運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-04-26 第98回国会 衆議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十六日(火曜日)     午後三時十七分開議  出席委員    委員長 登坂重次郎君    理事 野田  毅君 理事 原田昇左右君    理事 森   清君 理事 渡部 恒三君    理事 後藤  茂君 理事 水田  稔君    理事 長田 武士君       植竹 繁雄君    浦野 烋興君       越智 通雄君    奥田 幹生君       島村 宜伸君    泰道 三八君       野中 英二君    宮下 創平君       粟山  明君    上坂  昇君       清水  勇君    城地 豊司君       中村 重光君    渡辺 三郎君       岡本 富夫君    横手 文雄君       小林 政子君    渡辺  貢君       石原健太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      塩崎  潤君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長     禿河 徹映君         経済企画政務次         官       辻  英雄君         経済企画庁調整         局長      田中誠一郎君         経済企画庁調整         局審議官         兼内閣審議官  横溝 雅夫君         厚生省公衆衛生         局長      三浦 大助君         厚生省薬務局長 持永 和見君         通商産業大臣官         房審議官    斎藤 成雄君         通商産業省貿易         局長      福川 伸次君         運輸省自動車局         長       角田 達郎君         運輸省自動車局         整備部長    丹羽 一夫君         労働省労働基準         局長      松井 達郎君  委員外出席者         農林水産省経済         局国際部長   塚田  実君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  外国事業者による型式承認等取得円滑化の  ための関係法律の一部を改正する法律案内閣  提出第五六号)      ————◇—————
  2. 登坂重次郎

    登坂委員長 これより会議を開きます。  本日、内閣提出外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案が本委員会に付託になりました。  この際、本案を議題とし、その趣旨説明を聴取いたします。塩崎国務大臣。     —————————————  外国事業者による型式承認等取得円滑化の   ための関係法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 ただいま議題となりました外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  近年、国際社会におきましては、保護貿易主義の高まりが見られ、戦後の世界経済発展を支えてきた自由貿易体制の存続が危ぶまれるに至っております。  このような情勢のもとで、政府としては、自由貿易体制を維持強化し、貿易拡大均衡による世界経済発展を図るため、一連市場開放措置を講じてきたところであります。  その一環として、政府は、さきにわが国基準認証制度等について抜本的見直しを行い、包括的な改善策を講ずることを決定したところであります。この決定は、わが国市場開放努力を示すものとして諸外国から高く評価されるとともに、その帰趨について、内外から強い関心と期待が寄せられているところであります。  この法律案は、この決定を踏まえ、国内における各種製品使用者に係る安全その他の利益の確保を図りつつ、認証手続における内外無差別を法制度的に確保するという観点から必要な規定整備を行うことを目的として、関係法律を一括して改正しようとするものであります。  次に、法律案内容概要について御説明申し上げます。  第一に、外国において本邦に輸出される製品製造事業を行う者がわが国認証制度において定められた各種認証をみずから取得し得る旨の規定を設けることとしております。  第二に、外国製造業者認証取得に係る手続及び当該認証取得した外国製造業者の遵守すべき事項については、国内製造業者と同様とすることとしております。  第三に、外国製造業者が法令に違反した場合その他一定の事由に該当するときは、認証を取り消すことができることとしております。  第四に、外国製造業者国内において恒常的に果たすべき義務を負っている場合には、これを履行する者を国内に置かなければならないこととしております。  以上のほか、所要規定整備を行うこととしております。  なお、今回改正の対象となる法律は、消費生活用製品安全法等十六法律であります。  以上がこの法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 登坂重次郎

    登坂委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 登坂重次郎

    登坂委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。浦野烋興君
  6. 浦野烋興

    浦野委員 質問をさせていただきますが、これは質問の通告をいたしておらぬのですけれども、先般の新聞には、一月十四日から二十三日にかけてのギャラップ調査による米国民の対日信頼度、これは大臣もごらんいただいたと思うのであります。新聞は一様に、経済摩擦を反映して対日信頼度が一年前と比べてきわめて激減をしておるというようなニュースになっておるわけであります。外務省からの資料も取り寄せて見たわけでありますが、新聞と同じような内容になっておるわけでございますけれども、「信頼できる友邦」と答えた者が四四%で、昨年よりも九%下回っておる。信頼できるその理由は、「貿易関係の良好」を挙げた者が前回の一六%から七%に減っておる。前回一五%だった「日本が不公正な貿易障壁を有しているから」が二二%と、これは急増しておるわけであります。こうしたものの是正には「輸入障壁の除去」、これが実に五六%、あるいは「農産物に対する市場開放」六四%というようなことになっておるわけでありますが、これは当然、今日の日米欧の経済的な摩擦に起因しておるというふうに感ずるわけであります。  これに対して、大臣は、外務省調査あるいは新聞をごらんになられてどのように受けとめておられるか、まずお尋ねをしたいと思います。
  7. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 経済関係の中でも、日米関係は最も重要な関係にあると私ども考えておりますので、ただいま御指摘新聞ないし外務省調査動向につきましては、大変懸念をしておるところでございます。  いろいろ認識相違があることがしばしば指摘されているところでございますが、今回の法律などを契機に、ひとつぜひともこのような認識相違あるいは誤解、そしてまた理解完全化のために努めなければならないと考えております。
  8. 浦野烋興

