○
久本政府委員 お答え申し上げます。
まず、最近の
交通事故の
発生状況でございますが、御案内のとおり、
交通事故による
死者で申し上げますと、
昭和五十五年以降増勢にあるということが言えようと思います。特に五十七年におきましては、前年に比べて四・一%、三百五十四人
増加をして九千人の大台を再び超えたという
状況でございます。また、
事故一般、これは人身
事故でございますが、その発生件数は、
昭和五十三年以降増勢に転じて、ずっとふえっ放しでございます。そして
昭和五十七年におきましては五十万二千二百六十一件ということで、前年に比べて三・四%
増加をしておりまして、引き続き
増加傾向を保っておるということでございます。
御
指摘の、特に最近の二輪の
関係でございますが、これは五十七年の特に死亡
事故の特徴点の
一つとして申し上げることができようかと思いますので、そういう見地から申し上げますが、五十七年における死亡
事故の特徴点の
一つとしては、御
指摘のとおり、
自動二輪車及び
原付自転車の
事故による
死者が
増加をしておるということがございます。内容を申し上げますと、
昭和五十七年における
自動二輪車、これは排気量五十ccを超えるものでございますが、これの
乗車中の
死者数は千百五名、全
死者中の一二・二%でございまして、前年に比べて二百十名
増加をしておるという
状況でございます。また
原付自転車につきましては、これは五十cc以下でございますが、
乗車中の
死者が九百二十九名で、全
死者数における構成比が一〇・二%でございまして、前年比六十二名、七・二%の
増加ということでございます。
ただ、ここで若干御説明を補足いたしますと、
原付自転車乗車中の
死者数は、七月以降は各月とも減少あるいは横ばいという
状況でございまして、本年の三月末で見ますと、前年比十名、五・三%減少という数字になっております。
その他の五十七年の特徴といたしましては、簡潔に申し上げますが、
交通事故死者の
増加ということが、単なる特殊な地域だけではなくて、全国的に
増加をしているという
傾向にあるということは
一つ申し上げられようかと思います。
それからもう
一つは、これはどういう形態のというお尋ねでございましたが、交差点あるいはカーブといった個所での死亡
事故の
増加ということが目立っておるわけでございまして、ちなみに、交差点及びその付近で発生いたしました死亡
事故は三千五百四十七件でございまして、全死亡
事故の四一・二%に当たります。これは前年に比べて二百八件、六・二%
増加をしているという
傾向でございまして、カーブ地点の発生にも同様の
傾向が見られるという
状況でございます。
以上が
事故死の
傾向でございますが、どういう
対策をとったかという点につきまして、二輪の
関係につきましてしぼって
お答えを申し上げます。
御案内のとおり、二輪
事故につきましては、最近の
保有台数の
増加を背景に数がふえているというのが、確かに御
指摘のとおり目立った
傾向でございます。これに対しましては、特に
原動機付自転車の
免許取得の際に、
安全知識を十分に
保持して運転できるような
技能講習の機会をあらゆる新規
免許取得者に付与する、これはほとんど受講しているというような
状況で、一応実効のある
施策と言えるのではないかと思います。
それから年少二輪
免許取得者、これは
自動二輪でございますが、
実技試験がございますので、特に
技能講習ということの要がございません。しかし、若年者の二輪であるということの状態にかんがみまして、これに対しては、
免許取得者に対して特別
講習を行って、さらに
講習内容を付加して、安全に運転するということの態度、
知識を身につけてもらうということをいたしております。
これはいわゆる運転者の面から見たソフトの
関係でございますが、あわせて、二輪というようなものが最近において特に
車社会の中に大きな比重を占めるようになったということにかんがみますと、やはり
交通環境の
整備といったような面につきましても、二輪が
増加したということに対応する
施策があってしかるべきではないかというふうに
考えますので、従前に比べて
交通規制あるいは
指導取り締まりという面について、特に二輪というものに着目をしていくという
傾向を強めるように一線の警察には指示をいたしております。
そういうことの
一つのあらわれといたしまして、これは前年からすでに行われておることではございますが、たとえば九州におきまして、いわゆる
二輪車の点灯運動というようなことをいたしまして、二輪が車の流れの中でいかに確実に
認識できるかということの試みをしてみるといったようなこと、あるいは
二輪車が安全に通行できる環境
整備ということで、停止線の問題であるとかあるいは
レーンの問題であるとかいうことの中で、いわゆる混合
交通の中で、二輪というもののデメリットをなるべく表面化させないような形でこれを受け入れていこう、そういう
施策がやはり必要であろうというようなことを昨年は進めてきたところでございます。
指導取り締まり等につきましても、これは特に二輪、
原付といったようなものに着目をして、それに特に焦点をしぼったような街頭活動、これは
取り締まりだけじゃなくて
指導もでございますが、これをしなさいという
指導をいたしておりますので、これは数字の上で
一つの成果が上がっておるというふうに言えようかと思います。
以上、簡潔でございますが、こんなような
施策を新しいタイプの
交通に対応する方策としてとっておるというのが
現状でございます。とりあえず御報告いたしたいと思います。