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1983-04-13 第98回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月十三日(水曜日)     午後一時二分開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 阿部 文男君 理事 浜野  剛君    理事 水平 豊彦君 理事 竹内  猛君    理事 永井 孝信君 理事 草野  威君    理事 玉置 一弥君       浦野 烋興君    北川 石松君       三枝 三郎君    中西 啓介君       新盛 辰雄君    草川 昭三君       三浦  隆君    辻  第一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 内海 英男君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      丹羽 兵助君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   山本 幸雄君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      滝田 一成君         警察庁交通局長 久本 禮一君         運輸省自動車局         長       角田 達郎君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省道路局長 沓掛 哲男君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      藤井  威君         大蔵省主税局税         制第二課長   伊藤 博行君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       田中  寿君         厚生省社会局生         活課長     浅野 楢悦君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部監         理課長     水田 嘉憲君         気象庁観測部管         理課長     山崎 道夫君         日本国有鉄道旅         客局総務課長  小澤 敬三君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  白川 俊一君         日本国有鉄道施         設局踏切課長  斎田  登君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ───────────── 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   草野  威君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   草川 昭三君     草野  威君 同日  理事草野威君同日委員辞任につき、その補欠と  して草野威君が理事に当選した。     ───────────── 三月二十九日  交通事故防止対策被害者救済措置に関する請願左藤恵紹介)(第一九七八号)  交通事故防止安全施設整備の促進及び身体障害者等安全輸送に関する請願左藤恵紹介)(第一九七九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 三月三十日  シートベルト着用運動推進に関する陳情書(第一四七号)  交通事故防止対策強化に関する陳情書(第一七七号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  交通安全対策に関する件      ────◇─────
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
  3. 永井孝信

    永井委員 前の委員会で、それぞれ関係大臣から交通安全施策に対する所信表明がなされましたので、その関係について冒頭にお伺いをしておきたいと思うのであります。  総務長官所信表明の中で、事故防止の万全を期すること、そして被害者救済には全力を挙げて努めたい、こういうふうに述べていらっしゃるわけですね。しかしながら、実態はなかなかうまく事が運んでいきませんで、ことしの四月十日現在では、すでに御案内のように交通事故死亡者数は二千三百六十六人にもなっている。前の年と比べますと百五十九人ふえているわけですね。率にして七・二%増。この状況から判断いたしますと、五十八年末には、昨年を大きく上回って恐らく一万人の大台を超えてしまうのではないか、こういうふうに心配をするわけでありますが、この実態総理府総務長官あるいは公安委員長としてどう判断されているか、冒頭にお伺いしておきたいと思います。
  4. 山本幸雄

    山本国務大臣 交通事故、特に死者につきましては、各方面の努力によりまして逐次減少の傾向にあったと思いますが、最近における情勢はまたもや増加傾向に転じてきたようなことでございまして、この事態は重大に受けとめて、今後、これが対策努力をしなければならないことであろう、こう思っております。
  5. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 ただいま永井先生から御指摘のございましたように、近年の交通事故情勢はまことに厳しいものがありまして、昨年は、交通事故に関する当面の緊急対策推進等政府においては、必死という言葉が適切かどうか知りませんけれども、とにかく誠心誠意努力を傾けてまいったのでありますが、九千七十三人という大変遺憾な結果になっております。  この増加をしているものを見ますると、原動機付自転車を含む二輪車を主とし、次いで自動車歩行者となっております。これら事故実態に即し、まだまだこれから大いに勉強することもございましょうが、当面はヘルメットの着用の徹底を初めとして各般の施策を鋭意推進しておるところでありますが、二輪車を含めまして五千六百万台に上る自動車が走り、国民の二人に一人が免許を保有するという本格的な車社会に突入している今日、交通事故防止を期するためには、私ども努力をいたしますが、その努力と相まって国民一人一人の交通安全に関する心構えがきわめて重要であろうか、こう考えておるのであります。  こういう考えに立ちまして、今後とも国民皆様の御理解、御協力をいただきつつ、ただいま国家公安委員長の申されましたように、関係省庁が一丸となって第三次交通安全基本計画に定められておる交通施策を着実に推進して、交通事故が少しでも減るように努力してまいりたい、これが私の考えであり、先ほど先生から御指摘をいただきました、所信で述べた私の気持ちでございますから、あえて重ねて申し上げて、お答えにさせていただきます。
  6. 永井孝信

    永井委員 それでは建設大臣にお伺いいたしますけれども、第八次道路整備五カ年計画というのは昭和五十七年度で一応終わったわけですね。その進捗率は恐らく名目で一〇〇%いっていると思うのでありますけれども、物価の値上がりなどもありまして、内容的には必ずしも一〇〇%になっているとは私は思えないのです。そしていま総理府総務長官が言われましたように、自動車保有台数もずいぶんふえてきた、そういうことなどから、幹線道路混雑区間というものも従来よりもまた増加をしてきているわけです。そういう中で交通事故の件数が著しくふえてきた、あるいは負傷者もふえてきた、死者の中には歩行者自転車利用者も多い、こういう実情をしっかりと踏まえて、それぞれの関係省庁対策を立てていかなければいかぬと思うわけです。  大臣は、所信表明の中で「昭和五十八年度を初年度とする第九次道路整備五カ年計画を策定し、道路事業の積極的な推進を図る」さらには交通安全施設等整備拡充を図っていきたい、こう述べていらっしゃるわけです。  そこで、この五カ年計画交通安全対策事業進捗状況というものは実際どこまでいったのか、そして事故多発傾向との因果関係は、その面から見るとどう見られているのか、あるいはこれからの建設省としての交通安全対策に対する基本的な姿勢、これについて簡単に述べていただきたいと思います。
  7. 内海英男

    内海国務大臣 お答えいたします。  第八次道路整備五カ年計画におきましては、道路交通安全確保を図るために交通安全施設整備小規模バイパス建設踏切道改良、こういった各種交通安全対策を積極的に推進してきたところでございます。  このうち、歩道等整備につきましては、その中でも最重点事業といたしまして実施してまいっております。昭和五十七年度末の歩道等整備済み道路延長は、昭和五十二年度末の一・五五倍に当たる七万三千キロメートルとなっております。現在策定中の第九次五カ年計画におきましても、引き続き歩道自転車道歩行者道等整備を最重点事業として実施することといたしております。歩道等の緊急に必要な道路十万キロメートルにつきまして、その整備をおおむね第九次では完了する予定として工事を進めておるわけでございます。  このほか、道路標識その他交通安全施設整備を進めますとともに、バイパス建設踏切道改良等各種交通安全対策を、第九次ではさらに一層積極的に進めてまいる考えでございます。
  8. 永井孝信

    永井委員 そこで、若干具体的な問題について一、二お聞きしてみたいと思うのであります。  たとえば、去年の一月から十二月まで、昭和五十七年中の交通事故発生状況の中では、いますでに総理府総務長官が言われておりますけれども二輪車乗車中の死者数というのはきわめて多いわけですね。二千三十四人、全体の死者数の二二・四%、これは前の年に比べて二百七十二人、一五・四%も増加しているわけです。そうして、とりわけ自動二輪の乗車中の死者数増加というものはきわめて著しい。二百十人、二三・五%も増加をしている。こういうことから考えると、この自動二輪の対策というものは、かなり重点を置いて対応していかなくてはいけないのではないか、こういう気がするわけです。  そこで、前からも問題になってきておるのでありますが、たとえばバイク自動二輪の免許証取得関係についても、現在十六歳から免許証取得できる、こういうことになっていますね。これを、全面的に十六歳がいけないとは言いませんけれども、少なくとも五十ccを超えるような自動二輪などについては、かなり重量もある、取り扱い方も非常に慎重さを要する、こう考えていきますと、現行の十六歳の免許証取得年齢というものをせめて十八歳ぐらいに引き上げるべきではないか、これをひとつ考えてみるべきではないか、こういう気がいたします。  二つ目には、この自動二輪、バイク免許取得にはすべて学科だけなんですね。学科だけで免許がもらえるということになっておりまして、実技試験はないわけです。そうなりますと、実際に取り扱いを現物でやることのできない人も結果としては免許証を持ってしまう、こういうケースがきわめて多いわけでありますから、やはりこれだけ自動二輪の交通事故による死亡者がふえてきているという現実を踏まえますと、実技試験とまではいかなくても、実技について少なくとも一定の時間教育することを義務づける、これぐらいのことをして、その教育を受けないと免許証を与えないということぐらいは全国統一して取り組むことが必要なのではないか、こういう気がいたします。  そしてもう一つの点は、スピード違反関係であります。  スピード違反取り締まりは非常に強化されているわけでありますが、このスピード違反というものが制限時速に対して行われている関係から、たとえば四十キロという制限速度というものの取り決め方が余りにも画一的ではないのかという気がするわけですね。  もっと実態に応じて、東京都区内でも幹線道路はほとんどのところは五十キロになっているわけでありますから、五十キロにしていいところは五十キロにする。むしろ四十キロに抑えていくことによって無理な追い越しというものを誘発する危険性もある、こういうふうな実情もありますので、四十キロの制限というものを五十キロに上げるとか、あるいは生活道路では逆に四十キロの制限をもう少し厳しくして三十キロにするとかいうことを、機械的ではなくて、それぞれ各地方の公安委員会実情を把握された上でのことだとは思うのですけれども、私自身が道路を走ってみてどうも実態にそぐわないという面が目立ち過ぎるような気がしますので、その点をもう少し考慮してもらいたい。  それからもう一つは、高速道路のパトロールであります。  最近はよく高速道路上でパトカーが取り締まりをやっておりますから非常に結構なことなんでありますが、これはもっともっと強化してもいいと私は思うのですね。なぜならば、最近、高速道路でも幾つか玉突き衝突などの大事故が起きていますけれども、ほとんどが車間距離が守られていない、それから無理な追い越し右車線へ出ての追い越しではなくて、むしろ左車線を走って追い抜くというケースもある。そういう無謀運転が最近とみに目立ってきているような気がいたしますので、そういう関係については、高速道路事故が大きいだけに、もう少し重点強化をすべきではないか。  これらの点について、関係警察庁の方からお答え願いたいと思うのです。
  9. 久本禮一

    久本政府委員 いろいろのお尋ねでございますので、若干順序不同になりますが、お許しいただきたいと思います。  まず、免許関係でございますが、御指摘のとおり、現在、いわゆる原付自転車と称します五十cc以下の二輪並びに自動二輪につきましては、十六歳で免許取得できるという状況でございます。これを最近の利用実態等から見て年齢を引き上げるべきではないかという議論には、先生の御指摘のとおりしばしば接しております。したがって、この点について、この種の問題に潜在をする課題であるという認識は十分に持っておるつもりでございますが、いまの私ども認識で申し上げますと、そういう問題意識は十分持ちながらも、これを制度として変える点につきましては、かなり慎重を要するのではないかというふうに考えております。  これは、利用が非常に広がりまして、そういった点を含めまして、この問題につきましては、かなり多くのいろいろな問題への波及がございます。たとえて申し上げますと、年齢の引き上げが単に二輪による死者をほかに移すだけではないかというような意見もございますし、また無免許をふやすのではないかといったような意見、あるいは現実利用の便益にどう対応するかといったような意見、あるいは現代の交通社会ではむしろ早い段階から車とのかかわり合いを持つことが必要ではないかといったような、いろいろな意見がございまして、こういったような意見を踏まえ、調整をしながら、全体の制度としては何がいいかということを絶えず目指していくということであろうと思います。  そういたしますと、現状でどのようにこの年齢の問題を扱っていくかという点につきましては、軽々に結論が出しにくいという現状でございますが、問題意識といたしましては十分に持っておりますので、今後絶えず交通事故並びに利用実態というものを見ながら、どういう制度が最も望ましいものであるかということを考究してまいりたいということでございます。  それから、原付の問題につきましては、御指摘のとおり、原付免許については実技試験がございません。これは確かに一つの問題ではございますが、現実車社会の中におきまして、自動車、二輪、原付自転車、そういったような乗り物がそれぞれどういった段階で乗りなれ使われていくかということの一つシステムの中にあるということを考えますと、原付がいわば手軽な乗り物である、操作もほかの自動車に比べて特にむずかしいとは言えないので、従前から原付免許取得については技能試験を課していないということには、それなりの一つシステムとしての理由はあるわけでございます。  ただ、ここ数年、原付利用の増大に伴いまして事故が増大しているという点は御指摘のとおりあるわけでございますが、原付事故実情を見ておりますと、当面は、運転操作の未熟というよりは、むしろ安全運転の態度であるとかあるいは安全運転行動知識の欠如によるものの方が多いというのが私ども認識でございます。  したがいまして、こういった点にどのように対応したら最も有効であるかなということを考えまして、このためには、先生の御指摘のとおり、要するに技能講習を十分に行って、これによって安全知識を踏まえた技能に習熟させるということで、当面いまの普及に対応した健全な乗り方への指導を図っていきたいということで、昨年から各県で、原付安全技能講習というものを原付免許取得者に対して実施をしてきたところでございます。  これは法の制度にございませんので任意ではございますが、かなり強力に指導実施しておりますので、この普及度につきましては、かなりいいところまで上がってきているというふうに考えられます。当面はこの安全技能講習充実強化をして、これがどのように原付運転技能改善という形であらわれるかということを見守りながら、今後の方向あるいは対策の選択を考えたいということでございます。  ただ、先生指摘のとおり、いろいろばらばらであっては大変問題であるというふうに思いますので、この点については、各県のこういった実施ができるだけ整合性がとれることが望ましいということで、これを目指しました強力な指導県警にいたしておりますので、今年中にはいままで若干出おくれの感のあった県の体制も整いまして、全国的に大体そろっているなというふうに先生にごらんいただけるような講習に仕上げていくという予定でございます。これは私どもとしても相当自信を持って申し上げられるのではないかというふうに考えております。  それから、交通規制関係でございますけれども交通規制には、道路幅であるとかあるいは交通量、それはもとより大事な要素ではございますが、これを含めて、あるいは周辺のアクセスの関係とか、速度に影響を与える要素がいろいろございます。したがいまして、こういったものを十分に踏まえてやるということになりますと、画一的というよりは、むしろかなり地域の実情に沿った判断をしていかざるを得ないという点がございます。現実日本道路状況等を見ますと、付近に余り施設もなく野原で十分走れるといったようなところでございませんと、いままでの周辺状況と整合した交通環境という意味では、速度をかなり抑えていかざるを得ないという実態があったのが事実ではないかと思うわけでございます。  しかし、ただ画一的に規制をしていくということではなく、状況に応じたきめ細かな見直しというものを絶えずしていくということは御指摘のとおりでございます。そういった点を踏まえて、各県警には、規制のしっ放しでなく、いろいろな御意見等も踏まえて、こういう規制の仕方には柔軟に対応するような指導をいたしておりますので、御指摘のような問題点が不合理なという形で残らないように十二分に指導努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから高速道路における取り締まりでございますが、これは先生の御指摘のとおり、高速道路における交通の安全を確保するために非常に大きな問題が、車間距離の不保持レーンの頻繁な変更ということは十分に承知をしております。したがいまして、高速道路警察担当者会議あるいは指導の機会におきましても、当面、高速道路においては速度も重要な問題でございますが、あわせて、安全にして機能的な交通確保に資する必要な取り締まりは、車間距離保持レーンの頻繁な変更であるということを繰り返し指導いたしております。なかなか技法としてむずかしい点がございますので、思うように実績になって上がってこないという点はございますが、大きな課題であるという認識は十分に持っておりますので、この点の効率的な推進努力をしてまいりたいという方向で現在各県を十分指導しているところでございます。  以上、とりあえずお答えを申し上げたいと思います。
  10. 永井孝信

    永井委員 いまの御答弁でかなり積極的な姿勢は見られるわけでありますけれども、たとえば自動二輪の問題にしても、システム上の視点だけではなくて、やはりあくまでも交通事故を少なくしていくという立場から、大乗的にこの問題の取り扱い方をしてもらいたい。必ずしも十六歳で与えなくてはいけないという理由はないのでありまして、もっと判断力のつく、体力のつく年齢まで待ってもいいのではないか、こういう気がいたしますので、これは私の強い要望として、答弁は結構ですから申し上げておきたいと思います。  あるいは道路の問題にいたしましても、バイパス道路なんかは、去年も交通安全対策委員会として各地の視察をいたしましたときに、できるだけバイパス建設を促進すべきだという意見が各委員の中から出まして、その旨それぞれ派遣された担当省庁の幹部の人たち十分承知をしていらっしゃいますので、このバイパス問題などについては、さらに積極的な対応をしてもらいたいということをあわせて要望をしておきたいと思います。  そこで、時間の関係から急いで恐縮なんでありますが次の問題に入っていきたいと思いますが、自賠責の問題についてお聞きをしていきたいと思います。  昭和五十八年度の予算がもうすでに決定をされておるわけでありますが、税収不足を補うという目的から、自賠責特別会計保険勘定から二千五百億円、保障勘定から六十億円、合計二千五百六十億円を一般会計へ繰り入れることになったわけですね。これは特別措置がなされたわけでありますけれども自動車損害賠償責任保険は、そもそも強制保険という独自の性格から言いまして、その運用益の使途についても、自動車損害賠償責任保険審議会の打ち出した答申、これは昭和四十四年、四十八年、五十三年に答申が出ているのでありますが、いわゆる滞留資金運用益というものについては、自賠責保険収支改善のための財源に充てる、あるいは救急医療体制整備とかあるいは交通事故防止対策などに活用すべきであるというふうに答申がされているわけです。  しかるに今回、国の財政が厳しいという特殊事情があったにせよ、この特別措置というのは上記答申趣旨と根底から異なるものであると言わざるを得ないわけです。したがって、そういう立場から言いますと、こういうものがこれからも引き続き行われるということであったのでは、本来の趣旨を逸脱することになると思うのでありますが、これについて、大蔵省運輸省、来ていらっしゃいますか、ちょっと一言ずつだけ、時間がありませんから長い時間をとらぬように、お願いいたします。
  11. 藤井威

    藤井説明員 お説のとおり、厳しい財政事情のもとで、今回二千五百六十億円の繰り入れをお願いいたしております。ただし、これは繰り戻しという条件つきでございまして、積立金そのものをその分だけ取り崩すという形ではございません。われわれといたしましても、この特別会計にたまっております累積運用益、それを先ほどお述べになりました自賠責審議会答申に沿って使っていくという基本線については全く異存はございませんので、今後保険契約者利益のためにこれらをどのように活用していくかという検討運輸省で行われるものと承知いたしておりますが、その検討を待ちましてそのように対処していきたい、そういうように考えております。
  12. 角田達郎

    角田(達)政府委員 ただいま先生からお話しのように、五十八年度につきまして自賠特会から保険勘定二千五百億円、保障勘定六十億円、これを一般会計に繰り入れたわけでございますが、これは、ただいまも大蔵省の方から御答弁がありましたように、五十八年度限りの臨時異例措置としましてやむを得ないものとして判断したものでございます。先ほども指摘がございましたように、この運用益といえども、私ども考えとしては、保険料がある一定期間滞留していることによって発生したものでございますので、これはやはり保険契約者に対しまして還元するということが基本であろうというふうに考えています。したがいまして、私どもといたしましても、一般会計に繰り入れた分、これは後日返還されることになっておりますが、この分と現在滞留しております運用益を合わせまして保険契約者利益のためにどういう還元方策がいいか、鋭意検討中でございます。
  13. 永井孝信

