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1983-05-11 第98回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十一日(水曜日)    午前十時十二分開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 阿部 文男君 理事 浜野  剛君    理事 水平 豊彦君 理事 安田 貴六君    理事 竹内  猛君 理事 永井 孝信君    理事 草野  威君 理事 玉置 一弥君       浦野 烋興君    太田 誠一君       北川 石松君    佐藤 守良君       中西 啓介君    中村  靖君       野中 英二君    小川 国彦君       新盛 辰雄君    三浦  隆君       辻  第一君    伊藤 公介君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 長谷川 峻君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      滝田 一成君         警察庁交通局長 久本 禮一君         運輸大臣官房総         務審議官    西村 康雄君         運輸省船舶局長 野口  節君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 棚橋  泰君         運輸省自動車局         長       角田 達郎君         運輸省自動車局         整備部長    丹羽 一夫君         運輸省航空局長 松井 和治君         海上保安庁長官 永井  浩君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      藤井  威君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       田中  寿君         厚生省社会局庶         務課長     末次  彬君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 服部 經治君         気象庁観測部長 竹内 清秀君         労働省労働基準         局監督課長   野崎 和昭君         日本国有鉄道旅         客局総務課長  小澤 敬三君         日本国有鉄道事         業局次長    猪俣 為久君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ───────────── 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   辻  第一君     三浦  久君 同日  辞任         補欠選任   三浦  久君     辻  第一君     ───────────── 四月二十八日  放置自転車対策に関する陳情書(第二三〇号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ────◇─────
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野中英二君。
  3. 野中英二

    野中委員 本日から春の交通安全期間に入るわけでございます。きょうはその初日でございます。したがいまして、陸上交通安全にしぼって質問をいたしたいと思っておるわけであります。  御存じのとおり、第三次交通安全基本計画を立案いたしまして、第三次のしかも三年目を迎えたわけでありますが、交通事故が大変激増いたしております。大変憂慮すべき事態に相なってきたわけでございます。五月九日現在で、死者も三千百八人を数えるに至りました。このペースでまいりますと、恐らく五十一年の九千七百人をオーバーしてしまうのではなかろうか、こういう危惧を私は持っておるわけでございます。したがいまして、このような状況下にあって、交通事故増加防止する、あるいは抑止をする、総合的施策をなさっておられる総理府にこのことを質問いたしたい、こう思っておるわけであります。
  4. 滝田一成

    滝田政府委員 お答え申し上げます。  最近の交通事故の増勢、先生指摘のとおりで、私どもといたしましてもまことに残念に思っておるところでございます。  交通事故要因につきましては、一つ一つ事故を見ますると、極端に言いますと千差万別というような言い方ができるものでございまして、交通事故を減らしていくためには、やはり総合的な長期的な施策実施していくという必要があるわけでございます。いまお話しのとおり、ことしは第三次交通安全基本計画の三年度目に当たっているわけでございますが、前回委員会でもいろいろ御意見、御質疑をいただきました。予想どおりといいますか、なかなか効果が上がっていないではないか、こういうお話をいただくわけでございます。  確かにそのとおりで、私どもも残念でございますが、さればといって、交通事故防止のための即効薬はなかなかないわけでございまして、現在の基本計画、それにのっとりました毎年政府として実施する施策、さらに関係の各省庁で実施をいたしまする基本計画、そういうものをつくって実施をしているわけでございます。それをそれぞれじみちに、着実に国民の御理解を得ながら実施をしていくということに尽きるといいますか、これを実施しているわけでございますが、今後とも、事故の実態に合うように変更すべき点は変更する、新しくつけ加えるような施策につきましてはつけ加えるということでさらに努力を続けてまいりたいと考えております。
  5. 野中英二

    野中委員 交通安全対策というものが、私も特別委員会ができて以来ずっと籍を置かせていただいているわけでございますけれども、抽象的な議論が余りにも多いのではないだろうか、そういうことを憂慮いたしておりますので、まず交通事故の分類を明確にして、それに対する対策をそれぞれ打っていかなければならないのではなかろうか、私はこういうふうに考えておるわけであります。しかし、交通事故要因となるべき要素というものは大変広範にわたるものでありまして、それを一々きょう論及いたすことはできません。きょう私に与えられた時間が四十分ということでありますから、したがって、幾つかにしぼって質問をしていきたいと考えております。  第一は、年齢別について見たいと思っております。しかも交通事故の中で死者中心としての事故限定して、きょうは論及をしていきたいと思っておるわけであります。  御存じのとおり、十六歳から十九歳あるいは二十歳から二十九歳、ここが年齢的に見て圧倒的に多いわけでございます。不幸にいたしまして、わが埼玉県は全国トップになってしまいまして、県民の一人として申しわけなく存じておるわけであります。かつまた、久本警察庁交通局長にもお出ましを願うということになりまして、まことにざんきにたえないわけでございますが、埼玉県の事故を見ましても、十六歳から十九歳、これは構成率から見ますと何と二一%を占めておるわけでございます。しかも二十歳から二十九歳までは二〇・二%、こういうことで、全国平均よりもこれが上回っておるわけでございます。あと年齢別に見ますと、全国平均よりもわが埼玉県は下回っているわけでございますけれども、十六歳から二十九歳までは圧倒的に多いわけでございます。これに対する対処をどうお考えになっておるか、局長の御意見を賜りたいと思います。
  6. 久本禮一

    久本政府委員 お答えいたします。  先生の御指摘になりました若年層の問題は、御指摘埼玉県の事例におきましてもしかりでございますが、これは全国的な傾向でもございます。したがいまして、これは当面私どもが具体的な対策を講ずる上におきましての、現状におけるきわめて重要な留意点であると考えております。  これに対する対策でございますが、率直に申し上げまして、起死回生の妙案というものは残念ながらないわけでございまして、やはりいままで長期にわたって積み上げられてまいりましたところの対策を、状況に応じてきめ細かに、しかも精力的に実施をするということが基本であろうと思うわけでございます。その点から見ますと、若年者対策ということに目を向けました場合、まず必要なことは、やはり運転者対策であろうと思うものでございます。  運転者対策は、御承知のとおりきわめて多くの接する場所がございます。たとえば初心運転者の養成、運転免許更新等機会における一つのチェック、あるいは街頭における無謀運転事故に直結するような危険な運転に対する指導取り締りといったようないろいろなシステムがございます。こういったシステムをそれぞれの県の置かれた状況に応じて、あるいは取り締まり規制、あるいは運転者教育及び免許各種機会におけるこれの指導といったようなものを、どのように密度を濃くするかということの中で考えていくべきことでございまして、これにつきましては、いろいろいままでの経験上積み上げられたノーハウがございます。  要はこれを厚く、きめ細かにするということ以外にはないわけでございまして、その個々の点が何であるかという点につきましては、細かくなるので差し控えますけれども、その辺をいかに効率的に進めていくかということで私ども努力いたしますし、また、御指摘のありました埼玉県の県警に対しましても、その点の努力を具体的に示して、要求をしていくということであろうと考えております。  以上、総論的でございますが、とりあえず全体の構成をそういった形でお答えを申し上げたいと思います。
  7. 野中英二

    野中委員 いまお聞きいたしておりますと、いろいろな言葉を使われましたけれども、しょせんは教育問題というふうに受けとめていいんじゃないかと、いま私は受けとめたわけでございますが、私は、さらに一歩進めて、この問題はそんななまはんかなことでは解決がつかぬのじゃないかと思うわけでございます。  御存じのとおり、運転免許証にはそれぞれ限定があるわけでございます。たとえば眼鏡使用であるとか、条件がつけられているわけであります。したがって私は、若年運転免許に対しては、当然限定されてしかるべきであると思うわけであります。もちろん、職業の問題があります。そば屋でっち小僧が運搬をする。高年齢層になれば高賃金になるわけでございますから、この辺のことも考えなければならぬ。ということになれば、若年運転免許証というものは地域限定をするべきじゃないだろうか。その市町村だけに通用する、そんなところまでひとつ御検討願えないものだろうか。この連休等若年者が遠距離のドライブをする、こんなことで事故を起こしているということを考えれば、運転免許証地域限定、こういうものが考えられないものだろうかということを提案をいたし、同時に質問をいたします。
  8. 久本禮一

    久本政府委員 毎日の交通情勢の中で、事故はほぼ日常的に起きております。そういうことを身近にごらんいただいておって、そういった若年者免許に対してきわめて厳しいお考えが出るということは、私もそれなりに心情的にはしばしば感ずるところでございますし、そういった形で問題を感じ取っていただいているという点には、私どもとしても敬意と感謝を申し上げる次第でございます。  ただ、制度としての問題といたしましては、免許というものの本質、あるいは現実車社会状態、あるいは国際的な物の考え方といったようないろいろな制約がございまして、そういった制約の中でいかに当面の問題を有効にそれに盛り込んでいくかということが具体的な方法であろうというふうに思うのでございます。そういう点では、いわゆる若年者の問題も一つ特色であると思いますけれども、そういった特に問題の多い年齢層にそれ特有のいろいろな働きかけをするという考え方は、基本的には、やはりその方法をいろいろ考えるべきであろうと思うわけでございます。  現状で、ともかくそういうような形で食い込んでいる方法を一、二申し上げますと、たとえば二輪の免許取得の際に、若年者の場合につきましては特別な講習を設けるといったようなこと、あるいは各種更新、あるいは行政処分等の場合に、若年者に対しましては特別の学級を組みまして、これに事故情勢あるいはその他交通情勢から見た、特に若年者に対して強調をしあるいは申し渡しておきたいことという点について、その辺にしぼり込んだ濃密な働きかけをするといったような点は、すでに幾つか取りかかっているところでございます。  この辺が、どこまでそういった制度論としての問題とかみ合ってできるかということは今後の課題であろうと思います。たとえば、具体的な地域限定その他の御提案に対して、直ちに具体的な御返事を申し上げる段階にはございませんけれども、そういう特殊な年齢層における特殊な問題点について、いかなる方法をそれに当てはめることができるかという点は、御指摘のとおり私ども検討課題であるというふうに考えておりますので、制度論の中での限界等も十分に踏まえながら、具体的な方法を今後もいろいろ編み出してまいりたいという気持ちではございます。
  9. 野中英二

    野中委員 年齢別質問はそれくらいにいたしまして、次は状態別事故件数から見てどうすべきかということをこれから御質問申し上げます。  これは交通事故の多い埼玉県だけに例をとることにいたしましょう。自動車が八百六十八件で四一%、自動二輪が二百二十件で一〇・四%、原付が百七十八件で八・四%、自転車が百七十七件で八・四%。それから歩行者、これが横断中が四百四十七件で二一・一%、その他歩行中が百十八件で五・六%、路上遊戯中が八人で〇・四%、こういう数字になっております。  そこで、私は、まず第一に考えなければならぬことは、歩行者優先、こう言われますけれども、その横断中の事故がある、この対処の仕方から御質問したいと思っております。どうやって防止するか、お答え願いたい。
  10. 久本禮一

    久本政府委員 歩行者事故の問題は、非常に現状でも問題が大きいわけでございますので、まあ古くて新しい問題であるということかと思います。歩行者事故防止につきましては、いろいろなノーハウはすでに具体的にあるわけでございますが、御指摘横断の問題につきましては、一次的には、多分に運転者注意力に依存しなければならない点がございます。したがいまして、運転者横断歩道における注意をどのように促していくかということは、横断歩道における歩行者事故防止に対して一番基本的な対応であろうと思うわけでございます。  たとえば、信号機を伴わない裸の横断歩道というものをできるだけ解消していくといったような施設の問題、これは大都市部とは違いまして、地方部におきますと、そういった点の不十分な点というのがまだまだございます。したがいまして、この点は依然として精力的な施設整備を要することてあろうというふうに考えておりますし、また、当面いろいろ御指摘を受けております地方的な格差をできるだけ埋めようという点からも、これは力を入れるべきことであると考えております。  そういったこととあわせまして、たとえば一時省エネ等の問題で、そういった横断歩道等における道路照明等の問題にもその辺の影響がかなりございましたが、基本的には、やはり横断歩道歩行者にとって安全に渡れる場所であってほしい、したがって、信号のような保護のための施設、あるいは照明のような、歩行者を明白に認識できるような状況ということの中で、運転者にも安定をした注意力で、歩行者が安全に通行できるような配慮をしてもらいやすい条件をつくり出すということがまず基本であろう、そういうふうに私ども思うわけでございます。  あわせまして、この点につきまして、先日も新聞等で報道されましたが、横断歩道歩行者がいるにもかかわらず不注意ではねたといったような事故に対しましては、街頭活動過程で厳密にこれの指導取り締まりによって対応いたしたいというふうに考えているところでございます。
  11. 野中英二

    野中委員 全くその点は同感で、信号のないところは横断できないわけで、できるだけ努めていく、この対策は必要だと思っております。  次に、路上遊戯中なんという不届きな子供ができてくるわけですが、この辺は、交対室に私質問をしておきたいのてありますが、これは建設省も督励して児童遊園地をつくる、しかも児童遊園地からダイレクトに道路へ出られないように特に配慮をしていただきたい。その出入り口というのは、ダイレクトに駆け出せないように木のさくを打っていただく、そういうようなことで、子供交通安全を期してやらなければならない。これはどうしても建設省を督励する必要があるだろう、こういうふうに思います。  さて、このことは私はもうこれ以上質問しませんが、次に、自動二輪と原付について、警察庁として、交通安全をどうやっていったら徹底していくか、このことについての所信をちょっとお聞きしておきたいと思います。
  12. 久本禮一

    久本政府委員 自動二輪、原付の普及とこれに伴う事故増加という点が御指摘をいただいておりますが、これは最近の交通情勢一つ特色でもございます。したがいまして、四輪を中心にした交通情勢に対する指導取り締まり、あるいは規制、あるいは運転者教育といったような方法を総合的に講じてまいりましたように、二輪が入り込んで混合形態が増したという交通情勢の中で、同じように二輪に対しても臨んでいくというのが基本的な私ども対応の姿勢であろうと考えておるわけでございます。したがいまして、二輪、原付対策と申しますのは、指導取り締まり、あるいは環境整備、あるいは教育、そういう面にそれぞれ分散するものであろうと考えております。  まず、指導取り締まりでございますが、いままで、率直に申しまして、二輪、原付というものを特にその特色をとらえて指導取り締まりの対象にしてきたかどうかという点では、若干その点に行き届かない点があったのではないかという反省はいたしております。したがいまして、最近、各県の警察におきましては、特に二輪、原付交通情勢に応じて、それに焦点を向けた指導取り締まり等も組むように指導いたしておりますし、また、そういった執行をいたしております。こういう対応は、徐々にその成果が上がるものというふうに期待をいたしているところでございます。  次に、環境整備でございますが、二輪、原付というのは、やはり四輪から見ますと動きが非常に複雑で、注意力をとられるという点があろうと思います。したがいまして、二輪、原付を四輪の車、大型等の車の流れからできるだけ認識しやすいように、交通流れの中で分離しやすいように環境整備をしてやるという必要があろうと思います。たとえば、新聞等で報道されましたが、熊本県で例の二輪、原付が昼間点灯をするとか、あるいは広島県で右折方法に若干の工夫をしてみるとか、あるいは東京、愛知県等で、停止線について若干変化を試みてみるとか、こういったようなことはいずれもそういう過程における一つ試行錯誤でございまして、こういう点もいろいろ考えて評価をし、あるいはその辺の試行錯誤を繰り返しながら、環境の面から、二輪、原付というものが四輪にまじって危なくない存在であるような形の施設上の対策を講ずる必要があろうというふうに考えております。  三番目は、これは率直に申しまして、先生の御指摘のとおり、基本的な課題でもあると思うのでございますが、運転者に対する問題でございます。  前回委員会等でも、制度問題等に絡んでの御指摘をいろいろいただいておりますけれども制度に絡んだ問題は、全体としての運転免許の仕組みの問題もございますので、なかなかむずかしい点がございます。したがいまして、これにつきましては、息長く検討いたしながら、当面の施策といたしましては、二輪、原付運転者教育に対して、現在欠けているのてはないかという点を事実上補っていくということを中心対応してまいりたい、そういうことでございまして、先回も申しましたように、原付免許取得時における実技講習であるとか、あるいはただいま申し上げました二輪免許取得時における若年者講習であるとかいうようなものは、そういった制度の中で少しでも具体的な改善の方法を見つけ出したいという一つの試みであるというふうに御了解をいただきたいと思うのでございます。  以上でございます。
  13. 野中英二

    野中委員 この二輪、原付につきましては、昭和五十六年には三百六万台程度の売り上げでありました。ところが五十七年になりますと、三百二十八万台というふうに売り上げが急増いたしておるわけで、これに対する警察庁対応の仕方が遅かった。要するに、二輪に対する非常な関心を特に若年層が持ってきたにもかかわらず、これの対応の仕方が若干おくれたのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。  さて、時間がありませんから、次の類型別による事故は省略をさしていただきまして、違反別について若干触れたいというふうに考えております。  特に、この違反別につきましては、全国平均もそうでありますけれども、わが埼玉県におきましても、一番多いのがやはり酒酔い、これが三十一件、それから最高速度二十九件と、大変悪質なもの、これは全国的にどこでも高いわけでございますが、わが埼玉県においても同じようにこれが高いわけでございます。これに対する対策をごく簡単にひとつ御答弁を願いたいと思っております。
  14. 久本禮一

    久本政府委員 御指摘のとおり、酔っぱらいあるいは最高速度違反といった質の悪い違反事故の原因の中にふえているということは、遺憾な状況でございます。これに対しましては、基本的には、やはり警察力執行過程で厳しい対応をするという点が一つございますが、当面、たとえば御指摘のような、埼玉県といったそういう地域でどのような対策を講ずるかということの中で、一つ大事なことは、やはりこれは一般の、最近の交通安全に対する意識現状にも問題があろうかと思うわけでございます。  したがいまして、特にいま埼玉県とお示しがございましたが、そういった幾つかの県の具体的な相談に対して私どもが申しておりますのは、ひとつ県の知事部局等とも十分に連絡をとって、市町村に対して、そういった市町村地域における安全意識を向上させるという点に、具体的な取り組みを警察と協力してお願いをするということを申し上げております。これはかなり前広に、そういう意識を昔のように引き戻すという点で現在ちょっと欠けている点ではなかろうか。したがって、これは現在力を入れてやって効果が期待できることではなかろうかというふうに私は考えておりまして、その辺に一つの力を向けてまいりたいということでございます。
  15. 野中英二

    野中委員 次は、交通標識について質問をいたします。  夜間非常に見づらい交通標識があるわけでございます。したがって、夜間塗料等をお塗りになって、明確に夜間でも識別できるようにひとつしておいていただきたいと思いますが、特にきょう聞きたいのは、三十キロとか五十キロとか、速度制限をなさっている基準についてお伺いしたいと思っております。
  16. 久本禮一

    久本政府委員 速度規制につきましてはいろいろこの委員会でもお尋ねがあったところでございまして、幾つかの基準を申し上げることができるわけでございますが、いずれも決定的なものとはなり得ないというところに速度規制の悩みとむずかしさがございます。たとえば、道路の幅員であるとかあるいは交通量であるとかいうようなものは、一応一つ規制に対するよりどころにはなり得ると思うのでございますが、現実交通流れに応じてそのあり方はかなり変わっております。  そういう交通速度規制に一番影響を与える要因というのは、いわゆる道路の周辺の利用状況とそれによって生ずるアクセスではなかろうかというふうに思うわけでございます。これが非常に多岐にわたりますと、幅の広い幹線道路であってもある程度落とさざるを得なくなりますし、その点が少なければかなり高度の速度でも許容性があるといったような点がございます。この辺を総合的に考えながら、個々道路のある程度継続的な一つの長さをも考えて、一つ一つ決めていかざるを得ないというのが現在の速度規制現状でございます。
  17. 野中英二

    野中委員 私はもう少し計数を持っておやりになっていらっしゃるのだろうと思った。  そこで、運輸省が来ておられますのでお聞きをいたしますが、ブレーキ検査は、これは運転手の能力、天候あるいはまた路面の状況等々ございますけれども、ノーマルな状況において、五十キロで何メートルでとまればその自動車を許可していらっしゃるのですか。
  18. 丹羽一夫

