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1983-03-22 第98回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十二日(火曜日)     午後三時五十八分開議  出席委員    委員長 原田  憲君    理事 三枝 三郎君 理事 三塚  博君    理事 宮崎 茂一君 理事 湯川  宏君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 中村 正雄君      臼井日出男君    小此木彦三郎君       鹿野 道彦君    梶山 静六君       川崎 二郎君    久間 章生君       志賀  節君    谷  洋一君       近岡理一郎君    津島 雄二君       浜野  剛君    原田昇左右君       井岡 大治君    小林 恒人君       沢田  広君    下平 正一君       浅井 美幸君    中路 雅弘君       四ッ谷光子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 長谷川 峻君  出席政府委員         内閣審議官   林  淳司君         運輸政務次官  関谷 勝嗣君         運輸大臣官房長 犬井 圭介君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ───────────── 委員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   小林 恒人君     岡田 利春君 同日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     小林 恒人君 同月七日  辞任         補欠選任   小林 恒人君     木島喜兵衞君 同日  辞任         補欠選任   木島喜兵衞君     小林 恒人君 同月十五日  辞任         補欠選任   鹿野 道彦君     柳沢 伯夫君   細田 吉藏君     川崎 二郎君   辻  第一君     三浦  久君 同日  辞任         補欠選任   柳沢 伯夫君     鹿野 道彦君   三浦  久君     辻  第一君 同月十七日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     毛利 松平君 同月十八日  辞任         補欠選任  小此木彦三郎君     谷  洋一君 同月二十二日  辞任         補欠選任   阿部 文男君     臼井日出男君  小山 長規君     小此木彦三郎君   佐藤 文生君     梶山 静六君   箕輪  登君     原田昇左右君   毛利 松平君     志賀  節君   田邊  誠君     沢田  広君   辻  第一君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     阿部 文男君  小此木彦三郎君     小山 長規君   梶山 静六君     佐藤 文生君   志賀  節君     毛利 松平君   原田昇左右君     箕輪  登君   中路 雅弘君     辻  第一君     ───────────── 三月二十二日  船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第四六号) 二月二十八日  国鉄列車ダイヤ改正に関する請願(林百郎君紹介)(第一〇二三号)  国鉄の民営・分割化反対及び民主的再建に関する請願四ッ谷光子紹介)(第一一六九号) 三月十日  軽車両等運送事業者荷主添乗禁止立法化反対に関する請願部谷孝之紹介)(第一三五九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案内閣提出、第九十七回国会閣法第三号)      ────◇─────
  2. 原田憲

    原田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。運輸大臣長谷川峻君。     ─────────────  日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 ただいま議題となりました日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案提案理由につきまして御説明申し上げます。  国鉄経営は、昭和五十六年度において年間一兆円の欠損を生み、また、長期債務は十六兆円にも達するなど、まさに危機的状況にあり、国鉄事業再建は、国政上早急な解決を要するきわめて重大な課題となっております。  このような国鉄経営現状にかんがみ、去る七月三十日に行われた臨時行政調査会の第三次答申におきましても、国鉄事業再建は最も重要な柱とされておりまして、抜本的な改革のための方策が示されるとともに、その推進機関として国鉄再建監理委員会設置することが提言されております。  政府といたしましても、この臨時行政調査会の第三次答申を最大限尊重することとし、去る九月二十四日には、国鉄改革については、臨時行政調査会の第三次答申に沿って、五年以内に事業再建の全体構想を設定しその実現を図ることなどを閣議決定しているところであります。  本法律案は、このような状況を踏まえて国鉄経営する事業再建推進のために国が講ずべき施策等について定めるとともに、日本国有鉄道再建監理委員会設置等に関し、所要の事項を定めるものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、国は臨時行政調査会の第三次答申を尊重して、国鉄経営する事業の適切かつ健全な運営を実現するための体制を整備することにより、当該事業再建推進することを基本方針とするとともに、この体制整備のために必要な効率的な経営形態確立等及びその実施円滑化のために必要となる国鉄長期債務償還等に関する施策を講ずることとしております。  第二に、国鉄経営する事業運営改善のために緊急に措置すべき事項に関し、国及び国鉄は、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づく措置その他の必要な措置を講ずることとしております。  第三に、国の施策の策定及びその計画的かつ円滑な実施に資するため、総理府に日本国有鉄道再建監理委員会を置くこととし、同委員会は、さきに述べた基本方針に従って、効率的な経営形態確立等及びその実施円滑化のために必要となる国鉄長期債務償還等に関する重要事項についてみずから企画し、審議し、決定し、内閣総理大臣意見を述べること及び国鉄経営する事業運営改善のために講ずべき緊急措置の基本的な実施方針について内閣総理大臣意見を述べることができること並びに同委員会からこれらの意見が出されたときは、内閣総理大臣は、これを尊重しなければならないこととしております。  また、日本国有鉄道再建監理委員会は、五人の委員により組織することとするほか、委員任免等及び委員会の組織に関し必要な事項を定めるとともに、同委員会は、必要があると認めるときは、国の施策等について内閣総理大臣等に勧告することができること並びに関係行政機関の長及び国鉄総裁に対し、資料の提出その他の必要な協力を求めること等ができることとしております。  第四に、国鉄経営する事業の適切かつ健全な運営を実現するための体制整備を図るための施策は、その速やかな実施を期するため、昭和六十二年七月三十一日までに講ぜられるものとしております。  第五に、運輸大臣は、国鉄経営改善計画の変更の承認または指示をしようとするとき及び国鉄の予算の調整を開始しようとするときは、日本国有鉄道再建監理委員会意見を聞かなければならないこととしております。  第六に、日本国有鉄道再建監理委員会設置に伴い必要となる関係法律の規定の整備等を行うこととしております。  以上が、この法律案提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 原田憲

