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1982-03-31 第96回国会 参議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年三月三十一日(水曜日)    午後一時十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         片山 正英君     理 事                 大島 友治君                 田沢 智治君                 小野  明君                 佐藤 昭夫君     委 員                 山東 昭子君                 杉山 令肇君                 内藤誉三郎君                 仲川 幸男君                 降矢 敬義君                 松浦  功君                 藤田  進君                 宮之原貞光君                 本岡 昭次君                 柏原 ヤス君                 高木健太郎君                 小西 博行君    国務大臣        文 部 大 臣  小川 平二君    政府委員        文部大臣官房長  鈴木  勲君        文部大臣官房会        計課長      植木  浩君        文部省初等中等        教育局長     三角 哲生君        文部省大学局長  宮地 貫一君        文部省学術国際        局長       松浦泰次郎君        文部省管理局長  柳川 覺治君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君    説明員        労働省職業安定        局業務指導課長  若杉 之矩君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十七年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、昭和五十七年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (文部省所管)     —————————————
  2. 片山正英

    委員長片山正英君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  昨三月三十日、予算委員会から三月三十一日及び四月一日の二日間、昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  小川文部大臣から説明を求めます。小川文部大臣
  3. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 昭和五十七年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十七年度の文部省所管予算につきましては、いわゆるゼロシーリングのもとに、臨時行政調査会の第一次答申を尊重しつつ編成いたしたところでありますが、文教国政基本であるとの認識に立ち、教育学術文化の諸施策について予算確保に努めたところであります。文部省所管一般会計予算額は、四兆五千八百四十八億三千四百万円、国立学校特別会計予算額は、一兆四千七百四十一億三千万円でありまして、その純計額は、五兆二百二十億四千四百万円となっております。  この純計額を昭和五十六年度の当初予算額と比較いたしますと、千六百八十億八千四百万円の増額となり、その増加率は三・五%となっております。また文部省所管一般会計予算額増加率は二・六%となっております。  以下、昭和五十七年度予算における主要な事項について、御説明申し上げます。  第一は、初等中等教育充実に関する経費であります。  まず、義務教育学校学級編制及び教職員定数につきましては、昭和五十五年度から第五次改善計画が発足したところでありますが、昭和五十七年度におきましては、臨時行政調査会の第一次答申及び行革関連特例法趣旨を踏まえて、この改善計画の第三年次分として、いわゆる自然増と合わせて九千三百四十二人の増員に係る経費を計上いたしております。  また、教職員資質向上を図るため、新規採用教員等研修免許外教科担任教員研修教員海外派遣教育研究グループ補助教育研究団体への助成等各種研修を引き続き実施することといたしております。  次に、小学校及び中学校における新教育課程実施状況について、昭和五十六年度を初年度として四カ年にわたり総合的に調査研究を行い、将来の教育課程学習指導方法改善に資することといたしておりますが、昭和五十七年度におきましても引き続き調査研究を進めることといたしております。  生徒指導充実強化につきましては、学校家庭及び地域社会が一体となった生徒指導推進体制強化を図るため、新たに中学校生徒指導推進会議を開催することとしたほか、カウンセリング技術指導講座拡充するとともに、引き続き生徒指導推進校指定等実施することとし、さらに、人間性豊かな児童生徒育成に資するため、新たに勤労生産学習研究推進校指定を行うこととしております。  義務教育教科書無償給与につきましては、引き続きこれを推進することとし、定価の改定など所要経費を計上いたしております。  幼児教育につきましては、特に私立幼稚園園児保護者の経済的な負担軽減を図るため、幼稚園就園奨励費補助について、保育料等減免限度額引き上げることとしたほか、引き続き幼稚園施設整備を図ることといたしております。  特殊教育につきましては、重度・重複障害児のための介助職員増員を図るとともに、心身障害児適正就学推進等を行うことといたしております。  学校給食につきましては、魅力ある学校給食を目指して、学校給食施設設備整備充実を図ることといたしております。  また、児童生徒等の健康の保持増進に資することとするため、日本学校安全会日本学校給食会とを統合して日本学校健康会を設立するとともに、健康診断交通安全教育充実を図ることといたしております。  次に、公立学校施設につきましては、校舎等建物新増改築事業について、必要な事業量確保補助単価引き上げを図るとともに、危険建物改築補助基準の千点引き上げ措置の継続、国庫補助対象経費の非木造建物解体撤去費への拡大、たくましく心豊かな児童生徒育成を図るための屋外教育環境整備に対する国庫補助制度創設小中学校クラブハウスに対する国庫補助拡充等を行うこととし、これらに要する経費として四千八百三十七億円を計上いたしております。  以上のほか、要保護・準要保護児童生徒援助充実地域改善対策としての教育振興定時制及び通信教育振興理科教育及び産業教育充実英語教育振興等各般施策につきましても所要経費を計上いたしております。  第二は、高等教育整備充実に関する経費であります。  まず、放送大学につきましては、昨年七月、その設置主体となる放送大学学園を設立いたしましたが、昭和五十七年度は、昭和六十年四月の学生受け入れに向けて諸準備を進め、広く国公私立大学との連携協力のもとに、放送を効果的に活用した大学教育実施推進することといたしております。  次に、国立大学整備につきましては、従来から進めております大学学部創設準備等を引き続き行うほか、地方における国立大学中心教育研究上緊急なものについて学科等整備充実を図ることとし、大学学部及び短期大学の学生入学定員を五百九十人増員することといたしております。  大学院につきましては、島根医科大学に新たに大学院設置するほか、研究科、専攻の新設等により、七百四十三人の入学定員増を行うことといたしております。  また、附属病院につきましては、新たに岡山大学及び長崎大学の歯学部に病院創設するほか、既設の附属病院についても救急部新設等その充実を図ることといたしております。  なお、国立大学授業料につきましては、諸般の情勢を総合的に勘案し、昭和五十七年度にこれを改定することといたしております。  次に、公立大学助成につきましては、医科大学看護大学等経常費補助等について、引き続き充実に、努めることといたしております。  さらに、育英奨学事業につきましては、日本育英会学資貸与について、大学院貸与人員増員するとともに、政府貸付金八百七十三億円と返還金とを合わせて千百三億円の学資貸与事業を行うことといたしております。  第三は、学術振興に関する経費であります。  まず、大学等中心とする学術研究の基盤を強化充実するため、研究設備その他研究条件整備に努めるとともに、独創的、先駆的な研究推進するための科学研究費について引き続き拡充を図ることとし、昭和五十六年度に対して二十二億円増の三百八十億円を計上いたしております。  次に、重要基礎研究につきましては、核融合などエネルギー関連科学を初め加速器科学、宇宙・地球環境の解明などの研究を計画的に推進するとともに、九州大学の温泉治療学研究所を改組し、生体防御医学研究所設置するなど生命科学研究についてもこれを推進することとし、これらに要する経費として五百二十九億円を計上いたしております。  また、国の内外を通ずる学術協力交流につきましても、各般施策を進めることといたしております。  第四は、私学助成に関する経費であります。  まず、私立大学等に対する経常費補助につきましては、臨時行政調査会の第一次答申もあり、配分方法をより効率的なものに改善することとして、昭和五十六年度と同額の二千八百三十五億円を計上いたしております。  また、私立高等学校から幼稚園までの経常費助成を行う都道府県に対する補助につきましては、私立高等学校生徒数の急減に対応する等のため、昭和五十六年度に対して二十億円増の八百五億円を計上いたしております。  日本私学振興財団貸付事業につきましては、政府出資金二十億円を計上するとともに、財政投融資資金からの借入金四百七十四億円を計上し、自己調達資金と合わせて昭和五十六年度と同額の八百五億円の貸付額を予定いたしております。  また、専修学校につきましては、教員研惨事業等に対する補助を引き続き行うほか、新たに専修学校国費留学生受け入れることとし、専修学校教育の一層の振興を図ることといたしております。  第五は、社会教育振興に関する経費であります。  まず、地域における社会教育活動展開拠点となる公立社会教育施設整備につきましては、補助単価改善するとともに、図書館について補助対象館数を増加することとし、これらの施策に要する経費として、百五十三億円を計上いたしております。  また、社会教育において重要な役割りを果たしている社会教育指導者につきましては、派遣社会教育主事給与費補助について、これを改善することとし、指導者層充実に努めることといたしております。  さらに、社会教育活動振興につきましては、新たに生涯教育推進事業実施するなど社会教育の幅広い展開を図ることとして所要経費を計上いたしております。  次に、青少年健全育成に資するため、青少年関係団体に対する補助充実するほか、計画的な設置を進めております国立少年自然の家につきまして、岡山県賀陽町に第七番目の少年自然の家を設置することとし、所要経費を計上いたしております。  第六は、体育スポーツ振興に関する経費であります。  国民体力づくりスポーツ普及振興につきましては、広く体育スポーツ施設整備を進めるため、社会体育施設学校体育施設について、その充実を図ることとし、これらに要する経費として二百二十九億円を計上いたしております。  また、学校体育につきましては、格技等指導者資質向上、人材の確保などに努め、格技指導推進校に対する補助拡充を図るほか、学校体育大会補助についても引き続き所要経費を計上いたしております。  さらに、体力づくり推進校や少年・高齢者対象とした生涯スポーツ推進事業など家庭学校地域における体力づくり事業充実を図り、たくましい青少年育成と明るく活力ある地域社会の形成に資することといたしております。  以上のほか、日本体育協会の行う国際競技力工事業海外スポーツ技術協力事業に対し引き続き補助を行うとともに、国民体育大会助成等各般施策につきましても所要経費を計上いたしております。  第七は、芸術文化振興文化財保護充実に関する経費であります。  まず、地域社会における文化振興につきましては、こども芸術劇場青少年芸術劇場移動芸術祭等各般施策について、引き続き所要経費を計上してその促進を図ることとしております。  また、芸術文化創造援助等につきましては、芸術関係団体創作活動に対する補助芸術家研修芸術祭について引き続き所要経費を計上するとともに、新たに中国引揚者に対する日本語教材を作成するための経費を計上いたしております。  次に、文化財保護につきましては、国民の貴重な文化遺産保存、活用を図るため、国宝・重要文化財等保存整備埋蔵文化財発掘調査、史跡の整備公有化を進め、また、伝統芸能等保存伝承を図るほか、天然記念物の食害対策充実することといたしております。  また、文化施設整備につきましては、地域社会における文化振興拠点となる文化会館歴史民俗資料館等地方文化施設整備を引き続き行うとともに、国立文化施設について、国立能楽堂国立文楽劇場建設工事を進めるほか、第二国立劇場についても用地購入等に要する経費を計上するなど、その設立準備推進することといたしております。  第八は、教育学術文化国際協力推進に関する経費であります。  まず、主として発展途上国への協力を促進するため、国費留学生新規受け入れを大幅に増員するとともに、各国の需要に応じて高等専門学校専修学校への受け入れを実現するなど、留学生受け入れ体制整備するほか、ユネスコを通じた教育協力等推進することといたしております。  また、海外子女教育につきましては、日本人学校の増設、派遣教員増員教材整備等を行うとともに、帰国子女受け入れ体制整備を行うことといたしております。なお、新たに海外子女教育に関する施策立案基礎とするため、総合的な実態調査実施することといたしております。次に、学術国際協力推進するため、日本学術振興会が行う研究者交流事業発展途上国との学術交流事業充実するとともに、日米科学技術協力事業中国との学術協力事業等推進を図ることといたしております。  以上、昭和五十七年度の文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。     —————————————
  4. 片山正英

    委員長片山正英君) この際、お諮りいたします。  お手元に配付してあります昭和五十七年度文部省所管予算概要補足説明につきましては、説明を省略し、これを本日の会議録に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 片山正英

    委員長片山正英君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 片山正英

    委員長片山正英君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 藤田進

    藤田進君 今回初めての予算委員会からの委嘱審査となったわけでありますが、私は特に私学助成、また奨学資金問題、留学生受け入れ等々、お尋ねをいたしたいのでありますが、時間が五十分の割り当てのようでありますから、まず、私学助成問題について質問をいたします。  御承知のように、私学振興助成法のもとで経常費の五〇%、二分の一を目標に私学助成を行うという方針が打ち立てられ、立法化を見たわけであります。その後第二臨調、そしてこれが第一次答申となり、本年度はただいま御説明がありましたごとく昨年どおりと、昨年同額以下ということに対するまあほぼ同額ということで、その限りでは文部大臣等努力を認めないわけにはまいりませんが、しかし、このまままいりますと、昭和五十八年度以降私学は重大な危機感を持つわけであります。  そこで、まず第一に、昭和五十六年度とおりになりました昭和五十七年度の私学助成、二千八百三十五億円になりました予算折衝、特に大蔵、内閣大臣折衝等含めて、若干どうも大臣の弱腰があったのではないかという疑念も持ちますわけで、その経過についてお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 私立大学等経常費補助金は、改めて申し上げるまでもなく、私立大学わが国高等教育振興の上に果たしてきた、また今後も果たすであろう役割り重要性にがんがみて創設されたものでございますので、この制度本来の趣旨に従って、かような厳しい財政状況のもとにおいてでございますが、私といたしましては及ばずながら努力を傾注いたした次第でございます。しかるところ、歳出抑制という非常に厳しい財政状況のもとで、しかも総額を前年度と同額以下に抑制するという臨調の第一次答申もございますので、最大限度努力を行いました結果、五十六年度と同額の二千八百三十五億円というところで妥結せざるを得なかった次第でございます。
  9. 藤田進

    藤田進君 文部省関係予算累年伸び率が落ちていることは御承知のとおりでありますが、昭和四十八年度以降、私の手元にもございますが、文部省関係伸び率は前年度に比して三五・四八%の昭和五十年度以降漸減をいたして、ついにただいま御説明の本年は二・六%、こういうふうになっているわけであります。  その中で私学助成について言えば、前年どおり伸び率はゼロということでありますが、これが私学のみならず、昨日も御議論がございましたように、国公立、特に国立についてもかなりのしわ寄せがきているように思うわけであります。大臣御就任直後の予算折衝であったかと思いますが、五十七年度の実態を踏まえて、五十八年度に処して、国立なりあるいは私学助成なり全般の予算要求なり、実現方への大臣の所信なり態度をお伺いいたしたいと思います。
  10. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 財政状況はますます厳しいものになっていくであろうという見通しを持たざるを得ない状況だと存じておりますが、さような環境下におきましても教育国政基本であるという認識に立ちまして全力を傾注する決心でございます。
  11. 藤田進

    藤田進君 そこで、私学振興助成について重点をしぼってお伺いしたいと思いますが、これは御承知のごとく第一条でその目的といたしましては、一つ私学教育条件維持向上、第二に学生等の修学上の経済的負担軽減、第三は私学経営健全化、この三つを挙げているわけであります。そして経常費の二分の一を目途にしていたやさきでありますが、自然、昨年度並みとなりますと、教職員に対するベース改定あるいはその他一般管理費上昇等々考えますと、教育条件維持向上あるいは学生ないしその父兄負担というものは二十七年度以降それだけ増高することになるわけであります。文部省の試算では大体年間五万円程度とか言われているように思うんです。  衆議院におけるわが党の嶋崎委員とのやりとり等も私参考に読ませていただきました。両者それぞれ物別れの状態であったように思いますが、私どもの計算では、やはり年間少なくとも十万程度負担増が出てくるように思われるわけであります。その詳細については省略をいたしますが、これらについてどのようにお考えなのか。具体的数字があればひとつ示していただきたいと思います。
  12. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 御指摘の五十七年度の私立大学経常費がどの程度の規模になるかということ、またそれに対して概算要求としてどのように取り組むべきかということが夏の文部省としての概算要求に当たっての課題でございまして、その際、人件費あるいは物件費増等を見込みますと、さらに二百四十七億の当然増を要するということでございました。  しかし、大臣御答弁申し上げましたとおり、ゼロシーリング、また補助金は原則として一割削減、あるいは臨調での総額を前年度同額以下に抑制するという厳しい環境の中での概算要求でございましたので、この二百四十七億のうち百九十七億円は配分方法改善等により吸収していくという考え方に立ちまして、五十億円の増で概算要求をいたしました。その結果、先ほど御指摘のとおり五十六年度と同額という二千八百三十五億円の予算計上になった次第でございます。この間の増額要素が大体六・七%、五万円に相当するという推計をいたしたわけでございます。  このたびの五十七年度の入学者にかかります初年度学生納付金実態がどうであったかということでございますが、各私立大学から報告を受けましたその実態は、授業料入学料及び施設設備費合計額で八十万一千円が平均でございます。前年度入学者に対しましての学生納付金は七十五万円でございましたので、それに比しまして六%弱の上昇で、金額的には五万円ということで、過去十年間の毎年の学生納付金上昇率と比しまして、十年間で最低の上昇率であったという結果になっております。このことは物価等の動向の鎮静化私学側経営努力に負うところきわめて大でございますが、これまでとってまいりました私立大学に対する経常費補助のそれなりの効果があらわれておるというように受けとめておるところでございます。
  13. 藤田進

