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1983-02-23 第98回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年二月二十三日(水曜日)    午後二時一分開議  出席委員    委員長 原田  憲君    理事 三枝 三郎君 理事 三塚  博君    理事 宮崎 茂一君 理事 湯川  宏君    理事 吉原 米治君 理事 西中  清君    理事 中村 正雄君       越智 伊平君    鹿野 道彦君       久間 章生君    小山 長規君       佐藤 文生君    近岡理一郎君       津島 雄二君    浜野  剛君       箕輪  登君    井岡 大治君       小林 恒人君    浅井 美幸君       辻  第一君    四ッ谷光子君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 長谷川 峻君  出席政府委員         内閣審議官   林  淳司君         運輸大臣官房長 犬井 圭介君         運輸省海運局長 石月 昭二君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         運輸省航空局長 松井 和治君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     橋元 雅司君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等運輸行政基本施策)      ────◇─────
  2. 原田憲

    原田委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正雄君。
  3. 中村正雄

    中村正雄委員 運輸大臣にひとつ国鉄再建に関係して所信をお伺いいたしたいと思うわけでございます。  最初お伺いしたい点は、御承知のように、再建に関しまする措置法が成立しましてから、地方線廃止転換ということで、第一次、第二次に分けてそれぞれ運輸当局地方自治団体協議をして整備を進めておると思います。その経過につきましては大体了承いたしておりますので、内容を聞こうとは思いませんが、ただ国鉄再建するについて、非常に赤字の多い地方線を整備する、廃止転換するということは一つの政策として理解はできると思うのですが、一つお聞きしたいと思います点は、これらいま計画に乗っておりまする地方線、これを廃止あるいは転換しても、現在までの経過で、それによりまする国鉄赤字は七百億から一千億の前後でございますし、国鉄努力いかんによってはこの赤字の幅も狭めることは可能だと思います。したがって、沿線住民等から不公平だ、こういう声が出ておるのは大臣も御承知だと思います。  ところが、来年度予算内容を見てまいりますと、たとえば東北新幹線上越新幹線開通になりまして、これを国鉄が今後運営するについて、在来線減収等を含めますると、来年度予算だけで四千億近い国鉄負担、言いかえれば赤字になるわけでございます。確かに東北新幹線上越新幹線開通によって沿線住民は非常に利便を受けております。しかし、現在在来線があって、それ以上の利便を受けるわけなんです。ところが、廃止転換を言われておりまする地方線は、現在の利便がゼロになるとは言いませんけれども、これがなくなるわけでございます。しかも、その年間赤字というものは七百億から一千億程度のもの、二つの新幹線の開通によって来年度予算だけでも四千億近い国鉄負担増になる。そうしますると、やはり沿線住民等から不公平だ、こういう声が出るのは私はもっともではないかと思うのですが、これに対しまする大臣所見をひとつ最初にお伺いいたしたいと思います。
  4. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 国鉄全体を拝見しておりまして、長い間日本交通の大宗をなしたもの、ある場合には地方開発の先駆をなしたもの、その歴史的使命は大きいと思います。そして、一方また、東海道新幹線、山陽新幹線、あの技術というものは、とにかく人身事故一人もなしで、世界に誇ってもいいものです。これなどは、いろいろな問題がある中において国鉄職員に大きなプライドを持たしておった。  また一方、均衡ある国土の発展ということからしますと、これは当然東北なり上越ということも考えられ、まあ古い時代たちが論じ合ったときには、東海道新幹線は一千七百九十億でやろうということで、みんなで運輸委員会諸君も御協力申し上げた。それが物価高やいろいろなことやらで三倍ぐらいになったと思っておりますが、そういう歴史があり、そしてまた東北新幹線も金がよけいかかったと言われながらも、地方開発にもなり、また、その地方にいままで来ない方々が注目した、物流と人的交流経済的発展、こういう大きなメリットがあろうと私は思います。その中から地方交通線廃止されたところ、これは私もわかります。  かつて、十数年前ですか、二十年ぐらい前に、白棚線というところを鉄道からバスに切りかえる案がどうかといって、運輸委員会でみんなで視察したことがございます。そのころはまだモータリゼーションもございませんでしたからなかなか進みませんでした。今日地方交通線などの問題の一つは、やはりモータリゼーション発展があって、一軒の家でも大分車などを持っているものですから、大量交通輸送としての特殊性というのがなくなった。そういういろいろな中から、やはり懸命に働く国鉄従業員諸君に、貧乏しているときでもすばらしいものには参加させて夢を持たせる。それと同時に、その再建のうちの一つとして地方交通線の問題等々、全部廃止するのではなくて、バス転換でやったり、ときには第三セクターでやったり、御協議を願っている間に地方方々に御理解いただきながら転換がようやく協議が進んでおる、こういうことでございまして、私は逃げるわけでも何でもございません。きのうも屋上屋を架するのではないかという話もありましたけれども、やはり今度臨調皆さん方がお出しいただいたあの案の中から、国鉄再建委員会というものをこの国会に御提出申し上げて、その中において私は改めて大きな問題について御審議をいただき、そして日本国鉄というもののよさと、そして能率がよくて一生懸命皆がやっておるのだ、こういう姿勢の中でぜひ私はすばらしいものにしてもらいたいし、させてあげたい、こういう感じを持っていることであります。
  5. 中村正雄

    中村正雄委員 私の質問したこととちょっと答弁が違うと思うのですが、私の言いますのは、素朴な住民感情として、自分たちの利用しておる地方線全体から見ても年間赤字はわずかだ。しかもそれを廃止するという動機というものは、国鉄再建ということが動機になってこういう問題が起きているわけです。一方においては、屋上屋を重ねるとは言いませんけれども、現在以上の利便を与える住民について、全体の赤字ローカル線の三倍、四倍の赤字を覚悟してつくっておるということに対する住民感情、しかもこの赤字というものは、廃止される地域住民も納めまする税金によって結局は賄うわけなんです。この住民感情に対して大臣はどうお考えになっておるかということを私はお聞きしておるわけです。
  6. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 それは私も中村さんと同じような心の痛さを感じているわけであります。おっしゃるとおり、赤字の金額とかいろいろなものを見ますと、そういう御議論の中にわれわれは地方から選出された者として悩みつつも、また大きなものを生かすためにもいたし方がないんじゃないかな、といって全部外すわけじゃない、バスへの転換だ、いろいろな協議制度だとか第三セクターだ、こういう問題があるという、両面の悩みについて同様に感じているところであります。
  7. 中村正雄

    中村正雄委員 このことを突き進めてまいっても始まりませんし、発足したことでありますから、やはり住民十分対話を持って、バスでも十分住民交通利便は確保できるんだというような方向に早急に話を進めていただく、それしかないと思います。二番目に、大臣に、これまた基本的な問題でお尋ねいたしたいと思いますのは、御承知のように国鉄累積赤字を相当抱えておる、五十六年度末において長期債務のうちで七兆五千億程度はいわゆる赤字累積だろうと思うわけなんです。これについて、これは基本的な問題でありますが、私も外国国鉄をそう詳細には検討いたしておりませんけれども、恐らく日本だけでなくして、鉄道経営赤字ということは国際的な、大体共通な問題だろうと思うのです。ところが、外国におきましてそれぞれの国営の鉄道赤字を出しておるわけでございますけれども、その赤字はほとんどの国が単年度で決済いたしておると思うのです。ところが日本国有鉄道は、経営をやっていって、赤字国鉄借金で穴埋めをするということが累積してまいりまして、五十六年度末で七兆五千億以上の累積赤字国鉄長期債務という形で持っておる。これに対する利息につきましては政府が補助いたしておりますけれども、しかしこれも外国鉄道のように単年度で決済していけば、このような累積赤字は当然出てまいりませんし、もっと進んで考えますると、国鉄経営について、本年度二兆円なら二兆円の赤字が出る、二兆円を国民税金負担しなくてはならない、こういうことが、毎年毎年の予算審議の場において国鉄の財政が問題になれば、もっと早くから国鉄再建ということを真剣に国民考え政府考えてきたんではないかと思います。二兆円という税金国鉄に投資する方がいいか、福祉であるとか教育であるとか、その面に使う方がいいのであるかとかいう選択が、毎年毎年の予算審議の場において検討される、そういうように単年度ですべての国鉄会計を決済いたしておればこのような事態に追い込まれてはこなかったんじゃないか、私はこういう気がするわけです。そういう意味において国鉄会計あり方、これは国の予算あり方に関連しますが、それぞれの企業体赤字をその企業借金という形で、長期債務という形で残したところに国鉄の現在の状態があり、国鉄再建ということについて国民が真剣に考えなかったことが現状ではないかと私は思うのです。したがって、これから国鉄再建するについて、これら赤字でありまする長期債務をどうするか、これはいま国会に提案されておりまする監理委員会等でいろいろ取り上げられると思いますし、また、政府におきましても閣僚会議等で検討されると思いますけれども、やはり今後の国鉄会計あり方について、国鉄赤字の問題は単年度で決済する、たとえば本年度一兆円なら一兆円を政府が補助してやって、そうして年度末においてなおかつ二千億とかという赤字が出れば、補正予算なり次の予算において前の赤字を埋めるという、外国がやっておりますような予算制度を取り入れなければ、本当に責任を持った企業運営はできない。したがって、これは基本的な問題でありますが、国鉄予算あり方について、単年度ですべて国鉄赤字その他のものを処理する、こういう方向に持っていくことが国鉄運営責任も持ち、また国民自体国鉄運営について注目するような状態になるのではないか。まあ外国の例をとって恐縮でございますが、私は常々こういうことを考えておるわけですが大臣はどういうふうにお考えになっているか、所見を伺いたいと思います。
  8. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 該博な経験と知識の中からの御意見、非常に参考になります。今度再建委員会でもできました場合には、いまのような先生の御意見等々も私はぜひひとつお聞かせいただいて、参考にさせていただくならば幸せだと思います。  いままで私たちもこの委員会において、国鉄が金が足りなければ補正予算でばんばん埋めてまいりました。だからときには親方日の丸である、こういうふうな甘えの構造も多少出てきたことだけは間違いございません。そうした問題等々がある場合には赤字の大きな原因になったとも言われておりますので、一つ一つのけじめをつけてやる姿も私は一つのりっはな方法だと思いますので、監理委員会等々でぜひ御検討いただくならば幸せだ、こう思っております。
  9. 中村正雄

    中村正雄委員 いま申し上げました点は私の意見であり、今後の問題でございますので、また当委員会においても政府においても、あるいは設置されるであろう監理委員会におきましてもそれぞれ検討願いたいと思います。  三番目に、これまた大臣所信をお伺いしたいと思うわけですが、いま国鉄再建ということで総裁以下全職員が懸命の努力を続けております。もちろんすべての職員が、総裁本部の役員と同じような気持ちになっているかどうかは別でありますけれども、私の見る目では、組合がどうのこうのと言いますけれども、一人一人の職員考えてみますると、自分生活の基礎は国鉄という自分企業である、これを何とか再建しなくてはいけないということについては、私は大半の職員が真剣になっておると思います。  ただ、いま国鉄職員再建に向かって立ち上がってはおりますけれども、これはこの部署を切り離す、この職場をなくする、いわゆる減量経営といいますか、言いかえれば赤字がふえるから何とかしなくちゃいけないということで、そうして将来に対していまこういう努力をすればよくなるんだ、自分たち生活もよくなるんだという希望がないようないまの再建の取り組みだと思います。何とかつぶれないようにしようというだけであって、ここで努力をすれば将来国鉄はこういうりっぱな職場になるんだ、そうして自分たち生活もよくなるんだという、職員希望を与えるようなテーマが出されておらないし、また、政府としても国鉄としても、こういうふうにやれば何とかつぶれないということの消極的な面の方向は出しておりますけれども、これを乗り切れば国鉄はこのようによくなるんだという、職員希望を与えるような積極面が出ておらない。したがって、極端な言葉を使えば、職員も何とかおとなしくしておればいい、こういう姿勢が随所に見受けられますし、また、それぞれの部局において増収努力をしろとハッパをかけております。しかし百万や二百万の増収をしてみたって、利息だけで一兆円も払わなければならぬという国鉄現状に対して、自分たち努力は焼け石に水だ、こういう感じが私は職員にあるのではないか、こういうことを心配するわけです。したがって、運輸大臣としては、再建に立ち向かう三十数万の職員希望を持たせるような方向を打ち出さなければ本当の国鉄再建もできないし、企業効率も上がらない、私はこう思うわけですが、運輸大臣としてどのようにお考えか。  また、国鉄職員に対して、いまは苦しいけれども、この苦しさを乗り切ればこうなるんだということの何らかの構想を示す必要が私はあると思うわけですが、構想があればお聞かせ願いたいし、また、これに対しまする大臣所見もお伺いいたしたいと思います。
  10. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 まさに本質をついた御議論だと思うのであります。本当は国鉄総裁がこの御答弁に立っておっしゃっていただけば一番、私たち監督行政でございますから要らないわけでございます。そういう意味からしますと、やはり三十数万の国鉄従業員に会うたびに、私は冗談みたいに言うのです。知らない諸君じゃありませんから、今度運輸大臣になって、破産の立会人になりたくないから、ひとつしっかり頼むよ、その時間をしっかりがんばってくれ、こう申し上げているのです。そしていまは日本は生首をとらない時代ですから、昔は私の田舎などでは、あそこの国鉄に入ったというと、まあいい青年だ、嫁さんでももらってやろう、こういうふうな形であるけれども、何かそんな信用がいまなくなった、これをひとついま回復しようじゃないか。三十数万がぴしゃっと自分の時間お客さんに親切に笑顔で働くということと、売ってやるんだという昔のいばるようなかっこう、こういう形ではいまはやはりニーズの時代でございますから、そういうところなどをお願い申し上げているわけでありまして、私は本当に、ただタコつぼに入って、一過性で、この国鉄再建の騒ぎが終わればあとはまたどうでもなるんだという、こういう甘い時代じゃないことだけは国民全部がわかったと思うのです。しかも、おっしゃるように毎年政府助成金を出しつつも、毎年二兆円ずつの赤字になる。これはどこまでどうなるかわけがわからぬということでございますから、ここをしっかりやるんだということが国民全体、皆さんに御理解いただくならば、まじめに働く諸君のいること全部知っています。いまから数年前の、だれだれをぶち殺せというふうな電車を走らせたりなんかすることはいまはやめております。また、そんなことをやっていまははやる時代ではございませんから、ですから私はここで本当に信用を回復したときには、国会国民政府も、これだけすばらしい技術を持っている国鉄ですから捨てやしません。自分職場は確保され、その中から子孫というものはずっと生きていくんじゃないか、こう言うて、非常に抽象的ですが、私の関係するところではそんなことを申し上げながらいささか激励しているということでございます。
  11. 中村正雄

