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1983-03-25 第98回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十五日(金曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 原田  憲君    理事 三塚  博君 理事 宮崎 茂一君    理事 湯川  宏君 理事 福岡 義登君    理事 吉原 米治君 理事 西中  清君    理事 中村 正雄君       阿部 文男君    大村 襄治君       鹿野 道彦君    川崎 二郎君       久間 章生君    佐藤 文生君       志賀  節君    谷  洋一君       近岡理一郎君    津島 雄二君       浜野  剛君    原田昇左右君       井岡 大治君    小林 恒人君       沢田  広君    下平 正一君       山田 耻目君    浅井 美幸君       小渕 正義君    辻  第一君       四ッ谷光子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 長谷川 峻君  出席政府委員         内閣審議官   林  淳司君         運輸政務次官  関谷 勝嗣君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     橋元 雅司君         日本国有鉄道常         務理事     三坂 健康君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   仁杉  巖君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   濱  建介君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ───────────── 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   小山 長規君     原田昇左右君   箕輪  登君     大村 襄治君   毛利 松平君     志賀  節君 同日二十五日  辞任         補欠選任   下平 正一君     山田 耻目君 同日  辞任         補欠選任   山田 耻目君     下平 正一君     ───────────── 三月二十三日  海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第四八号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案内閣提出、第九十七回国会閣法第三号)      ────◇─────
  2. 原田憲

    原田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉原米治君。
  3. 吉原米治

    吉原委員 最初にお尋ねしたい点は、今回の日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案、大変長い名称法律でございますが、ちまたでは国鉄再建監理委員会法というのが俗称的に言われておるわけでございますが、なぜ長たらしいこの法案名称になったのか。また、昭和五十五年の十二月だったと思いますが、現行法日本国有鉄道経営再建促進特別措置法という法律が決まっておるわけでございまして、一見これに似通った名称になっております。特別措置臨時措置、特別と臨時だけが違っておって、あと現行法とほとんど似通った法案名称になっておる。そこら辺をまず不思議に思うわけでございまして、なぜ監理委員会設置法ということで、組織法として提案されなかったのか。まずこの法案名称つけ方考え方、これをひとつ最初説明していただきたい。
  4. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 お答え申し上げます。  国鉄経営状況、これは先生御承知のとおり大変危機的な状況でございます。そこで経営形態問題も含めまして、国鉄経営全般につきまして抜本的な検討が必要であるという状況に現在あるのではないかと思います。その場合に、今後の国鉄事業再建につきまして、その国の施策の基本的な方向とかあるいは再建をするための全体的な枠組みというふうなことにつきまして、これはやはり法律上明らかにしませんと、これから再建をどういう方向でやっていくのかということが明確にならないわけでございまして、しかも、その中で国鉄再建監理委員会というのは一体どういう役割りを果たすのか、どういう位置づけになるのかということをその中に含めまして、トータルとして国鉄再建方向づけ枠組みというものをつくる、こういうことが必要であろうかと思います。そこで、いわゆる単純な国鉄再建監理委員会設置法という形ではなくて、事業再建するための推進臨時措置法、こういう形にしたわけでございまして、まあ単純設置法ではその辺の今後の再建方向づけというものが明らかにならない。したがって、それを明確にするためにこういう法制にした、この方がより適切である、こういうことでございます。
  5. 吉原米治

    吉原委員 そうしますと、単なる組織法じゃないということ、さらには、抜本的な国鉄再建に対する手法というものを、いま枠組みという表現をなさったのですが、そういうものを検討したい、そういうふうに私はいまお聞きしたわけでございますが、この監理委員会というのは、所管は総理府にということになっておる。そうなってきますと総理府総務長官担当大臣になるという理解になるわけでございますが、そうなってまいりますと、いま、たまたま法案名称のつけた理由についてお話がございましたが、一体運輸省なり国鉄としては、現行法、五十五年の十二月にあれだけ大騒ぎしてつくった、しかもこれを国鉄再建のための最後チャンスだ、こう言われながら、わが党はこの再建案では不十分だと反対の態度を明らかにした経過があるわけでございますが、いまおっしゃったところから察しますと、現行法では国鉄再建というのはできない、こう思っていらっしゃるのですか。まず運輸大臣、続いて国鉄総裁答えてください。現行法では国鉄再建ができない、そうお認めになるのですか。
  6. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 国鉄経営再建促進特別措置法は、現行公社形態前提として、その経営再建を図るために必要な施策を定めているのに対して、このたびの法律案は、現下の国鉄経営の未曾有の危機的状況にかんがみまして、国鉄事業再建推進するために、経営形態の問題も含めて経営全般にわたって抜本的な検討を行うための仕組み施策方向枠組みを定めるものでありますので、これらのことは、国鉄経営再建促進特別措置法の一部を改正する措置によって措置することは困難であると考えて、このたびこういうふうにしたものであります。
  7. 高木文雄

    高木説明員 再建措置法の方は、現行制度仕組み等前提としてどういうふうに立て直すかということが中心課題であったと存じますし、今回の場合にはより広い立場といいますか、より広範囲な見地からもう一度考え直そう、研究してみようということでございますので、やはりかなり性格の違ったものであるというふうに私どもは考えております。
  8. 吉原米治

    吉原委員 ひとつ質問にぴたり答えていただきたいのですよ、現行法ではもう再建はできないと。五十五年十二月ですからいまから二年ちょっとだ、二年半もたっていないんですよ。そのときに当時の運輸大臣を初め、国鉄総裁は現職そのままいらっしゃった。もう国鉄再建最後チャンスで、この機会を逃したら再建できません、まさにがけっ縁に立ったような感じで提案なさった。それがその法律では、二年少したった今日ではいわば時代おくれといいますか、これではどうしようもない。せっかく臨調答申が出たことでもあるし、その答申を尊重して監理委員会設置をすることについて賛成なさっておる立場でしょう。臨調現行法では再建できない、現行法否定という立場でしょう。それを尊重する、しかも最大限尊重するとおっしゃるわけですから、そういう意味では政府みずから、国鉄みずから、運輸省みずからが現行法否定をしておるということにつながるのじゃないですか。もう一度総裁答えてくださいよ。あなたは当時の総裁だったんだから。
  9. 高木文雄

    高木説明員 これはやはり立法政策の問題ではないかと思います。私どもは私どもなりに再建法によっていろいろ努力をいたしておるわけでございますけれども、それでは不十分だという御認識を政府でお待ちになって今度お出しになるんだとわれわれは考えております。  現実の問題といたしましては、現在再建法に基づきます再建計画によって取り組んでいるわけでございますが、この再建法に基づく再建計画については、あの法律の定めるところに従いまして、一部改定を要する状況になってきたというふうには考えておりますけれども、なおそれだけでは不十分だといいますか、別の政策的な判断が加わったのが今度の法律でございますので、ある面では、いまおっしゃいますお言葉にちょっとお答えしにくいのでございますけれども現行再建法では全く再建できないというふうには考えていないのでございますけれども、それでは不十分だというので、なお別の角度から検討しようというのが今回の法の精神ではないかというふうに考えておるわけでございまして、私はやはりそこに先生のおっしゃるような意味での矛盾というものは特に感じないわけでございます。
  10. 吉原米治

    吉原委員 現行法でもそれぞれ国鉄みずからが努力しなければならぬ課題や、政府がなすべき対応策、それぞれ触れられておるわけでございまして、一部補強をするという立場でというふうな御理解総裁持っていらっしゃるようでございますが、それなら現行法の一部改正ということで今回御提案なさるならまだしも私は話がわかる。臨調自体考え方先ほど言いましたように現行法否定立場に立っておる。そこから出された監理委員会という委員会設置することについて、臨調精神を大幅に尊重する、こういうことになりますと、現行法否定する考え方につながる。特にこの監理委員会総理府に置かれるということでございますから、総理府総務長官のもとの監理委員会と、運輸省鉄監局国鉄部、そして国鉄というそこら辺の横の連絡といいますか、日本行政の悪いところなんですが、それぞれ縦割りになっておって、なかなか横の連絡が各省とりにくいという、そういうものをもう一つわざわざつくることになるのですよ。私は、そういう意味では行革の御時勢からいってむだなことじゃないか。何でそういった別の、運輸大臣のもとに置くというならまだ話がわかるのですけれども、別の大臣のもとにまた性格の異なるといいますか、より権限を強く持った委員会設置するというのは屋上屋を重ねる以外の何物でもないでしょう。不必要なことでしょう。第一、運輸省なり国鉄自体で、より国鉄再建に対してエキスパートを選んで、そこで現行法では不十分のところを補強していこう、こういうことでプロジェクトチームをつくって検討するというなら私はまあ話がわかる。そうじゃないんですからね。  前回も大臣所信表明に対して私も言ったのです。いままで運輸大臣と言ったら日本運輸行政最高立場でしょう。あるいは国鉄総裁と言ったら国鉄経営のあなたはキャップでしょう。皆さん方が、国鉄再建についてもうどうしようもございません、私の知恵をもってしては、力をもってしてはもうどうしようもございません、だからそういう委員会を持って専門的に企画し、審議し、決定するというのでしょう。出された意見は総理大臣といえども尊重しなければならぬ非常に権限の強い委員会、そういうものをつくって示唆してもらわなければ国鉄再建をようしないということになるのでしょう、逆に言うなら。大臣所信表明で、私の力不足という点は若干お認めになっておりますけれども、まあ大臣は、それぞれ五十五年から言いますと、あなたは三代目の大臣ですわな。しかし一番当事者である国鉄総裁は現にそのときいらっしゃった。今回を逃がしたらもう再建機会はありませんということで一生懸命に提案なさった。われわれ、この案では、現行法ではだめだ、こういうふうにしなさいという改正案をいまもって委員会に出しておる。みずからの経営の無力さといいますか、無能さを総裁認めるのですか。
  11. 高木文雄

    高木説明員 この法律そのもの国鉄のポジションが変わるということではないというふうに考えております。ただ、私どもといたしましては、国鉄再建問題というのはいろいろ多岐にわたる問題点がございますので、運輸省のほかに、さらに内閣全体に直結したような形で強力な機関を設けられまして、そこでもろもろの、最高方針といいますか長期方針といいますか、そういうものをお決めいただくということは、決して屋上屋を重ねることでなくて、より基本的に問題点を探ろうということであろうという意味で、あえてお尋ねがございますれば、今回の法律に基づいて新しい機関ができるということは、屋上屋を重ねるということではなくて、より強力な機関ができるという意味において大変喜ばしいという気持ちを持っております。
  12. 吉原米治

    吉原委員 現行法の四条で経営改善計画はすでにお立てになって、しかもこれを変更しようとするときは大臣の承認を得ながら、五十六年、五十七年とやってこられた。私は資料を要求しまして、経営改善計画をずっと進めてこられて、六十年度に幹線系で少なくとも百億の黒字を出します、こういう当初の説明だった、ところが二年半たった今日、本当に六十年に幹線系で百億の黒字を出すようなところまで進んでいっておるのかなと思ってちょっと見ました。ところが、五十六年の五月につくられた皆さん経営改善計画、ここで六十年度の収支試算の目標を立てていらっしゃるけれども、これは完全に数字が狂ってきておる。発足して二年少しでもうこれだけ狂いが出てくるということになりますと、私は率直に申し上げて、現行法でわれわれが指摘したとおり、本当の意味再建はできない、あるいは六十年度で幹線系で少なくとも百億の黒字を出します、こうおっしゃった当時の国鉄経営改善計画というのま、もういわば虚構にすぎない。ですから私は、現行法ではとても再建はできませんから、今度はいろいろなことは監理委員会で企画、審議、決定をしてもらう、こういうことで現行法ではだめだと国鉄総裁なり運輸省皆さんはお認めになるのなら、それはまた賛成はできぬにしても話はわかるのです。現行法でやります、やっておるうちにだんだん、いま収支試算表を見ましても、すでに数字はもう全然けた外れの食い違いが出てきておる。進んだのは何かといいますと、人員の削減だけは計画以上に進んでおりますがね。言いかえてみますと、結果的に合理化だけが先行する、人減らしだけが計画以上に進んで、あとは全部後退。絵にかいたもちにすぎなくなった。十年前ならいざ知らず、五十五年でしょう。その間大臣は三人もおかわりになったんだけれども、そういう意味で私は、現行法では真の再建はできない、だから監理委員会設置していただくのでございます、そういう意味で歓迎をするのでございますと総裁が言うのなら、それはまたそれなりに話がわかる。しかも、臨調答申を尊重してやるとおっしゃれば、当然民営分割。  それでは、「効率的な経営形態」とは一体どんな形態を頭に描いてこの監理委員会に期待をするのでございますか。
  13. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 お答え申し上げます。  法律に書いてございます「効率的な経営形態」というのは、特定公団とか特殊会社、そういうふうな特定経営形態を指しておる概念とは違いまして、一般的にどういう経営形態であっても能率的、適切、効率的な業務運営ができるような形ということを指しておるわけでございます。特定経営形態というものを念頭に置いた表現ではございません。  それから、先ほど来の先生の御質問にちょっと補足をさせていただきますけれども現行特別措置法と今回の法律との関係でございますが、私どもとしては現行特別措置法というものを否定する立場には立っておりません。臨調答申は確かに民営分割ということを提言しております。したがいまして、それを尊重してこの法案をつくっておるわけでございますけれども、ただ臨調答申は、あくまで基本的な考え方を示しているにとどまっております。したがいまして、臨調答申が指摘した事項について、さらに具体的にその内容検討してみる必要がある。さらにその実施可能性ということについても十分検証してみる必要がある、そういうことをやるために、そういう検討を行う仕組みとしての法制、これで今回の法律を提案したわけでございまして、したがって、これからこの監理委員会でその辺を検討して結論が得られるということでございますので、あくまでこれは検討のための仕組み法でございます。したがって、現時点において現行特別措置法というものは現行経営形態のもとで生きているわけでございまして、この法律否定しているわけではないわけでございます。いわば並行して、片一方検討を進めていく、片一方現行法制に基づいて経営改善を進めていく、こういう関係にあるわけでございます。
  14. 吉原米治

    吉原委員 多分そんな御答弁をされるだろうということは予測はしておりましたけれども、効率的な経営形態を少し考えてみたいと思います。  現行法で一体効率的な経営形態は全然考えてないのか、こう思いますと、経営形態についても、事業量あるいは職員数といった経営規模に関する事項ですね、それから業務運営能率化に関する事項経営管理適正化に関する事項、ちゃんと改善計画の中に立てられておるわけだ。後ほど触れますけれども監理委員会所掌事務に二つございますね。いまおっしゃった効率的な経営形態確立、もう一つ長期債務償還等に関する事項です。長期債務にわたっても、長期資金の無利子の貸し付けとか利子補給だとか、あるいは特定債務整理特別勘定、こういうもので長期債務に対する改善計画というのはちゃんと立てられる仕組みになっておる。現行法できちっとやればできる仕組みになっておるのですよ。同じようなことをまた監理委員会でやろうとする。現行法で触れられてないから、触れられてない問題をひとつ監理委員会でやるというならまだしも、現行法ではちゃんと政府立場も、政府はこうしなければならぬという政府に対する注文もついておる。何で監理委員会をつくらなければならぬ、その必要性は私は全然わからない。  特に民営分割論議は、当然しなければならぬわけでございますが、民間などではむしろ効率的な経営形態を求めて、小さな企業は統合あるいは合併、こういう方向が常識的ですな。ところが、この監理委員会では「効率的な経営形態」と、いきなり民営分割などという生息い表現を使ったら大変だろうから、そういう漠然とした表現を使っておられるのだろうと思いますけれども臨調答申を最大限尊重してやるというなら、まず作業民営分割が一体可能かどうか、この辺から検討されるのでしょう。そういう意味で、効率的な経営形態、それに対する施策現行法できちっと触れられておるし、国鉄なり運輸省なり政府がやろうと思えば現行法で十二分にやれる、こう私は思うわけでございますが、民営分割の話になりましたから、民営分割に対するどういうメリットがある、あるいはどういうデメリットが予測されるか、現在の時点で民営分割に対する考え方を披瀝をしておいていただきたい。
  15. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 民営分割ということにつきましては、先生御指摘のとおり臨調答申ははっきりとその方向を出しております。その臨調答申を尊重してと、こういうことでございますので、政府といたしましてもその基本的な方向というものは踏まえながら作業を進めていく。すなわち監理委員会におきましては、この民営分割についてその趣旨、方向というものを踏まえながらまずは検討を進めていく。しかし、先ほど申しましたように、臨調答申はいわゆる基本となる考え方しか示しておりません。したがいまして、その実施可能性あるいは具体的内容というものはこれから詰めてみなければわからない、これから詰めてみて、その上で初めて結論が出るわけでございまして、分割民営とか、するとかしないとかいう結論をいまから予見するわけにはまいりません。したがいまして、この法律におきましては、その方向を目指しつつも、なお慎重に検討いたしまして、それで適切な結論監理委員会からいただこうということでございまして、いま現在分割民営というものをその前提に置いて私どもは考えておるということではないわけでございます。あくまでその方向は目指すけれども、それがどうしてもだめな場合には別の選択もあり得る。これはこれから検討して結論を得るものである以上、当然と言えば当然でございますけれども、そういう仕組みで今回の法律を御提案を申し上げておるということでございます。
  16. 吉原米治

    吉原委員 民営分割というのは、いま林さんの考え方を言われましたけれども、効率的な経営形態になるというお考えを持っていらっしゃるのですか。
  17. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、効率的な経営形態というのは、民営であるとかあるいは分割であるとか、あるいは特殊会社であるとか、あるいは公社、あるいは公団というふうな特定経営形態というものを念頭に置いた概念ではございませんで、その事業を運営していく上において、それが当該事業にとって適切な制度であるかどうか、たとえば現在の国鉄公社制でございますけれども当事者能力あるいは経営自主性という面から見て果たして適切な制度であるかどうか、むしろ制度面における効率化効率性というものを考えたというか、そういうものをとらえた概念でございます。したがいまして、分割民営というか、それをやれば効率的な場合もございましょうし、あるいは分割によってかえって効率的でない場合もあるかもしれませんし、それはまさにこれから検討して結論を得る問題であろうか、こういうふうに考えております。
  18. 吉原米治

    吉原委員 そういう問題を監理委員会検討する、まあこう逃げられるだろうとは思っておりましたが、いまあなたは国鉄監理委員会の準備をなさっていらっしゃるようだけれども政府立場運輸省立場国鉄立場で考えて、何もないものを想像で言っておるのではない、今日まで国鉄経営は営々と続いてきた、そういう前提に立って、一体民営分割というのが、頭の中で考えられているのが可能だろうか、あるいはそれがより効率的な経営形態一つになるだろうか、どう考えていらっしゃるのか、ごく常識的に聞いているわけです。一遍もやったことがないので、やってみなければわからぬとか、あるいは検討してみなければわからぬと言うのなら、それはそうだと思いますが、延々と続いてきた国鉄経営に対して、国鉄経営がどういうものかというのは皆さんよくわかっていらっしゃる。そういう前提に立って、民営分割というのが一体可能だろうかどうだろうか、率直に一社会人としてお答え願いたいと思うのですよ。
  19. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 率直に申し上げまして、これはまさにこれから監理委員会で御検討願う問題でございまして、現在の国鉄の置かれた状況から見て、分割民営化というふうなことが果たしてどういうメリットデメリットがあるのか。これは臨調答申などでは、たとえば経営効率化と申しますか、経営責任確立責任経営体制という面からは非常にメリットがあるのではないかとか、あるいは地域の実情に即した経営が可能になって、非常にきめ細かい経営ができるのではないかというふうな、いろいろな観点から分割民営化を提言されておるわけでございますけれども、それについては、分割すればまた別にそれなりのいろいろな問題も当然予想されるでありましょうし、その辺のところ、いま現在政府側としてはこういう結論であるということを持っているわけではございませんで、まさにこれは非常にむずかしい、相当突っ込んだ慎重な検討が必要だと思いますので、これから監理委員会において、そこら辺を徹底的に検討していただくということになるのではないか、このように考えております。
  20. 吉原米治

    吉原委員 どうも私の質問にぴたり答えていただけないので残念ですが、少なくとも今日まで、現行法に基づいて経営改善計画を立てられて努力してこられた。いまから効率的な経営形態なり、長期債務の問題を監理委員会検討するということでございますが、冒頭言ったように、一方は総理府の中にできる機関、その間に一体どういう連絡調整あるいは場合によっては協議ということになると思いますが、横の連絡はどうなるのですか、この監理委員会と現在の皆さん方と。
  21. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 関係するそれぞれの機関役割り分担と申しますか、それに関する御質問だと思いますけれども先ほど来の御議論にございますように、この監理委員会は現在の国鉄経営状況から見まして、経営全般にわたる相当抜本的な検討が必要だ、制度面も含めた非常に広い検討が必要だ。そうなりますと、関係する分野も非常に広範囲にわたります。そういうことになりますと、どこか特定の省庁とかなんとかの立場検討するということも、これはなかなかむずかしゅうございますので、全政府的な視野で、一段高い立場から抜本的な検討を行う、そういう機関が必要だ。すなわち、これは検討機関でございますから、企画して立案をするまででございますが、そういう企画立案機関というものが必要である。それは特定の省庁でないとするならば、結局は総理に直結した形で総理府に置くしかない、こういうことになるわけでございまして、これが監理委員会の位置づけ、役割りでございます。それに対して、監理委員会はあくまで企画立案機関でございますから、執行はいたしません。その執行については、政府がこの監理委員会から意見を受けまして、政府がそれを担当するわけでございます。関係省庁がそれぞれ所管に応じて実施をしていく、こういう関係に立つわけでございます。したがって、その場合、運輸省はまさに監理委員会から受けた意見というものを政府として取りまとめ、その取りまとめた方針に基づきまして、運輸省は、主として運輸省になると思いますが、これを執行していく、こういう関係になるわけでございます。その場合、国鉄は、当然当事者としまして運輸省の指導を受けながら現実にこれを実施に移していく、こういう機関になるわけでございます。
  22. 吉原米治

    吉原委員 監理委員会を五名ということで一応考えていらっしゃるようでございますが、五名にした理由と、委員の選考基準といいますか、どういう人たちを五名集めてこの委員会を構成なさろうとしていらっしゃるのか、その選考基準、また、その中に少なくとも労働側の代表を入れるというふうな構想はあるのかどうなのか、また、事務局には何人ぐらいの職員を配置をなさってやろうとされるのか、ここら辺をちょっと聞いておきたいと思います。
  23. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 私からお答えいたします。  国鉄再建監理委員会は、効率的な運営形態確立ということが大事でございますので、しかも具体的な、さらにまた詳細な対策を立案するという機関であります。そういうことからしますと、その組織についてはおのずから慎重にならざるを得ません。そこで体制といたしますというと、限られた期間に能率的に、適切に任務を遂行するということでございますので、余り大ぜい集まってやるよりは、少数の委員によって組織することが適切じゃなかろうか、こう考えております。そして、それらの委員の方々の数を勘案しますと、五人程度が大体いいんじゃなかろうか、こういうふうに思っております。  人選につきましては、余りそれぞれの専門家というよりは、幅広い国民的視野に立つような方々にお願いいたしまして、しかもその方々は、ここ一、二年間いろいろなところで言われている国鉄改革に対して、国鉄を愛すると同時に熱意と推進力を持った方々を選任して、いろいろな角度から検討してもらいたい、こう思っております。選考基準につきましてはまだ考え方が固まっておりません。しかし、それぞれの各界の代表者により構成されるようなことにはならないのではないか。すなわち、それぞれの利益代表が入るというふうなことにはならないのじゃなかろうかというふうに思います。いずれにいたしましても、深い見識を有する方々をぜひお願いしたい、こう思っております。具体的な人選につきましては、法案の成立後速やかに決定して御報告、発表したい、こう思っております。
  24. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 事務局でございますけれども、現作まだその規模等について決めておりませんが、おおよそのめどで申し上げますと、大体二、三十人程度という形で事務局を構成したい、こういうふうに考えております。限られた期間内に非常に重要な仕事をしなければならぬわけでございますので、強力なスタッフにする必要があると同時に、また、こういう時代でもございますから、できるだけ簡素にして効率的なそういう執行、事務処理体制というものをしく必要があろうかと思いますので、現在のところ、大体二十名から三十名の間程度というふうに考えております。
  25. 吉原米治

    吉原委員 外部採用するのか。
  26. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 その辺については、現段階では、どういう人たちを事務職員にするかということについての考え方はまだ固まっておりません。
  27. 吉原米治

    吉原委員 私は、そんなことになるだろうからと思って心配するわけです。少なくとも、私ども行政改革、結構だと思いますよ。行政改革は、いわゆる小さな政府、安上がりの政府といいますかな、チープガバメントといいますか、そこをねらっておる。私はそれなり内容はわかるのでございますが、こういう時代に職員を二、三十人置いて、そして外部からより識見の高い五名の委員を設ける。いずれにしても、この二、三十名の職員は別としまして、内部から登用されるのかあるいは外部採用されるのか、それはわかりませんけれども、少なくとも、キャップになる五名の皆さんというのは外部からということが連想されるわけでございますが、それにしても事国鉄経営について、よりすぐれた識見を持った人というのは率直に言って私はないと思う。いわば、言ってみれば国鉄経営に対する素人でしょう。いかに識見が広い人格者だといえども国鉄をどうやって再建するかについては私は素人だと思いますよ。その素人を集めて、それは素人だからいろいろ言いたいほうだい、勝手なこと、とっぴなことを言うでしょう。しかしその場合に、取り巻く事務局体制、それはそうおっしゃってもこれはこうでございますといろいろ知恵を出されるでしょう。私は今度の土光さんのやられた臨調のあり方を見てもそう思いますよ。最初はあれもこれもとかなり幅広い改革、大幅な改革をマスコミも取り上げておりましたけれども、補助金一つだって、あれだけ補助金制度はたくさんあるけれども臨調で廃止したのは一件だけでしょう。自主流通米の促進奨励金、これ一本だけじゃないか。そういう意味で、監理委員会をつくられて、それはいろいろ抽象的な表現でまた結論が出るかもわからぬけれども、それを受けて運輸省なり国鉄はやらなければならぬ。やれるようなことしか皆さんの方から知恵は出されぬでしょう。やれませんことを監理委員会でさもやれるような答申をされて、総理大臣に意見を申し出て、そのとおりにとてもやれないというふうなことになっては大変だから、この監理委員会の素人の五名の人に、いまの国鉄再建のネックといいますかな、そういうものはいろいろ知恵をつけられるはずなんです。だとすると、ここから出てくるだろうと思われる結論というのは、少なくともいまの現有勢力で、いまの国鉄総裁を先頭にした幹部、あるいは運輸省の、運輸大臣をキャップにして国鉄問題により経験を持った役人さん、たくさんいらっしゃる。私は無能な人がいま職員におられるとは思っていない。そんなことを考えますと、どうしたって、私が先ほどから言っておるように、こんな監理委員会などをつくらずに、内部でひとつプロジェクトチームなどをつくられる考え方はないのか。それで経費をかけすに、安上がりに実行のできる再建案というのがつくられていくのじゃないか。監理委員会など返上しなさいと私は言いたい。この点どうですか。大臣がお答えになりますか、林さんですか。
  28. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、国鉄の現在の状況から見ますと、相当幅広い、全般的な、抜本的な改革がやはり必要であろう、そこまで国鉄経営というのは非常に重大な時期に来ておる、こういうふうに認識しておるわけであります。したがって、そういう重大な状況のもとで再建を達成していくというのは非常に困難な問題であり、また、重要な問題だと思います。そこで、これを検討する場というのはやはり既存の組織ということではなくて、新たに人格、識見のすぐれた、高い立場から物事を判断できる、そういう方たちにお集まりをいただいて、そこで広い視野から慎重な検討をして結論を出していただくというのが適当であり、また必要であろうかと思います。そういうことで、今回監理委員会というものを提案しておるわけでございますので、その辺の事情についてひとつ御了解いただきたいと存じます。
  29. 吉原米治

    吉原委員 だから私はさっきから何回も言っておるのですよ。運輸大臣国鉄総裁、それぞれ日本運輸行政のキャプテン、そのもとにたくさんの局長、部長、担当課長いらっしゃる。そういう人たちでは、皆さん方ではもう再建策を考えることはできないのですか、こう私は最初に指摘しておるのですよ。だから、それは運輸大臣でも国鉄総裁でも、私の知恵と力ではもう限界に来ましたと率直にお認めになれば私は先に話を進めていくのだけれども、そこら辺をはっきりしてもらわないとどうしても納得いかない。
  30. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 従来何遍となく皆さん方再建問題については御審議いただいたわけです。しかしながら、先ほどからあなたの御議論の中にもありますように、再建をいただく法案審議してやったものの、いまや、私たちがいま国会で審議しているものが五十兆円の国家予算ですが、百兆円の国債を抱えている。これの解消をみんなでいま心配しているわけです。一方、私たちが関係している国鉄は、御案内のように年間一兆円と言われるところの赤字を毎年出していて、長期債務が十六兆円と言い、二十兆円と言われる。そうすれば、どこでこれを健全なものにして国民に安心させるものにするかということが、これは大変なことでございますから、おっしゃるとおり、それは私の手にも余ったというところで再建監理委員会の知恵をおかりして、そこで出た議論の中から私たちがしっかりと、それこそ本当に最後の覚悟でがんばっていかなければならぬのじゃないかという、こういう悲壮な覚悟をして皆さん監理委員会の御審議をお願い申し上げておる、こういうことです。
  31. 高木文雄

    高木説明員 現行のいわゆる再建法に基づきまして経営改善計画を定めて、これを政府で御承認いただいて取り組むというやり方は決して間違ってもいないし、むだでもないというふうに考えております。ただ、経営改善計画自体も必ずしもいま予測したとおりいっておりませんのは、私どもの力の及ばない点といいますか、予測の力の及ばない点でございまして、この点はわれわれ自身の責任そのものであるというふうに思っております。  ただ、今回臨時行政調査会で指摘されましたような形の、仕組み全体について考えてみろ、つまり現行公社制度だけが国鉄経営のために最もふさわしい形態ではなくて、経営形態そのものについて考えてみるということになりますと、現在の私どもの力ではなかなか及ばないわけでございます。たとえば、現行法では、まず全体は国家予算で決められておりますし、それから給与は全部公労委でいろいろ御心配いただいた上で、またこれは事実問題としては国会で決められていくわけでございまして、そういうことであればこそうまくいっている面もありますし、あるいは私鉄の方がやりやすいやり方だという場合もあろうかと思います。  国鉄には全国でネットワークを組んでおります部分、それから新幹線のように非常に長い距離を走っております、大都市間を結んでおります輸送問題、さらには通勤輸送、通学輸送のような地域交通の問題といったように、だんだんと国鉄役割りが分かれてきておりますので、いろいろな交通の実態に応じて経営形態もいろいろ考える余地は十分あると思うわけでございますが、それがメリットがあれば同時にデメリットもあるわけでございまして、いまこの再建のための監理委員会におきまして、そのメリットデメリットを徹底的に洗ってみようということでございますので、私どもはぜひいろいろな方が集まられて、そしてそこでメリットデメリットを洗っていただいた上で、さあどうするかということを結論づけていただくことは大変結構なことじゃないか。これは現行法律の範囲外の問題でございますので、やはり別途そういう組織がつくられることは、私どもにとりましても、長い目で見た国鉄のあり方を論議していただくことは大変プラスであるというふうに考えておるわけでございます。
  32. 吉原米治

