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藤田進君 ところが、
大臣はそう思われても、
臨調関係からの
答申がその都度あれば、
内閣ないし各省はこれをそのまま五十七年度に関する限りはのんできたわけですね。議会になればまたいろいろ議論はありますけれども、多数党の意思が通っていくと年度
予算は成立するという仕組になっております。そうなりますと、一体
臨調の動向に対して無関心でいていいのかどうか。私は思うに、特に
私学について、
文部省なり大蔵省なり、
予算に関する限り、いわゆる圧力ないし圧力団体というものがなきに等しいと思うのです。この点は通産なり建設省あたりは背景を持って押してくる。ところが
私学の場合は、なるほど
私学団体はいま大きいのが二つで、あと若干のが二つですか、ありますが、これやはり
文教関係の性質上その内容には大きな二つの問題がありますが、それはおくとして、
文部省をバック
アップするだけの力がなかなか伴わない。私どもも社会党としては
文部省にも参りましたが、五十七年度
予算編成期に当たって、その後段には
私学助成そのほかありますが、
文部省では特に重点としては
私学助成、これは大蔵省にも押しかけてまいりました。
文部省だけに任すのではなくて、
内閣に対してもそれぞれ働きかけをして
予算編成段階で
指摘したわけであります。ところが、
臨調の
答申を忠実に実行するといったてまえから、現に昨年度
同額、これ以上のものは出てこない、
私学助成も。そこで、時間がないので一間一答を避けますが、最近では
私学関係については
助成金の配分論が出てきております。私も現行配分基準というものが、これを
実施し始めてすでに年月もたっておりますからここらで再検討する時期にあるとは思うんですよ。私が思いますのは、財力といい、
かなり健全な、歴史も古いし、規模も
かなりの規模を持って、バランスのとれた
私学はこれは結構一人立ちがやっていける、
学生も
かなり押しかけてくる、そういうところに百億を超える
助成金が出ていくということであって、何とかこの基準に達っしたい、
学生数もふやしたい、
学生に対する教授陣もふやしていきたい、
学費もそう上げたくはないと思いながら、
補助金はもらわなくても
学生数をふやしていかなければ年度間の
財政収支が償わないというようなよろめいている大学が現状はなしとしないんであります。そういうところは谷底からはい上がることができない。そうして力のあるものは、これは
補助金は比較的多量にもらう、ますます循環が好循環をする。片一方は悪循環をしていく。こういう点がありますから、配分については私はそういう点を、少し手間はかかるけれどもきめの細かい査定をする段階に来ているんじゃないだろうか、こう思われるわけであります。ところが、
臨調の大学政策抜本改革というものは、いわば特色ある私大づくりという点については、内容を見なければやや肯定しがちでありますけれども、
研究に力点を置きたい、何かそういう議論がいま出てきているように思うのであります。
さあ、そうなりますと、大学は
研究はありますが、
教育というのは大切です。
私学で現在
補助金を必要としている大学は、むしろもう
研究もさることながら、
教育関係ですね、
教育面に非常に追われてきていると思うんです。それから、
研究部門の
実態はどうかというと、私は実は昨年度は九州から北陸、各大学めぐりをもう単独でいたしました。
協力を得ていろんな
学校を調べて、その一一を申し上げることは差し控えますが、
国立についても調べてみました。先般、
かなり前ですけれども
予算委員会でも取り上げたのですが、
研究実態という現場の実情をもっとメスを入れていく時期ではないだろうか。
臨調がもし
研究に主体を置いてユニークな大学づくりという判断で、いまの時期にそれに
保護、
助成の
中心を置くということになると、これは非常に問題があるように思うんです。
国立の場合でも
研究がどういう
実態になっているかというと、非常に間口が狭く奥行きが深いでしょうけれども、そういうものに重点を置いていけば、やがて卒業する青年たちの就職口というものは、これは
私学では最大のやはり問題でありますけれども、これはやはり普遍的な、ある
程度基礎的な
教育を、単位は取れていてもそれほど深まっていない。
研究は特定のものだけは
かなり深く、
大学院でやるべきようなことを指導教授のもとでということになり、さらに最近は
国立もそうですが、ある大学では三億、ある教授が委託
研究を受けておる。これは教え子たちを使っていろいろコンピューターを操作し、いろんな
研究をやっていく。調べてみると、
学生たちは
年間三十万ぐらいもらっている。しかし、
学生はこれでも大変な金をもらったといって喜んで
協力しておるんですね。税金や所得税はかからない。国庫の経理には載っていかない。いわば委託
研究なるものが最近どこか問題になったようですけれども、薬なり肥料なり何なりがやはり何々教授の鑑定を受けたとか、試験
研究の結果合格したとか、そういうラベルが物を言うというような時代でもありますだけに、その
研究たるや、私はそういうものがあっていいのであれば、
学校から出て、みずから
中心になってコンサルタントをつくって営業なさればいいと思うんです、物によってはですよ。
研究は無論必要ですけれども、だんだんと利益追求、所得追求になってきている
学校が
かなり出ています。私はそういうものは個々には扱わせていません。中央
研究所を持って、全部中央
研究所を通して処理させております。しかし、ここ十年ぐらいまでは私の関係しているところでも同じようなことがありました。そういうもとではいろんな施設、さらに中に置く
設備ですね、自分のコンサルタント的委託
研究に使うために国費なり
私学の
設備費を使って、そうしてこれによって委託を受けてくる、特定の産業資本と協定した形で進んでいく。中にはそこのどっちが本務かわからないような形態さえ出てくる。何々コンサルタントの専務取締役であり、何々大学の教授、こんなのが続続出てくる。そういうことがいまでも問題になっているんですね、問題になっているんです。そういうものが清算されないで本来の
研究、本来の
教育という、そういう軌道に載らないいびつな状態下でこの
臨調の言う
研究に重点を置いて、そこへはどかどかと
研究費の形で
助成する。学内の平和も非常に乱れているんです。あれは
年間二千万委託
研究でとっている、われわれはまじめにやっている、どうしてくれますかと、これは現在出ているんですよね。ですから、私は
臨調に対する、そういう啓蒙の必要があるんじゃないだろうかと。非常に偉い先生方のお集まりでしょうけれども、
実態を余り知られないか、知っていてみずからないしそのグループの利益のために主張されているのか、私は疑問を持たざるを得ないのであります。これが
答申されてくると、
研究中心に
補助金の配分がこれまた改変されるということになると、
私学といわず
国立といわず収拾つかないことになると思うんです。こういう点を十分ひとつ
臨調の段階で——他の省庁は
かなりやっているように私は聞いております。
文教の方も、
私学助成なり、その他
文教政策、そういわた点を、これは
文部省があり文部
大臣がいるんですから、やはりこのメカニズムの結論というものを今後の打開策としてでも
臨調に対する啓蒙というものが必要なんじゃないだろうか、そういう最近は気がしてならないわけであります。なぜならば、
私学には圧力団体というものがあるようでないわけでありますから、それだけに現行の機構がしっかりしてもらわなきゃなりません。
以上時間がないので一通り述べましたので、私の所論に対する御意見を求めたいと思います。