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1983-05-18 第98回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十八日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 原田  憲君    理事 三枝 三郎君 理事 三塚  博君    理事 宮崎 茂一君 理事 湯川  宏君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君       鹿野 道彦君    川崎 二郎君       久間 章生君    志賀  節君       谷  洋一君    近岡理一郎君       津島 雄二君    浜野  剛君       原田昇左右君    箕輪  登君       小林 恒人君    野坂 浩賢君       渡部 行雄君    小渕 正義君       四ッ谷光子君    田島  衞君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 長谷川 峻君  出席政府委員         内閣審議官   林  淳司君         運輸政務次官  関谷 勝嗣君         運輸省船舶局長 野口  節君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         運輸省航空局長 松井 和治君         気象庁次長   西村 英一君  委員外出席者         農林水産省食品         流通局企画課長 青木 敏也君         通商産業省産業         政策局商政課長 小川 修司君         運輸省航空局技         術部長     長澤  修君         運輸省航空事故         調査委員会事務         局長      中村  哲君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     伊藤 欣士君         労働省職業安定         局雇用政策課長 稲葉  哲君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     橋元 雅司君         日本国有鉄道常         務理事     三坂 健康君         日本国有鉄道常         務理事     竹内 哲夫君         参  考  人         (日本航空株式         会社代表取締役         社長)     高木 養根君         参  考  人         (日本航空株式         会社専務取締         役)      野田 親則君         参  考  人         (日本航空株式         会社法務部長) 坂本 昭雄君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ───────────── 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   小林 恒人君     中村 重光君 同日  辞任         補欠選任   中村 重光君     小林 恒人君 同月十三日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     箕輪  登君 同月十八日  辞任         補欠選任   井岡 大治君     渡部 行雄君   下平 正一君     野坂 浩賢君   中馬 弘毅君     田島  衞君 同日  辞任         補欠選任   野坂 浩賢君     下平 正一君   渡部 行雄君     井岡 大治君   田島  衞君     中馬 弘毅君     ───────────── 四月二十八日  総合公共交通体系確立国鉄分割民営化反対に関する請願横山利秋紹介)(第三〇一五号)  ハイヤータクシー等安全輸送確保に関する請願伊賀定盛紹介)(第三〇一六号)  同(田邊誠紹介)(第三〇一七号)  同(塚田庄平紹介)(第三〇一八号)  同(中村茂紹介)(第三〇一九号)  同(野坂浩賢紹介)(第三〇二〇号)  同(藤田高敏紹介)(第三〇二一号)  同(細谷治嘉紹介)(第三〇二二号)  国鉄分割民営化反対に関する請願野坂浩賢紹介)(第三一三四号) 五月十二日  国鉄分割民営化反対に関する請願井上一成紹介)(第三一五六号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第三四五四号)  同(井上普方君外一名紹介)(第三四五五号)  ハイヤータクシー等安全輸送確保に関する請願佐藤誼紹介)(第三一五七号)  重度障害者に対する運輸行政改善に関する請願(吉田之久君紹介)(第三二三七号)  同(米沢隆紹介)(第三二三八号)  同(石井一紹介)(第三四五六号)  同(奥田敬和紹介)(第三四五七号)  同(矢山有作紹介)(第三四五八号)  同(山下元利紹介)(第三四五九号)  同(綿貫民輔紹介)(第三四六〇号)  同(渡辺省一紹介)(第三四六一号)  同(渡辺美智雄紹介)(第三四六二号) 同月十三日  ハイヤータクシー等安全輸送確保に関する請願山花貞夫紹介)(第三五二〇号)  同(湯山勇紹介)(第三五二一号)  重度障害者に対する運輸行政改善に関する請願岡田利春紹介)(第三六七五号)  同(北山愛郎紹介)(第三六七六号)  同(倉石忠雄紹介)(第三六七七号)  同(八田貞義紹介)(第三六七八号) 同月十六日  総合公共交通体系確立国鉄分割民営化反対に関する請願山本政弘紹介)(第三七二四号)  重度障害者に対する運輸行政改善に関する請願高橋辰夫紹介)(第三九四五号) 同月十七日  国鉄分割民営化反対に関する請願上坂昇紹介)(第四〇一〇号)  同(佐藤観樹紹介)(第四〇一一号)  同(中村茂紹介)(第四〇一二号) 同月十八日  軽車両等運送事業者荷主添乗禁止立法化反対に関する請願瀨長亀次郎紹介)(第四〇九二号)  同(辻第一君紹介)(第四〇九三号)  重度障害者に対する運輸行政改善に関する請願愛知和男紹介)(第四一九六号)  同(田邊誠紹介)(第四一九七号)  同(中西績介紹介)(第四一九八号)  同(中野寛成紹介)(第四一九九号)  同(橋本龍太郎紹介)(第四二〇〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 四月二十八日  地方の公共交通維持確保に関する陳情書外三件(第二一一号)  国鉄自動車存続に関する陳情書外二件(第二一二号)  国鉄松前線廃止反対に関する陳情書(第二一三号)  奈良県における国鉄貨物存続に関する陳情書(第二一四号)  石川県における穴水等五駅の国鉄貨物取り扱い存続に関する陳情書(第二一五号)  青森県における国鉄浪岡貨物取り扱い廃止反対に関する陳情書(第二一六号)  青森県における国鉄貨物取扱削減反対に関する陳情書(第二一七号) 五月十七日  国鉄貨物配置計画検討に関する陳情書(第二六五号)  国鉄足尾線及び真岡線の存続に関する陳情書(第二六六号)  国鉄自動車維持存続に関する陳情書外一件(第二六七号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  海運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  気象に関する件      ────◇─────
  2. 原田憲

    原田委員長 これより会議を開きます。  陸運、海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林恒人君。
  3. 小林恒人

    小林(恒)委員 先般、本委員会の中でも議論されましたし、また、参議院に送付されましてから以降、マスコミの報道を含めて国民的な関心を集めておりました国鉄再建にかかわる監理委員会設置をめぐる議論が、この間長い間引き続いてまいりましたけれども、きょうは国鉄の再建問題と相まって、俗に言われる五八Xダイヤ改正、今日段階ではほぼ五十九年二月をめどにしてダイヤ改正を行い、貨物系統合理化と、もう一つ省力化政策具体化していこう、こういった施策が具体的に明示をされております。この件について若干の御質問を申し上げてまいりたいというぐあいに考えるわけであります。  御案内のとおり、国鉄再建案ローカル線廃止の問題や、あるいは加えて長期債務の取り扱い方、こういったものが多く議論をされ、さらに再建監理委員会がやがて設置をされるだろう、そういう中間を縫って経営改善計画が打ち出されてきている。この再建計画に伴う経営改善計画と、今度の監理委員会設置前提とする緊急十項目、こういったものを総合的に判断をしながら、問題が後に残らないような施策具体化をしていく必要があるのではないだろうか、こういう気がするのでありますけれども、そういう状況の中で、国鉄総裁としてやがて迎えるであろうこの貨物省力化政策に向けて、総体的にどのようなことをしようとしているのか。特に利用者に対するサービスという問題が今度の提案の中には随所で出てきているわけですけれども、それらを含めて概括的な御説明を賜りたいと思うのであります。
  4. 橋元雅司

    橋元説明員 お答え申し上げたいと思います。  貨物につきましては、先生承知のように、六十年度固有経費での収支均衡を果たすということを至上命題に目下改善策に取り組んでおるわけでございますが、六十年度の目標といたしておりました八百駅百ヤード体制を昨年の十一月のダイヤ改正の際に実施をいたしました。しかるところ、昨年あるいは一昨年に引き続きまして、貨物輸送量が落ち込みが続くということでございまして、かねてから考えておりました抜本的な改善と申しますのは、ヤード系集結輸送はいまや利用者荷主のニーズに合わぬ。したがって、コストの安い、よりスピードが遠い直行輸送体系に切りかえるということで、全面的にそのシステムチェンジを行うということで目下取り組んでおるわけでございます。恐らくは来年の二月一日になろうかと思いますが、一日を期してダイヤ改正に踏み切りたいと思っております。  そこで、百十年続きましたシステム転換でございますので、具体的には個々の荷主さんに大変な影響を及ぼすわけでございますが、それらにつきましては、目下個々具体的に荷主方々とよく御相談を申し上げて、よりよい物流体系と申しますか、流通転換がかないますように、そしてその中で国鉄貨物輸送が再活性化を図られますように、私どもとしては最大限努力をいたしている最中でございます。
  5. 小林恒人

    小林(恒)委員 国鉄経営体制そのものについては、いまさら議論するまでもなく、大変大きな赤字を生み出してきた、こういった経緯がございますから、そういったものに対する対応をどのようにするのかということについては余り多く議論をする必要がないのかなという気がしないでもありません。しかし、これは推計でありますけれども、五十七年度の国内貨物輸送の総量について考えますと、実に五十七億トン前後と推定をされている。こういう実情の中で、国鉄は今日まで一億二千万トン輸送体制、こういったものがしかれてきたわけであります。しかし、実際問題はどうかといえば、一億二千万トンはおろか、一億トンをすでに切ってしまっているという輸送状況の中では、国鉄貨物輸送シェアそのものが二%以下に落ち込んだ。こういう状況の中で、素人的に考えますと、あれだけの設備を持って、長年の歴史を持って積み上げられてきた国鉄輸送、こういったものが国内物流の実に二%程度しか、しかしそれももうどうしようもない、そこまで体制をしいていたのでは赤字がより増大をしていく根源になっていく、ちょっとだらしなさ過ぎるのじゃないのかという気がしてならないのです。それならば、今日までどんな施策を講じてこられたのか、この点について簡単な経過を御説明いただきたいと思うのです。
  6. 橋元雅司

    橋元説明員 先生おっしゃるとおりでございまして、百十年の中で、とりわけ戦後でございますが、三十九年に二億七百万トンでございました。これを最高にいたしまして、高度成長時代にもかかわらず、四十五年ぐらいまで横ばいでございましたが、四十五年、六年以降、そしてまた、第一次、第二次のオイルショックを経て、貨物輸送量は激減を続けております。最近まとまりました五十七年度の輸送量は九千八百万トンばかりでございまして、ついに一億トンを割り込むというところまでまいりました。先生おっしゃるようにトン数では二%、少し足が長うございますので、トンキロベースではもう少しいくと思いますが、いずれにいたしましても物流と申しますか、輸送に占めるシェアというものは大変微々たるものに落ち込んでおります。  その原因は、やはり鉄道の大量定型という特性を十分発揮しない分野でやっておった。むしろ特性を発揮できない分野で私どもが営々として輸送する、特性を発揮すべき分野においてその役割りは非常に極端に少ない。たとえば東海道、東京—大阪相互発着で見ますと、私ども輸送分担は数%でございます。むしろそういった太い輸送、物が流れている分野でこそ大量定型、定時、高速、定型といった特性が発揮できるはずでございますが、それができなかったというのが私ども輸送の落み込みにつながる問題になるわけでございます。そこで、一日も早くヤード系輸送ヤードと申しますのは、御承知のようにそこに一たん入りますと中継時間がかかる、スピードが非常に遅い、コストもかかるという輸送体系でございますが、その輸送体系拠点間直行輸送に全面的に改めるということによって初めて可能になるわけでございます。従来もそういった方向での試みはやってまいったわけでございます。たとえば昭和四十四年でございましたが、当時雑結輸送で行っておりましたコンテナを集約いたしまして、専用コンテナ特急列車、いわゆるフレートライナーと申しておりますが、そういった輸送体系に改めるというようなこととか、あるいは物資別専用列車をつくっております。たとえば内陸部に対しては、私ども石油輸送についてはほとんどそういった体系になっておりまして、輸送シェアにおきましてもほとんど九割あるいはそれを超す分担率になっております。そういった各物資特性に合った専用輸送を徹底的に推し進めるということでやってまいりました。しかし、まだまだ努力が足りないということで、今般、来年の二月を期しまして全面的にそういう方向へ切りかえるということを計画をいたしておるところでございます。
  7. 小林恒人

    小林(恒)委員 黙ってお話を伺っておりますと、結構努力をしてきたかのように聞こえるのですけれども、中身は余り努力をしたようには見えないわけですよ。昭和四十四年と言いますけれども、大きなダイヤ改正をやったのは昭和四十三年十月ダイヤ改正でしょう。昭和四十三年のダイヤ改正をやったときに何が中心でもってダイヤ改正が行われたのか、もっと正確に勉強しておかなければいかぬと思うのですよ。そしてごく近年では、五十三年ダイヤ改正段階あるいは五十五年十月ダイヤ改正段階でもって、国鉄は国民に対しても国鉄職員に対しても何と言ったか。もうこれが最低で、ここまで省力化政策をとればやがてV字ハンプをするのです、こう言ったのです。五十七年のダイヤ改正の中ではそんな言葉すら出なくなった。かてて加えて五十九年二月に向けてのダイヤ改正の中では、一億二千万トン体制を維持すること自体が大変むずかしくなった、こういう言い方になっているのですね。簡単に考えるというと、四十三年から以降、大体貨物のピークが三十九年だとするならば、四十三年に大手術をし、それから営々と手術手術を重ねて内臓を全部えぐり出して、減量政策だけはやってきたけれども、それ以外の血となり肉となるような施策なんか何もなかったのじゃないですか。あるのだとすれば言ってみてください。多少はあるはずでしょう。コンテナがありますとか、いまも言われたように地域間急行を増発するとかということはあったでしょう。それ以外には努力の足跡がなかったのですか。
  8. 橋元雅司

    橋元説明員 ちょっと簡単に申し上げたわけでございますが、四十三年は先生承知のように地域間急行を増発するということで、いわば高度成長に向かう増強施策でございました。四十四年には、半年おくれたわけでございますが、コンテナについてそういったフレートライナー・システムを取り入れるということでございました。以後、四十六年、七年と参りましてフレートライナーをずっと増発することに懸命でございましたが、御承知のようなオイルショックによって一転経済情勢が変わるということで、今度は逆に需給の調整、いわゆる輸送供給力削減するという方向に向かったわけでございます。五十三年の十月、五十五年の十月、それに先立って五十一年にも若干の微調整をいたしましたが、そういった削減策に転じたということでございます。     〔委員長退席宮崎委員長代理着席〕 大勢はそういうことでございますが、その中で、私どもとしてはやはりできるだけ直行タイプ輸送を増発し、ヤード系集結輸送タイプ輸送削減するという方向でやってまいったわけでございます。  なお、コンテナにつきましてはこれから大いに力を入れたいと考えておるわけでございますが、これももう二十年来やってまいってなかなか効果が上がっておりません。しかし、今度は発想を新たにしてやってまいりたい。これは運賃制度にもいろいろな問題がございます。輸送方にも問題がございますが、そういった輸送運賃営業制度全般にわたりましていろいろ検討を加えて、抜本的にコンテナ輸送制度改善に立ち向かってまいりたい、こう思っておるところでございます。
  9. 小林恒人

    小林(恒)委員 それでは伺いますけれども経営改善計画を策定するに当たって、各分野省力化政策を行っていく、いわゆる六十年度の要員を現行計画では三十五万人とこう出ていたものを、さらに減量減量を重ねて二十九万人にまでする、六十二年度までには二十六万人、六十二年から六十五年度までには二十四万人くらいまで落として人件費削減をしていきたい、こういった計画があるわけです。そういったものの中の一環として今回ヤード系貨物廃止、こういった問題が出てきたやに想定をするわけであります。こんな状況の中で、百歩どころか千歩譲って、昭和六十五年二十四万人体制になれば、国鉄貨物を含めて黒字経営できるのですか。
  10. 高木養根

    高木説明員 現行経営改善計画では六十年時点で三十五万という体制で考えましてそれに取り組んでまいりましたが、しばしば申し上げておりますように、旅客につきましても貨物につきましてもその計画で見込みましただけの輸送量がないであろうということが考えられますので、それに伴いまして輸送力を落とそう、つまり仕事規模を減らそうということで、いまいろいろ作業したり、またもっと将来の見通しについていろいろ考えたりいたしているところでございます。そうして、この新しい経営改善計画を本年なるべく早い時期にお示しをしなければならぬというふうに考えております。ただ、いまおっしゃいますようないろいろの数字をお示しになりましたけれども、これは実は一切私どももまだそこまで考えているわけではないわけでございまして、問題は、何といいましても輸送量をどう見込むかということが問題でございまして、そして仕事の量が決まれば、やはり何と申しましても国鉄公共的役割りというものにかんがみまして、それだけのお客さんなりあるいは貨物なりを運ぶということを絶対的な使命としなければならぬというふうに考えているわけで、そういう需要と関係なく規模を小さくするということは考えていないわけでございます。  さて、その場合にどのぐらいの数か、職員の数のことを全然頭に置いていないわけではないのでございますけれども、具体的にいまお示しのように何万といったようなことはまだ作業過程においても、まさにそれは一つ作業の重要なポイントではございますけれども、どのような数字も持っておりません。ただ、問題は、一人当たり輸送効率が大変落ちておるわけでございます。相当苦労いたし、職員にも迷惑をかけながら職員数はどんどん減らしておるのですけれども、それでもなおかつ一人当たり輸送効率は思うように上がらない、過去の最も効率がよかったときより大分落ちております。なぜかと言えば輸送量が減ってしまっているからでございまして、そうした輸送量と見合いながら、そして輸送量の見込みに見合いながら新しい計画は立てますが、ただ、現時点では何年に何人というようなところまで作業が詰まっておりませんということだけ御了解いただきたいと思います。
  11. 小林恒人

    小林(恒)委員 私の言った数字は考えておらない、こんな言い方で、この資料国鉄からいただいた資料なんだから、それでは私にうその資料を渡したのかということにもなるわけで、そんな議論をしてもしようがないのだけれども、決して総裁の言葉じりをとらえるつもりはありませんが、たとえば昭和六十年度までの貨物輸送量が一体どれくらいで落ちつくのか、輸送量はないのではないだろうか、こういう表現をされているわけですけれども削減をし、さらに削減をし、利用しづらくすればこれは間違いなく量は減りますよ、利用しづらくなるのですから。  それならば総裁にお伺いしますけれども公共企業体日本国有鉄道使命として、貨物全国ネットワーク体制というのは維持しようとしているのか、あるいはそれは放棄したのか、この基本的な考え方について明示をしてください。
  12. 高木養根

    高木説明員 六十年時点における貨物輸送量は、現在七千七百万トンというふうに考えておるわけでございます。それを前提にして明年二月のダイヤ改正を組み上げたいというふうに考えておりますが、先ほど申しましたように、さらにその先どういうふうに考えるかということについてはまだ明確な数字を持っておりません。したがって、職員の数がどうなるかということについても、明確なものが算定できないということになっているわけでございます。  次に、いまお尋ねの公共的使命ということ、それと全国ネットワークということでございますが、貨物につきましては、従来、全国、線路のあるところであれば大体どこの駅からでも貨物をお預かりする、そしてどこの駅へでもそれを運びますということでございました。そういう機能を果たすためにはヤードがどうしても必要だということであったわけでございますが、御存じのようにヤード系輸送余りにもコストがかかり過ぎるということでございますし、もしそのコストに見合って運賃を立てるといたしますと大変高い運賃になりますので、また、そういう意味で御利用が減ってしまうだろうということでございました。どこからでもお預かりをして、どこへでも持っていくという意味での貨物輸送体系というものは、この際撤退をいたしたいというふうに考えております。しかし、何といいましても、数が少なくても伝統的な役を果たしてきたという関係もありまして、貨物輸送についてのリーディングカンパニーであるという役割りは、これは御利用者方々からそういうふうに見られておるわけでございますので、たとえ競争的に不利なことがありましても、やはり基本の仕事はやっていかなければならない。そういう意味では、貨物公共的役割りというものは、私どもは放棄をしてはならぬというふうに考えております。  六十年時点でどんな経営を考えているかというと、しばしば担当の者も申しておりますように、固有経費収支均衡するということでございますから、本来の全体経費から考えますと均衡していないわけでございまして、貨物固有経費で収入と経費が見合う程度にするということは、全体としてはまだまだ見合っていない状態であるわけでございます。それがいいか悪いかは非常に問題はありますけれども、当面はその辺を基準にして、そこまでのものであれば赤字であってもやはりやっていくというのをいまの基準に置きまして、その程度のことで公共的役割りを務めさせていただきたいというふうに考えているわけでございまして、その意味では決して全部公共的役割りを放棄したということではないと考えております。
  13. 小林恒人

    小林(恒)委員 若干矛盾するのですね。国鉄貨物分野では全国ネットワーク体制を放棄することはこれでもう明確になりましたね。しかし、可能な限り公共的な使命だけは存続していかれるように努力を積み上げたい、これは国鉄が独自で考えるべきことかどうか、むしろ運輸省として判断をしなければならない事項が大変多いのではないかと思われますけれども全国ネットワーク体制国鉄が放棄をする、こうした場合に、放棄をした部分を担っていく対応策といったものを運輸省では具体的に検討されていますか。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕
  14. 永光洋一

    ○永光政府委員 いま国鉄貨物の公共性のお話がございました。確かに全国ネットワーク、どこからでも、どこへでもという一つの公共性、昔その能力があったと思うのでございますが、やはり全体の貨物の現状から見まして、少なくともその交通の特性を発揮する分野においてだけはその使命を果たすということを基本に、現在システムチェンジを図っておるところでございます。  先生お尋ねのように、そういう形で国鉄貨物の再生のために合理化を推進するに当たって、全国ネットワークでない、いわゆる切り捨てられるというか、撤退する部面についてどうかというお話でありますが、全体的なマクロの考え方から申しますと、現在考えておるような輸送量あるいはネットワークの撤退ということは、他の交通機関におきましての代替が可能であると総合的にわれわれは考えておりますが、個別的、具体的なそれぞれの輸送の形態につきましては、危険品であるとかその他貨物の特殊性もございましょうし、今後国鉄の五八Xの合理化をさらに具体的に進める段階において、われわれとしても、あるいは関係省庁とも相談をしながら適確に対応いたしていきたい、こういうふうに考えております。
  15. 小林恒人

    小林(恒)委員 総体的には対応できる、しかし個別にはむずかしい問題があるだろう。なるほど言っていることはそのとおりなんであります。ただ、その個別という部分で国民生活に影響が大きいとすれば、これは運輸行政の重要な一端として、もうすでに国鉄全国ネットワーク体制を放棄をした段階で、運輸行政機構としてはこのように考えているというものがなくてはならないのではないですか。たとえば、直行輸送システムで自主流通米などを輸送することはきわめて困難である。バラ積み体制というそういったお米の輸送体制があったにもかかわらず、これがなくなってしまう。荷づくり費用がかかる、比較的中長距離輸送がこの自主流通米の中にはあるぞ、こういった問題点が出た場合、それに対応する施策といったものはもうすでに出ていなければいけないのではないですか。私はまだないと思うのです。ないから、各企業体、各関係者は、問題があるぞと言って運輸大臣にも陳情これ努め、また、企業はそれぞれ連合して、問題があるから何とかして存続をするという方向を模索しているのではないですか。  いま私が取り上げたのは自主流通米一点でありますが、このほかにも数多くの問題が出てきていると思います。触れられておりますように、危険品輸送であるとか、あるいはそのほかに重量物、重電機製品の輸送、こういったものなど数え上げれば切りがないくらい相当数あるだろう。きょう警察庁お願いをしておりませんから細かく御質問することについては割愛をいたしまするけれども、たとえば危険品を輸送するという場合の対応策、運輸省として何か考えられているものがありますか。
  16. 永光洋一

    ○永光政府委員 いまいろいろお話がありましたが、たとえば農林関係等につきましては農林省、危険品あるいは化成品等につきましては通産省、あるいは関係業界等からいろいろ具体的な話も伺っております。個別的にはコンテナ化するとか、あるいは実際上のダイヤの編成においてそういうものが救済できるものがあればというようなことかと思いますし、さらに、本当に他の交通機関に移った場合に、先生おっしゃるように他の交通施設あるいは道路に対する影響はどうかというような問題が具体的に出てくると思います。  一、二例を挙げて申しますと、たとえばいま問題の一つになっておりますのは、個別的な名前を挙げるとどうかと思いますが、足尾の方で濃硫酸という問題がございまして、これについて地元の方々が道路輸送は非常に危険ではないか、こういうようなお話がございました。建設省あるいは警察等といろいろ御照会をしながら、われわれも現在仮にそれがタンクローリーにかわった場合に安全性が担保できるかどうかということを、そういう道路に関しての責任のある役所と御相談をいたしております。  それから、火薬類の運送につきましては、これは火薬類取締法に基づきます運輸省の省令の運送規則におきまして、現実には現在コンテナでは運べないというかっこうになっておりまして、実際上コンテナ化することによって何らかの形で火薬類のうちのある一部面でも運びたいという考え方が、省令がいろいろ阻害要因にもなっておりまするので、われわれとしましても、コンテナ輸送できる安全性というものを現在検討しておりまして、その結果によりまして火薬類のある一面につきましてはコンテナによる輸送というものが可能になるような形で検討いたしたい、かような形で、法令上あるいはそういう代替道路の問題等につきましても、具体的な問題についてわれわれも取り組んでおるところでございます。
  17. 小林恒人

