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1983-04-13 第98回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月十三日(水曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 登坂重次郎君    理事 野田  毅君 理事 原田昇左右君    理事 森   清君 理事 後藤  茂君    理事 水田  稔君 理事 長田 武士君    理事 中野 寛成君      天野 公義君    稻村佐近四郎君       植竹 繁雄君    浦野 烋興君       越智 通雄君    奥田 幹生君       梶山 静六君    木部 佳昭君       田原  隆君    鳩山 邦夫君       宮下 創平君    粟山  明君       上田  哲君    上坂  昇君       清水  勇君    渡辺 三郎君       岡本 富夫君    北側 義一君       横手 文雄君    渡辺  貢君       石原健太郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  山中 貞則君  出席政府委員         環境庁大気保全         局長      吉崎 正義君         国土庁地方振興         局長      川俣 芳郎君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         通商産業政務次         官       渡辺 秀央君         通商産業大臣官         房審議官    野々内 隆君         通商産業大臣官         房審議官    村田 文男君         通商産業省立地         公害局長    福原 元一君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君  委員外出席者         国土庁長官官房         審議官     中村 博英君         国土庁長官官房         審議官     有岡 恭助君         国土庁土地局土         地利用調整課長 河村 勝三君         文部省大学局高         等教育計画課長 十文字孝夫君         林野庁指導部森         林保全課長   古宮 英明君         建設省計画局参         事官      広瀬  優君         建設省計画局技         術調査官    和気 三郎君         自治大臣官房企         画室長     金子  清君         自治省税務局固         定資産税課長  鶴岡 啓一君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  高度技術工業集積地域開発促進法案内閣提出第五四号)      ────◇─────
  2. 登坂重次郎

    登坂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出高度技術工業集積地域開発促進法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田原隆君。
  3. 田原隆

    田原委員 この法律案は、テクノポリス構想を具体化しようとするものでありまして、わが国技術先端産業発展を促進するための基盤を整備し、技術立国としての発展を図ろうとするものであると思いますが、産業政策と整合した形で地域経済の発達を促進しようとする地域開発政策でもあろうと思います。すなわち、産業政策地域政策の調和のもとに、地域住民生活の向上と国民経済社会の均衡ある発展を図ろうとするものであると思います。  しかも技術先端産業は、今後、高い生産の伸びに加えて、海外企業を含めた新規参入企業の増加、新製品に対応した生産工場建設等に支えられて相当程度立地の増大が見込まれておりますが、これは、わが国経済が二度にわたる石油危機を経て、昭和四十年代の高度成長時代から次第に安定成長へと移行していき、むしろ最近では低成長というか、不況感を持つに至っておりますが、この過程を通じて産業構造が非常に大きく変革してきつつあることであります。  特に第二次産業においては、知識集約化、高付加価値化の指向が急速に進展しております。いわゆる技術先端産業の急成長があるからでありまして、これはもちろん最近の技術革新の進展が大きくあずかっているわけでありますが、これらの技術先端産業立地動向を見ると、従来のような、大企業がやっていたような港湾整備あるいは広大な用地が必要というようなタイプ、基幹産業がやったようなそういう形と違いまして、空港高速道路、そういうものをハードの条件として必要とするが、むしろソフトな条件、すなわち人材、情報、技術の面を重視する傾向になっております。IC等電子部品製品輸送コストが小さいので、むしろ空港高速道路のようなものが近い方がいいというようなことで、地方へ分散しつつあるわけでありますが、その方向はますます強くなると思います。  したがって、テクノポリス構想は、時代に見合う新しい地域開発構想として理解し、高く評価しているものでありますが、これは通産省が二、三年前から調査を進めてきたところでありまして、具体的には十九地域について調査しているわけでございますが、こういう不況感の漂う暗い時代とも言うべきときに、地方に対して特に明るい光明を与え、夢を与えているということで、りっぱな構想でありましたが、これが今回のこの法案提出によって法制化へ踏み出すというわけでございますから、大変な画期的なものであると私は思うのです。  しかし、関係する省庁が非常に多くて、こういう法律はなかなかまとまって制度化しにくかったわけでございますけれども、今回それができることになったわけで、大変喜ばしいことであります。これがすんなりまとまったのは、一つには、やはりちょうど天の配剤といいますか、この先端技術産業地方へ行く、テクノポリス構想を最も望む地区におられる実力大臣があられたということであろうと思いますので、私は、大臣の手腕を高く買う者の一人でありますが、同時に、通産省の職員の方々の非常に粘り強い努力に敬意を表するものであります。  しかし、法制化しなくても、インフラが整備され環境が整備されておれば、おのずからできるものであることも事実であるわけでございます。これが法制化したために、逆に硬直化する部分も出るのではないかという心配も多少あるのです。  大臣にお伺いしたいのですけれども、この法制化した必要性といいますか、意義といいますか、あるいはむしろ運用についての大臣の基本的なお考え、理念をお聞きして、地方でこれを待っている人たちが、本当にこれはいい法案だというようなことがわかるように、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  4. 山中貞則

    山中国務大臣 ただいまの御質問で、私の方から御説明をしなければならない点を簡明直截に指摘されましたことに敬意を表します。  それはまず、これは法律をつくらなくてもできるものではなかったのかという点であります。法律になったことは結構なことだし、四面真っ暗な中でこれだけは一つ明るいニュースだというような、そういうこともおっしゃいましたけれども法律にするかしないかという問題は、私はやはり一番考えたわけなんです。  これは、たとえば農林省の構造改善事業なんという大変な金額を使っているのは、事務次官通達でやっているわけですね。そこで、法になじむのかなじまないのかということをまず最初に考えまして、しかし国会議員の皆さんや与党の空気が、地方の、ことに知事さん、県議会あるいは商工会議所、それから当該予定をしておられる地元の関係町長さん、議員さん、商工会の人たち、そういう人たちは、これはぜひ法律としてきちっと整備してもらった形で、そして明るいニュースだという形よりももっと具体的に、明るい日本列島の各地域未来が展望できる姿にしてほしいという声が強いことを知りました。  そこで、私としては、法律にする以上は、いまおっしゃったような硬直化を避け、法律で明確にするところはし、そしてまた地方がこれから自主的な計画等を立てられる場合にも、その指針としてなければならないものは、政令を含めてきちんと書いておいて、これを参考にしてやってくださいということで、それに耐え得るものにしたい、そのような条件をそろえた日本の各地域がそれぞれの特性を持って、全国画一的でなく、ユニークな地域都市づくりというようなものに発展してもらいたいというのが提案した私の願望でございます。  与野党の議員皆様方におわびを申し上げておきますが、国会法案提出がおくれましたのは、法律にすべきかどうかの判断を最終的に決めて、それから関係省庁連絡に入ったことが最大の理由でございますが、結果はこのようにめでたくまとまりましたので、おくれたことのお許しを願いたいと思うのです。
  5. 田原隆

    田原委員 先ほども私、申しましたように、産業政策地域開発政策の両方を踏まえておると思うのです。テクノポリステクノポリス、略語みたいになっておりますけれども、この法律の題名とか目的を見ると、多少持って回ったような言い方をしておりまして、この辺が少し何となくあれですが、これは率直にテクノポリス構想テクノポリス法案考えていいわけでございますか。
  6. 山中貞則

    山中国務大臣 テクノポリスというのがひとり歩きしちゃいまして、それぞれ違うのでしょうけれどもイメージまでできていった。テクノポリスというのは、ある意味では日本語じゃありません。そういう意味で今度、舌をかむような高度技術工業集積地域開発促進法案ですから、その意味では、いかにもテクノポリスが、ひょっとすればメガロポリスみたいに背後にくっついてくるんじゃないかというような、そういうイメージは、この法案名前に変わったことによって、そうじゃなくて、技術の高度の集積のある地域について、その地域にふさわしい産学住がそろった地帯をつくるんだな、こういうふうになったんじゃないかと思っております。いまおっしゃったとおり、余り大上段にポリスというようなことを、ひとり歩きした言葉が入っちゃったものだから、振りかざしておりませんので、今回はこの法律でまた新しく、夢みたいな話じゃないんだということを理解してもらえたと思います。
  7. 田原隆

    田原委員 よくわかりました。  大臣もおっしゃいましたように、これを法案にするかどうかというお考えを決めるに当たっては、各省庁がだんだんふえてきたということがあると思うのです。こういうふうに省庁がふえてくると一般的にはまとまらないものがまとまったというのは、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、これを運用するに当たって私が硬直化ということを心配したのは、各省庁が多いために、実際は船頭が多過ぎてうまくいかないことがあるんじゃないかということで、協調体制について御質問したいのです。あと細かい点は事務局にお聞きするとしまして、四省庁が一体となってやる、それからそのほかの関係省庁がございますが、まずこれの協調体制について大臣のお考えを率直にお聞きしたいと思います。
  8. 山中貞則

    山中国務大臣 主務大臣というのが何人もいるというのは、やはり好ましいことじゃないのです。本当は内閣総理大臣ということで表に立てておいて、それにどこかの官庁が、たとえば総理府なら総理府が中核になってやるという法律形態だとやりやすいのでしょうけれども、私ども一般行政庁でございますから、たとえば国土庁共管に入ってきた場合に、国土庁というのは実は総理府の中の庁でございますから、総理府の長は内閣総理大臣なわけですね。そうすると、いままでの法制を調べてみると、前例ではそういうときには内閣総理大臣となる、そして国土庁と読みかえる規定をどこかにつくるか政令に落とすか、というようなむずかしい立法上の問題があること等が時間のかかった理由でありますが、一番時間のかかったのは、私自身が最終的に、法律案作成の作業を開始してよろしいということを言うのに非常に長くかかったということで、あと調整は、これは同じ政府でございますからそんなにぎすぎすした話ではございませんで、お互いが、自分たちの役所もそういう構想に貢献ができます、御加勢できます、じゃ一緒にやろうや、ということで来てもらったわけでして、いちゃもんをつけて、共管にせぬと承知せぬなんと言うところはありません。そういうところはまた入ってもおりません。大丈夫です。
  9. 田原隆

    田原委員 大臣は太鼓判を押されましたけれども、ちょっと気になることがありますので事務当局にお伺いしたいのですが、後ほどで結構ですから、仕事がスムーズにいくに当たって仕事の流れと組織があると思うのです。仕事が流れていくフローチャートと関係省庁名前を全部、一覧表にしたものをいただけないでしょうか。  それで、なお各省にお伺いしたいのです。順番はどこからでもいいのですが、それぞれの省に、この法律にこういう条項があるのでおれのところは入ったのだというところを説明していただきたいと思います。
  10. 山中貞則

    山中国務大臣 あなたは経歴経歴だから、そういう独得な角度から各省庁全部に答弁させようというのでしょうが、そうじゃなくて、このテクノ構想に、ポリスという表現もあれですが、地域城下町と同じ意味で俗名ですから、そういうものにわが省はこういうことで協力ができますということを答弁してもらうならいい。それならいいです。
  11. 田原隆

    田原委員 大臣から大変ありがたいサゼスチョンをいただきましたので、そのように……。
  12. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  農林水産省主務大臣として参加させていただいているわけでございますが、私どもは、これは農政上重要な役割りを持っているという評価をしているわけでございます。  一つは、農村地域における安定兼業雇用機会の確保につながる、一つは、農林水産業、特に農業の高度技術の展開にも資するという視点、さらに関連産業、特にバイオテクノロジーに着目した関連産業発展に寄与するという積極的な評価をしているわけでございます。  その意味におきまして、私どもは、一番大きな問題になるのは用地取得のことだと思いますが、これに焦点を合わせながら、一つは農振法の線引きの特例措置を講ずること、それから農地法転用基準許可手続について特例措置を講ずること、それからこの事業推進するに必要な関連土地改良事業を予算上別掲いたしまして推進を図るということを具体的に検討しております。これらはいずれも農村工業導入法の例に準じた特例の扱いとして、主務大臣の責任において実施したいと思っておるわけでございます。
  13. 有岡恭助

    有岡説明員 国土庁といたしましては、設置法三条によりまして、「国土に関する行政を総合的に推進する」ということを主たる任務といたしておりまして、さらに四条の一号で、国土の適正な利用に関する総合的かつ基本的な政策及び計画企画立案推進、それから四号におきまして、地方における都市及び農山漁村整備に関する総合的かつ基本的な政策企画立案推進等事務を所掌いたしておりまして、いま申し上げました任務所掌事務からいたしまして、本法案に積極的に御協力させていただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  具体的に申し上げますと、国土庁といたしまして、地方都市農村等整備に関します知識経験等活用いたしまして、関係地方公共団体等を積極的に指導助言してまいるとともに、テクノポリス地域と、従来ございます新産・工特地区や、首都圏中部圏近畿圏等の三圏の都市開発区域等との重複がございます場合には、これらの地域開発に当たりまして、両制度の効果的な活用を図りまして計画調整を行うということを考えております。  さらに、定住構想推進調査費国土総合開発事業調整費等につきましても、関係省庁と協議いたしまして、必要に応じてできるだけこれを活用していきたい、かように考えている次第でございます。
  14. 和気三郎

    和気説明員 建設省といたしましては、このテクノポリス構想につきましては、高度技術に立脚した工業開発を促進することによって、地方経済自立化を目指す地域振興策一つとして評価しております。関係省庁協力いたしまして、積極的にこれを推進してまいりたいと考えております。  地域振興に資するためには、同構想推進に当たりましては町づくりが非常に重要な課題でございまして、このため、建設省としては、道路、住宅を初めとする所轄公共施設等の総合的な、かつ計画的な活用整備を図ってまいりたいと考えております。  開発指針の策定あるいはまた開発計画作成におきまして、またその実施におきまして、私ども所轄行政を大いに推進してまいりたい。そのことによりまして、このテクノポリス構想が円滑に、また積極的に進むことを願っておる次第でございます。
  15. 田原隆

    田原委員 大体わかりましたが、一つお願いしておきたいことがあるのです。  やはり各省の中でも、それぞれの局にまたがる場合があると思いますので、省内でこれに対する対応策を具体的に立てていただいて、たとえば建設省道路局とか河川局が、おれは知らぬぞというようなことがないようにしていただかなければならぬし、国土庁の中でも同じことが言えると思います。それと、地方から見ると、主務大臣それぞれの窓口が余りだだっ広くてもいかぬし、できるだけしぼっていただきたいということをひとつお願いしておきたいと思います。  それと、通産省にお伺いしたいのですが、協調体制についてもうちょっとこだわって申しますと、実際に中央において各省庁との連絡協議会を当然これはおつくりになると思うのですが、出先ブロック機関、あるいは県の対象となるところにそれぞれ各省出先があると思いますし、また各省出先的な県の機関があるわけでございますから、それらを含めた組織をつくって、そして常に連絡を密にするというようなことはお考えかどうか、ひとつお伺いするわけです。
  16. 福原元一

    福原政府委員 開発指針作成開発計画承認等に当たりましては、これを円滑に実施するために、本省間におきましても、連絡調整を図るための会議を随時開催するというふうに考えておりますが、お話しございました各ブロック県レベルにおきましても、関係いたします省庁支分部局あるいは出先機関等の参加による、本法推進のための連絡の場を設けるということを検討いたしたいと考えております。
  17. 山中貞則

    山中国務大臣 いまの答弁で足りないのは国土庁でございますが、出先がございませんので、したがって国土庁においては、それらの案件が各出先連絡協力によって、そしてまた重要な存在としてはそれぞれの主管の知事さんの立場もあると思います。そういうもの等を総合的に配慮しながら、そのケースごとに、国土全体を展望する国土庁というものの感触を伺いながら、最終的に私の手元で決定していくという形をとっていきたいと思います。
  18. 田原隆

    田原委員 非常によくわかりましたので、そういう運営の組織をつくって魂を入れていただいて、十分各省が前向きにやっていただきたいと思います。  次にお伺いしたいのですが、第三条関係でございますけれども、「その地域高度技術開発を行い、又はこれを製品開発若しくは生産利用する企業成長する可能性のある企業が相当数存在すること。」ということと、それから五号に「その地域又はその近傍に政令で定める要件を備えた都市が存在すること。」これは母都市と言われているものだと思うのですが、その他、工業系大学とか高速道路空港というようなことも書いてありますが、この「企業が相当数存在する」というのは、どの程度存在するわけですか。全然存在しなかったら、もう考えないのですか。
  19. 山中貞則

    山中国務大臣 この三条関係でありますが、三条の三のことをおっしゃったと思います。これは、やはりこの法律が既存の法律と全く違うということを初めに御説明をした方がよろしいと思うのです。  というのは、たとえば新産都市あたり、一時大騒ぎをしたことがありますね。あのときなどは、一応受け皿づくりというもので新産都市候補地を選んだということでありますが、今回は実は自然の形成といいましょうか、国家意思の反映なくして、したがって国家がそれに対して関与せず、誘導せず、推進せず、何の状態もないところに、新しく空港周辺というのが特徴的でありますが、日本列島空港整備に伴い、その周辺地域先端高度技術産業というものが、自分企業の論理といいましょうか、そういうもので計算をした上で出ていった方がいいという形のものがずいぶんたくさん見られるような結果になった、あるいはなりつつある。  この状態は、基本的に言うと、いままでの日本産業構造臨海型という形でございましたし、そこのところが、先般御可決願いました基礎素材産業等不況ということにもつながって、そっちの方にも目を配らなければなりませんが、ふと気がついたら、産業の方が先にそういう形態地域地域に出ていっていた。したがって、それに目をつけて、このままの状態企業だけであると、その出ていった工場がそこで何かをつくる、それを直ちに飛行場に持っていく、飛行場から成田に持っていって本社に、また飛行場から羽田に持っていって本社か、あるいは飛行場から成田に行ってすぐに外国かという、地域関係のない状態で、わずかな雇用に貢献したぐらいで存在しておる。まあ固定資産税も納めているでしょうけれどもね。そういう状態を、これから日本の新しい発展、すなわち臨海型、太平洋ベルト地帯的な形になってしまった発展が行き詰まっておる、そこのところで新しい活力を地方に芽生えさせることができないのだろうかということで、これからは相談事になるわけですけれども、その企業が、自分技術をその地域に対して波及させ拡散させることについては反対ですという企業を開放しろと言うわけにもこれはいかぬのですけれども、そういう企業が合意してくれた場合に、そうすると、その地域にあるもともとの特殊な産業とか地域特性のあるものとか、またその地域の持つ立地的な特性とか、そういうものが巧みに配合され、恐らく指定されていきますそれぞれの指定地域は、全部違った特殊なものを結論としては導き出してくるのだろうと思うのです。  そういう意味で、これはすでに企業の配置が国家意思関係なく決まった状態に着目をして、それを地方地域経済全体、地方のその地域住民生活あるいはまた産学住を含めた立体的な発展構想というものに結びつけることができると、新しい日本未来に大きなエポックを画するのではないか。そういう着想でございますから、したがって、すでにそういうものが存在することに着目したことですので、そういうような表現で、第三条にはそういう状態であることが書いてございます。  しかし、いままでそうなってきたのですから、これから先そういうことが結果としてできていくところがあれば、新しく手を挙げてきていただければまた審査の対象にする、私はそういう気持ちでございますし、いまおっしゃいました大学というものあるいは母都市といいましょうか、そういうものがそろっていないと、先端産業立地しているというだけでその地域拡散をやっても、その地域全体の産学住のそろった発展ということにはなかなかつながっていかないので、そこらのところを一つ条件として提示してあるということでございます。
  20. 田原隆

    田原委員 大体よくわかったのですが、現状を尊重し過ぎて将来の発展ということを余りうたってないような、むしろ国家意思が介入して、もうちょっとけ飛ばしてやったら転ぶだろうというようなポテンシャルがある程度あって、まだ不十分ではあるけれども国の意思ポテンシャルを高めてやろうとか、母都市基準がいずれできるでしょう、その基準に少し足りないけれども、この機能とこの機能をつけ加えてやったら母都市たり得る、そしていろいろな条件がそろうという場合に、それを積極的につくり上げようとする意思はこの法律では働いていないのかどうか。いまこういう財政状況の折でありますから、現在はそういうことはむずかしいかもしれないのですけれども、またかつてのようないい時代成長時代が来る、あんな時代が来るとも思えませんけれども、財政がもう少しよくなった場合に法律自身がそういう歩き方をしていいのかどうか、その辺の考え方をお伺いしたいと思います。
  21. 山中貞則

    山中国務大臣 すでに高度の工業が存在している地域は、わかりにくいのですが、第一条に適用地域対象外とするということが書いてございます。  というのは、いま私が申しましたような、これから未来へ向かって地方地域が躍動していくことによって日本列島全体が活気づくのではないか。かといって、国が積極的にこれから企業立地せよとは言えないわけです。たとえば飛行場があったらその条件がぴたりだがなというところに、国がこの法律をもとにして飛行場をつくるとか新しく工科系大学をつくるとか、そういうところまではめんどうを見ませんよということであって、その条件に合ったところでまず始めてください。これは二十一世紀を展望する計画と私ども、自負してやっておるものですから、これから先未来に向かってどういう姿が描き出せるのか、これは一つの試験でもあると思うのですね。それがやはり、これは国がもっと直接にそういう地域をつくり上げていくということにまでいかなければいかぬなということが出てくれば、いまおっしゃったようなことも、将来のビジョンとして捨てるべきものではなかろうと思っていますが、いまのところは、いまおっしゃったように国家財政の問題もありますが、しかし、理想を描く場合に財政を前提に理想は描けませんので、一応の理想像を描いて、財政もなるべく行政とともに協力をしてもらいながら、そして未来を開こう。そして、開かれた未来をつくっていく途中で、いまおっしゃったように国がもっとこれに対して強力な助成あるいはまた誘導、そういうものをしていけばここも可能性があるじゃないか、ほかの条件は整っているというような場合にどうするかについては、もう少し先になって見て、最初から甘やかしていくのはどうだろうかという気がしますから、そういうつもりで、十分念頭に置いています。
  22. 田原隆

    田原委員 次に、第四条関係でちょっとお伺いしたいのですが、「地域の設定に関する事項」というのが二項一号にありますけれども、これはいわゆる承認することなんですかね。  それで、これに関係しまして、現在十九地域調査しておりますけれども、あるレポートを見ますと、これらは全部大変成績がいいと書いてありますので恐らく指定されるのかもしれませんが、指定はやはり段階的にやられるのだろうと思うし、また理論的には脱落するものもあり得るだろうし、それからまた理論的には、さっき大臣もおっしゃいましたけれども、途中で合格点に達した場合には入るとか、弾力的な意味に解釈してよろしゅうございますか。
  23. 山中貞則

    山中国務大臣 十九というのは、たまたま私のところはそういう構想に賛成であり指定を受けたいという地域であって、その中で自分たちが自発的に、自主的に、知事さんの熱意を含めて、関係市町村も一体となって、そして、ことに進出企業のそれに対する協力ぶり、対応ぶりというようなものもありましょうから——企業が閉鎖してしまって、いや、私のところはただここに場所を求めただけです、私たちの技術地方利用したいとか地方地域産業協力をしてくれとかということには応じられませんというものが出てくるかもしれません。それに対しては国家権力の強制的な行使はできませんから、そういうようないろいろ不都合なことが起こってくることもあるでしょう。そういうようなときに、十九地域全部だということはいま言えない。さらに逆に、ではその間に、たとえば四、五年たつと、いや、こちらの方が大変条件がいいな、しかし最初の十九には入っていなかったということで初めから排除するのではなくて、それはそれでまた私どもは受けとめて検討をして、そしてそれを指定するということはあり得る。またそういうところがあり得るだろう。そのときには追加指定と申しましょうか、現時点において手を挙げていなかったところでもめんどうを見てあげた方がいいところは指定をしていく、そういう弾力性を持って当たる覚悟でございます。
  24. 田原隆

    田原委員 いまさっき四条関係と言いましたけれども、四条、五条というふうに解していただいて、お願いします。  それからちょっと戻りますが、これが具体的に動き出しますと、大企業がリーダーシップをとって地方に出てきて、地方産業を育成しながら、自分の系列下におさめながら、そして下請にしたりしながらやっていくのが実態になるのじゃないかと思うのです。その場合に、さっきちょっとお伺いした「企業が相当数存在する」ということにひっかかってくるのですけれども、余り有能な企業がなかったというような場合に、育てるよりも、よそから連れてきて、既存の企業がむしろ逆に圧迫を受けるというようなことがないような措置を十分講じていただきたい。これは希望でございますが、お願いします。
  25. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、実態を見ればよくわかるのじゃないでしょうか。大体こういう企業の誘致にもし動いたということがあれば、都道府県あるいは空港周辺の市町村長、そういう方たちが誘致というか相談というか、そういうことがあったりして、あるいはまた今度は進出企業の方が、土地の取得から立地条件等について行政機関にお願いをしなければならない立場ですから、すでにそこらのところの意思の疎通は十分図られていて現状ができておるということでありますから、これから先の場合であっても、そういう意味地域意思疎通というものはもうすでに図られておるものとして受けとめていきたいと思います。
  26. 田原隆

