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薮仲委員 私も、いまお読みいただきましたけれども、文化財保護法を読んでみたのですよ。私は専門でございませんけれども、なぜこれで費用負担しなければならないのかというのがどうしてもわからなかった。いま課長がお読みになったところを、私はいま重ねて議事録に残すためにお
伺いしました。これは私がどう御説明しようと、いわゆる国民が文化財に対しては、それは非常に貴重なものでありますという
認識に立ちなさいというわけであります。負担しなさいという責任はそこに何らないわけです。これはもう、私はいま憲法を持ってこなかったから、これでちょっと読みます。二十九条に「財産権は、これを侵してはならない。」とある。また日本の国の憲法は、われわれの主権というのは最も基本的なわれわれの人権として尊重しているのです。これは憲法の最もとうといところです。それをいまの文化財保護法で簡単に財産権、私権を制限していいのかどうか。これはこれから建設
大臣に私はお願いしたいけれども、文部省と建設省としっかり討議していただかなければならない。
また、課長の御発言の中で非常に私ひっかかるものがある。私は建設委員だから申し上げる。いわゆる開発にかかわるということを軽々しくおっしゃった。これは私は言葉を改めていただきたいと思う。というのは、ここにいるすべてのわれわれは快適な居住環境、より住みよいすべての環境をつくっていこうということで、開発行為というのは決して悪じゃないのです。どうやっていまの住環境を
確保するかとなると、どうしてもいま開発されてないところを苦労しながら開発して、そこに住みよい家をつくり環境を
確保していこうというのは当然なんです。これは言葉をかえますと、昔の人が住んでいたところにわれわれがまたいま住もうと思っているだけのことですよ。不思議はないのです。遺跡があるということは、昔の人は昔の一つの生活の知恵で住みやすいからそこに住居を設けたのです。遺跡があるのです。いま現代のわれわれがこれから新しい住みやすいところを求めようとすれば、遺跡があるところとぶつからないわけがないのです。ぶつかるのがあたりまえで、ぶつからないわけがないのです。
そこで、私権の制限にしろ財産権にしろ、その裏打ちにあるのは何かというと、公共の福祉なんです。文化庁の言われる公共の福祉もわかります。しかし、よりよい快適な居住環境をつくろうというのも公共の福祉です。経済を活性化するために道路をつくろう、これもりっぱな公共の福祉です。どこでバランスをとるか。ただ、いま課長は簡単に原因者負担というようなことで片づけられた。こういう考えは私は今後御検討いただきたい。改めていただきたいのが本当なんですけれども、御検討いただきたいと思うのです。
われわれ建設の立場にいますと、これから
計画局長に私はちょっと話をしておくのですが、開発しようというと——自治省来ておりますね。自治省にも私は文句があるのです。寄ってたかっていじめる。公園緑地を幾らとりなさい。道路を幾らとりなさい。結構ですよ、快適な住みよいところになるのですから。いま地方自治体がやってもしないくせによく業者におっつけますねと言いたいことが私はあるのですよ。河川の改修あるいは道路事情。自分の自治体が国民の税金を使っていながら満足にできないことを一業者に完璧に押しつけるのは、一体これでも公平なのかという考えがあるのです。そういう意味で、さらにそこに、開発に文化庁が乗っかってきますと、金額によっては六千万、一億、数億となるのです、文化財の
調査に。しかも、文化財というのは竹の中にあったりして、時間がかかるのですよ。非常に御苦労だと思うのです。時間もかかるし、労力も要るし、大変なんです。でも、また一面、それをもう少し短縮するなり何なり、文化庁も今度お金をたくさん取って、七十億なんというのではなくて、一千億くらい取って、盛大に文化財を保護し育成し、それで活性を与えるのはいいことだと思うのです。そういう意味で、いま開発業者の方にだけ押しつけるのではなくて、やはりそこは文化庁の方も開発なさる方の御苦労——そしてわれわれはそういういろいろな規制をかけられたりあるいは文化財で負担がかかる。坪当たりの単価が高くなっているのです。たとえば二十万で分譲できるのが三十万、四十万。そうすると、これもまたいろいろな意味で公平なのかなという考えもあるわけです。
そこで、これ以上言うのもちょっと……。一方的に原因者が全部負担しなさいということだけではなく、一つは期間を短縮するなり予算をもっと取る。文化財を本気になって守る立場なら、予算も取り、
調査の期間、要員もふやし、非常に重要なのか、それともこれは記録だけでいいのかという判断をもっと早くすると同時に、少なくともある部分は、道路をつくるのでも河川をつくるのでも、国が補助し、県が補助し、市町村が補助し、一つの工事ができているのです。文化財の保護も、あなただけやりなさいというのはずいぶんお気の毒だと思うのです。今後の問題として、開発だからと何か乱暴な言い方をなさったけれども、宅地開発という非常に重要な社会的な事業をおやりになっている。そういう意味で、そういう思想を文化庁もその立場に立って理解してあげる。市が文化財に対して予算を出す、県が出す、国が出す部分というふうにいろいろ分けられて、一方的に業者の負担だけでなくて、お話し合いを進めていかれる方がいいのではないか。そうやっていただきたいと思うのですけれども、いかがでございますか。