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1983-02-10 第98回国会 衆議院 社会労働委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十七年十二月二十八日)( 火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 唐沢俊二郎君    理事 今井  勇君 理事 大石 千八君    理事 丹羽 雄哉君 理事 牧野 隆守君    理事 金子 みつ君 理事 田口 一男君   理事 平石磨作太郎君 理事 米沢  隆君       逢沢 英雄君    稲村 利幸君       小沢 辰男君    木野 晴夫君       小坂徳三郎君    古賀  誠君       斉藤滋与史君    田邉 國男君       谷垣 專一君    津島 雄二君       戸沢 政方君    友納 武人君       中尾 栄一君    中野 四郎君       長野 祐也君    浜田卓二郎君       船田  元君    山下 徳夫君       池端 清一君    川俣健二郎君       川本 敏美君    田邊  誠君       栂野 泰二君    永井 孝信君       森井 忠良君    大橋 敏雄君       塩田  晋君    浦井  洋君       小沢 和秋君    菅  直人君       柿澤 弘治君     ───────────── 昭和五十七年十二月二十八日  唐沢俊二郎委員長辞任につき、その補欠とし  て稲村利幸君が議院において、委員長選任さ  れた。 ────────────────────── 昭和五十八年二月十日(木曜日)     午前十時九分開議  出席委員    委員長 稲村 利幸君    理事 今井  勇君 理事 大石 千八君    理事 丹羽 雄哉君 理事 牧野 隆守君    理事 金子 みつ君 理事 田口 一男君   理事 平石磨作太郎君 理事 塩田  晋君       逢沢 英雄君    木野 晴夫君       古賀  誠君    斉藤滋与史君       田邉 國男君    津島 雄二君       戸沢 政方君    友納 武人君       浜田卓二郎君    山下 徳夫君       大原  亨君    森井 忠良君       浦井  洋君    小沢 和秋君       菅  直人君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 林  義郎君         労 働 大 臣 大野  明君  出席政府委員         厚生大臣官房長 幸田 正孝君         厚生大臣官房審         議官      古賀 章介君         厚生大臣官房審         議官      新田 進治君         厚生大臣官房会         計課長     坂本 龍彦君         厚生省公衆衛生         局長      三浦 大助君         厚生省公衆衛生         局老人保健部長 吉原 健二君         厚生省環境衛生         局長      竹中 浩治君         厚生省医務局長 大谷 藤郎君         厚生省薬務局長 持永 和見君         厚生省社会局長 金田 一郎君         厚生省児童家庭         局長      正木  馨君         厚生省保険局長 吉村  仁君         厚生省年金局長 山口新一郎君         厚生省援護局長 山本 純男君         社会保険庁長官         官房審議官   入江  慧君         社会保険庁医療         保険部長    小島 弘仲君         社会保険庁年金         保険部長    朝本 信明君         労働大臣官房長 加藤  孝君         労働大臣官房会         計課長     高橋 伸治君         労働大臣官房審         議官      小粥 義朗君         労働省労働基準         局長      松井 達郎君         労働省婦人少年         局長      赤松 良子君         労働省職業安定         局長      谷口 隆志君         労働省職業訓練         局長      北村 孝生君  委員外出席者         社会労働委員会         調査室長    石黒 善一君     ───────────── 委員の異動 昭和五十七年十二月二十八日  辞任         補欠選任   唐沢俊二郎君     伊藤宗一郎君   小坂徳三郎君     白川 勝彦君   川俣健二郎君     枝村 要作君   田邊  誠君     大原  亨君 昭和五十八年一月二十五日  辞任         補欠選任   米沢  隆君     和田 耕作君 二月十日  理事米沢隆君一月二十五日委員辞任につき、そ  の補欠として塩田晋君が理事に当選した。     ───────────── 昭和五十七年十二月二十八日  労働基準法の一部を改正する法律案森井忠良君外三名提出、第九十四回国会衆法第一七号)  雇用保険法の一部を改正する法律案池端清一君外四名提出、第九十四回国会衆法第三一号)  母子保健法健康保険法等の一部を改正する法律案金子みつ君外五名提出、第九十四回国会衆法第三四号)  定年制及び中高年齢者雇入れの拒否の制限等に関する法律案田口一男君外八名提出、第九十六回国会衆法第一七号)  労働基準法の一部を改正する法律案森井忠良君外三名提出、第九十六回国会衆法第二五号)  医療法の一部を改正する法律案森井忠良君外二名提出、第九十六回国会衆法第三四号)  浄化槽法案小沢辰男君外四名提出、第九十六回国会衆法第三八号) 昭和五十八年二月八日  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案内閣提出第一九号) 一月二十七日  障害者児対策強化等に関する請願井上一成紹介)(第九五号)  市区町村社会福祉協議会法制化に関する請願中路雅弘紹介)(第九六号)  同(石原健太郎紹介)(第九七号)  同(秋田大助紹介)(第一八三号)  同外二件(木村武雄紹介)(第一八四号)  同外五件(近藤鉄雄紹介)(第一八五号)  同(森喜朗紹介)(第一八六号)  同外二十件(森下元晴君紹介)(第一八七号)  民間保育事業振興に関する請願春日一幸紹介)(第九八号)  同外一件(田中伊三次君紹介)(第一一七号)  同(田邊誠紹介)(第一二九号)  同(寺前巖紹介)(第一三〇号)  同外一件(玉置一弥紹介)(第一八二号)  特殊法人等賃金改定に関する請願田中恒利紹介)(第一一五号)  優生保護法改正反対に関する請願松本幸男紹介)(第一一六号)  同(土井たか子紹介)(第一三一号)  同(堀昌雄紹介)(第一三二号)  同外一件(湯山勇紹介)(第一八八号)  同(横路孝弘紹介)(第一八九号)  老人医療有料化反対等に関する請願中路雅弘紹介)(第一二八号)  保育所振興対策確立に関する請願秋田大助紹介)(第一七三号)  同(今井勇紹介)(第一七四号)  同(臼井日出男紹介)(第一七五号)  同(玉置一弥紹介)(第一七六号)  同(中川秀直紹介)(第一七七号)  同(丹羽雄哉紹介)(第一七八号)  同(畑英次郎紹介)(第一七九号)  同(藤本孝雄紹介)(第一八〇号)  同(武藤嘉文紹介)(第一八一号) 二月五日  学童保育制度確立に関する請願橋本龍太郎紹介)(第二二一号)  保育所の新増設等国庫補助制度改善に関する請願村上弘紹介)(第二二二号)  障害者児対策強化等に関する請願村上弘紹介)(第二二三号)  市区町村社会福祉協議会法制化に関する請願外三件(小山長規紹介)(第二二四号)  同(臼井日出男紹介)(第二八一号)  同外三件(木部佳昭紹介)(第二八二号)  同(泰道三八君紹介)(第二八三号)  同(石川要三紹介)(第三四九号)  同(小泉純一郎紹介)(第三五〇号)  同(始関伊平紹介)(第三五一号)  同外三件(関谷勝嗣君紹介)(第三五二号)  同外二十二件(谷垣專一君紹介)(第三五三号)  同(中西啓介紹介)(第三五四号)  同外一件(林大幹君紹介)(第三五五号)  民間保育事業振興に関する請願山本政弘紹介)(第二二五号)  同(上原康助紹介)(第三一五号)  同(長谷川正三紹介)(第三一六号)  保育所振興対策確立に関する請願逢沢英雄紹介)(第二二六号)  同(小沢一郎紹介)(第二二七片)  同(越智通雄紹介)(第二二八号)  同(住栄作紹介)(第二八四号)  同(石川要三紹介)(第三五六号)  同(奥田敬和紹介)(第二五七号)  同(田原隆紹介)(第二五八号)  カイロプラクティックに関する法律制定等に関する請願堀之内久男紹介)(第二八〇号)  障害者社会への全面参加平等実現等に関する請願金子みつ紹介)(第三四八号) 同月九日  市区町村社会福祉協議会法制化に関する請願市川雄一紹介)(第三七七号)  同(三ツ林弥太郎紹介)(第三七八号)  同(木野晴夫紹介)(第四〇一号)  同外一件(友納武人紹介)(第四〇二号)  同(三ツ林弥太郎紹介)(第四〇三号)  同(山下元利紹介)(第四〇四号)  同(三枝三郎紹介)(第四三六号)  同(染谷誠紹介)(第四三七号)  同外一件(浜田卓二郎紹介)(第四六一号)  同外二件(三ツ林弥太郎紹介)(第四六二号)  同(池田淳紹介)(第四七七号)  同(石田博英紹介)(第四七八号)  同(近藤元次紹介)(第四七九号)  同外一件(江藤隆美紹介)(第五〇〇号)  同(笹山登生紹介)(第五二一号)  民間保育事業振興に関する請願鯨岡兵輔紹介)(第三七九号)  同(船田元紹介)(第四三八号)  同(石田博英紹介)(第四八〇号)  同(辻英雄紹介)(第五〇一号)  同(笹山登生紹介)(第五二二号)  保育所振興対策確立に関する請願塚原俊平紹介)(第三八〇号)  同(愛野興一郎紹介)(第四〇六号)  同(堀内光雄紹介)(第四〇七号)  同(山下徳夫紹介)(第四〇八号)  同(金子一平紹介)(第四三九号)  同(石田博英紹介)(第四八一号)  同(大西正男紹介)(第四八二号)  同(木野晴夫紹介)(第四八三号)  同(笹山登生紹介)(第五二三号)  老人医療有料化反対等に関する請願中路雅弘紹介)(第四〇五号)  基準看護指定病院入院患者付添看護婦等容認に関する請願外一件(青山丘紹介)(第四三一号)  同外一件(春日一幸紹介)(第四三二号)  同(近藤豊紹介)(第四三三号)  同外一件(塚本三郎紹介)(第四三四号)  老人福祉に関する請願和田耕作紹介)(第四三五号)  じん肺法改正に関する請願枝村要作紹介)(第四五八号)  同(田口一男紹介)(第四八四号)  同(川本敏美紹介)(第五〇二号)  年金制度改善等に関する請願中路雅弘紹介)(第四五九号)  建設国民健康保険組合改善に関する請願米田東吾紹介)(第四六〇号)  同(吉原米治紹介)(第四八五号) は本委員会に付託された。 一月二十八日  優生保護法改正反対に関する請願(第一一六号)は「松本幸男紹介」を「山口鶴男君外一名紹介」に訂正された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  厚生関係基本施策に関する件  労働関係基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 稲村利幸