    田原委員 それから、五条二項四号で「次に掲げる施設の整備に関する事項」ということで四項目、工業用地、工業用水道、住宅及び住宅用地道路とありますけれども、たとえば都市機能として最も重要なものの一つに下水などがあります。あるいは上水道、これは厚生省に関係するのかもしれませんが、こういうものはこれと肩を並べると思うのですけれども、入ってない。入ってないのは仕方がないとしまして、所管行政庁でありますたとえば建設省は、部内のそういうテクノポリスに対応する組織の中では、そういう部門も入れて、そして十分な協力体制をしく意思があるのかどうか。これは各省庁同じことでございますけれども、どこか代表してひとつ……。
  27. 和気三郎

    和気説明員 建設省でございます。  この施設につきましては、道路並びに住宅、住宅用地関係につきましての整備が書かれてございますが、このほかにつきましてもいろいろあろうかと思います。  したがいまして、私どもといたしましては、これは一つの一般的な最小限度の整備の中身といたしまして、実際には都道府県が開発計画を申請する段階におきまして、これ以外の施設が必要とされる場合には、地域の実情を勘案いたしまして十分検討し、指導してまいりたいと考えております。  また、建設省内部の組織といたしまして、現在関係各局、道路局河川局都市局、住宅局等を含めた、担当の課長を含めました委員会をつくっておりまして、私は技術調査官でございますが、私がその委員長を務めさせていただいております。そういう意味で、関係施設につきましての連絡体制をつくって整備検討を進める体制に今後とも対応していきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  28. 田原隆

    田原委員 いま調査官の説明によりますと、これ以外のものは開発計画の段階で審査するとおっしゃっておりましたが、それが少ないからこれはだめだというのじゃなくて、少ないから上げてやるという方向でないといかぬと思うのですが、その点はどうなんですか。
  29. 和気三郎

    和気説明員 これは、実際に都道府県が開発計画をこの指針に基づいてつくることになろうと思いますが、地域の実情に応じましてそれ以外の施設が出てくる可能性はあろうかと思います。これにつきましては、私どもといたしましても、その必要性について十分検討いたしました上で推進していく立場をとりたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  30. 田原隆

    田原委員 それから、次に用地の問題でございますけれども、こういうのが進んでいくと大変大きな用地が要るようになると思うのです。そこで、農林水産省が御参画いただいて、そして農用地の転用とかそういうものを積極的にやるという趣旨だろうと思いますけれども、第五条第二項第五号の規定を見ると、いかにも用地は農用地整備だけで生み出せるような印象をこの法律が与えるのですけれども、これはひがんで読んでいるのかもしれませんが、それ以外の用地についてはどういうふうにお考えになっていますか。
  31. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  決してそういう趣旨ではないということをまず申し上げたいと思います。  用地の買収については、基本的には各種の地目が想定されるわけでございますが、現在想定されております地区を頭に置きますと、やはり農林地が非常に大きなウエートを持ってくるということは事実だろうと思います。そういう意味で記載されているわけでございますが、抽象的に申し上げれば、用地は買収方式によって行われるわけで、それに関連して、いわば周辺農用地整備を行うという思想でうたっておるわけでございます。  と申しますのは、私が申すまでもなく、わが国の土地所有というのは非常に零細、分散、多数化している本質を持っているわけでございまして、まとまった団地を確保するためには、やはり農地等を中心にした一つの交換分合とかあるいは圃場整備事業等を媒介といたしましたいわゆる共同減歩等の手続で団地を生み出すという手続がどうしても他の例から見ても必要である。そういう場合において、やはり農用地整備ということが用地の確保に関連して大きく問題になってくるという実態的な観念を表現したものだからでございます。
  32. 田原隆

    田原委員 いまの御説明によりますと、農用地が非常にウエートが高いというふうにおっしゃいましたけれども、この前調べたらそんなに高くないと言う人もおったのです。このウエートはどのくらい考えておりますか。
  33. 森実孝郎

    森実政府委員 具体的な地域計画を私ども、まだ計量的に伺っているわけではございませんので計量的な把握はしておりませんが、ただ想定される場所が、従来、農振法の農用地区域に属する地域が圧倒的な比重を持っているという、そういう意味で申し上げているわけでございます。
  34. 田原隆

    田原委員 次に、国の支援、援助ということに関してですけれども、わりと具体的に書いてありますのは、税金の問題については非常に具体的に書いてあるのですけれども、その他のことは何か精神訓話的な感じが非常にするのです。これはそれでもいいのかもしれませんけれども、ちょっと迫力がないのです。先ほど大臣から御答弁いただいた、前に関連した問題と同じかもしれませんが、もう一度だけこの支援ということについて、将来ある程度煮詰めて各省でその具体的な形まで、言うならば、この開発計画を立てる段階で相当の支援体制をしきながらやるつもりがあるのか、現状を静的にとらえてやろうとしておるのか、むしろ動的にとらえる意思があるのかどうかというようなことについて、ちょっとお伺いしたいと思います。
  35. 山中貞則

    山中国務大臣 国の方はこれで予算でどうしろとか、いろいろ具体的には書いてございません。「国の援助等」一、「国及び地方公共団体」というところで書いてあるだけでございますが、要綱の第六の方で損金算入という租税特別措置法による特別な手当てを、この地域高度技術開発するための民法法人を設立するということになる場合に基金に出資する、金を出す場合に、それを税法上の損金として認めるということでございますから、あくまでも意欲がある場合にはそれを受けとめるという形でいましておりまして、国の方から、上からこうしなさいとか、こういうことをしてやるからこっちの方に向きなさいとかいうことをとらないでやっていこうという考えが根底にありますので、その意味では、法全体の中で国の方がめんどうを直接見るという条項がきわめて少ない、そういう御意見はあろうと思いますが、まずこれで、冒頭に申しましたように、みずから企業が、頼まれもしないし、あるいは国の援助も推進も誘導もなしに出ていったものを中核としてつくっていこうというわけですから、余り国の方から大きな顔をして立地企業については物を言う立場がないわけですよ。  しかし、将来はやはりこういうような関係省庁の援助、それに地方自治体というものがつくってくれる計画に対して、もっと権威づけるために国が力をかしてやらなければならないというものはあると思います。そのためには、表現は「助言その他の援助」と「必要な施設の整備」、こういうようなことにとどまっておりますが、この言葉でいずれは大蔵省としても、合意済みでありますので、このことでいますぐに、来年から予算をうんとふやすんだとかなんとかということになるともちろんひっかかるでしょうけれども、そうじゃなくて、必要であった場合には大蔵省を含める国家財政というものも出ますよということは、ここの「必要な施設の整備及び助言その他の援助」ということの中にちょっと含まれているとお考えいただいて結構でございます。
  36. 田原隆

    田原委員 そうしますと、五十八年度予算は別としまして、五十九年度以降の予算要求のときに、各省庁はこの法律に関して積極的に前向きであるというような御答弁をいまいただいたのですが、予算要求に関して何か特枠を設けるとか、別枠を設けるとか、特に配慮するとか、そういう予算要求技術上のことについて御配慮をいただいているということですね。
  37. 山中貞則

    山中国務大臣 率直に言って、ことしの五十八年度予算では、通産省予算としてはもうごくわずかですけれどもテクノポリスのための予算というようなもので一応はついております。本来予算は、法律ができて、その法律に対して骨格をつくり、肉をつけていくために予算がつくわけですから、これから来年度の予算に向けては、先ほど各省庁も言ってくれましたように、それぞれの調整をしながら、五十九年度には、各省庁の見方ではこれぐらいある、合わせれば総額で幾らになるというようなことで、来年度予算には、この法案が成立した姿を受けて、その法律に対して予算が幾らついたかという形のものに五十九年度予算からしていきたいと考えております。
  38. 田原隆

    田原委員 それから、いろいろ地域振興の立法があるのですけれども、この法律との関係と申しますか、調整といいますか、そういうものはどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  39. 山中貞則

    山中国務大臣 既存の法律で、場合によってはそれに重複するもの、あるいは性格が違うものがあるわけですけれども、すでに先発していっている政策などについては、関係省庁がそろっておりますので、先ほども答弁をいたしたようでありますが、そういう既存の、地域工業誘致促進法でしたかね、そういう農村工業導入法とかいろいろありますので、そういうものはそういうものでまだ息もしているわけでありますから、それと重なった場合においては、こちらの方にそれが一緒に作用するように調整を進めていけばよろしいのではないかと思っております。
  40. 田原隆

    田原委員 それから、いまこの十九地域を見ましても、今後予想されるものを抽象的に考えてみましても、いわゆる大工業地帯とその周辺は除いておりまして、それから一方で、今度は過疎地帯とか非常に、学校で言うならば、何といいますか、劣等生に近いという、表現は非常に悪いのですが、そういうものと優等生との中間にこれは位置していると思うのです。それで、これをやることによって程度のおくれておる悪い地域が引き上げられるのならばいいのですけれども、むしろそれが置いてきぼりになってこれが進んでいってしまって、不公平感が出るということがあっては困ると思うのですが、その辺の御配慮について伺いたい。
  41. 山中貞則

    山中国務大臣 そこらのところは、やはり配慮しておかなければならないところだと思うのです。  たとえば、いつかお話ししたことがあったら恐縮でありますが、話した記憶があるような気もしますけれども、私は、過疎地域対策緊急措置法から過疎地域振興特別措置法、こういうものを自分立案したほどでございますので、そういうことを考えると、確かに現在過疎は過疎なりに、あきらめたといいましょうか、過疎の状態で振興してあげるための法律が存在しているわけであります。したがって、それぞれの過疎の存在する地域について、新しいこのような先端産業集約都市みたいなものができていく場合に、過疎はいよいよ取り残されていくんじゃないかというような御心配は確かにあると思うのです。  たとえば、私たちが経験として知っているのは、これはここで話したことがあると思うのですが、過疎法をつくったときにびっくりしたのは、中国の各県の海の方、瀬戸内海の方は同じ県内で人口が集中していて、そして中国山脈寄りの奥の方は過疎地域の町村がいっぱい出てきておる。県内の移動ですから県政で何とかできるとしても、これはやはり国の方でも、そういう現象が起こったときにそれらは指定地域にして、一方は臨海工業地帯で人口が流入して、同じ県内から流出していってしまったところは過疎の状態条件にぴたり当てはまる。もう広島県などはその典型的な例でしたけれどもね。そういうことがございますので、これが過疎に拍車をかけるということにはならぬように。ということは、同じ県内でございますから、たとえば雇用貢献度がそれによって高まったとしますね。そうすると、過疎地の方からそちらの方に働きに行く若者も出るかもしれません。しかし、大体今日の自動車の普及、道路整備から見れば、過疎もほとんどが日帰り圏のところに存在する。したがって、それは過疎の方にも、財政収入の面では、生活の面といいましょうか、そういう面ではいい影響を与えていくのではなかろうか。むしろそっちの方へ向かっていい影響が出るような計画にしていきたいものだな、そういう気持ちでおります。
  42. 田原隆

    田原委員 先ほど私の発言で、劣等という言葉を使いましたけれども、これは余りいい言葉でないので、恵まれない地域と訂正させていただきたいと思います。  それから、次に心配になるのが地価の問題でございます。かつて列島改造論とかなんとかいうことがあった時代があって、地価が暴騰したことがあったんですが、この法案は非常に夢があって明るい将来性を招く印象を強く与えておりますので、たとえば十九地域とかその他想定される地域について、地価をつり上げる動きがあるとかいうようなことがあってはこれはいかぬと思うのです。それに対して国土庁はどういうふうに考えておりますか。
  43. 河村勝三

    ○河村説明員 先生御案内のように、土地の取引につきましては、国土利用計画法で、取引価格なり取得目的なりというものを一応チェックをしておりますが、それらの措置とあわせまして、各都道府県では所要の地域といいますか、市街化が進んでいる地域とかあるいは開発計画が予定されている地域、いわゆる土地問題についての要警戒地域、こう言っていいかと思いますが、そういう地域につきましては、月々の土地取引件数の動きあるいは地価の動向ということを押さえまして、その地域内におきます土地取引の動きというものを監視している調査を実施しているところであります。  それで、テクノポリス構想しています各道県に対しまして、私ども、その対象地域について本調査を実施するようにという要請をしてきているところでありますが、また関係の道県でもほぼその調査体制に入っているところでございます。  さらに国土庁では、五十八年度におきましては、各道県の構想対象地域が漏れなくこの調査対象になるようにということで、わずかではありましたけれども、このための調査の経費も増額した措置もとってございます。これらの調査によりまして、こうした地域についての取引動向、地価動向ということを十分厳重に監視いたしまして、不穏な動きを生じさせないようにしてまいりたい、こう思っておるところであります。  したがいまして、この法案によりまして開発計画が策定されました地域がこの調査対象になっているところでありますれば、当然のことでありますが、本調査の監視を継続実施させますし、それから、開発計画地域が本調査対象地以外である場合でありますれば、直ちに本調査対象地域に取り込むよう県を指導して遺憾のないようにしてまいりたい、こう思っております。
  44. 山中貞則

    山中国務大臣 これらの地域は、空港用地買収、それから進出しておる産業の土地買収その他で、ほぼ地価は、この地域が指定されたことによって暴騰するというようなことではなくて、すでにそのようなことを経て、現実に飛行場のランウエーもあるいは工場立地しているわけですから、そこがまた地域のために、今度は地域が浮き上がろうとする努力ですから、自分たちのことですね。それによって心理的に暴騰する要件は——もうしているならば、前にしている。したがって、これを指定したから暴騰することはないだろう。ましてや国土庁の御加勢もいただきながら、その点は配慮していきたいと思います。
  45. 田原隆

    田原委員 時間がありませんので、時間がありましたらお答えいただきたいのですが、住居地域を眺めてみますと、いろいろな形に分類できるのです。それぞれ特徴があってそれ自体はいいのですけれども、集中してニュータウン型のものがあるかと思うと、かなり分散して広域にまたがっているものがあるのです。これらを開発計画を立てて承認する段階におきまして、やはりうまく指導していただいて、これはもう分散型でまとまりがないからだめだとか、全部ニュータウン型にしなさいとか、そういうことがないように、画一的でないようにお願いしたいのですが、御意見をひとつお伺いしたいのです。
  46. 山中貞則

    山中国務大臣 とにかくこれは、それぞれの地域がそれぞれの立地条件によって、それぞれの特色を存分に発揮して、地域先端産業、その他の高度技術というものが、私の知っている範囲でも思いも寄らないものが生まれてくる可能性があるのです。それを巧みに引き出しながら、並べてみたら、たとえば十五だったとしますと、十五が全く同じ形態でないもの、全部違ってくる。それでいて整合性はこの法律に沿うという意味であってほしいな、私はそういうものになりそうだという気がいたします。
  47. 田原隆

    田原委員 そこで、非常に安心したわけでございますが、最後にお願いでございまして、一番気になるのは、やはり何といいましても各省庁協調体制だろうと思います。先ほど一番最初に申し上げましたように、どうか連絡を密にしていただいて、それぞれが持ち分を生かしつつ、地方が困らないように、事務がスムーズに速やかに行くように、よろしくお願いしたいと思います。  時間厳守せよという通知が来ておりますので、これでやめさせていただきます。
  48. 登坂重次郎

    登坂委員長 後藤茂君。
  49. 後藤茂

    ○後藤委員 まず、大臣にお伺いをしたいのでありますが、今回提案されました高度技術工業集積地域開発促進法案、私どもは、これを俗称テクノポリス法案というように聞かされてきたわけであります。現在もこの俗称テクノポリス法案というように理解していいのかどうか、この点を最初に、簡単で結構でございますから、お答えいただきたいと思います。
  50. 山中貞則

    山中国務大臣 さっきもお答えしましたように、テクノポリスというハイカラな言葉がひとり歩きしちゃって、法案をいよいよつくって皆さんにお願いしようとするときに、まさかテクノポリスという大げさなこともどうだろうかということで、構想そのものは変わったわけではございませんが、最初にひとり歩きしちゃったものが、企業城下町とはちょっと違った意味で、ハイカラな言葉のせいもあって、ポリスと言うと巨大都市のように感ぜられる点もありましたので、今回名前を、いまお出ししているような名前に変えたわけでございます。
  51. 後藤茂

    ○後藤委員 いまの答弁では、必ずしも私の質問に答えが出てないような気がするわけです。  つまり、いわゆるテクノポリスというハイカラな名前がつけられた。しかし、そこには、新しい二十一世紀を展望した望ましいあるいは理想的な都市というものが一応描かれておったと思うのですね。したがって、高度技術工業集積都市開発促進法ということだと、俗称テクノポリスということにある程度該当するかな、こう思うわけです。ところが、法律になってまいりますと、地域開発、つまり都市が、集積都市集積地域になってきている、この辺の理解を一体どういうようにしておけばいいのかな、こういうことでいま大臣に御質問申し上げた。  つまり、テクノの方は、ある程度法律の中においても出てきているわけですけれどもポリス的な、都市的な性格というものがこの法律の中のどこで読めるのだろうか。もし読めないとすれば、これはテクノポリスというようなことは、俗称でさえも、どうも余り実態を反映したものにならないのではないかという気がするものですから、もう一度大臣の方から、この点の理解を最初にお伺いをしておきたいと思います。
  52. 山中貞則

    山中国務大臣 わかりました。私の答弁がちょっとはっきりしなかったのかもしれません。  それは、第三条の五というところで、「その地域又はその近傍に政令で定める要件を備えた都市が存在すること。」ということで、大体この都市というのは母都市というつもりでおりますが、母なる都市というのは大体自動車で三十分くらいの距離、といいますと五十、六十キロくらいの範囲と常識上思っていいと思いますが、これは開発指針で決めますけれども、そこに十五万か二十万の都市があって、その母都市の以遠の中に新しい先端産業を含めた高度工業というものの町づくりが行われる。したがって、地域もいろいろ考え方があろうと思いますが、開発指針で定める場合は、半径で二十キロくらいの感じというものを想定して、いまいろいろ見ております。  したがって、正確に言えば、テクノポリスとただひとり歩きしていた時代イメージと、今度出しました法律の条項をお読みになったイメージとはやや違う、確かにその点は違うと思います。しかしながら、実態はむしろ、最初にテクノポリスという言葉をつけた方がよくなかったんだ。これはだれか、命名者はいまや不明になっていますけれども、ただ、受けた方はそういう言葉を素直にとってしまわれたものですから、さてこれで、実態とテクノポリスというものが持つイメージとはどうかなということで、したがって先ほどと同じことになりますが、そのような大きな都市、巨大都市づくりではないんだよ、ことにこれは地方ですから、その地方の実態に即した工業集積産学住一体となった新しい世代への進展、そういうことをやってくださいという意味ですから、ここで俗称としても残しておくことはどうかなという御意見は、全くそのとおりであるかもしれません。ただ、言葉なので、ひとりで地方の方で使っていらっしゃいますので、地方紙等でも、その都市の該当する県のローカル紙等は、テクノポリスと書くだけで、わが県のどこのあたりだというような話になっているくらいに人口に膾炙してしまっておりますので、今後テクノポリスと言ってはならぬということは、私の方から申し上げないで、実態はこういうものでございますからということをお示ししていくことにしたいと思います。
  53. 後藤茂

    ○後藤委員 私は、テクノポリスと、もう言う必要はないという意味で申し上げているのじゃなしに、むしろもう一度初心に返って、テクノポリス的な構想がより充実される方がいいのではないか。ところが法律を見てみますと、目的の項でも、第一条で「高度技術に立脚した工業開発を促進する」、これはテクノとして読めるんだろうけれども、どうもポリスというのは、先ほどは母都市の点を、第三条の五号のところで大臣が御説明になりましたけれども、目的の第一条では、「地域住民生活の向上」ということが果たして法律的な意味で読めるのかどうか、どうも大変頼りなくなってきてしまっているということを私は不満といいますか、今度の法律が出てきて、法律を読みながら、最初の、二十一世紀を展望して、そしていま大臣がお答えになったような、メガロポリスをつくるとかあるいは巨大都市をそこに現出するとかいう意味じゃない、しかし技術集積の、しかも文化の香りの高い母都市を中心とした都市をつくり上げていくんだということから見ると、ちょっとこの法律は薄っぺらといいますか、弱いのではないだろうかという気が実はしてならないわけです。  そこで、最初にいまの点を御質問申し上げたわけですが、特にこのテクノポリス構想が出てくる一つのよりどころというのは、「八〇年代の通産政策ビジョン」のところから来ているのではないかというように私は理解をしている。  ここの「テクノポリス構想など新しい地域振興構想」というところをじっと読んでみますと、非常にいいことが構想としては描かれているわけです。「テクノポリス技術集積都市)とは、電子・機械等の技術先端部門を中心に産業部門とアカデミー部門、さらには居住部門を同一地域内で有機的に結合したものである。この構想は、産業、学術部門を先導しつつ地域振興を図り、同時に新しい地域文化を創造しようとするものである。」こういうようなのは、これから二十一世紀を展望して私ども考えていっていい課題ではないだろうかということを思いますと、この法律が策定されるまでの過程をずっと見ていると、確かに各省庁協力を得なければならない、それが悪い意味で縦割り行政というものが調整の過程でだんだんめんどうくさくなってしまって、大体合意が得られたところでおさめてしまってきたというところがあって、当初のこの構想なり意気込みというものがどこか後退してしまっていはしないだろうか。この当初の構想と今度の法案との落差というものが大変大きいように私には理解をされるわけですけれども大臣、この点はいかがでしょう。  なお、この法律は、いま申し上げましたように大変薄くなってしまっている。これがもうコンクリートされた法律で、全く修正なり補強なりが今後行われていかないというものではないでしょうけれども、出発がどうも、当初言われておった構想とは相当大きく後退といいますか、薄くなってしまっているということを危惧するものですから、その点を大臣からもう一度お答えいただきたいと思います。
  54. 山中貞則

    山中国務大臣 ごもっともだと思います。ということは、私自身が、これが法律になじむかなじまないかについてずいぶん決断に迷ったわけであります。いまおっしゃいましたような、そういうビジョンというものを踏まえてやろうとすれば、事務次官通達というような形でやって、それに行政が手を添えてやることによって、全くの地域の自主性というものを固めてあげるという方法なきにしもあらずと思ったのです。しかし、法律にしようかということ、先ほど理由を申し上げましたが、それになってみると、やはりこれは縦割り行政でもありますし、それだけに責任ある分野をそれぞれが持っておりますから、どうしてもお力をかしてもらわなければいけない。ただ、縦割り行政自分のところもという意味じゃなくて、こういうことでテクノポリス構想というものに自分たち協力をしてあげたい、協力できるという役所をなるべく一緒にやっていただくことにしたわけであります。  ですから、法律にしますと、たとえば国はこれに対して何をしようとするのかということは租特ぐらいしかない、あるいは配慮をすることぐらいしかないというくらいじゃどうなのだという、したがって、この法案そのものが当初の意気込みと比べてやや薄っぺらなものになっているじゃないかということは、私は実態から見ればこれでいいと思うのですけれども、当初の旗から見るとやや小さい旗に見えるようになってしまったことは否めない事実だと思います。  しかし、それぞれの地域をじっと一つ一つ見てみますと、こういうような現在の構想の方がより適切であって、そんなに——これは過疎地域の町村あたりも含む、田舎の方もずいぶん候補地になるわけであります。要するに飛行機によって距離が時間に変わった。距離ではなくて時間に変わったということからこういう全国への分布が始まったわけでありますから、そこのところをほっておかないで地域浮揚の糧にするというのが着想でありますので、これは大体この法律程度でいける内容のもの、実態としてはそうじゃなかろうかということを考えます。  したがって、法律にしようかしまいかというところで私が迷ったぐらいですから、法律にしてこれは満点だと言われるつもりで持ってきたつもりじゃ決してありません。御批判は喜んでいただきたいと思います。
  55. 後藤茂

    ○後藤委員 私も、昨日提案理由説明を受けてずっと読ましていただいて、先ほど大臣が、実は法律にすべきかどうか迷うような法律であったということでございますが、たとえば第八条の「固定資産税の不均一課税に伴う措置」、自治省おいでになっていらっしゃるのでしょうけれども、そういうところを外すと、あとは、どうしてもこれで法律を出していって、そして大上段に呼ばわらなければならないのかなという、ちょっと背負い投げ食らわされたような感じがするわけであります。  一体、法律による一つ構想推進の力といいますか、その担保というのはどこにあるのだろうか。この点、提案理由説明はお聞かせいただきましたけれども大臣から、その力点を一体どこに置いているのか。二十一世紀を展望いたしまして、またこの「八〇年代の通産政策ビジョン」等を踏まえていきながら、さらに、いままでずっと積み上げされているわけですね。この産業研究所の「テクノポリス90建設の方向」等も読ましていただきましたが、せっかくこういういろいろな積み上げの研究がなされているのと、いままでそれを行政で進めていっておった、これから進めていく、これを踏まえて行政で進めていけばいいのじゃないか。あえて法律にしていくためには、その法律によるメリットといいますか、なるほどこれを推進していく力を法律によって持っているのだなということがうかがえなければならぬと思うのです。  くどいようですけれども、その提案理由説明を受けた中で、これがやはりこれからの高度技術工業の集積、私はあえて都市法律では地域になっておりますけれども、そういう都市的なものをつくり上げていく大きな推進力になっていくんだということについての力点を、ひとつもう一度お示しをいただけないでしょうか。
  56. 山中貞則