    浦野委員 こうした国際環境の中にありまして今回審議に付された基準認証制度改善、これに対する法律案審議がきょうから始まったわけでございます。  まず、総論的なことでありますが、ただいま大臣からの法律案提案理由説明、これにつきましては拝聴いたしました。この法改正をするという決定がなされたのが三月二十六日というふうに記憶いたしておりますが、それから一カ月足らず、きわめて早い成立を望んでおられるわけでありますけれども、まず、その提出についてどうしておくれたのか、そしてどうして早く成立させなければならないのか、そこら辺の理由につきましていかがでしょうか。
  9. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 予算が上がりました後でこのような、法律審議をお願いするような時期に提案したことは大変申しわけなく思うところでございます。  御案内のように、非関税障壁の問題は大変複雑な問題でございます。関税障壁、非関税障壁あわせて、いろいろと私ども市場開放措置努力をしてまいったところでございますが、先般の関税等引き下げあるいは割り当て等についての改善、このような問題とあわせて、私どもは、非関税障壁について検討するということを決定したところでございます。しかし、内容はきわめて複雑な技術的な問題がたくさんございまして、そのためにこの法案提出がおくれたこと、これは手続だけの規定でございますけれども、大変申しわけなく思うところでございます。これは多分に、関税障壁に続いての非関税障壁という、貿易摩擦と申しますか、二国間あるいは多国間にありますところの障壁検討の順番がそのような重要性で並んでいることにもよるものだ、こういうふうに私は考えております。
  10. 浦野烋興

    浦野委員 本法律案は、この提案理由にも載っておりますが、単独ということではなくて十六件も一括法案としておるわけでございますけれども、これもただいま大臣がおっしゃったような、早く成立させなければならぬ、あるいは技術的な問題によってこうした一括法案として上げた、こういうことに理解してよろしゅうございますか。
  11. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 御指摘のとおりでございます。外国製造業者にも、国内製造業者と同じような型式取得についてステータスと申しますか地位を与える、そのための規定整備、これは十六の法律に共通した考え方でございますので、考え方を統一する意味において一括法案にさせていただいた、こういうことでございます。
  12. 浦野烋興

    浦野委員 これまた総論的な質問になるわけでございますけれども、今回の基準認証改善策、これは先ほど来話が出ておりますように、貿易摩擦に起因をしておるということになるわけでございますけれども貿易摩擦の現段階における現状、あるいはこれまでわが国はどのような対応をしてきたのか、あるいは今後どのような対処をする方針を持っておるのか、ここら辺のことについてお尋ねをしたいわけでございます。  まず、アメリカについては、かねてより農産物の問題が大きく取り上げられております。つい最近に至っては、大型オートバイ関税引き上げという問題、さらに日本産業政策そのものに対して、これは四月二十二日、毎日新聞の夕刊ですが、これまでもたびたびわが国産業政策については批判がましい記事が載っておったわけでありますが、今回はオルマー商務次官のきわめて強い言葉で出ておるわけでございます。ここら辺のことについて、大臣あるいは関係各省庁はどのような受けとめ方をされておられるでしょうか。
  13. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 先ほども申し上げましたように、一九六〇年代から関税障壁の問題が大きく取り上げられました。御案内のように、ケネディ・ラウンドそして東京ラウンドにいきまして、この問題は一応の見当がついているところでございます。そして一方、関税障壁だけではだめなんだ、やはり非関税障壁という問題を取り上げなければ本当の意味自由貿易制度のよさが出てこないんだということが、だんだん世界経済が密接になりますにつれて主張されるようになってきたところでございます。そのような会合が昨今しばしば行われることになりました。しかもまた、ガットにおきましてそのような基準あるいは認証制度の協定ができるようになりましたので、これらを一つ基準としながらこのような法律改正が必要であるということになりまして、このような提案をいたすに至った次第でございます。  なお、具体的に各種市場開放措置を何回かに分けて私どもやってまいりましたが、その詳細につきまして、御必要がございますれば政府委員から答弁させていただきたいと思います。
  14. 塚田実

    塚田説明員 農産物の問題につきましてお答えいたします。  アメリカは、これまで過去一年半にわたりまして、わが国残存輸入制限品目農水産物で二十二品目ございますけれども、これの自由化を強く求めてきております。特に牛肉柑橘について強い関心を有しておるということは御案内のとおりでございます。  そこで、牛肉柑橘につきましては、東京ラウンドの合意によりまして、来年の四月以降、一九八四年度以降の輸入の取り扱いの協議を行うということになっておりまして、それの第一回目の協議が昨年の十月にホノルルで行われたわけでございます。そこでアメリカは、牛肉柑橘につきまして来年の四月一日以降完全自由化ということを主張したわけでございます。わが方は自由化には応じられないということで、双方の主張平行線をたどり、物別れに終わっているわけでございます。  その後、本年一月に中曽根総理が訪米いたしまして、総理から、この問題は国内的に種々困難な事情があるのであるから専門家同士の話し合いにゆだねた方がよいという御発言があり、これを踏まえまして私ども農林水産省としては、二十六、二十七、きょうとあす、東京時間で言いますと今夜からでございますけれども、ワシントンで第二回目の協議を行うこととしております。  農産物市場開放につきましては、御案内のように、わが国農産物需給動向をまず踏まえなければいけませんし、それから食糧の安定供給という重要な役割りを果たしているわが国農業の健全な発展と調和のとれた形で行うことが基本的に重要であるというふうに考えております。そこで、今回の日米協議、これからも続くと思いますが、そういう日米協議におきましては、かかる観点に立って農林水産省としては慎重に対処していきたいと考えております。
  15. 福川伸次

