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1983-05-19 第98回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十九日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 上原 康助君    理事 逢沢 英雄君 理事 工藤  巖君    理事 高鳥  修君 理事 池端 清一君    理事 田中 恒利君 理事 柴田  弘君    理事 横手 文雄君       越智 伊平君    大石 千八君       笹山 登生君    谷  洋一君       近岡理一郎君    村岡 兼造君       伊賀 定盛君    小野 信一君       鈴木  強君    吉原 米治君       草野  威君    武田 一夫君       和田 耕作君    林  百郎君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 加藤 六月君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官     荒井 紀雄君         農林水産大臣官         房審議官    大坪 敏男君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用第一課長   萩  次郎君         厚生省社会局施         設課長     近藤純五郎君         林野庁指導部長 鈴木 郁雄君         林野庁指導部造         林課長     依田 和夫君         林野庁指導部森         林保全課長   古宮 英明君         気象庁予報部予         報課長     黒澤真喜人君         建設省住宅局住         宅建設課長   高橋  徹君         自治大臣官房参         事官      松本 和雄君         消防庁消防課長 清水 良次君         消防庁地域防災         課長      志村 哲也君         住宅金融公庫貸         付部長     田母神三郎君     ───────────── 委員の異動 五月十九日  辞任         補欠選任   小川 省吾君     小野 信一君   薮仲 義彦君     武田 一夫君   渡辺  朗君     和田 耕作君 同日  辞任         補欠選任   小野 信一君     小川 省吾君   武田 一夫君     薮仲 義彦君   和田 耕作君     渡辺  朗君     ───────────── 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(東北地方中心とした山林火災問題)      ────◇─────
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、去る四月二十七日発生東北地方中心とした山林火災について、政府から説明を聴取いたします。国土庁荒井審議官
  3. 荒井紀雄

    荒井政府委員 先般の東北地方中心としました山林火災状況及びそれに対する対応状況につきまして御報告を申し上げます。  お手元に縦長の資料横長資料を二部ずつ差し上げてございますので、ごらんをいただきながらお聞き取りをいただきたいと思います。  当時の気象状況につきましては、移動性高気圧が日本の南海上から本州付近を覆っておりました。一方、沿海州からの低気圧、さらに別の低気圧が北海道の西岸にございまして、南北の気圧傾度が急になりまして、東北地方各地で南または西寄りの強い風が吹き荒れまして、一部ではフェーン現象もあらわれたわけであります。また、二十三日以降各地とも雨らしい雨がなく、極端な乾燥状態にあったわけでございまして、こういったような気象状況下におきまして、四月二十七日十時ごろから十五時三十分ごろにかけまして、東北地方各地で、さらにまた石川県におきまして、大規模な林野火災発生いたしました。  焼損面積十ヘクタールを超えるものにつきましては合計十三件に達しておりまして、被害状況は、負傷された方十三名、焼損建物百六十棟、うち住家五十七棟、焼損面積四千四百九・七ヘクタールに上っております。これらの詳細につきましては先ほどの横長資料にございますので、ごらんをいただきたいと存じます。  これらの状況対応するために、四月二十八日に災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしまして、政府として講ずべき措置等について協議をいたしました。  現在までに講じた措置及び今後の対策についてでございますが、まず消火活動救助救護活動につきましては、自衛隊におきまして、県知事の要請によりまして青森、岩手、宮城、石川などの各県におきまして、延べ約九千名、車両延べ約千両、航空機延べ約七十機を派遣しまして、消火活動及び空中偵察等活動を実施いたしました。  また警備関係では、警備連絡室を設置しまして、指導調整に当たりましたほか、現地には警察官延べ約三千人を動員しまして、住民避難誘導交通規制等応急活動に努めました。  消防関係では、東北地方林野火災災害対策連絡室を設置しまして、情報収集を行いますとともに、担当官久慈市の現地に派遣しまして指導調整に当たらせました。出動いたしました消防職団員は、職員約一千八百人、団員約一万一千人に上っております。  次に、久慈市につきましては、海上避難を行うべく災害派遣要請を受けました海上保安庁におきまして、直ちに巡視船が出動しまして、巡視船五隻、航空機二機を出動させまして避難民二十八名の救出等を実施いたしました。  ライフライン関係につきましては、電力施設が、約四百戸程度停電いたしましたが、二十八日十六時四十六分に完全復旧いたしております。  また国鉄バスにつきましても、一部折り返し運転を行いましたが、二十九日始発から平常どおり運転をいたしております。なお、救援物資無賃輸送を一カ月間実施をいたすことにいたしております。  次に、久慈市につきましては、災害救助法を二十七日適用いたしまして、避難所の設置、炊き出し、応急仮設住宅供与等救助を実施いたしました。なおまた簡易水道が一時断水いたしましたが、二十八日中には完全に復旧いたしております。  次に、住宅でありますが、災害復興住宅資金貸し付けを行うよう住宅金融公庫に対し指示を行いまして、一部現在手続に入っております。  また被災地荒廃状況調査しまして、必要に応じまして砂防工事を実施いたすことといたしております。  林野被害でありますが、東北地方等林野火災対策室を設置しまして、担当官現地に派遣するなど被害状況早期把握に努めております。また森林国営保険あるいは漁船保険等保険金につきましては、すでに早期支払い指導をいたしまして、漁船保険につきましては一部仮払いを実施いたしております。農林漁業金融公庫融資につきましては、被害の実情に即しまして関係者資金種類融資条件等制度徹底を図るよう指示いたしております。また被災漁業者漁船及び漁具取得につきまして、関係機関指導いたしております。  次に、被災林地治山事業でございますが、緊急事業を実施することといたしておりまして、また造林等林業復旧事業の活用を図るなど、適切な措置を講ずる所存でございます。  中小企業につきましては、久慈市におきまして八件、四千三百万円と報告が来ておりますが、政府系中小企業金融機関に対しまして災害貸し付け制度の発動を指示いたしました。  次に、地方財政につきましては、被害状況財政状況を勘案いたしまして、地方債の配分あるいは特別交付税措置を通じまして、適切に対処いたしてまいります。なお、久慈市に対しましては普通交付税一億六千四百万円を五月十一日に繰り上げ交付をいたしました。また、被災納税者の方の税の減免措置等について指導をいたしております。  次に、郵政関係につきましては、為替貯金非常取り扱いを実施いたしております。また被災地には特設公衆電話を設置して対応いたしました。  現在の状況は以上のとおりでございますが、今後なお被害の精査を待ちまして適切な対策を講ずる所存でございます。  以上、御報告を終わります。
  4. 上原康助

    上原委員長 これにて説明は終わりました。     ─────────────
  5. 上原康助

    上原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。工藤巖君。
  6. 工藤巖

    工藤委員 ただいま御報告がありましたように、去る四月二十七日、四日前から異常乾燥注意報が出され、またその日には強風警報も出ておったわけでありますが、そういう状況の中で、東北各地山林火災発生し、多大の被害を与えました。特に岩手の場合は、久慈市におきましては住家あるいは漁船等焼失をするなど、たくさんの被害が出たのでございます。  この災害に対しまして、まず国土庁長官加藤大臣には直接現地においでいただきまして御視察をいただき、また各省庁もそれぞれ適切な対応をしていただきました。あるいは調査も進めていただきました。それらの御労苦に対してまず深く敬意を表し、感謝申し上げたいと存じます。  同時にまた、この被災者に対して全国各地から多大の救援物資あるいは義援金等が寄せられております。地元の出身の代議士として衷心より感謝申し上げたいと存じますが、そういう不慮の災害に対する国民の皆様の温かい配慮、そういう心を心として、われわれは災害対策を講じていかなければならないであろう、災害対策というものはそういうものだろうと思うのであります。そういう前提で幾つかの御質問を申し上げたいと思いますので、よろしく御答弁をいただきたいと存じます。  まず、林野火災についてでありますが、広大な面積植林地が烏有に帰してしまいました。将来の美林を夢見ている人々にとって、取り戻しのできない災害であると思います。久慈地域においては三年にわたる冷夏の災害あるいは台風の被害あるいは洪水という、この地域にはここ数年そういう災害が続いておりました。その中にありましての、またの林野火災であります。この焼失した山林を前にして、山村住民はどうしてこれに対応復興していこうかということで途方に暮れているのが実態であります。焼失した林木を伐採をして搬出をしなければならない。さらに勇気をふるって、これに植林をしていこう、こういう住民人々意欲をかき立てるような、そういう対策を期待したいと思うのであります。  そこで、林野庁においては、この山林火災に対してどのような対策を考えておられるか、基本的に、そのことをまず伺っておきたいと思います。
  7. 鈴木郁雄

    鈴木説明員 お答えいたします。  山火事跡地早期にかつ的確に復旧いたしますためにまず現地調査が大事でございまして、現在被害状況等につきまして具体的な調査を行っています。この調査結果を待ちまして対処するわけでございますが、林野庁におきましては、災害発生後直ちに治山あるいは林道あるいは造林等の各担当官現地に派遣いたしまして、被害状況把握に努めております。今後引き続き岩手県等の御協力を得まして、早期被害対策を講じてまいりたいということでございますが、跡地復旧造林につきましては、造林補助事業あるいは無利子資金林業改善資金等貸付制度がございます。あるいは森林災害復旧事業、これらの各事業によりまして復旧造林に努めてまいりたい、かように思っています。  また、被害木搬出あるいは跡地復旧造林に必要な林道、これらにつきましても対処してまいりたいというようなことで、被災森林復旧に万全を期してまいりたいと思っております。  また、今回の火災に伴いまして森林が荒廃いたしておりまして、次期の降雨等によりまして崩壊のおそれのある個所、特に梅雨期が近づいておりますので、人家に近接しておりますような個所等につきまして緊急治山事業によりまして早急に復旧するということで対処いたしております。二次災害発生しないように十分努めてまいりたい、また保安林改良事業等によりましてその他の復旧に努めてまいりたい、このように思っております。
  8. 工藤巖

    工藤委員 ただいまの御答弁の中でもありましたように、山林火災復旧に当たってはまず焼けた被害木を伐採してこれを搬出、整理をしなければならないし、あるいはその跡に造林を計画的に進めることになります。そのためには必要な林道もつくらなければならないところもあり、あるいは作業道整備が必要であるところも当然あるわけであります。こうした事業に合わせて緊急治山という仕事も当然あるのであります。  物心両面から痛手を受けている山村住民であります。かつ林業の現在の状況というものは、御承知のとおり大変厳しい経済状況の中で林業経営は非常に苦しい状態にあるわけです。いま無利子融資の話がありましたけれども、相当十分な補助対策が講ぜられていくのでなければ、山の跡片づけから造林までやっていこうという意欲がなかなかわきにくいというのが現在の林業経営実態ではないかと思うのであります。したがって、できるだけ高率の補助を適用するように、住民気持ちにこたえ、これに励ましを与えるような財政援助対策を行うように配慮をしていく、その決意について一言、重ねて林野庁から伺いたいと思います。
  9. 鈴木郁雄

    鈴木説明員 跡地造林造林制度、特に森林災害復旧事業等につきまして十分今回の災害に対しまして対応してまいりたいと思っております。また、被害木搬出あるいは復旧のために林道が特に重要でございますので、これにつきましても開設をやってまいりたい、かように思っております。
  10. 工藤巖

    工藤委員 いわゆる激甚災害法激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の適用によって補助率ども相当高いものが出てくるし、地域では激甚災害としての指定を当然期待していると思うわけであります。それで、この局地激甚災害指定に関する見通しなどはいかがでしょうか。これは国土庁から伺いたいと思います。
  11. 荒井紀雄

    荒井政府委員 御案内のとおり局地激甚災害指定につきましては基準ができておりますが、一つは、林業被害見込み額当該市町村生産林業所得の一・五倍を超える、これは足切りがございまして、全国生産林業所得の〇・〇五%未満のものを除くという足切りがございますが、それが一つでございます。それからもう一つは、要復旧見込み面積市町村民有林人工林面積の二五%を超えるという二つの基準がございまして、現在私どもこの基準に該当するかどうかを認定いたしますために、いろいろ調査をやっております。  先ほど林野庁から御答弁申し上げましたとおり、調査林野庁におきまして現在鋭意調査中でございますが、できるだけこれを早目にまとめたいということで作業を急いでいただいております。中央防災会議事務局としての国土庁としましては、この調査結果を得次第、早急に検討に入りたいというふうに考えております。
  12. 工藤巖

    工藤委員 局地激甚指定をするための基準として、被害額の問題が一つ、それから面積による基準一つ、こうあるわけでありまして、いまのお答えのとおりであります。  久慈市の場合を例に挙げれば、およそ千ヘクタールの林野火災に遭っております。人工林約四割と聞いておるが、被害額としては当然基準に該当するだろうと予想されます。これは調査をやっている途中でありますから。ただ、面積基準からいうと、町村合併によって各町村面積というのは大変広くなってきておる、こういう中で復旧すべき被害地面積がその町村人工林面積の二五%を超えるといったようなことになると、これはなかなか該当しにくい問題があるのではないかと予想されるわけであります。  しかし、数百ヘクタール、千ヘクタールという山林火災発生して、これが局地激甚に該当しないということは、常識的に考えても大変おかしな話だと思うのです。もしそうだとするならば、例の局地激甚指定基準についてこれを見直していくべきであろう、こう思うのであります。  これについて大臣、どのようにお考えでございましょうか、御所見をいただければと思います。
  13. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど来林野庁並び国土庁の方から答弁いたしましたように、調査を急がせておるところでございます。先生の御意見のように、その結果を待ってこのような火災による被害を救済するために現在の基準でよいかどうか検討をしてみたい、このように考えておるところでございます。
  14. 工藤巖

    工藤委員 ただいま大臣から、このような大きな災害を現在の局地激甚指定基準で救済できるかどうか、これを検討してみたいという前向きの御答弁をいただきました。地域住民ともども心から感謝申し上げたいと思います。そして、こうした林野火災久慈市ばかりでなくて県内に幾つもございます。こうした大きな災害が特にこのような経済的な諸情勢の中で局地激甚指定をされて、国の災害に対する配慮十分住民気持ちにも伝わる、こういうことになって初めて復旧意欲も、この山に取り組む意欲も出てくるだろうと思いますので、どうぞよろしくお願いをしたい、かように存じます。  次に、水産関係火災についてでありますが、山の火事が国道を越えて飛び火をし、さらに海岸沿いにある集落をはうように火がなめまして、浜に置いてありました漁船およそ百隻がこのために焼失をいたしております。こうした漁船被害、あるいは冷蔵庫その他の施設災害に遭っております。こういうものに対する災害対策の基本的な考え方を農林水産省からお伺いしたいと思います。
  15. 大坪敏男

