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1983-05-10 第98回国会 衆議院 科学技術委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十日(火曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君   理事 岸田 文武君 理事 小宮山重四郎君    理事 保利 耕輔君 理事 与謝野 馨君    理事 小林 恒人君 理事 関  晴正君    理事 草川 昭三君 理事 吉田 之久君       櫻内 義雄君    平沼 赳夫君       前田 正男君    森山 欽司君       五十嵐広三君    村山 喜一君       林  保夫君    栗田  翠君       田川 誠一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      安田 隆明君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     安田 佳三君         科学技術庁計画         局長      下邨 昭三君         科学技術庁原子         力局長     高岡 敬展君         科学技術庁原子         力安全局長   赤羽 信久君  委員外出席者         外務省アジア局         地域政策課長  瀬崎 克己君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   長田 英機君         資源エネルギー         庁石油部計画課         長       高橋 達直君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全審         査課長     末廣 恵雄君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     谷口 富裕君         運輸省海運局監         督課長     尾松 伸正君         海上保安庁水路         部沿岸調査課長 佐藤 任弘君         参  考  人        (石油公団理事) 勝谷  保君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         理事長)    井上啓次郎君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         専務理事)   倉本 昌昭君         参  考  人         (電源開発株式         会社総裁)   両角 良彦君         参  考  人         (電源開発株式         会社理事)   児玉 勝臣君         科学技術委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ───────────── 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   山田 耻目君     下平 正一君 同日  辞任         補欠選任   下平 正一君     山田 耻目君 四月二十六日  辞任         補欠選任   平沼 赳夫君     粕谷  茂君 同日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     平沼 赳夫君 同月二十七日  辞任         補欠選任   林  保夫君     近藤  豊君 同日  辞任         補欠選任   近藤  豊君     林  保夫君 五月十日  辞任         補欠選任   山本 幸一君     五十嵐広三君   山原健二郎君     栗田  翠君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     山本 幸一君   栗田  翠君     山原健二郎君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として、日本原子力船研究開発事業団理事長井上啓次郎君、同専務理事倉本昌昭君、電源開発株式会社総裁両角良彦君、同理事児玉勝臣君及び石油公団理事勝谷保君から意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 永田亮一

    永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 永田亮一

    永田委員長 これより質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関晴正君。
  5. 関晴正

    関委員 この間は長官がやむを得ない事情で退席するということもありましたので、ゆっくりお話もできないままに終わったかと思います。  まず第一に、活断層の問題について、なお続いてお伺いしておきたいと思うのであります。このことについては、電発の方においても、海域調査等に当たって当然必要になってくる問題ではないかとも思いますから、そういう意味参考人の方もまた聞いていただきたいと思います。  この間の私の活断層質問に対して、倉本専務理事の方から、ボーリングデータ等によってもそういうことが明らかであるというようなお答えがあったのですが、どこをボーリングしたのかと尋ねたら、それぞれ三点のボーリングお話があった。しかし、そのボーリングによって活断層有無を論ずる根拠にはならなかったのじゃないだろうか、こう思うのであります。それを、あたかも根拠であるかのごとくにお答えになっておったと思うのですが、この点を確認しておきたいと思いますので、お答えいただきます。
  6. 倉本昌昭

    倉本参考人 ただいま先生からお話のございましたように、前の委員会での御説明は若干言葉足らずであったかと思います。申しわけございません。  この活断層調査に当たりましては、私どもといたしましても、最も適当であるということで現在使われておりますスパーカー方式というものによってこの調査を行おうということで、検討を進めておったのでございますが、ちょうどその海域におきまして東京電力東北電力さんの方で、すでに同じような方法によって調査が行われておるということを知りまして、私どもとしましては、その結果が活用できれば非常にありがたいということでお話を申し上げましたところ、快く私どもにお貸しいただけるということでございました。  活断層調査につきましては、海域の上を船に装置を載せてこれで音波探査を行うわけでございますが、この海域におきましては、東西に向かっての探査及び南北に向かっての探査ということで、それぞれ大体二キロないし四キロ間隔によりまして、きちんとした碁盤ではございませんけれども、長方形のような目に沿っての音波探査を行っておるわけでございます。  それで、この音波探査の結果出てまいりました調査記録解析いたしまして、東西また南北についての海底地形と申しますか、地質構造等についてのデータを得るわけでございます。それで、この解析に基づいて、ここに断層があるかないかということが非常によくわかるわけでございますが、この断層判断につきましては、その調査結果に基づいて一応判断を下すわけでございます。  ただ、断層があるかないかということと活断層であるかどうかということにつきましては――活断層といいますのは、第四紀層の中に断層があるかどうかということを見きわめなければいけないわけでございますので、この地質構造等判断の場合にその地質同定をしなければならない、その同定をいたしますに当たりましてボーリングを行っておるわけでございます。  それで、このボーリングの結果、地質が明らかになり地層が出てまいりました中で、どの層が何紀層に当たるという判断を下すわけでございまして、その判断につきましては、地層同定のためにボーリングを行ったということでございまして、活断層であるかどうかということの判定は、その断層が第三紀層でなく第四紀層の中にあるかどうかということの判定と、その地層が第四紀層であるということを同定する、この両方から、そこに断層があった場合にそれが活断層であるかどうかということを判定するということでございます。  それで、私ども電力さんの方からお借りしましたこれらのデータに基づいて解析をいたしました結果、当該場所においては活断層と認められるものがないという判断を下したわけでございます。
  7. 関晴正

    関委員 活断層有無調査するためには、じゃ、ボーリングはしなかったのですね。
  8. 倉本昌昭

    倉本参考人 断層があるかないかということのための調査といたしましては、これはスパーカー方式による音波探査によっているわけでございます。
  9. 関晴正

    関委員 聞いていることに答えてください。  この間の委員会で私は、断層有無について、そして活断層有無についてはボーリングの必要があるんだ、ボーリングをしてみることが必要だと思っておるんだがと言ったことについて、あなたは、ボーリングをいたしました、三カ地点においてボーリングをしましたと答えたでしょう。そのボーリングというのは、地層調査であって、活断層調査のためのボーリングではないんだ、こういま言っているわけですよ。とすれば、あなたがこの間答えた活断層有無のためのボーリングもしましたというのは、うそでしょう。  つまり、何のためにあのとき私は質問したかというと、音波探査だけでは活断層有無がわからないことがある、それをよく確かめるためにはボーリングが必要だ、こう貝塚先生がおっしゃっておるから、貝塚先生がどちらとも判断しかねるならばボーリングをすれば一番いいんだ、そういうことを申し上げたときに、あなたの方は、ボーリングもしていますよと答えているんだ。しかし、そのボーリングをしている個所は、怪しげなところの活断層があるかどうかという判定のためにボーリングをしたかのようにあなたはこの間答えているわけですよ。いまのお答えだと、そういうためのボーリングはしておりません。だから、はっきり言ってください。したのですか、しないのですか。
  10. 倉本昌昭

    倉本参考人 断層があるかないかということのためにボーリングは行っておるわけではございません。ただ、断層がある地層の中にあった場合に、その地層が第四紀層であるか第三紀層であるかということによって、第四紀層の中にあればこれは活断層であるという判断を下すわけでございますので、その地層がどういう年代の地質を持っておるかということをはっきりさせるために、ボーリングを行ったということでございます。
  11. 関晴正

    関委員 もう一遍言いますよ。活断層調査のためにボーリングはしたのではないんだ、確認してください。その一点だけ。
  12. 倉本昌昭

    倉本参考人 直接、活断層のためのボーリングではございませんが、間接的にはその地質が第四紀層であるかどうかという判断によって、断層が仮にあった場合に活断層であるかどうかということになりますので、ボーリング地質同定をやるために必要だということで、間接的には活断層であるかどうかということになるわけでございますが、直接的に活断層であるかどうかというためのボーリングではございません。
  13. 関晴正

    関委員 それならば、あなた方の方で地層調査のためのボーリングはした、そうして解析の結果、活断層は認められぬことになった、こう言っているわけですね。活断層でないというのは、どういう理由から活断層が認められないということに判断したのです。
  14. 倉本昌昭

    倉本参考人 これは、音波探査の結果得られました記録解析をいたしまして、各断面ごとにその検討をしておるわけでございますが、たとえばある測線につきまして検討をいたしました結果、そこの場所では海底地形が顕著な変化がなく、大陸棚、大陸斜面深海平たん面へとこれが移行しておりまして、大陸斜面への傾斜角が十度というような数字が出ておる。それからまた、その大陸斜面に分布する地層B層というものであり、そのB層及びC層は起伏に乏しい緩傾斜のいわゆるD層斜面に、技術用語ではアバットと言っておりますが、アバットしておって、これらの地層には活断層を示唆する層理変化が認められない。こういうような判断を、それぞれの各測線に沿った解析を行った上で、この測定を行った全域にわたってそういう判断をした上で、そこに断層があるか、活断層がないかというような判断をしたわけでございます。
  15. 関晴正

    関委員 活断層を示唆するような層理が認められない、よって、活断層はないと判断をした。そうすると、活断層には層理がつきものなんですか。層理というのは何です。
  16. 倉本昌昭

    倉本参考人 層理と申しますのは、地質が重なっておる、その重なり方と申しますか、そこに乱れがあるかどうかということ、また、その層理が切れておるかどうかということでございます。
  17. 関晴正

    関委員 そうすると、層理がなければ活断層ではないということなんですか。
  18. 倉本昌昭

    倉本参考人 層理乱れがない場合にはそこに断層がないということでございまして、その場所に仮に断層が見られるという場合に、その層自身は第四紀層であるということでございますと、それは活断層ということになるわけでございます。
  19. 関晴正

    関委員 重ねて聞きます。層理が認められないから活断層ではない。じゃ、活断層には層理がつきものなり、こういうことで認識していいのですか。
  20. 倉本昌昭

    倉本参考人 ただいまの先生の、層理がないということではございません。層理乱れがないと申しますか、それから、断層自身判定と申しますかにつきましては、一つ判断の基準というようなものがやはりあるわけでございまして、それらの結果を踏まえ、そういうものをももとにしまして、層理がどういう場合に、層理乱れがない、あるいはその断層というのは、どういうときにこれが断層判断するかというようなことを、判定の際に検討して行っておるわけでございます。
  21. 関晴正

    関委員 どうも、私の聞いていることにあなたは答えてないのですよ。あなた方は解析の結果、層理が認められない、あるいは層理変化が認められない、こういろいろ言っているのですが、層理変化がなかったり層理がなければ活断層ではないというのは定義ですかと私、聞いているのです。層理がなくても活断層の例があるでしょう。それは、あなたが答えられなかったら科学技術庁の方で答えてください。層理がなければ活断層ではない、そういうふうに断定できるのかと聞いているのです。しかし、層理がなくても活断層の例はあるでしょう。ないんですか。知っている方、答えてください。政府の方でもいいし、事業団の方でもいい。
  22. 倉本昌昭

    倉本参考人 断層があるかないかということにつきましては、一般的に層理変化乱れがないという場合には断層がないというぐあいな判定をいたしておるわけでございまして、これらについては、大体学者の大半の方もそういうような意見を持っておられるわけでございます。
  23. 関晴正

    関委員 もう一回聞きますよ。  層理がなければ断層はない、層理がなくても活断層があるでしょう、その例がありませんかと聞いているのです。つまり、あなた方の認識では、層理乱れがない、層理がない、よって活断層がない、こう言っているわけです。しかし、活断層すべてそうですかと私は聞いているのです。層理がなくても活断層の地帯があるでしょう。その例は幾多もあるでしょう。例がないのですか、あるのですか。知らないのは、ないのと同じじゃありませんかね。知らないなら知らないと答えてください。
  24. 倉本昌昭

    倉本参考人 一般に明瞭な層理が認められるところでは、これは海底の場合にスパーカーによりまして断層構造判断が非常に容易であるわけでございますが、まだ十分固まっていない、未固結の地層の場合には、これは十分注意して判定をしなければならないということでございます。しかし、この未固結の地層において実際に断層構造がある場合には、その下にある地層が固結した状態である場合には、当該下位地層にも断層構造が認められるのが通例でございます。したがって、未固結の地層下位地層において断層構造が認められなければ、未固結層において断層構造はないということになります。  今回の調査においても、このA層は現世の堆積物でございますし、B層はこれも半固結堆積物でございますが、スパーカー方式による調査の結果、第四紀層地層断層が認められなかったということで、また、その下位地層でございますところにも明瞭な平行層理を有する第三紀層C層がございまして、ここにも断層構造が見られなかったということから、このA層及びB層には断層構造がないというぐあいに判断をしているわけでございます。
  25. 関晴正

    関委員 どうも、まだ返事が不確かです。言うなれば、層理が認められないから活断層がないとあなた方判定したのでしょう。では、層理がなければ、すべて活断層でないということになっているのですかと私は聞いているのですよ。ところが、層理がなくても活断層の例があるでしょう。事業団が知らないというならば、科学技術庁政府の方で答えてください。知っているでしょう、あなたの方で。陸上でも海底でも、どちらでもいいですよ。層理がなくても活断層だという例はあるでしょう、ないのですか、その点だけ答えてください。
  26. 倉本昌昭

    倉本参考人 そういった活断層があるかないか、私も不明にして知らないわけでございますが、大体こういう層理が認められない場合には、その断層構造判断がやはり非常にむずかしいということで、そういったことについては十分注意して判断する必要があるということでございます。
  27. 関晴正

    関委員 全然、聞いていることに答えてないですよ。知らないと言うのだから、この人に聞いたって答えが出てこないから、科学技術庁の方で答えてください。層理がなければ活断層ではない、こう言うけれども層理がなくても活断層の例が幾多もあるでしょうと私は聞いているのです。あるかないか、答えればいいんです。言ってください。
  28. 倉本昌昭

    倉本参考人 未固結の地層の場合には、そこのところの断層というのは判断が非常にしにくいということは、先生がおっしゃったとおりでございますが、ただ、この末固結の地層の場合に、実際に断層構造がある場合には、その下にあるほかの層においてこの断層が認められるのが通例であるということでございます。
  29. 関晴正

    関委員 私の質問に答えてくれませんか。層理が認められなければ活断層ではない、よってここにあるものは活断層ではない、これはわかりました。そのお話はわかったのです。そこで、一般的に層理がなければ活断層ではないということが定義として成り立つのか成り立たないのか、知らせてください。層理がなくても活断層の例はあるでしょう、こう言うのです。そうすると、定義は成り立たなくなるでしょう。あるかないか、答えてくれと聞いているのです。科学技術庁の方で知っているでしょう。いままで、幾らでも原発の調査活断層論争をやってきたのだもの、知らないことはないよ。答えてください。参考人は知らないのだから、知っている方、答えてください。あるでしょう、例が。
  30. 高岡敬展

    高岡政府委員 ただいまの御質問は大変専門的な御指摘でございますが、いま原子力船事業団専務理事からお答え申し上げましたように、その問題の対象に考えております層に活断層があるかどうかということで、そこの層の層理乱れがあるかどうかというのが一つ判断でございますが、それと関連いたしまして、そこが未固結層ということで非常に判断がむずかしいという場合には、専務が申し上げておりますのは、私の理解では、その下の層に層理乱れがあるというのがその活断層の特徴といいますか、そういう一般的な通性がある、そういう判断に基づいて、この場合には活断層がないという判断をしたということでございます。  でございますから、先生の御質問の、ある特定の層に活断層といいますか、層理乱れが必ずしもない場合であっても、その近くといいますか、活断層がある場合があろうかと思いますが、それはその下の層の層理乱れがあるかどうかということで判断ができるものだ、今回の事業団調査判断というのも、そういうことを含めて判断したものというふうに私は理解しております。
  31. 関晴正

    関委員 それでも、層理有無によって活断層のあるなしが必ずしも断定されるものではない、そういう意味お答え局長からいまありました。ただし、この場合はそうでないのだ、こう言っているだけの話ですね。  そこで、海上保安庁の方がお見えになっているかと思いますが――来ていなくても、さきの議会において、海上保安庁水路部測量課長が、あの地域におけるエアガン方式による測量の結果、明確に断層はあると答弁されてきているわけです。これは二度答弁がされてきております。そういう意味で、その断層場所はどこにあるのか、その断層活断層であるのかないのか、これは第四紀層であるのかないのかによって決まる。しかし、あなた方も御承知のように、あの地域一帯は第四紀層でしょう。B層というのは第四紀層でしょう。C層D層は第三紀層でしょう。C層D層の上にB層がある。B層の厚さは相当な厚さですよ。薄いところもあるけれども厚いところもある。そういうような海底断層が見られると、海上保安庁においては言っているわけです。  東京東北電力スパーカー方式によると、そこには断層はない、したがって活断層はない。そうして、その理由とするところのものは層理が認められない、こう言っていますよ。しかし、あなた方も知っているように、B層というのはいわゆる未固結あるいは半固結、固まっていない層ですよね。こういう固まってない層には層理も出てこない。一たん活断層が発生して、一時的に乱れが出てきて、あるいは破砕帯あたり乱れが出てきていても、年月を経ることによってまたもとのような姿に見えてくる。それは、水分を含んでおるところの泥質の層の特色でしょう。ですから、こういう泥質の層においては層理が認められないというのは、これは初めから認められないのでしょう。ないのですもの。ないものに認められないと言うて、活断層は認められないという判定の仕方に重大な疑問があるわけです。そういうことで、あなた方の方は認められない。言うなれば、湊学者に診断してもらってわれわれにお答えしておる。  ところが、「日本活断層」という権威ある公開されているところのこの活断層によりますと、疑問点じゃないのです、この下北半島にあるところの活断層の示されている姿というのは。確度1、確度2、確度3という示し方があって、ここは確度1なんです。紛れもない活断層だと断定しているのです。そういう四十名の学者が集まり、多額の国費を使って調査して公表されているものです、これは。この公表されているものに、百キロにわたる活断層が明示されているわけですよ。だから、これが活断層ではないなんてあなた方が言うことは、貝塚先生を初めとする四十人の学者の調べたこの重要な結果に対して挑戦していることなんです。  それほど挑戦しても自信があるというならば、そのデータを出しなさいと言っているんだ。幾らしゃべってもあなた方の方は、電力会社が出すことを拒んでいるからできません、こう言うのでしょう。国は電力会社の家来ですか。電力会社が見せなければ、見なくてもいいということになるのですか。ホトトギスじゃないけれども、「鳴かざれば鳴くまで待とうホトトギス」というのもあるし、「鳴かざれば鳴かせてみようホトトギス」というのもあるし、「鳴かざれば殺してしまえホトトギス」というのもある。東京東北電力が貸せないと言うならば、ぜひそれは貸してくれなければ困ると言って借りてくる方法、貸すまで待つ方法、貸さなければそんなもの相手にしない、独自に調査をする方法があるでしょう。  そういう点についてこの間長官は、学者が両方あってけんかするのも適切でないから、踏み込むのが大儀だという話をしている。これはやはり長官、考えを直してもらわなければならぬのじゃないかと私は思う。この点について長官はどう考えているのです。なお東京、東北両電力会社が貸さないことをよいことにして、活断層は認められないという方針を堅持していくつもりですか。お答えください。
  32. 安田隆明

    安田国務大臣 関先生から、この前非常に専門的な御質問がございました。私も考えてみますると、関先生が非常に御心配になるということを私も十分理解するわけであります。関先生が非常に心配されると同じように、電源立地を計画する者はより心配し、慎重でなくちゃならない。こういうことで、電力会社の資料、同時に科技庁がいろいろ集めました調査資料等々、私も見せていただきました。  まず第一には、一体どのような調査をしたのですか、かくかくの調査をいたしました。断層原図を見せてください、これも見ました。そして、いろいろとこれを検討してみると、そこに専門的な問題が出てまいりました。いわゆる第四紀層、二百万年ですか、こういう層の中にどのような一体反応がとらえられるのですか。そして、いろいろ事情を聞けば聞くほど全くこれは専門的なことで、見識あるわが国最高の地質の専門家がここで寄り寄り検討した結果かくかくです、こういうことですから、これは関先生の御意見とすれ違いになるのじゃないか。そうすると、関先生が知見しておられるその知見と、専門家のこちらの知見と、これはお互いにここで表へ出して論争すると、私は、この前たまたま関先生がおっしゃいました信用調査の問題と同じような立場に置かれてしまう。これは物議を醸すことはなはだしい。  私は最終的に、いろいろと専門家がそのような知見のもとに、技術的にこれがどのような連動をもって地質の中に波動するものであろうかということ等々を承ったところが、なるほどそうか、それではやはり、関先生が御心配になっておられますけれども、より以上に、国民、地元に迷惑をかけることなしに立地者、設置者としては、万一の場合の損失、迷惑を考えた場合には、これは本当に関先生以上にその責任は重い。その当人がこれでいけます、そして今後法的手続においてここでさらに審議をしていただきますから、こういうことで、私はしからば了承、関先生にもそのように御了解をいただきましょう、こういうことで別れたわけであります。どうかひとつ、そういう意味において御了解をいただければ、こう私は思っておるわけであります。
  33. 関晴正

    関委員 いまの大臣の答弁にはまた次に申し上げますが、ちょうど海上保安庁測量課長さんがお見えになったと聞きますから、海上保安庁の側にひとつお答えをいただきたいと思うのです。  それは、あの下北半島の沖合い三キロの海底を走っている地層調査の結果によりますと、明らかに断層はある、こういうことでのお答えがあっているのですが、その後また調べて断層はないというようなことにでもなっておるのかどうか、その点お答えいただきます。
  34. 佐藤任弘

    ○佐藤説明員 海上保安庁は、昭和四十七年に調査をいたしまして、その結果をもとにいたしまして、大陸棚の海の基本図に海底地質構造図というものを刊行しておりますが、その構造図には断層が記載されております。その後、特に訂正はございません。  ただ、当庁の地質構造の調査は、エアガンによる反射法の音波探査でありまして、断層の存在というのはわかりますが、堆積層の年代については調査しておりませんので、それが活断層であるかどうかについては判断いたしておりません。
  35. 関晴正

    関委員 お聞きのとおりです。海上保安庁調査によれば断層はある、その断層活断層であるかどうかまでは調べていないというところから来ているこれは答弁なんです。この海底が第四紀層であることは間違いなしでしょう。そうして、断層があるということになったら、これは活断層は明確でしょう。それを否定するためにどれほど努力し、どれほど苦労してこうしたものを出したかわからないのです、私に言わせれば。初めに活断層ありでいけばあるんだけれども、初めに活断層なしで進んでいるから、ないようにないようにという理屈を立てたんだろうと私は思うのです。推定ですよ。  そこで、きのう私のところに説明に来た方が、海上保安庁でさえも、調べた結果もう断層はないことになっている、五十六年の印刷物に明らかだ、こういうお話をされました。このお話は本当なのかうそなのか、何を指してそう言ったのか、ここで明確に答えてください。
  36. 倉本昌昭

    倉本参考人 ただいま先生お話にありました点は、確かに、昨日私の方から御説明に参りましたときにお話し申し上げました中に、水路部の方も前の時点より後、最近またいろいろ新しい方法を使っての調査もやっておられる、またそのリポートも、昨年でございましたか、出ておるというようなことをお話し申し上げたわけでございますが、それはやはりいまのお話しになっております海域よりも、南の方のところのものでございます。その辺が前のものと比較をしてどうであったかというところまでの検討は、私どもとしてはいっておるわけでございませんけれども、そういう新しく南の方についていろいろ調査を行っておられるということをお話し申し上げたということでございます。
  37. 関晴正

    関委員 ひどい話じゃありませんか。下北半島の東方海上三キロの沖合いに百キロの活断層が走っておる。その百キロの南の方には活断層が走っているとは私は言ってない。その走ってないところの海上保安庁調査を持ってきて、五十六年の調査によれば海上保安庁だって断層がないと言っているのですよというお話を出すわけですよ。それはびっくりしますよ。さきの調査というものは、それではでたらめであったのかということでびっくりします。  これが権威ある、言うなれば原子力事業団の一番の幹部にある方々が私のところに来て言っている話なんです。だから私、いま言っていることがいかにでたらめであるかということの例で申し上げた。活断層のあるところを調べた結果やり直しをして、あたかも海上保安庁の方では今度は断層が認められないというふうにレポートを出していると言っておった。ところが、活断層の図示されていない、示されておらない南の方をはかって、ない話を持ってきて、ないと言ったって、これはあたりまえの話でしょう。こういう子供をだますような話をして、科学の話をいいかげんにされるということになると、私は困ると思う。  大体、こういう精神の持ち主の者どもが当たっているから、ろくなことがない。東京、東北電力会社で調べて、自信と確信があるならば見せたらいいでしょう。なぜ、見せないことを合法化していくのです。見せないのがけしからぬと思いませんか。見せないのがあたりまえだと思いますか。これは井上理事長に聞いておきましょうか。続いて長官に答えてもらいましょうか。  見せられません、見せられません、そうして借りてきて、これほど論議して、もう一年以上たつのですよ。そして権威あるものとの対決もしないで、今日なおその生データを出せと言っても出さない。これで、わかりました、もっともでございますということになるのですか、ならないのですか。理事長、どう考えています。
  38. 井上啓次郎

