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1982-03-31 第96回国会 参議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年三月三十一日(水曜日)    午後二時二分開会     —————————————    委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任      福田 宏一君     藤田 正明君  三月三十一日     辞任         補欠選任      村上 正邦君     江藤  智君      藤田 正明君     福田 宏一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上條 勝久君     理 事                 亀長 友義君                 名尾 良孝君                 山田  譲君                 伊藤 郁男君     委 員                 岩上 二郎君                 加藤 武徳君                 金井 元彦君                 小林 国司君                 後藤 正夫君                 福田 宏一君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 志苫  裕君                 和泉 照雄君                 大川 清幸君                 美濃部亮吉君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    世耕 政隆君    政府委員        警察庁長官官房        長        金澤 昭雄君        警察庁長官官房        会計課長     森田 雄二君        警察庁刑事局長  中平 和水君        自治大臣官房長  石原 信雄君        自治大臣官房審        議官       矢野浩一郎君        自治省行政局長  砂子田 隆君        自治省財政局長  土屋 佳照君        自治省税務局長  関根 則之君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十七年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、昭和五十七年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管警察庁)、自治省所管及び公営  企業金融公庫)     —————————————
  2. 上條勝久

    委員長上條勝久君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、村上正邦君が委員辞任され、その補欠として江藤智君が選任されました。     —————————————
  3. 上條勝久

    委員長上條勝久君) 昨三月三十日、予算委員会から、三月三十一日及び四月一日の二日間、昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、警察庁所管自治省所管及び公営企業金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  世耕国務大臣から説明を求めます。世耕国務大臣
  4. 世耕政隆

    国務大臣世耕政隆君) 昭和五十七年度の警察庁及び自治省関係予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。  初めに、昭和五十七年度の警察庁予算総額は、一千五百七十九億二百余万円でありまして、前年度予算額一千五百四十七億五千余万円に比較しまして、三十一億五千二百余万円の増額となっております。  次に、その内容の主なものにつきまして御説明申し上げます。  第一は、警察庁一般行政に必要な経費五百五十五億八千六百余万円であります。  この経費は、警察庁警察学校及び地方機関職員並びに都道府県警察警視正以上の警察官職員俸給等人件費都道府県警察官一千五百人の増員に必要な教養経費等のほか、警察庁警察学校及び地方機関一般事務経費であります。  第二は、電子計算機運営に必要な経費三十五億七千余万円であります。  この経費は、全国的情報管理システムその他のために設置した電子計算機組織運営に必要な電子計算機の借料とそれに付随する消耗品購入費等であります。  第三は、警察機動力整備に必要な経費百三十八億五千九百余万円であります。  この経費は、大規模地震対策一環ともなりますヘリコプター、警察車両購入警察装備品整備及び警察通信施設整備並びにその維持管理等経費であります。  第四は、警察教養に必要な経費二十七億一千二百余万円であります。  この経費は、警察学校入校生旅費警察学校における教養のための講師謝金、教材の整備費等であります。  第五は、刑事警察に必要な経費八億六千六百余万円であります。  この経費は、暴力団犯罪及び一般犯罪捜査取り締まり指導連絡等に必要な旅費物件費並びに犯罪鑑識に必要な法医理化学器材等整備費消耗品費、死体の検案解剖経費のほか、犯罪統計事務等に必要な経費であります。  第六は、保安警察に必要な経費一億一千六百余万円であります。  この経費は、青少年の非行化防止、風俗取り締まり、麻薬、覚せい剤密貿易拳銃等銃砲危険物公害等に関する犯罪捜査取り締まり指導連絡等に必要な旅費物件費等であります。  第七は、交通警察に必要な経費二億二千二百余万円であります。  この経費は、交通安全に関する広報及び運転者対策等に必要な物件費並びに交通取り締まりのための旅費等であります。  第八は、警備警察に必要な経費六億二千百余万円であります。  この経費は、警備警察運営に関する会議指導連絡等族費器材類整備等に必要な経費であります。  第九は、警察活動に必要な経費百四十六億四千六百余万円であります。  この経費は、犯罪捜査取り締まり等警察活動に必要な旅費及び捜査費であります。  第十は、警察電話専用回線維持に必要な経費四十一億六千九百余万円であります。  この経費は、警察電話専用回線維持するために日本電信電話公社に支払う、いわゆる警察電話専用料であります。  第十一は、犯罪被害給付に必要な経費六億六千七百余万円であります。  この経費は、殺人、傷害等犯罪により死亡しまたは重障害を受けた場合、その遺族または被害者に対し国が一定の給付を行う制度を実施するため必要な給付金及び事務費であります。  第十二は、千葉警察東京国際空港警備隊に必要な経費五十四億一千六百余万円であります。  この経費は、千葉警察東京国際空港警備隊維持運営に必要な旅費物件費及び空港警備隊員人件費等補助金であります。  第十三は、船舶建造に必要な経費三億二千百余万円であります。  この経費は、警察用船舶建造に必要な経費であります。  第十四は、科学警察研究所に必要な経費八億二百余万円であります。  この経費は、警察庁附属機関として設置されております科学警察研究所職員職員俸給等人件費と鑑定、検査、研究に必要な機械、器具類購入費維持費、その他一般事務経費であります。  第十五は、皇宮警察本部に必要な経費四十七億三千五百余万円であります。  この経費は、皇宮警察本部職員職員俸給等人件費のほか、行幸啓の警衛に必要な旅費物件費、その他一般事務経費であります。  第十六は、警察庁施設整備に必要な経費三十七億四千五百余万円であります。  この経費は、直接国庫の支弁対象となっております都道府県警察学校等施設整備に必要な経費であります。  第十七は、都道府県警察費補助に必要な経費二百二十億五千余万円であります。  この経費は、警察法第三十七条第三項の規定による都道府県警察一般犯罪捜査、交通指導取り締まり外勤警察活動防犯活動等一般行政費補助に必要な経費であります。  第十八は、都道府県警察施設整備費補助に必要な経費二百三十七億九千百余万円であります。  この経費は、警察法第三十七条第三項の規定に、よる都道府県警察警察署、派出所、駐在所待機宿舎等及び交通安全施設整備費補助に必要な経費であります。  以上、昭和五十七年度の警察庁予算案内容につきまして、その概要を御説明申し上げました。  引き続いて、昭和五十七年度の自治省関係歳入蔵出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、一般会計予算でありますが、歳入は千九百万円、歳出は九兆七千八百五十五億一千九百万円を計上いたしております。  歳出予算額は、前年度の予算額、八兆九千七十三億九百万円と比較し、八千七百八十二億一千万円の増額となっております。  また、この歳出予算額組織別の額を申し上げますと、自治本省九兆七千六百四十七億九千二百万円、消防庁二百七億二千七百万円となっております。  以下、この歳出予算額のうち主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本省につきまして御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源繰り入れに必要な経費でありますが、九兆二千三百九億二千百万円を計上いたしております。  これは、昭和五十七年度の所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額合算額九兆二千四百五十一億二千万円から昭和五十五年度の地方交付税に相当する金額を超えて繰り入れられた額百四十一億九千九百万円を控除した額を交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるためのものであります。  次に、借入金等利子財源繰り入れに必要な経費でありますが、四千五十六億百万円を計上いたしております。  これは、地方交付税交付金に係る借入金及び一時借入金利子支払い財源交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるためのものであります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百九十九億五千万円を計上いたしております。  これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金交付するためのものであります。  次に、施設等所在市町村調整交付金に必要な経費でありますが、五十二億円を計上いたしております。  これは、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金交付するためのものであります。  次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費として、五百十七億三百万円を計上いたしております。  これは、交通安全対策一環として、反則金収入に相当する金額道路交通安全施設に要する費用に充てるため、都道府県及び市町村に対し交付するためのものであります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分利子補給に必要な経費として、百三十二億三千三百万円を計上いたしております。  これは、新産業都市工業整備特別地域等建設整備の促進を図るため、建設事業債特別調整分について利子補給金交付するためのものであります。  次に、地方公営交通事業再建債利子補給に必要な経費でありますが、十八億一千万円を計上いたしております。  これは、地方公営交通事業再建を促進するため、再建事業を経営する地方公共団体が起こした再建債について利子補給金交付するためのものであります。  次に、再建地方都市バス事業車両更新費補助に必要な経費でありますが、十億八千七百万円を計上いたしております。  これは、財政再建を行う地方都市バス事業を経営する地方公共団体に対する当該事業車両更新費補助に必要な経費であります。次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費。でありますが、百七十五億円を計上いたしております。  これは、昭和四十六年度末における公営地下高遠鉄道事業債に係る支払い利子に相当するものとして発行を認める企業債利子相当額について、地方公共団体助成金交付するためのものであります。  次に、公営企業金融公庫補給金に必要な経費でありますが、百十八億六千六百万円を計上いたしております。  これは、公営企業金融公庫上水道事業下水道事業工業用水道事業交通事業市場事業電気事業及びガス事業に係る貸付利率の引き下げのための補給金を同公庫交付するためのものであります。  なお、このほか同公庫につきましては、出資金増額するための経費七億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  次に、広域市町村圏等整備推進に必要な経費でありますが、十一億八千二百万円を計上いたしております。  これは、田園都市構想に即し、地域社会の総合的な振興を図るため、広域市町村圏等における田園都市中核施設整備計画の策定に対する補助及び当該施設整備に対する助成交付金交付に必要な経費であります。  次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、十億八百万円を計上いたしております。  これは、選挙人政治常識の向上を図り、選挙をきれいにする国民運動及び政治倫理化運動推進するために要する経費について、地方公共団体に対し補助する等のために必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に、消防庁について、御説明申し上げます。  まず、大震火災対策に必要な経費として、四十六億二千万円を計上いたしております。  これは、震災等規模災害に備えるための消防防災無線通信施設及び耐震性貯水槽コミュニティー防災センターなど震災対策のための諸施設充実を図るとともに、防災知識啓発及び消防防災対策調査推進するために必要な経費であります。  次に、消防施設等整備費補助に必要な経費として、百四十五億六百万円を計上いたしております。  これは、市町村消防力充実強化を図るため、消防車、防火水槽など消防に関する施設及び装備充実高度化地域の実情に応じて重点的に整備するとともに、石油コンビナート等における防災対策推進を図るために必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありまして、この特別会計歳入歳出予定額は十八兆二千四億八千百万円となっております。  歳入は、地方交付税交付金及び借入金等利子財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額地方道路税収入見込み額石油ガス税収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金地方譲与税譲与金及び借入金償還財源等国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。  以上、昭和五十七年度の自治省関係一般会計及び特別会計予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  5. 上條勝久

