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1982-12-17 第97回国会 衆議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年十二月十七日(金曜日)     午後七時三十七分開議  出席委員    委員長 栗原 祐幸君    理事 江藤 隆美君 理事 越智 通雄君    理事 高鳥  修君 理事 堀内 光雄君    理事 三原 朝雄君 理事 阿部 助哉君    理事 藤田 高敏君 理事 坂井 弘一君    理事 大内 啓伍君       相沢 英之君    上村千一郎君       小渕 恵三君    大村 襄治君       奥野 誠亮君    海部 俊樹君       片岡 清一君    金子 一平君       鴨田利太郎君    澁谷 直藏君       正示啓次郎君    砂田 重民君       田中 龍夫君    渡海元三郎君       根本龍太郎君    橋本龍太郎君       原田  憲君    平沼 赳夫君       藤尾 正行君    藤田 義光君       藤本 孝雄君    武藤 嘉文君       稲葉 誠一君    大出  俊君       大原  亨君    岡田 利春君       木島喜兵衞君    野坂 浩賢君       武藤 山治君    山田 耻目君       横路 孝弘君    草川 昭三君       草野  威君    正木 良明君       木下敬之助君    米沢  隆君       瀬崎 博義君    中路 雅弘君       三浦  久君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         法 務 大 臣 秦野  章君         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 瀬戸山三男君         厚 生 大 臣 林  義郎君         農林水産大臣  金子 岩三君         通商産業大臣  山中 貞則君         運 輸 大 臣 長谷川 峻君         郵 政 大 臣 桧垣徳太郎君         労 働 大 臣 大野  明君         建 設 大 臣 内海 英男君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     山本 幸雄君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖縄開発庁長         官)      丹羽 兵助君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      齋藤 邦吉君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (国土庁長官) 加藤 六月君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 谷川 和穗君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      塩崎  潤君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      安田 隆明君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 梶木 又三君  出席政府委員         内閣法制局長官 角田禮次郎君         内閣法制局第一         部長      味村  治君         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         管理局長    加藤 圭朗君         総理府人事局長 藤井 良二君         総理府恩給局長 和田 善一君         警察庁刑事局長 金澤 昭雄君         警察庁刑事局保         安部長     大堀太千男君         警察庁警備局長 山田 英雄君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         北海道開発庁計         画監理官    富士野昭典君         防衛庁参事官  西廣 整輝君         防衛庁長官官房         長       佐々 淳行君         防衛庁防衛局長 夏目 晴雄君         防衛庁経理局長 矢崎 新二君         法務省刑事局長 前田  宏君         法務省保護局長 谷川  輝君         法務省人権擁護         局長      鈴木  弘君         外務省北米局長 北村  汎君         外務省欧亜局長 加藤 吉弥君         外務省経済局長 村田 良平君         外務省条約局長 栗山 尚一君         外務省国際連合         局長      門田 省三君         大蔵省主計局長 山口 光秀君         文部省大学局長 宮地 貫一君         文部省社会教育         局長      宮野 禮一君         文化庁長官   佐野文一郎君         文化庁次長   浦山 太郎君         厚生大臣官房総         務審議官    小林 功典君         厚生大臣官房審         議官         兼内閣審議官  古賀 章介君         厚生省公衆衛生         局長      三浦 大助君         厚生省医務局長 大谷 藤郎君         厚生省薬務局長 持永 和見君         厚生省社会局長 金田 一郎君         厚生省保険局長 吉村  仁君         厚生省年金局長 山口新一郎君         社会保険庁年金         保険部長         兼内閣審議官  朝本 信明君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省食品         流通局長    渡邉 文雄君         通商産業省通商         政策局長    中澤 忠義君         通商産業省貿易         局長      福川 伸次君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         中小企業庁次長 篠島 義明君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         郵政省人事局長 奥田 量三君         労働省労働基準         局長      松井 達郎君         労働省職業安定         局長      谷口 隆志君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       増田 雅一君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎君         自治大臣官房審         議官      田中  暁君         自治省行政局公         務員部長    坂  弘二君  委員外出席者         日本専売公社総         裁       長岡  實君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ───────────── 委員の異動 十二月十七日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     片岡 清一君   村山 達雄君     平沼 赳夫君   渡辺 栄一君     鴨田利太郎君   矢野 絢也君     草野  威君   竹本 孫一君     米沢  隆君 同日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     宇野 宗佑君   鴨田利太郎君     渡辺 栄一君   平沼 赳夫君     村山 達雄君   草野  威君     矢野 絢也君   米沢  隆君     竹本 孫一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十七年度一般会計補正予算(第1号)  昭和五十七年度特別会計補正予算(特第1号)      ────◇─────
  2. 栗原祐幸

    栗原委員長 これより会議を開きます。  昭和五十七年度一般会計補正予算(第1号)及び昭和五十七年度特別会計補正予算(特第1号)の両案を一括して議題とし、質疑を行います。横路孝弘君。
  3. 横路孝弘

    横路委員 初めに、法務省事務当局の方にお尋ねをしたいと思うのですけれども、過去に、ある特定事件についての論告について、法務大臣から検事総長にその内容事前に見せるように要求されて、内容についてチェックを受けたこと、たとえばこの内容を少し変更しろとかいうようなことは、過去にそういうケースがあったかないか、お答えをいただきたいと思います。
  4. 前田宏

    前田(宏)政府委員 これまでの扱いでこざいますが、論告そのものにつきまして、そういうお尋ねのような事例は承知しておりません。
  5. 横路孝弘

    横路委員 また、求刑について、事前にやはり特定事件について、法務大臣から検事総長に、たとえば求刑無期懲役は軽いから死刑にせよとか、あるいは懲役五年は重いから三年ぐらいにしたらどうかというような、そういうような指示といいますか、指揮を受けたというようなことは過去においてございますか。
  6. 前田宏

    前田(宏)政府委員 そういう場面がなかったというふうにむしろ御理解いただいた方がいいと思います。
  7. 横路孝弘

    横路委員 法務大臣、結局、庶民が心配しているのはそういうことなんですね。検察庁法十四条に基づいて指揮権がどうとかこうとかいうことじゃなくて、これから特定事件について法務大臣事前にその論告内容をチェックするとか、あるいはその求刑内容についてチェックする、過去にないということで、私も常識的にそんなことはあり得ないことだというように思いますが、一般国民心配しているのはそこのところなんですね。  そこで、法務大臣に、刑事裁判というのは当事者主義になっておって、被告弁護団並びに公訴を提起した方の検察官ということの中で進行してきて、そのいわば裁判の進行に基づいて論告求刑というのが行われるわけなんです。そこで、過去にそういうケースはないということで、これは当然のことだと思うのですけれども、法務大臣、こういう過去の法務省の慣行といいますか、常識的な立場法務大臣としておとりになるということをここで明確に御答弁いただければ、私はみんなが持っている心配というのはなくなると思うのでありますが、いかがでしょうか。
  8. 秦野章

    秦野国務大臣 私は、自分の仕事について、普通のことを普通にやるという考えなんです。要するに普通に、そういう観念というか、そういう考え方ですけれども、具体的にまだ経験もほとんどないと言っていいくらいですから、考え方は、要するに普通のことを普通にやるという考えでございます。
  9. 横路孝弘

    横路委員 その普通のことは普通にやるということは、いま刑事局長の方から、論告求刑について、ある特定事件についてああだこうだというようなことを法務大臣から受けたことは過去においてない。普通のことを普通にやれば、そういうことはやらないで、そこのところは検察を信頼していきますよ、これは法務大臣として当然の姿勢だと思うのです。裁判の仕組みというのは、そういう形で当事者主義で進行しておるわけですからね。だから、そこのところを明確に御答弁いただかないと、いまの答弁だと、まだこれは国民は疑問を持ちますよ。何かやる気でいるのでないか、こういうことになりますよ、これは。法務大臣
  10. 秦野章

    秦野国務大臣 普通のことを普通にやるという意味は、要するに、報告はいろいろ来るわけですよね、だろうと思うのですよ。やはり一般的指揮という権限があるし、それからまた特定事件についての指揮できる場合もございますからね。そういうことができるというふうに法律がなっている以上は、いろいろ報告は来るだろうと思います。いろいろ報告が来るときに、これはどういうわけですか、これはどうなんですかという話ぐらいはするのは私はあたりまえだと思うのですよね。しかし、要するに普通のことを普通にする。何か話もできないようなことではなかろうと思うのですよ。それから、指揮とかそういう何といいますか、法律に書いてあるような、そういう具体的な指揮とかなんとかといった権限的なようなことは、そうめったにあるものじゃないのですよ。それはひとつぜひ、普通のことは普通にやるんだということで御理解を願いたいと思う。
  11. 横路孝弘

    横路委員 私、一般論として聞いているわけじゃなくて、論告求刑について過去にそういうことはないと言っているわけですよ。これは当然だと思いますよ。それは、裁判当事者主義で進行していくわけですから、検事は証拠に基づいて論告し、大体、こういうケースの場合はどうだというような経験もありますし、過去のいろいろなケースというのはあるわけですから、そんなに飛び離れてやるわけにもいかないわけですね。そういうことに基づいてやるわけでしょう。過去にないと言っているわけですから、あなたはだから、そういうことで、過去にないことをやろうとするわけではないのでしょう。過去にやらないことをやろうという意思があるのですか。私はまだ一般論として聞いていますけれども、特定事件でもってやってもいいのですよ、その議論は。一般論として、ともかく論告求刑についてそういう指揮を受けたことはない、論告内容をチェックしてこう変えろとか、求刑が重いからもうちょっと軽くしろとか、こんなことを言うはずがない、法務大臣。だから、それはやらないということを明確に答弁してくだされば、それで終わるのです。
  12. 秦野章

    秦野国務大臣 そういういまおっしゃったようなことは絶対にやらぬと、こう言っちまうと法的にはおかしい。しかし、大体そういうようなことはやらぬものなんですよ。それはそういうものだ、普通のことを普通にやると申し上げているのですから。ただ、法律の上には権限として書いてあるので、将来のことを、仮定のことでやるとかやらぬとかいうことを絶対的なことで言えと言っても、それはちょっと無理ではなかろうか。要するに普通のことを普通にやるので、御安心願いますよ。
  13. 横路孝弘

    横路委員 私は、一般的な検察庁法十四条のことを聞いているわけじゃないのです。論告求刑にしぼって言っているわけです。論告求刑については過去にないという答弁だった。  総理大臣、私はこれは法務大臣として適格を疑いますよ。いま、これからロッキード事件田中被告に対する論告求刑があるわけですよ。いまの答弁を聞いておったら、論告事前に読んでチェックする、求刑についてもクレームをつけるということを、どうも可能性として否定してないでしょう。  いままでは一般論として議論されておったわけですね。一般論としてはわかりますよ、そういう権限法律上あるわけだから。そうじゃなくて、具体的に論告求刑について、法務省の方でそういうケースは過去にないと言っているわけですから、それはやはり検察の、ある意味で言うと司法権の独立ということもあって、検察庁法十四条というのは、そういう意味合いもある意味で言うと込められて規定されているわけですね。これは総理大臣、どうですか。私はどうもいまの答弁を聞いていると心配でならない。
  14. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 御心配の必要はないと思います。法務大臣は、法の番人として法を厳正に執行する責任がございます。したがいまして、法の解釈や法の適用というものについてはきわめて厳粛に、厳格にこれをとらえておるわけでございます。したがいまして、その解釈や執行という面についていささかの揺るぎというものがあってはならない。そういう面から、権限的に付与されているということを絶対的に否定するということは、法の番人としてそれは危険である、必ずしも責任を全うするゆえんにはならぬ場合もあり得る、そう考えているんだろうと思うのです。これは法の番人あるいは法務大臣としてのその責任ある立場から見た解釈論。しかし、いよいよ具体的問題が出てきたような場合にどうするかという場合には、その一般論を適用して、そして普通のことを普通にする、従前どおりそのものは流れていく、そういうふうに言外に言っているんだろうと思うので、私はその意を酌んでいただきたいと思うのであります。
  15. 横路孝弘

    横路委員 私、一般論法務大臣のいわゆる指揮について議論しているのではないのです。論告求刑という具体的な問題について、ともかく法務省に聞いてみたら、過去にそういうケースがないというわけでしょう。法務大臣から具体的な事件について、刑期がこれはちょっと軽いからもうちょっと重く求刑しろとか、その逆のようなこと、これは普通はあり得るはずがないのです。あり得るはずがない。  だから、私はもう一度法務大臣に聞きますが、じゃ法務大臣田中総理大臣に対する事件論告求刑というのはやがて迫っているわけです。論告求刑、これは事前にチェックして、求刑についてどうだとか論告についてどうだと、従来そういうことをやった人はいないわけです、法務大臣として。これについてどうですか。
  16. 秦野章

    秦野国務大臣 ただいまの具体的事件のお話ですけれども、私のところに何にもないのですよ。何も来ていないし、全く空なる架空の問題なんです、私にとっては。架空の問題について具体的に私がどうのこうのということに触れること自体が余り適当ではない。仮定のことで触れることは適当じゃない。権限というものは、私はそういうものだろうと思うのですよ。
  17. 横路孝弘

    横路委員 そうしたら、その具体的事件というのは外して一般論として、論告求刑については過去の慣例を守るということをちょっと明確にしていただきたいと思うのであります。
  18. 秦野章

    秦野国務大臣 過去の慣例はよく聞いて、私は普通のことは普通にやると言っているのですから。ただ厳密な議論で、まあ要するに法律論というようなことになると私のようなことになるし、それから架空のことの問題、具体的な問題だったら余り触れたくないのですよ。触れるべきではない。私はまだ何も知らないんだ。(横路委員「いや、一般論として論告求刑について」と呼ぶ)一般論としては普通のことは普通にする。普通のことを普通にすると言って、それでおわかり願えるんじゃないですか。
  19. 横路孝弘

    横路委員 だから、その過去の法務省慣例を守ると言っていただければ、それでいいのです。
  20. 前田宏

    前田(宏)政府委員 大臣お答えになります前に、過去のことをもう一度申し上げますが、私が先ほど申しましたのは、そういうことが問題になるような場面自体がなかったということで、求刑を持ち込んでそれについて直せとかいうようなこと以前の問題というふうに申し上げたつもりでございます。
  21. 横路孝弘

    横路委員 私は、一月になるのか二月になるのか、いずれにせよ論告求刑があるわけでして、そのときの法務大臣並びに内閣姿勢というものを非常にみんなが注目している。いまの答弁ではとても国民の疑問というものは解けたようには思えません。むしろあいまいさが非常に残って、何かやりかねないという心配が残ったということを率直に申し上げておきたいと思います。  次に、日米首脳会談について、時間もございませんのでお尋ねしたいと思います。  初めに、総理大臣に、アメリカ上院外交委員会決議についてどのように受けとめておられるのか。
  22. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 上院外交委員会決議というのは、パーシーさんやハヤカワさんや、あの方々がやった防衛問題に関する決議意味するのですか。まず、対象をはっきりさせていただきたい。
  23. 横路孝弘

    横路委員 先日の決議のことを言っているわけです。全文読み上げなくたって、総理、おわかりでしょう。読み上げないといけませんか。アメリカ上院防衛力増強決議案、十四日のですよ。
  24. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私はその報告を聞きまして、アメリカ一般国民あるいは特に上院議員あるいは下院議員の中に、日本防衛力に関してかなりの関心がある。そして、アメリカはかなり強い期待と希望を持っておる。これはいままである程度累積してきた問題がここにうっせきしてきたな、そういう感じがいたしました。
  25. 横路孝弘