    福川政府委員 ただいまお尋ね貿易摩擦問題について、その現状経緯あるいは今後の対応策はどうかというお尋ねでございます。  今日の摩擦問題の主要な原因と申しましょうか、問題の中には、やはり基本的には世界経済が非常に停滞をしておって、諸外国とも失業率が一〇%を超えるというような雇用状態の悪化が背景になっておるわけでございまして、そのために欧米諸国を中心に非常に保護主義的な傾向が強いわけでございまして、私どもとしては、こういった保護主義防止、抑圧ということにつきましては、やはり貿易拡大均衡自由貿易体制を維持しながら世界経済拡大による均衡を図るという方向で、その解決の道を見出していくべきではないかというふうに考えておるわけでございます。そういった意味で、わが国市場開放策実施、さらにまた産業協力等によりまして世界経済活性化を図るという方向、さらに共同して技術開発等を進めながら新しい世界経済のフロンティアを開拓していくという方向を探求してまいりたいというふうに思っているわけでございます。  また輸出につきましては、先ほどオートバイの例について御指摘がございましたが、やはり急激な、非常に集中豪雨的な輸出回避をする、その輸出のモデレーションという点についても世界経済との協調を図る意味努力をしてまいりたい、こういうふうなのが基本考え方でございます。  市場開放策につきましては一昨年以来一連対策を進めてまいりまして、関税引き下げ、さらに輸入制限措置緩和、あるいは今回御審議をいただいております輸入検査手続改善といった措置を順次講じておりまして、たとえば具体的には、たばこ、チョコレート、ビスケット等先方欧米諸国関心品目につきましての関税撤廃、あるいはまた相手国から日本市場について不満のございます苦情処理をいたしますためのOTOの組織の活用といったようなものを実施をしてまいったわけでございます。  また、産業協力に関しましても、欧米諸国十分協議をして、それぞれ資本投資あるいは技術交流といった面で欧米経済活性化にも協力していくということについて積極的な努力をいたしておるわけであります。  また、お触れになられましたオートバイ関税引き上げ問題でございますが、これは、大型オートバイ輸入に関しまして四月十六日からアメリカが最高四五%の関税引き上げ実施する、こういうことに相なったわけでございます。これは一九七四年の通商法二〇一条に基づいての提訴によるわけでございますけれども、今回アメリカレーガン大統領がこの引き上げの勧告に基づいて実施をいたしたわけでございますが、この点に関しましては、一つは、その関税の率が通常の場合より異例に高いということがございますし、さらにまた大型オートバイ不況というのが日本輸入といかなる関係があるか、その要件の適合性の問題、さらにまた、今回とられました措置が他の国からの輸入ということに比べまして差別的になっているという問題もございます。そういうことで、私どもといたしましては、ガット上の協議を含めまして種々の機会を通じまして先方にその問題点指摘をいたしまして、ガット上の認められております措置の中で先方の再考を促しながら妥当な解決を図らなければならない、かように考えておる次第でございます。  産業政策につきましては、別途関係政府委員からお答えいたします。
  16. 斎藤成雄

    斎藤(成)政府委員 お尋ね産業政策批判の点でございますけれども、御承知のとおりアメリカの一部で、日本先端技術産業の躍進とかアメリカ産業競争力低下への不安を背景といたしまして、アメリカにつきましてもあるいはわが国につきましても、産業政策状況について十分理解のないままに批判を行い、日米間の貿易上の諸問題の原因日本産業政策に起因しているような、そういう声があるわけでございます。  わが国といたしましては、せんだって四月十八日に通産大臣から談話の形で、わが国産業政策基本的考え方内外に明らかにいたしまして、その理解を求めたところでございます。  談話の骨子は五点になっておりまして、第一は、産業政策というものは、呼称、形態は異なっても、各国に広く普遍的に行われているということ、第二番目に、わが国産業政策は間接的、誘導的な政策体系を基礎としておって、欧米諸国産業活動に関する政策と比べても非常にソフトであるということ、三番目に、現在のわが国産業政策重要課題は、先端技術開発推進のための基盤整備と、構造的困難に直面しているいわゆる構造不況産業の積極的な産業調整の問題であるということ、四番目には、産業政策が異なるということを理由として産業政策批判を行うということは保護主義台頭につながる危険性があるということの指摘、第五番目に、むしろいまやるべきことは、共同開発等国際協力を今後とも活発に進めて各国産業共存共栄を目指すことが必要だ、以上の五点の指摘を行ったところでございます。  私ども通産省といたしましては、こうした考え方に基づいて今後ともわが国産業政策に関する正しい理解を求めまして、誤解による保護主義的な圧力防止に努めるとともに、先端技術産業分野の自由な貿易あるいは技術投資交流国際共同開発などを活発に進めるということにいたしております。  以上でございます。
  17. 田中誠一郎