    藤田進君 いろいろな視点からの問題があるわけでありますが、まず第一は、私学振興助成法に、至るまでの根本原因というのは、やはり国立学費学生ないし父兄負担との対比において、私学国公立寄与率から見ても非常にその懸隔が大きいし、ますます年を追うに従って私学国立との学費の差が大きくなる、倍率がだんだんと大きくなっていく。こういう点から、今回国立関係学費値上げになるような運びでありますが、この学費の開きから見ても、今度のゼロシーリングに基づく予算編成というものは私学かなり大きくこたえているわけです。いまの御説明の中で、経常費についての、特に管理物価傾向をどの程度上昇率を見ているのか、重ねてお伺いいたします。
  14. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 来年度の私学経常費がどの程度に見込まれるかということでございますが、これにつきましては国立大学教員人件費増を一%と見ておりますし、また物件費につきましては四・三%という伸びを見ておりますので、それらを合わせますと三%というのが経常費伸びであろうという一応の積算を立てでございます。その金額から見ますと、五十六年度の二千八百三十五億円の国庫補助のもとにおきましては、国庫補助経常費経費に占める割合は二九・八%でございまして、九千五百二十億円の総経常費経費のうち二九・八%が補助金割合でございましたが、五十七年度ただいま申しました三%のアップということで見込みますと、九千八百六億円の総額に対しましての二千八百三十五億円は二八・九%の補助割合になるというように見込まれております。
  15. 藤田進

    藤田進君 もう一つ国立との学費差でありますが、これはどういう傾向になりましょうか。
  16. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 国立私立との授業料、その他の学生納付金の格差につきましては、私学経常費増額措置あるいは国立大学におきますところの授業料アップ等々両々相まちましてその差は近づきつつあるわけでございますが、このたびの来年度の状況でございますが、授業料につきましては国公私立が二十一万六千円、私立大学が四十万六千円、一・九倍ということでございます。また入学科につきましては国公立が十万円、これに対しまして私立が二十一万二千円、二一倍でございます。なお私立学校につきましては別途施設設備費がございまして、これが平均十八万五千三百四十四円ということでございます。トータルで申し上げますと、国公立が三十一万六千円、私立が八十一万一千円の学生納付金でございまして、私立国公立に対する比率はこのトータルでは二・五倍ということの状態でございます。
  17. 藤田進

    藤田進君 そうすれば、やはり依然としてかなりの開きがあるということは数字が物語っていると思うのであります。この程度で維持されてしかるべきと思われるのか、さらに改善をしていく必要があると思うのか、政治論としてもひとつ大臣からお伺いいたしたい。
  18. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 私学国公立学生納付金の開きは次第に縮小しつつあるとは申しながら、現状はただいまお耳に入れたとおりでございます。私といたしましては、非常に厳しい財政状況のもとにおいてではありますけれども、この開きを縮小いたしますためにこれからも懸命に努力をしてまいりたい、こう考えております。
  19. 藤田進

    藤田進君 国公立私学との差がおよそどの程度までを理想とされるのか、努力目標をお伺いいたします。
  20. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 学生納付金との比較でどのくらいの割合かということはなかなか決めかねることでございますが、従来私学経常費助成につきましては法律で二分の一以内と書かれておりますが、国会での附帯決議におかれましてもできる限り早い時期に二分の一を実現するという附帯決議をいただいております。その目標に向かっていままでそれなりの努力が重ねられてまいりましたが、たまたま国家財政の窮迫、歳出抑制ということで今日五十七年度の状態が来ておるわけでございますが、いま私立大学経営状態全般でございますが、臨時的な経費も含めまして私大の経常経費総額は一兆五千億でございます。そのうち六割が学生の納付金でございます。それから国庫の補助金経費総額に対しましては二割に相当いたします。あとの二割が借入金あるいは寄附金あるいは雑収入等で賄われているというのが実態でございます。したがいまして、私立大学はそれ自体自主的な努力経営でなされるものでございますので、六割が学生納付金に依存するという実態の中では、やはり国公立に対しまして学生経費負担はそれなりに上回ったものであることはやむを得ないという感じがございます。国民の多くの方方が子弟を高等教育に上げたいという大きな熱意がございます。また、子供だちは高等教育を受けたいという意欲があるわけです。それをわが国におきましては八割近く私学でこれを受けとめておる、そのことが高等教育としての大きな成果をもたらしたということで、それに対する経常費助成努力とともに、やはりそういう国民の大きな民力がここにこのような形であらわれてくるということは、それなりに許容されるところであろうというように感ずる次第でございまして、なお大臣御答弁のとおり、今後一層この面の格差の解消への私学助成の課題としての取り組みは基本の課題であろうというように感じております。
  21. 藤田進

    藤田進君 今後、大臣も特に補正の段階もありましょう、五十八年度、新年度予算要求折衝もありましょうが、私学助成中心努力なさるということですが、いまの管理局長のお話では二分の一という一つの目標もありという客観的なものを指摘されての発言ですから、どうもよくわかりませんが、一体文部大臣としてはこの程度ならばという目安がやはりなければ努力にも自然力が入らないような気もいたしますが、どの辺をお考えか重ねてお願いいたします。
  22. 小川平二

    国務大臣小川平二君) ただいま政府委員から答弁申し上げましたように、経常費経費の財源り主たる部分、六割を学生納付金に依存しているという状況でございますから、やはり私学学生納付金、ある程度あるいは相当程度国公立に比して高くなるということは、これはやむを得ないことかと存じます。どこまでもっていくかという目標をただいまの時点で設定いたしますことはなかなか困難でございますが、あとう限りこの差を縮めるために努力をいたします。ただいまかように答弁申し上げるほかない次第でございます。
  23. 藤田進

    藤田進君 臨調第一次答申の前年度同額以下ということは、これは五十七年度に関する限りという意味であって、五十八年度以降はこれはまた州と、そういうお考えでしょうか。
  24. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 財政状況を踏まえての御答申と存じておりまするから、今後の財政状況を踏まえて、さらにまた五十八年度につきましては恐らく別の答申提出されるものと考えております。
  25. 藤田進

    藤田進君 ちょっと手元に持ってきているはずなのに、見当たりません。国立の場合、学生負担金の割合私学の六〇に対する数字はどうなりますか。
  26. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 国立学校の運営費の中におきます学生授業料の占めます割合はおよそ一〇%程度でございます。
  27. 藤田進

    藤田進君 いま大臣お聞きのとおりでありますから、私学のものは現状六割、現状を固定するなりあるいは私学助成が前年度同額ないしそれ以下の以下を将来とるとすれば、さらに六割はふえてくる勘定になるわけですね。そこで、国立の場合は一〇%、私学の場合は六割ないしは、いま大臣御発言では私学負担率が高いのはやむを得ないと、こういうことですが、それはどういうところから出てくるんでしょうか。負担率の差がよろしい、肯定する論法の根拠は何ぞや。
  28. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 現状を私が是認いたしておるわけではないのでございまして、好ましいことではございませんが、目下のところある程度の開きがあるのはやむを得ないと、こう申し上げたわけでございます。
  29. 藤田進

    藤田進君 いや、一〇%と六〇%ですから、それ自体を肯定されるのか。ある程度というふうな表現ですが、私はやはり私学に入学している、特に父兄、これもやはり国立関係経費、一般国税なり地方税で国公立教育費も負担しているわけですね。私学についてはいま本年度二千八百億余のこれは助成として還元されるとしても、父兄の二重負担というのはここから出てきているわけでありますから、したがって、幸か不幸か私学に行った者は、父兄にとりましては、やはり国立学校経費も相応の負担をしながらみずからの子弟の私学教育費を負担すると、こういうことなものですから、自然、両院ともここに思いをいたして私学振興助成法をつくったわけですね。そして当面二分の一。これが臨調答申に基づいて機械的に同額ないしそれ以下ということになりますれば、この目標は全くこれ七、八年で崩れてしまうことになるわけですね。ここのところを大垣として今後ひとつ打開策を考えていただきたい。  いまちょうど私学は六〇、国立が一〇%、その間をとって、まあ私学は二五%。そんなことは私は機械的に申し上げませんが、もっとこれは縮めるべきじゃないでしょうか、いかがでしょう。
  30. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 申すまでもなく、できるだけこれは縮めなければいけないと考えております。
  31. 藤田進

    藤田進君 ところが、大臣はそう思われても、臨調関係からの答申がその都度あれば、内閣ないし各省はこれをそのまま五十七年度に関する限りはのんできたわけですね。議会になればまたいろいろ議論はありますけれども、多数党の意思が通っていくと年度予算は成立するという仕組になっております。そうなりますと、一体臨調の動向に対して無関心でいていいのかどうか。私は思うに、特に私学について、文部省なり大蔵省なり、予算に関する限り、いわゆる圧力ないし圧力団体というものがなきに等しいと思うのです。この点は通産なり建設省あたりは背景を持って押してくる。ところが私学の場合は、なるほど私学団体はいま大きいのが二つで、あと若干のが二つですか、ありますが、これやはり文教関係の性質上その内容には大きな二つの問題がありますが、それはおくとして、文部省をバックアップするだけの力がなかなか伴わない。私どもも社会党としては文部省にも参りましたが、五十七年度予算編成期に当たって、その後段には私学助成そのほかありますが、文部省では特に重点としては私学助成、これは大蔵省にも押しかけてまいりました。文部省だけに任すのではなくて、内閣に対してもそれぞれ働きかけをして予算編成段階で指摘したわけであります。ところが、臨調答申を忠実に実行するといったてまえから、現に昨年度同額、これ以上のものは出てこない、私学助成も。そこで、時間がないので一間一答を避けますが、最近では私学関係については助成金の配分論が出てきております。私も現行配分基準というものが、これを実施し始めてすでに年月もたっておりますからここらで再検討する時期にあるとは思うんですよ。私が思いますのは、財力といい、かなり健全な、歴史も古いし、規模もかなりの規模を持って、バランスのとれた私学はこれは結構一人立ちがやっていける、学生かなり押しかけてくる、そういうところに百億を超える助成金が出ていくということであって、何とかこの基準に達っしたい、学生数もふやしたい、学生に対する教授陣もふやしていきたい、学費もそう上げたくはないと思いながら、補助金はもらわなくても学生数をふやしていかなければ年度間の財政収支が償わないというようなよろめいている大学が現状はなしとしないんであります。そういうところは谷底からはい上がることができない。そうして力のあるものは、これは補助金は比較的多量にもらう、ますます循環が好循環をする。片一方は悪循環をしていく。こういう点がありますから、配分については私はそういう点を、少し手間はかかるけれどもきめの細かい査定をする段階に来ているんじゃないだろうか、こう思われるわけであります。ところが、臨調の大学政策抜本改革というものは、いわば特色ある私大づくりという点については、内容を見なければやや肯定しがちでありますけれども、研究に力点を置きたい、何かそういう議論がいま出てきているように思うのであります。  さあ、そうなりますと、大学は研究はありますが、教育というのは大切です。私学で現在補助金を必要としている大学は、むしろもう研究もさることながら、教育関係ですね、教育面に非常に追われてきていると思うんです。それから、研究部門の実態はどうかというと、私は実は昨年度は九州から北陸、各大学めぐりをもう単独でいたしました。協力を得ていろんな学校を調べて、その一一を申し上げることは差し控えますが、国立についても調べてみました。先般、かなり前ですけれども予算委員会でも取り上げたのですが、研究実態という現場の実情をもっとメスを入れていく時期ではないだろうか。臨調がもし研究に主体を置いてユニークな大学づくりという判断で、いまの時期にそれに保護助成中心を置くということになると、これは非常に問題があるように思うんです。国立の場合でも研究がどういう実態になっているかというと、非常に間口が狭く奥行きが深いでしょうけれども、そういうものに重点を置いていけば、やがて卒業する青年たちの就職口というものは、これは私学では最大のやはり問題でありますけれども、これはやはり普遍的な、ある程度基礎的な教育を、単位は取れていてもそれほど深まっていない。研究は特定のものだけはかなり深く、大学院でやるべきようなことを指導教授のもとでということになり、さらに最近は国立もそうですが、ある大学では三億、ある教授が委託研究を受けておる。これは教え子たちを使っていろいろコンピューターを操作し、いろんな研究をやっていく。調べてみると、学生たちは年間三十万ぐらいもらっている。しかし、学生はこれでも大変な金をもらったといって喜んで協力しておるんですね。税金や所得税はかからない。国庫の経理には載っていかない。いわば委託研究なるものが最近どこか問題になったようですけれども、薬なり肥料なり何なりがやはり何々教授の鑑定を受けたとか、試験研究の結果合格したとか、そういうラベルが物を言うというような時代でもありますだけに、その研究たるや、私はそういうものがあっていいのであれば、学校から出て、みずから中心になってコンサルタントをつくって営業なさればいいと思うんです、物によってはですよ。研究は無論必要ですけれども、だんだんと利益追求、所得追求になってきている学校かなり出ています。私はそういうものは個々には扱わせていません。中央研究所を持って、全部中央研究所を通して処理させております。しかし、ここ十年ぐらいまでは私の関係しているところでも同じようなことがありました。そういうもとではいろんな施設、さらに中に置く設備ですね、自分のコンサルタント的委託研究に使うために国費なり私学設備費を使って、そうしてこれによって委託を受けてくる、特定の産業資本と協定した形で進んでいく。中にはそこのどっちが本務かわからないような形態さえ出てくる。何々コンサルタントの専務取締役であり、何々大学の教授、こんなのが続続出てくる。そういうことがいまでも問題になっているんですね、問題になっているんです。そういうものが清算されないで本来の研究、本来の教育という、そういう軌道に載らないいびつな状態下でこの臨調の言う研究に重点を置いて、そこへはどかどかと研究費の形で助成する。学内の平和も非常に乱れているんです。あれは年間二千万委託研究でとっている、われわれはまじめにやっている、どうしてくれますかと、これは現在出ているんですよね。ですから、私は臨調に対する、そういう啓蒙の必要があるんじゃないだろうかと。非常に偉い先生方のお集まりでしょうけれども、実態を余り知られないか、知っていてみずからないしそのグループの利益のために主張されているのか、私は疑問を持たざるを得ないのであります。これが答申されてくると、研究中心補助金の配分がこれまた改変されるということになると、私学といわず国立といわず収拾つかないことになると思うんです。こういう点を十分ひとつ臨調の段階で——他の省庁はかなりやっているように私は聞いております。文教の方も、私学助成なり、その他文教政策、そういわた点を、これは文部省があり文部大臣がいるんですから、やはりこのメカニズムの結論というものを今後の打開策としてでも臨調に対する啓蒙というものが必要なんじゃないだろうか、そういう最近は気がしてならないわけであります。なぜならば、私学には圧力団体というものがあるようでないわけでありますから、それだけに現行の機構がしっかりしてもらわなきゃなりません。  以上時間がないので一通り述べましたので、私の所論に対する御意見を求めたいと思います。
  32. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 御論旨は十分傾聴いたしまして、いろいろ啓発されたところがありますことを感謝申し上げておきます。  文部省といたしましては、臨調に対しまして文教政策の現状、また意図しておりまするところについて機会あるごとに説明をいたし、認識を深めてもらうことに努力をいたしておる次第でございます。これからもそういうつもりで努力を続けてまいるつもりでございます。
  33. 藤田進

    藤田進君 大臣もなかなか古い政治家ですし、私も昔からよく知っているわけでありますが、まあ、それなりの人柄ですから、その御答弁も無理からぬと思うのでありますが、もっとよし任しておけばいいなとまでいかなくても結構ですけれども、何とかやってくれるだろうというひとつ印象を与えてくださいよ。何かどうもそこらの素人相手にちょっと答弁しておきゃ、そのうち時間たって藤田引っ込むだろうというような、そういうことがありありとこれ見えるんですな。ひとつ熱のあるところを頼みます。
  34. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 先生が余りに玄人でいらっしゃいまして。私は余り素人であり過ぎるためにこのような結果になるわけでございますが、ただいまお述べになりました御意見、そういう観点から見まして今日の大学における教育実態がどうなっておるか、担当者がどのような認識を持っておるかということをただいまお耳に入れさせたいと存じます。
  35. 植木浩