    ○丹羽政府委員 お答えいたします。  五十キロの場合は二十二メートルということになっております。二輪車の場合でございます、オートバイの場合。(野中委員「オートバイじゃないんだ、自動車」と呼ぶ)全体的に二十二メーターを目標にしてブレーキ性能を定めております。
  19. 野中英二

    野中委員 十四メーターじゃございませんか、部長さん。
  20. 丹羽一夫

    ○丹羽政府委員 最高速度の大きさによって幾つか種類がございますが、十四メーターというのは、制動初速が三十五キロメートル・パー時間というようなときでございます。それから五十キロの場合は二十二メートル以下、これは最高速度が八十キロ以上の車。最高速度が三十五キロ以上八十キロ未満である車につきましては、制動初速を三十五キロにとりまして、それで十四メーターというふうに定めております。
  21. 野中英二

    野中委員 そうすると、たとえばブルーバードで十キロ落とすと、これは推測なんてすけれども、いま五十キロで十四メーターだとすれば、何メートルでとまると思いますか。運輸大臣に次の質問があるのですよ。時間かないので僕は急いでいるのですけれども。——それでは、私答弁を求めません。  さらに申し上げますが、ブルーバードで私は運転してみた。四十キロという制限があった。五速の車ですよ。トップで走れない、ノックをする。だから私はこれを三速に落とした。そうすると四十キロで走れた。後ろに車が連なった。私が五百メートル走る間に四台も追い抜きをしていった。ですから、なぜこれを四十キロにしているのだろう、五十キロにしてやればすうすうと行くのに、流れるのに、こう思った。しかもこれは国道における一つ規制なんですよ。ですから、もう少し厳密な計算の上に立って、基磯計数を持ってやるべきだ。勘で、ここはこうだからこういう標識を立てればいいんだ、そういうことが運転者に対して非常に不愉快な感じを与えて、交通事故を激増させているというふうに私は思うわけであります。  以上で交通事故に関する質問を終わらしていただきますが、これは局長、ひとつ考えておいてください。  次は、保険の方へ入りたいと思っております。  運輸大臣は、去る二月九日の当委員会における所信表明において、被害者の救済対策として「自動車損害賠償保障制度の適切な運用を図るほか、重度後遺障害者のための療護施設の整備、交通遺児に対する貸付額の改定など自動車事故対策センターの業務の充実を図ることとしております。」こういうふうに述べられているわけでございます。  ところが、実に不思議なことでありますが、ことしの予算において、約五千億の運用益がある、そのうち二千五百億一般会計に持っていかれてしまったのですよ。保障勘定の方から六十億持っていかれたわけでありますから、二千五百六十億持っていかれた。これで一体いま言われたようなことがおやりになれると思っていらっしゃるのかどうか、運輸大臣に御質問申し上げます。
  22. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 おっしゃるように、本年度の予算編成というものは大変な財源不足のときでございまして、内閣の方から、運輸省所管の自賠責から二千五百六十億ぜひひとつ提供願いたいということでした。私は、役所の立場からしますと反対でございますけれども、何さま国の予算全体の問題でございますし、三年、七年ですか、そういうふうにして返してくれるということでございましたから、承知をすると同時に、お貸ししたものの、残った運用益で万全な施策ができるかどうかということは、局全体として相談をして、大体いまのところ支障なくやれるという返事をもらっているわけであります。
  23. 野中英二

    野中委員 これは深追いすると大変時間がかかりますのでね。  しかし大臣、二千五百億持っていかれましたけれども、運輸省は大変御苦労なさって自賠責保険の支払い基準の改定をやろうとしていらっしゃるわけでございますね。それから、千葉県には療護センターの設置をいまやられておるわけでございまして、深い敬意を表するわけでありますが、この支払い基準改定はいつからおやりになるのか、ちょっとお聞きをしておきたいと思っております。詳細はこちらにありますから数字はよろしゅうございます。
  24. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 自賠責の現行の支払い基準は、先生御案内のとおり、五十六年五月一日に改定されています。したがいまして、もう二年を経過しておりますので、私どもとしては、六月一日から実施するということを目途にしていま鋭意改定作業を進めているところでございます。
  25. 野中英二

    野中委員 次は、大蔵省、来ていらっしゃると思いますから、ちょっと大蔵省に質問いたします。  おたくは、これは一月の二十六日に自賠責審議会を開いていらっしゃるのでしょうか。一月の二十七日の日経新聞に、「十四年ぶり、三〇%程度自賠責保険料引き上げへ」なんて、こういうでかい見出しで出ているわけでございますが、このことについてお尋ねをしておきたい。
  26. 田中寿

    ○田中説明員 一月二十六日の自賠責審議会は、例の、自家用乗用自動車の初回目の車検が二年から三年に延長されましたことに伴います自賭貢保険料率をいかに定めるかという諮問をいたしまして、その答申を受けた審議会でございます。  その際に、最近における自賠責保険の状況がどうかということで概況をいろいろ御説明申し上げたわけでございまして、そのときに、自賠責の収支の状況も、五十三年以降、それまでと様相を異にいたしまして、単年度で赤字になってきて、しかもその赤字幅が拡大してきている、基調としてはこういう状況にあるということを報告したわけでございます。翌日の新聞等で自賠責保険料率の改定等の記事が出てございますが、具体的にそのような検討をしているわけでもございません。  ただ、この自賠責保険の収支の状況というのが、そういう形で、五十三年以降逐年悪化してまいってございまして、五十八年度におきましても、その収支の赤字幅はかなりの額に達する見込みでございますので、直ちにということではございませんけれども、やはりそういう意味での調整というのはいずれ早晩必要になるかもしれない、こういうふうには見てございますが、具体的に自賠責保険料率をどのように改定するかということを検討しているわけではございません。
  27. 野中英二

    野中委員 保険料引き上げをやるなんというのはとんでもない話でございまして、自動車のユーザーには非常な僕は反対があると思う。特に今度は車検が変わりまして、三年になったわけでございますから、当然これで三十何カ月納めなければならぬわけですよ。そうでございましょう。いままでは二十五カ月から三十何カ月に延びるわけてす。したがって、その金利分も見なければならぬと思っておりますし、第一、おたくの方の出している自賠責保険の収支一覧表を見ますと、みんな三角がついているけれども、僕は、ポリシー・イヤー・ベーシス、ここにあなた方が一つの魔法を持っているのじゃないかという感じがするのですね。これはどうしても私はまともな収支決算書ではないと思っているのですよ、実を言うと。  なぜかというと、自賠責共済の方で見ましようか。自賠責共済の方は、五十六年で七百二十二億円黒字を出しているんですよ。おたくの方は八百二十九億も赤字を出しているんだ、おたくのデータが正確だというならば。なぜこういう格差が出てくるのか、お尋ねしておきます。
  28. 田中寿

    ○田中説明員 先生御案内のとおり、いわゆる自賠責保険、これは保険とそれから責任共済と両方、こういう形でつくり上げられているわけでございますけれども、自賠責保険は、この制度の中で九割占めているわけでございます。したがいまして、この大宗を占める自賠責保険というものの収支はどういう状況にあるか、こういうことでございます。われわれといたしましては、安定したいわば自賠責保険の制度の運営ということを考えてみます場合に、そういう収支の状況ということは常にウオッチする必要があるわけでございますから、先ほど申し上げました状況にあるということでございます。  それから、先生指摘のように、それでは責任共済と自賠責保険の収支の状況が違うのはなぜかという御指摘でございますが、やはり責任共済ということになりますと、農業協同組合あるいは連合会が引き受ける責任共済、共済事業でございまして、そういう意味での事業主体あるいは共済契約者との違い、その結果としてそういう収支差が出てくるということでございます。
  29. 野中英二

    野中委員 時間になりましたから、最後に言いたいことだけ言っておきます。どうしても言っておかなければならぬことがある。というのは、確かに保険会社の自賠責保険というものが大宗を占める、御説のとおりだ。そこで、おたくなどがそういうことをお考えになっているならば、大体運用部の資金にあなた方が回さずに、全部これを保険会社に回したらいいんだろう。そして同時に、こんな運用益の中から二千五百億も持っていくならば、法人税として取っていくということの方が、私は税制上形のいいものだと思っている。そういうこともおたくなどは考えずに運用部資金にたたき込んでいる。政府が運用しているんだ。それで民間会社は大変これによって苦労しているわけです。そういうことでめんどうを見るかどうか、こういう基本的な問題を考えていただかなければならぬ。  ただ、この間も総務会で僕は言っておいたんだけれども、五千億からありましたからこれを使わしていただきましたって、大蔵省の偉いやつがそう言っているんだ。僕ははなはだ不見識だと思います。あるというなら地震保険があるんだから、百億以上、そうでしょう。地震保険なんというのはいつ使うかわからないやつだ。大災害が来たら、これはもう予備費から出す以外ないだろう、そういうことで、ちょっとつまみ食いをして持っていくというのはとんでもない話ですよ。  したがって、この間の大蔵委員会においても附帯決議かついているんだ。これもあなた方によってぼかされた。この第七項もぼかされた。絶対こんなことはあってはならないというのが大蔵委員会考え方だったんだ。だけれども、こういうふうにぼかされて通ったといういきさつがあるわけです。今後、自賠責保険の運用益を使うなどということは、一般会計で借りるということは、私はしてもらいたくないと思っております。  それから、運輸大臣に、ことしはもうやむを得ません。三年据え置きの七年で返すと合計十年になりますけれども、このことだけは絶対に大蔵省に厳守さしてください。  以上申し上げまして、質問を終わります。
  30. 北側義一

    北側委員長 次に、永井孝信君。
  31. 永井孝信

    永井委員 運輸大臣に、この前の所信表明の関係からお聞きをしたいと思うのでありますが、昨年成立いたしました道路運送車両法の改正がこの七月から施行されることになっているわけでありますけれども、運輸大臣は、所信表明の中で、この法律の円滑な施行に努力するということを述べられていらっしゃるわけですね。そのことを受けとめて御質問申し上げるわけであります。  この道路運送車両法が改正をされる時点で幾つかの問題がありまして、衆議院の場合でも参議院の場合でもずいぶん議論がありまして、附帯決議もつけられているわけですね。たとえば、車両の点検について申し上げますと、六カ月点検あるいは十二カ月点検、二十四カ月点検とありますけれども、この点検をもし受けずにそのまま使用した場合は罰則規定を適用する、こういうことになっているわけでありますけれども、それについて附帯決議などを通して一定の緩和措置といいますか、そういうことも約束されているわけであります。そういうものを含めまして、どのように実際円滑に運用されようとしているのか、まず大臣の基本姿勢をお伺いしておきたい。
  32. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 大事な問題でございます。  道路運送車両法の一部を改正する法律については、先ほどおっしゃるとおり、本年七月一日からの施行を控えまして、すでに関係政省令の改正をすべて終えているところでありまして、現在、改正内容の周知徹底を引き続き図るとともに、運用に遺漏のないよう所要の準備を進めております。今後とも、改正後の円滑な施行が図られるよう万全を期すことといたしたい、こう思っておりますが、点検の指示については、国会における附帯決議の趣旨を踏まえまして、本法施行後十分な指導期間を置くこととし、この旨通達により徹底を図っておる次第であります。
  33. 永井孝信

    永井委員 運輸省の担当局長に聞くわけてありますけれども、その附帯決議の中に具体的に盛り込まれている六カ月点検などについて、いわゆる自家用車、マイカーの扱いは、具体的にはどのように指導されるのですか。
  34. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 道路運送車両法の昨年の改正の際に附帯決議を付されたわけでございますが、そのときの附帯決議の中身は御案内のように二点ございまして、一点は「五十三条の二の規定に基づく点検等の指示の対象については、運用上、不正改造車、違法な行為を行っている白ナンバートラックやダンプカーその他の整備不良車等を中心とするものとし、整備不良車に該当しない一般の自家用乗用車については行政指導にとどめるものとする」こういう附帯決議の内容になっております。したがいまして、先生がただいまおっしゃいましたように、マイカーにつきましては、整備不良車に該当しない限り点検の指示を発動しないという運用をしたい、こういうことでございます。  それからもう一点は、いま申し上げましたような附帯決議の趣旨に沿っての運用をするわけでございますけれども、それにつきましても十分な指導期間を置いて、それから発動していく、こういう趣旨でございます。ただいま大臣が十分な指導期間を置いた後、通達をもって適切な運用を図ることとしたいという御答弁を申し上げましたが、そういうただいま私が申し上げたような趣旨で御答弁があったものと思っております。
  35. 永井孝信

    永井委員 いま答弁された内容について、十分にこの期間の中で徹底されるよう、ひとつあえて要望をつけ加えておきたいと思います。  その次に、昭和五十三年に自動車整備事業の認証基準、省令が改正されていますね。そして自動車排出ガスの測定器の保有であるとか、あるいは自動車整備士資格保有者の拡大などが義務づけられたわけでありますけれども、あのときは、いま言われたように特定の指導期間を置いて、そうして運輸省が整備業界と協力をして、零細整備事業者の基準適合を図るためにずいぶん努力をしていただいたわけですね。これは非常によかったと思うのであります。しかし、今回のこの車両法の改正によって、整備事業の業者の認定要件を強化する方針だということも仄聞をしているわけであります。それは一体どういうことなのか。場合によっては、その要件の強化をすることが零細企業の切り捨てになってしまわないかという心配があるのでございますが、これは大臣、どうでございますか。
  36. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 今回の車両法の改正に伴いまして認証基準を強化するということになったわけでございますが、これは昨年の法律の改正の時点ですでにそういう方向が法律自体の中で明示されております。それで、それに伴いまして車両法の施行規則を三月に改正をし、公布しておるわけでございますが、その中身は、経理的な基礎のしっかりしたものでないと認証を与えられないというような形にしたわけでございまして、具体的に申し上げますと、その経理的な基礎というのは、一つは、固定資産の額が自己資本の額及び固定負債の額の合計額を超えないものであること、それから二番目が、資金の調達方法が資産の状況に照らし著しく不健全なものでないこと、こういうような経理的な基礎を十分持ったものが認証工場としてふさわしいというような改正をしたわけでございます。
  37. 永井孝信

    永井委員 これもひとつ強く要望しておきたいのでありますが、非常に零細企業が多うございます。これだけ不況の時代でありますので、零細整備事業をやっている人々が、この基準の強化によっていわば生計が成り立たないというようなことにならぬように、十分な御配慮をいただきたいということをあえてつけ加えておきたいと思います。  その次に、車両法が改正されましてから、かなりユーザー側にとっては関心の深いことでありますから、最近はこの委員会でも、整備事業者に車両の点検をしてもらわなくても自分で点検して持っていくこともてきるではないかという議論があったことも事実でありますけれども、最近、ユーザーが自前で点検をして検査を受けに自分で車を持っていくというケースが非常にふえてきているわけですね。  資料をちょっと調べてみますと、たとえば五十七年の八月には、自分で点検をして自分で検査を受けに持っていったという車の台数は百六十六件であった。これが一年もたたないことしの四月には二千百件に増加をしてきているわけですね。これは、車両整備をする場合にかなり多額の費用が要るということもありまして、これも非常に不況が影響していると思うのでありますけれども、自分の生活を守るためにということもあるのでしょう、自前で点検をして持っていく件数が異常なほどふえてきた。これからもふえ続けていくと思うのですね。  その場合に問題が出てきますのは、私どもが調べたところでは、何ら点検もせずに検査へ直接持っていって、検査官に悪いところを指摘されて、そこだけを持って帰って修繕をして持っていくというようなケースまで出てきているというふうに言われているわけですね。しかし、それがけしからぬと言ってみたって、ユーザーが自分で点検をするわけでありますから、なかなかそううまくいくわけがない、こういうことが言えると思うのです。  そうしてユーザーが自分で持っていった車の点検は合格率がきわめて低い。不合格になって再検査を受けよというふうに言われた率は四五・七%に上っているわけですね。これは一年前に比べると三倍以上にふえてきているということが言えると思うのでありますが、こういう状態考えるとこの検査体制というものをそれに対応するようにしていかないと、本当に車両の整備を安全面から確認をして、交通安全に寄与するということはむずかしくなってくる、こういうふうに考えるのでありますが、このユーザー車検に対応する考え方というものをお聞かせいただきたいと思います。
  38. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 ユーザー車検が確かに最近ふえてまいっておりますけれども、国が行っております自動車の検査というのは、自動車のユーザーが日常の点検整備を的確に実施しているということを前提にしておるわけでございます。したがいまして、ユーザー車検につきましても、あくまで安全性の確保を基本として、点検整備が確実に励行されているというものにつきまして、円滑に国の車検場で受検できるように努力している、こういうことでございまして、国の車検に合格しさえすれば、定期点検とか整備など実施しなくてもいいというような風潮が生まれることは、私どもにとってもまことに遺憾な状態でございます。  したがいまして、そういうことのないように、自動車の保守管理というのは、ユーザーの自覚と責任において実施しなければいかぬ。それから国の車検場にユーザー御自身が車を持ち込む場合であっても、事前に十分な点検整備を行った上で持ち込んでいただくというような指導を、やはり私どもとしては十分に努力をしていく必要があろうかというふうに考えております。  それから、もう一点の御質問の、それに対する国の検査場の体制でございますが、先ほど先生がおっしゃいましたように、ユーザー車検の状況を見てみますと、三月が二千七百五件、それから四月が二千百件というような状況で、この数字がどういうぐあいになっていくか、私どもとしては見守っているわけでございますが、当面このユーザー車検の増加の推移というものを見守りながら、それに対応する体制というものを検討する必要があるのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
  39. 永井孝信

    永井委員 検査体制の強化を求めるというのは、私は、交通安全を確保するためには、やはり運輸省としてもとらざるを得ない最低の条件じゃなかろうかと、大臣、こう思うのですよ。  特に、ユーザー車検の再検を求められた状況表というのがあるのですが、非常に危険なのは、たとえば保安装置であるとか制動装置であるとかいうところに再検の指示を受けた者が非常に多いということですね。ブレーキの油漏れまで含まれている。こういう状況をこのまま放置できませんので、点検を自前でする場合にもっと指導も必要だろうし、そして検査官の方でそういうことはチェックできるような機能を持ってやらないと、事故につながっていったときにはもう遅いわけですからね。  現に警察の方でも取り締まりは強化しているのでありましょうけれども道路を走っておっても、前照灯が全く横を向いて、下向きの前照灯にしているはずが上向きのようになっているとか、あるいはよく見かけることでありますが、制動灯が全くつかない車なんて平気で走っていますからね。こういうものは警察の方でも厳しくチェックしてもらわなければならぬと思うのでありますが、十分に対応してもらうようにお願いをしておきたいと思います。  時間がありません。その次に入りますが、去る五月四日に、首都高速道路を走行中のタクシーの運転者が突然意識を失って死亡するという、きわめてまれなケースかもしれませんけれども、そういう事故が発生いたしました。去年、たしか関趣道路でも、ハイヤーの運転手が走行中に死亡して、乗客が機転をきかして大事に至らなかった、こういうことがあるのでございます。人間が生身の体である以上、そういうことはやはりこれからも起きてくると見なくてはいけないわけですね。私は、そのことが何に原因をするのかということはもちろんわかりませんけれども、もしこのことが自動車運転手の労働条件が過酷なために起きたとすると、大変なことだというふうに思うわけですね。  そこで、新聞の切り抜きなどをずっと調べてみますと、たとえば去年の五月に、労働省はタクシー業界の勤務状況、労働条件について一斉点検を行って、そうして特別の指導通達を出しているわけでありますけれども、ことしの一月の初めに、改めてまた新聞で大きく書かれておるように、労基局が一掃に乗り出したということで、また改めて新聞記事が出るということは、去年の五月に調査をして指導したことが、業界の方で守られていないということをいみじくも裏づけているのではないか、こういうふうに思うわけですね。労働省は、労働条件の関係について一体どのように対応してきたのか、簡単にひとつ御説明願えますか。
  40. 野崎和昭

    ○野崎説明員 先生指摘のように、タクシー業界につきましては、中小零細企業が多いとか、あるいは事業場外での労働ということで、労働時間の把握が困難であるとかというようなことから、労働条件面でいろいろ問題があるわけでございます。したがいまして、私どもの方でも、労働基準法の遵守を図ることはもとよりでございますけれども、さらにそれ以外に、事業の特殊性に応じまして、全体の拘束時間の長さを規制するとか、その他いろいろな基準をつくりまして、その実施の徹底に努めているところでございます。ただ、残念ながら、先生指摘のように、現在のところ、まだその浸透状況は十分でないというふうに考えておりまして、さらに一層徹底してまいりたいというふうに思っております。
  41. 永井孝信

