○下田京子君 将来考えなきゃならないという
お話なんですけれ
ども、この第二巻を読みますと、前の亀岡農水大臣を囲みましていろいろ話しているんですが、その中で
理事長いわく、基礎的研究は、国・大学等が主にやりまして、調査研究結果はタイムリーに民間の適宜な機関・
企業等に移して、
開発に向かって前進させるべきだと、こういうことを言っているんです。つまり、もうけに直結しない基礎的部分は国がやりなさい、もうけにつながるところはもう民間に任せてくださいよという、こういう主張なんですよ。これはつまり、いま財界の、財界による、財界のための行政改革ではないかと、こう言われているような臨調の行政改革路線ともぴったりするんじゃないかと、こう私は
心配します。
同時に、これさっきもテレビごらんになったということですが、テレビを本にまとめられたNHKの取材班が出されている「食糧」の(2)、「一粒の
種子が世界を変える」、これを読みましたところ、ほんとに大変な
実態が書いてありまして、アメリカは飼料穀物の輸出量の七〇%を支配して、まあアメリカ全体が七〇%支配しているわけですけれ
ども、そこまで至った大きな原因は何かといえば、トウモロコシの
種子を
開発した。そういう中にあって、いまどんどんどんどん、どんなところで何が支配されているかといいますと、これはもう言うまでもないと思うんですけれ
ども、あえてちょっと御紹介申し上げますと、アメリカの穀物メジャーで有名なカーギル、あるいはまたイギリスの石油メーカーで有名なロイヤルダッチシェルですね、あるいはまた、オクシデンタルという石油メーカー、それからアメリカの電信施設のITTだとか、それからスイスの薬品
会社でありますサンドだとか、まあ言ってみれば
農業以外のいろんな産業が、こうやって世界的に乗り出してきている。これはうちの寺前議員が衆議院でも質問しておるところなんですけれ
ども、なぜこういうかっこうで出てくるかという点はやっぱり見なければならないと思います。
特に現在、アメリカにあってソラマメなんかの場合を見てみますと、
大手の
企業で、わずか四社でもって七九%を占めている、こういう
実態が書かれております。
いろいろ詳しいことも御紹介したいんですが、時間がありませんから、一言だけ最後に申し上げますと、この点ではこういう大資本の
種子独占が進むとどんな弊害があらわれるか。まず、
種子の自由な交換が阻害される、これが一番大きい不安だ。かつて一粒の
種子が世界じゅうを自由に駆けめぐって、各国の
品種改良にはかり知れない貢献をしてきた。そのよい例が日本農林十号という小麦だった。ところが
種苗法が成立してから、アメリカでも
世界各国でも
事情が変わってきたと言うんですね。もし
企業がいい素材になる
種子を発見したとすると、彼らはためらわずそれを
企業秘密の金庫の中に閉じ込めるだろう。人類共有の財産が
企業の私有になってはならない、こういうことも述べられておりますので、やはり大臣、いま、将来考えるものだということだったんですが、やっぱり将来そうなってからでは遅いと思うんですよ。少なくともその研究のあり方、特にいま大臣言われたお米だとか穀物等については最低、国が基礎研究からすべて一貫して責任を持っていく、こういうことが必要でしょうし、独占化を許さない、こういう態度で、見守るにしても明確な態度をお示しいただきたいと思うんです。