    ○井上参考人 先生の御指摘は、私は非常に大事な御指摘だと思います。いまの生データの上に立って判断をしているわけでございますので、その生データを出さないというのは、これは事業団の都合ではなくて、電力会社がいま御承知のように計画しております。そういうふうな意味で、その範囲において現段階で出すことは控えたいと申しているのでございますので、私どもそれは、これは借り物ではございますけれども、その線に沿って判断をし、しかし、われわれは最終的には国の安全審査を受けなければいけません。それには、それ相当のデータをつけて御判断願うようにいたしておりますので、その点、先生の御指摘は非常によくわかるのでございますが、事業団の立場といたしまして、いま言うような順序で進んでいかしていただきたい、御理解願いたいと思います。
  39. 安田隆明

    安田国務大臣 よく事情は私わかりました。いま資料の提出につきましては、先ほど私申しましたとおり、お互いに権威ある、いわゆる両者の関係においてこれを云々するということは、これは物議を醸す、いろいろな信用問題にこれが連動してくる、これは私は関先生も御了解していただきたいと思います。  ただ、私は、こちらの方にしかと申しておきます。それは、安全審査、第三者機関が今度審査に入りますから、そのときにはこの活断層の問題については、ひとつ審査に十全を期するようにと、これは私は御園生さんにもしかと言っておきますから、その点はひとつ御了解願いたいと思っております。
  40. 関晴正

    関委員 今日原子力行政というものは、自主、民主、公開ですね。この自主、民主、公開の原則に照らして、これは妥当ですか。長官、どうです。
  41. 高岡敬展

    高岡政府委員 関先生御案内のとおり、いま御指摘がありました原子力についての自主、民主、公開の原則が、原子力の平和利用を担保するということの方法としまして明記されておるわけでございます。ただ、これも御案内のとおりでございますが、いま問題の公開につきましても、これは成果の公開ということでございます。そういうことで一つ枠が入っております。  それから、私どもの考え、内閣法制局を含めての判断でございますが、公開にも、ある段階で義務づけられる公開というのがあるというのが一つと、それから企業機密あるいは外国との条約その他の制約に基づいて公開できないという、そういう制約を認めた上での公開の原則というふうに考えておりまして、今回の問題につきましても、東京電力東北電力データでございますので、所有者といいますか、そういう資料をつくられました側で御了解いただければ公開できるわけでございますけれども、それが今日までの状況で、私どももそれから事業団も、十分努力いたしましたけれども実現できないという状況でございますので、先ほど長官が申し上げましたように、安全審査の段階で専門家の検討を十分やっていただいて、その上で、判断もとになりました資料の公開につきましても、手続を踏んで処理をしていくということにさせていただきたいということでございます。
  42. 関晴正

    関委員 安全審査にかかるまで予算もストップ、事業もストップというならばわかります。幾らでも待ってあげてもいいですよ。しかし、予算は執行していくでしょう。事業は推進していくでしょう。そうして安全審査会にかかったときに、いや大変な活断層がある、そうなったらどうするのですか。それまでかけた金がみんなむだになってしまうでしょう。こんなわかり切ったことをなぜ、なお東京、東北両電力会社の出さないことをよいことにして、事を運ばなければならないのですか。「日本活断層」で示されているのは、下北半島三キロの沖合いには二百メートルものがけがある。そのがけが百キロにもわたってある。だれが見たって活断層だと言っている。それを活断層でないと否定するのに、どれほど躍起になって、頼んでそういうような表現をするようにしたのかはわかりませんよ。  そうして、先ほどB層という泥質の地帯、この泥質の地帯に層理が認められないから活断層はないんだといって、教えを受けてきたのでしょう。だが、層理がなければすべて活断層ではないのかということになると、そうではない。層理がなくても活断層の例が幾多もある。知らないことをいいことにして、層理が認められないから、活断層を示唆するような層理がないからといって、そうしてわれわれにそれを報告して、知らないわれわれはそうかなと思っている。ところが、層理がなくても活断層の例というのは幾多もある。  あなた方の「青森県下北半島東側海域音波探査記録解析について」というこの中を見ますと、いずれも、A層において、B層において、C層において、D層について、それぞれ地質の説明をしております。そうして、B層においては、「本層は泥質ないし砂質の未固結~半固結堆積物で構成され、その地質時代は第四紀更新世と考えられる。」と、明らかにB層というものは第四紀層だと言うているでしょう。そうして、ここでは未固結ないし半固結の堆積物だとも言ってある。そういう未固結、半固結の堆積物には層理はあらわれない。層理のない層を見て、そこに層理がないから活断層は認められないと診断したらしい。  ところが、C層を見ると、「本層は明瞭な平行層理を有し、」D層になると、「無層理塊状の部分と層理を有する部分とから成り、」こうある。相当調べていますよ、本当なのかどうかわからぬけれども。信頼するわけにいかないんだから、見せてもらえないんですから。だが、それでもC層D層については、明瞭な平行層理があるとか、あるいは無層理塊状の部分と層理を有する部分とがD層にあるとかと、こう言っている。  肝心のB層になると――ここは最も肝心の層ですよ。ここにはそういうような層理の展開がないんでしょう。展開しようにも、そういう層理がないような性格の地質でしょう。その論でいくならば、このB層には断層もなければ活断層もないということになっちゃうんです。その論理が正しいのかどうかということにかかってきていると思う。  そうなるというと、活断層研究会の方では、二百メートルのがけっ縁があるんだ、そのがけっ縁のがけの上にもB層がある、がけの下にもB層がある、これを見てなお活断層でないと言うのは大変な作為ではないかと言っている。作り事ではないかとさえ言っているんですよ。電力会社がなぜ資料を出せないのか。作り事をしているからなんでしょう。そうでないと言うのなら持ってこい。権威ある人に見てもらってください。  そうして、安全審査までに間に合いますというのは、これから何を間に合わせるんですか。修正するか、ごまかすか、資料をつくりかえるかでしょう。余裕を与えると何をするかわからないんだから、悪人というのは。証拠隠滅のおそれ多分にあるから、逮捕だとか警察だとかといってつかまえてやっているわけです。野放しをいいことにして、そうして所有物だから見せられないということをいいことにして、真剣に論議しているこの場所に進んで示そうともしないということは、これは問われれば困ることがあるに決まっているじゃありませんか。もしそうでないというなら、胸を張って見せたらどうです。  これは企業の秘密になりますか。これによって東京東北電力が何か中国電力会社に負けるような原因をつくりますか。見せられないという理由は何です。正しくないからですよ、作り物だからですよ、にせものだからですよと言いたくなる。なお時間をかせ、安全審査、その際見せます、ばかなことを言うなという気になりませんか、長官。  私は、あなたが中川君とかわって、今度新生の気に燃えて科学行政をやろうと思って立っているから、権力政治家の中川とあなたは違うと思っている。そういう点から、まじめに科学行政の基本を確立したいと思うなら、電力会社何だ、こう思いませんか。電力会社に笑われていると思いませんか。恥ずかしいと思いませんか。なめられていると思いませんか。私が科学技術庁長官なら、持ってこい、早くみんなに出して見せてやれ。いいものならば、だれが見たって同じじゃないか。なぜそれが言え、ないし、できないのです。見せたときに、とんでもないことがあらわれれば困るからと思っているからでしょう。そうでないというなら、見てもらったらどうです。見せてくれたらどうです。柏崎の原発の問題で、安全審査にかかる前に見せていただきましたよね。見てくれましたよね。柏崎のときはできて、いまはできないのですか、答えてください。
  43. 倉本昌昭

    倉本参考人 東京電力が柏崎の原子力発電所立地にかかわりまして、地質、地盤関連の生データを安全審査の前に地元へ公表された経緯があるということは聞いておりますが、本件につきましては、東京電力及び東北電力が将来の原子力発電所の国の安全審査に備えて行っておりますので、現時点では資料の公表は差し控えたいという非常に強い御意向でございまして、私どももいろいろお願いはしたのでございますが、この点御理解がいただけなかったということでございます。
  44. 関晴正

    関委員 長官、よく聞いてください。安全審査会に見せるまで待てと言うのだけれども、審査会の前に見せた例がある。ところが、その品物が大変なずさんなものであった、大変な偽りのものが中にあった。こりちゃったわけですよ。また見せたらやられるなと思っているんじゃないかと私は思うのです。こんなことでどうします、科学行政というものが。  しかも、青森県の下北半島には百万キロワット、二十カ所でしょう。二千万キロワットですよ。そうして、おまけに大間に新型転換炉でしょう。あと三十分あるから、今度は新型転換炉に入りますが。その上、再処理工場まで考えているんでしょう。関根の浜にはやらない、こう言っているけれども、やりたがっていることは確かですよ、青森とか下北のどこかに。その上、原子力船の母港なんです。それに質は違うけれども、今度は三沢にはF16ですよ。そして、あの備蓄タンクでしょう。むつ小川原開発と言って何の開発にもならない。工場をつくると言って小屋をつくっている。ただの小屋じゃない、油小屋ですよ。さんざんに痛めつけられているんです、青森県というところは。青森県にろくな政治家はいないですよ。何でも上の言うことを聞く者ばかりだ。田中軍団の家来ばかり。情けないですよ、私は。  そういう意味で、いまとにかく、走っている活断層について権威ある学者が、確度に疑問があるんじゃないんだ、確度1なんだ、そうして二百メートルもがけがあり、それが百キロも走っている、これを活断層と見ずして何と見るかということに自信を持って言っているわけですよ、片一方は。  あなた方の方は、層理はない、層理はない、こう言うて、活断層は認められない、話はここまで来た。だから私は、そういう層理がないとすべて活断層ではないという論理は立たないんだ、含水比の多いところの砂泥においては、泥質地帯においては成り立たない。見たいと言ったって層理がないんだもの、しまがないんだもの。層理というのはしまのことですよ。泥にはしまがありませんよ、泥をこねくってみたらわかるでしょう。そういう表現で言えば一番ぴんと来るんじゃないですか、私は学者でも何でもないけれども。  そういうようなことを考えると、ここに百キロも走っている。百キロにわたって調べてみたらいいじゃないですか。電力会社の陰に隠れて行政が行われなければなりませんか。まだまだ時間はかかります。関根の浜は、八百億かかるか千億かかるかわかりませんよ。補償の問題だって、この間私が言ったとおり、六億と出したものが近く十二億と出したってお断りするでありましょう、こう言った。そういう六億が倍になって十二億にでもしようものなら、五億、六億かければこの調査が完全にできるでしょう。完全にした上で安心して、なかったからやろうじゃないかと言ったら、何とさっぱりすることでしょう。  そういうことを思うときに、今度は交渉においてもあなた方お手上げしたでしょう。六億から三億足して九億にした。九億か、そんな安い金でとお断りを受けた。この次は十二億にするのでしょう、きっと。その次は十五億にするのでしょう。その次は十八億にするのでしょう、きっと。それでもこれはおさまりません。そこであなた方は手を上げて、青森県の北村知事にあっせんしてもらうようにお願いしたでしょう。何です、この姿は。活断層の調べは人の借り物、補償のやり方は今度は自主的にできなくて人にお願い、他力本願じゃないの。  どこまで進むのかわかりませんけれども、私はそういうところにかけられる金を考えるときに、それならばこの地域の将来のためにそのくらいの調査はまず国がしてみようじゃないか、貸しちゃならないという電力会社の下敷きになって国会でいじめられているよりはよっぽどせいせいする。何です、五億、六億の金。われわれから見ると大変な金だけれども、六億の補償が直ちに九億になり、やがて十二億になり、恐らく二十億、三十億まで進むだろうと思う。むつ小川原の開発だって補償金がまた大変で、ここにもまた金が生み出されていくであろう。そのときにすべて活断層がまた理由になる。そういう意味では、すっきりした調査を国がやるのが一番得策ではないか、私はこう思います。  借り物で安くやろうと思ったが、近道を回って損したということもある。また、急がば回れという言葉もある。そういう意味でひとつ長官、わかった、国の力でこういうようなことはちゃんとする、人様に迷惑をかけるようなことはしないでやる、この一言はできませんか。検討するということはできませんか。
  45. 安田隆明

    安田国務大臣 私は、この前質問を関先生からいただきまして、早速この問題に取り組みました。私のその姿勢は、関先生の知見、これに基づいてわれわれが調査するとするならば一体どうなるのであろうか、そこから入ったわけであります。だから企業サイドの調査、これに基づいて、そうしてわれわれの知見である、こういうふうな判断に立つ前に、われわれの手でもって、事業団の手でもってひとつ精査する、こういう姿勢もしかるべきではないか、こういうことを私は検討いたしました。そして、いろいろ図面を広げて、一体いまやった調査はどうか、これをやってみますると結局同じ調査をやらざるを得ない、やるべし、こういう結論に達したわけであります。だからして、いわゆる企業サイドの調査即不安定なもの、私はこういう理解の上に立ち得ない、これはひとつ関先生に御了解を得ましょう、次にこれを皆さん出しなさい、こう申しているわけであります。  ところが企業サイドの方は、これは待ってほしい、こう拒んでいるわけであります。これは隠すのか、いやそうではないんです。私もいろいろなことをやってまいりましたけれども、こういう問題に入ると、片一方の知見、いわゆる関先生が持っておられる権威ある知見、そしてこちらが持っておる権威ある知見……(関委員「どうだかわからないよ」と呼ぶ)これを事前にいろいろやりますると、これは相当な物議を連鎖発生する、そういう懸念を私は選択せざるを得ない、こういうことで関先生に何としてもこれは御了解を得ざるを得ない、こういう私の判断に立ったわけであります。  そしていまほど、ふがいない、知事のあっせんに云々ということになりました。これは全力をふるって、事業団はいま御協力の要請に入っていることは事実であります。しかし、私も同じような調査にたくさん入って、地方行政の中でやってまいりましたけれども、やはりその現地の問題は知事、議会、皆さんの協力を仰ぐということで、そういう手法はあり得る――ふがいないと私は思いますよ、先生御指摘のように。しかし、これはある極限、限度に達したときは、知事さんの出番を求めるということも行政としてはあり得る、こういうことでひとつ御了解願いたいと思います。
  46. 関晴正

    関委員 私は、補償の問題も活断層と大変関係があると思う。関根の浜の諸君たちは、関さん、あの後活断層はどうなったと聞きます。うん、まだ見せないんだよ、東京東北電力にしがみついたまま自主能力を持たないんだよ、いま事業団というのは。そのうちに、補償金の問題でも、きっと投げて北村君のところに頼みに行くんじゃないかな。私が言ったとおり進んでいるわけですよね、長官。しかし、北村知事に頼んだからといってうまくいくかというと、必ずしもうまくいくとは思いません。多数決でいけばいくかもしれません。  しかし、あそこは、何の漁もしない者もわざわざ組合員の資格を持つようなことを、無理な多数決でまたやりましたよ。一年に二十日も昆布とりに出れば、あと全然漁をしないでいる者たちもみんな組合員にして、いま来る補償を山分けしようじゃないかといって態勢をとっていますよ。本当に三カ月以上漁民として船を持ち、漁を営んでいるというのはわずかしかいない。しかし、そのわずかしかいない諸君たちは反対なものだから、この反対の諸君をつぶすためには資格のない者に資格を与えて、この間は三分の二に至らなかったものだから、今度は三分の二づくりにいま入っています。情けないことです。  こっちは金持ちだから、何ぼでも金出すものだと思ってやっているんでしょう。あったら幾らでも出してあげてください、出すなとは言いませんから。ただし、国政ですから、こういう活断層調査なんというものは出すべきものでしょう。そしていま、長官が同じことをやるんだ――同じことをやらなきゃいいでしょう。ボーリングなんか何にもしてないんだから、東京東北電力は。  いま日本は、何千メートルまでボーリングできますか。二千でも三千でもできるでしょう。地熱発電なんということからいくと相当なものですよ。海上のボーリングだって、わが国の技術は世界に誇り得るものでしょう。何です、ここを掘ってみることぐらい。電力会社と同じことをするという気持ちだからだめなんです。もっとりっぱなことを言っている人はたくさんいるんだから。この活断層研究会で苦労したところの貝塚先生なんかにも来ていただいて、貝塚先生が言っているのです。両者の意見が合わないというなら、ボーリングしてはっきりしたらどうですかと。まことに簡単なことでしょう。五億も六億もかかりませんよ、それは。  まあひとつ、いま返事しろと言っても、長官もしてしまうというと、後でまた取り返しのつかないことがあれば困ると思って心配しているでしょうから、きょう終わったらよく考えて、この次の委員会にはもっといいことが言えるようにがんばってください。私は、いまあなたに期待しているのです。それは、いま新しくここになった科学技術庁長官の新生の気があるから、期待して言っておるのです。そういう点で、がんばっていただきたいと思います。  新型転換炉の話に入りたいと思います。  どうも両角総裁、長くそこにお座りになっておったのですが、手っ取り早く聞きます。基本的な話もしたいと思いますけれども電発がこの新型転換炉を手がけることになって、そうして事を進めようというところに至ったようでありますが、総裁はいろいろと世界を回って歩いていますね。何か今月で、あとおやめになるとかということも聞いているわけです。おやめになる前、最後の御奉公ということで、とにかくがんばっておられるだろうと思いますが、あなた、この国会に出るのも恐らくきょうで終わりになるのじゃないだろうかと思います。  あなたが、わが青森県に四月の十四日に来て、新型転換炉の仕事を引き受けることになったからよろしく、そうして知事に出した文書、それから町長に出した文書、一般的にわれわれに出しておる文書、それぞれに特色があります。一般的にガリ版で出しているものによりますと、大間は適地と考えるので調査をしたい、それから知事の方には、適地のための調査をしたい、大間の町長に対しては、これまでの調査によると適地を否定するようなものが見当たらないので、ぜひ調査を進めて御協力をいただきたい、こう言っております。  あなた方は、ここに相当な金をかけて調査をしている。その結果――何を調査したかわかりませんよ。どこをどう調査してきたのかわからない。少なくとも、見たところ、適地だということについては、いま申し上げたような下北半島の活断層についてのお調べはされたのですか、されてないのですか。この後、それにも取り組むのだという考えがあるのでございますか。どうせ長く座っていない総裁でしょうから、おる間にひとつその辺は、世界を回ってきた人でしょうから、きちんと見解を示してくれないでしょうか。  それから、あなたが受け持ってやろうというこの新型転換炉というものは、どういうものなのか。これが、いま日本がやらなければならないものなのかどうか。あなたは、やれと言ったからやるのだ、こう言っているのだけれども、あなたはこれは大分願ったのでしょう。何だか、新型転換炉花道引退のおみやげなんという記事も私、見ましたけれども、では電発がこれを相当に願ったのか、そうも思うのですが、そういう意味において、お引き受けすることにおいての総裁の新型転換炉というものについてのお考え、それをひとつ御披露いただけたらいただきたいと思います。
  47. 両角良彦

    両角参考人 電源開発株式会社といたしまして、大間地区に新型転換炉の建設のための立地調査を過去三年間継続をしてまいりましたし、これからも継続をいたすつもりでございますが、先ほど来お話に出ておりました下北半島周辺海域におきます断層の問題は、私も大変重大な関心を持って承ったところでございまして、今後当社が地元の御協力を得まして進めてまいりまする各種の調査の結果に対応しながら、ただいまの点との関連において十分慎重に検討を加えたいと考えております。  なお、当社が新型転換炉を引き受けるゆえんという点についてのお尋ねでございますが、私どもは国策会社でございまして、政府が国産の技術として開発をされました新型転換炉の原型炉をさらに実証炉にまで進めたいという御要望があり御判断がありまして、それを受けまして当社の性格上政府に御協力を申し上げるのは当然の責務である、かように考えておる次第でございます。
  48. 関晴正

    関委員 お答えの中に、これまでの調査によって言うなれば適地と判断する、適地を阻害するようなものは見当たらない、こういうことを言うているわけなんですが、どういう調査に従ってそういうような一つの線をお出しになられたのか、この点もひとつお答えいただきたいと思います。
  49. 児玉勝臣

    児玉参考人 お答えいたします。  電源開発会社といたしましては、五十七年の六月から適地調査を実施しております。適地調査というのは、炉型を限定いたしませんで、原子力発電所を設定する上におきまして最低限どの程度の条件が満たされればいいかということの調査と思っていただければいいのではないかと思いますが、一つ地形調査地質調査、地震歴の調査それから気象調査、海象調査、そういうようなことを実施いたしたわけでございます。これは項目もまだ十分じゃございませんし、それからその測地点もまだまだ十分でない点もございまして、そういうこともありまして今回立地環境調査ということで、もっと細かい調査をさせていただくようにお願いをしているわけでございますが、そういうことで非常に限定された項目と限定された地点においての調査を行ったということでございます。  それで、地質調査でございますが、地質調査につきましては、これは国で定められました、要するに安全審査会で定められました調査方法というのがございますので、それに一応のっとった形で作業を始めております。これは全部終わったわけじゃございません。それで、参考文献の収集とかサイト内の地質調査とか海底地質調査と、これも非常に限られた三カ地点の浅海部と、それから大間崎周辺の津軽海峡の海底調査、これはスパーカーによる物理探査をやっております。
  50. 関晴正

    関委員 スパーカーによる調査の話が出たのですが、この海底調査の際に活断層は見られたのですか、見られないのですか。
  51. 児玉勝臣

    児玉参考人 その詳細については私まだよく認知しておりませんが、報告によりますと、わずかながらのいわゆる断層は認められる、もうちょっと精緻な調査をこれから実施する必要があろうというふうに聞いております。
  52. 関晴正

    関委員 向こう二年間の調査の上で提出するということなんでしょうか。この調査は、即設置決定というようなものなのか、ものでないのか、これをひとつお答えください。
  53. 児玉勝臣

    児玉参考人 立地環境調査は、電源開発調整審議会にかけます前のいわゆる環境審査に提出する資料の収集と、安全審査に基づきますいろいろ技術的ないわゆる詰めのためのデータの収集、その二つのためにこの調査を実施するわけでございます。したがいまして、その安全審査、環境審査を通じましてこの立地が確定されるということでありますので、これがもう直ちに建設につながるというものではないと理解しております。
  54. 関晴正

    関委員 そうあってほしいと思うのです。調査に入ったから、もう決定なんだというふうに思っている向きも大分ありますので、これはあくまでも調査である。  実は、大間の町長あるいは大間の町議会は、もともとあそこに原発を誘致したい、こう言っておられる方向です。だが、ここには非常に漁業の盛んな佐井の村、そうしてまた同様に漁業一筋に生きている風間の村があります。漁業の盛んな風間浦、漁業の盛んな佐井、その突端に大間がある。大間の行政は余りよくないものだから、漁業よりもこっちの方がいいと考たようです。  ところが両漁協の皆さんは、排水口を風間浦の諸君は佐井の方につけてくれ、佐井の方の諸君は風間浦の方につけてくれ、こう言っておるのです。どっちへつけたって、潮の流れは公平にあちらにもこちらにも行くんだけれども、せめて自分のところには排水口だけはごめんだ、こう言っておるのです。おれの方に流れてくるのはごめんだと言っていますよ。これについては、この三年間にどんなお話をされておりますか。
  55. 児玉勝臣

    児玉参考人 ただいま先生がおっしゃいましたような御意向が地元からあるということは、われわれも十分知っております。そういうことで、海象の一般的な調査はいたしましたが、さらに海生生物調査ということで、そういう調査につきましては今後立地環境調査の中でやっていきたいと思っておりますし、また、その立地環境調査の進め方についても地元の方々、特に漁協の方々と、どういうような方法でどういうような調査をするかということについても、十分御相談の上でやっていきたいと思っております。その上で、いろいろと御相談をしていきたいと考えております。
  56. 関晴正

    関委員 これは総裁にお答えいただきたいのです。あなた方が大間は不適地とするような条件は見られないという判断をして、大間にお願いをしよう。両村に挟まれている大間町も両村もいいというのであれば、これは不適地とする条件がないということになるでしょうけれども、両側が困ると言っているのです。不適地とする条件がないなんというのは、何を指して言っているのだろうなと思わざるを得ないのですよ。  これほど重要な、しかも佐井という村は山と海で生きている村です。風間もそうです。そういうところに大間だけは、言葉をかりて言えば、悪いんだけれども行政が堕落しているから、これを持ってくれば金が入ると思う。田中角榮と同じだ。金が入るならば何でもやる。そこの考え方で合わないのです。  そういうことからいくと、これらの漁民との話が何よりもまた詰められなければならない。どちらもあちらならいい、こちらならいいと言うのであれば、これは適地にならないはずなんだな。それでも適地になるのですか。佐井は風間の方へ口を向けろと言うし、風間は佐井の方に口を向けろと言う。いや、私の方に向けてくれてもようございますというところがない限り、事を進められなくなるんじゃないでしょうか。大変大事なしょっぱなの調査でありますから、金をかけちゃってからやめになるなんて言っても困りますので、そうでなくてもこれは金を食う大虫みたいなものだから。ただの虫じゃない、この新型転換は、金食う虫の横綱みたいなものですから。そういう意味からいけば、そのことが先に立つんじゃないかと思うのですが、その点についてどう思いますか。
  57. 両角良彦

