っております。したがって、基本的にいまおっしゃった御意見は、いまの私の立場に対しての御叱正であり、御批判であり、これは私なりに十分受けとめてしかるべきことであると思っております。  しかし、そのような基本的立場を踏まえつつも、各般の情勢、この厳しい財政事情のもとにおいて少しでも、一過性のものであれ、とにかく財源を調達していく、その一つとして、昨年六月御提示以来いろいろな議論を重ねて今日に至ったものである、こういうふうにお考えをいただきたいと思っております。  いま、男子の本懐というお話もございましたが、私は、この職責の重大さは十分承知しておりますが、決して私が偉大なる能力があってこの職についたとも思っておりません。言ってみれば、希望者がないからだれか、あれならば断わらぬだろうというので、あるいは任命されたかもしれません。しかし、与えられた限りにおいては、自分の職責の重大性はかみしめながら、そしてその立場は異にするも、そのような批判にこたえながらこの職責を遂行していくというのが議会制民主主義であるのかな、こう思っておるところであります。
  25. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それじゃ、ちょっとさびしくなるですな。しかし、あなたは大変知恵者で、何ですか、一般消費税の場合も(仮称)なんというのをつけて固有名詞にしてみたり、私は、大変知恵者だとは思うんだな。あれは普通の人が読んだって、大蔵大臣、あの文章をすんなり読んで(仮称)をつけたので一体これはどういうふうになるのかなんというのは、私は、恐らく日本の国民の九割何ぼはあの文章を読んでわからぬと思うんだな。国会は妥協の場だから、妥協するためにいろいろわけのわからぬことを言って、そこであいまいな玉虫色にするのがみんなうまいのかもわかりませんがね。  私は、あの文章を読んで、なかなか一遍で理解できなかった。だんだん考えてみると、なるほどうまいことちょろまかしたものだ。これは(仮称)をつけて固有名詞にしたというあたりも、やはり竹下さんだ。昨年は中長期にわたって何とかやるなんて言って、これもまた、私はごまかされてしまったんだな。  そういうことを考えると、私は、竹下さんは大変知恵者だと思う。確かにそうだろうけれども、いま政治に必要なのは、そういうことじゃなしに、この財政の危機的状態のときに腹を据えてこの財政危機をどう処理していくかという、ある意味で先ほど言った男子の本懐というぐらいの気持ちで大蔵大臣を務めてもらわぬと、私は、日本の財政はまさにサラ金財政になってしまうだろうと思う。その基本を踏まえた上で、いろいろな弾力性や戦術を用いられるのは、これは結構です。しかし、その基本がどこにもなくて、何か場当たり式にあっち食い散らし、こっち食い散らしするようなやり方。国民にもっとはっきりと財政の実情を訴えて、本当は政治家がまず政治資金や何かの問題で姿勢を正す。そうすれば、公庫公団もきちんとすると私は思う。財界もまたきちんとすると思う。その上に国民にお願いをするという段取り、順序が必要だと私は思うのであります。そういうためには、やはり皆さんだけじゃない、野党のわれわれも身を正して、そうして国民の期待にこたえなければいかぬと思うのだけれども、何か、こういうその場、その場のやりくりだけが先行し、それがやりくりだけでやるということになれば、これは大臣、日本の財政も日本の社会もどうしようもならぬところに入るのではないだろうか。  実際言って、私は、この特別会計の金が貨幣信認上それほど重要だなんて思っていません、本当を言うと。それは思っていません。ただ、これを入れるのは構わないけれども、昨年あれだけのことを言っておいて、すぐことしやるということには、私は、何遍あなたたちの説明を聞いてもよくわからぬのだな。それならそれなりに、国会でも少しきちんとした話をしてくれないと、私は理解ができない。私たち昨年は間違いましたというなら、間違いましたでいいですよ。だけれども、昨年はこう言って、ことしになれば、よく検討してみたらなんという話をされたって困る。私は、この提案理由の文章、どうしても気に食わないんですな。  そうすると、昨年あれだけ減税問題で、先ほど来繰り返すように議長のところまで手を煩わし、そうして小委員会であれだけ時間をかけてやったにかかわらず、財源がありませんと言って野党の期待、国民の期待を裏切った。それだけ重要なこの経緯を通っておるときに、ことしはこれを入れてくるということは、どう考えても、その一点だけが私はわからないのです。  それだけに、私が質問に立ったのはその一点だけなんです。そのときには、やはり政治責任というか、その問題を明確にしてもらわぬと、これからここで論議をしたって何もならないと私は思うのです。野党の発言なんというものは、何の足しにもならないんじゃないか。せっかく野党からあれだけ提案があって答弁をしておられたら、そのことに対する釈明がまずきちんとなされた上でなければ私は困ると思うのですが、どうですか。
  26. 竹下登

    竹下国務大臣 阿部委員は、これを取り崩すこと自体については必ずしも異論を挟むものではない、それはかつてわれわれも減税財源としてこれを念頭に置いたことがある、そのときには、貨幣の持つ信用維持等からこれをいけないと言った。そして、いまはこれを、五十六年度のいわゆる歳入欠陥の後始末の返済に充てるというような考え方も含めて、これの取り崩しをした、だから大きな考え方の相違、ある意味において政策転換ではなかったか。私どもは、そういう意見があることは認めます。がしかし、事ほどさように財政状態が苦しいので、したがって、昨年の六月ではありますが、初めて本委員会においてもこれを財源として検討しておりますもののワン・オブ・ゼムとしてお示し申し上げ、そして種々検討を加えて今日に至ったという窮状をお察しいただきたい、こういう形でお願いをしておるわけであります。  したがって阿部さんの、あの当時のこれに対する基本的な答弁と今日の答弁とは大いに変化しているじゃないか、これは私も、それはそれなりにそう思いますが、事ほどさように厳しい財政事情の中で、私どもとしてこれに手をつけることとして御審議をいただいておるということも、また御理解をいただければ幸いのものではなかろうか。  男子の本懐という話もありましたが、私は、当時の時代を見ますと、政治家というものは基本的に大切なプリンシプルを持っていなければならぬけれども、おれについてこい、こういう時代ではなく、日本人ほど知識水準のすぐれた国民はいない今日は、むしろ、こういう国会の問答を重ねる中に一つの方向を模索していくというのが近代のあり方ではないか。ただ、その職責の重大性というのは、いかなる経過で私が大蔵大臣に任命されようとも、その職責の重大であるという認識だけは持っておるつもりです。適当に任期中務めて、はいさようならなどと思ってはおりません。
  27. 阿部助哉

