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1983-03-22 第98回国会 衆議院 科学技術委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十二日(火曜日)     午前十時十九分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君   理事 岸田 文武君 理事 小宮山重四郎君    理事 保利 耕輔君 理事 与謝野 馨君    理事 小林 恒人君 理事 関  晴正君    理事 草川 昭三君 理事 吉田 之久君       櫻内 義雄君    津島 雄二君       平沼 赳夫君    前田 正男君       村山 喜一君    山田 耻目君       山原健二郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      安田 隆明君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     安田 佳三君         科学技術庁振興         局長      原田  稔君  委員外出席者         林野庁指導部研         究普及課長   塚本 隆久君         消防庁予防救急         課長      小坂紀一郎君         科学技術委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ───────────── 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   林  保夫君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   大内 啓伍君     林  保夫君 同月七日  辞任         補欠選任   林  保夫君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   大内 啓伍君     林  保夫君 同月十一日  辞任         補欠選任   林  保夫君     西田 八郎君 同日  辞任         補欠選任   西田 八郎君     林  保夫君 同月十五日  辞任         補欠選任   栗原 祐幸君     笹山 登生君 同月十七日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     瀬崎 博義君 同日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     山原健二郎君 同月二十二日  辞任         補欠選任   佐々木義武君     津島 雄二君   村山 喜一君     阿部 助哉君 同日  辞任         補欠選任   津島 雄二君     佐々木義武君   阿部 助哉君     村山 喜一君     ───────────── 三月十一日  技術士法案内閣提出第四〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  技術士法案内閣提出第四〇号)      ────◇─────
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出技術士法案を議題といたします。  まず、政府より趣旨説明を聴取いたします。安田国務大臣。     ─────────────  技術士法案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 安田佳三

    安田国務大臣 技術士法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  技術士制度は、昭和三十二年に、高度な専門的応用能力を有する技術コンサルタント人材育成をねらいとして創設されて以来、着実に発展を遂げ、現在では技術士の数も一万六千人を超えており、社会的に高い評価を得ているところでございます。  一方、わが国における近年の技術進歩はきわめて著しく、また、社会経済状況も大幅に変化してきております。  このような状況に対応するため、科学技術庁長官諮問機関である技術士審議会においては技術士制度あり方について議論を重ねてまいりましたが、昨年その結論が出ましたので、政府といたしましては、これに沿って今般技術士法改正を行うこととした次第であります。  次に、この法律案要旨を述べさせていただきます。  第一は、技術士制度活性化を図る観点からの改正であります。  すなわち、新技術への進取性探究性に富む優秀な若手人材の参入を積極的に図るため、技術士指導のもとでその業務を補助し、将来技術士となるのに必要な技能を修得する新たな道を開くこととし、これに「技術士補」の名称を与えることとするものであります。  技術士資格を得るために必要な第二次試験受験するためには七年以上の業務経験が必要でありますが、技術士補は、技術士のもとで四年以上の業務経験があれば、この試験受験できることになるのであります。  第二に、行政簡素化観点からの改正であります。  その第一点は、定型化されつつある制度運用面合理化を図るため、試験実施に関する事務並びに登録実施に関する事務科学技術庁長官の指定する者に行わせることができることとするものであります。  その第二点は、受験者がきわめて少ない予備試験を廃止し、学歴を問わず技術士試験受験できるように改めることとするものであります。  なお、制度運用面簡素化につきましては、臨時行政調査会部会報告指摘にも沿うものであります。  これらの改正点以外は、従来どおりであります。  以上、この法律案提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  4. 永田亮一

    永田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 永田亮一

    永田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関晴正君。
  6. 関晴正

    関委員 昭和三十二年に制定されましたこの法律について今回改正をする。改正内容を見ますときに、これは一種合理化だなという感を持つのですけれども、この改正に当たっては、いわゆる行革の指導を受けてこうした案を作成するに至ったものであるのかどうか、一点お尋ねしたいと思います。
  7. 原田稔

    原田政府委員 この法律は、御案内のとおり三十二年にできた法律でございます。その後、若干の技術的な改正は受けておりますけれども、余り内容は変わっておりません。最近における世の中、社会経済がいろいろな意味で変化してまいりましたし、そういった状況を踏まえまして、実は五十六年の春から科学技術庁長官諮問機関であります技術士審議会というところで、技術士制度あり方というものを議論してまいったわけでございます。先ほど大臣が御説明になりました今回の改正内容も、その技術士審議会の御答申を受けて私どもが立案したものでございます。  臨時行政調査会の作業は、この技術士審議会議論よりややおくれてなされたのではないかと私思っております。その意味では、時間の前後からいきますと、こちらの審議の方が独立に先行して行われたという状況になっております。
  8. 関晴正

    関委員 せっかく国が責任を持って試験を行ってきた。それを今度は民間団体にお任せをして試験事務を行っていきたい、こう言っているようですが、国のこれまでこの仕事にかかわってきている財政的負担予算的な措置、それはどの程度になっているのでございましょうか。
  9. 原田稔

    原田政府委員 この技術士制度運用受験の問題、登録の問題含めまして、予算といたしましては約二千五百万円ばかりの予算を計上いたしております。
  10. 関晴正

    関委員 その程度の金を惜しんで民間に委託をするというところが、実はなかなかわかりにくいわけであります。しかも、二千五百万円程度予算といいますと、受験する受験費が一人当たり六千円ということですから、受験生だけでも六千人から七千人ある現状を見ますと、その費用だけでもうオーバーをしておる。財政的には全く負担にならないような現状だと思うのです。そうであるのにもかかわらず、これを下の方の任意団体事務を任せる、委譲する、それはどういう意味があるのでございましょうか。金がかかるからというのが臨調の一つの方針、節約しろというのがその目的だろうと思うのですが、この場合には節約になるわけでもない、むしろ入ってくる金の方が多いということを見ますと、予算的には問題がない。それにもかかわらず、これを第三者の方に移行する、この理由はどこにあるのでしょうか。
  11. 原田稔

    原田政府委員 私どもが今度の法律改正民間のしかるべき団体委譲というかお願いしようという事務は、御案内のとおり、試験に関する事務登録に関する事務でございます。試験に関する事務につきましても、そのすべてが氏間にいくということでは決してないわけでございまして、受験のいろいろな会場の設営ですとか、あるいは試験関係監督事務ですとか、そういったいわば定型化された事務でございます。定型化された事務でございますし、かつまた、長い間行ってきている事務でもございますので、試験が厳正に行われるというような意味法律的な措置が担保されれば、これはむしろ民間にやっていただいた方がいろいろな意味でベターではないか、そういうような観点から今回民間委譲を行ったわけでございます。  中央官庁におきましては、そういう機械的、定型的な事務というよりはむしろ政策的な事務、そういうものを重点にやるべきではないか、こういうような考え方が背景にあることは事実でございます。
  12. 関晴正

    関委員 法律案を見ますと、この試験については科学技術庁長官が行うものとする、こうあるわけです。そうありながら、次の条を受けまして、民間権威ある団体にこれを委譲することができる、こうある。「ものとする」と、「することができる」というのと二つあるのだが、たてまえは長官が行うと言って法律案にありながら、実質的には民間団体にこれをゆだねる、こうなるわけです。この意味はどういうところにあるのでしょうか。長官が行うと言っていながら、長官じゃない者に行わせることができる。後の方が趣旨になってしまっているわけですね。これはどう理解すればよろしいのか、御説明ください。
  13. 原田稔