    小林(恒)委員 これは東洋経済という週刊誌でありますけれども、「代替手段なく頭抱える重電機業界」というタイトルで若干の記事が載っかっているわけです。  二月一日に貨物合理化の内容が明示をされてから以降、直ちに二日の日にはもうすでに反対の声明を出す、三月十五日には運輸大臣あてに陳情書を提出し、三月十八日には国鉄当局に面会を求めて陳情書を提出した。理由については七項目ほどあるわけですけれども、三十トンから三百トンくらいあるような重電機製品を輸送する手だてというのは、何をおいても国鉄輸送が一番適合していると言えると思うのです。しかし、今度の貨物輸送体制の大幅な変化に伴って一般貨物列車扱いからすべて臨時貨物列車扱いになる。こういうことになりますると、輸送するための手だてを整えるだけでも、半年前に申請をして、数度の折衝を経て、二カ月前くらいに編成が決まる、それまでの時間が必要になってくる。加えて、現行運賃の五倍から十倍くらいに高上がりになっていく。  こういう状況の中で国鉄に対して陳情書を提出したところが、国鉄側からは代案として、発電機などは部品をばらばらにして現地で組み立てたらどうか、こんな代案が出たり、ヘリコプター輸送などはどうか、こんな代案が出たようですね。三百トンもの重量物を運ぶヘリコプターがあったら示してください、こんなことまで書かれているわけですけれども、こういった重電機業界の要請を国鉄当局は今日段階でどのように受けとめ、どのような対応策を今後示そうとしているのか。これは雑誌ですから、国鉄当局の考え方を誤解のないように正確に示せるものであれば示していただきたいと思うのです。
  18. 橋元雅司

    橋元説明員 重電機メーカーの製品と申しますのは、発電所の大きな発電機械とかその他でございますが、現在十一万トンという実績でございます。これは現在でもかなり前広に御予定がお立ちになりますので、輸送列車であるとか、そのために線路等の施設状態も点検をいたしましたり、いろいろな手配を特別にいたしまして輸送いたしておるものでございます。いわば一種の注文生産をお受けしてやっておるという輸送でございます。  そこで、今回こういったシステムチェンジをいたしますにつきまして、いろいろメーカーの方々ともお話をしているわけでありますが、私どもとしましては、やはり一般車扱い列車はきわめて限定的になりますので、それぞれの御要請に対して臨時の約束貨物ということで、貸し切り列車という体系でこれをお受けしたいということを申し上げているわけでございます。いろいろ記事には出ておりますけれども、まず、いろいろなやりとりの中で、全体としてよりよい輸送体系を何とかつくり上げたいということにいたしております。  なお、この輸送方につきましては、従来ともちょっと割り安だという見方もございましたので、この四月にかなり割り増し率を改正させていただきました。負担方につきましては今後ともよく御利用のそういった重電機メーカーの方々とお話し合いをしながら、そして、輸送につきましてもそれぞれ具体的に御相談を申し上げたい、こう思っておるところでございます。
  19. 小林恒人

    小林(恒)委員 まあはっきりしないですね。重電機は一つの例ですし、また自主流通米も一つの例です。そのほかにも、先ほどもちょっと申し上げたけれども、この東洋経済が取材をした中にも、足尾製錬所は鉄道がなくなればもう工場閉鎖を余儀なくされる、こういった考え方が出てきたり、また、野田醤油などについても、全国ネットワークでの輸送体制、これはたとえばトラック輸送やあるいはフェリー輸送に切りかえるとすればコストがうんと高くなっていく、こういったような状況が出てきたり、ビール輸送、セメント輸送など個別に取り上げていけば切りがないほど、個別と当初言われた中身というのは直接間接に国民生活に大きく影響を与えていく、こういう状況というのははっきりしているわけです。  そこで、すべての貨物国鉄の収支のみで一律に直行化にしてみたりあるいは廃止をしてみたり、経費増も統合的に検討して、これは国民全体から見て、国鉄がそういう営業政策に切りかわることはやむなしという最大公約数を求めていく努力というのは余りにも微弱だったのではないかという、こんな指摘をせざるを得ません。将来的に、六十二年の七月を一つのめどにして監理委員会国鉄経営体制というものをどのように切りかえをしていこうとしているのか、これからの問題ではありまするけれども、しかし、赤字赤字だと呼ばれてきた国鉄が果たしてきた役割り、たった二%の輸送シェアの中でも結構大きな課題がここには内在をしているように思えてならないわけであります。だから、数字二%というシェアやあるいは貨物が生み出す赤字総額、こういったものだけで、公共企業体としての役割りを実に一言で、全国ネットワーク体制を放棄しますなどということは、これは国鉄の側も簡単に言ってもらいたくないと思うし、運輸行政の頂点に立つ運輸省がそのようなことを簡単に言われるということについては、被害を受ける国民の側からするならば一体いままで何をやってきたんだろうか。これからどう変わっていこうとしているのだろうかということが暗中模索のままに葬り去られているだけに、大体行政というのは何をやっているのかわからぬ。雲の上のはるかてっぺんでもってわけのわからない、自分たちが泥をかぶらない程度のことしかやっていないのではないかと言われるゆえんなんじゃないですか。そういったことでは国民総体が納得しませんよ。これがさらに具体化をされていって、実際に物価が上がっていったという現象が出たり、あるいは重電機製品がなかなか運ばれないために発電所計画がおくれていったという例が出てきてみたり、批判の対象になるのではないですか。批判というのは、あらかじめ予測をされた段階から最小限度に食いとめていくための努力というのが私は必要なんじゃないかという気がしてならないのです。言葉の上だけの計画ではなしに、具体的にそういったことにならないような手だては今後いつの時期をめどにして、どのように組み立てをしていくのか。もうすでに明らかになっていなければなりませんよ。あったら示してください。
  20. 永光洋一

    ○永光政府委員 先生おっしゃいますように、国鉄貨物全国ネットワークという、いわゆる公共性の面からシステムチェンジをして、ある面では撤退をしていくということはわれわれも非常に残念なことではありますけれども、経済構造なりあるいは産業構造等々の観点から、やはり交通機関としてはそれぞれの特性を絡み合わせながら、総合的に効率的な体系をつくっていくという意味からやむを得ないとわれわれは考えておるわけでございますが、いま先生がおっしゃいますような各界に及ぼします影響というのは、この合理化策を進めながらそういうものに対する影響をできるだけ少なくしたい、こういう面は強く持っておりますけれども、しかし、やはり現在国鉄の財政の再建といいますか、そういうものは政治上の大きな課題でございますので、ある面御迷惑をかける点はやむを得ないと思いますが、われわれとしてもできるだけそういう方面への影響を少なくするように努力しながらこの計画を進めてまいりたいと考えております。
  21. 小林恒人

    小林(恒)委員 国鉄側は。
  22. 橋元雅司

    橋元説明員 私どもシェアが逐年下がっていることはまことに残念でございますが、これは先ほど申し上げましたように、特性を発揮できない分野に跼蹐しておる。むしろ特性を発揮できる分野にみずからの体質を早く変えていきたいということでございます。  今回の施策は単に削減策ではございませんで、スクラップダウンとビルドアップと両面持っております。スクラップダウンするものは、コストの高い、スピードの遅いヤード系集結輸送でございますし、ビルドアップするものは拠点間直行輸送であり、コンテナ輸送でございます。そういった意味で私どもは、そのシステムチェンジをすることによってこれから大いに貨物をやってまいりたい。よってもって物流体系の一翼を今後とも担ってまいりたい、こう思っておるところでございます。
  23. 小林恒人

    小林(恒)委員 スクラップ・アンド・ビルドというのは大したかっこういいんだけれども、かつてのダイヤ改正に伴う省力化政策、従来はダイヤ改正というのは、いかに国民に奉仕をする国鉄をつくり上げていくか、しかし、その中でも要員、設備を含めて最小限度で何とかその道を模索をしていくというのがダイヤ改正であり、営業政策であったわけですね。それが近年はスクラップ・アンド・スクラップ・アンド・スクラップなんですよ。ずっとスクラップ、後退に後退を重ねていっているんです。一億二千万トン体制をつくっても一億トンを割り込み、さらに七千七百万トン体制をつくっても、これまた恐らく落ち込んでいくことになるわけでしょう。自主的に、こういった国民生活に直結をする品目についてはこのように維持をしますよ、そういうものが具体的に示されなければだめなんです。何もないですね。たとえばさっき私が指摘をした自主流通米の輸送体系、これだけとってみても、あるいは生鮮食料品やあるいは生活と直結をする製品等の輸送なんかについては、これだけは必ず確保します、確保できます、どうしてもコンテナ化できないものについてはこういう輸送体系がありますというものが明示をされなければならないのです。何もないじゃないですか。何もなければそんなものは、ちょっと言葉は悪いけれどもスクラップ・アンド・スクラップですよ。そう指摘をせざるを得ないのですよ。ですからきれいごとを言わないで、国鉄の実態、国鉄がこれからこの程度だけは責任持ちますというのを言ったらいいんですよ。そして国民の批判があれば、それにこたえられる範疇というのを受け入れていく体制をつくるべきなんじゃないですか。  そういう観点から一つ質問をいたしますけれども、ダイヤ編成会議というのがあって、これからダイヤ改正の手順が組み立てられていくんだと思います。いままでも相当進んできたんでしょうけれども、これから五八Xに向けてどういう手順でダイヤ編成作業を推し進めていこうとしているのか、手順について明らかにしていただきたいと思います。
  24. 橋元雅司

    橋元説明員 現在、私ども四月に下案会議というのを終わりまして、これはダイヤの骨格を大体形成する作業なんでございますが、その下案会議を終わりまして、六月の下旬には今度は列車別の組成内容と申しまして、貨車の内容を大体確定する、確認し合う会議を組成会議と申しておりますが、これを六月の下旬に予定をいたしております。そして最終的なダイヤ作業全体を決定いたしますのは、恐らく八月の上旬ぐらいになるのではないかと思っております。それまでの間あるいはそれ以降も、引き続きやはり個々の利用者荷主方々とは精力的にお話を進めてまいりたい、こう思っております。  先ほど来、先生自主流通米のお話がございましたが、自主流通米につきましても、全農を初め関係利用者ときめ細かく話し合いを進めております。現にこれは、五十六年に比べまして五十七年度はコンテナ化が四〇%ばかりふえました。これは具体的にそれぞれのどこの発地からどこの着地へ参る、それをどういう倉庫でどういう取り扱いをし、コンテナ化する場合にはどういう条件が満たされなければならぬかというようなことをきめ細かく詰めておるわけでございます。  同様に、化成品あるいは危険品につきましても、それぞれの荷主さんと、コンテナ化ができるのかできないのか、あるいはローリーに切りかえて拠点駅まで持ってきてくださる、その場合には、今度は拠点駅で一時中継保管のための施設が必要でございますが、それを提供申し上げるとか、具体的にそれぞれの物資の流通に合ったお話を進めておるところでございます。
  25. 小林恒人

    小林(恒)委員 自主流通米の関係については全農さんとよく打ち合わせをしましたというお話ですけれども、せっかく御答弁いただきましたが、コストが上がったら何もならないのですよ。いいですか、コストが上がるということは国民生活に影響を与えるということなんです。従来は低コストで運ぶシステムがありました、これがなくなりました、若干コストは上がるけれどもこういう方法なら運べます、こういう提起をしているだけですね。そこで、全農さんもそれなりの、了承をしたかどうかは別にして、受けとめをしている、こういうことじゃないですか。  私が議論のベースにしているのはそういうことではなくて、公共企業体というのは、多少輸送コストあるいは経営という問題があったとしても、国民生活が常にベースでとり行われていかなくてはいけないだろう、そういう作風がなくなったのではないですか、放棄しているのではないですかということを言っているわけですね。ですから、そういう議論をされてきたことについては、私も聞いておりますからそれなりの理解をいたしますけれども、理解の観点が違うのです。  そのこととあわせて、もう一つお伺いをしておきたいのです。  下案会議が行われ、六月下旬には組成ダイヤが組み立てられ、八月上旬にはほぼダイヤ編成会議が終わっていくだろう、こういう手順になりますというと、たとえば業界の皆さんの意向、ひいては国民、国鉄利用してきた多くの皆さん方の意向というのはどの段階で聞こうとしているのですか。どの段階で受け入れられるのですか。
  26. 橋元雅司

    橋元説明員 今回の改善案を内外に公表させていただきましたのは一月三十一日でございましたが、それ以前も、そしてまた、とりわけそれ以降連日のように各関係業界、それから個別の荷主さん、これは本社段階でもあるいは管理局段階でもお話をしておるところでございます。もちろんそれを最大限取り入れまして、本会議までこぎつけるわけでございますが、なお、本会議以降も二月まで十分の時間がございますから、必要な手直しをすることも十分考えられるわけでございます。いずれにいたしましても、荷主の声を十分くみ上げて、この私ども計画との整合性を十分図ってまいりたいと思っております。  実は、三月でございましたが、全国の八千の事業所、これは出荷量の大体九〇%をカバーするわけでございますが、この八千の事業所の方々にアンケート調査をいたしました。現在集計中でございます。そういった資料も事前には十分シミュレーションをしたわけでございますが、なおそういったアンケート調査も参考にさせていただきながら、よりよいダイヤをつくり上げてまいりたい、こう思っております。
  27. 小林恒人

    小林(恒)委員 二月まで荷主の声を十分に受け入れる体制を持ちたい。まあ二月はおろか、十二月くらいまでは、正確な意味で、たとえば微調整をも含めて受け入れていく用意がありますよという、それくらいのことは言ってもらいたいと思うのですね。あなたいま二月と言ったけれども、実際は二月からはダイヤが変わっていくわけですから、二月なんということは無理なんだろうけれども、年内くらいはこの荷主の要望というものを、正確に受けとめていくという姿勢を持ち続けていただきたいことを特に要望しておきます。  時間がありませんから、最後に大臣に一点だけ、国鉄問題と若干違う問題なんで恐縮なんでございますけれども、御見解だけを賜っておきたいことがありますので、御質問申し上げておきたいと思います。  五月の十六日に、日本航空のダグラスDC8の羽田沖事故に関しまして事故調が調査報告書を提示いたしました。今後、この事故調の調査報告書を受けとめて、大臣としてこれからどのような手だてをとろうとしているのか、簡単にお知らせをいただきたいと思います。
  28. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 日航機の羽田沖の事故は、航空界としても意外中の意外だ、事故調で研究しても、個人の責任を負うような人が出てこない、全体がわけのわからぬと申しますか、原因がはっきりしてこれだというふうなことのないような形で、非常に変わった事故だ、こう私は報告を聞きながら思うわけでありまして、いまの時代は人間の生き方なり考え方が非常に複雑でございますから、そういうものに対する管理というものをしっかりしなければならぬということを一層感じますと同時に、こうした事故は、最近いろいろな航空事故が起こりますが、一層心理的に、そしてまた内部にわたって追跡しながらがんばっていかなければむずかしい問題だ、こう思っております。
  29. 小林恒人

    小林(恒)委員 終わります。
  30. 原田憲

  31. 野坂浩賢

    野坂委員 私は、特定地方交通線の問題と五九・二貨物合理化問題の二点についてお伺いをしたい、こう思っております。与えられました時間は非常に短時間でございますので、政府当局におかれましては簡潔に御答弁をちょうだいをしたいと思います。  まずお尋ねをしておきたいと思いますのは、国鉄の五十八年度の収支の状況、端的に申し上げますと、赤字の見込み額と第一次特定地方交通線の赤字額を明らかにしていただきたいと思います。
  32. 高木養根

    高木説明員 五十八年度の赤字見込み額は、先般御審議いただきました予算でもお示ししておりますように、約一兆六千億というふうに考えております。これが五十七年度と比較いたしますと約三千億ふえるわけでございますが、そのふえる主たるものは、やはり東北・上越新幹線の償却費等の資本費の増でございます。他の分野におきましては、別の見方をしますと、金利負担が非常にふえるということでございますが、金利負担の内容というものも、実は非常に多くの部分が、東北・上越新幹線の資本費負担というものが、従来建設勘定の方で経理しておりましたものが、完成をしてまいりましたので損益勘定の方で引き継ぎになるということがありまして、利子負担が建設仮勘定の負担から損益勘定の方に移ってくるということによるものが一番大きいということでございます。  それから、特定地方交通線の赤字額は幾らかというお尋ねでございますが、一次地交線と二次地交線と合わせた約七十線区前後の線区につきましての赤字額が約七百億ということになっております。
  33. 野坂浩賢

    野坂委員 五十八年度の国鉄赤字見込み額は、お話がありましたように一兆六千億、一兆六千八百九十億、こういうふうに収支表には示されております。第一次の特定地方交通線の赤字は、第二次線七十線ではなしに、第一次交通線約三十七線区にわたっては百五十九億、こういうふうに承知をしておりますが、いかがですか。
  34. 高木養根

    高木説明員 お示しのとおりでございます。
  35. 野坂浩賢

    野坂委員 約〇・九%、これに血道を上げておるというのが国鉄の実態であります。特定地方交通線といいますのは、御承知のように地方交通線は旅客輸送密度が八千人以下、特定地方交通線というのは四千人、第一次の特定地方交通線で二千人未満については六十年度廃止をしたい、そして二年間の協議期間を待って見切り発車をするというような国鉄再建法がやられておるというのが実態であります。したがって、それぞれの第一次特定地方交通線の対策協議会が開催をされまして、いま審議中であります。この審議中におきまして一年間二千人を上回るということになりますと、それは四千人未満の特定地方交通線の中に組み入れられる、こういうことになろうと思いますが、いかがですか。
  36. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 二千人を超えた場合には、いまのところでは一つ、木原線の例がございまして、一時中断をいたしまして、六カ月間模様を見まして、その結果でさらに協議会で検討を進めるという状況になってございます。
  37. 野坂浩賢

    野坂委員 総裁にお尋ねをします。第一次特定地方交通線というのは二千人未満が対象になっております。そして一般の特定地方交通線というのは四千人未満ということになっております。二千人を超えれば四千人未満ということに入るのは原則としてそうであろう、これは常識でありますが、いかがですか、総裁の御答弁。
  38. 高木養根

    高木説明員 おっしゃるとおりでございますが、二千人というのはいつの時期を選ぶかという問題が、法案審議の段階あるいはその後の段階におきましても議論がいろいろ重ねられました。基準時点が動くと、これは全国一律の基準でなければいけないという点もあってぐあいが悪いということがありまして、一定の基準時点を決めて、そして選定をしたわけでございます。しかし、その後いろいろな事情の変化によってお客さんがふえるということになりますと、やはりそれは、たとえ基準時点においては二千人を切っておったとしても、その後において現実にお客さんが乗られるようになったということになれば、その基準時点における人数だけにこだわっておるのは穏当でないという議論が当然起こってくるわけでございまして、そこで、いま担当常務が申しましたように、具体的にはいままできわめて問題になりましたのは千葉県にございます木原線という線区の問題でございますが、二千人をある時期に超えたということから、どういう事情で超えたのかということを少し見守る必要があるということで、六カ月間協議会の開催を取りやめたということで進んでおります。最近また木原線については協議を再開いたしました。ほかの線区でもそうした問題がだんだんと出てこようかと思います。大体この木原線の例に準じて扱っていただくのがよろしいのではないかと考えます。しかし、これは基本的には、協議会の議長は運輸省の方で御担当いただいておりますので、そちらの判断になるかと思いますが、私どもは重要な参加者の一人でございますから、その意味で申し上げますと、いまのような物の考え方をいたしております。
  39. 野坂浩賢

    野坂委員 私が冒頭に申し上げましたように、質問の時間は短時間でございますので、私が質問をしたことだけに端的に答えていただきたいと思います。  法案を扱っておるのは運輸省である、運輸省の見解が非常に重要である、こういうふうに総裁はお話しになっております。そこで私は、いわゆる国鉄再建法をつかさどられました運輸大臣にお尋ねをしたい。原則は、特定地方交通線というのは四千人、第一次特定地方交通線で廃止の対象になりました三十七線区、これについては二千人未満、こういうことになっております。乗客密度が二千人を超えた場合は四千人未満の中に包含をされる、こういう原理原則だけを明確にお答えをいただきたい、一言で。
  40. 永光洋一

    ○永光政府委員 二千人は、五十二年度から五十四年度の輸送密度で基本的には判断をすることになっております。したがいまして、そのときに二千人から四千人のものは当然除外されます。
  41. 野坂浩賢

    野坂委員 永光さん、あなたは二月の二十二日の予算委員会の一般質問の中で私にお答えになりまして、二千人というものが定着性と継続性があれば十分特段の配慮をしなければならないと考えております、こういう御答弁をいただいております。あなた自身からです。したがって、この定着性と継続性という中身を具体的にお示しをいただきたい。定着性と継続性とはどういうことなのか。
  42. 永光洋一

    ○永光政府委員 基準は一応五十二年から五十四年でございますが、その当時二千人でなくても、実際上協議会を開催したときに二千人を超えているというような状態で、長くそういう利用客から利用されるような状況だということであれば、それはバランス上特段の配慮が必要であろう、こう申し上げたわけでございますが、それの一つの概念的な表現として、定着性、継続性と申し上げたわけでございます。それはやはり基本的には、何らかの形でそこに住宅ができたとかあるいは学校ができたということで、仮に千八百人であったものが二千二、三百人と継続的に需要が、だれが見ても客観的にふえたというような形が、われわれが一応想定しておる継続性、定着性の考え方でございます。
  43. 野坂浩賢

    野坂委員 特定地方交通線の廃止の対象外の場合は並行道路、ピーク時の一千人以上あるいは積雪、こういう条件がついておりました。御承知かと思います。この継続性と定着性というのは、学校ができたあるいは住宅ができた、こういうものによって二千人以上になった、こういう場合は継続性と定着性を判断するというお話でありました。したがって、これらの二千人以上が定着をするというのは、いま竹内さんなり総裁がお話しになったように、一たん中断をしてその半年間の効果を見る、こう言っておりますね。そうすると、一年間を見て二千人以上になったからしばらく協議会は中断をする、半年間は延ばす、具体的に申し上げますとこういうことになります。そうすると、それ以後は総計をして一年半乗車密度、旅客輸送密度というものが二千人以上になった場合は定着性と継続性ありと判断をしなければならない、こう思いますが、そのとおりに考えてよろしいか。
  44. 永光洋一

    ○永光政府委員 期間的に協議会開始前に実績が上がっておった、そして中断をした、それで中断をした後半年たった、そういうようなときにもう一遍検証をしてみたら二千人を超えておった、こういうようなお尋ねだと思いますが、われわれとしてはその実態、数字がそうであるから直ちにそれを特定地方交通線として取り扱わなくするということをここで明言するわけにはちょっとまいりません。それぞれの線の事情に応じての問題であろうかと思いますので、一般的には再三お答え申し上げておりますように、運用としては半年程度たったときにもう一遍協議会を開いて、実際上そこに定着しているかどうかということをわれわれとしてはさらに検証を引き続きいたしたいというように考えております。
  45. 野坂浩賢

    野坂委員 五十二年から三年間平均で二千人以下、それを特定地方交通線に指定をしておる。したがって、協議会を開催して一年間の平均密度は二千人以上であるということが確認された。そして半年間は中断をして、半年後に対策協議会が開催をされる。いうなれば一年半は二千人というものが確保できたという現実がある。その場合はいろいろと考えてみるというお話だけでは第三者的には客観性がない。全体の対策協議会の中でこの問題については定着性と継続性が一年半の経験の中からあったということになれば、いわゆる地方交通線とは言いません、特定地方交通線である四千人未満の中に組み入れるべきであるというのが論理である、私はそう思う。そうでなければ何のために地域の諸君たちが努力をし、協力をし、あるいは学校や工場や住宅を建てるのか、こういういわゆる過疎から脱皮しようとする住民の期待にこたえていくことにはならぬ、私はそう思います。そういう意味で客観性を帯びた期間というものは一年半、こういうふうに判断をすべきが当然だと私は思いますが、運輸大臣はどうお考えですか。——ぼくは運輸大臣に聞いておるんだ、永光君。事務当局に聞いておるんじゃない。政治家に聞いておるんだ。
  46. 永光洋一

    ○永光政府委員 先生にお断りしておきますが、要するに基準年度以外の年次におきまして超えるということにつきまして配慮をするというのは、特に法令上そういうふうに定まったわけでもございませんし、これは御存じと思いますけれども、政令をつくりますときに都道府県、地方公共団体に非常に要望があって、そういうバランス上から何か特別に考えてくれないかというお話があって、したがって、そういうふうに定着なり継続性を見た場合は考慮をする、その考慮の方法としては、協議会を中断して見守るということは一つの考え方としてとりましょうということでやっておるわけでございまして、いま先生おっしゃいますように、それをもちまして、ある一定の輸送密度を超えたから一年半たったら直ちに基準年次は別として特段の取り計らいをするようにというわけにはなかなかまいらないので、運用上はそれぞれの個別線におきまして、客観的な事情としてそういうことであればわれわれも考えたいということを申しておりますし、それは原則として半年ごとに検証しながらその協議会を中断し、その間は線がなお保持される、一応期間的に見て半年ごとに検証するというのが客観的ではないかというのが一般論でございます。したがって、個別的な線としてどうだというお話については、またそれぞれその協議会において、なぜそれが二千人を超えたか、しかもそれが一年半なり二年続いたかということを地元で御議論になる、こういうことだと思います。
  47. 野坂浩賢

    野坂委員 特段の配慮をするというのは、どの程度まで二千人以上になれば特段の配慮をするのですか。これは一般論である、こうお話しになった。個別問題。たとえば私のところは若桜線という線区を持っております。一年間の平均は二千人以上であります。したがって中断をするであろうと思います。その場合はただ単に二年の協議期間を半年延ばして二年半にするということでなしに、四千人未満の中に繰り入れろ。決して私は横やりを入れておるわけじゃない。法の道理を申し上げているわけです。原則を話しておるわけです。その場合は当然四千人未満に入るのだが、一年半ではだめだというなればその期間をお示しをいただきたい。何年たったら四千人未満の中に——二千人以上に繰り上がれば当然四千人未満の中に入るわけでありますから、その中にはいつ、どの程度期間があれば入るということになりますか。明確にお答えをいただきたいと思います。  私が言っているのは矛盾ないでしょう、大臣。四千人未満と二千人とあって、二千人から上回ったわけですから、五十二年から三カ年間の平均だというように固執しないで、特段の配慮をするということを私に予算委員会で明確に答えておるわけですから、それに対しては当然四千人未満の中に組み込むということになるのではありませんか。特段の配慮の期間、それについて明確にしてもらいたい。
  48. 永光洋一