    永井委員 こういう異常事態を迎える前に、労働条件がきわめて悪い、長時間労働が行われているということから、一斉調査をして、そして特別に指導通達を行った、これが守られないままに半年後にまた一斉摘発に乗り出さなきゃいかぬ、そして今回、そのことが原因かどうかはもちろんわかりませんけれども、そういう悪条件の中で、運転手が高速道路でお客さんを乗せたまま急死するという事故が起きてくるということを考えますと、一体労働省の通達はどうなったのか、業界がそのことについて対応してくれない場合でも、ただその通達を繰り返す、あるいはこの調査の繰り返しだけで終わるのか、それでいいのかということを私は非常に強く思うわけです。  たとえば、この「旅客自動車運送事業に対する監督指導実施状況」という資料で見ますと、違反事業場の比率は、運輸大臣もお聞き願いたいのでありますが、この調査した結果が七三・七%もあるのですよ。七三・七%の事業場が違反をしている。これだけ交通事故が多いときに、その違反がいつまでたっても正されないことは大変なことだと思うのです。しかもタクシーが第一次の事故責任者という立場に立っている比率も非常に多いわけですね。これも年々だんだんふえてきているということを考えますと、都内だけでも二万台から三万台に近いタクシーが走っているのですからね。そういう状況考えると、これはきわめて憂慮すべきことだ。プロの運転手が運転している事業場だけに憂慮すべきことだ。  そこで、私はあえて申し上げるのでありますが、たとえば、労働省が昭和五十四年の十二月二十七日に基発第六百四十二号で、労働時間などについて通達を出している。あるいは五十五年の一月十六日に基発二十一号で同じように出している。最低条件として明示している拘束時間とかいうものは、われわれの常識で考えると異常に長いのですね。たとえば、二週間を通して一日平均十四時間の拘束時間を認めるとかね。二週間を通して平均でですよ。たとえ仮眠時間があったとしても、そんなことはどう考えたって常識的には納得できないですよ。拘束時間と全く自由な時間とは違うわけですからね。交通戦争が起きてきているときに、こういうなまぬるい指導でいいのだろうか、このことについて労働省の考え方を聞きたい。
  42. 野崎和昭

    ○野崎説明員 ただいま先生指摘の通達は、御指摘のように昭和五十四年十二月に、従来の基準を見直しまして、新たに策定し直したものでございます。そしてその遵守状況は、先ほど申し上げましたとおり十分ではないのでございますけれども、当面はこの通達の定着を図るということが肝要ではないかということで、鋭意監督指導に努めているところでございます。  しかしながら、本年度はさらにタクシー業界の実態につきまして掘り下げた把握をしよう、あるいは労使の方から直接御意見をお聞きしまして、どういった点に守られない原因があるのかというような点をお聞きしたいというふうに思っております。そういった検討結果等も踏まえまして、さらに一層通達の遵守、徹底に努めてまいりたいと思っております。
  43. 永井孝信

    永井委員 運輸大臣にお聞きいたしますが、運輸大臣は労働大臣を二回も経験されておるのですから、労働問題については非常に権威者と私は見ているわけであります。いま運輸大臣として御指導願っているわけでありますけれども、こういう業界が労働省の通達をなかなか守ってくれない。なるほど通達は受け取るのですが、悪い言葉で馬耳東風に見えるかのごとき状況のまま放置している。こういう業者は、運輸大臣、たとえば営業停止処分にするとかなんとか、そういうことはできませんか。大臣の管理姿勢といいますか、そういうものについてお考えを聞かしていただきたいのであります。
  44. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 そういう違反のときに、どんな法令あるいは慣例があるか、調べなければなりませんが、やはり一種の公的機関でありまして、大ぜいの人命に関係することですから、やかましく言うて、時折は厳しく示達もし、ある場合には免許取り消しなどというようないろいろな条件がありはせぬかと思います。どちらにしろ人命に関することですから、慎重な配慮をする必要がある、こう思っております。
  45. 永井孝信

    永井委員 あえてつけ加えておきますと、この調査の段階でわかってきたことでありますが、たとえばタコメーターのつくりかえであるとか、勤務時間表のつくりかえであるとか、賃金台帳も二重に作成するとか、こういうことまで全部明らかになっているのですから、毅然たる態度でひとつ運輸省も労働省も当たってもらいたい、事人命に影響することですから。このことを強く要望しておきたいと思います。  時間がありませんので次の問題に入りますけれども、次は、去る四月二十八日に東京湾におきまして、航行中のLPGタンカーとナフサ専用のタンカーが衝突事故を起こしました。これは大臣の所信表明にもあるのでありますが、海上交通の安全についても触れられておるわけです。そして海上における危険物輸送時の安全対策を強化したい、こういうふうに所信の中で述べられておるわけであります。  御案内のように、東京湾は船舶の交通が非常にふくそうしているわけですね。危険物の積載船の往来も最近は頻繁の度を加えてきている、こういう実態にあると思うのでありますが、現在、そういう状況を踏まえて、海上災害が発生した場合の安全対策というのは十分だとお思いになりますか。海上保安庁、どうですか。
  46. 永井浩

    永井政府委員 危険物船舶の事故によります海上災害、火災あるいは海洋汚染の問題に対処いたしますため、当庁では消防設備を備えた巡視船艇あるいは必要な資機材を準備しております。また、関係沿岸企業におきましても、それぞれ資機材を準備いたしておりますので、事故発生の際には、これら官民協力いたしましてしかるべき対応ができるもの、このように考えております。
  47. 永井孝信

    永井委員 保安庁長官がそういうふうに言っているのでありますから、それは信頼していきたいと思うのでありますが、今回タンカーが衝突した海域というのは、港則法の指定航路の出入り口になっているわけです。一般に、海交法及び港則法による指定航路の出入り口というのは、航行管制の対象外となっているわけです。港に出入りする危険物の積載船がどんどん増加していくという傾向にあるときに、このような管制の盲点が結果的に衝突事故を起こすのではないかという気がするわけですが、これについての安全対策はどのように検討されておりますか。
  48. 永井浩

    永井政府委員 御指摘のように交通量が相当あり、また、海上交通の主な流れが特定できる、こういった場合には航路を指定いたしまして、港則法あるいは海上交通安全法に基づきまして航行管制を行っておるわけでございます。今回の事故の発生場所は、港内でございますけれども、船の流れが特定できない場所でございますので、必ずしも海上交通の管制にはなじまない地域だ、このように考えております。  事故の原因等については目下詳細調査中でございますが、海上衝突予防法あるいは港則法にそれぞれ海上交通の安全のルールが定められておりますので、これらのルールを守っていれば今回の事故は発生しなかったのじゃないか、このように考えております。  当庁といたしましては、今後とも巡視船艇によるパトロールを強化いたしまして、関係法令の遵守あるいは取り締まり、そういった面に当たっていきたい、このように考えております。
  49. 永井孝信

    永井委員 今回の事故はたまたま火災にもならずに終わりましたけれども、何か三多摩の方まで大変なにおいがいって、三鷹の方では、どこかガス管が破裂をしてガスが噴き出ているのではないかといって大騒ぎをしたということまで実は出ているわけです。もしこれが火災でも起こしておったら大変なことだし、もっと流出が激しかったら、これまた大変なことになっておったと思うのです。  そう考えていきますと、科学技術の開発、進展に伴っていろいろな対応が必要なのでありますけれども、海上における危険物の輸送あるいは貯蔵というものが増加している現状から、大臣が言われておるように、国際基準の改正に対応して、わが国も安全基準の見直しということを早急に考えてみるべきではないか、安全審査体制というものも強化すべきではないかと思うのでありますが、大臣、いかがでございましょうか。
  50. 野口節

    ○野口政府委員 危険物の船舶による運送の際の安全確保につきましては、船舶安全法及びそれに基づきます危険物船舶運送及び貯蔵規則というのがございますが、そういうものの各種規制を通じまして強化を図っておるところでございます。  いま先生のお話に出てまいりました危険物の中でも液体状のバラ積み貨物、こういうものは専用船で運んでおるわけでございますが、こういう船につきましては、構造、設備などにつきましても特別の基準を適用して安全性を高めるように考えております。  それで、この基準につきましては、これもまた先生のいまのお話の中に出てまいりましたけれども、IMO、国際海事機関というものでございますが、こういうところで、世界的に専門家が集まりましてつくりましたガスキャリアコードとかバルクケミカルコードというようなものがございますが、こういう国際基準に準拠して国内基準を決めておるというような次第でございます。もちろん、危険物の運送というのは日進月歩でございますので、これからも御指摘のとおり逐次見直しを進めまして、一層の充実強化を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  51. 永井孝信

    永井委員 海上保安庁長官にもう一つだけ改めて確認をしたいのでありますが、いわゆる災害が発生した場合の対応は、いまの状況対応できるというお話でございましたけれども、たとえば油回収装置であるとか回収船、あるいは消防能力を有する船舶、たとえば油回収船は横浜に一隻しかないわけですね。油回収装置というものは横浜に三つ、千葉に一つしかない。私は全くの素人ですから、わからずに数字だけ見て申し上げるのでありますけれども、こういう数字上で果たして信頼がおけるだろうかという心配をするわけですよ。  消防能力を有する船舶にしたって三十一隻ということになっておりますけれども、これだけ東京湾の狭い中で、大型タンカーなどが仮に衝突事故を起こした場合に、対応できるだろうかという心配があるのです。もう一度念を押しますが、どうでございますか。
  52. 永井浩

    永井政府委員 船舶の事故によります災害の大きなものとしては、一つは火災の発生でございます。それともう一つは海洋汚染の問題でございますが、いま御指摘のように、当庁においてもそれぞれの巡視船艇に消防能力を持ったものがございますし、また油回収船等も用意いたしておりますが、そのほかに、地方自治体の消防船あるいは関係企業、石油等を扱う企業におきまして、それぞれオイルフェンスとか油処理剤とか、こういったものを持っておるわけでございます。  これでもっていかなる大災害も大丈夫かという御質問であれば、絶対大丈夫とは申し上げかねますが、従来から着々とこういったものを整備しておりますし、また官民合同で訓練なども行っております。今後ともこういったものの整備を進めてまいりたいと思いますし、また、訓練等も強化してまいりたい、このように考えております。
  53. 永井孝信

    永井委員 ひとつ十分に大臣の方もがんばっていただいて、そういう防災のためには金を惜しまずに使っていくという姿勢をとっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  最後に、国鉄問題について一言お考えを聞いておきたいと思うのであります。  御承知のように、最近の国鉄というのは非常に労使関係がうまくいっていないのですね。私どもの見るところではうまくいっていない。戦後三十八年もたちまして、労使関係の中には山あり谷ありでいろいろなことがございました。いろいろなことがございましたけれども、最近の労使関係はちょっと異常でございまして、団体交渉も、形式的には行われても全くその中身は伴っていかない、すべての問題について。法律があるから法律を守らねばいかぬということで団体交渉はやられるのでありましょうけれども、団体交渉というのは、お互いに誠意を持ってやってこそ初めて実るのでありまして、そういう関係からいくと、きわめて私は憂慮すべき労使関係だと思うのですよ。ところが、その労使関係の憂慮すべきことが交通災害に結びついていかないだろうかという心配をするわけですね。  たとえば、私も長らくそういう運動をしてきた一人でありますけれども事故防止対策のための特別委員会を設けたり、事故防止対策のための特別の団交をやったり、あるいは安全対策上の問題について労使間でいろいろな話し合いをしたりということは、本当に腹の底から誠意を持ってやってきたものなんですよ。  ところが、最近の労使関係というのは、むしろ当局側の姿勢が非常にかた過ぎて、まともな団交の魂が入っていないという状況から考えると、安全対策についてもついなおざりにされがちになりはしないか。人間でありますから、おもしろくないことがあれば、常にそういうことを仕事中でも考えるものですから、そういうことが事故につながっても大変なことになるということを考えますので、運輸大臣に、国鉄の現状の労使関係がこれでよいと思っておられるのか、もしよいと思っておられるとすると、監督官庁の束ねをされる方として、国鉄の労使関係についてどのように御指導なさるのか、大臣のお考えを聞きたいと思います。
  54. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 労使関係についての御心配、恐縮でございます。  一時、非常に悪かったと言われた労使関係、そういうことだとか、国民が自制を要求する、新聞にも出ておりますし、マスコミにも出ております。しかもそれが自分の職場である、こういうふうなことから、大分セルフコントロールされまして、今日はよくなりつつある。しかし、一部にはなかなかそういうところまでいってないところがある。現に、私はいま国鉄再建法を御審議願って、そういう場面、そういう話を聞くわけですが、全体的にはやはり自分の職場を守っていこうということで、いままでの気持ちと大分違いつつある、それでなければまた国鉄再建もできません。  こういう問題でよくなりつつあるが、しかし大事件、仮に何かあるということになると、これは日本人の癖ですし、また、毎日顔を合わしている諸君だから、人の危急には自分の体を捨ててさえも行くお互い日本人ですから、その辺は私は心配ないのではないか。それにしても、それをよくするためにも常日ごろのコミュニケーションというものが大事なことてある。私のできることは、そういう雰囲気を労使の間につくっていきつつ、それがまた企業の発展につながるというところに持っていくのが仕事だ、こう思っております。
  55. 永井孝信

    永井委員 時間がなくなりましたからあと一言だけで終わりますけれども、職場で働いておる多くの人が、中にはそれは問題になることもあったでありましょう。しかし、そういうことを理由にして対応する管理側が、経営側が、労働側に対してむしろただいたずらに厳しさだけを示すということだけでは、労使関係はうまくいかないと思うのですよ。だから、働く労働側の意見や実情も十分聞いてやって、そこで初めて正すべきものは正すということになっていくのであって、私どもが第三者的に見ておりますと、とにかく頭から労働組合の言うことは聞かないと言っていいほどの姿勢が貫かれ過ぎたのではないか、こういう気がいたします。  その辺のところを、特段に運輸大臣の方の御配慮で、労使の団交が本当に誠意を持って行われるように御指導願いたいということを申し上げて、一言だけ、もう一回だけ答えていただいて、終わりたいと思います。
  56. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 すばらしい御注意でございます。そういう気持ちでやってまいりたい、こう思っております。
  57. 永井孝信

    永井委員 ありがとうございました。
  58. 北側義一

    北側委員長 次に、竹内猛君。
  59. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、先般来、筑波で開かれる科学技術博覧会の輸送の問題を中心として、特に運輸省の所管であり、気象庁が管理をしている地磁気観測所の問題に関連をした点について御質問したいと思います。  科学技術博覧会を成功させるための問題は、何といっても一つは輸送の問題であります。先般も建設省の方から、道路の問題についていろいろ質疑をしましたところ、科学博覧会に向かって相当な進捗率である、こういうお話がございました。六カ月間に二千万人の観客を輸送するわけでありますから、当然いろいろな問題があると思いますが、その中で、国際的な面は成田の空港を活用し、道路の問題についても努力をしている、こういうお話がありましたが、県内での観客も相当あると思いますけれども、むしろ圧倒的に多い部分は東日本と西日本、こういうことになるだろうかと思うのです。  その場合に、中心の鉄道というのは何といっても常磐線であり、もう一つは東北線であります。そのときに、常磐線の場合、国鉄の中心になる駅はどことどこを軸にされるかということと、東北線の場合はどこが軸になるかということについて、今日までの当事者等の話し合いはどうなっているか、ちょっとそれを報告していただきたいと思います。
  60. 小澤敬三

    ○小澤説明員 お答えいたします。  科学博観客輸送につきましては、常磐線を中心対応していきたいと考えまして、いろいろ準備を進めておりますけれども、駅としましては取手の駅、それから土浦の駅、それ以外に牛久と荒川沖の間に臨時の乗降場をつくりまして、そこで対応したいと考えております。
  61. 竹内猛

    竹内(猛)委員 東北線はどうでしょう。
  62. 小澤敬三

    ○小澤説明員 お答えします。  東北線から科学博の会場までという直接的なルートは特に考えておりません。
  63. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それであれば、臨時駅の扱いについて先般もお尋ねをしたわけですが、六カ月間でこれは閉鎖をしてしまうのか、それともその六カ月後においてなおこれを活用するのかという点についての見解はどうですか。
  64. 小澤敬三

    ○小澤説明員 お答えいたします。  臨時駅につきましては、博覧会の運営主体との間で現在工事計画を進めておりますけれども、これは科学博の開催期間中についてのみ設置するという条件で進められておりますので、終了後はやはり撤去する考え方であります。
  65. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そうすると、国鉄の輸送に関する範囲というのは、つまり取手、新駅、それから土浦、これが中心になる、こう理解してよろしいですか。それ以外は科学博覧会が責任を持つのだ、こういうことでいいのですか。
  66. 小澤敬三

    ○小澤説明員 お答えします。  国鉄としましては、常磐線を中心に、東京方面からは新駅を中心にお客さんを運ぶということになると思いますけれども、常磐線の北の方から来られる方とかあるいは群馬県、栃木県の方々につきましては、水戸線経由で土浦まで来られるであろうというふうに考えております。
  67. 竹内猛

    竹内(猛)委員 輸送問題は、これはなかなかそれだけでも大変な問題ですから、また後にして、もう一つの問題になっているのは、この場合に、取手まで複々線で来た千代田線、これをさらに延ばすためには、どうしても地磁気観測所が問題になるということで、何年か前から県議会でも問題になっていたし、国会でも取り上げてきました。それが四月の二十八日に、県の中に設けてある地磁気観測所問題研究会という、東京大学の地震研究所の行武毅教授を座長にした研究会が、ある一つの報告をまとめたということが新聞に出されました。  これは四月の二十九日の地元の新聞に大きく出されております。そしてこの新聞を見た現地の、特に科学博覧会で移転をした、東京からの移転の方々がいらっしゃいますが、三千数百人が集まってメーデーをやりました。これは家族も一緒でありますが、その中で、特に常磐線の複々線の問題、近代化の問題、それに関する地磁気観測所の問題について一つの決議をしております。この中には、研究会が出された方向というものはかなり望ましいものである、こういう一つの結論がありますけれども、これについて、気象庁の皆さんも参加をしているわけですから、この見解について、今後これを受けてどうされるか、長期と短期に分けているようですが、これをどのようにされるかということについてちょっと御説明を願いたいと思います。
  68. 竹内清秀

    竹内説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、茨城県から出ました本報告書というのは、茨城県によりまして、地磁気観測と地域開発、交通体系整備の相互影響につきまして、学問的にそれから技術的見地から検討して取りまとめたものでございます。しかしながら、地域社会の発展と調和する地磁気観測所のあり方につきましては、なお解決しなければならない問題も残っておりますので、今後、各関係機関の間で、総合的観点に立ちまして検討を進めていくということになるかと思います。
  69. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この問題はかなり長い間議論をしていることでありまして、特に科学博覧会の成功という問題と不可分の関係にもあるし、これは国鉄のこれからの収益性にも関係があるし、筑波研究学園のいま概成から完成へ向かっている段階ですから、これにも関係がある。結局二つの方向、一部を残して一部を移す、こういうような方向になっているようですが、それではどこに代替があるかという問題もありますから、それは簡単にいかないにしても、方向としては従来と違った形で出されたということは前向きだと思うのですね。  そこで、問題は、常磐線の収益性の問題からいけば、やはり東京との関係、要するにこれは水戸の方向についてもう少し密度の高い発車数にしてもらいたい、こういうのが一つの要望として出ている。車両は十五両でやるとしても、時間の間隔がたくさんあいてしまえばやはり乗客は少なくなるということですから、乗客を多くするためには、十両にしても時間を短縮してもらいたい、これが地元の大変な要求ですね。  それから、もう一つは、東京、首都圏と学園との間に第二常磐線をつくってほしい、こういう要求がある。前々から、江戸崎から土浦、土浦から水海道、境、古河、あるいは境から飯能というような土飯線というものが大正十一年以来国鉄設置法の付録についていた。これの運動がありますが、運輸省あるいは国鉄とすれば、その線よりも第二常磐線の方が可能性がある、こういうことを盛んにおっしゃっておりますね。  しかし、現在の国鉄の会計からいえば、それはすぐはできないにしても、やがてそういうものが実施される段階になると、やはり観測所の交流、直流の関係が問題になる、こういうふうに考えますから、これは地域の開発もさることながら、やはりその地域の研究学園というものを完成をしていく上においては非常に大事なものでありますから、この点を関係の気象庁及びそれの関係者は一層努力をしてもらいたい、こう思いますけれども、その点はどうですか。いまの程度のお答えしかできませんか。
  70. 竹内清秀

