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1982-08-11 第96回国会 参議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年八月十一日(水曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員異動  七月二十九日     辞任         補欠選任      吉田 正雄君    茜ケ久保重光君      片山 甚市君     松本 英一君  八月九日     辞任         補欠選任     茜ケ久保重光君     青木 薪次君      松本 英一君     小山 一平君      原田  立君     中野 鉄造君  八月十日     辞任         補欠選任      田原 武雄君     中村 禎二君      小山 一平君     村沢  牧君      神谷信之助君     市川 正一君  八月十一日     辞任         補欠選任      村沢  牧君     小山 一平君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         福間 知之君     理 事                 熊谷  弘君                 鈴木 省吾君                 鈴木 和美君                 鶴岡  洋君     委 員                 岡部 三郎君                 下条進一郎君                 田代由紀男君                 谷川 寛三君                 中村 禎二君                 松尾 官平君                 青木 薪次君                 小山 一平君                 中野 鉄造君                 市川 正一君                 下田 京子君                 伊藤 郁男君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  松野 幸泰君    政府委員        国土庁長官官房        審議官      荒井 紀雄君        国土庁計画・調        整局長      白井 和徳君        農林水産大臣官        房審議官     大坪 敏男君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  林  淳司君        気象庁長官    増澤譲太郎君        建設省河川局長  川本 正知君    事務局側        常任委員会専門        員        田熊初太郎君    説明員        警察庁警備局災        害対策官     長倉 眞一君        大蔵省主計局主        計官       藤井  威君        大蔵省銀行局保        険部保険第二課        長        田中 寿君        文部省管理局教        育施設部助成課        長        逸見 博昌君        文化庁文化財保        護部建造物課長  鈴木 嘉吉君        厚生省社会局施        設課長      田中 健次君        農林水産省構造        改善局建設部防        災課長      吉川  汎君        農林水産省農蚕        園芸局農蚕企画        課長       近長 武治君        林野庁指導部造        林課長      谷口 純平君        林野庁指導部治        山課長      小沢 普照君        中小企業庁小規        模企業部参事官 佐々木恭之助君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部財        政課長      吉田 耕三君        気象庁予報部予        報課長      立平 良三君        建設省計画局民        間宅地指導室長  小鷲  茂君        建設省河川局河        川計画課長    岸田  隆君        建設省河川局治        水課長      玉光 弘明君        建設省河川局都        市河川課長    萩原 兼脩君        建設省河川局防        災課長      狩野  昇君        建設省河川局砂        防部砂防課長   近森 藤夫君        建設省河川局砂        防部傾斜地保全        課長       設楽 武久君        建設省道路局国        道第一課長    信高  裕君        消防庁防災課長  土井  豊君        日本専売公社原        料本部部長    河野覺太郎君        日本国有鉄道施        設局土木課長   村上  温君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (昭和五十七年七月九州地方集中豪雨による  被害及び台風第十号による被害に関する件)     —————————————
  2. 福間知之

    委員長福間知之君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  議事に先立ち、昭和五十七年七月豪雨及び台風号災害により亡くなられた方々に対し、御冥福をお祈りし、謹しんで黙祷をささげたいと存じます。  全員御起立を願います。黙祷を願います。    〔総員起立黙祷
  3. 福間知之

    委員長福間知之君) 黙祷を終わります。御着席願います。     —————————————
  4. 福間知之

    委員長福間知之君) 委員異動について御報告申し上げます。  去る八月九日、原田立君及び茜ケ久保重光君が委員辞任され、その補欠として中野鉄造君及び青木薪次君が選任されました。  また、昨十日、田原武雄君及び神谷信之助君が委員辞任され、その補欠として中村禎二君及び市川正一君が選任されました。  また、本日、村沢牧君が委員辞任され、その補欠として小山一平君が選任されました。     —————————————
  5. 福間知之

    委員長福間知之君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  派遣委員報告聴取いたします。鈴木和美君。
  6. 鈴木和美

    鈴木和美君 派遣委員を代表して、昭和五十七年七月九州地方集中豪雨による被害実情調査について御報告いたします。  去る八月二日、三日の両日、福間委員長鶴岡理事田代委員下田委員伊藤委員と私鈴木和美は、長崎熊本県下大雨による被害実情調査に行ってまいりました。  なお、全日程について原田委員長崎県において中村議員熊本県において細川議員三浦議員がそれぞれ現地参加されました。  まず、長崎県庁にて県当局より今次災害被害状況について説明聴取いたしました。  県下に未曽有とも言うべき大災害をもたらした梅雨前線による記録的な集中豪雨は、七月二十三日から二十五日にかけて、長崎連続降雨量五百七十四ミリ、雲仙で六百六十ミリに達し、時間当たりでも長崎で百十五ミリ、西彼長浦で百五十三ミリと、観測史上二番目の大雨であったとのことでありました。八月一日現在、死者及び行方不明者二百九十九名、建物の全壊、流失四百七十四棟、半壊九百十五棟に上っており、被害総額商工関係の九百五十七億円を筆頭に、土木農林施設中心に約三千億円にも達し、なおふえる見込みとのことでありました。  現在、県及び市町村は総力を挙げて行方不明者の発見はもとより、被災者救済及び被災地復旧に取り組んでおりますが、今後本格的な災害復旧を行うには莫大な財政措置を要するため、激甚災害指定並びに特別の財政援助などの必要性が強調されていました。  続いて早速県下被災現場視察したのでありますが、その主な個所概要を申し上げます。  まず、二級河川中島川のはんらん現場であります。  延長六・五キロ、幅わずか十メートル足らずのこの小河川は、国の重要文化財である目鏡橋中心に十一の石橋群がかけられております観光客の憩いの場となっているところでありますが、しかし、見た目にも流域面積の狭い河川で、満潮とも重なったため、この記録的な集中豪雨には全く無力であり、あふれ出た濁流土砂は見る間に繁華街浜町商店街を泥海の町としてしまったのであります。六つの石橋が流失し、わが国最古アーチ型石橋眼鏡橋は、無残にも敷石が約七メートルにわたってはがれ、欄干も一部を除いて流失しており、当時の水害のすさまじさをほうふつさせています。この中島川の両岸には家屋が密集し、拡幅が困難な状態になっていますが、再度災害防止のためにも、都市計画都市改造一体となった抜本的な改修が必要であると痛感いたしました。県当局説明によりますと、地元の意向を尊重しつつ、河川激特事業を導入して、短期間で抜本的改修を行いたいとのことでありますが、拡幅となると地元商店の立ち退きも必要であり、その調整が最大の課題となるのではないかと感じられました。  次に、国道三十四号線の芒塚決壊現場視察いたしました。  三十四号線は長崎から諫早に通ずる道路で、長崎バイパスとともに主要道路一つになっておりますが、今回の災害で、河内町——平間町間九・六キロの間で九カ所も土砂崩れなどのため通行不能に陥ったとのことであります。このため、陥没地には鉄製応急橋を設置するとともに、埋積した土砂排出、それから路肩補強など懸命の復旧作業に努めた結果、二日現在、不通個所芒塚町の二カ所だけとなっております。土砂のため車、家屋が流失し、二十四名のとうとい人命が失われた現場では、いまだに二次災害の危険もあり、現在山側の崩壊現場を固める作業に入っており、それから道路復旧に取りかかるとのことで、開通まで今月いっぱいかかりそうだとのことでありました。このルートは長崎市街地への大動脈であるため、一日も早い復旧が望まれるとともに、災害に強い国道にするため、構造面からの研究も必要であると痛感いたしました。  次にわれわれは、さき政府調査団、衆議院の調査団も足を踏み入れることのできなかった東長崎地区視察を行いました。  この東長崎地区は、日見、矢上、戸石、古賀の四地域から成り、二級河川八郎川はんらんで一時全く孤立したところであります。一日現在、死者九十八名、行方不明一名、建物の全半壊は四百三十を超え、住民二千五百人が高台の学校などに避難するという、県下でも被害の大きかったところです。被災後十日余りたったいまでも、商店街は一軒として満足に営業する店はなく、なお四千世帯が断水し、濁流に洗われた家財道具の清掃もままならず、地域住民の疲労といら立ちは極限に近いものがあると思われます。今後一刻も早く断水世帯が解消され、商店街が活気を取り戻すことを期待するとともに、八郎川改修計画の推進が必要であると感じました。  次に、熊本県の主な視察個所についてであります。  まず車中で、記録的な集中豪雨により、長崎県同様、激甚な被害を受けた県内の被害状況の詳細を聴取しました。二日現在、死者行方不明二十四名、全半壊家屋二百戸、浸水家屋約二万六千戸を出したほか公共土木施設農林施設、農作物など甚大な災害をこうむり、被害額は約八百億円に及んでいるとのことでありました。  県下の最初の視察個所は玉名郡三加和町の緑小学校十町分校被災現場であります。ここは裏山のがけ崩れにより校舎などが全壊し、用務員母娘を含む四名の人命が失われたところであります。その用務員の方の遺体が濁流の十町川、菊池川を流れ、有明海を漂流し、柳川市沖で発見され、指紋照合の結果、十町分校犠牲者であると判明したとの話を聞き、今度の豪雨災害の激しさに胸が締めつけられる思いでありました。がけ崩れ危険個所の総点検を行い、早急な対策を立てるとともに、ここでも中小河川改修必要性が痛感させられたのであります。  続いて菊水町を経由して、山鹿市役所に入りましたが、途中、一級河川菊池川はんらんし、田畑冠水は言うに及ばず、地元下町商店街も人の背丈ほどの水をかぶったとのことであります。四十九年に完成した山鹿市終末処理場施設の大半が冠水し、本復旧までに六カ月も要するとのことであります。この菊池川は無堤区間があるため、毎年のようにはんらんするとのことであり、現地ではぜひ激特事業を採択し、集中的な河川整備をしてもらいたいとの強い要望が出されました。  次に熊本県の穀倉地帯と言われる嘉島町井寺の農地冠水状況視察いたしました。ここは木山川の右岸が七十メートルにわたり決壊し、水田を中心に多大の被害が出たところであります。通常水稲は七日冠水で八〇%の減収、十日冠水収穫ゼロと言われていますが、七月上旬からの長雨のため、最高で十八日も冠水したところであり、被害額は相当なものに上るとのことでありました。まるで秋の収穫期を過ぎたかのような茶色の農地が一面に広がり、農民の悲しみを考えると、治水事業こそ、国土保全上最優先させる事業であるとの思いを強くいたしました。  現場視察を終え、熊本県庁にて国への要望事項などの聴取を行いました。また今回の一連の集中豪雨により甚大な被害を受けた大分、佐賀、宮崎、鹿児島の各県の代表並びに竹田市からもそれぞれ陳情がなされました。前日の長崎県を含むこれらの陳情事項については、その大要を本日の会議録末尾に掲載したいと存じますので、よろしくお取り計らいを委員長にお願いします。  ここで今回の両県の現場視察及び関係者からの陳情を踏まえて痛感した幾つかの点について申し上げます。  第一は中小河川対策を急がなければならないということです。中島川、浦上川の例を見るまでもなく、都市の中を流れる川は河原がなく、岩壁が切り立っているため、ちょっとした雨でもすぐはんらんし、市内中心街に多大の被害を与えることが多い。今年度からスタートした第六次治水事業五カ年計画でも中小河川対策重点事項一つになっているが、その整備目標は五年から十年に一度と予想される時間雨量五十ミリとなっているにすぎず、これですら全国で一八%、毎年一%高めていくのがやっとという状況です。今回大被害をもたらした中島川と浦上川は、いずれも国の整備目標を大きく上回る全国でもトップクラスの八十から九十ミリの降雨に耐えられるよう整備されていると言われていますが、今度のような集中豪雨には全くの無力でありました。ということは、今回の災害九州だけでなく中小河川を抱えるどの都市でも起こり得るものであり、今後、都市中小河川対策が今後の災害予防に当たって最も重要なかぎを握っていると言えます。  第二は、過去の水害教訓が必ずしも有効に生かされていないのではないかということであります。長崎県は昭和三十二年七月二十五日に死者八百五十六名を出した諫早大水害を、熊本県は四十七年七月三日に死者、不明百十五名の天草豪雨を経験しています。今回の豪雨諫早市でも四百九十七ミリの雨量を記録しているが、市内を流れる本明川はびくともしなかったのであります。本明川は過去の苦い経験から大改修が行われ、川幅を二倍の四十メートルに拡幅するとともに河川容量を大幅にアップさせています。しかし残念ながら長崎市内を流れる二つの河川には、これまで諫早教訓をもとに豪雨対策のメスが入れられたことは一回もなかったのであります。特に中島川の場合は、前にも述べましたように市内中心部を貫流するため、拡幅には相当の住宅の移転が必要になると思います。さらに国の重要文化財眼鏡橋などの歴史遺産が川の改修計画を結果的に阻んでいると言えます。文化財保存か、災害防止かはむずかしいテーマでありますが、今回の災害の実態を踏まえ、十分に検討し、慎重に対処されることが必要であると考えます。  第三は、土砂災害防止に万全を期すべきであります。今回の例を見るまでもなく、豪雨に伴って生じる土石流や、山、がけ崩れは、破壊力が大きく、家屋田畑などに壊滅的な被害を与えるとともに、多数の人的被害をもたらす場合が多いと思います。五十二年調査によると人家五戸以上の集落が土石流により災害を受ける危険性のある土石流危険渓流全国で六万二千二百七十二渓流に及んでいるが、その整備率は一三・六%にすぎず、進捗率は毎年一%に満たないのであります。また地すべりの発生するおそれのある建設省所管地すべり危険個所は、五十六年四月現在五千七百七十七カ所と多く、面積は約十五万三千ヘクタールに及んでいます。さらに、傾斜度三十度以上、がけの高さ五メートル以上の急傾斜地で五戸以上の人家が立地する急傾斜地崩壊危険個所は五十二年調査全国で六万四千二百八十四カ所になっています。最近地価が下がることを地元が嫌い、法律に基づく区域指定を避けたがる傾向が強いと聞くが、ここは何よりも人命優先であり、危険個所指定を急ぎ、必要な施設整備を推進する必要があると考えます。また各種土砂災害危険地について周辺住民への周知を図り、巡視点検を強化し、緊急時に早期避難を初め的確な対応ができる体制整備が必要であると痛感いたしました。  第四は、行き過ぎた宅地開発に問題はなかったかということであります。年々地価が高くなる上、長崎のような平地の少ないところでは勢い山を削って宅地開発が行われるのはある面ではやむを得ないかもしれません。しかし、がけ崩れにより多数の人が犠牲になっている現状を考えると、無秩序な宅地開発にも問題の一端があるように思えます。それまで遊水地の役割りを果たしてきた森林が宅地化されて保水能力が減少し、降った雨が中小河川に集中することになる。また山を削っての宅地造成が結果的に地すべりがけ崩れなどを誘発し、大きな被害を引き起こしています。坂やがけの多い長崎であるがゆえに、宅地開発に当たっては特に慎重さが期待されるし、またある程度住宅建築を規制する必要があるのではないかと考えます。  第五は、治水事業必要性をいまさらながら痛感したことであります。中小河川改修のおくれは第一のところで述べましたが、大河川についても改修の未整備が目立ち、地元からの陳情河川改修の促進を求める声が強く出されました。戦後最大洪水に耐え得る整備率でも全国平均で五八%にしか達せず、一級河川でもいまだ堤防のない河川がある現状です。最近の公共事業の三年据え置きもあって河川改修は遅々として進んでいません。一度災害が起きれば何千億円という物的損害、また貴重な人命が失われることを勘案すれば、まず何よりも公共投資の最重点治水事業に置くべきではないかと考えます。  第六は、気象観測の一層の充実と、避難体制の確立です。梅雨末期の局地的な集中豪雨は予測がむずかしいかもしれませんが、きめ細かな地域的な観測と、予報体制整備することの必要性が痛感されました。また、大雨警報が出た場合の避難体制のあり方も検討を加える必要があります。この災害教訓に、自治体、住民一体となった避難体制が確立されることが期待されます。  第七に、個人災害対策のより一層の充実が図られるべきであると考えます。幸い、重度障害者に対しては今国会の修正で今災害からお見舞い金支給されることになりましたが、被災住民の中には自力での復旧が困難な者も多々見られるので、家屋敷地内の土砂排出及び汚物などの排除の経費、見舞い金支給立ち上がり資金の融通についても検討を加える必要があるのではないかと考えます。  以上、調査概要について述べてまいりましたが、最後に、今回の災害により犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災地が一日も早く復興することを心から念願し、簡単ではありますが報告を終わります。
  7. 福間知之

    委員長福間知之君) ただいまの報告書の中にありました長崎県を含む各県からの陳情事項につきましては、これを本日の会議録末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 福間知之

    委員長福間知之君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  以上で派遣委員報告聴取は終わりました。  次に、昭和五十七年七月九州地方集中豪雨被害及び台風十号による被害について、政府から報告聴取いたします。松野国土庁長官
  9. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 昭和五十七年七月及び八月豪雨による被害状況政府対策について御報告申し上げます。  長崎市を中心とした七月豪雨災害被害状況でありますが、死者長崎県の二百九十三名、大分県の八名を初め、計三百三十九名に上っており、行方不明は長崎県で六名、熊本県で一名となっております。建物の全半壊は、長崎県の一千四百二十三棟、熊本県の二百二十棟を初め、計一千七百三十九棟となっております。床上浸水長崎県の一万八千三十五棟、熊本県の六千五十六棟、計二万五千六百四十一棟となっております。  政府におきましては、七月二十四日に私を本部長とする昭和五十七年七月豪雨災害対策本部を設置し、強力な応急対策実施してきたところであります。  七月豪雨災害対策として講ずる措置概要につきましては、お手元に資料を配付しております。そのうち主たるものを申し上げます。  市民生活と密接なかかわりのある電気及びガスは、全面的に復旧しており、水道につきましても、長崎市の一部を除き平常どおり給水が行われております。  交通、通信につきましては、電話の全面開通長崎バイパスの二車線確保無料化実施長崎本線開通を初め、応急復旧実施してきているところであります。  また、中小企業者等に対して政府系金融機関災害貸付制度及び中小企業体質強化資金助成制度を発動し、農林水産業関係被害については、農業共済等早期支払い既貸付金償還猶予指導等措置を講じ、住宅被災者に対しては災害復興住宅貸し付けを行うことといたしました。  被災した公共土木施設農地農業用施設文教施設等については、できる限り速やかに災害査定実施し、早期復旧を図ることとしております。特に、長崎市の中島川、浦上川については再度災害防止するため、河川激甚災害特別緊急事業を含む抜本的な改修検討することとしています。  激甚災害指定については、その前提として被害額把握が必要であり、現在、鋭意検討を進めております。  このほか、被災地方公共団体に対して普通交付税の繰り上げ交付実施しました。  次に昭和五十七年台風第十号を中心とした八月豪雨災害について御報告申し上げます。  台風第十号は、八月二日午前零時過ぎ、愛知県渥美半島に上陸し、中部、北陸地方を横断して日本海に抜け、広い地域大雨をもたらしました。  このため三重県、奈良県、大阪府、長野県、山梨県などの各地で土砂崩れ等による被害が発生し、死者八十名、行方不明十二名、建物の全半壊七百八十四棟、床上浸水一万八千七十九棟となっております。  この災害に対し、六県十七市町村において災害救助法が適用されました。政府におきましても、災害対策関係省庁連絡会議を開催するとともに、さきに設置されている非常災害対策本部の名称及び所管区域をそれぞれ「昭和五十七年七月及び八月豪雨非常災害対策本部」及び「全国」と改め、災害応急対策実施してまいりました。  その主なものとしましては、応急仮設住宅の設置、災害弔慰金支給及び災害援護資金早期貸し付けを行うとともに、防疫対策については、消毒の実施等を行うこと、不通となっている国鉄、道路などの応急復旧に全力を尽くすこと、土石流がけ崩れによる被災個所については、補助採択基準に適合するものについては緊急砂防事業として早急に実施すること、住宅被災者に対する住宅金融公庫による災害復興住宅資金貸し付けを行うこと、激甚災害指定については、その前提として被害額把握が必要であり、鋭意検討を進めることなどであります。  以上、これまで政府が講じた各般の対策のうち一部を御報告申し上げましたが、今後、本格的な復旧に向けて全力を尽くす所存でありますので、委員各位の御協力、御配慮をお願い申し上げます。
  10. 福間知之

    委員長福間知之君) 以上をもちまして政府からの報告聴取を終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 鈴木和美

