○
渡部(一)
委員 では次に、
宇宙関係三
条約の中で、
救助返還協定は昭和四十二年、
損害賠償
条約は昭和四十六年、
登録条約は昭和四十九年に国連総会において採択されまして、最後に採択された
登録条約が発効して八年余りを経過しているわけでございます。その後、昭和五十三年二月には衆参両院本
会議で批准促進の決議が行われておりますが、今日までこれが提出されなかった理由は何か、まことに疑問にたえないところでございます。問題は、要するに、昭和五十七年三月八日の予算分科会におきまして同僚の沖本泰幸衆議院議員からも
質問されておられるところでございますが、なぜそれがおくれておるのかという
質問に対しまして、そこに御在席の遠藤さんが、国内措置がまだまとまっていない、「国内
関係省庁の間での調整がついておらない
状況でございます。したがいまして、残念ながらまだ批准の
状況に至っていないわけでございます。」と明瞭に述べておられます。また、
宇宙損害の賠償等に関する法案というものについて、科学技術庁がつくったわけでございますが、これも遠藤さんの御
答弁でございますが、「御指摘のように国内措置がとられませんと、ことに
損害賠償
条約につきましては、その
条約に規定されております権利及び義務
関係を円滑に履行することはできませんので、国内法の整備につきまして今後とも
関係省庁と鋭意調整の上、国内体制をなるべく早くつくりたい、こういうふうに希望しておるわけでございます。」また、
損害賠償
条約は、「もし打ち上げた
宇宙物体が落ちた場合に、打ち上げ国が無条件にその
損害賠償に応ずるという、いままでの国際法の概念には入ってない新しい概念が規定されておりまして、それを担保しますためには、たとえば両方の、つまり
日本が加害国になった場合と
日本が
被害国になった場合と二つのケースが
考えられるかと思いますが、
日本が加害国になった場合に、ではその財源の手当てをどうするのだという問題、それから、
日本が
被害国になりました場合は、国がその打ち上げ国から金を取ってきて、それをどうやって
被害者に分配するかという問題、こういうふうな国内体制がいまのところまだできてないわけでございます。したがいまして、それが
条約に参加する非常に大きな障害になっているわけでございます。」このようにお述べになっておられるわけであります。さらに国内法の
関係を調べたわけでございますが、「
アメリカ、イギリス、カナダ、西ドイツ、オーストラリアの五カ国を調べたわけでございますけれ
ども、先ほど科学技術庁の方からも
答弁申し上げましたように、いずれの国も国内法は新しい立法措置はとってないわけでございます。
各国とも、もしそういったような
事態が来た場合には臨機応変に対処できる、こういうようなことでこの三
条約に加入したわけでございますが、ただ、
アメリカはその後、
損害賠償
条約につきましては、無過失
責任の原則に従って賠償を行うための法律をつくっております。それからまた、西ドイツ、オーストラリア、イギリスは、
宇宙活動を行うのは国内の
政府団体だけだ、したがいまして、
政府につきましては
政府が
責任を持つから、新しい立法措置は要らない、こういう理由でもって、以上調べました国につきましては、立法措置は特にとってないようでございます。」こういう御
答弁であります。これは非常に丁寧な、
考えられ抜いた御
答弁でございまして、いま拝見しても、りっぱな御
答弁だと思います。
ただし、そのときはそれで非常によかったのですが、
関係省庁との調整がついていないので批准の
状況に至っていないと御
答弁されたのが、今回は国内法整備について手直しの必要がないとお決めになる、これは
答弁変更、方針変更が行われているわけでございます。遠藤さんが大臣ならばもうここで首になるほどの大騒動が起こるわけでございますが、本省の中の御意見がどのように変わられているのか、ここのところはきちっと御
説明をいただかないといけないのではないか。また、私の前に、先ほどから土井議員が無過失
責任の問題につきまして、いろいろなケースについてるる御
質問されておられましたが、御
答弁が余り的確でないため土井
委員をいらいらさせておられた御様子でございますけれ
ども、それもまた国内法が整備されていないのに、うまくいくと強弁なさるところに問題があるのではないかと存じますし、両方あわせてかっきりと御
答弁をいただきますようにお願いいたします。