    両角参考人 原子力発電所の適地環境調査の協力をお願いを申し上げましたのは、私どもとしては、大間町のほかに御指摘の佐井村及び風間浦村両村長に申し上げております。したがいまして、御協力がいただけるかどうかということの御回答を期待を申し上げておるわけでありますが、私どもとしては、御協力いただけるものと希望を持ってお待ちをしておるわけでございます。  ただ、御懸念がございました排水口の問題につきましては、調査をした後、調査の知見に基づきまして、かつ当社の設計上、レイアウトの技術的な検討を加えました後に、現地の御要望に沿い得るかどうかの最終結論を出すべきものと考えております。よろしくお願いをいたします。
  58. 関晴正

    関委員 それはいつごろになりますか。
  59. 児玉勝臣

    児玉参考人 立地環境調査を進めてまいります上で、逐次そういう問題が具体化してまいるかと思いますので、約二年間ぐらいの間にまとめていきたい、こう考えております。
  60. 関晴正

    関委員 原子力委員長である長官にお尋ねをいたします。  この新型転換炉というものは大変に金を食うのですよね。これまでの原発の建設費等に比べるならば、八割増しだとも言われています。それから、ここから発生するところの電気、計算によると一キロワットアワーが二十五円ぐらいにつくんじゃないか。現在、電発で売り出しているところの一キロワットアワーは十一、二円ですか。そうなると、二倍の高い電気を生産して電力会社に買えということになる。電力会社はそんな高い電気買うわけにもいかない、間に合っている、余っているのだから。その上、送電コストまではまだ計算していませんよね。何のために大間に持っていかなきゃならないのかということを考えると、本当に高い金をかけて、大間の町長がお願いしたから、いま何よりもどこへ行っても反対なんだから、ここの町長さんがいいあんばいに誘致してくれているから行くというだけのものです。  私は、そういう高い発生単価の新型転換炉というものは、やらなきゃならぬものだろうかどうか。そうして、この新型転換炉の性格というものは、余ってくるプルトニウムの対策だ、こう言うのでしょう。余ってくるプルトニウムがどのくらいで、そしてこの能力がどのくらいになるのか、これは担当の方から答えてもらってもいいのですけれども、こんなに高いものをかけて、そうしてもう十年もかけてといううちには、世界の炉の進展、プルトニウムをたく炉の進展というものは急速に変わっていくであろう。プルサーマルの方向が急速に高まっていくであろう。これなら電力会社は賛成ですよね、いまの炉にプルトニウムをたく方式ですから。プルサーマルでいきたいんだ。何でいきたいプルサーマルにいけなくて、新型転換炉を道連れにしていかなきゃいけないんだろうかというのが、電力会社の方に一つあるはずです。  プルトニウムをたくためという大義名分は、何も新型転換炉だけで達するものでもないし、むしろこれが受け持つ能力というものは、期間と量とそうして経費を考えてみた場合に経済的であるかどうか、吟味しなければならないものが幾多あるだろうと思います。今日の行革行政の中で、これほどむだなものはないだろうと私は思っているのです。それでもなぜやらなければならないのだろうか、疑問が幾多あります。  しかし、それらの問題については、いずれまた次の委員会でゆっくりやりたいと思いますが、一言大臣に聞いておきたいのは、つくってもその電気を買うところがない。買うとしても、二十五円ということになると、相当な分を国が負担してあげなければならない。それが条件で、三割、三割、四割の負担ということでやっと調った約束でしょう。大間の外れにこんなものを持ってきて、そうして高い上にまた高い金をかけて、その上買ってくれる者が出てこなくて、利子補給じゃなくて価格補給ということにでもなりましょうか、そんな税金のかけ方をしてまでもやらなければならない意義はどこにあるだろうか。ATRよりもFBRの方が終着駅でしょう。中間駅としても適当であるかどうかという問題があります。中間駅として不適当だというので、CANDU炉の方はやめたのでしょう。私は、同じ理論がここにも当てはまるのじゃないだろうかと思うのです。  まあ、もう時間がないと言っていますので、私は次にまたゆっくり長官に聞くけれども長官だって今度新しく長官になって、あなたがなる前にこれは決められちゃったのだ、中川君のときに決めちゃったのだから。私は、あのときにもここに権力行政があるなと思って、本当は中川さんに質問したかったのだけれども、時間がないままに終わっちゃった。とにかく、新型転換炉論戦というものをこの後ずっとしていきたいと思います。していきたいと思うのだが、長官も、これがいいものだからしゃにむにやろうなんというふうに思わないで、まあ両角総裁にやってくれと頼んでいるのだから、隣にいてそうも言えないかもしれぬけれども、これは両角さんのためにやるわけじゃないのだ。  両角さんは、もう今月でさようならの方なんだから、それよりも日本国民の税金からいって、財政からいって、そうして電力側の何らの要請もないものにくっついていって、電力側も引き寄せて国が三割負担、電発は四割負担でしょう。そんなことまでしてやらなければならぬかどうかということについて、私は大きな疑問があります。そういうことで、この新型転換炉について長官の考えていることがあるならばお答えしてもらえば、次にまたゆっくりやります。
  61. 安田隆明

    安田国務大臣 関先生お話を聞いておりまして、私も実は着任いたしまして、いわゆる今後の原子力炉型戦略という中で、一体そういう過程を避けて通ることができないのであろうか、私も率直にそういう疑問を持ちました。これは、最終的にはまだ七十年、百年たつでしょう、核融合に到達するまでは。しかしその間は、どうしても原子力と人類は共存せざるを得ない。その中で原子炉、いわゆるその炉において出てくるものは何か。これは、プルトニウムというものを一体どうするかということを考えれば考えるほど、やはりこの新型転換炉というものは避けて通れないという決着を見ているわけであります、これは先生にはいろいろ御異存があるでしょうけれども。  だからして私は、本当に新しい高速増殖炉に到達するまでの間、この炉型戦略をやはり組み入れざるを得ない。これはもちろん、人類の避けて通れない一つの炉型戦略である。特に日本の方は、これは御存じのとおりこういう国でございますから、プルトニウムもいわゆる残渣ウランにつきましても、有効にひとつこれを利用していく、こういうことで私は、これは絶対、政策上やらざるを得ない、こういう決断に立ったわけでありますから、御了解願いたいと思います。
  62. 永田亮一

  63. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 放射性廃棄物の問題をずっと御質問申し上げたいと思います。  いままでも言われていることでありますが、昭和七十五年における低レベル放射性廃棄物のおよその累積量の予測はどのくらいになっておりますか。
  64. 高岡敬展

    高岡政府委員 低レベルの放射性廃棄物等につきましては、通常二百リッター入りのドラム缶の本数で推算をしておりますが、いま御質問の昭和七十五年度の時点で、累積で約百八十万本分という量に上ると想定されております。
  65. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 このうち、いわゆる陸地処分、海洋処分に従前仕分けられてきておるのでありますが、その見通しはいまの段階ではどうですか。
  66. 高岡敬展

    高岡政府委員 低レベルの廃棄物等につきましては、御指摘のように、陸地処分と海洋処分と両方組み合わせて対応するということで考えております。  ただ、海洋処分につきましては、せんだってのロンドン条約の加盟国といいますか、締約国の協議におきまして、日本が契約しております試験投棄といえども、いますぐには実施できないという状況でございますので、これにつきましては、関係国の理解を得ながら、できるだけ早い時期に海洋投棄の安全性についての技術的な評価というものが結論が得られまして、理解が得られるということで持っていきたいと考えておりますけれども、先ほど申し上げましたように、いま直ちに実施できないという状況にございます。  それから陸地処分でございますが、これにつきましても廃棄物の処分、つまり放射性廃棄物の中には、安全上、技術的に言いますと非常に不安がないというものもたくさんございますけれども、一般の方々にそれを十分納得してもらって、処分、つまり環境に放出をする、人間の管理の外に置くということについて、いま直ちに理解を求めるということは必ずしもできないという状況にございますので、私どもといたしましては、この面の努力も続けますし、また安全評価のための試験研究なども進めておりますけれども、一方、原子力発電所その他サイトにおける減容化というようなことを進めながら、それにプラス敷地外の集中的な貯蔵方式というものの採用についても、鋭意検討を進めたいということを考えておるわけでございます。
  67. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 つまり、海洋投棄に関しては、ロンドン条約の問題等もあって、いまのところ、さしあたりすぐどうこうということにはならぬが、しかし、中長期的に見れば、やはり海洋投棄はするのだ、こういう考え方に変わりはない、こういうことですね。
  68. 高岡敬展

    高岡政府委員 おっしゃるとおりでございまして、いま直ちに試験投棄といえども実施できないということでございますが、できるだけ早い時期に実施できるように実現をしたい。それで、試験投棄を踏まえまして、本格的な投棄ということに移行するように努力をしたいというふうに考えておるわけでございまして、長期的には海洋投棄というのが、放射性廃棄物の処分の非常に大きな態様の一つであるというふうに現在でも考えておるわけでございます。
  69. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そうすると、昭和七十五年大体百八十万本ぐらい発生するであろうといううちの相当な部分、以前は六割ぐらいは海洋投棄と言っておったわけですが、そのぐらいのウエートでなるべく早く解決をしながら、海洋投棄としては考えていきたい、こういうことなわけですね。  それで、その次に、かなり減容の技術開発が進んで、またそれぞれの施設でも減容の設備を進めていたり、あるいは計画をしたりしていて、実際の低レベルの廃棄物の発生量そのものはかなり減ってきているというふうに思われるわけですね。そこで、実はいまいただいた資料によるのでありますが、沸騰水型原子炉で百万キロワット、標準的なもので一年間に、昭和五十五年の時点でドラム缶にして約五千本の廃棄物の発生があった。しかし五十八年で四千本、六十一年で三千本、六十五年で千五百本くらいになるだろう。これは、それから後はまだ出ておりませんが、これも技術開発の状況によってはもっと減るであろうということのようですね。  それから加圧水型原子炉で言いますと、五十五年で千七百本くらい、五十八年で千三百本、六十一年で九百本、六十五年で三百五十本、こういう大体の見通しについて資料をいただいているわけでありますが、およそこういうことであるわけですね。簡単で結構です。
  70. 高岡敬展

    高岡政府委員 いま御指摘ありましたような原単位と申しますか、沸騰水型、加圧水型の百万キロの発電所当たりの発生量は、そういうふうに減容化が可能であるというふうに考えております。
  71. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 僕は、プラスチック固化なんかがどんどん進んでいくと、もう少し減るのではないかなという感じさえするわけでありますが、もちろん鋭意減容の技術開発を進めていくわけでありましょうから、もっと期待ができるのではないかという感じがいたします。  それから、かねて方針を出されておられたいわゆる極低レベルのすそ切りの問題でありますが、これは近く基準を決めることになろうと思いますね。従前は環境に出せない状況としてサイト内に置いてあったというものも、今度はすそ切り分は一般のごみと同様の処理をするということで、出していくものがあるわけですね。これは大体どのくらいの率になりそうですか。まだ基準が決まっておらぬのだから、なかなか出ないと思いますけれども、大体いつごろまでにそれは決まって、どんな感じになってくるのか。ぽわっとした話でいいと思いますが、手短に。
  72. 高岡敬展

    高岡政府委員 いまお話にございました極低レベルの廃棄物につきましては、特に十五年先くらいにかなり大きな問題になると予想されます廃炉といいますか、原子力発電所が寿命を終わるその廃止を考えなければいけないという段階になりますと、非常に重要な問題でございます。  いわゆる自然界におきます放射能レベルと比較しまして、大体同じ程度のレベルのものにつきましては、一般的に極低レベルと称しておりますが、合理的な処分といいますか、判断をすべきであるという考えが、原子力委員会の専門家の検討の結果提示されております。でございますが、これにつきまして行政的にどう処理をしていくかというのは、非常に慎重を要する点だと認識しておりまして、よほど一般公衆の理解ということが進まないと、なかなかそういう措置はできないのではないかということで、いまお尋ねのようないつの時点でどのくらいということについては、的確にお答えができないという状況でございます。
  73. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 しかし、いずれにしてもそういう方向で検討なさっておるということだろうと思うのであります。その問題の是非は非常に問題があると思いますが、しかし皆さんの考え方はそういうことだということですね。  それから、そもそも一体いま電力の見通し等はどうなのかということも、最近非常に論じられているわけですね。それで、通産省のお話によると、去年つくったばかりでありますが、エネルギーの長期見通しも今年は見直すというようなことになってきているようであります。どこも設備過剰で、電力が余っている。このごろは、わが国を代表する巨大企業の電力会社で、えらく需要開拓に躍起になっているようです。  この間の報道にも出ておりましたが、上層幹部が、座っていないで外へ出ろ、戦前の電気会社の営業というのは一軒一軒回って注文とったものだというようなハッパをかけて、需要開発しているという状況のようですね。むしろ設備過剰なものだから、その過剰分を料金を上げなければバランスがとれぬというような矛盾さえも最近は生じてきて、これをどうするかということが問題になっているわけですね。むしろ余ってきている。省エネルギーが、これは非常にいいことでありますが、予想以上に浸透してきている。しかも、最近の長期不況でありますから、なかなか需要が出てこない、こういう状況に最近なってきているようでありますね。  何か、お聞きしますと、もちろんまだこれから詰めていくわけでありますから、今年の八月ごろに中間報告を出そうということになっておるようですが、恐らくそういう見通しからいうと、六十五年なんかでも、あれは計画で言うとたしか四千六百万キロワットということになっている。もちろん、いま具体的な数字としてどうこうなんということは、お答えが出ようとは思わないが、しかしいろいろ聞くところによると、四千万の大台を割ることになるのではないか、三千万台ぐらいではないかというような話も聞きます。僕らなんか、それまでもどうかなという感じがあるのですが、七十五年、あれは九千万キロワット。これだって、大幅に見通しとしては低下せざるを得ないだろう、そういう状況になってきているわけであります。  世界的に見てもそういうことで、聞きますと、原子力産業会議のまとめでありますが、去年一年間でアメリカだとかスペインだとかこういうところで、全体で五十基ぐらい計画が中止になったという発表もあるようであります。全体としてそういう傾向になってきている。  しかもコストの面から見ても、これはごく最近の報道なんですが、どんどん原油価格が下がったものだから、今度は海外からの輸入炭もずいぶん安くなっている。そこで電源開発の松島、竹原の大規模石炭火発が、一キロワット当たり十一円台の安い電力を供給し続けている。原発の場合は、モデル的なもので大体十二、三円と聞いていました。むしろそれを下回っている。かつ、御承知のように、そろそろ廃炉の寿命がやってくる、あるいはまたこれからずっとお聞きしていく廃棄物の問題も、きわめて長い期間にわたって相当な金をかけていかなければいかぬ。これはみんなコストに加わっていくということ等を考えますと、一体どうなのかなという感じがしますね。  しかも、最近の原子力発電所の建設費が高くなってきていますね。昭和四十六年に運転開始した福島第一原発一号機は、三百九十億円。ところが、六十年、再来年運転開始予定の柏崎の一号機は、四千七百三十億円、約五千億ですね。発電の規模は、約二倍ぐらいにもちろんなっているわけでありますが、しかし建設費は十五年間で十二倍に暴騰しておる、大変にコストが高くなってきている。だから、さっき言ったように、石炭火力あたりにむしろコスト競争で追い抜かれるという状況も部分的には出てきている。  こういうことを考えますと、冒頭御質問申し上げました廃棄物の発生量を考えましても、一体そういうことになるのか。いま僕が言いました幾つかのことのそれぞれについて一体そんなになるのかな。大体、いま二十四基のものを西暦二〇〇〇年までに百基もつくるというようなことにならないだろう。しかも、減容の技術も、いま言うように相当なものになってくる。しかも、やはり海洋に投げるのだと言っておられる。こういうさまざまな要素というものを総合したら、実際に陸上で処分をしなければだめな本数なんというのは、何本になるのかなということになるのではないですか。僕は、だから発生量の見込みそのものに非常な疑問を持たざるを得ない。そう今日はなってきた。  そこで、次の問題に入ってまいりますが、現在の原子力発電所における低レベル廃棄物の貯蔵設備の収容能力、及び予定されている、今日確定を見ている増設設備の収容能力、これはどのぐらいになっているか、お知らせください。これもごく簡単に、数字だけで結構ですから。
  74. 谷口富裕

    ○谷口説明員 お答えします。  まず、貯蔵の設備でございますけれども、発電所によって非常に異なりますけれども、床面積にいたしまして、二月末公表されている数字で約十万三千平米、現在集計を終了して間もなく公表されます三月末の数字ですと、福島の第一発電所が八万七千本ばかり新たに三月に設置されておりますので、広さにしまして約十一万九千平米、収容本数にしますと約五十九万一千本ということになります。  それから、今後の設置予定でございますけれども、これにつきましては、必ずしも各発電所が将来にわたって計画が明確になっているわけでございませんけれども、東海の発電所、敦賀の発電所、それから高浜発電所、それから玄海の発電所につきましては、それぞれ二万本から五万本前後の増設計画が現在決まっているところでございます。
  75. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 いまお話がございましたように、それぞれの発電所で貯蔵施設を持っておられる。そこでいま御説明がありましたように、五十八年の二月末で貯蔵設備は床面積にして十万三千四百平米、棟数にして二十九棟、収容能力が五十万四千六百本ということのようであります。かつ、私の方でおたくの方からいただいた資料によりますと、いまのは五十八年二月末ですから、それ以降計画が確定をしているもの、これは今年のもの、来年のもの、再来年のもの、そして六十五年のものも一カ所含まれていますが、合わせますと二十二万六千本の収容能力を持ち得るものを現在計画に確定しているということのようですね。  そうしますと、この両方を合わせて七十三万本近いということになるわけでありますが、これのほかに、現在計画は確定はしていないが、しかしここ五年、十年ぐらいの間に当然増設をしていこうと思う――ちょっとこの表を見ますと、浜岡であるとか、大飯だとか、こんなところというのはもうつくらなければだめなんじゃないかなという感じがしますね。福島の第一なんかは、ここに三つつくるんだというものがまだ一つしかつくってないんで、あとのは集中貯蔵施設ができれば、まあやらなくてもいいだろうからなんということを現地で言っている向きもあるそうでありますが、当然これはつくらなければだめだなと思われるものも数カ所ある。もちろん確定はしてないが、そういう増設の計画を持っておるところは他にも相当あるということですか、どうですか。
  76. 谷口富裕

    ○谷口説明員 お答えします。  廃棄物貯蔵庫の増設につきましては、サイトの状況あるいは地元の受け入れ等で、発電所ごとに非常に異なった状況にございますけれども、いま先生御指摘の浜岡の発電所あるいは大飯の発電所等につきましては、たとえば浜岡の発電所ですと焼却炉が一昨年導入されましたことと、今後、六十年ごろにプラスチック固化装置を導入しましてかなりの減容効果を期待しているということで、しばらくは現状のキャパシティーでやっていけそうであるということでありますし、それから大飯の発電所につきましては、御指摘のとおりまだ確定はしておりませんけれども、増設の計画がございます。その他の発電所については、詳細まだ聞いておりません。
  77. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 しかも、いま発電所が所有しているサイト面積は一体どのくらいか。これもおたくの方の資料でありますが、現在、全国の原子力発電所の敷地総面積は千六百三十七万平方メートル、これは相当のものですね。この中に原子力発電所だとかさまざまな施設がある。そのうちの相当な面積を持っている、いま言うこのどうにもならぬと言われている廃棄物の貯蔵庫、これはいま言うように合計二十九棟、所要敷地は、これが使っている、さっき皆さんの方から提供された床面積、これは一体どのぐらいの割合になるかというと、十万三千四百平方メートルですから、サイト全体の割合でいくと〇・六%ぐらいのものです。これはもう、原子力発電所のサイト内に貯蔵施設を増設しようと思えば、敷地の面では全く問題ないんじゃないですか、まあ何か部分的にどうだとかこうだとか特殊な状況はあるかもしれぬけれども。どうですか。
  78. 高岡敬展

    高岡政府委員 低レベルの廃棄物の問題につきまして、原子力発電所の廃棄物ということに限って申し上げますと、いまお話ございましたように、サイト内での貯蔵能力を増加するということも、敷地その他の点からいいましても十分可能でございます。それから、先ほどお話ございましたような減容化努力を続けていくということでの対応でも、増加の割合を抑えるという効果はかなりあると思っています。でございますが、これは誤解されてないと思いますけれども、累積のたまっている量が、ふえ方がやや出るだけでございまして、量そのものが減っていくということではございませんので、累積的な増加に対する対応は考えなきゃいけないということは当然でございます。  それから、海洋投棄とか陸地処分でありますとかあるいは施設外の貯蔵、いろいろな対応がございますが、私どもとしましては、基本的に、たとえば海洋投棄ということをできるだけ早い時期に実現させたいということで考えておりますが、海洋投棄ができるといたしましても、たとえば廃棄物で、比重が軽くて海洋投棄が、海洋処分ができないとか……(五十嵐委員「なるべく短く」と呼ぶ)はい。そういうものもあるわけでございまして、いろんな対応を考える必要があるということでございます。その一つとして、施設外に集中して貯蔵をするということも、管理を非常に有効にやっていくという可能性を持っているということから考えまして、廃棄物の処理、対応の一つ方法であるという評価をしているわけでございます。
  79. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 聞いたことにきちっと答えてください。  つまり、これだけ敷地に、余裕があるなんというどころじゃないですよ。本当にもう余りにも敷地は広過ぎるぐらいで、これはしかし当然のことでありますが。だから、ここに必要な収容施設を増設するということは何も不可能でない。何か物理的に不可能なことがあるのか。不可能なことでないと思う。そこだけお答えください。何か障害があるならあるように言ってください。
  80. 高岡敬展

    高岡政府委員 いまお尋ねの点につきましては、物理的には不可能ではないというふうに考えております。
  81. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 まあ、そういうことでしょうね。それだけの広さがあるのだから、そこに建てようと思えば建てられぬことではないということだと思うのですね。しかし、物理的にはそうなんだけれども、建てない。それは何か理由があるのか。何ですか、それは。
  82. 高岡敬展

    高岡政府委員 理由は幾つかあろうかと思いますが、一つは、先ほど申し上げましたように、低レベルの廃棄物対策、つまり、いずれにいたしましても、サイトに置いておくにいたしましてもあるいはどこかよそに持っていくにいたしましても、行った先で好まれるものでないということに関連しましていろんな問題があるわけでございますから、いろんな各種の対応策を幅広く用意する必要があるというのが基本的な考え方でございます。  それから、先ほど申し上げましたように、集中管理というようなことに関連しての効率的な管理が可能であるということから、施設、敷地外での集中的な貯蔵というのも一つ方法ではないかと考えておるわけでございます。
  83. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 答えにならないですね。  考えられるのは、経済的にそっちの方が安いのではないかというようなことは一つあるかもしれないですね。集中管理するとすれば、そっちの方が安いのかもしれぬ。あるいはそこのところに、廃棄物の施設をサイト内にそれぞれの原発で増設することに近所の人が反対だというようなことがあるのかもしれぬ。考えられるのはそんなことぐらいでないかと思うのですが、いかがですか。
  84. 高岡敬展