    政府委員(植木浩君) ただいま先生からお話ございました国立大学等あるいは私立大学等におきます教育研究をもっと充実せよということは全くそのとおりだと思います。受託研究費のお話などもございましたけれども、私どもも受託研究費の扱い等につきましては、具体的な話にな込ますけれども、当該大学で教育研究上有意義である、かつ本来の教育研究に支障を生ずるおそれがないと認めます場合には、社会のそういった要請を受け入れることも大学の学術研究の進展に大いに寄与するという取り扱いをいたしております。しかしながら、先生の御趣旨はやはり本来の国立大学なら国立大学、あるいは私立大学教育研究予算をもっと積極的に充実確保せよと、こういう御趣旨がと思いますが、その点につきましては、先ほど来大臣等もその基本的な方針を御説明申し上げておりますように、年々の予算で及ばずながら私どもも一生懸命努力しておるところでございます。  なお、臨調の話が出たわけでございますが、これも具体的にはいろいろなレベルで臨調の委員の方、あるいは臨調の関係者の方々に私どもからいろいろな形で大学等の実情をよく御説明をしておるわけでございますが、現在もいろいろと審議をしておられますので、さらにそういった点で十分に大学の実情と大学におきます教育研究というものが日本の国政基本の一端を担っておるという点につきまして、十分に御説明をしてまいりたいと思っております。
  36. 藤田進

    藤田進君 私はいまの御答弁聞いてもですけれども、一体いま大学に物が言えるような立場に文部省があるのかどうか。そういうことを知っていて聞く方もおかしいんですけれども、大学の自治その他でああせい、こうせいと言って、そうですかと聞く大学がありますか。教えてください、どこか。
  37. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、大学の教育なり研究なり、基本的には大学の自治、学問の自由というものが基本的にあるわけでございまして、私どもといたしましても、先ほど来大臣が御答弁申し上げておりますように、日本の発展のために、この大学の持っております教育的な意義、また基礎研究重要性、そういうようなものを十分認識いたしまして、私ども文教政策全体の発展のために努力をいたしておるわけでございます。  御指摘のように、基本的な大学の自治というようなことも十分尊重しながら、しかも社会的な要請を十分受け入れてもらえるような方向に、私どもとしても及ばずながら指導いたしておるわけでございますが、その辺の基本的なあり方については十分踏み外さないような対応をいたしておるところでございますし、今後ともその点には十分留意をしてまいるつもりでございます。
  38. 藤田進

    藤田進君 まあよくわかったと申し上げたいわけでありますが、なかなかわかりにくいわけで、さて、文部省の配分基準なり配分の改正というか、最近聞くわけで、衆議院のやりとりの段階ではどうも明確でないんですね。どうも現行配分基準の一部修正のようにも聞こえるし、一方臨調研究体制に重点を置いて研究費を出そうという、こういう大事な時期に来ているだけに、文部省私学助成費の配分について現状維持か修正するか、修正するとすればどういう方向なのか、各方面の意見を聞きというのは大分前の話でした。から、もうそろそろ方向性は出てるんじゃないでしょうか。
  39. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 最初に、臨調との関係で先生大変御心配をいただいておりましたが、私ども私学助成の立場からは、従来私学助成が果たしてきた役割りというものの認識の上に立ちまして行政改革の一環として国の補助金なりを見直す場合に、単に金額の多寡という観点だけで、従来とってまいりました個々の補助金の持つ意義、役割り重要性というものが無視されるということは本末転倒であるという基本的な姿勢に立っていま対応しておるところでございます。  御指摘補助金のより効率的な配分という問題が臨調でも第一次答中でも御指摘を受けておりますし、また、先ほど来先生の御指摘の御示唆の中にも、それなりに私ども考えていかなくちゃならぬという問題がございます。したがいまして、この補助金のより効率的あるいはより適正な配分方法改善につきましては、現段階におきましては、私学側を初め各方面の御意向を十分お聞きしつつ、慎重にかつ鋭意よりよき方法を得ていきたいというように考えておるところでございまして、具体にどの辺につきまして、どういうような改善を図るのかという問題につきましては、なお今後時間をかけて研究をしてまいりたいということでお許しをいただきたいと思う次第でございます。
  40. 藤田進

    藤田進君 研究プロジェクトを中心に、個々にむしろ特色ある私大づくりという意味で私学助成に重点を置くという説に対してはいかがですか。
  41. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) いま現行の補助金の配分に当たりましては、まず第一に教職員数あるいは学生数、これに伴います給与あるいは物件費等につきまして、いわば定額補助基本に立ちまして、その上にさらに傾斜配分によりまして、たとえば定員と実員の間に著しい差がないか、あるいは学生納付金の中から教職員教育研究費にしかるべき金が十分適正に渡っておみのかどうか、あるいは私学経営の状態が著しい黒字を残しておるというような状態にあるかどうか、そういう観点からの計数で調整いたしましたいわゆる傾斜配分をいたしております。そのことによりまして教育研究条件の維持向上に資するという考え方をとってきておりますが、さらに助成額の総額の五%以内は特別補助ということで、それなりに勤労学生教育あるいは生涯教育に対する手厚い措置を行っておるところ、あるいは大学院教育等に関しまして特別補助を行うということで、基本私学経営の基盤の安定化、あるいは学生経費負担軽減ということと同時に、そのような組み合わせの配分方法によりまして、各大学の教育研究の条件の維持、向上に自主的な努力が払われるような、誘導になるような配分方法をとっておるわけでございます。これは、それなりに従来大変意味あったものだというように私どもは認識しておりますが、この基本の上に立ちながら、さらによりよき改善方法というものを詰めていくということであろうかというように思っておりまして、いまの配分方法について抜本的によりよき別の方程式があるかということにつきましては、必ずしもそういう完全に新しい方程式というものは、あるいは出てこないかと思いますが、よりよき改善の方途ということで検討を進めさせていただきたいと思います。
  42. 藤田進

    藤田進君 二時十七分までだそうでありまして、ずばり来ているわけで、残念ですけれども、以上をもって取りやめます。
  43. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 きのうから種々論議になっております文部省予算伸び率の二・六、その中身の問題ですが、まあゼロシーリングの中でやむを得ないものもあるということも理塀ができるのですけれども、なかんずく文教施設費の六%減については、まあ何か目につくものが大変多いと思う。公共事業費に類するものでは各省を通じてこのような数字がないのではないかと思いますが、御案内のとおり物価も上昇をいたしておりますので、六%減というのは実質施設費の実計に直しますと一割以上の削減にまずなっているのではないかと思いますが、きのうも御答弁がありましたように、施設については木造も大分鉄筋になったからというお話であったし、自治体の要求もそれほどにないのだというお話もあって、それなりにわかるのですが、これはゼロシーリング文教全体の予算の中から義務教育の国庫負担金の一千二百三十億、これが大きく影響をしてかぶさってきておると思いますし、まあ四兆八千億の中でこの金額のかさが大きいものですから、どうしてもこれがあらゆるものに効いてきたと思う。大変結構なことであったと思うのですけれども、科学技術博の四十八億、気象衛星の四十一億も当然ゼロシーリングという中に影響をせざるを得なかったのであろうと。そこで管理局長初めこれに関連する——体育局長さんはお顔が見えておるのかな。——いや、おいでなら結構でございますが、各局長さん、この予算で、私がいま申し上げたようなことなんですが、まず六%減、実質十何%減になるこの施設予算でどうお考えいただいておるだろうか、ちょっとお考えを各局長さんから承りたいと思うんです。
  44. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) 本年二月に、公立文教施設の整備建築計画を全国から事情聴取いたしました。これによりますと、予算措置に対しまして小中学校の校舎新増築等では一〇二・四%の計画が出てきております。特殊学校高等学校等につきましての建築計画につきましては、予算額よりも若干いまの段階では建築計画が下回りまして八三・三%の計画の要望でございます。両者合わせまして一〇一・二%、一・二%ほど計画が上回っているということでございますので、私ども、先生いま御指摘のとおり、全体としての公立文教施設の整備計画がそれなりに事業量が減少する傾向にあるわけでございまして、そのゆえにこのたびの一応予算措置ではそれなりに各地の整備計画に対応できていくという実態でございます。
  45. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 実はきのうもそういうお話があったんですが、文部省地方自治体との関係はこういうことだと思うんですよ。  わが家は大変借銭をしてひとつ財政計画をやらないかぬから奥さんよ、子供よみんな倹約してひとつやるのだ、そして再建をやるのだ、こう言ってしっかり言い聞かしておいて、その後で足らぬものがあったら言ってこいと、こういうようなものが実際には地方にも流れておることも間違いないわけでございます。  私が申し上げるのは、校舎の問題はそれでわかりましたが、体育課長さんもお見えになっておりますかと言うたゆえんのものは、体育施設、いまやはり青少年健全育成などというものは体育施設というものに大変大きなよりどころを感じておると思うのです。そればかりでない、文化施設社会教育関係の施設も、もうやりたいものは地方に行きますとたくさんたくさんあるわけであります。そういうことでございますので、ひとつ各局長のところで満足でございますかと私がお尋ねをしたら、はい、大変満足でございますというお答えにはならぬと思いますので、そのお答えはまた後ほどいただく機会があったらいただくといたしまして、そこで大臣、大変むずかしい質問を申し上げて御迷惑になると思うのですが、いま一兆円建設国債の話がちらちら見え隠れをいたしておるわけであります。  政府は公共事業の効率、特に景気浮揚という問題をおもんぱかって、ことしの前半を七五%の前倒しをして景気浮揚をやろうといたしておるわけでございまして、御承知のとおりであります。そうすると、後半に残ります四分の一で半年間食いつなげということに相なりますから、私はけだし建設国債一兆円というものもあながち夢ではないであろう。ここでそのことについては、一方で財政再建をしよる中でというお説もあろうと思いますが、それはきょうの議論でございませんからこちらへおいておきまして、建設国債が出るであろうという想定のもとで、閣僚の中で重要な位置を占めておる大臣にこの一兆円建設国債が出るとか出ぬとかいう御答弁もなかなかいただけないと思うのですが、私はここで、大臣、建設国債といいますと建設省であったり農林省であったり国土庁であったりするので、少々文部省の建設関連というものは忘れられておるのではなかろうか、置き去られはしないだろうかと、こういう心配があります。まあひとつこのあたりでもう一度お尋ねをいたしたいと思いますが、この建設国債の問題について大臣何かひとつお考えがございましたらお聞かせを願いたいと思います。
  46. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 去る三月十六日の閣議におきまして、大蔵大臣から、上半期における公共事業の契約額の目標を七五%以上とするという方向で各省で検討を進めてはどうであろうかと、かような発言があったわけでございます。この発言を受けまして目下各省庁で検討いたしておるというのが現状でございますが、申すまでもなくかようなことを提案をいたしておりますのは景気の浮揚を図ろうという観点からの発言であると理解をいたしております。そこで、現実にかようないわゆる前倒しをいたしました場合に下半期の仕事はなくなってしまう。そこで一部に建設国債の発行必至であるというような観測もあることは承知いたしておるわけでございますが、何分ただいま五十七年度予算の御審議をお願いしているさなかでございまして、その段階で私が補正予算の問題に関連をしてとやかく申し上げるのは適当だと存じませんし、また私自身景気浮揚の問題をつかさどる立場でもございませんので、この際建設国債の発行が必要であるのかないのかその点について申し上げることはひとつ御容赦をいただきたい、かように考えておる次第であります。
  47. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 私が予想をしておりましたように十二分なお答えをいただいたと思っております。  ただここで、先ほど申し上げて重ねてですが、建設国債の発行が水面に出ますと私はもう手当は遅いのではないかと思うのです。それで先ほどからるる予算説明の中で、十分なというような御答弁がいささか気にかかることと、この問題のときには、私は先ほど申し上げたように校舎はそうかもしれません。校舎はそうかもしれません。ところが校舎でも必ずしもどの県もそうであるかどうかとということは、先ほど申し上げたように大変苦しい中だから切り詰めて切り詰めて申請をしてこいよと言っておるそのムードはもう各都道府県に行き渡っておるのですから、その中で出てきたものですから、幾らでもひとつ出さなきゃならないものは全部申請してこいと言うた時代とは違いますから、そのこともひとつお考えおきをいただきたいと思うのです。  もう一つは、一番大切なのは、体育施設、文化施設社会教育施設というものについてはまだまだやらなければならない問題がたくさんあるというお答えをいただいておかないと、建設国債が出たとき、これも建設国債として十分文教施設もやってもらわなければ私はならないものだと思うのです。景気浮揚のためにやるのが目的でございますから、これはガソリン税で道路づけるのと違うのですから、これはもう当然やってもらわなきゃならない問題でございますから、このためには俗な言葉で言うと、手を挙げておくとか、つばつけておくとかいうことを言いますが、いずれにいたしましてもこの問題に相当注目をし配慮をしておっていただかなければならないのではなかろうか。特に大臣は、建設国債という問題を出すに至っても大変問題がありましょうから、大臣はもちろんその気でおっていただかなければならないでしょうが、それぞれの所属の責任者はこのことには注目をしていただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょう。
  48. 植木浩

    政府委員(植木浩君) 先ほど来先生からお話しございます公立文教施設以外の、たとえば公立の社会教育施設であるとかあるいは体育施設、それから文化施設につきましては、確かに先生からお話がございますように、地域の需要というのは大変多うございます。もちろん、こういう厳しい財政状況下でございますから、年々の概算要求あるいは予算編成におきましても、財政状況もにらみながらいろいろと苦心をして編成をしておるわけでございますが、なおそういった公立文教施設以外の文教施設の充実につきましても、私どもとしては十分気を配ってまいりたいと思います。
  49. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 いま大臣がお答えいただいたんでいいんですが、私がもう一度説明をした中でひとつ各局へ御指示をいただくようにいただけたらと思いますが、もう言いただけぬでしょうか。
  50. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 先ほど御指摘のございました体育関係の施設等、さらに一層の整備を図る余地がまだまだあると存じております。したがいまして、これを達成するにふさわしい状況、条件が出てまいりました場合にはできる限り努力をするつもりでおります。
  51. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 大変、ひとつ正式な場所で石を投げておかなければ私もならないと思いまして、あえてお答えにくい質問をしたわけであります。  それでは次に、大学、高等学校の五十七年度の卒業生の就職の問題についてお尋ねをいたします。  本人はもちろんでございますが、父兄というのは二十幾年育ててまいりまして、そしていよいよ就職をする、どこへ就職をするかというようなことは本人のみでなく、家族挙げての関心事でございますし、要望でございます。本人の人生はもちろんでございますが、家族も含めて大変心配をしておることでございます。  そこで労働省とのかかわりの問題でございます。労働省来ていただいておるんですか。——あすからいよいよ四月に入りまして、新学期になりますと、最高学年の者は高等学校によらぬ、大学によらぬ、就職へと全部顔が向いておるわけでありまして、就職戦線へ向かって突っ走るのであります。これはちょっと言い過ぎになるかもしれませんが、父兄というのは、教育は就職をする過程だとさえ思っておる者もございますので、大変そういう人もあるということでお聞き取りいただいたらと思うわけであります。そこで、やはり文部省も大学、高等学校、その一連の教育をすることも大部分の仕事でありましょうが、やはりその中の一つには、それがよりよきところへ就職をするということへの動向も考えなければならないのではないであろうか、願わくはこの中にも一言欲しかった、こう思うわけであります。  そこで、労働省が中央雇用対策協議会の就職協定から撤退をいたしました。この件についてまず文部省並びに労働省両方から御答弁をいただきます。
  52. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 文部省といたしましては、学校教育の適正化を図るという観点から、同時にまた就職の機会均等を維持していくという立場から、就職協定の趣旨の徹底に努力をいたしてきた次第でございます。このたび、労働省はこの就職協定から撤退をなさいましたけれども、にもかかわらず、学校関係者並びに産業界の非常に真剣な御努力によりまして、いわゆる紳士協定としての申し合わせが従来どおり行われておるところでございます。文部省といたしましては、この申し合わせに基づきまして、大学、高専あるいは企業に対しまして遵守方について指導を行いまして、高等学校や中小企業が不利益をこうむりませんように、できるだけの努力を続けてまいる所存でございます。
  53. 若杉之矩