    山中国務大臣 たしかに第九条の「国の援助等」というところでは、「国及び地方公共団体は、」「承認を受けた開発計画の達成に資するため、必要な施設の整備に努め、及び当該開発計画の実施に必要な事業を行う者等に対する技術的な助言、指導その他の援助の実施に努めるものとする。」という、これは訓示規定ですね。ここのところが弱いと思うのですね。  ただ、私どもがやっていきます前に、それに対して自分たち地方をどうしていこうかという関係市町村なり、最後は知事さんの計画になるわけですが、そういうものに対するいろいろな形があると思うのです。その中で国の方がむしろ違った形の、その地方の特殊性に沿ったものができ上がっていくことに対して、ここのところとここのところは財政上めんどう見ます、税法はちょっと書いてございますが、これは直接ではなくて負担金の損金算入ですから、そこらのところを見ますと、どうも国が出す法案にしてはえらいへっぴり腰な感じがするじゃないか、この御指摘は私は甘受いたします。  ということは、法律でなくてもやれないかというと、やれる可能性はあるのですね。しかし、ではなぜ法律にしたというのを、ちょっと向こうで雑談していらしたから聞こえなかったかもしれませんが、田原委員に答えたお答えを申しますと、与党の私たちの方の意見も、やはり法律できちっとしたものにしてほしい、権威づけてもらいたいという圧倒的な御希望でございましたし、ことにまた知事さんや商工会議所の会頭さんや県会議員の人たちや、あるいはまた当該予定しておられる地域の市町村長、商工会、町議会、そういう人たちの声の集約されたものは、通達とかなんかではどうも自分たちはおぼつかないので、やはり国会で審議して法律にしてもらって、そしてその法のもとにその格づけを行っていきたい、高い次元のものにしてほしい、こういう御要請がありましたので、ある程度無理に法律にした嫌いもなきにしもあらずでございます。  しかし、そのような御要望に沿うために、法になじむための努力は精いっぱいしたつもりでございますが、国の方がこれから何をしてあげなければならないかは、法律の内容について五十九年度予算編成等で関係省庁協力しながら、最初に指定される形態はどういう形態地域になるのか、そこらを見ながら具体的に明らかにしていく以外はなかろう。法律の上では、ここにたとえば、国は財政、金融上特別のめんどうを見ると書けるかというと、いまの財政事情では大蔵省がとても、この法律にうんと言いっこないのですね。まあそれは承知の上でやっているわけですから、いま一つ、力をかしてやるという国の姿勢が見えぬのじゃないかという点は、あっさりかぶとを脱ぎます。
  57. 後藤茂

    ○後藤委員 確かに、今日の財政事情からいって大変むずかしいだろうと思うのです。私が問題意識として申し上げたいのは、全国をなるべく平均的に、三大都市圏なりあるいは特定の地域だけをりっぱにしていくということはいかぬぞ、全体的に過疎の地域もそれから過密なりあるいは三大都市圏と言われる地域も、平均的に上がっていくようにするのが国の行政のあり方だという意見があることは確かだと思います。  しかし、同時に、モデル的に一つ都市構想していってみる、先ほど言われましたように、母都市というものを中心に置きながら、この「通産ビジョン」でも出されている、あるいは学者等が協力してつくり上げたこの「テクノポリス90建設の方向」等を見てみましても、二十一世紀展望の新しい技術集積の、しかも文化的な水準を高める都市というようなものも構想されていっていいと私は思っているわけです。その場合に、じゃそこに全部財政が集中してしまって、ほかのところがおろそかになる危険性があるではないかという意見も、もちろんあるだろうと思う。それは政策的に十分に配慮をしていかなければなりませんが、まあ十九地域になるか二十になるか、それはともかくといたしまして、こういう構想というものも一つある程度、単なる助言、指導ということを超えた姿勢というものがあっていいだろうと私は思う。そのときに第九条で、「その他の援助の実施に努める」というように、最初の声は大きいですが、だんだん最後の方は、これは活字になっているから声としてはあるのでしょうけれども、ないみたいなところにいきますと、その辺が大変頼りないな、あるいは一つのビジョンなり構想としてはどうも実態が薄いのではないかということで、私は、重ねて何回も申し上げるようですけれども、ある程度大胆に出していっていいだろう。ただ、そこにすべてが集中していく、たとえば軍事費突出みたいにこの部分にすべて財政配分が突出してしまう、これは許されないことだと思うのです。これからの構想観、後でまた質問の中で触れていってみたいと思いますけれども、この点は大胆に出されていっていいんじゃないだろうかという気がしているものですから、私は指摘を申し上げました。  この少し後退をした法律の中で、さらに私がこれから大変だろうと思うのは、この法律が、当初構想されましてから閣議決定が四月一日になされてくるというように、非常におくれている。本委員会においても大臣は、さあ出せるかどうかというような疑念も正直に表明をされておった。ということの背景というのは、やはり各省庁との調整なり協力なりというものを得ていかなければならぬということが大変必要であろう。この中でも、主務大臣が四大臣になる、さらに自治大臣の意見を聞く、そしてさらにまだ関係行政機関の長との協議もしていかなければならぬ。船頭が大変多い。やむを得ない面も一方にありますが、これは大変だろうと思うのですね。一体この推進体制をこれからどのように進められていくのか、その辺の考えをひとつお聞かせをいただきたい。  それからもう一つは、この推進体制の中での国の役割りは、いま大臣がある程度お答えいただきましたけれども、産学官の協力体制というのは一体どういうようにこれからこの法律によってなされていくのか。この二点をひとつお答えをいただきたいと思います。
  58. 山中貞則

    山中国務大臣 今後の調整が大変だろうということですが、私はそのようには思いませんで、先端産業高度技術産業というようなものに対していままで指導し、あるいは助成その他を通じて今日のレベルというものをつくってきたのは通産省行政の枠内でございますので、それが結果的に地方に拡散していったことをとらえて、そこにアイデアを持ってテクノポリスというような構想考えてみ始めたわけでありますが、そのときに各省庁が御協力をいただければ、より強固な条件を最初から備えられる。  たとえば建設省一つをとってみても、やはり現在は空港の周辺というのが特徴的なものでありますが、臨空工業地帯という感じもするのですけれども、そこらはどっちかというと最近は、飛行場を市街地から離れたところにつくる例が地方では多うございます。そうすると、そこらのところに文化、物資あるいは物の技術というようなものが行き交う必要も、今度は飛行場から飛行場ではなくて飛行場から地域へという考えが前提ですから、道路整備等もやはり必要である。そうすると、建設省自体が持っておられる道路計画の中には飛行場への道路は念頭にあるでしょうが、新しくこういう構想が実現した場合における道路に対する特別な配慮というものは、いままではないわけですね。これからはそれを持って建設省に参加してもらえるということから、そういう基盤づくりというものに各省庁の御協力を願うということがやはり必要だろう。ですからこの調整は、都道府県知事計画をつくるとき、それぞれの段階で各省庁の具体的な調整というものはほぼ終えて上がってくるわけでありますから、中央でまたさらに全部、各役所ごとにそれを検討し直すという形には実際上ならぬのだと思います。また、先ほどありましたように、それぞれの関係省庁でそれに対応する機構、組織に似たようなものをつくってもらっておるようでありますから、私どもの方がそれと緊密な連絡をとりながら煩瑣にわたらぬように注意していけば、共管大臣が多いからこれが煩瑣になるというようなことはないと思います。  それから、産学官といいますか、この地域協力体制ですが、これはもう現時点においても理想を追い過ぎるぐらい協力体制ができ上がっておりまして、都道府県はもちろん、それに関係すると思われる、多分そうなるであろうと思われる市町村、これはそれぞれの地域でも市町村は市町村ごとに全部、テクノポリスの指定を受けるための準備室、作業チームというようなものをつくって一生懸命努力しておられるようでありますから、その点の御心配もほぼないのではなかろうか。それに、十五カ所とか十六カ所とか一斉に全部指定するわけではございませんで、これは逐年何カ所かずつ指定をしていくものでございますので、その間に先発組がいろんな問題でいろんなトラブルにぶち当たると思うのです。次の人たちはそれを参考にしながら、同じ前車の轍は踏まないという作業は当然してこられるだろうと思うのです。そういう意味で、最初は一番優秀な条件下にあると認定できるものについて、余り多く指定しないで、急がずにじっくりとやっていきたい、そう思います。
  59. 後藤茂

    ○後藤委員 それぞれ共管省庁の皆さん、お見えになっておられると思うのですけれども、各省庁のこの法律でのかかわり方について、最初に概略御説明いただけませんでしょうか。建設省からまずお伺いします。
  60. 和気三郎

    和気説明員 建設省でございますが、本法による計画につきましては、高度技術に立脚した工業開発を促進することによりまして、地方経済自立化を目指す地域振興策一つとして考えておりまして、私どもとしては、関係省庁協力してこれを積極的に推進してまいりたいと考えております。  本計画推進するに当たりましては、地域振興に資するような町づくりが重要な課題だと考えておりますので、このため建設省では、所管しております道路、住宅を初めとする公共施設等整備を総合的、計画的に行い、整備活用を図ってまいりたい、このように考えております。  開発指針の策定あるいは開発計画作成、承認に際しましても、テクノポリス構想が円滑に推進されるように積極的に対応してまいりたいと考えております。
  61. 後藤茂

    ○後藤委員 建設省とかかわる部分というのは、第五条「開発計画」の中の二項四号のイ、ロ、ハ、ニ、さらに二項五号のところになるかと思うのです。「工業用地工業用水道住宅及び住宅用地 道路」、さらに「前号イからニまでに掲げる施設の整備に必要な土地の確保に関連して実施される」、これは農水になりますか、四号ですね。  ここのところが項目は挙がっておりますけれども、先ほど大臣に申し上げたら、その他の措置の中で出てくるのが若干財政的な問題かと思いますけれども、この法律によってイからニの項目を別枠といいますか、特にこの法律によって、工業用地、工業用水道、住宅及び住宅用地道路というようなものに対して、積極的にひとつ対応していくというようなお考えはおありなんでしょうか。予算上あるいは特別に配慮するような方針が当然出てくるのか出てこないのか。いや全体的な、工業用地あるいは工業用水道、住宅及び宅地等の確保の一環としてこれが出てくるのだというように理解するのか。その辺はどうなんでしょう。
  62. 和気三郎

    和気説明員 お答えいたします。  建設省の所管しておる事項につきましては、道路、住宅及び住宅用地関係でございますが、これにつきましては、このテクノポリス構想自身が、大規模な基盤整備というものがすでに相当整っている地域対象として考えておるものでございますので、また、地域の自主的な努力によって推進するということを考えておりますので、大規模な公共投資が集中的に要るというような性格のものとは考えておりません。  そこで、これらの実施に当たりましては、現在所轄行政において実施しております計画並びに制度の中で十分対応できると考えております。したがいまして、これの実施に当たりましては、地域の実情を十分考えまして、その上で効率的な公共投資による整備が図られるように考えてまいりたいと考えております。
  63. 後藤茂

    ○後藤委員 いまの答弁では必ずしも明確でないように思うわけでありますけれども、時間の関係でさらに進めさせていただきたいと思うのですが、農水省はいかがでございましょうか。
  64. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  農林水産省といたしましては、この構想がやはり地域社会における兼業農家の安定兼業機会をつくるものであるということ、それからもう一つは、バイオテクノロジー等に関連いたしまして、農林業の技術革新に資する側面を持っていること、さらに関連産業の振興にも資するという点で積極的な評価を行うべきであり、考え方としては、従来私ども通産省協力して実施しております農村工業の導入に準じた扱いを考えるべきものであろうというふうに評価しているわけでございます。  そこで、具体的には三点問題になりますが、まず第一は、農振法の農用地区域の適用除外をどう扱うかという問題がございます。これについては、農村工業導入に準じて要件、手続の適用除外を明確に決めることを法施行後考えたいと思っております。  第二は、農地転用基準をどう考えるか、手続をどう考えるかでございまして、これも農村工業導入に準じた特例扱いを準備いたしたいと思っております。  それから、さらに基本的には、土地の確保に関連して各種の基盤整備が必ず実態としては必要になってくるだろう。こういうものにつきましては、私ども従来、農業基盤整備費の中で、たとえば琵琶湖開発の河川関連事業とか高速道路の関連事業とか、さらに農村工業導入の関連事業については別枠で計上いたしまして、まあ新規全体は枠を抑制しておりますので、新規の採択の例外扱いを認めると同時に、さらに予算進度、予算でつけます事業進度についても、地元の要望をできるだけかなえるという姿勢をとってきたわけでございます。この点についても検討いたしたいと思っておるわけでございます。
  65. 後藤茂

    ○後藤委員 国土庁はいかがですか。
  66. 有岡恭助

    有岡説明員 お答え申し上げます。  国土庁といたしましては、この法案は三全総の考え方と軌を一にいたします工業開発を軸とした地域立法だ、こういうふうに考えております。  先ほども御答弁申し上げたのでございますが、国土庁所掌事務といたしまして、国土の適正な利用に関する総合的かつ基本的な政策及び計画企画立案推進地方における都市農山漁村整備に関する総合的かつ基本的な政策企画立案推進というような所掌事務を持っているわけでございますが、本法案に関しまして、たとえば開発指針におきまして、国土庁といたしましては、その国土の適正な利用を図るというような見地から、あるいは地方における都市、農村の整備を適正に進めていくというような観点から、どのような地域対象とすることが望ましいか、あるいは当該地域をどの程度の広がりにすることが望ましいか、あるいはまた、いわゆる母都市周辺地域とどのように関連づけていけばいいかというようなことにつきまして、地域設定の基準等につきまして、いろいろ主務大臣として参画いたしたい。  さらに、五条にございます「開発計画」に関しましても、具体的に地域の設定、工業開発の目標の設定、あるいは工業用地、住宅、道路等の施設の整備活用、周辺の地域経済的効果等を含めた全体としての地域開発のあり方が適正であるかどうかというような点につきまして参画いたしたいというふうに考えております。  具体的に私ども国土庁としてどういうことができるかということでございますが、これにつきましては、たとえば、先ほども申し上げたのでございますが、地方都市農村等整備に関する知識経験等活用いたしまして、関係地方公共団体等に対しまして積極的に助言、指導してまいりたい。あるいは新産・工特地域首都圏等大都市圏の都市開発区域等とこのテクノポリス地域が重複をいたしますような場合には、当該地域開発に当たりましてこれら制度を活用いたしまして、できるだけその地域開発に活を入れていくというようなことを考えております。  さらに、定住構想推進調査費あるいは国土総合開発事業調整費等につきましても、関係省庁と協議をいたしまして、必要に応じましてこれを活用していくというふうにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  67. 後藤茂

    ○後藤委員 自治省、お見えになっていらっしゃると思うのですが、主務大臣開発指針を定めるときには、「自治大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。」つまり、自治大臣がここで特記されている。それからさらに、開発計画の段階におきましても「自治大臣の意見を聴かなければならない。」という形で特記されているわけですけれども、この点についてどういう背景を持っているのか。自治省、来てましょうか。
  68. 金子清

    ○金子説明員 自治省といたしましては、この法律案の目的や内容からいたしまして、この法律が、地域都市づくりでございますとか地域経済のあり方、あるいは地方行財政の問題と重要なかかわりを持っているというふうに考えているところでございまして、法案の協議に当たりまして通産省といろいろと御協議を申し上げたわけでございます。  そういうことで、ただいま御指摘ございました開発指針の策定の段階あるいは開発計画の承認の段階におきまして、いま申し上げましたような立場から自治省としても御意見を申し上げ、この法律に基づく施策が円滑に推進されるように努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  69. 後藤茂

    ○後藤委員 共管各省と特記されている自治大臣の方、これをいまお伺いをしたわけですが、通産大臣、建設、農水あるいは国土庁長官、ここのところを、自治大臣と同じような取り扱いということにしないで共管にしている、自治大臣については、意見を聞くという形にしている、この辺の割り振りといいますか、役割りといいますか、ここのところが私にはまだもう少し理解が——先ほどの御説明を聞きますと、意見を聞いてでいいのじゃないかという気もするし、いや、取り込んでおいて一緒に開発指針をつくっていく方が後々やりいいということなのか、その辺がもうひとつ理解ができない。これは後々の運用の問題とも絡んでまいりますのでお聞きするのですが、こうやって、通産大臣と建設大臣と農水大臣それから国土庁長官は開発指針を定めなければならないという形にしておる。それから、自治大臣のところ、その他の関係行政機関の長との協議、これは当然でしょうけれども、特に、開発計画の部分と開発指針のところで別に構想を出しておる。これからの運用の中での仕分けが私はよくわからないので、その辺はどういうように整理をされているのか。協議と意見聴取と、その辺の整理についてひとつわかりやすく御説明いただきたいと思います。
  70. 山中貞則

    山中国務大臣 確かにほかの建設、農水は別にして、国土庁共管になり、そして自治省はそうでないというその区分というのは微妙なところなんですね、確かに。ですが、自治省の方は、不均一課税を地方団体が行った場合の交付税の特例、めんどうを見る、あるいはまた地方債というものに対して対応してやるという面を持っております。持っておりますが、これは法律にちゃんと書いてある税法のことで、交付税法を含むことでございますが、一方、実際の実務から申しますと、知事さんがもうほとんど中心になっておつくりになって、そこで計画が上に上がってくるわけでありますから、いわば自治省の管轄下のところの地方の段階で知事主導権によって煮詰められる。その計画が上がってきたら、共管ではなくて、自治大臣の方に知事から、こういうふうに上がってきましたがという協議をする形の方が当然よろしいのではないかと思って、特段の差別をしているわけでもございませんで、計画の実体と、決まるのは知事さんのところの基本の計画。そこで真っすぐ上がってきますから、それを自治大臣に、こういうふうにこの点はやっているが、地方行財政から見てこの計画は適当であろうか、まとまったところで相談をする大臣ということの方がよろしいのではないかと考えたわけでございます。
  71. 後藤茂

    ○後藤委員 私がこの点をちょっと指摘をしたのは、後々、これからこの構想を進めていく上において、せっかく行政改革などと言われている中で、経由する部分が大変多くなればなるほど円滑さを欠くおそれがありはしないか、こういう点を心配するものですから、事前に緊密な連絡協調体制というものがとれるためには大変だなあ、共管大臣が非常に多いし、しかも、意見を聞いたり協議をするところが非常に多いということは大変だというように感じたものですから、その点を指摘をさせていただいた。  特に、大臣が御答弁になりましたように、これはやはり内発性といいますか、地域の自主的な意欲を持った構想というものが一番大切だろうと思うのですね。その意味では、後でもう一つお答えをいただきたいのですけれども、都道府県が中心になって開発計画作成するようでありますけれども、その中心は、何といっても当該地域の市町村あるいは住民がどのようにかかわっていくか、あるいはそれぞれの工場なり企業なりがどうかかわっていくかということが一番大切だという観点で、あとはそれを受けてのそれぞれの省庁のかかわる部分の調整ということにしていかないと、上から一つの枠組みをはめていきながらやるということになると、まず第一に各省庁との縄張り問題等も出てまいりまして、そこでもうデッドロックに乗り上げていくだろうという気がいたしますので、この共管が四省にあるということ、あるいはいろいろな意見を求めていくということの中で、地元といいますか地域の自主性、それから県段階における開発計画の策定について、十分に創意工夫を生かさせていくような配慮というものがぜひ必要ではないかというように、私はこれは強く要望しておきたいのです。  それと関連をいたしまして、第五条の「開発計画」の三項に、「都道府県は、開発計画作成しようとするときは、関係市町村に協議しなければならない。」というのがある。これは、私は文法がよく理解ができないのですけれども、「都道府県は、」「関係市町村に協議しなければならない。」というのは、私が先ほど御指摘を申し上げた上下の関係というわけじゃないのですけれども、つまり関係市町村の自主性、創造性というものをより高めていくという形にちょっと読み取れないような気がする。まあ任意というのではなしに、「関係市町村と協議しなければならない。」といったら、もう少し関係市町村にウエートがかかるかなというように私は理解をするわけであります。何かこれでいきますと、都道府県が開発計画をつくって押しつけるといいますか、えてして関係市町村というものはそれほどの大きな情報を持ってもいないし、それからまた、こういうテクノポリス構想等をつくる力量もないために、どうしたって都道府県段階でつくり上げていってしまって、関係市町村はこれでひとつやりなさいみたいな形になる危険性がありはしないかということで、この点の「関係市町村に協議しなければならない。」というところは、どういうように読んでおけばいいのか。私の問題意識は、いま申し上げましたように、下からの内発的なものをこの際は特に強く取り上げていくという姿勢を持つべきだと考えますだけに、ここのところの読み方について理解がもう一つできないので、お伺いをいたします。
  72. 山中貞則

    山中国務大臣 そういう御疑念があるいは読み取れるのかもしれませんが、実際は上から下へとか下から上へじゃなくて、知事さんを中心に関係市町村が一体となって鳩首協議するような実態が本当だろうと思うのですね。知事さんが市町村に言うというような形ではなくて、知事さんと市町村とが一緒になって計画を相談して、そこにはもう知事とか何とかという立場を離れた、自分たちの県のこの地域についてという共通の目標に向かってのほとんど同等の協議といいますか、そういうものがこの場合は行われてくるのだろう。  したがって、計画作成責任者は最終的に知事でありますから、その計画は都道府県ということで——知事と書いてないのは、誤解があるといけませんが、臨調の方で団体委任事務のあり方についてということで、余り知事に委任をするなという方向があるものですから、知事とは書いてありませんが、都道府県の団体委任ということにしてありますけれども、実態は知事作成するわけですから変わりはありません。念のために申し上げておきます。  したがって、その知事作成する計画が最終計画になるのですから、その最終計画知事がつくって関係市町村にこれで行こうというものじゃないので、関係市町村が一生懸命、市町村の役場の中のわずかな職員の中にも対策室とかチームをつくっているぐらい熱心ですから、そこと知事部局のどこかが、開発局か企画局か、そういうようなところがあれば、そこと連絡をとりながら知事も一体となって作業をしていく、それが最後の計画になるのだろうと思いますので、この表現で特別に上から下へということは、実態としてもないだろうし、その気持ちもない、そう思っています。
  73. 後藤茂

    ○後藤委員 法制局は来てないのだと……(「与党にもうちょっと出るように言いなさい、審議を速めてくれとかなんとか言ってるだけで、これじゃいけませんよ」と呼ぶ者あり)ではひとつ、審議は進めていきますが、与党の皆さんの出席をお願いしておきたいと思います。  私は、いまの大臣のそういう理解をしたいわけですけれども法律というのは勝手な解釈ができないわけでありますから、法制局を呼んでおけばよかったのですけれども、私もよくわからないので申し上げたわけです。つまり、先ほど大臣がお答えになったような形で運用してほしいわけです。その場合に、それをさらに強く担保していくためには、その「関係市町村に協議しなければならない。」というのは、どうも私は弱いのではないだろうかという気がするわけです。したがって、それはもちろん法制局の意見を聞いていかなければなりませんが、もし対等といいますか、いま大臣がお答えになったような形で、関係市町村の自主性、創造性というものを大切にしていくのだ、そのためには、この三項の表現というものは「に」よりも「と」にしてやる方が、都道府県に対してその責任をより強めることになるのだということであるとするならば、この点は修正ということも、法制局とも御相談をいただきながら、できるならばぜひしていただきたいということを要望として、まだずっと審議が続くわけですから、審議の過程で検討しておいていただきたいということを要望として申し上げておきたいと思います。  あと時間が四十分ばかりありますが、テクノポリス地域関係の問題について御質問を申し上げたいと思うのです。  当初、このテクノポリス構想が出されてきたときには、たしか四十前後の地域が名のりを上げたやに聞いております。その中で大体適地というのが十九地域というように聞いているわけでありますけれども、この十九地域の基本構想に対する——基本構想はもうほとんど出そろっているのでしょうか。まず、ちょっと局長の方から。
  74. 福原元一

    福原政府委員 当初、構想が出ましたときは四十近いお話がございましたが、その後、県内その他調整がつかないところがあったのだと思います。現在私ども聞いておりますのは、十九地域二十道県でございます。
  75. 後藤茂

    ○後藤委員 この十九地域の基本構想に対して、どのような評価をなさっているのか。またその特徴、あるいはその十九地域の取り組みの姿勢、準備状況等がどのように進んでいるのか、通産としての把握状況をお聞かせいただきたい。これは簡潔で結構でございます。
  76. 福原元一

    福原政府委員 現在十九地域は、五十六年度基本構想の策定を終わりまして、五十七年度末をめどとして開発構想を策定しておるところでございます。すでに提出を受けたところもございますが、各地域きわめて御熱心でございまして、それぞれ実現に向かって準備を進めておられます。  この法案が成立いたしました後、私どもは、国として開発指針を決定いたします。それを受けまして各地域開発計画をつくりまして、国の承認を得るという手順を踏むことになろうかと思います。
  77. 後藤茂

    ○後藤委員 もう一つ局長からお答えいただきたいのですけれども、この開発構想に基づいて開発計画がつくられるのでしょうが、この関係は一体どのように理解しておいたらいいのでしょうか。
  78. 福原元一

    福原政府委員 法律第四条によりまして国が「開発指針」をつくりまして、その指針を受けまして都道府県が第五条にあります「開発計画」をつくるという形になるわけでございます。
  79. 後藤茂

