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1983-05-17 第98回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十七日(火曜日)    午前九時五十二分開議  出席委員    委員長 宮田 早苗君    理事 小渡 三郎君 理事 川田 正則君    理事 高橋 辰夫君 理事 加藤 万吉君    理事 吉浦 忠治君 理事 部谷 孝之君       奥田 幹生君    高村 正彦君       中村正三郎君    中山 正暉君       上原 康助君    玉城 栄一君       瀬長亀次郎君    菅  直人君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      丹羽 兵助君  出席政府委員         北方対策本部審         議官      橋本  豊君         沖縄開発庁総務         局長      関  通彰君         沖縄開発庁振興         局長      藤仲 貞一君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  原田  実君         防衛施設庁施設         部施設取得第二         課長      久保 邑男君         環境庁自然保護         局保護管理課長 味蓼 導哉君         水産庁振興部振         興課長     守矢  哲君         通商産業省生活         産業局日用品課         長       西川 禎一君         運輸省航空局首         席安全監察官  阿部 雅昭君         運輸省航空局飛         行場部長    栗林 貞一君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ───────────── 委員の異動 五月十七日  辞任         補欠選任   森中 守義君     上原 康助君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     森中 守義君     ───────────── 三月三十日  北方領土の返還実現に関する陳情書外一件(第一七八号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  沖縄問題に関する件      ────◇─────
  2. 宮田早苗

    宮田委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小渡三郎君。
  3. 小渡三郎

    小渡委員 丹羽総務長官には、五月六日から三日間、沖縄を御訪問なさいました。就任後二度目でございます。今回の三日間の御訪問は、沖縄本島を初め、宮古八重山に及んでおります。  総務長官は、ピーマンの輪切りをなめられただけでもその質を判定することができるぐらいの御造詣の深い大臣でございます。ことにまた、自由民主党における総合農政の長といたしまして、農政通大臣でございます。大臣農政に対する考え方、御行動というのは、政策の上で大きな影響力を持つとも言われているわけでございます。今回の御訪問農業中心視察をなさいまして、沖縄農業関係者と親しく懇談をなされ、その関係者期待もきわめて大きいものがあると報ぜられてもおるわけでございます。  ことに農業は、沖縄復帰後、第一次石油ショック以来、急速に発展をしております。それは本土においても、石油ショック以前というのは石油とビニールとの関係農業が大きく普及され、発展をしてきた経緯もございます。石油ショック以後というのは、農業経営の転換を迫られざるを得なかったわけでございます。こんな時期に沖縄亜熱帯農業が必然的に浮上してきたのは当然のことでございまして、沖縄農民生産意欲を高める結果になったわけでございます。したがいまして、海洋博後、いわゆる石油ショック後というのは、この六、七年、農業部門への財政資金の投入というのは非常に目覚ましいものがございまして、沖縄における農業基盤整備もいま急速に進められているように思えるわけでございます。  産業別実質年平均成長率農業部門で見ますと、第一次産業は、農林業三・一%の伸び率でございます。水産業は一・五%でございまして、平均で二・七%の低成長でございます。全産業平均が六・二%でございますから、まだ農業部門、いわゆる第一次産業部門というのは半分以下の成長にとどまっていることが明らかになっております。  また、農家経済の指標で見る限り、全国沖縄を比較した場合、農家所得というのは、全国は四百四十一万七千円に対しまして沖縄は三百八万円でございます。また、農業所得につきましては、全国百十二万六千円に対しまして沖縄は八十二万九千円でございます。出稼ぎの収入の面で見ますと、全国が九十万二千円でございますが沖縄は四十二万六千円でございます。可処分所得について見ますと、全国が四百六十二万九千円に対しまして沖縄が三百十四万三千円でございます。家計費で見ますと、全国が三百六十七万五千円に対して沖縄が二百二十六万二千円でございます。農業経済の余剰というのを見てみますと、全国が九十五万四千円に対しまして沖縄は八十八万一千円でございます。  農家経済を今度は農業集約度の面と生産性の面から見てみますと、耕地面積十アール当たり農業労働時間というのは、一戸当たり沖縄は二百五十六時間でございます。全国平均が百八十一時間、すなわち一・四倍でございます。また、耕地十アール当たり農業固定資本額というのは、沖縄は九万三千円でございますが、全国平均は十八万一千円でございまして、二分の一にすぎないのでございます。さらに生産性の面から見ますと、農業労働十時間当たりに対しまして農業の純生産というのは四千五百円でございます。全国平均が五千九百円でございますから、実に七六%の水準でございます。  全国平均で比べますと、農業所得経営規模あるいは生産性いずれの場合においても低位にあるのは明らかでございます。全産業のうちに農業の占める割合というのが、沖縄の場合、県内純生産の六%を占めております。また、就業者の数から見ましても一四%を占めておりまして、全国平均のどれよりも高いのでございます。だから農業振興というのは県経済自立的発展にとって重要な課題であると言えるのでございます。  そういうことでございますので、大臣は先般の沖縄訪問に際しまして、現地農業団体皆さん懇談もし、そして沖縄農業振興基本方針に関しまして所信を述べられていると聞いております。農業振興に対する大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。
  4. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 ただいま小渡先生から沖縄実情について詳しくお述べいただきましたけれども、先生の御指摘のように、沖縄のあらゆる産業と申しますか分野が本土と比較いたしまして非常に低いのでございまして、一日も早く本土のすべてと同じようなところに持っていきたいというので、先生方このように熱心に沖縄振興開発のためにお力を入れておっていただきますが、御指摘のような実情でございます。しかし、沖縄県民方々も、先生方の力を入れていただくのに相まって、その点も理解し、感謝して、本土方々以上に意欲を持って努力しておられます。しかしながら、何と申しましても復帰後まだ十年でございますから、と同時に、離れておるということから、いま御指摘のように実態はまだまだという感がいたしますので、これから委員会先生方の力をかりて、沖縄方々期待に沿えるような沖縄県づくり、沖縄県民生活向上にわれわれは責任を持って努力さしていただかなければならない、こう考えております。  それにしても、これまた先生の御指摘でございますが、沖縄をまず、第一次、第二次、第三次、観光を含めても復興させていく、開発していくには、何と申しましてもやはり沖縄農業というものを軽く見てはいかぬ。沖縄農業というものは非常に将来性ある大事なことであります。また、日本全体を考えても、沖縄農業生産物というものを考えたときには、これは私も、いま先生から言っていただきましたが長く総合農政なんかに関係しておりまして、沖縄農業生産物というものは国民全体に大きな貢献をしてくれるものだ、また貢献できるようにしなくちゃならない、こういうことから、私は沖縄全体の振興ということを考えつつも、特に先日沖縄の方にお邪魔させていただいて、いま申し上げたような考えに立って、農業中心にして、中心と申しますか、ここからひとつ沖縄を力強く出発させようという考えを持って、いろいろな方々に会って話を聞いてまいりました。いま申しましたように、今回の沖縄の出張においては、農業に重点を置いて視察をいたしまして、関係者との懇談、というよりも私はひざを交えて、かた苦しい懇談だとかそういうことはやらずに、まあやりましたけれども、そういうことよりは農民方式ひざを交えて、いろいろといっぱいの話を聞かせてくれ、おれもこんな考えを持っているということをやって話し合ってまいりましたが、農業振興に関する私のいま先生に申し上げたような考え方々お話を申し上げて、大変理解をいただいたように思います。よし、やらなくちゃいかぬな、皆さんがそうおっしゃってくれるならやろう、おれたちもやる責任がある、やろうという大きな気概に燃えてみえるように、私は要請もし、理解を得たと、こう思っております。  そこで、そのためには、こんなことも私は考えてまいりました。農業というものは第二次沖縄振興開発計画の重要な柱となっており、いま申し上げたように積極的に沖縄農業振興を図る必要がある。これは積極的に図らなくてはならない。沖縄農業振興を図るためには、地形的に考えましてわが国でただ一つの亜熱帯であるという沖縄地域特性の活用と、生産性向上基本方針として、作物の多様化を図りながら、本土先進産地に伍していけるような生産性の高い農業というものを確立しよう、それでなければこうやって先生方が御心配いただいておるような農業振興実現を見ることはできない。  それにはどういうようなことをやったらいいかということも話し合ってみましたから、これを簡単に述べさせていただきたいと思いますが、そういうように本土と比較してもっともっと生産性の高い、亜熱帯地帯という特性を生かしてやっていくためにはどういうことをやるか。土地基盤整備、及び特殊病害虫と申しますか、それの防除による基礎的な生産条件整備をしなくちゃいかぬ。まず土地基盤をやれ、それから害虫をひとつ征伐しよう、これとの戦いだと、このように考えまして、そのような生産条件整備をやりたい。それから二番目には亜熱帯性自然条件に即した技術開発、これは本土ではやれないことでございますけれども、幸いにこういう沖縄でございますから、熱帯自然条件に即した技術開発により技術水準を全般的に高めていく、向上と申しますか、それをやる。それから産地体制整備、これはやはり人間を含めての体制でございますが、この産地体制整備もしなくちゃいかぬ。それから一番大事なことは、こうやって先生も御心配いただいておりますように、私も心配しておりますが、これをやろうとするには、農業というものに魅力を持つというか、農業というものを本当に理解してくれる営農意識高揚というものを図らなければならない。  この四つの面において沖縄農業レベルアップが図られる、こういう見地から、五十八年度においてはマイナスシーリングの中で、これも本当に先生方のおかげでございますけれども、農業基盤整備特殊病害虫特別防除対策等を拡充強化するとともに、特に農林水産省でございますが、関係省庁の御理解により農業構造改善事業等関係施策の充実に配慮したのでございます。これは五十八年度やることであり、なしつつあることでございますけれども、五十九年度においては、いま申し上げたようなことが実現できるように、皆さんお力をかり、委員会お力をかり、議会のお力をかりて、そして私は五十九年度においても、いま申し上げたようなこれらの事業が実際に行われていくための予算確保のために、関係省庁にも御協力いただいてひとつしっかりやっていきたい、こういう方針でおります。  まだ聞いていただきたいことはたくさんございますけれども、時間の都合もございますから方針だけを述べ、私は、沖縄県民方々がこんなにして特別委員会先生方に、沖縄立ち上がれ、沖縄しっかりやれ、早く本土並み生活ができるように、産業も伸びるようにやれよ、力をかしてやるからと言っていただけることは、沖縄にとって非常に幸せなことであり、また特に沖縄選出先生方の格別の御協力を賜りますように心からお願いを申し上げて、お答えにさしていただきたいと思います。
  5. 小渡三郎

    小渡委員 ただいま総務長官沖縄農業振興基本方向に対する所信の御説明をお聞きしたのでございますが、私も全く同感でございます。沖縄農業振興というのは四つの柱と言われておりますが、農業基盤整備技術水準レベルアップ、それから病害虫撲滅、そして営農意欲高揚、全くそのとおりだと私は思うのでございます。  そこで、沖縄県の亜熱帯農業に関する試験研究体制整備強化がこの四つを満足させるためにぜひ必要でございます。農業技術に関する基礎的な研究というのは、まず沖縄以外の他県におきましては、自然的な条件を同じゅうする地域ごとに設置をされました国の農業試験研究機関と大学が行っておりまして、応用実用的な研究というのは、これは地方公共団体試験研究機関が実施をいたしております。それが互いに協力をし合い、分担をし合いまして、その結果、農業技術開発のための資料の提供だとか技術提供とか、そういうことが行われて、わが国農業というのはこんなに画期的な発展を遂げてきたわけです。  沖縄県の場合、わが国唯一亜熱帯地域でございますけれども、気象とか土壌、これは本土とは異なります。したがって、作目とか病害虫などというのも全く異なってくるわけでございます。国または他県の研究機関成果がストレートに適用されるということはきわめて問題点があろうかと考えられるわけです。  そこで、復帰後、昭和五十年には熱帯農業研究センター沖縄支所ができましたし、琉球大学は国立に移管をされまして、緊密に農業連携がとられております。最近に至りましては、他県の研究機関との知識とか情報の交換も頻繁に行われるようになりましたし、その集積などが試験研究推進をいよいよ強化してくるのではないかという期待を持っておるわけでございます。その結果、沖縄県のいわゆる試験研究レベルアップ期待される。土地改良にいたしましても、それから病害虫撲滅にいたしましても、あるいはまた技術水準向上させるという面におきましても、こういうのをすべて満足させることによって農業意欲というのは高揚されてくる、このように私は考えているわけでございます。  したがいまして、大臣、いわゆる亜熱帯農業試験研究、その体制強化につきまして、今年度の予算の中身を含めまして、一体どういうことをやろうとしているのか、どういうことをやっているのか、この辺をひとつお伺いしたいと思います。
  6. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 お答えさしていただきます。  いま先生から、沖縄農業そのもの振興を図っていくには亜熱帯地帯としてこういうことを考えなくちゃならぬではないか、ほかのことをやってみたって結構なことではあるけれども、実際の成果を上げるにはこのことが大事だというような御所見、お考えを聞かしていただきました。私も、先ほど申し上げましたように、またその言葉をとって先生がおっしゃっていただいたと思いますけれども、全く同感というか、本当に思いを一にしております。また政策にしても、これは当然同じような考えでいかなくちゃならぬ、こう思っておりますので、そういう見地から、五十八年度は何をやろうとしているか、何をやりつつあるのか、五十九年度についてはどんなことをやろうと関係省庁、特に農林水産省、おまえは農林水産省との顔もある男だから、どういうような交渉、折衝をしておるかという意味を含めてのお尋ねだと思いますので、簡単ではありますけれども、せっかくのお尋ねでございますから具体的に申し上げたいと思います。  いま先生のおっしゃったような考え方、また私のそうした考え方見地から、農林水産省に対して、いま石垣市にある熱帯農業研究センター沖縄支所機構の拡充と要員の確保について要請してまいりました。これは本当に一生懸命になって要請してきたのですよ。そこで、なお同省からの連絡、そちらの方からの私の方にやってあげましょうという連絡によれば、亜熱帯農業に関する試験研究体制整備重要性にかんがみまして、行政機構簡素合理化定員削減等厳しい情勢の中ではあるけれども、五十八年度において熱帯農業研究センター沖縄支所研究室の新設及び研究職員定員の四名増加。これはわずか四名でございますけれども、四名ということはなかなかなことなのです。そのほかに、同所に対する五名の流動研究員の派遣をやってやろうということで、承知しましたというような返事を私どもいただいております。これは沖縄開発庁と特に農林水産省が一体になって、沖縄特性亜熱帯地方農業をやっていくためには、いま御指摘のようなことを実現させなくちゃだめだ、これをうんと大事にしなくちゃいかぬ、研究しなくちゃいかぬ、こういうことでやったのですが、ここまでやれたのは先生方沖縄に抱いておられる大変な情熱のあらわれと思い、それを農林水産省もよく理解してくれた、私も農林水産省に深い関係があるから言うわけじゃありません、いまは開発庁長官でございますが、農林水産省といろいろと長く長く一緒に苦労してきた関係もあるものですから、よく沖縄の事情を理解してくれた、こういうように思っております。いまこういう非常に厳しいときでございますけれども、ここまでやらしていただいておりますから、今後続けて努力させていただきたい、こう思っております。
  7. 小渡三郎