    吉原委員 いろいろ演説なさっていらっしゃいますけれども、要は、運輸大臣現行法をつくられたときの大臣ではないのですけれども、あなたは行政の継続性というものからして決して責任を放棄するものではない、おれが決めたことじゃない、こういうようなことではないはずでございましょう。ですから、それなりの責任を感じていらっしゃるはずなんですし、なかんずく国鉄総裁は少なくとも国会に出された現行法、繰り返しますけれども、これが最後チャンスでございますと言ってあなたはこの委員会に諮られた。委員会に諮ったというのは国民の皆さんに誓ったということですからね。それがどうも思うようにいかぬというのはあなたもお認めになっていらっしゃる。民間企業ならばたちどころに社長交代ですわな。そんなできもしないことを当初はできると思って提案なさったのでしょうけれども、結局二年有余たった今日、どうも再建監理委員会検討をお願いしなければ、われわれの力は限界だ、こう思っておられるはずでございますが、責任は感じていらっしゃるのでしょうな、総裁
  33. 高木文雄

    高木説明員 ただいまも申しましたとおり、経営改善計画を立てて、そしてそれによっていろいろ経費の節減を図り、また、収入の増加を図っていくことによって何とか立ち直ることができるだろう、これは最後チャンスだということで御審議いただきましたことは、御指摘のとおりでございます。  ただ、その時点におきまして、当時の国会でも非常に強く、特に野党の先生方から御指摘がありました問題として、年金の問題なりあるいは過去債務の問題の処理が十分法律上はっきりしてないという問題は当時からあったわけであり、その点は何度も質疑においても御指摘になったとおりでございますが、実はその点がその後変わってまいりましたのは、行政改革、財政再建というテーマが国全体として非常に大きく浮かび上がってまいりました。そしてこと数年、予算につきましてもいわゆるゼロシーリングからマイナスシーリングというようなことで、なかなかそうした問題の解決が困難な状態になってまいりました。そういう状態のもとでは、率直に申しまして、当時から問題になりました点がなかなか解決ができないのみならず、むしろ解決が遠ざかるようなことになってきておるわけでございますが、臨時行政調査会におきましては、その点をもっと究明しなければ解決につながらないという御指摘があり、今度の法律でもその点にはっきり触れておるわけでございまして、それらは残念ながら私どもの力の及ばざる点でございますので、そこを補強しようということにしていただいている点は、われわれとしては大変力強く感じております。  おまえは責任を感ずるかという点については、当時申したとおりなっていないわけでございますから、その意味においては十分責任を感じております。さればどうしたらいいかということにつきましてはたくさんありますけれども、そのうちの一つとして、このような機関がつくられて、より広い立場、高い立場から国鉄問題をお考えいただくことについてはぜひそうしていただきたい。私どもの及ばざる点を補っていただきたいというふうに考えるわけでございます。
  34. 吉原米治

    吉原委員 最初から総裁そういうお答えをなさっておれば私も理解がいったのですけれども、一方で現行法でやっております、片一方総理府にそういう監理委員会が設けられる、国鉄は年ごとに経営改善計画を定めて運輸大臣にこういうかっこうで再建のためにがんばります、何か同じことに向かって二つの機関ができることが好ましいことだというふうな立場から当初答弁なさっていらっしゃるものですから、この人たちは二年半前にあれだけ鳴り物入りで大騒ぎをしてつくった現行法を一体どう考えていらっしゃるのかな。現実に計画どおりにいっておるのは人員の削減だけですね。人員削減というのは合理化ということに置きかえてもいいのですが、合理化だけは計画どおりにいっておる。ところが、収支の改善は年ごとに傷が大きくなっていっておる。五十五年から五十八年度まで、五十八年度は予算の数字でございますけれども、少なくとも六十年度には幹線系で百億の黒字を出してみせます、こうあなたはかっこうよく言い切られたけれども、とてもこの数字ではそんなことにはなりませんね。なりますかなりませんか。
  35. 高木文雄

    高木説明員 幹線系で百億の黒字という見込みを立てておりましたけれども、現状のままではなかなかそういう事態にならぬと思います。そこで、いま六十年時点の姿をどう予測をして、それに向かって具体案を立てるかということを内部で鋭意検討をいたしております。いずれお示しをしたいと思っております。  先般、一月の末に貨物輸送について抜本的にやり方を変えることを国鉄といたしまして方針を決定いたしましたが、それらは現行経営改善計画に織り込まれていないことでございます。現行経営改善計画のとおりなかなか進みませんので、よりドラスチックなやり方をしないことにはそこまでいかないということで、明年の二月と明後年の二月ごろをめどにして貨物の輸送方を全く変えてしまおうということにしておりますのも、何とか当時から考えております六十年時点での幹線での収支均衡に持っていきたい、持っていくことができないにしても、できないかできるかいま非常にむずかしいところでございますが、それに最大限の目標を置いて近づけたいということで考えておるわけでございます。現在、決して目標がだめだといってあきらめてしまったわけではないわけでございまして、それに向かうための具体的手段、方法をよりシビアに考えておるところでございます。
  36. 吉原米治

    吉原委員 なぜ計画どおりに事が進まなかったのか、その大きな原因は何なのか。少なくとも五十五年の段階ですからそう年数はたっていない。貨物の問題だってあの当時気がついていらっしゃらないはずはない。きのうやきょうに始まったことじゃないでしょう。五十五年と五十六年、五十七年度は予算の数字、五十八年度も予算の数字ですけれども皆さんが立てられる予算でも幹線系で三千億の赤字になりますと、数字はそうなっておるでしょう。あとわからないのが五十九年度だけだ。五十六年度三千二百四十四億、五十七年度二千九百億の赤字でございます。さらに五十八年度は三千億の赤字でございます。五十九年はまだ検討なさっていらっしゃらない。ぼつぼつ検討の時期に入るでしょうけれども、とても六十年に百億の黒字になるというふうなことはもう常識的に考えられない。わずかな差で、あるいは百億の黒字を予測しておったけれども、六十年ではとんとんくらいになりますというなら、なるほど努力なさったのかな、あるいは五十六年時点の経営改善計画に見通しの誤りはなかったんだなということが言えるけれども、三千億の赤字と逆に百億の黒字というのはプラス・マイナスすばらしい違いですよ。当初立てられた経営改善計画、私どもにもっともらしくこういうことでやりたいと思いますからぜひ賛成をと言われた趣旨からいいますと、余りにも数字がでたらめだ。率直に言ってわれわれにうその説明をしたと言っても過言じゃないでしょう。その責任を感ずるという言葉はさっきからいただいておるわけだからいいようなものの、こんな再建計画が民間企業などで通りますか。私は一番腹が立つのは、もっともらしく五十六年の段階であなたは説明なさった、それから二年しかたっていないのですよ。私に言わせれば数字が全然でたらめ、つくった数字だ。根拠が全然ないでしょう。根拠があるのですか。あればちょっと言ってもらいたい。
  37. 高木文雄

    高木説明員 すべては事実が証明しておりますので、でたらめだと言われれば、とにかく数字計画と実績とが合っておらぬものですから、これは何としても頭を下げざるを得ないわけでございます。ただ問題は、なぜそうなっているかといいますと、実は先ほど合理化だけが進んでおると言われましたが、合理化に限らず、すべての面におきまして経費については大体計画どおり進行をいたしておるのでございます。狂いました一番大きな点は収入でございます。概括的に申しまして、収入については、貨物については五十五年度基準で輸送量が横ばいということを予定をいたしました。また、旅客につきましてはわずかでございますけれども旅客輸送量の微増ということを予定をいたしたわけでございます。ところが、五十三年、四年という段階では貨物はかなり輸送量がふえてきたわけでございますが、五十五年から年率一〇%くらいの割合で急激にいま落ちております。この貨物輸送量の減、それから旅客につきましては微増というふうに考えましたけれども、横ばいという状態になっておるわけでございまして、いろいろありますけれども、非常に大きなポイントはやはり収入の伸びが思ったほどいってないということでございました。いま躍起になって収入増加に努めておりますけれども、なかなか追いつかないという現状でございます。  その収入増の見通しを誤ったことにつきまして、でたらめのことを言ったと言われれば、そういうつもりはなかったけれども結果としてはとにかく大きなギャップができてきたわけでございますから、これはひとえにおわびせざるを得ないわけでございますが、収人の伸びについての見通しを前提として、どうやって収支均衡を図るかということでいま具体策をいろいろ詰めてまいりたいと思っております。その中の一つが貨物の運営方について、当時考えておりましたのとまた違った政策をとりたいということでございますし、他の輸送につきましてもよりコストに見合った運営をしていくべく、いろいろな面で再編を図っていきたいという案をいま練っておるところでございます。いずれにしても、当時のわれわれの予測がそのとおりになっていないということは、私どもの責任でございます。
  38. 吉原米治

    吉原委員 経営改善計画の中の人員の削減計画が、五十七年度では年度当初の計画によりますと一万四千三百人、これが五十七年度だけは計画以上に二万二千六百人の人員を削減なさつていらっしゃる。この理由でございますけれども、私もある程度想像はつきます。今日の国鉄のあり方に希望を失って、定年はまだ何年か先になるけれどもいまのうちにやめていこう、こういう人も中にはいらっしゃるように聞いておる。出先の駅の方では、私もときどき聞くのですが、一たんやめたOBをまた呼び戻して補強しなければならぬ、バイトを使わなければならぬ、いまやめてもらっちゃ困るからということで慰留をしておるという例もある。五十七年度は一万四千三百人に対して二万二千六百人、計画以上に人員が削減をされておりますが、この計画でいくと、五十八年度も五十九年度もこういう傾向だとするなら、恐らく三十五万人というのは二十万人台になってしまうんじゃないか、つまり国鉄の仕事そのものが人員削減によって動きがとれなくなるということが心配されるわけでございますが、五十七年度なぜこれだけの計画以上の人員削減になったのか、その理由を答えてください。
  39. 高木文雄

    高木説明員 まず全体として、先ほど申しましたように、旅客につきましても貨物につきましても、前考えておりましたよりはお客様が減っております。つまり輸送量が減っております。その関係から、従来の考え方の人員で考えますと、六十年時点における一人当たりの生産量と申したらよろしゅうございましょうか、一人当たりの事業量計画どおりにはいかないということで、こういるお客様の減に対応するためには、やはりより少ない人でやっていかざるを得ない、あるいは列車の連行本数も減らしていかざるを得ないという状態でございます。  それは長期的な物の考え方でございますが、当面の、五十七年度中にどの程度職員の数を少なくすることによって五十八年度以降の能率を上げるかということにつきましては、いまお示しのように、むしろ若干早目にやめるかという人がいないわけではございませんけれども、そうではなくて、そもそもいま退職年齢に達している人の数が大変多いわけでございまして、大体二万五千人ぐらいのいわば退職適齢といいますか、そういう年回りになっている人があるわけでございます。前の考えでは、約一万人弱の人を新しく採用することを考えておったわけでございますが、その差でもって一万二千幾らという数の減を見ておったわけでございますが、どうもそれではぐあい悪いということから、九月二十四日の政府の、国鉄の運営について当面とるべき措置ということでもお示しにありましたのですけれども、私どももその前後から考えておりまして、従来の観念から言えば、五十八年の四月一日に採用すべき、春に学校を出た人を採用すべきところを、それをゼロにするということにいたしたわけでございまして、これは新規採用を抑制すること、やめることによって五十八年度の要員減を計画しておるわけでございます。私も委員の御指摘のように、現場において不安感があって、やめる人がどうも多くなってきているという傾向は決して否定はいたしませんけれども、実際の数としてはその数はそうは多くなっていないわけでございますが、新規補充をしないことによって要員の数が減っていくということで考えております。
  40. 吉原米治

    吉原委員 総裁、いまの新規採用を停止したために、あなた一万二千人とおっしゃったけれども、私の持っております資料によりますと一万四千三百人三……(高木説明員「失礼しました。一方四千三百人です」と呼ぶ)の方が正しいのですね。そうしますと、実質五十七年度に縮減をされた人数というのは二万二千六百名ですから、計画よりも八千三百人落ち込んでおるわけですね。そうすると、新規採用を禁止するということは五十八年度もやられると思うけれども、そうなってくると五十八年度の数字もまた計画を上回って縮減をされる、こういうことは容易に考えられるわけでございます。この調子でいきますと、六十年には三十五万人は切れる。それで仕事ができるのでございますか、ちょっとその辺の見通しと考え方
  41. 高木文雄

    高木説明員 お示しのように、前の計画では六十年時点で三十五万人という数の職員で仕事をしようということを考えておりましたが、何度も繰り返して申し上げますが、お客さんが減っておりますものですから、三十五万人でやったのでは一人当たりの能率というものが大変落ちてしまうわけでございますので、やはり輸送量に応じた数の職員で仕事をやっていかなければなりませんから、三十五万人よりはもっと少ない数で六十年時点で事業をやっていくように、計画を変更しなければならぬというふうに考えておるわけでございます。そのためには、生首が飛ぶという俗な言葉がございますけれども、しかしそういった事態を来してはいかぬということで、新規採用の抑制で対処をしてまいりたいというのが現時点での考え方でございます。
  42. 吉原米治

    吉原委員 乗客が減ったからといって要員は少なくしていいということにはならぬでしょう。乗客が減るから比例して要員も少なめていく、それは経営学的にはそうかもわからぬですな、単なる収支ということだけを考えれば。だけれども、列車というのは、何人お客さんが乗ろうとも一本の列車は一本の列車、機関士もいるし車掌さんもいるわけでしょう。いま総裁がおっしゃったように、乗客の数が減りましたから要員も少なめていかなければならぬという考え方、これは私は現実にそぐわぬ考え方だと思いますが、どうでございますか、その辺の考え方
  43. 高木文雄

    高木説明員 乗客が減ったからといって、それに応じて人を減らしていくというのは容易でないということはお示しのとおりでございます。しかし、貨物で言いますと、先ほどちょっと触れましたように、来年の二月に計画しておりますダイヤ改正等によりまして、列車本数そのものを相当減らすことを考えております。それからヤードでの作業をやめてしまうということを考えておりますし、ということを考えますと、やはりいまの人手のかけ方がまだ余裕があるといいますか、ぜいたくに人を使っていると申しますか、そういう部分もありますので、貨物が減ってきたことによって相当程度作業量を減らせますから、作業量が減れば人手が少なくてもやっていかれるという面が一つございます。それから、旅客につきましては、それほど列車の本数を減らすことは考えていないわけでございますけれども、しかしお客が減ってまいりました結果、東京とか大阪とかというところは別にいたしまして、地方では、いわゆるローカル線と言われるもの以外の部分につきましても相当一車当たりのお客様の数が減ってきておりますので、そこで車両数を減らしてまいりたい、綱成長を短くしてまいりたいというふうに考えております。編成長を短くしましても運転士さんの数、車掌さんの数というのはそう変更がありませんですけれども、しかし、検修、修理に当たる万の職員の数は車両が減ってくればやや減らすことができるわけでございますし、毎日レールの上を走ります貨車なり旅客重なりの通過トン数が減ってまいりますと、線路の壊れぐあいが減ってきますので、保守要員も少なくて済む。また、電車線の架線の修理も減ってくるということになりますから、やはり通過量が減れば当然それを修理修繕、維持するための人が減ってくるのはあたりまえのことでございまして、事務量が減っているのに人が減らないというのはおかしいわけでございますので、そういうことによって三十五万人計画は当然直すべきだというふうに考えております。
  44. 吉原米治

    吉原委員 どうも総裁国鉄経営に相当詳しいと思っておったのだけれども、全然そこら辺のしゃばの人が言うような、素人がおっしゃるような感覚で、どうも納得いきません。しかし、総裁経営改善計画で人員縮減計画を立てておられるけれども計画以上に進むということはお認めになるのですね。計画以上に進んでもいまの国鉄の仕事量には一切影響を与えぬという見通しなのでございますね。五十七年度はいま言ったとおりの数字ですが、五十八年度もまた計画を上回って人員が縮減される。また、そういうふうに一般にいまの職場の皆さんも早く見切りをつけてやめたい、これはいま総裁もお認めになった。仕事には差し支えないですなという点をいま論議しているのですが、簡単にお答え願いたい。
  45. 高木文雄

    高木説明員 やはりいままでの仕事の仕組みをいろいろ変えることによってより生産能率を上げる、同じ八時間勤務でも仕事を充実したものにするということもやっていかなければならぬわけでございます。何としてでもそういう方法によりまして、人件費、物件費の両面にわたってより効率化を図らないことには、六十年時点での収支均衡はなかなか容易でないという事態でございますので、そういう方向で取り組んでおります。
  46. 吉原米治

    吉原委員 人員削減問題は、いずれまた同僚議員がやりますからそれにお任せをするとして、再度監理委員会検討なされる問題と、経営改善計画によって効率的な経営形態を求めて現行法でいろいろな手だてを考えていらっしゃる、あるいは長期債務についても同じく政府対応策が決められておるしするのですが、監理委員会でいまから発足後いろいろ検討をなされる問題と、皆さん経営改善計画の中で立てられている計画と、検討する人が違うわけですから食い違いが当然起きてくると思うのです。その場合はどういう形でそこを調整されるのか。いや、監理委員会で指示されたらそのときにまた経営改善計画の方を手直しをするのだ、こういうことになるのでございますか、そこら辺、ちょっと、林さん。
  47. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 現行特別措置法に基づきます経営改善計画と今度の法律との関係は、先ほども申し上げましたように並行して進めるべきものであろうというふうに考えます。すなわち、今度の法律というのは、いわゆる効率的な経営形態を初めとする抜本的な国鉄改革についての検討、これについてこれからその検討をして結論を出していくという、いわゆる検討をするための枠組みを定めた法律という位置づけでございますし、それから一方、現在の特別措置法は現に生きて動いておる実体法でございます。したがいまして、少なくとも新しい法律で何らかの結論が出されるまでは現在の公社という経営形態は変わらないわけでございます。したがって、そのもとでの経営改善というものも進めていかなければならぬ。その場合には現在の特別措置法による経営改善というものを進めていくのが最も適切でございますので、これはこれなりにしっかりとやっていく必要がある、両方並行して進めていくべきものだ、こういうふうに考えております。  法制上の枠組みは以上のとおりでございます。
  48. 吉原米治

    吉原委員 監理委員会と、現行経営改善計画を立てられて実施をする、そことの食い違いが出たときにどうするのかという点を私は尋ねておるのですが、それは後ほど答えていただきたい。  時間もだんだん迫ってきておるようですから質問を進めますが、今度監理委員会法十五条にいう「体制整備を図るための施策」、これは六十二年の七月三十一日まで、こうなっておるのですが、この「体制整備を図るための施策」とは具体的に一体どういうことを考えていらっしゃるのか、その手順あるいはその時期、こういう見通しをひとつお答え願いたいし、この監理委員会というのは六十二年の七月三十一日までに廃止をされるものなのか、この時期までに体制整備ができなかった場合は一体この監理委員会というのは引き続き存続をするのですか、どうなるのですか。その二つと、先ほどの食い違いのときにどうするのかという点です。
  49. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 まず、十五条の体制整備のための期限でございますけれども、これにつきましては、まず「体制整備を図るための施策」、これは一体何かということでございますが、これはこの法律案の第二条で規定してございます「国の施策」、すなわち「効率的な経営形態確立」、そのために必要な長期債務等の問題の解決、こういうふうな施策がいわゆる「体制整備を図るための施策」ということになるわけでございます。  そこで、こういう体制整備というものを、この法律案では「昭和六十二年七月三十一日までに講ぜられるものとする。」ということで、その目標期限を書いているわけでございますが、これは現在の国鉄状況から見て、できるだけ早くこういう施策というものを完了しなければいけないということで、確定日付で期限を書いておるわけでございます。  それに至る手順でございますが、まずは監理委員会における検討、そして監理委員会での新しい再建対策といいますか、企画立案を行うというのが最初でございます。次に監理委員会では、その結論を出しますと、それを意見として内閣総理大臣に提出する。内閣総理大臣はそれを受けまして、政府部内で関係閣僚会議等の議を経まして現実の行政府施策として取りまとめる。これは法制度にも絡む問題が出てまいる場合があると思いますが、そういう場合には、当然必要な法改正とかあるいは新規立法とか、そういうふうな法制上の手当てを必要とするということで、それを立案して国会の御審議をいただくということになろうかと思います。そこで、そういう制度的な面の整備がなされますと、今度はそれに従って現実に準備を進めるわけでございまして、具体的な準備を進めて、そして最終的に体制整備という目標にこぎつける、こういう手順になるのではないかというふうに考えております。  それから、じゃ監理委員会はいつまで存続するのかということでございますけれども、この監理委員会は、まずは主たる任務は、先ほど申しましたこの法律に基づいて検討していわゆる施策を企画立案するということでございますから、まずその間はフルに活動するということになろうかと思いますが、それ以後におきましてもこの法律上の仕組みによりまして、政府側の方からその実施段階で必要に応じて通知が参る、それからまた、監理委員会の方は必要に応じて政府に対して勧告を行うというふうな、いわゆるチェック機能というものも持っております。さらには附則に書いてございますように、経営改善計画あるいは予算というふうなものについてもこれを監理委員会に付議をしてその意見を聞くというふうなことで、監理委員会にそういう権能も付与されておるわけでございまして、したがって、監理委員会としてはその体制整備が完了するまではそれらの所掌事務が残っておるわけでございますので、それらを遂行していくということで、要するにこの六十二年七月三十一日の体制整備という時点におきましていわば監理委員会としてもその任務を終了する、その時点で適切な立法上の措置を講じまして監理委員会の任務を終了させる、こういうことになろうかと思います。現在の国鉄状況から見ますと、何が何でもそれまでには体制整備を完了させるという強い決意で臨む必要があろうかというふうに考えております。  それから、先ほど経営改善計画が食い違った場合どうかという話でございますけれども、これは先ほど申しましたように、現行法におきまして国鉄経営改善計画をつくっておられる。しかし、これについては、先ほどから総裁の御答弁がありましたように、現実との間に乖離が生じてきておりまして、いずれこれについての改定は必要であろう、こういうふうにおっしゃっているわけでございます。一方、この監理委員会につきましては、この法律案をお認めいただきました暁におきましては、新しく発足する監理委員会として、いわゆる緊急措置、これは主として経営改善計画内容になるものでございますが、これについても、その基本的な実施方針というものについて意見を述べることができる、こういう規定になっております。したがいまして、監理委員会が発足した時点におきまして、その緊急措置について監理委員会としても何らかの意見を申し述べる、その段階で国鉄が新しく改定していく経営改善計画との間の整合性、調整が図られていく、こういうことになるのではないかというふうに考えております。
  50. 吉原米治

    吉原委員 事務的な話ですから、少なくとも私は必要ないと思っておりますから、尋ねぬでもいいことを尋ねているような気がしてなりませんが、いずれにしても、しばらくこの監理委員会というのは存置されるというふうに認識しておっていいのですね。一応目安は六十二年七月三十一日となっておるけれども、体制整備ができない場合は引き続きその機関は残っていくだろう、こんな予測でいいのですね。違いますか、よければ答弁はよろしい。  そこで私は、いままで国鉄から出されたこの経営改善計画の中でいろいろな数字を見ておるわけでございますが、この中で、私どもがかねてから言っております長期負債の問題あるいは特定人件費等々の構造的欠損と言われる部分、あるいは設備投資のあり方、国と国鉄の責任分野といいますか、負担分野というものを明確にしない限り、真の国鉄再建はあり得ぬですよ、こう毎たび指摘をしてきたところです。  ところで、国鉄の方から出される収支試算表を見ましても、一般営業損益の欄を考えてみましても、営業損益から退職手当及び年金負担の急増に伴う増加分を特定人件費として除外してわざわざ数字が載せてある。あるいは幹線の損益等は特定人件費を除外して算出したものである。このことからしても、国鉄自体あるいは運輸省自体としても、本来ならこれは国が何らかの形で肩がわりしてくれてしかるべきものじゃないか、それを外してみればこれだけが本当の赤字でございますよ、こう言いたいのでしょう。私は、この資料の出され方から見てそう感じ取っておるわけです。ですから、少なくとも構造的欠損と言われる部分、あるいは本来民間企業、営利企業でない国鉄からしてみますと、この路線の敷設をしてももうけにならぬ、しかし国鉄の持つ公共性からいって、そんな採算上のことばかり言っておられぬと、いわば国策に沿って今日まで国鉄経営されてきたはずなんです。ところが、今回の監理委員会法案を見てみますと、公共性というのが一つも戦っていない。そういうことから考えますと、公共性を放棄して、この際ひとつ営利を追求するといいますか、そういう方向にひた走りに走ろうとしておる。そうなってまいりますと、国鉄再建でなくて国鉄の破壊につながるのだ、私はこう言わざるを得ないのです。  率直に申し上げて、資料の出し方一つ見ましても、わざわざ構造的欠損部分の数字は引いて列記してあるような資料づくり、こういうことからして、国鉄なり運輸省政府にその部分の肩がわりを期待しておるのではないですか。そこだけを国が持ってくれるのならりっぱに経営はやっていけますよ、そういう一つの意思表示にもなると思うのですが、私の解釈で誤りはないか、ひとつお答え願いたい。
  51. 高木文雄

    高木説明員 年金の問題とか、それから臨時的に退職者が大ぜい出ることによって過渡的に赤字が出る問題とか、あるいは長期債務の問題とかにつきましては、率直に言って何とかお助けいただきたいという気持ちを私どもは前々から持っておるわけでございまして、経営改善計画再建法に基づいて作成いたします際にも、そのことはもう少し明確にさせていただきたいという気持ちは持っておったわけでございますし、今日もその点は変わっておりません。しかしながら、政府のお立場としましては、将来の財政負担につながる問題でありますために、単年度主義の現在の国の予算の組み方から申しまして、その部分についてだけ前もっていわば約束をするといいますか、負担を明確にするということはできない立場にあるということもわかるわけでございます。そういうことのわれわれの立場と、政府の予算編成に関連するお立場との調整を、そういう幹線と地方交通線と特定人件費というふうに区分することで計画をお示しすることを通じて、いろいろな形でお読み取りいただくということで、いまの経営改善計画の案ができておるわけでございまして、お尋ねの趣旨もそういうことかと存じますが、われわれの気持ちとしては、いつとは申しません、またどの程度とは申しませんが、そうした問題については何らかの形をとっていただかないとやっていかれないという考えは、当時から今日まで変わっていないわけでございます。
  52. 吉原米治

    吉原委員 総裁の気持ちもわかりました。何とかこの分野はお助け願いたいという、まあ大変結構な表現だろうと思いますが、お助け願いたいという願望を持っていらっしゃる。それを政府に求める求め方といいますか、姿勢の問題だと思います。  現行法の二十五条「特別の配慮」というのがございますね。政府は、十八条、十九条、二十三条に規定するもののほか、日本国有鉄道経営改善計画の円滑な実施その他その経営再建を促進するために必要があると認められるときは、国鉄に対して、財政上の措置その他の措置を講ずるよう特別の配慮をすることができると現行法二十五条にぴしゃっと載っておる。これに依拠されて、国鉄で負担するのは適当でない、力があって負担するならいいけれども、こういう分野についてはぜひひとつ政府で考えてもらいたい。二十五条にりっぱな精神が書いてあるわけですから、特別の配慮を政府はしなければならぬ。そういう意味で私は、監理委員会など屋上屋を重ねるようなそんな機関をわざわざつくらなくても、現行法で十分国鉄再建は可能だ、要は、政府みずからがその気になるかならないか、政府にその気にさせる手段を考えていただければりっぱに国鉄再建できると思っております。  きょうは持ち時間は原則二時間でございましたが、原則一時間半、多少の幅を持ってという委員長の発言もございましたので、若干ゆとりを持ってやらせていただきましたが、大体私の持ち時間が来たようでございます。監理委員会に依拠しなくても現行法で十分やっていける、むしろその方が現実的だ、こう思います。特に大臣、あなたはそういう意味ではかっての経験者ですし、ベテランの大臣だと思って私は期待しておるわけでございまして、国鉄あるいは運輸省日本運輸行政最高の地位にある大臣ですから、少なくとも、六十年までは現行法再建のためにがんばる、六十年以降はちょっといま計画が立たぬから、その時点でまた考えさせていただくというぐらいの、ひとつ主体性あるお答えをお願いして私の質問を終わりたいと思います。
  53. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 国鉄に対する御熱意に敬意を払います。先ほど吉原さんから公共性がなくなるのじゃないか、こういう話がありますが、私たちは国鉄に対しましてはやはり公共性というものをちゃんと期待もし、また、従来そういうことでお願いもしてきているわけでありまして、今度の法律にもそういう意味で「当該事業再建推進する」というのが第一条でございます。いずれにいたしましても、段々の御議論の中にあるようないろいろな議論を踏まえながら、この監理委員会によって国鉄がしっかりと公共的そしてまた企業としてお互い労使ともどもに懸命にやりながら採算をとっていく、ひとつこういう姿勢を出してもらいたいということを願っております。
  54. 吉原米治

    吉原委員 終わります。
  55. 原田憲

  56. 山田耻目

    山田(耻)委員 きょうは国鉄再建に関する臨時措置法の御質問をするわけでございますが、特に私は国鉄再建に当たりまして非常に気になっておることがございまして、先般この法案が本会議にかかりましたとき、運輸大臣からいみじくも御答弁いただきました、国鉄再建の基本は、労使が全く正常化の状態でこの危機を見きわめて協力していかねばならない、その労使正常化が一番重要であるというお答えがございまして、私は、さすが運輸行政最高の責任者であるな、よく現実をお見抜きであると思って拝聴いたしましたが、運輸大臣、その考えはあの本会議だけの答弁ではなかったと思うのですが、今日以降もその考え方を貫かれていくお気持ちでございますね。
  57. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 どんな事業でも経営者と従業員によって成り立つわけであります。そうしますというと、これは本当に経営者がやろうとする目的、また、国鉄の場合には公共性、そして国民が全部見ているということ、また、国民が特に税金で補っている、こういう中から一生懸命労使両者ともどもに協調しながら、一つの目的に向かって国民の信頼を得ながらやっていくというのを私は心から願って、今日まで見守ってまいりました。
  58. 山田耻目