    阿部(助)委員 もう終わりますけれども、ただ、民主主義になり、戦後の政治の中で一番欠けておるものは、責任をとるということを忘れてしまったんではないだろうか、何か民主主義というのは無責任時代になったんじゃないだろうか。私は、国民に対して一番責任のある政治家責任問題というものをきちんとしないというところに、一番大きな混乱の原因があるんじゃないだろうか、こう思うのです。  人間はいろいろ間違いがありますよ。しかし、そのときそのときにけじめをちゃんとつけて、そしてまた前進をするということが民主主義だと私は思うけれども、最近は、民主主義というものは政治の場では全く無責任時代になったんじゃないだろうか。何をやったって、何か法律で処罰をされない限りはのさばり返っておるような風潮があるんじゃないだろうか。そのことが今日いろんな犯罪、社会を混乱させておるもとじゃないだろうかという、これは私の感じであります。  だから、政治家がまず姿勢を正して、そして国民に訴えるというものがなくなったんじゃないか。どうも最近けじめがないですよ。だから、そのけじめをもっと、お互いに姿勢を正していただきたいということを私は要望して、終わります。
  28. 森美秀

    森委員長 午後四時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時四十九分休憩      ────◇─────     午後四時三十二分開議
  29. 森美秀

    森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。堀昌雄君。
  30. 堀昌雄

    ○堀委員 ただいま議題となっております法律案で、五十八年度に一兆一千六十三億九千三百万円一般会計に繰り入れるということになっておりますが、雑収入合計で三兆六千四百七億六千万円となっておるのでありますけれども、この中でことし限りの財源というのは一体どれなのか、要するに来年使えないもの、三兆六千四百億の中でことし限りのものを、ちょっと項目を挙げて金額の合計をお知らせください。
  31. 窪田弘

    窪田政府委員 いま突然の御質問資料をちょっとあれしますが、今回の特別財源対策で捻出をいたしました二兆一千億がそれに当たるわけでございます。  読み上げさせていただきますと、補助貨幣回収準備資金一兆四百二十九億円、外国為替資金特別会計四千六百億円、自賠責保険特別会計二千五百六十億円、あへん特別会計十三億円、造幣局特別会計四億円、産業投資特別会計百六十億円、日本専売公社からの納付金二千二十八億円、日本電信電話公社からの納付金千二百億円、日本中央競馬会の納付金五百億円でございます。
  32. 堀昌雄

    ○堀委員 私が伺っておるのは、要するに、今年限りで来年使えないものがそれなんですね。
  33. 窪田弘

    窪田政府委員 はい、そのとおりでございます。
  34. 堀昌雄

    ○堀委員 それの合計は幾らですか。
  35. 窪田弘

    窪田政府委員 二兆一千四百九十四億でございます。
  36. 堀昌雄

    ○堀委員 そうしますと、要するに、この前の決算調整資金を通じて五十六年度の決算処理をしたものだけに今回こういう雑収入を充てた、こういうことですね。わかりました。  そこで、この五十八年度の税収問題、これは、あわせて五十九年の税収にも関係をするわけでありますけれども、その中でまず基本になるのは、やはり今後の経済見通しの問題だと思うのであります。  私、この税収の過去の経緯を少し細かく調べてみました。結局、五十六年、五十七年に非常に大きな穴があいたのは、主として法人税と所得税の見積もりの違いに基づいておるわけであります。法人税、所得税の収入というのは、この「税制改正の要綱租税及び印紙収入予算説明」という項目の中に、法人税についてはこういう形で計算をして計上しておるというのが出されておるわけでありますけれども、これは、もともと経済企画庁の方が鉱工業生産の見通しなりいろいろなものは提出をされておるのだろうと思うのでありますけれども、そういう基礎的資料、経済見通しが何%だから幾らという話ではなしに、やはりこれは積み上げでいろいろ措置がしてありますから、その基礎になる計数が違っていたということなのか、あるいは主税局がいまの基礎資料をどう使ったのか。  なぜ、こういう大きな法人税、所得税の見込み違いが起きたのかということを、企画庁に責任ありとすればその企画庁が出した、何%という話じゃないですよ、成長率何%の話じゃなくて、基本的な鉱工業生産指数の伸び率とか卸売物価の伸び率とか、この資料を見ると、そういうものをかけ合わせてパーセンテージを出して伸ばしておるということになっておるわけでありますから、そこのところは、一体企画庁に責任があるのか、大蔵省側に責任があるのか。これはわずかなギャップではないのであります。  これは大変大きなギャップで、これまで私も過去の状態をずっと調べてみましたけれども、少なくとも法人税について見ると、決算ベースで見ているわけでありますけれども、五十四年度と五十五年度の決算ベースにおける法人税の増加分というのは一兆五千三百六十八億、今度はそれが五十六年になると、法人税収入が千二億の減、五十七年、これは当初でなしに補正後だけで調べておりますけれども、これで見ると伸び率が二千三百三十五億という、ごくわずかしか現実に起きてないにもかかわらず大きな見通しを立てたものでありますから、五十六年においては二兆八千九百五十億という大きな補正をしなければならぬことになった。どうも私は、法人税というものが非常に簡単なメカニズムで計算されておって、どうしてこんなことが起きるのか何とも納得がいかないので、ひとつ企画庁、事務当局よりはやはり長官がこういうのは一番御専門でありますから、まず長官の方から、企画庁はどうなのか、主税の方は主税局長で結構ですから、お答えをいただきたいと思います。
  37. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 税収見積もりの方法、大分忘れかかりまして答えることが大変むずかしいような気がいたすわけでございますが、せっかく私の恩師でございます堀先生が御質問でございますので、三十年来の御恩顧にこたえて、私の知れる範囲の御答弁をさせていただきたい。  主税局から提出されました「税制改正の要綱 租税及び印紙収入予算説明」の十一ページの現行法の見積もりを見ていただきますれば、おっしゃるとおり、まず鉱工業生産の四%が基準になり、それに物価の一%、これも卸売物価が中心だと思います。そしてその相乗積で五%を見た。これを前年税額に所得率による調整を一〇〇%に見て五、こういうふうな計算をして出しているのが、これまでの慣例でございます。  そこで、五十六年度にそのような計算をいたしました際に、私は、当初の見積もりが実績に比べて高かった、これが確かに見積もりを狂わせた一つの原因だと思うわけでございます。五十六年度で申し上げますれば、当初の名目は九・一であった、実績が五・五であった。そして鉱工業生産は、五十六年度の当初が五・三であったのですけれども、実績は三・七であった。卸売物価は当初が四・一であったのが実績では一・四、これの差異が出てきたと私は思うのでございます。  そこで、そんなことを言えばみんな企画庁が責任かというと、それはそうではないと私は思うのであります。それは、わざわざ所得率等による調整一〇〇%と見ておるのでございます。私は、ここに大蔵省主税局のきわめて精緻な、眼光紙背に徹するところの見積もりがこれまであった。しかし、長年の利益状況から見て、この所得の調整の見方が大変むずかしい。したがって、これを一〇〇としてきたこと、これが一つの原因であるというふうに私は考えるのでございます。しかし、なかなかこの所得率の見方がむずかしい。私どもも過去にやっておりまして、この見方がむずかしいために相当なそごを来していることはもう何回も経験いたしましたので、その点だけを申し伝えさせていただきたい。  そのほかに、たくさん言いたいことはありますけれども、まず第一に、そんな程度から始めさせていただきます。
  38. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、ちょっと主税局に聞きますけれども、私、過去のこれを見ていて、所得率が一〇〇でないというのがありましたか、ちょっとあったら教えてほしいのだけれども
  39. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 詳細には後で資料で申し上げますけれども、毎年一〇〇ではございません。一〇〇を割っているときもございます。
  40. 堀昌雄