    中村正雄委員 私の個人的な都合もあって時間がありませんので、大臣にいろいろお聞きしたいこともありますけれども、大臣に対しまする質問はこの程度にしておきたいと思います。  総裁一つだけお尋ねいたしたいと思います。  いま第二臨調から国鉄に関する答申が出されまして、当面やらなくてはいけない緊急項目、これは総裁努力をされて日々その成果が上がっているように見受けられます。ただ、あの答申の中で、分割民営と、こういうことが打ち出されました。裏を返せば、分割ということは、いまのような国鉄の膨大な機構では責任体制がはっきりしない、したがってやはり分割した方がいいだろう、こういうことの結論だと思います。また、民営というのは親方日の丸ということで経営してはいけない、企業努力をしなくてはいかぬ、企業としての国鉄運営をしなくてはいかぬ、こういうことが民営という言葉で表現されていると私は答申を受けとめております。したがって、前段の責任体制の確立ということについて私は総裁にお伺いしたいと思うわけです。  これは私が申し上げるまでもなく、いまの国鉄運営自体は、これは縦割り運営になっております。運転運転営業営業施設施設電気電気工作工作というふうに縦割り運営になっております。したがって、それぞれの地方局がどのような体制をやろうと、縦割りの線で与えられた責務だけは果たす。金を使う方と金をもうける方とは別々な系列になっているわけでございます。したがって、ブロックごとにあるいは地域ごとにいろいろと予算仕事の割り当てをし、ノルマを課しておりましても責任体制ははっきりいたしておりません。たとえば一つ地方を見ましても、管理局もあれば工事局もある、電気工事局もある、地方資材部もある、自動車局もあるというふうに、それぞれ縦割り地方出先機関自分分野だけの仕事を推進いたしておる。したがって、国鉄本社において全部を掌握しなければ責任体制というものははっきりいたしておらない、これでは無理だというのが臨調答申分割だろうと思うのです。したがって、これから国鉄再建するについて国鉄自身の力でやり得るとすれば、地域的な分割と同じように、地域的に責任を持てるような国鉄機構に改正してやる以外には方法はないのじゃないか。いわゆる地域本部制といいますか、そういうふうに近畿なら近畿という一つブロックの現場の責任者がその地方におきまする国鉄の全責任を持つというような責任体制をとる。北海道なら北海道についてはすべての分野において責任者国鉄全般についての責任が明確化できるように、いまの縦割り行政といいますか、縦割り企業運営を改めて、どのようなブロックに分けるかは別でございますけれども、地方におきまする責任者がすべての国鉄運営、金を使う方も運輸収入を上げる方も、両方にらみ合わせて責任体制がとれるような国鉄機構の改革ということが当面必要ではないかと思うわけですが、総裁の御意見を伺いたいと思います。
  12. 高木文雄

    高木説明員 ただいま御指摘の点は前々からも、いろいろ各方面からも御批判を受けておりますし、率直に申しまして、私自身もそこに非常に問題があるということは認識をいたしておるわけでございます。そのための対応策といたしまして、十年くらい前、あるいはもうちょっと前になるかもしれませんが、いわゆる支社制度というものをとりまして、支社ごと予算年度の初めに割り当てまして、そして後は収入の状況を見ながら、歳出面について成績のいいところはふやす、ぐあいの悪いところは減らすという、そういう管理方式をとった時期がございます。いまおっしゃいますように、いわゆる縦割りを除去するということを機構的にやろうということではないのですけれども、予算管理制度を通じまして、予算統制システムを通じまして支社ごと責任を持たすという方法をやったわけでございまして、数年間やりまして、ある時期にある程度の効果を上げ始めたと聞いております。不幸にして、その当時からモータリゼーションがだんだん進行を見てまいりました。与えられた条件支社ごとに非常に差が出てきてしまったものですから、管理体制責任といいますか、そのよしあしが成績にそのとおりあらわれてこない。そうじゃなくて、外的条件のために収入が、努力いかんにかかわらず、管理いかんにかかわらず、おのずからよくなったり悪くなったりするということがありまして、その支社制度を残念ながら途中でやめたわけでございますが、もう一度この支社制度のときの考え方のようなものを持ち出したらどうかということは、まだまだごく初歩段階でございますけれども内部でも検討をいたしております。それは予算管理予算統制からの地域別責任制の採用ということでございますけれども、もう一つ問題がありますのは人事関係でございます。どうも人事関係がもう一つうまく、地域ごと責任人事というような感じのことがなかなか行われにくいという現状になっております。  この二つの面をうまく仕組むことができれば、おっしゃるように分権論が主張される理由にかなりおこたえし得るということは考えておるわけでございますけれども、そして、それに向かって多少ともいま実行上若干の手直しはしているわけでございますが、残念ながら私の力の及ばざるところでありまして、百年にわたって持ち続けてきたそういう運営基本というものになかなかうまくなじまないといいますか、そういうことになっておるわけでございます。  しかし、確かに民営化分権という臨調の御答申というのは大変示唆に富むといいますか、教訓的なものであるわけでございますけれども、反面、デメリットも決してないわけではないわけでございますので、いまお示しのような御趣旨を十分酌み取った形で、何かいい方法はないかということを今後とも探し求めてまいりたいと思いますが、率直に申しまして、私ももうかなりなれてまいりましたのですけれども、その体質といいますか仕組みといいますか、それを抜本的に改めるのが、外からの御批判じゃなくて自分たちの問題として出てこなければいけないと思っておるのですけれども、なかなかそういう雰囲気が生まれてこない、これは私の力至らざるところだと考えております。しかし、それは少しオーバーに申しますと、私どもが取り組むべき永遠の課題、と言ったらいつのことかわからぬというふうに聞こえるかもしれませんが、そういう意味じゃなくて、どうしてもやらなければならぬ基本的な問題といいますか、そういう重要なファクターだと考えておるわけでございます。
  13. 中村正雄

    中村正雄委員 総裁現状を認識しての困難だということは十分私も理解できます。しかし、この困難を乗り切ってやらなければ国鉄再建はできないと私は思います。特に私は、責任体制をはっきりしろというのは、業務だけでなくして人事面を含めてやらなければ本当の責任体制はとれないと思います。したがって、大ざっぱに言ええば、本社機構をもうちょっと縮小して、本社は計画立案の機構にして、地域に権限を与えるというような方向にやるためには、人事権の大半を含めてやらなければこれは効果がないわけなんです。  それで、確かにこれから検討されると思いますが、五年、十年検討しておったのではこれは間に合わないわけです。臨調答申は六十年度と出ておって、民営分割という答申を出しているわけなんです。したがって、総裁はどうお考えかわかりませんが、恐らくいま国鉄職員ほとんどが民営分割には反対だと思います。それはいろいろの理由があると思いますけれども、もし民営分割に反対であるならば、いまの国有鉄道機構の中で民営分割と同じような機構の改正をやって、やはり国鉄自身の力でそういうことをやらなければ、私は、国鉄職員が幾ら民営分割は反対だと言っても、国民世論からしてその方向に行かざるを得ないと思うのです。したがって、これを避け得る道はたった一つ国鉄自身がいま分割して責任体制をはっきりして、民営と同じような企業的な運営をやる、こういう機構国鉄自身の手で早急にやる以外には道はないと私自身は見通しを持っているわけなんです。したがって、国鉄総裁もそのようにお考えであれば、これは国鉄経営一つの革命だと私は思います。勇気を持って、国鉄自身の手によって臨調答申の趣旨と同じような効果が発揮でき、国鉄再建できるような機構の改正を私は要望いたしまして、私の都合でありますけれども、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  14. 原田憲

    原田委員長 次に、四ッ谷光子君。
  15. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 大臣所信表明に基づきまして、具体的な問題を幾つか御質問をさせていただきたいと思います。  まず初めは、第二臨調の第二部会・第三部会合同報告というのが昨年の十二月二十八日に出されております。その第二に「地方支分部局の整理・再編合理化」という項がございますが、その中の「管轄区域の適正化及び設置数の整序」という中で、「運輸省の近畿海運局と神戸海運局を統合する。」それから「運輸省の新潟陸運局を隣接陸運局に統合する。」という部会報告が出ております。  行政改革といいますのは、もともとむだを省いて国民生活に有効に役立てるもの、こういうふうに私たちは解釈をいたしておりますけれども、この統合や廃止対象になっております海運局、陸運局におきましては、そうした観点から現在むだがあるというふうに運輸省は見ておられるのでしょうか、どうですか。
  16. 犬井圭介

    ○犬井政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、臨調の第二部会、第三部会の合同分科会の報告書の中に、近畿海運局と神戸海運局を統合すること、それから新潟陸運局を隣接陸運局に統合することということが指摘されております。現在まで陸運局、海運局という出先機関がございますが、いずれも現地の行政需要に対応しまして仕事をしておりますので、それなりの必要性を持っているものだというふうに私たちは理解しているわけでございます。  それで、近畿海運局と神戸海運局の統合につきましては、近畿海運局は大阪の港、それから神戸海運局は神戸港という大きな港を持って、そこでの行政需要に対して対応いたしておるわけです。したがいまして、統合するというようなことがありましても、両方にそれなりの事務所の存続が必要だということかと私たち考えております。  それから新潟陸運局を隣接陸運局に統合する点につきましては、新潟陸運局は、御承知のように、積雪地帯においてそれに対応した行政を展開しているということがございます。また、陸運局の中で日本海側に置かれた唯一の陸運局でございまして、いわば日本海側における陸運行政の拠点だということで、この拠点がなくなると、要するに日本海側の発展を目指した行政の展開がなかなかしにくくなるのではないかというような問題があろうかと思います。  そういういろいろな問題点があると考えておりますので、従来からも臨調に対してはそういう御説明を申しておりますし、いま部会報告が提出されました後、本調査会でいろいろ検討が行われておりますので、現在もそういうことの説明を重ねているわけでございます。
  17. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 ただいまの官房長の御答弁を聞きますと、どちらもそれぞれの地域住民並びにその地域交通に役に立っている、余りむだとは思えないというふうな御答弁であったというふうに私は解釈をいたしております。  臨調のこういう答申が出ておる中で、さらに大臣にお聞きしたいのですが、ただいまのようなそれぞれの地域住民の役に立つ、こういうふうな観点をぜひ貫いていただきたい、私はこのように思うのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  18. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 臨調もいろいろ御研究をいただいておりますが、私の方は私たちの立場で地方のためにやっていることを大いに強調しております。私たち姿勢を貫いてまいりたい。最後まで努力いたします。
  19. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 では次に、海運局の方にお聞きをしたいと思います。  実は鹿児島、それから奄美の名瀬、そして沖縄の那覇を結ぶいわゆる奄美航路の問題について御質問をしたいと思います。  この航路では、いま大島運輸と照国郵船のこの二社がそれぞれ二隻ずつ四隻日発体制で運航を行っておりますけれども、ことしの六月一日からこれを三隻日発にするといういわゆる九州海運局からの行政指導が行われまして、地域皆さん方からは非常に問題がある、ぜひ現状を維持してほしいという切実な御要望がございました。私も一月の二十日過ぎに現地に参りまして、船にも乗り、また、現地の皆さん方の御要望なりあるいは運ばれている荷物の事情、それからその地域での産業の状況、これが海運にどのように関係があるか、そういうものもつぶさに調査をしてまいりましたし、また、地元から言われております九州海運局の行政指導に偏りがある、こういうふうな声が非常に強うございますが、私自身もその感を非常に強くして帰ってきたわけなんです。  去る十八日に奄美群島の市町村議会四隻日発存続推進会議皆さん方海運局長のもとを訪れられまして、四隻維持を陳情されましたときに、海運局長の方から、これは地元新聞に載ったことでございますが、まず一つは、「六月に三隻三十航海に移行することはない。その方向住民にわかるよう具体的な措置をとりたい」。二番目、「「ニュークインコーラル」の貨物庫のクローズ解除問題については競合社同士で適正な競争条件協議する慣習があるので両社間でこのクローズ解除を協議してもらう必要がある。」三、「こんごは二つの会社の経営、航路の維持について九州海運局の考えを地元にも理解してもらうと同時に地元側の意向も十分は握、お互いに正しい共通認識を持って対処する必要があるので十分、意思の疎通を図りたい」、こういう見解を明らかにされたというふうに地元新聞に載っておりますし、私の方にもそういうふうな海運局長の御見解が示されたということを直接おっしゃってくださった地元の方もございますが、この海運局長の御見解どおりといたしますと、六月以降も住民要求のとおりに、現状どおり四隻体制を維持される、こういうふうに確認をしてもよろしいのでしょうか。その点を局長にお伺いしたいと思います。
  20. 石月昭二