    ○永光政府委員 二千人未満ということで特定地方交通線を設定しておりまして、若桜線につきましては少なくとも五十二年から五十四年までの基準年度には合致しておるわけでありますので、五十二年から五十四年までに二千人以上あるいは四千人未満という線とは別途の取り扱いということでありますので、その線が四千人から二千人の線になるということではないというように私は考えております。協議会を中断して、二年間で廃止申請ができるという規定をその間検証するために延ばすということは、他の地方交通線との均衡等から見て慎重にわれわれは取り扱わなければならないと思いますので、そういう意味で特段の配慮と申しましても、実際上二千人を超えたような実情で長く利用があるということが客観的にあった場合には、特段の配慮として協議会を中断する等の措置によって模様を見るということをわれわれは考えておる、こういうことでございまして、現実に四千人の取り扱いにというわけにはちょっとまいらないと思います。
  49. 野坂浩賢

    野坂委員 私はよく理解ができませんが、時間がありませんから、最終的に運輸大臣の御答弁をいただいて終わりたいと思うのです。特定地方交通線というのは四千人以下です。第一次特定地方交通線ということで廃止方向を打ち出しましたのは二千人未満。二千人を超えれば四千人の枠に入るのであります。これが順当な理論であります。したがって、一年たってその状況を見て中断する、そして一年半たった、さらに二千人以上が続いたということになれば、地域住民の熱意、いわゆる国鉄に対する協力、そういうものを考えて四千人未満という取り扱いをするのが私は当然だろうと思います。国鉄は、五十二年から五十四年までの三年間の基準年次を決めて二千人以下だったんだから何が何でもと言います。しかし、これから私が質問しようとする五十九年二月のいわゆる貨物列車の問題についても、当初とは大きく状況が変わっておる。当時われわれに約束したことと変えた方針というものを打ち出しておる。だから、国鉄状況が変化をしておるというこの実態を踏まえて、現時点ではどうかということを最も重要視すべきではないのか、そういうふうに思います。私が予算委員会の分科会で長谷川運輸大臣にお尋ねをすると、その一年間で定着性と継続性があるかどうかについては前向きに検討するということをあなたはお答えになったのです。したがって、いますぐは答えられないが、検討するということでありました。あれから約三カ月間たちました。したがって、この辺で、私が当時質問をした、定着性と継続性に対する考え方、そしてそれは一年半、私は一年ということを申し上げましたが、客観的に見て継続性と安定性があるならばもう半年間は中断をして様子を見る、せめてこの程度は譲歩しなければならぬと思います。したがって、一年半たてば大体特段の配慮はしたい、こういうふうにお考えでありましょうか、お尋ねをして、この問題については終わりたいと思います。
  50. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 そういう路線を持っておる先生方の御苦心のほどがわかるわけでありますが、何さま二千人というのを一つの区切りにしてやっております。しかしまた、鉄道をそういう機会に愛し、利用しようとする熱意があって、その二千人を超えている、こういう姿も地方で私も見ます。しかし、二千人を時折超えたからといって、四千人の枠の中に無理矢理入れるというのもおかしいことであります。ですから私は、そうした問題などは、やはり最初の原則をよくお気づきの上に、いかにしてその二千人というものがずっと継続することによってほかの方々の御理解ある物の考え方、見方、その中にお互いの国鉄再建の問題等々を解釈していかなければいかぬ。先生のように運輸関係にお詳しい方、二千人が二千何百人になったからそれを四千人の枠に入れろと言うても、ほかの鉄道を持っている諸君がこれはまた疑問を持つわけでありまして、その辺はひとつあなたの方もよくお考えのほどをお願いしたいと思います。
  51. 野坂浩賢

    野坂委員 そういうすれ違いではないのです。私は、時間がなくて多くを申し上げられませんけれども、あなたのところの基準は、地方交通線は八千人ですね。八千人未満を地方交通線ということはちゃんと書いてある。特定地方交通線というのは四千人未満と書いてある。第一次特定地方交通線、第二次特定地方交通線というのは二千人未満となっている。条件は三つあります。二千人を超えれば、二千五百人というのはない。四千人なんです。二、四、八となっている。だから、二千人を超せば四千人の枠しかないのです。だからその場合、超せば四千人になる以外ないじゃないですか、こう言っているのですから、それでは二千人に下がるまで待とうと、十年間も十五年間も待って、二千人になったら二千人になったというようなやり方では、愛情のある国鉄、公共性のある国鉄とは言えません。だから、四千人という枠の中に入らざるを得ないじゃないですか、こう言っておるのです。その点については十分御検討いただきたいと思いますが、再度運輸大臣の御答弁をいただきます。
  52. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 二千人よりよけいだから四千人の枠に入れろと言うても、しかし、それは調べてみれば、二千人の枠の中に入っている諸君が、ちょっと超えたからといって四千人の枠の中に入れるというのも、これもなかなか、私はあなたに名回答をできないのは非常に残念でございます。
  53. 野坂浩賢

    野坂委員 検討しますか。
  54. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 私一人が検討——材料を集めてみましょう。
  55. 野坂浩賢

    野坂委員 材料を集めて検討しますか。
  56. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 検討と言われても、日本国じゅう全国的にみんな影響することですから、私はそういう場所のあることは勉強いたしますけれども、その勉強が全国的に響くことは大変影響があることでございますので、ただ、明言はできないことが残念です。
  57. 野坂浩賢

    野坂委員 資料を集めて勉強するということは、検討するということではありませんか。
  58. 永光洋一

    ○永光政府委員 もう何遍も申しておりますけれども、要するに二千、四千、八千という区別というのは、一つ基準年次によって決めてある一つのカテゴリーの中に入っておるわけでございますので、いま先生のお申し越しの線につきましても、二千人組ということは、もうこれは明らかなわけでございます。したがって、それを四千人組にするということも、五十二年から五十四年の一つの実績に基づいておりますので、それは無理だと私は思います。二千人組についてはそういうことなんだということは決まっておって、法令上もそうなっておるのでありますが、実際上二千人を超えたらどうだというお話が需要者側からあったので、それなら協議会の中断等によってわれわれとしては若干の対応をいたしましょうということは、二千人組の中で若干の特別の取り扱いをするということが、いまわれわれのできる、法令の中でのできるだけの運用上の範囲なのでございますので、その点は十分御理解願いたいと思います。
  59. 野坂浩賢

    野坂委員 十分特段の配慮をされるように要求をして、この問題については一応終わります。  次は、五十九年の二月、国鉄貨物駅を、八百五十二駅を四百五十七にするというかつてない大合理化案についてまず質問をしたいと思うのであります。  日本国有鉄道法の一条と二条をごらんいただきますと、公共の福祉を増進することを目的として日本国有鉄道を設立すると、第一条はそう書いてあります。第二条には、いわゆる商法の規定に定める商事会社ではない、ちょっと略しておりますけれども、そういうことであります。そういう方向国鉄は進むというふうに考えてよろしゅうございますか。国鉄総裁と運輸大臣にそれぞれ御答弁をいただきます。
  60. 高木養根

    高木説明員 私どもの運営基準が公共的なものであるということでなければならぬことは法律上も明らかでございますし、私どももそう考えております。ただその場合に、公共的というのは全く採算と無関係かというと、やはり効率的運営ということが法律上明らかになっておるわけでございまして、何が、どの程度のものが公共的運営であり、どの程度のものが効率的運営であるかという点については非常にむずかしい問題があります。やはりある種の効率性があって初めて公共性が成り立ち得るのではないかという議論が最近非常に強くなっておるわけでございまして、貨物につきましても、貨物固有経費を賄える程度に運営していこうということは、決してそれで採算がとれたということにならないわけでございますが、やはりそれは公共的役割りということもございますから、全体としては採算がとれてなくてもいいのではないか、ただ貨物固有経費で採算がとれないようでは、これは余りにも効率性がないのではないかということで今度の案を考えているわけでございます。
  61. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 改めて日本国有鉄道法の第一章「総則」一条を拝見しますと、「その他一切の事業を経営し、能率的な運営により、これを発展せしめ、もつて公共の福祉を増進することを目的」とする。こういう、能率的な問題と公共の福祉、こう書いてあります。
  62. 野坂浩賢

    野坂委員 最後の締めは公共の福祉の増進を目的とするということが書いてあります。今度の合理化案は公共の福祉の増進の大きな役に立っておる、こういうふうにお考えですか。総裁いかがですか。
  63. 高木養根

    高木説明員 現在大変な赤字になっておるわけでございます。そして、それは結局何らかの形で国民全体の負担において処理をしなければならぬということになりますと、そこまで赤字がどんどん出てしまっておるという現状は公共的福祉に奉仕したということにならないというふうに考えるわけでございまして、したがって、固有経費赤字が出ないようにという程度のところが現在その第一条の精神を実現し得る線ではないかとわれわれは考えておる次第でございますが、これについてはいろいろ御批判があることは承知をいたしております。
  64. 野坂浩賢

    野坂委員 かつて国鉄当局と国鉄労働組合とで貨物合理化問題について確認をされた事項があります。「貨物取扱駅の集約の実施にあたっては、地域の輸送事情を勘案することとし、関係市町村及び県の意向について尊重する。」「貨物取扱駅の集約の実施にあたっては、荷主及び荷主関係団体の理解を得ることとし、集配距離の延伸による荷主経費負担増にならないよう措置する。」過去は大体こういう確認事項がされてきております。この確認事項を総裁としてはいまも堅持をしたいとお考えになっておりますか、放てきをしようと考えておりますか。
  65. 高木養根

    高木説明員 そっくりそのままでいけるという状態ではないと考えております。さりとて放棄をするということでもないわけでございまして、やはり現状に即した考え方で進めるべく、荷主さんとの間でも極力お話を進めてまいりますし、組合との間でもその議論を詰めてまいりますが、そっくりそのままという状態ではない。なぜならば、その申し合わせをいたしました時点と今日では全く様子が変わってきておりまして、ますます貨物の量が減ってきておるという現状を考えながら、やはりある種の変更を加えながら、しかし何としてもそれは基本的には関係市町村なり荷主さんと十分話を詰めてという精神を持ち続けながら進めてまいりたいと思います。
  66. 野坂浩賢

    野坂委員 時間がありませんから先に参ります。  四月一日の業界紙に、「五九・二以降の国鉄貨物営業体制が公表されて以来、本社貨物局に対する荷主、地元関係者らの陳情が相次いでいる。」と書いてあります。「このほど同局が自民党へ報告のため問題点を整理したところによると、」云々それぞれ項目が書いてありますから多くを申し上げません。何件程度陳情がありましたか、そしてその内容をわれわれに公表していただきたい、この二点について伺いたい。
  67. 橋元雅司

    橋元説明員 先生のおっしゃいました資料と若干食い違うかもしれませんが、四月十六日現在で陳情者の件数が百四十四件ございました。  件数の内容でございますが、輸送ルートを確保してもらいたい、あるいは貨物取り扱いの存続を願いたい、あるいは専用線の存続または補償を願いたい、あるいは五十八年Xの見直しを要請する、その他ございまして、内容的には、件数をちょっと違った面で見ますと百四十四件ございます。とりわけ化成品についての御陳情が多いわけでございますが、これはちょうど同じ百四十四件という数字になっております。公表後いろいろな反響が実はございました。陳情はいま申し上げたような形をとったものでございまして、それ以外にもいろいろございますが、それぞれの具体的な内容はちょっと省略させていただきます。
  68. 野坂浩賢

    野坂委員 いま橋元務理事がお話しになりましたように、日本化学工業協会、特に化成品工業協会というのはこの輸送維持確保問題について厳しい陳情がありますね。たとえば火薬や液体の塩素、こういうものは一体どうやって送るんだ。あるいは通産省もおいでになりますが、古河鉱業の足尾銅山問題がありますね。あるいは麒麟麦酒やキッコーマンの大量輸送に対する動き、先ほど同僚委員が言いました超重量電気機器輸送維持確保について、こういうたくさんの諸君たちの問題がある。農林省の場合は、北海道の種バレイショを車扱いではなしに送るということになればこれは全滅をする、こういう状態もある。米は集荷体制はばらばらである。ばらばらであって一カ所に集まる。飼料や肥料は一カ所から出るけれども着地はばらばらである。こういう関係でダイヤの改正と輸送システムはできるけれども運賃の計算ができていない。きわめて重大な問題であるというふうに私は理解しております。それらの点について、それぞれ通産省なり農林省、どういうお考えであるか、このダイヤ問題についてそれぞれの考え方を述べていただきたい。
  69. 青木敏也

    ○青木説明員 お答えいたします。  農林物資関係国鉄輸送依存度の比較的高いもの、ただいま先生の御指摘のありましたように政府米あるいは肥料関係、飼料関係、また一部生鮮食料品等ございます。私ども国鉄貨物合理化計画につきましては、全体として先ほど来御議論をいただいておりますような背景の中での取り組みでございますから、そういう方向についての理解は十分していかなければならないというふうに存じてはおりますけれども、農林物資につきましては、何と申しましても品目によりましては、生鮮食料品と、ただいま先生から御指摘ございました種芋のような場合につきましては、まさに生き物でございまして、合理化計画の推進に当たりましては具体的な荷の特性、そういったことにつきまして十分関係当局の御配慮をいただきたい、こういうふうに存じているわけであります。現在関係農業団体、また、私ども行政サイドにおきましてもそれぞれの部局におきまして、この辺の影響につきましては地域によってかなりそういう度合いが開く性質の問題だと理解しておりますので、そういう実情につきまして十分把握に努めておりますとともに、現に具体的に一部のものにつきましては、そういう関係当局にも御相談をさせていただいておるわけでありまして、十分そういう農林物資特性を踏まえまして、支障を来さないように私ども行政サイドからも十分努力してまいりたい、こういうふうに存じております。
  70. 小川修司

    ○小川説明員 通産省につきまして御答弁申し上げます。  この貨物線の問題につきましては国鉄からもいろいろお話を伺いまして、私どもの所管物資でも特に化学品関係などにつきましては、危険物というような問題もございまして、なかなかむずかしい問題がございます。  この問題に関しましては、第一に、各現場におきまして荷主国鉄の各担当のところと十分お話いただけるというふうに伺っておりまして、そういう各荷主とのお話を十分詰めるようにということでお願いしております。それから、そういう問題の中にも、必ずしも各現場現場で解決できない、国鉄の全体の基本方針の問題、あるいは運輸省の問題というようなこともあろうかと思います。そういう問題につきましては、私どもの方に各業界から、それぞれの所管部局を通じましてその声を吸い上げておりまして、そういう問題をまとめまして、国鉄本社あるいは運輸省の方に具体的にどういうふうにやっていただくかというようなことをお願い申し上げているところであります。  以上でございます。
  71. 野坂浩賢

    野坂委員 委員長も大臣もお聞きいただきましたように、通産省の考え方は、商工委員会でも議論になっておりますが、通産大臣もいまお話がありましたように、もっと運輸省と話し合っていかなければならぬ、こう言っております。農林省も生鮮食料品等を取り扱っておるから、まだ詰めはない、こういうお話であります。そういう状況と、百四十件に上る陳情、請願が出ておるというこの現実。したがって、四月には下案の会議が終わったけれども、ダイヤやシステム化だけを進めて、運賃等が決まっていないために荷主もまたこれに対応できない、こういう状況が今日発生をしておることは御承知のとおりだと思います。  そこで、今度のダイヤ改正の中で考える車扱い等につきましても、北海道なんかはもう北海道だけなんですね。私の出身の米子管理局でも、大阪に一日に一車、東京に首都圏で二車、九州はゼロ、仙台に物を送ろうとしても送れない。東京で一遍終わって、それでまた仕立てが違ってくる。九州にも送れない。こういうまことに不便なかっこうになっておる。だれでもどこでも送れるというものではなくて、四百五十七駅が全部取り扱いをしてくれるか、そこに向けて発送ができるかというとそうじゃない。そうですよ、運輸大臣。したがって、いま各省庁からお話があったし、たくさんの皆さん方の陳情があった、こういうことを考えてみますと、このダイヤ改正の五十九年二月というのはきわめて問題であると言わざるを得ません。  ただ、千九百億円のヤード系赤字、直行系は二百億円の黒字が出る、だからヤード系をやめてしまえばそれで利益が出るのではないか、固有経費を賄えるのではないかという安易な考え方は利用者のニーズにそぐわない。また利用者は、それだけで、運賃は割り安になるという抽象論だけで具体性がない。こういう点を勘案してみると、拙速主義はとらないで、慎重にやっていかなければならぬではないのか、こういうふうに私は思いますが、大臣はいかがですか。もし大臣がお答えできないならば、国鉄総裁にお答えをいただきたい。
  72. 高木養根

    高木説明員 一口で申しますと、ヤード系輸送をやめるということに尽きるわけでございますけれども、これは容易ならぬことでございます。非常に大きな影響を及ぼすであろうことは前々から承知をいたしておりました。したがって、この問題が論議になりましたのは昭和五十年代の初めからでございますが、今日まで踏み切れなかったわけでございます。しかし、どうにも需要が減ってまいりましたのでこの際踏み切ったわけでございますが、その際大きな影響があるであろうということは覚悟をいたしております。したがって、その影響、摩擦を最小限にとどめなければならぬと考えておるわけでございまして、私自身もその種のことについてのお客さんにはなるべくお会いをいたしておりますし、地方におきましてもそれぞれよくお話を伺うように申しつけてございます。それによって実態をだんだんと理解をいたしまして、それの御迷惑を、ゼロというわけにはいかないわけでございますが、最小限にするにはどうしたらいいかということで、一方においてダイヤの組み方、列車の走らせ方についていろいろ具体的に考えながら、いまお示しのように、最も大事なことは運賃関係の問題でございますので、この運賃関係をどうしたらよろしいかということの研究が、率直に申してまだ十分できておりませんために大変混乱を起こしておる、御迷惑をかけておるという実態でございますから、これについての取り組みを急ぎまして、もう少し具体的によくお話ができるような体制をつくってまいりたい。いずれにしましても、来年の二月までには間に合うように最大限の努力をまずすることを今日の段階では考えたいというふうに思っております。
  73. 野坂浩賢

    野坂委員 ダイヤの改正、システムの方式、運賃、そして利便、こういうものをずっと並べて通運事業者や荷主の皆さんに示すべきだ。そうすれば列車はやめて自動車にするあるいは内航海運にするということが明確になってくるわけです。荷主が選ぶわけです。ダイヤとシステムだけを発表しておいて、運賃は詰まっていない、これは二月のぎりぎりまで持っていこう、こういうようなことでは国鉄の公共性ということあるいは営利性も含めて、そういう商売のあり方、営業政策はない。一挙に出して皆さん方の議論を伺うということは、私は当然だと思います。しかも、それによって通運事業者、通運事業に従事する労働者、国鉄の労働者、どの程度その人たちには影響があるのかということも明らかにして議論を呼び起こすということは、私は当然だと思います。あなたは予算委員会の総括質問と一般質問の中で、荷主の理解を得るように最大の努力をいたしますが、一方的実施はいたしません、こういう約束をなさっております。覚えておられるようでこっくりしておられますからそれで結構でありますが、したがって、五十九年二月を最大めどとして努力をするけれども、そのものについては、影響のないように、国民の理解を得るように、荷主や通運事業者やすべての市町村の皆さん方に理解を得る、こういう意味では、具体的にこの五十九年二月は若干延期してもやむを得ない、こういうふうに私たちは理解しないわけにはいかぬと思います。言うなれば、地方交通線も、御承知のように二年間もの対策協議会を、会議を開いて、そしてこれらの問題については理解と納得を得るという方針が法律で示されております。貨物駅の合理化は問答無用、こういう姿で切っていくというようなことについては、国鉄使命に反すると私は思います。したがって、五十九年二月の問題はあくまでもめどであって、十分それまでに、通産省も農林省も不十分だと言っておるわけですから、それらの問題については弾力的に運用すべきだ、こういうふうに思いますが、いかがでありますか。  二点目、もう時間が参っておりますから、最後に運輸大臣にお尋ねをしますが、国鉄を攻めて攻めて話し合いをしていくと、国鉄の能力は限界です、あとは霞が関に言ってくださいと言っております。霞が関というのは一体どこなのか、国鉄が言っておる霞が関は運輸省なのかどこなのかということを総裁から明確にすると同時に、運輸省としても国鉄を指導監督する任務があるわけでありますから、これらについて拙速主義をとることなく、十分慎重に検討して、国民の理解と納得、なかんずく荷主や通運事業者や一般利用者の合意を得て実施することがこれからの国鉄にとって非常に重要である、こういうふうに私は思いますが、そのとおりにお考えかどうか、御両氏にお尋ねをして質問を終わりたい。
  74. 高木養根

    高木説明員 何よりもシステムの改変に応じて御迷惑を最小限にとどめなければなりませんし、われわれとしましても決して全部放棄したというわけではないわけでございまして、これからも貨物営業をやっていかなければならぬわけでございますから、そのためにも荷主さんあるいは関係行政庁あるいは通運の方々によくお話をしませんと、これからある意味ではビルドをやっていこうということなんですけれども、そのビルドもうまくいかなくなってしまいますので、お示しのようにしたいと思います。そうしなければやっていけないと思います。ただ、ダイヤの問題でございますので、何とか精力的に取り組みまして、改正時期としてはやはり二月一日までにやらなければぐあいが悪い。全国一斉でございますので、貨物の性質上そうならざるを得ないと考えております。
  75. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 お答えいたします。  国鉄貨物の現状にかんがみまして、貨物輸送合理化を推進することがぜひとも必要と考えております。しかし、その実施に当たりましては、関係事業者の理解と協力が必要であると考えており、国鉄に対しましてもそのようなことをよく配慮するように対処してもらいたいということで指導してまいりたいと思っております。
  76. 野坂浩賢

    野坂委員 労働省の方には、来ていただいておりますが時間が経過しましたので失礼をいたします。  私は最後に、この五九・二貨物合理化問題については、十分国民の合意を得ないままにやった場合に、国鉄には重大な問題が惹起してくるだろう。七千七百万というようなことはただ単に机上の空論にすぎないという結果が生まれてくるということを危惧いたします。したがいまして、十分慎重に対応し、運賃やその他すべて皆さんが理解できるような一覧表を提示し議論を起こさない限り、二月延期論というものを十分御勘案いただきますように、運輸省、国鉄当局に要望して質問を終わります。ありがとうございました。
  77. 原田憲

  78. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私は、限られた時間ですので、これから労使関係について若干お伺い申し上げますが、ひとつ端的にお答えをお願いしたいと思います。  まずその第一点は、管理者に対する優遇措置と申しますか、俗に言われておるやみ手当と称せられるものについてでございますが、昨年の十二月二十三日、国鉄の一般職員は年末手当を〇・〇六カ月分削減されて支給されたわけでございます。ところが、この日に管理者には別の封筒に入ったいわゆる管理職特別加算額と称するものが支給されたということでございます。しかもそれには、職場規律の確立、各種合理化事業の推進等の理由で支給するから、年度末に向けて引き続き奮闘せよという趣旨のことが記され、それが同封されておったのでございます。  こういう管理職特別加算額というようなものは一体どういう法律、規則に基づいて支払われたのでしょうか。また、その対象となり得る範囲というのはどこまでがその対象になっていくのか、また、その人員はどのくらいになるものか、並びにその中で支給された人たちはどれだけいるのか、そういうことを明らかにしていただきたいと思います。そしてさらに、支給された総額と個人の最高額及び最低額について明らかにしていただきたいと思います。  以上です。
  79. 三坂健康

    ○三坂説明員 お答えいたします。  管理職特別加算額と申しますのは、管理職員給与基準規程に定めております管理職手当の一種でございまして、管理職員給与基準規程では固定部分の管理職手当を定め、この特別加算額と申します流動部分のものは総裁の通達でもって支給をいたしております。  これは沿革的に申しますと、昔、現場長には現場長手当がございまして、助役さんには超過勤務という制度があったわけでございますが、管理監督の地位にある者がふぞろいであるという労働省の勧告がございまして、現場の管理的地位にある者の責任及びその超過勤務の変形といたしまして管理職手当を定めたわけでありまして、そのような超過勤務の変形でございますので、業務の繁閑あるいは災害、事故等の復旧に応じまして随時支給できるように、可動部分として管理職特別加算額を決めたわけでありまして、管理局によりましては夏と冬というふうな時期に支給しておるのでございます。したがいまして、対象は現場管理者でございまして、これは約三万三千名おります。この特別加算額は約六カ月くらいの業績に応じて払うわけでありますが、その支給対象は約半分くらいの人間にするようにという指導をいたしておりますので、六カ月ごとに受ける者は約半数、約一万六千名程度がその対象になるわけでございます。  それから、お尋ねのございました支給額の最高、最低は、現状では最高が三万円、最低が一万円でございます。  以上でございます。
  80. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは超過勤務手当の代償としてこういう制度に切りかえたと言うが、このいわゆる可動部分ということは、つまりだれの裁量で自由に支払ったりあるいは支払わなかったりできるのですか。
  81. 三坂健康

