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1982-01-29 第96回国会 参議院 本会議 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十七年一月二十九日(金曜日) 午前十時二分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第五号
昭和
五十七年一月二十九日 午前十時
開議
第一
国務大臣
の
演説
に関する件(第三日)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件
議事日程
のとおり —————・—————
徳永正利
1
○議長(
徳永正利
君) これより
会議
を開きます。
日程
第一
国務大臣
の
演説
に関する件(第三日) 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。
矢追秀彦
君。 〔
矢追秀彦
君登壇、拍手〕
矢追秀彦
2
○
矢追秀彦
君 私は、公明党・
国民会議
を代表して、
総理
の
施政方針
を初めとする
政府演説
に対し質問を行い、
総理
並びに
関係大臣
の所信を伺います。 まず、
鈴木内閣
の
基本姿勢
について伺います。
総理
は、さきの
演説
で「
変化
する
社会
への
対応
」を
基本テーマ
にされました。昨年は、「二十一
世紀
への
足固め
」であったと思います。
総理
は、現下の
国民生活
をめぐる
変化
をどう見ていますか。
国民生活
は、一見、物質的に豊かに見えますが、実際は、低いベースアップと高
負担
に加え、
財政
の機能が低下し、
不平等
、不公平が著しく高まっています。端的な例は、地価の
上昇
によって、土地などの
資産保有者
とそうでない
人たち
の間には大きな
格差
が生じており、もはや
個人
の能力では是正不可能となっています。
中流意識
の後退が叫ばれ、
個人
の
経済
的な力の差が公平自由なチャレンジの機会を閉ざし、新たな貧困が定着、固定化していくのを
政治
がどう救い上げていくかが問われています。
総理
はどう認識されていますか。 また
国民
は、
軍事大国
への傾斜や
学歴偏重社会
、
入試偏重教育
に伴う
教育
の荒廃、
高齢化社会
への
対応
などの面でも将来に対する強い不安を感じております。また、
経済
は
格差
や破
行性
が解消せず、倒産や失業が続発しています。
国民
は、「
変化
する
社会
への
対応
」を自分ではなし得ない現状に強い
政治
のリーダーシップを求めています。
鈴木政治
はこれにどうこたえようとしているのか、お伺いしたい。 さらに、先行き不安の時代、
政治
に強い期待の目が集まっていながら、反面
不信
も強くなっています。一月二十六日の
ロッキード事件全日空ルート判決
では、さきの
児玉ルート
に続き
有罪判決
が下され、
自民党政治
の
金権体質
が司法の場でも明らかになってきました。また、最近
国民
の大きなひんしゅくを買っているのは、
公共事業
の入札における談合問題です。これは政界、官界、業界の癒着による腐敗を示すものであり、
国民
はその是正と入札の
厳正化
を強く求めています。いまこそ
政府
・
自民党
は、
国民
の
政治不信
を取り除くために具体的な行動を起こさねばなりません。 しかし、
総理演説
の中からは
政治倫理
の確立については何の説明もありません。
総理
、あなたが主張されてきた
政治倫理
の確立は一体どうなったのですか。また、わが党が再三主張し、
総理
も各党と議論したいと言われておきながら一向に前進していない
政治資金規正法
の
見直し
の問題はどうなったのですか。
個人献金
に移行するという法の趣旨に逆行して、
企業献金
の
制限緩和
の声はますます強くなっています。これでは
国民
の
政治不信
を取り除くことはできません。
総理
はどうされますか。談合問題も含めて具体的にお答えいただきたい。 次に、金のかからない
選挙
の実現ということで、
自民党
は前
国会
で成立を阻止された
拘束名簿式比例代表制
を導入する
選挙制度改革案
を、性こりもなく今
国会
で強引に成立を図ろうとしています。 われわれがしばしば強く主張しているように、この法案は事実上、
無所属候補
が立候補を制限され、法のもとの平等や
議員資格
の
差別禁止条項
に照らして
憲法違反
という根本的な欠陥を持っています。また、投票の際には
個人
の名前を書くことができず、
政党名
だけを記入し、有権者は名簿の順位も変更できないという、世界でも例を見ない
国民
の
投票意思
を全く無視した非民主的なものです。しかも、
選挙
の洗礼を受けて当選した
選挙
区議員と、ほとんど
選挙運動
をしないで議席を獲得する
比例代表議員
との間には大きな
不平等
が存在します。加えて、
参議院
本来のチェック・アンド・バランスの
独自性機能
を全く失わしめる大改悪であり、心ある
国民
の多くが強く反対しています。
総理
、あなたはそれでも強引に数を頼んで強硬に成立を図ろうとされますか。もしそのような行動に出るならば、それは
民主主義
の破壊であり、
参議院
を死滅させる暴挙なのです。いまからでも遅くはありません。
自民党総裁
としての
総理
が、良識をもってこの
改悪法案
を撤回されることを強く要求します。いかがですか。
総理
、
国民
は不公平、不安、
不信
の
改善修復
を強く願っています。これなくして「二十一
世紀
への
足固め
」も「
変化
する
社会
への
対応
」も全く困難です。以上、まず冒頭に
総理
の基本的な
政治姿勢
を伺っておきます。 次に、
経済
、
財政
問題に入ります。 まず、五十七
年度
経済見通し
についてですが、その前提として、五十六
年度
経済
は、
政府
が当初
国民
に示してきた
内需主導
による均衡ある
経済成長
が大きく食い違い、
内需低迷
、
外需依存
となって内外の問題を激化させた上、昨年十月の五十年基準による
成長見通し
四・七%を二カ月後の十二月の改定では四・一%へと、この間〇・六ポイントもの
下方修正
を強いられたことは周知のところです。顧みれば、
政府
は、五十五年中の
実質賃金
の目減りを
回復
し、
個人消費
を伸ばすと約束してきましたし、昨年五月の
国会答弁
では
河本経済企画庁長官
が「
景気
の
底離れ宣言
」をして、
国民
に明るい期待ばかりを振りまいてきました。結果は、各般に及ぶさまざまな
景気
の明暗、破
行性
が拡大し、
経済活動
が低迷する現状は完全に
経済運営
に失敗したことが明白です。
政府
はこの責任をどうとるおつもりなのか、まず伺っておきたい。 さて、五十七
年度
経済見通し
では五・二%の
成長
を見込んでいます。これは
民間経済研究機関
の三ないし四%の
成長見込み
に比べ
かなり
高くなっています。そこで基本的な問題を数点お尋ねしたい。 第一は、第二次
石油ショック
以降の
日本経済
、なかんずく現下の
経済
は、比較的
物価
が鎮静化する中で
実質賃金
や
民間設備投資
が鈍化し、
企業
の
収益面
では
電子工業
を初め
メカトロニクス分野
を中心に大
企業
の収益好調が見られる反面、
中小企業
は
かなり
の不振が続くという
ばらつき状況
です。
政府
の高目の
経済成長予測
は、
日本経済
の
潜在的成長力
をどう見た結果なのか、あるいは
景気回復予想
の一年おくれによる
需給ギャップ回復
と見て予測されたのか、明確な答弁をお願いしたい。 第二点は、現下の
地域
間、業種間、
企業規模
間などに見られる破
行性
が五十七
年度
において解消するめどはあるのか、あるいは五%程度の
成長
では破
行性
や
格差
の並存は当然あると見るべきものなのかどうか、お伺いします。 第三は、
行政改革
、
財政再建下
において、
経済
に対する
財政
の
役割り
がほとんど期待できなくなっているほか、
金融政策
も
米国
などの
国際金融情勢
との関連で機動的、弾力的な
政策実行
が困難となっております。特に、
行政改革
と
経済
の関連では、
経済
に全く目を向けないで
行革
を進めるならば、結局は
経済
も
財政
も破綻することになりますが、この両立をどうしていくのか、整合性ある答弁を求めます。 第四には、
米国経済
の動向についてですが、
景気
が
回復
に向かえば
米国
の
金利上昇
が再び起こり、
米国政府
は
インフレ
か失業かの選択を迫られることになり、その
政策いかん
は
円相場
や
わが国
の輸出にも大きな影響をもたらすことになりますが、
政府
は
米国経済
をどう見ているのか、お尋ねします。 第五に、五十七
年度
経済見通し
の中身についてであります。
個人消費支出
の
伸び
は実質三・九%と、五十六
年度
の一・八%に比べ倍の
増加
が見込まれています。周知のとおり、
個人
の
所得
は五十六
年度
に入り
実質プラス
に転じたのもっかの間で、
所得税
を初め
公的負担
の二けた
増加
に伴い、昨年六月以降、可
処分所得
は
連続マイナス
という
落ち込み
が続いており、
物価
の安定と
個人消費拡大
の
同時目標
は実現していません。五十七
年度
に家計の可
処分所得
が高まり、
消費
が
回復
するという条件は全くないように見えますが、
政府
の考えを伺いたい。
民間経済
の
自律回復力
を期待する
政府経済運営
に対し、
財界筋
は
春闘大幅賃上げ要求
を警戒して、早くもこれを牽制する発言をしています。また、最近の
消費傾向
は普及型から
質的充実
型に変質し、
大量消費
は見込めないと言われますが、私は、こうした
変化
は
所得
の
増加
が低いことから生じたもので、家計の自律的な
消費傾向
の
変化
ではないと考えますが、どうですか。
個人消費
を
回復
させるには、思い切った
減税
により可
処分所得
をふやすことがすべてに優先する
政治課題
です。
減税
は、冒頭述べた
国民
の
不公平是正
の上でも欠かせません。五年連続の
所得減税
の見送りにより
実質増税
は確実に進行しています。
国民
の
減税
に対する要求は日増しに高まっています。
総理
の耳にはこの
国民
の声が聞こえないのでしょうか。
総理
、この場で
減税
の決断をしてください。いかがですか。 次に、
住宅建設投資
についてですが、
政府
は五十六
年度
〇・九%増にとどまる
住宅投資
を五十七
年度
で一〇・四%増と急激な
増加
を期待しています。五十六
年度
は
住宅建設戸数
が百十万戸台に落ち込むと見られ、当初
見込み
の百三十万戸から大きく後退しております。
政府
は、五十七
年度
に土地、
住宅税制
を改め、
住宅建設
を図ると宣伝していますが、
土地供給
の
増加
と地価の安定は望めません。
住宅建設
の
基本課題
は、五十六年に
国民生活白書
が指摘したとおり、
個人
の
住宅取得能力
にあります。これの改善なくしては
政府見通し
の達成に疑問を持たざるを得ません。
住宅投資回復
の根拠と条件を伺います。 さらに、
物価
についてですが、
卸売物価
は五十七
年度
三%
上昇
と、五十六
年度
見込み
一・八%の約倍の
上昇
を
見込み
、
消費者物価
も四・七%
上昇
と、五十六
年度
四・五%より高く見込んでいます。
民間経済研究機関
が
上昇率低下
を見込んでいること、さらに
為替レート
が円高に向かうことから見て
政府見通し
は理解できません。さらに
日銀総裁
からも、
政府経済見通し
は
調整インフレ
の危険ありと警告しています。
物価
の安定を口にしながら、その陰では
インフレ政策
をねらっているのではないかと思いますが、
国民
の納得のできる説明をしていただきたい。 次に、
景気
に関連して
素材産業
と
中小企業
問題にしぼって伺います。現在、アルミ、パルプ、
塩ビ樹脂
などの
素材産業
は不況にあえいでいます。
政府
は
不況カルテル
など
一時しのぎ
の
対策
はとっているものの、
産業構造
の基本的な
変化
に
対応
する施策はとっておりません。
素材産業
の
重要性
にかんがみ
政府
はどう対処されるのか。
通産大臣
に早急な
対策
を希望するとともに、その
方針
を伺います。
中小企業
については、日銀の
企業短期経済観測
で見ると、その
売上高
は、五十六年一−三月期は前年
比マイナス
を記録し、七−九月期もほんのわずかな
伸び
です。これに反して大
企業
の多くは大幅な
伸び
を示しています。五十七年三月以降の予測も
中小企業
に明るい
見通し
はありません。
中小企業
の振興は
景気回復
の大きな要因のはずです。
政府
の
対策
を伺います。 次に、
貿易摩擦
問題ですが、
政府
の
経済見通し
では、五十七
年度
の
経常収支
を百二十億ドルと見込んでいます。五十六
年度
が百億ドルを上回ることは確実で、五十七
年度
も内需の
回復いかん
では
輸出増
に拍車がかかり、
貿易摩擦
を高める懸念が濃厚です。また、
OECD発表
の
主要国
の
経済成長率予測
では、
米国
は
マイナス成長
、西独、フランスは一ないし二%
成長
にとどまり、失業問題は一層の
深刻化
が心配されており、五十七
年度
は
貿易摩擦激化
の条件がきわめて高いと言えます。
総理
は、
貿易摩擦
の解消を最
重点課題
として取り組むと述べられ、非
関税障壁
の改善や
市場開放
、
製品輸入
の拡大などを挙げていますが、これらの措置で
世界経済
の
縮小化
の動きを食いとめられますか。また、
輸入増加
にどの程度の効果が期待できますか。対米、対
EC別
に説明をしていただきたい。
わが国
は、一方で貿易・
技術立国
として
最先端製品
を開発し、
世界市場
に輸出していかないと
経済
は成り立ちません。このことは
貿易摩擦
問題を次々に生じさせやすい立場にあることを意味します。
政府
は、との点の調和を抜本的にどう図る所存か、その
対策
を伺いたい。また、
わが国
の
経済発展
は海外からの
資金調達
に負うところが少なくありません。
わが国経済
の
国際的地位
の高まりに伴って
金融市場
の開放問題は急務です。
政府
の
具体策
を伺いたい。 さらに、ここで問題なのは、日本の
市場開放
によって一番影響を受ける畜産、果実などの
国内農業
です。
貿易摩擦
のツケを農業のみに押しつけるようなことがあってはなりません。
総理
は、この点いかなる
対策
をもって臨もうとしているのか、伺いたいと思います。 次に、
防衛費
の異常な突出と
社会保障費
の圧縮について伺います。五十七
年度
予算
では、
防衛費
が七・八%の
伸び
、
社会保障費
は二・八%と、
防衛費
の三分の一の
伸び
に抑えられ、
一般歳出
の
増加分
五千六百九十六億円の実に四三%が
防衛費
に充てられたことになります。さらに、
防衛費
の
増加
は
中期業務見積もり
の前倒しによって巨額の後
年度負担
が生じ、
国民
総生産に対する比率が一%を上回ることは明らかであります。
財政硬直化
を理由に
社会福祉
を切り捨て、
心身障害者
を初め
社会
的に弱い立場の
人たち
をいじめておきながら、一方では
防衛費
のみを聖域化しようとする
政府
の
姿勢
に
国民
は強い不満を抱いています。中でも
児童手当制度
は、わが党の再三の
拡充要求
にもかかわらず後退を続けております。
出生率
の低下、
老齢化社会
など将来の
わが国
を考えた場合、
中央児童審議会
の
意見書
に述べている「第一子からの支給」、「手当の
大幅引き上げ
」、「
所得制限
の撤廃」の線に沿って拡充すべきであると思いますが、
総理
の御所見を伺いたい。 さらに、
大蔵原案
では、またしても
教科書有償化
が打ち出されました。
教科書無償配付
は憲法の精神に沿ったものであり、
国民
の権利であると思います。
財政当局
が
財政事情
のみを理由にして
有償化
を打ち出すことは不当です。
総理
は、
国民
に
教科書有償化
は今後ともあり得ないとはっきり約束していただきたい。 次に、
行財政改革
の推進について伺います。
行政改革
は、単
年度
の会計上のやりくりや
金づくり
だけで事足りないことは明白です。
財政再建期間
というトルネルを出たとき、二十一
世紀
につながる
行政システム
ができ上がっていなくてはなりません。そのためには五十七
年度
予算
の中にもその芽を組み込んでおくべきで、それが
行政改革
の理念と言えます。五十七
年度
予算
にその芽はありますか、その項目は何ですか。 五十七
年度
予算編成
で、臨調第一次答申やゼロ
シーリング
の
上限枠設定
により、各省庁では自主的な
減額査定
が行われました。しかし、
シーリング枠
を突破する幾つかの経費については後
年度
に支出を義務づけるなど、
一時しのぎ
の
ツケ回し
が行われて、その額は八十億円と伝えられています。これでは隠れた
借金依存財政
としか言えません。後
年度負担
の
ツケ回し経費
を説明してほしい。また、五十八
年度
以降の支出にどう関係してくるかも伺いたい。 さらに、五十七
年度
行革
における
補助金
の
整理合理化
はどう図られましたか。
補助金
の
執行状況
を見ると、
不用額
を多く出しているものと、そうでないものとの
ばらつき
がありますが、
整理合理化
の基準は何ですか。また、一律
削減
で支障は生じないのかも伺いたい。さらに、公務員の
削減
、
配置転換
はどの程度進んだかもあわせて説明してください。 この夏には
臨時行政調査会
の
基本答申
が出され、
行革
がいよいよ本番を迎えます。国鉄を初め、各種の組織、機構にメスを入れる大手術が答申されると言われますが、五十八
年度
の
予算編成
は五十七
年度
と同じような手順で進められるのでしょうか。また、五十七
年度
行革
の
実行面
でも見られたように、給与や人、組織などに関係する
改革
はきわめて実行が困難で後退しがちですが、五十六
年度
以上に決断を迫られる
基本答申
をどう実行されますか。なお、
行革
の進め方について、無原則、機械的一律方式は、
国民生活
の破壊と
環境衛生
など
中小零細企業者
の
生活権
を脅かす
危険性
があります。この点慎重な配慮を要望しておきます。
財政再建
問題について伺います。
財政再建
の
政府指針
は、昨年
国会
に提出された
財政中期展望
であり、五十九
年度
には
赤字国債
から脱却することを公約されました。この
方針
を守るために、五十七
年度
のゼロ
シーリング
を初め
緊縮予算編成
が行われたはずです。五十七
年度
予算
は、
中期展望
の一二・三%の
歳出増加見込み
が六・二%とほぼ半分に圧縮され、
予算規模
は二兆八千億円ほど縮小されました。この
歳出圧縮
は要
調整額
を解消したものの、福祉や
教育
にしわ寄せされたことは許しがたいことであり、不要に膨張した経費をもっと圧縮すべきでありました。 こうした五十七
年度
予算規模圧縮
の
状況
から見て、
財政再建期間
の各
年度
においては
中期展望見通し
の
予算額
より小さな規模の
予算
になることは必至で、
歳出面
では
中期展望
を上回るスピードで
財政再建
が進むことになります。さらに、この夏の
臨調基本答申
を誠実に実行するならば、さらに
歳出削減
が進み、
歳出面
での
財政再建
のめどはつくはずです。 次に、
歳入面
から見ますと、五十六
年度
の
税収
不振の影響で、五十七
年度
予算
は
中期展望
の
予定税収
を三千六百六十億円も下回り、また
赤字国債
の
削減
も予定より二千六百九十億円少なくなっています。これは
政府
の
経済運営
の失敗によるものであり、その
政治責任
は重大です。しかも、
財政当局
は本日の閣議に新
中期財政展望
を報告しましたが、その中身は
財政再建
の
困難性
をいたずらに誇張し、
増税
なき
財政再建
を放棄した上、
国民
には
行政サービス
の切り下げと
増税
の二つを押しつけるものであり、断じて許せません。しかも、五十六
年度
の
税収見通し
は、
補正予算
の減額を超える
落ち込み
となることは確実です。
政府
はこの
見通し
の誤りをどうされますか。
財政再建
の達成には
税収
の動向がその成否のかぎを握っています。そのため、
財政再建期間
中といえども
景気
と
財政再建
の両立は常時心がけることが当然であり、
不公平税制
の是正はもちろんのこと、創意と工夫によって十分な
税収
が得られるような
経済
の
環境づくり
を図っていかなければなりません。 しかし、最近、
政府与党
の内部に
中期財政展望
が足かせになって
景気対策
の推進ができないという理由で、
財政再建
の大黒柱とも言うべき
中期財政展望
の
見直し
をせよとの考えが強まっていると言われますが、
総理
は
増税
なき
財政再建
の
方針
を放棄するのか、それとも堅持してその達成を目指すのかどうか、伺いたい。私は、
財政再建
の
目標年次
はこれを堅持し、万が一変更するとしても、五十九
年度
決算を見て新たな
財政計画
をつくり、その後の
財政再建
につなげていくことが、
国民
にわかりやすく、首尾一貫し、
国民
の協力も得られると思いますが、どうですか。 さらに、
政府
はしばしば本
会議答弁
でも、わずかな
所得税減税
と引きかえに
大型間接税
の実施をちらつかせています。これは、ただいたずらに
財源確保
のみに狂奔していることになると思います。いかがですか。そうしたやり方は、結局、
行財政改革
を中途半端なものに終わらせるおそれがあります。さらに、新税が
財政再建
のためではなく、
防衛費突出
などに向けられては
国民
はたまりません。
増税
なき
財政再建
の
方針
を
総理
はこれからも堅持するのかどうか、新
中期展望
を踏まえて、
総理
にしかと伺いたいのであります。 関連して伺います。最近、
赤字国債
を
建設国債
と同じように借りかえを行うという考え方が
政府部
内で高まっているやに聞きます。
赤字国債
は
消費的経費
を賄う国債であるため、
償還満期
には全額現金償還すべきであります。しかも、いまこれを言い出すことは、これまた
財政再建
の
方針
を放棄したことになります。また、
財政法
上にも大きな問題があります。この際、
赤字国債
については借りかえをしないことを
総理
の口から明確に示していただきたいのであります。 次に、地方の
振興策
についてです。 八〇年代は地方の時代と言われながら、
地域格差
は依然として大きいものがあります。
県民所得
を見ましても、一人
当たり所得
、東京を一〇〇とするならば、沖繩は最低で四四・二八と実に半分以下です。
全国平均
を一〇〇とした
民力水準
で見ますと、東京一四七・五に対し沖繩は六八・八と、これまた半分以下となっており、全体的に見て、大都市から離れた
地域
の
所得
、民力が劣っている
状況
が見られます。こういった
格差是正
のため
政府
は今後どうされていくのか。大阪では、来年の
大阪城築城
四百年を契機として、「大阪二十一
世紀計画
」がいま検討されています。各
地域
の伝統と特性を生かした
国土づくり
こそ急務です。かつて
大平内閣
のときに策定された
定住圏構想
は一体どうなったのですか。
鈴木総理
は新しい
地域振興
の
ビジョン
をお持ちになっているのでしょうか、お伺いしたい。 次に、二十一
世紀
まであと十八年という観点から、中長期的な問題について
総理
の所信を伺いたい。 まず、
高齢化社会
についてです。
老齢人口
が二けた台に乗り、その
対応
が急がれます。五十七
年度
では、
社会保障関係費
を初めとして厳しい抑制が図られましたが、
高齢化社会
の
国づくり
を行う施策はどう生かされていますか。
医療
、年金、
雇用
、
生きがい等
に分けて説明願います。 特に、健康に対する
国民
の関心はますます高まっています。しかし、一方において、現在の
医療
に対する
国民
の不満、
不信
も高まっております。
政府
は
健康保険制度
の
抜本的改革
を怠り、
財政
が厳しいからといって安易に
保険料
のみを上げ、ただ
老人保健法
さえ成立すればそれで事足れりとしている
場当たり的姿勢
では、とうてい
国民
の信頼にこたえられる
医療
の確立は困難です。今後ふえ続ける医師、
歯科医師
の質の向上のために、
医学教育
、
国家試験
、卒後研修、生涯研修などをどう
改革
されようと考えられているのか、また医師、
歯科医師
が安心して治療に専念できる
診療報酬体系
のあり方をどうするのか、
健康保険制度
の統合という
抜本的改革
はいつ行うのか、さらに、予防からリハビリテーションまでの
包括的地域医療
の
充実強化
をどうするのか。未解決の問題を多く抱えている
医療制度
について、
総理
はどのような
ビジョン
をお持ちなのか、具体的にお答えいただきたい。 また、
中高年齢者
の最近の
雇用促進
の
実施状況
はどうなっていますか。中高年の
雇用
または再
雇用
についての中長期的な
方針
並びに目標を伺います。 さらに、
年金財政
はこのまま進めば破綻してしまいます。だからといって急激な
負担
を課すことになれば、制度間の矛盾を初め、世代間の対立や不満も激化します。これらを解決するため、わが党はすでに
基本年金構想
を主張しています。これを実行する意思はあるのかどうか伺いたい。また、西暦二〇〇〇年までの
負担率
の
見通し
と
政府
の
対応策
をあわせて伺います。 ここで、いま一つ重要な問題は
婦人
の
地位向上
です。
高齢化社会
では働く
婦人
が断然多く、その
所得保障
は低いのです。それは若年のころからの労働、保健などの構造的な