    石月政府委員 お答え申し上げます。  先日、地元市町村の代表者の方々が参られまして、その方々とお話をいたしましたときに、おおむねただいま先生がおっしゃったような方向で、私どもといたしましては住民の皆様方の御理解を得ないままに、六月に見切り発車をするというようなことはしないようにいたしますということを申し上げました。
  21. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 では、六月から見切り発車をしないということが確認されたわけですけれども、そういたしますと、いままで出ておりました九州海運局の行政指導、文書になっておりますけれども、これは一応白紙撤回ということになるのでしょうか。いかがですか。
  22. 石月昭二

    石月政府委員 従来、九州海運局の本当の意図するところが利用者の皆さんに十分伝わっていなかったというぐあいに私も感じておりますので、この際一応白紙に還元して、よく皆さんとお話をした上で、事業者にとっても一番経営が成り立つように、また、住民皆さんにとっても利用が便利のようにという道を探りたいというぐあいに指導してまいりたいと思っております。
  23. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 ただいま局長がお答えになりました線でぜひ進めていただきますように御要望して、次の国鉄問題の質問に移りたいと思います。  まず一番初めは、国鉄がこのたび出されました新貨物対策について、これは運輸省の方にお聞きをしたい、このように思います。  五十九年の二月のダイヤ改正時に実施をされる貨物の合理化計画案がこのたび発表をされました。確かに国鉄の貨物は、大都市間とか都市間の貨物輸送、それから大都市圏と地方都市との貨物輸送などではトラックだとか内航、そして国鉄、大変激しい競争が行われましたけれども、国民すべて見るとおり国鉄は大きく敗退をいたしまして、そのシェアが急激に落ちた、これはもう否めない事実だと思うのです。しかし、一方で国鉄が大きな役割り分担をしている分野がある。ここを見落としてはならないと私は思うのです。それは、ローカルとローカル間の中長距離輸送、それから過疎地などの地域において比較的少量ずつ輸送や配送される貨物の分野です。これらは一言でいいますともうからないので、民間の輸送、運送事業者もほとんど進出をしない分野です。このたびの新貨物政策を見ますと、大切な営業サービスの体制まで切り捨てる、貨物取扱駅の廃止などいろいろな問題がありますが、それはさておきまして、私がいま指摘をしましたような分野ですね。これまで国鉄が一応分担してきた分野から新しい貨物対策では国鉄がほぼ完全に手を引くことになるわけです。これは、国鉄がこういう合理化計画を出されたわけですけれども、しかしもとをただしますと政府の方針。昨年の九月二十四日の閣議決定の中でこの問題が出されでおりますけれども、政府の方針でこの新しい合理化方針も出てきた、こういうわけでございますので、政府は、これらの地域における住民生活だとか地域経済に影響を与えないように対策を打つ責任がある、このように私は思うわけです。こういうふうな問題について、一体政府としてはどういう対策をお考えになっているのか。そこの分野国鉄が全部引き揚げてしまったら、こうした地域の物流というのが非常に困難に陥るだろう、こういうふうに考えられますので、運輸省として具体的な対策をお考えになっているのかどうか、その辺をお答え願いたいと思います。
  24. 永光洋一

    ○永光政府委員 国鉄の貨物輸送につきましては、従来から非常に国鉄赤字の大きな要因でありまして、そのあり方につきましていろいろ議論があったところであります。  結局、いわゆるヤード形式によりますところの貨物輸送につきましては、非常に非効率でありまして、近時の物流需要にはどうしてもマッチしがたい。そこで、拠点間直行輸送にシステムチェンジすることによって国鉄は貨物輸送を維持していき、その方向で合理化、重点化を進めていこう、こういうことでございますが、閣議決定で去年の九月に貨物の合理化につきまして明示しておりますが、従来から改善計画におきましても貨物の合理化ということを大きな柱にしておりまして、六十年には固有経費では均衡するということを目標に、その合理化に努めておるところでございます。  したがいまして、従来からの国鉄経営改善計画の一つの大きな柱なり流れとしまして、また、近時、閣議決定によりましても、その大きな方向としまして、国鉄の貨物輸送につきまして拠点間直行輸送ということで、昨年、五十七年十一月にダイヤ改正をし、八百駅、百ヤード体制を確立しましたが、さらにそれを踏み込んで、来年度さらに徹底したシステムチェンジを行いたい、こういうことでございますが、これは企業としても当然でありましょうし、政府としましてもその方向ということはわれわれは支持をいたしておるわけでございます。  いま申されますように、駅を集約いたしますので、当然駅の数が半減する形になりますが、駅が縮小しあるいはなくなるところでは、できるだけトラック輸送でその拠点なり受け入れ駅に持っていく体制を整備することによりまして、もちろん国鉄企業側としても貨物が散逸することを防ぐということになりましょうし、地元の関係からいきましても、コンテナ化するあるいはトラックの受け入れ体制を整備するというようなことで、できるだけ需要に対応いたしたい、かように考えております。ただ、やはり少量のあるいは分散したような貨物につきまして、過疎地域において影響が出ることは否めないところではないかと思います。しかし、現在におきましては非常に道路輸送が発達し、モータリゼーションが普及しておりますし、地方におきましても自動車の普及度も非常に高いわけでありますので、地方におきましてトラック輸送へ代替は可能ではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  25. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 いまの鉄監局長の御答弁というのはきわめて無責任答弁と言わなければなりませんね。過疎地域なんかでの荷物、これはしようがないですなというふうにしか聞こえませんですよ。具体的にどういう対策をお立てになっているのか。確かに運輸省は国鉄を監督される立場にありますので、地域住民の経済の問題までとても考えていられません、国鉄赤字を何とかしてやらなくちゃというお立場なのかもわかりませんけれども、毎日暮らしをしている国民にとりましたら、こういうふうないわゆる拠点間の直行輸送だけになって、いままで国鉄が受け持っておってくれたところがなくなる。それに対して政府が何にも具体的な対策もとってくれない。多分トラックで行けるでしょう、いまは道路がよくなっていますから、コンテナも行けますよなどというふうなことで地域住民の暮らしが守れる、このようにお思いですか。大臣、いかがですか。——ちょっと待ってください。私は大臣にその点はお聞きしたいと思います。
  26. 永光洋一

    ○永光政府委員 ちょっと言葉は足りませんでしたけれども、非常にマクロな考え方として申し上げましたのですが、全体的な方向として、国鉄は貨物の合理化を進めるためにいまのような形をしておる。そうしますと、影響として過疎地域においてそういう状態が全体的に出る場合もあると思いますが、道路なりモータリゼーションの普及によって賄われるのではないか、こう申し上げましたが、個別的に合理化計画を進めるに当たりまして、これは現在国鉄が四百五十七駅ということで一応策を立てて、地元といま折衝しておるわけでございます。それぞれ地元なりの荷主あるいは通運関係なりあるいは関連企業といろいろ話を今後進めることになると思いますが、その間におきましてどこの駅をどうするか、どういう輸送をするか、どういうダイヤを組むかということが具体的になると思いますので、個別的な話としましては、われわれとしてもその個別的な話を聞きながら対応は考えていきたい、かように考えておるわけでございます。
  27. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 再度大臣にお聞きしたいのですけれども、これは政府の閣議決定ですから、いま運輸大臣はその政府全体を代表してというお立場だと私は思います。鉄監局長は鉄監局の立場からいまの御説明があったと思いますけれども、いわゆる地域住民の暮らしを守る、経済を守る、物流を守るという観点では、政府は一体この問題についてどのようにお考えなのか、お答え願いたいと思います。
  28. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 地方の問題をお考えいただいてありがとうございます。  私の地方にもそういう問題はたくさんございます。その場合には、やはり従来やっておった諸君が地元の荷主さんとかそういうところとよく御相談いただきながら、その間にまた新しい方法が生まれるとか、そうしたことでそのこと自体はなくなるだろうけれども、その間の話し合いの中で、荷主さんやそういう方々に御迷惑がかからないような話を進めるようにやっております。
  29. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 地域住民の方に御迷惑のかからぬような話を進めておりますなんて大臣はそらぞらしくおっしゃいますけれども、ただいまのローカル線の打ち切りの問題につきましても、別に地域住民の御迷惑のかからぬような方針でやっておられるわけじゃなかろうと私は思うのです。そういうふうないまの御答弁では地域方々は納得なさらない、こういうことを申し上げまして、次の問題に移りたいと思います。  次は、先ほどの鉄監局長の御答弁の中にもございましたけれども、いわゆる拠点間直行輸送体制転換をされる、その中身なんですけれども、国鉄の計画ではヤード系の貨物の大半は国鉄輸送から逃げてしまう、こういうふうに見ているわけです。だからこれを排除してしまおう、こういうお考えのもとに今度の新しい政策が打ち出された、このように考えますけれども、先ほどもちょっと鉄監局長おっしゃいましたけれども、いわゆる鉄道とトラックを結合させるというふうな、それぞれの輸送体制の特性に応じた協力、結合輸送の確立、こういうふうな観点があるのかないのか、こういうふうなことが抜きになっているのではないかと思うのです。  いまの国鉄の貨物体制への移行を見ておりますと、ただもうひたすら縮小のみ。貨物の輸送量をふやそうというような努力は全く見られない。これでは国鉄の財政再建に全くつながらないと私は考えます。現在確保しているものを死守する、なおふやしていく努力をする、これが本来経営者というものの姿勢ではないか、こういうふうに考えるのですけれども、貨物を輸送するのに鉄道輸送は拠点間直行というのであれば、ヤード系の貨物をこれに吸収してくる、こういうふうな対策をとるのが本来の営業の姿ではないか、このように思いますが、これも運輸省の方にお聞きをしたい。
  30. 永光洋一

    ○永光政府委員 システムチェンジをすることによりまして、いわゆるヤード系の車扱いを切り捨てるということは、企業的に問題があるといいますか、企業意識がないじゃないか、こういうお話のようでありますが、いわゆるヤード系の貨物につきましても、やはりできるものはコンテナ化し、あるいは直行方式に移行するように努力をすべきものだと考えますし、現在この計画の中でもコンテナが九百万トンぐらいありますが、コンテナ化をさらに促進して、それを千五百万トン程度にしたいという考え方がありますし、その中には、現在ヤード系にかかっておる貨物の中で、いわゆるストックポイントを設けたり、あるいはコンテナライズしてそしてコンテナ輸送に持っていく、あるいは直行輸送の拠点駅に持ってきて、そしてできるだけ拠点輸送に乗せていくという考え方はいろいろ研究をいたしておるわけでありまして、いまやっておるコンテナ輸送なり直行輸送はそのまま残して、そしてヤード系貨物だけを切り捨てていくという考え方ではないと私は思っております。
  31. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 ただいまの鉄監局長のお話を聞いておりますと、ヤードをなくすだけではなくて、ずいぶん努力をしているんですよというふうに聞こえましたけれども、本当にそれならば高木総裁がこんなことまではおっしゃらないんじゃないかと私は思うのですけれども、「輸送量が減っている中で、なお残っているのは、鉄道輸送をやめるのに問題のある場所や品物であるためで、これを廃止するとなると、物流に変化が起き、一定の輸送秩序のもとに市場形成が行われていたのが崩れる。影響が大きく物の値段にはね返る恐れもある。」「全面撤退に近い方向転換」であり、「ある意味では敗北宣言だ」とまでおっしゃっているわけです。荷物をふやそうという御努力が本当にあるならば、総裁をしてこのような嘆きの言葉は出てこないのではないかというふうに思いますし、仮に貨物の輸送量が減り、輸送力を落とせばこういう経費はある程度改善できるとしても、莫大な共通経費は旅客部門に移しかえられるだけで、国鉄再建にはつながらない、こういうふうな結果にもなるわけです。  ただいま鉄監局長がおっしゃったように、本当に努力をされるならば、国民の目に見えるように、そして先ほどの大臣の御答弁地域に迷惑がかからないようにというようなお話でしたけれども、それならばいま国鉄が分担をしている、国鉄だけが受け持っているような部門のそういうふうなところを積極的に貨物が運べるように、地域住民の暮らしあるいは地域経済に役に立つような具体的な方針を運輸省、国鉄御相談をして、早く国民に示されるように、ただ単に縮小のみで赤字転換はできない、こういうことを指摘をして次に移らしていただきたい、このように思います。  これは運輸省でも国鉄でも、どちらでも結構なんですけれども、現在国鉄二つ以上の私鉄と連絡運輸をやっておられる三社線連絡、こういうふうなものがどのぐらい行われているか。そして、三社線連絡乗車券を発売しているのは一体どのぐらいの件数があるでしょうか。
  32. 橋元雅司

    ○橋元説明員 お尋ねでございますが、ちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんので、すぐにお答えできないので申しわけございません。
  33. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 再度お伺いします。  手元に資料がないからお答えができないということですけれども、とても数え切れないほどたくさんありますか、それとも思いつく数というのはありますか。どうでしょう、どのぐらいですか。あなたは専門家だから大体わかるんじゃないかと思いますが。
  34. 橋元雅司