    山田(耻)委員 大臣のお気持ちよくわかりました。ただ、抽象的な気持ちだけでは問題の処理は大臣のおっしゃるように進んでいくものじゃないと思いまして、私はもう一点お伺いするのですが、終戦後、日本の国の労使の関係はそれぞれの関係法によってお互いの立場が守られております。それは、今日の日本というものは、労使の協調の前提としてお互いに対等の立場認め合う、これが憲法にしても労働組合法にしてもその基本が貫かれております。国鉄の場合は労働法、憲法で保障した労働三権というものは与えていません。しかし、ストライキ権を除いた団体交渉権、そうして協約の締結権というものは保障しています。それらを十分頭に入れて、そうして労使の正常化を求めていかねばならぬというお答えだと思いますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  59. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 これは労使ともどもにそういう関係の中から、ときに誤解があり、ときには解釈が足らないものがあるならば、両方で話し合って協調の路線に持っていく、こういうのがどの労働運動の場合でも一番大事なんではないでしょうか。立場立場によってそれぞれ意見が違いますが、こういう法制の中で自分の事業をどう伸ばすか、そして自分の職場というものをどう維持していくか、こういう姿だろうと私思います。
  60. 山田耻目

    山田(耻)委員 おっしゃっているとおりだと思います。まさに立場が違うし、そして考える発想も異なってくると思いますが、労使の正常化というものはそういう違いを前提にしておりますから、労使対等の立場で十分その意見の違いを語り合っていって一致点を見出す、これが団体交渉の基本であります。大臣にそのお言葉いただいて大変ありがたいのですが、今日の国鉄再建をめぐりまして労使の間で紛争が生じているとお考えでございますか、円満にいっておるとお考えでございましょうか。
  61. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 国会の場所ですから、全体を把握しているわけじゃありませんが、私の感想を申し上げます。  昨年でしたか、ダイヤ編成、あるいはいろんな問題、そういう場合に、たくさん国鉄の内部にも組合があると聞いております。そして、大部分の組合の方々が、今日の国鉄の置かれている立場、これなども考えられて話がついたとも考えられた。しかし、一部にはそれもなかなか理解ができない。だから、ときには戦術で何か順法闘争とかいい、そしてほかの組合が全部静かに協力して列車を運行さしているときに列車を連行もさせなかった。私らのところに来る報告によりますと、何百名か何千名か知りませんけれども、そのたびに処分も受けた。金額は少ないでしょう。しかしながら、こういうふうにして国会なり国民全体が何とか国鉄再建したいという中にあるときに、そういうことが大きく出ることが何か懸命にやるのに水を差したような結果になりやせぬか、こんなことも私は心配していることも申し上げておきます。
  62. 山田耻目

    山田(耻)委員 そうしたトラブルも若干あったように私も見受けています。しかし、やはりトラブルが起こるということは、労使が正常化をつくる立場に立って、そうして対等の立場で団体交渉するその手続に瑕疵があったのではないか。そういう気持ちから一般的には予測できない不幸な事態が起こってくるということもあり得るのでございまして、いま大臣がおっしゃっていたような不幸な事態が招来する、起こってくるということは、そういう手続の段階できずがあるということも一つの大きな要因になっていることも御理解いただいておきたいと思います。  そこで、大臣の御答弁は、労使が正常化して本当によく話し合って、そうして国鉄再建をなし遂げていかなければならぬ、こういう御意見でございまして、私は同感です。運輸行政の責任者としての大臣はそのような強いお気持ちを示しておられますが、国鉄経営の責任者として、高木総裁大臣のお考えをどのようなお気持ちで受けとめておられますか。それをお聞かせ願いたいと思います。
  63. 高木文雄

    高木説明員 先ほど大臣から御答弁がありましたお気持ちと全く同じでございまして、労使でこのような危機を乗り越えていかなければならぬ。そのためには、いろいろな意味での意見交換、交渉といったことがスムーズに進んでいかなければならぬと思っておるわけでございます。現実にはそうならない面がありまして苦慮はいたしておりますけれども、基本的な考え方はそのとおりでございます。
  64. 山田耻目

    山田(耻)委員 基本的な考え方大臣と全く同じである、しかし、現実にはそうならない場合があって大変混迷を生じておるというお話でございますが、私は現実にそうならないで争いが起こるということを重視するわけです。それでは労使正常化をつくって国鉄再建に力を合わせていこう、この大前提が壊れていくのです。私はいろいろと心配しておりますから意見も聞いておるのでありますが、やはりこうした大事な問題というのは徹底して話し合う、これが一番の前提でなければなりません。それに、この話はここまでだよ、この話はここまでだよと関所を設けて話し合いに入る、それも大事だと思います。大事だと思いますが、その段階に来てももう少し待ってくれ、もう二、三日待ってくれ、そうして職場の労働者の理解も求めて円満に解決したいから待ってくれというその意見も、前提で申しました国鉄再建に協力する労使正常化の前提に立っておるのです。それは待てない、もう団交打ち切りだ、強行する、そういう立場になりますと、人間同士ですから、何を言いやがるか、ここまで一生懸命やってきたのに、それならおれたちは実力で排除する、こういうような気持ちになりかねないものなんですよ。それをもう二、三日待ってやって、じゃもう三日だよ、これ以上は待てぬよ、徹夜ででも話し合って片づけようよ、そういう態度を示す経営者がいいのか、いいやだめだ、ここは強行するという態度で混乱を引き起こしていく経営者の施策が正しいのか。ここは、第三者とは言えませんが、公正な目で見られる運輸大臣はどのようにお感じでございましょうか。
  65. 高木文雄

    高木説明員 現在数カ所でトラブルが起こっておりますので、その辺の事情を私から先にお答えいたします。  管理局は全国に約三十ございまして、したがって団体交渉等も、中央でも行われますけれども地方でも行われるということは御承知のとおりでございまして、それぞれその地方のやり方について、いまのお示しの点について、どうしても地方ことに責任者の考え方によって多少のニュアンスの差はあるわけでございますが、今日私が報告を受けております限りにおきましては、たとえば三月の何日までには新しい体制に入らなければならぬ、そのためにはその準備等の都合もあるから一週間くらい前までには決めなければならぬということをあらかじめ決めて、そして何回も交渉が行われる。しかし、いろいろ協議の都合もあるのでもう一日待ってくれ、もう二日待ってくれ、もう三日待ってくれというようなことがあるわけでございますが、問題はやはり列車運行にかかわる問題でもございますし、それから年度末でいろいろ職員の配置転換等も伴わなければならぬという事態でございますので、そういつまでも待つというわけにもいかないということもまたわかってもらいたいと思うのでございますけれどもあと何日あと何日ということで何回となく延びていった。しかも、それが交渉があって延びていったのでなしに、交渉自体を待ってくれということで延びていったということで、もうこれ以上待つわけにもいかぬということを原因としていまトラブルが起こっている事例があるわけでございまして、このことにつきましてはそれぞれの立場で、ことまで待ったのだからもう何とかひとつ結論を出そうじゃないかという立場と、もう少し待ってくれという立場のどちらがより常識的であったかということについては、いろいろな御意見もございましょうし、われわれにも意見があるわけでございまして、それらの点について摩擦が起きている事例があるということは認めますけれども、その事例について、私どももある程度は現場に任せながら、また、ある程度には指導しながらやっておるわけでございまして、何とかそういうことが起こりませんようにという基本の気持ちは持ちながら、現実には、何しろお互い相手がある交渉事でございますので、うまくいかなかったという事例があることも否定をいたしません。今後とも何とかそれを起こさぬようにしたいと思ってはおりますけれども、かなりいろいろな点で基本思想に隔たりがある点からあちこちトラブルが起こっていることは事実として残念に思っております。
  66. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 山田さん、私は国鉄のファンになったのはこういうことなんです。昭和二十年、日本が敗戦したとき、私は偶然長崎惣之助鉄道長官、この人の調査官に任命されたのです。ごあいさつに参りましたら、この人は秋田県出身で、御承知のとおりずうずう弁でした。この方が、当時各役所が進駐軍と折衝に行く。そうすると、日本の機構がほとんどがたがたになっているし、それから負けたというふうなことで、アメリカは、日本は役人がサボタージュしている、こう思って、何を説明しても理解しない。しかし、あの人が言うたのです。私の前にダイヤを出しましてね、複雑なダイヤの線、これを見せて、こういうときでも、石炭がないときでも国鉄はこのとおり、ダイヤどおりやっているのですよ、こう言うと、重装備で日本を占領しておったさすがのアメリカの司令部もわかってくれて、そして自分は説明しやすい。それ以来私は国鉄のファンになったのです。あなたはあそこにおられてよくおわかりでしょう。いろいろないきさつがあったでしょう。二・一スト、一歩後退二歩前進等々の中から、今日まで見ておりまして、国鉄というものはすばらしいものだと私はよそへ行って自慢しているのです。ですから、ここまで危機的な情熱になったときに、この危機をひとつみんなで突破してもらいたい。だれも国鉄の線をあしたから外すと言ってないですから。何か再建法であしたからみんなレールでも外すような、そんなムードじゃかないませんから。そういう中に労使の問題もある、財政の問題もある、長期債務の問題もある、これを堂々と御議論いただきつつ、再建監理委員会で御審議いただき、その中でいいものをつくって、この国鉄の伝統と、それから技術の進歩性、こんなものを温存していきたいというのが一つの気持ちでございますから、そんな上で行動していることだけ御理解いただきたい、こう思います。
  67. 山田耻目

    山田(耻)委員 大臣総裁も、国鉄というものを再建するために、労使は本当に協力して、よく話し合って、いい結論を得て実施していかねばならぬ、こういう御意見の上に立たれてのお答えだと承知をいたしました。  私は、今日の国鉄関係労働組合を見まして、みんな朝目が覚めて新聞を見て、国鉄のことが出ていないかと思ってページを開けば、また国鉄のことが出ておる。制服を着て仕事場に行くこの人々の気持ちは、社会からも目を背けて、そうして勤務につかねばならぬという何日かが続いたと思いますときに、かわいそうでなりませんでした。それは、その中には天に恥じねばならぬ気の毒なこともあったでしょうが、多くの人は本当は胸を張って歩きたかった。そのような国鉄の職員を眺めてみますと、それを組織しておる労働者側の代表である各組合もつらい気持ちに明け暮れていたと私は思いますが、昨今の状態を見まして、国鉄再建には非常に積極的な協力性を示している。さっき吉原さんの質問総裁がお答えになっておられましたが、あの五十七年のダイヤ改正で一万数千名の減員をするダイヤが策定されました。何のトラブルもありませんでした。それは、働く労働組合関係が真剣になって、今日の国鉄経営状態を熟知している結果にほかなりません。私はそういう労働団体をよく承知しておりますから、総裁がおっしゃっていた昨今の二、三の出来事について私はとても遺憾に思っておるのです。これは、あちらが悪いこちらがいいと言って選別をする前に、人間同士ですから手違いが起こる、その手違いを避けるために、腹を割って、時間をかけてもじっくり話し合うという人間関係の信義、信頼感が欠如していたのではないだろうか、そういう気がしてなりません。私は、門司なり鹿児島なりあるいは印刷場なり、その内容について調査をいたしてまいりましたが、その内容をことに明らかにしようとは思いません。思いませんが、私が受けた直観は、なぜもっと話し合ってくれないのか、関係管理局長、現場長も、本社の高木総裁の気持ちも運輸大臣のお気持ちもこの委員会でお述べになりましたが、私もそうであろうと察知しておりましたから、国鉄再建を願う人々は本当に話し合いを強く求めているんだよ、それを話し合いをしないということを、一方的だと言えば語弊があるかもしれませんが、みずからの判断で中断をする、こういうことはできるだけやめてくださいよ、そして話し合えば必ず一致点が生まれる、いまの国鉄関係労働組合の役員の人々の気持ちの中には、それは困ると言って反対意見を述べているけれども、一定の時限に来れば腹を据えて下部職員を説得もする、それぐらいの腹はいま持っています。そういう気持ちをお信じになって交渉を強めてほしい、話し合いをしてほしいということの不足が今日の混乱を起こさせておるような気がしてなりません。だから、そういうことを前提にして、また大臣総裁、申しわけありませんが、そうした話し合いを強化していく、その立場をお認めになるかどうか、御見解を述べていただきたいと思います。
  68. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 三公社五現業の労働組合の中でどうして国鉄だけがこんなに毎日毎日ある意味ではいじめられる、ある意味では批判される、こんな同情さえ持っておるのです。私は朝、ジョギングの間によく駅を歩くのです。そうしますと、従来は駅長さん、助役さんは、私たちのときはいいけれども、後の時代はどうなるでしょうか。これは監理委法案も何も出ないころでした。私は運輸大臣になった後で、実はおれが運輸大臣になったよと若い諸君に言うのです。しっかり頼むよと言うのです。破産するときの立会人になりたくないからなと。夜駅長さんが私の家に、若い者を激励してもらってありがとう、こう言って列車の時間表などを持ってお礼に来られたそうです。そういう気持ちを私は持っているのです。それは大ぜいがあのとおり列車を運行させているわけです。そういうことからしますと、私はこういうときに、危機的なものはここにあるんだ、こんな感じから、本当に、つまらぬと言っては悪いけれども、イデオロギーがどうのこうのじゃなくて、民間労組ならば、労組と経営者がいま一緒になって再建を願って歩き、日曜日は電力料金が安いと言ってその安い日曜日に働いて月曜日に休まして鉱山の仕事をしている山もあるわけです。こんなことを思いますと、もう赤字であっても、年末手当でお互いが、皆さんも苦労されるでしょうが、私たちもそこはかとなく御同情申し上げたり、外に行って言うわけにいきませんから以心伝心みたいなことをやったりして、こういう形でございますから、ことはひとつみんなでこれは乗り切るんだという、こんな山田さんのような気持ちで組合の諸君、働く諸君を総動員してもらった暁には、これは国鉄再建に国民も拍手喝采するし、たとえば共済一つがそうですよ。政府のお互いが国鉄の共済が大変なことを数字で知っています。しかし、もらう側じゃありませんから、どの辺がどの程度厳しいかということを体で感じない。しかしこれは何とかしなければならぬという数字は出ているわけでしょう、それぞれの役所に。あるいはまた、内閣全体で年金問題――だから私は、組合の諸君に会ったときに言うのですよ。そのために千二百円もよけい出さなければならぬ組合があるんだよ、諸君もひとつ頼んでくれよ、労働者は連帯なのだからということさえ気がつけば申し上げつつ、地位の向上といいますか、この際はひとつ協調の中にお互いが信用を得つつ、公共事業であるところの国鉄、この再建にともどもに気持ちを合わせて当たってまいりたい。一つ一つのケースはそのときそのときでございますが、自分の気持ちとしてそういう立場において皆さんと接触していることだけ申し上げまして、御答弁といたします。
  69. 高木文雄

    高木説明員 お示しのように、あくまで基本的には話し合いが行われなければならないわけでございますけれども、組合ごとに運動方針もいろいろ違っておるわけでございまして、いまもって大会において闘争ということを非常に重要な一つの姿勢としてとっておるところもございますので、なかなか話し合いがうまくいかないということもありますし、また、各地方本部ことにニュアンスが非常に違っておりますので、なかなか全部が全部うまく行ってないわけでございます。  外からごらんになって御心配いただいていることで恐縮しておりますけれども、基本をそこに置きながら、しかし何とか組合の諸君にも話し合いで物事を解決しようという態勢をとってもらって、しばらくはこの闘争主義というものについても、同じ闘争主義でもいろいろ幅があるわけでございますから、弾力的な姿勢をとってほしいという気持ちを持っておるわけでございますが、申しわけございませんけれども、地域によってはかなりまだその辺に差があるわけでございまして、御視察いただきましたような地域でいろいろ問題が起こっておることは承知をしております。しかし、これは決してそのこと自体をよしとしているわけではないわけでございますので、今後とも指導はいたしてまいりますが、先輩に当たられます諸先生におかれましてもどうか御指導を十分していただきますように、むしろ私どもからお願いいたしたい心境でございます。
  70. 山田耻目

    山田(耻)委員 私たちは私たちなりに心配しておりますから、それは御安心いただきたいと思いますが、私が伺っておるのは、総裁、いまの状態をこのまま続けておくということは、国鉄経営者にも国鉄に働く職員にもよくない。そうして、部外の国民の皆さんの目に与える姿もよくない。だからこれらを片づけて一般の目にも触れるように、よく労使が正常化して協力してやっているな、こういう姿を印象づけるためには、総裁は、なお引き続いて団体交渉してよく話し合って、お互いに気持ちを理解し合って解決に当たっていくということについてどうなのかと私は聞いておるのです。やる気かやらぬ気か。  私は、言いたくありませんが、廃止をする、民間に委託をする。駅で列車が来るときにはいま従来の国鉄職員の手で切符が売られて、その金はあなたの方は受け取らないのですね。それが供託金として弁護士の指示によって供託されています。このようなことは、経営をする責任者として国鉄当局の根性が私はわからぬですよ。私は、一刻も早くそういうふうな不自然な状態を改めて、正常に返してやりたい。私は一国会議員として言っておるのじゃないですよ。本当に国鉄が好きで国鉄しか知らなかった、そういうところに勤めていた私として申し上げているのですよ。そういう不正常な状態を直すのは、話の行き違い、感情の行き違いがあるのですから、それは話をして、お互いに納得ずくで処理する以外には人間社会の解決はありませんよ。私はそういうことを念頭に置いてお聞きしておるので、鹿児島鉄道管理局は速やかに団交を再開して、日にちは要りませんよ。本当に二日か三日で皆片づくのです。その態度をとらずに団交拒否、話し合い拒否をしていくということは、私は国鉄再建をまじめに願っておる経営者の態度とは思えませんよ。私は理屈を多く言いとうありません。速やかに団交再開の意思を地方管理局長に御指示願って、組合の方も十分その措置をして円満に問題の解決に当たっていくということが、私は今日の国鉄労使のとるべき措置だと思いますがね。それを総裁はどのようにお考えでございますか。
  71. 高木文雄

    高木説明員 私が事実関係を正確に把握しているかどうかという問題が一つあるのでございますけれども、私が報告を受けておりますところでは、団交しないとは言ってないわけでございまして、団交しましょうと言うわけですけれども、団交の席に着かないということになった場合には漫然と日を送るわけにはいかないということから今回の問題は起こってきているわけでございます。しかも、いま供託という話がございましたけれども、これは団交がうまくまとまりませんというか、組合サイドから見ますと、業務委託をやることについてまだ団交という形では話し合いがついてないわけでございますが、それらの駅の中で、事実行為として私どもが用意しておりました業務委託の業者を実力をもって排除するというようなことにまでなりますと、これはかなり問題があるわけでございます。それが全部の駅でそうなっているわけではなくて、ごく一部の駅で、団交を通じて業務委託をしようではないかという提案に対して団交が行われない。そして仕方がないから実行に入った。委託をした。その幾つかの駅の中でまたごく一部の駅については、実力をもって業務委託を受けた業者が仕事をすることを防除するという形が行われているわけでございます。こうなってまいりますと、私どもといたしましても、とにかく物事を話し合いで進めるという場合に、団交に応じないで、その上でかつ実力をもって排除するということではちょっと放置できないということで、いま紛争になっているわけでございます。そういう例は非常に異例な例だと思いますけれども、基本的にはやはりお示しのようにどこまでも話し合いによって結論を出していく。きょう提案してあした返事せいというわけではないわけでございますから、かなりの時間、話し合いの期間があったわけでございますから、それを話し合いに応じないということでは、われわれとしてもやはり何らかの決まりをつけませんといけないということで、いまそういう事態が起こっているわけでございます。  ただ、事実認識について、私も現場に行っておりませんので、報告を通じて聞いておることでございますから、よく念査をいたしますし、また、基本的に先生の言われるようなことが事実であるなら、これは改めなければいけないわけでございますが、やはりあくまで団交を中心としてやろうという姿勢に対しては、これはぜひとも組合としても応じてもらわなければならぬというふうに考えて、いま紛争は紛争、基本的な態度は基本的態度ということで考えております。
  72. 三坂健康

    ○三坂説明員 若干事実関係を補足させていただきます。  鹿児島の問題でいろいろ御心配をかけておりまして申しわけない次第でありますが、鹿児島の管理局は非常に要員事情の苦しいところでございまして、この三月をもって約五百名の退職者を出すわけでありますが、御存じのとおり、退職不補充でもって、合理化で何とかその業務量を賄っていきたいという要請を持っておるわけでございます。したがいまして、一月の中旬に、営業体制の近代化といいまして、駅業務を合理化並びに部外委託するという事案、それから運転車両検修の近代化といいまして、機関区の業務を一部外注するという事案、それから電気保全業務の改善と申しまして、電気関係の保守業務を外注するという事案、三案を一月中旬に提案いたしまして、自来鋭意団体交渉を重ねてまいったわけであります。  駅の近代化につきましては、八回団体交渉いたしておりまして、さらにそれ以外に九回私どもが申し込んだけれども、相手側の都合で受けられないという事案がございました。運転関係では十九回団体交渉いたしておりますが、他に十七回われわれが申し込んだのに、先方がいろいろ御都合があるということもありまして、電気も同様でございまして、事実上十一回団体交渉いたしておりますが、これも他に五回ばかり先方さんの都合で団体交渉ができなかったというふうな実態があるというふうに報告いたしております。  私どもは、当初三月一日からこの事案を実施したい、といいますのは、やはり退職者が三月いっぱいに発生するということと、外注を受けます業者の準備あるいはその業務になれさせる必要等、あるいは電気の近代化の場合は規程改正等も必要でありまして、どうしても三月一日が限度だ、だからそこで鋭意団交を詰めてほしいということを再三申し入れたわけであります。ただ、私ども仄聞しまするところによりますと、これは主体となります組合は国労であったわけでありますが、国労は昨年末におきまして、年度末合理化事案は、団体交渉は進めてもよいが、最終的妥結はまだするなというふうな御指導がなされておったやに聞くわけでありますが、地元管理局は鋭意三月一日に実施したい、それは向こうはなかなか受けられないという事態がありまして、わが方が三月四日に一度これを延期いたしました。当局としましては、中身の話は詰まってきておるんだから、労働組合側の労働条件について提案があれば三日五日、六日にぜひ持ってきてほしい、わが方はいつでも団体交渉を受ける、しかし三月七日が今度はリミットなんだから、それが来ればわが方も実施せざるを得ないから、ぜひ団体交渉に応じてほしいという申し入れをしたやに聞いております。しかしながら、三月七日まで団体交渉に応じていただくわけにいきませんで、他の組合は当局の要請に応じまして、三月七日、団体交渉のテーブルに着きまして、徹宵で団体交渉をした結果、それぞれ妥結に至ったわけであります。まことに理想的な形ではございませんが、そういう形で、やはり他の組合も自主的な判断で当局の団体交渉を受ける、また妥結するに至ったからには、われわれもその施策を実施せざるを得ないわけでありまして、三月八日に至りまして、このような状態で他の労働組合と妥結をした、ぜひ国鉄労働組合も御了解いただきたいという説明をいたしたわけであります。しかしながら、国鉄労働組合は、この当局の姿勢が不満であるということで、三月八日に九州の地方調停委員会の方にあっせんの申請をなされた。事態が第三者機関に移ったわけであります。私どもは、いろいろ説明会あるいは準備作業等を、協力を呼びかけたのでありますが、組合側はまだ団交が終了してないということで、いろいろ、先ほど総裁が申し上げましたようなトラブルがありましたことは、これは事実でございます。  九州の地方調停委員会は、三月十九日に至りまして、本事案は解決することが非常に困難であるということで、もはやこれ以上取り扱いはしないという御返事をいただいておりますので、私どもとしましては第三者機関を一応離れましたので、再度国労に呼びかけまして、本事案がどういう根拠でわれわれがこういう提案をし、どうしてこういう結果に至ったかということをぜひ説明したいという呼びかけを現在もいたしておるところでございます。
  73. 山田耻目

    山田(耻)委員 いろいろ御説明がありましたが、三月八日に地方調停委員会にあっせん申請を出したわけですが、このあっせん申請というのは、何をどうしてくれという交渉項目を指しているのではないのです。途絶しておる団体交渉を再開してくれ、こういうあっせん申請を出したのが労働組合側です。だから、いまいろいろお話がございましたことは、労働組合が団交を拒否しておるというふうに承りましたが、労働組合は団交再開のあっせん申請をしたという当事者です。  この団交あっせん申請の中身には、いろいろ団体交渉の経緯を列記して出します。調停委員会はそれを見て管理局長なり組合の委員長を呼びましていろいろ事情を聞くときに、どうも管理局長の受け答えが、これは私の力じゃない、私は本社の指令でやっているんだからと、そういう意味のニュアンスを地方調停委員長に強く与えたようです。だから、私の努力で始末するととではありませんという管理局長の答弁で事態は混迷しておるような中身ですから、私は、この段階まで来ればもう放置できないので、先ほど申しているように、本社も団体交渉しなさいと言うて局長に指示をなさるし、組合側もいつでも応じます、私たちは従来の労使慣行正常化が壊されて、話し合いもできないという状態にあることは望ましくありません、だから早く団体交渉で解決をしたいので、いつでも受けて立つ用意がありますからという労働組合の態度の模様ですから、本社から団交をやりなさいという指示をなさる。ただ、先ほど総裁のお話にありましたように、なかなかやっても到達点にたどり着きにくいというふうな御判断のようですが、私は、労働組合側が受けて立つということは、そうした状態について、話し合いの結果、いつでも対応できる態勢は整えているものだと判断いたしておりますから、速やかに団交再開の措置をおとりいただきたいと思います。総裁、重ねて御答弁をいただきたいと思います。
  74. 三坂健康

    ○三坂説明員 三月二十二日に、他の案件もありまして鹿児島局が団体交渉をいたしたわけでありますが、この際労働組合側から、さきに当局が国労とは同意に至らないまま実施に移した合理化案件について話題が集中いたしました。その席上労働組合側の要望は、すべて三月四日以前の時点に戻して団体交渉をしろという御要請であったわけでありますが、現地局は、本事案はすでに、先ほどるる述べましたような経緯で当局の責任において実施したことであり、その中身、経緯あるいはその御納得いただかない点についてはいつでも御説明はするけれども、団体交渉というにはもはや事態は済んでおることであるから、話し合いには応じるが、団体交渉というわけにはまいらぬということをいま折衝しておる最中でございます。
  75. 山田耻目

    山田(耻)委員 それでは三坂さん、団体交渉をするという経緯にはなっていないということのようですが、私は、それは三月四日の時点で交渉が行き詰まって壊れたのなら、その後あなたの方で団体交渉打ち切りをされて実施に移されたということなら、やはり三月四日時点に戻して、そこで団体交渉を再開するのが常識じゃないですか。末弘厳太郎先生が戦後労働法をおつくりになったときに、一個の企業の中に数個の労働組合ができるとは御想定なさらなかったと思いますが、しかしその後、現実には一企業の中に数個の組合ができております。そのために公労法では、数価の組合ができているときには多数の組合から妥結をしてほしい、調停委員会もその立場に立って運営をしているんですよ。私はいまその理屈を言おうとは思いません。思いませんけれども、いまの三坂さんのような受け答え方では私は迷惑です。やはり現場を一日も早く安定させねばならぬ立場ですから、速やかに団体交渉に入れ、そうしてネックになっておるこの合理化事案の中で、労働条件の変化について速やかに団体交渉に入れと具体的に指示をしていただければ、組合はいつでもこれに対応できる条件を整えておるというふうに私は判断しておりますから、そのような措置がおとり願えないものか、重ねてお尋ねをいたします。
  76. 三坂健康

    ○三坂説明員 先生の御心配は十分わかるわけでありますが、本事案は地方管理局対地方本部で処理すべき事項でありまして、私どもは、地方局の立場を十分尊重せざるを得ない立場におるわけであります。先ほど来るる繰り返しておりますように、三月七日に実施に至るまでの間におきまして、私どもは十分団体交渉に応ずる誠意を示したというふうに思っております。そのような経緯から、やむを得ず、適当とは思いませんが、実際の合理化施策を強行したような次第でありまして、すでにその施策を実施しておりますので、この上は労働組合側も御理解を示されまして、当局の説明を聞き入れて、その現場の業務を阻害することなく、業務の円滑な運営に御協力をいただきたいというふうに切望しておるところでございます。
  77. 山田耻目

    山田(耻)委員 同じことを何回言ってもいけませんが、あなたそういう人間とは私は思いませんでしたがね。それは事態を解決する、しなければ困る。それはあなた方管理者の方が痛切に考えられなければいけないのですよ。私の言う意見というのは、高木総裁以下からそういう意見が出ていいんですよ。それを私が、情勢を見てこれはこうしてやらにゃいかぬ、早く正常化してやらにゃいかぬという気持ちで言っておるときにそんなことを言いなさんな。全く失礼だと思いますよ。  だから、私が言っているのは、いろいろ人間同士ですから話の中では行き違いがある。その行き違いを感じてきておる。この時期に団交再開を速やかに処理するというのが私は大切な当事者の心構えでなければならぬと思うのですよ。それが、これは地方の問題だから管理局長の権限だ、そんなことをいつも言っているのはわしらですよ。なぜ本社から指示を出すのだ。地方の交渉対象事項であっても本社から始め、やめ、打ち切れ、そういう指示を出されるのは、トラブルを起こすための指令ですか。私はそういう本社の経営責任者たちでは困ると言っているんです。だから、この時期が来たる、それは時期を見るということは大事でしょうから、この時期に大切な判断として私が申し上げた事柄がなぜ承知できないのですか。  高木総裁どうなんですか。国鉄最高責任者としてどのように処理なさればいいという判断をお持ちですか、お聞かせをいただきたいと思います。
  78. 高木文雄

    高木説明員 全国いろいろな事件がいろいろな環境で起こっておることで御心配をかけております。一つ一つにつきまして、それぞれ適当な指導をしてまいらねばいかぬ。いま申しました具体的な案件につきましていろいろ経緯があるようでございますから、そこらをよく調べて、基本はいまお話しのようなことでございますから、それによって善処してまいりたいと思います。
  79. 山田耻目

    山田(耻)委員 よくわからぬですがね。おっしゃっていることは、私が言うとおりにひとつ善処してまいりたいということなんですか、三坂さんが言っているような方向で善処してまいりたいというわけですか、そこをはっきりと言ってください。
  80. 高木文雄