    説明員(若杉之矩君) 若干経緯も含めまして、すでに先生御承知の点でございますけれども、私どもが就職協定に参加しないことになりました経過につきまして御説明を申し上げます。  労働省は、昭和四十七年以降、大学等関係者からの御要請を受けまして、中央雇用対策協議会の就職協定に参加してまいったわけでございまして、行政として可能な限りの遵守活動を展開してきたと考えている次第でございます。特に五十三年度からは御承知の決議遵守委員会というものを設置いたしまして、その事務局としての活動を推進してまいったわけでございまして、また五十六年度につきましては、労働省の幹部が大手百五十社を訪問するなどいたしまして要請を行い、また文部省にもお願い申し上げまして、大学の学長さんに対しまして文部、労働両局長名による通達も出させていただきまして、遵守についてお願いをするなどの活動をいたしたわけでございます。  しかし、残念なことでございますが、当事者でございます企業、大学等、関係者双方に協定につきましてのやはり御認識の浅い点がございまして、いろいろな方面からその違反が後を絶たないといったような御指摘を受けてまいったわけでございます。こういう中で、遵守活動や行政指導を強化することによりましてかえってこの協定違反が潜行いたしまして、求人求職活動にゆがみや弊害が生じていることがまた指摘されたわけでございます。私ども、十年間の経験、特にこの数年の経験を踏まえますと、基本的にはやはりこれは紳士協定でございまして、この求人求職秩序というものは企業と大学等関係者双方に、その必要性につきましての強い認識と遵守につきましての真剣な姿勢あるいは具体的な取り組みがなければ、その遵守推進は望み得ないということを痛感した次第でございまして、今回の労働省の見解は、みずから守ることを前提とする新しい秩序の形成を強く促しているものでございます。  労働省といたしましては、求人求職秩序につきましてかかわりがないということではございませんで、今後とも強い関心を持ちまして産業界や大学側の自主協定の推移を見守りますとともに、この自主的な就職協定の円滑な推進が図られますように、その環境づくりなどに文部省とも協力いたしまして、できる限りの協力を行ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  54. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 お話はお話としてよくわかるものですが、ちょっともう一回、いま経過の説明がございましたけれども、大臣、五十二年に決議をいたしましたものの大変重要な点だけをちょっと私が読んでみますから、「労働省は上記の」というのは契約のことですが、「厳守を期するための措置を講じ、業種別団体及び企業に対する指導を徹底するとともに本決議に違反した業界及び企業については、労働行政関係の各種行政措置により厳しくチェックする。」「文部省においては、上記の厳守を大学及び高等専門学校並びに学生に対して、徹底する措置をとることを要請する。」「労働省及び文部省は、必要に応じて早期選考及び早期推薦を行った業界・企業及び学校名を公表する。」こういう取り決めであったわけなんですね。これを労働省は撤退をいたしたわけなんです。それは先ほどからお話の中にあります企業と学生学校側等が協力をしてと、こういうまあまことに作文に書くときれいなお話なんですけれども、学校学生は売り市場ですし、ひたすらもみ手をしてお願いをいたしておりますので、これはそういう企業のもう自由にせられることに相なります。  もう一つここで御認識をいただいておきたいのは、この間労働省の方にお話をした際、高等学校の方には関係ございませんと、こういうお話でございました。高等学校というのは大方実業校で、普通校も就職する者が大変多いですけれども、それはそういうことでございません。十一月一日大学というものが崩れますと、十月一日という高等学校のものの中へ足が入り込んでくるということなんです。仮に十一月ということが崩れまして九月になりましたら、高等学校の方を先に就職をさせて、そして大学の方という配慮は全部崩れてしまうことになるわけです。そうしてまた今度企業側から言いますと、大企業はどんどん青田刈りをし、青田刈りでなしに今度は育苗刈りをし、もみ種刈りをするいまの時代。そういうことが四十年にありまして、これはもう高等学校も含めましてありまして、そして必要に迫られてこういうことが順々に積み重ねられて五十二年の決議になったわけなんです。それをここで野放しにして——いま労働省のおっしゃるようなお話、よくその意味はわかります。それなら、この後につけた二項目の「厳しくチェックする。」これは労働省のみでない、企業には関係しておるもの、通産もありましょうし、いろいろたくさん関係の団体が、役所があると思うので、私は、労働省が各省に手配をして企業の実際監督をしなければ、完全なもう青田刈りになることはことしは間違いございませんと、こう申し上げておいていいと思うんです。  そこで、一番弱い子供たちを抱えております文部省がこれから労働省へ向かってどうお話をいたすのか。一度は文部省の考え方というので労働省の方へこれ一札行っておるようですけれども、これからこのままでほうっておいていただいたのでは、私は文部大臣、大変なことになると思います。ならなければ幸いですが、なった過去の歴史があって、そこまで締めて締めて公表するといったときにそれでもいかなかった、その枠をとってしまった。企業というものは強いものですし、ある意味では悪い言葉で言うと、勝手なところもありますから、よっぽどこのことについては考えてやらないと、あすからの、来年度の卒業生というのは大変憂き目を見ると思いますが、大臣いかがでございましょう。
  55. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) 先ほど大臣から御答弁申し上げたようなことで、私どもといたしましては、学校教育の適正な実施、そして就職の機会均等の確保というようなことから、この協定の存続が非常に重要だというぐあいに認識をしているわけでございます。そういう観点から私どもも事務的に労働省側にもその点は十分お伝えもいたしたわけでございますが、そして経過については先生十分御存じのとおり、今日までのこういう経過をたどりまして紳士協定としての就職協定の申し合わせが行われることになったわけでございます。私どもはこの五十七年度の協定が企業側なり、学校双方にとって大変大事な時期であるというぐあいに私ども認識をいたしております。したがって、五十七年度における就職協定の実施について関係者に十分周知徹底を図りまして、それぞれみずからの責任でその遵守を図っていただくように努力をしておるわけでございます。その点の十分徹底を図り、そして本年度の就職状況が全体としてそういうルールのもとに行われることを強く期待もしているわけでございまして、もしこれがまた種々指摘をされるような問題点が出てくるとすれば明年度、五十七年度以降に非常に重要な影響のあることだと認識もいたしております。そのために十分努力を傾けてまいりたい、かように考えております。
  56. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 対策の具体的なもののお示しがございませんが、私がいま申し上げたことで労働省の方はどう受けとめていらっしゃいますか。そして作文でなしに現実の対策としてこうしたいという、こうすることがいいであろうという何か施策はございますか。
  57. 若杉之矩

    説明員(若杉之矩君) 先ほど五十二年の決議の御引用がございまして、業種別団体あるいは企業に対する指導を行って厳しくチェックするというお話でございました。私ども毎年そういった努力は続けてまいりましたし、特に先ほど申しました昨年におきましては、私自身各業種別の団体の企業のお集まりに個別に出していただきまして、業種別のベースでの要請も強くお願いをした次第でございます。また、注意、勧告、公表の問題につきましては、五十六年度まで三年間でございますけれども、四百二十件の通報がございまして、それに対しまして逐一調査をいたしまして百二十四件について措置をいたしました。注意八十四件、勧告四十件ということでございまして、まだ公表というものはございません。ただ、公表の具体的な条件に適合するものがございませんでしたけれども、私どもこういったような遵守活動をやっておりまして痛感いたしましたことは、結局なかなか企業から事実関係を聴取することがむずかしいということでございまして、仮に公表ということが具体的な問題になりましてもなかなか公表するというための事実の認定はむずかしいのではないかということを感じておったわけでございます。こういったような遵守活動は、できる限りの努力をいたしました結果といたしまして、先ほど申しましたように、やはり基本として、企業なり大学側の、他が守らなくても自分のところは守るという姿勢がない限りは、いかに行政指導いたしましてもゆがみのみが出てくるということを痛感した次第でございます。この五十八年三月の卒業につきましては私どもいろいろと状況を伺っておりますけれども、私ども十年間この問題に取り組んでまいりましたけれども、この十年間のうちでいままでになく企業なり大学がこの協定を自分のものと考える気持ちが強くなったようでございまして、こういった自粛の意識の高まりの中で従来に比して特に混乱するということはないのではないかと考えております。こういった中で、何とかこういう自分たちの協定であるということの認識が深まり、そういったものとして協定が育っていく、これが基本ではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
  58. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 ちょっと言葉じりをとっているようで何ですけれども、大学が自主的に守るといいましても、高等学校が守るといいましても、そこへ求人が来まして、そしてよその学校も出しておるのに、守って結構持ちこたえていくかどうかということは大変不安なのです。それは当事者でないとなかなかわかりにくいと思いますが、そこで、いまお話しのようなことで、この二つのたがが全部のいてしまいましたと、その中で文部省は抱えておる学生生徒を五十七年度、就職戦線へ送り出すのであります。大変私は、いま御承知のように景気も低迷をいたしておりますので、またロボットなどもできて、なかなか就職戦線必ずしもいま労働省の御説明のようなことには私はまいらないと思います。  そこで大臣、この程度のこと、ひとつ大臣から再度、書類としては、これはちょうどこのことが現在の労働大臣大臣もそうなんでございますが、大臣になられる四、五日前のことではなかったのであろうかと思いますから、現在の大臣の時点でなかったと記憶いたしております。そこで、新しい大臣同士でひとつ、これは切実な問題としてお受けとめをいただいて、できるだけのことはやっていただきたい、こう思うので、私は望めるなればひとつ閣議で通産その他企業に関連のあるもので見解のまとめぐらいをしていただきますと、せめても労働省のたがを外したものについての取り返しがつくのではないであろうか、こう思います。ひとつ何とかの方法を大臣なり各局長なり何かお考えがあったらお聞かせを願いたいと思います。
  59. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 先ほど申し上げましたように、企業側も大学側もきわめて真剣な真摯な態度で自主協定を遵守していこう、そういう態度で取り組んでおると考えておるわけでございます。この点につきましては、ただいま労働省の表明した見解の中でも私どもと認識が一致しておると考えます。いろいろの御懸念、きわめてごもっともの御懸念と存じますが、御心配になっておりまするようなことが実現いたしませんように最大限の努力を尽くしてまいるつもりでございます。  ただいま閣議で発言というお話もございましたが、私どもといたしましてはしばらく企業側並びに大学側の努力を見守ってまいりたいと存じますので、関係省庁に対しましてはそれぞれ趣旨の徹底、協定の遵守に協力をしてもらいたいという申し入れはいたしまするが、閣議における発言というのは当面差し控えさせていただきたいと、こう考えておるわけでございます。
  60. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 失礼なことがあったと思いますが、お許しを願います。  そこで、この問題の締めくくりとして、文部省に……。  この就職問題は、さっき申し上げたようにきょうの文部大臣予算概要説明でありましょうが、やはりこの中にもひとつ盛り込んでいただきたい体制というのは、反対に申し上げますと、集中指導をできる予算、人員の確保をしていただきたい。これは非常に大学そのものの運営、地方高等学校の指導、あらゆるものを含めまして、新しくどういう形でつくってくださいというのではございませんが、文部省の中でかなり専門的にこの問題と取り組めるところ、金をつくって配分をしていただきたい。こう最後にひとつ予算の関係の問題でもございますのでお願いをいたしておきますが、いかがでございましょう。
  61. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) 大学局におきましては大学、高等専門学校関係について、学生の就職問題ということで学生課で対応しておるわけでございまして、御指摘のように教育の内容を充実することもちろん大変大事なことでございますが、やはり就職の問題もそれに劣らず大変事柄としては重要な事柄と私ども認識もいたしております。  先般、三月二十四日付で大学局長名でそれぞれ各国公私立の大学長、高等専門学校長あてに文書を出し、さらに企業全体に対しましても私どもの方でお願いの文書をすべて配布し、各事業主、約一万四千社でございますが、通知をいたしたところでございます。そのほか周知徹底のためには私どもさらに就職指導用のいろいろ雑誌その他についても趣旨の徹底を図るようにいろんなあらゆる機会を通じまして、定められております予算の中で十分、少なくともいままでよりもより一層徹底を図るような方向で努力をしてまいりたい、かように考えております。
  62. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 ありがとうございました。  それではちょっと暴力問題その他不正常な問題が出てまいっておりますことについてお尋ねを大臣に対していたします。  大臣、大変素朴な質問という形になろうと思いますが、いま教育での不正常なものというのはどういうものだというふうなひとつお考えがございましょうか。大変失礼なお尋ねになるかもわからないと思うのでございますけれども、そこからお話を進めていきたいと思うんです。
  63. 小川平二

    国務大臣小川平二君) その最たるものは、申し上げるまでもなく、一部の教職員団体が繰り返し繰り返し違法なストライキを繰り返しておるということだと考えておるわけでございます。申すまでもなく、教職員たるものは児童生徒の師表てなければならない、文字どおり模範であり先生でなければならない。そういう自覚を持って生徒の指導に当たっていただかなければならない方々だと存じております。しかるに、法律に違反するストライキを繰り返すというようなことは、ただ学校の運営に支障を来すだけではございません、遵法精神を培うべき学校教育のあり方として、さような観点から見ましても、きわめて遺憾なことだと存じております。
  64. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 たくさんな要素があろうと思いますが、私も考えておりますものの一つにそういうものもございます。  また、もう一つは、問題が起こりますものが、大学の紛争が一応おさまっておりますから、どうしても地教委との問題が大変多いので、地教委との風通しというものをよく知っていかなければならないのであろうか。これも最終的には、大臣、やはり小さい労働組合でも、幾人ものオルグを置いてこういう問題にいま取り組んでおるわけなんです。まあ労働組合でなくても、それぞれの団体にはそれに専従をしている者がたくさんいるわけなんです。ところが、文部省を見てみますと、それに対する予算がどういうふうに使われておるのかもわかりませんし、人間の配置もどうあるのか、このいまの全国に起こっておる不正常なものに対しての把握、調査、対策、そういうものが必ずしも私は十分な対応ができておるというふうに思えませんのです。というのは、私が前に質問をいたしました東大阪の問題も、先日の高槻の中学の問題も、大変失礼な言い方ですけれども、私たちがとっておる資料の方が大変詳しくって、先般田沢同僚議員から御質問があった、かなり詳しいものがあります。  そこで、その問題に対しての文部省の対応ということについて、ひとつどうお考えになっていただいているのか、私が存じあげぬので、十分その対応はできておるんだとおっしゃるのかお聞かせを願いたいと思うのですが、これは大臣でなくても結構でございます。
  65. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 最近、御指摘のように、そして特に大阪の府下に数件、御指摘のような状況が出ておるということ、私どもも大変遺憾に存じておる次第でございます。そして、ただいま御批判がございましたように、私どもは、必ずしも真っ先にそれを承知する、こういう状況にないということはこれまでもそういう例が多かったので、全く御指摘のとおりの状況、事実でございます。  ただ、私どもといたしましては、教育行政のあり方にかかる問題でございますけれども、教育制度なり、あるいは教育行政の仕組みなりは、もともと教育ということがその主題でございますから、性善説の上に成り立っているということが基本的に言えるんだろうと思います。およそそのおかしなことだとか、逆さまみたいなことが初めからあるという前提で制度ができておりませんので、若干その辺は警察的な行政の仕組みと教育の行政の仕組みはおのずから立て方が違っておりまして、基本的には地方自治と申しますか、地方分権の精神にのっとりまして、小中学校あるいは高等学校、それぞれそれを所管する自治体がこれを盛り立て、そして発展させていく、こういうことが根っこにございます。文部省としては、その全体の状況が非常におかしくならないように、教育の水準並びに機会均等を確保するというような見地からの立場でいろいろなことに取り組んでいくと、こういうことでございます。  ただ、委員おっしゃいますように、非常に不正常でおかしな状況があり、そしてそれに取り組む教育委員会なり、おっしゃいます地教委なりの取り組み方が本来あるべき姿から非常に隔たっておるというようなことがありますれば、私どもこれを重大な事柄として指導、助言を強力に進めていく、こういうふうにいたしたいと思っておるわけでございます。  対応する組織の問題でございますが、これは、それなりに、私ども文部省設置法の定めに基づきまして、それぞれの局なり、訳なりが責任と権限のようなものを持っておるわけでございますけれども、状況によりまして、必要がありますればアドホックに特定の事柄に対応するための、何と申しますか班のようなものをつくるということもこれは事実上考えられることでございますが、通常の状況では、私どものただいまの文部省の組織、これを十分に機能いたしますように、運営を注意してやってまいりたいと、こういうふうに思っておるのでございます。
  66. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 局長、都合のいいときには地教委の、地方へと荷物がかかるのですが、私は、この問題はいま校内暴力、あらゆるいろいろな問題がございますから、本来言うたら不正常なことに対応する文部省の一室ぐらいはできて不思議はないと思うのです。新しい年度もあすから迎えるわけでございますから、まあ形の上で整わなければ、腹構えをひとつしていただいたらと思うのです。  私は、あえて労働組合の問題でとやかく申そうとここで思っておりません。ただ、不正常な問題という問題の中で、いま大臣のお手元へ表をお持ちいたしましたので、御認識大臣いただきたいと思いますのは、その黄色いので塗ってございますのが五年間の……(「資料がないとわからないよ。われわれに資料見せなければ、何をやるのかわかりゃせぬじゃないか。資料を見せろ、資料を」と呼ぶ者あり)それは、これから申し上げますから、その中身を。後で上げて結構なものでございます。(「自分だけ不正常と思っていたって、不正常かどうかわかりゃせぬじゃないか。」と呼ぶ者あり)聞きおったらわかることでございます。  それはそれで、いまそこにあります八十四万というのは、実は五年町の処分を受けた人たちの数であります。ちなみに、一般の公務員が十万七千ということであります。これは、そういうことを見ましたときに、この不正常なものについても、このことと学校の正常でないものとのかかわりがあるのかどうなのか、大変お答えまでいただきませんけれども、心配をするものであります。  この中には、もちろんいろいろな形のものがございますので、あえてストをやって問題が起こったばかりでございません。長い間の問題の積み重ねの中にここの数字が上がってきておると思うのです。そういう中で、さきの問題に戻りますが、不正常なものの対策を今後どうするかというものの一つに、私は、毎日新聞の十二月三十一日の記事で、「教育研修を見直し」、「「校内開催」を中心に」してやりましょうという記事があります。これまあ読みたいと思っておったんですが、時間がございませんが、私の持論もそうなんですけれども、学校に四十人の先生がいらっしゃる。その中には三十年やった先生もいらっしゃる、昨年来た先生もいらっしゃる。この相互の信頼とそして足らざる人たちへの教育というのが校内で十分行われておるかどうかという問題、私は人間関係がそこからも生まれてきて、信頼関係が生まれてくると思うのです。これは、私が申し上げておるのは、そこに長幼の序列もありましょうし、まあ社会一般どこでも同じですけれども、教育の場でなければそこに主任がおり、係長がおり、課長がおり、そしてそれぞれの命令系統も下がってくるわけでありますが、教育の場でございますから、そのことについては十分私も承知をいたしております。おりますが、教育の場といえども、そのことには例外でないと私は考えておりますが、この校内研修の問題について大臣、いかがお考えになりましょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  67. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 学校教育が正常な姿で行われまするためには、校長を中心として、校長の権限と責任のもとに教職員協力一致して、一丸となって一つの組織体として臨んでいくことが大切だと存じております。かような趣旨から各種の研修を行っておりますことは御承知のとおりでございますが、各都道府県で実施いたしております新規採用教員の研修におきましても、校内における校長等の指導のもとで授業研究等の課題を課しているところでございます。  文部省といたしましては、研修について、従来から各教科あるいは生徒指導に関する研修など、各種の研修を実行いたしますとともに、都道府県教育委員会が行う研修事業に対して援助奨励を行って研修の機会の充実に努めておるわけでございますが、ただいま仰せのように、各学校において日々の教育実践の過程の中で行われまする校内研修ということがこれら各種の研修の基本になるものだと、かように認識をいたしておるわけでございます。
  68. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 最後に、先ほど局長からお答えをいただきました全国に起こっておるいまの暴力、校内暴力ばかりでありません、あらゆるもの恒ありますが、それは恐らく私たちが長い間、教育の場とかかわりがあってから味わったことのない悲哀であると思うのです。文部省も、形は内容をあらわしますので、やはり形を整えていただかないとならないと思うのですが、新しい年度を迎えて大臣、ひとつこの問題と取り組んでいただける体制をそれなりにつくっていただきたいとお願いをいたしまして、ひとつ大臣の御所信も承って質問を終わりたいと思います。
  69. 小川平二