    ○後藤委員 この法律からいきますと、ちょっと幾つか、いままでの構想とは後退をしておる部分があるように思うわけであります。  その中で、特にこの「地域」の条件として、工業の集積の程度が著しく高い地域及びその周辺の地域……、高度技術開発を行い、これを製品化できる可能性のある企業が相当数存在する、あるいは、高度技術に関する教育、研究を行う大学が存在すること、等々が挙げられているわけで、「地域」の第三条の一から七までの項目。これで見ますと、私は冒頭に大臣に申し上げたわけでありますけれども、一定の成熟度を持っているところが大変優先順位が高まっていくといいますか、この開発指針に基づく開発計画に承認をよりやりやすくなるような地域になるのではないか。当初、いろいろな構想テクノポリス構想として出されてきているときには、必ずしも一定の成熟度、この法律に合わせたような、第三条の「地域」の要件に該当しないようなところでも、積極的にこの地域にひとつテクノポリス構想推進していくということがあっていいのではないだろうかという気がいたしておりました関係で、この一から七項目までの要件に該当する地域ということになってまいりますと、ちょっと当初の構想から崩れていきはしないかという危惧をするわけであります。この点は一体どう理解したらいいのでしょうか。
  80. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、こういうふうにおとりいただきたいと思うのです。  先ほどは違った表現をいたしましたけれども、結果というものが先に一つあって、それを踏まえて新しいアイデアとして取り組む。ということは、国の方で、空港ができたら空港周辺先端産業高度技術産業立地しなさい、立地した場合にはめんどう見てあげますというのは何もしてないわけですね。ただ、企業の側から見ると、先ほどの距離と時間の問題、距離じゃなくてあるいは位置じゃなくて、時間の問題として空港空港をとらえていくことになれば、それは確かに割り切れるわけでしょう。したがって、そこらは自分の会社の特性考え、ある工場製品が、たとえば九州で離れたところでつくられたとしても、それは飛行機の時間で一時間半であって、それから羽田に着いて本社、あるいは成田から外国へというような感覚になって、時代が違ってきている。そこで空港周辺に著しい集中が見られる。しかも、それは決まって高度先端産業が多い。こういうことと、中にはもう一部、その地域の既存の産業との間にある意味のいい結合ができて、地場産業が生まれ変わって先端産業の仲間入りをしている地域もあるようでありますが、そういうようなことが現状ですでにあるわけですね。あるわけですから、そこに着目して、ここに決めているような条件がそれに付随してあればそこをまず条件としましょう、地域としましょう、こういう国の意思が最初に働いていまの状態ができたものでない。しかも、今後それに対して、うちにもそういう高度集積工業地帯をつくりたいから何々企業を国の力で連れてきてくれとか、あるいは国ができるものとしては、飛行場をここにもつくってくれというようなところまで、国はいまのところはそこまでする気はないということになりますと、結果の上にこの条件等が付随してそろっておれば、それを今回の新しいアイデアとして承認指定をして、それで地域の浮揚というものに一挙に貢献させていく足がかりにしたい、こういうことでございますから、普通の法律と違って、これから国がめんどうを見るからこうしなさいという法律ではなくて、国が何もしなかったから結果的に日本列島を見ると空港周辺に、臨空地帯ですか、とそういうところを呼ぶとすれば、そういうものが出ていることに着目せざるを得ないということからこの法律になったということでおとらえ願えると、それはその条件が整ったところがまず指定されていくことにした方がよろしいのではないかと考えたわけでございます。
  81. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣、私が冒頭申し上げたのは、単なる工場配置なりあるいはそういう新しい産業都市をつくるというのなら、いままでの法律が実はあるわけですね。全国総合開発計画ですか、あるいは新全総、三全総等もありますし、工配法もあれば新産都市法もあるわけです。それにさらに、今度新しくこういう高度技術工業集積地域開発促進法。くどいようですけれども、私は、そういう都市をつくっていくということの方がいいのではないかと思っておるわけですが、こういうことを出してくると、ここの第三条の「地域」というものの一つの枠組みというようになりますと、当初の構想から見て非常に後退をして、結局、何だ、新産業振興計画に基づくそういう産業都市なのかということに読み取れてしまいやしないかという気がするわけです。  つまり、一つの白紙にこういう「ビジョン」なりあるいは「テクノポリス90」の構想なりに基づいて進めていく部分というのは、これは遠い、二十一世紀も過ぎてもっともっと先のことで、財政も相当豊かになり余力ができたときにそれはやってもいいけれども、当面は、せっかく構想を上げたわけだから、アドバルーンを上げたわけだから、何とかかっこうをつけていかなければならぬ。そのためには、手っ取り早く各省庁協力もある程度得られる、ある程度の成熟度を持ったところをやっていけばいいじゃないかということで、当面を糊塗することになりはしないかというように私は考えるわけです。ですから、単なる先端技術といいますか、高度技術集積地域づくりだけではないんだ、もう少し当初のビジョンに基づくといいますか、構想に基づくようなものにしていくんだということになると、ここの要件というものは相当弾力的に理解をされていくべきではないか。  たとえば、もっと言えば、ここでは「その地域又はその近傍に高度技術に係る教育及び研究を行う大学が存在すること。」今度の十九地域にはほとんどこれが備わっているのかもわかりませんけれども、これがなくても、単に文部省が大学の設立の計画で、こういうことと全く関連なしに、あの辺につくろうか、この辺につくろうかということではなくて、なければつくっていいと思うのですね。そういうことがどうもこの法律の中からは読み取れないという感じがするわけでありますが、いかがでしょうか。
  82. 山中貞則

    山中国務大臣 何とか法律にすればいいやという、それは表現の仕方であって、私は、法律でなくともできるかもしれぬと思ったことも一時ある。したがって、法律は断念するかもしれないということを言ったことも確かにあります。しかし、実際に都道府県知事さんが市町村長と協議しながらつくっていかれるときに、いま主管省がほかにございますから、そこらの人たちがそれぞれの持っている条件で、その段階で協力地域によってそれぞれに違うわけですから、得られた計画というものが出るわけでありますから、そうすると、決しておかしなことはない。  しかし、この程度ではという表現大学の話が出たのですが、これは何も国立大学だけを考えておるのではありませんで、公立でも結構、私立でも結構。それに、やはりなるべくは工科系があってほしいというのは、これは純粋に工科というもので吸収し育成培養し、そして学生の頭脳となり地域の社会に貢献していく、そういうものでございますから、その延長線上には恐らく都道府県の試験場などというものも、この大学との連鎖性によっては浮かび上がってくるものであろうと思いますし、したがって、どうしてもやはりこの特徴は高度の学問的な問題という企業ですから、そうすると、それらはやはり簡単に、その地域に拡散するといっても、拡散を工場がうんと言うかの問題は後の問題ですが、うんと言ってくれて都道府県知事と合意し、市町村長と合意し、地域のいろいろな受け皿をつくった場合、受け皿をつくって人間がその高度技術を分けて波及効果を上げましょうといったときに、その分けてもらうこと自体がわからない。私にはわかりませんと言うものも、条件としては、技術を提供しましょう、地域のこういう産業にこれを利用すればこうなりますよということを言われて、まずその理屈がわからない、受け皿を持っていても乗せられた品物がわからないという状態では、町の前に地域そのものが形成できないと私は思うのです。だから、そこらのところで、どうしても大学一つ中核にかんでおって、そこで頭脳、学問を吸収して地域で拡散していく、そういうものが必要だと思うわけです。それが必要だということについては意見が一致しているわけですが、国立をそこの地域につくれと文部省に言うのには、そこまでなくても私立でもいいんじゃないですかという弾力性がありますので、どうしても困ったらつくってもらうお願いをするかもしれませんけれども、そういう意味表現にしてあるわけでございます。
  83. 後藤茂

    ○後藤委員 私が指摘を申し上げておりますのは、ここの第三条の「地域」の枠組みということになると、先ほど言いましたように、一定の要件を備えてしまったところということがどうしても安易に取り上げられるという気がするものですから、そうじゃなしにもう少し弾力的に、本当の更地にこの構想に基づいてつくり上げていくものに対しても積極的に理解をしていく必要があるのではないか。  私の地元の兵庫県を例にとって大変恐縮ですけれども、西播磨テクノポリス構想が、私のところにもりっぱなものが来ております。これは各地域の皆さん方ほとんど熱心に、こういう文書に作成をして出してきているのだと思うのです。これは、通産省の当初の指針であります「テクノポリス90建設の方向」というものに基づき、また「八〇年代の通産ビジョン」に基づいて努力をして基本構想をつくり上げてきている。  それから見ると、これから先行投資をしていって、これに該当していくようにという努力がこれからなされていくのだと思いますけれども、厳密にこの第三条の枠組みを考えていくと、先ほど何回も申し上げておりますように、当初の通産の構想といいますか、テクノポリス構想というものからポリスが消えていき始めてきているのじゃないか。そうなってまいりますと、十九地域全部、私は詳細に把握はいたしておりませんけれども、幾つかこの枠組みから、アクセスの面あるいはいろいろな近傍の高度技術にかかわる教育機関等がおくれていっているところ、そういうものがあるだろう。既存のものを利用していきながらというのじゃなしに、もっと積極的にそうしたものをつくり上げていく努力もある程度背景にしていきながら、この地域考えていくべきではないかというように私は考えておりますので、大臣、一言で結構でございますから、そういうような私の指摘を配慮していきながらのこれからの開発計画なり開発指針作成について努力をしていくということになるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  84. 山中貞則

    山中国務大臣 私の理想は日本版シリコンバレー、こういうものになれぬかなというあれがあるのです。しかし、そういう大ぶろしきを広げてみたのでは、でき上がったものはこれは何じゃと言われるおそれがありますから……。  いま御注意くださいました点は、やはり安易にでき上がったものだけをすくっていくという考え方ではなくて、それに対して積極的な、たとえば大学を例にとられましたけれども、そういうような努力を国と県とで、県も加勢してもらわなければいかぬかもしれませんが、そういうことも考えながらやっていけという御意向は、十分念頭に置きたいと思います。
  85. 後藤茂

    ○後藤委員 文部省、見えているかと思いますけれども、予算委員会でも私、ちょっと指摘をしておいたのですが、どうも文部省の大学設置の計画は恣意的な面が非常にあるような気が実はするわけです。  いま通産大臣の方は、何も国立でなければならぬということはないし、またいろいろな試験研究機関あるいは公立、私立、結構ではないか。私は別に国立にこだわるわけじゃないのですけれども、この西播磨テクノポリス基本構想との関連で申し上げますと、母都市は姫路ということになるわけであります。これは四十五万都市で、県都ではないのですけれども、県都以上の大きなところなんです。旧制の高等学校があるし、師範学校等もあった。それが、いま県立の工業大学はありますけれども、ここは全く文部省の大学設置の計画の中からは無視されたまま今日来ているわけであります。私が質問したときには、鹿児島でありますけれども鹿屋に大学ができる。そして約百万の背景を持っております地域にそれがない。そのこともまた、いまのその地域に「教育及び研究を行う大学が存在すること。」というところの中に、確かに県立の工業大学はありますけれども、もう一つ、どうも心配の部分がある。  これとの絡みで申し上げるわけじゃないのですけれども、文部省、私はこの前も指摘しておきました、戦前の高等教育機関があったところでいま大学のない地域が一体どこかあるのかどうか。それからさらに、こういったせっかくテクノポリス構想等が出てきている中で、大学の設置に対して意欲的な考えをお持ちかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  86. 十文字孝夫

    ○十文字説明員 先生御承知のことと思いますが、戦後新制大学が発足いたしますときに、全国的に一県一大学というような方針のもとに、国立、官立の大学あるいは高等専門学校、師範学校等を統合いたしまして、一県に一つずつの国立大学整備するという方針でやってまいりましたために、戦前はある地域に高等教育機関が存在したにもかかわらず、現在存在しないという地域は全国的に幾つもございます。(後藤委員「幾つあるのですか」と呼ぶ)いま詳細な数は承知いたしておりませんが、文部省といたしましては、大学の新増設、これは先ほど通産大臣がお話しございましたように、国立大学だけを考えておりませんで、国公私立大学を通じまして、全国的にやはり先生御指摘のとおりバランスのとれた発展を図っていく必要があるということで、昭和五十一年度以来、これも先生御承知のことと思いますが、文部省としましては高等教育計画というものを策定いたしまして、この高等教育計画に沿いまして大学の新増設等の整備を図ってきているところでございます。  このテクノポリス構想につきましても、各地域構想が具体化していくという過程におきまして、私どもが策定いたしております高等教育計画指針に照らしながら、個々具体の事例につきましては対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  87. 後藤茂

    ○後藤委員 文部省の方の明確な答弁をここで求めようということではないのですが、何回も申し上げますように、こうしたせっかくの構想が出されてくる場合には、それにかかわる、特に近傍に高度技術にかかわる教育及び研究を行う大学的な高等教育機関がやはり必要だろうと私は思いますので、その点を強く指摘したいために申し上げたわけであります。  というのは、「テクノポリス90建設の方向」の中では、「アカデミー・ゾーン」なんかが書かれているわけです。「テクノポリスは単なる生産基地でなく、頭脳の基地であり、頭脳と結びついた生産の拠点である。」というような位置づけ、さらに「テクノポリスの学術・研究ゾーンのための条件」、りっぱなことを、もう私は読み上げませんけれども、大変にいい意見が出されているのです、大臣。とすれば、既存のものをただ何か利用し、あるいはちょっと拡充していくということではない姿勢がなければ、ただ財政が苦しいからとか、いま文部省の方からお話がありましたように、いろいろな計画なり何なりということではなくて、せっかくこうした構想を出されていく場合には、当然これにふさわしい高等教育機関、つまりアカデミーゾーンであるとか、あるいは学術研究ゾーンのための状況の整備、これらのものについて、文部省は共管省にはなっておりませんけれども、「その他関係行政機関の長に協議しなければならない。」という中で、特に強く指摘をしていくべきではないかということを私は申し上げておきます。  そのことが、先ほどシリコンバレーのようなことも言っておられたが、私は、そういう構想があってもいいと思うのですよ、十九カ所全部ということではなしに、ある部分においては。そういったことも、単なる高度技術の工業集積だけで、どこを見てもIC産業工場であるとか、あるいはバイオテクノロジーの工場ばかりがあるということではなしに、もっと調和のとれた、ここに指摘しておりますような学術研究ゾーンあるいはアカデミックゾーン、そしてさらに快適な居住条件を持ったゾーンというものが、本来この構想の中には入ってこなければならない。それが欠けていきはしないか。何回も申し上げますけれども、そういう気がするものですから、大臣、ぜひひとつその点、こういった高等教育機関のかみ合わせといいますか、調和といいますか、そういうゾーンというものに対して、単に母都市との絡みもありましょうが、超えてひとつ考えていきたいというようにお考えかどうか。
  88. 山中貞則

    山中国務大臣 文部省の方の大学設置のあり方については、文部省独自の戦後の展開がございますから、あえて、この法律をつくるから文部省にその方針を変更したらどうですかというようなところまでは、文部省自体の問題として、踏み込むべきではないのではないか。だから公立も私立も含んでの意味である、そういうことを申し上げましたが、文部省が果たしてそれを受けて、基本的な大学立地についての考え方を将来に向けて新しいものとして計画されるかどうか、一応は文部大臣にもそういうお考えがあるかどうか聞いてみることにいたしますが、文部当局の大学に対する考え方の基本線が相当定着してしまっておるというものを、この法律未来に向けての大構想にしたいわけでありますから、できれば文部省も呼応してくれればありがたいのですが、さて、私の見ている限りの文部省では、この法案によって国立大学設置基準の変更というようなところまで踏み込んでくれるかどうかはむしろ多分に疑問がある、むずかしいのではないかと思いますが、そういう御希望があったことは大臣にお伝えをしたいと思います。
  89. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣、設置基準はあれでしょう、一県に国立の総合大学一つということでしょう。ほかの単科大学といいますか、専門大学というものは、設置することは必ずしも抑えているわけじゃないでしょう。  文部省、どうですか。
  90. 十文字孝夫

    ○十文字説明員 先ほど私が申し上げましたことは、先生ただいま御指摘のとおり、戦後新制大学発足のときに、国立大学をそういう方針のもとに統合整備したということでございまして、国公私立大学を含めて考えます場合には、もちろんそういうことではございません。先ほど申し上げましたように、昭和五十一年度以来、文部省といたしましては、大学の規模がかなり大きくなってまいりましたという現状を踏まえまして、量の拡大よりも質の充実だということで、かなり設置そのものを抑制してまいりました。しかし、その中でもやはり地域的なバランスとか、それから具体的な社会的な必要性とか、そういったものが強いものにつきましては、例外的に幾つか現に認めてきてもおります。そういうことでございますので、先ほど申し上げましたとおり、高等教育計画というものの基本的な線に沿って、その社会的必要性等も十分勘案しながら検討させていただきたいと思っております。
  91. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣、いまの答弁は、先ほど大臣が、いやいまの文部省ではむずかしかろうと言われたようなことではないと思うのです。全国的なバランスなり、その社会的、地域必要性ということを考えていけば必ずしもこだわらない、これからの設置というものも考えていかなければならぬということは、文部省の方の行政としては考えているようでありますから、ぜひひとつこれは念頭に置いていただいて、何も通産省大学をつくるわけじゃないですけれども、せっかくのこういう積み上げがなされてきているものを活用しないということは、何のためにこういう研究機関を使っていきながら、大部のこういう資料をつくり、あるいはまた各対象地域といいますか、希望地域の皆さん方が苦労して基本構想を出してきているのか、意味がなくなるわけです。  私が申し上げる下からの積み上げといいますか、その創造性というものを考えていきながら、当初の指針にあるように、少なくとも二十一世紀を目指した長期的な新都市といいますか、こういうものの建設のためには、ただ、ああなるほどICの工場が来たな、シリコンバレーみたいに幾つかそういう先端技術産業工場が、ちょっとヘリコプターから見るとあったなというようなものをつくるなら、こんな法律は要らないです。いままで企業も、そういうところに立地条件があるとすれば、みずから進出するわけですからね。少なくとも法律をつくり上げていくというなら、そこに一定の国民なりあるいは県民なり市町村民、また政府の意図というものが出てこなければいかぬじゃないか。その際には、やはり地元の皆さん方の創造性あるいはそれぞれの地域特性を十分に発揮させていきながら援助していく、そういう法律にしていくべきではないかということを考えますので、この点は特に強くテークノートをしておいていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  時間がもう参りましたので、あと一つテクノポリスの国際的な展開の問題についてお伺いをしておきたいと思います。  貿易摩擦の問題だとか、これからの開放経済体制とか、あるいは垂直分業から水平分業とか、いろいろな意見が言われる中で、ただ日本の国内だけで一つの先端技術をそこに集積させて、そして日本だけで独自にやっていくのだということを超えた国際的な展開というものが、これからは当然問題になるのではないかと私は思うわけです。その際の産業技術の国際協力ですね。あるいは先ほどは盛んに大臣空港空港というのが出てくるのですけれども、国際会議場なり、こういうようなものを具備したテクノポリス地域があっていいのじゃないだろうか。どうもこうした国際会議場なりあるいは国際的ないろいろな協力、参加の部分というのは、三大都市圏に集中してきているということもあるわけですけれども、この点の考えをお聞かせいただきたいと思います。
  92. 山中貞則

    山中国務大臣 当然、日本はそういう国際的視野で自分を見てみるということが確かに必要な環境にあります。しかし、日本自体としても、無資源国に等しい国がなお今後も諸外国と同じようなものをつくって、そして経済摩擦を繰り返していきながら、資源のある国とない国とあるのに、ない国の方がすぐれた状態にあった。ところが、石油危機等を経て、そういうようなものはどうも衰退産業という条件下に置かれてしまう。そうすると、日本はこれから先未来に向けてどのような国家になるべきかということは、資源を外国から持ってこなければならないようなものをなるべく少なくしながら、そして高度の頭脳と技術というもので私たちが伸びていかなければならないという方向の選択、そのことは初めから念頭にございます。  しかしながら、そのことがたとえばEC等による日本産業政策批判というようなこと等に結びつくようなことがあってはならないし、また今回の構想は国がやることであっても、これは地方への均てん、拡散ということを目指すものでありますから、それだけ日本国の全土というものに近い形態で浮揚が図られるということに主眼がありますので、このこと自体を将来、国際経済摩擦に持っていかないようにということは当然念頭に置いていかなければなりませんが、何としても無資源国日本未来への展望ということが一番基礎になければならないだろう。経済摩擦等はその後に起こる問題でございますが、それはそれとして、外国から見た日本というものは、確かにしっかりと受けとめたレイアウトをしていかなければならぬ。その御注意はごもっともだと考えております。
  93. 後藤茂

    ○後藤委員 時間が参りましたので、最後に一点だけ指摘をしておきたいと思うのですが、この住居地域構想を見ますと、通産の指導もそうなのでしょうけれども、エレクトロニクスとかメカトロニクスとかバイオテクノロジー等々にどうも期待が過度に集中しているように思うわけです。ある調査を見ますと、従業員百人以上のIC工場は一九九〇年で四十二程度だ、今後年に一工場の新設がせいぜいだ、こういうように指摘をしているわけです。  こういう議論をするときには、私たちはえてして、無限に市場があり、いまこそエレクトロニクスだとかメカトロニクスだとかバイオテクノロジーというものは、もうこれからの未来産業としてバラ色の展望があるのだみたいに思いがちですけれども、実際に工場でつくってもそれが売れていかなければならぬわけですし、それからこれからの二十一世紀等を考えていってみますと、この面に過度に期待が集中されているということが果たしていいのだろうかという気が実はするわけであります。そういう意味で、特に先端技術というのは盛衰が激しいわけでありますから、この辺の知恵は、いまは何でもシリコンバレーみたいに、あるいはIC、超LSIみたいなところに目が向きがちでありますけれども、この点は高度の技術集積考えていく場合に、ぜひもっと技術開発なり先端産業の導入なり育成というものについて配慮しておく必要があるだろうと思います。  この点を指摘しておいて、私の質問を終わりたいと思います。
  94. 登坂重次郎

    登坂委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ────◇─────     午後一時六分開議
  95. 登坂重次郎

    登坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡本富夫君。
  96. 岡本富夫

    ○岡本委員 出席が少なくて非常に遺憾と思うのですが、時間がありませんから質問いたします。非常に短い時間でございますから、けさからの同僚議員の質問と重複を避けていきたいと思っております。  そこで、エネ庁の長官が何かきょうはお忙しいらしいので、先にちょっとあなたの方から聞いておきます。  私は、かつて五十二年の予算委員会で、エネルギーの需給見通しは非常に過大過ぎるのではないかということを指摘したことがありますけれども、その後、五十四年また五十七年と下方修正をしておる。さらにまた本年見直しを行うような報道でありますが、この経過あるいはまたこの修正について御説明をいただきたい。なぜならば、この法案提出するに当たり、やはり産業発展に伴い、エネルギー需要というものが必ず伴うからであります。だから、ひとつその点についてエネ庁から聞きたいと思います。
  97. 豊島格

    ○豊島政府委員 エネルギーの長期見通しにつきましては、先生御指摘のように何回も改定しておるわけでございますが、昨年五十七年四月にまとめました長期見通しにつきましても、その前後の情勢から見まして相当環境は変わっておる。最近の情勢でございますと、石油価格もOPECの決定によって五ドル基準価格が下がるというようなことがございました。また、エネルギーの消費の伸びといいますか、これが従来に比べまして非常に低くなっておる。特にこの五十五年、五十六年、五十七年と三カ年にわたりまして、毎年GNPはある程度の伸びを示しておるわけですけれども、マイナスになっておる。  そういうような状況もございまして、需給見通しが実際問題として、予想外の省エネあるいは代エネ、特にエネルギー消費につきましては省エネでございますが、そういう情勢も変化があるということでございまして、またエネルギーに対する要求も非常に安定供給といいますか、セキュリティーということが非常に大事だということが叫ばれておりますが、同時に、最近では、エネルギーのコストの引き下げということを非常に強く産業界その他からも要請がございました。また先ほどの、ことしの初めに行われました経済審議会の経過報告におきましても、いわゆるセキュリティーと経済性を考えた、エネルギーについてはベストミックスを考えるべきである、こういうような提案といいますか、御示唆もございます。  こういうようなことで、内外の環境も非常に変わってきておるということで、今後、エネルギーの需給見通しを含めて政策についても総点検しろという大臣の御指示がございまして、それに基づきまして去る四月六日、総合エネルギー調査会の基本問題懇談会を開いていただきまして、そこで審議をお願いしておるわけでございまして、今後相当時間をかけて長期的な総点検をしていきたい、このように考えておるわけですが、一応のスケジュールとしては、八月ごろには何とかとりあえずの中間取りまとめをしたいと考えておるところでございます。
  98. 岡本富夫

    ○岡本委員 五十六年、五十七年の経済成長、こういうのを見ましても、五十七年に一応立てた需給見通しが、ことしすぐにもう見直しをしなければならぬというような、通産省の需給見通しというものが甘いのではないか、現実に沿わないのではないか、こういうことを私は非常に感ずるわけであります。  そこで、この八月ごろにもう一度見直しの答申といいますか、審議会の結果が出るようでありますけれども、この審議会の結果といいましても、これは通産省からたたき台を出して、これはどうですかというのを出して、それを認めるか認めないかが大体審議会のいままでのあり方なのです。全部通産省の意向なのです。そういうことを見ますと、五十八年にまたすぐ見直しというような甘い見通しでは非常に困ると私は思うのです。  そこでお聞きしますけれども、五十八年の見通しは、いま審議会に出しておりますそのたたき台の中でも、恐らく石油から石炭、こういう代替エネルギーの割合がやはりそう変わらないのではないか、こういうように考えるわけですが、大体どのくらいの考え方をしておるのか。たとえば五十七年のあれは、下方修正された中でも電力に使う一般炭、この使用量が二千百三十万トン、これは五十五年の実績ですが、それが六千六百万トンというような三倍強に増加されておる。五十八年の見通しではどういうふうに考えておるのか、ひとつお聞きしたい。
  99. 豊島格