    高岡政府委員 発電所の低レベルの廃棄物につきまして、貯蔵施設を増設することについて周辺の住民の方の理解を得る必要があるということでは、個々にいろいろ事情があろうかと思いますが、難易の差はありますけれども、そういう問題があるということは事実でございます。  その点につきましては、やはり発電所から出てきました廃棄物が、どこにも出口がなくて、いつまでたっても発電所の敷地内に閉じ込められておるという状況は、周辺に住んでおられる住民の方の生活感覚としてやはり望ましくないのではないかという、そういう一般的な感情をお持ちになるんじゃないかというふうに考えます。でございますから、何かその出口についての方策をいろいろ考える必要があるというのが、私どもの考え方でございます。
  85. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 それは、現在稼働している発電所のサイト内で、しかも廃棄物を貯蔵している、そこでさらに廃棄物の貯蔵施設を増設するということに対する住民のいろんな意見というものは、ないものではないでしょう。しかし、そうだからといって、今度はそれを全然別なところへ持っていって、巨大な貯蔵施設を建設するということにおける、そこの住民の不安や感情というものは考えなくていいのかということになりますね。これはやはり僕はちょっとおかしいのではないかと思いますよ。  だから僕は、何か強いてそのことを考える大きな一つは、とにかく、これだけの敷地の中で増設するつもりなら、向こう十五年や二十年や二十五年、全く無理なしに保管することが可能だと思うからなんですよ。恐らく、炉の寿命と同じぐらい可能ではないかと僕は思う。しかし、コストの上で、採算の上でどうこうという論議が一つあるかもしれぬ。  そこで、おたくの方に問い合わせたんです。放射性廃棄物の貯蔵庫の建設費は一体どのぐらいになるか。まあ昔から見ると最近は、高くなっていることは高くなっているのでしょう。大体、ドラム缶一本当たり数万円、二万から四万ぐらい。幅がある話であります。しかし、そんなにかかるのか、かからないのか、いろいろな意見がありますが、仮にそれを基礎として考えますか。一本二万円と考えると一万本で二億でしょう。いいですか、局長。一本二万円であれば一万本で二億でしょう。百万本で二百億でしょう。いま陸上貯蔵施設に約百万本の貯蔵をしようというので、千六百億円かけようと皆さんは言っておるわけだ。そうでしょう。おかしいじゃないですか。何でそんな巨大な金をかけなければいかぬのですか。  しかも、先ほどから物理的にもそれは可能だと言う。僕は、あなた方の計画というのは納得いかないですよ。何で一体、巨大な集中陸上貯蔵施設をつくらなければならぬのか。時間がないからこのことばかり言っておれませんが、全体的に廃棄物の今度の貯蔵計画については、非常に多くの疑問があるということを御指摘申し上げておきたいと思います。  この陸上貯蔵施設の建設計画に関して、いままでいろいろ御質問申し上げ、お答えをこの二年ほどいただいてきているのでありますが、大臣にお伺いを申し上げたいと思うのであります。  いま申しましたように、計画そのものについてかなり検討する必要があるだろうという感じが僕はいたしております。それにいたしましても、計画をいま進めているわけですね。一つには、いまのような基本的な再検討を僕はぜひしてほしい。急ぐべき理由がない。それから、同時にもう一つ、仮にそういうものを進める場合に、言うまでもないが、事柄からいって地元の完全な了解が絶対に必要なんです。  いままでも、たとえば前の中川長官お答えをいただいた議事録でありますが、「いずれにしても地元の完全な納得の上に成り立つものであって、地元の反対を押し切って、国益だけを考えてやるような気持ちはもちろんありません」、こう言い切っておられるのです。あるいは石渡さんは、これを受けてでありますが、「私どもが大臣からきつく御下命をいただいたのは、まず国策に沿うものでなければならない、二番目に、北海道地域としての納得が得られるものでなければならない、三番目に、地域の振興に結びつくものでなければならないという三つの御下命を」いただいております、こういうことを予算委員会お答えになっているわけであります。  また、つい先日の予算委員会において、山中通産大臣でありますが、「それはもう当該町議会、町民の世論はもちろんでありますが、周辺、ましてや知事さん、そういうものの合意を得て、やはりみんなで、じゃあそういたしましょうというようなことになるところを探す以外にない。」こうおっしゃっているのです。  そこで、もちろんそういうお考え方に変わりはないと思いますが、大臣もかわられましたし、また北海道の場合は知事もかわられましたし、ここで大臣の基本的なこれに対する見解をお伺いしたいと思います。
  86. 安田隆明

    安田国務大臣 着任いたしましていろいろ勉強してみますと、原子力政策の推進の中で頭が痛いという問題の一つは、いわゆる低レベル、これの処理問題でございます。そして、これをいかように選択するかということになりますれば、いまほどお話しのとおり、その道は多様化の方法をとらざるを得ない。いわゆる構内備蓄、次は海中へ、そうして構外、陸地貯蔵、こういうことでもう限られた幅の中でやらざるを得ない。  そしていま、なぜ急ぐのかという御指摘でございます。構内でできるじゃないか、こういう問題でございますが、長期的展望に立った場合には、低レベルといえども恐らく三ないし五十年は備蓄ということになるでしょう。そうすれば、一体構内備蓄はどこまでいくんだろうかというわれわれの試算も一つ出てくる、こういうことであります。そして海中は、こうなりますと、これはまだ少し時間がかかる。現実的な方法として選択すれば、いわゆる陸地、構外へという選択もあろう、こういうふうに思っておるわけであります。  だから、いま五十嵐先生おっしゃるとおりでございます。私たちは、もう地元の御了解を得ずしてこれは推進することができぬわけでありますから、十分に御了解を得た上で、そしてそのためにはどうか、こうなりますれば、われわれはたゆみない努力をしなければならない。ただ非常に遺憾なことは、これは自分がこういうサイドに立っているから申し上げるんじゃないのですけれども、いわゆる海中投棄とか陸上処分投棄とか、こういうふうに捨ててしまうという印象が、あるいは文字になり言葉で流れているわけでありますけれども、われわれはそうではなくして、海中で保管します、陸上で保管しますという気持ちで、これは厳重な監視下で処分するわけであります。ちょっと余分なことを申しましたけれども、われわれは地元の了解なしにこれを推進していくということはございません。御了解の上でということは、本当に先生仰せのとおりでございます。
  87. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 保管という意味では、つまり心配のないように、安全に目を離さないようにという大臣のお答えで、これは結構だと思うのですね。そうであれば、可能であれば、サイト内にちゃんと保管をしておく。原子炉そのものだって永遠じゃないのですから、これは二十年なり三十年たてば寿命が来るわけです。しかも減容をしてやっていくと、いまの計算によれば、何もそんな保管できないというような状況じゃないですよ。ですから、いまここで何本がどうだとか、掛け算、割り算を話していてもしょうがありませんから、ぜひひとつ新大臣のもとでも慎重な御検討を続けてほしい、こういうぐあいに思うのです。  それから、ことに大事なのは、これは北海道に決まっているわけじゃないですよ、ないが、仮に北海道であればということの話ですね。北海道の場合は、北海道全体の地域開発の上にきわめて重大な影響をもたらすものでありますし、もちろん原発なんかの場合もそういうことでありますが、知事の完全な了解なしにこれを押しつけたり強行したりするということのないように、この点について一言お答えいただきたい。
  88. 安田隆明

    安田国務大臣 仰せのとおり対応いたしたいと思っております。
  89. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 少し時間があるようでありますから、なお若干のことを御質問申し上げたいと思います。  一九九〇年から行われることになっている海外再処理に伴う放射性廃棄物の返還固化体のわが国の受け入れの問題であります。これの受け入れ、貯蔵、処分方法の基本概念、これはまだ細かいことはいま検討しておられると思いますからあれですが、大ざっぱに言って、どんなぐあいに受け入れて、どこに貯蔵する。どこというのは、個所のことを言うのではなくて概念的なもので結構なんですが、そんなものについてちょっとこの機会にお知らせいただきたいと思います。
  90. 長田英機

    ○長田説明員 ヨーロッパからの廃棄物の返還は一九九〇年ごろ以降行われる予定でございますが、この廃棄物をどこに持っていくのかという御質問かと思います。  これは、原燃サービス株式会社という会社が実は設立されておりまして、再処理の工場のための用地を現在いろいろと探しているわけでございます。そういうことで、この原燃サービス株式会社は再処理工場をつくる場合に、それと一体として返還高レベル廃棄物を貯蔵していくというふうに、現在一応考えております。
  91. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 新たな再処理工場と一緒に置ければ置いていきたい、簡単にはそういうことですね。まさか、いま言う低レベルの廃棄物貯蔵施設なんかとできれば一緒にしたいなんという考え方、毛頭ないでしょうね。
  92. 長田英機

    ○長田説明員 原燃サービス株式会社は、再処理の施設をつくるということでその用地を探しておるわけでございまして、再処理と低レベル廃棄物、いま先生おっしゃられるのは施設貯蔵ということだと思いますけれども、それと関連づけて考えておるということは聞いておりません。
  93. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 聞いておりませんということか……。なるほどね。どなたか責任あるお答えできる人いませんか。そんなことあるとか、あり得るとかないとか。
  94. 長田英機

    ○長田説明員 若干誤解を招いたようでございますけれども、再処理の用地と施設貯蔵の用地は完全に別な話でございますので、それぞれの立場から用地を選定していく、こういう考え方をわれわれとっております。
  95. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 最後に、大臣にできれば御感想なりお気持ちをいただきたいと思うのでありますが、今年の一月の下旬に、北陸電力が原発建設を計画中の石川県の羽咋郡志賀町で商工会主催の原発講演会が開かれた。ここに講師として招かれた福井県敦賀市の市長さんの講演中の発言が幾つか問題になった。敦賀は、言うまでもなくわが国の原発銀座の目抜きのところなわけでありますが、その発言の内容は、原発の影響でということでの話になるわけですが、「五百年たって片輪が生まれてくるやら、五十年後に生んだ子どもが全部片輪になるやら、そんなことはわかりませんけど……」こういう発言がありまして、住民の中から大変非難の声が出た。特に、障害者の団体から厳しい抗議の声が出たのは言うまでもないわけであります。  言うまでもなく、原子力行政等の第一の基本は安全であろうと思うのでありますが、一体こういう発言を大臣はどうお考えですか。
  96. 安田隆明

    安田国務大臣 たまたま私のふるさとで話が出たものでありますから、私はその話の内容の真実を一遍聞きたいということでおりましたが、私は本人からはその話は聞いておりません。しかし、間接的にお聞きしますると、大体それに近いようなお話があった。そして、いろいろと物議を醸しましたがために、高木市長からは、実に本意にあらざる遺憾の発言をいたしました、こういうことで釈明をいたしておるわけであります。  安全第一ということは、原子力政策の根源問題でありますから、そういう発言があったことは私どもとしてもきわめて遺憾である、こういうことで、ある筋を通じまして高木市長に厳にそれを戒める、こういうことを申し上げたわけであります。安全第一、この御主張につきましては全く同意でございます。
  97. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 講演の内容はそれだけではないわけです。こんなことも言っているわけです。  「……これは私ども全国原子力発電立地市町村の協議会でも申し合わせをいたしておりますが、そのほか(三法交付金以外)にもらうカネは、お互いに詮索をせずにおこう、と。『キミのところはいくらもらったんだい。ぼくのところはこれだけもらったよ』……ウラ金ですね、いわゆるウラ金。まァそのォ、原子力発電所をつくる。だから、〝三法〟のカネはそれは”三法”のカネとしてもらうけれども、そのほか、やはり地域の振興に対してのウラ金をよこせ、協力費をよこせということは、それぞれの地区であるわけでございます。   ところが、それをどれだけもらってるか、お互い発表するのはよそう、と。もうこれをやるとお互いが『あそこはこれだけもらった、ここはこれだけもらった』って、どんどこどんどこエキサイトする。……電力会社としてもそれには対応しきれんだろうから、それはお互い口外せず、自分は自分なりに、ひとつやっていこうじゃないかと、こんなふうなことでございまして、やっております」  言うまでもありませんけれども、電源三法による交付金というのは、電気料金の中で税としていただいて、それを財源にして交付しているわけですね。どうも安全も、自治体として一番大事な精神も、金で完全に麻痺しちゃっているのじゃないかと私は思いますよ。困ったことであります。いかがですか。
  98. 安田隆明

    安田国務大臣 先ほど関先生からもお話がございましたけれども、電源立地をお願いする、これは地域の振興にかかわりを持たせなければならない、こういうわけで三法その他があるわけであります。しかし、地域の協力を求めるということになりますれば、われわれは常識的な、節度ある地元の住民の要請にこたえなければならない、こういう私たちの考え方も持たなければならない。しかし、いまほどおっしゃいましたような常識を逸脱したことは毛頭やっていけませんし、同時にまた、安全を無視したことがあってはもう大変なことでございます。  現に、私の地元の七尾は革新市長でございます。いよいよ合意を得ました。安全協定もきちっとできたわけであります。だからして、安全の確保以外に地元の同意を得られるものではない、金でもって云々というものではないということは、われわれはしかと心得て今日までやってまいりましたし、これからもやってまいります。
  99. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 きょうは、この程度にいたします。
  100. 永田亮一

    永田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十三分休憩      ────◇─────     午後三時五十一分開議
  101. 永田亮一

    永田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草川昭三君。
  102. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  まず最初に、きのうの新聞にも発表されておりますけれども、国際エネルギー機関の閣僚理事会が八日から開かれておりまして、全般的な石油情勢に関する討議が行われておりますし、その中でも石油需給の緩和と価格下落は世界経済にとって好ましいというようなことが言われているわけであります。しかし、こうした状況はあくまでも一時的な現象であるというように、楽観を戒めている意見が大勢を占めたというような報道がなされております。  各国とも、中長期のエネルギーあるいは安全保障の観点から、省エネルギーや代替エネルギーなどの研究開発を進める必要があるということでも意見が一致をした、こう言っておるわけでありますが、特に、研究開発を進める立場になりますと科学技術庁の見解ということになりますので、まず科技庁の見解をお伺いしたいと思います。
  103. 下邨昭三

    ○下邨政府委員 石油代替エネルギーの研究開発の促進は、エネルギー供給におきます石油依存率を下げますために、またそれによってエネルギーの長期的な安定的確保を図るためにきわめて重要なことと考えております。最近、石油の需給が緩和してまいりましたし、また、原油価格が低下するなどの国際的なエネルギー情勢の変化が見られるわけでございますが、今後どのようにこれが推移していくかというのは、不透明と言わざるを得ない状況だと思います。  わが国のエネルギーの供給構造が脆弱であることにはいささかも変わりのないところでありまして、また、石油資源が将来枯渇するということも予想されているわけでございます。したがいまして、エネルギー研究開発の重要性につきましては、基本的には何ら変化するところはないというふうに考えておりまして、今後とも、長期的な視点から研究開発を進めていく必要があるというふうに考えております。ただ、個々のプロジェクトについて見ますと、その推進に当たりましては、研究開発の進展等も十分にらみながら、総合的に検討していかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  104. 草川昭三

    ○草川委員 いまも触れられておりますように、日本の基本的なエネルギー構造というのは脆弱的な立場にあるわけでありまして、ぜひ、研究開発という基本的な立場を貫いていただきたいと思うわけであります。  そこで、天然ガスの方に移っていきたいと思うのでございますけれども、私は、天然ガスの位置づけというものが非常に重要だと思うので、きょうは一番最初に外務省にお伺いをしておきたいと思います。  たしか総理は、きょう東南アジアの訪問を終えられるわけでございますが、ブルネイに行かれるというように聞いております。独立国でない国に総理が訪問されるというのは異例なことだと私どもお伺いするわけでございますが、ブルネイに総理が寄られる基本的な立場ということをお伺いしたいと思います。
  105. 瀬崎克己

    ○瀬崎説明員 外務省アジア局地域政策課長でございます。  先ほど先生から御質問ございました、ブルネイの件でございますが、本日、いまちょうど総理はブルネイにおられるところでございます。  御承知のようにブルネイは、今年の十二月三十一日に完全に英国から独立して、独立国になるわけでございます。そこでブルネイ側といたしましては、従来から天然ガス等を通じまして非常に日本と密接な関係があるわけでございまして、独立後ますます日本との関係を強化したいという希望をかねてから持っておりまして、その一環で、総理がたまたま東南アジアを歴訪される帰路、飛行機が通過する経路に当たるものでございますから、先方から、ぜひこの際ブルネイにも訪問してほしいというような要請が出たわけでございます。  ただ、日程等いろいろございまして、最終的には本日帰路四時間でございますけれども、立ち寄りまして、先方のサルタン、モハメッド殿下、その他主要閣僚等々と懇談されまして、今後ブルネイが完全独立した暁に日本とブルネイとの外交関係を強化する布石といたしまして、総理がお立ち寄りになったということでございます。
  106. 草川昭三

    ○草川委員 年内に独立をするわけでございますが、いまも少し答弁があったわけですが、サルタンというのですか、こういう言葉がいいのかどうかわかりませんが昔の王様というのですか、このサルタンというのは日本の商社が嫌いだというような報道が一部にあるわけでありまして、また、そうではなくて、旧宗主国の英国に対する反英感情が非常に強い、だからそこで日本に対して親日的だというように、意見が二つに分かれているようでございますが、サルタンの日本に対する見解、あるいは日本の商社――特にブルネイの場合は三菱商事が相当先行投資をいたしておりまして、これは昭和四十七年十二月からわが国に対する輸出契約をしておるわけですが、その関係はどういうものか、あるいはまた、そのことを含めて総理が訪問をなすっておみえになるのか、お伺いします。
  107. 瀬崎克己

    ○瀬崎説明員 ただいまの御質問お答えさしていただきます。  ブルネイは、サルタンが現在統治しているわけでございますが、このサルタンは非常に親日的な方でございます。現在、日本の商社員を含めまして日本人が約九十名ブルネイにおるわけでございますけれども、この九十名の邦人と非常に緊密な関係を持っておられる。私ども承知する限りにおきましては、サルタン初めブルネイ政府要人が、日本の商社あるいは日本人に対しまして反感ないしは非常にこれを忌み嫌うというようなことは、かつて聞いたことがございません。  それから一方、英国との関係でございますけれども、英国との関係も非常に緊密なものがございまして、確かに今後英国の手を離れて独立するわけでございますから若干の軌道修正と申しますか、ますます日本あるいは近隣のASEAN諸国等々との関係を強化したい、かような希望は持っておるようでございますけれども日本に対してはとにかく非常に親しい感情をお持ちでございます。  それから、きょう総理がブルネイに行かれました際に、先方のサルタンに、独立後できるだけ早い機会に日本に来ていただきたい、こういうような招聘をすでに行われておるはずでございます。これに対する返事はまだ私ども確認しておりませんけれども、恐らく喜んで訪日される、かようになるかと思っている次第でございます。
  108. 草川昭三

    ○草川委員 きょうはそのことが趣旨でございませんので、本来の天然ガスのことに移っていきますけれども、先ほど触れましたように、IEAの会議でも省エネルギーや代替エネルギーの開発を一段と推進する必要性ということが言われておるわけであります。天然ガス問題では、各国とも特定の供給国に対する過度な、オーバーなという意味だと思いますけれども、過度な依存は避け、各国は安定的な供給を確保するということで、大筋合意をしておるというようなことも言われておるわけです。  そこで、わが国の立場に翻って考えてみますと、昭和五十四年の八月に長期エネルギー需給暫定見通しというものを立てておりまして、LNG、天然ガスの積極的な導入拡大を図るということになっております。しかし、この天然ガスというのは、リードタイムというのですか、非常に長期間の時間が経過をするわけでありまして、当時のこの計画に比べますと、修正をするような状況というものが今日の客観的な背景にあるのではないか。たとえば省エネが進み、あるいは景気が低迷をする、あるいはエネルギーの需要が予想より少なくなってくるという面もあるわけです。  山中通産大臣は、この三月十二日、国会におきましても、石油供給の見通しを新しい事態に対応して改定したい、しかもそれは全面的に改定をしたいということを言っておみえになるわけでございますが、これは年内というのですか、この夏にでも下方修正をする必要があると思うのでございますが、その時期はいつか、お伺いをしたいと思います。
  109. 高橋達直

    ○高橋説明員 お尋ねの長期エネルギー需給見通しでございますが、御指摘のように、昨年の四月に需給見通しをつくったわけでございますが、その後、原油価格の低下を初めといたしますエネルギーを取り巻く環境というものが大分変化をしてまいりました。先生から御指摘がございましたように、去る四月六日でございますが、この見直し、総点検を含め、あるいはエネルギー政策全般も総点検をするという観点から総合エネルギー調査会、これは通産大臣の諮問機関でございますが、そこに総点検をお願いして、現在検討中のところでございます。  時期のお尋ねでございますけれども調査会の検討の状況にもよりますが、一応の調査会でのめどといたしましては、ことしの八月の終わりにも暫定的な中間取りまとめをいたしまして、その後また引き続き基本的な問題にも取り組んでいくというようなことになっております。なお、この点につきましては、これの経済フレームになります経済審議会での経済見通し、その他経済のフレーム全体の問題を経済審議会の方でおやりになっておりまして、この方も夏の終わりころをめどにしておるというふうに聞いておりますので、その辺を見ながらとりあえずの暫定の取りまとめをしていきたい、かように考えているわけでございます。
  110. 草川昭三

    ○草川委員 夏から秋ということでございますが、その基本的なスタンスというのですか、通産省の考え方をお伺いしたいわけでありますけれども、石油を確保するというところに力点を置くのか、あるいは脱石油というのですか、これは戦略的というのか戦術というのかわかりませんけれども、脱石油の方向に軸足、何というのですか、ウエートをたくさん置くのか、あるいはその兼ね合いの問題ですね。私は、数字でフィフティー・フィフティーになるのか、それはわかりませんけれども、その兼ね合いなりバランスをどう見るのか、お伺いしたいと思います。
  111. 高橋達直

    ○高橋説明員 さきの長期エネルギー需給見通しにおきましても、代替エネルギーの推進あるいは省エネルギーの推進ということを前面に考えを出しておりまして、昭和六十五年度の石油依存度を五割以下にしていくという考え方を出しておるわけでございます。しかしながら、御指摘のように、一方におきまして六十五年におきましても、石油の全体のエネルギーの供給に占める割合は大きいわけでございまして、代替エネルギーと石油の兼ね合いということで、長期的には現在の石油依存度を下げるという方向で私どもとして種々の政策を推進していきたい、かように考えているわけでございます。
  112. 草川昭三

    ○草川委員 そうすると、当然のことながら、代替エネルギーのウエートは大きくなっていくという方向がこれでなるわけでございますが、それに対する取り組み方ですけれども、たとえばどこを対象にこれから重点的にいくのか。国家プロジェクトとしてシベリア開発等も出てきておるわけでございますし、その他たくさんの要望もあるようでございます。あるいはまた受け入れというのですか、開発も自主開発でいくのか、あるいは単純に買い付けだけでいくのか、あるいは公団と民間との協調をどのようにしていくのか。これから後で触れるわけでありますけれども、公団の役割り分担、あるいは民間の役割り分担をどのようにするのか、あるいは資金の裏づけというのですか、資金政策ということも当然のことながら、六十五年という言葉も出ておるわけでございますけれども、一定の裏打ちが考えられておると思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
  113. 高橋達直

    ○高橋説明員 今後のエネルギーの重点の置き方についてのお尋ねでございますけれども、まさにその問題も含めて、現在総合エネルギー調査会での御審議を煩わしているところであるわけでございます。ただ、これまでの当省の考え方といたしましては、過度の石油依存というものは安全保障上も問題があるということで、代替エネルギーの推進というものを進めてきたわけでございますが、その点につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、今後六十五年度までに依存度を低めていくということでございまして、また一方におきまして、供給源の多様化という問題にも十分留意をして政策を行っていかなければいけないのではないかというふうにも考えているわけでございます。  また、財源の問題につきましては、確かに原油価格の引き下げ等、エネルギーをめぐる国際情勢は変化をしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、現在全体のエネルギー需要の見通しの改定作業に着手したばかりの段階でございまして、総合エネルギー調査会のそのような見通し作業の改定をまずやっていただきまして、その過程において資金の規模とかあるいは財源問題というものについて検討を進めていくということで、現段階では、どのくらいになるかということについてお答えする段階ではないというふうに考えております。
  114. 草川昭三

    ○草川委員 では、官民の役割り分担についての考え方はどのようになっていきますか。
  115. 高橋達直

    ○高橋説明員 エネルギー開発なりあるいは供給の確保という問題は、非常に巨額の費用も要しますし、あるいはリスクも大きい問題でございますから、民間だけで進めるわけにはまいらないということで、国におきましても石油公団を設立いたしまして国家の支援をしているわけでございます。しかしながら一方において、そういった国で全部やるということではなくて、やはり民間の資金の活用というものもきわめて重要な問題でございますので、官民相まってこのエネルギー政策を推進していくという取り組み方になろうかと思うわけでございます。
  116. 草川昭三

    ○草川委員 私ども、これから後も出てくることですけれども、その官民の役割り分担もいま非常に抽象的な答弁になっておりますけれども、財政再建の折から、あるいはまた日本の国の財政の現状はこういうときであるだけに、基本的な役割りなり限界というものもいいかげんなところでぴしっとした線を出していきませんと、いままでは、先ほど局長が答弁なされましたように、日本は石油資源、エネルギーが非常に不足をしている国だということで、言葉は悪いわけですけれども、何でもかんでもいい話があったら飛びついていく、こういうことがあったんではないだろうかという趣旨で、私はこれからも話を進めていきたいわけでわざいます。  非常に巨額な費用なりリスクがあることは十分承知をしておるわけでありますが、下手をすると、甘い見通しがあると大変な国家的な損失を与える、そういう立場にいまや政府というものがあるのではないか、あるいはまた公団というものがあるのではないかということを申し上げていきたい、こう思うわけであります。  そこで、最近、カナダのLNGのプロジェクト問題でさまざまな話が出ております。あるいはLNGではなくて、もう一つ北極石油というのですか、石油の開発で北極石油株式会社の問題がございます。しかも、この二つの問題に共通するのは、カナダにありますドーム社という石油会社が共通の問題としてあるわけであります。そのカナダのドーム社をめぐる問題を、いまから少し具体的な例を挙げて触れていきたいと思うのです。  まず、カナダのLNGプロジェクトの基本的な概要についてお伺いをしたいと思うのですけれども、一九八六年より約二十年間、カナダから毎年二百六十万トンのLNGを日本が買うという約束をしたと伝えられております。日本側が買うのは電力会社あるいはガス会社ということでございますが、この仲立ちをしておりますのが日商岩井という商社だと言われておりますが、そのとおり間違いないか、あるいは概要についてお伺いしたいと思います。
  117. 高橋達直