    横路委員 問題は日本の問題ですから、日本安全保障の問題はわが国が決めることだということが基本的な視点だろうというように思うのです。  そこで、首脳会談について、お互い意見交換し合って理解し合うというのは非常に大事なことだと思うのですけれども、しかし問題は、基本的な視点姿勢というものが大事だと思うのですね。つまり、日本が平和のために一体何ができるのか、何をすべきなのかという基本的な視点というのが明確でなければ、アメリカの言うことをただ聞いてくるだけでは困るわけです。そんな意味では、首脳会談に臨む総理基本的な姿勢というのはどういうところにあるのでしょう。
  26. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 やはり平和のために両国の話し合いをよくやっておこうということであります。アメリカといえども戦争をやるためにやっているとは思いません。あの巨大な核兵器群抑止力として扱われているようであります。日本防衛はもとより平和維持のためであり、戦争防止のためであります。そういう点においては私は一致していると思いますし、そういう一致もありますから日米安全保障条約も締結されておるところであります。そういう平和を守るという大きな観点から、お互いにどういう考えを、またどういう政策を持ち合っているか、これは虚心坦懐に話し合ってみたいと思います。  また、世界の諸問題、経済問題もございましょうし、中近東問題等もございましょうし、あるいは通貨問題もあるかもしれません。ともかく世界の重大な諸問題、景気回復の問題等々につきましても、どういう考えを持っているか話し合ってみたいと思います。あるいは先方は、貿易摩擦の問題に関心を持っているかもしれません。  これらの問題について基本的にわれわれはどういう考えを持っているか。また、アメリカに対しましても、軍縮問題、中近東政策、対ソ連政策あるいは中国政策等についてどういう基本的考えを持っているか、よくただしておきたい。そうして、先ほどあなたが申されましたように、日本防衛日本人が決めることでありますから、そういう意見をよく参考にしながらわれわれが決めていきたいと考えております。
  27. 横路孝弘

    横路委員 日本外交は非常に慎重な対応が必要なときだと思うのです。アジアの情勢を見ましても、教科書問題に見られたような問題が出てきている。あるいはシーレーンについてインドネシア、フィリピンからの意見の表明もあるわけでありますし、あるいは最近の中ソの関係改善、あるいはソ連の新体制、いろいろな問題の中で日米関係はどうあるべきかということを基本的な視点にしっかり持っていかなければいけない。そんな意味ではアジアのことも忘れないで慎重な対応をしていただきたいと思うのであります。  二つほど心配があるのです。そこをちょっと御質問したいと思うのであります。  一つは、どうも防衛問題で何か戦後の一大転機になるのではないかという不安が国民の中にあるわけです。総理が先日アメリカ向けのテレビの中で、これから日本はお返しをする番だということを申されたようであります。いろいろな意味があろうかと思いますが、防衛問題についてひとつお尋ねをしたいと思うのであります。  現在の防衛政策基本というのは、いわゆる「防衛計画大綱」ですね。この大綱ができたときには、量的にはもうある程度十分だ。一体これからどれだけこの量がふえていくのかという国民の不安もあるものですから、一定の基盤的防衛力というものを想定して、それを整備していこう、こういうことで今日までやってきているわけですね。こういう基本的ないままでの枠組み、それから戦後憲法をめぐるいろいろな議論の中で、集団的自衛権の問題とか、海外派兵はしないとか、自衛権行使の三要件の問題であるとか、戦後いろいろ議論されてきたいろいろな枠組みが一応ありますね。  私は総理に望みたいのは、そういう枠組みを、アメリカに行ってつい何かしゃべってしまって変えてくるという傾向がないわけではないわけで、そこを非常に心配をしているわけであります。言葉で慎重に検討するとか努力するというのは、アメリカは公約として受け取るわけでありますから、そういう枠組みを今度の訪米で、まだまだ国会の議論というのはこれからなわけでありまして、わずかの議論だけで総理自身のお考えも私たち十分理解しているわけでもありませんし、アメリカに行って方針を変えるということのないように、「防衛計画大綱」を含めたそういう戦後の枠組みについて総理のお考えをひとつお尋ねしたい。
  28. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 憲法を守り、また、いわゆる非核三原則を守り、そして専守防衛、節度ある、そして質的に充実した防衛力を必要最小限度において整備していく、そういう基本方針を守ってまいりたいと思います。  また、自由民主党の内閣でございますから、自由民主党の防衛政策を実行していく。自由民主党の安全保障調査会やら、いろいろ党の政策綱領等もございます。そういう点もよく勉強いたしまして、党員に不満がないように考えながら実行していく、こういう考えでおります。
  29. 横路孝弘

    横路委員 総理、ちょっとそこのところは、やはり国会の中でわれわれ国民の代表として議論をしているわけでありますから、自民党だけの方針じゃなくて、やはり国会の議論国民全体の意見というものを踏まえてというのが基本じゃないでしょうか。いまの最後のところはちょっと気になりますな、それは。
  30. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 自由民主党の内閣は、自由民主党の政策綱領を実行する、それがやはり民主政治であり、国民に対する公約実現ということでありますから、その基本政策に立って行うということは当然のことであります。しかし、内閣といたしましては、先ほど申し上げましたような諸原則を守って、そして自主的に防衛力を整備していくという考えで実行いたしたいと思います。
  31. 横路孝弘

    横路委員 つまり、アメリカへ行って、アメリカで何か新しい政策がぽんと出てくるというようなことはないでしょうね。
  32. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 新しいも古いもありません。いままで申し上げたような線に沿ってわれわれの防衛政策を実行していきたいと思います。
  33. 横路孝弘

    横路委員 もう一つ日米会談でちょっと気がかりなのは、市場開放、特に農業の自由化の問題なわけであります。農林水産大臣に、牛肉とオレンジの自由化について、アメリカ側が一月一日までに回答することを迫っておるわけでございますが、この基本的な姿勢というものはどういうものなのか、お答えをいただきたいと思います。
  34. 金子岩三

    金子国務大臣 お答えいたします。  今日までの経過を少し申し上げます。(横路委員「いや、余り経過はいいんだ、基本的な姿勢はどうなの」と呼ぶ)姿勢は、アメリカには、オレンジ、牛肉を主体にしていわゆる自由化と枠拡大の強い要請があっております。しかし、農林省といたしましては、日本農業を守るためにこの枠拡大、自由化という問題については慎重な態度で臨んでおります。
  35. 横路孝弘

    横路委員 慎重な態度というのは、それは困るのでしょう、農林水産省の立場として。通産大臣や企画庁長官にいろいろこれを聞いてもいいのですけれども、とりあえず農林水産大臣に。
  36. 金子岩三

    金子国務大臣 農林水産省としては、私の責任においては、枠拡大、自由化については絶対反対の態度をとっております。
  37. 横路孝弘

    横路委員 それからもう一つ、いわゆる六品目の問題がございますね。トマトジュースだとか雑豆など、こういうものについては一体農林水産省はどういう考え方なのか。これはいずれも地域の生産農民にとっては死活問題でございまして、たとえば北海道の場合は、畑作で輪作体系なわけですが、その中で雑豆というものの占めているウエートは非常に高いわけなんです。そんな意味で、これはほかの品種ついてもそれぞれの地域において言えることなんですけれども、これの枠の拡大については一体どういうお考えでしょうか。
  38. 金子岩三

    金子国務大臣 お答えいたします。  六品目、雑豆についてもアメリカ側からは従来の枠の倍に当たる数量の要求が出ております。私の方ではこれは全部断っております。
  39. 横路孝弘

    横路委員 農林水産大臣姿勢はわかったわけなんですが、そこで訪米とこれらの問題との関連なんですが、基本的には事務レベルでいろいろと話し合いが進められてきているわけです。だから私は、やはりその話し合いに任せるべきで、首脳会談の議題にこれを取り上げて、そこで何かおみやげ的にアメリカに提示をするということはやはり外交のあり方としても問題があるのではないかというように考えておるわけなんですが、これは総理大臣、いかがでしょう。
  40. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 レーガン大統領と会見をする場合は、こういう大局的な問題について話し合いを行いたいと考えておるわけでございます。
  41. 横路孝弘

    横路委員 その大局的ということの中に、たとえば日米間の貿易摩擦というのは確かに重要な問題で、議題などまだこれから詰めていく段階なのでしょうけれども、いまの御答弁を、こういうたとえば農業の自由化の問題などについては事務レベルの話であって、あなたとレーガン大統領の話はもうちょっと、国際情勢であるとか、次元の高いというか、そういうレベルの話なんだ、こういう御答弁に承っておいてよろしいですか。
  42. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 もとより次元の高い話をしようと思っております。
  43. 横路孝弘

    横路委員 総理大臣のお考えはよくわかりました。農林水産大臣基本的な姿勢もあるわけでありますから、事務レベルの話が進んでおるときにいきなりそんなトップ会談で、ときどきしかしアメリカは、そういうトップ会談に小さな問題を持ち込んできてやるのですよ。だから、そこは総理大臣、外務省の方も含めて、外務大臣、いまの総理の意向を受けて、余り変な問題が議題の中に紛れ込んでこないようにひとつあなたもしっかりがんばってください。
  44. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 総理とよく相談をいたしましてやりたいと思います。
  45. 横路孝弘

    横路委員 次に、全国的な問題ですが、ローカル線の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。  一次線が三十八線のうち北海道、私のところが八線、対策協議会が始まったばかりであるわけですが、それにもかかわらず、十一月の二十二日に第二次の申請線区が明らかにされまして、北海道の場合三十三のうち十四で、みんなかんかんになって怒っておりまして、十二月七日の日に十三の市、四十八の町、八つの村、六十九の市町村が集まって会議を開いたわけでございますが、まだ一次線のめどもついていないのにおかしいではないかという声が圧倒的なわけであります。  こういう市町村の声というのは全国から自治省にも寄せられていると思いますが、この一次線のめどもついていないのにおかしいじゃないかということについて、自治大臣はどのようにお考えでしょうか。
  46. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 この問題は、地方としてはなかなか大変重要な問題でございます。したがって、自治省という立場から申し上げれば、地域の実情あるいは関係地方団体の意見というものも尊重していただき、地元の理解、協力の上に立って進めていただきたいという気持ちでございます。今後とも運輸省とも十分協議してまいりたいと考えております。
  47. 横路孝弘

    横路委員 北海道の場合、ローカル線といいましても、百四十キロを超える線が全部で四本もあるわけです。ある意味で言うと、準幹線みたいなわけでございまして、地域の足や経済の受ける影響は非常に大きなものがあるわけです。北海道は面積が広いわけでございまして、九州、四国プラスさらに山口県という広さがあるわけで、全国画一の基準で決めるのはおかしいじゃないかと従来から議論があったわけであります。  そこで、これは北海道開発庁長官に、あなたも開発庁長官という立場に立ったわけだから、従来のあなたの立場立場として、北海道のために、今度の二次線の問題についてどう考えているか、ひとつ御見解を承りたい。
  48. 加藤六月

    加藤国務大臣 北海道の特定地方交通線対策につきましては、地元の意見を十分伺い、北海道の地域の広大性、路線の長大性等も十分考慮の上、関係地域の実情に即して適切な交通体系が確保されるように慎重に対処してまいりたいと考えております。
  49. 横路孝弘

    横路委員 北海道は現在新北海道総合開発計画というのが進行中なわけであります。これまでの地域発展計画というのはいずれも従来の国鉄線というものを前提にして考えられているわけです。これはそういう意味で言うと、地域の振興法の関係などを拾っていくと、いずれもいろいろな問題が起きてくるわけです。特に北海道というのは将来的に非常に可能性の多いところですから、現状で見てどうだこうだという議論じゃなくて、やはりみずから国が定めているこういう開発計画に沿って考えてもらわなければ困るわけです。だから、開発庁としては当然、どうなんですか、運輸省に対してはやはり物を言うべき立場にある、だから、あなたの従来の立場は捨ててということを私は言っているわけであります。やはり北海道開発庁長官としてここは少し努力するところじゃないでしょうか。
  50. 加藤六月

    加藤国務大臣 従来の立場を捨ててとおっしゃいましたが、私は北海道開発庁長官としてその職務を一生懸命やっていきたいと考えております。
  51. 横路孝弘

    横路委員 だから、いわゆる再建法をつくるときのあなたのポジションは知っているけれども、いま言ったように、たとえばこの新北海道総合開発計画との関連で言うと、これは困るわけでしょう。国の計画と矛盾したことをいまやろうとしているわけですよ。そこについてはどうなのかということなんです。
  52. 加藤六月

    加藤国務大臣 北海道総合開発計画も十分検討し、そして、それぞれの地域に適応した交通体系を考えていきたい、こう考えておるわけであります。
  53. 横路孝弘

    横路委員 しかし、運輸大臣にちょっとお尋ねしますが、参議院の運輸委員会の一九八〇年十一月二十七日の決議にもありますけれども、総合交通体系における国鉄の位置づけが明確にされるということが前提なんでしょう。全然されてないじゃないですか。されてなくて、一次線の協議が始まったばかりで二次の線区申請と、こうきているわけでしょう。だから、市町村がかんかんになって怒っているわけですよ。これはどうなっているのですか。いまの開発庁長官だって、総合交通体系、交通体系と言うけれども、それは何も明らかにされていないですよ。
  54. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 鉄道というものはみんなが希望し、開発に大事なことはよくわかります。ただしかし、最近のようにモータリゼーションが非常に進歩しまして、一日に二千人も乗っていない鉄道、こういうことで非常に心配しまして、政府の方は五十四年に閣議了解でそういう鉄道についての対策を立てて、それを先日第一次をようやくやったわけです。そして、地方の知事さん、さらにまた町村長さんの協力を得て、一次の問題については大体協議に入っています。今度、北海道の場合そうでございますが、この場合といえども、知事さんなりあるいは市町村長さんの意見をよく聞きながら、バス転換等々について、足をどうしてそういう場合でも確保するかということで御協議を私の方としてはお願いしている、こういうことです。
  55. 横路孝弘

    横路委員 だから、その第一次の選定の対策協議会のめどがある程度ついてからやればいいじゃないですか。
  56. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 二千人以下の鉄道というのはたくさんありますけれども、それを一遍にばっとやることも一つの方法でしょうが、ひとつこういう第一次を出してみて、そして、そのやり方等々によってまたさらにそういう場所についてお願いするという段階を実は踏んだわけでございます。
  57. 横路孝弘

    横路委員 ただしかし、その一次線の方はめどがついていないでしょう。つまり、めどがついてからだんだん進めていくというのが、本当にこの国会の附帯決議にある住民の意向を尊重するという立場じゃないですか。
  58. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 第一次でお願いした中にも、第三セクターとかバスに転換したとか、あるいはまた、それを一生懸命やろうというて各県でずっと大体協議がいま調っているわけです。ですから、一次が全部どういうふうになるかという結論というものじゃなくて、進行中といえどもそういうものを参考にしてやってもらいたい、こういうことです。
  59. 横路孝弘