    ○豊島政府委員 先生いまおっしゃいましたように、五十五年度の実績が一般炭は二千百三十万トン、それに対して六十五年度の見通しが六千六百万トン、これが昨年決めましたエネルギー長期見通しでございまして、この一般炭の需要につきましては、電力のほかにセメントその他一般産業にもあるわけでございます。  それで、今度つくります見通しで、六十五年ないしはそれ以降の石炭の使用量というのが一体幾らになるかというのが御質問の趣旨かと存じますが、実はこの点につきましては、今後私どもとしていろいろなファクターをもとにして計算をしていくといいますか作業をしていく、こういうことになろうかと思います。  ただ、一言申し上げられますことは、先ほどもちょっと申しましたように、五十五年、五十六年、五十七年と三年間にわたりまして三%以上のエネルギー全体の減がございます。そのほか、成長率も当時五%ぐらい見込んでおったものが、大体それ以下に御承知のようになっておるわけでございます。したがって、五十八年度を出発点といたしましての今後の見通しにつきましては、いわゆる発射台がそもそも低くなっている、それからさらに成長率も、最近の経済審議会の経過報告でも三から四ということでございまして、その辺をどう見ていくかということにもよろうかと思います。いずれにいたしましても、この六千六百万トンという数字は、全体のエネルギーの伸びが落ちる中である程度低くなっていくということは避けられないと思います。  ただ、全体のエネルギーバランスの点から申しますと、やはり今後とも若干の時間のずれはございますが、石油依存度の低下ということは当然進めていかなくちゃいけませんし、その中において石炭は、原子力それからLNGとともに非常に重要な役割りを果たすということで、この辺の細かい比率については若干変動はございますが、依然として重要な役割りを果たす、こういうふうに言えると存じます。
  100. 岡本富夫

    ○岡本委員 数字で挙げなかったからあれですが、依然として石油依存から石炭に変わっていくだろう、いまあなたから話があったような状態であります。  そこで、この法律の中でも、環境保全に留意せよというようなことがありますが、私は環境委員会で、実はこの石炭という固形燃料への転換に当たって心配になるのは大気汚染だ。そこで、液体燃料の場合の基準と固形燃料の基準、この相違があるわけですが、環境庁から、窒素酸化物とばいじんについて御答弁いただきたい。
  101. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 排出基準でございますけれども、現行の排出基準が定められましたときには石油の利用が一般的でございまして、石炭の利用は減りつつあった。そういうこともございまして、現行の排出基準は石油に比べまして石炭の方が緩くなっておるのでございます。  窒素酸化物について申し上げますと、たとえば石炭ボイラーと石油ボイラーを比べますると、石炭ボイラーの方が二ないし三倍程度緩くなっておるのでございます。また、ばいじんのお話がございましたけれども、ばいじんにつきましては昨年の五月に基準の改定をいたしまして、石炭に係る排出基準を強化いたしたところでございます。ただ、技術上の問題等がございましてまだ石油と全く同じにはなっておりませんが、ボイラーについて申し上げますならば、改定前の石油並みに強化をしたところでございます。
  102. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは、なぜ僕が当委員会で冒頭にこの話をするかといいますと、環境庁でこの規制をしようとすると、通産省が反対するのですよ。それでできない。これがあるから、いかに環境委員会でやりましても通産省が出てこないからうまくいかない。山中通産大臣は初代の環境庁長官なんです。石炭燃料でボイラーから出てくる窒素酸化物と石油燃料から出てくる窒素酸化物との健康に対する被害というものは同じなんですよ。変わりはない。だのに石炭の方は、いま言ったように二倍から三倍、液体燃料では一三〇ppmが石炭ボイラーでは四〇〇ppm、こういうふうなことになっておる。そして、どんどん患者が出ておる。いろいろと資料を見ますと、すでに脱硝技術あるいはこういう技術がもう開発されておる。だのにそれを使わないで、また綾目にきておる。それで結局企業からお金を取って公害補償法でどんどん出しておる。こんなことをいつまでもやっておったのでは話にならないと私は思う。したがってやはり基準をきちっと決めて、この基準を強化して——このばいじんも、吉崎さんよく知っておるように私はこれをやかましく言って、まだまだ固体燃料は液体燃料より緩いですけれども、やろうと思えばできる。それを通産省が反対してできない。いつもこれで困っておるわけですよ。だから山中大臣にひとつ、こういうことに対しては反対しないかどうかを一遍念を押しておきたいと思って、最初にお聞きしたのです。いかがですか。
  103. 山中貞則

    山中国務大臣 私は、通産省が反対をしてその規制値についての合意が得られないという実態を把握しておりませんので、必要によっては環境庁からも聞きますが、まず通産省の中で過去にどういう経緯があったのか、よく調べてみます。まさかそういうことはないとは思いますが、あるとすれば、やはり環境政策というものを無視した産業政策はあり得ない、私はそう思っておりますので、問題がありましたら調整いたします。
  104. 岡本富夫

    ○岡本委員 吉崎さん、まあこれでひとつ安心して次、やってください。  そういうことは、もう一つ例があるのですよ。恐らくいま出されておる法律によるところのテクノポリスをつくるにしましても、環境面に配慮せいということですから、必ずいろいろな面でアセスメントをしなければならぬと思うのです。ところが、このアセスメントがなかなか出なかった。いまここにおる委員長はよく知っておりますけれども、これは物すごい通産省の反対で困った。とうとう電力を抜いてしまった、骨抜き。それでもまだ反対しておる。これで一番困っているのはやはり地方自治体なんです。条例をつくろうか、あるいはまた国から出てくるかわからぬというようなことできておる。したがって、やっとこの法案提出されておるわけですから、山中通産大臣にこの推進方をここでひとつ要求しておきたいと思うのですが、通産大臣考え方はいかがですか。
  105. 山中貞則

    山中国務大臣 これも世上、通産省が反対している、反対していると書いてあるのですが、私はそのことは聞いてみました。しかし、現段階において反対はしていない。すなわち、そのアセス法作成の過程においては発電所等をめぐって議論をした。しかし、発電所は除かれたということによって国会に提案をされているわけですし、したがって、それ以上に通産省が反対をしているといったって、その手段は国会審議の場にゆだねられておるわけでありますから、反対はしていないはずでありますし、現に私が参議院予算委員会で環境庁長官に、協力するところがあればしてやるからしっかりやりなさいということを言ったということは、報道でごらんになったとおりでありますから、それで進んでおると思います。  問題は、党の方は政審、総務会を通って初めて国会法案が出るわけですから、通ってきておるのですが、そこらのところが途中で何かがあったのか。党の方を私が拘束するわけにはなかなかまいりませんが、通産省ということであれば、いまや通産省提出された法案の成立の阻止に動いているということはございませんので、御安心願いたいと思うのです。
  106. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、電力を抜いたというのは通産省の圧力ですから、これはいかがですか。
  107. 山中貞則

    山中国務大臣 法案をつくる過程において、各省庁の意見調整の中でそういうことがあったのかもしれません。それも通産省と言われても、その場合は確かに通産省でしょうが、しかし、そのことは合意されて国会に提案されているのでありますから、合意されていないものであるならばおっしゃってもいいと思うのでありますが、通産省としては、発電所というのは対象から外れてほとんど公共事業ということになったので、各省庁合意の上、閣議を経て出されているわけであります。その間のやりとりというのはもう済んでしまったことでありますから、環境庁が承知しないというものをやったわけじゃないので、環境庁も最終的に合意したものが出してあるわけであります。過程の議論は確かにあったのかもしれません。しかし、そのことをいまさら、あのときなぜそんな議論をしたのかといったって、責任者はもう役所にもいないというような話でありますから、過去のことは否定もいたしませんが、出ているものについては役所として、政府で閣議決定をして出したものに反対をしているわけではないわけでありますから、そこのところはやはり仕分けをして、おしかりならおしかりを受けたいと思うのです。
  108. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ、こればかりやっていてもいけませんので……。  次に、どうしてもこういう新産業都市のような、いま話があったようなシリコンバレーのようなものをつくろうとすると、そこには湖とかあるいは沼がある。湖沼の水質保全について環境庁の方で湖沼法を何遍も何遍も出そうとするけれども、これも通産省が反対してできてこない。これについても大臣からひとつ、そういうことは反対はしないという答弁をいただいておきたいと思うのですが、いかがですか。
  109. 山中貞則

    山中国務大臣 これも通産省が反対をしていて国会に出せないという話は、私も聞いております。しかし、本当にそうであるかといえば、実際はそうではないような気もします。たとえば、私は環境庁長官に、今国会に湖沼法を出すのかと個人的に聞いたのですが、今国会は見送ることにいたしましたという回答を得ておりますから、私どもが反対して出させないわけじゃないのです。そういう経過だけを申し上げておきます。
  110. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ今後、あなたも初代の環境庁長官ですから、環境庁の方で出そうとすれば、あなたもひとつ協力をなさるおつもりかどうか、これをお聞きします。
  111. 山中貞則

    山中国務大臣 相談を受けたら受けたときに私の判断をいたしますが、まあ私が初代環境庁長官ということよりも、環境庁をつくるための法律整備その他に公害担当大臣として費やしたエネルギーというものは大変なものがございました。したがって、そのことはやはり日本の政治、行政の上に反映させていくべきものであるという私の信念は変わっておりません。ただしかし、折衝の内容等まだ聞いていないのにそれに反対をしないと言えとおっしゃるのですが、反対しているのか、意見が一致しないで議論をしているのかわかりませんので、私の姿勢を申し上げておいて、後で具体的な問題が本当に出てきましたら相談をしたいと思うのですが、私の聞いた範囲では、今国会には出さないということだったので、じゃ今国会では提案するための議論はしないんだなということで、そのままにいたしておるだけでございます。
  112. 岡本富夫

    ○岡本委員 たとえば長野県の諏訪湖、あの辺も、いま言うておるテクノポリスのような小さい先端産業といいますか、それに近いものがたくさん、まあ時計のいろいろなものとか、視察に行きますとあります。ところが、諏訪湖が年々汚れていく、汚染されていく、こういうことを見ますと、恐らくこのテクノポリス法案をつくって、それができましても、結局そこらが非常に環境汚染されて後で困る。こういうようなことのないようにするためには、やはり湖沼法というものをきちっと整備をして、その上に立って企業を誘致するということにしませんと、結局後に禍根を残す。こういうように私は考えるから、きょうはあなたにその点について念を押したわけです。ひとつ環境庁をうんと応援をしてやっていただきたい。環境庁長官じゃないけれども、環境庁をつくった生みの親ですから、これだけをひとつ要求をいたしておきます。  エネ庁も出てください、あなた忙しいでしょう。  そこで、本論に入りますけれども、先ほど同僚委員の方からも話がありましたように、このテクノポリス法案といいますか、これの構想、非常に高邁なすごいものだということで、各地方自治体は大分飛びついた。それで相当な費用をかけて、たとえば兵庫県でも、先ほど話がありましたように西播磨のテクノポリス構想といいますかその概要、ほかの県も同じようでありますが、ところが、いよいよ法律が出てまいりますと、綿菓子みたいに非常にすばらしかったけれども、つかんでみたら大したことがない。大したことがないどころか、県に相当な負担がかかる。こういうことで背負い投げどころか、町や市とずいぶん検討をしてやっとつくり上げた構想が非常に心配な面が出てくる。こういうことで、予算も十五億ですか、大したことありませんけれども、果たして、この法案が成立いたしまして各所でいま大臣考えておるところが本当にできてくるのかどうか、シリコンバレーのようなものが本当にできるのかどうか、その点が私は疑問なんです。  そこで、大臣が各官庁と共管になった。某省庁が一口乗せろということで、この法案をつくるときにはずいぶん苦労をなさったそうであります。その苦労話は聞く必要はありませんが、たとえば建設省を乗せるときに、この地域指定されたところに対しての公共事業に対して優先的に補助金を出せるように配慮するという建設大臣の言質をとったのか、ここをひとつ聞いておきたい。
  113. 山中貞則

    山中国務大臣 主務官庁になりました役所に全部、テクノポリスに対して私の役所は何が貢献できますというようなものを持ってきてもらいまして、それで、なるほどこういうことならば——ま建設省のお話が出ましたが、一応法律には住宅、道路ということで、当然ながら建設省がそこに重点配分をするという意思の表明ということで、それならばやはりインフラ整備のために加勢してもらった方がいいなということで受け入れたわけであります。たとえばこれに入ってないものでも、上水道は当然だし、下水道の問題も、いまの湖沼汚染で言われたようにやはり大変必要なことでありますので、建設省が入ってきてくださる以上は、ここに書いてないものであっても、インフラの中で上下水道等は当然のことでありますが、そういうところも御協力は願えるというようなことで、主務大臣というのはちょっと多過ぎる感じもされましょうが、しかし、やはり通産大臣が責任を持って、そしてその構想に積極的に主務大臣として協力してもらえる役所ということでお願いをしたわけでございます。  したがって、自治体の策定する計画の行為に係る自治大臣というものは、最終的には、そういうような各省が持ち寄って協力し合ってできたものの計画、それを受け取って自治大臣の方に——これは地方自治体のことでありますし、不均一課税に伴う交付税の措置もとってくれますし、あるいは地方債の問題もございますから、これで自治大臣は大丈夫でございましょうかと協議をする役所ということで位置づけております。  ですから全部、テクノポリス構想にみやげを持って完成させるための加勢をしてくださる役所というものを選んだということでございまして、そこで後で混乱が起こるということでなくてむしろそれが促進される、より完備されるというふうに受け取っていただきたいと思います。
  114. 岡本富夫

    ○岡本委員 それでは、ちょっと建設省にお聞きをしておきたいのです。  建設省は、都市計画法に基づくところの市街化調整区域の規制緩和についてはどういう見解をとっておるのか、ひとつお聞きしておきたい。
  115. 広瀬優

    ○広瀬説明員 先生御案内のとおり、このテクノポリス構想が実現されてまいります過程で、開発許可という手続を経てまいる場合があろうかと存じます。その道は現在の制度の中でも開かれておるわけでございますが、この許可権者が知事あるいは市町村長というかっこうになってございます。それで、このテクノポリス構想に関します地元の熱意の高まりを背景に考えますと、その許可権者であります知事あるいは市町村長というところが、この開発許可の運用に関しまして運用のよるしきを得るということが期待されておる、こういうことでございます。
  116. 岡本富夫

    ○岡本委員 通産省は、母都市とそれからこの地域、これがこの構想地域になるようでありますが、通勤圏をその母都市に求めるという考えを持っておるのか、それともこの地域にたくさんの住宅を建てて、それでそこからその仕事に参画していく、こういう考えを持っておるのか、ひとつお聞きしておきたい。
  117. 福原元一

    福原政府委員 私ども母都市考えておりますのは、先端技術産業を育成するためには、その付近に都市機能を有することが必要であろう、その都市機能活用するということは一つの大きな要件であろうと考えまして、この母都市につきましてその都市機能を期待しておるわけでございます。たとえば情報の機能であるとか金融のサービス、あるいは流通の機能、福祉、文化、行政サービス、教育機関、このようなものの機能が一応整った母都市が近傍にあるということを一つの要件と考えておるわけでございます。
  118. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、住宅については別に考える。この地域に居住する、この地域に住宅をたくさんつくるということになろうと思うのですが、この住宅についての建設省考え方をひとつお聞きしておきたい。
  119. 広瀬優

    ○広瀬説明員 テクノポリス構想が実現の段階に至りますれば、そこに多くの方が住まわれるということは当然のことでございます。その場合、当該地域の中に住まわれる場合もございましょうし、また母都市との関係母都市に住まわれる方もあろうかと存じます。いずれにいたしましても、そこに高度技術工業が立地してそこが開発されていくという過程の中では、それに見合った十分な住宅あるいは住宅用地というものを、都市計画事業その他手法を駆使いたしまして実現していくという心構えでございます。
  120. 岡本富夫

    ○岡本委員 同時に、今度はアクセス道路あるいは河川改修あるいは上下水道、都市公園、こういうものが住宅ができると整備されなければならぬわけでありますが、補助金のかさ上げあるいは優先配分、こういうことを考えておりますか。これをひとつお聞きしておきたい。
  121. 広瀬優

    ○広瀬説明員 先生御案内のとおり、テクノポリス構想対象地域を見てみますと、ここは全くの白地に何かをつくるということではございませんで、相当程度のインフラその他基盤ができておるところが選ばれてくるように見受けられるわけでございます。かつまた、対象地域となるでありましょうところを眺め回しますと、実現の時期でございますとか、あるいはその熟度と申しますか、そういうことに関しましていろいろな要素を示しているように見受けられるわけでございます。  したがいまして、建設省といたしましては、そういう熟度等を考えまして、地方の実情等に即しまして、従来の枠内で効率的に公共事業を執行していきたい、こう考えておるわけでございまして、御質問にございましたような特段のかさ上げ、そういうようなものは、この法律自体の中身としては規定されてはございませんが、先生がおっしゃいます趣旨が実現されるものと考えてございます。
  122. 岡本富夫

    ○岡本委員 いま建設省考えているような、もうすでに公共投資がほとんど行われておるのじゃないか、そういう余り公共投資が必要でないというようなところばかりを許可対象にしようということになりますと、せっかくこの法律をつくりましても、ほとんどないのではないか。あるいはまた、地方自治体がうんとお金を持ち出してやらなければならぬ、結局、地方自治体泣かせ、こういうことにならざるを得ないのではないかということを私は危惧するわけです。  したがって、せっかくこの法律をつくるのであれば、やはり実効が上がるようなものにならなければいかぬ。法律だけはつくったけれども何も実効がなかった、これではお話にならないと思うのですね。したがって、やはり補助金のかさ上げあるいは優先配分、こういうものを確約しておかなければならぬ。それでなければ、この法律を通しても、結局絵にかいたもちであった、こういうふうにならざるを得ないと思うのです。だから、ひとつその点についてもう一度お聞きをしておきたい。
  123. 山中貞則

    山中国務大臣 建設省のいまの答弁がちょっと誤って受け取られたのではないかと思うのですが、候補地をずっと見てみると、比較的そのようなインフラというのは進んでいるところが多いということで、あと加勢せぬでもいいようなところから先に指定していく、そういうふうにとられますとぐあいが悪いので、私の方としては、建設省がそれに対して優先配分とか法律補助ということになりますと、財政当局との相談ができていませんからそこまではできませんので、建設省が現在持っている中での優先配分等の配慮を示してもらうということを条件として、建設大臣主務大臣ということに承知したわけでありますから、答弁は、そこのところをも承知の上で、現状で大分進んだところが多いですという答弁をしただけだと私は思うのです。間違っていたら建設省に答弁してもらって、必要だったら、主務大臣から建設大臣を削るということにいたします。
  124. 広瀬優

    ○広瀬説明員 説明が足りませんで失礼いたしました。  私が、ある程度のインフラができているところというふうに申し上げましたのも、たとえば法律三条の七号というところで「高速自動車国道、空港その他の高速輸送に係る施設の利用が容易であること。」というようなことが要件に書かれておるわけでございますが、そういうところがございますという意味合いで申し上げたわけでございます。  当然のことながら、その他それにつなぎますいろいろな道路その他必要な施設は多々あるわけでございまして、その意味で、建設省といたしましては、このテクノポリス構想というものを高く、前向きに評価いたしておりますだけに、今後これが実現に向けて効率的に行われるように十分目を配ってまいりたい、こういうふうに存ずる次第でございます。
  125. 岡本富夫

    ○岡本委員 空港高速道路、そういうものが近所にある、活用できる、こういうところを構想しておるようでありますけれども、それに出ていくところのアクセス道路、あるいはまた、そこに工場を持ってくるとどうしても河川の改修をしなければならない、あるいは先ほど話しましたように、環境を保つためには下水道を、上水道もそうでありましょうけれども整備しなければならない、あるいは都市公園、住宅、こういうものがすでに大体そろっておるというようなところでないと指定しないという感じが、建設省の答弁を聞いておるとどうもするわけです。したがって、そういうことになりますとほとんどないだろうと私は思うのですね。それならばいまのままでいいわけですからね。だから、この法律を施行されましても、そういうところに計画して補助金を出していくという積極的な態度がなかったら、これはほとんど実現しませんよ。だから私は最初に、通産大臣は建設大臣に優先配分するかどうかと聞いたのです。これは各知事から要望が出ておるのです。これをやってもらっても、そういった優先配分がなかったらできませんよと。私、ずいぶん回ってみましたけれども、そうじゃないととても無理なんですというのが偽らざるところの各知事さんの意見なんです。  これをもう一度確かめておきたいのですが、通産大臣はそれはもうやるのだ、建設省はどうも消極的、これではちょっと話にならないのですが、いかがですか。
  126. 山中貞則

    山中国務大臣 答弁された建設省の根拠はわかりました。七号にあるからということですが、実は岡本さんのおっしゃっているのは、空港はもうあるわけですからね。ですけれども、高速自動車国道とか高速輸送とか、新幹線あたりなんでしょうが、そういうものにいままで関係なかった地域、近くではあるけれども連結性はないというところが今度指定されて、そこが計画が承認されたという場合には、建設省はやはり出てきてもらって、高速自動車道への新しい通路を、取りつけ道路というものを、インターチェンジとまでは言いませんけれども、そこに乗り入れられるような道路を配慮してくれるとか、あるいは新幹線、空港、そういうところにも、いままで道路もなかったし、あったにしてもそれは既存の小さい、四メーター半とか六メーターぐらいの道路であるとするなら、それの拡幅をしてくれるとか、そういうことが建設省の私どものこの構想に加勢してもらえる点だと思っておりますので、この項目はそういうふうに立ててあっても、そのことに対して、指定された地域からの連絡道路なりあるいはそれにつなぐ高速道路なりをやっていただくことも含んでいるということを、建設省の方でぜひそういうふうに承知してもらって参加してもらわないと、七があるから建設省の出番はないのだということにとられると大変困りますので、私どもはそういう期待感を持って迎えているということでございます。もちろん、建設大臣もそのおつもりで受けてもらったのだということは承知いたしております。
  127. 岡本富夫

    ○岡本委員 通産大臣の話を聞いていると、スムーズにいけるように聞こえる。建設省の話を聞くと、どうもそうでもないように聞こえる。  そこで建設省、優先配分あるいは補助のかさ上げ、そういった考えを持っておるのか、もう一度これは念を押しておきましょう。
  128. 広瀬優

    ○広瀬説明員 テクノポリス構想につきましては、建設省といたしましても、きわめて高く、前向きに評価しておるところでございます。その場合、先生のお話にございましたように、道路を初めもろもろのインフラがらみの設備の整備必要性がございます。当然のことながら建設省といたしましては、この法律が通り、あるいはいろいろな構想が固まってくるという過程の中で、こういう従来の制度を活用いたしまして効率的に公共事業を執行してまいりたいということでございまして、また、十分なし得るものというふうに思っておるわけでございます。
  129. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうももう一つ歯切れがよくないのです。なぜかと言いますと、この法律ができましたらやはり実現しないと、法律はできたけれどもどこもできなかったということでは、山中通産大臣、かなえの軽重を問われますよ。だから言うておるわけです。  次に、農林省にお聞きしますが、農林省の参画は、恐らくその地域の農地の構造改善とか、農用地転換の規制の緩和とか、農振地域の区域変更、こういうものについての協力をなさるのだと思うのですけれども、まず、構造改善局長さんがいらっしゃると思うのですが、五十七年度は水田、畑地に分けてどのくらいの構造改善を全国でおやりになったのか、ひとつお聞きをしたい。
  130. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  構造改善をどのくらいやったかという御下問でございますが、どういう視点から御説明したらいいか、ちょっと迷っているわけでございますけれども、私ども、構造政策という観点からポイントになりますのは、いわば土地条件、水条件整備という視点が一つと、中核農家を中心に土地の利用権なり作業住宅をどうやって集積していくかという視点が一つと、中核農家を育成する反面、安定兼業機会をどうやって確保していくかという視点の三点から事業を進めているわけでございます。  物理的な意味事業では、中心になりますのはやはり農業基盤整備事業でございまして、これは年間国費九千億円を計上いたしまして、年々大体一兆三、四千億の規模の投資を実施しておるところでございまして、その地区は全国各地にまたがっております。
  131. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうもこの構造改善の事業を見ていますと、水田なら水田を構造改善して、そうすると一割以上の増収が見込まれるわけですね、あぜもなくなりますから。それで、その後で休耕田をつくっておりますね。一生懸命に片一方で構造改善をしては、たんぼをつくってはいけないと言って休耕田をつくる。どうもこの矛盾はいつ見ても感ずるわけです。構造改善をしてくれという要求もあろうと思うのですけれども、構造改善をすれば全部いいというわけにいかない。たとえば、畑地なんというのは大きくしますと水はけが悪くなる、そしてとれなくなってくる。この構造改善事業についてももう一遍、年間相当な、九千億ですか、かけておるわけですが、どうももう一つ合点がいかないところがあるわけですが、それはそれとしておきましょう。  そこで、このテクノポリス開発地域については、恐らく農地転用あるいはそれに見合うところの構造改善というものが出てくるだろうと思うのですが、先ほどの話とちょっと矛盾しますけれども、そういう要求があればそこは重点的におやりになるのかどうか、ちょっとお聞きしておきたい。
  132. 森実孝郎