    ○高橋説明員 ただいまお話のございましたカナダLNGプロジェクトの概要につきましては、先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、私どもの聞いているところでは、ドーム社と日本のユーザーとの間で年間二百九十万トンの売買契約を締結したと聞いておりまして、その他につきましてはおっしゃるとおりでございまして、ユーザーは電力とガス、契約期間につきましては一九八六年から二十年間、LNG船によりましてカナダから日本に持ってくるという概要と承知しております。
  118. 草川昭三

    ○草川委員 それで、カナダでLNGを集めるわけでありますけれども、ガスの供給者というのはアルバータ州という州とBC州、この二つの州からガスを集めてくるというように聞いておりますが、これは正式に政府として許可されたものかどうか、あるいは政府が許可した日にちは最近なのかどうか、お伺いします。
  119. 高橋達直

    ○高橋説明員 私どもが承知をしているところによりますと、カナダから日本に天然ガスを持ってくるためには、まず連邦政府の持ち出し許可が必要となる。同時に、それぞれの州の州外への持ち出しの許可も必要になるというふうに聞いておりますが、現在までにドーム社等の当事者は、連邦政府の許可を一定の条件のもとにクリアしたというふうに聞いておりまして、その条件の中に入っております州、おっしゃるようにアルバータ州及びブリティッシュコロンビア州でございますが、この各州の輸出許可といいますか移出許可といいますか、持ち出しの許可を申請しているというのが現在の状況というふうに聞いております。
  120. 草川昭三

    ○草川委員 私ども常識的に言いますと、まずガスを買うもとですね。いわゆるもとというのは、アルバータ州という州ですね。県ですね。まず、そこの州でガスを供給してオーケーですよというそれを確認をしないと、当然のことながら中央政府もオーケーのサインをしないのではないか。あるいは大体その見通しがついて、日本の国の方で電力会社なりガス会社に、年間二百九十万トンですか、二百九十万トン入るけれども、どうだ、契約できるんじゃないですかと言うことが筋だと思うのですが、その肝心の州との契約がまだ未定だというのは一体どうなんでしょうか。それはおかしいと思われないでしょうか。
  121. 高橋達直

    ○高橋説明員 先ほどの御答弁で持ち出しの許可の点だけ申し上げたので、あるいは御説明の不足があったかと思うわけでございますけれども、井戸元からの天然ガスの収集につきましては、当然これはパイプラインで大量に持ってくるわけでございますので、日本だけでなくて、その他のアメリカやなんかも含めて今回大きな計画をつくっているというふうに聞いておりますけれども、現実の供給の予定につきまして、アルバータ州につきましては、大体このプロジェクトの五〇%程度に当たる数量を事実上許可したといいますか、割り当てを内諾をしているように聞いております。また、ブリティッシュコロンビア州の方でも、二五%の割り当てが発表されているということでございまして、今回のプロジェクトの量の七五%分が現在のところ確保されている。あと二五%についても、早急に実態的な合意に達するように関係者が働きかけておるというふうに聞いてはおります。
  122. 草川昭三

    ○草川委員 アルバータ州の余剰ガスがあると判断をしておるということになると思うのですけれども、ただいまのところ四社、四つの会社がガスの供給をするということで全体の五〇%、まだ二五%不足をする、こういうことでございますが、これも私、カナダの現地へ行っていろいろと調べたわけではないので、その点が非常に弱いのでございますけれども、中央政府と州政府との間にいろいろと対立があって、いわゆる取り分というんですか、日本の国内で言うならば交付税のような形の取り合いになるのか、適当な表現がございませんけれども、州政府と中央政府との間にかなり対立がある。ガスの供給ということについてなかなかむずかしいと言われております。  しかも、この州から港へ約九百キロのパイプラインを引っ張ってくるわけでございまして、そこから――これは後ほど運輸省にもお聞きをしますけれども、タンカーの用船をして、タンカーで日本に持ってくるということになりますと、私は、非常に高いものを日本に売りつけることになるのではないか。あるいは、日本に東南アジア等から入ってくる原料に比べて、同じような原料、値段が約束をされるとするならば、中央政府か州のガス供給者が損をするということになると思うのでございますが、その点は経済上これは合うものかどうか、どういう見通しか、お伺いします。
  123. 高橋達直

    ○高橋説明員 本件プロジェクトにおける売買価格の問題についてのお尋ねでございますが、契約によりますと、売買価格は、熱量単位百万BTUという単位を使っているわけでございますけれども、この百万BTU当たり六ドル五十八・五セントということでございまして、一応八一年の契約時のレベルが示されておるわけでございますが、その後の天然ガスの価格の動向あるいは原油の価格の動向にリンクした形で、この価格が変わるような契約の内容になっておりまして、したがいまして、日本に現実に荷揚げをしてくる時点では、これは変わってくるというふうに思うわけでございます。  問題は、これがほかの場合と比べて高いのかどうか、あるいは経済的に合うものかどうかということにつきましては、今後の荷揚げの時点での価格のいかんにもよるわけでございまして、現時点でなかなか一概に申し上げられないわけでございますが、私どもが、当事者にいろいろ聞いてみたところで承知しているところとしましては、五十六年当時の他のプロジェクトと比べても、CIF価格、日本到着価格が特に高いとは見られないという説明をしておったことを承知しております。
  124. 草川昭三

    ○草川委員 日本側の買い主なり共同事業で日本に輸送契約をしました日商が、そういう報告を通産省の方にしておるとすれば、それはそれで結構でございますが、非常に地層で、埋蔵量についてもかなり批判的な意見が出ておるようであります。ただ、ここのガス供給については、かなり日本側のメーカーも各社で競い合ったということがございますので、一応私どもも、ある程度情報については割引をして情報を選択をしなければいかぬ、こう思っておりますけれども、いずれにいたしましても、九百キロのパイプラインを引っ張ってまいりますと、カナダとしては、アメリカに売った方がかえって安上がりになるのではないか。あるいは、アメリカ側が供給というのですか、約束を守らなくて買うことを拒否をしたというような事例もございますので、これは私は非常に複雑な要因があると思うのです。  そこで、向こう側は日本に対して、とにかくガスの供給をしようということで液化プラントの共同事業を呼びかけたと言われておりますが、日本側はこの液化プラントの共同事業に幾らぐらい出資をすることになるのですか、お伺いします。
  125. 高橋達直

    ○高橋説明員 まず、このプロジェクトの全体の所要資金につきまして、まだ詳細が固まっていないようでございますけれども、これまでの当事者間で見積もられておる所要資金は、おおむね三十億ドルぐらいというふうに聞いておるわけでございます。このうち、液化関係の装置等に二十億ドルの経費がかかるということを聞いておりまして、その二十億ドルの液化プラント建設に必要な資金につきまして、日本側に融資が期待をされておるというふうに承知しております。
  126. 草川昭三

    ○草川委員 二十億ドルと言えば大変な金額になるわけでございますが、そのほかにこれが具体化をするということになりますと、タンカーで運ばなきゃいかぬということになります。これは普通で言うならば、LNGの特別のタンカーということになりますが、いまも少しお話がありましたけれども、何隻でやるのか、何隻で運ぶ計画があるのか、あるいはこれは、いま大綱が固まっていないというものの、すでに日商は日本側の買い主と約束しておるわけですから、並行的な話が上がっておると思うのでございますが、これは開発銀行の融資で計画造船として運用をすることになるのか、あるいはその金額は幾らになるのか、これは運輸省にお伺いします。
  127. 尾松伸正

    ○尾松説明員 カナダからのLNGの開発輸入の日本への海上運送のことでございますけれども、先ほど来のお話のように、開発輸入の計画の全体がまだ必ずしも決まっていない、検討されている状況だということでございまして、その中でもLNGの日本への海上輸送に日本船が参加することになるかどうかというようなことも、まだ決まっていないということであります。そこで、今後この計画の全体の検討が進みまして、日本船がLNGの日本への海上輸送に参加するということが決定しまして、担当する日本船社の方から、計画造船制度に基づいて船舶の建造について財政資金の融資申請が出てくるというようなことがございましたら、制度的には当然LNG船も計画造船の対象になるわけでございます。しかし、具体的な問題としましては、まだそういう不確定な状況でございますので、申請が出た段階で、具体的にはその申請内容について所要の審査をした上で取り扱いは決定される、こういうことになろうかと思います。
  128. 草川昭三

    ○草川委員 いま通産省の方から、その事業全体で約三十億ドルというお話がございましたが、それはいわゆる輸送契約に基づく船舶は入っているのですか、入っていないのですか。
  129. 高橋達直

    ○高橋説明員 先ほどの御答弁で約三十億ドルと申し上げましたが、当事者からの正確な数字としましては三十二億ドルでございまして、そのうち内数としまして、LNG船が五隻分七億ドルというふうに入っております。
  130. 草川昭三

    ○草川委員 運輸省は、具体的に書類が出てからだというふうに答弁で触れられておりますけれども、当然のことながら、こういうプロジェクトですからいろいろな話があることだと思います。また、なければ日本側の買い主の方も買おうという約束はしないわけですから、船舶の場合が約七億ドルということですね。それで問題は、この液化プラントの共同事業に約二十億ドルの費用がかかるという見積もりでございますが、普通の場合、東南アジアの場合もそうでしょうし、その他の国家的なプロジェクトと言われるサハリン等もどういうことになるかわかりませんが、とりあえずこのカナダのLNGのプロジェクトについて、液化プラントの約二十億ドルの費用というのですか予算というものは、買い主側が自費で出すのか、あるいは輸出入銀行等を利用して金を借りることになるのか、どういう経過になるのか、これは通産省からお聞きしたいと思います。
  131. 高橋達直

    ○高橋説明員 私どもが承知をしているところによりますと、このLNGの液化プラントに対しまして、カナダ側と日本側でそれぞれ融資元と融資先という形でのそれぞれの会社をつくるような計画があるように聞いておりますが、日本側からカナダ側に融資をする際の資金源としましては、当事者の話によれば、輸出入銀行の融資を期待しておるということを聞いております。
  132. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、普通の場合だと、これで石油公団が債務保証をするわけでございますが、石油公団にお伺いをいたしますが、たまたま石油公団の場合の債務保証の現況というのが、昭和五十八年ではずっとふえてきておりまして、三千八百二十七億が債務保証の残高だそうでございますが、これは後で確認を願いたいと思います。そのうちで、LNG関連で三千百九十四億を債務保証をしている。枠が一体幾らあるのかですね。あるいは今回の場合、もし話があればという前提で質問をいたしますが、融資の前提となる債務保証に石油公団はどのような対応をするのか、お伺いをしたいと思います。
  133. 勝谷保

    ○勝谷参考人 石油公団の債務保証につきましては、先生御存じのとおりの海外における石油とか天然資源等に対しまして、その採取に必要な資金について債務保証を行っているわけでございます。  債務保証の現況につきましては、昭和五十七年度末現在で債務保証基金累計額が百七十四億八千五百万円でございます。この仕組みは、この基金の二十五倍を保証倍率として財務当局との間で設定をいたしておりますので、保証枠はこの基金掛ける保証倍率二十五倍ということで、四千三百七十一億円が保証枠でございます。保証残高につきましては先生ただいま御指摘のとおりでございまして、三千八百二十七億円となっております。したがいまして、今後の保証枠としての保証残高との差額は五百四十四億円ということになるわけでございます。五十八年度の実行状況を見通しますと、既存プロジェクト、これはLNGが大部分でございますが、こういうものへの充当等を考えますと、これらがほとんどを占めるという実情でございます。  このカナダの問題はどうかということでございますが、これは先ほど来政府当局と先生との間で御討議がございますように、目下検討中でございまして、正式の申請は私どものところへ出ておりません。したがいまして、石油公団として公式見解を述べる段階にないというのが実情でございますが、このような保証枠の残されている分野がきわめて限られておるという実態を反映いたしまして、関係各社はそういう意味ではいろいろ悩んでいる、私どもも悩んでいるというのが実情でございます。いずれにしても本件は、実際の申請が出まして政府当局と私どもの方で話をして詰めていくことになりますが、現時点ではまだ申請がないというのが実情でございます。
  134. 草川昭三

    ○草川委員 このような大きな金額ですから、事前のネゴというのですか相談があってから、オーケーのサインが出れば書類申請ということになるのは当然のことだと思うのです。ですから、ただいまの段階はまさしくいま公団の方から御答弁になられたように、債務保証の残高が五百億少しよりないという意味で難色を示しておるというのが私、実態ではないかと思うのですが、一部のニュースによりますと、融資の前提となる債務保証について石油公団が難色を示しておるのは、債務保証の金額もさることながら、相手側の売り主であるところのカナダのドーム社の経営内容というのが非常に悪い、それが非常に重要な問題だ、こう伝えられておりますが、その点については全然関係がない、全くの、残高が足らないから難色を示しているのかどうか、そこの点についてお答えを願いたいと思います。
  135. 勝谷保

    ○勝谷参考人 先ほどもお答えを申し上げましたが、保証枠の残高がきわめて限られておりますので、その意味で関係各社が非常に悩んでおる。これは一ドームに限らずその他、すでに石油公団の関発資金によって油を掘ろうといたしましたところ、実はガスが出てきた、このガスをどうするかという問題につきましても、予定の六割の十分な保証ができないという実態等々も別途ございます。これは本件とは関係ありませんが、そのような実態等考え合わせまして、少なくともドームの問題につきましては、その枠の問題でいま悩みが開陳されておるというのが実情でございまして、ドーム社の実態ということによって本件を左右しようという議論は私ども聞いておりませんし、中でも議論されておりません。
  136. 草川昭三

    ○草川委員 では、今度は通産にお伺いをします。  もし、債務保証の枠の残高に問題があるとするならば、たとえば債務保証がない場合に輸銀は日本側の買い主に融資をするのかどうか。これは非常に重要な問題だと思いますけれども、そのようなことを認めるのかどうか。通産として、認める立場にあるのかないのかという一つの議論がございますけれども、東南アジア等のプロジェクトの例によりますと、必ずしも公団の保証のないまま輸銀の融資が行われるという場合があるやに聞いておりますが、その点はどのように考えられておりますか。
  137. 高橋達直

    ○高橋説明員 ただいまの点は、基本的には輸銀の判断になろうかと存じますが、仮に当事者からそういう相談が私どもにあるとすれば、石油公団等とも十分に相談しまして、慎重に対処したいと思っております。
  138. 草川昭三

    ○草川委員 具体的な答弁はないわけですが、もう一つ聞きますけれども、いまプロジェクトがオーストラリア、カナダ、ソ連、カタール、タイ、たくさんあるわけですが、もしこの融資でつまずくとするならば、いわゆるプロジェクトの優先順位にも変更があるのかないのか、お伺いします。
  139. 高橋達直

    ○高橋説明員 今後のLNGのプロジェクトについてのお尋ねでございますが、現在インドネシアのすでにある分の増量分とか、マレーシア、オーストラリア、カナダというようなものがあるわけでございますけれども、プロジェクトの熟度というものが当然あるわけでございまして、たとえばインドネシアについては、もうことしから輸入を始めるというような段階に来ているわけで、そういったプロジェクトの熟度あるいは全体のプロジェクトの信頼度等、基本的には先ほど御答弁申し上げましたように輸銀の判断になろうかと思うわけでございます。
  140. 草川昭三

    ○草川委員 私どもも、将来の展望を考えますとこれは非常に重要なことだと思いますので、慎重に質問をしておるつもりでございますが、これは私、かなり重要な問題が内在をしておると思うのです。  それは、実はドーム社というものは、カナダでは非常に大きな会社でございますけれども、膨大な負債をしょっておるわけでございまして、いまから申し上げます北極石油の関係につきましても、北極石油というのは御存じのとおり、六〇%は石油公団、あと約四〇%は日本の石油関連あるいは造船所等の会社四十四社でつくっておる国家的なプロジェクトでございますが、ここがドーム社に、井戸を掘る探査費用というものを昨年末までに約四億ドル、探鉱資金というものを供与しておるわけであります。  その点について、非常に重要でございますので、まず、北極石油という私がいま触れた会社の概要と、四億カナダドルの探鉱資金を供与しているのかどうか、昨年の十二月までに払ったのかどうか、そして、時間がございませんのでお伺いしますが、ドーム社という会社の長期負債は一体幾らになっておるのか、お伺いします。
  141. 高橋達直

    ○高橋説明員 北極石油のお尋ねでございますけれども、この会社は、カナダ北極海におけるドーム社との石油の共同開発を目的に、昭和五十六年二月に設立された会社でございます。具体的には、御指摘のございました探鉱費四億カナダドル及びドーム社が負担をいたします開発費の一〇%から二五%相当分を、日本側が選択の権利を有した形で、日本が実行するという意思があれば実行するという供与を行い、それの見返りといたしまして原油を入手するという目的でつくった会社でございます。資本金につきましては、四百八十七億円でございまして、公団が六〇%を出資しておるというのは先生御指摘のとおりでございます。  なお、四億カナダドルにつきましては、御指摘のとおり昨年の十二月までに、すでにカナダ側に供与済みでございます。
  142. 草川昭三

    ○草川委員 負債総額をちょっと言ってください。
  143. 勝谷保

    ○勝谷参考人 負債総額は、八二年十二月末の借入金は六十七億四千六百万カナダドルでございまして、内訳は長期が六十五億二千百万、短期が一億八千六百万でございます。この長期のもので一年以内返済というのが目下問題になっているわけでございまして、これがいろいろなところで指摘を受けておりますが、二十二億二千九百万でございます。先ほど申しました一億八千六百万を含めましての一年以内返済約二十四億カナダドル、これが問題になっているわけでございます。  ドーム社の経営状況を御判断いただきますために若干の指標をあわせて御説明申し上げますが、公表されております財務諸表によりますと、八二年の十二月期の公表損益は次のとおりでございます。  まず、一九八二年の売り上げ高は三十億カナダドルで、前年の八一年が二十二億ドルでございます。ところが、前年の八一年は一億九千九百万カナダドルの利益を出しておりましたが、八二年は三億六千九百万カナダドルの欠損をいたしておる状況でございます。ただ、繰り越しの利益は八一年が十億四千万カナダドルでございますので、差し引きましてプラス六億二千百万ということで、見てくれといたしましては約千二百億円のプラス、繰り越し利益ということにはなっております。  最近の状況を申し上げますと、金利の低下とか合理化の促進、さらには天然ガスの売り上げの増等によりまして、損益は八二年秋以降徐々に改善しつつあるという報告を私どもは受けております。しかしながら、こういうことで満足はできないわけでございまして、先ほど申しました二十四億カナダドルの返済につきましては、カナダ銀行のこれに対するリスケの進捗状況、さらには外銀の対応、カナダ国家の対応等々をいま注意深く見守っているところでございます。
  144. 草川昭三

    ○草川委員 いまの公団の方からは、このカナダのドーム社の資産内容というのですか、経営状況というものを比較的甘くおっしゃっておみえになります。しかし、私どもがいろいろと資料を集めているところによりますと、一年以内の要返済の債務は六十億ドルになるのではないかと当初言われたわけであります。そこでドーム社の救済案というのが出てまいりまして、二ドル五十セントの転換社債を四億株発行し、そして銀行団グループに押しつけて昨年の九月の危機を一応乗り切っておるわけであります。さらに、これはつい最近の三月末に、十億ドルでございますか、返済をしなければいけない債務が残っておるわけでございますが、この前のレクで私どもお話を聞いておりましたところによりますと、これもいままだ支払いが不能で話し合い中だと言われております。  非常に内容が悪くて、実質上は破産をしているのではないかと思うのですが、その破産を事実上している企業になぜ四億ドルのカナダドルというような、日本のお金に直しますと七百億を超す金を投入をしなければいけないのか。果たしてそのような必要があったのかどうか。カナダから油を買うとかあるいはLNGを買うというのはいま進められておるのでございますけれども、相手が少し悪過ぎるのではないか、そういう選択眼を公団はどのように見ておるのか、これは公団からお伺いしたいと思います。
  145. 勝谷保

    ○勝谷参考人 先ほど資源エネルギー庁の方から説明がございましたように、四億ドルは昨年じゅうにドーム社の方に支払いを完了いたしております。そもそも、このドーム社に対する立場というのは、先ほど政府の方から説明がございましたような中長期的に見ればきわめて重要な、残された唯一のところでございますし、今後、科学技術の進展とともに人類のために開発すべき地域でございます。これに対して、カナダ政府もぜひ積極的に進めたいということでございまして、わが国もその一部の四億ドルを石油関連業界挙げて協力をする体制をつくりまして、北極石油のもとに四億ドルを投入したわけでございます。  ところがその後、先ほど来のお話のように、石油のこのような事態を反映いたしまして特にドーム社には、ドーム社の積極経営姿勢に厳しい試練がやってまいりました。先生おっしゃるように、私どもは楽観をいたしておりません。二十四億のカナダドルというのは大変なものでございまして、これにつきましては、先ほど申し上げましたようにカナダの主力銀行四行を中心としてのリスケの状況を注意深く見守っておりますし、そのほかアメリカ銀行を中心とします外銀の主力銀行の対応の仕方、さらにはその後やってまいりますカナダ国家の対応について、注意深く注意を払っておるところでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、最近では、政府とかカナダ銀行とかアメリカを中心とします外銀等によります金融支援体制が最終調整段階に差しかかっておりまして、私どもの見通しでは、これが破局的方向ではなくて、改善の方向に向かっているのではないかということを考えるわけでございます。さらに、ほんの少し前、先月でございましたが、来日いたしましたカナダ政府のエネルギー大臣も、カナダ政府としては同社を強力に支援するという意向を、わが国の通産大臣初め私どもの総裁のところにも申しているわけでございます。あわせまして、ドーム社自体も、合理化、資産売却等を強力に進めております状態でございますので、先生おっしゃいますように、楽観は決して許せませんけれども、一時申しておりましたような破滅的状態というようなところからは逐次脱却しつつある。またこれは、カナダ政府にとってもきわめて重要なことでございますし、私どもにとってもきわめて重要なこととして受けとめているわけでございます。
  146. 草川昭三

    ○草川委員 私は基本的に、時間がございませんので申し上げますが、契約した一九八一年の二月当時にすでにドーム社は危機だった。現地ではそういう指摘があったわけであります。それにもかかわらず、公団が乗り出した。北極石油というものをつくって、探査費四億ドルを向こうに投入をするという約束をつけた。さらに埋蔵量の問題等についても、新しい油田の埋蔵量の見通しについては、ドーム社と共同事業を行っておるカナダ法人のガルフ・カナダ・リソーシーズという会社があるわけですけれども、ここは油田は確かに一部油は出るけれども、採算ラインの五億バレルにも達しないという発表もいたしておるわけであります。  非常に競争相手が多いから、競争相手の情報は参考にすべきでないと言ってしまえばそうでございますが、私は無視できないものとして、アルバータ州の石油関係のプロフェッショナル協会が主催をしたコンサルタントの年次総会でブラウン会長というのが、ドームの石油会社の報告書における石油埋蔵量に関する数字は、プロフェッショナルな職業倫理に反すると思う、これは倫理規定に反する捏造行為に属し、この試算に参加をしたコンサルタント並びにドーム社のエンジニアは、プロフェッショナル協会の会員資格を停止するよう、資格審査委員会調査をすることを提案すると発言しておるのです。こういう事実を公団は知っておったのですか。
  147. 勝谷保

    ○勝谷参考人 ドーム社については、石油グラット以降の体制を反映いたしまして、その後ドーム社に対する厳しい批判が各所から出ていることは十分承知をいたしております。しかしながら、ボーフォート海におきます石油埋蔵量につきましては、カナダ連邦政府の国家エネルギー委員会の評価で一応の可採埋蔵量が出ているわけでございます。これが三百億ないし四百億バレルとされておりまして、先ほども申しましたが、世界でも残された数少ない有望海域であるということでございまして、この数字はドームではございませんでカナダ政府の公式発表でございます。さらに、先生御存じだとは思いますが、ドーム社保有の鉱区は、この中での面積四万五千平方キロメートルきわめて広大でございまして、地震探鉱の結果、石油ガスの賦存が有望視されております地下構造、必ずしもあるとは限りませんが、その石油があるであろうという地下構造が四十以上あるということがすでに出ております。しかも、現実にいままで試掘をいたしましたその結果で、十二坑のうち十一で油とかガスが見つかっておるわけでございます。  こういうことでございますので、私ども単にいいかげんな材料ということではございませんで、先ほどのような政府の発表または現実のデータ等々を背景に決心をいたしたわけでございまして、いまドーム社が保有しております鉱区におきます石油埋蔵量の評価をいたしておりまして、これはすでに先ほど言いました試掘に成功しました構造ごとに、埋蔵量評価のための探堀井の探掘を逐次進めてまいります。そして、今後その作業結果を待ちまして、本年後半から明年にかけまして逐次埋蔵量が判明するということになっていくのではないかと思います。いろいろ批判がございますが、着実な作業のもとに本件を進めてまいらなければならないと考えておるわけでございます。
  148. 草川昭三

