運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-03-24 第98回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十四日(木曜日)     午後二時十二分開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 阿部 文男君 理事 浜野  剛君    理事 水平 豊彦君 理事 安田 貴六君    理事 竹内  猛君 理事 永井 孝信君    理事 草野  威君 理事 玉置 一弥君       浦野 烋興君    瓦   力君       北川 石松君    佐藤 守良君       志賀  節君    泰道 三八君       津島 雄二君    中西 啓介君       中村  靖君    野中 英二君       小川 国彦君    新盛 辰雄君       三浦  隆君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 長谷川 峻君  出席政府委員         運輸政務次官  関谷 勝嗣君         運輸大臣官房長 犬井 圭介君         運輸省船舶局長 野口  節君         運輸省船員局長 小野 維之君         運輸省港湾局長 松本 輝壽君         海上保安庁長官 永井  浩君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       田中  寿君         水産庁漁政部漁         業保険課長   木村 邦雄君         水産庁振興部沿         岸課長     入澤  肇君         海上保安庁警備         救難部長    森  孝顕君         海上保安庁警備         救難部参事官  中島 眞二君         海上保安庁警備         救難部海上公害         課長      伊美 克己君         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      鈴木 正明君         建設省道路局有         料道路課長   杉山 好信君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ───────────── 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   太田 誠一君     泰道 三八君   三枝 三郎君     津島 雄二君 同日  辞任         補欠選任   泰道 三八君     太田 誠一君   津島 雄二君     三枝 三郎君     ───────────── 三月十日  交通事故防止対策被害者救済措置に関する請願外三件(木村守男紹介)(第一四二一号)  同外二件(亀岡高夫君紹介)(第一四五二号)  同(佐藤守良紹介)(第一四五三号)  同(細田吉藏紹介)(第一四五四号)  同外一件(玉沢徳一郎紹介)(第一四八一号)  同(羽田孜紹介)(第一四八二号)  同(村岡兼造君紹介)(第一四八三号)  同(森下元晴君紹介)(第一四八四号)  交通事故防止安全施設整備促進及び身体障害者等安全輸送に関する請願外三件(木村守男紹介)(第一四二二号)  同外二件(亀岡高夫君紹介)(第一四五五号)  同(佐藤守良紹介)(第一四五六号)  同(細田吉藏紹介)(第一四五七号)  同外一件(玉沢徳一郎紹介)(第一四八五号)  同(羽田孜紹介)(第一四八六号)  同(村岡兼造君紹介)(第一四八七号)  同(森下元晴君紹介)(第一四八八号) 同月十六日  交通事故防止対策被害者救済措置に関する請願石井一紹介)(第一五〇七号)  同(田原隆紹介)(第一五〇八号)  同(水平豊彦紹介)(第一五〇九号)  同外三件(野中英二紹介)(第一五五四号)  同外六件(箕輪登紹介)(第一五五五号)  同(鳩山邦夫紹介)(第一六三〇号)  同(木村俊夫紹介)(第一六六三号)  交通事故防止安全施設整備促進及び身体障害者等安全輸送に関する請願石井一紹介)(第一五一〇号)  同(田原隆紹介)(第一五一一号)  同(水平豊彦紹介)(第一五一二号)  同外三件(野中英二紹介)(第一五五六号)  同外六件(箕輪登紹介)(第一五五七号)  同(鳩山邦夫紹介)(第一六三一号)  同(木村俊夫紹介)(第一六六四号)  自動二輪車等事故防止対策に関する請願永井孝信紹介)(第一六六二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  海上衝突予防法の一部を改正する法律案内閣提出第三一号)      ────◇─────
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  海上衝突予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浦野烋興君
  3. 浦野烋興

    浦野委員 先日、本法案につきまして勉強というような意味合いから、東京湾巡視船をもって御案内をいただいて、大変参考にさせていただいたわけでありますが、そうした経験を踏まえて、本法案につきまして私なりに感じておりますところを、大臣並びに関係省庁お尋ねを申し上げたいと存じます。  今回のこの海上衝突予防法の一部を改正する法律案でございますが、この法改正国際規則改正に伴って行われるものでありますが、昭和五十二年、旧海上衝突予防法を全面改正し、現行法を制定してからまだわずかの期間しかたっていないわけでございますけれども、こうした改正が今回必要とされるに至った経緯あるいは背景、こうしたところをまず運輸大臣お答えをいただければと思います。
  4. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 御案内のように、そう長い期間なかったにかかわらず、改正ということでございますが、これはおっしゃるとおり国際的な規則でございますが、国際海事機関では、これを制定した後で、またいままで全然予見しなかったことが幾らでも出てきまして、そういう意味からいうと、運用上どうしても都合が悪いということと、それから最近は小型船が非常にふえたということから検討を続けた結果、八一年の十一月に国際規則の一部改正案が採択されまして、本年六月から発効するということでございますから、このために、私の方といたしましても、海上衝突予防法の一部を改正しよう、そして皆様方に御審議をお願いする、こういうことでございます。
  5. 浦野烋興

    浦野委員 ただいま御答弁いただきましたが、今回の改正国際規則根拠にいたしておるわけでございますけれども、千九百七十二年の国際規則改正審議に当たって、公海上は別といたしましても、各国の港、それはそれぞれ地形上異なるところであり、各国事情等もあったと私は思うわけでございますが、そうしたことにつきまして、日本としてはどのような対応といいますか意見を述べたか、この辺につきましてはいかがなものでございましょうか。
  6. 永井浩

    永井政府委員 ただいまの御趣旨のように、千九百七十二年の国際規則改正政府間海事協議機関、現在のIMO、当時IMCOと申しましたが、その機関の総会において議せられたわけでありますが、わが国は、この規則改正に対して賛成いたしております。  この改正の理由は、先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、小型船舶交通増加等が主な原因でございますが、その点につきましてはわが国も同様でございまして、衝突予防の見地から改正は必要である、このような立場に立って賛成したわけでございます。なお、このような日本政府の態度の決定に際しましては、国内関係者等意見を十分聴取して、これを尊重して賛成いたしました。
  7. 浦野烋興

    浦野委員 ただいま長官答弁の中にもあるいは冒頭の運輸大臣答弁の中にもあったわけでありますが、小型船がきわめて多く運航するようになっておる。この法改正は、主として小型動力船の表示すべき灯火——私も東京湾を見学いたしました折に船の中で、初めてでありましたが、灯火並びに形象物の備えられてあるのを拝見いたしたわけでございますけれども、こうした灯火あるいは形象物緩和措置中心になっているわけでございます。特に、小型船がきわめて多くなったということにおきまして、これの緩和をすることによって航行安全性が果たして確保できるのか、その点につきまして御質問を申し上げたいと思います。
  8. 永井浩

    永井政府委員 今回の小型船灯火及び形象物の表示の緩和でございますが、主としてこれまでは七メートル未満小型船について緩和措置が認められたわけでございますが、今回の改正で、これを十二メートル未満小型船にまで拡張しよう、こういうことでございます。この範囲の船は、総トン数で申し上げますと五トンから十トン程度の船でございまして、従来の規定によります灯火形象物では、船の大きさ、構造電気設備の点から、七メートル未満小型船に類似したいろんな制約があるので、むしろ小型船並みに扱った方がいいんではないか、こういうことでございます。また、従来の規則の七メートル未満船舶措置しておりました灯火形象物で安全上十分に有効である、こういう結果が出ておりますので、世界各国においても安全上問題がないということで緩和措置を拡大したわけでございます。  帆船についても、従来の十二メートル未満緩和措置を二十メートル未満まで拡張するというのも同様でございます。  なお、わが国船舶交通のふくそうしております東京湾とかあるいは港内等は、この衝突予防法特別法でございます海上交通安全法とか港則法によって特別な規制がなされておりまして、先ほどの小型船につきましても、運転不自由船とか操縦性能制限船につきましては緩和を認めないということでございますので、この点について安全上問題がない、このように考えております。
  9. 浦野烋興

    浦野委員 私は資料をちょうだいしておりまして、その中で一つ、これは全く愚問といいますか素人じみた質問になるかもしれませんけれども航法についてであります。  多くなった小型船が遵守すべき航法についての緩和、これは第十条第四項関係ということでありますが、これには「沿岸通航帯分離通航帯に隣接して沿岸側に設けられた沿岸交通用の水域)は、通過通航船は原則として航行できないこととなっていたが、大型商船等通航の妨げとなるおそれのある長さ二十メートル未満動力船及び帆船は、通過通航船であっても、沿岸通航帯航行できることとする。」こうした説明役所の方からもいただいた記憶があるのです。  ここで図面を見ておるわけでございますが、この沿岸通航帯、ここに二十メートル未満動力船あるいは帆船航行できると緩和されておるわけでございますが、沿岸近くをこうした数多くの帆船が、従来定められておりましたいわゆる通過通航路を外れて通航ができるという改正といいますか緩和措置になっておるわけであります。ここら辺のところは、小型船でありますから、水深というのか水面から船底までは大変浅いので、さして影響はないのかもしれませんけれども、こうした帆船が従来よりも沿岸まで近づいて運航するということにつきまして、事故といいますか危険性というものは考えられない、まあ大丈夫だというお考えでしょうか。
  10. 永井浩

    永井政府委員 分離通航方式をとっておる航路におきましても、必ずしも沿岸通航帯というのがすべて設けられているわけではございません。やはり沿岸通航帯としての十分な余裕のある分離通航地域においてのみ沿岸通航帯を設けておるわけでございますので、そういう地区においては小型船帆船等十分安全に航行できるもの、このように考えております。  現行規制でございますと、分離通航帯の中で大小、スピードの違う船が同時に航行するという形でございますが、むしろそういうふうに分けた方が、船舶交通の能率の向上あるいは安全の上でプラスになるということで、このような改正が行われたわけでございます。
  11. 浦野烋興

    浦野委員 今回の法改正でございますけれども関係方面に対しての影響というものもそれなりに当然大きいものであろうと私は思っております。こうした国際規則改正される、それに対応する形で国内法改正するという経緯もあるわけでございます。  先ほどの質問でも申し上げたわが国立場というものをそれなりに主張されておるわけですけれども、その根拠となるものはわが国関係機関の姿勢、考えというものを当然踏まえておられるはずであろうと思っております。そうした面につきまして、協議あるいは調整をどのように行われたか。これは漁連であるとか船主協会等々の関係機関であろうと思うのですけれども、その辺のことにつきまして伺いたい。
  12. 永井浩

    永井政府委員 本法律案の作成に当たりましては、社団法人日本海難防止協会の中に国際海上衝突予防規則調査研究委員会というのを設けまして、ここで学識経験者海運関係者漁業関係者等構成によりまして、検討していただいたということでございます。この検討結果を踏まえて本法律案を作成したわけでございます。  またさらに、最終的な段階におきましては、運輸大臣公的諮問機関でございます海上安全船員教育審議会、これはやはり学識経験者海事関係者漁業関係者の方々が構成員となっておられますが、その審議会に諮問し、御賛同を得ているわけでございます。したがって、関係者の意向は十分に反映されているもの、このように考えております。
  13. 浦野烋興

    浦野委員 関係者の意思は十分尊重し、また関係機関もこれに賛同しておる、こういう御答弁であったわけでありますが、さすれば、これからは運用の面について周知徹底を図っていかなければならないわけであります。そうした面につきまして、本法案は六月一日施行となりますと、あと二カ月余りということであります。このことはたびたび申し上げておるように、巡視船で視察、見学をさせていただいたその中でも、一緒に参りました各党の議員各位の中で出ておったことでございますけれども、この辺につきましてどのような施策あるいは考えで進めておられるか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  14. 永井浩

    永井政府委員 海上衝突予防法は海の基本ルールでございますので、これの改正内容については十分関係者周知徹底する必要があると考えております。理想的には、なるたけ長い期間かけて周知期間を確保することが望ましいわけでございますが、御指摘のように六月一日が国際規則発効日でございますので、限られた時間内に重点的かつ強力にPRを行いたい、このように考えております。  具体的には、ポスター、リーフレット等を作成し、関係者に配付するほか、私ども毎年春と秋に海上交通安全運動をやっておりますが、本年春の海上交通安全運動、これは四月十九日から五月八日まででございますが、この期間講習会あるいは訪船指導等を利用いたしまして集中的にPRをやっていきたい、このように考えております。
  15. 浦野烋興