    大坪政府委員 ただいま先生指摘のように、今般の林野火災におきましては、同時に岩手県の久慈漁港周辺において水産関係被害を与えたわけでございます。その被害状況につきましては、漁船漁具共同利用施設、さらには漁業者の持ちます個人的な施設等々がございまして、被害全体の総額といたしましては、岩手県からの報告によりますと約七億円というふうに承知しているわけでございます。  私どもといたしましては、こういった災害発生に対処いたしまして、特に現在はこの地区においてはコウナゴの漁期でございます。さらにまた近々カレイなりウニの漁期に入るということでもございますので、早急に操業再開の態勢をとる必要があるということから、岩手県当局とも密接な連携をとりつつ各般対策を講じてまいっておる次第でございます。  その主な点につきまして御説明申し上げますと、まず何と申しましても焼失いたしました漁船がただいま先生の御指摘のように百十隻を超えるという状況でございますので、極力代船、かわりの船を確保するということが緊要でございますので、その実現のために当該地区漁協中心となりまして一括して代船を購入すべく指導しておるところでございます。その最近時での状況について申し上げますと、約四十隻につきましては漁協において取りまとめが行われ、発注も行われておりまして、逐次現地に到着しておる状況でございます。したがいまして、県当局からの報告によりますと、当面の操業については大体支障なく行われるのではないかというふうに承知している次第でございます。  また、今回焼失いたしました漁船に関しましては、動力漁船に関して申し上げますと、七、八割の船が漁船保険に加入をしておったわけでございますので、何としてもこの漁船保険金を早急に支払うということが必要でございますので督励をしてまいっておるわけでございますが、現状で申し上げれば、全損、つまり焼失してしまった漁船につきましては、すでに本月四日に保険金を支払っておるわけでございます。また残りの分損、一部損失の漁船につきましても、早急に支払いを行うべく関係方面督励に当たっておるところでございます。  さらにまた、漁船漁具等々の取得、建造につきましては、何としても資金が要るわけでございます。この場合におきましては、私どもの認識といたしましては農林漁業金融公庫各種資金が有効に活用さるべきであると考えておりまして、そのために農林漁業金融公庫に対しまして、関係の方々に、各種資金がございますので、資金種類なりその貸付条件等について周知徹底を図る、同時にまた資金申し出があった場合には円滑に対応するということで指導をいたしておる次第でございます。  また、漁船漁具等のほかに、共同利用施設としてございました冷蔵庫加工所等々が焼けたという実態もございます。そこで、実はこの地区は新沿岸漁業構造改善事業実施地区にすでに指定されておりまして、これまで各般事業を実施してまいっているわけでございますが、今般の火災によりまして被災いたしました冷蔵庫等復興整備につきましては、この沿岸漁業構造改善事業の中に取り込んでやってはどうかという構想が実は県当局並びに漁協にあるわけでございまして、目下そういう方向で検討が進められておると承知しております。  そういたしますと、これの事業につきましては補助対象になるということであるわけでございますので、私どもといたしましては、県当局でのこの構想がまとまりまして、形といたしましては構造改善事業実施計画の変更ということになるわけでございますが、その案がまとまり次第県から協議があるというふうに考えておりますので、その際には適切な対応をいたしたい、かように考えている次第でございます。  以上、概要だけを申し上げましたが、今般の久慈漁港地区におきます水産業関係被害につきましては、引き続き岩手県当局とも十分連携をとりながら万全の措置を講じてまいりたい、かように存じている次第でございます。
  16. 工藤巖

    工藤委員 ただいま、焼失した冷蔵庫などについて、新沿岸漁業構造改善事業の一環としてそれに取り入れてその整備を図っていただくということでございますが、それは大変適切な措置であると思います。この点については県と十分連絡をとって、漁民の納得のいく、満足のいくような対策をとっていただきたいと思います。  それでいま一つ伺いたいことがありますが、応急仮設住宅についてであります。  これにつきましては、県においても久慈市においてもそれぞれ必要な仮設住宅をつくったのでありますが、これは定かじゃないが承るところによると、基準が七坪であるというふうに話を聞いております。実際には久慈市でつくっております仮設住宅は七坪では済まないわけでありまして、十二坪から十五坪程度の応急仮設住宅をつくってそこに収容をしているという実態であります。  現在のこの七坪という基準が画一的でよいのかどうかということに疑問を持つのでありますが、家族の構成もあろうし、さまざまな実態があろうかと思います。そういう実態に合わせてこの基準というものを考えるべきではないだろうか。今回の機会にひとつそのこともあわせて検討してほしいし、基準を超えた面積仮設住宅をつくった場合これは当該市の負担になるわけでありますけれども、その市でつくった仮設住宅に対する財政面からの補てんというか援助というか、こういうものについてはどう考えているか、これは厚生省でございましょうか、所管から簡単に伺っておきたいと思います。
  17. 近藤純五郎

    近藤説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、応急仮設住宅基準は七坪、二十三・一平米でございます。ただ、これは画一的な二十三・一平米ではございませんで、多くの仮設住宅を足し算いたしまして平均が二十三・一でいいというふうな考え方であるわけでございますので、その地域の事情に応じまして若干の大きさ、小ささというのはできるわけでございます。  ただ、これだけでまだ対応できないという面もあろうかと思いますので、私どもこれからさらに検討していかなければいけないと思っております。  今回の久慈市の場合におきましては、浴室がないということで、その分は共同浴室で加算するというふうな形をとっておりますし、そういうふうなことで私どもとしては弾力的に対応したいと思っております。県当局の今回とった仮設住宅は一応基準の中におさまっているということでございまして、それにプラスして市が追加してつけたというケースはあるようでございますけれども、これにつきまして私ども実態を聞きまして弾力的に対応いたしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  18. 工藤巖

    工藤委員 ただいまのお話ですが、私の現時点で把握しているところでは、県では今度の災害で十九棟の仮設住宅を建てた。これは七坪の基準内で建てている。ところが久慈市の場合は、十八棟の仮設住宅を建てて、それはいずれも十二坪から十五坪、家族構成などを勘案してオーバーしたものをつくらざるを得なくてつくっているというふうに理解をしております。ただいまの御答弁で結構でありますが、地域実態に即した仮設住宅が建てられるように、その基準についても弾力的に対応してほしいものだ、こう思います。  それで、時間も迫っておりますので、最後に、今後のこういう問題に対しての対策について伺いたいと思うのであります。  一つ山林火災でありますが、この山林火災発生をした場合、ことに今度のような強風下、もう台風にも匹敵するような、それでビニールハウスが県内各地で倒壊してそれによる被害発生しているような強風の中で林野火災発生したときに、この対応というのは大変困難であろうと思われます。しかしそれにしても、三十年の長期にわたって林木を育てていこうとする営みに対して、それが仮に三十年に一度の火災があっても、せっかく育てた美林というものが烏有に帰してしまうのであります。  現に昭和三十六年に、岩手県の三陸地方ではフェーン火災によって多大の被害が生じております。今度の山林火災がそれと重なったところもあるわけであります。岩泉町などはその一部がそのフェーン火災被害地と重なっております。  こういうことを考えてみると、長期の林業経営を安定させるためにも、防火帯、いわゆる林木を植栽しない一定の間隔を持った防火帯のようなものをやはり取り入れていく必要があるのではないだろうか。もう一般の火災はそこで終息をする。すでにやっているのかもしれないけれども、そういう方法を考えていくことが地域によっては非常に大事なところもあるのではないかと思われます。  あるいはまた、消防も山林火災に対する訓練はやっております。大変真剣にやっておりますけれども、水を山頂に運搬するということは非常に困難があります。要所要所に、たとえば自然の湧水とかそういったようなものを利用しながら、貯水場所のようなものをできるだけ考えていくという方向に指導ができないだろうか。山林火災の恐怖を目の当たりにするにつけても、そういう山林火災発生対応する指導が必要なのではないかと思うのでありますが、どう考えておられるでしょうか、林野庁からちょっと伺いたいと思います。
  19. 鈴木郁雄

    鈴木説明員 ただいま先生からお話のございました防火施設等の設置に対します林野庁の助成措置でございますが、森林保全管理事業という事業がございまして、この事業によりまして防火管理道といったような防火管理施設もやっておりますし、また林道の開設に伴いまして貯水槽などの防火施設も設置いたすことにしております。また治山事業で保安林改良事業という事業をやっておりますが、これによりまして防火帯の設置、特にサンゴジュとかトべラ、こういった火に強い樹種の防火林の設置、こういったようなもろもろの事業をやっておりまして、これらによりまして有効に林野火災の防止に努めてまいりたい、このように思っております。
  20. 工藤巖

    工藤委員 ただいま御答弁があったような方向で地域に対しての指導をよろしくお願い申し上げたいと思うのであります。  今次火災の中で、小高い山の中腹にあります和光苑という特別養護老人ホーム、いわば寝たきり老人の施設がただ一つだけ焼失を免れました。これは非木造、つまりコンクリートづくりであって耐火構造であったということもしかりその原因であろうと思うのでありますが、その山腹に登っていく山道の両側の民家は全部焼けてしまっております。登り口にあります集落は全部焼けています。そして、その特養施設の周辺の山林も皆焼けているわけであります。その中にあってこの特養施設が残ったということは、災害の中にあっても大変よかったなと思うことの一つであります。  これは、二階建ての施設の中で、五十人収容の寝たきり老人を全部一階におろして、ぬれタオルを各自に与えて、窓をぴちっと閉めて、そして静かにそこで待機をさせた。そして若干の市職員とその養護老人ホーム、これは法人組織でありますが、そこの職員が必死になって頭髪が焦げるような状態の中で消火に当たったのであります。そうして隣接の住宅を一軒火災から守りました。と同時に、その施設が残ったわけであります。私は、その翌日、まだ余じんが残っているような状態の中でその施設が焼け残っている姿を見て、まことに沈着冷静な対応がこうした特養施設一つだけを残したといういい結果につながったのであろうと思って、その労に対して心から感謝もし、また大いにこれは称賛に値することだと思っているわけであります。  これもいわばその山林の丘の中腹にある施設であります。この山林の周辺に消火のための貯水槽とかそういったものがあったならば、追っかけて消防車が入れなかった、もう火の海で消防車がそこまで行けなかった、こういう状態なのでありますから、こうした防火施設というものがきわめて重要であるということを痛感をしてまいったのであります。  そこで、今度は消防庁の方に伺いたいのでありますが、今般の火災焼失をした地域というのは海岸沿いにある細長い集落であって、こうした火災に対してはいわば非常にもろい地域だと言うことができます。そこで、こういうような火災発生しやすい地域とか、あるいは点在する小さな集落とかいう場合には、消防基準を全国一律ではなくて、こうした地域実態に即した消防基準というものがあってよいのではないだろうか、こう思います。  また、今般の火災での一つの特徴として、五トン、六トン積めるミキサー車に水を積んで火災現場との往復をしたのであります。これがこの火災の消火に非常に大きな力になったということでありまして、普通のタンクローリーが二トン、三トンなのに対してミキサー車は六トン入る、こういうものが水を運ぶことに大変役に立ったということであります。こういうことも今後の防火体制の参考として消防庁で考慮の中に入れてほしい。  こんなことにつきまして消防庁の御見解を、時間でございますので大変恐縮ですが簡単にお願いをいたしたいと思います。
  21. 清水良次

    ○清水説明員 消防力の基準についてのお話でございますが、たとえば動力ポンプの配置といったようなことについては、市街地とか密集地とかその他の地域とか区分をいたしまして、人口によって算定をすることになっておりますけれども先生御承知のように、この基準につきましては九条の三でございましたか、地域の実情によってその台数を増減することができることになっております。あるいはまた消防団員の数につきましても、防災上必要である場合にはふやすことができることになっておりますので、そうした条項の適切な運用といったようなことを、さらにこれからも私ども指導してまいりたいと思います。  水利の問題につきましても、今回のことを教訓にいたしまして、私どもも勉強してまいりたいと考えております。
  22. 工藤巖

    工藤委員 ありがとうございました。こうした基準の見直しあるいは万全の体制というものを今後とっていっていただきたいし、基準の改定、同時に財政力の弱い市町村に対する配慮ということも当然あわせて考えなければならないことでありますが、その点をよろしくお願いをして、私の質問を終わります。
  23. 上原康助

    上原委員長 次に、小野信一君。
  24. 小野信一

    小野委員 被災者の皆さんに心からのお見舞いを申し上げますとともに、復旧復興の一日も早からんことを祈念して質問に入ります。  ただいま工藤先生から質問がありましたので、重複を避けまして、できるだけ別な問題を取り上げていきたいと思います。  最初に、国土庁長官にお尋ねしますけれども岩手県の久慈市の経済水準あるいは社会水準とでもいうものでしょうか、その実態をどのように認識し、把握しておられますか。
  25. 荒井紀雄

    荒井政府委員 数字を中心にしてお答えを申し上げたいと存じますので、私からお答え申し上げたいと存じます。  被災地の方々の生計状況と申しますか、これを推しはかるものとしまして、まず市民所得がございますが、久慈市の昭和五十五年度の市民所得は百二十一万七千円でございまして、県平均よりわずかに低いという状況でございます。  それからまた、被災されました六十一世帯の方々の五十七年度の平均所得でございますが、百二十三万五千円でございまして、久慈の市民所得全体よりも若干低いという状況でございまして、三年連続の冷災害地域ということで大変お困りになっておられる地域というふうに思っております。  また、自治体としまして救済対策に当たります久慈市の財政規模でございますが、五十六年度の歳出決算で百七億余でございまして、財政力指数が〇・三三でございました。県内市町村平均の〇・四五よりも低いという状況でございます。
  26. 小野信一