    永井委員 たとえばこの運用益を十分に被害者救済に活用するという立場考えますと、去年の秋でしたけれども、私は、当時の交通安全対策特別委員会委員長と二人で、非公式でありましたけれども、中伊豆の農協共済のリハビリセンターに見学に行かしていただきました。非常にすばらしい施設なんですね。本当にかゆいところへ手の届くようなそういう対応がなされている。そしてそこの従業員の方々も非常に熱意を持ってやられておるということを見て、本当に私は感激したのでありますが、そういうものがどんどんどんどん全国にもっと求められているわけです。今度は五十八年度限りと、こう大蔵省は言われておりますけれども、こういうことがもし安易になされていくということになると、そういうところも手薄になってしまうという危険性を持っておりますので、くれぐれも、繰り返して申し上げますけれども、そういう本来の趣旨と反したようなことはしないという前提でこれからも対応してもらいたいということを、あえてつけ加えて申し上げておきたいと思うのであります。  その次に、この自賠責の最高限度額というのは、いま千五百万から二千万に昭和五十三年七月に引き上げられたままになっているわけですね。最近物価が大分安定化してきているとはいうものの、物価は確実に幾らかずつ上昇しているのでありまして、そういう関係からいくと、この最高限度額がいつまでも二千万円で据え置かれていくということも現実とは若干矛盾をしているのではないか、こういう気がいたします。そしてまた一方、保険料関係でありますが、保険料率というものは昭和四十四年十一月に引き上げられたまま据え置きになっているわけですね。  そういうことが結果的に、最高限度額は低く抑えられたままであるけれども交通事故がどんどんふえてくるということから、保険の収支というものが悪化する傾向にある、こう言われているわけです。そのためにそれぞれ引き上げが検討されているというふうに実は私たちは仄聞をするわけでありますが、このような状況下にもかかわらず、いま言ったように一般会計に財源を繰り入れるということは、その面から言っても問題があるということを改めて指摘せざるを得ないと私は思うのであります。端的に言うなら、この運用益の一部を一般会計の財源に繰り入れるほどの余裕があるとするなら、保険金の最高限度額をさらに引き上げるとか、あるいは保険料率の引き下げを行うのがやはり基本ではないか。その方法についてはむしろもっと積極的に対応すべきではないか、こういうような気がしてならぬわけであります。  あるいはまた、私の手元の資料によりますと、自賠責の保険収支の累計残額というのは二千百二十六億円ある。そして自賠責共済の収支累計残額が七百二十二億円という数字が出ておるわけですね。黒字となって出ている。ほかに、この自賠責の保険運用益の累計残額というのは五十七年度末の、まだ正確には集計されていないようでありますけれども予定としては、保険勘定で五千十億二千四百万円、保障勘定の方では百二十三億九千九百万というものがあるというふうに私たちはこの資料から見ているわけであります。そういうことを仮に考えてみますと、両勘定のそれぞれの二分の一を一般会計に繰り入れたとしても、自賠責の保険運用益の累計残額というのは二千五百七十四億円という数字になってくるわけですね、この数字からいきますと。以上のほかに、昭和五十六年度末現在で、この自賠責の保険分の義務積立金というのが五千六百八十六億円ある。さらに自賠責の共済分の義務積立金というのが三百八十億円ある。これらの額を総計すると一兆円を超えるわけですね。一兆一千四百八十八億円、多少の数字の違いはあるかもしれませんけれども、その程度の額になってくる。  そうしますと、自賠責の保険全体で考えました場合に、保険収支というのは一応黒字であるということを言わざるを得ない。そうなりますと、契約年度の保険料収入と保険金支払いとの関係では赤字傾向にあるとすると、運用益で手当てを考えることがまず第一ではないか。その運用益を他に流用しておいて保険料率を引き上げるということは、仮にその流用が五十八年度単年度限りであるとしても、そのことから考えますと、保険料率を引き上げるということではユーザーは納得できないということになってきますね。この運用益の使途あるいはユーザー側の負担の軽減を図るという、納得のいく制度の運営と改善というのが強く望まれてくるのではないか、こういうように私は思うのでありますが、これについて行政当局の立場から考えてどうですか。
  14. 角田達郎

    角田(達)政府委員 ただいま先生指摘のように、自賠の特会の方では運用益の残が、保険勘定で約五千十億、保障勘定で約百二十四億ございます。このたびの措置によりまして、その約半額を一般会計に繰り入れることになるわけでございますが、まだ二千五百六十億自賠特会の運用益の残としてあるわけでございます。他方、先ほどのお話のように、自賠責の保険金の限度額のアップの問題、これはたしか五十三年の七月に死亡の場合に二千万円に引き上げられまして、以来据え置かれているわけでございますが、この問題の検討も現在行っております。  そういうような状況でございますので、私どもといたしましては、残っておる運用益の残、それから一般会計にお貸しすることになっておる運用益、これも含めまして保険金の限度額の引き上げに使うとか、あるいはもし保険料の料率アップをするときにこの運用益を使ってアップ分を抑制していくとか、そういう方向に活用したい、こういうことで現在検討をしておるところでございます。
  15. 永井孝信

    永井委員 引き続き同じく自賠責保険料率の関係について質問するわけでありますが、現在、自賠責保険料率の算出に当たって、農協共済の自賠責共済分を除いて計算が行われているのではないかと私たちは見ているわけであります。昭和四十一年と四十四年に大蔵、運輸、農林の事務次官三者による自動車損害賠償責任共済実施に伴う覚書というものが交わされているわけですね。この自賠責共済の保険内容というのは、そのことからいっても十分関係当局は承知しているはずであります。したがって、この保険料率の算出ということについて、自賠責の保険全体、すなわち自賠責保険自賠責共済を含めたところの保険収支を勘案して保険料率の算出を行うことが適正なやり方ではないか、こういうように私は思うのです。したがって、この保険料率の算出のあり方についてどのような考え方を持っていらっしゃるのか、第一点目伺っておきたい。  また、去る一月二十六日に自賠責保険審議会において配付されたと見られる資料、これは自賠責保険収支表として契約年度の単年度の収支表にとどめているのではないか。そのことが事実だとすると不完全な資料と言わざるを得ない、私はそのように推測をしているわけでありますが、今後の自賠責保険審議会における収支報告のあり方についても関連いたしますので、当日の自賠責保険審議会における経緯というものをごく簡明にひとつ述べてもらいたいと思います。
  16. 田中寿

    ○田中説明員 自賠責保険料に関しまして、農業協同組合連合会が実施しております責任共済の共済掛金との関係を御指摘いただきましたが、先生の御質問の御趣旨は、いま具体的な自賠責保険料の値上げを検討するに当たって、責任共済の収支の動向を一切考慮せずに行っているのじゃないか、こういう御指摘かと思います。  まず、自賠責保険の収支動向につきましては、これは保険でございますが、これはもう先生のお手元にございます資料あるいは御存じのとおり、五十三年からずっと、単年度、いわゆるポリシー・イヤー・ベースで見た数字で赤字になってきたということは事実でございまして、これはいろいろ理由はございますが、その赤字幅は拡大してきた。これは繰り入れ措置とかということとは別なところの、いわば基調の交通事故の動向あるいは支払い保険金その他もろもろの要因からそういうことになってきたわけでございます。  さて、私ども、具体的にその値上げをどうするかというところをいま問題にしているわけではございませんで、ただ、収支の動向から見ますと、やはり赤字幅は非常に拡大してきている、こういうことでございます。保険料は、自賠責制度の中で約九割を占めるわけでございます。そういうことで、いわば大宗、中心になっておりますこの自賠責保険の収支の動向を常にウオッチしておく必要がございますので、そういう状況にある、こういうことでございます。  それから、一月二十六日開催されました自賠責審議会でございますが、これは本年七月一日から道路運送車両法の一部改正施行に伴いまして、自家用乗用自動車等の初回車検年数が二年から三年になったということで、これに対応する自賠責保険料を設定するということで開催をお願いしたわけでございますが、そのときに、あわせていろいろ自賠責の動向を御説明申し上げたところでございます。そのときに、いま先生からお話しございましたように、自賠責保険の収支をそういう収支表という形で御説明申し上げ、別途運用益状況につきましても、その積立金はこういう状況になっておりますということを御説明したところでございます。
  17. 永井孝信

    永井委員 いま御答弁があったわけですが、この大蔵省から出ている資料を見ましても、再度私は言いますけれども自賠責の損害率というものがそれぞれ出されているわけであります。大蔵省が出している資料では農協共済は提示されていないわけですね。損保協会の分だけですね。損保協会の分でこういうふうに損害率がきわめて高い。損害率が高いために赤字になっている、純保険料収入と支払いの関係でいきますと。この資料でもし算定作業を進めるということになりますと、実態にそぐわなくなってくる。だから、自賠責全体をひっくるめた形でやはり資料というものは整備すべきではないかということを私は申し上げておるのでありまして、その点について一言、もう一回答えてください。
  18. 田中寿

    ○田中説明員 一月二十六日の自賠責審議会に提出いたしました資料は、ただいま先生指摘のとおり、自賠責保険の部分の収支でございます。ただ、先ほども申し上げましたように、これは九〇%自賠責の中で占めている、いわばその九〇%の保険料の収支はどうだろうか、こういうことでとらえているわけでございます。
  19. 永井孝信

    永井委員 これで余り時間をとる時間がありませんので次に入っていきますけれども、いずれにしたって、ユーザー側の負担になる保険料率の算定という問題については、みんながわかるように、納得のいくような形で行われなくてはならない。なるほど審議会で決めるのでありますけれども、審議会で決めるから非常に民主的なように見えますが、やはりユーザー側が納得できるようなガラス張りというものが必要だ。  私は、一昨年の五月の当委員会でもそのことをお聞きしました。そして当時の保険審議会の林会長から、保険料率については今後はより透明度を増していきたい、消費者にわかるようにしていきたい、こういう答弁をいただいておるわけでありますから、この点については多くは言いませんけれども、いろいろな方策を考えて、ユーザー側の納得のいくような、より透明度のある扱い方をしていただきたいということを強く重ねて要望しておきたいと思います。  その次に、自賠責保険の業務委託の問題について触れてみたいと思うのでありますが、一昨年の十一月に当委員会で、自賠責保険の業務委託という問題点のとらえ方をしながら私は質問をいたしました。このときに運輸省は、昭和四十一年でしたか、農協共済に自賠責を認めたときの経緯として、原付自転車が農村に多い、二つ目には、全国組織で取り扱い窓口が非常に多い、三つ目には、事業規模からも委託が望ましい、こういうことで、当時認めた条件というものの説明があったわけですね。そしてまた全国規模で運営していること、事業内容、実績などから、中核損保に匹敵する自動車共済連に自賠責の業務委託の検討を私は重ねてそのところで要望いたしました。そのときに運輸省は、実態を把握していないので大蔵省とも協議して検討すると答えていただいているわけですね。しかしその後、その検討結果というものは私は聞いていない。  したがって、ここで改めて聞くのでありますが、業務委託団体として農協が当時具備した条件と、いまかなり大規模になってきた自動車共済の具備している条件というものとはどのような違いがあるのか。あるいは仮にその規模、条件などが大体匹敵するようなものになっておった場合に、前の委員会の経過からして、この取り扱いはどういうふうに考えていかれるのか、時間がだんだん迫っておりますので、これもひとつ簡単に答えていただきたい。
  20. 角田達郎

    角田(達)政府委員 先生指摘のように、生活協同組合の問題につきまして当時の運輸省の審議官が答弁しておりますが、この自賠責の法律に農協共済が入りましたのは、御指摘のように昭和四十一年でございまして、そのときに自賠法の改正をいたしまして、農業協同組合法に基づく農業協同組合それから農業協同組合連合会、これが行う共済事業について責任共済の制度を認めるということになったわけでございます。この趣旨は、先ほども先生お触れになりましたように、当時まだ共済保険をやるにつきまして全国ネットワークが非常に不足しているとかあるいは原付の付保率が非常に低いとか、こういうような状況にあったと思います。それで、その後この自賠責の付保の状況を見ましても、現在は原付で見ますと八〇%、約八一%程度が共済保険を掛けている、こういうような状況に向上してきております。そのほかの車は、これは一〇〇%共済保険に入っているわけでございまして、そういうように円滑な共済保険の制度がなされているという状況一つございます。  したがいまして、先生おっしゃいましたような自動車共済の体制といいますか組織といいますか、自賠責の共済を任せるに足る体制というものができているかどうかということ、それから経理的な基礎がしっかりしているかどうか、あるいは専門的、技術的な知識があるかどうか、そういう点はもちろん大切でございますが、そのほかに、これはもし自動車共済を入れるとなりますれば法律の改正を伴いますので、自動車共済を入れなければならないという必要性についての検討をする必要があるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  21. 永井孝信

    永井委員 その検討をしていくということは前の答弁で聞いているわけでありますから、極端なことを言えば、そういう条件を全部具備しているかどうかを早急に調査をした上で、それが業務委託をするにたえ得る、値する、こう見られた場合に業務委託をする用意があるのか、そのために必要な法的手続をとるのかどうか、それを一言答えてください。
  22. 角田達郎

    角田(達)政府委員 前の運輸省の審議官の答弁で、検討するという御答弁はしておりますが、その後この自動車共済あるいは生活共済を所管しております厚生省、こういったところからの申し出もございませんので、私どもとしては、その自動車共済連についての体制なり何なりについての検討はしておりません。  それから、もし責任共済をやりたいというお申し出があった場合に、これは検討はしなければいけませんけれども、先ほど申し上げましたように、体制なりあるいは経理的な基礎なり技術なり、そういったもののほかに、やはりその自動車共済連というものをこの共済保険の枠組みの中に入れる必要が現在の段階であるかどうか、そういうような必要性についても検討の上、総合的に検討して、立法措置をとるかどうかの判断をしなければならない、かように考えております。
  23. 永井孝信

    永井委員 それでは、当然厚生省の方もこれは考えておらなければいけないのでありますが、この前の委員会にも厚生省は出ているわけでありますから、厚生省が所管をする自動車共済の扱いについて、委員会で質問が出たことが何ら反応がない、厚生省が運輸省に対して何のアクションもとっていないということは、ちょっと委員会軽視だと思いますが、厚生省どうですか。
  24. 浅野楢悦

    ○浅野説明員 ただいまの先生の御指摘につきまして、私ども考え方を申し上げます。  生活協同組合で実施いたしております自動車共済事業、これは強制保険の部分の上の任意保険に相当いたします部分につきまして、共済事業の形で、損害賠償措置について組合員の相扶共済の中で遺憾のないようにしていきたいということで実施をいたしておるところでございます。先生いま御指摘の、これを強制保険の部分の委託機関といたしまして自動車共済連を加えるかどうかということにつきましては、私ども自主的に判断をいたす基準等を持ち合わせておりませんので、今後、ただいま運輸省さんの方からお話のございましたように、自動車共済事業の実態につきまして、運輸省さんの御検討の中で必要がありましたら資料等を提供し、御検討の素材に供してまいりたいと思っております。
  25. 永井孝信

    永井委員 重ねて要望しておきますが、関係省庁間でこの問題を検討していただくように強くお願いをしておきたいと思います。  その次に、走って恐縮でありますが、自賠責保険料の出納の関係でありますけれども、現在、これは市中銀行、信用金庫、信用組合に一応限定された形になっているわけですね。全国津々浦々にユーザーがいるわけでありますから、そういう関係からいきますと、むしろ山間僻地にまで存在をする郵便局であるとかあるいは労働金庫などもその対象にしていいのではないか、こういう気がいたしますが、これについて、時間を急ぎますので、簡単に答えてください。
  26. 田中寿

    ○田中説明員 保険会社に関する部分についてお答え申し上げます。  この問題は、いわば損害保険会社がどういうふうに扱うか、どういう金融機関を選定するかというのが基本でございまして、私ども特にこれにこういうふうに限定しろとか、こういう機関に限るべきであるということを指導しているわけではございません。これはもう当然のこのながら、安全確実で、自賠責という制度でございますから、確実な領収が図られるという観点からとらえられるべきものだというふうに考えております。  ただ、現在、先生が御指摘になりましたような形になっておりますのは、自賠責制度の発足時に、収納事務の委託機関を選定するに当たりまして、料率の問題でこういうことになったのではなかろうかというふうに聞いておりますし、そういう意味で、現行もそういう形の延長のままいま現在に至っているということでございます。
  27. 永井孝信

    永井委員 時間がもう本当にないので申しわけないのでありますが、急いで聞きます。  次に、自賠責関係で、たとえば損保協会と農協共済の関係は連携が非常にうまくいっている。あるいはいま言ったように、自動車共済の方は自賠責を扱っておりませんので、そういう関係から若干連携がうまくいかないという問題がありますので、これはやはり損保協会も農協共済も自動車共済も、共通の目的を果たすために、一つのテーブルにつくということを積極的に行政指導の中で進めてもらって、そういう事業団体間のトラブルが起きないように、ひとつ強く要望しておきたいと思うのであります。  もう一つは、任意保険の限度額でありますけれども、損保協会は契約額が青空になっている。農協共済は一応現在一億円ということになっている。しかし、自動車共済の方については八千万円で据え置かれているわけですね。最近は、一億円以上の契約をしておらないと、自動車通勤を認めないという企業が出てまいっております。これは少なくとも一億円ぐらいまでに限度額を引き上げるべきではないかと思いますが、厚生省どうですか。
  28. 浅野楢悦

    ○浅野説明員 生協の行っております自動車共済事業の対人賠償の共済金につきましては、ただいま先生指摘のように、最高限度額八千万ということで天井を引いておるところでございます。これにつきましては、最近、昭和五十六年五月にそれまでの五千万から八千万に引き上げたところでございますけれども、今後の限度額をどの線に持っていくかということにつきましては、事業実施生協は現在五つの組合がございますけれども、その生協の組合員のニーズと申しますか、意向の把握というものを基本といたしまして、最近の社会経済状況の動向、あるいは最終的には被害者救済のために必要かつ十分な限度額とするということをねらいといたしまして、十分検討してまいりたいと思います。
  29. 永井孝信

    永井委員 その実現に向けて努力するのかどうか、そこをはっきり一言言ってください。
  30. 浅野楢悦

    ○浅野説明員 ただいま自動車共済連の方から具体的に申請等が上がってまいっておりませんので、その申請時点におきまして、共済連内部での議論あるいはいま申し上げましたような背景となる状況等を十分勘案いたしまして、結論を出すようにいたしたいと思います。
  31. 永井孝信

    永井委員 最後に、一昨年のたしか六月と十一月だったと思うのでありますが、当委員会で、交通事故管理士であるとか交通損害保険士などという士職の問題について私は質問いたしました。当時、運輸省からはそういうものは認知していないという答弁をいただき、そのことによって問題が起きているかどうかということを、警察庁の方でも調査するというふうにお約束をいただいたのでありますが、その後、その経過についても一向に明らかにされていないわけであります。  ところが、その同じ団体が最近、国会に何回か引き続き法制化のための請願を行って、その請願が受け付けられたということから法制化近し、したがって、いまのうちにということで、どんどん募集行為をやって、二万円で五時間程度の講習で、保険士というりっぱな証書を与えているということが依然として続いているわけですよ。  ところが、この問題について、これは示談行為にかかわることでありますから、示談が一件落着すればその問題はそれで終わりということになってしまいますので、なかなか実態がつかみにくいということであるのですけれども、少なくとも当時私が委員会で質問いたしましたように、国会に対する請願権というものを利用して一つ利益を求めるという行為に走っているわけでありますから、いわば国会というものがそういう営利事業のために利用されているというところに、私は一番問題意識を持っているわけであります。  ところが最近、鹿児島県の方で、行政書士会の方からこの問題について何件か告発をしています。ところが、告発したままでなかなか捜査に着手してもらえないということが出されまして、ここに陳情書が来ているのです。陳情者の名前もちゃんと書いてあるのですが、委員会でお名前を挙げるのは適切ではないと思いますから名前は挙げませんけれども、たとえば行政書士が行うべき業務を、交通損害保険士であるとか事故管理士という資格をもって代理業務を行って、一割または三割にも相当する報酬を得ているとか、あるいはある人間は告発された後も引き続きそういう業務を遂行しているとか、十数年にわたって、当然のことのように交通損害保険士であるとか事故管理士という名称を使って、営利業務をやっているということなどが明らかにされてきているわけであります。  ちょっと公安委員長、一部写しを渡しますから、裏の名前は取ってありますけれども。  私は、この委員会でその当時問題にいたしまして、調査をすると言ったのですが、その調査が一向に明らかになってこない。どこの省庁が、どこの役所が当委員会で取り上げた問題を責任を持って対応してくれるのかということも実は明らかでないわけですね。  そこで、総理府総務長官に私は御要望申し上げたいのでありますが、この問題の調査をするとかいろいろな対応をすることについて責任の所在を明らかにするように、総務長官の方で、関係省庁間で調整してもらえないかどうかということについてお伺いをしておきたいと思います。あるいはまた、警察庁の方は一昨年からいままでの段階でどのように調査をしてこられたのか、どのように対応されているのか。そこにいま陳情書もお渡ししましたので、具体的な例も一部あるわけですね。これについて見解をお伺いしておきたいと思います。
  32. 滝田一成