    田中(誠)政府委員 若干経緯を御説明申し上げますが、先ほど大臣から申し上げましたとおり、わが国といたしましては、自由貿易秩序の維持によりまして、世界経済、またわが国経済自身にとってもプラスになるという基本認識を持っているところでございます。そのために、保護主義台頭防止に努めてまいりましたところでございますが、同時に、世界経済の再活性化を図る必要があるという観点から市場開放措置を、先ほども話がございましたように、一昨年来とってまいったところでございます。  一昨年の十二月十六日に、東京ラウンド関税率の一律二年分前倒し措置を含みます対外経済対策決定いたしまして、それを受けまして、昨年一月三十日に輸入検査手続等改善市場開放問題苦情処理推進本部、いわゆるOTOの設置を決めたところでございます。また、昨年の五月二十八日には、輸入検査手続等改善関税率引き下げ輸入制限緩和等の八項目市場開放対策決定いたしました。本年に入りまして新たに一月十三日、関税率引き下げ基準認証制度等の全面的な検討を含みます「当面の対外経済対策推進について」を決定したところでございます。これに基づきまして、先ほど先生からも御指摘ございましたように、基準認証制度改善につきまして、本年三月二十六日に了承いたしまして、四月五日、「今後の経済対策」におきましても、基準認証制度改善につき所要改正法案を今国会に提出することを決めたわけでございます。  以上のような経緯でございまして、この措置によりまして諸外国の十分な理解を得ることができるというふうに私ども考えておりますし、諸外国から要望の強かった認証制度内外無差別を実現することによりまして、認証制度に係るわが国に対する批判は解消し、経済摩擦貿易摩擦回避に大きく貢献するのではないかというふうに考えております。
  18. 浦野烋興

    浦野委員 ただいま御答弁をいただきました。大変御努力をいただいておるわけであります。  欧米との経済摩擦について、昨年の一月、開放策の第一弾が実施され、続いて五月にもまた第二弾という形で関税引き下げ、これも御答弁があったと思うのですけれども、非関税障壁撤廃あるいは改善サービス貿易自由化等の八項目等々、こういうものを実施して、わが国はそれなりに大変な努力をしておるわけですけれども、依然として、欧米わが国に対する圧力といいますか、要求というのは強くなってきている。  これは、わが国がこれまで努力をしている、手だてをとってしておることに対して、外国欧米はこれを評価していないような動きもあるわけであります。評価していないから、このような強い要求が引き続いて出ていると思うのでありますけれども、ここら辺のところはどうなんでしょうか。部分的には評価しているということも考えられるのでしょうか。
  19. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 私も、浦野委員指摘のように、最近の貿易情勢、いま福川貿易局長が言われましたように、最近の国際収支状況等に伴いまして外国からいろいろの要求が新しく出されてくることは、まあ当然のことかと思うのでございますし、これに対して、私ども十分考え決定して対処しなければならないと思うわけでございます。したがって、この法律案を高く評価するかしないか、いろいろお考えはありましょうけれども、私は、単行法律をつくって、十六の法律について明文をもって、外国製造業者国内製造業者と同じ扱いにする、このことは画期的なことだと思いますので、評価していただけると思うのでございます。  問題は、この法律規定というよりも、むしろ各十六の法律の中にありますところの、その規定に基づきますところの型式、いわゆるスタンダード、これがいろいろの観点から論議が行われ、さらにまた、時代の進展に応じ、あるいは貿易状況に応じて、常に新しい意見あるいは主張として出てくることはやむを得ないことだと思うのでございます。そんなような観点から、過去何回かに分けて、市場開放対策と銘を打って対処したところでございます。  私どもは、小出しに出したのではない、そんなような気持ちは持っていないところでございまして、やはり時代に応じてこのような考え方が是認される場合があって、私ども市場開放対策措置を講じてきた。私は、今後もそのような情勢が起こり得ることが絶対ないとは申し上げにくいと思います。しかしそれは、依然といたしまして、合理的な、そしてまた国際化基準等考えて十分に対処すべき問題である、このように考えております。
  20. 浦野烋興