    原田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 原田憲

    原田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 原田憲

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  7. 原田憲

    原田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。宮崎茂一君。
  8. 宮崎茂一

    宮崎委員 ただいま議題になっております今回の日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案につきまして、若干質問をいたしたいと思います。  この法案自体質疑をする前に、全般的な背景につきまして少し質問をしてみたいと思います。  御承知のように、何回も国鉄再建の手段、法律をつくり、そしてまた計画をつくったわけですが、いずれも失敗をしてまいったわけでありまして、先般私は欧米各国に視察に参りましたが、欧米各国におきましても鉄道輸送というのは衰退ぎみでございまして、赤字対策に非常に困っている。あるいは年金とか共済組合の方に政府が支出したり、いろんなことで、いわゆる自動車輸送に対抗できなくなっている。高速自動車道路あるいはまた道路整備によりまして自動車輸送というものが非常に伸びてきている。これはどこの国でも同じでございまして、ただ、フランスやあるいはイギリスあるいはアメリカイタリア等におきましては、これから鉄道が生きる道というのは新幹線しかない。日本新幹線参考にするということで、フランスにおきましてもマルセイユ—パリ間でフランス新幹線を一生懸命つくっている、あるいはまたイギリスにおきましてもインターシティー一二五、つまり都市間を二百キロで突っ走る、こういう鉄道をやっている。イタリアにしてもあるいはアメリカにしても、これから日本新幹線を見習って都市間の高速輸送に転じていく、これが新しい鉄道輸送を広げていく一分野だ、こういうような話をしておったわけでございます。  私がいま申し上げておりますのは、鉄道輸送分野が果たしてどうなるかということを見きわめていくということが本当に必要だと思うわけです。日本貨物輸送について考えてみますと、すでにたしか一〇%、国鉄輸送は、国内貨物輸送の中で一割切ってきた。このことは、日本のいわゆる産業構造臨海工業地帯中心としていわゆる大量貨物輸送国鉄に適した貨物が内航海運にとられた。内航海運は五〇%のシェアを持っております。なおまた、港が各県に一つ二つ近接地帯にございますから、奥地への輸送というものは自動車輸送で済むわけでありまして、明治時代みたいに道路が発達していない、あるいは港が四つか五つしかないという時代鉄道輸送でしたけれども、結局宿命的に貨物輸送というものはもう衰退をせざるを得ないというのが日本の宿命であろうかと思うわけであります。したがいまして、いま実行しておられますようなああいうヤードシステムを排除しまして、駅間の直送体系貨物直行体系に切りかえようとしておられますが、少し遅過ぎたのかなという感じを私は持っておるわけであります。四、五年前から国鉄貨物輸送については安楽死論とかいろいろな議論がございましたけれども、いまやはりこの駅間の直行体制国鉄貨物輸送の唯一のこれからの伸びていく問題である。  また、旅客輸送につきましても、航空輸送でありますとかあるいはまたオーナードライバー自動車輸送に非常に押されてきておりまして、国鉄がこれから伸びようとするのは大都市圏内輸送、つまり東京、大阪、そういった大都市圏内輸送都市間の高速輸送、こういうふうに限定されている。こういったような輸送需要の将来というものを見通して、それに適した輸送体系をつくり、そして国鉄輸送というものをこれにマッチさせていかなければならぬ。一方に国鉄公共性がございますが、一方にまた独立採算をしなければならぬという要請があるわけでございますから、将来の輸送構造というものを見ながらこれだけに限定をしてやっていく。臨調の中でもそういったことを書いておりますが、大体こういったような基本的な考え方と申しますか、輸送構造につきましては、私と同じな考え方ではなかろうかと思いますが、運輸大臣、いかがでございますか。
