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1983-02-23 第98回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年二月二十三日(水曜日)     午前十時十分開議  出席委員    委員長 松永  光君    理事 鴨田利太郎君 理事 住  栄作君    理事 竹中 修一君 理事 村岡 兼造君    理事 小野 信一君 理事 木間  章君    理事 薮仲 義彦君       足立 篤郎君    池田 行彦君       川崎 二郎君    木村 守男君       桜井  新君    東家 嘉幸君       羽田野忠文君    久保  等君       中村  茂君    山花 貞夫君       近藤  豊君    瀬崎 博義君       中島 武敏君    甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 内海 英男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 加藤 六月君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       宮繁  護君         国土庁長官官房         審議官     荒井 紀雄君         国土庁計画・調         整局長     白井 和徳君         国土庁土地局長 小笠原正男君         国土庁水資源局         長       高秀 秀信君         国土庁地方振興         局長      川俣 芳郎君         建設政務次官  中村喜四郎君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房総         務審議官    吉田 公二君         建設大臣官房会         計課長     牧野  徹君         建設省計画局長 永田 良雄君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省河川局長 川本 正知君         建設省道路局長 沓掛 哲男君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎君         建設省住宅局参         事官      吉沢 奎介君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部団         体課長     植松  勲君         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    樋口 嘉重君         大蔵省主計局主         計官      斉藤 次郎君         大蔵省主税局税         制第一課長   滝島 義光君         大蔵省主税局税         制第三課長   真鍋 光広君         文部省管理局助         成課長     逸見 博昌君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     塩飽 二郎君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     黒田 直樹君         気象庁総務部企         画課長     駒林  誠君         建設省道路局次         長       梶原  拓君         自治省税務局固         定資産税課長  鶴岡 啓一君         消防庁予防救急         課長      小坂紀一郎君         消防庁防災課長 野口陽一郎君         参  考  人         (住宅都市整         備公団総裁)  志村 清一君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  救仁郷 斉君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  武田 晋治君         建設委員会調査         室長      升本 達夫君     ───────────── 委員の異動 二月十日  辞任         補欠選任   関  晴正君     岡田 利春君 同日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     関  晴正君 同月二十三日  辞任         補欠選任   関  晴正君     山花 貞夫君 同日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     関  晴正君     ───────────── 二月九日  都市計画法に基づく線引き等改廃に関する請願臼井日出男紹介)(第三八四号)  同(國場幸昌紹介)(第三八五号)  同(戸井田三郎紹介)(第四四二号)  同(左藤恵紹介)(第四八六号)  同(江藤隆美紹介)(第五〇七号)  尾瀬の水の広域的運用に関する請願長谷川四郎紹介)(第四一七号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第四八七号)  道路整備促進に関する請願江藤隆美紹介)(第五〇八号) 同月十六日  第九次道路整備五カ年計画策定道路特定財源確保に関する請願小沢一郎紹介)(第五八一号)  道路整備促進に関する請願倉石忠雄紹介)(第六四八号) 同月二十一日  都市計画法に基づく線引き等改廃に関する請願(正示啓次郎紹介)(第九二五号)  同(野呂恭一紹介)(第九二六号)  同(村山達雄紹介)(第九六〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 二月十七日  里道水路等法定外公共物管理責任明確化及び財源措置に関する陳情書(第七七号)  工場排水の受け入れの禁止等下水道法の改正に関する陳情書(第七八号)  第二阪和国道の和歌山市までの延伸等に関する陳情書(第七九号)  国道四二号における日置川町からすさみ町に至る区間の改修促進に関する陳情書(第八〇号)  中国横断自動車道岡山米子線整備促進に関する陳情書(第八一号)  市町村道補助率拡大に関する陳情書(第八二号)  総合的治水対策推進に関する陳情書(第八三号)  四国開発幹線自動車道建設促進に関する陳情書外一件(第八四号)  北関東横断道路建設促進に関する陳情書(第八五号)  下水道整備事業促進に関する陳情書(第八六号)  都市緑化促進法制化に関する陳情書(第八七号)  違反屋外広告物の撤去に関する陳情書(第八八号)  第九次道路整備五カ年計画策定に関する陳情書外八件(第八九号)  道路財源確保に関する陳情書(第九〇号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 松永光

    松永委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団総裁志村清一君、理事救仁郷斉君、理事武田晋治君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松永光

    松永委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 松永光

    松永委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜井新君。
  5. 桜井新

    桜井委員 きょうは国土庁長官並びに建設政務次官に、先般の所信表明についてのことについて質疑をさしていただきたいと思います。  最初に、きのうおとといと相次いでホテルの火災が起きたわけでありますが、実は、先ほど党の災対の会議に出てきていろいろ議論をしてきたのでありますが、どうも災害対策というのは、災害は忘れたころにやってくるというふうに言われておるように、災害が起きたときだけはわあっとやるけれども、問題は、その災害の処理をいつまでにどういうふうにするかということが国民立場被災者立場では一番心配なことなんですが、どうも役人さんが二年か三年で転々とかわるものですから、フォローアップが思うようにいっていないような気がいたすのですよ。  それで、一つの例ですが、この二つの災害と去年のニュージャパン災害とでしみじみ感ずることは、今度の災害では「適」マークを万座も蔵王も両方の旅館ともちゃんともらっているのですね。ところが、その「適」マークをもらうだけの設備をきちんとしていながら、その設備運用に至っては、火災報知機を夜になったら切っていたというのですね。これでは全然話にならない。  実は、労働基準監督署あたりでは、現場災害を起こさないために、こういう指導をしているのですよ。災害を起こそうと思っても、本人が起こそうと思っても起こされないような管理をしなさい。安全会議ではこういう指導をしていますね。建設省の方でもご存じだと思うのです。やはりそれぐらいにしなければならないところに、去年あれだけの災害が起きて、経営者によってはちょっと狂っているかと思うような人もいるわけですね。そういう方々が、自分の損得ばかりで、設備はもう規定だからしようがない、やるけれども運用に当たっては、そんなのいいかげんでいいんだよという感じの運用をやられたんでは、せっかくの制度も何にもならぬわけですね。だから、電気を切ろうとしても切れないような努力があってしかるべきだったと思うのです。  きょうは、実は消防庁にそういう忠告もしておったのです。このことは一つの例としてあなたに申し上げたので、私がきょう聞きたいのは、先般通告しておりましたように、雪のことでちょっとお聞きしたいのですが、実は、ことしは小雪だということで喜んでおった。適度にスキーもできるということですばらしい冬ぐらいに思っておったら、突如立春を過ぎてああいった大豪雪になってしまった。しかも、ことしの雪の降り方は、例年豪雪地帯である山間地ではなくて、北陸の方は平野部に強く降ったわけですね。  そこで、実はおととしの豪雪のときに、市町村除雪費が足りなくて大騒ぎをしまして、これは予備費から何とか超過分についての二分の一くらいは補助してあげましょう。それについての基準を決めたわけですが、これは長官に聞いても無理だと思うので、国土庁担当者にお聞きをしたいのですが、ことしの場合も、そういうことで、山間地の方の統計からいえば、恐らくとても補助金を出すような条件は満たしていないと思います。これからまだ雪はどう降るか。この二十五、六日ごろまた寒波が来るそうですから、どうなるかわかりませんが、仮に来たとしても、まあ恐らくそういう数字は出てこないと思うのですが、平野部では、当然それに該当するような数字が出るだろうと思っているのですが、このことについての調査または対応はどうしているのか、ちょっと聞かせてください。
  6. 荒井紀雄

    荒井政府委員 お答え申し上げます。  市町村道除雪事業補助臨時特例につきましては、御指摘のとおり、五十五年度の特例としまして、五十六年の三月よりこれを適用しておるわけでございます。  そこで、今回の雪の状況でございますが、先生お話しのとおり、平野部における積雪が非常に多いというふうなことで、特に新潟周辺等におきましては、戦後二番目というふうな積雪量でございます。  そういう状況にかんがみまして、今後の積雪状況を注意深く判断をいたしまして、この基準の適用についても慎重に検討してまいりたいというふうに考えておりますが、現段階ではいままだそこまで達していないというふうな状況でございますので、今後さらに慎重に綿密に調査をいたしまして、適切に対処していきたいというふうに考えております。
  7. 桜井新

    桜井委員 いまの答弁では不満足ですけれども、いまのところでは達していないなんということは言い切れない状況だと思いますよ。ただ調査が不十分かもわからぬから、あなたさっきも言っていたけれども調査がまだ不十分だというお話ですから、十分調査して、最後の答弁のように対応してください。  それから、おととしの例の雪害のときに、なだれ防止等については特別対策を立てろということで、危険個所の一斉点検をやるという約束であった。そして災害こそまさにすべてに優先させるべきだということで、特別予算を立てて、これに対策を立ててくれ、こういうことで、そうやりましょうという話になっておるのですが、その危険個所に対する調査の結果と、これに対する対応はどうなっているか。これも長官では無理だと思うので、あなた……。
  8. 荒井紀雄

    荒井政府委員 お答え申し上げます。  御指摘なだれ調査でございますが、衆議院の決算委員会の御決議等も受けまして、早速、建設省林野庁、相共同いたしまして調査に入りました。五十六年より入っております。今回特に問題となりますのは、従来のなだれ対策といいますのが、道路あるいは鉄道等公共施設が主な対策となっておりまして、いわゆる集落背後対策等については今後の課題ということが御指摘されたわけでございますので、そういった問題を踏まえまして、今後総合的ななだれ防災対策を確立していく必要があるのではないかということで調査をしておる次第でございまして、五十六年度におきましては、建設省におきましては、新潟県の魚沼、姫川、石川県の白峰、それから林野庁におきましては、福井県の勝山、富山県の庄川、こういった地域モデル地域に選びまして、そこで基礎調査、それからさらになだれ発生状況調査、どういう植生、どういう地形の場合に、どういうなだれが発生するかといったような調査等を行いまして、その結果を踏まえまして、五十七年度に入りまして、なだれ危険度判定基準というものをつくるということでございまして、現在それを目指しまして鋭意検討中でございます。相なるべくは三月じゅうにも結論をいただいた上で、関係省庁また相集いまして、対策を講じていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  9. 桜井新

    桜井委員 そこで長官、いまお聞きのとおりなんですよ。おととしあれだけの大災害が起きて大騒ぎをしたけれども、いまだにまだ調査はこんな程度なんですよ。そしていままでなだれ防止については、森林だとか、道路だとか、鉄道だとか、そういう施設保護を目的にしたようななだれ防止制度はあったけれども人家等を直接保護するような、そういう特別ななだれ防止対策はなかった。ところが、そういうところに一番事故が起きたわけですから、今度は、いま報告いただいたとおり、そのことに最重点を置いてやっていただかなければならぬわけです。しかも、これは予算を伴う問題でありますから、かなりその気になっていただかなければならないのですが、さっきの火災と同じで、役人さんがかわってしまうと、あのときの苦しみとかお気の毒さというものが薄れてしまうのですね。どうしてもそういうことで力が入らなくなるのですが、これはぜひ、長官がかわろうとも役人さんがかわろうとも、住民の立場になって、いつまでもフォローアップしながら本気で取り組んでいただかなければならぬ問題でありますので、長官決意のほどをひとつ聞かせていただきたい。
  10. 加藤六月

    加藤国務大臣 桜井委員の御質問の御趣旨は、豪雪中心の御質問でございましたが、わが国地形自然的条件を考えますと、わが国災害が非常に多いところでございます。その災害から国土国民を守り、そして災害に強い国土づくりをやっていくというのは国の政治基本でございます。そういう点を踏まえまして、強力にそして粘り強く災害対策を講じていかなくてはならない。そして先ほど御質問のありました五六豪雪によるところの結果を踏まえまして、私たち関係省庁と相談をしながら、先ほど審議官がお答えしましたような点を一生懸命推進いたしておる次第でございます。  ただ、考えますと、それをどの範囲までどのようにして今後やっていくかということでの一つの大きな調査もやっておるわけでございますが、人がかわろうとポジションがかわろうと、こういう問題について熱意を持って取り組むのが政治基本だと思っておりますので、決して人がかわったりあるいは異動したりすることでそれに対する熱意努力を怠るものではありません。  以上、申し上げておきます。
  11. 桜井新

    桜井委員 そういう決意でやっていただきたいと思うのですが、問題はやはり予算ですから、災害はすべてに優先させるということで、非常に厳しい財政事情のことは私も十分承知をしておりますが、人身にはかえがたいものだと思いますので、三月までに答えを出すと言っていますから、出たらぜひ特別の配慮をお願いいたします。これは陳情申し上げておきます。  それでは早速所信表明に対する質問に入らせていただきます。  所信表明の中で、総論としての説明で、国土計画推進に当たって、三全総のフォローアップ作業の成果を継承しながら云々と言って、「二十一世紀に至る人と国土に関する長期の展望を明らかにする」とありますが、人と国土のバランスという観点から、自然の許容量にかなった人口配置を目指して、総合開発という国家戦略国土庁としては最も重要な柱としてやるべきだと私は思うのです。  そこで、人間の飽くなき欲望におもむくままに任せて、過度に都会人口集中をするようなことを許さないために、これは建設大臣の方ではたしか所信表明の中で、七割ぐらい集中しているというような表現を使っておりますけれども、そういうことからいろいろな弊害が起きてくるわけであります。そこで私は、産業住宅、いわゆる産住共存の快適な生活環境をつくるためのものでなければならないと思うわけであります。そしてそのためには、いま申し上げたように、自然のキャパシティーと言おうか許容量範囲内で、しかもいま言うように、産住共存可能な生活圏をつくるためには、水資源対策とか生活環境整備産業配置などの計画策定するときに、たとえば水域別キャパシティーに合わせるというようなことを計画基本として推進すべきだと思うわけでありますが、このことについて長官はどんなふうに考えていらっしゃるか、お聞かせ願いたいのです。
  12. 加藤六月

    加藤国務大臣 日本国民日本のどこに住んでおっても同じような生活ができ、同じような生活環境にあるようにこいねがうというのは、これまた政治基本でございますが、昭和三十年代、急激に都市人口が集中して、いろいろな弊害が起こってきたわけです。公害であり、あるいは土地や水の不足であるとかいろいろな問題が起こってきました。そこで、三全総というのは、過密過疎の問題を解消し、定住圏構想というのを中心としていま進めてきておるわけです。  そこで、所信表明に申し上げました二十一世紀に向かっての新しい全国総合開発計画というものをどういう観点中心にやるか。桜井先生は、その中に自然の水というものを考えなくてはならぬのじゃないだろうかという御趣旨のように承ったわけです。人口産業適正配置ということを考えます場合に、生活環境産業環境、いろいろな環境問題も考えなくちゃなりませんが、その中において水というものは、今後重要な要素を占めていくのではないかと思います。三全総のフォローアップがまだ完全に完了しておりませんから、そのフォローアップした審議会の結果をいただきましたら、それを踏まえまして、先生がおっしゃっているような中身等も今後十分検討加味しながら取り組みたい、このように思っておる次第でございます。
  13. 桜井新

    桜井委員 私は説明ただから、長官によく御理解いただけないで、聞かないところまでむずかしい答弁をしていただいて恐縮だったのですが、私が言いたいのは、要するに、自然の容量と言おうか、水なら水の水系別キャパシティー、それに合った人口配置ということを国土計画基本にすべきだ。そして何も東京みたいに過密のところへ——一年たっても土も踏めない、太陽も満足に拝めないような住宅は、快適な住宅環境ではないわけです。まだ日本じゅう遊んでいる緑の土地がいっぱいあるわけですから、そういうところに勤め口さえあれば、産住共存できるりっぱな生活環境が求められるわけですから、それにはどこかに制限がなければならぬので、水という視点からそんなことを考えてみたらどうか、こういうことなんですが、これは答弁していただくと、また時間がなくなりますので、次へ進ませていただきます。  そこで、もうちょっと水のことを。あなたは第三で、「総合的な水資源対策推進」ということで所信を求べられていらっしゃいますが、実は私も二年半国会へ出さしていただいて、いろいろな審議会、特に自民党の政策会議に出させていただいて議論を聞く、いろいろな人たちからの意見を聴取する中でしみじみ思うことは——行政担当者である役人さんももちろんでありますし、これはある意味では隠れみの的な対策として審議会だとか調査会だとかいろいろなことをやりますね。そういうもののメンバーに選ばれる皆さんは、大都会、大東京圏の中で生活をしている人たちがほとんどなんです。だから、どうしても発想が私らの視点から、新潟の田舎に住んでいる目から見ると、都会的な発想答えを出しているのです。そして都会生活過密になっても、利便供与をすることは正当なんだと言わんばかりの答えになりがちなんでありますが、そういうことでなしに、日本列島全体をどう活用していくのか。ただでさえ狭いと言っているのだから、それでもまだこれだけの未利用地があるのだから、やはり国土行政というのはそれを活用するという視点であるべきだ。そういう考え方で、この水のことについても、先ほど申し上げたように、許容量に応じて人口配置を考えるべきだ。私はそういう意味なんだ。  そこで、いまの水資源対策というのは、要するに、天から降ってきた水を、川へ出てきた水をダムをつくってせきとめて、それで無制限に集中した人口皆さんに供給さえすればいいのだという発想が根底にあるわけです。ところが、川というのは、ただ水をためてとるためにあるのじゃないのです。やはり自然の中の一環で、人間生物を食べて生きている以上は、生物が生きられなくなれば人間も生きられなくなることは当然なんで、そういう視点で三つほどお聞きをしたいのです。  一つは、具体的に申し上げますと、母なる川としての生命を失わない程度の水量、すなわち洪水も適度に流し、また渇水期でも一定量の水を流すといった範囲内で水資源開発可能量を算定し、人口配置を決めていくべきだと思うが、この点についてはどうお考えか。
  14. 高秀秀信

    高秀政府委員 大臣お答えの前に私から、国土庁が作業いたしました、先生いま御質問の水の適正利用といいますか、それに対する考え方をお答えいたします。  昨年末、私どもの方は「二十一世紀水需要」という見通し作業をしたわけでございますが、この中でも、全国を十二地域ブロックを分けまして、先生いまお話しのように、水の賦存量に対して水の使用率がどうなるかというようなことを検討いたしております。  全般的に申し上げますと、私ども昭和三十一から四十八年の十八年の資料から、水の少ない方から第二番目、大体十年に一遍の渇水になると思いますが、これでいきますと、全国水資源賦存量、これは雨から蒸発等を引いたものですが、大体三千三百億トンぐらいになる。いま先生お話しのように、適正利用率というのはなかなかむずかしゅうございますし、ブロック別に違っているわけですが、渇水に対しておおよそ六〇%ぐらい、全国では二千億トンぐらいが水の使用の経済的とか環境の問題とかを含めて限度であろう……(桜井委員「それは維持流量じゃなくて、使用可能量としてね」と呼ぶ)使用でございます。六割ぐらいというふうに私ども考えております。したがいまして、先ほど申し上げました資料の中でも、十二ブロック別に、大体水使用量がこのぐらいになるのではないかというようなことも提案をいたしております。そういうものを踏まえて、先生いまお話しのように、今後の全国総合開発計画等策定に当たっては、水からの意見も申し上げたいと思っております。  以上でございます。
  15. 桜井新

    桜井委員 また、水資源局長にお聞きしたいのですが、六割という数字が適当かどうかということはなかなか問題のあるところです。私もさっき言ったように、母なる川としての使命を維持させるためにどれが適正かということは、日本国土全体の水量と日本のこれからの想定人口によって限界を決めた上で、できれば少なくとも五〇%ぐらいは維持流量として河川管理に残すべきだと思うのです。しかし、その数字を全部調査してみないと、私もはっきりしたことを申し上げられないので、これはそういうことで、疑問だけ投げかけて保留にしておきます。  そこで、そういう観点からすると、いまの水対策ということがこれで果たしていいのかどうか。私は、具体的にもっと、ただ水が足りないからダムをつくって、何年までに幾つダムをつくればいいのだということではなくて、人口配置を少しずつ誘導していく政策というものがなければならぬと思うので、ちょっと申し上げたいのです。いま東京や大阪圏にたくさんいるのを、おまえたちどこかへ行けなんて言ったって、なかなかできることではありませんから、現状是認はやむを得ないとして、そういう場合に、水不足地域に対する施策の推進をすることはもちろんだし、水不足地域での人口増や企業新設は、これからのたとえば建築確認をするとかあるいは事業所を新設するというときには、新設は認めないというような——渇水期に水が足らぬと言わないのならいいけれども、足らぬと言うのだったら認めないくらいの姿勢が必要だろうと思うのです。それからチェックの方法としても、具体的なことを申し上げれば、建築確認の届け出をする段階とか事業所の届けをするとかいうときに、水道局の同意がなければ許可をしないとか、そういうのも一つの方法かと思うのです。そういう考え方で誘導対策をいまからきちっとしておかないと、この間も党で議論をしたときに、ダム一つつくると言ったって、十五年も二十年もかかるのだという話なんですから、人口を一定の範囲でバランスのとれた配置をするなんということは、何十年もかかる話なんですから、そうすべきだと思う。これについて取り組む気持ちがあるかないか、ちょっと聞かしてください。
  16. 高秀秀信

    高秀政府委員 お答えいたします。  先生のいま御提案のいろいろな施策については、なかなかむずかしい問題も含んでいると思いますが、前向きに検討いたしたいと思います。  私ども水サイドとしては、先生の御趣旨もそうだろうと思いますけれどもブロック別に供給施設も踏まえて、水がこういう地域はまだまだありますよとか、安い水が供給可能であるとか、あるいはここは高い水になるとか、供給が限度に来ているとか、そういう指標を世に示していくということも誘導政策として必要じゃないか。これについては長官の指示もございますので、作業をどんどんして世に出していきたい、こういうふうに思っております。
  17. 桜井新

    桜井委員 最後に、長官にお聞きをしたいのですが、長官水資源対策について述べられた最後に、「近年における経済社会情勢の変化等に対応し、二十一世紀を展望した新しい長期的水需給見通しの検討に着手することとしております。」こういうことなんですが、そうだとしたら、いまから私が言ったような全体的なことをふわっと計画だけ出したって、便利さだけを求めてみんなそこに集中しちゃってだめなんだから、やはりチェックまできちっとすべきだと思う。同じ水系であっても、上流から下流まで行政区が違うわけですから、それぞれ何が適正かということを検討しながら、水配分も決めてやっていく。  それから、最近困っていることは、かつては水道のない時代に湧水、地下水、わき水を当てにして集落ができていったわけですね。ところが、わき水というのはどこかの水源から、川から地下水にもぐってきているわけです。それをどこかの上流で貯水ぜきをつくって、どこかへ持っていっちゃうから、とんでもないところにいってしまう。慣行水利権が認められておる現状からすると、これは水利権の侵害になると思うのですね。こういうトラブルは各地に非常に多いわけです。だから、この際、過密地域ができてどうにもならない、膨大もない水資源対策をしなければならない、資金を使わなければならぬという時代に来た以上は、そこまで具体的にいまからやるべきだ。これは十分技術的にやれるはずですから、長官のお考え方を聞かしていただきたい。
  18. 加藤六月

    加藤国務大臣 二十一世紀に向かっての新しい全国総合開発計画をやるべく目下準備いたしておるわけでございますが、その際、その線に沿って長期水需要計画というものを立てていきたいと考えておるわけでございます。ただいま先生がおっしゃいました趣旨を十分検討、尊重しながら、その方向で研究していきたい、このように考えておるわけであります。
  19. 桜井新

    桜井委員 ありがとうございます。ぜひひとつお願いをいたします。  それから、第四と第五で、大都市対策と地方振興を挙げられておるわけでありますが、これから急速に高齢化社会が進んでいく中で、冒頭申し上げたように、ややもすれば都市対策が先行するようないまの情勢ですけれども、やはり過疎地の地方対策というのが完全にいかなかったら、日本国土計画はうまくいかぬと思うのですよ。そういう観点で、高齢化社会が進む中で、地方にどうやって職場を与えてやるか。これは非常にむずかしい問題でありますけれども、大事なことだし、また地方だけでなくて、都会だってそういうことが言えると思うのですが、若年層の職場と老齢者の職場、これはおのずと——たとえばいまのいろいろな先端産業なんかに従事するのは、年とってからはとてもできませんよ。そうすると、どうしても若年層と老齢期という二つに分けた人生二回そういう職場で働くという、そんな考え方適正配置を考えていかなければならぬと思うのです。  そこで、あなたが述べられておる中に漁村対策、農村振興という問題があるわけでありますが、このことについてちょっと私の提言をやらしていただきたいと思うのですが、漁村、離島の振興対策として、二百海里海域設定以来遠洋漁業がふるわなくなったわけですね。それで沿岸漁業に頼らざるを得なくなってきたわけでありますが、そういう中で栽培漁業、つまり海洋開発ですね。そういうことを積極的に進めていかなければならぬということで、実は沿岸漁場整備開発法の改正も水産庁では今度提案しようとしているわけです。ただ水産庁が、そんなことを言うと水産庁長官に怒られるかもしらぬけれども、小さな省が力んだくらいのことではなかなか実現はできないと思うのです。たまたまことしは漁業権の更新の年なんですよ。そして二百海里経済水域が設定されたときには、いやおうなしに日本は撤退を余儀なくされました。だけれども、いわゆる沿岸や内水面の漁業権に関する法規制には何ら手を触れないできたわけですから、ここでやはり私は積極的に新しい栽培漁業という手法がやりやすくなるようにこれは取り入れながら、国土庁国家戦略としてバックアップをしながら進めていって、いわゆる漁村の職場開拓とでもいいましょうか、海洋利用とでもいいましょうか、そういったことにもっと積極的に国土庁としてバックアップすべきではないか、こう思っておりますが、長官考え方を聞かしてください。
  20. 加藤六月

    加藤国務大臣 先生のおっしゃったとおりでございまして、桜井先生かねがね漁業関係大変熱心に推進していただいておるわけでありますが、私たちも十分その線に沿ってこれからやっていかないと、資源小国日本はだめになるという強い気持ちから取り組んでいきたい、このように考えております。
  21. 桜井新

    桜井委員 三全総の見直しをして新しい国土計画をつくる中で、ぜひこういったことをもっと国家戦略として推進できるようにひとつ計画の中に盛り込んでいただきたい。  それからもう一点、農村対策なんでありますが、特に日本山間地が非常に多いわけですね。そしてかつては山というのは、森林で利用するだけではなくて、いわゆるまき山として地方の家庭生活のエネルギー源になったわけでありますけれども、いまは全くこれは私ども人間生活には何の役にも立っていない。経済的な価値は全くゼロ、こういうのが実情であります。そして広大な平野を持った地域の農業あるいは都会に近いところの農村は、それなりにやる方途はいろいろあります。そして恐らく農産物輸入自由化なんていうのがやられてもさほどにこたえなくて済むと思うのです。しかし、全国の八、九割も占めております地方農村というのは、特に山間地はそんなことになったらどうにもならぬ。みんな五反百姓といって三反歩か五反歩ぐらいしか持っていないわけですから大変なことなんです。  そこで、日本というのはもともとが農耕民族ですから、魚をとって、そして田や畑を耕して生きてきた民族ですから、緑を見るとどうしてもたんぽや畑という発想になるわけです。ところが、ヨーロッパ人というのは放牧民族でありますから、緑を見ればすぐ牧場という発想につながっていくわけですね。だから、物の発想というか視点が全く違うわけです。いま農業対策として、農業が自立できる、本当に自由経済の中に投げ出されても大丈夫なようにするには、技術的には心配ないのであって、問題は規模ですね。規模をどう拡大するか。これがやはりアメリカあたりとの農産物の価格競争のときに一番問題になるわけですから、そういうことを考えたときに、平野の一町歩、二町歩というのは大変な面積でありますけれども、山の五町歩や十町歩なんというのは大したことはないのですよ。すぐとれるのですよ。去年、私はニュージーランドも行ってみました、チリも行ってみました。山の頂上まで全部牧場にしてありますね。しかも、日本の農林省みたいに金をかけないやり方をするのです。全部最初に焼き払って、あとは種をまくぐらいのやり方をするのだそうです。  まあそんなことはどうでもいいのですけれども、ああいうのを見てきたときに、私は新しい時代の農政対策、いつまでもこんなことをして、補助金行政だと言っていつもやり玉に上げられて、あれは農村だけの補助金じゃないのですから、日本経済がここまで発展してくる過程の緩衝地帯的役割りも十分果たしてきて、あるいは貿易産業の家電産業や自動車産業住宅産業の基礎的な経済需要を満たすための役割りも果たしてきたので、何も農民だけのものじゃないのですから、そんな責め方はやめていただきたいと思うのですが、いずれにしても、そういう視点でいつも見られておるような農業対策であってはならないと思うのです。林野庁なんかに聞けば、日本の森林資源は、木材需要に対して、いま植えつけられている面積をリサイクルするだけで間に合うとまで言われているのですから、その他の雑木林というのは、やはりこれは何らかの視点でわれわれ日本民族のために活用するという考え方をすべきではないかと思うのです。そしてこれをもっと簡便に牧場として開発をしていくならば、山間地の農業対策には大きな貢献をする。現に少しずつではあるがやっている地域があるわけでありますが、それなりの効果も上げております。そこで、これも国土計画の中で農村振興の柱として積極的に進めていただきたいのです。  その場合にはもちろん問題はたくさんあります。先ほどの雪害でお話し申し上げたように、まず水源涵養1対策というものをどうするかということ、山をみんな坊主にして大丈夫かということがありますから、これが対策も必要であります。それから土砂崩れに対する対策、それからなだれ防止に対する対策、いろいろ考えられますが、そういったことは技術的に十分可能でありますから、そしてそういうことを全部チェックした中で、まだやれる範囲は、活用される範囲は、山の四割近い面積がまだ十分開発可能だと思うのですよ、そういう視点に立てば。これはヨーロッパの人たちは羊や牛や馬、こういう順序で飼っていますから、高いところは全部羊だね。だからいろいろ放牧の仕方もあると思うのですが、これはぜひ新しい国土総合開発の中で推進をしていただきたい、こう思うのですが、長官考え方を聞かしてください。
  22. 加藤六月

    加藤国務大臣 わが国の農業というものが国際競争力を持つまでに育てていかなくてはならない前途にはいろいろな問題が控えておると思います。ただいま先生がおっしゃったような問題も非常に重要な問題でございます。自立していける農家を育成する、そのための諸施策は当然考えていかなくてはならぬわけでありまして、何としましても、わが国国民生活を支える根幹は、そういったところにあるんではないかと思いますので、関係省庁とも十分相談いたしまして、先生の御趣旨に沿った線を踏まえていきたい、このように考えております。
  23. 桜井新