    高木説明員 それは、この事実について見方がいろいろあるわけでございますから、いまここでは私ちょっとはっきり申し上げかねます。事実をよく調べまして、先ほど来お話の中で、何か管理局長が本社に縛られているということを言っているというような御発言がありましたが、その辺も相当大問題でございまして、そもそもそういうことはおかしいわけで、地方案件でありますから彼が責任を持って処理しなければならぬ問題であるわけでございますので、その辺も含めて現場の管理者の対応に誤りがあったとすれば、先生は誤りがある、こうおっしゃっているわけですから、誤りがあったとすればそれは正しますし、そういう意味で、個別個別でルールどおりの処理をいたしたいというふうに考えます。
  81. 山田耻目

    山田(耻)委員 それでは、団体交渉をして早く円満に労使正常化を図るということも含めて処理をしたいということですね。
  82. 三坂健康

    ○三坂説明員 本件は、先ほど来何度も繰り返した答弁で申しわけないわけでありますが、鹿児島鉄道管理局といたしましては、団交に対する誠意は三月七日までに十分尽くした、したがいまして本件は当局の責任において実施させていただきたい、ただ、現状のトラブルはきわめて不本意であるので、当局側の真意あるいはその背後となる考え方をすべて説明するから、組合側は一刻も早く正常な業務が運営できるように協力願いたいということを申し入れておるわけでございまして、本社もその考えを支持しておるわけでございます。
  83. 山田耻目

    山田(耻)委員 この問題で長くやりましても本会議が始まりますから、いま三坂さんは鉄道管理局は団体交渉の再開を希望しておる、だから速やかに対応機関がこれに応じてくれるように望んでおるというお話でございましたが、そのように私は受けとめておきます。そうして速やかにその対応状態が生まれて、早く正常化ができることを期待しております。高木さんは、本社では地方局を縛りつけることはしたことはない、あればその事実を調査もしなければならぬ、こういうおっしゃり方をなさっておりますので、私は、団交再開で速やかに労使正常化に入る、こういうふうに理解をしてこの問題は終わりたいと思います。  ただ、九州地方になかなか問題が多いのですが、この間福岡へ行きまして、数人の現場長に会いました。おまえさんは鉄道に三十年以上勤めておられると思うからわかるだろうが、汚染職場の人が入浴できないことはどう思うかと言ったら、頭を下げてよう顔を上げないのです。私たちがいろいろ現場で職員の指導をしていたころ、おまえの作業ダイヤの仕事の分担は済んだんだから、手待ち時間を休憩所で休んでおるよりか、その臭い体でうろうろするな、はよふろに入れ、こう言って職員をふろに入れておる現場長がおりました。やはり現場長と使われておる職員といえども温かい人間関係で結ばれているのです。昔はぽっとんぽっとん落ちる便所でしたが、いまは噴水装置でしょう、べべべっと噴露していきます。だから黄害というのは七十メートルに及ぶと調査の結果が出ているのです。そういうところで仕事をして帰ってくる職員、それを見た汚染職場の区長は、おいもう済んだか、はいきょうは終わりました、それじゃはよふろへ入れと言ってふろへ入れていた現場長は、私がおまえさんどう思うかと聞いたときに、頭を下げて顔を上げない。  汚染職場で勤務時間中にふろへ入れておるのは国鉄だけじゃないのです。私鉄もそうです。地方自治体もそうです。私は、いま問題が起こっておるのは、国鉄の財政再建をめぐってこういう状態ですから、国鉄が一番日の目を見る状態だと思って見ておりましたが、やはりそこには、国鉄の職場から人間関係を断ち切ってはいけない、使っている者、使われている者の中にはもっと温かいものが通い合っていかなければいかぬ。それでなければこれほど大切な人命や財産を輸送する国鉄業務というのは円滑に遂行ができない、こういう気持ちが現場を回りながらしみじみ感じられたものです。だから、私は局長に会いまして、おまえさんどうだね、これこそ本当におまえさんの直接の管理事項だよ、それを問答無用ということで一片の業務命令で通達をして、入浴禁止だ、入浴する者がおったら賃金カットはする、処分はする、入浴をヘルメットをかぶった助役さんが監視をしておる、こういう人間関係の職場では大事故が起こらなければいいがな、気をつけてくれよと言って私は帰ってきたのですが、そういう職場を見に歩くというのは、国鉄マンとしてはきびしいものですよ。だから局長に、おまえさんどうだと、私は団交再開していいと思うのですが、やはり本社からの命令ですからねと言うのですよ。だから返事ができませんから本社へ行って相談をして、私が行ったのが三月八日、九日ですが、来週の月曜日まで待ってくださいと言うから、それなら月曜日に私のところへお見えになるのなら公文書でいただきますよ、私も正式な国政調査権に基づいた調査団長だからと言って話しましたら、十四日に文書を持ってこられました。  私は、本当はあんまり上品な話ではないから長く続ける気持ちはございませんが、こういう問題について、回答者の中には、それは本部本社で団体交渉してくださいと言っていますが、それは本部本社で交渉ができる、汚染職種がよくわかるしろものの交渉ではありません。本部本社ではその団体交渉をしなさいということを地方局に指示していただければ、地方局と対応機関とで、現場の事情がよくわかるのですから、そこで話をしてまとめていただくということを考慮していただいて処理を願いたいと私は思いますが、これに対しても総裁お答え願えませんか。また三坂さんですか。
  84. 三坂健康

    ○三坂説明員 恐れ入りますが、先ほど先生の御集約の中に、地方に団体交渉を指示するというふうなのがございましたが、私ども立場説明することはやぶさかでないということを言っておりますので、御理解いただきたいと思います。  汚染職場の件につきましては、国鉄がこれほど財政赤字を抱え、国民の負担となっておるときに、国鉄職員はまじめに働いてくれておるのかどうかということが、昨年来大変新聞紙上等で取り上げられまして、私ども現場をくまなく点検いたしまして、いわゆるやみ休暇でありますとかいろいろな職場の悪慣行の是正に取り組んでおるものの一つでございます。  当初、運輸大臣の指示を受けまして、昨年の三月調査した時点では、約千七百の職場で勤務時間内に入浴するという慣習があったわけでございますが、これを直ちに是正いたしまして、十月時点ではほぼ六百カ所に減少してまいったわけであります。今日、それよりさらに時日を経過いたしておりますので、相当減少してきておると思うのでありますが、不幸にしまして門司鉄道管理局並びに東京地区におきましていまだになかなか是正を見ないという状況で、きわめて残念に思っておる次第であります。  先生おっしゃいましたように、戦前におきましては鉄道が蒸気機関車であったということ、あるいは列車等のふん尿設備が非常に野蛮な状態でありましたために、職員が非常に汚染するという事態があったと思いますが、鉄道も自来非常に近代化、装置化いたしまして、現在の汚染度はそれほどひどくない状況になってきておると思います。また、私どもも、何が何でも絶対に入浴を禁止するというのではなしに、やはり現場長の判断によりまして、きょうはきわめてふん尿等を浴びて汚れておるというときは直ちに入浴を許可することもありますし、雨の日に作業したときも、もちろんそういうふうにふるに入ってよろしいということもあるわけでありまして、そこらは常識的に対応しておるわけであります。民間企業等におきましても、自動車修理その他いろいろ汚染する職場はあると思いますが、その方たちもやはり勤務時間が済んだ後入浴されておるのが通例であろうと思います。  昨今のように、国鉄並びに公共部門の労働者が、納税者の前で民間並みの仕事ぶりを求められておるときには、あと二十分、十五分の時間でありますので、若干の不便はおかけすると思いますが、今日の国鉄の置かれておる厳しい状況をお察しいただきまして、ぜひ職員の方々にも御協力いただきたい。また、多くの職員がその指示に従っておるということも事実でございますので、この問題はできるだけ早く組合の理解を得て解消していきたいというふうに考えております。
  85. 山田耻目

    山田(耻)委員 どうも三坂君の答弁は何か歯切れが悪いという気がいたして、大変聞きにくいように思いますが、時間がございませんから終わりますけれども、いまの鹿児島の問題、門司の問題、そして、きょうはようやりませんでしたが、印刷場の硬券の民間委託の問題等、国鉄の職場では問題が二、三不協和音を出しておりますので、こうした問題については話し合って、それぞれ了解し合って処理するということを、大事なものとして扱っていただくように私はお願いをしなければなりません。そういうことを運輸大臣総裁、三坂理事はそれぞれ変わった立場で話をなさっておりますが、その底を流れる気持ちは、そういうことによって一刻も早く労使の正常化を図って、国鉄再建に向かって本当に手をつないでがんばろう、こういう気持ちで述べられたものだというふうに理解をして私は質問を終わりますが、申し上げたことを十分御理解の上、措置していただくことをお願いいたします。
  86. 原田憲

    原田委員長 それでは、西中清君。
  87. 西中清

    ○西中委員 国鉄の改革は、今日におきましては国民的な課題であると同時に、その解決、再建は一日も早く行っていかなきゃならぬ、こういう段階ではなかろうかと思います。ただ、この改革を進める前に、国鉄を今日こういう危機的状況に至らしめた責任は明確にしておく必要があると思うのでございます。せんだっての本会議でもこの質問は何人かございましたけれども、納得できる御答弁ではなかったように私は思っておるのでございます。いまちょっと大臣が席を外されておりますので、本来大臣に聞くべきでありますけれども、しばしば再建計画を立てながら破綻をしてきた原因はいろいろあるわけですが、根本的には、輸送構造の変化に対して、政府国鉄の政策が根本的な政策になっておらない、いわば対症療法的、その場しのぎの政策である、こういうことを強く感じるわけですね。そういった点についてどういうようにお考えになっておるのか、まず伺っておきたいと思います。
  88. 高木文雄

    高木説明員 かねがねから私どもといたしましては、たとえば総合交通政策というようなことが十分できていないことについて、国鉄側としては、率直に申し上げて、政府に対して底流においてはいささか不満を持っていたわけでございます。しかし考えてみますと、結局は利用者の方が飛行機を使うか、自動車を使うか、鉄道を使うかという選択をされるわけでございます。現実に飛行場が整備され、道路が整備されていくという前提のもとにおいては、だんだんそういうものが便利になり、お客様がそれを利用されるという現状のもとにおいては、やはりわれわれ自身がそうした世の中の動きに対応していく努力を絶えずしていかなければならぬわけでございます。先ほど他の委員のお尋ねにもお答え申し上げましたが、計画に比べて、実際私が責任を持った時期に入りましてからも、旅客も輸送が減り、貨物も輸送が減っているということについて、予測を立て得なかったことが大変悔やまれるわけでございます。  おっしゃるように、いろいろ政府なり運輸省なりにお願いしたいこともあるにはありますけれども、しかし現実は現実としてしかと踏まえて、私どもはそれに対応した経営なり運営なりをやっていかなければならぬ。その点が不十分であったというふうに考えておるわけでございまして、今回、貨物についてこの間発表いたしましたような措置をとりますのも、まず現在のお客様のニーズに即したものに転換していかなければならぬということで、従来の考え方を変えることにしたわけでございますが、そうした対応は、全体としての交通政策のいかんにかかわらず、われわれとしてやっていかなければならぬというふうに考えております。
  89. 西中清

    ○西中委員 国鉄が自主的な経営をする上において、いろいろと制約のあることも十分理解をしておるわけでございまして、ただいま総裁から、政府施策について不満の点もあった、こういうふうに言っておりますね。  大臣、いま席を外しておられましたが、国鉄を今日、こういう状況に陥れた責任、本気で再スタートして、この監理委員会を軸として新しい出発をしようというならば、その辺のところは政府の責任もはっきりしておかなければいかぬと私は思うのです。やはり国鉄国鉄としての努力が足らなかったということもいま総裁はお認めになっておりますけれども法律的な面であるとか、財政的な面であるとか、いろいろな面で政府としての施策も非常にその場限りの、いわば対症療法的な施策が多くて、再建についての施策ということになりますと、相当な見込み違い、甘さ、こういうこともあったのではなかろうか。現に再建の第一次、第二次、第三次は全部中途で失敗をいたしました。挫折いたしました。先ほど来議論がありますけれども、五十五年に再建法を施行いたしましたけれども改善計画ももはや見直しをしなければならぬ、こういう状況です。ですから、これはひとり国鉄の責任だけではなくて、運輸省そのもの、政府そのものがこの再建についての施策が十分でなかった、この責任は考えるべきではなかろうかと私は思っておるわけでございますけれども大臣にその御所見をお伺いしたいと思います。
  90. 永光洋一

    ○永光政府委員 国鉄再建が、何回かやりましてなかなかうまくいかないということにつきましての責任といいますか、問題点は、基本的にはモータリゼーション等のいわゆる輸送構造が変革したことに対応した姿になかなかできなかったということでありまして、そういう意味では国鉄の企業性がなかなか発揮できなかった。その点、労使ともどもにそういう危機的な状態に対する認識という問題が徹底しなかったということにあると思うのであります。しかし、その他の面につきまして、構造的な問題等々、われわれとしてもいろいろ方途を講じておるわけでありますけれども長期債務の資本費の負担あるいは特定人件費等の問題につきまして、なお問題が残されておるわけでありまして、これらの問題につきましては、今後国鉄再建の大きな基本的な問題であるということをわれわれも認識しまして、いま提案いたしております監理委員会等におきまして結論を出していただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  91. 西中清

    ○西中委員 そういうことは言いたくないのですけれども、五十五年の法律によって経営改善計画を立てて、もはや破綻しておるわけでしょう。モータリゼーションはこのときはすでにわかっておるわけですよ。ことごとに計画というものが非常にずさんである。それについて、今日まで政府再建計画を練ってきたけれども、見通しを全く誤っているのか、単なる数字合わせの計画を立ててはその都度失敗してきたのか、私はそう思っておるのですけれども、その辺の政治的な責任はどうなのか。累積債務にしましても累積赤字にしても大変な金額になっておるわけですが、これは最終的には全部国民にしわ寄せをされて解決していかなければならぬ問題なんですから、こういった点、政府としてもこの際、こうした新しいスタートをしようとしておる段階ですから、それなりの責任を明確にされることが必要だろうと思います。これはやはり大臣にお答え願わなければならぬ問題だと私は思います。
  92. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 従来国鉄の問題に対しては企業性を発揮できない。たとえば運賃でも法定主義だ、国会で御審議願っている間に、せっかく御審議いただいた運賃が役にも立たなかったとか、また、土地の利用とかあるいは営業法の改正とか、そういう国鉄からの御要請に応じてわれわれやってきましたけれども、全般的な問題は外的要件もございます、モータリゼーションの異常な発達あるいは長距離の方はいまや飛行機時代とか、そういうことを国鉄の方からも私たちの方に言ってこなかったこともございますが、私たちも指導監督する意味からしますと、わずか二年間で大変なことになったことに対しては心から責任を感じつつ、なおその責任を感じるからこそ今度の再建委員会においては一層努力をして、いままでの問題を払拭しながらがんばっていきたい、こんな決意でおります。
  93. 西中清

    ○西中委員 大臣にも食事をしていただかなければいけませんから、続いて質問をして、これでなにしていただいて結構です。  先どろの本会議で、国鉄経営形態の将来像について私は質問をさせていただきましたが、総理と運輸大臣の御答弁に若干のずれがあったように感じました。ここでもう一度確認をさせていただきたいと思います。  この問題について、分割民営という問題、それから本法案では「効率的な経営形態」、こういう表現の違いがあるわけでございますね。しかも臨調答申を尊重するという言葉も入っておるわけでありますけれども、こうした問題について、総理は、監理委員会では国鉄分割民営化方向検討が進められると考えている、こう分割民営を積極的に推進するようなお言葉であったと思います。それに対して大臣は、臨調答申を最大限に尊重するのが政府立場であり、分割民営化の方針で検討するのが第一番だ。しかし、検討の結果、採用しがたいと判断した場合、経営効率化、活性化がなされる別の選択がないわけではない、こうした言葉があったわけでございまして、比重はどっちにかかっているのだろうというような気持ちも持たなかったわけではないのです。本当は総理に来てもらわなければ食い違っているのかどうかわかりませんけれども大臣からその辺のところをお伺いしておきたいと思います。
  94. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 臨調答申分割民営化であります。その答申を最大限に尊重して、その線で生まれるところの監理委員会ではそれを重点に置いてやっていただく。そして御議論いただく中に、それ以上活性化し、それ以上効率が上げられるというふうなことがある場合には、ときに分割民営でないこともあり得るのじゃなかろうか。一つの可能性を示しているのでして、私は総理と一つも意見が違っている、こういうふうには感じておりません。
  95. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、「効率的な経営形態」ということになりますと、これは具体的にはどういうことを想定しておられるわけでしょうか。
  96. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 「効率的な経営形態」という言葉の概念でございますけれども先ほども御答弁いたしましたように、これは特定の企業体、企業形式、たとえば公団でありますとかあるいは特殊会社でありますとかいうふうな特定形態を指す概念ではございませんで、いろいろな経営形態のもとで、制度仕組みとしまして当該事業に最も効率性の高い経営形態、いわば制度仕組みという面を指して「効率的な経営形態」という表現をとっておるわけでございます。したがいまして、たとえば公社経営形態として効率性が悪いとかあるいは民間会社は効率性がいいとか、そういう概念でこの「効率的な経営形態」という言葉をとらえているわけではないわけでございます。
  97. 西中清

    ○西中委員 もう一度確認しますが、分割民営の範囲の中において効率的な経営形態ということにはならぬわけですか。
  98. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 そういうことではございませんで、先ほど大臣からも申しましたように、この法律臨調答申を尊重して検討を進めていくということでございますから、まずは監理委員会においては分割民営化での方向検討が開始されるだろう。しかしこれはあくまで検討法で、検討仕組みを示した法律でございまして、具体的な実施可能性等についての検討、検証がこれから行われていくわけでございますので、その結果でないと結論が出てこない。そうすると、分割民営化方向での検討を進めるわけでございますが、結論的にはそれによりがたい場合も可能性としてはあり得る、法律的にはそういうことになるわけでございまして、したがって、「効率的な経営形態」というのは、分割民営というものだけを指して、その枠内での経営形態を指しているわけではないわけでございます。
  99. 西中清

    ○西中委員 分割民営で、効率的な形態になりがたいと予測されている点が何かございましたら示していただきたいと思います。
  100. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 分割民営が効率的でないということまでこの法律上予定しているわけではございませんで、「効率的な経営形態」というのは、分割民営が効率的な場合もあるでしょうし、あるいはそうでない形の場合もあるでしょうし、もう少し幅広く内容検討した結果、結論が出されるものであろう、こういうふうに考えております。
  101. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、いろいろ検討の結果、分割民営は適切ではない、たとえば特殊会社の方が効率的である、こういう場合もあり得る、こう考えてよろしいのでございますか。
  102. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 この法律の目指すところとしましては、最初検討の取っかかりはまず分割民営化方向だろうと思います。しかし、先ほど申しましたように、具体的な内容とかあるいは実施可能性とか、いろいろな面から検討を加えてまいりまして、その結果、分割民営というのはどうしても実現しがたいということになりました場合には、むしろそれ以外の経営形態をとった方がより国鉄事業の効率的な運営というものに適するという判断があった場合には、そういう可能性もあり得る。しかし、これはあくまで分割民営方向での検討をまずはとにかく始めていく、その方向での検討を始めていくということでなければ、これは臨調答申尊重でございますからその方向での検討は進めていく、しかし結論は必ずしも一様ではない、こういうことでございます。
  103. 西中清

    ○西中委員 次に、第三条について伺いたいと思います。  緊急に講ずべき措置がここに定められておるわけでありますけれども、「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づく措置その他の必要な措置」とありますが、これはどういうことを指しておるのか、御説明いただきたいと思います。
  104. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 第三条についての御質問でございますが、「日本国有鉄道経営する事業の運営の改善のために緊急に措置を講ずる必要があると認められる事項に関し、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づく措置その他の必要な措置」、こういうふうになっておりまして、現行特別措置法に基づく措置と申しますのは、これは具体的には現行法の中に、いわゆる経営改善計画というものを国鉄が作成して運輸大臣がこれを承認して実施をしていくという規定がございますが、この規定による措置とほぼ同義であるというふうにお考えいただいて結構でございます。その他の措置と申しますのは、現行特別措置法以外の法制度のもとで経営改善に資するような、そういうものも具体的にはあり得るわけでございまして、たとえば運賃制度というようなものを考えた場合に、これは現在の特別措置法ではなくて、国有鉄道運賃法という法律に基づく措置になりますので、それ以外の措置も一応可能性としてはあり得るということで、そういうものも含めてここに書いてあるわけでございます。
  105. 西中清

    ○西中委員 臨調経営改善のために十項目にわたる緊急措置を提示をいたしておりますが、この中身をいろいろ見ておりますと、やはり国鉄がいまどうしても経営の基盤を確立するという点で、重要な問題として自主性の確保というか、そういうものが大事だと私は思っておるのですが、そういう点では、この緊急措置の中にはもう一つはっきり出ておらぬわけですね。これに関しまして、私はせんだっても質問をいたしましたけれども、総理は、経営自主性確立は大事だという御答弁をいただいたわけでありますけれども、この国鉄経営自主性確立、これはどのようにしていけばいいとお考えになっておるのか。総理はそういう御答弁をなさっておりますから、具体的に何らかの対応をいまお考えになりつつあるのかどうか、その辺について御答弁をいただきたいと思います。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕
  106. 永光洋一

    ○永光政府委員 国鉄経営自主性確立につきましては、国鉄の主体的な経営を促進するという必要性から出てきておると思いますが、われわれとしましても、たとえば、先ほど大臣が申しました昭和五十二年には運賃法を弾力化いたしまして、いわゆる運賃につきまして非常な拘束がありましたけれども、これにつきまして非常に弾力的な対応を企業者としてできるようにしたということ、あるいは再三にわたりましていわゆる投資条項といいますか、関連事業に関するものにつきましても弾力化、緩和いたしまして、国銭が現在投資できる範囲というのは非常に広くなっておるわけでございます。したがいまして、一定の日本国有鉄道という公社制度のもとででき得る限りの自主制を付与するために、いろいろな法的な緩和措置を講じておりますし、これに基づきまして、たとえば国鉄におきましても最近は運賃制度についても非常な企画商品を発売してその売り上げを増すとか、そういう自主的な経営努力ができるような仕組みというものをわれわれとしても絶えずやっておる、こういうことでございますので、今後とも国鉄が現在の中で企業性をますます発揮するような形の指導をいたしたい、こういうふうに考えております。
  107. 西中清

    ○西中委員 いままでそれなり措置をしてきたというお答えでありますけれども、少なくともいま国鉄の置かれました立場というものは大変な財政危機の状況でございますから、民間並みとはいいませんけれども、かなり弾力的な経営がなされないことには現状を突破することは不可能だというふうに私は判断をいたします。たとえば路線の決定、これも国鉄自身にあるわけではありません。やはり政府に決定権があるわけであります。運賃も、いま申されましたけれども、やはり運輸大臣の許可をもらわなければなりません。さらには関連事業も、かつてよりは緩和されたことは事実でありますけれども、しかし主体的に、この危機的財政の状態にあります国鉄に、何としてでも立ち上がっていこうという意欲を起こさせるためにはやはり不十分な現状ではなかろうかと私は判断をいたしておるのです。したがいまして、日本国有鉄道法の第三条、ここでは業務を規定いたしておるわけですね。それから第六条、これは投資を規定しておるわけでございます。ある程度の幅はあるけれども、実際問題として、これは国鉄経営再建するという上ではやはり足かせであることは間違いないというふうに実は私は判断をしておるのです。国鉄には膨大な土地がございます。しかしこれもこういう一つの制限下に置かれておりますと、思い切って経営を改善するためにさまざまなアイデアを出して、そして利益を生み出していくという形にはちょっとならない、この制限ある限りにおいてはやはりむずかしいのじゃないかというふうに私は判断をいたしております。ここで緊急措置だとか、いろいろあるのだけれども国鉄が置かれました状況というのをよく考えてみますと、確かにいろいろな悪慣行もあったし、労使の関係がうまくないとか、それから経営がこういう状況になって何をしているんだとか、いろいろな批判を受けておる。まあ受けてもしようがない面も多々あったと思うのですね。しかし、それに対して、いま事業を縮小する、人を減らす、いわばこれは後ろ向きにどんどんと均衡をとろうとして努力しておるという、そういう空気の方が非常に強く出ておるのですね。ですから、大ぜいの国鉄マンとしても、事業を発展さしてというような意欲じゃなくて、何か後ろを向いて走っておるというような印象はぬぐえないと思います。したがって、どこかで突破口を開いて、国鉄はやればできるのだというそういうものに持っていくためには、できるようにしてあげなければこれはどうしようもないと思うのです。そういった点で、私は膨大な累積債務を抱え、また赤字を抱えて、これが国民の税金で将来どんどん負担させられるという面から考えても、これは大きな問題でありますから、もっともっと国鉄が前向きの経営というものをしていかなければならぬ、それが責任だと思うのです。そういう点で、三条、六条についても私は自主的な経営というものを国鉄にさせる。現在の国鉄の諸君ができない分は外から人をどんどん入れてでも、新しいアイデアを導入して新規の事業を開いていく。私鉄が何とかかんとか言いながらやっておるというのも、結局は鉄道部門だけでやっておるわけじゃなくて、各種の事業を展開しながら採算というものをつじつまを合わせておるわけでありますから、こういった点で考えていきますと、私は三条、六条、とりわけ三条についてはここで運輸省としても改正を考えて、もう少し手足を緩やかなものにする、余り縛りつけない、こういう方向になすべきではなかろうかというように判断をいたしておるのですが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
  108. 永光洋一

    ○永光政府委員 現在国鉄公社としまして、日国法によりましても、第一条で鉄道事業を中心にこれを発展せしめ、公共の福祉に資することになっておるわけでございまして、その趣旨から三条の業務範囲というのはおのずからまた決まっておりますが、この中で、本来の鉄道業務を発展させあるいは保持していく範囲内において、できるだけのことを弾力的にやっていくということはもっともなことであると思います。六条の関係につきましては、たとえば国鉄の資産の有効利用というような観点から、直接いろいろな関連事業をやったらどうか、こういうようなお話かと思いますが、現時点におきましては、国鉄がみずから直接行うよりも、むしろ民間資金を活用しながら、かつ民間の知識と経験等を利用して、あわせて投資会社によって関連事業推進する方が適当ではないか、こういうふうな考え方で、できるだけ国鉄に関連する対象事業をふやしておるわけでございます。昨今も、五十七年の末には政令を改正しましてマンションの分譲事業というものに、国鉄の土地に地上権つきのマンションをつくりますその会社に対しても投資ができるような形で、いわゆる駅周辺の開発利益もある程度吸収できるような形のそういうシステムもつくっておりますので、そういう範囲内で六条に基づく政令の拡張も行っておるわけでございます。  しかし、先生おっしゃいますように、国鉄合理化合理化ということで前向きの姿勢といいますか、明るい話題がない、こういうこともございますし、増収努力の中でそういう問題は考えていきたいと思いますけれども、これは国鉄公社としての性格あるいはそのためにいろいろな税制とか国家資金等におきましていわゆる恩典も受けておるわけでございますので、まず民間とのバランスということもございますので、そのあたりを考慮しながら、しかしやはり先生のお考え方ということもわれわれも考えられますので、法改正というのはなかなかいろいろ今後検討すべき問題があると思いますけれども、できるだけ関連事業について積極的にやるような方向で指導してまいりたい、かように考えております。
  109. 西中清

    ○西中委員 公共性ということは私も非常に大事だと思っております。しかし、二十兆円からの累積債務を抱えるということになれば、これは明らかに公共性を損なっておるのですよ、もうすでに。国民に大変な負担をかけることになるのです。ですから、その辺のバランスという問題が非常に重要だと思います。しかもそれは国鉄当局において努力できることからどんどんやっていく、これは政府としても考えなければならぬと思いますね。ですから、土地で分譲するのも結構でありますけれども、僕はそれはまだまだ本当の意味の積極的経営ではないと思います。後でまた土地の問題について触れたいと思っておりますけれども、むしろ土地を手放したときには、これはもう明らかに切り売りなんです。身売りなんですから、こうなりますと残るところは骨ばかりというような状況になってきたときにはもはや手のつけようがないわけですから、私は土地の売買についても若干考えなければならぬ、こういうようにいま思っておりますけれども、それはそれとして、こういう中で少しでも負債を減らす、債務を減らすという立場からいっても、積極的な経営を関連事業として展開する、これは重要なことだと私は思っております。国鉄総裁、あなたのお考えはどうですか。
  110. 高木文雄

    高木説明員 ここ六、七年いまの立場で仕事をしてまいりましたが、おっしゃるとおり関連事業を広げていく、特に関連事業の中で、よそ様と同じように、たとえばデパートのような仕事とか物販業をやるとか飲食業をやるとかいうことが、私どもが持っております土地建物の活用につながるということのほかに、そこに人が大ぜい出入りするということになれば、鉄道に乗っていただける可能性というものも高まってくるわけでございますので、鉄道旅客を誘致するようなことにつながる関連事業というようなものをもう少し今後やっていかなければならぬかなというふうに思っております。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 法制的にも御指摘のようにいろいろ窮屈な点がないわけではございませんけれども、かなりの程度あっちこっち、法律までは直さなくても政令を直すというようなことで順次直していただいているわけでございまして、基本的には関連事業を広げて、そしてそれを、金額はまだ小そうございますけれども、赤字解消策の一部に充てていきたいというふうに考えておりまして、武士の商法になってはいけないという心配が片方ありますので、ごらんになりますと大変遅々たるものだというふうにごらんになるかもしれませんが、徐々にそういう体質を整えつつある、また、いろいろ実際の関連事業を通じて、いろいろ販売業であるとかそうしたものについてのノーハウをだんだん身につけつつあるということでございまして、こういう事態になってまいりましたので、ますますそのテンポを速めてまいらなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  111. 西中清