    稲村委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  このたび、私が当委員会委員長に就任いたしました。  ご承知のとおり、厳しい経済社会情勢のもとで急速な高齢化社会を迎えつつある今日、当委員会の所管する医療年金福祉雇用問題等につきまして、国民各界各層から強い関心と期待が寄せられており、当委員会の任務はますます重要であると存じます。この時期に当委員会委員長に就任し、その職責の重大さを痛感いたしております。  はなはだ微力ではございますが、練達堪能なる委員各位の御指導と御協力を賜り、円満な委員会運営に努め、その重責を果たしてまいりたいと存じます。  ここに皆様方の特段の御支援と御鞭撻をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。(拍手)      ────◇─────
  3. 稲村利幸

    稲村委員長 理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事米沢隆君が去る一月二十五日委員辞任されたのに伴い、現在理事が欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事塩田晋君を指名いたします。      ────◇─────
  5. 稲村利幸

    稲村委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  厚生関係基本施策に関する事項  労働関係基本施策に関する事項  社会保障制度医療公衆衛生社会福祉及び人口問題に関する事項  労使関係労働基準及び雇用失業対策に関する事項 以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ────◇─────
  7. 稲村利幸

    稲村委員長 厚生関係基本施策に関する件並びに労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、厚生大臣及び労働大臣から、それぞれ所信を表明したいとの申し出がありますので、順次これを許します。林厚生大臣
  8. 林義郎

    林国務大臣 社会労働委員会の御審議に先立ち、厚生行政について所信の一端を申し述べてみたいと思います。  二度にわたる石油ショックは、全世界に大きな影響をもたらし、アメリカを初めとする先進諸国もこれに対処するため、大きな努力を払ってまいりました。しかしながら、慢性的な経済停滞は引き続き、社会の活性をいまだ取り戻すに至らず、いわゆる先進国病に対する適切な処方せんはなかなか書くことができない状況にあります。  わが国経済社会は、欧米諸国に比べ比較的柔軟に石油ショックを受けとめてまいりました。わが国はこれまで欧米へのキャッチアップを目指してまいりましたが、石油ショックを経た今日、欧米の模倣の時代は終わり、わが国独自の創造力に基づく新しい福祉社会建設を目指す時代到来したものと考えます。私は、皆様方の御意見を伺いながら、活力ある福祉社会建設を通じて、新しい時代創造全力を挙げてまいる所存であります。  わが国社会保障制度は、すでに国民生活の中に深く根づき、国民一人一人は社会保障給付を織り込んだ生涯の生活設計を立てております。このような社会保障制度安定的発展を期するためにも、活力ある福祉社会建設という見地から、その見直しを行う必要があることを私は率直に申し上げたいと思います。  ただし、見直すというのは、長期的視野に立って高齢化社会成熟化社会、そして国際化社会という新たな時代に対応できる制度に改めるということであって、決して福祉を切り捨てるということではありません。家庭、コミュニティーなど、社会的連帯をはぐくみ、国民生きがいと安心を見出していけるような基盤充実していくとともに、国民の健康や老後に対する保障あるいは社会的、経済的に弱い立場に置かれている方々に対する援助を効果的に実施していくことが、これからの社会保障行政に課せられた役割りであると考えております。  昭和五十八年度予算案の編成も、マイナスシーリングというきわめて厳しい状況のもとで行われましたが、これからの時代に対応する予算の第一歩として、積極的な健康づくり対策、あるいは老人身体障害者在宅福祉対策など真に必要な施策に関する経費については、全力を挙げて確保するように努力をいたしました。その結果、全体としては、現下の厳しい財政状況のもとでも、実質的な福祉水準が維持できる予算になったものと考えております。以下、昭和五十八年度における主要な政策について申し述べます。  社会福祉対策につきましては、厳しい状況にあるときこそ、社会的、経済的に弱い立場にある方々が不安なく生活できるよう、地域社会との関係を考慮しながら、その一層の充実に努めていく必要があります。このため、これらの方々が家族や地域の人々とともに生きがいを持って生活できるよう、家庭奉仕員の大幅な増員、デイ・サービス事業拡充など在宅福祉対策推進に特に重点を置くとともに、引き続き必要な施設整備を進ていくこととしております。  また、生活保護につきましては、国民生活水準の動向を勘案して、生活扶助基準の引き上げを行うこととしております。  児童家庭問題につきましては、社会活力をもたらしてくれるかぎである子供たちの健全な育成と、家庭基盤充実を図る必要があります。そのため、児童館増設母子寡婦資金貸付原資の増加、母子保健対策充実など施策全般について、その推進を図ってまいる所存であります。  国民医療確保につきましては、社会変化に応じ、医療需要の増大、多様化に対応するため、医療供給体制整備を図っていくことが現下の急務であると考えております。このため、予防からリハビリテーションに至る包括的な医療体制確立し、地域医療需要に沿った診療機能のネットワークをつくっていく必要があり、その一環として、地域医療計画の策定などを内容とする医療法改正法案を今国会提出すべく、鋭意準備を進めております。  老人保健制度につきましては、保健医療の両面にわたり、総合的な事業の円滑かつ的確な実施を図るために全力を挙げてまいる所存であります。  また、老人精神保健対策といたしまして、保健医療及び福祉の緊密な連携を図り、包括的な地域ケア体制づくりを目指すこととしております。  医療保険制度につきましては、現に、国民生活安定向上に重要な役割りを果たしてきております。  