○林(保)
委員 御
承知のように、昨年、わが党は
援助の実行
状況の
調査に大きなグループを組みまして、元外務次官の法眼晋作さんにも御指導をいただきまして実際に
調査をいたしました。その結果出てきますものは、こういう
金額が、どういうことから
わが国を
日本は見ているのだ、非常に大きな
意義を持つわけです。ですから、こういうものを決める場合には、なぜこうなんだということをきっちりと持っておかれたのでしょうけれども、なお外にもはっきり見せていただきませんとわかりにくい。たとえば
インドネシアと
タイとを比べましても、人口が違う、
経済の
発展度が違うあるいは
日本への貢献度が違う。
大臣、私はそこを
大臣にも御配慮いただきたいのです。
大臣がはっきりと、
日本に対する
経済的な、政治的なあるいは
安全保障上の問題で
インドネシア、
タイとはこれだけ違うのですと言い切れるだけのものを持ってこういう差をつけられるかなにかのことでないと、この
援助がただ単にあめや缶詰ジュースを配るだけ、こういうことになってしまうことを恐れるから私は申し上げているのでございまして、その辺のところを、きょうは時間がございませんので、またきっちりやりたいと思うのです。
したがって、私もこの
委員会で何回となく
援助の根拠を聞きました。出てこないのです、
大臣。ですから、
大臣にぜひそれをつくっていただきたい。たとえば柳さんがつくられました「
経済協力の理念」という、これは大変りっぱな本です。しかし、これが外務省の決定なのか、閣議の決定なのかということまで突きますと、御返事が必ずしも明確でない、こういうことです。これはりっぱな本です。これを閣議決定されて、あるいはこの中の大事なものを法律でもつくられて、それで、こうやりますということを政府はきっちりとやらなければならぬ段階に来ているのじゃないかと思います。ここに議事録もいま急に取り寄せて見ておるのでございますが、ここに書いてありますが、たとえば、文化交流とかあるいは
経済協力、これについて論議されない日はないぐらい
日本は国際的な
役割りを担い、それだけの実力を蓄えておる、それでは一体、文化交流を何の
基準でやっておるのかという質問を、私は五十四年十二月の本
委員会でやりました。当時、大来さんでございます。昔々にこういうものがございますと、こういうことで政府機関ができましたときの原則を読まれまして、かいつまんで言いますと、それ以後はありません、こういうような御回答でございます。
大臣、一度調べてみたらいかがです。そしてこの中でも、いま
大臣は人道上とかあるいは相互的とか申されましたけれども、これは梁井さんが監修をされたのでございますか、
外務省経済協力局・
経済協力研究会編でございます。梁井さんが序文を書いておられる。これは本当にいいものと思う。その中にもはっきりと「我が国は、なぜ
政府開発援助を行うのか」、その副見出しとして「
日本の総合的な
安全保障を確保するための国際秩序構築のコストとして」こう書いてあります。いろいろあるのですが、「平和国家としてのコスト」そして「
経済大国としてのコスト」、これは中見出しでございます。「
経済的対外依存に対する補強」などございまして、当時問題になりましたのは、いま私がずばり申し上げた紛争周辺国への
援助が一体どういう位置づけになるのか。これは突き詰めますと、よその国からの
要請、これは国際
協力の
一環かもしれませんけれども、なおはっきりしない。こういう点で私なりの持論をたびたび本
委員会でも申し上げておるわけでございますけれども、何かひとつ、もう
国民も認め、世界も認めるような立法あるいは要綱ぐらいきっちりと打ち出しませんと、年間一兆円もの大きなお金が出るような
状況になって、
国民の疑惑のもとにこれがなされるということであれば、
総理も
外務大臣もきわめて心外だと思います。私も同じ
立場で毎回ここでこのような問題を
議論していかなければならぬ。そしてもう一つ大事なことは、やはりお金を出す以上は、私はむしろアン
タイドローンについては批判的なのでございますけれども、
国民のお金ですから、これをきっちりと
日本に役立つという保証のもとに出していただきたい、このことを特に
大臣にはお願いを申し上げておきたいと思うのでございますが、何か対外
援助法といってもよろしいし、あるいは
経済協力法といってよろしいし、それにかわるような立法
措置を
大臣としてお考えになる御用意がございますでしょうか、承りたいと思います。