    竹内説明員 お答え申し上げます。  報告書にありますように、それから先刻申し上げましたように、技術的、学問的に見た検討でございまして、その中では、条件が満たされれば一部の移転もやむを得ない、できないことはないということでございます。
  71. 竹内猛

    竹内(猛)委員 今度は運輸大臣にひとつ聞いてもらいたいことがあるのです。それは、前の気象庁長官、今度かわったわけですけれども、増澤さんのときに、現地でも問題になっているのですが、地震が非常に心配だ、毎日毎日、日本のどこかには地震がありますね。被害が多い少ないは別にしても地震がある。現に筑波に移転をした研究所の中でも、建設省の国土地理院の中には地震予知連絡所というものがある。それから、気象庁の中には、やはり地震課というものがありますね。それから、運輸省の地質研究所の中にも、地震がどこで起こっているということが一目でわかるようなそういうものがあります。  それから、科学技術庁の所管の公害研究所の中には、やはり各市ごとぐらいに地震がどうだこうだということが直ちに観測できるようなところがある。大学にはもちろんそういうものがありますけれども、役所の中で幾つも地震をキャッチするようなものがありながら、最終的に、地震というものは一体どこで責任を持って国民に知らせるのか、そしてそれに対する予防処置をとるのかということについては、それは最終的には総理大臣がとるのかあるいは国土庁がとるのかわかりませんが、この辺はどういう系統になっているのかということが明らかにされませんと、これは大変心配なんです。  地磁気観測所も地震の予知もやる、また地電流も調査をしてその資料を国際的に活用する、こういうことになっているわけですね。この間増澤長官は、マグニチュード七以上でなければ観測ができない、こういうような話なんですね。七以上ということになったら大変な地震ですね。ほとんどもう倒壊をして、みんなが逃げてしまわなくちゃならないような大きな地震。それまでキャッチできないようなことでは非常に困るわけであって、四から五ぐらいのところがキャッチできて、未然に防ぐようなことをしなければ、国民の生命、財産を守ることはできないのではないか、こういうように考えますが、その辺はどういうふうになっているのでしょうね。
  72. 竹内清秀

    竹内説明員 お答え申し上げます。  気象庁中心に申し上げることになるかと思いますけれども、気象庁長官は、いわゆる大震法、大規模地震対策特別措置法に基づきまして、東海地域におきます海洋性の、いまさっき申しましたけれども、マグニチュード八以上の大規模地震につきまして地震予知情報を内閣総理大臣に報告する責任を負っております。先生のおっしゃいましたマグニチュード七以下の地震の予知につきましては、現在の地震予知に関する学問的レベルから言いますと、遺憾ながらまだ不可能であると言わなければいけないと思います。関係各方面におきまして鋭意研究を行っているということでございます。  それから、地震予知に関する総合的かつ計画的な施策を推進するため、内閣に地震予知推進本部が置かれておりまして、関係省庁が緊密な連携のもとに対処している、そういうことになっております。
  73. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そういうことですから、これは大臣、七以下のことをいまから研究すると言うけれども、七という地震はこれはすごい地震ですよ。  三月二十七日でしたか、夜の九時半ごろに地震がありましたね。あれが四・五ぐらい。これでももう列車がとまってしまうし新幹線もとまってしまう。七ということになったらこれはとまるどころではない、それこそひっくり返ってしまうね。それが予知てきないというようなことでは非常に困るわけでして、こういうところはひとつ人員を削減しないで、予算を惜しまないでつぎ込んでもらって、拡大強化しなければとても危なくてしようがない。  だから、僕がこの地磁気観測所というものに触れるときに、何かあいつは地磁気観測所というものをつぶしてしまうのじゃないか、こういうような心配があるいはあったかもしれない。ときどき注意をされますけれども、そうじゃなくて、そのような生命、財産を守るべきところには、むしろ研究をもっと拡大し充実して、ばらばらになっているものを一つにまとめて、そして本当に国民の生命と財産が安心して守れるように、少なくともマグニチュード四以上のところの予知ができるようにしてもらわないと、これは危険でしようがない。  防衛庁のことについて余り申し上げませんが、ときどき飛行機が墜落して人間も死ぬし、大分損もしていますね。あれから見ると、気象関係というものは、単に地震だけではなしに、霜が降るとか洪水が出るとかという問題についてももう少し予知を綿密にして、自然のそういう災害から守るということが大事だと思いますから、まあこれは観測所の問題につけてよけいなことを言いましたが、観測に関する問題の中で、地震の問題等についてしっかりひとつやってもらいたいということを要求したいんですけれども、これはいかがでしょうか。
  74. 竹内清秀

    竹内説明員 お答え申し上げます。  われわれも先生方の御支援を得まして、今年度の予算につきましても、私どもの観測部にも強化されましたし、それから気象庁の附属機関であります気象研究所の方にも強化されておりまして、いまさっき先生のおっしゃいました地震予知の研究につきましてあるいは業務につきまして、非常に力を入れているところでございます。
  75. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 私は東京大震災のあったころ中学生でして、そのころ非常に高い本が出されて、講談社からたしか二円五十銭。そこで、日本の地震の研究というものは世界ですばらしいものだ。大森洪太さんとかいろんな学者の名前が出ておりましてね。やはり火山国日本であるから、なるほどなと思ったものです。  それから南米のチリがそうでしょう。その後チリの方で地震があったけれども、わが国の学者がそこへなかなか出張もしなかったというふうなことやらして、東大あたりの地震研究所がしっかりと仕事をするようにという話などもあったことてして、いずれにしましても、何でも予知し手当てすることも大事ですが、いまの場合は、世界的に四、五ガルの予知ができて、それに対する対策をやっているという話も私は聞きませんし、私も大臣になりましてからすぐ、気象庁とかそんなところへ行って話なども聞いているわけでして、昔から地震、雷、火事、おやじ、これは突然来るところに非常にこわさがあるんだな、それにも負けないように準備だけはしなければいかぬな、こういうふうに感じて、いまから先もよく勉強して、国民を不安に陥れないような手当てをするつもりであります。
  76. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いま気象庁の当事者の方からも、予算上の問題についてかなり努力をしているという話もありますし、大臣の方からも、四、五のことについてはどこでも世界じゅうやっていないという話だけれども、それは世界がやっていなくても、日本はやはり世界の火山国ですからね。イタリー、チリそれから日本は世界の火山国だから、あってしまったらこれはおしまいなんですね。だから非常に心配なんですよ。北海道の浦河の地震も、あれは四・五か五でしょう。仙台でもこの前ありましたね。あれだって五ぐらいじゃないですか。そういう地震であれだけの被害が起こることを考えると、それは心配なんですね。  だから、そういう点で、できるだけ予算を削らないで、研究機関というものは集中的にならないかということなんですね。あれやこれや責任をなすり合うということはないけれども、えてしてそういうことに、ここまではうちの分野で、この先はうちじゃないという。同じことを幾つかのところでやっているということは、これはどうも余りいいことじゃないと思う。そのことを申し上げたいわけですね。だからといって、一方の方をつぶしてしまえというんじゃなくて、集中的にできないかどうかという問題ですね、そういう問題を。そしてもっと密度の高いものができないかどうかという問題について要求しているということなんです。
  77. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 いまの地震の問題等々、これは万一起こった場合には国民の生命、財産に直接関係することですから、よく学問的に見、それから日常そんな場合にどういうふうな対応をするかというところにも注意して生活させるようにしなければならぬ、こう思っております。  一つだけ。先ほど私は大森洪太と申し上げたが、あれは今村明恒さんという博士の名前の間違いでした。
  78. 竹内猛

    竹内(猛)委員 では終わります。
  79. 北側義一

    北側委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ────◇─────     午後一時十一分開議
  80. 北側義一

    北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川国彦君。
  81. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、国民の足、交通機関に対する交通政策の問題について、大臣を中心として関係者に御質疑を申し上げたいと思います。  日本の産業あるいは教育、文化、そういうものを考えてみますと、すべて交通機関によって支えられているというふうに言っても過言ではないと思うのです。日本は戦後の高度成長の中でGNPも飛躍的な伸びを見せた。同様に、首都圏、大都市圏の交通機関も、新幹線による連結はもとよりその圏内における都市交通というものは国鉄を初めとして私鉄の鉄道、バスあるいは地方自治体のバス、地下鉄、さまざまの交通機関の発達によって首都圏なりあるいは大都市圏の産業、文化は支えられて住民の足は守られている。もちろん、そこには過密輸送における定員を超えた過剰輸送といいますか、大量輸送の問題、過密ダイヤの問題を抱えていることは、もとよりあるわけでございます。  しかしもう一面、日本の経済や産業、文化を地方で支えている住民の足が年ごとに減少していっている。端的に言えば、年々住民の足切りが行われている。足切りという言葉が適切であるかどうかわかりませんが、ともかく地方の住民の交通機関があるいは停止されあるいは廃止されていく、こういう状況にあるわけであります。  これは、大臣も地方に依拠する政治家として、そうした過疎地におけるバスなり鉄道なりの現状あるいは将来については深い関心を持たれているというふうに思うわけでございますが、そういった過疎地域、あるいはまた過疎とは言えないまでも、地方におけるバスとか鉄道、そういうものを国民の足として確保していくということについては前向きな考え方を持って臨んでいかなければならないというふうにお思いになっていらっしゃると存じますけれども、この点に対する大臣の御所見をまず承りたいと思います。
  82. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 地方に住んでおる者は、地方のバスとかあるいはまた小さい、軽便鉄道といいますか、そういうものもよく見るわけです。このごろは、私なんかバスやら見るたびに、何人乗っているか、こんなことをすぐ考えます。五人、三人乗っていればまだいい方だ。だれも乗っていないところもありますし、またこれを維持していく努力というもの、そういう中にあって、たしか五十八年度の予算の中に、こうした中小バス関係に運輸省は前年度よりもよけいの補助金を得て手当てをしている、こういうような考えを持っております。
  83. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大臣からバスについての答弁はありましたが、私最初に鉄道の方から質問をしてまいりたいと思います。  運輸省が、中小民営鉄道対策の推進ということで、本当に地方の中小民鉄に対して力を入れて努力をされているということについては敬意を表するわけでございますが、こうした中小民鉄の中で、国として補助しなければならないその対象鉄道数というものを運輸省は現状幾つ押えられておりますか。
  84. 服部經治

    ○服部説明員 五十八年度の予算に基づきまして御説明いたしますと、まず欠損補助につきましては九事業者でございます。それから近代化補助につきましては三十三事業者でございます。それから踏切補助につきましては三十七事業者でございます。
  85. 小川国彦

    ○小川(国)委員 その対象となっております鉄道の数、それはお幾つになっておりますか。
  86. 服部經治

    ○服部説明員 ただいま申し上げましたのは事業者数でございますが、この中で欠損補助につきましては九社、十路線となっております。
  87. 小川国彦

    ○小川(国)委員 欠損補助、近代化整備費補助、踏切整備費補助含めまして、五十六年、五十七年、五十八年と予算の推移はどういうふうになっておりますか。
  88. 服部經治

    ○服部説明員 五十六年度につきましては合計で、三つを合わせまして十六億六千万円でございます。五十七年度は十四億四千万円でございます。それから五十八年度は十三億七千万円でございます。
  89. 小川国彦

    ○小川(国)委員 先ほど大臣も過疎の鉄道、バスに対して大変関心を持っていらっしゃったのですが、減少しているというのはどういうわけでございますか。
  90. 服部經治

    ○服部説明員 ただいま申し上げましたとおり、中小私鉄に対します補助額はこの数年間減少の傾向をたどっておりますが、この内容を考えてみますと、まず欠損補助につきましては、この欠損補助というものを交付いたします際に、欠損を出しております事業者に対しまして毎年事業改善計画というものを策定させまして、それの遂行ということを強力に指導いたしております。したがいまして、この数年間、欠損会社の事業内容の若干の改善、それから別途、二年ローテーションをもちまして運賃の改定を実施いたしておりますので、そういうことの結果、対象事業者の欠損額が減少の傾向にあるということが申し上げられるかと思います。  それから近代化補助あるいは踏切整備の補助につきましては、過去長年にわたりまして、こういった補助のもとに近代化あるいは踏切の整備を続けてまいりました結果、対象事業者の投資計画が漸次縮小の傾向にあるという事情を反映して、額が減少の傾向をたどっているというふうに私ども考えております。
  91. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、これはむしろ大変残念なことだというふうに思っているわけなんです。中小民鉄の年間輸送量を見ますと、昭和四十七年度はたしか五億五千八百万人。それが年々減少してまいりまして、五十六年では四億七千三百万人ということで、減ってはきております。しかしながら、現に四億七千三百万人という国民を年間輸送しているという実態はあるわけでございます。あるいはいま挙げられました欠損補助を受けておる九社にいたしましても、五十六年で見ると一日当たり五万二千五百人という人間を運んでいる。これはやはりそれだけの一人一人の毎日の生活と生命を担って輸送をしているわけで、過密過疎に関係なく輸送の使命という重要な任務を帯びてやっているというふうに私は考えるわけです。  そういうわけで、これに対する予算が減ってきているということは、じゃそれらの対策が十分行われてきたのか、いま御答弁ではそういう対象事業者が改善されて減ってきているということを言われているのですが、中身をもう一つめくってみますと、欠損補助を受けている企業の実態は大変な四苦八苦の経営状況にありまして、五年、十年の指導計画だけでは容易に解決できない状況がある。しかし、それでも一社ごとに見ますと、五千人からの人間の毎日の生活の足になっている。  大臣のところにも、栗原電鉄という毎年予算をふやしてもらっている鉄道もあるわけでして、そういう点では、この予算は大臣の地元だけではなくて全体的にふやしながら、この欠損補助を受けている鉄道というものを——関係者は非常に並み並みならぬ努力をしているわけです。静岡県の大井川鉄道とか千葉県の銚子電鉄とか、大井川鉄道の場合なんかはザリガニから沢ガニの販売、カニの販売からゲートボール大会をやる、Tシャツの販売をやる、国鉄を入れてのSLの運行をするというふうに大変な経営努力をしている。銚子電鉄などでも、電鉄会社がタイ焼きの販売から夏はソフトクリームの販売までやる。それから、沿線の満願寺という願い事が全部かなうというお寺の宣伝から自動車から自転車の預かり所、クロネコヤマトの宅急便までやるというふうに、中小電鉄が労使一体となった非常な経営努力をやっているわけです。  それにもかかわらず、国民の足を守っていながら欠損からなかなか脱却できないといううらみを持っているわけです。そういう点では、国も自治体もともに責任を持っていかなければならないと思いますし、やはり国がこの補助金交付についてもう少し前向きに取り組んでいく姿勢が欲しいというふうに思うのですが、この点大臣いかがでございましょうか。
  92. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 いまあなたが申されたように、地方の鉄道が鉄道以外のありとあらゆる商売をやって収入を得る努力をしている。そしてそれをまた関係の従業員が心を合わせてやっている。それでようやくベースアップもできるだろうし、ある場合にはボーナスも払う。こういう姿が地方鉄道なりその諸君の姿だ。生きるために、迷惑をかけないで、なりふり構わずに知恵を働かせて収入増を図っている姿は、いろいろ有為転変があるかもしれないけれども、大企業に見られない状況だと思うのですよ。そして社会的使命もあることですから、補助制度等々があってもなかなか容易なことじゃないでしょうけれども、なるべく減らさないようにし、その人々にときに勇気をつける綱にして差し上げたい、こういうふうな感じを持って見ております。
  93. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大変心強い大臣の所信を伺って、こういった九鉄道を初めとして不振の中であえいでいる中小民鉄の人たちに勇気を与えられるというふうに私どもも思うわけでございます。  今後の問題を展望しますと、いま近代化補助は自治体が二〇%持ちますと国が二〇%持つ。四〇%を国と自治体で持つ。ところが、自治体の二〇%のうち一〇%を市町村が持つということになると、四割補助するその四分の一をまず市町村が負担する。これはちょっと大変なような感じかするわけなんです。そういう点では、国の補助率を将来二分の一から三分の二くらいに持っていく、そういう前向きな考え方が持てないだろうか、これが一点ですね。  それから、欠損会社に対する補助が単年度補助で行われているわけです。ですから、毎年の経営の収支を見ながら補助をしてもらうわけで、そこに働いている人たちも非常に不安感がある。いつ補助金が切られるのか。やはりそういう会社を直し、その地方の足を支えていくのには、五年なり十年なりの長期的展望の中で補助助成をしていく、こういう考え方も持てないだろうか。  それからもう一つは、そこに働いている人たちの生活権ですね。いま大臣が涙ぐましい関係者の努力を認めてくださっているわけですが、なかなか退職引当金も組まれていない。そうすると、退職者一人出るたびに大変な苦しみをしなければならない。それがほかの働いている人たちのところへのしわ寄せにもなりかねない。あるいは大手の私鉄を見ますと、昨年十月の大手の私鉄協会の報告を見ると、鉄道では収支一〇〇%で、大手私鉄は皆とんとんにいっているのです。だから、この大手の私鉄の労働者の賃金と比べますと、中小私鉄の労働者の賃金は一カ月で四、五万手取りで差があるというのですね。中小の方が四、五万ダウンしている。同じ交通産業に働きながら、同じ三十五歳なら三十五歳の労働者で、一カ月に四、五万の差があるというのは大変なことなんです。  そういう点で、国の補助率の問題、それから単年度補助のあり方、それから働く人たちの生活権の問題、こういうものを含めて、予算が減っていくのじゃなく、そういうところをもう少し、せめて大手に働く労働者に準ずるくらいの賃金なり生活水準が保障されるというところまではやはり国の施策の中で考えていただかなければならないのじゃないか、こう思うわけですが、この点はいかがでございましょうか。
  94. 服部經治

    ○服部説明員 ただいま三点につきましてお尋ねがございましたが、一つずつお答えさせていただきたいと思います。  まず第一点の、国と地方公共団体の負担の割合の問題でございますが、私どもは、こうした中小の私鉄が、地域住民の足の確保ということを通じまして地域の発展あるいは民生の安定に大きく資しているという認識を持っておるところでございまして、そうした中小の私鉄が欠損を生じながら、しかも経営の維持存続を図らなければならないという非常な苦境に置かれておる場合に、これは国ももとよりでございますけれども地域行政を担当しております自治体も応分の負担をしていただくということが一番妥当ではないかというふうに基本的に考えておるところでございます。  それから、二番目の単年度補助の問題でございますが、確かに、制度といたしましては単年度補助というかっこうで運営はしておりますが、実態的には、一つの会社が補助対象事業者になりますと、通例これは数年間は継続するわけでございまして、会社の経営内容に大きな変化、改善が見られない限りはずっと継続して補助をするというのが実情でございます。  それから、最後の三点目でございます。労働者の労働条件の悪化を防ぐような配慮が欲しいという点でございますが、たとえば欠損補助の内容を申し上げればおわかりいただけるかと思いますが、欠損補助というのは過年度の人件費のアップ額も含めましたトータルの欠損額につきまして、全額を国と地方公共団体とで折半して補助しているということでございますので、その辺の実情から御賢察を賜りたいと思います。
  95. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、末端の中小民鉄に働く人たちの日常に触れているわけですが、再々言うまでもなく、その私鉄を維持するために非常に熱心に、経営者以上の努力を従業員もしているわけですね。ところが、補助金が単年度でありますために、一般の労働者並みの賃金をやったら翌年補助をもらえないのじゃないか、経営者がそういう心配をするわけです。どうしてもそのしわ寄せが合理化なり労働者の首切りあるいは賃金水準の引き下げなりというところに行きがちなんです。これはやはり大臣にもきちっと歯どめをしていただいて、そういう中小民鉄の経営改善に取り組む、ある程度合理化はやむを得ません。合理化というのも人間の合理化ではなく、いろいろな施設や何かの合理化です。それが労働者側の合理化なり首切りなり賃金の引き下げにつながっていくようなことのないように、経営計画を見ていく中でも、改善計画を見ていく中でも、そこの歯どめだけはきちっと見てやってほしい、こういうふうに思うのです。  さっき申し上げたように、同一年齢の同じ私鉄に働く労働者の中で月収で四、五万も差があるという実態、それをこれ以上引き下げることがないように、そこのところの歯どめは、国が補助を見ていく中で、ひとつ最低の生活水準を維持できるという条件だけは考えてやってほしいと思うのですが、これは大臣に伺いたい。
  96. 服部經治