    ○堀委員 それは、何年が幾らだったか、過去の方は余り調べていませんから、先へ行きますから、調べておいてください。  そこで、いまのその問題にちょっと入りましたから、ことしは、ここで生産が四%程度、物価が一%程度、こうなっておりますね。そして、今度は一番後ろの二十三ページに、ことしの「主要経済指標の見通し」というところがありまして、そこを見ますと、五十八年度見通しは、鉱工業生産は四・四%程度、それから卸売物価の方は一・一%程度、そういうふうになっておりますね。これも、ちょっとここは四%と一%ですから、端数は切り捨てたということでいいのかもしれませんが、その前の方に、五十七年度の実績見込みは鉱工業生産は一%、そして卸売物価が一・六%、こういうふうになっているのですね。これを掛け合わせてみると、実は皆さんの方が補正を組まれた時期にこの見通しは発表されているんだろうと思うので、これは補正に関係があるというふうに私は見ているわけでありますけれども、この五十六年の法人税の決算額は八兆八千二百二十五億、五十七年は九兆五百六十億、そうしますと、五十六年の決算額と五十七年の決算額を割り算をしてみると、二・六%の伸びになっているわけでございますね。  そして、今度は五十八年の方は、この補正後と五十八年の税収見込みでは四・八%、ここで書いてある五%程度になっているのですが、ちょっとここのところの二・六、実績見込みでこの程度の低さならば、それでこういうかっこうなら、もうちょっと片一方が高くなるのか、ちょっとこれはバランスがとれてないような感じがするのですね。実はこれは同じ時期に発表されておるもので、補正も含めての処理ですから。そこはどうしてこういう補正額になったのか、ちょっと……。
  41. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 若干細かい御説明になるのでございますけれども、まず法人税収を見積もります場合に、先ほど企画庁長官がおっしゃいましたように、マクロ的な手法といたしまして、企画庁でおはじきになりました経済見通しにおける鉱工業生産、それから卸売物価、小売物価。物価は卸売物価と小売物価につきましてウエートをつけまして計数を出します。それに所得率を乗じているわけでございますが、その場合に、機械的にそういう手法をとっているわけじゃございませんで、特に所得率は各年度によっていろいろ数字が変わってございます。  先ほどの御質問がございましたので、関連で先にそれを御説明申し上げますと、最近の年度におきまして所得率が一〇〇でない年度を申し上げますと、四十七年度が九五、四十八年度が一〇五、四十九年度が九五、五十年度が九五、五十五年度が九五、法人税収を見積もります場合に、そういうマクロ的なデータが一つございます。  同時に、最近この精度を、過去の税収見積もりの食い違いの反省に立ちまして、さらに精度を高めておるわけでございますが、大法人につきまして、かなりのカバレージでもちまして業種ごとに個別のヒヤリングを行っております。それで、税収見積もりをいたします場合に実体経済の感覚もつかむ、それから、その時点までの実際の法人税収のわかっている実績の勢いを見ておりますが、そういうものを総合いたしまして、所得率で実は調整をしているわけでございます。  話はもとへ戻りますが、先ほどの御質問に関連して申し上げますと、そのマクロ的手法をもって出す場合の鉱工業生産、五十八年度で申し上げますと、御指摘のとおり実績見通しは四・四でございますが、私どもが五十八年度実際に法人税収をはじきました場合の鉱工業生産、御説明では四%程度としておりますが、三・六でございます。  それは、どうしてそういうことが起こるかといいますと、これは主税局の中で、そう大げさなものじゃございませんけれども一種の関数式のようなものを持っておりまして、と申しますのは、法人は年度内の税収を見積もるわけでございますが、決算期がまちまちでございます。したがいまして、四・四という年度間は一定の前提に立ちまして、それぞれタイムラグで出てくるわけでございますから、それを決算期ごとに全部分解するわけでございます。その結果出た数字が三・六ということで、その年度によりまして、この経済見通しの表に出てまいります鉱工業生産の数字そのものを使っているわけじゃございませんので、先ほど委員のような御指摘の比較でございますと、そういう印象をあるいはお持ちになったのかと思いますが、お答えになっておりますかどうか……。
  42. 堀昌雄