    桜井委員 ありがとうございました。  それでは国土庁の方はそれぐらいにして、建設政務次官せっかくおいでいただいておりますので、一、二お尋ねをさしていただきます。  大臣の所信表明の中で、「最近のわが国」というところから「行財政改革を着実に推進していくことにあります。」こう述べられておるわけでありますが、これを聞かしていただきまして、私はこんなことを感じておるのですよ。いまも国土庁長官にも申し上げましたように、建設行政基本的な課題を実現していくためには、多い人口と狭い国土とのバランスある国土利用という観点が最も大切なことだと思うのです。都会というところは幾ら利便供与をやったって、やればやるほど過密になってきます。そして全体が一度にできませんから、部分的に問題を解消すると、その先がまた詰まってしまう、こういう弊害があるわけです。だから、ある程度人口減を図らなかったら絶対だめなわけですから、そういう意味で、財源の少ないときにどう効果的な投資をするかという発想が必要だと思うのですが、各省の毎年の予算を見ておりますと、もう自分の省の、局の予算だけは絶対に減らしてはならぬ、こういう発想ですね。どうやって理屈をつけて伸ばそうか。それはしかし、それぞれの局で都会だけでなく地方の予算もいっぱい持っていますから、それはそれで結構なんですが、そういう従来の延長線上だけということでなくて、この際、私が先ほど、あなたもお聞きいただいたと思いますが、国土庁長官ただしてきたような発想で思い切って地方対策をやることが一番効率的な投資だと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  24. 中村喜四郎

    中村政府委員 お答えをいたします。  建設行政の課題は、社会資本の整備を通じて活力ある経済社会と充実した国民生活を実現することにあるわけでありますが、社会資本のうち高速自動車国道等の施設については、国土の均衡ある発展を図るという観点から、全国的な視野で整備を進めており、またその他の施設については、それぞれの地域における各施設の整備水準、地域の特性、ニーズ等に応じて対応を進めているところであります。そのような観点に立ちまして、先生の御趣旨を踏まえつつ、建設行政の中で十分国土の有効的な活用にこれからも取り組んでいくというのが私ども考え方であります。
  25. 桜井新

    桜井委員 きわめてりっぱな答弁過ぎて余り満足できないのでありますが、実は私は、この際、思い切ってそういう発想の転換をしながら予算の傾斜配分ということをやるべきだと思うのです。地方で、ここに道路が来れば事業所が出てもいいよという場所が、トンネルが十五年、二十年もかかりそうな予算で遅々として進まないようなところがいっぱいあるわけです。そういうところにやはりこの際やって、先ほどから言っているように、何も満足に生活もできないようなつまらないアパートやマンションなんかに住んでいるのではなくて、庭もあり少しぐらいは野菜もつくれるようなところへ住みながらちゃんと職場に通えるような、やはりそういう快適な生活環境建設行政としても進めるべきだと思いますので、これは役人さんに言っても無理な話ですから、大臣や政務次官から思い切って予算配分を転換していただくように御陳情申し上げます。  それから、こういう時期でありますから、この間、実は日本経済新聞にこんなことが出ておりました。東京湾横断道路を純粋な民間企業でプランから施工まで全部やらせる、採算も全部やらせる、これは道路法だか何かにやれるようになっているのだそうであります。私も実はまだ時間がなくて十分な勉強をしておりませんけれども、この発想は、私も実は県会時代に新潟県議として、限られた予算の中で、とにかく後進県と言われないようにするためにどうするかという視点からいろいろ勉強させていただいたこともあるのですが、道路行政はいま幸い道路三税がございまして、この活用については大蔵省から制限をつけられて私も大変不満でありますけれども、これは建設省だけの議論では済みませんからきょうはいたしませんが、しかし、限られた予算の中で、しかも増税はこれ以上はやれない、財政再建をやらなければならぬ、景気対策もやらなければならぬ、そういう中でどうやるか。産業構造の転換という意味からも、これは建設行政の中で積極的に私は検討する価値がある、こう思っておるわけですが、これについては建設省としてどんなお考えか聞かせてください。
  26. 中村喜四郎

    中村政府委員 ただいま先生から御指摘をいただいた点につきましては、民間事業としての創造力、バイタリティー、そういうものを活用していくという御指摘に対しては、確かに傾聴に値すると思うのであります。ただ道路事業全体を考えてまいりますと、道路ができ上がった場合の管理、資金の調達、そうした長期的な採算性の問題につきましては、まだまだいろいろな面で十分検討を加えなければならない点もございますので、先生の御指摘趣旨を十分検討させていただきまして、そういう問題についても前向きに進められるように努力をしていきたい、こう考えております。
  27. 桜井新

    桜井委員 大変ありがとうございます。ぜひそういうことで取り組んでいただきたいと思うのです。これは道路でも鉄道でもそうでありますが、せっかく路線を敷いても、地域全体から上がるメリットについては何の見返りもないわけですね。民間がやりますと、それをセットにしてやるわけです。だから、公共性を阻害するようないろいろな条件については、制度上規制をかけてやれば十分できると私は思う。資金調達も、そういう角度で民間事業でやっているのですから、やはり産業構造の転換といいましょうか、そういう発想の転換というのが必要だと思うので、ぜひひとつこの際取り組んでいただきたいと思います。  それから最後に、第九次道路五計の問題でありますが、わが党の川崎先生がこのことについて触れられるそうでありますので、私は山間僻地に住まいをしておる関係で、この方のことだけお伺いをしておきます。  この中で、雪寒道の五計、それから奥産道路の五計は、ともに地域格差の是正と国土の平均的な活用という視点からは、いままで非常に大きな貢献をしてきていただいて喜ばれている事業であります。しかし残念ながら、予算がきわめて少ないものですから、せっかくのいい制度が寝た子を起こすような感じになっているわけでありますが、これは中村政務次官がそんな事情がわからないはずはないと思って、あなたの演説もいつか聞いたことがございます。私は、この際、さっき言った予算の傾斜配分という、こういうときですから、限られた予算をどう使うか、めりはりをつけるべきだと思うのですが、どうぞひとつこのことについて政務次官のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  28. 中村喜四郎

    中村政府委員 雪寒地域における冬期間の道路交通の確保及び山間奥地等の地域における産業の総合的な開発の基盤となる道路の整備については、その緊急性、重要性から第九次道路整備五カ年計画の重点施策と考えております。  特に、雪寒事業につきましては、昭和五十八年度を初年度とする第八次積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画策定し、なだれに対する安全確保、除雪の拡充等を強力に進めてまいりたいと考えております。  また、奥産道路事業についても、昭和五十八年度を初年度とする第六次奥地等産業開発道路整備五カ年計画策定し、未整備道路が多く、交通条件がきわめて悪い山間奥地等の地域の改善を図ってまいりたいと考えております。  なお、雪寒、奥産両五カ年計画の事業規模については、それぞれの地域の交通や道路整備状況等を踏まえつつ、計画的かつ着実に事業の進捗が図られるよう、現在策定作業を進めているところであります。
  29. 桜井新

    桜井委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。
  30. 松永光

    松永委員長 川崎二郎君。
  31. 川崎二郎

    ○川崎委員 それでは私は、桜井代議士に続いて、建設大臣所信表明について若干の質問をさせていただきたいと思います。  第一番目に、住宅宅地対策でありますけれども、この点についてちょっと御質問させていただきます。  ここに「住宅は、潤いのある家庭生活の基盤をなすものであります。すべての国民が、」云々というような文面がありますけれども、これに加えて、五十七年度の政府の考え方として、住宅対策、景気対策、内需促進という意味も含めて、住宅対策に五十七年度は大変力を入れてきたところでございます。特に百三十万戸という住宅建設を目指して進めてきたわけですけれども、その経過についてお聞きしたいと思います。
  32. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 お答えいたします。  昭和五十七年度の当初の政府経済見通しにおきまして、民間住宅投資の実質の伸び率を一〇・四%というふうに見込んでおります。これを一定の前提のもとに戸数に換算いたしますと、おおむね百三十万戸程度住宅建設になるというふうに考えていたわけでございますが、その後、景気の回復が非常におくれまして、そういうことで、昭和五十七年の十月に民間住宅投資の伸びの見込みを二・七%というふうに改定をいたしたわけでございます。そういうことで、本年度の着工というものは十二月末までで九十万戸でございまして、前年度の同期に比べて三千戸ほど多いという状態でございます。したがいまして、本年度の三月までの着工戸数の見込みというのは、大体前年度と同じぐらいではないかというふうに考えております。
  33. 川崎二郎

    ○川崎委員 前年度と同じということは、百十四万戸……(吉沢政府委員程度」と呼ぶ)はい。そうしますと、さまざまな政策が余り効果がなかったというふうに見られるかと思うのですけれども、百三十万という目標を置いてきた中で、やはりこの政策はうまくいった、こういうことで百三十万が無理だったというようなさまざまな理由があるかと思うのですけれども、その辺について明らかにしていただきたいと思います。
  34. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 昭和五十七年度の政策の中で特に効果のあったのはどういうことかという御質問でございます。  結果から見ますと、公的住宅金融の拡充、たとえば住宅金融公庫の貸付限度額を引き上げたとかいうような措置がきわめて有効であったのではないかというふうに考えております。そのため公的資金住宅につきましては、今年度四月から十二月までの累計で四十六万戸になっておりまして、前年同期に比べまして四万戸、九・三%の増加となっており、順調な推移を見せているわけでございます。  このほか、住宅土地税制の大幅な改善がなされたわけでございますが、この効果につきましても、今後次第に発揮されてくるのではないかというふうに考えているわけでございます。  ただ、このような政策にもかかわらず住宅建設が伸び悩んだ原因というのは、やはり住宅価格と住宅取得能力との乖離という状況が余り改善されていないというためで、そのために民間資金住宅というものが低水準に推移したということではないかと考えております。
  35. 川崎二郎

    ○川崎委員 住宅建設と景気というものは間違いなく相関関係を持つわけですから、住宅だけを急に上げるというのは無理だと思います。五十七年度は、私どもとしては残念な見通しとなっておるわけであり、またある意味では、景気見通しにもマイナス影響を与える結果となったと言えるわけですけれども、いま申し上げたとおり、やむを得ないであろうというふうに考えます。しかしながら、まだまだ住宅に対する国民のニーズというのは非常に大きなものがあると思うわけですけれども、それでは五十八年度についてはどういう見通しをお立てになり、また五十八年度にさらに力点を置いて組んだ住宅政策についてお聞きをさしていただきたいと思います。
  36. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 お答えいたします。  昭和五十八年度の新設住宅の着工戸数の見通しということにつきましては、地価であるとかあるいは所得であるとか、住宅建設を取り巻く環境がまだ非常に厳しいものがございまして、五十八年度の予算編成あるいは税制改正におきまして、御承知のように、金融公庫の個人住宅建設の無抽せん体制の維持、あるいは貸付限度額の引き上げ、あるいは税制におきまして住宅取得控除の大幅な改善を行ったわけでございますが、さらには増改築の推進であるとか、あるいは中古住宅について公庫の貸付対象を拡充するといったような政策を講じているわけでございまして、これらによりまして、全体といたしましては、ほぼ五十七年度並みの水準は確保できるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  37. 川崎二郎

    ○川崎委員 そうしますと、ことしも大体百十四万戸程度という見通しになりますでしょうか。
  38. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 見通しといたしましては、やはりその程度になろうかと思っております。
  39. 川崎二郎

    ○川崎委員 そうしますと、五十六年度が百十四万戸、五十七年度見通しが百十四万戸程度、またことしも百十四万戸という見通しになる。そうしますと、五十六年——六十年の五カ年計画で、建設省としては七百七十万戸という中期計画をお立てになっておるわけですけれども、この辺とどう見ても大きく乖離することになるだろう。私ども見ていくと、六百万戸も建つのだろうかというような気がするわけでございます。その点について、中期計画なり見通しの変更がやはり必要になってくるのではないだろうかというふうに思います。  特に、中曽根総理が中期計画について、事態の変化に弾力的に対応できるとともに、五年に限らずもっと長期的な視野に立って策定すべきである。中期計画全般のことについてまず第一に弾力的に見直しをしていく。そして五年と限らずに、これから住宅政策はこうやって進めていく。十年間で、二十年間でこういうような住宅環境にしていくんだという一つのビジョンを持ったらどうだろうか。弾力的と長期的、この二つのことを中曽根総理が答えられておるわけですけれども、そうした点を考えると、中期目標の策定というものについて、やはりもうちょっと建設省当局も考え直さなければならないのではないだろうかというふうに私は思います。きょうは大臣がいらっしゃいませんので、中村政務次官から中長期的立場に立った住宅政策、また弾力的な見直し、そんな点について御答弁をいただけたらと思います。
  40. 中村喜四郎

    中村政府委員 お答えをいたします。  最近住宅建設が低水準で推移しておりますが、公的資金による住宅は、第四期住宅建設五カ年計画計画戸数三百五十万戸に対し、五十七年度まで実績見込みで百四十六万七千戸、進捗率四一・九%と、全体としては計画で見込んだ水準に達しており、現在のところ、同計画を見直す考え方はございません。しかし、最近の経済社会情勢の変化、財政事情等にかんがみ、政府部内において新たな経済計画策定について検討しているところであり、建設省においても、国民住宅のニーズの動向を踏まえ、既存ストックの有効活用による居住水準の向上、高齢化の進行に対応した居住基盤の整備、再開発の促進による良質な市街地住宅の供給等中長期的視点に立った施策の展開に努力していきたいと考えております。
  41. 川崎二郎

    ○川崎委員 そういう御答弁になるかと思うのですけれども国民一般から見ると、やはり五カ年計画で七百七十万ということを政府が言ったじゃないか、現実問題はこんな数字じゃないかという批判も出てくるだろう。しかしながら、やはり経済の実態というものをとらえた政策というものも必要になってまいるかと思います。  そういった意味で、公的な部門の拡大をぜひお願いをしたいと同時に、やはり見直しということも場合によっては考えていただきたいとお願いをしておきたいと思います。  それでは宅地の問題でございますけれども、線引きの見直しというのがやはり大きな問題になってきているかと思います。良好な宅地を提供する。そしてやはり世の中の変化に対応していく。いまの住宅建設の話じゃありませんけれども、世の中の変化に対応していくという意味で、線引きの見直しの弾力化という方針を建設省は打ち出されたようでありますけれども、その内容がどんなものであり、また現時点でどういうふうにその作業が進んでおるか、そういった点について御答弁を賜りたいと思います。
  42. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 お答え申し上げます。  線引きの制度は、これは都市への急激な人口等の集中に対しまして、無秩序な市街化が広がっていくということを防ぐ点で大きく寄与してきていると私どもは認識しております。一方、市街化区域におきます都市基盤の整備の立ちおくれ等によりまして、計画的な市街化が進展していない、現下の根強い住宅宅地需要にも適切に対応し切れていない、こういう面が見受けられるわけでございます。これは主として都道府県におきます線引きの制度運用の問題に原因があるかと思っております。  こういった認識に立ちまして、関係都道府県において行われる二回目の線引き見直し、これが適切に推進されるように、昨年九月線引きの運用方針の改善につきまして建設省から各都道府県知事に指示をいたしたところでございます。  この通達の中身でございますが、これは実態に即した線引き制度運用を期すべく、市街化区域における市街地形成のための措置あるいは市街化区域の規模の設定基準の改善、いわゆるフレームでございますが、こういったものの改善等につきまして方針を決めたものでございます。現在、各都道府県におきまして、あるいは市町村におきまして、この通達を受けまして鋭意作業を進めている段階でございます。その結果、秋以降に順次線引きの見直しの実現が図られていくというぐあいに期待しております。
  43. 川崎二郎

    ○川崎委員 ぜひその線引き見直し作業の早期作成といいますか、事務が遅滞のないようにお願いを申し上げたいと思います。  それでは道路の問題について御質問させていただきたいと思います。  先ほど桜井代議士からも質問がありましたけれども住宅となりますと、景気また経済環境また国民のニーズまた建設省なり政府の方針、こんなものが相まちながらさまざまな変化をしていく。中期計画自体も変化をしていくということはやむを得ないかと思いますけれども道路整備となると、やはり建設省が責任を持って、これだけはこの五年間でやるのだというものが道路整備計画になるかと思います。そういった意味で、特に私ども地方に住む者は、定住圏構想、三代が一緒に住める世の中をつくっていくのだ、地元に職場をつくっていかなければならぬ。そのためには道路整備が一番なのだ。これはだれもが肌で感じている問題でございます。地方に活力を与えていくためには、道路整備網の整備というのが何といっても重要な課題であるかと思います。そういった意味ではまだまだおくれている。建設省にがんばってもらわなければならないという声が地方から多いわけですけれども、第九次道路整備五カ年計画においてどのような対応をしていくつもりか、お聞かせ願いたいと思います。
  44. 中村喜四郎

    中村政府委員 お答えをいたします。  わが国道路整備の歴史はようやく四半世紀を迎えたところであり、その水準は目標のおおむね二分の一程度にすぎない現状にあります。第九次道路整備五カ年計画においては、二十一世紀初頭を目指す道路整備の長期計画に基づき、また最近のわが国の経済社会情勢の変化と国民道路に対する新たな要請を踏まえ、三十八兆二千億円の投資規模により緊急に整備すべき事業を推進することとしております。その際、道路交通の安全確保生活基盤の整備、生活環境の改善、国土の発展基盤の整備、維持管理の充実など道路整備の緊急課題に特に重点を置いて施策の推進を図ることとしております。
  45. 川崎二郎

    ○川崎委員 どうもありがとうございました。  私ども地方に住んでいるもので、国鉄の地方交通線対策という問題があるわけですけれども、その中の大きなネックとなると、これはバス道路網がなかなか整備されていない。汽車で行くと一時間、バスで行くと二時間というのが地方の実態になってくるだろう。国鉄の問題はともかくといたしまして、バス路線の整備というものが、そういう意味ではなかなかおくれているような感覚を私ども受けるわけですけれども、この五カ年計画において、特にそういった点について御配慮をいただきたい。またそういった点について御答弁を賜りたいと思います。
  46. 中村喜四郎

    中村政府委員 お答えをいたします。  バス路線に係る道路整備については、その重要性にかんがみ、地方部においては主としてバスのすれ違い区間の解消、落石等危険個所の解消に、また都市部においては、主としてバスの定時性の確保、乗客の乗り継ぎの効率化に重点を置いて積極的に事業を推進していく考え方でございます。
  47. 川崎二郎

    ○川崎委員 それでは、その五カ年計画を進めていく意味で、その財源である道路特定財源、このことについてちょっとお話を聞かしていただきたい。  昨年もまた一昨年の予算折衝の段階においてもさまざまな意見がいろいろなところから出てきたというふうに聞いております。また現実としても、この二カ年特定財源を大幅に下回る予算となっている。もちろん、政府のゼロシーリングという一つの制約もあるかと思いますけれども、そういった点について建設省としてどういうふうに考えているか。また五カ年計画をどういうふうにしていくか、そういった点についても御答弁を賜りたいと思います。
  48. 中村喜四郎

    中村政府委員 お答えをいたします。  道路整備計画的に推進するため、現在揮発油税及び石油ガス税が法定特定財源とされ、また自動車重量税については、同税の創設等の経緯から、税収の国分の八割に見合う額が道路整備費に充てられるように配慮されております。これらの道路特定財源の取り扱いについては、昭和五十八年度予算編成に当たっても、従来同様の方針によることとしたところでありますが、財政再建のためすべての予算が抑制された中で、道路整備予算も抑制されたことから、自動車重量税の一部に相当する額しか充てられなかったこととなりました。本件について、自動車重量税の創設の趣旨、経緯等を尊重し、五十七年度予算における同趣旨のものも含め、第九次道路整備五カ年計画期間内のできるだけ早い時期に道路整備費に充てる考え方であります。
  49. 川崎二郎

    ○川崎委員 ぜひその点について格段の御配慮と特にがんばっていただきたい。私どもも応援してまいりたいというふうに思います。  高速道路でございますけれども、まだまだ欧米諸国に比べて劣っているという状況になっているかと思います。五十八年度どのような計画をされているか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  50. 中村喜四郎

    中村政府委員 国土の均衡ある発展に資するために、国土の基幹的ネットワークを形成する高速自動車国道については、昭和六十二年までに延べ四千三百キロメートルの区間の供用を目途として計画的に整備を進めているところであり、昭和五十八年度には、前年度を三百億円上回る七千七百億円の建設費を計上し、用地買収、工事等を促進し、新たに二百三キロメートルの区間を供用させる予定であります。この結果、昭和五十八年度末における供用延長は、予定路線七千六百キロメートルの約四五%に相当する三千四百三十五キロメートルを供用する予定であります。
  51. 川崎二郎

    ○川崎委員 この高速道路網でございますけれども、たとえば先ほど災害の話が出ていましたけれども、大きな地震が起きたとか、名神なんかでたまにあるわけですけれども、雪害のために二、三日間凍結するというような状況が出る場合が考えられるかと思うのですけれども、そうした問題に対して、建設省としてこれからどう対応していくか。特に、きょうあたりの新聞では、地震対策というのも四全総の中の一つの大きな目玉になりそうでございますけれども、その辺どういうふうに考えているかをお聞かせ願いたいと思います。
  52. 中村喜四郎

    中村政府委員 ただいま先生から御指摘がございました、自然の災害に対する対応ができるだけの足腰の強い高速道路網の確立というものは、日ごろから災害に対する能力を十分調査しながら、それにこたえられるだけの技術の革新等についても、建設省といたしましても今後十分努力をいたしまして、災害に強い高速自動車道路網の確立のためにこれからも推進していくつもりでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  53. 川崎二郎

    ○川崎委員 そういった点についてですけれども、地震、雪害、また場合によっては交通事故。そういう場合に、実は、特に東名と名神というのは、まさに日本の非常に大きな大幹線道路というふうに言えるかと思うのですが、これがもしとまってしまうということになると、首都圏に住む者また近畿圏に住む者、非常に生活にも大きな影響を与えるだろうというふうに考えます。そういう意味で、たとえば東名がアウトなら中央高速に逃げられる。私どものところですと、名神がアウトになったら名阪に逃げていく、名阪がだめなら名神に逃げる。やはりこんな補完的な道路整備というものがこれから一つの重要な課題ではないだろうか。もちろん地方の充実ということも大きな問題であると同時に、やはり東京に一千何百万が住み、また近畿圏にも大変大きな人口が住んでいる。こうした生活を守るという立場に立つと、この幹線網の補完というのがこれからの非常に大きな課題になっていくのではないかというふうに思います。私どもも、名神と名阪、この間に住んでおるわけですけれども、ここをうまく結んでいくというようなお考えが将来的に出てくるのか出てこないのか、もしお考えがありましたら聞かせていただきたいというように思います。
  54. 梶原拓

    ○梶原説明員 第九次の道路整備五カ年計画、いま中身の詰めをいたしておりますが、その中で、御指摘のように、東名、名神の改築問題、さらには法定の高速自動車国道、七千六百キロでございますが、それを一万キロ余に延長する、こういうことも具体化してまいりたいと考えております。  先生指摘のとおり、震災害時等の迂回路ということも非常に重要な課題でございます。法定路線の追加、一万キロ余の構想の具体化の中でも、そういった点を十分配慮してまいりたいというように考えております。
  55. 川崎二郎

    ○川崎委員 特にその点について格段の御配慮を賜りたいというように思います。  そういう政策を進めていくにも、何といっても道路特定財源確保というのが私どもの大きな使命。また建設省、政府としても大きな使命になるかと思いますので、ぜひそういった点について御配慮を賜りますよう心からお願い申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。
  56. 松永光

    松永委員長 木間章君。
  57. 木間章

    ○木間委員 この機会に、数点について質問をさせていただきたいと思います。  最初に、両大臣の所信政治理念等についてお尋ねをしたいのでありますが、建設大臣予算委員会の方においでになっておりますので、おそろいになってから申し上げたいと思います。したがいまして、順序を若干入れかえいたします。  いまちょうど北陸を中心にして雪に見舞われております。立春を過ぎてからの積雪でございまして、正直言って大変な状況下に難渋をしております。決して私どもは雪については迷惑だとは考えておりません。むしろ自然の恵与でありまして、恵みの雪とでも申しましょうか、そのように受けとめながらも、近年、経済の発展あるいは国民ニーズの変化等がありますから、やはり行政、政治の場での対応が特に求められておるのであります。三八豪雪あるいは五六豪雪の経験を経まして、それぞれ所管の省庁におきましても、ずいぶんと今日まで取り組んでいただきました。しかし、まだまだ問題が残っておるのでありまして、そういった点で数点お尋ねをし、いまの結論なりあるいは決意をお尋ねしておきたいと思うのであります。  すでに通告をしてありますが、通産省、文部省、大蔵省はお見えになっておるでしょうか。——それでは順次お願いをいたしたいと思います。  この新年度は、新道路五計あるいは雪寒道路の五計も発足をするわけであります。それで、私どもは日々の生活の利便を考えますと、どうしても基幹道路確保が必要になってくるわけであります。そこで、特に豪雪地帯の基幹市町村道の改築工事等を推進していかなければならないのでありますが、特に、新五カ年計画に当たりまして、この対応を強めるために予算を思い切って計上してもらいたい、こう要請する一人でありますが、このことについての建設省決意をまずお尋ねしておきたいと思います。
  58. 梶原拓

    ○梶原説明員 第九次道路整備五カ年計画、三十八兆二千億という規模が閣議了解されまして、その中身をどう盛りつけるか、ただいま鋭意検討中でございます。  その中で、御指摘の雪寒地域道路対策をどうするか。これも事業ごとの積み上げ作業をしておるところでございまして、私どもといたしましては、第八次道路整備五カ年計画から第九次道路整備五カ年計画、全体規模は三四%程度伸びたわけでございますが、全体の伸び以上の確保をすべく努力してまいりたいということでございまして、御指摘の点につきましても十分配慮してまいる所存でございます。
  59. 木間章

    ○木間委員 そういった中で年々道路整備も、若干ではありますが進んでおります。しかし、道路交通は狭い限られた雪で閉ざされた中での車両なりあるいは人の通行になるわけでありまして、特に歩道対策の問題が近年クローズアップされております。地域では歩道除雪も機械で取り組まれておるのでありますが、今日の状況では、地方単独の事業で機械導入等が図られております。この問題についても、近年、ロータリー車の購入などについて補助要請が起こっておるのでありますが、この点についてのいまの決意ただしておきたいと思います。
  60. 梶原拓

    ○梶原説明員 雪寒地域の歩道除雪につきましては、先生御案内のとおり、試験的な除雪区間の延長を年々大幅に延伸しておるところでございまして、そういった除雪事業の実績を見まして、御指摘の点を十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
  61. 木間章

    ○木間委員 試験的にいまやっておるのだという御説明であったのでありますが、五六豪雪のときにも試験的にという答弁をいただいております。地方ではすでに、小型ではありますが機械を導入して単独でやっておるわけでありますから、もう試験的な範囲を出ておるのじゃないだろうか、私どもはこう実態から申し上げておるのであります。ですから、試験的な、試験的なという繰り返しではなくて、やはり地方の国民ニーズあるいは経済発展のために必要欠くべからざるものである、こういう理解をどうしてもやっていただかないと、これらの事業は進展をしないのであります。せっかく雪寒道路の交通確保のための五計もあるわけでありますから、ぜひそういった前向きで今後進めていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  次に、通産省の方にお願いを申し上げたいのでありますが、今日地方では、すでに消雪施設がどんどん進展をしております。たとえば消雪パイプあるいは流雪溝等々の施設が一般化しておるわけでありますが、いずれにいたしましても、これらは電力を要するわけであります。調べてみますと、年間を通じて、基本料金なりそれぞれが設置者の負担になっておるわけであります。使ってない期間といいましょうか、夏場あたりはこれらは無用の長物でありますが、しかし、料金は負担をしなければならない仕組みになっております。これらについて、たとえば免除するとかあるいは補助金制度化させるとか、こういったことが特に必要じゃないだろうか、こう考えるものでありますが、通産省の御決意をお尋ねしておきたいと思います。
  62. 黒田直樹

    ○黒田説明員 お答え申し上げます。  御承知のように、電気事業と申しますのは大変な設備産業でございまして、電気を安定的に供給するために多額の設備を要する、こういう産業でございます。ところが、電気というのは貯蔵がきかない商品でございまして、そういう観点から申し上げまして、使わない時期あるいは使わない時間の電気というのはためておくわけにはいきませんので、電気事業の設備の規模を拡大していく場合には、どういうものがメルクマールになるかと申し上げますと、結局は、あらゆる需要家が最大限に使う需要というものをベースに設備投資を拡大していかなければならない、こういう実態にあるわけでございます。  一方、現在の電気料金につきましては、御承知のように、九つの電力会社というものを前提にいたしまして、電気事業法に基づきまして、原価主義あるいは公平の原則というものに基づきまして設定されております。その場合の基本的な前提は、いま申し上げましたような、主として設備関係の費用、たとえば減価償却費であるとかいったような設備関係の費用というのは、ある意味で共通的な経費でございますので、これは基本料金で回収する。それから使用する電力の量によって、比例してと申しますか、変わる費用、たとえば燃料費といったようなものにつきましては、電力料、料金で回収する。要するに、こういう基本料金と電力料金という二本立ての体系になっているわけでございます。  それで、いま申し上げましたように、設備に要する費用、固定費というものは基本料金で回収する考え方でございますが、その場合に、消雪用の設備使用する電力というのは一般に低圧電力ということで分類されておりますけれども、こういう需要家というのは、実は全国ベースで申しますと六百万件ぐらいあるわけでございまして、個々の平均的な姿というのは、やはり一年間に回収すべき固定費を月々に割りまして、十二カ月に割って、それで均等に回収しているというのが実態であるわけでございます。  先生のいまの御指摘は、そういう消雪用の設備に使う電力というのは夏場にはないだろう、その辺の免除をしろという御意見でございますけれども、いま申し上げましたように、固定費というのは、べースは設備関係の費用でございますが、これはその需要家の最大に使う需要というものをベースに考えておりますので、これを免除するということは困難でございます。免除をいたしますと、結局はその固定費をだれかほかの需要家が負担しなければならないというのが原価主義の原則からいって帰結されるわけでございますので、そういうことは非常にむずかしいのではなかろうかというのが私ども考え方でございます。  一方、さらに補助金で何かできないのかという御質問がございましたけれども、消雪用の設備についての補助金を出すかどうかという問題については、実は通産省の私どもの所管ではございませんので、答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
  63. 木間章