    ○橋元説明員 それほど多くないと思っております。十前後だと思っております。
  35. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 全国で私鉄、地方公営鉄道も含めまして九十一社あります。それから、一般旅客定期航路が四百八十八社あるわけです。これだけたくさん国鉄のほかに私鉄あるいは定期航路があるわけですけれども、いま専門家がぱっと頭に思い浮かべられただけでも十ぐらいではないか、こういうことですが、私が調べました範囲でも、たとえば名鉄—国鉄—富山地方鉄道—立山開発鉄道等を初め大体四、五社、近距離で二社、非常に実施されているのがわずかですし、それもこのように特定の地域であり、どこの駅から乗っても三社連絡の一本の切符が買えるというのはほとんど皆無です。特定の駅でしかそういうふうな三社連絡の、いわゆる利用者の人が、これだけ乗り継ぐのだから一本で売ってくれたら便利なのにというふうなものが非常に少ない。  東京圏で見ましても、これは私の身近な方がこういう線を利用しておりますけれども、国鉄—営団地下鉄—小田急、こういうふうな列車の直通運転、これは実施はしていますけれども、三線にまたがる普通乗車券は発売されておりません。二線の連絡でも特定の駅に限られているというのが現状です。特にこの東京圏の、後で言いましたような国鉄—営団地下鉄—小田急を使っている人というのは大体通勤に使っていますので、一本で買えればどんなに便利だろうというふうに思っているわけですが、それではなぜこのように三社線の連絡乗車券の発売をしているところが少ないのか。なぜでしょうか。
  36. 橋元雅司

    ○橋元説明員 いろいろ御要望があると思いますが、各事業者間での運賃の割賦の問題であるとか、あるいは事務が非常に煩瑣になるというような問題、あるいは要員上それがはね返ってまいるというようなことがございまして、ケース・バイ・ケースでいろいろ処置をしておるというのが現状でございます。
  37. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 そういたしますと、いまお答えいただきましたように、それぞれの運賃の計算も違う、要員の問題も違う、いろいろと各社各様事情があるので、それを精算をする事務が非常に繁雑である、ケース・バイ・ケースでやっているので非常に少ない、こういうふうなお答えでございました。素人の方からいきますと、いまのようにコンピューターが発達をしているのに簡単にいかぬものかというふうに思うのですけれども、いろいろとこれはむずかしい御事情があるようです。  そういたしますと、これは国鉄にお伺いをいたしたいわけですが、もし分割民営、こういうふうなことになりまして、いわゆる連絡運輸、こういうことをしなくてはならない。これは国民の方は望むと思いますよ。分割民営になりましても、東京から大阪に参りますのに、これは一枚の切符でいきたいよ、新幹線がありますが、それは別として一枚の切符でいきたいよ、何遍も買いかえるのはめんどうくさい、こういうふうなことになるわけですけれども、こういうふうな事態が起こったときに、いわゆる通算運賃の導入ができるでしょうか。また、周遊券の発売ができるでしょうか。いま大変国鉄が好評だと盛んに売っていらっしゃいますフルムーンなどできるでしょうか。特急券や寝台券の発売、こういうものはできるでしょうか。いかがですか。
  38. 橋元雅司

    ○橋元説明員 分割論全体についてはいろいろ御意見があると思いますが、事営業について、先生の御指摘のような面については多少ともデメリットがあるかと存じます。しかし、それは克服できないデメリットではございませんので、その点は十分具体的に考えざるを得ない、こう思います。
  39. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 ただいま克服できないデメリットではないとおっしゃったけれども、いままだ分割民営の状況ではない中で、これだけたくさん私鉄やら船の連絡線がある、国鉄が全国につながっているその中で、先ほどおっしゃったようないろいろな精算上の事務がややこしいということで、いまでも国民が一枚の切符にしてほしいと言っているところでほとんどできていないのが実情なのに、全国で分割民営になってそれができるのかどうか。デメリットを克服してなどというふうな絵にかいたもちのようなことをおっしゃるのは、私は多少おかしいのではないか、こういうふうに思うわけですけれども、こういう観点からいいましても、いまは切符の問題だけを申し上げましたけれども、一貫したダイヤが果たして組めるのかどうか。たとえば、それぞれの地域で一番もうかる時間というのがあるとすれば、国民の利用する考え方からいいまして、うちの地域はこの時間がよろしい、うちの会社はこの時間がよろしい、こういうふうになってきますと、果たして理想どおりの一貫したダイヤが組めるのか。現在でもそれぞれの地域で一貫したダイヤを組むのに国鉄でも調整に相当難儀をしていらっしゃる、御苦労があるというふうに私は聞いているわけですけれども、そういう問題もあるのではないかというふうに思います。  こういうふうに考えますと、臨調の中で、いわゆる分割民営の問題が、国鉄経営再建するのにはこれしかないというふうに書いていらっしゃいますけれども、いわゆる国民の側の利便性からそういうふうな討論がなされているのか、臨調の中で国民利便性から見た国鉄あり方というものについて答申がなされていますか、いかがですか。
  40. 高木文雄

    高木説明員 分割民営に関して臨調がいろいろ御意見をお取りまとめになる段階におきまして、私どもといたしましてはまさにいま御指摘のようなことをいろいろ申し上げまして、そう簡単にはいきませんというふうに申し上げたわけでございます。これは答申には必ずしも生かされなかったのでございますけれども、ちょうどいま御指摘のような点を取り上げて、分割ということについてはメリットだけじゃなくて、デメリットがあるということは申し上げました。  そこで問題になりますのは一体現在の鉄道の役割りはどういうところにあるのかという場合に、昔は全国ネットワークを持って、そして一貫輸送をするというところが大きな役割りでございました。ところがその分野は、旅客について言いますとかなりの程度飛行機の受け持つ分野になってまいったわけでございまして、そういう時期にわれわれは今後何を中心の仕事にするかという場合に、いままでとは違ってやはり地域に密着した交通というものを考えていかなければいけない。たとえばダイヤを引きます場合でも、よく本社設定列車というような言葉を使っておりますが、全国をネットワークで結ぶ列車、このダイヤをどういうふうに組むか、そしてその合間合間でその地域ごとの列車を仕立てるというのがいままでの考え方であったわけでございますが、これはちょっと直さなければいかぬということで、最近は本社列車の優先性というものをいままでよりは弱め、そして地域における便利なダイヤということについてもう少し重点を置いて考えるというふうにいまだんだん変えてきております。そうすると臨調あたりの御意見では、現におまえのところもそういうふうにだんだん変えてきているじゃないかということで、その方向に伸ばすということになれば、つまり国鉄の役割りというものが、全国ネットワークという分野がだんだんと後退していって、地域の問題ということのウエートが高まってくるということをみずから認識し、そのように運営をだんだん移していっているではないかという指摘があるわけでございます。  分割ということのメリット・デメリットについては非常に多くの問題がございまして、私どもが分割ということについて、臨調の御意見でありましても、にわかにそのとおりというわけにはまいりませんと言っております事情はほかにもいろいろありますけれども、いまのような点も非常に重大な要素であります。  なお、いま、切符を一枚で売る方法をもっと進めるべきではないか、それが現実にいまでも行われていないじゃないかという問題も御指摘がありましたが、この点についても実は表に出ておりませんけれども、臨調での議論のときにはわれわれからもそういうことも挙げて、分割されるとそういう問題はなかなか厄介になりますということは申し上げておるわけでございますけれども、しかし現に東西線と国鉄とで相互運転をやっているじゃないか、あれなどは非常に大量に相互運転をやって、そして一定のルールのもとに、仮定計算のもとにお互いに収入を分け合ってやっているじゃないか、あの方式を全国に及ぼせばできないとはいえないじゃないかというようなことを指摘されておるわけでございます。  何分時間が余りなくて、御議論がどんどん次へ次へと進行してきましたので、いずれ今後の問題としてはそうした問題を私自身も、そして国鉄自身もメリットとデメリットがどういうところにあるのかということを、まだまだ分権化を前提としての議論をそう十分やっているわけじゃないものですから、われわれ自身もメリット・デメリットをそれほど詰めて議論しておりません。しかし監理委員会との関係もあり、だんだんと分権論に対しても正面から議論をし、どっちがいいか悪いかを判断しなければなりませんので、今後詰めてまいりたいと思います。いまの問題はわれわれの業務の問題としましてもそうですが、サービスの問題としましても大変問題がある点でございます。
  41. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 ただいまの総裁のお言葉の中で、全国ネットワークというのですか、それじゃなくて、本社のダイヤよりも地域のネットワークを大事にしていきたいというふうな方に方向が変わってきましたがとおっしゃりながら、赤字だからローカル線を切っていきます、それじゃ余り地域のダイヤを大事にしているということにはならないと思うのですが、やはり質問をしてまいりますといろいろ矛盾が総裁の方からも大臣の方からも出てまいりまして、国民が聞きますと一体どっら向いているのかなという感じが大変するわけでございますね。  それではもう一度、分割民営のことについてメリット・デメリットがある、こういうふうなことがあるわけですけれども、十数年前に産業計画会議、このところから、もう当時すでに悪くなっておった国鉄経営悪化の問題について、経営改善には分割民営、これしかないというふうな、いわゆる分割民営化論がこのときも打ち出されております。ところが、これに対しまして一九五九年の一月号、経済往来社、ここに国鉄当局が輸送上生ずる問題について数項目にわたって検討をされております。いろいろと検討項目がありますけれども、先ほどの一貫性のあるダイヤの問題等についても、たとえば長距離列車の運転時間については非常に困る問題が出るのじゃないかとか、出荷事情の急変や天災、事故等の場合にすぐに臨機の手配が行われないのじゃないかとか、先ほど言いましたいわゆる割賦運賃の問題、こういうふうな問題についても非常に問題がある、いろいろな点で数項目にわたって反論をしておられるのですけれども、言いかえますと、それはどういうことを言っているかといいますと、結局分割民営にすると、「鉄道業務はその技術的特性よりみて統一的運営を有利とするものであって、これを分割経営することは、そのため多数の人員と資材を必要とし、資本の浪費を招くだけではなく、不統一による部分的隘路が全般の輸送力を制約することになる」、こういうふうにも述べていらっしゃいますし、また、「運輸と経済」という一九五六年のこのパンフレットに、陸運調査部主任調査役の本山実さんも同じような趣旨で分割論に対して資本の浪費になる、こういうふうなことで反論をしておられるのですけれども、それでは十数年たった今日、先ほどおっしゃいましたように輸送構造も大きく変化をしておりますし、それからいわゆる長距離列車は、先ほど総裁もおっしゃったように航空機にも乗るようになっている、貨物も減少していわゆる拠点間直行輸送をやるようになった、コンピューターの導入も行われるようになった、非常に事情が変わっていると思うのです。それでは、もう十数年前に国鉄がおっしゃったような資本の浪費、その当時分割に反対をされるときにいろいろ出された輸送上の問題点、こういうふうなものはもうすべていま克服をされている、このように考えておられるのでしょうか。いかがなものでしょうが。
  42. 高木文雄