しかしながら、高齢化社会到来を控え、医療保険を取り巻く環境は厳しく、医療費適正化が強く要請されており、厚生省といたしましても、不正請求徹底的排除を初め、薬価基準改定診療報酬の審査の充実などこれに鋭意取り組んでいるところであります。  なお、国民健康保険につきましては、都道府県を単位として、高額医療費について逐次保険者共同事業を実施してまいりたいと考えております。  公的年金制度につきましては、本格的な高齢化社会到来を控え、制度の長期的安定を図ることが現在最も重要かつ緊急の課題となっております。このため、厚生年金並びに国民年金について、関係審議会意見などを踏まえ、わが国社会高齢化のピークを迎える二十一世紀を展望しつつ、制度全般のあり方について見直しを行い、次期通常国会に所要の改正法案提出いたしたいと考えております。なお、五十八年度における年金額改善につきましては、諸般の厳しい状況にかんがみ、これを見送ることといたしました。  中国残留日本人孤児の問題につきましては、その肉親捜し及び帰国後の定着化対策の一層の充実強化に努める所存であります。  医薬品につきましては、昨年国民の信頼を失わせるような事件が生じ、まことに遺憾に存じております。国民の健康をあずかるものとして一層心を引き締め、薬事行政を厳正に進めてまいります。  このほか、厚生行政は、水道、廃棄物に関する施設整備環境衛生関係営業振興、食品、家庭用品安全確保対策など、国民生活に直結した問題に関するひとときもゆるがせにできない施策ばかりでございます。  私は皆様方の御支援、御鞭撻を得ながら、このような厚生行政推進全力を挙げて取り組み、国民福祉の着実な向上を図ってまいる所存であります。  何とぞよろしくお願いいたします。(拍手
  9. 稲村利幸

  10. 大野明

    大野国務大臣 社会労働委員会の御審議に先立ち、今後の労働行政について所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を得たいと存じます。  今日の労働問題を取り巻く環境は、経済成長速度の鈍化、貿易摩擦問題の激化、さらに、人口の高齢化技術革新進展等大きな変化の局面にあります。  このような変化に対応した適切な施策を講じ、日本の社会が持つ活力をさらに発展させ、勤労者が安心して将来に夢を持てる生活を営めるようにすることが労働行政の使命だと考えております。  このような見地に立って、当面次の事項重点を置いて、労働行政を進めてまいる所存であります。  まず第一の課題は、現下の厳しい雇用失業情勢に適切かつ機敏に対応する雇用対策推進であります。  最近の雇用失業情勢は、景気停滞を反映して厳しいものがあり、適切な経済運営により景気の着実な回復を図るとともに、雇用調整助成金制度機動的活用による失業予防職業安定機関を挙げての求人の開拓、各種の助成措置活用等による離職者の再就職促進等雇用対策を積極的に推進し、雇用情勢改善を図ってまいる所存であります。  特に、構造的な要因により不況に陥っている業種及びその関連地域については、本年六月に期限が切れる特定不況業種離職者臨時措置法及び特定不況地域離職者臨時措置法の二法を整備統合するとともに、離職訓練事業主あっせんによる再就職等についての助成措置新設等施策充実を図り、関係労働者雇用の安定に資することとしており、今国会にそのための法律案提出することといたしておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。  第二の課題は、高齢化進展に対応した労働政策の総合的な推進であります。  本格的な高齢化進展する中で活力ある福祉社会実現することは、国政の最重要課題であります。このため、現在、六十歳定年一般化を当面の目標として取り組んでおりますが、その一層の前進を図るため、定年延長指導計画的推進定年延長アドバイザーの創設を初めとする援助措置充実を図ってまいります。また、六十歳台前半層についても、雇用延長推進シルバー人材センター拡充等により、その多様な就業希望に応じた雇用就業機会確保に努めてまいります。  さらに、生涯職業訓練体制整備を進め、中高年齢者職業能力開発向上を図るとともに、中高年齢労働者の総合的な健康の保持増進対策の展開、財形年金貯蓄制度普及促進等による高齢者所得安定対策推進等高齢化進展に対応した総合的な施策推進してまいります。  第三の課題は、産業構造及び就業構造変化に対応する施策推進であります。  マイクロエレクトロニクス活用を中心とした技術革新は近年急速に進展しており、今後さらに広範な分野で本格化すれば、雇用を初め労働問題全般に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。このため、今年度に引き続き総合的な調査を実施するとともに、マイクロエレクトロニクス化に対応した能力開発対策推進産業用ロボット等に係る安全関係法令整備研究充実等を図ってまいる所存であります。  また、第三次産業分野の拡大に対応し、その多様な雇用就業形態に関する調査研究を実施するとともに、増大するパートタイマーについて、職業紹介体制充実労働条件明確化指導等推進してまいります。  第四の課題は、安全で衛生的な労働環境実現労働福祉増進を図るための施策推進であります。  労働災害については、長期的に減少傾向を持続するなどの一定の成果を見ておりますが、技術革新高齢化進展に伴う新たな課題にも対応した労働災害防止計画を策定し、積極的に労働災害防止のための施策推進してまいります。  また、財形持ち家個人融資制度の普及促進、週休二日制の普及等労働福祉増進について、積極的に取り組んでまいる所存であります。  第五の課題は、心身障害者等の特別な配慮を必要とする人々の職業生活援助する施策推進であります。  心身障害者雇用は年々着実に改善されておりますが、重度障害者等については依然として困難な状況が見られます。このため、身体障害者雇用率達成指導推進等に加え、新たに地方公共団体も出資する第三セクター方式の重度障害者雇用企業の育成を図るなど、重度障害者重点を置いた心身障害者雇用対策推進してまいります。  