    ○木間委員 通産省のお考えはわからぬではありませんけれども、やはり国土の均衡ある発展、私、冒頭に迷惑だとは思っていない、こう申し上げたのでありますが、やはり今日ではそういう面もなきにしもあらずであります。確かに道路の交通のための消雪でありますから、あるいは通産省にお願いするのは無理かもしれませんが、もし建設省の方で前向きに取り組んでいただけることがあったらひとつ答弁をお願いしたいと思います。——いいですよ。また次まで御検討をいただいておきたいと思います。  次に、文部省の方にちょっとお尋ねをしておきたいのでありますが、積雪寒冷地域の学校の暖房措置については、五六豪雪の経験の中で、制度をより細分化して適用になっておることに敬意を申し上げたいのでありますが、今日消雪のための、たとえば生徒の通学路あるいは教職員の通学路、そういったものについての工事が進んでおるのであります。しかし、これらの原資は全額地方負担ということになっておりますが、こういった点についてもぜひ補助制度を取り入れる決意があるかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  64. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。  私どもの学校を建てます補助金、これは公立文教施設整備費補助金、こう申しますが、これは学校内に限って適用のあるものでございます。したがいまして、現在通学路の確保、それから給食物資の搬入路の確保、こういったことにつきましては、学校の中におきますものにつきましては、消雪設備を万全に行いますための補助金、これを五十六年度から補助いたしておりますが、学校の外に出ますと、これは私ども補助金の対象外でございますので、いまのところ、それにつきましては文部省として考えておりません。
  65. 木間章

    ○木間委員 もう一遍確認さしていただきますが、たとえば校内、校門から建物までの間のものについてはすでに制度化されておる、こういうことでいいでしょうか。
  66. 逸見博昌

    ○逸見説明員 昭和五十六年度から実際上、運用上配慮いたしております。これは、たとえば五十六年度、五十七年度あたりの実績で申しますと、五十六年度に十一校、五十七年度には十校、これを対象にいたして事業を行っております。
  67. 木間章

    ○木間委員 大蔵省にお尋ねをしておきたいと思いますが、むしろお尋ねよりも要請でありますが、所得税に各種控除が制度化されております。特に雪国のいまの感情といたしまして、気持ちといたしまして、雪寒控除をひとつ制度化をしてもらいたい、これは非常に強い要請であります。このことについても過去それぞれの委員会でも主張されてきたのでありますが、このことについての考え方をお聞かせください。特に、近年減税の問題が大変大きな国民世論にもなっておりますし、雪国については、このことを何とか早く制度化をやってもらいたい、こういう要請が強いわけでありますから、ひとつやってやろうという御決意をお願い申し上げたいと思います。
  68. 滝島義光

    ○滝島説明員 お答えいたします。  所得税の負担水準というものが、それぞれの家庭のあるいは地域の実情を反映したものでなければならないという御主張はよくわかります。たとえば夫婦子二人の同じ家族構成を持つ家庭が五百万円の所得を得た、こういった家庭が十軒あるといたしますと、恐らく十軒の家庭の事情は全部違っていると思います。なるべくそれを税制に反映させるということは私ども常に考えているところでございますが、やはり他方におきまして、税制というものがなるべく簡単でわかりやすいものでなければならないという要請もあります。最後、われわれいろいろ悩むわけでありますが、どこかでそこは区切りをつけなければならないということで現在の制度ができているわけであります。  積雪寒冷地控除の点につきましても、過去長い間議論がなされました。しかし、私ども、かたくなという言葉を使ってはいけないのかもしれませんけれども、どうしてもそういう御要望は受け入れられないということでまいりまして、毎年おしかりを受けているわけでございますが、積雪寒冷地帯の方につきましてそういう控除をつくりますと、たとえば東京に住んでいる人たち、これは非常に物価が高いということで物価控除を設けるというような要求がまた出てくる可能性があるわけであります。  私ども国税庁の中でいろいろ人事異動をやっておりますが、たとえば北海道に住む人、九州に住む人、その中から優秀な人に東京へ出てきて大蔵省で働いてほしいということを頼みますと、この物の安い地域を捨ててどうして東京に出ていけるか、いま住んでいる地元にいれば退職金で家が買えるあるいはゴルフ場の会員権が買えるという……(「そんな失礼な答弁するな」と呼ぶ者あり)これは本当にある話なんです。ということで、やはり私ども先生指摘の点、考えておりますけれども地域の特性というものを税制に反映するには限りがあるという点を御理解いただきたいわけであります。  ただ、木間先生指摘の点について、私どもも私どもなりに努力しておりまして、五十六年度の改正で雑損控除の適用に関しまして一つの改善を行いました。それは雑損控除を適用するためには、その損失の額が所得の一割を超えるということが必要になっているわけでございますが、雪おろしの費用につきましては、所得の一割というのでは足切りの制限が高過ぎるということで、五万円を超えれば適用を受けられるということで、現在の税体系の中でできる限りの配慮はさしていただいているつもりでございます。よろしく御理解のほどをお願いいたします。
  69. 木間章

    ○木間委員 どうもいまの答弁は失敬な、無礼なとしか言いようがないのでありますが、たとえば日本列島、狭いようで大変広いのです。そういった点では年々の災害が、たとえば台風時期になりますと沖縄、九州あたりはすっぽりやられますし、また地震の心配も静岡を中心にして、関東周辺にこれも年々強まっております。まあ日本列島これ災害なんだ。災害の問題はどうかと考えてみますと、そこに住んでおる者は業だと思ってあきらめろ、こういうように私は受けとめられて仕方がないのです。ですから、その地域の実態に合った、国民ニーズに合ったような手だてをするのが行政じゃないだろうか、これこそ均等な国土の発展じゃないだろうか、こう私は考えざるを得ないのであります。もっとも建設省の年々の先行きの分析にいたしましても、新世紀には七割が大都市に集まるだろう。そうしないために地域の振興策を図っておるわけでありますから、いまのようなかたくなな答弁では私どもは決して納得できません。そういう点で、将来に向けての大きな課題でありましょうが、私どもも真剣に考えますから、ぜひ大蔵省でも真剣にひとつとらえていただきたいと思うのです。国土の五二%が豪雪地域でありますから、しかも二十年に一回の大雪じゃないのです。雪は毎年降るわけでありますから、ぜひそういう面での対応を、私どももやりますので、肝に銘じてひとつ取り組んでいただきたいと思います。  次に、国土庁にお尋ねをしておきますが、なだれ、地すべり等の災害から守るために防災集団移転促進事業が設けられて今日取り組まれております。ところがこの採択基準でありますが、たとえば建設省ではがけ崩れ対策で戸数は五戸を基準にしております。現状は五戸以内でも取り組んでおるのでありますが、この国土庁の施策では十戸以上が対象になっておりますし、同時に地方の集団化がされないと採用されない、こうなっておるのでありますが、同じ役所の中でこのような差異があるのは私はなかなか理解ができません。こういった点での緩和についてどのように考えておいでるか、この機会にお尋ねしておきたいと思います。
  70. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 お答えいたします。  防災集団移転促進事業の採択基準の緩和についてお尋ねでございますが、先生ただいま御指摘の採択基準が五戸になっておるという事業は、急傾斜地崩壊対策事業のことだろうと思います。これは急傾斜地について工事をする場合の採択の基準でございまして、集団的に移転をいたします場合の採択基準とはいささか趣旨が異なっているのではないかと思っております。  いずれにいたしましても、国土庁でやっております防災集団移転促進事業は、法律に基づきまして集団的に移転を住民の方がされる場合に財政上の援助をしようという制度でございまして、そういう意味から団地の規模が十戸以上にということで基準が定められておるわけでございまして、それなりの合理性があると私どもは考えておるところでございます。  なお、移転戸数が十戸未満の場合でございましても、建設省所管のがけ地近接危険住宅移転事業というものがございます。この場合におきましては、戸数には制限がないわけでございまして、私どもといたしましては、両制度を活用して危険な住宅の移転を促進してまいりたい、かように考えております。
  71. 木間章

    ○木間委員 両大臣がおそろいになられましたので、所信についてお尋ねをしたいと思います。  建設省国土庁、それぞれ大臣、長官所信を一読、二読さしていただきましたが、この文面を見る限りは事務的な域を出ていないと私は思うのです。そこで、それぞれ昨年末に就任されまして、鋭意取り組んでおられますし、また五十八年度の事業施策についても御決意をされておるところだろう、こう考えまして、以下、一、二点お尋ねをしておきたいと思います。  内海建設大臣には、たとえば建設省は多額の税金を使用する官庁の一つであります。そういった中で、近年公共事業をめぐる汚職も、大変残念でありますが、多くなっております。そういった中で、公正、明朗な政治あるいは行政の浄化について御決意があろうと思うのです。残念でありますが、一部報道によりますと、建設省出身官僚の次期選挙の応援に出かけられたときに、公共事業のことは私に任せてくださいめいた御発言があったやに聞くわけでありまして、それでは全国各地を回っていただいてそうやっていただかないと、公平さが欠けるわけでありますから、そういったことはやってもらっては困りますし、反省もあるようでありますが、新しい予算を審議するいまの段階での御決意をひとつお尋ねしておきたいと思います。
  72. 内海英男

    ○内海国務大臣 御指摘のように、建設省はいわゆる国民皆さん方からとうとい血税をお出しいただきまして編成をした大事な予算を大切に使わなければならない役所だと責任の重大さを痛感いたしております。したがいまして、その執行に当たりましては、厳正、公正に執行をしていかなければならぬ、そして国民皆さん方の期待と信頼にこたえる行政を行っていかなければならぬ、こう考えておる次第でございます。その執行に当たりましては、原則といたしましては、国土の均衡のある発展を図るために、ない予算でございますから、できるだけ効率的に、重点的に執行をしてまいって、その効果を上げるために全力を挙げてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  73. 木間章

    ○木間委員 業界では毎年脱税問題も大きな問題として出ておるのです。たとえば鉄建建設は三年間も連続して税の申告漏れが国税庁に摘発されておるのであります。この建設業界の脱税問題は非常に残念なことでありますが、この対応についてひとつ所管大臣としての御決意をお尋ねしておきたいと思います。
  74. 内海英男

    ○内海国務大臣 御指摘の一部の会社等の脱税等につきましては、国民の義務を怠るまことに悪質な行為である、こう考えまして、そういうことのないように、建設省としては、監督官庁として厳正にこれに対応して、業者が規律を守り、正しい運営ができるように指導してまいりたいと思います。したがいまして、監督を強化するといった意味で、またそういった事実があれば、適正な処分も考えていきたい。こういうことで国民の信頼の置ける業界の育成、近代化という観点からも、今後とも指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
  75. 木間章

    ○木間委員 加藤長官に御決意をお願いしたいのでありますが、御存じのとおり、長官は灰色高官などと呼ばれまして、そのことはあなた自身にとっても大変遺憾なことだろう、こう私は申し上げざるを得ないのであります。しかし、私たちは証人喚問問題を含めて、あなたをシロだとはまだ認めていません。また国民も同様であろうと思うのです。現に、中曽根内閣の支持率は下がっておることもそのことを意味しておるのではないでしょうか。長官である前に、あなたは議員としての資質が問われていると私は思うのであります。政治の浄化、行政の公正、明朗はもちろんでありますが、そのことについて、いまあなたの御決意をお尋ねしたいと思うのです。
  76. 加藤六月

    加藤国務大臣 その問題につきましては、昭和五十一年十一月四日のロ特委で、私ははっきり申し上げておるわけでございまして、全く潔白であると信じております。しかし、いろいろ言われておりますことは、まことに遺憾であり、残念でございます。そういう点につきましては、自粛、自戒しまして努めてまいりたい、このように思います。  なお、議員というのは、憲法にも書いてございますように、国民の厳粛な信託によるものでございます。そこを踏まえて政治家としてもやっていかなくてはならない、こう思っております。そして閣僚とし国土庁長官としては、公正で適正な行政を行い、豊かで住みよい国土づくりというものに邁進していくことによって、国民皆さん方に信頼されることを確保していきたい、このように考えておる次第でございます。
  77. 木間章

    ○木間委員 いずれにいたしましても、両大臣とも、言ってみますと、利権に手の届く立場においでるだろう、こう私は思います。ですから、そういったものに手をつけるかつけないか、つまり自分を選ぶか、国民を選ぶか、こういうことになるわけでありますが、私どもは、今後の両大臣の職務を通じて、そういったものの推移を受けとめさしていただきますし、また結論も時間がたてば出てくるだろう、こう思うものでありますが、いまほどそれぞれ御決意があったように、きっぱりとひとつ職務に御精励をお願い申し上げておきたいと思います。  次に、幾つかの重要施策について、ただしておきたいと思うのです。  第九次道路五計の投資規模は三十八兆二千億円になっておりますが、まず、この根拠をお尋ねしておきたいと思います。
  78. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 御説明いたします。  道路国民生活の向上と経済発展を支える最も基本的な社会資本でありますが、その整備水準は目標のおおむね二分の一程度に達した段階でございます。現在、大都市における交通渋滞の解消、災害に対する安全性の向上、地方における定住促進産業振興等の課題に対処し、国土の均衡ある発展を図る観点から、道路の整備が強く要請されているところでございます。したがって、今後とも道路整備計画的、効率的に進めるため、最近の経済情勢、交通需要の見通しなどを勘案し、二十一世紀初頭を目途とした道路整備の長期計画に基づき、昭和五十八年度から六十二年度までの五カ年間に必要とされる投資額三十八兆二千億円を投資規模としたものでございます。  なお、これにより、第八次道路整備五カ年計画の実施規模の確保が図られることになる見込みでございます。
  79. 木間章

    ○木間委員 国費率は第八次では三六%だったと聞いておりますが、では第九次ではどのような考え方で臨んでおいでるか、お尋ねしておきたいと思います。
  80. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 お答えいたします。  第九次道路整備五カ年計画、三十八兆二千億円の事業の内訳は、地方単独事業については第八次道路整備五カ年計画の実績シェアに基づき十一兆七千億円を計上し、有料道路事業につきましては、事業の緊急度等を勘案して必要額を積み上げ九兆二千億円とそれぞれしたものであり、調整費一兆三千億円を除く残りの十六兆円が一般道路事業となっております。第八次道路整備五カ年計画における国費率は三六%でありましたが、事業実施に当たりまして、地方単独事業がふえ、一般道路事業が減少したことから、実績では三三%となる見込みでございます。第九次道路整備五カ年計画の事業内容につきましては、現在積み上げ作業中でありますが、第九次道路整備五カ年計画は第八次道路整備五カ年計画の実績を踏まえて策定していることから、第八次道路整備五カ年計画の実績国費率三三%とほぼ近い値になるものと考えております。
  81. 木間章

    ○木間委員 臨調は、市町村道に対する補助金の整理をねらっておるのでありますが、いまほどの御説明からも市町村道よりも有料の高速道、こういったところへウエートが変わりつつある、こう私は考えておるのでありますが、もし臨調のこうした市町村道を見直すような方向が今後進んでいっては大変けしからぬ話でありまして、いま建設省はそうしたことに対する所見をどのようにお考えか、ただしておきたいと思います。
  82. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 お答えいたします。  市町村道補助事業は、市町村道約九十五万キロのうち国道などの全国的な幹線道路網と一体となって地方の幹線ネットワークを形成し、市町村役場、学校、病院などの公共公益施設と主要な集落などを相互に連絡するものを幹線市町村道として約二十万キロ選定し、これを対象として重点的に整備しているところであります。  臨調第三部会におきましては、小規模な事業で受益が小地域で完結するものについて補助対象の見直しが報告されているところであります。今後の市町村道補助事業については、従来の整備方針を基本としつつ、なお一層の重点化、効率化を図ってまいりたいというふうに考えております。
  83. 木間章

    ○木間委員 概算要求では、揮発油税収入の減、そしてその補てんのために重量税の取り入れ増を要求されたと聞いておりますが、本予算では逆になっておるのであります。なぜこうなったのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。判断の誤りだったのかどうか。あるいはまた重量税の道路特会への繰り入れは国分の何%となったのでしょうか。できれば大蔵省のやりとり等がどうあったのかもこの機会にお聞かせいただければと思います。
  84. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 揮発油税等の税収は、そのときの経済情勢に応じ、かなりの変動が見られてきておるところであります。昭和五十八年度予算の概算要求段階におきましては、かた目の推計を行い、その後の税収の推移を見守ることとしたものであります。その後、昭和五十七年度の税収動向は比較的堅調な伸びを示したため、これを踏まえ、五十八年度予算編成段階においては、税収の見込みを修正した結果、現在のような見込みとなったものでございます。この結果、揮発油税の全額、石油ガス税の二分一及び自動車重量税収の国分の八割に見合う額が道路予算額を上回ることとなりました。上回った分は約二千百億円でございます。  道路整備緊急措置法第三条に規定する揮発油税及び石油ガス税の特定財源が道路整備費の国費に占める割合は九一%となっております。道路財源に充てるべき自動車重量税の額のうちからどれだけこの道路財源に充当され、それが全体の国費の何%かということですが、私、その数値、率を出しておりませんが、国分の自動車重量税収の八割は約三千七百億円でございまして、そのうち二千百億円がオーバーフローいたしましたので、残ったのが三千七百億円から二千百億円を引きますので千六百億円。千六百億円がおおむね道路財源となっておるところでございます。ただ、このオーバーフローした分についての関係当局等との折衝はどうかということでございますが、この上回った額につきましては、第九次道路整備五カ年計画道路整備費の国費に充当する考えで関係当局と話し合ったところでございます。
  85. 木間章

    ○木間委員 道路整備はこれからも推進していかなければならない大切な事業であることは言うまでもありません。しかし、最近では下水道の需要も大変高まってきておりますから、それらの財源探しにもこれまた大変気苦労が多かろうと思います。そういった中で各方面からこの道路特会がねらわれつつあるわけであります。そこで、目的税そのものの見直しの是非は別にいたしましても、現状では地方道の立ちおくれが非常に高いということを局長も認めておいでになるところでありますが、私は、これからやはり地方道への財源配分の傾斜、先ほども意見があったところでありますが、そういったものの強化を図っていかなければならないと思いますし、また雪寒道路の関係、あるいは道路交通安全の事業の推進等もあるわけでありまして、ぜひそういった意味でのバランスある投資をお願いしたいと思いますが、そういった今後の道路行政について、傾斜配分を考えるのかどうか、このことについての御決意をお願いしたいと思います。
  86. 内海英男

    ○内海国務大臣 御指摘のように、道路整備につきましては、地方道について相当立ちおくれておるということは私どもも認識をいたしております。したがいまして、現在のところ日本列島を縦断する縦貫道につきましてはほぼ完成に近い状態にございます。したがいまして、今後の第九次道路整備五カ年計画に当たりましては、できるだけ日本海と太平洋を結ぶ横断道を考えていきたい。さらにそれに結びつく地方道、生活関連の最も深い地方道についても重点的な配慮を図っていかなければならぬ。そして地方の時代と言われるにふさわしい定住構想にも密着した道路計画推進してまいりたい。これが国土の均衡のある発展を図る意味において、予算の執行に当たっては、私も申し上げたように、重点的、効率的に配慮してまいりたい、こういうことでございます。傾斜配分というような具体的な言葉を申し上げますと、いろいろ全国差し支えもございますので、そういう言葉は避けさしていただきまして、効率的に重点的に国土の均衡のある発展を図るために道路計画推進してまいりたい、こうお答えをしておく次第でございます。
  87. 木間章

    ○木間委員 言葉の上ではいかようにでもなるわけでありまして、私どもは、やはり白いものに黒いものを似せていただかないと、いまの大臣のお気持ちはお気持ちとしてでも、なかなかそうかとならないわけでありますから、ぜひ態度で示していただきたいと思うのであります。  次に、公園、下水道の五カ年計画はそれぞれ三年目に入るわけでありますが、この三年を経まして、公園でありますと一人当たり面積の目標であります五平米がどのような位置になるのか、また下水道の普及率四四%の目標に対してどのような位置になるのか、事業費の進捗ではなくて、整備水準をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  88. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 第三次都市公園等整備五カ年計画におきましては、六十年度末の一人当たり都市公園面積を五・〇平米に高めることを目途に二兆八千八百億円で整備が進められているわけでございます。五十八年度末における一人当たり都市公園面積はおおむね四・六平方メートルになる見込みでございます。また第五次下水道整備五カ年計画は、六十年度末の普及率、これは人口普及率でございますが、四四%に高めることを目途に総投資規模十一兆八千億円で下水道の整備を推進しておりますが、五十八年度末の普及率はおおむね三四%になる見込みでございます。
  89. 木間章

    ○木間委員 道路にいたしましても、あるいは住宅でも公庫住宅は大変進捗率が高いのですが、いま公園、下水道についてお聞きしたのでありますが、残念ながら格差が出ておることは否めません。そこで住宅部門でも公営住宅の進捗率が悪いのでありまして、こういった直接国民ニーズの強い公園とかあるいは下水道とか公営住宅の進捗率が進まないのはどういう理由なのか、お聞かせいただきたいと思います。
  90. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  公営住宅につきましては、御指摘のとおり第四期五カ年計画の進捗については若干低い達成率となっております。この理由は、大きく申し上げますと三つほどございまして、一つは、やはり適正な位置、規模及び価額の用地が非常に取得しにくい状況にあるということ。それから二つ目は、関連公共公益施設の整備につきまして、地元との調整につきましておくれが目立つということ。それから三番目が、周辺住民との調整が難航するということ等でございます。こういうことで建設が停滞をしておりますが、近年こうしたことも、たとえば関連公共公益施設につきましては、種々の助成を行っている等々によりまして、逐時改善をしてきているところでございます。そこで、昭和五十八年度におきましては、現在非常に厳しい財政事情にございますが、その中で最大限の意を用いまして、五万四千戸の予算を計上しております。今後とも諸般の問題を解決しながら公営住宅の建設を推進していく所存でございます。
  91. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 公園につきましては、厳しい財政事情のもとで、いま五カ年計画で予定しました進捗率に比べましてかなり低い状況になっております。計画三年度目の五十八年度末の整備率を先ほど申し上げましたが、金目では四五%ということで、三年たって四五%でございますので、それが整備水準にはね返っているというふうになるかと思います。  また、下水道につきましては、同じように三年を終わりまして進捗率が四五%、そういう状況でございます。これは厳しい財政状況が続いていることに加えまして、特別の地方債の償還額等がふえておる。さらに五十七年度、八年度と連続しまして総事業費が落ち込んだ、こういったことが原因であると考えております。予算の伸びもさることながら、さらに普及率が低いじゃないかという感じをお持ちかと思いますが、これにつきましては、下水道の場合、物価の上昇あるいは事業執行におきます社会環境の悪化、あるいは先行投資分の増加、雨水対策事業の増加、あるいは管渠面整備のおくれ、こういった点にさらに原因がございまして、こういった障害を除去しながら、少しでも目標に近い水準に持っていくように努力したいと考えております。
  92. 木間章

    ○木間委員 いろいろその理由が述べられ、そしてまた最終的には持っていきたい、こういうことでありましょうが、私は、結果的にはこの公園あるいは下水道、そして公営住宅の目標達成は絶望的だろう、こう言わざるを得ません。そして数字を見ますと、建設省道路省じゃないだろうか、こういう結果になるわけです。道路ももちろんそうでありますが、ニーズの高い公園や下水道、公営住宅についても、ぜひ二の次、三の次ということではなくて取り組む必要があろうと思うのです。当然景気対策のためにもこれらのことは要請されるわけでありますから、そういった面で、公営住宅の三十二万戸、あるいは公団住宅の二十万戸、四期五計の達成を何とかひとつ切り抜けていただきたいと思うのですが、大臣の決意をひとつお尋ねしておきたいと思います。
  93. 内海英男

    ○内海国務大臣 ぜひとも当初の目的を達成するために最善の努力をして目標達成に邁進したいと考えておる次第でございます。
  94. 木間章

    ○木間委員 ぜひひとつがんばっていただきたいし、私どももそういう考え方でこれから臨みたいと思うのです。  次に、特殊法人の問題について若干お尋ねしておきたいと思いますが、公庫への五十八年度利子補給総額は幾らでしょうか。そしてその中の財投からの借り入れはどうなっておるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  95. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お尋ねの住宅金融公庫への五十八年度の一般会計からの補給金は約二千八百十五億円でございます。それからまた七百七十八億円を財投資金から借り入れることとしております。これは住宅金融公庫法の附則の規定に基づきまして特別損失として繰り延べすることとしておるものでございます。
  96. 木間章

    ○木間委員 昨年の法改正のときに、いま官房長をされております豊蔵さんの方からの見込みでは、五十八年度は三千八百十億円になるだろうと。ところがいまお尋ねしますと二千八百十五億ということで、一千億の開きが出ておるように見られるのですが、これはまた後々お尋ねしたいと思います。  昨年の公庫法の改正で議論をしておりますが、五十九年あるいは六十年度の見通しはどうなるのか。あるいは返済というのがすぐ後に来るわけですが、五年間で補てんをするのだ、交付金をもらって補てんをするのだ、こういういままでの経過があるわけです。この方針に変更はないと思いますが、どういうことになっておるか、お尋ねしておきたいと思います。
  97. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  いまの御質問の件でございますが、公庫補給金の今後の推移につきましては、事業量がどの程度になるのか、あるいは財投金利が今後どういうふうに動くかというような事情によりまして大きく変わるものでございますので、正確な推計を行うということは大変むずかしいわけでございますが、仮に戸数が五十九年度五十一万戸、それから現行の財投金利の水準であるというような一定の条件で試算をしてみますと、昭和五十九年度が三千四百億円余、前年度に比べまして六百億円の増。それから昭和六十年度が四千七百億円余、前年度に比べまして一千三百億円増ということになります。昭和六十年度は特別損失をいたさないという試算のもとにこういう試算をしておるわけでございます。  また、御指摘の繰り延べ措置に関しましては、昭和五十七年、昨年四月に住宅金融公庫法を改正いたしまして、繰り延べに関する経理、繰り延べを返済する期間等に関するいろいろな規定を整備したところでございまして、昭和五十八年度の繰り延べ額七百七十八億円については、昭和六十一年度から六十五年度までの五年間で、または五十九年度の繰り延べ額につきましては、六十二年度から六十六年までの五年間でそれぞれの規定に基づき適切に対処するということとなっております。
  98. 木間章

    ○木間委員 財投からの利子補給金借り入れ問題にいたしましても、また公団の利子負担の問題にいたしましても、今後ますます大きな問題になってくると思います。しかし、そのツケを利用者にしわ寄せすることは断じて避けなければなりません。政府の知恵でそういった問題をぜひ解決をしてもらいたいと思いますが、大臣の御決意をお尋ねしておきたいと思います。
  99. 内海英男

    ○内海国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、住宅金融公庫及び住宅都市整備公団に対する補給金につきましては、近年公庫公団の事業量の増加と財投資金の金利が高水準にあったといった関係からいきまして、急速に負担増加の傾向を示しておるわけでございます。しかしながら、補給金は住宅を必要とする庶民にとりましても、公庫融資の償還金や公団賃貸住宅の家賃等の軽減を図るということは政治としても当然必要なことでございますし、行政としても考えていかなければならぬ。こういうことでございますので、御指摘のとおり、財政事情を理由にして、すぐに利用者に負担がかかるようなことは極力避けるように図っていきたい、こう考えておるわけでございます。
  100. 木間章

    ○木間委員 極力避けるということではあいまいもことしておりますから、決してそのことのないようにがんばっていただきたいと思うのです。  最後になりますが、急傾斜地崩壊対策事業の問題についてお尋ねしておきたいと思います。  四十二年から発足したこの制度でありますが、昨年の長崎災害の経験もこれあり、また近年の調査でも、全国的には膨大な危険個所数字調査済みであります。何とかこれを即刻対応しなかったら、こういうことでこの新五カ年計画が発足したものと私も評価をしておるところであります。全国の七万二千のこの危険個所の中で、砂防事業では一万四千カ所、そして本事業で五万八千カ所を当面五カ年間で約二〇%をひとつ解決しよう、こういう取り組みであります。そうなってまいりますと、五万八千カ所全体を完成するには、最低でも二十五年そして三十年と、大変長期にわたろうとする事業になるわけであります。年々歳々災害が後を絶たないわけでありまして、私は、やはり短期に災害からの不安を取り除くことが急務でないだろうか、こう考えております。  とりわけこの事業は、大変お金のかかる事業でありまして、私は、国費率の引き上げもやっていかなかったら進捗もおぼつかないのじゃなかろうか、こうも考えます。いま制度では二分の一の補助事業になっておるのでありますが、先ほども言いましたように、大変金額がかさばる、そういった中で危険個所も多い、こういうことでありますから、この補助率を引き上げることも大変重要なそして決意が求められておることだろう、こう思います。  いずれにいたしましても、一日も早くこれらの事業を完成させなければなりません。折も折、臨調、行革の時期でもありますが、私は、これらの国民の生命、財産を守るきわめて重要な事業でありますから、途中で挫折をさせてはいかぬと思っておるわけです。この種の事業を取り組まれるに当たって、近年建設省は特別立法、緊急特別措置法を制度化をして取り組んできた他の事業もたくさんあるわけです。こうした山に囲まれた狭いわが国国土の現状からいっても、これらの問題についてさらなる決意が必要だろう、こう思うのです。またこれらの事業を推進するに当たっては、たとえば地権者の承諾書を求めるとか、そういったこと等も事前にはやっておるわけでありまして、全部が国有地であれば問題がないのでありますが、そういったそれぞれの立場での私権というものも存在をしております。ですから、より高度なより強い法的措置も当然そういった面からも考えられるわけでありますが、この急傾斜地崩壊対策事業をせっかくおやりになるわけでありますから、ぜひそういった面での手だてがあってよかったのじゃなかろうか、私はこう考える一人でありますが、そういったものに対する建設省のお考えをお尋ねしておきたいと思います。
  101. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  建設省におきましては、急傾斜地の崩壊によります災害から国民の生命を守るということのために、いまおっしゃいましたような急傾斜地の崩壊防止施設の整備につきまして、計画的にまた強力に推進を図るために、五十八年度を初年度といたしまして、総投資規模が五千五百億円ということでの新しい五カ年計画案を今回初めて策定をすることといたしまして、先般二月一日の閣議におきまして閣議了解も得たところでございます。  この計画は、いままでいろいろと国会でも御議論をいただきましたけれども、昨年七月の長崎を中心といたします集中豪雨によります大変激甚ながけ崩れ災害の発生、こういったものを契機といたしまして、国民のがけ崩れ対策に対します強い要望を踏まえまして緊急に対処すべく立案したものでございますし、計画の内容は、近年のがけ崩れ災害に対する社会的要望を反映した計画というふうに考えております。  先ほど来、国費率をさらに引き上げるべきではないかというお話もございました。私どもも、先ほど先生おっしゃいましたように、まだこの対策の整備水準はきわめて低いということから考えましても、国費率を引き上げるということよりは、事業の進捗を図るということの方にやはり重点を置くべきではないかというふうな考えもございます。  また、法律云々の話もございましたけれども、私どもは、この事業の遂行に当たりましては、法律があろうとなかろうと、五カ年計画に基づきまして、近年の財政事情が非常に厳しい中ではございますけれども、いま申し上げたようながけの崩壊防止事業が民生の安定、国土の保全、こういったものに資するものでございますので、そういった認識に立ちまして、事業のより一層強力な推進を図るように、今後最大限の努力を払ってまいりたい、そう思っておるところでございます。
  102. 木間章