    原田政府委員 この試験の根幹、ベースにあるもの、それはあくまでも国の試験である、国が権威づけを行う試験である、こういう意味でございます。ただ、試験実施に関するいろいろな定型的な、あるいは機械的なと言っては悪いのですが、そういった事務民間に行わせる、こういう趣旨であるわけでございます。
  14. 関晴正

    関委員 その場合の民間というのは、どういう団体考えているのでしょうか。
  15. 原田稔

    原田政府委員 まだ最終的に決定というわけではございませんが、私どもの現在念頭にありますのは日本技術士会、民法に基づく公益法人であります日本技術士会という団体を目下のところ考えているわけでございます。
  16. 関晴正

    関委員 問題は、この試験事務を行う場合に大事なことは公正である。言うなればもぐり試験あるいはもぐり合格、そういうようなことは絶対に避けなきゃならない、こう思うわけです。国の機関だから、絶対に秘密が保持されて誤りがないとは言えないにしても、でも、大方国にはそれなり権威が私はあると思う。もっとも、最近の中曽根では大分国権威も下がっているけれども、私はこの試験制度を行う、しかも技術士試験を行うということの権威は、年々高められて今日築き上げられてきたとうといこれは所産じゃないだろうか、こう思っているわけです。こういうような権威ある試験一つの実態というものを民間団体に移す、しかもその民間団体というのは、ただいまでは社団法人日本技術士会の方にゆだねたい、こうお考えのようであります。  じゃ、この日本技術士会がきちんとやってもらえるであろうか。これは一に信頼にかかわることだろうと思うのですが、その点になりますと、この会の会長だとか副会長だとかあるいは顧問だとかいうメンバーを見ますときに、これはほとんど自民党方々で占められちゃっているわけなんで、この点については公正を期すと言うても、公正を期すことが必ずしもこれは期待できない形になっているんじゃないだろうか。そういう場合は、こういうようなものについてはそれぞれ人事の更新を願うとかあるいは刷新を願うとか、そういうようなお考え等があるものでございましょうか。また、一般的にこの団体についての評価をも見ますときに、どのようにお考えになっておられますか。
  17. 原田稔

    原田政府委員 先生が御指摘試験の公正、厳正な実施という点は、これはおっしゃるとおり一番大事な点でございます。従来も私どもは、試験を公正かつ厳正に実施してきた実績を持っておりますし、今後とも試験の機械的な、定型的な事務民間のしかるべき団体にお願いすることになりますが、試験の公正かつ厳正な実施のために、試験委員の任命あるいはこういった団体予算あるいは役職員、こういったものにつきましては、この改正法律によりまして厳重な監督がなされます。  現在日本技術士会役員の中に、先生が御指摘の、自民党先生方が一部入っておることは事実でございます。この方々は御自身技術士でございまして、その面でも非常に学識のある方でございまして、私ども、現在のこの日本技術士会運営がそれによって非常に公正を欠くとか問題があるとかいうような事態にはなっておりませんし、今後ともその点は大丈夫だ、かように考えております。
  18. 関晴正

    関委員 これは、いままではこれらの団体任意団体で、そうして技術士社会的発展あるいは技術士優遇策あるいは技術士というものについての諸研究等をいろいろ行ってきて、それなりに貢献しているものだと思います。だが、一たび国が行う試験制度を受け持っていくということになりますと、おのずからそこにはこれまでのものと違う一つ運営というもの、運営の基本というものが、それを受けることによって異なっていかなければならない部面を与えられてくるんじゃないだろうか。  こうなると、そっくりそのまま自民党国会議員ばかりでそろっておる日本技術士会、あるいはまた副会長においても自民党参議院議員、こういうメンバー試験を受け持って公正にやりますと言うても、それは間違いのない方々ばかりであるにしても、やはり誤解が生まれないように、誤解を生ずるようなおそれ、そういうようなものはやはり取っておいて、きれいな体にしておく。もともときれいな体であるかもしれませんが、そういう試験制度を行うのにふさわしい体にしなければならぬものじゃないだろうかと思う。  これは、大臣がこの日本技術士会に預ける場合には、役員構成についてそっくり自民党の諸君が顧問になり、自民党国会議員が副会長等にある場合には、それは試験のことだから厳正にやりますよと言うても、いや、自民党国会議員に頼んでいけばうまくいくよなんということが生じかねない昨今の社会情勢ですからね。やはりそうなりますというと、ここに与える以上はそういうものは遠慮してもらう、そういう役員構成にでもしておかなければならぬものじゃないだろうか、こう思うのですが、これはひとつ大臣に伺っておきたいと思います。
  19. 安田佳三

    安田国務大臣 先ほど来、関先生の御指摘をいろいろ拝聴しておりました。一体全体、なぜこれは改正の要があるんだろうか、その背景は何だろうか、考えてみれば考えてみるほど、御指摘内容をずっと拝聴しておりました。  私も県におりまして、この技術士について、地方科学技術に心を寄せる者は非常に重大な関心を持っております。そして、これは非常に権威ある格調の高い国家試験である、そういう認識に立ってこれをじっと見ておりますると、もう四分の一世紀、二十五年たってみるといまの姿でいいんだろうか。私自身がやはり地方におりまして、疑問を持っておりました。  その疑問の一つは、これは行政が余り介入して、そして結局今日の姿で置きますると、この技術士という、科学技術というものに対する人材の登用、それを戦力に参加させる、参入させるということになると、いささかここにはやはり問題があろう。技術士、これについては必ず補完行政というものがあります、先生指摘のように。だから、科学技術技術士というものの思想の普及、これをいかに取り扱うか、こういう補完行政というものを、民間の活力の中でこれは何としてもやってほしいという分野はございました。そういう意味で私は、この改正は意義があろう。  同時にまた、いま先生の御心配になっておる点は、これは当然だと思います。本当に公正にこれはやらなければならない、執行しなくちゃならない。それだけ科技庁の私たちの責任は重い、こういうことでございますから、先生の御指摘の点はよく念願に置いて今後これに対応する、こういうことでひとつ御了解願いたいと思います。
  20. 関晴正

    関委員 大臣、これは念頭に置いて処理する、当たるという意味は、この日本技術士会が、これは任意団体として、また社団法人としてあるものですから、それに対して勝手にどうのこうのという介入は、私はそう簡単にはできないことになるだろう、こう思うのです。こういう試験を受けるに当たっては、そういう一種の条件というものがあってでなければゆだねるわけにはいかないんじゃないだろうか、こう思うのですが、いや自民党メンバーでも差し支えないんだ、ここの技術士会権威があるんだから、こういうことでしゃにむにそこへ預けちゃうんだ、こうなってしまっては私どもとしてはどうもこれはうまくない。  ですから、配慮するといま大臣おっしゃったんだが、その配慮するということの実際の向け方、進め方ですね。これは、いま私ども指摘するように一党に偏しておる。確かに、技術士資格を持って偶然のことかもしれません。偶然のことだから構わないんだと言うては、私はやっぱりうまくないと思うので、そういう点については、この試験制度を受け持つに当たっては、公正な機関としての信頼が保持できるようなものにしてもらうべく折衝もして、そうして長官の方でも、これは間違いなしと認めた上でなければやらないのだ、したがって、そうならない限りは、五十八年度において法律が通っても、長官が行うというのが原則なんだから、長官が行うんだ、こういうふうに理解してよろしいかどうか、最後にもう一つ
  21. 安田佳三