    浦野委員 時期は私はちょっと知らぬのですけれども、そう余り遠くないことだと思いますが、ハワイで日米議員のシンポジウムというのが開催されたようでございます。この内容等につきまして、伝え聞くところによりますと、現在アメリカにおいては、何かジャパンパッシングとかいう、つまり日本はたたけばたたくほど、ただいま大臣から小出しというような表現もちょっとあったわけでありますけれども、たたけばたたくほど日本という国は譲歩をしてくるのではないか、そういう感情がアメリカで強まりつつある。あるアメリカの出席された人は、EC、これはたたいたってもう何にも出てこない、あきらめざるを得ないけれども日本はたたけば何かを引き出すことができる、こういう気持ちがジャパンパッシングというその言葉の背景にあることも指摘をしておるようです。これまでの一連市場開放策、ただいま御答弁もいただいたわけでありますけれども日本というのは、たたけば無原則的に譲歩するとか、あるいは日本の交渉の原理がわからぬので、ひとつここら辺でたたいておけというようなイメージがどうしても蔓延するといいますか、外国の中で強くなったらこれは大変なことであろうと思います。  先ほど質問でも申し上げたわけでありますが、オルマー商務次官ですか、今回の法改正について、日本市場開放は全く不十分だと批判しておるわけでございますけれども、こうしたアメリカの姿勢というのは、私なりに考えますと、全くこれは際限がないのではないかという気もいたすわけであります。これをどう受けとめていくのか。抑止していくのか。これは政府にとって大きな課題であろうと思うのでありますけれども、これらの対応につきまして大臣の決意をひとつ披瀝していただければと思います。
  21. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 まず、私どもは、日米関係の、特に経済関係重要性はやはり最も重視しなければならないと思うところでございます。しかしながら、ジャパンパッシングというような表現は私は当たらないだろうと思います。  私ども一連市場開放措置をとってまいりましたことは、一つは、先ほど申し上げましたように、各国ととにかく、何と申しますか、マルチラテラルな関係考えていいかと思いますけれども関税障壁の問題であって、関税引き下げの問題でございます。いろいろな国内上、そしてまた国際情勢等を考えながらの関税障壁の解消の問題であり、第二は、関税障壁のみならず、非関税障壁もお互いに改善し自由貿易主義を守っていこうではないか、こういう考え方に沿って行ったのが今回のまた考え方でございます。  その方策を進めるための法律、つまり外国製造業者にも、国内製造業者と同じような型式取得についての法的な地位を与える、こういうことが念願でございまして、私は、これはたたけば出るというような表現よりも、とにかく合理的な、そして国際化の路線は何か、そしてまた相互条件的な取り扱いにするにはどうしたらいいか、このような論議を経て合理的なものとして是認されて出てきたものが今回の基準認証制度についての、型式等についての、スタンダードについての各省が行いました一つ考え方だ、こういうふうに思います。
  22. 浦野烋興

    浦野委員 今回の基準認証制度そのものについては、それなりに大変意義があると思っておるのですが、欧米から何か日本に対して要求がありますと、マスコミもそうでありますが、素早く対応するということはそれなりにこれはまた必要なことだろうと思っておるのですけれども、ただいま大臣は、ジャパンパッシングというような、そんなものはないという感想を述べられたわけであります。私個人には、何かいささかへりくだっているというようなところもあるのではないかという気がするわけであります。  米国企業、わが国に進出しておるそうした企業、これは何か進出している国で起こった問題、苦情をすぐ自国の政府に申し入れるか、あるいは自国の政府自体がこれを早急に吸い上げ、そしてこれを外交レベルで処理するというような能力、これに案外たけているのではないか、こういう感がいたすわけでございますが、わが国政府としても、そうした活動というものをもっと強化すべきではないのか。これまでいろいろそれはやっておられるのでありましょうけれどもわが国の対外国への取り組みの姿勢あるいは対応策、及び、先ほど申し上げましたが、相手側への周知徹底される手法あるいは周知徹底させるについてもどの分野に力点を入れていくのか、こうした対象範囲、こういうようなものにつきましてもう一度改めて見直す必要があるのではないか、こんな気もいたすわけであります。  日米議員交流を盛んにしてという、そうした手法もとられているわけでありますけれども、まだ十分な効果、もちろんこれはそう一挙に効果が出るというものでもなかろうと思うのですけれども、向こう側は強いけれども日本というのは、国民性なのかもしれませんけれども何かこう非常に低姿勢というか、おとなしい、そんな感じがいたすわけでございます。  現在、そうした面でのどのような努力を払っておられるのか。あるいは、決して横着はしていない、決然としてやっているんだということであれば結構なんですけれども、そこら辺のところを概略御説明いただきます。
  23. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 貿易摩擦あるいは市場開放問題についての取り組み方、さらにまた各種の施策を行った場合のキャンペーンその他の方法について、いま御提言がございました。私もその点は全く同感でございます。これまで政府におきましても、たとえば私の企画庁の中にはOTOの予算等がございまして、いろいろとキャンペーンの予算がついているところでございます。OTOの諮問会議を構成する方々にキャンペーンを通じてお願いを申し上げ、また外国からの注文、要望等を伺っているところでございます。各省は各省なりに、同じような取り組みをしているかと思うのでございます。  さらにまた、一番大事なことは、御案内のように、アメリカ政府はわりあい自由貿易主義を守っていこう、保護貿易主義台頭を抑えていこうという態度をとる傾向があると言われておりますが、一方、議会の方は大変保護主義的な考え方が強い、こんなようなことがよく言われます。私ども、ときどき日米議員の会合に出てまいりますと、いわゆる認識相違といいますか、パーセプションギャップの問題が常に主張されて、この問題についての弁解になりがちなことは大変残念だと思うくらい考え方が違ってくるような場合があることを考えますと、何としても日本人の考え方あるいは日本の経済のあり方あるいは日本企業の行動、さらにまた、先ほど来お話がございました産業政策日本的な、日本でとっておりますところの進め方、これらについてもう少し理解を深める必要があろうか、私どもはこんなふうに思うところでございますし、いま通産省からお話がございましたように、産業政策等につきましてはいろいろのキャンペーンを行って、正しい理解を求めているようなところでございます。しかし、いずれにいたしましても、民族の根本的な発想と申しますか、考え方相違に基づく点が多分にございますので、粘り強く努力する必要があろうかと思います。  第二には、十年前にはわずか日本が六億ドルのアメリカに対する輸出超過でございましたが、いま、あるいは百八十億ドルあるいは二百億ドルと言われておりますところの貿易関係であることを考えてみますと、これらの点についても十分な配慮をしていく必要があろうか。これが根本でいろいろの問題が発生しておるといたしますれば、やはりここに経済政策全般のあり方、たとえば内需振興等を含めて日本政府並びに日本経済全体が考えていくべき点が大いにある、こういうふうに考えております。
  24. 浦野烋興