  9. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 子供のときからだれでも機関車であったり鉄道というのはみんななじみが深いものでありまして、私たちもそれに漏れないわけです。明治御維新の後で国が本当に財政も何も苦しい時代に、たしか明治五年に新橋と横浜の間に「汽笛一声新橋を」と小学校唱歌で歌われたあの鉄道が敷かれた。しかも、それはイギリスの資本百万ポンドを借りて、技術も人間も来て全部やってもらったという話を私は聞いております。そういうことからして、日本輸送体系の中枢をなしたものは鉄道である、これは間違いないことだと思います。  一方、おっしゃるとおり、お互いが運輸委員会あるいは交通をずっと見ておりますというと、ここ二十年間のモータリゼーションというのは日本では大変なことだと思います。そういう関係からこのニーズに合わせていくということが一つと、もう一つは、やはり航空機の発達によって長距離は航空機、しかももう金よりは時間が大事だ、こんな関係がありますし、トラック一つにいたしましても、私もいまから十数年前でしたか、アメリカに行ってみまして、日本国鉄コンテナを取り上げる前に日本通運が取り上げた、さすがやはり民間はコンテナを取り上げた、この活用というものは大変なものだ。また、そのときに私は、同僚の関谷勝利議員と一緒にタコメーターをアメリカから買ってきて、参考にしないかというふうなこともございまして、いろいろな問題に合わせてその進展におくれないようにするということが一つであります。  おっしゃるとおり、あなたと同じように、私は世界を歩く場合に自慢するものの一つ新幹線がございます。二百キロ以上で走って、オリンピックを前にしてあれだけできたものが今日まで人身事故一つもなかった。これが日本技術の大変な宣伝になると思って自慢しておりますが、そういう意味において、いまの時代に合うような交通システム、それにどう国鉄が合わせていくか。何か監理委員会法案が出ますというと、あしたからでも鉄道が全部なくなるような誤解などがあることは私は非常に残念でありまして、いかにりっぱにこれを残していくかというところに問題があろうか、こう思っております。
  10. 宮崎茂一

    宮崎委員 いま国鉄経営的に非常に困って、大きな赤字が出ているわけでございます。累積赤字も十六兆円ですか、あるということで、昨年の秋でしたか、閣議決定国鉄再建緊急対策というものができたわけであります。御存じかと思いますが、その中でいろいろ十項目ほどございます。  国鉄総裁にひとつお伺いをいたしたいのですが、この国鉄再建緊急対策の中で非常に重要な問題、つまり国鉄労使の間の問題ですね、国鉄はもうほとんど破産をしているんだ、そういうような危機意識というものがどういう程度なんだろうか。また、最近の職場規律確立と申しますか、そういった問題が大分改善されてきたというふうに伺っておりますが、また最近も何か少しごたごたしているような話も伺っております。ですから、この国鉄再建緊急対策の中で、労使のこれからひとつ国鉄を盛り上げていこう、そういう気持ちがないとどうにもならないのじゃなかろうかと思いますので、非常に簡単でよろしゅうございますから労使間の問題がいま大体どういうふうになっているのか、総裁の御意見を承りたい。  それからいま一つは、地方交通線という問題がございます。国鉄再建法の中で整理する、私どものところでもやっておりますが、なかなかこれはむずかしい。知事とかあるいは町村長さん以下、やはり住民の方の意見がありますと、公共的だからうんと少なくても何か置いてくれという話で、私はこの点は、全般的な輸送形態からいくともう独立採算はとても回復し得ない問題でありますし、前につくりました法律によって逐次廃止していかなければならぬと思うわけでございますが、この点につきまして、地方交通線の整理の現状はどうなのか、あるいはどこが問題になっているのだろうか。私は、もっとPRか何か足りないのじゃないかという感じもいたしますが、この二点について、総裁から簡単に現状なりお見通しを説明願いたい。
  11. 高木文雄