    ○服部説明員 実情は最前御説明申し上げましたとおりでございますが、先生指摘の趣旨は私どももよく理解できますので、ただいまの先生のお話もしっかり胸にとめながら、今後制度のよき運用を図ってまいりたい、かように思っております。
  97. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大蔵省当局も来ておりますので、この点についてのお考えをひとつ伺いたい。
  98. 藤井威

    ○藤井説明員 地方の交通の維持の問題、全体として国の配慮の問題を問われておるというふうに考えておりますが、御存じのような財政事情で、当然限界はございますけれども、運輸当局とも十分御協議申し上げまして、限界の中でできる限りの配慮はいたしていきたいと考えております。
  99. 小川国彦

    ○小川(国)委員 次に、地方バス路線の維持対策の問題についてお聞きしたいと思うのです。  全国でバス会社がたしか二百五十社ぐらいある中で、どんどん停止され、あるいはまた廃止されていく地方バス路線の維持のために、百五十八社、これは数字に誤りがありましたらそちらで正していただきたいと思いますが、これに対しては五十六年九十億、五十七年九十四億、五十八年九十六億と年々予算も増加されてきているということであります。これは鉄道からバスに足が移ってきているという状況がありますが、しかし、そのバスもまたマイカー時代を迎えて、そちらへどんどん吸収されていく。さっき大臣がバスを見ると何人乗っているか心配になるというお話がございましたが、そういう状況で、会社の資産を処分したり不動産を処分したり、売り食いの状態。あるいは合理化で社員の整理をしたり首切りをしたり、そういう中で倒産もしかねないような中小バスの状況というのがまたもう一つあるわけです。  これに対する国の補助のやり方なんでございますが、生活路線に係る補助方式というのがありまして、これが甲乙とか丙種の非競合路線というのには六分の三、早くいえば二分の一の補助が出るのでありますけれども、丙種で競合路線の場合には八分の三という補助になっていまして、この差額は県が負担せよ、こういうことになっているのですが、実際にはこれは県が持たないで、会社が手当てしている、こういう状況で、これがまた中小バス会社の赤字がふえるばかりになっているのです。競合路線を持っているといいましても、たとえば五十キロの長い路線のうち三キロか五キロぐらい競合があったからといってこれが競合に入ってしまって、そのために補助率が六分の三から八分の三に低下しているというのはちょっと不合理ではないか。  これは同じように、甲乙丙の非競合路線が六分の三なら競合路線も六分の三というように変えていくべきではないか。過疎を走っている状況は同じなんですが、たまたま競合であるがゆえにその補助率を下げられて、それだけ会社の赤字負担に転嫁されていっている、こういう状況があるので、これに対する改善の考え方はないかということなんです。
  100. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 地方バスに対します補助の予算は、ただいま先生がおっしゃいましたように五十八年度は九十六億ということで、前年に対して二・六%の増の予算を計上いたしております。  ただいま御質問の補助の限度額の話でございますが、非常に厳しい財政事情の中で、私どもといたしましては、その中でも補助額の増加について努力してきているわけでございまして、それをどうやって効率的に使うかということでいまの補助の仕組みが組み立てられているわけでございます。その仕組みの一つとして競合路線、非競合路線というような分け方で補助を厚くしたり薄くしたりというような工夫をしているわけでございまして、これはやはり補助を受けて運行する以上、できるだけ効率的なバスの運行をしていただきたい、私どもとしてもそういう方向にバスの事業を誘導してまいりたい、こういうような観点から競合、非競合についての補助の仕組みを組み立てているわけでございまして、現在の国の非常に厳しい財政事情のもとで、いま直ちにその区分を取り払うというようなことはなかなか困難ではないかというふうに考えられます。  ただ、先ほど来いろいろお話に出ておりますように、バスというのは地域の住民の最後の公共輸送機関でございます。したがいまして、私どもとしても、地方のバス路線の運行維持については今後とも努力を払ってまいりたい、かように考えております。
  101. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この補助制度を見ますと、「生活路線に係る補助方式の概要」というのを見ますと、経常費用がありまして、そして経常収益が大体二分の一ある。そうすると、残りの六分の一を国庫補助、六分の一を都道府県補助、六分の一を市町村補助ということで、この形でいくと一応六分の三になりまして、半分を国と自治体で持ったような形になっているのですが、経常収益が経常費用の半分を割ってくる、いわば収入がかかった経費の半分以下になってきた、こういう状態になると、これは県が対策をするというふうになっているのです。これは競合路線であると非競合路線であるとを問わず、県負担のほかに県が対策という部分があるのですが、実際には県が対策という部分は、民間企業の方に、もう一遍中小バスの方にはね返ってきている。実質的には県が負担されてないという状況があるのですね。  だから、国の補助があり、都道府県の補助があり、市町村の補助があって、そこに一遍県が負担をして、もう一遍そこにまた別に県が対策というのは、これは確かにいまおっしゃるように、苦しい財政難というのはわかるのですが、どうも国が県に責任を転嫁しているんじゃないかというふうに私ども受け取らざるを得ないのです。せっかく予算もふえてきていることなんで、もう一踏ん張り大臣踏ん張って、国が本来やるべきことを県に転嫁してはならないんじゃないかというふうに思うのです。  ここのところを、これは大蔵省もおいでになるのですが、何とか財源を考えて——現実的には、県が持たなくて企業が持てば、またその企業は赤字がふえていって苦しむだけの話です。それからまた、路線が結局切られていくということにつながっていくわけですから、県の対策ということで逃げないで、これは国が積極的に見ていくという姿勢を持てないものでしょうか。
  102. 藤井威

    ○藤井説明員 財政当局の立場からいまの問題についてお答え申し上げますと、やはり地域交通というものを維持し、必要最小限度のサービスを地域の住民の方々に提供していく、こういうことに関する責任といいますか、そこまで言いますとあるいは言い過ぎかもしれませんが、それに伴う地域住民の福祉を考えていくという意味で、第一義的には県なり市町村なり、そういう地方公共団体において適切な施策を講じていただく、それに対し国の立場から何らかの助成を行い、あるいは奨励も行っていく、あるいは行政指導も行っていく、こういう基本的な行政のシステムではなかろうかというふうに考えております。  したがいまして、われわれといたしましては、基本的には地方が応分の負担を行う、そういうことを前提にして、その上に立って国庫の補助を考えていく、こういうシステム考えざるを得ない、それが基本でございます。もちろん、そうは言いましても、地方の方での御努力にもあるいは限界があるかもしれませんが、そこはわれわれの方の財政事情等々も考慮しながら、できるだけ効率的に地方の交通が維持できる、そういうシステム考えていく必要がある、われわれの考え方から申しますとそういうことでございます。  予算といたしましても、たとえばことしの場合なんかで言いますと、全体としてはかなりのマイナス予算にならざるを得ない、そういうような財政事情のもとにありましても、市町村のバスの問題に関して言えば、この現行のシステムを前提にして、なおかなりの増額という措置をとっておるわけでございまして、われわれとしては、できる限りの努力も払っておるというふうに考えておる次第でございます。
  103. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大蔵当局も大変御尽力くださっているのはわかるのですが、都道府県に対策をゆだねた場合に一体どうなっているかといいますと、地方では、たとえば群馬県とか栃木県では、毎月一回ノーマイカーデーというのですか、毎月一日の日は車に乗らないで出勤しよう、バスや鉄道に乗ろうというようなことを運動してみたりしているのです。これなんかまだあれなんですが、また府県によっては、二種、三種路線の系統変更をしなさい、あるいは変更できないなら、一日十本の運行を五本に圧縮しなさいと、そうすれば五人未満の乗客が十五人未満の部類に入ってくるのじゃないか、あるいはそれでだめなら切りなさい、そういう指導になっていってしまうのですね。  だから、それは国の公共交通なり交通政策という考え方からいけば、府県にそれをしょわせたために、その結果が足切りに通じていくという実態になっているのです。ですから、その点では、私は、第一義的には国がやはり責任を持って、そういう自治体の末端が国の指導に反するような指導をしていかなければならないという形にならないように、もう少しこのところは前向きにひとつ取り組んでもらいたいと思うわけです。  時間も切迫してまいりましたから、大臣に最後にしっかりと御答弁願いたいのです。  いままで、昭和五十五年から五十九年、来年までということで地方バスの対策をやってきているわけです。六十年以降どうするかというのは、これから抜本的な対策が望まれているわけで、そういう点では、さっき私が申し上げた、国が八分の一の補助でやっていて、実質的には六分の一のところへ右へならえしてほしい、この問題の解決もできないということではならないわけで、やはり国が実質的には補助制度の中で持つべきところは持つという形で、日本の国民の足の確保について考えてもらいたい。過密の地域においては、大手の私鉄が一〇〇%とんとんの収支で賄えるというのですけれども、地方鉄道の場合にはどうしてもそれができない。  過疎がさらに過疎を生む、足切りが過疎を生み、また過疎が足切りを生むという悪循環を断ち切って、地方の時代と言われる日本の政治の方向を考えれば、抜本的な地方バス対策を六十年以降ひとつつくる、そういう中で国が施策として責任を持つべきところはしっかりと持つ、そういう方向についてひとつ政府の取り組みをお願いしたい。これは関係者全部から御答弁いただきたいと思います。
  104. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 ただいま先生お話しのように、現在の地方バス路線維持費の補助は、当面五十五年度から五十九年度までの五年間ということで予算を計上しているわけでございます。したがいまして、六十年度以降どうするか、こういう問題でございますが、われわれ運輸省としては、地方のバス路線というのは、やはり地域の住民にとって欠かせない最後の公共交通機関でございますので、六十年度以降につきましても、国と県、自治体等と力を合わせてその維持に努力をしてまいりたい、こういうような考えでおるわけでございます。
  105. 服部經治

    ○服部説明員 地方の中小私鉄の数は八十四社に上りますが、いずれも沿線人口の減少あるいはモータリゼーションの進展といったような影響をもろに受けておりまして、非常な経営上のむずかしい時期を続けておるわけでございまして、私どもも、こうした中小私鉄の経営の改善と申しますか、そういった経営の維持につきまして、本当に真剣な対応を迫られておるという認識は持っております。一方、現下の大変厳しい財政状況の中で、中小私鉄に対します補助の制度を拡充していくということは、きわめてむずかしい問題であろうとは存じますけれども、今後とも検討を続けまして努力をしてまいりたいと、かように考えております。
  106. 藤井威

    ○藤井説明員 地域交通サービスの維持確保の問題、将来どうするかということでございます。確保維持が非常に重要な施策であるということに関しましては、われわれも十分認識しておるつもりでございます。ただ、われわれの立場からいたしますと、そうしたサービスの維持確保がいかに国民経済的に効率的に行われるか、あるいは財政上もいかに効率的にそういうことが実現できるか、そういう立場からわれわれ常にこの問題を検討しておるわけでございます。今後も運輸当局とは十分調整をとりまして、また御相談してやってまいりたいと思っております。
  107. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 お聞きのとおり、運輸省の諸君はこういう問題に対して非常に熱心で、来年度以降も拡充しながらやっていこうと、こんな決意でございますから、この諸君のしりについてしっかりとがんばってあげたいと、こう思っております。
  108. 小川国彦

    ○小川(国)委員 終わります。
  109. 北側義一

    北側委員長 次に、草野威君。
  110. 草野威

    ○草野委員 私は、ボランティア活動と法律の壁、こういうような問題についてお尋ねをしたいと存じます。  近年、障害者、老人等に対する国民の理解が高まり、ボランティア活動が活発化し、多様化してきております。ボランティア、申すまでもなく、これは社会をよりよくしていくため、自分の技能と時間を自主的に無報酬で提供する人たち、このように言われているわけではございますが、しかし、現実には無報酬のボランティア時代から、実費相当の謝礼が是認される、こういう時代へと移行しつつあるのではないかと思うわけでございます。  このような中で、ボランティア活動が法律に抵触する懸念があるまま放置しておくということは、わが国の福祉社会にとって大きな問題であろうかと思います。また、身障者福祉の対応には行政だけでは限界もあり、それを補うのが市民の善意に支えられるボランティア活動でもあると思います。そういう意味におきまして、今後ボランティア活動が円滑に進むように、関係法規を含めて何らかの改善を図るべきではないか、このような観点に立って質問をさせていただきます。  そこで、具体的な例を初めに申し上げます。これは神奈川県に住むAさんという六十二歳の男の方でございますが、定年後余生を社会のために何か尽くしたい、こういうことから、重度障害者の自宅から作業所までの間をマイカーで週三回、障害者の人たちの送迎ボランティアを行っておりました。これは二十五歳と十六歳の脳性麻痺の方であったわけでございます。たまたまあるとき、これはもう一昨年の十二月の話でございますけれども、ささいな交通違反をいたしました。そこで、白バイにつかまったわけでございますけれども、そのときの情景が当時の新聞に出ておりますので、この新聞の報道をそのまま読ませていただきたいと思います。  このAさんが白バイにとめられた。「「どこへ行くのか」「ボランティアで……」「報酬はどうか」「ガソリン代を……」「法律違反だ」」こういうようなやりとりがあったようです。「仰天したAさんが警察に聞くと「奉仕活動でも、お金をもらえば、道路運送法第一〇一条に違反する」といわれた。念のため神奈川県陸運事務所へ電話すると「ボランティアでも違反なので、直ちにやめなさい。作業所に送迎車を買わせて許可を取り、あなたが勤めなさい」といわれた」こういうような報道が当時の新聞でなされているわけでございます。  そこで、警察庁にまずお尋ねしたいわけでございますけれども、このような事例は全国で余りないことだと思いますが、このような事例の場合、一体どういうことになるのか、まず警察庁の見解をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  111. 久本禮一

    久本政府委員 先生が御指摘になりましたのは一昨年、昭和五十六年十二月十二日付の読売新聞の夕刊及び同じく二十四日付の同紙の夕刊に掲載された記事のことではないかというふうに考えますので、それを踏まえてお答えを申します。  こういった事案につきまして、私どものいままでの受け取り方では、いわゆる白タク行為ではないかという疑点もあったわけでございますが、本件につきまして、当の神奈川県警は陸運当局ともいろいろ御相談をいたしたようでございますが、本件は幾つかの特色があると思いますけれども、御指摘のとおり、この点についてはいわゆる実費的な形で市、公共団体も介在をしておられるといったようなこと、それからボランティア活動として行われておって、いわゆる対価という形で受け取っておるかどうかにはかなり疑問があるということ、それからいわゆる輸送秩序の問題であろうと思いますけれども、これを所管される運輸行政当局の方では、こういったものをそういう輸送秩序の面から排除するということについては、その後検討の結果消極的という考えをとられたやに聞いております。  したがいまして、こういうことでございますれば、乗客の安全輸送等の措置が十分講じられているのであれば、警察としては今後これを問擬していくという必要はないのではないかというふうに考えております。
  112. 草野威

    ○草野委員 同じく運輸省にお尋ねしますけれども、この問題につきまして、神奈川県の陸運事務所におきましては非常にいきな計らいをした、このようになったわけでございますけれども、この問題につきまして、当然現地の方からいろいろと報告、御相談等があったと思いますが、運輸省としてはこの問題に対してどのような指示をされたわけですか。
  113. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 いまのお話の横浜市の身障者を輸送しておられたボランティアの問題でございますが、この問題につきましては、陸運局といたしまして所轄の陸運事務所と協議いたしまして、この件についてはまず横浜市が補助金を出しておる、それから身障者が直接そのボランティアのAさんという方にお金を支払っていない、また、運送を中心とする介添え等のボランティア活動も行っておるということで、横浜市がその推奨金としてお金をAさんに交付している、こういうようなことでございますので、本件は、横浜市がボランティア活動の推奨金を交付したものであるから、道路運送法に抵触しないという結論を出しまして、その旨横浜市にお伝えをしたわけでございます。
  114. 草野威

    ○草野委員 ただいまのような見解によって今回の問題は一応の決着を見たわけでございますけれども、もしこのような事例が再びどこかで起きた場合、いまのようなお話、これは運輸省の統一見解として受け取ってもよろしいわけですか。
  115. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 身障者に対しますボランティア活動、ボランティアの送迎行為につきましては、これは何が問題になりますかといいますと、道路運送法の百一条一項の自家用車による有償運送の禁止、あるいは第四条の一般自動車運送事業の免許を持たなければ有償で旅客を運送をしてはいけない、こういう規定がございますが、その百一条第一項または第四条との関係が問題になるわけでございます。  先ほどもお話に出ました横浜市の事例とかそういったようなケースにつきまして、それが道路運送法の違反になるかどうか、この判断の基準といたしましては、まず対価の収受の有無、それから収受の形態、それから他人の需要に応じて反復継続して事業として行っているかどうか、そういったような具体的な態様によって判断せざるを得ないのではないかというふうに考えております。  しかし一般的には、身障者に対するボランティア活動が、単なる運送行為だけではなくて、介添えあるいは看護としての行為も当然その中には含まれている、それから第二点として、対価の収受につきましても、社会通念上謝礼的な意味合いを持ったものである、また、地方公共団体が何らかの介在をされておるというようなこと、それから第三点として、ボランティア活動をされておる方も、その運送行為を事業として反復継続して行う意図はないというようなことでございまして、これを直ちに法違反として道路運送法で取り締まるというようなことは適切ではないと思っております。具体的に、ケースに応じて、ボランティア活動を不当に制限することのないように法律の適切な運用を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  116. 草野威

    ○草野委員 実際問題として、いまおっしゃったような道路運送法百一条、これに違反をいたしますと、六カ月以内の車両の使用制限だとかまた禁止だとか、こういう非常に厳しい罰則が設けられておるわけですね。  私が申し上げたいことは、いま自動車局長さんがいろいろとお話しになりました、非常にもっともなことばかりだと思うのですね、こういうことを運輸省の統一見解として全国に通達か何らかの形で出すことがなぜできないか。そうじゃないと、神奈川県の場合にはこのようなことで今回は済みました。しかし、よその県において同じような事例が起きた場合、別な判断が下されないとも限らないわけですね。局長さんは幾つかの問題を挙げておっしゃいましたけれども、実際、これはもっともなことばかりだと思うのですね。そういうことを統一見解として運輸省は通達を出されるようなお考えはございませんか。
  117. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 身障者に対しますボランティア活動と申しましても、横浜市のような事例の場合もございましょうし、その他いろいろなケースがあろうかと思います。この辺のところは、私ども、関係省庁と十分協議、相談をいたしまして、どういうようなボランティア活動がなされておるのか、その辺のところも十分承知をした上で、統一的な基準をはっきりと出せるものかどうか、その辺の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  118. 草野威