    委員長上條勝久君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 志苫裕

    志苫裕君 第二臨調答申作業が進んでおるようです。特に第三部会がわれわれにとってはかかわりのある関心事項ですが、これについて自治省はどの程度承知をしていますか。どの程度関心を持っていて対応をしておるのか、まず伺いたいと思います。
  7. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ただいまお話がございました第二臨調の第三部会におきましては、国と地方機能分担保護助成行政あるいは規制監督行政——許認可の問題ですが、そういうことをやっておるのであります。私たちの方も、この第三部会に必要によりましては出席をいたしまして事情聴取を受けております。  特に自治省といたしましては、ただいま申し上げましたこの三つの問題は地方自治と申しますか、地方分権というものを進める上から考えまして大変重要な課題であると思っております。そういう意味では、従来からこの委員会あるいは国会等でいろいろ議論されておりますこと、あるいは地方制度調査会等でいろいろな問題が出ておりますことにつきまして、私の方から逐一第三部会の方には報告をいたしてございます。
  8. 志苫裕

    志苫裕君 ここに取り上げられるであろう課題については、私この席でしばしばやりとりをいたしておりますが、少しわかってくるとまた大臣がかわりまして、今度の大臣地方自治行政についてどのような経歴をお持ちの方か私にはよくわからぬけれども、恐らく自治省としては系統的に取り組んでおるんでしょうが、率直に申し上げて、地方分権に対する慎重論が強いということを聞きます。  この地方分権という発想は、もともと国土を一元的に大づかみにして活用を図ろうなどと考える発想とはおよそ相入れないわけでありますから、財界の諸君が中心になって分権の問題を考えていくと、どうしてもれは粗雑に扱われてしまうという懸念をしばしば表明をしておいたのでありますけれども、今日あらわれておる地方分権に対する慎重論が幾つかあるようですけれども、そういうものについて、自治省は一々出かけていって反論をすることもないでしょうが、こういう機会にそのいわゆる慎重論と言われるものを紹介をしていただいて、それに対する自治省の見解もあわせて伺いたい、こう思います。
  9. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ただいまお話がございましたが、臨調の中で、地方自治と申しますか地方分権という問題について、若干慎重と申しますか、無理解と申しますか、そういう点がなきにしもあらずではないかというお話でありますが、私たちお話をしまして基本的に一番問題点になっているのはどこかということになりますと、どうも突き詰めていきますと、地方というのは給与が高いではないか、そのために、国がいろんな仕事をやっていただくのに、たとえば事務分配をして機関委仕事務地方にやっていただくにしても、少しコストがかかり過ぎやせぬだろうか。あるいは、公務員の定数というのが国に比べてルーズなのではないか。そういう議論臨調の中で闘わされております。  私はそういうことにつきまして、給与自身の問題につきましては前にもこの席で申し上げたことがございますが、現実の問題として、給与の二割も三割も高いという公共団体を私たちが完全にこれを支持するというわけにはなかなかまいらない。やはり私は給与についてある程度のでこぼこがあるのは、これは地方自治と申しますか、人事委員会の置かれている現行の立場からすれば、それはやむを得ないことでもあるし、ラスパイレスに若干の開きがあるということについてもそれはやむを得ないことなのであるということを申し上げております。  それから定数につきましては、これは最近はわりあいにそういうことは言わなくなってまいりましたが、定数自身についてむしろ私たちの方は、国百身がいろんな決め方をすることによって公共団体が大変迷惑をこうむっているのが非常に多いんだ、だから、もしも地方定数が多いとおっしゃるなら、国自身のやはりそういう基準あるいは法令あるいは補助条件、そういうものをちゃんとやってもらわないと、幾ら公共団体の方に人が多いとか言ってもらっても直ちにそれを是正できるものではないんだということを申し上げております。定数の方はそういうことでわりあいに委員方々にも、部会のそれぞれの専門委員なり参与の方々にもわかっていただいておりますから、最近はわりあいに定数の問題というのは、御案内のとおり新聞等その他では言わなくなってまいりました。  ただ、給与の問題につきましては、どうもやはり高いのではないかと。そういうところから、地方自治というものを進めるに当たっていまからの、いろいろな状況を考えると、どうも地方にいろんなことをやっても、先ほど申し上げましたようにコスト高になるのではないか、そういう点から事務配分その他についても少しやはり慎重にやっていかなければいかぬのではないか、そういう議論があるようにわれわれは考えております。
  10. 志苫裕

    志苫裕君 後で少しやりとりをしたいと思いますが、大臣、今日自治体を取り巻く問題はいろいろあります。当面の問題もあるし、長期的な問題もあるし、過去の反省の上に立って新しく提起をしなければならぬ問題もあるし、さまざまですけれども、いま最も重要な課題は何だと思いますか。
  11. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) 当面、行政改革をするに当たりまして私たちが大変大事だと思っておりますのは、国と地方というものを通じましてどういうふうに行政を効率的に運用するかというのが一つでありますし、それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、地方分権をどういうふうにして進めていくのか、そのことが行政改革の中でどういうふうに取り上げられて地方自治がより以上充実させていけるのかという点が私は大変大きい問題だと思っております。  特に、国と地方というのは、公共の部門というものを取り扱うという段階におきましては、お互いにやはり協同、協力といいますか、そういう関係に立ちながら行政を執行していくというのが大変大事なことでございますので、国、地方を通ずるそういう行政簡素効率化、それに伴う事務配分、そういうことがまず仕上がって、それからいろいろな問題というのがそれに続いて出てくるだろうというふうに考えております。
  12. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、私は別に意地悪で聞くんじゃないんで、いままで地方自治をいい意味では専門に扱ってきておる人は、とかくドグマに陥る。専門家のよさと同時に、改革の視点が少しマンネリズムに陥る。私も含めてですけれどもね。そういうことなので、いままでどちらかというと門外漢でおられたような気がいたしますので、むしろ大臣から新しい感覚でお伺いできればと思っておるわけです。  先ほど、臨調論議の中での慎重論をお伺いしたときに、自治体コスト論、月給が高いとか頭数が多いんじゃないかとかという、あるいはルーズなのではないのかという、そういう問題は、自治体も千差万別ですから、あるところはあるだろうと思うんですね。これはまたそれなりに直していかなければならぬところは検討をしなければならぬ。何よりも自治体が考えなければならぬ問題です。  しかし、自治体は何にも考えないでいるかというと、自治省よりも直接住民に責任を負っておるわけでして、住民の意に反すれば、皆さんは首にならぬでも自治体の親方は首になるわけですから、これは真剣なんですよ。それがいいと思って選択をしている課題だってたくさんあるんですが、しかし客観的に人のふりを見ると、そうか、この辺はやっぱり直したらいいのかということを絶えず自省をしていくのは当然でしょうが、しかし私は、そういうことをあれこれあげつらうというのは、そのこと自体を問題にしているように見えて実はそうではないんですね。自治体幾らかの非を鳴らすことによって、自治体自治機能というもの全体が大した重みのないものだというふうにずっと全体を持っていく道具立て、キャンペーンとして意味を持っておる。  でありますから、真にこの自治行政あるいは地方分権というものを考える場合には、当面の問題に心を砕くけれども、自治が追求をすべき本質は離れないようにしないと当面の問題などというものは風が通り過ぎれば消えちゃう問題ですから、その消えた後に基本がゆらぐ問題だけが残る。引き返しがめんどうだということになって困るわけですね。  ですから私はこの議論を毎回繰り返すのですけれども、大臣に先ほど聞いて返答が出なかったんですが、むしろ自治体というものをわれわれがいま一番重要な問題として考えるのは、明治以来わが国があくせく走ってきていろんないきさつがあったが、高成長もやってみてふっと気がついて、もう少し人間的なゆとりというのですか、地域共同体というのですか、そういうものを再構築しなければならぬという時期に差しかかっておるから一番大きい課題になってくるんじゃないですか。その辺の基本のとらえ方はどうなんでしょう、大臣
  13. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) お話は私も聞いておりまして、そういう点について私たちも真剣に取り組まなければいかぬ問題だと思っております。特に自治機能というものを育成をするというのは大変大事な問題でありまして、臨調の中でも私たちが聞いている範囲では、身近な行政というのはむしろ身近なところで行わせるという原則というのはやはり貫くべきだと、こういう御意見が大変強いように私たち聞いております。  そういう意味で、たとえばいま補助金一つ議論をする中におきましても、公共団体の中で定型化をしてしまったり、あるいはもう公共団体それ自身がやってもいいという補助金についてはむしろ一般財源化する方向が望ましいのじゃないかという御意見があったりいたしまして、必ずしも自治の方向が足を引っ張っているというだけでないように私は思っております。私たちも、いま志苫先生がおっしゃっておられましたように、一番気にかかっているのは、自治機能というものをこれからも確立をしていくということがまさに大変大事でありますし、特に、戦後の新しい地方自治というものを発足さして以後、少なくとも地方自治というのが民主主義の基盤になっていることは疑いのない事実でもありますから、そういうことについて地方分権を進めながら民主主義を確立していくようなそういう政策というものが必要であるし、今後それを貫いていくというのがわれわれに与えられている使命でもありますから、そういう段階でいろいろのお話を申し上げております。  臨調の方でもそういうこと自身はわかっていただけているものだとわれわれ思っておりますし、特にあの中に地方制度調査会の林会長が入っておりまして、そういう意見を常にお話しをしていただいておりますので、私たちといたしましても非常に心強く思っているところでもあります。
  14. 世耕政隆

    国務大臣世耕政隆君) 私は、御指摘のように地方の出身ではありますが、地方行政とか地方自治に関してはまるっきり素人でございます。委員の先生方の方が私よりよっぽど詳しい人が大ぜいおられるので、いささかたじろぐところでございます。  私は素人ではありますが、私なりの考えは、ずうっと総括してまいりますと、地方自治で一番大切なことというのは地方自治体の自立てすな。みずからよって立って生活していくことができる、そういう力を蓄えていく方向に行政を持っていくのが一番肝心ではないか。つまり、住民に身近な仕事をしているわけでございますし、それからそれには地方によっていろんな独自な事情とか風土とか個性とか、いろいろなものがありまして、それに見合った住民に快適な生活圏をつくっていくためには、やはり国からの仕事をどんどん地方の方へ回してしまって、政府でやるような仕事を回して、地方に最大限に任せていく方向。それともう一つは、国で扱っている補助金とかその他のいろんな財源になるものをどんどん地方の方へ回して、委譲していく。その方向に地方自治体を持っていく、そういうふうに指導したり助言しながらそういう方向に地方自治を持っていく、これが私は本来のものであると考えているわけでございます。
  15. 志苫裕