    ○西中委員 土地を提供し、出資をし、そしてその割りには収益というものはいまの形態では私は非常に低いものだ、こういうように判断せざるを得ないわけでして、武家の商法ということは確かに私も心配しないわけではない。しかしそれならそれで方法は幾らでもあるわけですね。そういうノーハウを持った人をどんどん入れる。要するに新しい知恵を入れる、こういうことでも考えていけば道はやはりあると思うのです。そういった点で、私はこの場で明快な御答弁はいただけませんけれども、三条、六条、この改正を強く要求をしておきたいと思います。  それから次に、監理委員会についてでございますけれども、この監理委員会役割りといいますか、どういう仕事をどこまでやるのかということですね。これはもう一つ、言葉の上では書いてありますけれどもわからないのです。具体的にどういう作業を続けていくのか、時間的な制限もあるわけですから、どういう段取り、段階を踏みながら話を詰めていくのか、その辺のところを詳しく御説明いただきたいと思います。
  112. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 監理委員会の任務と申しますか、役割りでございますけれども、これは現在の国鉄の大変な状況というものを踏まえまして、非常に幅広く、抜本的な検討をしなければならぬ。そうしますと、検討するべき範囲も非常に広くなります。また非常に深くなってくる。こういうことでございますので、特定の省庁というようなことではなくて、全省的な立場といいますか、政府全体の立場から物事を見ていかなければならぬ。そうなりますと、まず最初にやるべきことは施策の企画立案でございますから、これはやはり政府全体で物を見るということになりますと、総理大臣に直結した形での機関が必要になってくる。そこでこの監理委員会というものの設置をお願いしておるわけでございます。この監理委員会で行いますのは、いま申し上げましたように国鉄事業再建のための施策の企画と立案が主たる任務でございます。したがって、それを受けまして政府としましてはそれぞれ所管に応じて各省がこれを実施に移していくということで、政府の既存の各行政機関はいわば実施機関、こういうふうに位置づけられると思います。  それじゃ具体的に監理委員会でいつまでにどういうふうに仕事をしていくのかということでございますけれども、第十五条にございますようにこの施策を完了させるべき目標は六十二年七月ということでございまして、それまでの間にいわゆる体制整備を完了させる。体制整備というのは合理的な経営形態がもうすでに確立されておる、諸般の問題が前提として全部解決されておるということでございますから、そうなると監理委員会はあくまでも企画立案の機関である以上、それに先駆けて相当早い時期に結論を出して、政府の方へこれを意見として渡さなければいけない。政府はそれを受けまして所要の立法措置とか実態的な準備を進めていかなければならぬわけでございますので、かなり早い時期に監理委員会から政府に意見を申し述べるということになろうかと思います。  ただいま申し上げましたように、政府の各行政機関が現実の実施機関でございますから、したがって、監理委員会は企画立案ということで、案をつくるということでございますから、具体的な非常に細かい内容までは監理委員会で、もちろん実施可能性とか相当具体的に慎重な検討をやった上で結論を出さなければなりませんけれども、非常に細目に至るまで監理委員会で決めるということにはならないだろう、こういうふうに考えております。
  113. 西中清

    ○西中委員 企画立案ということでございますね。そうしますと、仮に分割民営ということになりますと、当然これはだれか引き受け手が必要なわけですね。引き受け手を選定するということは監理委員会の仕事ではない、政府ではなかろうかと思うのです。しかし、実際にそういう結論が出たとしても、引き受け手がないということがあった場合には、こういう結論を出してもそれは現実的ではないということになりますね。その辺の兼ね合いはどういうことになっておりますか。
  114. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 おっしゃるとおりこの監理委員会で仮に分割民営化という結論が出た場合に、監理委員会が具体的にだれが引き受けるかという引き受け手まで決めることはあり得ないわけでございます。企画立案機関という性格上、相当具体的な内容結論を出さなければいけませんけれども、それを実施するのは政府側でございますので、政府でそれを実施に移していく過程において、具体的にだれが引き受けるかということが決まっていくということになるのだろうと思います。しかし監理委員会は単に絵をかけばいいというものではございません。これは臨調答申が基本的な考え方を示しておりますが、臨調答申を受けて具体的な施策、案をつくる機関でございますから、したがってそれは実施可能な案でなければならない。そのために具体的な可能性についての検証だとか、具体的な内容をある程度時日をかけて深く突っ込んで検討するわけでございますので、その結論というのは単に絵にかいたものであってはならない。相当具体性のある、実現可能性のあるものでなければいかぬ、こういうふうに考えておりますので、仮に分割民営化という場合でも、それじゃ具体的にこれを引き受けてくれるような状態に企業体をなし得るかどうか、どういう仕組みならば引き受けてもらえるのかというところまで突っ込んで検討して結論を出す、こういうことになろうかと思います。
  115. 西中清

    ○西中委員 そうすると、その引き受け手というものを検証する、あるかないかとかどういう形でするかとか、その検証は運輸省がやるのですか、それともこの監理委員会がやるのですか、どちらですか。
  116. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 具体的に経営形態について、これはまだこれから検討することでございますので結論はわかりませんけれども結論が出てそれを実施に移す場合には、監理委員会が出した意見を政府側が受けまして、恐らく内容次第では立法措置が必要になってくると思います。そうしますと、そこに一つの立法措置という段階が入りますので、その実定法を受けまして具体的な準備が進められていく。その役割り運輸省あるいは国鉄それぞれあると思いますけれども、その実定法に基づいて準蹄が進められていく、こういうことになると思います。
  117. 西中清

    ○西中委員 第六条に「内閣総理大臣は、委員会から前条第一項又は第二項の意見を受けたときは、これを尊重しなければならない。」こうありますが、尊重というのはどの程度のものなのか。いまいろいろお伺いしましたけれども委員会の意見、方針が決まる、それと尊重するということとの距離、この辺はどの程度のものなのか伺っておきたいと思うのです。
  118. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 尊重ということの一般的な意味でございますけれども、これは特段の合理的な事由があれば別でございますが、それがない限りはその考え方に沿って、その方向で物事を処理していく、こういうのが一般的な意味だろうと思います。第六条の文言につきましても、監理委員会性格からいいまして、この監理委員会の意見、方向を総理は最大限に生かすという方向で考えなければならぬということだろうと思います。特段の合理的な事由があれば別でございますけれども、そうでない限りはその方向に従ってできるだけ対処していくという意味だろうと思います。
  119. 西中清

    ○西中委員 そのまま実施するということではないわけですから、尊重ということで若干の弾力性があるというように受けとめておるわけでございますけれども、物の性質上長い時間をかけて臨調一つの方針を出し、そしてこの法律委員会審議をいたし、これができましたならばそれなりにまた時間をかけて方向性を探っていく、こういう作業をしながら、逆に経営形態でも若干のずれを感ずるわけでありますけれども、方針がそのまま反映されないで、だんだん後退をしていくということであったならば、行革の柱だとはいいながら、実態的には大騒ぎをしたけれどもネズミ一匹だというような状況に陥りかねないと私は思うのですね。ですから、この辺のところは大臣にもよく聞いておかなければならぬと思っておりまして、そういった意味でいま御質問をいたしておるということでございます。  次に、監理委員会はいろいろなことを企画立案されるようでありますけれども、本体の国鉄をいろいろお考えになると同時に、各種の関連事業があるわけですが、この点についてはタッチをされるのかされないのか、その辺はいかがでございましょうか。
  120. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 関連事業そのもののあり方というところまでは監理委員会のタッチする範囲外だろうと思いますけれども、関連事業というものは国鉄経営に密接に関連しているわけでございますから、それが国鉄経営に一体どういう影響を及ぼしているのかという点については、相当深く突っ込んで監理委員会でも検討しなければいけない、あくまで国鉄という企業体の経営問題としてこれは検討しなければいけない、こういうふうに考えております。
  121. 西中清

    ○西中委員 先ほどちょっと触れましたけれども、土地の処分の問題で私は最近疑問を持ち出しておるというところでございます。将来どういう形にしろ、再建に本格的に取り組む場合には、いい場所の土地を所有しておくということは、再建にとっては非常に大きな武器になり得るものだ。いまこれを切り売りしていくということは、再建の条件を刻一刻悪くしておるというように私は感じ出しておるわけなんです。  そこでお伺いをしておきますけれども、予算として出ておるわけですから、それはそれなりに履行していかなければならぬのでしょうけれども、五十七年度予算で八百億円の資産処分ということが計画されたわけでありますが、達成はどういうようになっておるのか、お伺いしておきたいと思います。
  122. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 五十七年度の予算上計上しております資産処分八百億円でございますが、これは前年に比べまして三三%ふえております。現在この売却目標達成のために全社を挙げて取り組んでいると申し上げていいかと思いますが、実際にいまの一般の情勢が、たとえば地方公共団体にとりましても財政事情が余りよくない、あるいは一般的に不動産市場が冷え込んでいるというような状況から、なかなか悪戦苦闘しておるという状況でございます。現在、二月末でございますけれども、売却いたしました実績が約四百億円でございまして、目標に対しまして達成率五〇%という状況であります。ただ、これは二月末でありまして、三月に入りましてから実績が大分上がりつつありますが、まだ統計上出てきておりませんけれども、例年三月末というのは、一年かかっていろいろ交渉を進めてきた最後の仕上げの段階に入りますし、官公庁等ではやはり三月末は年度予算の締め切り時期ということにもなりますし、例年この三月という時期にこの一年の実績が相当あらわれてくるということがございますので、現在になりますとあと一週間足らずでございますから、最後の努力をしてこの目標を達成したいというふうに考えている次第であります。  御参考までに申し上げますと、五十六年度におきまして、二月末時点の達成率が約五三%でございまして、大体ことしの達成率と同じような状況でありますが、この五十六年度、三月末になりまして一年間の売却実績というのは、目標に対しまして九五%の達成率になった実績がございます。私どもいま大変努力しているという状況でございます。
  123. 西中清

    ○西中委員 せんだっての委員会総裁は、この土地を買収していただく相手方、これはほとんど多くの部分が地方公共団体だと、こういうお話でございました。五十八年度予算では千六百億円という、いわば倍増の目標ということでございますけれども、目標を達成できるかどうかは、五十七年度の八百億も非常にむずかしいわけでありまして、これを倍にするということはなお一層困難な状況ではなかろうかと思います。しかも総裁はそのときに、地方公共団体の財政事情によって左右される、こういうお話でございました。今日地方公共団体としても財政事情は非常に厳しい状況でございまして、そういう点からいけばこの目標達成はなかなか困難だと思います。現在いろいろ交渉なさっておると思いますけれども、この地方公共団体分について交渉中の件数はどの程度あるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  124. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいま先生お話のございましたように、私ども資産処分する場合に、やはり国鉄用地という性格もこざいますし、また、都市計画等との関連のある国鉄用地もたくさんございます。したがいまして、地方公共団体からの申し入れもございますし、私どもも積極的に用地売却をすると決心しました段階では、なるべく早く地方公共団体にその旨申し上げまして、地方公共団体としてその土地を必要とするかどうかということをまず第一に考えていただく、必要であれば私どもの売却の予定にぜひ合わせていただいてお買い取り願うということを進めているわけでございます。私ども全国に用地を持っておりまして、ただいま申し上げたようなことで地方公共団体優先でまずお話しているわけでございますが、いままでの各年度の実績を見てまいりますと、売却をいたします用地の八〇%から九〇%ぐらい、これは件数で言いましても面積で言いましても、大体そのぐらいが国とか地方公共団体等にお売りしているものでございます。  それで、五十七年度におきましてお売りいたしました地方公共団体の主要なものをちょっとピックアップして申し上げますと、たとえば都道府県で申し上げますと、東京都とか愛知県とか京都府が売却の相手方になっているものがございますし、また、政令指定都市ということで申し上げますと、札幌市とか横浜市とか神戸市がございます。それからそれ以外の主要都市ということになりますと、大宮市とか吹田市あるいは守口市というようなものがございます。これはほんの一例でございまして、これ以外にもちろんたくさんございますし、町村にお売りしているものもたくさんございまして、その件数で申し上げますと、五十七年度はまだ集約中でありますけれども、千二百件ぐらいが地方自治体にお売りしている件数になるのじゃないかと推定いたしております。全体で千五百件ぐらいになるかと思いますが、そのうちの約八〇%相当でございます。
  125. 西中清

    ○西中委員 土地の売却、資産処分をするという、そういう立場に立つならば、これはなかなか大変な問題でございますから、自治省等の協力もやはり必要ではなかろうかと思うのですね。ただ、先ほども私は申し上げましたように、これからどういう経営形態を目指すのかは別として、いずれにしても国鉄再建するという立場に立ちますと、この資産というものはやはり大きな武器でございますから、何でもかんでも売ってしまえばいいというものではないと私は思うのです。そういう点でもう御一考をいただく必要があるのではないかと思っておりますが、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  126. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 一遍手放したら戻ってきませんから、これはやはり入念にやらなければならぬと思います。国鉄もなかなか商売気がございませんから、委員会で問題になったように、せっかく国鉄が湯沢の町にお譲りしたらそれがいつの間にやら十倍ぐらいでだれかに売られておったというような話を聞くと、これは合法的ではありますけれども、ちょっとやはり困ったことだなという感じも持ちますから、やはり売ることもいいし、ときには借地料を取ってずっと永遠に金が入るというふうなこともいいだろうし、ここはそれぞれ国鉄のベテランの諸君がよく考えているのじゃなかろうかと思っております。
  127. 西中清

    ○西中委員 私は、再建を目指していろいろと国鉄それなりの努力をしておられることは認めておるわけですが、ただ、事を急いで問題を残していくという心配も同点かやはり感じておるわけなんです。したがって、たとえば貨物の合理化、こういうことでいろいろと駅の集約というようなことが行われておる。それは、単純に人員を減らすとか赤字の大きな原因であるからできるだけ採算を合わすためにというような考え方でやるのはわかるのですけれども、しかしそれだけじゃ問題は済まないと思いますね。たとえて言いますと、国鉄で現在多くの危険品、こういうものを輸送しておるわけですが、駅を集約したために、いままで鉄道で運んでいた分も今度は自動車で運ばなければならぬ、こういう事態もあちこちあるようでございます。これは道路事情その他によって、安全性というものを十分考えていきますと問題は大きいと思います。何といってもやはり鉄道で運搬している限りにおいては比較的安全ではあるけれども、自動車で、道路で運送しておる、こういうことになりますと、危険な品物を運ぶということは相当な慎重さを必要とする、こういうふうに思っております。  ここで、一応状況をお伺いしておきたいのですけれども、危険品はどういうような品目があって、年間どれくらい輸送しているのか、伺っておきたいと思います。
  128. 橋元雅司

    ○橋元説明員 お答え申し上げます。  私ども、いまお引き受けを申し上げておる貨物は大体六百五十ぐらいの品目に分類整理されるわけでございますが、そのうち約七十ばかりの品目が危険品として特定をいたしております。ただし、そのうち半分ぐらいはほとんど輸送量実績がございません。残りの三十五品目ばかりで年間約七百万トンでございます。その大半を占めますのは三百八十万トンの揮発油でございまして、これは消防法上の第一類の石油に該当するわけでございます。次いで多いのが硫酸でございまして、約百万トンでございます。これが消防法並びに毒物及び劇物取締法に規定をされております。それから次いでプロパンガスでございまして、これが約五十万トンでございます。これは高圧ガス取締法によって規制されております。そのほかメタノールとかアルコール類あるいは硝酸、塩酸というようなことで、非常に多くの品目にわたっておるわけでございます。  なお火薬類でございますが、年間四万トンの実績でございまして、これは当然火薬類取蹄法及び火薬類運送規則によって規制をされております。また、放射性物資につきましては実績がゼロということでございます。  以上のような現状でございます。
  129. 西中清

    ○西中委員 これら危険品は、一般貨物扱いと大量定型貨物扱いのどちらが多いのでしょうか。
  130. 橋元雅司

    ○橋元説明員 ただいま申し上げました危険物のうち、まず揮発油でございますけれども、これはたとえば京浜地帯あるいは京葉工業地帯あるいは名古屋といった港湾地帯から、宇都宮あるいは倉賀野あるいは長野県内に向けて専用列車で運送されておりまして、大体一日百本以上の列車が運行されております。ちなみにこの列車、大体四十三トン積みの非常に大型のタンク車でございまして、これが二十両、内容貨物が大体八百六十トンということでございまして、これを仮にトラックでやりますと八十台ぐらいあるいは百台近い車が必要である、こういうことでございまして、典型的な鉄道の特性を発掘しておる輸送であると私ども考えております。ちなみに長野県では県内消費の大体九五%が鉄道輸送でございますし、それから栃木県では八七%、群馬県では八四%が鉄道によってこういった大量定型輸送が行われておる、こういうことでございます。  それから生石灰でございます。これは石灰石を焼きまして製鉄原料にするものでございますが、これは大体半分程度専用貨物列車で運ばれております。あと硫酸が秋田で一本だけ専用貨物列車という形態になっております。これらを除きますその他の品目、硫酸の大半であるとかあるいは塩酸、液体塩素、二酸化窒素、硝酸、酢酸といった多くの品目はやはり少量分散型の輸送でございますので、これの輸送についてはかなり知恵と工夫をこらさなければならない、こう思っておるところでございます。
  131. 西中清

    ○西中委員 そういう点で、貨物の合理化によりまして鉄道から自動車に転換輸送される危険品の量、これは一体どの程度になるのか、全国としてどれくらいの量になるのか、危険品を自動車輸送するということになると相当の台数に上るのじゃないかと思いますけれども、それはどういうような台数になると予想されておるか、また、こういった点について影響を調査されましたでしょうか、その辺のところについてお伺いをしておきたい。
  132. 橋元雅司

    ○橋元説明員 昭和五十六年度の実績で、ただいま申し上げましたように、危険品を含めました化学工業製品、ただし揮発油と生石灰を除き、苛性ソーダを加えたもので四百三十万トンの輸送実績がございます。このうち大体二百万、半分近いものが直行財源でそのまま新しいシステムへ移行するであろう、こう思っておるわけでございますが、残り二百万トンから二百二、三十万トン、これがこのままではなかなか輸送困難になるということでございます。私どもとしては、できるだけ広域の集配にかけまして拠点駅へ持ち込んでいただく、あるいはコンテナ化をしていただくというようなことで荷主さんにいろいろお話を申し上げておるというところでございます。  ただこの場合、やはりトラックによる拠点駅への広域集配にいろいろ問題がある、あるいはコンテナ化する場合に技術的な問題がある。たとえばタンク車で加熱をいたしまして運送しているものもございます。そういったものもございますし、あるいは圧力をかけて運んでおるようなものもございますので、これが簡単にコンテナ化が可能であるかどうかといった技術的な問題もございます。さらには新たに中継保管のための施設が必要になるのじゃないかといったような問題がございまして、これは個々具体的に荷主さんとそういうような品目について御相談をいたさなければならないと思っているわけでございます。  いずれにいたしましても、このところ連日のように荷主さん方とお話をしておりまして、運輸省あるいは通産省あるいは自治省あるいは警察庁といった方々にもいろいろ御指導いただいております。また、日本化学工業協会というのがございますが、この業者団体とかあるいは個々の荷主さんはもちろんでございますが、そういった方々と毎日のようにお話し合いを重ねております。いずれにしましても、よく御理解を得まして、円滑な移行を果たしたい、こう思っているところでございます。
  133. 西中清

    ○西中委員 大臣、いまお聞きのとおり、貨物の合理化ということだけでも各方面にいろいろな影響があるし、交通安全という面でも当然非常に重要な問題であると思うのですね。そういう点で特段の配慮を願わなければならぬ、このように思います。  それからもう一つ触れておきたいと思います。やはりこれも私が気にいたしておりますのは設備投資の問題でございます。五十八年度予算では前年比三千三百億円の削減、総枠七千六十億円と大幅なカットになっておるわけです。設備投資は重点化、効率化、こういうことが一層求められるという状況でございます。したがって、投資の優先順位といいますか、このランクづけ等が非常に重要ではないかと思います。保安、防災、それから東北新幹線の大宮以南の工事、都市通勤線のラッシュ対策、こういった重点的な投資計画が予定されているようでありますけれども、大枠においてこれだけの減額がなされておるわけですから、今後どういうランクづけでこの設備投資をなさろうとしているか、まず伺っておきたいと思います。
  134. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いまお話がございましたように、五十八年度予算投資総額約三千億減ということになったわけでございます。これは昨年の九月にこの国鉄の設備投資についても閣議決定を見ておりますけれども、それを受けまして、その線に沿って重点化、効率化を図らなければいけないということで、投資については、現在の財政事情を反映いたしまして、また、現在の輸送状況等をよくつかんだ上で、慎重にやらなければいけないということで対処しておるわけでございます。  いま方針的に、順位と申しますか、重点を置くのは何かといいますと、一つは鉄道機能を維持し、健全な輸送基盤を確保するために必要不可欠な保安、取りかえ投資、これを中心に優先的に整備を行うということを考えております。それから、東北新幹線の大宮以南部分、これと一体施工となります通勤別線、これについても引き続き工事を進めていく。それからその他の投資につきましては、要員合理化計画の達成に不可欠な合理化投資、あるいは大都市圏のラッシュ対策等の緊急を要するものについてはこれを進めることといたしますけれども、その他のものについては思い切った抑制措置を講ぜざるを得ないということを方針として考えておるわけであります。いま申し上げました一番の健全な輸送基盤を確保するという中に、当然保安対策、防災対策、安全対策というものが含まれるわけでございまして、老朽施設の取りかえとか安全のために必要な手当てというものは、優先的に確保していくということを考えておるわけでございます。
  135. 西中清

    ○西中委員 防災、それから保安、こういった点で十分配慮をいただきたいわけでありますし、わが党としても何回かこの問題は取り上げておるわけでありますけれども、今回の減額によってこういった点がゆるがせにならないかというのが私たちの心配でございます。  構造物の健全度、これはAとかBとかいろいろ言われているわけですが、緊急に改修等の必要があるものはAAランクということになっておりますね。このAAランクの改修、五十五年当時では、昭和六十年度までに八千億円の改修費が必要だ、こういうふうに半谷さんも国会で御答弁になっておったわけですね。これは現在どういう額になっておるのかという問題が一つ。それから、Aランク、これは緊急または早急に改修が必要だという施設、これが毎年約三千億円は改良費として必要だ、こういうふうに総裁がお答えになっております。こういう工事費といいますか、設備投資が必要なんですが、このように減額をされますと勢いこれだけのものが手当てができない、こういうような形になろうかと思います。五十八年度予算における在来線の設備投資の配分は一体どうなっておるのか、伺っておきたいと思います。
  136. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいま御質問にAA基準というお言葉がございましたが、私ども、いろいろな構造物の健全度の判定をランクづけいたしましておりますが、その中の一番厳しい条件がAAランクでございます。AAランクといたしておりますものは、とにかく緊急に手を入れなければいけないということであります。したがいまして、AAランクを見つけますと直ちに手を入れる。その直ちに手を入れるというのは取りかえ工事ができるということで、取りかえ工事ができればすべてすっきりするわけでありますけれども、それがいきなりできないというような状況にある場合には、それなりの補修、手当てをいたしまして安全度を確保するということをいたしているわけでございます。現在予算事情が非常に厳しいので、この取りかえ、防災対策というものも、技術的な取りかえという、施設物の保全という面から見ますと、まだまだいろいろ要望があるわけでございますけれども、私どもとしては、鉄道輸送のまず第一に心がけなければいけない安全というものには絶対ひびを入れないということを念頭においておりまして、そういう姿勢で臨んでいるわけでございます。  この取りかえ関係の投資でございますが、いわゆる輸送設備の維持更新という面で投資しておりますものをトータルいたしますと、五十八年度の約七千億の当初予算の中で三千二百億ぐらいになるかと考えております。さらにその中のいわゆるトンネルとか橋梁とかという構造物だけになりますと、この中に含まれているわけでございますが、取りかえ投資という面から見ますと、五百億から六百億ぐらいの間に入るかと思いますが、それらについては現在詰めている段階でございます。
  137. 西中清

    ○西中委員 こうした再建の重要な時期に当たりまして、やはり安全性、こういった面については、何よりもの生命でございますから、十分配慮をいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。     ─────────────
  138. 原田憲

    原田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として、日本鉄道建設公団総裁仁杉巖君及び理事建介君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 原田憲