    浦野委員 国際規則ということでありますから、これは当然、わが国船舶が海外へ行きましても、船長なり船に乗っている人たちが十分これを熟知していなければ事故につながるという大変重要なものであろうと思います。船底一枚下は地獄だというようなことも言われるわけでございますから、短い時間でありますけれども、ひとつ役所を通じまして、関係機関に十分徹底した周知を図っていただきたいと心からお願いを申し上げるわけであります。  あと一問でありますが、本法律案はこれから審議されるわけですけれども改正されたこの法律案運用に当たって、最後に一言、大臣から決意のほどと申しますかお考えを拝聴して、私の質問を終わりたいと思います。
  16. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 日本は海の国でありますし、それからもう一つ日本国際条約というのをよくまじめに守る国民だという評価を得ているわけであります。ですから、短い期間でありますが、皆さん方の御審議を得た暁には、この法律案については関係機関、また海のことでありますから、日本国民全体に海をさらにPRする意味においても十二分にひとつ周知徹底させて、将来事故などのないような形に、そして法律が正しく運営されることが日本国国民的利益にも合い、国際協調にもなる、こういう形で懸命に努力させたい、こう思っております。
  17. 浦野烋興

    浦野委員 ありがとうございました。
  18. 北側義一

    北側委員長 次に、草野威君。
  19. 草野威

    草野委員 私も、先日、東京湾の湾上におきまして、現物を見ながらいろいろと御説明をいただいたわけでございまして、大変参考にさせていただいたわけでございます。本日は、それを踏まえまして、二、三点質問をさせていただきたいと思います。  最近における世界的な海洋レクリエーション普及また伸展、こういうものに伴いまして、先ほど大臣からもお話がございましたように、小型船舶増加というものは非常に著しい。いわゆるプレジャーボートヨット、こういうものが非常に増加しているわけでございますけれども、こういう中で、千九百七十二年の国際規則改正審議の場におきまして、海上交通の中におきますこのような小型船舶の位置づけはどのようになされているか、こういう点が一つ。  それからもう一点は、国際会議におきます小型船舶をめぐるさまざまな論議がございますが、今回の海上衝突予防法改正の中でどのようにそういう問題が反映されているか。初めに、この二点についてお尋ねをいたします。
  20. 永井浩

    永井政府委員 プレジャーボート中心といたします小型船につきましては、現行千九百七十二年規則においても、その運航形態構造特殊性等にかんがみまして、たとえば狭い水道等においては他の船船の通行を妨げてはならない、あるいは一定の小型船につきましては灯火形象物について緩和措置をとってございます。  今回の改正につきましては、従来、たとえば小型船につきましては、七メートル未満の船に講じておりました緩和措置安全性有効性が確認されましたので、これをさらに十二メートルまで広げるといったような措置をとっておるわけでございます。この新しい国際規則改正に当たりましては、IMCO海上安全委員会航行安全小委員会において議論されまして、各国から小型船についてのいろいろな提案が行われております。  一般的には、小型船灯火形象物緩和措置でございまして、小型船増加傾向を踏まえて、小型船特殊性構造とか電気設備とかそういったものの特殊性から、他の大型船と同じような義務を課することは無理である、従来、七メートル未満の船に措置しておりました灯火形象物で安全上十分有効である、こういうことで、先ほど申し上げましたように、この範囲を拡大したわけでございます。  帆船につきましても、十二メートル未満帆船は従来緩和措置がございましたが、これを二十メートル未満まで広げる、こういうことで、各国全会一致でこの国際規則が決議されたわけでございます。
  21. 草野威

    草野委員 次に、いわゆるプレジャーボート海難防止対策という問題でございます。  近年、海難全体は確実に減っている傾向にあろうかと思います。そういう中で、モーターボートだとかヨットだとか、いわゆるプレジャーボートですね、こういう関係海難が若干増加傾向にあろうかと思います。国民的な健康なレジャー、こういうものの発展を図る上から、プレジャーボート海難防止対策についてはやはりこれからも力を入れていかなければならないと思いますが、今回海上衝突予防法審議されているわけでございますが、この改正の中で、プレジャーボートが大きな部分を占める小型船の中で、表示しなければならない灯火だとか形象物、こういうものの規制をどちらかというと緩和する、こういうような方向にあるわけですね。そういうふうに見ますと、これはプレージャーボートへの安全対策の強化ということについては逆行するのじゃないか、こういう考えもあるわけでございますけれども、この点はいかがでしょうか。
  22. 永井浩

    永井政府委員 一般的に、緩和という形になっておりますが、千九百七十二年の国際規則内容構造的あるいは設備的に若干無理があったのではないかということと、従来の小型船がつけておりました灯火形象物安全性有効性が確認されたということで、法の義務づけを守らせるという意味で、大型船よりは緩和されておりますが、むしろ徹底してそういうものをつけさせるということの方が安全上プラスではないか、このように考えておるわけでございます。
  23. 草野威

    草野委員 いまの問題に関連するわけでございますが、このようなレジャー活発化を反映いたしまして、モーターボートだとかヨットまた遊漁船、こういうものが最近は飛躍的にふえてきているようでございますが、われわれはどうもこの実数についてなかなかつかみがたいわけでございます。きょうは船舶局長さんもお見えのようでございますので、現在わが国にはどのくらいのプレジャーボート種類別にあるのか、そういうことをまず伺いたいと思います。
  24. 野口節

    野口政府委員 私ども関係団体統計でございますので、私から御説明をさせていただきます。  プレジャーボートと申しますのは、普通モーターボートヨット遊漁船、そういうものを総称して言っているわけでございますけれども、これらの船舶のほとんどが十二メートル未満小型船舶で、これは小型船舶検査機構というところで検査をしておりまして、その統計がございますので、御説明させていただきたいと思います。  昭和五十六年三月三十一日現在でございますが、モーターボートが約六万五千八百隻、ヨットが五千二百隻、遊漁船が十五万九千二百隻ということで、合計で約二十三万隻ございます。もちろん、これには手こぎボートとかエンジンのついてない小さなヨットというようなものは含まれておりません。
  25. 草野威

    草野委員 そうしますと、いまお話しになった二十三万何がしの数字でございますけれども、こういうプレジャーボート海難事故というものが多くなっておりますし、また、そういうことが一面で社会問題にもなっておりますけれども、こういうプレジャーボート海難事故は最近どのくらいありますか。また、その事故原因だとか、あわせてその海難防止対策をどのように行っているか。この辺のところをひとつまとめてお答えをいただきたいと思います。
  26. 永井浩

    永井政府委員 いわゆるプレジャーボートと言われるものの海難事故の件数でございますが、五十七年には四百八十一隻でございます。これに伴って六十一名が死亡または行方不明となっております。種類別に見ますと、モーターボートが百六十七隻、ヨットが百十四隻、その他のボートが三十四隻、その他の船が百六十六隻となっております。  この海難発生状況原因別に見ますと、気象・海象に対する不注意あるいは操船の不適切、見張り不十分といったような運航上の誤りが二百七十九隻で五八%、それから機関取り扱い不良が九十隻で一八・七%、この二つがいわゆる人為的な事故になろうかと思います。そのほかに不可抗力等事故があるわけでございます。  御指摘のように、日本海難漸減傾向にございますが、プレジャーボート関係だけは、隻数の増加もありまして、漸増の傾向にあるわけでございます。海上保安庁としては、こういったプレジャーボート安全対策につきましては、春秋に行います海上交通安全運動期間中に重点項目として挙げるとか、あるいは機会あるごとに訪船指導を行って安全対策普及させておりますが、また、プレジャーボートでは特に関係者相互の自主的な安全活動というものが必要であろう、このように考えまして、海上保安庁の指導によりまして、地域ごと小型船交通安全協会等の設立を指導いたしております。現在、全国で百八十五団体ほどで会員が一万五千人、こういったような状況にございます。これらの団体を通じてさらに安全思想普及に努めてまいりたい、このように考えております。
  27. 草野威

    草野委員 大蔵省の方にお伺いをしたいと思いますが、いま海上保安庁長官からお話がありましたように、五十七年では四百八十一隻の海難が発生している、こういう御説明でございました。このような海難事故による被害者に対する損害賠償の問題、こういうことも最近一つの社会問題として出てきているようでございます。先ほど、二十三万何がしのプレジャーボートがあるということでございます。事故についてもさまざまな形態があろうかと思いますけれども事故が発生した場合、その被害者に対する損害保険の実態、こういうものにつきまして若干お尋ねをしたいわけでございます。  たとえば付保されている隻数、それから担保の内容、それから保険請求事故状況、こういうものが現在どのようになっているか、お尋ねさせていただきたいと思います。
  28. 田中寿

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  船舶に関しますいわゆる賠償保険でございますが、民間損保会社で出しておりますのは、船舶保険で船主責任担保特約をつける場合とか、それからいま先生御指摘プレジャーボートに関しましてはヨットモーターボート総合保険、それから旅客のいわば人命の死傷に対する損害賠償につきましては、船客傷害賠償責任保険というのがあるわけでございます。  これの利用状況でございますが、船客傷害賠償責任保険に関しましては、若干古い数字で恐縮でございますが、五十五年度は加入隻数が約五千四百でございます。これに対します保険金の支払い件数、これが約百六十件でございます。それからヨットモーターボート総合保険でございますが、これは契約件数は約一万件でございます。これに対しまして、保険金の支払い件数は約二千六百件でございます。  以上でございます。
  29. 草野威

    草野委員 ただいまも御説明いただいたわけでございますが、この中で、きょう特に遊漁船、釣り船ですね、この問題について私は若干お尋ねしたいと思います。  先ほど長官の方から、五十七年は四百八十一隻の海難発生があった、こういう数字をお示しになられたわけでございますが、このうち遊漁船関係ではどのくらいの海難があったか、お伺いをしたいと思います。
  30. 永井浩

    永井政府委員 四百八十一隻のうち遊漁船は百五十二隻でございます。
  31. 草野威

    草野委員 死亡事故はどのくらいでしょうか。
  32. 永井浩

    永井政府委員 いま手元に数字がございませんので、後ほど御報告させていただきます。
  33. 草野威

    草野委員 全体では四百八十一件の海難に対しまして、五十七年度は六十一人の方が死亡されている。このうち遊漁船関係がどのくらいかわかりませんけれども、この六十一名に対する損害賠償の実態というのは現在どのようになっておりますか。これはどこでお答えいただけますか。
  34. 田中寿

    ○田中説明員 遊漁船に関します損害保険ということになりますと、先ほど申し上げました保険の中で船客傷害賠償責任保険を利用されているのがほとんどでございます。先ほど、五十五年度約五千四百隻の加入隻数と申し上げましたが、このうち遊漁船に該当いたしますのは約二千四百件でございます。支払い件数、先ほど百六十件と申し上げましたが、これはやや推定がまじる数字でございますが、このうち遊漁船に係るものは約三十件だというふうに思っております。
  35. 草野威

    草野委員 続いて、水産庁の方にお伺いをしたいと思いますが、水産庁の方の関係で略称全水共というのがございますが、ここの関係の共済保険に加入している隻数は遊漁船でどのくらいございますか。
  36. 木村邦雄

    木村説明員 お答えいたします。  五十七年度は、まだ二月末現在でございますので、五十六年度で申しますと、加入件数は千四百三十件。それから被共済者でございますが、被共済者は三万九百五十二名でございます。共済金の支払いは四千九百万円、事故件数は三十六件ということになっております。
  37. 草野威

