○
安倍国務大臣 タイのシティ外相とカンボジア問題について話をした際に、タイのシティ外相は、いまはもう乾季が終わりまして雨季に入ったわけですが、乾季におけるベトナムの軍事作戦あるいは外交攻勢は失敗をしたというふうな
判断であります。それで、これからは恐らくベトナムの積極的な平和攻勢が起こってくるだろう、ASEAN諸国としてもいろいろな角度からベトナムとの対話も進めていきたい、こういうことでございます。しかし、その
基本はあくまでもカンボジアからのベトナム軍隊の撤兵というのが大前提でございます。カンボジアに自主独立の
政府ができるということが大前提でございます。
そうした意見交換をしているうちに、ラオスについては一体どういう認識を持っているのか、こういう
発言をしたわけであります。それに対してシティ外相は、ラオスとタイとの関係は歴史的にも非常に深いものがあるというふうな話もありまして、私は、
日本としてはとにかくラオスはこれまでも外交関係がありますし、今後とも続けていく。そういう中で、ラオスは最貧国である。そしてラオスに対してはベトナムの勢力も相当入っているように聞いておるけれども、しかし、ラオス
自身が一個の独立国であることは、これはもう間違いないわけであるし、インドシナ半島三国の一国である。そしてまたベトナムに対しても深い外交関係にあるので、
日本としてはラオスに対して細々と経済援助を続けてきておるけれども、もしラオス自体と
日本との外交関係を
強化していく、あるいはまた援助関係をさらに進めていくというふうなことをした場合に、それがまたベトナム、カンボジアの関係打開、インドシナ半島の関係打開の糸口になる何らかの一つの要素になるということならば、
日本もインドシナ半島の平和、カンボジアからのベトナムの撤兵ということに対しては非常に重大な関心を持っておるし、お手伝いもしたいと思っているので、そういう点では
日本自身として検討してもいいんだ、こういう話をいたしました。シティ外相も、これは非常に重大な御意見であるし、やはりタイとラオスとの関係、そしてラオスに対するベトナムの影響も非常に強いけれども、
日本がそうしたラオスに対する援助を続けていただくということはインドシナ半島の平和回復ということに一つの大変役立つことではないだろうか。これは、シティ外相としては、自分は大賛成であるから、ラオスとの関係
強化にひとつ
日本も努力をしてもらいたい、これが何らかの
解決の糸口につながっていくかもしれない、こういう話でありました。私としてもそうしたシティ外相等の意見も踏まえまして検討してみたい。
この点については、実はパリでパールというオーストリアの
外務大臣、
国連におけるカンボジア問題の
委員長をしておられます。この方ともカンボジア問題について意見の交換をした際に、私からラオスの問題について意見の交換をいたしました。そのときにもパール
外務大臣から、
日本がカンボジア問題を
解決するためのそういう一つの努力をしていただくということならば、これは大変歓迎するというふうな見解の表明がございました。