    ○滝田政府委員 ただいま先生のお尋ねでございますが、交通損害保険士というものがどんな活動をしているかということを、まだ私不勉強で、余り詳しくは存じておらないわけでございますが、一般的には、先ほど先生の御指摘のとおり、国の自賠責の問題にどういう影響があるかというようなことにつきましては当然運輸省の所管の問題でございますし、あるいは民間保険との関係がどういうことになるかということになりますとこれは大蔵省の問題でございますし、また、損害保険士なるもののあれで被害が出ておるというようなことになりますればこれは警察庁の所管というようなことになろうかというふうに、それぞれの問題に応じて所管省というものは決まるものだというふうに考えております。
  33. 久本禮一

    久本政府委員 前の国会で先生からお尋ねがございました折には、警察庁といたしまして、事は民事でございますので、直接調査をいたしますにはいささか問題がございますが、警察が主管しておりますいろいろな苦情処理あるいは困り事等の申し立ての中で、こういったものが公正な交通事故の示談の形成に影響を与えておるといったようなものを見つけ出して検討したいということを申し上げたかと思いますが、その際には、その時点までには特別のそういう問題の報告を受けていないというふうに申し上げております。その後各県の警察にこういった点の留意を促しておりますが、いままでのところ、まだ私どもとしては特異な事例に接していないという状況でございます。したがいまして、これは今後こういった着意を引き続き持っていかざるを得ないのではないかなというふうに考えております。
  34. 永井孝信

    永井委員 いまの交通局長の答弁ですが、なるほどそのとおりかもしれませんけれども、いまお渡しした一つの事例が出てきたわけですね。私が言っておるのは、この前からこの質問をしてきました趣旨というのは、弁護士法に違反していないか、行政書士法に違反していないか、あるいは公取のいわゆる不当表示防止法に違反していないかなどの観点からも私は質問してきたわけですね。  しかも社会常識的に考えて、士職というのは、一般の人が見れば国が認めた資格を持つものだというふうにだれしもが錯覚を持つのですよ。しかもりっぱな証書を与えて、新聞の広告によると法制化近し、だからいまのうちに、こういうことを繰り返しやっておるわけですよ。国会に請願をすることはだれでもできるのです。国会に請願しただけで、法制化近しということでどんどん新聞広告を出す。一般の人がそれに惑わされて二万円の講習料を払って受講する。知識を得ることはこれは間違いがない。いいことかもしれません。しかし、その人たちは、法制化されたことによって国家が資格を認めてくれる、極端に言えばそれが商売になる、収入の道につながる、こう思わせているところに罪の深さがある、私はこう言ってきたのです、いわば国会というものが利用されているのですから。  しかもここに出ておるように、鹿児島の例で言うと、告発を何回かしておる。しかし、なかなか警察は手をつけてくれないということに対して陳情書が新たに出てきておるわけですよ。具体的な相手の名前も出して陳情書が出てきているわけですよ。そうすると、これがずっと継続するものではなくて、僕が言うように、一件落着すれば手数料を払う。これが正規の手数料だと思って被害者の方は払うわけですね。あるいは加害者の方も手数料を払うわけですね。払ってしまえばそれで終わりの問題ですから、後へ尾を引かない。だから余り表へ出てこない。しかし、これだけ交通事故がふえてきている現在、対象者は幾らでもあるわけです。それがどんどん相手がかわって、新たな時点で次々にそういう問題が起きてくるのだから、そこを巧みに利用している問題であるだけに、消極的な態度では困る。  だから、私が総理府総務長官に言っているのは、前にも調査する、こう言ってきたのだけれども、いま答弁があったように、運輸省関係警察庁関係、総理府の関係と、それぞれ全部所管の関係の範囲から、自分のエリアの関係から全体のことを掌握し切れないという問題があるんですね。だからこの種の問題は、考え方によれば私は非常に悪質なものであるというように思うだけに、総理府総務長官に申し上げて恐縮でありますけれども、一回この種の問題をきちっと取り扱う責任の窓口といいますか所在というものを明確にしてもらうということをひとつ御苦労願って、どういうようにしたかということを委員会の席上でなくても結構ですので、私の方にも、質問者に対する当然の責務としてお答えを何らかの形でしてもらいたい、こう思うのですが、どうでございましょう。
  35. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 先生のいまのお尋ねにお答えをさせていただきますが、いままでとってまいりましたやり方といいますか、これはこの役所だ、これはこの役所が処理することであるというようなことで、統一された結論が出ていないために、先生から御指摘のように大変これは国民に迷惑をかけることであり、行政、政治に対する不信を招くことになるのでございますから、至急関係省庁お集まりをいただき、はっきりと国民に迷惑をかけないように、不信を抱かせないように私の方でひとつ各省庁との連絡をとらしていただいて、その結果をひとつ先生の方に御報告をさせていただく、こういうようにさせていただきたいと思います。
  36. 永井孝信

    永井委員 時間が来ましたのでおきますが、内容的には十分に触れることが私もできませんでした。しかし、事が交通安全施策にかかわる全般の問題でありますし、交通事故に遭われた被害者の方々の救済という大事な問題もあるわけですから、ひとつ関係省庁大臣所信表明にありましたように、積極的に、ある意味では果敢にこれからも対応してもらうということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  37. 北側義一

    北側委員長 次に、草川昭三君。
  38. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川昭三でございます。  本日の質問に当たりまして、委員長初め関係の皆様方に大変御理解を願いまして、このような機会を与えていただいたことをお礼を申し上げておきます。  まず私、山本国家公安委員長にお伺いをしておきたいと思うのですけれども、わが国の交通環境整備という問題と、特に私は障害者の事故の問題を中心に議論をしたいと思うのでございます。特に最近、一般的ではございますけれども交通事故の発生というのは非常に多くなっておりまして、四月十日現在の死亡者でもうすでに二千三百六十六人になり、これはもう昨年に比べて百五十九人の増加になっておるというように聞いております。これは七・二%増で、ことしは一万人に到達するのではないだろうか。そういう中で、私は特に障害者の方々の事故という問題をいま少し国民的な課題として取り組むことが必要ではないだろうか、こう思うわけであります。そのための総合交通政策というものをぜひ打ち出していただきたい、こういうわけであります。  交通政策の目的は、いまさら申し上げるまでもございませんが、自由、平等、正義、博愛の精神を基本とすべきだと思うわけでございますし、障害者といいましても、これは厚生省の調査でございますが、昭和五十五年で十八歳以上の方々は百九十七万七千人おみえになると言われております。特にその中で視覚障害者の方々が三十三万六千人、一七%の方々が視覚障害者であります。  私どもがかねがねいろいろとお教え願っております国際交通安全学会というのがあるわけでございます。その中で石井勇さんという方、この方はカーブミラーのアイデアを出された方でありますし、音響信号機等を打ち出された方でございますけれども、この方の学会の調査によりますと、盲人の方々は二人に一人は道路でけがをしておる、こういうことでございますが、障害者の事故等の問題について、長官の御見解をまず賜りたい、こう思います。
  39. 山本幸雄

    山本国務大臣 いまお話しのように、交通事故、特に死者が再び増勢に転じてきたということは、わが国の国民生活の上から見ましても重大な問題だ、そういう痛ましい事故が起こらないように、私ども関係機関は努力をしなければならない。特に今日、そういう事態を迎えて、私どもの責任を痛感するところでございます。  ただいまは、特に身体障害者の方々の交通安全ということについてお話がございました。ただいまの道路交通法には、一応は道路交通の上においてそうした身体障害者の方々の保護規定はあるわけでございます。その保護規定に基づいて、何といいましてもまず運転者の方々がそういうことについての注意を確実にしていただくということが大切で、教育の面で、自動車教習所を初めとしていろいろな機関で今後ともそうした教育の徹底を図って、そうした身体障害者の通行をしておられるという事態に対する確実な認識を持ってもらうように、ぜひ今後とも努力をしていかなければならぬと思うのです。  加えて、やはり交通の施設について、またこれは関係機関とも協力をいたしまして、そうした交通安全全般のこともございますが、特に身体障害者の方々の交通の安全に対する諸施設、たとえば点字ブロックでありますとかあるいは盲人信号機であるとか、そういったようなものを今後とも充実、拡充をしていくという方向努力をしていきたい、こう思っております。
  40. 草川昭三

    草川委員 ぜひそういう方向でお願いしたいと思うのでございますけれども、特に視覚障害者の方々の自立更生の問題は、私は移動の自由を確保することだと思うのです。盲人の歩行については、特に単独歩行というのは白いつえ、白杖ですけれども、これによるフーバー・テクニックによるか、盲導犬の使用によって単独歩行する以外にはないわけであります。ところが、この盲導犬については、私どもも、かねがね育成についての国の助成をお願いをしておるわけでございますけれども、実は全国で四百頭弱の現状でございます。障害者の方々の中でも視覚障害者は約三十三万六千ということをいまも申し上げたわけでございます。盲導犬の希望をされてみえる方々は二千人を超すと言っておるわけでございますが、残念ながらその要求に対して満足なところまでいっておりません。しかも非常に時間がかかるわけでございますし、ボランティア活動に依拠するのが現実だと思うのです。  幸いにして、きょう私が中心に取り上げます中部の場合は、中部盲導犬協会という大変熱心な団体がございますし、きょうここにたまたま水平先生がお見えになりますが、愛知県会で最年少の議長のときに、県としても大変協力を願って、りっぱな施設もできたわけでございますし、ここには丹羽先生もお見えになるわけでありまして、皆わが郷土の話になって恐縮でございますが、ぜひこれは聞いていただきたいわけでございます。  きょうはその具体的な実例を申し上げたいと思うのです。実は昭和五十七年、去年の一月二十五日、岐阜県郡上郡美並村の国道百五十六号において、盲導犬を連れて通行中のマッサージ師である亀山道夫さん、三十七歳でございますが、この方が前方から来た前方不注意の対向車にはね飛ばされまして、大変な事故になったわけであります。当日はちょうど雪が降っておる状況でございまして、盲導犬はサーブというのですが、当時四歳でございましたがいまは六歳で、主人の亀山さんをかばって対向車の間に入ったというか遮ろうとして直角になった、盲導犬の訓練でいえば非常に正確な、主人を守る立場に立って犠牲になったわけであります。  車は、警察庁の調べによりますと、フロントガラスが割れておるわけですから相当大きな事故ですが、盲導犬の犠牲によって、亀山さんは二週間程度の額を打撲したということで済んだわけでございますが、肝心の盲導犬のサーブは、主人をかばったために左の前足が神経を切られまして、うっ血で倍ぐらいの太さになったわけですから、盲導犬としての役に立たないというか犠牲になったわけで、本来ならばここで安楽死をさせる運命にあったわけでございます。  この報道を聞いた全国の子供さんたちから、ここに私一部だけ持ってきましたが、特に主人を助けた盲導犬を何とか助けてほしいというような切々たる手紙がたくさん来て、中には、アルバイトをやっているお母さんが子供と一緒に千円だけれどもカンパをする、これで何とかサーブという盲導犬の命を救ってもらいたいというので、中部盲導犬協会の方も、名古屋にございます愛知医科大学の先生だとかあるいは救急救命で大変実績を上げております掖済会病院の先生が集まりましていろいろと相談をなされて、最後には獣医の方によって左前足を切断をするという大手術をしたわけでございまして、きょうはここに傍聴に来ておるわけでございますが、非常に重要な問題提起がこの事故の中にはあるわけであります。  まず、警察庁にこのような事故があったかどうかをお伺いをしたいと思います。あるかないかだけ簡明にお願いします。
  41. 久本禮一

    久本政府委員 先生の御指摘になった五十七年一月の岐阜県のかかる事故は、現実に発生をいたしております。
  42. 草川昭三

    草川委員 そこで私は、事故の調書等も現地へ行っていろいろ見てきたわけでございますが、運転者の一方的な前方不注意による過失事故であることは運転者自身もお認めになっておられるわけでございます。実は問題はそれだけではないわけで、特に国道百五十六号線というのは直轄管理の国道でございまして、建設省の管理になっておるわけでございますが、歩道が設置されていないわけであります。  しかも現地を見ますと、南方二十メートルを頂点としますとちょうど半径が二百十というカーブになっておりまして、上り坂でございます。車側から見ると左へ重心がぶれるわけです。その反対側を盲導犬を連れてマッサージ師の亀山さんが歩いてみえたわけでありますけれども、ちょうど当日雪が降っているわけですから、運転者はワイパーに気をとられて衝突というのですか、事故を起こしたということになります。その国道には一本の白線が引かれてあるわけですが、調書を見ますと、道路の端から六十センチしかないわけです。しかもこれは国道であります。そして大型車から一般車から一日一万台の通行量がある。そこを歩いてくるわけですから、事故が起きるのが当然と言えば当然過ぎるような状況なんです。何にもガードレールがないわけですから。国道管理というのが、そういう意味では私は非常に問題があると思うのです。  いろいろな運転者の方に聞いてみると、カーブでどうしても車は左に寄らざるを得ない。いわゆる災害ポテンシャルの非常に高いところです。そういうところを、運転者にしてみれば障害者に歩いてもらっては困るというわけです。それが現状だと私は思うわけです。しかし、じゃ障害者の方は国道を歩けないのか、国道を歩く権利がないのか、こういうことになるわけでして、まず建設大臣に、国道の歩道整備現状は、何%が歩道ができていないのか、歩道のある国道は何%なのか、将来の整備計画はどうなのか、お伺いしたいと思います。
  43. 内海英男

    内海国務大臣 事務的なことでございますので、局長から答えさせます。
  44. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 御説明いたします。  いま先生おっしゃられた区間は、特に一般国道の指定区間でございますので、最初に指定区間のことを申し上げて、後ほど全般的な話を簡単にさせていただきたいと思います。  歩道自転車歩行者道の整備につきましては、従来より、交通安全施設の中でも特に重点的に整備を図ってきているところでございますが、自動車交通量が十二時間で五百台以上でかつ歩行者が一日百人以上であるような区間につきましては、歩道自転車歩行者道を早急に整備することといたしております。  この延長は全国では十万キロあるわけでございますが、一般国道の指定区間内では一万五千二百キロございます。これは全指定区間延長の七八%になっております。昭和五十七年度末現在、歩道または自転車歩行者道の設置された道路の延長は全国で七万三千キロでございますが、直轄指定区間では一万一千九百キロでございます。早急に歩道整備の必要な延長に対して指定区間では七八%が整備済みとなっております。従来とも、歩道整備につきましては、交通状況、沿道の状況等を考慮しつつ整備を進めてきたところでありますが、なおかなりの歩道未設置区間が残されており、今後はこれら区間の整備重点にして歩道の連続性を図ることといたしております。  また、すでに整備された歩道につきましても、二メートル未満の狭い歩道が多うございます。指定区間内では五〇%、五〇%。それから一般道路については二メートル未満の方が半分以上になっておりますので、こういうふうに狭い区間の歩道については広げるように、また、これからの歩道については二メートル以上の幅員の確保を図っていくようにしたいと思っております。  特にいま御指摘のありました身障者、老人等の方々の対策といたしましては、従来からも視覚障害者誘導ブロックの設置、歩道の切り下げ、路上施設の整理等歩きやすい道路環境づくりに努力してきたところでありますが、今後とも、なお一層これらの方々が利用しやすい道路とするための諸施策を講じてまいりたいと考えております。
  45. 草川昭三

    草川委員 これは役所の幹部の方でなくて大臣にお伺いしますが、国道の歩道の完全設置は一体いつごろまでに実施をするという目標を大臣として定めてみえるのか。大臣の決意にもなると思いますし、所信表明の大きな柱だと思うので、ひとつお伺いしたいと思います。
  46. 内海英男

    内海国務大臣 ことしから始まります第九次道路整備五カ年計画の中で、指定区間を全部やる予定にいたしております。
  47. 草川昭三

    草川委員 この現地も、建設省の工事事務所に尋ねますと、買収に入っているのですけれども、なかなかうまく地主さんとの話し合いがついていない、こういうことなんですね。だからよほど熱意を持ってしないと、たとえば現地でそういう事故があったら、少なくとも国には責任があるわけです、瑕疵という言葉がありますけれども道路管理の責任があるわけですから、そういう事故者のうちくらいは所長がお見舞いに行くという態度があってしかるべきだと私は思うのですよ。私はぜひお願いをしたい。  いまから申し上げることは、実は私、三年前の交通特で問題提起をしたのですが、ガードレールというのがあるわけです。  私は、あのガードレールというのは人間を保護するためのガードレールだと思ったら、そうじゃないのですね。車が道路から溝へ落ちないためにガードレールがあるのだそうですね。そのための建設省の防護さくの設置基準というのがあるわけです。この中の一の二、「防護柵の定義」防護さくとは、走行中に進行方向を誤った車両が路外、道路の外に落ちる、逸脱するのを防ぐためだ。車が落ちないようにするのだ。だから人が全然出てない。人の問題はどこにあるかというと、歩行者がみだりに道路を横断しないためにフェンスを張る、こういうわけですよ。こんなのは全然人間尊重でもないのです。これは三年前に私提起しておるのです。一体いつになったら建設省考え方を変えるのですか。人を守るというガードレールは考えないのですか。
  48. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 ガードレールの設置の目的は、究極的には道路交通、すなわち車、人、自転車等の交通でございますが、これの安全と円滑化を図るためのものでありますが、直接的には、いま先生おっしゃいましたように、この防護さく設置要綱の目的に書いてあるようなことであろうと思います。  ただ、いまほど先生おっしゃいましたように、先生からもいろいろ御指摘等ございましたし、この要綱そのものが昭和四十七年に設けたものでございますので、その後における経済社会情勢の変化に的確に対応するよう、現在ガードレールの分科会を設けまして、ここで鋭意検討を進めておるところでございますので、この成案ができ次第この設置要綱を改正したいというふうに考えております。
  49. 草川昭三

    草川委員 鋭意という言葉は鋭いという言葉です。私どもが三年前に提起しているのですから、これはもう本気で、やはり建設省は人を守る、こういう立場からぜひ考えていただきたい、強く要望しておきたいと思います。  そこで、きょうの本来の趣旨でもございますが、盲導犬の事故ということについて、国は盲導犬というものを全く物と見るのか、盲人の方々の手足の一つと見るのかということを、これは事例研究でもあるわけでございますが、特に自賠責保険の適用をめぐって考えてみたいと思うわけであります。  特に、五十三年に道交法の改正がございましたが、これも盲導犬協会の方々の熱心な努力等もございまして、公安委員会警察庁の方から大変な御理解を得てこういう一つの節ができたわけでございますが、問題は、今回のように盲導犬が傷害を受けた場合に自動車損害賠償保険の支払い基準に適合するかどうか。これは、本当に盲導犬の事故に遭った立場からの訴え、あるいは盲導犬を自分の子供のように手足としてやってみえる視覚障害者の方々の声を代弁をするという形で私申し上げたいわけでございますけれども、やはり事故があるならば、身体機能の補完用具ということよりも、それにまさる問題ではないだろうか。だから、この場合、自賠責の適用になるのかどうか、この点についてお伺いをしたい。
  50. 角田達郎