    志苫裕君 私は、ここで時間を長くとる気はないのですが、百年にわたってあくせく働いて、ようやく地方というものを再発見することによって人間的なゆとりも少し持とうという時期がきたのかなと思ったら、臨調臨調でまたしてもそういうゆとりの時間を奪ったまんまで新しい画一化へ向かって走りそうになっておるから、この問題をいま改めて大臣の所見も伺ったところなんです。  考えてみると、大平さんのときにそういうことを言い出して地方の時代論というのが台頭したわけですけれども、大平さんの場合には、いま考えてみると自治の本質を追求をするというよりは、しょせん当面する問題解決策として自治体を考えたという発想が強かったのでもろくも崩れたのかなというふうに考えて、皆さんの方針も読んでみると、予算の中で田園都市構想云々というのが少しは影が残っておりますけれども、一時期出てきた自治の見直しというふうなものはあっという間に通り過ぎてしまった。これは率直に言ってお互いにとって不幸なことだと思うのですね。そういう気がしてならぬものですから、臨調はわれわれの期待とは別に、そういう一層画一化へ向かって進む場になるという心配をする余り、もう少し自治にかかわりを持つ者ががんばらぬといかぬぞという意味で提起をした。  たとえば、皆さんの方にもそういう姿勢がないわけでない、一例を挙げましょう。大臣は、三月十二日の予算委員会で、自治体の宅地開発指導要綱を見直して要綱の条件緩和をしたいと思っておるという、私もあの席におりましたから詳しく覚えておるつもりですが、いわばそういう意味のことを述べた。この要綱行政というものにはいろいろの問題点はありますよ。問題点はあるけれども、国の怠慢とでもいいますか、環境の破壊とか乱開発とか、あるいはそれによる負担の増大とか、そういうことを手当てをしない国の怠慢を補うために自治体がその裁量権を行使してやっておる行政ですから自治の中身をなす事柄なんですよ。でありますから、あの法律に比べてどうだとか、この基準に比べてどうだとかという問題が幾らかないわけではないけれども、自治省も積極的にこれを評価をして今日に至った。それが大臣のこの間の答弁を私聞いておって、おや、逆戻りを始めているのかなという強い印象を私は受けたんですが、それは一体どういう真意なんですか、あれは。
  16. 世耕政隆

    国務大臣世耕政隆君) 私の記憶では、たしか公明党の先生とそれから民社党の先生の御質問に対して二回予算委員会でお答えしていると思うんですが、私がそのときお答えしたのは、この宅地開発要綱ですが、これは自治省としては、建設省にも関係のあることではございますが、自治省の方としては、地方団体が、こういったことで宅地開発をやると、それによって橋とか道路とか幼稚園、小学校、それからごみ捨て、それからいろんなそれに伴う環境整備の設備をつくらなければならない、その費用に対して財政的な負担に耐え切れないから防衛策としてその宅地開発するのにはこれこれこういうこともそちらの方でやってくれという条件を出します、これはどこでもやっていることで、これはわれわれの方も、地方団体独自の線でやるのは結構であろうと、暗黙のうちに認めてきたわけでございます。そういうふうな経過をたどってきたんですが、最近になりまして、いろんなところから行き過ぎじゃないかという苦情が入ってくるわけでございます。仮に道路も、そこの町だけならいいけれども、よその町につながるところまでつくれとか、まあ何かいろいろあるんでしょう。ですから、もし社会通念とか社会常識に外れるほど過重な負担を強いるような場合があると、これはちょっとまずいかもしらぬ。そういうので、建設省と一緒に、自治省はいまいろんな各団体のあれを、行き過ぎがないかどうかを調査しておりますと、そういう意味のことを御答弁申し上げたわけであります。
  17. 志苫裕

    志苫裕君 調査をなさっておる——そういう意味のことを申し上げたというんじゃないですよ、あなた。要綱の条件緩和を図りたいという趣旨を述べたんじゃないんですか。議事録持っておらぬからわからぬけれども。
  18. 世耕政隆

    国務大臣世耕政隆君) 行き過ぎではないかと、それによっていろんな仕事が非常に極端におくれておる、五年以上かかるところもある、そういう意味のこともお尋ねでございましたので、その点は調査中でありますが、なお早急に調査を進めまして善処させていただきますと、こういう意味のことを申し上げたと思います。
  19. 志苫裕

    志苫裕君 まあ言葉じりはどうでもいいですが……  私は、そういうケースがあるかどうかわからぬが、あれもやれこれもやれと言って、それに投資をしたい、仕事をしたい民間に悪乗りしちゃって、あれもやれこれもやれと、この機会だ学校も建てちゃえなんというような、そういう悪乗りがあるかどうかはわかりませんけれども、まあ大臣の言うように何かあるんだろうというのじゃこれはだめなんでしてね、業者のコストがかさむという主張——建設省といろいろ御相談なさっているのは結構でしょうが、建設という分野はやっぱり仕事の性格上建設を進めればいいということに走りがちだ。そうすると、行政のどこかの分野がその辺をいろいろと手直しをしたり、後始末をしたりというようなことが、環境行政とか自治行政でいろいろ分野が出てくるわけですね。ですから、建設省と相談すれば、悪いけれどもだんだん話は悪くなっていくわけでありましてね。だから自治省がしっかりせぬといかぬわけですが、業者のコストがかさむという主張を国が受け入れるのであれば、結局は自治体住民がそれを肩がわりをしなければ完結をできなくなりますね。だから自治体なり自治省の出番があるわけでして、そこのところに建設行政やあるいは業者のしり馬に乗っていたんじゃ、これはブレーキにならないわけね。この辺は基本的な姿勢としては従来と変わらないのか。  あるいは、このごろ少し景気が落ち目になって景気動向が優先されてきたものですから、環境問題その他はまあいいや、もうほどほどにしておいて、野放しにという、そういう弊害が最近ないわけじゃないけれども、そういう傾向と自治大臣の発言が軌を一にするものではないか。そうでなければ、自治体の財政について一番気を病んでおる皆さんの方がこんなことを言うわけはないんで、その辺もう少し真意を明らかにしておいてもらいたい。自治省の方針を明らかにしてもらいたい。
  20. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) いわゆる要綱行政が発生した由来等については、先ほど先生が御指摘になったような背景があることは事実であります。この問題については、開発行政を進める立場の建設省、国土庁などと、それから、地方団体の財政を預かる立場の私どもと長い間議論をしてまいった事柄でもあります。私どもは、基本的に宅地開発要綱によりまして、地方団体が良好な環境を保持するために、あるいは今日制度的に必ずしも十分でない部分を補う意味で、財政的な負担を開発業者に求める、このことは基本的にはやむを得ない面が強い、こういう認識でございます。  ただ、先ほど大臣もお答えになったわけですけれども、個々の例を見ますというと、すでに制度的に財政措置の講じられておるものについて開発業者に負担を求めているケース、あるいは量的に非常に過大な負担を求めているんじゃないかと言われているようなケースがなきにしもあらずである。こういった面については、やはり現行制度との関連において適正な限度というものがおのずからあると考えられますので、それを超えたものはこれを是正していただくように指導を申し上げたいということで来ております。昨年の六月九日付の財政運営通達におきましてもその趣旨を踏まえた指導を行っておるわけであります。  ただ、この宅地開発要綱による負担の実態も、現在のデータは五十二年十二月一日現在で調査したデータで、古くなっております。そこで、五十六年九月一日現在の実態を調査中であります。建設省などと共同で調査中でございまして、その内容をよく点検した上で、私どもも基本的には地方団体の置かれている事情というものに十分理解を示して、地方団体の地方行財政を守るという立場でこの問題に対処していくという基本的な考えには変わってございませんので、この点御了承をいただきたいと思います。
  21. 志苫裕

    志苫裕君 まあ、角を矯めて牛を殺すという話がありますが、そうならぬように、また、もちろん、矯めなきゃならぬ角が出ますと、せっかくの要綱行政のよさまで否定されてしまうような風潮を生みますから、その辺について自治省が気を配るということについて私は異を唱えるわけじゃないけれども、どうもこの間の大臣の答弁は気になるということで、地方自治に対する理解の問題として提起をしたわけです。  ところで、財政自主権の確立、なかんずく地方に対する補助金の整理といいますか扱いは分権を確立するための柱だという位置づけで、われわれもそう主張しておるわけでありますが、ことしの予算ではその命題については何か新しい取り組みがありますかな。
  22. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 地方行政の自主性、自律性を高めるという意味で、補助金の整理合理化ということは積極的に進められるべきだと思っておりますが、この点については昨年の八月に閣議決定いたしました行財政改革に関する当面の基本方針というのがございまして、それによって補助金の一割削減、統合メニュー化といったようなものが進められておりまして、抜本的な改善と申しますか、整理合理化というものが直ちに行われたとは私どもも考えておりませんけれども、いま申し上げましたような、一割削減といったようなかなり強力な削減といいますか、そういうやり方等が行われました。件数では二千件、金額で三千百億円の整理合理化が行われたというふうに聞いております。  ただいまも申し上げましたように、手法としてきわめて斬新な、抜本的なというものがあったとは考えておりません。
  23. 志苫裕

    志苫裕君 いわゆる国庫支出金を洗い直していかなきゃならぬのですが、これは地方財政の四分の一近いですからね。国庫支出金の性格というものはどういう性格ですかね。その種類と性格と機能というものについて、簡潔でいいですがお答えいただけますか。
  24. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 国と地方経費負担の基本原則を定めております地方財政法によりますと、お尋ねの国庫支出金というのは、負担金と委託費と国庫補助金、この三つに分類できると思います。  負担金というのは、御承知のように義務教育、社会保障、あるいは公共事業とか災害復旧事業のように、地方団体あるいはその機関が法令の定めるところによりまして実施することとされております事務でございまして、その円滑な運営なり計画的な事業の実施を図るために国がその経費の全部または一部を負担することとされておる、そういうものについて国から交付をされるものでございます。要するに国がその責務として負担するものであって、国と地方が責任を分から合う、そういった性格のものだと存じます。  これに対して補助金というのは、国が「その施策を行うため特別の必要があると認めるとき」、あるいは地方団体の財政を援助するという目的を持って交付されるものであって、地方財政法上十六条にその根拠が置かれておるわけでございます。  委託費というのは、国会議員の選挙といったような、「もっぱら国の利害に関係のある事務」を地方公共団体あるいはその機関が実施することとされておる場合に国から地方交付されておるものでございます。  ざっと申し上げまして、こういった考え方に分けられると思います。
  25. 志苫裕

    志苫裕君 それ、財政局長がおっしゃるのは地方財政法のたてまえですね。しかし国庫当局は、地方財政法という法律があるにもかかわらず、必ずしもいま財政局長言ったような趣旨と理解をしそのような扱いをしていないのではないか。自治省は勝手にそう思い込んでおるのであって、国庫当局は、法律の規定もさることながら、これらを一括して補助金と。補助金というのは必要があってくれるもの、言うなら補助金を出す方の恣意が非常に強い。互恵平等の双方の義務関係なんていう考え方は薄い、いわゆる負担金の性格は薄いというふうに思えてならないのですが、その点、国庫当局と自治当局は何か詰めたことはございますか。
  26. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 実際の国の予算に計上されておるところを見ますと、ただいま申し上げたような地方財政法上の分類と実際上の名称がやや一致していないというものもあるように見受けられます。  ただ、私どもとしては、仮に補助金という名称でございましても、地方財政法上の負担金であれば、ただいま申し上げましたような考え方で国が責任を負うべきものであというふうに考えておるわけでございまして、その点は国庫当局に聞いても、その性格上において差があるとは考えておりません。名称の使い方にやや不明なところがあるということはございますが、そういった意味からすれば、対象事務をよく検討して、その性格とか機能の相違を十分踏まえて国庫補助金の見直しが進められるべきであって、それによって国と地方との間の財政秩序が確立されるものだと思っております。  ただいま申し上げましたような基本的な性格ということで私どもは割り切っておりますので、一々の名称について国庫当局と論争をしたいといったようなことはございません。
  27. 志苫裕