    小野委員 昭和五十五年の全国平均所得が百六十五万でありますから、久慈市は七七%にすぎません。東京都民一人当たりの二百三十万円に比較いたしますと、五五%に相当いたします。久慈市の予算規模は約百十億ですけれども、自主財源二五%、全国の都市の中でも最下位に属します。今回の被災された四十五棟、六十一世帯の平均所得は、いま御報告がありましたが、百二十三万五千円。その中で非課税世帯が六、均等割だけを納めている世帯が三十一、所得割二十四。久慈市は全国の中でも低所得地帯である。その中でも、今回の被災者は低所得階層であったということは、これから政府が政策を進める上で基本として非常に考えておかなければならない点じゃないか、私はそう考えます。  そこで、私ども激甚災害指定を当然適用されるべきものだと思いますけれども、その基準久慈実態と非常にかけ離れておる。  そこで今度は局地激甚災害指定をしてほしいというのですけれども、先ほど申し上げましたように、調査中だとは言いますけれども、これも久慈市の実態から申し上げますと適用が非常にむずかしいのじゃないだろうか。大臣は、これらの低所得地帯に対する配慮として、局地激甚指定基準の見直しを早急に行いたい、こう答弁されましたので、それは急いでほしいし、地域人々にとってはまことにありがたいことでありますけれども、もし局地激甚災害指定にならないとするならば、今回の復旧がまた非常にむずかしいことになります。  したがって、もし局地災害指定ができない場合に、国土庁長官として、この久慈市の経済実態に見合うような、あるいはこれから当然改正される基準、改正された基準に沿った特別な配慮がなければ復興が非常にむずかしいのじゃないか、こう私は思うのですけれども指定基準が改正されるまでの間に今回の久慈に対してどのような特別な配慮をするつもりなのか。私はそうすべきだと思うのですけれども、もしそのような対策をお持ちであるならば、大臣なり関係省庁の御答弁を願いたい。
  27. 加藤六月

    加藤国務大臣 四月二十八日に関係省庁連絡会議を開いてやったことは、各省庁現在の時点においてできるだけのことをやってもらいたいということで、先ほど来答弁いたしておりますように、各省庁それぞれの立場で一生懸命やってくれております。さらに、現在の政府関係金融機関あるいは保険その他すべてを活用して、被災地の速やかな復旧、そして市民の皆さん方の復旧意欲を押し上げ、守っていく方法を講じなくてはならない、このように考えておるわけでございます。  具体的な問題は関係省庁の方からお答えさせたいと思います。
  28. 小野信一

    小野委員 法律で規定された許容範囲の救済事業につきましては、大臣が早急に連絡会議をつくって対策を立てたことについては非常に感謝を申し上げます。  しかし、先ほど申し上げましたように、久慈の経済実態が現在の法律基準では救えない、復興が非常にむずかしいという実態でありますから、それ以上の対策を私どもは希望したい、こう考えるわけです。局地災害指定基準が改定になったとしても、その救済が今回の久慈市に適用にならないとするならばまことに残念でありますし、その法律ができたら久慈市には繰り上げ適用する、そういうお考えにはなりませんか。
  29. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど来工藤先生にお答えしたわけでございますが、現在実態調査中でございます。したがいまして、その調査の結果を踏まえまして基準の問題点等を検討いたしたい、こう申し上げておるわけでございますので、そこら辺はよろしく御推察、御勘案のほどお願い申し上げたい、こう思っておるところです。
  30. 小野信一

    小野委員 具体的にお尋ねいたします。  今回の被災者災害復興住宅資金融資についてどれほどの申し込みをしておりますか。
  31. 田母神三郎

    ○田母神説明員 お答えいたします。  ただいま現在では申し込みはございませんが、その前提となります災害被害程度について認定を地方公共団体で受けておりますのは七件あると、調査の結果出ております。
  32. 小野信一

    小野委員 先ほど申し上げましたように、六十一世帯の平均所得が百二十三万五千円です。確かに、災害復興住宅資金金融の枠は、融資限度額が七百三十万円、三年据え置き五%の金利でありますから、一般の所得のある人であるならば非常に優遇されておると私は思います。しかし実際、この年間所得水準からいきますと、この七百三十万の最高額は借りられません。百二十三万五千円の年間収入で制度を活用すれば幾ら借りられますか。
  33. 田母神三郎

    ○田母神説明員 お答えいたします。  百二十三万五千円でございますと、私の方の収入に見合います貸付額としましては、毎月返済いただきます額の四倍以上の収入ということを必要として運用しておりますので、それでいきますと、償還金が二万五千二百六十二円となります。木造の場合でございますと四百三十万の融資、こういうことに相なります。
  34. 小野信一

    小野委員 大臣、お聞きのように、制度を利用したとしても、実際の年間所得がこれしかありませんから借りられないという実態です。これらの人々に対してどのような措置をおとりになりますか。
  35. 加藤六月

    加藤国務大臣 実は、この問題につきましては、長崎災害のときにもずいぶん議論し、勉強をいたしたわけでございます。そういった方々が相協力して、なるべく奮起してもらう一つの活力源にするということ。それからもう一つは、三年据え置きというのがございますので、そこら辺で、その間所得の増大等を図るように、県、市で大いにそういった地域の活性化、個々の焼失家屋の皆さん方の所得の増大等を災害復旧事業と相関連して図っていかなくてはならない、こういったところを検討いたしておるところでございます。
  36. 小野信一

    小野委員 残念ながら私の質問に答えていないわけですけれども、私は、この救済事業として公営住宅を早急に建設すべきじゃないだろうか。特に、屋敷は被災者のもので建物を建てられないという人々に対して、公営住宅として建ててやって、それを家賃で貸す、こういう方策がとれないものだろうかという気がするのですけれども、建設省の住宅局で、地主さんの土地に公営住宅が建てられるような制度がありますか。
  37. 高橋徹

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  御質問の、公営住宅を今回災害に活用する、こういうことでございますが、現在までのところ、久慈市からは被災者のための公営住宅の建設の御要望が特に出されていないという報告岩手県からは受けているわけでございますが、今後、久慈市から公営住宅建設の要請があった場合には、本年度予算で災害等に留保している枠も若干ございますので、その中から支出するよう前向きに検討を進める所存でございます。  その場合に、後段のお尋ねの、被災者の敷地の上ということも、敷地の形状その他が合致すれば、場合によっては可能でございます。
  38. 小野信一

    小野委員 低所得者階層に対する公営住宅の建設は当然そのような配慮がなされるべきだと私は考えますので、その運用には十分融通性を持った配慮をお願いしておきます。  次に、昭和三十六年の三陸フェーン災害のときの気象条件の記録を見ますと、今回のこの連絡会議の当時の気象状況というのと全く同じであります。晴天続きで、降雨が少なく、高温に見舞われておる。低気圧が日本海に発達し、強風を吹かせた、こういう条件からフェーン現象が起こった、これが火災を大きくした原因であるとはっきり書いております。  三十六年のこの経験からいきますと、このような気象条件になった場合にはフェーン現象が日本海あるいは太平洋岸に起こるということは予想されないのでしょうか。もし、こういう気象条件になりますとフェーン現象が起こるということが予測できるとするならば、早急にテレビ、ラジオをもって、あるいは消防署の連絡機構をもって、そのフェーン現象が起こり得る地帯に注意報を当然出していいのじゃないか、こう思います。  そこで、三十六年の三陸フェーン火災の気象条件の研究あるいは対策が今回の気象条件の予報の中にどのように生かされておったのか、お聞きいたします。
  39. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 お答えいたします。  昭和三十六年の三陸大火の経験が気象予報の上でどのように生かされたかという御質問でございますけれども、気象庁としましては、当時の経験にかんがみまして幾つかの改善を行いまして、今回の火災について予防対策の上に生かすことができたというふうに考えております。  具体的に申しますと、翌年の昭和三十七年に東北各県の県当局と順次協議をいたしまして、火災気象通報につきまして円滑、効果的な伝達体制を整えるという措置整備いたしました。  それから、気象庁の部内におきましても、同じ時期におきまして、火災関係します注意報の発表基準の見直しを行いまして、あるいはさらにその運用について、より効果的に行うための指導を行っております。  これらの措置と、それからまたその後の諸施策によりまして、今回の四月二十七日の火災前後におきましての異常乾燥注意報あるいは強風注意報の発表は、それらの経験を生かしまして効果的に注意報の発表を行ったというふうに考えております。
  40. 小野信一

    小野委員 異常乾燥注意報、強風波浪注意報、これらはテレビ、ラジオを通して確かに災害地の人々に伝達されました。しかし、フェーン現象という言葉がその中に加えられるとするならば、地域人々はより以上の十分の注意をするのではないかと思いますけれどもフェーン現象という言葉が気象通報の中に使えない、あるいは使われない理由は何ですか。
  41. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 御案内のとおり、フェーン現象と申しますのは、湿った空気が山脈を越える場合に、山の頂に達した時点で雲になり、あるいは雨を降らせ、それから風下側のふもとにおりてきたときに、非常に乾いて、あるいは温度が上昇し、それからまた風速が強くなる、そういう現象でございまして、火災防災の見地から見ますと、その乾燥の度合いがどの程度になるか、あるいは風の強さがどの程度になるかということが重要なことでございます。  それで、フェーン現象という言葉がまだ一般的でないということとあわせまして、現在ではこのフェーン現象という言葉を使った予報あるいは解説は特に行っておりませんけれども、湿度あるいは風速、こういったものが今後どうなるかを数量的に予測をいたしまして、その度合いによりましては、基準を超えるというような状況に至りますと、先ほど申し上げましたような異常乾燥注意報あるいは強風注意報、警報というような形で火災に対する警戒を喚起するという形で進めておるところであります。
  42. 小野信一

    小野委員 たとえば岩泉町は、森林火災は二千町歩以上焼けましたけれども、人家を焼くことはなかった。その理由を聞いてみますと、昭和三十六年当時の消防団の幹部がまだ岩泉町の消防団の幹部として現役で働いておりまして、三十六年の気象条件と非常に似てきた、こういう気象条件のもとで山に火が入ると消すことは不可能だ、したがって待機をしようということで、川沿いに一軒の屋根に一人ずつ消防団員を乗せ、集落地には可搬ポンプあるいは自動車ポンプを配置して防火態勢に万全をしいた。三十分後に出火が報告された。山はこれでは消すことはできない、人家だけを守ろうということで、目の前まで山が焼けるのもそれは消火しないで、家屋の防衛に当たったということで、岩泉町は人家を一軒も焼かないで終わりました。  私はこういう経験を聞いてみますと、フェーン現象というもの、太平洋側に高気圧があり日本海側に低気圧があった場合に、当然青森なり岩手なり宮城あるいは秋田、山形にフェーン現象が起こるということは予想されてしかるべきじゃないだろうか。特に地形的な、細部にわたってまでは無理にしても、大まかな、この地域にはフェーン現象が起こり得るのだという予報が可能じゃないだろうかという気がするのですけれども、いかがですか。
  43. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 フェーン現象が今後起こるかどうかということは、先生指摘のとおり、気圧配置で主として決まってまいります。個々の、たとえば各市町村のどの部分でどの程度になるかということにつきましては、数量的にはなかなか予想困難でございますが、御指摘のとおり、県平均とかあるいは地域平均というような形での予測はできるわけでございます。  先ほど申し上げましたとおり、フェーン現象という言葉自体は現在特に使っておりませんけれども、非常に乾燥してあるいは風が強くなって火災に対して危ない状態であるという形で、現在、情報を県当局その他防災機関にお知らせするという立場で進めております。予想はできるわけでございますが、形が少し変わった形で予想を行っておるということでございます。
  44. 小野信一

    小野委員 異常乾燥注意報という言葉を聞いただけではなかなか地域住民は火に対する注意が喚起されないという、耳なれスズメというのですか、そういう傾向がありますので、それらに対する配慮をいろいろな方法で喚起していただくことを希望しておきます。  次に、森林火災に対する予防と対策をお聞きいたします。  昭和三十六年の三陸フェーン災害は、岩手、宮城、青森、三県で一万九千二百六十ヘクタールを焼失いたしました。今回の火災は五千二百三十六ヘクタールでございます。残念ながら、長期の山林火災に対する予防対策が立てられておりません。北上川は、百年に一度の水害に対処するために県内に十以上の巨大なダムが毎年つくられております。ところが森林火災は、昭和三十六年に約二万ヘクタール焼いた、今回も五千二百ヘクタール焼いた、にもかかわらず恒久的な対策が立てられておらないということは、まことに残念至極でございます。  アメリカには、御存じのようにフォーレスト・レンジャー・システム、森林警備隊という独自の消火体制が、システムがつくられております。ヘリコプター、飛行機あるいは有線、無線で連絡し合って、出火に対しては緊急に出動できるような体制ができております。空陸一体の消火体制です。  残念ながら、昭和五十二年から五十六年までの五年間で年平均五千百六十件の山火事がわが国で出ております。にもかかわらず、これらの恒久的な対策、長期的な対策が立てられておらない。まことに残念至極でございます。大臣森林火災に対して、国独自の、大火災になった場合に出動できるような警備体制をつくるべきだと私は思うのですけれども、その検討はいかがですか。
  45. 加藤六月

    加藤国務大臣 昭和三十六年の林野火災の後、その教訓を生かすべく林野庁、消防庁等で鋭意いろいろ勉強し検討してきてもらっておったところでございます。今回の四月二十七日林野火災の教訓をさらに三十六年の教訓の上に踏まえまして、今後どういう方法を講ずるかということで、ただいま林野火災対策について各省庁で勉強していただき、近いうちに中央防災会議にお諮りいたしたい、こうも考えておるところでございます。  特に林野火災についてはいろいろな問題がありますが、先生が先ほどおっしゃいましたように、フェーン現象あるいは異常乾燥注意報が出るということになりますと、一つは、山に入る人そしてまた山の周りに住んでおる人の火の始末に対する問題、これに対する訓練、PR、これをもう少し徹底するようにいたしたい。それから、ヘリコプターというものが今回非常に効能を発揮してきましたが、ここら辺の体制を今後どう整えていくかというもろもろの教訓を与えられました。これらを踏まえてやっていきたいと考えておるわけでございます。
  46. 小野信一

    小野委員 年平均五千件以上の山火事が発生しておるわけですから、これを地域住民の注意あるいは山火事に対する教育で全部防ぎ得るとは私は考えません。どうしても出火した場合の警備体制が必要だと私は思う。特にフェーン現象が起こった場合、異常乾燥注意報下での山林火災はほとんど消すことができないと言われております。素人消防団では消すことができないと言われております。したがって、全面的な全国的な規模、専門的な消防隊が私はどうしても必要だと考えます。早急にそれらを検討してみる御意思はございませんか。
  47. 加藤六月

    加藤国務大臣 いま先生がおっしゃった問題等も踏まえて、先ほど申し上げました検討課題の中に入れておるわけでございます。
  48. 小野信一

    小野委員 次に、自治省に対して財政関係をお尋ねいたします。  先ほど申し上げましたように、久慈市の財政力は全国でも最下位に属する力でございます。自主財源二五%、その中で今回の災害対策費として一億八千万から二億円の支出をいたしております。もしこれらに対する国の助成、特に特別交付金を中心にして国の援助がないと、久慈市の財政はますます逼迫してまいります。したがって、災害応急対策災害復旧対策被災者に対する税及び高校授業料の減免等の災害対策経費の増高に対して、特交を含めまして国でめんどうを見る、こうすべきだと思いますけれども、それらに対する考え方をお聞きいたします。
  49. 松本和雄