    高木説明員 この分割論がきわめて有力なる案として出てきた最初のものがいまの産業計画会議からの御提案でありました。その当時は、国鉄といたしましてはそういう分割方式には強く反対といいますか、異論を述べたわけでございます。しかし、その当時の情勢と今日とは大変変わっておるわけでございまして、現に、当時は幹線輸送も全部在来線によっておったわけでございます。まだ新幹線が東海道、山陽といえども十分に機能を発揮するというような状態ではなかったわけでございますので、在来線の使い方というものにつきましても圧倒的に全国ネットワークを中心に考えておりました。また、車両等につきましても、当時はまだSLがどんどん走っていた時代でありまして、SLからディーゼルに変わっていくということ、そして一部ではディーゼルから電気機関車に変わり、電車に変わっていくというちょうどその変わり目の時期でございました。  そういたしますと、順次それが変わっていくのに一遍にはなかなかいきませんから、時間をかけて変わっていく過程において、一方においていままで走っておったSLやディーゼルをどこで運用するか。また、客車等につきましても、東海で走った車をどこへ持っていって、電車と置きかえて浮き上がった余ったものをどこへ今度使うかということを考えますと、当時としては資本の効率からいっても分割することは非常にマイナスになるのではないか。九州の鉄道と東京の鉄道が別々に車両を運営管理するということに伴う管理というものが非常に不便になるのではないかということが強調されたわけでございまして、その点は今日全く消えたとは思っておりません。しかし、非常に事情が変わってまいりましたのは、すでにSLは姿を消しましたし、電化率も四〇%になりました。そして現在の毎日のお客様の総輸送量の八五%が電化した区域で輸送されております。線路の長さとしては四〇%でございますけれども、お客様の量としては八五%までが電気機関車なり電車なりで動いておるわけでございます。そうなってまいりますと、もはやそういう車両というものを全国運用することによって資本の効率を上げるというメリットというものは、だんだんこの点においても変わってきたわけでございまして、産業計画会議の御提案当時に私どもが持ちました一種の拒絶反応というものと今日では大分変わっております。そのことは決して私は、さればといって、いま直ちに分割でいけますということを申し上げるわけではありませんが、少なくともそのバックグラウンドは産業計画会議当時と今日とでは大分変わっておるわけでございまして、その意味におきまして、当時はほとんど挙げて、とうていそういう分割考えられないという気持ちであったんではなかろうかと推察をいたしておりますが、今日は同じやはり困りますということは申し上げながら、なおかつ当時とは大いに事情が違っているということでございますので、今後の論議の場におきまして、そういう点については現時点の状態を前提にしてその分割のメリット・デメリットというものを考えてまいりたいと思うわけでございます。  なお、いまは電車の車両運用についてのみ申しましたが、そもそもその前提としてお客の流動のウエートが、非常に長いものの流動量が減って、通勤通学等の短いものの流動量がふえておる関係で、車両等も今日では地方におきましても北海道北海道にふさわしい車両、九州は九州でのふさわしい車両というものをつくらないと、お客さんのニーズになかなか乗っていかないというふうに変わってきているというような事情もいろいろとあるわけでございます。
  43. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 ただいま十数年前とは事情が変わってきているという御答弁がございましたけれども、国鉄再建も、国民利便性、国民の立場、地域の事情、そういうふうなものをよく考えて、国鉄も、それから運輸省の方もぜひとも真剣に考えていただきたい、こういうふうに思います。  さて委員長、ちょっと大臣にお見せしたい写真があるのですが、よろしゅうございましょうか——三枚です。上越新幹線の高崎駅、燕三条の写真でございます。     〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕  このたび開通いたしました上越新幹線はいろいろと問題のある線でございます。過日わが党の不破委員長予算委員会の総括質問でこの問題について質問をさしていただいておりますが、私も、いま大臣にお見せいたしましたのは、上越新幹線に乗りまして、そして高崎駅と燕三条、こういう駅に直接参りましていろいろと調査をし、写してきた写真でございます。たとえば燕三条駅は混合式のホームでございまして、いわゆるホームが三面になっています。ところが構内に線路が五線引かれているわけなんですね。その燕三条に写っておりますさびたレールというのがそれなんです。使用目的を聞いてみますと、新潟車両基地から試運転車の折り返しに使う、こういうふうなことだそうですけれども、開設後二カ月くらいたったいま、どの線路も一度も使っていない、さびたままになっております。それがいまごらんいただきました燕三条の駅です。それからもう一つ、駅構内の線路は燕以外にも余分な線路を持っているところがあります。高崎、長岡、こういう駅は全列車停車するのに通過線があり、それも現在使われておりません。ごらんのようにさびております。しかも長岡には線路も敷いていない路盤までつくられている、こういうふうな状況があるわけですけれども、たとえば高崎駅と私が乗り降りしております新幹線の京都駅、これを比較してみますと、高崎駅の方は配線が六線です。京都の方は四線しかありませんけれども、列車の発着本数は高崎が五十三本、京都は二百十一本です。そして利用人員一日平均は、高崎駅が四千百七十三人、京都駅は何と四万六千人、それを四線で賄っていて、片方は六線配線はされているけれども使われていない。きわめてむだなことが行われている、こういうふうなことがよくわかるわけです。  それから、この上越新幹線は現在十二両で走っておりますけれども、全部駅は十六両編成が走るようになっておりまして、そして言いますと、積雪地帯だからということで全ホーム覆っているわけです。いわば五両分くらい余計なホームの長さ、これは十二両編成ですけれども、いつ十六両になるかわからぬというふうな状況の中ですでに十六両編成分のホーム、それから屋根の多い、いわば余分の設備投資をしている、こういうふうに見ても差し支えがないのじゃないかと思います。こういうものがたなざらしになっている。ところが、同じ積雪地帯で北陸本線とか北陸地域の無人駅の地域からこういう話を聞いております。雪の降りしきる日に帰宅途中の小学生が数人、無人駅で列車の運休も知らずに来るはずもない列車を何時間も待っている、そういう状況がある。これは一つの例です。無人駅での積雪時の被害というのは大変なものだというのは、積雪地帯から常に御要求が上がっているところですけれども、この二つを比較をしてみて、片方は使わない分まで結構な施設をつくっている、こういうふうなのが上越新幹線現状です。  上越新幹線は、建設費が一兆七千九百億円のうち、その九六%に当たる一兆七千二百億円が借金で建設をされているわけですから、その借金返済と利子はすべて国鉄の借料にはね返ってきているわけです。全く使われていない設備、過大な投資の費用もすべて利子をつけて支払うことになります。さびたレール、使われないホームが毎日毎日赤字を生んでいる、このようなことで国民の信頼が得られるような状況ではないというふうに私は思うのですが、さらにこの上越新幹線の停車場の建設費というのは一体幾らでしょうか。
  44. 高木文雄

    高木説明員 停車場の建設費、いますぐ申し上げますが、その前にちょっと申し上げておきたいのですが、上越新幹線鉄道建設公団が建設に当ったわけでございますけれども、これを使うのはわれわれの方だということでございますので、どういう構造のものをどんなふうにつくるかということについては、私ども国鉄の方もその都度相談に乗っております。私も現場を建設期間中から見ております。  その際に、私自身も大変過剰投資ではないか、りっぱにつくり過ぎではないかという感じを持ちましたものですから、かなりの程度技術者とその論争をいたしました。その場合の基本的な問題点といたしましては、当時東海道新幹線がどんどんお客がふえまして、そして御存じのように昔は十二両で走っておりましたものが十六両になりました。     〔三塚委員長代理退席、委員長着席〕 また、しばしば名古屋、京都、大阪というところで一たんちょっとダイヤが乱れますと、列車を駅に収容することができなくて、駅と駅との間にとめなければならないという事態が起こりました。そのことのために、同じ事故がありましても、駅にとまっておりましてお待ちいただく場合にはお客様も比較的ゆったりした気持ちといいますか、がまんをしていただけるのですが、駅の間にとまりました列車につきましては車内非常に不安状態が起こるということがありまして、実はできれば東海道新幹線についてもう少し増設をしなければいかぬのじゃないかという議論をしていた最中でございました。  そんな関係もありまして、いかにもこれは少し設備がオーバーだなという感じは持ちながら、いろいろ議論の末で、将来上野駅まで入ってくる、東京駅まで入ってくる、さらには場合によりますと、当時の考え方では東海道との間でスルー運転をするということもあり得るというようなことで考えておりました関係で、初度投資は多少負担になっても思い切ってやるかというような判断をしたわけでございます。これらについてはいまもいろいろ反省はいたしておりますけれども、しかし反面において、さらにいろいろな形で御利用がふえてくれば、そう遠からざる時期にいまのような感じでの過剰投資といった感じは払拭されていくのではないかと思っております。  なお、一部にいまの十二両編成であるのに十六両分の屋根がけがしてあるとか、十六両分のホームができているとかいうところはございますけれども、これはやはり基本的にはお客様がふえましたならば、フリクエンシーも上げていきますけれども、十六両になるということは予測としては考えているわけでございますので、その点は私どもとしてはさして極端な過剰投資としては考えていないということを申し上げておきたいと存じます。
  45. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 駅の建設費というお尋ねでございますのでそれを申し上げますと、上越新幹線で申し上げますと、各駅多少違いますけれども、一駅、一番少ない工事費で三十億、多いもので約七十億、平均いたしまして四十八億でございます。
  46. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 上越新幹線の停車場建設費は、いただきました資料によりますと合計で三千百八十二億五千万円、こういうふうになりますね。八駅で単純に割りましても約四百億になるのじゃないでしょうか、私の計算によりますと。そうしますと、年間収入五百億しかありませんから、約六・四倍の駅の費用をかけている、こういうことになるのではないかと思います。  先ほど総裁から大変長い御答弁がございまして、時間がちょっとなくなってきたのですけれども、最後に御質問したいと思います。これは非常に重要な問題ですので、先ほどの総裁の御答弁とも関連してまいりますが、大臣にお答えを願いたいと思うのです。  国鉄と鉄建公団の資料によりますと、その工事費ですね、東北新幹線は四十六年の十月十四日、八千八百億で出発をし、五十七年の四月二十八日現在、東京—盛岡間ですけれども二兆八千一億、約三・一八倍になっていますね。上越新幹線は四十六年時点で四千八百億円で出発し、五十六年三月十九日大宮—新潟間一兆六千八百六十億の約三・五倍になっているわけですけれども、両方とも大きく工事費予算が変わっているのは昭和五十二年の三月に変わっています。東北は二兆六十九億円、上越は一兆二百五十億円、こういうふうに変わっているわけなんですけれども、これは新幹線整備法によりますと、いわゆる計画変更をする場合には運輸大臣に届け出をして認可を受けなければならないというふうなことになっております。また、鉄建公団は国鉄協議をすることになっている。だから、恐らく国鉄、鉄建公団の間で相談をし、そしてまた国鉄から運輸大臣に認可申請をされたと思うのですけれども、これほど大幅に工事費の予算が途中で変わっているときに、採算の問題あるいは需要予測というふうなものを十分に立てておられるのではないかというふうに思うのですけれども、もう時間がありませんからはしょりますが、私がいま手にしておりますのは、運輸省からいただきましたいわゆる四十六年の計画当初のいろいろな需要予測、それから採算の予測、こういうふうなものをきわめて大ざっぱですけれども一応出しておられますね。ところが、それから後一体どういうふうなめどをつけて認可の申請をされたのか。これは非常に問題なんですね。この新幹線の新しい二線をつくる話が出ているときには、すでにもう国鉄赤字になって、再建計画が一次、二次と出されている中で、こういうふうな非常にお金の要るものの建設の計画がされた。そういうふうな時点で、これほど予算が大きく変わるときに、どのようなめどでこのようなものを認可されたのか、その経緯を明らかにしていただかないときわめて無責任なのではないか。いわば運輸省の方が国鉄赤字を出してもよろしいよという指示をした、こういうふうに見られても仕方がないのじゃないかという状況が出ております。  上越新幹線東北新幹線、これを両方比べてみても非常におかしいことがあるのですよ。一キロ当たりの建設費を比べましても、上越の方が東北の約二倍ぐらい、上越が二百七十キロ、東北が四百七十キロ、距離は逆さまだけれども、キロ当たり建設費を計算してみますと、上越がキロ当たり六十六億円、東北が三十五億円というふうな計算になります。こういうふうなのを見ても、いかにも東北だとか上越の建設のやり方が国民の目から見てきわめて大ざっぱであり、国民の期待にこたえるような状況になっていない。こういうふうな状況の中で、先ほどから国鉄親方日の丸というふうな状況があったとかいう大臣のお話もありましたけれども、こういうふうに赤字をたれ流すものを途中で認可をするときに、運輸省としては一体どういうふうな責任をとって認可をお出しになったのか、その辺の責任は一体だれがとるのか、この辺のことも国民の前に明らかにしていただかないと、国鉄赤字再建などというふうなものはとうてい望めないのじゃないかというふうに思いますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  47. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 国鉄再建に対して非常な御熱意のあるお話で、敬意を払います。  何でも安い方がよろしゅうございます。しかし、上越、東北の場合は、ちょうどオイルショックの後非常に物価が値上がりしていたことで工事費が上がったこと、さらに東北と上越の比較をしますと、上越の方が地盤が非常に悪かったこと、これは途中新聞記事にも何遍も載りましたが、そういうことなどがあって、いまのように予算が大幅にふえた。そうした技術面からの予算でございますから、私の方は、もちろん当時の大臣がその当時の申請を認可した、こういうことでございます。
  48. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 最後に、ただいまの当時の大臣が認可をおろした、いまの大臣と当時の大臣とは違うからというふうな感じ国民にはいたしますけれども、これは政府が一貫してとってきた政策でございますので、大体今回の国鉄赤字が出ているその責任が一体どの辺にあるのか、それを監督している運輸省の運輸行政がきわめてずさんである、こういうことをここで指摘をせざるを得ませんし、それに責任に当たっておられる大臣責任の所在を明らかにされないというのでは国民の信頼を得られない、こういうことを申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  49. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 当時の大臣責任は私の責任であります。  それと同時に、きのうも国鉄総裁がここで御答弁されておりましたが、それだけの赤字を抱え、借金を抱えたものであるけれども、需要等あるいは国鉄を利用される方々によって、これは十五年、二十年に完全にペイするといる話があったこともあなたも御理解をいただきたい。
  50. 原田憲

    原田委員長 中馬弘毅君。
  51. 中馬弘毅

    ○中馬委員 大臣に対する基本的なお考えをお聞きいたしますので、原則として大臣が直接お答えいただきたいと思います。余り細かい問題はここではお尋ねいたしません。むしろ運輸行政を今後進めていかれる、また、政策立案をされていかれる大臣一つ基本的な考え方あるいは心構えといったようなことをお伺いいたしますので、そのおつもりでお願いしたいと思います。  まず、所信表明に行政改革への取り組みのことが述べておられます。これは「行政の姿をこれからの時代にふさわしいものにつくりかえていく」あるいは「行財政改革を進めていくことが国民的な課題」、こうおっしゃっているわけでございますが、中曽根総理は行政改革を掲げて総理におなりになりました。もちろんその前から行政管理庁長官として、行政改革には一生懸命やっていく、行革三昧とおっしゃってまいりました。総理大臣になられましてから少し防衛三昧の方で、余り行革の声が出てこないのですけれども、それはともかくとしたしまして、その内閣の運輸大臣でございますから、行政改革に取り組む運輸大臣としてのお心構えをまず最初にお聞かせ願いたいと思います。
  52. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 行政改革は中曽根内閣の重大な使命でございます。そして、それはあくまで、長い時間かかっても、目的に向かって国民の御協力を得ながら実現したい、こう思っております。
  53. 中馬弘毅

    ○中馬委員 行政改革でいつもやり玉に上げられるのが運輸省なんですね。特に許認可件数、これは政府の許認可件数一万余りありますけれども、そのうちで運輸省関係が二千二百三件ですか、最高になっております。具体的に廃止の対象になっているものも、いわゆる五十五年行革で少なくとも二百五十件は減らしなさい、そしてこれは期限がついておりまして、この三月三十一日までということになっております。これの実施状況をひとつお伺いしたいと思います。
  54. 犬井圭介

    ○犬井政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十五年十二月二十九日の閣議決定におきまして、御指摘のように、運輸省関係で二百五十件の許認可等の整理を行うということが決められております。これにつきましては現在まで逐次実施いたしてきておりまして、現在二百二十八件実施済みでございます。二十二件残っておりますが、これは今年度内には実施するように現在鋭意検討を進めております。
  55. 中馬弘毅