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  140. 原田憲

    原田委員長 質疑を続行いたします。中村正雄君。
  141. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 私は、運輸大臣に御質問いたします前に、本法案、特に法案の中心は監理委員会設置でございますので、監理委員会について、私の意見といいますか、民社党の態度を最初に表明しておきたいと思います。  御承知のように、国鉄再建の問題が政治課題となり、世論の注目を受け出しましてからすでにもう十数年たっております。長谷川さんがそのときからの運輸大臣ではありませんけれども、しかし、たびたび再建の方策が講ぜられましたが、ことごとく失敗して今日に至っておる。このことは、長谷川さんが運輸大臣ではありませんけれども、自民党内閣であったことは間違いないわけなんです。したがって、国鉄が国有の企業である、政府の監督下にある企業であるとすれば、自民党内閣は、今日まで国鉄再建について何らの知恵も能力もなかったということだけはひとつ責任を感じてもらいたいと思います。またもう一つ国鉄を直接監督する運輸省自体も、今日まで国鉄再建する能力がなかった、国鉄自身も、国鉄をこのような事態に追い込んだことについて十分責任を感じてもらいたいと私は思います。  したがって、そういう意味から、責任政治というたてまえからいいますと、やはり内閣が責任を持って国鉄再建と取り組まなければならないわけです。けれども、歴代の自民党内閣国鉄再建する知恵も能力もなかった、国鉄自身もその筋力がなかった、運輸省という官僚機構もその能力がなかった、そうなってくれば、別な機関をつくって、その機関によって国鉄再建の方針を決める以外に道がないのじゃないか、そういう意味で私は監理委員会設置して、監理委員会によって、世論の動向をにらみながら国鉄再建する方向を決めるということについてはやむを得ない措置だと考えて、私は賛成いたします。ただ、これについて運輸大臣に特に要望しておきたいのは、この法案の五条において、監理委員会がいろいろな調査をし、意見を集約して方策を決定して総理大臣に意見を述べることになっております。これを受けて六条には総理大臣はそれを尊重しなければならない。これはいまの行政機構のたてまえからいってこういう表現はやむを得ないと思いますが、いま申し上げましたように、政府国鉄運輸省国鉄再建する能力がないわけですから、したがって、新たな機関としてこれを設置した以上は、監理委員会の意見に対しましては、自民党の党利党略や議員の選挙地盤の関係でいろいろこれを修正したり文句をつけずに、監理委員会の意見を、尊重という言葉で法文には示しておりますけれども、これを実行するように、ひとつ運輸大臣に冒頭賛成する条件として申し上げておきたいと思います。  私はこの法案について、総論的な立場から二、三運輸大臣にお尋ねしたいと思います。  実は、今日国鉄がこういう事態になったということについてはそれぞれの理由なり根拠があると思います。しかし、これから国鉄再建するとすれば、いままでの経過を十分見て、どこに国鉄がこのような事態に至った根本の原因があるかということをはっきりと認識して、それを変えなければ再建できないと私は思います。第二臨調がいろいろとしさいに検討し、答申いたしておりますけれども、私は、現象としては第二臨調答申どおりの国鉄の状態であり、この状態を改めなければならないと考えますけれども、大体国鉄が赤字に転落しましてから約二十年になります。その間、第一次、第二次、第三次とたびたび再建計画をつくられました。そうして最初再建計画をつくるときに、国鉄再建は国と利用者とそれから国鉄自身、三者の努力によって再建しようということで、政府は補助についても最大限の努力をする、利用者も運賃の値上げにひとつ御同意願いたい、国鉄国鉄で最大限の努力をします、これが第一次の再建計画の基礎であり、それがずっと続いて再建計画がなされてまいったわけでございます。運賃はどんどん上がって、利用者には利用者なりの負担をお願いし、いまやもう限度となって、もうこれ以上運賃を値上げしたら利用者はほとんどなくなるだろう。並行線においては国鉄の運賃と私鉄の運賃が、国鉄が倍に近いような運賃になっている。これではますます国鉄の利用者は減るに決まっております。また、政府が補助いたしまする金額も年々増加いたしておりまして、相当な金額になっております。ただ、国鉄の努力だけが取り残されて今日の状態になっておる、こういうわけでございます。しかもその間、言いわけとしては経済情勢が変わったのだ、社会環境の変化だ、いろいろ言われますけれども、経済や社会情勢の変化というものは、ひとり国鉄だけではございません、私鉄もすべて受けているわけでございます。他の産業、企業もみんな社会の情勢の変化、経済事情の変化に対応して生き延びるためのいろいろな努力をやってきた、国鉄だけが社会の変化だからこうなったのだという言いわけは通用しない、私はこう考えているわけでございます。  根本的に、国鉄がなぜこのような事態になったかというのは、人事機構の問題が中心だと私は考えております。臨調がいろいろと答申いたしております現象はあのとおりでありますけれども国鉄が今日の事態に立ち至った根本の問題については臨調は触れておりません。御承知のように、昭和二十四年にいわゆる官庁機構から鉄道の現業部門だけを切り離して、日本国有鉄道という企業体をつくりましたときに、官庁機構そのままの人事で移行したわけでございます。しかもそれ以後、国鉄の人事の運営というものが官庁機構そのままの人事運営をなしてきた。したがって、国鉄の幹部諸君も、企業体の職員と企業体の役員ということでなくして、お役人だという根性が抜け切っておらなかった。それが私は今日の事態を生んだ根本の原因だと思います。たとえば、いままで見てまいりましても、第一次から第五次まで再建計画をやりました。その再建計画の中で、計画を立てた初年度の半ばにおいてすでにその再建計画が挫折いたしておる、こういう事態もたびたびあったわけでございますが、そのときに国鉄の役員が、皆さん方の御了承をいただき、国会の承認をいただきました再建計画が間違っておりました、挫折いたしましたといって辞任した総裁が一人でもおりますか。また、国民の税金とも言うべき多額な金を出資して新しい施設をつくったり、新しい機械を購入したり、新しい車両を購入したりいたしました。それが全然むだなものになった、無益なものになったということで国鉄に大きな損害を与えたような事態、これは枚挙にいとまがございません。しかし、それを立案し、計画し、やった責任者はそのときにはすでに他の部局にかわっておろし、責任を感じてもおらなければ責任をとろうといたしておりません。この根性自体、これが国鉄を今日に至らしめた根本の原因だと私は思うわけであります。言いかえれば、総裁以下すべての職員が公務員だという感覚で国鉄の業務に携わっておる。言いかえれば、事業家としての役員の責任、事業家として国鉄を運営しなくてはいけないというそういう感覚に欠けておるということが根本の原因じゃないか。したがって、これから国鉄再建しようと思うのであれば、この発想の転換ということが基盤でなければ国鉄再建はできない。言いかえれば、国鉄の役員は、この企業を自分は責任を持って運営するのだという企業家的な認識に立って企業の運営をしなくてはなりませんし、国鉄の職員は、この職場で自分の生活が成り立っているのだ、この国鉄の業績いかんに自分の生活がかかっているのだ、こういう企業の従業員、職員だという認識に立たなければ国鉄再建はできない。これが基盤だと思いますが、運輸大臣、どうお考えですか。
  142. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 国鉄再建はお互いが長いこと議論してきたところでありますが、結果においてはいま中村委員のおっしゃるような破局になりました。それは社会事情の変化もありましたでしょう。しかし、やはり私はいま中村委員のおっしゃったこと、組合の諸君のはね上がりやら何やらもやかましく言いますけれども、もう一つはやっぱり経営陣の気持ちというもの、はね上がった諸君に対してやかましく言うと同時に、経営陣に対しても、私が運輸大臣であれば、私が改革法案をつくるわけじゃありませんけれども、少なくともいまの中村委員のおっしゃるようなことをきちっとこの際やらなくちゃいかぬのじゃないか、私はこう思っております。  私は内部にいたことがありませんから当たっているか当たっていないかわかりませんけれども、民間企業であれば、松下さんだって創立者でありながら経営が悪くなれば相談役に下がる。そしてまたよくなれば社長に上がっていく。これが世界にあれだけすばらしい製品を出している人だろうと思うのです。そして時折は二段階ぐらい若い常務を社長ぐらいに抜てきもしていく。また、いいものであれば二期も三期もやらしていく。こう思うのですね。やはり国鉄は役所という姿があるのじゃないでしょうかね。これはぜひ総裁かれこれによく聞いておいてもらわなければならぬ。ここには常務理事もいるでしょうが、常務理事の任期というのは一体何年でしょう。私の知っている範囲では一期ぐらいで終わりじゃなかろうか。一期で終わる常務理事がおって、必ずやめるということになれば、その下にいる局長やら部長やらはその人の言うこと聞くでしょうか。そして、その諸君がやめた後で外郭団体に入っていく。本社は赤字だけれども外郭団体は仮に黒字とする、それをねらっている、こういう根性が下の諸君にわかった場合には、私は下のやつは仕事しないと思うのです。だから、今度は国鉄の運営について労使ともどもに対して臨調というものは警告を発したものだ、それを私たちはどう処方せんを描いてこれにこたえていくかということだろう。私は、何も経営者につらく当たる気はありませんけれども、そういう現実の上に立ってやはり再建のために、私が申し上げたことが事実であるとするならば、そういうものを直してもらうという姿が国民を説得する材料、信用を得るゆえんじゃなかろうか、こう私も考えております。
  143. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 大体運輸大臣も私と同感だろうと思いますし、その面の発想の転換なくしては、どのような施策を講じようと、国がどのように税金をつぎ込もうと国鉄再建はできないと私は思いますので、少なくとも運輸大臣もそのようなお考えであれば、今後運輸行政の長として国鉄をそのような面で御指導願いたいと思います。  第二臨調ができましてから、国鉄の問題に世論が注目するようになりましてから、だんだんと国鉄もよくなってまいったと思います。しかし、私は余りにも国鉄再建体制というもののテンポが遅過ぎると思うのです。たとえば民間の企業であればもうどうにもできない、会社更生法の決定に従って更生するんだとなれば、少なくとも再建の体制ぐらいは一月か二月のうちにつくらなかったら再建できないわけです。ところが、本社から地方局と、再建するという体制、意気込み、姿勢、だんだんと浸透はしてきておりますけれども、かれこれ一年半になるわけなんですが、マスコミにも指摘され、運輸大臣も御承知のように、また、先ほど国鉄の役員から答弁のありましたように、まだまだ全国的に見まするとアンバランスがひど過ぎます。もっと端的に言えば旧態依然たるところも私はあると思います。余りにもテンポが遅過ぎる、そこにもやはり親方日の丸の根性があるのではないか。来年度の予算を見てみましても、初めから赤字を予定しておる予算です。もうこれはこれしかいまの国鉄の現状では予算の組みようがないと思いますけれども、これが民間企業であればもっと真剣になって再建の体制をつくるはずでございますが、非常にテンポが遅過ぎる、これは私は遺憾に思います。この点についても国鉄の役員諸君も自粛自戒して、一日も早く再建の体制をつくるということに全力を注いでもらいたいし、また、運輸大臣もそういう面で御指導願いたいと私は思います。  特にいま全国で職場規律の乱れであるとかいろいろな問題が指摘され、それがだんだん是正されてきておりますけれども、その根本の原因は、本社の役員から現場の管理者に至りますまで、まだまだぬぐい去ることのできない考え方一つあると私は思います。それは何かといいますと、業務の運営ということと組合運動を混淆いたしている点でございます。今日まで相当社会が非難しましたなれ合いの争議であるとか、あるいは労使なれ合いの何だとか言われておりますように、いわゆる業務の運営の責任と組合運動の範囲というものを混淆して、すべての国鉄の運営が組合運動の範囲内になっておる、こういう間違った、これはいわゆる使用者側の観念でございますが、それが今日の混淆を生んだまた一つの原因であり、いまなお全国的に見て再建体制ができておらない原因じゃないかと私は思います。この点について、私は、やはり業務の運営の責任者は業務の遂行の責任者だ、これは総裁も現場の責任者も同じでございます。労働運動と業務の運営というものは分野が違うわけでありますから、労働運動の分野に経営者が介入することは法律上できません。しかし、業務の運営は経営者の責任でやらなければならない。それが混淆されておる。それが大きな原因であり、いまなお全国的にアンバランスのありますのはまだそういう観念がぬぐい去られておらないところにあると思いますので、この点についても私は当局の反省を求めたいと思いますが、運輸大臣、どうお考えですか。
  144. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 職場規律の問題は、働く諸君が毎日きちんと時間どおりしっかりと働くことじゃなくして、そういう問題も含めて職場規律の問題だ、こう思います。
  145. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 いま申し上げましたのは、国鉄運営に関しまする今日に至りまする根本の原因の重要な点を指摘したわけですが、もう一つ、政治的な面で国鉄を今日に至らしめた大きな原因があると私は思うわけでございます。その点を今後除去しないと、どのような改善計画を出そうと、私は改善が非常に円滑にはいかないと思うのです。  運輸大臣は、運輸大臣という重職にありますけれども、同時に与党でありまする自民党の幹部でもあるわけです。私は今日までの国鉄の運営を見て、国鉄運営の一つ一つの事実的な問題を、国会の面において与野党の国会対策の道具に自民党が供したということが今日の国鉄の疲弊をもたらした一つの政治的な原因だと思うわけです。その最たるものが生産性運動の挫折でございます。こればかりでなくして、国鉄の人事一つあるいは国鉄の争議問題一つ、そういうわずかな経営問題の一つ一つが国会対策の道具となって、自民党がこれを野党に対する道具に使っておった。これが今日までの国鉄が荒廃した政治的な責任だ。私が昭和二十二年以来国会におって見てまいりました経験でございますが、したがって、国鉄再建しようと思えば、今度監理委員会という機関を設け、ここでいろいろと白紙の立場に立って、まあどのような人が任命されるか知りませんけれども、やはりこの人たちが国鉄はかくあるべきだと純粋な国民的な立場に立って一つの政策をつくり、内閣に具申した場合に、その政策が自民党の党利党略やあるいは自民党の幹部の選挙地盤等の関係で修正されたり国会対策の道具に供せられると、再建できない。  したがって、自民党の幹部の一人である長谷川さんにはっきりとお伺いしたいのは、国鉄の運営を国会対策の道具にしない、今後自由民主党は責任を持ってやりますという答弁をいただけるかどうか。これができなければ私は再建はできないと思うのですが、運輸大臣の御所見を伺いたい。
  146. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いま中村委員のおっしゃるように、自民党の幹部がいままでのこと、どういう具体的なことがあるか存じませんが、最後の段階として生まれますこの監理委員会、そこで議論されたことに対してよその方から、与野党を通じて政治家の方から文句が出た場合には、本当に防波堤になって、徹底的に守ることが国鉄再建の道だ、こう私は覚悟を決めております。
  147. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 それだけの決意のありまする長谷川さんが、再建ができるまで運輸大臣でおられることを私は希望いたします。  次に、運輸大臣にお尋ねしたい点は、国鉄再建再建、こう言われておりますが、では一体国鉄再建というのはどういう事態になったときに国鉄再建できたと言えるのか。言いかえれば、いま国鉄の役員以下、職員に対して、国鉄再建しよう、それまでは苦労してもらいたい、このような事態なんだから何とか再建しようということで、極端に言えば苦労ばかりを押しつけているわけなんですね。先の見通しの明るさというものがないわけなんだ。したがって、いま政府の考えておるこの法案に盛られておりまする国鉄再建というのは、どのような事態になった場合に再建と言えるのか、終着点をお示し願いたいと思います。
  148. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 お答え申し上げます。  この法律の予定しております国鉄再建という姿でございますが、究極的には幾つかの要件があると思いますが、まず一つは、現在国鉄が置かれております環境、条件というものを考えて、そのもとで現在の事業が適切に運営していけるような、そういうまず外形としての経営形態、それは制度的に事業運営の自主性とか、いろいろな問題が含まれると思いますが、そういう外形的な経営形態の面において適切なものがまず確立されるということが一つあろうかと思います。  それから次に、二つ目の要件でございますが、その事業運営の中身といたしまして、まず一つは、正常な労使関係のもとにおきまして適切な経営管理というものが確立される、これが一つ非常に重要な要件だと思います。それから二つ目に、今度は業務分野の問題でございますが、これについても鉄道特性を発揮できる分野を中心といたしまして、分野がやはり特化されていく、しかもその分野の中におきまして、民間並みと申しますか、一般並みの生産性で仕事が行われておるという状態が現出する、これも一つの大きな要件だと思います。その二つの面がいわば事業運営の内容の面だと思います。  こういう二つの要件と申しますか、条件と申しますか、これとあわせまして、現在の国鉄の非常に大きな問題でございます長期債務等の問題、こういうものについてもすでにその時点では適切に解決がされておる、それからさらには、そういう状態のもとでその後運営していくわけでございますが、その運営に当たりまして、やはり助成が必要な分野もあるかもしれません、そういう分野については適切な助成が行われ得るような、そういう仕組みもでき上がっておる、こういうことで、いわばそういう状態になれば当然収支の均衡は回復できると私は思いますけれども、そういう状態に持っていきまして収支の均衡を回復し、かつ仕組みとしてそれが将来にわたって持続していけるという状態ができ上がれば、これは再建が達成されたということではなかろうか、こういうふうに考えております。
  149. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 いま事務的に御答弁がありましたが、私ははっきり理解できないと思います。国鉄再建が俎上に上りました根本の原因は国鉄の赤字だと思うのです。臨調民営にしろとか分割しろとか言っている問題の中心は、国鉄が企業として成り立つかどうかという財政的な面が根本の理由になっていると思うのです。いまおっしゃいました二十兆に近い累積赤字といいますか、長期債務といいますか、これを整理するということですが、これは監理委員会がやるかもわかりませんが、しかしこれは政府の方針一つで整理できるわけでございます。何も監理委員会に頼まなくたって、これは政府自体の決意によってどのようにでもできるわけでございます。いま国鉄経営を圧迫いたしておりまする年金問題にいたしましても、政府自体の方針の決定によってできるわけでございまして、監理委員会の手を煩わさなくてもできるわけでございます。問題は、監理委員会に一応われわれが期待いたしますのは、いまのような国鉄の運営でなくして、いまのような国鉄の財政的な状態でなくして、国鉄が企業として成り立つような方策を私は監理委員会に期待いたしておるわけでありますし、恐らく臨調答申もそれだと思います。したがって、監理委員会がどのような方策を決定するかわかりませんが、国鉄再建されるまでは労使とも非常に苦難な道を歩かなくてはならないわけですから、したがって、いま言ったような政治的なこういう体制ができたらとか、債務がどうのこうのとか、政治自体ですぐできることを期待するのでなくして、国鉄の企業がどういう状態になったら再建されたんだ、その場合には労使ともこういうふうによくなるんだからがんばってくれ、こういう再建のビジョンといいますか、形といいますか、これを政府監理委員会ができるまでにはっきりと明示しなかったら国鉄再建はできない。そういう意味で、体制がどうの、長期債務がどうの、労使関係がどうの、こういうものでなくして、運輸大臣のお考えになっている国鉄再建というのは、どういう事態になったら国鉄再建できたとお考えになるのか、抽象的でもいいです、あなたの御私見でも結構ですから、国鉄再建とはどういうものか、終着点を示してもらいたいと思います。
  150. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 国鉄の中で働いている諸君は月給をもらえるわけです。一生懸命働いていれば職場を確保できるわけです。そして生活ができるわけです。ですから、いま財政が日本じゅうがひどいときに、この職場に自分が働いているんだ、そしてかつては国鉄一家と言われた連帯性、そしてすばらしいものを自分たちが運行したという誇り、こんなもので懸命にやっている姿が国民にわかってもらったら、これは国民全体も、毎年毎年赤字だからといって国民の税金を出すことを、こんなことがなくなる、あんなにやっているならひとつ加勢もしようじゃないか、こういう心理的なものが出てくる。三十数万の諸君がそんな気持ちになったときに、こんな大組合は私はないと思うのです。それをやれるかやれないかは、経営者であるところの国鉄の幹部もさることですし、また、それぞれの組合の幹部もそうだろう。個人的に私もいろいろなアイデアを出しますよ。それはかつて私は、国鉄というものはこういう学士さんだけの国鉄にあらず、どうだろうか、組合の中から監査委員ぐらい出ないか、いまたしか二人出ているはずです。常務理事の隅っこの方に現場で働いた諸君の代表として、できるかできないかわからぬけれども、東京駅の駅長なんというのは三十年、四十年働いて無事故の駅長とかいうことで、やめるときに社会面に大きく出る、そういう者ぐらいは常務理事の隅っこにやはり入れていいのじゃないか。私はよく言うのですが、君原などというマラソンの選手は、世界でも大変なものです。ああいうナショナルヒーローというのをスポーツ界が持っていると同じように、東京駅の駅長でもいい、上野の駅長でもいい、どこの駅長でもいい、何かそういうふうな姿というものが働く諸君を元気にもさせもするし、それが、三十数万の能率が非常に上がってきてサービスもよくなる。切符を売ったときにありがとう、親切な姿、こういうものがずっと出てくるのではなかろうか。それ以外に手はない。その場合には、政府に対し、また国民に対して、いろいろな御協力を、申し上げれば、次から次にいろいろなことがやれるのではないか、こう考えております。
  151. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 いまの長谷川さんの御答弁は、恐らく長谷川さんの個人的な見解だろうと思いますし、精神的な面であろうと思います。したがって、少なくとも運輸大臣再建という一つの終着点といいますか、状態は、国鉄の職員が、総裁以下、現場の職員に至るまで一生懸命やっている、働きがいのある職場だという形が見えれば、国民が、こういう国鉄であれば幾ら税金をつぎ込んでも構わない、こういう気持ちになったときが再建だ、こうお考えになっている。言いかえれば、国鉄の財政問題で、赤字とか黒字とかいうことは一応運輸大臣のいまのお気持ちにはない。言いかえれば、いまの国鉄という事業を考えた場合に、黒字になるということはそれは相当困難だ。しかし、国民が税金をつぎ込んでも構わないというような国鉄運営の姿になったときが再建だ、このように運輸大臣はお考えになっておる、このように理解していいわけですか。
  152. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 そういうふうに御理解いただきます。
  153. 原田憲

    原田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後二時五十一分休憩      ────◇─────     午後三時四十六分開議
  154. 原田憲

    原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村正雄君。
  155. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 引き続き運輸大臣に御質問いたします。  今度の法案によります監理委員会、私、監理委員会の構成についてひとつ御質問したいと思うわけです。  実は、第二臨調設置されましてから今日まで、第二臨調におきましていろいろと討議され、検討され、企画されました経過を考えてみますと、事務局が膨大過ぎて、第二臨調答申は私はそれなりに評価いたしておるわけでありますけれども、少なくとも臨調委員が当初考えておられましたような答申ではないと思います。土光さんの考えておられましたものよりも相当後退いたしておる。これはやはり事務局の運営と臨調自体の運営に大きな原因がある。言いかえれば、今度の監理委員会はどのような構成になるかわかりませんけれども国鉄再建はこのような方向でやりたいということを十分監理委員会の中において協議してもらいたい。そのためには、国鉄であろうと運輸省であろうと、それぞれの資料は提出しなくてはなりませんし、事情も調査できるわけでありますから、少なくとも一つの基本方針を監理委員会委員の中で十分検討されて事務局に出して、事務局がそれに従って国鉄の具体的な再建方策をつくる、このような運営にしなければ、事務局の案ができて、それを監理委員会でああでもない、こうでもないというような委員会結論になれば、私は第二臨調の二の舞を踏むと思います。  私が申し上げるまでもなく、運輸大臣御承知と思いますけれども、第二臨調の事務局を見てまいりますと、膨大な事務局で、それぞれの事務局に、行政機構の改革ということでそれぞれ各分野の官僚のOBを代表選手に送り込んで、自分の分野だけは守ろうという姿が見受けられた。したがって、各部会なりそれぞれの専門委員会の出しております意見を、臨調委員が何とか修正するということに最後の段階で苦労いたしております。このような監理委員会であれば、屋上屋を重ねるだけでありまして、運輸省がやればいいことなんです。本当に民間の知恵をかり、広く国民的視野に立って国鉄再建をやろう、こういう意味で人選をされる委員であれば、その人たち五人の委員が知恵をしぼり、そして協議して方針を決めて、その方針に従った具体的な作業をやる事務局でなければならないと思います。そのためには、国鉄の事情を一番よく知っているのは現在の国鉄の役員であり職員であると思います。したがって、事務局を構成する場合は、そういう作業をやり、実情を聞き、あるいは実情を調査するためには、現在の国鉄の役員、職員を兼務で事務局に入れなければできないと私は思います。また、運輸省のそれぞれの担当者を兼務で入れなければ、本当の事務局の構成はできない。しかも、その場合でも事務局が案をつくって、後で委員会にかけるということになると第二臨調の二の舞を踏むわけでありますから、そういう点について、先ほど政府委員からも答弁のありましたように、事務局は簡素なものにし、作業をするのに支障のない程度の構成にする、しかもその中には、事情を一番よく知り、監理委員が決断し、計画するための資料を提供する経験者は、日本国有鉄道の役員、職員であり、運輸省の現職の人たちでありますから、そういう人たちが兼務できるような体制をつくることが、本当の意味監理委員会の機能を発揮できるのではないかと私は思いますので、運輸大臣の御所見を承りたいと思います。
  156. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 土光さんがあの高齢で、しかもイワシの頭をかじりながら懸命にやっている姿で、臨調の存在理由とまたその目的というものが国民全体の中にPRされたと思うのです。そういう場所において、行革の最大なる目標、眼目としてこの監理委員会というものの法案が考えられたことでございますから、その期待に背かないようにやりたいということが一つ。  もう一つは、どこの世界でもそうですが、党ビューローというのが最近大変はびこりますから、これはやはり大なたをふるう国鉄再建監理委員会ですから、時折経営に向かい、時折働く諸君に向かっても勧告し、是正し、激励するということでございますから、そうしたことからしますと、そこのお手伝いをする職員諸君といえども、そんな気持ちで御協力願えるような方々をお選び申し上げ、御委嘱申し上げる、そして、その方々にはいまのような姿勢において、自分たちの時代に再建をするんだ、こんなことでお願いしたい。いま中村先生のおっしゃたような気持ちも体しながら事務局の人選に当たってはやってみたい、こう思っております。
  157. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 最後に、運輸大臣に希望を申し述べておきたいと思います。  監理委員の人選をどうするかは法案が成立してから決められる、これは当然のことでございますが、法案が成立するまでにそれぞれの人に打診されると思います。したがって、個人名は避けますし、私はああしろこうしろとは言いませんけれども、少なくとも国鉄再建はこの機関以外はできないのだというために監理委員会をつくるわけでありますから、広く国民の意見を聞き、白紙の立場に立って、日本国鉄はいかにあるべきかということを考えるような人を私はどうしても選んでもらいたい。そのためには、それぞれのひもつきの人だけは絶対に選んでもらっては困るということだけ注文申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  158. 原田憲

    原田委員長 次に、辻第一君。
  159. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、最初に、今回の法案が第二臨調分割民営化という答申を受けて、全国一貫の大量公共輸送機関であり、国民の足、国民の財産であります国鉄をずたずたに分割をする、そして国鉄法の第一条にあります、公共の福祉の増進を目的とするこのような国鉄、その国鉄の公共性を無視し、さらに、民営化によって財界の利益に奉仕をする、また、国民や労働者を犠牲にする国鉄解体法案というべきものであり、許されざる悪法だ、私は強く強く反対をし、この法案を撤回すべきであることをまず表明をいたしまして、質問に入りたいと思います。  最初に、法案に関連をして、大臣にお尋ねをいたします。  大臣、この法案臨調答申尊重という枠の中で、監理委員会に白紙委任をするというようなものであります。政府答申と全く同じ意見であるのかどうか、あるいは異なる意見を持っておられるのかどうか、そのことでお尋ねをいたします。
  160. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 臨調から出てきたものは、分割民営でございます。そしてまた、監理委員会で御委嘱申し上げる委員が五人でございます。私は、そういう方々は、いまの国政の本当に大事な問題の一つになっている国鉄再建について、真剣に各方面からお考えくださるものだ、こう思っているわけです。
  161. 辻第一

    ○辻(第)委員 私がいま聞いたのは、臨調分割民営化が基軸の考え方ですね、この考え方と、政府運輸省は同じ意見なのかどうか、そのことを聞いているわけです。
  162. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 臨調答申につきましては、これは政府といたしましては閣議決定でもって最大限尊重する、こういう態度を決めております。それを受けまして、今回法案を提案したということでございます。  先ほど来申し上げておりますように、臨調答申は、経営形態について分割民営化ということを明確に示しておりますが、ただ、それは基本的な考え方というものを示したものでございまして、その実施可能性とかその他いろいろこれからまだ検討しなければならぬことがたくさんございます。したがいまして、政府といたしましては、臨調答申を尊重しつつ、その方向検討するという前提のもとに、今回のこの法案を提案いたしまして、監理委員会でこれから具体的に検討をやっていただく、こういうことでございます。
  163. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、政府としては、自民党として非常にこれは重要な法案であるというふうに考えておられると思うわけでありますが、この法案について政府としてのはっきりしたお考えがないのですか。この監理委員会にお任せをして、そこで結論を出してもらう、こういうことですか。
  164. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 臨調答申分割民営でございます。そして、それを政府は最大限に尊重して監理委員会をつくる。でありますから、監理委員皆さん方は、臨調答申であるところの分割民営を中心に恐らく御調論をしてくれるし、また、してもらわなければならぬ、その間にいろいろな御議論が出てくるだろう、そして、その結論政府は尊重して実行に移さなければならぬ、こういうふうに感じております。
  165. 辻第一

    ○辻(第)委員 さっきの政府委員の御答弁と大臣と、ちょっとニュアンスが違うと思うのですね。大臣の方が臨調答申考え方が非常に近いというような印象であるわけですが、どうなんでしょうね、それは本当のところどっちなんでしょう。
  166. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 臨調答申を尊重してこれから検討するということでございまして、この点については、先ほど大臣が御答弁なさった内容と、私が先ほど答弁申し上げた内容は全く同じでございます。ただ、私は、ちょっとその後の検討の手続的な、法制的な面を補足的に申し上げただけでございまして、基本的に食い違いは全然ございません。
  167. 辻第一

    ○辻(第)委員 その尊重というのは非常にあいまいなんですね。実際のところは大分違うと思うのです。それは臨調答申の手順のi)の③のところですが、「答申に係る「国鉄に係る事業分割民営化による再建の基本方向」の決定」、こういうふうになっているわけです。一方五十七年九月二十四日の閣議決定では、「日本国有鉄道」、その(1)というのは「日本国有鉄道の改革については、第三次答申に沿って、五年以内に事業再建の全体構想を設定しその実現を図る。」こういうふうになっているわけです。ことにもいわゆる分割民営化ということが入っておりませんし、「事業再建の全体構想を設定し」、こういうふうに大分考えが違うと思うのですが、その点はいかがでしょう。
  168. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 臨調答申に述べられております分割民営化の基本方向とか、分割民営化という提言内容そのものということでございますが、その方向づけについては、政府といたしましてはこれを最大限尊重してやっていくということで、閣議でもその意思を決定しているわけでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、手順といたしまして、これから検討するものでございますから、いま分割民営ということを大前提として法制を整備することはむずかしいわけでございます。したがって、これから検討して結論を得るわけでございますが、あくまで臨調答申が示しておる方向づけというものは最大限尊重しながらやっていく、こういう精神で本法律も立案しているわけでございます。
  169. 辻第一

    ○辻(第)委員 再度お尋ねいたしますが、やはり大分違うのですね。そういうことですので、違うところがあればもう少し具体的にはっきりお答えいただけませんか。
  170. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 違うと申しますか、内容的なものではございませんで、これは考え方の問題でございます。  先ほど来申し上げておりますように、臨調答申はあくまで基本的な考え方しか示しておりません。それに対して政府としてはこれを具体的な施策にしていかなければならぬわけでございます。したがって、監理委員会でこれから検討していく。ただ、検討方向はあくまで臨調答申尊重でございますから、分割民営化という方向に従ってまず検討を進めていく、こういうことで、これから検討をするという立場と、基本的な考え方を示したという立場の違いでございます。内容的に食い違っているわけではございません。
  171. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろ上手に御答弁になるわけですけれども、私はやはり明らかにそこに差異があるというふうに考えるわけであります。  これ以上申しましても繰り返しになろうかと思いますが、皆さん方としては大変重要な法案、われわれとしても許すことのできない法案でありますが、この法案政府が提案されるという状況の中で、この分割民営という問題で政府としては十分な検討あるいは結論が出ていないままで監理委員会に白紙委任される、そういうような感じがするわけでありまして、無責任な態度である、私はこのように考えるわけであります。  次へ移ります。  次に国鉄高木総裁にお尋ねをいたします。  三月十二日と三月十五日、交通新聞で「高木国鉄総裁に聞く」「再建へいま向をなすべきか」、このような連載が載っておるわけであります。大変長文なものでありますので簡潔に要約をして申し上げますと、国鉄問題は大変複雑で、どの役所も十分理解してもらえる環境にない中で、国鉄再建を国民課題として取り組むための重要な要素として監理委員会がつくられることは千載一遇のチャンスである。このように述べておられます。またその後の方で、民営分割が国民にとって一番よい方法かどうか、にわかに賛成しがたい。なぜ賛成しがたいか具体的、専門的に研究するには時間もかかるので、早く集中的に取り組んでほしい。また、さらに後段では、臨調答申をよく読むと、民営分割だけを取り上げているのではなく、効率を上げる一手段方法として指摘しているが、それに伴うデメリットを十分研究していない。鉄道経営面だけでなく、文化的、社会的意義を考慮すべきだ。こういうふうに私が要約をしたのですが、どうでしょう総裁、今度の監理委員会法案に何を期待されているのか、お尋ねをいたします。
  172. 高木文雄

    高木説明員 私の理解をいたしますところでは、臨調で御指摘になりましたポイントは三つある。一つは、経営形態を研究し、その中の一つの形として分割なり民営化なりということを御提示になっているという点でございます。それから二番目は、経営形態とは関係なく、現在の運営のあり方について非常に問題があるので、そうした現状の問題点、たとえば投資の規模の問題であるとか職場規律の問題、職員の数の問題、そういうことを十項目ないし十一項目明示をして、それを国鉄はとにかく一生懸命やるべしという点。それから三番目は、何といっても年金の問題とか過去債務の問題、あるいは青函トンネルや本四架橋のような大型プロジェクトに伴うところの国の負担の問題、そういう問題がある。これはなかなか国鉄では解決できないし、また、運輸省だけでもなく、政府全体を通じて解決しなければならぬ問題であるので、それを取り上げるべきだ。その三つの問題いずれも、しかし二番目の緊急十項目の問題は主として国鉄の問題でございますけれども経営形態の問題にしましても年金や長期債務の問題にしましても政府全体の問題であるので、ただ運輸省ということだけではなくて、政府全体としてこれを取り上げるという意味でそういうふうに置かれ、そこの審議の結果は総理大臣も尊重するという形をとられたということであろうかと思っておるわけでございます。  そういう意味で各方面からこの国鉄問題を、しかも非常にハイレベルの機関であるところの再建委員会で御討議願うということは、いままでなかなか解決し得なかった問題がそこで解決の道を見出していただけるのではないかということを含めて、私どもにとっては歓迎をし、一日も早くつくっていただきたいものだというふうに考えているわけでございます。
  173. 辻第一

    ○辻(第)委員 総裁、本音とたてまえというのがあるとすれば、本当のところは、本音ということで言えば、いわゆる長期債務であるとかあるいは年金ですね、特定人件費の問題、青函トンネルの問題、こういうふうな問題の解決を期待されておるのじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  174. 高木文雄

    高木説明員 経営形態の問題と関係なく、そういう問題が解決されなければ、現行制度のままであってもあるいは経営形態を変えるにしましても、いまのように膨大にある借金を背負い、そしてまた、負担関係のルールについて、つまりどこまでが利用者負担であり、どこまでが納税者負担であるかということについての区分が明確でない状態においては解決がつかないわけでございますから、経営形態をどういうふうに持っていくかということとはちょっと別にしましても、いまの累積債務の問題や、青函トンネル等の建設費の問題等についてのお国のスタンスというものがはっきりされることは、どうしても必要なことだと思うわけでございます。  ただ、それとはちょっと別にしまして、仮にその問題が全部解決したとしても、現在の公社形態の運営でいいかどうかについては、第二臨調御指摘になりましたように、余り大き過ぎるとかあるいは地域との関連が希薄であるとか、そういういろいろな理由から、いまの経営形態でいいのかどうかという疑問は依然として残ることは間違いないわけでございまして、私の考え方としては、先ほどから申しております臨調御指摘の三つの問題というのは、どれを重しとしどれを軽しとするわけにもいかないわけであって、その三つのいずれの問題も同時並行的にしかるべき結論が導かれなければならないのではないかと思うわけでありまして、そのうちのどれが私にとって特に関心のある問題だというふうに、重み軽みをつけるわけにはいかないというふうに思います。
  175. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは総裁に端的に伺いたいのですが、分割民営ということについて賛成なのか反対なのか、いかがですか。
  176. 高木文雄

    高木説明員 いま自由な立場でおまえの意見はどうだ、こう言われるかもしれませんけれども、現在の公社組織でもって現在運営している状態であり、三十七、八万という大ぜいの職員及びその家族がそれによって生計を営んでおることでもございますし、また、いろいろ関連の事業であるとか、国鉄からの発注によって生活をしておられる方々の数とかいうものを考えてみますと、莫大な数になるわけでございますので、白紙で物を書く場合と、現在国鉄というものが、そういう大きな組織、影響力のある組織が現に存する場合にこれをどう移行していくべきかということとは、またちょっと違った問題になるのではないか。私が考えておりますのでは、やはり白紙で変えたらいかにあるべきかという問題とは全く別に、現在あるものを切りかえることのメリットデメリットなり、もし切りかえるとするならば、そのテンポをどういうテンポでやっていくかということがあり、そして現に赤字が莫大にあるものをどうやって切りかえ得るかという問題がありまして、現に存する国鉄というものをどう処理をすべきかということになると、なかなか臨調のおっしゃるようなわけにはいきにくいのではないか。手続、手順、いろいろなことを考え、そしてそこでは若干経営的な見地だけからいまのはぐあいが悪いねということを非常に指摘されておりますけれども、やはり文化的な意味での鉄道の意義というものもありましょうし、地域振興的な意味もありましょうし、もうちょっといろいろな角度から見ていただく必要があるというふうに、私は個人的感想として持っております。
  177. 辻第一