    小渡委員 大変意欲的な御答弁をいただきまして力強く思っております。行革のさなかでもございますけれども、沖縄農業振興のために、ひとつぜひ試験研究機関強化に御尽力をいただきたいと思います。  沖縄県というのは亜熱帯地域であるということを何回も申し上げております。したがいまして、冬場の端境期野菜あるいは花卉の本土向け出荷はいま国内で独自の地位を確保しつつあるわけでございます。今年から初めて本土出荷がされましたピーマンも、来年からはウリミバエが五十二年九月に根絶しました久米島だけではなくて、北部初め沖縄本島全体に及ぶわけでございます。多く期待されているところでございます。昨年は本島地区でもミカンコミバエの根絶に成功いたしておりますし、同時に今後、先島を含めましてウリミバエ撲滅がスピードアップされて、野菜県外出荷に明るい見通しがあるわけでございます。  こんな折に、大臣の先ほどの所信にもございましたけれども、ウリミバエ、いわゆる病害虫撲滅ということと、それから土地改良推進ということは、沖縄農業の根幹でございますね。したがいまして、特殊病害虫防除はこれから意欲的に行っていかなければならないということは先ほどの御答弁でよくわかっておりますが、今後、全琉でウリミバエあるいはミカンコミバエ撲滅について一体どうなっていくのか、いつになったらできるのかというようなことも含めてひとつお答えをいただきたいのでございます。  そして最後に、関連がございますけれども、農民意欲高揚させるためには何といっても後継者の養成ということが大事でございますね。そのためには農業研修センター構想ということも発表されておられるようでございますので、あわせて御答弁をいただきたいと存じます。
  8. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 お答えさしていただきます。  私の答えが長くなって先生の御質問いただく時間をとってはいけませんので簡単に申し上げておきますけれども、やはりいまお話のありましたように土地基盤整備というものはいろいろのことがありますけれども大事だ、これはわかっております。そしてそれは進めなくてはならぬが、特にあそこにありまするところの特殊病害虫防除というものは、特に本土におけるところの端境期野菜果樹等生産国民生活に大きく関係しておることであって、この基盤整備すると同時に、そういうことを考え病害虫を駆除しなくちゃいかぬ、こういうことでございます。これを完全にやれば沖繩農民の利益だけではなくして、先ほど先生も申されましたように、これは全国消費者にとって大きなメリットのあることでございますから、こういう意味において、私はこれを土地基盤整備と並ぶ重要なものと考えておりますので、一日も早く沖繩全域からこうした特殊病害虫撲滅するよう、その防除を強力に推進していくように、私自身も現地研究所もずっと見せていただきました。また、農林省の植防の方にも一生懸命頼んで、一日も早く全島にわたって撲滅させるような努力を払ってまいりたい。しかし、これはなかなか骨の折れることであるということだけは参考にしておいていただきたいと思います。  それから最後に、農業振興について、農業人材育成センター構想、これは私も向こうに行ってやってきたのですよ。いろいろと話をしてまいりましたが、簡単に申しますると、御質問の沖縄農業者研修施設は、農業担い手育成確保農協役職員等資質向上を目的とするものであって、農業に対してこれらの方々が非常な営業的な意欲を持ってもらわなくちゃならぬ、人をつくる、こういうことで、沖縄においてはそのような施設がまだ未整備でありますので、農業団体等もその整備を非常に強く要求をしておられますので、これはやりたい。そういう意味で、沖縄農業担い手たる農業者農協役職員人材育成資質向上、それは沖縄農業振興基本方向に対する私の考えとも一致しておりまするので、施設整備推進について私としては関係省庁にいま一生懸命頼んでおりまして、多分来年度はこれを取り上げてくれる、やってもらえる、またやってもらわなくちゃならぬ、こういうように考えております。それについては県また団体等ともどういうものにしたらいいかということを話をしていきたいと思いますが、基本的には、いま先生の御指摘のように、また私も基本的に考えておると申しましたように、これはどうでもこうでも実現させたい、そして沖縄農業のすべての者が農業意欲を大いに持ってくれるような人材を育成するためのセンターをつくる、その構想等については県と団体の方とも十分連絡をする、これをやらせてもらえるように先生方の意を酌んで努力させていただくことをここで申し上げて、答弁にかえさせていただきたいと思います。
  9. 小渡三郎

    小渡委員 時間になりましたのでもうこれで終わりますけれども、大変意欲的な、しかも沖縄に対する農業部門できわめて画期的な御答弁をいただきまして、私も非常に喜んでおります。五十九年度の予算に向けまして、財政の大変苦しい時代でございますけれども、沖縄農業の立ちおくれを是正していただくような予算編成に全力を傾けていただきますことを要請いたします。終わります。(拍手)
  10. 宮田早苗

  11. 上原康助

    上原委員 久しぶりに沖特が開催されまして発言できる機会を得ましたので、少しくお尋ねをさしていただきたいと思います。  いまも同僚議員の方からお尋ねがあったのですが、開発庁長官、去る六日から沖縄本島宮古八重山などを御視察なされて、御所見のありましたような農業振興についてあるいは離島振興問題、また第二次振計全般にわたって県当局関係者といろいろと御懇談をしていただいて、本格的に沖縄担当大臣としてのお仕事を進めようとしておられるその意欲に心から敬意を表したいと存じます。  そこで、これまでもしばしば取り上げられてまいりましたし、また私たち政府の御見解をただしながら、かつ私どもの考えについてもその都度提示をしながら、沖縄振興について努力をしてきたつもりですが、御承知のように復帰して十年を超して、いよいよ十二年目に入ります。一昨日で満十一年になりました。そこで、農業基盤整備とか農業問題についてはようやく最近は皆さん口にするようになって、われわれも大変喜ばしい傾向だと思うのですが、しかし一時期はそうじゃなかったですね。第一次振計の柱を見ましても、第二次産業中心開発主導型に持っていくというのが当初の政府なり県というかの方針だった。しかしそれが、日本経済あるいは国際経済の全般的なかかわりもあってのことだと思うのですが、うまくいかずに、どうしても沖縄の特殊性というか、いい意味の特殊性、亜熱帯的地理的条件というものを生かしていくには一次産業をもっと重要視をしなければいかないということで、復帰して大体五、六年ないし七、八年ごろから方針転換がなされてきた。私どもは当初から第一次産業をもっと重要視すべきである。特に、海洋博というものを起爆剤にするということで、農業切り捨て、土地ブーム、そういった面が出て大変なひずみが生じたことも事実が示しているとおりなんですね。  そういう経過を踏まえて今日の一次産業、特に農水産業というか畜産を含めてあるいは花卉園芸等を重要視していく政策転換を求められるということになっていると思うのですが、そういうことに政府も相当力を入れようとしているということにわれわれも大変期待を持っております。同時に、じゃ二次振計全般についてどういうものを具体的に進めていかれようとするのか、ここが非常にぼけているような感じもするわけですね。したがって、これは事務当局でも結構ですが、二次振計を実施するに当たっての具体的な方策は一体何なのか、二次振計ではこれこれこれの重要プロジェクトというか、こういうものだけはぜひ一次振計とはかわりばえのしたものとして具体的に沖縄振興に役立てていくという方策がなければならぬと思うのですね。この点についてまずお答えをいただきたいと思います。
  12. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 お答えさしていただきますが、二次振計の計画の進め方については事務当局から詳しくお話しさしていただきますけれども、冒頭先生のお考えですね、一次振計、第一次というものは苦労したわりに成果が上がっていないとはおっしゃられないけれども、あれほど努力したわりに成果は見ていない、それを今度第二次振計でどういうふうにやっていくか、こういうことでございますけれども、私も率直に申しまして、第一次振計というものは余りにも二次、三次産業の方に、ああいう急激な経済成長のときを頭に置いて考えたものですから、これは基本的な考え方に手違いとまでは申しませんけれども、成果が上がらないことになったのではないか。だから今度、二次振計の方は沖縄の本当の地域というものを考えて、そして二次、三次というものが実際においてついていけるように第一次産業にうんと力を入れて、その上に二次、三次を積み重ねていく。その上、沖縄は日本にない、あの実にきれいな自然に恵まれた地帯でございますから、ここらの観光というものも、そしてまた平和を愛するということについては、日本でただ一つの戦いをなした、戦火に苦しんだ地帯でございますから、沖縄の人がどこの人よりも一番戦争を嫌い、平和を愛してみえる、そういうところへ本土の方からどんどん行って、しんから戦争に苦しんだ方々の悩みを聞く、それも観光の中に入れたらいい、将来の日本のために学ばせるべきだ、こういうように思っております。一次振計が失敗だったとは思いませんけれども、そういう急激な経済成長のもとに考えられたことでございますから、一次的な産業の方がちょっと軽く見られておった。しかし、沖縄ということをよく考えたら一次産業にうんと力を入れて、そこに二次、三次を積み重ねていくべきだ、こういうような考えを持って二次振計が立てられたものだ、私はこう思っておりますので、どういうぐあいに進めていくか、それは当局の方から御説明させていただくことにお許しをいただきたいと思います。
  13. 関通彰

    ○関(通)政府委員 第二次沖縄振興開発計画は、先生御案内のように昨年の八月に五十七年度を初年度といたします十カ年計画として策定したわけでございます。  これに盛り込まれております振興策としてどういうものがあるのかという御質問でございますが、まず最初に計画の基本的な性格に触れさせていただきますと、この振興開発計画は冒頭に計画の性格を明示いたしております。計画で述べておりますのは、沖縄振興開発計画は、「沖縄振興開発特別措置法に基づいて策定する総合的な振興開発計画であり、今後の沖縄振興開発の向かうべき方向と基本施策を明らかにした」いわゆるマスタープランであるということを、計画の基本的な性格としているわけでございます。したがいまして、この計画の中では各部門ごとの推進方針あるいは産業振興策について基本的な方向は示しておりますが、具体的な事業量であるとか事業費というようなものは明示してないわけでございます。  計画がこのような性格をとっておりますのは、一つには計画が十カ年という、この種の計画といたしましてはやや長い期間にわたります計画であること。また、この振興開発計画は内容的に非常に広範な分野を網羅いたしております。振興開発計画に盛るべき事項は沖縄振興開発特別措置法に明示しているわけでございますが、主要なものを述べましても、振興開発計画の中には公共施設整備あるいは水資源、エネルギーの開発あるいは産業振興策、さらには生活福祉施設整備、また沖縄の文化の振興、離島の振興、こういう非常に広範な分野にわたりますいわゆる社会経済計画として性格づけられているわけでございます。したがいまして、各分野におきます基本的な振興開発の方向を示しまして、これに基づきまして今後十年間、沖縄の各施策を推進してまいりたい、かような性質になっているわけでございます。
  14. 上原康助

    上原委員 長官の御熱意といいますか御所見については私も大変共感を持ちます。ぜひそういった一次産業振興により重点を置いたといいますか、もちろんそれだけではいかないと思いますが、お進めになっていただきたいと思います。  そこで、総務局長の御答弁ですが、確かに一次振計もそうで、二次振計も総合マスタープランであるということは間違いない。だから抽象論になってしまう。具体的実施計画がないということに問題がある。これは十年というかなり長期の計画なので、なかなかこれこれと言うわけにもいかないということでしょうが、単なる総合マスタープランでビジョンであってはいけないということを私たちは言っているわけで、具体的にこれから十年の間にはどういうものをやっていくのか。そうせぬと、本土との格差の是正とか沖縄の経済の自立的発展なんと言ったって、いつまでも文章だけではいかぬわけでしょう。それをお尋ねしているわけで、おっしゃることもわからぬわけじゃないですが、その点はもう少し具体的実施計画というものを定めてこの二次振計もやらないと、私はかねがね注意というか、そうならないようにということでやっているのですが、一次振計も海洋博という目玉を入れて、これでほとんど終わってしまった。いまも六十二年の国体に向けていろいろやっていますが、またこれで終わりになるよということを私は警鐘しておきたいわけです。これはそうあってはいかないんだ。国体で二次振計が終わってはいかぬということを私は重ねて強調しておきたいと思うのです。  そこで、今後の沖縄振興ということを考えていただく場合に、重点は第一次産業いわゆる農業、漁業あるいは畜産、そういったものの振興ということ、いま一つは離島振興だと思うのです。沖縄本島周辺の離島、それから石垣、宮古島を中心とする離島、与那国とか南北両大東とか波照間、多良間、伊良部、そういったいろいろな離島と本島の格差は、本島と本土との格差以上にある。道路面の整備にしても、漁港の面は相当なされていますが、言うところの土地改良基盤整備、そういう面はまだまだですね。したがって、離島振興の面、特に沖縄本島周辺の離島との格差の問題をどう解消していくのか。たとえばいま離島総合センター、いろいろ計画されていますね。そういう問題とか空港整備とか、そういった離島住民の離島苦を解消していくことが二次麻計の一つの柱となっていいと私は思うのです。こういう点はどのようにお考えなのか、もし具体策があればお聞かせいただきたいと思います。
  15. 関通彰