    ○三坂説明員 先ほど申し上げました総裁の通達によりまして、所属長と申しまして管理局長等にその権限が与えてございます。
  82. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そうすると、この可動部分というのは予算措置ではどういうふうにとられるわけですか。つまり、たとえば新潟管理局とか仙台管理局とか、そういう局ごとに違った場合、その割り当てというのは、公平に人数割りとか何かでやられるのですか。
  83. 三坂健康

    ○三坂説明員 先ほど申し上げましたように、現業管理職の約半数をめどに、それぞれの管理局長に支給させるようにいたしておりますので、管理局ごとに変動はないと考えております。
  84. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、このねらいはどういうねらいなんでしょうか。超過勤務手当をやめてこの特別加算額という制度に切りかえたそのねらいというのは何でしょうか。
  85. 三坂健康

    ○三坂説明員 先ほども申し上げましたように、助役の中には超過勤務を受ける者と受けない者が四十年当初ございまして、それでは扱いがふぞろいであるという労働省の勧告によりまして、管理者にふさわしい管理職手当をつくったわけでありますが、超過勤務というものは業務の繁閑に応じて量が変動するものでございますので、それに見合うものとして可動部分をつくったわけでございます。したがいまして、その中身はやはり助役さんたちの繁忙の度合い、御苦労の度合いに応じて支給したいという、ねらいはそのような考え方でやっておるわけでございます。
  86. 渡部行雄

    渡部(行)委員 超過勤務手当というのはもともと労働時間に対して、労働量に対して支払われる賃金の一部でございますよ。それを管理職という特別の者に対して、しかもこの中には合理化に協力し云々と書かれておるわけですね。これは何も超過勤務とは全然無関係の問題が要素に入っているわけで、ちょっとおかしいんじゃないですか。この関連はどういうふうになっているんですか。
  87. 三坂健康

    ○三坂説明員 現場の管理職が日々の業務を遂行する上でいろいろその御苦労があるわけでございますが、それは先ほど申しましたように、業務の波動もございますし、災害、事故等の場合もございますし、あるいは合理化を消化するために大変遅くまで働く、あるいはその職場秩序を維持するために非常に遅くまで働くというようなことがございますわけで、それらに応じてこの特別加算額を支給しておるわけでございます。
  88. 渡部行雄

    渡部(行)委員 あなたの答弁は答弁になってないじゃないですか。私は、管理職手当といまの加算額制度の関連性を言っているんですよ。あなたの答弁というのは、業務によっていろいろ大変なところもあるという、これは一方的な管理者の判断によるものでしょう。超過勤務というのは、これは管理者の判断によらないで、本人がどれだけよけいに働いたかというその超過した労働時間によって定められるのですよ。これとこれがどうして入れかわることができるのでしょうか、異質のものが。それを聞いているんですよ。どういう論理に基づいてそういう入れかえができるのかということなんですよ。
  89. 三坂健康

    ○三坂説明員 先ほど来申し上げておりますように、助役さんの超過勤務というのがその扱いがふぞろいであるということで、現場長手当と同様な管理職手当ということに切りかえて、助役さんはどのような超過勤務の事態があっても今後は無定量の勤務に服していただく。そのかわり、それに相応する管理職手当並びに特別加算額を定めたという趣旨でございます。
  90. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは、つまり職務態度を向上させあるいは国鉄の管理に対して意欲を誘導する、そういうねらいでやったんじゃないんでしょうか。
  91. 三坂健康

    ○三坂説明員 助役さんの現場におけるお仕事はいろいろ御苦労があるわけでございまして、先ほど来申しておりますように、輸送の波動でありますとか、災害、事故の復旧でありますとか、そのようなときには非常な御苦労があるわけでございます。そういう御苦労に対して管理職手当並びに特別加算額を支払っておるわけでございます。
  92. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どうも答弁が非常に的を射ていないというか、私の聞いている本筋をずらしたことばかり言ってもだめですよ。  超過勤務手当のかわりでやるならば、それ相応に時間外の仕事がこういうふうにあったとか、何かがあって、それにかわってしかるべきだという論理があるならば納得できるけれども、しかしその管理職の職務が重要だ、あるいは大変な仕事の場合もある、そういうことは、この超過勤務手当は一つの物差しではかられる、その量を確定するのは客観的に確定できるけれども、この加算額というのはそういう物差しでははかれない。そこで管理者が見ておって、だれだれ助役はなるほどよく働いた、あのだれだれ助役の仕事は大変だ、そういう一方的な主観によって割り出す抽象的なものじゃないですか。
  93. 三坂健康

    ○三坂説明員 特別加算額は、やはり所属長がその助役さんの繁閑の度合い、その御苦労の度合いを判断をいたして払うわけでございますから、三万円をもらう人もおりますれば一万円をもらう人もおりますが、それらは所属長の裁量によって支払っておるわけでございます。
  94. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、それじゃそのことがどういう社会的反響、職場の中に影響を及ぼしているかということについて、私は客観的に新聞の記事を読んでみます。時間がありませんから主要部分だけを読みます。  これは管理職が言っていることですが、「こんなことでは再建への道はますます困難になる」とある管理者は言っているわけです。「こんなことでは」というのは、一部管理者だけにこういう手当が支払われるということについての不満をこういう言葉であらわしているわけです。それじゃ、この国鉄関係のない部外者はどういうふうにこれを見ておるかと申しますと、「特別手当の支給にはびっくりしている。仙台市の商事会社のある管理者(五二)は「管理者の繁忙手当は管理者手当に含まれているのが通例。忙しかったから別袋なんて考えられない。そんなことをやってるから再建がおぼつかなくなるのだ」」、こういうふうに批判しておるのでございます。  職場の中でもだれも歓迎してない。そうして外部では、そんな管理職に別袋などという考え方はおかしいじゃないかとみんな客観的に言っている。しかも、これはどういう総裁の通達が出ているのか知らないけれども、そもそもこの賃金とか手当とかというものは公平に行われなければならない。その公平とは、主観的な判断ではなくて、客観的にだれもが理解できる公平さが要求されなければならないわけです。この支給されるお金だって、これは公金ですよ。国鉄から離れた瞬間には私のものになるけれども、離れるまでは公金なんですよ。公金の取り扱い方について私は余りにも問題があるのではないかと思いますが、この点について総裁から御答弁を願います。
  95. 高木養根

    高木説明員 給与の問題は非常にむずかしい問題でございます。現在の考え方は、管理者につきましては管理職手当が支払われる。本俸のほかに管理職手当が支払われる。現場のいわば単純労務に属します者につきましては、本俸のほかに超過勤務手当が払われる、これが大筋なわけでございますが、さて現場の助役さんについてどういう給与の形がよろしいかということについては、いろいろむずかしい問題があるわけでございまして、さればこそいま言われますように、かつての時代には就労時間を基準にして、助役さんにも、そういう現場中間管理者についても労務者と同じように時間だけで評価をするという方式での給与体系になっていたわけでございますが、いま労働省からの御注意があったという説明をしておりますけれども、恐らく当時国鉄自体の判断といたしましても、いわゆる純粋の管理者と労務者とのちょうど中間段階にあります助役さんについても、時間に対応するものと、それからそういうポジションに対応するものとに分かれていくべきだということで、いまのような特別給与方式になったものというふうに考えております。  それに対する批判は、それは確かにいろいろあろうかと存じます。なかなか支給がむずかしいわけでございまして、いまの三万円、二万円、一万円といったような段階も、一体適当かどうかというのはいろいろ問題があろうかと思うわけでございます。運用についてなかなかむずかしい点はございますけれども、現状はそう決まっておるわけで、いまそれについていろいろ批判があるとおっしゃいましたが、それはどんな制度でも批判は必ず伴うわけでございますが、私がいままで聞いておりますところでは、制度としていまのようなものでまずまず適当なのではないか。ただ、金額として、超過勤務の実態、助役さんというのは勤務時間が非常に長いものですから、その実態から離れておって、総金額で見ると恐らく超過勤務手当制度にした方が支払い額がふえるだろうと思いますけれども、そこは一定額ということで打ち切っておるわけでございまして、そうした問題で、むしろ金額が少ないのではないかという不満がそういう現場管理者にもあります。しかし、それは先頭に立って働いてもらうのだから、ほどほどにがまんしてもらいながらということでいまの額が決まっておるわけでございます。この問題は、いまの御批判とはまた別の角度からいいましてもいろいろ問題がありまして、何とかなるべく多数の人に受け入れられるような運用あるいは制度、金額の決め方にしてまいりたいとは考えておりますが、大筋、超過勤務手当で処理しない方式ということについては、やはりそれでよろしいのではないか、いま私はそう考えております。
  96. 渡部行雄

    渡部(行)委員 超過勤務手当を支払えば支出が非常に多くなる、だから赤字国鉄としてはそういうことはなるべくやめたい、しかし、現実に超過勤務をしておる者に全然構わないわけにはいかない、そこでこういう制度を設けたというけれども、それではみんなが納得するような基準をどういうふうにつくっておられるかということですよ。これは一方的にある管理者の判断でやられるように受けとめられて、しかも管理者の中にさえ、同じ助役でいながら一方はもらって片方はもらわない、そしてその差額は、一体何が基準でこういう差額ができているのだろうかというそこに疑問がわいてくる。こういう中で管理体制、管理秩序というものが維持できるでしょうか。  あなたは、何か仕事をすれば何でも批判がある、何というか、最初からそんなものは聞いていられないという姿勢じゃないでしょうか、そういい御答弁は。何でもあるのだから仕方がない、そんな批判は批判としておいて、私が考えることは正しいのだ、こんな思想でやっているから、国鉄赤字があれほど大きくなってもその責任の所在がさっぱり明確になっていないじゃないですか。この辺は一体どういうふうにお考えですか。
  97. 高木養根

    高木説明員 繰り返しになりますが、給与の問題というのは大変むずかしい問題でございます。どうやって公平を維持していくか、どうやれば当該の人々が働く気持ちを起こしていくだろうか、むずかしい問題でございまして、絶えず研究をし、取り組んでまいらなければならぬと考えております。私どもは、あるときは公式に、あるときは非公式に、諸君、どう思っているかねと言って聞いてみるわけでございまして、そういうことを通じて、絶えず大多数の人たちに受け入れられるような制度にしてまいらなければならぬと思っております。決していまのがベストだということはないと思います。しかし、それを先生の御指摘のように、そういう現場の中間職というものについて、超過勤務手当で整理をしていくということは適当でない。なかなかそういう職というのは、労働時間だけで評価できるものではないというふうに考えざるを得ないわけでございまして、そういう意味でいまのシステムが、運用のあり方、段階のっけ方、評価の仕方等には問題はありますけれども、超過勤務手当としては処理をしない基本は、私はそれでよろしいのではないか、繰り返しになりますが、そう考えております。
  98. 渡部行雄

    渡部(行)委員 本来は、超過勤務をした場合は超過勤務手当で処理すべきであって、超過勤務をしている現実を別な手当にすりかえるということは、給与体系のあり方として間違いであると私は思います。  それからもう一つは、管理職には管理職手当と管理職調整額、そして管理職特別加算額、こういう三つの方式がとられておるわけです。この三つの手当を全部もらう人もおると思いますが、そういうふうになっていくと、ある者は超過勤務した以上に手当を受け取り、ある者は超過勤務以下の手当を受け取る、ある者は全然受け取らない、こういう現象が出るのではないでしょうか。
  99. 三坂健康

    ○三坂説明員 先ほど申し上げましたように、管理職の特別加算額は現場管理職の半分でございますが、調整額と管理職手当は全員に出ております。したがいまして、その管理職調整額は八千円から一万二千円、管理職手当は三万二千円から四万九千円、加算額は先ほど申し上げましたように、三万、二万、一万でございます。これはそれぞれ制度が違いますので、だれがどれとどれをもらっておるかということはなかなか特定できないわけでありますが、たとえば管理職調整額と管理職手当を最高で両方とももらっておるという方がおれば、その最高額を足した六万一千円でありますし、その最低額を両方もらっておるというふうな場合は四万円になる。それから、加算額の方は半数でありますので、もらう人もあればもらわない人もあるということでございます。  アンバランスが生じるではないかということでありますが、むしろ民間企業ではボーナスその他に差をつけて、何らかのインセンティブを与えるということが通常であるように聞いております。私どももできるだけそのような手法を取り入れまして、働きがいのあるようなインセンティブにしたいということで、若干の差をつけて配分をいたしておるわけでございます。
  100. 渡部行雄

    渡部(行)委員 働きがいのあるようにしたいというお話ですが、それでは一般職員に対しては、いままで職務を一生懸命遂行するようにということで、年度末報労物資や記念品などが支給されて士気の高揚を図ってこられたわけですが、今度これが廃止されてしまったわけですね。これは論理的に全く予盾するのじゃないでしょうか。むしろ現場の助役よりも、一般職員の、直接働く人の方がはるかに重要だと私は思いますよ。そっちの方はみななくしてしまって、そうして今度、まるでお化粧の上にさらに飾り物を飾るようなかっこうで、普通の人が聞いたら、こんな三つもの項目で管理職に手当をやるというようなことは想像できないのです。どうしてこういう一般職員との間に差をつけたのでしょうか。
  101. 高木養根

    高木説明員 現状におきまして、ごく一部の職員にどうも社会的批判を受けるようなことがあるということのために、また、経営全体が赤字であることのために、国鉄職員について給与格差問題あるいはボーナスについての格差問題ということが非常に広く論議されていることを、私は大変困ったことだというふうに思っております。いろいろ問題はありますけれども職員は一生懸命やってくれておりますので、何とかして給与については最大限の御理解を得たいと思っておるわけでございますが、昨年の年度末手当以後いろいろな問題が起こってきて、それが実現しないということで、多少とも給与が抑制ぎみになっているということについては、いまの管理職手当は全く別の問題として非常に重要な問題だと思っておりますが、私の力至らざるところでございます。五十六年、五十七年といささか抑制ぎみに進んでおるということを大変残念に思いますと同時に、私の力至らざる点につきまして、職員の諸君にまことに申しわけないといいますか、私が私の職責を果たし得ない状態にあることを残念に思っておるわけでございます。  報労物資は全然別の問題でございまして、報労物資というのは、戦時中あるいは戦後物不足の時代に、何らかの方法で一種の給与の補てんというような意味も含めて行われたわけでございますけれども、いまや報労物資余り職員にも喜ばれませんような事態になりましたのでやめたわけでございます。また、管理職手当の問題は管理職手当の問題として、御指摘ではありますが、私は、いまの管理職手当で十分かどうか、いささかこの点についてももっと配慮しなければならぬのではないかと考えておるわけでございまして、管理職と一般労務職との間ではやはり給与の形は違った方がよろしいというのが基本的な私の考え方でございます。
  102. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは、時間がありませんから先へ進みますが、一般職員のベースアップ分というのは昭和四十七年から今日まで約二倍になっているわけです。ところが、管理職手当は約三倍になっているわけですが、一体こういう点は不公平というふうに総裁の目には映らないでしょうか。そして、管理職と一般職とは、それは若干違いはあっても、基本的にはそれほどの違いを持たせてはならないと私は思うのです。国鉄がどんどん黒字になって、そうしてある大きな利潤を得ておるならば、その利潤の分配という形であるいは若干違った形がとられても、今日のような赤字体制の中では労使一体となって働いていく、そうして赤字克服に向かっていく、こういう姿勢が必要じゃないでしょうか。管理職と一般職が余りにも画然たる開きをもって、一体国鉄の一体化、労使一体化による再建なんということが果たしてできるでしょうか、その点についてお伺いします。
  103. 高木養根

    高木説明員 業績の悪い点については、それなりに役員、主要職員等について反映しなければならぬわけでございまして、御存じのように、私どもは現在赤字でございますけれどもボーナスをちょうだいをいたしております。ちょうだいはいたしておりますが、その金額は、専売、電電等と違いまして大体半分ということでこの何年もやってきておるわけでございます。また、そういう役員でない職員につきましても、ここ数年来給与改善率を抑制をいたしておるわけでございます。ただ、一般の現場の現場長あるいは助役といったような人たちに対して、どの程度に業績との関連を見るべきかということは、単純労務者ではありませんけれども、しかしいわば経営責任者という立場には置かれていないわけでございますから、それ相応に遇してあげなければいかぬのではないかというふうに思うわけでございます。その場合、駅長さんとかあるいは現場のいろいろな長という人たちと、それから純粋に現場で単純労務的な仕事をしている人たちとの位置づけは、何らかの基準による常識というものが出てくると思うのですけれども、助役さんというのは非常に中間的な立場にありまして、現場管理者ではありますけれども、しかし時と場合によっては相当実務的なこともしなければならぬということで、その位置づけをどっちに置くべきか、現場長に近づくべきか、一般職員に近づくべきか、むずかしいわけでございまして、それだけに中途半端というか、いろいろ御批判を受けるのはやむを得ないと思いますけれども、そういうものが別の給与体系であってよろしいのではないかということについては、何度も繰り返しますが、それでよろしいのではないか、単純に労働時間で評価すべきではないのではないかというふうに考えます。
  104. 渡部行雄

    渡部(行)委員 なるべく簡単にお願いします。
  105. 三坂健康

    ○三坂説明員 先ほど、一般職員の給与が昭和四十七年に比べて二倍ということでございましたが、当時八万七千円の給料が五十六年度で二十万三千円でございまして、二・三倍でございます。管理職手当も、特別加算額の方が一万円から三万円に上がっておりますので、三倍になったような感じを与えますが、固定部分が二万二千円から四万九千円に上がっておりまして二・二倍でございまして、全体としては一般職員の給与ベアの改定と同率の改定になっておると思います。
  106. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間がありませんから、次に移ります。——その前に、いまの国鉄赤字は、労使という立場で見た場合、どっちに主たる責任があるのでしょうか。
  107. 高木養根

    高木説明員 基本的には私の責任でございます。
  108. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、昨年の四月二十一日、郡山貨物ターミナル駅勤務の吉田氏と橋本氏の二人が出勤途中で、国道四号線のところでトラック同士が追突し、ホルマリン六百リットルが約百メートルに及んで流出して、そのために交通が不能になり、両名は四十四分おくれて出勤したわけですが、こういう不可抗力の出来事について、これを日本国有鉄道職員出務表等取扱手続の第六条で処理しないで、遅参扱いにして、それぞれ賃金カットをしたということなんです。しかも、他の職場の人たちは同じその事故でおくれて、たとえば信通区あるいは客貨車区、電力区、こういうところに勤務しておる人たちは賃金カットを全然受けないで、そしてターミナル駅勤務の二人だけが賃金カットを受けたという、こういうことが許されるでしょうか。同じ国鉄に働く人が同じ原因でおくれた場合には、それに対する処置も同一でなければならぬと私は思うのでありますが、国鉄のやることが皆ばらばらであるということは一体どういうことなんですか。
  109. 三坂健康

    ○三坂説明員 おっしゃるとおりの事実、私どもも調べておりまして、道路が事故によりまして出勤できなかったというケースがあるようでございますが、私どもはこのような場合はノーワーク・ノーペイの原則でございまして、おくれてきた分は賃金を払わないということになっております。ただ、就業規則では天変地災その他不可抗力の場合、あるいは列車の運行等でどうしても間に合わなかった、いわゆる公共的な輸送機関、あらかじめダイヤが定められているものを利用して乗った場合に、事故等で出勤できなかったという場合には、所属長の裁量でそれは有給でよろしいということにしておりますが、マイカー等で出勤された場合は、そのようなことを予測すべきであったという考え方に基づきまして、それは欠務といいますか、遅参あるいは否認で処理いたしまして賃金が払われないわけであります。したがいまして、払った地区がたとえば客貨車区にあったというふうに私どもも調べてわかっておりますが、これはやはり間違いでございまして、このようなことのないように指導いたしたいと思っております。
  110. 渡部行雄

    渡部(行)委員 いやいや私は国鉄の冷酷さに驚きますね。あなた、どうしてトラックの追突が未然に予測できますか。そんな人間どこにおりますか。それほど予見力を持っておるのはまるで占い師以上ですよ。そういうことを条件にして払わないことばかり考えているから国鉄が本当に一致しないのです、団結しないのです。こんなことで赤字解消できますか。だから今度の臨調であのような答申を受けて、まさに民間に分割して売り渡すようなかっこうにいま追い詰められているのじゃないですか。もう少し責任を感じてくださいよ。皆労働者の責任にして、そういう予測できない事故に対してまでおくれた者は片っ端から賃金をカットする。カットしないのが悪いという理屈がどこにありますか。ほかの職場でカットしなかったならば、カットしたところをあなたの方はカットしないようにしなさいと指導するのが愛情ある管理者の態度じゃないのか。その点はどうですか。
  111. 高木養根

    高木説明員 この点も先生の御指摘とは全く違った考え方を持っております。私どもは何時から何時まで勤務してください、それに対してこういう俸給を払いますということを決めているわけでございます。ただ、例外的に自然災害が起こった場合と公共的輸送機関が遅延した場合等について一部の裁量が認められるということでございまして、本来ならば自家用車等で通勤することをどう考えるかということでございますが、これはそれぞれの職員の自由に任せておりますけれども、基本は公共輸送機関をもって勤務開始時間までにその場所に来て就労する、それに対して賃金を払う、こういう考え方をとっておるわけでございまして、それに対して公共輸送機関を使わないで通勤をして、いろいろな事情があろうかと思いますけれども、どういう事情であれ始業時間までに勤務につけなかったという場合は、仕事をしていないのですから払わないのがあたりまえでございまして、何か国鉄だけの特別な立て方というふうにお考えになりますことについては私どもは大変不思議に思うわけでございます。
  112. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私は、国鉄だけというふうに言ってはいないわけですよ。ただ、このあり方を、事実を指摘をしているだけですからね。しかも同じ国鉄が処分した者としない者とをどうしてつくるのかということですよ。同じ原因であってそういうばかなことがありますか。時間がありませんのでそのことが一つ。そのほか天災の場合もこういう実例がたくさんあるのです。会津の方は豪雪地帯です。郡山も、雪のないところに雪がふるとかえってトラブルが起きるのですよ。そういう場合におくれても一方ではカットされる、他方ではカットしない、管理者によって皆まちまちである。しかも国鉄の第一組合の方はカットされるのが多い。ところが鉄労の方はカットされない人が多い。こういう差別が現場にあるからいまのような問題が噴出しているのです。  それから、次には磐西線の運輸分会書記長の大滝信雄という人の問題ですが、これは地本指令二十一号によって、春闘の一環としてビラ張りをしたわけです。ところが、そのビラ張りについて、片っ端から張ったものを喜多方駅の助役がはがしていった。そのときにこの分会書記長は左足でビラを押さえてはがすなとやったところが、このビラをはがしておった助役が三十秒くらいたってから急に手を押さえて、痛い痛いとしゃがみ込んだ。そこに駅長と二、三の人が飛び込んできて、これは大変なことをした、おまえは暴行を働いたということですぐにこの実地検証などをされた。これは四月十八日の午前七時四十五分ごろに起きたものですが、それが四月二十五日にばっさりと解雇されてしまった。懲戒免職です。そうして今度、二十六日には刑事八人も張り込んで有無を言わせず逮捕したという事件ですが、この逮捕の経過や何かについてはこれから裁判で争われるわけですが、問題は、どうしてその助役が暴行を受けたという確認ができるのか。本当にそれがでっち上げでないと納得させるならば、なぜ組合の代表と立ち会って、けられたと自称する場所で、本当にけられて全治二週間のけががあったのかないのか確認するくらいの慎重さがあってしかるべきだと思う。ただ医師の診断書を——医師の診断書なんてわからないのですよ。この前の中川代議士の診断書のように何を書くかわからないのです。そういうものを出して、そしてそれがついているからといってばっさり有無を言わせずに首を切るということは一体どういうことでしょうか。労働者にとっては解雇というのは死刑と同じなんですよ。いま実際に殺人犯人だって死刑なんかめったにないじゃないですか。その死刑をやる。しかもけが一つしていない。わずかビラを足で押さえたくらいのものに公務執行妨害などといういろいろな文句をつけて、これをばっさりと首を切る。こういうことが恩情あるやり方と言えますか。本当に国鉄が真剣になって国民にこたえようとするならば、そういうものは内部問題としていろいろ処理の方法があると思うのです。もっと労働者を大事にしてください。  以上申し上げまして、お答えを要求いたします。これについてはなお運輸大臣も、指導監督の立場から、今日の国鉄状況について最後に一言お願いします。
  113. 三坂健康

    ○三坂説明員 お答え申し上げます。  確かに四月十八日に、助役がロッカー、休憩室入り口のビラをはいでおったときに、大滝職員が、何をやっているんだということで、やめろという大声とともに足で助役の左腕をけったというふうな報告を私どもは受けておりまして、これを当務駅長であります助役も現認しておりますし、駅長も現認をいたしております。お話がありましたように、お医者さんから二週間の診断も受けておりますし、本人も痛み等のため一週間自宅療養をいたしておりますので、私どもはこれは事実であると思っております。したがいまして、やはりこのような国鉄のあり方が厳しく批判されておるときでありますので、厳正な信賞必罰というのは、本人には気の毒ではありますが、やはり私どもとしてはやらざるを得ないというふうに考えた次第であります。
  114. 高木養根

    高木説明員 いろいろな現場でいろいろな事柄が起こるわけでございますが、少なくとも人をけがさせるということを起こす職員というのはどうも好ましくないわけでございまして、けがをしているということであればやはり非常に危険でありまして、現場の駅長以下ちゃんと仕事ができない状態になりますから、これを排除するのもまたやむを得ない処置であったかと思っておるわけでございます。
  115. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 国鉄が未曽有の財政危機と言われるときであり、この再建についてみんなが心配しているときでありますから、なおさら労使が協調し合ってやっていただきたい、それにもとったようなことは残念なことである、こう思っております。
  116. 渡部行雄