    ○草野委員 統一基準について検討をされるということでございますけれども、ぜひとも具体的に、しかも早急に取り組んでいただきたい、このことを要望いたします。  この件につきまして、横浜市でもいろいろと調査をいたしました。その調査結果を見ますと、具体的にこういう問題が出ているわけです。たとえば、送迎ボランティアという問題につきまして八つの事例について調べた結果、そのすべてが謝礼及びガソリン代というような名目で金銭の授受が行われていた。その内容を分けてみますと、横浜市から助成金という形で行われている場合が一つと、それからもう一つは、障害者本人やその親が負担している場合、こういう二つのケースに分かれておりました。  そこで、これからの問題でございますけれども、先ほどからの御説明のように、横浜市とかそういう公費によって援助されておる場合にはこれは有償ではない、こういうような判断に基づいて、神奈川県の陸運事務所か今回の措置をなされたわけですね。この場合はこれで一つ済んだ、一つの新しい解釈ができたと思うのです。問題はもう一つの場合だと思うのですね。対価性を持たないボランティア活動に対する謝礼だとかガソリン代、こういうものについては百一条の有償というものに該当するのかしないのか、ここら辺のところをはっきり御見解をいただきたいと思うのですね。これが一つです。  それからもう一つは、やはり百一条の中に、第一項のただし書きのところに、公共の福祉を確保するためにやむを得ない場合には運輸大臣の許可を得る云々、こう出ておるわけですね。こういうようなケースの場合が公共の福祉ということに該当して、そして運輸大臣の許可を得られるかどうか。この二つの問題についてお答えをいただきたいと思うのです。
  119. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 二つの点、御質問がございました。  第一点の百一条の有償という問題でございますが、金銭を受け取りましても、それを有償として判断するかどうか、これが一つの問題だろうと思います。先ほど横浜市の事例で御説明しましたように、単に社会通念上通常の謝礼というような意味合いを持った金銭の授受であれば、これは有償とは判断する必要はなかろうというふうにただいま思っております。  それからもう一点の、百一条の有償運送の許可を運輸大臣がする必要があるかどうかの問題でございますが、横浜市の例の場合では、百一条の有償運送の許可という手続をするまでもない、こういう判断であの場合は措置したはずでございます。  したがいまして、私どもとしては、身障者の方の輸送をボランティア活動としてなされているケースがいろいろあろうと思いますけれども、どういうようなケースが具体的にあるのか、その辺のところを、これから関係省庁とも十分連絡をとって調査をいたしまして、その中で、こういう場合には違反しないとか、こういう場合には適法であるというようなものを研究して、一つの方針を出せればそういうような方針を出していきたい、かように考えておる次第であります。
  120. 草野威

    ○草野委員 ぜひとも研究を続けていただきたいと思いますが、いまのお話の中で、私は二つに分けて申し上げたのです。一つは、横浜市のような公費が援助されている場合、それともう一つの場合は、障害者本人とか親が負担して謝礼を出した場合、この二つのケースで申し上げたのですけれども、その後者の場合もいま局長の方からおっしゃったようなことでよろしいわけですか。
  121. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 横浜市というような公的な団体が介在してそこから受け取っているという場合には、これは当然有償とは考えられないと思います。  問題は、本人あるいはその親類の方、そういう方から受け取った場合に、これが百一条の有償となるかどうかが問題でございまして、その場合に私が申し上げたのは、通常の社会通念上の謝礼、こういうような意味合いを持ったものであるならば、これは百一条の有償というふうに解釈するまでもないであろう、こういうふうにお答え申したわけでございます。
  122. 草野威

    ○草野委員 では次に、警察庁にお伺いいたしたいと思います。  やはり身障者の問題でございますけれども、道交法の第四十五条では駐車禁止の規定があるわけでございます。そういう規定の中で、例外として、身障者に対する駐車禁止除外の規定、これは警察署長の許可を受ければ出るそうでございますが、私が聞くところによりますと、この規定というのは、身障者本人ではなくて、その身障者の家庭で持っている車両に対して発行されている、このように伺っているわけでございますが、そのとおりでございますか。
  123. 久本禮一

    久本政府委員 車両に着目をしているというように理解をしていただいて差し支えないと思います。
  124. 草野威

    ○草野委員 それで、実際問題といたしますと、身障者をその家庭の人が乗せて走る場合は問題ないわけでございますけれども、通常ボランティアの人たちがやる場合は、ボランティアの人たちがマイカーを持ってきて、そして身障者を乗せて運ぶ、こういう事例が多いわけですね。したがって、車両ではなくて、身障者本人にこのようなステッカーみたいなものを交付するようにできないか、こういう非常に強い要望があるわけでございますけれども、この点はいかがでしょうか。
  125. 久本禮一

    久本政府委員 先生のおっしゃいましたような形の要望が現実にございますことは承知をいたしております。そこで、現在の身体障害者の利用する車の駐車禁止規定の除外ということの扱いでございますが、先生指摘のとおり、現在身体障害者の社会活動への参加という社会的なニーズがございます。これに道路交通の秩序維持という立場から実施をしております交通規制等がどこでかみ合っていくかということを考えまして、その点から、支障のない限りできるだけ私どももその辺の扱いをするということで、五十三年以降、歩行困難な方が現に使っておられる車両に対しまして駐車禁止規定除外車の標章を差し上げまして、これを規制対象から除外するという措置で、したがって、街頭の取り締まりにおいてもこれを実施しないということをしているわけでございます。  この点につきましては、駐車につきまして、一般的には、どの車ならいいどの車なら悪いということは、交通の立場からは申しかねるところでございますが、あわせてそういう社会的なニーズにも対応するという役割りもまたあるということで、そのために必要なものとして、身体障害者の方の御指摘の点についてはそういう扱いをしているわけでございますが、これは、そういう形で、もっぱら歩行の困難な身体障害者の方の用に供する車であるということを一つの目安にして駐車除外にしているということでございます。  そういうボランティアの方の実態的なニーズがあるということは承知をしておりますが、もっぱらそのために使われるわけではないという車にそういう形のあれをするということは、実務上の問題としても大変むずかしいということで、そういう形の処理を実施するということは現在考えていないところでございます。
  126. 草野威

    ○草野委員 せっかくそういう制度がありながら、いまのような御答弁ですと余り役に立たない場合が多いわけですね。特に、ボランティアの場合は、そういう障害者、歩行困難な人たちを実際に運ばなければならぬわけですね。運んでいるわけですよ。そういう車にはステッカーがなくて、うちに置いてあるだれも乗らない車にはステッカーがある。ちょっと考えると非常におかしい話なんですね。そこら辺のところは何とかならないものか。実際に障害者の人たちから、また、ボランティアの人たちから強くこういう声が出ているわけです。これは何とかひとつ御検討をこれからもいただきたいと思うのです。  もう一つは、現実にステッカーを交付するということがもし無理だという場合は、このような重度身障者に対して、全部証明書をお持ちになっているわけですから、こういう証明書の所持者については何らかの例外規定を設ける、こういうようなことをひとつ御検討いただきたい、要望をしておきます。  最後に大臣に、いままでいろいろとやりとりしたわけでございますけれども、冒頭にも申し上げましたように、ボランティア活動が近年非常に活発化してきている。しかし、その活動の中において、実際に法に抵触する部分が出てくるということで横浜市の具体的な事例を申し上げました。こういうことがこれからもあちらこちらで出てくる懸念がある。せっかくボランティア活動を一生懸命やっている、そういう善意の芽を摘み取るようなことになっては非常に遺憾だと思うのですね。したがって、時代の趨勢から考えても、無償というところから謝礼程度というものに現在なってきているわけでございますので、何とかここら辺で行政のサイドでもひとつ対応考えるべきではないかと思うのです。こういう問題を含めて、大臣の御感想なり御見解を承りたいと存じます。
  127. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 民主主義社会は個人の自由あるいは個の確立が激しゅうございますが、それをやわらかくしていくのがボランティアだ、こう思うのです。これはなかなか戦前の日本にはなかったことです。そしてそれがいまずっと各分野に広まっているわけですね。  ことにいま言われている高齢者の方々、寝たきり老人、もうどうにもこうにもうちの者は手が出ない、それを隣近所の者あるいは若い諸君が、いまのボランティアの雰囲気、そういうものに鼓吹されまして行動を起こしている場面なんかよく見受けるわけであります。ぎしぎしした世の中に、日本的情緒で、ボランティア精神というものが行動の一つ一つにあらわれることが本当に美しい日本をつくるゆえんでもある、私はこう思いまして、ときにそんなものが既存の法律に抵触しそうだというときには、私の考えと同じような気持ちで、ひとつ取り締まり当局も温かい目で見てやるようにしてもらいたいものだ、こう思っております。
  128. 草野威

    ○草野委員 ぜひともいま大臣がおっしゃったような温かい気持ちでこの問題について具体的な取り組みを開始していただきたい、このようにお願いしたいと思います。  最後に、厚生省にお尋ねをしたいと思いますが、きょうは時間の関係で余り申し上げることございませんけれども、運輸省に対しましてきょうは車のボランティア活動と法律上の問題点、こういうことでお尋ねしたわけでございますが、実際にボランティア活動といいますと、調理、給食の問題から理容、美容、それから録音、あんま、マッサージ等々たくさんあると思うのですね。これがいずれも法的問題を抱えているわけでございますけれども、厚生省は昨年来これらの問題に対しまして調査研究を続けてきている、このように伺っておりますので、これからの見通しというものについてお尋ねをしたいと存じます。
  129. 末次彬

    ○末次説明員 先ほど先生から御指摘ございましたように、国民のすべてがそれぞれの立場で福祉を支えていくという観点から、ボランティア活動というのは大変大事なことであるというふうに考えております。ただ、ボランティアといいましても、それぞれの立場で法令を遵守するというのは当然のことでございまして、近年ボランティア活動が非常に多様化してまいりますにつれまして、先ほど御指摘のありましたような、法令解釈上微妙な問題が生じる可能性のあることは事実でございます。  これらの問題につきましては、私どもの方で、社会福祉関係のボランティア活動が法令等々に抵触しまして問題化するようなケースにつきまして、全国ボランティア活動振興センター、これに主体になっていただきまして、その傘下の都道府県、それから市町村のボランティアセンターを通じまして、その実態を今年度中に調査いたしたいと思います。その結果を踏まえまして、それぞれのケースにつきまして、それぞれの法令を所管する各省庁の御理解を得まして、ボランティアの善意を生かして、その活動の健全な育成発展を図っていくような方向で努力してまいりたいというふうに考えております。
  130. 草野威

    ○草野委員 以上で終わります。
  131. 北側義一

    北側委員長 次に、玉置一弥君。
  132. 玉置一弥

    ○玉置委員 昨日の共済制度の問題のときにもお話が出ておりましたように、国鉄の現状を見ておりますと、われわれとしても大変な不安を覚えるわけでございます。特に、最近新聞紙上にたるみ事故の続発ということで大変大きく取り上げられてきておりますし、また、労使の現場協議というものがございまして、それがやられているところとやられていないところがあるという差もできてきているという面から考えていきますと、国鉄の中での統一的な物の考え方、これが不徹底ではないかというような感じがするわけです。  特に、われわれの管轄でございます交通安全という面から国鉄というものを見てまいりますと、まさに惰性でやってこられているという感じがするわけでございまして、公共輸送の骨格をいま担っていただいているわけでございますけれども、人員輸送においてはまだまだウエートが非常に高いわけです。貨物輸送については大変激減をいたしておりますけれども、そういう面で、特に人身にかかわる問題ということで、もっと厳しい目を向けていかなければいけないのではないか、そういうふうに考えるわけでございます。  そこで、一応職員の責任という分野での事故、これが昨年二百七件というふうにふえてきておりまして、四十七年のころから見ていきますと、要するにこの十年間、大変なふえ方になってきている。なぜそういう状態になっているのか。それから、職場規律の面から見て、特に交通安全対策面から考えてみて、運輸省当局と国鉄当局両方でどういうふうな連絡をとりながらやっておられるのか、その辺についてお聞きしたいと思います。  まず大臣の方からお答えをいただきたいのは、国鉄がいま人員削減ということで三十五万人体制をやっておられますけれども、余り急激な削減をしていくと、安全対策上非常に問題があるというようなことも聞いております。しかし、民鉄の人員構成から考えてみると、国鉄が二倍の人員を抱えているという話も聞いております。そうした中で、これから国鉄の再建監理委員会等設けられるということにもなるわけでございまして、交通安全という面から、これからの国鉄再建に当たって、いまのたるみ事故状態を踏まえ、これからどういう方針で臨まれるのか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  133. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 この国会で国鉄再建法案を御審議願っている最中のことでございます。きのうの委員会や本会議でも申し上げましたが、いまの国鉄というものが、ここ数年間というもの、いろいろな労働運動、労使関係の摩擦等々によって関係が非常に荒れた、こう言われもしましたし、事実また新聞などにそういうことは見えたわけてあります。中には、だれでも知っているのが、去年の十月ごろに、五十数歳になるところの機関士が、昼間酒を飲んで運転して電車をひっくり返してしまった。十五、十七の青年なら時折間違いということもあるだろうが、人生五十までいった者が昼酔っぱらってこんなことされたのじゃ、国鉄にまじめに働いている諸君に対する面汚しである、こう私は見たわけてあります。  そういうふうな激しいものはいざ知らず、最近は、幾らかよくなりつつある。日本人というのはマスコミを非常に気にしますし、他人の目を気にいたします。これは言っては悪いけれども、昔は国鉄に勤めたというと、田舎ではあそこの息子はいいところに就職したな、嫁でも探してやらなければ、こう言ったことですけれども、このごろの新しく入った若い諸君は、行ったら組合でいじめられたとか、行きたくないからどこか部署を変えてくれとか、こんな話などはひとしきり出ておりました。私のことですから、大臣とかなんとかでなくたって、そういうときには所轄のところに行って、こんなばかな話があるのじゃ困るじゃないかということさえ申し上げたことです。  最近、職場規律の確立ということが去年から言われ出して、みんながなるほどそうだなということで自重されて、大体においていい線まで規律がよくなりつつある。何さまこういう不況のときに、収入も少ない国鉄で、とにかくほかの組合に頼んででも共済年金までお願いしなければならぬ、こういうときであるから、みんな真剣になってきたんじゃないかということを感じまして、大きな事故に至らないようなつまらぬものは、何さまこれだけの職場ですから点検すれば幾らでも出てくると思うのですよ。しかし、最近心配するような大きな事故がないということは結構なことだ。これを一層推進してやるのが、国会でお互いが議論する、そのことがいいことをやる諸君に元気をつけるゆえんじゃないか、私はこう思っています。
  134. 玉置一弥

    ○玉置委員 民間のごく普通の会社でありますと、仕事量といいますか、たとえば人間が一日に仕事する時間、月に大体一万分という計算でありますけれども、そのうち八五%、逆から言いますと一五、六%はロスが出るわけですね。計算上余裕率ということで計算をしていきますけれども、トイレ休憩とか、あるいはたばこを吸うというのは余りないと思いますけれども、ちょっとしたロスが出るわけです。そのロスを極限に抑えても八%ぐらいあるわけです。しかし、われわれがふだんから聞いておりますのは、国鉄の職員の方が、今回もいわゆる入浴闘争というのをやっておりますけれども、勤務時間中におふろへ入る。普通の民間企業ではちょっと考えられないですね。民間企業の場合は十分前には職場へ着く。そして時間が来るとごく自然に仕事を始めるというようなことがごくあたりまえになっております。  国鉄の中に、一つは、従来慣習としてほかの企業と比べて大変甘い体質があるのではないかというような気持ちを持っております。少なくとも生きがいあるいは働きがいという面から見ると、大体通常の人間ができる仕事量が先ほど申しました八五%、その八五%までいくとかなり忙しい感じになります。しかし、七〇%を割るようになってくると、ちょっと手持ちぶさたになってしまうわけで、それを下回ってしまうと、今度働きがいを失ってしまう。われわれから考えたら、国鉄の職員の方はいままさにそういう状態になってきているのではないか。  それから、昨日の本会議でもお話がありましたように、共済年金が本当にこれからどうなるかわからない、そういう不安もありますし、そういうようなことを考えていきますと、もっと仕事の中身を見直していって仕事に充実感を持たせていく。  それから、事故の原因をいろいろ見ておりますと、取り扱いの不注意による事故、こういうものが非常にたくさんあります。一件でも出るということは、人に判断を任せているということにもあるわけですし、また逆に作業手順の決め方に不備がある。一つの段階を経て次に移る、そのチェックをするということが行われていない。こういうことがいまの国鉄の中ではまだまだ不十分ではないかと私は思うわけです。そういう面から考えて、体質改善を図りながらやっていかなければならない。それが再建にもつなかるわけでございますし、そういう面から考えて、具体的にやはりもっと積極的な再建というか体質改善を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  135. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 まさにおっしゃるとおりでして、いまのような形で信用がようやくとれつつありますけれども、私は、その諸君に、一生懸命仕事をして不愉快なはずはない、人から金いただいてありがとうも言わないで、横着な態度をしていれば、ほかの交通機関はサービスはいいし、笑顔はいいし、ありがとうと言うし、世の中はやはりニーズによって選択がある。現に国鉄の貨物の幹部がきのう私たちの前で答弁したてしょう。大阪と東京の間の貨物、一%も国鉄はとっていない。これなどは破局的ですよ。  ちょっとした油断というものがだだあっと流れていく姿があるから、ここで、だれのためでもない、自分の働く職場のためにきりっとすることが大事なことであり、またそのリーダーシップをとるところの経営者もいままでとわけが違って、何でもいい顔をして話をして、うまくいったという姿じゃだめだ、それが今度の国鉄再建法案に対する皆さん方の御期待である、この機会に立ち直らなければ、これは本当に大変なことだ、こういう意識をみんなで植えつけていくことが大事なんじゃないでしょうか。よろしくお願いします。
  136. 玉置一弥

    ○玉置委員 事故の原因をいろいろ分析していきますと、いわゆる内部的原因と外部的原因と、大きく分けると二つに分かれると思います。内部的原因が大体二五%、そして外部的原因が五〇%ぐらいを占めているということで、まだまだ二五%は少なくとも防げるであろう。そして外部的原因でも、これは設備上施設の問題も絡んでくるわけでございますが、その辺で、これは東北線の岡本—宇都宮間における踏切事故というので、小学校四年生の女の子が踏切の中てレールに足を挾まれた。レールに足を挾まれたと言うとおかしいですけれども、レールとその横にあるガードレール、この間に足を挾まれた、そういう危険があるようなところがまだまだあるわけです。それと乗用車等の踏切における脱輪、これが事故につながったということで、ちょっと手を加えれば防げることがまだまだいっぱいあるわけです。その辺が、なかなかわかっていながら手をつけられていないということになるわけでございまして、これも一つの体質ではないかというふうに考えるわけです。  それから、これから出てくると思いますけれども、たとえばいまの国鉄の鉄橋なりトンネル、この老朽化が大変進んでおります。昔は地方線の場合には線路も非常に軽い線路を使っておりました。幹線の場合は六十キロとか使っておりますけれども、それが地方線へ行きますと、三十五キロとかいう非常に軽い線路になってきている。最近はそうでもないと思いますけれども、まだまだそういう状態にある。そして施設が大変老朽化しているということで、ある程度長期的な見通しの中で、再建計画もありますけれども、安全管理について、再建期間中及びそれ以降ももっと徹底してやらなければ、たとえば民営化されるにしても、後の負担が大変重くなるんじゃないか、むしろそれが経営の足を引っ張ることになるのではないか。だから、国鉄だけではなくて、国鉄は国民の足ということでやっておりますから、当然国としても何らか大きなことを考えていかなければ、安全対策が確立できないのではないかというような心配をするわけですが、その辺についてはいかがでしょうか。
  137. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 本年度の国鉄の予算、国からの補助金というのは去年よりは削られました。削られましたけれども、七千億ほどつけてあります。その主なるものは安全対策、これが一番最重点、そして都市間の非常に過密なところの調整をするということ。やはり安全対策が一番でございます。大量輸送機関が不注意によって事故を起こしたら大変なことだというのは、主義主張にかかわりなしに大事な社会問題だ、こう思っております。
  138. 玉置一弥