    鈴木和美君 私は、ただいまから質問を行うに当たりまして、政府にお願いをしておきたいと思います。  先ほど長崎熊本の両県を調査した委員を代表して実情調査報告を行いましたが、余りにも被害が大きく各般に及んでおります。加えて梅雨前線と重なった台風十号の被害全国各地に被害をもたらしました。したがいまして、本来であれば、その一つ一つについて掘り下げた質疑を行うべきでありますが、本日は限られた時間でありますので、質問も簡潔に行いますので、答弁も簡潔に、そして誠意を持って答えていただくようお願い申し上げます。  そこでまず、被害をこうむった各県からは一連の陳情書や要望書が提出されたと思いますが、私の質問の第一の部分は、激甚災害指定並びに指定基準の緩和についてであります。  そこで具体的にお尋ねいたしますが、まず一つは、政府は今回の七月中に発生した梅雨前線による集中豪雨と、台風十号による災害一つ災害として取り扱うのか、それとも区分けして取り扱うのか、私は一つ災害として取り扱うべきだと考えますが、いかがですか。  時間がありませんので、質問だけをまず述べてお答えいただきます。  二つ目には、激甚災の指定を早急に行っていただきたいと思います。現在関係省庁において災害復旧事業などの事業費の査定見込み額について作業が進められると思いますが、そのスケジュール及び指定の見通しについて明らかにしていただきたいと存じます。  三つ目には、激甚災害指定に当たって現在公共土木施設を初め、それぞれ指定基準が定められておりますが、御案内のとおり、この基準そのものがきつく、緩和を求める要望がきわめて大きいと思います。政府の見解はいかがですか。特に山梨県や福島県などについては同僚議員、私の社会党の穐山篤議員を通じて質問してほしいという要望がありましたが、この緩和をする意見に対して政府の見解を明らかにしていただきたいと思います。  激甚災害指定に絡む最後の質問は、激甚災害指定基準は、現在、公共土木施設災害や、農地農業用施設及び林道の災害などを個々個々に査定して指定していますが、被害を受けた地元では復旧作業に当たっては個々の対策ではなく、総合的に各種の対策措置を講じて財政負担をしているわけだと思います。したがいまして、激甚災害指定基準はすべての災害を一括して勘案した基準をつくるべきだと思いますが、いかがでございましょう。
  12. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 最初に御質問のありました激甚災害指定のためには、その前提として被害額把握が必要であり、現在関係省庁で調査を急いでいるところであります。  なお、七月豪雨台風十号被害をあわせるかどうかについては、両者に気象上密接な関係があるとの気象庁の見解も踏まえ、目下関係省庁で鋭意検討を進めているところであります。  次の激甚指定の問題でございますが、これは最初報告書で申し上げましたとおりに指定の方向でとにかくいま鋭意努力いたしております。  それから激甚災害指定の緩和に対する質問でございますが、激甚災害指定基準を緩和する必要があるかどうかについては、「国民経済に著しい影響を及ぼし、かつ、当該災害による地方財政負担を緩和」するなどの必要がある災害激甚災害として指定するという激甚法の趣旨、現下の厳しい国の財政事情、災害による被害と、地方公共団体財政負担の能力との関係などのむずかしい問題があるので慎重に検討を進める必要があると考えております。  あと担当者からお答えをさしていただきます。
  13. 荒井紀雄

    政府委員(荒井紀雄君) 大臣の御答弁の一部補足を申し上げますと同時に足らない分を御説明申し上げます。  激甚指定のスケジュールあるいは指定の見通しについてのお尋ねでございますが、御承知のとおり、指定のためにはまず被害額を正確に把握するということが必要でございまして、現在関係省庁におきまして調査を急いでおるところでございます。  このうち公共土木農地農業用施設につきましては、八月の豪雨によります災害もあわせて調査をいたしておりますので、現在まだ最終的な調査がまとまる段階に至っておりません。激甚の指定につきましても、なお若干の日時を要する見込みでございます。  それから中小企業関係につきましては、現在八月中旬を目途に行うべく検討を急いでおるところでございます。  それから最後の御質問にございました現在の指定基準を、公共土木農地農業用施設等々に分けないで一括して基準をつくったらどうかと、こういう御意見でございます。御案内のとおり、激甚法におきましては、国民経済に著しい影響を与える、かつ地方財政の負担を緩和する、あるいは被災者に対する復興の意欲を起こすために特別の助成を行うということが必要と認められる、そういった災害を要件としまして激甚災害として指定する、こういう仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、こういう趣旨に基づきまして、現在の特別の助成措置といたしましては幾つかのグループに分けておるわけでございまして、第一のグループが地方団体の災害復旧事業に関するものでございまして、いわゆる公共土木関係あるいは文教関係、そういったものでございますが、これは地方公共団体の財政負担の特別な軽減を目的とするということで、これらに関しましてはプール検査でやっておるということでございます。  それから第二のグループがいわゆる農地農業用施設、林道の災害復旧事業でございます。これらにつきましては都道府県を対象にしておりますけれども、実質的には農林業者の負担を軽減する、こういう目的に出ているわけでございます。  また第三のグループとしましても中小企業その他ございますが、これもそれぞれの被災者の方々の援助という趣旨に出ているものでございますので、それぞれのグループごとに目的を異にいたしております。したがいまして基準も異にいたしますので、やはりそれらの三つのグループごとにひとつ適切な措置を講ずるというふうな仕組みになっておりますので、現段階におきましてはそういった方向で調査をしてまいりたい、かように考えております。
  14. 鈴木和美

    鈴木和美君 長官にもう一回お尋ねしますが、先ほどの答弁で緩和の問題について、慎重に検討する必要があるというお答えですが、緩和の問題といま審議官から述べられたいわゆる基準の作成の問題と二つ大きい問題を提起しているのですが、私は今度長崎に行ってみても県の予算が四千七百億のところで三千億円に及ぶ被害ですね、そういう被害が多くあるものですから、結局県当局にしても、財政能力というか、援助能力というか、もう本当にないわけですね。そういうことから考えてみると、やっぱり指定基準を総合的に丸めて、その個々個々の林道とか、公共土木とかなんとかとこう区分けしないで、総合的にまとめて援助してやることが激甚災害指定のつまり趣旨に私は沿うのじゃないかと思うのですよ。そういう意味でもう一度この検討課題を扱っていただけるものかどうか、そこをはっきりしていただきたいと思うのです。
  15. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 御趣旨については、私は大変結構なことだと考えておりますが、まだ国土庁としてはいろいろな観点から検討を進めておりまして、大蔵省との折衝まではいっておりませんので、でき得る限りの努力をしておるということで御了承いただきたいと思います。
  16. 鈴木和美

    鈴木和美君 ぜひお願い申し上げておきたいのですが、基準をつくる場合と、基準の適用の金額の問題とは別に分けて、それで基準はどうあった方がいいかということを再度慎重に検討をお願い申し上げておきたいと思うのです。  建設省にお尋ねしますが、建設省の第六次の治水事業五カ年計画を見てみますと、一つには、著しく整備の立ちおくれている中小河川都市河川整備を積極的に推進する。特に流域の開発により治水機能の著しく悪い河川については、流域の開発に対応した治水施設整備に努めるということになっております。  またもう一つは、近年土砂災害により多くの人命が失われている実態からも、渓流などについて土砂災害対策を推進すると書かれています。  三つ目には、国民経済上国土保全上重要な河川の治水対策を推進すると述べていますが、ところが治水事業五カ年計画の八兆二千五百億円に対して五十七年度の予算は一兆三千五百億円でしかありませんですね。こう考えてまいりますと、この計画の完全実施が私は不可能じゃないかと思うのです。公共事業の中にあっても最重点的なこの治水事業計画達成に向けて今後建設省としてはどういう対策をおとりになるのかお尋ねしたいと思うのです。
  17. 岸田隆

    説明員(岸田隆君) お答えいたします。  御指摘のとおり第六次治水事業五カ年計画におきます治水事業費八兆二千五百億円に対します残伸率は昭和五十七年度の事業費を初項といたしますと一三・四%となっておりまして、財政の現状から見ますとこの計画の達成は容易ではないと考えております。しかしながらこのたびの長崎県を初めといたします激甚な災害の実態を見ますと、国土を保全し国民の生命と財産を守るための治水事業をさらに強力に推進する必要があると痛感しております。したがいまして、厳しい財政事情下にはございますけれども、今後の予算の確保並びに計画の達成に向けまして最大限の努力を払っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  18. 鈴木和美

    鈴木和美君 私も本会議でも質問申し上げておりますし、どこでも該当する事項なものですから、どうぞこの治水事業に対してしっかりした対策をとっていただきたいと思うんです。  そこで、一つ具体的な問題をお尋ねしますが、長崎中島川と浦上川の災害復旧に当たって、現地から激甚災害対策特別事業として復旧してほしいという声がありますが、この見通しはどうなりましょうか、建設省。
  19. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 中島川と浦上川の改修でございますが、今回の災害にかんがみまして、再度災害防止の観点から、激特事業並びに災害復旧助成事業等によりまして、河川改修実施するように現在検討を進め、現地でいろいろ計画を立てている段階でございます。
  20. 鈴木和美

    鈴木和美君 もう一度お尋ねしますが、現地の要望にこたえられる態勢で取り組んでいると、そういうように承ってよろしゅうございますか。
  21. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 激甚災害特別緊急事業というのは、河川改修の中に私どもありますが、採択基準がございますけれども、これは二千戸の浸水というものでございまして、十分この条件にも合っております。現在、そのいろいろ改修計画を立てて中身を詰めているところでございます。
  22. 鈴木和美

    鈴木和美君 もう一つ、文化庁に、おいでになっているかどうか知りませんが、現地でも大変話題になっておりますし、新聞紙上でも話題になっております長崎のあの重要文化財である眼鏡橋ですね、この眼鏡橋について今後どういうふうに措置されるのか、現在の段階での考え方を聞かしていただけませんか。
  23. 鈴木嘉吉

    説明員鈴木嘉吉君) お答えいたします。  先ほどの先生のお話にもございましたように、中島川に十一の石橋がかかっておりまして、そのうち国の重要文化財眼鏡橋でございまして、そのほかの十基は市の文化財として指定しております。そのうちの、市の文化財のうち六基が流失したというふうな状況でございまして、現在石橋がそれでございますから五基残っておるという状況でございます。で、そのうちの眼鏡橋は、特にもう三百五十年前にかけられまして、日本で最初の石橋でございまして、それ以来、長崎の歴史とともに歩んでまいりましたし、市の非常に特色ある景観をつくってまいりました。それからまた、観光資源ともなってまいりました。  私どもこれの復旧等につきましては、所有者である長崎市が計画をするということになっておりまして、私どもはそれに対して技術的な面あるいは財政的な面で助成をいたしたいというふうに考えております。  現在、そういう先ほどの河川改修等のむずかしい問題もございますけれども、長崎市といろいろ協議をいたしまして、どういう方向に持っていくべきか、まあ文化財というものはやはりその歴史的な環境の中で保存されるのが一番望ましいわけでありますけれども、今後もいろいろな問題を地元と協議しながら詰めてまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
  24. 鈴木和美

    鈴木和美君 そうしますと、まだ結論が出ていないということになりましょうか。諫早本明川にかかっておった眼鏡橋は、文化財として河川改修のときに取り除いて、あの近くに持っていっていま保存してありますね。ああいうような方法をおとりになった方が、私はもうここまでくればいいんじゃないかと思うんですね。あの橋がかかっているために大変河川の幅が狭くなるというようなことになってしまうので、私はそういうふうにした方がいいと思うんですが、再度その検討の経過なりめどについて聞かしていただけませんか。
  25. 鈴木嘉吉

    説明員鈴木嘉吉君) いまお話しの諫早眼鏡橋でございますけれども、あれは多少事情が異なりまして、昭和三十二年の水害のときにはまだ文化財ではございませんでした。あの橋が流木等のいわばダムを形成するような形になりまして災害を起こしたというふうなことで、その直後、建設省の方で、あれは取り除かざるを得ないというふうなことでございました。で、地元の方から、そのまま消えうせるのは大変に惜しいということでございまして、むしろその災害の後で、あの橋を保存するために国としても力をかしてほしいということがございましたものですから、重要文化財指定昭和三十三年——災害の翌年でございますが、に行いまして、それから後、公園のところに移築したような状況がございます。ただ、今度の場合には、先ほど申しましたように眼鏡橋一つだけでなしに、市の指定石橋等全体の問題が絡んでまいりますので、その辺については私ども地元の意見をよく伺いながら対処してまいりたいというふうに思っております。
  26. 鈴木和美

    鈴木和美君 建設省にいまの問題と関連してお尋ねしますが、あの中島川の川幅が、非常に都市河川で幅が狭いということで、今回の水害を見ると幅を広げた方がいいというのが大方の意見だと思うんです。しかし、あそこに御案内のとおり商店街がずっと並んでおりますし、また片方、木が植わっているようなところなどは広げようと思えば広げられるわけですね。そういうことから見て、あの中島川の改修計画と、それからその計画をするときに、いま文化庁からお話のあった眼鏡橋などについては、建設省としてはどういうふうにした方が治水対策の面からいいとお考えなのかお聞かせいただきます。
  27. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) いま先生のおっしゃいました眼鏡橋の付近は川幅が狭いわけでございます。今回の豪雨に関しまして改良復旧をやらなきゃいけませんが、その場合にはどうしてもやはり河川拡幅、幅を広げることと、それから川床の掘削、下に掘り下げる、これはどうしても避けられないと思います。そういうことで、いまの眼鏡橋につきましては、文化庁や地元と十分今後取り扱いについていろいろ相談してまいりたいと思っております。また、市街地の移転もかなりあるわけでございまして、そういうふうになりますと都市計画部門といろいろ調整しながら協力してやっていきたいと考えております。
  28. 鈴木和美

    鈴木和美君 早急に検討していただきたいと思うんです。  その次は、山崩れと土砂災害についてお尋ねしますが、報告書の中でも申し上げましたが、急傾斜地崩壊危険個所が六万四千カ所並びに土石流の危険渓流全国で六万二千渓流あると言われていますが、お尋ねしたい点は、まず一つは、これから危険個所を再調査する計画はあるのかないのか。  二つ目は、危険防止のための整備計画一体どういうふうにこれから進めようとしているのか。  三つ目には、土砂災害都市周辺の住宅地の開発にどうも原因があるように考えると、そう考えてまいりますと、土地利用法やあるいは都市計画との関連もありましょうが、総合的な土砂土石流対策の観点から土地開発の規制や、住宅建設の規制などを検討すべきだと思いますが、この件はどうなっていましょうか。
  29. 近森藤夫

    説明員(近森藤夫君) お答えいたします。  土石流の危険渓流及び急傾斜地の崩壊危険個所につきましては、現在再点検実施中でございまして、近々に全国的な集計が出ることになっておりますので、よろしくお願いします。  また、地すべり危険個所につきましては、五十二年に総点検を行っておりまして、それ以降必要に応じまして見直しといいますか、追加を実施しておりますので、これは五千七百七十七カ所ございますが、今後も順次必要が出てまいりますと、追加していくというようなことになると思います。  二番の問題でございますが、土石流の危険渓流に対する昭和五十六年度末の整備率は、先ほどもお話がございましたように約一四%ぐらいでございます。第六次の五カ年計画におきまして土石流対策の砂防工事を重点的に進めていくということになってございますが、五カ年計画が終わります六十一年度末におきます整備率はなお約一九%にすぎないわけでございます。こういった現状にかんがみまして、人命災害だけは避けたいということでございまして、土石流危険渓流の周知でありますとか、警戒避難体制の確立等を骨子といたしました総合的な土石流対策を進めてまいりたいというふうに思っております。  また、地すべり危険個所に対する五十六年度末の整備率は約二三%でございまして、地すべり対策につきましても第六次治水五カ年計画におきましては重点的に実施することとしておりまして、六十一年度末にはその整備率は約二八%になることになっております。  急傾斜地の崩壊危険個所に対する五十六年度末の整備率は約一三%でございまして、今後も危険度が高く保全人家戸数の多いものから順次計画的に整備していきたいと考えております。  最後の問題でございますが、総合的な土石流対策の一環といたしまして関係部局と緊密な連携をとりまして、宅地造成等規制法に基づく宅地造成工事に対する規制あるいは災害危険区域指定制度等について的確な運用を図ってまいりますとともに、被災のおそれのある住宅の移転等につきましては、がけ地近接危険住宅移転事業等のいろいろの制度の活用によりまして住宅の移転を促進してまいりたい、こういうように考えておりますので、よろしくお願いします。
  30. 鈴木和美

    鈴木和美君 もう一度お尋ねしますが、一番最後のところの、長崎みたいなああいう港町はたくさんあるわけですね。そこで遊水地がないとか保水がないというようなことで、つまり上に上に、山の方に住宅が開発されるわけですね。現在の住宅の建設に関する規制の法律また規定などで十分対策がうまくいくのか、宅地開発の規制をもっと強めなきゃならぬというような見解に立つのか、どちらなんですか。
  31. 近森藤夫

    説明員(近森藤夫君) 危険個所等につきましては現在私どもで行っております調査というのは、大体人家があるところに、集落が危険であるかどうかというふうな調査中心になってございましと、どうしても十分手が届くようなことになってないわけでございますが、一方建築基準法によりまして、こういったところに対する規制と申しますか、そういったものがございまして、こういったものと十分連携をとりながらやらしていただきたいというふうに思っております。
  32. 鈴木和美

    鈴木和美君 どうぞ、これも短い質問の時間ですから掘り下げられませんので、ぜひ検討を急いでいただきたいと思います。  次は厚生省にお尋ねしますが、今回大変な被害をこうむりまして、現地に行ってまいりまして、現在の激甚災害指定によって救助されるような面は早急に急いでいただきたいと思うんですが、個人災害というような考え方に立っている国は、どうしても個々個々の人たちの立ち上がりや、意欲や、見舞いや、そういうものに対しておくれがあると思うんですね。  そこで、私はお尋ねしたいんですが、弔慰金、見舞い金及び援護資金などを引き上げるというような考え方に立っておられるかどうか、またその適用条件を緩和した方がいいというように思っていらっしゃるかどうか聞きたいんです。これは弔慰金の方については議員立法でつくられておりまして、先回は重傷者に対して百五十万という見舞い金を出したわけですけれども、個人災害などに関する家屋、敷地の土砂排出や汚物などの排除経費、見舞い金支給、そんなことについてこれから検討していく考えがあるかないかをお尋ねしておきたいと思うんです。
  33. 田中健次

    説明員田中健次君) まず、災害弔慰金とそれから災害援護資金の額の問題でございますけれども、これにつきましては昭和四十八年にこの制度ができまして以来、逐次その改善を図ってきておるわけでございまして、昨年におきましても弔慰金につきましては二百万円から三百万円に五〇%の引き上げを行っておりますし、また災害援護資金につきましても百三十万円から百八十万円に大幅に引き上げを行っておるところでございまして、私どもといたしましては、それぞれの制度の性格から見まして、いまのところその額は妥当なものではないかというふうに考えております。  それから、災害障害見舞い金でございますけれども、これは今国会で制度化されたばかりでございまして、政府としましては現在できるだけ早急にこの施行ができるように全力で準備を急いでいる段階でございます。  それから、弔慰金と貸付金の適用基準の問題でございますけれども、弔慰金とそれから障害見舞い金につきましては、災害救助法が適用に至らないような小規模の災害にでも支給されるように配慮されておりまして、また弾力条項もございますので、これは現行基準でよろしいかと思います。  それから、災害援護資金でございますけれども、これは災害救助法と連動しておりまして、一県の中でどこかに災害救助法が適用されておれば、ほかの市町村でもこの貸付金が受けられるという制度でございますけれども、非常に小さな災害の場合には適用できないわけでございますが、これにかわりまして世帯更生資金という制度がありまして、それの貸し付けの制度が行われておりますので、この制度の活用を図っていくべきではないかというふうに考えております。  それから、被災直後の個人の住宅の障害物の問題でございますけれども、厚生省としましては、大規模災害が発生の場合には、直ちに災害救助法を適用して被災者の応急救助を行っておるわけでございますけれども、御質問のように自力で家屋内の土砂等の排除ができないと、こういう世帯につきましては救助法の救助の一環としまして障害物の除去という制度がございます。これによりまして、そうした土石あるいは汚物等の排除を実施をしておるところでございまして、被災現場におきまして実効がさらに上がるようにその指導の徹底を期してまいりたいと思っております。  それから、住居、家財等の被害を受けた世帯には、先ほどからお話ししております災害援護資金貸し付けが、これがその世帯の生活の立て直しに資するということで制度化されておるわけでございまして、この制度の活用で対処していくべきではないかというふうに考えております。  それから、先生お尋ねの個人財産の被害見舞い金をどうかと、こういうお話でございますけれども、これはいろいろと問題がありまして、私どもとしてはなかなかむずかしいというふうに考えております。
  34. 鈴木和美

    鈴木和美君 本件につきましても各県から陳情書、要望書が出ておりますので、また単なるこの委員会だけじゃなくて、具体的な問題を省に持ち込みますから、そのときにまた検討していただきたいと思います。  私の質問の最後ですが、台風十号に基づきまして農水省にお尋ねしますが、福島県の台風十号の被害に絡んで、農作物及び農業施設などの破壊についての現状はどういうことになっておりますか。集計が整ったらお聞かせいただけませんか。
  35. 大坪敏男

    政府委員(大坪敏男君) まことに恐縮でございますが、手元にございますのは十号台風によります全国的な農業の被害でございまして、福島県につきましては手元にございませんが、よろしければ全国の数字はここで申し上げたいと思いますが、いかがいたしましょうか。
  36. 鈴木和美

    鈴木和美君 いや、福島県だけで結構です。
  37. 大坪敏男

    政府委員(大坪敏男君) 福島県につきましては手元にございませんので、恐縮でございます。
  38. 荒井紀雄

    政府委員(荒井紀雄君) 私たまたま手持ちでございますのでちょっとお答え申し上げますと、福島県の台風十号によります農産物の被害が約百七億という県からの報告でございますが、被害が出ております。その他農林水産業施設で約十億弱、土木その他で二十数億、合計で百四十三億という現在の中間的な被害報告が出ております。
  39. 鈴木和美

    鈴木和美君 その中で葉たばこの被害額は総額どのぐらいになっておりますか。
  40. 河野覺太郎

    説明員河野覺太郎君) 福島県につきましては、耕作面積の約七〇%が被害を受けております。乾燥施設等につきましては約六%の乾燥室が被害を受けております。総額私どもが見込みましたのは約三十七億円というふうに見込んでおります。
  41. 鈴木和美

    鈴木和美君 いまお話しのように、福島県の農作物の被害の中で葉たばこの被害が相当の額を占めているわけですね。それで御案内のとおり福島県の葉たばこはことしで三年連続して被害を受けているわけですよ。五十五年のひょう、冷夏、その次に去年の霜、ことしの台風と。それで、葉たばこ耕作者の間で大変たばこ耕作に関する意欲が減退をするというような現状なども報告されておりますが、この被害に対して専売公社はどういうような指導をなさったのか、その指導の経過をちょっと聞かしてくれませんか。簡単で結構です。
  42. 河野覺太郎