    高木説明員 残念ながら、私ども職場におきまして全体として経営危機ということが職員の一人一人に徹底してないということを認めざるを得ないわけでございます。どうしても運転あるいは営業、保線、工場といったふうにいろいろ職場が分かれておりまして、それが全体としては残念ながら赤字経営になっておるということでございますけれども、それぞれの職場におります者が、必ずしも経営の全体の姿というものをわが会社という概念でとらえるような風潮が十分浮かび上がってきてないということが基本的にありますために、今日このような形でいろいろ御心配をいただいておりますにかかわりませず、まだもって職員の一人一人には事の重要性というものの認識が十分徹底してないということが一つございますのと、もう一つは、戦後三十年にわたりますわが国の労働運動の中におきまして、私ども職場労働組合というものが置かれました地位というものが、日本全体の労働運動一つのかなめというような役割りがあったというようなことから、その職場の問題と労働問題等についての考え方に、いささか現在の日本労働集団の物の考え方乖離がある状態にあるわけでございます。このことにつきましては、何とか少なくとも日本の現在の労働界の平均的な考え方というものにせめて近づくようにしていかなければならぬと思って、いろいろやってまいったつもりでございますが、まだどうもそこが乖離があるということでございます。  しかし、昨年の春以来、余りにもいろいろな問題があるということをいろいろな形で御指摘をいただきまして、昨年来それの正常化に努めておるわけでございます。臨時行政調査会から御指摘を受け、また、政府閣議で示されましたいわゆる緊急十項目について、それらのことはいずれも私どもがかねがね問題であると考えておったことでございますので、一つ一つ項目について鋭意取り組みをいたしておるわけでございます。まだ決してかくのごとく成果が上がりましたというところまでは参っておりませんが、政府でお示しになりましたもの、あるいは臨時行政調査会でお示しになりましたもののほぼ七、八割まで目標を達成した事項もございますし、また、検討が始まっている事項もあるわけでございます。  本年に入りましてから新聞でいろいろ報道されますように、労使間の問題がまだ大変対立をいたしておるような現象が出てきておるわけでございますが、何分これだけ大ぜいの職員がおりますし、たくさんの組合がありますし、そしてまた、職場もいろいろ分かれておりますので、新しい職場規律確立方について、趣旨が十分のみ込めている人というのがまだ全部に及んでないということからいろいろ紛争が起こってくるわけでございまして、私どもは決して対立抗争をよしとしているわけではないわけでありまして、さらにさらによく説得を重ね、説明をいたして、平穏のうちに規律について正したい、目的を達したいと思っておりますが、いろいろなことでなお多少耳ざわり、目ざわりのことが起こることがありましてもその点はお許しいただきたい。毅然として規律確立職場正常化ということに努めてまいりたいと考えております。  地方交通線の問題につきましては、いわゆる第一次地方交通線についてはすべてについて協議が始まっております。こういうふうにいきましょうということに決まりましたのはまだわずか一カ所だけ、北海道の白糠線でほぼ協議がまとまってまいりました。ここの場合には大変乗客の数も少ないという関係もありまして、バスへの転換ということでほぼ合意ができてきております。そのほか第三セクターへの移行ということで、それを前提として協議の進んでいるところもございますが、まだまだ各地域ともわかったというところまではいっておらぬわけでございまして、しかし、各地域皆様方もこの一年余りの協議期間を通じまして、かなり国鉄問題についての御認識は高まっておるようでございます。最初は協議会を開くこと自体に大変強い反対があるというようなことでございました。最近では、どのようにして、どういうことを中心にして議論しようかというところまでは入ってきたわけでございます。  第二次指定分につきましては、御存じのようにちょうど地方選挙といったような雰囲気で、こうした問題を議論するのにふさわしくない条件もあるのでございましょうか、まだ現在までのところ、協議会開催に具体的に至る前提としての関係知事の御意見運輸大臣のところに出されるという段階まで至っておりません。ただ、岩手県の一線区につきまして、つい最近知事意見をいただけるという状況になってきたというふうに理解をいたしております。  この問題は、何としても国民の足を奪うことになってはならないという見地から、そしてまた、決して国鉄だけの都合で物事を進めることがあってはならないという見地から、制度制度としていろいろ期限が定められておりますけれども、私どもといたしましても御理解、御納得を得た上で協議会開催に向かって徐々に進めてまいりたいと考えておるわけでございます。いま運輸大臣のお手元でいろいろ御努力をいただいておりますが、しばらくの時間の余裕を得た上で協議会開催が可能になろうかと思っておるわけでございます。そして、協議会開催されました暁におきましては、私どもも誠意を持ってその後の対策について関係の方々のお話を十分と承って、それぞれの地域にふさわしい事後対策について十分御相談、御協議申し上げたいと考えているわけでございます。
  12. 宮崎茂一