    国務大臣小川平二君) ただいまの御発言の趣旨は十分理解をさせていただきまして、現在文部省で行っております教育研究グループに対する奨励事業等もある意味で御趣旨に沿う措置ではなかろうかと考えております。御発言の御趣旨を体しまして、一層勉強させていただきます。
  70. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いま非行、校内暴力問題が出ましたので、私は質問の順序を変えまして、その問題について若干質疑をしておきたいと思います。  文部大臣にお伺いをしますが、校内暴力が続いた千葉県流山市の県立流山中央高校で疲れ果てた学校長が自殺したということが報道され、私は大変大きなショックを受けました。各新聞もそれぞれ社説でこの問題を取り扱っています。これは単に高校長が自殺したという簡単なものでない。その奥にひそむ根深いもの、社会問題になっている非行、校内暴力という問題の解決の糸口がそういうところからつかめるのではないかと、教育関係者しっかりしろということで社説に取り扱ったんだと私は理解しております。  まあ文部大臣も恐らく無関心ではいられないと思います。私以上に大きな関心を持ってこの問題については感じられ、もう文部省では具体的に千葉県に対して恐らく事実の調査なり、その背景、解決に対する問題等についての具体的な活動をされていると思いますが、きょうはそのことをここで報告していただこうとは思いません。私は何がこの校長を自殺に追い込んだのかという問題を若干述べて、文部大臣のお考えを聞きたいのです。非行防止のために学校管理を厳格にして、生徒にそれを守らせて学校の正常を保とうとする、この行政的な圧力は文部省教育委員会が最近特に強められております。教師は子供を管理者という立場から管理する役目を背負わされます。その教師はまた校長や教頭から管理される。その校長や教頭はまた教育委員会から、文部省から、行政から管理をされる。この構造の中で校長が教育者としての心を失わずに、その教育者としての見識によって校内にリーダーシップを発揮して、そして校長の務めを全うしようとすれば一体どういうことが学校に起こるか。この二重の苦しみを負った校長はどういう立場になるか。  文部大臣、素人だからわかりませんという答弁は返してもらいたくない、このことについては。この流山中央高等学校の校長の自殺は、このような構造の中で起こったと私はとらえております。だからこそ、この校長の自殺をむだにしてはならぬ、このように私は思っておるんですが、文部大臣はどういうふうにお考えですか。単なる大臣答弁でなく、真にあなたも一人の人間として、先ほども出たけれども、日本全体の教育を預かる、そして所信の中にあなたが一番憂えておられるのは非行、校内暴力だと述べておられるのですから、その立場から、日本の国民が、親が、教師が聞いてもさすがは文部大臣だというような答弁をここでお願いしたい。
  71. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 青少年の非行あるいは校内暴力の問題につきましては、私もまことに心を痛めております。かようなことが起こってまいりまするのは、一言にして申しますれば、家庭あるいは地域社会あるいは学校それぞれの教育機能の低下から出てまいりまするいろいろな原因が絡み合って出てくる問題と存じますが、なかんずく校内暴力の問題につきましては、生徒指導を専門の立場から実行すべき学校の現場で起こっておる問題でございますから、今回の事件、まことに痛ましいことと考えておりますが、恐らく責任感の重圧に耐えられず自殺をなさったことだろうと存じます。非常にお気の毒なことだと存じております。この種の事例を根絶いたしまするために、文部省といたしましてはいろいろきめの細かい施策を含めまして、今日まで努力をしてまいりましたが、今回各種の施策、また、新たに実行しようとしておりまする施策を総合的に実行するために、文部省が一丸となって取り組むための仕組みをも省内に設けて真剣に取り組んでいこうとしておる現状でございます。
  72. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いまの文部大臣の答弁は、この校長の自殺を、言ったら失礼ですけれども、本当に真剣にとらえておられないように思うんです。何か非常に注意をしながら答弁をしておられますけれども、この種の問題には、やはり大臣の人間性がまる出しに出るような答弁があってしかるべきじゃないかと思うんです。一人の人間が死んでいるんですから、自殺に追い込まれて死んでいるんですから。そっのない答弁というふうなもので私は返してもらいたくないです、だけれども、またこの問題の具体的なことは時間をもらってやりますから、ちょっと次へいきます。  そこで、大臣も先ほど言いましたけれども、学校教育指導のあり方、あるいはまた学校教育機能を最大限に活用してと、このようにおっしゃいます。たしか校内暴力は学校で起こっております。だから学校でやるべきことがあります。そこで、お伺いしますけれども、中学校というのはいま残念だけれども、子供を成績で分けて、輪切りとかスライス切りとか言われている言葉がありますが、とにかく言ってみれば選別して、そして高校へ送っていくという場になっているんです。それは人間ということじゃなくて、A、B、C、Dという一つの、物を品質によって分けるというふうな事柄に似たような状態に残念ながらなっています。高等学校はランクがあって、そのランクに応じて送り込まれたその子供たちを収容する。それで三年間その子供たちを預かって大学に何人行ったかということでもってその学校教育という仕事が終わる。こういうことであって、中学校高等学校もその本来の教育という場からほど遠い状況になり、生徒たちも本来の教育を受けるという、そういうことにはなっていない。このことが、私は一言で言えばいろんな条件がいっぱいあるけれども、学校の中で子供が荒れるのは、こういう場に学校がなり、そういう扱いを子供が受けるから、私は子供が荒れるんだと思うんです。私だって荒れると思います、そういう非人間的な学校になれば。しかし、学校教員は、校長も含めて荒れる理由、原因がわかりながらも、その理由と原因を学校の教師が取り除くことができない。それを取り除く立場にない。ただ、荒れている子供、悩んでいる子供、苦しんでいる子供、のたうち回っている子供との対応の中で解決していくしか教師に与えられている自由というものはないわけなんですね。そういう実態の中で、文部大臣学校教育指導のあり方、学校教育機能を最大限に活用してがんばれと、こうおっしゃった。しかし、それだけでは現場の中学校高等学校、いや最近では小学校の教師も問題なんですが、ふるい立たないと思うんですね。私のい文言ったところにやっぱり触れて、文部大臣が具体的に話をしなければ現場の教師はふるい立たない、こう思うんですが、文部大臣、いかがですか。そんな抽象的な学校教育指導とか、あるいは教育機能を最大限に活用してとかいうようなことではなくて、具体的な問題として話しかけなければ、この問題は解決しないのですよ、いかがですか。
  73. 小川平二