    説明員河野覺太郎君) 被害がありました当日、直ちに公社職員が全員出まして、耕作者の方に激励なり、また被害を受けましたたばこをどうするか、そういう対策指導、それから葉たばこにつきましては全額国庫負担によります災害補償制度がございますので、天災による災害補償の申請、こういう申請漏れがないようにと。これは、先般の冷夏、霜害等におきまして鈴木先生から御指摘がありまして、福島県を管轄しております郡山地方局だけではございませんが、各災害を受けました地方局に対しまして、特にいま申し上げたようなことを指導をしておるところでございます。  また、被害当日は、急を要するということで広報車等利用いたしまして耕作者に対策を呼びかけたわけでございますが、被害を受けた程度というものは耕作者によって個々であるということで個別の指導も必要ではないかということで、現在個別指導に重点を置いて指導をさしておるところでございます。
  43. 鈴木和美

    鈴木和美君 持ち時間が私はないものですから、要望だけ申し上げておきますので、総合的に見解を聞かしてください。  先ほど申し上げましたように、相当の被害額に及んでおりまして、たばこ耕作者一人当たりにすると、年収にして四十万から五十万ぐらいの減収になっているわけですね、三年続いてですね。そういう現状ですから、災害補償についても的確にぜひやっていただきたいと思うんです。  そこで、具体的な対策をお願い申し上げておきたいんですが、一つは、災害対策充実化を図るために、個別指導に重点を置いて耕作者の要望を十分に把握するための相談コーナー的な方法を取り入れる、特に被害葉たばこの収穫の選別は耕作者の自主性を尊重するなど、耕作者と公社の信頼関係を確立する意味でも、ぜひそういう方法をとっていただきたいと思うんです。  二つ目の問題は、いま三十七億という被害額の中で、施設に関する被害が約二、三億出ていると思うんですね。そういう意味では、乾燥施設に対する修繕及び建設に関する費用の補助措置が講ぜられるように検討をしてもらいたいと思うんです。  それから三つ目は、災害申請は本当に漏れなく、耕作者の立場に立って公社の職員が産地に出向くというような形をとりながら、申請を忘れるようなことのないような対策をぜひとってもらいたいと思うんです。  四つ目の問題は、今回被害をこうむったために、もうたばこを廃作するというような人もおると思うんですけれども、今回の被害との関連において、これから審議される次年度の面積配分に関係させないように専売公社で処置してもらいたいと思います。  以上、要望を申し上げておきますが、総合的な見解を簡単でいいですから聞かせてください。
  44. 河野覺太郎

    説明員河野覺太郎君) ただいま先生御指摘の点、私どもも十分そういう趣旨を踏まえまして今後に対処したいと思っておりますが、指導等につきましても、ただいま、耕作者の自主性を尊重してということでございました。たばこの被害の見方、いろいろあるわけでございますが、耕作者とも十分そういう点については、私どもの考え、また耕作者のその被害についての考え方、ここら辺のことについては十分調整をとっていきたいというふうに考えております。  それから施設等につきまして補助の件でございますけれども、乾燥室で、私ども規格乾燥室と申しておりますが、そういうものが倒壊した、復旧するという場合には、基準に照らしまして補助対象としておりますけれども、今回の乾燥室の被害というのはいわゆるパイプハウスが主体でございまして、ビニール等が破損をした、また飛んでしまったということでございます。これにつきましては、耕作団体等とも十分連絡をとりながら、県なり市町村に対応してまいりたいというふうに考えております。  それから、災害補償の点でございますが、先ほど申し上げたとおりでございまして、いわゆる申請漏れということがないように、さらに指導の徹底を図り、国庫負担による災害補償、この恩恵というものが漏れなく被害を受けられた方に行き渡るようにいたしたいというふうに考えております。  それから、面積配分でございますが、先生御承知のように、現在過剰在庫を抱えまして生産調整を続けておるところでございますが、今後とも生産調整の方向というものは持っておりますが、五十八年の面積配分におきまして、被害を受けて品質が悪くなったからというようなことで面積をその理由によって調整をするというようなことは考えておりません。いずれにいたしましても、耕作者の方、今回の災害で非常にお力落としの面もあるかと思いますが、長年公社に御協力いただいた方々でもございますので、意欲を失わないように折に触れ話し合いをし、力づけてまいりたいというふうに考えております。
  45. 青木薪次

    青木薪次君 いま鈴木委員の質問にもありましたように、強い暴風雨を伴った大型台風の十号が、二日の午前零時に愛知県の渥美半島に上陸いたしまして、スピードを上げながら本州を横断して、当日午前六時過ぎに石川県の能登半島を通過して日本海に抜けた、こういう台風であります。すでにそのときには気象庁はもう梅雨明け宣言を発しておって、しかもこのような台風の進路というものは、本来なら日本本土に強い高気圧が滞在するから、ほとんど沖繩県のいわゆる南西諸島並びに九州の西部を通過するということが大体台風の進路であったわけでありますが、このことが今回は全く本土を直撃した。しかもスピードを持った、のろのろ台風じゃなかったというようなことが、いまこの長崎熊本中心といたしました七月の集中豪雨の大被害の後を受けて、全く私どもはこの対応に困ったわけであります。しかもこれが関東、東海、近畿を襲ったのでありまして、このつめ跡は、先ほどの大臣の報告にありましたように、大変な事態になったと思うのであります。  そこで、七月と八月のこの台風の関係については、あるいは集中豪雨被害については、これはいま鈴木質問にもありましたけれども、激甚災害指定基準が余りにもシビアであるということであろうと思うんです。私は、長崎の現地には不幸にして行けませんでしたけれども、特に全国激甚の関係につきましては、「当該災害に係る公共施設災害復旧事業等(法第三条第一項第一号及び第三号から第十四号までに掲げる事業をいう。)」と言っておりますけれども、この「事業費の査定見込額が全国の都道府県及び市町村の当該年度の標準税収入の総額のおおむね四%」でありますから、これは大変な額だと思うんです。それからもう一つは、「当該災害に係る公共施設災害復旧事業等の事業費の査定見込額が全国の都道府県及び市町村の当該年度の標準税収入の総額のおおむね一・二%相当額をこえる災害」であって、しかも「次の要件のいずれかに該当するもの」ということになっておりまして、「都道府県が負担する当該災害に係る公共施設災害復旧事業等の事業費の査定見込額が当該都道府県の当該年度の標準税収入の一倍をこえる都道府県が一以上あること。」、それからもう一つは、「一の都道府県の区域内の市町村がその費用を負担する当該災害に係る公共施設災害復旧事業等の事業費の査定見込額の総額が、当該都道府県の区域内の全市町村の当該年度の標準税収入の総額の〇・二五倍をこえる都道府県が一以上あること。」ということになっておりますので、それらのことを勘案いたしてまいりますと、まだありますが、ほとんど今度のあの大災害全国激甚の適用を受けないということになるわけです。じゃ一体災害を受けた、先ほどの話にありましたように四千七百億ですか、県の収入ですか、予算ですか、その中で三千億も長崎県あたりは被害があるということになれば、そのところだけを考えてみればこれは大変な災害復旧の見通しがないということになる。そうすると、今度は市町村の関係では局地激甚の適用を受けるということになれば、これはもう年度末でなければ適用されないわけでしょう、適用されると言っても。激特とか補助事業とかいろんなことで改良復旧をやらなきゃならぬということになってくる。そうすると、先ほどの質問にあったように、この指定基準の緩和をしなければ大変なことになってしまう。これは国土庁長官、あなたは主管大臣としてこの改正のために、大蔵省も見えておると思うんだけれども、早急にひとつ閣内の意思を統一してやらぬと、今度の災害復旧の関係については、特に激甚を伴う長崎熊本等、私どものところもそうでありますけれども、復旧の見通しは立たないということになってくると思うんです。ですから、その点についてひとつ松野国土庁長官は、あなたは教科書問題で大分有名になったけれども、それは有名になったのは、韓国と中国で有名になったので、この問題でひとつがんばらないと、長官、一体、教科書問題、文部大臣のようなことを言ったけれども、災害に対してはよくやってくれたということになりませんから、ひとつあなたの決意を聞かしてもらいたい、こう思います。
  46. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 私も県知事の時代から、何度も大きな災害を受けまして、そしてまた国会に出ましてからも建設委員会に所属しておりまして、たびたび体験を経ておりますので、いまの御意見につきましてはいろいろな役所との関連もありますので、できる限りの検討をしまして、最善の努力をしたいと思っております。
  47. 青木薪次

    青木薪次君 特に私は鈴木質問とはダブらないように申し上げたいと思いますし、静岡県の出身でございますので、その辺でひとつそこらに焦点を当てて申し上げたいと思うのであります。  特に、東海道線の富士川にかかっている鉄橋の橋脚が流失いたしました。それでここは非常に厳しいのでありまして、この橋脚が流れる前に列車が通っているわけです。特に、東海道本線の下り線の橋脚が二日朝に流れたわけでありますけれども、レールが橋ごと川に落下して不通になった、その直前に団体列車の銀河五一号、それからそのほか貨物列車がごく数分前に三本が、知らぬが仏で通過している。これがもしもそのまま鉄橋が流失したことを知らずに走ったら、これはもう大変なことになっていたと思うのでありますが、この富士川の鉄橋は東海道本線の中枢中の中枢でありまして、いまこそ新幹線にエースの座を譲ったとはいうものの、いまもって日本の大動脈であることはこれは間違いないわけであります。いま上り線を使いまして、もう強力な復旧工事が進められているわけでありますが、橋梁が流失した原因についてひとつ説明をしていただきたい。時間がありませんので簡単で結構です。
  48. 村上温

    説明員(村上温君) お答えいたします。  富士川の鉄橋でございますが、前日から相当な風雨で警戒をしておったところでございますが、急激に水位が上昇いたしまして、河床が洗掘を受けたということで倒壊したと予想されております。なおまだ、相当の水がございまして、水が引きました後で詳細に調査をいたしたいと考えておりますが、私どもの調べでは、当日午前三時前後にかなり上流の方の道路橋も被害を受けておりますし、もともと富士川は非常に河床変動の激しい河川でございますので、そういう異常な出水で足元を洗われて、不幸にして倒壊したというふうに推定いたしております。
  49. 青木薪次

    青木薪次君 富士川の鉄橋はもとから老朽化や川底低下現象などから危険度が高いとされておったわけでありますが、その点について国鉄側の補強対策や安全対策について甘さがあったんじゃないかというようなことが言われておりますが、その点いかがですか。
  50. 村上温

    説明員(村上温君) 富士川ばかりでなく、全国に橋梁がたくさんございますが、国鉄では全国の鉄道管理局に構造物検査センターというものを置き、それから各地の保線区にも土木の検査のグループがおりましてふだんから橋梁の様子を検査しております。富士川につきましても、毎年河床の変動等を検査しておるわけでございますが、その状況を見つつ、四十二年からブロック等で補強工事をやっておりました。そして、昭和五十四年ごろから若干河床の状態は小康状態でございまして、通常の程度の出水にはいままで耐えてきたわけでございますが、今回の出水はそれを上回るものであったというふうに考えられます。  なお、こういう橋梁でございまして、取りかえの計画は全くなかったわけではなく、工事局等で調査はしてございまして、いずれは措置をするという所存でございましたが、不幸にして台風の規模の方が早く大きく来たというふうに考えております。
  51. 青木薪次

    青木薪次君 新聞によりますと、Aランクの要注意の橋脚となっております。いまの話のように、国鉄でも重大関心を払っていたと言いますけれども、特に取りかえ基準についても聞くところによれば三段階に分かれていると。で、この三段階の中でAの2となっているようでありますが、これが早急に取りかえなきゃならぬというA1になるという危険性を持ったところのようであります。国鉄は数年前に調査費をつけておりまして取りかえ工事をすることになっていたと聞くんでありますけれども、これは予算上それができなかったのか。確かに私はその近所に住む一人といたしまして、富士川の激流というものは日本三急流の一つでありますけれども、特にこのごろまことに厳しい条件下に置かれているということなんでありますが、その点いかがですか。
  52. 村上温

    説明員(村上温君) 先生御指摘のように、二、三年前から、先ほども御説明いたしましたように、工事局で詳しい調査をして川底の状態とか、あるいは橋をかけかえるとするとどういう方法にするか、河川の方との協議も必要でございますので、勉強は続けておったわけでございます。それからAランク、私たちたくさん構造物を抱えておりまして、これを管理いたしますのに健全度と申しますか、取りかえに至るスピードと申しますか、そういうものを管理するのにランク分けをしておるわけで、この富士川の橋梁は先生の御勉強のとおりにA2ということでございますが、A2というのは常時はそれほどの危険がないけれども、大きい地震とか大きい水害のときには危険があるということで、できれば早く措置をすることが望ましいという状態であったわけでございます。予算の方の条件もございますが、たくさんありますので常に監視をいたしまして、最も危険なものから順次取りかえていくという姿勢でおったわけでございます。
  53. 青木薪次

    青木薪次君 順次危険な方からと言うけれども、この辺は一番先危険な方に適用してもらわぬと困るわけですよ。  それで、現地を視察した高橋技師長は、年内はおろか十一月にももとの姿に戻したい、こういうことを現地の新聞で私は見たわけでありますが、この復旧方針を聞きたいし、またこの赤字の国鉄が単線運転やるなんていうことになったら、これは大変なことだと思うんですね、東海道本線ですから。どれくらいの減収になるか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  54. 村上温

    説明員(村上温君) 現在単線で運転をしておりますが、最初被害の直後五十六時間ばかり列車がとまりまして、そしてその後富士と富士川の駅でタブレット閉塞といいますか、ほとんど手動のような形で単線運転をしておりましたが、重要な路線でございますので、富士川の鉄橋のそばに分岐器を入れまして単線区間を縮め、そして自動信号にしてできる限りの列車本数を確保するという方針で臨んでおりまして、現在旅客列車はほぼ七五%、貨物列車もほぼ七六%というような運転本数を確保してございます。  不通の期間の減収が貨物を中心に十億ばかりというふうな推定をしておりますが、今後は重要な列車から重点的に運転を確保し、減収そのものは少なくしたいと考えております。いずれにしましても、これからの営業損失、相当な額に上ると思いますが、今日の段階、不通の期間の損失は先ほどのとおりでございますけれども、確実にどのぐらいの減収というふうなことは推定できませんが、優先的な列車から運転し、営業損失を少なくしたいというふうに考えてございます。
  55. 青木薪次

    青木薪次君 先ほどの答弁で富士川以外にも老朽施設が多いと聞きましたね。私は災害対策委員長をかつてやったときに、静岡県は特に地震地域でありますので、東海道の地震対策立法の制定とそれから地震の特例法をつくるときにずっと見て歩きました。大東亜戦争が始まったそのときからまだ使っている橋梁もありました。トンネルの入り口とか、それからのり面とか、こういう改良を急がないと台風だけでなくて地震なんかで取り返しのつかない災禍をもたらすというようなところがございます。そういうようなところについて、これは由比の地すべりなんかもその一つでありますし、そのほかたくさんありました。そういう点について、これは国民に迷惑をかけたり、国鉄自体も損害となるわけでございますから、赤字の責任や予算の不足などで放置できない問題です。過去にこれらの老朽施設についてどの程度の投資を行ってきたのか、またどれぐらいの老朽施設が取りかえられたのか、そういう点についてひとつ簡潔に説明してください。
  56. 村上温

    説明員(村上温君) 財政事情の非常に厳しいところではございますが、安全の問題でございますので、先ほどから御説明しておりますように、全国で検査をする担当の職員が順次検査をし、重要なものから取りかえておるわけでございまして、予算的にはたとえば五十七年度で申しますと、橋梁やトンネルの取りかえあるいは地すべり、地震対策等すべてを含めまして五百七十億の予算をいただいてございます。取りかえの実績も、橋梁で申しますと約三百カ所ばかりの取りかえを年間行ってございます。もちろん十分というふうなことにはむつかしいかもしれませんが、いずれにしましても点検等も行い、あるいは補修等も加えて万全を期したいというふうに考えておるわけでございます。
  57. 青木薪次

    青木薪次君 運輸省の林部長、見えてますね。この点については、あなたも財政課長も経験されたし、全国隅々までもうわかっていると思うんでありますが、いまの土木課長説明について運輸省としてはどう考えておられますか。——いま国鉄部長は衆議院の方から来て、質問の趣旨がよくわからぬようでありますから、もう一度簡単に申し上げます。  老朽施設が国鉄に多いと、しかもこのトンネル、のり面などの改良や、橋梁はもちろんだけれども、富士川なんかも危険個所に入っている。それが富士川の激流によって流された。その前を銀河とかそういう貨物車とかがごく数分前に走った。もしもそのときに一緒に流れるということになったら、何千名、それから何十億、何百億というような被害を起こしたに違いないと思うんです。で、いまもなおそういう非常に危険な個所が多い。この点についてやっているけれども満足じゃないと、こういう答弁があったわけですが、老朽施設の取りかえという問題は、赤字という問題だけでなくて、世間一般にも迷惑かけるし、国鉄も大損害を受ける、国民に迷惑かける、こういう点について臨調の中においても安全対策災害対策は優先だということをうたっているんだから、運輸省はこの点について、特に堪能なあなたはどう考えているか説明してください。
  58. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 国鉄の設備投資につきましては、一般的に申し上げますと、国鉄が現在借入金依存によりまして大変な財政状況にあるということでございますので、この資本費の増加というものが経営を非常に圧迫しておる。こういう状況から見ますと、投資一般については極力これは抑制をしていかざるを得ないという現状にあるわけでございます。ただ、ただいま先生御指摘のいわゆる老朽施設の取りかえでありますとか、一般的な安全投資でありますとか、そういう安全、取りかえというふうな問題は、これはもう人命にかかわる重要な問題でございますので、こういう投資については非常に苦しい中でも極力確保をしていくと、十分なその安全対策実施できるように、こういう工事費については極力確保していくと。一般的には極力抑制せざるを得ませんが、そういう安全投資については最大限の配慮を払っていくという方向で今後とも考えてまいりたいと、このように考えております。
  59. 青木薪次

    青木薪次君 大蔵省の主計官が見えておりますが、きのうも私は中曽根長官やあるいはまたそのほかの大臣にも申し上げたわけですが、五十八年度の予算はマイナスシーリングだと。それから臨調答申を踏まえて、またまたこのイコールフッティング論というやつが再燃してきたわけですよ。しかも総合交通体系をつくらないと大変なことだというように思うわけでありますが、その点で老朽の橋梁とか、トンネルの取りかえについて、大蔵省の考え方を聞かしてください。
  60. 藤井威

    説明員(藤井威君) 国鉄の投資につきまして、一般会計から直接何らかの措置をとるということは、国鉄という事業の性格からかなりむずかしいということではございますが、しかしながら現状の国鉄の状況ということもございまして、国鉄の行います設備投資には、工事費補助金というような制度によりまして所要の助成も行ってきております。中でも安全対策にかかわる投資につきましては、先ほど国鉄部長が御答弁された点とわれわれ大蔵省の考えと全く同様でございまして、そのための資金は何とか配慮してまいりたいというふうに考えております。
  61. 青木薪次

    青木薪次君 災害復旧については、いままで私も申し上げましたように、道路河川には補助金が出るわけです。ところが国鉄の災害に対しては、費目を流用しろとか、あるいはまたその中で重点的に考えろというようになっているわけです。こういうたとえば富士川の橋梁流失といったような問題については、これは川がしょっちゅう流れが変わったり、激流だと、急流だというようなことによって起こるわけでありますという観点から考えて財政援助をしないと、危険な実情というものが先送りになってしまうというように考えるわけですね。この点について主計官どうですか。
  62. 藤井威

    説明員(藤井威君) 実際上の予防的措置としての老朽施設の取りかえ等につきましてはいま御答弁申し上げました。  実際災害が発生いたしまして、その発生災害復旧するということにつきましても、先生の御指摘のとおり、第一次的には国鉄の営業自体の一つの形態としまして、国鉄に責任を持ってやっていただくというシステムを現在とっておるのでございます。そのシステム自体を変えることは非常に困難だと思いますが、ただ災害復旧につきましても、非常に大規模なもの、投資という形で行われるものにつきましては、工事費補助金というような制度のもとで対応していく。いろいろ経費がかかりましてそれらが欠損というような形で国鉄にはね返ってくるということにつきましては、すでに五十七年度予算におきまして一般会計から国鉄に対しまして七千三百億円というような非常に多額な負担を主としていわゆる経常勘定への助成つまり欠損の助成という形で行っておりまして、現在の財政状況から見ますと、国鉄に対する、国鉄という企業体ですね、企業体というものに対する助成、七千三百億円の助成というようなものが現在の財政状況から見て当面は限度に近づいてきておるということでございます。そういうようなことでもちろん災害あるいは安全対策という点につきまして、国鉄の予算の中で第一次的に考えていくという点につきましては大蔵省も全く異論がございません。全体としての国鉄に対する助成というものはしかしながら限界にきておるという点もあわせて御理解いただきたいということでございます。
  63. 青木薪次

    青木薪次君 主計官、そんなことを聞いているんじゃないんだよ。七千三百億は僕らも知っている。そういうことを聞いているんじゃなくて、あんたも臨調の中曽根さんみたいな答弁をしないで、内容というものについて、これは突き詰めていったら、それはあんたこの国鉄再建監理委員会設置法の問題の議論をいまからしなきゃならぬ。そういう素人に言うようなことを答弁しちゃだめだ。だから、こういうような問題に、突発的に起こる災害とかこういうものについて具体的に補助とかなんとかしなかったら、結果として赤字だからあれはあっちでやっておきゃいいんだということじゃないはずだということを言っているんで、その点をあなたに改めてひとつ考え方を聞きたいと、こういうことです。端的に言ってください。いいかげんにごまかすようなことを言っちゃだめだ。
  64. 藤井威

    説明員(藤井威君) 今回のような橋梁が流失するというような災害に対しまして、お金がないとか、あるいは財政上困難であるとかということで復旧がおくれるとか、やむを得ずおくれていくというような事態にはならないように措置するという点につきましては、全くそのとおりだということでございます。
  65. 青木薪次