    宮崎委員 いまの二つの問題は非常にむずかしい問題ではございますが、運輸省国鉄当局におかれましては精力的な御努力をひとつお願いをいたしたいと思う次第でございます。  なおまた、赤字の問題で一番大きな問題は長期債務の問題ですね。これはいろいろな原因でこういったのができてまいったわけでございまして、一部棚上げしたり利子補給したりいろいろやっておりますが、この赤字長期債務がますますふえるような傾向にございますが、この償還等についてはどういうような手を今後お打ちになるのか、これは運輸大臣でしょうか国鉄総裁でしょうか、どっちかにお願いします。
  13. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 お答え申し上げます。  長期債務の問題は、先生御指摘のとおり国鉄事業再建する上でどうしても避けて通れないきわめて重要な問題であるというふうに私どもは考えております。そういう認識のもとにおいて、今回御提案を申し上げているこの法律案においても、第二条の「国の施策」の中で、これについては効率的な経営形態確立と並んで重要な解決を要する問題という位置づけをしてあるわけでございます。そういうことでございますので、この法律案に基づいて再建監理委員会設置された暁におきましては、監理委員会において適切な、十分な御審議の上で結論が得られるものと思いますので、その結論を待って対処をしたいと考えております。
  14. 宮崎茂一

    宮崎委員 それでは、いま提案されております法律問題点について御質問いたしたいと思います。  この法律臨調答申に基づいておつくりになる、いままでの法律計画が失敗して、運輸省国鉄中心にしたのではなかなか大問題だ、政府みずから内閣委員会を置いて最大の行革の中の目玉として取り組もう、こういうところに意義があると私は考えておるわけでございます。これは、初めは屋上屋になるのじゃなかろうかというような議論もございましたが、ずばり言って今回提出されているこの法律の性格というのですか、これはこういう監理委員会をつくることが目玉であって、また中にいろいろ分割とかございますが、こういう中身の問題は、これから委員会審議したものが、大問題がまた国会に出てくる、そういうふうに理解していいのか。つまり、この法律は大体外枠というのですか、委員会をつくる法案だというふうに、非常に大ざっぱですがそういうふうに理解していいのかどうか、運輸大臣いかがでございましょうか。
  15. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 お互いが何遍となく国鉄再建をこの場所においていままで審議し、そしてまた通過させたことです。その一つの例には、国鉄の運賃は国会の審議を通過しなければだめだ、それじゃ仕事はやれないということで、こんなことも直しました。いろいろな手をお互いが努力したのですが、いまやどうにもこうにもならぬ危機的な状態であるということは認識しているものですから、ここにおいて監理委員会をつくり、それと同時に閣僚会議を別に置いて、車の両輪にして、そこから出たものを総理大臣が、これは意見も求めるし、実行もし、命令もする、こういうふうな強力な最後の一つの機関だ、実は私はこういうふうな感じ方でやっているわけであります。
  16. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 若干補足させていただきますと、ただいま先生御指摘のこの法律案の性格でございますが、単純な監理委員会設置法ではございませんで、いわゆるこれからの国鉄再建の方向づけ、枠組みというふうなものを踏まえた総合的な法律という性格のものでございますので、つけ加えさせていただきます。
  17. 宮崎茂一