    ○辻(第)委員 どうも分割民営には御賛成にならないような御意見のように私は受け取ったのですが、いかがですか。
  178. 高木文雄

    高木説明員 賛成とか反対とかいうことではなくて、いかにもいろいろな面から見ていただかなければならないむずかしい問題がございますよということでございまして、率直に言ってわれわれはまないたの上にのっているわけでございますので、そのまないたの上にのっている者が余りどっちがいいあっちがいいと言う立場にはないわけでございます。しかし、私も何年かこの仕事をやってまいりまして、いずれにしても非常にむずかしい問題だということをしみじみ痛感をいたしておりますので、大ぜいの方に慎重にいろいろな角度からもっと突っ込んで議論をしていただきたい。臨調のように、私どもの方だけではなくて、すべての公社やすべての特殊法人をいかにすべきかということをいろいろお扱いにならなければならない時間的制約のもとでは議論が詰まってないわけでございますので、時間と、またいろいろな方の意見を集約されて、さらに深く、広く深めていただきたいということを切に願うわけでありまして、私としてどっちがよろしいと言うことは、いまの段階では差し控えておきたいと思っておるわけでございます。
  179. 辻第一

    ○辻(第)委員 これ以上は遠慮いたします。  次に私は、鉄建公団による鉄道建設、そのことでお尋ねをしたいと思うわけでありますが、今日の深刻な国鉄の危機というのは、その原因は臨調答申の中にもいろいろ書かれているわけでありますが、真の原因はそこには明らかにされていない、こういうように私は考えます。わが党は、今日のこの深刻な危機の真の原因は、政府や自民党や財界が国鉄経営のすべての分野にわたって高度経済成長政策に従属させ、大企業に奉仕してきた問題、そして、これまた政治家の利権あさりと国鉄当局の驚くべき官僚体質で膨大なむだ遣いがあった、しかも長い間続けられてきた、三番目は、政府の公共交通機関整備がないがしろにされてきた無責任な交通政策、こういうことで要約をされるというふうに考えるわけであります。  これに基づいて私どもは、これまで具体的にその真の原因についてただし、明らかにしてきたところであります。さきの予算委員会では、不破委員長があの上越新幹線の浦佐の駅、あそこは一日平均の乗降客が千三百人というふうに理解をしておるのですが、あの駅舎だけで五十億かけられた。私も見てきたわけですが、実にりっぱなといいましょうか、広大といいましょうか、ものであります。それが、浜松であるとか豊橋であるとか、一万数千人、二万人ぐらい乗降客があるところが五億とかいうお金でつくられた。いまのお金に換算しても十五億である。こういうことから見てみますと、本当に膨大なむだ遣いがここでやられているということを指摘いたしました。また、先日の本会議では四ッ谷議員が、東北あるいは上越、成田、青函トンネル、本四架橋、こういうことを含めて、その中にいわゆる浪費的なものがすこぶるたくさんあったということを明らかにいたしました。  私も、昨年の運輸委員会の中で、ちょうど十年前ですね、列島改造論というのが出ておる時期に、三兆七千億という投資の予定が一挙に十兆五千億になった、こういうふうに一度に膨大な投資に変わった、その中で、これは東北新幹線あるいは貨物輸送増強、こういうことが含まれていたようでありますが、投資の採算性や輸送需要を無視した投資計画がやられてきた、しかもそれが借金でやられてきたというのが今日の赤字の最大の原因ではないか、このように明らかにしてきたところでありますが、きょうはひとつ観点を変えまして、先ほど申しました鉄建公団で新線を建設してきたその問題で、非常な無責任な政治であるとか対応がやられてきた。ここにも今日の国鉄の危機の原因があるということをただしてみたい、こういうように思うわけであります。  鉄建公団の建設した路線のうち、E線、G線以外についてはその負担区分を明確にして建設をされました。ところが、E線である海峡線、青函トンネル及びG線である上越新幹線について負担をどういう形にするのかは決まらないまま今日まで来ているわけです。この理由についてお答えをいただきたい。
  180. 永光洋一

    ○永光政府委員 確かにCD線の一般の有償線につきましては、有償の貸付料で建設をしていくということを一応関係者、国鉄公団等で話し合いをしてやることになっておりますが、そういう取り決めをいたしましたが、それは一般のCD線ということでありまして、いわゆるいまお話しのような青函トンネルについてという点は、一般のCD線のルールでなく、いわば鉄建審等で有償でつくるということもわかっておりましたし、当然その審議会の中で、国鉄もメンバーでもありますし、その後四十六年以降鉄建公団事業計画等においても、これを国鉄にも協議いたしますのですが、その場合も有償貸付で行うということははっきりしておりますので、そういう意味では別に確認とかなんとかという手続はなくても、当然青函トンネルについて有償資金でつくるということは関係者はわかっておったことである、こういうふうに思っております。
  181. 辻第一

    ○辻(第)委員 ところが、実際問題としてはまだ決まってないというのが現実と違うのですか。  次へ行きますが、青函トンネルの建設費の元利合計は二兆四千億、借料が年八百億というふうに聞いておるわけです。通常の鉄道線と違って海峡線というのはきわめて特殊な路線であります。ですから、海峡線の資本費の回収、この可能性はほとんどないと見るのが妥当だと思うのですが、いかがですか。
  182. 永光洋一

    ○永光政府委員 先ほど申しましたのは有償でつくるということでありまして、いま先生数字はちょっと二兆幾らとお聞きしたのですけれども、建設費総額は約七千億弱で、恐らくそれを回収する場合は利子が利を生んでおりますので、約一兆程度のものを償還していくということになるのではないかと思います。したがいまして、仮に完成した暁に、その資金を回収するときにそれをどういう形で回収していくかという問題については、現時点においては、一応国鉄の方ではなかなかそれを使っても採算がとれないし、借料という問題については何らかの配慮をしてもらえないかというような要望があります。確かにそれは国鉄再建途上におきますところの経営上に、もし仮にそれを負わせると非常に影響があるだろうということもわれわれも考えられるわけでありまして、そういう観点もあり、今後完成する青函トンネルについては国家的資産ということもありますので、多目的利用というような問題を広範な点からとらえるとか、あるいはその借料の負担についてどういうふうに処理していくかというのは、今後の課題として国鉄再建と関連をしながら考えていきたいということでございます。
  183. 辻第一

    ○辻(第)委員 それで、昭和四十四年は旅客は四百五十万人、貨物が七百七十万トンという、青函連絡船でしょうか、その当時。それから昭和六十年の予想では千三百五十万人、それから貨物が千七百十万トン。旅客で言えば三倍、貨物で言えば二倍以上。現在の六十年代の予測で言いますと、二百七十万人、四百十万トン。こういうふうに三倍になり二倍になると予測されていたのが、実際は逆に六O%、五三%に減っている。大変な見込み違いというような状況であれがやられたというのが私どもの認識であります。  こういう問題も含めて、それからもうこのような状況ですから、絶対国鉄が有償でペイできるはずがないわけであります。これまで使用料問題については、運輸大臣は、使用料問題について監理委員会検討してもらいたいとか、あるいは完成までの間に全体計画の中で考えていけばよい、このように言っておられるわけでありますが、私はやはり大臣としてはきわめて無責任なお言葉だ、こういうように考えるわけであります。この青函トンネルというのは政府主導で進められたトンネルであります。政府は責任を持って解決すべき問題だ、こういうふうに考えるわけであります。しかも、国民の血税がこの中には本当に注ぎ込まれておる。あれは見通しが間違っておりましたというような簡単なことで済む問題ではないわけであります。運輸大臣としてどのような責任を感じておられるのか、お尋ねをいたします。
  184. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 青函トンネルというのは、私たち東北の者からしますと、東北と北海道がつながるということ、こんなことは北海道の方々も願っておったろうし、われわれも願っておったし、また私たちの先輩が、本当に不幸なことでしたけれども、あの連絡船の大破、暴風によって亡くなった、もちろんほかの方々も亡くなった。一体感というものが長い間阻害されておって、そこに敗戦後日本の技術陣がそういうことを考えられまして、そして十九年間もかかって今日までやってきたのです。私は、だれの責任だ、私の責任と言われればそれっきりでございますけれども、そのでき上がったことの、そしてやはり国土の均衡ある発展というものと一体感というものと、こういうものの中でどう活用していくかということは、一つの財産としてみんなで考えるべきじゃなかろうか。もちろんいまの国鉄そのものに引き受けると言ったってなかなか無理でございましょう。だから総裁はあの先進導坑が開通したときにわざわざ行かなかったわけでしょう。しかし、向こうにいるところの従業員の諸君は長い間働いたその喜びというものを、汗流しながら、涙流しながら自分たちの仕事というものに対して誇りを持ったわけでしょう。一部の中には、早速こんなものは要らないものだから埋めてしまえという話もありました。日本は世論の国ですから、いろいろなことを言ったっていいわけです。せっかくできたものを生かしていくのは私たちの仕事である、こういうふうに思いますと、いまのような財政再建のときでございますから、国鉄だけに負わせるわけにもいかぬでしょう。ならば、またいま在来線一本通すということでございますが、さてそれだけでどれだけ有効的な投資になり、回収になるかということを考えますと、これはひとつみんなで知恵を出し合おう、皆さん方からもお知恵をかりようということで、きのうなど私はこのトンネルの有効活用についての懇談会をお願いいたしまして、民間人の方々にお集まりいただいて、それぞれお願いした。日本人というのはわりあい知恵のある民族ですから、それによって万全の銭が入ってくると思いませんけれども、しかし、いまのようにどんどん進歩する時代ですから、そういう中から何かいいアイデアはないだろうか、全部悲観しないで、一つ一つ、せっかくでき上がったものを将来に向かって、民族の財産として活用するという方向こそいいんじゃないか、こう考えております。
  185. 辻第一

    ○辻(第)委員 大臣、いま国鉄が深刻な財政危機の中で、どう再建をするのかということを討議しているわけでしょう。そのときに、このような問題が幾つもあるのです、これだけじゃないのです。これは政府・自民党の責任ですよ。それをいまおっしゃったみたいに総理大臣があいさつに行ったとか行かなかったとか、そんなこと関係ないですよ。私はいまの大臣の御答弁は許せない。先ほど来中村委員ですか、御質問がありましたけれども政府・自民党、もちろん国鉄もそうですが、本当に真剣にこれまでの問題点の原因を明らかにし、反省すべきところは反省をする、そういう態度がなければ何ぼこういう委員会をつくってみても解決しない。私はここで断言をするものです。どうですか大臣、もう一言。
  186. 永光洋一

    ○永光政府委員 いま青函トンネルのお話でございますのでこれに関連して申し上げますが、事実上、確かに最初の見通しとしては、需要は現在のような輸送構造の変化ということを見通せなかった点もあるかもしれませんけれども、一応鉄道がこれを使うということで建設を始めたわけであります。しかし、鉄道の輸送路としてだけではなくて、先ほど大臣がおっしゃいましたように、本土と北海道を結ぶといういわゆる経済外的な効果もあるわけでございます。それに現在そういう建設を有償資金でやっておるわけでございますので、もし仮にこれをいまやめても有償資金の回収というのは国家的には行わなければならないわけでございます。したがって、それもありますし、これを現時点においてとめるのではなくて、つくってしまった後にこれをどうするか、この問題は六十年なり六十一年に完成した後に生ずるわけでございまして、そういう意味ではこれは高度の技術を駆使したもので、国家的資産として完成させるということでいくとするならば、その有償資金について、この借料をどうやって解決するかという問題は、現時点においては国鉄再建の問題として損益にはまだ上がっていないわけですので、今後その再建をさらにスタートさせ、進んでいくときに、これをどうするかということをわれわれとして監理委員会等にもお諮りしながらやっていこうということでございます。
  187. 辻第一

    ○辻(第)委員 大変無責任な態度だということを再度強調して次に移ります。  次は鉄建公団の有償線、いわゆるCD線の投資負担の問題についてお尋ねいたします。  時間がありませんので、こちらからずっと申し上げて質問を続けたいと思うのですが、公団の貸し付けは五十六年度まで四十七件、九百二十二・八キロメートル、うち半分近くの二十一件の四百四十一・一キロメートルが有償貸し付けであります。これは上越新幹線は入っておりません。五十六年度までの借料累計は二千四百九十八億、このように理解をいたしております。五十七年度の予算では七百四十八億、五十八年度予算では上越新幹線が入りますので千三百九十八億、合わせますと四千六百四十四億ということになるわけですね。この借料というのはいまの国鉄経営状況から見ますと大変な問題、赤字を大きく増大する要因になっていると考えるのですが、この点についての対策を聞きたいと思います。
  188. 永光洋一

    ○永光政府委員 鉄建公団によります国鉄新線の建設は、御案内のようにAB線とCD線、その他新幹線がございますが、この二つに大きく分かれております。AB線は無償資金で建設を行いますので、無償で貸し付けておりますが、CD線は有償資金で建設いたしましたので、資金を回収するために有償線としております。もちろんこのCD線は大都市における通勤線あるいは地方の都市線として地域の開発等のために建設を始めたわけでございまして、建設当初は、中期的にはある程度有償でも採算がとれるということで建設を進めたものでございます。ただし、現実には輸送構造の変化等によりまして、御案内のようにCD線で建設をしたものもいわゆるローカル線的な形でいま赤字が出ておるわけでございますが、CD線につきましては建設資金の四・五%までの利子補給を行っておりますし、あるいは大都市のCD線につきましては、そのほかに貸付料の三割を今度国が国鉄の方に助成するという形でカバーをしておる状態でございます。
  189. 辻第一

    ○辻(第)委員 五十六年度について見ますと、借料の総額が三百三十七億、それで有償貸付線を含む営業線は十三線、こういうふうに理解をいたしております。その赤字額二千五百六十一億に達しておる、こういうことですね。とても借料が払えるような状況ではない。これらの営業線区で借料を賄えるようになる見通しがあるのかどうか、どうですか。
  190. 永光洋一

    ○永光政府委員 現段階ではむずかしいと思います。
  191. 辻第一

    ○辻(第)委員 現段階でも将来的にも私はないと思うのですね。有償線はCD線十四線、AB線二線、借料のもとになる建設費は、貸付時点までの投資額約四千六百億。それから、それ以後の未開通線の投資額は、青函、新幹線を除いて五十六年度まで約二千百億、五十七年度以降残額約二千六百億円、それも四千七百億ですね。こうなりますとその借料は大変なものになる、こういうことです。これをどのようにしてこれらの線区で回収をするのか。これは先ほど言うたことと同じで、その線区では回収のめどが立たないというのが実態だと思うのですね。  次に、岡多線では借料が収入の五・六倍、丸森線では四倍、伊勢線では三・二倍、その他石勝線で八九%、武蔵野線で八五%、湖西線で四九%、こういうふうに有償線の占める割合がきわめて少ない東海道とか根室だとか長崎、こういう各線を除けば全体としても収入の六〇%が借料として消えるというのが今日の現実であると思います。こんなことでは経営ができるはずがないということであります。この点について所見を伺いたいと思います。
  192. 永光洋一

    ○永光政府委員 先ほど申しましたように、CD線につきましては建設資金につきまして利子補給等を行っておりますが、確かにローカル的な色彩が強いものですから、大都市その他でのごく少ない線を除きましては非常に赤字が出ておるわけでございます。国鉄のローカル線対策としまして、乗車密度八千人未満の線につきましては一応補助を行っておりまして、そういう意味では総体的には、CD線ということではないのでありますけれども、一種の構造的な費用部分として助成を行っておる、こういう状況でございます。
  193. 辻第一

    ○辻(第)委員 そもそも鉄建公団を設立された目的、ねらいですね、それは国鉄に建設負担をかけさせないで新線建設を行う、これが鉄建公団設立の最初の目的であった、こういうふうに私どもは考えております。なぜこのようなことになったのか。鉄建公団法の審議の際には、政府は「国鉄に新線建設の負担をいまより以上に与えようという思想に出るものではない」、こういうふうに述べておられるわけです。借料については、赤字線は無償、黒字線はそのもうけの限度内の額ということを再三再四運輸大臣や大蔵大臣が明らかにされているわけであります。時間がないのでなんですが、ここにそういうことがはっきり載っているわけであります。それが今日このような状態になってきている、なぜこういうことになってきたのか、お尋ねをいたします。
  194. 永光洋一

    ○永光政府委員 確かに鉄建公団を設立いたしまして、地方のいわゆる新線を地域の開発等のために建設していこうという趣旨であったと思いますが、いわゆる無償でAB線として建設するのは、これは後進地域の開発とか特定地域の開発のために、無償でする特別の必要があるということで無償で行っており、片やいま言われておりますCD線については、やはり新線として、鉄道として中長期的に採算がとれるという見込みのもとに、原則として有償資金で建設をしてきたものと解しております。
  195. 辻第一

    ○辻(第)委員 それは政府が政策として鉄道建設をする、そのときに国鉄に赤字を負担させないということで鉄建公団ができた、こういうことなんですね。それもまた見通しを誤って、今日CD線というのは何とか黒になるだろうということで有償ということになったのだと思うのですが、莫大な赤字を出している。政府が政策決定をして進めてきたものを、見通しを誤って今日莫大な赤字が出ている状況の中で、知らぬ存ぜぬ、それは国鉄が有償で支払うべきである、これは私はやはり納得できないことだと思うのですね。その辺についてはどうですか。
  196. 永光洋一

    ○永光政府委員 CD線につきましては、先ほど先生の方からお話がありましたように、有償資金でつくるというときには、国鉄公団でお互いに確認をし合ってつくるというスタートにはなっておるわけでありまして、ただ途中経過におきまして、地方の鉄道においてなかなかお客さんが乗らないというような状況から、でき上がったCD線になかなか御利用がないので採算が悪いという面もあるわけでありますけれども、これは先ほど申しましたように、総体として、そういう場合はローカル線に該当するものについては、これは構造的なものというような考え方から、われわれとしては助成をしておるということにしておるわけであります。
  197. 辻第一

    ○辻(第)委員 いまその途中で鉄建公団国鉄が話し合いをしたというお話があったのですけれども、私は、その問題は、政府が再三国会審議の中で言明をしている問題を、国鉄内部、いわゆる政府内部で取り決めたことが枠を超えて優先をしているというようなことになると思うのですね。そういう問題も含めて、CD線の問題、結局赤字線をつくって、そして国鉄に無理な借料を押しつけている政府の責任というのは非常に重大であるということを重ねて言明をしたいと思います。  次に、AB線の問題でお尋ねをいたします。  いまCD線のことで質問をしたわけでありますが、今度の臨調答申立場は、一言で言いますと、国鉄事業は企業性を最優先し、それを徹底すべし、こういう立場だと思うのです。国鉄の公共性というのは企業性の発揮によって確保されるものだ、すなわち、企業性追求の結果としてしか位置づけられていないというのが今日の臨調答申立場だ、こういうふうに思うわけです。先ほど来申しましたこれまでの方針とは大きく食い違ってきている、こういうふうに考えるのです。このAB線という問題は、状況の変化によって企業性が発揮できなくなったというようなものじゃなしに、最初から赤字が見込まれていたものだということだと思うのです。私は、企業性の徹底というようなことが国鉄事業の使命というとちょっとなんですが、そういうような立場ということになれば、AB線建設などあり得ないということになると思うのですが、どうでしょうか。AB線を建設されたことが誤りだった、いまそういうようにお考えになっているか、それとも企業性追求では果たし得ない公共的な役割りがあるということを十分尊重されるのか、その辺についての御所見を聞きたいと存じます。
  198. 永光洋一

    ○永光政府委員 国鉄の公共性の問題につきましては、国鉄はできるだけ企業性あるいは効率性、効率的な運営で、鉄道の特性分野において、いわゆる都市間なりあるいは大都市なり等におきまして公共的な使命を果たすということではないかと思いまして、従来、かつて戦前戦後しばらくの間のようないわゆる独占的な地位でございませんし、現在の地方の特定交通線というようなものにつきましては、これはやはり効率的な交通体系という観点からも、バス等に転換する方がいいという判断でいろいろお願いをしておるわけであります。したがいまして、AB線につきましても、でき上がったものがほぼ八千人未満の地方交通線に該当するというところから見まして、それはいろいろ色分けをしてみなければいけないと思います。  いまわれわれが考えますのは、四千人から八千人、これは採算はなかなかとれないけれども、やはりバスには転換できない鉄道であり、交通機関であり、これに対しては国も積極的に助成をしていこう、こういう考え方でありますし、四千人未満についてはバスに転換する方が国民経済的にも地方の交通体系からもいいんではないか、こういうことで施策を進めておるわけであります。したがって、それぞれそのAB線がいずれのような性格のものかということを考えなければならないと思いますが、現時点においては、建設中のAB線を含めて、四千人未満と見込まれるものについては現在工事を凍結いたしておる状況でありまして、こういう状況がいまわれわれの現在の考え方でございます。
  199. 辻第一

    ○辻(第)委員 また繰り返しになるようですが、赤字線建設に積極的でなかった国鉄に対して、政府は鉄建公団をつくって赤字新線を次々に建設をした。AB線についてはまさにそういうことですね。その結果である経営赤字は当然政府は責任をとるべきである。その赤字負担を政府国鉄に押しつけておるというのが今日の事態ですね。しかも深刻な赤字、現在はそうであるわけですが、国鉄が赤字に転落しつつある時期、こういう時期にこういうことをやったということであります。政府がその理由にしたのが国鉄の公共性だ。そういうときだけ公共性を口にして、国鉄に赤字線を押しつけたというふうに見ているのですが、今度は、国鉄経営意識が不足をしている、こういう臨調答申ですね。これのしり馬に乗るというのでしょうか、そういう状況の中で、地域住民の足を守るべき国鉄の公共的使命を投げ捨てて地方交通線廃止を進めているということは、きわめて不合理な問題であるというふうに考えるわけです。その点について、どうですか。
  200. 永光洋一

    ○永光政府委員 全国ネットワークとして国鉄は二万キロの線を維持してきたわけでありますけれども、輸送構造が変わり、あるいは地域構造が変わったということで、鉄道の特性分野というのが近時大きく変わってきたわけでありまして、それに対して、ローカル線等の問題を含めて、輸送分野を特化していくのにどうしたらいいかということで、現在の再建計画等でいろいろ努力をしておるところであります。
  201. 辻第一

    ○辻(第)委員 ところが今度は、つくった鉄建公団建設線を次々と廃止をしていく。これは、国鉄についての政府の対応の無責任の典型の一つだ、このように考えるわけです。第一次廃止選定線のうちで、公団貸し付けの区間は百七十一・五キロですね。それにつながる公団の着工済み区間が相当あるわけでありますが、一次廃止対象線に開業部分が含まれている公団建設線で、着工済み未貸し付けの部分はどれぐらいあるのか、鉄建公団にお尋ねをいたします。
  202. 仁杉巖

    ○仁杉参考人 お答えいたします。  無償部分では美幸線、白糠線、鷹角線等が先に延ばす計画があるということでございます。なお、有償の丸森線につきましても先に延ばす計画があるということでございます。
  203. 辻第一

    ○辻(第)委員 私どもの調べたところでは、第一次廃止選定線のうち、公団貸し付けの区間、それにつながる公団の着工済み区間というのは、公団建設線で大体百八十二キロ、このように認識をしております。その他、第一次廃止が行われると計画区間の両端で接続線がなくなってしまうという公団建設線があります。その着工済み区間はどれぐらいですか。
  204. 仁杉巖

    ○仁杉参考人 ちょっといま数字を持ち合わせませんので、すぐ調べて御返事いたします。
  205. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間がありませんので、なにをいたします。それは私どもは三線三十九キロと……。  こういうふうに、ほとんどできている区間を含めて、公団建設線三百九十二キロが事実上の廃止線であります。公団関係以外を含めまして第一次の廃止選定線九百五十キロメートル、これに対して公団建設線が大体三百九十二キロでありますから、大体約四割が過去二十年間につくられた公団建設線であります。このように、本当に三百九十二キロというようなものが第一次廃止選定線ということで廃止されようということであります。  次に、二次廃止線については、公団貸付部分はどのぐらいあるでしょうか。
  206. 仁杉巖

    ○仁杉参考人 無償線が五線、有償線が一線ということになっております。延長では百十七キロ、総額で二百八億ということになっております。
  207. 辻第一

    ○辻(第)委員 私どもは、その線の着工済み未貸付部分も含めて百三十二・四キロ、このように見ております。また、一、二次廃止のために行きどまり線になるもの、これが十線で百三十四キロ、これを合計いたしますと二百六十六キロ、とういうことになります。それ以外でも、いわゆる凍結線が十四線あります。着工済みで未開業の区間ということですね。これが二百十六キロ。以上全部合わせますと、一次線、二次線も含めて、八百七十四キロが廃止あるいは廃止の対象になっているということですね。この中で三陸鉄道、野岩鉄道ですか、これは存続するものとして除いてみましても、七百十七キロであります。この中には丸森線、伊勢線というCD線が二本入っているということですね。  公団AB線で開業、着工済みは全部でどれぐらいのキロメートルがあるのか、お尋ねをいたします。
  208. 仁杉巖

    ○仁杉参考人 開業済みは十三線で、投資額が七百一億ということになっております。
  209. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、何キロメートルあるかとお尋ねしたのですが。
  210. 濱建介

    ○濱参考人 ちょっと、いま数字を調べて御報告いたします。
  211. 辻第一

    ○辻(第)委員 私どもは、千百三十キロ、このように認識をいたしております。そうなりますと、AB線だけで言いますと六百四十キロが廃止対象、それにCD線、丸森線、伊勢線を入れると七百十七キロ、こういうことで、千百三十キロから見てまいりますと本当に半分以上が廃止されるという、大変なむだになっているわけですね。  この七百キロ余りの建設にどれくらいかかっているのか、これは大臣にお気の毒ですがお答えをいただきたい、こういうように思います。
  212. 永光洋一

    ○永光政府委員 ちょっと間違っているかもしれませんが、いま公団総裁が申しました七百一億という、お金の方はそちらの方じゃないかと思います。
  213. 辻第一

    ○辻(第)委員 大臣は許されるとしても、鉄監局長はこれぐらいのことは、廃止をされるのですから、どれくらいかかっているのかぐらいは知っていただきたかったと私は思いますね。大体七百キロにこれまでどれくらいかかっているのか。私どもの計算では二千五百億ですね。そういうことも御存じなくて廃止をされようというのは私は許せない、とういうように強く指摘をしたいと思います。五十六年までAB線建設投資総額で言えば四千億、こういうことになるのですね。七百キロと言えば東京から岡山間という距離ですね。このように二十年余りの間にこの七百キロをつくって、そしてそれを廃止をする。これは理由がどうであろうと膨大な浪費と言わざるを得ないのです。この責任は私重大だと思うのですが、大臣、いかがお考えでしょうか。
  214. 永光洋一

    ○永光政府委員 問題は二つあるのじゃないかと思うのです。一つは、結果的に非常に赤字が出るような線をつくったということと、今度は全体の鉄道の、特性分野に特化していくという過程において、減量化に対応するためにそれを今度はやめていく。先生おっしゃいますように、既存線と建設線とつながっておるところは既存線をやめ、それから既設線についてはいままでの投資がつながらないのですからだめになる、こういうような状況、二つの問題があると思うのですけれども、鉄道の建設というのは非常に長期にかかりますし、懐妊期間も非常に長いという性格もあるものですから、その間における時代の趨勢の変化といいますか、あるいは交通情勢の変化というものもあるのではないかと思いますが、ある意味では、結果的に見通しが非常に悪かったと言われればわれわれも反省すべき点はあると思います。
  215. 辻第一

    ○辻(第)委員 しっかり反省をしていただきたいと思いますね。  大臣、お疲れだと思いますけれども、もう少しがんばっていただきたいと思います。  鉄建公団を設立された中心的な人物は元総理、田中角榮氏であると思います。田中角榮氏は鉄建審の小委員長をされておったわけでありますが、その審議会で、鉄道の制度の者え方でペイするとかしないとか考えていたら鉄道の持つ本当の使命は失われる、このように述べておられます。その後田中氏が、大蔵大臣としても鉄建公団審議の際に同じような趣旨の答弁をされているわけであります。国鉄経営など度外視してやれと言うに等しい、そういうふうにもとれるのですね。その結果が、鉄建がつくったAB線の半分以上を廃止しようということにもなっている。これはたとえて申しますと、青函トンネルが開業すれば必ず赤字になるから埋めてしまえというのと同じ論理なんですね。先ほど大臣は、これは国民の大切な財産だとおっしゃっていましたけれども、大切な財産でもとんでもない赤字を抱えていくということになれば、そんなに財産だ財産だと言っていられるようなものでもないのですね。赤字だから、もうそれを廃止をするということになれば、青函トンネルも同じ論理になるということですね。あれは大変な労働者の努力があってできたものでありますけれども、そういうことになるわけですね。  私は、何回も繰り返しますが、ことにも政府の重大な無責任さ、それが今日の国鉄の危機をつくり出した真の原因である、このように強く指摘をして、次に移ります。  次に、分割民営に関して尋ねます。分割民営をして本当に経営が成り立つのかどうか、こういうことですね。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕  これも繰り返しになりますが、国鉄分割民営化の最大のねらいとしているのが採算性の向上、こういうことですね。現在の国鉄の路線のほとんどが採算点を下回っていることは事実ですね。地域別経営成績を見ましても、新幹線を除き、在来線では、北海道、本州、四国、九州とも、その実態は、これは五十六年度ですが、北海道では二千五百七十九億の赤字、本州が九千八十五億の赤字、四国が四百六十三億の赤字、九州が二千百六十一億の赤字。それぞれ営業係数を見てみますと、北海道は何と三六五ですね。本州が一五三、四国が二六六、九州が二七五、こういうことです。新幹線は黒字で三千四百二十三億、営業係数は五七、こういうことであります。  臨調答申が言うように、分割会社に長期債務を承継させては健全経営を行い得るめどが立たない。ところが、長期債務を承継しなくとも健全経営はむずかしいのではないか、この点の認識をお尋ねをいたします。
  216. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 分割民営の現実性の問題でございますけれども、これにつきましては、仮に分割したとした場合にそれぞれの事業体の輸送量がどの程度あるか、あるいは生産性の程度、それに伴う職員数がどうなるかというふうな要素、その他いろいろな要素があると思います。先ほど先生が御指摘になりました長期債務を初めとするいろいろな構造的な諸問題、これをどう処理するかということにもかかわってまいります。したがいまして、その辺のところの検討を相当詰めて詳細にやってみないと、現実にどうなるかということは現段階では必ずしも的確にはわかりかねるわけでございますけれども、いずれにしましても、分割民営化ということになりますと、一つ考え方としては、臨調答申の中で述べておりますのは、経営責任が明確化されるであろうとか、あるいは地域の実態に即した経営が可能になるであろうとか、あるいは関連事業等によって総合的な事業運営ができるであろうとか、いろいろなメリットもまたあろうかと思いますし、そこら辺のところを相当具体的、詳細に突っ込んで検討してみるということでないとにわかには断定しがたいのではないか、このように考えております。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕
  217. 辻第一