    ○堀委員 いまここで三・六、私は幾らでも結構なんですよ、何も経済企画庁が出したのをやらなければいかぬと思っているわけじゃないのですが、たまたま資料を見ていると、ほぼそれに近いようなかっこうになっているものですから。四%程度と三・六というのは大分違うのですよ。今度から、これは基礎になることですから、素人ばかりだからいいかげんに出しておけばいいということでは困るのでして、やはりそこは政府責任を持ってより親切にこういうものにちゃんと書くべきだと思います。  いま主税局長が言われたように、確かに決算期は非常に幅広くずれていますから、おまけに三月決算まで入れるということになっているから、それは事情はよくわかります。それはよくわかりましたが、そこで本年度の計算をちょっと調べてみますと、この前五十六年の決算で大分大きな赤字が出たものだから、大蔵省は、これは大変だということで、今度は五十七年度補正を大分かたく見積もっているのじゃないかという感じがするのであります。  というのは、十二月末までの租税及び印紙収入を調べてみますと、トータルのところでいいますと、一般会計分の進捗割合は五八・四%になっています。前年度の進捗割合は五七・八でありますから、全体としての進捗割合で見ても、実は〇・六%ぐらい進捗割合が今度は高い。そして今度は対前年同月比累計で見ると六・三%実は高い。これは十二月の収入ですね。それをちょっとブレークダウンして個々に調べてみると、源泉が一〇六・八、申告一〇三・七、そこで所得税の計が一〇六・三、法人税が一〇七・七、酒税が一〇七・〇、物品税一一〇・六、それから印紙収入一〇八・三、大きなところは、一兆円超えるところは大体こういうところですから、大所はおおむねこの十二月は昨年に比べて進捗割合がいいわけです。決算との関係から見てもいい。  こうなってくると、私は、七月になって五十七年度を締めてみなければわかりませんけれども、二年続きで決算でまた穴があくというのは困る、大分主税局は厳しく、今度はその過ちを繰り返すまいと思ってやったという感じがしておるのです。大蔵大臣どうですか。あなたはいま大蔵大臣として、これは補正のときからあなたはもう大臣になっておられますから、どういう感触でこれを見ておられるか、ひとつ大臣のお考えを聞きたいと思います。
  43. 竹下登

    竹下国務大臣 どういう感触で見ておられるか、その月々の実績の報告を私も聞いております。だが、私の聞き及んでおるところでは、大変な見積もりの違いが出るという状態ではない、こういう感じがしております。  それに関心が勢いおもむきますのは、私の体験からすれば、五十五年度決算のときに四百八十四億出まして、いわゆる戻し税のときでございますが、二千億というのと、いや出ないかもしれませんというのとの誤差議論をしたときのことを想起しながら注意深く見ておりますが、五十六年度決算のような状態にはないだろう、非常に大ざっぱな話ですが、そういう印象で報告を聞いております。
  44. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 いま大臣がお述べになったとおりでございますが、若干、最近の税収動向等について事務的な補足を申し上げたいと思うわけでございます。  主要税目につきまして、現在判明いたしております十二月末までの税収の動向は、先ほど堀委員が御指摘になったとおりでございます。ただ私ども、そこで注目をすべき点としまして申し上げておかなければなりませんのは、十二月末現在で累計で六・三%、いわば十二月末の風速が大体六・三でございますが、実は補正後の税収見積もりは五十六年度決算に対しまして五・三でございますから、一%ポイント余裕があるわけでございます。このまま年度間この風速でいくといたしますと、単純計算して当初見積もりよりも三千億の増加が出るのではないかということになってしまうわけでございますが、ただ、新年度に入りまして、ずっと各月の累計の風速というものを見てまいりますと、八月までは八%台でずっときておりました。ところが、九月、十月になりましてこれが七%台に落ちました。それから十一月、十二月、いま御指摘のように六%台でございます。  近々一月末の税収がまとまります。まだ確定的な数字ではございませんけれども、私ども見ておりますと、まず源泉所得税は十二月のボーナスが前年同期に比べましてかなり悪いという状況がございます。それから確定申告が実は今月の十五日、これは全国の税務署の申告書を全部あけてみませんとわからないわけでございますが、これは、毎年私ども税収見積もりをやります者にとっては非常に頭の痛い問題で、一定のきちんとしたデータでもって予測するのがなかなかむずかしいわけでございます。五十五年分、五十六年分と、実体経済の動き等も反映いたしまして、申告税額の伸びが極端に悪くなってきております。これを一体どう考えるのかという問題がございます。  それからもう一つ、これは三月決算の法人税でございますが、これも現在の段階で確定的なことは申し上げられませんが、先ほども若干触れましたように、大法人につきまして、かなりの頻度でもって聞き取り調査をやっておりますが、私どもが昨年秋に聞きましたのと最近時点で聞きましたのとでは、業種によりまして、たとえば鉄鋼などは去年の秋なんかより相当悪くなっております。もちろん電力とかガスは、最近の原油価格の影響がございまして、会社の見積もりも若干上向いておりますが、それを全部総合いたしますと、必ずしも三月決算の法人税収というのはそういいかっこうには出ておらない。  したがいまして、先ほど大臣が、五十六年度のような大きなことにはならないだろうとはおっしゃいました。私どもも、そういうふうでなければならないと思っておりますが、補正後のわれわれの税収見積もりが非常にかたく見積もって、結果として税収増が出るという非常にハッピーな姿にはならないのではないか、楽観は許さないというふうに考えております。
  45. 堀昌雄

    ○堀委員 実体経済は、実は十二月、一月と実際よくないのです。いま大変よくない。しかし、よくないにもかかわらず、いまの政府がやっておることは、個人消費の足を引っ張ることを一生懸命やって、この間から国会の中で一つの大きな問題になった人事院勧告を含めて、非常に消費の足を引っ張っておると私は思っておるわけです。  人事院勧告という言葉を出しましたから、ちょっと私は、人事院勧告のストップの哲学的な背景というものを考えてみたいと思います。  国家公務員の給与は、その職務に見合った報酬を与えるというのが国家公務員の給与の原則ですね。大蔵大臣いかがですか。
  46. 窪田弘

    窪田政府委員 職務に見合った報酬ということは、原則はそのとおりでございます。それは、民間の準拠とかいろいろな要素がほかにもあると思いますが、原則はおっしゃるとおりだと思います。
  47. 堀昌雄