    ○中馬委員 今年度内といいますとあと一月余りですけれども、それでできるのですか。
  56. 犬井圭介

    ○犬井政府委員 二十二件の中には国際的な関係があって若干問題があるものもございますが、全体を実施するように極力検討しているということでございます。
  57. 中馬弘毅

    ○中馬委員 それはぜひとも達成していただきたいと同時に、まだまだこれは当面の、まず最初の二百五十件でございますから、そのあとのものについてもずっと私も資料を見てみますと、かなり細かいところまでタッチしておられます。これについて、思い切って民間なりあるいは各自治体に渡していけるものがかなりあるように見受けられますから、それはぜひ実施していただきたいと思います。大臣、そのところひとつ御答弁だけお願いしておきます。
  58. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いまの時代でございますから、許可認可の問題はだんだん整理していくというのが時代的要請でございますし、ことに運輸省にはたくさん許可認可の件数があり、いま官房長が御報告したように一つ一つ整理して今日に来ましたが、これにさらに拍車をかけてまいりたい、こう思っております。
  59. 中馬弘毅

    ○中馬委員 次に、国鉄再建をもちろん大臣も最大の課題として取り上げられております。これは法案にもかかってまいりまして、監理委員会が設置される運びとなりましょうからそこで細かくは申し上げたいと思うのでございますけれども、まず、四ッ谷委員からもお話がございました分割民営の問題なんですね。私たちは党をつくりましてからずっと民営論を展開してまいりました。おかげで全体の一つの世論となってまいって、少なくとも民営方向が出てまいったことはわれわれ喜んでおるところなんでございます。しかし、方法論、手続論として、果たして分割を先にすることがいいのかどうかというのは非常に疑問に思っております。私たちが提示しております案にしましても、まずは民営に移行してしまって、それからその中でディビジョン的に分割した方がいいというところはもちろんしたらいいでしょうけれども、しかし、まずは民営化することの方が先だと思っているのですけれども、この点は先ほど総裁からもお話がございましたが、再度大臣からもお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  60. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 国鉄改革に関係いたします臨調答申の提言というものは、私はおおむね妥当な線をいっているものじゃないかと思います。そして、その経営形態の具体的な内容についてはなお詳細に慎重に検討する必要がある。これは再建委員会ができましたときにいろいろな資料において御検討いただく、こういうふうな形がいいのじゃないか、こう思っております。
  61. 中馬弘毅

    ○中馬委員 われわれも現実の問題として、果たしてそういう分割した民営化等、会社をつくるわけでございますけれども、その引き受け手があるのかどうかといった問題であるとか、あるいは系統的な運行の問題であるとか、あるいはいままで蓄積された技術がどう分散してしまうのだといったような危機感、そういったことも含めて、まずは分割しない方がいいのじゃないか。経営形態として、経営の効率的なあり方として、事業部制的にそれぞれの地域で独立的な運営をするのはもちろん結構でございますけれども、形態として分割してしまうのがいいのかどうかというのには疑問を持っております。したがいまして、国鉄もただ監理委員会のまないたの上のコイになるだけではなくて、やはり当事者として主張すべきところは主張していただきたい、このように先ほどの総裁の御答弁を聞いておりまして思った次第でございます。総裁、再度ひとつよろしく御答弁のほどをお願いいたします。
  62. 高木文雄

    高木説明員 分割につきましてもあるいは民営化につきましても、臨調で指摘されておりますようにいろいろメリットがあることは否定できない。むしろ私どもも同感だという部分がいろいろございますが、私どもが心配しておりますのはデメリットの面でございまして、デメリットについては、臨調でも細かく議論をされてなおその上で御判断になっておるのかどうかという点についていささか疑問を持たざるを得ないところでございます。そういうこともあるので、そこで最終結論ではなくて、再建委員会に詳細な検討をゆだねられたものと考えておりますから、われわれもそのできますのをじんぜんと待っておるわけではなくて、いま内部でいろいろ議論をいたしております。委員会ができましたならば、そこで大いにいろいろな角度からプラス・マイナスという点を申し上げて、いい結論に導きますように御理解を得たいというふうに考えております。
  63. 中馬弘毅

    ○中馬委員 いずれ経営形態の問題になってくるわけでございますけれども、少しそれとの関係で、国鉄所有土地の売却の問題ですね。これはわれわれもこの委員会で、遊休の土地は極力それを売却してやっていきなさいということも言ってまいりました。しかし、これは自力再建をするという前提で、しかも借金負担がなくなるようにといったようなことでそれを主張してきたのですけれども、しかしこのように経営形態までも問題になってきたときに、このように赤字補てんの意味で土地を売却するのが果していいのかどうかということに少し疑問を持ち始めました。  いままでの実績を見てみますと、ここのところ、そういうようなことが議題になりましてから、五十二年度が八百四十八件、百十二万九千平米ですか、そして百三十二億。五十三年度が九百六十四件、百三十九億。五十四年度が九百三十一件で百八十一億。五十五年度から少し金額も上がりまして、九百三十件で百七十六万七千平米、二百四十八億円。五十六年度が千三百二十八件、百八十一万五千平米、五百六十九億円ですか、こういうふうにかなり細かいのをたくさんお売りになっているようですね。たとえば五十六年度で見てみますと、この件数で割りますと、一件当たり大体四百坪くらいのものを、平均するのがいいのかどうか、どういうところを売っておられるのかは後でお聞きしますけれども、そういう大きさで、平均単価が十万円くらいだというのですね。その前はもっと安くて、五十五年度の場合なんかは大きさは大体一件当たり五百坪内外ですけれども、四万六千円くらいで放しておられる。  どういうところをどういう形で売却しておられるかをまずはお聞きしたいと思います。
  64. 高木文雄

    高木説明員 実績はいまお示しのとおりでございます。この前提となります目標といいますか、予算で申しますと、五十二年から五十四年までの三年間は二百五十億という目標でございました。それが五十五年が三百億になり、五十六年が六百億になるということで、予算上の目標数字がどんどん上がっていったわけでございます。そこでそのころから私どもの資産売却の態度が変わってきておりまして、具体的にはいま遊休になっておる、そしてさらに近くこれを利用するめどがない土地を、簡単に言えば不用地を売るという観念で五十四年度くらいまではまいったわけでございますが、五十五年度以降は、だんだん目標も高くなってきた関係もありまして、むしろ十分に利用されていない、使ってはおりますけれども使い方が非常にまずい、たとえば宿舎で言いましても平屋木造で大変古いものがある。もっとこれを立体化して使えば少ない面積で同じ戸数が確保できるというようなことで、余っているもの、遊休のものを順次処分するという考え方から、売ることのできるものをつくりながら売っていくというふうに変えてきております。  こうした問題は大変時間がかかるわけでございまして、また準備がうまくいっているとは言えませんが、現に進行年度である五十七年度につきましては、これまた一挙に目標が高められまして、八百億ということになりましたので、いま鋭意やっておるところでございますが、一〇〇%とはいきませんけれども、どうにかこれに近いところまでいき得るであろう、つまり五十六年度の実績に比べて五割ぐらい上げ得るだろうという状態になっておりますが、それは先ほど来申しておりますように、五十五年度ぐらいからむしろだんだんそういうものをつくり出すという姿勢でいっておる関係で、引き上げられてきておる目標にどうにか追いついていっておるという状態でございます。
  65. 中馬弘毅

    ○中馬委員 先ほど言いましたように、単純に平均すれば四百坪内外のところになるわけですけれども、大規模なところを売って、あとまた小さなところがあってこういう数になっているのか、一千坪のところがあったり三十坪があったりするかもしれませんけれども、大体平均してこうなのか。そこをちょっと様子をお聞かせ願いたいと思います。
  66. 高木文雄

    高木説明員 先ほど申しますように、以前は遊休地が多かったものですから、都会地から離れたようなところが多かったわけでございますが、いま申しますように、だんだん宿舎用地を整理しながらということになりますと、大都会とは限りませんけれども、各地の相当な都市において駅に近いところをだんだん売るようになってきたということでございまして、件数が余り変わらないのに総額がふえているのは、つまり単価がふえているのはどういうわけかと言えば、そういうふうに対象の土地がだんだん田園部から都市部は移りつつある、そっちの方に重点が移りつつあるという結果、いまお示しのような数字になってきておるわけでございます。
  67. 中馬弘毅

    ○中馬委員 国鉄国有鉄道なんです。この国鉄の土地は国民の土地なんです。国民の立場としては勝手に余り処分していただいたら困る。と申しますのは、要するにこれは何かまとめてどうしても前向きの施策のために売るというのであれば一つ方法かもしれませんけれども、しかしこれは赤字補てんですね、全くたれ流しのための。それを八百億か千六百億、貴重な財産を、自治体でも民間でもいいかもしれませんけれども、渡しているわけですね。どうもそこのところが少し合点がいかなくなってまいりました。  しかも、これが大量にまとめて出されるのであれば——しかし一軒だけ社宅が売りに出された。自治体に一応申し込まれた。自治体としても一つだったらどうしようもないんですね。これが二十軒、三十軒で全体が何千坪かになるのであれば、それとの換地の問題も考えて、学校建設用地にするとか公園にするといったようなまとまった都市計画にも使えるわけです。ところが、いまのようにぱらぱら、しかもこれはまず自治体に聞くことになっているはずですから、自治体に聞いているんでしょうけれども、しかし自治体がやらなかったら民間がしてしまう。あるいは今後何かに利用するときでも、そこに変なものが建ってしまって利用しにくくなってしまう。こういう切り売り的な形での土地売却は非常に疑問に思っております。むしろ監理委員会も含めて今後の経営形態までも対象にしていくという場合に、これは逆に言えば、予算には上がっておりますけれども、ストップさせるべきじゃないかと私は思っているんです。大臣、いかがお考えですか。
  68. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 赤字だからただ売るということだけじゃ芸がない話でありまして、これは先日も評論家の扇谷正造さんと私が対談しておりましたら、みんな国鉄のことを御心配いただくもので、あの人はこんな話をしておりました。細切れに売ることも一つの手かもしらぬけれども、たとえば大きく広い場所があるならば、新宿の副都心にあんなすばらしいビルが十二、三本建った、そういう場所があるならば、売らないときにはそこにすばらしいビルディングを建てさせて、レンタル料を取って、そして国鉄の土地はそのままだというふうなアイデアなども出しておりましたが、運輸省といたしましても、こういうときでありますから、国鉄再建緊急対策推進本部をつくっておりまして、プロジェクトチームを設けてこういうもののケーススタディー、これを実施して検討を行って御相談に応じている、こういう形であります。
  69. 中馬弘毅

    ○中馬委員 先ほど申しましたように、これは少しまとめてやる必要がある。そして、そのときであれば民間デベロッパーなり自治体が有効に都市計画の中に組み込んで使えるわけですから、そういう点も、ただ国鉄に任せて赤字補てんで売却してよろしいということではなくて、小さなものであったとしても、ここに挙がっておりますように何件か集めれば大きな数になるわけですし、そしてそれはまた別に換地も考えて、都市計画の中に組み入れられるわけですね。そういうことで、ただ国鉄に任せるのではなくて、運輸省としてしっかりチェックしていただきたいと思っております。それをひとつ約束してください。
  70. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 御趣旨のようなことを考えながら対処してまいりたい、こう思っております。
  71. 中馬弘毅

    ○中馬委員 それから、都市圏の旅客輸送、これに特化していくということも国鉄再建のときにも一つ問題になりました。経営形態が今後どうであろうと、都市圏における輸送手段、交通手段としての現在の国鉄路線の重要性というのは変わらないと思いますね。しかも、都市圏というのが昔に比べてずっと拡大してきております。昔は、大阪でも東京でも環状線の中が都市圏ということであったかもしれませんけれども、しかしいまは、それを離れてはるか遠くまで住宅地になってしまっております。そうしますと、その中に国鉄が走っておるわけですが、昔であればそれは遠距離のただ中間駅であったかもしれませんけれども、現在ではそれは都市の中を走っておるわけですから、むしろ私鉄がやっておるようにきめ細かく中間駅をつくって、そして沿線住民利便に供した方が有効だと思うのですが、どうもそういう形になっておりません。そういう点で、中央沿線、横須賀線、京浜東北線、関西線、福知山線、こうずっとありますけれども、環状線から出ていくと急に駅の間が長くなってしまうわけですね。しかし、これは細かくつくった方が今後の都市交通手段としてもいいのではないかと思うのですが、そのところは国鉄としてはどのようにお考えなのですか。
  72. 高木文雄

    高木説明員 昔からの伝統的な考え方としましては、在来線の駅と駅との間に新しい駅をつくるということについては、地元に非常に強い御要請があれば、私の方の列車運行の不便が増大する程度が少なければ、と申しますのは、一駅をつくりますと五分ぐらい時間がかかることになりますし、遠方から通っていらっしゃる方には御迷惑になるわけでございます。また、人が要るとかいろいろな問題があります。したがいまして、そういうことを一方では考えますけれども、しかし地元で御熱心であればつくるということであったわけでございますが、その地元が御熱心であればという意味は、言ってみれば地元で建設費を負担していただけばということであります。しかし、その場合でも人手を要するとかそういうことで、どっちかというと三、四年前ぐらいまではやや消極的であったわけでございますが、いまお示しのような考え方に従いまして、最近は御要請があれば都市部においてはなるべく応じていくようにということで指導はいたしております。  ただ、実は開発地域におきましては、関係の方々が開発利益がある関係で、自分らが金を負担してでもつくるということに熱心な場合が多いわけでございますが、既開発地域については、さてだれが金を出すかということについて、いろいろ具体的に結論が出るまでに時間がかかりまして、既開発地域の新駅設置の事例はそう多くないという現状でございます。それをさらにわれわれが負担してでもつくるかどうかということになりますと、これまたいろいろ、あっちはわれわれが負担してつくった、こっちの地域負担していただいたということの交通整理が非常にむずかしくなりますので、私どもはいま負担をしてまで駅をつくるというところまでは、既開発地域についても考えていないというのが現在の状況でございます。
  73. 中馬弘毅