    ○関(通)政府委員 沖縄は申し上げるまでもなく本島のほかたくさんの離島から成っている特殊性がございます。復帰当たりまして策定されました第一次振興開発計画におきましても、この沖縄特性は十分考慮して計画が策定され、またその後の施策が実施されてきたわけでございます。  具体的に申し上げましても、復帰以来この十年間におきまして、先生もお触れになりました離島の港湾の整備あるいは空港の整備、また離島はどうしても産業と申しますと農業、漁業が中心になるわけでございますが、そういう離島の基幹産業であります農業水産業振興、また特に離島で復帰当時問題とされておりました医療の施設整備、これも病院、診療所の建設等が進めてこられておりますし、また学校施設も、最近ではほぼ本土水準に近くなったと言われておりますように、教育施設整備も進んできたかと思います。また生活用水の確保にいたしましても、海底送水等の施設をつくりまして島民の生活水準向上にも努めてまいったところでございます。これらの施策は、これまでの十年間で一応それなりの成果は着実に上げつつあると私どもは理解いたしているわけでございます。  しかし一方、先生もその点を御指摘なんだろうと存じますが、復帰十年間、沖縄県全体の整備が進んでまいりました中で、やはり人口は本島の中南部に集中を続けておりまして、本島周辺の離島も含めまして、離島は人口が減少しているという状況を呈しているわけでございます。第二次振興開発計画に当たりましては、このような現状に立脚いたしまして、振興開発計画の中でも特に「離島の振興」という項目を掲げて、今後の離島振興方針を示しているところでございます。  四つの項目を挙げておりますが、第一は「産業振興」でございます。引き続き離島の農業、漁業の振興を図っていく。それから第二は「交通通信施設整備」でございます。空港の整備、漁港の整備等をさらに進めるということでございます。第三には「社会生活環境施設等の整備」でございます。これには、先ほど申しました生活用水の確保、あるいは海底送電によります電気の施設整備、あるいは島民の生活中心になるような離島総合センターの建設を今後とも進めていくことといたしております。第四には、離島は大変自然の環境に恵まれているわけでございますが、離島の「自然環境及び国土の保全」。この四つを第二次振興開発計画では離島振興の柱といたしておりますので、これらの施策を柱といたしまして今後とも離島の振興を図っていきたいというのが、第二次振興開発計画の基本的な考え方でございます。
  16. 上原康助

    上原委員 離島問題については、ややもするといつも後手に回るとか、あるいは人口の多いところというか密集地帯を優先しがちな面もありますけれども、そういう傾向を強めていくのに反比例するかのようにまた過疎というものができるわけで、ぜひそういうことのないようにしていただきたい。  もう一つは、きょうは時間がありませんので触れられませんが、今後の沖縄の観光産業振興あるいは離島問題等とのかかわりで、いま沖縄周辺の海域のサンゴ礁が次から次と死滅をしていっている事実があるわけですね。これはいろいろな面でデータ、資料なんかも出ていますが、やはり自然環境保全ということについても、これはいずれかの機会にまとめて取り上げておきたいわけです。せっかくのきれいな海というものが汚れていく。あるいはこれは原因はどういうことか、まだ十分は追求されていないようですが、いずれにしてもサンゴ礁が死滅をしているという事実だけは間違いない。オニヒトデの問題等もあるでしょうが、こういうことにも開発庁はぜひ関心を持っていただきたいということを注文をつけておきたいと思うのです。  それと、離島問題とあわせて、二次振計で確かに構想そのものは第一次的には県が策定をして最終案というものはでき上がったわけですが、どうもちぐはぐな面がありはしないかという懸念を私たちは持っているのです。  率直に申し上げて、いま沖縄県が二次振計の目玉として挙げているのはずいぶんあるのですね。さっき申し上げた昭和六十二年の国体、二番目に中城湾開発、三番目に都市モノレール、四番目に自動車道路の南伸、五番目に新県庁舎建設、六番目に県立芸術大学の設置、七番目に県民文化会館、言うところのコンベンションホール、八番目に継続した水資源開発、九番目に那覇空港整備、十番目に新石垣空港整備、十一番目に、これは継続事業ですが、新糸満漁港建設と背後地利用、さっきも話題になりましたが、十二番目にウリミバエ等の特殊病害虫駆除対策、十三番目に継続した農業基盤土地改良整備というふうに、大体十五、六本ぐらい大きなプロジェクトを掲げているわけですね。  果たしてこれを、この十年間でどれを優先順位にどうやっていくのか、県に聞いても余り定かじゃない。国の方はどうなのかというと、いや県の方がまだ具体的にこう、というようになると、どうもすっきりしないのですね。この点はどう調整をされて、私が冒頭申し上げましたように、もう人間だから、あれもやりたい、これもやりたいという欲はありますよ、行政だろうが政治だろうが。しかしそうは言ったって、いまのような行財政改革時代、いろいろな財政問題が逼迫している状況下で、とてもじゃないが、その項目だけ挙げても、実現ということになるとなかなか容易でないと私は思うのです。  そういう意味で、いまざっと大きなプロジェクトになりそうなものを挙げましたが、この件については県と国との調整はどうなされているのか、何を国は重点にしてやろうとしているのか、これは振興局長かな、大臣でもいいし、だれかお答えいただきたいと思うのです。
  17. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 大変重要な問題提起があったわけでございます。私どももいまここで細かく申し上げることはございませんが、大ざっぱに申し上げますれば、農業基盤整備、この問題は二次振計の全期間を通じてまず努力しなければならない問題の一つの例でございます。  便宜上、二次振計の期間を国体開催時、それまでとその後というぐあいに分けて申しますと、いま先生がおっしゃいました中で、国体開催時までにぜひ整備しなければならない事業としては、まず南伸道路がございます。それから那覇空港の整備、これも代表的なものであろうと思います。あと、県の単独事業ではございますが、県庁の行政棟の整備、これにつきましては国体開催時までにぜひ建て直しをしたい、こういう考えを知事は持っておられるやに承知いたしております。それから、あとの県立芸大、これは県の単独事業でございまして、私どもはよく承知しないわけでございます。いわゆるコンベンションホール、最近は産業文化会館というぐあいに称されているようでございますが、これは五十八年度に防衛施設庁の方で実施設調査費を認めてくれているようでございますので、順調にいきますならば国体開催時ぐらいまでにはでき上がるのではなかろうか、かように考えております。  それからもう一つ、都市モノレールの問題についてお尋ねがあったわけでございます。都市モノレールにつきましては、現在、本体着工費の一部の計上が認められておるわけではございますが、この計画についてはなお検討を要する問題が残っておりますので、従来、国体開催時までに開通させる、こういうことでございましたが、県当局と昨年末来いろいろ話をしました結果、とてもそれまでには無理である、こういう状況でございますので、これは国体開催後にずれ込むというようなことに相なろうかと思います。  すべてを尽くしていないかもしれませんが、一応私の考えを申し上げますと、以上のとおりでございます。
  18. 上原康助

    上原委員 大体考え方はわかりましたが、ですから私は非常に気になるのは、どうしても国体を折り返し点として二次振計はすでに進んでいる、立てられている、そこに何かまた同じような結末になるのじゃないかという心配をしますので、そこは同じ結果にならないように、ひとつぜひわれわれの意向も参考にできるところは大いに取り上げていただくことを強く要望をしておきたいと思うのです。大体わかりました。これらのことにつきましては、また私たちの立場でも協力できる面、いろいろ努力をしてまいりたいと思います。  そこでもう一つ、この二次振計とのかかわりで私がここで問題提起としてやっておきたいことは、沖縄の河川改修問題です。確かに道路とか表の方はよくなりましたよ。しかし、特に二次河川あるいは準用河川という面では絶対おくれている。こういうものは、これはどこにだってあるわけだ。南部にもあれば中部にもあり北部にもあり、離島にも若干ありますね。だから、こういうところに予算の配分とかいろいろなことをやれば平均して地域がよくなっていく。この河川問題も、きょうは建設省までお呼びしてありませんが、ぜひひとつこのことについても十分に二次振計の中で取り入れていただきたい。去る三月十二日の南風原町を中心とした河川はんらんで、このことについては振興局長にもお会いしましたし、建設省にも行きましたが、幸い受けた被害については開発庁も建設省も農林省もいろいろやっていただいているようですが、やはりああいった準用河川を含めて、これから年次計画で県なり市町村等とタイアップをして努力をしていただかなければいかないと思いますので、この件についてもひとつ御見解を、ちょっと抽象的ですが、時間がありませんのでお聞かせいただきたいと思うのです。
  19. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答えいたします。  沖縄の河川改修事業が本格的に取り上げられるようになりましたのは復帰後でございます。したがいまして、いま先生指摘のように、現在の状況において整備率が本土に比べておくれておるということはこれは否めない事実でございます。ただ、沖縄開発庁としましては、復帰以来ただいま御指摘の中小河川の改修につきましても予算確保に毎年努力をいたしまして、対全国シェアというのはここのところ着実に上がってきておるわけでございます。しかし残念ながら、先生がただいま御指摘ございましたように、南部におきましては昨年、今年と河川災害が相続いておる状況でございますので、五十八年度の予算におきましては、全国がゼロシーリングという状況の中で前年度比四%増の事業費三十一億一千九百万円を計上いたしまして、中小河川では名蔵川、準用河川では伊野波川及び宮平川上流に新規に着手するということのほか、昨年来の洪水で被害を受けました国場川水系と報得川水系に五十八年度から初めて用地の先行取得制度というものを活用することにいたしまして、両水系に約十四億円の用地費を計上し改修を促進するということにいたしております。現行の第六次治水五カ年計画が終了する昭和六十一年度におきましては、私どもほぼ全国平均に近い整備状況が達成できるのではないか、かように考えておる次第でございますが、たびたび私ども御指摘を受けておりますので、この点につきましては今後もさらに努力を重ねてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  20. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつこの点は特段の御配慮を要望しておきたいと思います。  そこで、さっきもありました那覇空港の整備の問題と都市モノレールについて若干お尋ねをしておきたいと思うのです。私は、那覇空港整備の問題については、これまでもしばしば取り上げてまいりました。昨年の二月二十四日、本委員会でも運輸省と開発庁の御見解を聞いたわけですし、最近運輸省航空局の計画課からいろいろ説明もいただきましたが、どう考えてもこれは納得できない。この間も海洋博に間に合わせて、いまの那覇空港ターミナルができたのです。いわゆる国内線が端っこにある。以前の空港ターミナルであったのがいまの国際線で中間にあって、先島というか島内線は一番端っこ、西側の方にある。ああいう空港ターミナルというのはないですね。実に不便なんです。そして国内線のターミナル以外は雑居ビルみたいになっている。本格ターミナル構想というものも、これは山中さんが最初の開発庁長官のころ運輸省とも相当協議をして、どかっと、いまの島内ターミナルよりもっと西側の方に、滑走路のほぼ中間に位置して中央ターミナル構想というのがあったはずなんだけれども、これがいつの間にか消えちゃった。そして今度もまた国体が六十二年にあるからということで、もう一度暫定ターミナルというものをつくろうとする。これでは二次振計もヘチマもあったものじゃないですよ。一番肝心かなめの観光を重要な柱にしようとしている、あるいは南の玄関にしようというようなところでターミナルさえぴしっとできないようでは私はいかないと思うのですね。事情はわかるのですが、改めて、この空港整備についてどうしようとするのか。  それともう一つ問題は、せっかく空港を新たに整備しようとしているのに、鳴り物入りでモノレールができれば交通渋滞解消なんて言っているのだが、モノレールは起点も中途半端、出口も中途半端。こんな構想があるか。どうするのか、この連結は。この基本的なことについてひとつお聞かせいただきたいと思う。
  21. 栗林貞一