    ○松本説明員 お答え申し上げます。  御指摘久慈市を初めといたしまして、今回の林野火災によって被害を受けられました関係地方公共団体が行います災害復旧事業等に要します特別の財政需要につきましては、私どもよくその実情を調査いたしまして、先ほど御指摘財政状況ですとか被害状況、もろもろのことを総合的に勘案いたしまして、自治省といたしましては、地方債の配分あるいは特別交付税措置を通じまして適切に対処したいと考えております。
  50. 小野信一

    小野委員 大臣、たとえば、局地災害指定基準の見直しが今年度中に行われるとするならば、今回の地方自治体の独自の災害対策が国の対策に上乗せされて行われた場合にはそれに対して特交という形でこれに財政援助を上積みする必要があるのじゃないかと私は思いますけれども、そういう配慮を自治省に大臣の方からお願いするつもりはございませんか。
  51. 加藤六月

    加藤国務大臣 私は先般現地をお見舞い申し上げ、視察をして帰ってまいりまして、直ちに自治大臣の方に、交付税の前倒しといいますか早期支出をお願いいたしたわけでございます。現在もろもろの調査を行っておるところでございまして、その結果を待ちまして県あるいは市等々の要望等を踏まえ、関係省庁にそれぞれお願いすべき点はお願いしたいと考えております。
  52. 小野信一

    小野委員 次に、森林災害復旧対策についてお尋ねいたします。  造林補助事業実施要領によりますと、国十分の三、県十分の一、合計五分の二の補助率になっております。局地激甚災害指定になりますと、森林災害復旧事業事務取扱要綱によりまして国二分の一、県六分の一、合計三分の二の補助になっております。今回もし指定にならないとして、指定になったと同じ、森林災害復旧事業事務取扱要綱と同じ補助をもし自治体が行ったとするならば、その差額を農林水産省で補助してもいいのじゃないか、こう私は思うのですけれども大臣いかがです。そういう要求を農林省あるいは林野庁にする御意思はございませんか。
  53. 依田和夫

    ○依田説明員 お答え申し上げます。  現在、公共事業におきます民有林造林補助事業先生申し出の件の補助事業を行っておるわけでございますけれども、この造林補助事業におきましては地域造林実態ごとにいろいろの実質補助率のかさ上げが行われておりまして、実質補助率かさ上げに対応してそれぞれ都道府県が裏負担をしているというような形になっておりますので、私どもといたしましては、今回の災害につきまして現在鋭意現地実態調査を進めておりまして、復旧計画等を早急に定めますように県を指導いたしておるわけでございます。この県からの報告を待ちまして、私どもとしましては現行の造林補助事業をうまく運用いたしまして万全の復旧ができるように対策を進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  54. 小野信一

    小野委員 いまの答弁をこう理解していいですか。もし局地災害指定にならなくても法律のあらゆる運用をもって森林災害復旧事業実施要領で補助率が三分の二に上がるようにいろいろな配慮をする、こう理解してよろしゅうございますか。
  55. 依田和夫

    ○依田説明員 お答えいたします。  先ほども申しましたように、現地からの復旧計画なり復旧内容というものが出てまいりませんと、私どもとしては、どのような補助制度といいますか具体的にどの補助要綱を適用するかというようなことがわかっておりません。現段階において、特にその辺についてお答え申し上げる段階にございませんので、そのように御了承願いたいと思います。
  56. 小野信一

    小野委員 お願いしておきますけれども、何度も言いますが、久慈の財政力からすれば局地災害指定が適用にならなければ復旧が非常にむずかしいのですから、もしならない場合にはそれに見合うだけの財政措置を何らかの方法でとっていただきたい。このことを私はお願いしておるのですけれども大臣、そのように努力するという大臣答弁をいただけませんか。
  57. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、いま調査中でございます。調査中でございますので、その調査の結果を踏まえまして、市あるいは被災者あるいは林野焼失した皆さん方に復旧意欲を持ってもらう、あるいは復旧に対する力づけをする方法を各省庁と相談しながら一生懸命やっていきたい、この気持ちでいっぱいでございます。
  58. 小野信一

    小野委員 大臣、法律のたてまえからいきますと局地指定も非常にむずかしいのではないだろうか、こういう感じがいたします。というのは、全国の木材生産所得ですか、五千七百億ぐらいになってますね。これの五%になりますと三百億円、これだけの被害がないと指定にならない。残念ながらそれだけの森林被害になっておりませんので、いろいろなことを勘案いたしましても、法律に書いてあるおおむねということを最大限活用いたしましても非常にむずかしいのではないだろうか、私はそう感じてなりません。  したがって、指定にならない場合に、大臣の大きな力を活用していただいて、激甚指定あるいは局地指定と同じような財政援助を国からとってやる、久慈市の発展のために協力しましょう、こういうことを私は強く希望申し上げるのです。どうですか大臣、もう一度。
  59. 加藤六月

    加藤国務大臣 これは調査の結果が出、そして私がきょうの委員会の冒頭で申し上げましたように、現在の基準でいいかどうかという問題も検討いたしたい、こう申し上げておるところでございます。したがいまして、その結果を踏まえ、市、県等とも御相談いたしながら、先ほど申し上げましたように、現在の基準でいいかどうかということも込めてやりたいというわけでございますから、私の申し上げておるところを御推察、御勘案いただければ相当勇気づけになっておるのではないか。私も現地を視察し、そして現地の皆さん方が必死に復興に取り組んでおられる姿を拝見しまして、何としてもこういった皆さん方を勇気づける方法を考えなくてはならない、こう思っておるところでございます。
  60. 小野信一

    小野委員 林野庁にお尋ねしますけれども森林法の二十一条、要するに火入れをする場合に地方自治体に申し出をしなきゃならないという法律条項がありますが、現在山に火を入れなければならないような状態というのはあるのでしょうか。このことが山火事の非常に大きな原因になっております。したがって、この火入れに対する法的な規制を改正してもう少し厳重にするというような方向で検討しなければならないのじゃないかと私は思うのですけれども、いかがです。
  61. 古宮英明

    ○古宮説明員 お答えをさせていただきます。  統計的に、どういう形で火入れの申請件数があるかということは、これは市町村の許可にかかわるものでございますので把握をしておりませんが、今回の岩手火災がございましたので、岩手県に概数で伺っておりますが、岩手県での五十七年度の申請件数は百九十八件、そのうち許可をした件数が百九十六件、不許可の件数が二件ということになっておりまして、火入れの内訳で申し上げますと、造林地の地ごしらえ、これで五十五件、開墾という形での申請が十五件、それから害虫の駆除、これが一件でございます。焼き畑が十件、草地改良が百十五件ということで、すべて土地の利用に基づく土地改良といいますか、そういうことの申請でございまして、これは、従来からもずっとこういう形でやってきておられる方々に、十分火に注意をして行っていただくということで許可をして、十全の注意をしながら実施をしていただく、こういう趣旨の規定でございます。
  62. 小野信一

    小野委員 終わります。
  63. 上原康助

    上原委員長 次に、武田一夫君。
  64. 武田一夫

    武田委員 去る四月二十七日に東北、北陸地方を中心に同時多発しました山火事は、非常な被害を出したわけでございます。岩手県の久慈市、私も現地に飛びましてその惨状を見てまいりましたが、五つの集落が灰と瓦れきに化しておりました。山も、木々はすっかり焦げるように焼けておりましたし、宮城県の利府、富谷町を中心とした山林被害も大変なものでございました。東北地方だけでも大体五十億以上の農林水産関係被害がございました。  私たちは、この二十八日、二十九日、現地に行きまして現地の皆さん方にいろいろお会いしましたし、県や市町村等の関係者からもいろいろ事情を聞き、いろいろな要望やら、あるいは大変なる心配、訴えを聞いてまいりました。五月の十日には、国土庁長官に、そういう点を踏まえまして七項目にわたる申し入れをいたしましたが、救援措置というのは早くやらなければならない問題が非常に多うございますので、非常に万全を期していただきたい、こういうふうに思うわけであります。  被害者の皆さん方も大変落胆しておりまして、本当に着のみ着のままだったというのが久慈市の場合でございまして、海に逃げた、そのために着ているものも海水でどうしようもなくなったというような悲惨な状況でございます。被害者の皆さん方に心からお見舞い申し上げます。  それと同時に、被害地では大変自衛隊を初め消防団の御活躍もございまして、敬意を表するわけでございますが、私は、いろいろと現地を視察をして感じたことを踏まえながら、以下数点にわたりまして御質問いたしたいと思います。  最初に、長官にお尋ねをいたしますが、長官も現地に行かれました。現地ごらんになりましてどういうようなことを教訓として学び取られたか、ひとつ率直な御見解をお聞かせいただきたいな、こういうふうに思います。
  65. 加藤六月

    加藤国務大臣 ちょうど新緑のシーズンで、他の山々が緑に覆われておるときに、林野火災に遭った地帯の黒焦げの山を見まして、大変胸が痛む思いがいたしました。そしてまた、その中で、先ほど武田先生もおっしゃいましたが、多くの自衛隊、消防職員、警察、海上保安庁等々の関係者の皆さん方が必死で消火に当たっていただいたいろいろのことを承り、特にあの特養を守り抜いていただいたこと、周りが全部燃えておる中で特別養護老人ホームが燃えなかった。そこにおる五十名の皆さん方を、職員あるいは消防関係の皆さん方、警察関係の皆さん方が必死で守っていただき、そのうち数人は、自分の家を焼失させた中で特養を守ってもらった。ここら辺は大変感銘を受けたところでございます。  そして、今回のような同時多発ということを考えますと、いままで以上に林野火災というものに対して予防措置あるいは訓練、PRというものを徹底してやらないといけない、この感じも強く持ちました。  そういったもろもろの感じを今後の教訓に生かしていきたい、こう思っておるわけでございますが、特にまだ出火原因のわからないものもありますけれども、ほとんどがどうも人為的ではないかということでございます。そうしますと、異常乾燥下、あるいはそうでないときでも、山へ入る人の火に対する心構えというものをもう少し今後PRあるいは徹底していきたい。そしてまた、山の周辺に居を構えておられる皆さん方にもここら辺の問題をよくPRし、訓練していかなくてはならない。  また、今回のような火災にとっては、ヘリコプターというのが大変重要な役割りも示してきております。ここら辺について、何かいい方法で、さらにヘリコプターの活用方法等も考えなくてはいけないのではないだろうか。  それからもう一つは、久慈市だけを例にとりますと、リアス式海岸であのようになっております。そうしますと、道路という問題、これは普通の道路とまた山に入る林道というもの、両方の面においても考えなくてはいけないな、若干道路が渋滞するといいますか、消防自動車関係活動が阻害される要因は道路にあったのではないかな。もろもろの教訓を今後の対策に生かしていきたい、こう思った次第でございます。
  66. 武田一夫

    武田委員 私がいま長官にお尋ねした意味は、その教訓を今後の火災対策に十分に生かしていただきたいという意味でお尋ねしたわけであります。というのは、昭和三十六年の三陸大火、それから昭和四十六年でしたか、呉市の山林火災という大きなものがございまして、そのときも恐らく担当者等はいろいろとそういう教訓を受けとめて対応したように私は思うのでございますが、しかし、いまからいろいろ質問いたしますことを考えますと、十分に山火事というものの恐ろしさ、大変なものだということに対する理解が、深刻に受けとめていないのではないかという節が多々あるわけでございまして、長官が目で見て体で感じてきたことは、どうか一つ一つ関係者に強く訴えながら万全の対応をとっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、いま長官は、火災の原因はまだ調査中のところもある、確かに四カ所はまだ調査中というようになっておりますが、これはどうなんでしょうか。いまのところ、これは原因が不明あるいは調査中というのですが、出火の原因はどういうものであるというふうに考えているのでしょうか。
  67. 志村哲也

    ○志村説明員 お答え申し上げます。  今回の火災の出火原因につきましては、関係県からの報告によりますと、たき火の不始末三件、ごみ焼きの不始末一件、たばこの不始末三件、不明二件となっておりまして、その他のものについては現在地元の消防機関において調査中でございます。
  68. 武田一夫

    武田委員 なかなかわからぬようですが、調査中、不明ということで、不明にしてはならぬと思うような問題を含んでいると私は思うのですよ。ですから、これはしっかりと、しかも早急にやらぬといかぬと私は思うのです。この点ははっきりさせて、いずれはっきりした時点で御報告をいただきたい、こういうふうに思います。これは時間がないのでこの辺だけにしておきます。  そこで、五月四日に林野庁長官が都道府県知事に対しまして林野火災の予防を徹底する指導通達を出しましたね。その中身をもらって見ました。これは昭和五十七年十二月二十二日に通達を出していたのだけれども、残念ながら火災発生して、改めて出したという六項目です。  ちょっとお聞きしたいのは、この一番目に「広報機関等を通じ積極的に林野火災の予防を呼びかける」ということがありますね。これは今回のような場合はどういう方法でやるのかというのは各自治体で考えるのでしょうが、広域的で同時多発のような場合のやり方というのは相当考えないといかぬのじゃないか。だから、発生する以前の問題としまして、気象状況がこうであって、大変な風が出ておる、また乾燥している、そういう火事が起こる諸条件をラジオあるいはいろいろな広報車などで知らせるのでしょうが、空からやるのが一番効果的だと私は思います。売り出しなんかのときに商業ベースでよくやるでしょう。ああいう方式の注意を与えるものが必要ではないかなと、こういうふうに私は思うのですが、この「広報機関等」というのは具体的にはどういうものを考えて指導しているのか。  それからもう一つ、「森林保全巡視員を林野火災の予防に重点を置き、」云々とありますが、こういう方々がどのぐらいいて、今回どういう働きをしたものか、この二つが気になったものですから、ちょっと答えていただきたい。
  69. 古宮英明

    ○古宮説明員 お答えをいたします。  二点御質問があったと思いますが、一般的に私ども広報活動をいたしますときは、特に異常気象のもとでは自動車にスピーカーをつけて広報活動をしていただく、あるいは天幕といいますか、道路あるいは林道の主要なところに幕を張りまして視覚に訴えて注意を喚起するというような手法を主体にしてやっております。  それから、二点目の林野巡視の話でございますが、これは特に火災危険期間中を中心にいたしまして、賃金支弁と申しますか、都道府県の職員あるいは市町村の職員の方々に巡視をしていただくほかに、五十六年度の例で申しますと全国で約二千九百人の方々にお願いをして、延べの巡視の日数で申しますと約十六万人日ですかの出動で巡視をして、入山者の個々の方々に注意を喚起する、あるいは万一ぼやみたいなものを発見したら直ちに通報する、こういうことをやっております。  なお、最初の答えの中でちょっと失念をしておりましたが、たとえば森林公園みたいなものがございますが、森林公園みたいなところで人のよく出入りをするところには、一定の温度、湿度、風というもの等をセットいたしました自動警報装置というようなものも配置をして、一定の条件のときには自動的にマイクから声が出てくるというようなものも配置しております。
  70. 武田一夫