    横路委員 ともかく六十九の市町村が集まりまして、私どものところにもうどんどん電報だとか、皆さんのところにもどんどん行っていると思うのですね。これはもう大変だ。本当に死活問題なわけであります。そんな意味では、市町村だとか知事の意見について十分に聞いてもらいたい。附帯決議にありますが、一次線の場合どうも余りよく聞いて決めたというようにも思われないので、そこら辺のところをひとつ運輸大臣、やはりよく住民の意向というものを尊重するという基本的な立場を明確にしてもらいたいと思いますし、いまいろいろおっしゃったけれども、たとえば北海道の岩内線なんというのは、十一月十一日に最初の協議が持たれただけですよ。しかも、その前提というのは――それぞれ市町村長が参加するに当たっていろいろやはり前提をみんなつけているわけです。だから、決してめどがついているわけじゃないですね。そこのところはやはり運輸大臣として明確に、そういう住民の意向をきっちりと踏まえていくという姿勢をもっと持ってもらいたいと思うのですね。
  60. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 地元の御協議の中にはそういうものの話が出る、そうしたものを私たちの方も参考に申し上げる、そしてまた、一日も早く、あるいは足の確保を次にどういうふうなものをやるかということも御協議願い、また、第三セクターでやっているところでいままで全然鉄道のないところ、それをつなぐためには鉄建公団が金を出して、そして、そういうふうにしてつなぐ努力もしているところもあります。そういういい意味のものも参考にしていただきながら御協議を進めたい。地元の意向については町村長さん方の話を私の方もよくしんしゃくしてやってまいりたい、こう思っております。
  61. 横路孝弘

    横路委員 北海道としては、この国鉄のやり方に非常に大きな憤りを持っているということを明らかにしておきたいと思います。  それから最後に、私の時間がございませんので、北炭夕張の問題について労働大臣並びに通産大臣お尋ねをしたいと思います。  去る十月九日の日に北炭夕張炭鉱が閉山となったわけですが、年末を迎えて、一つは、賃確法の関係ですね。それからもう一つは、いわゆる臨時措置法に基づく交付金の関係、年内支給についてそのめどが一体どうなっているのかということを、それぞれ通産、労働大臣からお答えをいただきたいと思います。
  62. 松井達郎

    ○松井(達)政府委員 事実関係について、まず政府委員の方から答弁さしていただきたいと存じます。  労働省といたしましては、未払い貸金の立てかえ払い制度によります立てかえ払いにつきまして、なるべく早期に支給ができますように鋭意努力いたしているところでございます。何と申しましても二千人を超えるような退職された方々でございますので、異例ではございましたが、私ども現地に本省から係員を派遣いたしまして、審査、確認の手続を進めましたが、その後さらに準備を進めておりまして、おっしゃいますように、年の瀬も控えておりますので、できるだけ十二月中に、年内に支給できますように鋭意努力をいたしているところでございます。
  63. 豊島格

    ○豊島政府委員 今回の閉山に伴って新たに発生しました退職につきましては、通産省としては閉山交付金制度の適切迅速な運用を図って、できるだけ早くこれを支給しようということで現在努力しておるところでございます。  ただ、年内支給ということになりますと、閉山交付金を支払うまでいろいろな手続がございますので、まあ若干間に合わないかと思いますが、しかし、できるだけ早く払いたいということで鋭意努力していきたいと思っております。
  64. 横路孝弘

    横路委員 労働省の方の関係ですね、その賃金確保法の関係は年内支給、それから、いま新エネルギー機構で審査中のものについては、若干時間がかかるけれども、これは年度内ぐらいには何とかなりそうですか。
  65. 豊島格

    ○豊島政府委員 年度内には何とかなるということでございます。
  66. 横路孝弘

    横路委員 それからもう一つ、雇用の問題なんですが、私のところの数字では二千四十六名中再就職者が六百四十五名で、千四百一名が未決定であるということなんですが、十二月十日現在ぐらいで、これは今後対策についてどういうことをお考えになっておられるか、労働省の方のお答えをいただきたいのです。
  67. 谷口隆志

    ○谷口政府委員 北炭夕張炭鉱の離職者の就職問題につきましては、ただいま御指摘になりましたような状況でございますが、まだ未就職の方々が相当数おられます。この方々は、たとえば新会社への就職等も希望されるとか、あるいはじっくり求職活動をしようというようなことでございますので、私ども、すでに本省と道庁に離職者対策本部を設けるとか、あるいはそれをもとに全国的に求人確保をするとか、そういうような体制をしいておりますので、そういう体制をもとに個々の求職者の方々の就職に関する意向あるいは希望等に基づきして、早く就職したい方々にはそれに応じた相談なりあっせんをするとか、そういうことで就職には万全を期してまいりたいと考えております。
  68. 横路孝弘

    横路委員 この北炭夕張問題については、ここにおられる自民党の先生方にも大変御尽力いただいたわけなんですが、最終段階で安倍通産大臣の見解というのがございまして、その中で、政府としては、石炭業界による新会社によって早急に再開発が行われることとなるよう最大限の努力をする。再建構想について四月をめどに検討委員会で結論を出すことを要請したいという安倍通産大臣の当時のいわば見解というものが公表されているわけであります。  そこで、これは総理大臣に、その御見解で中曽根内閣としてもやっていただきたいというように思うのですけれども、総理から一言。
  69. 山中貞則

    ○山中国務大臣 大変恐縮ですが……。  先般阿具根先生初めおいでになりまして、安倍前大臣、横におりますけれども、いまは外務ですから私から答えますが、の答えたことを実行してくれるかということでございましたが、安倍通産大臣答弁いたしました方針をそのまま踏襲して私が実行いたしますというお約束をいたしてございますので、内容は御承知でございますから、一応私から先に答弁を担当大臣としていたしておきます。失礼いたしました。
  70. 横路孝弘

    横路委員 総理からもそこをさらに確認していただければありがたいと思います。
  71. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 山中通産大臣が御答弁申し上げたとおりやりたいと思います。
  72. 横路孝弘

    横路委員 そこで、通産大臣に、この夕張の閉山に当たりまして北炭の真谷地とか幌内の炭鉱に影響を与えないようにという配慮がされてきたわけですが、幌内炭鉱の再建というのはきわめて憂慮すべき状況にあるわけなんですが、問題は、やはり地域経済に深刻な打撃を与えることになるわけでございまして、これについて通産省としてどのようにお考えなのか。  それから、自治省にも、夕張市の財政対策等を含めて、どういうことをお考えなのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  73. 豊島格

    ○豊島政府委員 先生御指摘のとおり、幌内については非常に経営が問題になっているわけでございますが、現在その再建といいますか、処理につきまして、会社側からもいろいろ事情を聞いて今後対策を立てていきたいということを考えております。
  74. 山本幸雄

    ○山本国務大臣 こういう市の行財政環境の急激な変化ということで、夕張市の財政は非常に硬直化しております。五十七年度も四億四千万という赤字が見込まれておるような状況でございますので、これにつきましては、自治省として北海道庁とも連絡をとりながら、適切な助言もいたしますし、また援助の措置も将来考えていきたい、かように思っております。
  75. 横路孝弘

    横路委員 若干時間がございますので、防衛庁の関係の御質問をちょっとしたいと思うのであります。  ことし北海道で陸の日米共同通信訓練、それから日米の共同指揮所訓練というのが行われましたね。これはガイドラインに基づいて五十四年四月以降スタートした各種の共同訓練というものの一つと見てよろしいのでしょうか。
  76. 谷川和穗

    谷川国務大臣 北海道でことしの秋に行われました二つの共同訓練がございます。一つは、指揮所訓練でございますし、もう一つは、通信訓練でございます。通信訓練の方は九月に行われておりますが、指揮所訓練の方は十二月に行われておるわけでございます。そして、それぞれ参加しました日米双方の参加部隊その他につきましては、具体的には必要があれば政府委員から答弁をいたさせますが、以上のような形で行われておるわけでございます。
  77. 横路孝弘

    横路委員 ガイドラインができて以後、共同訓練というのが頻繁に行われているわけなんですが、この日米のガイドラインによりますと、特に今度の場合、共同指揮所訓練が北海道で行われたということがどういうことを意味するかということなんですが、日本に対する武力攻撃がなされた場合、原則としてまず自衛隊が当たる。そして、それでだめで、押し込まれた場合にアメリカの協力を得るんだ、こういうようになっているわけですね。特に陸の場合には海や空と若干対応が違いまして、「陸上作戦」のところを見ますと、つまり日本の方が阻止に失敗したときにアメリカがやってきて、そして反撃を主として米軍はその任務を担うんだということになっておるわけであります。  そうすると、今度北海道で行われたこの訓練というのは、やはり北海道そのものを一つの戦場として想定をして、どこかの国がともかく上陸をして、上陸されてやってきたということを前提とした指揮所訓練ではないかというように、常識的にこのガイドラインとあわせて今度の訓練の規模そのほかを考えると、われわれ受けとめざるを得ないわけなのですが、そういうものとして理解してよろしいでしょうか。
  78. 谷川和穗

    谷川国務大臣 御指摘のございましたように、空並びに海の訓練と陸の訓練とは少々形も違いますが、しかしながら、ただいま御指摘のような北海道においてのみ云々ということではございません。ほかの地域におきましても陸の共同訓練は行われております。  なお、共同訓練の目的でございますが、自衛隊が米軍と共同で訓練を行うこと自体、自衛隊にとりましても非常に大きな刺激が得られるわけでございますし、と同時に、米軍の新しい戦術、戦法の導入にもつながる、こういう目的でやっておるわけでございまして、一地域を特定いたしまして、そして、ただいま御指摘のような北海道に限って云々ということではございません。
  79. 横路孝弘

    横路委員 前から私、この委員会の中で指摘しているわけですが、米ソの核戦略というものが、性能もお互いに向上してくるということの中で、ソビエトのアメリカに対するいわば二撃力を構成している潜水艦というのは、オホーツク海とバレンツ海が中心になってきているわけですね。ですから、これに対する対抗措置としてF16というのが三沢に配備をされる。つまり、北海道のこの北方地域というのは米ソの核戦略の接点になりつつあるわけであります。そういう危険性をやはり非常に大きく持っていると私は思うのです。  そこで最後に、総理大臣がウォール・ストリート・ジャーナルとの最近の単独インタビューの中で、海峡封鎖に非常に積極姿勢をとられたということが報道されておるわけであります。その前提として、日本の軍事力というものはアメリカの軍事力と相互補完的なものなんだ、こういうことも述べられたというように伝えられているわけですが、もし、それが真実であれば、これはかなり安保条約そのものを双務条約的にどうも解釈をなさっているのではないかということが一つと、それから海峡封鎖というのは、気軽におっしゃいますけれども、これはある意味で言うと非常に重要な問題なんでありまして、私は、総理大臣が気軽に三海峡封鎖などというようなことを口にしてもらいたくはないというように思うのです。そういう意味では、非常に慎重な対応をもっとなさってしかるべきじゃないだろうか。アメリカ向けに特にこういうような話をしますと、向こうではそういう期待を持って待ち受けているということにもなるわけでございまして、これは自衛隊の中でだって、海峡封鎖というようなことについてはいろいろな議論が中にあるわけでございます。  そんな意味で、この点についてひとつ総理大臣に真意をお確かめしたいというように思います。
  80. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 ウォール・ストリート・ジャーナルとの会見の中で相互補完的と申し上げましたのは、日本は盾の役目をやる、アメリカはやりの役目をやる、つまり攻撃的性格は米軍が受け持ってもらい、日本列島防衛という防御的性格のものは日本が受け持つ、こういう意味で相互補完という意味を使ったわけです。  それから、海峡の問題につきましては、これも日本防衛の枠内にある、専守防衛の枠内の仕事であります、そういうことを言って、その仕事を改善していくように努めていきたい、そういうことを言ってあります。私は、やはりこの日本列島防衛という面から考えますと、海峡の両岸、領内あるいは領海というものは日本の区域内、日本の主権の大事な場所でありまして、防衛の中で非常に重要な要素を占めている、そう考えておるのです。海峡を防衛しないでいいとか海峡を防衛しないで済むという理論は、日本列島防衛の理論の中には成立しない、やはり海峡を防衛するということも日本防衛の重要なアイテム、項目になっていると考えております。
  81. 横路孝弘

    横路委員 アメリカが言っている海峡防衛というのは、主として極東ソ連軍の太平洋艦隊を中心にして考えているわけですね。それはアメリカアメリカなりの、世界的にグローバルに展開している戦略に基づいて、一千海里防衛などというのも結局は何かといったら、北の方向に向かってソ連の海軍力をどう規制するか、こういう立場に立っているわけです。わが国の場合は自衛権行使の三要件というのがあるわけでありますから、アメリカの言っている海峡封鎖というものと日本の中で議論されているものとの間にやはり違いがあるのですよ。そこを簡単に言葉でもって使ってしまうと、アメリカアメリカのイメージの海峡封鎖、つまり、これは米ソの世界的な軍事的な対決になったときに、日本の自衛隊に対して海峡封鎖というものを要請してくる。しかし、日本は憲法があるわけでありますから、そんなアメリカソ連がどうこうしたときに日本の自衛隊が行動できるということにはなってないのですよ。  ですから、そういうような意味で、私は総理に、特にアメリカの受けとめ方と日本との食い違いというのはいままでよくあるのです、この一千海里の防衛の問題についてもそうなんです、非常に慎重な対応というものを日米の首脳会談で私は特に希望したいというように思います。従来の考えで言いたいことを言われるんじゃなくて、やはり総理大臣というポジションにあるわけですから、そこのところはひとつ慎重に、言葉も選んで発言をしてきていただきたい。そうしなければ、後で国民が大変な負担を背負うことになるわけであります。  その点、最後、時間になりましたから、ひとつ総理に望んで、私の質問を終わります。
  82. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 日本防衛は、憲法に基づきまして、簡単に申し上げれば日本の列島防衛、そういう厳格な規定があるわけでございます。その中には海峡防衛も当然含まれてくると私は考えております。しかし、あなたの言う御意見は、意の存するところはわかりますから、よく注意しておきたいと思います。
  83. 栗原祐幸

    栗原委員長 次に、大原亨君より関連質疑の申し出があります。横路君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大原亨君。
  84. 大原亨

    ○大原(亨)委員 私は、行革と医療改革、行革と年金改革、二つを焦点として質問をいたしますが、最初に、それらをめぐる政治姿勢の問題につきまして質問をいたします。  一つは、これはいろいろといままで、神戸市の近藤病院とかあるいは京都市の十全会病院とか、たくさんの病院で社会問題が発生いたしましたが、埼玉県の芙蓉会富士見産婦人科病院のことであります。富士見産婦人科病院に対しましては、厚生省も医療法上、医師法上あるいは保険法上の措置をとっていると思いますが、どういう措置をとっておりますか。
  85. 林義郎

    ○林国務大臣 大原議員にお答えいたします。  昭和五十五年の九月に、医療法人芙蓉会富士見産婦人科病院理事長の北野早苗さんが、無資格で診療を行っておったということの疑いで埼玉県警に逮捕されました。その後いろいろな捜査が行われましたし、また厚生省といたしましても監査を行ったりいろんなことをしておりますが、同病院は五十六年の九月に休止届を出して、現在も休止中でございます。  具体的な内容につきましては事務当局の方から詳しく御答弁させますが、私といたしましては、こういった事態が起きましたことは大変遺憾なことである、今後ともこういったことがないように十分指導監督を強めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  86. 大谷藤郎

    ○大谷政府委員 先ほど大臣が申されましたように、北野早苗理事長が、無資格で超音波映像装置をもちまして診断を行っていたとの疑いで埼玉県警に逮捕されました。また、この無資格診断に基づきまして不要な手術が行われていたのではないかという疑いが持たれました。このために、埼玉県は、同年九月に四回にわたりまして医療法上の立入検査を行い、また同年十月には、厚生省及び埼玉県が共同の保険監査を実施いたしました。  これらの結果に基づきまして、同病院に対しまして、同年十二月保険医療機関の指定の取り消し、五十六年二月閉鎖命令及び管理者の変更命令を実施いたしました。また、あわせまして、北野千賀子院長に対しましては医業停止処分を行いました。なお、同病院は、先ほど大臣が申されましたように、五十六年九月に休止届を提出をいたしまして、現在も休止中でございます。  今後ともかかることのないよう、十分指導監督をいたしてまいりたいと存じます。
  87. 大原亨