    ○玉置委員 ことしの予算、在来線はたしか三千億ぐらいしかないと思うのですけれども、きめ細かくやると、各所に行くのはごく一部だということになりますし、また、人口急増地帯が昔のままいわゆる線路の向こう側とこっち側の行き来を昔の踏切でやっているとか、いろいろあるわけです。運輸省だけではなくて、建設省も絡んでくる問題でございますし、その辺を一日も早く、ともかくよほどの無理をしないと事故が起こらないようにしてしまう。逆に考えれば、あり得ることは必ず起こることですから。  たとえば、やってはいけないと子供には教えてもより小さい子供には理解できないということにもなるわけです。だから、向こうへ行けないようにするということもやはり考えていかなければいけないし、行った人はもう自殺覚悟だというぐらいに割り切って、やはり力で抑えてしまうというぐらいの施設をぜひ考えていただきたいし、また、行政改革の基本でもございますその考え方を体質として国鉄なり運輸省の中に確立をしていただきたい、かように思います。  まだまだ聞きたいことがいっぱいあるわけでございますけれども、国鉄の問題でいろいろ言われておりますのは労使関係。先ほどもちょっと申しましたように現場協議ですね。これはいままでは、われわれから考えて悪い方に現場協議というのは利用されてきたというような気持ちもあります。しかし、実際に現場の方の作業の確認とかあるいは方法の確認、こういうことは、やはり仕事の始め、終わりに協議をしないとなかなか確立できないということになるわけです。だから、労使関係ということではなくて、逆に作業の確認という意味での現場協議、こういうことはやるべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  139. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 私が大臣になる前に、各党で国鉄の地方の問題が大きく論ぜられましたね。そのときに、私は自由民主党の交通関係の国会議員と一緒に東京駅を朝六時に立って、もめているところだそうだが、大船の現場協議ですか、朝の作業をするのを見に行ったのです。組合員諸君は、だれが来たか、ビラを見れば、自由民主党のやつがスパイに来たなんということも書いてありましたから、知っておったでしょう。私は興味があって見ていました。  そうすると、これが現場協議というのか、いまから仕事をしに行く出陣式ですね。四十過ぎた、普通ならば管理者ですか、その人が中腰になって、そこにいる五、六人に、何々さん、あなたこれひとつ頼みますよ、何々さん、これ頼みますよ。片方の方はいすに腰かけてたばこ吹かしているんです。びっくりしました。そういうことが、いまから四、五カ月前まで行われていたんです。その後、横浜の駅も見ました。  そうしますと、その後私が大臣になってからですが、上野駅へ視察に参りましたら、関東地方の駅長の諸君皆集まって、私がそのとき行ったことに気がついたのでしょう、あのときの駅はいまや非常によくなりましたと、余り褒めるものだから、本当によくなったのですかねと、思わずこう言うたのです。とにかく朝、現場に働きに行くのに、何々さん、よろしく頼みます、片方はたばこを吹かしながら、何を偉そうに言っているんだと、こんな雰囲気では能率も上がりませんし、事故も起こらないとも限らない。私は、精神的な気持ちを持って、そういうところから直すようにしていかなければならぬのじゃないか、こう思っているのです。  これは、ごく最近、私と一緒に行った若手の川崎君もおりますし、ほかの若手の国会議員五、六人おります。頼まれもせんでそういうところを見て、そしてあなた方の職場をよくするのだ、ときにはベースアップの加勢もしてやる、こういうことまで言うてきたわけです。そういう意味では、ひとつみんな気のついたところで注意し合って、うまくやってみようじゃありませんか。
  140. 玉置一弥

    ○玉置委員 大臣は大分職場に理解があるようでございますから、減税の方もぜひ閣議の中でそういう理解のもとに応援を願いたいと思います。  職場の労使関係、同じ企業の中に働いて管理職になったから——そもそもいまの管理職は昔の管理職と違って、言葉にもありますように、まさに中間管理職なんですね。そういう意味では、同じ仲間だという感じをわれわれは持っているわけですけれども、その辺、これから再建の中で、より裸のつき合いで、ざっくばらんにいろいろな方とお会いいただいて、一日も早く労使関係の改善をされるようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、先ほどの永井先生質問と若干ダブるわけでございますけれども、ユーザー車検の中での車検場の受け入れの問題です。  いま各府県で、私も一昨年、京都の車検場の増設をお願いして、そのときに、いろいろな地域にまさに大変な、緊急を要する問題があるなというふうな感じを受けたわけでございますけれども、ユーザー車検がいま徐々にふえてきておりまして、その大部分が二回受けないと通らないような状況になっているというお話を聞いております。今度、車検教書みたいなものがつくられたそうでございますけれども、しかし、一般の方が車検場に車を持ち込んでこられて、果たしてスムーズにいくのか。いままで業者の方がやっておられてもあれだけの混雑をしたわけでございますから、一般の方がそこに入ってこられると、少なくとも三倍ぐらいの時間がかかるのではないかというような心配もするわけです。そういうことも考えて、これからの車検場の受け入れ体制、この辺をどのようにお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。
  141. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 ユーザー車検の問題でございますが、先ほどもこの問題に関しまして御答弁申し上げましたけれども、ユーザー車検というのは、私ども考えでは、自動車の使用者が日常の点検整備を的確に実施して、それで御自分で国の車検場に自動車の検査をしに持ってこられる、これが本当の意味の正しいユーザー車検だろうと思います。したがいまして、ただ国の車検場をパスすればいいと、こういうような考え方で車検場に車を持ってこられるということにつきましては、私どもとしては非常に残念な風潮だと思っておりますし、これからそういうようなことのないように、やはりユーザーの自覚と責任において車の保守管理がなされるという考え方、そういう考え方をユーザーの方々に徹底的にお持ちいただくという努力をしてまいりたいと思っております。  先ほども先生おっしゃいましたように、確かにユーザー車検の数は増加しておりまして、ことしの四月の実績、一カ月間でございますが、全国で二千百件でございます。しかし、それ以外の国の検査場の取扱件数は、月間で約七十万件でございますので、まだ月間約二千件というユーザー車検につきまして、特別の対応措置をとる必要があるというようなことではないのではないかというふうに考えております。しかし、そういう要員、体制の問題とは別に、ユーザーが車を車検場に持ってこられたときに、ちゃんと点検整備をやってこられて来ているのかどうか、もしやってこられなかったら、それをやってきた上で国の検査を受けていただきたいというような指導を、これはよく徹底してしなければいけないというふうに思っております。  いずれにいたしましても、いまのところ、まだ全国で月間約二千件というような状態でございます。これがどういうような数字で今後推移していくか、もう少しその辺の推移の状況を見守りながら、どういう体制をとっていくべきか、検討をしてまいりたいというふうに考えています。
  142. 玉置一弥

    ○玉置委員 まさに陸運事務所が相談所になりかねない感じもするわけです。車検整備は何もしないで、まず見てもらってアウトになったところだけ手直しをするという可能性、われわれだって自分がやるならそういうふうに考えますけれども、そういう方がやはり出てくるのではないかというような心配もするわけでございまして、そういう面から、一つは、検査場の障害にならないように簡単な相談所をつくるとか、そういう対応もお願いしたいと思います。  あとダブりますので、省略いたしますけれども、先ほども話がありましたが、いま三十三万人おられます整備事業従事者、そういう方々が特に整備事業者の資質向上ということでいろいろなことをやっておられまして、それぞれの事業協同組合とかあるいは協業化、近代化というようないろいろなシステムをやっています。最近の車検費用、この辺も競争でちょっとダンピングみたいなこともありますし、仕事量そのものがかなり低下をしている。先ほどの七月一日からというお話もありますけれども、それを除いて考えても、これから先行きにかなり不安があるように思います。私から見れば、業者の数がのれん分け、のれん分けでふえてきまして、多過ぎるのじゃないかということもあります。こういうことを言うと、選挙に差し支えますので、余り言いませんけれども、しかし、何か手を打たないと、単に融資をするとかいうことだけでは非常にむずかしいような気がするわけです。  その辺で、きょうは時間もありませんので、お聞きはしませんけれども、やはりもっと深く突っ込んだ業界対策考えていただかないと、その三十三万人の方が、全体が大変苦しくなるわけでございまして、その辺をぜひ運輸省としての取り組みの中で大きな柱に加えていただきたい、かように思います。  それから、時間があと二分しかございませんので、簡単にお聞きをしますけれども、ことしは、昨年、一昨年と五十四年からずっと事故がふえてきております。ふえてきている、ふえてきていると言いながら、またふえてしまっているという年なんですね。何かことし前半の事故状況は、対前年度六%ぐらいふえてしまっている。対前年度、五十七年は大変ふえてしまって、逆に自賠責の収支が単年度で見ると大変苦しくなっているというような状況になっております。こういう状況で、これは交通安全対策そのものがいままでどおりのことだけで本当にいいのかどうかというような心配もあります。  そういう心配をしている中で、運輸大臣と大蔵大臣がお話をされて、自賠責の運用益を一般会計に回すという、こんな苦しいときに、また事故がふえてきているときに。一般会計に回しても、一般会計から逆に交通対策費をふやしているかどうかということから見ていきますと、そうでもない。それからいきますと、運用益の活用ももっと考えていかなければいけないのじゃないかというように思います。  時間がありませんので、一応一方的にお話だけ申し上げまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  143. 北側義一

    北側委員長 辻第一君。
  144. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、まず最初に、昨年二月の日航機の羽田沖の墜落事故に関して質問をいたします。  この事故で露呈されたあるいは投げかけられた問題、あるいは遺族や被災者の補償の問題など、未解決の問題がまだ非常に多いというふうに考えるわけでありますが、この間、事故の再発防止など運輸省がとられた措置についてお尋ねをいたします。
  145. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 お答え申し上げます。  昨年の事故後、すでに当委員会でも御報告を申し上げましたとおり、私ども、日本航空に対しまして立入検査を行い、所要の勧告を行ったわけでございますが、その勧告をいわば出しっ放しにしないということも実はそのときお約束を申し上げたわけでございます。  私ども、勧告をいたしましたのが昨年の三月でございますが、その後、約半年たちました九月に再度日本航空にその後の実施状況というものを確認に参りました。その結果、報告に盛られました改善策は一応すべて実施に移されているということは確認が得られたわけでございますが、なお制度その他は、制度ができたからといってそれで十分だということではございませんので、その制度がいかにうまく運用されているかというような点についても、私ども確認、指導を行ったわけでございますが、なお若干の不十分な点が認められましたので、直ちに日本航空に対してその旨を指導いたしました。     〔委員長退席、阿部(文)委員長代理着席〕  今後は、日本航空に対しましては毎年定期的に安全性確認検査というものをいたしますので、その機会をとらえまして、この昨年二月の大事故後の改善策がいかにうまく機能しているかということについて引き続き監視し、指導してまいりたいというふうに考えております。
  146. 辻第一

    ○辻(第)委員 これまでの日航に対する勧告だとか指導だとかあるいはその確認、そういうことをされてきたわけてありますが、それでは現在の時点で、日航がとってきた措置で大体運輸省の指導、勧告、こういうものがクリアされているというふうに考えておられるのでしょうか。もう一度お尋ねをいたします。
  147. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 昨年の三月時点におきます勧告は七項目にわたっておりまして、その中には、乗員の健康管理をつかさどる医師の増員、あるいはパイロットの乗務からおろすあるいはさらに病気が治って乗務に復帰させるときの判定する組織の問題、あるいはパイロットの集団、グループが余りに大きくなり過ぎておってなかなかリーダーの目が届かないという点について、グループをある程度細分化して、リーダーの目が届くようにする等々、大きくしぼりまして七項目の勧告をいたしました。その後の、先ほど申しました六カ月後の再検査におきまして、その項目は一応すべて改善がなされているというふうに認められたわけてございます。  ただ、先ほども御答弁申し上げましたとおり、制度ができたからといって、その制度がどのように運用されるかということの方がむしろ問題だと思います。私ども、九月の時点で改めてチェックをさせていただきましたところ、たとえば、医師に対する教育と申しますか、そういう点でも、先ほど申しました医師を増員すべしという勧告に従って増員された医師に対しての教育が必ずしも十分ではなかったというような点が認められるとか、あるいは先ほど申しました、運航乗務員を監督いたします部長等がパイロットの監督をするために地上勤務の日数をふやしなさいということも勧告をいたしたわけでございますが、確かに従前に比べますと改善は図られているものの、なお必ずしも十分とは言えないという点もございましたので、その点についても是正を図るようにということで指導いたしました。その後、先ほど申しましたように、おおむね年一回は必ず安全性確認検査をいたします。その際にさらに改めてチェックを続けていきたいというふうに考えております。
  148. 辻第一

    ○辻(第)委員 昨年のあの事故では、乗員の健康管理ということが非常に重要な問題であったわけですね。その乗員の健康管理に関して身体検査証明制度、これの運用、そして日常の健康管理の問題、この問題について、私は昨年二月の本委員会質問をいたしました。  松井局長が御答弁いただいたわけでございますが、その中には「日常継続的に行っている健康管理の実態が六カ月ごとの証明制度に反映されなかったという点について、私どもも深刻な受けとめ方をしておるわけでございまして、今後この常時観察する健康管理の制度と六カ月ごとの証明制度の結びつきというようなものについて、なおこの問題については医師の判断という問題が入りますので、素人だけで何か制度を変えるというのはすこぶる危険だと思いますので、専門家の意見も十分聞いた上で、その辺の制度の改善について検討をしてまいりたいと考えております。」このように御答弁がありました。  続いて、五月の本委員会で再度私はお尋ねをいたしまして、松井局長が「先般の委員会で健康管理体制と申しますか身体検査体制と申しますか、乗員のそのような健康管理に関する現行制度について問題がないかどうかの見直しをしたいということを御答弁申し上げました。私ども、その後、航空医学の専門家の集まりでございます航空身体検査証明審査会の先生方にお集まりいただきまして、私どもとして素人なりに考えられる問題点をたくさん列挙いたしまして、先生方にまずその検討すべき問題の整理をしていただいております。」このような御答弁がありまして、さらに「この制度をつくりました際に欧米各国の制度等も参照いたしたわけでございますが、その後十年間の各国の制度の変遷等も調べる必要があるのではないかというような御意見もございまして、私どもの検討と並行いたしまして、医学の専門家の方に欧米諸国を歴訪していただきまして、現行の欧米各国の身体検査の制度あるいは航空会社の健康管理の制度等についても調査をしてきていただくという予定を立てておる次第でございます。」こういうような御答弁があったわけてあります。  そしてその後、昨年の九月十日付の日経に見直し作業を急ぐ、近く結論を出す、このように報道されているわけであります。この身体検査証明制度という問題、またそれと日常の健康管理との結びつき、こういうことについてどのような検討をされ、到達点はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
  149. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ただいま先生が引用されました私の答弁でございますが、その後、先生方の御意見に基づきまして欧米諸外国の調査を行いました。アメリカ班と欧州班に分けまして、アメリカ班はアメリカ並びにカナダ、欧州班はイギリス、フランス、オランダ、ドイツという合計六カ国につきまして、それぞれの身体検査証明制度あるいは主要な航空会社の行っておる日常の健康管理といったようなものについての調査を行いました。また、審査会の諸先生方にいろいろ御意見を伺いまして、現行制度問題点がかなりはっきりいたしてまいりましたので、私どもといたしましては、現行制度のもとになりました昭和四十四年の航空審議会の答申について改めて見直しを行うことが適切だという判断をいたしまして、昨年十一月に、航空審議会に乗員の健康管理制度並びに航空会社の行う日常の健康管理のあり方につきまして諮問を申し上げた次第でございます。  その後、航空審議会で、これは御承知のようにかなり医学の領域に属する問題が中心でございますので、部会を設置いたしまして、そこに医師の方を特別に委員として参加をしていただきまして、その部会が現在まで六回開かれております。この六回の会合でかなり問題点を煮詰めてまいりまして、あと何回かかるかということにつきましてはまだはっきりはいたしておりませんが、先生方もてきるだけ早く結論を出そうではないかということで審議を促進していただいておりますので、そう遠くない期間に審議を終了し、御答申がいただけるものと期待をいたしておる次第でございます。
  150. 辻第一

    ○辻(第)委員 そうすると、結局、去年の十一月に諮問に付された航空審議会の答申待ちというところが主要なところですか。いかがですか。
  151. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたが、これは大変専門的な医学の領域に属する事項が大部分でございますので、当然のことながら医学の権威の方々の御結論を待って、その結論に沿った措置をいたしたいというふうに考えております。
  152. 辻第一

    ○辻(第)委員 それまでは運輸省のいろいろなところでの検討というのは航空審議会へは反映しない、別に航空審議会へ独自に諮問をされ、そこの結論待ちということなんでしょうか。その関係はどうなんでしょうか。
  153. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 事故後の日本航空に対する立入検査の結果、私どもなりに現行制度あるいはその運用について——現行制度と申しますのは身体検査証明制度ではございませんが、日本航空の会社のもろもろの制度等の欠陥についてはすでに指摘をし、是正を図ってもらっておるということは先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。問題は、身体検査証明制度の見直しについてということで現在航空審議会にお諮りしておるわけでございます。身体検査証明制度そのものは諸外国の制度とほとんど変わりのない制度でございまして、それはそれなりに機能しておるわけでございますけれども、なお詳細にわたり見直しを行い、たとえば申請書の様式の一つ一つに至るまで検討をしていただいておるわけでございまして、そういう点につきましては審議会の答申を待って措置する。  しかし、その間制度がなくなっておるというようなことではもちろんございませんで、従前どおりの制度で身体検査証明はもちろん続けておりますし、異議のある方に対しては、先ほど話の出ました審査会にかけて、審査会の先生方の御判断をいただくというやり方で現在進めておるところでございます。
  154. 辻第一

    ○辻(第)委員 しかし、やはり国のとるべき対応については時間がかかり過ぎているのではないかというふうに私は考えるわけであります。今後とも、このような問題についてはもう少してきぱきとした対応をされるべきではないか、このように思うわけでございます。そのことを指摘をして、次の問題に移りたいと思います。  日航の安全対策については、繰り返し勧告に対する実施状況なんかを見てこられたわけてありますが、先ほど、制度は変えたけれども運用にはまだいろいろ問題があるというふうに言われたのですが、私どもから見ておりますと問題点がたくさんあるというふうに思うわけであります。  乗員の方は、現在とっておる日航の安全対策効果は非常に疑問視をして、問題も多いと一般紙にも報道されているわけであります。たとえば、医師の勤務体制は単位がふえましたですね、二十七単位というのが五十二単位になりました。それから、精神神経科医の勤務をふやし、専門医が毎日勤務ができるようになった、こういうことでありますけれども、中には、これは新聞に書いてあるのですが、精神的な悩みや相談を健康管理部の医者にする気はない、あの事故以来ちょっとしたことを医者に言って乗務からおろされた仲間がいるからだ。あるいは別の人は、もし本当に困ったら自分のかかりつけの町の医者のところへ行く、こういうようなことも言っておられるということがあります。  それから、乗員から苦情が相次いでいるのはグループミーティングで、問題が出ているようですね。ことに出欠の問題。これまでは自由参加だったのが、事故以来欠席したら欠勤扱いになる。そしてグループミーティングに行きますと、本当にその中身が充実しておればいいのですが、こういうこともあるそうですね。燃料節約に協力するように、こういう話だけで済んでしまったり、あるいはきょうは社長が出席するからよけいなことは発言しない方がいいというようなことも言われた、そういうようなこともこれに書いてあるのですね。打ち解けて話し合いができるような状況ではない、こういう考え方もあるわけですね。それから、ベテランの元パイロットによるカウンセリング、これも若い乗員なんかは面識のない先輩のカウンセラーとは話をする気がしない、話にいったという話をほとんど聞かない、こういうことも聞くわけであります。  このように見てまいりますと、制度そのものは確かにつくられて一応対応されたと見えるのですが、その内容ですね。そこのところには信頼関係が非常に重要だと思うのですが、そういう点がまだまだ大変な事態ではないか、こういうふうに思うわけであります。  こうなりますと、形式はできた、組織的なものはできた、しかし、内容がそれに伴っていない。しかし、形式というものができますと、それを追うことになりますね。そうすると、内容が伴わなくてもそこへ何人か参加をしたというようなこと、数字の上ではそういうことが追われるわけですね。ますます矛盾が拡大をしていくというのが現実ではないか、こういうふうに思うのですね。ですから、組織的には改善をされたけれども、先ほどその内容についてはまだ、こういうふうにおっしゃっていましたけれども、内容の問題について言えば、本当に大変な状況だ、私どもはいまこういうふうに考えております。  運輸省としては、日航がいまとっておられる安全対策についてこうした側面があるということについて、先ほどのお話ではまだまだ不十分な認識ではないかというふうに思うのです。私どもは、もっともっと十分な認識の上に十分な対応をされるべきであると考えるわけでありますが、運輸省の所見を聞きたいと思います。
  155. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ただいま御指摘いただきましたように、確かに、信頼関係というのは私もまことに重要な問題だと思います。信頼関係のないところで制度だけつくってみても、これは魂が入らないという御指摘だろうと思います。まことにそのとおりだと思います。  私ども、先ほど来申し上げておりますように、日本航空に対しましては、制度だけつくったということで事足れりというのはだめですよということで、制度の運用というものを、その制度が効率的にと申しますか、本当に有効に働くようにしなければだめですよということを常々申しておりますが、何分、私どもも、常時日本航空の制度の運用をつぶさに見るというわけにもまいりませんので、その制度の運用の全貌を承知しておるというところまではなかなかいかないわけでございます。ただいまの御指摘もございますので、さらに日本航空の今後の安全対策の真の意味の充実に向けまして、私どもも引き続き会社を指導してまいりたいというふうに考えております。     〔阿部(文)委員長代理退席、委員長着席〕
  156. 辻第一