    武田委員 この報告書を見ますと、これは大体全部人為的ですよね、人が入ってやっているわけだね。これはそうでしょう。この調査では不明以外はたき火、たばこでしょう。森林火災というのは五千件以上ありますわね。その多くはこういう人為的なものであって、自然発火というのはほとんどないと言われておりますから、そういう時期においては徹底する必要があるわけですよ。  たとえば日本の場合は山林火災発生する条件というのは限定されている。しかも年間の山林火災の危険日数というのは意外と少ないわけでして、多いところで十数日、少ないところは数日、こういうふうになっているわけです。これは御承知のことであります。しかも、この間のように強風注意報が出て、久慈の場合は瞬間風速三十八メートルになったとか、仙台の場合でも二十六メートルくらいとか、いずれにしても火事を出すような条件が非常に出てきているわけです。特に四月、五月というのは、東北地方に限って言えば、一番危険なときである。こういうようなときにはもっとそういうことを注意させるようなものを徹底して行う必要があるのじゃないか、私はそういうふうに思います。  だから、山の中に入って仕事をして、あるいはまた歩きながらたばこを捨てるとかいうようなケースで焼けるというのはまことに残念でありますから、飛行機による注意勧告というのはものすごく効きます。これは一番効きます。広報車なんか山の中に入っていくとかといったってそんなに奥まで聞こえないのだから。一回山の中に行って、今度の火事の現場に行ってみてもわかるし、隅々まで行くのは上からしかない。しかも上から見ていれば煙の状況なんか、もしあれば一番よく発見できるでしょう。そういうところにもう少し金をかけるべきじゃないか。こんなに焼いてしまうと大変です。これは山が、地力もおかしくなったり、木はもうどうしようもなくなる。まして人災に及ぶようなことになったら大変だということを考えれば、そういう方向でひとつ御検討をいただきたい、私はこういうふうに思うわけであります。  長官、こういうふうな私の考えに対する御所見をちょっと聞かせてもらえませんか。私がいろいろな方に会って聞きますと、今回の火災で燃えた後の情報というのは非常に混乱もした。そして、もっと早く消防隊があるいは自衛隊が来てもらいたかったというようなこともいろいろありました。こういうことを考えますと、航空消防体制というのは非常に重要な、これは日本の今後の山を守る上での大事な課題じゃないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
  71. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように今回の教訓でいろいろなものを得たわけです。その中でヘリコプターによるということを申し上げたんですが、ところが実はそのヘリコプターも、先ほど先生もおっしゃいましたが、二十メートル以上の風が吹いておる場合には使えないということになりますと、そこら辺の林野火災発生した後におけるものと、それから先ほど来の御意見を承っておりますと事前のPR、火の始末に対する注意というような問題についてはヘリコプターかあるいは固定翼による方法もあるなあ、私このように承っておるわけでございます。関係省庁ともそういった問題について今後勉強をしていきたいと考えております。
  72. 武田一夫

    武田委員 ひとつ十分に検討して万全を期してほしいと思います。  それから山林火災というのは、特に大きくなりますと、その鎮火に必要な人それから資材というのは早く大量に投入しなくてはいけないということになります。このための、何といいますか山林大火用の応急消防機械といいますか、それからそれを集中管理するいわゆる森林消防隊本部というものを広範な地域に——今回の場合に多発、しかも同時多発となりますと、広範な地域でございますから、車で来るというのはなかなかだ。特に岩手県なんか御承知のとおり盛岡からも滝沢からも自衛隊が来たわけです。これを考えるとどうしても航空機動力による物量作戦というものを日本でも考えていかなければならないんじゃないかな。  私はちょっとレンジャー部隊の経験がある人に聞いたら、われわれはそういう経験があるのでそういうところに飛行機から落下傘で落ちていっても大丈夫対応できるんだという話を聞いたのです。ですから、そういう大変な事態を迎える前のいわゆる常態のときから待機させておいて、それでいざという場合に出動させる。  たとえば東北なんかの場合は花巻飛行場かどこか、あるいは仙台空港にあっても大体一時間か三十分ぐらいで皆行ってしまいますから、それで載せて必要なものを全部投入してやるというような方法は考えられないものか。特殊レンジャー部隊などを訓練しまして、こういう方々は水害であろうと地震であろうと全部生きてくるわけでありますから、そういうのをばっと上から適切に指揮をしながら投入していくというような体制を検討すべきではないか。  特に今回非常に広域にわたっていたということにかんがみまして、しかも早く被害を最小限に食いとめるという、そういういろいろな大事なことを考えると、こういう特殊消防隊というものの創設なども考えたらどうかなあ、こう思うのですが、こういう考えはどうでしょうか。
  73. 志村哲也

    ○志村説明員 お答えを申し上げます。  ただいま先生から具体的な示唆に富む御提言があったわけでございますけれども、消防庁におきましては、林野火災に対処するために従来からとられておりました地上での防御体制、いわば人海戦術といいますか、地上での防御体制だけではなくて、過去の大きな林野火災の教訓を踏まえまして、どうしても消防力に機動力を持たせなければならない、こういうような認識のもとに、空からの空中消火という方法をかねてから研究をしてきたわけでございまして、実は昭和五十年度からヘリコプターによる空中消火体制ということの実用化を現在進めてまいっておるわけでございます。  このために、空からの空中消火体制ということになりますと、どうしても市町村レベルの自治体の消防では対応がなかなかむずかしいという面もございまして、都道府県レベル、都道府県を中心にいたしまして、空からの空中消火ということで、空中消火資機材であるとか消火薬剤等のさまざまな資機材を保管するための防災資機材センター、防災基地を都道府県に設置をするということで整備を進めてきているわけでございます。現在までに三十九都道府県において整備が進められてきているわけでございます。  したがいまして、ただいま先生からいろいろな具体的な御提言もございましたけれども、このようなヘリコプターによる空中消火という方向を、当面は今後とも自衛隊あるいは林野庁等々関係省庁の協力を得ながら、一層充実拡大に努めてまいりたいというふうに考えております。  先生に御提言いただきました幾つかの問題につきましては、今後の林野火災の防止対策を進める上で私どもとしても長期的な課題として十分に研究させていただきたい、かように存じております。
  74. 鈴木郁雄

    鈴木説明員 林野庁におきましても、ただいま消防庁の御説明の一環といたしまして、国有林におきまして全国三十六カ所に空中消火資機材の基地を設置いたしまして、消火剤あるいは器具等を保管、管理いたしまして、空中消火に迅速に対応できるような措置をとっております。
  75. 武田一夫

    武田委員 今回、消火剤が足らなくて取りに行ったところもあるのですから、これは管理それから点検、これを怠ってはいけませんよ。いざ行ったらなくて、ほかの地域から持ってきたわけです。そういうどじなこともやっているわけです。ですから、管理体制と準備体制というのはいつもちゃんとしておかぬと、災害というのはいつ来るかわからぬというところがこわいわけですから、そういう点はひとつ、余り深いことは言わないけれども、よろしくお願いしますよ。  そこで、ヘリコプターの話が出ましたので、長官も二十メートル以上の風では飛べないと、風に弱いヘリコプターというのもちょっと考えてもらわなくてはいけない。これは自衛隊さんにおんぶしていることが大変多いもので、大体大都市中心に十五台のヘリコプターがあるというのは、これは自衛隊さんのものではないのですね。ですから、ほとんどいざという場合は自衛隊さんにお世話になるわけですが、この間の岩手、宮城県の火事の場合に、出動が非常に慎重過ぎたのではないかということを言っているんですな、もっと早く飛んでこれなかったものかなあと。ですから、自衛隊、防衛庁さん来ていると思うのですが、一つは、もっと強いヘリコプターというのは開発できないものか。それから出動の判断はだれがして、その基準というのはどういうふうな基準になっているのかということをちょっと簡単に聞かしていただきたい。
  76. 萩次郎

    ○萩説明員 まず風のお話でございますが、先ほどからお話ございましたように、航空機というのは大変風に弱うございます。特にヘリコプターというのは、これは国際的に一定の基準がございまして、陸上部においては大体三十五ノット、秒速十七・五メートル、それから海上部においては大体四十五ノット、大体二十二メートルぐらいというのがヘリコプターが離着陸できる限度であるということになっております。これはヘリコプターの性能云々ということよりも、ヘリコプターがブレード、まあローターでございますけれども、これでもって飛行するという宿命的なものでございますので、性能をよくすることよってどんな風が吹いても飛べるヘリコプターにするということは現在の技術力ではほとんど不可能であろうというふうに聞いております。  久慈市の場合、二十七日の夕刻に出動の御要請がありましたが、そのときの風速は、先ほどからお話ございましたように、二十数メートルから三十数メートルという大変に強い風ということで、とてもヘリコプターが飛べるような状態ではないということで、結局翌日の早朝五時からやっと消火活動ができるようになった、そういう状況でございます。  それからどのような者が出動を命ずることができるのかということでございますが、防衛庁の内部の規則によりまして、それぞれ防衛庁長官の権限を各部隊の長に委任してございます。災害派遣の出動を命ずることができますのは、それぞれ細かい部隊がございますけれども、大体大ざっぱなところで申し上げますと、陸上自衛隊でございますと駐屯地司令と申しますか、要するにその駐屯地の長が大体判断するということでございます。それから海上自衛隊におきましては、基本的には基地隊の司令、それから飛行群の司令、こういう者が判断を下すことができることになっております。航空自衛隊も基本的には基地の司令がその出動を判断するという手続になっております。
  77. 武田一夫

    武田委員 なぜそういうことを聞いたかというと、宮城県の場合、県の幹部が状況はどうなのかと言って空からヘリコプターで見ているとき、自衛隊さんのあれが、消火はできないということでしばらく来なかった、何で県のヘリコプターが行っているのに来ないんだという現地の焼けた方々の素朴な声があったものですから、私はちょっとお尋ねしたのです。中には、最近二回も飛行機が落っこちているものだから、また落っこちたら危ない、それで慎重になり過ぎておくれたんじゃないか、いざとなるとそういういろいろなことを言うわけですね。  ですから、いま聞いて、いろいろとそういう事情はあるのでしょうけれども、やはりこれはその判断をする方の判断というのは非常に大事になってくる。今回は非常に広域的、あちこちだったということで、この久慈あるいは滝沢、それから岩泉ですか、この辺はヘリコプターが飛びましたね。ところがどういうわけか八戸、南郷村というのですか、階上町、規模は滝沢よりもかなり焼けて被害も大きいのだけれども、飛んでない。これはきょうは追及しませんが、この地域もこれはすぐ近いわけですね。それでもう六億近い被害を出している。滝沢に自衛隊があるからどうも自衛隊中心にせっせこやったのじゃないかと言うような人たちもいるわけです。  しかも三千二百人という延べ人員がこの滝沢、西根町におって、八戸の方はたった八百五十だなんということになりますと、しかも被害が大きかったということになると、こういう広域的な同時火災発生のときに、やはりしっかりした指揮系統といいますか、判断というものが非常に重要なことになってくるのじゃないか、そういうふうに私は思うわけですので、この点も今後の火災予防の上にひとつ御検討をいただきたい、私はこういうふうに思います。答弁はもらいませんが、ひとつ御検討のほどお願いします。  時間が来ましたので、最後にひとつお願いしたいのは、先ほども出ていましたが、久慈市という市は大変災害に襲われる市でして、三年続きの冷害です。昨年は豪水害でこれも大変、そして今回の山火事です。  市長は若い市長でして、大変なショックの中で気丈にもがんばっているわけですが、これはどうしようもないと言うんですね。それでいろいろと努力をしたり、県にもいろいろとお願いするんだけれども、こういうように連続して災害に襲われますと、もう国のできることなら何でもしてほしい、極端に言いますとね。激甚災の指定も相ならず、局地激甚災の指定も相ならずということのようでありますけれども、やはりこういうような特殊な場合には敏速にしっかりとした国の御支援をお願いしたい、こういうふうに思うわけであります。  また宮城県の利府町の場合でも、山林被害、これは隣の泉市からもらい火をしましてすっかり焼けてしまいまして、とても町の力では復旧は不可能であるというようなことでございまして、こういうようなところに私は十分なる御配慮をいただきたいと思うのですが、どういうようなことがいまさしあたってしてあげることができることであって、今後どういうことをしてこういう地域の救済をするかという点、まずひとつお願いしたいと思います。  それからもう一つは、緊急治山事業森林災害復旧の問題でありますが、山がすっかり焼けまして、もうまる坊主です。そうすると私が心配するのは、東北はこれから梅雨に入るわけです。鉄砲水のいわゆる二次災害のおそれのあるところがかなりあると私は見てきました。これは早急に点検しまして、そういうところはもう即刻そういう危険を防止する対応をしなければ、今度は人家がやられます。今度は人災になります。この点を私はお願いしたいと思うのですが、この二点について当局のお考えと対応をひとつお聞かせいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  78. 鈴木郁雄

    鈴木説明員 お尋ねの二番目の件につきましてお答え申し上げます。  先生お話しのように、今回の山火事によりまして焼け跡が崩れまして人家等に被害を及ぼす、こういう懸念のある個所がございます。そういう個所につきましては早急に緊急治山事業ということで予防対策、次の梅雨等が近づいておりますので、梅雨期降雨等によりまして森林が崩壊するということによりまして、人家等に被害を与える、こういうことを防ぐための緊急治山事業に早急に着手してまいりたい、このようなことで現在計画を進めております。
  79. 荒井紀雄

    荒井政府委員 被災者の方々の救済対策につきましては、冒頭私から御報告申し上げたところに従いまして、現在各省でそれぞれ所管の行政について鋭意努力をしていただいているところでございます。  特に今回の大きい問題は、やはり一つ住宅でございます。住宅につきましては、災害復興住宅資金貸し付けあるいは応急仮設住宅の拡充といった問題について鋭意やっておるわけでございまして、また同時に林野の問題につきましては、先ほど指導部長からお話し申し上げたとおりであります。  またもう一つの大きい水産の問題につきましても、早期操業ということで漁船漁具取得についてのいろいろな便宜を図るべくいろいろ体制を組んでおるところでございまして、保険金等につきましても、現在一部仮払いを実施しておるというような状況でございます。今後とも各省庁の連絡を密にしまして、十分なことをやってまいりたいと考えております。
  80. 武田一夫