    角田(達)政府委員 先生御案内のように、自賠責保険は、自動車の運行によって人身事故が生じた場合の損害の賠償を担保するという制度でございまして、人の生命または身体が損傷を受けた場合の損害賠償を保障する仕組みでございます。しかし、義肢とかあるいはめがね、松葉づえその他身体の機能を補完するための用具、これを必要とするような方あるいはそういったものを修繕、再調達を必要とするに至ったような場合、こういうような場合には、その費用についても自賠責保険の対象としております。  お話しの盲導犬につきましては、現在までそういう保険の請求の事例はなかったわけでございますけれども、そういうような扱いと同等な扱いをすることは、私ども、この支払い基準の解釈として可能であると考えておる次第でございます。
  51. 草川昭三

    草川委員 盲導犬の傷害についても一応保険の対象になるといういまの局長の、これは新しいというよりも初めての見解が出たわけでございますので、私どもも、それを積極的に評価をしたいと思うのでございますけれども、これは詰めていきますと、本人がけがをしたという前提でいまのお話があるわけですが、けがをしなくて盲導犬だけが犠牲になった場合はどうかとか、いろいろなケースがあると思うのです。たとえば、その傷害を治すための治療費や回復のための訓練費、リハビリ代等を含めてみた場合、それも保険で診てもらえるのか、対象になるのか、どうでしょう。
  52. 角田達郎

    角田(達)政府委員 盲導犬が事故によって傷害をこうむった場合、ただいま先生おっしゃいましたように、人の傷害に伴う場合でございますけれども、その盲導犬が治療によって再び盲導犬としての役割りを果たせる、こういうことでありますれば、被害者が傷害に伴って身体の機能を補完するためのものというような考え方に立ちまして、その治療費というのは当然自賠責保険の対象になる、こういうふうに考えております。
  53. 草川昭三

    草川委員 では次に、盲導犬というのは非常にむずかしいのですけれども、視覚障害者の方々に貸与という形で、ボランティア活動の中から協会が貸与するわけです。それで、もし盲導犬が再起不能のような事故に遭った場合に、その盲導犬は、たとえば最近ペットでも損害賠償の対象になっておるわけですが、手足の一部として使われている、しかし、所有者は盲導犬協会だという場合に、その盲導犬に対する育成費用というのは実は二百万を超すわけでありまして、二百五、六十万になるでしょう。それは街頭カンパだとか、一部国なり県なりの助成の対象にはなっておるわけでありますけれども、それでは足りない。盲人の方々にお渡しするのに大体十カ月かかるわけであります。しかも盲人の方々が訓練センターで一カ月以上の共同の宿泊訓練を経て初めて盲人の方に渡るということになりますが、そのコストというものは単純なものではないと思うのです。  それはたとえば現在の自賠責ではなくて任意保険、上積み保険、こういうものの対象になるのかどうか。所有者が盲導犬協会の場合になりますけれども、協会とその関係はどういうことになるのか、お伺いをしたいと思います。
  54. 田中寿

    ○田中説明員 突然の具体的な問題でございますので、やや不正確かもしれませんが、任意保険といたした場合の問題になりますのは対物保険でございます。自賠責でいきますと、いわば傷害に伴う損害でございますから、その盲人の方に果たしてそういう意味での損害賠償責任が出るかどうかということでございます。先生指摘の場合、対物の賠償責任は、いわば加害者である運転者が、その協会なり何なりに対して当該盲導犬の死亡あるいは傷害に伴う関連費用を含めたところの損害に対する損害賠償を負うということになろうかと思います。それはいわば対物の保険の対象になるのではないかというふうに思っております。
  55. 草川昭三

    草川委員 いま大蔵省の方から、対物ならばその対象になるというお話がございました。これはまた具体的に要求をされるならそういう場面も出ると思うので、実はきょうの質疑を通じて、自賠責の請求なりあるいは上積みの任意保険の請求の対象にぜひしていただきたいと思うのでございますが、その根本の考え方についていま一度お伺いをしたいわけです。  本人、いわゆる障害者の方々の事故を前提にいままでの話を進めてきたわけです。しかし、いまからの質問は、たまたまサーブが今回のように主人を守って、その盲導犬を使ってみえる方の命を救って、たまたまその障害者の方には事故がなかった、盲導犬だけが事故に遭った場合はどのような取り扱いになるのか、お伺いします。
  56. 角田達郎

    角田(達)政府委員 自賠責制度に関する範囲内において私のお答えをしたいと思います。  先ほどから申し上げておりますように、自動車の運行によって人の生命または身体が害された場合の損害賠償を保障する仕組みでございます。ただ、盲導犬は機能的には視覚障害者の方の体の一部であるというふうに考えられるわけでございますが、盲導犬だけの事故につきましてこの自賠責制度の対象とすることについては無理があるのではなかろうかと思っております。しかし、これから盲導犬の使用が一般的に普及いたしまして、そういうような状態が出てまいりますれば、その事故についての対応措置というのは私どもとしても放置し得ない問題となってくるというふうに考えております。したがいまして、自賠責の問題のみならず任意保険の制度等の全体の中でどういうふうに位置づけていくか、将来の検討課題として真剣に検討させていただきたい、かように考えております。
  57. 草川昭三

    草川委員 自動車局長の大変積極的な御答弁で感謝を申し上げたいと思うのです。その答弁がないと、この前の予算委員会ではありませんけれども自賠責特会からなぜ一般会計に金を繰り入れるかという、先ほども議論があったわけでございますが、その問題はやめまして、示唆をされたわけでございますので、将来盲導犬はふえると思いますし、またどんどん育成をしなければいけない、こういう立場であるだけに、私は積極的に評価をしていきたいと思います。  そこで、いまお話がございましたように、人に傷害がなく盲導犬のみが傷害を受けたような場合にも保険金の支払いができるように法の解釈を少し弾力的というのですか、解釈にゆとりがあってもいいのではないか、あるいはまた、自賠責そのものに物損というものを入れるという考え方がヨーロッパ等にはあるわけでありますけれども、このような場合は自賠責の対象とするように、これは主として立法政策の問題になりますし議会の問題になるかもわかりませんけれども、私はそのような方向をぜひ進めていただきたい。いまのお答えを延長させる意味でお願いを申し上げたいわけであります。  それと同時に、実は盲導犬というものの認知がいま申し上げましたように道交法の改正で出たわけでございますけれども、たとえばいまの自賠責の損害の査定要綱、こういうようなものが関係機関に行っておるわけでございますが、このようなものだとか支払い基準にも盲導犬の項というのがいまないわけでありますから、盲導犬の項というものを明文化する、文章化するというようなことで盲導犬というものの位置づけを認知すべきではないか、こう思うわけでございますが、その点についてどのようにお考えになられますか、お伺いします。
  58. 角田達郎

    角田(達)政府委員 確かに、先生がおっしゃいましたように、盲導犬につきましての自賠責の請求というものがいままで事例としてなかったわけでございます。しかし、先ほど来私が答弁しておりますように、盲導犬も傷害なりあるいは死亡などした場合に、現在の支払い基準において当然それ相当の損害賠償の保障をし得る、そういう解釈を私どもしておるわけでございますが、この盲導犬というものを、特別に、めがねとかそれからつえとか、そういうような従来の視覚障害者の方の身体の一部を補完しているものと違った取り扱いをするか、その他で現在はくくっておりますけれども、それをはっきり明文化させる必要があるのかどうか、その辺はもう少し検討させていただきたいと思います。それで、検討の結果、必要があれば明文化するにやぶさかではございません。さようお答えしたいと思います。
  59. 草川昭三

    草川委員 五十三年に、盲導犬を連れた障害者の方々の歩行を発見した場合には、一たん停車をするとか一時停車をするあるいは徐行するというようなことも明文化されておるわけでありますから、私は、いろいろな機会に、盲導犬というものの市民権というものをもっと定着させなければいけないというスタンスというのですか、考え方を持つので、いまのような質問をしたわけであります。  実はもう一つ、これも警察庁なり、本来はこれは法務省に質問をすべき内容でございますが、これは経過上聞いていただければいいと思うのですが、実はここに私起訴状を持っておるわけです。これは簡裁に出した起訴状でございますが、本事件の起訴状を見ますと、盲導犬の先導で対面交通をした云々という事情が書いてございまして、業務上過失傷害の起訴、こういうことになるわけです。私は、調書の中に、この盲導犬の被害というもの、いわゆる腕を損傷した、あるいは手術によって切断をしたというそういう状況というものを加味して起訴をするように、警察当局なり検察当局も考え方を前進をさせていただきたいと思うわけです。  それはなぜかというと、起訴状一本主義でありますから、起訴状の中にはややこしい物損のことなんか書かないのが原則でありますからそれはそれでいいのですけれども、たとえば調書の段階では、盲導犬の事故というものは構成要件に入るのではないか。盲導犬というものを物と見ておる間は、盲導犬が死のうと事故を起こそうとそれは情状にもならぬわけです。しかし、私はいまここで申し上げたように、全国の子供の文章を見ると、これは涙なしには見られない、実にすばらしい感動的な呼びかけが来るわけです。本当に盲導犬というものをわが命というように見るわけですし、また多くの市民の方々なり子供も、サーブというものが主人の命を守ったじゃないか、これは非常に感動的な話じゃないか。  私は必ずしもこれを美談にするつもりはございません。美談にするつもりよりは、いま申し上げたように、道路をよくしてもらいたい、あるいはこれを人の一部と見るべきだ。これはヨーロッパだったらそうなんですよ。私はロンドンの郊外、約二時間かかって訓練センターへ行きました。膨大な箱根の山のようなところに訓練センターが寄附をされてあるわけです。カンパなんか取る必要がない。子供さんたちにコーヒーだとかケーキをどんどん出して盲導犬のPRをする。そしてごく自然に音楽会にも入るし、ホテルにも入場するし、車にも乗る。だれも珍しがらないわけです。  しかし、きょうここへ入るだけでも議院運営委員会にも大変な御迷惑をかけて、国会という聖域に犬を入れるとは何事だという考え方が残念ながらまだあるわけです。私は、それは近代国家として非常に恥ずかしいことだと思うのです。後で盲導犬サーブの姿を見ていただいたらわかるように、いまは三本足だけれども、一生懸命主人のカバーをするという態度を見ますと、私どもも頭が下がるわけでございます。そういう趣旨で、盲導犬を見たら一時停止をするという行政指導を、これは免許更新の場合もございますし、交通教育という学校での基本的な教育もあるのですが、もっと大きいウエートを含めてぜひやるべきだ、こう思うのですが、その点警察庁の方はどのような考え方を持っておみえになるでしょうか。
  60. 久本禮一

    久本政府委員 現在、警察官の街頭におきまする取り締まり指導並びに運転免許取得、更新の際等におきましては、先生指摘のような形の着眼点並びに教育の事項があるわけでございますが、それを推し進めるにつきましては、ただいまの先生の御指摘を十分に傾聴して対応いたしたいと思います。
  61. 草川昭三

    草川委員 ではもう時間が来たので最後の質問になりますけれども、先ほど触れました中部盲導犬協会の石井さんという方が中心になって、いろいろとハンディキャップゾーンという問題提起を愛知県の場合はしておるわけでございます。国際交通安全学会誌に発表されました盲人の方々を含める調査がございますけれども、その調査表を見ますと、白いつえをついて歩いている場合に、車が停止をするけれどもなかなかとまってくれないというような不満を表明する方々がずいぶんおみえになります。ひどいのになりますと、クラクションを鳴らして通過する車が一五%もあるというのです。あるいはばかやろうとどなっていく車が九・三%もあるというわけであります。本当に協力をしていただけるのが四二%だという数字がございます。  埼玉県なんかでも、シルバーゾーンというような特別なゾーンをつくって、それを基盤にいわゆる障害者の方々なりお年寄りへの対応、PRをだんだん深めていき、その行政区分を広めていくというようなことを言っておみえになりますし、神奈川県の場合でも、ともしびゾーンという地区を設定しておみえになります。あるいは和歌山県の場合はやすらぎゾーン、名古屋の場合はハンディキャップゾーンというようなゾーンをつくられておるわけでございます。  そこだけ注意をすればいいというふうにとられるとこれは間違いがございますが、それを一つのバネとして、障害者の方々が安心して生活できる道路というものあるいは地区というものを全国的に広めるのが、大臣はそれぞれ所信を述べられたわけでございますが、それの具体的な方法ではないだろうか、そこに近代国家、民主国家というものがあるのではないだろうか、こう思うわけでございますので、ひとつ最後に、三大臣それぞれハンディキャップゾーン等を含める将来の交通安全対策についての考え方をお聞かせ願いまして、私の質問を終わりたい、こう思います。
  62. 山本幸雄

    山本国務大臣 従来からも、生活ゾーン規制ということでいろんな交通規制を組み合わせたゾーンをつくって、そこでは特に障害者の方々の交通安全を図る、こういうことを実施をしてきておるところでございますが、今後ともやはり運転者の方にそうした認識を深く持ってもらう、そういう意味で、教育の場で一層そういう考え方を運転者の頭の中で定着をさしていくという方途を今後とも努力をしていきたい、こう考えております。
  63. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘のように、今後の道路整備に当たりましては、身障者の方々ができる限り安全に歩行できるような道路整備重点的にやってまいりたい、こう考えております。
  64. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 草川先生のお尋ねと申しますか、お考えを述べての私はどう考えておるかというお尋ねでございますが、先ほどずっと先生から、身体障害者、特に盲人の方、また盲人の方々を誘導しておる盲導犬のことをいろいろとお話ししていただいて、私も先生と一緒に選挙区で互いに語り合ったり、ときには競争したり、また教えられたりしておる先生が、このように御熱心にこの問題に取り組んでおっていただくことは、国家のために非常に結構なことだと感謝しております。  そこで、いま事務当局ともいろいろと話し合って立ったのでございますけれども、今後のことについてどう考えるかという話の中に、特にハンディキャップゾーンというのですか、これをどう思うかというお話でございますから、それについて私はお答えさせていただきたいと思います。  身体障害者に対する交通安全の確保はきわめて重要なことと先生考えていただき、私も思っております。お示しのハンディキャップゾーンについても、スクールゾーンの設定等においてその趣旨が考慮されておると聞いておりまするが、いずれにしても交通規則、道路安全管理等の面から十分に検討さるべき問題であり、これらは所管庁において第一次的に対応されるべき問題であるかと私は考えます。総理府としては、国民の皆様が身体障害者の方々に対し、先生の言うような思いやりのある交通行動をとっていただくよう、私の方は大いに啓発と申しますか、そういう活動に力を入れて各省庁との提携を図ってやっていきたい、こういう考えでおります。
  65. 草川昭三

    草川委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  66. 北側義一

    北側委員長 次に、三浦隆君。     〔委員長退席、水平委員長代理着席〕
  67. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 初めに総務長官にお尋ねいたします。  所信表明のお言葉の中で「今日、わが国における自動車保有台数二輪車を含めて五千六百万台に上り、運転免許保有者数も四千七百万人を超え、なお、年間それぞれ三百万台、二百万人の規模で増加しているところでありまして、まさに、本格的な車社会国民免許時代を迎えている」というふうに述べて、一方、交通事故による死傷者は、交通事故実態に応じた各般の施策を強力に推進しているけれども、しかし、増加傾向が続いて、「年末には、遺憾ながら九千人を突破するに至りました。」このように述べてあります。「このような情勢の中にあって、国民交通事故の脅威から守り、交通の安全を確保することは大きな政治課題である」と述べられた後に、「私は、交通安全は国民福祉の根幹であるとの認識のもとに、国民各位の御理解と御協力をいただき、関係省庁との緊密な連携を確保しつつ、総合的な交通安全対策を強力かつ着実に推進してまいる所存であります。」というふうに述べておるのですが、この交通事故実情を踏まえながら、今後どのように具体的に対処されようとされるのでしょうか。
  68. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 ただいま三浦先生から、冒頭総務長官に聞きたい、こうこうという所信を述べておるが、しかし、非常に交通事故がふえていっておる、大変遺憾なことだが、今後どういう考え交通事故防止対策に対処していくか、こういうお尋ねでございます。  先生からも申されましたように、昨今の交通事故情勢は、これだけ私どもが祈る気持ちで事故防止考えておりますにもかかわらず、逆にふえておるということは、先生もそうでございますが、私自身も残念で、まことに憂慮にたえない次第であります。  ところで、交通事故防止政府努力のみによってなし得るものではない、これは勝手な言い方かもしれませんが、ただ政府努力だけでいけるものではなくして、国民の皆様一人一人が家庭やら、いまも先生からお話がありましたように学校、職場あるいは地域社会にあって、それぞれの立場交通安全に関して秩序ある、思いやりのある交通行動をとっていただくことが不可欠と私ども考えております。  したがいまして、国民の皆様の御理解、御協力をいただきつつ、関係省庁が一丸となって、さきに決めてありまするところの第三次交通安全基本計画に定められておる各施策を着実に推進し、交通事故が減るように努めてまいりたい。とにかく、もう少し命というものを大事にするという考えに立って、お互いが交通事故に注意を払いつつ、特に私どもとしては、第三次交通安全基本計画に定められておる各施策を着実に推進していくということ、そして交通事故がそのことによって減っていくように努めてまいりたい、こう思っております。  しかし、私も毎朝出勤と申しますか役所へ出ますときに、総理府の入り口で、きのうはどれだけの死者があったというのを見て、そして腰かけに座ると同時に、きのうはどれだけで、昨年のきのうとどれだけの相違があるかということを見ておるのですけれども、これだけ先生方に関心を持っていただき、大変努力を願っておるにかかわらず、残念ながら減らないということはまことに申しわけありませんが、今後もみんなして減るように努力してまいりたいと考えております。
  69. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 総務長官の御答弁の中で、第三次交通安全基本計画実施しながらというふうなお話があったのですが、昭和四十五年に交通安全対策基本法が制定され、これに基づき、第一次及び第二次の交通安全基本計画を策定し、第二次交通安全基本計画の終わりの五十五年には、死者数を四十五年の一万六千七百六十五人のピーク時から半分近くまで減らすことができたわけです。しかし、いまお話しの第三次交通安全基本計画、これは五十六年度から六十年度までですが、この六十年度までに死者数を八千人以下に減らすという目標が立てられてはいるわけです。しかし、五十六年末あたりから死者が逆に急増してきて、五十七年一月から四月までにおいては六%から一五%という異常な増勢となっているわけです。  このような情勢を踏まえて、政府は、同年六月に「交通事故防止に関する当面の緊急対策について」を決定して、交通事故の増勢に対処してきたわけですが、五十七年度中はついに九千人突破といったきわめて憂慮すべき交通情勢となっております。したがって、現在推進されている第三次交通安全基本計画というのは果たしてこれでよいのかどうか、これで本当にうまくいくのかどうかという点を含めて、見直しその他そういうお考えもあるのかどうか、改めてお伺いしたいと思います。
  70. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 先ほど私も申し上げました第三次交通安全基本計画をせっかく立ててやっておるのだけれども、しかし、結果的には事故と申しますか死者等がふえていく、だから、この第三次計画というものを見直す必要はないか、どう考えておるか、こういうような先生の御質問かと考えております。  私もいま事務当局とも話し合ってこうして先生お答えさせていただいておるのですが、先生から御指摘のありましたようにやってはきておるのですけれども、なかなかこれはむずかしいことで、陸海空にわたり各般の緻密な施策が講じられておるところであります。  そのうち陸については、道路交通環境の整備交通安全思想の普及徹底、安全運転確保、車両の安全性の確保道路交通秩序の維持、緊急時における緊急体制整備、損害賠償の適正化及び科学技術の振興等の八項目にわたって講ずべき施策が網羅されておるところでありまして、現下の交通事故のふえるのに歯どめをかけ、さらに減少させるためには、当該計画で定められたる各施策を着実に推進していくことが同計画の目標とするところでありまするけれども、予算との関係でうまいこといっておりませんので、これを推進していくということを考えて、いまここで基本計画を変えるという考えを持っておらずに、これを推進していくというところにまず力を入れさせていただきたい、こういうことでやらせていただきたいと思っております。
  71. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いま言ったように、第三次の計画を実現していけば事故が減っていけばいいのですけれども、実際に入ってから事故がふえてきているということで、やはり問題がまだまだそれだけでは済まないのじゃないかという気がいたします。  そこで次は、交通安全教育の徹底の問題について関連してお尋ねしたいのです。  交通安全対策は、長期にわたり総合的かつ効果的に諸施策を強力に推進されなければならないわけですが、その手法においてどこに困難性、問題点があるのか。交通全体の中で、たとえば事故を類型別に見て、増加傾向の著しいものについてどのような有効な対策を講じていくかといった、事故傾向に鋭いメスを入れて対応していく必要が急がれていると思います。  他方、近時の交通事故の趨勢を見ますと、安全施設や交通取り締まり強化にも限界が見えてきたようですし、車社会が一層進展することを考え合わせますと、やはり交通事故防止の原点というのは各面での交通安全教育の徹底にあるというふうにも思います。総務長官のこの交通安全教育の徹底化についての御見解を承りたいと思います。
  72. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 お答えさせていただきます。  いま私が先生お答えしようとしておりまする気持ちというものは、ただいま先生がおっしゃったことと全く同一でございまして、これだけやっても事故は減るどころかふえていくんだ、もう少し交通道徳に対する教育というものをしっかり、施設を整備するなんとかだけじゃなくて、交通道徳に対する国民的な教育ということに力を入れなくちゃだめじゃないか、こういうような御指摘のように私は聞かしていただきましたが、いまどういう先生のお尋ねがあるかということで一生懸命書類を見ておりましたのでちょっと聞き違えたかもしれませんが、私はそう聞かしていただいたので、冒頭申し上げましたように、教育について徹底的にひとつ力を入れて、もう少しお互いが命というものを大切にしていくようにみんなしてやろうというように進めていきたい、かように考えております。
  73. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次は、大蔵省の方にお尋ねしたいと思います。  自動車損害賠償責任保険制度についての問題点であります。  先ほども永井委員からの御質問があった問題点なんですが、昭和五十八年度予算において、当制度の根幹をなす自動車損害賠償責任再保険特別会計より累積運用益の約二分の一を一般会計に繰り入れ措置を講じた。このことは、この制度趣旨を逸脱しているように思うし、なかなか納得し得ないところであります。  そこで第一点、先ほどの質問にもあったのですが、一般会計への繰り入れというのは、自賠責制度趣旨を逸脱したものではないかということです。こうしたことが保険契約者意見や何かを聞くことなく一方的に行われてしまったということで、これはやはり保険契約者のためにというか、そうした趣旨をもう一度考えなければいけないと思います。先ほどの答弁にも、そういうふうに将来していくのだとありましたけれども、大変抽象的な答弁でありまして、具体的にどう考えているのか、大蔵省意見を聞きたいと思います。
  74. 藤井威