    安田国務大臣 そのように心得てこれに対応いたしますから、見守っていただきたいと思います。
  22. 関晴正

    関委員 大臣の決意は公正の方向に向かって示されたものとして、私は答弁を聞き取っておきたいと思います。  その次に、この技術士試験を受けた方々日本技術士会メンバーとして入る場合の構成の状態ですね。試験を通った、合格した、大方がこのメンバーになってもらえばいいのだけれども、合格したメンバーの一割ですか、二割ですか、一万七千人のうちの二、三千ですから……(原田政府委員「三分の一です」と呼ぶ)約その程度ですね。その程度しかメンバーに入っておらない。これはどういうわけなんですか。
  23. 原田稔

    原田政府委員 現在、技術士として登録されております全体のメンバーが約一万六千人、そのうち技術士会に入っている会員の方々が約三千人でございます。先ほど三分の一と申し上げましたが、もうちょっと低いわけでございます。  それはいろいろな原因があると私は思いますけれども一つは、技術士という制度の持っている本質的な内容といいますか、公認会計士ですとか弁護士ですとか、ああいう制度ですと、こういう会に入るのが強制加入になっているわけでございますが、こちらの制度では強制加入ではないわけでございます。あくまでも任意加入で自由に脱退できる、こういう制度になっている。そこに一番大きな相違点があると私は思います。  この技術士制度が開かれた制度であるという観点からいって、現在のそういうやり方が、現在の技術士もこの制度には合っている、かように思っております。しかし、なるべくたくさんの人に入ってもらうように、技術士会としてもいろいろな面で魅力のある仕事をやる、こういうかっこうにやっていただくように技術士会でも大いに努力してもらわなければいけないし、われわれも今後とも技術士会指導していきたい、かように思っております。  なお、先ほどの先生の御質問に絡みまして、今度の試験の話は、公正かつ厳格にやるという点は一番大事な点でございますし、試験問題の作成、採点は御案内のとおり、試験委員という別のルートでやるわけでございまして、この団体は機械的、定型的な事務だけやるわけでございますから、試験の公正かつ厳格な実施という点についてはまず御心的はないのじゃないか、かように思っております。
  24. 関晴正

    関委員 一万七千人も合格者があって、そうしてこちらの方に入会しておるのが二千八百、二割もないわけですよ。一割とちょっとというところでしょう。そこにやはりある一つのメスを入れるといいましょうか、指導を加えるとかして、日本技術士会なるものを権威あるものにしておかなければならない。信頼の集まるところにこの団体が位置づけられないで、そしてこの団体試験を預けるということになると、やはり一抹の心配点があるわけです。  ただ、いいことに、今度は、一カ所で行う試験を六カ所において行う、そういういいことは、何も日本技術士会にゆだねなくても、とろうと思えばとれることではないのか。そういう意味では、よいところはとる、これまでのよいところは持続する。そうして財政的には、マイナスになるのじゃなくて、プラスになっているような姿を見るときに、それでもなお、この法案の執行に当たっては、大臣が行うというものから、民間団体にゆだねねばならないとしてしまうのには、どうしてもぴたっと胸にくるものが出てこない。  この点については、大臣も先ほどのお答えでは、何かしら同じようなお考えを持って、お気持ちがあるように受け取ったのですが、そういう点では、五十八年度においてこの法律が通っていって施行されても、何も一度に日本技術士会にやらせねばならないというものではありませんので、そういう点についてはよくよく吟味して当たっていただかなければならぬものだ、私はこう思いますので、その点についての私の意見、また、もう一遍大臣からはそれについてのお考えをいただいて、終わりたいと思います。
  25. 安田佳三

    安田国務大臣 いろいろ関先生お話の点につきましては、やはり今後この法律運用について十分心得ていかなければならぬ、こういうふうに私も思っております。先ほどの繰り返しになりますけれども関先生お話をよく念頭に置いて今後に対応いたしますから、ひとつ見守っていただきたいと思います。
  26. 関晴正

    関委員 終わります。
  27. 永田亮一

  28. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川昭三であります。  この技術士法というのは、そもそもアメリカプロフェッショナルエンジニア試験制度というものがモデルになったというふうに、私ども聞いておるわけでございますけれども、本来、ヨーロッパの方では自然発生的にコンサルタントというのですか、そういう制度というものができたと伺っております。日本の場合は、ちょうどいまから二十五年前ですか、二十六年前になるのですか、国家的な見地からこのような制度を導入したわけでありますけれども、これはいわゆる資格法になるのか、あるいは職業法としての性格を持つのか、これは一体どちらになるのでしょう。まず、そこからお伺いします。
  29. 原田稔

    原田政府委員 この制度は、先生がいま御指摘のとおり、ヨーロッパあるいはアメリカ技術コンサルタント制度を導入して、日本でも技術コンサルタント育成を図ろう、こういうことでできた法律でございます。公認会計士とか弁護士とかとよく比較されますが、そういう制度と違いまして、こちらは業務独占と申しますか、この資格がないとある一定の仕事ができないよといったような、業務独占制度ではございません。日本ではそうなっております。したがいまして、制度の体系からいきますと資格制度である、こういうことになるのではないかと思っております。
  30. 草川昭三

    草川委員 技術士に対する業務独占の問題は、ちょっと後でもう少し触れたいと思うのですが、資格制度だけといいましても、いわゆる職業的な専門家として活躍できる場というものを、あらゆる産業に定着させないところに、今日のこの技術士法というのは非常に中途半端な形になっておると私は思うのです。社会的な評価というものが非常に薄いと思うのです。技術士に合格するというのは大変なんですね。いろいろと私もお伺いをいたしましたら、本当に希少価値で、これは大学教授クラスの資格というのですか、知識がないととてもチャレンジできないというくらいに、非常にむずかしいものであるだけに、私はそれが非常に残念なんですね。  私も、ときどきアラブの国々へ行くわけでありますけれども日本のプラントがずいぶん何こうで採用されております。そこら辺でいろいろとお話を聞いてまいりますと、日本のゼネコンの皆さんがせっかくアラブ諸国から、海の水を真水にするような海水プラントだとか都市下水だとかいろいろなものをとっておりますけれども、そのトップはほとんど、イタリーとかフランスだとか英国のいわゆるコンサルタントというのですか、エンジニアリングコンサルタントというのですか、そういう方々の指揮のもとに設計をし、作業をし、いろいろなことをやってみえるわけであります。日本のノーハウが非常にすぐれていても、向こう側のコンサルタントがこうしろと言いますと——たとえばコンピューター設備なんかでも、フロアのあれが日本的なものではなくてコンクリートでざらざらしている、これは明らかに日本技術者としてはまずいということを指摘をするのだが、施主の方が、オーナーの方がコンサルタントの指示のとおりやれと言う。  これは細かい一例でありますけれども、せっかく日本技術がありながらも、このコンサルティングエンジニアというのですか、技術士というものの評価が国際的になされていない。ですから、私は今回の改正案をずっと見ましても、本当に当面する問題だけで、本来の技術士というのを国際的にも国内的にも定着をさせていくという視点が非常に欠けておるのではないか、こう思うのですが、その点はどうなんでしょう。
  31. 原田稔