    武田委員 長官、もう時間が来ましたが、今後いろいろと、いま申し上げた久慈とか利府町とか、その対応の中において困った問題を持ってくると思うのです。そのときはどうかよく聞いてやって、あらゆる省庁との連携の中で、しっかりとやはり救済に力をかしてやって、そして現地の皆さん方のこの災害にもめげず立ち上がっている方々に勇気と希望を与えてやってほしい、このことをお願い申し上げまして、終わります。
  81. 上原康助

    上原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  82. 上原康助

    上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。和田耕作君。
  83. 和田耕作

    和田(耕)委員 私は、民社党の東北地方の山火事の調査団の団長といたしまして、五月の六日から七日、早朝から夜遅くまで、現場、特に岩手と仙台、とりわけ久慈市の周辺については相当細かく状況を拝見してまいりました。そして、いろいろ驚く問題があったのでありますけれども、その問題を七項目にまとめまして、今月の十二日に政府に申し入れをいたしました。後藤田官房長官に対していろいろとお話を申し上げたのでありますけれども、官房長官もよく話を聞いてくだすって、前向きに、一生懸命に努力をするのだという御返事をいただいたわけでありまして、ひとつ政府としても今後ともこのような問題について、とにかく迅速に、かつ対策についての大筋については早く処置をし、そして見通しをつけるということが大事だと考えておるわけであります。  多分、災害の総括調整の責任者としての国土庁長官は、私ども政府に申し入れた七項目、これを参議院では伊藤参議院議員がすでに説明していると思いますけれども、御了承を賜っておると思いますが、全体として、私どもの要望に対してどのようなお考えを持っておられるのか、お聞きをいたしたいと思います。
  84. 加藤六月

    加藤国務大臣 先般、民社党として和田先生が内閣総理大臣中曽根康弘殿で申し込まれました七項目の問題について、それぞれの項目一つずつ誠意をもって検討し、そして実現方を一生懸命がんばっておるところでございます。
  85. 和田耕作

    和田(耕)委員 加藤国土庁長官は、仕事をする中曽根内閣総理大臣の特に期待をされた仕事をする大臣だと聞いておりまして、ひとつこういう問題について他の人が目をみはるような処置をぜひともお願いをいたしたいと思っております。  それで、特に私が気のついた問題について三つ、四つの問題をお伺いしたいと思うのです。  ちょうどあの日は四月二十七日のお昼ごろという時期ですね。それから二日間にわたっての火事の状態でありますけれども、四月二十七日の前の二十三日ごろから、あの地方ではかなり乾燥状態が続いておった、そして二十七日を中心として湿度三十度程度のフェーン現象が出てきた、あるいはそのときは久慈市では三十五メートル前後の突風も吹いておるという状態、こういう状態がとっさに来たというわけではなくて、その約三、四日前から、こういう事態があることが予想される気象状況があったわけなんですね。  私は、久慈の町の近郊のいろいろな漁村の調査をしておりますと、皆さん異口同音に言うことは、この地域では津波とか高波に対して一生懸命に、これはということで防災の準備をしておった。ところが、今回はからずも山手の方から風が吹いてきて、火が出てきて焼かれてしまった、びっくりしております、こういうことなんですね。これは私、非常に印象的に承ったのですけれども、こういう気候、気象状況がある中でこういう山火事が起こるということを、ほとんど住民もあるいはお役所の方々も予測しなかったということは、今後これは対策の重要な一つの問題として考えなければならぬことじゃないかと思うのですね。  災害というのは非常に予測しがたい形で、びっくりするような形で出てくるわけでありますけれども、たとえばフェーン現象が起こってきて、そして強い風が吹いておるという、ちょうどお昼どきですから、いろんな形で山へ入った人たちは昼の御飯を食べる、あるいはいろんな形で火をつけてそして煮炊きをするということもあるでしょう。しかし、こういうふうな問題は、普通の状態なら大して火事にも何にもならないで済んでしまうけれども、こういうフェーン現象がある状態、しかも非常に乾いた風が吹いているときには、ごく気をつけた普通の火の取り扱いであっても火事になるということは大いにあり得るわけですね。  したがいまして、今後、火事の原因がどうか、あるいはハイカーのたばこの不始末ではないのか、いろいろなこと、こういうことを余り細かく調べることよりも、普通の状態なら何にもならなかったけれども、こういう気象条件のもとでああいう火事が起こってきたということが一番大事なことなんですから、そのことを考えて、今後はもっと早目に宣伝、周知徹底をさす、火のもとを注意しなさい、たばこを捨てなさんなということをよくわかるように徹底をさすということが非常に大事だと思いますね。これは、気象通報の場合にこういうことを特にその地方の人に繰り返して言うことも大事でありますけれども、役所としても、できる方法を手いっぱいに、山に従事する人たちに対する火の注意をする、これが私は非常に大事だなと思いました。  これはひとつ大臣、この問題、あれに似たような状態が今後幾つかの地域に出てくると思いますね、そういうときには、徹底して宣伝をする、周知徹底するということが事前の防止の方法として一番大事なことの一つと思うのですけれども、いかがでしょう。
  86. 志村哲也

    ○志村説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、林野火災対策におきましては、何よりもまず出火防止を徹底するということが最も肝要ではないかというふうに私どもは考えております。このために、消防庁といたしましては、毎年林野庁と共同で、林野火災の多発期というのがございますので、この多発期に当たります春先におきましては、全国の山火事予防運動というものを統一期間として設けまして、統一標語を定めまして、テレビ、新聞、ポスター等を用いまして広報活動などを徹底的に呼びかけているところでございますし、また地方団体におきましても、テレビ、ラジオ等のマスコミとかパンフレット、ポスターあるいは標識板等と、各種の広報手段を用いまして地域住民の方々や林業の従事者、山に入る人たちなどに対しまして山火事の防止を呼びかけておるところでございます。  先生も御指摘がございましたように、何よりも出火防止対策が第一でございますので、今後とも関係省庁と協力いたしまして徹底的な啓発活動を続けてまいりたい、かように考えております。
  87. 和田耕作

    和田(耕)委員 一般的な山火事防止、火の取り扱いを大事にしろというのはよくわかるし、これはやっておられる。いま私が申し上げるのは、ああいう気象条件とよく似た状態が今後起こってくる。そのときにもっと集中して、そういう火の取り扱いを大事にしなければならぬということを、関係各庁が、気象庁の天気予報のときとともに、ぜひとも集中した周知徹底が必要だ、こういうように思うわけなんですよね。そのことを特に要望しておきたいと思います。  私は、あの状態をテレビで見ていまして、この一月ほど前に豪州、オーストラリアへ行ったのです。あそこはユーカリ樹があるところで、非常に油を含んだ木のあるところで、文字どおりの自然発火の火事が多いところなんです。私どもがおるときでも、シドニーの入り口の山のあたりが、あるいはキャンベラの一番大事な小山の木が焼けるというような状態があった。  そうか、日本でもフェーン現象のもとでは自然発火というようなこともあるのかな。私は子供のときに杉林から自然発火の話を聞いたことがあるのですよ、田舎の、私は高知県ですけれども。しかし日本で自然発火というのはそれ以外は絶えて聞かなかった。子供のときの昔話として聞いたことはあるけれども、絶えてそういうことは聞かなかったのですが、まさか今度の東北の災害が自然発火の疑いがあるということは、まだ残っておりますか。
  88. 志村哲也

    ○志村説明員 今回の林野火災の出火原因につきましては、関係県からの報告によりますと、ほとんどのものがたばこの不始末でございますとかごみ焼きの不始末でございますとかいうような人為的なものでございまして、現在まだ調査中のものもございますけれども、私どもといたしましては、日本における林野火災における出火の原因というものについては、ほとんどが人為的なものである、かように存じております。
  89. 和田耕作

    和田(耕)委員 私どもも多分そうだと思いますけれども、先ほど申し上げたとおり、過失があったとしても過失そのものを責めるというよりは、むしろいま申し上げたようなことをぜひともやっていただきたいということが一つの大事な私の感じたこと。  その次の問題は、ああして大風が吹いて思わぬところに飛び火をするという状態があちらこちらで見られるのですが、林道ですけれども林野庁の人、来ていますね。いま、岩手県のあの近くにある林道が、今度の火事を消すためにあるいは避難をするために役立ったかどうか、あるいは役立つためにはもっと林道が必要であったかどうか。そういう問題はどうですか。
  90. 鈴木郁雄

    鈴木説明員 林道は山火事の初期消火等に大変役立つ施設でございますし、また防火線の役割りも果たすということで、林道の役割りは大きいわけでございますが、今回の山火事は大変強風下であちこちに飛び火したというような感じでございますので、林道がストレートに役立ったかどうかということはなお調査をしてみたいと思いますが、林道そのものが災害防止に非常に役立つという点につきましては、私どもそのように思っております。
  91. 和田耕作

    和田(耕)委員 私も自然保護議員連盟のメンバーでございまして、全国あちらこちらで林道をつくることに対しての自然保護団体等の反対が非常にやかましいということはよく存じておりますし、私どももやかましく言ったことのある一人でありますけれども、しかし、そういう声があるからといって必要な林道をつけることにちゅうちょしてはならない、私はそう思うのですよ。  昔、十年ほど前に、南アルプスのスーパー林道のあのときのことを私は思い出すのですが、あのときにあれに反対する東京の環境保護団体の人たちが主催してヤクルト会館かどこかでやった。約六百人ぐらいの人が集まった。そのときは自民党から共産党、民社党は一番小さいときでしたね。林さんもここにおられるけれども、林さんも一緒でしたね。あのときも私だけでしたね、もう一キロか一キロ半ぐらいつけたら完成する、それに反対をしないで完成をさせて、そうして国と関係の地方団体が自然破壊した場所を責任を持って修復させた方がよろしい。いろいろな森林というのはやはりある程度の手当てをしないと森林そのものももてないということも話を聞いておったものですから、私はそういう主張をしたことがあるのです。  今後、あの地区ではないとしても、全国あちらこちらで自然保護団体が、これは当然反対する気持ちはよくわかるのですが、反対してなかなか必要な林道ができないというところがもしあれば、ここで挙げていただきたい。
  92. 鈴木郁雄

    鈴木説明員 南アルプス林道、あのときは大変、先生おっしゃいましたようないろいろ問題がございましたが、林道の必要性につきましては、この山の資源を充実し、内容を高めていくというためには林道は非常に必要な施設でございますので、その後の国民の理解は大変進んでおりまして、現在、林道がそういう反対運動というようなことによってなかなか実行できないという例はほとんどございません。全国的にもほとんどございません。
  93. 和田耕作

    和田(耕)委員 これはああいうふうな山火事になって手がつけられなくなるということになると元も子もなくなるわけですから、やはり山林管理のための必要な林道というのはいろいろな反対があっても説得をして、そうしてつける、あるいは災害に備えるということが今後とも必要になってくるという感じがするわけです。  あのときの状態林道がどういうふうに働いたか、恐らく大して役に立たなかったのじゃないかと思うのです。ああいうふうな飛び火の状態を見ると思うのですが、そういうふうなことも現地を見ながら感じたことの一つでありまして、やるべきことはきちんとやる、マスコミがいろいろなことを言うても余りそういうことを聞かないで、やるべきことはきちんとやることが必要だというふうに思います。  第三点が局地災害の問題、激甚災害指定の問題なんですが、これは指定をするまでに早くても二、三カ月はどうしてもかかるようですね。もっと早くやるとか、あるいは三カ月かかるとすれば、大体の見当をつけて対策だけは早くやっていくというようなことができないものですか。
  94. 荒井紀雄

    荒井政府委員 どれくらいかかるかということでございますが、局地激甚の場合について申し上げますと、公共土木その他につきましては査定見込み額でいろいろ計算いたします。査定見込みということになりますとやはり査定がかなり進んでからということになりますので、原則として年度末に集中するということになりがちでございます。  今回の林業の場合につきましては被害見込み額で計算いたします。したがいまして、先ほどからも御答弁ございましたように、林野庁の方では原則は被害発生しましてから一カ月以内ということでございますけれども、今回の被害実態にかんがみましてこれをできるだけ早期に繰り上げてまとめたいということでいま御努力をいただいておるところでございます。そういった方向で今後とも万全の努力をしていきたいというふうに考えております。
  95. 和田耕作

    和田(耕)委員 今度現場を拝見して、被災の人たちをプレハブ住宅に収容するとか救済のための救援物資を送るとかいうことはなかなか迅速によくできていると思いますけれども制度としての対策がおくれると余り役に立たないわけであって、これはできるだけ早く処置をしてあげる。もし指定ができなければ処置ができないということであれば、大体の見当をつけてこれができるような処置をする。これは大臣の責任においてできると思うのですけれども、そういうふうなこともぜひとも考えなければいかぬじゃないかと思うのですが、大臣、この点どうでしょう。
  96. 加藤六月

    加藤国務大臣 四月二十八日に直ちに各省庁連絡会議を開きまして、当面の鎮火問題、また、その後に来るべき復旧問題等についてそれぞれの省庁で一生懸命やっていただくように話をいたしたわけでございます。そして、その後現地からの、県、市、町からのいろいろな御要望が来ております。それらを一つずつ検討し、できるものから早急にやるように指導いたしております。  先生がおっしゃいましたのは、あるいは局激の基準緩和等の問題についても勉強しろということではないかとも思うのですが、そういう問題を含めましていま被害調査を急がせておるところでございますので、その結果を踏まえまして、災害復旧のために一生懸命努力されておる地元の公共団体、各種団体、多くの皆さん方の勇気づけと災害復旧への意欲を持っていただくあらゆる方法を講じていこう、このように決意いたしておるところでございます。
  97. 和田耕作