さらに、心身障害者職業能力開発向上のため、一般の職業訓練校への入校促進、職業訓練大学校における福祉工学科の設置等、その対策充実に努めてまいります。  また、駐留車関係離職者及び国際漁業離職者については、その再就職の促進等を図るため、関係法律の有効期限の延長を行うための法律案提出することといたしておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。  第六の課題は、雇用における男女の機会と待遇の平等促進のための環境条件の整備であります。  「国連婦人の十年」の最終年を二年後に控え、「婦人に関する施策推進のための「国内行動計画」後期重点目標」の達成を目指して努力してまいります。  特に、雇用における男女平等を確保するための諸方策について、関係審議会において検討を進めてまいります。  第七の課題は、労使の相互理解と信頼を強化するための環境づくりの推進であります。  わが国労使関係は、相互信頼を基調として社会の安定と経済の発展に大きく貢献してまいりましたが、高齢化進展産業構造変化等労使を取り巻く環境は厳しさを増しており、このようなときにこそ労使の信頼関係の維持発展に努力を払っていく必要があります。  このため、今後とも産業労働懇話会を初め各種レベルにおける労使の話し合いの促進に努めてまいる所存であります。  第八の課題は、国際社会におけるわが国の地位にふさわしい労働外交の推進であります。  国際社会における相互依存関係は年々深まっており、労働分野における諸問題も、国際経済の動きを初めとして国際社会の動きと密接な関係を有するようになってきております。資源に乏しく海外に多くを依存しているわが国としては、技術協力、相互理解の促進を通じて労働の分野においても国際社会と協調していく必要があります。  このため、海外職業訓練協力センターの新設等により、海外技術協力の一層の充実に努めるとともに、わが国の労働事情の積極的な広報、ILO等国際機関、国際会議への積極的な参加、協力を通じ、国際理解の促進を図ってまいる所存であります。  以上、当面する労働行政重点事項について、私の所信を申し述べました。委員各位の一層の御指導と御協力をお願いする次第であります。(拍手
  11. 稲村利幸

    稲村委員長 次に、昭和五十八年度厚生省関係予算の概要について説明を聴取することといたします。厚生省坂本会計課長
  12. 坂本龍彦

    ○坂本政府委員 昭和五十八年度厚生省所管予算の概要につきまして、お手元の資料に従いまして簡単に御説明を申し上げます。   昭和五十八年度厚生省関係予算額は、総額で九兆六百十四億六千八百万円でございます。前年度に対しまして、額で四百四十六億三千三百万円の増、率で〇・五%の伸びとなっております。  次のページは、厚生省予算を経費別に掲げたものでございますが、一番下の欄をごらんいただきますと、厚生省予算額の一般会計総予算額に対する割合は一八・〇%となっております。  以下、主な内容につきまして御説明を申し上げます。  目次のページを二枚飛ばしていただきまして、一ページ目をごらんいただきたいと存じます。  最初は、福祉対策関係でございます。  まず、在宅老人福祉対策は総額百三億九千五百万円でございますが、特に要援護老人対策重点を置きまして、家庭奉仕員を一万六千六百十八人から一万八千二百七十八人と大幅な増員を図るとともに、日常生活用具につきまして新規種目を取り入れまして、さらにデイ・サービス事業等の施設活用サービスの拡充を図っております。  二ページにまいりまして、二ページの中ほどから三ページにかけましては在宅身体障害者対策でございます。総額で六百七十八億六千九百万円でございますが、社会参加促進対策重点を置きまして、備考の2にございますように、身体障害者相談員の増員、一県当たり事業費の増額、メニュー事業の追加、デイ・サービス事業実施個所の増加等を図っております。  なお、三ページの備考の5に福祉手当がございますが、福祉手当の額は、各種年金と同様の取り扱いといたしまして、その金額は据え置くことといたしております。  四ページは在宅心身障害児(者)対策でございます。総額で一千百一億七百万円でございます。内容的には精神薄弱者通所援護事業、精神薄弱者相談員、精神薄弱者通勤寮運営、心身障害児通園事業につきまして、それぞれ個所数の増、人員の増を行うことといたしております。  なお、備考の一番下にございます特別児童扶養手当につきましては、年金と同様、その金額は据え置くことといたしております。  五ページは母子保健対策でございます。心身障害発生予防対策を初めといたしまして各種対策を進めるために、総額百三十七億三千七百万円を計上してございますが、新規事項として、神経芽細胞腫検査技術者研修を行うとともに、小児慢性特定疾患治療研究費の対象に内分泌疾患の通院治療を加えることといたしております。  六ページは保育対策でございます。総額二千八百三十二億三千百万円を計上してございます。保育所措置費につきまして、特に乳児保育の対象拡大、嘱託歯科医手当の増を行うことにしております。さらに、特別保育事業費につきましても充実を図ることといたしております。  七ページは児童健全育成対策でございます。総額七百五十七億九千万円を計上いたしております。児童館六十カ所、児童センター八十カ所の新設を予定いたしております。  次に、このページの下から八ページにかけましては、母子・寡婦等の福祉対策でございます。総額二千二百九十三億八千八百万円でございますが、母子寡婦福祉貸付金につきましては、最近の需要の増等を考慮いたしまして、貸付原資の追加を行うこととし、貸付総額も増額を図っております。  八ページにまいりまして、母子家庭等介護人の派遣事業につきましては、対象数をふやすことといたしております。  なお、児童扶養手当につきましては、年金と同様、手当額は据え置きといたしております。  次に、八ページの真ん中から下の低所得者援護対策でございます。  生活保護制度につきましては、生活扶助基準の三・七%引き上げを行うとともに、生活扶助基準の男女差縮小を図り、また、生活保護適正化対策推進することといたしております。