    浦野委員 今回の法改正、これはサミットへの一つのおみやげだというような声も聞かれるわけでございますけれども、当然サミットにおいてはこの貿易摩擦が主要テーマの一つになるのではないかと考えられるわけであります。これに対するわが国基本姿勢、そして、これは当然サミットにおいてもその基本姿勢として、わが国主張すべきところは主張しなければならない。あるいは外国からの正当な要求、これについては謙虚に耳も傾けていかなければならない。自由貿易の調和、国際経済関係の形成に積極的にわが国として貢献していかなければならぬことは当然のことであるわけでございます。  そうした意味で、今回の基準認証制度改善以外に通商関連行政、これについても簡素化、合理化を図る、こういう見地から、その見直し等にも真剣に取り組んでいただきたいと思うのでありますけれども、この点につきましても、新聞等で出ておりますように、市場開放問題苦情処理推進本部に先般、経団連の意見書が提出されたということもございますし、また臨調の答申にもそれに関連したものが載っておるわけでございますけれども、ここら辺のことにつきまして、大臣もあるいはサミットに行かれるかもしれませんが、わが国基本姿勢なり、ただいま申し上げた基準認証制度改善以外の通商関連行政、これにつきましてのお考えというものをひとつ簡潔にお伺いしたいと思います。
  25. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 私はサミットには参りませんし、現在、その議題と申しますか、議題はまだ決まっていないようでございます。  しかしながら、もうサミットは経済問題が中心の会議でございます。そして、シュミットさんやあるいはキッシンジャーさんが最近の論稿で書いておりますように、現在、サミットにおいて先進工業国の間で、世界経済の現況を救わなければ民主主義制度自体が大変な危険性を帯びてくる、こんなふうに心配されているほど経済問題が重要となっているわけでございます。各国が、かつて戦前のように消費を抑え、輸入を抑え、輸出だけを奨励するならば大変なことになるじゃないか、こんなふうな憂慮がされておりますことから、具体的な項目として、市場開放措置というような言葉ではございませんけれども、ともかくも現在の経済的な大変な危機の問題と言われるぐらいの問題、さらにまた保護貿易主義台頭の問題、そして自由貿易主義をどのように進めていくかという問題は重要な議題になる、こういうふうに私は確信しているところでございます。その中で、今回先んじてとりましたところのこの法案、そしてまたスタンダードあるいは型式改善方向は発言の一つの大きな根拠になる、私はこんなふうに考えているところでございます。  それからまた、第二のお尋ねがありましたのは、経団連から出されました、各種手続の簡素化を含めての市場開放措置の問題の提言でございます。今回の法律には、私は経団連の提案関係はないと思います。経団連の提言は、輸出手続を含めての貿易手続の簡素化の問題でございまして、輸入に関するものは、この基準認証制度の各省の話し合いの中で解決されたことでございましょうし、それは幸いに法律になっておりませんから、いろいろ御意見がございますれば、随時各省との間に話し合いが行われることによって新しく取り上げることも今後可能でございます。各国からの要望についても各省が随時取り上げられるという現在の法的な仕組みだ、私はこういうふうに考えているところでございます。  なお、輸出手続、これは確かに大事な経団連の提言ではございまするけれども、これは市場開放措置というよりも、むしろ国内問題として考えるべき点がございます。もちろん、相手方の輸入業者に影響が及びますれば事態は改善しなければなりませんけれども、多分に国内的な行政簡素化の問題と考えられますので、これらにつきましては、この問題と関連してでもいいかと思いますが、切り離してでも検討しなければならない問題だと考えております。
  26. 浦野烋興

    浦野委員 次に、基準認証制度改善内容、これにつきましてお尋ねをしたいのでありますが、あるいは前の質問とダブるのかもしれませんけれども、当初三十数本関連法案があるということでございました。今回法改正の対象になるのは十六本、別途今国会に提出されるところの家畜改良増殖法、合わせて十七法律となったわけでございます。三十数本と聞いておったわけでございますが、これが今回十七本ということになった理由、これを当委員会においてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  27. 禿河徹映