    ○草川委員 時間が来ましたのでこれを最後の一問にしますが、株の推移を見ておりましても、一九八一年の五月の一株百八ドルが、昨年の九月には一ドル九十セントに落ちております。さらに契約をしたドーム・カナダ社というのは、掘削船を四隻持っていると言っていますけれども、すべてリースです。そういう意味では、いま公団がことさらに安心できるということを言っておみえになりますが、私は、またその反論も非常に強いわけですから、そういう情報を的確につかんで、国民の血税がむだにならないようにしていただきたい。日本は石油がないから、何でもかんでもいいわ、いいわという調子でやってもらっては困るというわけであります。  特に、この四億ドルは手付という感じでもあるわけですが、もしこのままずるずるとつき合っていくとするならば、さらに四十億ドルまでの開発資金の融資をしなければいけないということになっていきます。いまのままでさらに四十億ドルの開発資金を追加融資するということだけは、私は絶対にしないようにしないといけないと思うわけであります。  特に、私がこの問題を取り上げております最大の理由は、この石油会社あるいはそれを取り巻く背景、これは非常に政治的に深層海流があるわけでございまして、われわれもその域にまで達するわけにはまいりません。きょうはそういう趣旨の質問でございませんから申し上げませんけれども、私は、石油公団なり民間の企業のあり方を将来必ず見直すべき時期が来る、こう思っておるわけであります。  最後に公団の方から、さらに追加融資をいまのままで行うつもりかどうか、それだけをお伺いして質問を終わります。
  149. 勝谷保

    ○勝谷参考人 先生御指摘の開発資金でございますが、開発資金は日本側のオプションによりまして、ドームが負担します資金の一〇ないし二五%を負担しまして、その見返りとして原油を入手するということでございます。したがいまして、先ほど申しましたような探鉱活動によりまして、実際に石油がどれだけ出るかという見通しが立ちました上で開発資金が必要になってくるわけでございます。この開発資金の一〇%ないし二五%を日本が出すか出さないかは日本のオプションでございますので、そこらの実態は十分考えてまいりたいと思います。  先ほど来先生御指摘いただいておりますように、私ども、決してドームの実態については楽観いたしておるわけではございませんで、十分注意をして対処をしてまいるつもりでございますが、いろいろな雑誌その他で書いてありますような極端なものではないということだけはひとつお認めいただきたいと思いまして、若干のデータを申し上げたわけでございます。よろしくお願いを申し上げます。
  150. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  151. 永田亮一

    永田委員長 林保夫君。
  152. 林保夫

    ○林(保)委員 過般の科学技術庁長官の所信表明に始まりまして、きょうはいろいろ承りたいことがいっぱいあるのでございますが、しかしなお地元の問題と言って済まされない国際的あるいは国の問題だと思いますので、ウランの濃縮の国産化の問題につきまして、もう二年になりましょうか、このスタートのときにいろいろお聞きもし、そして一年半になりますか、私どもは原子力の平和利用に賛成する立場から、民社党及び同盟を代表いたしまして、私が団長になりまして人形峠も見せてもいただきました。  そういう立場で見ておりますと、私の地元でございますから、現在岡山に来ていただけるということは非常にはっきりしているのです。これはもう確固不動のものだというふうに思いますけれども、なおこれがなかなか出てこない。出てこないといたしますと、まあ東京並びに岡山の政治情勢には余り関係ございませんけれども、やはりいろんなことで要らぬ社会情勢の不安を来す、こういう問題がございます。  現に、建設省御担当の苫田ダムは二十年ぐらい大騒動している、こういうこともございますし、瀬戸大橋は早く決まり岡山空港も早く決まったのですけれども、これがまた情勢がはっきりいたさないと要らぬ運動も起きましょうし、そしてまた憶測を生むという情勢にもうすでになっておると思いますので、先にこの問題を大臣の御決断を聞く前に、事務局の方からどういう経過になっておるか。人形峠にパイロットプラントができて、そして今度は原型プラントだ、今度は商業プラントだ、こういう三つのステップだろうと思いますが、そのスタートから少しお話しいただきまして、なぜ岡山なのかということをひとつ明確にしていただきたいと思います。
  153. 高岡敬展

    高岡政府委員 お答え申し上げます。  先生十分御理解いただいていると思いますが、わが国では軽水炉によります原子力発電を進めておりまして、年々濃縮ウランの需要というのは急速に伸びております。現在のところ、ほとんど全部をアメリカからの輸入と申しますか、アメリカに対してウラン濃縮サービスの供与を頼んでおるということでございますが、できるだけ早くそういう状況を脱却したいということで、ウラン濃縮の事業化ということを進めておるわけでございます。すでに、人形峠でパイロットプラントが完成しておりまして、順調に運転をしておるわけでございます。  私どもとしましては、できるだけ早い時期に商業的なプラントが運転される、恐らく十年ぐらい先の話になろうかと思いますが、その時点におきます日本の需要の三分の一あるいはそれ以上というようなかなりな量を、国内のウラン濃縮サービスで賄うというところに持っていきたいということで、計面を進めておるわけでございます。  それで、いきなり商業プラントにパイロットプラントから飛躍するというのは、いろいろな面で無理がございますので、その中間的に原型プラント、規模にいたしまして年間二百トンSWUと言っておりますが、大ざっぱに申し上げますと、大体百万キロワットの発電所二基分の年間の消費量を賄うといった程度の規模でございますが、そういったものをできるだけ早く建設したいということで考えておるわけでございます。  私どもも、岡山県に立地することを念頭に置きながら計画を進めておるというのは御承知のとおりでございますが、パイロットプラントが岡山県と鳥取県の県境、人形峠で、きわめて地元の御理解、御協力をいただきながら順調に運転が行われております。そういった地元との良好な関係が、パイロットプラントについては維持されておるわけでございまして、岡山県の地元から、具体的には津山圏域の周辺の地域から、誘致のお申し出があったわけでございます。原子力のサイト問題としては非常に異例のことでございまして、私ども非常に感謝しておるわけでございますが、そういう経緯で動燃事業団で立地についての調査を進めておる、そういう状況でございます。
  154. 林保夫

    ○林(保)委員 局長、正確に申しますと、誘致の申し入れはどことどことどこから来ておりますでしょうか。
  155. 高岡敬展

    高岡政府委員 この問題につきまして、津山圏域のウラン濃縮原型プラント誘致期成会というのが結成されておりまして、会長が津山市長、市長さん今度おかわりになったようですが、前市長の生末さんが会長の時代に誘致をされておるわけでございます。勝北町、久米町、それから上斎原村の地元の関係者がメンバーになった期成会から誘致を受けておる、こういう状況でございます。
  156. 林保夫

    ○林(保)委員 それで、まずどれくらいのものをというと、二百トンSWUでしたね。それで、投資規模及び面積さらにはどれくらい人が要るか、この辺も少しこの機会に明らかにしてもらいたいと思うのです。
  157. 高岡敬展

    高岡政府委員 いまお答え申し上げますが、二百トンSWUというやや中間的な規模でございますが、コマーシャルのプラントの場合には、これが恐らく二千トンないし三千トン、仕上がりのかっこうではそんな規模になろうかと思いますが、現在私どもが想定しております建設費が大体六百七十億円という程度のものでございます。所要面積でございますが、おおよそ十ヘクタールという土地が要るのではないかというふうに考えております。運転の要員につきましては、必ずしも正確な想定はできかねますけれども、百二十人あるいは百三十人という程度の人で運転ができるのではないかというふうに考えております。
  158. 林保夫

    ○林(保)委員 それが商業プラントになりますと、二千、三千だとこれはどれぐらいのものでございましょうか。
  159. 高岡敬展

    高岡政府委員 商業プラントについての検討の試算として出ておりますのは三千トンSWU、年間でございますが、この規模で申し上げまして所要面積が八十ないし百ヘクタール、先ほどの原型プラントのおよそ十倍程度、それから従業員が三百六十人程度、建設費がおおよそ四千億円程度という想定がされております。
  160. 林保夫

    ○林(保)委員 もう一つついでに。商業プラントの段階で結構ですけれども、これらができますと、自動車や鉄とは違うでしょうけれども、どういう関連的な施設が地元ないしはその周辺で必要なのでございましょうか。そのプラントそのものだけで、余り関連企業とか事業というものはないのでございましょうか。大体のことで結構でございますから……。
  161. 高岡敬展

    高岡政府委員 ウラン濃縮という仕事の性格から申し上げまして、原料は申し上げるまでもございませんけれども、ウランのある中間的な加工品でございます。恐らくUF6。弗化物でございますが、そういうものを現地でつくろうということにはならぬと思いますので、輸入をするか、あるいは、どこか国内で、岡山県の立地地点とは離れたところで、そういうものは生産されるのではないかという気がいたします。  それから、そういう工場の運転に関連しましての資材その他につきましても、特に現地周辺において、いろいろ地域振興に役に立つような効果が大きく期待できるという性格のものではないように思います。でございますが、たとえば先ほど申し上げましたように、かなりの人がこの仕事に携わるということに関連しての地元商業活動についての影響でありますとか、あるいは建設期間につきましては建設業務、特に道路の整備の仕事でございますとか、そういう附帯工事の関連での効果というものが期待できるのではないか、そういうふうに考えております。
  162. 林保夫

    ○林(保)委員 もう一つ基本の問題を聞いておきたいのですけれども、名前を言ってもいいと思いますが、先般もあるグループが反対陳情をしておられたと思います。実はそういう状況になってきておるのです。全体としての原子力の平和利用そのものに反対であるという立場もあると思いますが、やはり原子力と言えば安全という問題を一番に言いますけれども科学技術庁なり何なりはこの点の安全性についてはどういう御判断なのか、一応きっちりとしてひとつ承っておけたらと思います。
  163. 高岡敬展

    高岡政府委員 このウラン濃縮のプラントと申しますのは、言うなれば天然のウランを材料にいたしまして、天然ウランの中にありますウラン235という核種を濃縮するというだけのことでございます。いわば、天然にもあるウランを取り扱うというだけのものでございますので、たとえば使用済み燃料の処理でありますとかあるいは放射性の同位元素を取り扱うというような施設とは異なりまして、安全性については十分注意を要する点はもちろんございますけれども、安全管理という面ではそう特殊なと申しますか非常にむずかしい問題は少ない工場ではないかというふうに考えております。  この点につきましては、先ほど申し上げましたように、原子力の施設につきまして地元から誘致をいただいておるというのは余り例のないことでございますので、そういったプラントの安全特性というのは、岡山県の地元の関係者にもかなり理解をいただいておるというふうに考えております。
  164. 林保夫

    ○林(保)委員 局長、そこはまた逆なんでして、みんなが大丈夫だと言うから大丈夫だろうと思って出しておるので、何も専門家がおって科学的に技術的に絶対大丈夫だから来てくれと言うのじゃなくて、大丈夫だと言うからそれならやろうかというのが県民心理だ。実は、私は岡山一区ではございません、二区でございますので、わりと客観的に見えると思っていまじっと問題を見ておるわけでございますから、その辺のところは局長ひとつ、こういうものなんだということは繰り返し繰り返しやっていただく。  と同時に、いま言う安全管理というのはちゃんとできるのだ、このこともやはり納得のいくようなものをもう少しみんなにわかるようにでもやってもらいませんと、先ほど申し上げたような複雑な問題が次々出てきたり、それが一つの政治勢力になってしまうというような状況もあることは局長も御存じだと思いますが、その点は一つ念を押しておきたいと思います。  先ほど局長調査されたとおっしゃいましたけれども、いま言う上斎原村、それから勝北町、さらには久米町ですか、これはいわゆる原型プラントの候補地としておやりになったということでございましょうか。ほかに調査されたところがあれば、それなりにひとつ率直にお聞きしておきたい。
  165. 高岡敬展

    高岡政府委員 まず申し上げたいのは、原型プラントの立地の候補地ということで調査をいたしておりますのは、いま御指摘のありました三地点でございます。  それから、現在、私どもの傘下にあります動燃事業団におきまして、ウラン濃縮の関係でサイト探しをしておりますのは、あくまで原型プラントの用地探しといいますか、用地のための調査でございます。
  166. 林保夫

    ○林(保)委員 これは、やはり岡山県の三地点だけでございますね、はっきり申し上げて。  それから、商業プラントについては後で聞こうと思うのですが、いろいろ候補地も、あるいは手を挙げておるところもあると思いますが、どこどこ出ておりますか。ちょっと先に聞かしていただきたいのです。
  167. 高岡敬展

    高岡政府委員 原子力委員会と申しますか、の傘下で、遠心分離法によりますウラン濃縮の事業化をどういうふうに進めるかということで、いろいろ専門家を集めまして議論があったわけでございますが、その段階での議論の一つといたしまして、商業プラントの計画の見通しをかなり明確につけた上で原型プラントの計画を進めるべきであるという意見も確かにございました。  ございましたけれども、現在の時点で、産業界におきまして商業プラントの計画を具体的に進めるという決心はつきかねるという状況であるので、原型プラントの計画具体化を商業プラントの計画具体化とは一応切り離したかっこうで、たとえばサイトの問題にいたしましても、原型プラントだけのことを一応念頭に置いてサイト決定をするという考え方で、原型プラントの計画を進めるべきである。その仕事は、将来は商業プラント、もちろん産業界でやれるわけでございますけれども、原型プラントについては、いまの状況からいって動燃事業団が主体になって進めてもらいたい、産業界は応分のといいますか、資金面その他についてもできるだけの協力をいたしましょうということで、計画が進んでおるわけでございます。
  168. 林保夫

    ○林(保)委員 私も、寡聞にしてということになるのでございますけれども、商業プラントになりますと、たとえば茨城とか福井とか、あるいは宮崎は方式が違うのでしょうけれども、いろいろ新聞で見たり聞いたりしておりますが、そこらは大体どういうところが出ているのでございましょうか。情報でも結構です。
  169. 高岡敬展

    高岡政府委員 将来の商業プラントについて、具体的な誘致でありますとか、あるいはそれを受けてここを候補地にしたいというような話というのは、私どもの知る範囲では全くないように思います。
  170. 林保夫

    ○林(保)委員 繰り返して申しわけないのですが、全くないということは、やはりどういう障害があるのでございましょうか。先ほどの話でも、これから非常に大きなものに持っていかなければならぬ。国産で三分の一を賄うということになりますと、これは大変なものだと思いますので、みんな工場が来てくれるのはありがたい、こういうのが多い中で、どうして手が挙がらないのでしょうか。
  171. 高岡敬展

    高岡政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、商業プラントの所要資金としましておおよそ四千億円という数字を申し上げましたが、資金面でもきわめて大きな計画でございます。でございますから、これをどういうタイミングで、どういう規模のものを計画具体化するかということにつきましては、かなり慎重に対応せざるを得ないという状況にございます。  現在の状況では、将来、この商業プラントが稼働開始後のウランの需要見通しにつきましても不確定要因があります。それから、海外での日本として利用できますウラン濃縮サービスというのが、国内でやった場合にコスト面で十分太刀打ちができるといいますか、競争可能な工場の建設なり運転ができるのかどうかということについても、十分検討、確認を要するわけでございます。  こういった点につきましては、原型プラントの建設の経験なりあるいは運転の経験を十分見た上で具体化をしたい、商業プラントの計画を進めたい、そういう態度でございますので、先ほど申し上げましたような具体的な立地その他についての話が進んでおらないという状況でございます。
  172. 林保夫

    ○林(保)委員 ところで、過般出されました科学技術庁の五十八年度予算の予算書の中にございます「原型プラントの建設」という項で十億六千万ですか、上がっておりますが、これはどういうしさいで、どういうところに使われるお金なのでございましょうか。
  173. 高岡敬展

    高岡政府委員 五十八年度の予算といたしまして、原型プラントの関係の経費として政府からの出資をいたします分が十億六千万ございます。同額を民間からも拠出してもらうということでございまして、約二十一億円の原資といいますか、資金が使えるということになっておるわけでございます。  これにつきましては、二十一億のうち約九億円が土地の造成費を予定しております。残りの十二億円につきましては、附帯工事費と申しておりますが、たとえば取りつけ道路の整備でございますとか排水路の整備でありますとか、あるいは受電設備の整備でありますとか、そういった附帯的な施設の整備に充てたいということで、予算措置を講じておるわけでございます。
  174. 林保夫

    ○林(保)委員 そういう予算がもうすでに出ておってまだ発表になってないのは、同時選挙でも済んだらすぐやろうかという段取りまでいっているというような話も聞いておりますけれども、どういう段階なのでございましょうか。大臣、きょう発表していただければ、もうすぐにでもひとつ――それは同時選挙と関係ないと思います、そういう政治絡みでは。いいものをずばっと、国のためにもあるいは県のためにもやってもらわないといけませんので、ちょっとその辺の事情を少し教えていただきたいと思います。
  175. 高岡敬展

    高岡政府委員 私どもが考えております原型プラントの建設、運転の計画をごく簡単に申し上げます。  まず、サイトの選定につきましては、私どもの考え方を後ほど申し上げますけれども、サイトが決まりますれば――サイトが決まらないと、詰められない設計の段階がございます。これは調整設計と言っておりますが、そういう作業をまず進めるというような予定をいたしております。それに続きまして、先ほど申し上げましたような土地の造成でありますとかを行った上、その後建屋の建設といったことを、六十年度、六十一年度にかけて進めるという予定にいたしております。  これとやや並行いたしまして、建物の中におきます遠心分離機、機械の製作、据えつけということを進めまして、二百トンSWUと申し上げましたが、その半分の百トン分につきましては、六十一年から運転開始をしたい。後半の半分につきましては、若干の設計の変更といいますか、改良を予定しておりますが、この分につきましては、六十二年度には運転開始の運びにしたいということで考えておるわけでございます。  最初に御指摘ございました、動燃で調査をもうかれこれ一年ぐらいやっておるではないか、その間、大体の結果が出たように思うけれども、サイト決定に至らぬのはどういうわけだと、こういう御指摘かと思います。この点につきましては、サイト決定という仕事を、作業といいますか、担当いたしますのは、当然のことでございますが、事業当事者でございます動燃事業団でございます。動燃事業団が、去年の五月ぐらいから岡山県知事の調査についての御要請がございまして、それを受けたかっこうで調査を開始したわけでございます。社会環境あるいは自然環境、その他一般の工場立地のための用地調査ということをいろいろ調べております。  確かに、おおよその輪郭はつけられる状況になっておりますが、たとえば内陸地でございますが、河川の漁業権ということに関連しての調査問題なども残っておりますし、詰めの作業というのがまだ残っておるわけでございます。  そういうものをできるだけ早く結末をつけまして、かたがた地点ごとの、この地点については、たとえば土地の造成についてどのぐらいかかりそうだとか、あるいは排水溝その他の道路建設について、こういった問題があるというようなことが、およそ見当がついておりますので、そういったものを念頭に置きまして、また地元の県といたしましても、恐らく市町村の当事者とされても、こういったプラントの建設に関連して、いろいろな地域開発その他に関連しての御希望、御要望もあろうかと思いますので、決してその地元の御意向をまるのみにしてサイトを決めるというわけではございませんけれども、こういったプラントの建設なり運転につきましては、地元との協調といいますか、円滑な事業運営を図るために、調和を図るということが大事なことでございますので、そういう段階を経て、先ほど申し上げましたように、できるだけ早くサイト決定の運びにいたしたいと考えているわけでございます。
  176. 林保夫

    ○林(保)委員 それはもうちょっと後に延ばしまして、先ほどの建設費六百七十億、これは国としてはやはり半分ぐらい出すという御予定でしょうか。民間からどれくらい期待しておられるか、その辺のところ、借入金もあるとも聞いておりますので、少し詳しくひとつお願いしたいと思います。
  177. 高岡敬展

    高岡政府委員 先ほど申し上げました原型プラントの建設資金約六百七十億でございますが、この分担につきましては、政府の出資で賄う分がおよそ二百五十億円、それから同額を民間からも拠出をしていただくということを予定いたしております。残り百七十億足らずでございますが、これにつきましては、借入金を予定して、建設資金に充てたいということでございます。
  178. 林保夫

    ○林(保)委員 そうすると、民間の場合は、もうすでに話を――各原子力のグループがございますね、その辺だと想像するのでございますが、たとえば今年度の十億に見合う額というのは、大体話がついておるのでございましょうか。何社ぐらいでそれを持たれるのか、その辺のところを少し……。
  179. 高岡敬展

    高岡政府委員 先ほど申し上げました民間からの拠出金二百五十億でございますが、これにつきましては、電力会社が主体になると考えておりますけれども、電気事業連合会その他関係者と十分意見の調整を図っておりまして、そういう合意に基づきまして、借入金を差し引いた残りの建設費を折半して、政府と民間の間で拠出しようということで了解がついておるわけでございます。あくまで原則的な了解でございます。
  180. 林保夫

    ○林(保)委員 それから、そこの設備するいわゆる遠心分離の機械のこれはどういうところでどういうふうにつくるのですか、国産で全部いけるわけですか、あるいはパテントはどこからか買わなければならぬでしょうか、その辺のところを少し……。
  181. 高岡敬展

    高岡政府委員 このウラン濃縮の技術、特に遠心分離法によりますウランの技術につきましては、アメリカその他の友好国といえども日本に技術情報を提供してくれないという状況にございます。したがいまして、非常に長年月をかけまして、動燃事業団におきまして非常に基礎的な段階から研究開発を積み上げまして、やっとパイロットプラントの運転までに至ったという状況でございます。  そういう状況でございまして、もちろん技術そのものもいま申し上げたような状況でございますし、製作につきましても、国内で一部材料その他が海外から供給を受けるというようなものが例外的にあろうかと思いますが、おおむね準国産ということで製作されるとお考えいただいていいと思います。たとえば、現在そういった技術能力を持っておりますのが三社ほど出ております。
  182. 林保夫

    ○林(保)委員 そういう国際的なしがらみの中で努力していかなければならぬ問題であるだけに、私どもも関心は大きいわけですが、この五十七年の原子力年報といいますか、白書を見て、私も実はびっくりするぐらいの海外依存の高いものになっております。現在はやはり大きな依存を、日米あるいは日仏ですか、あるいは日加、日豪との協定によってやっておりますが、実際にあの協定を審議してみまして問題の多いことは非常によくわかるだけに、なおエネルギーを原子力に頼るなら、もっともっとスピードアップしていかなければならぬのじゃないか。  科学技術庁、少し遠慮しているというか手ぬるいじゃないか、このようにも考えますが、現在の濃縮ウランの需給状況ですね、八千とか六千SWUとありますけれども、現在の需給と、それからもう一つ、この中にも六十年と七十五年ぐらいまでありましたけれども、その辺のところ、この問題、国産化と関連しまして、いまの時点でどう考えておられるか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  183. 高岡敬展

    高岡政府委員 ウラン濃縮需要の状況でございますが、いま御指摘ありましたように、現在時点におきましては、ほぼ一〇〇%海外に依存しておると申し上げていい状況でございます。内容的に申し上げますと、アメリカのエネルギー省でこういうウラン濃縮のサービス提供をいたしておりますが、そこにほとんど全面的に依存しておるという状況でございます。一部フランスのユーロディフというウラン濃縮会社ができておりますが、それに対してからの供給を当てにしているという分がございます。量的に申し上げますと、現在アメリカからの供給を期待しておりますのが、年間大体六千SWUという程度の量でございます。ユーロディフからの供給分につきましては、大体年間千トンという程度の量を期待いたしております。  現在の状況はそういうことでございますが、昭和七十五年の時点で全体の需要がどのくらいになるかということでございますが、おおよそ一万二千トンSWUという程度の需要になるのではないかという想定をいたしております。そのうちで、まあこの時点までアメリカからのウラン濃縮サービスの提供を受けるかどうか、若干問題はありますけれども、一応現在の六千トンというのを前提として考えますと、その差七千トンでございますが、おおよそその半分程度は国内でのウラン濃縮工場といいますか、ウラン濃縮施設での生産で賄いたいというのが、私どもが念頭に置いている目標でございます。
  184. 林保夫

    ○林(保)委員 人形峠でしょうか、パイロットプラントにおける濃縮ウランの製造実績、五十六年で八・一トンSWUですか、これを見て、いまの原子力発電の状況、まあ国際紛争がないことを願いながらもなお、これじゃ大変なんだなというのが実際上の実感でもございます。  さて今度、これで商業プラントへいって三千だといたしますと、本当に政府が本腰を入れて原子力平和利用の方向を突き進むならば、これはもう寒々しい限りだ、こういう状況にあろうかと思います。それだけに、早く国内問題で解決できるところは、大臣やはり解決して、びっしりとひとつやっていただくことの方が――先ほど申し上げたように、遅くなればなるほど悪くなるわけです。  私どもの体験でも、さっき申し上げた苫田ダムは、トップが行かなかったのですね。二十年たって知事、市長さんが行ってみたら、バリケードがあってどうにも入れぬという実情でしたね。逆に岡山の体験からいきますと、岡山空港は、知事さんはずっと歩いたわけです。そうしたら、四月にもうオーケーになりまして、八月には運輸省の建設許可が出るというような状況にやはりなっております。それが、政府なり行政の民主政治の中における一つのあり方だと思うのです。そういう意味で、大臣にどうかひとつ早く決めていただくという御決意を、きょうちょうだいしたい。  それを聞く前に、局長、もう一つ聞きたいのですが、私ども実際入りまして、ああいうところですから交通がちゃんとしていなければならぬ。雪があっても困るということもございますし、局長はいま河川の問題があると言われましたけれども、選定基準として何を重視していかれるのか、その辺のところをもう一つ押した上で、大臣ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  185. 高岡敬展