    志苫裕君 いや、これはいままではそう問題にならなかった。しかし、これからいろいろと議論が起きて、いわば双方が義務を負う負担の関係、それから補助関係、これらをだんだん整理をして、場合によれば財源の移しかえも大幅に考えていこうというところへ論議を進めていきますと、この区分けというのは非常に重要な意味を持ってきます。  およそ負担金となっているのは負担金に組んであるし、補助金となっているのは補助金に組んであると局長そう言うけれども、そうじゃないですよ。国の区分けの分け方をしますと、たとえば地方自治体を経由する分だけでもことしの予算で負担金は二兆三千億円ですよ、補助金は八兆六千億円ですよ、大蔵省の区分けは。これを皆さんの地方財政法のところへ持ってきまして、十条の各項ごとに分けてみると全然合わないね、これ。合わないわけでしょう。大体国が予算を組む場合には、一例ですけれども、たとえば教職員ですね、義務教育の職員の月給の方は負担金として予算に組むんですね。ところが、同じ法律に「負担する。」と書いてある施設とか材料とか、こっちのものになりますと、これは補助金で組むようになる。これ、何でもない区分けのようでいて、これから地方財政をめぐる論議が華々しくなっていきますと、こういう区分けというものは思わぬ禍根になる可能性もあるんだなということを最近感ずるわけですよ。  ですから、これはことしの資料をあなたの方からもらっていないから、どうかわからないけれども、地方財政法で言うところの負担と補助関係、えらく少額ですが、負担と補助関係で割り切るのであれば、これは国家予算の組み方も法律の体系もそういうふうに整理をしてもらって、整理をさせて、そしてそこでそうやって区分けをされて、残る補助金というものについては、これは場合によっては何も国のお世話にならぬたって財源の振替等をやっていけば、よけいなものにわざわざごてごてと東京まで陳情することもないわけでありますから、補助金にまつわるいわば弊害というようなものが整理をされていくという気がしてならないんですが、その点はどうですか。
  28. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 先ほども申し上げましたように、私が申し上げました地方財政法上の分類と実際上の名称が一致していないものがあることはもう御指摘のとおりだと思っております。そういったものを基本的な性格が不明のままにほっておきますと、いろいろ今後問題が起こるという点については私も同じように考えます。そういった意味で先ほど申し上げましたが、対象事務をよく検討して、事務の性格、機能というものの相違を十分踏まえて国庫補助金について見直しをする必要があるだろうというふうに考えておるわけでございます。  それによって国と地方の財政秩序をはっきりさせなければならないわけでございますが、今後国と地方との機能分担のあり方をいろいろと検討していくことになると思いますが、そういう中で、たとえば地方の事務としてすでに定着同化しておるといったようなたぐいのものは地方の方へ移していくということによって行政の簡素合理化も図られるということにもなるわけでございますので、その性格に応じてきちっと区分けをしていく、そして行政整理をしていくということが必要であろうと考えております。
  29. 志苫裕

    志苫裕君 これ、農林省にこの間聞いたけれども、自分もようわからぬと言っていますけれども、たとえば普及事業というのがありますよね。農業改良普及はこれは負担金なんですね。林業改良普及は補助金なんですね。水産改良普及は予算補助なんですね。林業は法律補助ですからね。同じ普及事業というのに負担金、法律補助、それから予算補助というふうに三つになっているんですよ。これは一体どこに違いがあるんだろう、みんな普及事業だ、国から金が来るものだと、こういうふうに思っていますが、これはやっぱり違っているんですね。こういうのはやっぱり問題になる。  皆さんはこれは人のことだから関係ないと言うかもしれませんけれども、たとえば建設省の海岸法を読むと、これこれを「負担するものとする。」と、こう書くんですね。「負担するものとする」だから、これは負担しなけりゃならぬ。公営住宅法へいくと、「補助しなければならない。」と、こうなるんですね。公園法へいくと、「補助することができる。」と、こうなるんですね。これはやっぱり違っているわけでしょう。この三つとも地方財政の方では同じ枠で扱うわけですね。自分はこれは向こうの補助金、負担金だと思っていても、実は、やっておる方は、おれが出そうと出すまいと勝手なんだというふうな判断基準を持っておる。  たとえば文部省を見ましても、へき地教育振興法は「補助する。」と書いてあるんですよ。定時制教育及び通信教育振興法は、「補助することができる。」と、こうなっているんですね。義務教育諸学校施設費国庫負担法は「負担する。」と、こう書いてある。予算の中では全部補助金に入るというふうに、非常に扱い方がまちまちだということは、乱暴なことを言えば、補助金の全廃、それが自治の機能というものを保全する上で非常に重要な意味を持つ。補助金交付にまつわるさまざまな弊害を除去するためにも重要な課題だと、われわれはこう主張するんですが、臨調でも恐らくその辺の議論がされていくでしょう、そうなった場合にやはり重要な問題になる、こう思うんですが、皆さんの方で、この辺を一度整理をしてみる作業をしますか。
  30. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) きわめて膨大な補助でございますので、私どもも、関係省庁にわたるものを全部見直して、いまおっしゃったような趣旨で整理をし直すということはいままでしていないわけでございますが、先ほども申し上げましたように、地方財政法上の各規定によってきちっと分けられておりますから、そういった性格に応じて私どもとしては主張するものは主張するということで、その性格に応じた対応の仕方を今日までしてきたわけでございます。しかしながら、いまおっしゃいますように、そういったものが不明確であるがゆえに事柄自体が不明確になってしまうということがあるとしますれば、やはり見直しの必要はあると思っております。  ただ、どのような形でやりますか、まさに関係省庁全部絡んだ問題であり、また、国庫当局自体がいろいろと関係省庁と相談をしてやっておられるものでございますから、かくかくしかじかの方法でどうということはございませんけれども、私どもとしてはその名称が紛らわしいことによって事柄自体が紛らわしくなるようなものについては今後とも十分国庫当局とも相談をしながら整理をしていきたいと思っておるわけでございます。  同時に、基本的には国と地方との機能分担のあり方を見直す中で、やはり国庫補助金そのものは整理合理化がどうしても必要であり、地方の自主性、自律性を高める意味で避けられない問題だと思っておりますので、今後の臨調議論の過程でどういうふうに浮かび上がってくるかわかりませんが、そういった基本的な問題も含めながら補助金全体についての合理化の検討を進めたいと思っております。
  31. 志苫裕

    志苫裕君 これはささやかなことですけれども、私は国と地方関係が非常に平等でないなと思うことにぶつかりますのは、負担金というのは、一つ仕事に対して、双方が平等の責任持って持ち合うものでしょう。ところがどうですか、直轄負担金、直轄負担金というのは地方が持つんですけれども、これはごく簡単なものですよ。幾ら幾ら納めましたと、中身のことはどうでもいい、金をほいと納めれば直轄負担金の手続終わりですよ。ところが、国が地方に対して負担をするものを見てください。これは恐ろしくややこしい手続や書類を膨大なものを準備してお金を受け取るんですよ。地方が負担する場合には幾ら幾らとただ持っていけば済むことが、地方が国から負担金を受け取る場合にはべらぼうな手続をしなきゃならない。こんな不平等な関係なんか私はないと思うんだな。たとえばこういうことなどを見ても、国と地方関係で見直さなきゃならぬ手続の不平等、不公平、むだというふうなものがずいぶん多いわけですね。  ですから私は、瑣末な問題でありますけれども、いずれ先ほど述べたような趣旨で補助と負担を厳然と区別をして、機能分担とか責任分担とか言うのでありますから、そういうお金の問題についても、当然のことながら負担関係を明確にした上で、そこで残るいわゆる補助金というものについては全廃をして、財源地方に移しかえるという作業をやがてはやらなきゃならなくなるだろう。そういう作業なり試算を自治省はやってみたことがありますか。
  32. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 私どもとしては、補助金を整理をして地方一般財源に振りかえるということについては、ただいまおっしゃいましたような意見と基本的に同様でございます。ただ、一方では、国として一定の施策を実現するための政策的な手段であるという補助金の意義を全く否定してしまうというわけにはまいりませんので、私どもとしては、地方制度調査会でも答申されておりますとおり、地方団体の事務として定着同化しておるもの、たとえば職員設置費に係るようなもの、あるいは補助金額が非常に零細なもの、そういったものについては整理をしたり一般財源振替の対象とすべきだというふうに考えておるわけでございます。  それらの点について具体的に調査をしたことがあるかと、検討したことがあるかということでございますが、振替額等について私どもが厳密に具体的に検討したということはございません。ただ、地方制度調査会の答申もございましたので、参考として職員設置費に係る補助金額はどうなっておるかというようなことなどは具体的に取り上げて検討したものはございます。全般についてそこまで詰めたものはございません。
  33. 志苫裕

    志苫裕君 改めていまの問題、そういう試算はないそうですが、私が言ったいまの補助金等と言っておるものは区分けがめちゃめちゃですから、これ少し交通整理をしまして、その上で残った補助金についての原則的な廃止ということをするだけでも、間接経費の節約はもちろん、そういう経済効果はもちろんのこと、自主権がずいぶん向上すると思って提起をしてみたんですが、弊害は何でしょう。そうやった場合に弊害というものは何が考えられますか。
  34. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) いまも申し上げましたように、国として一定の施策を実現するための政策手段であるという補助金の性格に照らして、何でもやめてしまうというわけにはいかない、そういった意味で、ただ単にやめればいいということにはおのずから限度がある、そういうことが一つあろうかと存じます。それ以外に、ただいま申し上げましたように、地方団体の事務として同化定春をしたものとか、零細なものとかというものを整理することは、むしろ利があって、それほどの害はないと私は考えております。
  35. 志苫裕

    志苫裕君 そう言うだろうと思います。  私は、これでこの問題をおしまいにしますけれども、確かにいろいろあるんでしょう。あるんでしょうけれども、実は、補助金の仕組みというのは、そういう銭金の問題は別として、地方の自主性とか自律性とかというものをいかに妨げておるか。わかりやすく言えば、地方のぶら下がり根性といいますか、これをいかに醸成をしておるか。ついでに言えば、われわれみたいなのがおりまして、中央の利益をどんどんと田舎へ運ぶような政治家がふえてくるんでしょうが、そういうふうなものがどうも政治のあり方を逆立ちをさせるというようなことを考えますと、負担関係は負担関係できちっとする。補助金関係は、まあやむを得ぬものは別にしましても、やっぱり整理をするということに、これはいつも言われておることですけれども、臨調なら臨調という契機があるときにそれに現実味を持たせませんと事は動かぬわけでありますから、その点大臣、どう思いますか。
  36. 世耕政隆