    渡部(行)委員 終わります。
  117. 原田憲

    原田委員長 午後一時三十分より再開することとし、休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ────◇─────     午後一時三十二分開議
  118. 原田憲

    原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  航空に関する件について、本日、日本航空株式会社代表取締役社長高木養根君、専務取締役野田親則君及び法務部長坂本昭雄君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 原田憲

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  120. 原田憲

    原田委員長 質疑を続行いたします。西中清君。
  121. 西中清

    ○西中委員 最初に、関西新国際空港問題についてお伺いをいたしたいと思います。  去る十三日の閣議におきまして、新空港の建設準備のための関係閣僚会議設置が決定されました。昨日ですか、第一回の会合を開かれたようでございます。この新しい閣僚会議設置という段階でございますけれども、いままでの運輸省の調査段階、こういった段階から建設準備の段階へ、このように踏み出したのではないかと考えておるわけでございますけれども、そのように考えていいのか、そしてまた、今回のこの設置はどのような評価をしておられるのか、まず最初に伺っておきたいと思います。
  122. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 閣僚会議をきのう初めてやりました。これは、皆さんの御声援もありましたが、関西新国際空港、二十四時間空港が必要だということで、財政困難のときでございますが、実行を含んだところの予算がついたわけであります。そこで政府部内において、これには関係閣僚会議をちゃんと開いて、それぞれの役所が持っておるものを閣僚の責任において御推進するということで、きのう初めての会合となったわけであります。いまからも問題が一つ一つ発展し、報告できるたびに、これを選んで御推進申し上げたい、こう思っております。
  123. 西中清

    ○西中委員 そこで、第一回の会合が開かれて、運輸大臣から御発言があったようでございますけれども、その内容はどうであったのか、お伺いをいたしておきたいと思います。
  124. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 ほかの閣僚からは、兵庫県とこの空港の問題がどんなふうになっておるか、こういうお話などもありました。私は、それに対しまして、予算編成期に兵庫県の、反対の意向を持っておった知事さんが来られて、関西新国際空港には反対じゃございません、なおしかし、自分の方で考えている物事があるからこれに御協力していただきたいということでありましたから、そういう感じでいまでも見守っておるところであります、こんなことをお答えしておきました。
  125. 西中清

    ○西中委員 兵庫県のことはそれとしまして、この閣僚会議の内容ですね。今後の運営等についてはどういうようなお考えをお話しになったのか、また、何か御意見があったのか、大臣としての御発言はどうであったのかを伺っておるわけでございます。
  126. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 お答え申し上げます。  昨日の会議におきまして、運輸大臣から関西国際空港の必要性並びに閣僚会議設置して政府の関係各省庁が一体となって取り組む体制をつくっていただいたことが大変時宜に適したことであるということについてのお礼を申し上げました。  今後の協議、調整の具体的事項につきましては、それは閣僚会議自体で十分に御相談をして決めていくべきであるということではございますけれども、運輸省としては、空港の規模あるいは位置、空港の立地に伴うアクセスを含む地域整備の問題、あるいは空港の建設管理主体といったような事項について御討議願えればありがたい、こういうようなことを大臣から冒頭にお願いを申し上げまして、最終的に官房長官が、会議の終わりに運輸大臣の御説明を了承するというようなことで締めくくりをつけられたというふうに、私陪席をいたしておりまして伺った次第でございます。
  127. 西中清

    ○西中委員 いま御報告をいただきました空港の位置、規模、アクセス、それから地域整備、事業主体、こういった問題、一つ一つ問題を抱えておるわけでありますけれども、この位置という意味でございますけれども、これはいわゆる四十九年の航空審議会の答申に基づく泉州沖、こういう点では、この閣僚会議は泉州沖という位置を前提として発足をしておるのかどうか、その辺はいかがでございましょうか。
  128. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 そのとおりでございます。
  129. 西中清

    ○西中委員 それから事業主体でございますけれども、この点については国にするのか公団にするのか、また第三セクターにするのか、いろいろ考えがあろうかと思いますが、閣僚の間での意見はまだまとまっておらないのか、それともまとまっておるのか。未決定であるというならば、大臣としては何が望ましいとお考えであるか、伺っておきたいと思います。
  130. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、今後の閣僚会議の中で議論されるべき議題といたしまして、事業主体の問題というのは大変大きな問題だというふうに考えております。ただ、きのうの第一回の会合におきましては、主としてこれまでの経緯あるいは現状についての御説明にとどまりまして、具体的な事業主体の中身についての議論というところまでは立ち入らなかったわけでございます。私ども運輸省といたしましては、今後五十九年度予算に向けまして、現在鋭意勉強、検討を進めておる段階でございまして、まだ最終的な結論を得るには至っておりません。
  131. 西中清

    ○西中委員 それでは閣僚会議は別といたしまして、この新空港建設に至るまでのいわばタイムスケジュールといいますか、どの時点までに決定を下し、そして着工するというような決定については、運輸省としての考え方もあるのではないかと私は思うのです。その点について改めてお伺いをしておきたいと思います。
  132. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 関西の国際空港関係閣僚会議設置されたわけでございますので、今後重要な問題についてこの閣僚会議にお諮りをし、御決定をいただいていくということは当然のことでございますけれども、私ども運輸省といたしましては、前々から申し上げておりますとおり、五十九年度に事業主体の設立を行わせていただいて、六十年度から本格的ないわゆる着工の段階に入りたいというふうに考えておる次第でございます。
  133. 西中清

    ○西中委員 その建設の最終決定を明確にする閣議決定というものが当然必要であると思うのですけれども、それはいつごろを目指してこれから作業されるか、お考えがあれば伺っておきたいと思います。
  134. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 この閣議決定の日取りにつきまして、私どもといたしましていつごろということを申し上げるのはなかなかむずかしゅうございます。それこそまさしく関係閣僚会議で御討議いただいたことが一つのまとまった形になった段階で閣議決定という形をとるわけでございますので、いつごろということを私から御答弁することは控えさせていただきたいと思っております。
  135. 西中清

    ○西中委員 先ほどもちょっと大臣からお話が出ておりましたけれども、運輸省の示しました三点セットについて、兵庫県の方では回答がないようでございます。建設の前提としては当然地元の合意が必要ということでございますから、大阪府や和歌山県、そして兵庫県、この辺の考え方、意向というものは一体どういう形にいまなっておるのか、もう一歩詳しくお伺いしておきたいと思います。
  136. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 まず関係府県のうち、大阪府につきましては昨年の七月に三点セットに対する合意の回答をいただき、和歌山県につきましては昨年八月に同じく合意の回答がいただけたわけでございますが、残念ながら兵庫県につきましてはまだ正式の回答はいただいておりません。兵庫県はなお運輸省の考え方について疑問の点が残っておるという言い方をされておりますので、私どもといたしましては昨年の、予算の時期に兵庫県とも十分お話し合いをしたわけでございますが、残念ながら正式回答は予算までにはいただくことができませんでした。年が改まりましてことしになりましてから、すでに十回程度兵庫県の事務当局と話し合いをいたしておるわけでございます。なお現時点に至るまで明確な御同意がいただける段階まで来ておりませんけれども、私どもといたしましては、先生御指摘のように、地元の理解と協力というものが何よりも必要だと考えておりますので、今後とも兵庫県との間で十分意思の疎通を図って、できるだけ早く正式な回答がいただけるように、今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。
  137. 西中清

    ○西中委員 ただいま御説明の中で、兵庫県側の運輸省に対する疑問というようなお話が出ておりましたけれども、でき得ましたならば具体的にどういう点が問題になっておるのか、お伺いしておきたいと思います。
  138. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 兵庫県側が言っておりますのは、主として伊丹の存廃問題でございまして、伊丹の存廃が決定されないで関西新空港についての同意をしろというのは非常にむずかしいというような言い方をされております。これに対しまして、私どもすでに関係府県なり現地の住民の方たちとの間のお約束がございまして、伊丹空港の存廃問題については、かねて地元から強い廃止の意見も出されたことがございます。そういうようなことも踏まえまして、今後十分各方面の検討をいたしまして、かつ地元の意見を十分に聞いた上で関西新空港の開港までの間にその存廃についての意思を明確にする、こういうお約束がございます。私ども、開港までにと申しましても何も開港直前にという意味ではございませんので、伊丹の存廃問題についての調査はできるだけ早く開始をする予定にいたしておりまして、今後その調査の進展あるいは地元の意見の聴取というようなことによりまして、伊丹の存廃問題についての考え方をはっきりさせていきたいというふうに考えております。
  139. 西中清

    ○西中委員 残余の問題があるのかどうかわかりませんけれども、大きな問題としてはやはりこの現大阪空港の存廃問題だろうと思います。これが大きなネックになっておるわけでございますが、御努力はよくわかるのですけれども、早くこれを解決することはやはり大きなポイントになると思うのです。運輸省としてはいつごろまでにその結論をつけたいとお考えか、伺っておきたいと思います。
  140. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、この伊丹の存廃の決定のためには、公害等調整委員会の調停事項にもございますが、各方面の、これは経済の面だけではなくて、そのほかいろいろな面の検討が必要であるということが指摘をされておりますので、私どもといたしましては先ほど御答弁申し上げましたとおり、できるだけ早く調査に着手をいたしたいと考えておりますが、この調査にはある程度の時日も必要でございますし、かつ関係地方公共団体の意見を十分尊重してというような調停事項にもなっておりますので、関係地方公共団体の意見の取りまとめということも、これまた兵庫県、大阪府にお願いしなければいけないということでございますので、現時点ではできるだけ早くやりたいという程度にしかお答えできない次第でございます。
  141. 西中清

    ○西中委員 この空港の建設は、財政を中心といたしまして地元の合意、また協力、さらには内外の航空事情、いろいろな重要な問題を抱えておるわけでございますが、建設に対しては地元の意見、それから環境の保全、安全対策、こういったことも十分配慮しながらやっていく必要がございます。いずれにしても積極的な御努力、推進方を要望しておきたいと思います。大臣、決意のほどを伺っておきたいと思います。
  142. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 成田空港の例を見ましても、ようやくにして開港したものの夜は飛べないというふうなこと、そしてまた、いつも機動隊の諸君に守ってもらうような姿勢、これなどは明らかに私は失敗したと思っております。そういう失敗を二度と繰り返さないためにも、入念に持っている問題の所在を確かめて、理解をしていただくというところに重点を置いていままでやってまいりましたし、いまから先も、財政困難のときに世界に開かれた関西国際空港ということでございますから、一層効用性というものを上げるためにもみんなで協力し合う必要が一つ。もう一つは、みんなで自分の持っている知恵、力というものを出し合うことが一番早く空港を完成させるゆえんじゃなかろうかという感じで、運輸省としますとことし四十億という実行を兼ねたあれだけの予算が各界の応援でとれたことですから、これを大事にしてそれを推し進めよう、こういう熱意をもって進んでまいります。
  143. 西中清

    ○西中委員 次に、国鉄監理委員会の問題についてちょっと伺っておきたいと思います。  法案も成立をいたしましたことでございますが、一番のかぎを握っておるのは、監理委員会の人選ということがこの成否について大きな影響を及ぼすと思います。その点で、運輸省としてもその人選に御努力をいただいているようでありますけれども、今日までのこの委員会の人選作業はどういうようになっておるのか、伺っておきたいと思います。
  144. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 委員の人選につきましては、現在関係先への打診も含めまして、鋭意その選考、検討を進めておる段階でございます。
  145. 西中清

    ○西中委員 努力をいただいておると思いますけれども、なかなかむずかしい問題もあるようでございますが、新聞報道では臨調第三部会長の亀井さんが候補に挙がっており、交渉もされておるということでございますが、その後進展はございましたでしょうか、伺っておきたいと思います。
  146. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 西中さんが挙げられたその御本人にきのう私お目にかかりましたが、それは何さま大事業中の大事業ですから、熱意はあってもいざとなるとなかなか大変だというふうな御心配があるようでございまして、どういう形でか御理解を得たい、こう考えております。
  147. 西中清

    ○西中委員 せいぜいの御努力を要望いたしておきます。  そこで、話は若干変わりますけれども、こうしていよいよ再建に向かって本格的に第一歩をしるしていくわけでありますけれども、再建の第一条件というのは、当事者である国鉄の労使が一体となって努力を重ねていくということが非常に重要な問題だろうと思います。この点については委員会でも何回も指摘をされておるところでありますし、また、当局もそれなりに御努力をいただいておると思います。しかし、現状はなかなかしっくりいっておらないというのが実情ではないだろうかというように私たちは考えておるわけでございます。  一つの例でありますけれども職員合理化計画等につきまして、当局側からいろいろ決定される以前に労働組合側に提示をし、そして十分説明をする、こういうような手順がどうももう一つ徹底しておらないというか、行き届いた形にはなっておらないというようなことを聞いておるわけでございます。これは一方的な言い分かもしれませんけれども、組合側の言い方によると、こうした合理化案について当初いろいろ折衝を始める、その段階においてはとかく話が抽象的で、具体的な中身については知らされない、そういう段階で新聞報道では具体的な数字が出てくるというようなことが、これはいろいろ行き違いもあるのだろうと思いますけれども、新聞報道で初めて内容を知らされるというようなケースもあるというように言っておるわけなんです。こういう点で、これはどちらも国鉄という一つの企業の中での身内の問題でございますから、疑心暗鬼であるとか意思の疎通が十分でない、こういう状況であっては相ならぬと思うわけです。したがって、労使ともにいままでの行きがかり等を捨てて、どこまでも歩み寄るという姿勢で協調性を求めていくということが非常に重要な問題だろうと私は思います。その点について、どうももう一つしっくりしない点が、誤解も含めてあるのだろうと思いますけれども、残っておるようでございますので、こういった点はいままで以上に一層緊密な話し合い、協力関係というものをつくっていく努力が必要だと思いますので、今後の対応をどういうようにしていかれるか、国鉄の方にお伺いをしておきたいと思います。
  148. 三坂健康

    ○三坂説明員 お答えいたします。  先生おっしゃるとおり、国鉄再建のためには労働組合の協力を得ることが最も大事であることは申すまでもないことでありまして、職場規律の改善合理化等につきまして、できるだけ労使が心を合わせてやってまいりたいというふうに考えております。以前には、たとえば国労との間におきましても再建問題を協議する場がございまして、その合理化数に同意は得られないにしましても、三十五万人体制を達していく場合には、年次ごとに各年次何万何千人の合理化数をわれわれは考えておるというふうなことを、数字でもって説明をする場があったわけでございますが、先生おっしゃいますように、若干のあつれきがございまして、現在再建懇が持たれておらぬ状況でございます。しかしながら、われわれはできるだけ事前協議の場を持ちまして、たとえば来年二月の貨物ダイヤ改正についてはこのような考え方を持っておる、また、その際に予定される要員合理化数はほぼ二万人強と考えておるという程度説明をいたしまして、できるだけ理解を求めるように努めておる所存でございます。しかしながら、やはりプレスが方々で取材をいたしまして、自分たちの取材した成果あるいは憶測をも加えまして相当な数字を明確に打ち出す場合が間々ございます。私どもはやはりその考え方を述べて、しかる後にそれぞれの管理局におきまして具体的な輸送量貨物ダイヤ等を詳細に調べまして、それによってそれぞれの管理局の駅で幾ら、機関区で幾ら、そして乗務員が幾ら浮いてくるかというものをつかんだ上で、改めて労働組合に、団体交渉の場に提示をいたすわけであります。その間におきまして、どうしても新聞等の数字の方が早く出るという御不満はあろうかと思いますが、これらの点は、やはり確実な数字を労働組合に御説明せざるを得ない立場もありますので、御理解をいただきたいと思います。しかし、いずれにしましても、おっしゃるように労使が心を合わせてやっていくということが非常に大事でございますので、あらゆる機会をつかまえてそのように努めてまいりたいと思っております。
  149. 西中清

    ○西中委員 マスコミがそういう動きをすることは当然あり得ることですから無理のない面もありますが、十分そのことも頭に入れて今後の運営を図っていただきたいと思います。  それから、監理委員会がこれから種々検討作業を進められるわけでありますけれども、当然各方面の意見の聴取等も行われると思います。そこで国鉄の意見も当然いろいろ聞かれると思いますし、その場合には労使にわたって意見を聞くということもやはり大事ではなかろうかと思うのです。当事者たる国鉄職員は当然いろいろな意見があると思うのです。そういう点では、組合側の意見、要望等も十分聞いてあげるという姿勢は、やはり監理委員会にも望ましい方向ではなかろうかと私は思っておるわけであります。いま国鉄の労使の間でもなかなかうまくいってない状況で、その辺のところは困難は伴うと思いますけれども監理委員会としてもやはりそういった点では十分配慮をしていただくことが大事だと私は思っておりますが、その点についてのお考えを伺っておきたいと思います。
  150. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ただいま御質問の件につきましては、基本的には監理委員会がスタートをいたしまして、監理委員会の運営の問題として決められることではございますけれども、おっしゃるように、国鉄問題というのは非常に重要な問題でございますし、その再建というのはやり方次第で関係方面に非常に大きな影響も与える問題であるという認識から見ますれば、監理委員会におきましては、当事者はもちろんのこと、当事者の中には当局も含まれましょうし、それから関係の組合も含まれましょうし、そういう当事者はもちろんのこと、関係する方面の御意見というものをできるだけ幅広く承りながら審議を進めていくということになるだろう、このように考えております。
  151. 西中清

    ○西中委員 十分な意見も聞かずに、一方的にこうこうしかじかの案ができ上がったということであれば、幾ら案ができ上がっても、経営形態をどう変えるかは別として、将来の経営、運営という点については大きな阻害が起こってくるわけでありますから、どうかひとつその点は十分留意をいただきたい、このように要望しておきます。  次に、国鉄の列車屎尿の処理問題について伺っておきたいと思います。  そこで、この問題が何年か予算をつけていただいてそれなりの実績を示してこられたと思うのですけれども、これまで、過去どのような予算で、具体的にはどのような実績が上がってきたのか、お伺いをしておきたいと思います。
  152. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 この列車便所の処理の問題でございますが、これは四十四年以来工事にかかっておりますが、最近の五十三年度以降の数字を申し上げますと、これは車両についております便所から汚物を抜きまして、それを処理して下水道あるいは河川に放流するためにつくる、主として基地の中に設けます地上設備の工事費でございますが、五十三年度予算では四十億七千万、これに対しまして決算は三十五億七千万。五十四年度で申し上げますと、三十五億に対しまして三十三億一千万。五十五年度も予算上は三十五億でございます。決算が二十九億四千万。五十六年度、同じく三十五億の予算で三十四億七千万。五十七年度予算は三十五億でございますが、決算は大体予算に近いもので終わると思いますが、まだ正確につかんでおりませんので、正確な数字はもうしばらくお待ちいただきたいと思います。五十八年度の予算上は二十六億二千万というものを見ているわけでございます。このほかに車両を改造する金があるわけでございますが、これは五十三年以降十四億、十一億、あるいはそれ以降実態に合わせまして数億の金を使ってきております。  以上でございます。
  153. 西中清

    ○西中委員 この屎尿処理の基地でございますけれども、今日まで使用されておる基地、それから現在計画中の基地、これはどういう状況になっておりますか、伺っておきたいと思います。
  154. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 現在、基地として稼働しておりますところは、新幹線用の車両基地としては十三基地ございます。それから、在来線の車両用として二十三基地ございます。これらの基地で現在汚物の処理をいたしているわけでございますが、これは国鉄の全車両から発生いたします汚物の量の約七七%を処理している状況でございます。それで、現在工事中あるいは近く工事にかかるという計画が、いま進められている基地が約九基地ございまして、これができ上がりますと、全体として八四%ということになる見込みでございます。あと残りますものは、優等としては大部分処理ができるわけでございますが、いわゆるローカル列車といいますか、一般の列車、電車等についております便所の処理がこの段階でまだ残るわけでございます。そのような状況でございます。
  155. 西中清

    ○西中委員 現在工事中または計画中の基地、これは九基地と聞いておるわけでございますけれども、これは六十年度に完成を目指しておるということでございますが、これでもまだ一〇〇%の処理にはならぬわけですね。それはどれぐらい残っておるのか。そして、将来これをどういうように解決しようとされておるか、計画がありましたらば伺っておきたいと思います。
  156. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 私ども、このたれ流し状態というのは一刻も早く処置しなければいけないということで、現在まで列車についております便所の使用状況から見まして、最も使用頻度が高いのは、やはり長距離をお乗りいただくお客さんによって発生するものが多いわけでございます。したがいまして、特急あるいは寝台列車、それから急行等というものをまず優先処理できるようにということで基地の整備を進めてまいりました。  いま御説明を申し上げ、また、先生から御質問もございました現在計画中のものを含めてもなお一〇〇%に至らないわけでございますが、これは日本全国に配置しております普通の車両の便所が大部分でございますので、これらを、いまやっておりますような基地に相当の金を投じて、しかも車両をタンク方式に切りかえていくというには相当多額の工事費を要しますし、また、効率的に申し上げましても、いままでやってきたような効率のいい対策ということにもなかなかならないわけでございます。したがいまして、いま、将来に向かって考えておりますのは、現在すでにできております基地が利用できる一般車両、普通のローカル車両につきましてはなるべくその基地設備が使えるように持っていく。それから、車両の運用上どうしてもそういう配置にならないものがローカル列車としてはまだ大分残るわけでございますが、これらにつきましては、いままでの客車で言いますと一両に必ず便所が一カ所ついておるという状況でございますけれども、こういった便所の使用状況等も勘案いたしまして、一つにはサービス面も考えながら便所の数を減らしていきたいということで、現在までいろいろその点について検討もし、また、現に新製車両に当たりましては便所の数を何両かに一個にするというような形で、実態を考えながら減らしてきております。そして残りますそういった便所の処置につきましては、五十四年以来いろいろ研究、検討、いま施行を試みておりますが、このタンク方式のような金のかかるものじゃなくて、車上処理方式、カセット方式と言っておりますが、ある程度車上で処理いたしまして、そのカセットを基地において焼却する。それによってろ過した、しかも消毒した形で地上に落とすという形にいたしますと、タンク方式と同じように、いままでの汚物のたれ流し状態を排除することができるわけでございますので、それらにつきましていま東京と大阪で試行いたしておりますが、大体いい成果をおさめてきておりますので、将来一〇〇%に持っていくためには、こういったものをもう少し検討いたしまして、実施に持っていきたいということを考えているわけでございます。カセット方式ですと投資額が大体三分の一あるいは場所によってはもうちょっと安くなるかという感じでございます。
  157. 西中清

    ○西中委員 いずれにしても、この種の問題は、たびたび申し上げておりますように前時代的な問題が残されているという形じゃまずいわけでござざいます。どうか早い解決を要望しておきたいと思います。  次に、国鉄の財政が非常に厳しいので、新規の事業といいますか、複線電化等につきましての工事、こういったものは私どもも危惧をいたしておるわけでありますけれども、山陰本線の複線電化、福知山線の複線電化、それから奈良線の電化工事、それから今度第三セクターになりました宮古線の工事、こういった点につきまして、今日までの経過と五十八年度の計画、それからこれからの見通し等についてそれぞれお伺いをしておきたいと思います。
  158. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいまお話のございました山陰線京都口の複線電化、それから福知山線、山陰線にまたがります複線電化、それから奈良線の電化工事、この三件について現在私どもで工事を実施中でございますので、私からお答え申し上げたいと思います。  国鉄の現在の状況、財政事情というのは先生承知のとおりでございまして、設備投資につきましても当面安全の投資に重点を置いて、東北新幹線の東京乗り入れというような緊急なものを除いては極力抑制するという方針が打ち出されておりまして、五十八年度予算でも御承知のように五十七年度に比べて三千三百億円の縮減をするという形で現在予算を執行中でございます。  私どもといたしましてはこの方針に沿って現在実施中でございますが、いま出ましたこの件名につきましてはいずれも前から計画し、現在継続実施中でございます。しかもこれらの件名は関西圏における都市交通を支える線路でございまして、鉄道の持つ特性一つであります大量輸送、都市圏内における輸送、そういった面で鉄道特性が十分発揮できる線というふうに私どもも判断いたしております。したがいまして、これらにつきましては極力進めていくわけでございますけれども、やはりいまのこの予算事情というものを当然考慮しながら進めざるを得ないのが実情でございまして、山陰線につきましてもあるいは福知山線につきましても、いままで考えておりました完成時期はこの予算事情によりましてずれ込まざるを得ないというのが実は偽らざる状況でございます。ただ、一時、ことし初めごろ工事を中断するような新聞記事が載ったことがございまして、地元の皆さん方から大変心配したお問い合わせも実は受けたわけでございますが、何せ三千三百億円の減というような大幅な工事費の減がありましたためにそういった憶測も出たかと思うのでありますが、現在、私どもといたしましては、貴重な工事資金でありますが、いずれもこの件名に予算をつけまして継続実施中でございます。  山陰線につきましては用地買収は現在約五〇%まで進んできております。工事としましては保津峡を抜けますところが一番難所でございますし、工期もかかります。現在そのトンネルに着手し、幾つかあります他のトンネルにつきましても準備工事を進めているという状況でございます。電化工事につきましても、このトンネルの工事が済みませんとできませんけれども、これにあわせて今後進めていくという状況でございます。  それから、福知山線の宝塚以北の線増電化でございますが、これは五十二年に大臣認可をいただきまして、すでに塚口—宝塚間は御承知のように五十六年四月に完成し、開業いたしておりますけれども、これ以北、篠山口までの複線化、城崎までの電化工事は現在継続実施中でございます。用地買収は大体半分ぐらい済んでおります。トンネル工事も宝塚から北に一部連檐する区間がございます。この工事は現在順調に進んでいるという状況でございます。電化工事も併行して進めているという状況であります。  それから、奈良線電化につきましては五十七年四月、昨年四月に運輸大臣の御認可をいただきまして現在工事中でございまして、これにつきましては何とか五十九年度中に開業までもっていきたいというつもりでやっております。五十八年度の予算はいま申し上げたことでございますが、五十九年度予算というのもまた編成がなかなか大変でございますので、その状況によりましてこれが最終的に決まっていくかというふうに考えております。
  159. 西中清