    藤井説明員 先ほども答弁いたしましたところでございますが、今回繰り入れをお願いいたしました二千五百六十億円、繰り戻し条件つきということで、自賠責特会の積立金そのものを取り崩して一般会計で使ってしまうという趣旨ではございません。  積立金そのものは五千億余りあるわけでございます。これを具体的にどう使っていくか、われわれも自賠責審議会の御提言の線で、この積立金は契約者の利益のために還元していくべきものであるということについては異存がないわけでございまして、これをどうやっていくかという検討は、運輸省におかれましてこれから鋭意行われると伺っておりますので、その検討の結果を待って対処いたしたい、そういうことでございます。
  75. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 答えとしては先ほどから余り進んでおりませんで、もともと自賠責保険ということで取ったものならばそれに使うべきものであって、他に変えようとする考え方そのものがむしろおかしいのだろうというふうに思います。おかしいとなったらば、何々審議会の意見を聞いてとかそういうことではなくて、本当にもし取り過ぎているものならば安くするとかもっと有効に使うべきものだと思います。しかもそうでない方向に、一般会計へ繰り入れておきながら、改めて保険契約者立場にも立って考えていきたいというふうな趣旨ですと、きわめて論旨矛盾じゃないかというふうに思います。  第二点、同じようにして保険契約者利益立場から質問させていただきます。  当該累積運用益は将来の保険金支払いに備えるなど効果的に運用さるべきものであるにもかかわりませず、一般会計への繰り入れが無利子貸し付け、三年間の据え置き後七年間の分割返還というふうにされたことは、著しく保険契約者利益を損なうもので、これまた大変におかしいのだと思うのですが、ちょっと大蔵省の御意見をお聞きしたい。     〔水平委員長代理退席、委員長着席〕
  76. 藤井威

    藤井説明員 御指摘のとおり、今回の繰り入れは、無利子という形でお願い申し上げておるところでございます。一般に、一般会計特別会計の間で、一般会計から特別会計へ繰り入れる例あるいは逆に特別会計から、めったにございませんが、一般会計にいただく例などは、原則として利子を付さないという取り扱いをしてきたということもございます。  ただ、そういうこともございますが、今回お願いいたしました最大の原因は、こういう一般会計の厳しい財政事情にかんがみまして、特別会計、特殊法人を通じ広く御協力を求めたということでございます。一般会計といたしましても、かなり交通安全等についての予算措置も講じてきております。そういうことも考慮いたしましてお願いいたしたわけでございます。
  77. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、一方でこのように累積運用益というものを一般会計に繰り入れると言いながら、片方で保険料の引き上げということがいま言われようとする、このことも矛盾だと思います。単年度ベースの収支が悪化しつつあるからというふうなことがありますけれども、しかしこれは、単年度ベースの収支状況ではなくて、滞留資金あるいは累積運用益を加えて包括的に考えるものだと思います。いわんや当該特別会計から一般会計へ多額に上る累積運用益の繰り入れを行っていて、そして収支悪化を理由保険料率の引き上げを図るということは本当に矛盾なんだろうと思うのですが、大蔵省の見解を聞きたい。
  78. 田中寿

    ○田中説明員 先生御案内のとおり、自賠責保険昭和四十四年十一月に、それまで大変赤字が累積しておりまして、その当時約二倍の引き上げを行ったわけでございます。その後交通事故状況等がずっと減ってまいりまして、そういう状況下で収支が非常に好転してまいりまして、その間、限度額の引き上げですとか、大体二年に一回程度の支払い基準の改定等ずっとやってきたわけでございます。  五十三年以降、交通事故状況等が、負傷者等を見ますと絶対数ではふえるとか、あるいはそれまでの限度額の改定、支払い基準の改定等に伴いまして収支が非常に悪くなってきたということで、五十三年以降を見てみますと赤字になり、しかもその赤字幅が拡大してきているという状況でございます。そういう意味で、この料率が昭和四十四年以来据え置かれている、こういう状況下にあったわけでございますけれども、ここのところは、そういう意味での状況が変わってきたということでございます。
  79. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、五十四年一月、鎌倉市の県道上で児童がバスにひかれて死亡した事故をめぐりまして、児童の両親がバス会社を相手に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁民事八部で一つの新しい被害者救済立場に立った判例、先例を示しているわけです。といいますのは、旧来も、意見としては、将来の利息分を差し引くなら、同様に将来のインフレによる目減りも考慮すべきだという見解はあったのですが、これまで裁判所はそれをとりませんでした。しかし、この十一日に出た判決では、増額分を慰謝料に加算する方式をとりながら、初めて将来のインフレ率の見直しとそれによる逸失利益の算定式を明確に示しており、同種ケースへの影響はきわめて大きいと見られるというふうに新聞などでは解説しております。言うならば、被害者立場に立っている問題であります。ということで、この判決自体についても、自動車局長さんあたりからでもちょっと意見をお聞きしたいのです。  先ほどの自賠責の問題も、せっかく累積運用益というのがあるものなら、もっと被害者の方に振り向けるようにすればいいものを、そうしないでよそへ繰り入れして、お金がないからまた保険料を上げるという発想というものが、繰り返しますがきわめて矛盾しているのだろう。言うなら、被害者というか弱い方、ユーザーというかそうした方向に立ってこういう問題は考えていくべきものじゃないかというふうに思います。特に、初回車検三年に伴ってまた改めてユーザーの保険料負担というものが増額してくる。何か取りやすいところからだけ取っていくというふうな感覚が見えるのは大変遺憾なことだと思いますので、こうした判決を踏まえて、ユーザーの側に立ってあるいは被害者救済の側に立って、いかにすべきかという観点から、大蔵省並びに運輸省自動車局長の方から一言ずつ答弁をお願いしたいと思います。
  80. 角田達郎

    角田(達)政府委員 私ども自賠責特会の運用をやっておるわけでございますが、この運用に当たりましては、先生がいまお話しのように、被害者救済の見地に立って運用をやっているつもりでございます。  ただ、先ほど来大蔵省の主計官から御説明がございましたように、累積運用益の約半分を一般会計に繰り入れることにしたわけでございますが、これは、五十八年度の一般会計の財源が非常に苦しいという予算編成上の非常な危機に遭遇したということでありますので、私ども、やむを得ない措置として特別会計から一般会計への繰り入れを承諾したわけでございます。  ただ、これは先ほども御説明があったと思いますけれども、後日、三年据え置きの七年償還で返還をしていただく、こういうことにしておりますので、ただいま残っております累積運用益の約二千五百億、それから一般会計にお貸しした二千五百億、この両方を含めまして、被害者救済のためのいろいろな対策の充実であるとか、あるいは保険金の限度額の引き上げの財源に活用できないかどうか、あるいは収支が悪化した場合の保険料の引き上げの抑制に活用できないかどうか、その点を含めまして私どもいま具体的に検討をしている段階でございます。
  81. 田中寿

    ○田中説明員 自動車事故におきますところの対人の賠償基準というものにつきましては、いろいろ判例その他全般的な動向を見ながら、自賠責には支払い基準というのを設けておりまして、いわば物価上昇、賃金上昇、こういう形を加味しながら、大体二年に一回改定しているところでございます。  なお、特会の積立金の運用益との関係につきましては、先ほど角田自動車局長から御答弁ございましたとおりでございます。
  82. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 今日の財政が大変緊迫していることは、国民ひとしくみんな知っているわけですが、しかし、その責任は、車を持っているいわゆるユーザーだけの責任ではない、あるいは自賠責保険を払っている人の責任ではないのであって、お金がないからといってすぐに取りやすい方へ行こうとするその考え方自体、きわめておかしいんじゃないかというふうに思うのです。  それと同じような関連なんですが、大蔵省にお尋ねをしたいと思うのです。免許証取得者を対象とする新税構想というのが言われているので、これに関してお尋ねします。先ほど総務長官の方も、いわゆる国民免許時代を迎えているというのですから、確かに、その人たちを全部対象とすれば、きわめて税金は取りやすくなってきます。しかし、それでなくてもすでに自動車関連諸税というものはかなりの金額に上っているわけで、ここへまた新たにそういう新税構想というのをやられるのは、大変遺憾なことじゃないかと思うのですが、こうした新税構想というのはどの程度の検討が進んでいるのか、あるいはその実施というものをどう考えているのか、お尋ねしたいと思います。
  83. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  かつて四十年代の初めであったかと思いますけれども政府の税制調査会の方で、免許証について印紙税の対象にすべきではないかという議論がございました。当時議論はいたしましたけれども、そのときも、いろいろな問題点もこれありということで、そのままになっております。ただ、最近において、政府において特別のそういう新税云々というのは、現段階では特別検討はしておりません。
  84. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いま検討をされてないというふうなことでいいんですか。前には検討はしたことはあるけれども、いまは検討してないということですか。
  85. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 ただいま申し上げましたように、現時点では特別具体的に検討しておるわけではございません。
  86. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いまの時点ではということは、しばらくたったら検討し直すということですか。
  87. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 言葉の定義が、どう申し上げたら私の申し上げる趣旨が伝わるかどうかわかりませんけれども財政現状先生御案内のように大変厳しゅうございます。その収支を改善するためには、今後いろいろな検討が必要であろうかと思いますけれども、どういった方策で、どのようにして赤を埋めていくかという点、現段階で具体案を持っておるわけではございません。お尋ねの免許証に対する課税という問題も、その意味で具体的な検討をしておるわけではないということでございます。
  88. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 緊縮の状況が続くというか、財政の厳しいのはことしがピークではないのであって、ますます厳しくなるわけです。言うならば根底的な考え方の中に、取りやすいものから取るという方法を続けていくのか、そうではないのか、そこのところの選択が一番大切なんだろうと思います。  時間ですので、残念ですが進みます。  私の手元に、たとえば自家用乗用車に課せられた税負担の国際比較、八年間まとめたならばというのがあります。一応前提条件として、車両価格だとか排気量だとか車両重量だとか年間燃料消費だとか、そんなようなものを一応各国にならしたという前提に立ってのようですが、それによりますと、わが国がたとえば八年間で百七万一千六百二十円に対して、アメリカでは十七万八千三百五十円と、わが国はすでに約六倍からの負担を強いられているということであります。という意味でも、これ以上取るというのは本当にユーザーにとって大変過酷じゃないかと思うのです。  しかもさらに、税金のほかにも高速道路利用する料金であるとか保険であるとか、車検整備費その他種々車を買ったり持ったりということによってかかっているわけですから、大蔵省としては、今後の姿勢として、とにかく取りやすいものから取るというそういう安易な考え方はやめてもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
  89. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  税につきましては、先生御案内のように、一つの税でもってすべてを賄うというのは実際問題として不可能でございます。したがいまして、いろいろな課税対象あるいは課税物件を考えながら、それらの背後にあるいは直接に持つ担税力に着目しながらバランスのとれた税体系にしていくというのが基本であろうかと思います。  問題の自動車関連の税目、確かに税の種目としてはいろいろございます。たまたま、いま先生アメリカの例をおっしゃったのですが、ヨーロッパ等と比べまして特別高いと言えるかどうか、この辺いろいろ見解は分かれるところかと思いますけれども、私どもも、決して安易なところから取るということではなくて、それぞれの担税力を全体を見ながら十分勘案して考えていきたい、税体系全体としてバランスのとれた税にしていきたいという観点で、今後とも検討してまいりたいというふうに思います。
  90. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 対アメリカのことだけ言って、ヨーロッパのことを言わぬのはどうかというふうな趣旨がありましたけれども、同じ資料によると、わが国が百七万一千六百二十円に対して、イギリスでは九十万八千三十円、西ドイツでは八十一万一千九十円ということで、やはりわが国は高過ぎるということですので、それを考えていただきたいと思います。  それから次に、グレートアメリカン社の日本撤退に伴う対策についての問題なんですが、新聞報道によりますと、外国保険会社のうちのグレートアメリカン社が、日本における営業をやめて、この四月一日付で日本から撤退するということです。同社は自賠責の保険、任意自動車保険の契約を引き受けていたわけですが、契約者は四月以降どうなるのかがまず第一点。第二点、また、被害者請求権を認めている保険金の請求支払いについて支障は生じないのかどうか、大蔵省にお尋ねしたいと思います。
  91. 田中寿

    ○田中説明員 先生指摘のとおり、グレートアメリカン社はこの三月三十一日をもって日本で事業を廃止いたしました。これは、アメリカでかねてからAFIAと申しまして、アメリカの損保会社がグループになりまして、その海外部門を統括した一種の共同組織で海外で営業する、こういう形で日本にも進出してきておったわけでございます。これは現在四社——現在と申しますか、グレートアメリカン社が撤退するまではザ・ホーム社と、四社でございました。今回、グレートアメリカン社は本国におきましてAFIAから脱退するということをいたしましたものですから、日本から同時に撤退する。  これに関連いたしまして、このように保険会社が外国社の場合に、日本からいわば撤退するとかあるいは万が一、たとえば事業を廃止するというような場合には、保険業法あるいは外国保険事業者法に基づきまして、しかるべくその保険会社に契約を包括して承継するということになっておるわけでございます。今回、グレートアメリカン社は、先生指摘のように三月三十一日をもって事業を廃止いたしましたので、これは同じAFIAの中でありましたザ・ホーム社にこれを包括承継したということでございます。契約者あるいは代理店等に関しましては、所定の包括承継に関しましては公告をいたしまして、しかも十分の一の、潔しとしない、いわば異議申し立てをする契約者がいるとか等がございましたら、これは包括承継はそもそも認められないということになっておるわけでございますけれども、この所定の手続を経まして、今回そういう形で包括承継したわけでございます。これに関しまして、契約者等にこういう周知徹底方を徹底いたしまして、遺漏なきよう万全を期したい、こういうふうに思っております。
  92. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、建設大臣にお尋ねします。  わが国の全国的な幹線道路網を構成する高速道路や一般国道は、年々整備されてきているわけです。しかし、これらの道路整備されましても、都市内道路整備が十分でなかったり均衡した形で行われていないために、大量の貨物を輸送する大型自動車の輸送効率を悪化させ、ひいては交通事故多発の原因にもなっていると考えられます。特に東京湾岸道路というのは、東京、川崎、横浜という大都市群の臨海部を通る区間でして、交通需要はきわめて大きなものがあります。そういう意味では、神奈川県におきましても、横浜港を中心に海上コンテナの基地が多いし、この輸送問題は深刻に受けとめざるを得ないところです。そこで、大型貨物自動車の走行についての道路利用及び整備上どのような配慮をされているのか、大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  93. 内海英男