    高岡政府委員 原型プラントの立地の選定基準につきましては、もちろん自然条件それから社会的な条件、いろいろあるわけでございますが、私どもといたしまして、順不同でございますが、地点ごとの建設費といいますか、それがどうなるか、あるいは特に建設の工期といいますか、建設に手をつけましてからどのぐらいな期間かけないとできないかということが、やはり地点ごとにかなり差があろうかと思いますが、そういった点を念頭に置きながら考えたいということでございます。  自然条件といたしましては、きわめて常識的でございますが、その地点の地質でありますとか地形でありますとか、それから安全上は、もちろん風向、風速というような気象条件というようなことも一応確認を要するわけでございます。いま御指摘ありましたような輸送問題、特に雪が降った場合の対策というようなことも配慮しなければいけないということがございます。それから、関西以西の地域というのは、文化財といいますか埋蔵文化財が非常に多いところでございますので、そういった状況が具体的にどうなっておるかということも、さらに先ほど申し上げました工期との関係で問題になるところでございまして、この辺の調査もいたしておるわけでございます。  以上申し上げましたようなことが土地の造成費という建設費の中でかなりなウエートを占めようかと思いますが、そういうものとしてはね返るということがございます。  それから、きわめて具体的なことでございますが、地点ごとの土地の購入価格、値段ということがやはり問題になるわけでございます。こういったことを比較検討して、立地を選定したいというふうに考えておるわけでございます。
  186. 林保夫

    ○林(保)委員 もう一回。事務的にはいつ決められますか。
  187. 高岡敬展

    高岡政府委員 先ほど申し上げましたように、動燃事業団での調査というのが必ずしも完結をいたしておるわけでございませんので、それをできるだけ早く完結をしてもらいまして、その上でできるだけ早くその選定をして、それ以降の作業を進めたいというふうに希望しているわけでございます。
  188. 林保夫

    ○林(保)委員 局長、もう一つ聞きたいのですが、鏡野町の調査をしておられるような情報も聞いているのでございますけれども、これは商業プラントの段階までのものでしょうか、それともいまの原型プラントの段階でしょうか。それは、いろいろ調査するのは結構ですから、やってもらって結構なんですけれども、いろいろと憶測が出ておりますので、その辺のところをもう一つ
  189. 高岡敬展

    高岡政府委員 鏡野町の地点につきましては、ごく予備的な調査といいますか、地図でありますとか、あるいは簡単に県あるいは市町村から提供してもらえるような資料を取り寄せて考えてみたいということはございますけれども、先ほど申し上げましたような上斎原でありますとか久米町でありますとか勝北だというほど立ち入って個別具体的に、立地選定の先ほど申し上げました基準に照らした具体的な調査ということはやっておるわけではございません。
  190. 林保夫

    ○林(保)委員 局長、もう一つだけ。先ほど商業プラントになると八十ないし百ヘクタール、こういう広いのが要るんだとおっしゃいましたけれども、その地区で岡山県の場合はとれそうな感じがしますか、どうですか。まだ、調査してみなければわからないと言われても仕方ないのですけれども、わりと広いところでございますので、商業プラントの場合ですけれども
  191. 高岡敬展

    高岡政府委員 先ほど申し上げましたように、商業プラントにつきましては、一応今回のサイト選定には念頭に置かないということで進めておりますので、何とも申し上げかねるわけでございますけれども、ごく常識的に申し上げまして、コマーシャルプラントを物理的に岡山県内あるいは津山圏域に置くことが頭から不可能かとおっしゃると、そういう状況にはないだろう、自然環境的には不可能ではないような気がいたします。いたしますけれども、そういうことを具体的な調査の結果に基づいて申し上げておるわけではございませんで、常識的に百ヘクタールという程度の土地が確保できないわけはないであろうという程度のことでございます。
  192. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣、大変失礼しました。そういうことでもう煮詰まりに煮詰まっていて、しかも漏れ承るところによると、大臣ももう決断の時期に考えておられるやに承るのでございますけれども、どのようにお考えでしょうか。  率直に申し上げて、雪のある上斎原、これでもいいという意見もあるように聞いております。また、あるところではやはり久米町だという意見も強い、その方が強いとも聞いております。  私は、その利害関係は全くないだけに、早くどこというやつをやっていただくことこそ、県や国のためでもございますので、大臣、お差し支えなければ、第一血候補地ぐらいずばりひとつ言うていただいて御決定いただけたら、もう熟しに熟していると思うのです。これは、おくれればおくれるほどむずかしくなると思うのです。これから参議院選挙もある、そしてまた、その後私どもが走り回りますると、こういう問題でよけいにおかしなことになりかねません。純科学的、技術的な立場は科学技術庁の本領でございますので、ひとつ決めていただければ、きょう決めていただければなおいいと思いますが。
  193. 安田隆明

    安田国務大臣 まず、非常に御理解をいただいております林先生に心からお礼を申し上げたいというのが第一でございます。  第二番目には、先般いわゆる原子力委員会を開催いたしました。その席上、委員から、なぜもたもたしているのだ、早くやらないのかという御提言、御忠告をいただいておるわけであります。それを受けまして高岡局長それから瀬川理事長、われわれは、鳩首会議も数回持ちました。結論はこういうことでございます。  いろいろいま地点の話が出ました。人形峠を含んで、数地点についての比較設計を詳細にいまやっておる最中であります。これももう概成し終わっておる、こう私は判断しておるわけであります。  そうしますると、比較設計をやってみますると、これは相当の段差が出てまいります。これは財源の問題もございますし、いろいろあるわけでございますが、さてその比較設計の中でどこにこれを落ちつくべきか、こうなりますると、それは地元は一体いかがか、こういうところへ落ちついてまいりました。そこに、積極的な誘致の御意見というものが出てまいりました。  さあ、これから以降どうするか、こうなりますれば、私たちはもうそろそろという気持ちを十分持っております。なぜならば、もう将来の日程は、六十年末までには稼働してしまう、こういう日程は組み終わっておるわけでありますから、もうすでに遅い、こういうことでございまして、そして選挙を意識するな、こうおっしゃいますけれども、やはり地方統一選挙はいろいろなところに派生しますから、現地の知事さんのお考えもございまして、これはひとつこのタイミングはちょっと考えようじゃないか、こういうところへ先般反対陳情を正式に受けました。  私は、反対されるその趣旨は悪くは受け取っておりません、数項目ありますけれども。県評等の皆様方の反対陳情というものは、私たちの理解の示し方の問題でありまして、手法の問題もそこに含まれておりますし、大変な誤解の問題も二項目ほどあります。これはこれとしておきまして、いろいろ内容を検討いたしますると、ひとつ知事さんと最終的にこの辺で決着をつけたい、こういう考え方を強く持っております。御指示、御提言のとおり、もうちょっと時間をかしていただきたい、こういうことで御了解願いたいと思います。
  194. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣から真意を吐露していただきまして、これ以上やると政治的になりますので、科学的にひとついい立場で決めていただくことをこいねがって、この話は打ち切りにしたいと思います。  時間が足りなくなってしまいましたのですが、いろいろと教えていただきまして本当にありがとうございました。  大臣の所信表明を重ねて読ませていただきまして、方向性としてはこれで行くべきだ、こう思いながらもなお、十年来の高原油時代が、一バレル三十四ドルが二十九ドルになるとか二十一ドルになる、二十三ドルになるというような大変不安定な状況がまた出てまいりまして、エネルギーの多様化が進む一方でそういう原油の値下がり、これからどういうかじ取りをしていくのだろうかなということで、大変心配でございます。  結論から申し上げて、先に持論を申し上げて恐縮ですけれども、大臣はそういうお考えじゃないと思いますけれども、かつて十年前に全治三年ということを言われた人がおりましたですね。私は、あれは徹底的に反対いたしまして、もとの体へ戻らぬのだ、セミが皮を脱ぐように、新しい二十一世紀に向けて脱皮三年ぐらい言うてもらいたかったということを書き続けました。いまから思うとそれが正しかったと思いますね、もとの時代は来ませんから。同じように下がる。これもまた、セミの皮を脱いで新しい時代に対応すべくやっていかなければならぬわけですが、民間の人と出会いましても、かなり情報を持っている人もいます。しかし、なお不足している人もあります。先見性を持って政治、行政に携わる人がどういう判断をしておられるのだろうかな、これが余り出ていないのですね。まあ、科技庁の皆さんは御専門でございますので、御専門であればあるだけに発言は控え目になさると思います。  そこで、事務局の方はいまどういうふうな展望を持っておられるか。それとたとえば発電コストとの関係、いま一キロワットアワー当たり十一円くらいでございますか、それが原子力であるとすれば、重油を使った場合にどこまで落ちてくるだろうか。これは、原子力行政にもろに関係いたしますので、その辺の展望を、時間がございませんので短時間で結構ですから、ひとつ……。
  195. 高岡敬展

    高岡政府委員 正確に申し上げますと、いろいろ前提を申し上げたりでございますが、結論だけ申し上げますと、特に石油火力と原子力発電のコストの比較ということが、石油の価格下落、それから一方では国際的な為替レートの変動、円高ということに非常に大きく左右されるわけでございます。これにつきましては、私どもいろいろな試算もやっておりますが、非常に極端なケースといたしまして、これはあくまで試算だということで御理解いただきたいと思いますが、石油の価格が一バレル当たり二十ドルという大幅な下落があり、なおかつ国際的な為替レートが二百三十円というような厳しい状況になっても、おおよそ石油火力と原子力発電コストというのは比肩できるということを考えております。  やや内容的に申し上げますと、いろいろ議論がございますけれども、廃棄物の処理処分のコストをどう見ているのであるかとか、寿命が来た発電所の廃炉といいますか、廃止処分についてのコストをどう考えているのかという問題がありますが、そういうものをいま考えられる範囲で含めまして、先ほど申し上げましたような非常に厳しい条件のもとでも石油火力と対抗できるという試算を持っておるわけでございます。でございますから、非常に雑駁な話で恐縮でございますけれども、ほかの発電の方式と原子力発電というのは、原子力発電の優位性は、かなり長期にわたって維持できるものだという考えを持っております。
  196. 林保夫

    ○林(保)委員 また、データはちょうだいいたすことにいたしまして、大臣にそういった意味で、私の持論を押しつけるわけじゃございませんけれども、昔に返るなんと言わないで、前向きで白いカンバスに二十一世紀を展望する絵をかくぐらいのつもりでやっていただきたいのでございますが、大臣、今日の事態をどのように御判断されているか、最後に承っておきたいと思います。
  197. 安田隆明

    安田国務大臣 この濃縮工程は核サイクルの、われわれは原子力政策の絶対なし遂げなければならない政策選択である。これが一つ。それから二番目に、先ほど来お話ございましたわれわれが人形峠で開発しましたこの技術は、先進国の中でも最先端を行く自信を持ったものである、私たちはこういう自負を持っておるわけであります。だからして、あと知見の問題あるいはまた研究開発という問題は一部残りましても、これだけは既定方針どおりに取り組みますよ。あとはもう決断の問題だけ。  だからして一日も早く、六十年末までにこれが稼働する、こういうことで動燃はもちろん電事連とも、最終の詰めをいまわれわれやっておる最中でございます。もうそろそろ――選挙を意識するな、こうおっしゃいましたけれども、われわれ政治家はやはり地方選挙を意識しますから、もうこれでいきましたからもうそろそろ、こういうことで御了解願いたいと思います。
  198. 林保夫

    ○林(保)委員 どうやら大臣の結論が出たようでございますので、御健闘をお祈りいたします。  ありがとうございました。終わります。
  199. 永田亮一

    永田委員長 栗田翠君。
  200. 栗田翠

    栗田委員 私は、浜岡原発三号炉をめぐる問題についてきょうは質問いたします。  すでに中部電力は、浜岡原発の三号炉を建設し始めておりますが、もともとこの位置が東海大地震の震源域にあるということで、こんなものをこんなところに建設するのは危険ではないかとかねがね反対をしてまいりました。また、原子力発電所の安全性がまだ本当に保障されていないときに建設をしていくことについて、共産党は反対をしております。そういう意味でも、これを許した政府の責任は重大だと考えておりますが、さらに、今度三号炉敷地の安全性について、政府の安全審査結果に重大な疑問が出てくるような事実が発見されました。それで私は、これに関係して四月七日に質問主意書を提出しております。政府は、二十二日に答弁書を出されました。けれど、この答弁書は中身が非常に不十分で、まだ解明されない点がたくさんございますので、私は、続いてこの問題について質問させていただきたいと思っております。  それで、ちょっとこれまでの経過を述べますけれども、三号炉の敷地の中には三本の断層が通っております。これをH―l、H―2、H―3と番号も振りまして、H断層と言っているわけですけれども、このH断層系の評価は、三号炉敷地の地盤の安全審査上の決定的なポイントになっているわけです。中部電力は、浜岡原子力発電所原子炉設置変更許可申請書、つまり三号炉増設の一部補正の中で、このH断層系について「少なくとも第四紀後期における活動はなかったものと推定される」と結論づけております。その根拠にしたのは、御前崎地域の十数カ所の相良層などを切っている断層露頭を観察したところ、「いずれも上位の第四紀層に変位を与えていない」、「少なくとも御前崎礫層に変位を与えていない」からだというふうに言っているわけです。  また、政府もこの評価をそのまま認めて、「この断層は少なくとも最近の活動がないと判断して差し支えない」と通産省は言っておられますし、また原子力安全委員会も、「H断層系の最近の活動性はないものと判断され、繰り返して活動する性質を持つ活動層とは異なり、地震を引き起こすような断層ではないものと判断する」というふうにされまして、だからここに三号炉を増設してよいという許可を与えていらっしゃるわけです。  ところが、ことしの四月の初めに、日本学者会議調査グループが御前崎地域地質調査をなさいまして、その結果、白羽断層の露頭が地質学的に初めて確認されております。この「確認した「白羽断層」の露頭では、基盤の相良層を切っている断層が明確に上位の御前崎礫層に変位を与えており、このことは3号炉敷地内のH断層系が活断層である可能性を示唆して」いるということで、このことで「3号炉の敷地地盤と地質の安全審査結果に重大な事実誤認の疑いがある」ということが言われたわけでございます。これがいままでの経過です。  これにつきまして、私がいろいろ質問主意書で質問をいたしましたけれども、まず最初に、科学者会議調査した露頭、白羽断層の露頭の位置なんですけれども、ここを十分に政府調査したのかという質問に対して、「御指摘の露頭について、十分に、調査検討を行った。なお、御指摘の露頭は、三についてにおいて述べる11K120lの露頭であると考えられる。」というふうに答えておられます。つまり、11K1201といいますのは、中部電力が一部補正書を出したときの添付書類の中に図が入っております。この図ですけれども、第3、3―2図「基盤(第三紀層)にみられる断層露頭位置」という図がございますが、ここに十三カ所、検討した露頭の位置が記されておりまして、その中の11K1201というところがありますが、これが日本学者会議が発見した露頭位置と同一であるというふうにお答えになっていらっしゃいます。  しかしながら、この図の位置というのは、実は日本学者会議の発見した白羽断層の位置と比べますと、正確に言うと南に約三百メートルくらいずれたところにプロットされておりますし、谷が一つ余分に間に入っております。しかし、これは実は同じものなのだというふうに回答されたわけなのですが、位置がこういうふうにずれているけれども同じだとおっしゃるのはどういうことなのでしょうか。まず、そこから伺いたいと思います。
  201. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 先生質問主意書にございました露頭でございますが、それにつきまして質問主意書で御説明なさっている事項をいろいろ私ども検討いたしまして、それがいわゆる申請書で言います11K120lの露頭の特徴と非常に似通っているということ、あるいは質問主意書の中で指摘しておられます地域に類似の露頭がございませんので、これがまさに11K120lと同一のものであるというふうに結論づけたわけでございます。
  202. 栗田翠

    栗田委員 それでは、地図上三百メートルもずれているところに印がついているということはどういうことですか。
  203. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 安全審査の申請書に載っておりますその図でございますが、この図の性格を申し上げますと、これはあくまで地質図でございます。いわゆる基盤岩が発電所サイトの周辺にどのように分布しているかということを示しているわけでございますが、申請者であります中部電力は、設置許可の申請をいたします際に、H断層系の活動性を評価するために十三カ所の露頭を調査したわけでございます。その露頭の場所をこの地質図の中に記載したわけでございます。したがいまして、通常、道路だとかいろいろ入っておりますいわゆる地形図と違いまして、そういう意味ではこの図は、余り精度は高いものではないということが言えるかと思います。  いずれにいたしましても、この図自体は先ほど申し上げましたように、十三カ所の露頭の位置につきまして発電所との相対関係を示すと同時に、周辺の地質の状況を示すということが目的でございまして、そういう意味で精度が余り高くないと言えるかと思います。
  204. 栗田翠

    栗田委員 しかし、十メートル、二十メートルぐらいの違いではないわけですね。  それからこの地図を見ましても、明らかに谷が一つ間に余分に入っておりますから、たとえ道路がかいてなくてもこれはかなりのずれなんですね。私たちは地元の者ですから、現地調査に行きまして、これは谷が一つ余分でずいぶんずれているじゃないかということは、この図を見ただけでもわかりました。ですけれども、実際にコンサルタント会社の専門家などに聞きましても、そういう不正確なものは普通かかないのだということを言っておられます。こんなに大きく違うということはないんだということを言っておられて、私もそれを聞きました。  どうしてこんな常識であり得ない間違いをやったのだろうか、政府に対する申請書がこんなずさんなものなのだろうかということなんですが、いつもこんな調子で、かなりあいまいな精度の低いものを出して、それを受け付けていらっしゃるのですか。
  205. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 設置許可の申請書の中にはいろいろな図面あるいはグラフ等が載っておりますが、それぞれ目的に応じまして作図されておりますので、この図面につきまして言いますと、先ほど申し上げましたように、あくまで露頭の位置を発電所との相対関係で示すという目的があるわけでございますが、そういう意味からしますと、いわゆる私どもの安全審査上支障となるようなものではございません。したがいまして、こういった図の精度につきましては、それぞれその図によりまして違ってくると考えております。
  206. 栗田翠

    栗田委員 しかし、これは公開されている唯一のものでございますから、もしこの一部補正をもとにして国民の側が、また住民が、この場所を訪ねていって自分の目で確かめようと思ったときには、この図ではこの場所に行き着かないのですね。そういうほどに不正確なものなんですね。後から私の方から要求いたしまして、二万五千分の一の詳しい地図をもう一度持ってきていただきました。これには、確かに正確に位置が示されております。そうしますと、この添付書類の位置が間違っていたことはお認めになりますね。
  207. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 この添付書類の図面につきましては、図面の性格上さほど精度が高くなかったということで、そういう意味では若干のずれがございましたが、これが間違っているということにはならないかと思います。
  208. 栗田翠

    栗田委員 ですけれども、これははっきり見まして谷が一つ違っているのです。ちょっと大臣にお目にかけてもよろしいでしょうか、委員長。――ちょっとごらんください。この赤い丸のところが本当のところですが、この下のところですね、谷が一つ違います。かなり違いますね。大臣、これをごらんになりまして、かなり違っているというふうにお思いになりませんか。また、地形上、谷というかなりはっきりした目印がありますのでね。そういう意味では、相当違っているというふうにお思いになりませんか。いかがでしょうか。
  209. 安田隆明

    安田国務大臣 私は、いま初めてその図面を見せてもらいましたが、その実態につきましては、答弁書で私たちが答弁いたしておりますとおり、いま政府委員の方からも答弁があったとおり、基本的な考え方は私たちは間違いがない、こういうふうに理解しておるわけであります。
  210. 栗田翠

    栗田委員 しかし、地図上谷が一つ違っているということは事実ですね。大臣、いかがでしょうか。
  211. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 露頭の位置を発電所との相対関係で明示するという意味からしますと、この程度の精度の図面でもやむを得ないのじゃないかと思います。事実、私ども、いろいろこの申請書に基づきまして審査をやっておりますが、審査上支障の生じたということはございません。
  212. 栗田翠

    栗田委員 しかし、公開されているわけですから、住民の側は自分たちでも確かめるということもするわけです。こういう原発の建設については、当然住民の意思も尊重していかなければいけないわけなのですから、そういう点を保障するのは当然なことで、皆さん方が審査上差し支えなかったからといって、三百メートルも違って、国民がそれを見に行こうと思ったらば探し当てることができないようなところにかかれているということ自体が、問題ではありませんか。それは、政府の立場だけではなくて、公開をしていくというその立場に立っていくなら、問題じゃありませんか。
  213. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 この添付資料も含めまして、安全審査の申請書は、あくまで法律に基づきまして原子炉の設置の許可を受けようとする者が行政庁の方に提出するものであります。したがいまして、この申請書の記載内容につきましては、この法律上の許可を私どもが行うに必要な範囲のものがあれば十分だと言えるかと思います。  いま、先生御指摘ありましたように、何かこの図で現地を訪ねていくということになりますと、この地質図にプロットしたものでは、ほかの露頭の地点についても同じことが言えますが、この地質図を頼りに訪ねていくということは不可能かと思います。したがいまして、もしそういう目的であるならば、むしろ地形図、道路の入ったものにプロットすべきだと思います。したがいまして、先生から先日、正確に現地の位置がわかるものをという御要望がございましたので、いわゆる地形図にプロットしたものをお出ししたわけでございます。
  214. 栗田翠

    栗田委員 確かに、地形図にプロットしたものを改めていただきましたけれども、しかし地質図でも、正確にかかれていたら、地元に詳しい人だったら訪ねて行けると思います。こういう議論を長く続けていても時間がかかりますので、この程度にしておきますけれども、しかし、たとえ何でありましょうとも、いま言っていらっしゃることはやはり詭弁めいたお答えで、正確なものを申請書で出すべきだと思います。そして、これだけの差があることがはっきりわかって、三百メートルも違い、谷が一つ違っているのですから、添付書類のこの位置は訂正させるべきだと思いますが、いかがですか。
  215. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 この申請書の添付書類につきまして申し上げますと、安全審査を行う上では別段支障の生ずるような図面ではございませんので、この書類の訂正ということは私ども考えておりません。
  216. 栗田翠

    栗田委員 非常に不正確なものをそのままお使いになるわけですね。じゃこの問題は、通産省がそういう態度であるということで、それがわかりましたので次の点へ参ります。  この補充申請書の中で、こういう文書があります。「相良層、掛川層にみられる断層と第四紀層との関係については、一〇数ケ所の露頭で観察した」が、「いずれも上位の第四紀層に変位を与えていない」というふうに書かれておりますが、この「一〇数ケ所」というのは、正確に何カ所ですか。
  217. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 十三カ所でございます。
  218. 栗田翠

    栗田委員 十三カ所以外の露頭は調べていないのですね。
  219. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 申請者であります中部電力は、広範にわたりましていろいろな調査をやりましたが、いずれにいたしましてもH断層系の評価に当たって、この十三カ所を選定いたしまして、実際に詳細な調査をやったわけでございます。
  220. 栗田翠

    栗田委員 質問に正確に答えてください。  それでは、それ以外の露頭も調べているわけですか。
  221. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 この申請書を作成するに当たりまして、広範な調査を実施していると伺っておりますが、具体的にこのほかにつきましてどういったところをやっているか、承知しておりません。
  222. 栗田翠

    栗田委員 そう伺っているけれどもほかは承知していないと、そういうことなんですね。  それでは、次に、この十三カ所がいずれも「変位を与えていない」というふうに評価している、その根拠は何ですか。
  223. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 この十三カ所の露頭につきましては、一般的に申し上げまして、第三紀層の上に第四紀層が堆積しておるわけでございますが、その第三紀層の上に堆積しております第四紀層の中に断層があるかどうかとか、あるいは第三紀層中の断層と第四紀層中の断層と連続性があるかどうかとか、あるいは場合によっては第四紀層中の断層の形成原因、そういったものをいろいろなファクターを総合的に検討いたしまして、いずれの露頭におきましても、第三紀層中の断層の活動がその上位に堆積いたします第四紀層に変位を与えていないということを評価しております。
  224. 栗田翠

    栗田委員 それは評価のための検討の仕方であって、実際にどう評価したかというお答えにはならないのです。  それでは、一、二、三、四、五、六と、十三カ所ですね、それぞれどうであったかということは、答弁書をお書きになっている以上、全部当たって検討なさったと思いますけれども、いかがでしたか。
  225. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 各露頭の第三紀層中の断層につきまして、H断層系との類似性があるかどうかとか、あるいはその活動性がどうであるかといったことにつきまして、私ども審査したわけでございますが、その際、十三カ所の露頭につきましては、申請者からいろいろ説明を受けましてチェックしております。
  226. 栗田翠