男女格差
が原因となっています。
総理
、
婦人
の
地位向上
についてどうお考えになっているのか、あわせて
婦人パートタイマー
の
減税
を実施するのかどうか、伺いたい。 次に、エネルギー問題について伺いたい。
石油危機
以来八年経過した現在、その需給はいま一応の安定を見せてはおりますが、本質的な問題は何ら解決されてはいません。あの
社会構造
を一変させた
石油危機
は決して過去の物語ではないと思います。
OPHC諸国
の
動向一つ
で再びパニックは起こります。一時的な
需給緩和
、目先の
市場予測
に左右されるのではなく、
長期的見通し
に立って根本問題に取り組んでいくべきと思いますが、
総理
、
通産大臣
の所信を伺いたい。 脱石油、
代替エネルギー
と幾ら叫んでも簡単に切りかえられるものではありません。そこで、当面取り組まなくてはならないのは
省エネルギー
の促進です。当局は、
石油ショック
直後は口を開けば
省エネ
、
省エネ
と叫んでおりましたが、最近はその
姿勢
も緩みがちのようです。
省エネルギー
の成果と今後の具体的な方策について伺いたい。あわせて、
代替エネルギー
の将来
見通し
についても伺いたい。 次に、もう一つ重要な資源である鉱物資源については、石油と同じく確保されなければ日本の産業界は重大な影響を受けます。これに対する
政府
の施策はほとんど進展していません。備蓄については、多いものでニッケルの七日分、タングステン、コバルト、モリブデンに至っては備蓄ゼロなのです。八〇年代は鉱物資源危機の時代とも言われています。
政府
は、五十七
年度
中にレアメタルの備蓄をそれぞれ十日分にしたいとの意向のようですが、これで十分ですか。また、達成できるのですか。備蓄を含めて鉱物資源確保の
対策
を伺いたい。 次に、コンピューター、ロボットの問題について伺いたい。コンピューターの利用を中心とした
社会
の情報化は、今日、産業界はもとより、
国民生活
の面に深く浸透してきていますが、既存の法律や諸制度が情報化に
対応
して十分整備されていないため、
国民
の不安、不満が
深刻化
していくおそれがあります。このため、
政府
は、
わが国
が目指すべき情報化の方向を明示し、これによって
国民
のコンセンサスを得ながら必要な施策を展開していくべきです。それには、まず情報化の基本的枠組みともいうべき情報化
社会
の
ビジョン
、情報産業の振興、プライバシーの保護、情報の公開など、情報化に関する基本的施策を盛り込んだ情報基本法を制定すべきであると考えますが、
政府
の見解を承りたい。 さらに、オフィスオートメーションの発達、コンピューター処理の高度化により、金融機関を中心にこれを悪用した犯罪が頻発し、今後ますますふえる傾向にあります。また、これをチェックする安全機能は決して十分とは言えません。現行のコンピューター安全
対策
について
政府
の
対策
は時代に適合していないと思われます。新たな
対応
が急務です。
政府
の見解を伺いたい。 また、二十一
世紀
はコンピューター化、ロボット化による
社会
の変革と、これに伴って人間と機械の調和が問題となってきますが、
政府
はそうした長期の
対策
を検討しているのでしょうか。
総理
の所見を伺いたい。 この問題の最後に、私は科学
技術立国
について伺います。
総理
も
演説
の中でこの問題に触れられておりますが、項目の羅列だけで何ら具体的なものがありません。 そこで伺います。まず、最先端技術の研究開発のための
予算
、研究体制、科学技術
教育
、特にオーバードクター問題に見られる研究者の処遇は、
総理
の言う科学
技術立国
にふさわしいものと思いますか。長期的な展望も含めて伺いたい。 ここで私が特に指摘しておきたいのは、科学技術と軍事利用との関係であります。すでに
米国
で
わが国
メーカーの製品が軍事利用化が話題となり、また、日米間で武器を共同で開発することは可能であるとの合意がすでになされ、武器輸出三原則は空文化しています。科学技術の進歩発展は人類の幸せに結びつかなくてはなりません。
政府
は武器輸出三原則を厳しく守り、将来とも軍事利用は絶対にないとの
総理
の明確な答弁を伺いたい。 次に、当面する外交、防衛の問題について伺います。 初めに、核兵器を含めた軍縮外交についてです。本年六月の国連第二回軍縮特別総会において、
総理
はいかなる基本
方針
と視点に立って、何を具体的に訴えるつもりですか。その際、核保有国に対し核防条約第六条の履行を強く求める考えはないか。あるいは、
わが国
の非核三原則について各国の同調を得るとともに、何らかの取り決めの道を開く行動計画を示すべきであると思うがどうか。 また、反核、軍縮運動は世界的に急激な広がりを見せています。ことに欧州においては、近い将来戦域核兵器が使用されるという危機感から反核運動が盛り上がっています。反核運動の背景及び実際に脅威が現実的なものかどうかについて、どう分析され、評価しているか伺いたい。 次に、日ソ関係についてです。さきに行われた日ソ事務レベル協議の結果について、将来展望の上からどのように判断しているのか。そこではポーランド、アフガン問題、さらにアジア情勢についていかなる見解が示されたのか。対ソ関係は今後とも忍耐強く継続させながら進める必要があることは言うまでもありませんが、北方領土返還など対ソ外交の具体的な
方針
と
見通し
について示していただきたい。 次に、日中関係です。国交正常化十年を迎え、新たな段階に入ったと思います。
経済
文化交流の面でより強力な展開が望まれると考えますが、
政府
の所信を伺っておきたい。 次に、日米安全保障協議委員会で合意された極東有事研究についてです。いま、なぜ日米間で極東有事研究が必要なのか、極東有事とは具体的にいかなる事態なのか。また、
米国
は、朝鮮戦争の先例にならった便宜供与を期待し、このことは個別的自衛権の範囲を超える可能性があり、憲法に抵触する非常に危険なものです。
政府
はこの便宜供与を認めますか。もし認めるならば、立法手続、行政上の措置はどうなるのか。また、
政府
は「現行法制、従来の条約解釈の範囲内でできることしかやらない」との考えがあると伺っているが、その範囲内で何ができるのか、歯どめはあるのかどうか伺いたい。 最後に、
総理
、
政治
は常に現実を直視し、その課題の解決を図り、そして将来への展望を明示しなければなりません。特に、若い世代が来るべき二十一
世紀
へ希望に燃えて羽ばたけるよう、そのひのき舞台をいまから築いておくことこそ
政治
の責任であると確信します。
総理
の誠意ある具体的な答弁を期待し、私の質問を終わります。(拍手) 〔
国務大臣
鈴木善幸君登壇、拍手〕
鈴木善幸
3
○
国務大臣
(鈴木善幸君) 矢追
議員
にお答えいたします。 まず初めに、
国民生活
の
変化
、その
格差
に関する認識と
政治
のリーダーシップの問題を中心にお尋ねがございました。
国民生活
は、最近の調査によりましても、生活の各部面における
国民
の満足感の度合いが
上昇
しており、これは全般的な生活水準の
向上
を反映しているものと理解しております。確かに、中流の上と思う階層が減少して、中流の下と思う階層が
増加
したり、勤労者世帯の
所得
格差
の縮小傾向が一進一退という
状況
が見られたりしておりますが、これらは最近の
景気
動向
の
影響
もあると
考え
られ、新たな貧困の定着などとは見ておりません。 いずれにいたしましても、
変化
する
社会
への
わが国
民の
対応
力に全幅の信頼をおきつつ、
政府
としては
行財政改革
、国際
社会
への
対応
、安全保障とエネルギーの確保、
高齢化社会
対策
、恵まれない人々への配慮など基本的な
施策
を積極的に講じてまいりたいと
考え
ております。 次に、
政治倫理
についてお尋ねがありましたが、就任以来、私は、
政治倫理
の
確立
を図るためには公正で金のかからない
選挙
制度
の
確立
が
急務
と
考え
、一歩一歩
改善
措置を講じてまいったところでございます。
政治資金規正法
の
見直し
の問題は、
さき
に
個人献金
の届け出の明朗化について一部改正を行ったところであり、その他の面については引き続き検討が進められていると承知いたしております。
選挙
制度
や今後の各党の
政治
活動のあり方に直接
関連
する問題でありますので、今後なお各党間で十分論議を煮詰めていただかなければならないと
考え
ます。 なお、昨年来、公共工事の発注に
関連
してさまざまな疑惑が指摘されていることはまことに遺憾であります。
公共事業
にかかわる
入札
の合理化
対策
については、建設大臣より中央建設業審議会に調査、審議をお願いしているところであり、この審議
状況
を参酌し、速やかに所要の
是正
措置を講じてまいる
考え
でございます。 次に、
参議院
全国区制の改正案を撤回せよとの御意見がありましたが、現行の
参議院
全国区制については、これまで各方面から多くの問題点が指摘されてきたことは御案内のとおりであります。現在、
国会
の審議に付されている全国区制の改正案は、
憲法
問題を初め、
参議院
の
機能
、
役割り
の問題、
投票
方法などについても十分検討を尽くした上で提案されたものと承知しておりますが、今
国会
においてぜひとも精力的に御審議いただき、速やかに全国区制の
改善
が実現されるよう切望をいたしております。 次に、
所得税減税
でありますが、
現下
の厳しい
財政事情
のもとでは残念ながらこれを見合わせるよりほかありません。ただ、
所得税
の現行課税最低限と税率構造を長期にわたって固定することは適当でないと
考え
ますので、歳出歳入両面にわたる徹底した
見直し
を進め、五十九
年度
特例公債脱却の明白な
めど
をつけるとともに、
所得税減税
の財源の
手当
てが可能となる
条件
を
国民
的合意のもとにできる限り早く整えたいと
考え
ております。具体的にどのような方法によるかについては、広く
国民
各層の御意見を伺いながら幅広い角度から検討を進めてまいりたいと存じます。 次に、住宅問題についてのお尋ねでありますが、
昭和
五十七
年度
においては、
住宅建設
を
促進
するため、住宅金融公庫を中心とした公的住宅金融の拡充、
土地
住宅税制
の改正などの諸
施策
を講ずることにより、
住宅取得能力
の
改善
や宅地供給の円滑化を図ることとしております。また、民間金融機関による
個人
向け住宅金融の充実に努めるとともに、的確な
経済運営
を図ることにより、
実質
所得
の
回復
、
地価
の安定等、
住宅投資
を取り巻く環境の好転が
期待
できるものと
考え
ております。 次に、
貿易摩擦
に関してでありますが、すでに
政府
は、
東京
ラウンドの合意に基づく関税率の段階的引き下げの二年分前倒しなどを決定し、さらに明日の
経済
対策
閣僚
会議
でも、輸入検査手続につき大幅な
改善
措置を講ずることとしております。 御質問は、これらの措置によって
世界経済
の
縮小化
を食いとめられるかという点でありますが、
わが国
がこれらの措置を講ずることは、欧米諸国において台頭している保護
貿易
主義の防遏に寄与するという意味において、
世界経済
の縮小防止に大きく貢献すると
考え
ます。
政府
としては、今後とも
わが国
のかかる政策努力を初め、
わが国
に対する理解を一層深めることにより、
貿易
の
拡大
均衡のもと、自由
貿易
体制の維持強化に努めてまいります。 農産物の
市場開放
の問題でありますが、関係諸国との友好関係に留意しつつ、農産物の
需給
動向
等を踏まえ、
わが国
農業
の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的に重要であると
考え
ます。かかる観点から、
わが国
農業
の実情や、これまでの農産物の輸入
拡大
措置について今後とも諸外国に十分に
説明
し、その理解を得ながら適切に対処するとともに、長期的展望に立って
農業
生産の再編成と
農業
の生産性の
向上
に努め、総合的な食糧自給力の維持強化を図ってまいりたいと
考え
ます。
社会保障費
について御質問でありますが、五十七
年度
社会
保障関係
予算
につきましては、老人、
心身障害者
を初め、
経済
的、
社会
的に恵まれない人々に対する
施策
等を充実させた結果、
社会
保障関係
予算
の
増加
額は
一般歳出
増加
額全体の約四四%と大きな割合を占めており、全体としての
福祉
水準は維持されていると
考え
ております。 御指摘の
児童手当制度
につきましては、今後の
動向
や各方面の議論を勘案しながら幅広く検討を行ってまいりたいと存じます。 義務
教育
教科書の無償給与
制度
につきましては、
昭和
五十七
年度
予算
においても存続することといたしておりますが、
臨時行政調査会
第一次
答申
において「廃止等を含め検討する。」とされておりますので、さらに各界の意見に耳を傾けつつ、今後のあり方について検討してまいりたいと存じます。 次に、
行政改革
についてのお尋ねでありますが、御承知のとおり、
政府
は
行政改革
を当面する最重要な課題の一つとして位置づけ、その
推進
に取り組んでおります。今後は、
臨時行政調査会
の審議の
動向
や、
国会
の御審議、御指摘の各分野の政策上の要請等にも配意しながら、
行政改革
の基本的課題について
政府
としての
施策
の検討及び立案
推進
に当たる
方針
であります。
財政
の
中期展望
についての御質問がございました。 五十七
年度
予算
に基づく新しい
中期展望
は、今朝の閣議で大蔵大臣から報告がありました。
中期財政展望
は毎
年度
作成されるいわゆるローリング方式をとっておりますが、新しい
中期展望
を検討の手がかりとして、
財政再建
の議論を一層深めていただきたいと存じます。 なお、御関心の特例公債脱却の
年度
は、今度の
中期展望
でも五十九
年度
とされており、その点変更はございません。 なお、特例公債につきましては、借りかえを行うつもりはございません。
地域格差
を
是正
し、
地域
の
振興
整備を図ることは、長年にわたる国政の重要課題であります。そのため、
政府
としては、
昭和
五十二年十一月に第三次全国総合開発計画を策定し、全国土の利用の均衡を図りながら、人間居住の総合的環境を計画的に整備することをねらいとする定住構想を
推進
してきております。今後とも
経済
社会
情勢の
変化
に
対応
しつつ、この基本
方針
に沿って
地域
の
振興
に努めてまいります。
医療
、
年金
、
雇用
、生きがいなど
高齢化社会
の
国づくり
を行う
施策
は、五十七
年度
予算
ではどう生かされたかとの御質問でありましたが、
医療
、
年金
、
雇用
、
生きがい等
の各般の
施策
を整合性を持って
実施
し、
高齢化社会
の
国づくり
を適切に行うため、五十七
年度
予算
においては次のような措置を講じることとしております。 まず第一に、老人
保健
制度
を創設し、疾病の予防や健康づくりを含む総合的な
保健
事業を
実施
することにより、
国民
が健康な老後を迎えることができるようにいたしました。このため、現在本院で御審議いただいている
老人保健法
案につきましては、ぜひ早期
成立
をお願いいたします。 次に、
年金
については、厳しい
財政
状況
のもとでも可能な限りの
改善
を行うこととし、厚生
年金
、拠出制
国民
年金
等の特例的な
物価
スライドの
実施
、老齢
福祉
年金
の
年金
額の引き上げを行うこととしております。 高齢者の
雇用
対策
については、個別行政指導の強化による六十歳定年の早期実現、事業主に対する
雇用
助成
制度
の活用による六十一歳以上への
雇用
延長の
推進
、さらにシルバー人材センターの拡充による高齢者の就業
対策
の
推進
などの総合的な
施策
を講じることとしております。 高齢者の生きがい
対策
については、老人就労あっせん事業を
実施
するとともに、豊かな老後を築く
地域
活動を
推進
するため、老人クラブ、生きがい
対策
への助成を行うこととしております。また、家庭奉仕員を大幅に増員するとともに、派遣対象家庭を拡充し、在宅の要援護老人
対策
を拡充するよう配意いたしました。
医療制度
についてのお尋ねでありますが、
医師
、
歯科医師
の資質の
向上
、技術を重視した
診療報酬体系
の
確立
、
地域
医療
計画の
推進
などによる
地域
医療
の充実等に努めてまいりたいと
考え
ます。 次に、中高年の
雇用促進
の
現状
と
方針
についての御質問がありましたが、本格的な
高齢化社会
の到来を迎え、高年齢者にふさわしい
雇用
、就業機会を確保することはきわめて重要な政策課題の一つであり、従来から積極的に
推進
してきたところであります。今後とも六十歳定年の一般化の早期実現、六十歳代前半層の
雇用
対策
の
推進
など、総合的な高年齢者
雇用
対策
を強力に
推進
してまいりたいと存じます。
年金
制度
の今後のあり方を
考え
るに当たりまして、公明党の
基本年金構想
も十分参考にいたしたいと存じますが、当面は各
制度
間の不均衡の
是正
に努め、
制度
全体の均衡ある発展を図りたいと存じます。なお、今後
保険料
負担
の増大が見込まれますが、勤労世代の合意の得られる
負担
水準となるよう、いまのうちから計画的に検討を行う必要があると
考え
ます。 次に、
婦人
の
地位向上
についてでありますが、
憲法
を初めとする諸法制において男女の平等が基本的原理として保障されており、従来から、男女の平等の完全な実現を
達成
し、
婦人
の
地位向上
を図るため広範な諸
施策
を
推進
してきたところであります。今後におきましても、私は内閣
総理
大臣としても、また
総理
府に設置されている
婦人
問題企画
推進
本部長としても、国内
行動
計画及びその後期重点
目標
に沿って
婦人
差別撤廃条約批准のため諸
条件
の整備を図るなど、
婦人
の
地位向上
のため一層努力してまいります。 次に、エネルギーの問題につき、一時的な
需給緩和
や目先の
市場予測
に左右されるのでなく、根本問題に取り組んでいくべきであるとの御意見でございましたが、全くそのとおりであり、全面的に御意見に賛同するものでございます。今回の
施政方針
演説
で、現在のような比較的安定した時期にこそ中長期的なエネルギー
対策
を進める必要がある旨述べ、五十七
年度
一般会計
予算
におきましても、厳しい
財政事情
の中からエネルギー
予算
につきましては一三・二%の
伸び
率といたしましたのも、このような
考え
方に基づくものであります。 武器技術
輸出
に
関連
してのお尋ねがございましたが、
政府
としては、
米国
に対する武器技術
輸出
につきましても、基本的には武器
輸出
三原則及び
昭和
五十一年二月二十七日の武器
輸出
に関する
政府
方針
に基づいて対処する
考え
でございます。ただ、日米安保条約等との
関連
もありますので、目下この点につき関係省庁で引き続き検討を行っているところであります。 国連軍縮特別総会に臨む
わが国
の
立場
についてお尋ねがございました。
わが国
は、平和
憲法
のもと、非核三原則を堅持し、
軍事大国
とはならず、その持てる力を
世界
の平和と繁栄のために向けることを国の基本
方針
としております。来る第二回国連軍縮特別総会におきましても、平和国家として、また核不拡散条約当事国としての
わが国
の
立場
を踏まえ、核軍縮を中心とする軍縮の
促進
を訴える所存であります。その具体的内容については今後検討していきたいと
考え
ておりますが、核実験全面禁止条約、核不拡散条約の普遍性の
達成
を初めとする核拡散防止体制の強化、化学兵器禁止の早期実現など、実現可能な具体的措置の
促進
を訴えていきたいと
考え
ております。 なお、欧州における反核運動についてはさまざまの要因があると
考え
られますが、一つには、欧州諸国が
経済
的、
社会
的に困難な
状況
に置かれている中で、近年、東西間の緊張緩和にかげりを生じていることに対し、
国民
の不安が高まってきているという事情もあるのではないかと
考え
られます。しかし、いずれにせよ、現実に核兵器を使うか否かということについては、米ソ両国とも核戦争に至るような対決は避けるとの基本的
立場
を有しているものと
考え
ております。 次に、日ソ事務レベル協議についてでありますが、私は、日ソ関係が困難な局面にあるにもかかわらず、双方が国際情勢、両国間の問題など広範な問題について言うべきことを率直に言う機会を得たことは、今後の日ソ関係を進めていく上においてきわめて有意義であったと
考え
ております。 ポーランド問題については、わが方より、この問題が外部からの干渉によるととなくポーランド
国民
自身によって解決されるべきであるとしてソ連に自制を求め、アフガニスタン問題については、ソ連軍の早期全面撤退を主張し、また、アジア情勢についても、広く中国、朝鮮半島、東南アジア情勢について意見を交換いたしました。ポーランド、アフガニスタン問題などにつきましては、先方はおおむね従来の
立場
を繰り返したにすぎなかったようであります。 今後の対ソ外交についてのお尋ねでありますが、
政府
といたしましては、北方領土問題を解決して平和条約を締結し、両国間の真の相互理解に基づく安定的な関係を
確立
することを対ソ外交の基本と
考え
ており、引き続きこの
立場
に立って粘り強く対処していく所存でございます。 次に、日中関係についてお尋ねがございましたが、隣国中国との間において良好にして安定した関係を維持発展させていくことは、
わが国
外交の主要な柱の一つであります。国交正常化以来、日中両国の関係は着実に発展を遂げてまいりましたが、本年は国交正常化十周年に当たることでもあり、私と趙紫陽
総理
との間で相互訪問も
予定
されております。
政府
は、今後とも中国との間で、
政治
、
経済
、文化など幅広い分野における関係の一層の増進を図るべく努力してまいる所存でございます。 最後に、いわゆる極東有事研究についてでありますが、本件研究作業を進めることは、安保体制の抑止力を高め、
わが国
の安全及び極東の平和及び安全を一層効果的に維持するという意味で有意義と
考え
ております。 研究作業の内容は、今後の研究の進展をまたなければなりませんが、いずれにせよ、
わが国
の
憲法
上認められないことを前提とするような研究を行うことは全く
考え
ておりません。また、研究の結果、わが方として立法ないし行政上の措置を義務づけられるものでないことは、すでに
政府
がたびたび明らかにしているとおりであり、この点につきましては日米間で合意しているところであります。 以上お答えをいたしましたが、残余の点につきましては関係閣僚から御
答弁
をいたさせます。(拍手) 〔
国務大臣
河本敏夫君登壇、拍手〕
河本敏夫
4
○
国務大臣
(河本敏夫君) 私に対する御質問は、昨年の五月、
政府
は
景気
の
底離れ宣言
をしたが、その後の
経済
はそのとおりいってないではないか、こういう御質問でございますが、
景気回復
の足取りについで申し上げますと、五十四年に第二次
石油危機
が起こりまして、五十五年の夏ごろから
日本
の
経済
は急速に低迷しだしたのでございます。そこで、
政府
といたしましては、五十五年の九月と五十六年の三月に、二回にわたりまして
景気回復
のための総合政策を決定いたしました。そういうこともございまして、大体五十六年の五、六月ごろ大底に達したのでなかろうか、こう思っております。しかしながら、それ以降、
経済
は
回復
には向かっておりますけれども、その
回復
の足取りが緩慢である、これがいまの
現状
であろうと思います。 ただ、ことしで第二次
石油危機
が起こりましてから三年目にもなりますので、
世界経済
全体も
回復
の方向に行くと言われております。私どもといたしましても、ことしの後半から
わが国
の
経済
は
回復
の方向に進んでいく、このように
考え
ておるのでございます。 それから次は、
わが国経済
の潜在
成長
力とは何ぞや、こういう御質問でございますが、私は欧米諸国と
わが国
の
経済
を比較いたしまして、幾つかの相違点があると思います。まず第一に
インフレ
と
失業
、この点について大きな違いがございます。したがいまして、欧米諸国は
インフレ
と
失業
に苦しんでおりますので、労使関係がきわめて不安定であります。また、いまのような
経済
情勢のもとでは貯蓄率が非常に低い水準になっております。
わが国
も一時に比べますと貯蓄率は少し下がっておりますけれども、
世界
最高の水準が続いておるのでございます。したがって、それを背景にいたしまして金利水準もいま
世界
で最低の水準にある、こういうことが言えようかと思います。また、
経済
の国際競争力につきましては、一、二の例外はございますが、
世界
最強の競争力を持っておりまして、しかもその差は年々
拡大
しつつある、こういう違いもあろうと思います。また、
防衛費
の
負担
の相違もあろうかと思います。 以上のような違いが、
わが国
の他の国と比べての潜在
成長
力であると
考え
ておりますが、このような力を今後も引き続いて強くしていくというのが、これからの
わが国
の
経済
政策の
目標
であろうと存じます。 それから
経済
の破
行性
についてのお話がございました。 確かに御指摘のように、ただいま
規模
別、業種別、
地域
別の
ばらつき
が相当見られるのであります。しかしながら、この
ばらつき
の原因は、やはり
景気
の
回復
がおくれておるというところにございますので、
景気
の