    ○中馬委員 それが殿様商法だなと私は思うのですね、いまのお話を聞いておって。要望があればつくってやるという考えですよ。従来の一つの基準が何かございましたね。駅の間が二キロ以上ないとだめだとか、先ほど言いますように地元負担でないとだめだとか、それはまだ生きているわけですか。
  74. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 基準というようなはっきりしたものじゃございませんけれども、従来、先生いまお話のありましたような、いわゆる都市交通的な性格の線の駅間距離というのは平均二キロ、まあ二キロぐらいを目安とする、それからそれを離れまして都市間輸送的な駅になりますと、四キロぐらいが標準かなということでやってきておりますけれども、現在の時点では必ずしもその二キロというものを厳密に踏襲しまして、二キロを切るからだめだということではなくて、その地域の状況とか輸送需要の状況とかあるいは列車ダイヤ、運転状況等を考えまして、状況によっては二キロを切るようなものも現在一部出てきているという状況であります。
  75. 中馬弘毅

    ○中馬委員 これはむしろ要望があるからとかいうのじゃなくて、国鉄が今後の都市交通における一つの役割りを果たしていくためにも、ここにこのような駅をつくれば住民利便が増すと同時に、逆に新規の需要が開拓できる、通勤だけではなくて昼間の買い物の奥さん連中までも利用する、こういうことになるので、むしろ積極的にやるべきだと思うのですが、いかがですか。
  76. 高木文雄

    高木説明員 気持ちとしては積極的にやりたいというふうに考えております。ただ、それを、建設費を国鉄負担でやるかどうかということについては、従来どおりの考え方で、そこまで踏み切るということはいたしておりません。それはもちろん需要がふえる、収入がふえるということの関連で判断すべきものだと思いますけれども、なかなか現実の場合には、駅舎建設費を一定期間内に償却できるほど急にお客さんがふえるということはまずまず例がほとんどないわけでございますので、今日の段階では、私どもが負担してまで駅を新しくつくるというところにはいっていないわけでございます。  先般大阪の市内で、今回大阪城の開城の何年記念かを祝して博覧会等を行うということで、大阪城の整備がいま進められていることとの関係で、一つ駅をつくることにいたしたわけでございますけれども、その場合には駅間距離が、今度できますと一キロ強ぐらいのところになるのですけれども、それでもつくろうということにしたわけです。その場合なんかの考え方では、一つは地元が建設費を出してくださるということもありますけれども、かなりの集中的な需要増が予測されるということでございます。これらは、各駅ごとに事情は全く個別個別でございますから、なかなか共通基準をつくりにくいわけでございますが、少なくとも数年前に比べれば、今日駅をつくることについて前向きに変えつつあるということは申し上げられると存じます。
  77. 中馬弘毅

    ○中馬委員 大阪城公園駅の話も出ましたが、こういうあれではなくて、今度の再建のことで地方の設備投資は一応原則としてストップいたしております。しかしそれまでの態度を見ましたら、本当に需要のないところに一生懸命つくっておったわけですよ。いま私が御提言申し上げておるのは、明らかにまだ需要喚起がどんどんできるところにむしろ積極的にやりなさいということを言っているわけで、それを地元の要望があれば何とかというような消極的なことだとどうも私は解せぬのですが、どうなんですか、それは。はっきり需要が見込めて、むしろそこにつくったらかなりの周りの人たちの開発のことも、場合によっては国鉄がそこの土地を先行してお買いになって、何かをおつくりになっても構わぬわけですけれども、そのようなことまでも含めて、非常に採算がいい、あるいは国鉄の利益に資するというところは積極的におつくりになるのが当然だと思うのですが、いかがですか。
  78. 高木文雄

    高木説明員 お気持ちはよくわかるのですけれども、実際問題としましては、私どもの負担で駅をつくることで前向きに取り組むということになりますと、恐らく大変な数の要請が出てくるだろうと思います。いま実は地元で持っていただけますならばと申し上げていることがかなりの歯どめになっておるわけでございまして、これを私どもが持ちますということになりますと、本当に全国大変な数の駅をつくれということになってくると思います。そうなりますと、駅をつくるということは、まさにその駅の周辺の方にとってはメリットがあるのですけれども、そこの線を御利用になっている全体の方にとっては到達時分がそれだけ長くなるというデメリットが出てまいるわけでございますので、やはり一駅つくるごとに五分ずつ時間がかかるということになりますと、かなり到達時分に影響してまいりますから、収入がふえるとかふえないとかということのほかに、サービスの内容に関係をしてまいりますので、先生がいま御指摘になるほどにはなかなか前向きになり切れないというのが現状であるわけでございます。
  79. 中馬弘毅

    ○中馬委員 要望があるところへつくれなんて、私そんなこと一つも言っていませんよ。国鉄側が主体的に、ここにつくれば国鉄の利益になるじゃないかと御判断なさったときにおやりになればいい話で、それと全然観点が違うのでちょっと申し上げておきます。  次に青函トンネルの開通の問題、これにちょっと触れさせていただきます。  青函トンネルは通りましたけれども、これはこの間の御答弁にありましたように国家的な資産なんですね。ですからこれは有効な活用をお願いしたいと思います。ただ、この建設債務をすべて国が肩がわりすべきだと僕は思うのですね。というのは、これは新たな土地をつくったのと場合によっては同じだと思います。ですから、これを公団が持っておって何かそこから使用料を取るとかいうのではなくて、当然国の一つの財産がふえたわけで、いままでの方式としてはこれを鉄建公団にやらしていますけれども、しかしそれを建設国債で肩がわりしてでも国の土地にしてしまうべぎだと思うのですが、大臣はいかがお考えでございますか。
  80. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 青函トンネルが国民皆さん方に大変喜ばれておりますが、一方、いまのように使用料等の問題で時折無用論などが出ておることも残念でございますが、その金の問題等々については莫大なものでもございますから、恐らく今度の監理委員会において改めて御協議いただく問題じゃないか、私はこう思っております。
  81. 中馬弘毅

    ○中馬委員 ですからこれは鉄建公団や国鉄の問題ではなくて、むしろ国土計画の一つのものでございますから、これはあるいは電電公社が利用する、あるいは建設省が利用する、場合によっては防衛庁が利用する、こういったことも含めて国家的な目的にどう適応させていくかという観点でやるべきだと思いますが、いかがですか。
  82. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 何遍も御答弁申し上げますように、敗戦わずか数年のうちにああいうことを考えついた日本人の知恵というものと、そしてでき上がった技術、そしてまた本州と北海道が結ばれたという事実、それから来るところの経済効果、しかしながら在来線を通すといういまの姿でございますが、そういうものからしますと、ほかにいろいろな使用方法がありはせぬか、しかしながら現在言われているような使用料ではとても間に合わない、しかしいま言われているような使用の仕方だけでもさてどんなものかと思いまして、私の私的諮問機関として、ほかにいい知恵があるかどうかということを皆さんにお願いを申し上げよう、もちろん国会のお話もお伺いしますが、そういう形においてあのすばらしい青函トンネルの活用方法考えていきたい、こう思っております。
  83. 中馬弘毅

    ○中馬委員 関門トンネルも戦争中でしたけれども、国家的目的で国でやったわけですね。それと同じでんで、あそこから使用料を別に取っているわけではない、独立採算しているわけではないのです。ですから、そういう意味におきましても、これは国鉄や公団から離して、ひとつ国家目的としてどうするかということを検討するように、むしろ閣議あたりに運輸大臣から積極的に働きかけていただきたい、このように思う次第でございます。  それから、鉄建公団の役割りが終わったみたいなものなんでございますけれども、五十五年行革では国鉄との統合を決定しております。しかし、これは三千人いらっしゃるのですか、この処遇はどうされるおつもりなんでしょうか。
  84. 永光洋一

    ○永光政府委員 御承知のように、五十四年の閣議で上越新幹線、それから青函トンネルの本体工事が五十八年終了とその当時予定しておりました。他との統合等を図るということになっておるわけでございますが、上越新幹線につきましては去年の十一月に開業いたしました。ただ青函トンネルにつきましては、現在のところ海底部におきましてなおまだ予想以上の劣悪な部分がございまして、本体工事五十八年完成の予定が現在では六十年ごろになるのではないかと思われておりますので、その時期につきましては若干ずれてはおると思いますけれども、いま申されましたように、この鉄建公団の今後の処理につきましては非常に頭が痛いところでございます。  ただ、やはりこの鉄建公団のトンネル技術といいますか、鉄道技術をどうやって今後一つ技術的財産として承継していくかという問題もございますし、さらに、やはり鉄道の今後の、たとえば大都市とかそういう鉄道に対するニーズというものがどういうふうに今後出てくるか、さらに公団職員を今後どういうかっこうで処遇していくかという問題があるわけでございまして、いま二千九百人ほど職員がおります。最盛期には三千二百人ほどおりまして、やはりこういう公団の将来の統合等ということを念頭に入れながら、漸次自然な縮小を図ってはおるわけでございますけれども、依然二千九百の人がおりまして、事務系統と技術系統で大体一対二の形でおります。さらに四十歳以下の方々は、国鉄からの移入というのじゃなくて、わりにプロパーの方が多うございまして、そういう公団に就職されて、より技術の高いものを持っておられる方々の処遇につきまして、やはり今後の鉄道技術の承継という方向考えながら、われわれとしてもその人たち生活の安定なりを考えていきたいと思っておりまして、現在まだいろいろ考えておる段階でございます。
  85. 中馬弘毅

    ○中馬委員 この三千人全部が技術者じゃございませんでしょうけれども、かなりの数の技術を持った方々がいらっしゃいます。これは大臣が先ほどお話しになっておりましたように、世界的に誇り得る技術でもあるわけですから、ただ国内だけではなくて、幅広く世界各地に向けて、それこそ人類の福祉に貢献するような形での御活躍の場をまだまだ今後は見つけていただきたい、このように思っている次第でございます。  それから、この間新聞にちょっと出ておりましたが、国鉄職員の身分制の問題ですね。これは本社採用だとか、あるいはまた地方採用だとか大卒でなかったらだめだとか、いろいろ旧官庁の名残でやっているわけですが、これはたとえば民営化にでもしようというなら民間会社では通用しない話でございまして、あれが本当の話であれば非常にいいことだと思っております。身分制を撤廃する問題についていまどのようにお考えか、それを国鉄総裁からお答え願います。
  86. 高木文雄

    高木説明員 職員の、何といいますか、どういうふうにして育て、どういうふうにして上のポストへ上げていくかということについては、お役所はお役所、公社は公社でそれぞれ長い歴史の上に成り立っているものだというふうに考えますが、よそ様はよくわかりませんけれども、私どもは実はスタートして三十年になりますけれども、大体、昔の鉄道省当時のスタイルがそのまま継続をしておるといって余り大きな違いはないという状態でございます。これは本社採用の学士というものについてそういうことにたっておるわけでございます。この制度は非常に疑問があるわけでございまして、官庁の場合には各官庁を通ずる統一的ないろいろ昇給、昇格基準といったようなものがあるわけですので、それが一定の共通の尺度みたいなもので各省通じて決められて、慣行的なものを含めて決められているのもゆえなしとしないわけですが、その辺については公社は本来は自由であるわけでございますから、私どもは私どもなりに、もう少し違った形のものがあってもいいんじゃないかというのが、私が参りました当時からの印象でございますし、私自身、現在の時点でもそう考えておるわけでございます。  さて、全体として見た場合に、四十万人弱の職員の中で、いわゆる大学採用という形で入ってきておりますものは最近では六十人とか七十人とかというきわめて少数なものであるわけでございまして、民間の場合のように、大学卒と高校卒との数がどっらが多いのかわからぬというような形での人事構成のところと、私どものようなところでは大変違いますし、それから毎日の運行に関する仕事と、それから企画的なことあるいは技術につきましてもトンネルを掘るとか橋をかけるとかという、そういう高度の技術を要するものとの関係ではいろいろ違うわけでございますので、なかなかどこへ持っていったらいいのか結論を出しにくいわけでございますが、ただ、いま分割といったような問題が出ておりますこととも関連し、分割に至らぬまでも、もう少し地域責任体制をつくれというようなことが強く求められ、先ほど来の御論議の中にも出ておりますことを考えました場合に、そういう新しい変化に対応してどういう人事管理制度、それを前提とした人事採用制度というふうにするか。ちょうどいま五十八年の四月一日の年度がわりのときには採用をゼロにいたしましたので、多少新しい雰囲気を持ち込み得る時期かと思いまして、よりより研究をさしておるところであります。どっちへどう向いていくかということも、ちょっとまだ結論が出かねておりますし、また新規採用ゼロを何年間、どんな形でやるかということもまだ決まっておりませんものですから、ある意味ではちょうどいい機会だということで、いろいろ中で論議をさせております。大いに勉強してみたいと考えております。
  87. 中馬弘毅