    ○栗林説明員 那覇空港の特にターミナル関係整備の問題でございますが、先生指摘のように、現在の那覇空港の民航ターミナル地域というものは、ターミナルビルがまず狭隘でございます。それから本土線、島内線、国際線が離れておりまして大変不便であるということは私どもも重々承知しておりまして、これを何とかしなければならないということで整備計画を検討してきたわけでございます。先生いまおっしゃいました本格的なターミナルの整備をやれというお話もよくわかるのでございますけれども、実はこれをやりますためには非常に膨大な投資が必要でありますのと、それから現在使用しております各ターミナルビルもまだ十分使用できる部分が相当多うございます。そういったこともいろいろ考えまして、一方、非常にいまでも不便をかけておるわけでございますので、できるだけ早く少しでもその点を改善したい、ちょうど六十二年に国体もございますので、ぜひそれまでには整備をしなければいけないということで私ども考えましたのが、いまの本土線のビルを拡張し、かつ、島内線をいまの国際線ビルのところに移し、国際線ビルは新しくつくろうという計画で、当面、いまの狭隘さあるいは離れておるための不便さ、そういったものの改善は相当程度できるのではないかというふうに考えておりまして、なお長期的な問題については、さらに今後の需要あるいは空港全体の整備の問題というものとにらみ合わせながら今後検討していきたいというふうに考えております。
  22. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 ただいまお尋ねの、那覇モノレールの計画では空港と接続してないではないか、これはもう全く御指摘のとおり、このモノレールの大変問題点の一つでございます。どうしていま赤嶺のところでとまっておるかということなんでございますが、まさにただいま運輸省の方に御質問がございました本格ターミナルをどうするかという問題と密接に関連しておる、かように考えられるわけでございます。御案内のとおり、沖縄県におきましては、本格ターミナルを沖合いに展開する、かような構想も数年来あることでございますし、また、本格ターミナルは現在のサイドの東側に整備すべきである、こういう御意見もございまして、これがまだ決まってないということがモノレールが赤嶺でとまっておるという理由であろうかと思います。  那覇モノレールの計画については、ここで申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、この事業推進するためには、私どもは道路、街路の整備については毎年多額の予算を配分いたしまして鋭意整備を進めてきているところでございますが、この本体着工に当たりましては経営の見通しということで一つの問題がございます。具体的にはバス路線等の再編との関係をどうするか、これは非常に大きな問題でございまして、まさにこのモノレールが那覇都市圏の交通改善策として考えられたものである以上、この問題を素通りしてはモノレール計画のそもそもの構想の趣旨に沿わないわけでございますし、また採算の面においても当然問題が出てまいるのではないかと私は思うわけでございます。また、いま御指摘の空港との接続ということが図られない限り、これは採算上いかがであるか、あるいはまた、このモノレール計画を推進するに当たって沿線の市街地再開発等もあわせて考えるべきではないかといろいろな御意見がございまして、そういうことで現在、県の方でも、御案内かと思いますが、ことしの四月一日に機構改革をいたしまして、モノレール準備室を改組拡充いたしまして、こういう点につきまして検討をするという体制をとっていただいておるわけでございます。御指摘の空港との接続に関しましては、そういう問題の一環として、また今後、本格ターミナルをどういうぐあいにするかということとの関連において検討してまいらなければならない問題である、かように考えておる次第でございます。
  23. 上原康助

    上原委員 これは失礼な言い方だが、本当に漫画になりますよ。あなた方、この計画路線図を見てごらんよ。何でこんな赤嶺なんかに持っていくのかな。ここはどうするの。また首里の出口の方は、ここまでいつ持っていくの。こんな計画ってありますか、マスタープランでね。これは県側の努力が足りない面もあるんだが、こんなことをやっておったのでは金のむだ遣いになっちゃうのだ、全く。いろいろ利害が絡んでおるかもしれませんが、これは私もいろいろ調査しているので、何と建設費が大体、総額四百八十億円でしょう。その他、関連道路整備費として二百五十億円。こんなことして、空港とも連結しないで、だれが赤嶺まで行ってモノレールに乗りますか。この計画では交通渋滞、邪魔にはなっても、交通緩和にはならぬですよ。ですから、これは政府だけ責めるわけにはいかないような感じもしますが、肝心なところが抜けているのですね、いまのこのいろいろな重要プロジェクトというのは。これは少し検討していただきたいと思いますね。  それで、空港整備の問題からいきますが、これは関連するから両方一緒にお尋ねしているのですが、私も事情はわかりますよ。しかし、那覇空港の問題というのは復帰時点からの重要な課題なんです。基本は民間専用空港にしなければいかないのですね。いま自衛隊との共用でしょう。自衛隊との共用と言っても、たしか全国的に四つぐらいありますね。千歳にしても、あるいは小松あたりにしてもそうかな。ですが、沖縄の那覇空港みたいな共用はないですよ。この間なんかは、こっちは急いでいるのに二十五分ぐらい待たされた。自衛隊の飛行機がどんどんスクランブルをやって。まさにわが物顔ですよ。ひさしを貸して母屋が取られているどころじゃないのです。運輸省は一体何をしているのだ。もう少し家主なら家主らしい空港管理を毅然としてやってみたらどうですか。  それと、もう一つは国際空港への問題ですね。これはいまでも週二回ぐらい、十一便ぐらい飛んでいるようですが、国際空港を名実ともにやるということ。もう一つは、さっきの空港ターミナルをぴしっとするということ。それと都市モノレールとの関係は、どう連結させて関係をどうするのかということ。もう一つは、これも嫌みで言うわけじゃないですが、航空運賃の問題もありますね。油がどんどん上がるときは油代が大変だから航空運賃を上げますと言って、じゃ今度安くなったから下げますか。こういう問題についても、もう少しは県民の立場に立った航空行政というか、運賃のあり方というものも考えなければいかない。  そういう総合的なものを判断して考えると、この空港問題というのは、じゃ今後はどういうビジョンを持って、どういう方針を持っているのですか。本格ターミナルができないのは県に問題があるの、国に問題があるの。一応事情はわかった。六十二年まではそういうやむを得ない措置をとらざるを得ないというのは私も理解はしましょう、同意はいたしませんがね。そういうやり方には賛成じゃないが……。本格ターミナルが立地できない欠陥はどこにあるのですか。県にあるの、国にあるの、どっちにあるの。これを明確にしてくださいよ。どこがネックですか。それをはっきりさせて、沖合い展開をするのか、あるいは東側の最初につくったこの中央ターミナル構想に持っていくのか。これを決めない限り、モノレールもできない、空港整備もできない。三十年たってもできっこないぞ。その点は運輸省も開発庁も、どこにこれは問題があるのか、この際問題の所在をはっきりさせて、その解決のためにみんなで努力しようじゃないですか。明らかにしてください。
  24. 栗林貞一

    ○栗林説明員 いま先生いろいろなことを御質問になったように思われるわけですが、若干漏れておるかもしれませんが、私からまず答弁させていただきます。  那覇空港の民間と自衛隊との共用の問題でございますが、御承知のように那覇空港は運輸大臣が管理する第二種空港でございまして、滑走路、誘導路などの走行区域は民間機と自衛隊が共用しておるということは先生御承知のとおりでございます。このような共同使用の態様は沖縄返還当時から継続しているものでございますが、狭隘な国土あるいは現在の那覇空港の状況を申し上げますと、離着陸回数から言いましたら滑走路能力には十分の余裕があるということで、現地におきまして自衛隊とわれわれの方で運用について十分協議をしながら共用しておるという状況でございます。ただ、一番大事なことはやはり安全の問題でございますので、この点もいま十分協議をしながら、施設の配置につきましても、運輸省はたとえば管制の面も一元的に行う、あるいは民間航空の旅客、貨物取り扱い整備区域と防衛庁の使用区域が混在しないように区分するとか、いろいろと防衛庁と調整を行いまして支障がないように配慮しておるところでございまして、現在こういう状況で自衛隊と共用するということはやむを得ないことと考えておりますが、安全確保その他空港の効率的な使用については今後とも十分考えていきたいというふうに思っております。  それから、那覇空港の国際化といいますか、そういった問題でございますが、その点についても、もちろん、いわゆる二種空港でありましても、私ども、相手国との合意が成立し、かつ需要がある場合には国際線の開設を認めておるわけでございまして、そういった場合には、那覇においても同様でございますけれども、国際線に必要なエプロン、ターミナルビル、その他の旅客の利便の確保のために必要な施設整備は当然行うということで、その点遺漏のないように十分気をつけてまいりたいと考えておるところでございます。  それから、本格ターミナルの問題でございますが、この点につきましては、当面先ほど申し上げましたような計画でやらなければならないというふうに感じておりますが、今後の問題といたしまして、どこにネックがあるかというお話でございますけれども、今後、空港を本格的にどういうふうに整備していくかという関連と、いまそういうところが必ずしもはっきりしない段階において、先ほど申し上げましたように非常に膨大な投資が恐らくは必要になってくる。それからまた、工期、工程からいいましても相当長期になるということから、それはやはり今後の検討課題として空港の整備計画などとあわせて考えていくべき問題でありまして、当面は、とりあえず先ほど申し上げましたようなターミナルビルの整備に全力を挙げていくということかと私ども考えております。
  25. 上原康助

    上原委員 もう時間もありませんが、それじゃいかないというのです。そんな継ぎ足しのようなことでは、あなた、基本的に社会資本の整備にならぬじゃないですか。空港ですよ。空港というのは、ある面では経済ののど元ですよ。頸動脈だよ。そこさえもぴしっとできないようじゃだめだから、これは県に問題があるのか、現地に問題があるのか、国にあるのかというのを僕は聞きたいのです。そうせぬと、長官、こんなモノレールと言っても、これは大変ですよ。こういうやり方をしていたのでは、お金のむだ遣いですよ。  そこで最後に、この都市モノレールで開発庁と知事と那覇市長の念書があるでしょう。この意味は何ですか。これをちょっと説明しておいてください。
  26. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 これは五十八年度予算で、いわゆるインフラ部に着工予算をつける場合の条件といたしまして、財政当局と建設省、開発庁、この三者で取り交わしたものと内容は全く同じでございます。  そのよって来るところは、先ほど申し上げたところでございますが、那覇モノレールは、五十六年度から実質的な調査をやってきたわけでございますが、いわばそのハード面の調査検討というのが先行いたしておりまして、ソフト面の検討というのがおくれておるわけでございます。そういうことで、いまは御指摘のような問題もございますし、この際、本体着工する前に基本的な諸問題を詰めていこう、こういう合意でございます。
  27. 上原康助

    上原委員 そうしますと、そこに盛られていますものが十分実施というか実行できないとなると、モノレールそのものも問題があるというふうに理解していいのですか。条件整備できなくても計画どおり進めていくのですか。
  28. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 いわゆる本体着工の予算というのは一億五百万円でございます。関連道路、街路の整備は数十億円あるわけでございますが、その条件と申しますものは本体着工に関するものでございますから、それについてある程度のめどがつかない限りは予算の執行が留保される、かようなことに相なろうかと思います。
  29. 上原康助

    上原委員 最後長官に、いま二次振計とのかかわりで、こうこういう問題点があって、しかも重要な空港整備の問題、これは観光とか将来の沖縄振興ということを考えたら空港の本格的なターミナル構想というのは絶対不可欠なのですね、だれが考えても。本当はもうすでにできておらなければいかない。そういう基本的な問題がなされていない。しかもモノレールとの関係において、いま私が指摘しただけでもこういう皆さんもお認めになっておる問題があるということで中途半端な計画になっておる。ここはひとつ運輸大臣なりあるいは関係者県当局ともよく御相談をしていただいて、もう少し将来に悔いを残さないプロジェクトに、しかも相当の予算なり日時を要する計画でありますので、やるべきだと私は思いますので、この点についての大臣の御所見と決意をお伺いをしておきたいと思うのです。
  30. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 先生からの御指摘と同時に、沖縄開発庁長官としての決意のほど、どのように善処していくか、どのような考えを持っておるかというお尋ねでございますが、お話の中にもありましたように、これはだれしもわかることでございますけれども、空港は大事なものでございます。しかし、東京だとか大阪だとかあるいは陸続きのところの空港と違いまして、沖縄開発ということを考えましたら、船もありましょうが、今日の時代はもう何といったってやはり航空輸送、これがすべてのように考えられますので、沖縄に至る航空輸送というものは何よりも完璧を期するような方法を考えていかなくちゃいかぬ。それが、沖縄開発のためにやられるところのモノレールの問題だとか、それから沖縄から本土の方へやるものから、あるいはまた島と本島とのつなぎ、これは全部飛行機でございますから、その命であるような空港の整備にぶつけ合いをしておってはいかぬと思うのです。これは運輸省だとか、これは県の考えがまだ固まらないとか、あるいはそれが固まったら開発庁はこのようなことで努力させていただくというようなぶつけ合いをしておっては、沖縄開発のもとができないことでございますから。私ども、所管所管はございます。運輸省は運輸省としての。航空行政は運輸省でございますけれども。沖縄開発ということを願っておりますこの委員会、また私ども沖縄開発庁は、ぶつけ合っていないように、どこにネックがあるかということをできるだけ早く詰めまして、御報告のできるように進めていくようにさせていただきたい、かように考えております。私ども誠意を持って努力させていただいて取りまとめるようにさせていただきますから、いましばらくお待ちをいただきたい、こう思っております。
  31. 上原康助

    上原委員 終わります。(拍手)
  32. 宮田早苗

    宮田委員長 玉城栄一君。
  33. 玉城栄一

    ○玉城委員 私、二十五分でありますので、具体的な点を二、三点お伺いしておきたいわけでありますが、長官、この間沖縄を御視察になられまして、離島まで本当に熱意を持って御視察されたわけでございます。また、長官は党内でも農業の大家だということを承っております。御存じのとおり、沖縄農業県でありますし、農業に限らず多くの問題、解決すべき課題がまだ山積しておりますので、一段と長官の御努力を強く要望しておきたいわけでございます。  それで、ただいまも長官の御所見、御決意も承ったわけでございますが、今度いらっしゃいましたときに離島の方に行かれて、離島苦の解消の一つとして、たとえばそろそろ東京、大阪から離島への航空直行便をぜひ開設してもらえないかということについて、長官のコメントとして努力をしたいということが載っておったわけでありますが、ぜひそういう方向で、やはり解決すべき問題があることも私よく承知しておりますが、長官、改めて推進するという立場で御努力をお願いしたいわけですが、いかがでしょうか。
  34. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 私も現地へ参りまして、いろいろと島の方々の要請を受けました。その中で一番強くおっしゃっているのは、島から、島といいますか離島から東京へ行けるように、東京から直通便と申しますか来れるようにしてほしい、これはもう島の人にしてみれば当然要求されることだと私は思うのです。  たとえて申しますと、人だけではなくして物を輸送するにしても、また生産されたものを本土の方へ持ってくるにしても、那覇ですか、あそこで一々積みかえたり、乗り継ぎしたり、乗りかえたりしなくちゃならぬというような不便は、これは島の人にしてみれば耐えられないことでございますから、一日も早くそうしたところの解消をしてあげることが、沖縄開発庁としても、また沖縄・北方領土のこの委員会の仕事としても、そうしたことが解決のできるようにお力をかしていただくことが沖縄全体の開発意味することである、こういうように思いますので、私はそういう意味から、所管ではございませんが運輸省の方へもしっかりお願いしてみましょう、島民の皆さん方の気持ちを酌んで一生懸命努力しましょう、こういうことを申し上げてきたのでございますから、私もそのように運輸省の方へもまた頼みたい、こう思っております。それが私の考えであります。
  35. 玉城栄一