    森実政府委員 いわゆるテクノポリスの建設に伴う農林水産省としての評価なり協力の問題だろう、こういうふうに理解させていただきます。  私どもは、農政上も、先ほど申し上げました視点にもありますように、これは積極的に評価すべきものだろうというふうに理解しているわけでございます。  具体的には、一つは、岡本委員、先ほど御指摘ありましたように、農振法の農用地区域の線引きの適用除外というものを定めることが必要だろうと思っております。  第二は、農地の転用基準についての特例を定めることが必要だろうと思っております。これにつきましては、われわれは農政の立場から申しますと、いわゆるテクノポリス地域整備というのは、ある意味では農村工業の導入と同じような態様を持っておるわけでございまして、農村工業の導入を促進法で講じましたと同一の手続、要件についての例外措置を講じたいと考えております。  それからもう一つは、関連する土地改善事業の実施でございます。これにつきましては、私ども、たとえば成田の国際空港関連事業とかあるいは高速道路の関連事業とか琵琶湖の河川改修の関連事業等と同様に、予算で他事業関連事業という費目を設けておりますので、その費目の中に計上いたしまして、現在われわれの事業はかなり予算も窮屈でございまして、新規の思い切った抑制をやっておりますし、それからもう一つ事業進度もおくれてきております。しかし、こういう他事業関連事業については、新規採択に当たって例外的な扱いを行うと同時に、また事業進度についても、できるだけ地元の要望がかなえられるようほかの点でも配慮してきたつもりでございまして、そのような扱いをこの事業についても考えてまいりたいと思っております。
  133. 岡本富夫

    ○岡本委員 恐らく、テクノポリス地域に転用される地域で、森林地帯があると思うのです。いままで森林地帯に対して補助金を出したところがあると思うのですが、それを今度こういった宅地あるいはまた工場用地、こういうところに転用する場合、大蔵省からすでに補助金は出してある、その場合はどういうように扱うのか、お聞きしたいと思います。
  134. 古宮英明

    ○古宮説明員 補助事業によりまして造成された森林で、しかもそれが造林後五年以内に他に転用するという場合には、一般的には、造林補助の目的というものとの関係から補助金を返還していただくということが必要になる場合がございます。ただ、補助金返還、いま先生ちょっとおっしゃったように、公共公益的な目的にダイレクトに結びつくような土地の転用という場合には、都道府県知事から農林水産大臣の方に減免についての協議があることになっております。そういう場合にはそういう措置も講じられるというような形に相なっております。
  135. 岡本富夫

    ○岡本委員 その場合、行政管理庁から、補助金を出したところはその事業推進しなければ、という勧告が出ておるはずです。これと少し矛盾するように思うのですが、その点はどういうように考えますか。
  136. 古宮英明

    ○古宮説明員 この補助金につきましては、いわゆる補助金の適化法に基づきまして、補助金を返還する必要のある場合というものを規定しているわけです。  造林の事業について見ますと、先ほど申し上げましたように、造林後五カ年以内に他に転用するという場合には補助金の返還をしていただきますというのが大原則でございます。ただし、公共公益的な目的でやむを得ずそれを他に転用するという場合につきまして、都道府県知事がそれを相当と認めた場合、農林水産大臣に協議をいたしまして減免の措置を講ずることができるということになっておるわけでございます。
  137. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間がなくなってしまって、まだ質問してないのは国土庁だけど、国土庁にやっていると時間がないですな。  国土庁は前に定住圏構想を打ち出して、これも華々しく各地方自治体が関心を持って迎えた。結局どこかそれを実施できて、うまくいっているところがありますか、一遍お聞きしたい。
  138. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 御案内のとおり、三全総では定住構想推進というものを柱として計画ができておるわけでございますが、この定住構想の実現の場といたしまして、モデル定住圏づくりをやっております。  現在、四十四の地区について定住圏ができておりまして、それぞれの地域では、地元の皆さん方の地域行動計画を含む地域特性を生かした計画づくりが行われ、それに基づいて特別事業その他の事業が着々と進められておる段階であります。
  139. 岡本富夫

    ○岡本委員 兵庫県の北の方で豊岡を中心にして定住圏構想ができたけれども、何にもできてない。要するに各省の縄張りがあってできないのですよ。いまうまい答弁しましたけれども、何にもできない。国土庁がこの法案に口出しして、これは何がメリットがあるのか。口は出すけど金は出さぬ、じゃ話にならぬ、こういうふうに私は申し上げたいと思うのですが、もう時間がありませんから……。  そこで最後に、通産大臣、私はこの法律を見まして、ずいぶん後退した、絵にかいたもちに近いように思うのですが、本当に真剣に二十一世紀に向かってこういうものが実現できるように努力することが大事だと思うのです。各関係省庁とも協議しなければいかぬと思いますけれども、何と申しましてもやはり通産省が音頭をとって、そして各自治体が協力できるような特段のお力をひとつ発揮していただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思うのですが、最後に答弁いただきたい。
  140. 山中貞則

    山中国務大臣 各方面から分析されての御指摘が数々ございましたし、それらの点は、これから私がよく留意しながら計画作成、承認に持ち込まなければならない点の数々でございましたので、それらの点を念頭に置きながら、やはり法律をつくって国会の御審議を煩わしました以上、それにまた、冒頭に言われましたように地方からの期待感というものが非常に高い、それに対して紙にかいたもちにすぎなかった、画餅であったと言われることのないように、実際の実行を、ことしはまだその段階ではございませんが、来年度予算あたりから、各省庁協調しながら、地区をしぼりつつ一つ一つ具体化していくつもりでございます。  御激励の言葉として受け取っておきます。
  141. 岡本富夫

    ○岡本委員 自治省の関係ももっと詰めておきたいと思ったのですが、時間がありませんから……。今後はもう少し質疑時間をもらえるようにやってもらわぬと話にならぬと思うのですが、これで終わります。
  142. 登坂重次郎

    登坂委員長 理事会で協議します。  次に、中野寛成君。
  143. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 先ほど来たびたび触れられておりますが、最初に描いた構想が大変大きくて、そしてふたを開いてみたらずいぶん中身が小さくなっていた。何か雲かかすみみたいで、その正体をあばいてみたら水滴だったという感じが確かに私どももするわけであります。  しかしながら、これからの経済発展や、そしてわが国の将来をより一層豊かなものにする工夫というのは常に前向きにこらしていかなければならない、こういうふうに思うわけであります。そういう意味で、われわれとしても、当初われわれが、そしてまた自治体が描いた絵と違ったものであっても、これが前向きであれば評価をしていきたい、このようにも思います。  また、各省庁調整をするのは本当に大変だったろう。私は、その経過について、これを掘り下げて意地悪をしようなどとも思いません。むしろ、ここまでよくまとめられた。このまとめることに参加された方々は、文字どおりテクノポリスができたときに派遣をされるとすばらしい成績を上げるのではなかろうか。霞が関イコールテクノポリスではないかとさえ私は思います。ただ問題は、霞が関と同じように、すばらしい頭脳集団がその力を発揮するけれども生産効率は低かったというテクノポリスになってもらっては困るわけです。そういう意味で、本当にその構想、規模は小さくとも成果が上がるように今後大いに力を合わせて努力をしていく、このことが必要ではないだろうか、こう思います。  そういうことで、大小合わせて若干の質問を行いたいと思います。  まず、従来の地域開発法と違う特徴は何であるか、こういうことなんです。規模が大きければ大きいで、構想が大きければ、当初構想したとおりであれば、これはすばらしいなということで、その波及効果も大きいと思うのですが、かなりしぼんだ感じがするものですから、しぼんでくればくるほど、従来の地域開発法との違いはどこにあるんだ、たとえば工業再配置法との関係調整はどうなるんだ、いままででも運用さえきちっとやればやっていかれたじゃないかというふうなことになってくると思うのですが、この辺の違いといいますか、それについてどうお考えでしょうか。
  144. 山中貞則

    山中国務大臣 まず、岡本さんの最後の、これからは審議時間をたっぷりとってやらせるという御意見については、私が冒頭におわびいたしましたように、国会に提案をいたします時期が大変遅れましたということで、おわびを申し上げました。そのことでお許しを願いたいと思います。  ただいまの工業再配置等、既存の似たような法律農村地域工業導入促進法とかいろいろございます。通産省の場合でも、いま言ったような法律との関係はどうあるべきかという問題は、地域の問題としてとらえるよりも、私の場合は質の問題としてとらえております。  冒頭に私、臨海立地産業から、臨空型という表現にいたしましたでしょうか、内陸型ということでございまして、そこに集積されるものは、いままでの通常の製造加工業というものと違いまして、時代の先端を行く、そしてこれから未来技術というものを中心にした特殊な先端産業というようなものが中核となって、そこにローカルといえども高い地域的な浮揚ができる、そしてそれが周辺に拡散をされることにより、そこにテクノポリスというべきものが形成されていく、しかもそれが技術の先端をいくものから生じた産業である。  そういうことでございますから、一部地域の重複等が仮にあったにしても、質の問題の追求、臨海から臨空へというそういう質の問題を考えていますので、おっしゃるように、法案そのものも若干しぼんだ風船みたいだぞと言われますと、私も反省する点がございますし、本当にやる気なら今度提案しないで、もう一年財政当局等とももっと具体的に詰めてやるべきだったのかもしれないという反省もいたします。しかし、これもまた一方、テクノポリスに対する地方の期待は地域によって大変高いものがございますから、一応はこの姿で発足をして、そしてその間に、試行錯誤もございましょうが、私は失うところよりかプラスするところの方が多いのは間違いないと思いますので、一遍に十とか何か指定してばっとやったように見せても、質の問題ということをとらえればむしろ慎重に、最初は数の少ない試験地区みたいなもので最も効果の発揮できるようなところを重点的にやっていきながら、じっくりとその間にもっと改良すべきところ、改善すべきところ、そういうものを知恵を出し合って、少なくともこの方向は、日本のローカル経済の質を高め、先端への道を開くということにおいて意義のあるものと受け取ってよろしいのでございます。
  145. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 質の問題とおっしゃいましたし、地域的に余りばらまく必要はないということもおっしゃいました。また、この法案が検討されるに至った最初は、アメリカのシリコンバレーみたいなものを想定された方もいらっしゃったようです。しかし、シリコンバレーというのは一つしかないわけで、十九カ所もこれをつくってどうだ。むしろ大臣のいまの御答弁だと、十九カ所から、まあしぼるのかどうかはまた別にいたしまして、十九カ所も挙がっている。十九カ所の地域が期待をしているということも事実です。ということは、もうすでに勢力が分散されちゃっているということが言えると思います。なぜそうなったかの理由は、決して政府だけじゃなくて自治体の熱意もあるかもしれませんし、そしてまた、テクノポリス議員連盟があるそうですが、そういうところの圧力もあるかもしれません。議会も同じ責任があるのかもしれません。  たまたま私は該当地域の出身ではございませんから、余りそのことに触れますと、あのやろう、と言われてもいけませんからそれは避けますけれども、しかしながら、何か焦点までぼけてしまって、シリコンバレーじゃなくてノーコンバレーじゃないか、巨人の江川投手みたいに——あれほど力はないか。力もないわ、コントロールもないわ、それでストライクがなかなか入らない。通産省の方でストライクゾーンはしぼって、なかなか当たらない、この出た結果がそうなりはしないかということを私は心配するのです。どうですか、その辺について。焦点をしぼるならむしろしぼる、目的をしぼるならしぼる、それで本当に間違いのない効果を上げていく、そういうことも本当は必要なんじゃないですか。
  146. 山中貞則

    山中国務大臣 大変大切な御注意だと思いますが、繰り返し申しましたように、国が何のインセンティブも与えないのに、気がついてみたらローカルの空港の周辺に先端産業が出ていっている。不思議な現象として見ていたものを、これを地域経済の浮揚、しかも臨海型の構造不況業種みたいな轍を一方踏んでいるわけでありますから、そちらの方にも目を配りつつ、ここに新しい日本産業の芽生えの糸口にならないかということでこれに取り組んだわけでございますから、もともともちはあるわけなんですね、もちにたとえれば。もちはあるのですが、それはただぽつんと一個、工場空港との間に関係があるだけで地域関係がない。だから、申しましたように、あるものはその工場から空港へ、空港から成田へ、成田から外国へ輸出、あるものは羽田に着いてメーン工場へとか、地域に緑がない存在としておくにはもったいない。  そういうようなことで、事実あるところでは、漁業補償を漁業者がもらって、それを分けたり使ったりすることなしにみんなで相談をして、ある小さい会社をつくったんですね。ところがその会社は、もちろん農業に従事していた人々ですから純朴な方々だし、そのうちにその近くに先端産業がぼつぼつ来始めて、アメリカ系の企業までやってくるようになって、そこで今度は中央の企業の方から、その漁業者の補償金によってつくられた会社の勤勉さ、朴訥さ、素朴さ、いろいろなものがありましょうが、そこに目をつけて、その地元の漁業補償によってつくられた会社に御加勢申し上げるという形から、いまやりっぱな近代先端産業の一角を担う工場ができているところなどもあるのですね。こういうものは見習うべき、手本にすべきものだと私は思っている。  相願わくば、それと形は違っても、その地域のいろいろなものに浸透している、特産物に浸透していったり、地域の持っている技術なり何なりとドッキングして高い技術になっていったり、いろいろな分野との結合が各地域ごとに違うと思うのです。ですから、その地域ごとの目的を定めていただいて、そのターゲットに向かってテクノポリスという形をつくり上げていってもらうということで、一律に同じようなものをばらまくという考え方はもともと持っておりません。そのようなことにならないように、一つ一つが特色のある、持ち味のある、地域色を持った、しかもレベルは非常に高いレベルのものであるというようなものに、計画そのものから念を入れて見ていきたいと考えます。
  147. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 その場合、現段階では、先端技術産業というのは大体三大都市圏に集中しているわけですね。それが、いま大臣御答弁になられたような傾向もある。それを見ながら、それをより一層促進していくために、または地方に誘致をするために、こういう法律、制度をつくって、大臣のお言葉で言えば、加勢をしよう、こういうことなのかもしれません。確かに、民間の活力導入という意味ではすばらしいですよ。  しかし、現在までのやり方と違って、国がお金を持っていっていろいろなものをつくってということとは違うわけですね。そうすると、やはり企業がメリットがあるとして魅力を感じなければそこへ張りついてくれない、そしてもちろん人も行ってくれない。すばらしい頭脳を持った人たちも、そういうところへと幾ら言われても、敬遠するということになりはしないのか。自治体の努力によって立地の供給ができるようになったとしても本当に需要はあるのかしら、私はそのことを大変心配するのです。  いままでの工業再配置法等々に基づいて、いろいろなものができました。しかし、空き地があってペンペン草が生えているという実態を私たち、幾つも見ています。似たようなことが起こらないかしら。しかも、それが一カ所なり二カ所に集中されているものならば、それはそれでみんなでやれるでしょう。しかし、恐らくいまのお考えは、十九カ所の候補地から幾つかにしぼろうという考えではないと私は思います。場合によっては十九カ所以外にも、これに魅力を感じてやろうというところがあればという枠さえも持っているわけですね。だから、どのくらいの数が適正なのか、そしてそれにちゃんとした需要が伴うのか。また各企業は、設備投資等々の計画はすでに終わっているのではないのか。それを、新たにこういうものができたからといって新たな計画を立てて、企業が行ってくれるかしら、こういう心配をするのです。自治体は自治体で、計画段階や調査段階ですでにお金を使っているわけです。これからまた一歩進めば、法律ができればもう一歩お金を使い込むでしょう。その自治体が使い込んだお金が赤字になって、また将来に財政負担となって残っていく。これでは、何のための法律かわからないということになってしまいかねません。そのことは、よほど十分な計算と対策を講じておかなければ大変なことになると思いますが、どうなんでしょうか。
  148. 山中貞則

    山中国務大臣 その点、根本的に既存の法律と体系を異にするのは、公共投資をうんとほうり込んでそこに起爆力を与えるということではなくて、先ほど申しましたように、既存の先端産業の知識の地域拡散、波及効果というようなものを受けとめる体制をつくって、そこにいろいろなアイデアなどができていくだろう。しかも、申し上げましたように、国は何の加勢もしないで、立地している企業に対して、こういう地域になるから、ひとつ地域のためにこの技術を教えてやって、ここの地元のこの産業とドッキングしてくれぬかと言っても、私のところは企業だけのあれでもって地域のことは考えておりません——事実いま考えていないはずです。そういうものにノーと言った場合に、これはどうにもなりませんし、かといって通産省が、おまえそれではいかぬよ、ということは言いませんが、しかし、立地した知事さんとか市町村長さんは何らかの関係があるはずですよね、立地の許可なり土地の取得なり。そういうようなときに、今度は許可をしてくれた相談相手の知事さん、市町村長さんから、ぜひひとつあなたの工場のこの技術を私どもの地場産業のこの技術に何かドッキングをさせて、もっと高度なものにすることはできませんかという相談を受けて、本社とは相談をするでしょうが、それをにべもなくノーと答える企業は、また逆に言うと余り実際にはないのではなかろうか。ですから、そこのところで、都道府県知事がつくる計画でありますから、十分に関係市町村なんかとその進出企業との間も話ができない限りは、その設計書が書けないのだろうと思うのですね。ですから、そういうものが、進出企業の先端技術等が地域に向かって、あるいは大学の工科系を経て、それが受け皿となって新しい芽を吹いていく、それが過去に考えられなかったようなものを生んでいくということを私たちとしては望んでいるわけでございます。ですから、それが結局は、あけてみたら企業協力せず、地域も受け皿を受ける能力がなく、あるいは開放してみても、その与えられた技術が何かわからないというようなことであってはいけない。そこで大学なんというものが中に入ってくることになるわけですが、やはり少し長い目で見てもらう。  そして、われわれが目指すのは、二〇〇〇年代というものに向かって日本産業がいやおうなしに変貌していかなければならなくなる。かといって、日本はいずれにしても資源はない国であることに変わりはない。わが国家、民族はいかに生きていくべきか、立っていくべきか。そこらのところで、これが未来へのかすかな一筋の光を点ずるものになりはしないか、そういう大それた考え方も希望としては持っているということでございますから、ぜひ賛成していただいて、まあ賛否は御自由でございますが、成立させていただいて、これがいい方向に踏み出すことができまするようにお願いをしたいと思うのです。
  149. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 大臣の御答弁をさっきからお聞きしていまして、私は本当に前向きなんですよ。ただ、最初の私の質問に対しても大臣は、これは質の問題としてとらまえていただきたいとおっしゃった。そして、いまお答えになった御答弁も、ひとつこれは長い目で見ていただきたい、思わぬ効果を発揮するかもしれませんよみたいなことで、一つ一つの御答弁が、私が聞いている限り、大変抽象的なんですよ。夢を描くのはいい。私は、これは一つの夢から出てきた法律だと思っている。しかし、夢を描くには、夢であるだけに、具体的なメリットというものがその関係者に与えられなければいけない。そうでしょう。自治体に対しても、そして企業に対しても、そして将来そこで働こうと目指す青年にとっても、具体的なものが与えられなければそれをやろうとは思わない。いまおっしゃられた、たとえば知事なり自治体なりに開発許可なり何なりの許可をもらってやる、開発許可をしたその企業に対して知事が頼んで、にべもなくノーと答えるところはないであろうというのは、それは大臣のお考えが甘いのか、私に対する答弁はその程度でいいとお考えなのかどうかわからぬが、しかしいまの御答弁では、私がここでそのまま聞きのがしてしまって、どうぞどうぞと言ってみたって、現実には企業が本当にそれで対応するかどうかなんですよ。それがなければいけないわけでしょう。メリットは何なのだ、魅力は何があるのだ、これをもう少し明確に答えていただけませんか。
  150. 山中貞則

    山中国務大臣 あんまり具体的な個所名を挙げることは、ではほかのところはどうだと一々答弁させられるおそれがあるので、あるところと申します。あるところに空港ができた。私が偶然そこに行かなければならなかった。ふだん余り行かないところなんですが、とんでもないところに空港をつくって、一体知事はどうしたんだろうと私は思ったのですね。ということは、県都に行くにも、あるいはその近くにある有名な観光地に行くのにもきわめて遠い。それ以上具体的に言うとちょっと場所がわかってしまいますが、しかしそれは、実は私が最初そこにおりて、とんでもない不便なところに空港をつくられたものだなと思ったことが、そのことが実は今日の候補地としての適格性を備えるような条件にまで、周辺地域がとんでもないところであったがために、地価が安いし、それで工場が進出して立地しやすいという環境が裏にはあったわけですね。  そうすると、飛行場にさえ持っていけば、あとは陸を飛ぼうと海が下であろうと、時間だけの問題ですから、なるほどそうすると自動車輸送で一時間半ならば、飛行機で一時間半で、安い敷地がそこで取得できて、しかも空気その他もきれいですから、なるほどどしどしそういう先端産業が出ていったんだなというような、逆に、なるほどそういうことだったのかということですね。だから、私は臨空地帯というような言葉もつい使ってみたのですが、これはなじんだ言葉ではありませんから別として、そういうことで私自身が目で見て、なるほどこのような形に結果としては新しい芽が吹いたのかというようなものが現実にあるわけであります。  そういうところを指定していくということになるわけですから、企業の皆さんも十分地域に溶け込むだけのものは持っていらっしゃるように思いますし、これは一つ一つ企業は違うかもしれませんが、先ほど外国系の企業が来たと言ったのもそこですし、漁業補償をもらった人たちが漁業者の会社をつくったというユニークな、余り聞いたことのない、そういう美しい行為が結実したという場所もそこなんですね。私は、そういうものが全国の適地に生まれていけば、これは成功するのではないかと思うのであります。  抽象論に近いことを言っていますのは、何しろほぼ候補地が決まっているものですから、具体的なことを余り言いますと、ははあ、あそこのことをいま大臣はしゃべっているのだな、するとあそこはパスだ、こういうことになりかねないものですから、大変用心深い発言をしておりますので、そこらのところは少し点数を甘くつけながら答弁を聞いていただきたいと思います。
  151. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 具体的な地域的な特色についてまで、私は答弁をいま求めているのではないのです。いま大臣の御答弁だけで、これまた何か言葉じりをとらまえるような言い方をすれば、そんなにすでにできているならいいじゃないか、何も法律は要らないじゃないかということになりませんか。それをより一層計画的に推進したいということでしょう。  それならば、その計画的に推進するための促進力となるものの目玉は何にしようとしているのですか。お金を出す、補助金出すというなら、これも一つの誘導剤ですよ。何がこの法律の特色としてあるのですか。しかも、新しい法律をつくるのですから、、工業再配置法の援助とはまた違ったものが当然なければならない、それは何なんですかと聞いておるわけです。
  152. 山中貞則

    山中国務大臣 国の主導権というのを、財政を通ずる援助、税制等の援助ということをひっくるめての国の主導権という意味だと受け取れば、国の方は援助するのであって、そしてその地域がすでにそういう条件が幾つかある、それをひっくるめて都道府県の段階で、このような青写真のもとにこのような目的に向かって自分地区は進んでいきたいというものが、それぞれ違っていると思うのです。そういうものを見て、その地域が適格であるということを認めていくということでございますから、柱がないと言えば柱がないような気がされるでしょうけれども、国の方が金を出すからやりなさい、補助金つけるからやりなさいといういままでの形と違って、ちょうど民間が自分たち考える、活力を養成するのだとこの間、別の法律で言ったとおり、今度は地域の活力ですね、そういうものがすでに盛り上がってきつつありますから、そういうもので、その意欲とその内容と質、求める技術が何物へ向かわんとするのであるか、その地域はどのような特性を持った先端工業技術集積した地域となるのか、そこらは各県ごとに違った方がいい、また結果は違ってくるだろうと思うのです。  そういう意味で、はっきり国の方針というものが出ておりますが、補助をやるからやりなさいとか、こういうことをやるからやりなさいとかという形じゃなくて、皆さん方がこういう条件を整えて持っていらっしゃれば審査し、合格したらそこを地域として認定しますから、その計画どおり各省庁協力してくれますし、計画をどんどん進めていきなさいということでございますから、その点ではいままでの法律とは若干違うのではないか、そういう気もいたします。
  153. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 さっきからちょっと空回りしているのですけれども、ここが適当だと認めるならば計画をつくって提出しなさい、認可しましょう、各省庁協力してくれますからどんどん進めなさい、それだけ聞いてだれが進めますか。認可しましょう、認可する限りはこういうメリットがあるのですよ、各省庁協力します、各省庁はどういう協力をするのですというものがないと、なるほどこれをやったら得だというふうには思わないのじゃないですか。だから抽象的ではないかと申し上げているのですよ。しかし、これは空回りしていてもしようがないので、幾つかそれについて具体的なことを聞きます。  たとえば税制等の措置がこの中へ入っていますね。これも一つのメリットだと思います。しかし、何かこの中で見ている限りは、先ほど来申し上げている工業再配置法に対する税制上の措置と余り変わらぬような気がするのですね。  それからもう一つ、たとえば当初案には、事業所税や不動産取得税等の対策も入っていたと私は聞いているのですが、外れていますね。固定資産税等の減免についての措置は、地方がそれをやった場合にはそれだけ国の方も見ましょう、たとえば地方交付税等についての配慮もいたしましょう、こういうことですね。果たしてそれだけでいいのか。  この問題については、二つの問題があると思います。この事業所税や不動産取得税等の対策は削られた、なぜ削られたか。恐らく、これは地方財政対策の問題があったのであろうと想像はいたします。     〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕  そこでお聞きしますが、こういうもので税制上の問題としては地方自治体は納得するのでしょうか。魅力として感じるでしょうか。現在適用されようとしているこの法案に盛り込まれた地方税の減免が地方財政に与える中長期の影響をどう計算しておられますか。これは自治省になるかもしれませんが、このこともお聞きしたいと思います。これについては、現在まだその候補地とされるところについては、それほど固定資産税等の上がる土地ではないかもしれません。ゆえに、減免したからといって地方財源が大幅に減るということはないかもしれません。極端に言えば、開発されることによって入るであろう固定資産税等が、しばらく入らないということだけかもしれません。しかし、何年間かの年数を切っての減免でしょうから、将来は大幅に入ってくることになって、その地方の自治体の財源も潤うという計算をしているとすれば、それはそれで結構です。そういう中長期にわたる計算をどのようになさったかをお聞きしたいと思います。
  154. 山中貞則