    ○中馬委員 経営形態が民営化すればそれだけに必要なことでしょうし、それ以前、それでなかったとしても時代にあったような形で、民営的な手法でやっていくとおっしゃっているのですから、その辺のことを見直していただくことを要望しておきます。  続いて、航空行政についての大臣のお考え方をちょっとお聞きしておきたいと思うのです。  臨調第四部会は、日本航空民営方向で持ち株比率を見直すべきである、それから国際線の独占運航を見直すべきである、それから経営の効率化を推進し、料金、サービス及び人事、労務管理体制の改善を図るべきである、こういうように臨調としましても日本航空民営化方向を打ち出しております。先ほど言いましたように、私たちは極力こういう特殊法人的なものは民営に移してしかるべきじゃないか、特に幼稚産業保護の時代は場合によっては必要かもしれないけれども、日本航空にしましてもあるいは全日空にしましてももうりっぱに育ってきているわけですから、むしろ民間の自由な活力に任せる方がいいのじゃないか。下手にいまのような形をやっておりますと第二の国鉄となることを危惧いたしております。  そういうことで、民営化方向ということについて大臣はどのようにお考えか、聞かせていただきたいと思います。
  88. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 中馬委員のおっしゃるように、第二の国鉄などというふうな御懸念もありますが、日本航空というものはナショナルキャリアでございまして、これは国際線には日本国民的利益を代表して入っていくところでありますから、そういう意味ではやはり特殊法人がいい。しかし臨調のお話も、いまのような形で経営しておったら国鉄のようなことになりはせぬかという意味からすると、経営のやり方についてしっかりいま考えろという批判をしていただいている、こう思っております。私はそんなことからしまして、日航もいろんな航空機の事故等もありましたが、ただいま人員の削減を含めて一連の経営改善対策を検討しておるところでもありますので、運輸省としては日航のこの方向に従って経営感覚の改善を進めて、そしてまた臨調部会の報告の趣旨を実現していくことを望んでいるものです。
  89. 中馬弘毅

    ○中馬委員 いわゆる四五、四七体制、三社体制ですね、日航、全日空、東亜国内のこの体制の見直しの時期にもうそろそろ来ているのではないかと思うのです。これは十年以上経過もしていることでございますし、当時とは、先ほど申しましたように幼稚産業保護というような意味が若干あるとするならば、それは卒業していると思いますし、日本の今後の航空産業の国際的な飛躍の意味におきましても、これはやはり自由競争、市場原理に任せた形での競争にさらすべきじゃないかと思うのです。これは、たとえば新日鉄だけで、あと弱小の鉄鋼メーカーであれば決していまのような日本が世界を席巻する鉄鋼産業国家にはなっていないと思いますし、あるいは自動車にしましてもトヨタ一社であとは小さなところであれば、これは決して世界に冠たる自動車王国にはなってなかったと思うのです。日本航空産業はいろいろサービスがいいとかそういったようなことも含めて、国際的に評価される面がかなりあるんですね。ですからこれはナショナルフラッグで、一つの国で一つでいいじゃないかという話になるかもしれませんけれども、しかし日本は一億ですからね、ヨーロッパの国を二つ、三つ合わせたくらいの市場規模もあるわけですから、当然国際線はもちろんのこと、国内も両方競争させるべきだとこちらは思いますけれども、大臣はいかがですか。
  90. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 御議論の趣旨は私もよく理解いたします。日本航空でさえもいまから十年くらい前では世界においてたしか第七番目くらいでございましたが、最近は乗降客は三番目くらいでしょう。そしておっしゃるように航空憲法というものも言われましたが、その間といえども全日空でもグアムやらそういうところにも飛ぶような姿にもなっておりますし、国内においてもほとんどの地方空港にはダブルトラッキングというものをやっております。そういうことからしますと、やはり時代の趨勢に合うように知らず知らずのうちに改善もされている。そしてまた一方、あなたのお話等々もよく将来の参考に供しながら、まず航空の問題で一番大事なことは、安全確保が大事、その安全の中からお客さんの信用ということを得るのでありますから、いまのところ私たちは、安全確保ということを中心にしながら、各会社の業績が赤字になって大変なことにならないように、いろいろなところで気がついたことは御注意申し上げながら、そういうものの事業の進展に努めていく、こういう感じであります。
  91. 中馬弘毅

    ○中馬委員 いますぐにやれということじゃございませんけれども、しかし今後の方向として、運輸行政の、航空行政の方向としてそういう方向でやってもらいたいということを強く要望いたしておきます。  それから、航空に関係して関西新空港の問題をお尋ねします。  今回の四十億円の調査費の計上はそれなりに評価いたします。これはずっと調査費ばかりついてきているわけですけれども、いままでの調査で泉州沖が不都合といったような点が何か少しはあるのですか。
  92. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 私ども、泉州沖に関西国際空港を設置するという前提でこれまでも調査を進めてまいりました。五十六年度、五十七年度合わせて五十五本のボーリングを行って地盤の調査を行っておりますが、私どもが古い時期に十本程度のボーリングをいたしまして、その結果から推定をいたしました結果よりは、今回の詳細なボーリングの方が大変よろしいという結果が出ておるわけでございまして、そのほかの点につきましても何ら不都合な点はないというふうに考えております。
  93. 中馬弘毅

    ○中馬委員 それならそれでもう少しスピードを上げられたらどうかという気がするのですね。成田と比べましても、成田は少し拙速をとうとんだ点があるのですけれども、最初調査費がついてから一期工事の完成まで十一年間ですね。ところが、関西新空港の場合には、五十一年に調査費がついてから現在まで七年間もたっておりますけれども、まだ着工もいたしておりませんね。それから、航空審議会の答申が出てから、成田は三十八年の十二月に出ましたけれども、工事の実施計画を認可したのが四十二年ですから、約三年でやっております。ところが、関西の場合には、四十九年の八月に航空審の答申が出て現在まで九年たっておりますけれども、これも何らのめどがついていない。しかも成田の場合にはかなり反対があった、関西の場合にはほとんど反対もなくなっております。それからいろいろな条件が違いますね。海上でもある。そういうこともあって反対がないというようなこともありますし、アセスの調査も十分にやっておるわけでして、これはもう少し強くやられてもいいのじゃないですか。運輸省は、少し成田のあつものにこりてなますを吹くというようなところがあるように見受けるのですが、どうですか。
  94. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 私の感じで申し上げて恐縮でございますが、成田の場合に比べまして関西の、場合は、決してあつものにこりてということではなくて、綿密な環境影響調査最初から行いまして、特に地元との合意を大事にし、地元との調和が図られる空港をつくろうということでスタートをしたわけでございまして、その結果、かなりの時間は要しましたが、昨年四月の泉大津市の反対決議撤回をもってすべての地元の反対がなくなった、こういう情勢が整いまして、そこで先ほども御答弁申し上げましたボーリング調査の結果が良好であったということ等も含めまして、五十八年度予算で着工準備調査費という段階に至ったわけでございます。これまでの進み方が遅いじゃないかという御指摘は甘受いたしますが、これから私どもとしては最大限の努力をいたしまして、できる限り早急に着工にこぎつけたいというふうに考えております。
  95. 中馬弘毅

    ○中馬委員 しかし、これは具体的なことで動き出さなかったらそういう答弁にならないと思うのですが、運輸省の方としては、たとえば担当大臣を決めて、あるいは何か閣僚協議会をつくって、あるいは運営主体をひとつ決めてといったようなめどをどこに置いておられますか。
  96. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 私どもといたしましては、五十八年度予算が成立いたしましたならば関係閣僚会議を設置していただくよう、現在内閣にお話を申し上げておる次第でございます。
  97. 中馬弘毅

    ○中馬委員 いわゆる公団とか、運営主体のお話はいつごろになりますか。
  98. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 残された問題は、御指摘の事業主体の問題でございまして、これは五十八年度予算の着工準備調査費の中でもこの事業主体に関する問題を調査する経費というものが含まれております。私ども、実はこれまでも事業主体につきましては各方面の意見も十分にお聞きし、また、私どもなりに勉強を進めてきております。まだ残念ながら結論を得るには至っておりませんが、来年度、つまり五十九年度予算の要求の時期をめどといたしまして、事業主体問題については鋭意その詰めを行ってまいりたいと考えております。
  99. 中馬弘毅

    ○中馬委員 いままで国家財政が大変で資金がないから、あるいはまた高いものにつくので採算に乗らないからといったような話も大蔵省筋から出てきておりますけれども、しかし、先ほどの青函トンネルじゃございませんが、これはやはり一つの国土をつくるわけですよね。そしてこれは国家的な一つの財産になるわけですから、これを営利企業でどこかで埋め立てて、そこで何か物を生産してといったようなものとは少し違うと僕は思うのですね。国家的な要請に基づいて二十四時間開港できる、あるいはまた国際化が必要な日本の立場として国際的な本格的な空港をつくるという場合ですから、いわゆる特会で考えて、金利が幾らだからこれだけで償却費が幾らだといったようなことは考えなくていいと思うのですが、大臣はいかがお考えですか。
  100. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 この予算が通過した後では、ただいま航空局長からも話がありましたが、やはり閣僚会議をつくってこれに権威づけることが一つ。そしてまたそういう閣僚会議等々で、来年度予算を編成するまでに着工準備費で、着工することを前提とした準備費でございますから、その次にやることは、現地の御協力大変得ておりますから、現地に着工の準備室、事務所、そういうものをつくる。一方においては閣僚会議等々で、こういう場所においた皆さん方の御議論等々も重要な参考にしつつ、事業主体の問題等々も考えてまいりたい、こう思っております。
  101. 中馬弘毅

    ○中馬委員 時間がございませんから、あと少し、最近の石油価格の値下がりといいますか、暴落ということすら起こりかねないような状況になってきております。これと公共料金との関係だけ、ちょっと大臣のお感じだけお伺いしておきます。  五十六年ごろには一バレルが三十七ドルぐらいしておったのが、ここのところ三十ドル、二十七、八ドルから場合によっては二十五ドルになるかもしれない、こう言われているのですね。ここのところ、交通関係の公共料金を上げるときの最大の理由は石油が上がったからということであり、逆に言えばこれが大義名分になっておった感がするわけですね。国鉄の値上げはことしは確かに別の理由で見送られたようでございますけれども、しかし二年ごとのタクシーの値上げ、ことしも順番に回ってきております。あるいは航空運賃や私鉄の運賃の問題もあります。私はこれを上げろとか下げろと言っている話じゃなくて、お考え方としてどうなのかということをお聞きしておきたいのでございますけれども、確かにこれだけ石油が下がったわけですから、それぞれの業界においてどれだけコストが安くなるかというのはもちろん御試算できると思うのですね。これは考え方がいろいろあるかと思います。値下げをして利用者に還元すべきだという考えもありましょう。それから、値下げをせずに内部合理化の努力にお使いなさい、そういう指導をするという方法もあるかもしれません。逆に、一つの定期的な値上げが慣行化しているわけですから、ことしは抑えて何かのときにまたぽんと上げるのじゃなくて、ある程度上げさせておいて、そして急激な将来の変動を防ぐという考え方もあるかもしれません。それからもっと大きくは、交通体系を、この際だから、逆に抑えるのは抑えさせあるいは上げさすのは上げさせて、料金の格差によって乗客を移動さす、それで望ましい交通体系に持っていく、場合によっては、自動車の方はこれは直接なりませんけれども、関税なり何なりをかけて高くして、それを今度は大量交通機関の方に誘導するとか、いろいろ交通体系の変動にも使えるわけでございまして、このところの大臣のお考え、石油がこうしてずっといままで第一次石油ショック、第二次石油ショックで大きな値上がりを示した、それが今度は逆に少し下がった、こういうときに対してどういう態度で臨まれるかだけをちょっとお聞きしておきます。
  102. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 ちょうど十年前のオイルショックのときに直接私は肌身に感じて、当時一バレル一ドル四十七セントぐらいのものが四ドルになって、オイルショックでございます。  今度の場合は、ナイジェリアが五ドル下げるという話からほかのOPECの国々もそれに同調してくる。これが日本経済にどう影響を及ぼすかというところは大変いま御議論をいただいているところです。といって一体どこまで下がる油が来るか、これがまだはっきりいたしません。そういう意味ではいろいろな場面において精査しておりますが、さてその下がり方によって、それじゃ産油国から日本に来ている資本がぼんと戻っていくような反作用、それから省エネで、二十二、三ドルを目標に省エネをやっているところに二十ドルぐらいの油が来た場合は、いままでの省エネの設備が全部だめになりはせぬかという不安らしいもの、そしてまた、その五ドル下がった油がいますぐ来るわけじゃありません。ですから、そういう意味からしますと中馬さんがおっしゃるようないろいろな、仮にそう下がった場合の運賃の問題、ある場合にはかつて五百円の戻し減税をしてさっぱり役に立たなかったというふうなことなども頭の中にあるようですが、いろいろな場面も考えつつ運輸行政の中に生かしていくことに、省内のメンバーで慎重にこの問題は研究していかなければばならぬ、私はこう考えております。
  103. 原田憲

    原田委員長 中馬君、もう時間ですから……。
  104. 中馬弘毅

    ○中馬委員 終わりに、私がきょう御質問申し上げましたことは、余り細かいことは言っていないつもりでございます。そして、行政改革を思い切ってやりなさい、そして、いろいろ政策的な前向きの話をどう大臣がお考えになっているかということをお聞きしたので、運輸省という官庁はともすれば許認可官庁で、まあ言ってくるのにいいか悪いかの判こを押すだけだ、そういう嫌いがどうしてもあったと思うのですね。これからはやはり前向きにどうやるかという政策官庁になってほしい、そういう願いからきょうの質問をさせていただきました。よろしくお願いしておきます。
  105. 原田憲

    原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十三分散会