    宮崎委員 いま単なる委員会設置だけではなくて、総合的な国鉄再建を図っていくんだ、こういうお話がございました。それならば第一条でございますが、「基本方針」というのがございますが、これは臨調答申を尊重してということになっているわけでございます。最終目標は、特殊法人でありますとか国有でありますとか公共企業体でありますとか、そういったものではもう何ともならないのじゃないか、だから民営が至当ではないかというのが臨調の最終の目標でございます。そしてまた、三十万、四十万という人は監督しがたい、五万とか六万とか、目の届くような小規模なものにしようではないか、これが分割の基本方針だと私は思うわけでありますが、この第一条の「答申を尊重して」ということは、このことは民営、分割ということを端的に言ってやるんだということを目途にしているんだ、こう理解していいのか。そこいらが臨調答申の中でも、本当は民営、分割が最終目標だけれども、その前に緊急に講ずべき措置がありますよ、こういうことを言って、その緊急の問題に非常にいろいろむずかしい問題がある。新しい経営形態移行までの間、「現行経営改善計画以上の大幅な経費節減措置緊急措置として講ずる必要がある。」これは臨調答申の本文でございますが、そういうふうにも言っている。あるいはまた、分割の前提としては、「長期債務国鉄共済年金制度等の諸問題を、新形態移行に際し解決しておく必要がある。」非常にむずかしい、分割、民営の前に解決しなければならない大きな問題があるわけですね。ですからこの第一条の基本方針は、分割、民営という目標に従って臨調答申のそういったような問題を解決しながらいくというふうに理解していいのか。あるいはとにかく民営、分割が先だ、いまの国鉄ではどうにもしようがない、これはある民間人に聞きますと、国鉄は譲り受けるけれども、いまの国鉄に従事する人は一人も要らぬよというような話があるわけなんで、そういったことを考えますと、民営、分割というと民営の方が先に来るのか。多分私がさきに言ったように、臨調答申というものはいわゆる民営論の、出口論か入り口論かという議論ですね。しかし実行できなければ入り口論を言ってみたところでこれはしようがないと思うのですけれども臨調の中をよく見ますと、すぐさま分割、民営というのではなくて、いま申し上げましたようないろいろな条件を整備しなければならない、その後でやる、こういうことになっております。果たしてここの「答申を尊重して」ということは民営をきちっと目指しているのか、そこの感覚でございます。  私どもの自民党の中でも最大限尊重とか、大筋において了承とかあるけれども、一体尊重という言葉は日本語では非常にあいまいな言葉でございまして、何もやらぬのが尊重という場合もあり得るような感じもします。その辺のことをひとつ、これは基本方針でございますから大臣から、きょうも本会議で答弁があったようでございますけれども、この委員会でよくその辺の事情を、大臣の意向を教えていただきたい、かように思います。
  18. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 おっしゃるとおり、国鉄危機的財政というものは経営のあり方だけではありません。その中にはもちろん共済の問題、年金の問題等、みんな入っているわけであります。これは一国鉄ではどうにもならぬ。総裁などは年金問題等々でいろいろいままでがんばってまいりましたが、とにかく財政が毎年毎年逼迫してくることは御案内のとおり。そういうときに臨調において、国鉄経営についてあらゆる角度から経営の見直しということを研究した、こう私は存じ上げます。その中の一つに第一条の基本方針が、分割、民営ということが出ている、それを私の方がその答申を尊重して受けたわけです。その所掌事務を遂行することになっているので、同委員会臨調答申に述べられた分割、民営化の方向で経営形態等に関する検討を進めることになったと私は考えております。ここが一番大事なところでございます。しかし何さま大変な事業でございますから、その委員会においては具体的かつ十分な検討がなされた結果、分割、民営化を採用しがたい、仮にそういうことがあったとするならば、しかしながら、その場合でも特段の合理的な理由がなければならないと思いますし、また、答申趣旨に沿うように、やはり経営の効率化と活性化等が得られるようなことであるならばまた別だというふうな多少の余裕がありはせぬか、こう感じております。  いずれにしても政府としますと、この監理委員会で御議論いただいたこと、いままでのいろんな背景の中から御議論いただいたその意見を尊重して適切に対処していくということが基本の方針である、こう思っております。
  19. 宮崎茂一