    ○辻(第)委員 とんでもないことだと思いますね。私は、分割民営をやって、北海道だとか四国だとか九州だとかとても成り立つはずがない、はっきりしていると思うのですね。  具体的に四国を例にとって申し上げたいと思うのですが、四国全部の収入が五十六年度二百七十八億、支出が七百四十一億です。この収入のうち旅客収入は二百三十九億、大方は旅客収入ですね。人件費が四百四十一億、こういうことですね。差し引きして赤字が四百六十二億ということですね。これは仮定の話ですが、臨調が人件費人件費と言われますからなんですが、もし人件費を半分にした場合でも赤字は二百四十一億になるのです。四百六十二億が約半分になりますね。それから、四国のうちの幹線でいいますと、土讃線、予讃線、高徳線、この三つで見てみますと、人件費を半分に減らしても百九十五億ですか。こういうことで、人件費を半分にして、そして旅客収入を現在の倍にして、やっと収支がとんとんになるというような状況だと思うのですね。ところが、人件費を半分にするというようなことはそんなに簡単にできることじゃありませんし、それから、旅客収入を倍にするなんて、これもそう簡単にできることじゃありませんね。それから臨調は幅広い事業活動とかいろいろ言っておられるわけでありますが、四国でそんなに幅広い事業活動で大幅な収益増が見込まれるということはとても考えられないですね。こういうふうに見てまいりますと、大変な事態ですね。  それから臨調は、いわゆる分割民営ということでありますが、昭和四十一年以来、地方の中小民鉄が千三百キロ廃止されてきているのですね。これが、何とかやっていっておられる地方の中小民鉄はどういうふうな状況で成り立っているのかといいますと、その理由は、借入金による過大投資がないということが一つ、それから従業員が少ないこと、運賃が高いこと、さらに、場合によってはいわゆる地方公共団体の補助金がある、こういう状態ですね。これを逆に見てみますと、本当に四国で採算が合うということになれば、それは利用者に負担をうんとふやすことであり、労働者に犠牲を負わすことであり、自治体へのしわ寄せ、こういうことですね。これは夢みたいなことで絶対にできない、このような状況だと思うのです。  以上述べてまいりましたように、分割民営化しても経営は成り立たない、四国においても、九州においても、北海道においてもあるいは本州においても大変なことだ、私はこういうふうに考えるのですが、この認識について、どうですか。
  218. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 先ほども申し上げましたように、この問題については、分割民営化と申しましても具体的にどうするのかということについて、まだ臨調答申はその基本的な考え方だけであって、具体的なその内容を示しておりません。実施可能性についての検証もまだなされていないという段階でございます。したがって、分割といいましても、地域分割もありますればあるいは機能分離ということもあるでしょうし、あるいは機能分離であってもなおかつ実現可能性が非常に薄いという場合もあるでしょうし、その辺のところはまさにこれから具体的かつ詳細にその内容監理委員会の方である一定期間かけて検討する、そして結論を得ていくということでございまして、いまの段階で可能である、不可能であるということを断定するのは、私どもとしてはちょっと早計ではないかというふうに考えております。
  219. 辻第一

    ○辻(第)委員 あなたはそうおっしゃいますけれども臨調答申の中には七つぐらいに分割をしてというところがあるのじゃないですか。だから、あなたのいまの御発言は、私は、臨調答申を尊重してということからいいますとやはり納得できないと思いますね。分割民営ということは経営的に大変なことである、できないことであると私どもは認識をしておりますので、再度つけ加えて次に移ります。  次に、分割民営で、列車の運転などの課題あるいはサービスが非常に低下をする、この問題について尋ねたいと思うのです。  分割民営化されても、広域にわたる旅客の流動が存在する以上、それに対するサービスが維持されねばならないということは言うまでもないというふうに思うのです。今日、広域にわたって旅客が移動されるということは大変な数に上るというふうに思うのですが、その際に、直通列車の運転だとか全国を通じた乗車券の発売ということももちろん必要ですね。それから、直通運転を実施する場合、直通運転用の車両だとか乗務員だとか運転計画、接続駅の運営、運転整理、経費の精算、通し乗車券の発売、こういう細々した問題ですが、解決すべき問題が非常に多いのです。  直通運転の例としては、ヨーロッパにおいてはTEEなどが例に出されるわけでありますが、これはどうもせいぜい一日数本程度の運転にとどまる、こういうふうに聞いておるわけであります。わが国でも、大都市間の国鉄、私鉄間だけ、あるいは私鉄間の相互直通運転というのがあるわけですが、これらの多くも、特定の路線間において事実上一体のものとして運用されておるということですね。ですから、国鉄分割民営化された場合に発生する問題も克服できる、こういうような発言がこれまで委員会でもされているのですけれども、私は、実際問題は、従来の例とは比較にならないきわめて複雑な重大な問題だ、こういうふうに思うわけであります。  そこで、連絡運輸の問題については、先日、本委員会で四ッ谷議員が指摘をされたわけであります。連絡乗車券の発行について、運賃精算事務の繁雑からきわめて限定的にしか行われていないということが明らかであります。列車の設定は、とにかく現在は国鉄のマルスで基本的にすべての座席が管理されているのが、分割民営化された場合、それぞれの列車の指定席をどこが管理するのか。分割民営化していくと、集中管理をするような新たな体制が必要になるのですね。分割会社内の列車なら当該会社で管理することも可能でありますが、そうなると、会社間のオンラインネットワークがなければ他の地域のものをスムーズに買えなくなるし、多くの指定席のある列車は長距離にわたるわけですが、こうなりますと、現行のサービスを維持するということは新たな投資や要員が必要となり、分割民営の企図する効率化にはならないのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  220. 高木文雄

    高木説明員 実は、臨時行政調査会でいろいろ御審議がありました際にもそういう問題は起こりましたといいますか、むしろ私の方から申し上げました。ちょうどいまお触れになりましたようないろいろな問題が大変むずかしい問題であるので、分割といってもなかなかむずかしいのではないかということは、当時やや非公式な物の言い方ではございましたけれども申したわけでございますが、その当時の臨調皆さんの御意見では、非常にむずかしいということなのか、不可能か、こういうことであったものですから、世の中に不可能ということはないでしょうということで、非常に困難であるということは申してございます。たとえば、現在東京都内におきますもろもろの交通機関の乗り継ぎについて、ほとんどの部分は運賃の通算ではなくて併算システムをとっておりますために、短い区間でたくさん乗りかえると、全体としての距離はそれほど長くないのに運賃が高くなるというような問題がありまして、現在東京周辺あるいは大阪周辺での各交通機関の乗り継ぎについてもトラブルは現実にあるわけでございます。ただ、これは一つには私どもが全国一本の運賃システムをとっていることから由来することでもあるわけでございまして、恐らく分割といったようなことを前提として物を考えるならば、地域ことに運賃が変わってくるということを前提として考えるならば、不可能ではなくして、非常に困難だが、可能な範囲内の問題になってくるのじゃないかと思います。そうした点は、恐らく今度の再建委員会ができました場合に、地域別分割というのをいろいろ検証してみる段階においていろいろ御議論いただくことになりましょうし、私どもは、今日までの経験にかんがみましてその材料を細かに御提出申し上げて、そして委員皆さんに議論していただく、そのことがどういう形での分割が可能か可能でないかという議論につながっていくことになるのではないかと思うわけでございます。私どもも、御指摘のような点に非常に困難性があるということを感じておりますが、不可能ではなかろうというくらいの感じで、どの程度の困難性がそこに伴ってくるかということを、今後具体的な議論の中で詰めていただくということによって、御検討が深まるのではないかと思っておるわけでございます。
  221. 辻第一

    ○辻(第)委員 いまの総裁の発言は、非常に困難を伴うというふうに私は理解をして次に進みたいと思うのですが、第二番目は運転計画の問題ですね。この臨調答申も本州の分割については具体的線引きを明示しているわけではない。先ほどおっしゃった点もあるわけですが、しかし七つくらいということですね。それから加藤寛氏が「国鉄電電 専売再生の構図」、東洋経済社の本で書いているように、本州を輪切りにする考え方、これは新潟、会津、郡山、平を結ぶ綿以北だとか、それ以西で糸魚川、松本、塩尻、豊橋を結ぶ線だとか、それ以西で敦賀、米原、草津、津を結ぶ線、それ以西の西日本、こういうふうにその中で書いておられるわけでありますが、もしこういうことになりますと、現在の列車の運転系統が全く無視できないとすると、二社とか三社とか四社にまたがる列車が多数生まれるのですね。これに対する調整が各社で必要になるということでありますが、これはもう本当に大変なことでありまして、もちろん旅客には便利なダイヤが確保されない、サービスが低下をするということはもう明らかだと思うのですね。それから直通運用車両の管理の問題、これも大変な問題だろうと思います。さらに乗務員の運用の問題です。現在の相互乗り入れは車両の接続点で引き継ぐという形になっているのです。しかし、特急などが各社を通じて走る場合、必ずしも接続点で停車するとは限らないのですね。こうなりますと、相互乗り入れ列車の乗務員は、相手社まで直通乗務をすることになるのか、そうでなしに相手会社に入ったときはどうするのか、宿泊はどうするのか、これまた大変な問題が出てまいります。  こういうふうにいろいろ考えてまいりますと、個別に解決すればよいというものではなしに、列車ダイヤを引いても、車両は、乗務員は、列車ダイヤ、車両運用ダイヤ、乗務員ダイヤ、複雑に絡む鉄道の中で、臨調国鉄経営再建の決め手として分割民営を挙げている。国民の利便性から見て、これまでの鉄道が経験したことのない大変な規模の各社相互調整の問題が出てくるわけであります。これが経営の効果に資するのかどうか、旅客サービスが低下することにつながらない保証があるのかどうか、再度お尋ねをいたします。
  222. 原田憲

    原田委員長 高木総裁。答弁は簡明にお願いします。
  223. 高木文雄

    高木説明員 現在でも、列車整理については、たとえば東京から門司までの間の在来線を考えましても、管理局の境界があって、そして乗り継ぎというようなことが行われてスムーズにいっている部分もありますから、全部が全部うまくいかないということではないと思います。しかしながら、いま御指摘のような問題点があることは事実でございまして、民営あるいは分割といったようなことによるメリットがたくさんあるということと、いま御指摘のようなデメリットがたくさんあるということを比較勘案しての最終御判断ということになるのではないかと思います。それらを少し個別的に詰めていただくことによって、どういう結論が出るのかということにつながっていくのではないかと考えております。
  224. 辻第一

    ○辻(第)委員 これらを見てみますと、鉄道が統一的運営がされているからこそ発揮できる機能が、分割民営によって、さきに触れた点だけを見てみましても大変な問題が出てくる。その調整に大きな困難を伴う。ひいては乗客のサービスが低下をする。それによってさらに客離れというような事態になりかねない。かつて分割民営論が出たときに国鉄が示された分割民営デメリットというものは、現在も克服されていないと私どもは考えるのであります。そして、国民にとって分割民営をやれば国鉄の運賃がどうなるかということも一つの重要な関心事です。現在国鉄運賃は遠距離逓減制をとっておられる、このように思うのですが、いかがですか。
  225. 高木文雄

    高木説明員 かなり粗い遠距離逓減になっておるわけでございまして、遠距離逓減をとっておりますけれども、その粗さといいますか、どこで段をつけるかということについては、私鉄のような場合よりははるかに粗い段階になっています。
  226. 辻第一

    ○辻(第)委員 三百キロまでは一キロにつき十三円二十五銭ということですね。三百キロから六百キロまでは十円五十五銭、六百キロを超えますと五円七十五銭、確かに総裁が申されましたように粗い区切りではありますが、六百キロを超えますと非常に安くなりますね。十三円二十五銭のが五円七十五銭になるんですね。もし分割民営会社となれば、運賃はその採算制の確保の点でばらばらとなるということと同時に、遠距離割引はとうていできないということになると思うのですね。特に二つも三つも四つもの会社にまたがる区間で、近距離に比べて非常に高額に変わってくるということになるわけです。現に二社間で運賃割引があるのは、国鉄関係では営団と国鉄の一部区間だけなんです。福岡市営高速鉄道と国鉄の一部分でやられている、こういう状況なんです。  東京から熊本間を特急で行くということになりますと、東京―熊本はいま運賃が一万一千二百円、特急券が三千二百円、寝台券とすれば四千五百円、一万八千九百円で行けるのです。これを今度は分割民営で、先ほど国鉄のいまの料金制度で当てはめてみますと、さっき申しました加藤さんの七つの分け方ですか、そういう状況で見ますと、東京―豊橋、豊橋―米原、米原―門司、門司―熊本、こういうふうに見てみますと、運賃が一万一千二百円のが一万九千四百円なんです、特急券が三千二百円か八千三百円になる、寝台券が四千五百円であったのが一万三千五百円、合計いたしますと四万一千二百円になるわけです。すると、現行は一万八千九百円というのが四万一千二百円、二・一八倍ですね。大変な額になるわけであります。  このように旅客サービスの面でも車両運営の面でもデメリットの多い分割民営はすべきでない、私どもはこの点からも強く否定したいと思うのですが、この運賃関係について監理委員会担当の方はどのようにお考えになりますか。
  227. 原田憲

    原田委員長 辻君に申し上げますが、持ち時間を相当オーバーしていますから、この次で終わってください。
  228. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 先ほど先生から御指摘の諸問題でございますが、特にいま運賃の問題等も含めまして、その辺のところはまさにこれからの検討課題の中心であろうと思います。これから監理委員会をつくって具体的な詳細な検討をやるというのは、まさにそういう点についての検討をして、そして実施可能性あるいは具体的な内容というものを十分吟味して結論を得る、こういうことでございますので、私どもとしては強力な監理委員会をつくっていただいて、その監理委員会においてその辺のところを十分詰めていただきたい、このように考えております。
  229. 辻第一

    ○辻(第)委員 いまこれからの検討課題だとおっしゃった。確かにそういう側面があると思いますけれども、常識的に考えてみても分割民営するのでしょう。そして、いま遠距離の逓減制をとっているわけでしょう。分割民営というのは日本を二つぐらいに分割するようなものではないと思うのですね、どう考えてみても、分割するとすれば。そうなれば幾つもひっかかると思うのですよ。やはり加藤さんがおっしゃっているような七つぐらいが適当ではないか。われわれ分割民営にもちろん反対なんですが、するとすればちょっと頭に浮かぶのはそういうことが浮かびますね。そうなりますと、どうしてもいまあなたがおっしゃったようなことでは済まないと私は思うのです、これから検討するというようなことでは。私の申し上げた点についてあなたのお考え方、もう少しはっきりお答えいただけませんか。
  230. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 非常に技術的な問題でございますので、技術的に解決できないのかどうか、その方法があるかどうかということについてはいま直ちにここでお答え申し上げかねるわけでございますが、いずれにしても技術的な問題である以上は、何らかの工夫をすることは決して不可能ではないと思いますし、また逆に、そういう技術的な問題があるがゆえにそれは非常に非効率を招いて、分割というものがかえって非効率になるという場合もあるかもしれません。また逆に、そのデメリットというか非常な困難性があったとしても、それを超えるメリットというものがあるかもわかりません。そういうことについてまさにこれから検討さしていただきたい、こういうことなのでございます。
  231. 辻第一

    ○辻(第)委員 では最後大臣にお尋ねしたいと思うのですが、今度の監理委員会法案、臨調答申分割民営ということを中心にした監理委員会法案というのは、本当に国鉄解体法案だと私どもは考えているわけであります。私どもはこの法案に強く反対をし、撤回されることを強く要望するわけでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  232. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いろいろ御勉強されている模様を拝見しました。そうした材料なども恐らく監理委員会が生まれたら議論されることでございましょう。また、あなた方の立場から絶対反対ということもございますが、何とかひとつ合理的な形において国鉄をどうしてか効率的に伸ばしていこう、残していこう、こういう考えも私たちは持っておりますので、その際の御議論をよくひとつ御吟味いただきたい、こう思います。
  233. 原田憲

    原田委員長 中馬弘毅君。
  234. 中馬弘毅

    ○中馬委員 遅きに失したとはいいましても国鉄民営方向に動き出した、その緒についたということを私たちは評価したいと思っています。私たちは六年前、その前には党はなかったのですが、そのときに私も本会議でやりましたが、国鉄民営論を政党として公式の場で初めて表明した政党だと思っております。私たちが民営を主張いたしましたのは、これはただ国鉄だけの問題ではなくて、社会主義諸制度というのを見直さなければいけない時代に来ているのじゃなかろうか、こういう観点からこれを主張しているわけでございまして、これは特に民主主義、自由主義を標糖しておられる自民党が、本当はもっともっと早く手をおつけにならなければいけない問題じゃないかと私たちはいまでも思うことがたくさんございます。  いま非常にいろいろな問題が起こっております大半のものは、社会主義諸制度の、まあ惰性で続いていることがほとんど問題になっているわけですね。国鉄、これはすべてを国有してやっていく、これは社会主義以外の何物でもございません。それからあと、三公社すべてそうでございます。それから食管法、つくったものを全部買い上げて、そしてそれをやるというのは、これは社会主義政策以外の何物でもございません。また、国民にすべての医療を平等に、質はともかくとして平等に与えるというのは、健康保険、これも社会主義制度以外の何物でもないですね。社会主義制度というのは、後進国の段階から先進工業国にキャッチアップしていく過程においてはむしろ必要なものだと僕は思っております。  明治維新によって日本が先進国に追いつき追い越せといった段階において、国家社会主義を施策として推し進めていった、これは一つの方法として非常に効率的な、場合によっては必要であった方法かもしれません。もちろんドイツもイタリアもその方法をとったわけでございます。当時においては民間の資本が蓄積されてないわけで、また、国民もそれだけのゆとりがない。その中において、じゃ民間だけで日本の交通網を整備しなさい、あるいは鉄鋼業を興しなさい、紡績を興しなさいといったところで、これは無理なんですね。ですから国家がそれぞれの産業を経営し、あるいは交通網を国家が経営して整備する、これはもちろん必要なことでございます。それから、民生面におきましても、そのように足らない食糧を国家が買い上げてみんなに平等に分け与える。この場合には質は関係ございません。量を与えるだけですね。それから健康保険も場合によってはそうかもしれません。いろいろまだまだ貧しい方がおられる中で、国民が平等に健康の最低のことを保障されるということは、これはやはり社会主義的な方法でございます。それはそういう段階においては私たちは必要なものだと思い、その時代的な役割りはもちろんそれで評価しているわけですけれども、しかし、民間に資本が蓄積されて、そして国民もそれぞれの自分のニーズの多様化が出るだけのゆとりができてきた段階においては、そういう制度を温存しておること自体が非常に非効率になってくるし、国民に対してのサービスにもならない形になってくるのですね。それが先ほど言いました国鉄でありあるいは電電であり、電電とか専売は今後そういう問題が起こってくるでしょう。それから現在破綻の状況を呈しております食管であり、健保であるわけですね。ですから、これをできるところはどんどん民間に移していくべきだということを私たちは、特に国鉄がまず一番大きな問題でございますから、当初かち主張しておったわけでございます。これがこうした形で民営一つの緒についたことを私たちはそういう意味で評価したいと思っております。  そういう意味におきまして、まずは、国鉄はどうしてもそういう制度の大きな改革の最初のものですから、ここで失敗するようなことになりますと、日本の国の全体の効率を全く落としてしまう。そういうことから、どうしても大臣としては、この法案がこういう形で出た中にあっての大臣でございますから、その点は思い切って、いろんな過去のしがらみやあるいは圧力もあろうかと思いますけれども、それを乗り越えておやりになる御決意のほどをまずお聞かせ願いたいと思います。
  235. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 おっしゃるとおり、日本は明治維新の後は、農業国でございますから、その中で鉄一つやるといっても大変なことでして、官営でやっても技術者がおりませんからドイツ人を呼んだ。呼んで、溶鉱炉のそばに九州の農民を集めても、火花の散るのを見るのは初めてですから、びっくりして大変なことだった。中には技師を溶鉱炉に投げ込もうとする空気もあった。     〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕 しかし一方、日本人はまたなかなか知恵がありますから、あいつのやることはいいことだから、そう言わずにひとつ習ってみようじゃないか、こういうことで習ったということが、今日日本が世界において一億トン以上の製鉄をやっておるゆえんであります。  もう一つ日本人は知恵があります。私は宮城県の生まれなんです。東北鉄道というのは民間でつくったのです。これはしかし、指導者は、金集めの総大将は岩倉具視でした。本を読みますと、三百人以上の人間を発起人として集めて、とにかく銭のない時代ですから。そして、これはいまの新幹線なんかと違ってわずか四年間でつくっているのです。知事が二千円を出しているのです。そして東海道線が明治二十二年七月に開通したが、東北鉄道は上野から青森が二十四年の九月に開通している。二十六時間十五分。そして一割配当をやっているのです。その後どういう形で国有鉄道になったか知りませんけれども、そんな中で地域開発を行ったというこの知恵ですね。ですから、私はあなたのおっしゃること本当に敬意を払います。新しいことをやれば、冒険ですから必ず混乱が起こる。なれたことが一番楽です。しかし、そういう中に次のものを見つけていくというところにいままでの日本というものがあった、こう思います。国鉄監理委員会が生まれたからといって、日本国鉄を外すわけでもなければ、新幹線をもっともっと早くやるとか、いま皆さんから御質問があったように、いつまでも時間がかかって、そのうちに効果が薄くなったとか、そういうことなども防げるような姿に持っていくべきではないか。そして、そこに働く諸君が、何か国の予算でも使っておっていつでもサボっているみたいな、こんなつまらぬ非難というものは排除していくようにした方がいいのじゃないかな、こう私は思っております。
  236. 中馬弘毅

    ○中馬委員 そういう意味において官営八幡製鉄所あるいはその他のもろもろの事業をそれぞれ民間に払い下げた。第二の大きな営業の民業払い下げの時代だと私たちは思っております。  先ほど申しましたように、後進国の段階から先進国にキャッチアップするには、これは国家社会主義政策というのは必要な手段であったが、その時代的な役割りはもう終わったと思います。逆にソ連やあるいは中国、まだまだ低開発国的な要素があります。それが社会主義政策をとるのはあながち否定すべきものではないと思うのですね。しかし、日本はもうその段階でないということを自由民主党の方々もよく御認識いただきまして、いまの社会主義的制度を大いに民間の活力の方にゆだねていただきたい、このことを要望いたす次第でございます。     〔三塚委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、これをやるには大変な努力が要ることは、あの九電力に分割したときのことでもおわかりかと思うのです。あのときにはGHQがありました。このときには世論までもある意味では反対をいたしておりました。もちろん電産労組は大ゼネストを打ちました。その中でマッカーサー、GHQのポツダム政令でこれはやり遂げたわけですね。しかし今度はそれがないわけですから、相当な権限が付与されなければこの委員会でも大変だろうと思っておりましたが、この法案においては委員会権限が非常に弱うございます。しかし、委員会権限が弱くても、その関係機関の協力があればなし遂げられると思うのですね。そういうことから言いますならば、まずは直接関係いたします運輸省、この委員会はただ意見を提出するだけですね、この意見でまた国鉄法の改正その他所要の手続をしていかなければならないわけですから、そのことの手続がだらだらしておったり、あるいはそこでおかしくなってしまうと、これがしりすぼみになってしまいますから、運輸省としては、この提出された意見に適合した所要の手続を早急におとりになりますかどうかを、まずは運輸大臣からお伺いしておきます。
  237. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 皆さんの御賛成を得ましてこの法案が両院で可決いたしましたら、直ちに五人の監理委員をお願いいたしまして、この場所におけるところの御意見等々も申し上げつつ、その五人の方々に国鉄を心配されるいままで出た議論、国民的背景のあるもの、これを御認識いただきながら成案を得られるような、そういうふうな意思の通い方、そして御激励などして実現に一歩前進したい、こう思っております。
  238. 中馬弘毅

    ○中馬委員 一方、国鉄総裁にお尋ねいたしますけれども、いままで国鉄総裁は現在の国鉄をこうして預かってこられた。しかし今度は、この委員会一つの意見を提出するわけですから、その意見にもちろん異論もおありかもしれませんが、これにどのように応ぜられるか。やはり異論は異論としてかなり抵抗を示されるのか、あるいはもうこれは一つの国民的な合意、あるいははっきり総理大臣の尊重するということまでも含めた権限を付与された意見であるということで、それにお従いになるかどうか、総裁のお考えをお伺いしておきます。
  239. 高木文雄

    高木説明員 まず移行する、民営がよろしい、分割した方がよろしいとなった場合に、具体的にはどうやって移行していくかというあたりにいろいろな問題があると思います。いずれにしても毎日列車は走っておりますし、輸送の中に占める地位が低下したとはいえ、かなりまだ大きなウエートを占めておりますから、混乱を起こしてはならぬわけでありまして、その移行をどうするかというようなことを十分考えながら、いい道を探し求めるということで御一緒させていただきたいというふうに考えております。
  240. 中馬弘毅

    ○中馬委員 次に、この施策の実施期限が伝えられておりますが、六十二年七月三十一日というのは、意見を提出する最終期限がこれなのか、あるいは一つ施策を実施に移す期限が七月三十一日までということなのか。そこの解釈はどういうことですか。
  241. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 第十五条の施策の期限でございますけれども、これは体制整備が完了するのが昭和六十二年七日ということでございます。したがって、体制整備というのは、監理委員会におきまして企画立案して計画をまず立てる。その計画を意見として総理大臣に渡す。総理大臣はそれを受け取りまして、政府として立法上の措置が必要であればそれを提案して、国会で御審議をいただいて所要の法改正を行う。それを受けてもろもろの実態上の準備を進めまして、そして新形態なら新形態に移行をする、そういうことで、それが完了するのがこの期限、すなわち六十二年七月というふうに解釈上私どもは考えております。
  242. 中馬弘毅

    ○中馬委員 それにしても悠長な話だと私たちは思っているのです。私たちは、去年わが党の国鉄改革案を出しました。そのときには二年でこれをやるべし、六十年四月一日からその新形態に移行すべしということを明示し、それだけあれば十分一つ事業経営、私企業のときに、たとえばそういうものを再建するなんといったらせいぜい半年か一年でやってしまいますよ。二年もかけたら十分だと私たちは思っておりましたが、これでは答申が出てから五年、いまからで言いましても四年間かかるわけです。少し悠長過ぎやしないかと思うのですね。  あの日本発送電のときには、これは公益事業委員会が二十五年十二月に設置されて、二十六年の五月、もう九分割を実施いたしております。実に五カ月でやっておりますね。どうです、これは少し悠長過ぎるとお思いになりませんか。
  243. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 再建でございますから、金を貸すところも何もあるのですから少し急いだ方がいいと思いますが、一応期限をそれだけ切っておいて、後は熱心さによって時間を縮める、こういうことも必要じゃないかと思っております。
  244. 中馬弘毅

    ○中馬委員 この監理委員の資格、構成についてはもう皆さん方がお聞きになっておりますが、こちらの意見だけを申し上げておきます。  官僚OBや国鉄関係者だけは今回は余り入らない方がいいのじゃないかと私は思うのですね。そうしますと、どうしたって限界がございますので。  それから事務局でございますけれども、事務局もあらかじめおぜん立てして、ただ委員にそれに判こを押させるというだけではなく、委員の方に逆に事務局の任免権も与えて、委員が適当と思う人を事務局としてやっていくぐらいのことをやっていただきたい。これは要望だけをいたしておきます。  それからこの委員会、かなり悠長な形でやっていくのですけれども、本委員会が発足後意見が提出されるまでの間、国鉄御自身は経営を従来どおりお進めになるおつもりなのか、あるいは少しはこれに応じて、その都度意見を反映させながら現在の経営を少しずつ見直し、移行がスムーズにされるようにするのか、その点は総裁の御意見はいかがでございましょう。
  245. 高木文雄

    高木説明員 臨時行政調査会からもお示しがございましたし、また、昨年九月の閣議決定でも御指摘がありますように、緊急十項目について監理委員会から一々お指図を受けるまでもなく、実現をどんどんと図っていきたいと考えております。その他項目につきましても、あるいはすぐとるべきことがだんだんと出てくるかもしれませんけれども、いまはこの十項目だけでも大変大きな問題でございますし、午前中の御質疑にございました再建法による経営改善計画の手直しと、その取り組みということが最も急がれることでもございますので、まずその二点について取り組んでいくことが先決であろうかと考えております。
  246. 中馬弘毅

    ○中馬委員 これは前回にも要望いたしましたように、このように民営として一つの新しい形態でやる場合に、土地や人員もそれぞれ新しい形態になったときに場合によって大いに活用できるかもしれない。ただ赤字の補てんという意味で、どんどん土地を売却するということも少しここでストップしていただきたいとすら私たちは思っております。そのこともあわせて、もうこういう形で進むことに決まってきたわけですから、それに合わせた国鉄経営をやっていただきたい。ただ、いまの何とか赤字を減らすだけが目的という形ではなくて、新形態にスムーズに移行する形、そして新形態になったときに、それが本当に国民的な立場で能力の発揮できる一つの経常形態になるようにお願いをしておきたいと思います。  それから、国鉄がここに至った大きな要素の一つは、すべてが法律で制約されておって、経営者に全く当事者能力がなかったことが一番大きな原因ですね。運賃値上げするにしても何するにしても国会で審議、それが一年も二年もかかってしまう。適時適切にやって初めて事業経営というのはうまくスムーズに行くわけですから、いままですべてのことが法定主義であったことに大きな問題があろうかと思います。そういう意味におきましても本委員会を発足させることがまずは必要でございまして、慎重審議という名でだらだらとやることは私たちは反対でございますので、早急に委員会を発足させていただきますよう大臣も御努力いただきまして、この点を申し添えまして質問を終わらせていただきます。
  247. 原田憲

    原田委員長 次回は、来る三十一日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十七分散会