    原田政府委員 この技術士制度の活用という点は、確かに先生指摘のとおり一番大きな問題の一つでございます。私どもも、この法律ができて以来いろいろな面で、これは特に関係各省の御協力が必要でございますので、いろいろな省に相当に私どもの方から御無理をお願いして、かなり御協力をいただいているわけでございますが、そういう点ばかりではなくて、いろいろ、たとえば国際的な面におきましても、もっと活用できるように努力をする余地はかなりまだあるのではないかと思っております。たとえば、技術士の国際関係の団体でありますFI DICというのがございます。これは国際的な、いろいろな外国の入っている団体でございますが、そういう団体を通じていろいろ国際的な展開を図っていくということも、まだ残された非常に大きな分野ではないかと思っておりますので、そういった点を含めて大いに努力をしていきたいと思っております。
  32. 草川昭三

    草川委員 海外技術移転の問題で、特に開発途上国が日本に何を求めておるかという点、特に技術でこたえていくという意味では、そのような国際的な組織もあると思うのですが、せっかく資格制度としてこれを定着するわけでありますから、もう一工夫か二工夫、科学技術庁としてあっていいのではないか、こう思うのです。  そこで、いまもう一万六千人を超す技術士の数があると思うのですが、いろいろな部門があるわけでございます。トップの部門というのは、建設だとか応用理学だとか水道とかいろいろなものがあると思うのですが、上位の五つぐらいを述べていただきたいと思うのです。
  33. 原田稔

    原田政府委員 御案内のとおり、技術士はいろいろな専門分野、産業分野と言い直してもよろしいかと思いますが、そういった分野に分かれております。現在、全体で約一万六千人おられるわけでございますが、一応千人以上を抱える分野をざっと申し上げますと、まず建設関係の部門が六千人でございます。それから水道関係の部門が千百人。応用理学、これは地質等でございますから、広い意味では建設に入るかもしれません、これが千人。それから機械が千八百人。電気が千四百人。経営工学、これが一千人ちょっと。こんなようなことになっておりまして、全体で六つの部門が千人を超えておりまして、これがかなりの大きなウエートを占めております。
  34. 草川昭三

    草川委員 これは、本来は文部省なんかに聞かなければいかぬと思うのですが、これは私の一つの提案なんですが、こういう建設部門等を初めとして、せっかく御苦労願っておるわけですから、いまもお話がありましたように、いわゆる職業法的な性格も新たに加味をするように、いわゆる業務独占を定めるような、各省庁でいろいろな条令で技術士業務上の地位を明確化するようなことを働きかけてもらいたいと思うのです。  具体的には、いまもお話がありましたが、建設だとか水道関係とかというトップがあると思うのですが、たとえば公共事業に関して、建設省が指名するコンサルタント企業には、建設コンサルタント登録規程だとか、地質調査等の業者登録がそれぞれ規程にあるわけでございますけれども、それぞれの専門分野の枝術士を保有し、登録することが条令で定められておるわけですよ。せっかくそこまでいっておるわけですから、たとえば公共事業の入札の要資格に、一級建築士でなければいけないとかというのがあるわけですが、それに近い——それは建設業で六千人の人を全国に振り分けるというのは大変ですけれども、たとえば大型の公共投資の場合にはそのような人を必要とするというような案件ができないのかどうか、あるいはそのようなことを考えられておるのかどうか、お伺いしたいと思う。
  35. 原田稔

    原田政府委員 先生指摘になりました、現在建設コンサルタントという制度がございまして、これは建設省さんの方で運用されている制度でございまして、これは技術士が建設コンサルタントになっておるわけでございます。公共事業を行うに当たっては、その公共事業の実際の施工者の中に、施工者はこの技術士たる建設コンサルタントを抱えている、こういうようないろいろな意味指導がなされているやに私ども伺っております。それをさらにシビアにして、さらに一歩進めるという点につきましては、私ども、建設省ともよく御相談していかなければいけない問題でございますが、公共事業の実施という点、なるべく広い方方にその機会を与えるという点、いろいろな問題があると思いますので、そんな問題を念頭に置きながら、なかなか簡単ではない、なかなかむずかしい問題ではあると思いますけれども、建設省ともよく相談をしていきたいと思っております。
  36. 草川昭三

    草川委員 これは、各省庁それぞれ結構知恵を出しておみえになる場合もあるのですが、農林水産省お見えになっていますかね。——林業、土木事業に係る調査、測量及び設計業務を外注する場合の取り扱いというので、いろいろなことをこの技術士法関係で農林水産の場合はやっておみえになるように聞いておりますが、御説明願いたいと思います。
  37. 塚本隆久

    ○塚本説明員 技術士は高度の専門的応用能力を有するとして認定された技術者でございます。林野庁におきましては、その技術を有効に活用するという見地に立ちまして、治山事業、林道事業等の調査、測量あるいは設計業務等の外注に当たりましては、長官通達による、ただいまの取り扱い要領の中で、技術士等、または技術士等を有する法人等を選定するよう関係機関指導いたしまして、技術士の活用に努めておるところであります。
  38. 草川昭三

    草川委員 いまもお話がありましたように、いろいろと、技術士を有する会社等に外注をする——等という言葉が入っておりますから、必ずしも絶対条件ではありませんけれども技術士を有する会社等に外注をするというようなことが林道の場合にあるわけであります。あるいは、治山の場合の基礎調査等につきましても、技術士を有する会社等に外注をする。選定基準にそのようなことが明確に書かれておるわけですから、このような方法というのは、各省庁を調べていきますと、ずいぶん網をかぶせることができると私は思うのです。  いまお話がありましたように、御苦労なすってこの技術士資格を取られたら、誇りも出るわけでありますし、さらに後輩も続くことができるわけであります。それがやがては、私が一番最初に申し上げましたように、国際的にも日本技術士というものが非常に高く評価をされていくことになる、エンジニアリングというのですか、コンサルタント業というものがいま少し評価をされることになるのではないか、こう思うのです。それはもう法律ができて二十五年になるわけですから、科学技術庁の責任ということになるのでしょうか。これはこれからの問題ですけれども、これは私は激励というよりは、本格的に取り組んでいきませんと、日本技術立国であります、資源のない国でありますから、技術というものを評価させる以外にないわけでありますから、これはぜひ定着をさせていただきたいと思います。  これは、文部省なんかにもいまも触れようと思ったのでございますけれども、たとえばこれはある民間企業内の技術士のことになりますけれども、企業をリタイアした、引退した技術士の免状を持った方々は、文句なしに職業高校だとか訓練校だとかそういうところの教師になれるとか、いろいろな意味での待遇というのはまだたくさん残されておるのではないかと思います。そんなこともぜひ考えていただきたいものだと思います。  その次に、企業内の技術士の待遇がいかようになっておるのか、あるいは特に企業内で技術士を高く評価しておるようなモデル的な例があるのか、あるいは余り評価をされていないのか、どのように把握をされてみえるのか、お伺いします。
  39. 原田稔