回復
の進行に従いましてだんだんと解消するであろうと思いますが、ただ、現在構造的に
不況
業種と思われるような業種もございまして、そういう業種に対しましては個別
対策
が必要であろうと思います。また、当然、
中小企業
とかあるいは農林漁業とか、そういう業種に対しても特別の政策が必要であろうと思いますし、同時に、
地域
別の破
行性
は相当深刻なものがございますので、これに対する特別の
対策
も必要であろう、このように
考え
ております。 それから
行財政改革
と
経済
の関係いかん、こういうお話でございますが、
昭和
五十九年に
財政再建
をするという
政府
の
目標
に対しまして
行財政改革
を進めておるわけでございますが、同時に、
経済
の活力の維持
拡大
ということがどうしても必要だと私どもは
考え
ております。そこで、
行財政改革
と
経済
の維持
拡大
と、その整合性を進めながら五十九
年度
の
財政再建
目標
を実現すべきものだと、このように
考え
ております。 なお、
米国
景気
の
見通し
いかん、こういうお話でございますが、昨年の第四・四半期、十月−十二月期のアメリカ
経済
のGNPは前期
比マイナス
五・二%と、こういう水準でございます。一−三月の状態も相当悪いであろうと言われておりますが、しかし、第二・四半期から順次
回復
に向かいまして、後半相当高い
成長
になるであろうというのがアメリカ
政府
並びに権威ある国際機関の
見通し
でございます。
個人消費
につきましての御質問がございました。
個人消費
は、五十六
年度
は
政府
の
見通し
よりは落ち込んでおりますが、五十七
年度
につきましては、引き続き
物価
が安定するものと私どもは
期待
をしておりますし、後半、
景気
の
回復
につれまして
雇用
者
所得
も
拡大
をする、そういうことを背景に五十七
年度
の
個人消費
はある
程度
回復
するであろう、このような
見通し
を立てておるのでございます。 それから
物価
政策についての御質問がございました。
調整インフレ
を
考え
ておるのではないか、こういうお話でございますが、
政府
は
調整インフレ
などということは絶対に
考え
ておりません。
経済
政策の一番大事な点はやはり
物価
の安定である、このように理解をいたしております。また、その方向で政策を進めておるのでございますが、五十六
年度
の
年度
間を通じての
消費者物価
は、おおむね四・五%前後におさまるのではなかろうかと思いますが、五十七
年度
を四・七と想定しておる点を
調整インフレ
云々と、こういう御質問になったのではなかろうかと思いますが、後半
世界経済
全体が
回復
し
日本経済
も
回復
する。したがって、後半
物価
もある
程度
上昇
するという想定をいたしまして四・七という
目標
を設定しておりますが、しかし
目標
はそれでありましても、全力を尽くしまして、それ以下の水準に
物価
がおさまるように努力をしていくつもりでございます。五十六
年度
におきましても、五・五という
目標
に対しまして四・五という水準におさまっておりますので、低位で
物価
は安定をするということは
政府
の基本的な
経済
政策であるということを申し上げておきたいと思います。 以上であります。(拍手) 〔
国務大臣
渡辺美智雄君登壇、拍手〕
渡辺美智雄
5
○
国務大臣
(渡辺美智雄君)
貿易摩擦
の問題に
関連
して、
日本
の
金融市場
をもっと開放せよ、こういう御意見でございます。 これは、われわれといたしましても、年々外国の金融機関が
日本
国内に支店等を設置することを認めてきておりまして、たとえば在日の外国銀行の
増加
状況
は、四十五年で十八行三十八支店だったものを、五十六年では六十九行九十四支店ということで、五十六年だけでも五行九支店というものを認めておるわけであります。したがいまして、極力そういう点ではわれわれは開放をしておるわけでございます。ただ、国によって銀行業務の内容というものが違いますから、アメリカでやっておったことそのままそっくりを
日本
でやらせろと言っても、これは
日本
では証券会社と銀行というのは分かれておって業務分野が違う、したがってアメリカのまねそっくりというわけにはいかない。
日本
の銀行とそっくりというととはできますから、そういう点では開放をしておるわけでございます。 なお、外為法も昨年の十二月に改正して、原則自由ということにしたところであります。 また、この間の
財政
演説
でも言っておるように、
日本
は非常に外貨不足の国に対しては、OPEC諸国の余っている、だぶついたオイルマネーの還流ということについていろいろ橋渡しをやつて、国際金融がうまくいくように、いろいろと国際の金融問題には貢献をしておるところでございます。 なお、
財政再建期間
の終わったときに二十一
世紀
につながる
行政システム
はでき上がっていなければいけない、五十七
年度
の中でそのような芽は組み込んであるのかと。これは御承知のとおり、五十七
年度
の
予算
においては
臨時行政調査会
の第一次
答申
というものを尊重して、それを極力
予算
に反映するように努力をしてまいりました。したがって、それを芽と言えば芽だし、魂を入れたということじゃないかと、そう思うわけでございます。引き続き第二次の
答申
が出るわけですから、そこで本格
答申
というものが今度出てくる。したがって、それをどういうふうに今後処置していくかということは、大きな柱というものの芽は今後の問題になる、そう思っております。 それから五十七
年度
予算
で後
年度負担
の
ツケ回し経費
が八千億だ、その内容を
説明
せよと、こういうのですが、
ツケ回し経費
というふうにわれわれ
考え
ておりませんので、何千億円になるか、そういう計算はいたしておりません。 それから五十七
年度
の
補助金
の
整理合理化
はどういうふうにやったか、一律
削減
で支障はないかということでございますが、これは調査会の第一次
答申
を踏まえまして、個別的な事項については個別的にいろいろ
整理合理化
を図ったが、その他の事項については各省庁に一律一割
削減
ということを御協力いただきました。これは一律一割といっても、各省庁でもう
補助金
は何百もありますから全部一律というのじゃなくて、中には伸ばしたものもあるし、なくしてしまったものもあるし、減らしたものもあるし、ただその省庁として一割減っている。これは、
削減
目標
は千六百三十六億円を
考え
たのですが、実際の実績は二千十六億円、
目標
額を三百八十億円超過
達成
できました。おかげさまでそういうことになりました。 それから
整理合理化
の
基準
は何か。これについては、
補助金
というのは有力な政策手段ではありますが、ややもすると、あぐらをかいてしまって、要するに既得権化してしまう。だから、そういう弊害がありますから不断に
見直し
をしていかなければなりません。したがって、すでに目的を
達成
したもの、それから
社会
的な実情に合わなくなったもの、それから
補助金
をやっても余り零細で効果の少ないもの、こういうものはまず整理をする。そして、あとは統合メニュー、合理化等を図って、手続の簡素化その他少なくしようということを
基準
として
整理合理化
を図ってまいりました。 公務員の
削減
、
配置転換
につきましても、ことしは行管庁と一緒になりまして千四百三十四人に上る大幅な縮減に成功をいたしました。
配置転換
も着実に
実施
しておるところでございます。 それから
中期展望
の
歳出増加見込み
を六・二%に
圧縮
した、これは非常に
圧縮
したのだが、もっと不要に膨張した
経費
を
圧縮
すべきではなかったかということでございます。 われわれとしては、極力
経費
の
圧縮
にこれ努めてまいったところでございます。いずれにしても、一・八%というものはこれは二十数年来なかった緊縮
予算
でございますから、
経費
をぶよぶよふやしてはそんなにならないわけでございまして、極力
圧縮
をしてまいりました。しかしながら、まだ切り方が足らぬと言われますが、これはなかなか実際問題として、文教問題等におきましても、大学の
補助金
三千六百億円をもっとばっさりできないかとか、教科書無料化をやめたい、いろいろそういうことも
考え
たわけでございますが、しかし非常に抵抗が強くて、それは要するに抑え込むということで大体成功した。人件費も
伸び
る、物件費も
伸び
る、その中で去年と同じに抑え込んだということで非常に苦労して。これは発想の転換を図っていかなければ、なかなか思い切ってばっさりということは言うべくして非常にむずかしいことは皆さん御承知のとおりだろうと、そう思います。 そういう中にありましても、実は
社会保障費
等については、先ほど
総理
の
答弁
にあったように、要するに歳出
増加
額の四四%も
社会保障費
の
増加
額の方へ回ったということですから、そういう厳しい中でもやっぱり見るところはちゃんと見ておるのだということを御了承願いたい、こう
考え
る次第でございます。 それから五十六
年度
の
税収見通し
の誤りの問題でございますが、これは御承知のとおり、
経済見通し
が変われば
税収見通し
は変わるのです。
経済
というものは生き物でございますから、一年前に
見通し
しても、計画
経済
でもなかなかそのとおりはいかない。まして自由
経済
でありますから、
政府
が直接コントロールしてやっておるわけじゃございませんので、どこまでもこれは
見通し
でございますから。そういうようなことで、それは激動する
世界経済
の中、不確実性の
時代
、まさにそのとおりなんです。したがって、そういう中において、われわれの
考え
たよりも
景気
の
回復
テンポがおくれたということも事実ですし、
消費
節約が徹底されて
石油
が
かなり
減った、そのために
日本
貿易
は黒字になったなんていう付録もついて出ますよ。しかしながら、その節約ムードというのは一般
個人
にも及ぶということも言えます。その結果は、先ほど言ったように
消費者物価
の急速な鎮静化ということになり、
卸売物価
が四・一と見たら一・八以下になって、現在では一・六ぐらいです。こういうものは従価税である物品税というようなものにはストレートに
影響
しますから、
税収
の減収につながるということも事実でございます。そういうようなものが大体見込まれるものについて、われわれとしては
経済
の実態に合わせておいた方がいいという
考え
方から、この
税収
の見積もりについては補正をしたというだけのことでございます。 それから
中期財政展望
との絡みで、五十九
年度
決算を見てから
財政計画
をつくってきちっとしたものをやれ、それまではいままでの
方針
どおりでやれということでございます。 これは、
総理
が
答弁
したように、この
財政
の
中期展望
は、
財政
の
現状
を一定の仮定のもとで後
年度負担
を推計した額を投影するという形でつくってあるわけでございますから、これはどこまでも
財政
運営を進めていく上での中期的な検討の手がかりにすぎません。したがって、これは将来の
予算
を拘束するものではございません。ただ、われわれとしては五十九
年度
赤字国債
の脱却という
目標
は変えないということは、
総理
のおっしゃったとおりでございます。 それから
大型間接税
の問題等に絡んでのお話がございましたが、これも
総理
の方からお答えがあったので省略をさせていただきたい、かように思います。
婦人パートタイマー
の
減税
問題につきましては、これは現在七十九万円までの収入がありましても、それは扶養家族として認めてますというだけのことでございまして、それ以上、百万円仮に収入があれば、扶養家族から外れて一
所得
者になりますというだけのことであります。これはたとえば同じ家内内職にいたしましても、自分が品物を買って三十万円の
所得
があった場合はこれは扶養家族にはならないわけです。したがって、それとのバランスというような問題等も
考え
て、七十九万円というものは現在のところまあ私はほかとのバランスから見て精いっぱいであると、そういうように
考え
ております。 以上でございます。(拍手) 〔
国務大臣
安倍晋太郎君登壇、拍手〕
安倍晋太郎
6
○
国務大臣
(安倍晋太郎君) 第一に、基礎
素材産業
についてのお尋ねでございますが、確かにいま業界は非常に悪化をいたしております。この基礎
素材産業
に対しましては、
産業構造
上あるいはマクロ
経済
上の位置づけを明らかにし、各業種の中長期的なあり方を踏まえた根本的な
対策
が必要であると
考え
ております。こうした観点から現在通産省でも
産業構造
審議会等において鋭意検討を進めておりますが、たとえばアルミのように、すでに
実施
し得る
対策
から順次
実施
をしてまいっておるところでございます。その際に、原材料、エネルギーコストの低減、供給
規模
の適正化等の
対策
が重要であると
考え
ておりまして、個別的にひとつ鋭意取り組んでまいりたいと
考え
ております。
景気対策
との
関連
で
中小企業
対策
についてのお尋ねでございますが、
中小企業
は出荷額あるいは設備投資におきまして全体の約五割を占めて、
日本経済
のいわば最も重要な地位を占めておることは申し上げるまでもないわけでございます。したがって、御指摘のとおり、
中小企業
の
振興
を図ることは
景気対策
上きわめて重要であります。このために
政府
は、
政府
系の
中小企業
金融機関の貸出
基準
金利をいわゆる長期プライムレートを下回る水準に設定するなど、
中小企業
の
景気回復
のためきめ細かな
対策
を
実施
してまいっておりますが、今後ともこのような
考え
方で
中小企業
振興
を図ってまいりたいと
考え
ております。
わが国
の資源エネルギー
対策
についてでありますが、これは
さき
に
総理
から御
答弁
がありましたように、供給の確保あるいは
省エネルギー
の徹底、さらに
代替エネルギー
政策の
推進
等につきまして
予算
でも特別な配慮をいたしておりますが、腰を据えて取り組んでいかなければならないと感じておるわけであります。 資源の中でレアメタルについての御質問がございました。御指摘のように、
国民
経済
の発展と
国民生活
の安定
向上
の観点からこれはきわめて重要な課題でございまして、今回の
予算
におきましても、レアメタルの備蓄
制度
につきまして一歩前進をさせたわけでございますが、今後ともさらに各般の
施策
をひとつ強化してまいりたい。 次に、最先端技術製品の
輸出
と
貿易摩擦
との問題についてでございますが、この最先端技術は先進諸国全体の活性化のために重要視していくべき分野でありまして、現在の
貿易摩擦
が先進諸国の国内
経済
の疲弊にあることを
考え
ますと、この分野における産業協力等を通じまして先進国間の協力を進めていくことが肝要であると
考え
ております。 こうした意味で、実は一昨年の日米合意に基づく電電公社の調達開放、あるいは昨年九月、日米で合意した半導体関税の相互の前倒し等、エレクトロニクス分野での協力の進展は非常に有意義なものであったと
考え
ております。私も、先般訪米をいたしましたが、この分野でいわゆるスタディーグループの設置をいたしたい、こういうことを提案いたしてまいりました。 コンピューター、ロボット等の情報化
社会
への進展との関係での各種のお尋ねでございましたが、今後の情報化
社会
のあり方については、いま産構審におきまして昨年六月
答申
を得たところでございますが、この
答申
によって各種の
施策
を計画的かつ積極的に進めてまいりたいと
考え
ております。 なお、コンピューターにつきまして、いろいろと安全
対策
で問題が出ておるわけでございますが、産構審情報産業部会に諮りつつ、御指摘の点等につきましてはひとつ検討をして、前向きに取り組んでまいりたいと
考え
ております。 コンピューター化、いわゆるロボット化によるところの
社会
問題、特に人間と機械との調和につきましては、いずれにせよ人間中心の思考が重要であると
考え
ておりまして、かかる観点から今後の
施策
を
考え
てまいりたいと思っております。(拍手) 〔
国務大臣
中川一郎君登壇、拍手〕
中川一郎
7
○
国務大臣
(中川一郎君)
わが国
が今日の
経済発展
を見たのは、科学技術の力によるところが大きいと言われております。さらに今後、資源の乏しい
わが国
が民族発展の可能性を切り開き、
世界
の進歩に貢献していくためには、すぐれた
国民
の資質を十分に生かし、次代を担う人材を育て、科学技術の
振興
を図ることがきわめて重要とされております。 このため、
昭和
五十七
年度
予算
案においては、原子力、宇宙、ライフサイエンス等先端的分野を初め科学技術
関連
諸
施策
を
推進
するとともに、特に科学技術
振興
調整費を拡充し、科学技術
会議
の調整
機能
の強化を図り、また流動研究システムによる創造科学技術
推進
制度
を拡充する等、先端的、基礎的科学技術を
振興
強化していくことといたしております。 さらに、
昭和
六十年には国際科学技術博覧会を開催し、特に次代を担う青少年の科学技術に対する理解を深めることとしております。また、研究者の処遇についても、今後とも努力してまいるつもりでございます。 このようにして、厳しい
財政
状況
のもとでございますが、
予算
及び研究体制に工夫をこらし、科学
技術立国
を目指して、
政府
は一層努力を払ってまいるつもりでございます。(拍手) —————————————
徳永正利
8
○議長(
徳永正利
君) 宮本顕治君。 宮本顕治君の発言を求めましたが、これを取り消します。 これにて午後一時まで休憩いたします。 午前十一時三十七分休憩 —————・————— 午後一時二分
開議
徳永正利
9
○議長(
徳永正利
君) 休憩前に引き続き、
会議
を開きます。
国務大臣
の
演説
に対する質疑を続けます。宮本顕治君。 〔宮本顕治君登壇、拍手〕
宮本顕治
10
○宮本顕治君 私は、
日本
共産党を代表して、
総理
に質問をいたします。 質問に先立って、昨日葬儀が行われた横浜の米軍機墜落事件の犠牲者林和枝さん、及び今日なお夕張炭鉱事件で地底に横たわっておられる人々を含めた多数の犠牲者に対して、心から哀悼の意を表します。 同時に私は、
政府
は
政治
の
責任
にかんがみて、こういう惨事は繰り返さないという決意を新たにすべきだということを強調するものであります。 さて、まず国際情勢と
日本
の
責任
についてお尋ね申し上げます。 今日の
世界
は、米ソを盟主とする大きな対立する軍事ブロックによりまして、際限ない核軍拡競争が進んでおります。そうして
世界
の軍事費の総額は百兆円を超えまして、核兵器の貯蔵は人類を何回も殺すことができるような巨大な量に達しております。 そこで、まず第一、最も重大なことは、アメリカのレーガン大統領が二回にわたって限定核戦争があり得るということを表明した点であります。 これは、
米国
は安全にしておいて、アジア及びヨーロッパを核戦場にしてはばからないという非常に残酷で虫のよい構想であります。この構想のもとで、アメリカの忠実な同盟者としての
日本
の地位、これは実に原爆をまくらに暮らしているに等しいものであります。アメリカの「核の傘」のもとでの軍備増強とか、最小限の自衛とか、非核三原則尊重と申しましても、客観的にはこの恐るべき核戦略の一環、一翼に置かれているのが
日本
の
現状
であります。 昨日の衆議院本
会議
におきまして、わが党の金子
議員
の質問に対して、
総理
は、この限定核戦争構想というのは、アメリカがどんな攻撃にも
対応
し得る有効な態勢をとっているんだという弁護論を展開され、そしてこれに対してはっきりした
不満
、抗議の
意思
表示はなさいませんでした。しかし、この限定核戦争というのは、決してそういう抽象的なものではないのです。アメリカは核攻撃を受けないという意味で限定的であって、他の
地域
は核戦場にし得る、するという恐るべき構想なのであります。
総理
はそれでも結構だと思っていらっしゃるのでありますか、きわめて重大な問題ですから、改めてお尋ねする次第であります。 わが党が来
年度
の
予算
に関しまして、軍事費一兆円以上の
削減
ということをあえて
要求
したのは、ただこの軍事費が他の分野の
予算
から比べてみてバランスを失しているとか、異常に
突出
しているというだけの問題ではないのであります。それは、限定核戦争構想下の
日本
の軍拡は、その意図が何であろうと、結局は大局的には
日本
民族の破滅的な不幸をみずから進めることになるというのが、問題の厳粛な客観的な意味であります。 今日の軍事問題の根底にあるこの限定核戦争問題を正面から
政府
が検討されて、そうしてこれに対してしっかりした態度表明するということを私は
政府
の緊急かつ重大な
責任
と
考え
るものでありますが、
政府
の所見を伺うものであります。 第二に、核軍縮問題であります。
総理
は
施政方針
演説
で、ことしの国連軍縮特別総会に出席するとか、また、そこで核軍縮を中心とする軍縮を訴えるということを言われました。また、昨年八月六日の広島におきましては「核兵器の廃絶」ということをあえて強調されました。しかし、最近の国連での
日本
政府
の態度を見ますると、核兵器の配備や使用の禁止決議等にこともあろうに反対しているのであります。
理由
としては、もし賛成すれば核抑止力の効果を損なうとか、あるいは軍事ブロックの相手方の利益になるんだというような弁明であります。これは全くアメリカの言い分の引き写しであります。いやしくも唯一の被爆国として、核兵器の廃絶を誓っている
政府
代表の口にすべきことではないのであります。 私は、そこで、
政府
が今後国連で核兵器全面禁止協定等が問題になったときに、その提案に賛成するかどうか、このことをはっきりこの場でお聞きしたいと思うのであります。 第三は、
政府
は「力の均衡論」というものをとっておられます。軍事ブロック間の力の均衡が平和を維持するんだ、この理論であります。 しかし、「力の均衡」というのは、事実上相手側に対する優位を絶えず競い合う、そういうものなのであります。したがって、「低い水準の均衡」といっても、実際はどんどん相手方より軍備をふやす、こういうものでありますから、戦後、
世界
の軍事費は四倍に増大している、この秘密がここにあるのであります。 特に、核兵器の均衡となると、相手方に与える恐怖感、このバランスであります。しかし、戦力のバランス、特に核戦力のバランスを数字的に比較して判定することは、それぞれのブロック側の
政治
的、
経済
的、地理的
条件
、また同盟構成力の多様性によって、きわめて困難かつ不可能なものなのであります。私たちは、この点ではソ連共産党に対しても「力の均衡論」をやめよということを率直に、公開書簡で繰り返し誤りだということを批判しているのであります。 この軍事ブロック間の軍拡の悪循環はきわめて深刻であります。したがって、
世界
の本当の平和ということを
考え
るならば、この巨大な集団的な誤謬から脱却することが大事なのであります。
政府
は、平和とか
世界
の繁栄を口にするならば、その方向に向かって努力すべきでありませんか。そして、国連で軍縮を訴えるだけでなく、まず国内でそれを
実行
すべきであるとわれわれは主張するものであります。 第四に、軍事ブロックと民族の自決権の関係であります。 いまや軍事ブロックの強化自体が自己目的になっているというのが
世界
の大きな誤りでありますが、当然これは加盟国の自主性、自決権というものを「共通の安全保障」という名前で侵害しているのであります。 この十年間の
世界
政治
の汚点として、アメリカのベトナム侵略戦争、韓国の軍事独裁政権に対するアメリカのてこ入れ、ソ連のアフガニスタンに対する軍事介入、ポーランドの今回の軍政の出現、これらを挙げることができますが、これはいずれも大国中心の軍事ブロック政策と不可分の産物であります。ポーランドの軍政に関して言えば、その実態、手続とも、
社会
主義の大義に反するだけでなく、またポーランドの
社会
主義の建国の理想にも反している。わが党は厳しい批判を行っております。この軍政発動の決定的根拠にされているのは、ソ連中心のワルシャワ条約機構、ポーランドがこの一員であるから安全保障が大事だということでソ連の干渉も行われているのであります。 アメリカは
わが国
の軍事
予算
の
突出
を求めてさまざまな言動をし、干渉してきたということは
周知
のことであります。ところが
政府
は、これに対して、日米軍事同盟がある以上アメリカの
要求
は当然なことだと、こう陳弁しております。しかし、翻ってみますると、日米軍事同盟そのものが、本質的には、さまざまな事実が示すように、
日本
の主権の侵害、制限を許容しているのであって、その意味では国辱的なものであります。安保条約第三条は双方の軍備増強を義務づけることを約束しております。 今日の
世界
の軍事ブロックのあり方は、二度の大戦の反省に立った国連憲章の集団的安全保障という本来の精神から逸脱しているものであります。そういう意味で、私は、日米軍事同盟の廃棄と
日本
の中立化の道こそ国連創設の原点に合致するものであると確信しておるものであります。 第二次大戦で日独伊同盟の一環として戦い、あのような犠牲を内外に引き起こした
日本
の戦後
政治
における
責任
は重大であります。私は、
政府
がそういう認識に立って、この問題についての所見を述べられることを求めるものであります。
わが国
の当面する
経済
問題について述べます。 第一に、一国の
経済
を見る
基準
はどこにあるかという問題であります。