    ○西中委員 じゃ、終わります。
  160. 原田憲

    原田委員長 次に、小渕正義君。
  161. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私は、造船関係で、特に造船産業に対しまして去る四月十三日、運輸省は造船法第七条に基づいた操業調整勧告を行ったわけでありますが、これらの問題を中心に若干の質問をいたしたいと思います。  まず初めに、御承知のようにわが国は貿易立国でありますし、そういう意味海運、造船というのはわが国の重要な基幹産業であるわけであります。五十二年、五十三年の構造的な世界的造船不況の中で、設備の四〇%削減という形の中でこれらを切り抜けておるわけでありますが、依然として全世界に占める建造量としては二分の一をはるかに占めるようなシェアを持つ能力を持っているわけでありますが、そういう状況の中で、五十七年、五十八年とまた、世界の新造船需要の停滞等のいろいろな関係から不況が再来しているような状況に置かれているわけでありますが、去る四月十三日、運輸省が造船法第七条に基づく操業調整勧告を行われたわけであります。この勧告を行われた一連の背景と、あわせてそのねらい、また、具体的なその勧告の内容、そういうものにつきまして概括的な御説明をいただきたいと思います。
  162. 野口節

    ○野口政府委員 先生いまお話がございましたように、わが国の造船業はさきの不況から徐々に回復してきておったわけでございますけれども、ここに至りまして世界景気の停滞とかあるいはエネルギー節約の進展、そういうものがございまして、再び大変厳しい状態に戻ってきております。そういう情勢でございましたので、私どもといたしましては当面どういう対策を講ずるべきかという点で海運造船合理化審議会の御検討をお願いしておったわけでございますが、三月に至りまして海運造船合理化審議会から、こういう厳しい情勢に対応するために、低操業体制下における経営とかあるいは雇用の安定化を図る、それから一面におきましては国際経済摩擦を防止する、そういう観点から適切な操業調整を行うべきである、こういうような御意見をいただいたわけでございます。それに基づきまして、いまお話がございましたように、運輸省といたしましては四月に主要造船三十三社に対しまして、五十八年度及び五十九年度の操業上限を指示する形での勧告を行ったわけでございます。  各社別の操業限度量、これは各社別に出すものでありまして、造船界全体に出すわけではございませんが、たまたま各社別に出しましたものを合計いたしますと、標準貨物船に換算いたしまして五十八年度四百四十一万トンでございます。これは設備能力比にいたしますと約七四%に相当いたします。それから五十九年度は四百六万トン、これは設備能力比にいたしまして六八%になりますが、こういう量を限度として勧告をいたしたわけでございます。
  163. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いまのお話では、造船合理化審議会の答申に沿って操業量調整を行う必要があるということで、各社別といいますか、全体的な数字の上限が示されたわけでありますが、こういった操業短縮の上限を定めました考え方といいますか、このような数字をどのような考え方の中で設定したのか、操業度短縮の上限の数字をこのあたりに抑えた根拠といいますか、何かそういう考え方がございましたならばもう少し明らかにしていただきたいと思います。
  164. 野口節

    ○野口政府委員 各社別に勧告をいたしました数字につきましては、独占禁止法との関係もありまして、いまのところ公表しないことにしておりますが、操業限度量をどういう考え方で決めたかという点について御説明させていただきたいと思います。  まず最初に、全体としてこれはどの程度に抑えるべきかという点につきましては、これも先ほど話をいたしました海運造船合理化審議会というところで、今後の船舶建造に関する需要見通しというものをつくりまして、それをベースにしてございます。各社別のものにつきましては、昭和五十六年度、これは各社の操業状態につきまして、さきの不況からやや立ち直りかけて一応安定的になったかなと、こういうふうに見られておる年度でございますが、その昭和五十六年度の各社別の操業量、それから建造量というものに、さきに行いました設備削減関係で各社の設備がばらばらになっておりますので、全体の中で各社の設備がどの程度の比率を占めておるかというのを計算いたしまして、その二つを掛け合わせたものをベースにして各社の操業限度量を決める、こういう計算をやっております。
  165. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 そうすると、いまのお話からいきますと、その基本といいますか、根底に流れている考え方は、要するに需要見通しがどの程度あるか、それが一つの大きな目安といいますか、そういうものを一つのベースにしながら、各社の五十六年度の操業状況、設備の稼働比率ですか、そういうものとの兼ね合いの中で決めたということでありますが、需要見通しを予測することはなかなかむずかしいとは思いますが、そういう点からいきますと五十八年度、五十九年度の全体としての需要見通しをどの程度に考えられておられるのか、その具体的な数字があればひとつお示しいただきたいと思います。
  166. 野口節

    ○野口政府委員 海運造船合理化審議会が出しました需要予測でございますが、現在手元にありますのは外航船を対象にしてCGRTベースで計算したものでございますが、これでいきますと、五十八年四百十万、それから五十九年三百四十万ということでございまして、昭和六十年ぐらいをボトムにして、それ以後は少しずつ回復していくであろう。そうして六十三年ぐらいになりますと、先ほど申し上げました昭和五十六年度に近いような状態まで回復してくるのじゃないかというような需要予測になってございます。
  167. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 来年度は三百四十万トンですか、六十年がボトム、それから徐々に上昇傾向にあるということのようですが、そうしますと六十年以降については、一応六十年から上昇傾向にあるということから考えれば、大体この操業調整勧告といったものはこの二年間ぐらいで終わりにされるのじゃないかということで考えておっていいかどうか。もちろん需要予測というのは非常にむずかしゅうございますが、これは引き続き六十年、六十一年というふうにならざるを得ない方向に行くのかどうか、これはきわめて関心のある問題でございますが、そこらあたりなかなか予測しがたいと思いますが、当局としての御見解があればお示しいただきたいと思います。
  168. 野口節

    ○野口政府委員 いま先生からお話がございましたように、需要予測でございますので先行きの見通しは確たるところを申し上げられないわけでございますが、当面、六十年までは少なくとも需要予測として受注が低下していくであろうということで、五十八年、五十九年について操業限度量の上限を指示する勧告を行ったわけでございますが、この勧告につきましては、いまも申し上げましたように、五十八、五十九の二年間を単位にしてやっておりますので、五十八年度を終わる段階に至りまして、そのときの情勢を見ながら、もしなお必要であれば五十九、六十年度にわたる、もしそこでそれを続ける必要がないような情勢になればそこで終了させるというようなことで、もう少し先行きを見てみないと、現在の段階では確たるところは申し上げかねる状況でございます。
  169. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 あと一つ、いまのお話の中で考えられますが、五十八年度の状況、推移を見ながら、五十九年度はまた上限指定の考え方は場合によっては変更があり得るというふうに考えていいのかどうか、その点は現在ではどのようにお考えでございますか。
  170. 野口節

    ○野口政府委員 現段階の見通しに基づいて五十八、五十九年度の上限を勧告しておるわけでございますが、五十八年度を終わる段階に至りまして、そのときの情勢を見ながら、それを修正する必要があれば修正するし、そのまま続けてさらに五十九、六十年度を続ける必要があれば続けるということで、大変申しわけございませんけれども、いまのところ余り確たるところを申し上げられない状況ということでございます。
  171. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それでは、そういった現在の需要予測の中で最終的には操業調整の勧告が行われたわけでありますが、この操業度の調整についての勧告を行っただけで、だけでというのはちょっと語弊がありますが、これを行うことによって、ほかになおこういう操業度調整勧告をしたねらいといいますか、そういうものに各造船会社が対応できるような施策が具体的にはどういうようになるのか。ただもう運輸省としてはこの操業短縮、操業調整の勧告だけですべて事足れり、事足れりという言葉は悪いですが、何かそういうことで、それに付随して具体的にいろいろな手をどう打とうとされているのか、もしそういったものが、いろいろお考えがあればお示しいただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  172. 野口節

    ○野口政府委員 これは、操業限度量を指示する勧告というのも、現在のこういう困難な情勢に対応するための対策の一つでございまして、先ほど申し上げました海運造船合理化審議会の意見の中でもそのほかにいろいろな提言がございます。たとえば、建造需要を確保するために低利の資金、たとえば輸出入銀行あるいは開発銀行等の資金を指すことになるかと思いますが、そういう低利の資金を用意するとか、あるいは解撤の事業を行うとか、そのほか若干の指摘がございますので、そういう海運造船合理化審議会の御意見を踏まえながら必要なるほかの手段を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  173. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 まあ操業度調整という形で一つのこの危機を切り抜けられようということで指導なさっているわけでありますが、いまの造船界の現状から申し上げますならば、こういった新規需要が非常に逼迫しているという中で、船価が非常に、ボトムといいますか、五十五年、六年時の船価に比べるとかなり大きく下がってきつつあるということが言われているわけであります。そういう点からいきますならば、今回のこういう操業度調整によってある程度船価面において、いま非常に需要がないということから各社どんどん船価を切り下げる中で、何とか必死に生き残ろうとして操業量を確保しようとされている中で、そういういろいろな要因の中で船価がかなり下落したと言われているわけでありますが、そういったものを何とか防止し得るような調整能力、今回の勧告によってそういう効果も持ち得る、こういうふうにお考えになられておるかどうか、ちょっと質問がむずかしい面もありますが、その点率直なところの御見解をお聞きしたいと思います。
  174. 野口節

    ○野口政府委員 この操業限度量を指示した勧告は、先ほど申し上げましたように、目的としましては経営、雇用の安定あるいは国際貿易摩擦の回避というようなことでございますが、その後、こればかりでなく、いろいろほかの条件もありますので一概に申し上げかねると思いますが、いま私どもが見ております様子では、船価はやや下げどまったような傾向は見受けられるのではないかと思います。
  175. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 たまたま操業度調整というこういった状況と前後して、前後してといってもここ一カ月ぐらいからの状況ですが、三光汽船を中心にして、三万トンのバルクキャリアを中心とした大量発注という形で、急遽わが国の造船界に、一時的でありますが、各社が大量に受注するというような状況が発生しつつあるわけでありますし、あわせてこれらの状況と関連して、即連動したのかどうかわかりませんが、海外のメキシコまたは香港等、いろいろな海外船主の中にもそういった方向に連動したかのごとく商談がいろいろと生まれ、そういったものを含めてここ一、二カ月の間にわが国における造船界においては、かなりまた何とか一応の当面の受注量といいますか、建造量を確保したような報道がされているわけでありますが、これらの現象といいますか、こういった状況と操業度調整ということについての関係はどのようにお考えなのか。もう少し具体的に言えば、一応当面急激なこういう新しい動きが出て、大体操業度調整のところまでの仕事量はもう確保されたというような見方なのか、そういう動きはあったにしても、まだまだこういった操業度調整ということでこれはやはり当然考えなければならぬという問題なのか。そういう意味でこれは一時的な現象であるようでありますが、若干そういった海外船主の動きと兼ね合いますと、ここらあたりの最近の造船界のこういう動きというものを運輸省はどのようにお考えなのか、その点御見解があればお示しいただきたいと思います。
  176. 野口節

    ○野口政府委員 いま先生からお話がありましたように、ちょうどここ二、三カ月の間でありますけれども、大量の新造船の発注がございました。これを昭和五十八年三月末の手持ち工事量、これはすでに建造許可を出した船舶でございますが、これに仮に加えて試算をいたしてみますと、五十八年度操業度に対して約六〇%ちょっと、それから五十九年度で約三〇%ちょっとという数字になります。したがいまして、いままで受注が非常に少なくてきわめて困難な状態にあったときから比べれば、造船界においてやや余裕が感ぜられる状態にはなっておりますけれども、いま申し上げましたような数字でございますので、まだ操業量が十分に埋まったということにはなりませんので、今後とも相当真剣な受注活動を展開せざるを得ないのではないか、こういうふうに思っております。  また、全体として見ました場合に、これが一過性のものであるかどうかというお話でございますが、御案内のとおり、先ほども説明いたしましたけれども、世界的な景気の停滞とかエネルギー節約の進展とかで大変船腹が余ってございます。大きな過剰船腹がございますので、それが本格的な新造船発注に結びつくのにはまだ相当時間がかかるのではないか、こういうふうに考えられますので、当面なお厳しい事態が続くのではないかというふうに考えております。
  177. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今回のそういった現象が一過性なのかどうかということは、またもう少し情勢を見なければわからぬということでありましょうが、いろいろ見方はありましょうけれども、今回のこういった一つの現象が出たことの大きな要因の中には、船価がもう極端に落ち込んでしまった、そこに対する一つの、いまがそういう意味で一番何といいますか、タイミング的にそこらあたりをねらってこういった現象が出たのではないか、そういうような見方もいろいろされているわけであります。したがいまして、そういう意味では非常に——しかも今回この三光汽船を中心としたこれらの新しいそれぞれの商談はすべて、マスコミその他専門紙の報道するところによりますと、かなり安値受注ということで、従来の常識的な船価からは考えられないような二、三割安値の受注の中で、それぞれ各社かなり無理をしてこれらの仕事をそれぞれ受注した、こういうことが言われているわけであります。  したがいまして、そういう点でいきますならば、何といいますか、操業度調整を行うということの中でも、依然としてそういった経営の安定化という立場から見ますならば、仕事量は何とか確保しても、実際にはそれぞれ企業の中においてはかなり無理しているということから、企業基盤がかえって揺らぐような状況さえ発生するのではないかということを懸念するわけであります。そういう点で造船法の第七条を見ますならば、企業原価の適正化について、いろいろ具体的な運輸省としての指導を行うということがあるわけでありますが、そこらあたりとの兼ね合いで、こういった問題について運輸省としてはどのような指導、助言といいますか、今回のそういった一連の船価が物すごく切り下げられた中で受注合戦が行われているということについて、何らかもう少し指導があってよろしいのではないかという私なりの見方があるわけでありますが、第七条に言う企業原価の適正化ということについては、具体的に運輸省としてどのような指導を行われておるのか、その点についての内容をひとつお示しいただきたいと思います。
  178. 野口節

    ○野口政府委員 確かに需要が非常に低迷しておりますので、船価水準というのが低下傾向にございます。しかし、造船界は前回の不況のときに相当痛手をこうむっておりまして、造船界の中では、俗な言葉で申し上げますと、これ以上赤字負担をかぶってはとても体力的にもたないというような認識が広まってきております。そういうことから申し上げましても、確かに船価水準は下がってはおりますけれども、企業の経営基盤を損なうような状況で受注しているというふうには私どもは考えていないわけでございます。ただ、船価水準も下がり、仕事量も少なくなるということになりますと、全体としまして経営状況が不安定になりますし、雇用状況も不安定になるというふうなことから、先ほど御説明をいたしておりますように、そういうことを防止するということも大きな目的の一つとして今回の操業限度量を示した勧告を出したわけでございます。そういうことによって経営基盤の確立というようなことを側面的に支援しようということでございます。したがいまして、単刀直入に原価指導というようなことを行うのではなくて、間接的でございますけれども、業界自体がそういう適正なあるいは適当な船価水準を維持できるように側面的に支援するというのがいまの私どものやり方でございます。
  179. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 国際協調を維持していくという中で、OECDでいろいろ話し合われておりますが、その中で一般指導原則として特に節度ある受注というのが一つの大きな項目になっておるわけですね。こういう国際協調体制を維持していくための節度ある受注という角度から見た場合に、具体的に何らかの対策といいますか、指導というものが実際に運輸省として行われているのかどうか、先ほどの質問に若干重複する面がありますが、その点いかがでしょうか。
  180. 野口節

    ○野口政府委員 いまお話がありましたように、造船界におきましては国際協調というのが特に重要な問題でございます。不況とはいいながら、日本の造船界は世界の約半分を建造しておるわけでございますから、それ相応の責任というのか、そういう協調を保っていかなければいかぬというような姿勢を堅持していく必要があるわけでございます。そういうことから、いまお話がございましたように、長年にわたりましてOECDで西欧造船諸国等と話し合いを続けてきたわけでございまして、その話し合いの中で一般指導原則というものが採択されているわけでございます。わが国としましては、そういう一般指導原則というOECDで定められた提言を忠実に遵守していこうというふうに考えておるわけでございます。その一般指導原則の中にいろいろな項目がございますが、その一つにいまお話がございました節度ある受注、秩序ある操業というような趣旨のことが盛り込まれておりまして、そういうこともありまして今回操業限度量の上限を指示するような勧告を行ったわけでございます。確かに、これは企業活動でございますので、直接的に単刀直入に関与するというのはいかがかと思えますが、国際協調を維持するという観点から、間接的に業界に対して節度ある受注を促すという意味を込めてこの操業調整の勧告が行われているわけです。一番最初に、操業調整を勧告した目的は二つあるというふうに申し上げましたけれども一つは国際貿易摩擦の回避ということが非常に重要な柱になっているわけでございますが、その具体的な意味の中には、OECDの中で定められたこういう提言を忠実に守っていくんだというような姿勢が盛り込まれているわけでございます。
  181. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 わかりましたが、一つ具体的な例示でお尋ねいたします。  受注が非常に低迷する、そういうことになりますとどうしても過当競争に走り出していく傾向がややもするとありますね。そういうものを節度ある受注という形の中で、間接的ながらもいかに調整していくかということが私は監督官庁としての一つ役割りだろうと思うのであります。実は、残念なのですが、こういう状態の中でわが国の造船企業の中にも非常に、これは余り多くを言うわけにいかないのですが、最近わが国の造船界の一つの大きな脅威として、韓国を中心とした第三勢力があるわけであります。しかも韓国の場合には安い労働賃金という日本の造船界が太刀打ちできぬような、そういう韓国造船の持っている人的労働力をどんどん大きく使ってきわめて競争力が強いということで、大きな商談がほとんど韓国造船界にとられて負けたということで、韓国造船界のああいったあり方は非常に問題になっておりますが、それに類するような、場合によっては国際協調という面からいっても批判を受けるのじゃないかというような現象があるわけであります。  それは、わが国の一部企業の中におきまして、少なくとも賃金はそのままストップして、しかも就業時間だけは大幅にどんどん延長していく。現在、大手造船においては所定内の就業時間は平均年間約二千時間を割っていると思われるわけでありますが、私が申し上げるのは、そういう中において一部の中手造船では、わざわざ半週休二日制みたいなものはやめて、しかも一日労働時間は八時間ぎりぎり、土曜日なしという形、しかも賃金はそのままストップのままですから、賃金はストップしておって働く時間だけ年間で三百時間ぐらい多く働かされる、こういうシステムを採用といいますか導入しながら、何とかこういった業界の中で生き抜いていこうというような現象があらわれているわけでありまして、これはきわめて遺憾なことだと私は思うわけであります。こういったものが西欧諸国から見られるならば、そういう意味で日本は低賃金、長時間労働というのですか、そういう形の中でやっているんだという国際的非難も当然浴びかねないという感じがするわけであります。現在のところまだ造船業界全体にこういった問題は波及しないで、業界の良識がありまして、何とか一部の造船だけにこれがとどまっているようでありますが、こういった現象というものは、単なる操業調整ということだけではなしに、やはり国際協調、節度ある受注体制、いろいろとそういった角度から見て、運輸省としては、こういう傾向に対しては何らかの指導監督、助言、当然そういったものがあってしかるべきではないかと思うわけでありますが、この点についてどのようなお考えをお持ちなのか。まずこういった事態が発生しつつあるということを御承知なのかどうかということと、あわせて、いま私が申し上げましたような事態に対して監督官庁としてはどのような御見解をお持ちなのか、この点をお尋ねいたします。
  182. 野口節

    ○野口政府委員 先ほど来から御説明を申し上げておりますように、大変需給の不均衡がありまして、受注競争が激化しているということで、各企業ともいろいろ生産の合理化とか経営の多角化というようなことで、これを乗り切るために大変な努力をしておるわけでございます。ところが、いま先生からお話がございましたように、それに加えまして最近所定内労働時間の延長とか、週休二日制の廃止というようなことを行う事例が若干見られるようになってきたわけでございます。こういうことを間接的に防ぐためにも、私どもとしましては、全体としての操業量というものをある程度示す必要があるのではないかということで、昨年すでに全体に対して操業量に関するガイドラインというのをつくって業界に示したわけでございますが、その後事態がだんだん深刻になってまいりましたので、ことしの四月にそれをさらに一段進めまして、操業限度量を各社別に指示して操業調整を行うような勧告を行い、雇用の安定とか経営の安定というようなことを強く促してきているわけでございます。大変間接的でございますけれども、私どもとしましてはことしの四月にそういうきわめて強い措置をとっておりますので、しばらくその推移を見守らせていただきたい、こういうふうに考えております。
  183. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 操業量調整というのも確かにそういう措置の一つでありましょうけれども、それではいまのような現象に対してはきわめて微温的なやり方でありまして、そういうものが一つのベースになって操業量調整が外れた後の競争条件になったらどうなるか、そういうことを考えるならば、やはりこれはゆるがせにできない問題だと私は思います。そういった面については、運輸省としてももう少し厳しい態度で見ていただきたいと思います。  労働省お見えですね。——特に労働省は、週休二日制を昭和六十年度までに何とか定着させるという一つの方針に沿って指導されて今日まで来られたと思いますが、いま私が申し上げましたように、まさに逆行するようなそういうことを労働省としては把握しておったかどうかということと、あわせて、こういったものについては労働省の立場からも、運輸省という監督官庁とは別な労働行政の面からも、もう少し何らかの対策といいますか、方向があっていいのではないかという気がするのですが、その点はいかがでしょうか。
  184. 伊藤欣士

    ○伊藤説明員 ただいま先生からお話がございましたように、労働省といたしましては、従来から労働者の福祉の向上、また、国際協調等の観点から労働時間はできるだけ短くしたいということでいろいろ努力しているところでございますし、また、今後につきましては、かつてのような経済の高度成長がなかなか期待できないというような状況のもとにおきましては、雇用の維持確保というような点からもその一層の推進に努めなければならないというようなことで、鋭意努力しているところでございます。ただ、御指摘の例につきましては、実は業界の方からそういう事例があるということは伺ったわけでございますが、それぞれその産業であるとか個別の企業の事情等がございまして、いわゆる一般論ではなかなか論じられない面もあると思うわけでございます。  いずれにいたしましても、やはり賃金、労働時間といいますのは労働者にとっては非常に大きな労働条件でございますし、基本的に労使が十分に話し合っていただいて、いま交渉中ではあるというような事例もあるようでございますけれども、いずれにしても、労使が早急に円満な合意がなされるように御努力いただきたいというところでお願いしているところでございます。
  185. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 個別企業に対するいろいろ介入といいますか、勧告といいますか、そういったものは法的なもの以外はなかなかできないわけですからむずかしい問題はありましょうけれども、ただ、年間働く時間が三百時間もふえながら、しかも賃金はストップですから絶対ふえない。こういったあり方というのがいまのわが国の近代企業の経営の方式として許されるかどうか、そういう角度から、もう少し全体として、社会的なあり方としてそういう発想自体が考えられないような状況にいかにしむけていくかということで、やはり労働省は労働省なりにひとつぜひ対処していただきたいと思いますし、運輸省も運輸省として、業界の監督官庁という立場から、重大な関心を持ってひとつぜひ対処していただきたいと思います。  そこで最後になりましたが、先ほどいろいろ御説明いただきましたように、このような状況ですから、今国会で、新しい離職者臨時措置法、従来の特定不況業種、不況地域の離職者臨時措置法を一本化した新しい法律でいよいよ延長するということでありますが、当然その対象業種の中には、いま言う造船界の今日置かれておる状況からいって造船業は含まれると思いますが、その点に対する運輸省並びに労働省の御見解をお尋ねしたいと思います。
  186. 野口節

    ○野口政府委員 著しい需給の不均衡ということで、その中で経営の不安定化あるいは雇用の不安定化というようなことが懸念されるということから、それに対処するためということでこの操業調整を行ったわけでございまして、私どもといたしましては、失業の予防あるいはさらに進んで雇用の安定というようなことはきわめて重要な問題だと考えておりまして、操業調整の勧告を行ったということもございますので、いま先生のお話にございましたように雇用安定法の指定業種になるように、あるいはその他の必要な法律の手当てができるように、関係省庁と十分連絡をとって進めてまいりたい、こういうように考えております。
  187. 稲葉哲