    ○大原(亨)委員 いままで各委員から政治姿勢の問題が質問になったわけでありますが、ただ一つ残っておるのが副総理格の齋藤長官の問題であります。いまのように厚生省が処分をいたしておるわけでありますが、その埼玉の産婦人科の病院から昭和五十四年九月五百万円、昭和五十五年の六月五百万円、五十五年の八月に五百万円、それぞれお金を齋藤長官はもらっておられる。こういうことはすでに有名な事実であります。齋藤長官ということになると富士見病院ということになっておるわけであります。  この病院の問題はいまのような処置を受けておるわけですが、そういうことにつきまして、あなたはそのことを契機にいたしまして、鈴木内閣が成立いたしまして二カ月後、自分で辞任をいたしましたが、どういうことで辞任をいたしたのですか。あなたの考えお答えいただきたい。
  88. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 この事件は、本当に遺憾な事件であったと私は思います。  まず最初に、五十四年、五十五年の政治献金の問題から事実だけを申し上げておきますが、私の後援団体である政治団体に対して、北野さんを通して日本病院会という政治連盟からそれぞれ五百万円ずつ政治献金をいただきました。そして、その金は事件発生後返還をいたしておるということをその政治団体の責任者である私の秘書から承っておるわけでございます。その旨は政治資金規正法に基づく収支決算報告の中に記載されてございます。  そこで、私個人の問題になるわけでございますが、五十五年の七月末に鈴木内閣が誕生いたしまして、私が厚生大臣に任命されたわけでございますが、私が任命されまして二週間ほどしまして、この理事長の北野氏が、この方は私と同じ福島県の方でございますが、私のところに就任祝いということで参りまして、五百万円のお祝い金を置いて帰られたわけでございます。そこで私は、これは返そう、こう考えておりましたところ、その後一カ月くらいたったときにこの事件が発覚して北野さんが逮捕される、こういう事件になったわけでございます。  そこで、私はその当時考えまして、この事件は大きな社会問題になるおそれもあるとも考えました。そして、それと同時に、厚生大臣の地位にある者が、いっときといえども、返したといいながらお祝い金をいただくということは医療に対する国民の不信を招くおそれがある、こう私は考えましたので、道義的な立場考えて私は当然厚生大臣の地位を去るべきではないかということを考えまして、九月の中旬でございましたが、その旨を鈴木総理にもお伝えいたしまして、やはり医療に対する国民の不信を招くということは私はあってはならぬことだから、仮に返したといっても厚生大臣がお祝いをいただく、ああいう事件を起こした人からいただくということは適当ではない、こういうふうに考えまして厚生大臣の職を辞した、こういうことでございます。
  89. 大原亨

    ○大原(亨)委員 これは中曽根内閣が成立いたしましてから最初の国会ですから、政治姿勢の問題については、洗いざらい国民の前に明らかにいたしまして、これを究明することは国会の責任であると思うのです。  そこで、引き続いて御質問いたしますが、昭和五十五年八月の十三日に、厚生大臣室で五百万円を、あなたは三回目を受領されました。五百万、五百万、五百万でありますが。そういうふうに受領いたしましたが、そのときは小切手で受領いたしまして、そして現金にかえられたわけであります。これは事実ですか。
  90. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 五十四年、五十五年は政治団体に対するものですから、私の秘書がいただいてきたと承知をいたしております。私のところにお祝い金を持ってまいりましたのは、小切手で持ってまいったわけでございます。
  91. 大原亨

    ○大原(亨)委員 小切手で持ってきたのを、これを現金にかえられまして、そして九月十八日にこの事実がぱっと明らかになりました。そして、九月の十九日にあなたはお返しになった、そういうふうに報道されておりますが、事実ですか。
  92. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 八月の十三日に小切手でお祝い金をいただいたわけでございますが、ちょうどそのときは非常に多忙なときでありましたので、一応口座に入れまして、九月一日にそれをおろしまして、返そうということで秘書に渡しておったのでございますが、本人との連絡がとれずしているうちに、九月の十日ごろでございましたか、逮捕されるということになりましたので、少しおくれましたけれども、本人の娘に直接お返しをするということにいたしたわけでございます。
  93. 大原亨

    ○大原(亨)委員 あなたは厚生大臣辞任になりましたが、今回は行政管理庁長官に就任をされました。その間に総選挙があったわけでも何でもないわけです。いろいろ皆さん方から話がありましたが、それははしょります。総選挙があって国民の審判を受けたわけではないわけですが、今度は事もあろうに行政改革の主管大臣である行政管理庁長官として入閣をされたわけですが、それは政治的、道義的に見てどういうお考えでありますか。
  94. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 御承知のように、そのとき私は道義的な立場考えて厚生大臣の職をやめたわけでございまして、自今こういうことがあってはならぬということは十分私も反省をいたしておるわけでございます。
  95. 大原亨

    ○大原(亨)委員 私が聞いておるのは、厚生大臣をいままでの経過に従って辞任をされたということで、総選挙も何もあったわけじゃないですよ。引き続いて、ほとぼりがさめたときに行政管理庁長官に復帰する、そういうことは、私は普通の神経では考えられないわけです。  問題は、総理大臣、臨調や行政改革大綱等で、後でこれは引き続いて質問いたしますが、たくさんの課題を抱えまして、薬漬けであるとか、あるいは検査漬けであるとか、あるいは点滴漬けであるとか不正請求とか、この問題の中にも不正請求その他の問題があるはずであります。詐欺罪とか私文書偽造の問題があるはずであります。そういう問題を起こしたところからそういうふうに公然と――政治資金であるか、あるいは言うなれば政治資金規正法に違反する金であるか、あるいは刑事事件に違反をする容疑があるかどうかはそれぞれ議論するといたしましても、現在そういう重要なときであって、国民は十三兆八千八百億円の莫大な医療費を保険料と税金で負担しておるわけであります。この問題について、一兆円ずつ毎年ふえておるわけですが、これを、必要なものについては十分確保しながら不必要なものは切っていこう、こういうことは今日の国民的な合意であります。事もあろうに行政管理庁長官に齋藤さんが再任をされまして、そしてあなたは、臨調、言うなれば行革三昧、こういうことを繰り返して言っておられますが、そういうことができる、こういうふうにお考えでありますか、総理の見解を聞きたい。
  96. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 齋藤さんを行管庁長官に任命したのは私でございますから、私の責任であります。私の責任において実施したことでもあります。  齋藤さんは、厚生大臣時代、いま御指摘のような、また御答弁のあったような事情に基づきまして辞職をいたしました。思慮なきことで世間に御迷惑をおかけしたし、また遺憾であったということで責任をとったわけであります。その後かなりの時間も経過し、また、いろいろ国会活動も党内におきまして一生懸命おやりになっておられまして、いよいよ私が行管長官をやめまして、次にだれを行管長官にするかという点でいろいろ党内を物色いたしましたが、何といっても実力者であり、かつ円熟度の高い齋藤先生をおいてはいない、そう私確信いたしまして、ともかくこの行革を推進するためにこの人材でなければだめだと思いまして、私の責任においてお願いしたわけであります。
  97. 大原亨

    ○大原(亨)委員 いまの答弁は全く納得できない。中曽根総理大臣はここの論議の中で、一定の経過をたどって主権者の審判を受けて出直したんだ、総選挙が済んだんだというふうなことをしばしば言ったのですが、何も済んでいないですよ。それで、事実というものは非常に明らかであるし、富士見婦人科病院につきましては、北野理事長というのは、何も資格はないのに非常に精度の高い電波装置を利用いたしまして、そして婦人科の診断をして、やれ子宮が腐っておるの、早く手術をしろのと、こう言ってさんざんに乱診乱療をやった人であります。そこからそういう問題が出ておるということがわかっておって、事もあろうに行管庁長官でこの医療改革の問題についてきちっと姿勢を正すというときに、幾ら大臣の中にいろいろなダーティーの人がたくさんおると言ったって、こんなのまでどんどん出すということは無神経きわまることではないか。私はこの問題は、時間の関係で後段の半分のところで質問を進めていきたいと思います。  そこで、中曽根総理大臣、いままで私は、この臨時国会の予算委員会を通じましてあなたの憲法論につきましていろいろと聞いてまいりました。これに時間をかけるわけにはいきませんが、あなたは、第一に、個人としても衆議院議員としても改憲については私は一貫した考え方を持っているのだ、こういうことを御答弁になりました。第二の問題といたしまして、中曽根内閣は現在改憲の準備はしていない、こういう御答弁でもありました。そういう日程を持っていない、こういう答弁でもありました。そして、いまは行事三昧で行革に熱中していきたい、これを集中してやりたい、これが中曽根内閣考え方である、こういうふうに御答弁になりましたが、いかがでありますか。
  98. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 最後の行革三昧というのは、行管庁長官時代私が申したので、いまは国政全般を、ともかく仕事を実行いたして、国民の皆様の前に御期待におこたえしたいと申し上げたのであります。
  99. 大原亨

    ○大原(亨)委員 昭和五十七年五月でありますが、あなたは武道館の約一万数千名の聴衆を前にいたしまして演説をいたしておられますが、私はまず行政改革を断行して試練に耐える、これに失敗したら教育も防衛もだめになる、いわんや憲法を改正することはできない、そういうふうに述べまして、行政改革は改憲の布石である、こういうふうに演説をされておりますが、いかがですか。
  100. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 行政改革はその布石であるというようなことは思ってはおりません。行政改革の精神論をやったわけであります。つまり、この試練に耐えて、そして一生懸命この国の立て直しをやろう、それは教育も福祉も、あるいは憲法という問題も、やはりその試練に耐えていくというその精神、国を立て直そうという精神、そういう精神の根本においては同じところからきていると自分は思う、そういう意味のことを言ったと思います。
  101. 大原亨

    ○大原(亨)委員 あなたのお考えはレーガンの考えによく似ておって、スモールガバメント、ストロング・ジャパン、こういう考えだと思います、中曽根ノミックスというのは。それは違いますか。これは後で。  この演説の記録をいたしました文章がございます。これは「民族と政治」という雑誌に載っておる速記の文章でありますが、「まず、行政改革を断行しよう。これは自分で自分を試練する力であります。困難に耐える力であります。この自分で自らを試し、試練に耐える、この大きな仕事が失敗したならば、教育の改革もできなくなる。防衛の問題もダメになります。いわんや憲法を作る力はダメになってしまうのであります。したがって、行政改革で大そうじをして、お座敷をきれいにして、そして立派な憲法を安置する。」  こういうふうに演説しておられますが、そのとおりでありますか。
  102. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 そのとおりであります。
  103. 大原亨

    ○大原(亨)委員 それでは、あなたのお考えは非常によくわかりました。よくわかりましたが、引き続きまして私の質問を続けてまいります。  そこで、昭和五十七年度の予算案を編成するに当たりまして、昨年、臨時国会で行革特例法を審議をいたしまして、三十六の法律を改正いたしまして、二千四百億円余りの金を捻出いたしたわけであります。その中で、厚生年金や共済年金に対する国の負担金を繰り延べいたしまして、四分の一ほどカットいたしました。それが大体一千九百億円余りでございますね。それは、昭和五十七年度を初年度といたしまして、五十八年度は二千三百億円、そして五十九年度は二千七百億円ですから、合計いたしまして六千九百億円で、利子を加えますと約七千四百億円、この行革特例法に基づいて、言うなれば国庫負担を繰り延べる、こういうことにいたしたわけであります。それはまるで、つまり行革ではなくして軍拡ではないかという議論があったことは、記憶に新しいところであります。  私は、御質問を大蔵大臣にいたしたいと思います。  あのときに、いろいろ議事録を見てみますと、質疑応答を見てみますと、この三年間の特例期間が終了いたしますと、その七千四百億円、これについては、言うなれば元利をつけまして返す、速やかに返すというふうに御答弁になっておりますが、その点は間違いありませんか。あなたは委員長でありましたから、事実をお答えいただきたいと思います。
  104. 竹下登

    ○竹下国務大臣 行革特別委員会の委員長は金丸信でございました。私は委員の一人でありました。  あの当時の大原委員の御議論はよく存じておりますが、要するに、行革関連特例法の規定による国庫負担減額分の事後措置については、その時期、内容は特例適用期間経過後における国の財政状況も勘案する必要があるところから、現時点では明確に申し上げられないが、年金財政を損なわないようとの本法の趣旨にかんがみて、できるだけ速やかに着手すべきものと考えておる、私は財政当局の立場からは引き続いてそういう答弁を確認をする、こういう立場にあろうかと思います。
  105. 大原亨

    ○大原(亨)委員 行政改革の進捗とか財政の事情を勘案しという言葉は法制上ついておるけれども、しかし、そういう問題とはかかわりなく元利の償還はやる、そういうふうに御答弁になっておるわけです。繰り返しの答弁の中で渡辺大蔵大臣は言っておりますが、これは間違っておりますか。
  106. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは私も、渡辺大臣答弁を実は整理していま申し上げたわけでございますが、なお、年金の次のいわゆる財政再計算においては、減額措置分については必ず繰り入れを行うという前提で保険料率等の再計算を行うこととする、こういう答弁もついておったわけであります。確かに法律にも書いてありますが、年金財政を損なわないようにという本法の趣旨に沿ってできる限り早い機会に着手すべきものである、そういう精神には変わりございません。
  107. 大原亨

    ○大原(亨)委員 昭和五十九年に赤字国債発行ゼロということは九九%、一〇〇%不可能である、こういう問題については、来年度予算はもうほとんどできておるわけですから、質疑応答の中で、質問に対しましてはそういう答弁でございました。昭和五十九年に赤字国債発行ゼロが不可能ということになりますと、昭和六十年からこの赤字国債が、言うなれば健全な方向へ向かうという方向がないわけであります。それは財政事情を理由といたしまして行革特例法――行革特例法を出すのはおかしいのでありますが、その措置で一千九百億円、引き続いてずっと七千四百億円これから出すわけでありますが、その金は赤字国債発行ゼロとは関係なしに元利を返還する、そういうふうに考えてよろしいですか。
  108. 竹下登

    ○竹下国務大臣 年金財政を損なわないように、これが基本でありまして、いわゆる特例債脱却の問題と直ちにそれが関係しておるというふうには思いません。
  109. 大原亨

    ○大原(亨)委員 それでは、そういうこととはかかわりなしに元利の返還計画を立てて返還する、こういうことでありますね。よろしいですね。
  110. 竹下登

    ○竹下国務大臣 年金財政を損なわないようにとの趣旨にかんがみて、できるだけ早い機会に着手をする、こういうことであります。
  111. 大原亨

    ○大原(亨)委員 御承知のように、いま日本の年金は大変な曲がり角に来ておるわけであります、重要な段階にあるわけであります。私は、この五十七年度に入りまして政府がいろいろな歳出カットをする措置は非常にこそくであって、財政のつじつま合わせにすぎない、こういうふうに思っております。たとえば住宅金融公庫法にいたしましても、運用部利回りは本年は七・三%ですが、金融公庫が貸すのは五・五%でしょう。そうすると、その差があるわけですが、その利子補給をいたしまして、低利の融資をするわけですね。それについてサラ金財政的な措置をことしの春とったわけですが、それは五百十七億円の財政投融資から持ってきたもので利子補給をしておるわけです。三カ年間たちまして、ずっと引き出しておいて、またそれで返すという。そうしたら、五十九年が過ぎまして六十年から、この例をとってみましてもサラ金財政で国の負担はますます多くなりまして、どんどん返していかなければならぬのですよ。それで中期、長期の財政再建ができるのですか。住宅金融公庫法のときには、財政投融資から持ってきたものは昭和六十年から六十六年までに返すという法律がついている。しかし、行革特例法の中には、厚生年金をつまんで後へ繰り延ばしをいたしましても、いついつ返すという法律はないわけです。その点、事実でしょう。
  112. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いわゆるもろもろの行政需要に対する利子補給等を財投をもって対応して、それに伴う俗に言う孫利子等をまた利子補給していく、そういうような措置を行ってきておる、いまの例示をも含めてございます。が、いまの行革特例法に盛られました厚年の問題については、いついつということは明示されておりません。
  113. 大原亨