    宮崎委員 大体わかりましたが、たとえて言いますと、もう一つ突っ込んで質問をさせていただきますと、分割はしなくても、たとえば民営でもいいですが、いまのままでもっと経営形態を民間に近づけた形で、分割せずにあるいは地方ローカル線を切り離して非常に軽い形になった、効率的な形になった、そして独立採算もできる、借金も返せる、労使も非常に熱心に、自分の企業だということでりっぱに立ち行くことができる、こういうような場合には分割しないこともあり得る、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  20. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 答申は分割、民営化、こういうふうに申しておりまして、それを受けてこの法律ではそれを尊重するということでございますから、まずその方向での検討をするということは疑いのない事実でございます。  ただ、しかし先ほど大臣から申し上げましたように、それがどうにも非常にむずかしいという特段の合理的な事由があれば、別の選択をすることもあり得るということでございます。別の選択というのは、分割、民営化というものの中身だけではなくて、分割だけあるいは民営だけあるいはその他、いろんな選択が一応可能性としてはあり得る。ただ方向としてはまず分割、民営化という方向での検討を開始して、十分な検討を行った上で結論を出していく、こういうことでございます。
  21. 宮崎茂一

    宮崎委員 まあずっとこれからの話ですから、この委員会ができてそこの方で慎重に検討される、こういうふうに理解をいたしたいと思います。  それから、この委員会は国家行政組織法の第八条に基づく委員会で、非常に強力な権限を持っている、こういうふうに言われているわけでございます。これを八条委員会にされたというのは何か理由があるのかという点、また、強力な権限というのは具体的にどこに、あちこち出てきているようでございますが、具体的にどういうことなのか。どなたでもいいですから、御説明願いたい。
  22. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 お答えを申し上げます。  まず八条機関とした理由でございますけれども、これは先生御承知のとおり、臨調答申が出される段階でいろんな議論が行われたわけでございます。最終的な結論といたしましては、国鉄再建というのはいまや非常に大変な状況でございますので、経営形態の問題も含めて経営全般について相当抜本的な検討が必要である。そういうことになりますと、関係する施策というのも非常に広範にわたります。そういう広い範囲での検討が必要だということになりますと、これは特定の省庁のみで行うということはなかなかむずかしい。そこで、少なくともいわゆる再建対策というものの企画立案というものは各省の立場を離れた委員会をつくって、その場で行う必要がある、こういうことで総理府に置くというのが適当であろう、こういう結論になったわけでございますが、そういう企画立案を行う機関というものは、結局現在の国家行政組織法の関係から申し上げますと、八条に規定するその他の行政機関ということにならざるを得ないわけでございます。そういう答申趣旨を踏まえて、私どもとしては八条機関という位置づけをこの法案でいたしたということでございます。  それから、ただ八条機関と申しましても、これは非常に重要な任務を負っている機関でございますので、かなり強い権限と申しますか、立場を持たなければいけないということが言われておるわけでございまして、今回の法律案におきましても数点そういう点についての配慮をいたしております。  一つは、この委員会は、通常の審議会のようにいわば受け身の立場で諮問を受けて答申を出すというものではなくて、みずから能動的に国鉄再建の案を企画、審議、決定いたしまして、これを内閣総理大臣意見として出す、内閣総理大臣はそれを受けて、これを尊重しなければならぬということを明文で義務づけておるというような点が第一点でございます。  それから第二点といたしまして、監理委員会内閣、これが車の両輪として密接に連携して仕事をしていく必要がある、そういうことからフォローアップと申しますか、フィードバックと申しますか、監理委員会意見を出したものについて政府の方でどういうふうに実施していくかということを適宜監理委員会に通知するということを法律上義務づけておる。その上で監理委員会の方は、必要があるときは内閣総理大臣あるいは関係大臣に対して勧告をすることができるというふうな勧告権を規定しておるという点が第二点でございます。  それからもう一つは、こういう審議会としては余り例はないわけでございますけれども関係行政機関を通じて調査をするのではなくて、国鉄に対して委員会が直接調査を行うことができるという直接の調査権を規定しておる、こういう点がございまして、以上のような諸点を踏まえて今回の国鉄再建監理委員会はかなり強い機能を発揮し得るというふうに私どもは考えております。
  23. 宮崎茂一

    宮崎委員 委員の人選が非常に重要だと思いますが、本会議でも質問がございましたけれども委員を選定される基準、五人ということになっておりますが、その数等につきまして大臣からひとつ御答弁をお願いいたしたい。委員選定の基準はどうされるかという点でございます。
  24. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 先ほどの本会議でも各議員からも御質問が出ましたが、私は今度の監理委員会というのは大変な責任を持つ、こう思っているわけでございます。いま林政府委員が答弁しましたように、大変な権限のある八条機関でございますし、それから最後の国鉄再建一つの道だ、こう考えておりますので、この人選には本当に慎重を期して皆さんから御賛成を得る、歓迎されるような人選をしたい、こう思って内々考えてはおりますが、まだ人の名前までは触れておりません。いずれにいたしましても、皆さんに権威のあるものとしてお褒めをいただくような人選にしたい、こう思っております。
  25. 宮崎茂一