    和田(耕)委員 私ども七項目として、たとえば災害県の財政の問題に対する配慮をするとか農林漁業その他の被災者に対して迅速にこの対策を講ずる等のことについては、ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。  最後になりますが、私が最も感じたことは、これは現場の記者会見でも申し上げたことでありますけれども災害の予想される地域の近いところにもっとヘリコプターのセンターを設ける必要があるなということなんですね。  と申しますのは、仙台と岩手は大体同じような条件下なんですね。ところが、仙台の方は二十七日一日だけで火は消えている。大体二十四時間で火は消えている。ところが岩手の方は、いろいろなケースはありますけれども、おしなべて二日半かかっている。つまり岩手の方が一日半長く火が燃え続けておるということは、少し山の深いところがあったということもありますけれども、私はヘリコプターの消火活動関係があると思うのです。特に仙台には自衛隊のヘリコプターの基地がありますね。しかし岩手の方は八戸には海上自衛隊の小規模のものがありますけれども、大体仙台から応援をしてもらわなければならない。時間もかかる。そしてまたあれは頻繁に往復して薬剤を積むものですから、遠いところだと余り役に立たない。  こういうこととの関係もあると思いますけれども、いずれにしてもああいう災害で交通が寸断されるという状況のもとでは空からの処置以外に方法はない。今後大きい水害でも皆どこでもそういう状態が起こってくるのですね。あるいは東海方面の地震がどういう状態になるかよくわかりませんけれども、必ずそういう状態が起こってくる。したがいまして、空から処置をする、状況をよく見きわめる、あるいは消火をする、あるいは救援物資を送る、避難をさす、災害全般の問題についてヘリコプターは非常に重要だ。したがいまして、今度の火事をいい経験にして、今後予想される山火事あるいは水害、地震その他の災害を総合して計画的にへりの基地を拡充していく。私は県別に持った方がいいと思うのですけれども、ところによっては県別でなくてもいいが、それはぜひとも検討してもらいたいと思うのです。ぜひともそういうふうな考え方が必要だ。  私は官房長官にもこの問題を強く申し入れました。官房長官もかなり積極的に賛成をしておりまして、それは何とか考えましょうということだった。  加藤長官、これはひとつ関係の各省と至急に話をしていただいて、今年度の予算から五年くらいの計画で、ある目標を達成できるような処置をぜひともしてもらいたいなと私は思うのです。具体的にどういうふうになるかは別として、そういう方向はいかがでしょうか。大臣としてやってみようというふうにお考えになるかどうかなんですね。どうでしょう。
  98. 加藤六月

    加藤国務大臣 ヘリコプターは、災害に当たりましては人命救助から始まりましていま先生がおっしゃいましたいろいろな状況もつかめますし、すばらしい活躍をしてくれている。今回の四月二十七日林野火災におきましてもヘリコプターの能力は非常に発揮されておるわけでございます。今回の教訓を生かしていき踏まえていくためにも、今後ヘリコプターによるところの防災体制について関係省庁と十二分に相談をいたしながら、ヘリコプターにそういう意味で中核的な役割りを持たすような考え方あるいは編成あるいは共同体制、こういうものを考えていかなければならぬなと私も強く考え、そして先生の御提言を踏まえてやっていきたい、このように思っておる次第でございます。
  99. 和田耕作

    和田(耕)委員 いまから十年ほど前でした。私が内閣委員会の理事をしているときに立川のアメリカ軍の基地が開放されて、あの約三分の一ぐらいの土地を災害対策のヘリの基地にしたい、こういう話がありまして、恐らくそれは進んでおるのではないかと思うのですけれども、この実情をちょっと聞かせていただけませんか。
  100. 萩次郎

    ○萩説明員 自衛隊の立川の防災基地の整備は、すでにほとんど終了しております。配置してございます部隊は、東部方面ヘリ隊、それから東部方面飛行隊その他の部隊でございますが、保有しておりますヘリコプターは、HUと申します中型でございますが、これが二十機、それからOH6という、小型でございますが、これが約十機ということで、三十機のヘリコプターが現在所在しております。
  101. 和田耕作

    和田(耕)委員 東京首都周辺の水害あるいはいろいろな不測の天災に対して、あの立川ヘリコプター基地の拡充というのは非常に大事だと思います。こういうものも一つのモデルケースにしながら、ぜひともひとつヘリの基地を完成してもらいたい、これは強く要望したいと思います。  それにつきまして、この置き方、あるいはこれの管理の仕方というのはいろいろ問題があると思います。いま陸上自衛隊を中心にしてヘリのあれは持っておるわけですけれども、自衛隊は災害出動という非常に重要な任務を持っておるわけで、また自衛隊以外の役所、たとえば消防、警察等が、あるいは県が持つとしても、二機三機のものであればいいのですが、これはやはり十機十五機となりますと、訓練とか平常のいろいろな維持のためにはやはり自衛隊が持った方がいいのではないかという感じがするのです。  しかしヘリコプターというのは、災害に対して、総合的な災害調整の一番大事な一つのものになるわけです。したがって、これは国土庁災害対策の総合官庁であるとすれば、国土庁としてもこういう問題を、調整機能の重要な一つの物的なものとしてこういうものを持つという考え方も成り立つと思うのです。  いろいろなそういう問題を加藤長官至急ひとつお考えになって、役に立つヘリの基地をぜひともお考えいただきたい。やはりこういう大型の災害については、各官庁がばらばらでは役に立たぬので、かなり総合調整機能的な役割りが強くならなければならぬ。そんな役割りを遂行する場合のヘリコプターの意味というのは非常に大きい、そういうことも考えて最も効果的な方法でヘリコプターを設置する。私は、やはり自衛隊が持った方が訓練等から見ていいのではないか、持った場合にそれを動かす場合の動かしやすい規定をつくった方がいいじゃないかという感じもするのです。こういう意見を申し上げながら、ぜひとも大臣にこの問題についての内閣としての方針を出していただきたいと思います。  このごろ、ヘリコプターというのは重要ですね。私は、防衛のためにはヘリコプターというのは大して役に立たない、ただ後方で人員を運んだりするだけのことだと思っていた。そうじゃない。あれににらまれると潜水艦なんというものはもうしようがない。それからタンクというようなものも。とにかく核兵器以外の防衛のあれとしては主戦兵器と言ってもいいほどの重要な意味を持っているのがヘリコプターということだと思います。これはよけいなことですけれども、ヘリコプターの重要性というものを今後災害対策としてぜひともひとつ強く取り上げていただきたいと思います。  また、ヘリコプターでもああいうふうに大風が吹いたんじゃ飛べない、あるいは暗やみの夜じゃちょっと飛べないということじゃ役に立たない面もありますから、これは自衛隊だけじゃなくて、相当の風でも飛べるような優秀なヘリコプターをつくるためにプロジェクトチームでもつくって一段の努力を願いたい、そのことを特にお願いをいたしまして、私の質問を終わることにいたします。ありがとうございました。
  102. 上原康助

    上原委員長 次に、林百郎君。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほど同僚議員から、本件が激甚災害の適用になるかならないかの問題で、宮城県の宮城郡の利府町の数字が出されたのですが、ちょっとこれ、同僚議員の理解されるところと私の理解するところと異なる点があるのです。  まず、これは林野庁にお聞きしますが、全国生産林業所得、ごく最近のものでいいのですが、幾らになっていますか。
  104. 依田和夫

    ○依田説明員 お答え申し上げます。  現在、最新のデータはたしか五十六年度でございましたかの公表資料しかございませんが、若干補正をいたしまして最も新しく推定をいたしてみますと、約五千七、八百億円程度になろうかというふうに推定いたしております。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、局地激甚災の指定基準、これは中央防災会議で決定したのですが、その〇・〇五%というと幾らになりますか。
  106. 依田和夫

    ○依田説明員 お答えいたします。  五千七百億といたしますと、〇・〇五ですから約二十八億か三十億弱になるかというふうに思います。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 〇・〇五%ですよ。
  108. 依田和夫

    ○依田説明員 ちょっといま数字の試算でございますので、精算をいたしましてお答えいたします。——どうも大変失礼いたしました。約三億弱になるかと思います。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、きょう消防庁から出されました本件の災害火災の損害額六十四億九千万、約六十五億ですね、この局地激甚災害指定基準足切りの方は十分達していると見ていいですね、本件の災害の場合。約三億ぐらいのところを六十四億の被害があるのですから。
  110. 荒井紀雄

    荒井政府委員 私からお答え申し上げるのが適当かどうか存じませんが、ただいま先生指摘被害額につきましては、市町村長を通じて消防庁へ参ります推定でございまして、局地激甚の計算に使用いたします被害額は、改めまして林野庁を通しまして、一定の計算方式に従いまして現在被害額調査しております。たとえば十年生までの場合ですとどうする、あるいは伐期齢に達したものは市場価格の逆算方式でやるといったような決め方がございまして、そういった決めに従いまして現在調査しておりますので、先生からただいま御指摘いただきました六十数億というのは今後さらに変動するということで御理解をいただきたいと存じます。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 では、われわれのところへ出ている資料は推定の額で、激甚災を指定する場合の数字として考えていいかどうかということについては林野庁としては責任は持てないというのですか。
  112. 荒井紀雄

    荒井政府委員 六十四億余と申しますのは全体の被害額でございまして、そのうち林野についてはまた別途御報告がある見込みでございまして、それはその他の住宅とか水産でございますとか、すべての数字を総合したものでございます。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、林業については幾らですか。林野庁、調べてありますか。
  114. 鈴木郁雄

    鈴木説明員 約四十六億でございます。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 四十六億でも局地激甚災の指定基準足切りの分は十分それに該当していると思うのですが、そこでなお局地の条件を見てみますと、利府町の場合の林業被害見込み額は幾らと聞いていますか。
  116. 依田和夫

    ○依田説明員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの利府町の林業被害額ということでございますね。現在鋭意調査中でございまして、まだ県から確定した被害報告が参っておりませんので、町村別には私ども掌握いたしておりません。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方が県から聞いたのは数字が出ていますが、あなたの方はまだつかんでないのですか。県から出ているはずですよ。  それではいまつかんでいる範囲で、要するに利府町の樹木に関する林業被害見込み額と五十八年度生産林業所得推定額、どのくらいかわかりませんか、県からいま上がっている数字。
  118. 依田和夫

    ○依田説明員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの点は利府町の生産林業所得というふうに理解いたしましたが、それでいたしますと、まだ確定でございませんが、現在約七億円強かと推定いたしております。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 それに対して五十八年度の所得推定額は。
  120. 依田和夫

    ○依田説明員 ただいま申し上げました数字は、約七億円強が五十八年度の推定というふうに……
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 被害見込み額ですよ。
  122. 依田和夫

    ○依田説明員 失礼いたしました。被害見込み額でございます。
  123. 林百郎

    ○林(百)委員 間違った答弁をしていたんではだめだよ。激甚災に適用されるかどうかを真剣に考えていないということだよ。  大臣、こんなことではだめですよ。利府町は災害災害を重ねて非常に困っている、何らか救済の方法を求めているというときに、林業被害額を所得額と間違って答弁しているような、こんなばかげたことを林野庁にやらして、各省で連絡したと言うけれども、こんなことではいつ指定になるかわからないじゃないですか。  私の方の推定によりますと、被害見込み額はあなたの言うように七億三千四百万。五十八年度の所得推定額は六千五百万で、これは約一・五倍でいいのが十一・三倍の被害になっているのです。これは足切りの面からいっても、具体的に利府町の場合、局地激甚災の適用の条件はあるわけですが、なお面積の点があります。  これを林野庁がわかっているかどうか、林野庁がわからなければ国土庁でもいいのですが、要復旧見込み面積は幾らで、本件被害のうち利府町で人工林に関する民有林面積は幾らですか、どこかわかっているところで答弁してください。
  124. 依田和夫

    ○依田説明員 お答え申し上げます。  先ほども答弁申し上げましたが、町村別の要復旧面積については現在鋭意調査中でございますので、私どもはまだ掌握しておりません。  それから人工林面積のお尋ねでございますが、利府町におきましては、一九八〇年の世界農林業センサスによりますと、民有林人工林面積は約千五百四十二ヘクタールというふうに承知しております。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 そのうち今度復旧の見込みの面積は幾らですか。復旧させなければならないと見込んでいる面積
  126. 依田和夫

    ○依田説明員 先ほども答弁申し上げましたが、現在町村別に鋭意調査中でございますので、私どもの方でまだ承知いたしておりません。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 おかしいですね。私の方が県へ聞けばちゃんと数字が出ているのですよ。要復旧見込み面積は三百八十四ヘクタール、人工林にかかわる民有林面積は千五百二十七ヘクタール。私の方が県へ聞いてわかっているのにあなたの方がつかんでないというのは一体どういうことですか。  要するに真剣に一日も早く局地激甚災を適用させてやるかどうか、ここに局地激甚災が適用になればまたそれぞれの局地激甚災が適用になる地域が出てきて、今度の林業火災による被害が早急にいろいろの点で援助を受けることになるのですが、私たちが聞いてつかんでいる数字を林野庁がつかんでない。それも私の方がいいかげんじゃなくて、県からちゃんと聞いている数字なんで、林野庁が県へ聞けば上がってこないはずないのですよ。県が当該町村の今度の火事による要復旧見込み面積がどのくらいかということは数字を出しているはずですよ。少なくともまだ出してないということはないはずですよ。やむを得ませんが……。  それでは仮定でお尋ねしますが、先ほど私が申し上げましたように、全国の生産林業所得に対する〇・〇五%が約三億余りだ。それに対して今度の山火事による被害が約六十五億という数字が一応私たちのところへ出ておりますが、これは山林ばかりじゃない。山林ばかりだと四十何億だ。それにしても三億を超しておりますから、それは足切りの点では条件は十分ある。当該利府町で言いますと被害見込み額が七億三千四百万、五十八年の生産林業所得推定額が六千五百万、復旧見込み面積が三百八十四ヘクタール、人工林に関する民有林面積が千五百二十七ヘクタール、生産林業所得推定額で言っても十一・三倍、復旧見込み面積から言うと二五・一%、いずれも局地激甚災の指定の数字が出ておりますので、これはひとつ、ここで答弁ができないと言えばやむを得ませんが、至急にこれは調べて、利府町に局地激甚災が指定されるとなりますと他の局地激甚災の指定も受けることができるような条件になりますので、これは至急やってもらいたいと思いますが、これは、大臣、どうです、いつごろなら調査できる責任を持てますか。具体的に局地激甚災を指定するかどうかということは国土庁で決めるのでしょう。
  128. 荒井紀雄

    荒井政府委員 まず林野庁の方で県を通じまして被害調査をまとめまして、まとめた結果に基づきまして私の方にそれが判明いたしますれば直ちに検討に入るということでございまして……(林(百)委員「いつごろの見込みか」と呼ぶ)現在林野庁においていろいろ調査をやっていただいておりまして、原則は被害発生いたしましてから一カ月以内というふうなことになっておりますので、それをできるだけ早くまとめていただくようにお願いをしているところでございます。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 それから、これは大臣、先ほどから出ているのと同じ問題なんですけれども、要するに、人工林に係る当該市町村民有林面積が、東北地方のような広大な林野面積を抱えている地方では、激甚災を指定する二五%の被害というのがなかなかむずかしいことになるわけですね。非常に広大な私有林がありますからね。  たとえば岩手県の下閉伊郡の岩泉町の例を私の方で県に問い合わせて聞いてみましたところが、被害林の面積は千六百二十八ヘクタールだというのですね。ところが民有林面積は二万五十一ヘクタール。これじゃとても二五%にはならないわけですね。また、久慈市の場合は、被害面積が八百七十二ヘクタールに対して民有林面積は六千七百五ヘクタール。これも二五%というのは容易じゃないのです。  そこで、特別にこういう東北のように広大な林野面積、しかも個人の林野面積を持っている、そのために局地激甚災の指定足切りの条件の適用がなかなかむずかしい、そういうことについて中央防災会議ではどういうふうな審議がなされ、この問題が論議されていますか。何か特別な救済方法を設けてやらないと、これは今度みたいな膨大な山火事があっても、民有林面積が余りに広いために、激甚災の適用がされないという事態が起きているわけなんです。中央防災会議の審議の模様を大臣から、大臣がわからなかったらだれか答えてください。
  130. 荒井紀雄