    内海国務大臣 道路交通の増大に対処するためには、国土の骨格となる、御指摘のような高速自動車国道から日常生活に最も関係の深い市町村道に至るまで、そういった道路網を体系的に整備することが必要だと思っております。特に、先生指摘のような、港湾から出てまいります大型貨物自動車等の交通を円滑に処理するためには、湾岸道路等の幹線道路整備し、都市内の一般道路からこれらの通過交通をできるだけ排除することが重要であると考えております。このような観点から、今後とも計画的な道路整備を鋭意推進していく考え方でございます。
  94. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 車両制限令などとの関連でお尋ねしたいと思うのです。  車両制限令の三条第一項によりますと、いわゆる道路法での四十七条一項の問題についての詳しい規定があるわけですが、そこでは、重量制限として総重量二十トンというふうに書いてあります。第二項に「高速自動車国道を通行するものにあっては三十四トン以下、その他の道路を通行するものにあつては二十七トン以下」というふうに書いてあるわけです。そうした、いわゆる総重量とか長さとか幅とかいった規制があります。しかし、車両制限令ができたのは昭和三十六年ですし、最近の大型コンテナ用セミトレーラ連結車というふうなものは、こうしたときには余り考えておられなかっただろうというふうに思います。そこで、そうした大型のコンテナ用セミトレーラ連結車の問題についてどうお考えでしょうか。
  95. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 先生の御質問は、車両制限令で一応総重量は二十トン以下でなければいけないと決めておる一方で、バン型のセミトレーラ等について、高速自動車国道を通るときには、三十四トン以下であれば特認の許可を受けなくても自由に走れるのじゃないか、となれば、何も二十トンと制限しないでもう少し上げてもいいのじゃないかというような意味も含まれているのではないかと思いますので、そのことについてお答えしたいと思います。  道路を設計する場合の設計荷重というのがございまして、その設計荷重は、総重量が二十トン、また軸重が十トン以下であるとかあるいは幅員が二・五メートル以下であるとかいうような、車両制限令三条で決められておりますような要件のすべてを満たしておる車を想定して設計しておるわけでございます。しかし、実際の道路交通には大別して二つありまして、自由交通とそれからいまの許可交通とがあるわけでございますが、自由交通と申しますのは、設計荷重と申しますか、車両制限令第三条で許可されている車が自由に走行できる、たとえば橋梁の上であれば、渋滞して満杯になっても道路構造は保全される、言いかえれば橋梁を構成している材料の許容応力以内であるということになるわけでございます。たとえば軸重を何本もふやすとか車両の長さを長くすると、自由交通を許された車と同じ影響を道路構造に及ぼすだけで、総重量は重いものを通すことができるようになるわけでございます。  したがって、高速道路の場合ですと、三十四トンというような場合は、車の前の軸と後ろの軸が十五・五メートル以上の場合にのみ許されるというような、いわゆる軸間距離との相関でそれぞれのトン数が決められておるものでございまして、二項で規定しておるバン型のセミトレーラ等の車であれば、たとえば総重量が三十四トンであっても、自由交通を許している車が橋梁等に満杯した場合と同じ影響またはそれ以内であるというものでございまして、総重量が重いから特に大きな影響を及ぼすというわけではございません。許可されたものについては、その許可条件のとおりに運行されれば自由交通車両と同じ影響を及ぼすということになっておるわけでございます。  したがって、いまもし一般の自由交通のもののトン数をふやしていけば、すでに相当の道路整備を行ってきておるわけでございまして、そういうものを全部について補強を行うというようなことで、現実的にはそういうことを行うことはほとんど不可能でございますので、直ちにこの車両制限令を改正するわけにはいかないのではないかというふうに考えております。
  96. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いま車両制限令では、三条の一項では二十トン、それから二項では、その他の道路では二十七トン以下ということです。実際問題として、トレーラーとかコンテナのトラックも、高速道路を走るとは限りませんで、道路利用料金を払うならばというふうなこともあって普通の道路を走る。そのために国道から県道に、県道から市道へと車がだんだん入りまして、一般的に普通の市道というかそこまでも大型の車がじゃんじゃか走って、交通事故的には大変に危ない様相を呈しているわけですね。  そういう意味で、これまでの高速道路は一応古い発想のつくりとしましても、いま横浜で建設されているベイブリッジというのは最新のものですから、幾ら重くても——幾ら重くてもということもないでしょうけれども、総重量が二十トンが三十七トン、四十トンが四十五トン、ひょっとして将来五十トンがといいましょうか、それでも耐えられるように、しかも一台でなくて何台走っても大丈夫なようにつくっておるものと思うのですが、そのベイブリッジと自動車の総重量との関係はどうなっているかということをお尋ねしたいと思います。  それから、時間の関係もありますので、ついでにもう一つ質問させていただきますと、道路法の四十七条の中では「道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、道路との関係において必要とされる車両の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、政令で定める。」ということで、詳しくはここに出ていないわけです。同じように四十七条の二を見ましても、そうしたものにさらに例外をつくって、「当該車両を通行させようとする者の申請に基づいて、」ということともう一点「交通の危険を防止するため必要な条件を附して、」というこの二つの条件を付しながら許可しようじゃないかというふうに言っているわけであります。言うならば、この場合の許可条件は「申請に基づいて、」が第一、その次が「交通の危険を防止するため必要な条件を附して、」というふうにありますと、これは法令でないから個別的にやるのですね。個別的に申請を出して、いいだろう、許可しよう、許可しないという判断をするのですね。それじゃ無申請者はどうなってしまうのか、あるいは交通の危険についての条件というのが、個々の車について同じものなのか、あるいは同じ道路を走るにしろ、空で走る場合もあればむしろ過積みと言われる状況で走るかもしれないというときに、それをどうやって検査されているんだろうか、しないのだろうかというふうな疑問も残るのですね。  そういう点では、これからのベイブリッジあたりは、検査するしないに関係なく、申請のあるなしに関係なく、言うならば四十トンであろうと五十トンであろうと通って大丈夫だというふうに一般的にしないと、法令に合わない車がどんどん通るようになって、法令は守ってもいい守らなくてもいいということになって、きわめておかしなことになってしまう。まじめな人だけが申請を出したり一生懸命考えるのに、まじめでない人と言ったらなんですが、申請もしないでそういうことができる、これに対してどうお考えになるのか。  もう一つには、五十三年十二月通達なんかも出てくるわけですけれども、一応道路法とか車両制限令が現実にある以上は、いわゆる裁量の幅というのがばかばかしくふえてはおかしいと思うのですね。一応の原則が総重量二十トンとやったら、裁量というのはせいぜい二十トンから二十三トンとか二十五トン、三十トンまで行ったら裁量としてはちょっとオーバーだろうと思うのです。それが極端にいって四十トンでも四十五トンでもいいというふうになったら、二十トンと決めたことの意味はどこにあるだろうかというふうに思いますね。法令の整合性という観点からも、先ほど車両制限令その他の改正は考えておらぬと言うけれども、これでは法令の遵守という角度からきわめておかしいと思います。いずれ港運その他の料金の遵守の問題も触れたいと思うのですが、一応守っていくものは守らなければならない。片一方で、大幅にどうなっても構わぬというものがあるということはきわめて遺憾なことじゃないかと思います。時間ですので一括質問をさせていただきたいと思います。
  97. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 最初の二十七トンの車はどこへでも自由に行けるのじゃないかという御質問ですが、これはあくまでもバン型のセミトレーラの連結車についてのお話でございまして、バン型のセミトレーラになりますと車軸も多うございますし、長さも長くなっておりますので、先ほど御説明したように、道路構造に及ぼす影響が通常の一般交通を許されている二十トン以下の車以上のものではないために自由になっておるわけでございます。  それから、二番目のいわゆる特認車両の申請主義、それから許可条件、それから違反車に対してどうかということでございますが、自由交通を許されない、すなわち車両制限令三条の規定のいずれかを超えている車については自由走行が許されませんので、道路管理者に許可申請をしてまいります。その許可の条件は通るルート、申請の中にはどこからどのルートを通ってどこへ行くというルートと、かつどういう車でどういうものを運んでいくか、総重量が幾らになるか、そういうのが全部出てまいりますので、そのルートについて、かつその車両についてそれぞれ道路を構成している材料の許容応力を超えないこと、言いかえれば自由交通の場合と同じ影響以内であるかどうか、そういうことをチェックし、どういう検討をしてもそれを超えるものについては許可できないし、いろいろな条件を付することによって許可できるものについては許可するというとり方でございますから、一つ一つの車について違った条件等がついております。  それから、三番目のベイブリッジについて、これから湾岸道路等では大型車が通るので、また国際的にも大型コンテナ等があるので、そういう特殊なところについては一般の車よりももう少し重いものが通っても大丈夫なようにしてはどうかというお考えでございます。これにつきましては、確かに、湾岸道路は港湾等の取り扱う荷物が多うございますので、湾岸道路については一般の橋梁等に比べて床組み等を強くしてございます。ただ、そういう大きな車も湾岸道路だけでそのトリップを完結できない、ヤードへ行くとかデポへ行くとかいろいろな運ぶルートがございますので、将来そういうことも含めて検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、裁量の幅が、たとえば自動車が二十トンでも三十トンでも四十トンでも許可する場合があるじゃないかというお話でございますが、先ほど申しましたように、軸重をたくさん設けますと荷重が分配してまいります。また、車の長さを長くしますと、そういう路面に及ぼす影響が軽減されてまいります。また、条件によっては、たとえば二車線の橋についても、極端なことを申し上げれば、橋の真ん中だけを通っていきなさいという、そして他に車両が一台もないようにして真ん中だけを通すようにすると、かなり重いものも通すことができるようになります。万やむを得ないようなもので、かつどうしても輸送しなければならない、分割等が不可能なような特殊なものについては、そういうような条件等も付しながら、できるだけ利用者の利便を図りつつ、また道路構造の保全を図って運用しておるところでございます。
  98. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 最後に、ベイブリッジの場合は新しいですから、先ほど言った総重量制限ですね、これまであった道路に比較しては恐らく十分な重さに耐えられるようにつくられているわけでしょうね。それを確認して、終わりたいと思います。
  99. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 湾岸道路については、先生おっしゃられたようなことで建設をいたしております。
  100. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 終わります。
  101. 北側義一

    北側委員長 次に、辻第一君。
  102. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、交通事故問題について質問いたします。  交通事故死者数は、昭和四十五年をピークにして減少しておりましたが、昨年、十二年ぶりに増加をした。ことしはさらに速いペースで増加をしておる。その状況はどのような状況なのか。それともう一つ、特に昨年上半期には、自動二輪と原付の死亡事故が急増いたしました。その後の状況はどうなのか、そしてどのような対策をとっておられるのか、お尋ねをいたします。
  103. 久本禮一

    久本政府委員 お答え申し上げます。  まず、最近の交通事故発生状況でございますが、御案内のとおり、交通事故による死者で申し上げますと、昭和五十五年以降増勢にあるということが言えようと思います。特に五十七年におきましては、前年に比べて四・一%、三百五十四人増加をして九千人の大台を再び超えたという状況でございます。また、事故一般、これは人身事故でございますが、その発生件数は、昭和五十三年以降増勢に転じて、ずっとふえっ放しでございます。そして昭和五十七年におきましては五十万二千二百六十一件ということで、前年に比べて三・四%増加をしておりまして、引き続き増加傾向を保っておるということでございます。  御指摘の、特に最近の二輪の関係でございますが、これは五十七年の特に死亡事故の特徴点の一つとして申し上げることができようかと思いますので、そういう見地から申し上げますが、五十七年における死亡事故の特徴点の一つとしては、御指摘のとおり、自動二輪車及び原付自転車事故による死者増加をしておるということがございます。内容を申し上げますと、昭和五十七年における自動二輪車、これは排気量五十ccを超えるものでございますが、これの乗車中の死者数は千百五名、全死者中の一二・二%でございまして、前年に比べて二百十名増加をしておるという状況でございます。また原付自転車につきましては、これは五十cc以下でございますが、乗車中の死者が九百二十九名で、全死者数における構成比が一〇・二%でございまして、前年比六十二名、七・二%の増加ということでございます。  ただ、ここで若干御説明を補足いたしますと、原付自転車乗車中の死者数は、七月以降は各月とも減少あるいは横ばいという状況でございまして、本年の三月末で見ますと、前年比十名、五・三%減少という数字になっております。  その他の五十七年の特徴といたしましては、簡潔に申し上げますが、交通事故死者増加ということが、単なる特殊な地域だけではなくて、全国的に増加をしているという傾向にあるということは一つ申し上げられようかと思います。  それからもう一つは、これはどういう形態のというお尋ねでございましたが、交差点あるいはカーブといった個所での死亡事故増加ということが目立っておるわけでございまして、ちなみに、交差点及びその付近で発生いたしました死亡事故は三千五百四十七件でございまして、全死亡事故の四一・二%に当たります。これは前年に比べて二百八件、六・二%増加をしているという傾向でございまして、カーブ地点の発生にも同様の傾向が見られるという状況でございます。  以上が事故死の傾向でございますが、どういう対策をとったかという点につきまして、二輪の関係につきましてしぼってお答えを申し上げます。  御案内のとおり、二輪事故につきましては、最近の保有台数増加を背景に数がふえているというのが、確かに御指摘のとおり目立った傾向でございます。これに対しましては、特に原動機付自転車免許取得の際に、安全知識を十分に保持して運転できるような技能講習の機会をあらゆる新規免許取得者に付与する、これはほとんど受講しているというような状況で、一応実効のある施策と言えるのではないかと思います。  それから年少二輪免許取得者、これは自動二輪でございますが、実技試験がございますので、特に技能講習ということの要がございません。しかし、若年者の二輪であるということの状態にかんがみまして、これに対しては、免許取得者に対して特別講習を行って、さらに講習内容を付加して、安全に運転するということの態度、知識を身につけてもらうということをいたしております。  これはいわゆる運転者の面から見たソフトの関係でございますが、あわせて、二輪というようなものが最近において特に車社会の中に大きな比重を占めるようになったということにかんがみますと、やはり交通環境整備といったような面につきましても、二輪が増加したということに対応する施策があってしかるべきではないかというふうに考えますので、従前に比べて交通規制あるいは指導取り締まりという面について、特に二輪というものに着目をしていくという傾向を強めるように一線の警察には指示をいたしております。  そういうことの一つのあらわれといたしまして、これは前年からすでに行われておることではございますが、たとえば九州におきまして、いわゆる二輪車の点灯運動というようなことをいたしまして、二輪が車の流れの中でいかに確実に認識できるかということの試みをしてみるといったようなこと、あるいは二輪車が安全に通行できる環境整備ということで、停止線の問題であるとかあるいはレーンの問題であるとかいうことの中で、いわゆる混合交通の中で、二輪というもののデメリットをなるべく表面化させないような形でこれを受け入れていこう、そういう施策がやはり必要であろうというようなことを昨年は進めてきたところでございます。  指導取り締まり等につきましても、これは特に二輪、原付といったようなものに着目をして、それに特に焦点をしぼったような街頭活動、これは取り締まりだけじゃなくて指導もでございますが、これをしなさいという指導をいたしておりますので、これは数字の上で一つの成果が上がっておるというふうに言えようかと思います。  以上、簡潔でございますが、こんなような施策を新しいタイプの交通に対応する方策としてとっておるというのが現状でございます。とりあえず御報告いたしたいと思います。
  104. 辻第一

    ○辻(第)委員 五十六年度の事故統計で見ますと、状態別年齢死者数によりますと、十六歳、十七歳の自動二輪運転中の死者数は、他の年齢と比べても、また原付と比べても、明らかに有意差がありますね。自動二輪では十六歳で百二十七人、十七歳では百六十八人、十八歳になると五十九人、三分の一ほどに減るわけですね。それから、十六、十七歳の割合が約四〇%、原付では同年齢の割合が一五・二%、こういうふうに五十六年度事故統計はなっているわけであります。こういう状況である以上、私は、やはり自動二輪免許年齢引き上げという方向でこの対策検討すべきではないか、このように考えるわけですが、いかがですか。
  105. 久本禮一

    久本政府委員 この問題につきましては、先ほどもお答え申し上げたところでございますが、おっしゃるとおり、そういった自動二輪の運転者の中における若年層の数が多いことは事実でございます。したがいまして、こういったことを踏まえて二輪の免許取得年齢考え直したらどうだという御意見が出ることは当然だと思いますし、私どもも、こういう考え方に対しましては十分に留意をいたしておる状況でございます。  ただ、免許年齢の問題は、いわゆる車社会への参入の仕方ということの一つの社会のシステムがございまして、この中からいままでたどってきた一つの流れもございます。その中で、そういう流れをいわば制約して変えていくということには相当の検討とそれに至るまでの手順が必要ではないかというふうに考えるわけでございます。  さしあたりまして、先ほど御報告申し上げましたように、二輪というのは、いままでどちらかと言いますと四輪主体であった車社会というものに、最近その効率性あるいは利便性というものから非常に普及をしてきたという点があるわけでございまして、これが直ちに基本的な問題であるかどうかという点につきましては、私どもまだまだ十分勉強しなければならない点が多分に残っているというふうに思うわけでございます。また、そういう状況でもございますので、この問題についてはいろいろな考え方があちこちにございます。  したがいまして、そういったような点を十分踏まえ、かつ最終的に取得する年齢制限していくという形に出ます前に、やはりやるべきことはもっと十分にやっていかなければならないであろうというのが、私どものいままでの原付に対する対応策が必ずしも十分でなかったという点を踏まえての認識でございまして、年齢の問題は不動のものではございませんので、その辺のそういう議論は十分あり得ると思いますけれども、当面、このためにいろいろ具体的な作業をするという形にはいささか早過ぎるのではないかという認識で、ともかくそれに関連をいたしましたいろいろの施策を進めて、少しでも事故を減らすということに焦点を向けておるという状況でございます。
  106. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろ考え方があろうと思いますけれども、十六歳、十七歳という非常に有為の青年がたくさん命を失うという問題でありますから、本当に一刻も早く自動二輪の免許年齢を引き上げていくことが早急にとられるべきである、このように私は重ねて要望しておきます。  次に、原付対策について尋ねます。  原付自転車は幾つかのタイプがあるわけですね。ファミリータイプのもの、それから業務用のものあるいはレジャー、スポーツタイプ。事故状況はこれらのタイプで大体一様なのか、いろいろ変化があるのか、お尋ねいたします。
  107. 久本禮一

    久本政府委員 原付自転車にはいろいろタイプがあるということは御指摘のとおりでございます。また、こういったタイプのどういうものがどういう形でどういうふうに事故を起こしていくかということは、御指摘のとおり私どもとしてはいろいろ究明する価値がある事柄であるというふうには承知をしておりますけれども、現在までのところ、その辺は私どもとしては必ずしも十分に把握ができていない状況でございます。  そういう点につきまして、今後さらにいろいろな方法を用いましてその辺の分析に努めていきたいと思いますが、現状といたしましては、ファミリータイプのものを中心に保有台数がふえておりますので、恐らくそういったものとほぼ連動して事故がふえているのではないかというふうに一応推定をいたしまして、この辺が当面の私どものいろいろな活動の中におきましても注意をしていくべき対象であるというふうには考えております。
  108. 辻第一

    ○辻(第)委員 原付自転車の問題、これはやはり交通事故対策上非常に重要な問題だと私は思いますね。しかも明らかに違うタイプがあるわけです。ですから、そのタイプの違いによって事故状況がどういうふうに変わっているのか、それを具体的に把握されるということは非常に重要な問題であると思いますので、その点遺憾のないようにやっていただきたい。  それから運輸省にお尋ねいたしますが、原付の構造上の最高速度規制をメーカーに指導をされたわけであります。六十キロメートルですね、今後これをさらに抑えていくつもりはあるのかないのか、運輸省にお尋ねをいたします。
  109. 角田達郎

    角田(達)政府委員 先生指摘のように、第一種原付自転車の最高速度を時速六十キロメーター以下に抑制するように、これは自動車工業会に私ども行政指導として要請したわけでございます。これが五十七年の十二月十日に要請をしまして、それに対応しまして、五十八年の九月一日以降新たに生産されるすべての第一種原動機付自転車につきましては、これは通常の坂道を走行するときにおきましても、その原付自転車が、法定最高速度三十キロメーターでございますが、三十キロメーターが維持できる範囲内に速度性能を抑制するということにしたわけでございます。その結果、最高速度につきましては六十キロメーター以下を目途に設計させるということとしたわけでございます。さらに、当該原付自転車速度が三十キロメーターを超えました場合には、その三十キロメーターを超えたよという警報を運転者にするために、灯光式で点滅式の速度警報装置を装着するように指導したわけでございます。したがいまして、私どもとしては当面この措置の効果を見守っていきたい、こういう次第でございます。
  110. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、構造上の最高速度を抑え込むという対策だけではやはり無理がある、このように思います。もともと現在の原動機付自転車、第一種原付制度は、昭和二十九年の道路交通取締法改正からですね。当時はスピード制限二十五キロ、運転許可制、走っていたのは一馬力程度のバイクモーターをつけておったもの、こういう時代だったようですね。それから、昭和三十三年ごろからモペットというのが広がる。三十五年に道交法が制定をされ、第一種原付は現在と同じ規制になった。その後性能が向上し、より簡易に乗りやすいものとより自動二輪に近い性能のものに分化しているということだと思うのですが、後者は昔の第二種原付または軽二輪にも匹敵をするというのが今日の性能の状態ではないか、このように思います。  これを同じ原付の範疇として規制をしようとすることに大きな無理があるということではないでしょうか。原付車の速度性能を抑えることが困難である、このことが一因でもあると思いますが、現在の原付車の規制免許のあり方はファミリーバイク的なものに限定し、それ以外の高性能車は別の枠組みで対策を立てていくべきではないか、このように考えるわけです。運輸省それから警察当局の御答弁をいただきたいと思います。
  111. 角田達郎

    角田(達)政府委員 まず、私の方からは構造上の面からお答えさせていただきたいと思いますが、第一種原付自転車と申しますのは、道路運送車両法上五十ccまでのものでございまして、五十ccを超えて百二十五ccまでのものを第二種原付自転車というふうに区分しておるわけでございます。  ただいま先生が御指摘なさいましたファミリーバイクというものは、道路運送車両法の区分では五十ccまでの一種原付の範疇に入っておりまして、この車種につきましては、先ほど御説明しましたように、最高速度規制をしたわけでございます。この第一種原付の中でファミリーバイクとそれ以外の型のものというふうに車両構造の面から明確に区分するということは、技術上なかなか困難でございますので、先ほど申し上げましたような措置の効果あるいは推移、そういうものを見ながら対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  112. 久本禮一