また、世帯更生貸付制度につきましても、世帯更生貸付補助金の貸付原資の追加を行うことといたしております。  九ページにまいりまして、中ほどから少し上に社会福祉施設整備と運営がございます。総額八千五百十四億五千九百万円でございます。  まず、施設整備につきましては、積雪寒冷地域の面積加算、養護老人ホームの全室個室化整備を図る場合の特例措置及び僻地保育所に対する新規補助を行うほか、補助基準面積の拡大、補助基準単価の引き上げを行うことにいたしております。  また、施設の運営費につきましては、十ページにございますように、まず、四十四時間勤務体制の計画的改善のため四十分相当短縮の措置を講じることとしているほか、救護施設における精神科医雇上費、身体障害者療護施設における非常勤指導員雇上経費を新たに計上をいたしております。  次に、十一ページからは保健医療対策関係でございます。  まず老人保健対策でございますが、老人保健法に基づく新しい老人保健制度は本年二月一日から実施になりまして、五十八年度は満年度実施となるわけでございます。  医療につきましては、老人医療給付費補助金といたしまして、医療に要する費用の二割を計上しております。  次に保健事業でございますが、備考欄の中ほどから十二ページに掲げてございますような各種の保健事業を実施するとともに、十二ページにございますように、保健事業実施のため、保健所機能の強化を初めとする基盤整備を行うことといたしております。  十三ページは健康づくり対策でございます。総額三百四十一億七千四百万円でございますが、特に備考欄の下の方にございますように、家庭婦人の健康診査費、栄養改善地区組織活動費の対象地区の拡大を図っております。  十四ページを飛ばしていただきまして、十五ページをごらんいただきたいと存じます。  十五ページは救急・僻地医療対策でございます。救急医療対策につきましては、総額百四十七億八千五百万円を計上いたしまして、救急医療体制整備を進めることといたしております。また、僻地医療対策につきましては、総額四十六億九千万円を計上いたしまして、各種対策の計画的整備を進めることといたしております。  十六ページにまいりまして、真ん中よりやや上から特定疾病対策を掲げてございます。  最初に難病対策でございますが、難病対策につきましては、特定疾患治療研究費の対象疾患を二十四疾患から二十五疾患に拡大することといたしております。  十七ページは循環器疾患対策でございます。国立循環器病センターの整備と、国立病院循環器病診療部門強化を中心としております。  十八ページにまいりまして、まずがん対策でございますが、国立がんセンター、国立病院・国立療養所の整備を中心といたしております。  次の腎不全等対策につきましては、腎移植を推進するために、国立佐倉病院を全国の腎移植センターといたしまして、地方腎移植施設整備していくことといたしております。  次に、その下の脳卒中リハビリ対策でございますが、これはリハビリテーション施設老人慢性疾患専門医療施設整備と、理学療法士等養成所の強化を図ることといたしております。  十九ページは精神衛生対策でございます。精神障害回復者社会復帰対策等の推進重点としておりますが、特に五十八年度は、精神衛生対策に必要な基礎資料を整備するために、全国的な精神衛生実態調査を実施することといたしております。  さらに、老人精神衛生相談事業についても推進をしてまいることにいたしております。  二十ページにまいりまして、保健衛生、医療施設等の整備でございます。新規事項といたしまして、食肉衛生検査施設及び設備を対象に加えることといたしております。  二十ページの下から二十一ページにかけましては、看護婦等の養成確保対策と処遇改善でございます。総額四百九十三億五千八百万円を計上いたしまして、養成所の整備を進めるとともに、院内保育事業についても充実を図ることといたしております。  二十二ページにまいりまして、年金制度でございます。年金の額につきましては、現下の厳しい財政事情と物価動向の安定を考慮いたしまして、据え置きといたしております。  次に、福祉年金の所得制限につきましては、老齢福祉年金、障害福祉年金の本人所得による支給制限については、これを支給率維持とすることといたしております。  また、国民年金の国庫負担につきましては、今後福祉年金の給付額の減少が見込まれるために、福祉年金及び拠出制年金の国庫負担の繰り入れにつきまして、長期的な観点に立ってその平準化を図る財政特例措置をとることといたしております。  二十三ページは、医療保険制度でございます。  国民健康保険につきましては、老人保健制度の全面的実施を前提といたしまして、臨時財政調整交付金等において金額の調整を行っております。また、助産費につきましては、補助基準額の十万円への引き上げが全被保険者について完了することとなるわけでございます。  一番下の社会保険事務費の国庫負担金でございますが、これにつきましては、従来どおり社会保険事務費の国庫負担の原則を維持しつつ、被保険者等の保健福祉向上に資する業務に要する費用に限りまして保険料負担といたしたのでございますが、保険料率への影響はございません。  次に、二十四ページにまいりまして、まず戦傷病者戦没者遺族等の援護対策でございます。総額千四百十九億九千七百万円を計上しておりますが、遺骨収集、慰霊巡拝、慰霊碑建設を進めるほか、特に中国残留孤児対策充実強化を図ることといたしまして、新規に中国孤児センター、これは仮称でございますが、これを設置いたしまして、帰国直後の日本語学習、生活訓練等を実施することにいたしております。さらに、訪日孤児の人員につきましても、百二十人から百八十人に増員することといたしております。  二十五ページにまいりまして、真ん中からやや上にございますが、平病死の遺族年金等につきまして、恩給見合いの遺族加算という改善を行うことにいたしております。  