    国務大臣世耕政隆君) お答えいたします。  私は、さっきから御指摘になっていた負担金、これは大ざっぱに俗な言い方しますと、国と地方との割り勘金である、それから補助金の方は、これは誘い水である、そういうふうな性格を持っているものというふうに解釈をしております。  最初の出発はそうだったんですが、私なんかも、ときどき補助金の一覧表を見ても、何が何だかわからないものがかなりあるわけでございますが、こういうものはやはり今後なるたけ整理をいたしまして、余り国がいろいろおちょっかい出していくよりは、整理した上で、だんだん地方の方へ次第にお任せしていくような方向に持っていく方が私はいいのではないかというふうに考えておるところでございます。
  37. 志苫裕

    志苫裕君 五十七年度の地方財政の収支については、いずれまた一般質問もあるだろうし、交付税法等の審議もありますからきょうは時間を割きませんが、これは、私は私なりの計算をするわけでありますけれども、結論だけ申し上げますと、自治省はどうもむりやり収支を均衡させて、その上国にお金まで貸して裕福論の根拠を与えておるように思えてならぬのですが、私は、収支見積り、すなわち計画を見ますと、やっぱり地方税収の落ち込みは二千五百億から三千億くらいにいくのではないか。それから、国庫支出金がそんなに来ないのに来るように過大に見ている部分が四、五百億ぐらいあるのではないか。歳出の方にいきますと、一般行政経費をいろいろと組んでありますが、積み上げではないわけでありますから、実際としては一千億近くやっぱりふくらむのではないか。それから、投資補助をいろいろ組んでありますが、実際問題としてその投資補助だけでは決まりがつかないんで、それに伴うつけ足し分というのはいまの見込みよりも三、四百億くらいふえるんじゃないかなと、こんな感じがいたします。それは交付税審議のときに詰めたいと思います。そうしますとどうも四、五千億ぐらい足りない。そうなっちゃ困るからというので切り詰める。こういうことになると、縮小で均衡をいたします。この縮小均衡というのはまた、周りのオオカミたちによるところの交付税切り詰めの足場にされる。こういう悪循環で細っていくと、こういう心配がされてならぬのですが、きょうは、反論があればそれだけ伺って、この問題は終わって、次に行きます。
  38. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 地方財政が五十七年度におきましては単年度として収支が均衡するという見込みになっておるわけでございますが、これとても単純になったわけではございませんで、やはり地方交付税におけも特例措置、特別に加算したということや、それから交付税特別会計借入金の償還の繰り延べ措置を五十八年度までやっておるということがございます。そういったことによって均衡がとれたわけでございますが、私どもとしては、こういった計画を立てます際は、歳入歳出各項目について、その段階において最も適切と思われる方法で、いろいろと資料を基礎にいたしまして、詰めたわけでございます。  一々申し上げませんが、歳入面におきましては、地方税とか、交付税歳入について、政府の経済見通し等を基礎としていろいろな積み上げ方式等も取り入れながら適切と考えられる手法で算定を行っておるわけでございます。また、国庫支出金についても、いまちょっとお話がございましたが、これは大蔵当局とかなり具体的に全部詰めてやっておるわけでございますから、その点間違いはないと私の方は考えておるわけでございます。  歳出面におきましても、国と同様に抑制基調に立ってはおりますけれども、必要な地方単独事業費等についてはかなりな伸長を見ておるわけでございます。そのほかに、たとえば新しい制度として老人医療給付費等が増加してまいりますので、それについても必要なものは見込んでおるということで、私どもとしては意図的に数字を操作したつもりはございませんし、かなり厳密にこれは積み上げてきたつもりでございます。  ただ、結果として国に貸したというようなお話でございましたが、五十七年度としては、利差臨時なりあるいは利子配当所得について源泉分離を選択しておるものについて必要なものは私どもとしてはいただくという立場は貫いたわけでございますから、そういったものを、国が直接一般会計から財政が厳しくて出せないので、将来国が返すという前提のもとに借り入れで借りて、その一部はやはり交付税を積み上げたというようなことでございまして、いろいろなやりくりをしておるわけでございます。  したがって、きわめて安易に地方財政が均衡したということでは毛頭ないわけでございますし、一々申し上げませんが、さらに五十兆にもなんなんとする大きな借入金もあるわけでございますから、富裕論をもとにいろいろと議論がされるということは、私どもとしてはどうも理解が十分でないことだと思っております。  臨調等においても、かなりな時間をかけて地方財政の仕組みとかそういった状況等を先日来お話しもしておるところでございまして、国に比べて借金の累積がやや少ないじゃないかといったような単純なことではなくて、もう少し地方財政の本質というものを十分理解してもらいたいと思っております。  地方財政計画についてのいろいろ御意見がございましたけれども、私どもとしては最善であると思われる手法で積算をしたつもりでございます。
  39. 志苫裕

    志苫裕君 きょうは、これは本論でありませんから……。  まあむずかしいことをして収支均衡になっておるんですが、それ、皆さん積み上げをしたと言うんでしょう。結果はごく簡単なんですよ。去年来三千億持てと言われたのが三千億合うようになっているだけなんですから。ごく簡単な話なんだ、これは。繰り延べしたり、やったりしてですね。三千億という数字は、去年、国民健康保険や何かのときに三千億持てと言われて、それをあれこれあれこれ理屈つけて三千億持っただけの話でね、そうめんどうなことじゃないんだ、これは。でありますから、私はその積み上げというのについては、まあ皆さんがやるんですからちゃんと積み上がっているでしょう。しかし、結論から言えば、別に積み上げぬでもこうなるわけよ、これは。だから、その積み上げ論議はいずれまたこの次にさしてもらいます。  自治省関係一つ二つ聞きますが、大阪箕面市の忠魂碑訴訟の判決で、地方自治体の宗教的行事への関与が改めて告発の対象になるということになったわけでありますが、自治省はどう対応しますか。
  40. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) どういうふうにお答えをすれば一番よろしいのかと思っておりますが、今回の大阪地裁の判決というのは、御案内のとおり忠魂碑に係ります公金支出についての憲法違反という判決でございました。  私たちが考えますに、政教分離の問題というのは、自治省だけでなかなか解決できる問題ではございません。御承知のとおり、いろんな関係の省庁がございますから、そういうところで協議をしなきゃならぬ問題だと思っておりますが、当面この問題は、大阪地裁の判決もございますし、市長自身が控訴をするというふうに聞いておりますので、この席で自治省の考え方を述べるのは差し控えたいと存じます。
  41. 志苫裕

    志苫裕君 これはどこか新聞の記事で、中島課長、それから局長の談話もあったんじゃないかな。これはいまのところ下級審の判決だから、上級審の判断を尊重していくんだと。言いかえれば、いままでどおりその辺でお経をあげたり、お花なんか贈ったりするということでしょう。それは私としては納得ができない。  なるほど最終的には宗教と自治体とのかかわりの問題ではありますけれども、やっぱりこの問題を考える場合には、神道と軍国主義が癒着して過去の歴史で何をしたかというそこの判断が一つ入らなければ私はいかぬと思うんですよ。もちろん単なるメモリアルとしての石碑とか、そういう的なものであればまた別ですけれども、市がこれにかかわってくる対応の仕方が問われておるわけですから、忠魂碑がそこにあるということ自身だけでないんでして、それに市の行政がどうかかわるかということをこの際は一応問題にしておるわけでありますから、そこに石があることをどうのこうのということよりも、地方自治体の関与の仕方というものについては、これはやっぱりこの機会に考えるべき、あるいはとりやめる、検討すべき、こういう問題だというふうに私は思います。  自由民主党の方でもいろいろと反論が出て、この判決は人間自然の普遍的情感というようなもの、あるいは精神的、文化的、伝統的精神構造に無理解だというようなことを言っておりますけれども、靖国の思想、それからみたまを鎮めるという思想は、自然の情感じゃないんですよ、これは。やっぱり神道と軍国主義が癒着をしまして、国民に天皇崇拝と軍国主義というものを普及させるための一種のプロパガンダといいますか、そういう思想が醸成されてきたという歴史を持っておるんですから、これは自然の情感ととらえるのには余りにも大ざっぱ過ぎるというふうに思う。昔から道祖神があって、そこの前を通るときに何となく会釈をするという、そういう自然の情感とはわけが違うというふうに私は思う。  でありますから、判決ではそれらの類似の施設や葬祭行事に係ることを宗教的性格を持っておるととらえたわけでしょうけれども、これは自治省は、いままでどおりどんどんお布施を持っていったり、行事をやってくださいと言うんですか。新しいものが出たら新しいものに対応しなきゃだめですよ。その点どうですか。
  42. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) ただいま申し上げましたように、いろんな問題点があるだろうとは思います。しかし、やはり先ほど申し上げましたように、事故教分離と申しますか、宗教と申しますか、そういうものに係る問題としての訴訟でありましたから、どうも自治省がそういう問題について何がそうなのかということを申し上げるには、私たちは不勉強でございまして、なかなかよくわからないところもございます。  そういう意味で、箕面の市長がただいま控訴をしているということでもございますし、こういうところでわれわれの考え方を述べるというのはいかがかと思いますので、見解は差し控えさしていただきたいと思っております。
  43. 志苫裕

    志苫裕君 これ以上動かぬでしょう。自民党がそれだけ並んでおると、よけいなこと言ったんじゃ後また大変だろうから。押し問答してもしょうがないから、主張だけは明らかにしておきます。  大臣、談合ですけれども、私もいささか執念を持ってこの談合問題に取り組んでおるんですが、ただ、今日政治の問題になっておるということはもう言うまでもないんですけれども、自治体においてもこれは言えることなんですね。後ほども聞きますけれども、警察のお世話になっておるような不祥事件というのは、これはほとんどと言っていいほど自治体なりその辺を舞台にしているわけですから、自治体はあさってみたいな顔しておれぬですよ、談合問題について。発注当局は、金額の多寡のことは別にしまして、発注件数ということになりますと自治体が圧倒的に多いわけです。そういうことを考えますと、それは建設行政のことでというふうに言っておれない。自治体のありようそのものまで場合によるとこの問題で巻き込まれてしまうでありますから、自治省も何か対応をなさったらいかがですか。
  44. 砂子田隆

    政府委員砂子田隆君) お話しがございましたように、契約の事務というのは公共団体にとりまして大変重要な仕事でございます。そういうことから考えまして、その経過なり結果というものについて国民から疑惑を持たれる、住民からその非が指弾をされるというふうなことは、私は大変重要な問題だと思っております。そういう意味では、この問題について拱手傍観をしておるというわけではございませんで、この問題に何らかの対応をしなければならぬというのはそのとおりだと思っております。  実は、こういうことがいろいろ新聞紙上に出ましたことしの初めの総務部長会議でも、そういう談合事件というものがあって住民の指弾を受けているということがもしあるとすれば、それは地方自治に対する一つの不信の問題が起きてくる、そういうことがないように重々戒めてやってくれということを私から申し上げでございます。  ただ、今後どういうやり方が望ましいのかということになりますと、たまたま御案内のとおり建設省の中建審と申しますか、中央建設審議会でいろいろこの問題をやっておりましたので、その経過を見ながら、必要であれば公共団体の方に指導をしていかなきゃならぬだろうとは思っております。ただいま出ております中建審の建議等の中身に、指名業者の数をふやすとか、名前を公表するとか、あるいは入札の経過なり結果というものを公表していく、そういうことをやったらどうだということはございますので、私たちもそういう意味で契約の善用方を図っていかなければならぬものだと思っております。  いずれにいたしましても、やはり、公共団体の契約が公正でしかも信用を確保されるように運営していくべきように指導をしていきたいと思っております。
  45. 志苫裕