    ○木間委員 これで終わります。
  103. 松永光

    松永委員長 午後一時三十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  104. 松永光

    松永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村茂君。
  105. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、まず談合問題に対する対処について質問いたしたいというふうに思います。  公共工事をめぐる談合事件は、昨年のちょうどいまごろだと思いますけれども、談合事件として多く取り上げられました。その後、建設省も本格的に取り組んで、指名業者十名から二十名を目途にするということでふやしていただきました。また中建審でいろいろ論議をいただいて、その中の小委員会で公表制度が中間報告として出て、一応公表制度が確立いたしました。  その後、お聞きしますと、中建審で論議しているようでありますけれども、現在に至って、談合と独禁法との関係についてそれぞれのところで取り上げられるようになってまいりました。そういう昨年からの経過に基づいて、現在のこのような時点で、公共工事をめぐる談合問題について、大臣はどのようにお考えになっているか、見解をお伺いいたしたいというふうに思います。
  106. 内海英男

    ○内海国務大臣 中村先生指摘のように、昨年の中ごろに談合問題がクローズアップされて大変な論議を呼んだわけでございます。したがいまして、建設省といたしましては、先生指摘のようなそれぞれの機関におきまして慎重に検討を重ねてきておるわけでございます。  建設業界の中に、価格のみによる過当な競争は、建設業界の健全な発展を妨げるだけではなく、粗漏工事を発生するおそれがある、ひいては国民の利益を損なうことになって問題が多い、こういったような御主張もあるように聞いておるわけでございますが、一面この意見ももっともな点もあると私も思っております。しかしながら、法治国家におきましては、現行法制に従わなければならないということは当然のことでございまして、刑法上、その他法令に違反するような行為は厳に取り締まり、慎まなければならぬ、こう考えておるわけでございます。  しかしながら、なお建設業界における競争のあり方、こういったものにつきまして、また受注の適正な機会を与える、こういった面から、建設業の入札制度につきましてはいろいろ問題点もあるかと思います。したがいまして、建設省局長の私設機関のような、諮問の研究会みたいなものをつくったり、あるいは中建審等においても鋭意結論を得るように努力をされておるようでございますので、それらの結果を踏まえまして最終的な判断をいたしたい、こう考えておるわけでございます。
  107. 中村茂

    中村(茂)委員 個々に若干お聞きしたいと思いますが、いまも大臣からお話がありました、いわゆる中央建設業審議会、ずっと審議していただいているということをお聞きしているわけでありますけれども、いずれにしても、この中建審に対しては、入札制度のあり方について審議していただく、こういうことをお聞きしたわけですけれども、なお来月、三月に答申というか、正式には建審だと思いますけれども、予定というふうに聞いておりますが、この中建審の入札制度のあり方についての審議状況をお伺いしたいと思います。
  108. 永田良雄

    ○永田政府委員 お答えいたします。  入札制度の改善についての中建審の審議状況はどうなんだ、こういうお話でございます。一昨年の十一月二十七日、中建審に審議をお願いしたわけでございます。それから鋭意審議をしていただいておりまして、去年の三月には入札結果の公表というものをまず答申していただきました。これはもう現実に施行されております。残る問題については、一応三月末、今年度末を目途に答申なり意見の提示なりをお願いしたいというふうに思っております。  ただ、かなり長期的な視野からまだ検討しなければいかぬ問題等につきましては、さらにその後引き続いてやっていただくかっこうになろうかと思います。たとえばそれは何だ、こういうお話になりますが、許可制度の問題とか法律改正を伴うようなお話の問題はかなり長期にやらなければいかぬだろう、かように考えております。
  109. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、計画局長にお聞きいたしますが、私的の諮問機関、独禁法問題を研究する建設市場競争問題研究会、こういうものを設置したということをお聞きいたしているわけでありますけれども、これは何の目的でそのような機関を設けることにしたのか、お伺いいたします。
  110. 永田良雄

    ○永田政府委員 お答えいたします。  御承知のとおり、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、建設業というのはほかの産業とかなり違った面を持っていることは事実でございます。したがって、それらについて、その競争のあり方がほかの産業と全く同じでいいのかどうか、それから特殊なものがあるのかどうか、やはり検討すべきだろうというふうに考えたわけでございます。  どういう点が建設業の場合に特殊なんだ、こういうお話になりますが、御承知のように、受注産業でございますし、建設業というのは土地に密着したものをつくるわけでございますから、同じものを二つつくるということはできません。一つのものを注文でしかつくれないという面がございます。それから完成品が非常に大きなものが多くございますし、耐用年数が非常に長期にわたるものでございます。それから特に公共工事につきましては、予定価格制度というものがございまして、これはその専門の技術者が鋭意検討し、英知を集めてつくった予定価格制度というものがございます。それを上回って受注するということもできないといったような面がございますので、これらにつきまして、一体どういう競争制度が適当なんだろうか、現行制度のままで場合によればいいのかどうか、独禁法とのかかわりはどうかといった面について鋭意検討していただくためにつくったわけでございます。主として、学者の方々、それから他の産業界の方々、それからジャーナリズムの方々に入っていただいて検討いたしております。第一回は、二月十七日に初会合をやりましたが、二カ月に一遍ぐらいずつあらゆる面から検討してまいりたい、かように考えております。
  111. 中村茂

    中村(茂)委員 どのくらいの期間で一応血の成果を上げようとしているのかということと、この名前のとおり、建設市場の競争問題ということになれば、独禁法とのかかわり合いですから、特に独禁法と建設業の市場という関係で言えば、独禁法のあり方を含めた研究になるのか。中心点になるところと、先ほど申し上げたどのくらいの日程を計画しているのか、その点ひとつお聞きしたい。
  112. 永田良雄

    ○永田政府委員 かなり広範な検討を要すると思いますので、そう短期間には結論は出ないだろうとは思っております。一応のめどとしては二年ぐらいかな、こう思っておりますが、審議の状況によって多少長くなったり短くなったりすることはあろうか、かように考えております。  それから、独禁法とのかかわりがどうだという話でございますが、独禁法の適用問題についての話あるいは独禁法のあり方の問題についても突っ込んで話をしていただく、こういう趣旨でやっております。
  113. 中村茂

    中村(茂)委員 特に、独禁法とのかかわり合いの問題ですけれども、まず自民党で、与党として独禁法改正に関する特別調査会というものをつくって研究に入った、こういうふうに報道されております。それから建設省は、いま話がありました、いわゆる計画局長の私的な諮問機関として独禁法の研究をする、こういう機関をつくった。また次に、私もきょう質問しようと思っておりますけれども公正取引委員会で、小規模な建設業者の需給調整の活動についてガードラインをつくるという作業に入っている。それから全国中小建設業協会でも、独禁法改正特別委員会をつくって入っている。  こういう状況で、この点について、私はいままで特に公共工事と談合とのかかわり合いという問題について一点強く主張してまいりましたのは、いずれにしても、談合に絡む法的な問題としては刑法上の談合罪がある。それから独禁法の面からいけば自由競争の排除、これが談合とかかわり合ってくる。それから会計法上の面からいけば、一般競争入札の原則とのかかわり合いが出てくる。建設業法の関係も出てくる。こういうふうに、あらゆる面の法的な規制なりかかわり合いがあるわけですが、そういうことを考えていくと、まず公共工事の発注問題、契約問題というものを考えてみた場合に、この法の趣旨というものは、競争原理というものがいかにあらゆるところで生かされていくか、そして公正な競争によって契約が成立する、この原理原則は非常に大切にしていかなくちゃいかぬ、こういうふうに思うのです。  それから二点目の問題としては、先ほども計画局長が、建設業界というのは特殊的な立場にある、こういう意味のことを言われました。確かに私はそういう面あると思いますけれども、いまの建設、土建業界の体質、私は談合体質、こういうふうに言っているのですけれども、それをそのままに温存しておいて、そうして特殊的な立場だから、それから建設業界は五百、小さな企業まで含めればあるというふうに言われているのですけれども、数が多いから、こういうことだけで、そうして独禁法のかかわり合いをやるとか法の改正をやっていくということは間違いじゃないかというふうに思う。やはり長い間積み重ねられてきておりますけれども、この土建、建設業界のいわゆる談合体質というものについても、これはきちっとした姿勢をとってもらわなければどうにもならない、こういうふうに二点目として思うのです。  それから三点目としては、きょうの一部の新聞にも報道されておりますけれども、いわゆる国際協力事業団の発注に絡む問題について、天の声の衝突によって入札がいろいろ乱れて安い入札になったという記事が出ておりますけれども、いわゆる政治政治家とのかかわり合い、こういうことが裏でさまざまな問題が起きてくれは、私はどういう制度をつくったって公共事業の発注というものが公正に、しかも内容もすきっとしたもので契約されるということにならないと思うのです。  ですから、ただ、もう一度申し上げますと、いわゆる建設業界の体質、長い間積み重ねてきたもの、こういうものをそのまま温存して法だけ直してもだめ。そういう関係をきちっとさしたとしても、政治家などの介入が公然と行われて、そうしてそういうルールを乱していくという裏が存在している以上、公共事業の発注というものはスムーズにいかない。ですから、これはただ単に法の面だけということで、どうも私の心配するのは、一口に言えば独禁法の除外にしてもらいたいというようないまの潮流というか動き、こういうものに押し流されてはいけない、こういうふうに思いますので、これは別に答弁は必要ありませんけれども、私の気持ちであるということを強く要求しておきたいというふうに思います。  それから、やはり昨年からの談合の問題についてもう一つは、談合事件と独禁法のかかわり合いで出てきたこういう問題を、見本と言えば言い過ぎかもわからぬけれども、事件というのは、静岡県下に起きたいわゆる談合事件ではないかというふうに思うのです。  公正取引委員会が来ていると思いますのでお聞きいたしますが、この静岡のいわゆる談合事件、これは静岡建設業協会、清水建設業協会、沼津建設業協会、この三団体だと思いますけれども、独禁法の第八条違反として、昨年の八月六日に排除勧告が出されました。簡潔で結構ですけれども、この違反の内容と、課徴金についてまだ処理されていない、こういうふうに聞いておりますけれども、課徴金問題について現在どのようになっているのか、お伺いいたします。
  114. 樋口嘉重

    ○樋口説明員 お答えいたします。  静岡県におきます建設業の独禁法違反事件につきましては、昭和五十六年九月二十八日と二十九日の両日、社団法人静岡建設業協会、社団法人清水建設業協会及び沼津市にございます清風会に対しまして立入検査を行いました。その後、審査をいたしました結果、これらの団体がそれぞれ地方公共団体の発注する建設工事に関しまして、話し合いにより受注予定者を定めることを決定し、これを実施することによりまして、建設工事の取引分野における競争を実質的に制限するというような独占禁止法第八条第一項第一号に違反する行為を行っていた事実が認められました。  そこで、昨年の八月六日に違反行為を排除するために必要な措置をとるように勧告いたしました。それぞれの団体は同年の八月二十六日勧告を応諾いたしましたので、同年九月八日勧告と同趣旨の審決を行いました。  なお、本件は対価にかかわる違反行為でございますので、現在、課徴金納付命令の審査を行っておるところでございます。いままでの時点では正確な額はまだ判明しておりませんが、概算したところでは、三団体を合計いたしまして三億四千万円を超えることはない。それから課徴金を課せられることとなる事業者の数でございますが、三団体の会員企業の半数を超えない見込みであるということでございます。
  115. 中村茂

    中村(茂)委員 建設省にお聞きいたしますが、いずれにしても、昨年排除勧告がなされたわけです。それからいまお聞きしますと、課徴金についても三億四千万円を上回らないと言うのですけれども、それに達するいえば課徴金がこれから審査されていく。そこで、建設業法に基づく業者の指名停止という問題がこういう事件については考えられるわけですけれども、この点についてどういうふうにいまお考えになっているか、お聞きいたします。
  116. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいまの御指摘の件につきましては、私ども建設省におきまして直接発注いたします場合に、法令等に違反がありました場合、指名を停止する、あるいはまた指名を回避するといったような措置が運用でとられておるわけでございますが、本件につきましては、まだ最終的な御判断も出ておりませんので、公正取引委員会におきますところの判断が出ました段階におきまして、総合的に勘案いたしまして方針を決めたいというふうに考えております。
  117. 中村茂

    中村(茂)委員 いままでの例からしても、排除勧告が出ただけではそういう措置をとらないのですか。課徴金まできちっといかなければそういうことにはならないですか。その点、課徴金まできちっといった段階ということをいま言っているわけですか。
  118. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 従来、同様の事例につきましても、排除勧告が出た段階ではなくて、やはり具体的な各企業に対しまして課徴金が課された後におきまして、それを前提といたしまして検討させていただいたように思います。
  119. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、私の手元に「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針昭和五十四年八月公正取引委員会事務局」というのがありますけれども、いま公正取引委員会として、特に小規模の建設業者に対しての独禁法とのかかわり合い、先ほども苦干触れましたけれども、調整受注についてガイドラインをつくる方針だ、こういうことですけれども、いまここで言っている業者団体の、この冊子で示しているのは全般的に言っているわけですけれども、いま公正取引委員会でガイドラインと言っているのは、小規模建設業者に対して、この考え方がなお細かくというかガイドラインとして適用されるように、ここから別個に出してそういうものをつくろう、こういうお考えなのか。複雑だし内容まで入ればいろいろな問題もありますけれども、その考え方をここで言っているものを基準にしてひとつ御説明願いたいというふうに思うのです。
  120. 植松勲

    ○植松説明員 ただいま先生指摘のとおり、公正取引委員会におきまして、昭和五十四年八月に「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」というのを公表しております。この活動指針は、建設業を含めまして広範な事業分野のさまざまな問題に対応し得るような形でつくられておるわけでございます。従来から公正取引委員会といたしましては、この指針などに基づきまして建設業と独占禁止法との関係について業界の行います講演会あるいは勉強会といったものに担当官を派遣することなどによりまして、随時その説明を行ってきたわけでございます。しかしながら、この業界、特に中小建設業界におきましては、十分にこの問題について理解されていない点もあるのではないかと考えられます。このため、今後業界側の意見あるいは要望などを十分聴取しつつでございますが、官公需の受注に伴う情報活動などに関する独占禁止法上の考え方を明らかにしていきたいというふうに考えております。
  121. 中村茂

    中村(茂)委員 いまの説明の内容では、現在ある独禁法の枠内でいろいろ研究して指針をつくりたい、こういうことだと思うのですが、それを一歩踏み出して、独禁法の改正ということまで含めてということではないというふうにいまお聞きしたのですけれども、その点と、それからこれは私の希望なんですけれども、いままでずっと質問し、皆さんの方からお答え願ってきた、いわゆる公共工事の発注と談合問題というものを考えてみた場合に、この中に置かれている中小建設業者の立場というものが非常に微妙になってくると私は思うのです。ですから、この問題のうらはらの関係として、中小建設業者の安定的な育成を考えていかなければ、ただ単に談合問題だけで取り上げていったのではいけないのではないか、こういう考え方一つ持っているわけです。そういう意味では、現在の法の枠内で、特に小規模の建設業者の立場を理解しながらどのように運営していったらいいかという一つの指針というものは、非常に大事な問題ではないかというふうに思う。そういう意味でせっかく御研究を願いたいというふうに思う。  そこで、全体的にですけれども、先ほど申し上げましたように、こういうふうに考えていくと、どうも独禁法が目ざわりになってきた——ですから、法的に全体的に研究するとすれば、ただ独禁法が目ざわりだということではなしに、もっと全体的に法的な面から、それから入札制度のあり方、こういうものを統合的にやっていかなければいけないと思う。ところが、独禁法を所管していないような建設省から始まって、自民党の中から全国中小建設業界まで含めて、何でも独禁法の研究だ、独禁法の改正だと言うこの潮流というものについては、私はこれからも意見を出していきたいと思いますし、ただ、そういうことだけでは大変なことになる、こういう認識を持っておりますから、いままでのこの談合をめぐる全体的な問題の集約として、大臣にもう一度見解をお聞きいたします。
  122. 内海英男

    ○内海国務大臣 談合問題と入札制度の今後のあり方ということにつきまして、貴重な御意見を交えながら伺ったわけでございますが、独禁法に建設業の入札制度というものがなじむかなじまないかというような問題も含めまして、今後とも適正な競争入札制度が執行できるように、どういうあり方をとっていけばよいのかというようなことで、ただいままで御議論をいただきましたいろいろな機関で検討していただいておるわけでございます。  したがいまして、そういったところの検討の結果等を踏まえまして、いかに建設業の入札制度のあり方が公正に国民の信頼と期待にこたえられるような形で入札が行われ、しかもりっぱな仕事が完成できるかというところまで踏まえまして、この問題は慎重に検討を進めていかなければならぬと思っておるわけでございます。できるだけ急いでこの結論を得るように、さらに勉強してまいりたいと思っておるわけでございます。
  123. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、千曲川上流ダム建設計画についてお伺いいたしたいと思いますが、昭和四十九年の四月に信濃川水系工事実施基本計画、これが改定されて、その中に上流ダム群をつくっていって治水強化をしていくんだ。その第一号として、長野県の信濃川の場合に大町ダムを建設していく。第二号として、いま私が議題にしております千曲川上流ダムの建設計画、これが改定された。そして一応予備調査という段階に入っているというふうに聞いているわけですけれども、このダムを建設しようとする計画の概要について簡潔にお伺いいたします。
  124. 川本正知

    ○川本政府委員 ただいま先生指摘の千曲川の上流ダムの建設計画でございますが、信濃川水系の全体の治水対策といたしまして、河道改修とあわせまして上流におきますダムによる洪水調節ということを考えておりまして、この計画の一環といたしまして、ただいまおっしゃった千曲川上流に洪水調節を行いますダムがどうしても必要であると考えております。  現在は、まだ机上計画の段階でございまして、現地での地形地質調査などまだ行っておりません。そういったことで、位置や詳細な規模などは決まっておりません。今後、現地の調査を待って、その地形地質資料などから建設の可能性について検討してまいりたいと考えております。また千曲川沿岸地域につきましては、たびたび渇水も起こっておりますので、水資源開発に対します希望が強うございます。  そういったことで、このダムを具体化いたしますときには、治水だけを目的とするものではなくて、いわゆる多目的ダムということにすることも検討してまいりたい、そう考えておるところでございます。
  125. 中村茂

    中村(茂)委員 私から要望しておきたいと思いますが、この地域のダム建設ということは、前々から何回か問題になってまいりまして、三十九年と四十二年にも、関東と近いところですから、ダムをつくって水面を上げて、それでその水を東京へ持っていく、長野県の日本海へおりる水を東京へ持っていく、こういうダムの計画が論議されまして、これは地元の反対で一応取りやめになった経過があるわけであります。今度の計画は、その前に話のあったところと全く同じところで、確かにダムをつくるということになれば、きわめて入り口が狭くて中が広くなっておりまして、だれも目をつけるようなところなのですが、しかし、ここのところには二つの部落がございまして、百数十戸の水没家屋が出るという地帯。特に広瀬というところについては、その都落そっくり一軒も残らず全部水没してしまう。こういうところでございますから、この人たちは挙げて猛反対。こういう動きがすでに出ている地域でございます。一口に言って、地元のそういう本当に将来を含めての生命までかかるような問題ですから、まず地元の意見を十分聞いて対処していかなければ、どんなに計画ばかり立てても、こういう問題は計画倒れに終わってしまう。こういう内容が含まれているところだということを強く要望しておきたいと思います。  それから次に、住宅都市整備公団の運営について、もう私の時間が余りございませんから、端的に大臣や総裁の意見も聞こうと思ったのですけれども、それを省略して、私が大変心配している点だけを最後に申し上げたいと思います。  それは今度新設というか新しい制度を取り入れようとしております特別借地方式による賃貸住宅制度。これは十年後譲渡制度ということで、宅地は借りて上へ上物を建てて、十年たったらその地主に売り渡します、買い受けします、こういう発足当時の問題があって、これは制度をつくるときに、十年できちっとなってきたところはよかったわけですけれども、十年でやってきたその制度を廃止した。その時点にかかわったところについては、土地を貸して上物をつくったその主とそれから公団の間で見解の相違が出てきて、話は十年たったら買えるというふうに思った。ところが制度が変わってしまって、上物が建ったときには、もうその譲渡には入っていない。そして幾つかの裁判が起きたわけです。そこへ入っている人たちは、もうずっと入っていられると思ったら、公団の建物ではなしに民間の方へ売られてしまった。民間に売られて、民間の人たちが家主になれば、今度家賃をどんどん上げてくる。いやがらせをされて出ていかなくちゃならなくなる。何もそんな制度ではなかったにもかかわらず、いつの間にか家主がかわってしまう。こんな制度があるかといってこれも裁判ざたになった。今度は二十年というのですよ。建ててやって二十年たったら、その土地の所有者へ譲渡します。どうして譲渡をしなければこういうものが建たないのかわかりませんけれども、そういう苦い経験を積み重ねた上でこの制度に入るということについては、私は非常に危惧を持っているし、公団の運営のあり方としても疑問を持っているわけでありますので、その点についてお答え願いたいというふうに思います。
  126. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 先生指摘のように、公団発足当時、昭和三十年代の前半にそういった十年後譲渡をとったという問題が起きまして、いろいろトラブルを起こして申しわけない事態があったことは事実でございます。  その当時、私どもが手続上非常にまずかったのは、第一点は、先生も御指摘になりましたとおり、お入りになっておられる入居者の方に、そういった十年後には地主さんの方に建物が移る可能性があるというようなことをお知らせしてなかったということが第一点の私どもの間違いでございました。それから第二点は、これも先生指摘でございましたが、ちょうど切りかえの時期、その十年後にお譲りしますということが口約束とかなんとかというので、切りかえの時期が非常にあいまいなままにそういうことが行われていたということが、地主さんとの間でいろいろと紛争を引き起こした原因でございます。  そういった反省を踏まえまして、先生危惧の御指摘もございましたが、私どもとしては、やはり私どもの公共賃貸住宅というものを建てていきたい。最近でございますと、やはり立地、便利なところでなければなかなかそういった公共賃貸住宅は成り立たない。そうなりますと、どうしても既成市街地の中に土地を求めようとしますと、なかなかそういった適当な立地の土地が得られないということで、そういった土地は持っているけれども売りたくない。あるいは一般のいままでの借地でございますと、もう貸したらとられたも同然だ。そういったことから、世論で借地方式を活用すべきだといういろいろな御意見、御提案がございますが、なかなか借地方式が進まない。そういうものを打ち破るために、いま私どもはこういった特別借地方式賃貸住宅というものをやらせていただきたいということでお願いしたわけでございます。  ただ先生の御指摘になりました危惧の点は、私ども、できるだけいろいろな制度上、あるいはたとえばお入りになる方には、十分この賃貸住宅制度趣旨を御理解願っていただく、あるいは地主さんの方にも、そういった趣旨を御理解願って、仮に二十年以降に、何といいますか公団から譲り受けたとしても、入居者の方々に急に家賃が値上げにならないように、そういったいろいろな面での手当ては十分いたしてまいりたいというように考えております。
  127. 中村茂

    中村(茂)委員 公団関係のその他の問題、特に公団家賃関係の問題について、同僚の山花議員に関連質問していただきたいと思いますので、私はこれで終わりたいと思います。
  128. 松永光

  129. 山花貞夫

    山花委員 これまでの質疑に関連いたしまして、公団家賃値上げ問題についてお尋ねをいたします。  私たち日本社会党の建設部会では、今年度の予算編成にかかわりまして、昨年末大臣に対して、建設、国土行政に関する要望書、申し入れ書を提出いたしました。  その中で、公団家賃値上げ問題についてお尋ねをしたいわけですけれども、今国会の開会前にお返事をいただきたい、こういうお願いを申し上げて、一月二十四日付で大臣から回答書をいただきました。  われわれとしては、公団家賃問題につきまして、近々値上げのうわさがあるけれども、仮にそのような動きが事実であるとするならば、以下の措置を講ずること。こういたしまして、四項目。  一 勤労家計の実態にかんがみ、当面の値上げは一切行わないこと。  二 公団基本問題懇談会及びその家賃部会に入居者代表を委員として参加させ、まず公約である「適切な手続きにもとづく必要なルールづくり」を十分に議論し、公団と入居者の意志の疎通と合意の形成をはかること。  三 会計検査院から指摘のあった経営問題を含め、公団の詳細な経理の公開をはかること。  四 一九七八年の一斉値上げに際して衆参両建設委員会で採択された決議の主旨を尊重すること。 以上をお願いいたしまして、大臣から「公団住宅の家賃改定については、公団からの承認申請をまって、前回の家賃改定に係る経緯も踏まえつつ、適切に対処することとする。」こういうお返事をいただいたところであります。  実は、これまでの間、去る十九日でありますけれども、新聞報道などによりますと、建設省が五年ぶりの公団家賃九月値上げということについて方向を打ち出したということが報道されました。また同時に、その中では、公団では本来昨年末までには承認申請するはずだったのだけれども、大臣の政治的な判断から一応立き消えになって今日に至っているということなどについても報道されておったわけでありますが、いま大変公団居住者の皆さんから大きな関心が集中している問題であります。  ここで、大臣がわれわれの申し入れに対しまして、これまでの経緯を大事にして「適切に対処する」ということの中身についてお伺いしたいと思うのですけれども、経緯ということになれば、一つは国会での議論の経緯があると思います。もう一つは、この間住宅宅地審議会が答申を出しまして、五十六年八月六日でありますが「現行家賃制度の改善について」、こうした答申が出ているというのも第二番目にあるのではないかと思います。また今日まで建設省におきまして、国会の議論を踏まえて対策の特別の委員会をつくり、とりわけ一昨年からは次官を長とする委員会どもつくって対策を講じられてきた。こういうことも経緯になっていると思うのですが、具体的に大臣としては、このこれまでの「経緯を踏まえて」ということについてどのようなお考えであるのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  130. 内海英男

    ○内海国務大臣 山花議員の御指摘のように、社会党の皆さん方からただいまのような申し入れが私にございまして、そのときいまお話のあったようなお答えを申し上げたわけでございます。  その中身につきましては、いま御指摘にありましたように、前回の改定のときの経緯も踏まえまして、また国会の建設委員会、衆参両院にわたる建設委員会等の御審議の経緯、両委員長の御要望、こういったもの、さらに住宅宅地審議会の答申、こういった従来の経緯を踏まえまして慎重に検討して対処いたしたい、こういう意味でございます。先ほど大臣の政治的判断というお話もございましたが、私といたしましては、この問題は生活に結びつく重要な問題であるから慎重にやらなければいけない、こういうことで従来から考えてきておるわけでございます。
  131. 山花貞夫

    山花委員 いま大臣からも生活に結びつくということで判断の一つの中身について触れていただいたわけでありますけれども、確かに減税がなかったこと、賃上げがとまっていること等々住宅に居住している皆さんの家賃負担問題というのは、家計に大きな影響を及ぼしているという問題点も強調しなければならないと思うわけです。  この際、公団に伺いたいと思うのですけれども、最近住宅居住者の家賃の滞納が大変ふえているということが話題となっておりますけれども、実態はどうなのかということについて御説明をいただきたいと思います。
  132. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  家賃の滞納関係でございますが、その滞納率につきましては上昇傾向にあるという状況でございます。非常に残念なことだと思いまして、この対応につきましては、現地の営業所等を中心にいたしまして、鋭意その督促に努めているところでございます。  現在の滞納につきましては、五十二年から五十六年にわたりまして、滞納者数等につきまして、五十二年には五万四千人でございましたが、五十六年では九万六千二百人というような形で、率にいたしまして一・六%から三・七%というような形で、実は上昇してきている状況でございます。  しかしながら、この滞納件数の内訳を見てまいりますと、一、二カ月の滞納がその八〇%を占めるという状況でございます。特別な例外を除きまして、一時的な出費によりますところの家賃の支払いが一、二カ月おくれたり、あるいはまたうっかりいたしまして、支払い時期を経過してしまったというようなものが多いと思われるわけでございます。こういうような方々に対しましては、早期に滞納を解消するように、重点的に督促を強化していきたいというように考えております。
  133. 山花貞夫