また、戦没者等の遺族等に対する特別給付金につきましては、従来の交付国債の償還期限が到来いたしますので、さらに継続支給を行うことといたしまして、戦没者等の妻に対しましては額面百二十万円で十年償還、父母に対しましては額面六十万円で五年償還の国債を交付することといたしております。  次に、環境衛生関係営業振興でございます。総額七十六億一千六百万円でございますが、特に都道府県環境衛生営業指導センターを三十カ所から三十八カ所に増設することといたしております。  二十六ページへまいりまして、原爆被爆者対策でございます。総額九百六十九億六千四百万円でございますが、各種手当額につきましては、年金と同様、据え置きという措置をとってございます。なお、被爆者相談事業といたしまして、相談員を十一人から十三人に増員することといたしております。  その下の地域改善対策でございますが、総額五百五十三億二千百万円を計上いたしまして、施設整備及び各種事業推進することといたしております。  二十七ページは医薬品、食品等の安全対策でございます。それぞれ最近における実情を踏まえまして、所要の経費を計上し、施策を進めることといたしております。  二十八ページにまいりまして、血液、麻薬・覚せい剤等の対策でございます。これにつきましても、最近いろいろと多くの問題が出ておりますので、実情を十分勘案いたしまして、特別対策実施県の増を図っております。  次に二十九ページにまいります。二十九ページから三十ページへかけまして、生活環境施設整備でございます。公共事業費の枠内で、総額千五百七十六億六千二百万円を計上いたしまして、簡易水道の普及促進、水道水源の確保と水道の広域化の推進廃棄物処理対策推進並びに広域廃棄物埋立処分場の確保を図ることといたしております。  三十ページの中ほどに研究開発の推進がございます。総額百六十六億四百万円を計上してございますが、各種の研究費の主なものをここにまとめて掲げてございます。  なお、次の三十一ページ以降に各特別会計の歳入歳出予算等の一覧表をつけてございますが、この説明は省略させていただきたいと存じます。  以上でございます。
  13. 稲村利幸

    稲村委員長 次に、昭和五十八年度労働省関係予算の概要について説明を聴取することといたします。労働省高橋会計課長
  14. 高橋伸治

    ○高橋(伸)政府委員 お手元の資料に基づきまして、昭和五十八年度労働省関係予算案の概要について御説明申し上げます。  まず予算規模でございますが、一ページの真ん中の欄にございますように、昭和五十八年度一般会計予算額は四千九百五十億九千四百万円で、前年度に比較して一・三%の減となっております。  次に、労働保険特別会計予算額は三兆四千百二十六億五千八百万円で、前年度に比べまして六・三%の伸びでございます。  また、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計予算額は百八十四億四千九百万円で、対前年度比一・四%の減となっております。  以上、労働省所管予算額の合計は三兆九千二百六十二億百万円で、前年度に比し五・二%の増となっております。  次に、主要事項について概要を御説明申し上げます。  主要事項は、大きく分けて、二ページにございますように十一本の柱から成っております。  その内訳を御説明申し上げますと、三ページにまいりまして、第一の柱が、雇用失業情勢に即応した雇用対策推進でございます。  まず、先ほどの労働大臣所信表明にもございましたように、本年六月に期限の切れる特定不況業種離職者臨時措置法及び特定不況地域離職者臨時措置法整備統合による雇用対策拡充強化を図るとともに、次の四ページの事項(2)にございますように、業種別の雇用の見通し、雇用の安定に必要な措置等に関する素材産業等についての労使会議を開催することといたしております。  また、失業予防対策を強化し、離職者が発生した場合には、その早期再就職を促進するとともに、地域雇用開発推進事業の実施地域を拡大することといたしております。  五ページをお開きいただきます。第二の柱は、高齢化社会進展に対応する労働政策の総合的な推進でございます。  昭和六十年六十歳定年一般化のため、定年延長指導を計画的に推進するとともに、定年延長アドバイザーの創設、定年延長奨励金の積極的活用、高年齢者職場改善資金融資の増額等の援助措置を拡大することといたしております。  また、今後増加が予想されます六十歳台前半層について、高年齢者雇用確保助成金を活用する等により雇用延長を促進し、シルバー人材センター増設する等により、雇用就業の機会の増大を図ることといたしております。  六ページにまいりまして、中高年齢者の心的な面にも留意した総合的な健康づくりを進める等健康安全対策推進し、また退職手当、企業年金の受給権の保護充実するための措置を検討するほか、本年度創設されました財形年金貯蓄制度の普及促進を図ることにより、高年齢者の所得安定対策推進することといたしております。  また、生涯職業訓練促進給付金の活用高齢者向け訓練科の増設等により、中高年齢労働者の能力開発を推進してまいります。  七ページをお開きいただきます。第三の柱は、産業構造及び就業構造変化等に対応する施策の総合的推進でございます。  マイクロエレクトロニクスを利用した技術革新の急速な進展が、労働条件雇用労使関係等、労働関係全般に及ぼす影響を総合的に調査研究し、また、産業用ロボットに係る安全対策推進するため、関係法令を整備し、技術上の指針を策定するとともに、安全研究施設充実することといたしております。  八ページをお開きいただきます。事項(3)の能力開発対策推進といたしましては、マイクロエレクトロニクスの普及に対応して認定訓練拡充し、公共職業訓練施設の機器を整備して、時代の要請に沿った訓練を実施することとしております。  また、八ページの半ばほどでございますが、雇用発展分野としての第三次産業の比重の高まりに応じて、その雇用や労働の実情に即した対策を進めることとし、パートタイマーの職業紹介体制充実や、雇用労務管理の改善に関する相談の充実等を図ることといたしております。  九ページにまいりまして、社会経済の著しい変化に対応して労働力需給の円滑な結合を促進するため、雇用情報提供機能の強化を図ることといたしております。  