    山中国務大臣 不動産取得税は、私自身が別段折衝をしておりたわけではございません。不動産取得税というのは、取得のときにその外形的なものに対して一回限り課税されるものでございますから、この不動産取得税の免除というのは、よほどの国策的なものに貢献するものでないと税の性格としてむずかしいということでございまして、私自身がこれを入れろという折衝を実はしておらないのもそこに理由があるわけでございます。  さて、現在決められておるだけのことでそうなるだろうかということでありますが、実はそれは指定をしてほしい、私たちはやりたいのだ、それに対して私たちが受けるわけでありますから、もちろん地方自治体そのものも、いまおっしゃったように、不均一課税をしてもその分は自治省が交付税でめんどうを見てくれるというようなことがしてありますから、その点は安心して企業誘致の条件に市町村はされるだろうと思うのですね。それらのことで、余りインセンティブがない。  国の援助も、「必要な施設の整備に努め、」「開発計画の実施に必要な事業を行う者等に対する技術的な助言、指導その他の援助の実施に努める」という、いわば訓示規定みたいなものになっておるところも、確かにある意味で物足りなさがあるのかもしれませんが、地方の方は、そういうものがなければ私たちはやりませんという態勢ではなくて、われわれはやりたいしこういう青写真も持っている、それに対して国の方がそれを公的に認知して、そしてメガロポリスとしての地位を与えてもらえれば、建設省初めその他各省協力もあってそれがりっぱに整備される。したがって、自分たちのところはこんな田舎と思っていたところが、実は先端産業の水準を持つ新しい産業体制に地域が生まれ変わっていく。その核となるものは、すでに進出しておる先端工業技術である、高度技術を持つ工業である。したがって、大学等も、やや長期という意味はそこらでありますが、知能もそこで準備のできる体制、地元で人材も送り込んでいく必要があります。そういうような意味では、やや長い目と申したのは大学に関連してそう申し上げたので、もうすでにそういうことで一つの効果といいますか、物をつくり上げている場所もあるのですね。ですから、こういうものを法律できちんとしてあげれば、これでもうずいぶんメリットは与えてあるわけでありますから、それは自治体がそれでよろしいと思えばその線に乗ってきますし、こんなものじゃ自分は乗れないと思うところは、手を挙げていても手をおろすだろうと私は思うのですね。  ですから、さしあたり、そのようなすでにある意欲とある計画、そういうものの達成を助けてあげるという法律でございますから、ほかの法律とちょっと形が違う。異様にお考えになる点は私もよくわかりますが、まずはこういうことでもって出発をさせてあげようということがこの法律のねらいである、そういうふうにお受け取り願いたいと思います。
  155. 鶴岡啓一

    ○鶴岡説明員 お答え申し上げます。  今回の法律の第八条の関係、不均一課税の関係でございますが、基本的にまず原則といいますか、地方税法の第六条の二項というところでは、いろいろな地方公共団体が当該地方公共団体の独自の施策として、一定の公益上の必要性がありまして、幾つかの税目について、条例に基づいて減免をするということはいつでもできるわけでございます。問題は、そういう減免は通常独自の施策としてやっておりますので、普通交付税で補てんをしない、要するに補助金を出すことと同じような形で、いわば地方自治体の施策として実施しているわけでございます。  いろいろな地域立法において、ある一定の施策として、これは国策として見て、それがある程度不均一課税なり課税免除をするのが国の立場から見て望ましいかどうかというのがまず一つ、こういう法律を書くときの判断の基準になります。それからもう一点は、その上になおかつ、三千三百あります地方公共団体の共通の財源を特定の団体が減免する場合に、それを補てんするだけの納得が他の地方団体から見て得られるかどうかというのが、私どもがこういう地域立法に当たって税の不均一課税なり課税免除を法律に書き、なおそれを交付税で補てんするかどうかの判断をする場合に常に検討してきている問題でございます。  今回の場合におきまして、そういうような点で、私ども、この法律につきまして十分必要性は感じておりますし、自治省としてもいろいろな面で検討しておりまして、一般的に言いまして、まず、いままでも討論がされておるようでございますが、従来の地域開発立法とやはり若干違うのではないだろうか。一つは、ある程度すでに進んできているところ、ある程度の高度技術が入っているようなところ、そこを核にしてやっていくということで、従来の非常に開発がおくれているところにやるというようなものの減免なり不均一課税と、ちょっと違うのではないだろうかという点も私ども考えまして、そういう点やいろいろな新産や工特とか、そういう従来の地域立法でやっていたものとのバランスから見ると、やはり固定資産税がふさわしいのではないだろうか。その場合も、この法案が求めているものは、やはり高度な工業技術集積を図ろうという点であるとすると、償却資産に着目するのがいいのではないだろうか。そういうことであれば、いま地方財政は非常に苦しい中でございますが、そういうものに着目してやる、その結果は単にその地域だけではなくて、長い目で見れば地方税源全体の充実になるということで、一定期間に限って普通交付税でそれを穴埋めするということも、他の地方団体からの納得も得られるのではないだろうか、そういうことで今回お出ししているような法案で、私どもとしてはこういう案がベストではないだろうかということで、最終的にこういう案を通産省との間でまとめさせていただいたわけでございます。
  156. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 この地方交付税の算定基準等の中で操作をするわけですね。そうすると、トータルとして見れば結局地方財源の中で調整をするわけですね。そうすると、これは国のふところは痛まないわけですな。  確かに、長い目で見ればその地域は税収がふえる。税収がふえるということになれば、別の意味でトータルとして地方財源がふえるわけですから、それは確かにメリットです。しかし、そこに至るまでは他の地方自治体は、言うならばその枠の中で協力させられるということですな。先ほど申し上げたように、そのままほっておけばそれほど上がらないものを減免するんだから、ほかのところまで迷惑をかけるんじゃないんだ、結局いま入っているものを削るのではないというふうに割り切ってしまうのならば、それはそれで一つの見方であります。  しかし、こういうことについては他の自治体は、言うならば、あれがなければ本来こっちにも幾らかでもまだ分け前が多かったかもしれないのに、そういうところに減免措置または不均一課税が行われたために全体が削られてしまったという印象を持つと、これは本当にマイナスですね。こういうことについて、一定期限は切るでしょう。切らなければいけないと思いますね。どのくらいの期限を考えるのか、他の自治体への十分な説明というのはなされているのか、こういう問題が存在するから、やはり自治省としては慎重に考えざるを得なかったのではないのか、この辺のことについてもう一点お聞きしたいと思います。     〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕
  157. 鶴岡啓一

    ○鶴岡説明員 法律で予定しております補てんの期間は、三年間を考えております。  いま先生がおっしゃいましたような点が、私どもがこの法案を検討するに当たりまして一つ留意した点でございまして、この法案のいろいろな趣旨から言って、ある特定の地域にこういうことができる結果は、確かに広い目で見て地方税源の全体としての充実に長期的には寄与するであろう、そういう点では他の地方公共団体も納得がいただけるのだろうというふうに考えております。
  158. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 さてもう一つ、この法案は予算関連法案とはされてないわけですね。いわゆる米印の法ではないわけですね。しかしながら、これは全く予算なしでもできませんね。当然、この法案関連の予算というものは五十八年度予算にも組まれているわけですね。だから結局、先般成立した五十八年度予算はこの法案が成立することを前提として組まれたものだというふうに考えていいのですか。それとも、この法案提出が、確かに大臣がおっしゃったようにおくれましたが、もしこれがそのまま見送られてしまっていたらどうなっていたのでしょうか。その関連はいかがですか。
  159. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、テクノポリス法案というものを法律にするかあるいはまた通達でやるか等について最終の決断をする前に予算折衝は終えなければならなかったのです。ですから、いずれの手段をとるにしても、その手がかりとしてどうしても必要なもの、たとえば企業そのものではありませんが、企業が出資をしてつくる民法法人等についての損金算入、こういうものなどは税が詰まる十二月にはもう決めておきませんと間に合わぬものですから、そういうような意味で予算も含めて、わずかとはいえ、法律にならなくともいわゆるテクノポリス構想推進の第一歩はできる。しかし、法案にするかどうかを決めたのは最近のことでありますから、それは法律があったからということを前提にして考えれば、ほかにまだ予算折衝の仕方その他もあったのかもしれませんが、その時点よりずれがあったということで、この法案が最高至上のものということは私も考えておりませんが、法案の持つ特色にこたえるための第一歩としての予算措置、交付金、税対策その他は一応準備しておくことができた。全くの過渡期で、いま芽を出そうとしているところであるというふうにお受け取りいただきたいと思います。
  160. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 そうすると、この法案が成立した場合には、来年度予算は当然それに基づいた予算措置というものが講じられるわけですね。そして、そのことについての大蔵省等々との、大蔵省でなくてもいいですが、政府内の意見は統一されているわけですね。
  161. 山中貞則

    山中国務大臣 当然ながら、五十九年度予算についてはテクノポリス法というものに基づいて要求すべきものはきちっと要求しなければなりませんし、その前に逐次指定していくわけでありますけれども、その指定されるであろう個所、指定された個所となっておるところがあるかもしれませんが、それについては、各省庁のそれに対応する協力というものがすでに枠組みで入っているわけでありますから、その分に対する予算の手当ては、当然ながら五十九年度予算では成立した法を受けてその予算が組まれるものである、またそのような要求の姿勢をとるということでございます。
  162. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 次に、この法律が成立をいたしますと開発指針等ができる、それで地域の指定、開発計画の承認というふうに進んでいくわけでありますが、この時間的プログラムはどのようにお考えなんでしょうか。  あわせて、そのようなものを進める段階でもう一つ私たちが一番気がかりなのは、やはり地価対策の問題なんです。あの日本列島改造論が出たときにも、地価対策があれにきちっと包含をされておれば、これはすばらしい政策であったろうという評価がいまでもあるのですね。地価対策がなかったばかりに、あれは多くの批判を受けたのも事実です。せっかくのものが、一つのそれをフォローする対策が十分にその中に包含されていなかったばかりに、そのすばらしい案が全く逆効果になるということさえもあるわけですね。そういう観点から、この地価対策のことも含めてお答えをいただきたいと思います。というのは、こういう計画指針ができる、地域の指定がされる、それに基づいて当然地価の問題が並行して問題になってくるはずなんですね。このことを含めて御答弁をいただきたいと思います。
  163. 福原元一

    福原政府委員 それでは、前段についてお答えをいたします。  この法律の施行は、公布の日から起算して二カ月を超えないということになっておりますが、この間に政省令の整備をいたします。その後、開発指針の策定を主務大臣がいたすわけでございますが、これに約二、三カ月要するかと思います。これを受けまして、開発計画を都道府県がつくるわけでございます。これがまたやはり二、三カ月かかるのではないかというふうに、いまのところ計算しております。したがいまして、なるべく速やかに実施する予定でございますが、早くて年末前後という予定をしております。
  164. 中村博英

    ○中村説明員 お答え申し上げます。  開発地域の地価の値上がり対策はどうするのか、こういう御質問でございます。  私ども国土庁では、国土利用計画法を所管しておりまして、常時、土地取引の規制の適確な運用を図るために各都道府県でいろいろ地価の動向調査を行っております。その動向調査では、都道府県が一定の地域につきまして、市町村の協力を得まして土地取引件数の増減などの土地取引の動向、それから地価の動向等につきまして定期的に調査を行うという仕組みにしております。  それで、この今回の開発地区につきましては、五十八年度予算におきまして、私ども、この調査対象地域の中に加える方向で所要の予算の増額を行っております。こういった措置によりまして、この開発地区、まあ候補地と申しましょうか、そういった地区につきましても、土地の取引動向につきまして十分監視を行ってまいりたいと思っております。
  165. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 いまおっしゃられた監視をする、または自治体とともに地価抑制に気をつける、いいことですが、いままでそういう方向でやって、いつも失敗しているんですな。現在いろいろな物価が、そして地価がある程度高騰することを避けられていますが、これは現在の一つ経済状況の中でこういう現象が出ているのですね。新しい計画が立てられて、そして新しい夢が描かれて、そしてそこに何か事業が行われる。いまこういう状態でしょう。ある程度お金はあるのですよね。そうすると、地価を上げるためにそこへわっと集中するということは、いまだからなおさら警戒しなければいけない、そういう時期にあると私は思うのですよ。土地さえあれば開発するのにと待ち構えている業者は、たくさんいるのですよ。お金を持っているのですよ。だから、なまぬるい地価対策では全く効果を発揮しませんよということを私ははっきり申し上げておきたいと思います。どうですか。
  166. 山中貞則

    山中国務大臣 その懸念は確かに持っていなければならないと思いますが、幸いにしてこのいまから指定されるであろう地域は、ほぼ空港立地し、用地買収が行われ、そしてその周辺に空港ができたことによって先端産業工場が進出をし、そこでも土地買収等が行われ、おおよその売買の実績はすでに経験してきたところで、それらの実績がつい四、五年の間にあるのに、そこでテクノポリスの指定を受けたことによって急激に予想される地帯の地価の値上げをするということは、今回は計画作成者が地方自治体であり、しかもその対象地域は市町村の人たちが直接の受け皿の地域になるわけでありますから、そのようなことは、まあ個人個人を拘束はできませんし、憲法上の私有財産の売買についての干渉も公的にはできないわけでありますが、しかし、そういう一遍は補償なりあるいは支払いなりを受けたものが周辺近傍に例があるということであれば、この場合に限って言えば、非常に幸いなことであって、これを指定したことによって一斉に値上がりが起こるということは避けられるのではないか、非常識な値上がりというようなことにはならないのではないか。しかし、法律で規制するというのは大変むずかしゅうございますから、そこらのところは、該当する都道府県の知事さんなりあるいは地域の市町村長さんなりを通じて、そういうことがないように指導をしていただく以外に、阻止するとか抑えるとかという手段はないのではないかと考えております。
  167. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 私だけの危惧であればいいと思います。しかし、私は、必ずこれは地価にはね返ってくる、このことは申し上げておきたいと思いますし、ぜひともこのことは前向きに御検討された方がいい、こういうふうに要望をしておきたいと思います。  さて、最後に、いま上程されているこのテクノポリス法案地域振興対策であります。言うなれば、知識や産業や人口を地方に分散をしようという政策でありますが、一方、それでは大都市圏が大変潤っているかというと、なかなかそうはいかないわけであります。  もう一つ、よく三大都市圏と言われますけれども、その中で東京と他の二つとはおのずから違います。他の二つはやはり地方であります。そしてその差というものは、経済力その他年々開いていくばかりであります。そういう意味では、やはり決してそれを放置していっていいものではないと思います。まして、その大都市圏と言われますところは、工場等の制限法などいろいろな形で一つの規制を受けております。大都市圏については規制をする、地方についてはこのような形で助成をする、それはそれで一つ政策です。しかしながら、その大都市圏が地盤沈下をしてもいいということではないはずです。当然それはそれとしてかさ上げもし、発展もさせていかなければなりますまい。そして、これが発達することによって、地方に分散したそこも、空港等を通じて大都市圏と連携プレイがあって初めて発展していくわけであります。そういう対策が果たして講じられているのかどうか、このことは私どもとしては重大な関心事だと言わなければならぬと思います。  ちなみに、関西国際空港計画が実施に移されようとしております。ちょうどこの予定をされている地域の周辺は南大阪地域ですが、これはもともと繊維産業の中心地でありました。いまはその産業がきわめて疲弊をしております。落ち込んでおります。ところが、考え方によりますと、そういう繊維産業が中心になって一たん発達した地域でありますから、たとえば現在考えられている先端産業や国際空港が近くにできるとなると、国際的な取引、流通、そういうものを集積される素地は整いつつあると言ってもいいと思います。これをテクノポリスではなくてコスモポリス構想だ、こういうふうに言いながら、その地域では計画が立てられているようであります。  私は、このような考え方は、先般発表されましたテクノポリス法案のきっかけともなった五十五年三月に出された「八〇年代の通商産業政策」、この中にも新しい地域振興構想として、一つテクノポリス構想、そして二番目が国際通商都市構想、そして三番目が地場産業都市構想というふうに並べられています。  これらの問題について、通産省としてはどうお考えなんでしょうか。まず第一段階、テクノポリス構想が出てきた後の、たとえばいま申し上げたコスモポリス構想などというものについてはどのような関心をお持ちでしょうか。
  168. 山中貞則

    山中国務大臣 この法律の第一条は、適用除外地域から先に書いてあります。したがって、東京都二十三区、大阪市、名古屋市、こういうところは対象外であるということが書いてあるわけですが、しかし一方、第五条には「都道府県は、」と書いてございます。都は一つしかございません。道は別として、府は大阪ですね。ですから大阪市以外の府内あるいは名古屋市以外の名古屋ですか、要するに、たとえば東京では二十三区及びその周辺地域以外の多摩の方にこういうものがあれば、それも対象にはなりますよ、大阪でもなりますよということを、ここでは第一条で根本的には過密集積のところは除いてありますが、その周辺は、同じ東京都であっても都あるいは府と書いてあることによって、その外側はいいですよということが出ているわけであります。  それと、おっしゃったことは、こういうものは地方の方に行った場合に、やはり大都市の既存の産業圏との間の交流というものがあるべきだ、これは実は交流があることを前提にしないと成立しないわけですね。本社というものは大体そういう都会の方にございますから、その工場地方の方に出ているんであって、それが本社の方に荷を送られているだけ、あるいは外国に真っすぐ輸出されているだけという状態のこの先の方を、地域にかかわりの深いものとして協力もしてもらい、一緒になってほしい。そうすると、それは当然ながら、そのはぐくまれたものが大都会において、これは都会においても必要なものであるというような技術が、そこで産業とか何かでできたりすれば、当然親工場を経て都会にも均てんさるべきものであるし、そういう意味においては例はいろいろ探せば出てくると思うのですが、基本的には、大都市というものだけはこれは別よ、厳しく抑えるよという考え方とこれとはドッキングしないのですね、全然考えは違うわけでありますから。大都市本社を持つ親企業の子会社なり出先工場というものが出ているのが普通でありますから、それが、技術地方地方独自の地場産業を生み、あるいはドッキングをされた成果の高い技術をそこで生んで新しい産業ができる。しかし、それによって本社の方も何らかの関係があって、本社技術をやるとともに、本社の方もそれを新しい技術として、あるいは世界的な規模で打って出るとかというようなものにつながり得るものというものが当然あってほしいし、なければならないし、そういう方向でぜひ考えてほしい。これは企業サイドの問題にもなりますけれども都市地方というものとを結ぶという意味では、これは一つの空を時間ではかって結ぶという意味においても、拠点の、さっき母都市と言いましたけれども、もっと親都市は、いわゆる大都市という考え方もなければならぬと考えております。
  169. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 時間が来ましたので、終わります。
  170. 登坂重次郎

    登坂委員長 次に、渡辺貢君。
  171. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 昨日のこの法案の趣旨説明の中で、大臣はこういうふうに言っていらっしゃるんですね。「わが国経済は、内外の著しい環境変化により構造的な諸問題に直面して」云々で、「このためには、臨海地域を中心に素材型産業の大規模展開を図ってきた従来の地域開発とは異なる内陸型、技術先端産業型の地域開発を図り、」これが趣旨説明の冒頭にあったわけであります。  そうなると、いままで昭和三十七年以来新産都法あるいは三十九年の工特法などによって進められてきた開発、これとこの新しい法律によって先端産業開発地域開発を並行して進めるわけですが、どんなふうに調和を図られていくのか、まず冒頭にお尋ねしたいと思います。——  昭和三十七年から新産都法、三十九年から工特法でずっと、十五地域、六地域開発を進めてきているわけですが、この開発と今度の法律による新しい地域開発との整合性というか、どんなふうにその点はお考えになっていらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。
  172. 山中貞則

    山中国務大臣 それは、きのう提案理由説明でも触れましたし、きょうの答弁でも申し上げておりますが、いままでの臨海工業的な、たとえば太平洋ベルトラインというような形で海沿いの発展の歴史を私たちはやってきたわけですが、これが資源のある国も、資源のないわが国も一緒に競争して、わが国がそれに負けないような状態にまで到達した。しかしながら、石油の打撃を二回受けて、それがあるときは電力料金となり、輸入素材の値段の高騰となって大変苦しい状態になっておる。これは特定の業種ですけれども、そこらについてはそこらなりに、先般御審議願いましたように、国の方で最大限のめんどうを見てあげるからしっかり立ち直りなさいということを言いながら、さて未来を展望するときに、日本のこれからの産業の進むべき方向は、資源を必ず買ってきて日本で付加価値をつけるという、そのことだけでは行き詰まる日が来る。  そうすると、そこに、世界的にもいま先端産業と言われている幾つかの、過去に考えられなかったような、あるいは私たちの生活まで変えていくような産業の分野が育ちつつある。その中で日本は、これはほとんど原材料を外国から輸入しないでもやれる。たとえばセラミックスなんというものは、これは上品に言っていますけれども、陶磁器の話ですよね、土なんですから。そうすると、そういうもので産業として成立をし、しかもそれが未来を先取りする、あるいは未来への先頭に立つ産業として位置づけることがもはや間違いないというのであるならば、それらの地方に出ている工場を中心にその地域一帯が地域として、住民も含めて最後は生活の向上につながるのですが、まずそれらの先端産業が思いも寄らぬ身近なところにいるのだ、それが門をあけてくれた、自分たちも一緒に相談、指導をしてもらえる、そこで新しい型の、いまセラミックを取り上げていますから、それならば自分たちがやっていました、かわらを焼いていますから、焼き物をつくっていますからというのが、それがいわゆるかたかなで書いてセラミックと呼ぶ焼き物の分野に、地方の特産陶磁器等が全く新しいものとしてなるというならば、それはその地域全体の向上になるであろう。  もちろん出先企業協力もなければなりませんが、そういう意味で先ほど、国が一定のめんどうを見るからそうしなさいといった形の過去の新産とかそういうもので、量を多く、装置産業その他はまさにそうでありますが、量というものが一定量あることが条件のような感じであったものが、今度は質というもので、それもばらっと薄い質ではいけませんので、ある地域を指定して、質の高いものをそこに定着させる。本来ならば大都会の大工場の中でしかできなかったであろうものが、偶然飛行場というものができて、その周辺に、身近に来ておるならば、それを地域にも分け与えてもらいたい、地域もその恩恵によって地域なりの特色を持って浮上していってもらいたいというのが今回の法律の特色であろう、そう思います。
  173. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 背景を御説明いただいたわけなのですが、そこで国土庁にお尋ねしたいと思うのであります。  この法案を検討して、地域開発を進めていく一つの教訓にもなろうと思うのですが、新産都法、工特法で現在までどれだけの面積が開発をされたのか、それからその開発に要した、投下した資本の総額、それから開発された総面積に対していわゆる企業が買収した面積の比率、さらに全体の開発した面積に対してすでに進出した企業の占有する面積の比率について御説明をいただきたいと思います。
  174. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 まず、三十九年度から五十六年度までに、生産生活関連等の施設整備に投下されました資金額は二十六兆一千二十八億円でございます。それから、企業に売り渡しました工業用地の面積でございますが、五十八年度までで約二万四千ヘクタールでございます。そのうち九〇%が売却済みでありまして、未売却地は二千四百ヘクタール、約一割ございます。売却済み用地のうち八二%がすでに立地済みでございます。
  175. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 かなりの投資で約二万ヘクタール、九〇%企業が買ったということで八二%が立地済み、全体の開発した面積に対して企業が進出して現在いろいろやっているのが約七〇%ですね。  これは最近、大変な基礎素材産業不況のあおりを受けて、ゴーストタウンになっているところもかなりあるわけなのですが、先日の新特安法でも論議がされているわけであります。そうなると、こうした六〇年代から七〇年代にかけての高度成長期のこれが一つの目玉で、しかも誘致に当たっては相当地方もフィーバーしたわけですね。  しかし、さまざまな経済的な要因など、その環境の変化によって現状はこうだということでありますけれども、この新しい法律を制定されるに当たって、こうした過去の経過や結果についてどんなふうに検討あるいは認識をされて踏み切っていただいたのか、その辺ちょっと大臣の見解を伺いたいと思います。
  176. 山中貞則