    山花委員 いまお話を伺いますと、滞納率は一・六から三・七である。また滞納者については、長期のものではなくて短期が多いという御説明なんですけれども、私はその辺はどうも公団の説明として非常にわかりにくい説明をしていらっしゃるという気がしてなりません。  具体的にどのくらいの滞納の件数があるかということを管理戸数の方から追って調べてみると、決して一・六%から三・七%というような数字ではないわけでありまして、いま御説明ただいた期間につきましても、五十二年度の滞納件数が五万四千から五十六年度は九万六千二百。管理戸数が六十二万五千二百戸でありますから、滞納件数の率は大体一五・三%であります。金額からいきますと三・七%かもしれませんけれども、一五・三%の滞納というのは、大ざっぱに言うならば、向こう三軒両隣のうちの一軒は家賃が払えないでいる、こういう現状が実態としてあるわけでありまして、この一・六から三・七という金額だけで見ることは、どうもわかりにくくしてしまうのではないか、こういう気がいたします。  第二番目の問題、いま短期の滞納で、うっかり忘れたものもある、こういう御指摘なんですけれども、短期、長期について調べてみると、一、二カ月滞納という方が、私のいただいている資料では、四十六年段階から五十五年段階までの資料が正確でありますけれども、四十六年段階は三万六千六百七十六、五十五年段階は七万五千六百十三、プラス三万八千九百三十七件ということでありまして、倍率にいたしますと二・〇六倍であります。ところが、十二カ月以上の滞納者ということになりますと、四十六年が百三十八人、五十五年になりますと二千五百二十二人ということになりまして、プラス二千三百八十四、十八・二七倍という数字が出てくるわけであります。すなわち、向こう三軒両隣のうちの大体一軒が滞納しなければならなくなっている。同時に、長期滞納者ということになりますと、昔に比べれば、さっきおっしゃった一、二カ月という、そういううっかりもありますというのがわずか二・〇六倍でありますけれども、一年以上払えなくなっているという方が十八・二七倍、二十倍近くふえているということは、まさに家計の問題として、住宅費の占める割合の問題点として示しているのではなかろうか、こういうように考えざるを得ません。したがいまして、公団の方も、検討する際には、そうした問題も十分議論の対象にしていただきたい、こういうように考えるわけであります。  同時に、私は公団に対して申し上げたいわけですけれども、先ほど建設大臣からも、これまでの経過を踏まえて対処する、こういう回答をいただきました。これまでの経過ということになりますと、これは細かくお伺いするならば、衆参両院の議論とそこでの決議もあるわけですし、また、住宅都市整備公団が法案が通ったときの決議もあるわけですし、加えて、大臣が前回の家賃の値上げ承認をした際の文書を読んでみても、その中には、長期未利用地の問題や空き家の問題等々公団の基本的問題が盛り込まれて、その問題を解決しろという強い要請が実は行われているわけであります。  全体のこの五年ほどの経緯を見てみますと、実は、その問題について、まだまだ未解決のまま残されている部分が多いのではないだろうか。そうすると、そういう問題についてほうっておいて——ほうっておいてと言ったら正確でないかもしれませんけれども、大きく残っている中で、注文されておりました家賃改定の民主的なルールについても全く手をつけないでいるという状態の中で値上げ問題を出してくれば、これは一方的であるというように居住者が考えるのは当然ではないか、こういうように思うわけですが、従来の国会決議あるいは国会での十七回にわたる質問を通じて出てきた議論に関連して、そうした問題について公団としては、解決したから大丈夫なんです、だから値上げの問題に入ってきたのですということなのかどうなのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  134. 志村清一

    志村参考人 お答えいたします。  ただいま御指摘になりました未入居あるいは保守管理住宅の問題あるいは未利用地の問題、これは私ども公団にとっては非常に重要な課題である、かように考えておりまして、建設省の御指導も賜りまして、着々その整備に努めております。  昭和五十二年のころには、未入居、保守管理合わせまして四万戸を超えておったのでございますが、その後努力をいたしまして、五十六年三月には二万五千戸台、五十七年三月には一万九千戸台に減少をいたしております。私どもは、これをもって満足しているわけではございませんが、これからも一段と努力を重ねまして、その解消に努めてまいりたい、かように存じております。  また、未利用地の問題につきましては、会計検査院からも二十一地区の指摘がございまして、これの改善を図るようにという御指摘がございましたが、これらにつきましても、二地区は公共団体等からの要望に基づきまして処分をいたしておりますし、十地区につきましては、工事に着手いたし、あるいはその進捗を図るということになっておりまして、残りの地区につきましても、明年度早々に着工できるものあるいは公共団体との話し合いが相当進んでいるもの等もございまして、ある程度の進展は見ている。できるだけ早くこの進展を図りたい、かように考えておる次第でございます。  また、先生指摘のように、国会でいろいろ御審議をいただきまして、いろいろの点についてよく考えるようにというふうなお話がございましたが、それぞれについて私どもも十分考えてまいりたいと思っております。
  135. 山花貞夫

    山花委員 細かい内容については省略いたしまして、結論的な問題で申し上げたいわけです。  確かに御努力されたことは認めないでもありませんけれども、たとえば、一番問題となりましたものの一つ、未利用地があるとか空き家があるということは、一体そのことによって財政的にどれだけの負担になっているかという集約とのかかわりで問題となったわけであります。  全体としての長期借入金の流れについて見ると、五十一年度が四兆三千二百十六億円であります。五十六年度末におきまして八兆百五億六千五百万円という数字になります。約四兆円が八兆円になっている。また問題となった支払い金利につきましては、五十一年度段階では二千七百二十億六千六百万円でありますけれども、これが約二千八百三十五億八千二百万円ふえまして五千五百五十六億四千八百万円ということになっておりまして、四兆円の長期債務が八兆円になり、利息の支払いも二千七百億円が五千五百億円ということになっている。公団一日で、三百六十五日で割り算いたしますと、この長期借入金の利息だけで十五億六千八十万円、こういう膨大な債務を抱えるに至っているわけであります。  私が二年ほど前にもこの問題についてお伺いいたしましたならば、その当時の時点におきましては、長期借入金が大体四兆から六兆にふえておった。未払い金利が二千七百億から四千四百億になっておった。これをまた二年たった五十六年で伺いますと、八兆円と五千五百億円。大体一年間一兆円ぐらいずつ長期借入金がふえており、これに伴って金利もふえている、こういう現状であります。実は、この問題については、五十一年の会計検査で指摘されました後、建設省内部におきましても、公団住宅問題対策委員会を設けまして検討していただき、さらに五十六年の三月二十六日に設置されました公団住宅等事業促進対策委員会が一定の結論を出したというかっこうで、非常に基本的な問題として建設省の関心もあったわけでありますけれども、こういう問題について、事態がいよいよ悪化しているという状態では、家賃だけ値上げしてくれというのは説得力がないと言わざるを得ないというようにわれわれは考えるわけであります。  実は、関連質問で時間の関係もありますので、そういう事態の中で大臣に伺いたいと思っているわけです。先ほど大臣が経過として尊重していただくとおっしゃっていただきました住宅宅地審議会の答申におきましても、居住者との話し合いを尊重しろ、これは国会決議からも続いておるわけですが、そういう問題提起が実はなされてまいりました。ところが、家賃の値上げ問題について議論した昨今の、公団の中に設置されました基本問題懇談会におきましては、家賃の交渉についてのルールはテーマにもなっていない、全く議論もされていない、結論だけが出てきた、こういうことでありまして、これではやはり居住者は納得をしない。話し合って決めるというこうしたルールをつくっていかない限り円満な解決というものはないであろう。そうしたことは、過去の家賃裁判の流れの中から教訓として公団は十分知っているはずである。相変わらず大きな基本的な問題に手をつけず交渉のルールもつくらない。そして居住者過半数を組織している公住協の団体の皆さんとも話し合いもしない。こういう状態で一方的にやるというのは、やはり理が通らないことではなかろうかというように考えておるわけであります。  最後に大臣に、そうした経過もあるわけですし、一応新聞報道などで建設省の動きについては一部漏れ伝わってはおりますけれども、ぜひ冒頭お話しただきましたとおり、前国会における議論の経過その他を踏まえまして、十分国会での議論を尽くした上で円満な解決の方向のために御努力ただきますよう要請をして、この点について大臣の御見解を承りたいと思います。
  136. 内海英男

    ○内海国務大臣 委員会等を通じまして十分御審議、御議論をいただきました上で判断をいたしたい、こう思っております。また円満な話し合い、これは当然なことでございますから、それも推進するように指導してまいりたい、こう考えております。
  137. 山花貞夫

    山花委員 以上で終わります。
  138. 松永光

    松永委員長 薮仲義彦君。
  139. 薮仲義彦

    薮仲委員 両大臣の所信表明に対する質問をさせていただく前に、昨年、当委員会でも何回か論議がされましたけれども、あの痛ましいホテル・ニュージャパンの事故がございました。その悲しみがまだいえぬ間に、またある意味では経営者の責任が厳しく現在追及されておるさなか、二十一日、二十二日と同じようなホテルの火災の事故が発生したわけでございます。  こういう事件にかんがみまして、そういう火災の後に、いつもあのときああだった、こうだったと当該委員会でもいろいろと論議は尽くされておるわけでございますけれども、その事故を振り返りますと、これでいいのかというようなことが次から次へと発生をいたしておるわけでございます。私は、この問題にかんがみまして、やはりそこで指摘されている何点かの問題は、当該委員会に該当する建設省にかかわる問題が出てまいりますし、また消防庁の問題も出ております。きょうはそういうことを含めまして何点か最初にお伺いをしたいと思います。  消防庁にまずお伺いをしたいのでございますけれども、最近私たち国民の間に、消防庁がいわゆる消防庁の次長通達ということで各都道府県知事に対しまして「防火対象物にかかる表示、公表制度の実施について」通称マル適マークということを通達なさっている。今度の火災を起こしたホテルの一つの方、蔵王の方はマル適マークを交付されておる、こういうことになっておるわけでございます。  そこで、お伺いしたいわけでございますが、マル適マークは必要要件が二十四件ある、このようにわれわれは理解いたしておりますけれども、その点間違いございませんか。
  140. 小坂紀一郎

    ○小坂説明員 「適」マーク制度は、川治プリンスホテル火災を契機にいたしまして、旅館、ホテル等不特定多数の者が利用する施設につきまして、関係者の防火に関する認識を高め、防火安全上の不備の是正を促進する、かつその情報を住民にも公開するという目的で設けられたものでございまして、人命安全上必要不可欠な最低限の基準であると考えられます二十四項目のすべてに適合している対象物に「適」マークを交付しているものでございます。
  141. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは蔵王観光ホテルは「適」マークを交付されておりますか。されていれば、いつでございますか。
  142. 小坂紀一郎

    ○小坂説明員 出火いたしました蔵王観光ホテルに対しましては、昨年の十二月一日付で「適」マークを交付されております。
  143. 薮仲義彦

    薮仲委員 そこで、お伺いしたいのですけれども、いわゆる消防庁次長通達というのは、各都道府県知事に交付されておりますので、われわれ国民全国どこへ行っても消防庁が一応いまお話しのあった必要不可欠な二十四項目についてクリアしておる。ですから、人命の尊重という見地から言うならば安全なんだ。最近は修学旅行をなさる小さなお子さん、父兄の方が、まずその旅館に対して「適」マークをもらっていますか、こういうことを確認していらっしゃる。われわれがどこかへ旅行するときも、家族の安全のために、「適」マークを交付されてますかということは、観光業者やいろいろな方に必ず聞くわけです。それは消防庁が人命救済の上から必要不可欠な二十四項目について指定し、きちっとその条件をクリアして交付しているのだ、こう国民は認識し、消防庁指導というものに信頼を置いておるわけでございますから……。  そこで、お伺いしたいのは、いわゆるこの「適」マークというのは、この通達でいくならば、全国どこへ行っても共通でなければならぬ。東京はこうだけれども地方はこうだ、あるいはいろいろあるのかもしれませんけれども、必要な二十四項目については、全国同じ認識に立って消防庁は「適」マークを発行しなさいと指導したと思うのですが、いかがでしょう。
  144. 小坂紀一郎

    ○小坂説明員 御承知のように、自治体消防が「適」マーク制度をそれぞれに採用して運営をしているわけでございますが、これを全国的に推進いたします必要上、お話しの次長通達あるいは関係の諸通達をもちまして、全国的に適用される標準的な基準とその考え方を示しているわけでございます。しかしながら、地域によりましては、それぞれの消防機関の判断によりまして、付加的な条件を付してより強化をしているところもございますが、それはそれぞれの地域の実情によるものでございます。
  145. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの御答弁ですと、付加することはあっても、この二十四項目が一項目でも欠落することはないはずですね。いかがですか。
  146. 小坂紀一郎

    ○小坂説明員 そのように指導いたしております。
  147. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは時間がございませんから、簡単にやりますが、まず二十四項目の中で避難訓練、これは少なくとも年に何回かやりなさいということが指導要綱に入っていると思うのです。避難訓練は入っていますか。やるとすれば、年に何回その当該のホテルは全従業員に対してやらなければなりませんか。
  148. 小坂紀一郎

    ○小坂説明員 二十四項目の中に避難訓練の項目は含まれておりまして、旅館、ホテルにつきましては、消防法の施行規則によりまして年二回以上避難訓練を行わなければいけないという義務づけがなされております。
  149. 薮仲義彦

    薮仲委員 そうしますと、蔵王観光ホテルはマル適マークを交付されていますので、避難訓練は当然年に二回以上行ったということを消防庁が確認をしてマル適マークを交付したわけであって、新聞報道でなされるように、従業員の避難訓練などなされなかったとか、避難訓練が適切でなかったということはどうなんですか。それは新聞の報道が誤りだとはおっしゃらないと思うのですけれども、その辺はいかがでしょう。
  150. 小坂紀一郎

    ○小坂説明員 私ども受けております報告によりますと、当該ホテルにおきまして昭和五十七年の九月に避難訓練が行われているという報告を受けております。
  151. 薮仲義彦

    薮仲委員 ということは、それだけでマル適マークを交付する要件を十分満たしておったという認識に立ったわけですか。
  152. 小坂紀一郎

    ○小坂説明員 管轄をいたしております山形市の消防本部におきましては、そういう判断で「適」マークを交付したと考えます。
  153. 薮仲義彦

    薮仲委員 この問題は、建設委員会でございますから、建設省に聞きたいことがたくさんあって、あなたに余り言うのはいかがかと先ほどから思っておるわけでございますが、そうは言うものの、もう一つお伺いします。  二十四項目の中に自動火災報知機を設置しなさいという項目、ありますか、ありませんか。
  154. 小坂紀一郎

    ○小坂説明員 ございます。
  155. 薮仲義彦

    薮仲委員 そうしますと、自動火災報知機というのは適正に作動しなければならないものだと私は思うのですね。しかも避難訓練あるいはここには防火管理者等々が出ておりますと、また防火管理者が宿直の従業員に対して教育訓練をしなければならないのは、管理者として当然だと思うのですね。しかも、簡単にメーンの自動火災報知機のスイッチが切られてしまうということは、入っている方にとっては非常に危険なことだと思う。確かにいま言われますように、火災報知機については煙で感知する火災報知機と、あるいは熱線によって感知する報知機とあります。ひどいのは、たばこの煙だけでも感知します。いろいろ言われます。でも、一番宿直者のいるべきところのメーンの報知機がきちんと火災を予報しなかったら何にもならないし、簡単に切られたのでは、泊まっている人の人命など絶対に守れないと思うのですね。こういう点は、単に経営者の道義的責任とかいう問題ではなくして、もっと厳格な対応がなされなければならないのじゃないか。極端なことを言えば、メーンスイッチはもう消防庁が封印するぐらいの勢いで厳重に管理しないからこういうことになるのじゃないのですかという指摘、あるいは避難訓練を、私は今度もう少し具体的に現地の方と調べてみますけれども、これでいいのかどうか。一番人命にかかわる部分についてはいかがですか。
  156. 小坂紀一郎

    ○小坂説明員 「適」マークの予定しております防火安全の水準というのは、「適」マークで判定いたしております項目が常に適正に維持され、運営されているということによって確保されておりまして、それが前提となっているわけでございます。したがいまして、お話しの自動報知設備につきましても、これが設置されていることはもちろんのこと、それが適正に維持されていなければいけないということでございまして、もし報道されておりますように、自動火災報知設備の電源のスイッチが切られているというようなことであれば、これは人命の安全上重大な不備があるということになりますので、きわめて遺憾なことだと存じます。
  157. 薮仲義彦

    薮仲委員 ここであなたに結論をということは申しませんけれども一つ指摘しておきますから、お帰りになったら砂子田長官等含めてよく御検討いただきたいのは、あなた方のおやりになるのは指導だけなんです。指導にはおのずと限界があるのじゃないのかな。もっと厳格な、そういう不特定多数の方のいらっしゃるところの人命の安全という問題については、指導を超えた、もっと本当に大事なことがあるような気がします。いまお答えできなくても結構ですが、帰ったらこれを検討なさいますか、指導で大丈夫ですか、どちらでしょう。
  158. 小坂紀一郎

    ○小坂説明員 私ども今回の火災にかんがみまして、「適」マーク制度に対する国民の信頼を裏切らないように、これを適正に運用することが肝心なことだと考えておりまして、今回の火災にかんがみまして、木造の旅館、ホテル等に対する一斉点検を早急に実施する必要があると考えておりまして、その際に、お話しのような消防設備等の適正な管理についても指導の徹底を図ってまいりたい、こう考えております。
  159. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは次はいよいよ建設省、御答弁ただきましょう。  この二十四項目の中に建設省にかかわる部分があるわけでございますけれども、これはどういうかかわり合いを持っているかということをお伺いしたい。  一つは建築構造、それから防火区画、階段等は建設省の責任といいますか、建設省がかかわり合っている部分だと思うのですが、この部分にどういうかかわり合いの仕方をなさっていらっしゃるのか。  それともう一つは、しかもこの三件については、四十四年の建築基準法を適用なさる。いまわれわれがホテル・ニュージャパンや何かでいろいろ問題にするときに、既存不適格とか遡及いたしませんということを言われて、私は当時の斉藤大臣に、それはそうでしょう、しかし、人命尊重の立場から十分な安全だけは行政指導範囲の中で、裁量の中でお願いしますということで、大臣は確約をしているわけでございますけれども、なぜ四十四年の建築基準法をもとにおやりになっていらっしゃるのか、現行の基準法を用いない理由。  さらに、この二十四項目の中で、建設省がどういうかかわり合いをしているのか、ちょっと御説明ただきたいと思います。
  160. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  「適」マーク制度自体は消防庁の実施しているものでございますが、消防庁のそういった「適」マーク制度の表示公開制度につきましては、建設省といたしまして、各都道府県あてに消防庁から、そういった制度については十分に協力をすること、特に構造あるいは防火区画、そういった事項に関連する部分につきましては十分な意見を申し述べることという通達を出して、協力することとしております。  なお、もう一つの御質問でございました既存不適格の建築物について、現行法に基づいて改修すべきではないかというお話でございますが、これにつきましては、種々国会での御審議、御意見があったところでございますが、建築構造を基本的に改めるというようなことでありますとか、相当の費用がかかるというようなこと等々ございまして、法律に適合することはむずかしいとしても、できるだけ防災改修の効果を上げるよう建築物防災改修指導要綱に基づいて指導をしておるというところでございます。
  161. 薮仲義彦

    薮仲委員 それは十分大臣がやってくださるだろう。住宅局長指導してくださることを信頼しておるわけでございますから、私が聞いたのは、この二十四項目の中の建設省のかかわる部分の建築構造、防火区域、階段が、現行法は大分変わっているわけでございますけれども、なぜ四十四年という年度の建築基準法で二十四項目をクリアすればいいとなさっているのかわからないから、なぜ現行法で適用なさらずに、四十四年なんて古い建築基準法上でオーケーになっているのか、なぜですかと聞いたのです。
  162. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 四十四年以降、ここにございますような建築構造、特に避難階段等についての規定が相当大幅に強化されておりまして、この規定に十分適合させるように実施をさせることが、建築構造上あるいは費用上なかなかむずかしい点があるというようなことで、昭和四十四年の規定に少なくとも適合するようにということで指導するようにしたものでございます。
  163. 薮仲義彦

    薮仲委員 そこで、大臣にお伺いしたいのですけれども、大臣、いま私のやりとりを聞いておっていろいろと問題点があったと思うのでございますけれども一つ災害や事故が起きますと、たとえばマル適マーク消防庁だけがお出しになる、これは行政上の責任ですからやむを得ない。またそれで是とする立場に一応ございますけれどもただし、こういう不特定多数の方が大ぜいお集まりになるようなところ。いつも問題になりますのは、たとえば熱海の温泉の火災のときには迷路のようでしたよという問題も出てまいりました。継ぎ足し継ぎ足し継ぎ足しというようなことが指摘されたり、いま住宅局長言われたように、現行法を適用することが非常に困難であるとかいろいろな問題がございます。しかし、そこはやはり建設省指導といいますか、建設省はその辺のプロでございます。消防庁は防火、防災の点ではプロかもしれませんが、建築構造上の避難路であるとか、たとえば防火区域、直通階段、避難階段、階段以外のいわゆる空洞区画の類焼を防ぐにはどうすればいいか、そういうような専門的な問題になってまいりますと、消防庁だけではどうしても対応し切れない、地方自治体の消防庁では無理じゃないかなという面も出てくるかもしれません。  そこで、今度もいろいろ指摘されておりますのは、いわゆるこのマル適マークが出ているけれども、地方自治体から見てみると、排煙設備がありませんとか非常用照明がありません。なのにマル適マークが出ております。いわゆる建設行政上では不適格としなければならない問題についても、消防庁ではマル適マークが出ていますよということがここで論議されています。これは私行政全体の問題として好ましいことではないと思います。だれがいい、だれが悪いではなくて。  そこで、大臣にお願いしたいのは、このいわゆる今回の温泉の火災の例をよき教訓として、建設行政がどうかかわり合って消防庁と協議をして、地方自治体の建設行政消防庁との話し合いの中で、最小限この必要なものについてはどうすればお金が安くて、しかも安全が確保できるか研究をする委員会等をつくって、消防庁あるいは避難には警察あるいは建設省のプロの方が集まって、そしてマル適をもう一度見直して、マル適はマル適として私は結構だと思うのです。その上で本当に必要な部分をきちんとしませんと、やはり国民の信頼を大きく裏切ってしまう。建設省は直接はかかわり合っていないということではなくて、やはりそこで出てくるのは、私は行政全般の問題だと思いますので、何としてもこういう蔵王の温泉の悲劇を二度と繰り返さないように、大臣がよくその辺はフォローしていただいて、ホテルや旅館の安全については、少なくとも必要な最小限の技術を指導するとか、あるいはどうやったらそれができるのかという点での御配慮をいただきたい。  私も観光業者の方の苦衷はわかるのです。ここでわれわれが論議をする、それがただ行政指導としてはね返っていけば、経営基盤の弱いホテルは非常に苦しむわけです。わかるのですよ、私は。それではそれをどうやって安全な方に、安い費用であるいは国が助成するなりして、これは手を打っていかなければいかぬと思うのです、やはりここまで来れば。助成と、そして最も適切な技術指導をして安全なホテル、旅館を、消防庁とタイアップして、ここで大臣にどうしてもやっていただきたいと私は思うのでございますが、いかがでございましょう。
  164. 内海英男

    ○内海国務大臣 御指摘の点はまことにごもっともだと思います。常に火災等の人的被害を受けますのは、ホテルその他のところが多くあるわけでございまして、そういった観点からいきましても、今後は建築の段階あるいは増改築の段階から関係省庁がよく相談をいたしまして、また地方公共団体等ともよく打ち合わせ等をしまして、誤りのないように指導して、再びこういう災害が防げるようにできるだけの努力をいたしてまいりたいと考えております。
  165. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか大臣の御決意どおりよろしくお願いをしたいと思うのです。特に私はこういう問題の専門家ではございませんけれども、一部の方にいろいろ意見を聞いてみると、いまの煙感知あるいは熱線の感知にしましても、やはり建設省のすぐれた指導といいますか応援があって——どういう場所へつけたら本当に一番安全で、的確に煙を感知し、また熱線が感知するのかということは、やはり建設省の持っているすばらしい技術で、ここがいいでしょうということを協議するような協議の場、委員会でも結構でございますから、ぜひともつくっていただきたいと私は思うのです。  そして重ねて大臣に、今度はわれわれ泊る側からお願いしますけれども、われわれは少なくとも現在まで、今度の蔵王の事件が起きるまでマル適マークに対して信頼を持っていました。どうか修学旅行に行く子供さんや家族で楽しく旅行なさる御家族の安全のためにも、大臣が早急にそういう不安のない、しかも経営する方にも大きな負担をかけないような対策を講じていただきたいと心から思いますので、最後に大臣の御決意を聞いて、この問題を終わりたいと思います。
  166. 内海英男

    ○内海国務大臣 早急に関係省庁とも打ち合わせをいたしまして、適当な対策をとりたいと思っております。
  167. 薮仲義彦

    薮仲委員 それではこのホテルの問題はこれだけにしまして、次に移らせていただきます。消防庁さん、どうも御苦労さまでした。長官によろしく。  次は、国土庁長官、今度はあなたの番ですよ。しっかり聞いておってもらわないと困る。大臣就任早々このことをよくお伝えしておかないと、松野前長官には私ねんごろにお願いをしたいきさつがございますので、加藤長官にはこの問題、本気になって取り組んでいただきたいと思うのです。  きょう私が二番目にお願いをしたいのは、先般長崎のこれも非常に痛ましい災害が発生いたしました。あの連続台風で四百人を超す人命が失われたわけでございますが、あの問題にかんがみまして、私は災害委員会と当建設委員会国土庁並びに建設省にその対応をお願いをさせていただきました。私があの中で一番指摘しましたのは、これは大臣、御承知でしょうね。これは長崎市の地域防災計画です。この地域防災計画というのは、御承知のように、災害基本法に基づいて各市町村がその住民の、国民の安全のために万全を期すためにこのようにいたしますということでつくったのが、この地域防災計画です。本はりっぱですよ。本当にこの本が生きていればとうとい人命は絶対なくならなかったはずだ。私は人命だけは守ってほしいと再々この委員会でも叫んできました。人命だけは守ってほしい。取り返しがつかない。この意味で、このように一冊の分厚い本ができておっても、結果から言うと、市長さんが避難命令出すとか出さないとか、あるいは歴史始まって以来の大雨だったとかそうでなかったとか、いろいろ言われますけれども、では少なくとも人命だけは何とか守れないかということを、私はこの場で真剣にお話をさせていただいた。ちょうど前の大臣が岐阜の御出身の大臣でございました。同じような集中豪雨による土石流が発生したとき、岐阜の大和村とか板取村とか一人の死傷者も出なかったのです。大臣が岐阜だったから、私は岐阜の例を引いた。長官は岡山でございますから、また岡山の例を探さなければなりません。りっぱに住民の命は損なわないで、土石流があっても人命が守れるよう、例を引いて私は大臣にお願いしたのです。絶対守れるはずだ。それではどうすればいいんだ。それはやはり市長さんが避難命令を出すあるいは出さないということではなくて、それも必要だけれども、その危ないところに住んでいる人がみずから自分の身を守るために逃げましょう、あるときにはそれが一番適切な避難であるかもしれない。この問題を私は指摘したのです。  この中でいろいろなことが書いてあるのです。「雨量二百ミリで広範囲にわたるがけくずれ三百ミリで河川のはんらん、地すべり四百ミリで大地すべり山津波の大災害が予想される」、雨による被害が出ますと、ここにちゃんとうたってあるのです。  そこで大臣、こういう被害をではどうやったらいいのだということを論議の中でいろいろやったことは、やはり一番その根っこにあるものは、避難しろと言っても、どういう時点で逃げたらいいかというのがだれもわからない。市長さんも避難命令を出すと言うけれども、どこで避難命令を出したらいいんだ。気象庁が警報を出した。警報が出れば逃げればいいのか。これは気象庁が来ていますから後で聞きますけれども、そうもいかない。では逃げる方はどの時点で逃げたらいいんだ。いずれにせよ、この地域防災の中で人命を守るということになってくると、逃げるマニュアル、手引書、と同時に判断の基準が明確になってない。どの時点で住民が逃げ、またどの時点で行政の長が逃げなさいとやるのか、一つもわからないじゃないですか。それがないから、どうやったら逃げたらいいのかわからないじゃないか、それをきちんとすべきじゃないかということを私、この長崎の事故以来ずっとここで言い続けたのです。  それで、国土庁は、それではこの長崎の例にならって対策委員会をつくって万全を期します、こうお約束しました。現在それがどの程度どう進んでいるか、まず最初にお伺いしたいのです。
  168. 荒井紀雄

    荒井政府委員 お答え申し上げます。  昨年の長崎豪雨災害の教訓といたしまして、警戒避難のあり方について大いに反省すべき点を学んだところでございます。先生委員会におかれます御指摘あるいは各界の御意見等も踏まえまして、早速調査委員会をつくりまして調査に入るということになっておりました。  この調査基本的な考え方は、ただいま先生もおっしゃいましたとおり、問題は要するに、どのような降雨によりまして災害発生原因となった土石流が生じるのかという降雨量の目安、これが地形、地質にやはりいろいろ関係しております。そういった因果関係を把握すること。同時に、現在降っている雨が今後どのような状況になるのかという降雨量の予測が必要であります。その両者をドッキングいたしまして、最終的にはどういう状態で、どの時点で、いつだれが、どういう手段で住民に避難体制の命令を出すか、こういうことになるわけでございまして、こういった基本的な考え方に基づきまして早速調査に入ることになっております。  五十七年度におきましては、国土庁消防庁建設省林野庁、それぞれ所管の行政につきまして、たとえば消防庁におきましては、災害対策本部のあり方、自主防活動のあり方、建設省におかれましては、土地条件等によります被害要因の調査、そういった現地の対応状況等の調査を行う予定でございます。それを踏まえまして、五十八年度に入りましたら改善案というものをつくっていきたい。警戒避難マニュアルの作成あるいは警戒避難の技術的基準の検討、そういったものを行いまして、最終的には、先ほど言いましたように、降雨量の予測と避難命令というものを結びつけたシステムというものをつくってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  169. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま降雨量と災害との関係というお話がございましたので、気象庁にちょっと簡単にお伺いします。  こういう土石流あるいはがけ崩れ、危険地の崩壊等あるわけでございますが、非常に人的に影響の大きい災害と雨量との関係というのは密接不可分だと私は思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  170. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  最も重要な関係を持っているものの一つでございます。
  171. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは気象庁にお伺いしますけれども、現在の気象庁の持っていらっしゃる予報技術といいますか、気象衛星からの雲画像等も即時に生かそう、予報に生かそうということで、気象庁は大分御努力なさっているのは十分理解いたしているところでございますが、現在の予報技術で局地的な大雨、洪水、こういうものを的確に予測することは可能でございますか。
  172. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  翌日の予報を対象にいたしました場合に、九州地方全体というある程度の広さを持った領域で集中豪雨などがどこかに起こるということに関しましては、ある程度技術を開発しておりますが、何県何郡何町というところに地域を限定して、半日前あるいは一日前に予報することは、現在私どもの技術ではできません。
  173. 薮仲義彦

