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大野国務大臣 ただいま議題となりました
特定不況業種・
特定不況地域関係労働者の
雇用の安定に関する
特別措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
わが国におきましては、内外の厳しい
経済情勢を反映して、
雇用失業情勢にも厳しいものがあります。とりわけ、二度にわたる石油危機を背景とした原材料、エネルギーコストの上昇、発展途上国の追い上げ等最近における経済的事情の変化に伴って、アルミニウム製錬業等の素材産業を中心として構造不況に陥っている業種が少なくありません。これらの構造不況業種におきましては、当該業種の
労働者はもちろんのこと、関連下請企業の
労働者やこれらの業種が集積している地域全体の
雇用失業情勢に深刻な影響を与えているところであり、これら
関係労働者の失業の予防を中心とした
雇用の安定のための施策を積極的に進めていくことが緊急の課題となっております。
政府といたしましては、このような課題に適切に対処していくため、本年六月三十日に有効期限等が到来する
特定不況業種離職者
臨時措置法及び特定不況地域離職者
臨時措置法を統合
整備し、これら
関係労働者の
雇用の安定のための施策を一層
推進することとし、そのための案を
関係審議会に諮問して、その答申に基づきこの
法律案を作成し、ここに提出した次第であります。
次にこの
法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。
第一に、この
法律で
対象とする
特定不況業種とは、従来、国の施策により
事業規模の縮小等が行われる業種に限定されていた点を改め、内外の経済的事情の著しい変化により、その製品や役務の供給能力が過剰となっており、その状態が長期にわたって継続することが見込まれるため、
事業規模の縮小等を余儀なくされ、これに伴い
雇用量が相当程度に減少しており、または減少するおそれがある業種を言うこととしており、また、特定不況地域とは、
特定不況業種に属する事業所が相当程度集積しており、これらの事業所の
事業規模の縮小等に伴い
雇用情勢が悪化し、または悪化するおそれのある地域をいうこととしております。
なお、
特定不況業種及び特定不況地域の
指定は、期間を付して行うこととしております。
第二に、従来
特定不況業種について
職業紹介等に関する計画を作成することとしていた点を改め、特に必要があると認められる
特定不況業種または特定不況地域について、失業の予防、再
就職の
促進のための
措置の
推進に資するため、新たに
雇用の安定に関する計画を作成することとしております。
第三に、特定不況地域の
雇用情勢の一層の悪化を防止するために必要があるときは、相当数の離職者を発生させることとなる
事業規模の縮小等を行おうとする
特定不況業種事業主に対して、
労働大臣が
雇用の安定のための
措置を講ずることを要請することができることとしております。
第四に、失業の予防、
雇用機会の増大等を図るため、離職予定者に対する教育訓練の実施その他
雇用の安定に必要な
措置を講ずる
事業主に対して、
雇用保険法に基づく
雇用安定事業または
雇用改善事業として必要な
助成及び援助を行うこととしております。
第五に、関連下請中小企業につきましては、親事業所に先行して
雇用調整が実施されるという実態にかんがみ、
特定不況業種として
指定される前の一定期間内に離職した者に対しても求職手帳を発給し、この
法律に基づく援護
措置を講じることとしております。
以上のほか、現行の離職者二法に基づいて講じてきた
特定不況業種事業主による再
就職援助等計画の作成及びその公共
職業安定所長による認定、
特定不況業種離職者に対する求職手帳の発給、
就職指導の実施及び
職業転換給付金の支給、四十歳以上の手帳所持者及び特定不況地域離職者に対する
雇用保険の個別
延長給付の特例的な支給等の施策は、継続して実施することとしております。
なお、この
法律は、本年七月一日から施行し、五年後の
昭和六十三年六月三十日までに廃止することとしております。
以上、この
法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。
何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました
駐留軍関係離職者等臨時措置法及び
国際協定の
締結等に伴う
漁業離職者に関する
臨時措置法の一部を
改正する
法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
駐留軍
関係離職者及び
漁業離職者につきましては、それぞれ、
駐留軍関係離職者等臨時措置法及び
国際協定の
締結等に伴う
漁業離職者に関する
臨時措置法に基づき、特別な
就職指導の実施、
職業転換給付金の支給等各般の施策を講ずることにより、その再
就職の
促進と
生活の安定に努めてきたところでありますが、これら二法は、前者が本年五月十六日限りで、また、後者が本年六月三十日限りで失効することとなっております。
しかしながら、駐留軍
関係離職者及び
漁業離職者につきましては、今後においても、国際情勢の変化等に伴い、なおその発生が予想されますので、政府といたしましては、現行の駐留軍
関係離職者対策及び
漁業離職者対策を今後とも引き続き実施する必要があると
考え、そのための案を中央
職業安定審議会にお諮りして、その答申に基づき、この
法律案を作成し、提案した次第であります。
次に、その内容を御説明申し上げます。
第一に、
駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期限を五年
延長し、
昭和六十三年五月十六日までとすることであります。
第二に、
国際協定の
締結等に伴う
漁業離職者に関する
臨時措置法の有効期限を五年
延長し、
昭和六十三年六月三十日までとすることであります。
以上、この
法律案の提案理由及びその内容につきまして、御説明申し上げました。
何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。