    ○玉城委員 ぜひ開発庁長官というお立場からでも、ただいまの長官お話のように実現に御努力をお願いしたいと思います。  今度は運輸省の方に伺いたいのですが、例のACMIはその後日米間でどういう話し合いになっておるか、現状をちょっと報告していただきたいと思います。
  36. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  先生御承知のとおりでございますが、当初米側から提案のあった沖縄の北西空域につきましては、航空交通の安全の確保及び円滑な流れを阻害するということで米側に強く再考を求めてきたところでございます。この結果、米側としましては、沖縄の東方の既存の訓練空域、W173という空域がございますが、その空域を中心に検討している旨承知いたしております。  私どもとしましては、今後新たに正式な提案がありますれば、民間航空の安全の確保ということを第一に考慮いたしまして、航空交通の円滑な流れを確保するという観点から慎重に検討して対処してまいりたいという状況でございます。
  37. 玉城栄一

    ○玉城委員 米側はそのW173空域を中心に検討している、そういう話し合いをこれまでずっと続けていらっしゃるということですか。それとも米側は運輸省の考え方に難色を示しているということなんですか。その辺はどうなんですか。
  38. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  米側が東側に難色を示しているということではございません。実現の可能性があるのではないかということで、向こうも技術的な詰めをしたいということで、われわれに対する感触なり航空交通の状況なりといったようなことについていろいろ聞いておりますし、われわれもそれについて専門的、技術的な観点からの意見をいろいろ申し述べております。
  39. 玉城栄一

    ○玉城委員 簡単に言いますと、おっしゃっておられましたW173、既存の空域の中ならばやむを得ないだろうという考え方を示しておられましたね。それは多少ずれても検討しましょうというようなこともおっしゃっておられたわけですね。そういうことでの話し合いというふうに理解してよろしいわけですね。
  40. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  173の中におさまれば一番望ましいのではないかという観点からわれわれ議論しておりましたが、それについて若干外に出るというようなことがあった場合には、管制上あるいは現在の航空の流れにどのような影響があるかという観点も含めまして、いろいろ現状の資料を分析したり意見を交換しているということでございます。
  41. 玉城栄一

    ○玉城委員 いずれにしても安全確保ということがもう最大の問題ですから、皆さん方が後退すればその後退した分だけ危険度が増すということは当然ですから、ぜひ運輸省もがんばっていただきたい、このように要望しておきたいと思うのです。  それで、先ほど上原先生からもお話しありました那覇空港の問題なんですが、これは基本的に民間と自衛隊が共用しているということに大きな問題があるのです。最近自衛隊も大分大きな事故が相次いでおりますし、また、過去においても那覇空港においてそういう事故があったわけですから、これは運輸省も、私が伺ったときに、当時の地崎運輸大臣だったと思うのですが、やはり非常に危険性があるという認識はちゃんとおっしゃっておられるわけです。だから安全性を十分確保するために努力するということをおっしゃっておるわけです。  それで、先ほども御指摘のあったように、そういう大事な問題をそのまま置いておいて、何といいますか場当たり主義に積み上げていくというようなことでは一体どうなるのかという不安が非常にあるわけですね。ですから、現実にもそうですが、せめて将来についてはそういう民間と自衛隊の共用について明確に分離するという方向性だけはきちっとしておかないと、幾ら皆さん方が現在どんなターミナルのいろいろな案をつくって示しても、これは説得力がないのは当然だと思うのです。長官いかがでしょうか。いまのように自衛隊と民間が共用しているということは、いろいろなトラブルもあるし、南の表玄関だ、非常に大事な空港である、いわゆる県民の足である、観光は柱であるということからして非常に問題があるわけですね。これは前の運輸大臣も非常に危険性が伴うことは事実だというようなお話です。ですから将来の問題としまして、あるいは現実に私たちは強くそのように要望するわけですが、せめて将来明確に分離するということは、当然そういう考え方を示していただきたい。長官ひとつ……。
  42. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 先ほど来、先生から那覇空港の整備、ターミナルだとか路線の延長だとか新しい滑走路をつくるとかといういろいろの、本当に沖縄開発中心になるこの沖縄空港の整備を早く急げ、ぶつけ合いしておらずにどこかで取りまとめて早く実現していけるように、完全な整備ができるように開発庁としては骨を折れということで、私も努力させていただくことをお約束申し上げたわけです。  そこで、そういうように沖縄空港の整備はターミナルを含めてやっていただかなくちゃならぬことでございますが、自衛隊との併用というのですか、私は専門の言葉はよく知りませんけれども、自衛隊と一緒に使っておることが大変いろいろの支障になるのではないか。こういうことで、それを離して、自衛隊は自衛隊として、民間航空の空港は空港として使うようにした方がいいということ、なるほどそれは理想でございましょうが、やはりいままで航空自衛隊がそれを使うについてはなるほど長い間の経緯もあって、直ちに出ていってくれと言うことは国防上なかなかやれぬことでもございましょうから、やはり自衛隊と運輸省の方がよく話し合ってもらわなきゃならぬ。実際申し上げますと、私のところにもあるのです。名古屋の周辺で小牧の飛行場というのは、あそこからも沖縄の方へ毎日たくさんの飛行機も出ておりまするし、国内各地に飛んでおります。それから国際線にも利用しておりますけれども、これもやはり自衛隊と併用されております。それは個々に使っておれば一番便利でしょうけれども、なかなかすぐに自衛隊さん出ていってくれと言うわけにいかぬものですから、そこは問題を起こさないように、両方が十分に注意をして管理してもらって、一般の輸送に支障のないように自衛隊に使わせるなら使わせるというような方向をいまのところはとっていただいて、できるだけ自衛隊と運輸省と話し合いを進めてもらいたいということ以外に、私の立場ではこれ以上言うことはちょっと無理ですから、先生言わせずにおいてください。もう方法はないのですから、これで御勘弁をちょうだいいたしたいと思います。
  43. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官のお立場、そしてまた私は私の立場がありますので、いずれにしても危険性が伴うということは事実でもありますし、それはそういう方向でぜひ御努力をお願いしたいということを申し上げておきたいわけであります。  次に、これは水産庁の方に伺いますが、水産庁いらっしゃいますね。沖縄はサンゴが非常に貴重な資源です。サンゴは、皆さん方専門家でいらっしゃいますが、いわゆる沿岸魚介類の産卵の場でもあり生育の場でもある、貴重な資源です。そういう立場で、現在沖縄のサンゴはどういう状態にあるのか、それと問題に対してどういう対策を水産庁としてやっていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  44. 守矢哲

    ○守矢説明員 お答えいたします。  いま先生指摘のように沖縄県の周辺にはオニヒトデが大量に発生しております。最初に発生したのは六〇年代の未だと聞いておりますが、それ以降異常にふえ始めまして、七〇年代半ばには非常に高い水準になって、現在も依然として発生が続いているという状態でございます。  いま御指摘のようにオニヒトデはサンゴを捕食する、こういうことでございまして、サンゴ礁を破壊します。サンゴそのものは観光資源としても、また水産の面からも非常に重要なものでございます。水産の立場から言いますと、沿岸性の魚介類の産卵場になっております。また、産まれた卵がふ化しまして、小さな魚が育つ生育の場ともなっております。こういうことでございまして、サンゴ礁を保護するということが非常に重要な問題となっております。  水産庁といたしましては、昭和五十一年度から、漁業者がこれらのオニヒトデを駆除するという事業に対しまして国庫補助を行っておりまして、今後も異常発生がある場合には引き続いて補助をしてまいりたいと考えております。
  45. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういうオニヒトデによって沖縄のサンゴが食われている。ですから、いまどういう状態ですか。これは正確には非常にむずかしいことはよくわかりますが、沖縄周辺のサンゴの全体の半分はそういう状態で死滅しているとか、七割とか八割あるいは九九%はだめになっているとか、そういうおおよその見当はつくのではないのですか。
  46. 守矢哲

    ○守矢説明員 お答えいたします。  私どもは統計は持っておりませんが、相当程度が荒らされている、こういうことでございまして、これにつきましては発生の原因というのがまだ依然としてわかっておらない状態でございます。いままでのところ、日本以外に各国の学者がいろいろ研究をしているわけでございます。たとえばオーストラリアに非常に大きな有名なサンゴ礁がございまして、そういうところでも研究を続けておるわけでございます。また、防除の方法につきましても、いろいろな天敵を利用するとか薬品を利用するとかという方法が考えられているわけでございますが、なかなか有効な手段がなくて、現在一番有効な手段は、もりで突くということでございまして、これによって対応しているという状態でございます。
  47. 玉城栄一

    ○玉城委員 それで、そのオニヒトデ退治に水産庁は一匹二十五円見当で補助を出している。二分の一ですね。県、市町村のと合わせてやる。これは何年から、大体総額幾らぐらいの予算をつけて対策はやっていらっしゃるのですか。それから今後どうされるのか。
  48. 守矢哲

    ○守矢説明員 昭和五十一年度から駆除を始めまして、二分の一の補助率で、毎年事業費ベースにしましておおむね千二、三百万円の金額の事業を行っております。  いままでの累積の駆除の数量でございますが、三百三十万ほどの駆除を行っております。この数量は各国の例から見ますとかなり大量の駆除になっておりまして、今後につきましても引き続き発生がある場合にはやるということで、五十八年度につきましても国庫補助金六百万円程度をとりまして、これで事業を実施したいと考えております。
  49. 玉城栄一

    ○玉城委員 水産庁は毎年五、六百万円出してオニヒトデ退治をやっておる。私も、この間ある方を案内したのですが、ほとんどサンゴ礁が死滅しているのです。効果はほとんど見られないのです。この件では環境庁の方も対策をやっていらっしゃるのですが、環境庁の方はむしろ水産庁より補助を多く組んでやっていますね。その辺はどんなふうにやっていますか。環境庁、説明してください。
  50. 味蓼導哉

    味蓼説明員 お答えいたします。  環境庁では自然保護という観点でございますが、特に国立公園、国定公園の中でサンゴ礁を初めとする海中景観のすぐれた場所でございますが、こういうのを昭和四十五年から海中公園として指定いたしまして、景観の保護に努めておるわけでございます。  オニヒトデにつきましては、いまお話がございましたように、昭和四十年代後半から、沖縄であるとか奄美群島のサンゴ礁域におきまして異常な発生が目立つようになった。そのために、海中公園におけるサンゴ礁への被害も見られるようになりました。このため、環境庁では四十九年度から、地方自治体の国立公園、国定公園における海中公園のオニヒトデ駆除事業というものに対して補助制度を整備いたしまして、助成措置を講じまして、駆除の事業を行っておるわけでございます。  沖縄県につきましては、昭和四十九年度から毎年助成措置を講じておりまして、昭和五十七年度までに事業費といたしまして一億二千五百万の事業を実施いたしております。環境庁といたしましては、今後とも国立公園、国定公園の海中公園のすぐれた景観を保護するという観点で、引き続きこの保護に努めてまいりたいというふうに考えております。
  51. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、この問題で水産庁の方に重ねて要望しておきたいことがあるのです。  サンゴは非常に大事だということはおっしゃいました。沿岸漁業の振興という立場からも大事ですし、関係する漁民の方々のことも大事ですね。いろいろな意味で大事ですよ。ですから、やはり力を入れてもらいたい。世界的な異常発生で原因不明だからどうのこうのということで、状況は相当数ということではなくて、もっと力を入れて、環境庁は一生懸命やっていらっしゃるわけですから、水産庁としては資源保護の立場からがんばっていただきたいと思います。  それともう一つ、今度は防衛施設庁の方に、これも自然保護という立場でお伺いしておきたいのですが、緑の保護ということは、これはいまに始まったことでなくて、特に最近は世界的に緑の問題で非常に大きな運動が盛り上がっておるわけです。総理も緑のことについて、ゆうべNHKで御自身が話しておられましたが、国民一人二本ずつ植えればどうのこうのというお話でした。それほど総理が先頭に立って緑ということをやっていらっしゃるのですが、防衛施設庁は沖縄の米軍基地に米軍住宅をつくるときに、緑の地域にそういうものを建てるということで、関係する市町村、自治体がクレームをつけているのですね。そこだけ外してくれ、たとえ基地内であってもリュウキュウマツとかそういう緑が非常に大事な地域になぜ建てるのかということなんですが、なぜそういうことをわざわざされるのか、緑の保護という立場からちょっとお答えいただきたいのです。
  52. 久保邑男