総理
は、外国との若干の指標を挙げて、
日本経済
は大変よくできていると自画自賛されております。しかし、この
基準
は、大多数の
国民
の生活の実情はどうかというところにあるものであります。すでに問題になっておりまする
実質
消費
支出
が二年
連続マイナス
という事態は、きわめて重大であります。これは
国民
の生活水準の
実質
低下
を意味するというふうに
総理
はお
考え
かどうかということをまず伺いたい。 収入が
支出
に追いつかないのは、大
企業
の賃金抑制、
中小企業
関係労働者の低収入、税金や
社会
保険料
の引き上げ、
物価
、公共料金の
上昇
、
福祉
切り下げ、
教育
費等の
負担
増等の総合的結果であります。
成長
率、
物価
上昇
率などの外国との比較はどうであれ、
国民生活
水準の
実質
低下
という事実こそ、主権者である
国民
にとって、
日本経済
は「安定と繁栄」どころか、「不安と苦痛」に満ちたものであるということを私は証明していると思うのであります。しかし、資本金十億円以上の大
企業
の内部留保はこの一年間に六兆円ふえております。
わが国経済
で最も恵まれたものがあるとすれば、こういう大
企業
ではないでしょうか。
総理
は、午前中の
答弁
の中で「
国民生活
の満足度が
上昇
している」ということを言われました。ところが、
政府
の八一
年度
国民生活白書
によっても、
国民
の満足度は国際比較で見ても欧米諸国と比べて最下位なんであります。
総理
府の世論調査によりましても、「昨年と比べて生活が
低下
している」と答えた人が、「
向上
している」と答えた人の三倍を上回っているのであります。
総理
は、
日本経済
についての自画自賛はお控えになって、こうした多くの
国民
の切実な苦痛を正面から受けとめるべきであると思いますが、、いかがでございますか。 第二に、
経済
の
現状
打開の方向であります。 今日の深刻な三重苦、
消費
不況
、
財政
難、
経済
摩擦は相互に深い関係がありますが、これは基本的には歴代
自民党
の
経済
政策に起因し、また最近では、
臨調
路線が露骨に軍事費優先、大
企業
本位、
国民生活
犠牲という方向を追求したからであります。したがって、
中小企業
の未曾有の倒産、勤労者の生活難、こういう中で大
企業
への特権的な
補助金
、大
企業
向けの大型
公共事業
等は手厚く配慮されております。そうして大
企業
は
政府
の保護のもと、異常に強まった競争力で海外に進出して、その摩擦の
ツケ
が、農産物の輸入の
拡大
による農民の苦痛とかさまざまな形で一般
国民
に及んでいるのであります。これは結局、
経済運営
の基本が働く人本位でなく、アメリカや財界、大
企業
の圧力に左右されているからではありませんか。 たとえば、
政府
は退職給与引当金の適正課税を一たんは志しましたが、土光氏ら財界の圧力で腰砕けになりました。なぜですか。また、本四架橋のためには四六%増の
予算
をつけながら、
国民生活
に深くかかわる下水道等の生活密着型公共投資になぜ力を入れないのでありますか、お伺いいたします。 本来、
行政改革
とは、むだを排して
国民
本位の効率的な行政を行うことであります。残念ながら、今
年度
の
臨調
路線として
実行
されたものはこれを裏切りましたが、われわれは今後も基本的なねらいとして軍事費の大増強、大
企業
の聖域化、
福祉
、
教育
カット路線の
推進
等を見ないわけにはいきません。
臨調
委員の多数を占める財界、官僚の求める
日本
のあり方、国の歩みの根本についても大きなそういう危険があるのであります。これでは私は、
消費
不況
、
財政
難、
貿易摩擦
の三重苦は解決どころか、ますます深刻になるほかはないと
考え
ますが、
総理
の御
答弁
を求めるものであります。
政府
の
施政方針
演説
を聞いても、この根本的な問題についての展望はつかめません。しかし、私は、本当に
国民
本位の
経済
政策に徹するならば展望は開けると確信しております。軍事費を思い切って一兆円以上も削るとか、あるいは大
企業
優遇の
補助金
や不公正税制を
是正
するとか、不正な談合
入札
を
是正
して一般会計だけでも六兆円に上る公共投資の一割のむだを省けば、生活密着型投資を重視するという方向に転換することができるし、むだな金を省くことができるのであります。 したがって、
所得税減税
、公共料金抑制などとともに
国民
の購買力の
向上
、これらが
経済
民主主義
に基づく
日本経済
の再建の柱でなくてはならぬ。その道を勇敢に選ばぬ限り、
日本経済
は多くの
国民
にとって苦難の
連続
になるということを
考え
ざるを得ませんが、この点についての
総理
の所見をお伺いいたします。
総理
は、
婦人
の問題についても
期待
を表明されました。私は、
婦人
差別撤廃条約を八五年までに批准するという
政府
の公約
実行
のためにも、母性保護を十分保障した男女
雇用
平等法が必要だと
考え
ますが、
総理
の所見を伺います。 全国区
選挙
制度
、
参議院
の全国区
改革
という問題でありますが、全国区
選挙
制度
についての
自民党
の案は、無党派の人々の立候補の余地を奪うなど、
憲法
が保障する
民主主義
の根幹に反するものであります。わが党は、全国区比例代表制そのものは検討の対象にできると思いますが、
自民党
の
改悪
案を強行するならば、内容、手続の両方で
参議院
の自殺行為になると私は
考え
るものであります。
政府
のお
考え
を伺います。 最後に、
政治姿勢
について。 昨年十二月八日は太平洋戦争四十周年でありました。
鈴木内閣
成立
以後、靖国神社問題、軍備増強、
憲法
問題等、あの戦争の反省を忘れたような
姿勢
が目立っております。三百十万の
日本
人が命を失い、近隣諸国に二千万人の犠牲者を出したあの戦争が、全く大義名分のない戦争だったということへのまともな反省がないのではありませんか。 また、ロッキード事件、相次ぐ談合
入札
への
政府
の甘い
対応
、大学の裏口入学への口ききは
選挙
区の住民に対してあたりまえなどという閣僚も出る始末であります。
鈴木内閣
はモラル観、倫理観が乏しいのではないですか。
自民党
内の派閥間の和と
国民
世論の常識とが矛盾するとき、どちらをおとりになるか、私はしかと
総理
にお伺いしたいと思うのであります。
日本
共産党は、六十年前に党を創立して以来、侵略戦争に反対して、平和と
民主主義
のために一貫して闘ってきた党であります。今後とも、わが党はこの伝統を生かして闘い抜くということを表明して、私の質問を終わります。(拍手) 〔
国務大臣
鈴木善幸君登壇、拍手〕
鈴木善幸
11
○
国務大臣
(鈴木善幸君) 宮本
日本
共産党委員長にお答えいたします。 まず、御指摘のレーガン大統領の発言についてでありますが、この発言は、
米国
はいかなる攻撃に対してもこれに
対応
し得る有効な態勢をとることをその抑止力の基本としているという趣旨を述べたものと認識しております。お話にあったような、
米国
本土は避けるが、他の
地域
は核戦争の戦場にするなどという無
責任
な趣旨の発言ではなく、
米国
としても核戦争に至るような対決は避けなければならないという基本的
立場
に立っていることは、これまでもいろいろな機会に明らかにされてきているところであります。 宮本さんの御指摘をまつまでもなく、核兵器の使用は、たとえ限定的なものであっても、これが現実のものとなってはならないことは申すまでもありません。
わが国
といたしましては、今後とも核保有国の自制と
責任
を求めるとともに、国際的に核軍縮の
促進
を訴えてまいる所存であります。 なお、
政府
は、核兵器全面禁止協定の提案国になるかとのお尋ねでございましたが、現在、国連でそのような提案が行われているとは承知しておりません。いずれにせよ、すでに本
国会
でも述べましたとおり、国連における核軍縮関係の決議案につきましては、
政府
はこれまでも具体的提案に即して、これが真に核軍縮を
促進
し、国際の平和と安全に資するか否かという観点から是々非々の態度で臨んできており、今後ともかかる態度で臨んでまいる所存でございます。 なお、今日の国際
社会
を見るに、これが東西間の軍事力の均衡を基礎としていることは否定できない現実でありまして、
わが国
もこの現実を直視して、国の安全保障政策を
実施
していかなければならないと
考え
ます。したがって、
わが国
としては、引き続き日米安保体制の円滑かつ効果的な運用と防衛力の着実な整備を進めるとともに、他方において、
世界
の平和と安定を長期的により強固なものとするため、軍縮、軍備管理へのたゆまざる努力を行っていくことが肝要であると
考え
ております。 なお、日米安保体制を破棄せよとの趣旨のお話がございました。 われわれは三十年前、日米安保体制によって
わが国
の平和と安全を確保するという道を選択いたしました。今日の
わが国
の平和と繁栄を目の当たりにするとき、この選択が正しかったということはだれの目にも明らかであります。いずれにせよ、この点につきましては、われわれは
日本
共産党の方々とは全く
立場
を異にするものであることを再度明確に申し上げておきます。 次に、
経済
関係の御質問にお答えをいたします。 まず、
家計
の
実質
消費
支出
でありますが、第二次
石油危機
の
影響
などにより五十五年にはマイナスを記録しました。五十六年も、統計で見る限り、
所得
の
伸び
悩みなどにより一進一退を続けております。しかし、勤労者世帯では、五十六年に入り
消費
支出
はほぼ
実質
増に
回復
しております。
政府
は今後、
物価
の安定を基礎に、国内民間需要を中心として
景気
の着実な
回復
を
促進
することにより、
家計
消費
の
回復
に努力してまいります。 しかし、
世界
的な比較で見れば、
日本経済
が最も恵まれている
状況
にあることは事実でありまして、いたずらに卑屈になる必要はありません。
わが国
の
経済
が現在
外需依存
型になってきており、また
貿易摩擦
問題があって、いずれも解決の努力を要する問題でありますが、それは
わが国
の
経済運営
がアメリカや大
企業
の圧力に左右されているからではなく、停滞する
世界経済
の環境の中で、複雑困難な諸種の要因によるものであることは明らかであります。 退職給与引当金の累積限度額については、五十七
年度
税制改正の検討課題とされたことは事実でありますが、税制調査会の
答申
を受けて今後基本的な検討を進めていくこととしたものでありまして、財界の圧力で腰砕けになったという批判は当たりません。 五十七
年度
の
公共事業
予算
は、総体として前
年度
と同額に抑制しましたが、その事業別配分に当たっては、住宅
対策
、下水道、
環境衛生
施設整備等、
国民生活
に
関連
する事業について特に配慮しております。 なお、本四連絡橋事業につきましては、その財源の大宗が財投資金等の有償資金であること、事業の遅延はかえって採算を悪化させることなどを勘案し、現在
実施
中の一ルート四橋に当面限定との
臨調
答申
に沿って所要額を計上したものであります。 私は、
国民
の大きな関心事である
行政改革
は、
国民
の支持を受け、世論に沿ったものであると
考え
ており、軍事優先、大
企業
優先の
行政改革
であるとの批判は全く当たらないと
考え
ます。
政府
としては、今後も
臨時行政調査会
の審議の
動向
や
国会
の御審議を踏まえながら、
国民
一般の要請に即した総合的視点に立って、
行政改革
の基本的課題に関する
施策
の検討及び立案、
推進
に一層努力してまいる
方針
であります。 今後の
わが国経済
についての私の見解を求められましたが、今後の
わが国経済
は、
行財政改革
、国際的な
経済
摩擦の解決、来るべき
高齢化社会
への
対応
など、多くの課題に対処していかなければなりませんが、
国民
の英知と努力を結集して、課題の解決に全力を傾注するとともに、適正な
成長
を保ちつつ、質的に充実した
国民生活
の実現と国際
経済
社会
への貢献を目指して着実に発展を続けることができると信じております。 次に、
婦人
の活動についてでありますが、
婦人
差別撤廃条約については、その批准のため国内法等諸
条件
の整備に努めていくこととしておりますが、男女
雇用
平等法の制定、母性保護の充実などについては、関係審議会での審議の結果を待って検討してまいりたいと存じます。 次に、
参議院
全国区制の
改革
についてお尋ねがありましたが、現在の
参議院
全国区制については、これまで各方面から多くの問題点が指摘されてきたことは御案内のとおりであります。その
改革
はいまや緊急の課題であると
考え
ております。現在、
国会
の審議に付されている全国区制の改正案は、昨年来各党にもその内容を御
説明
をし、
憲法
問題等についても十分検討を尽くした上で提案されたものと承知しており、今
国会
においてぜひとも精力的に御審議をいただき、速やかに全国区制の
改善
が実現されるよう切望しております。 次に、
鈴木内閣
は
憲法
軽視、戦争への反省がないとの御批判でありましたが、わが自由民主党は結党以来、
責任
ある
国民
政党として、
憲法
の精神にのっとり、自由と
民主主義
を尊重し、常に
国民
の熱い支持のもとに、
わが国
が戦後の廃墟から今日の
世界
でもうらやまれるほどの自由と平和と繁栄を享受する国になったことに大きな貢献をしてきたことを誇りといたすものであります。
鈴木内閣
は、今後とも平和
憲法
の理念を尊重しつつ、国政の進展に精励してまいりたいと存じます。 最後に、
政治倫理
についてお尋ねがありましたが、就任以来、私は、
政治倫理
の
確立
を図るためには公正でお金のかからない
選挙
制度
の
確立
が
急務
だと
考え
、一歩一歩措置を講じてきたところであります。すでに再三申し上げたとおりであります。今後におきましても、倫理委員会の設置、議院証言法の検討などの諸点につき、各党各会派の御協議が進展されることを希望するものであります。いずれにいたしましても、
政治倫理
の問題は個々の
政治
家の良心の問題に帰着いたします。この意味で、
政治
に携わる者は、私を含め常に自粛自戒し、
政治倫理
の一層の
確立
に努めてまいりたいと思います。 お答えをいたします。(拍手) —————————————
徳永正利
12
○議長(
徳永正利
君) 藤井恒男君。 〔藤井恒男君登壇、拍手〕
藤井恒男
13
○藤井恒男君 私は、民社党・
国民
連合を代表いたしまして、
さき
に行われました
総理
並びに三大臣の
演説
に対しまして若干の質問を行います。 さて、
わが国
は、戦後一貫して国際
社会
の中においてその発展の利益を享受し、今日の
立場
を築いてまいりました。しかし、いまや
日本
は、人口は
世界
総人口の二・七%にもかかわらず、
国民
総生産は自由
世界
全体の二二%を占め、
輸出
額も同様八%を占めるに至りました。この
日本
の比重は、
日本経済
の潜在
成長
力の強さから見て、今後ますます高まりこそすれ
低下
することはないものと思います。 この意味において、
世界
各国は、
日本
が
政治
、
経済
、防衛の各般にわたって
世界
平和の維持発展にいかなる貢献をするのか、いかなる利益を
日本
は逆に
世界
各国に与えるのかを注視しております。
わが国
がこの課題の解決に失敗すれば、
福祉
国家の建設はもちろんのこと、
日本
の存在基盤さえ失う
危険性
があることを
国民
一人一人が十分自覚しなければならないと思います。
世界
の
日本
への
期待
の高まり、これとはうらはらな
日本
の
世界
認識の甘さ、それに由来する
行動
力の欠如、このギャップの解消こそ今後の
国民
的最重要課題と言っても過言ではありません。 このため、
わが国
は、外に対しては
世界
平和の積極的創造への貢献と国際
経済
の発展に対する
わが国
の
責任
の明確化、内においては本格的な
行革
の断行と
内需
中心の適正
成長
の
達成
、さらには
高齢化社会
に
対応
する基盤づくり等に努めなければならないと思います。この基本認識について
総理
はどのようにお
考え
か、御所見をお伺いいたします。 次に、具体的に外交、防衛問題について質問します。 いまも申し上げましたように、
日本
の存立は
世界
の平和と不可分一体であり、
わが国
は自主的な防衛努力と
世界
平和への貢献を同時並行して進めなければなりません。このバランスこそが重要であり、わが党は、一方における
軍事大国
路線、他方における無防備無抵抗論の両極論を排さなければならないと確信しております。ところが、
鈴木内閣
の防衛政策は、場当たり的、事なかれ主義であり、まことに遺憾であります。 たとえば、昨年の日米共同声明をめぐって、日米安保条約がありながら、日米は軍事同盟ではないと発言し、いたずらな混乱を招いたり、来
年度
防衛
予算
について、それが
わが国
の自主的な計画に基づく積み上げというより、対米配慮でいわばごり押し的に決められ、このことについての
国民
の
不信
を招いたことは重大であると思います。さらに、去る十二日に
総理
が海空重視のハリネズミ防衛を国防
会議
なり総合安保閣僚協に諮ることなく指示し、十八日にはこれを事実上否定するという軽率な指示を行ったことなどがそれであります。
総理
、このようなことで
国民
の防衛問題に対する健全なコンセンサスがつくれるでありましょうか。もしアメリカ向けと
国民
向けの発言を使い分けたり、
国会
対策
を優先して
国民
に真実を語らないというのでは言語道断であると言わなければなりませんが、
総理
の真意をこの際、承りたいと思います。 本年は、国連軍縮総会の年であります。核軍拡競争をいかにしてストップし、緊張緩和を実現するかが最大の国際的課題であります。この問題について、
わが国
は傍観者的であったり他国追随ではなく、積極的なイニシアチブをとることが必要だと思います。
総理
、あなたが率先してアジア・太平洋首脳会談を提唱してはいかがですか。 さらに、「核軍縮・平和研究機構」といった
世界
の権威者を集めたシンクタンクを
わが国
に設置するよう提唱してはいかがなものでしょうか。
総理
の御所見を承りたいと思います。 次に、内政問題についてお伺いします。 わが党は、五十六
年度
経済運営
について、
所得税減税
による民間活力の維持を強調したにもかかわらず、
政府
は一兆四千億円にも上る大幅
増税
を行い、当初の
目標
とは全くうらはらに、
輸出
中心の低
成長
を招いています。このことは勤労者の可
処分所得
を停滞させ、
消費
支出
を抑制し、ひいては
中小企業
の活力を奪い、
税収
は
伸び
悩むといった
日本経済
の悪循環を引き起こしつつあります。五十七
年度
も同じ轍を踏もうとしています。 そこで
総理
にお伺いします。 この際、
総理
がたびたび述べておられる「
財政再建
が先決で
減税
ができる余裕がない」という発想を根本的に改めて、「
内需
拡大
による
わが国経済
の発展と
国民生活
の安定」を求める発想に立ち、
内需
拡大
の柱を
所得税
の
減税
、住民税の
減税
とすべきであると思うのですが、いかがでしょう。 重ねて申し上げますが、
政府
の
方針
で推移するなら、
減税
はしないし、
景気
は低迷し、
財政再建
もできないという八方ふさがりに陥るばかりであり、結果は国際
経済
紛争を
拡大
する道につながるものと思います。
わが国
が
世界
の平和安定に貢献する道は、国際
経済
において、まず
日本
自身が
経済
紛争の種を事前に摘み取る努力を重ねることであり、そのためには
輸出
中心の
経済成長
を
内需
中心の適正
成長
に転換することであり、
所得税減税
は勇断をもって
実行
しなければならない最重要課題であると確信します。
総理
の
決断
を促したいのであります。 次に、事業
所得
者の必要
経費
は毎年、
物価
上昇
に応じて
改善
されるにもかかわらず、給与
所得
者の必要
経費
に相当する給与
所得
控除は、五十二年以降据え置かれております。これはまさに重大であります。この不公平をどうするおつもりか。 次に、五十六
年度
に三千七百五十億円の
赤字国債
の追加発行を行い、五十七
年度
予算
においても、当初の
目標
であった一兆八千三百億円の
赤字国債
減額
が一兆五千六百億円にとどまっております。このことは
総理
の公約に反するものと思うが、いかがですか。 次に、
政府
は来
年度
経済見通し
を五・二%の
実質
成長
としていますが、これを実現するための手段は何も用意されておりません。どのような方策をとるのかお伺いいたします。 次に、
行政改革
についてお伺いします。 民社党は、昨年暮れの党首会談において、今後五年間で約四万五千人の国家公務員の
実質
削減
、第二
地方
交付税の導入による
公共事業
費の節約合理化、
地方
出先機関の原則的廃止、国鉄の抜本的合理化等の
行革
についての具体的提言とともに、五十七
年度
予算編成
に対しても幾つかの
要求
を行ってまいりました。
総理
はこれをどのように受けとめたのか。また、
総理
は
行革
に取り組む
姿勢
が昨年の「
政治
生命をかける」といった態度から
後退
したような印象を与えているが、本格
答申
を前に「
増税
なき
行革
」についての決意を
国民
の前に明らかにされたい。 次に、確実にかつ急速に到来しつつある
高齢化社会
に備えた
福祉
政策のあり方について質問します。 わが党が、行
財政
のむだを徹底して排除し、行政機構を簡素合理化せよと主張している最大の
理由
は、
高齢化社会
に伴う
福祉
充実への重点的
財源確保
を図る足がかりとするためであります。しかるに、いまの実態は
高齢化社会
の
ビジョン
が不明確なまま、
財政再建
の名のもとに
年金
支給時期の繰り下げなど
福祉
の無原則な
後退
が図られております。これから
高齢化社会
を迎えるに当たって、どのような
福祉
のあり方がよいのか。たとえば、これまでの
制度
を抜本的に改めて、新たな
日本
型
福祉
政策を創造するなど、
国民
とともにその合意を形成する時期にあると思うのだが、この際、これからの
福祉
政策についての展望をお示し願いたい。
政府
は、すでにあらゆる面において行き詰まっている新
経済
社会
七カ年計画を廃止し、高齢者
福祉
計画を中心に据えた新たな
経済
社会
計画を策定すべきと思うが、
総理
並びに厚生大臣の見解をお伺いします。 次に、
貿易摩擦
問題について伺います。
わが国
の
輸出
額が自由
世界
全体の八%を占め、昨年一年間で対米黒字百三十四億ドル、対EC百三億ドルの黒字を計上している今日、この問題は国際
経済
の最重要課題になっています。ために日米間にはかつてない相互
不信
関係を招来し、今日では危機的状態にまで発展しております。この状態を打解するための具体的
施策
をお聞かせ願いたい。 また、
政府
が昨年十二月に発表した対外
経済
対策
は、具体的にどのように
実行
に移すのか。現在二十七品目ある残存輸入制限品目はいつまでにその緩和を図るのか、また、どのような品目を
考え
ておられるのか。なお、関税率の引き下げについては新たな提案を行う決意があるのか。これらの問題はかかって
総理
のリーダーシップにあると思います。
総理
の御
答弁
をお願いいたします。 次に、
教育
問題についてお尋ねします。
教育
は青少年の心を豊かにし、次代の担い手としての使命、自覚及び
責任
を持った人間として育てることにその目的があると思います。しかし、
現状
は、知識の詰め込みと激しい進学競争の中で、多くの青少年は心身をむだにすり減らし、一方、校内暴力など青少年非行の増大というまことに憂うべき事態になっております。 この原因は、第一に、知識や技術を教える
教育
はあっても、人間そのもの、人格そのものを築くことに対する
教育
の指針を欠いたこと、第二は、
民主主義
と自由をはき違えた
教育
が行われていることであります。一人一人を大事にする
教育
は自分のみを大事にする
教育
に置きかえられ、家庭、
社会
、国家など自分以外のものに対する感謝の気持ちを忘れさせ、権利の主張に偏した
教育
となっています。さらに、子供一人一人の
個人
差、
能力
差に関係なく同じ
教育
内容を押しつけ、理解のいかんにかかわらず自動的に進級する平等の意味をはき違えた
教育
が行われているところに問題があります。 わが党は、このような観点に立ち、
教育
の原点に戻って、現
憲法
及び
教育
基本法を堅持し発展させる
立場
から、これまでの
教育
の
見直し
と今後のよりよき
教育
を求めて「
教育
憲章」の制定を提唱しております。文部大臣はいかがお
考え
でしょうか、お伺いいたします。 〔議長退席、副議長着席〕 次に、
政治倫理
の
確立
と金権腐敗の根絶についてお尋ねします。
民主主義
政治
を発展させるためには、
政治
の強いリーダーシップと
国民
の
政治
に対する信頼が不可欠の
条件
であります。そのためには
政治倫理
の
確立
と金権腐敗の根絶を図らなければなりません。いまこそ「公開・参加・
責任
の
国民
に開かれた
政治
」、「清潔な
政治
」の実現のため全力を尽くすときであると思います。このため、これまでもしばしば
国会
内で論議が交わされ、
総理
もまた就任直後は
政治倫理
の
確立
を緊急課題の第一に掲げ、倫理委員会設置に意欲を見せておられましたが、自後しりすぼみになっております。ロッキード裁判が進み、
国民
が
政治
に対する疑念を増大させている今日、
総理
は
政治倫理
確立