    原田政府委員 いろいろな企業がございまして、一般企業あるいはコンサルタント企業、企業の業態によりまして多少事情は違うわけでございますけれども日本技術士会で二年ほど前に実態調査をいたした調査結果があるわけでございますが、それによりますと、各企業内におきましてかなり技術士に対しては優遇策が講ぜられているようでございます。この数字は、そのまま全般的に当てはまるかどうかという点につきましては多少はっきりしない点もございますが、一応この調査をベースにして申し上げますと、たとえばコンサルタント企業におきましては、その企業の約半分近くが技術士に対しまして優遇策を講じております。これに対しまして、コンサルタント企業以外の一般企業におきましては優遇策のとり方がやや少ないようでございまして、一般企業におきましては約二二%くらいの会社が優遇策を講じておる、こういう状況でございます。  活用策につきましても、いろいろな活用の仕方があるようでございまして、昇進あるいは手当、そういった面でいろいろと考えている会社も多いようでございます。
  40. 草川昭三

    草川委員 私も、一般企業の方々に少し当たってみますと、いまも局長の方でお話がありましたように、一般企業では特に優遇策というのは余りないようです。ただ、技術士資格を取られた方は、何といっても非常に有能な方でありますし、優秀な方でございますから、他の方々に比べれば非常に高い地位についておみえになるということ、あるいは彼は技術士だからというので職場の中での信頼度が非常に高い、こういうような現状だと思います。でございますから、私がいま触れましたように、一般企業の方々は、たとえば定年でやめられた場合にはもっとほかの面で、教育の場等にも積極的に活用化が図られるようなことがあってもいいのではないか、こんなようなことをいま申し上げたつもりであります。これもぜひ参考にしていただきたいというように思います。  問題は、技術士技術士とはいうものの、最近の先端技術の進展だとか非常に高度な技術革新の時代の中では、持つところの技能なり技術というものも五年たてば陳腐化すると言われるわけであります。そうなりますと、せっかく資格を持っていても、本人たちは一生懸命対応されると思うのでありますけれども、そんなに今日的には評価をされないという場面もまた出てくるかもわかりません。でございますから、せっかく資格を取りた方々のフォローアップというのでしょうか、それをどういうように考えられるのか、技術士会の問題になると思いますが、行政としてはどう対応されるのか、お伺いいたします。
  41. 原田稔

    原田政府委員 先生指摘のとおり非常に科学技術の進歩が速いものでございますから、これに追いついていくというのがやはり技術士としても非常に大事なことになっております。今回の改正技術士補という制度をつくるねらいの一つも、そこにあるわけでございます。  技術士の後のフォローアップの問題でございますが、現在は日本技術士会が中心となりまして、各所で講習会ですとか研修会ですとかそういった勉強会を行っております。かつまた、技術士会の中にいろいろな部会が設けられまして、その部会の中でお互いに意見交換をし、相互の研さんを積むというようなこともやっているわけでございますが、今後の課題あるいはむしろ現在の課題と言っても言い過ぎではないと思いますが、技術士会におけるそういう活動をもっと活発にしていくということは、私ども非常に大事ではないかと思っています。また、私どもも、そういう技術士会の活動に対しましてはできるだけこれを支援していく、また、いろいろな機会を通じて技術士という制度につきましても、広く国民一般にPRしていくということがあわせて大事ではないかと思っています。
  42. 草川昭三

    草川委員 先ほど、民間にテストを委託するというようなお話も出ておったわけでございますが、技術士会の役割りが非常に多くなりますが、予算あるいは能力等を含めて、果たしていまの非常に厳格な対応がキープというのですか守られていくのかどうか。民間委託は非常にいいようでございますけれども、非常に多部門にわたっておりますから、あるいはまたいま私が申し上げたフォローの問題等を含めて、せっかくの技術士会のレベルがダウンしないのか。その点の心配はどうでしょう。
  43. 原田稔

    原田政府委員 確かに先生指摘のとおり、技術士会の組織の整備、体制の整備というのは、私、大変大事なことだと思っております。ただ、試験事務あるいは登録事務、これらは非常に機械的、定型的でありますし、かつまた非常に季節的でございますから、たとえば試験のシーズンになるとすごく事務量がふえるというような事態になるわけでありますから、そういう点も踏まえまして、早急に技術士会の体制の整備という点について取り組んでいかなくてはならない、かように思っております。やはり、試験あるいは登録が公正かつ厳格に実施されることが何よりも大事なことでございますので、そういった面で大いに努力してまいりたいと思っております。
  44. 草川昭三

    草川委員 自治省にお伺いをいたしますが、自治省の場合は、特に消防設備士という関係で技術士試験合格者の筆記試験等の一部免除があるわけであります。この消防設備士に関連するわけでございますが、技術士には実技試験が何か残されておるのかどうか、お伺いします。
  45. 小坂紀一郎

    ○小坂説明員 御案内のとおり消防設備士制度というのは、消防設備等の工事それから整備を完全にするということを目的にしておりまして、そのために消防設備士に対しまして機械それから電気に関する基礎的な知識、消防用設備等の構造、機能それから整備、工事の方法に関する知識、それから消防関係法令に対する知識、これらの知識が必要となるために、消防設備士試験もこれらについて行っているところでございます。技術士の有資格者に対しまして、技術士の専門領域以外の知識、すなわち消防関係法令に関する知識、それから加えましていまお話しの実技試験を行っているところでございます。
  46. 草川昭三

    草川委員 私、最後に消防設備士の問題を取り上げましたのは、実は最近、蔵王温泉ホテルの例だとかホテル・ニュージャパンの火災等で、いわゆる自動火災報知機の感度がよ過ぎるというのですか、非常に過度な反応をするというので、事前に報知機を切ってしまうという話がよくあるわけです。ですから、一体どのようなグレードになっておるのか、もう少し現状に応ずる火災報知設備というものができないのかということを聞きたいわけであります。  何か、総生産個数はいま全国で、五十七年の実績で三百三十六万個の自動火災報知設備の感知柵があるということでございますが、その生産会社も上位の四社に集中をしておるようであります。非常に厳しい検定をしておるようですけれども、現実の建物の中ではそれが利用されていないために大変な悲劇が起きたというようなことでございますが、消防庁の方としてはどのように考えておられるのか、お伺いします。
  47. 小坂紀一郎

    ○小坂説明員 自動火災報知設備、これは、火災をいち早く感知し知らせるということで、防火体制上いわばかぎとなる機器でございます。それが先生お話しになるような種々の理由によりまして、その機能が阻害されているということであれば非常に問題だということで、私ども昨年来、消防庁に防火管理体制研究委員会というのを設置いたしまして、そこで非火災報防止対策全般にわたる検討を行ってきておりまして、近日中にその報告がまとまる予定になっております。
  48. 草川昭三

    草川委員 ホテル等の検査はもちろん消防庁がやると思いますけれども、消防検定協会も自治省の所管の財団になっておるわけでありますし、採用等についても相当消防庁の影響力が強いというふうに聞いております。しかし、現実にはこのような事故があるわけですから、いま対応するいろいろな委員会等やられておるようでありますけれども、これも速やかに現実に応ずるようなことをやっていただきたいというふうに思います。  でございますから、きょうこの技術士法の問題と関連して、結局、いかに資格をつくろうとも、あるいはまた法律改正しようとも、いまの日本の現実に応じなければ、せっかくのことがこれまた意味がないわけでありますから、私は、ぜひ科学技術庁としてこの技術士というものを育てていく、あるいはまた、日本技術立国でこれから生きるわけですから、何千何万とあるさまざまな現場に適応する日本技術というものを育てていく必要があると思うので、これは質問の最後になりますが、ひとつ私のきょうの質問について大臣から見解を得て、終わりたいと思います。
  49. 安田佳三