    ○辻(第)委員 ちょっと私言い漏らしたのですが、逆戻りをするようですが、健康管理の講習会ですね。たとえばこんなのがあるのですね。健康講演会というのが開かれたようですが、それの文書化されたものが出されたようです。「運航乗務員の健康管理の基礎」という健康講演会ですね。その中の一部ですが、制服着用での飲酒及び制服着用での酒場の立ち入りはいけない、こういう項目がある。こういう項目については、要するにお忍びでやりなさいということだと思います。こういうふうに書いてあるのですね。私はこんなのはとんでもないことだと思うのですけれども、こういうことが書かれるということになりますと、ますます信頼関係がなくなりますし、そういうことも含めて十分な対応をとっていただきたい。  また、このグループミーティング、これまでそれが出欠の対象にならなかったのに、これに出ないとそれが欠席になる、会社の仕事を休んだということになるのですか、そういうことで、いま非常に問題になっているようでありますが、このような点についても十分な対応がされるべきである、こういうことをつけ加えて次の問題に移ります。  次に、私は都市交通機関の乗り継ぎ運賃制度の問題でお尋ねをいたします。  都市交通機関の乗り継ぎ運賃制度を導入している例、これは時間がありませんのでこちらから申し上げますと、大きく分けますと大体四カ所ぐらい。国鉄対営団。それは三鷹から高円寺と落合—高田馬場、それから津田沼—船橋間。それから国鉄対福岡市、営団対都営、それから名古屋市対名鉄、こういうところにあるようであります。  多数の交通機関の集中した大都市においては、異なった企業体間の乗り継ぎにより、特に初乗り運賃の関係で割り高になる例は少なくないわけであります。あるいは同じ経営体間でも、バスと地下鉄の乗り継ぎのために割り高になる。こうした実情を解決するためには、一部地域、区間で乗り継ぎ運賃制度を導入することによって都市交通機関を利用しやすくする、また、ひいては公共交通機関の復権、道路の混雑を少しでも解消することにつながる、こういうことで、運輸省も検討に入っているやに聞いておるわけでありますが、いかがでしょうか。
  157. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 ただいまお話がありました乗り継ぎ運賃制度につきましては、さきの五十六年の運輸政策審議会の答申で提言がございまして、その後、私どもも関係の学者あるいは事業者等と一緒にこの問題を積極的に検討しております。それで、いまお話しのように、乗り継ぎ運賃制度を導入しますと、乗り継ぎによる場合の割り高感というのが解消される、それによって都市の大量交通機関の利用が促進されるという点で、私どもも今後の都市交通政策の非常に重要な柱だと考えているわけでございます。  そういうことでいま研究をしておりますが、ただ、実施上の問題点といたしますと、一方では非常に利用者の利便が向上するために需要がふえる、事業者にとってもその点は有利でございます。利用者にとっては、もちろんそういう意味で利便が向上するわけで、特に大きなネットワークのあるところ、大都市では非常に便利になるということがあるのですが、他方では、実際には精算事務の問題があるとかそういうことで、いろいろなコストアップの問題がございます。それから乗り継ぎをしない人にとっては、結局は負担増になるということで、乗り継ぎをする人としない人との間の公平の問題があるというような問題点があります。そういうことでは、コストアップが非常に大きくなりますと、かえって全体としてはマイナスになる問題もあるので、そこら辺のバランスをとってやっていくということでございます。  実際に、先般、名古屋市と名鉄がこれをやったわけですが、この場合も、まだ現在ともかく研究のさなかでございますし、いろいろな意味で問題点も多いので、まずとりあえずやりやすいところからやるということで、当面は、お互いに乗り入れをやっているところ同士からまず始めていこう、そしてまた、改札口は設けていないような連絡運輸をしているところ、そういうところに順次広げていくというようなことを考えておりますが、自動券売機をつくらなければいけないとか、あるいはこれは実際に運賃表を掲出するとなると非常に膨大な運賃表になるとか、あるいは乗り継ぎ運賃制度実施しない区間のお客さんから文句が出るだろうとか、実際に業務増に伴いまして組合等ともよく話をしなければいかぬとか、そういうようないろいろな問題点がございますので、これからそういう問題を十分研究し、できるだけ事業者も利益、利用者も利益という形のもので大いに推進していきたいというふうに考えております。
  158. 辻第一

    ○辻(第)委員 全面的に導入ということは非常にむずかしいことだろうと思いますが、できるところから積極的に導入をしていただきますように重ねて要望して、質問を終わります。
  159. 北側義一

    北側委員長 次に、伊藤公介君。
  160. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 少し長い審議で大臣もお疲れのようでございますが、基本的なことで大臣にお伺いをして、あと非常に具体的な問題についてはそれぞれの担当のところから伺えばいいと思っておりますので、冒頭に大臣にお伺いをして、大臣への質問が終わったらどうぞお引き取りをいただきたい、本業に専念していただきたいと思います。  各委員から御指摘があったと思いますけれども、このところ事故死が大変ふえている。いろいろなデータが示されているわけであります。実は私も東京でときどき自分で車を運転している一人でありますけれども、きょうも委員の御質問もあったようでありますが、道路とか交通全体について、少し町づくり全体の中でルールを考えていかなければいけないんじゃないかと常々思っているわけです。  町を歩いていると制限速度三十キロとか四十キロとか、都内は四十キロ、五十キロですね。私が運転をして、四十キロのところを五十キロとか六十キロぐらい出してメーターが上がってくると、子供が隣に乗っていまして、まだ小学校の低学年ですから、パパ違反だよと言うわけです。子供にもちょっと言いわけできないものですから、ああそうだなと言ってそのときは四十キロに落としていく。そうすると、後ろの方から早く行けとクラクションを鳴らされる。そういう経験をしたり、今度は逆に、ちょっと急ぎのときがあって行くと四十キロのところを文字どおり四十キロでずっと走っている。見ると女性のドライバーなんですね。立場があるものですからちゃんとその後についているわけですけれども、後ろを見るとずっと並んでしまっているわけですね。  皆さんがつくっていただいたルールで、四十キロとか三十キロとかきちっとそれを守っていたら、恐らく東京は大変な麻痺で、車は動かないという状況になると思うのです。しかし、小さな子供の気持ちからすれば、ルールだからパパにはちゃんとルールを守ってもらいたい、こういうことなんです。これをどういうふうに考えたらいいのか。全員がきちっとルールを守って一番いい方法考えなければいけない、そういう時期に来ているのじゃないかと思うのです。  そういうことが一つと、もう一つは、最近私どもの東京の中で道路がカラー舗装になってきたわけです。これは電電公社とか東京電力とか、地域の商店街の御協力で自分たちでやる。公共や国がもう少し力をかしてくれたら、カラー舗装にして、町の化粧直しみたいなもので雰囲気ががらっと変わるわけですね。ドライバーのすさんだ気持ちや通行人の気持ちも非常に温かみのあるものにしていく。そういう意味で、高い次元で温かみのある町づくりをしていかなければいけない、また、そういう中で実情に合ったルールというものも考えなければいけない、実は私もドライバーの一人としてそんなことを感じているわけですけれども、大臣として、おれはこういう行政をやるんだ、私の在任中にこういうことをやるんだ、こういう大臣の率直な気持ちを伺いたいと思うのです。
  161. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 私は伊藤先生のように運転ができませんから、ただ乗せてもらう方です。しかし、日本は車が四千万台も走っている。恐らくこれはここ十年間のことでしょう。いわんや百キロ以上のスピードが出る車がこんなに生まれたということ。私は、日本という国はそういう意味では車社会から見ると田舎者だと思うのです。長い間の経験をまだ積んでいませんから、規制はしておっても自然のルールが生まれていない。  一番あれなのは、最近多少よくなりましたけれども、ドライバーのモラルの問題でしょう。若い諸君ほど車の窓から吸い殻をぽんぽん捨てていく。中にはコカコーラの瓶まで捨てる。こんなことはよその国だったら一発で処罰です。だから、乗っている車は六百万、七百万の車を若い諸君がおやじをだまくらかしてはでに使っているけれども、やっていることは野蛮人のやっていることで、それこそ車社会の中で鍛練された近代人からすると、本当に危ない凶器が走っているという感じじゃないでしょうか。  ここ一、二週間前の新聞にことしの死亡者数が出ました。もう昨年度のやつを超えるというのでしょう。私が一番心配しますのは、いまの時代に命を捨てて、むだ死にでみんなを泣かせるのは交通事故死だと思うのです。だれも喜ぶ者はございません。だれも褒める者もございません。そしてこれが去年だったか九千、ことしは九千をオーバーするというのでしょう。いまから四、五年前は一万七千ありました。サッチャーさんが首相になって日本に来たとき、対談したら、彼女は、日本の二重、三重になっている高速道路をじゃんじゃん車が飛んでいる姿を見て軽わざ師じゃないか、それでどれだけ事故があるかというから、私は、イギリスの事故の半分ぐらいだという話をしたほどです。  いずれにしても、そういうことからすると、本当にいまから先、みんな車を使うわけですから、何か自然にならしていくような方法考えないと、凶器が走っていることによってお互い全部に影響してくるわけでしょう。こんなことをやれと皆さんからいい知恵をつけていただくならば一生懸命やりますが、いまのところ、警察もおったり運輸省もおったり、いろいろなものがありますけれども、なかなかいい知恵が出ないところで、国民運動としてこの線だといって私も飛び出すわけにいかぬ。皆さんと同様に本当に嘆かわしいことだと思っております。
  162. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 たしか僕らが学生時代だったと思うのですが、シンガポールの当時の首相が日本に来たときに、皇居とかきれいなところを見て帰ったんだと思いますけれども、東京は非常にきれいだ、私も国へ帰って国づくりをやらなければというインタビュー、私も非常に印象に残っているわけです。いまは逆でして、シンガポールの方が非常にきれいになってしまった。いま大臣言われるように、どこでも車から何でも投げ捨てていく。  私はこの間西武球場へ行ったのですけれども子供たちと野球を見ていると、西武球場というのは非常に近代的な球場ですが、物を食べると捨てるところがない。みんなあっちこっち置いてくるわけでしょう。あれだけの新しい近代的な施設でもそういうものを備えてない。子供たちに、おまえ、汚してはだめだよと言っても、捨てるところがないのですね。だから、そういうことを考えると、どうも公共的なあれが欠けている。法律とか何かで罰するということは必ずしもいいことじゃないけれども、一遍かわいらしいアイデアでそういうものをちょっと規制するということを役所で考えたらいいじゃないですか。ひとつ大臣、とうとい命がそういう形で失われないように、関係各省庁しっかりひとつ心を締めて、交通事故のないそうした行政ができますように御努力をいただきたいと思います。  交通の具体的な問題で二、三点伺いたいと思います。  公共輸送機関の中にいろいろあるわけでありますが、以前にも私実は当委員会で取り上げさしていただいたことがございますが、タクシーの利用というのは非常に重要な意味を持つ。バスも電車もいずれもみんな重要なんですけれども、自分の少ない経験からいたしますと、外国のお客さんが日本に来て、成田や羽田で車を拾うのはまずタクシーですね。都内で一流のホテルに泊まってどこか出かけるのにもタクシー。そうすると、タクシーの運転手さんの国際的に果たしていただいている役割りというのは意外と大きいわけですね。タクシーの運転手さんがちょっと温かい対応をしてくれると非常にいい印象を残してくれるし、タクシーの運転手さんの対応が悪いと、この国民性はなどと言われる。あるいはわれわれ選挙をやる人間からすると、黙って乗って運転手さんに状況を聞くなんということもあるわけでして、タクシー運転手さんとかタクシーそのものが果たしていただく役割りというのは非常に大きいわけであります。  実は東京は、皆さんの御努力によって、五十五年に公示をされて五十六年に認可になったのですかね、個人タクシーが多摩地区でも認可をされた。免許が出たわけですね。しかし、どうも実情に合わない制度になっている。具体的に言えば、個人タクシーの免許を受けるときに駐車場を確保しなけりゃいけない。その駐車場は、都内ですと二キロですね。多摩地区ですと一キロ、川崎なんかでは二キロなわけですね。川崎と多摩ニュータウンのあの高層の住宅・都市整備公団のつくっていただいているああいう地域とで、むしろ多摩地区の方が一キロというのは非常に厳しい状況なんですね。  優良な運転手さんが、この制限で試験を受ける資格がなくなっちゃうということで、皆さんのそういう声が私のところに非常に届いているわけですけれども、国がつくっていただいている公団の中に住んでいたり、あるいは都営や市営に住んでいて、そして個タクをやろう、そういう方たちが非常に多い状況の中で、実際、一キロだと、この車庫の問題で資格すら得られないという人たちが非常に多いわけです。これは早急に手直しをしてもらいたい。川崎や横浜、都内と同様に、実情に合った制度に改革をしてもらいたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  163. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 ただいま先生お話しのように、個人タクシーの南多摩地区の免許は、五十五年の八月の東京陸運局の公示によりまして、現在まで個人タクシー四十四名が免許を持っている、こういう状況でございます。お話にございました個人タクシーの免許基準一つとして住居とそれから車庫との距離の問題、これは確かに東京都の二十三区では二キロメートル、それからいまお話のございましたような川崎では二キロメートルであるのに、南多摩地区では一キロメートルという規制をかけております。これはどうしてこうなってきたかということは、もう先生御案内だと思いますが、要するに車庫を確保できる用地の取得の難易度、そういうものを勘案いたしまして、従前ですと南多摩地区は一キロメートル程度の規制で十分用地が確保でき車庫が建設できるだろう、こういうことでそういう規制をかけていたわけでございますが、最近の状況を見ますと、もう川崎なりあるいは二十三区とそう変わらないような状況になってきております。  したがいまして、御指摘のように、私どもも、いまの規制というものが果たして実情に合っているのかどうか、その辺十分調査をいたしまして、これは前向きに検討するよう陸運局に指導したいというふうに考えております。
  164. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 大変積極的なお話を伺って、ぜひそうした方向で検討していただきたいと思います。  あわせて年齢の問題なんですね。これはちょっとむずかしいというかいろんな問題を含んでいるわけですけれども、都内が三十五歳、南多摩地区は四十歳。全体の個タクの数を制限していこうというそういう趣旨も恐らくおありだろうと思うのですね。しかし、七十を超えても、七十四だか五だかの方でも個人タクシーの運転をやっているわけでしょう。われわれ乗っかってから、これは大丈夫かなとこう思うわけで、済みませんけれどもちょっとおりますよというわけにはいかない。さりとて、七十歳だからだめだとも私どもの立場でも言えないわけです。レーガン大統領は七十二歳ですから、七十歳でそれは無理だ、こういうわけにはなかなか役所の立場でもむずかしいと思いますが、取得ができる年齢の問題と、それから一体幾つまでできるのか、九十歳でも健康ならできるということなのか、個人の健康度によっていろいろ違いますからむずかしさもあろうと思いますけれども、どんなふうにお考えになっているのか。また、都下、それから二十三区、大体同じような年齢でやってくださるようなことにてきるのか、伺いたいと思います。
  165. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 年齢の問題でございますが、これは確かに先生お話しのように、二十三区の年齢は個人タクシー三十五歳以上となっています。南多摩地区は四十歳以上という制限がかかっているわけでございます。これは、二十三区におきましても従来は四十歳以上という規制でやっておったわけでございますが、昭和四十五年当時、非常にタクシーが不足いたしまして、それでお客に対するサービスが非常に悪くなったということで、タクシーの供給力をふやさなければいかない、その一環といたしまして個人タクシーを大幅にふやす必要が出てまいったわけでございまして、そのときに二十三区内について三十五歳以上というように引き下げた経緯がございます。  そういうようなことでございますが、年齢というのは、今後の個人タクシーの全般のあり方とも非常に関連する問題でございます。いま先生がおっしゃいましたように、幾つまでできるのかという問題も、これは個人タクシーの問題にとって一つ基本的な大きな問題でございますので、その辺の年齢の制限の問題については、これから個人タクシーのあり方全般の中でいろいろ慎重に検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
  166. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 いずれにしても、免許基準について、実情に合った免許基準にできるだけ早く手直しをして、そしてまじめな方たちが公平な形で免許取得できるような方向、道を開いていただきたいと思います。  それから、国鉄の方においでいただいていると思うので、ちょっと伺いたいと思うのです。中央線を見ますと、どうもお話を聞きますと全国的のようでありますが、すでにそういう要請を長くやってきたけれども、国鉄の構内で営業のできないタクシー会社がある。あるいはいまお話をした個人タクシーにいたしましても、ちょうど南多摩は今度認可をされた、免許はされたけれども、国鉄の構内には入れないわけですね。東京の二十三区なら確かに流しをしていて営業できる。恐らく流しだけだって十分やれる。ところが、ローカルになればなるほど、国鉄の駅に入って駅から人を拾えなかったら、これは営業するのに非常に大きなハンディになるのですね。きのう会社をつくってきょう入れてくれというわけではなくて、明治以来何十年間もきちっと営業をやっているところが、ぜひ国鉄の構内でもいままでの会社と同じようにやらせてもらいたいということを皆さんが話をしてきたけれども、遅々としてその道が開かれない。  実は私もここで一度取り上げたことがあるのですけれども、そのときに御答弁をいただいたのは、大森とか立川とか八王子とか、いま駅ビルをどんどんつくっているので、そうした駅ビルを新しくつくったそういう中で逐次考えていきたいんだというお話でありましたが、立川、八王子等を見ますと、どうもそのこともむずかしそうな感じもいたしました。ぜひ公平なルールで、少なくともすぐ全社入れる——たとえば、八王子の例で言えば、いま七社入っているわけですね、すでに明治から会社を興してやっている人たちが、五社が何とか入れてほしいと言ってきているわけですけれども、道が開かれない。私ども駅をよく見ていますと、全部が入れるかどうかわかりませんけれども、われわれ素人が見た範囲内では、なお新しい会社が入ってもそういうスペースがありそうだ。ぜひ国鉄の構内でそうした人たちが営業できる道を開いていただきたい。  また、いまの駅ビルだけでなしに、全国的に国鉄はこれから駅の空間を使った、国鉄の赤字解消のためにもそうした方向が非常に急速に進むと思いますが、駅構内にそうした新しい駅ビルをつくるようなときには、そうしたことを考え合わせた駅ビル計画をしてもらいたいと思うのですけれども、実情はどうなのか。
  167. 猪俣為久

    ○猪俣説明員 お答えいたします。  構内タクシーの承認の件でございますけれども、駅の構内から発着いたします場合、当然駅前広場を使うわけでございます。駅前広場はやはり鉄道と市街交通の結節点ということでございまして、バスの乗り入れもございますし、あるいは自家用車の乗り入れ等、いろいろな使われ方がしておるわけでございます。そういう状況の中で、一番お客様のニーズにマッチした、需要にこたえる形で、なるべくたくさんのタクシーを乗り入れ承認をしていくという基本的な方針でやってまいっておるわけでございます。  具体的には、たとえば人口急増いたしております中央線沿線のようなところで、かつ従来からの駅前広場というものが非常に狭隘である、したがって、たくさんの車を承認いたしましても駐車できない、あるいは駐車スペースが要らないというふうな場合でも、車がずっと列をつくりまして、駅前広場の前面道路交通の支障の問題も出てくるという問題のあるところもございまして、駅前広場の問題でございますと、やはり抜本的な拡張という点につきましては都市計画との関連もございますので、国鉄だけでの対応というにはむずかしい面もございますし、あるいは時期的にもすぐできるというものでもない事柄でございます。  したがいまして、いろいろな状況を踏まえまして、国鉄の立場というものをいろいろな関係機関に要請しながら、かつ現実的にその辺の具体的なサービス改善がどの程度できるのかということについて、個々に検討してまいっておるような状況でございます。
  168. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 時間が参りましたので質問を終わりますけれども、ひとつ現地の実情に合った道を——もう明治から同じ状況が続いているのに、実情を見ながらなんということをいつまでも言っていないで、具体的に、少なくとも風穴をあけてもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。どうもありがとうございました。
  169. 北側義一

    北側委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十七分散会