    青木薪次君 静岡海岸の被害状況について質問いたしたいわけでありますが、時間がございませんからひとつはしょって答弁をお願いしたいと思います。  台風十号によって久能海岸の海岸堤防が約一キロにわたって決壊いたしました。私はこれも現地に行ってつぶさに見てまいりました。御承知のように静岡海岸は静岡−久能−清水という道路、百五十号線を通っている全く基幹道路です。ここが毎年、毎年やられるわけでありますが、この原因については、奥地の砂利の取り過ぎとかあるいはまたダムの建設とか、そういったことで土砂が流れないというようなことから岸壁を洗っている、削っているという原因だというようになっているわけです。黒潮は一定に太平洋を洗ってくるわけですからね。そういうことでございます。いまもイチゴの観光農園で有名な農園にいっぱい土砂を堆積いたしまして、民家の方へ波が押し寄せないためにやっておりますが、道路はもう取られてしまって、一部畑まで浸食しているのでありますが、この点建設省は確認しておりますか。
  66. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) お答えいたします。  先先御指摘の静岡海岸でございますが、本年に入りましても三、四、六月の波浪で連続被害を受けておりまして、それに対しては応急仮工事をいたしておりましたが、その後、台風十号による波浪のため増破いたしました。古安川の西側で三百七十メートルにわたり国道百五十号が一車線分決壊し、それから東側六百二十メートルにつきましては一部民地を含み道路が二車線決壊しております。
  67. 青木薪次

    青木薪次君 その他、いまもって梅ケ島温泉というところではまだ民家が孤立してしまって、しかもキャンプ場その他のところでは何百人の人が孤立してヘリコプターで救出をする、こういう事態というものが続けられたわけであります。こういうようなことを初めといたしまして、同じく井川の被害、それから清水の両河内の道路がずたずたに決壊したり、伊佐布の道路決壊、それから焼津の大井川町付近の海岸の被害、三島市の山の手の土砂流出による河川はんらん、それから遠州地方の都田川流域のはんらんというようなところが特筆して挙げられているわけでありますが、これ建設省は確認しておりますか。
  68. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) お答えいたします。  先生御指摘の、梅ケ島、それから井川、両河内、それから伊佐布、さらに焼津大井川付近の海岸の問題、三島市の土砂流出等の問題あるいは都田川付近のはんらんの問題、いずれも現地目下調査中でございます。特に、先生おっしゃいましたように、梅ケ島等の地区につきましてはなかなか調査が困難をきわめておりますが、現在静岡県で災害の概況はそれぞれ道路不通あるいは河川の決壊等をつかんでおります。まだ、災害の詳細につきましては目下調査中でございます。
  69. 青木薪次

    青木薪次君 初めに戻りまして、久能海岸は五十六年災害復旧助成事業中のものを含めて堤体決壊があったわけですね。それから堤体工事や根継ぎ工事、消波工事中のものが無残にも壊れたのでありますけれども、被害額は幾らぐらいになりますか。
  70. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) 先生御指摘の分につきましては、本年度三、四、六月の分、これにつきましてはほぼ調査を終わり、査定を終わっておりまして、目下、十号につきましては現在まだ調査中でございます。三、四、六月の分につきましては、細かい数字があれですが、おおむね十二億程度だと、このように承知しております。
  71. 青木薪次

    青木薪次君 まだ台風は来るのであります。で、消波ブロックが当面被害の予防になると思いますけれども、一夜にしてブロックの作製はできないわけですね。現地の人は恐れおののいているわけです。したがってこういう点から、久能海岸における特に建設省の防災関係の担当者は真剣にこの問題を取り扱っていてくれるということを私も確認をいたしております。すぐ近所でありますので、その点から地元民の不安を取り除くための対策についてお伺いしたいと思います。
  72. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) 静岡海岸のただいま申し上げました本年に入りましての災害あるいは台風十号の被災に対応いたしまして、再度災害防止するために一定計画に基づいた災害復旧助成事業実施する予定をしております。静岡海岸の助成事業は、非常に現地の状況激甚でございます。早急に対策の必要があるというぐあいに考えておりまして、通常の進度を大幅に早めましておおむね二カ年程度で堤防を概成するということにしております。このため、五十七年度には千三百六十メーターの消波工を実施することといたしまして、一部はすでに着工しておりますが、できるだけ早急に完成するよう県を指導してまいりたい、かように考えております。
  73. 青木薪次

    青木薪次君 大臣に最後にお伺いいたしたいと思うのでありますが、災害対策というのは本土を鉄筋コンクリート化するということではないと思いますね。むしろ観光開発等が進み、あるいはまた無責任な民間デベロッパーが山の上にずっとコンクリートを打って、そしてそのままマンションあるいはまた別荘地を建設する、そして景気が悪くなるとそのまま補強工事も何にもしないでずっと撤収する、その後を市町村が受けている。あなたも知事をやられたからよく御案内のとおりだと思うのでありますが、いまやペンペン草が生えて、そこが地割れをする、地震が起こる、また豪雨が来るというようなことが決壊の原因になっている。あるいはまたそういうようなことを続けていく中で、コンクリート化することによってこの流域へずっとこの豪雨が集中する、そして護岸が決壊するというようなことの反復だと思うんですね。建設省でもいろいろ、雨が降ったら地下にそのままもぐらせるという方法を考えているようでありますが、こんなに都市化された現象の中でそれはなかなか大変だと思うんです。  私は、中国へときどき行きますが、中国では揚子江の水を地下にどんどん返しているんですね、そして陥没を防いでいる、あるいはまた災害を防いでいるというようなところが大変ありまして、堤防が決壊されないように、ただ堤防を原形に復するということでなくて、これからひとつ決壊されないような抜本的なことを考えませんと、このような被害の反復というようなことが起こりがちになる、あるいはまたマンションその他の住宅の建設についてはよくその辺の調査をしっかりしないと取り返しのつかない被害、大災害というものがまた起こってくるというように思うのでありますが、最後にひとつ長官の決意を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  74. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) ただいまの御意見は私も全く同感でございまして、できる限り関係の局長などが注意を払っておりますけれども、何しろ国土の広いところですと十分行き届きませんが、御指摘については最善を尽くして今後努力してまいります。
  75. 青木薪次

    青木薪次君 終わります。
  76. 小山一平

    小山一平君 長崎豪雨、十号台風は、多数の人命と、道路、橋梁、鉄道、河川家屋農地、農産物等々甚大な被害を出しました。予想を超える豪雨であったことは間違いないのでありますけれども、これを不運な天災であったといって片づけてしまってはならないと思います。災害はわれわれに常に多くの教訓を残しています。現在、不況の長期化の中で国民は沈滞ムードの中にありますから、早急かつ万全の復旧とその他の施策を講じていかなければならないのは当然でありますけれども、この災害が深刻なものとなった要因について、行政は謙虚にその欠陥や不行き届きの点を反省して今後に対処するという姿勢が必要であると思います。  この災害を通じて国土庁はどんなことを学び、反省し、今後の国土保全災害防止対策には何を重視し、どういう諸点に意を用いていかなければならないと考えておりますか。
  77. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) このたびの豪雨災害で多くのとうとい命が失われ、多数の人々が多大な被害を受けられたことはまことに残念であります。これらの甚大な被害は、短時間に記録的な豪雨に見舞われたことが大きな要因と考えられますけれども、長崎市の例に見られるように、平地が少なく急峻な山地の多い地形などの要因が重なり生じたものと受けとめております。  今回の災害の多大の犠牲をむだにすることのないよう治山、砂防、急傾斜地崩壊対策事業、特に都市河川改修事業を進め、災害に強い地域づくりを総合的に推進してまいります。
  78. 小山一平

    小山一平君 実はもう少し具体的に、今日までの行政が林野の荒廃を生み、乱開発を許し、治山治水等の事業も立ちおくれている、こういう具体的な反省をお聞きしたがったんですが、まあよろしいでしょう。  私は、今回の災害を通じて、治山治水事業は国にとっても、国民にとっても安全保障の柱の一つとして最も重視されなければならないことを学ばなければならないと思うんです。治山治水、国土保全には安全保障の哲学がなければなりません。  大臣、いかがですか。
  79. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 御意見のことについては私も全く同感でございますが、ちょっと長崎市のことについて、私も早速現地へ参り、またその前からも長崎市は数度お伺いしておりますので、率直に申し上げますると、十四万程度、合併して三十万程度の長崎市が四十五万という、急に人口がふえていった。そのふえていったところは、従来山に木が生えておったところに住家が立ち並んでいった。もちろん五百七十ミリという集中豪雨と満潮とが重なり合ったということは最大の原因で、残念なことだと思いますけれども、しかしながら、従来の山に木の生えておったときならばそんなに、すり鉢底の商店街へ急な洪水は多少でも防げたとは思いますが、残念ながらあの町の中に流れております二つの都市河川改修が、住民との合意もなかなかむずかしく、手をつけることがおくれた、こういうことも私は否めない事実として今後の対策の反省の、大いに検討の材料にしながらいま対策を練っておる次第でございます。
  80. 小山一平

    小山一平君 大臣も治山治水、国土保全は、安全保障の哲学が必要だということに同意をされました。大臣も恐らくそういう信条に基づいておやりくださっているものと思います。しかし、そうであるとするならば、現在の姿というものが不十分である。政府は、いま申し上げたように乱開発を許し、林野を荒廃させ、治山治水事業を軽視をしてきていると私は思います。その証拠には、大きな河川整備率が五七%である、中小河川は一七%であるというふうに言われておりますし、ことしから始まる第六次五カ年計画を見ましても、必ずしもこれらの事業が安全保障として重視されていると評価のできるようなものではありません。財政危機の折ではありますけれども、政府は軍備増強を最優先政策として、こんな状況の中でも着々と軍事費を増大をしております。にもかかわらず、治山治水の面にはそうした配慮がなされておりません。私は、いままでと同じような財政のやりくりや技術の行使といった枠組みの中にとどまっている限り、百年河清を待つといったような結果になるに違いないと思うんですよ。  そこで、少なくも政府の中で、国土庁の長官ぐらいは、予算編成の折に、治山治水、国土保全は重視しなければならない安全保障である。したがって、軍備にそんなにお金をかけるならば、治山治水にもっと金をよこせ、こんな強い主張が新聞やテレビに出てくるようなことがあってもいいのではないか、ぜひそうあってほしいと、私はそう思っているんです。政府でこの分野を担当している所管大臣がそのくらいの強い姿勢を示さないと、こういう財政危機の中で治山治水の事業充実強化の方向へいくようなことは、これはむずかしいように思うんですよ。いかがでしょうか。
  81. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 治山治水を最優先にすることについては、私は多年の念願であり、全く同感でございますけれども、防衛と一緒に結びつけることについてはいささか、ちょっと考え方が違うということだけ御了承いただき、それはそれ、これはこれということで、あらゆる角度から私は最善の努力をいたすことを申し上げまして御了承いただきたいと思います。
  82. 小山一平

    小山一平君 私は、大臣が軍拡論者であるのかないのか知りませんけれども、しかし、この財政危機の中で、窮屈な枠に縛られる中で、軍事費もどんどんふやしなさい、こうした治山治水の予算もどんどんふやしなさい——そんな器用なことができるわけがありません。やっぱり国家、国民のために何がいま重要であるか、こういう視点でとらえてもらわなければなりません。  きょうは、私は何も大臣と防衛論争をやるつもりでいるわけではありませんから、これ以上のことは言いませんけれども、しかし、こういうあらゆる予算が縮小され、圧迫されている中で、ある部分は突出をしていく、こういう状況にあるとしたら、自分の所管の分野で、しかもさっきおっしゃったようにこれは安全保障として重視をすべき課題であると、こうおっしゃるならば、そのことに優先的な財源配分を強く求めて暴れるぐらいのやっぱり勇気が私は必要だと思うんです。どうもえらい当てにはなりませんが、希望だけ申し上げておきたいと思います。  これに関連して、きょう時間がありませんから多くのことをお聞きできませんけれども、建設省にお尋ねしたいことは、災害復旧に対して大変な努力を傾けていらっしゃる点については私も評価するにやぶさかではありません。しかし、災害というものを顧みて、私の経験からいきましても、たとえば危険な堤防があるので早く改修してほしい、新たに必要な築堤をお願いをしたい、こういうことを申し上げますと、予算が窮屈でなかなか思うように御期待にはこたえられないが、災害があったらその機会に何とかいたしたいといったようなことを私は幾たびか聞いてきているわけです。  そこで、改修やあるいは新たな事業というものが予算がないというので行き届かないで、そのために災害が出てまいりますと復旧の予算が支出されてくるというこの悪循環が繰り返されているように見えてならないんです。ですから、どうも改修整備災害待ちといった傾向にあるのではないか、災害の後追いをしているんじゃないか。どうして防災の先取りというパターンに変えることはできないのか。これは財政的な問題もありますから簡単なことではありませんけれども、私の感じではどうも災害の後追いを一生懸命やっておって防災の先取り行政に欠けている、こういうふうに思うんですが、建設省いかがですか。
  83. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいました改修でございまして、災害の前に改修を十分やるべきではないかということでございまして、大変ごもっともでございます。私ども一般改修費をもちまして未然に水害防止するように改修に努めておるわけでございますけれども、先生も御承知のようにいろいろ財政的な問題とか、社会的、技術的な問題、制約がございまして、なかなか十分に行えてないわけでございます。そういう制約の中でできるだけ安全にするように配慮して改修を進めているわけでございます。たまたま災害が起こりますと、災害復旧費で復旧するとか、それから再度災害が起こるというのは大変ないろいろな問題もあるわけでございまして、災害が起こりますと、災害関連事業とか、それからあるいは激特事業もそうでございますが、できるだけ早く予算を集中してその部分について改修をやるという制度もあるわけでございます。そういうことで本当に一般改修を常々十分進めたいわけでございますが、制約の中で最大の努力を尽くしているという事情でございます。
  84. 小山一平

    小山一平君 課長としてはそういう御答弁より仕方がないと思いますが、私は、大臣もよく聞いておいてください。どうも災害の後追いに狂奔をして——防災が先取り的に行われるという、こういうふうにパターンをいつの日か、一日も早く変えていかないと、この災害王国などという汚名を取り除くことは私はできないと思うんです。これは私の意見だし、またそういう方向に変えていくことについて希望だけ申し上げておきます。  次は、復旧事業をやるには、まあ当然のことでございますが、まず県から実態調査の資料が集まってきて、建設省から査定官が、大蔵省の立会官までついて現地に出向いて一つ一つの査定をし、そして事業を認可するというか、決めていく、こういうことが行われているわけですけれども、今度のように長崎豪雨だ、十号台風だと、広範囲かつ甚大な被害を出している折に、査定事務というものが迅速に行われて——復旧事業実施する上に支障にならないのかという心配があるわけです。どうでしょうか。
  85. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) お答えいたします。  先生いま御指摘のように、これから今回の災害に対しまして都道府県から資料が整い次第査定を実施するということになるわけでございますが、建設省としましては、公共団体の準備が整い次第早急に査定を実施するということにしておりまして、先生御心配の災害復旧がおくれるということにつきましては、建設省の防災課の査定官、あるいは地方建設局の職員等を全力を挙げて対応いたしまして支障ないように努める次第でございます。
  86. 小山一平

    小山一平君 これ本当は中曽根さんがいるといいんだけれども……。私はこの査定事務というのを、これは地方に起きた災害に関する範囲ですけれども、一から十まですべて中央が行って目を通して査定をして許可をすると、こんなことはもう改革する必要があるんじゃないか。相当部分を都道府県に任せていいのではないか。これが行政改革の、本当の行政改革というものはこういうことをやるべきだと日ごろ思っているんですよ。どうも中曽根さんもいないし、建設大臣もいないし、この議論をしようにもなりませんけれども、大臣ね、ひとつこれ機会があったら中曽根さんにもよく言っておいてください。こういう煩瑣な査定事務というようなものは、余り中央が隅から隅までやらないで、都道府県というものを信頼して、都道府県にある程度任せていくぐらいの改革をやるのが本当の行政改革だ、本当の行政改革をやってほしいと、こういうことをひとつ伝えていただきたいと思います。  それから、査定に関連して文部省にお尋ねしたいんですけれども、私は長野県ですが、十号台風があの浅間山ろく一帯に大変な被害を出しました。おとといずうっと回って見てたら、学校の体育館の鉄板がぱあっと吹っ飛んでしまってあの豪雨が床へ流れ込んで、床はもうでこぼこになって使い物にならない、こういう状況になっておりました。聞くところによると、これから文部省にお願いをして補助金をもらわなければならない。当然のことです。私の思うには、いま幸い夏休みですから、学校が始まる前にこの吹っ飛んだ屋根を張りかえ、床板を張りかえる工事が終わるぐらいのスピーディーな行政というものが望まれてならないわけです。地方自治体にお金があって補助金をもらわんでできるということであれば、これはすぐに設計をして発注すれば夏休みが終わるまでに修復できるなんということは簡単な工事です。  そこで、ひとつ日本の教育を背負っておられる文部省として、児童生徒の教育活動に障害にならないようなスピーディーな事務処理をして、早急な復旧工事ができるようなそんな配慮ができませんか。査定だなどということでこれが一月も二月もたたなければこの事業ができないというようなことがあってはならないと思います。いかがでしょうか。
  87. 逸見博昌

    説明員(逸見博昌君) お答えいたします。  災害復旧の場合の一般的な手続でございますが、これは設置者から災害復旧事業計画書、この提出をいただきます。これを待ちまして直ちに現地調査、これは大蔵、文部両方の担当官が参るわけでございます。これを行いまして、その結果に基づいて速やかに災害復旧費補助の措置を講ずる、こういうことでございます。  ところで、その災害復旧事業計画書の提出の問題でございますが、現在、一カ月以内、被害が起こってから一カ月以内に提出してほしい、こういった手続になっております。ところが、目いっぱい市町村ではこの一カ月を使われるのが通常でございまして、中には被害状況によりましては、むしろ市町村の方からこの一カ月を延ばしてほしい、こういったふうな実態もございます。そういったことで、この計画書の提出が早ければ早いほど、私どもそれを待って直ちに現地調査をいたすわけでございます。現地調査をいたしますと、直ちに各設置者におきまして工事の契約、これは行って結構だ、こういう措置をとっておりますので、私どもの事務処理が遅くて工事にかかれないというようなことは現在ない、こういうふうに考えておるところでございます。  今回の被害につきましても、二学期から授業が確保されますように、たとえば応急措置が必要のあるものにつきましては速やかに措置を講じますように、関係の地方公共団体に対しまして指示をいたしますなど、万全の措置を今後講じてまいりたいと考えております。
  88. 小山一平

    小山一平君 私は、いま意外なことを聞いたんですが、地方の教育委員会が、たとえば学校が壊れたとか、体育館が壊れたというのに、その復旧工事をやるのを余り早くならないようにしてくれなんというあほな教育委員会がどっかにあるとしたら、これは放置できない重大なことだと思いますよ。文部省はそんなばかげた教育委員会に何を指導していらっしゃるんですか。  私は、少なくとも教育現場で教育活動に必要な教室や体育館が壊れて使えないといったら、これはもう一日でも半日でも早く復旧する、こんなことはもうだれもが願う当然のことだと思うんですけれども、さっきのお話は大変重大なことですからまた後刻その状況報告していただいて何とか考えなきゃいけないと思います。  それはそれといたしまして、それではこの被害状況報告されてくれば、そんなに二十日も一月もかからずに、文部省段階における事務処理はできる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  89. 逸見博昌

    説明員(逸見博昌君) お答えいたします。  先ほどは通常の手続を説明いたしたわけでございますが、現地調査に行くまでもなく、たとえば大変精緻な写真等、被害状況を写した写真、こういったものが早期に提出されますと、そういった場合にはそれに応じて直ちに工事に着手してよろしい、こういったことを指示することもある、こういったことでございまして、まあ臨機応変に対応しておるつもりでございます。
  90. 小山一平

    小山一平君 これは大変結構なことでございますから、ぜひ現況確認をどんな方法かによって行っていただいて、そうして工事が先行して補助金の支出は後になってもやむを得ない、こんな取り扱いを今後の学校の災害などの折にはぜひ間違いなくやっていただきたい、こういうふうにお願いをしておきます。  次は、林野庁にお尋ねしますが、森林が乱伐されて、そのあと植林がなされるわけですけれども、その後の保育が行き届かずに山の荒廃が非常に進んでいると私は思います。そうしてそれが洪水や、崩壊や、鉄砲水などの原因となっているようにも思います。  いま山林経営は、経済性とか、採算主義とかというものにとらわれておりますと、とても十分な管理、経営は成立しないというのが実情だと思うんですね。そのために山の荒廃がますます進んでいるといって憂える声が高まっていると私は思うんですけれども、林野庁はどういうふうに考えておりますか。
  91. 谷口純平

    説明員(谷口純平君) お答え申し上げます。  民有林におきましては、従来から森林総合整備事業を初めといたします造林補助制度あるいは間伐促進総合対策などによりまして森林の造成管理を推進いたしますとともに、治山事業計画的な実施等を通じまして活力のある健全な森林の整備と治山対策の推進に努めているところでございますけれども、最近御指摘のように局地的な異常気象によりまして森林被害が多発しているのは事実でございますが、今後におきましてはこれら諸施策の活用を図りつつ適切な保育と林地保全に努めまして、気象害に対しましてより抵抗性の強い森林造成と山地の安全性の向上に努めていきたい、かように考えております。
  92. 小山一平

    小山一平君 林野庁、いまこの日本の山が荒廃しているということを認めますか。
  93. 谷口純平

    説明員(谷口純平君) 戦後太平洋戦争中の乱伐あるいは過伐等によりましてかなり相当量の造林未済地と申しますか、いわゆるはげ山が発生をしておったのでございますけれども、その後それらに対する造林を着々と進めてまいりまして、このはげ山が解消いたしまして一応全体が緑に覆われているわけでございます。この緑に覆われております山の内容をより充実していかなければいけないということで取り組んでおるわけでございますけれども、御指摘のように全体が必ずしも荒廃しているというふうには認識していないのでございます。
  94. 小山一平