    宮崎委員 それから、この法律の第三章の補則におきまして「施策実施」という項目がございます。第十五条でございますが、「昭和六十二年七月三十一日までに講ぜられる」、こういう期限を限定したのはどういう理由でございますか。
  26. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 十五条の期限の問題でございますけれども、御承知のとおり、国鉄経営状態はせっぱ詰まったぎりぎりの段階に来ております。一刻の猶予もならぬ、こういう状況でございますので、極力可及的速やかに、できるだけ早く再建を達成することが至上命題だと思います。そういう点から期限を切るということで法律案を御提案申し上げているわけでございますが、一方におきまして非常にむずかしい問題をたくさん抱えてございますので、逐次その段階ごとに結論を出し、施策を講じていく必要がある。たとえば第一段階におきましては、この法律をお認めいただきました場合には監理委員会が発足して、監理委員会において抜本的な再建策をつくる、それを今度は内閣総理大臣が受け取りまして、内閣として必要な諸般の調整、協議を経て具体的な施策を決定し、それを実施に移していく、そのためには立法措置も必要でございますので、国会に法律をお出しして御審議を願う期間も必要でございます。それから、法律を適していただいた暁におきましては、これは実体法の問題でございますが、実体法をお認めいただいた段階においては、今度はそれに基づいて諸般の準備が必要になってくる、そういうふうに段階を経ていろいろな手続その他の仕事がございますので、そういうことを勘案して大体昭和六十二年七月三十一日ごろ、要するに臨調答申が出てから五年程度の期間内に達成をしようということで期限の規定をつくり、かつ五年としたということでございます。
  27. 宮崎茂一

    宮崎委員 最後に、この法律が通過した場合においては、内閣の方に責任が移ったのだというようなことではなくて、第三条にも「緊急に講ずべき措置」と書いてございます。あくまでも国鉄運輸大臣中心になって国鉄再建に邁進していただかなければ、内閣全体といっても、ほかは大蔵省とか労働省とか、御協力はあるだろうと思いますけれども、要は運輸大臣国鉄総裁、このお二方が再建に向かって大いに努力してくださることが一番大事だと私は思いますが、大臣と国鉄総裁再建に対する決意を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  28. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 私は実は、私見からしますと、この再建監理委員会が生まれない前から、日本がいま五十兆円の予算をやって百兆円の国債がある、国鉄が年々一兆円の赤字で二十兆円の累積債務がある、こういうことでありますから、赤字の国の中にもう一つ消えない赤字の国があるから、これは総理大臣と運輸大臣国鉄総裁の三者が命がけでやらなければだめだということをずっと申し続けているものでございまして、こういう委員会ができた暁には、そのときまで私運輸大臣かどうかわかりませんが、その担当の大臣としてはまさに私と同じような気持ちにならなければこれは実現しないのじゃないか、こう思っております。
  29. 高木文雄

    高木説明員 この前の法律に基づきまして経営改善計画を立てさせていただきましたときにも、私ども国鉄自身が自己の努力によってなすべきこと、これがどこまでであるかということを一応線を引きまして、これだけはぜひやってまいりますというふうにお約束をいたしたわけでございます。それ以来今日までその気持ちは変わっておりません。今回の再建法成立の場合におきましても、私どもがなすべきこと、なし得ることにつきましては全力をもって取り組んでまいります。  ただ、残念ながらいろいろ私どもの力の及ばないところがございますので、その点につきましてはこれまでも政府にいろいろお願いをしてまいったわけでございますが、より強力な機関がかくのごとくできるわけでございますので、そこでの御裁断を速やかにお願いをいたしたい、また、それをお願いいたすためには私どもができること、なさねばならぬことは一日も早く取り組み、どうしてもそれを実現していかなければならないと覚悟をいたしております。
  30. 宮崎茂一

    宮崎委員 以上で、私の質問を終わります。
  31. 原田憲

    原田委員長 次回は、来る二十五日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十九分散会