十ページをお開きいただきます。第四の柱は、職業訓練関係でございます。生涯職業訓練促進給付金を積極的に活用し、認定訓練に対する助成を充実する等により、事業主等の行う教育訓練振興を図ることといたしております。  また、十一ページにございますように、総合高等職業訓練校の職業訓練短期大学校または技能開発センターへの転換を引き続き進める等、社会経済変化に即応した公共職業訓練推進することといたしております。  十二ページをお開きいただきます。第五の柱は、安全衛生対策関係でございます。働く人々の生命と健康を守り、快適な作業環境の形成を図るため、機械等の安全確保建設業における労働災害の防止及び職業性疾病の予防対策推進することとしております。  十三ページにまいりまして、日本バイオアッセイ研究センターにおける化学物質の有害性の調査推進し、また、産業医科大学に大学院の設置準備を進める等、産業医学の振興を図ることといたしております。  十四ページをお開きいただきます。第六の柱は、職業生活向上と労働者福祉増進でございます。  労働時間対策といたしましては、引き続き業種会議を開催し、会議終了集団のフォローアップを図るとともに、完全週休二日制実施の条件づくり等に努めることとしております。  賃金福祉対策といたしましては、財形持ち家個人融資の活用を促進する等により財産形成を推進するとともに、最低賃金制度推進、未払い賃金立てかえ払い限度額の引き上げ、勤労青少年福祉対策推進等施策を講ずるほか、次の十五ページにございますような勤労者のための福祉施設整備を図ることといたしております。  十六ページをお開きいただきます。第七の柱は、特別な配慮を必要とする人々の職業生活援助する施策推進でございます。  まず、総合的な心身障害者対策といたしましては、障害者雇用機会を確保するため、身体障害者雇用率の達成指導を強化し、心身障害者重点公共職業安定所における職業相談体制の充実等を図ることとしておりますが、特に困難な状況の見られる重度障害者重点を置いて雇用対策推進することといたしておりまして、十七ページにございますように、第三セクター方式による重度障害者雇用企業の育成を図り、サリドマイド等による両上肢障害者に対する就職援助特別事業を引き続き推進してまいります。  また、精神薄弱者雇用対策として、第三セクター方式による精神薄弱者能力開発センターの育成に努めるほか、職業訓練大学校の福祉工学料を五十八年度より発足させることといたしております。  また、医療から社会復帰までの一貫した総合リハビリテーション施設の設置計画を引き続き進める等、リハビリテーション対策推進することといたしております。  次に、最低工賃の決定、改定の促進等により家内労働対策推進し、また、事項3のように、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の有効期限の延長を図ることといたしております。  このほか、十八ページにまいりまして、炭鉱離職者、駐留軍離職者、沖縄失業者、同和関係住民等のための雇用対策についてもそれぞれ充実することといたしておりますが、駐留軍離職者につきましては、駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期限の延長を図ることといたしております。  十九ページの半ばほどの季節労働者対策といたしましては、積雪寒冷地の季節、出稼ぎ労働者の通年雇用を促進するため、通年雇用奨励金の増額を図りますとともに、積雪寒冷地冬期雇用安定奨励金及び積雪寒冷地冬期職業講習助成金制度を新設することといたしております。  このほか建設労働者、二十ページにまいりまして母子家庭の母等、中国引き揚げ者、インドシナ難民についての雇用対策も引き続き推進してまいります。  失業対策事業につきましては、失業対策制度調査研究報告の趣旨に沿いまして、今後とも引き続き事業の適正な運営に努めてまいります。  二十一ページをお開きいただきます。第八の柱は、男女の平等促進とそのための環境条件の整備関係でございます。  まず、平等を確保するための法的整備についての検討を進める一方、男女別定年制等の解消に向けての行政指導の強化を図る等、雇用における男女の機会と待遇の平等促進のための対策推進するとともに、育児休業制度を普及促進するため、奨励金の充実、それから二十二ページにまいりまして、その法的整備の検討を行うことといたしております。  また、婦人労働能力活用事業を引き続き実施する等、婦人に対する再就職援助対策推進してまいります。  二十三ページをお開きください。第九の柱は、労使の相互理解と信頼を強化するための環境づくりの推進でございます。産業労働懇話会の開催等による労使のコンセンサスの形成促進に引き続き努めるとともに、労使関係の実情に関する調査研究を実施することといたしております。  二十四ページは、第十の柱の労働外交関係でございます。新たな視点に立った開発途上国への国際協力推進するため、本年度に引き続き開発途上国の労働問題に対する労使による協力事業を実施し、また、海外職業訓練協力センターの設置を推進するほか、アジア・太平洋地域技能開発計画へ協力する等、開発途上国労働者の労働能力の開発に引き続き協力していくことといたしております。  また、貿易摩擦等変動する国際労働問題への迅速な対応を図り、二十五ページへまいりまして、わが国の労働事情に関する広報活動等を行い、また、今後ともILO、OECD等の国際機関の活動へ積極的に参加、協力してまいることといたしております。  以上のほか、二十六ページにございますように、行政需要の変化に対応する体制の整備充実を図ることといたしております。  昭和五十八年度労働省所管予算案の概要は、以上のとおりでございます。
  15. 稲村利幸

    稲村委員長 以上で、両大臣の所信表明並びに両省の昭和五十八年度予算の概要についての説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十時五十八分散会