    志苫裕君 せっかくですから、どうですか、五月に交付税法など上がりますと財政運営通達というのを出しますわな。そういう中に改めて一項盛ったらどうですか。
  46. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 実は、ただいま行政局長からお答えいたしました問題、大変私どもとしても関心を持っておりまして、実はこの五十七年度におきます地方財政計画等について全国に通知をいたします際に、財政課長内節というかっこうでございますけれども、かなり具体的にいろいろなものを通知しておりますが、その中でも特に、「契約事務の執行の適正化」ということで、「公共工事の契約に関連して談合等の問題が生じていることにかんがみ、地方団体にあっては、予算における適正な事業費の計上、契約事務の処理の厳正な執行等に一層留意し、いやしくも地方行政に対する住民の信頼を損うことのないようにすべきである。」ということで、よく注意は私どもの方からもしております。  なお、いま御指摘のございました今後の事務次官通達なりいろいろな際に、この取り扱いについてももう一回よく検討してみたいと存じます。
  47. 志苫裕

    志苫裕君 内簡等でそんな指導をなさっておるのは結構ですが、やっぱり重みを考えて次官通達等に盛り込むように、これ大臣に強く要望したい。次官通達を出すのに大臣に聞くのもあれだが、大臣のやっぱり意向が出た方がいいですよ。どうですか。
  48. 世耕政隆

    国務大臣世耕政隆君) やはりこの談合の事件、いろいろ聞きますと自治体関係のあるものが非常にあるんですが、実際これの一番主になって扱っているのはやはり建設省ではございますが、われわれの方も、これは自治体の信用度の問題に関係してきますので黙っているわけにはまいりませんので、それなりの自治省らしい通達を出すべきであると考えております。
  49. 志苫裕

    志苫裕君 自治省らしい通達を期待しましょう。  警察庁、さっきちょっと自治体のその種の不祥事件は談合にかかわるものが多いということを指摘しましたが、何か報告できるデータございますか。
  50. 中平和水

    政府委員(中平和水君) まず、地方自治体に係る汚職の問題——汚職の中身は、例の予定価額を漏らしたり、あるいは指名参加業者に便宜を加えたり、あるいは工事の施行監督についての便宜の強要をしたり、そういうケースが公共工事をめぐる汚職の内容でございます。  そういう観点から、昨年のまず数字で申し上げますと、昨年一年間に全国の警察がそうした意味での汚職で六百六十八人を一応検挙いたしておりますが、そのうち二百二十二名は収賄側の公務員でございます。事件の数は百十二の事件を検挙いたしておると、こういうことになっておりますが、さらにその中で地方自治体の職員に係る汚職事件というのは百十二件のうち八十八件を占めております。収賄の公務員の数は百八十七名でございます。その八十八件の地方自治体の汚職の中で、公共工事をめぐる汚職は六十二件ございます。ちょっと人数は出ませんが、六十二の事件が公共工事の発注をめぐる汚職ということになっておりまして、その内容はただいま申し上げましたような談合と非常に密接なかかわり合いのある贈収賄事件ということになっております。  それから、なお談合それ自体の問題といたしましては、ことしに入りまして福岡県で二件、福岡市の問題と大分の医科大学に関連する問題、それから徳島県で、徳島市の発注に係る小学校の工事の増改築をめぐる問題、同じく愛媛県で、厨房工事の設備等をめぐる問題で、これは談合罪として検挙、摘発をいたしておりまして、そのうちの二件は談合罪からさらに汚職に発展をしておると、こういう次第になっております。
  51. 志苫裕

    志苫裕君 それで警察庁、遠慮なしに言いますと、談合それ自体を問題にした、警察当局の問題意識をそこにしぼった、ねらいをそこへ定めたというのはどうもことしに入ってからのようであって、検挙件数がないから談合がなかったわけじゃないんで、談合の親方どもに言わせると百年やっておったと、こう言うんですからね。そうすると、警察は百年何をしておったのかと、こうなるわけでして、およそこれは問題にならぬ話ですが、まあしかし、立ち小便と同じことで、小便しておったからみんないつでも押さえるというわけでもない。やっぱりそれが問題にされる時代の環境なり背景というものと警察の行動とは無縁じゃありませんから、いままでは余り問題にしなかったのかもしれない。そういう意味で、今日的な警察当局の対応というものについてまず伺いたいんですが、いかがですか。
  52. 中平和水

    政府委員(中平和水君) かねがね申し上げておりますように、私ども、刑罰権の適正な行使を通じて、結果として公共工事の公正な執行に寄与してまいると、こういう立場でございます。したがいまして、今回の談合の問題についても、そういう立場から取り組んでまいっておるわけでございますが、まず、これは発注者側と受注者側の双方について科罰できるのは、これは贈収賄でございます。ただ、贈収賄の中身をなすものにつきましては、まことにこれは談合とも大変密接な関連のあるケースでございますし、これが公共工事の公正な執行を阻害していること、これまた間違いないわけでございまして、贈収賄につきましては従来同様厳正に対処してまいる、こういう方針で臨むわけでございます。  さらに、昨今問題になっておりますように、談合が行政の公正な執行を害し、さらには行政費の増高をもたらしておると、そういう観点から社会問題、あるいは政治の問題になってくると、こういうことにつきましては、私ども十分に国会の御論議等も踏まえて、この談合罪につきましても警察は積極的に取り組むべきであると、そういう形で、すでに談合の問題は昨年の秋以来問題になっているわけでございますから、昨年の秋の全国の警察本部長会議あるいは直接そうした捜査の衝に当たる全国の捜査課長の諸君、あるいはことしの一月には管区の局長の諸君にお集まりを願って、私どもの当面の重点について説明をしたわけでございますが、その中でも談合の問題について警察は積極的に取り組み、悪質で証拠の明白な談合については積極的に検挙すべしと、こういう方針をすでに出して、そういう指示に従って、先般来国会で御論議になっておる諸問題につきましては警察なりの対応をいたしておると、こういうことでございます。  ただ、申し上げておきたいことは、談合罪はこれは昭和十六年の立法の経過も先生御承知だと思いますが、当時、談合一般を処罰することはこれは余りにも行き過ぎである、したがって、これは目的罪として範囲をしぼるべきであると。構成要件で申し上げますと、何回か申し上げたわけでございますが、「公正ナル価格ヲ書シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的ヲ以テ」なした談合を一応刑罰の対象とすると、そういうことになっておるわけでございます。したがいまして、まず、立証上の問題といたしましては、公正な自由競争が行われたならば形成された価格は一体幾らであったか、それをことさらにゆがめてといいますか、それよりもより高い価格でお互いに話し合って入札の予定価格を決めたとか、あるいは社会通念上許しがたいような違法な金が談合をめぐって動いたとか、そういうふうな事実につきまして関係者からくまなく証拠を集めまして初めてこの事件は談合罪として立件処理できるわけでございます。  先般、徳島県警のは起訴をいたしておるわけでございますが、これまた先生の前の御質問と関連しますから申し上げたいと思いますが、例の牛久の裏ジョイントの問題がございましたが、私ども、徳島県警の事件を、裏ジョイント自体をとらえて起訴したわけではございませんので、あの中にはそのような公正な価格を害する具体的な関係者の行為が証拠上得られた、あるいはそれに関連して相当の金が動いておる、そういう事実を踏まえて現在起訴をしておると、こういうことでございます。  今後とも、悪質で証拠の明白な談合罪につきましては、積極的に取り組んでまいるつもりでございます。
  53. 志苫裕

    志苫裕君 談合罪にも下級審の判断、上級審の判断、いろいろあるものですから、下級審の判断を見て都合よく、いい談合と悪い談合あるんだ、談合罪は目的犯なんだから目的がよければ何でもいいんだと、こういう誤った解釈で、あるいはまた実際にそれに携わる警察当局でも、いままで余り吸わぬものですから、場所によってそれはやっぱりウエートの置き方がいささか理解もまちまちということに、私は歩いてよくぶつかります。ある県警本部長の言う話と、またある県の県警本部長の話では少しずつずれが出たり、これは仰せいままで見過ごしてきたことから来ることだと思うんです。  私は、例をとれば、いまちょっと裏ジョイントの話が出ましたけれども、不正なる利得の目的というのは、公正な価格を害する目的とは異なったものですから、不正な利得を考えない裏ジョイントというのは僕はないと思う。表でやればいいんであって、ジョイント方式もちゃんとあるんですからね。ということを考えると、たとえば裏ジョイントというのはあちこちにあるようですが、通常の利得ではない、やっぱり不正常の、不正の利得を得る目的というふうに見ていいと思うんです、率直に言って。でなけりゃ裏でこそこそやることはないのでありましてね。こういうことなどを考えていきますと、善意に考えれば、今まで少し皆さんも、談合よりももっと悪い贈収賄をつかまえておれば間接的に談合をつかまえたようなものだと。しかし、談合というのは大体秘密でやるものですから、気がついたときには時効と、こうなる可能性も率直に言って強い。しかし、皆さんのところぐらいな網の目を持っていれば情報なんかありますよ。私らには聞かせない聞かせないってみんなが周りでそう思っているんだが聞こえてくるんだからね。それはあなたわかります、その気になれば。  ですから、これは従来の皆さんの重点の置きどころは置きどころとしても、今日こういう政治問題、社会問題にさえなっておるということについて、いま局長御答弁もありましたが、特に大津判決をなさった当時の裁判長がこんな談話を出しているのを私は読んだんですが、どうもあの判決を口実にして談合がはびこるとは思いもよらなかったと、こう言っておるのですね。そして、警察や検察はそのときどきの社会のためにあるんだから、社会情勢の異なる時代の判決に拘束をされずに、やっぱりどしどしやったらいいだろうと、判決を下した人がそう言っているんですからね。この判決を後生大事に、談合にはいいものと悪いものとがあると言われて私は困っているんですけれどもね。そういうことも念のために付言をして一層びしびし、政治のレベルでの課題は政治家の責任ですが、現行の法に基づく対応は皆さんの責任ですから、これはひとつ強く要望しておきます。  最後に局長、最近の連続放火というのは、これは一体どういうことですかね。毎日出ているでしょう。何してるの、あなたのところは、一体。これはひどいよ。この間はずいぶん犠牲者も出たしね。ちょっと時間もなくなったけれども、実態と捜査状況を、差し支えのある、犯人に聞こえて裏かかれるような話は困るけれども、これみんな真剣に心配しているんですからね。
  54. 中平和水