    小山一平君 林野庁がそんな認識だから林野行政というものがだめなんですよ。木曽の山でも一回りしてきてごらんなさいよ。あの有名な木曽の美林がいまどんな姿に変貌を遂げているか、目を覆うばかりじゃないですか。そんな認識で林野行政ができますか。率直に現状というものをとらえて、そうして、足らざるところはどうやってそれを補ってりっぱな山をつくっていくか、こういう姿勢がなくて、どうして林野行政が進展いたしますか。  またこの問題はいずれの機会に農水大臣なり、林野庁の長官なりと議論をすることにいたします。  この十号台風が私の生まれた地域などにおいても大変風倒木の被害を出しています。特に浅間山山ろく一体というものは大変なありさまですね。カラマツはもうそうめんをばらまいたようになぎ倒されている。アカマツは、こんな太いアカマツが途中からぼきんぼきんと折れて散乱をしているという、いま惨状を呈しております。  そこで、これの対処の仕方によっては、今後、山の荒廃を一層促進する心配があるわけです。困ったことに、この風倒木の処理には、この木は売れません。ただでくれるから持っていってくれと言ってももらい手がありません。だとすれば、国有林は林野庁でやるから——どの程度のことができるか、おやりになるわけですけれども、民有林はこの風倒木に相当の費用を投じて処理をして、そこへ苗木を植えて、また、お金をかけて手入れをして美林にしていくなどということができるわけがない。それにはよほどの財政援助と適切な指導がなければできない難事業であることが、現場を見ればよくわかります。  林野庁は、国有林も相当やられておりますが、民有林についてはどのように対処をされるのか、あるいはいま申し上げたような状況で放置すれば一層荒廃を促進をすることが心配される民有林についてはどういうふうに対処されますか。
  95. 谷口純平

    説明員(谷口純平君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、台風十号によります相当程度の森林被害が発生している旨の連絡を長野県等から受けましたので、直ちに担当官を現地に派遣いたしまして、被害状況把握と現地指導に当たらせたところでございますけれども、今後引き続き関係県の協力を得まして、できる限り速やかに被害状況の全貌の調査把握を行いたいと考えております。  この状況を踏まえまして、民有林の森林被害に係ります復旧の諸制度の適用を図りまして、その被害跡地の復旧に万全を期したいというふうに考えておるところでございます。  また、国有林の森林被害につきましては、現地での調査結果が判明次第、具体的な対応策を決めることにしておりますけれども、特に風害木につきましては、資源の有効活用と森林の二次被害防止を図るというふうな観点から、早期に処理をするとともに、跡地の森林機能の回復が速やかに図れますように森林施業を適切に実施していきたい、かように考えております。
  96. 小山一平

    小山一平君 先ほども議論があったところですけれども、手厚い援助をするといっても激甚災害指定でも受けなければいまの制度の中ではこうした被害を受けた民有林を今後美林に変えていくことのできるような道は私はきわめてむずかしいように思うんですよ。  激甚災害指定が受けられるのか、受けられないのか、ぜひいろんな条件を考えてやっていただきたいと思いますし、こういうことが過去の台風で風倒木被害を大変出した折にも荒廃のこれが大きな原因となっていることを私はよく知ってます。激甚災害指定についても格段のひとつ努力を願いたいと思いますし、林野庁はさっき言ったように、こんなに荒れている日本の山が、荒廃しているとは思わないなんというばかなことを言っていちゃだめですよ。これを一日も早くりっぱな美林で覆い尽くしていくぐらいの熱意を林野行政の中でやってもらいたいと私は思っております。  もう時間が来ましたから答弁は要りません。私の意見と希望を申し上げ、なお、いまのお話の中で、どうもこの問題はこんな程度で済ますわけにはまいらない。日本の山をりっぱな山にして、そして災害などもできるだけ出ないような、そういう状況をつくり出す、こういう考えで今後少し徹底した議論をしたい、こういうことを申し添えて終わります。
  97. 福間知之

    委員長福間知之君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      —————・—————    午後一時三十三分開会
  98. 福間知之

    委員長福間知之君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  99. 田代由紀男

    田代由紀男君 私は、今回の九州地方中心とした七月、八月集中豪雨災害で、松野大臣及び各省庁にそのとるべき緊急対策についてお尋ねいたします。  まず、質問に先立ちまして、長与町の百八十七ミリがありましたから、史上一番目の大豪雨になるわけでありますが、先ほどから政府側から説明がありましたように、死者並びに行方不明三百四十五名余を数え、家屋の全壊、流失六百十四戸、半壊千八十五戸、床上浸水二万五千五百八十九戸、それに道路の損壊、河川の決壊、特に、山、がけ崩れにより甚大な被害をこうむったわけであります。また、続いて発生しました八月一日、二日の十号台風においても、死者、行方不明九十二名、建物全壊、流失二百二十四戸、道路河川、山、がけ崩れというこれまた甚大な被害を見ております。今度の調査において、私どもの一行は現場においてその惨状を目の当たりに見まして、悲痛きわまりなく、花束をささげてその御冥福をお祈りしたわけでありますが、不幸にもとうとい人命を失われました方々に対し、衷心より御冥福をお祈り申し上げ、また各遺族の方々に深くお悔やみ申し上げますとともに、被災者の方々に対しまして心からお見舞い申し上げます。  なお、今回の西日本の災害に対しまして、わが党は西日本集中豪雨災害対策本部を発足させ、二階堂本部長長崎に派遣しまして、また熊本、宗崎地方には天野副本部長、それにきょう御出席の岡部、井上両先生にも御足労をお願いし、また十号台風についても、七、八月豪雨対策本部と西日本集中豪雨と一本にして対策本部を設けまして、各地に調査団を派遣して対策を行っておるところであります。私は幸い参議院の災害対策調査団に参加させていただきまして、福間委員長並びに各委員とともに長崎熊本を八月の二日と三日にわたって現地を調査したその結果について御質問いたします。  先ほどから、鈴木質問、青木質問で出尽くした感もありますが、まず激甚災害指定及び特別の財政援助についてであります。  長崎熊本を初め九州各県、また各市町村、十号台風被災の県並びに各市町村ともども激甚災害指定及び特別の財政援助を熱望しておりまして、私ども現地を見ましても、激甚災害指定を行う必要があると痛感してまいった次第であります。また、松野長官も現地を視察されて、当然ここは指定さるべきであると言っておられますが、特に公共土木施設災害復旧事業、第二章の第三条、第四条に当たりますが、同法に定める措置を適用すべきだと考えますが、その指定基準がなかなか困難でありまして、そこで、次の諸点についてもう一回お尋ねいたします。  この指定基準に対しては、どのような考えを持っておられるか。現行での指定が困難とすれば、指定基準を緩和してでもこれを行い、財政援助を行う必要があるべきでないか。また、今回の西日本災害に対して、同法第二章に定める措置を適用すべき措置として政令指定は行うつもりがあるかどうか。また七月十一日からの大雨災害、二十三日からの集中豪雨及び引き続き発生した台風十号による災害が、いずれも梅雨前線及び台風の活動に関連した一連の災害であることは、気象庁も説明し、証明しておりますし、一括して激甚災害として指定すべきであると思うがどうか。それを一括して指定しましても、なお全国の標準税収見込みは十七兆一千六百億でありまして、その百分の四は六千八百六十四億でありますから、これをオーバーすることはなかなか困難でありますので、そういうところをさらに工夫をいただいて、何とかして指定基準を緩和してでも、これを指定する必要がありはしないか。まず、その点からお尋ねいたします。
  100. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 激甚災害指定のためには、その前提として被害額把握が必要であり、現在関係省庁で調査を急いでいるところであり、なお、七月豪雨台風十号被害をあわせるかどうかについては、両者に気象上密接な関連があるとの気象庁の見解も踏まえて、目下各省庁で鋭意検討をしておりますが、いま御質問の中に、私が長崎へ行ったときに激甚指定はということを皆さんにお約束したということのお話ありましたが、そのとおりでございまして、あの現状から推測いたしまして、当然激甚指定調査の結果を待つまでもなく間違いなく指定をできるという考えでおりますので、なお一層の御協力をお願いいたします。
  101. 田代由紀男

    田代由紀男君 いま大臣から長崎に行かれたときの直観のお話をいただきまして、まことにそのとおりであると思いますが、これは全国では、やっぱり十号台風を、あわせて初めて六千億を超える額になると思いますので、ぜひ十号台風とあわせてその指定をお願い申し上げますし、県だけでいきますと、長崎県にしましても熊本県にしましても、なかなか県の標準税収を超えることはむずかしいわけでありまして、また県だけの団体指定にしましても、県の標準税収の二割を県負担分が超えることも困難でありますし、どうしてもやっぱり全国枠で十号台風とあわせて指定してもらうよりほかに手はないと思います。また、先ほど鈴木質問で御指摘がありましたように、五条とあわせてそして公共災害として指定するという方法もありますし、そういうことを工夫をいただきまして、指定基準が、一方では標準税収はどんどんふえていく、片一方では基準は、ベースは変わっていかないということでは永遠に指定はできないということになりますから、どこかでもう一遍再検討を必要とすると思いますので、その点をもう一回考慮いただきまして、前向きの御答弁をお願いします。
  102. 荒井紀雄

    政府委員(荒井紀雄君) 指定基準の見直しにつきましては、おっしゃるとおり標準税収入の伸びが非常に著しいということで、近年公共土木につきまして該当が非常に少なくなってきておるというのは事実でございます。しかし、その法律の趣旨というものが、たびたび申し上げて恐縮でございますけれども、国民経済への影響と、もう一つは地方財政の負担という点からとらえておりますので、標準税収入が伸びてきますと、地方団体の財政力というものをどういうふうに考えたらいいのかという非常に困難な問題にぶつかるわけでございます。しかし該当が少ないということであってはならないと私どもも思っておりますので、そういう面でひとつ検討をしたいと思っておりますけれども、今回の災害につきましては、先生おっしゃいました百分の四ということでなくて、いわゆるもう一つのBの基準がございます。百分の一・二でございますと、ちょっといま標準税収入持っておりませんけれども、大ざっぱに二千億程度ではなかろうかというふうに考えておりますので、現段階におきましては、そういった現行基準に照らして、この問題を何とか解決したいと、こういうふうに考えております。
  103. 田代由紀男

    田代由紀男君 次に、農地農業用施設、林道の激甚災害指定について、これは激甚災害法五条でありますが、農地農業用施設、林道の全国被害額は七月三十一日現在で五百億を超える額となっております。激甚災害指定基準の事業費の査定見込み額二百五十一億を超えるものと思われます。ついては五条関係の指定の可能性はどうか。  また次に天災融資法の発動及び激甚災害指定についてでありますが、これは激甚法八条関係であります。七月三十一日現在の梅雨前線豪雨による農作物の被害額は、県報告によるとかなりの額となっておりまして、天災融資法の発動の可能があると思います。また、もし天災融資法が発動されるとした場合、台風十号の被害を加えますと一千億を超える額になっております。そこで、上乗せ激甚災害指定を行う考えはないか、行われる可能性はないか、その感触をお尋ねいたします。
  104. 大坪敏男

    政府委員(大坪敏男君) ただいまお尋ねの二点でございますが、まず第一点の七月豪雨につきましての農地農業用施設、林道についての激甚災の適用の問題でございますが、ただいま先生御指摘の数値はさらにふえておりまして、手元にございます八月九日現在での県報告によりますと、被害額では千二百七十三億円という金額になっておりまして、近年にない大災害と言えるかと思うわけでございます。ただ、この災害を激甚災と指定するかどうかにつきましては、先ほども国土庁長官から御答弁ございましたように、あくまでも被害金額の確定を待って検討するというルールでございますので、私どもとしては目下被害金額の確定作業を進めているという段階でございますので、結論を得るまでには若干の時日を要するものと考えている次第でございます。  さらにまた、第二点の天災融資法の問題でございますが、まず七月豪雨につきましての農作物の被害につきましては、御案内のように現在私ども統計情報部におきまして被害の数字を調査取りまとめ中でございまして、この天災融資法発動につきましてもこの調査結果を見たところで判断をするということでございますので、やや時間をおかしいただきたいと考える次第でございます。  なお、先生御指摘のように七月豪雨に十号台風を加えた場合はどうかという点でございますが、当然のことながら被害額は増大するわけでございますので、これは天災融資法発動の可能性も高まるわけでございますし、かつまた天災融資法につきましての激甚災適用という問題も検討をしなければならぬだろうというふうに考えているわけでございますが、いずれにいたしましても統計情報部の調査取りまとめの結果を待って判断さしていただきたい、そういう意味ではなお若干の時日をおかしいただきたいと存ずる次第でございます。
  105. 田代由紀男

    田代由紀男君 次に、激甚法十二条、十三条、十五条、中小企業関係の激甚災害指定についてお伺いしますが、台風十号を含む七月、八月の豪雨の中小企業関係の被害額はどのくらいになっておるか。それから中小企業関係の被害額調査は進んでおると聞いておるが、激甚法の指定は中旬ごろになると言っておられますし、まあ総理も長崎発言の中で中旬には指定できるだろうと言っておりますが、これは法制局との話し合い等もうできておるかどうか。それから中小企業関係の激甚法に基づく特例措置の適用は災害救助法が適用された市町村以外にも行うべきではないか、そういう陳情市町村に多いものですから、災害救助法が適用されるのと同格の、同じような程度の市町村で何かのちょっとした手違い等で救助法が適用されていない町村等もありますから、その付近のお考えはどうであるか。  以上三点についてお伺いいたします。
  106. 佐々木恭之助

    説明員佐々木恭之助君) 台風十号を含めた七月、八月豪雨の中小企業被害額でございますが、七月豪雨の中小企業関係被害額は、各県の御調査に基づき現在まで報告があった数字で申し上げますと、長崎県の約八百四十九億円を初めといたしまして熊本県、大分県等九州一円で総額約九百十七億円に上っております。また、台風十号を含みます八月豪雨関係の中小企業関係被害は同様な数字でございますが、近畿、中部、関東に広がっておりますが、総額で約九十四億円でございます。二つを合わせますと約一千十一億円ほどの甚大な被害となっております。  それから二点目、中小企業関係の激甚災の指定の件でございますが、いま申し上げましたような各県の調査被害額等に基づきまして現在激甚災害法の主務官庁の国土庁その他の省庁と協議中でございますが、私どもといたしましては、総理の御発言も踏まえ、かつまた関係省庁の御協力を得まして八月中旬には何とかめどをつけたく努力しているところでございます。  それから三点目、適用市町村の範囲でございますが、先生御指摘のとおり、激甚法の政令二十五条で「災害救助法施行令第一条第一項第一号から第三号までのいずれかに該当する被害が発生した市町村」ということが適用地域になっておりまして、これはおっしゃるとおり災害救助法の適用市町村でなくとも災害救助法発動の要件に該当する被害が発生している市町村ということでございますので、これにつきましても関係通産局を通じまして県からの御報告をいただき、それに基づきまして私どもで判断をさしていただいて該当するものについて適用していくと、こういうことだと思います。
  107. 中村禎二

    中村禎二君 私は長崎県出身でございます。  今回の長崎水害に当たりまして、関係省庁におかれましては、いち早く松野国土庁長官初め建設大臣、中小企業庁長官等現地調査視察、お見舞いをいただき、出先機関を督励してこれに対応していただきました。また当特別委員会におきましても、委員長初め各党を代表して委員方々が多数調査視察においでいただきましてまことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げる次第でございます。  私は田代議員の質問に関連いたしまして一、二お尋ねをいたしてみたいと思うのでございます。  まず第一に、長崎市に中島川、浦上川という河川がございます。この河川復旧についてでありますが、再度の被害防止する上から激甚災害対策特別事業として復旧すべきであると考えるのでございます。  その見通しに対してお伺いいたしますが、その前に長崎市の地形、これは御存じの方も多くいらっしゃると思いますが、長崎市は典型的な都市でございまして、長崎港の入り口約五百メーターを除きますとその周辺がすべて急傾斜地、山林でございます。しかもすり鉢の形をいたしておりまして、そのすり鉢の底にあたりますところに商店街あるいは官庁、出先機関等がありまして、住家はほとんど谷間とかあるいは急傾斜地に住居が建ってそこに市民は住んでおります。人口四十五万の約八割以上の住民がそのすり鉢の中に一応居住しておるわけでございます。しかも長崎市は浦上川の上流に浦上の貯水池がございます。これが約百九十七万トンの貯水量、それから中島川の上流には本河内、高部と低部二カ所水源地がございます。明治二十四年に築造されました高部の水源地は、これが三十六万トン、それから三十七年にできました水源地が六十三万トン、中島川の上流に、左手の方に西山というところがございますが、その西山の水源地が百五十二万トン、それから浦上川の上流に百九十七万トン、この四カ所の水源地が市街の中にあるわけでございます。こういう都市全国にほとんど例のない典型的な都市だと申しても過言でないと私は存ずるのでございます。  今回の水害危険個所の決壊等がわりあいに少なくて、ほとんど山の中腹から上、まあ七合目と申しましょうか、八合目ぐらいの山が、あるいは俗に言われる鉄砲水あるいは山津波と、こう私ども言ってまいっておりますが、どうしてああいう山の上から急にあれだけの水が噴き出してくるのであろうか、私ども素人ではちょっと想像もつかない、まあそういういわゆる山津波で、予想もされないような大量の水を噴き出した。それが中島川、浦上川にはんらんしてきまして、一瞬にして長崎市街はほとんど水没をした。特に商店街の浜町一体はほとんど六メーター程度に水かさがなったわけでございます。それが一瞬のうちでございますから、まあ一時間ぐらいの間に急に水かさが増してきました。そこで、避難するにしても、なかなか避難ができない。二階に駆け上るとか、あるいは商店などはもう投げやって、そのまま成り行き任せで命からがら退避をしたというようなことでございまして、そういうことで特に長崎市の被害が非常に甚大であった。特に商店街被害が非常に大きかったのでございます。  そこで、市街地にあります貯水池、いわゆるダム、貯水池をどうすべきかという問題もございます。そうしてまた、中島川、浦上川の復旧を、これは原形復旧じゃなくって、思い切った改良復旧、しかも都市計画等を含めました総合的なひとつ復旧をこの際やっていただかなければならぬのじゃないか、かようにいま考えておるわけでございます。その点につきまして、ひとつ本省としてどういうふうにお考えになっておるか、一応お尋ねをいたします。
  108. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) お答えいたします。  中島川、浦上川につきましては、今度の災害を契機にしまして、再度災害のないように改良復旧を行うようにしております。災害関連事業というのがございます。それから、施設が壊れてない部分につきましては、一般改修の中の激特事業というものをあわせまして改修をするよういま検討しておるところでございます。  また、ダムにつきましても、現在利水ダムがあるわけでございますが、これを治水ダムに振替ができるかどうかということもあわせてただいま検討しているところでございます。  また、事業実施に当たりましては、都市計画部門との関連も出てくると思いますので、その方面とも十分協調しながら改修を進めていきたい、こう考えております。
  109. 中村禎二

    中村禎二君 それから、商工関係被害対策について次の点をお伺いいたします。  国民金融公庫等政府系金融機関の激甚特別処置といたしての限度額八百万を一千万とし、三年間の三%、これは六・〇五%を十年間の三%とするとともに、融資に際しましては無担保とする考えがあられないかどうかということをお尋ねいたします。
  110. 佐々木恭之助

    説明員佐々木恭之助君) 御指摘の政府系金融機関の特別融資につきましては、五十六年度に災害貸付制度の全体の貸付限度枠を引き上げたところでございます。  いま御指摘の、特に特利部分につきましては制度そのものが被災者が災害から立ち上がりますときに緊急に要します資金需要に対しまして設けられた特例制度でございまして、私どもといたしましては被災中小企業救済につきましては、中小企業体質強化資金助成制度等を含めました現行の諸制度を最大限活用してまいりたいと考えております。  また、担保の点でございますが、この点につきましては従来から企業の実情に応じまして担保徴求について弾力的扱いをするよう指導をしてまいりましたが、今回の災害につきましても改めて一層弾力化するよう指導したところでございます。
  111. 中村禎二

    中村禎二君 中小企業に対する特別融資措置について、被災中小企業者から代金等の回収が困難となる卸売業者等に対する特別融資の処置を講ずるお考えがないかどうか。  なおまた、小規模事業指導費補助金について被災商工会事務所の補修費及び被災商工会の調査、相談、指導の強化等のための小規模事業補助金について特別処置を講ぜられる考えがないかどうかをお尋ねいたします。
  112. 佐々木恭之助

    説明員佐々木恭之助君) 被災中小企業者からの代金回収困難なことから生じます被害、いわゆる間接被害でございますが、これにつきましては国と県が協力して実施しております中小企業体質強化資金助成制度の活用を図りますほか、被害の実情に応じまして政府系の中小企業金融機関災害貸し付けの活用等も考えてまいりたいと考えております。  それから、商工会等のこうむりました被害復旧でございます。長崎水害におきましてこうむりました被害復旧につきましては、県の調査結果を踏まえまして、小規模事業指導費補助金におきまして実情に応じまして経費の配分の変更等所要の措置を講じてまいりたいと考えております。個々のケースにつきましては御相談、御協力申し上げたいと思っております。
  113. 中村禎二