    栗田委員 そうしますと、今度の私の質問主意書に対する回答をおつくりになる過程では、改めてお調べになったわけではなく、以前そういう審査をしたときの評価をそのままお書きになったということですね。
  227. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 そのとおりでございます。
  228. 栗田翠

    栗田委員 これはあくまで政府の答弁書ですからね。それで、こちらは改めて問題提起をしているわけですから、最初に申請が出された時期と事情が違うわけです。本来、政府が答弁をなさるときには、問題になっているところを改めて調査をなさるべきじゃありませんか。  それでは、単に申請者の言っていることをうのみにして、答弁書をお書きになったということなんですね。
  229. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 通産省といたしましては、通常安全審査をいたしますとき、申請者からの説明だとかあるいは種々の文献を参考にいたしまして実施しているわけでございますが、本件、浜岡につきましても、安全審査の過程でこういったチェックを十分やっております。したがいまして、先生質問主意書でお尋ねの件につきましては、私どもとしましては、審査の結果を左右するものではないという判断で、特段今回新たな調査というのは実施いたしておりません。
  230. 栗田翠

    栗田委員 そうですか。  それでは伺いますが、11K1201、さっき日本学者会議先生方が調査をして発見なさった露頭なんですが、白羽断層の露頭の問題なんですけれども、ここは第四紀層断層はありますね。
  231. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 第三紀層の上の第四紀層にはございます。
  232. 栗田翠

    栗田委員 それは御自分の目で確かめていらっしゃいますか。
  233. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 当時の審査の状況をフォローいたしますとともに、いろいろ当時の関係者から事情聴取をいたしました。
  234. 栗田翠

    栗田委員 新しく問題を提起したけれども、当時の審査の関係者から聞いただけなんですね。そうですか。  それで、変位を与えていないと断定していらっしゃいますが、与えておりませんでしたか。
  235. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 これは、変位を与えていないというふうに判断しております。
  236. 栗田翠

    栗田委員 御自分で見ていらっしゃらないわけですが、どういう根拠でそういうふうにお考えになりましたか。
  237. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 当時、申請書及び申請者からの補足的な説明あるいは現地調査で、私ども通産省として確認しておりますので、今回そのようにお答えしたわけでございます。
  238. 栗田翠

    栗田委員 まともに質問に答えてください。変位を与えていないという根拠は何かというふうに伺っているのです。確認したから、うのみにせよと言われても困ります。その変位を与えていない根拠を言ってください。
  239. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 私どもといたしましては、当時の審査の状況をフォローいたしまして、そういうふうに結論を出したわけでございます。
  240. 栗田翠

    栗田委員 何とも答えになってないのですけれども、じゃ、当時の審査の状況はどうだったのですか。どういう根拠があって、変位を与えていないというふうに結論づけられたのですか。時間がありませんから、早くまともに答えてください。
  241. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 私ども、当時担当官が現地調査をやっておりまして、その際現地の状況がどうであったかというのを今回改めて再確認したわけでございます。したがいまして、現地が当時どうなっていたかということを確認いたしまして、変位を与えていないという結論を出したわけでございます。
  242. 栗田翠

    栗田委員 科学者会議先生方は、変位を与えていると言っておられるのですね。学者ですよ。その方たちが言っておられるのに、与えていないと確認したということだけをおっしゃるけれども、そうすると、日本学者会議の方たちの結論は間違いだ、現地も見ず、変位を与えていないその根拠をはっきり課長がおっしゃることもできないのに、断定なさるということですか。中電の申請者の言うことは正しいが、科学者会議先生方の調査は初めから間違っているということですか。  時間がないからもう少し続けて伺いますが、さっき、なぜ十三の個所について変位を与えていないかということについて、やはりこれも中電側の言っていることですが、評価の仕方についていろいろおっしゃいましたね。だったら、当然そういう評価があるはずだと思いますけれども、どうなのですか。
  243. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 この政府の答弁書でございますが、あくまで私どもの審査した結果をベースにお答えしております。したがいまして、いま改めて調査する必要があるのではないかというお話でございますが、当時、現地でも詳細な調査をやっておりますので、特段その必要性を認めなかったわけでございます。
  244. 栗田翠

    栗田委員 通産省はこういう態度で、科学者会議などの発見をないがしろにしているということですね。  それでまた、私が改めて、もしここに変位が与えられていたのならば、H断層活断層かもしれないという重大な疑惑があるから、質問主意書を出しているわけです。それなのに、新たにそのことを確かめもなさらないで、以前審査したのは正しいのだから、そのとおりでいいのだというふうにしかお考えにならないわけですか。いつもそんな調子でやっていらっしゃるのですか。
  245. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 私どもは、審査に当たりまして、通常、申請者からの説明あるいは申請書のチェック、いろいろな文献の調査もやりますが、そのほか、必要に応じまして現地も見ておりますし、御指摘の当該露頭につきましては、以前十分にチェックしておりますので、そのチェックの結果をただいま申し上げたわけでございます。
  246. 栗田翠

    栗田委員 答えになっていませんね。  それじゃ、もし変位を与えている場合には、どういう状態になっていたら与えていると考えるわけですか。
  247. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 私どもの観察した結果では、いわゆる第三紀層断層と、それから上にあります第四紀層断層とは、つながってないというふうに当時判断しております。
  248. 栗田翠

    栗田委員 判断をしているとおっしゃるが、そのつながっていない部分というのは、表面にある崩土を掘ってきちんと調べましたか。断層がつながっていないように見えても、土がかぶさっている場合がありますね。そこは当時掘って調べたのですか、どうですか。
  249. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 ちょっと私、当時の現場での具体的な調査の状況について把握しておりませんのでお答えできませんが、ただ、露頭と申しますのは一般的に個人の所有地でございますので、いろいろと掘り返すとかなんとかいうことになりますと、ある程度限度があるのじゃないかと思います。
  250. 栗田翠

    栗田委員 何か言っていることが矛盾しているのですね。さっきは、現地の調査の状態を十分に聞いて大丈夫だと判断してそう審査をした、そして非常に十分にやって大丈夫だったから、それを使って答えたとおっしゃっていて、いまになったら、現地の調査の状況を十分に知らないとおっしゃるわけですね。  それから、個人の所有だから土が掘れないこともある。すると、掘っていないということですか。
  251. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 当該露頭につきまして詳細に把握しておりませんので推定ですが、通常可能な限り、ある程度は表面をきれいにするといいますか、面を出しましてチェックしているかと思います。
  252. 栗田翠

    栗田委員 あくまで推定で物を言っていらっしゃいますし、これだけ重大な、もしこれが断層三紀層と四紀層が連続していたら、H断層活断層かもしれないという問題に発展するわけですね。その活断層かもしれないという問題を持っているH断層の上に浜岡原発三号炉がいま建設されていて、東海大地震が来るかもしれないと言われているのですから、推定でそんなことを言うような態度で私の質問主意書に答えたりしていたのだったら、通産省は一体何をしているのだということになりますよ。つまり、そんな調子で安全性を確認していらっしゃるということですね。  私、ここに科学者会議の予備調査団の報告メモを持ってきております。読みます。「一九八三年四月二日、三日、御前崎の白羽断層の露頭調査を行った。」そして、参加された方のお名前が出ております。  「一九八一年、日本学者会議は浜岡原発の安全性に関する見解を発表し、そのなかで、三号炉建屋をかすめるH断層系の重要性を強調した。中電の三号炉増設に関する補正申請書は、H断層系そのものは新第三紀の相良層を切っているがその上の段丘推積物は切っていないと主張し、さらにH断層系とよく似ている白羽の断層も」これですね、いま問題になっているところですが、「白羽の断層も相良層は切っているがその上の礫層を切っていないとし、これらを総合してH断層系は活断層ではない、としている。白羽神社北側の露頭において我々は礫層を切っている断層二本を確認した。その西側のものについては崩土を掘って相良層をも切っていることを確認した。」ということで、ここにスケッチを持ってきております。  左側の断層は、確かに第四紀層を切っておりませんが、右側の断層は、上のいわゆる御前崎礫層から下の相良層までつながっております。この間ぐらいに多少土がかぶさっておりました。だから、一見して見えないのですが、表面を取りましたらば真っすぐにつながっているという、これが日本学者会議先生方の調査によって発見されたわけです。私も現場を見ました。つながっておりました。  ですから、変位を与えておるということはつながっておることですね。三紀層、四紀層が一本でつながって、その断層が続いているということ、まさにその状態になっているわけですね。さっき、変位を与えていないその理由として、第四紀層三紀層が連続をしていないのだというふうにおっしゃいましたけれども、そこのところが現場で覆されているわけです。これは物があるわけですから、いま通産省がどうおっしゃいましょうとも、後で皆さんに見に行っていただけば、現実にありますからそれはクロかシロかはすぐわかると思いますが、これは重大ですね。  こういうことを指摘したのに、現地へも行かず、しかも改めてだれかに調査もさせず、前にそうだったのだ、しかし現地調査の状態をよく把握していないのでわかりません、こういうことで国会の正式の主意書に対して答弁をなさって、原発の建設の許可をどんどんしていらっしゃるというのがいまの政府の態度なのですか。これは科学技術庁にしましても、ダブルチェックをしていらっしゃるはずですが、私が今度出しました質問主意書に対してはどういう態度で調査なさったのですか。それは関係なくいらしたのですか。
  253. 赤羽信久

    ○赤羽(信)政府委員 原子炉の設置に関しまして、原子力安全委員会がダブルチェックを行っております。私どもの方は、安全委員会の事務局としてお手伝いしているわけでございます。  今度の質問主意書に対しましては通産省がお答えしたわけでございますが、その際、安全委員会としての見方というのも相談がございまして、一つは、御指摘のように地質図では若干の場所のずれがございましたけれども、すでに通産省が調査したものと同じものを御指摘になったという点は通産省の説明によって確認できました。これは、なぜそれに同意できるかと申しますと、ダブルチェックに当たりましては、普通は通産省の行いました審査結果を再度チェックする、あるいは別の手法によってチェックするという審査方法をとるわけでございますけれども、御指摘のように浜岡におきましては地震の問題が一番重要であるということで、特別にチームを編成いたしまして審査を行ったわけでございます。その際、延べ十三名の専門家によりまして断層の現地調査を特別に行っております。それで、その近辺にほかの露頭がないということも確認しておりますので、これは確かに地質図の位置のずれは手数をかけるということで、遺憾なことでございますけれども、確認は間違いないと判断したわけでございます。  それから露頭の解釈の仕方、これは非常に専門的な知識を要するものでございますが、いずれもその延べ十三名の専門家が一人で見るのではなくて、みんなで限界を協議しまして判定をするわけでございます。その結果は、十分に信頼するに足るものと考えたわけでございます。
  254. 栗田翠

    栗田委員 つまり、いまのお答えではっきりしたことは、通産省の報告を聞いてそのまま科学技術庁も確認なさったということであって、改めて何もやっていらっしゃらないということですね。  それで、専門的な知識を要するというふうにおっしゃいましたけれども、この日本学者会議の今回の調査にはいろいろな方が立ち会っておられますが、この報告を見ましてもこうなっています。「露頭の観察には、白羽断層の命名者である地元の研究者栗林沢一氏も立ち会った。従来、栗林氏・羽田野氏」羽田野先生は国土地理院の先生ですね。「羽田野氏などの地形学上の研究から活断層であるとされた白羽断層が御前崎礫層をも切っていることが確認されたことから同断層活断層であることが最終的に確定された。このことは中電側の提出資料の不完全性を示すものであるとともにこのような不完全な資料に基づいてH断層系の評価を下した中電の態度の非科学性をも示すものである。」  同時に、これを許可した政府のということも言えると思いますけれども。つまり、白羽断層の命名者またそれに沿ってともに研究されて、断層の研究では大家でいらっしゃる羽田野氏などが、活断層だと断定していたところの露頭を初めて目で見て地質学的に確認したということですね、これだけはっきりと報告にあるわけですから。いまお答えを聞いておりますと、人がやったのが正しいということだと思うからそうなんだということしかおっしゃっておりません。これでは大変心配になります。この十三カ所のコンサルタント会社がっくりましたスケッチ図、いま一カ所しか出ておりませんが、十三カ所全部出していただきたいと思いますがどうでしょうか。検討させていただきたいと思います。
  255. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 十三カ所の露頭につきまして一つだけ申請書に載っかっているわけでございますが、これは十三カ所の露頭につきましていわゆるサイトの中のH断層系を評価するに有効な露頭と申しますのが、その申請書に載っております露頭でございまして、これは第三紀層断層の形状がいわゆる組成変形でサイトの中のH断層系と非常に似通っているということで摘出したわけでございます。  その他の露頭につきましては、直接H断層系の評価に関係しないということで、申請書としては載っけてないわけでございます。その他の露頭の図につきましては、したがいまして安全審査上は特段必要ないわけでございますが、ただ、露頭につきましてはサイトの外でございますし、露頭そのものはどなたでも見れるわけでございます。したがいまして、申請書に載っけなかったのはそういう理由でございますが、その他の露頭の図について提出を求めるということは、特段われわれは考えておりません。
  256. 栗田翠

    栗田委員 だれでも見られるところならなおのこと、スケッチ図をお出しになっても差し支えないんじゃありませんか。大して問題ないんだとおっしゃるなら、いいじゃありませんか。
  257. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 その他の露頭につきましては、中部電力が申請書を準備する際に調査したわけでございますが、そのときの調査の結果につきましては、これは中部電力の所有にかかわるものでございまして、私どもから提出することは考えておりません。
  258. 栗田翠

    栗田委員 だって、政府が許可するんですよ。そのために調査したわけでしょう。申請する義務があって、その中で物を選んだにせよ、政府は提出を要求することができるわけですよ。中電が所有しているのだから要求しないなんて、そんなことじゃないじゃありませんか。こちらで必要だと言っておりまして、そしていまのような事情が出てきているのですから、提出をしてください、そのことを要求してくださいと言っているのです。
  259. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 安全審査の評価上は必要ございませんので、私ども、特段中部電力から提出を求めるという考えはございません。ただ、その他の露頭につきまして中部電力調査検討しました結果につきましては、御要望があれば、電力会社の方である特定の時期に御説明するような方向で指導することは考えたいと思っております。
  260. 栗田翠

    栗田委員 そんなややこしいことしないで通産省の方から、電力会社から聞き取ったものでもメモでも、できればきちんと書かれたものがいいですが、要求してこちらへ出してくださいませんか。
  261. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 安全審査の評価に直接関係ございませんので、むしろそういう御要望に対しては、この調査資料の所有者であります中部電力の方から御説明させることが適当かと考えております。
  262. 栗田翠

    栗田委員 直接関係あるかないか、それはそちらの独断でありまして、こちらは関係あると言っているわけですね。現に、白羽断層の露頭が問題があるということで、いままで関係ない、大丈夫だと言われていたものをこちらは問題があると言っているわけですから、本当に関係がないかあるかということの判断の材料にスケッチ図が欲しいし、その評価の根拠が欲しいと私は言っているのです。だから、あなたが関係ないと断定なさるのは余りにも行き過ぎだと思いますよ。出してくださいませんか。
  263. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 いずれにいたしましても、何らかの形でその調査の状況につきまして御説明したいと思いますので、これは資料が中部電力の所有にかかわるものでございますから申請者とも相談させていただきまして、どういった形で御説明するか、また先生の方と御相談させていただきたいと思います。
  264. 栗田翠

    栗田委員 お願いします。  時間がなくなりましたが、さっきスケッチ図が一つだけ出ているところが、H断層と非常によく似たところなので出したとおっしゃったのですが、これも議論があるのですね。これは、学者判断に任せる以外にありませんけれども、一体ここに断層があるのだろうかという場所、そこのいわゆる露頭と言われているものの図が出ているのですけれども、これが果たして断層なのかということすら問題になっているわけです。  それから、そのH断層が同じような形でつくられたんだということを言っていらっしゃいますが、そのことも問題になっているのです。組成変形によってつくられているのかどうか。そういうことなども問題ですが、これはきょうは余り深入りいたしません。けれども、ずいぶんいいかげんなものが出ているのじゃないかという疑惑を私はますます深めています。  次に進みますけれども、私は、質問主意書で、活断層研究会編の「日本活断層」に記載されている御前崎地域活断層調査検討したかということを伺いました。それに対して、「十分に、調査検討を行った」というふうに答えが返ってきておりますが、どういう調査検討をなさいましたか。
  265. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 敷地周辺の御前崎地域活断層でございますが、まず申請者であります中部電力でございますが、中部電力におきましては文献調査あるいは空中写真判読を行いまして、二十一本のリニアメントを選定いたしました。そういたしまして、これらにつきまして地表、地質踏査を実施しております。その結果は申請書に記載されておりますが、結論といたしましては、申請書にございますように、最近の活動性を示唆するような断層露頭は確認されず、また、活断層と仮定して評価しても活動性は低く、規模は小さいという結論になっております。
  266. 栗田翠

    栗田委員 いま二十一本とおっしゃいましたが、そうですか。二十本じゃないですか。
  267. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 二十一でございます。
  268. 栗田翠

    栗田委員 それで、これが表に出ておりますね、「リニアメントの比較と現地調査結果一覧表」。これは、地形による判定地質による判定というふうに、二つの判定がされております。地質による判定をなさる以上、当然露頭を見ているはずなんですけれども、ところがさっき伺ったら、露頭は見ているかどうか後のことは知らないとおっしゃっていたので、見ているか見てないか、御存じないですね。
  269. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 申請者は、当然現地でいろいろと調査しているはずでございますが、詳細は把握しておりません。
  270. 栗田翠

    栗田委員 詳細は把握しないで、大丈夫だというふうにおっしゃるわけですね。  それでは、その申請者から資料を出していただきたいのですけれども、どことどこの露頭を見て、地質による判定をなさったかというのを出していただきたいと思うのですが、そのこともついでにさっきのとあわせて要請していただけませんか。
  271. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 検討させていただきます。
  272. 栗田翠

    栗田委員 さて、この一覧表を見て私は驚いたのですけれども、実は全部大して活動性はないものであるというようなことで判定されているのですね。地質による判定、たとえばさっき問題になった白羽断層は、中電の、申請者の判定によりますと、断層変位地形である可能性が低いリニアメント、それから広沢断層などは断層変位地形である可能性が非常に低いリニアメント、つまりみんなほとんど動かない、可能性がないということに断定されているわけです。  ところが、実はこの中で、「日本活断層」で活断層だと規定されているものが六本あります。番号で言いますと、この報告書の1の芹沢断層、「日本活断層」では断層、しかも確実度1のもの。それから次の2の広沢断層、これもそうですね。「日本活断層」では確実度が1のもの。全部そうなんですが、次の中原断層もそうですね。それからいまの白羽もそうですね。それから白浜がそう。それからこれは新谷断層ですか、ここもそうなんですね。つまり、学界で評価が定着している活断層、しかも確実度1と評価が定着している活断層について、中電の申請では全部そうでないことになっております。非常に低い、可能性がほとんどないというふうになっておりますね。学界でここまで評価が定着している、活断層である確実度が1という、最も高いという評価が定着しているものをそうでないと否定なさった、この根拠は何なんですか。
  273. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 「日本活断層」等の文献に載っております区分と、この中部電力自体で独自に調査いたしましていろいろ検討した結果、記号が若干違っておりますが、これは分類の仕方あるいは調査のやり方が異なっておりまして、一概に比較することは困難かと思います。  いずれにいたしましても、中部電力判定におきましても、活断層でないというふうに断定しているわけではございません。この浜岡周辺のリニアメントにつきましては、文献調査あるいは空中の写真判続とか地表、地質踏査等によりましていろいろ検討しておりますが、この表にありますこれらのリニアメントは規模も小さいものでありますし、仮に活断層と評価しても、発電所の設計上の安全性と申しますか、安全上問題となるものではないと言えるかと思います。
  274. 栗田翠

    栗田委員 そうしますと、よくお答えがわからないのですが、何かI、II、III、IV、Vのランクの下の方にみんな置かれているのですけれども活断層だと評価しているということなんですか。
  275. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 活断層でないというふうな否定はできなかったということでございます。
  276. 栗田翠

    栗田委員 しかし、IからVまでランクづけしてありますね。たとえば「地質による判定」、Iは「断層変位地形である可能性が高いリニアメント」、IIが「断層変位地形である可能性があるリニアメント」とだんだんなってきまして、IV、Vになりますと「非常に低い」ということになっているわけですね。ところが「日本活断層」では、確実度1ですから高いわけです。  それから同時に、愛知県の地質地盤(活断層)の研究をなさった岡田篤正先生活断層と指定されたところも、この「日本活断層」とあわせて見ていらっしゃるわけですけれども、いま言ったところは全部共通しているわけです。ですから、学界で評価が安定しているものを、中部電力は大したことないというふうに一蹴したということなんですね。その根拠を示していただかないと信じられません。  ところが、いま私が伺っていますと、通産省は、露頭はどこを調べたかも、調べたか調べてないかもわからない、とにかく大丈夫だよと言うから大丈夫なんだよというお答えですね。そんなことで、安心して原発をつくることを許せますか。実に不確実だし、またこれは、研究者の方たちを非常に踏みにじったものだと思います。これだけ研究なさって、学界で評価されているものを簡単に一蹴なさっているわけですから、ここまでなさる根拠は一体何ですか。
  277. 末廣恵雄

    ○末廣説明員 その申請書の表の性格でございますが、いろいろな文献の評価もあわせて掲載しておりますし、それから、中部電力としての検討結果も掲載しておりますが、ただ一つ言えますことは、それぞれの評価のやり方が少しずつ違っているということでございます。たとえば調査のやり方につきましても、空中写真判読だけでなくて、中部電力におきましては、現地の地形を実際に見るとかいったことでさらに詳細な調査をやりまして、しかも区分分けも、ほかの文献とは違った区分分けになっているわけでございます。  したがいまして、ほかのところを否定しているということではございませんで、いずれにしましても、いろいろな評価があるということでそこに一覧表を掲げているわけでございまして、そういう意味で、そのリニアメントについて、発電所の安全性を考える上にどうだということは、十分検討しているわけでございます。
  278. 栗田翠

    栗田委員 結論だけがはっきりしていますね、安全だ、安全だと。だけれども、空中判定だけでこの「日本活断層」などが評価されているわけじゃないですね。現地の地形判定されているし、それから今度のように、地質的に露頭を調査して、これは確かに断層であったということも、目で見て確かめることまでも学者の方たちがやっていらっしゃるわけです。  評価の仕方が違うと言いますが、それでは、中部電力が全部違う評価をして、安全だということで、それだけで原発を建てることを許したのでは、これは大変なことじゃありませんか。しかも、東海大地震の震源域の中である浜岡ですよ。いかに、いいかげんなことをしてこれを認めていらっしゃるのかということが、私は、きょうはつくづくわかったような気がいたします。  時間がなくなりましたので、最後に大臣に伺いますが、こういう状況でございます。私自身も静岡県に住んでおりますが、万一地震で原発の地盤が大きく揺れたりした場合には、大変なことになるというふうに私たちは思います。そのために、住民の安全ということを慎重に考えなければならないから、こういう問題を提起しているわけです。  いまの答弁をお聞きになりましても、こちらがいろいろ指摘しても、ただ、大丈夫だと言うから大丈夫だという、これだけでは科学的でないのですね。そういう意味では、十分に安全を審査していくことや、それから、いま問題になったところを改めてもう一度十分な調査をするということをお願いしたいと思いますが、お考えはいかがでございますか。
  279. 安田隆明

    安田国務大臣 先ほど来いろいろ御意見を拝聴いたしておりました。私がこのように申し上げることはちょっと越権になるかもわかりませんけれども、一体全体安全委員会とはいかなるものであろうか、これは第三者機関であります。第三条機関に類するものでございます。したがって、これに私が意見を云々言うことははばからなければならない、こういう立場でございますけれども、安全委員会の審査に万一御指摘のようなことがあって、そこに問題が生じたとするならば、安全委員会の軽重が問われる、これはもう当然であります。しかも、権威を一体どう位置づけるか、こういうところまで発展するわけであります。  だからして安全委員会は、赤羽局長からいまお話がございましたとおりに、御指摘の点を念頭に置いて、そうして現地もよく調査いたしました。そして安全委員会の結論は、これで間違いがないんだよ、こういう結論を出した以上は、やはり第三者機関である権威あるこの安全委員会の結論というものをわれわれはそんたくしなくてはならない、これにやはりわれわれは服従しなくてはならない。これはわれわれは服従になるわけであります。  そういう意味で、万一原子力安全委員会に事を及ぼすということになりますれば、これは重大な問題である、安全委員会の存否につながる、安全委員会の否定につながる、こういうことに発展するぞ、こういうことで私はさっきからじっと聞いておりました。どうかひとつ、安全委員会の結論というものをそんたくすべき政府の態度、これを御了解願いたいと思っております。
  280. 栗田翠

    栗田委員 これで終わりますが、客観的に判断すべき安全委員会、また政府・通産省が申請者の申請をうのみにしていらっしゃるだけであるという、そういうことを私は強く感じました。  以上で終わります。
  281. 永田亮一

    永田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時散会