    ○久保説明員 お答えします。  先生指摘がありましたのは、具体的には嘉手納の飛行場に建設しております住宅のことかと思います。北谷町の町長さんの方からそういう申し出も来ております。嘉手納の飛行場に建設しておりますこの住宅は、御承知のとおり那覇市に所在しております牧港住宅地区を全面返還するために、それをすでにある基地の中に移設するということでやっているわけでございます。それで、すでにある基地の中に移設するということになりますと、もうすでに住宅だとか隊舎、その他いろいろな軍の施設もたくさんありまして、どうしても私どもとしましては、場所を選ぶに当たっては十分配慮はしておるわけでございますけれども、現在計画しているような場所に建てざるを得ないという状況になっている次第であります。  なお、工事にあたっても緑の点につきましては十分配慮し、できるだけ緑を壊さないように配慮するとともに、工事後についても木を植えたり芝を張ったりして、緑の保全には十分配慮している次第でございます。
  53. 玉城栄一

    ○玉城委員 やむを得ないからそこに建てるというのではなくて、これは北谷町ですが、わざわざそういう要望が強く出ているわけでしょう。ちゃんと写真もありますよ。この大事なところにわざわざ建てないでくれ。そこを場所の移動を調整するぐらいのことはできるわけでしょう。決めたからここしかできないというように強行するのではなくて、どうなんですか、そんなに一人で突っ張らないで。
  54. 久保邑男

    ○久保説明員 建設に当たっては、事前に関係市町村に文書を出しておりまして、いろいろな町の要望等を聞いて、特に文化財等がある場合には配慮したり、またそういう緑の保護についても配慮はしておりますけれども、限られた既存の施設、区域内に建てるとなりますと、どうしてもいま物が建っているところを押しのけて建てるわけにいかないものですから、比較的残っていると言うとちょっと語弊がありますけれども、そこに建てざるを得ないということから、自然にそういう木とか草の生えているところに建てざるを得ない。また地形的にも、まあ経緯等もございまして、余り山の上とか傾斜地に建てるわけにいかないということから、できるだけ緑を残すという配慮はしているわけでございますけれども、必ずしもすべて地元の要望と一致しないということがあろうかと思います。
  55. 玉城栄一

    ○玉城委員 それはわずか十七戸の話ですよ、北谷町が言っているところは。向こうの言い分からすると、あの広大なゴルフ場はそのままにしておいてくれとか、いろいろな言い分が出てくるわけです。ですから、そこを外すという調整は、よく意見も聞いていただいて、米軍とも話し合いをして、これはこういう大事な緑地帯だからちょっと場所は移動しましょうという努力は当然されるべきでしょう。いかがですか。
  56. 久保邑男

    ○久保説明員 十七戸ではなしに、いま具体的に手続中のものは六十七戸でございまして、それ以外に本年度においても二百何十戸という計画もあるわけでございますし、住宅の場合は空地があったからといって一戸、二戸を基地の隅に配置するわけにはいかない。その性格上ある程度かためて建てなければならないということから、嘉手納基地では現在の場所しかないというような立場で私どもは計画しているわけでございます。
  57. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまの議論をしていると、私はあと一分しか時間がありません。とにかく嘉手納基地の中にここしかない、そんな話じゃないのですよ。わずか十七戸のクレームが北谷から出ている。それは、これが終わってからでも何とかして緑を保全するという立場でゆっくり話し合いましょう。  最後に、これは開発庁の方の藤仲さんからでも結構ですが、関さんの方ですか、例の先島に前から民間放送テレビを同時に放映してもらいたいという要望が強くあるわけですね。それは、郵政省からもきのうもちょっと伺いましたけれども、相当金がかかる、現在の民間放送の業者の方々の負担からしても。奄美が一部やっているが、それについてはいわゆる補助というものがあります。開発庁としても、これは急にということはなにでしょうけれども、せっかくそういう離島から要望があるわけですから、それが実現できるにはどうしたらいいか、補助の制度とかそういうものはどういうふうにするかということの検討は当然やっていただくべきだと思うのですが、総務局長さんいかがでしょうか。
  58. 関通彰

    ○関(通)政府委員 先生御質問の宮古、石垣等、先島においていま民放テレビが見られない、NHKだけしか見られない、何とか民放テレビを見られるようにできないかという強い御要望があることは私ども重々承知いたしております。私どもは専門家でございませんので十分な知識がございませんが、これは私ども聞いておりますのでも、先島に民放テレビをいま中継しようと思うと海底ケーブルを敷設しなければいけない、NHKはそれをやられたようでございますが、大変な経費がかかって、現在の沖縄のテレビ二社の経営状況からいきますと、私ども見ましてもむずかしいものだなというぐあいに感じるわけでございます。しからば、ほかにどんな方法があるのか。大東の方はNHKは人工衛星を使った中継というような話も私ども聞いておりますし、素人知識ではございますが、そういう画期的な技術的な解決方法等もあればこの問題に新しい対処ができるのではないかなと、私どもそんなふうに考えている次第でございます。
  59. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上で質問を終わります。(拍手)
  60. 宮田早苗

    宮田委員長 部谷孝之君。
  61. 部谷孝之

    部谷委員 きょうは第二次振計につきまして主としてお尋ねをしてまいりたいと思います。  第一次振計は格差の是正を図り、第二次振計は経済社会の自立的発展を図る、こういうことを計画の骨子としておられるというふうに私は理解をしておるのでございますが、第二次振計では、県内の純生産産業別構成を見ますと、第一次産業が基本年次である昭和五十五年を六%といたしまして、目標年次の六十六年においても六%というふうに設定されております。第二次産業では二二%から二四%、それから第三次産業が七五%から七三%、こういうふうに予測をしておられるわけであります。第一次振計では二次産業の割合を一八%から三〇%へというかなり高い伸びを見込んで過去十年間努力をしてきたけれども、しかし結果は失敗してしまった、こういうことになろうかと思うわけであります。したがいまして、第二次振計でも産業構造の大きな変化は望めないから現状とほとんど変わらない産業構造を予測しておるのではないか、こういうふうに思うわけであります。第二次振計では二次産業はわずか二%のアップで、これでは沖縄の二次産業振興はもうあきらめたのではないかというふうにも、そういう疑いを持たざるを得ないような数字になっておるわけであります。  第二次振計の最大の課題はやはり雇用問題だと思うわけでありまして、今後の労働力人口の増加を一体どれぐらいに見ておられるのか。去年の沖縄振興法審議の際には大体十年間八万人、こういうふうな御答弁がされたと思うのですが、その辺を目標としておられるのかどうか、まず御答弁願います。
  62. 関通彰

    ○関(通)政府委員 昨年八月に策定いたしました五十七年度を初年度といたします第二次振興開発計画の主なねらいは、ただいま先生指摘になりましたように、これまでの十年間の格差是正の実績に基づきまして沖縄の経済の自立的発展を図るということを眼目にいたしているわけでございます。  第二次振興開発計画では、冒頭の方に「振興開発基本方向」を五つ掲げておりますが、その第一の基本方向に「特色ある産業振興開発」というのをうたっておりまして、これから十年、沖縄の地域の特色を生かした産業振興を図っていくということを一番大きな柱にしているわけでございます。  ただ、わが国の経済情勢が復帰いたしましたときとは大きく変わっておりまして、いわゆる高度成長時代から安定成長時代に入っているわけでございます。先ほど先生から第一次振興開発計画では一八%を三〇%に上げるという計画だったというお話がございましたが、当時、昭和四十七年と申しますと、高度成長期の最後ではございますが、まだ最中でございます。当時の議論を見ましても、やはり大規模コンビナートの誘致というようなことが議論されておりまして、これによりまして沖縄振興開発を図っていこうということを考えていたのは事実でございます。しかし、復帰をしました直後、いわゆるドルショック、さらに石油ショックと続きまして経済の急激な変化がございましたし、またわが国産業構造自体が素材産業からいわゆる先端技術中心にした産業構造に大きく変わっていくというような経済の大きな変更があったわけでございます。  このような状況を踏まえまして、現実的にこれから十年間どういう産業を育成したらいいかというようなことを考えまして策定いたしましたのが第二次振興開発計画でございまして、基本的に申し上げますと、沖縄の今後の産業振興のためには地域の特色を生かしました一次、二次、三次それぞれの産業振興を図りまして、それらの産業の相乗的な効果によりまして産業自体の発展を図っていこうという考え方でございます。したがいまして、第一次産業も、第一次振興開発計画ではやや比率が落ちるという計画をいたしておりましたが、第二次振興開発計画では六%から六%へと、パーセントは同じでございますが、実質的にはもちろん成長していくわけでございます。第一次産業振興。それから、第二次産業につきましては二二%から二四%へと、地域の特色に合った産業中心に拡充を図っていこう。それから、第三次産業は観光を初め卸、小売、非常に広範なものが入るわけでございますが、この三次産業沖縄のこれからの振興開発考えていきます場合重要な部門でございますので、さらに一層振興を図っていこう、こういうような産業構成の想定をしているわけでございます。  これによりまして雇用状況がどうなるかという御質問でございますが、第二次振興開発計画中におきます沖縄の総人口は漸次増加しているというぐあいに想定いたしております。特に生産年齢人口は比率が上昇いたしまして、この動向を反映いたしまして、労働力人口は基準年次の昭和五十五年の四十五万人から目標年次の六十六年には約五十三万人になるという想定をいたしております。  この労働力人口の増加が著しい反面、これに見合います雇用の場の確保というのが最大のポイントになるわけでございますが、先ほど申し上げましたような各産業振興、またそれの相乗効果によりまして産業全体の拡大を図り、その雇用の吸収を図っていきたいというぐあいに考えているわけでございます。就業者数で申し上げますと、昭和五十五年の基準年次の四十三万人から目標年次の昭和六十六年には五十一万人強と、約八万人強の就業者の増加を見込んでいる次第でございます。
  63. 部谷孝之

    部谷委員 二次産業の二%アップという計画で、そのような八万人の労働力の吸収ができるのかどうか、これはきわめて問題だと私は思うわけであります。  次に県民所得についてでありますが、第一次振計では、目標年次は全国水準の八割にする、こういうことを目標にしておりました。第二次振計では、全国水準との格差はかなり縮小に向かうと書いてあるけれども、目標の設定がされておらないと思います。全国水準との格差はどのくらいに縮小するというふうに予想されるのか、この点いかがでしょうか。
  64. 関通彰

    ○関(通)政府委員 第二次振興開発計画の中では、県民所得につきまして次のように述べております。「一人当たり県民所得は、昭和五十五年度の百十六万円から、約二百万円になるものと期待され、全国水準との格差は縮小に向かう。」と述べております。基準年次の昭和五十五年度の一人当たり県民所得は全国で百六十八万円でございますから、この時点で全国比較をいたしますと、現在でございますが所得格差が全国の六九%ということになっているわけでございます。  先生指摘のように、第一次振興開発計画では目標年次に八〇%にということを挙げておりますが、第二次振興計画では、先ほど述べましたように「全国水準との格差は縮小」ということだけをうたっておりまして、何%になるということを言ってないわけでございます。これは、第二次振興開発計画は沖縄の経済の十年後の見通しを出しておりますが、実は全国の経済の見通しを二次振計の中に示しておりませんで、沖縄の一人当たり所得が十年後にどのぐらいに伸びるということだけを示しておりますために、具体的に十年後全国のどのぐらいになるかということはお示しできないわけでございます。
  65. 部谷孝之

    部谷委員 次に経済成長率でありますが、大体五・八%というふうに想定しておられるようであります。沖縄の経済を支えてまいりましたものは、申し上げるまでもなく公共事業と観光でありました。しかし、その公共事業は一次振計では対前年比の伸び率をずっと平均してまいりますと大体二四%ぐらいになっております。ところが、五十七年度は単年度で見ますと二・六%、五十八年度二%の伸び率を示しておるわけであります。また観光面を見ますと、昭和五十二年以降大幅に伸びてきた観光客が五十七年度は前年を下回り、頭打ちになっております。観光客の入域状況は五十六年が百九十三万人、五十七年が百八十九万人と、こういうふうに下がっておるわけでありまして、今後も従来のような大幅な増加を続けていく要因、これは私は見当たらないのではないか、こういうふうに思うわけであります。したがって、第二次振計の実質成長率を第一次振計の六・一%に比べまして引き下げておるわけでありますが、しかしなおこの五・八%にしても高きに過ぎるのではないか、こういうふうに思うのですが、ひとつ簡単に答えていただきたいと思います。
  66. 関通彰

    ○関(通)政府委員 第二次振興開発計画では沖縄の経済規模につきまして五十五年度の一兆二千八百億円から昭和六十六年度にはおおむね二兆四千億円に達するというぐあいに見通しを述べてあるわけでございます。これから逆算いたしますと、十年間の平均経済成長率は実質五・八%という数字が出るわけでございます。第一次振興開発計画期間中の実績は、先生お触れになりましたように実質六・一%でございます。その間の全国の経済成長率が実質四・一%でございますので、沖縄は二・〇ほど上回ってきたわけでございます。  これからの見通しをどうするかという議論におきましては、第二次振興開発計画は今後沖縄本土との格差を是正する、一人当たり県民所得の格差も是正していくという見地に立ちますと、やはり想定されます全国の経済成長率を上回る経済成長を目標にして計画を立案したい。その目標に努力していきたいというような考え方があるわけでございまして、第二次振興計画で言っております五・八%は、本土との格差是正、沖縄の経済自立のために目標といたしましてこの水準の経済成長を目標に努力いたしたい、かような数字であるというぐあいに私ども理解しておるわけでございます。
  67. 部谷孝之