    ○堀委員 その次に、民間の準拠というのがあるのですね。民間の準拠があるから、人事院が勧告をしている。  今度これがストップになったもとは、私は、第二臨調のお年寄りの皆さんが、民間企業は赤字だったらベースアップなどはやらない、国も財政赤字だからベースアップをやるなというのが、きわめて素朴なお年寄りの皆さんの考えだと思うのです。しかし、民間企業というのは、資本主義社会では一体どういうものなのか。これは要するに、資本主義社会で企業が存立するのは、利潤を求めて企業が生まれるのであって、利潤のないところに民間の企業なんか存在できないのですから、利潤を求めて企業が動いている以上、もしその利潤が出なくなって赤字になったら、それは企業全体の問題として考えなければならなくなる。赤字が続いていけば、その企業はつぶれるのです。これは民間企業は間違いなくつぶれる。つぶれることは、中の従業員にとっても大変、雇用の場を失うことですから。ですから、民間企業の場合には、赤字になったら給与をストップする、場合によっては減俸するというのは、そういうメカニズムの中で、そこに働いておる人たちの避けられない一つのシステムだ、私はこう見ているわけです。  だから、民間企業が赤字になったらベースアップやらないとか減俸するということと、それでは国の場合は、これは一体どういうふうになっているのだろうか。国の財政赤字というのは、企業のような認識で考えるべきなのか。私は、そう思ってないのですよ。いま大変大きな赤字が出ている。赤字国債を出しておる。この赤字国債を出しておることで、いまの日本経済を間違いなく下支えしていると私は思っておるのです。この赤字国債が出て、実際は国が借金をしてでも需要をくっつけているから、いま辛うじて日本は三%台の成長を維持しておるのであって、まさにこの赤字というのは、そういう民間企業を含めて日本経済を支えておるという認識も私はあってしかるべきではないか。そういう性格赤字国債を出してやっているのだ。  もちろん、たくさん出してよろしいという話ではないから、できるだけ歳出を削って少なくすることはいいけれども、公務員は働きが悪いのか。そこにたくさん座っておるのは皆公務員だ。皆さんまともにしっかり働いておる。みんなまともにしっかり働いていて、国の政策の関係でそういうことが起きた、赤字が起きた。民間が赤字ならべースアップしないのだ、減給にもなるのだから、おまえたちもストップだなんて、これは資本主義経済の何物かを知らないお年寄りのたわ言だと思うのですよ、私に言わせたら。これに鈴木さんが乗っかったというのも、私は、鈴木総理というのはいい人だし、大変好きなんだけれども、最後にこれでこの人の成果は帳消しになったと思いますね。いかに経済を知らないかということをみずから立証したという点では、大変残念な処置であったと私は思っているのですよ。一回決めたら動かしたくないというのは、経済問題ではなくて、今度はメンツの話になっているのですね。  私は、いま日本というのはもう少し合理的に経済的な問題について配慮しなければいかぬところにあると思っているのに、そういう経済合理主義に立たないで、何だか知らないけれども、わけのわからぬ年寄りのたわ言を聞いて、メンツでこれを押し切ろうなんというのは、経済をやっておる者の立場としては、私は何としても納得できないのです。大蔵大臣経済企画庁長官、皆さんおのおののお立場から、ひとついまの私の問題提起についてお答えをいただきたい。
  48. 竹下登

    竹下国務大臣 日本経済が今日の力を持つに至った経過の中で、建設国債はもちろん、なかんずく第一次石油ショック後における赤字国債、特例公債の日本経済の下支えとしての役割りは、昭和五十五年まではそれなりの成果があったではないかというふうに私も思います。したがって、財政運用の、いわゆる財政の対応力の一つとしての評価は、私もこれを否定するものではございません。  その問題は別として、人事院勧告の問題でございますが、私は、臨調の物の考え方にどれだけ影響を受けたかということの論評は、私なりには余り考えたことはございません。ただ、前内閣ですでに決定された問題でございますが、その決定の過程におきまして、給与関係閣僚協議会でございますか、それに党三役を代行して、全部が全部ではございませんが出かけておりました。そのときの考え方の基本にあったものは、行政改革というのが事ここに至っておって、言ってみればその範を示す役割りもまた公務員に課せられた一つの使命ではないかというふうな議論が、財政問題はもとよりでありますが、別の角度から強くなされておったことを承知をいたしております。そして、その決定後新しい内閣ができましたが、種々議論を重ねた結果、その方針を踏襲して今日に至っておるということでございます。  したがって、資本主義社会における公務員給与のあり方と民間企業における給与のあり方、あるいは賃金額とでも申しましょうか、そういうものに対する堀委員の御見解は御見解として、私に全く理解のできない御提言ではございません。しかし私どもが決定いたしました基礎は、法のよって立つ精神、そして四十五年以来のよき慣行、さらに現在の経済事情プラスいわゆる公務員が範をたれるという表現はいささか大正、明治の表現になりますが、そのことを加えて決定をしたということと認識いたしております。
  49. 堀昌雄

    ○堀委員 いまいろいろ立場がありましょうし、企画庁長官は鈴木派の閣僚でありますので、やはり鈴木さんを弁護したいでありましょうから、あなたからは答弁を求めません。  そこで、企画庁にちょっとお尋ねしたいのは、御承知のように五十七年度経済見通し、実質が五・二%で名目八・四、これについて昨年の予算委員会でずいぶん論議になりました。私もそう思っていました。河本前大臣は大変率直な方で、後に四月ごろでありましたか、私が大蔵委員会でお尋ねをしたら、会議録をごらんになるとわかりますが、いや、実は事務方は三・八と言ったのだけれども、これではどうにもならぬから五・二ということにしたのだと率直にお答えになっている。まあまあそんなことだったろうなというふうな気がしておるのでありますが、今度は五十七年度改定試算というのをおやりになって、実質は三・四%程度、名目六・二というのが十月二十九日に出たのですね。そして十二月には、今度はいまの予算の実績見込みとして、またこれが変わりまして、三・一の五・一と二ヵ月でまた下がったのですね。  経済企画庁という役所は計数を扱う専門家の集団なのに、二ヵ月間でがたがたっと下がるというのはどういうことか、私も大変理解に苦しむのです。これは長官でなくて事務方でも結構ですが、長官がお答えになれるならお答えください。
  50. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 これは、もう最近の統計数値を使うことによる修正の差だけでございまして、実質は変わらないところでございます。  おっしゃるように、十月と十二月のわずかの期間の差で下方修正するのは大変申しわけないということしか答えられぬかもしれないのですけれども、ともかくも十月の改定見通しの際には四—六の国民所得の統計速報で計算いたしました。その後十二月の閣議決定の実質成長率は、七—九の国民所得統計速報その他のそのとき利用されますところの最近の数値で計算したことによる差でございまして、しかも五十七年度の実績見込みでございますところの名目GNP二百六十七兆は変えなかった。しかしながら、七—九の数値を使いますと五十六年度の成長が少し高目に出てきた。したがって、分母が大きくなったために三・四から三・一に下がった、これだけでございます。  申し上げますと、名目の二百五十一兆五千億円が二百五十三兆八千億円に上方修正されたためで、分子は同じでございます。依然として五十七年度のGNPは変わらないのですけれども、最近の数値で分母が大きくなりましたので〇・三ポイントだけ下がった。大変申しわけございませんが、それだけでございます。
  51. 堀昌雄