    ○大原(亨)委員 これは非常にふぞろいであって、目前の歳出のカット、こういうことでつじつまを合わしておるというふうに思います。  そこで、中曽根総理大臣の行管当時からずっと私もここに出まして質疑応答をいたしたわけですが、日本の年金制度というのは、これから先行きに非常な不安を持っております。国民は非常に不安を持っておるわけです。これを長期に安定させるということは、高齢化社会に対応いたします政策といたしましては非常に重要な政策であります。  そこで、いま当面いたしております国鉄は、昭和六十一年以降は積立金を全部食いましても大赤字になるわけでありますが、国鉄の共済年金の救済に関係いたしましていろいろな考え方が臨調答申や行革大綱あるいは共済年金の研究会等から出ておるわけでありますが、この国鉄の再建につきましては、この通常国会には法案を出すというふうにそれぞれ書かれておるわけでありますが、この内容につきまして、あるいは具体的な考え方につきましてお答えいただきたいというふうに思います。
  114. 林義郎

    ○林国務大臣 お答えいたします。  先般、厚生大臣に就任いたしましたときに、総理から年金担当をやれ、こういうふうな御命令を受けました。  現在のところ、いま御指摘のありました国鉄の共済年金の問題につきましては、事務当局におきまして、次期通常国会に出せるよう鋭意努力を進めておるところでございます。  それから、あとは年金一般の問題、大変むずかしい問題がございます。長期的な問題、厚生年金、国民年金その他の問題を含めての統合の問題、いろいろと御意見がございますが、それはその次の段階で考えてまいりたい。五十九年度の国会におきまして出せるように、これからいろいろな準備を進めておるところでございます。
  115. 大原亨

    ○大原(亨)委員 これは大蔵大臣ですね。大蔵大臣、国鉄の共済を救済しなければならぬわけです。これを一つつぶしますと、総理大臣、次から国民年金、船員保険、ずっと十数年にわたりまして、厚生年金に至るまで全部つぶれますよ。一つをほうっておいたら、次は手を打つことはできないわけですから。  そこで私は、数年前、大平内閣のときから、これは事前に徹底的に行政を一元化して、そして年金の大改革をやらないと非常に手がつけられなくなるという点を指摘をしてきたわけであります。しかしながら、当時は伊東正義官房長官、これを年金閣僚懇談会の座長にいたしまして国会で答弁いたしましたが、これは何にも答弁できなかった、あの方は年金を知らないわけですから。忙しくて、官房長官ですから、そういうことではないわけでありますから。  ですから、結局は何もできないままでずるずると来まして今日を迎えたわけでありますけれども、いよいよ出すことになったわけですが、大蔵大臣、あなたは主管ですか。この問題の主管大臣ですか。いかがですか。この問題についてどういう方向で法律を出されますか。これは行革大綱やその他全部出ておりますが、いかがですか。三公社と国家公務員共済の関係です。――あなたが答弁してもいいの。あなたは答弁する資格あるの。
  116. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 急激に進展しておる老齢化社会に対処して、公的年金の再編成をして一元化を図るということは、大原委員が前々から主張されておる持論だと私も承っておりまして、幸い、今度の第三次答申に基づきまして行革大綱が決まったわけでございますが、その手順をずっと詳しく記してございます。  まず第一に、第一段階としては国家公務員共済、それと三公社の共済組合、この四つの共済組合を再編統合いたしまして一元化する、これは来年の三月までに出す、こういうことですね。  第二段階としては、御承知のように、厚生年金と国民年金、この二つを統合するという問題が起こってくるわけでございます。さらに、地方公務員と共済組合との統合問題、こういうふうになるわけでございまして、そうした厚生年金と国民年金を中心とした年金の再編成については、五十八年度じゅうに成案を得る、こういう手順で進めていこうではないか、こういうことでございまして、将来は全部を再編統合していく、こういう方向に手順として進めていこう、こういうことになっておりまして、関係各省それぞれ協力し合ってそういう方向で進んでいこう、その手順で進んでいく、こういうことになっておるわけでございます。
  117. 大原亨

    ○大原(亨)委員 国鉄共済を含めまして三公社と国家公務員、郵政共済年金の統合問題を主管いたしております大臣はだれですか。
  118. 竹下登

    ○竹下国務大臣 国家公務員と公企体職員の共済年金制度の統合問題につきましての主管大臣は、私でございます。
  119. 大原亨

    ○大原(亨)委員 三公社の主管大臣は運輸大臣ですよ、そこに室があるわけでありますけれども。そして、国家公務員共済は大蔵省でありますね。年金担当大臣は林厚生大臣。これは新しいあれでありますが、林厚生大臣でありますが、一体何を展望して、だれが責任を持ってやっているのですか。
  120. 林義郎

    ○林国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま大蔵大臣から国家公務員の共済年金につきましては大蔵大臣、その他の問題につきましての、今回出す次の法案につきましては大蔵大臣が担当すると御発言がございました。私は年金の統合その他の問題につきまして総括的に見ているわけでございますから、私が総括的な立場におきましての担当大臣ということになろうかと思います。
  121. 大原亨

    ○大原(亨)委員 いや、あなたは総括的な大臣。年金担当大臣の決め方が私は問題だと思うのですよ、行管長官。年金についてちゃんと考え方を持った人をやらなければだめですよ。これから勉強する人、あの人は非常に勉強家ですよ。しかし、通産畑中心でしょう。これから勉強をしようという。いまの答弁だってしどろもどろでしょう。こんなことで、全体を見て年金改革ができますか。できないですよ。  では、順次質問いたします。――あなたが答弁する。
  122. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 厚生大臣を年金担当大臣に前内閣のときから指定しまして、それから現内閣においても引き続いてやっておりますが、これは厚生大臣という感覚よりも、国務大臣としての感覚を非常に重要視したのでございます。という意味は、一省一庁にとらわれないで、全般的なバランスも考え、また年金制度の将来性も考えてやることが正しい。  もう一つ付言いたしますと、やはり厚生年金というような問題が将来は出てくる。最終的には厚生年金、国民年金との統合という大問題が出てまいりまして、その最終的な終着駅を考えてみると、これは厚生省が引き受ける役目もまた非常に大きいわけでございます。そういうことも考えまして、第一段階としては国務大臣としての見識を尊重して、いま大事な公的年金を第一次的にやってもらいたい、しかし、いずれ将来そういう展望を持ってやってもらいたい、こういう意味で厚生大臣に引き受けてもらったわけであります。
  123. 大原亨

    ○大原(亨)委員 いまの日本の年金は、総理、六つの省に分かれて八つの年金の制度の法律があるわけです。それから、二十三に事業体が分かれて、独立しておるわけです。ばらばらなわけです。そして、厳密に言いますと、それ以上、九十一も地方公務員がございますから、分かれておるわけです。それがこのまま進みますと、高度成長時代には年金が未成熟だったし、あるいは高齢化の進捗度が低かったわけですから、矛盾はできなかったわけですが、しかし、高齢化社会を迎えまして、年金が成熟いたしてまいりまして、財源に制限が出てまいりますと、日本の年金は、国鉄を初めといたしまして、次から次へとパンクするのです。国鉄だけの問題ではない。ですから、全体をどうするかということを見てやらなければいかぬわけです。そういうことがあるか。  その一つの例といたしまして私は質問いたしますが、年金担当大臣は林さんでありますが、年金担当大臣だということは、閣議で単に確認した程度でしょう。あなたが指示した程度でしょう。つまり、設置法その他を設けまして、年金担当大臣としての権限があるのですか。いま大蔵大臣がやっているでしょう。そういうことをやっているのですか、ちゃんとしたことを。年金担当大臣というのは、国会答弁用につくっただけでしょう。いかがですか。あなたが答弁してください。設置法の改正、しますか。
  124. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 つまり、とりあえずは公的年金の統合という問題がありまして、この公的年金統合という問題になりますと、国鉄もあれば専売もあれば電電公社もありますし、国家公務員もあります。それを全部統合するという意味においては、第三者的立場も必要でもあるわけです。そういう意味からも国務大臣としての見識においてまずやる。しかし、将来展望を見ると、あなたが前からおっしゃっていますように、年金制度全体の整合性と大統合の問題が出てくる。基礎年金という構想もございました。そういういろいろな問題を展望しながらも、これはやっていかぬといかぬ。そういう意味で、厚生年金等を持っておる厚生大臣という役柄もまた考えてやった。将来的展望も踏まえながら、国務大臣としての見識において各省庁を統合してもらいたい、そういう考えでやったわけです。
  125. 大原亨

    ○大原(亨)委員 臨調の答申も行革大綱も共済年金の基本問題研究会の意見書も、それぞれいまの統合案を出しまして、皆さん答弁しておるわけです。しかし、三公社と郵政共済年金と国家公務員を統合いたしましても、きちっと計算が出ておりますように、昭和六十三年には保険料の収入と給付が逆転をするわけです。それから、七十三年には積立金を全部はたきましても赤字になるわけです。これは一定の基準に従いまして保険料を上げた上での話であります。その上にインフレ等がございましたならば物すごい、これはいままでの例と同じであります。いまの年金制度が崩れたのは、一番大きな原因はインフレなんです。それから、時間がたちますと計算が違いが出てくるわけです。そういうように六十三年に単年度収支が赤字になって、七十三年には積立金を加えて保険料を上げましても赤字になるというふうな、そういう統合が現実にできると、こういうようにお考えですか。いまだに案ができないのは、私はそこに原因があるのではないかと思います。  順次それぞれの答弁をいただきたいと思いますが、最初に、統合問題について国鉄総裁のお考え方をお聞きいたしたいと思います。
  126. 高木文雄

    ○高木説明員 たくさんの年金の中で、私どもの年金システムがまず第一に支払い不能になる状態になることは御存じのとおりでございますので、そういう状態に陥ってはいかぬということで、各方面に強く、何とかいわば助けていただきたいというお願いをしてきたわけでございますが、先ほど来の御質問なり御答弁にございますように、最近に至りまして、来年の国会で御審議いただけるものという状態になってきているように思うわけでございます。  いずれにいたしましても、私ども真っ先に支払い不能の状態になりまして、いまのままですと、六十年時点ですでに単年度でマイナスになるという状態でございますので、ぜひ何とか大至急解決策にお取り組みいただきたいと思いますが、それを具体的にどうやるかということについては、われわれむしろまないたの上のコイの立場にございますわけで、ひたすら何とかつぶれないようにお願いをいたしますという立場でございますので、各方面にそういう意味でお願いをいたしているわけでございます。
  127. 大原亨

    ○大原(亨)委員 電電の総裁とそれから専売の総裁に、それぞれ御答弁いただきます。
  128. 真藤恒

    ○真藤説明員 お答え申し上げます。  私ども電電公社といたしましては、公的年金問題が長期の計画に基づいていろいろこれから改組されていくということはいたし方がないことと思いますし、また、そういう方向にはついていかざるを得ないと思っております。  しかし、さしあたり私どもがいま承っておりますような当面の三公社と国家公務員の年金の単純な合併構想というものは、財務の基盤がすぐ壊れてしまうことは見え透いておるわけでございまして、このままではちょっと私ども考えようがないわけでございまして、できるだけ早く国家全体の公的年金の再編成の指針を明らかにしていただくということを切にお願いするわけでございます。  したがいまして、現状のさしあたりの合併の案につきましては、私どももう少し慎重にいろんなお話を承りながら検討しなければならない義務があると思いますので、いまここで何とも申し上げかねるというふうに考えております。
  129. 長岡実

    ○長岡説明員 お答え申し上げます。  現在政府で検討を進めておられます国家公務員共済組合と私ども公共企業体の共済組合との統合でございますが、これは公的年金制度全体の再編統合の第一段階として位置づけられておると理解いたしております。  そういう点から考えまして、いろいろ問題もあろうかと存じますけれども、現実的な対応策ではなかろうかと考えております。
  130. 大原亨

    ○大原(亨)委員 電電の総裁が御答弁になりました点でありますが、これは国家公務員の労働組合も、個々の国家公務員の共済年金も全部経営者は同じ考え方であります。もう先が見えたことをなぜここでつくろうようにやるのだということは、全部の意見であります。ですから、なかなか意見がまとまらぬですよ。専売の総裁はうまいことを言っておりましたが、これはもう終着駅、つまり電電の総裁の答弁は、全体、日本の税金をどうするか、私どもの考え方については述べてきたし、また申し上げますが、どうするかということを明確に構想を示さないと、危ないところはつくろっていっておいて財政のつじつまを合わせることは、たとえば去年の行革特例法案で千九百億円の持ち出しをして国庫負担を削減した、三年間ずっとやって七千四百億、あるいは社会保険の事務費をカットいたしまして保険料に負担させる、そういう目先だけのことではこれはいけない。年金改革はできない。日本の年金をどうするかということをちゃんと考えて――自民党の田中調査会は試案を出しておりますが、これは田中試案でございまして、厚生省は何も出していないわけです。まず近いところから何とかしようというふうな話であります。そういうことではできないわけですよ。日本の年金を、これから四十年、五十年続く高齢化社会に対応して、医療もそうですが、年金についてどうするかという構想を明らかにしないと、部分的な改善は進まない、こういうことにきておるというふうに思うわけであります。  そういう点については、いまの政府のこれに対応する仕方というものは、年金担当大臣の据え方と同じように、全くいままでの惰性や無責任なものであって、大蔵省主導型の財政のつじつま合わせになっておる。つじつまを合わせただけでは矛盾は拡大しますよ、こういう点を私は指摘をいたしておきたいのであります。  これは十兆円を超える税金と保険料による国民の負担であります。たとえばこういうことであります。国鉄はかっては国策上六十二万人いたことがあります。これが四十二万人になりました。いまは三十五万人体制を目指しまして合理化が進んでおるのですが、臨調の答申によりますと二十八万ぐらいを目標にいたしておりますが、そういうふうになってまいりますると、三十万というふうに仮定いたしましても、もらう人が政策上だあっと出るのですから、しかも国民に共通の基盤が年金にないわけですから、年金が成り立っていくわけはないわけでしょう。そんなことはわかっておるのです。しかし、これをつぶせば国民年金も次がずっとつぶれますよと私は指摘をしておる。  ですから、行政改革というのは、こういう問題についてしっかりと血道を上げて努力をして、そして国民が将来心配がないようにすることが行政改革の一番大きな目標ですよ。そういうことがわからぬような総理大臣で、福祉をぶった切っておいて、ぶった切った上で防衛費を増大さしておけば、そうすれば集団防衛の、シーレーンの防衛の、一%の枠を突破するとか、そういうふうなことで憲法改悪の方向をずっと進めていけば、これが行革だというふうな考え方はとんでもない間違いであると私は思いますよ。行革ではありませんが、年金の改定について総理大臣はどうお考えですか。
  131. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 年金の大統合というような問題も踏まえて年金担当大臣として林君を指定したのでございまして、そういう意味で、林君は、その基礎的な将来の大統合を一番頭に置いて目前の公的年金の問題を扱ってもらう。そういう御指摘のようないろいろな問題がありますからこそ、早目に年金担当大臣を決めて、そして、それが大統合を含めた将来を展望しつつ、いまの公的年金の統合をまずやってもらいたい、そういうことでやっておるのでございまして、林厚生大臣はわれわれの期待に必ずこたえてくれると確信しております。
  132. 大原亨