    政府委員(中平和水君) まず、この放火というものに対して、警察はどの程度検挙しているかということを申し上げて御理解いただきたいと思うんですが、昨年は全体で九一・六%検挙をいたしております。つまり、放火罪の大半は警察は検挙しているという実績を持っているということをまず御理解をお願いをいたしたいと思います。  それから、最近、御案内のように、東京都内を中心に各地で連続放火が起こってまいっておるわけでございます。いま警視庁はそれぞれに捜査本部を設置いたしまして、何といってもこれは社会不安が非常に大きいわけでございますから、犯人の早期検挙を目指しまして、いろいろな一つの要撃捜査と申しますか、犯行の行われそうな地帯に張り込み等をして待ち伏せしてつかまえる、あるいはこうした放火の前歴のある者、やや変質的な人間、そうした者につきましていろいろと情報の収集をやる。放火事件につきましては、これは残念ながら皆燃えてしまうわけでございますから、なかなか証拠が得がたいわけでございますが、ぼやなんかの場合には足跡が残ったり、犯行に使った放火の用具の一部が残っておったり、そういうこともあるわけでございますから、そうしたものを中心に捜査を進めておると、こういう段階であるわけでございます。  放火の犯人というのは、私どもの過去の検挙した例から申し上げますと、まず、昨年の例で申し上げますと、いわゆる愉快犯と申しますか、世間が騒ぐとおもしろいと、こういうふうなことでやるのが、去年の統計で言いますと約一四%ぐらい。それからやはりねらったところに恨みを持ってやる、これが約二三%。それからやや精神に障害のある、検挙後精神鑑定等をやりますと精神障害が出てくる者が、昨年の例で言うと約一四%。こういうのがいわゆる放火犯人の普通の姿である生けでございます。  今回の一連の放火事件の中には、最近は屋外にごみを置いたり、ダンボールを置いたり、いろいろな燃えやすいものを屋外にかなり置いておる、それに火がつけられる、こういうケースもあるわけでございまして、したがいまして、まず犯罪予防のためにそうしたものを屋外に置かないようにしてもらうとか、それから消防当局とも連絡をとりまして、消防当局なりの、やはりこれは自衛組織、自警の組織をやってもらうとか、そういうものと両々相まって犯罪を防止しつつ検挙したいと、こういうことで全力を挙げてやっておる、そういうことでひとつ御理解を得て何とか検挙いたしたいと、このように考えております。
  55. 志苫裕

    志苫裕君 何か流行みたいな——恨みを持ったやつもそう多くはないと思うんだが、まことに愉快でやられても困るわけでありますし、たとえば放火というものが、ある社会的な背景を持って非常に累増する時期と、絶えて久しい時期というようなものがあるものですか、統計的には。どうなんですか。
  56. 中平和水

    政府委員(中平和水君) 全国的な年次統計で申し上げますと、やっぱり三、四、五月、要するにそうした春先でございますね、これと年末、これが統計的に申し上げますと放火事件というのが全国的に多発する時期でございます。  それから、先ほど申し上げましたように、一種の、何といいますか、世間が騒ぐとおもしろいというような、そういうのが放火の中にかなりおるわけでございまして、テレビに出たり新聞に出たり、いろいろ社会的にかなり大きく騒ぎになると、よしおれもやってやろうというような似た動機を持ったやつがまた犯行を繰り返すと、そういうことがあるわけでございます。いずれにせよこれは検挙という事実を示さないとなかなか放火の根は断てない、そういうことでございまして、その辺からの努力をさらにしたいと、このように考えております。
  57. 志苫裕

    志苫裕君 終ります。
  58. 名尾良孝

    ○名尾良孝君 私は、地方財政計画と、それを受けて明年度の行財政を運営していくために予算編成を終わった三千三百の地方公共団体の対応、それについてまずお伺いしておきたいと思います。  今度の地方財政計画は、いままでになく地域経済の安定的な発展に資するために必要な地方単独事業費の規模の確保に配意した、要するに地方にぜひ地方単独事業を興してもらいたいということで地方財政計画を策定されたわけでありますが、それをどのようにしてこの地方財政計画を策定するまでに、あるいは策定してから、この三千三百団体にどのようにしてその趣旨を周知徹底されたか、その点をまずお伺いしたい。
  59. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) ただいま御指摘のございましたように、私どもとしては、昭和五十七年度の地方財政計画におきましては、社会資本の整備地域経済の安定的な発展を図るといった見地から単独事業を八・五%伸ばしておるわけでございますが、問題は、いまおっしゃいましたように、全体としてそれだけの計画に組んだ以上どうして実効あらしめるかということになるわけでございまして、私ども、例年地方財政計画ができますと、それを周知徹底させるために全国総務部長会議なりあるいは財政・地方課長会議なりを開きまして、よくその趣旨を説明しておるわけでございますが、今回も、その点についてはかなり詳細に私どもの意見というものを伝えまして、せっかく計画に盛り込んだものでございますから、また、社会的な必要性もあるわけでございますから、実行するようにお願いをしたわけでございます。  特に、御承知のように明年度においてはかなり一般財源のシェアというものも増加してきておりますし、また、地方債計画におきましても、一般単独事業は相当な伸びを見ております。その中の特に一般事業は二二・八%の伸びを確保いたしまして、地方団体のもろもろの要請にこたえられるようにというふうにいたしております。  そういったこと等を通じまして、地方団体が実際に仕事ができるように応援をしていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  60. 名尾良孝

    ○名尾良孝君 これは全国の都道府県だけの予算がどういうふうになっているかということに対する新聞記事なんですが、超緊縮型の予算だと、地域経済の浮揚には必死になっている、しかし単独事業については六・四%の増だと、こういうふうに言っているわけですね。もちろんこの中には三つの県が骨格予算だけを組んでおります。しかしそれは大した影響はないと思うんです。  そこで、お伺いしたいのは、結局景気の浮揚というのは、いままではどうも主に公共事業公共事業ということが言われておった。それをいままでの統計で見ますと、これは五十二年から昨年までなんですけれども——普通建設事業に限って申し上げます、これが一番景気浮揚に影響を及ぼす事業でありますから。大体公共事業、補助事業といいますか、それと単独事業とがフィフティー・フィフティーだったんです、大体五十六年までは。たとえば五十三年度が公共が六兆八千億、単独がこれは多少少なくて五兆八千億。五十四年度が七兆六千億に六兆七千億。五十五年度が七兆六千億に七兆二千億、そして五十六年度に来て、七兆六千億と一方において単独の方は七兆八千億になっている。五十七年度に至って七兆四千億に八兆五千億というふうに急激にこの比率が上がってきておるわけなんです。  ところが、この地方財政計画に実際に地方団体がどの程度到達しているのか。それを見ると、公共の方は五十三年度で六%実際には計画より実施している。六千二百億よけいにやっている。ところが単独の方は一兆三千八百四十五億、これだけ到達してない。これが二三・六%。これはもちろんこの五十三年度は繰り越しとかなんとかいろいろなものがあるので、調整をした額です。それから五十四年度は単独が二六%減の一兆七千億、四捨五入すれば一兆八千億、そのくせ公共事業の方は四千八百五十六億多くやっている。プラス六%よけいやっている。五十五年度は、これは調整していない額ですから概算ということになるでしょう、公共の方が計画額よりも一兆二百億よけいやっている。そして単独の方は計画よりも一兆九千億少なくて二六%減になっている。五十六年度分については、まだ決算が出ておりませんからわかりません。  このいままでの経過を見て、果たして八兆五千億という膨大な単独事業を一体どこまで消化できるんだろうか、これをわれわれ非常に心配しておるわけです。  わが党としては、地方財政計画については政府の計画に対して賛意を表し、そして国会の方にも報告するようにしてもらいました。しかし、われわれが心配しているのは、今度は地方団体がそれだけの責任を負ってこれだけの計画を一体やってくれるんだろうか、また、やってもらわなきゃならぬということになるわけなんですが、それに対して自治省としてはどういうお考えを持っておるか、それをひとつお聞きしたい。
  61. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) ただいま数字をもってお示しいただいたわけでございますが、地方単独事業については、地方財政計画と決算との間に乖離が生じていることは事実でございます。  どうしてこういう状況になったかということでございますが、私どもとしては、一つには、決算上いわゆる継ぎ足し単独、公共事業と一緒になってやろうということで継ぎ足して単独事業をやっておる場合、それが補助事業としてかなりなものが取り扱われておる、こういった統計処理上の問題が一つございます。また、五十四年度までの各年度におきましては、御承知のように、景気浮揚の政策的な配慮もございまして、引き続いて公共事業の伸びが高かったということのために、公共事業の方が優先消化をされたということも事情としてございましたし、また、一般地方団体においては大体計画に見合った事業量が確保されたのでございますが、きわめて財政規模が大きい東京都とか大阪府等の一部の団体で、財政事情が厳しいということから単独事業の伸びを抑制したというようなことがございました。こういったいろいろな要因からそういうことになってきておるわけでございまして、継ぎ足し単独がほとんど全部だとは申しませんけれども、こういったこと等がございまして乖離を生じておるわけでございます。  私どもとしては、どうしてもいまの状況から見て引き続いて公共事業の伸びが悪いわけでございますし、一方では景気浮揚の必要もあるということでございますので、先ほど申し上げましたように、社会資本の整備ということも当然のことながら、地域経済の発展を図るという見地からも単独事業を伸ばしたいということでございまして、五十七年度の財政計画の説明の際は、実はかなりここを重点的に地方団体にも話をしたわけでございます。  地方団体もその点は重々承知をしておりまして、各地方団体の予算の状況を見ますと、昨年に比べて相当大幅に伸びを見ておるところもございます。しかし、それほどでもないところもございまして、全体としては地方財政計画で見たものよりもやや低い感じでございます。ただ、御承知のように骨格で、暫定予算で組んでおるところもございますし、また、地方団体の場合は、いわゆる九月補正というところでかなり大きく事業を組むということもございますので、いろいろな税収の状況等も見ながら、そういった対応が将来出てくると思いますので、当初予算のみでは私どもはわからないと思いますが、各県から出てきた人がかなり重点的にやりますということを申しておりますので期待をしておるわけでございます。  それから、繰り返しになりますが、特に一般財源のシェアも高まったことでもあり、かつまた地方債でかなり思い切った一般事業等については伸びを見ておりますので、いろいろな要請に対応できると思っております。それにもう一つ私どもが考えておりましたことは、地方交付税というものは、これは直接的な補助的なものじゃございませんけれども、全体として単独事業を水準以上にやるようなところにつきましてはある程度傾斜的に交付税というものも考えていいのではないかということで、その是非を含めてのことでございますけれども、いまいろいろとそういったことも考えておるわけでございまして、それによって地方団体が実際にやる意欲を持ってやるように私どもとしては指導をしていきたいと、かように考えております。
  62. 名尾良孝