    禿河政府委員 私ども基準認証制度改善策につきまして検討を進めるに当たりましては、法的な内外の無差別原則というものを確立していって、外国製造業者も、日本国内製造業者と同等の条件でこの認証制度に参加し得る道を法制度的に確保するという観点で、法制面の検討を始めたわけでございます。  その検討に入りますに当たりまして、各法律におきましてこういう認証制度というものを規定しております法律を全面的に拾い出しましたところ、そういうことを規定しております法律が二十九本、それから規則で二つございました。それにつきまして個々の内容について詳細に検討いたしたわけでございますが、その結果、十二の法律と二つの規則につきましては、外国製造業者わが国認証手続に直接参加し得る道は現行法においても開かれておるということが実は確認をされたわけでございます。  残りの十七の法律につきましてしさいに検討いたしますと、積極的に外国製造業者というものを排除しておるとかいうものではございませんけれども、各規定との関連において詳細に見てまいりますと、外国製造業者がそれに参加し得るか否か、不明確なものがかなりございます。そういうふうなものを検討の対象といたしまして、その十七のうち一つは単独法で改正をお願いし、残りの十六のものにつきまして一括法でその改正をお願いいたしたい、かように考えたわけでございます。
  28. 浦野烋興

    浦野委員 改善措置として、規格・基準の作成過程の透明性を確保する、あるいは規格・基準国際化推進を図る、外国検査データの受け入れ、あるいはもっとそれ以上にあるのですけれども、こうしたこと等々に努めることになっておるわけでございますが、今後それぞれの認証制度に  おいてどのようにこれを進めていかれるのか、簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  29. 禿河徹映

    禿河政府委員 ただいま御指摘がございましたとおり、今回の法律改正案以外に大きな観点で三つ、基準認証制度について改善を図るべき事項というものを私ども考えております。その一が、規格・基準作成過程におきますところの透明性の確保ということであり、第二は、規格・基準国際化というものを推進していくということ、それから第三が、外国の検査データで信頼できるものはこれを受け入れていく、この三つがございます。こういう点につきましては、去る三月二十六日の「基準認証制度改善について」という、経済対策閣僚会議におきましてかなり具体的な改善項目を掲げ、その方向を決めたところでございます。  そういうことにつきまして、今後できるだけ速やかに各省庁におきまして省令の改正を行う、あるいは運用の改善ということで対応していこうということの意思統一ができております。物によりましては、非常に詳細な技術的な検討が必要であるというふうなことから、若干時間がかかるものもございます。たとえば、五十八年度中にはこれを完成しようとかいうものもございますが、できるものにつきましては可及的速やかに各省庁においてその方向で対処していくということに相なっておるわけでございます。
  30. 浦野烋興

    浦野委員 この中で、外国検査データの受け入れという項目があるわけであります。これはどのような具体的な手続関係の方式がとられるのかわかりませんが、これはあるいは部分的には企業秘密的なものがあろうかと思います。なかなかこれは困難を伴うと思うのですね。そこら辺につきましてはこれから御検討いただくことになると思うのでございますけれども、こうした改善措置を講ずるに当たりまして、わが国基準認証制度、もともとこれは健康、安全の確保というのが大前提になっておるわけでございますけれども、こうした本来の趣旨というものを損なうようなことであってはならない、これは言うまでもないことでございます。これらについては十分お考えになっておると思うのでありますけれども、ひとつ改めてその辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  31. 禿河徹映

    禿河政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、そもそも規準・認証制度というものを定めておりますのは、国民の生命とか健康とかあるいは産品の品質の優良性を確保するとか、そういう目的によるものでございまして、私ども基準認証制度改善してできるだけ、たとえば国際的な基準との整合性を図っていくとかいうふうなことを図るといたしましても、当然そういう安全性の確保とか、あるいは公害防止とかいうものにつきまして万全を期していかなければならない、かように考えております。  たとえば、御指摘がございました外国の試験データの採用につきましても、当然その信頼性というものを十分検討し、物によりましてはやはり独自の試験データを得た上でないと受け入れてはいけないというふうな方向のものもあるようでございます。そういう国民の安全というものの確保につきましては、これからも十分配慮してまいることは当然でございます。
  32. 浦野烋興

    浦野委員 ひとつそういうことでやっていただきたいと思うのでありますが、あわせてこの基準認証制度改善措置、これを実効あらしめるためには、今後ともそのフォローアップに力を入れていかなければならない、努めていかなければならないわけであります。ここら辺の態勢といいますか、そうしたものは、本法律の冒頭に質問をいたしましたが、大変急いでおられるわけでございますけれども、このフォローアップの態勢、こうした点については十分自信を持っておられる、また持っていただかなければならぬわけでありますが、これは間違いないわけですね。そこら辺の態勢はいかがなんでしょう。
  33. 禿河徹映

    禿河政府委員 今回の基準認証制度改善に当たりましては、関係する省庁が大変に多いというところから、内閣基準認証制度等連絡調整本部というものを設けまして、この間の調整の任に当たってまいったわけでございます。その検討の結果が、今回の法律案を初めといたします各種改善措置ということになったわけでございます。  法律案の方は現在御審議をお願いしてございますが、そういう法律事項以外のものにつきましては、その推進は各省庁において行われるわけでございますが、なお御指摘のとおり、連絡調整を要する事項あるいはフォローアップをきちんと行いまして、所期の目的どおりその改善がなされるかどうかということを見届ける必要もあろうというところで、この連絡調整本部はなお当分の間存続するという方向でこれからも進むものと考えております。
  34. 浦野烋興