    ○大原(亨)委員 そういう抽象的な中身のない答弁、誠意のない答弁はだめですよ。そんなことは了解いたしません。  共済年金研究会の意見書の中で、これを出されました今井さんは社会保障制度審議会にもおられまして、また根本的な案を持っておられるわけですが、その今井さんがある雑誌に書いておりましたが、とにかく日本銀行とか公団公社の厚生年金には公経済であっても二割の国庫負担を出しておる、国鉄や三公社については、国庫負担の負担分は、言うなれば整理資源と一緒に約三千億円国鉄はあるわけですが、赤字の大きな原因ですが、それと同じように、公経済、公社が負担をしている。これはやはり年金制度が労務管理を脱却しなければならぬ時代でありますから、そういう考え方はおかしいではないか。行政改革で、言うなれば三公社に対する国庫負担分を日銀その他と同じようにやるべきである、道路公団その他と同じように国が負担すべきであるという考え方があります。そのことをやらないと、将来の年金全体をどうするかという制度の目安が立たない、こういう専門的な意見がありますが、大蔵大臣、いかがですか。
  133. 竹下登

    ○竹下国務大臣 年金の全体のこれからの統合等総合的な問題は、年金担当大臣がこれを担当する。私どもが担当いたしますのは、先ほど御指摘がありましたように国家公務員共済、これはまさに大蔵省の所管であります。そして、各省所管に係る公企体との統合をどうするか、こういう問題でございます。それについて委員が御指摘のように、これは国鉄総裁の答弁で言えば助けてくださいとでも申しましょうか、そうした御答弁もありました。  それぞれ内容が、成熟度等を含め大変違いますので、これをもろもろの意見をどう調整していくかというその調整に取りかかり、そうして次の国会に提出をする。その作業をまとめるのは、国家公務員共済組合審議会等をも活用しながらまとめていこうというのが私の立場である。  いまおっしゃいました日銀あるいは道路公団等々、そういうもろもろの年金との対比の関係で、私がこれをいまお答えするだけの知識がございませんので、そのことが必要でありましたら、事務当局からお答えをさすことにしたいと思います。
  134. 大原亨

    ○大原(亨)委員 総理大臣、去年の行革国会と言われた国会で、鈴木総理大臣は次のような答弁をしておられるわけです。つまり、私が指摘をいたしましたが、基礎年金ではなしに、基本年金の導入で年金の立て直しが必要である、こういう御答弁でありました。  私は思うのでありますが、私どもはいま議論をして集約をしておるわけでありますが、やはり年金行政を名実ともに一元化して中長期の構想を持って、いままでの既得権、期待権等を尊重しながらこの年金の改革を進める必要がある。これが一つ。  第二は、年金の内部における基礎年金という構想ではなしに、全体の年金に通ずる基本年金を導入する。これは社会保障制度審議会がかつて五十二年に答申をいたした案にあるわけでありますが、議論いたしましてあるわけでありますが、そういうのを導入をいたしまして、そして基本的な部分について安定度を加えて、その比例報酬部分とあるいは職域年金的な部面について二階、三階を積み上げて実情に応ずるような改革を進めていくということが一つ。  第三点は、年金の開始年齢は、いまの雇用状況から考えて、六十歳開始をおくらせてはいけない。年金の開始年齢を六十歳をおくらせてはいけない。定年制を六十五歳にするという雇用政策をきちっとしまして、それをやっていけば開始年齢はずっといくわけでありますから、そういうことで年金改革を処理すべきである。  したがって私どもは、臨調が答申をいたしておりますように、保険料を上げて、年金水準を下げて、開始年齢を六十歳を六十五歳にするというふうな、そういうふうな言うなれば目前だけの収支のつじつま合わせを考えるような年金改悪はできないという考え方を指摘をいたしておるわけでありますが、この問題につきまして年金担当大臣考えがあればお答えいただきたい。
  135. 林義郎

    ○林国務大臣 お答え申し上げます。  社会保障制度審議会から基本年金構想というのが出ていることは、大原委員御指摘のとおりでございます。この御意見は大変に傾聴に値する御意見だと私は思っております。ぜひこの辺の問題につきましても突っ込んだ議論をしなければならないことでございますから、現行の制度からどういうふうな形へ、そこへ移行していくかという点について具体的な手順をどうしていくかという問題が私は一つあるだろうと思いますし、また新たな費用負担と申しますか、保険料負担というものが必要となる、こういうふうな形になっております。そういったことが果たして現下の情勢のもとで国民的な合意が得られるかどうかということも考えてまいらなければならないと思っております。  また、年金の支給開始年齢を六十歳にとどめるべきであるという御意見もありますし、いろいろな御意見が方々でございます。極端な議論をいたしますと、七十歳からやったら、そのときの老齢人口というものはいまの六十五歳とほとんど変わらないような状況になるではないかというような御意見も、意見としては研究者の中にはあるわけでございます。  そういったものも含めまして、私は、この問題はもうやはり国民全体の合意が必要であろう。そういった形でいろいろな審議会でいまお願いをしてやっておりますが、広く有識者の御意見を聞いてやることも非常に大切なことである。そういった形で現在、二十一世紀における年金というような形でアンケートを出しまして、いろいろな形の御意見を集約していこう。年金問題というのは、私は、これから高齢化の時代を迎えましてやはり国民の合意を求めていかなければならない話である。特に世代間の費用負担の問題でございますから、広く国民の合意を求めていく、若い人の考え方も入れていくということが必要でございますから、そういったような考え方をまとめてやはりこれからの年金体系というものを考えていかなければならない。それが先ほど申しましたように、五十八年度中に大体の骨子を決めていこう、こういうことでございまして、五十九年度には全体の構想をまとめて、広く世の中にお諮りをするというようなスケジュールでいま考えておるところでございます。
  136. 大原亨

    ○大原(亨)委員 公共企業体の共済年金と国家公務員の共済年金を今度出すというのですが、これでは合意を得ることができないと私は言うのです。ですから、いままで年金というのは、これはかなり前から準備しなければいかぬわけです。土壇場になって、この問題はしはしば指摘をしたのに、そういう財政上の措置だけでつじつま合わせというようなことはできない、私はこういうように思うわけです。  いま林厚生大臣は、年金担当大臣として昭和五十九年には全体図を示すと言いましたが、これは間違いでしょう。五十九年に国鉄その他の共済統合法案をやればいいじゃないですか。いまは、いまそういうことの問題が、全体の構想が明らかでないのに、部分的な統合だけやったってすぐ赤字が出るじゃないか、こういう指摘があるのですから、五十九年に一緒にやったらいかがですか。
  137. 林義郎

    ○林国務大臣 大原議員にお答えいたします。  全体の構想をまとめてからと、こういうふうなことでございますが、私は、現在できるものというものはやはりやっていかなければならないと考えておるのです。そういった意味で、国家公務員のものと公共企業体の年金の問題、それぞれの各年金におきまして成熟度も違います。また、いろいろな点で違っておりますが、そこをまずまとめていこう。それを次の国会、先ほど齋藤行管長官の御答弁のとおり、三月末までには出したいという形で現在努力をしているところでございます。そういったことをやりました後で、全体の年金の統合の問題というのはやっていかなければならないだろう、こういうふうに考えているのがわれわれの考え方でございます。  先ほど大原議員からお話がありましてお話を聞いておりました。聞いておりましたが、私は物事というものは、全部をやって全部の体系をということになりますと、考え方としてはまとまるかもしれませんが、現実の問題として一歩一歩できるところからやっていくというのも一つの方法であろうと思いますし、また、ほうっておけばほうっておくほどいろいろな点で問題が出てくるわけでございますから、そういった意味で、大原委員からもずいぶん前から御指摘があったところだろうと私は思います。そういった意味で、早く手をつけていこうというのが現在の姿勢でございます。
  138. 大原亨

    ○大原(亨)委員 総理大臣、これは重要な問題ですからここでは議論が尽きません。つまり、いままで国鉄の共済年金をこんなにほうっておいたのは政府の責任ですよ。これは全体の年金をつぶしてしまうことになるのですよ。国鉄だけじゃないですよ。年金制度というものはそういうものなんですよ。現役とオールドボーイの関係なんですから、そういうものなんですよ。  そこで、林厚生大臣は五十九年に全体の像ができると言いましたが、自民党の田中試案というのは六十九年から七十年にかけて全体の像ができるというのです。全体の法律を改革するというのです。しかしそれでは、それまで近いところで赤字になるところをつぶしていく、統合していくというのでは事態は進みませんよ。これは重要な政府の責任ですから、政府の責任で十分これからも議論を尽くして処理をしてもらいたい。  次に質問いたしますが、これは来年度の予算の編成に関係いたしまして、恩給とか年金というのは、それぞれの附則におきまして公務員の給与を基準として決定するというふうにベース改定の原則があるわけであります。厚生年金、国民年金は物価スライドの原則があるわけでありますが、来年度の恩給、年金、これらの年金等につきましては、スライドの問題についてはいままで御答弁もありましたが、ここで改めてはっきりとどういう措置で政府は臨まれるのか、予算編成に臨まれるのかという点をまず大蔵大臣から答弁をいただきたい。
  139. 竹下登

    ○竹下国務大臣 御指摘のとおり、恩給の改定に当たっては前年度の公務員給与の改善率を指標として用いるのが通例となっております。そして、厚生年金等につきましては、法律上、前年度の消費者物価上昇が五%を超えた場合に物価スライドを行う、こういうことになっておるのは御承知のとおりでございます。  したがって、今日予算編成に当たります態度といたしましては、公務員の方に、ここで何回も議論がございましたが、給与改定を見送らざるを得ない、こういう厳しい財政事情にございますので、五十八年度予算編成に当たりましても、一般歳出を前年度同額にまで圧縮するということを基本に鋭意作業を進めておるところでございますので、五十八年度の恩給、年金の改定はきわめてむずかしい状況にあるということを御理解を願いたいと思っております。  したがって、特に年金につきましては、法律上先ほど申し上げたとおりでございますので、五%を超えたら物価スライドを行う必要がありますが、五十七年度は相当下回ります三%程度であるということに留意をしなければならない、このように考えております。
  140. 大原亨

    ○大原(亨)委員 話がございましたように、国家公務員の給与を基準といたしまして恩給や年金は処理することになっておりまして、そして物価スライドの問題も処理することになっておるわけであります。この問題については非常に波及するところが大きいわけであります。これはたくさんの人口に影響するだけでなしにかなりの予算額に影響するわけであります。しかし、こういうやつをぶった切っておいてこれが行政改革であるなどというふうなことはもってのほかであるというふうに私は思うわけであります。このような場当たりのことをやっておりますと、そうすると、年金制度全体をどうするかという作業が進んでいかないわけであります。そのために矛盾を拡大することになりまして、年金が宙に迷うということになりますと、あらゆる年金改革の問題が行き詰まる、これはすべて政府の責任であるというふうに私はここに明確に指摘をしておきたいと思います。  それから、重要な問題は財政投融資の問題でありますが、この年金の運用利回りは最近だんだんと上がってまいりまして七%を超えました。しかしながら、金を集めるのには政府は経費を要していない。それぞれ別のルートや財源を通じまして集めておるわけでありますが、その運用利回りをたとえば国債並みに八%程度に上げまして、これを一%上げますと、そうすると二兆数千億円の財源になるわけであります。ですから、いまや行政改革というのは民間の活力をつけるというのであるならば、民間の資金に出していくということを考えながら、国債の問題を処理いたしましても、運用利回りで保険料や給付につきましては非常に大きな影響がある。二%運用利回りを上げますと、四兆数千億円厚生年金だけでも出るわけであります。  ですから、そういう点について財政投融資との関係を考えながら、財政投融資については第二の予算といたしましてほとんど審議をしなかったわけでありますが、しかし、この問題について行政改革の上からも根本的な改革をすべきではないか。この点につきましてお答えいただきたいと思います。
  141. 竹下登

    ○竹下国務大臣 財政投融資が第二の予算と言われる、この御指摘は、私も否定するものではありません。したがって、その財政投融資計画というものにつきましては行政需要にどうこたえるか。やはりこれは一元的運用というのが、総合的に行政需要のいわゆる必要度等を勘案するに当たってはその方が最も正しい、こういう考え方に基づいて財政投融資計画の立案に当たりたい、このように考えております。
  142. 大原亨

    ○大原(亨)委員 私の質問はそうじゃないのです、大蔵大臣。私が言っているのは、一元的に運営することについてはたくさんの議論があるんですよ。ずっと利子を考えてみましても、あるいは利子運用を考えてみましても、あるいは積立方式との予定利回りを考えてみましても、非常にたくさん問題がある。ですから、一番大きいのは厚生年金で三十六兆円あるわけです。三十六兆円積立金はあるのですが、将来の債権を考えたら百兆円くらいの請求権が残っているわけであります。ですから、その場合に資金を本当に理解するような運営をしないといけないわけであります。そういう面においては被保険者が参加する、あるいは自主的な運営等を通じまして利子等についても議論をするようなことを被保険者の立場からやらないといけないのじゃないか。官僚任せで、それを財政投融資といたしましていろいろなところへ、公社公団等に流していくとこれが非能率になるのではないか、こういうことであります。  そこで、この問題はしばらくおきまして、いまちょっとこちらに連絡がございますまでおきまして、次に質問を進めてまいりたいと思います。  御承知のように、ことしの三月の末に地域改善対策特別措置法という法律案が、これは政府が出したわけではありませんけれども、議員立法の形で、まあ実質的に議員立法、みんなの合意によりまして政府が出したわけでございますが、これが出てまいりまして五年間の延長になったわけであります。  この問題はきわめて重要でありまして、たとえば現在でも差別事件が続発をしております。たとえば、人事院総裁は来なくてもいいと言ったのですが、局長さんの差別発言の問題もあります。あるいは高見山がよく出ますが、丸八真綿、あれの販売員が被差別部落のところへ売って、掛金で置くような売り方はするなと言って地図をずっと販売員に出したのがあります、その地域に行くな。宗教におきましても、これは平等感に基づくのでありますが、しかし墓所の名前に至るまで差別があったということが出ています。  これは私は二つの側面があると思うのです。一つは、同和対策事業特別措置法によりまして、差別を受けた人が人権の尊厳に目覚めまして、結婚や就職その他の面において差別を受けることは不当である、こういう自覚が出てきたことが一つ。もう一つは、そのことによりましていろんな事象が泣き寝入りでなしに表面化してきたことでありますし、また一方では、政府側の啓発活動や社会教育の活動も一定の役割りを果たしておるというふうに思うわけです。  そこで、五カ年間を延長いたしまして一つの段階の総仕上げをしようということで各党一致でやったわけでありますが、しかし、差別というのは非常に深刻な人権にかかわる問題であります。生死にかかわる、命にかかわる問題であります。  そこで、いろいろ行革で予算をぶった切っておるわけでありますが、同和対策事業特別措置法で議論されましたこと、政府の答弁を聞きましても、事業だけではなしに啓発活動とかあるいは社会教育とかに重点を置きながら、総合的に同和対策事業を進めるべきであるというのが一致した見解であるわけであります。来年度の予算の編成に当たりまして、大蔵大臣はこの問題に対しましていかなる考え方を持っておられるかという点について、御理解、御認識、考え方につきましての御答弁をいただきたいと思います。
  143. 竹下登

    ○竹下国務大臣 まさに財政当局の考え方から申しますと、きわめて厳しい財政事情にございますことは、再三申し上げたとおりでございます。したがいまして、いわゆる聖域を設けることなく根底から見直しを行う必要がございますだけに、地域改善対策予算、これを例外とするという考え方はございません。
  144. 大原亨