    国務大臣小川平二君) はなはだ失礼でございますが、御質疑のポイントと申しますか、一言にして言えばどういうことでございましょうか。  文部省といたしましては、新しい学習指導要領の趣旨を生かした学習指導に力を入れていただく、あるいは生徒の指導に一層の充実を期していただく等々の指導をいたしておるわけでございますが、欠けておる点はどういう点だというただいまの仰せでございましょうか。
  74. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 あなたがおっしゃっている学校教育指導のあり方、学校教育機能を最大限に活用してとおっしゃっておりますが、具体的に現場の教職員に対してどういうふうなことをせよということをこの中身としておっしゃられようとしているのかということです。
  75. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 現にやっておりまする施策は大変細々したことも含めていろいろございますから、ただいま政府委員から答弁を申し上げさせますが、たとえば個々の生徒との間に絶えず心の触れ合いを維持するということ、非常に大事なことでございましょうから、五十七年度からカウンセリングの技術を指導する等の従来の施策拡充していくということもやっておるわけで、これは一つの例でございますが、どのようなことをやっておるかということをただいま政府委員から答弁申し上げさせます。
  76. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、文部大臣の見識をいま伺っているんですよ。具体的なことはまた次の機会に、私は、校長とは何かとか、校長と教員の関係はいかにあるべきかとか、職員会議はいかにあるべきかとか、教職員一つにまとまって非行、校内暴力に当たるとは一体どういうことを言うのかということを具体的にやりとりさせていただきます。きょうは文部大臣の見識をお聞きしているんです。  私が、文部大臣がこう言ったと言います、皆がああすばらしい文部大臣だと、こう言うか、何だと言うか、それは国民なり皆が判断することでしょうが、それはそれでいいんですよ。もうそれできょうはとめておきます。ありがとうございました。  それでは、次にいきます。  次は、四十人学級と第五次教職員定数改善の問題についてお伺いをいたします。  文部大臣一つお伺いするんですが、四十人学級実現を中心とする第五次学級編制及び教職員定数改善計画は、学校教育条件整備改善して、行き届いた教育条件のもとで楽しい学校、わかる授業をつくり上げて、国民的要求であり社会問題となっている落ちこぼれていく子供たちをなくし、先ほど述べた非行、校内暴力を解消していくための非常に重要な施策であると私は考え、このことに非常に大きな期待を持っております。この四十人学級並びに第五次教職員定数改善について期待を持っております。  そこで、文部大臣と私はこの問題について初めて質疑を交わすわけですが、文部大臣はこの四十人学級を中心とする第五次学級編制及び教職員定数改善計画についてどのような御認識をお持ちですか。
  77. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 四十人学級につきましては、計画の規模あるいはこれを達成するための計画期間、いずれも変更いたしておりませんことは御高承のとおりでございます。  財政再建期間中は、一口に言えば凍結、延伸という方針をとっておるわけでございますが、なおその間におきましても、たとえばこれまで実際に四十人学級を実行してまいりました小学校では、さらに学年進行で改善を進めておりまするし、あるいはまた研修に伴いまする代替教員あるいは特殊教育学校の養護、訓練担当教員等の改善を行いますとともに、改善に伴いまする教職員定数の増七百二十二人を措置する。再建期間中におきましても、あとう限りのことを実行してまいっている、かような現状でございます。
  78. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 時間がありませんので、どんどんとお聞きしたいことを聞いてまいります。  そこで、私は昨年の行政改革の特別委員会の委員として、この問題を鈴木総理あるいは行政管理庁長官あるいは大蔵大臣等々といろいろ質疑を交わしてきましたので、そこで私のこの問題についてとらえたとらえ方が正しいのか正しくないのかここで明らかにしていただきたいのです。  まず第一点は、第五次学級編制及び教職員定数改善計画とこの行財政改革の特例措置の関係なんです。特例措置というのは、昭和五十七、五十八、五十九、この三年間この第五次改善計画を抑制するという事柄であって、この四十人学級を中心とする第五次学級編制及び教職員定数改善そのものをどうせよと言っているものではないんです。したがって、三年間だけその計画の中でその計画をおくらせよと、計画を抑制せよということであって、その三年が終わった昭和六十年から以降の問題については、この特例措置は何ら言及するものでもないし、またそれだけの法律効果は何ら持っていないと、このように私は考えているんですが、それでいいんですか。
  79. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 本岡委員が所属されました行革の特別委員会で御審議が行われましたいわゆる行革関連特例法では、ただいまおっしゃいましたわけですが、昭和五十七年度から五十九年度までの間におきましては、この定数改善計画につきまして、毎年度の改善規模、これを政令で定めるに当たって「特に国の財政事情を考慮するものとする。」旨を法律上明記して義務づけたと、こういうことでございますから、まあ理解としては大体いま本岡委員がおっしゃったようなことであろうかと、こういうふうに思います。
  80. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 とすれば、六十年以降の問題、すなわち財政期間が過ぎた後、この第五次教職員定数改善学級編制改善の問題をどのようにそれでは昭和六十六年まで当初計画どおり十二年間の枠内におさめるのかという問題を改めてその時点でこれを考える、具体的にどのようにして十二年計画を昭和六十六年に達成するのかという問題を改めてその時点で考えるというのがごく自然な考え方ではないかと思うんですが、それはいかがですか。
  81. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) およそこういう計画でございますから、これにつきまして見直しということは一般論として普通の場合にないことはない問題でございますが、今回の場合は六十年以降につきましては六十年以降のそのときの時点での状況を踏まえて総合的に判断して決めていくと、こういうことにいたしておりますが、その上にあえてつけ加えまして、さきの臨時国会におきまして、この定数改善の十二年計画の全体の規模及びその全体の期間についてはこれは変えることをしないということを、先ほどこれは大臣から申されましたわけですが、そういうこともつけ加えておるわけでございます。
  82. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それでは、文部省の方が資料として提出されております「第五次学級編制及び教職員定数改善計画の当初計画と改定計画の比較」というのがあります。これは行革の特別委員会にも出されました。この改定計画というものは一体何ですか。
  83. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) これは私の記憶では、たしか衆議院での特別委員会の審議の段階であったと思いますが、まあ一体どんなぐあいになるであろうかというようなことが質疑の議題に上りまして、そうして一つのもくろみのようなもののお示しを要請されましたので、仮に六十年度からすんなりと学年進行方式というこの第五次の当初計画の手法をなるべく用いてこしらえたとすると、こういうようなふうになりますので、こういう数字を試策をいたしまして御参考のために提出したと、こういうものでございます。
  84. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、参考であるというふうにいまおっしゃいましたから、参考と理解をさせていただきます。私もそうでなければいかぬと思うんですね。でなければ六十年以降はこの行革委員会の中で出てきた数字がひとり歩きして、このとおりに進むんだということがまるで既成事実、決定されたような形で動くというのは、これは間違いだという考えに立ちます。というのは、渡辺大蔵大臣もその種の私の質問に対しまして、このように答えています。これは十一月十八日の答弁です。  ただ当面、財政再建期間中の三年間を厳しく抑制する。その後どういうふうにするかについては、財政事情を見ながら、いずれにせよ十二年間に達成するわけですから、一番やりよい方法で達成をしたい。」こう言っているわけです。このように学年進行方式を機械的にずらすとかなんとかいう方法について、ここで決められることじゃなくて、これは一つの参考とするということでいいと。だから、ここで文部大臣にこの問題についての明確な御答弁をいただきたいんですが、三年間は抑制をすると。どういう抑制をするかということは、これから来年は来年度、再来年は再来年度でこれは非常に厳しくやりとりしなければならぬでしょう。しかし、それが終わった六十年から先に、どういう方法でもってその四十人学級なり定数改善をやるかということは、改めてその計画を練り直してやるんだということについての明確なひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  85. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 先ほどの資料は政府委員から御説明申し上げましたように、一つの前提に立ったいわば試算でございます。財政再建期間終了後にどのような計画を立てるかということにつきましては、諸状況も変化いたしますでしょうし、なかんずく財政の事情、なかなか予測のつかないことでございます。その時点で検討をする、かように御理解いただきとうございます。
  86. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 はい、はっきりいたしました。  そこで、前回の質問のときに、わが党の小野委員の方からもこれに類する質問がありまして、そこでは若干文部大臣の答弁があやふやでありましたが、それは各政党間の合意事項がありまして、三年後にそれを見直すという事柄があったが、それはどうかという事柄についてであります。このことについて私もこの行革の委員会で質問をいたしまして、これは十一月十一日の渡辺大蔵大臣の答弁でありますが、そこで「御承知のとおり、ともかく各党間の覚書というようなものもあって、そして三年たったら見直すというようなこともあるそうです。」——あるんです。「これはむしろ早めるというニュアンスを持っているわけですから、」いわゆる時期を「早めるというニュアンスを持っているわけですから、早めるという各党間の申し合わせみたいなものもあるものを、文部省、大蔵省だけが勝手に直しちゃって、その思惑と別なことをやっちゃったと、これは私はかえっていろんなおしかりを受けてもやむを得ない。」というようなことをずっと書いてあるんですね。だからこの中でも明らかになったことは、三年後に見直すということは、その時期の問題も含めてそれを早めるというニュアンスというものがそこにあるんだということは、これはもう各党間の関係者あるいは国会の場で合意された問題である。だから、昭和五十五年にこれが決まって三年というんですから五十六、五十七、五十八年ですね。だから財政再建期間中にこの問題の見直し、そのときは早めるということも含め、あるいは高等学校の問題も含め、さらに六十年以降どうするかという問題も含めて見直すという事柄が起こるんだということを文部大臣はひとつしっかりと確認をしておいていただかなければ、この前のように何かちょっと過去の経緯とすれ違いのような答弁があったら困りますので、この際はっきりとそれはしておいていただきたい。
  87. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 国会で御審議をいただいた結果として特例法が成立いたしておりまするから、政府といたしましては、この特例法に従って計画を実行していくほかないものと考えております。党と党との間で三年たったら見直しというお約束があったと、当時の経緯については私詳細のことは知悉いたしてありませんが、そのような約束がなされたにもかかわらずこれが守られなかったということについては、これは遺憾なことだと存じますが、政府としましては、すでに成立いたしました法律の趣旨に従って計画を進めていくほかないものと、こう考えております。
  88. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 これでこの種の質問は最後にしますが、私の申し上げたいことは、十二年計画で目的とする四十人学級、教職員の定数改善を達成すればいいということであるわけですが、しかし、国民の側から、あるいは子供の側から、学校教育関係者の側からすれば、一年でも早くそれが達成できるということが、先ほどの非行、暴力じゃありませんが、より現場に対する勇気を与えるわけですね。文部省もこれほどがんばっているんだ、乏しい苦しい財政の中からやりくりしてこの四十人学級の実現を一年早めた、だから現場の先生もがんばってくれということがやっぱり文部大臣のおっしゃりようだと、私こう思うんです。  そういう意味で、この政党間における見直しの問題と、もう一つは、先ほどおっしゃいましたけれども、改善計画そのものが三年間抑制されたことによって狂ったわけですからね。だから、ここの新しい計画というふうなものも、文部省が単に機械的に三年間抑制されたんだから、三年間それを後ろに機械的にずらすんだということでなくて、そのうちの一年でも早く実現ができないかという立場に立った新しい計画を立案することについて真剣に考えてもらいたい。こういうひとつお願いを文部大臣するんですが、いかがですか。
  89. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 財政の再建ということは、再建期間の終了をもって終わるわけではない。恐らく財政状況ますます厳しくなるのではなかろうかと予想をいたしておるわけでございますから、計画の期間を早めるということ、ずいぶん困難な仕事になると存じますが、ただいま御発言の趣旨を受けまして、できるだけ早くこれが達成できますように検討を進めるつもりでございます。
  90. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 どうもありがとうございました。  それでは次に、研究団体補助金の問題についてお尋ねをいたします。ことしも文部省予算の中に教育研究団体に対する補助金予算化されております。教育研究団体補助として一億四千五百万、それから教育研究グループ補助として二億三百万があります。そのほか、新任教員の研修とか免許外担任教員とか、都道府県教育研修センターに対する補助とかいろいろありますが、私が問題にするのは、教育研究団体補助教育研究グループ補助の問題についてお伺いをいたします。  五十五年度の補助につきましては資料としていただいたんですが、五十六年度、まさにきょう終わろうとしているわけですが、中央教育研究団体に対する補助金総額と団体数、どのようになっておりますか。
  91. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) まだ決算にはなっておりませんで、予算計上額で申し上げますが、五十六年度は中央教育研究団体補助金は一億四千四百五十三万四千円でございます。団体数は八十団体でございます。
  92. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その団体数は五十五年度と同じ団体数ですか、変わっているんですか。
  93. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 五十五年度は九十三団体でございますが、五十六年度は八十団体でございます。
  94. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ここでその内容をお聞きする時間もないので、五十五年度はこのように資料いただいておりますので、五十六年度も同じように交付した団体名と補助金額、ひとつこれを中央の研究団体と都道府県の研究団体に対する補助の明細を資料としていただきたいんですが、いただけますか。
  95. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 五十五年度も差し上げてあるわけでございますから、五十六年度についても別段差し上げますことについてやぶさかではございません。
  96. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ありがとうございます。  そこで、九十三から八十に減っているわけですが、私が行財政改革特別委員会で、補助金を整理せよという立場から、日本教師会に二百万円補助金が出ているのは研究団体の性格からしてもおかしいんではないかということを申し上げて、鈴木総理も、研究団体が政治運動をやっているようなことであれば問題があるから、それについては検討させてほしいというふうなことを答弁されました。その結果が一体どうなったか。これ減っているのは、日本教師会の補助金も減ってこれが減ったのかということをお尋ねしたいんですが、どうですか、それは。
  97. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 日本教師会が減って減ったのではございません。日本教師会は入っております。
  98. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 金額は幾らですか。
  99. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 二百万円でございます。
  100. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、行財政改革の特別委員会で補助金を整理したらどうかという立場から一つの例として申し上げた日本教師会に対する補助金の性格でありますが、これはどうなんですか。正確に総理大臣の答弁を読みますと、「今後十分調査をいたしまして取り扱いを決めたい、」と。私が指摘しました事柄は、教育基本法改正運動を先頭に立って全国でやろうとしているじゃないか、これは教育研究団体としてふさわしくないということを申し上げて、もしそういうことをやっているんなら、問題があるから調査をしましょうということになったんですが、一体どのように調査をされて、どのように検討されて、再び補助金を出すようになったのか。総理が少なくともそのように答弁されたことですから、私は総理からじきじきこの答弁を聞きたい。しかし、ここには総理はおられませんから、閣僚の一員としての文部大臣が総理にかわって私にお答えいただいてもいいものだと、このように思います。
  101. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) ただいま本岡委員がおっしゃいましたように、その前段で田中大臣との質疑がございまして、そして私からも御説明を申し上げまして、そして締めくくりとして総理から、いろいろその前にもおっしゃっておりまして、総理としては、  日本教師会に対する補助金の問題について、先ほど来政府との間にやりとりがあったわけでありますが、私は、この日本教師会は教育研究、研修等を目的としてやっておる団体である、それに対して国が、政府が適当と考えて助成をしておるものでありますが、御指摘のように、仮に政治運動をもっぱらやっておる、こういうことになりますと、これは私は政府が助成をしておる趣旨から逸脱をするという心配が出てくるわけであります。そういう点は今後十分調査をいたしまして取り扱いを決めたい、こう思います。 と、こういうふうに仰せになったわけでございます。したがいまして、私どもは調査をしたわけでございます。その結果でございますが、日本教師会は、中正なる教育振興に寄与する目的で、教育制度教育内容、指導方法等に関する調査研究教育施設設備並びに教育環境に関する調査研究教育研究活動を行っている団体でありますが、この教育基本法の改正、ただいま御指摘の問題に関しましては、この会の活動の一環として、教育基本法の中に祖国の伝統の尊重や愛国心の育成、こういったことを盛り込む必要があると、こういう趣旨から行っているものでございます。この活動の仕方でございますが、これは関係方面に対する要望書等の送付、それから大会真言と会員への趣旨徹底等でございまして、これは日本国にあまたあるいろいろな団体、公益的な団体を含めまして、これらがやっております活動のあり方としての通常の形態であると、こういうふうに見られるものでございます。  各種の団体が、それぞれの立場から研究等を行いまして、必要に応じまして立法上あるいは行財政上の措置について要望等を行うことはこれは一般に行われるところでございまして、その手段や方法が法令に抵触しないものであり、適正なものである限り、これは教育基本法の改正に関することでございましても、私どもとしては、教育研究団体の活動として特に非難される事柄ではないと、こういうふうに考えるわけでございます。  また、その当時の国会でも御説明申し上げましたが、私どもの補助金を出しておりますのは、当該団体の行います研究大会の開催、あるいは研修事業、あるいは研究報告書の作成といったような純粋に教育研究に係る事業に対しての補助でございまして、この団体に対する運営費のようなものを補助しておると、こういうことではないわけでございます。
  102. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いま局長の答弁なさったことは、それでいいですかね。教育研究団体が、まあこれ日本教師会が、としましょう。日本教師会が、愛国心とか祖国の問題とかについていろいろ研究をした。そういうことが教育の中で実際行われないのは、教育基本法に問題がある、だから教育基本法を改正しなければならない。そこで、全国各都道府県の自治体に教育基本法を改正をしましょうという意見書を具体的に上げさせるために、教師会は他のいろんな団体にも働きかけて運動をやっていきましょうと。そして、ここに書いてあるんですが、昭和五十五年度からは「教師会の運動目標は、今後は戦後教育の根本を大変革する教育基本法の改正運動に全力を注ぐべきときに来た。」、こう書いてある。そのことを私は否定してないんですよ。大いにやられたらいいんですよ。しかし、教育研究団体研究をしていくずっと筋道のうちに、それはどんな場合だって制度を変えにゃいかぬというところへ行き着くんですよ。だけれども、そこに運動の焦点を据えて始めたときに、その団体は、教育研究団体、そしてその事柄は教育研究と言えるのか。教育基本法を変えさせなければならないということを基本目標に据えて運動をするというところに変質してきたときに、それは三角局長がおっしゃるように、教育研究団体というふうにあなたはさっき認定されましたけれども、それをほかのいろんな部分に当てはめるといろんな問題が起こってきますがね。  再度お尋ねしますが、私が言ったようなそういうずっと問題の発展のさせ方の中で、教育研究団体というものを文部省は認知されるんですか。
  103. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) やはり教育研究団体は、教育に係る事柄、特に教育の内容でございますとか方法でございますとか、あるいは教育の仕組み、こういったものにつきましていろいろと研究をしていただく、それを主たる目的とする団体であると、こういうふうに思うのでございます。  先ほども御説明申し上げましたけれども、運動といいましても運動のやり方の形態がございます。    〔委員長退席、理事大島友治君着席〕 それから、いろいろ主張する、そしてある地方議会のような政治的な部面に対して働きかけといいますか、要望をすると、こういうことでございますけれども、何も民主主義を否定するようなそういうようなことでどうこうというわけではないわけでございます。形態と内容があると思います。ただ私は、必ずしもこの内容自体について評価をしようという気もございませんし、教育基本法の改正問題についてはもう重ね重ねの御議論があるわけでございますから、私がこの団体の行う改正運動について別段これを評価するとか、あるいは逆の見解を持つとか、そういうことは申し上げる必要はないと思います。しかし、いま御引用がありましたから申し上げますが、「戦後教育の根本を大変革する」というのは、これはこの団体が団体としてうたっておる言葉でございますから、どうこうということはないんですけれども、しかしこの団体の認識としては、教育基本法の中に祖国と伝統を遵ぶとか愛国心とかいう字を入れる事柄が、教育の現状の認識の問題でございますけれども、この団体の認識としてはそれは非常な大変革であると、こういうふうな認識を持ってお書きになっているのであろうと思いますが、ですからこう書いてあるからといって、私どもが補助を決めます場合にはもう少しクールに判断してやっていくと、こういうことでございます。
  104. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いまあなたのおっしゃったことは、別の立場に変わったときに、あなた方はそれは否定されるでしょうが、立場が変わればきっと肯定されるんですから、口は重宝なものですよね。あなたはずっとそこの席におってないから、またいまの責任を問われることはないでしょうけれども、やはり文部省がこの教育研究団体とは何かというところに、「主として教職員で組織され、教育研究活動を行うことを主たる目的とする団体であり、研究内容が適正で一定の研究成果を上げている実績があること。」こう書いてあるんですよ。やはり文部省補助対象にするんですから、それの研究内容に対する一定の評価がなければいけませんわね。どうですか文部大臣。  研究団体だから何を研究しとっても構へんのやと、いまおっしゃるように。やはりここに書いてある「研究内容が適正で一定の研究成果を上げている実績があること。」それは何かというと、文部省の考えている教育研究というものについてどれだけ寄与しているかと、そういう評価があって初めてその補助というものが出せるんですよ。いまおっしゃるように、もっとクールに考えておりますと、そんなの何でも研究されたらいいんですと。そんな形で文部省補助金は出るんですか。文部大臣いかがですか。
  105. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 委員長……。
  106. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ちょっと、文部大臣に聞いているんですよ。あなたの考えはようわかったがね。
  107. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 私の発言に関しておっしゃっておられまするから。
  108. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そんなら後で文部大臣言ってもらおう。
  109. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 何でもいいということは申し上げたつもりはございません。
  110. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 しかしあなた、クールに判断すると言うたじゃないか。  はい、文部大臣どうぞ。
  111. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 各種の教育研究団体が、法律に関連する問題につきまして、あるいは財政問題につきまして意見を発表する、あるいは陳情、要請を行うということは、きわめてありふれたことで何ら問題にするに当たらないと私は存じまするし、今日の教育基本法は、言うまでもなく憲法の精神を受けて制定されておるわけでございますが、問題になっております愛国心の涵養あるいは伝統の尊重ということ、憲法の掲げておりまする平和主義、あるいは人権の尊重、民主主義、この原則に抵触する事柄でもないと存じます。  政府委員からも答弁がございましたように、補助金研究活動に対して出しておるわけでございまして、この団体の活動の一環として要請を行う、陳情をする等のことに対して出しておるわけではございません。ましてその内容が格別問題にするに足らないものでありまする以上、継続して補助金を支出してしかるべきものだと、こう考えております。
  112. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それでは、これからずっと、日本教師会が運動方針に掲げているように、元号法のときのように、都道府県、市町議会のその中で、教育基本法の改正の請願の運動を、憂国の各団体と有志に呼びかけて、そしてとうとう日本教師会が全国的に始めるということが実際に起こっても、それは教育研究活動の当然帰着するところであるという判断に立って、文部省としてちょっと待て、それは研究団体としてやり過ぎではないかと。もう少し研究団体なら研究団体としての持ち場を守りなさいというふうな言葉の注意すら与える必要はないというふうにお考えなんですか。
  113. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 一定の想定をされた上でのお尋ねでございますから、直接のお答えは申し上げられないと思いますけれども、やはりその団体の振る舞いといいますか、そういうものについては私、十分注意をして、果たして補助団体として団体自体が適当であるかどうか、それから補助金対象となる事業として適当であるかどうか。それはせっかくの国費を用いて教育研究を奨励し、現場の教員資質向上等を図るための事業でございますから、そういう点は念入りに注意をして精査をしたいと、こういうふうに思うのでございます。  ただ、先ほどもちょっと、あえて申し上げさせていただきましたが、どんな事業でもいいということではございませんで、やはりそこには一定の範囲というものがございますし、そういうのを見て補助団体というものは常に見直しをしていくという作業が必要だということは考えております。  ただ、実際の教育研究の事業そのものは、それぞれ自主的な団体が皆さんで一生懸命に努力してやっていただくことでございますから、それぞれについて一々私どもが誘導をしたり、ましていわんや干渉したり、そういうことは絶対にあり得ないことでございます。
  114. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 最後に要望して終わりますが、やはり日本教師会のこのあり方は研究団体としての範疇から逸脱していると私は思います。だから、今後引き続いてこの問題については監視をして、事あるごとに私はこの問題を指摘していきたいと考えるんです。  というのは、大体文部省補助金とか県教育委員会の補助金等々に該当するかしないかということは、大変厳格な審査が行われるんです。いまの三角局長のおっしゃったようなああいう形であれば、私は、各県で大いにあの言葉は引用させていただいて、研究団体というものが民主的に自由にやるものについて一々チェックをして、これはだめだ、これはだめだと言う筋合いが何ら出てこない。逆に安心をいたしました、ある意味では。ある意味では安心をいたしましたが、この点についてせっかく補助金を出すという立場から、文部省としてもこうした右翼的な立場の研究だけがどんどんとあなた方の庇護によって伸ばされていくということは、中正とか中立とか言っている事柄からは大いにそれは逸脱するものであり、文部省自身がこれはもう偏向している、偏っているというふうにこの一つの問題で私は断定してもいいというぐらいにこの問題を重要視をしております。  ひとつ、文部大臣も十分この問題について関心を持って以後対処してもらいたいという要望をして終わります。
  115. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 私は、やはり関連して高等教育の問題について大臣局長に御質問申し上げたいと思います。  戦後もう三十年になりました。いわゆる同年齢の進学率、世界でもアメリカに次いで、西ドイツやフランスよりもはるかに高い高等教育の進学率を持つ国になったわけであります。しかしまた、高等機関も大学、短大やあるいは専修学校の専門部とか、そういうものも多様化したものが出てまいりました。  そこで、大臣の所信表明の中にも、この高等教育のところに、長期的な観点から今後の高等教育の計画的整備をやりたいということで、大学設置審議会にその御審議をお願いいたしたところでありますと、こう書いてありますが、この高等教育の諮問をいたしましたことに関連して、どういう問題認識、問題意識を持って諮問をされたのかについて、大臣から簡潔なお答えを願って、なお私は局長にはさらに御質問いたしたいと思っています。  最初に大臣から、その御方針について御答弁を願いたいと思います。
