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吉原委員 そこで、若干技術的なことで、いま
局長から安全
基準の見直しをしたいということで数点御説明がございましたが、その中で私は三つの点についてちょっと心配なことがございます。
一つは、リアスポイラーの問題でございますが、このリアスポイラーの役目というのは、御承知のように、スピードを上げたときに車体が浮上しないような
役割りを果たす
一つの器具でございます。主としてスポーツカー、われわれの感覚ではちょっと想像のできないといいますか、非常に高速車にいままでつけられておる。従来の
国内の安全
基準でいきますと、これは改造車の部類に入って取り締まりの対象になってきたものでございますが、このリアスポイラーというのを今度は安全
基準の中で認めていくということになりますと、勢い国産車にもそういう傾向が出てくるだろう。そうなってまいりますとスピード感覚に非常に悪影響を及ぼすのではなかろうか。つまり、法定速度以上に実質上スピードを上げておっても、リアスポイラーの作用によってスピード感覚がドライバーに認識をされない。勢いスピードアップ、イコール交通事故、こういうことになっていくのじゃないかという心配が
一つございます。
それから、
二つ目はコーナリングランプ、しかも光度の高いコーナリングランプを今後は認めていく、こういうことでございますが、このコーナリングランプは光度の高いものを認めるということになりますと、カーブをする道路上で対向車のドライバーの目に入って安全上非常に問題があるのじゃないか、そういう危惧がございます。これはカーブする
方向にランプが作動するわけですからね、しかも光度が高いというのですから、光度が高いランプを認めるということになりますと、曲折しておる道路上では対向車に非常に悪影響を及ぼす、これも交通事故につながるおそれがある。この心配が
二つ目です。
三つ目は、前照灯の主光軸の調整装置を
自由化する。外車はヘッドライトをドライバーが上下左右、自由に調整がされるようになっているのです。こういうものを認めるということになりますとこれまた大変なことになる。いま国産車で運輸省が決められておる安全
基準の中では、二灯式で一万五千カンデラ、四灯式では一万二千カンデラ以上となっている。ところが外車は、
アメリカでは七万五千カンデラ、ヨーロッパでは十一万二千五百カンデラと、比較的高いところに最高制限がしてあるのですね。
国内では五万カンデラということになっている。そうすると、外車の光度というものは非常に高いという認識をしなければならない。そこへもってきて、主光軸の調整装置というのがドライバーが自由にできるということになっておりますから、そういう装置を認めるということになりますと、いまの安全
基準が崩れてくるのじゃないか。つまり、いま二灯式でも四灯式でも、上向きの場合は百メートル、下向きの場合は四十メートルまで障害物が確認できる。これはもう二段式になって固定されておる。ドライバーがヘッドライトの距離を自由に操作することができないことになっております。そうなってまいりますと、運転席で自由に主光軸の操作ができる、しかも光度が高いとなると、いま
日本の
国内でやっておる安全
基準の方がドライバーとしてもなじんでおるし、その中で外車だけが光度の高い、しかも自由に主光軸が操作できるようなものであっては、安全
基準としては適当でない。むしろこういうものは認めないという従来の姿勢の方が正しいのではなかろうか。
しかも今度、外車をそうするのではなくて国産車もその程度にレベルを上げるのだ、こういうことになってまいりますと、乗用車ではいま、十二ボルトの三十七・五ワットのヘッドライトの球を使っておるのです。大型車などは二十四ボルトの四十ワット、こういう球を使っておるのですが、外車並みに光度を上げるとするなら、これまたいまの各メーカーがつくっておる純正品のヘッドライトの球そのものも変えていかねばならぬ。
そういう意味では、簡単に前照灯の主光軸の調整装置や最高光度と配光の特性、あるいは光度の高いコーナリングランプなんというものを手直しされるということは、少なくとも
日本の交通
事情からいって緩和の
方向ではなかろうか。緩和というよりも、むしろ交通秩序を乱す大きな
原因になるのじゃなかろうか。結果的にはそれが交通事故につながっていく、そういうおそれを持つものですから、リアスポイラーにいたしましてもコーナリングランプにいたしましても前照灯の問題にいたしましても、構造上の三点にわたって私は心配をするのです。
そういう意味で、ひとつどなたがお答えになりますか、専門家はいらっしゃいますか。