    薮仲委員 ということは、予報ができなければ、いま降っている雨量というのは災害に非常に大事だ。いまどこでどれだけ雨が降っているかというのは、災害の発生要因にとって非常に重要なポイントだと思いますけれども、いかがですか。
  174. 駒林誠

    ○駒林説明員 そのとおりでございます。
  175. 薮仲義彦

    薮仲委員 その雨量というのは、確かに気象庁の持っていらっしゃるすばらしい性能のいい雨量計もありますけれども、たとえばわれわれ地域の住民が、河川のはんらんであるとか土石流を予知するために、あるいは急傾斜地の崩落を予知するために、連続でこのくらい降った、あるいは時間雨量がいままでにない、こんなに降っているというような簡単な雨量計をもしも設置したことによって、予報はできなくとも、現在この地域にこれだけ雨が降っているなどということは的確にわかると思うのですけれども、いかがでしょう。
  176. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  簡単な雨量計をもちました雨量の読み取りでありましても、気象庁が発表いたします注意報や警報とあわせて御活用いただければ、多々お役に立つのではなかろうかと考えます。
  177. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまのことは国土庁並びに建設省河川局長、後からお伺いしますから篤と心にとどめていただいて……。  気象庁にもう一つお伺いします。  昨年一年間の警報は、雨以外にもいろいろお出しになったと思いますけれども、相当数お出しになりましたね。何回ぐらいお出しになりましたか。
  178. 駒林誠

    ○駒林説明員 昭和五十七年の間に気象庁が発表いたしました警報は、気象、波浪等、大気と水に関しますものが千百四十八回でございます。
  179. 薮仲義彦

    薮仲委員 私の手元にも大体似たような数字が来ておりますけれども、いずれにしても千回以上出ているわけでございます。その中で、雨に関する暴風雨警報が百六十七回、暴風雪警報あるいは大雨警報等含めて四百七十八回出ています。洪水警報は三百四十七回。回数が多いからいいとか悪いということではございませんけれども、気象庁のあり方として、オオカミ少年ではありませんが、国民の側に警報に対してのなれといいますか、このくらいはというような感覚でとられる懸念を私は最近ちょっと感じている一人でございます。よく言われますように、スーパー警報であるとか、これはもっと危険が高いですよという警報。警報に段階をつけるということではございませんが、やはり警報のあり方について、いまのままでよろしいのか。それとももっと精度が上がってくれば、局地的に激甚な災害が発生する可能性があるようなときには、もっと精度を上げた警報の出し方というのは研究なさっていらっしゃるのかどうか。私はある意味では必要かなと感じているのですけれども、その点いかがでしょうか。
  180. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  警報のオオカミ少年的な役割りというものを排除するために気象庁は努力しておるのでございます。昨年の長崎集中豪雨の場合、二時間前に警報が出たわけでございますが、その警報級の雨が降ったのは、長崎県全県のうち三分の一の面積でございまして、長崎県の三分の二は警報以下の降雨でございました。そうしますと、警報は二時間前に出ていても、その三分の二の方々は、きょうは空振りだったな、警報はあったけれども、大して降らなかったなと長崎県の方でもお感じになるはずでございます。これを解決するためには、警報の対象区域を全県というものよりも細分化いたしまして、なるべく限定した面積に出さなければならないと考えておる次第でございます。  一方、先ほど申し上げましたとおり、広い面積につきましては、ある程度早くから豪雨の可能性を予測することができるのでございますが、面積を小さくすればするほど直前にならなければ警報が発令できなくなるのでございます。より早く警報を出し、かつ、より限定したというところは、非常にジレンマに陥って苦しいところでございますけれども、私どもすでに、注意報、警報、予報の対象区域を細分化して、現在より小さくする検討を開始しておりますので、これとあわせまして、より早く警報を発表する技術を、国土庁と防災関係機関の方々と協力し合いながら進めたいと考えている次第でございます。
  181. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は静岡県に住んでおりますので、大規模地震対策特別措置法の強化地域でございます。     〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕 住んでいる県民にしますと、空振りでもいいから警戒宣言を出してくれという認識に立っておりますので、気象庁がいまおっしゃったようなことを余り心配せずに、人命の安全のためには警報をお出しになって、技術を向上させると同時に、いまおっしゃったような努力を重ねて、さらにすばらしい予報を出していただきたい。これはお願いしておきたいと思います。  そこで、今度は国土庁にお伺いしますけれども、五十七年発生の主要な風水害で何名亡くなられたのか、被害額は大体どの程度の金額になったのか、簡単で結構ですからおっしゃってください。
  182. 荒井紀雄

    荒井政府委員 昨年の風水害、主要なものについてまとめますと、死者行方不明の方四百九十四名、被害の方は、家屋の全半壊三千五百八十四棟、施設関係及び農作物、中小企業等の被害が一兆八千億に達せんとしております。
  183. 薮仲義彦

    薮仲委員 その中で、特に一番恐ろしいのは、土石流の災害というのが人命に大きくかかっているのではないかという感じを私は持っているわけでございます。たとえば長崎なら長崎に限定して、土石流の発生——多くの方が亡くなって本当に痛ましい事故なんですけれども、その中でも土石流というのはどれほどこわいか。この土石流によって、全体の亡くなられた方のうちのどの程度の方がとうとい命を亡くさなければならなかったのか、その辺の数だけ教えていただけますか。
  184. 荒井紀雄

    荒井政府委員 長崎県という御質問でございましたが、長崎市内ということで限定してお答え申し上げるのをお許しいただきますれば、市内の死者、行方不明者が二百六十二名でございます。うち、土石流あるいは山崩れ、がけ崩れ等による被害者は百九十九名でございまして、市内全体の約八割弱となっております。
  185. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、これは建設省で今度お出しになったものです。御存じだと思います。すばらしいことが書いてあるのですよ。「土砂災害から明るい家庭を守るため」。  そこで、簡単ですから読みます。こう書いてあります。「長崎からの教訓四、長崎災害時に一命をとりとめた方は、「自分の命は自分で守る」考えをもって、事前に避難された方達でした。災害時には勇気をもって避難しましょう。」  もう一つ読みます。土石流災害のところです。「危険なときには勇気を持って避難しましょう。長崎災害をはじめ全国各地の災害実例から、危険時に自分の命を守るためには勇気ある避難」ここはわざわざ黒点が打ってある。「勇気ある避難が大切な土砂災害対策一つであることを教えています。」勇気ある避難が大事ですよと、建設省はここで言っているのです。いまお話があったとおり、災害で最もとうとい人命が失われるのが土石流なんです。この中で私が何を言いたいかというと、そこで国土庁にもう一回聞きます。  私は、昨年のこの審議の中で、では住民の方に——これには「避難」と書いてあるのですけれども、どの時点で逃げたらいいかと書いてないのです。そのマニュアルがないから人命が失われるのです。その基準は雨ですといま気象庁がおっしゃった。予報はできないけれども、現在降っている雨で避難すればいいかどうかの判断はできるはずですと気象庁がおっしゃっている。国土庁、現在降っている雨量で危険を察知することが可能か不可能か。少なくとも判断ができる重大な要因の一つが、私は雨量だと思うのですけれども、いかがでしょう。
  186. 荒井紀雄

    荒井政府委員 おっしゃいますとおり、現在降っている雨がどれくらいか、それによりましてどういう被害が生じるかということを、地域の細部にわたりまして、詳細に地域の住民の方が事前に知っておられるということが非常に重要なことでございます。したがいまして、今回の調査も、そういったシステムをできるだけ早くつくりたいということで調査に入るわけでございますが、現在におきましては、地域防災計画等におきまして、やはりそういった考え方なり基準なりができておるわけでございますが、地区の危険区域の細部にわたりましたそういった問題について、なかなかかゆいところに手が届くようなわけにいかないというふうな実態もございますので、来年の梅雨期がございます。したがいまして、二度とこういった問題が起こらないように十分に関係省庁を通じまして、御指導等お願いしていきたいというふうに考えております。
  187. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま国土庁は、来年の梅雨期とおっしゃった。大臣、ことしも梅雨期があるのです。来年じゃないのです。私がしたいのは、一年先の話じゃない。
  188. 荒井紀雄

    荒井政府委員 訂正させていただきます。ことしというつもりで申し上げました。失礼しました。
  189. 薮仲義彦

    薮仲委員 私もそう思ったんだ。  ここで大臣、いよいよ大臣によく聞いておいていただきたい。私がこれをやったときに、簡易雨量計というのがあったらば、住民の方が、これだけ雨が降っちゃった、大変だ、逃げよう、山の奥の方でがらがらいっている、大変だ、危ないよ。岐阜なんかは伊勢湾台風より雨が多い。しかも、川の水位が下がらないから、逃げよう、みんな雨で逃げたのです。それで助かったのです。  資料を見ますと、「危険の多い我が国土」、日本全国危険だ。全国都道府県全部危険だ。それで、土石流危険渓流個所は六万二千二百七十二カ所あります。地すべり危険個所は五千七百七十七カ所です。急傾斜地崩壊危険個所は七万二千カ所です。これは河川局で出しているのです。こういうところで、雨によって逃げようと思えば、多くの人命が救われます。そのとき国土庁も気象庁も、建設省も私のところに来て——簡単な雨量計を設置するということは、地域防災を見直す一番根っこにあります。幾ら何だかんだとこんなりっぱな本を書いたって、どこで逃げたらいいかさっぱりわからない。それはやはり雨です、関係省庁みんなおっしゃっている。雨がわかれば逃げればいいのです。少なくとも生命の安全だけは保てます。ですから、雨がわかるためには何だ、雨量計です。本年度の予算の中に簡易雨量計を入れますと、私はそのとき申し上げた。これは全国にかかわること。地方自治体がやる、やらない。補助金だの、どうのこうの。臨調が零細補助金はどうのこうの。臨調が政治を決めるのじゃないと私は言うのだ。大臣、われわれ政治家が政治を決めるのです。有能な行政官が国民の生命の安全のために政治を決するのです。臨調が零細補助金をどうのこうの、もってのほか。私は行政改革は反対しません。しかし、人命に関することは、金額ではかえられないと私は思う。ことしの予算の中に簡易雨量計を入れない。国土庁は来年と言った。私はそうかなと思った。ことしの予算じゃできない。去年、関係省庁の責任ある方々から、少なくとも一個つけるのに、そんなにかからない、八十万とか百万とか。全国のこれだけの渓流にやったって、国が全部出したって一千億程度のことです。いまの被害想定額をお聞きになりましたか。年間一兆円を超えているのですよ。一兆八千億余りというのです。しかも、人命がこんなに失われているのです。一千億にかえられますか。死者がゼロになったらどれだけ両大臣はほっとなさるか。関係の方だってほっとなさると思うのです。たとえば災害だけだったらば、また有能な両大臣が災害復旧に全力を尽くし、河川初めいろいろなりっぱな局長さんいらっしゃる。りっぱな砂防や河川の改修をやればまたもとへ戻るかもしれない。人命はもとへ戻りませんよ。両大臣が本年度一年たったときに、人命の損傷ゼロという結果をどうしてもつくっていただきたい。きょう私は大蔵省の主計官に来ていただいた。私はあの方に質問はしない。聞いていてもらう。質問はしませんよ。でも、われわれがなぜこんなに真剣に人命尊重をこの委員会で論じるか知っていてもらいたい。政治家が本当に国民の生命に責任を持たなくちゃだめじゃないですか。わずかな金額の問題じゃないと思うのです。  両大臣にお願いしたい。私はいまの気象庁ができないのだったら、両大臣が本当にこの災害から死亡者をゼロにするように何とかこの地域防災というものを、簡単なことでできるのだったらば、頭を使い、英知を集め、みんなの合意で地域防災計画はできるわけですから、高い金をかけてハードな砂防堰堤をつくるよりも、あるいは逃げちゃった方がいい場合もあるのです。そういう意味で、私は大蔵省が切ったなんてそんな野蛮なことを言うと、また建設省と大蔵省でこんなことをやったってしようがないから、そんなことは政治家だから言わない。だけれども、両大臣はもとは大蔵の委員長ですから、こういう点はよくわきまえて、人命の損傷をゼロにするという御決意を両大臣が約束してくださるのだったら、私はこの問題については、お二人のりっぱな政治力を信頼しておりますので、お二人から御意見を伺ってこの問題は終わりたいと思うのです。
  190. 内海英男

    ○内海国務大臣 災害から守るという意味での人命尊重に対する貴重な御意見、まことに感銘をいたしました。その趣旨を踏まえまして、今後部内で慎重に検討して対応してまいりたいと思っております。
  191. 加藤六月

    加藤国務大臣 貴重な人命を尊重し、守っていくというのは、国の政治基本であると思っております。その線に従って一生懸命がんばっていきたいと思います。
  192. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は両大臣を信頼していますので、尊敬していますから、どうか本当に、本年の災害を振り返ったときに、両大臣のお力によって非常に安心な国民生活ができたという結果を心からお願いさせていただいて、この問題を終わります。大蔵省さん御苦労さまでした。     〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕  次は、傍聴の方がいらっしゃっているので、公団の問題を、もう時間がありませんから、簡単にポイントだけ聞いて終わります。  この公団の問題でこの次に集中審議等もありますので、きょうはポイントだけお伺いをさせていただきたいと思いますが、いわゆる衆参の建設委員会が、大臣に対する委員会としての意見がこのようにまとまりました、そういうことで、大臣の方に今後公団家賃についてはこのようにしてくださいという要望書を出しておるところでございます。これはちょうど当時の委員長がわが党でございましたので、わが党の伏木委員長名で当時の櫻内建設大臣に出ておるわけでございます。きょうはこの中の三点だけちょっとお伺いをさせていただきますけれども、最初の問題は時間がないので、指摘だけしておきます。  この第一項目目に「日本住宅公団の空き家及び長期末利用地の問題については、公団経営上重要な課題であり速やかに解決すべきである。」こううたってあるのです。これが必ずしも現在解決はされていないのじゃないか。私きょう持っておるのですけれども、行管の指摘した資料にありますように、これはまだまだ問題が処理されていないのじゃないか。これについてどうお考えか。  二番目は、「住宅家賃については、その体系と内容が複雑であり住宅基本法の制定と合わせて検討すべきである。したがって、それまでは、日本住宅公団の現家賃制度を逸脱しないように努めるべきである。」ここで指摘されたのは、住宅宅地審議会の方からも、家賃のルールをつくりなさいということを指摘されているのです。いつも値上げのときに、公団に入居なさっている皆さん方が不愉快な思いや、納得できずに値上げをなさるということがこれからずっと毎年毎年続くのだったら好ましいことではないと思うのです。こういう問題は当事者同士双方でよく協議をして、値上げについてどうしたらいいのか。公団自治協の皆さんは、民主的なルールという言い方をなさる。私はそれがどういう内容なのかはっきりしていらっしゃいとはお話ししました。しかし、公団側あるいは建設省側も、どういう値上げが適正であり、公平であり、社会的に納得できるルールなのか、ここでルールづくりをしていただいて、それができれば、いやなトラブルや感情的な摩擦、あるいは納得できなくて不愉快な思いをしたりすることはないと思うのです。また不当に高い家賃、それによって生活が圧迫されるということもあってはいけないことだと思います。そういう意味で、私はルールをつくるということをまず最初お決めになって、それから値上げについてお話し合いを進めていかれればよろしいのではないかという考えを持っております。  それから三番目は、これの四項目目に書いてあるのですけれども、「今回の家賃値上げ増収分は、五十四年度以降の新規の供給住宅の家賃抑制の財源として使用すべきではない。」とうたってあるわけですが、この事柄については、やはりどうしても大事な事柄のように私は認識いたしております。  きょうは時間がございませんので、以上三点だけ基本的なお考えをお答えただいて、この問題は次の機会にきちんといろいろな角度から御質問させていただきたいと思いますので、その点だけ御答弁ください。
  193. 内海英男

    ○内海国務大臣 ただいま御指摘のございました、五年前に審議をいたしましたときの建設委員長の要望事項ということでございまして、私の手元にもございますのでお答えさせていただきますと、第一点の問題につきましては、先ほどの御質問の方にも公団の総裁からもお答え申し上げたと思いますが、公団は公団なりの相当な努力をして、この問題の解決に鋭意やっておるという努力はある程度評価はしていただきたいと思っておるわけでございます。しかしながら、それがまだ完全に御期待に沿えるような状態になっておらないということもまた事実でございます。今後とも公団、また建設省としても引き続き極力推進して懸案の解決に努力をさせなければいかぬ、こう思っておるわけでございます。  二番目のルールづくりの問題につきましては、そういうルールができれば大変いいことだな、こう私どもも思っております。住宅問題は非常に生活と密着した問題でありますので、入居者の御意向を無視して値上げ等ができるわけでもございませんから、よく話し合いの上に円満な、納得のできる適正な改定が望ましい、こう思っておるわけでございます。御案内のとおり、大分前に建てたものと最近のものとの不均衡が最近目立ってきておるという御指摘のあることもまた事実でございますので、そういったもろもろの問題点をお互いに話し合って、円満なルールづくりのもとで話し合い、解決できれば、こう思っておるわけでございます。  それから三番目に御指摘だったと思いますが、ここでは四番目になっております。いずれ公団等から家賃の改定についての申請がございました時点、あるいはその前にでも国会で委員会等を通じて慎重な御議論をいただきまして、その御議論を踏まえて、前回等の経緯もこれあり、それらを参考にして適正な改定を行いたい、こう考えておるわけでございます。  以上でございます。
  194. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  195. 松永光

    松永委員長 近藤豊君。
  196. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 国土庁長官がおられますから、まず過密過疎対策の問題から質問させていただきます。  日本の現在の都市人口がどんどん集中していく傾向を見ておりますと、都会においては非常に公共事業等の単価が高くなる、仕事もやりにくいから夜仕事をする、ますますそれで高くつく。そして一方、過疎地の方では入る人もないうちが捨てられている。それから都会と過疎のちょうど中間的なところでは、公共事業関係の経費はそれほど一人当たり高くはつかないのだけれども、しかしどうもなかなか人が住みにこない。そこでいまいろいろと所信表明に触れられておりますように、総合的な土地対策を始められておるわけです。その中で、実はなるべく過密都会からより過密でないところへ向かって人口が流れるようになることが好ましいことだ。これは恐らくどなたも異存はないはずだと私は思うのです。そうしますと、過密なところからより過密でないところ、あるいは過疎の方へ人が流れていくようにする、あるいは事業所が流れていくようにする。そのためには、やはりふところぐあいに直接響いてくることが一番いい。これはもう人間ですから、私を含めて皆同じなんで、過密都会に住めばより金がかかる。そして過疎なところに住めば、ある意味では非常に安く、快適に住めるということでないと、人口の流れがスムーズにいかないという気がするのです。  そこで、これは一つのアイデアの段階にすぎませんけれども都会に住む人。たとえば東京に住む人と、あるいは長官の郷里の岡山の方に住む人とでは、これは非常に公共事業の負担が国及び地方公共団体で違うわけですから、都会東京都に住む人にはそのための負担金を出してもらう。それを公共施設利用負担金ということでもよろしいですし、あるいは公共施設の利用税という形でもいいのですが、そういうように、都会に住めばより税金がかかる。これはもう人頭税的に一人幾らでやってもいいと思うのです。そしてそこから出てくる財源を過疎の度合いに応じて手厚く地方に流していく。そうすれば、過疎地帯に住む人は余り公共の金がかからないで住めるということになります。現在の状況というのは、実は逆でありまして、水道代、これは都会都市水道の水道料金と、それから簡易水道なんかを一生懸命つくって、山間地市町村で住んでいる人たちが払う水道料金と、間々、山間地の水道料金、簡易水道の料金の方が高いわけです。都会の方が安い。そうしますと、山間地人たちは、おれたちの方でダムをつくって、そしてわれわれが過疎になって不便をして、下に水を流してやって、下の連中がより安い水道料金でいるとは何事だ、こういう話になります。これはやはり不公平である。それから同時に、国土の有効利用という点から考えたらはなはだマイナス、逆行であると思うのです。それから最近は、行革、行革で、大いに地方交通線なんかの撤廃も叫ばれております。そういうときに、大きな都会で運営しているバスよりも、山間地あるいは地方都市で運営しているバス代の方が非常に高い場合が多いのです。あるいは鉄道にいたしましても、第三セクターでやれなんということになりますと、その鉄道料金はうんと高い。私の郷里に豊橋鉄道というのがありますが、これは一キロ当たりの料金が日本一高い鉄道です。  そういうふうに、人口がより集中するところは安くついて、人口がいないところは高くつくということでは、これはもう総合的な国土政策も何もできないので、ある意味では、長官が言われた的確な土地対策ということにもかかわりますし、あるいはまた国土計画推進をしていく上にも、こういう点については、より国家の今後のニーズに即応した人口の流れをつくることが必要だと思います。そうした意味で、これを先ほど冒頭申し上げましたように、ふところぐあいに直接かかわる方法でひとつ人口の流れを変えることを考えてはどうかということを年来考えておりましたが、これについて、まず加藤長官の御意見を承りたいと思います。
  197. 加藤六月

    加藤国務大臣 近藤議員がおっしゃいましたこと、十数年前にわれわれも過密過疎の解消、大都市における人口産業の集中を排除するためのいろいろな方法を議論した過程をいま思い出しておるわけでございます。それらを考えましても、やはりいろいろ困難な問題があったりなんかいたしておるわけでございます。そしていまは主として公共施設の利用料金というような問題での御意見ではないか、こう思うわけでありまして、大都市に住んでおる者が安く利用して、過疎地、僻地に住んでおる人が高いというのはおかしいじゃないか、逆にしたらどうだろうかという御提言ではないか、このように思うわけでございますが、公共施設の種類とかあるいは整備主体、運営主体、受益の範囲、資金負担の仕組みということ等を考慮して、それぞれ料金設定の考え方というのが異なっておるために、これを大都市では高くして、地方部では低く設定するという先生のお考えについても考慮はいたしますが、いろいろ困難な事情があるということを御理解いただきたい、こう思うわけであります。  したがいまして、地方財政が非常に厳しい現状ではございますけれども、地方に必要な公共投資の確保に十分な配慮を行って、先生がおっしゃったような問題等を長期的な視点から国土の均衡ある発展ということで図っていくのが一番よろしいのではないか、このように思っておる次第でございます。
  198. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 確かに、一つ一つ公共施設の利用料金の設定の仕方がそれぞれの主管庁あるいは地方自治体で一応の縦割りのルールがあるものですから、なかなかそのルールを変更するのはむずかしいということかもしれません。しかし、たとえば人口集中の度合い等によって、自治体の——もちろん、自治体それぞれのまた財政状況があるのですけれども、一応大ざっぱな議論として、過密の度合いによって新税をつくるというようなことは、いまの料金設定のやり方と違って非常に複雑なんだという議論を超えることができるのじゃないかと思うのですが、まず第一に、そういうことを考える場合に、非常に重大な法的な障害があるかどうか。これは自治省がそういう点についてはある程度詳しいと思いますので、自治省の方からちょっと教えていただけませんか。——大蔵省ですか。
  199. 真鍋光広

    ○真鍋説明員 人口過密ないわゆる大都市から新しい税金を取りまして、それを過疎の方に回していくということを通じまして、先生仰せの、たとえば水道料金であるとかあるいは鉄道料金であるとか、そういったところで過疎の人々に料金を下げていくというようなことはできないか、こういうお話でございます。  新税を考えます場合に、これはやはりなかなか税金を仕組む上でむずかしい問題があるわけでございます。一つは、たとえば先生仰せの公共施設利用税といったものを国税としてつくるということになりますと、国税でございますので、一部の人たち、ある都市に住んでいる住民に対して課税する、そこだけ課税するという形は国税になじまないということでございます。それでは地方税としてどうだという話でございますけれども、やはり地方税としましても、そこの住民の代表である県会であるとか市会におきまして条例等で決めるわけでございますけれども、そこで課税しました税金を、他の何といいますか、地方公共団体に譲るといいますか、交付するということは、なかなか現在の制度のもとではむずかしいのじゃないかというふうに考えまして、税制として仕組みます場合にはなかなかむずかしい問題がある。なお慎重に考えていかなければならない問題があるのじゃないか、このように思います。
  200. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 そういたしますと、税金の問題にはまだまだはっきりしない面があるとした場合に、最近は電源立地あるいは水源立地ということでダムをつくる場合は、非常に過疎化に対して有効な手段がない。過疎化をとめる有効な手段がないということから反対が多いわけです。これはもう御承知のとおりと思うのです。私が知っている現実に計画が進行中のところでも、大反対がある。それはいままでのそうしたダムをつくるような場合の過疎対策が、どちらかというと一過性の施設をつくってそれでちょん、それでよしということになっている場合がほとんどであります。あるいは公民館あるいは保育所あるいは保健所ですか、あるいはまた託児所、そうしたものをつくって、そしてもうそれであとは一人一人の資産補償だけだということが多いものですから、それではちっとも過疎化に対する有効な防止対策にならない。どうしてもやはり事業を創出しなければいけない、仕事をつくり出さなければいけないということで、必死になって事業所を誘致しようと関係者はするわけですけれども、これもまた現在の、先ほど指摘しましたように、水代が高くつく、あるいはガス代が高くつく、そういうもろもろの不利をこうむっては、下流で便利なところに行った方が企業は採算がとれますから、そうした意味でなかなか来てくれないわけです。現在ある事業所なんかでも、景気がこうやって悪くなってきますと、油代だけでもプラスアルファのコストがなかなか賃金を少し安くしたくらいでは合わないから、もう下流の方へ移転しますとか、上流の事業所は閉鎖しますというような場合が多いわけです。  こうしたことを考えますと、いまのたとえば電気料金を徴収するときに、電気税というものが一緒に徴収されて、それが一部が国税になり、一部が地方税になっています。これも、本来電気を消費するところの自治体が潤うというのは、実は逆のような気がするわけです。これはむしろ電気を出す、そのために過疎化の不利益をこうむっている水源地の方がその負担をしているわけですから、その返りである電気税も水源地の方がもらわなければ不公平だという議論があるわけですね。そこで、そういう形でいま下流の方に還元されている税金をむしろ上流の方へ持ってくる。それからまた、水にいたしましても、いろいろと水の利用権あるいは用水権というようなものが下流の方で取られたものがなかなか上流には思ったように還元されていない。もちろん、一部水源地域対策特別措置法だとかありますけれども、これはいま十分に機能していないように思うのです。こういう点についての改善が私は必要だと思います。またそれをやらなければ、これから用水ダムなんかがなかなかできなくなる、あるいは水力ダムもできなくなるというふうに思いますが、いかが考えられますか。
  201. 高秀秀信

    高秀政府委員 いま先生お話し水資源開発に関連した上流、下流の問題についてお答えを申し上げます。  先生御承知のとおり、水源地域対策としては、起業者の補償措置であるとか水特法に基づきます整備事業及びこれらを補完する水源地域対策基金がございます。この水源地域対策基金につきましては、御承知のとおり、利根川であるとか荒川、木曽三川、淀川及び筑後川並びに二県以上にわたる河川のうちのモデル事業として、先生の地元でございます豊川であるとかあるいは矢作川に設立されておりまして、これらの基金に対しまして国が助成をしておるということになっております。ただ、この基本基金の運用益は基金の管理運営に充てられておりまして、先生の御趣旨の一部に当たるわけでございますが、基金の行う事業に要する費用は、県及び下流受益市町村からの負担金で賄われております。  これらの基金が行う水源地域対策事業は、ダム建設に当たって周辺地域を整備するもの、及び豊川水源基金に見るように、先生がおっしゃった一過性でないという趣旨になりますが、水源林対策として、水源林の人工造林であるとか下刈り、作業路の新設を行うものであるというようなものをやっておりまして、いま申し上げましたように、後者は先生の御趣旨に合うのじゃないかというふうに思いますが、今後またこういうものについてさらに検討していきたいというふうに考えております。
  202. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 いまの局長答弁の中で触れられました豊川水源基金というものがあって、それの概要について国土庁から簡単なペーパーをもらったわけですけれども、この中で、事業内容の中に、一つには、「その他基金の目的を達成するために必要な事業」というのが第六番目に書かれてあるのです。この基金の目的を達成するために必要な事業であれば、たとえばそういう過疎なところに誘致をしてくる事業所に対して、水料金の一部をこの基金から補助するとか、あるいは非常に遠隔地にあるために、大体そういうところは下請が多いですから、親企業に納入するための輸送費を一部補助するとか、そういうことにまでいまのところは全然使われていないように思いますが、これは使われることが可能であるのかどうか、もう一点答えてください。
  203. 高秀秀信

    高秀政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのところは、まず水源林関係のものにお金を入れているわけでございますが、県及び関係市町村話し合いの上で、先生のおっしゃったような方向へ行くのかどうか、今後のいろいろな議論をしていくということでございます。
  204. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 そうしますと、これは現在使われていない、私はこう承知をしておるわけです。そうしてこの基金が現在のところ残が四億九千万ぐらいたまっているにもかかわらず、事業費がそうたくさんは予定されていない。五十七年度の予定が五千万円になっています。これは使い方にいろいろと制約があって、関係市町村の合意が得られないから事業費の支出予定というものがなかなか増加しないのだというふうに推測するのですが、この点はいかがですか。
  205. 高秀秀信

    高秀政府委員 先ほども申し上げましたように、先生いま御指摘の四億九千万でございますが、これは基本財産でございまして、これから出る運用益は管理費及び一部事業費に充てますが、基本的には、いま先生お話しのように、事業の都度関係者といいますか、県及び下流市町村が出すということになっております。もちろん、先生お話しのように、要望はいろいろあろうと思いますが、これは出す方のお金の問題もあろうと思います。しかし、使い方として現在のところ一番要望が強いのは、豊川の場合、特に長野県の一部の市町村にも出しているわけでございまして、上流の水源問題がいろいろ上流側からも要望があるということで、そこに集中してお話をしておる、こういうことでございます。
  206. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 たとえば豊川水源基金に関連してくるのですけれども、現在北設楽郡というところがありまして、そこの設楽町にダムの建設の話が出ておるわけです。そのダムの建設をめぐって、その地域の住民が真っ二つに割れて賛否両論が渦巻いておる。これは何らかの形で反対派が納得をしませんと、うまくダムの建設にまでこぎつけられないだろうと私は思います。そうしますと、下流の方は非常に困るわけですから、困るだけ困らせた上で譲歩をかち取ってつくればいいというふうに考えている人たちもいるのですけれども、いまのように市町村の話し合いにだけ任さないで、国の方も一つのルールをつくって、そのルールに基づいて、もう少しそうした下流の基金が水源地の方へ還元されやすくする。しかもその中の一番の骨子は、仕事をつくることだと私は思うものですから、そうした事業所を誘致するのに際して、事業所に対する魅力になるような金の使い方ができないものかと思うのです。これは今後努力すればできるような気がするのですが、その点、可能性をどう見ておられますか。
  207. 高秀秀信