    安田国務大臣 草川先生から、ちょうど私たちが非常に当面悩んでおる、と申し上げましたらちょっと行き過ぎかもしれませんけれども、最も見識の高い、最も厳しい選考の中から技術士という国家試験資格を取得した、これがいわゆる科学技術振興にどのような参入をし、どのような戦力を発揮しているのかと、こうなりますると、草川先生指摘の面が私たちの顕の中にもあるわけであります。これは科技庁だけではなく、ちょっと次元が違いますけれども、労働省も、やはり技能士の資格を取る、これが発注者との関連においてどういうことになっているのだろうという、同じ悩みを持っておるわけであります。  だから、先ほど私たちにいろいろ示唆をお与えいただいた今後の問題につきましては、私は、これは法律で明定するというのはちょっと問題が多いと思うのですね。だから、行政指導の中で、いわゆる設計も管理も、絶対これは権威のあるものとして位置づけられるような行政指導というものを今後お互いに、各省庁連絡をとり合いながら進めていきたい、こういう私の考え方であるわけであります。よく御趣旨は理解いたしておりますから、そういう面で今後とも力を出していきたい、こういうことで御理解願いたいと思います。
  50. 草川昭三

    草川委員 終わります。
  51. 永田亮一

  52. 山原健二郎

    ○山原委員 この技術士法の示す制度そのものが非常に重要なものであり、またわが国の技術振興という点で非常に大きな意味を持っておるというふうに考えておりまして、ちょうど二十六年前の昭和三十二年でありましたか、そのときの法案審議に当たってわが党もこれに賛成をいたしております。今度のこの改善ですが、私は二つの面から見てみたいと思うのです。  一つは、この法案の積極的な意味評価すべき点があると思います。それとまた、今日の段階において、法の趣旨からいって評価できない点もあるという考え方から、質問をしたいと思っております。  一つは、今後この技術士の需要は増大していくと思いますが、その増大する要因がどういうところにあるかということを、最初にちょっと簡単にお答えいただきたいのです。
  53. 原田稔

    原田政府委員 増大する要因の一番ベースになるものは、やはり科学技術、特にこういう技術についての世の中の需要、社会的な需要というものが全体として相当のスピードでふえていっている。私は、これがやはりこういう技術士あるいは技術的なコンサルタントに対する需要増大の一番大きなバックになっていると思います。  それからもう一つは、従来、御案内のとおりアメリカヨーロッパの先進国と申しますか、そういうところにおきましては、コンサルタント業務とそれ以外の実際の実務と申しますか、それとが分かれておるわけでございます。日本は、どちらかといいますとこの両方の業務を同じ組織、同じ会社でやってしまうという傾向が従来あったわけでございますが、最近は次第にヨーロッパアメリカ的になりつつありまして、こういうコンサルタント業務というものを切り離して、外部のそういう能力を大いに活用していこうというような傾向が出てきております。これまた、こういう技術士仕事に対する需要がふえていく非常に大きなファクターではないかと考えております。
  54. 山原健二郎

    ○山原委員 その上に立っての今度の改善ですが、私は、一つ技術士補の新設をしたということ、この点についてはその積極的な意味評価すべきものだと思っています。現在の、理工系大学を卒業をして七年間業務に携わるということですが、そのことに対して今度補を設けたということは、それは具体的に言えばどういうメリットがあるかということ、それを伺ってみたいのです。
  55. 原田稔

    原田政府委員 この新しく技術士補というルートをつくったゆえんのものと申しますか、それを一口で申し上げますと、最近のように非常に科学技術が速いスピードで変化していく、発展していっている。これに柔軟に対応する若手、そういう者にこの技術士制度に関心を持ってもらって、これの参入を図っていく、これが大きな目的でございます。  御案内のとおり、現在の技術士試験と申しますのは、一応大学を出まして七年以上の業務経験があって初めて受験できる、こういうルート一本でございますが、そのために比較的受験者の年齢が高いわけでございます。平均でいきまして約四十歳くらいになっております。これはこれで一つ意味があるわけでございますが、冒頭申し上げましたとおり、このルートともう一つ、やはりそういう若い人材にこの制度に乗ってもらって、この制度を積極的に活用していく、その参入を図っていくということが大事でございまして、そのような意味におきまして今回技術士補制度の新設を考えたわけでございます。
  56. 山原健二郎

    ○山原委員 私は、そういう意味で若い技術者の育成ということ、そのことについては賛成をいたします。それからもう一つ、今度の法改善によって評価すべき点は、学歴制限を撤廃したということだと思うのです。一次試験をだれでも受けられる、これは非常に積極的な問題だと思っています。  ただ、私がこれから幾つかお尋ねしたいのは、試験事務及び登録事務民間委譲の問題です。これは私は、賛成できないという立場でお尋ねするわけですが、この経過を見てみますと、民間委譲が盛り込まれた経過としては、昨年の五月に臨調の第三部会の許認可事務の整理合理化という提示がなされまして、それはここで考え方が出されているわけです。それから五十七年、昨年の七月には、技術士審議会で「技術士制度の改善について」の報告書が出されて、ここで民間委譲の問題が触れられております。それから、同じく昨年十二月の臨調第三部会報告では、具体的に技術士民間委譲指摘をされまして、そして先般の最終答申によってもこのことが出されてくる、こういう経過ですね。大体そういうふうに酌んでよろしいですか、民間委譲の問題については。
  57. 原田稔

    原田政府委員 時間的な経過から申し上げますと、私ども、この技術士制度の見直しの議論は五十六年の四月から始めております。いろいろ議論いたしまして、それで実は今回御提案いたしておりますような内容の御答申をいただいておるわけでございますので、時間的な経過からいきますと、この臨調の議論よりも私どもの方のと申しますか、技術士審議会の論議の方が先行したというのが事実でございます。ただ、世の中全体の考え方の流れと申しますか、そういうものが一つの共通のバックにある、これは否定できないと思いますが、時間的な流れという点では私どもの方が先行してなされた、こういうことになっております。
  58. 山原健二郎

    ○山原委員 この技術士審議会報告ですね、きょういただいた文書の中の三十一ページに、民間委譲の問題について二つの理由が挙げられています。一つは、いわゆる量が増大をしたということですね。それからもう一つは「定形化しつつある」という、この二つの理由が挙げられております。もう一つ登録事務委譲については、やはり三十二ページでございますけれども、「法律上困難な点がある」がと述べておりますが、これはどういう意味ですか。「法律上困難な点がある」が、これは三十二ページの二行目ですね、どういうことを言っておるのですか。
  59. 原田稔