についてどのように対処するのか、その
所信
を伺わせていただきたい。 最後に、
参議院
全国区
制度
について申し上げます。
総理
、申すまでもなく、
選挙
制度
なるものは議会
制度
の根幹にかかわる最も重要な、いわば土俵づくりの問題であり、しかも主権在民の民主
政治
にあっては、
選挙
制度
の変更は、選ばれる側の都合よりも選ぶ側、すなわち
国民
の
意思
が十分に反映されなければならない性格のものと思います。
総理
は、
さき
の
施政方針
演説
の中で「議会制
民主主義
の進展を図るため
参議院
全国区制を
改革
しなければならない」と申されたのでありますが、これはどういうことを言っておられるのか全くわかりません。現行の全国区制というものは議会制
民主主義
にもとるものとお
考え
なのかどうか、お伺いいたします。 仮にこの通常
国会
で多数をもって本
法案
の
成立
を図るとしたならば、
国民
は全くかやの外に置かれ、
国民
の生の声を全く聞くこともなく、
国民
不在の中で手前勝手な
選挙
制度
を
国民
に押しつけることになり、これはまさに議会制
民主主義
を損なうこととなり、
国民
の
政治
に対する
不信
はさらに
拡大
するのではないかと恐れるものであります。 わが党は公明党とともに、
自民党
に対して、全国区制
改革
については
自民党
の単独の
議員
立法を審議するやり方を改め、各党が案を持ち寄り、相互に検討を加え、なお第三者機関である審議会に諮問を行うとか、
国民
の生の声を反映させるために公聴会の開催や参考人による意見聴取等、慎重な審議の進め方を具体的に提案したのでありますが、これは拒否されるところとなっております。
さき
にも申したように、議会
政治
の基本にかかわる
選挙
制度
の
改革
を、審議会を持つこともなく、一党による
議員
立法で多数をもって押し通す、このような審議のあり方が許されてよいものでしょうか。
参議院
の基本的あり方をも変革しかねない
選挙
制度
の
改革
を、なぜそんなにあわてて強引にやろうとなさるのか、私は理解に苦しむものであります。
総理
の率直なお
考え
をお聞かせいただきたい。 なお、
自民党
案に対して具体的に問題点を指摘します。 一、従来
わが国
の
選挙
は、
投票
用紙に候補者の氏名を書くことを原則とし、これが定着しているわけだが、全国区に限って
政党名
を記載させる
投票
制度
が導入された場合、有権者の理解と共感が得られるだろうか。 二、欧州では、政党は明確に
憲法
上の機関であり、政党法あるいは倫理規範もそれなりに
確立
されております。これに引きかえ、
わが国
には政党法もなく、まして政策が金で売買されるがごとき汚職が絶えない未成熟な政党
政治
体制にあります。したがって、政党本位の
選挙
をするのであれば、政党法の制定、
政治
資金の規制の徹底化などが先行されなければなりません。これをおやりになるのか。 三、衆議院が議席数による政党
政治
の権力の府であるのに対して、
参議院
はこれに対してチェック・アンド・バランス
機能
を持つ良識の府であることをもって
わが国
の二院制は成り立っております。このとき、
参議院
に対して政党
選挙
を強要し、より政党化を強めることは本来の
参議院
の
機能
を失わせる結果とならないか。 四、現在の全国区
制度
は小会派及び
無所属候補
に対して開かれた門であります。これを閉ざすことは、価値観の多様化とともに進んできた多党化と
参議院
の本来の
機能
をつぶすことになり、
国民
の意向に背を向けることになります。かつ
憲法違反
になると思うが、どうか。 五、拘束
名簿
をどのように作成しようとするのか。当選順位は本来有権者が決定するものであります。それを有権者にかわって政党が決めることが果たして許されるものであろうか。有権者から候補者を選ぶ権利を奪うことは
憲法
に違反しないか。
選挙
制度
は
国民
のものであります。
国民
は、
参議院
の衆議院化、つまり政党化が
参議院
の第二院としての本来の
機能
を
低下
させるものであるとの批判の声を起こしております。
自民党
の
改革
案なるものは、この
国民
の意向に逆行するものであり、議会制
民主主義
を根底から覆すことにつながります。まして、
参議院
ではここ数年、議長のもとに
参議院
改革
協議会を持って、全党が
国民
の声を受けて
参議院
の本来のあるべき姿を模索しております。
参議院
の
選挙
制度
を変えるとするなら、
参議院
改革
協議会の結論に合致する方向の中からこれを行わなければならないと思います。
総理
、いかがなものでしょう。 以上、率直な御
答弁
をお聞きいたしまして、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 〔
国務大臣
鈴木善幸君登壇、拍手〕
鈴木善幸
14
○
国務大臣
(鈴木善幸君) 藤井
議員
にお答えいたします。 まず、国際
社会
における
わが国
の比重の高まりなどに触れつつ、内外の政策課題に関する私の基本的認識についてお尋ねがございました。 今回の
施政方針
演説
におきまして、特に緊急な課題として
行財政改革
の
推進
と国際的な
経済
摩擦の解決を挙げました。また、
内需
の
振興
と
高齢化社会
への
対応
などを強調いたしました。これらに関する基本認識におきまして、私は藤井
議員
と思いをほぼ同じゅうするものであります。 私は、
わが国
が
世界
第二位の
経済
大国になった今日、特に国際
経済
面におきまして、これまでの受動的な利益の享受者の
立場
から、能動的な
役割り
を積極的に果たしていく
立場
へと
変化
していくことがとりわけ緊要であると
考え
ております。 次に、防衛の問題につきましては、
施政方針
演説
でも述べたとおり、今日自由主義国の有力な一員としての
わが国
が、みずからの国はまずみずからの手で守るとの決意のもとに、
憲法
の範囲内で必要最小限度の防衛力の整備を着実に進めることは、
わが国
に課せられた当然の責務であると
考え
ます。このため、私は、日米安全保障体制を基調とし、専守防衛に徹し、近隣諸国に軍事的脅威を与えることなく、かつ非核三原則を堅持しつつ、防衛計画の大綱の水準にできるだけ早く到達させるよう、自主的な判断のもとに他の諸
施策
との調和を勘案しながら着実な防衛力整備に努めているところであります。 私のこのような基本的
考え
方は、内閣発足以来一貫しているところでありますが、国の防衛は
国民
の理解と支持によって裏づけされていることが何よりも必要であり、このため、このような私の基本的
考え
方について今後とも機会あるごとに広く
国民
に
説明
し、防衛問題について
国民
的コンセンサスが形成されるよう努力してまいる所存であります。 先般、私が伊藤防衛庁長官に指示したことに関係いたしましての御発言がありましたが、その内容は次のようなものでありますので、御理解を願いたいのであります。 最近、
国民
の間に防衛問題、安全保障の問題について関心が高まりつつあるが、
わが国
は地勢的に見ても、国境線を陸続きに持つところの大陸国家ではなく、四面海をめぐらす海洋国家である。また、平和
憲法
のもとで専守防衛に徹する
わが国
として、これにふさわしい防衛体制を
考え
ることは当然である。このような観点から今後防衛計画の大綱を
達成
していくに当たって、専門家による研究をさらに深め、侵略の企図を未然に防止する抑止力の一層の
向上
を図るよう努めてもらいたい、これが私が伊藤防衛庁長官に指示したところでございます。御理解を願います。 次に、軍縮の問題についてお答えをいたします。 軍備競争の傾向を
是正
し、軍縮、軍備管理に努力すべきことは、御指摘のとおり今日
世界
が挙げて取り組むべき課題であります。
わが国
は、従来より平和
憲法
のもとで非核三原則を堅持し、
軍事大国
とはならず、その持てる力を
世界
の平和と繁栄のために用いることを国の基本
方針
としており、来るべき第二回国連軍縮特別総会に際しては、私自身これに出席して、平和国家としての
立場
から核軍縮を中心とした軍縮の
促進
を強く訴えたいと
考え
ております。 なお、アジア・太平洋サミットの開催につきましては、昨日も佐々木委員長より同様の御提言がございましたが、貴重な御意見として承りました。現在のアジア・太平洋
地域
の情勢に照らして見れば、かかるサミットを意義あらしめるような素地は遺憾ながらまだ醸成されていないと
考え
ますが、今後とも国際情勢、アジア・太平洋
地域
の情勢の推移を慎重に見きわめながら、その可能性について探求してまいりたいと
考え
ております。 次に、
経済
、
財政
問題にお答えいたします。 まず、
日本経済
は
輸出
中心の低
成長
という悪循環を引き起こしつつあるのではないかとのお尋ねでありますが、
わが国
の
景気
の
現状
は、在庫調整もほぼ終わり、生産、出荷も基調としては
増加
傾向にあるなど、そのテンポは緩やかであるものの、総じて見れば
回復
過程にございます。一方、五十六
年度
の
わが国経済
が当初
見通し
より
外需依存
型の
成長
になっていることは御指摘のとおりでありますが、これにはアメリカの高金利を背景に予想以上の円安傾向になったことが大きく
影響
したのであります。しかし、最近では
輸出
の
伸び
の鈍化、輸入の下げどまりなどが見られるに至っていることは御存じのとおりであります。今後におきましては、
住宅建設
、
中小企業
対策
など民間活力が最大限に発揮される環境を整えるとともに、引き続き
金融政策
の適切かつ機動的な運営を図るなどきめ細かな
経済運営
を行い、国内民間需要を中心とした
景気
の維持
拡大
を図っていく
考え
であります。
内需
の
拡大
のため
所得減税
を行えとの御意見でありますが、
現下
の
財政事情
、及び
わが国
の
個人
所得
に対する
所得税
負担
の割合が国際的に見てなお低い水準にあることから、
所得税減税
についてはこれを見合わせることといたしました。 五十六
年度
補正予算
における三千七百五十億円の特例公債追加発行は、
物価
の予想以上の安定などによる
税収
減に伴う歳入不足を補てんするためのものであり、まことにやむを得ないものであります。また、五十七
年度
の公債
減額
がすべて特例公債とならなかったのは、一つは各省庁がゼロ
シーリング
の枠内に
要求
を押し込むに当たって、施設費等の建設公債発行対象
経費
を
削減
してきたこと、第二は
公共事業
関係費を前
年度
と同額とした一方、これに充てる特定財源収入の
増加
が見込まれたことの二つの
理由
により、投資部門の財源不足が少なくなり、建設公債が必然的に減少したことなどによるものでありまして、御了承をいただきたいと存じます。しかしながら、これによって
財政再建
の基本路線はいささかも変わるものではなく、今後とも、その実現に向けて最大限の努力を払う所存でございます。 御承知のとおり、
政府
は、行政を抜本的に
見直し
、新しい
時代
にふさわしいものとするとともに、
国民
一般の要請に即して行
財政
の
対応
力を
回復
するため、
行政改革
を当面する最重要な課題の一つとして位置づけ、その
推進
に取り組んできております。すでに昨年七月の
臨時行政調査会
の第一次
答申
を受けて所要の
施策
を
推進
中であり、当面法的措置を講ずべき事項について、
さき
の臨時
国会
において
行革
関連
特例法の
成立
を見たほか、
昭和
五十七
年度
予算編成
過程においても各般の措置を講じ、極力その実現を図っております。
政府
としては、今後も
臨時行政調査会
の審議の
動向
や
国会
審議において表明された御意見その他、もちろん民社党を含めて各界各方面からのさまざまな御提言等をも適切に踏まえながら、できるだけ
国民
に大きな
負担
を強いないような形で
財政再建
を
推進
するとともに、行政の合理化、効率化を
推進
する
方針
であり、
改革
の基本的課題に関する
政府
としての
施策
の検討及び立案
推進
に一層努力してまいりたいと
考え
ております。 新
経済
社会
七カ年計画についてでありますが、現行の新
経済
社会
七カ年計画においては、人口の高齢化を含めた
社会
的変動などの背景を踏まえ、
経済運営
の基本的方向の一つとして新しい
日本
型
福祉
社会
の実現を掲げております。
政府
としては、こうした基本的
考え
方に沿って、
雇用
、
社会
保障などの面で各般の
施策
を
推進
しているところであります。したがって、御指摘のような高齢者
福祉
計画を中心に据えた新たな
経済
社会
計画を策定することは、現段階では
考え
ておりません。 次に、国際
経済
摩擦の解消についての御質問でありますが、御指摘のとおり当面の最重要課題であります。 このため、
政府
は昨年十二月十六日の
経済
対策
閣僚
会議
において、
市場開放
対策
、輸入
促進
対策
、
輸出
対策
など五項目から成る対外
経済
対策
を決定し、現在その
推進
に努めているところであります。中でも、輸入制限の緩和については、諸外国の関心品目に留意しつつ、残存輸入制限について適宜
見直し
を行い、その結果を
経済
対策
閣僚
会議
に報告することになっております。また、関税率の引き下げについては、すでに
東京
ラウンド合意に基づく関税率の段階的引き下げの二年分前倒しを決定したところであります。なお、明日
予定
している
経済
対策
閣僚
会議
において、輸入検査手続等の
改善
措置を決定することといたしております。
政治倫理
の
確立
につきましては、すでにこの壇上からもしばしば申し上げましたとおり、それが
政治
への
国民
の信頼確保のための基盤であり原点であるという観点から、私は一歩一歩取り組んでまいりました。今後におきましても、今回の
施政方針
演説
で強調いたしましたとおり、
政治
と行政のすべての面で
国民
の
不信
を招くことのないよう、
政治倫理
の一層の
確立
に努めてまいります。倫理委員会の設置及び議院証言法の検討の問題につきましても、各党各会派の協議の速やかな進展を希望いたしております。 最後に、
参議院
全国区制の
改革
案に関し、改正の趣旨及び具体的な疑問点について詳細な御意見がございました。 まず、改正する趣旨についてであります。現行の
参議院
全国区制については、これまで各方面から多くの問題点が指摘されてきたことは御案内のとおりであります。これは単に金や労力の問題にとどまらず、有権者にとっても候補者の選択がきわめて困難であることなどの点を十分考慮して、改正案が取りまとめられたものと承知いたしております。 次に、具体的問題についてでありますが、まず
投票
の仕組みについて候補者名を書いて
投票
する限りは現行
制度
に伴う問題点の解決は困難でありますし、また私は、御意見のように現に国政に参画されている各党が未成熟であるとは決して
考え
ておりません。 政党法、
政治資金規正法
を先行させよという主張については、事柄の性格上、なお慎重に御論議を願う必要がありますので、当面の緊急課題として全国区制の改正を取り上げたものであります。 そのほか、改正案は、御質問の
参議院
の
機能
、
役割り
の問題、
憲法
問題、
地方
区候補者とのかかわりなどについても慎重な検討を重ねた上で取りまとめられたものと伺っておりますが、
法案
は
政府
提案ではございませんので、各党間で論議を詰めていただければ幸いと存じます。 なお、改正案については、昨年来、各党にも御
説明
し、御検討を願ってきたところでありますので、今
国会
においてぜひとも精力的に御審議いただき、その早期
改善
が実現するよう心から念願しております。 以上お答えいたしましたが、残余の問題につきましては所管大臣から
答弁
をいたさせます。(拍手) 〔
国務大臣
河本敏夫君登壇、拍手〕
河本敏夫
15
○
国務大臣
(河本敏夫君) これからの
経済運営
をどう進めるのか、こういう御質問でございますが、まず
わが国
を取り巻く
経済
環境について申し上げますと、第二次
石油危機
が起こりましてからようやく三年目を迎えまして、
石油
の
需給
関係は小康状態になっております。また、
世界経済
もことしの後半からようやく
回復
に向かうであろう、こういう
見通し
が有力になってきております。こういう
世界経済
の状態を背景といたしまして、
内需
中心の
経済成長
ができますようなそういう
経済運営
を進めてまいりたいと
考え
ております。 まず第一に、
物価
の安定を進めてまいりたいと思います。
物価
の安定はすべての政策に最優先させたいと
考え
ております。先ほど
金融政策
につきましては
総理
からもお述べになりましたが、民間の設備投資が
促進
されるようなそういう政策を、
金融政策
も含めまして進めてまいりたいと
考え
ております。なお、住宅政策につきましては、積極的にこれに取り組んでまいる所存でございます。 以上のような政策を中心といたしまして
内需
拡大
の
方針
を進めてまいりますが、
公共事業
につきましては、五十七
年度
予算
におきましてある
程度
の量を確保しておりますが、なお
予算
が
国会
において
成立
をいたしました暁におきまして、これを
経済
の実情に合わせまして機動的に運営をすることにいたしております。 以上であります。(拍手) 〔
国務大臣
渡辺美智雄君登壇、拍手〕
渡辺美智雄
16
○
国務大臣
(渡辺美智雄君) お答えをいたします。 給与
所得
控除が据え置かれておる、一方、自営業者、
農業
所得
者は
物価
が上がれば
経費
が上がる、したがって給与
所得
控除を据え置いておるのは不公平でないか、こういうような意味に私はとったわけでございます。ところが、給与
所得
控除というのは、一番下の五十万円というようなことでございますが、これはやはり給与が上がれば控除額は上がるわけであります。五十万円の収入しかないのは五十万円の控除ですから、これは一〇〇%で
所得
はゼロ、しかし百万円の収入の人は、これは確かに五十万円ですから五〇%の控除割合。三百万円になると、百五万円控除しますから控除割合は三五%。五百万円の人は百四十五万円で二九%。一千万円の収入は二百五万円控除します、したがって二〇・五%。一千万円を超えますと控除率がだんだん下がっていくということで、そういう意味から高額の人は非常に重税感がふえていると言われるのも事実でございます。しかしながら、そのように給与
所得
控除は別に事業
所得
と比べて
経費
率が不公正であるとは
考え
ておりません。(拍手) 〔
国務大臣
森下元晴君登壇、拍手〕
森下元晴
17
○
国務大臣
(森下元晴君) 藤井
議員
に二点お答えをしたいと思います。
高齢化社会
における
福祉
のあり方につきましては、
高齢化社会
を控え、
個人
の自立自助や、家庭、
地域
社会
での助け合いの精神のもとに
国民生活
の基礎を支えるという
社会
保障の
役割り
が適切に果たせるようにしてまいりたいと存じております。その際、
国民
の将来の
負担
をも考慮しながら
社会
保障の効率化を進めるとともに、真に
福祉
を必要とする人々に対しましては重点的に
福祉
の充実を図ってまいりたいと思います。 また、高齢者
福祉
計画を中心とした新たな
経済
社会
計画の策定につきましては、先ほど
総理
が
答弁
されたとおりでありますが、私といたしましては、今後とも
年金
、
医療
、
社会福祉
の各分野について、中長期的展望を明らかにできるよう努力してまいる所存でございます。(拍手) 〔
国務大臣
小川平二君登壇、拍手〕
小川平二
18
○
国務大臣
(小川平二君) お答えいたします。
わが国
の学校
教育
が、今日、青少年非行あるいは受験競争等々の問題を抱えておりますことは、ただいま御指摘のあったとおりでございます。これを改めて、知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな児童生徒を育成することが大きな課題でございますから、文部省としては、新しい学習指導要領の趣旨を生かした学校
教育
の充実、教師の資質と意欲の
向上
、生徒指導あるいは道徳
教育
の充実など、文教
施策
の一層の
推進
に努力しているところであります。
教育
のよりどころとして
教育
憲章を制定してはどうかとの御意見につきましては、一つの御提案としてかねてから承知をいたしておりますが、文部省としては、
憲法
及び
教育
基本法において示されている
教育
の理念に基づいて、ただいま申し上げましたような文教の諸
施策
を進めているところでございます。したがいまして、これに加えてさらに
教育
憲章を
考え
るということにつきましては、慎重に対処すべき問題だと
考え
ておる次第でございます。(拍手) —————————————
秋山長造
19
○副議長(秋山長造君) 片岡勝治君。 〔片岡勝治君登壇、拍手〕
片岡勝治
20
○片岡勝治君 私は、
日本
社会
党を代表して、当面の問題について質問いたします。 さて、まず初めに、
行政改革
についてその基本的なあり方を改めてここでただしたいと思います。 そもそも今回の
行革
は、長期の誤った政策の集積である
財政
危機であるのに、その
責任
から逃れ、赤字の穴埋めをやるには
行革
の名を付しておかなければ
国民
がついてこないと見て始められたと見られるわけであります。したがって、今回の
行革
は、このように
政治
的なるがゆえに、どの部分が
行革
なのか、まさに方向音痴に陥っていると思うのです。いまここで従来の行きがかりを捨て、
国民
のための、
国民
にわかる
行革
に転換しなければ、その実効を上げることは不可能でありましよう。 そこで、第一に申し上げたいことは、政策の選択や
財政
のやりくりなどはおよそ
行革
とは無縁のものだということであります。よって、この部分を除いたもので、これまで
実施
したと誇らしげに言う
行革
について、これはむだを省いたもの、これは効率を上げたもの等、分類をして御報告をお願いをいたしたいと思うわけであります。 第二の問題は、
行革
が効率をねらいとするのは当然であります。しかし、
福祉
政策の
後退
は実は逆行であります。
国民
の
福祉
のニーズの公共的提供は、ノーマライゼーションという新たな
考え
も加わりまして、その公正と効率化を図れる最も合理的なシステムだからです。
政府
や
臨調
の
行革
がまずとこの切り捨てを図ることは、行政の効率化を否定した
行革
の自己矛盾と言えるわけです。 第三は、
増税
なき
行革
の問題ですが、すでに触れられましたので、この点は省略をいたします。 第四は、むだのない効率的な行政の名によって民主的ルールを削り取ることが
行革
なのですか。
国会
も、公共料金や、
さき
の
行革
法などで次々と審議の対象が狭められました。議会がむだで非効率的な機構と見ることに末恐ろしさを感じます。各種審議会も、
政府
や行政みずからがっくり、イエスマンだけを集め、行政の隠れみのにするから整理の対象にされるのです。民主的ルールこそ真の
行革
の
推進
力ではありませんか。
政府
の見解を承りたいと思います。 次に、五十七
年度
重点
施策
とした住宅問題について触れてみます。
日本
の住宅事情は、四〇%の
国民
が困窮し
不満
を持っています。わが党はかねがね、住宅保障法による計画的な庶民住宅の大量建設などを提唱してきました。しかし現実は、ついにはウサギ小屋とささやかれてしまっております。本来、住宅政策は
国民生活
安定
向上
の基本政策であって、
不況
だから
景気
浮揚の手段とするところに欠陥
政治
を見るのです。 今日、
国民
は
実質賃金
の
低下
等によって、
住宅取得能力
の余裕度が極度に
低下
しております。しかも、
政府
の進めてきた持ち家住宅は
土地
や建設費の高騰から高ねの花であり、またローン地獄にあえいでいるのです。ですから、五十五年の
住宅建設
は百二十五万戸で、前年対比一五%減、四十八年ピーク時の実に六五%まで
落ち込み
、うち賃貸住宅はそのわずか四分の一、五十六
年度
はさらに
落ち込み
が確実になっております。こうした現実を踏まえますれば、住宅政策の根本
見直し
と
条件
整備があってしかるべきであります。 そこで、次の諸点について見解をただしたい。 第一は、これまでの持ち家住宅から賃貸重点、特に公共賃貸の大量建設に転換すべきである。 第二には、公共賃貸住宅の質を
向上
させ、西欧先進国並みに魅力あるものにすべきである。 第三に、持ち家政策による公庫借り入れ一千万円には、毎月国から利子補給として一万三千円の補助がある計算になっているわけであります。したがって、これの見合いとして、低
所得
者である賃借人に公正を期すためにも補助
制度
をつくるべきであると思いますが、これらについての見解を承りたいと思います。 第四は宅地問題。いま
政府
や関係省庁筋では、来
年度
は甘いあめをなめるか、厳しい税のむちを受けるか両面で
対応
するからうまくいくであろうとしきりに言っております。この言葉に見られるような権力のかさにかかった態度で、どうして
土地
の供給が増大するでありましょう。
土地
高騰が続く限り、こうした手段では実効が上がらないのは、これまでの経験で明らかであります。抜本
対策
を別に立てるべきであります。それより晩も当面、公共機関による賃貸
制度
への
決断
、遊休未利用地、大
企業
の買い占め
土地
の提供、都市再開発補助に
対応
した義務的賃貸住宅の建設等をまず積極的に推し進め、住宅ストックの飛躍を図らなければなりません。 以上の諸
施策
が並行的に進まなければ、