    ○堀委員 この七—九の問題のときに、私も説明を聞いてはわかったのですが、ともかく五十五年度、五十六年度の実質成長率が大幅に修正されてきましたね。それで、実態をできるだけ正確につかむことは大変必要でありますから、このこと自体は、計数の新しい把握の状態でこうなったという説明を聞きまして私はよくわかるのですけれども、こういうことだったら、まだほかにもこういう問題がかなりあるのではないか。  このごろ盛んに一つの問題になるのは、御承知の物からサービスへという消費の中身の話ですね。そして、カルチュアセンターだとか塾だとか、やや統計に出にくいようなところにかなり動きがあるわけで、ちょっとここで一つ提案をしておきたいのは、たまにはやむを得ませんけれども、こんなことだったら今後企画庁として、各省に協力を要請して、もう少し現状に見合った原資料を集められるような対応が、いま転換点ですから非常に必要ではないか。実質成長率が〇・五%とか〇・八%とか動くなんという話になったのでは、経済企画庁が出しているこんなものは大したことないなということになって、コンフィデンスが失われるようになるというのでは大変重要な問題に関係がありますので、その点は各省に協力を求めて、いろいろな点で原資料の中に問題はないのかということを、もう一遍ひとつ検討していただきたいと思うのですが、長官どうでしょうか。
  52. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 堀先生以上に、私もこの点がいつも不思議に思うところでございます。おっしゃいましたように、ひとつ原資料をできる限り早く各省の協力を得て活用するように、一層努力をしていきたいと思います。
  53. 堀昌雄

    ○堀委員 私、お願いしているのは、早くという問題もいいのですけれども、中身の質の問題です。  要するに、これまでの統計手法で来て、これでいいんだということではなくなりつつあると思うのですよ、現状の方が、実態の方が。ですから、この実態を最も適切にあらわす、そういう原資料統計というものは一体いかにあるべきかということを、通産省は通産省なりに、大蔵省は大蔵省なりに、その他農林省とか各省に要請をして、できるだけ現状にマッチをした統計のタイプにしないと、もうずっと来たそれのままでやっていればいいんだということになっているのを、今度ここが変わったものですから、これがはね返って変わった。それはいいことなんですよ。変わったこと自体はいいことなんですが、そうすると、ほかにもあるんじゃないかという気がどうしてもするものですから、そういう意味でです。
  54. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 堀先生の御意見は全く同感で、私も、いま御指摘された点についてときどき思い当たる節がございます。  先般も、鉱工業生産指数の内容が五年ごとに変わる、VTRをかつて入れておった時代と比べまして、いまは価格が半分以下になった。したがって、ウエートを直さなければならない。そうしますと、また生産指数が急激に変わってきて大変わかりにくくなるというようなこともございます。できる限りわかりやすいような、そしていまおっしゃったように、やはり現実の経済の実勢に即するような統計数値を早く活用するように努力させていただきたいと思います。
  55. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、時間がもうありません。きょうは、本当は二時間ぐらいいただいて、世界経済からアメリカ経済、石油の問題、ずっとやって、そうして五十八年度経済の議論をしたいと思ったのですが、時間が一時間じゃどうにもなりません。  そこで、昨日何か議長の御見解が出て、減税政府はやりなさいということのようでありますね。昨年の経過会議録に少しとどめておきたいと思うのです。  昨年のたしかいまごろに、やはり同じように減税問題で予算委員会がストップをしましたね。そのときに、当時の竹下幹事長代行が、竹下さんというのはなかなか頭が働く人でして、昭和四十六年だったかな、主税局長、あれはいつですかね、あのガソリン税の処理の問題は。ちょっと私も正確に覚えてないのですがね。要するに、ガソリン税を引き上げるときに農業関係の皆さんが、われわれの耕運機というのは道路特定財源で道路を走るんじゃないぞ、ともかく道路を通りはするけれども、もっぱら走っておるのはたんぼの中を走っておるのに、なぜ道路特定財源を全部われわれが負担しなければいかぬのかという話が出まして——やはり四十六年でしたね。そこで、これは予算委員会ではちょっともてあますということで、大蔵委員会に回ってきて、そして私ども大蔵委員会で、切符を出したりするのはどうも大変だからということで、農道その他の予算をつけるということで処理をしたという例が過去にあったのを、どうも竹下さん思い出したと見えて、大蔵委員会に小委員会でもつくって、ひとつ税金の問題はやってくれというお話が出てきたようであります。  私は、そういう話を聞いて、税の問題というのは政府とわれわれとだけが対立してやっておって物が解決するものではないと思って、すでに一昨年の大蔵委員会で、税の問題については与野党で一遍十分忌憚のない意見が交換できるような場をつくったらどうかという提案をしたら、山中さんが、よし受けて立つという不規則発言をしましたので、それが私は頭にありましたので、ひとつそれならそういう小委員会というので一遍みんなで勉強してみることは意味がある、こう思ったもので、ただし、山中貞則さんが小委員長を引き受けて責任を持ってやるというのならともかく、この人がやらないならこっちもやるまい、こういうつもりでおりました。私は、長い間山中貞則さんとはこの委員会で御一緒に仕事をしてきて、その識見、能力を十分に評価しておるものですから、この人が小委員長をやってくれるのなら何とかなる、こう思って、そこで結果的にはそういうことになって小委員会はできたわけであります。言うなれば、この小委員会というのは竹下さんが仕掛け人で、そしてできたというのが経緯なんですね。  そこで、いろいろ議論をしてきて、十一月十九日に、この小委員会減税をやるということは与野党一致をした、財源その他は追ってさらに詰めるという中間報告を、議長に実は出しておるわけなんですね。議長中間報告を出すということは、きわめて重大な意味を持っておると思いますので、私は、これで一山越したという認識だったわけであります。内容その他がどうなるかは皆さん合意の上でいいけれども、やるということはこれで決まった、こう考えたのでありますけれども、結果的に、中曽根内閣ができて山中さんは通産大臣になられた。  私のところに電話があって、「堀君済まぬ。おれのところの中曽根が総理になって、通産大臣をやれと言うので、引き受けぬわけにもいかぬから、後はひとつ頼むよ」という話でありました。私は、「とんでもない、あなたが小委員長を引き受けたから、私はこの小委員会に賛成をした。一番大事な肝心なところでその小委員長が逃げ出したのじゃ、これはもうこの小委員会は成果を期することは困難だ」「後は村山君によく頼んだから頼むよ」という山中さんのお話でありましたが、村山さんとお話をした限りでは全然見込みがない。私どもが、自民党の方に案を出してくださいと言って九月にボールを投げて、その投げた経過の中で減税をやりましょうという話になって、そうして、なおかつボールは自民党が持ったままで、何もしないで政府案、自民党税制調査会案を決めてきたという、まことにこれは、この小委員会に参加したメンバーに対しては、背信行為の最たるものを実は皆さんがやってきたわけです。  だから私は、そういう意味で、今度二階堂幹事長から減税をやるというお話が出てきたときに、一体自民党は公党として恥ずかしくないのかという気がしてならなかったわけです。あれだけの手続をとり、そして議長にまでやりますと答申しながらできなかった。それも、小委員会に図ることなく自民党税調、政府税調で一方的に五十八年度の税の処置を決めておいて、そうして小委員会を開いてくれ。まあ、いま自民党が多数だから何でもできると思っておられるかもしれないが、私は、そうはいかないと思っているのです。やはり政治家政治家として、少なくともお互いに信頼感を持って仕事をした以上は、その相互の信頼にこたえなければ、私どもも、今後そういう対応をすることはできないわけです。  だから私は、私どもの党の関係者の皆さんに、あくまで今度は政府がやるということにしてもらわなければ、われわれは大蔵委員会でやるなんということは一切引き受けない。減税をやっていただくなら、政府責任でやってもらうならよろしい、政府がみずから財源を決めて、そして税法を政府案として国会提出してくるということでなければ、この委員会でやれなどということは、過去のこの経過から見て断じて認められないということを私はここで公式に発言をして、記録にとどめておきたいと思っておるのです。  そうして、それに関して竹下さんは仕掛け人であったわけであります。ですから、そういう一連の経過を踏まえて、今日の時点で竹下大蔵大臣は、この問題の処置をどういう方向で、金額や時期の話を聞いているのじゃないですよ、政府責任においてやりますということならよろしい、それはどうぞやっていただきたい、私どもも大いに賛成だ。しかし、当小委員会で何かをするということについては、私は、まだ各党、ほかの党の皆さんと御相談をしておりませんけれども、断じてそういうことは受けないという決意でありますので、ひとつ大蔵大臣の御見解を承りたい。
  56. 竹下登