    ○稲葉説明員 今国会で御審議いただいておりました特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法は、御成立いただきまして、昨日公布されたところでございます。  この法律に基づきます特定不況業種につきましては、構造的要因によって長期にわたって不況に陥って過剰供給能力があるということ、事業規模の縮小等を余儀なくされているということ、それから雇用量が相当程度に減少している、あるいは近く減少するおそれがある業種であること、こういう要件に合う業種について指定するというふうに法律上措置されているわけでございます。具体的にどの業種を対象業種とするかということにつきましては、今後中央職業安定審議会の方に具体的な業種あるいは地域の指定基準を諮問いたしまして、そこでいただきました御意見に沿いまして基準を作成し、それにのっとって具体的な業種の指定をいたすという運びになるわけでございます。  造船業につきましては、現行離職者法で対象業種になっておりますが、この業種につきましても、今後指定基準が作成された後におきまして、事業主管官庁である運輸省等ともよく打ち合わせをさせていただきまして、どのような対応をするか決定させていただきたいというふうに考えておりまして、現段階まだ指定基準も作成されておりませんので、具体的なことを申し上げる段階には至っておりません。
  188. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 最後に、ただいまの指定業種の基準が、新しい法律のもとではこれから決められるということでありますが、ひとつこの点ぜひ今回頭に入れて検討していただきたいと思いますのは、前回の特定不況業種関係の中で、造船業が修理、製造といった関係の中で入っておったわけですね。そういう入っている職種の中で、具体的に造船業の中における設計部門、造船の設計に関係する業種は、設計ということはサービス業という別の職種分類法によって、造船の設計をやっている設計業種が対象に入らない、こういう現象が実はずっと出ておるわけです。いやしくも現在の造船関係におきましては、設計部門のかなりの部分は関連下請企業あたりが、それを専門にやっている中小企業がかなり多うございます。そういう意味ではもろにそういう不況をかぶっているわけでありますが、ただ分類の仕方が違うがために、サービス業という形の中に入っているために、設計関係が指定業種のそういう造船の中で対象に入ってない、実はこういう矛盾といいますか、非常に不均衡な面が出ております。だから、ひとつその点は、今回次の新しいそういった指定をされる場合には、造船業というものの中におけるそれぞれの職種がどういうものかという中で、そういうものもあるということを十分頭に置いていただいて、一般設計じゃなしに、完全に造船の関係だけの設計をやっているという職種があるわけですから、そういうものは当然そういう中に入れてもらえるような意味で、ぜひ御検討いただきたいということを最後にお願いいたしたいと思います。  以上です。
  189. 稲葉哲

    ○稲葉説明員 先生いま御指摘の件でございますけれども、設計部門につきましては、同じ事業所において船舶製造の一過程として行われている場合とか、あるいは別の企業に委託している場合とか、いろいろな場合があるものと考えられるわけでございます。対象業種に該当するかどうかとか、あるいは下請事業所に該当するかどうか、下請事業所は実は特定不況業種の下請事業所であれば該当するということになっておりまして、そういう下請事業所に該当するかどうか、そういった具体的な事業あるいは雇用の実態に即して判断するということにしているわけでございます。したがって、具体的な事例でないと具体的な判断はいたしかねますけれども、一概に制度の対象にならないということは言えないのではなかろうか。むしろ造船所等の行います雇用調整に関しては、設計部門というのはその対象になる場合が多いのではなかろうか、こんなふうに考えている次第でございます。
  190. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 終わります。
  191. 原田憲

  192. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 本日は、高木参考人を初め参考人の皆さん方、大変お忙しい中を御足労いただきまして、どうも御苦労さまでございます。  私は、まず初めに、死者二十四人、重軽傷者百七名を出しました、昨年二月九日羽田沖日航DC8型墜落事故に関しての航空事故調査委員会の最終報告が出されましたので、それに関連をいたしまして幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに高木参考人にお願いをしたいと思うのですが、五月十六日NHKの「ニュースセンター九時」におきまして高木さんが、今度の最終報告が出されたのに際しまして、まず健康管理面で抜けている点があった、二番目としては、医師と乗員、乗員相互、ラインと職制の間で意思の疎通、相互理解が欠けていた、三番目の問題として、会社の体制にも抜けがあった、反省している、こういう意味の御発言がテレビの画面を通してなされたと思います。この御発言で、健康管理面の欠陥だとかあるいは相互理解の欠落だとか、それから会社の体制の欠陥、こういうものに対して反省をしておられるわけでございますけれども、この三つの問題につきまして何をどのように、いつまでにこれらの問題点を今回の事故に関連をして具体的に改正をしていこうとされているのか、内容と時期、それの会社側のお考えを具体的にまずお示し願いたい、このように思います。
  193. 高木養根

    高木参考人 お答え申し上げます。  ただいま四ッ谷先生御指摘ございました、まず第一に健康管理体制の問題でございますけれども、事故直後から、会社自身といたしまして、また、運輸大臣からも改善勧告等をいただきまして、そういう点も踏まえまして、制度的には考えられるあらゆる取り組みをしてきたつもりでございます。たとえば健康管理の面で申し上げますと、従来室の組織でありました乗務員の健康管理、これを部に格上げをいたしまして、たとえば配置しておる医師につきましても、大体半日でカバーされる業務を一つの単位ということで計算しておりますが、事故前は週に二十七単位でありましたものを、事故後逐次拡充をいたしまして、現在五十二単位と、ほぼ倍というところに拡充をいたしまして、たとえばそのうちでも神経科の医師につきましては、事故前は週に三単位であったものを事故後は十四単位、五倍近くに拡充するというようなこと、施設につきましても、たとえばスペースにつきましては事故前の約三倍に拡充する、設備もそれに従って拡充をするということもやってまいりましたし、それから、乗員の諸君が気楽に健康問題について相談ができますようにということで、先輩の機長、これを二名カウンセラーということで常時出勤をさせまして、気楽に健康相談ができるようにするとか、あるいは特に乗員の健康に関する問題での乗員としての資格に関するような問題を十分に、また公正に審議できますように、運航乗務員健康適正委員会というものを設けまして、医師及び運航の専門家を委員にいたしまして、ただいま申し上げましたようなことについて十分に、また公正に審議をし、決定をするというようなことも決めました。また、これから申し上げることにも関係があるのでございますけれども、乗務員の健康管理につきまして運営要領というものを定めまして、この運営要領によって各関連部門間で管理に落ちがなく行われるようにしたというようなことがございます。  また、会社の組織の問題につきまして、特に乗員の組織につきまして従来とも機種別の乗員部というものを私どもで持っておるわけでございますが、各乗員部の中に路線室というものがございまして、事故前は、多い場合には一路線室に所属する乗員が二百名を超えるということがありまして、なかなか管理の面で十分でないというようなことも反省いたしまして、この路線室については最高百名ということで路線室をふやし、したがって路線室長をより多く任命するというようなこともやり、また同時に、この路線室の中にグループ制度というのをはっきり決めまして、グループリーダーというものをつくりました。このグループの構成としてはまず二十名というのを基準にいたしまして、グループリーダーが十分にお互いの間の意思疎通、相互理解が深められるように、先ほども御指摘がございましたように、私あのテレビの録画の場でも、医師と乗員、乗員相互間あるいはラインの乗員と職制の間の意思疎通、相互理解というものが日常もっと深まっておればということを悔やんでおるということを申し上げましたが、そういうことがスムーズに行われますように、そういった点いろいろと組織につきましても設備につきましても工夫をして、そして最も大事なことはやはりその組織なり手続なり、これを決めましても本当に魂を込めてこれを運営いたしませんと実効が上がらないということも考えられますので、そういう点でこの運営に当たりましては関係の役職員が本当に制度あるいは手続、そういうものを実際に生かして実効を上げるというように努めてまいったわけであります。  あるいは乗務管理につきましては、乗員の資格の管理というようなことにつきましても改善をいたします。あるいはそれを扱っております機械につきましてもこれをより改善するというようなこと、あるいは規程につきましてもこれを改善するというようなこと、あるいは運航管理につきましては、問題になっております事故の前後にもいろいろ異常運航その他のことがあったにもかかわらず、これが会社に連絡されなかったという反省のもとに、そういうようなことがあった場合、いわゆる異常運航、運航の操作において異常があった、あるいは心身の状態において何らかの問題があったというようなときには、即刻職制にこれがちゃんと把握できますように、各乗員部長のところに受信専用の直通電話を設けまして、何かあったらすぐ連絡をするというような制度もとるというようなことで、いろいろと各種の手当てをしてまいったわけでございます。  何といいましても私ども痛切に考えますのは、ただいま申し上げましたような本当に魂の込もった業務運営というものをやっていかなければならぬわけでございますけれども、安全につきましてはこれで十分ということはなかなか言えないわけでございまして、日々の安全運航というものを積み重ねると同時に、その積み重ねによりましてより一層安全体制、安全確保体制というものを充実していく、徹底していくということを引き続き今後も図っていきたいというふうに考えておりまして、そういう意味でこれでいいんだということはわれわれとしては考えておらないわけでございます。今後とも毎日毎日の安全運航を積み重ね、いま申し上げましたようなことでさらに充実徹底をしていきたい、このように考えておりますことを御報告申し上げまして御回答といたします。
  194. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 いま高木参考人からいろいろと具体的な、こういうふうに改善をしているというお話があったのでございますけれども、大変残念なんですが、新聞記事に「疑心暗鬼 コックピット  健康相談 黙っているほうが無難」などというふうなことが載っておりまして、せっかくよかれと思っておつくりになった健康管理室の拡充やカウンセラー制度の創設などが、かえってパイロットの皆さん方から「「管理、監視体制が強化されただけ」と評判が悪く、自覚症状があっても申告しないという逆効果さえ生んでいる。」というふうな新聞記事も載っている点につきまして、私は非常に大きな問題点をそこに感じているわけなんです。  航空会社の責任は、先ほどから高木さんが何遍もおっしゃっておりますように安全が第一だ。これは口でおっしゃるとおりでございますけれども、多数の乗客の人命をお預かりになっているのが何よりの責任でございますので、会社の運営は航空機の運航、それから航空機の整備、そして乗務員及び全職員の健康管理、そして労使関係、あらゆる会社の運営すべてにわたって安全が第一だということが本当に徹底をされているのかどうか、ここのところが抜けますと大変なことになる。石にしめ飾りを飾って、石にかじりついてもこの売り上げをやるんだというふうな営利優先主義が日航の中に、口では安全と言っているけれども、その辺制度上、構造上大きな欠陥がたくさん残されているのじゃないか、こういうふうに思うわけです。  しかも、ここ十年ほどの日本の定期航空機の人身事故を伴った重大事故といいますと、これはもう大変残念ながら、持ち株が減ったとはいいながら国も株を持っています国策会社である日航さんだけなんです。しかも合計して百二十五名という大変な数の方が犠牲になっておられる。そして、この去年の二月九日の事故が起きましてからも、これはさすがに人身事故ではないけれども、重大な事故が幾つか発生をしている。なぜこういうことが繰り返されるのか。これは後で事故調の方にお聞きしますけれども、本当に日航の体制の中でそういうことがきちんと反省をされているのかどうか、こういうことについて非常に重大な問題が欠落をしているのではないかと思うのです。といいますのは、いかに健康管理の体制を整えた、そして直通電話があって、とって職制にすぐ何でも報告ができるようになっているんだ、こういうふうな体制をとつても、さっき新聞記事を読みましたように、監視体制がきつくなるだけで、自覚症状があってもそれを言うことができないような、なぜそういうふうなことが起こっているのか。これは私が去年の二月二十三日の運輸委員会でも、これも高木さんに質問をさせていただいたところですけれども、この日航の安全運航の一番重要な問題の一つとも言える、いわゆる労使の関係をコックピットの中に持ち込んでいる機長管理職制度、この問題がやはり大きな影を落としている、こういうふうに思うわけです。  コックピットの中というのは非常に狭うございますね。ああいう狭い中で、最も深い信頼と熱い連帯の中で乗客の安全のために運航に精を出さなければならない機長及び副操縦士など、三人のコックピットの中の乗員の方々の中にそうした労使の深刻な対立関係が持ち込まれるという状況は、本当にいまの日航が目指しておられる安全運航の重大な問題を解決する、そういうふうなかぎの一つが抜けているのではないか、このように思います。  調査報告の中身にもそういう問題がありますけれども、そういう問題につきまして、上司と部下の方が自由に物が言えないというのは問題だというふうに指摘はしてあります。そのとおりなんですよ。これは、個人個人が自由に物が言えるように努力をされるのはあたりまえですけれども、しかし、個人が一人一人努力をしても自由に物が言えないような組織がある。そういう組織体制というのは、これは一人や二人の人の努力で解決されるものではないわけでございます。これは、ラインと職制の間で相互理解が欠けておったというふうに高木さんが指摘をされて、反省もしておられるわけです。お互いにもっと仲よく話し合いの機会が持てておったらこういう事故がなかったのではないかというふうに高木さんもおっしゃってはいるけれども、そういうふうな非常に大事なところについては、いまお話を聞きました上では、直そうとしていらっしゃらない、こういうふうに思いますが、その点について高木さんのお考えを改めて聞きたいと思います。大変恐れ入りますが、時間が迫っておりますので、御答弁は簡潔にお願いをしたいと思います。
  195. 高木養根

    高木参考人 お答えをいたします。  特に先生いま御指摘の点で、中心はキャプテン、機長の管理職制度ということに重点を置いておられるかに私は拝聴いたしまして、その点に重点を置いてお答えいたします。  前回もお答え申し上げましたように、管理職だから話し合い、意思疎通ができない、言いたいことも言えないということは、私はあり得ないと思うのです。これは、たとえば地上のいろいろな組織、職場におきましても、管理職と非管理職が一緒に仕事をしておる、そういう場合に、お互いにざっくばらんに意見交換をする、意見具申もするということが行われているわけでありまして、機長が管理職だからそういうことができないということではない。機長を管理職にいたしております理由は、いま御指摘ありましたように、前回も私としては十分にお答えしておるつもりでありますので、時間の関係で今回は申し上げませんけれども、要するに、私はやはり管理職だからということではなしに、機長と他の乗員の間に意思疎通あるいは相互理解というものが足りなかったということにつきましては、これは先ほど申し上げましたように反省が必要だと思うのです。その点はやはり組織問題ということにもかなり大きな要素があった。運航乗務員は、これは客室乗務員も同じでございますけれども、勤務形態から申し上げまして、なかなか同じ顔ぶれが一緒に勤務するということが従来むずかしいわけでございます。そういう意味で、あの事故の場合にも初めて組み合わせになったというような乗員もあるわけでございまして、そういうことではやはりお互いの間の意思疎通が十分にいかないということがありますので、先ほどもちょっと申し上げましたように、各乗員部の中に路線室をつくり、路線室が最大百名ということで、したがって路線室を増設いたしました。その中に二十名を基準にしてグループをつくり、そのグループリーダー、これも管理職に当たるわけですが、これがグループ員とグループミーティングというようなことでお互いに話し合いをし、意思疎通を深める。同時に、私どもは対面乗務率と言っておりますけれども、グループリーダーがグループ員とできるだけ回数多く一緒に乗務をすることによって、お互い同士の意思疎通を深めるというようなことを取り上げてこれを進めておる。こういう状況で、私どもとしては、やはり何とか乗員同士あるいは乗員と職制、健康問題では医師と乗員という問題が入るわけですけれども、そのほか健康に関係のないことでも、お互いに乗員同士が、管理職であろうとなかろうと意思疎通を深め、そして相互理解を深める、それが信頼のもとになる、こういうふうに考えておるわけでございます。事故調査報告書でもこの機長管理職制度の問題を正面からは取り上げておりませんけれども、上司と下の者の間の意思疎通の問題について触れておる個所がございます。私どもとしてはこの点、機長の管理職制度というものがコックピット内における、あるいはその外でも結構なんですが、機長と他の乗員の間の意思疎通に種々障害を与えている、したがって安全にも障害を与えているというふうには決して考えておらないということを重ねて申し上げたい、こう思います。
  196. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 時間があればその問題で高木さんともうちょっと討論したいところでございますけれども、ございませんので……。  ただいまの高木さんの御意見に対しまして端的に、機長管理職制度というものが持ち込まれているところに、社長も常に労使関係が非常に深刻だということを御懸念をしておられるようでございますけれども、組合を幾つかに分裂をさせたりあるいは中労委の勧告を聞かなかったりと、天下の日航ともあろうものが労働問題ではワーストワン、トップの座を占めているという労務体制、労使の関係がこういう体制にあらわれている。そういうことがすなわち安全運航の問題に重大な支障を来しているんだ、そういう御反省がぜひ欲しいものだ、私はそのことを申し上げたいと思います。  先ほど、安全はこれでいいのだというふうなそのめどは立てない、こういうふうなことをおっしゃいました。確かに一〇〇%これでよろしいということはないと思うのですけれども、昨年の九月、小坂前運輸大臣が、日航役員の辞任勧告をされたことがございます。そのときに皆さん方幹部の方は、安全体制確立されるまではやめません、こういうふうにおっしゃったわけですね。そういたしますと、これは安全体制がいつ確立されるかわからぬ、いいという時期がないということになり、めどがはっきりしないということになりますと、いわばていのよい居座りではないか、こういう感じがするのです。これは私は、昨年質問をしましたときに、これだけの重大事故を出している、こういうときには日航幹部の方が責任をとって退陣をされるのは当然ではないかということを申し上げたわけでございますけれども、その安全体制がいつまでにでき上がりますというふうなめどがはっきりとつかないのだったら、いまこそ責任を明らかにして退陣をされるべきではないか、このように思いますが、いかがでございますか。
  197. 高木養根

    高木参考人 お答えをいたします。  確かに私は、申し上げましたように、安全の問題ではこれで十分だということはないというふうに信じております。もちろん程度の問題というのはあるわけでございますけれども、私としては、この事故以後われわれ一同非常な反省をし、同時に運輸大臣からも改善勧告をいただき、そしてさらに今回事故調査報告書というようなものの中でいろいろ大変に厳しい御指摘を受けております。  私どもは、やはり進退問題ということよりも、まず制度的にも、それから業務の運営上におきましても、先ほど来申し上げておりますように、本当にもう二度とこういう事故を起こさないという安全体制というものを確立して、そして、これに魂を込めて運営をしていくというその体制確立、充実ということが私ども、特に社長として私がまず取り組まなければならない最も中心的な重大な責務である、このように考えておりますので、当面、私は進退問題というようなことを考える前に、これに何としても真剣に取り組み、そして確立をしていきたい、徹底をしていきたいということを考えておるということを申し上げさせていただきます。
  198. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 個人の問題を申し上げますと大変恐縮なんですけれども、いま高木さんがおっしゃっていることは非常に矛盾していると私は思うのですよ。安全体制は一〇〇%はいかない、だからいつまでというめどは立てない、そしたら退陣ということは全然考えていない、こういうことなんですけれども、けさの新聞を見ますと、きょうもお越しいただいております野田参考人が辞表を提出されておるというふうなことが出ておりますけれども、こういうふうな大きな事故を起こした会社で、運航だとか機体の整備に直接責任を持っておられるのが野田専務さんだというふうに新聞には書いておりますけれども、一人や二人の個人の責任だけでおやめになって安全体制確立されるものでも何でもない。社長さんみずからは、安全はいつでき上がるかわからぬから、それを目指して私は退陣なんか考えていませんとおっしゃるのは、世間から見まして責任が非常に不明確になっている、私はその点を申し上げたい。再度高木さんの御意見、野田専務が辞表を提出されているこの時点で、そういう点おかしいんじゃないかと思うのですね。非常に責任が不明確だ。部下にだけ責任を押しつけているような感じがするのです。そういう点はどうお考えですか。
  199. 高木養根

    高木参考人 ただいまの四ッ谷先生の御指摘でございますけれども、新聞に出ておりますように野田専務がこのたび辞表を提出しているというようなことはございません。ただ、これは先生も御存じだと思いますけれども、常勤の役員から進退伺いをお預かりした、これはそのまま私が持っておりますということをまず申し上げさせていただきます。  私は、やはり航空運送事業というようなものに従事しておる責任者は、まず第一に、本当に安全運航体制確立するということに全身全霊を傾注して努力をするのがまず最初の大事な取り組みであるということを考えておることを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。
  200. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 では次は、ちょっと運輸省の方に伺いますが、いまの高木さんのお話を聞きますと、私は退陣を考えないで安全体制確立するためにがんばっていくんだ、それは確かに大変聞こえはいいですけれども、そういたしますと、これほどの事故調査報告書が出されて、昨年も三回にわたって大臣が勧告をしておられる。しかし、いつまでに大体のめどをっけてもう二度と事故が起こらないような安全体制確立していくというふうな、はっきりとしためどくらいはつけてもらわなかったら、お客さんの方が、もう日航は危ない、このごろお客さんがずいぶん減っていますでしょう。あの事故以来減っているのですよ。中の体制が整っていないというようなことがあるわけです。運輸省としましてはこういうふうな日本航空の安全体制確立のめどについてどのような御指導をしておられるのか、簡単で結構でございますから御答弁願いたいと思います。
  201. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 運輸省といたしまして、事故後日航に対し勧告を行いましたが、勧告の出しっ放しということにならないように、勧告を出しましてから約半年後の昨年九月に再度その勧告の実施状況についての立入検査を行わしていただきました。その時点で、制度といたしましては勧告いたしました点が実現をされておりましたが、問題は制度の実現だけではなくて、その制度の運用でございます。私ども、九月の時点で検査をいたしました結果、若干のまだ不十分と認められる点がございました。それを再度御注意を申し上げ、その後、私どもといたしましては定期的に安全性確認検査というのをいたしますので、その都度この勧告の実施状況についてさらに注意をし、必要があれば指導してまいりたいというふうに考えております。
  202. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 それでは事故調査委員会にお聞きをしたいと思いますが、運輸省に対しての責任が非常に不明確になっていますので、この点は後日また日を改めて十分に詰めさしていただきたいと思いますけれども、きょうは日航の問題に限って言いたいと思います。  事故調査の目的は事故の再発防止にある、このように考えますけれども、今回の最終調査によりまして、日航の事故再発を防止することができると事故調査委員会は思っておられますか、どうでしょうか。
  203. 中村哲

    中村説明員 今回の事故の直接の原因は、精神的変調を来しました機長の異常な操作によるものでございます。しかしながら、私ども航空事故調査委員会に与えられました使命でございます、ただいま先生がおっしゃられました同種の事故の再発防止を期する、こういう観点からもう一歩踏み込みまして、どうしてこのような精神的変調を来した機長が、多数の旅客の人命を預かる旅客機の機長としての乗務を許されてしまったのか、こういった面にまで踏み込みまして調査をいたしたわけでございます。  その詳細につきましては報告書の中でるる述べてございますが、なかんずく第三章では、私ども各方面からの検討の成果を細かに記述いたしております。ここを関係者の方々がよくお読みくださいまして、私どもの意図するところを酌み取りまして万全の措置を講ずる、それによって航空の安全を期する、こういうことを期待しておるところでございます。
  204. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 この事故調査報告書は、直接の事故の原因だとか技術的にそれを解明するという点では確かに評価ができると思いますけれども、先ほど私が高木参考人に申しましたような点、これは百四十一ページに機長管理職制度の問題について述べておりますね。しかし、この重大な問題を事故調査委員会も組織の問題として考えずに、個人の問題としてこの重大な問題にメスを入れようとしていないところ、言いかえますと、この事故調査報告書は個々の問題については相当突っ込んだことは書いているけれども、いわゆる組織的な、あるいは経営上あるいは構造的なそういう欠陥のところにまではメスが入っていない、こういう点を指摘をしておきたい、このように思います。  そして、最後にもう一度高木参考人にお願いをしたいのですけれども、事故が起こりましてすでに一年以上経過をいたしましたが、遺族の方の補償の問題ですけれども、テレビ等で御遺族の皆さん方が、大体働き盛りのお客さんが多かったために、一家の大黒柱を失っておられるとか、それから本当にいとしい家族を失っている中で、大変胸の痛むような思いの報道がたくさんされておりますが、この遺族の皆さん方が口々に言っておられるのは、日航に非常に誠意がない、こういうことを口々に言っておられるのが大変気になるところでございます。この遺族の補償の問題について十二分なことをしてあげていただきたいということで、最後に高木さんにもう一度お願いをしたいことと、それから運輸大臣に、先ほど役員退陣の問題についてちょっと御質問をしたわけでございますが、日航法第四条に基づきまして、会社役員の選任については運輸大臣が認可をしていただくことになっておりますけれども、現役員の再任ということで申請がされた場合に、運輸大臣はその申請どおりに認可をされるおつもりなのかどうか、このことをお伺いをしたいと思います。
  205. 高木養根