    浦野委員 私の住んでおりますところは豊田市なものでありますから、自動車関係につきまして一問だけお尋ねをしてみたいと思うのであります。  運輸省、これは自動車の認証制度改善策として、新車の登録時に一台一台車検場で検査する手間を省ける型式指定制度を利用しやすくする旨を発表されておられるわけでございますが、しかし、これにつきまして、新聞にも大きく出ましたが、GM、フォードは要求を出しておるのでありますけれども、これらの措置につきまして満足していない、こういうことを言っておるわけであります。さらなる制度の簡素化というものを求めているようでありますけれども、こうしたアメリカの不満に対してどのような措置をとっているのか、あるいはまた対応を今後されていくのか、そこら辺の姿勢、お考えというものをひとつ教えていただきたいと思います。
  35. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 先ほど来お話に出ておりましたように、今回、三月二十六日に決定を見ました自動車関係改善措置は、大きく分けますと二種類になります。一つは、いま先生がおっしゃいましたような型式指定の要件の簡素化、それからもう一つは安全基準緩和、この二つに区分されるわけでございますが、この型式指定の簡素化につきましては、米国側は、自己認証制度日本がまだ採用してくれない、こういうことについての不満は表明しております。  自己認証制度といいますのは、メーカーが国の定める安全基準あるいは公害基準に適合しているというふうにみずから検査をして決めまして、後、政府はトラブルがありましたときに事務的にチェックする、こういう仕組みでございますが、わが国型式指定制度というのは事前にチェックする制度でございまして、米側と全く国情の異なるわが国としてはそういう仕組みはとれないわけでございまして、これは従来からアメリカから要求がございましたが、自己認証制度はとれないということは従来からアメリカ側に申し入れているわけでございます。そういうことで自己認証制度が今回の措置で入っていないということについて、不満は確かに表明しております。しかし、今回の簡素化の努力につきましては、基本的に米側は歓迎しているということでございます。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、安全基準の問題についての米欧並みの調和を十一項目ばかり図ったわけでございますが、それは直ちに基準の改造関係の経費の削減になりますので、これは向こうとしては評価している、こういうことでございます。  それから、今後の措置でございますけれども型式指定の要件、手続の簡素化というのは、われわれとしては相当思い切った簡素化措置を打ち出したわけでございまして、これ以上の簡素化はないというふうに思っておりますけれども、米国は、まだこの型式指定というものを活用したことがございません。したがいまして、型式指定の活用方策について専門的に、技術的に、まだ彼らとしては理解ができない部分があります。そういうことで、私どもとしては担当課長を米国にも差し向けまして、政府関係者あるいは米議会の議員のスタッフ、それからアメリカのメーカー、こういった各方面に理解を求めるべくPRをしてまいってきておるわけでございます。  向こうの最終的な型式指定の簡素化についての反応はまだございませんが、私どもの方にいろいろな専門的な質問をしておりますので、この簡素化の中身が米国側でよく理解されれば、この制度も活用できるのではないかというふうに考えておりまして、私どもとしては米国側と、それからわれわれとの間での、実務者レベルでの具体的な意見交換を今後とも熱心に行うということで、米国側の十分な理解が得られるようにこれから努力してまいりたい、かように考えておる次第であります。
  36. 浦野烋興

    浦野委員 今回、こうした改善措置をとるわけでございますけれども貿易摩擦に起因をいたしておるわけでありますが、ただいま御答弁をいただきました外国日本の制度の違いというかあるいは物の考え方、思想の違いというような面もございまして、これを融合させるにはなかなかの努力もまた要るのではないかと思っております。ぜひひとつがんばっていただきたいと思うのであります。  先ほど大臣の御答弁の中にもございましたが、要は現在の不況そのものがこうした貿易摩擦そのものに大きく、そこに原因があるんだ。今回の基準認証制度改善、これをもちろん一つの部門といたしまして、世界の経済の再活性化といいますか、そうした面で大きな効果が出ればと期待をするものでありますが、大臣、最後に一言。
  37. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 浦野委員指摘のように、この貿易摩擦の問題は、各種の方法で片づけなければなかなか解決できない問題でございます。しかし、なお一方、国内の需要を喚起する、内需喚起によって輸出に依存しないことも、私は、重要な当面の経済政策であろうかと思うのでございます。ことに国際収支が原油の値下がりによってゆとりができた場合にこそ、私は、このような問題はなお大きな問題として考えられると思いますので、いま御指摘のような方向で、経済政策全般の問題としても貿易摩擦の問題を解決する方向努力しなければなかなか解決できない、この方向をとるべきだと考えております。
  38. 浦野烋興

    浦野委員 質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
  39. 登坂重次郎

    登坂委員長 次回は、明二十七日午前九時四十分理事会、午前十時委員会を開会することといたし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十一分散会      ————◇—————