    中村禎二君 次に、長崎市の都市改造についてでございます。先ほど申し述べましたように、長崎市は典型的な都市でございます。今回の長崎水害の特色はそれこそ本当に典型的な都市災害であると言えるのでございます。都市河川はんらん、急傾斜地の崩壊による住宅被害、幹線交通網の決壊など局地的豪雨に見舞われた際、どの都市でもこのような大惨事を招く可能性があり、今後の都市のあり方に大きな教訓を与えられたものと考えられます。したがって今後長崎市の復旧に当たっても全国のモデルケースとして、いわゆる長崎方式として総合的な観点からの抜本的な都市の改造を図る必要があると思うのでありますが、これに対する御見解を承っておきます。
  114. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、今回長崎市の中心部におきまして大変激甚な災害が起きました。建設省としましては、この激甚な都市災害に対処し、安全な防災町づくりのために総合的な復旧対策実施する必要があるというぐあいに考えております。たとえば土砂害につきましては、上流部で急傾斜地崩壊対策事業あるいは砂防事業等を強力に推進をするとか、あるいは激甚な被害を受けた浦上川及び中島川につきましては、抜本的な河川改修を図るとともに、先ほど申し上げましたように、利水ダムを治水ダムに改築するといったような手法とか、あるいは河川改修に当たっては拡幅等について必要となる都市計画事業、街路事業等をあわせて行うというようなことを総合的に計画をいたしまして、安全な町づくりのための総合的な施策を推進したいということにいたしておりまして、現在長崎県及び長崎市と十分協議いたしておるところでございます。
  115. 田代由紀男

    田代由紀男君 次に、調査団にもわざわざ御視察をいただきました熊本県の直轄河川菊池川と加勢川についてお尋ねいたします。  被害の甚大であったのは主に菊池川、加勢川でありまして、特に菊池川並びにその支流である吉田川、特に流域の山鹿市、菊水町に莫大な被害を与えたのです。山鹿市においては床上浸水が六百戸もありまして、商店に対する流入、溢水も多うございまして、そして流域水田も毎年のように冠水しているんです。山鹿市も毎年のように浸水しているんです。これまで改修事業の促進を強く要請してきたのでありますが、その改修は進みませず、こういうふうに毎年の被害を受けております。そこで激甚災害特別事業、いわゆる激特として採択して、早急にその推進を図る考えはないか、まずお尋ねします。
  116. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) いまお話のありました菊池川でございますが、この河川におきましては、五十四年に山鹿市の下流に流れております岩野川を中心に大きな水害がありました。また五十五年には上流の合志川というところを中心にして被害があったわけでございます。この両河川は緊急整備計画を立てまして鋭意やってまいったわけでございます。また中流につきましても掘削とか築堤、内水排除等の計画を進めております。その途中でこういうまたことし水害があったわけでございます。  ただいま御指摘の特に問題になる個所は、山鹿市からすぐ下流から狭窄部が続いているわけでございまして、その区域改修が一番重要ではないかということでございまして、それにつきましては河道を掘削していくという計画を現在立てております。  これを激特でやるかどうかにつきましてはいろいろ採択基準等もございますので検討しておりますが、いずれにしろその改修は、中流部の掘削というのは必要な改修でございまして、促進したいと思っております。
  117. 田代由紀男

    田代由紀男君 私どもも、調査団の前でも、地建の河川部長が激特でやるように検討すると言っておりますので、ぜひ御検討をお願いします。  それから加勢川改修でありますが、今回の被害は一千四百ヘクタールの水田が冠水して、その三分の一が枯死状態でありまして、関係農民は花然自失のていでありました。しかるに六間堰付近の用地買収が進みませずに、こっちの家には六百万、向こうの家には二千万ということでちっとも進んでおりません。何十年かかってもできそうにありません。そこでその問題も、用地買収ももちろんでありますが、そこで圃場整備と並行して行い、共同減歩で河川用地を捻出するようなことはできないか。これは知事から要請がありましたし、また関係の土地改良区の連中もそういうことを協力すると言っておりますんで、その点について農林省とも話し合って進めていただきたいと思いますが、どうでありましょうか。
  118. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 緑川の支川、加勢川につきましては今回も大きなはんらんがあったわけでございますが、この河川につきましては、問題になる個所は緑川との合流点にあります、先生いま御指摘の六間堰というのがネックになりまして、これを拡幅し、それから河床を切り下げるということで上流、加勢川の水は引くわけでございます。その仕事を鋭意これやっておるわけでございますが、なかなか用地買収がうまくいかずにここまで来たわけでございます。さらにこの六間堰につきましては促進すべく最大の努力をやってまいる予定でございます。  また、上流域で特にはんらんしております区域でございますが、この区域につきましては、先生御指摘のように、農業構造改善事業と一緒になっていまこの河川整備していくということで話を進めようとしているところでございます。この方針で強力に改修を進めていきたいと思います。
  119. 田代由紀男

    田代由紀男君 次に、中小河川でありますが、長崎浦上川、八郎川、竹田市の被害が大きかった稲葉川、床上浸水二百戸でありました。熊本では田浦川、吉尾川が最もひどくございまして、関川、御船川、砂川、十町川、教良川、栖本川、大宮地川、下田川、一町田川等がありますが、そういう中小河川はんらんが多くて、人命を奪いまして、家屋を流失させ、商店街に流入して、多くの耕地を荒廃に帰しております。甚大な被害を与えています。その抜本的な対策として、支川も含めまして単なる原形復旧ではなくて災害復旧助成事業災害関連事業河川災害特定関連事業、一定災、こういうものを組み合わせまして抜本的な改修ができないものであるか、そういう積極的な災害復旧をやってもらいたいと思いますが、ぜひその点を強く要求し、お尋ねいたします。
  120. 狩野昇

    説明員(狩野昇君) お答えいたします。  ただいま先生から御指摘ございました稲葉川、八郎川、田浦川、吉尾川、岩野川、一町田川、十町川、下田川等の今回被災いたしました中小河川につきましては、現在それぞれの県において被災状況調査中でございますが、その結果を踏まえまして、採択基準等を勘案の上、各河川ごとに助成事業、関連事業等の改良復旧事業を積極的に取り入れまして、抜本的な対策を図り、対処してまいりたいと考えております。
  121. 田代由紀男

    田代由紀男君 次に、道路でありますが、長崎においては交通手段の確保が問題でありまして、ことに国道三十四号線、私たちも芒塚の上からと下から見たわけでありますが、これの開通が一番重要でありまして、九カ所寸断されております。これの早期復旧をお願いしますが、その復旧の見通しはどうであるか。  それからこれに関連して、国道三十四号線の日見バイパスがすでに着工しておりますが、この際予算を増額して早期に完成する必要があると思うが、この点についてお尋ねいたします。
  122. 信高裕

    説明員信高裕君) お答えいたします。  一般国道三十四号についてでございますが、御指摘のように、今般の異常降雨長崎市内の本河内町から平間町の間約九・六キロにわたりまして九カ所の大規模なのり面崩落、道路決壊が発生いたしましてきわめて甚大な被害を受けたわけでございます。この通行不能区間につきましては被災直後から両端から復旧に全力を挙げておりまして、すでに長崎市側の本河内町の三カ所につきましては、堆積土砂の排除とか決壊個所に応急橋梁をかけることによりまして一車線を確保しております。この区間が約三・一キロでございます。それから、諫早側の宿町並びに平間町の四カ所の崩壊個所につきましては、堆積土砂をすでに排除いたしまして二車線で供用しております。この延長が五・七キロでございます。残る芒塚でございますが、いま御指摘の二カ所の道路決壊及びのりの崩落が特に被害が甚大でございまして、道路が決壊した一カ所につきましては迂回路の設置をきょう現在でほぼ概成いたしておりますが、残る一カ所の大きなのり面崩落個所につきましては現在復旧に全力を挙げておりまして、現在の見込みでは約八月末までかかるんじゃないかというふうな見通しでございますが、なお一層促進するよう努力してまいりたいと思っております。なお、本格復旧につきましては、引き続き崩落個所ののり面工とか、あるいは構造物等の工事を急ぎまして、五十七年度末には完了したいというふうに考えております。  それから、第二点の日見バイパスでございますが、日見バイパスはちょうど今回被災しましたところのバイパスでございまして、主として長崎中心部に通ずる交通の混雑緩和と安全確保を目的としまして、馬町から田中町までの約七・一キロにつきまして計画しました四車線道路でございます。五十一年度に事業に着手しておりまして、現在は市内側の最も交通混雑のはなはだしい馬町から中川町までの間につきまして、これは延長約一・一キロでございますが、現道拡幅のための用地及び工事を実施しております。このバイパスにつきましては、今回の未曽有集中豪雨による被害の経験を踏まえまして、防災対策を含めた三十四号の恒久的対策という意味から、改めて日見バイパスの計画及び事業の進め方について検討する必要があると考えております。今後につきましては、御指摘の趣旨を踏まえて計画の再検討を速やかに行いながら、地元の御協力を得て、早期完成を目指して一層促進に努めてまいりたいと思っております。
  123. 田代由紀男

    田代由紀男君 今度の被害のもう一つの特徴は地すべりが多かった点であります。鈴木質問にもありましたように、急傾斜地の崩壊対策事業の対象地域全国で六万四千二百八十四カ所でありますが、危険地域指定は九千三百九カ所であります。地すべりの危険地域も五千七百七十七カ所であります。こういうことでありますから、急傾斜地崩壊危険区域指定がおくれているために十分なる予防対策ができなかったんではないか。また、第二次災害の発生が多うございまして、私が歩いたところでも、天草町の大江、西平、そういうところにはクラックが入ったところが何個所も見られました。そういうことでありますから、地すべり対策事業、砂防事業とあわせて緊急の措置をとるべきであると思いますが、その点についてお伺いいたします。
  124. 設楽武久

    説明員(設楽武久君) お答え申し上げます。  急傾斜地崩壊危険区域指定の促進につきましては従来から都道府県を強力に指導してきたところでございまして、昭和五十六年度中に約八百九十カ所を指定して、現在約一万二百カ所の指定を完了しております。なお、この危険区域指定は急傾斜地の崩壊による災害防止に関する法律により都道府県知事が地元事情に詳しい市町村長の意見を聞いて行うことになっておりますが、私権の制限が伴うということなどによりまして、ややもすれば危険区域指定がおくれがちでございます。今後ともなお一層の努力をいたしまして、地元の理解を得て、指定促進を図るよう指導してまいりたいと考えております。  また、今回がけ崩れにより災害を受けました個所につきましては、現地を十分調査の上、採択基準に適合するものは緊急急傾斜地崩壊対策事業として実施し、再度災害防止に努めてまいることといたしております。  また、緊急砂防につきましては、現在詳細に調査中であり、調査結果が判明次第、緊急砂防事業として対処する所存でございます。
  125. 田代由紀男

    田代由紀男君 また関連して、今度の西日本を中心とする一連の災害において山崩れの災害が多発し、個所数で八千九百、被害額一千百億にも上っております。熊本県においても球磨郡を初めこの種災害が各地に発生しておりますが、治山関係については当面対応策である緊急治山事業についてすでに着工できるように措置をされたと聞いておりますし、熊本でも三十五カ所か何カ所かと聞いておりますが、さらに人家裏山等の林地崩壊対策も早急に行う必要があると考えるが、林野庁の方針はいかがでありますか。
  126. 小沢普照

    説明員(小沢普照君) お答えいたします。  先生お話しの緊急治山事業につきましては、これは林地荒廃のうち、次期降雨等によりまして人家あるいは公共施設等に被害を与えるおそれのある個所につきまして対処することとしておるわけでございますが、さらに人家裏山等に発生いたしました小規模な林地崩壊につきましては、激甚災害指定された場合は林地崩壊防止事業で対応することとしております。また、その他の場合につきましては、小規模山地災害対策事業で緊要な個所から実施してまいりたいと、かように考えております。
  127. 田代由紀男

    田代由紀男君 次に、私がさっき申し上げました中小河川の中で田浦川、吉尾川初め各河川の張りついた耕地に流木が多うございまして、土砂埋没等もいっぱいあります。こういう水田は熊本だけでも千百二十八町歩、冠水水田一万三千ヘクタール、畑地にして二千八百町歩、そのうち果樹が八十二町歩、こういう状態にあります。  そこで、農地農業用施設等の災害復旧については、緊急地区の応急工事を行うとともに、緊急査定を実施し、早期着工を図るべきだと思うが、査定の簡素化、技術者の応援体制、これも含めましてお尋ねいたします。
  128. 吉川汎

    説明員(吉川汎君) 九州地域災害に対して早期着工、早期完成という御指摘でございますが、私どもといたしましては、被災後直ちに担当係官を派遣いたしまして、農業用水等で緊急を要するものにつきましては、すでに応急工事等を指示いたしまして着工いたしておるところでございます。なお、さらに緊急を要するものにつきましては、いまのところ大体八月十六日から緊急査定に入るべく農政局、県と打ち合わせをいたしておるところでございます。  なお、今回の九州地方災害は非常に膨大な災害でございまして、九州農政局管内だけではとても対応できないということもございまして、全国からの技術者の応援を得ましてただいま九州農政局の方と査定計画につきまして打ち合わせ中でございます。なお、十号等でかなり被害が出ておる部門もございますので、手のすいたところから応援を求めまして極力早く災害査定が終わるように努めてまいりたいというふうに思いますので、御了承賜りたいと思います。
  129. 田代由紀男

    田代由紀男君 ところで、次に問題になっておるのは、五十八年以降なお復旧ができぬ耕地についてであります。これは農業共済の対象にもなりませんし、金の出どころがないものですから、これをどういうぐあいに救っていくかと。そこで、五十八年度の水田利用再編対策の転作とみなして減反面積に実績算入できるように考慮すべきではないかと。これは二つの意味があります。その水田自体を救うのと、残った水田から減反面積を割り出すために市町村が非常に困難をしますから、二つの面からぜひやってもらいたいと思いますが、これに対する対応はいかがでありますか。
  130. 近長武治

    説明員(近長武治君) お答え申し上げます。  御質問の趣旨は、本年の水害で流失、埋没した水田について、来年の水稲の作付時期までに復旧し得ないような場合に、水田利用再編対策の上で特別な配慮をすべきではないかと、その配慮の方法として転作等に準じたようなものとして、いわゆる転作カウントというような方法ができないかと、こういうことでございます。実は、水田利用再編対策は基本的にはお米から他の作物へ転換を進めるということを目的としておりますので、こういう水田利用再編対策の考え方からいたしますと、ただいまの御指摘の問題についてはなかなかむずかしい問題ではないかというふうに私ども現時点では考えているわけでございます。  ただ、現地におきます災害を受けた農家の方、あるいは現地の市町村等におきましては、ただいま先生御指摘のような強い要望もあるようでございますし、私どもといたしましては、五十八年度の転作の問題でございますので、若干まだ時間的な余裕もあろうかと思いますので、さらによく現地の実情等を調べていきたいと思っております。  なお、従来は、通常、被害を受けた水田については翌年の水稲の作付時期までに大体災害復旧が完了しておりますので、かような問題はいままで出ておりません。私どもとしてもこれは初めての問題でございますので、現地の実情等をよく調べた上でさらに十分検討さしていただきたいというふうに考えております。
  131. 田代由紀男

    田代由紀男君 私は熊本県に行って調査してきたわけでありますが、岡部先生にも田浦や芦北町をごらんいただきまして、その結果の陳情でありますが、実際には千町歩のうちの二百町歩は小災害、あとの五百町歩しか一年間で復旧はできない。あとの三百町歩はどうしても五十八年度、五十九年度に残ると言っておるわけであります。そうしますと、やっぱりさっき申し上げましたように、なおその間の農家の生活資金または経営資金、こういうのが非常に困難してきますので、何らかの方法でこれを救う必要があるわけでありまして、もちろん転作でありますからほかの作物にかえるのが当然でありますが、減反という大目的を達するわけでありますから、そういう面においてぜひ考慮をいただきたいと思います。もう答弁は要りません。そういうことで御考慮をいただきたいと思います。  次に、災害激甚にかんがみまして農地災害復旧事業の十アール当たりの限度額の撤廃または緩和を図られたいと思いますが、この点はいかがでございますか。
  132. 吉川汎

    説明員(吉川汎君) いわゆる反当たり限度額の撤廃もしくは緩和というお尋ねでございますが、御指摘のとおり、農地にかかる災害につきましては、法律、法令の定めるところによりまして十アール当たり反当農地災害復旧限度額というものを定めております。この限度額というものは、農林水産大臣が毎年災害復旧事業事業費の単価の動向等を勘案いたしまして定めます一月当たりの国庫補助基準額、いわゆる一戸当たり補助金を幾ら差し上げるという基準額でございますが、その基準額と復旧すべき農地の所在いたします当該市町村の二戸当たり平均耕作面積との関係において市町村ごとに定めておるものでございます。いわゆる個人の財産であります農地復旧ということを考え合わせますと、一定の限度額があるのはやむを得ないんではなかろうかというふうに考えております。  要は災害復旧に要する費用について農家が負担にたえられるかどうかということであろうかと思います。従来の例を見ますと、全国的にはほとんどこの限度額の中に入っておりますが、やはり例外的にどうしても超えるというような地区が出てまいりまして、そういった地区につきましては現地の実情を十分勘案いたしまして、査定の段階等で適切な復旧工法というものを考えまして、逐次御相談をさせていただいておるというのが実情でございます。したがいまして、今後とも今回の災害につきましては、農家の負担が過重にならないように適切な工法等を検討いたしまして指導してまいりたいというふうに思っておりますので、御了承賜りたいと思います。
  133. 田代由紀男

    田代由紀男君 次に、農業共済金の早期支払いは大体何月ごろできる予定であるか。
  134. 大坪敏男

    政府委員(大坪敏男君) 今般の災害によります被害は甚大でございまして、被災農家のまた経済に与える影響も大きいところでございますので、農業共済につきましても損害評価を迅速に行い、かつ共済金の支払いを極力早期に行う必要があると考えられるところから、すでに八月五日付をもちまして通達を出しておりまして、この点につきまして農業共済団体に対して指導を行っているところでございます。特に被害が激甚でございまして、かつまた被害自体がはっきりしているという場合におきましては、通常でございますと収穫期を待って損害評価をやるということになるわけでございますが、このような場合につきましては収穫期を待つことなく損害評価をやるということで、共済金の仮渡しを行うというふうな方向で対処するようにあわせ指導しているところでございます。ただ、いまの先生の御指摘のように、いつごろかという具体的な日時になりますと、被害の程度あるいは損害評価等を行います共済組合等の体制がどうか、十分見きわめたいと思いますので、具体的ないつごろということは御答弁は差し控えさしていただきたいと思いますが、気持ちといたしましては極力早くやるように指導の徹底を図ってまいりたい、かように考えております。
  135. 田代由紀男

    田代由紀男君 時間がありませんので、あとは要望しておきます。  自作農維持資金の融資枠でありますが、これをぜひ確保願いたい。特に、先ほど申し上げましたように、五十八年、五十九年で耕作ができない農家があります。これには生活資金から経営資金、そういうものを貸し付ける必要がありますので、ぜひお願いします。すでに貸し付けを受けておる被災農家についても、別途、資金の借り入れができるように、百五十万の限度額を超えて借り入れができるようにお願いします。  また、公庫資金、近代化資金等の制度融資の既貸付金の償還期限の延長、利子の減免、条件緩和をぜひ図っていただきたいと思います。すでに行ったと聞いてもおりますが、この点ぜひお願いします。  それから、特に私の郷里では早期米が多くありまして、早期米が多いためにその早期米が長雨と今度の豪雨で規格外米になっておりますので、この規格外米の政府買い上げ措置をぜひ講じていただきたい。ぜひこれは、非常に農民も苦労しておりますので、このことにつきましては、先般の麦のときと同様に、やっぱり規格外の買い上げをお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  136. 大坪敏男

    政府委員(大坪敏男君) ただいま三点につきましてのお尋ねがあったわけでございますが、まず第一点の自作農維持資金につきましては、まず融資枠につきましては、現在、被害状況把握に努めている状況でございますので、その被害状況ないしは被災農家の資金需要等を踏まえて十分に対処してまいりたいと考えております。また、もう一つの限度額でございますが、これはただいま先生御指摘のように、現在通常の場合は百五十万となっているわけでございますが、今般の被害状況を見てみますと、百五十万では対応しがたいという事態もあるようでございますので、その点につきましては十分県等とも打ち合わせの上、適切な対応を考えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  第二点の被災農家がすでに金融機関から借りております資金についての償還期限の延長等の問題でございますが、これにつきましては、八月五日付をもちまして金融機関に対しまして文書を出しておりまして、従来の災害の際と同じように極力、償還猶予等貸付条件の緩和を図ってほしいという旨の通達を出しているところでございます。  第三点目の規格外米の買い入れの問題でございますが、今回の災害によります稲の被害状況自体、まだ実態は必ずしも明確ではございません。かつまた規格外米がどの程度発生するかにつきましてもまだ十分把握し切ってない状況でございますので、今後その発生の状況を十分見きわめながら、必要がございますればこれまでの災害の際にとったような措置を十分念頭に置きながら、その取り扱いにつきまして検討してまいりたい、かように存じております。
  137. 中野鉄造

    中野鉄造君 私は、去る七月二十三日の長崎市を中心としたあの大水害と、その後の付随的、後遺症的現況についてその対策をお尋ねいたします。  大体において、こうした風水害のたびごとに起こってくる諸問題は、その大小の相違こそあれ、毎回同じ被害形態の繰り返しでありまして、今回の災害につきましても、過日の現地調査やあるいは対策協議の席で言い尽くされたことが多いわけですから、私は少し角度を変えて、行政の死角と申しましょうか、盲点と申しましょうか、行政所管が不明確なため多数の住民が非常な不快かつ不衛生な生活を余儀なくされておりますので、その点について質問いたします。  それは、いわゆる青線の処理の問題でございますが、東京などの大都市と違いまして、地下下水道がほとんど完備していない九州地方の多くの都市では、昔ながらの幅一メーター内外の下水道が市内を縦横に走っております。すなわち、俗称、青線とか青溝とか言われておりますが、これは市民の生活にとって、炊事、洗濯、ふろ水の排水溝として欠かせない存在でもあるわけですが、これは河川法でいうところの河川にはなっていない。しかし、そのほとんどが国有財産であることは間違いないわけですけれども、この所管は建設省ですかどうか、それが第一点。  それと、この青線は当然その大部分が、いまも申しますように国有財産と思いますが、全国面積あるいはその総延長線はどのくらいありますか。この点をお尋ねいたします。
  138. 川本正知