    山中国務大臣 たくさんの地域立法といいますか、あるいはこういう誘致促進といいますか、そういう関係法律がすでにございます。それぞれが効果を上げたものもあり、思ったほどいかなかったものもあるといたしましても、今回の場合は、ある地域を指定をしたならば、そこに国が大規模な投資をして設備をつくるとか土地を造成するとか、そういうことは考えておりませんで、知識産業というものを育てていくわけであります。だから、たとえば研究施設を新たにつくるとかということはあり得るかもしれませんけれども、もっぱらその地域に進出している先端産業その他の高度工業技術の拡散あるいは波及効果というものを地元が受けとめて、地元としての産業の振興、地域住民生活の向上、そして教育水準を含めたレベルの向上、こういうもの等に貢献しようというわけでありますから、いままでのように、投資を行った後にその効果が出たのか出ないのかというものとは違って、投資の本体そのものはすでに行われている、その行われているものをどのようにうまく基本計画をつくって、利用をするというと語弊がありますが、そういうものを地域の方が自分たちのものにしていくかという問題であります。  過去のものを参考にはいたしましたけれども、今回は、全くいままでにない目新しい考え方として、先端産業分野を日本列島というものに全体的にバランスがとれるように普及、波及をさせていきたいというのがその願いでございますので、過去のそういう政策とちょっと違った目で見た方がいいのではないかと考えます。
  177. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 それはまた後ほど伺いたいと思うのですが、法案の解釈について局長にちょっとお尋ねしたいと思うのです。  第一条の「目的」の中に「工業の集積の程度が著しく高い地域及びその周辺の地域以外の特定の地域について」云々というふうに記述されているわけなんです。つまり、現在十九地域が名のりを上げていると言われているわけですけれども、そうすると、全国の中の幾つかの特定地域というふうになってくる。つまり拠点開発方式といいましょうか、そういう理解になるのでしょうか。
  178. 山中貞則

    山中国務大臣 第一条は、こういうふうにおとり願いたいと思うのです。  法律の書き方が逆さまに書いてあるものですからちょっとわかりにくいと思うのですが、「工業の集積の程度が著しく高い地域及びその周辺の地域」というところで一遍区切って読んでもらうのですね。そうすると、三大都市等はもうこの法律は適用といたしませんよということが言ってあるわけであります。東京二十三区、大阪市、名古屋市等は適用除外とするという法律はちょっと何でも、選出国会議員関係者がおられるわけですから、そういう事実は同じであっても、どぎつくない表現で理解をしていただくためには、ややこしい法律の書き方ですが、あっさり申し上げると、要するに三大都市等は適用対象外の法律でございます、そういうふうに書いてあるものとお受け取りください。
  179. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 適用除外というのはその三市ぐらいだということになるだろうと思うのです。  しかし、いずれにしてもどこかの拠点ですね。母都市を中心にして周辺の条件整備が整うところで開発をということになると、やはり百ヘクタールあるいは二百ヘクタール、三百ヘクタールぐらいの地域を想定されるわけでありましょうから。たとえば小さな地域ですね、二十ヘクタール、三十ヘクタールというのじゃなくて、当然一定の地域を想定されて、母都市が存在しなければいけないあるいは研究開発機関ということになると、やはり拠点的な開発方式になるのではないかというふうに理解をするわけなんですが、そういうことでしょうか。
  180. 福原元一

    福原政府委員 私ども、この法律におきまして、特定の地域において高度技術に立脚した工業開発を行うということにしておりますが、これは特定の地域の工業の生産活動を盛んにすることによりまして、周辺の地域に対しましても、企業間の取引関係あるいは雇用関係等を通じまして技術の波及、所得の創出等の効果が大きいというふうに考えております。したがいまして、これによりまして地域間の経済の格差その他は逐次均てんされていく、決して格差を大きくするものではない、このように考えております。
  181. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 ちょっとすれ違っているようですけれども、いずれにしても一定の地域を想定してやるということでしょうし、そうなりますと、この第三条で、そういう地域の要件についての規定があるわけなんですね。  この要件を見ますと、たとえば四番目の「工業用地、工業用水及び住宅用地の確保が容易であること。」あるいは七番目の「高速自動車国道、空港その他の高速輸送に係る施設の利用が容易であること。」というふうになるわけでありますから、企業が進出をする、そして労働者、まあ職住といいましょうか、それにふさわしい住宅適地ですね、当然工業用水も必要になる、住宅用地も必要になる、あるいは輸送のための道路も設備しなければいけない。企業が進出するに当たって要件を具備している地域ということになると、こうした要件を具備しなければならない。つまり、そういう要件を具備させるということになると、地方自治体なりがそうした努力をして一定の条件整備をしなければならないのじゃないか。一定の条件整備をしておかないと、この第三条で規定されている地域、つまり要件を具備している地域にはならないのではないかというふうに理解できるわけなんです。  そうすると、これだけのものを地方自治体が事前に整備をするということになると、相当自治体の財政の負担になろうかと思うのですが、この点についてはどんなふうにお考えでしょうか。
  182. 山中貞則

    山中国務大臣 これは全国一律にやるのではありません。そして「高度技術に立脚した工業開発を促進する措置は、次に掲げる要件に該当する地域について講じられるものとする。」こういうことでありますから、さっきの拠点開発という言葉は、確かに拠点は拠点でありますけれども、これらのものはほぼ整っておって、そしていよいよそこに生産活動なり高度技術工業というものが活動を始めると、そこらに住宅とか道路とかそういうものもさらに付随されていくでしょうし、「高速自動車国道、空港その他の高速輸送に係る施設」、新幹線というようなものはすでにあるわけでございますから別段これからの投資ではない。ただ、そことの連絡その他について、指定された地域との関係は、建設省の応援とかあるいは国土庁の支援とかというものがあって初めて都道府県段階の知事さんの計画が決められるわけでありますから、この条件全体が、たとえばそこは高速自動車国道は通っていないといったって、高速道路に行く道路建設省の配慮でこの指定された地域にある、計画の段階でもすでに入っておるということになれば、それが一つ条件となりますし、空港についても、空港からの道路はこれしかない、しかし、新しく指定された地域はこっちの方であるという場合に、こっちから空港の方への取りつけ道路なり既存の道路への取りつけなり肋骨なり、そういういろいろなことが計画の段階で計画としてつくられていくわけでありますから、すでにあるものが大部分であり、それに指定をされた場合に満たすような条件は、各省庁協力することによって満たし得るところを指定していくというふうに読んでいただいて、これが直ちに地方財政に対して財政的な負担をダイレクトに強いるものである、あるいは結果的に強いるものであるということはない。そこらは、その関係地域はいずれ大躍進を遂げるために現在指定を受けているんだ、いままでに考えられなかった産業、質の高い高度技術工業というものが自分たちの手元に保持されるんだ、そしてその分配その他で、地域住民も従業者も含めてみんなが潤っていくんだ、そういう考え方で見ていただいて、この条件地方自治体で整備してこいと言ったら、それは空港をつくっていらっしゃいということかなんてばかなことも言いかねないわけですが、そういうことはないんだ。しかし、いま私たちは、その適用対象になりそうだと言っておられるところは、国土、農林、建設の協力、財政上は自治省が後でめんどうを見てくれますが、そういうものを総合的にやることによって、ほぼ条件は大体のところはかなえている条件を並べたんだというふうにお受け取りいただきたいと思います。
  183. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 確かに、一定の条件整備されているところに企業は進出するだろうと思うのですね。しかし、十九地域いろいろあろうかと思うのですが、企業が進出をしていく場合にどこがいいかというのは、やはり企業の選考によるわけだと思うのですよ。ですから、よりよい条件のところに出るというのは企業としては当然だと思いますし、産業界の発言の中でも、テクノポリス委員会の委員長をやっていらっしゃる三菱電機の会長の進藤さんは、一言で言えば、企業にとって魅力のあるテクノポリスの建設あるいは行政側が産業界とよく相談しながらフレームワークを用意しておくということで、企業経済効率が最も、そこに進出していったならば条件整備されている、つまり企業立地条件が一番いいところ、しかも経済性の高いところが企業の進出にとっては最大の魅力だ、こういうふうにはっきり言っているわけですから、現在あるといってもそれで十分かということになると、いろいろあろうかと思うのですね。  ですから、たとえばテクノポリス立候補優等生などと言われている九州の大分なんか見ましても、かつてはたんぼと畑の中に空港ができた、今度はこれを国際空港にして、直接国際線が乗り入れできるように拡張するんだというのが、また地元のお話です。そうすると、ここにも相当大きな投資をしなければいけない。あるいは長岡へ行きますと、いまや国際化時代を迎えているICや何かそういうものもやはり必要だということで、国際会議もやれるような、全国ホテル協会に加盟できるような一流のホテルを長岡につくらなければいけない。括弧して通産と書いてありますから、通産の指導でこうなったのだ、こう読めるわけです。  ですから、当然そういうふうに地方自治体としては、ここで書かれている表面上のことではなくて、それは通産が開発指針を出して、開発計画地方自治体が立てる、承認する、しかし、実際企業がそこへ来てくれなければ最終的にはしようがないわけですから、そのためには相当の投資もせざるを得ない。あるいは富山県では、ファインセラミックスの村田製作所を誘致するためにスカウト代を出していくというような話もあるくらいですから、実際上どこまでが地方自治体がこういうことをやっていく場合に——新産都や何かの場合には一つの枠があって、投資についても限界があったわけだと思うのですけれども、こういうふうにパラになっていますと際限がなくなるのではないか。それが地方自治体に転嫁される。交付税で財源措置が図られる部分はいいのですけれども、図られないということになると、結局教育や福祉を抑制せざるを得ない、こういう結果になってきてしまうと思うのです。  そういう点で、現実にそういう事態が起きているわけなんでして、これから法案が通れば正式に承認申請が出てくるだろうと思うのですけれども、こういう点に対するこの法律に基づいての指導といいましょうか、そうした開発計画に対する通産省としての歯どめみたいなもの、無理な負担はかけない、そういう点についてはどんなふうにお考えでしょうか。
  184. 山中貞則

    山中国務大臣 なるべく地名は出したくないのですが、たとえばいまお出しになりましたので、大分は、その指定を受けたならばやがては直接そこから外国に人も貨物もということでしょうね、国際線をという。それは地元としてはそういうことをお考えになっていいのでしょうけれども、そこらのところまで来ますと、今度はやはり運輸省が主になりますけれども日本空港を各県一空港などという医科大学みたいなことをやってきて、そしてほとんどの離島にも空港がある日本ですから、そのこと自体は列島国家として好ましいことであっても、そうそう国際空港というものをあちこちにつくるのには、日本列島というのはその意味では余りいい列島とは言えませんね。ですから、そういうことまで計画として国が認めろとおっしゃった場合には、これは現在の状態にふさわしいものでまず出発なさいということで、その計画は国としては恐らく承認しない部分になるだろう。  あとのホテルなどの話も、これは民間資本の話ですから、そういうものをまさか知事さんが計画として持ってこられることはあるまいと思っていますけれども、民間がどういうことをするかは、民間は企業の論理に冷酷でありますから、もうかりまっせというたら出ていきますし、うまくいきそうにないなといったらちゃんと引っ込みますし、そこのところは、企業が出る場合は出るだけのメリットを考えて出るわけでありますから、別段企業サイドの、願望はありましょうけれども、それが知事さんのつくられる計画に乗ってくるということはないんじゃないでしょうか。まあ余り上ずって先物に先乗りをしてけがしないように、あらかじめ警告しておきましょう。
  185. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 ただ、現実にそういう事態が起きていますし、民間というより長岡の場合には第三セクターの方式でやっていますから、これはある意味では地方自治体が出資をしているわけですから、実際上そういうふうにならざるを得ないと思うのです。  そこで、第四条に関係する開発指針という問題でありますけれども、第三項に「主務大臣は、経済事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、開発指針を変更するものとする。」というのがあります。この変更に当たっては次の四項で、「自治大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。」そして、変更したらばすぐに「公表しなければならない。」となっているのです。  ここでちょっと思うのですが、つまり開発指針が出されて、開発指針に基づいて当該都道府県では開発計画を立てる。そしてその後の条文の中でも、立てた開発計画開発指針あるいは三条などの地域要件に適合しているかどうかを検討した上承認をする、こういうふうになっているわけです。そうすると、この第三項で、主務大臣が変更することができる。変更した場合に、この開発指針とすでに立てた開発計画とは、あるいはもう実施段階に入っているこの計画とは、相当なそごを生じるのではないか。つまり、ここで言われていますように、「経済事情の変動その他情勢の推移」、これはかなり大きな変動ということが想定されていると思うのですね。こういう点についてどんなふうに考えていらっしゃるのか。
  186. 福原元一

    福原政府委員 ここに言います開発指針の変更は、マクロの経済事情が大きく変わった場合に、いわゆる先端技術産業を育成していく場合に、その規模あるいは実施の期間、地域の設定等に変更を加えなければならないというようなことがあった場合に変更することがあり得るということでございまして、まあ私ども、石油ショックというような事態が今後あるかどうかは別といたしまして、めったにはないというふうに考えておりますが、もしそういうことがあった場合、今度は開発計画におきましてもそれに見合う変更は行わざるを得ないであろうということを考えまして、この規定を入れてあるわけでございます。
  187. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 つまり、主務大臣が情勢を判断して開発指針を変更しなければならない。当然各行政機関と協議をするわけですけれども、しかし立てた方は、当該都道府県が開発計画を立てている、そして実行していく段階だという場合に、その変更するということがいわゆる主務官庁を中心に一方的に変更されて、そして公表しなければならない。だから、非常にいわゆる集権型という印象を強く持つわけです。  大臣は御答弁の中で、あるいはいろいろ御説明の中で、むしろ地方自治体が要求している、地方にそういうふうに新しい産業基盤をつくり上げていく、先端技術を広げてそして全国的な視野に立って国民経済的な発展を図るのだ、それを進めていく主体は自治体なんだというふうに言われているわけですが、しかし変更するときは、開発計画を立てて進めているところから何の意見も聞かない。まあ聞かないということはないだろうと思うけれども、この条文の上ではそういうふうになってしまう。つまり、たてまえとしては当該都道府県だというふうに言っているわけですが、しかし主務大臣、つまり集権型で進めていくのだというにおいが非常に強く感じられるわけです。この点、もう一回大臣の方から御見解を承りたいと思うのです。
  188. 山中貞則

    山中国務大臣 開発計画は、おっしゃったとおり、地方の盛り上がってくる力を受けとめて都道府県がやるものでありますが、しかし、開発指針というものは主務大臣合意のもとでつくるわけでありまして、その指針は「経済事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、開発指針を変更するものとする。」ということで、開発指針をつくる立場の者が同じく変更をするということでございますから、自治体の力を活用するという意味では、平仄がそう違っているとは思いません。  しかし、一方的に、知らせもしないでというようなそういうことを——法律の第四条の三項ですね、これは念のためにこう書いてある法律上の表現であって、これがあり得るだろうというようなことを余り想定はしていないわけですね。しかし、もしあったらどうするかという場合のことは一応書いてある。しかし、この法律の場合に、経済事情の変動によってまさか開発指針を変えるというようなことが起こり得るだろうかということを考えれば、たとえば、そのメーンとなっていた空港が使用不能になったときとかなんとかというのがあるのかなと考えてみますけれども、ランウエーがあれば、それが使用不能になるということはまさかないでしょうし、まあ長崎空港、大分空港あたりは津波が来た場合には流されてしまうのかな、そういうふうにもつくってないでしょう。ですから、よほどのことがなければこの条項は書かなくてもいいのですけれども、しかし、もし何かのことでその大きな柱が失われたというような場合においては、やむを得ず——これは地方の方でも、だめになってしまったことはわかるような客観的なもので、もしそういうことが起こったときのことを法文化してあるということで、どういう場合にどうしますというようなものではないということでございます。これが全くない場合は、どんなことが起こっても既定計画はやれということになってもまた困る。これは、法律の例文的なものとお受け取りください。
  189. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 私の心配が幾らか解明をされたと思うのですが、現実にいままで新産都なんかでやってきた場合、確かに経済の変動が大きかった、そうすると、計画はそのものは変わりはないけれども、実際上やっている内容やあるいはその地方自治体に及ぼす影響、あるいは波及的なマイナスの効果というのはかなり強いわけですね。ですから、全く過去になかったということではなくて、現に過去にあったわけでありますから、そういう点では、計画の策定の主体になる地方自治体は、そういう時期はもっと厳しい状況に迫られてくるだろうというふうに思いますので、そういう意味で、いまの点について指摘をしたわけなんです。  たびたび例を引きますけれども、たとえば大分の場合、一九六四年に指定されて八二年九月までに投下された国、県、市町村の負担の総額は一兆六百八十七億円、これは相当大きいですね。確かに工業出荷額も大きく上がっているのですよ。一九七五年と八〇年を比べてみると、出荷額は約二・四倍。ですから、かなり上がっています。ところが逆に、この地域における一人当たりの県民所得は、大分の場合には全国の三十九番目ですね、大体四十番目ぐらいなんです。ですからワーストの方なんですが、それが三十九番目に上がった程度であって、これだけ大きな資本を投下している。県、市町村だけで二千七百七十億円ですね。だから、それが必ずしも当該——これは臨海で大型のものであるということもあるかもわかりませんけれども雇用が十分に進んでなかったという側面もあろうかと思うのですが、県民一人当たりの所得の伸びというのは非常に小さい。そのかわり、工業生産の出荷額は、伸び率としては全国でも屈指の伸びを示している。ここに進出をしていった大企業の場合に、進出した当時から見ると一二〇〇%、十二倍というふうに言われている。ところが、地域に張りついている中小企業の場合には約五〇〇%ぐらいですね。そして県民一人当たりの所得は、ほぼ横ばい状態になっている。こういう現状ですから、せっかく投資をして、そして新産で大きな花が咲いたと思ったけれども、いろいろな経済の変動があって、実際は、当該県あるいは市町村あるいは市民には、資本は投下したけれども、自治体の財政負担はふえたけれども余りメリットがなかった、こういう結果を生んでいる。しかし計画計画ですから、まだ新産都法もなくなってないわけですから、そのままの状態ですね。こういうことを見た場合に、まあないというふうには言えませんけれども、この開発を進めていく場合に、地方自治体や中小企業や県民がどうなるかということをやはり十分念頭に置いていかなければならないのではないかというふうに考えるわけなんですが、この点について何か御見解があれば……。
  190. 山中貞則

    山中国務大臣 県民所得のことを聞かれると弱いんですよね、私のところが全国最下位。これは離島が非常に多い県なものですから、離島のレベルを引き上げる以外にはないということでいまやってますが、いまの一般論としてのお話は、確かにその地域なり拠点なりの壮大な変貌、それに伴う出荷額が見せるような地域の繁栄、従業員、関係者家族、いろいろな点の——直接の還元効果はあるのだろうと思いますが、それを県民所得として一人当たりに割り戻していった場合に、それはどうも余り感心するような効果を生んでいないというお話は、確かにそのとおりの点が今後とも起こり得るだろう。地域の環境によっても違うでしょうが、日本の場合でも、国民総生産では世界の一割と言いながら、一億二千八百万の人口の国民所得をとるとベネズエラが上であったりなどしますから、結局十八位という、いつまでもそこらあたりのところをうろついている現状があります。  私たちも、GNP一割と言うならば、それにふさわしい分配というものが国民の上にあって、それが国民所得にあらわれてきて、世界有数のふところぐあいのいい国民になりたいと思うのですけれども、それは人口と国の富との分子、分母の関係によっても違うわけでありますし、一概には言えないわけでありますが、今後、日本列島をどのようにつくりかえていくか、前進させていくかについては、そこらはやはり注目して、忘れてはならない点の一つではある。ただ、それであるからといって、県は、県民所得には余り貢献しなかったからもうやめたとは言わないで、今度の問題であっても、やはりその県の中の一地域になるでしょう。しかし、その熱意は、県、知事、県議会、県庁ですね、あるいはその関係の市町村はもちろんのこと、非常な熱意がある。そこのところは、やはりそれはそれなりに受けとめてあげて、その効果がなるべくそれらの都道府県民にも還元できるような施策は都道府県知事がお立てになるというふうに、まあ善意を持って見守るしかないのじゃなかろうかと思うのです。
  191. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 善意を持って見守るのもいいだろうと思うのですけれども、これからの問題として、開発指針主務大臣が決めて、そして計画を決めてこれから進めていくわけですし、とにかく企業が進出をするわけなんですから、ぜひそういう点は、企業の社会的な責任を果たしていくという上からも、当該都道府県の善意にまつだけではなくて、通産省としても企業に対する積極的な指導もしていく必要があろうというふうに思うのです。  あと、環境の問題ですが、特に内陸部でありまして、主務大臣の中には環境庁長官は入っておりませんけれども、やるとすれば、総合的な事前の地域のアセスとかそういう点についても当然御検討をされていらっしゃるわけですか。
  192. 福原元一

    福原政府委員 テクノポリスで想定しておりますいわゆる技術先端産業は、そのほかの基礎資源型の工業に比べまして一般的に省エネルギーであり、省用地であり、省用水型であり、工業用水のクローズド化というようなものは進められておりまして、環境の負荷は一般に小さいものとわれわれは考えております。  企業立地に際しましては、当然のことながら、常に環境に悪影響を及ぼさないということに心を配らなければならないわけでございますが、御指摘のとおり、テクノポリス建設に当たりましても環境問題、たとえその負荷が小さいと言いながら、十分配慮してまいるように指導してまいりたい、このように考えております。
  193. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 時間も余りなくなりましたので、あと二問だけお尋ねしたいと思うのですが、五十八年度の予算の中では、テクノポリス建設の推進として十四億九千万円計上されていらっしゃるわけなんです。この中には工業再配置促進対策費から五億円、地域フロンティア技術開発事業費から七億九千万円などが中身として含まれておると思うのです。この地域フロンティア技術開発事業ですけれども、これは今年度から創設をされていらっしゃると思うのですが、中小企業庁はどのくらいの地域を想定していらっしゃるのか。簡単で結構です。
  194. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 中小企業庁では、今年度から発足させるつもりで、予算上の予定では全国で十地域になっております。その中の相当部分をテクノ地域に私どもとしては使いたいということで、いま中小企業庁と相談を進めているところでございます。
  195. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 この十地域の中には、先ほどちょっと出た粘土を素材とした愛知のセラミックスなんかの研究もあるというふうに聞いておるのですが、いずれにしても十の地域に限定されていると思うのです。  ただ、かなり先端技術開発や導入などで、テクノポリスというほどではないけれども、一定の小規模のものでも、そういう高度技術集積団地みたいな計画があるのですね。たとえば、埼玉県の伊奈町に、昭和六十年ということで、規模は小さな高度技術集積団地を計画しているのですが、ここでは風力、それからごみですね、廃棄物の燃焼、そういう廃棄物等のエネルギーで全体のエネルギーの二〇%を充足させよう。ですから、省エネ省資源型で、しかもきわめて小さな、コンパクトな職住近接の団地を整備するというふうな努力が始まっておるのです。  ですから、私たちも、今度のテクノ法案をずっと検討してみると、幾つか越えなければならないハードルがあると思うのです。最終的には企業が進出をし、雇用も拡大をされるというところに最大のねらいがあるだろうと思うのですが、そのためには四つぐらいのハードルを越えなければならない。一つは、地方自治体が国の地域指定を受けなければならない。きちっとした開発計画を立てなければならないわけですね。それから二番目には、当然その前提として一定の基盤整備も行わなければならない。第三番目には、実際上工場が誘致できるかどうか。これがまた大きな決め手になってくるでありましょう。それから第四番目には、地元の雇用が拡大できるか。こういう四つのハードルを越えていかなければならないわけですね。  そういう意味では、バラ色だというふうになかなか単純にいかないのではないか。そういう意味で、法律をつくる、最終的にはそこに進出する企業の、立地がいいかどうか、先ほど触れたわけですけれども、選好にかかってくる。これが非常に強いと思うのですね。そういう意味で、地方自治体が無理なく、しかも、むしろコンパクトに、いろいろ地方自治体の助成なども受けながら、当該の中小企業の自立自助を基本にして、先ほど申し上げましたような小さな、コンパクトな団地をつくるなど、そういうものに相当力を入れていく必要があろうかと思う。これは内陸部でもどこでもできるわけなんです。そんなに膨大なインフラを整備しなくても可能性はあるわけでして、そういう点を含めて、最後に大臣からの見解を承りたいと思います。
  196. 山中貞則

    山中国務大臣 そういう各地におけるさまざまな試みというものは大切にしていきたいと思います。ことに、いまの地域フロンティアの問題も、このテクノポリス構想の中に足を踏み込んだ形で進めておりますので、人材の育成その他、受け皿づくりのための人の質の向上、そういうものに役に立っていくと思います。
  197. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 終わります。
  198. 登坂重次郎

    登坂委員長 次回は、来る十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十八分散会