    原田政府委員 そこの「法律上困難な」というのは、実は非常に法律技術的な問題でございまして、登録事務民間移転という点について内閣法制局等と内々の事務的な相談をしていたわけでございます。その段階で公益法人、そういうものが念頭にあったわけでございますが、公益法人というのは御案内のとおり、国と違いまして永久の存続の団体ではないわけでございますので、そういうような団体にこの登録という機械的な事務ではあっても、登録の場所としてそういうものを設定することが果たして法律上問題がないかどうかという点につきまして、実はまだ結論を得ていなかったわけでございます。五十六年に審議を開始してすでに一年半ぐらいになったわけでございますけれども、法制局に持ち込んだ時期が少しタイミングがずれた、遅かったという点があるいはあったのかもしれませんけれども、まだ法律的な詰めが十分でなかった。こういう意味で、そこに法律上問題があるという表現になっておりましたか、そういう表現を使っておりますが、その後法制局と論議を重ねまして問題はない、こういうことに相なったわけでございまして、そういう方向で今回の改正案を御提案いたしているということでございます。
  60. 山原健二郎

    ○山原委員 そこで、事務委譲の問題ですけれども、そこから出てくる費用の問題ですが、先ほども御答弁がありましたように、現在大体国が年間二千五百万ですか、そして担当官四名、約三千万程度かかっておると思います。そして、試験委員が問題をつくり採点をするという方式で、謝金としてこの費用が出ているわけですが、何しろ国がやるわけですから、非常勤の公務員の形態をとって、たとえば旅費にしましても、五十キロメートル以内の場合には旅費が出ないとかというようなことで、言うならば安上がりでやっているということではなかろうかと思います。これが民間委譲された場合にどうなるのか。たとえば手当、旅費、会議費等ですね、それが増大するのではないかというふうに思いますが、その辺はどういう計算をされておりますか。
  61. 原田稔

    原田政府委員 具体的な試験事務の中身の積算の内容については、現在技術士会それから私ども内容を検討中でございます。確かに、国で委員ですとかそういうことをお願いいたしますと、やや常識を欠いたような、試験委員方々にとって大変失礼なことになっている例も少なからずあるわけでございまして、そういう点はやはり民間にお願いするという場合には、私ども考え直さなくてはいけないかなという点は問題点としてあるわけでございますが、具体的にどうするかという点につきましては今後なお詳細に中身を詰めてまいりたい、かように考えております。
  62. 山原健二郎

    ○山原委員 この費用の問題はかなり重要な問題でして、この費用がふえていくとそれが今度はいわゆる指定機関団体負担にかぶさっていくわけですね。そうすると、そのかぶさっていく一方では独立採算制ということが出ていますから、結局かぶさってくる。その指定機関に対して、そういう場合に国が補助金を出すのかどうかということですね。その辺はどういうふうにお考えになっているのですか。
  63. 原田稔

    原田政府委員 私どもは、この事務運営につきましては独立採算でやっていただきたいと思っております。したがいまして、現在補助金を出すとかそういう国の財政的な支援につきましては、これは考えておらないわけでございます。
  64. 山原健二郎

    ○山原委員 私が問題にしておるのはそこなんでして、たとえば二千五百万プラス仕事量の増大によるところの経費の増加分、それをプラスしていきますと、一方では独立採算制を原則とするということで出ていますから、結局指定を受けた機関としては、技術士会になると思いますが、それは結局手数料の引き上げというようなことになりまして、受験者あるいは登録申請者に対して負担が増加していくというふうになると思います。私どもの計算では、恐らく二、三倍になるのではなかろうかというふうに計算をしているわけですが、やはりこの制度そのものが、この試験に合格して技術士資格を獲得されるということは、単に個人の受益という面よりも、社会の技術進歩に貢献をするという法のたてまえからするならば、これはこういう負担を増大すべきではない、社会的技術向上に役立つという点から見るならば、そういう負担の押しつけはぐあいが悪いというふうに考えておりますが、その点はどうお考えでありますか。
  65. 原田稔

    原田政府委員 その辺は、具体的にどのくらいの受験手数料になるかというのは目下検討中でございますが、ほかの制度との兼ね合いもまた考えなくちゃならないと思っています。御案内のとおり、現在の技術士試験試験受験料というのは六千円でございます。現在の共通一次試験受験料が八千円でございます。それから公認会計士試験でございますが、これは一次から逐次上がっていくわけでございますが、仮に一次試験を受けないで二次から試験を受けるとして一万二千円でございます。こういったようなほかの制度、ほかのこれに見合うランクの制度などの実態も考え、かつやはり独立採算でございますから、なるべく合理化して技術士会でこういう事務を行うというような点も念頭に置きまして具体的な額を決めていきたい、かように思っております。
  66. 山原健二郎

    ○山原委員 少々の負担はいいではないかというお考えにも聞かれるわけですけれども、社会的な技術向上の上に役立っていく、あるいは広く技術士制度発展させていくというそういうたてまえから見ますと、やはりそこには矛盾が出てくると思うのです。たとえば、昨年度受験者が七千二百二十七人と聞いております。そして合格した人が八百六十六人、約八倍のむずかしい試験制度です。だから受験する方にとりましては、一遍ではなくて何回か受験されているのではないか、そういうふうに思いますと、やはりそれは国が責任を持って広く国民は道を開くということが必要であって、そういう点で、ここでせっかく技術士補制度をつくり、あるいは学歴の問題を解消していくという、せっかく前進した面を持ちながら、ここのところでやはり矛盾が出てくるというふうに思うわけです。  それから、この指定機関となるであろうと言われています、先ほどそういうお話がありました日本技術士会につきましても、考えてみますと事務量、業務量が増大するわけで、日本技術士会の目的、業務内容あるいは事務局体制というものを見てみますと、業務は九項目にわたってあるわけですね。その中には、七番目でありますが、行政機関に対する協力の問題もありますけれども、しかしかなり広範な仕事をしておられる。それから事務局体制はどうかといいますと、常務理事がお一人と事務局員が六人で七人、役員はたくさんおいでになりますが、実際に手当を払っておる恒常的な事務に携わっておる人は七人と見るべきだと思います。そうしますと、業務内容が九項目にわたっているわけですが、日常的に見ますと、少ない人員体制で多くの業務を持っている現在、その上に、今度、審議会報告を見ましても、技術士の活動の場を広げる、あるいは技術士会業務はもっと広がるというふうに報告書の中で出ておりますように、かなりこれからこの体制で仕事がふえていく。その上に試験登録業務がかぶさってくるということになりますと、もちろん行政への協力という項目が業務内容の中に入っておりますけれども、これにまた試験登録業務というのがかぶさっていくということになりますと、本来の業務に支障が起こるのではないかという心配一つございます。  それからまた、聞くところによれば、いままでも行政のお手伝いをしてきたのだけれども、かなり迷惑だという御意見もあるのじゃないかということも聞いているわけですが、本来の業務に支障がないのかどうか、この点が一つ。  それからもう一つは、体制ですが、試験業務あるいは登録業務を引き受けるとしますと、その体制についてはどういうふうな体制をとろうとしているのか。それは技術士会の方と話し合いをなさっているのかどうか。これはいかがですか。
  67. 原田稔