    ○大原(亨)委員 私が指摘をいたしましたように、公務員の給与の一定のルール、人事院勧告でありますが、民間準拠の人事院勧告、代償機能の人事院勧告でありますが、これは議論になった点であります。これを言うなれば凍結をいたしますと、来年度の予算に、公務員の給与を基準とするという恩給、年金等にすべて連動するわけであります。これは非常な国民的な大きな問題であるわけであります。これは明確になっておるわけであります。  そこで、人事院勧告の問題につきましてはいままで非常に微に入り細にわたりまして議論をいたしてまいりましたし、その経過と憲法上の諸見解やILOの見解等についてもすでに明らかな点であります。総理大臣は大出委員の質問に対しまして、「当面の人事院勧告については、各野党の質問に代表される意見も踏まえ、国会の判断を尊重し、十分検討いたしたいと存じます。」こういうふうに御答弁になっておるわけでありますが、いよいよ六百七十億円のこの貸金カットを含む、人事院勧告凍結カットを含む予算案の予算委員会における討議の終末も近づいておるわけでありますが、この総理大臣答弁に対しまして、現在の段階がどのようになっておるか、これからどのようにするか、こういう点について総理大臣の明確な御答弁をいただきたいと思います。
  145. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 その御答弁で申し上げましたように、各党各派の話し合い、その結論を尊重してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  146. 大原亨

    ○大原(亨)委員 私が質問いたしましたのは、申し上げましたように、人事院勧告については、各野党の質問に代表される意見も踏まえて、国会の判断を尊重するというふうに言われておるわけでありますね。いよいよ最終の段階になりまして、現在の段階でこの話は与党側においても誠意を持って進められておる、そういうふうにお考えでありますか。それとも、いまどういう段階にあって、そして引き続いてどういう措置をする、こういう問題についてもう少し突っ込んだ具体的な答弁をいただきたいと思います。
  147. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 各党各派の間におきまして、もちろん与党も含めまして誠意を持って話を進めておられると確信しております。
  148. 大原亨

    ○大原(亨)委員 いよいよ最後になりましたので、私は、この問題はきわめて重要な問題である、そういう点は厳しく指摘をいたしておきたいと思います。  国会は、言われましたように、国権の最高の機関でありまして、人事院勧告は国会にも答申をされておるわけでございますから、国会で私どもは十分議論を尽くして、そして、かつて自由民主党の皆さん方の内閣責任者も言っておられましたように、人事院勧告の凍結というのは、万策を尽くしてその最後に決断すべき問題であるということをしばしば主張されておるわけであります。そういう面においては皆さん方の方も、そういう手続上の問題について遺憾の点があったということを、鈴木内閣以来の措置といたしまして、含みのある答弁もされておるわけでございまして、この問題がうやむやに過ごされるということにつきましては、私どもは絶対に了承できないわけでございます。  あと、もう若干時間がございますので、この問題につきましては、最後に私は二つの点を申し上げて、総理大臣の見解を聞きたいと思います。  いまや内外ともに政治は重大であります。何といっても日本のいまの政治の基本といたしまして、行革を進める上におきましてもそうですが、第一は、腐敗の政治を一掃する、政治を正す、これが第一の行革であります。このことなくして公平な政治、公平な行革はできません。  もう一つは、腐敗政治と一緒に諸悪の根源は、軍備拡大にあると思う。アメリカやヨーロッパの経済の活力を低めておるのは軍拡であります。六千億ドルの軍事予算というものが、民間に対する資金や資材を回さないようにして競争力を低めておるわけであります。日本は憲法を守って率先をして軍拡の流れを軍縮に変えていく、こういうことをやらなければ、日本総理大臣といたしまして中長期にわたりまして責任を果たしたと言うことはできないわけであります。アメリカにはレーガンだけではないわけであります、反対党もおって、核軍拡競争の凍結、軍縮について話し合いを始めるべきであるという人もあるわけでありますから。軍備拡大については米ソともに言われ果てておるわけですから、私どもは軍縮でこの日本の血路を開いていくだけではなしに、世界の平和共存を進める、こういうことが必要であるというふうに思いますが、最後に総理大臣の見解を聞きまして、私の質問を終わります。
  149. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 大原さんのかねての御主張でありまして、貴重な御意見として拝聴いたしました。
  150. 栗原祐幸

    栗原委員長 これにて横路君、大原君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和五十七年度補正予算両案に対する質疑はすべて終了いたしました。     ─────────────
  151. 栗原祐幸

    栗原委員長 日本共産党瀬崎博義君外二名から、昭和五十七年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。  これより、本動議について提出者より趣旨の弁明を求めます。瀬崎博義君。     ─────────────  昭和五十七年度一般会計補正予算及び昭和五十七年度特別会計補正予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  152. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました昭和五十七年度一般会計補正予算案及び昭和五十七年度特別会計補正予算案の両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、提案理由及び概要を説明いたします。  なお、動議の案文はすでにお手元に配付してありますので、ごらんいただきたいと存じます。  五十七年度当初予算については、税収を異常に過大見積もりした粉飾予算であり、根本的に見直すべきだとのわが党の批判と警告を無視し、政府が歳入欠陥の心配はないと強弁して成立を強行したものでした。事態の推移はわが党の指摘の正しさを事実で立証し、六兆一千億円に上る税収不足が確実視されるに至ったのであります。  ところが、政府は、わが国財政史上にも類を見ないこの失態について、いまもって一片の反省も示さないばかりか、逆に、それを国民への新たな攻撃の口実に使おうとしているのであります。  政府補正予算案は、膨大な税収不足を、第一に、人勧凍結を初めとする国民への犠牲転嫁によって、第二に、初の交付税年度内減額という地方財政への圧迫によって、さらに第三に、それでも足りず、財政破局の決定的拡大をもたらす空前の赤字国債増発と定率繰り入れ停止で穴埋めしようとするものであります。  一方、このような破局的事態が鮮明になったにもかかわらず、軍事費と大企業奉仕の二つの聖域は今回もまたほとんど手つかずで残されているのであります。  こうして、臨調一次答申実行予算として当初から反国民的、反動的性格を色濃く持っていた今年度予算は、今回の補正によってますます国民の利益と相入れないものとなろうとしているのであります。  しかも、補正予算のこれらの特徴は、臨調基本答申を具体化する来年度予算の中でさらに拡大され、国民生活、日本の平和と安全、行財政の民主的再建に一層の困難をもたらすことは確実であります。  したがって、わが党は、政府が少なくとも以下の内容を盛り込んで、補正予算を抜本的に組み替えるべきことを強く主張するものであります。  第一は、人事院勧告の完全実施であります。  人勧の凍結は、労働基本権剥奪の代償措置さえも否定するものであり、二重の憲法違反であります。しかも、それは公務員のみならず、広範な民間労働者の貸金にも影響し、また、年金、恩給の物価スライド停止にも連動するものです。国民生活を防衛し、消費不況を克服するためにも、人勧完全実施は急務であり、そのための経費三千二百億円を計上すべきであります。  第二は、教育、福祉、中小企業対策等国民生活予算の削減中止であります。  政府案は、私学助成十七億円、国立大学校費八十五億円、社会福祉施設等施設整備費補助金七十八億円、児童保護費等補助金五十六億円などを大幅に削減し、福祉、教育水準の新たな切り下げをもたらすものとなっています。さらに、中小企業倒産が増加しているもとで中小企業対策費を五十五億円減らし、失業率が二十六年ぶりの高率を示しているもとでその対策費を三十二億円削り込んでいるのであります。これらの削減を中止し、少なくとも当初額の全額執行を図るべきであります。  第三は、年度内一兆円減税の実施であります。  五十二年度以来据え置かれ、負担が急増している勤労者に対する大幅な所得減税は年度内に断行すべきです。減税規模は四人家族で四万円、総額一兆円、その内訳は、所得税七千億円、住民税三千億円とし、低所得者に有利な税額控除方式で行うべきであります。  第四は、地方財政緊急対策の実施であります。  地方公務員の給与凍結をねらった交付税千五百二十四億円の削減計画は中止すべきです。国税三税の減収に伴う交付税特別会計の借り入れは、利子のみならず、元金も全額一般会計負担とする必要があります。また、地方税減収補てんのための自治体借り入れに対する利子補給制度を創設すべきであります。  第五は、災害及び住宅対策の予算の確保であります。  災害復旧費を計上するのは当然ですが、その一方で消防施設整備費補助金、大震火災対策施設等整備費補助金などの防災予算を削っているのは重大であります。これらの経費の当初予算どおりの計上と執行を求めるものです。  十月から住宅金融公庫金利を引き上げたため融資申し込みが激減しており、旧金利に戻すこととし、必要な予算を計上すべきです。  第六は、正面装備費未執行分など、軍事費の削減であります。  レーガン核戦略に忠実に従った大軍拡が日本国民に災厄以外の何物ももたらさないことは明白です。政府案では、人権一%分のほかはわずか五十億円しか減額されていない軍事費を、正面装備費、米軍思いやり予算の未執行分全額削除を初め大幅に減額すべきです。  第七に、大企業向け支出の圧縮であります。  電子計算機振興、次期民間航空機開発などの大企業直接補助金、大企業利益のためにもっぱら使用されている経済協力費、エネルギー対策費等の未執行分を大きく圧縮すべきであります。  第八は、大企業優遇税制の緊急是正であります。  大企業の株式時価発行差益非課税制度、受取配当益金不算入制度を初め、各種引当金、準備金、特別償却などの大企業優遇の不公平税制を緊急に是正し、本年十二月期決算から適用すべきです。  以上、私は、編成替えを求めるの動議について、その理由と概要を説明いたしましたが、これが真に日本の平和と安全を守り、国民責任を負うものであるとの確信を表明し、委員各位の御賛同をお願いして、提案の趣旨説明を終わります。(拍手)
  153. 栗原祐幸

    栗原委員長 これにて本動議の趣旨の弁明は終了いたしました。     ─────────────
  154. 栗原祐幸

    栗原委員長 これより討論に入ります。  昭和五十七年度補正予算両案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、順次これを許します。江藤隆美君。
  155. 江藤隆美

    ○江藤委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十七年度補正予算二案について、政府原案に賛成し、日本共産党提出の編成替えを求める動議に反対の討論を行います。  御承知のとおり、昭和五十七年度の当初予算は、ゼロシーリングを採用し、五十九年度特例公債依存体質からの脱却を強力に推進することを基本として編成されたものでありまして、歳出規模の徹底的な抑制が図られました。また、いわゆる公共事業の前倒し実施を初めとする各種の政策がとられたのでありますが、OECD諸国全体で失業者三千万人という世界経済の著しい停滞の影響を受けて、わが国の景気回復の足取りは依然として重く、税収の伸びはさらに鈍化し、当初予算計上額に比べ六兆一千億円の不足が生ずる見込みとなったのであります。  今回の補正予算は、このような情勢を踏まえて提出されたものでありまして、租税、印紙収入の減収に対応して既定経費の一層の節減を図っているほか、やむを得ざる異例の措置として、国家公務員の給与改定を見送り、また、国債費の定率繰り入れを停止することといたしております。  公務員のベースアップ停止については、私は、人事院勧告制度の趣旨、あるいは、公務員の諸君が厳しい環境の中で意欲的かつ誠実に職務を遂行しておられることはよく承知しておるものであります。また、政府・与党は、四十五年当時においては、財政事情のいかんにかかわらず、人事院勧告の完全実施の慣行を末永く守る決意を固めておりましたが、その後の世界経済の推移等により、わが国の財政状況が極度に悪化し、このため、今回かような措置をとらざるを得なくなったことは、わが党といたしましても非常に残念に存ずるところであります。しかしながら、この際は、公務員諸君にまず率先してみずからの給与改定見送りを甘受していただき、いっときのごしんぼうを願いたいと考えるものであります。  また、定率繰り入れ一兆二千億円の停止につきましては、基本的には現行制度を堅持すべきものと考えますが、これによってそれだけ公債発行額の縮減が可能となりますし、また、五十七年度の公債の償還には支障を生じない状況にありますので、この際においてはやむを得ないものと考える次第であります。  政府は、去る十月、史上最大の被害規模となった本年の災害復旧事業のほか、債務負担行為による一般公共事業の追加等の総合経済対策を決定し、これに基づき、本補正予算において所要の措置を講じております。中でも災害復旧につきましては、初年度の復旧進度を高めることとし、必要な経費五千二百二十二億円を計上いたしておりますので、これにより被災地の復旧が早まるとともに、冷え込んだ地方経済に相当の活力が与えられるものと期待しているところであります。  また、地方財政につきましては、国税三税の減収に伴い地方交付税交付金が一兆七千億減額されますが、資金運用部資金からの借り入れにより、地方団体の財政運営に支障のないよう配慮いたしております。  以上の理由により、私は、本補正予算に心から賛成の意を表するとともに、一日も早く成立することを望むものであります。  終わりに、政府は、昭和五十八年度予算について一段と厳しいマイナスシーリングを設定し、概算要求段階から可能な限りの歳出の合理化に努力を払っておられますが、税収の過大見積もりはぜひとも避けられるよう要望いたします。すなわち、五十六、五十七の両年度における歳入欠陥の原因の一端は、予算編成時に税収を過大に見積もったことにあると言われております。来年度の予算編成に際しては、ぜひこの教訓を生かして、税収を厳しく見積もるとともに、歳出の一層の削減に努められたいと思います。  中曽根総理大臣は、従来から行政の立て直しに異常なまでの熱意を示しておられましたが、総理に就任されるや、まずその第一声で、行政改革は「たくましい文化と福祉の国」をつくるための突破口であり、行政の改革を総合的にかつ強力に推進するとの決意を表明され、また、財政の再建についても、最も緊要な政策課題の一つとして全力で取り組む旨言明されました。幸い、今日ほど行政改革と財政再建に対して国民関心と支持が寄せられたことはいまだかつてなかったところであると思います。  今後、政府・自民党は、国民の皆様の一層の御理解と御協力のもと、あらゆる困難に憶することなく、従来路線に沿って渾身の努力を傾け、国民の負託にこたえる覚悟であります。  また、日本共産党から提出されました編成替えを求める動議は、とうてい現実的な提案とは言いがたく、反対を表明するものであります。  以上をもって、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  156. 栗原祐幸

    栗原委員長 山田耻目君。
  157. 山田耻目

    山田(耻)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題になりました昭和五十七年度補正予算二案に対し、反対の討論を行います。  わが国経済は、依然として停滞が続いており、業種間、企業規模間、地域間の格差が一層拡大しており、国民の生活不安は高まってきております。  最近の完全失業者は、政府統計でも百三十万人台を超え、社会、産業構造の変化の中で、構造不況業種を中心に失業者がふえ続け、ことに家計を支える人の失業が目立つだけでなく、新規学卒者の就職難、中高年齢者や婦人の雇用不安も深刻さを加えてきております。中小零細企業は、国内需要の不振によって売り上げが伸び悩み、生産活動が低迷する一方で、大企業の進出や下請切り捨てなどにより小規模企業ほど倒産が多発して、不況の影響によりいまや息切れ企業が目立っているのが実態であります。  物価が安定しているとはいえ、所得課税最低限が五年間も据え置かれていることからくる、名目所得の伸び率の二倍の速さでふえ続ける所得税の負担に加えて、社会保険料等の公的負担は家計を圧迫し、個人消費の支出を抑えるため、その結果は経済も好転しないという悪循環に陥っているのであります。  一方、世界的な不況の中で輸出は伸びません。最近十カ月連続で減少を続けるという戦後最悪の状態にあります。その中で、貿易摩擦の解決策はわが国にとって打撃の大きなものとならざるを得ないことは、農産物の自由化問題一つ見ても明らかであります。  内外経済がかつてない困難な局面に直面している中で、財界主導の行政改革は、憲法の定める平和、福祉、分権をじゅうりんし、国民生活にすべての犠牲をしわ寄せしようとしております。当面する財政再建についても深刻な危機を深めているのが実情であります。  かかる諸情勢のもとで編成され、提出された補正予算は、今日の課題の解決に何ら効果もなく、中曽根内閣の求める国民の信頼を得られるようなものとなってはおりません。  以上、反対理由を申し上げましたが、補正子算は中曽根内閣の今後の政治の方向を指し示す最初の予算でありますが、その内容は、勤労国民に厳しく、経済の先行きにも財政の立て直しにも何らの展望を持ち得るものとなっておりません。それは、やがて示されるであろう五十八年度予算において、軍事大国化と国民生活圧迫の内容につながるものであり、内外両面から、わが国とわが国民を危険と不安のふちに引き込むことになることを指摘して、私の反対計論を終わります。  なお、日本共産党提出の組み替え動議につきましては、現実的な実行可能性を欠いた内容が含まれており、反対いたします。(拍手)
  158. 栗原祐幸