    竹下国務大臣 私は、堀先生の記憶はおおむね私の記憶と一致しておると思います。  あれは、最初は農免道、漁免道のときであります。それが私の頭の一隅にあったことも事実であります。そして、もう一つ、私がそのとき若干の誤解をしておりましたのは、税制に関する小委員会は大蔵委員会の中にすでに設置されておる、だからあそこへおろせばいいじゃないか、いわば新たに小委員会をつくらなくても現存しておる、私はそういう認識でした。そこのところは間違っておりました。  いずれにいたしましても、そういう経過を経て、あそこには税制の専門家がいらっしゃるから、あそこで議論をしてもらえば、本当に実のある結果が出てくるのではないかなという期待感が私にあったことは事実でございます。それでやっていただきました。これはありがたいことだと思ったわけでございます。その間の議論経過につきましては、私も責任者の一人であっただけに、それなりの御報告は、その都度いただいておったわけでございます。  したがって、その小委員会というものが中間報告をお出しになった。「所得税減税の必要性については、各党の意見の一致を見た。さらに、その手段は恒久税制改正によることとした。」これに始まりました中間報告がなされた。その中間報告が十一月の十九日でございまして、いま御説のとおり、「必要性については、各党の意見の一致を見た。」ということがきちんと書かれてあることは事実でございます。  その後、たしか十一月の二十七日に中曽根内閣ができた。そうして私もたまたま大蔵大臣を拝命いたしまして、まず国会で、私のいささか個人的資格ではございましたが、えらい済みませんが、やはりあの小委員会は続けてもらえませんかとお願いもしたわけでございます。しかし、それはなかなかできなかった。結果として十二月にできまして、そしてこのできた小委員会は、今度は議まとまらずという形で議長に報告が出された。その間に小委員会に対して、いわば小委員長さんと党の税調会長さんが同じ人であったから報告があるべきではなかったか、こういう議論、これについては、私は、実はきょう初めて聞きましたので、私からとかくの論評をすることは差し控えるべきであろうと思います。  そこで今日に至っておりまして、今度の二階堂提案というものに基づきまして、私、政府といたしましてもそれに対しての見解を述べておるところでございますが、それの第三回の幹事長・書記長会談のときに、各党それぞれの合意事項あるいは申し合わせ事項というものをお出しになっております。これはきょう拝見しました。それは結局議題にならないままに、文字に書かない大筋の合意というものができた。  そこで、きょうその文書を読んで——自民党の出されたのと三つあります。したがって、政府が書いておりますのは、自民党の出されたのを中心にして、そういう約束があったことを十分承知しておりますということを書いております。そうして日本社会党からお出しになったものの中には、各党の協議、実施の規模、時期、方法については政策レベルの会議で直ちに検討結論を出すというのも出されております。しかし、これは突き合わせは行われなかったそうです。それからもう一つ、公明、民社の方からも出されております。わが方からもお出ししております。したがって、ここのところの問題は、いわば各党の政策レベルでの会議検討をし結論を出すというところの問題は、結局議論はなされないままになっておる。  私は、これを見たときに、あの大蔵委員会の小委員会のがちっとした専門家会議ということが私の念頭にはすぐ浮かんでまいりました。ところが私もきょう、堀委員のいまのわざわざ速記にとどめるための発言がございましたようなことを、院外で個人的にそういう御意見をお持ちの由承ってもおりましたので、さてはて、この提案はどういう方向へ行くべきものかなといういささかの疑念を持っております。  ただ、きょうも申しておりますのは、こういう大仕事でございますので、それぞれ各党の税の専門家の方のどういう会議が持たれようと持たれまいと、個々に十分意見を聞いて、そういうプロセスを十分とった上で結論を出す努力はしていかなければならないな、こういう気持ちで今日現存をしておる、こういうことであります。
  57. 堀昌雄