    草野委員 これは大臣いらっしゃいますので、質問通告はしておりませんけれども、もしできたらお答えをいただきたいと思いますが、いまそれぞれ御説明ございましたように、大蔵省の方の関係のいわゆる損保会社、この方の任意保険に入っている遊漁船の数、これは約二千四百。それから水産庁の関係の全水共の方の共済保険に入っている隻数が千四百三十、合わせますと三千八百四十四になるわけですね。プレジャーボートの中で遊漁船の数というのが、先ほどの御説明によりますと十五万九千何がし、こういうようなことですね。現在約十六万近い遊漁船があるわけでございますけれども、そのうち保険に入っているのはわずか三千八百しかない。パーセントにしますと恐らく二%台だと思いますね。非常に少ないわけです。一方、事故の方はどうかといいますと、昨年一年間だけでも四百八十一隻の海難事故が発生しておる。しかもそれが年々増加を続けている、こういう状況なんですね。  遊漁船といいますと、お客さんを乗せて釣りに行くわけでございますし、その釣り客というのが、現在何か全国で千六、七百万人もいらっしゃるということで、ますますこれの利用がふえていくことが予想されるわけです。しかも事故も年々ふえている。一たん二十人乗り、三十人乗りの釣り船が何かのことで事故を起こして、もし全員が死亡なんということになれば、これは二、三十人の人が一遍に亡くなってしまう。普通の船宿では恐らく補償なんかできないと思うのですね。そういう問題になりますと、これまた大変な社会問題になってくる。営業用のそういう釣り船に対して、補償能力もないような状態で放置しておいていいのかどうか、こんなふうに私考えたわけでございます。そういうことで、この際、保険に加入させるというような何らかの方法を考えなければならないんじゃないかな、こういうことを思うのですね。  たとえば海上運送法の第十九条の二だと思いますけれども、一般旅客定期航路事業というものがございまして、これは五トン以上十三人以上の船が対象になっているようでございますけれども、このような船、航路事業に対しては、大臣が命令することによって強制的に任意保険に加入させる、こういうような制度になっておるようでございます。一方ではこういうような制度があって、今度、遊漁船の問題については何か似たようなことをこれから検討に入ってもいいんじゃないかなという気がしてならないわけでございますけれども、もし大臣の方からこの問題について御答弁をいただけましたら、お願いをしたいと思います。
  38. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 プレジャーレジャーというものは金をかけたほどおもしろいですね。ですから、前は天竜川の川下りあるいは潮来のこも船ですか、そういうふうな優雅なものもございましたが、最近は、遊漁船といって荒い海をやるわけですよ。天竜の場合でも、数年前に事故が起こりました。そこで、その際には、やはり救命道具をいつでもつけるというふうな指導を運輸委員会で発言し、それをまた取り上げてもらったことがあります。  私は、最近運輸省に入って見ておりますと、いそ釣りの諸君が遭難をする、そうすると、天気のいいときはテレビにぱあっと映るわけです。岩にしがみついている、すばらしいきれいなヤッケをきた諸君が助かることがわかる。上の方から海上保安庁のヘリコプターが行く、下の方から巡視艇が行く。これは一つの絵です。助かる諸君はいいけれども、このために苦労する役所の諸君、またその間に亡くなった人のことを思うと大変なことだ、こう思っておるわけでして、保険などはやはりかけてもらうこと、そしてまた、そういう指導というものは必要なことだと思います。  同時に、私は、いろいろな形において海に親しむ、そういう思想というものもまたいいのじゃないかと思いますから、保険をかけながらそういうプレジャーを、レジャーを楽しんでもらうというふうに、こういう話が出た機会に、また足りないものがあるならば補ってまいりたい、こう思っております。
  39. 草野威

    草野委員 この保険加入の問題については、大臣も非常に前向きなお考えのようでございますけれども一つ問題は、この遊漁船の数が、先ほどのお話では約十六万隻ある。非常に膨大な数になっているわけですね。この遊漁船について、これは現在運輸省が掌握されていらっしゃるのですか。
  40. 永井浩

    永井政府委員 お答え申し上げます。  遊漁船の中で、ある程度の大きさのものは船舶として運輸省が統計をとっておりますし、小さなものは小型船舶検査機構検査の対象として握っております。また、漁船と兼業の場合には水産庁の方でそれぞれ把握しておると思います。全般的に遊漁そのものについて、特にいわゆる事業監督法規というものは現在ございません。
  41. 草野威

    草野委員 せっかく大臣から前向きの答弁をいただいたのですけれども、いまのお話のように、運輸省でつかんでいるのは、どちらかというと検査、登録の関係でつかんでいる。しかし、たとえば保険の話など具体的になってまいりますと、そこら辺の指導とかということになってくると、どうも運輸省の管轄ではなさそうになってきますけれども、先ほどのような問題をこれから進めていくには、どのようにしたらいいでしょうか。
  42. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 私は、水産庁の方からも保険の問題については相談を受けているような話も聞いておりますから、こういう国会での議論をきっかけにいたしまして、これを推進していきたい、こう思っております。
  43. 草野威

    草野委員 では水産庁にお尋ねしたいと思いますけれども、いままでこのようないろいろなやりとりがあって、大体おわかりになったと思いますけれども、やはり遊漁船の保険の加入率は大変低い、これは事実だと思うのです。その原因は一体どこにあるのだろうか。また保険加入を高める、そういうような方策は何か考えられないものか、こんなことも感じるわけでございますが、まずこの点についてお尋ねをいたします。
  44. 入澤肇

    ○入澤説明員 ただいま御指摘がありましたとおり、釣り人が私ども統計で約二千万人、非常に不特定多数の方でございますが、この方々に具体的な指導をするということはなかなかむずかしい事情にございます。そこで、この釣り人の大部分は釣り船を利用して釣りを楽しむという実態に着目いたしまして、現在釣り船業者を届け出制にして、そして釣り船業者を通じて釣り人に対して、安全対策だとかあるいは漁業関係法令だとかあるいは漁場保全対策だとかマナーとか、そういうものを周知徹底させたらどうかということで、いま関係省庁法律にするかどうか、いろいろ検討しております。  この法律ができますと、釣り船業者の実態が把握されますから、その把握された段階で、今度は保険に必要な保険設計ですね、大数の法則にかなうとかあるいは付加保険料、基準保険料をどのぐらいにするかとか、そういう計算上の問題も出てきますから、そういうことを十分踏まえた上で、強制保険制度の是非について、先生御指摘のとおり検討してまいりたいと思っております。
  45. 草野威

    草野委員 水産庁の方では、この遊漁船は現在大体どの程度あるか把握なさっておりますか。
  46. 入澤肇

    ○入澤説明員 私どものところで把握しておりますのは、第六次漁業センサスでございますが、釣り船の隻数は四万一千七百七十一隻で、うち動力漁船を使っておりますのが三万六千六百八十八隻ということになっております。
  47. 草野威

    草野委員 先ほどの運輸省の説明ですと、ともかく全体で約十六万近くある。水産庁の方では四万二千ということで、計算の基礎がどのようになっているのかわかりませんけれども、かなり食い違いがあるわけですね。ここら辺のところも今後ひとついろいろ詰めていってもらいたいと思います。  いまの水産庁の沿岸課長さんのお話によりますと、間もなくこの遊漁船については届け出制にしたいということで、いま法案の準備中であるというようなお話でございました。それが整備されますと、全体の数も正確に把握されるわけでございますし、いろいろとまた指導監督もなされると思いますが、そういう中で、きょういままで議論がありました保険の加入という問題ですが、私は非常に重要な問題になってくると思います。  そこで、最後にお尋ねしたいのですが、遊漁船に対する保険について、これは現状は二%台の加入ということで非常に低いわけでございますが、将来は強制加入制度、こういうものを考えたらいかがかな、このように私も考えるわけでございますけれども、そういう線で検討をしてみる考えはあるかないか、お尋ねいたします。
  48. 入澤肇

    ○入澤説明員 釣り船業者の実態とかあるいはその釣り人の行為態様、そういうものを十分把握した上で、その是非について検討してまいりたいと思っております。
  49. 草野威

    草野委員 大蔵省お尋ねしますが、水産庁ではそのような考えでございますけれども、こういう考え方がもう少し具体化した段階では、大蔵省はこの保険加入の問題についてどのように考えておられますか。
  50. 田中寿

    ○田中説明員 保険は、原則どのような保険内容を設定するかというのは任意、自由でございますが、自動車損害賠償責任を初め法律に基づく強制保険から、あるいは行政指導に基づく事実上の付保強制されているもの、いろいろタイプはあろうかと思いますが、こういういわば強制的保険、これを強制化するということにつきましては、まず関係当局の、そういう意味での公共性があるかどうかという御判断が先行すると思います。その上で何らかの形の強制化に踏み切るということでございますならば、所掌される関係当局、それから保険契約の利用者、こういう形のコンセンサスが得られるということでございますれば、私ども民間損保会社を監督する立場、あるいは損保会社を交え、保険設計、料率その他につきまして検討を進めたい、こういうふうに考えております。
  51. 草野威

    草野委員 先ほど、私は海上運送法の例を引きまして、あのような旅客船の場合、やはり人命尊重、人命を守る、また被害者に対する賠償の責任、こういう問題から、大臣が命ずることができる、こういうようなことになっておろうかと思うのです。  いまも大蔵省からお話しございましたけれども、やはりこの保険につきましても、たとえば陸上の自賠責のような形もございましょうし、また損保会社の任意保険という形もあるでしょうし、さらにまた全水共が行っている共済保険、いろいろな形があろうかと思いますが、この問題につきましてはこれからも十分に検討していただきたいと思います。  水産庁は、これから強制加入の是非について検討してくださるということでございますので、法案が成立した後で結構でございますので、どうかひとつ、この問題につきまして、後日文書で資料という形で出していただきたい、このことをお願いいたしまして、質問を終わります。
  52. 北側義一

    北側委員長 次に、新盛辰雄君。
  53. 新盛辰雄

    ○新盛委員 海上衝突予防法の一部を改正する法律案審議する中で若干の御質問を申し上げたいと存じます。  このたびのIMCOにおける千九百七十二年の国際規則改正審議の際、世界的に有数な漁業国であるわが国の場合、現在置かれております実態、いわゆる漁業の面から見たこういう国際規則改正という議論をされる場合、わが国の漁業者の代表が行かれていろいろと議論をされてきたのか、またその改正内容について意見が反映されたのか、それをまずお聞かせをいただきたいと思います。
  54. 永井浩

    永井政府委員 国際規則改正審議に際しましては、並行的に社団法人日本海難防止協会学識経験者漁業関係者海運関係者等から成ります調査研究委員会を設けまして、ここで検討した結果を踏まえまして国際会議に臨んでいるわけでございます。したがって、その段階ですでに漁業関係者意見は十分反映されていると考えております。  また、法律改正案の作成に当たりましても同様に、日本海難防止協会の委員会検討をお願いしておりますし、最終段階におきましては、運輸大臣の諮問機関であります海上安全船員教育審議会にも御諮問申し上げております。この構成員はやはり学識経験者海事関係者漁業関係者等から成っておるわけでございまして、御賛同を得ている次第でございます。したがって、漁業関係者の意向は十分に反映されているものと私ども考えております。
  55. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今回の改正というのは、小型動力船等の表示すべき灯火あるいは形象物緩和措置、錨泊中の漁労船の音響信号、こういう特例を含めて漁業操業に直接関係する項目が中心になっているものですから、漁業関係者の理解を十分深めるように改正作業、手続も行ったということなんですが、そうした中で、先ほどもちょっと議論があったようですが、これからいろいろな問題が出てくるわけです。  そこで、この周知徹底をどういうふうに図るかという問題もさることながら、現在、分離通航方式わが国では設定されていないわけです。この通航方式は漁業操業に多大な影響があるので、きわめて重大な関心を持たざるを得ないわけでありますが、五十二年の段階で、漁業界に対しまして、この分離通航方式を設定することについて審議なりあるいは調査なりいろいろあった模様でありますが、その際は時期尚早といいますか、ある意味では漁業界の方から反対も出て、結局そのままになっているということでございますので、この分離通航方式の設定という部分に限ってこれからどういうふうにされるつもりか。わが国の周辺海域における問題ですから、そのことをどういうふうにされるかをお聞かせいただきたい。
  56. 永井浩