政府
の住宅政策は庶民には届かず、一部の高額
所得
者のためのものとなる
程度
で、その
目標
の建設戸数にはとうてい達しないでしょう。見解を求めます。 次に環境問題です。
わが国
の大気、水質、騒音などの典型七公害は、
不況
にも
影響
されて汚染進行の気配を見せております。すなわち、五十五
年度
調査でも二酸化硫黄、二酸化窒素も大都市では高濃度が続き、一部では急
上昇
、加えてばいじん汚染が急激に進行しております。また、全国の主要道路沿いでは、二酸化窒素環境
基準
達成
率が前年より八%も
低下
をいたしております。こうした
状況
が照葉樹林や野生動物を激減させていると伝えております。国際的にも、
世界
環境白書が指摘しているように、大気汚染が気象、農林業に
影響
し、広域的に樹木の
成長
をおくらせ、あるいは消失させ、生物の激減を警告いたしております。 さて、
わが国
の公害
対策
は、まず住民が立ち上がり、自治体がこれを受けて条例化し、最後に国が法律や
基準
をつくるというパターンでした。今日でもアセスメント法あるいは最近の空き缶
対策
のように、財界癒着による消極性が目立っております。これでは両面から環境庁スクラップ論が出るのは当然であります。事態は環境行政を一層重くしていることから、環境庁もその
姿勢
を正すとともに、公害防止、自然保護という政策から快適な環境の創造に転換し、がんばっていかなければなりません。 よって、第一に、環境
対策
の行政
姿勢
と、これらの新たな課題についてどう
対応
されるのか。第二に、汚染
対策
は濃度規制から総量規制を重点とする
対策
、総量管理システムを
確立
、転換しなければなりません。その
基準
、
地域
設定などの
見直し
をどう進めるか、お示し願いたい。 次に、新しい領域たるアメニティーについて所見を伺いたい。 たとえば、林野行政はいままで
経済
性、
企業
性のみに立ってきましたが、森林の持つ環境のはかり知れない価値を
考え
れば、ここにその管理や経営の重点を変えなければならぬと思います。なお、
日本
は木材需要の七〇%を主として東南アジアより輸入し、ためにその
地域
の森林が半減していると言われます。この森林再生は
日本
の義務、この点の海外援助を図るべきであると思うが、いかがでしょうか。これらに対する見解を求めたいと思います。 また、最近ディーゼル車の排気ガスに強い発がん性物質のあることが確認されました。沿線住民、特に高速道路沿線では深夜の騒音あるいは振動の上にこの排気ガスではたまりません。これは運転手にもショックです。緊急
対策
を強く望むとともに、月に一日ぐらい高速道路をジョギング、散歩などに開放し、
経済
性のみでなく公共的住民サービスを図り、住民との共存を図る、そういう発想の転換が必要なのではないでしょうか。 次に、
教育
政策を取り上げましょう。
行革
の名による
教育
費切り捨てが端的にあらわれました。四十人学級の繰り延べ、学校建設費一一%カット、
増税
なき
行革
がここに変形して学費値上げとなっています。すなわち、国立大学授業料二〇%増の二十一万円、私学助成は前年同額、当然増二百五十億荘から
実質
削減
、ために学費など年十万円
程度
の
負担
増が予想されております。しかも奨学金は
改善
ゼロ、踏んだりけったりたたいたりの冷たい仕打ちであります。
実質
所得
マイナスの御時世でありますから、せめて当分学費の値上げの凍結、あるいは奨学金の
改善
を図るなどの心配りがなぜできないのか。 教科書無償も
予算編成
期になると揺さぶられ、さまざまな駆け引きに利用されております。教科書無償はまさしく義務
教育
無償の象徴的政策であって、むだを省くという
行革
の対象になり得ぬ性格のものです。この点、明確な態度を表明されたい。 教科書はまた数々の受難が続いております。
政治
権力の介入、
政治
干渉に行政も教科書会社も屈服してしまう体質、検定
制度
の変質から国定化、文部省高級官僚のゴルフ会員権事件、これらの裏には教科書会社の
政治
献金問題などなど、
国民
はやり切れない気持ちです。こんなことでどうして青少年の非行問題を語られますか。これら一連の事件がどうして生まれたのか、これを防止するには文部省としてどうすればいいのか、しかとお答えをいただきたい。 最後に私は、平和の問題について改めて
総理
の
所信
をただしたいと思います。 あなたは、昨年八月六日、広島平和記念式典で次のように誓われました。「私は、戦争と核兵器の脅威から人類を解放し、恒久平和と人類共存の道を開くため、たとえとのような困難があろうとも、さらに一層の努力を傾けてまいることをお誓いいたします」と。これは最高
政治
指導者たる首相の誓いであり、また、あなたの人柄からも私はこの言葉に偽りがあろうなどとは疑いたくありません。しかし、この言葉をよそに、いまの
日本
が軍事力増強最優先に針路をとっていることは確かです。しかも、それが
米国
の強い
要求
と、その核戦略体制の中にある事実も
総理
は否定なされますまい。
総理
の誓いとこの現実をどう判断したらいいのだろうか。 ここで自衛隊幹部の一連の発言について、文民統制の
機能
していない事項に触れる
予定
でありましたが、すでにこの点につきましては質問で触れられておりますので省略し、次に移りたいと思います。 昨年、防衛白書は愛国心をうたい上げました。
突出
した防衛
予算
が象徴する防衛力増強と、色濃くしてきた戦時体制下の路線に
国民
のコンセンサスを求めた白書の愛国心とは何かは、言わずもがなであります。では、
政府
の防衛力最優先政策を憂え、これを批判し、反対し、軍縮、反核の平和運動に立ち上がっている
国民
は非愛国者となるのですか。軍事力を背景に特定の道徳規範の強要を許すは、文民統制がなきも同然です。国防
会議
の議長としての首相はどうお
考え
ですか。 四年前、横浜での米軍機墜落事故で二人の子を亡くし、みずからも全身やけどを負い療養中の母、土志田和枝さんが三日前ついに亡くなりました。くやしい、でも生きたい、生きてもう一度子どもを産みたい、生きて皮膚を提供してくれた七十何人かに御恩返しがしたいとの希望を命綱として、心身の苦痛と闘ってきた若き母親でした。痛恨にたえません。 この事件にはこんなこともありました。事故現場に飛来した自衛隊救援機は、燃え上がる住宅から火だるまになって飛び出してきた親や子供たちをよそ目に、パラシュート脱出の米軍パイロットだけを救い上げて空のかなたに消えていったのです。軍事
行動
から言えばこの非情な行為が通常なのかもしれません。この事故の原因も
責任
の所在もついに不明、賠償も不完全、四年の歳月を経て何一つ完全に解決したものはないのです。この事件のように、
国民
の犠牲だけが取り残されているわけであります。防衛白書で言う国を守るということや愛国心とは、このようなことにも耐えろというのでありましょうか。この悲しいてんまつでも基地撤去
要求
の理解ができないというのでしょうか。この際、
鈴木総理
大臣の率直なお気持ちをお聞きしたいと思います。 いま教科書から原爆の図初め、戦争を忌み平和を求める人間の記録が次々と消されようとしております。余りにも悲惨だという。悲惨でない戦争があるのでしょうか。平和のとうとさを子供たちに語り継ぐのが
教育
であり、教科書であります。軍縮と反核を誓った鈴木さんに、こうした
状況
にも苦悩の影さえ見えないのは一体どうしたわけでありましよう。 最後に、いま軍拡がにわかに声高となり、政財界を先頭に大きな旗が振られています。しかし、彼らはみずから銃をとろうとはしないし、また彼らの家族、ファミリーたちにも銃をとらせようとはしません。当然です。息子たちの二度とない人生を、むなしい戦争に追いやって終わらせたくないと思うは愛深き親心。なれば、人に銃をとれと旗を振りたもうな。息子に銃をとらせたくないと思う者は、人様の息子に銃をとれと軍拡の旗を振りたもうな。この言葉を鈴木首相並びにいま軍拡の旗を振っている方々に差し上げて、私の質問を終わります。(拍手) 〔
国務大臣
鈴木善幸君登壇、拍手〕
鈴木善幸
21
○
国務大臣
(鈴木善幸君) 片岡
議員
にお答えいたします。 まず、
行政改革
についてお尋ねがありました。 私は、
行政改革
と
財政再建
とを不可分の関係にあるものとして把握し、表裏一体のものとして行
財政
の
改革
に取り組んできております。その際、
財政
を健全な姿に戻し、行政をその
施策
内容にまで踏み込んで抜本的に見直すことにより、
時代
の要請と
国民
一般の
期待
にこたえ得るよう行
財政
の
対応
力を
回復
することを
基本課題
と
考え
ており、
わが国
行政の全般を通ずる総合的視点に立って、引き続き行
財政
の
改革
に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。 私は、
時代
の要請と
国民
一般の要望に沿うように行政を運営するためには、不断の
見直し
を行う必要があると思います。
行政改革
の
推進
に当たっては、このような視点から行政全般にわたるいわば聖域なき
見直し
を進める必要があり、
福祉
もその例外ではございません。 住宅政策についての御質問でありますが、
政府
は
国民
の居住水準の
向上
を図るため、第四期
住宅建設
五カ年計画に基づき、総合的、計画的な住宅
対策
を講じているところであります。
昭和
五十七
年度
においては、最近の
住宅建設
の
動向
にかんがみ、
経済
の安定的発展を確保し、
国民生活
の
向上
を図る観点から、公的住宅金融の拡充、
土地
住宅税制
の改正などの諸
施策
を講ずることとしております。 次に、
わが国
の環境汚染は、国、
地方
公共団体、
国民
の一体となった努力の結果、一時の危機的な
状況
に歯どめをかけることができたと
考え
ておりますが、今後は御指摘のように、
社会
経済
条件
の
変化
に即しつつ、公害防止、自然保護から一歩進んで、快適な環境を創造していくことにも十分配慮する必要があると存じます。このため、私は、環境
影響
評価
法案
の早期
成立
を期するなど環境汚染の未然防止に十分意を用いながら、長期的、地球的視野のもとに快適で潤いのある環境の確保を目指してまいりたいと存じます。
教育
費
負担
の問題でありますが、
昭和
五十七
年度
においては、厳しい
財政事情
のもとにあって、文教
予算
についても
臨時行政調査会
第一次
答申
の趣旨を最大限に尊重しながら種々の節減合理化措置を講じておりますが、他方、
教育
の機会均等の確保などの見地から育英奨学事業の貸与人員の
増加
を図るなど、限られた財源の中できめ細かい配慮を行っております。 義務
教育
教科書の無償給与
制度
については、
昭和
五十七
年度
予算
においても存続することといたしておりますが、
臨時行政調査会
第一次
答申
において「廃止等を含め検討する」とされておりますので、さらに各界の意見に耳を傾けつつ、今後のあり方について検討してまいりたいと存じます。 最後に、防衛に
関連
して愛国心や教科書について御意見がありました。 愛国心の強調は特定の道徳規範を強要するものではないかとの疑念をお持ちのようでありますが、昨年の防衛白書では、愛国心とは何か、また国を守る心の
重要性
について記述しておりますが、御指摘のように特定の道徳規範を強要するというような意図に出たものではないことは申すまでもありません。 なお、御指摘の
昭和
五十二年の横浜での米軍機墜落事故は大変痛ましい事故であり、先日亡くなられた林和枝さんに対し心から弔意を表し、御冥福をお祈り申し上げます。もとより、この種の事故はあってはならないのでありまして、この事故を重要な教訓として受けとめ、事故の再発防止について最善を尽くしてまいりたいと思います。 教科書の記述について疑念を述べられましたが、学校
教育
においては児童生徒の知・徳・体の調和のとれた発達を目指し、平和的な国家及び
社会
の形成者として心身ともに健全な
国民
の育成を目的とするものであります。その中で軍縮問題や核兵器の脅威について理解させ、平和を
確立
する熱意や態度を育成していくことは重要であると
考え
ております。 以上お答えいたしましたが、残余の問題につきましては所管大臣から
答弁
をいたさせます。(拍手) 〔
国務大臣
中曽根康弘君登壇、拍手〕
中曽根康弘
22
○
国務大臣
(中曽根康弘君) 第一の質問は、
行革
は
福祉
を犠牲にする口実ではないか、どの点でむだを省き効率化を行ったか、こういう質問でございます。 現在、効率化を行い、むだを省き、また今度の
予算
等でも
実行
しているところは、第一に
補助金
、許認可、あるいは特殊法人等の整理統合の問題で、これは現にやり、またやっておるところです。あるいは人員につきましても、第六次の
削減
計画をやって五年間に四万四千八百八十六人減らしますが、本
年度
はその第一年としてこれも
実行
しておるところです。あるいは特殊法人の役員の
削減
、これも
実行
しております。あるいは
地方
公共団体の人員と給与の抑制、これも自治省が指導して、いま懸命にやっておるところでございます。これらのところを中心にしまして、いま懸命にむだを省く努力をしておるところです。 第二に、
福祉
の要請にこたえることが公共性と公正さにこたえることではないか、こういう御質問で、
福祉
を犠牲にするなという御趣旨であると思いますが、
行革
につきましては、全体のバランスを
考え
、いわゆる聖域を
考え
ておりません。しかし、今次の
行革
の一つの重点としましては、活力ある
福祉
社会
の建設ということを大きく打ち出しておりまして、その点は重点化として取り上げておるところであります。 具体的な例を申し上げますと、たとえば
補助金
にいたしましても、十四兆円余に及ぶ
補助金
の
増加
率を見ますと、五十六
年度
におきましては六千五百四十七億円前
年度
に対してふえておるわけです、四・七%です。それが五十七
年度
予算
におきましては、前
年度
に対して二千五百九十一億円、一・八%増にとどめました。しかし、その
増加
額の九〇%近く、二千二百九十億円は、実に
社会
保障関係と文教、科学技術関係に充当しておる状態でございまして、やはり苦しい中でも
社会福祉
には重点が入っておるわけでございます。 行政の中における民主的ルールを尊重せよという御議論は私も同感でございまして、たとえば中央集権をいかに
是正
するか、あるいは縦割り行政等をいかに直していくか等々について、いま
臨調
で懸命に調査をしておるところでございます。 以上で終わります。(拍手) 〔
国務大臣
始関伊平君登壇、拍手〕
始関伊平
23
○
国務大臣
(始関伊平君) お答えいたします。 まず第一に、住宅政策の抜本的な
見直し
と
条件
整備が必要ではないかというお尋ねでございますが、第四期
住宅建設
五カ年計画を的確に
実施
いたしますために、
昭和
五十七
年度
におきましては、住宅金融公庫の貸付限度額の引き上げ、それから融資枠の
拡大
などの公的住宅金融の充実によりまして取得
能力
を補完いたしますとともに、
土地
住宅税制
の改正などによりまして宅地供給の円滑化を図ることといたしております。さらに、民間の金融機関による
個人
向け住宅金融の充実に努めるとともに、
物価
の安定その他的確な
経済運営
を図ることによりまして、
住宅建設
が
促進
されるものと
期待
をいたしておる次第でございます。 住宅政策の中に入りまして、まず賃貸住宅を重点にして住宅政策を進めるべきではないかというお尋ねでございますが、
国民
の居住水準の
向上
を着実に図ってまいりますためには、
国民
の住宅に対する需要
動向
に即応して、いわゆる持ち家、借家それぞれにふさわしい
役割り
があると
考え
ており、そのため必要な
対策
を適切に講じていきたいと
考え
ております。 なおまた、公共賃貸住宅の質の
向上
についても御指摘がございました。新規に建設する公共賃貸住宅については、逐次
規模
の
拡大
を図っておりますし、また、既設の公共賃貸住宅につきましても、建てかえ、増改築等によりまして、その
改善
を進めているところでございます。 それから低
所得
者の住宅
対策
といたしまして、賃借人に補助
制度
を創設したらどうかというような御意見でございましたが、建設省といたしましては、適正な入居管理と住居費
負担
とを的確に結びつけるという観点から公共賃貸住宅の供給を行っておるのでございまして、また別に民間賃貸住宅につきましても、利子補給や低利融資等によりまして良質で安い家賃の住宅の供給に努めているところでございます。方法は違いますが、御趣旨に沿うような
施策
を進めておるということを申しておきたいと思います。 それから宅地問題でございますが、これは
土地
税制の改正等の政策では実効が上がらないのではないかという御指摘でございます。
政府
といたしましては、従来から各般にわたる宅地
対策
の
推進
に努めてきたところでありまして、
土地
税制につきましても、
関連
諸
施策
の重要な一環として所要の
改善
を図ろうとしておるのでございます。今後とも
土地
税制の
改善
とあわせて、市街化区域内農地の宅地化、それから
土地
区画整理等による計画的な宅地開発、
関連
公共公益施設の整備、さらに線引きの
見直し
と開発許可の適切な運用による宅地開発、また再開発による
土地
の有効利用等々の諸
施策
を総合的に
推進
いたしまして、これによって宅地の供給を円滑にしていきたい、かように
考え
ておる次第でございます。 また、宅地問題の抜本的
対策
の一つとして、公共機関による
土地
の賃貸
制度
の創設等によって宅地供給の増大を図るべきではないかという御提案でございますが、これらの御提案の
施策
には種々の問題もありますが、宅地供給
施策
の、さっき申し上げましたような多角的な
土地供給
施策
の総合的
推進
の中で対処してまいりたいと存じます。 それから都市再開発をやる場合に、賃貸住宅をつくることを義務的にやらしたらどうかという御指摘もございましたが、市街地再開発事業の
実施
に際しましては、住宅供給の
促進
に努めていることはもちろんでございまして、その際、賃貸住宅については
地域
の住宅需要の
動向
等を勘案し、その特性に即応して供給されるよう、都市計画法などに準拠いたしまして指導いたしておるところでございます。 なお最後に、高速道路をジョギング等に提供してはどうかという御提言がございました。 供用中の高速道路をしばらくでもとめますと、物資輸送の混乱や一般道路の混雑
増加
などがございまして、
社会
的な
影響
を
考え
ると、これを実現することは困難ではなかろうかと
考え
ております。しかし、高速道路の開通の前に住民の方々との交流を深めるべくマラソン大会等を開催した例もあるのでございまして、要望があれば、当省といたしましても積極的に
考え
ていく所存でございます。 以上お答え申し上げます。(拍手) 〔
国務大臣
原文兵衛君登壇、拍手〕
原文兵衛
24
○
国務大臣
(原文兵衛君) お答えいたします。 環境問題に対する御質問は四点になると思いますが、第一の環境行政の
基本姿勢
につきましては、先ほど
総理
から御
答弁
がありましたので御了承願います。 次に、濃度規制から総量規制を重点とする
対策
への転換についてでありますが、大気汚染及び水質汚濁の防止のための規制手法としましては、まず濃度規制に始まり、それのみによっては環境
基準
の確保が困難な大都市等の
地域
を対象として、総量規制が導入されてきております。総量規制は、言うまでもなく、工場等からの汚染物質の排出総量を計画的に
削減
するものでありまして、環境汚染の防止を実効あるものとするため、
地域
の汚染
状況
に応じ必要な
地域
を指定し、適切なレベルの
基準
を定め、かつその適否についても常時フォローしているところであります。 次に、林野管理についてであります。 森林は、自然環境の保全上も重要な
機能
を果たしております。これを保全していくことが重要なことであることは言うまでもございません。したがって、その管理につきましても、自然環境保全の観点から関係省庁と十分な調整を図ってまいりたいと思っております。 また、東南アジアの森林の問題につきましても、環境庁は地球環境の保全という観点からも大きな関心を有しております。関係方面に対して理解と協力を求めるよう努力をしてまいりたいと思います。 次に、ディーゼル車の排出ガスについてであります。 最近、ディーゼル車が
増加
傾向にあること及びディーゼル排出ガスと発がん性物質との
関連
が注目されているところから、現在ディーゼル排出ガスの環境
影響
につきまして調査研究を行っているところでございます。それらをも踏まえ、
国民
の健康の保護を図るため、今後とも自動車公害
対策
の
推進
に努めてまいりたいと
考え
ております。 以上でございます。(拍手) 〔
国務大臣
小川平二君登壇、拍手〕
小川平二
25
○
国務大臣
(小川平二君) お答えいたします。
教育
費の
負担
につきましては、かねてから
教育
の機会均等の確保並びに質的
向上
を図るという観点から、さまざまな配慮をいたしてまいっております。 国立大学の授業料は、従来から
社会
経済
情勢の
変化
に応じて改定を行ってきておりまするが、五十七
年度
におきましては、諸般の情勢を総合的に勘案して、これを改定することとしたものであります。授業料の改定に際しましては、学生の修学援助のため授業料免除枠を
拡大
いたしますとともに、
教育
研究特別
経費
、厚生補導
経費
など、学生関係の
経費
について重点的に配慮をいたしております。 私立大学等の経常費補助につきましては、
臨時行政調査会
の第一次
答申
もあり、前
年度
と同額の二千八百三十五億円を計上いたしたところであります。人件費や物件費の
上昇
に伴い私立大学等の経常的
経費
が
増加
することも
考え
られますが、今後とも私学側が自主的努力を高めるようさらに効率的な配分方法につきまして鋭意検討
改善
を加えますとともに、他方、私学側におきましても、従前以上に自主的に経営努力を行い、極力、
教育
条件
の維持と授業料の引き上げの抑制に努めますよう強く
期待
しているところであります。 また、
日本
育英会の育英奨学事業につきましては、かねてから充実に努めてきているところであり、五十七
年度
予算
において大学院貸与人員の増員を図るなどの
改善
を行うことといたしております。今後とも厳しい
財政事情
ではありますが、できる限り
教育
費
負担
の抑制に努力してまいりたいと
考え
ております。 義務
教育
教科書の無償給与
制度
につきましては、ただいま
総理
が御
答弁
をされたとおりでございます。 教科書に対する
政治
権力の介入云々のお言葉もただいまございましたが、私はそのような事実があるとは
考え
ておりません。文部省におきましては、従来から中正な
立場
に立って
教育
的に適切な教科書が生まれるよう検定に最善の努力を払ってきたところであり、今後とも、教科書に関する各方面の意見はいずれも謙虚に受けとめつつ、教科書検定
制度
を通じて教科書の
改善
と充実に努めてまいる所存でございます。(拍手) —————————————
秋山長造
26
○副議長(秋山長造君) 安恒良一君。 〔安恒良一君登壇、拍手〕
安恒良一
27
○安恒良一君 私は、
日本
社会
党を代表して、
総理
並びに関係閣僚に
国民生活
及び
福祉
に関する問題を中心に質問をいたします。
総理
は、
施政方針
演説
で「
変化
する
社会
への備え」を力説されました。八〇年代後半から二十一
世紀
にかけて、
わが国
には急速な高齢化と低
成長
への移行といった激しい
変化
が押し寄せてきますが、そうした情勢を前に、
政府
は
国民生活
の安定と
福祉
の維持
向上
にどのような備えをされるのか、まず
総理
に伺いたいと思います。 いま多くの
国民
は、「
福祉
切り捨て」とか「
年金
の崩壊」とか、さらに「環境の汚染と
破壊
」といった声に代表されるとおり、生活と
福祉
の先行きに非常な不安を抱いており、悪い方へと
変化
する生活基盤に対してどう備えたらよいのか迷っているのではないでしょうか。果たして
総理
の
演説
はこうした不安にこたえたかどうかと言えば、「
国民
の生活は最優先順位で
政府
が守ります。何も心配は要りません」、この一言が
施政方針
演説
になぜないのか、きわめて大きな疑問を感じるものであります。
総理
、
変化
する「
社会
への備え」を
国民
だけに訴え、押しつけながら、
政府
の
責任
は棚上げしたとの批判に、あなたは一体どう答えられますか。五十七
年度
予算
は
防衛費
の七・八%の異常
突出
が目につきますが、これは
経済
大国の国際的
責任
だと
説明
されております。しかしながら、
経済
大国の
責任
と言うならば、これを生み出した「
国民
一人一人の英知と努力」に対しどう報いるというのか、
総理
、あなたに問われているのではないでしょうか。
政府
は、
国民生活
の重点が量的
拡大
から
質的充実
への
時代
になったという認識をお持ちだと思います。しかし、かつて
国民生活白書
が掲げた「健康、安全、快適、創造、平等」といった生活の質を充実するための
目標
は、
政府
の言う
国民
一人一人の「自立自助」の努力だけではとうていこれを実現することができません。その
理由
は、これらの
目標
に欠かせない
条件
や手段を
国民
がお金を出してそれぞれに買い調えるということができないからであります。たとえば、汚染されない水や食物、公共交通、
保健
医療