    政府委員(川本正知君) ただいま先生お話しのいわゆる青線と言われる普通河川の問題でございますが、河川法が適用あるいは準用されてない普通河川でございまして、この当該河川の存する市町村の長が管理するというのが通例でございます。建設省の所管の国有財産ではございますけれども、そういうことで、市町村の長が管理するということが通例になっておりまして、長崎市におきましても同市長が管理されておるというところでございます。  で、そういうもののいわゆる災害復旧……
  139. 中野鉄造

    中野鉄造君 面積
  140. 川本正知

    政府委員(川本正知君) 面積でございますか。——全体のデータは、ちょっとここには資料を持ってきておりませんので、後ほど御報告さしていただきたいと思います。
  141. 中野鉄造

    中野鉄造君 建設省所管国有財産取扱規則第三条の事務委任その他の条項にもこれはありますが、これは原則として、財産管理はいま御答弁がありましたように県が行う、機能面の管理については市町村がこれを行うということになっておりますが、具体的に申しますと、今日の長崎の場合を見ましても、もともとそういう河川でもないわけですので、護岸——永久護岸というようなものも全くありませんし、そこにもってきて、土砂が流れ込んだりあるいは家財道具その他粗大ごみが山積してその排水路が寸断されておるために、全く流れないたまり水となっておりまして、この暑さでそれが発酵して悪臭を放っております。だからといって、地域住民方々が受益者の責任においてそれを処理しようとしても、とても限られた人力では処理できるものでもないし、第一、それだけの大量のごみやヘドロを民間の手で処理できるものではありません。一方、毎日各家庭の排水はこれはとめるわけにはいかない。全く流れないから、しょせんはわずかの地下浸透やあるいは天日による蒸発にまつしかない状態であります。だからといって、市の方にこの処理を言っていっても、護岸工事だとかそういったようなものの資材のあっせんはするが労力の提供はこれはできない、こういうように突っぱねられるわけなんです。また仮に、自分の家に面したところだけをそれをやったとしても、いま申しますように寸断されているわけですから、全くこれは意味ないわけなんです。こうしたことで、結局住民としてはどうすることもできない。非常に困っております。まあ、住民から見れば、災害が起きた、さあ激甚災の適用だとか、災害融資だとか、そういうことももちろんこれはありがたいことではありましょうけれども、一方このようなきわめて小さな問題ではあるが、きわめて身近な問題の解決には行政の日が当たらない、こういうことで非常に嘆いております。治水事業五カ年計画の中にも取り残されているようなこの青線の問題、この問題をこの際さしあたって長崎の青線に対する処理というところからどういうように対応されるのか。同時に、ひとつこれを機に全国的に青線に対する地方自治体の管理運営面の洗い直しをするべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  142. 川本正知

    政府委員(川本正知君) まず一般論で申し上げますと、先ほど面積のお話ございましたが、普通河川の総延長というのはデータが出ておりまして、全国で十八万八千キロメートルという大変膨大な延長になっておるわけでございまして、そういう普通河川の管理は、先ほど申し上げたように、市町村長にやっていただいておるというのが現状でございますけれども、その中でもやはり治水上大変重要なものであるというか、あるいは流域面積の大きさであるとか、あるいは流域における住家あるいは治山、そういった現状であるとか、そういったもろもろのものを勘案いたしまして、やはり必要なものは河川法の法河川にするとか、あるいはそうでなくても河川法を準用する河川、こういうものにいたしまして、その改修を進めるという手段はあるわけでございますけれども、しかしいま先生お話しのように、実際問題としてはなかなかそれだけの膨大なものをすべてをそういうことにするわけにもまいりませんし、また非常に細かい地域地域の部落に密着したような水路的なものがございます。そういったものは、やはりどうしても市町村長さんの方でいろいろ手当てをしていただくということしか方法論がないわけでございますが、しかし今回のようにいろいろ災害を受けました、あるいはそういったところに土砂がたまりました、護岸がやられました、そういったときの対策といたしましては、市町村長が維持管理しておりますものの普通河川で直高一メートル以上のものでございますと、公共土木施設災害復旧事業としてその国庫負担法の対象施設として採択することは可能でございます。また、都市計画区域内における生活排水路、これが被災した場合、こういった場合には公共下水道あるいは都市下水路、並びに一定要件を充足する都市排水路、そういったものにつきまして、都市災害復旧事業というものとしてその復旧をするという方途もございますので、ケース・バイ・ケース、その水路の実情に応じまして対応してまいりたいと思っております。
  143. 中野鉄造

    中野鉄造君 そういういろいろな規制といいましょうか、規格というものがありましょうけれども、それに適用されなかった場合、それすれすれのような状態のところは結局適用されないということで、そういう不快な、不愉快な不衛生な思いをずっと続けていく以外にないわけなんですね。これは参考までに、私郷里が佐賀県でございますが、佐賀県の中心地であります佐賀市内あたりはわずか海面落差三メートルです。したがって全く水が流れない。しかも地下下水道というものは全くありません。それこそ今日なお藩政時代そのままのいわゆる青線が市内縦横に走っているわけですけれども、それがこの数十年来寸断されておりまして、全くたまり水になっております。そのたまり水は蚊の発生源になっております。蚊取り線香の全国一売れるところです。自慢じゃありませんけれども、蚊が多い。一年じゅう、四月から十月の末まで蚊に悩まされる都市なんです。おかげで「ブン蚊都市」なんていうあだ名をつけられておりますけれども、そういうようなところで、私も地方の議員をやっておりましたその当時からこの問題は再々私も取り上げてきましたけれども、国有財産である、こういうふうにして言って逃げられる。そしてやっぱりやろうにも市町村としては地方の自治体では財政的な裏づけがないためになかなかやれない。今回の長崎の場合でも、いまおっしゃったような、そういう適用すれすれのようなところで、それ以上だったらこれはいまおっしゃったような方法で何とかなるかもしれませんけれども、そういうところでないところはやっぱり泣き寝入りと申しましょうか、がまんするしか仕方ない。これはこういう状態でいいのかどうか。だから先ほどから私言っておりますように、これを機にひとつこの青線に対するそうした管理運営面の洗い直しをする必要があるんじゃないかと言っているんです。現在のそういう規制というものはそれはわかります。だから、この際ひとつ洗い直しをして、何とかやってもらわないと、もう世界の中で経済大国だとかあるいは先進国だとか、そんなことを言っておりましょうけれども、一皮めくればそれこそその楽屋裏というものは百年前、百五十年前と何ら変わらぬ、こういう実態なんですね。しかも百年前なんかと違って、市民の生活様式というものが非常に複雑多様化してきただけに、ますますその環境は日を追うごとに悪くなっていっております。こういう実態なんですが、どうですか、洗い直してひとつ今後この長崎の大水害を機に、こういうものをひとつ洗い直していこう、そういう方策はとれませんか。
  144. 川本正知

    政府委員(川本正知君) ただいま先生おっしゃいましたいわゆる普通河川、それにつきましては私どもも市町村が条例をつくっていただくとか、いろいろと従来から行政指導をいたしまして、それに基づいて適正な管理をしていただくというふうなことを努めておるわけでございますが、ただいまのお話のことでございますし、私どもの方もさらにそういった指導を強化してまいりたいと思っておりますが、先生のお話の中でありました寸断している水路、そういうものになりますと、そこに常時水がたまって非常に不潔であるということもございます。そういったものは排水路として意味があるのかどうかということからも議論しなきゃいかぬかと思いますけれども、都市計画事業あるいは下水道の事業、いろんなものとの関連で対応できる面もございますので、そういった面を含めましてより強力に指導してまいりたいと思います。
  145. 中野鉄造

    中野鉄造君 これはいまも申しますように、この排水溝というのは市民の生活にとってどうしてもなくちゃいけない存在でもあります。先ほども申しましたように、例を佐賀市にとりますと、数年前から三十五年計画でこの下水溝を合流式の下水溝に着手しておりますけれども、いまから三十五年間、こういう状態で待たなくちゃいけないわけなんです。長崎だってやはりそれと同じことが言えるんじゃないかと思うのです。ですから、どうしてもこの下水溝、排水溝というのは必要なんですけれども、そういう地下排水溝というものができ上がるまでの間のそういう不自由な、不衛生な、そういうような状態が少しでも緩和できるように、ただ市町村に移管しているからということだけじゃなくて、もう少し前向きにこの際ひとつ御検討をいただきたい、こう思います。  時間もありませんので次にまいりますが、今回の長崎市の場合、生き埋めやあるいは家屋の崩壊という、そういう惨事が発生しましたけれども、その大半が急傾斜地家屋であり、住民であります。なるほどこれについては急傾斜地崩壊に関する法律の第二条や、都市計画法第二十九条等でいろいろ規制がなされておりますが、しかしこの法の盲点をついた形で、たとえば千平米以下であれば適用外である。そのためにいわゆるミニ開発という形で小さく分割して建設する場合が多く見受けられるわけなんです。この場合はただ建設基準法だけで取り締まることになりまして、それが合法であればオーケーということになっております。その結果がこのような大惨事につながるおそれが多いと思いますけれども、したがって、こうした法律が適用されない場合であっても、そういう地形での建設については災害防止対策上からもひとつ厳しく取り締まり強化をするなり、この法律の見直しをする必要があるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  146. 小鷲茂

    説明員(小鷲茂君) ただいまミニ開発と災害の関係についてのおただしでございますけれども、先生御例示されました都市計画法によりますると、おっしゃるとおり千平米以上の宅地開発をいたしまする場合には開発許可を受けなければならない。その際に一定の技術基準に合致したものでなければ許可がされないということになっておるわけでございまして、おっしゃるミニ開発というのはそれから以下の宅地開発をおっしゃっているわけでございますが、実はこの点につきましては別途、たとえば傾斜のある地域でありまするとか、風化しやすい土質、地質の地域につきましては宅地造成等規制法という法律がございまして、この法律によりまして、危険区域指定いたしますると、これは面積の大小問わず、たとえば一メートル以上の盛り土をする場合あるいは切り土をいたしまして二メートル以上のがけができるような場合、こういう場合には擁壁をつくらせるとか、排水施設について一定の技術基準に合ったものをつくらせるとか、そういう規制をいたしておるわけでございまして、ただいま申し上げました必要な地域につきましては、この宅地造成等規制法をうまく運用していくということによりまして、技術的な問題について解決を図っていくという方向で現在取り組んでおるわけでございまして、今後この法律の円滑な運用を期すという方向に従いまして、おっしゃいました宅地防災につきまして、万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  147. 中野鉄造

    中野鉄造君 次に、災害時における早期対策、情報の早期収集という面で、はなはだ今回の長崎の場合、不手際があったのではないかと私思います。  それは、御承知のように二十三日夕刻から夜半にかけてのあの集中豪雨による大惨事となったわけでございますが、そのために二十三日の深夜からすでに長崎市を中心として、特に矢上、飯盛、茂木、こうした各地は道路、通信等すべて完全に麻痺状態であったわけです。そして翌二十四日、まる一白この三地区との情報交換が全くなく、被害の状態さえわからない。この二十四日、まる一日この地域へはヘリも飛んでおりません。ようやく二十五日の午前十一時になって長崎県警の小型ヘリがこの地域に飛んで、これらの地域の惨情が判明したわけですが、こうした事実をどのように思われますか、警察庁。
  148. 長倉眞一

    説明員(長倉眞一君) お答えします。  情報収集についてどのような活動をしたかという御質問かと思います。  長崎県警におきましては、長崎地方気象台からの気象情報に基づきまして早期に警備体制をとっております。そうしまして各警察署からの情報収集、さらには関係防災機関との緊密な連携のもとにおける災害情報の収集、加えて一一〇番による情報、まあこういったものによりまして災害情報を収集したと、こういうことでございます。それに基づきまして各所の警察部隊を指揮いたしまして災害警備活動を実施したと。前段において長崎県警は県警総力を挙げまして全力投球いたしまして、前段階の措置により人的被害をかなり食いとめたと、このように報告を受けております。  御指摘がありましたヘリコプターの活用の件でございますが、御指摘のとおり七月二十五日にヘリを飛ばしまして、情報収集あるいは救出、救護活動に当たっております。なぜ二十五日になったかと、こういうことであろうかと思いますが、七月二十三日は御承知のように長崎集中豪雨の当日でございます。夜間の豪雨ということで、気象条件からしてヘリコプターの飛行は全く不可能であった、こういうことでございます。さらに翌二十四日でございますが、長崎県警所属のヘリコプター、それから航空従事者につきましては待機、いわゆるスタンバイでございますね。スタンバイをさせていたわけでございますが、そして被害状況の掌握その他の警察活動に備えていたということでございますが、当日の気象が雲高がきわめて低い、さらに山が半分以上隠れるような状況であったと、まあこういうことでございまして、有視界飛行方式によって継続的に被災状況の情報収集を行うことは困難な状態にあったと、したがって天気の回復をスタンバイの状態で待っていたと、こういう状況でございます。二十五日になって天候が回復したので、二十五日に警察活動を開始したと、こういうように報告を受けております。
  149. 中野鉄造

    中野鉄造君 まあ、そういう有視界飛行が非常に不可能な状態であったというわけなんですが、災害対策本部ないしは警察庁としては有視界飛行ではなくて、たとえば自衛隊あたりにこれの要請をすればそれはできたんじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。
  150. 長倉眞一

    説明員(長倉眞一君) 自衛隊に対する要請につきましては、災害対策本部長である知事、市町村長が行うべきものと考えるところでありますが、まあ現在のヘリの運用については、有視界飛行ということでございまして、警察装備については。これがさらに無線といいますか、有視界でない計器飛行ができるようになればさらによいことであろうと、有効な活動ができるであろうと、このように考えます。
  151. 中野鉄造

    中野鉄造君 長崎県警にあるヘリは小型ヘリですけれども、いまおっしゃったような、そういう無線機あたりを搭載したようなヘリがもしあったとすれば、そういうことはできたということですか。
  152. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) ちょっと関連しておりまして申し上げますが、二十五日にヘリで入間基地まで飛ぶように自衛隊の方でいろいろ心配してくれましたけれども、残念ながら東京都の中も曇っておりまして、ちょっと空が荒れておりまして、やはり、いまの航空行政の詳しいことはわかりませんが、自衛隊のヘリといえども飛ぶことができなかったのでございますから、御参考までに申し上げておきます。
  153. 中野鉄造

    中野鉄造君 もう時間がありませんので、最後に、この集中豪雨のとき最も活躍するのが気象庁のアメダスとレーダーファックスのデータでありますけれども、長崎集中豪雨のとき、これらが十分働かなかったといろいろな新聞報道でも聞いておりますが、どうしてそういうことになったのか、その原因が何であったのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います、気象庁。
  154. 増澤譲太郎

    政府委員増澤譲太郎君) お答え申し上げます。  いまお尋ねのアメダスの観測所からの通報が一部通報されなかったのは災害が起こってからで、電話がビジーになりまして、そして通報がされなかったわけでございますけれども、当時、九州のどこかで集中豪雨が発生する可能性の高いことは七月二十三日早朝から予想しておりまして、気象庁は大雨情報を発表して警戒を呼びかけておりまして、この段階ではただどの県にいつごろから強い集中豪雨が発生するかということを特定することは技術的に困難でございました。九州各県の気象台は監視態勢を強めておりまして、そしてその後、重大な災害を及ぼすおそれの強い雨雲が洋上から長崎県に接近しつつあることがレーダーで確認されました段階におきまして、長崎県に集中豪雨が始まる約二時間前に警報を発令いたしました。これは、現在の予報技術から申し上げますとでき得る限りの措置であったものと考えております。
  155. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 まず、このたびの災害においてお亡くなりになった方々に心から哀悼の意を表します。また、被災された全国地域の皆様に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  今回の災害は、長崎市に七月二十三日午後から記録的に降った豪雨から始まり、台風十号による近畿、中部、関東地方の被害続出という最悪の事態となったわけでございます。  政府豪雨非常災害対策本部を設置し、二十五日に本部長の、ここにおられる松野国土庁長官被災地視察し、地元の人々を勇気づけたことに対しては感謝をする次第でございます。  私も、先ほど報告のありましたように、参議院の災害対策委員会の派遣委員として長崎熊本視察さしていただきました。  何点かについてお尋ねをしたいと思いますが、午前中からいろいろお話ございますので、重複する点もあるかと思いますが、その点は御了承いただきたいと思います。  このたびの豪雨被害は予想をはるかに超え、いま国土庁を初め各省庁から報告のとおり、甚大な被害を与えております。死者、行方不明三百人を超す局地的な集中豪雨のために、市街地に濁流が渦巻き土砂崩れが相次いで多くの犠牲者を出すという状況でございます。私も視察に参りましたけれども、ある人に聞きますと、二、三人でちょうど退社時間でございましたので、連れ立って帰るときに、水だと、豪雨だということで、二、三人一緒にいたんですけれども、一番前にいた人ががけへ飛び登って、そうしたところが後ろにいた人がもうすでにいなかったと、こういう話も聞いておりますし、また、ある場所では、四、五十メートル離れていたために御主人は助かったんですけれども、その奥さんとそれからおじいちゃん、おばあちゃん、お嬢さん三人、目の前で一瞬にしていわゆるがけ崩れ土砂崩れにのまれてしまったと、こういうところもございましたし、あるところでは十八戸崩壊して、そして十数名亡くなったというところも見さしていただきました。そういうところを視察するたびに、何というか、本当にこれは人災だったのか天災だったのか疑問に思いもしましたし、いずれにしても大災害に対して気持ちとして憂うつになるぐらい大変な被害でございました。  国土庁長官も現地を視察されてそういう場所をごらんになったと思いますけれども、まず最初に長官の、現地を視察してどういう感想を持たれたか、どういう決意でこれから取り組みたいと、こういう決意を持っておられるか、その辺を聞かしていただきたいと思います。
  156. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 現地を視察をしていただきまして私も非常にありがたいと思いますが、真っ先に、ちょうど日曜日でございましたが、生々しい現地へ参りまして、どうしてこんな大変なことになったかということを何ともたとえようのないような気持ちで現地を回らしていただきましたが、何しろ災害というのは思わないことが、悪いことだけが重なるといいますか、ちょうど五百七十ミリ、御承知のような集中豪雨、そうして満潮の時期にぶつかった。  それからもう一つは、長崎市というのは御承知のように合併した後で、約三十万の町が急にふくれ上がりまして四十五万の町になった。どうしても住宅の適当な場所がないから、山の方に木を切って家を建てざるを得なかった。この辺のところはいろいろ理屈がありますので私からはとかく申し上げにくいんでございますけれども、それに対しまして、いままでに前例のない、たとえて申しますと眼鏡橋は三百数十年前につくった日本で一番古いああいう橋でございますが、それが今日までびくともしなかった、それが壊れたというような事態が起こってきたというようなことでございますので、これを契機にして、私は現地で申し上げたんでございますが、二つの都市河川と、それから貯水ダムのいわゆる利水とそれから治水とを分けて思い切って上流にダムの建設をやることでなかろうかと、災いを転じて福となすということはそのことでなかろうかというようなことを感じました。  お亡くなりになった方、それから家を失われた方、また商店街、それから農作物などに甚大な被害を受けられた方々については、それぞれの担当者が県、市など自治体の方々と連携をとりながら復旧、立ち上がっていただくために、いま全力を挙げておりますので、参議院の方からもそういうふうに御視察をいただきましたので、せっかくの御協力をお願いいたしたいと思います。
  157. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 国土庁と農水省にお伺いしますが、いま申しましたように、今回のこの風水害による被害は、予想をはるかに上回る被害となったわけでございます。被害県としてはどこも一日も早くその復旧に努力しているところでありますが、いずれにしても国の援助に負うところが絶大であるわけであります。その中でも特に長崎県はひどいわけですが、被害額は判明しているだけでも三千億を超していると、死者、行方不明が三百人以上になっていると、こういうわけでございますが、この未曽有災害に直面している被災者に対し、県に対し、市町村に対し、激甚災の指定を一刻も早く行い、早期復旧を目指すとともに、農業関係では天災融資法、この発動を行うべきだと思いますけれども、この激甚災の指定と、天災融資法の発動の見通し、日にち、それと農水省に、自作農維持資金の融資枠、これの確保は十分であるかどうか、この点についてお伺いいたします。
  158. 荒井紀雄

    政府委員(荒井紀雄君) 激甚災の発動、指定の見通し、あるいは日程等でございますが、公共土木施設あるいは農地農業用施設につきましては、被害額につきまして現在取りまとめを急いでおります。調査の段階では、七、八月を合わせて一括して調査しておりますので、現在まだ最終的な被害のまとまりができていない段階でございまして、したがいまして激甚の指定につきましては若干の日時を要すると思いますが、できるだけ急いで早く結論を出したいと思っております。  なお、中小企業につきましてはすでに八月中旬をめどに行うべく検討をいたしておるところでございます。
  159. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 災害が起きるたびに、被災地としては特にそうですけれども、一刻も早く、一日も早く、こういうことがこの委員会で言われるわけです。大体めどとして、調査しているのはよくわかりますけれども、どの辺がめどなのか、その辺はいかがですか。
  160. 荒井紀雄

    政府委員(荒井紀雄君) 大変恐縮でございますが、特に今回は道路が寸断されまして、奥地関係を中心としましてなかなか被害把握に手間取っておるというふうな事情もございます。私どもも、日夜懸命に調査を急ぐべく検討をいたしておるわけでございますが、現在の段階におきまして、いつというふうなことはちょっとまだ申し上げかねる段階でございます。しかしながら、従前のペースといいますか、では決していけないと思っておりまして、できるだけ早くそのペースを繰り上げて、少なくとも早目に見通しを立てたいというふうに考えているところでございます。
  161. 大坪敏男