    部谷委員 沖縄県が二月十九日に昭和五十八年度の県経済見通しを発表しておりますが、それによりますと実質四・一%と現状維持を見込んでおります。こうした数字から見ましても五・八%という設定はかなり無理があるのではないかというふうな感じがいたすわけであります。  そこで最後長官お尋ねをしたいと思うのですが、努力目標でありますから高い数値を目標に置いて、そして沖縄振興開発に努力するのだというそういうことは十分理解できるわけでありますが、五十七年度の公共事業の執行率が低率に終わったことから、財政当局では沖縄を特別扱いにすることはどうかというふうな、そんな空気が出てきておるというふうにも聞いておるわけでありますが、今後沖縄振興開発につきましてはよほど腹を据えて努力していただきませんと、所得の格差の縮小どころか格差がさらに拡大しかねない、あるいはまた雇用、失業問題においても現在以上に厳しい状態になるのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、沖縄振興開発に対する長官の御決意をひとつお示しいただきたいと思います。
  68. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 お答えさせていただきますけれども、ただいま先生から沖縄に対する考え方沖縄開発についての私どもお互いが持つべき考え方についてお諭しをちょうだいしましたが、やはりそうした考えでいかなければ、やれゼロシーリングだとか、いま財政が厳しいとかいうようなことで、よそと同じように考えておりましたらなかなかおくれて、だれがおくらしたということですけれども、とにかく国の責任において戦争を始め、向こうに占領されておって、戻ってきて十年、本当に汗流して努力しておりますが、そうしたところのハンディがあってなかなか沖縄本土並み生活がしていかれないし、産業もそのとおり、ましてや雇用関係はそのようなことでございますからして、厳しい財政事情にあっていろいろ言われますけれども、いま先生のお諭しいただいたような考え方で私ども予算折衝に当たっていかなくてはいかぬ、かように考えて、力いっぱい各省と連絡をとり、財政当局へもこの気持ちで当たらしていただきたいと思いますから、沖縄のことをしんから考えていただいておるこの委員会先生方も、どうか私と同じ気持ちでひとつ御協力を賜りますようにお願いをいたします。
  69. 部谷孝之

    部谷委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)
  70. 宮田早苗

  71. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初に、沖縄の伝統工芸品の問題についてお聞きしたいのですが、現在業者の組合では、紅型と琉球漆器、八重山上布、これの伝産法の指定を受けるためにいま準備を進めておりまして、今日末か来月あたり手続をとると思いますが、通産省の方では、できれば来ましたらすぐその指定をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  72. 西川禎一

    ○西川説明員 沖縄県におきます重要な地場産業であります伝統的工芸産業振興につきましては、従来から十分これを推進しておりまして、すでに七品目指定をしておるわけでございます。  いま御質問のありました紅型、琉球漆器、それから八重山上布・ミンサーの三品目につきましては、現在のところまだ私どもに地元の産地組合から指定の申し出がなされておりません。いまのお話でございますと、今後産地の方から指定申し出があることだと思いますが、私どもといたしましては、沖縄県あるいは沖縄開発庁の御意見もお聞きし、また、法律でそう定められておりますが、伝統的工芸品産業審議会の審議を経まして、法律に定めております指定要件に該当するものであればこれを指定していきたいというふうに考えております。
  73. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 お聞きのとおりですが、長官の方でも早目に指定されるようお願いいたします。  それから次に湖南丸、嘉義丸の問題ですが、これは今月の末ごろ湖南丸、嘉義丸の両方の遺族会の連合組織ができることになっております。事務当局から長官お聞きになっておると思いますが、簡単にスケッチしますと、湖南丸は沖縄から少年航空隊へ入隊するために行って途中撃沈された。嘉義丸はその逆で、いわゆる赤紙と言われていた召集令状がうちに来ているからとりに来なさいということで家族から呼ばれて沖縄に帰る途中撃沈された。これが簡単なものなんです。     〔委員長退席、高橋委員長代理着席〕 こういった遺族の願い、要求、要請ですね、熾烈なものがあります。それについて中身を質問しようとは思いません。また、事務当局にも質問はしません。ただ、窓口は一体どこなのか。厚生省援護局長にもたびたび会いました。向こうは援護法の対象以外には取り扱わないと。そうすると、一体どこだろう。私は窓口はなければならぬと思うのですよ。あれは憲法前文にも書いてあるように、政府の行為によって起こされた惨禍が戦争なので、その戦争の被害者から願いがある、要請がある、要求があるという場合に、一体全体政府の窓口はどこだろうかというわけだ。私は、沖縄開発庁長官は総理府長官でもあるので、そういったように考えておりますが、長官、いかがでしょうか。相当熾烈に要求があるのですよ。真心だとか、何とかしますというようなことになろうと思いますが、それを受け付ける大臣は一体だれか。これは長官、御意見承りたいと思うのですよ。
  74. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 ただいま瀬長先生のおっしゃっていただいたように、沖縄県の県庁の役人ではございませんけれども、しかし沖縄県の開発と同時に沖縄県の県民のことを考えるのはやはり開発庁責任がある、こう考えております。また、戦後処理の問題等考えていかなくてはならないのは総理府の仕事でもございまするので、私はそういう気持ちを持ち、そういうことを考えておりますけれども、私がいまここでその窓口だということを言い切るわけにはいきませんが、気持ちは、くどいようですけれども、そうした沖縄の人のことを考える、これはもう県と同じようになって開発庁考えなくてはいかぬ。戦争によって生じたことでございますから、これを処理していくためには、決まっているのは厚生省でおやりになるのですけれども、しかし、戦後処理として、どこでも取り上げられないような問題は、戦後処理問題懇談会というようなものも強い要請があるものですからつくっておっていただくのは総理府でございますので、そこらとの兼ね合いでひとつ検討さしていただく。きょう私が、私でございますとちょっと言い切れぬですからね、先生。検討さしていただいて、先生の、県民のことを考えていただき、戦争で犠牲になってほったらかしになっておられる、かわいそうな方々のことを思って御発言くださったという気持ちに沿えるようにひとつ検討さしていただく、こういうようにさしていただきたいと思っております。
  75. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私申し上げますのは、今月の末ごろ湖南丸、嘉義丸の連合組織ができる。できたら政府にお願いに行くことになっているのですよ。さて政府にお願いに行こうといったって、どこへ行っていいかわけがわからぬということでは余り不親切過ぎますね。政府ですから、皆政府を信頼しているのですよ。信頼しているからこそ窓口が必要だ。いま長官もおっしゃったように、私は総理府だと思うのですよ、戦後処理のいろいろな面から考えてみて。早目に検討してもらって、いままでのいきさつから見て、私は総理府以外にないと見ています、あちこちから集まるやつ。総理府総務長官沖縄開発庁長官でもあるし、嘉義丸とか湖南丸は沖縄船籍があった。そういった意味でも、やはり両方の長官であるので前向きに検討されてもらって、今月の末ごろまでには、向こうが来ましたら温かく迎えてもらうような窓口だけはつくってほしいと思います。いかかですか。
  76. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 先生もおっしゃっていただいておりますし、私自身も考えておりまするように、沖縄の人のことを一緒になって考えてあげるということは開発庁長官責任でもあるし、そしてまた、戦後処理ということになれば当然これは総理府の仕事でございますが、幸いにしてこの丹羽兵助がそちらの方の長官でもあり沖縄長官でもございますから、いらしたときには、解決の道はまだすぐ立たぬにいたしましても、会わしていただいて、いろいろとお話を聞かしていただいて、御要請等も承らしていただき、温かい気持ちでお目にかからしていただきたい。私がお目にかからしていただくということだけは、窓口であろうがなかろうが、いわゆる沖縄開発庁長官であり、そして総理府の長官である、こういうのは同じ丹羽兵助でございますから、ひとつ喜んで、喜んでというか温かい気持ちでお目にかからしていただくことをお約束申し上げておきたいと思います。
  77. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 よくわかりました。その方向で検討してくださるようお願いします。  次は、長官沖縄に二回ほど行かれたのですが、沖縄の経済、産業を圧迫しておるのは基本的に二つあるのですよ。一つは、他府県にない広大な基地、これが重圧だ。一つは、本土大企業の沖縄食い荒らしということになるとちょっと語弊があるかもしらないが、進出が激しくて沖縄のいわゆる中小企業を圧迫していると思う。そういった二つがありますが、最初にその基地の問題と関連しまして、施設庁にお伺いしたいと思うのです。  北谷町に米軍住宅十七棟建設を予定しているようでありますが、嘉手納報道部の発表によると基地の外にいる米軍の世帯数が、家族持ち、あるいは家族待機中の者、それから独身者、加えて三千世帯あるようです。いまの十七棟というのはもちろん思いやり予算だと思いますが、大体現在の計画で幾らぐらいつくる計画であるのか。その予算は幾らか、何百億円か。それから最後に、三千世帯ある、三沢基地じゃありませんが、その三千世帯分を嘉手納基地内につくる構想でもあるのかどうか。その三点について最初にお伺いします。
  78. 久保邑男

    ○久保説明員 お答えします。  先生お尋ねの嘉手納基地内北谷町域への住宅十七棟の計画でございますけれども、これは那覇市にございます……
  79. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 予算は幾らかという……。説明はいいですよ、時間ないから。
  80. 久保邑男

    ○久保説明員 思いやりじゃありません。那覇市にございます牧港住宅の移設、いわゆるリロケーションのための建設工事でございます。したがいまして、先ほど申されました、いま手続しているものは十七棟六十八戸でございまして、このほかに本年度に計画しているものが大体二百五十戸ございます。  それから予算でございますけれども、予算につきましては繰り越し等もあるのですけれども、現在手続中のもの、それから五十八年度に計画しているもの、合わせまして大体七十億程度かと思っております。  高層住宅を嘉手納基地に建てる計画があるか、そういうお尋ねでございますけれども、現在嘉手納基地の中では牧港住宅にかわる住宅を建てる、そういう趣旨から、牧港住宅は低層なものですから、大体似たような建物ということで、現在北谷町域では高層計画はございません。
  81. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 三千世帯が基地外にある、この世帯の住宅を建てる計画はあるかと、最後の質問。
  82. 久保邑男

    ○久保説明員 沖縄地区におきましては相当数の住宅が不足しているということは承知しております。ただ、具体的に今度リロケーション以外の住宅では何戸建てるか、まだ決まっておりません。
  83. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私がそれを聞きましたのは、リロケーンョンであれ何であれ、日本国民が住宅難であえいでいるときにアメリカに対しては非常に思いやりがある。  しかも、次の質問は、この住宅区域に予定するところが、はっきり申し上げると、基地内ではあってもリュウキュウマツが生い茂っているところ。それから古墳、向こうでは古墳とは言いません、古い墓の群れ、古墓群ということで、北谷町の教育委員会調査では現在まで判明したのが百七十五基あるのです。これは破壊してもらいたくない。これを保存したい。それからリュウキュウマツもそのとおり、町長の意見では。いま中曽根総理大臣も、一億の人が一本ずつ植えると一億本になる、そのとおりですね。ところが、現在あるものを破壊するということはないですよ。したがって二つの点から、緑を守るという問題、それからお墓を保護し、保存していくという問題。これは教育委員会では「基本的に保護、保存することが望ましい。当地域は埋蔵文化財の保有地にあり、施設局とも協議しなければいかぬ」と書いてあります。  大臣、御承知かもしれませんが、沖縄土地闘争が盛り上がった契機は何だったかという問題ですよ。これは私、目の前で見ましたが、芋畑をアメリカのブルドーザーで押しつぶした。そして白いはらわたを出した芋を拾っていたわけだ。ところが、途中ぎゃーっと言って御婦人が倒れたのです。何かというとお墓をブルドーザーで壊したのです。お墓の中には厨子がめ、この厨子がめの中に沖縄の風習である洗骨した遺骨が埋められている。これをやったのですね。そうしたら頭蓋骨から手の骨、足の骨、全部出て、これに触れたのですよ。これが伝わったら最後、われわれの食べ物の芋を取り上げるだけではなくて、われわれの祖先の白骨まで荒らす、何事か。これですよ、あの島ぐるみの土地闘争が起こったのは。この古墓群はそれほどの伝統的価値のあるところであります。  したがいまして、これはまず施設庁にお聞きしますが、絶対にそこを荒らさぬこと、たとえ基地内であっても、基地内はどうでもいいということにならぬ。緑を守らぬといかぬ、日本の国土の一部なんだから。さらに古墳、そういったような古い墓は文化財なんですね。これを残すことがわれわれの義務でもあるのです。これはどう考えるのか。もう相当要請が出ていると思うのです。それをむちゃくちゃに拒否して、あの地域は上勢頭、下勢頭というのですね、おわかりのとおり、そういった地域にいまのような米軍住宅はつくってほしくないというのが町長の意見であり、嘉手納町教育委員会の意見であります。これを無理に排除して建てることは厳に慎んでほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  84. 久保邑男