、さらに介護者の派遣などのシステムが必要となりますが、これらはいずれも
個人
個人
の努力で調えることはとうてい不可能であります。これらはいずれも
国民
共同の生活手段として、公的に供給するというのが近代国家の任務ではありませんか。そこで端的にお尋ねいたします。
総理
、これらの生活手段を整備する
責任
が国にあることを、あなたははっきりお認めになるのですか。
総理
のお答えをいただきたいと存じます。
社会
共同の生活手段については、国の
責任
で公的に供給、整備するという原則から見ますと、五十七
年度
予算
の
社会保障関係費
の
伸び
率二・八%という措置は、万人の目から見て奇異であり、異常であるとしか言いようがありません。
総理
、あなたは
行財政改革
と
福祉
の関係を一体どう
考え
ているのですか。本来
政治
の基本目的である
福祉
が、あなた方にとっては行
財政
の手段にすぎないのですか。
自民党
政府
はハンディキャップを持った人々の暮らしを削ってまで戦闘機や駆逐艦をふやすのですか。
行財政改革
と
福祉
の関係について
総理
の基本理念を問わないわけにはまりません。 昨年は国際障害者年でしたが、その
目標
である「完全参加と平等」にいたしましても、緊縮
予算
だからといってこれを後戻りさせてよい性格のものではありません。この
目標
を
達成
するために、私たちは、障害者の
雇用
拡大
、障害児への普通
教育
の開放、障害者
年金
及び最低賃金による
所得
の保障及び移動・交通の自由、以上四つを最
重点課題
として主張してまいりましたが、これらについて今後どう
推進
されるのか、いわゆる十カ年
行動
計画との
関連
で明らかにしていただきたいと思います。 なお、これにあわせてスモン患者、とりわけ投薬証明のない患者の早期全面救済についても、この機会に
方針
を承りたいと存じます。
社会
保障
予算
に関して、厚生大臣、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
国民
健康保険などに対する自治体
負担
への振替措置は、今後きっぱりあきらめると理解してよろしいのでしょうか、まずこの点についてお尋ねをいたします。 また、
年金
給付に要する国庫
負担
額も、これまでは八%台で推移してきた
伸び
率がわずか一%弱に抑え込まれ、その上、厚生、
国民
両
年金
の
物価
スライドの
実施
時期が一カ月繰り下げられたのであります。しかし、
財政
の帳じり合わせにお年寄りまで利用しようというこの
姿勢
は、血も涙も通わない、まことにつれない仕打ちと言うべきではないでしょうか。
昭和
四十八年、
年金
制度
にスライド制が初めて導入されて以来、
消費者物価
の
上昇
に追いつこうと努力してきたにもかかわらず、早くもこれが一歩
後退
させられたのであります。従来の経緯を尊重して、直ちに
改善
すると約束すべきと
考え
ますが、
総理
、いかがでしょうか。
年金
問題では、二十年後、三十年後の長期
年金財政
の
見通し
と計画をどのように策定するかが欠かせない問題であり、これがないため、
国民
の間には
年金
の将来について不安感があふれているのであります。言うまでもなく、
国民
は老後の生活設計に破綻が生じては困るのです。この種の
改革
には、長期的な
見通し
のもとに段階的に
実施
に移していくという配慮が必要であります。この際、
年金
制度
の長期計画について明確な
方針
を示していただきたいと思います。 さらに、五十六
年度
に十三兆円に達すると見られる
国民
医療
費について、一体、
総理
並びに
関係大臣
はどう
考え
られておるのか、お尋ねしたいと思います。
国民
は、いま
医療
の
現状
に不安と
不満
を抱きながら健康な生活をみずから取り戻す実践を始めております。その動きの中で培われているのは、成人病、慢性病が、薬づけ、検査づけのいまの
医療
では予防も治療もできはしないという見きわめてはないでしょうか。すなわち、日常生活における自然とのかかわり方、食物のとり方、あるいはまた運動と休養のバランスなど、要するに日ごろの暮らし方を変えるごとによって健康を取り戻そうとする動きが活発になってきたと思われるのであります。また、一九七七年にアメリカ上院栄養問題特別委員会が「不治の病と食事との
関連
」と題するレポートをまとめ、また国内では「食は医なり」との
考え
が広がって、熊本県菊池郡などにこれを実践する公立の
医療
機関さえあらわれております。 そこでお尋ねしたいのは、第一に、
政府
が進めてきた健康づくり
対策
及びこれから手をつけようという老人
保健
事業においては、成人病、慢性病の予防と治療にかかわる以上のような動きをどう評価されているのか、特に
老人保健法
案のどこでそれを裏づけようとしているのか、明らかにしていただきたいと思います。 第二に、
医師
や
保健
婦などが患者と十分に話し合って指導しても、投薬や検査をしない限り全然採算が合わないという現行
制度
をどう打開する所存か、承りたいと思います。特に、現行の点数出来高払い
制度
をどのように見直すのか、この点は大蔵大臣からも
答弁
をいただきたいと存じます。 次に、
社会
保障と
関連
して、産業用ロボットの導入が
雇用
にどのような
影響
を与えるかについて、
政府
の見解をお尋ねしたいと思います。
わが国
のロボット設置台数はすでに七万七千台以上にも達し、
世界
の産業ロボットのうち、実に八〇%を保有していると言われています。最近これがきわめて広範な産業分野に導入されつつあり、しかもロボットがロボットをつくるという
時代
を迎えようとしております。このホワイトカラーでもない、ブルーでもない、スチールカラーのロボットを導入した工場においては、現在中高年労働者を中心に
配置転換
や人員整理が行われており、次の段階には当然、本格的な人員整理の強風が荒れ狂うことが
予測
されております。したがって、この余剰労働力の吸収をどうするかが今後の
雇用
政策の面での重大な課題になるでしょう。そこで
政府
は、これからのロボット
社会
において
雇用
問題をどのように取り組むのか、またロボットの活用の望ましい方向をどのように描いているのか、
総理
並びに労働大臣から所見を述べてもらいたいものであります。 また、
わが国
のロボット化
社会
は
高齢化社会
と同時に進行してまいります。このまま放置すれば、
年金
保険料
を支払う労働者はロボット化によって減少し、他方、
年金
受給者は高齢化によって増大し、その結果、
年金財政
を逼迫させることは必至であります。そこで、ロボットを就業者とみなし、
年金
保険料
その他を事業主がロボットにかわって全額を支払うという
制度
、簡単に言えばロボット税というような
制度
を創設する必要があると思うのでありますが、この点は大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。
総理
は、
施政方針
演説
で「特に
婦人
の活動に
期待
する」と述べられております。国連
婦人
十年の運動も後半期に入り、各国は次々に
婦人
差別撤廃条約を批准しています。
わが国
においても当然批准を急ぐべきと
考え
ますが、本
国会
に提出される
予定
がありますか。また、
雇用
における男女平等は条約の中の重要なポイントであります。わが党はすでに法律案を提出しておりますが、
政府
はいつ提案されるのか、お伺いをいたします。 次に、わが党は、パート等で働く
婦人
の課税最低限度額を百二十万円とするように提案をしておりますが、
政府
はどのようなお
考え
をお持ちでしょうか、お伺いをいたします。 次に、
国民生活
に不可欠な公共交通の確保についての問題であります。 第八十五
国会
で、公共交通の確保のために必要な行
財政
・立法措置を講ずるという決議を行い、
政府
はこの趣旨に沿って誠意をもって努力することを約束いたしました。しかし、その後
政府
は、何らこれを
実行
しないばかりでなく、国鉄ローカル線の撤去や過疎
地域
におけるパス路線の廃止等の問題が相次ぎ、
地域
交通の確保に逆行するような措置をとっているではありませんか。このような
国会
を愚弄した結果となったのは一体どこに原因があったのでしょうか。まず
政府
に猛省を促して、お尋ねしたいと存じます。
政府
は、これまで公共交通に関しては、「総合交通体系の中で検討する」ということを半ば決まり文句のように言われてきましたが、総合交通体系の
中身
とは一体何だったのでしょうか。果たして体系的な計画があった上でそう言われていたのでしょうか。この際、率直に
答弁
をしていただきたいと思うものであります。 こうした
政府
の無
責任
な
姿勢
は、昨年出された運輸政策審議会の
答申
によりさらに倍加すると思われてなりません。すなわち、この
答申
の柱になっている
考え
方は、
わが国
の車
社会
の
現状
を追認し、交通事業者にはより一層の過当競争をあおり、過疎
地域
における鉄道やバスはどんどん切り捨て、
政府
が率先してマイカーの積極活用を奨励し、私的交通手段に
社会
的
責任
を負わす方向を目指していると思うのであります。このような
答申
に反対し、生活交通を確保するための
地方
自治体の決議ないし
意見書
採択は、すでにこの一月二十七日現在で何と五百九十を数えております。さらに非常な勢いで全国的に広がりを見せておりますが、
政府
は一体これをどう受けとめておられるのか、所感を承りたいと存じます。 公共交通をめぐる
政府
の信じられないような無為無策ぶりは、国鉄の
現状
に最も象徴的にあらわれております。国鉄の負債総額約十六兆円の半分以上は、何と工事に伴う借入金によるものであります。そして、いまなお毎年一兆円を超える膨大な工事費のほとんどを借金で賄い続けております。赤字を承知で東北及び上越新幹線、青函連絡トンネルをつくり、高い工事費や借料を国鉄に押しつけ、そしてまた新幹線開業に伴い並行在来線もまた巨額の赤字を出す、このようなやり方で赤字が累積しないはずがないではありませんか。その上、この
ツケ
をたび重ねての運賃値上げに回すのですから、国鉄経営にはまさに常識の一かけらもないと言わざるを得ません。 こうしたやり方を長年続けてきた国鉄経営陣、それを行わせた
政府
と
自民党
、国鉄経営の危機の本質はまさにこの点にあると言わなければなりません。
総理
はそれを認めるかどうか、認めるとすれば今後どう改めるのか、
総理
の
責任
のとり方とあわせて、明確に答えていただきたいのであります。 公共交通がいわゆるモータリゼーション、とりわけマイカーの普及によって
後退
していることは
周知
のとおりであります。
わが国
の自動車総数は四千万台を超え、人口当たりにしてアメリカに次ぐ
世界
第二位になりました。しかし、
わが国
の自動車業界は
昭和
六十年には六千万台になることを想定しております。また、
政府
も自動車道路
予算
などでこれを支援するというのが
現状
であります。 そこで、この際
政府
の自動車政策の基本をお尋ねしたいのであります。
政府
は、
わが国
における自動車保有台数の限界をどの水準に置いているのかという問題であります。国土面積から森林面積等を差し引き、いわゆる可住地面積当たりの乗用車保有台数を国際的に比較いたしますと、すでに
日本
は第二位の西ドイツの二倍、アメリカの十倍となり、断然トップ、超過密になっている事実を
政府
は一体どう理解しておられるのでしょうか。
わが国
の地理的
状況
、既存道路の混雑度、交通事故死傷者の再
増加
といった実態、並びに
省エネルギー
の必要性から見ましても、
政府
は自動車及び自動車道の
増加
拡大
には、もはや急ブレーキを踏むべきではないでしょうか。総合交通体系を整備する最高
責任
者としての
総理
の明確な
答弁
を聞かせていただきたいと思います。 以上で私の質問は終わりますが、最後に、
鈴木総理
の
施政方針
演説
を初め、各党代表質問に対する
政府
の
答弁
は、いま大多数の
国民
が素朴に疑問に思い、不安を感じている点について、何一つ答えていないという
不満
と批判が
国会
の内外で充満していることは
周知
の事実であります。特に私の質問は
国民生活
に直結する諸問題にしぼっているのでありますから、
総理
以下の明確で具体的な
答弁
を求めて、私の質問を終わりたいと思います。(拍手) 〔
国務大臣
鈴木善幸君登壇、拍手〕
鈴木善幸
28
○
国務大臣
(鈴木善幸君) 安恒
議員
にお答えいたします。 まず、私が
施政方針
演説
で述べた「
変化
する
社会
への備え」についての御質問がありましたが、来るべき
高齢化社会
において
国民
すべてが健康で生きがいのある生活を送れるようにするためには、
福祉
、労働、産業、
教育
、住宅、
地域
など各般の
施策
を整合性を持って
推進
する必要があると
考え
ております。中でも、当面の問題として現在
国会
で御審議いただいている
老人保健法
案は、疾病の予防や健康づくりを含む総合的な老人
保健
対策
を
確立
しようとするものでありますので、早期
成立
をお願い申し上げます。また、
年金
制度
については、人口の高齢化がピークを迎える三十年、四十年後に備えて、
制度
全体について計画的に検討を行っていく
考え
であります。さらに、高齢者の
雇用
対策
は
社会
の活力を維持するためにも重要であり、六十歳定年の早期実現はもとより、六十歳代の人々の
雇用
対策
についても、今後ともその
推進
に努力してまいる所存でございます。
わが国
の今日の繁栄をもたらした
国民
一人一人の英知と努力にどう報いるのかというお尋ねでありますが、
政府
及び与党である自由民主党の政策の一つ一つがすべて
国民
に報いるための努力であります。今後とも
国民
多数の支持のもとにこの努力を続けてまいります。
国民生活
を質的に充実し、これからの生活の真の豊かさを築いていくためには、お金で買えるものばかりでなく、非貨幣的なものもまた重要であります。このような
国民生活
の両面を今後より一層充実していくために、自助の精神による個々の人々や家庭の努力がまず第一でありますが、御指摘のように、
個人
的な努力では
達成
できないものも多くありますので、自助努力と行政を含む
社会
全体の努力をバランスさせていくことが重要であると
考え
ます。
行財政改革
と
福祉
の関係について私の基本理念をお尋ねでありましたが、当面の
行財政改革
は、簡素にして効率的な
政府
を実現し、行
財政
の
対応
力を
回復
することにより、活力ある
福祉
社会
を実現することを重要な目的とするものでありまして、
福祉
を行
財政
の手段とする
考え
は持っておりません。 国際障害者年を契機に今後の障害者
対策
はどうなるのかとのお尋ねでありましたが、先日、中央
心身障害者
対策
協議会より「国内長期
行動
計画の在り方」について提言をいただいたところであります。その中では、御指摘の障害者の
雇用
、
教育
、
所得保障
及び移動・交通等の生活環境の問題が重要な課題とされております。
政府
といたしましては、この提言を尊重し、長期的視野に立って障害者
対策
の
推進
に取り組んでまいる所存でございます。 次に、今後の
年金
制度
のあり方でありますが、人口の高齢化がピークを迎える三十年から四十年後に備えて、各方面からの御意見も踏まえながら、
制度
全体について長期的な視点に立って検討してまいりたいと
考え
ております。
国民
医療
費の問題でありますが、人口の高齢化などにより
国民
医療
費の
増加
にはやむを得ない面もありますが、急激な
増加
は
負担
面等に大きな
影響
がありますので、健康づくりのための
施策
の充実、
医療
費適正化
対策
の
推進
などにより、適切に対処してまいりたいと思います。 ロボット導入の
雇用
への
影響
についてお尋ねがございました。 御指摘のように、近年
わが国
の産業界では、産業用ロボットの導入を初めとした技術革新が急速かつ広範に進展しております。技術革新は
わが国経済
の活力の維持、生産性の
向上
といった点からも重要な課題であり、
政府
としても長期的な視点からその
推進
を図っていく必要があると
考え
ておりますが、その際には、労働力人口の急速な高齢化等の
変化
のもとで、技術革新が
雇用
にどのような
影響
をもたらすかについても十分に検討し、
雇用
の安定が図られるよう配慮してまいりたいと思います。 次に、
婦人
の活動についてでありますが、
婦人
差別撤廃条約については、その批准のため国内法等諸
条件
の整備に努めていくこととしておりますが、男女
雇用
平等法の制定、母性保護の充実などについては、関係審議会での審議結果を待って検討してまいりたいと存じます。
地方
陸上公共交通維持整備に関する決議についてでありますが、
地方
陸上公共交通の維持整備の
重要性
を認識し、従来から所要の措置を講じてその維持整備を図ってきたところであります。今後とも決議の趣旨を尊重してまいりたいと存じます。 総合交通体系についてお尋ねがありました。
政府
は、
昭和
四十六年十二月、臨時総合交通問題閣僚協議会において、総合交通体系についての基本
方針
を取りまとめましたが、その際定められた
方針
は、競争原理を活用しつつ、各交通機関の分担関係を想定し、交通需要を調整、誘導していくという基本的な
考え
方に基づき、交通政策の総合化、体系化のための諸方策を示したものであります。
政府
はこの基本
方針
に沿って諸般の交通政策を
推進
してきたところでありまして、この
方針
は現在においても基本的に妥当なものであると
考え
ております。 国鉄の経営危機は国鉄の経営陣と
政府
及び自由民主党の
責任
であるかのような御意見でありましたが、いま国鉄に対する世間の批判が高まっているのは、自己努力を欠き、ひたすら他に
責任
を押しつけるような体質に対するいら立ちではないかと思います。国鉄の収支の
状況
はまことに憂慮すべきものがありまして、国鉄の労使、
政府
、与野党、その他関係者が国鉄の問題を真剣に受けとめて、その解決に当たらなければならないと存じます。 自動車及び自動車道の
増加
抑制についての御質問がありましたが、今日、自動車は
国民生活
にとって欠くことのできない輸送手段として定着しておりますし、
わが国
自動車産業は、広範な
関連
中小企業
を含め、
わが国経済
発展と
雇用
吸収の大きな原動力になっておりますので、市場
経済
の原則に照らしましても、自動車の生産販売に対して、御指摘のような観点から
政治
ないし行政が介入して制限を加えることは適当でないと存じます。また、道路は
国民生活
及び
経済活動
を支える最も基本的な
社会
資本でありまして、その整備は今後とも必要であると
考え
ております。 以上お答えいたしましたが、残余の問題につきましては所管大臣から
答弁
をいたさせます。(拍手) 〔
国務大臣
森下元晴君登壇、拍手〕
森下元晴
29
○
国務大臣
(森下元晴君) 安恒
議員
よりたくさんな質問をいただいております。八つにしぼりましてお答えをさせていただきます。 一番初めの、障害者の
所得保障
及び移動と交通の自由の確保についてでございますが、障害者の「完全参加と平等」という
目標
達成
の上できわめて重要であると
考え
ておりますので、中央
心身障害者
対策
協議会の御提言でもある「国内長期
行動
計画の在り方」も踏まえまして、さらに一層
推進
に努めてまいりたいと思っております。 次に、スモン患者の救済についてでございます。 裁判所の指示に従いまして和解により解決するとの当事者間の合意があり、国といたしましては今後ともこの
方針
に従い、いわゆる投薬証明書のないスモン患者を含め、一日も早く和解による救済ができるように努力を続けていく所存でございます。 次に、
国民
健康保険への都道府県
負担
の導入の問題についてでございますが、五十七
年度
予算編成
のときに、
関係大臣
の間で、今後速やかに国、
地方
の
役割り
分担を含めまして
国民
健康保険等の
制度
のあり方について検討することを合意しており、その検討の際の課題の一つであると
考え
ております。 次に、
年金
の
物価
スライド、例年より一カ月おくれたという点でございます。 御承知のように、
現下
の
財政事情
はきわめて厳しいものでありまして、
年金
受給者の方々にもその間の事情を御理解を願いたいと存じます。なお、
物価
上昇
率が五%以下の場合でも、特例的に
物価
スライドを
実施
することに踏み切ったわけであり、この点は
政府
の努力を御評価願いたいと存じます。 次に、
年金
の長期計画についてのお尋ねでございますが、今後の
年金
制度
のあり方につきましては、本格的な
高齢化社会
を迎える二十一
世紀
初頭においても
制度
が健全かつ安定的に
機能
できるよう、長期的な視点に立って検討を進める必要があると
考え
ております。具体的には、すでに各方面から提出されている御意見や
臨時行政調査会
の御意見も参考といたします。また、関係審議会の御議論も踏まえながら検討を進める所存でございます。
国民
医療
費につきましては、年々
増加
していますが、人口の高齢化、
医療
の高度化等によりやむを得ない面もあります。しかしながら、急激な
国民
医療
費の
増加
は
国民
の
負担
面に大きな
影響
を及ぼすことになるため、健康の増進、病気の予防のための
施策
を講じるとともに、
医療
費適正化
対策
を
推進
することにより
医療
資源の効率的な活用がなされるように努めてまいりたいと
考え
ております。 成人病等の予防と治療に関する内外の活動の評価及び
老人保健法
案との
関連
でございますが、近年、内外において予防と治療を一体としてとらえ、日常生活の中で成人病等の問題に対処しようとしていることは評価すべきものと
考え
ます。
政府
といたしましても、従来からの健康づくり
対策
をさらに発展させ、
老人保健法
案におきましては壮年期から各種の
保健
事業を総合的に
実施
することといたし、
国民
の健康づくりを図るとともに、
国民
みずからの健康づくりに対する日常の取り組みについて育てていく所存であります。 最後に、現行の診療報酬の出来高払い方式につきましては、この方式の基本を改めることはなかなかむずかしい問題でございます。現行方式の長所は生かしつつ、その短所を補完することとし、
医療
費適正化のための諸
施策
を
推進
していきたいと
考え
ております。 以上でございます。(拍手) 〔
国務大臣
渡辺美智雄君登壇、拍手〕
渡辺美智雄
30
○
国務大臣
(渡辺美智雄君)
国民
健康保険にかかわる
負担
の一部を都道府県に回すのはあきらめろということでございますが、これはなかなかむずかしい問題でありまして、五十七
年度
の
予算編成
のときに
関係大臣
で合意をいたしまして、今後速やかに国と
地方
の
役割り
分担をどうするかというような問題も含めてひとつ検討をしていこうと。したがって、この問題も今後の検討課題の一つということでございまして、断念をするわけにはまいりません。 それから
年金
の
伸び
率が一%で非常に
後退
だというお話でございますが、これは厚生大臣がいまお答えしたとおりでございます。
補助金
の額は二兆三千八百六十九億円で、額としては一%しか
伸び
ておりませんが、個々の受給者にとっては、いま言ったように四・五%の
年金
増となっておるわけであります。これは恩給、共済、みんな右へならえということでございまして、例年より一カ月おくれたというのも、これは全部右へならえで、現在の
財政事情
、
物価
動向
等も
考え
てやったことでございますので、御了承をお願いしたいと
考え
ております。 それから十三兆円
医療
費、これは私も全く重大問題だと思っておるのです。しかしながら、人口の高齢化、
医療
の高度化によって、今後もある
程度
どうしてもこれはふえざるを得ない。しかし問題は、ふえることはいいんです、むだに使われたり、いい加減に使われたりしては困る。したがって、この点は私はかねて安恒
議員
と同じ
考え
でございまして、むだのないように指導監査体制を強化したり、レセプトの点検をきちんとしたり、そういうことをやらなければいかぬ。
地域
によって外来患者の一カ月一件当たりがえらい
ばらつき
があるとか、
医療
機関によって同じ
地域
の中でもむらがうんとあるというような点は、本当に
社会
的公正の確保という点からもほうっておけない問題ではないかと、そう思っております。厚生省の方でしっかりやってもらうつもりでございます。 それから出来高払い
制度
の問題でございますが、これもいま厚生大臣がおっしゃったようなことでございまして、これはもう一長一短みんなあるわけでございます。これもしかし、いまやめてしまうといっても、ほかに何かいい方法と言われても、なかなか他に名案がないというところに問題があるわけでございます。(「ある、ある」と呼ぶ者あり)いや、なかなかないんですよ、これは。言うならばできそうなのは、団体契約でドイツのように上限を抑えてしまって、全体でもうこれだけだよ、幾ら取るものがあってもそれ以上払わないよと。だれかごまかす者があったら中でお互いにチェックし合うとか、そういうようなことならばできそうなものじゃないかと思うけれども、よくひとつ検討してもらうことにいたしたいと思っております。 それから
社会