    永井政府委員 現在のところ、わが国の周辺にはいわゆる分離通航方式をとっているところはございません。また、この分離通航方式設定の具体的な計画も現在持っておりません。仮に将来、船舶交通の実態等を考慮してどうしても必要であるというようなことが起こった場合には、関係者協議いたしまして検討してまいりたい、このように考えております。
  57. 新盛辰雄

    ○新盛委員 この部面では、漁業者などについての周知徹底方、あるいは外国ではあるけれども日本ではない、こういうような面でも、円滑な運営というか、あるいは漁業者間の分離通航のためのトラブルがいろいろと出るんじゃないかという危惧を持ちます。そこで、いま現在考えてはいないと言うが、いま水産庁では、恐らく四月中旬ごろまとまるのでしょうが、沿岸栽培漁業という問題、あるいはまたマイボート規制の問題、営業者の罰則強化の問題等出てきているわけでして、直接それとは関係ありませんけれども、将来設定をもしされるということになれば、それには要件が伴ってきますね。そういうことについてはどういうふうに考えているかと言っているわけです。  そして海上衝突予防法第四十一条におきまして、集団で漁労に従事している漁船などのための位置を示す明かり、位置灯あるいは信号灯、形象物等、これは特例を運輸省令で定めることができるとしてありますね。これは第四十一条第三項の中にあるのですが、これによりましてこの法で定めて、言うなら、いまここで改正条項を出してそれに上乗せをする、こういうことになりますね。漁船に与える影響はきわめて大きいわけですが、海上保安庁としてこの特例についてどう考えているか。四十一条に基づく考え方、これは運輸省令としてはお出しになることはできるのですが、海上保安庁側から見たら一体どういうふうにお考えになっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  58. 永井浩

    永井政府委員 まず最初のお尋ね分離通航方式の設定の要件でございますが、これは国際海事機関の決議によって定められておるわけでございます。一番目は、当該分離通航方式の設定により、その水域内の航行の安全が明らかに改善されることというのが第一点でございます。第二点は、正当な権利及び慣習が不当に制限されないこと、こういった要件が設定されておるわけでございまして、先ほども申し上げましたように、現在、わが国周辺において分離通航方式をとる計画はございません。  それから、第二点の御質問でございます予防法四十一条の特例についての運輸省令でございますが、この特例の趣旨は、集団で漁労に従事している漁船等の安全を確保するためのものでございますけれども、現在、特に特例を定めなければその安全が確保できないという状況とは私ども考えておりませんので、これらの特例を定める考えは現在のところございません。
  59. 新盛辰雄

    ○新盛委員 六月一日から施行されることになっておりますが、問題は、海上保安庁としても、この改正内容について漁業関係者、特にモーターボートを初めマイボートと称される通航海域周辺におりますこういう船に対してどういう周知徹底を行うことになるのか。漁業団体中央組織だとか、あるいは関係機関のありますところは、その伝達なり周知徹底を図ることはできますね。  ところが、いまもちょっと数字の違いがあるようですけれども日本舟艇工業会の資料によりますと、モーターボートは五十六年で一万二千二百三十三隻、ヨットが五千七百七十六隻、そして業務艇が一千五百九十四隻、総計一万九千六百三隻と、こうなりますか。これが正確な数字というので、釣り船案内者という、いわゆる漁業権の問題で出てきますけれども、これは今度遊漁法とかという、案ですけれども、それで規制しようじゃないかというので、大体四万数千隻ですね、対象になっています。また、一人乗りのマイボートみたいなのは二十五万という人もおりますし、いまの報告でも数字が若干違いますね。こういうような船に対して一体周知徹底を図ることができるだろうか。  こういう問題等を含めて、末端への徹底を図らないことには、通航方式を変え、あるいは灯火形象物を変えましても、全然それを認識しないということになれば、後ほど申し上げますけれども、衝突事故というのも発生してくるわけですね。この周知徹底方についてどうお考えになっているか、お聞かせいただきましょうか。
  60. 永井浩

    永井政府委員 御趣旨のように、この国際規則あるいは衝突予防法改正は、その周知徹底が一番肝要なことだろうと私どもも認識いたしております。国際規則は六月一日発効でございますので、きわめて限られた期間でございますが、私どもの毎年行っております春の海上交通安全運動期間中に、この改正を重点事項としてPRしたい、このように考えております。具体的には、ポスター、リーフレット等によるわけでございますが、各種船主団体あるいは漁業の団体等を通じて行う、あるいは海難防止講習会訪船指導等を行っていきたい、このように考えております。  御参考までに申し上げますと、五十七年に海難防止講習会をやった回数は千百八十六回、受講者数六万二千八百五十四人、それから訪船指導が約二万隻でございます。大体その三分の一がプレジャーボート関係というふうに考えております。ただ、御指摘のように、非常に実態のつかみにくい船でございますので、これだけで決して十分とは思っておりません。私どもの指導で、こういった小型船交通安全のための団体もつくっておるわけでございまして、全国で百八十五団体ございますが、会員が一万五千人くらいということでございます。これらを通じて強力に普及したいと思いますが、さらにアウトサイダーについても極力把握して指導を行っていきたい、このように考えております。
  61. 新盛辰雄

    ○新盛委員 海上保安庁として、プレジャーボートとかマイボートをどのくらいの数と把握しておられますか。
  62. 永井浩

    永井政府委員 私ども、直接的にいわゆる事業監督等あるいは船舶の登録検査等をやっておるわけでございませんので、船舶局なりあるいは水産庁等で把握した数字を基礎にいたしまして、私どもの出先期間がそれぞれ現場を歩いて確認していく、こういうやり方をとっております。
  63. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そういう状況だと、なお周知徹底ということでは、海上保安庁もなかなか人手も足らないことでしょうし、宣伝機関としては大変困るのじゃないかと思うのですね。だから、百八十五団体だとか一万五千人の組織だとか、いま御報告のありますようなこういう諸団体にはすぐストレートに行くのでしょうが、そのほかは全然わからない、把握ができない、そうすると水産庁ということになりますね。ところが水産庁も、これまた把握できないわけですね。そうすると運輸省として、いわゆる港湾管理者がいる、そしてこちらには漁港管理者がいる、そういう範疇の中で把握をするのか、その所在さえいまは不明確な部面があるわけですね。  だから運輸大臣、こういう実態が把握できない、農林水産省、水産庁でやる部分、建設省で見なければならない部分もあるかもしれませんが、ほとんど運輸省の港湾局を通じて把握する必要が出てくるわけですね。総合的な把握をする、まず実態をつかむ、その上で周知徹底を図る、そういうことについてはどういうお考えを持っていますか。
  64. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 最近、高度経済成長から個人の好みでいろいろなものがやれるわけですから、これはなかなかもってつかみにくい、またその中に発展したということでございます。それをけががないように保証するように、救済するようにということでございますと、それぞれの官庁一本にしぼることも大事ですけれども、どういうふうにいま伸びつつあるかという実態、そういうものを把握しながら、総合行政としてこういうものが大事であるということで、各関係官庁がみんなで、こういう法律を御審議いただいた機会に、国民全体に周知徹底さすと同時に、業者の諸君にその辺の重要性というものをよく認識させるという大事な行政の仕事がある、私はこう思っております。
  65. 新盛辰雄

    ○新盛委員 昭和五十三年一月に愛媛沖で漁船と内航船との衝突事故が起こりましたが、この事故の概要について御存じでしょうか。また、この事故海難審判での裁判の結果はどうだったか。
  66. 永井浩

    永井政府委員 お尋ね事故につきましては、昭和五十三年一月十三日の愛媛県長浜町沖での事故であろう、このように考えております。これは伊予灘で底びき網漁業を行っていました漁船国博丸と航行中のLPGタンカー第二ふじやま丸とが衝突いたしまして、国博丸は転覆し一名が死亡した、こういう事故でございます。  この事故につきましての海難審判につきましては、一審、二審とも第二ふじやま丸の見張り不十分、国博丸の注視不十分として、第二ふじやま丸に対しては船長の業務を一カ月停止、国博丸に対しては船長を戒告ということで結審した旨承知いたしております。  また裁判の方は、松山簡易裁判所が略式手続によって第二ふじやま丸船長に罰金二十万円、国博丸船長に罰金三万円を命令しましたが、国博丸船長から正式裁判の請求があり、一審控訴、二審ということで、二審の高松高等裁判所では証拠不十分として無罪判決を言い渡され確定した旨承知いたしております。
  67. 新盛辰雄

    ○新盛委員 いまの御報告のように、海上衝突予防法におきましては、航行中の動力船というのは漁労に従事している漁船の進路を妨げてはならない、これは当然ですね、書いてあるんですから。しかし、いまのケースのように少人数、ある意味では先ほどから出ておりますマイボート、これは全く一人で乗っておりますね、見張り要員をつけようがないわけです。見張りをつけてないのもありますし、まあ見張り不十分、片や前方不注意ということで両方とも処罰を受けるという、これは結局けんか両成敗だということだけで済まされないのじゃないか。  これは、常時適切な見張り義務をつけなければいけないというのも酷なことですし、片やそれらの注意を怠るというのは、これだけふくそうしてきますと大変問題が出てくるわけで、未然にそういうものを防止するという方法を考えていかなければいけないと思うのです。だから、義務を持たせるのか、あるいは持たさないとなると、海難審判でどういうふうになるのか、ここのところは非常に不明確なんですよ。法的な整備も必要だと思う。それを今後どういうふうに考えていかれるのか、もうこのままでいいのか。絶えずどっちも不安ですね。非常に問題じゃないかと思うのですが、どういうお考えでしょう。これは運輸大臣関係のある航路の問題ですからね。海上保安庁は法が決まればそれを指導するわけですから、そういう面でどうお考えになっているか、両者の方からお聞かせをいただきたいと思うのです。
  68. 永井浩

    永井政府委員 一般論でございますけれども、見張りというのは、船舶が安全な運航あるいは操業をするためにやはり不可欠なものであろうと考えます。したがって、運航形態あるいは船舶の大小、乗組員の多少等に関係なく不可欠な注意事項の一つであり、また船員の常識であろう、このように私は考えておるわけでございます。  また、過去の事例においても、見張り不十分が原因となった大きな事故もございますので、安全確保上必要な見張りが特に過重になるとは私ども考えていないわけでございます。
  69. 新盛辰雄

    ○新盛委員 確かに、それは注意をしなければなりませんし、どうせ船を運航している間は、相手との対船といいますか、その関係では十分にそれだけの配慮をしなければならない運航上の義務はあると思いますが、ただ、マイボートだとか免許を持たない——まあ免許を持っていなければ許可しないんだと思いますが、走り回っている船に対してそういう面の義務づけというのができるのかどうか。それは船の構造あるいは船のトン数にもよりますし、乗務員の数にもよりますからね。だから、そういう内容的には全然どちらにも合わないような状態の場合に一体どうなるのかということも出てくるわけですね。  昨年ですか一昨年ですか、「油濁の海」をお書きになった田尻さんという方、何か海上保安庁のOBだそうですが、ああいう巨大なタンカーによる汚染が激しくなっている。しかもマイコンによる運航、パイロットは非常に大変だという問題提起がありましたが、そういうものと同じように、大なり小なり出てきているのじゃないかと思うのですよ。これは何かの形で規制をするとか、あるいは水産庁でいま遊漁法などというものを検討しておられるやに聞いておるのですが、そういう部面についても指導していかなければならぬ面も出てきているのじゃないかと思うのです。だから、そういうことについて、水産庁の方から、漁船という面から見てどういうふうにお考えになっているか、お聞かせをいただきたいと思います。——きょう水産庁、来ていない。それじゃいいです。  それじゃ、こうした船艇の建造ということについてはどういうふうに考えておられるのか、そういう面からひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。こういうマイボートとか小型のものをつくってどうしようもないわけですが、どうなんですか。
  70. 永井浩

