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正木委員 これは増税なき
財政再建という問題と非常に複合された問題だと思うのですね。
政府の方も言明なさっておりますが、われわれもそう思います。少なくとも赤字国債の発行がゼロになるような時期、これを一応
財政再建が完了した時期であると見ようとしているのは、大体常識的に言って、それぞれ
財政の問題を
考えている人たちの頭の中にあるだろうと思うんですね。ですから、そういう
意味からいって、いつ赤字国債の発行がゼロになるかということについて、私は、明確にやはり国民の前に示し、それが
財政再建のめどになるということをよく覚えておいていただきたいと思うのです。
この
計画というのは、従来延ばされて延ばされてきまして、本格的に赤字債が発行されたのが
昭和五十年でございますが、それ以来、三木
内閣、福田
内閣、大平
内閣、それから鈴木
内閣、それぞれの
総理が
財政再建を公約して、どんどん延ばしているんですよ。三木
内閣のときは五十一年二月に
財政収支試算というのを出しまして、五十五年には赤字債をゼロにするという
計画を出した。ところが、福田
内閣では
昭和五十三年
財政収支試算で五十七年ゼロというふうに延ばしてしまいましたね。それから、大平
内閣では大平
総理が五十三年の十二月に就任されて五十四年の一月にこれをまた延ばして、ここで五十九年赤字国債ゼロということにしたわけです。それで鈴木さんは、これはどうも異論があるようだけれども、私はもう
財政再建なんというのは嫌になってしまったと途中で投げ出したかっこうになってしまった。こういう状況になっていることは事実なのです。
したがって、非常に
財政再建ということは困難であるということはよくわかります。よくわかりますが、われわれが心配するのは、
昭和五十九年赤字国債ゼロ、そういう公約がもう破綻しているのにもかかわらず、なおかつそれを堅持して、そうして赤字国債ゼロを五十九年にできればしよう、ないしは六十年にできればしよう、そのためには当然赤字債にかわるべき新しい財源というものが生まれてこなければならぬ。それはどう
考えたって、やはり大型間接税というものを頭の中に描いているのではないか、私はそういうふうに
考えますよ。したがって、いろいろわれわれも個人的にはプライベートで話をいたしますけれども、大体衆議院も来年ダブル選挙になるかもわからぬという説の根拠の中にはこれがある。たとえば衆議院は、任期満了まで行くと五十九年の六月ですからね。そうすると、選挙の前にそういう大型間接税の導入なんて、とてもじゃないができない。それは
中曽根総理が幾ら勇気があっても、恐らくこれまた大平
総理みたいにたたかれてしまうから、それはできないでしょう。それじゃどう
考えても、
昭和六十年の大型間接税の導入になるかもしれない。六十年ということになったら、六十一年にまた次の参議院が回ってきますから、そうすると、どう
考えても五十八年に選挙を済ましておいて、当分大きな選挙がないのだという状況をつくって、五十九年度で導入するのではないかということが、これはちまたのうわさとしては相当信憑性がある
考え方なのです。
ですから、そういうふうに
考えてくると、五十九年赤字国債発行ゼロという政策を放棄しないのは、何らかの形で赤字国債をゼロにするためのかわるべき大型財源というものが彼らの頭の中にあるのではないかということは、これは皆言っていますよ。私も、当たらずといえども遠からずだなあというふうに
考えますけれども、だから私は心配して、この問題については国民の前にはっきりして、大型間接税というものは導入しないのだということを明確にしてもらわなければ、やはり国民は安心できないと思うのです。これは
総理がおっしゃったように、税金を国民からたくさんいただくということは、結局不景気の原因をつくるのだ、デフレの原因になるのだということをおっしゃっているのだから、まさかそんなことはしないだろうとは思いますけれども、あなたは決断の人と言われているのだから、決断のときは簡単にやるかもわからぬというあれがありますからね。それでみんなが心配しているということをどうかひとつお忘れのないようにしていただきたいと思うのです。
と同時に、これだけ
財政再建の
計画というものがどんどんどんどん延ばされてきたような状況の中で、
中曽根総理、あなたにはもう後がありません。もう土俵際へ追い詰められたかっこうになっている。後がないというのは、後の
総理大臣がないという
意味じゃありませんよ。したがって、ここで
財政再建ということについてはどうすべきかということを国民に本当に明示をしていかないと、私は、ますます経済運営、
財政運営について国民の信頼を失うことになるだろうと思いますので、あえて申し上げたわけでございます。
そこで、塩崎経企
庁長官、下方修正をなさいましたね。そうして、総合経済対策をお立てになりましたが、これで三・五%、この経済成長はあなた、確信がありますか。