    久本政府委員 実は先ほども同じような趣旨お答えを申し上げておりますが、いまの道路交通車社会と言ってもよろしいかと思いますが、いわゆる四つ輪の自動車、それから二輪、二輪の中でより簡易な原付、それから自転車といったような一連の車のシステムがございます。それがそれぞれどのように生活に密着をして利用されるかということに応じて、自転車の場合には免許試験も何も要らない、原付の場合にはかくかく、自動車の場合にはかくかくといった一つ段階がございます。そういう点から見ますと、原付というのはやはり自転車に次ぐ簡易な乗り物という形で意識をされ、免許もこれに従って対応してきたという経緯と承知をいたしております。  したがいまして、御指摘のとおり、余りイメージの変わるものが出るということはいかがかと思うわけでございまして、その点で、運輸省がいろいろ行政指導をされました、要するに余り高速で走れるものはつくらせないということは、まさにそういった意味においては、その辺のほころびかけに対する一つの対応をしていただいたということで、私どもとしては、大変望ましいと申しますかいい策をしていただいたというふうに考えておるわけでございます。  免許の方におきましても、そういったことの中で、枠組みを大きく崩すということになりますといろいろ副次的な作用も起こるものでございますから、その辺の摩擦をできるだけ最小限にしながら、何とか現実に合う施策をソフトの面で講じてまいりたいということでございまして、そのねらいは、いまおっしゃいましたような、同じような免許の中で、そういったまるっきりイメージの違うものは、できるだけ具体的な対応でその辺のほころびを埋めていくべきではないか、そういう御趣旨に沿うようにいろいろ対応策を講じてまいりたいというように考えております。
  113. 辻第一

    ○辻(第)委員 たとえば現在は技能試験がないのですね。それから、技能講習の充実を図っておられるようですが、受講率は大体八五%というふうに聞いておるのです。そのほぼ全部が実車を使って技能講習をやっておられるということでしょうか。車はどんなものを使っておられるのか、簡単に答えていただきたい。
  114. 久本禮一

    久本政府委員 この講習趣旨につきましては、私どもは外でもそのように申し上げておりますが、最近の原付事故というものが、技能の未熟というものも確かにございますけれども、主体としてはむしろ安全知識といいますか、あるいは交通の流れの中へ乗っていく態度と申しますか、そういう点に欠けるということによる事故がはなはだ多い。したがって、安全知識それから安全な連行態度というものをよくたたき込まないと、これはただ技能を見ただけでは追っつかないというのが、実は技能講習を広範にやってその辺の欠を補おうということに着目をした一つ理由でございます。  それで、八五%という数字は確かに一〇〇ではございませんけれども、実はこれは、かなり急速に上がってきた数字という側面と、それから、若干県による対応の早さ、遅さがございまして、遅い方の数字が早い方の数字を引っ張ったという両方の面がございます。したがいまして、これは今後の一つの予測といたしましては、かなりいいところまで上がるのではないかというふうに考えておりますので、いずれまた後ほどそれの御報告をいたしたいと思います。  それから車につきましては、いわゆるファミリータイプのものを使いまして、それで現実的な運転習熟をさせたいという着意で、実際に乗っての講習をさせておるわけでございまして、これはとりあえず三十分ぐらいのところから始めておりますけれども、最近は各県がこの点につきましてかなり内容を深めておりまして、相当長時間の講習をするものも徐々にふえている状況でございます。また人によっては、一遍でなく二回やらせてくれといったような形でこれを利用する者もあるというような状況であるということは聞いております。
  115. 辻第一

    ○辻(第)委員 その技能講習なんですが、全く乗れない人をチェックするということは非常に意義があると思うのですけれども、ギアチェンジのついた高性能車の事故対策にはやはりならないだろうというふうに思うのです。そういう高性能車についてはやはり技能試験が必要ではないか、私どもはそういうふうに考えるのですが、どうですか。
  116. 久本禮一

    久本政府委員 原付試験制度につきましては、いろいろな問題が潜在していることは事実でございまして、必ずしもそれですべての問題が解決できるとは思っておりませんが、さしあたりまして、いま申し上げたように、この施策を焦点に置いて推進をしながら、その辺の推移も見ました上で次の展開についてはまたいろいろ考えてまいりたいというふうに思っております。
  117. 辻第一

    ○辻(第)委員 高性能原付車については、自動二輪にするにしろ原付車の中に入れておくにしろあるいは別の枠をつくるにしろ、いろいろと方法があろうと思うのですが、少なくとも現在のようなファミリーバイク的なものと同じ法制度のもとで対応するのは無理がある、このように思います。再度十分な検討をして対応をとっていただきたいということを要望して、次に移ります。  次に、自転車法の問題で質問をいたしたいと思います。  いわゆる自転車法が施行されて間もなく二年になろうということでありますが、自転車駐車場対策について、自転車対策を総括しておられる総理府総務長官にまずお尋ねをいたします。  今日、百万台と言われる放置自転車問題が鉄道駅周辺で発生をしております。私どもも、毎日この放置自転車を見て暮らしておるわけでありますが、大変重大な影響をもたらしている問題だと思います。この解決の基本は、需要に見合った自転車駐車場を整備するということだと思うのですが、この整備の障害になっているのは何か、その点長官の認識をお聞きしたいと思います。
  118. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 お答えをさせていただきます。  自転車駐車場の整備については、ただいま先生から御発言のありましたように、昭和五十六年五月二十日より施行となっております自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律の趣旨に沿って対処が行われ、着々その整備が進んでおるところであります。なぜおくれておるかということでございますけれども、地域によっては、用地取得等の問題で駐車場整備がむずかしいところがあると私どもは聞いております。  こういった問題に対処するため、今後は、それぞれの地域の実情に応じて、自転車駐車場の整備が円滑に促進されるよう、総理府において関係機関、団体との連絡調整を図って、できるだけ早く駐車場の整備を進めてまいりたい、かように考えております。
  119. 辻第一

    ○辻(第)委員 十分な対応をとっていただきたいとお願いをいたします。  放置自転車問題を解決するための具体策について運輸省にお尋ねをしたいと思うのですが、自転車駐車場の設置、とりわけ大都市での最大の問題は用地の問題だということですね。この点について、鉄道用地の利用について、「自転車駐車対策推進要領」これは昭和五十三年一月二十三日、交通対策本部が決定をされているようですが、この推進要領で鉄道事業者の協力が決められておりますね。  日本民営鉄道協会は、駅前放置自転車は本来国及び自治体が行政として処理すべきものだ、このような態度をとっておりますね。また、その用地が不動産業者のもの、ほとんどが系列の企業であるようでありますが、不動産業者の持ち物という理由で協力を渋ることがある、こういうようなのが実態だと思います。いま述べましたような用地所有関係の場合、当該事業者にみずからの問題として対応させる、あるいは新駅設置や駅の改築の際には計画の中に自転車駐車場の設置を必ず入れる、このような積極的な対応を含めて鉄道事業者の協力の促進について、運輸省は今後どのように対応し、指導されるのか、お尋ねをいたします。
  120. 水田嘉憲

    ○水田説明員 自転車駐車場の整備につきまして民営鉄道事業者が用地提供をする問題でございますが、この問題につきましては、先生御存じのとおり、自転車法によりまして、地方公共団体または道路管理者が駐車場を整備する場合に、民営鉄道事業者が協力するというような趣旨の規定があるわけでございまして、私どもといたしましては、この趣旨にのっとって協力を指導してきておるところでございます。  今後の問題といたしまして、実は大手私鉄の場合には輸送力増強計画等一方ではやってきておるわけでございますが、そういう事業計画の遂行に支障を与えない範囲内で、地方公共団体等が整備します自転車駐車場につきましてもできるだけ協力するよう指導してまいりたい、このように考えております。
  121. 辻第一

    ○辻(第)委員 指導をされておりまして、非常にスムーズにその指導が受け入れられているのか、現状はどうなんですか、ちょっとお尋ねをいたします。
  122. 水田嘉憲

    ○水田説明員 先ほど申し上げましたとおり、大手私鉄におきましては輸送力増強というようなことで、たとえば鉄道のプラットホームを延長するとか駅舎を改造するとか、そういう用地を必要とするような工事もあわせてあるわけでございまして、そういう問題と駐車場整備という問題の両方を考慮して決めるべき問題かと思います。そういう意味で、たとえば用地があいているから直ちに提供できるかどうかというのはまた別の問題ではなかろうかというふうに考えております。
  123. 辻第一

    ○辻(第)委員 それじゃ、国鉄はどのような状況でしょうか。
  124. 水田嘉憲

    ○水田説明員 私の方は、実は民営鉄道だけ監督しておるものですから国鉄の方は担当ではございませんが、国鉄の方も同じような考え方でやっているやに私は聞いております。
  125. 辻第一

    ○辻(第)委員 補助制度につきまして建設省にお尋ねをしたいのですが、自転車駐車場整備事業補助については、補助採択基準では地方公共団体が道路附属物として整備をする、こういうことになっています。別途完成後は道路管理者に引き継ぐということになっております。だから、駐車場設置者、道路管理者、土地所有者が異なる場合に補助が受けられない例があるわけであります。こうした点を解決するために採択基準の緩和を図るべきだ、私どもこのように考えておるわけですが、建設大臣、いかがでございましょうか、御見解を伺いたい。
  126. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 自転車駐車場の整備につきましては、これは道路の附属物として整備する場合にいわゆる街路事業の補助金を出しておるわけです。この場合に街路事業の事業者、これは大概の場合に将来引き継ぐべき道路管理者と一致する場合が多いものですから、お示しのようなネックはそうないのじゃないかと思います。  それからもう一つ、土地の所有者と街路事業者と道路管理者という三つの絡みからの御質問でございますが、この点につきましても、通常道路事業を行う場合には用地を取得してからやるという例が多いわけでございまして、これは道路法上、道路法の四条でございましたか、私権の制限という規定もございますし、そういう観点から、なるべくなら買い取ってやることが望ましいわけでございまして、通常そのようにしておりますが、仮にお示しのように一時的に土地を提供してもいい、数年なら提供してもいい、あるいはたとえば鉄道事業者等が数年間なら事業との絡みで用地を提供できるというようなときに、借地でやった場合補助してもいいのじゃないかというようなことかと思いますが、そういう点もできる限り御指摘方向に沿うような形で、これはちょっと問題がむずかしいわけでございますが、検討さしていただきたいと思います。いずれにしましても、ただいまの補助採択基準でそう支障がないと私ども理解しておりますし、もし支障が生じましたら、その段階で具体的に検討さしていただきたいと考えております。
  127. 辻第一

    ○辻(第)委員 実際はやはり支障がある場合があるのですね、数はそんなに多くないかもわかりませんけれども。私どもは採択基準の緩和を図るべきである、このように考えております。十分検討をいただきたい、このように思うわけでございます。  次に、自治体の自転車関係条例の制定状況はどうなっているのか、あるいは制定促進策について建設省はどのように考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  128. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 自転車の駐車需要に対応しました駐車場を整備するために一昨年五月に施行されました法律五条三項におきまして、地方公共団体が条例で、百貨店、スーパーマーケット、銀行、遊技場等自転車の大量の駐車需要を生じさせる施設を新増築する者に対しまして駐車場の附置を義務づける、こういうことができるようになったわけでございます。建設省におきましては、五十六年の十一月に駐車場附置義務条例の準則、モデルでございますが、このモデルをつくりまして、参考とするよう地方公共団体に通知したところでございます。 五十七年十月現在、この法律に基づいた附置義務条例を制定している地方公共団体は十五市でございます。このほかにも十の市町村におきまして、たとえば放置を防止するような訓示規定を設けた条例を制定しているところがございますが、附置義務条例を制定しているのは十五市ということでございます。  条例の制定の促進につきましては、近く制定を予定している地方公共団体もかなりございます。今後さらに附置義務制度の周知徹底を図ることによりまして、関係地方公共団体に対する指導を促進してまいりたいと存じております。なお、促進策としては、これとあわせまして、五十七年度から、中小小売業者が設置する自転車駐車場が中小企業金融公庫等の融資の対象とされておりまして、この面からも整備が促進されるということの一助になるのではないかと考えております。
  129. 辻第一

    ○辻(第)委員 制定促進のために一層御努力をいただきたいと思います。  最後に、自転車法施行二年を経た今日、なおかつ百万台の放置自転車があるという状況でございます。今後とも重要な課題と思うわけでありますが、総理府総務長官に、どのようにその促進に取り組まれるのか、御所見を伺いたい、このように思います。
  130. 滝田一成

    ○滝田政府委員 先ほど総務長官から基本方針についてお答えいたしましたので、補足する意味で私から御説明いたしたいと思います。  御指摘のとおり、総理府で五十六年の末ごろ調査いたしました結果によりますと、駅周辺等における放置自転車の台数が約九十九万台ございます。この自転車の大量の放置につきましては、法律ができる前、五十三年にすでに関係省庁間でそれぞれ講ずべき施策を明らかにしまして、それによって対処をしてきたわけでございます。法律ができてからは、当然その法律の趣旨にのっとってそれぞれ総合的な施策を図ってまいってきたわけでございまして、現在のところ、公営あるいは民営のものを含めまして、約百七十七万台を収容するだけの駐車場が一応はできております。  また、先ほど都市局長からの御説明もありましたが、そういう附置義務条例、そのほか放置防止のための条例も現在二十五ばかりの市でできておりますし、さらに百ばかりの市で制定についての検討もしている状況でございますが、そういうようなことも含めまして、今後さらに円滑に進められていきますように総理府においても連絡調整を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  131. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  132. 北側義一

    北側委員長 次に、竹内猛君。
  133. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、建設省運輸省、国鉄に関連をする問題について若干質問したいと思います。  まず最初に、建設省にお尋ねをしますけれども昭和六十年に茨城県の筑波で国際科学技術博覧会が開かれることになっておりますが、この問題に関連をして道路建設整備が進められておるわけですけれども、これは現状段階でどの程度まで進んでいるかということについて、現段階進捗状況についてお伺いをしたいと思います。
  134. 内海英男

    内海国務大臣 昭和六十年に開催が予定されております国際科学技術博覧会に関連いたしまして、観客の安全かつ円滑な輸送を確保する観点から必要となる関連道路等の整備につきましては、関係閣僚会議におきまして了解された事業計画に基づきまして推進いたしておるところでございます。昭和五十七年度末までにおおむね五〇%、昭和五十八年度末にはおおむね八〇%の進捗となる見込みでございます。今後とも鋭意事業を推進し、科学技術博覧会の開催までに必要な整備が図られるよう努力しておるところでございます。
  135. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 特に国際的な関係からすれば、成田の空港から科学博覧会会場までの運行に関して、外国の方々が見えるわけですが、それが一度東京に移って、それから博覧会に来られる道筋をとるのか、それとも直接に成田から博覧会に入るのかということになれば、成田と博覧会の会場との道路というものはきわめて狭い道路でありまして、これは何らかの措置をしなければ、いまのままではとうていおぼつかないと思うのですけれども、この点は何か考えられておりますか。
  136. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 閣議了解されました事業計画道路整備してまいりますと、成田から科学技術博覧会の会場まで直接行けるルートが形成されますので、東京まで来なくて直接行けるようになると思います。
  137. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題は大変重大なことであり、しかも輸送の問題が最大の問題と言われております。ただし、博覧会が終わった後の維持管理がまた大分困難になることも承知をしております。  そこで、いろいろな心配事があるのですけれども、輸送に関連をして、道路がそのように整備されますと、輸送の状況に関してはどのように推進をされますか、その輸送上の問題について今度は関係者にお伺いをしたいと思います。
  138. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 これは運輸省さんの方が適切かと思いますが、一応鉄道とバス輸送、それから常磐自動車道の整備によりまして、先ほど申しました鉄道とバス輸送の乗り継ぎではなくて、直接東京から現地へ行くというようなことで、円滑な輸送がなされるというふうに聞いております。
  139. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この点に関連をして、まず常磐自動車道の問題ですが、常磐高速道路は確かに柏から石岡インターの先くらいまでいま工事が進んでおります。本来は東京の直前の三郷からさらに日立に向かうわけでありますけれども、これが大体科学博覧会までに間に合うような状況で工事が進んでいるかどうか、その問題をちょっとお聞きしたいと思います。
  140. 内海英男