    永井政府委員 いわゆるプレジャーボートモーターボートとかヨットとかいう船舶増加の問題でございますけれども、それ自体は海に親しむあるいは健全なレクリエーションであろうかと思います。ただ、海上交通ルールを守らない、あるいは自分の船の安全についての知識が不十分ということで、事故がふえておるわけでございますので、これらのプレジャーボートが健全なレクリエーションであるように私どもとしては指導していきたいし、また関係者の自覚を促したい、このように考えております。
  71. 新盛辰雄

    ○新盛委員 この議論はまた別途ほかの機会でもございましょうから、その面でお願いをしていきたいと思いますし、議論もしたいと思います。  わが国沿岸における廃船の不法投棄というのが最近非常に増加している。それによって海洋環境の汚染、航路の障害、こういうのが社会問題化しつつあるのですが、毎年廃船となる船舶の隻数はどのくらいだと調査しておられるか。また、建造の隻数に対する廃船の割合、これはどういうふうになっていますか。
  72. 野口節

    野口政府委員 最初に廃船の方でございますけれども、全体が正確に統計がとれているわけではございません。一部でございますが、御説明いたします。  初めに、総トン数二十トン以上の船舶につきましては、船舶法によりまして登記、登録の義務がございます。この数字を見ますと、昭和五十六年度でございますけれども、全体で二万四千六百隻ありますが、そのうち、登録を抹消されましたものが約千七百隻でございます。それから、総トン数二十トン未満船舶につきましては、これは都道府県で登録を行っておりまして、詳細を国で把握しているわけではございません。  ただ、御参考までに、小さな船について統計がございますので御説明をいたしますと、長さ十二メートル未満船舶につきましては、小型船舶検査機構というところで検査をしているわけでございますが、この調査によりますと、これはやはり五十六年度の数字でございますけれども、全体検査隻数が二十八万六千隻あるわけでございますが、そのうちの約九千七百隻がこの検査対象外の船舶になっています。ただ、これは老朽化等の理由によって検査対象外にするというだけでございまして、これがそのまま廃船になっているのかどうかという点については把握できておりません。  それから、建造船舶でございますけれども、同じく総トン数二十トン以上の船舶の建造でございますが、これも五十六年度の統計でございますけれども、全体で二千九百六十三隻、約三千隻でございます。そのうち、鋼船が約千四百隻ございます。それから木船はほとんどございません。十二隻というほとんどゼロに近いような数字でございます。残りがFRP船でございまして、約千六百隻ございます。  それから、これから下の小さな船舶についての統計というのはございません。参考までに、日本舟艇工業会というところで小型船の生産実績というのが発表されておりますので、これを御紹介いたしますと、五十六年度の小型ボートの建造隻数は約一万九千六百隻、このうちFRP船が一万七千六百隻という数字が出ております。
  73. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そうしますと、廃船になって不法に投棄されている、これからはどんどん鋼船という鉄のかたまりが捨てられていくようなことになるわけですが、こういうことに対して、海上保安庁としても監視、取り締まり、そういうのを行っておられると思いますが、不法に投棄される廃船の処理についてどうなっているのか。所有者の判明しないものも恐らくあるのじゃないかと思うのですね。その廃船の撤去を一体どこがやるのか。これは港湾管理者だよ、いや、こちらは漁港管理者だ、その経費は一体どこが持つのか、こういうことも現実の問題として出てくるし、また、所有者を見つけて、おまえ何とかしろと言ったって、倒産してどこかへ逃げているのならもうどうしようもないといったことで、これはどうするのか。  これは環境汚染もさることながら、航路障害、事故のもとになるじゃないか。これは当然のことですね。このことについては一体どういうふうにされているか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  74. 永井浩

    永井政府委員 廃船の不法投棄につきましては、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律によって規制されておりまして、私どもも、広い意味の海洋汚染の監視、取り締まりの一環として取り締まりを行っているわけでございます。巡視船艇あるいは航空機によって監視、取り締まりを行う、あるいは全国一斉取り締まりの実施などをいたしております。  五十七年一年間に、この法律の違反ということで送致いたしました件数は二百七十四件でございます。このうち、投棄した者が処理いたしましたのが二百六十三件、約九六%でございますが、まだ未処理のものが十一件で、これにつきましても、所有者に処理するよういま指導しているところでございます。  そのほかに、いわゆる所有者不明のものが、私どもの確認しただけで五十七年に約一千隻ございます。これらにつきましては、港湾管理者、漁港管理者あるいは地方公共団体等がその処理を行っているわけでございますが、五十七年には、これらの団体が行った処理件数は七百一件ということになっております。
  75. 新盛辰雄

    ○新盛委員 非常に大変な御努力をいただいているわけですが、港湾局長が来ていらっしゃると用いますけれども、こういう廃船処理の場合、港湾局として、また港湾管理者として一体どういうふうにされているのか。いま御報告があったとおり、最近鋼船が大変やっかいな廃棄物になっているわけですが、さらに、強化プラスチックでつくった船、いわゆるFRP船、これは不燃性のものでありますだけに焼き捨てるというわけにいきませんで、非常に処理がやっかいだと思うのです。公害対策上の一つの問題だということにもなっておりますけれども一つは、つくるからやがて捨ててしまう。捨ててしまえばまたそれを処理しなければならない。  つくる側の方でも、これは船舶局になるのでしょうが、建造についてこの材質の問題を考える必要があるのじゃないか。そしてまた、この捨てられたものを港湾管理者の方でどう管理し、漁港管理者はどういうふうに管理しと、こういうふうになるのですが、現実、経費とかやり方、処置をどういうふうにしているか、それを少し教えていただけませんか。建造の方もひとつお願いいたします。
  76. 松本輝壽

    ○松本政府委員 港湾区域内に放置されております所有者不明の沈廃船につきましては、従来から当該港湾の港湾管理者が処分をしてきたところでございます。特に四十九年から五十二年度にかけましては、このための予算補助を行いまして、全国各港で約千七百隻の処分、整理を行っております。今後とも、適正に処分するように港湾管理者を指導してまいる所存でございます。
  77. 野口節

    野口政府委員 FRPは、先生御承知のように、安全性とか耐久性とかいう点が大変すぐれた材料でございまして、船舶材料としていま非常に広く使用されているわけですが、御指摘のように、使用した後の処理が非常にむずかしいわけでございます。この材質を処理しやすいように改善するという考え方もないことではないかと思いますけれども、材料の開発というのは大変むずかしい問題でございますので、できるだけ実用性のある処理方法を考えていく必要があるのではないかというように考えております。  私どもも、四十九年以降、どういう処理の仕方をすればいいかというようなことでいろいろ研究をしてまいりまして、まだ技術的に確立された方法になっておりませんけれども、これからも引き続いて検討を進めていきたい、こういうように考えております。
  78. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そうした廃棄物的なものに対する処理の仕方に非常に問題があるということに関連をしまして、今国会、運輸委員会の方にかかっていると思いますが、海洋汚染防止に係る法案が出ています。そこで、海上労働者の側から見ましてもいろいろと問題があるわけですが、最近の港湾における清掃体制の強化ということは一体どうなっているのだろうか。浮遊物を集め焼き捨てる、ごみの焼却、これは廃棄船と同じでありまして、こういうことに対する処理施設をつくってほしいという要求も出ております。さらに、河川から流れ出してくる浮遊ごみの流入防止をどうすればいいか。これは航行安全のためにも非常に問題がございますし、この防除をやるべきじゃないか。  海洋汚染、即漁業者にも影響があるわけでありまして、河川から流れ込むものはひとつ陸の側で、建設省だとかあるいは地方自治団体だとかで規制措置をとる、流れ出てきたごみは港湾の中で処理をせよとか、焼却のやり方にもそれぞれ分担があるようですが、こういうことで関係各庁との連携、地方、中央を通じて関係各庁で連絡協議会みたいなものを設けて、こういう廃棄船だとかあるいは浮遊物あるいはごみの処理、こうしたことについて有機的な、しかも機能の発揮できるような、港湾をきれいにする、沿岸を清掃できる、そういう仕組み、体系をつくらなければならぬのじゃないか。これは水産庁も関係がありましょうが、そういうことに対してどういうお考えを持っておられるか、これは港湾局長。  それから、船舶処理の面もありましょうから、あるいはまた航行安全の方にも関係があるわけですから、それぞれのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  79. 松本輝壽

    ○松本政府委員 海面の浮遊ごみ、流木等の除去は、船舶航行の安全確保あるいは海洋環境の保全の観点からきわめて重要なものと認識しております。このため、運輸省としても、従来から積極的に取り組んでまいっております。現在、港湾区域内におきましては、港湾管理者がごみ、油等の回収事業を行っておりますが、港湾管理者によりますごみ回収船、油回収船あるいは焼却装置、これらの施設の整備を促進するために、昭和四十八年度から国庫補助を行ってまいっております。また、港湾区域の外のいわゆる一般海域、特に東京湾、大阪湾、瀬戸内海等におきましては、運輸省の直轄事業で回収事業を実施しております。現在、各港湾建設局に十五隻の回収船を配備して、常時浮遊ごみ、流木、浮遊油の除去作業を行っております。私どもといたしましては、本事業の重要性にかんがみまして、今後とも関係者と十分連絡をとりながら積極的に対応してまいりたい、かように考えております。
  80. 新盛辰雄

    ○新盛委員 ここに実例がたくさんあるのでありますが、最近の港湾、いわゆる航路通航帯の中でもそうですけれども、漁網にナイロン製のものを巻きつけたとか、あるいは出航の見送り等で出るビニールテープ、これらもスクリューに巻きついちゃってどうしようもないとか、あるいは流木によって航行不能になるとか、そういう事例がたくさんございます。これは言うならば、高速道路の中に材木が落とされていたり、ビニールテープがあったりして巻きついてエンジンに絡みつくとか、それこそ大事故発生の原因になるわけで、それは海も変わらない。こういう状況でございますから、これは高速艇、水中翼船、そういうものも運航上大変問題があるわけで、こうしたことについて、航行安全という面では一体どういう対策を立てているか。  ただ、ごみを除去すればいいとか、焼却場をつくって、それで地方団体に任せて清掃すればいいとか、それだけに任されてはいけない部分があるわけですね、運航は絶えずやっているわけですから。そういう面では、生活航路などに入っているところは特にそうですし、また、漁業を営んでおられる方々にも、船舶を持っておられる方々にも大変だと思いますから、そういうことに対してただ通り一遍の対策ではなくて、そういう根っこを断ち切り得るような対策というものが必要じゃないかと思うのですが、どうですか。
  81. 永井浩

    永井政府委員 おっしゃるとおり、海洋のごみによる汚染というものは環境上きわめて悪いというほかに、船舶航行の安全あるいは漁業に対する妨げといったようないろんな問題を含んでおると思います。  私どもといたしましては、まず第一点は、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律に基づきまして、その原因となるこういったもろもろのごみ等の不法投棄をさせないように監視、取り締まり、指導を積極的に行うということが第一点だと思います。  それから、そういった監視の目をくぐって投棄されたごみ等につきましては、先ほど港湾局長からもお話をしましたように、港湾管理者あるいは国等がこれを除去するわけでございますが、そのほかに、主要な港湾には、関係民間事業者によって構成されます非営利法人の清港会といったようなものもございまして、こういった団体を使いまして、積極的に関係海域の改善に努めていきたい、このように考えております。
  82. 新盛辰雄

    ○新盛委員 その問題はまた機会を見て議論したいと思いますが、最近、船舶の合理化、省力化の進展、小型漁船オートパイロットの装備が非常に急速に高まっておりますね。この使用中の衝突、乗り上げ事故、これもまた頻発をしておると思うのですが、一般船舶、漁船のオートパイロット使用中の衝突とかあるいは乗り上げとか、そういう海難事故につながったものがこれまであったかどうか。また、船舶安全法等に基づいて、機能を担保すべき規格だとかあるいは作動基準等、これは具体的に規制がされてはいると思うのですが、どうもその辺のところが不明確であります。  さらに、船員局にお尋ねしますが、乗組員のこうした問題に対する知識、技能というのは、これは当然海洋技術の上でも資格試験という面でも重要視されているわけですが、この点も、オートパイロットを含める機能を果たしていないんじゃないかと思うのです。海上保安庁自身もオートパイロット使用中の海難防止についてどういう指導をしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。  また、私ども東京湾をずっと実態調査をしている中で、非常に船舶交通がふくそうしている、そういう海域でこのオートパイロット使用というのはなかなか問題がありはしないかというように思ったのでありますが、そういうことについてお考えを聞かしていただきたいと思うのです。
  83. 永井浩