    高秀政府委員 お答えします。  設楽ダムの件につきましては、もともとこの基金をつくるに当たりましても構想がございまして、対象ダムというふうに考えているわけでございまして、いま先生指摘のように、下流町村としては、真摯な態度で、設楽ダムの関係者の同意を得べく、こういう基金の運用を図りたいというふうに考えております。  それから、小さい川といいますか、豊川程度の川につきましては、先ほど申し上げましたように、モデル河川として、これは流域定住圏の話もあるわけでございますが、国が初めて補助を出したというケースにもなっておりまして、私ども国土庁としても、監督官庁として基金の運営についてはいろいろ御相談にあずかっていきたいというふうに思っております。  それからもう一点、先生お話しのように、これは基金とは別問題でございますが、私どもも、水源地域対策として、やはりこれから就労の場といいますか、生活再建対策というのが一番重要であるという認識をいたしております。従前ともそうでございますが、今年度御審議をいただ予算案の中にも、これについてのルールといいますか、検討をするというような予算もお願いをいたしておりますので、そういう就労の場をどう設定していくかということについて、別の角度からまたやっていきたいというふうに思っております。
  208. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 主計局から主計官が来ておられるので、いまの関連でちょっとお伺いしたいのですが、電気税というものが、いま消費地の自治体に地方税の部分については帰属しているのですけれども、これを上流の水源地の、電源の方の市町村に還元する方法については、これは火力発電等の問題もあるでしょうけれども、非常に困難があるかどうか、この点ちょっと伺いたいと思います。
  209. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 税制の問題でございますから、直接私どもの担当ではないのでございますけれども、私どもの理解では、電気税は電気の消費に対して課される市町村の普通税でございまして、消費税でございますから、消費地所在の地方団体が課税をし、そしてその収入は消費地所在の市町村に帰属するというのが原則だろうと思います。  ただ、御案内のとおり、国税といたしまして電源開発促進税がございます。これを財源として電源立地促進対策交付金というものが交付されておるわけでございます。お話のございましたように、電源地域、川の上流にあります地域に還元したらどうかというお話でございますが、そういう趣旨もあってできたのじゃないかと思うのでございますが、昭和五十六年度から水力発電施設周辺地域交付金制度というものが創設されておりまして、水力発電所が所在をいたします市町村に対しまして、発電量に応じて交付金が交付されておるわけでございます。したがいまして、御趣旨に沿いますためには、このような交付金制度がさらに拡充されることが望ましいのではないか、かように考えております。
  210. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 そこで、これは長官に要望するわけですけれども、いまのような、たとえば水源地を振興するためのこの電源の特別税、あるいはいま議論のやりとりの間に出ました水源基金のようなもの、そのあらゆる方法を使いながら、過疎地に対する、より住みやすい状況づくり、それから暮らしていける仕事づくり、そうしたことに資金が使いやすくなるように、これはぜひいろいろな措置を考えて講じていただきたいと思いますが、この点ひとつ要望いたしますので、御回答願います。
  211. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど来の近藤議員の御質問、御意見趣旨を踏まえまして今後がんばっていきたい、このように思います。
  212. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 そこで、今度は今回の建設大臣所信表明の方に主に関連があるわけですけれども、現在御承知のように非常に景気が悪い。この傾向は世界的なものであって、むしろ日本などは相対的には景気がいい方であると言われておるわけです。そうしますと、今後みんなの期待どおりにアメリカの景気がよくならない場合、どうしても日本の国内の景気を景気の機関車として浮揚さしていかなければいけない。これはもう自明のことだと思うのですけれども、そうした場合に、私は、建設省の所管予算あるいは国土庁の所管予算は非常に大きな役割りを果たすと思います。  実は、建設省の方でつくられた資料で、公共事業に国の金を支出をしますとどの程度景気に浮揚効果があるかという資料があります。それによりますと、公共投資は三年度になれば二・七二倍になるという乗数効果があるというふうに出ております。その中で、いろいろな分野があるわけですが、住宅については二・一三倍の効果がある、こういうふうに出ているわけです。私は、実はこの点についてひとつまず事務局から明らかにしていただきたいのですけれども住宅に公共事業資金が支出された場合のこの乗数効果には、その住宅新築あるいは増築に関連してそこに買われるであろう耐久消費財等の需要までを含んで計算をされたものなのかどうか、あるいは直接的な住宅建設に投下される金の乗数効果だけを計算されたものか、その点についてちょっと説明をしていただきたい。
  213. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 いま先生が御指摘になりました住宅建設が景気に及ぼす影響、乗数効果は、御指摘のとおり約二・二倍と言われております。これにつきましては、正確ではございませんが、直接的な住宅建設の影響の範囲であるというように考えておりまして、たとえば家具とか耐久消費財、そういうものは入っていないのではないかと思います。
  214. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 私も実はそうではないかと予想をしておったのです。なぜこういうことを申し上げるかといいますと、実はおととしあたりウサギ小屋批判というのがありました。ECの連中が、日本人はウサギ小屋みたいなちんちくりんの家に住んで働き中毒だということを文書で書きまして、われわれ非常に憤慨をして、これは日本人のすばらしい文化のなせるわざである。つまり畳という生活様式が、住宅は小さくてもわれわれ日本人は欧米人と違ってうんと満足感、幸福感が味わえるんだと言って、実は反論をして、日本生活の実情を知らないECの連中は、そうかなという顔をしていた場面がございました。しかし、よくよく考えてみますと、現在は田舎でも、私どもの郷里でもそうですが、みんな住宅の中には洋式の応接間をこしらえるのがまず普通。そして都会ではむしろ和室の方が一間ぐらいになってしまって、あとは洋式の生活をしております。私もかつてそうでしたが、ここに出席しておいでの国家公務員のほとんどの皆さんが住んでおられる住宅というものは、六畳ぐらいのりビングルームに足の踏み場もないほどリビングセットが並べられているというような例が多い。つまり言われてみると、なるほどまだわれわれ日本人の住居はウサギ小屋であるわけです。このことは、実は景気の問題に非常に大きな関連を持っていると私は思います。いま、ケインズ経済学はもうだめだとか、また古典派の経済学に返るべきだとかいろいろな議論がございます。政府部内でも研究がなされておると思うのですが、むしろもう需要が創出されにくくなっている。つまりうちが狭いから、そこに新しいレーザーディスクというようなすばらしい音響効果を持った音楽のプレーヤーができてきても、それを置く場所がない、あるいは電子レンジを買いたくても、私のうちもそうですけれども、キッチンが三畳ぐらいでは電子レンジを置く場所がないわけです。それで家内はあきらめなければならない。これはいまの日本生活状況から考えた場合に、衣食は足りましたけれども住宅がお粗末だ。やはり外部から言われると腹が立ちますけれども、われわれはもっと広い住宅に住みたいというのが国民の大多数の要望だと思うのです。そうした意味で、住宅を広くしなければいけない。その住宅を広くするという点については一歩一歩前進という感じで、建設省の方のことしの予算案の中でも、これをうんと広くしていこうよという意思が余り見当たらない。この点、大臣、いかがお考えになりますか。
  215. 内海英男

    ○内海国務大臣 御指摘の点はいろいろあると思います。建設省といたしましても、現在の国民の居住水準は年々改善の方向に向かっているところはあるわけでございますが、大都市地域中心といたしまして見ますと、まだまだ居住水準が低い住宅が相当ございますので、今後とも先生のおっしゃるとおりの規模の拡大ということに重点を置いた質の向上を図っていかなければならないのじゃないか、こういうように考えております。  このために、従来から公営住宅あるいは公団住宅等につきまして順次規模の拡大、あるいは住宅金融公庫の貸付限度額の引き上げ、こういった面で努力をしてきたわけでございます。特に、昭和五十八年度におきましては、住宅金融公庫の貸付対象住宅の規模を百五十平米から百六十五平米に引き上げる、こういった措置もとりまして、国民皆さん方のニーズにこたえてできるだけ良質な住宅の提供を図っていくように努力をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  216. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 そういう努力がもう常に行われてきていることは、私も事実だと思うのです。しかし、いま何をやってもなかなか景気がよくならないという場合は、これは思い切って住居を広くする方向に国民の目を向けていく。一朝一夕にはできないと思うのです。住居を広くすれば、それこそ私の家内も電子レンジが買えるわけで、自動車の輸出がうまくいってないけれども、自動車を置くガレージもセカンドカーを置くガレージもできていけば、それだけ自動車の需要はふくらみます。そうしたことで、建設省予算の中で、もちろんいろいろなことがあり、大事なことばかりですが、社会資本がまだ整備されてない日本では、あれもやりたい、これもやりたいのですけれども、いま景気を一番浮揚しなければいけないこの時期には、大事なことは住宅の面積を拡充することだと私は思うのです。その点は多分大臣も同じ考えだと思いますけれども、いかがですか。
  217. 内海英男

    ○内海国務大臣 御指摘のとおりだと思います。したがいまして、先ほどウサギ小屋のお話も出ましたけれども、そういった改善策を踏まえまして、規模の拡大、言うなれば空き家等が発生した場合にはできるだけ拡大するような形で改良を進めていくのも一つの方法ではないか。こういうような点にも目を向けながら、必ずしも新しい家を建てるというばかりではなくて、改良あるいは増改築、そういった方面にも重点を置いて施策を進めてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  218. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 住宅を広くしていくためには、実は、広い住宅をつくるときにローコストの、低い利子のお金が借りられることも重要ですし、それから上限がどんどん上がっていく、融資限度額が上がっていくことも重要です。だけれども、それはもうすぐ財源の制約がありますから、そう簡単にできない。そうなると、やはりもう一つの重大な要素は土地だと私は思うのです。日本土地は世界の中で奇妙きてれつなほど高いのです。この高い土地を有効に使うということがまず第一に必要だ。それから土地がこれ以上値上がりしないという措置をとることも必要だと思うのです。宅地の供給で住居の単位面積当たりのコストが低くなるためには、現在の建築基準法がもっと大幅に緩和される必要があるのじゃないかと思います。同時に、都市計画による線引きが行われていますけれども、この線引きについては、去年次官通達が出されて、弾力的にやれ、もっと地方自治体に主導権を持たしてどんどん推進しろということになっております。しかし、この両方をあわせてさらに少ない土地でより大きな建物が建つ。余りうるさい規制は、建築技術あるいは消火技術、防災技術が進んできていますから、災害が起こっては困りますけれども、緩和してもいい状況になっていると思うのです。この点についてひとつ事務局から説明をしてほしいと思います。
  219. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の建築基準法の関係の規定でございますが、これはやはり良好な住環境を備えるためには、ある一定の敷地あるいは空地等を備える必要があるわけでございまして、こういうような観点から建蔽率の規制あるいは容積率の規制等を行っているわけでございます。ただ、御指摘のように、土地の有効な活用を図るという見地から、たとえば容積率制限の緩和を行う市街地住宅総合設計制度というものを準備いたしておりまして、ことしの二月からこの制度を発足させるということにしておりまして、必要な空地等がある場合には、容積率等につきましても相当の割り増しを認めるという制度を発足させることとしておりますし、種々、住宅等の事業につきましても、住環境の補完をしながら土地の有効利用を図っていく、そういった事業を推進してまいりたいと考えているところでございます。
  220. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 五十七年九月六日付の建設事務次官通達が出されましたけれども、それ以後、その通達が実施に入っている段階で、まだはっきりとした結果は出てきていないと思いますが、その状況について中間的にわかったことを報告していただきたいと思います。
  221. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 昨年九月に線引きの運用の改善についての通達を出したわけでございます。線引き制度は、御承知のように、都市への急激な人口等の集中に対しまして無秩序な市街化が行われることを防ぐという意味で大きく寄与しているところでございます。他方で、市街化区域におきます都市基盤の整備の立ちおくれ等によりまして、計画的市街化が進展しない、あるいは現下の根強い宅地需要に適切に対応し切れていないという側面もあるわけでございます。そういう御指摘がございまして、これらのことについて私ども反省、検討を行ってみたわけでございますが、やはり線引きの運用について必ずしも適切に行われていない面があるのではないかということで、関係都道府県において行われる第二回の線引き見直しが適切にできますように、主として運用の改善につきまして都道府県知事に指示したところでございます。  その通達の中身でございますが、実態に即しました線引き制度運用を期すべく、市街化区域におきます市街地形成のための措置、この中身としては、たとえば農地等の遊休地の区画整理等によります宅地化の促進というような方策、あるいは市街化区域が現在必ずしも適正な規模で設定されていない、これは現状が大き過ぎるということ、あるいは調整区域の中に開発適地があるのにそれを市街化区域に取り込めないというような両方の側面があるかと思いますが、そういった設定基準の改善等についても考え方を示したわけでございます。  現在、各都道府県、市町村におきまして通達を受けて作業中でございます。この作業が秋ぐらいまでに順次検討を終わりまして、秋以降に宅地供給という形でかなりの効果があらわれていくのではないかというふうに期待しております。
  222. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 この線引きを弾力的に運用してどんどん見直しを促進し、大いに宅地の供給にプラスが出てくることを期待するわけですが、もう一つは、開発許可制度、この適切な運用を図ると大臣は言われているのですが、簡素化しようということは余り言われていないのです。しかし、適切な運用の中には簡素化が入ってくると思いますし、現在はちょっと大型の開発許可をとろうとすると、へまをすると十年もかかってしまうというようなことで批判があります。これは非常に残念なことなので、いまのようにどんどん、衣食住の最後の住が足りれば、日本国民は本当に一等国になっていくわけですから、そういう目標達成を早めるためにも開発許可制度を何とか簡素化をする。これは簡素化をしていけば、行革の大方針にも沿うわけですし、この開発許可制度の適切な運用だけじゃなくて、大幅な簡素化という点についてはいかがお考えですか。
  223. 内海英男

    ○内海国務大臣 開発指導要綱というのですか、これは各地方公共団体が独自に大体つくっておりまして、現在、率直に申し上げますと、新しい大型の団地ができるということは、地方でも余り歓迎していないような雰囲気もあるわけでございます。結局はそこで宅造をやろうといたしますと、公的な面積を相当とられる。学校用地であるとか道路であるとか公園であるとかいろいろ公共関係の施設。したがいまして、場合によると半分ぐらいのものが公的な面にとられてしまう。それからいまおっしゃったように、大変時間がかかって、許可が何年もかかる。こういうようなことで、私どもも適切な指導という表現になるわけでございますが、地方公共団体のそれぞれの特殊な地域立場もございまして、その徹底が図れないという面も多分あると思います。したがいまして、できるだけそういったものの簡素化を図るように指導していくような考え方でおるわけでございますけれども、何しろそれぞれ地方公共団体が独立した立場にもございますので、余り深入りをしてこっちからいろいろ申し上げるというわけにもいかないので、折に触れて、宅地供給の重要性からいって、線引きの見直しに当たりますと、当然そういう問題が引き続き起きてくるわけでありますが、そういう点も踏まえまして線引きも考えていかなければいけないかな、こういうふうにも考えておるわけでございます。
  224. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 いろいろなことをして宅地の供給をスムーズに、そして量的にも拡大するようにしなければいけないのですが、たとえば線引きを見直すあるいは建築基準法を少し緩和してよりたくさんの面積が建つようにしますと、途端に土地が値上がりするわけです。また新幹線ができれば何百倍になるとか、道路ができるだけでも数倍になるとかいうことで土地はどんどん値上がりする一方である。もちろん、日本ではお金を借りるには土地でなければいけない。したがって、土地の値下がりというのはほとんどなくて、土地の値下がりがあったら銀行が困ると思うのですが、土地は上がる一方であるわけです。こういうときに、たとえば台湾の例など大臣も長官も御存じと思うのですが、土地の価格騰貴の差益は国家に帰属しておりますね。日本もこんなに土地が少ないところなんですから、そうした土地の価格騰貴を抑えるためには、価格騰貴があっても自分のものにはならないんだ、国に帰属するんだから、それは握っていても仕方がないということで手放す重大な動機になると思うのです。それからまたその土地が値上がりしないことにもなる。そうしたことを考えることの可能性について、実は台湾の例等を参考にしながらいろいろと考えて勉強しておるのですけれども、この点については可能性はいかが思われますか。
  225. 内海英男

    ○内海国務大臣 私の私的な考え方をここで申し上げてはいかがかと思いますけれども、自由経済をたてまえにしておるわが国といたしましては、土地についてはこうだよというようながっちりした枠がはめられるかどうかという問題点も多々あるかと思います。しかしながら、これだけ土地問題について御議論の多い時代でございますから、前向きには検討していかなければならない課題ではあるなという感じはいたします。  ただ、私どもがいま考えますのは、線引きの見直し等をやりまして、郊外にどんどん土地が広がっていくことも一つの現象として出てまいりますけれどもただでさえも交通問題あるいはどんどん遠くになっていってしまうというような考え方からいきますと、いわゆる建築基準法の改正あるいは都市計画法の改正というようなことを踏まえまして容積率をふやすというようなことで、都心部にある低層階級といいますか、一、二階建ての建物等について、あるいは木賃住宅の建てかえというものについて、今後容積率等についての見直しを行うような総合住宅設計制度ですか、そういうものを適正に運用して、都心部にある程度の中高層の住宅というものを考えていく必要が出てきておるのじゃないか。それはすなわち都市の再開発と重要な結びつきになっていくかと思いますが、そういう面にも力を注いでいかなければならない時代にきておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  226. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 いま内海大臣は、私的な見解であっても、土地の価格騰貴による差益について何らかの措置を考える必要があるかもしれないと言われたわけですが、たとえば公共事業をやってどんどん土地が値打ちが出て高くなってくる。これは国の金で、つまり税金で公共事業をやるわけですから、そのことによって土地の価格が上がってくるということは、国に帰属させると考えても決して民主主義の原則を破らないと私は思うわけです。今後とも大型の公共事業をどんどんやるわけですけれども、そういうことによって国土の値打ちが上がる。この国土をがっちりと管理をして、そして国民のために有効に使っていかなければいけないわけですから、国土庁長官はこの点についてはどうお考えになりますか。税金という形でも何でも差益の吸収です。
  227. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど申し上げましたが、公共事業を促進するための財源確保として、昔、研究し、勉強したことがございます。しかし、今日の時点においてどうかということになりますと、まず地価は非常に安定いたしております。去年の四月から十月度の一番新しい統計によりますと、変動率は二・三%、これを年に直しますと四・七%前後になります。したがいまして、投機的な取引はほとんど皆無になりつつあるだろう。  そこで、先生がおっしゃった公共資本投資に伴って土地が値上がりした場合、その差益分を税か何かほかの方法でもいいが取る考えはないか、こういう御趣旨ではないかと思うわけであります。地価というものは広範な経済活動によって上がってくる。もちろん道路とか鉄道という主要な公共事業の投資がそれを促進はしますけれども、それに伴ういろいろな民間資本の投資等も伴いまして、全般的に幅広く複雑な絡み合いをもって過去上がってきた経過があります。そうしますと、どこまでが国の公共資本を投資したことによって上がった値上がりか、それともどこまでが今度は民間の資本投資、設備投資その他をやってきた値上がりかという区分をすることが大変困難である。そういう点で、公共資本を投下したことに伴う土地の差益を取るというシステム、これはなかなかなじまない。したがって、いまは、端的に言いますと、これを売買したときに税金を取るシステムはあるわけでございますから、当分はそこら辺でやる以外にないのではないだろうか、こう考えております。
  228. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 公共投資によって値段が上がった分だけを吸収する必要は実はないわけで、とにかく土地の値上がりについては、その差益は国に帰属させるということにすれば、今後の新たな土地の値上がりは起きなくなる。長官おっしゃったとおり、二・三%しか騰貴してないから、いま土地は価格が安定しているのだということは言えると思うのですが、それは全体としてでありまして、たとえば先ほどから話が出ております線引きの改正だとかあるいは容積率の変更だとか起きてくれば、その部分だけは確実に上がると思うのですね。そうしますと、やはりこれは結局持ち家を広くしようとかあるいは住宅建設を促進しようという動きと逆行することになってしまいますから、公共事業によって値上がりした分ということではなくて、やはり土地の差益全体についての考え方を、現在は所得税の対象にして、そして一定の控除、一定の条件を満たしたもの以外は所得税の所得として取っているわけですけれども、それだけではとても追いつかないのではないだろうか。イギリスなどはリース権だけであって土地の私有権は認めてないわけです。これは労働党政権がやったということになるかもしれませんが、やはり同じ民主主義国家、自由主義陣営のイギリスも土地制度については考えが違う。もちろん、これまでの長い間に戦後三十数年間も土地がどんどん値上がりしてきて、私有財産であって、新幹線が引けるところに土地を持っている人は、大いにもうかるということをやってきちゃっていますから、いまここで変えるということは、非常に苦しい問題が幾つか出てくるかと思います。しかし、今後二十一世紀にかけての展望を考えた場合、やはり土地政策というものは、ここで一回見直しをしてみるべきではないだろうか。  さらに、日本の銀行は土地担保というものを偏重して融資をしております。大企業や大地主は、これは非常に便利なことでありますけれども、これから新しく事業をしていこうという優秀な人材は——かつてバンク・オブ・アメリカは、イタリアの移民の中の優秀な人を見出して、そして対人担保を重視して企業とともに伸びていった。そして世界一の銀行になったのですね。そういうようなあちこちの銀行の発展の歴史を見ても、日本はもう少し対人担保ということを考えて、仮に無一文の人間でも、健康が大丈夫でりっぱな事業家になり得るという人にはどんどん金を貸すような方向に行った方がいいのじゃないかと思います。そうしますと、やはりその点からも土地の値段の値上がりについては根本的に発想を変えてみる必要があるのじゃなかろうか。長官指摘の困難とか問題点は重々承知しているのですけれども、私はそういう気がしてならないわけですが、内海大臣、いかがですか。大地主かもしれませんけれども
  229. 内海英男

    ○内海国務大臣 私は一寸の土地も所有いたしておりません。マンション生活でございますから土地はありません。しかし、御指摘のように、土地を担保にして銀行から借りるという制度が行われていることは事実でございますが、個人、人を対象にして貸すという制度もなるほど画期的な制度だと思いますけれども、それでは無一物の人にいまの銀行制度で保証人になる人がいるだろうかということも、また一面考えてみなければならぬと思うのであります。そういう点から考えますと、画期的な御意見、御提案として承らしていただきまして、今後そういうような制度がこの社会あるいは経済活動の中でなじむかどうかという問題も出てくるかと思います。いずれにしても、大変むずかしい問題だと思いますので、断定的なことは私としては申し上げられないと思います。
  230. 加藤六月

    加藤国務大臣 近藤議員のおっしゃいましたこと、私も本質的には賛成でございます。活力ある社会を守っていくためには、汗水たらす、そして努力したものが所得になるというのが基本でございまして、そういう意味で、労せずして、汗水もたらさずして上がった土地ということに対しては、ある面では何らかの考え方、哲学をもって処しなくてはならないという点は、特に狭い国土にたくさんの日本人が住んでおるわが国にとっては必要なことではないかと考えておるわけでございますけれども、それをどういう方法でどうやっていくかというのは、これは幅広いもろもろの社会政策を含んだ問題として考えていく必要があるのではないか。本筋に横たわる自分自身が汗水たらさないところによって出るものであるという点については、同じ考え方を持つものであるということを申さしておいていただきたいと思います。
  231. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 もう時間が余りないので、もう一点だけ伺いますが、農地の宅地並み課税が実は去年から始まったわけです。この宅地並み課税の対象となるところは三大都市圏の百九十九か二百ぐらいの都市だと思います。そうしますと、それ以外の都市がまだ抜けていること、それからC農地という坪当たり三万円以下の農地が全部除外されていること、そうしますと対象地は約七割の農地が除外されることになるのですが、今後、この今回の措置から漏れた点については、つまり二百程度都市以外の都市で、まだまだ大事な都市がたくさんあるわけですし、それからC農地という三万円以下の農地についてはどのように扱っていこうというお考えであるのか、またどういうようにしたらよろしいと考えておられるのかを承っておきたいと思います。
  232. 鶴岡啓一

    ○鶴岡説明員 お答え申し上げます。  市街化区域農地の宅地並み課税の問題につきましては、長い経緯がございまして、制度昭和四十六年にできました当時は、三大都市圏ではなくて、すべての市街化区域が設定されている農地について宅地並み課税を実施するということで法律改正がなされたわけですが、その後、主として営農の面に対する配慮という点から非常な議論を呼びまして、昭和四十八年に見直しが行われまして、特に宅地供給の促進の必要性の高い三大都市圏の、それも近郊整備地帯等の特定の市のAB農地について宅地並み課税を実施するということでスタートしたわけでございます。それからまた税制改正のたびごとに議論は重ねられてきまして、昨年度、国税の譲渡所得税等を含めましたいろいろな土地税制を基本的に見直すという作業の中で、先ほど先生もおっしゃいました三大都市圏のC農地について宅地並み課税に踏み切ろうということになったわけでございます。ただ、その三大都市圏のC農地すべてに直ちに宅地並み課税をするのについては、土地施設の整備状況等からやはり問題があるのではないかということで、三・三平米当たり三万円未満のC農地については、従来の農地並みの税負担でいく。ただ、これは今後評価がえがされて三万円になれば宅地並みの対象にしていくという制度ができまして、そういう制度が昨年スタートしたばかりでございまして、私どもとしては、当分の間はこの制度運用でやっていきたいというふうに考えております。
  233. 近藤豊

    ○近藤(豊)委員 まだ幾つかの問題を残してしまいましたが、時間が来ましたから、次のチャンスに譲ります。  いま両大臣から土地の差益吸収の問題については非常に示唆に富む発言があったことを私としては大変喜んで、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  234. 松永光

    松永委員長 中島武敏君。
  235. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私はきょうは公団住宅の一斉家賃値上げの問題について最初にお聞きをしたいと思います。  住宅都市整備公団が大幅な値上げをするということを伝え聞いて、昨年の暮れにも公団総裁に、そしてまた建設大臣に値上げをしないようにということを申し入れたわけであります。ところが、何か近く公団の方では、建設大臣に値上げの申請をすると聞いておりますけれども、申請をされるのかどうか。もしされるとするならば、いつおやりになるのかということについて総裁にまず伺います。
  236. 志村清一

    志村参考人 お答えいたします。  公団の家賃については、御存じのように、供給年度それぞれの年度における中堅階層の収入の一五、六%程度の家賃になるようにいろいろな政策的配慮を加えまして決定しているわけでございますが、年次の古い住宅につきましては、その後経済情勢がずいぶん変わってきておりますので、古い住宅については、中にはただいまの中堅階層の所得に対比しまして三%程度の家賃のものもある、かような状況でございまして、われわれの管理している住宅のうち、一万円台のものがまだ二十万戸を超える戸数もございます。かような意味において、政府施策住宅でございますから、安い方がいいことは当然でございますが、安いにいたしましても、バランスを失しているのではないか、そのようなバランスを回復すべきではなかろうかということを考えております。もちろんその際、住宅の建った年次、古いものは古いだけの評価をせねばならぬ、あるいは大きさ、あるいは設備の水準というふうなことを配慮せねばならぬことは当然でございますが、そういう意味の不均衡を、アンバランスを正していくということが必要かと考えております。  五十三年に一遍家賃の見直しをやったわけでございますが、それから五年たっておりますので、住宅宅地審議会の御答申等々もあり、私どもはこれについてただいま検討をいたしておりますが、まだ準備の段階でございます。
  237. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いま総裁は、不均衡是正、バランスを回復するということを理由にして、何か大変家賃の低い住宅がたくさんあるかのように言われているのですが、しかし同時に、大変家賃の高いところも大いにたくさんあるわけであります。しかもこれで六年減税が見送りになって、そしてこのために実質は大増税になっている。六年間をとってみると、二・七倍ぐらいに税金の方はふえている、賃金の方は一・四倍ぐらいにしかふえていない、そういう状況が生まれてきている。人事院勧告も凍結された。ところが民間の方も、人事院勧告が凍結されたということを理由にして、ことしの春闘はゼロ回答だということを財界の大御所連中はすでに口にしているわけであります。またこの人事院勧告の凍結に連動して、恩給、年金の受給者の人たちにとってみれば、これまた物価スライドが凍結されているというわけであります。それからさらに言えば、五十五年、五十六年と連続して実質可処分所得がマイナスになる。消費支出もマイナスになる。いま団地居住者としては非常に大変な時期なんです。じゃこれから明るくなるか、そういう展望を持てるかということになると、これはなかなか持ち切れない。私は率直に言いますけれども、こういう状況にあるときには値上げをやるべきじゃないのじゃないかと思うのですね。この点について、総裁はいま検討していると言ったけれども、私はこういう状況のときは値上げをやるべきじゃないと思うのですけれども、どうですか。
  238. 志村清一

    志村参考人 経済社会情勢が大変厳しい状況下にあるという御指摘でございますが、そのとおりだと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、低いものでは中堅階層の所得の三%程度、一万円台の家賃が相当あるというふうなことになりますと、やはりこれはアンバランスではなかろうか。そして私どもは非常に多額な値上げをするということになりますと問題があるということで、五十三年度の見直しの場合においても相当の激変緩和をいたしておるわけでございますので、そういう配慮もいたしますれば、見直しは当然ではなかろうか、かように考えております。
  239. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは愛知のある団地の話ですが、パートタイマーは全世帯の七割、内職を含めると九割だというのです。朝は近くにあるスーパーのバスが迎えに来る、夜はキャバレーのバスが迎えに来るというのです。それで新聞折り込みの広告を見れば、一番多いのはサラ金の広告だ。そしてその次はキャバレーのホステスの募集広告。不動産広告もずいぶんたくさん入る。開いて読んでみると、賃貸にいると家賃が次々上がるから、いまのうちに買うなら分譲を買った方がいいというような広告も入っているというぐらいなんです。こういうところにも生活実態がずいぶん反映しているわけであります。老人世帯も団地では大分ふえています。所得の少ない老人世帯もふえている。滞納もずいぶんふえているという状況です。  これは実は私、資料を要求したのですけれども、詳細なものを出してもらえないものですから、ここでお聞きしておきたいのですけれども、二月十日付の日本経済新聞に「公団家賃の滞納急増」というので載っています。これはごらんになっていますね。五十一年度に四万八千件、十四億円だった。その次が五十五年度、五十六年度と大変ウナギ登りに滞納がふえているという数字が出されているのです。私は、この記事は大体において正しいかどうかということと、それから五十一年度から各年度ごとに滞納者は一体幾らいるのかということを明らかにしてもらいたいと思うのです。これは要求しても出してくれないのです。私はこんなものは出さなければいかぬと思うのだな。
  240. 武田晋治