    内海国務大臣 関係閣僚会議道路分で了解いたしておりますことは、常磐自動車道、いま先生の御指摘の三郷から日立南の間の道路でございますが、約三千九百五十五億をかけまして仕上げるということになっております。
  141. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それは大体いつごろまでにでき上がるのですか。
  142. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 ただいま大臣から基本方針の御説明がありましたが、私、区間別にちょっと細かく御説明させていただきたいと思います。  常磐自動車道につきましては、先生おっしゃられましたように、現在柏—千代田石岡間四十四キロメートルが供用開始されております。三郷—柏間十一キロメートル及び千代田石岡—いわき間百二十一キロメートルにつきましては、現在用地買収及び工事を鋭意推進しているところでございます。このうち千代田石岡—那珂間三十九キロメートルにつきましては、昭和五十八年度末までに供用開始する予定でございます。また、三郷—柏間十一キロメートル及び那珂—日立南間十二キロメートルにつきましては、昭和六十年三月の国際科学技術博覧会の開催までに供用開始できるよう、さらに日立南—日立北間の十九キロメートルにつきましても、引き続き早い時期に供用開始できるよう整備の促進を図ってまいりたいと考えております。
  143. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 道路の問題ですけれども、現在でもかなり道路は混雑をしていますね。そこへ六カ月間に二千万人という形でありますから、当然日曜日などは相当な混雑になる。そういうことのために、本当に現在の道路だけで収容し切れるか、運行できるかということについてはなお心配がありますが、そういうことについての検討は十分にされておられるでしょうか。
  144. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 閣議了解事項の事業計画を定める際に、先生いま御指摘のようなことにつきまして、運輸関係者等々あるいは地方公共団体等ともいろいろ検討した上で定めたものでございますので、この事業計画どおり道路整備が行われるならば、日曜日等においてはかなりの混雑が予想されるとは思いますが、何とか円滑な運行が図られるのではなかろうかというふうに考えております。
  145. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今度の科学博覧会場は、大阪や何かと違って陸の孤島にできるわけでありまして、輸送の問題が一番の問題でありますから、道路の問題は非常に重要である、こう考えております。最初の観客に不快を与えると、これは後々まで影響するおそれがありますから十分に検討していかなければならないし、われわれもまたその都度その都度いろいろ注意をしながら進めていきたいと思いますから、なお一層の努力をお願いしたいと思います。  さてそこで、土浦市の小松と百二十五号線の交差、荒川沖の方へ行くところの立体交差の問題について、一昨年以来これは県でも努力をしてきたわけでありますけれども、いまだに問題の処理ができておりません。このことについては建設省でも努力をされていると思いますけれども、あの点についてはいまどういうふうな状況になっているのか、ちょっと現状について説明を願いたいと思います。
  146. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 小松交差点、これは県道土浦竜ケ崎線と百二十五号の交差場所でございますが、これを含みます都市計画道路、都市計画の街路名では荒川沖木田余線と呼んでおりますが、五十五年度に事業に着手しまして現在用地買収をしておりますが、用地買収の進捗率が一五%程度でございます。この交差点の状況からしまして、立体交差に先立ちまして前後の改良工事、これは県道の方が国道をオーバークロスする感じになるわけでございますが、前後の改良工事を促進する必要がございます。したがって、用地国債、これも利用しまして、今後鋭意用地買収を進めまして、改良工事の進捗を見ながら立体交差化事業に着手していきたいというふうに考えております。
  147. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 大変むずかしい場所でありますから、ぜひこれは立体化をするように進めてほしいということを要望したいと思います。  続いて土浦の問題でありますが、いま土浦市には重大な問題が起きております。御承知のとおりに、二月の末に国会法七十五条で私は質問主意書を出しました。六項目の質問書を出したわけですが、これに関する答弁は抽象的で、お粗末の限りであります。答弁にならない答弁をいただいたから、どうしてもここではあの答弁に対しては一言注文しなければならない。  というのは、六項目の中で重要な問題は、手続に問題があるように思いますね。関係住民におよそ説明もないままにして計画が進んだ。そしてそれがわかったときにはすでに一定の手続をとっている、そういうもののやり方がよくない。協力しようにもしようがないではないか。長い間土浦の商店街に住んでいた人々がいるのですから、その上に道路をつくるということは、確かに営業上あるいは生活上に被害があることはわかる。わかればわかるほど、これに対しては事前に話し合いをし、一定の了解を得た上で手続をするのが筋だと思いますが、わかったときにはある場所ではもうすでに話がかなり進んでいる。だから、書類だけは動いたけれども、実際の話し合いが進んでいなくて、住民の中には反対が一千名にも及んでいるという状態。そして今日でも会合をすると、市長は後ろから窓をあけて逃げ出すような状態で、醜態きわまりない状態が続いております。われわれも協力しようとしても協力のしようがない。  こういう状態の中で、法律に基づいてやっていると言われるけれども、民主主義のABCがどうもやられていないような感じがするのです。これに対して建設省としては——最終的には建設省の認可が必要であります。当初は土浦市の都市計画審議会、そして県の審議会ですけれども、ここらはスムーズに通った。それが通れば建設省も手続としてはよろしいと、こういうふうになるけれども、だからといって仕事ができるとは限りません。もうすでに市が想定をした事業の日にちが過ぎてしまっている。にもかかわらず、住民はまだほとんど理解もしていないし、どうにもなっていないというこの状況をどのように説明されるのか、ちょっと説明してください。
  148. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 先生御提出の質問主意書に対します答弁が非常に抽象的だというおしかりでございますが、私どもとしては誠心誠意書いたつもりでございます。その中にもお答え申し上げておりますように、この種事業につきましては、地元住民の御理解と御同意がなければ決してできるものではございません。したがいまして、これまでに二十数回地元での説明会も行っておるわけでございます。さらに、今回の計画につきましては、当初の都市計画変更しまして、高架道路構想を土浦駅東学園線について行うわけでございまして、この都市計画変更につきましては、三月二十八日に県の都市計画地方審議会の議を経て、近日中、もう明日でございますが、告示される段取りになっております。事業の認可はまだされておりませんが、この計画変更につきまして、告示の後、事業化に当たりましては沿道の環境に十分配慮しながら推進に努めていく所存でございます。五十八年度は地元の協力を得て用地買収をしたいと思っております。  これは、厳密に言えば科学技術博覧会の関連の事業ではございませんが、この道路ができる、できないで観客の輸送につきましても大分影響が出てまいるかと思いますので、できる限り誠心誠意地元の御協力を得るための努力をいたしまして、事業も進めていきたいと考えております。
  149. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 科学博覧会への土浦からの観客の問題とすれば、これは非常に手おくれのような感じがしますし、土浦市をよくするためにはあれが一体どれだけのメリットがあるのかということについても、あの回答は余り納得のいく回答ではありませんでしたね。大変抽象的な回答だ。メリットについてもはっきりしない。  それから、二十回会合をしたと言うけれども、現地の人々に聞いてみると、そういう回数はなかったということで、それじゃいつ、どこで、どういう会合をやったかという記録を出してもらわなければ、二十回というものについては承知できない。少なくとも中曽根内閣総理大臣からの答弁としては、これは偽りじゃないのか、こういうことで地元の人が見て驚いていますね。もしそれが市から出たとすれば、市は大変住民を欺いていることになります。よく聞いてみると二回しかやっていないといいますね。丸を一つよけいにつけたんじゃないかと言われるぐらいになっております。個人個人の家を二十回訪問したというのならそれもわかるけれども、会合としてそういう会合はなかったようですね。  それから、予算というものがあるでしょう。一体どれくらいの予算でこれはやられますか。百三十二億で間に合うのですか。
  150. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 これは延長約三キロでございまして、標準幅員が地表部で二十五メーター、それからかさ上げ部分で八・七メーターということで、百三十二億という見積もりを立てております。こういった金で私どもはできるのではないかと考えております。
  151. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そうすると、それはいつまでに仕上がるという見通しでしょうか。
  152. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 地元の十分の御理解が早目に得られれば、これは開催時に間に合うという見込みでございますが、あと半年、一年御理解が得られないままですと、とうてい間に合わないというふうに考えております。
  153. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そうすると、反対するといよいよ強権を発動しますか。
  154. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 この種の事業につきましては、誠心誠意地元の御理解を得ながらやっていくのが筋でございまして、都市計画についてはことに住民参加の手続もございますし、私どもとしては、厳密な意味での科技博関連ではございませんので、強権を発動してまでやることについては現在のところ消極的でございます。
  155. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま答弁になりましたように、住民はずっと長くそこに営業を営んでいて商売を進めている。その商売ができなくなる店がたくさんあります。この際自分の店を畳んで別なところに行こうという者も中にはありますね。あるけれども、中心のところで仕事をしていた者たちはやはりこれに対して抵抗をしているし、これは保守とか革新とかじゃありません。そういうものじゃなくて、党派を超えてこの問題についてはいろいろと意見があります。  社会党の市会議員も当初は賛成という立場をとってきたけれども、いろいろ議論をする中で、その中においては、段階的には自分のやったことに対して十分でなかったし、現在のようなああいうやり方には協力はできないという立場にいまなっておるのです。したがって、市議会の中で共産党だけが反対をしているということではいまの段階はありません。ですから、これは市長にも話をして、無理をすると大変なことになりますよという話はしてあります。だから、これは科学博覧会に間に合わすということで急ぐことは決して住民のためにならないと思うし、将来の土浦市の発展ということを考えるならば、十分に住民の意見を聞きながらやっていくことが必要だろうと思う。  計画変更という話を私は第六項目でしたわけだけれどもこれはできない、備前川なり新川の土手の上なり、民家のないところにしたらいいじゃないかという提案をしたけれどもそれは無理だ、こういうことでありますけれども、いまの状態だとすれば、金をふやして防音装置なりいろいろなことに対して十分な手当てをしない限りは、とうていこの状況はいい方向に向かうとは思いません。そういう点についてはしっかり考えてほしいと思うのですけれども、これはいかがでしょうかね。
  156. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 考えられますことは、高架構造の道路でございますから、恐らく振動と騒音と日照の問題かと思います。したがいまして、そういった点につきましては、必要な環境基準が達成できるような配慮はしなければいけないと考えておりますし、また、そうでなければ御理解も得られるはずもございませんので、そういう面での対策に万全を期しながら、一刻も早く事業化できればいいというふうに考えております。
  157. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題は余り無理をなさらないように、ひとつ十分に住民との話し合いをされるように極力要望をしたいと思います。  次の問題に移りますが、国鉄、見えていますね。——国鉄東北線です。せっかく住民の長い要望を満たして、栗橋と野木の間に古河の高架ができました。片道、上りが開通をして、盛大な祝賀会をやったわけです。今度はやがて下りも高架になると思いますけれども、そうしますと、最近私のところに幾つかの連絡がありまして、高架になったところが今度は騒音が激しいというのです。この騒音、防音装置をしてくれないとどうにもこうにもしようがない、確かに便利になったことはありがたいけれども、また一つ新しい悩みが出てきたと、こういうことについて何か連絡があったでしょうか。
  158. 斎田登

    ○斎田説明員 国鉄の踏切課長の斎田でございます。  古河駅付近の高架につきましては、古河市の均衡ある発展と円滑な交通確保するために、茨城県知事との協定によりまして、古河駅付近約三キロメートルを高架化して、八カ所の踏切を除去するという都市計画事業でございます。当該区間の高架化は、コンクリート構造が主体でございますが、ロングレールの採用、防音壁の設置、重軌条化、そういう対策によりまして、周辺環境を悪化させないよう騒音の軽減に努力しております。  以上でございます。
  159. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 高架になったその騒音に対する防音壁をつくって、住民が安心できるように装置をしてもらいたいということを強く要望したいと思います。  続いて、同じ東北線でありますが、前に茨城で国体を開いたときに、中田地区ですね、栗橋と古河の間に、宿泊所をつくった。これを契機にして、そこに大きな集落といいますか、それができまして、それがふくらんで非常に通勤者がふえてまいりました。これは、栗橋に行くにも、また古河に向かうにも大変便利が悪い。そこで、市当局も挙げてこの際ここに、現状の国鉄の財政は容易ならざるものがあるにしても、あれだけの人々が活用するとすれば、ひとつ新駅をつくってもらいたい、こういう強い要求があります。そのことはお聞きになっていると思いますが、これらについて、いますぐということでもありませんけれども、とにかくできるだけ早い機会にと、こういう要求ですが、これはいかがでしょうか。
  160. 小澤敬三

    ○小澤説明員 お答え申し上げます。  御指摘の古河——栗橋間における駅の設置につきましては、五十六年二月に地元の方から御要望を承っておりますので、今後具体的にどうするかということにつきましては、当該地域の開発計画等の今後の進捗状況を見ながら勉強してまいりたいと考えております。
  161. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは古河市だけではなくて、隣の総和町の工業団地あるいは境の工業団地等々の多くの人々が活用されるので、ぜひここは検討してほしいということを要望いたしたいと思います。  続いて、常磐線でありますけれども、常磐線に関しては、先般我孫子から取手の間に、八年間、百二十八億円という膨大な金をかけて鉄橋ができまして、千代田線が入ってまいりました。ところが、これだけの努力をしたにもかかわらず、取手から先、土浦、石岡方面にはどうしても複々線ができない。先般、取手—水海道間を関東鉄道が複々線にするということでようやく手がけたことがあります。ところで、ここで問題になるのは、何と言ってもこの八郷町の柿岡にあるところの地磁気観測所の存在であります。  地磁気観測所は、大正三年に東京から柿岡に移っていったわけですが、それ以来同じ手法で地電流の観測をし、これを国際条約のもとでいろいろ活用しておられるわけでありますけれども、ついこの間も柿岡で、地元で懇談会をやると、農民の皆さんからも、くわを持って大きな音を立てては困る、こういうように警戒をされる、まして電車が、複々線が通るということは全く不可能だという形になっていて、この地磁気観測に対してはきわめて迷惑をしているということがすでに問題になっております。私は、委員会でもずいぶん取り上げてまいりましたが、その結果、地磁気観測所検討委員会というものができて、知事や地元の町村長や専門家が入って議論をしてきておりますが、それがいまどのように進捗をしているのか、その点について説明をしてもらいたい。
  162. 山崎道夫

    ○山崎説明員 御説明申し上げます。  先生指摘の地磁気観測所問題研究会、これは茨城県が設置されたものでございます。ですから、私どもからじかに申し上げにくい点もございますけれども、私ども気象庁といたしましては、地磁気観測所に関する問題ということで、観測部の中に昨年来地磁気観測所委員会というものを設けておりまして、部外の学識経験者の方の御意見も踏まえながら、技術的な検討を行っているところでございます。先ほどの茨城県が設置いたしました地磁気観測所問題研究会につきましても、先ほど御指摘ございました柿岡にございます地磁気観測所の所長及び観測部管理課長委員として積極的に参加しているという状況でございます。  なお、先生先ほど御指摘ございました農民の方々のくわ云々といったことにつきましては、実際問題として何ら影響ございませんで、私どもとしては差し支えないということでございます。
  163. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 茨城県に設けてはいるけれども、観測所の問題についての進捗の中で、ほぼ三月中ぐらいには結論が出るだろうと言われているものがいまだに出ていないと思いますけれども、その方向についてはどの程度進んできているのか、もう八割ぐらいまで整理されてきているのか、まだ議論中なのか、その辺はどうです。
  164. 山崎道夫

    ○山崎説明員 御説明申し上げます。  先ほどのようなことで、茨城県が設置したものでございますので、少々申し上げにくいといいますか立場が若干違うかとも思いますけれども、現在私たちの伺っているところでは、四月中に一つ方向を出すべく準備が進められているというふうに伺っております。
  165. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、地磁気観測所をつぶしてしまえとか壊してしまえというわけじゃないのですよ。あそこにあることが、つまりあの地域の運輸交通に非常に災いをし、地域の開発に影響をする、こういうことであります。だから、もう少し機能を整理をして、そうしてよりいいものにして内容をよくしていかなければならない。  というのは、前の増澤長官のときにこの委員会で問題にしたのは、地震の観測等においても、マグニチュード七以上でなければ観測ができないということをおっしゃっているんですね。マグニチュード七以上の地震というものは、これは大変な地震なんだ。これは建設省も来ているから、地震については注意をしていると思いますけれども、先般二月の二十七日ですか、あの四・五の地震のときに新幹線もとまったし、ずいぶんあちらこちらに被害が出ましたね。仙台の地震でも恐らく五ぐらいじゃないですか、あれは。だから、七以上でなければ観測ができないというような——もちろん地震観測が主たる任務じゃないからそれを求めることは無理かもしれません。  しかし、その問題も含めて、やはりもう少し機能のしっかりした観測をするようにしていかなければ、地球の中に起こっている電流の流れ、そういう普通の人々にはわからないところを観測するのですから、そういう点についてなお検討し、それ自体の機能の問題も含めた検討をする必要があるということで、きょうはそういう場所でもありませんから、これは科学技術委員会ぐらいでやるべきことだろうと思いますからこれ以上のことは申し上げません。何か不必要だから移して、壊してしまって、なくしてしまえ、こういう立場からの議論ではないことだけはひとつ改めてここで申し上げておきます。ですから、もっと新しい時代に沿って、それにたえ得るものにしてほしいということを言いたいわけですね。  次に、国鉄に関して。国鉄は取手から、あるいは東京から土浦まではダイヤについてかなりいろいろ研究をされて、特急についても土浦に幾つかとまるようになりました。それからまた、土浦どまりという電車も出るようになったことは大変いいことですけれども、最近、神立及びその方面の工業団地での強い要望としては、土浦から水戸の方へ行く場合には、勤労者や何かが乗りたいときにどうも電車が足りない。なるほどそういえばそうですね。朝の六時十四分、次が七時十三分ですね。その次が七時二十分、それから七時四十四分。これでは一時間に一本ということになる。その間にもう一本入れてもらいたい。七時台にはありますけれども。それから午後の方は十六時四十一分、十七時三十六分、十八時四分、十八時二十二分、こういうことですから、帰る時間と出る時間とはほぼ——この時間の回数は非常に少ない。この時間をもっと埋めてもらいたいという強い要求があるのは、これはごもっともだと思うのですね。  国鉄では、収入も入ることですから、列車を十五両にすることではなくて、列車は十五両でなくてもいいからもっと時間を縮めて人を乗せるようにすれば、別にマイカーで行かなくてもいいわけですからそれを使う人が多くなる、こういうふうに地元では言っております。ですから、国鉄はそこのところをひとつ研究してもらいたい、検討してもらいたい、いかがですか。
  166. 白川俊一

    ○白川説明員 お答えいたします。  お話にもありましたが、国鉄では、通勤通学輸送につきましては、沿線の人口あるいは御利用状況、それから輸送量がどうなっていくかといったようなこと等を勘案いたしましてダイヤの構成をつくっております。御指摘の常磐線につきましては、お話にもありましたように、特に私どもは、土浦以南と申しますか、上野—土浦間が大変混雑しておりまして、どうしてもこちらの方面に向けての輸送をまず第一義的に対策を立てざるを得ないということで、これにつきましてはいままでいろいろ検討をしてまいっております。  おっしゃるように、神立駅とか土浦以北といいますか、そちらの通勤につきましては、現在までのところ、確かに間隔の問題はございますが、それぞれの列車の込みぐあいと申しますか混雑度合いにつきましては、一〇〇から一五〇%ぐらいという状況でございます。したがいまして、大変問題は多いのでございますが、それでも土浦以南と比べれば比較的まだすいているという状況もございまして、今後の利用状況とか輸送量をよく検討いたしまして勉強してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  167. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題も、これは一つの提案でありますから、住民、利用者の声ですから、利用者の声というものはひとつ大事にしてもらいたいということです。私は仲間の諸君から、特にあそこの勤労者の諸君、工業団地がたくさんできましたから、そういう人たちの強い声でありますから、これはぜひ取り上げてほしい。  そこでもう一つ、科学博覧会に関連して問題を提起します。科学博覧会の人を運ぶのにどうしても駅が足りないということで、牛久駅と荒川沖駅の間に一つ新駅をつくる。その新駅は、名前は何と言うかまだわかりませんが、筑波研究学園の西大通りから真っすぐ入ってきたところ、そこに駅をつくる。その駅は、上野から博覧会に来る者を下車させることはするけれども、新しくそこで乗車をさせない。水戸の一つ前に偕楽園という梅の花を見るときだけおりる駅がありますけれども、ちょうどあれと同じようなものにする、そして博覧会が終わったら取り壊してしまう、もし必要であれば地元が金を出してこれを管理する、こういうのが藤沢水戸管理局長の話でした。これは現在でもそういう考え方になっておりますか。
  168. 小澤敬三

    ○小澤説明員 お答えいたします。  科学博の観客輸送対策としまして、牛久と荒川沖の間に臨時駅を設けるということにつきましては、現在科学博当局との間で工事の話を進めておりますけれども、その駅の使い方といいますか、お客さんをおろすだけで乗せないとか、そういうふうな話はまだはっきり決めておりません。
  169. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 使い方はまだ決めていないとおっしゃる。そうすると、この藤沢水戸管理局長の話は少し先走っている、こういうふうに理解をしていいですね。
  170. 小澤敬三

    ○小澤説明員 お答えします。  臨時乗降場という形でこの駅をつくろうとしておりますので、その例として、水戸の偕楽園のところにある駅のようなものであるというふうに管理局長は述べたのではないかと推測されますけれども……。
  171. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ここは駅の前に相当な広場をつくって、そこへバスを並べて、そこから科学博覧会の会場に送っていくという形になる。そうなるとそこは一つの町になるのです。市街地が形成される。そしてそれは六カ月間、ともかくそこでやるのですから、そうすると店舗もできるし、道路も舗装されますし、既存の町と同じような形になってくる。その駅が、博覧会が終わったから取ってしまう、そして後は地元で管理をしなさいというようなことでは、一体国鉄がどうなるかいま審議中でありますけれども、あそこは別につぶしてしまうわけでも何でもありませんから、そういう常磐線の中の駅を地元が管理をする、おかしなことになりますね。  国鉄は知りません、地元では残したい、こういうときに、それではどうしたらいいのか。別に払い下げをするわけでもないだろうし、ということになると、どの辺までが国鉄が管理をし、どの辺までが牛久なりその周辺の茎崎なり土浦が、あるいは隣の町村が金を出し合ってやれるかということについては、そういう場合どういうことになるのですか。必ずその問題は起きてきますよ。
  172. 小澤敬三

    ○小澤説明員 お答えします。  これは臨時乗降場ということでいま科学博御当局との間で進められておりまして、結局、その中では、科学博終了後直ちに駅を撤去するという条件のもとにこういうものをつくるということになっておりますので、その後どうするかということにつきましては、周辺の地域の開発状況等もいままだ全然見通しもありませんし、何ともお答えしかねるわけですけれども、いずれにしても、いまつくられている駅は、半年間お客さんを運ぶためにつくるという前提でつくっておりますので、それが終われば撤去されるものと考えております。
  173. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 まだいろいろ質問するあれだったけれども、別の委員会が採決に入っていますからこれで終わりますが、せっかくおいでいただきましたから、建設省の方にも、土浦の方のことについては余り無理をしないようにということとそれから国鉄に関しては、いま私から要望のあったことについてはぜひ検討もしていただきたいし、特に古河の問題については、早急に防音の問題を処理をしてほしい。それから地磁気観測所については、誤解のないように言いますが、地磁気観測所の機能というものをもう少し充実して、そして県とも相談しますが、しかるべき方法によって地域開発と矛盾しないようにしていかないと、地域からの声はかなり強いものがあるということだけは率直に申し上げておきたいと思います。  以上で終わります。どうもありがとうございました。      ────◇─────
  174. 北側義一

    北側委員長 この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、ただいま理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事草野威君を指名いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時九分散会