    永井政府委員 まず第一点の、オートパイロット使用中における海難の件数でございますが、昭和五十七年一年間にオートパイロット使用中の海難は百二十六隻でございます。衝突、乗り上げの海難は百二十六隻でございます。このうち衝突が四十一隻、乗り上げが八十五隻でございます。  この原因を見ますと、オートパイロット使用中の海難は、居眠りによる見張り不十分等、人為的要因に基づくものが多いのではないかと私ども考えております。こういうことで、特にオートパイロットの使用につきましては、訪船指導あるいは講習会等を開催いたしまして、その適正な使用について十分な指導励行を行っておるわけでございます。  船舶交通のふくそうする海域におきましては、後ほど船員局長からお話があると思いますが、船員法の体系によりまして一定の安全対策の義務づけがされておりますので、これが励行され、また十分な見張りが行われれば、特に安全上の問題はないのではないか、こういうふうに考えております。こういうことで、船舶交通のふくそうする海域におけるオートパイロットの適正使用について特に重点的に指導してまいりたい、こういうように考えております。
  84. 小野維之

    ○小野(維)政府委員 海技免状の関係でございますが、現行法の海技免状は、大まかに分けまして、甲種、乙種、丙種と大きな分類で三分類、中身が八つ、航海、機関、合計十六、こうなっております。そのうちの甲種免状、乙種免状の航海、ナビゲーター系統につきましては、オートパイロットの使用それから使用上の注意、これがすべて試験項目に入ってございます。  この四月三十日から法律改正されまして、この区分が一級から六級までの通しの区分になります。今度はこの改正法によりまして、従来の丙種免状の方々は五級または六級ということに切りかわるわけでありますけれども、この五級、六級の試験も、オートパイロットの使用方法についての事項を試験項目に加えることにしてございます。  さらに、従前丙種の免状をお持ちの方が五級または六級に移行をするという場合に、移行講習というのを受けてもらうことになっておるのですけれども、その移行講習の中にもオートパイロットの使用項目を入れてある、こういう状態でございます。  それから、オートパイロットの場合に、船員法施行規則の中で、これを長時間使うとき、長い航海であれば十二時間に一回、短い航海であれば四時間に一回ぐらい、船長の義務として手動に切りかえて、手動が作動するかどうかということをいつも確認しておきなさいという規定が入ってございます。狭水道その他で緊急事態が起きました場合には手動に切りかえられる、そういう必要が起こることも一応考えられますので、そういったことも講習その他を通じてPRをやっております。
  85. 新盛辰雄

    ○新盛委員 一昨年の四月でしたか、九州西海岸沖合いで米国の原子力潜水艦ジョージ・ワシントン号と衝突をした日本の貨物船日昇丸の海難事故、当時当委員会でも取り上げまして、この日昇丸の救命いかだが不十分であった、その機能を果たしていなかった、こういうことで死亡者が出たわけでありまして、運輸省としては、その後直ちにこの救命いかだの整備点検をお図りになったというふうに御報告も受けました。  この救命いかだというのは、使用上の問題でいろいろと指摘をしたのでしたが、膨張式、まあ十五度傾斜以上はだめだとか、改善強化を図らなければいけない。結局、各船舶にすべて、漁船を含めて改善強化を指導されたわけでありますが、業界としてもこれは大変だったと思いますね。設備その他を新たにつけなければいけないということになったと思うのですが、その後船舶の救命装置や救命いかだの整備状況、改善がされたかどうか、そして今日ではどうなのか、またこれに類似するような海難事故等が起こった場合に、この救命いかだの整備によって救済できたか、それらの実例がございましたら御報告をお願いします。
  86. 野口節

    野口政府委員 いまお話がございました日昇丸の事故にかんがみまして、膨脹式救命いかだにつきまして、当時いろいろ調査をいたしまして、御指摘のように検査の方法を強化したわけでございます。製造後八年以上経過しました救命いかだに対しましては荷重試験を追加する、あるいは国際航海に従事している船舶検査期間を二年から一年に短縮するというようなことで、いろいろ強化を図ってまいりました。このせいもございまして、その後の検査におきましては、私どもの知り得るところでは、十分に整備が行き届いているように承知しております。
  87. 新盛辰雄

    ○新盛委員 この整備が非常に強化されたということは結構なのでございまして、これからこういう事故が起こらないように、未然に防止しなければなりませんし、ぜひとも海上保安庁中心にして海難事故の発生も抑えなければなりませんが、こういう救命、救助、こうしたことについてもぜひ心がけていただきたいと思うのです。  そこで、わが国の周辺海域におきまして、救助を必要とする海難に遭遇した船舶の隻数は毎年二千隻余りあると聞いております。最近の海難発生状況の特徴はどんなものが主力になっているか。 また、この海難に対する海上保安庁の救助体制はどのように整備されているか。実態を私どもも見まして、いろいろ苦慮されている向きもあるのですが、予算措置その他等もございますから、いままで海上保安庁としてお取り組みになっておられて、今後予測される海難発生状況に対してどういうふうに整備されておられるか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  88. 永井浩

    永井政府委員 五十七年にわが国周辺海域におきまして救助を必要といたしました海難船舶は二千百三十七隻、百九十五万総トンでございます。そして死亡、行方不明は二百八十九人でございます。年によって多少でこぼこはございますが、総数はおおむね減少の傾向にございます。  ただ、この中で特徴的なのは、先ほど来から御指摘のございますプレジャーボート関係海難がふえてきているということ、それから大型の海難につながる可能性の高い遠距離での海難が横ばい状態、減少しないというのが問題か、このように考えております。  一般的に、海上保安庁海難防止対策につきましては、講習会、指導、あるいは各種安全運動を通じて安全対策PRしておるわけでございますが、具体的に海難が起こった場合の体制といたしましては、海上保安庁は遭難通信を二十四時間聴取する体制にございまして、また巡視船艇三百四十四隻、航空機五十五機を全国に配備いたしまして、即応体制をとっております。  今後とも、こういった救助体制については充実整備を図っていきたいというように考えておりますが、特に、先ほどちょっと申し上げました、遠距離における大型海難の防止のために有効な措置といたしまして、ヘリコプターを搭載した巡視船を漁船の操業区域あるいは船舶の常用航路に前進哨戒させまして、常時警戒等に当たらせるということが有効ではないか、このように考えておりまして、こういった巡視船の整備、それから現在、計画的に五十七年度から整備いたしておりますが、民間船の船位通報制度を中心といたしました情報システムを整備いたしまして、遭難船の位置の早期確認、あるいは救助即応体制といったものも整えてまいりたい、このように考えております。
  89. 新盛辰雄

    ○新盛委員 いまの海上保安庁の設備状況等から見まして、有効適切な救助活動という面では、いまは曲がりなりにも何とかなるというふうにお聞きしましたが、遠距離で発生している海難に対しましては救助率が非常に低い。この辺について、これから救助活動の面でどういうふうにすべきかということで、ヘリコプターだとか救助艇とか、そういう面のいわゆる多角的な設備が必要になってきている。  だから、こうしたことについて、それは非常に不確実でありますし、事故が起こらなければいいのですが、大変大がかりなものでも出てきた場合、救助体制としてはなかなかうまくいかない、こういうことなのかどうか。いまの設備といいますか整備されている状況の中で、救助活動が可能であるかということについてはどうですか。
  90. 永井浩

    永井政府委員 昭和五十二年にいわゆる海洋二法と申します法律が施行されまして、領海十二海里それから漁業水域二百海里ということで、わが国の主権あるいは管轄する海域が大幅に広がったわけでございます。それに対応いたしまして、海上保安庁でも巡視船の大型化あるいは増強等を図ってまいりまして、一応これに対応できるだけの勢力は整備された、このように考えております。  ただ、いま批准が検討されております海上捜索救難条約のようなものが今後発効いたしますと、日本の分担いたします海域はさらに大幅に広がる、こういった場合には現在の勢力では必ずしも十分でない、このように考えております。したがいまして、ただいま御審議をいただいております五十八年度予算案においても、従来ヘリコプター一機搭載の巡視船に対し、さらに二機搭載の大型巡視船を建造すべく計画いたしております。こういったことで、日本の責任が果たせるよう鋭意準備を進めてまいりたい、このように考えております。
  91. 新盛辰雄

    ○新盛委員 最後に大臣お尋ねします。ぜひ決意をお聞かせいただきたいと思うのです。  これまで論議してまいりましたように、この海上衝突予防法の面から見る適切な指導と管理、そしてさらにこれからの事故を未然に防止できる体制、また、港湾周辺における環境保全と浮遊物、こうしたものの流入防止を図るためにも非常に重要な問題が含まれていたと思います。このことに対して、こうした航行安全もですが、海洋汚染の面も含めて、中央、地方を通じて関係各省が総合的に確実にそのことに作動するような協議機関、連絡協議会といいますか、そういうものをこれから設けていかれる気はございませんか。また、これからのこうした海洋汚染を含め、あるいは航路安全を含める全体的対策について、運輸大臣の決意をお聞かせいただきたいと思うのです。
  92. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 このたびの法律は、海上交通の基本的なものでございまして、これを御審議いただき、また、こういう大事な法律が通過する機会に、先生が御心配されているように、六月一日からの施行ですから、相当しっかりとPRをしなければいかぬ。最近はマスコミも発達しておりますし、自分たちの生命、財産、安全に関係することですから、関係機関からのその辺のPRもいたしますが、徹底的に周知徹底方をさせたいと思います。  それから、汚染問題等々は、これはまさにわが国は海に囲まれております。日本は、いろいろなものが大事でございますけれども、海ほど大事なものはない。 また、ちょっと手をつければよくなる。瀬戸内海もそうでございましたし、そういうふうな日本人の性格でございますから、御忠告のように、総合的な連絡調整を図りつつ、こうした機会にもう一歩さらに前進するように大いに努力してまいりたい、こう思っております。
  93. 新盛辰雄

    ○新盛委員 終わります。
  94. 北側義一

    北側委員長 次に、三浦隆君。
  95. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 海上衝突予防法の一部を改正する法律案について、二、三お尋ねいたします。  初めに大臣に、海難防止に対します基本的なお考え方についてお尋ねをいたしたいと思います。
  96. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 御案内のように、日本は海によって国民経済が支えられている国でございます。輸入するところの物資、またさらに輸出するところの物資、それは全部海によって国民経済が支えられていることでございますから、海というものをほかのものよりももっともっと大事にしなければならぬというのが自然な理屈でございます。  そういうことからしますと、このたびの法律等々をきっかけにして、海の重要性とこういう海上交通の基本的な問題に対しての一層の周知方を徹底してまいりたい、こう思っております。
  97. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、要救助船舶原因別発生状況に関連してお尋ねしたいと思います。  統計によりますと、貨物船の海難種類別要救助船舶発生隻数の推移では、昭和五十一年以降、五十二年、五十三年、五十四年、五十五年、五十六年と次第に減少化しておりますし、同じことがタンカー、旅客船あるいは漁船などにも見られるわけでして、これらはこうした安全対策をとられている海上保安庁の大変すばらしい功績だろう、このように思います。  さて、それにしましても、五十六年の要救助船舶原因別発生隻数を見ますと、総数二千六十七隻に対しまして、不可抗力と認められるのはわずか三百十五隻、一五・二%にすぎないし、また船舶そのものに起因するものと思われる材質構造上の問題は二百十三隻で一〇・三%、あと機関取り扱いの不良、それから操船不適切、見張り不十分といったような運航の過誤に基づく、言うならば人的要因によるものが圧倒的に多いように思われるわけです。ということで、これらは海上衝突予防法あるいは海上交通安全法あるいは船舶安全法、船員法等、現行の海事関係法令というものをもっとよりしっかり遵守することにより、より防止できるのじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  98. 永井浩

