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坂倉藤吾君 いま訴訟になっているのが一件ございますね。これらの問題は訴訟に持っていくまでに話がなぜつかないんでしょうか。具体的に
特別防除等の問題は、たとえば
特別防除による薬剤が直接かかって云々ということよりも、そのことも
一つの
原因であるけれ
ども、他にも要因があったという場合の複合的な
原因に基づいて
被害をこうむる場合が非常に多いんじゃありませんか。そうなってまいりますと、
皆さん方の
考え方の中に、薬剤散布に基づく
被害ということが一〇〇%はっきりしないことには私たちは支払いをしませんと、それはそちらで片づけてくださいという
姿勢があるんじゃありませんか。もしそれがあったとすると、私たちは何のために
審議をしてきたのか、この辺のところがきわめて問題になるんです。ぜひその辺は、答弁要りませんけれ
ども、
姿勢の問題として具体的に検討をしておいてください。これは県の場合にいたしましても往々にしてそういうことになるんです。私は、
空中散布でこれがもう直接一〇〇%の
原因ですよというふうにわからぬ限りこういう手続をとらない、
原因はほかにあったんじゃありませんか。距離的に見ても薬剤が散布をするような条件にありませんでした、他に
原因があるんじゃありませんかとか、あなたに注意をしてあったのに、その注意についてあなたの方が不十分だったから、ミツバチが死んだんじゃありませんかとか、そういうふうに
皆さん方はその
被害の要因というものをむしろ
被害を受けた方の側に押しつけたりしている傾向というのがあるんじゃありませんか。私はこれではもたないと思いますよ。
それから時間がありませんから次に移っていきますが、さっきの答弁で、
被害跡地の問題を私は質問を省略をしますが、跡地はほとんど処理されていませんからね。もっと積極的に跡地の
対策、造林、これは
樹種転換も含めて積極的にやってもらいませんと薬のまきっ放し、枯れっ放しのままで放置をされたのではこれはたまりませんよ、これではこの松枯れ防止の
対策には、半分やって半分やってないんですから、やってない方がまだましたと思います。そのまま放置をした方がまだましなんです。
次に、この薬剤の毒性の問題について少し聞いておきたいんですが、NAC、スミチオンが大体この薬剤散布の
中心の薬剤ですね。
ここでこの前
資料を
林野庁からいただきました。これは農林省の方の担当から出ていると思うんですが、セビモール、いわゆるNACにつきましてマウス経口、LD5〇値、これはキログラム当たり四百三十八ミリグラムと、こう出ているんですが、実は環境庁の方の「農薬の鳥類に対する安全性の評価に関する
調査研究報告」、これによりますと、NACの場合はマウス経口、LD5〇はこれ四百三十八じゃありませんでして、三百四十七になっている。そうすると、同じ
政府の、しかもこれ環境庁が鳥類に対してやってるやつで、文献等から世界的に求めてきたやつですが、これがキログラム分母にいたしましていわゆる三百四十七ミリグラムですね。それに対して
林野庁の方は四百三十八ミリグラム、こうなっているんです。こうなりますと、同じ
政府機関の中で、このことを評価をするのに、もとの
数字が違っているということになりますと、一体どういうことになります。しかもここで急性毒性、慢性毒性についての問題なんですが、特に慢性毒性で発がん性、催奇形性は認められない、こう言っているんですね。この結論を導き出す段階は、たとえば動物実験あるいは植物実験その他を繰り返し、特に動物実験の中で発がん性があるか、催奇形性があるのかという観点のデータを非常に積み重ねてこの結論を導き出している。ところが、その
研究データの中には催奇形性や発がん性の疑いのあるような要因も現に出てきているわけですね。たとえばこれは他の毒物
研究なんですが、それにいたしましても、たとえば肝臓が、開いてみたところが黄変をしておったとか、あるいは出血をしておったとか、脳腔の中に血がたまっておったとか、いろんな症状というのがデータの中には流れてきているわけです。それを評価をしまして判定をする場合に、たとえば十人なら十人のうちで三人までがその疑いありというふうに主張しましても、七人がまあまあこれならいいんじゃないかという結論を出すといたしますと、たとえば慢性毒性の中で発がん性、催奇形性というのは、これはありません、安全ですよと、こういう数値が導き出されてるんです、そこの線とあわせて、結論が。これじゃこの薬は安心ですよという幾ら
説明をされましても、基礎になる
数字自体が違っておったんじゃ、これはお話にならぬじゃありませんか。これはもう重大な問題ですね。しかも最近の傾向は、あるいはヒノキ等についての影響を
考えてスミチオンよりもNACの方が重点になってきているんです、散布剤としましてね。こういう
状況では私はお話にならぬと思うんです。この環境庁からもらいました
資料の中で、スミチオンについては一千三十です、あなたの方からいただいた
資料と全く一緒なんです、数値は。NACについてはこれ百近く違っているんですね。これではお話にならぬと思うんですが、一体どこでこの安全性というのは確認をされたんですか。もちろんこれは厚生省なりが
中心になっていることと思いますがね、この許可をしているのは。しかし、ここで安全だからということ、これを基準にしまして住民に対する
説明、利害
関係者に対する
説明が行われておるとすれば、この結論自体が問題なんだから、私はとんでもないことをやっているというふうに言わざるを得ない。そういう危険なものをこれからも
特別防除として、それのいわゆる主体としてやっていこうとするんですから大変な間違いじゃありませんか。しかも、
特別防除自体が
一つの範囲の中に限定をされてしまって、いろんな
制約条件の中で限定をされてしまって、実際には完全な空散に伴うところの、
特別防除に対するところの完全な防虫効果というものは上げられない。だから、一定の
地域にまいたにしても付近が放置のままだったら、またせっかくまいたところに今度は集中的に虫に押し寄せられるという現象をやっておる。とすれば、私は空散を
中心にしてやっていること自体がこの
法律案の骨子、今度は特別伐
倒駆除が出てまいりましたが、あくまでも
中心は前の
法律をそのまま継承した
かっこうの中での、これは
法律案の仕組みであります。そうしますと、私は根本的にこの問題についての
考え方を変えて対応することの方が至当ではないのか、こういうふうに思いますが、いかがなものでしょう。この数値の違いとあわせてやってください。