    武田参考人 答弁申し上げます。  先ほど先生のお話にございました日本経済新聞等に出ておりました数字についてでございますが、おおむね正確な数字でございます。  なお、私たちから申し上げたい数字がございますので、報告させていただきます。  たとえば五十二年度につきましては、滞納者の方は五万四千人で滞納率にいたしますと一・六%でございます。五十三年度につきましては九万五千七百人で滞納率は四・五%でございます。五十四年度につきましては八万五千九百人で二・七%に当たります。五十五年度は九万二千三百人で三・三%に当たります。五十六年度につきましては九万六千二百人で滞納率は三・七%という数字になります。
  241. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いまのは滞納率を金額でおやりになったのですね。これは滞納の人数でやればどうなりますか。
  242. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  管理戸数に対しますところの滞納者の数というようなことでとらえてまいりますと、五十二年度につきましては、率にいたしまして九・六%、五十三年度が一六・三%、五十四年度が一四・二%、五十五年度が一五%、五十六年度が一五・三%になります。
  243. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いまのこの数字を見ますと、急激に滞納者がふえているのは五十三年からですね。五十二年度が九・六%で、五十三年度が一六・三%、そう言われましたね。あと一四、五%の滞納者、これは人数的に言いますと非常に多い滞納者だと思います。そしてその境が、五十三年がちょうど境になっている。ちょうど五十三年というのは、公団の家賃が一斉に値上げになった年度であります。私は、この滞納がふえているということのすべての原因ではもちろんありませんが、その値上げ問題というのがやはり大きくあずかっているんじゃないか。だから、こういう数字を見ても、やはりここでその不均衡是正を口実として、生活実態を無視した値上げというようなことはやめるべきじゃないのかというふうに思うのですね。これを公団の方に申し上げておいて、しかし先ほどの公団総裁のお話では、現在検討中だ。検討中だということは、出さないとも申請しないということではどうやらないようですね。検討しておしまい、出さない、先ほどからの答弁ではこうなるわけではないようですね。  それで、大臣にちょっとお尋ねしておきたいのですけれども、万一この値上げが申請されてくるというときには、やはりこの前の経緯もあるんだし、しっかりこの是非を国会で徹底的に審議をするということが必要だと思うのですが、大臣はどう考えられるか。
  244. 内海英男

    ○内海国務大臣 先ほどの方にも御答弁申し上げましたとおり、前回の家賃改定の経緯もこれあり、十分国会で御論議を賜りまして、その御論議を踏まえて適正な判断をいたしたい、こう思っております。
  245. 中島武敏

    ○中島(武)委員 出された場合には——出してもらいたくないけれども、出された場合には、十分審議をするということが必要だと思うのです。  それから、関連してお尋ねしたいのですが、大臣もよく御存じのように、また総裁もよく御存じのように、前回の値上げのときには衆参両院の建設委員長の要望ということも決議されている。それから住宅宅地審議会の答申もあります。そういう中で、大事なことは値上げについて適切なルールがやはり必要だということが述べられていると思うのです。私は、家賃を値上げするという場合に、値上げの適切な算定方式というのを確立しなきゃいかぬのじゃないかと思うのです。同時に、居住者と十分話し合って、しかる後に決める。こういうふうにいかなければならないと思うのですが、この家賃の算定方式というのは、一体、公団の方では、これは確立しているのかどうかという問題についてお尋ねしたいのです。
  246. 志村清一

    志村参考人 公団家賃の改定のルールづくりの問題でございますが、この問題につきましては、宅地審議会からも御答申があり、住宅局長からも、適切な手続に基づいて必要なルールづくりを考えろ、こういう御指示がございましたので、私どもといたしましては、今回公団に新たに設置いたしました、総裁の私的諮問機関でございますが、基本問題懇談会というのを開催いたしまして、その中の家賃部会におきまして、居住者等も含めた各界各層の方々の御意見を聞きまして、いろいろ御意見を賜ったわけでございます。いま検討をいろいろいたしておると申し上げましたのは、そこで賜った意見等を踏まえて考えておる次第でございます。  また、家賃額のどういう家賃の算定が適正なのかあるいは激変緩和措置はどんなものが妥当なのかとか、あるいは老人、母子世帯等に対する特別措置をどうするかとかというふうなルール問題につきましても、懇談会におきましていろいろ御意見を承り、また前回の家賃見直しの際、国会でもいろいろ御審議を賜りましたので、そういうものを踏まえまして私ども検討いたしております。
  247. 中島武敏

    ○中島(武)委員 踏まえて検討しているということであって、まだこれは確立しているわけではないのですね。そうなんでしょう。
  248. 志村清一

    志村参考人 ただいま検討をいたしておりますが、私ども考え方基本としては、公営住宅法に公営限度額方式というのがございます。これは公営住宅の家賃の見直しの際の方式でございまして、建物の古さとか規模、そういったものを踏まえまして、昔建てた住宅の家賃をどう評価して考えていくかというシステムでございます。これにつきましては、私ども一つの大きなよりどころとして考えている次第でございます。
  249. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私はこれはだめだと思う。公営限度額方式が一つのよりどころだといういまの御答弁です。公営限度額方式あるいは再建築費方式、まあいろいろあります。ありますけれども基本的なこの考え方の中に流れているものは何かと言ったら、再評価するという考え方なんです。これは市場の原理を導入するということなんです。こういうのをもってルールとされるのは私どもは賛成いたしかねる。これは検討中だということですから、そういうのじゃなくて、最も適切なものを検討するというようにしてもらいたいと思うのです。  もう一つ、先ほど基本問題懇談会に各界各層の人に来てもらって話を聞いたというお話なんですけれども、私は何よりも第一に聞くべきものは居住者の代表だと思います。そして居住者の過半数を組織している公団の全国自治協の代表、こういう人たちと十分な話し合いをするということが必要だと思うのです。私は先ほどの大臣の答弁をお聞きしていて思いましたのは、円満な話し合いを推進してまいりたい、こういうふうにたしか答弁されたと思うのです。それで、これはどういうことかなと重ねて大臣にこの点をお尋ねしたいのですが、公団と団地の全国自治協などとの話し合いのあっせんというようなことも含めて大臣は考えておられるのか。その点は具体的には何を考えておられるのかという点をお尋ねします。
  250. 内海英男

    ○内海国務大臣 自治協と言われるか何と言われるか、私は細かいことはわかりませんけれども、入居者の方々の御納得のいくような、御理解を賜るような話し合いは必要である、こういった前提でお話を申し上げたわけでございます。
  251. 志村清一

    志村参考人 先ほど公営限度額方式について御意見を賜りましたが、公営限度額方式は公営住宅法に規定されておりまして、国会の御承認を得ている法律に基づくものでございます。しかも限度額方式で計算した額につきましては、公聴会もあるいは大臣の御承認も要らないという、何といいますか、やむを得ざる見直しというふうに理解されているものでございますので、念のためお断りをいたしておきます。  また、基本問題懇談会あるいは家賃部会等の問題でございますが、家賃部会におきましては、私どもも入居者の方々の御意見もぜひ伺いたいということでお二人ほどお願いをしたわけでございますが、自治協関係の方々については諸般の事情があったようでございまして、御参加を賜らなかったわけでございます。御参加を賜らないからそのままでいいというふうには私どもも考えておりませんので、家賃部会に御足労いただきまして、幹部の方々から十分自治協の立場を御説明願い、また委員からいろいろな御質問をし、御討議を重ねさせていただいたという状況でございます。
  252. 中島武敏

    ○中島(武)委員 話し合いの問題から先に言えば、あの基本問題懇談会に参考人として自治協の代表に来てもらって話を聞いた、あと決定するのは公団がやるのだというのは、これは私は話し合いではないと思います。やはりもっと納得のいくような話し合いが必要なものだということを申し上げておきたいと思うのです。そして先ほどの大臣のお話は、何かを特定してというお考えではなかったようですけれども、居住者の意向を十分に聞くという趣旨、話し合いをやるという趣旨であろうと思いますので、これはきょうここでということではありませんけれども、もっと具体的にお願いをしなければならないこともあろうかと思います。  それから、算定方式の問題についても、きょうここで議論をやっておりますと、私まだほかのこともお尋ねしようと思っておりますので、先ほど大臣は審議を十分にやるというお話でもありましたから、ひとつそこで大いに論戦を闘わしたいと思うのです。  それで、関連をして私、次の問題をお尋ねしたいと思います。  老朽化した団地ですね。こういうところの住民は、適切な修繕もしないでまた値上げか、こう言って大変怒っております。それで、これはたとえばの話なんですが、東京板橋にある蓮根団地です。たしか昭和三十二年の管理開始の団地だと思いますが、ここでは窓の枠が木製なんです。強烈な台風ということになると、もう窓枠はしなってくるのです。いつ外れるかわからない。もう皆さん家具、たんすなど持ち出してそこに当てがって、一家総動員で手で押さえている。それで敷居のところからはどんどん雨が吹き込んできますから、いろいろなきれを当てがってなるべく畳がぬれないようにということをやっているのです。ところが、こういうのを直してくれるようにと要求しますと、——私なんか思いますのは、それは木の枠ではなくてアルミサッシにかえればいいと思うのですよ。ところが、そうするとそれは修繕ではない、こういう話になるわけだ。木の枠は木の枠で前どおり直す、これが修繕なんで、それは修繕じゃないのだみたいなことを言っている。私はこんな不合理なことをやっていると、本当に公団は団地住民の信頼を得られないと思うのです。もう率直に言いますよ。こういうことも何も直さないでおいてただ値上げか、こう言って団地の住民は怒っているわけであります。あるいは非常に不合理なことがいろいろあるのです。風呂のドア、これも木製でできている。石けん水がかかるとすぐ腐ってしまう。こういうのも木製ではなしにやっておけば、そういう修繕の必要もなければ取りかえる必要もないんじゃないか。そういう不合理な点を改めることがぜひ必要じゃないかと私は思うのですけれども、これは公団の方にお尋ねしますが、どうですかね。
  253. 武田晋治

    武田参考人 お答えいたします。  公団の行っております全般的な修繕の問題でございますが、これは相当な額を使用いたしまして、例年予算との見合いにおきまして実は実施をいたしております。  それから、なおまた適当な機会に申し述べさせていただきたいと思いますけれども、五十三年度に改定いたしまして今日に至るまで、いわゆる改定に伴いまして増収しました額につきまして、相当多額の修繕費等を使いまして修繕を実施してきておりますことも事実でございます。特に、ただいま古い建物につきましての木製窓枠につきましてアルミ化するとか、あるいはまた浴室の木製ドアのアルミ化等についてのお話が実はあったわけでございますが、現在外回り木製建具が使用されております住宅は、実はほぼ十万八千戸程度あるわけでございます。それにつきまして、仮にいまアルミ製建具に取りかえることを考えますと、一戸当たり八十万程度のお金が要るわけでございまして、工事費総額にいたしますと、実は八百数十億のお金が要るわけでございます。そういうようなことも考えてまいりますと、余りにも高額だということで、その実施につきましては非常に困難な状況にあるというのが実情でございます。  しかしながら、私たち公団の住宅というものを考えてまいりますと、ストックの改善ということを図っていかなければいけないというように考えております。それからまた、住宅の居住水準とかあるいは設備水準等も、居住者の皆さん方の御要望等勘案いたしまして、具体の改善を進める必要があるだろうというようなことも考えているわけでございます。そういうようなものにつきまして、これからストックの改善の一環ということで慎重に検討はしてまいりたいというように考えているわけでございます。  それからまた、外回り木製建具等の修繕に関連いたしまして、経年してまいっておりますので、ふぐあいになったような場合には、公団の修繕義務にかかるもののうちから必要な修繕につきましては、その都度実施をしてまいっているわけでございまして、適切に今後とも対処をしてまいりたいというように考えるわけでございます。  それからまた、浴室木製のドアのアルミ化の問題でございますけれども、これにつきましても、六十万戸程度住宅が実は対象になるわけでございまして、それに必要とします経費等も相当多額に上るというようなことでございますので、その問題も今後の検討課題だというように受けとめております。  以上でございます。
  254. 中島武敏

    ○中島(武)委員 五十五年に公団住宅居住者定期調査というのをおやりになって、そこで現住宅に対する評価という項を見ますと、評価が低いのは、各室の広さ、それから部屋数、上下階等からの防音、こういう調査結果が出ているのです。それで御存じのように、四期五計によりますと、最低居住水準は全部満足をさせなければならないということになっています。平均居住水準はその半分を達成することを目標にする、こうなっているのです。ことしは五十八年、六十年までにこれは全部やるというのが目標なんです。ところが、いま申しましたように、一番不満が多いのは部屋の狭さですね。この問題なんですね。こういうのを解決していくということも私は非常に必要なことだと思うのです。そういう点では二戸一の改造とかあるいは二戸賃しとか増改築、そういうことを検討していかなければならぬ問題だと思うのですね。この点について公団はどう考えておられるか、お尋ねします。
  255. 志村清一

    志村参考人 ただいまお話しのように、かつて建てました住宅につきましては、非常に狭い。いわゆる団地サイズと称する狭い居室がございますし、また建物も小規模なものが多いわけでございまして、これらにつきましては、漸次改善を図るべきではないかという御指摘に対しては、そのとおりだと存じます。われわれといたしましても、テラスの増築、テラスというのはわりあい増築がしやすいものでございますから、これらについては、いま正確な数は覚えておりませんが、四、五千戸の増設をいたしたと思います。また二戸一改造等につきましても、数千戸実施をいたしたというふうな状況でございます。  ただ、都心部にいろいろ建っておる住宅がございまして、これについても狭い住宅が相当ある。これを二戸一改造にできないかというお話も伺うのでございますが、都心部に建っておる昔の古い住宅というのは非常に家賃が安うございます。しかも立地条件が非常によろしいということで、空き室が出ますと数百倍、場合によっては千倍、二千倍という大きな応募者がございます。さような意味におきまして、空き家の応募率が非常に高い。そういう御要請もあるということにかんがみまして、都心部にある狭い住宅については、もう少し時期を見て考えていきたい、かように考えております。
  256. 中島武敏

    ○中島(武)委員 総裁、都心部にあるから安いとばかりは限らないのですよ。都心部に高い住宅もうんとあるのです。そして狭い住宅もあるのです。総裁のお話を聞いていると、どうもちょっと都合のいいところだけお話しされるような気がするな。そうでないのもうんとあるのだということをちょっと一言申し上げておいて、私はこういうのに真剣に取り組まなければいけないというように思うのです。  たとえばですけれども東京北区の赤羽台の団地があります。ここは二戸を一戸にできる設計になっているのです。それから三戸を二戸にすることができる設計になっているのです。全部ではありませんが、そういう設計にもなっている。つまり将来二戸一あるいは三戸二ということを考慮に入れてつくられているわけであります。それから一DKで子供さんができた、そうすると二DKへ、二DKからさらに家族がふえて三DKへ、さらに家族がふえたから三LDKへと住みかえをしていくことができるという住宅としてこの赤羽台の団地はつくられているわけです。私はそういうふうにつくられているような団地、これはやはりそういう方向で——そういう方向というのは、二戸一改造だとか二戸貸しだとかいうことを含めて考えるべきじゃないのかという気がするわけです。競争率は、なるほど北区、板橋区などと言えば、これは都心と呼ぶのか何と呼ぶのか知りませんけれども、競争率は高いでしょう。高いでしょうけれども、住民の団地居住者の要求というのは、この狭さを何とかしてもらいたいという気持ちがあるのですね。だから、おいおい競争率の高いところについてもそういうことを考慮していかなければいかぬのじゃないか、手をつけなければいかぬのじゃないかという気がするのです。そうでないと、四期五計で最低居住水準を満足させるのだといいましても、何と公的住宅の典型である公団住宅が、実は一〇〇%にしなかった一番の元凶であるなんという結果が生まれてきかねないですよ。だから、その辺も十分考えてやるべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  257. 志村清一

    志村参考人 赤羽台につきまして、小さい規模の住宅でも二戸一改造あるいは三戸二改造ができるような設計になっているというお褒めの言葉をいただきまして、大変恐縮に存じます。われわれとしても、できる場所はそういう設計でいろいろ考えておりますし、また同じ団地の中でも、単一の規模でなくて、一DKから三LDKというふうにいろいろな種類の住宅を建てた方が実態に応ずるのだということで努力をいたしておりますが、ただいま先生のお話のように、現在の二DKをもっと大きくするような改造をやるべきではないかということは、私も趣旨としてごもっともだと思います。ただただいまのところは、たとえば赤羽台で五十七年八月に二DKの空き家募集をいたしましたときは千七十七倍でございます。そういう状況でございますのでもう少し様子を見させていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  258. 中島武敏

    ○中島(武)委員 一言また申し上げておきますが、空き家にそれだけ競争率が高いということは、賃貸住宅に対する要求が非常に強いということなんですね。ところがだんだん賃貸撤退という方向に進んでくる。臨調なんというのは、賃貸なんというのは地域も限ってだんだん撤退の方向、そして分譲も含めて公団が活動する地域はうんと狭くしていく、力を入れるべきは再開発じゃないか、それで値上げについては定期的にやれ、市場の原理を導入する、そんなことをやっていたら公団なくなっちゃいますよ。だから、いまのお話はお話としてよく検討してもらいたいと思いますけれども、同時にやはり競争率が高いということは、そういうことを意味しているということも、これは大臣、十分考えていただきたい問題なのです。そういうところについてもよく検討していただきたいということを申し上げたいと思うのです。  それから、私もう一つ関連してお尋ねしたい点があります。それは高家賃抑制制度の恩恵に取り残された高家賃の住宅の値下げ問題です。高家賃抑制のいろいろな制度の適用にあずからない取り残された大変家賃の高い団地があります。昭和四十八年に石油ショックがあった。そこから急速に地価や建設資材の大変な値上がりがありました。そのために高家賃の住宅がどんどん出現をするというふうになりました。特に東京とか大阪といったような大都市地域がひどかった。そのために居住者の家賃負担が非常に大きかったわけであります。ところが、さらに関連の公共公益施設に費用がかかり過ぎることから、地方自治体から団地お断りという激しい動きが起きてきた。それでも団地をつくらなければならない。そのために、本来なら地方自治体がつくるべき公共公益施設を公団負担にしなければならなかったという団地がずいぶんとできてきたわけであります。当然家賃にはね返って、そういう団地では高家賃になってしまった。  これは五十一年管理開始の王子五丁目団地もその一つでありますが、これは資料を出してくださいと言ってもなかなか個別団地の資料は勘弁してくれと言って出してくれませんので、私が勝手にやった計算ですから、間違っているかもしれません。間違っているかもしれませんが、家賃にはね返ること一万円をはるかに超えるのじゃないかというふうに思います。しかし、団地お断りということでは、団地を大変つくりにくいので、政府の方で住宅宅地関連公共施設整備促進事業の制度を設けたけれども、この制度は五十三年からであります。そのために、これに取り残されたという団地があるわけですね。さらに五十七年度から回収コストを一%下げる。つまり利子補給を一%ふやした。一%利子補給をやれば一万三千円ぐらい家賃を下げることができるでしょう。ところが、当然その恩恵にもあずからない。傾斜家賃になっている。ところがその傾斜家賃も五十三年からは年率五%程度、期間五年というふうになっておりますけれども、実際にこれらの団地の中には六%、八%近い年率である。ところが可処分所得は、先ほど言ったように、マイナスが連続したり一%台であったり二%台であったりということのために、家賃負担が非常に大きいというようなそういう団地があります。王子五丁目団地で言えば、三DKで最終家賃九万八千円です。それから二DKで七万三千九百円です。一DKで五万二千九百円です。アンケート調査をやってみると、家賃の負担が収入の三〇%以上という人が半数以上。私はこういうのに対して、やはり適切な手を打つ必要があるのじゃないかというように思うのです。  石油ショックの影響で地価や建設費が非常に高騰しているにもかかわらず、公共公益施設の公団負担が大きくて、関連公共施設整備促進事業の適用がなくて、利子補給もいまから言えば一%少なくて傾斜率も高い。そういった高家賃抑制の制度上の恩恵にあずかっていない大都市の団地について、何らかの方法で私は家賃引き下げの措置を行うべきなんじゃないだろうかというように思うのです。大臣に伺いたい。
  259. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 いま先生が御指摘になりましたように、五十年度から五十二年度までに管理開始をいたしました住宅につきましては、オイルショックの影響を受けまして、建築費及び用地費の高騰の影響を受けております。このため、これらの住宅につきましては、五十三年の七月に家賃の引き下げを行っております。たとえば傾斜期間を短縮いたしまして、通常十年のところを七年で打ち切って、その打ち切ったところで、そのまま平行に移動させるとかあるいは据え置いて、それから傾斜をかけて、それを五年で打ち切るとか、いろいろな方法によりまして家賃の引き下げを行っております。その対象戸数といたしましても、六万戸を超えるというような戸数につきましてそういう措置を行っておるところでございます。
  260. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それは私は知っております。それでも先ほど申し上げたようなぐらいの最終家賃なんです、傾斜を折らなかったというときは十万を超えているのですから。だから家賃の引き下げを行ったというのは事実なんです。事実なんですけれども、しかし、それでも先ほど申し上げたとおりの大変な高家賃。そういうところに対して、やはり配慮するべきじゃないのかという気がするわけです。大臣、どうですか。
  261. 内海英男

    ○内海国務大臣 御指摘の点も踏まえまして、よく調査の上、検討してみます。
  262. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それでは公団関係のことについては以上にして、マンションの問題についてお尋ねします。  一九六〇年代からふえ続けているマンションは全国で百万戸を超えました。東京では三十五万戸を超えております。そういう点では都市勤労者を中心にすっかりこのマンションが定着した。さっき大臣はマンション暮らしであると言いましたからその中に入るかどうか。しかし、いろいろ問題があってその解決を迫られてきたわけであります。この間、標準管理規約もつくられたし、また区分所有法の改正案も用意されて、これはなかなか一歩前進というふうに言っていいと思うのです。マンションに住んでいる人たちから歓迎されているというふうに言っていいと思います。しかし、すべての問題が解決したわけではないわけでありまして、幾つかの問題についてお尋ねをしたいと思います。  マンションの老朽化を防ぐためには、適切な時期に適切な修繕をすることが必要だと思うのです。今度四分の三で意思決定ができるようになりましたが、問題は費用負担なんです。それで修繕積立金を積み立てていないところだとか積み立てていても少額しか積み立てていないというところが大変なんです。  それで、ここでお聞きしておきたいのですけれども、共用部分についても融資の制度があるかどうかということについてお尋ねします。
  263. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お話しのように、マンションの屋上、外壁、廊下あるいは階段といったような共用部分につきまして適切な維持修繕を行うということは、その耐用年数を増すため、あるいは居住水準の維持を図るということ等々のことから重要なことだと思います。また外壁等につきましては、事故の防止というようなこともございます。このため修繕の費用を調達するということが問題になるわけでございますが、これにつきましては、御指摘のように、現在のマンション居住者の状況を見ますと、積立額が必ずしも十分ではないという状況がございます。建設省といたしましては、標準管理規約を定めまして、その普及を図る、それによって適正な積み立てを奨励をしていくということで適切に指導してまいりたいと考えております。  ただいま御質問のございました修繕積立金が不足している場合に融資の道はあるかどうかということでございますが、これにつきましては、五十六年度より住宅金融公庫の住宅改良融資をもちまして活用するということといたしております。
  264. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私、マンションに住んでいる人からいろいろ相談をされるのですが、住宅改良融資が共用部分に使えるということを知っている人はまずいないのです。それで、いま局長答弁によれば使える、こういうわけですね。もっと適切なPRを大いにやって、そして利用ができるようにするべきじゃないかというように思うのですけれども、どんなふうにしてPRされているか。私はもっとPRしたらいいという趣旨でお尋ねしたいのです。
  265. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま御説明をいたしましたように、分譲マンションの共用部分の改良につきましては、融資を受ける道が五十六年度から開かれておるわけでございますが、PRが十分でないということでございますが、高層住宅協会、不動産協会あるいは高層住宅管理業協会等を通じてPRはいたしております。ただ、御指摘のように、十分でない面もあるということであれば、さらに十分なPRを行いたい。そのためのいろいろな方策についても検討いたしたいと考えております。
  266. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ぜひ適切な方法で、新聞広告なども活用しながら知らせるということを望みたいと思います。  次は、瑕疵担保責任、特に期間の問題ですね。この問題についてお尋ねしたいのです。  私は、この建設委員会で五十五年五月七日に、この問題について質問をしたところが答弁がありまして、期間を延長する方が妥当である、可及的速やかに対応してまいりたい、こういうふうに御答弁がありました。ところが、いまだにこれは延長になっていないのですね。ところが、欠陥マンションの苦情が相次いで起きてくるわけです。瑕疵が発見されるのは何も二年以内に発見されるとは限らないのです。三年を過ぎて四年、五年、あるいはもっとさらにいってから瑕疵が発見されるという場合もしばしばあるわけです。そのときも実態調査をするという答弁がありましたけれども、まだこの問題について決着がついていないのですね。これはやはり延長するということで早く結論を出すべきじゃないかというふうに思うのですけれども、どうですか。
  267. 永田良雄

    ○永田政府委員 お答えいたします。  現行の宅地建物取引業法では、建物の売り主である宅建業者の瑕疵担保責任期間は二年以下のものを定めてはいかぬ、こういうふうに書いております。それから五十四年九月の住宅宅地審の答申では、瑕疵問題の発生の実態に照らしまして、瑕疵問題というのは建設業者がつくって起こる瑕疵との絡みもあるわけでございますので、それとの調整も図りながら、売り主である宅建業者の瑕疵担保責任期間の延長について検討せよ、こういう答申も出ておるわけでございます。それを受けまして、私どもは建築工事瑕疵問題調査委員会というのを設置いたしまして、建設業者それから不動産業者、入居者を対象に分譲マンションのふぐあいの発生状況の実態調査を行っておりまして、三月末を目途に取りまとめることにいたしております。したがって、実態調査は三月末に取りまとめが終わります。  そこで、ただ問題は、瑕疵というのは大変複雑でございまして、何が瑕疵であるのか、それから原因は何かというような問題の検討を含めて、この委員会でもうちょっと検討しなければいかぬだろう、かように考えております。大変遅くなってけしからぬではないかというおしかりでございますが、私ども怠慢でやっていないわけでございませんで、一生懸命やっておりますので、もう少し時間をかしていただきたい、かように考えております。
  268. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ぜひひとつ急いでいただきたいと重ねて申し上げておきます。  それから、マンションの建てかえ問題についてお尋ねします。  これは建てかえということになりますと、将来的な問題ではありますけれども、しかし次第にこの建てかえ問題に迫られてくるということになります。それで、区分所有法の改正案で五分の四以上の賛成で建てかえは可能というふうになりましたけれども、しかし問題点があるわけです。同時に、これは将来の問題のように見えて実は現在の問題なんです。将来一体どうなるのかという先の見通しを持てないと、またマンションを安心して手に入れることができないという関係でありますから、そういう意味で現在的な大事な問題だというふうに私は思うのです。  一つは、建てたときは建築規制であるとか日影規制であるとかがなかった、あるいは緩やかであった。ところが、いざ建てかえをやろうと思ったところが、大変規制が強化されてしまっている。そうなると、区分所有者が入れなくなってしまう。そういう人が出てくるという場合も生じるわけであります。こういうことに対してどういうふうに対応するのか、これが一つです。  それからもう一つは、建てかえの際の融資とか援助の問題についてあわせて伺いたいのです。それは建てかえをやるということになったら莫大な費用が必要になってくる。そうすると、その費用を用意しなければならない。またしかし、高齢者の人とか低所得者の人、そういう人は、資力がない場合には建てかえに反対すると思うのです。ところが、反対すれば追い出されてしまうということになるわけです。これは一体どうしたらいいのかということですね。そういう問題が二つ目の問題です。これもやはり対策が必要であって、いまから早く考えておかなければならない問題だと思うのです。  こういう点で建設省の方ではどういう考えを持っておられるのか、それからまた、そこのことを検討しておられるのかということについて伺いたいと思うのです。現在的な問題でもありますので、早く検討して方向を出さなければいかぬ、そういうふうに思うのです。
  269. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  わが国における分譲マンションは、昭和四十年代後半から大都市圏を中心に非常にふえてまいりました。現在は百万戸を超えるという状況にございます。御指摘のように、将来マンションが老朽化した場合に、これをどう建てかえるかという問題は、住宅政策上も非常に重要な問題でございまして、住宅局あるいは計画局、建設省の中で始終検討をしているところでございます。  一つ指摘ございました、マンションを建てたときには建築規制には適合していたが、その後、規制が強化されるに従って、建てかえる時点でそれが建築法規に適合しない、こういう場合のことでございますが、これはなかなかむずかしい問題でございます。やはりケース・バイ・ケースに考えていかなければならないと思いますが、ことしの二月から私どもがスタートさせております市街地住宅等共同整備事業の関連の総合設計制度、たとえばこういうような制度を活用をいたしまして、総合的に建てかえるというような場合には、建蔽率とか容積率等について配慮が加えられないかどうか。少なくとも容積率については積み増しができるということにいたしておりますので、そういうような制度の活用を図っていくことによって、この建てかえをスムーズにできるようにしていきたいというように考えます。ただ、ケース・バイ・ケースで、非常にむずかしい問題でございますので、さらに検討してまいりたいと考えております。  また、費用につきましては、これも非常にむずかしい問題でございますが、これらにつきましても、十分将来の課題として、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
  270. 中島武敏

    ○中島(武)委員 では終わります。
  271. 松永光

    松永委員長 次回は、明後二十五日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十二分散会