    永井政府委員 御指摘のとおり、海難原因を分析いたしますと、法令の違反や運航の過誤あるいは機関取り扱いの不良といった人的要因によるものが七〇%以上を占めている、こういう現状でございます。したがいまして、御指摘のように、海上の安全関係の法令の遵守というものがまず一番肝要なことであろうか、このように考えております。
  99. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、要救助船舶のトン数別の発生隻数に関連してお尋ねしたいと思います。  一般船舶では、いわゆる五トン未満の船でいろいろと事故が起こっておりますが、そうした中で一番多いのが転覆あるいは機関故障、衝突などとなっております。そしてまた、漁船におきましても五トン未満というのが一番多くて、これでは衝突あるいは転覆というふうなことが起こっているのですが、一般船舶あるいは漁船を合わせまして、二千六十七隻のうちに、五トン未満だけで八百六十二隻を占めているということで、事故が五トン未満に大変多く起きているというふうに思います。そこで、特に五トン未満の船に対する対策はどのようにお考えでございますか。
  100. 永井浩

    永井政府委員 御指摘のとおり、小型船海難隻数が増加しております。これは、やはり台風や低気圧あるいは小型船の操船不適切等が増加したものと考えておりますが、海上保安庁といたしましては、海難防止活動の重点項目として小型船、特にプレジャーボートが最近海難が多うございますので、この点に重点を置いて安全指導を行っております。具体的には、講習会を開くとかあるいは訪船指導を行う、あるいは春秋の海上交通安全運動期間に指導を行う、こういったことで海難防止思想の普及に努めているわけでございます。
  101. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、東京湾内におきます海難発生状況とその安全対策についてお尋ねしたいと思います。  初めに、「海上保安の現況」というのがありますが、その中に一般論としまして、「港内では、狭あいな海域に多数の船舶が頻繁に出入りする等のため、船舶の衝突、乗揚事故の発生頻度が高く、また、火災、油排出等の事故も多数発生している。」こう述べております。  そこで、特に浦賀水道や中ノ瀬など、いわゆる東京湾内についての問題なんですが、統計によりますと、この浦賀水道を通ります船の中で、特に巨大船と言われている船の中で、いわゆる危険物積載船と言われているのが四千六百八隻ゆのうち一千八百三十六隻で、全体の三九・八%を占めております。また、巨大船でない危険物積載船と言われておりますものも、一万六千百九十八隻のうち三千五百三十四隻で、比率二一・八%であります。このように、浦賀水道におきましては、危険物積載船というものの占める位置が大変大きい。中ノ瀬も同じように大きいということにおきまして、そうした特に浦賀水道その他東京湾におきます対策についてお尋ねしたいと思います。
  102. 永井浩

    永井政府委員 東京湾あるいは主要港湾におきましては船舶がきわめてふくそうしておりますので、そういった関係安全対策が特に必要なわけでございますが、こういった船舶のふくそうする狭水道あるいは港湾につきましては、この海上衝突予防法特別法の位置にあります海上交通安全法あるいは港則法によりまして、衝突予防法よりさらにきめの細かい安全規制を行っております。  たとえば、浦賀水道に巨大船等が航行する際には、事前に通報を義務づけるとか、あるいは進路警戒船の配備を指示するとか、あるいは必要な航行管制を行うとかいったような措置をとっているわけでございまして、東京湾全体につきましては、私ども東京湾海上交通センターという施設を設けまして、レーダー、コンピューター等を活用いたしまして、航行管制あるいは海上航行に必要な情報の提供等を行っているところでございます。
  103. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 東京湾内でも京浜港、横浜というところは特に中枢を占めている大変大切なところだと思います。統計によりますと、五十七年におきまして、海難隻数のうち運航の過誤によるものというのが圧倒的に多いように書かれております。そしてそうした運航の過誤とか機関取り扱い不良、あるいは船舶そのものに起因する材質構造というふうなことによりまして、衝突というのが海難の種類としては一番大きく、その次に浸水というふうになっているわけですが、とにかく京浜港区というのは東京湾の中枢でございますので、これに対する特別な対策を何かお考えでしょうか。
  104. 永井浩

    永井政府委員 先ほども申し上げましたように、主要な港湾は港則法を適用いたしまして特別の規制を行っているわけでございます。横浜港も特にわが国の大港湾の一つでございますので、港則法上特定港という指定を行いまして、特別な航法やあるいは港内におけるいろいろな作業について規制を行っております。そのほか、船舶の入港状況あるいは停泊場所の指定、航路の設定等につきましては信号所によりまして管制を行っております。危険物の荷役、運搬等の規制も同時に行って、安全を確保すべく指導を行っているところでございます。
  105. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いま横浜ベイブリッジというものが建設されているところでありますが、このベイブリッジをつくるにおきましては、海底面下の軟弱層の問題、あるいはかつて横浜市が関東大震災を経験しているということでの地震についての十分な配慮といった自然条件のほかにも、国際港として十分な航路空間と工事中の航行船舶の安全を確保するということなので、これは大変困難な問題であろうかと思うのです。特にいま建設工事中でありますが、両端の水路部分ではいわゆる小型船舶が大変ふくそうしていると聞いております。そうしたものに対して、海上保安庁交通安全対策上どのような御指導をしているでしょうか。
  106. 永井浩

    永井政府委員 ベイブリッジの建設に当たりましては、事前に、工事中の安全問題あるいは完成後の船舶航行に支障がないかどうかの問題について、社団法人東京湾海難防止協会という専門家の団体がございますが、こういうところで調査研究を行ってきたところでございます。海上保安庁では、この検討結果を踏まえまして、必要な、たとえば、工事中につきまして港長公示による制限、禁止を行う、あるいは小型船についての航法を定めたりあるいは作業船の守るべき措置、こういったものについて所要の安全対策を指導いたしております。
  107. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、この横浜ベイブリッジの建設の進捗状況、そしてその完成年度の見通しに関連してお尋ねしたいと思うのですが、初めに、この工事の進捗状況はいまどのようになっておりますでしょうか。
  108. 杉山好信

    ○杉山説明員 御質問のございました横浜ベイブリッジにつきましては、横浜中心部におきます道路網の混雑緩和を図るということ、臨海部の港湾施設等を相互に連絡するという重要な役目を持った道路といたしまして、首都高速道路公団施行の横浜高速湾岸線の一部として現在工事をやっておりますが、五十四年度から事業に着手しているところでございます。  現在までの工事の状況につきましては、五十五年度に大黒埠頭側の本橋への取りつけ部の基礎工事に着手いたしまして、五十六年度にはベイブリッジ本体の航路内基礎工事の一部に着手しまして、さらに橋脚基礎用のバージの製作に着手いたしております。五十七年度にはこれらの工事を継続して実施いたしておりますが、さらに大規模な橋脚の基礎ぐいとなりますケーソンの工事に着手しておるところでございます。  以上が現在までの進捗状況でございます。
  109. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、第九次の道路整備五カ年計画というものが行われておりますが、そうしたものとの関連でのベイブリッジの工事予算、その状況はどうなっていますでしょうか。
  110. 杉山好信

    ○杉山説明員 この工事予算の状況でございますけれども、ベイブリッジを含みます横浜高速湾岸線の総事業費は約千二百億円を予定しておるわけでございますが、五十七年度までに百十七億円を投資いたしておりまして、支出ベースでの進捗率は五十七年度末で約一〇%となっておるわけでございます。
  111. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 この工事の完成年度の見通しをもう一度お尋ねしたいと思います。
  112. 杉山好信

    ○杉山説明員 ベイブリッジの完成予定についてでございますが、事業着手当初は昭和六十年度を予定しておったわけでございますが、海底地質調査を詳細に実施いたしました結果、海底基礎地盤の状態が当初見込みましたのとかなり異なっておりまして、基礎の形式とかあるいは施工法につきまして新たな対応が必要になったということもございまして、当初予定より工程的におくれが見られるわけでございます。  この工事は、国際港であります横浜港の航路を安全に確保しながら施工をするというふうな必要があるわけでございますし、また、最深部では海面下約八十メートルにも達するような大規模でしかも複雑な基礎工事を施工するという難工事でもございまして、今後とも関係機関と十分な調整を図りながら、できるだけ早期に完成できますように努力を進めてまいりたいというふうに考えております。
  113. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 一応完成年度は六十年度を予定しておったところが、いろいろな状況でおくれているというお話でありました。実は軟弱層は海面下三十メートルから六十メートルと推測されておりまして、主塔の立つ個所の支持層が最深部で海面下約七十五メートルにも達しようということですから、確かに工事的には大変だろうと思います。しかし、実は前回もこの委員会で御質問させていただきまして、そうした技術的な工程のおくれというものは今日の技術の進展によって、努力次第でかなり解決がつくんじゃないかというふうなお答えをいただいておるのですが、その技術的なものはどうなっているのでしょうか。
  114. 杉山好信

    ○杉山説明員 いまも先生お話がございましたような諸条件につきまして新たな対応をいろいろと考えておりまして、さまざまな工夫をこらしましていろいろと努力を重ねておるわけでございます。  工程につきましては、それぞれ細かい内容になりますので、一言で簡単に御説明するのも非常にむずかしいわけでございますが、いずれにしても、先ほど概括的に申しましたように、当初よりも工程的におくれが見られるわけでございますが、今後の工事工程とも関連をいたしますので、昭和五十八年度からスタートしまず予定の第九次の道路整備五カ年計画の中で完成するように努力してまいりたいというふうに、今後とも航路関係者との調整等十分に行う必要もございますし、また、先ほども説明申し上げましたように、非常に大規模でかつ高度な技術を要する工事でございますので、慎重に進めてまいろうというふうに考えておるわけでございます。
  115. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 同じく前回の質問でもあったわけですが、実は前回の政府委員お答えなんですが、「工程のおくれというのは主として技術的な問題でございますので、この辺の解決ということが基本になってくるわけでございまして、そういうものを解決しながら資金を充当していくということで進めていくことになろうかと思います。」ということで、私が質問した、いわゆる行革のただ中であるけれども、資金の面では問題はない、いわゆる軟弱層という技術的な問題を解決することで困っておるというふうなお答えだったと思いますが……。
  116. 杉山好信

    ○杉山説明員 ただいま先生おっしゃいましたようなことでございまして、工事工程の今後の進捗に合わせまして所要の資金を充当いたしまして、早期に完成を図れるように努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  117. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いま日本の技術は大変すぐれているわけですから、ぜひ何とか克服をしていただきたいと思います。  それにしても、早期の完成ということだけですとちょっと抽象的でございますので、六十年度のおくれが具体的にたとえば六十一年になるだろうとか六十二年とか、もう少しはっきりとした見通しというのはないですか。
  118. 杉山好信

    ○杉山説明員 工程的な話でございますが、複雑な大規模な工事でございます。今後の工事工程の進捗とも絡みますので、具体的にいま端的にお話しするまでに進んでおりませんけれども、先ほど申しましたように、基礎条件の変更等に対応した技術的な諸方策をさまざまな工夫をこらしていまやっておりますので、先生の御質問にございましたような、あるいは関係諸方面での御期待にこたえるようにできるだけ努力してまいりたいというふうに考えております。
  119. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 できるだけの努力をしていただくという御答弁でありましたが、くどいようでありますが、いわゆる資金面的な問題ではなくて技術面的な問題、このように理解してよろしいわけですね。
  120. 杉山好信

    ○杉山説明員 工事工程の進捗に合わせまして所要の資金を充当してまいるということで、努力してまいります。
  121. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 もうちょっと時間があるようでございますので、もう一問質問させていただきます。  次は、分離通航方式周知徹底方についての問題であります。  昭和五十七年以前の統計でありますが、分離通航方式違反状況というのを見てみますと、ホルムズ海峡のオマーン通報の事故というのが一番多いようであります。そしてまた、通報のあった違反内容といたしましては、沿岸通航帯航行に関するものが圧倒的に多くて、二番目は通航路逆航の問題が続き、三番目に分離帯内航行の問題があるようでございます。こうした分離通航方式というふうなものがとられるということは、もうすでにかなり周知徹底されているんだろうと思うのですが、にもかかわらず、いまなおこういうことが言われるということ自体、いわゆる航法指導というのはどういうふうに行っているものでしょうか。
  122. 永井浩