    栗原委員長 草川昭三君。
  159. 草川昭三

    ○草川委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十七年度補正予算二案に対し、反対の討論を行うものであります。  反対の理由の第一は、財政再建計画を破綻させた政府の責任を見逃しにできないことであります。  五十七年度の租税、印紙収入は、政府の当初予算額より大幅な減収となり、国債発行額は三兆九千億円もの増発に追い込まれました。その結果、五十九年度に赤字国債から脱却する計画は、政府みずからが困難と見るように、完全に破綻しました。財政再建の名のもとに国民生活に負担と犠牲を強いながら、いとも安易に公約を棚上げしてしまった政府の責任はきわめて重大であります。しかも、財政再建計画を破綻させながら、それにかわる財政再建計画は一切明示していないのであります。  財政再建の破綻の責任をあいまいにする政府の態度は、納得できるものではありません。  反対の第二の理由は、補正予算の景気対策はきわめて不十分であり、このままでは、さらに失業と倒産を増大させ、税収を減収させかねないことであります。  政府は、実質経済成長率を当初の五・二%から三・四%と大幅に下方修正をしたものの、民間経済研究機関では、そのほとんどが二%台と予測しております。仮に実質経済成長が民間の予測のように二%台になるとすれば、失業者が百四十万人に及んでいる雇用状況や、危機ラインと言われている一千五百件を突破した企業倒産をさらに悪化させることは必至であります。また、税収入も補正予算額よりも落ち込み、第二次補正の懸念すらあるのであります。  反対の第三の理由は、国民的要求となっている所得税減税を見送っていることであります。  所得税減税は、課税最低限度額の引き上げが五年間も見送られ、大幅に実質増税を強いられている勤労者の切なる願いであります。国民生活を守る上で、いまや所得税減税の実施は不可欠な要件と言っても過言ではありません。  所得税減税は、景気対策上も重要であります。低迷を続ける個人消費はここへ来てさらに下降線をたどっており、減税による下支え対策は緊要となっております。  反対の第四の理由は、国債整理基金への定率繰り入れを停止することであります。  政府は、近年財政法を形骸化し、財政運営の節度を踏みにじってきました。それは、赤字国債の発行、法人税の年度区分の変更、歳入欠陥を国債整理基金からの借り入れで補てんしたことなどであります。  国債整理基金への定率繰り入れの停止もその一環であるとともに、将来国債を現金償還するための財源を取り崩して先食いすることから、赤字国債の借りかえにつながることは必至であります。国民に増税と福祉後退を迫りながら、財政の健全化に逆行する措置は認めがたいのであります。  反対する理由の最後は、人事院勧告の完全実施を行わず、見送ろうとしていることであります。  政府は、財源難を理由に人事院勧告を凍結しようとしております。しかし、人事院勧告制度は労働基本権制約の代償措置であり、この完全実施は当然であります。  さらに、政府が人事院勧告凍結を盾に、年金制度の据え置きを画策することは、弱い立場の人たちの生活を無視するもはなはだしく、断固反対するものであります。  政府は、来年度予算の財源として、外為会計の剰余金や補助貨幣回収準備資金を取り崩し一般会計に繰り入れることを検討中とのことですが、これらの財源を利用すれば人事院勧告の完全実施は可能であり、その実施を図るべきであります。  最後に、政府は、五十八年度予算編成に当たっては、本国会におけるわれわれの主張を十分取り入れることを要望し、なお、日本共産党提出の組み替え動議に反対の意を表明し、討論を終わります。(拍手)
  160. 栗原祐幸

  161. 木下敬之助

    ○木下委員 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和五十七年一般会計補正予算及び同特別会計補正予算に対し、一括して反対の討論を行うものであります。  わが国経済は、昨年度、七年ぶりの低成長に陥ったわけでありますが、これは世界不況の余波による側面もあるとはいえ、まさに政府の対応の拙劣さが招いた政策不況と言わなければなりません。  今年七月から九月期のわが国経済は、前期比〇・六%、年率換算二・五%という低い実質成長率を示すにとどまっております。さらに、十月以降においても景気の先行きについては懸念すべき多くの材料を抱えており、早急に景気浮揚のための積極的かつ総合的な経済対策が講ぜられるべき事態に立ち至っているのであります。  これに対し、政府は十月八日、災害復旧事業など総事業規模で二兆七百億円となる六項目の経済対策を決め、そのうちの一部が本補正予算に計上されたところであります。しかし、この政府の対策は規模も小さく、来年度予算の先食いや地方へのしわ寄せをするなど見せかけの内容が多く、現在の深刻な不況に対してはきわめて不十分なものであり、きわめて遺憾であります。これでは政府が下方修正した三・四%の実質成長率の達成さえ望むべくもありません。  特に、勤労者や中小企業者が切望していた所得減税が見送られ、中小企業に対する投資減税の実施が先送りにされたことは、わが国経済の発展と国民生活の安定に目を向ける姿勢のない政府の姿をまざまざと見せつけたものであり、とうてい国民の納得が得られるものではありません。  現在講ぜられるべき景気対策は、所得減税、中小企業投資減税など約二兆円の減税の実施、住宅取得控除の充実などの住宅対策の追加、中小企業承継税制の確立、きめ細かな不況産業対策の実施などであるにもかかわらず、政府が経済、財政についての今後の展望を全く示すことなく、今回のような不十分な景気対策でお茶を濁そうとする姿勢を続ける限り、企業経営者の先行き不安感は払拭できず、わが国経済の活力はますます衰退していくばかりであります。これら諸点についての政府の猛省を促してやみません。  次に、本補正予算に盛り込まれている国債費のうちの定率繰り入れ等の停止についてでありますが、この定率繰り入れ等の停止は、本委員会においてわが党委員が示したとおり、目先の国の財政の苦しさをしのぐには役立つとはいえ、それは後年度に負担を先送りしただけのことであり、本質的には財政再建に何ら貢献するものではないのであります。この、問題を先送りして将来に禍根を残す苦肉の策ともいうべき定率繰り入れの停止は、歳出の縮減への努力を鈍化させ、ひいては国債発行の歯どめを失わせるおそれがきわめて強く、たとえわが国財政が背に腹はかえられないという窮迫した状況にあるとはいえ、絶対に容認さるべきものではないことを強く申し述べる次第であります。  いま一つ、本補正予算案に反対する大きな理由は、国家公務員の給与に関する人事院勧告制度を無視し、約一%の給与改善費を不用額として削除し、給与引き上げを見送ったことであります。  言うまでもなく、人事院勧告制度は、憲法で保障された国家公務員の労働基本権を制約する代償として設けられたものであり、政府は完全実施のため最大限の努力をする義務を負うものであります。これを単なる財政的理由により見送ることは、政府みずから公務員の給与決定の基本ルールを否定するものであり、全農林事件最高裁判決が示すように、憲法上重大な問題であると言わねばなりません。  まず政府が行うべきことは、むだな仕事や行政機構を整理し、公務員定数を大幅に削減し、それによって総人件費を抑制することであります。それが臨調答申の真意であります。これがうまくできないからといって、公務員全体の給与引き上げを見送るということは本末転倒であり、行政改革とは無縁の不当な措置であると言わざるを得ません。  さらに、政府の今回の措置は、民主的労働運動の基本理念にのっとり、法と秩序を守りながら職務遂行に専念し、国民的課題である行政改革に率先してこたえるべく努力してきたまじめな良識ある公務員の同志をはなはだしく裏切るものであります。しかるに、政府みずから労使間の約束を破ることは、違法ストなど法に反した行動をも正当化する根拠を与えることにもなりましょう。われわれは断じて承服できません。  以上申し述べましたとおり、本補正予算案は、わが国経済の実情と国民が国政に対し求めている切実な要求とを無視したものであり、わが党はこれに強く反対し、討論を終わります。(拍手)
  162. 栗原祐幸

    栗原委員長 中路雅弘君。
  163. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、日本共産党を代表し、昭和五十七年度補正予算二案に反対し、日本共産党の組み替え動議に賛成の討論を行います。  反対の理由の第一は、この補正予算が、すでに耐えがたいまでになっている国民生活に新たな困難をもたらすことであります。  政府の言う景気対策は全く見せかけのものでしかなく、国民が強く願った一兆円減税は夢と消えました。それどころか、六百万人の労働者に直接重大な打撃を与える人事院勧告凍結方針をあくまで貫き、さらに私学助成、中小企業対策費などの国民生活関連事業を軒並みばっさりと削っているのであります。人歓凍結は、憲法が保障する労働基本権剥奪の代償措置だとしてきた従来の政府の公式見解をも踏みにじる二重の意味での憲法違反であり、ここに憲法無視の中曽根内閣の体質があらわに示されているのであります。  総理が、来年度予算編成において、年金、恩給の物価スライド停止に踏み切ると表明したことは、福祉全面切り捨ての突破口という人歓凍結の真の意味を政府みずから表明したものにほかなりません。  さらに、総理並びに大蔵大臣が、大型間接税の五十九年度導入を示唆したことも絶対に許すことができません。  反対する第二の理由は、この補正予算が、一兆七千億円に上る史上初めての地方交付税年度内減額を強行し、新たな地方財政危機を引き起こそうとしているからであります。  反対の理由の第三は、今回の補正によって財政の破局的危機がさらに深められることであります。  財政再建のかけ声とはうらはらに、三兆九千億円に上る空前の国債大増発によって、国債発行額は史上最大となるのであります。当初予算に対し、わが党は、それが税収を過大見積もりした粉飾予算であり、根本的に見直すべきだと繰り返し警告したではありませんか。警告を無視し、わが国財政史上に類を見ない大失態を演じた責任にほおかぶりする中曽根内閣に財政を語る資格はもはやないと言うべきであります。  反対する理由の第四は、軍事費や大企業補助金などの聖域が今回もまたほとんど手つかず残されていることであります。  そればかりか、総理は、来年度、軍事費の七%台の伸びを確保することがアメリカの期待にこたえる道だと公言し、さらにGNP一%の枠さえも撤廃する意向を示しました。これらの発言は、中曽根総理の言う思いやりの政治が、まさにレーガン政権と財界にのみ向けられたものであることを改めて明らかにしたものであります。  日本共産党の組み替え動議は、以上四点の補正予算の根本的欠陥を正そうとするものであり、政府はこれを受け入れるべきであります。  最後に、予算委員会を通じて明らかになった最大の問題は、ロッキード疑獄の黒・灰色政治家及び関係者の証人喚問の要求にも応じない中曽根内閣、自民党の驚くべき腐敗体質、ロッキード隠し、田中復権への情熱であり、露骨な改憲志向であります。これを改めない限り、政治への国民の信頼は絶対に得られないことを強く指摘して、私の討論を終わります。(拍手)
  164. 栗原祐幸

  165. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、新自由クラブ・民主連合を代表いたしまして、政府提出の昭和五十七年度補正予算案二案に対し、反対の立場から討論を行います。  一連の審議から露呈されたことは、まず、中曽根内閣がロッキードシフト、対米追随の軍拡志向、憲法改悪志向の驚くべき反動性を持った内閣であるという点でありました。  中曽根内閣の初めての仕事とも言うべき今回の補正予算は、行政改革の点でも言葉だけがあって実質がなく、唯一の看板である行政改革もにせものであることが露呈されています。  六兆一千四百六十億円の税収不足は、税目ごとの減収補正額からも明らかなように、希望的GNPに基づく甘い税収見積もりというわれわれの指摘したとおりの粉飾予算の当然の帰結であります。したがって、この歳入欠陥は歳出カットによって補正されるのが当然の措置であります。  ところが、歳出削減の内容を見ると、現存制度を無視した人事院勧告の凍結による給与改善費六百七十億円の削減を含む既定経費の削減は三千億強でしかなく、税収減に伴う地方交付税の減額を除いた四兆円の補正はすべて粉飾とも言える内容となっています。国債費の減額、公債の追加発行は後年度へのツケ回しであり、とうてい認められる性格のものではありません。  一方、歳出内容を見ると、災害復旧費の追加、義務的経費の追加、住宅・都市整備公団補給金等への追加補正となっておりますが、現在の不況から判断した場合、とうてい景気浮揚策とは言いがたく、財政の窮迫を考慮に入れたとしても大いに疑問の残る点であります。  特に、私は十四日の質問の中で、F16三沢配備に関し、兵舎、住宅の新築費を日本側が負担することは、四十八年三月十三日の予算委員会における地位協定第二十四条二項の解釈についての私の要求に対する大平統一見解を逸脱する違法の措置であり、ましてや、もし配備されるF16が改造型で、その改造費までも日本側で負担せよとの米側の要求があるとすれば全く言語道断であると指摘したが、去る十四日、アメリカ上院外交委員会で可決された対日防衛費増要求決議内容を見れば、当委員会における私の指摘と危惧は現実のものとなったのであります。五十七年度予算中、このような地位協定違反の思いやり予算は五百億円を超しております。これをカットすれば、公務員給与改定分の一%削減は必要ないのであります。  以上、今回の補正予算は、行政改革の面からも景気対策の面からも見るべき内容は全くなく、政府の不始末のしりぬぐい補正と断定せざるを得ないのであります。  防衛費GNP一%以内という五十一年閣議決定の歯どめを外し、禁輸三原則の国会決議に風穴をあけようとし、地位協定第二十四条二項の政府統一解釈をないがしろにし、人勧完全実施の政府誓約をほごにし、五十九年度赤字国債脱却、増税なき財政再建の公約を破棄するという、過去長い間積み上げてきた国会論議の成果を一瞬にして踏みつぶすこの中曽根内閣の危険な未来に対し、内閣の猛省を促すものであります。  また、共産党提出の組み替え動議は、実現する可能性を無視したものとして賛成いたしかねます。  以上で、私の反対討論を終わります。(拍手)
  166. 栗原祐幸

    栗原委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  167. 栗原祐幸

    栗原委員長 これより採決に入ります。  まず、瀬崎博義君外二名提出の昭和五十七年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  168. 栗原祐幸

    栗原委員長 起立少数。よって、瀬崎博義君外二名提出の動議は否決されました。  次に、昭和五十七年度一般会計補正予算(第1号)及び昭和五十七年度特別会計補正予算(特第1号)の両案を一括して採決いたします。  右両案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  169. 栗原祐幸

    栗原委員長 起立多数。よって、昭和五十七年度補正予算両案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました補正予算両案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 栗原祐幸

    栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  171. 栗原祐幸

    栗原委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後十時二十六分散会