  116. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 高等教育を計画的に整備していくという問題につきましては、五十一年に高等教育懇談会から、五十一年から五十五年にわたる前期計画について報告をいただいております。さらにまた五十四年には、ただいま仰せの大学設置審議会から、五十六年度以降六十一年度までの後期の計画が報告されておるところでございます。  これらの報告におきましては、第一に、大学の整備は量的な拡大よりも質的な充実に重点を置けと。これが第一点。第二に、大学の適正な地域配置を図るという観点から、大都市への過度の集中を抑制し、地方整備を進めていく。三番目といたしましては、高等教育の構造の柔軟化、流動化を進めるべし。こういう点が指摘されておるわけでございます。  この中で、後期の計画につきましては、五十六年度から計画期間にすでに入っておるわけでございますが、この計画策定後のいろいろな状況の変化にかんがみまして、現在、計画の見直しを設置審議会にお願いをして検討していただいておるわけです。五十七年夏ごろ、本年の夏ごろまでのできるだけ早い時期に結論を出していただけることになっておるわけでございます。  またこの審議会には同時に六十一年度を初年度とする新たな長期高等教育計画の策定をもお願いいたしておるわけでございまして、これにつきましては明後年、五十八年度までに結果を出していただく、かようなことになっておるわけでございまして、これらの結果を踏まえまして対処いたしてまいりたい、こう考えております。
  117. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 大臣の御答弁で、一つは大学の量から質への転換、配置の問題、それから大学教育の柔軟化といいますか、弾力化といいますか、そういうことに関連しての問題意識で諮問されたことが明らかになったわけでありますが、いまもう一度局長にちょっと確かめたいんですけれども、高等教育の計画で、後期計画が五十六年からすでに始まっておりますが、それの見直しをひとつやるのかやらないのかということと、それから六十七年には十八歳人口がピークに、二百万とちょっと超えるわけであります。  そこで、今後の六十一年以降のこの見通しと関連して、具体的にどんなことが局長の頭の中にあるのか。たとえば、いろんな問題があるんですが、この国立学校整備、新しい高等機関の創設の問題とか、それから大学院改善充実の問題とか、あるいは専修学校の今後のあり方の問題とか、あるいは大学の入試制度、あるいは国際交流改善の問題とか、こういうものがこれまでもいろいろ議論されながらなお問題に残しているわけでありますが、そういうことが、局長のこの諮問する問題意識の中にどういうふうにあるのかということについて局長に御答弁を願いたいと思います。
  118. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) 基本的なところはただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、一つは、五十六年度からすでに実施に入っておるわけでございますが、その後期計画の見直しの作業をするということでお願いをしております。  そこで、いろんな情勢の変化でございますが、若干補足して御説明を申し上げますと、一つには大学等への進学状況の変化ということが見られるわけでございます。御案内のとおり大学、短期大学への進学率等、ここ数年ほぼ三七%程度ということで、横ばいの状況で推移をしてきておるわけでございますが、他方、専修学校への高校新卒者の進学率というのが着実に増加を示しております。そしてまた、昭和六十年度からは御案内のとおり放送大学学生受け入れということも予定をされておるわけでございます。そういうような高等教育全体多様化がさらに図られていく状況にもございますので、そういうようなことを踏まえまして、まず第一点としてはございます。  次に、第二点といたしましては、行財政事情の変化と申しますか、大変厳しい状況になってきておるわけでございまして、御案内のとおり臨時行政調査会の第一次答申においても高等教育について全体的に抑制の方向ということが打ち出されておるわけでございます。  そして第三点といたしましては、前期計画の目標との食い違いと申しますか、後期の計画はその前期の計画の上に私ども計画を立ててきたわけでございますけれども、前期計画で意図しておりました規模の問題につきましても現実問題としてその計画と現実との間に規模の点で差が出てきておるという点がございます。  そして第四点といたしましては、高等教育の進学該当年齢人口、つまり十八歳人口のことでございますけれども、御案内のとおり、先生いま御指摘のような状況で推移をするということになっております。  さらにもう一つつけ加えれば、前回の国会等においてもいろいろと御論議がございまして、それら高等教育計画について見直しが必要ではないかとかあるいは新しい計画に対応すべきではないかというようなことが言われてきておりまして、そういうような情勢の変化ということが具体的にはございまして、第一点としては、後期計画の見直しをいたしまして、これは考え方といたしましては五十八年、九年、六十年の三ヵ年間についてどう対応するかということで考えているわけでございます。この間はいわば財政再建期間とも重なるわけでございまして、具体的にはきわめて予算的にも厳しい対応をせざるを得ないということもございますので、国立大学等についての入学定員増についても相当厳しい抑制の方向で対応せざるを得ないかと、かように考えております。そういうことを踏まえまして見直しをせざるを得ないかと考えております。  それから、六十年度が例のひのえうまの年になるわけでございまして、六十一年以降おおよそ七十五年程度までのほぼ十五年程度の相当長期の見通しになるわけでございますが、その間の十八歳人口のたとえば今後約四十万人ふえ、さらにふえたものが七十五年ごろにはまた百六十万人台になるという相当急激な増加と減少というような状況が、これはすでに十八歳人口の姿からそういう動きになるということが想定されるわけでございまして、そういう時期の対応といたしまして、十五年間を通じて精緻なところまではなかなかむずかしいと思っておりますので、やはりそれぞれ五年程度に区切った具体的な計画としてどうするかということを全体のデッサンの中で考えていくということも必要ではないかと、かように考えております。それらについては五十七年、八年の二カ年をかけまして検討をしていただくということにいたしておりまして、それらについては、もうすでに大学設置審議会の計画分科会の中でさらに専門家の専門の小委員会もつくっていただきまして、検討に取りかかっているというのが現状でございます。
  119. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 大体の大きな流れは了解いたしました。  それで、私は特にこれからは大学院のあり方の問題に問題をしぼって御質問を申し上げたいと思います。と申しますのは、新しい大学になりまして、新制大学になって大学院というものも装いを新たにしたわけでありますが、いろんな方面の御意見を聞き、また質問も続けさせていただきますが、戦後の教育制度の中で現在大学院制度というものが定着したような姿ではあるけれども、一番大きな問題をどうも抱えているんじゃないかなあという感じがしたわけであります。それは、私はオーバードクター問題というものを初めて知り、かっ自分で勉強してみて、どうもこういうものが発生するについては何かやっぱり基本的にどこか検討していかなければ、将来日本の研究体制を維持承継し、まず水準を上げていくという問題、あるいは大学の教員の養成の観点から見るとか、そういうあるいは国際的な技術交流協力というものから見ても一体いいんだろうかなあという気持ちが抜け切らなかったわけであります。  そこで、いろんな御意見の中に、たとえばわが同僚の本岡先生もきのう言われましたが、実は外形的に見てオーバードクター問題があり、また入っている人の割合から見ても諸外国と比較して極端に低い数字が挙げられているわけでありますし、やっぱりどこかこの大学院制度というものについて、いまの教育課程を見直す時期に、もう思い切ったメスを入れていかなきゃならぬのじゃないかなという気がいたしてきたわけであります。  そこで、いろいろ調べてみますと、先ほど大臣からもお答えがありましたけれども、大学院問題懇談会答申とか、あるいは学術審議会の「学術研究体制の改善のための基本施策について」という意見書の中にも——これは小川文部大臣に五十七年の一月二十八日に出しておりますが、そういうものの中に、あるいは日本学術会議研究者養成の振興策というようなものの中に、また中央教育審議会の五十六年六月の生涯教育の中に大学院制度というものがそれぞれいろんな角度から取り上げられているわけであります。  そこで、私は大学院制度に関してそれ自体の問題、たとえばいまのオーバードクター問題とかあるいは学位問題とかというのは、言うならば大学院制度のアウトプットの問題だろうと思うのですが、あるいは生産教育との関連から見た大学院制度のあり方というようなものをいろいろ詰めていきますと、やっぱり大学院制度というものが一見定着して三十年たったようでありますけれども、どうもやっぱり落ち着きが悪いんではないかなという気がいたしているわけでありまして、局長としてこういうような大学院制度そのものを、現在高等教育改革の過程の中でどのように受けとめておられるのか、基本的な姿勢をまずお伺いいたしたいと思います。
  120. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) 先生御指摘のように、大学院につきまして、まあ根本的には大学院のあり方の問題を含めまして、確かに御指摘のような点があろうかと思います。すでに先生も御承知のことだと思いますが、五十二年八月に大学院問題懇談会から大学院改善充実について御意見もいただいておるわけでございますが、私どもとしてはさらにその点を踏まえまして、いま御指摘のように高等教育全体、日本の高等教育の構造と申しますか、その中で大学の学部での教育、そしてさらにその上で修士——まあ修士と博士と両方ございますけれども、その大学院の問題を日本のこれからの高等教育全体の整備なり振興を図るという観点から、やはり抜本的に考えていかなきゃならぬところ、非常に基本的な問題点の一つというぐあいに私どもも認識をいたしております。したがって、五十三年八月に報告もいただきましたが、私どもとしては、さらに一昨年の十二月でございますけれども、省内に大学院問題調査研究会議ということで、座長としては名古屋大学長の飯島学長に座長をお願いしまして、それぞれ専門の方方にお集まりをいただいて議論をお願いをして、具体的な改善にどう取りかかるかというようなことについて検討をお願いをしているところでございます。    〔理事大島友治君退席、委員長着席〕  具体的な点といたしましては、調査研究事項といたしましては博士課程修了者の進路問題、これは御指摘のようなオーバードクターの問題とも関連する問題でございます。
  121. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 それはいいです。後で御質問します。  そこで、これから多少大学院制度そのものに関して私が認識している点を申し上げまして、御答弁をいただきたいと思うんであります。  現在の大学院制度は、どうも昔の大学令の何といいますか、そういう影響を多分に受けたかっこうで、戦後新しくスタートした大学院という姿をとってないんじゃないか。そこがやっぱり一番基本の問題じゃないか。この点はいま局長が申されました大学院問題懇談会でも多少触れられておりますが、私はもう少しその問題を考えてみますと、戦後六・三・三・四という制度の中で、専門学校とそれから一般教養の高等学校というものを一緒にして四年制の大学をつくりました。圧縮したかっこうでありまして、そこで大学院というものができたときに、もともと大学に大学院を置くので、こういう学部とは独立して指導の方針なり、あるいは施設なり、あるいは教員のスタッフなり、そういう意味での独立した指導方法なり、それぞれ持たなきゃならなかったんだと思います。しかし、どうもそれがスタートしてから長いことはっきりしないままに来たんじゃないか。それは、五十年に文部省令による設置基準が制定されるまでは大学協会の決めた設置基準がよりどころになっていたということだけでも言えることです。それが基本的な問題として大学院の位置づけというものをいよいよ不明確にして、そして依然としてやっぱり大学院というのは旧制大学における研究者養成の中心的な課題というようなことで、そういうものの系列の中で考えられているんじゃないかなということが、やっぱり今日一番大学院のいろいろな問題の基礎にこのことがあると私は思っておるんであります。その点について局長としてどういうふうに認識されておられるのか、ここが大学院問題の一番の基本の問題で、哲学のところがどうもはっきりしないと、今後どんなにメスを入れようとしても、たとえばオーバードクター問題を当面こう薬張りに解決しても、しょせん大学院の位置づけなり、大学院の世の人々の評価なりを高めることはできないんじゃないか。私はもう少し後で触れたいと思いますが、要するに社会の多様なニーズというものに大学がどうこたえていくのかという観点から見ましても、やはりこの際、もう一回大学院制度というものをぜひ見直していただいて、本当にアメリカの言う大学院制度なら、それらしき大学院制度にきちっと私はした方がいいんじゃないかという意味におきまして、その問題提起をしているわけでありますから、局長の忌憚のない御意見をお伺いしたいと思います。
  122. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) 率直に申しまして、先生御指摘のように、旧制のと申しますか、古い大学院の姿と新制大学院の姿との間に混淆と申しますか、関係者の間でもその点が必ずしも、全く新しい大学院としての仕組みなり、制度なり、それが定着していないというのは御指摘のとおりであろうかと思います。  先ほども申しましたように、これからの高等教育全体の位置づけの中でやはり大学院問題というのは大変大事な基本的な問題点だと私どもも理解をしておるところでございます。全体的に大学制度、学部にいたしましても、制度全体を弾力化し、多様化を図っていくというのが基本的な考え方でございますが、そしてまた、そういうことで社会の要請を受け入れていく。たとえば社会人の再教育の場としての大学なり大学院というようなものも、これから大変重要な機能の一つだというぐあいに私ども理解をしているわけでございます。若干はそういうような萌芽といいますか、幾らかずつはそういう新しい試みも私どもとしても積極的な努力をいたしておるわけでございまして、たとえば、新しい教育大学、先回すでにもう成立を見ております三つの、兵庫なり、上越なり、鳴門の教育大学では、教員の再教育として修士課程を位置づけるというような積極的な対応をいたしておりますし、また私立の大学におきましても、たとえばこの四月から大学としては開学をされます国際大学というのがございますが、国際大学におきましても、これは私立大学でございますが、やはり大学院先行型でございまして、いわばそれぞれ企業なりで活躍をしている中堅幹部をさらに大学院で再教育をするというようなことをねらいとした、新しい大学院から発足をする大学としてそういうものもスタートをするということとなってきております。  そのほか、大都市の中でいろいろございます、たとえば工学系の大学におきましても、学部については中心地から移転をして、学部教育は郊外に移転をするというようなことも計画しておりますが、たとえば大学院機能だけは中で残して社会人のための再教育の機関として活用させるというような考え方も出されているものもあるように伺っております。  そういうようなことで、幾つか新しい方向の芽生えといいますか、動きはいろいろ出ておりますが、全体的な流れとしては必ずしもまだそこまでそういう動きが着実な姿になって広がっていくというところまで至っていない。私どもとしては、今後とも大学、大学院を通じてやはり社会の要請にどうこたえていくように機能させていくかということを中心に、先ほど来申しておりますような調査研究会議でも十分御検討いただいて、日本のこれからの高等教育整備全体の中で大学院も適確に位置づけをした対応をしていきたい、かように考えているところでございます。
  123. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 それはぜひその方向に行っていただきたいんですが、私が申し上げているのは、少しずついま教育大学の修士課程の大学院とか、そういうものがだんだんでき上がってくるのは私もよく知っているんですが、すでにでき上がって三十年近く歴史を持っている大学院というのはたくさんあるわけですが、学部と大学院との関係が旧態依然たるものがやっぱりあるんじゃないかなと。やっぱりそこのところをきちっとしないと、せっかく片方で新しい大学院というものが、新しい構想のものができ上がりながら、結局、全体としては大学院というのは一体何なのかという問題を整理できないままにいってしまうんではないかと、それは決して将来日本の高等教育、言うなれば、大衆化した高等教育時代をまさに迎えようとする日本にとって決していいことじゃない。きちっとするものはきちっとして、私は、せっかくいま御検討されているときでありますので、物の考え方をきちんとして、それにアプローチするにはどうするかというものはまた別として、そこのところをぜひ御理解していただいて、この際諸先生方にぜひ御検討をお願いいたしたいのであります。  そこのところと関連をして、結局、教育の方法とか、あるいは教育環境とか、あるいは先生が、大学院の先生と学部の先生の兼務が圧倒的に多いとかいうことは、もともと新制大学院というものを考えたときにアメリカの大学を、コースを予定したんですから、そういうことは本当は考えていない問題が依然として今月までずっと尾を引いておって、それでは私は、結局この大学院というものは、まあオーバードクター問題に象徴されるがごとき姿になって、決していいものにはならないんじゃないかということを心配しているものですからそういう問題提起をさせていただいたわけであります。  その次は、同じ問題について先ほど局長は、この大学院改善充実研究会議の議題の中でひとつ大学院の規模、配置計画というものについて大いに勉強、御検討いただいているんだというお話がございました。これについては、いろんな内容が恐らく盛り込まれているんだろうと思うんですが、このことに関連して少し私見を申し上げ、御答弁をいただきたいと思うんであります。  要するに、大学院が、今後社会のニーズにこたえて多様化していくということ、それはすでに文部省としても、あるいは当委員会でも五十一年の学校教育法の改正の議事録を読ませていただきましても、皆さん御指摘されておるわけであります。  ただ、私はここではっきり、大きな流れとして大学院に、アメリカでも同じでありますけれども、二つあるんだと。一つは、やっぱり社会のニーズが要求している高度の職業人というものをきちっとつくるんだと。それはまさに長岡の技術科学大学が今回初めて修士課程の卒業生を出すんですが、非常に就職率もよく、非常に歓迎されているという一つの例がありますし、あるいは教員の養成についてもそういう考え方がきちっとしてきたわけであります。つまり、その背後には、恐らく日本の大学の中で医者とか法律とかいうものについてはきわめてプロフェッショナルな問題意識があるんですが、そうでない文学とか社会とかということになりますと、何となくゼネラルスチューデントというような考え方があるわけでありまして、やっぱり私たちはこの大学院というものを新しく新制大学の中で新制大学院としてスタートし、その範をアメリカにとったわけであります。したがって、ちゃんと独立したものでなければならぬなというレールの上に立ったわけであります。したがって、それだけに大学院が果たすべき任務は何だということをきちっとやっぱりしないといかぬのじゃないか。だから、規模の問題あるいは配置の問題を考える前提として、私は大学院にプロフェッショナルな大学院あるいは修士課程かもしれません、それと、やっぱり将来日本の基礎研究あるいは研究家の養成あるいは日本の学術水準の維持向上、こういう人のための研究者を養成する課程というものをきちっと分けて、やっぱり独立した大学院、学部に引っ張られない、学部とは別な研究施設を持ち、教授を持つ、そういう大学院をきちっと整備していく方が考え方としていいんじゃないかと思いますので、この点についての局長の御見解を承りたいと思います。
  124. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) 大学院について、具体的には研究者養成と、たとえば高度の技術者養成というような課程に分けて対応すべきでないかという御意見でございまして、現行制度について若干御説明を申し上げますと、四十九年三月の大学設置審議会の答申を受けまして大学院設置基準を、先ほど先生御指摘のように、文部省令で制定をして五十年度から施行しているわけでございますが、修士課程については、基本的に特定の専攻分野における研究能力の涵養を目指すということでございますが、それぞれ大学院の方針によりまして高度の専門職業教育、社会人に対する高度の教育等に重点を置くこともできるということを明確にしたわけでございます。  そしてまた、博士課程については、従来の、独創的研究によって学術水準に新しい知見を加え云云という規定から、研究者として自立して研究活動を行う能力と基礎となる学識を養うということに改めまして、自立して研究活動を行い得る高度の研究能力を有する者の養成を主眼とするということで、博士課程にはそういうことを主眼としながら、さらに広く社会の各方面で指導的な役割りを果たし得るような必要性ということも考慮しておくという考え方でございます。  御指摘のような研究者養成と高度の技術者養成という二つに明確に区分するという問題でございますが、基本的にはどうも大学院に来る者自体の意識としまして、大学の研究者を志向するということが非常に強いのが現状でございます。  そこで、特に修士課程では、おっしゃるようないわゆるプロフェッショナルスクールとしての性格を明確にしていくということも確かに必要なことではないかと、かように考えております。  問題は博士課程の点でございますが、高度の研究能力を養成するたてまえから、研究者養成と明確に区分できるかどうか問題があろうかと思いますが、なお、そういうような点につきましても私ども、調査研究会議で今後検討していただかなければならない課題ではないかと、かように考えております。
  125. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 私は、いまあなたが大学院設置基準の直された修士課程、博士課程のところは承知をしていながら、それをあえて聞いたわけでありますが、それは大学院問題懇談会の中の意見としても、どうも新制大学院の考え方、意識というものがはっきりしてないという点を非常に指摘しているわけであります。それはやっぱり、修士課程にも多少専門的な知識とかいうことで書いてありますが、じゃ博士課程とどれだけどう違うんだ、前期とどう違うんだということになると、きわめてあいまいじゃないのかな。むしろ、しっかりしたアメリカの制度をとってきたのでありますから、そういう問題意識をきちっとしていく方が今後のやっぱり大学院というものを権威づけ、評価を高めるゆえんだと私は考えておるので、あえて問題提起をさせていただいたわけであります。そのことは学部から足を切って、教育の方法とか研究の方法とかいうことは従来と違ったかっこうでやっぱりできるんじゃないか、こういう認識を持っておりますので、そういうことをぜひ考えていただきたい。あいまいなことはかえって評価を高めるゆえんではないなと思っております。  このことに関連しまして、二、三個別的な問題を簡単にお聞きしておきたいと思います。  一つは、この博士課程のある学生でありますが、これは学生であります。しかし、オーバードクター問題の調査報告書をいろいろ読んでみますと、学生という身分でいいのかな、やっぱり何か研究副手的な、そういう身分として——というのは、私は、前提として、やっぱり博士課程というものの中にもはっきりした研究者養成ということをきちっとしたところでは、そういう学生でなしに、身分的な扱いを研究者としてのふさわしい扱いができないものかなという問題意識がありますので、その点が第一点であります。  それから第二点は、博士の授与の問題と関連いたすのですが、これは、この前本岡委員からも御質問があったと思いますけれども、この学位授与の関連において、修業年限というものを一体こんなに画一的にする必要があるのか。要するに、いまのままで言えば、新制大学を修了した人が次に進むのが修士課程であり、博士課程であるわけでありますから、それが五年でありあるいは二年であるということはどれだけの意味があるのかな、むしろ、世の中の需要に対応するようなことであれば、その辺は弾力的に考えることができないのかなということが第二点であります。  それから第三点は、オーバードクター問題に関連しまして、博士課程は純化すれば、研究者の養成というものを中心にして、ぜひやってもらいたいと私は思います。そういうことであれば、先ほど冒頭申し上げました将来の高等教育の検討問題、特に六十年以降七十五年の十五年間の検討課題の中で、研究者養成の計画と高等教育整備計画というものをあわせていただいて、やっぱり研究者が研究者として職を持つ、つまりオーバードクター問題というものをやっぱり意識に置きながらこの問題を解消していくためには、両者の関係をぴしゃっとして、何とか研究者養成計画というものを高等教育計画の整備の中で取り込んでいただけないか、この三点について簡単にお答えを願いたいと思います。
  126. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) お尋ねの第一点は、大学院学生について、単に学生としてだけ扱っていいものかどうかというようなお尋ねであったかと思います。確かに御指摘のように大学院、特に博士課程の大学院学生については考え方として単に学生としてだけ遇するというよりは、むしろ研究者の助手ないし副手的な考え方はどうかというような御指摘でございますが、たとえば大学院学生についてあるいはチューターというような形での職務を付するというようなことなども、今後の検討課題としては、研究会議でも具体的な議論をしていただかなきゃならぬ課題じゃないかというぐあいに感じております。それは、相当これまた大学のいまの教官組織、たとえば助手の定員の見直しの問題などともやっぱり関連も出てくる課題でございまして、相当基本的なことに及ぶかと思いますが、やはり検討課題ではあろうかというぐあいに考えております。  それから、第二点の修業年限の弾力化の問題についての御指摘でございますが、現在の基本は修士課程二年、博士課程五年が標準でございまして、これは先生御承知かと思いますけれども、その博士課程の五年ということについては、弾力的な扱いということは実際問題としてはできることになっておるわけでございます。ただし、個々の学生について五年未満で課程の修了を認める場合でも三年を下ることは認められていないというのが現状でございまして、これは単位取得の問題等もございますので、現実問題としてはそういう対応をしておりまして、必ずしも五年ということでこだわっているわけではございませんので、現行制度でも弾力化されているということでございます。  それから御指摘の第三点は、研究者養成の点も高等教育計画全体の中で十分検討すべきではないかという点については、確かに御指摘のとおりでございまして、私どももオーバードクターの問題を含めまして、それぞれの学問分野にどれだけの研究者というものを要するかということについては、基本的にはそういうものについても十分今後の検討課題でございますが、なかなかむずかしい点でもございますが、学術審議会等でもいろいろ御検討いただいたところでございますが、そういう日本の学術研究のために、どれだけの研究者をどの分野でどれだけの規模を要するかということなどについても、十分専門家の御意見も伺いながら、そういうことを将来の計画の中には織り込んでいけるような方向で検討させていただきたいと、かように考えております。
  127. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 一番最後にお答えになっていただいたところは非常に大事なことだと思っております。特に日本が、これから海外との関係において技術協力というものはやっぱりわれわれが平和の中で生きていくときに一番大事なモメントの一つだと思っております。そういうときに、やっぱり基礎的な研究に従事した研究者というものがきちんとしていることが応用の技術を生むことは言うまでもないわけでありまして、ぜひオーバードクター問題というもっと狭い問題でなしに、そういう広い角度から最後の問題についての御検討をぜひお願いいたしたいと思います。  今度の文部省予算について大学院の関係で二点だけお伺いいたしたいと思います。  一つは、農水産系連合大学院創設準備に四百二十四万円盛ってあります。それから大学院改革調査に九百七十九万円盛られております。まず後で言った改革調査のところは、毎年何か一千万程度ずつ入れておいて、どういうふうに使っておるのか。何かこれ特別に問題意識を持って、ある大学に大学院の調査を命じている予算なんでありますか、よくわからないんです。  それからその次は、農水産系の連合大学院、連合大学院という新しい構想が出てまいったわけでありますが、簡潔でいいんですが、創設準備で現在どの程度まで進んでおるのか、それをお答え願いたいと思います。
  128. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) 五十七年度の、特に大学院関係の予算について、一つ大学院改革調査経費一千万についてのお尋ねでございますが、これは個々の大学につきまして、具体的には、特に教育学部系統の修士課程の設置に関連いたしましてそれぞれ個別の大学で改革調査を御検討、御研究いただきまして、それらの整備の整ったものについて修士を置いていくというような考え方で対応しているというのが具体的な中身でございます。  それから、第二点の農水産系の連合大学院準備でございますが、これについては五十三年度から取りかかっているところでございますが、これは考え方といたしましては、博士課程を持たない国立大学の学部等が協力して独立の博士課程大学院設置するというような考え方で、具体的には、東京農工大学を中心に農水産系の二十大学二十三学部の連携によります全国的な連合大学院の構想というようなことで従来検討がされてきているわけでございます。  ただ、この構想につきましては、そういう施設設備や固有の教員組織を持たない独立大学院設置形態について、大学院設置基準との関係もございましてなお検討を要する点が多いというようなこと、あるいはまた、構想の中には留学生海外派遣の技術者の養成についての発想というようなこともございますが、なおまた具体的な構想が固まらないというようなことなどございまして、いろいろとまだ関係者の中で十分具体的な姿として煮詰まってきていないものでございますから、引き続きなお創設準備経費ということで計上させていただいているものでございます。
  129. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 私は、この連合大学院という発想は非常におもしろいし、しかもこれから学際的な問題を研究するためにもこういう構想が大学院の中にあっていいと。また、本当に大学院であれば学際的な問題がそこでこういうかっこうで研究をされ、そして新しい研究者が生まれてくることが一番望ましいわけでありまして、いませっかく五十三年から創設準備にかかって御検討に入っているわけでありますが、局長としてはいつごろまでこういう研究が続けられ、いつごろにこういう新しい大学院というものが創設されるような見込みだとお考えですか。
  130. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) ただいまも申し上げましたように、なお検討課題がございまして、具体的な構想がまだ固まら広いというような大変むずかしい問題点もございます。すでに私どもとしては検討期間も若干過ぎておるわけでございまして、ある程度めどというものをつけなければならない時期には来ているという具合には考えているわけでございますが、そういう新しい構想でございますだけに、やはり検討課題もいろいろとございまして、私どもとしても気持ちは積極的に取り組む気持ちで臨んでいるわけでございますが、なお関係者の間で十分具体の構想の煮詰めを要するになお若干は時間がかかるんではないかと、かように考えております。
  131. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 あと一つ大学院のまあ言うなればアウトプットの問題に関連してお聞きしたいのは、すでに大学院問題懇談会なども御指摘があるんですが、ことに私の友人から聞いた話でありますが、外国人の留学生が日本の大学院に入ってもなかなかドクターの学位はもらえないと、もらうのが非常にむずかしいと。そこで外国人留学生が日本の大学院を敬遠しがちだという話を聞いたわけでありますが、同時に、さっき局長が言いました大学院問題懇談会でもそのことをちょっと触れているように思いました。こういうことについては、やっぱり日本のためにも決して望ましいことじゃないし、どんどん来てもらい、言葉は悪いんですが、学位の授与について別枠をつくるとか、何か少し外国人のために別な方法を考えるとか、やっぱり学位を持って日本の留学を終わって帰るというのと、学位がなくて帰るのとでは恐らくずいぶん待遇も違うんだと思います。そんなことで、この大学院のあり方の一つの問題の検討の課題の中にもそのことをぜひ御検討願ったらいかがかと私は思いますが、どういうふうにお考えでございますか。
  132. 宮地貫一