    原田政府委員 御指摘のとおり、試験事務あるいは登録事務というものを公正かつ適確に行うためには、技術士会というものがしっかりしていなくちゃいけないと思います。その意味におきまして、現在の常務理事を含めて七人という専任の事務局体制でやっていけるかどうかというのは、私は一つの問題だと思っています。したがいまして、当然この事務局体制の充実整備ということが非常に大きな課題になっております。幸いにしましてこの法律案が通過して施行ということになりますと、これは一年ちょっと先の話でございますので、現在も寄り寄り技術士会技術士会の組織、その体制の整備充実につきましては意見交換し、お互いに勉強しているところでございますが、ひとつこの一年間の、長いと言えば長い、あるいは短いと言えば短いわけでございますが、その期間の中で体制の整備充実を図ってまいりたい、かように考えております。
  68. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一つ心配というほどではありませんけれども、御承知のように特殊法人その他に対するいわゆる高級官僚の天下りの問題が出ています。現在でも、常務理事の方は特殊法人の専務理事をしていた方がおられるわけでございまして、行革の中でも出ています、また国民の間からも批判の強いいわゆる天下りの場所をつくるというようなものには絶対してはならぬと思いますが、そういう点がどうかということが一つ。  もう一つは、結局いまのお話を聞きましても、いまの事務体制ではこれは処理できないということになりますと、これから一牛後のことを考えお話し合いになると思いますが、その場合の体制を整えれば整えるほど、やはり手数料の増加、手数料の値上げということが出てくるのじゃないか。どれだけになるのかということがまだわからぬわけで、私はいま、二、三倍になるのじゃないか、こう申したわけですけれども、しかしそこのところはこの法案審議するに当たっては、やはり明確にある程度の見通しを立てておく必要がありはしませんかということが一つです。  それからもう一つは、試験内容の公正さが保持されるかという問題ですが、これは先ほど関さんからもお話がありました。いままでは長官試験委員の任命をしておりましたが、今度は候補者を選定をして指定試験機関が選任をする、こういうふうになるわけでございます。だから、いままで国が直接やってきたということからは少し離れていくわけでして、その点で試験内容の公正あるいは試験制度そのものの公正さが確保されるかどうか。この点の心配についてはどういうふうなお考えか、伺いたいのであります。
  69. 原田稔

    原田政府委員 まず第一は天下りの場所の問題、これはもう私ども全く考えていないわけでございます。やはり国のやるべき仕事民間のやるべき仕事、こういうものがいかにあるべきか、それから、この技術士制度の実態に即してよく考えた場合にどうしたらいいか、そういうところから今度の改正案を御提案しているわけでございます。  それから、第二点の負担の問題につきましては、具体的にどうなるかというのは目下検討中でございますが、ただ、先生が御心配になるように、受験手数料が、若い人材受験する場合に妨げになる、こういうようなことは私どもとしてはあり得てはならない、あってはならないし、またその辺はほかの試験制度とのバランスも考えながら十分にやっていけるというぐあいに考えております。したがいまして、この負担のために受験できないというようなことにはならない、私はかように考えております。  それから、試験の公正の問題でございますが、これは先生指摘のとおり、非常に大事な問題でございます。これは試験委員が問題を作成し、採点を行うわけでございまして、一にかかって試験委員方々の役割りというのが大事でございまして、この法律に書いてありますとおり、大臣が、技術士審議会の意見を聞いて試験委員の候補者名簿をつくります。これを技術士会に提示して、技術士会はこれに基づいて試験委員を選ぶわけでございます。試験委員を具体的に選ぶ場合には、さらにまた大臣の認可が要るわけでございます。私どもは、こういう制度的な枠組みの中で、従来科学技術庁長官試験委員を直接任命していると全く同じようなそういう運用で、しっかりした試験委員先生方を選任していきたい、かように考えておりますので、公正という点につきましてはまず心配はないと思います。  また、いろんな意味で、秘密保持義務ですとか、あるいはその他いろいろな面におきまして公正確保の措置が講ぜられておりますので、絶対に心配はないのではないか、かように考えております。
  70. 山原健二郎

    ○山原委員 いまの負担増ですね、いわゆる受験者あるいは登録申請者の負担増の問題については、ちょっと共通一次の問題を出されましたけれども、これはそこのところの法の趣旨がちょっと性格が違うと私は思っておるのです。だから、日本科学技術、あるいは技術の向上のためにこの法律があるとするならば、その法の趣旨に基づいてやるとすれば、いままでの手数料を増大していくということは、むしろそこに矛盾があるのではないかという点で申し上げているわけです。  それから、試験の公正の問題については、これは私も教育関係を国会に出てずっとやってきておりますけれども、必ずいつでも試験の公正の問題は出てくるわけですね。特に民間委譲した場合に、疑えば切りがありませんから、そんなことを疑うのじゃありませんけれども、その公正については本当にあらゆる手を使わないと重大な事態が起こってきますから、その点は十分配慮するような制度的な体制をとる必要があるのではないかということ。  それからもう一つは、指定試験機関の人員構成の問題ですね。役員構成の問題です。これは先ほどもお話が出ておりましたけれども、きょう配られました最後の資料を見ましても、やはり偏っておると私は思うのです。そういう意味では、今度は法の第十二条によりまして、科学技術庁長官が指定試験機関役員の選任、解任を認可するというふうに出ておるわけですね。そうしますと、指定試験機関の人選についてはもちろん公正を期さなければなりませんが、その点については長官としてのお考えがあると思います。いかに公正を保っていくかという点についてどういうお考えを持っておるか、お伺いしたいのであります。
  71. 原田稔

    原田政府委員 そういう点で疑われるようなことがありますと、これは非常に問題でございます。私どもは、現在もその技術士会役員構成につきましては非常にしっかりしたものである、非常にりっぱなものである、かように考えておりますが、この法律ができて実施されるという点につきましては、なおよくよく検討していきたい、かように考えております。
  72. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に長官は伺いたいのですが、十二条にこういうふうに明確に長官の認可ということが出ておりますので、これによって——役員というのはどこまで入るのか、たとえば顧問のところを見ましても、これは先ほどもお話がありましたようにほとんど自民党の方ですね。これでは、今度は試験業務あるいは登録業務という重大な任務を民間機関が持つわけですから、それはいままでと違った性格を持ってくるということを考えますと、この人員構成に当たりましては科学技術庁長官としての一定の確たる見解が必要だと私は思いますが、その点はよろしいですか。
  73. 安田佳三

    安田国務大臣 いろいろ山原先生のいまの御質問を拝聴いたしておりまして、まず第一に財政基盤の御指摘を相当いただいたわけでございます。私もやはり財政基盤については、山原先生と同じように心配する一人であります。これは、例はちょっと適当ではないかもわかりませんけれども、通産省が輸出検査、国営検査を、今度法定に基づく特殊法人に委譲した。このとき、私たちはずいぶん心配しました。ところが、やってみると、みずからがみずからの責任を持ってやらなければならないという責任感のもとに、今日あのような基盤のもとで検査制度運営しておるわけであります。  これと同じように、例はちょっと違うかもわかりませんけれども、先ほどいろいろお話ございましたいわゆるフォローアップの問題で、われわれは研さんこれ努めなければならない。そういう面からの歳入を一体どうするか、みずからの手で絶対信用を失墜しないような責任感でこれを運営する、こういうところに官も学も協力していこう、こういうことでございますから御心配ないでしょう。  それからあと、役員、人事、こういう問題もこれは御指摘のとおりであります。これは何といっても見識のある試験制度で、国家試験でありますから、これが傷つくようなことがあったら地に落ちてしまいます。その辺は、先ほど関先生からもいろいろ御指摘ございましたが、十分私たちはそれを心得てまいりますから、御了解いただきたいと思います。
  74. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  75. 永田亮一

    永田委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、来る二十四日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十八分散会