    ○久保説明員 緑の問題につきましては、できるだけ緑を損なわないような処置あるいは計画で進めたいと思っております。  なお、いまお尋ねのありましたお墓の件につきましては、私ども計画した段階におきましては、古いお墓があるわけですけれども、現場保存しなければならないのは一基ということで計画したわけでございます。その後、北谷町等の要請もございましたので、北谷町に調査を委託して現在調査を実施している段階でございます。その調査の結果を待って、お墓等につきましては、それぞれ文化財保護法だとかあるいは沖縄県の保護条例等あるいは北谷町の教育委員会と調整しまして、お墓にもいろいろな種類があろうかと思いますけれども、適切な処置をとっていきたいと思っております。
  85. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 長官、お墓はもう調査が済んでいるのですよ。これは亀甲墓というのですね。ちょっと見てください。     〔高橋委員長代理退席、委員長着席〕 長官は直接の担当じゃないですが、そういった沖縄の緑、さらに文化財を保護する立場から、長官でもその点を御配慮になって壊さないように、破壊はすぐ、一瞬ですよね。これから再現できないので、そういう方面で努力してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  86. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 瀬長先生も御認識いただいておりまするように、こうした施設をつくるについては、私の所管ではございません、防衛庁でございますか。やはり事が沖縄のことでございますから、とやかくは言えませんけれども、私からも先生の御発言の趣旨、ひとつ防衛庁の長官に、大臣の方に十分お伝えさせていただきたい、かように考えております。
  87. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がありませんので、最後に琉球セメントの操業短縮、レイオフなどについてお伺いします。これは長官にお伺いします。  私が申し上げますセメントの関係は、いわゆる浅野セメントとか小野田セメント、三菱セメント、こういう本土の大手企業がどんどんどんどん入ってきまして、琉球セメントのシェアは、いまでは三八%ぐらいなんです。最初は六〇%ぐらいだったのです。だんだん落ち込んで、それでとうとう二月には十二日間、四月には十五日間、琉球セメントの操業短縮、レイオフによって、もう仕事ができなくなっているのですよ、短縮しなければ。その関係者が五百七名、従業員が。  私が申し上げたいのは、琉球セメントというのは工場が名護市にあるのです。名護市でもこの問題を大きい問題として、大企業がむちゃくちゃに進出をして自由自在に安く売りさばくなんということになると、沖縄の琉球セメントの地場産業が非常に圧迫される、だから、いま申し上げました小野田セメントとか浅野、三菱セメント、この三社が余り横暴をしないように規制してほしい、そして工業関係のいわゆる事業の問題はできるだけ、というよりはぜひ、琉球セメントがあんなレイオフしないでも営業が成り立つように規制してほしい、大手企業の横暴を余り許さぬでくれ、これが県民の声なんです。  私は、第二次振計を実際に行う場合でも、さっき申し上げましたように基地の重圧と大企業のああいった圧力がないようにしないと、二次振計の精神が生きませんから、そういった意味でも、大企業の規制の問題はぜひ長官の手でやってほしいということを考えておりますが、長官いかがでしょうか。
  88. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃいますような規制ということは、これは私は非常にむずかしいと思いますが、沖縄総合事務局に対しまして、五十六年の七月でございましたか、沖縄県知事から県産品の優先使用についてという申し入れがございました。これを受けまして、沖縄総合事務局におきましては、工事発注の際の企業への現場説明におきまして、工事に使用する資材等のうち沖縄県内で生産製造され、かつ規格、品質、価格等が適正である場合は、これを優先して使用する旨の趣旨徹底を行ってきているところでございます。今後ともこういう面についてはなお一層の配慮が行われるように指導してまいりたい、かように考えております。
  89. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間ですから終わりますが、長官、いま実際の手だて、こういった琉球セメントのような地場産業がレイオフして、そして一カ月に十二日間も十五日間も仕事がない、相談すると家へ帰って待機しろといったようなことのないように産業育成してもらわないと、口ではどんないいことを言っても事実はああいった調子になると思いますので、この点長官の方でも配慮してほしいと思います。
  90. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 先生の御意見もそうですし、沖縄県の県庁の方からも、第二次振計で沖縄でそれが進められて、沖縄でせっかく働こうとしてくださる方々が、こちらから大きなものが行って仕事を取り上げておっては、これは何もならぬことでございますから、私の方開発庁としては、いまお答えしたように、できるだけそちらで生産されるもので程度が同じようなものならばそちらのものを使うようにしてくれというように言って、いま先生お話のように言うだけでは何も成果が上がりませんから、成果の上がるように十分心得てやらしていただくことを申し上げておきたいと思います。
  91. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 終わります。(拍手)
  92. 宮田早苗

    宮田委員長 菅直人君。
  93. 菅直人

    ○菅委員 丹羽長官大臣就任以来初めて質問申し上げるわけですけれども、現在の中曽根内閣の最大の公約というのは行革の推進ということで、総理大臣は何度も言われているわけですが、長官大臣就任のときに中曽根総理の方から、この点については何らかの話があったというふうに聞いておりますけれども、どんなふうな形で長官大臣就任のときに総理大臣の方から行革についての話があったのか、お聞かせいただきたいと思います。
  94. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 私どもが中曽根内閣の大臣を拝命と申しまするか言いつかりましたときに、総理からおっしゃいました。国会でも言っておられまするように、総理から受けるときに言われました言葉は、その言葉そのもののようにちょっと私も完全に覚えておりませんが、しかし、臨調、行管と申しますか、この臨調の方針を進めていきたい、これはひとつ全面協力してくれ、余り勝手なことは言わないようにという——勝手なことはと、それはちょっと言い過ぎかもしれませんが、とにかくこうやりたいから協力してくれ、その協力してくれることが大切なことだ、こういうようなお話でございました。私も、了承しましたということを言った記憶を持っております。
  95. 菅直人

    ○菅委員 そういうことで大臣になられたわけですけれども、すでに臨調の最終的な答申も出されたわけですので、行管庁に来ていただいていますけれども、行管庁にちょっとお聞きをしたいのてす。  いま幾つかの問題が関連をしておりますけれども、長官は総理府の長官でもありますから行管庁にまずお聞きしたいのですが、総理府の人事局と行管庁の統合問題について臨調答申はどんなふうにこれを答申していますか。
  96. 原田実

    ○原田説明員 お答えいたします。  総合管理庁のお話でございますが、この総合管理庁の問題につきましては、昨年七月三十日に出されました第三次答申、いわゆる基本答申でございますが、その中で「行政組織及び総合調整機能等に関する改革方策」というのがございまして、その中で「総合管理機能の強化」というのがございまして、人事管理あるいは組織の管理、こういった問題につきます調整、この調整を効果的に機能できるように「総理府人事局、行政管理庁等の事務・権限を統合し、国務大臣を長とする総理府の外局として総合管理庁を設置する。」というふうに基本答申で指摘されておるわけでございます。
  97. 菅直人

    ○菅委員 そういう答申が出ているわけですけれども、長官はこの点についてはどういうふうにお考えですか。
  98. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 ただいま行管の方からお答えがあったのですが、私ども、行管の御答弁ありましたように、答申の実質的趣旨を踏まえて、これから各種の管理機能の連携を改善強化するためにはどのような方策が最も適切、妥当かについて各方面の意見等いま検討中だ、こういうように、まあ前の長官はこのことについてはっきりした考えを述べておられますが、いま行管庁の方から言われましたように、その後第三次ですか答申が出ておりますので、私どもは、これは政府部内において本当に答申は答申、政治がぐあいよく行われていかなければならぬことでございまするから、絵にかいた理屈だけではいけないので、本当にぐあいよく行政がなされていくようなことでないと、せっかくの答申も意味をなさぬことになりますので、答申をいただいたらちゃんとそのたてまえは、いまおっしゃったように十分留意いたしまして、内部でいろいろ各省庁との検討を現在続けておる、いまのところそういうことになっております。
  99. 菅直人

    ○菅委員 ということは、臨調答申を最大限尊重するという言い方は、いまの大臣としては言えないということですか。
  100. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 もちろんこの内閣の方針としては、世間に言っておりまするように臨調答申を最大限尊重していかなくちゃならぬと思います。しかし、その答申をいただいたものでございますから、それをもとにしてどうしたらいいのか、実際にどうすべきかということを、いま私ども総理府は総理府として検討もし研究もしておる、こういうことでございまして、くどいようでございますけれども、最大限尊重していかなくちゃならぬ、それは内閣の方針である。私もそれに従わなくちゃならぬが、答申を生かすためにどういうようなものにしたらいいかということを、いま私ども内部で検討中である、こういうようにひとつ御理解をちょうだいいたしたいと思います。
  101. 菅直人

    ○菅委員 もう一つ行管庁にお尋ねというか確認をしたいんですが、この臨調答申の中で、国土庁と北海道開発庁沖縄開発庁の統合問題も触れられていますけれども、どういうふうな形で臨調答申がこの問題を答申をしているか、その点確認をしておきたいと思います。
  102. 原田実

    ○原田説明員 お答えいたします。  いわゆる三庁統合の問題でございますが、この三庁統合の問題につきましても、昨年七月三十日に出されました第三次答申で提言されておるわけでございます。すなわち「行政組織及び総合調整機能等に関する改革方策」という項目がございますが、その中におきまして「総合企画機能等の強化」の一環といたしまして、「国土の開発・利用等に関する企画調整機能を一元化して、全国的視野から、施策の総合性、効率性を確保する必要がある。これにより、北海道等の重要性全国的視野から位置付けた開発が行われることとなり、また、本州との流通機構の改善等、北海道等の発展のために必要な広域的な課題に対応可能となる。さらに、このことは行政機構簡素合理化にも資するものである。」とうたいまして、このため「国土庁、北海道開発庁及び沖縄開発庁を統合する。」というふうに提言されておるわけでございます。ただ、沖縄開発庁につきましては、「統合の時期等について特殊事情を考慮するものとする。」との指摘がなされておるわけでございます。  それから、去る三月十四日出されました第五次答申におきましても、これは臨調の最終答申としての性格上、第三次答申で提言いたしました三庁統合問題にも言及しておりまして、総論の中で「行政の基本方向及び改革の主要点」という項目がございますが、その中で、「総合調整機能の改善合理化を図る必要があり、国土行政関係三庁の統合、」等の改革を進める。それからさらに「行政組織の改革の方向」という項目の中で、再度確認的にこの問題が指摘されておるということでございます。
  103. 菅直人

    ○菅委員 この問題について、長官としてはこの臨調答申をどう受けとめて、どういう方向で進めようとされているのか、お尋ねしたいと思います。
  104. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 お答えさしていただきますが、ただいま行管の方から考えを述べられたんですけれども、臨調答申において国土庁、北海道開発庁と私どもの沖縄開発庁の統合を打ち出したが、「沖縄開発庁については、統合の時期等について特殊事情を考慮するもの」とされており、統合は当面見送ることとし、統合の時期等については別途検討する、こういうことになっております。  現在、政府部内において、いわゆる新行革大綱を作成すべく検討を進められておりまするが、当庁、この沖縄開発庁の統合問題については、臨調答申においても、各般の沖縄の特殊事情を考慮したものとなっており、また、復帰してまだ十年余であり、いまなお厳しい沖縄実情にかんがみ、先般第二次沖縄振興開発計画を作成したばかりであるので、今後同計画の達成状況を十分見きわめた上で慎重に検討しなくちゃならぬ、いませっかく進みつつある過程でございますから、この計画の達成状況、どんなふうになっていくかということを十分十分見きわめた上で慎重に対処をする、私はこういう考えを持っております。
  105. 菅直人

    ○菅委員 ということは、長官、当面沖縄開発庁と国土庁の合併はないということですね。
  106. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 国土庁と沖縄開発庁との合併は当分ない、こういうことを言い切っていいと思います。それは、臨調の答申の方もはっきり言っておられませんし、もっと検討することになっておりますので、十年の計画の実施達成を見きわめた上で、過程において検討する、当分はない、こういうふうに考えております。
  107. 菅直人

    ○菅委員 臨調答申はそんなことは書いてませんで、国土庁と北海道開発庁沖縄開発庁を統合すると書いてあるのですけれども、そうすると政府方針としては、沖縄開発庁だけは後に置いてというか、そして北海道開発庁と国土庁の方だけを先行させる、そういうふうに受けとめていいのですか、大臣
  108. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 私は、国土庁と北海道開発庁のことまではわからないといいますか、触れることはできない。そちらはそちらの担当大臣長官がおいでになりますので、そこらのことはよく検討の上お話しになると思いますが、私の担当しておりまするのは沖縄開発庁というものをどうするか、こういうことでございますから、そんなこと書いてないとおっしゃいますけれども、当庁の統合問題については、臨調答申においても各般の沖縄の特殊事情を考慮したものとなっており、また復帰してまだ十年余であり、今後なお厳しい沖縄実情にかんがみということになっておりまするし、先般第二次沖縄振興計画を策定したばかりでありますので、やはりこういうものの達成状況等を十分見きわめなければ、いまここで私どもの沖縄開発庁を国土庁に統合していただくということは、賛成と申しますか同意することはできない、こういう考え方であります。
  109. 菅直人

    ○菅委員 大臣のお考えはかなりはっきりしてきたようですけれども、それと、一番最初に言われた臨調答申に全面的に協力しようということに合意されたということとが、どういうふうに一致しているのか全くわからないわけです。そうしますと、最近いろいろ報道されておりますけれども、政府方針が、いま大臣が言われたような方針に固まってきていると理解していいわけですね。
  110. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 はっきりお答えさせていただきますが、「企画調整機構の統合」というところに、臨調からいただいておりまする中で、国土庁だとか北海道開発庁のことは私は所管のことでないですから申し上げませんが、「ただし、沖縄開発庁については、統合の時期等について特殊事情を考慮するものとする。」こういうことが書いてありますから、私の申し上げたことは臨調の考えに反するものではない、こう考えております。
  111. 菅直人

    ○菅委員 一応大臣としてのお考えが、よくも悪くもはっきりわかったわけですから、それはそれとして承っておきたいと思います。  最後に、先ほども申されたように、臨調が最終答申を終えていよいよこれから政府方針としての行革大綱がつくられるというふうに伺っているわけですが、その中で、もう一回大臣に最初の質問を繰り返しておきたいのですけれども、大臣として、この中曽根内閣の最大の公約である行政改革推進ということについて、どんな決意を持って臨むおつもりか、最後にもう一度お伺いをいたしたいと思います。
  112. 丹羽兵助

    丹羽国務大臣 いま中曽根内閣の常に言われまする考えの基本は、臨調答申を最大限尊重していく、こういうことでございまして、それによって行政改革も財政再建もやっていきたい、こういうことですから、そういうつもりでおります。
  113. 菅直人

    ○菅委員 時間ですので、これで質問を終わります。(拍手)
  114. 宮田早苗

    宮田委員長 次回は、来る二十三日月曜日、午前九時三十分委員会を開会することにいたし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十七分散会