    荒井政府委員 今回基準に該当するかどうかについては、先ほど来お答えを申し上げておりますとおりに、調査結果を待ってでないとわかりませんけれども、現在の基準につきましては、そもそも、これは先生御承知のとおりでございますが、昭和五十六年の五六豪雪を踏まえましていわゆる本激甚のA基準というものができたわけでございます。その後、五十六年の台風によります北海道を中心としました風倒木、これの被害を踏まえまして五十六年の十月にB基準ができまして、同時にあわせまして現在の局地激甚基準ができ上がったわけでございまして、今回のような大規模な火災については、まだその後そういった被害実態がない、今回が実は初めてという状況でございます。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃこれは政策の問題ですから大臣にお聞きしますが、こういう非常に広大な民有林がありまして、そこで今度のようなこれも歴史的な火事で林業被害を受けているわけですが、何とかこれは救済してやらなければならないので、こういうような場合、基準をあるいは一般の場合と別に特殊な場合として考えてやるか、そういうようなことを防災会議で一応検討する必要があるのじゃないかと思いますが、その点について、大臣、どんなお考えをお持ちですか。
  132. 加藤六月

    加藤国務大臣 今回の四月二十七日林野火災の問題を教訓として、今後中央防災会議でそういう問題を踏まえた問題を検討いたしたい、このように考えております。  それから、先ほど審議官がお答えいたしましたように、昭和五十六年の十月、現在の局激の基準というものをつくったわけでございます。それは先ほど申し上げたとおりでございますが、そういうもの等をよく熟読玩味しながら中央防災会議において今回の教訓を生かすように検討していくというのがいまの段階でございます。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう前向きな姿勢で取り組んで検討してもらいたいと思います。  それから、審議官に私が県からもらった数字を先ほど申しましたね。これは覚えておいでですね、さっき言った利府町の例を。これは県から聞いた数字。これは県ですから国は国でまた別個に調査すると思いますが、この数字だとすれば利府町に対して局地激甚災の適用がある、したがって局地激甚災が他の地域にもそういう場合は適用になるということになると思いますが、その点はどうですか。  これから数字を具体的に調べるとして、仮に私の方で調べた数字だとすれば、利府町が局地激甚災の指定になるということになれば、被害額が千五百万円以上で当該森林復旧を要する面積が九十ヘクタール以上の地域局地激甚災の指定になるということになると思います。数字については後ほどあなたの方で調べて国の責任ある数字が出るとしても、私の方が県から聞いた数字だとすれば激甚災の適用になるというように思いますが、どうですか。そういう仮定で答えてください。
  134. 荒井紀雄

    荒井政府委員 大変失礼でございますが、先ほど先生がおっしゃいました〇・〇五%の足切りについて、〇・〇五%はそうであるといたしまして、比較の対象になりますものが当該市町村林業被害見込み額でございまして、トータルとしての四十数億という数字ではございませんので、ちょっといま私ども何とも判断しかねているような状況でございます。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 〇・〇五%というのは全国のですよ。そういう事態がある激甚災害で起きて、さらに局地災害指定を受ける場合には今度は局地の利府町なら利府町の条件がある。その前の足切りとして、全国的にそういう災害のもとで局地で次の条件がある場合には局地災害指定を受けるという全国的な足切りのことを私は言っているのですよ。あなたは誤解しているのじゃないですか。〇・〇五というのは全国的な林業所得に対する被害です。
  136. 荒井紀雄

    荒井政府委員 〇・〇五%が三億弱というのは先ほど林野庁の方でも申し上げたとおりかと思いますけれども、それと比較されますのは当該市町村林業被害……
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 当該じゃないですよ。あなたの方から六十五億という損害額が出ておるのですよ。しかし、これはいろいろな損害も含まっている。林業だけで言えば四十五億だというんですよ。だから、今度の山火事で受けた被害は四十五億じゃないか。これは利府町だけじゃないですよ。そう言っているのですよ。だから、全国的な足切りの条件はあるだろう。
  138. 荒井紀雄

    荒井政府委員 お答え申し上げます。  全国的な足切りということでございませんで、当該市町村ごとに足切りが適用されるわけでございます。そこで利府町についてはどうかというお尋ねでございますので、足切りの資格になりますのはなるほど三億弱でございますけれども、利府町の林業被害見込み額が果たしてそれを上回っているのか下回っているのかという判断をしませんと、利府町が足切りになるのかならないのかわからない、こういうことを申し上げているわけでございます。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 あなた、勉強が足りませんから、私言っておくからよく研究しておいてください。  五十六年十月十四日改正された局地激甚災害指定基準中央防災会議の決定というのがあるのですよ。これをあなたいまそこに持っていますか。そこに何と書いてありますか。全国生産林業所得推定額のおおむね〇・〇五%未満の額が出ているんですね。「その災害に係る要復旧見込面積当該市町村民有林面積のおおむね二五%を超える市町村が一以上ある災害」こうあるのですよ。だから、私の言った条件があるとすれば適用されるじゃないですか。  いいです、わからなかったら後でまた研究して私のところに言ってきてください。  時間がありませんから、あと大臣に、今年度の予算ですが……
  140. 上原康助

    上原委員長 ちょっと発言者、答弁があるようですが、どうしますか。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 いいですよ、後で私の部屋へ来てよく答弁してください。(「それじゃ困る」と呼ぶ者あり)困るならここで……。
  142. 荒井紀雄

    荒井政府委員 私の御答弁、あいまいでおわかりにくくて大変恐縮でございますけれども、いま先生お手持ちの決定の基準の括弧内で「当該林業被害見込額が当該年度の全国生産林業所得推定額のおおむね〇・〇五%未満のものを除く」ということでございますので、当該林業被害見込み額というのは利府町に係るそれでございます。そういう意味のことを御説明申し上げたわけでございます。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 いいです。  大臣、ちょっと細かい数字になりますから、大臣答弁できないならできる人で結構です。林野火災対策関係の予算ですが、消防施設整備補助金が五十八年度は五十七年度に比べまして五・四%減、それから林野火災予防対策事業費の補助金が前年度に比べて一六・五%減、それから今度問題になった空中消火用資機材整備補助金、これは前年度に比べましてゼロ、こういうようになっていますが、これはだれか答えることできますか。
  144. 志村哲也

    ○志村説明員 お答えを申し上げます。  林野火災関係の予算につきましてただいま先生から消防庁の消防施設整備費のお話もあったわけでございますけれども、特に林野火災関係の予算に限ってお答えを申し上げますと、市町村に対する林野火災用の補助といたしまして、消防無線でございますとか防火水槽でございますとか散水装置でございますとかという林野火災用の消防施設に対しまして、ただいまお話がございましたような林野火災用消防施設整備補助、こういう予算を計上をしているわけでございます。  もう一つは、都道府県に対する助成制度といたしまして、ヘリコプターによる空中消火資機材の備蓄ということで、消火薬剤の散布装置、いわゆる水嚢でありますとか混合器でありますとかいうような資機材の助成を従来から行ってきているところでございます。このうち都道府県に対する空中消火資機材に係る補助金につきましては、一応ほぼその目的を達成したというようなことから、五十八年度からは、お話がございましたように予算を廃止をいたしておりますけれども、他方、市町村に対しますところの林野火災用の消防施設補助金につきましては、最近のきわめて厳しい財政事情の中にございまして、消防庁としては毎年度その増額に努力をしてきているところでございます。  ちなみに申し上げますと、四十五年度から発足を……(林(百)委員「余分なことはいいんですよ。五十七年と五十八年と比べて」と呼ぶ)五十七年度の林野火災用の消防施設に……(林(百)委員「空中消火用機材ですよ」と呼ぶ)空中消火用資機材につきましては五十七年度まででございまして、五十八年度につきましては、先ほど申し上げましたように廃止をしているところでございます。(林(百)委員「だからゼロということですね」と呼ぶ)はい、廃止をしているところでございます。  いずれにいたしましても、今後とも市町村に対しまする林野火災用の施設整備費につきましては、厳しい財政事情の中ではありますけれども、鋭意その充実に努力をしてまいりたいと考えております。
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 充実に努力したいといったって、消防庁から出た空中消火用資機材整備補助金、五十七年度で五百五十万あったのが五十八年度はゼロになっているということですね。そうすると、わずかな金だとはいえ、たとえば消火剤ですが、ある調査によっては宮城県では空中から散布した消火剤は結局十六トン、二百五十五万と言っています。こういうような費用は国から補助金が一文も出ないということになるわけですか、消防庁。
  146. 志村哲也

    ○志村説明員 お答えを申し上げます。  空中消火用の薬剤の備蓄につきましては、従来から助成対象ではございません。これは消耗品であるということで助成対象にはしてございません。従来の助成対象は資機材の整備に対する助成ということで助成をしてまいったところでございます。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、ヘリコプターで薬剤を散布すれば非常に効果的だというようなことを言っておりますけれども、それは結局市町村の負担でやるということになれば、市町村の財政いかんによっては限界が出てくるということになりますわね、何も国から補助がないというのでは。  それじゃ聞きますが、四十四年の十一月十一日の消防審議会の答申では、林野火災の防御のために市町村はオートバイ、無線機、小型軽量ポンプ、刈り払い機等の整備、また消防水利の確保、都道府県では防災資機材センターを設置して空中消火機器、消火薬剤、万能トラクターその他の車両の整備をしろ、こうありますね。  そこでお聞きしますが、昭和五十七年度末でブッシュカッターは全国で何台あるのですか。
  148. 志村哲也

    ○志村説明員 お答え申し上げます。  五十七年度現在では、ブッシュカッターの配置は一台ということでございます。
  149. 林百郎

    ○林(百)委員 では、軽可搬式消防ポンプ、これは全国で何台あるのですか。
  150. 志村哲也

    ○志村説明員 お答えを申し上げます。  いわゆる市町村に対しますところの林野火災用消防施設補助金で設置したものが合わせて二十五台でございまして、これ以外に市町村が独自で整備をしているものもございます。これらも含めますと、現有高が、補助、単独を含めまして現在地方自治体で設置しておりますのは、一万一千七百十四という数字になっております。
  151. 林百郎

    ○林(百)委員 都道府県では幾らですか。
  152. 志村哲也

    ○志村説明員 お答えを申し上げます。  都道府県につきましては、私どもとしては、先ほども申し上げましたように、空中消火資機材の基地というか備蓄ということで指導しているわけでございまして、ただいまのような施設につきましては、自治体消防が基本でございますので、市町村の消防で設置をするということで指導いたしております。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ都道府県はわからないということですね。  それでは、都道府県防災会議林野火災部会を持っている府県は幾つあるのですか。
  154. 志村哲也

    ○志村説明員 お答えを申し上げます。  林野火災対策部会を都道府県の防災会議に設置をしている団体は現在はございませんけれども、ただし、各都道府県におきましては、林野火災部会と同じような機能を果たしておりますところの、地元の関係機関から成ります山火事防止推進協議会というようなものをそれぞれの団体で設置をしておりまして、事実上その防災会議林野火災対策部会と同じ機能を果たせるような形で運用されている状況でございます。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたは自治省の方ですか。(志村説明員「消防庁です」と呼ぶ)消防庁。私の方で自治省から聞いたのは、運ぶことのできる山火事用のものは全国で二十五台だと言うのだ。それから、都道府県防災会議林野火災の部会を持っているのは一県もないと言うのです。だから、林野火災に対する消防とか防災の体制というのは、加藤大臣、全く抜けているのですよ。よく調べていただきたいと思うのです。これじゃ今度みたいな被害が毎年毎年起きる可能性があるのです。これはもう少し力を入れなければいかぬと思うのです。  それから、火の出た原因もいろいろ言われていますが、地方の新聞、これは四月二十八日付の河北新報を見ますと、こういうことが言われているのです。  宮城県の泉市から出火した火災について、宮城県の住宅供給公社が雑木の伐採と焼却を県の森林組合連合会に委託したが、その作業の中で失火したと報道されている。しかも連合会は、その前の十日、十三日にも残り火の不始末からぼや騒ぎを起こしており、泉市消防本部は、県住宅供給公社に口頭で注意をし、森林組合連合会に対しては確約書の提出を求めていた。雑木の伐採、焼却について火を残さないようにしろ、再びこういうことはしません、そういう確約書の提出を求めている。  要するに、三回にわたって不始末を起こしている、消防本部からも注意を受けている、確約書の提出を森林組合連合会は求められている。これは出たのですか、出ないのですか。
  156. 鈴木郁雄

    鈴木説明員 ただいま先生おっしゃいました確約書は、提出いたしております。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 いつの日付で出ているのですか。本件の山火事があった後ですか、前ですか。
  158. 鈴木郁雄

    鈴木説明員 四月二十七日、最後の山火事の前に出しております。
  159. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。それなら結構ですが、そういう確約書をとられるほどのことを森林組合連合会が負っておるわけですから、本件の山火事の出火原因と責任について、宮城県の住宅供給公社それから下請を委託された森林組合連合会の責任が重大だと思いますので、この点を十分検討されて、消防庁としてもその責任を明らかにさせるように、そしてまた、個人的な被害があれば、その弁償の責任の一端も負わなければならないような事態が起きるかと思いますが、そういう点をはっきりさせてもらいたいと思います。その点を確約をしてもらって、私の質問をこれで終わりたいと思います。
  160. 志村哲也

    ○志村説明員 お答えを申し上げます。  現在、地元の消防機関におきまして調査中でございます。消防機関の原因調査につきましては、今後の火災予防というような見地から行われるものでございまして、消防庁といたしましても、このような見地から、原因の解明につきましては徹底的に行われるものであるというふうに考えております。
  161. 林百郎

    ○林(百)委員 終わります。
  162. 上原康助

    上原委員長 次回は、来る二十五日水曜日、午前十一時三十分理事会、正午委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時十九分散会