    ○名尾良孝君 いよいよあしたから新年度に入って、地方財政計画を指針として各地方団体が行財政を運営していくわけです。その年度の途中で自治省が、一体地方団体はどの程度事業を消化してくれているんだろうかということを確認できるのは、いままでの事務的な関係からいうと、地方債の許可のときと、それから特別交付税の査定のときしかない。そのほかに機会をとらえて、たとえば新年度がもう半分過ぎました、上半期が過ぎました、そのときに、果たして単独事業がどの程度進んでいるだろうか、年度末までどの程度いくだろうかというチェックの方法はどうされるのですか。
  63. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 私どもとしては、単独事業を初めといたします地方団体の事業の実施の状況やあるいは財政状況等について、御指摘のとおりに、具体的には起債の申請時といったようなときに聴取を行っておるわけでございますけれども、これに限らず、当初予算の編成時なり補正予算の編成時においても予算の状況等を聴取しております。御承知かと存じますが、そのために実は四人の財務調査官という制度を置きまして、これが全国を分けまして常時地方団体の相談にも応じ、実態を把握しておるわけでございます。したがいまして、たとえば五十六年度の単独事業につきましても、当初は非常に低かったわけでございますが、九月補正時には、詳細に洗いましたら一〇・六%の伸びになったということで、公共事業が横ばいなだけに地方単独はかなり伸ばそうという意欲が五十六年度も出ております。そういったことで、私どもとしても財務調査官等を中心に随時そういった調査をいたしておるわけでございます。  しかし、せっかく単独事業等も伸ばし、積極的に地域経済の振興を図ろうというときでございますので、今後ともさらにその点については十分注意をしてまいりたいと存じます。
  64. 名尾良孝

    ○名尾良孝君 先ほど志苫委員が言われましたむうに、地方団体というのは補助金というものに対して、補助金というものを非常に欲しがるといいますか、それを非常に重く見ているわけです。そこで、それはなぜかというと地方団体は、補助金、あるいは負担金でもいいが、補助金、それから地方交付税交付金、これは現ナマでくるわけですね、ところが地方債、これはまず公債の発行経費がかかるわけですよ。〇・何%か。それだけまず使える金が減るということ。それから今度は、償還のときに地方交付税でみてもらえる単位費用が少ない、地方団体に言わせれば。したがって、なるべく起債ではやりたくない。どうしても、幾らでもいいから補助金がつくものをやりたい。そういうことで補助事業が常に——先ほどもちょっと継続の事業が単独のときに補助事業の方に入れちゃうということを言われましたけれども、しかし地方団体から言うと、現ナマがもらえる補助事業の方をどうしても先にやる、そういうようないままで習慣といいますか、そういう慣例になってきているというふうに思うのですが、その点どうですか。
  65. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 事柄にもよると思いますけれども、おっしゃいますように、全般的に現ナマでもらえるというものについて、どうしても希望する向きが多いというふうに言えるかと存じます。
  66. 名尾良孝

    ○名尾良孝君 そこでお伺いしたいのは、今度六千九百億円の財源対策債は発行しないということになりましたね。そうすると、それに伴って、これは補助事業の方だけだと思うのですが、起債の充当率が前に戻る。たとえば河川を例にとりますと、いままでおおむね六〇%と仮にしますね、そうすると、それが財源対策債の発行をしないことになったから、その分がなくなって、起債充当率が二〇%ですよということになりますと、そうすると四〇%の分、これに対してはどういうように手当てをなさるのか。  なぜこれをお聞きするかというと、その点まだ地方団体の方でもよくわかりませんと言うんですよ。それで非常に不安を持っているんですよね。それを地方交付税の方で埋めるのか。あるいは土屋局長がどこか、衆議院の方の委員会で、千二百五十七億円その分として手当てをしますと。これは一体起債なのか。つまり二〇%の充当率を拡大する意味で千二百五十億円をそこに入れるのか。その辺のことをひとつお聞きしておきたい。
  67. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 五十七年度は収支が均衡するという見込みのもとに財源対策債は計上しないということにいたしたわけでございます。そこで、お示しのございましたように、財源対策債を充当してまいりました公共事業の起債の充当率が引き下げられるということになるわけでございます。これに伴いまして地方団体が負担すべき一般財源がふえてくるわけでございます。しかし、私どもとしては、地方財政計画全体の中では、これは地方交付税で所要の措置を講ずるといったてまえで地方財政計画を組んだわけでございます。しかしながら財源対策債によります措置が廃止されることによりまして地方債の充当率が大きく引き下げられまして、事業によっては地方債による措置がもともとなかったというものもございますので、ゼロになるものもあるわけでございます。したがいまして、一挙に標準事業費を中心とした交付税措置に切りかえた場合には、個々の地方団体、特に市町村の場合でございますが、財源措置に激変を生ずるということも考えられますので、五十七年度の地方債計画においては新たに、いまおっしゃいました千二百五十億円の調整枠というものを設けまして、それによって激変緩和措置を講ずることとしておるわけでございます。それ以外の五千六百五十億円のものは、これは基準財政需要額に当然入れて計算しておりますので、地方財政計画上十分措置をしたというふうに考えております。ただ、千二百五十億というものの調整については、全然ゼロになるというふうなものがございますので、こういうものがやっぱり市町村としては、たとえば林道とかいろいろ気にしておられますので、主としてそういうものに重点的に充てるということになるのじゃないかと考えております。
  68. 名尾良孝

    ○名尾良孝君 そうすると、いま言われた千二百五十億というのは、地方財政計画の中の三兆八千百億の地方債の中に含まれるんですか。どこかほかから持ってくるんですか。その点どうなんですか。
  69. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 地方債計画の中に含んでおります。
  70. 名尾良孝

    ○名尾良孝君 そこで、さらにお伺いしたいのは、たとえばいま六千九百億から千二百五十億を差し引いた五千六百五十億、これは何とか交付税で基準財政需要額として見るように措置をしたいんだと、こういうふうにおっしゃっているわけなんです。  そこで、特にこの河川費についてお伺いをしておきたいのは、いわゆる交付税をもらって仕事をする上で一番割りがいいのは、いわゆる標準団体、百七十万から百八十万ぐらいの地方公共団体が一番いいんですね。ということは、たとえば河川費について交付税の算入率というものを見てみますと、県の名前を出しちゃ申しわけないが、百八十万の岡山県、これは交付税の算入率が一〇九%、埼玉県は二四・四%、これはもちろん人口が多いから社会資本の整備をするにしても人口で割れば安く済むじゃないかという、そういう理屈は成り立つと思うんです。しかし、これから人口が急増していって単独事業も公共事業もたくさんやっていかなきゃならぬという都道府県に限って、交付税を度外視したいわゆる自主財源、税金その他の自主財源をつぎ込まなくちゃならぬという県がたくさんあると思う。つまり、標準団体以上がそういうふうに非常に自主財源をどんどん必要としていく。標準団体以下については、これはいろんな事情もあるでしょうが、その辺の負担の公平ということについてやはり相当考えておられるのかどうか。その点をひとつお伺いしたいと思います。
  71. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 投資的経費における河川費の需要額と決算額を五十五年度の数値で比較をいたしますと、全国ベースではおおむね一〇〇%の算入になっておるわけでございますが、各団体ごとの内訳はかなり大きなばらつきがあるように見受けられます。ただいま例として挙げられました埼玉あたりはかなり低くなっておるわけでございます。それは、私どもいろいろ調べてみておりますが、人口規模によるばらつきというよりは、むしろ地方単独事業の実施状況の差異によるものと考えられまして、関東あたりでも埼玉県のごときは飛び抜けて単独事業をよけいやっておられます。その結果がそういうことになるのでございまして、標準以上に事業を実施すれば交付税で算定した需要額との対比では持ち出しが多くなるという結果にならざるを得ないわけでございます。  単独事業の選択は地方団体が自主的におやりになるわけでございますが、自治省としては、何とかその単独事業を伸ばすためにも今後とも地方財源の一層の拡充を図っていく方向で努力をしなければなりませんし、なお、単独事業費につきましては、先ほどちょっと言ったことと重複いたしますが、普通交付税の算定におきましても、標準的なものを超えて事業を行っているところを考慮いたしまして、重点的な、傾斜的な配分の要素を加えることについて、その是非なり方法なりということについて検討をしておるところでございまして、せっかく検討中でございますが、実態に即応した財政措置というものをいろいろと検討しなけりゃならぬというふうに考えております。
  72. 名尾良孝

    ○名尾良孝君 非常に細かいことになりますが、特に人口急増の都市でいま一番困っているのは、これは県も市町村も、特に市町村が困っているわけなんですけれども、いわゆる河川ですね、われわれは河川と言うんだけれども、建設省では、河川というと一級、二級、準用の三つしか河川というものを認めていない。それについてのみ交付税が適用される。それから今度はまた、下水道法による下水道なら、これもその対象になると思うんです。ところがそのどちらにも入らない、いわゆるわれわれが通俗に言う川が非常に多い。それの整備というものに、人口がふえればふえるほど市の工事負担というものが非常に多くなってくるわけです。それについて建設省の方に、何とか一級、二級、準用だけじゃなくて交付税が適用されるようなふうに考えてもらえるような方途はないものかということなんですが、その点いかがでしょうか。——これは建設省に聞くのが本当でしょうが、きょう呼んでいないから。どうですか。
  73. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 確かに、おっしゃいますように、一級、二級といったような河川だけでなくて、最近特に都会地あたりで都市河川と申しますか、中小河川が非常に問題になっておりまして、おととしの暮れあたりから私どものところにもいろいろ要請がございました。そういったことで、何とか急激に整備する方法をということで、いろいろと下水における特別な起債制度とかいろんなことも含めて考えたわけでございますが、なかなかいい結論が出ない。結果的には、その一部については建設省で補助制度がたしかできたと思っておりますが、全般として、おっしゃいますように、都市河川等の整備がおくれております。これの充実について今後どう進めていくか、私どもも、財政の厳しい時期でございますので、にわかにいい方法も思い浮かびませんが、なお建設省とも相談しながら、また地方の実態に応じて、交付税等についてどう配慮するかということも含めて、今後の検討課題にさしていただきたいと存じます。
  74. 名尾良孝

    ○名尾良孝君 もう時間がありませんので、最後に申し上げておきますが、先ほど言われた都道府県の予算編成で、九月補正を一体当てにできるかできないかということは、これからの景気がどうなっていくかということに非常に影響してくると思うんです。しかし、自治省としては、地方財政計画をこのように策定されて、そして地方公共団体に対してぜひこれを実行してくれと、こういうふうに言われているわけでありますが、残念ながら。一般会計の伸び率からいくと、都道府県は五一%の増、指定都市が五・三%の増で、地方財政計画の伸び率を下回っているという状況でありますね。非常に緊縮型である。その中にあって地方の単独事業を大いに興してもらいたいということを要請されるんですから、これは私は自治権を侵害しない程度にいままでとは違った指導助言というものが大いに必要であろう、こういうふうに考えるわけです。  そういう意味で、最後に意見だけで終わりますが、結局、今後の自治省のこれからの指導助言というものを期待をして地方財政計画になるべく近い実績が出るようにひとつ努力をしてもらいたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  75. 上條勝久

    委員長上條勝久君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十九分散会