    永井政府委員 御指摘のように、確かに昭和五十五年に通報のありました日本の違反状況は、ホルムズ海峡におきまして四十七件ございます。いろいろ原因はあろうかと思いますが、一つには、五十四年の十一月に通航路の位置の変更、それから沿岸通航帯の設定が行われた、したがいまして、その徹底が十分でなかったのではないかということ、それから同年の秋にいわゆるイラン・イラク紛争が発生しまして、紛争国の危険を避けるために通航路外を航行したのではないか、このように思われるわけでございます。  海上保安庁におきましては、こういった通報がありました場合に、違反船につきまして船舶運航者あるいは船長等に対しその都度個別的に指導を行っておりますが、五十五年は特に多かったことにかんがみまして、日本船主協会等に違反航行のないように申し入れを行っております。なお、五十六年、五十七年は五十五年に比べまして大幅に減少いたしております。
  123. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 通報国としては、ドーバー海峡及び接続水域に関連してのイギリス、フランス、アシャント沖のフランス、カスケット沖のフランス、ホルムズ海峡のオマーンと、いろいろあるようです。いろいろとむずかしい状況があろうかと思いますけれども、国際関係を何とか波穏やかにいかなくてはならなかろうというふうに思いますし、国内的には海上保安庁は大変よく努力していることですから、今後とも一層、こうした事件の起こらないようにひとつよろしくお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  124. 北側義一

    北側委員長 次に、辻第一君。
  125. 辻第一

    ○辻(第)委員 昭和五十二年の海上衝突予防法制定の際、狭い水道における漁労船と他の船舶との優先関係について、条約と法文との表現の違いが問題になりました。政府は、実質的内容は違いがないというような見解でありましたが、法施行後、この問題に関係するトラブルが起こっているのかいないのか、お尋ねをいたします。
  126. 永井浩

    永井政府委員 御指摘のように、七十二年の国際規則と五十二年の国内法との関係で、条文が対比してないということでいろいろ御議論があったところでございますが、そのとき説明いたしましたように、国際規則国内法との相違はないという考え方は現在でも同じでございまして、この解釈上の問題につきまして具体的にトラブルがあったということはございません。また、海難についても発生いたしておりません。
  127. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、海上交通安全法の、航路においては、巨大船は、海上衝突予防法の規定にもかかわらず優先権を持っております。その他の船は、漁労船も含めて、巨大船を避ける義務があるということであります。海上保安庁は、漁労船等に対し、必要な場合は、巨大船通過の情報提供だけではなしに、巡視船から航路外への退去を指示する、こういう場合があるようですが、これは巨大船通過の前後どのぐらいの時間やっておられるのか。 いかがですか。
  128. 永井浩

    永井政府委員 三時間余裕を持って通報をしているということでございます。
  129. 辻第一

    ○辻(第)委員 通報は三時間前からでしょうが、どのぐらいの時間、航路外への退去を指示されるのですか。
  130. 鈴木正明

    ○鈴木説明員 いま長官が申し上げましたが、巨大船からの通報を義務づけておりまして、その通報は前日の正午まで、それからその後の変更があれば、まとめまして三時間前まで、以後変更があるたびに通報を船からもらうという仕組みになっております。それを受けまして、漁船側といいますか、その他の船に対しても情報を提供しておりますが、具体に巡視船艇が参りまして指導いたしますのは、何時間前というのはございません。具体に巨大船があらわれまして、衝突のおそれがある場合に、それに必要な限度で指導を行うということでございます。  それから、航路外への誘導ではございませんで、巨大船との衝突のおそれがある場合に、それに必要な限度で、端的に申しますと、巨大船の航路をあけてもらう、それに必要な水域をあけてもらう、こういう程度でございます。
  131. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、実際は、巡視船から漁労船などへ出される航路外へ退去ということは短い時間なんですね。そして一般原則は、巨大船を避ければよいということだと思うのですが、航路外まで退去をしなさいという指示が巡視船からあるときがあるようですが、漁船の側から見れば、必要以上にその航路から排除をされるというような声を聞くわけですが、過剰な規制にならないように十分配慮をすべきではないか、私はこのように考えるのですが、いかがですか。
  132. 永井浩

    永井政府委員 当庁の指導は安全第一ということで、あるいはそういった誤解を受けるようなケースもあったかと思いますが、必要にして十分な安全措置ということで今後やってまいりたいと思います。
  133. 辻第一

    ○辻(第)委員 確かに安全第一ということはようわかるのですけれども、過剰な規制にならないようにひとつ御努力をいただきたい、重ねてお願いをいたしておきます。  次に、昨年十一月アメリカへ巡視船を巡遣された。 そしていろいろと意見の交換やあるいは合同訓練なんかもやられたというふうに聞いておるわけでありますが、この目的と、それから意見交換をされた内容がどんなことだったのか。それから、アメリカからいろいろ要求があったと思うのですが、どのような要求があり、それに対して日本がどのような態度を示したのか。また、何か確認をしたことがあったのかなかったのか。それから合同訓練の内容についてお尋ねをしたいと思います。
  134. 森孝顕

    ○森説明員 お答えいたします。  昨年、私ども海上保安庁に所属しております巡視船によってハワイに親善訪問の目的で行ったわけでございますけれども、この目的は、海上における捜索救難に関する条約による国際的な捜索救難にかかわる協力関係、これが進んでおるわけでございますが、そういった情勢を踏まえまして、私どもの方の海上保安業務の内容紹介するとかあるいは合同訓練を行う、あるいはまた関係者との意見交換をやる、そういったことで、海上保安の分野についてさらに密接な関係にするということが主眼でございます。  先ほどお尋ねの合同訓練でございますが、たとえば海難救助でございますが、私どものヘリコプター搭載型の巡視船が参りましたので、これからのヘリコプターによる人命救助、海面に遭難者が泳いでおるのを救助するといったこととか、あるいはまた救命艇をおろす、そういった救命艇の降下訓練あるいは揚収訓練、そのような救難に関する訓練が主たるものでございます。
  135. 辻第一

    ○辻(第)委員 アメリカから何か要求はございませんでしたか。それから何か確認をされたことがあったのかなかったのか。その点はいかがですか。
  136. 森孝顕

    ○森説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、SAR条約等を踏まえましての救難に関する協力関係を高める、あるいは一般的な海上保安に関する情報交換といったことでございまして、特別にアメリカ側から具体的な事項について要求されたり、あるいはまた両者で約束を交わすといったことは一切ございませんでした。
  137. 辻第一

    ○辻(第)委員 こういうことを今後とも行われる予定かどうか。それから巡視船巡遣以外の形で交流をしたりあるいは意見交換をしたりというようなことも考えられると思うのですが、その点はどうでしょうか。
  138. 永井浩

    永井政府委員 先ほど部長から御説明しましたように、海上捜索救難条約も批准が日程に上っております。そういたしますと、隣接国との海難救助に関するいろいろな取り決めあるいは打ち合わせといったものが今後必要になろうかと思います。そういった意味で、親善訪問あるいは海難救助当局同士の意見の交換ということは今後とも必要であろう、このように考えておりますが、さしあたり具体的な計画はございません。
  139. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、定期協議を具体化されるというような考え方はありませんか。
  140. 永井浩

    永井政府委員 現在のところございません。
  141. 辻第一

    ○辻(第)委員 これは仮定の話なんですが、もし定期協議を具体化されるというようなことになれば、協議対象を明確にすること、それから内容を公表すること、こういうことをぜひやっていただきたいと思うのですが、定期協議はいまのところ考えておられないということですので、お話だけさせていただきます。  次に、海洋情報システムについてお尋ねをしたいと思うのですが、コンピューターに入れられる情報はどんなものがあるのか、お尋ねします。
  142. 永井浩

    永井政府委員 いま私どもが整備をしております海洋情報システムの中心になりますのは、船位通報制度でございます。これは、民間船に定時に自分の位置あるいは進む方向あるいは速力を報告してもらいまして、これをコンピューターにインプットする。それで、もし海難が発生した場合に、当該船舶海難を起こした場合にはその位置が早期に確定できる、あるいは近傍で他の船の海難が発生した場合にはとりあえず救助に行ってもらうというようなことが可能になるわけでございますので、そういった情報をインプットいたしまして、その船舶の一番新しい時点における位置等を割り出すというのが第一でございます。そのほかに、海洋におけるいろいろな障害物等の発見、あるいはわが国の海洋における主権あるいは管轄権を侵すような、たとえば外国漁船の不法操業、そういったものの発見等があればこれも報告してもらうということで、海難救助あるいは監視、取り締まりといったものに役立てたい、このように考えておるわけでございます。
  143. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろな情報が入ってくるというふうに思うのですが、その入ってきた情報はいまのような方向で活用されるということなんです。しかし、オンラインで結ばれるということがあるわけですが、どこまでオンラインで結ばれるのか、その点をひとつお尋ねいたします。
  144. 永井浩

    永井政府委員 私どもの出先機関が、管区本部、海上保安部あるいは保安署等たくさんございます。そういったところで、たとえば入出港届がありますと、これは一種の位置通報でございますので、そういったものを中央のセンターに送ってもらう、こういった意味で、私どもの出先機関とのオンライン化をしたいというのが第一点でございます。それから、海上における船舶の位置通報については、これは短波で行いたい、このように考えております。
  145. 辻第一

    ○辻(第)委員 いまのお話ですと、外部への情報提供というのは直接の海難救助に必要な範囲に大体限られておるというふうに思うのですが、それでよろしいですか。
  146. 永井浩

    永井政府委員 海難救助が主要な内容でございますが、そのほかに、たとえば海底火山の爆発等によって船舶の安全に支障があるといったような安全に関する情報等があれば、これをインプットし、必要な船舶に流す。もう一つは、海上における法令の遵守、取り締まりに必要な情報等もこれに入れたい、このように考えております。
  147. 辻第一

    ○辻(第)委員 それじゃこういう場合はどうでしょうか。防衛上の目的などで情報が防衛庁に提供されるということはありませんか。
  148. 永井浩

    永井政府委員 直接防衛庁に提供するということは考えておりません。ただ、大規模な海難等で防衛庁に応援をお願いするというようなケースはございますが、そういった場合には、その範囲内で情報を伝えるということはしたいと考えております。
  149. 辻第一

    ○辻(第)委員 それじゃ、USCG、アメリカ沿岸警備隊、ここへはどうですか。
  150. 永井浩

    永井政府委員 まだ相手と具体的に相談したわけではございませんが、当庁の考えております船位通報制度とほぼ同じシステムでございますので、太平洋を両方で管轄するという意味で、できれば連絡をとれるようにしたい、このように考えております。
  151. 辻第一

    ○辻(第)委員 私どもとしては、情報が直接の海難救助目的以外に使用される危険というものがやはりあり得るというふうに考えるわけであります。それを防止するための保証といいましょうか、そういうものはいかがでしょうか。
  152. 永井浩

    永井政府委員 この情報システムは、当庁の業務に必要な情報のみというふうに考えております。
  153. 辻第一

    ○辻(第)委員 それじゃ最後に、大臣から海上の衝突予防ということに関して決意と申しましょうか、御所見を伺いたいと思います。
  154. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 日本は海に囲まれておりまして、物資が七億トンも毎年日本に入ってきますし、また出ていくものが七千万トンとも言われ、それだけ人間も往来する、船も往来しますから、この安全というものは国民経済上大事なことであるし、また人間の生命を守るということでございます。  そういう意味で、国際条約に基づくいろいろな変更の中からまたこのたびの改正もお願いしている。いろいろ御議論があったようでございますが、防衛庁とわけが違いますから、その辺は御心配なく、平和な日本人を守っていくということでありますから、どうぞひとつ御信頼を願います。
  155. 北側義一

    北側委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  156. 北側義一

    北側委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  海上衝突予防法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  157. 北側義一

    北側委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  159. 北側義一

    北側委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十分散会