    高木参考人 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘のございました御遺族に対する賠償の問題でございますけれども、これは事故が起こりましたときにすぐ私どもの姿勢として、特にこの事故の対応というようなことを考えまして、当時約款で決まっておりました限度というようなものはもう取り外しまして、本当に誠心誠意御遺族とお話し合いをさしていただきまして、日本弁護士連合会等での基準とかあるいは裁判所による実例とか、そういうようなものも専門の先生方ともいろいろ御相談さしていただきまして、とにかく社会的に相当と考えられる最高の水準でひとつ、本当にああいう事故を起こして、とうといかけがえのない人命ですから、これを賠償の、金で云々ということでは本当は償いはつかないと思うのですね。本当にかけがえのない貴重な人命であるわけですから、そういう意味で私どもとしても本当に申しわけないという気持ちでいっぱいでございますけれども、やはりこういうことになりますと結局賠償の問題ということになりますので、いま申し上げましたような方針で個別に、国際条約とかあるいは国内でもただいま申し上げましたような限度額というようなことがありますと、一律ということが出るのですけれども、もう私どもとしてはそういうことは考えないということで、個々のお亡くなりになった方の実情に応じて御遺族の方といろいろと話し合わせていただいた、また、これを続けておるわけでございます。そういうことで、私どもといたしましては、個々にその亡くなられた方及びその御遺族の状況に応じてお話し合いをさしていただいて、ただいま申し上げましたように、現在の日本のこういう事故に関して社会的に相当と考えられる最高水準のものをひとつ賠償としてお支払いさしていただくということで話し合いを続けさしていただいておる。この間報道機関にも発表いたしましたけれども、お亡くなりになられた方が二十四名様いらっしゃいますが、いままでに十名様とお話し合いがついたわけでございます。ただ、これは御遺族の皆様からも、会社に対して、いわゆる守秘義務としてこの金額その他については一切公表をしないというお約束をさしていただいておりますので、どのように行われたかということについては、大変申しわけありませんけれども控えさしていただきたい、このように存じます。
  206. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 日航の取締役人事が運輸省に来た場合にどういうふうにやるかというお話でしたが、事故の問題は、これは前の大臣も現在の社長を信用して、御自身の態度でお決めになるようにと言うておるようですが、私もまた、これだけ大事な事故を起こして、ただ単にやめたからというものではなくて、本当に日本航空というのは世界の航空界の信用をどうして確保するかという、私は全社員が心配しながら大変がんばらなければならぬ問題だ、そんなことを思っておりますから、改めて取締役会が運輸省の方に書類でも出した場合にいろいろまた考えてみたい、こう思っております。
  207. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 それでは日航問題はこれで終わらしていただきます。どうも参考人の皆さんありがとうございました。  もうあと一分ほど残っておりますので、次の問題、気象庁の次長には大変申しわけありませんが、まとめて質問さしていただきますのでお答えを願いたいと思います。  気象業務なんですけれども、天気予報は非常に国民にとって暮らしと密着をしているというのが読売新聞の世論調査の中に出ております。約八〇%の人が毎日天気予報を見たり聞いたりしているというのが出ております。旅行に五〇%、仕事に約四一%天気予報を使っている。そういう点では、気象業務というのは非常に国民生活の上で重要な役割りを果たしていると思われるのですが、現在東京、大阪、福岡の三つの管区気象台で天気相談業務が行われておりますけれども、簡単に申し上げますと、いまの人員配置ではたくさんの天気相談の業務に応じかねる。とりわけ大阪では三名しかおりませんので、土曜、日曜の一番天気相談の多いときにそれに応じることができない、こういうふうなことが言われております。それで天気相談業務の充実と拡充、せめて旧地方気象台、こういうところにまで天気相談業務を拡充をするように御努力は願えないものだろうかということです。  それから二番目は、そうした気象業務につきまして、予報官の退職者が五十八年から六十一年度にかけて非常にふえてきておりますけれども、その後継者の育成を充実させるということが非常に重要になっているにもかかわらず、気象庁職員の研修制度が改悪をされてきているのが現状だというふうに聞いています。たとえば初任研修に対して、いままで気象大学で十五日間行っていた入校研修が四日間になって、各管区での管区研修に改悪をされている。その他いろいろありますけれども、時間がありませんので省略をいたしますけれども、こうした予報官並びに気象庁での職員研修ですね、これをもっと拡充、充実をさせていただきたい。そういうお考えがあるのかないのか。  それから三番目は長風丸の件です。昭和三十五年に建造されておりまして、非常に老朽化が進み設備も悪くなっています。台風が来るとこの気象観測船の方が先に逃げて帰るということの状況では、国民の要望にこたえられないと思います。気象庁が将来像に対する提案というのをつくっていますね、観測船委員会で。こういうりっぱな将来像を持っていながら、さあ現実の船というと予算がないということでつくらないということでは困りますが、この長風丸はもうここ数年前から概算要求でも出されているのではないかと思いますが、これの建造ができないものかどうか、この点でございます。  最後は、昨年の台風五号なんですけれども、これは気象庁の台風進路予報が外れていたためにというふうに言われております。漁船がひっくり返って二名の犠牲者が出ておる。これは、私は昨年宮城県の方にも行きまして、漁業組合の皆さん方やらあの辺の皆さん方にもいろいろお話を聞きまして、こうした海上予報、海上の気象観測が非常に不十分である。台風がしょっちゅう来るような日本で、アメリカのように台風の専門の予報官の体制もないというふうなことがいろいろと指摘をされておりますけれども、この台風五号の検討委員会というのがつくられたと思うのですけれども、そういうふうな検討委員会の報告に対して気象庁がどういう対策をおとりになったのか。  大変早口で申しわけありませんが、この四点についてまとめて御答弁を願いたいと思います。
  208. 西村英一

    ○西村(英)政府委員 お答えいたします。  まず第一の天気相談所の問題でございます。  先生御案内のように、近年、気象情報に対する需要が質量ともにふえてきておりまして、特に専門的な天気相談も必要性が高まってきておるわけでございます。つとに東京、大阪に天気相談所を設け、それからことし四月に福岡管区気象台にも天気相談所を設けた次第でございます。今後、その実績等をまた勘案しながら、需要の多いところから逐次他の地域にも整備することを検討していきたいというふうに考えております。  次に、気象庁の予報官の養成、充実の問題についてお話がございましたが、御案内のように、気象庁におきましては五十五歳以上の職員が現在全体の職員の約四分の一を占めてございまして、これから約五年の間にこういう方たちが逐次退職されることになります。大量退職時代と私どもも呼んで、かねてからこれが対策にいろいろ気を配ってきたところでございます。特に技術的な面での断層ができるということを非常に心配いたしておりまして、気象庁職員に対する普通科研修と言っておりますが、気象大学校の研修部の普通科研修コースの該当者の養成が特におくれておる、こういう感じがするわけでございます。したがいまして、五十八年度はこれの実施に重点を置きまして、研修人員の増加などを図っているわけでございます。そのほか、研修だけではなくて、大量退職時代の対応策はいろいろございますが、特に研修の問題につきましては普通科研修に重点を置きたいということが一つございます。  それから予報官の養成プロパーの問題から申し上げますと、気象大学校の大学生、これは本当の専門家でございますので、この専門家の養成を大いに進めていきたいということと、それから気象大学校の研修部の技術科とか専攻科というところの研修がございますが、そこに予報課程というものを設けておりまして、そこでの研修の充実に努めてきております。  そのほか、五十八年度には管区気象台におきます予報官研修を増加するというようなことで、充実に努めておる次第でございます。  その次に、長風丸の更新の件でございますが、長崎の海洋気象台に配置してございます二百五十総トンの長風丸の更新の問題につきましては、観測船自体のあり方の問題がございます。これは、たとえて申しますと、今後つくる船でございますから、省力化、自動化あるいは乗り組みされる方の居住環境の整備というような問題意識を当然持たなければなりませんし、それから気象衛星とか海洋気象ロボットというようなものの整備を片方で進めておりますので、海洋観測の上での他のそういう有力な観測手段との関連も考慮しなければいけない、それから御案内のような予算事情も考えなければいけないというようなことで、それらをあわせまして、総合的な観点から検討してまいりたいというふうに考えております。  最後に、台風第五号の検討委員会の問題でございます。  台風予報検討委員会検討いたしました結果、台風第五号は温帯低気圧に変質していく間に異常なコースを通るような特殊な台風であったということが判明いたしました。そのため、これまで行ってきました台風の予報法では必ずしも十分でないということがわかった次第でございます。したがいまして、さらにこれらの予測方法につきまして改良を加え、ことしの台風期に備えたいというふうに考えておる次第でございます。
  209. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 どうもありがとうございました。
  210. 原田憲

    原田委員長 田島衞君。
  211. 田島衞

    田島委員 私は、ちょうどいまから一年前、昨年の五月十四日に当委員会で時間をちょうだいして、質問させてもらいました。  その質問の内容については、きょう与えられた時間も大変少ないですから、復習していると時間がかかってしまいますので、端的に言って、昨年二月の事故もそうだし、いろいろの事故を多発するところの要因というものは、むしろ日本航空自体の中にある、しかも、安全運航の一番かなめとも言うべき運航本部そのものにあるということを指摘したつもりであります。  具体的に言うと、運航本部には十一人の部長がいる。そのうち八人の部長が当時機長兼務である。その兼務している八人の機長のうち、五人もが何らかのアクシデント、インシデントをやっておる前歴者である、こういう者たちが中心になっておる運航本部で安全運航ができるはずがないではないか、こういうふうに指摘したわけなんですけれども、時間がなかったから高木さんには聞くこともできなかったし、運輸省当局にも十分な質疑はできなかったわけですけれども、そのことについて、高木社長はどのように受けとめられ、どのように対処されたか、まず聞きたいと思います。あらかじめお願いしておきますが、時間の関係で、私も簡潔に言いますが、答弁の方もひとつ要点だけ簡潔に答えてください。
  212. 高木養根

    高木参考人 お答えをいたします。  確かに先生御指摘のような点がございましたが、その後、事故に関連をいたしまして若干の異動も行っておりますが、ただいまお話がございましたように、何らかのインシデントあるいはアクシデントの前歴のある者が運航乗員の部長職にいるということについての御指摘でございますけれども、私といたしましては、一遍そういう前歴があるからすべていかぬということではなしに、その後の訓練あるいは経験というものを積み重ねることによって非常に技量も伸び、人格も練られたというような者については、それなりに取り上げてよろしいのではないかというふうに考えております。
  213. 田島衞

    田島委員 運航本部の、私が言うところの前歴を持つ部長さんたちに対する弁護の弁は、ちょうどあなた自身に対する言いわけとよく似ておる。現に日本航空には兼務をしているパイロット、機長が百名ぐらいいるのでしょう。その中で、何がゆえにそういう前歴ある者を、安全運航の総元締めとも言うべき運航本部に何だかんだの言いわけをつけて置かなければならぬのか。現に私が言うまでもないこと、社長自身がよくわかっているだろうと思いますけれども、私が指摘をした五名のうちの一名、今度はっきり名前を言います。三堀さんというのですか、この人は私が取り上げたその三カ月後にはもう札幌でインシデントをやっているじゃないですか。それからもう一人、年代さんというのですか、DC8の運航乗員部長、これはまた四カ月後に上海で事故を起こしている。それから、確かにやめた人は一人いる、大形さんというのが。このやめたのは何だ。なぜやめた。さながら私が質問という形で告発したようなかっこうになってしまった。五十五年の秋にクアラルンプールでインシデントをやって、それを隠蔽しておった。それを私が取り上げたことによって、もうどうにもならぬものだからこれをやめさせた。では、まるっきり日航自体としては何にもやっていないじゃないですか。これで安全体制確立のために一生懸命骨を折っているので、そのためには考えられるすべてのことはやっておりますと言えますか、どうですか。
  214. 高木養根

    高木参考人 ただいま御指摘の問題でございますけれども、私は、制度的にも業務の運営的にも、考えられることはすべてとってきたというふうに申し上げてきたわけでございます。ただいまの乗務員の問題につきましても、先ほども申し上げたようなことで、時間をとりますので余り繰り返して申し上げませんけれども、三堀にしましても年代にしましても、確かにそういうことがありましたし、昨年インシデントあるいはアクシデントを起こしたということはございますけれども、三堀の問題につきましては、規定の解釈の問題で確かに若干の問題がございました。それから年代につきましては、これは会社としても非常に遺憾なのですが、DC8のある部品がいわゆる爆発をしたというようなことでああいう事故を起こしたわけでございますが、そういった機材に故障が起こった後の着陸の操作としては、実は非常によくやったというふうに私は考えておるわけでございまして、そういう意味で、私は先生のいま御指摘の点については、彼らは彼らなりにやってきておるということをお答え申し上げたい、こう思います。
  215. 田島衞

    田島委員 あなたは大変のどかな人で、二十四人も死者を出し、百数十人に及ぶ重軽傷者を出していることなんかけろっと忘れているのですよね。そういうことがなければまだあなたの言いわけも聞きようがある。だけれども、それほどの大事故を起こして、大変な人的被害を与えているということに対する責任感なんか毛頭ないじゃないですか。それで日本航空に安全運航体制確立できますか。では、できると言うならばいつになったらどうできるのですか。この前事故を起こしてからすでに一年数カ月、その間にできなかったものがこれからいつできる。はっきり答えてください。
  216. 高木養根

    高木参考人 お答え申し上げます。  いつできるかという先生の御質問でございますけれども、これにつきましては先ほど四ッ谷先生の御質問にもお答えしたのですが、安全体制確立ということにつきましては、安全の問題ではこれでいいのだということは私どもは考えられない、こう思っております。ただし、一方では、制度の確立ということと同時に、その運営、運用ということが非常に大事でございまして、この運用の面で充実をし、徹底をし、そして私は魂を込めてやっていくのだということを申しておりますが、そういうことによって一日一日の安全運航を積み重ねることによってこれをさらに充実し、徹底していくということであります。ただ、いつになったらそれが完成するということは、事柄の性質上申し上げられない、こう思います。
  217. 田島衞

    田島委員 それは、あなたがいつになったらできるとは言えないのは当然なんですよ。どこをどうすれば確立できるのか、本当のところわかってはいないのじゃないですか。わからないものは何年たったってできっこない。私に言わせればあなたは全然わかっていない。どこの世界に、指導的立場に立つ者、監督的立場に立つ者が自分で前歴を持っておって、そのほかの機長に注意やら監督やら指導やらできますか。また、下の者、ほかの者が、何だわが輩以上にひどいことをやっているのじゃないかという者から注意されて、さようごもっともでございますと聞くと思いますか、どうですか。
  218. 高木養根

    高木参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、他の仕事でも同じでございますけれども、乗務員につきましても、いろいろな修練、訓練を経て、経験を積み重ねることによって技量も向上していく、あるいは人格もさらに陶冶され、完成されていく、こういうふうに私は考えておりまして、一遍そういう前歴があるから部下あるいは他の乗務員に対して指導力を持ち得ないということではないというふうに考えております。
  219. 田島衞

    田島委員 今度の最終報告の中でも言われていることですけれども、墓石で安全体制をつくられたらかなわぬということを言っておるでしょう。いまの高木さんの言い分をもってすれば、罪なきお客さんの命をどんどん積み上げながら、何とか安全体制をやってみますよということ、あなたの哲学で言えば、一度や二度事故を起こしても、あるいは事故に近いものを起こしても、それでだめだと言ってはいけない、その経験を買って云々と言うけれども、そういう考え方の日本航空の飛行機に乗って死んだりけがをした者はどうしますか。
  220. 高木養根

    高木参考人 私ども航空機の事故によりましてお亡くなりになった方あるいはおけがをされた方には、私本当に申しわけないと存じまして、心からおわびをすると同時に、先ほども申し上げたのですけれども、こういうことで、特にお亡くなりになりました方あるいはその御遺族あるいは重傷を負われて今後生活に非常に苦労されるような方に対して、金銭をもってどうこうということでは償いは本当はできないというふうに私考えます。考えますけれども、現実の問題としてはやはり賠償ということで解決せざるを得ない、こういうふうに考えております。
  221. 田島衞

    田島委員 何の罪もなく、むしろ日本航空を一生懸命利用してくれて乗ってくれた乗客は命を奪われ、大変なけがをしている。そういう人たちに対する補償はまだ四割ぐらいしかいっていない。しかし、そういう危険を内蔵している人事管理の面については、まあその経験を生かして一度ぐらいの失敗はというのは少しおかしくないですか。  話はちょっと横へそれてしまうけれども高木さん、日本航空で最近二人の専務さん、それから常務さん一人、やめろとあなたが勧められているということを私はそれとなく聞いている。そればかりじゃなくて、関連会社四社の社長に対してもその退任を求めているということも、今度の質問をするについてあっちこっち資料を集めて知ったわけです。ところが、それがなかなかうんと言わない。言わない理由は何だ。あなたがやめろと言う理由には、若返り人事を実行するためにやめなさい、こういうことを言った。相手方いわく、冗談じゃない、若返りというならおまえさん先にやめろ。特に関連四会社は、赤字の会社から一生懸命がんばって黒字にしてやめさせられるのだったら、赤字の責任をとって高木社長みずから一番先にやめたらいいじゃないか、こういうふうに言われているということを伝え聞いているのですよ。  こういうことも含めて、いまやまさに日本航空の中の人事管理の面というのはめちゃくちゃじゃないですか。これじゃ事故が起こるのはあたりまえ。この前にも言ったけれども、いまだに言われますよ。田島先生、飛行機に乗るなら日本航空に乗りなさんな、あしたまた同じような事故が起きても不思議じゃないと言うのはだれです、日本航空に勤めている人です。そんなことがあり得ていいですか。どうですか、社長。
  222. 高木養根

    高木参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいましたようなことはあってはならぬことだと思います。  それから、先ほど四社の関連会社の社長の問題で、高木、自分が赤字の責任をとってやめたらいいじゃないかというようなことは私は聞いておりません。
  223. 田島衞

    田島委員 この前、私が一年前に質問してからおたくの、日本航空さんの中の実情を調べるのに、役所から資料を求めようかなと思ったけれども、どうもこの前の技術部長ですか、何かの答弁を聞いてみると、とてもじゃないけれどもそれじゃまともな資料は集まらぬ、自分で何とかそれらしい方法を使ってやらなければならぬということで大変苦労をしたのですけれども、その後の箝口令というのか、外へしゃべったらいかぬということか何か知らぬけれども、まことに厳しい。それ自体が大変不明朗だし、日本航空の内部の不健康さを物のみごとに物語っていると思うのですよ。どんなことでも聞いてください、調べてください、資料はどれでも出しますよ、これならいいけれども、大変ですよ、いろいろ調べてみるのに。いろいろ大変な苦労が要る。だからといって、この前の質問で私が大形さんのことを聞いたら、いや、日本航空自体でも大した問題じゃないと言っているからという技術部長の答弁、私は日本航空から派遣されている人かなと思った。そのくらい日本航空にはまことに好意的な役所の人じゃ頼んでもだめだなと私は思ったので、まことに苦労しながらいろいろのことを聞いている。あなたは聞いていないと言うけれども、私はめったなことでは口にしない。よほど確信がない限りは口にしない。だからこそこの前取り上げた中の一人、大形さんについて私は名前を挙げなかった。挙げなかったけれども、その後、結局みずからの失敗を隠蔽しておったというかどで部長をおろされたのでしょう。事実それからじゃないですか。もし日本航空みずからその責任を問うておろしたというなら、五十五年の秋のことを二年もたってからということはないでしょう。そのくらいルーズ。かばい合いということはいいことですけれども、たくさんの人たちの人命が絡む問題だけに、日本航空の内部でかばい合いなんかやっておられたのでは乗る人はかないませんよ。そう思いませんか。あなたが乗る立場になってごらんなさい。もう少ししゃっきりした返事をもらえませんかね。私は口が悪いから余り気にしないで聞いてもらいたいけれども、あなたの言い分を聞いていると、日本航空の安全運航確立のために一生懸命骨を折っているのか、自分の立場を守るために死にもの狂いになっているのか、一体どっちなのかなと疑わざるを得ない。むしろ日本航空の抜本的な改善のかぎを握っているのはあなた自身じゃないかと思いますけれども、そんなことはないと断言できますか。
  224. 高木養根

    高木参考人 お答え申し上げます。  私はもう本当に誠心誠意日本航空の安全運航体制の充実徹底ということに全力を注ぐのが私の責任を果たすゆえんであるというふうに考えておるということを、ここで改めて申し上げさせていただきます。
  225. 田島衞

    田島委員 あなたがそうやって安全運航を確立することが私の責任だ責任だと言っているうちに、またどえらい事故でも起きたらどうしますか。現にこの前の事故の後に、たとえ軽微なアクシデントであれあるいはインシデントであれ、二回も起きているじゃないですか。現実の問題として起きているじゃないですか。ちょっと間違ったら大変な事故に発展しないとはだれが言えますか。そのことは、同時にまたあしたからいつそのような事故があるかわからぬという可能性にもつながっているじゃないですか。だったらやはり日本航空内にもっとぴっとした責任感を生み出すためには、まず隗よりという言葉がありますけれども、最高責任者のあなたがなるほどと思われるような責任ある立場を全うするということが一つの端緒になるのじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  226. 高木養根

    高木参考人 お答え申し上げます。  重ねて申し上げますけれども、私としてはもう本当に二度とあのような事故を起こさないように、会社の安全運航体制を制度的にもあるいは運用的にも、本当に魂を込めてそういうことが起こらないように充実徹底していくということに全身全霊を注ぎたい、注ぐべきだ、繰り返しになりますが、これが私の責めを果たすゆえんであるというふうに考えます。
  227. 田島衞

    田島委員 大変しつこいようですけれども、あなた何回そう言われようと、もう事故から一年数カ月たっておるわけですよ。その間にできなかった体制が、またできなかったあなたがどうやっていつできるのですか。で、そう聞けばそれは何とも言えない。じゃできないという結論と同じじゃないですか。じゃ日本航空はどうなるのですか。あなた一人の責任で、あなた一人がどんなにがんばってみたってあなた一人の肩にしょえるものじゃない。それほど軽い責任じゃありません。あなた自身が言うようにどれほどのお金を差し上げたって失われた命は戻ってこない。もしあなたの身近な人がそういう被害に遭った場合にどう考えるか。それでもあなたは同じような答弁ができるかどうか。少しは根性を据えて考えてみてもらいたいと思うのです。いまの日本航空の内情、その最高責任者のあなたがどうその責任をとるべきか。あるいはあなたが責任をとったってどれだけいい影響が出るかわかりませんけれども、私は必ず日本航空には新しい、明るい道が開けてくると思う。先ほどの四ッ谷議員の質問の中でも、機長と副操縦士あるいは機関士等の間にいろいろなそごがあるというけれども、いまやまさに機長ですら心情的には組合の方に大変近寄っているのじゃないですか。そうじゃありませんか。それから、副操縦士や機関士はもちろん組合員ですけれども、前はそれほど組合運動に熱心ではなかったはずです。それがいまや組合運動に大変熱心になってきている。組合員でないところの機長までこのごろは心情的には大変組合の方に傾いている。その原因が那辺にあるか、そのことについて考えてみたことがありませんか。少しは大人になって考えてみてください。どうでしょう。時間の関係でもう、私は時間を超過するのは余り好きじゃありません、そろそろ終わりらしいけれども……。
  228. 高木養根

    高木参考人 お答えいたします。  ただいま御指摘のように、いわゆる組合との労使関係というのが日本航空におきまして決して正常な形といいますか、望ましい状態になっていないということは、私は残念ながら率直に認めます。そこで、私としては、いままでこういうことになってきたいろいろな理由はあるわけでございますけれども、何としてもこれを一歩一歩正常な関係に近づけていくという努力から始めまして、ある時間はかかるでございましょう、時間はかかるでございましょうけれども、正常な関係回復ということに努力をしてまいりたい、このように考えております。
  229. 田島衞

    田島委員 高木社長さんにはもう何回同じようなことを言ってもぬかにくぎだと思います。あとはあなた自身の鏡に向かっての覚悟いかんだと思いますから、これ以上はもう質問いたしません。  残り時間を利用して、昨年の質問の最終段階で私が質問したことについて、その内容について、もし運輸省当局が何らその改善努力することなくして事故なりそれに近いものなり起こしたら、その責任はまことに重大であると警告しておいたのですが、先ほど来申し上げたように、私が十一人の部長中八人の機長兼務あり、その八人の機長兼務の中で、五人のインシデント、アクシデントの前歴者ありと指摘したその中からまた二人出たわけです。これについての航空局長さんなり技術部長さんなりの、どういう見解を持たれるかを聞きたいことが一つ。  もう一つ大臣にお伺いいたしますが、もちろん小坂さんには小坂さんの考え方あり、いまの大臣にはいまの大臣の考え方があるでしょうけれども、しかし、この日本の国の運輸大臣としての物の考え方は、人がかわったからといってそう変わるべき性質のものではないと思うだけにちょっと聞いておきたいのですけれども、当時の小坂運輸大臣が高木社長の辞職を勧告した。それについて、その後、それは間違いだというような考え方を持たれるような何か事由があるかないか、そのことについても大臣から最終的にお答えをいただきたいと思います。
  230. 長澤修

    ○長澤説明員 お答えを申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございました、昨年御質問をいただきましたときの運航本部の機長であります部長についてのその後の処置の問題でございますけれども、あの当時は運航本部に部長が十一人おりまして、先生御指摘のとおり八人が機長職を兼務した部長でございました。現在では健康管理部門を強化いたしまして、部長が全部で十二名になっておりますが、機長職の者はそのうち七名でございます。  それから、昨年るる御指摘ございました五名の機長でございますけれども、本件につきましては、昨年御指摘をいただきました後、私ども日本航空によく内容を精査してしかるべき処置をとるようにということを申して、その後の日本航空の処置を見守っておったわけでございますけれども先生から御指摘ありました五人のうち三人は、現在部長職でない、いわゆる本部長付ということで、部長の職務から退いております。  このようなことをいろいろ日本航空の中で検討をいたします際に、私どもよく物事の本質を見て判断をしてほしいということでやってきておりますし、今後ともいろいろなインシデント等の発生につきましては、安全第一で、しかも運航乗務員の亀鑑となるような、そういう人格、識見を持った人を登用して安全運航の確立に努めてもらいたいというふうに、今後とも指導をしてまいるつもりでございます。
  231. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 日航の事故に対しての前の大臣の発言、おまえはどう思うかということでございますが、私は、これだけ大きな会社の責任者でございますから、社長さんは全体の安全運航の責任をしっかりとってもらいたい。前々の社長などを知っておりましたけれども、松尾さんの時代には日本航空は世界において安全第一と誇っておった。しかしこの二、三年、どうも見ておりますといろいろなことが起こってくる。そこで、大事な問題は社長さん自体が決することでございますが、やはり日本航空というものが世界において安全なもので、大事なものだという認識をいかにして獲得するかということは、私は、社長並びに一同の大きな責任だと思いまして、その後でどういう態度をとるか、偉い人であればあるほど、責任者であればあるほど、そういう態度を待っているものであります。
  232. 田島衞

    田島委員 終わります。
  233. 原田憲

    原田委員長 次回は、来る二十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十七分散会