党がパートの課税限度額を百二十万円に提案をしております。どうかということですが、これはもらう方にとっては多ければ多い方がいいのかもしれませんが、やはり税金というのは公平の問題というのがあるのです。問題は、配偶者といいましても、たとえば夫婦がおって子供が二人いる。子供が大きくなって全部勤めに行って、それから子供が嫁をもらった。嫁さんも勤めに行っている、子供もできた。しかし、おばあちゃんが家におって、その子供のめんどうを一切見てやっているから嫁が働きに行けるという場合もあるわけです。しかしその場合は、そのおばあちゃんは二十九万円しか控除は認めないわけです。それはともかく、会社に行ってもし課長になったり、
議員
に当選するにしても、配偶者の人が一生懸命働いたから出世したのだという例もたくさんありますが、こういう場合も二十九万円しか控除は認めていないわけです。したがって、そういうような
所得
のない配偶者とのバランス、これも
考え
なければならない。実際は金に計算すればあるのかもしれませんが、しかし現実に税法上お金に見積もらないという配偶者がいっぱいいるわけです。したがって、やはりそういうところとのバランスを
考え
ると、基礎控除二十九万円、これが限度じゃないか。 もしそれを全体として上げろということになれば、基礎控除を上げろという話にこれはつながる話で、
所得税
全体の
見直し
の問題、こういうことになるのじゃないか。結局、
所得
者になるということは七十九万円以上
所得
がある、百万円あればだれかの配偶者から外れるというだけです。
所得
者として自分は別に二十九万と五十万の基礎控除は受けられるわけですから、ただ納税者になるというだけであって、全体とのそういうバランスも
考え
ないと、ほかから
不満
が出るということも御了承願いたいと存じます。 その次には、産業ロボット、これがふえて、要するに
年金
の掛金をする人がだんだん減ってしまうのじゃないか、これは大変なことだと。いまのところはどうということないが、本当にこれがどんどん将来ふえていくというようなことになれば、いま言ったような
考え
も一つの大変な心配事だと私は思います。しかし、いまの段階でロボット税という新税を
考え
るというわけにはなかなかいかないわけでございます。 したがって、それはふえるといっても、どれぐらいふえるか。実際百人使っているところでロボットを使って八十人にしたというようなために、仮に八十人の残った人の生産性が上がって月給が上がれば、やっぱり
年金
の掛金も上がるわけですから、そこらの今度は
年金
の上限をどこにするかという問題は一つありますが、これは現在
程度
ならば、会社の
所得
が上がれば法人税がいっぱい入ってくる、あるいは残った従業員の生産性が上がって月給がいっぱい上がれば、税金も掛金もふえるという点もございますから、いまはストレートにすぐ結びついて
年金
額が減ってしまうということになるほどの状態ではありません。 しかしながら、将来の問題として、本当にこれがどんどん町工場にまでみんな入っていって、人を使わなくても仕事ができるということになってくると、これは一つの大きな産業革命でございますから、そういう場合にはどうするかということは、そういう事態が現実的に広がるという事態のときに
対応
してまいりたい、まだ時期尚早である、こういうことであります。(拍手) 〔
国務大臣
初村滝一郎君登壇、拍手〕
初村滝一郎
31
○
国務大臣
(初村滝一郎君) 安恒
議員
にお答えしますが、問題は四つあったかと思います。一つは障害者の
雇用
拡大
の問題、それから最低賃金
制度
の適用の問題、それで三番目にいまお話になっておるロボット化の
社会
の問題について、そして最後に
婦人
差別撤廃条約を早急に締結せよということであります。順次お答えをいたします。 障害者の
雇用促進
については、
雇用
対策
の最
重点課題
の一つとして今日まで取り組んできておるわけです。昨年の実
雇用
率も従来に比べまして相当の
伸び
を示してきております。今後、国際障害者年を単に一年限りの問題として終わることなく、これを契機として障害者
雇用
の一層の
拡大
を図るために、特に今年からは重度障害者の
雇用促進
に重点を置いて
対策
を進めていく所存でございます。しからばその具体方策についでは、先般提出されました中央
心身障害者
対策
協議会の提言、あるいはまた近く提出を
予定
しております身体障害者
雇用
審議会の
意見書
等を十分に尊重して、その方向に沿った身体障害者
雇用
対策
の
充実強化
に努力をしてまいる所存でございます。 また、最低賃金は原則として
心身障害者
を含めてすべての労働者に適用されているところであり、今後とも金額の改定など適切な運営に努めてまいる所存であります。なお、労働
能力
の著しく低い
心身障害者
につきましては、
雇用
機会を確保する観点から適用除外
制度
が設けられておりますけれども、その運用に当たっては、
心身障害者
の保護に欠けることのないように慎重に処してまいりたい
考え
であります。 ロボットの問題でございますが、近年
わが国
の産業界では産業用ロボットの普及が進展しておりますが、これまでのところ
雇用
面においては、新たな職域の
拡大
や労働者の新しい技術への適応性が高いこと、
企業
内において
能力
開発や円滑な
配置転換
が進められたことによって、特段の問題は現在起こっておりません。 しかしながら、産業用のロボット普及は今後急速かつ広範に進むと
考え
られます。高齢化など労働力供給構造の
変化
のもとで
雇用
面にも多様な
影響
が生じることが予想されます。このために労働省といたしましては、産業用ロボットを初めとするマイクロエレクトロニクス技術の
雇用
に及ぼす
影響
について、量的側面のみならず質的側面もあわせて、総合的な調査研究を
昭和
五十七
年度
から本格的に進めるようにいたしております。 また、
経済
の発展や
国民生活
向上
の上で技術革新の
推進
は非常に重要な課題であります。これに当たっては、労働者の
雇用
の安定が図られるとともに、労働
条件
あるいは職場環境、就業意識等の面でも、労働者の職業生活の
改善
につながり得るよう十分配慮する必要があると思います。なお、この問題につきましては、政労使等関係者間で十分な
意思
の疎通が図られまするように配慮いたしたいと
考え
ております。 最後に、
婦人
差別撤廃条約は、
昭和
五十六年九月三日に国連条約として正式に発効したところであります。
政府
としては国内
行動
計画後半期における
重点課題
として、本条約批准のため国内法制等諸
条件
の整備に努めていく所存でございます。 本条約批准のために
雇用
の分野でどのような
条件
整備が必要となるのかについては、十分検討が必要でありますけれども、いずれにしましても、
雇用
における男女の機会と待遇の平等を確保するという観点から、法的整備を含む今後の
婦人
労働
対策
について、現在関係審議会において検討が行われているところでありますので、
政府
といたしましては、その審議会の結果を待って、男女
雇用
平等法の制定、母性保護の充実等について検討してまいりたい所存でございます。 以上でございます。(拍手) 〔
国務大臣
小坂徳三郎君登壇、拍手〕
小坂徳三郎
32
○
国務大臣
(小坂徳三郎君) 私に対する御質問は四点でございました。 第一点は、身障者の移動・交通の自由の確保についてでございますが、基本的には
総理
からお答え申し上げましたが、運輸省といたしましては、中央
心身障害者
対策
協議会の「国内長期
行動
計画の在り方」の意見を十分尊重いたしまして今後行政を進めて、身障者の方々の
期待
にこたえてまいりたいと心得てございます。 それから第二点は、総合交通体系の問題でございますが、
総理
から基本的なお答えがございました。私からは運輸行政とのかかわり合いを申し上げたいと思いますが、基本的には四十六年の閣僚協議会の決定と同様の趣旨でございますが、その後の
経済
社会
の
変化
を踏まえまして、昨年七月に行われました運輸政策審議会の
答申
を指針といたしまして、順次これを
実施
してまいるというような方向で進めてまいります。 第三点は、第八十五
国会
における決議についてでありますが、これも
総理
からすでに御
答弁
がございましたが、運輸省といたしましては、
地域
交通の維持整備のための長期的な展望に立った交通計画をつくるために、
地方
公共団体を含む
地方
陸上交通審議会に諮って、
地域
ごとの交通計画の策定を進めておるところでございます。とともに、所要の助成措置を充実をいたして総合的に
施策
を展開してまいっておるのでございます。 助成措置につきましての財源として、特別会計のようなものをつくるという試みを過去においてなしたのでありますが、なかなかこれは実現をいたしておりません。また、
さき
の運輸政策審議会の
答申
にもございますように、財源措置は必要であるけれども、新たな
負担
を
国民
に求めるものであるから、
国民
の十分なる理解を得た上で慎重に運ぶように心がけてまいらなければならぬというふうに現在思っておるところでございます。 第四点は、運輸政策審議会の
答申
に対して各自治体議会等からの
意見書
が多数出ておることは承知しております。運輸省といたしましては、
地域
の公共交通の
重要性
を十分認識して所要の助成措置をとっておるところでありますが、今後とも一層の
施策
の充実を図ってまいりたい、そのように
考え
ております。 なお、各方面から提出されております
意見書
の中で、自家用自動車を公共交通より優位に置いた交通体系を提言しているという指摘が見られるのでございますけれども、運輸省といたしましては、公共交通より自家用自動車を優位とする交通体系を現在
考え
ておるのではございませんので、御理解を賜りたいと存じます。(拍手) —————————————
秋山長造
33
○副議長(秋山長造君) 江田五月君。 〔江田五月君登壇、拍手〕
江田五月
34
○江田五月君 代表質問も衆参通じて最後の締めくくりになりました。私は、新政クラブの個性豊かな七名を代表して、
総理
及び
関係大臣
に質問いたします。 政党は、言うまでもなく、
国民
のためよりよい
政治
を行うために相争うべきものです。それなのに、ともすれば私たちはこれを忘れ、争いのための争いに終始する。私は
総理
の
政治
についても、評価すべきものは評価していきたいと思います。 評価すべきものの一つは、
総理
の軍縮についての積極
姿勢
です。大変な量の核兵器が
世界
の火薬庫に蓄えられており、しかも限定核戦争とかいって、実際にこれに火をつけることが検討されている。これはもう人類の危機です。
わが国
は被爆体験を有し、しかも
世界
の平和が国の存立の基礎なのですから、軍縮は国是でなければなりません。このような時期に
総理
御自身が国連の軍縮特別総会に出席される。大いに敬意を表します。 軍縮か軍拡かについて、いま
世界
じゅうで綱引きが行われています。
総理
の周辺でも、
総理
の軍縮への熱意を苦々しく思っている人もいると思います。
総理
のお
考え
自体の中にも、両方の傾向が混在しているようですね。しかし
総理
、アメリカもソ連もその他の先進諸国も、いずれも過大な軍事費の重圧に苦しんでいる。
世界
各国での軍縮の
要求
も高まっている。軍縮こそが
世界
の進むべき方向であり、軍拡は
時代
逆行ではありませんか。御所見を伺います。
わが国
が自由陣営の一員というのは当然ですが、それでも欧米に追随せず、独自に国際
社会
の中で軍縮の
姿勢
を明確にしても、決して
世界
の孤児にはならない。国内でも、軍事費に回すよけいな金があるなら、その金で軍縮への外交努力を強めるため、外務省や在外公館の軍縮関係の部局や人員をこそ増強すべきです、軍備でなく。被爆体験の風化を防ぎ、広島、長崎の悲惨に目をつぶるのでなく、これをいつまでも
国民
が覚えておくよう
教育
面での配慮もすべきです。大学に平和と軍縮の講座を設けるのも手です。そのほか「平和の日」とかいろいろあります。軍縮と平和のため、できることはすべてすべきであります。どういう具体的
行動
をおとりになるか、具体的にお答えください。 一つ超具体的な提案をしましょう。
わが国
の被爆体験を
世界
に広めるため、六月、国連軍縮総会に行かれるときに、広島、長崎の記録映画と写真のパネルを御持参になってはいかがでしょうか。 さて、来
年度
の
予算
案の中に、わずか二百十万円余りですが、きらりと光る部分があります。ほかが悪いから目立つ。それは、瀬戸内海に浮かぶ小島、長島と本土との間に橋をかけるための予備調査費です。長島と本土とはわずか三十メートル、大声を出せば声の届く距離です。この島に国立のハンセン氏病療養所が二つあり、患者千七百人と職員とで二千三百人の人がいます。長い間、国はこのハンセン氏病患者をひたすら
社会
から切り離すことに努力をしてまいりました。ある日突然、愛する家族から引き離されて力ずくで療養所に隔離され、以来、一生を離島で送る。この
人たち
の苦悩はどんな名文家でも言葉で表現できないでしょう。 ところが、ハンセン氏病はもともと感染力は弱く、しかもいまでは患者のほとんどが完治しているのに、なお後遺症と
社会
の冷たい目のため
社会
復帰はきわめて困難です。昨年は国際障害者年でした。障害者の「完全参加と平等」をテーマにしたこの年に少しおくれましたが、この島に橋がかかる。関係者は「人間
回復
の橋」と呼び、これからの障害者
福祉
のシンボルだと喜んでいます。しかし、橋がかかる地元の人々の心の中に、まだとまどいとわだかまりがあるのも事実です。 そこで
総理
、この機会に障害者
福祉
についての根本
姿勢
を伺いたい。 世の中、五体満足な者だけで成り立つものではありません。目の見えない者、耳の聞こえない者、障害者もまた
社会
の大切な構成員ですし、これらの
人たち
の完全な
社会
参加を
社会
の大
目標
にしなければなりません。ノーマライゼーションと言われるこの
考え
方についての
総理
の
姿勢
いかんということです。「人間
回復
の橋」を蜃気楼にしてはいけません。自分のお隣に障害者が来たとき、だれもとまどいを感じないような
社会
、わだかまりなく障害者にだれもが手を差し伸べる
社会
、そんな
社会
をつくらなければなりません。御所見を伺います。 ここでもう一つ超具体的な提案をします。一度、長島のハンセン氏病療養所をお訪ねになりませんか。 ところで、
経済運営
と
財政
のことについては、すでに多くの質問と
答弁
がありました。しかし、
国民
は納得していません。大変な
不況
です。倒産件数などについて数字を挙げるまでもないでしょう。税金の重さ、不公平、けさの新聞を引用するまでもないと思います。いい話といえば、暮れの酉の市のくまでの売れ行きがよかったぐらいなこと。なのに、
鈴木内閣
の閣僚は皆、雲上人じゃありませんか。雲の上。だれ一人としてこの
国民
の困難を肌で理解する人はいない。違いますか、河本長官。どうですか、渡辺大臣。
減税
の
要求
はそんなに無理難題ですか。五年も続けて自然
増税
ですか。五・二%大丈夫ですか。
税収
は大穴があくのではありませんか。判で押した答えでなく、現実に対し素直になってはいかがですか。
財政再建
の
方針
が硬直して
総理
のメンツになるとき、泣くのは
国民
なんです。メンツと強弁の
政治
はいけません。真の
財政再建
のためにも、一兆円
減税
により
政治
の信頼を
回復
することが必要ではありませんか。どうですか、
総理
。
国民
の
政治不信
といえば、利権と
政治
の結びつき。鈴木さん、あなたの
政治
、人事は、いまのあなたの地位を確かにするために、灰色も黒色も構わず色目を使って、
政治倫理
に襟を正すことを忘れ、
国民
に
政治
に対する深い深い
不信
感をこれでもかこれでもかと植えつけているのです。
日本
は、国際環境にちょっと異変があっただけでも、
経済
も
社会
も乱れてしまうおそれがある。その意味では弱い国です。
政治
が
国民
の信頼を得ていないと、いざというときに
国民
に自制や助け合いを説くことはできないのです。そうでしょう。何とかの「大切」とか徳目を挙げてみても、言っている本人が
政治
を利用して金もうけ。これでは
国民
は耳を傾けようがない。
政治不信
は
わが国
の将来にとって致命的になります。どうするおつもりですか。何もかも全部裁判所に任せるつもりですか。 具体的に聞きましよう。田中元首相に第一審で
有罪判決
が出たとき、それでもなお盟友関係を続けられますか。
総理
、あなたはいずればそのいすをお去りになります。ところが、あなたと一緒に
政治不信
も去るといううまいぐあいにはいかない。後に
政治不信
とか軍事緊張やそのほかの
ツケ
が残る。資源のことや環境のこともあります。
農業
の衰退も
教育
の荒廃も
年金
の破産も。
行革
はどうですか。あなたは未来のことをいろいろ言われますが、
国民
はあなたとともに未来に向かって歩むことに不安を感じているのです。あなたに任せていると、二十一
世紀
には仮にうまく生き残ったとしても、荒廃した自然の中で
社会
のあちらこちらにほころびばかり目立ち、私たちは相変わらず金と物を求めてあくせく働くという未来しか目に浮かばないのです。あなたは一体、どんな未来展望をお持ちなんでしょうか。
総理
、
責任
は重大です。どうぞ未来に取り返しのつかない
ツケ
だけは残さないよう最後にお願いし、こんな無
責任
政治
をとにかく大きくつくり変える決意を表明して、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 〔
国務大臣
鈴木善幸君登壇、拍手〕
鈴木善幸
35
○
国務大臣
(鈴木善幸君) 江田
議員
にお答えいたします。 近年、国際情勢には厳しいものがありますが、さればとて東西両陣営が競って軍備増強を続けるという
状況
は決して好ましいものではありません。われわれは、力の均衡が平和と安定を支えているという現実を認めつつも、バランスを保ちつつ、その水準をできるだけ低くするようあらゆる努力を行う責務があると
考え
ております。 この意味で、来る第二回国連軍縮特別総会は各国がこのような努力を一層強化するためのよい機会であり、私もぜひこれに出席して、平和国家としての
わが国
の
立場
から、核軍縮を中心とした軍縮の
促進
を強く訴えたいと
考え
ております。 軍縮関係の人員を増強せよとの御提言でございました。外交
実施
体制の拡充強化につきましては、私もつとに意を用いてきているところでありますが、御提言の点につきましても貴重な御意見として承っておきます。 なお、
政府
としては、軍縮、軍備管理への努力を展開してまいるに当たって、やはりこの面での
国民
の正しい認識と支持が得られることが不可欠であると
考え
ております。かかる
考え
方に基づき、
政府
は常々軍縮の広報活動に意を用いているところであり、広報資料の作成、テレビ、ラジオを通じる軍縮問題の解説など幅広い広報努力を行ってきている次第であります。 なお、広島、長崎の記録映画等を国連軍縮特別総会に持参すべしとの御提言につきましては、私も、被爆の実情に関する的確な認識を適切な形で
世界
各国において深めていくことはきわめて有意義であると
考え
ておりますので、貴重な御意見として承っておきたいと思います。 瀬戸内海の長島にかける橋の話から障害者
福祉
に触れられる御質問がございました。 障害者
福祉
については、今後とも国際障害者年のテーマである「完全参加と平等」の実現を図り、障害のある人もない人も、すべての人にとって住みよい
社会
の建設を目指して努力してまいりたいと存じます。私もかつて厚生大臣在任中、ハンセン氏病療養所を視察したことがございます。それは
昭和
四十年、当時の佐藤榮作首相が戦後初めて
沖繩
を訪問され、
沖繩
の祖国復帰が実現しなければ
日本
の戦後は終わらないと申されたことは、
国民
の記憶に鮮明に残っておりますが、そのとき私も佐藤首相に同行し、
沖繩
の
医療
福祉
の諸施設を視察いたしました際、ハンセン氏病療養所を訪れ、患者の皆さんの
医療
と生活の実態について見聞いたしたことがあります。私は、そのような体験を通じまして、こうした障害を持った方々の
対策
について、より一層これを
推進
してまいりたいと
考え
ております。
経済運営
と
減税
についての御質問がございました。 この点はすでにたびたび申し上げているところでありますので、
経済
企画庁長官及び大蔵大臣の
答弁
に譲りたいと存じますが、一点だけ申し上げておきたいのは、私が自分のメンツのために
財政再建
に努力しているなどということは決してないということであります。
財政
の再建は多くの困難と忍耐を伴うものでありますが、今日の不健全な
財政
状態を放置し、いわゆる赤字公債の償還のために新たに赤字公債を発行しなければならないという事態に立ち至りますと、国家
経済
はもとより、
国民生活
にとってもまことにゆゆしいことでありますので、
鈴木内閣
の最重要課題としてこれに取り組んでいるのであります。きわめて重要な
国民
的課題でありますので、私のメンツなどという次元の問題ではございません。 最後に私は江田さんに申し上げたい。あなたは、私とともに未来に向かって歩むことには不安を感じていると述べられました。 私たちの世代がいまのあなたと同年代のころ、サンフランシスコ平和条約が発効し、
わが国
は戦後の荒廃と混乱から自分の足で立ち上がりました。自来三十年、私たちは手をとり合いながら高度
成長
の坂道を駆け上ってまいりました。今日
わが国
は、
世界
のGNPの一割を占める
経済
大国になり、
世界
の中にあって揺るぎない地位を占めつつあります。 いま私は、はからずも政権を預かる身となって、借金だらけの
日本
、
貿易摩擦
などで国際
社会
で孤立化するような
日本
を次の世代に引き継ぐようなことだけはしたくないと
考え
ております。私が内閣の最重要課題として
行財政改革
と国際
経済
摩擦の解消を挙げているのは、このような
考え
に基づくものであります。私は、私に残された情熱のすべてを燃焼し、この仕事に当たり、二十一
世紀
に向けての
わが国
の発展の基盤を強固にする一助になりたいと思っております。願わくは、江田さんのように明日を担う世代の方々は、いたずらに
現状
を批判するだけでなく、未来をしっかりと見詰め、祖国
日本
をより豊かでより生きがいのある国につくり上げていただきたいと存じます。 以上お願いをいたしまして、残余の質問に対する
答弁
は所管大臣に譲ります。(拍手) 〔
国務大臣
河本敏夫君登壇、拍手〕
河本敏夫
36
○
国務大臣
(河本敏夫君) 五・二%
成長
は可能か、こういう御質問でございますが、現在
わが国
の
経済
は緩やかな
回復
過程にあると
考え
ております。これまで
景気
の足を引っ張っておりました在庫調整も、ほぼ終了したものと判断をいたしております。また、
世界経済
もことしの後半からは
回復
に向かうであろうと
期待
をされております。先月二十三日、OECDでは先進工業国の
経済見通し
について発表いたしましたが、現在は最悪の状態にあるけれども、ことしの後半にはOECD二十四カ国平均の
経済
は三%強の
成長
に
回復
するであろうという
見通し
を発表いたしております。私どもは、必ずしもこの
見通し
の数字をそのまま信用するものではありませんけれども、
世界経済
の方向は大体その方向に進んでおると判断して間違いないものだと
考え
ております。 そういう中にありまして、
わが国
は
物価
、それから
失業
、労使関係、貯蓄率、金利水準、国際競争力あるいは
防衛費
の
負担
、こういう面で欧米諸国よりもはるかに有利な
条件
にございました。その有利性を十分発揮できるような
経済運営
を進めたいと
考え
ております。もとより現在は
経済
の激動期でございますから、
経済
の変動に当たって機敏かつ適切に
経済運営
をしなければなりませんが、
日本
の持っておりますこれらの基礎的な力を総合的に発揮することによりまして、本
年度
の
経済
成長見通し
五・二%は
達成
できるものと確信をいたしております。(拍手) 〔
国務大臣
渡辺美智雄君登壇、拍手〕
渡辺美智雄
37
○
国務大臣
(渡辺美智雄君)
減税
をやれというお話でございます。もうかねがね何人からも言われておるわけです。私としてもできることならという願望は持っております。しかしながら、それには財源が必要でございます。 御承知のとおり、いまもお話があったように、
世界
じゅう高い
石油
が原因で二けたの
物価
高、あるいは八%、九%、多いところでは一一%の
失業
率で悩んでおるわけです。
日本
は御承知のとおり
失業
が二・一から三ぐらいのところを行ったり来たりで、倒産が毎月史上最高最高と言われましても、
失業
者の数はふえない、なぜか。これは当然にどこかの繁栄産業が吸収しているからだと私は
考え
ます。その陰には、いままで
財政
が犠牲になっていろいろと投資をしたり、あるいは
社会
保障等を支えてまいりました。しかしながら、もうすでに九十三兆円という公債の残高を持つに至り、このまま放置すれば
財政
インフレ
という方向に行きかねない。 これは、イギリスやアメリカのような
インフレ
を背負い込んでは大変ですから、われわれとしては、どうしてもこの際はそういう道を歩まないために
財政
の再建を優先しなければならぬ。メンツでやっておるわけではございません。したがって、この
減税
問題については、諸般の情勢から本
年度
はとうてい無理だということを申し上げておる次第でございます。(拍手)
秋山長造
38
○副議長(秋山長造君) これにて質疑は終了いたしました。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十六分散会