    政府委員(宮地貫一君) 御指摘の点は、先ほど申し上げました大学院問題の調査研究会議でもやはり議論の中に上っている事柄でございまして、具体的に申しますと、たとえば東南アジアからの留学生等で、たとえば農水産系などについて参りますと、ただいまのところ博士課程の置かれておりますのは東京大学とか北海道大学というようなことになるわけでございますが、むしろ望ましいのは、実務的には、たとえば具体的には長崎大学の水産学部で指導してならう方がより実務的に意味があるというようなことがあるわけでございますが、長崎大学の水産学部では学位の授与ができないというような点が具体的な問題点としてあるわけでございます。したがって、留学生の学位取得の問題についてどう取り組むかということ——確かに関係者の間でいろいろ議論がございまして、私どももその点は十分意識をしているところでございます。これも、先ほど申しました調査研究会議一つの大きなテーマと申しますか、それぐらいの意識で取り組んでいただかなければならぬ課題だと思っております。積極的な姿勢でぜひとも対応できるような方向を研究させていただきたいと、かように考えております。
  133. 降矢敬義

    ○降矢敬義君 時間がなくなりました。私はただ問題提起だけさせていただきまして、あとは大臣に締めくくりのお答えをいただければそれで終わるようにいたします。  大学院の問題についてもう一つは、局長御案内のとおり、中央教育審議会が「生涯教育について」という答申を出されまして、大学院のあり方についての、成人教育大学院の開放という問題について触れております。非常に抽象的でありまして、これに対してどういう対応をするのか、あるいは大学設置審議会の検討の問題の、修士課程なんかをあけるについて、成人に開放するのか、あるいは通信教育というような問題も将来考えられるのか、こういうことについては、私はここでもう質問はやめます。ぜひ、せっかく「生涯教育について」という答申大臣に出されているわけでありまして、その中にきわめて抽象的に触れられております。あなたの方の、大学院の諸問題に関する調査研究会議のその他の事項の中に、私はぜひ生涯教育大学院の関係を、きちっと答申に書いてあるところを受けとめて、その中で御議論をぜひお願いいたしたいと思います。それは答弁要りません。  それで最後に、私は大臣に締めくくりとしてお答えをいただきたいと思いますが、私が冒頭申し上げましたとおり、高等教育が非常に普及したこの日本の中で、これからやっぱりいまの新制大学院を再活性化すると言うと言葉は大げさでありますが、生き生きとしたものにすると同時に、それは社会のニーズにこたえ、社会の評価を高める、そういう意味と、それからまた国際的な技術協力に資するための研究者のそういう養成、あるいは産業界からのパイタレントのマンパワー、こういうものの養成、こういうものを広く高等教育の中でどうこなしていくかという一環の中にこの大学院制度の改革問題をぜひはめ込んでいただいて、いろいろな御議論の中で、新制の大学院として本当に実りある、二十一世紀に残せるような制度をぜひつくり上げていただきたいということを要望して、大臣のお答えと、決意のほどをお聞きして、私の質問を終わります。
  134. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 大学院につきましては、政府委員からお耳に入れましたように、研究者あるいはまた高度の知識を持つ専門技術者の養成機関といたしましての大学院というものに対する位置づけが今日なお定着いたしておらないということもございます。あるいはまた、まず学部の卒業者を採用するというような慣行と申しますか、社会的基盤が存在しておる。そのほかいろいろの問題点がございますことはお耳に入れたとおりでございます。  今後の大学院のあり方につきましていろいろ示唆に富む御意見あるいは具体的な御提案にも接しておるわけでございますが、文部省におきましても、省内に学識経験者から成りまする研究会をも設置いたしまして、鋭意検討をいたしておるわけでございます。ただいまお聞かせを賜りました御意見等も十分念頭に置きまして、御期待に沿うような結果が得られますよう及ばずながら努力をしてまいるつもりでございます。
  135. 片山正英

    委員長片山正英君) 本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時一分散会      —————・—————