    ○堀委員 いまちょっとここに官房長官が、恐らくこれは予算委員会でお述べになったことの中に、どうもやはり他人事のように書いてあるのですね。「なお、この際、つけ加えさしていただきます。与野党代表会議において、自民党幹事長から、財政事情困難な時期ではあるが、国民世論の動向に応え、景気浮揚に役立つ相当規模の減税を実施するための財源を確保し、所得税及び住民税の減税についての法律案を、五十八年中に国会提出するとの確約があったことを承知しています。政府としても、これを尊重いたします。」こういうことのようですね。  私がお話し申し上げているのは、これはもう自民党がそういう提案をなすったのだから、自民党で案をつくって、そしてそれを政府にお出しになって、政府がそれを国会へ出す、こういうことが私は昨年の経緯から見て、二階堂さんが御自分からおっしゃったのですから、言った人が責任があるわけですから、その自民党責任がある。ここに述べられておる「国民世論の動向に応え、景気浮揚に役立つ相当規模の減税を実施する」こういうお話で、所得税と住民税の減税をする、こういうことでありますから、これはひとついま私が申し上げたように、どうか自民党の税制調査会で十分御議論をいただいて、それは私どもにも意見を聞かれたって、お答えはいたしますが、私ども、これには参加する意思はありません。  自民党の手で、自民党税制調査会にかけて、政府税調にかけて、五十八年中に処理をしていただきたい、こういうふうにあるのが、私は物事の経緯から見て相当と考えておりますので、ひとつ大蔵大臣、あなたがその場合における主務大臣でありますから、十分それを心して今後の対応をお願いしたいということをちょっと伺っておきたいと思うのです。
  58. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、きょう後藤田官房長官が申しましたのは、いまお読み上げになりましたとおりでございます。  「財政事情困難な時期ではあるが、国民世論の動向に応え、景気浮揚に役立つ減税を実施するための財源を確保し、所得税及び住民税の減税についての法律案を、五十八年中に国会提出する」ということでございます。その際、各党から出されたものがございまして、私も、実はまだ扱いに迷っておるという状態でございます。  それは、一つは、政策レベルの会議で直ちに検討しようじゃないかという御提案もあるわけでございますが、これはこれとして議せられたわけじゃございませんので、やはりお答えする筋としては、私は、後藤田長官が答えた筋であろうと思います。ただ、きょうも予算委員会お答えしておきましたのは、さはさりながら、私は私なりの経緯で見れば、専門家さんに集まってもらって、これは主観的な見方で誤りかもしれませんが、ある果実を生むような環境にまで熟したんじゃないか。しかし、それが合意に達しなかった点の問題点もまたわかる。  だから、少なくとも政府で作業を進めるにしても、そのときの専門家会議、なかんずく個々の人、国会の中においていろいろな論議をした方、そういう人にやはり意見を絶えず聞きながら対応していかなければ、これは実を結ぶ結果にはならないじゃないか。そういうように私には、堀先生とは別の、あの小委員会の果たした役割りに対する評価を期待しておる、私の気持ちにはそれが存在しておるということだけを申し上げまして、これは堀先生と私の意見がすれ違ってもいいと思うんです。ただ、私は、その経過の中でそうしたものをいまだ期待を捨てていないという気持ちだけを申し上げておきたいと思います。
  59. 堀昌雄

    ○堀委員 まあ、きょうは正森さんが当時の委員として御参加をしていただいているだけで、あとちょっと正木先生も竹本先生もおいでになりませんからあれでありますけれども、私としては、それは意見を聞かれれば答えないわけではありませんが、責任を同様に分かって何かするという気はもう一切ございません。それが一つです。  最後に、時間がありませんので、もう一つ、歯どめをひとつやらせておいていただきたいと思うのです。  私のいま見ておるところでは、確かに石油の値段が下がって景気が少し上向くかもしれません。しかし、石油の値段というのは、二十五ドル程度でとまっていればいいですが、二十ドルを超えて下がりますと、メキシコその他でこれはもう大変なデフォルトが起きてきまして、金融市場に混乱を起こすことは間違いがありませんので、そうなると、またドル高になって、円は猛烈に安くなるというようなことが起きて、これから先の日本経済は見通しが立たないというのが、私なりの分析であります。  そうすると、しかしこういう約束はある十二月でなければ、これは処理ができなくなってしまうだろうという気がするのですけれどもね。財政の状態を見ながらいくと、だんだんそういうふうになる。十二月にやらなければこれはもうできないのです。  そのときには、もう仕方がないから、一兆円赤字国債でひとつ先食いをしよう。ただし、それは五十九年にひとつ大型間接税をやって、ともかく先払いの手形で、これは五十九年にすぐ落ちますから、赤字国債でやると言っても、実はそれは大したことじゃないんだからやろうなどという、言うなれば、大型間接税導入のための誘い水に減税を使うなどというようなことは、これはひとつ竹下大蔵大臣、公式の場ではっきりそういうことは行わないという御確認をしていただいておかないと、野党が減税減税と言ったから仕方なしにやったけれども、そのために大型増税がうまくできましたなどという、そういうばかなことは絶対われわれ許すことはできませんので、その点はひとつここの場所で明確にお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  60. 竹下登

    竹下国務大臣 私も、石油価格の問題が国際金融市場に混乱を起こして、いろいろな問題が別の意味において危惧されておるということも理解ができます。そうしてまた、そういう端的な議論として、この間来参画しておりますと、しかし石油そのものを使う企業の法人税の増収なんという議論も出ておりました。  その際にも申し上げておきましたが、なるほどそうなった場合に、ある意味においては、たとえいい状態でそれが期待した場合においても、法人税の増収によって国民にその利益を還元するのか、あるいは価格そのものの値下げによって還元するのかと言えば、また政策的選択の問題として議論も出ることでございますので、単純にそれを一つの期待財源として前提に置くことには、にわかに同意ができないではございませんでしょうかという趣旨の御発言もしておいたわけでございます。  したがって、私ども、もとより財源というものを、書いてありますとおり、この財源を確保して法案提出せよということでございますので、財源については十分検討を加えなければならないことでございますが、直ちに赤字国債を念頭に置くとか、大型間接税を念頭に置くとか、ましてや、それを一つの誘い水として大型間接税の導入の端緒をつかむための措置としてこれを位置づけるとか、そういうことはやってはならないことだと、乏しい知識ながらわが身に厳しく教え込んでおるというのが実態でございます。
  61. 堀昌雄

    ○堀委員 終わります。
  62. 森美秀

    森委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、来る四日金曜日午前十時四十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十六分散会