    政府委員(大坪敏男君) まず第一点の天災融資法の発動の問題でございますが、この発動につきましては、基礎となります被害のデータでございますが、これにつきまして現在、統計情報部におきまして調査取りまとめ中でございます。その結果を待った上で判断をすることになるわけでございますが、今般の被害が、地域自体が相当広範囲であること、かつまた被害作物が多様にわたっていること等がございまして時間を要しているわけでございますが、担当部局の話を聞きますと、下旬までには何とかまとめたいということを申しておりますので、私ども自体の発動の判断をするタイミングは、下旬には何とかできるんじゃないか、かように考えておる次第でございまして、仮に発動するということになった場合には、それから関係省庁との協議等々の手続を進めていくというふうになるわけでございます。  また、第二点の自作農維持資金でございますが、これにつきましては天災融資法の発動をにらみながら被害の実情、さらにまた被災農家の資金需要等を十分勘案した上、適切に対応したい、かように考えております。
  162. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 気象庁にお伺いしますけれども、ことしの関東、近畿、東海、この梅雨明けはいつだったですか。
  163. 立平良三

    説明員立平良三君) 関東の梅雨明けは八月の二日でございます。東海地方は、ちょっといま手元に詳しいデータを持っておりませんが、もう少し早めに明けております。近畿地方も同じでございます。
  164. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 気象庁にお伺いしますけれども、気象庁というのは天気を予報し、そして注意報を出し、それから警報を発令するのが仕事でございますけれども、すなわち、大雨洪水警報は雨量の基準からいくと、一時間に五十ミリですか、それから三時間に百ミリ、二十四時間で百五十ミリ以上と、こういうときに発令をする、こういうことになっているわけですけれども、それが今回の場合には結果として一時間に百ミリ、長崎の長浦では百五十三ミリ、こういうデータが出ております。この大雨のためにああいう災害を起こしたわけでございますが、そこで今回の長崎の場合を見てみると、七月十日以降この大雨洪水警報が五回出ているわけです。それから七月の二十三日の夕方四時何分か知りませんけれども、要するに七月の二十三日の夕方に六回目が発令されているわけです。地元の人に聞くと、五回も六回も出ると、もちろん一回目から五回目までもそうでしょうけれども、何となくまた大雨洪水警報が出たのかというようなことでなれっこになってきているんじゃないかと、したがって、行政の方も広報車も出さないし、避難の呼びかけもしてない、これは事実であります。ということは、市民側も、行政側もいま言ったようになれっこになってしまっているのではないか、こういうふうに思われるわけでございます。三十ミリ以上は注意報、それから五十ミリ以上は警報、こういうことで一応基準をつくられるわけですから、私が申し上げたいのは百ミリ以上を予測される場合には、その上に超警報とか非常警報とか、こういうものをもう一つランクをつくったらどうかなと、こういうふうに思うんですけれども、これはいかがですか。
  165. 立平良三

    説明員立平良三君) 警報の基準と申しますのは、過去の災害雨量との関係を調査しまして設定しております。その基準を超える雨量が予想される場合に警報を発するというふうになっております。  しかし、雨量災害との関係といいますのはきわめて複雑でございまして、個々に見ますと、結果的には警報が出たけれども、それほど被害が起こらないというふうに、結果的には警戒が過剰であったというふうな場合もございます。しかし、人命尊重というふうな見地、あるいは予報の技術の限界という点から見ますと、現状の警報というのが技術的に精いっぱいのところでございまして、気象庁としましては今後とも警報を発表しましたときには、十分な警戒態勢をとっていただきたいというふうに考えております。  現在の段階では警報と申しますのは、気象官署がとり得る最も強い警告の手段でございまして、今後とも防災担当機関と密接に連絡をとりまして、このような警報の意義の周知に努めるとともに、警報の適時適切な発表に努力しまして、警報なれというふうなことを少しでも少なくするように努力したいと思っております。
  166. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 まさしく警報なれじゃないかなと、こういう思いをするわけです。したがって、いま私申しましたように、百ミリ以上予想されるというのはそれこそ何年に一遍か、大体三十ミリで注意報、五十ミリ以上は警報、こういう区別ができるんですから、いまの技術なら恐らく百ミリ以上降るんじゃないかなと、こういう予測はできると思うんです。そうすれば、非常警報であるとか、超警報であるとかいうことを設けても差し支えないんじゃないかなと、年じゅうあればまたこれはなれっこになってしまいますから、いいんじゃないかと、こういうふうに思うわけです。  それと、いまあなたがおっしゃった、最後のPRの件ですけれども、やはり気象庁としては予報し、それから注意報を出し、警報を出すのはこれは仕事でございますけれども、国民に対する行政のサービスとして、警報というものはこんなに大変なものなんだ、過去においては警報を出した結果こういうふうになったのだということで、いわゆる防災の面からも国民に対するサービスとしてPRはもっと強化しなければいけないんじゃないかと、大体国民一般の人は警報については、また警報かというような感覚が私は強いんじゃないかなと思うんです。こういう点についてPRの方法を具体的に検討していただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  167. 立平良三

    説明員立平良三君) 警報を発表します場合には、やはり対策をとるのにあるいは避難をするのに時間を要しますから、気象庁としましては、二、三時間前に出すように心がけております。そうしますと、気象現象と申しますのは激しい気象現象——何年に一度しかあるいは何十年に一度しか起こらないような激しい気象現象ほど予測がむずかしくなってまいります。ですから、現在の警報の基準ですと、二、三時間前に現在の技術で何とかやれるというふうなことでやっておりますけれども、それ以上のもっと強い大雨——何十年に一度というふうな大雨を二、三時間前にということは、現在の技術じゃむずかしいということでございます。ですから、一応警報を発表いたしまして、その後現在どれぐらい降ってきたかというふうなことを時々刻々防災担当機関にお知らせする、こういうふうな手段をとっております。また大雨の時期の前にはそれぞれ各県の防災機関と打ち合わせを持っておりますが、そういう機会を利用しましてあるいはいろいろな機会をとらえまして、警報の持つ意義の周知については今後努めていきたいというふうに思っております。
  168. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 そうじゃなくて、PRを国民にテレビで天気予報やるんですから、警報というものはこういうときを予想して警報を出すのだということをPRに努めないか、強化に努めないかということを言っているわけです。そうしてくれますか。
  169. 立平良三

    説明員立平良三君) そのように努めたいと思います。
  170. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 もう一つ気象庁に聞きますけれども、今回の大災害をもたらした七月十日から二十三日にかけての九州方面の集中豪雨と、それからその後発生した台風十号ですか、現実には八月一日、二日にかけての台風ですが、この関連性でありますが、先ほど国土庁長官のお話だと一連のものとして考えると、こういうふうに言っておりましたけれども、気象庁としては、気象現象からいってこれは一連のものであると、こういうふうに見るか、それとも別々の気象現象であると、こういうふうに見なすのか。私は専門的にはわかりませんけれども、素人がわかるように、一連であれば一連であるような、別なら別なように説明願えますか。
  171. 立平良三

    説明員立平良三君) 今回の梅雨期の西日本一帯に降りました大雨の原因と申しますのは梅雨前線でございまして、その梅雨前線上に低気圧が次々に進んでくることによって起こった現象でございます。その後台風十号が来襲しましたときに降りました大雨は、これは直接的あるいは間接的に台風梅雨前線の両方が関係し合って起こった現象というふうに考えております。したがいまして、この梅雨前線台風十号による大雨というのは、非常に密接な関連がございまして、連続して起こった気象現象というふうに考えられます。
  172. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 それでは国土庁にお伺いしますけれども、いま気象庁の方では一連の気象現象であると、こういうことでございましたけれども、国土庁の方は激甚災を指定するに際して、やはりこれは一連と見ているのか、それとも別々と考えているのか、その辺は国土庁としてはいかがですか。
  173. 荒井紀雄

    政府委員(荒井紀雄君) 気象庁の御見解によりますと、七月の豪雨台風十号は連続して発生した気象現象であると、こういう御見解でございます。そこで、その見解を踏まえまして、現在激甚法を所管をしております省庁が幾つかにまたがっておりますが、この省庁間におきまして鋭意検討を進めているところでございます。
  174. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 一連ということでございますけれども、もしこれ別々ということになったら、何か別々にやるのと一連と考えてやるのとでは差があるんですか。それとも何か問題があるんですか。
  175. 荒井紀雄

    政府委員(荒井紀雄君) 別々になりますと、これは被害額がそれだけ少なくなりますので、激甚の指定基準に該当する可能性がそれだけ減ってまいるということになるわけでございます。
  176. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 激甚災の方は公共土木とか、それから農林水産関係の災害とか、中小企業関係とかいろいろありますけれども、特にこの中で問題になるのはどこなんですか。
  177. 荒井紀雄

    政府委員(荒井紀雄君) 中小企業につきましては、先ほどもちょっと御説明ありましたように、ほぼ被害額がまとまっておるような状況でございまして、これはこれでいけるんじゃなかろうかと思っておりますけれども、公共土木農地につきましては現段階でまだ被害がはっきり確認できていないわけでございます。したがいまして、現在の段階で二つに分けた場合にだめなんだとかいいんだとかいうふうな、そこまでは実はまだ予測がついておらない段階でございます。
  178. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 それでは次にまいります。  農水省にお伺いします。農水省の調査によると、この七月の豪雨台風十号の農林水産業の被害というのは、八月の九日現在で四千億を突破したと、こういうふうに私聞いておりますけれども、農水省はこの災害対策として、まとめて申し上げますけれども、何点か実施すると、こういうふうに聞いております。通達はいつ出されたのか、それから具体的にどうするのか、この点についてお伺いいたします。  まず第一点は、被害農作物に対する技術指導、二点は、被災者に対する既貸付金償還猶予、三つ目が、被害の大きい県での果樹共済の早期支払い、四つ目が、生鮮食料品の確保と価格安定。この点について、いつ通達をそれぞれ出されたのか、また具体的にどうするのか、この辺をお聞かせ願いたいと思います。
  179. 大坪敏男

    政府委員(大坪敏男君) いま四点につきましてお尋ねがあったわけでございますが、まず第一点の被災しました水陸稲、果樹、野菜等の農作物につきましての技術指導でございますが、実は本年の農産物の生産に関する技術指導につきましては、すでに本年初頭二度にわたりまして通達を出しておりまして指導してまいったわけでございますが、今回の七月豪雨及び十号台風に伴いまして被災いたしました農作物の被害を極力軽減する必要があることから、農業改良普及所等を通じまして以下の点について目下指導を行っておるところでございます。  一つは、冠浸水いたしました圃場から早期に排水をする、二点目は、病害虫防除のため薬剤を散布すること、三点目は、果樹につきまして倒伏した場合にはその引き起こし等適切な措置を講ずること、果物の場合、落果が見られますので、落果したものあるいはきずを受けました果実につきまして適切な処理を行うこと、四点目といたしまして、野菜につきましては草勢回復のために施肥等を行うこと等々につきまして目下指導に当たっているところでございます。  なお、特に今般の被害は野菜、果樹に被害が大きいという特徴がございまして、特に主産県につきましては、今後の需給関係にも影響を及ぼすという点から、特に被害の大きい野菜、果樹主産県に対しましては、担当官を逐次派遣いたしまして、営農技術指導面等につきまして現地指導を行っている状況でございます。  第二点は、被災者に対します既貸付金償還猶予についてでございますが、これにつきましては八月五日付をもちまして通達を出しまして関係金融機関に対して指導を行っているところでございます。  第三点目の果樹共済の早期支払いの問題でございますが、台風第十号等によります果樹の被害状況につきましては、現在承知している限りでは東北、東山地方等のブドウ、リンゴ、関東地方のナシ、東山地方等の桃につきまして被害が大きい模様でございます。で、共済金の支払いにつきましては一般に収果期を待って損害額を確定いたしまして支払うということになるわけでございますが、今回の被害状況を踏まえまして、八月五日付をもちまして通達を出しておりまして、早期に損害評価を行い、共済金の仮渡しを含め、速やかに共済金を支払うよう関係団体に対しまして指導を行っているところでございます。  第四点目の生鮮食料品の確保と価格安定についてでございますが、災害の発生に際しまして、何と申しましても生鮮食料品の確保と価格の安定を図りますことは、民生の安定を図る見地からきわめて重要と考えているわけでございまして、私どもとしては、特に七月の豪雨に際しましては長崎におきまして価格の高騰が懸念されるところから、災害発生直後直ちに隣県を含めまして生産出荷団体に対しまして、出荷協力要請等を行い、供給の確保に努めたところでございますし、さらにまた卸売市場と市街地を結びます道路状況につきましては、国道三十四号線が不通となったわけでございますけれども、バイパスにつきましては市場搬出入の車両につきましては優先的な通行を確保さしていただきましたので、そういう点から、一時期には価格が高騰した時期もございましたけれども、その後出荷量、価格ともに安定的に推移をしているところでございます。また、台風十号に関しましても生鮮食料品の価格の安定につきましては意を用いているところでございますが、果実、水産物等につきましては特段の問題ないわけでございますが、ただ野菜につきましては、災害発生直後の二日間ばかりは入荷量が通常の二割程度減少いたしまして、価格も高騰したという事態が発生したわけでございます。  農林水産省といたしましては、直ちに福島、埼玉等々の主産県に担当官を派遣いたしまして、被害の実情把握とともに各般の指導を行うと同時に、比較的被害の少ない地域中心といたしまして、出荷団体に対しまして出荷協力要請を行っているところでございます。このようなことから、八月五日以降につきましては、市場入荷量も通常の水準に戻りまして、残念ながらキュウリ、ナスのように被害の程度が大きいものは除きますと、全般的に鎮静化に向かっているという状況でございます。私どもといたしましては、今後とも国民生活の安定という点から野菜の集出荷並びに価格の安定につきましては特段の努力を払ってまいると、そういう所存でございます。
  180. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 まだたくさん聞きたいことがあるんですけれども、建設省に一言だけお願いします。  長崎はんらんした中島川、浦上川それから八郎川——東長崎ですね、これの激特事業指定をするのかしないのか、それだけ一言でいいです。
  181. 川本正知

    政府委員(川本正知君) ただいま先生御指摘の三河川につきましては、改良復旧、いわゆる災害の改良復旧というものの事業も含めまして、いまおっしゃった激特事業もあわせまして、現在現地での調査を進めておりまして、県の方からそういったものに対しての資料が整理されて上がってまいりますれば、その線に沿って、先生の御趣旨に沿って採択するような方向で努力してまいりたい、そう思っております。
  182. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 最後に自治省にお伺いしますが、自治省も何点かあるんですけれども、これ一点だけお聞かせ願いたいんですが、第六次治水事業五カ年計画、すなわち中小河川の一時間当たり五十ミリにたえ得るような改修工事、これをやっているわけでございますけれども、この整備状況が一七%、年間大体一%ぐらい程度しか高めていくことができない、こういう状況に現実はなっているわけです。これはこれとして建設省に先ほど鈴木理事の方から話がありましたように、このままほうって置けば何十年かかるか何百年かかるかわからないと、これはこれとして一刻も早く最大限の努力を建設省にはお願いしたいわけですけれども、それを待っているわけにもいきませんので、それはそれとしてやってもらうとして、自治省にお願いしたいことは、自治体の災害に備えた避難、どこへ誘導するか、こういう点について市民のいわゆる防災意識、特に長崎県であるとか年じゅう台風、風水害の多い九州地方の県であるとか、そんなにたくさんはございませんから、そういう県民に対して防災意識の向上のために学校、社会教育、こういう場で防災教育を強化していったらどうかなと、こういうふうに思うわけです。それには警察それから消防、気象台と連携をとってやらなきゃならないと思いますけれども、自治省としてはこの点について自治体に対してどういう強化方法をとられるか、とってやっていくのか、どうなのか、その辺をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  183. 土井豊

    説明員(土井豊君) ただいまお尋ねの件でございますが、消防庁の防災課で全般的な地方団体の啓発面の指導を行っておりますので、私の方からお答えさせていただきます。  具体的には個々の地方団体それぞれの事情がございまして、どのような防災教育が一番適切であるかという点につきましては、基本的にはその団体の御判断という点になるわけでございますが、私ども今回の経験等に照らしまして、特に住民参加の防災訓練の実施、そういったこと自体が大変教育上も役に立つというような点、それからまた自主防災組織でありますとか、婦人防火クラブでありますとか、そういった民間の防火、防災組織の活動、こういう面を通じての防災教育という点が大変役に立つというふうに考えておりますので、ただいま先生から御指摘ありましたような各般の教育面を含めまして、地方団体に対して従来に増して指導を強化してまいりたいというふうに考えております。
  184. 市川正一

    市川正一君 まず長官に伺いたいんでありますが、災害対策基本法第三条は、「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」とこういたしまして、国の責務を明確に定めております。この基本原則に照らして、今回の大被害についての国の責任をどう認識されているのか、まずお伺いいたしたい。
  185. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 災害対策法によれば、自然災害に対しては、国、地方公共団体はもとより、地域住民においてもそれぞれの責任において必要な措置をとることとなっております。このたびの災害がこのような大きな被害をもたらしたのは、基本的には急激にしかも短時間に記録的な豪雨に見舞われたこと、わが国特有の急峻な山地やがけ地の近くに住宅が立地していることなどの要因が重なり生じたものと考えております。このような大きな被害となりましたことは、大変残念に思っております。今後、今回の災害教訓を生かし、災害対策の一層の推進を図ってまいる所存であります。
  186. 市川正一

    市川正一君 ずうずうしいにもほどがあるんですよ。地域住民に問題をすりかえたりあるいは自然立地あるいは天然条件に問題をすりかえることは許されぬ。たとえば自然災害による死者の数はどうですか。国土庁の防災白書によっても昭和四十五年からこの十年間に年平均二百五十九人です。また、施設関係の被害額は年間約七千億です。しかも、自然災害死者のうち六割以上が豪雨台風が原因になっております。さらに、被災形態を見ると土砂崩れ等によるものが全体の三分の一を占めている。今回の大被害もまさにその繰り返しじゃないですか。としますと、そういう問題を本当に真剣に取り組まなければならないのに、私は指摘したいのは、今度の臨調の基本答申は行革の目標として安心と安全、これをうたっております。しかし、災害対策を放置して何の安心と安全か、こう言いたい。事実、五十七年度予算を見ましても、治水事業費は前年と同額の八千九百十二億です。また、治山事業は〇・一%減の千四百八十七億です。いずれも実質マイナスじゃないですか。この結果、第五次治水五カ年計画における河川改修の達成率は大河川では五八%、中小河川では一八%、こうした防災対策のおくれに加えて乱開発、これが今回の大被害を招いたと言わざるを得ぬのですが、重ねて長官の見解と責任をただしたい。私がお聞きしたことに答えてください。
  187. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 御指摘のように、予算が不足しておるということは私も同感であり、治山治水が国の一番重要な対策であることは十分承知しておりますし、私もたびたび災害にも遭い、災害の現地にも行っておりまするので、災害の未然防止をすれば災害の金額よりもはるかに少ない金で済むことも承知しております。  私も党の中でもそのことについては常に留意をして、大蔵省ともいろいろ議論をしてきましたけれども、政治というものはなかなか事思うようにいかないものでございまして、その点は与野党を通じて皆様方とともに最善を尽くすよう今後も努力を重ねてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  188. 市川正一

    市川正一君 よくわかりました。そうすると、私が指摘したことを国土庁長官はお認めになった上でなお努力をこれからお約束なさった。  そこでお伺いしたいのですけれども、今回の災害でも特徴的だったのは地すべりがけ崩れによる多数の犠牲者を出したことなのです。この点でも五十七年度予算では、地すべり対策用費用は各省分合わせて五百八十五億です。これはP3CやF15の約五機分です。先ほども同僚の中野委員の御質問に答えられて、がけ崩れ地すべり危険個所全国的に合わせて約一万を超えると、こういうふうに建設省お答えになった。ところが、こうした災害危険区域からの防災集団移転促進事業費あるいはがけ地近接危険住宅移転事業費、これは対前年度に比べてそれぞれ三二%及び一四%も削減されていると私認識しておりますが、間違いありませんか。
  189. 荒井紀雄

    政府委員(荒井紀雄君) 防災集団移転事業費につきましては、五十七年度の予算がちょっと手元にございませんのではっきりお答えできませんですけれども、……
  190. 市川正一

    市川正一君 ラウンドナンバーでいいです、大ざっぱな、三二%、一四%。
  191. 荒井紀雄

    政府委員(荒井紀雄君) 五十七年度が三億九千百万円ございまして、昨年度に対しまして約一億七千万ばかり減っております。昨年が五億六千九百万です。  がけ地の関係はちょっと国土庁の所管でございませんのではっきりいたしません。
  192. 市川正一

    市川正一君 いずれにしても、約五億六千万が三億幾らというふうにかなり高いいわばマイナスシーリングです。  私、この点からも今回の被災が偶然ではなくてやっぱり必然なんだと、そして天災ではなしに人災なんだというふうに言わざるを得ぬのですが、私はそのことは最後にお聞きしたいのですが、私は臨調路線のいわゆる安心と安全の行き着く先がここへだというふうに指摘せざるを得ぬのです。  臨調の基本答申を見ますと、「社会資本については、長期間にわたる努力により、その整備水準はかなり向上した。」こう言っております。今後は限られた投資が云々というふうに言って、そして、さらに「市街化区域内の農地の宅地化を促進する」等々、明らかに防災対策の切り下げ。そして一層の乱開発、この方向を今度の基本答申は示していると、こう言わざるを得ぬのです。  他方、災害復旧補助金については「一件当たり被害額が極めて低いものについても支出されているが、その最低額の見直しを行い、引上げを図る」云々と述べています。  これは、私今回の被害教訓に照らしても、また被災の自治体、住民の要求に照らしてもまさに逆行するものなんだ、こう思うのですが、長官、先ほどの基本姿勢の立場から照らしてお考えになると、いかがでしょうか。
  193. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 御承知のことだと思いますが、今度の長崎災害の例を見ますと、がけ崩れ、山崩れによる被害が生じましたが、これらは御指摘の新しい開発された地域よりも、むしろ山合いの既成の集落地等において背後地が崩れることにより生じたものが多い実情にあります。いずれにしても今回の災害は急激な、しかも短時間に集中した記録的な雨量豪雨に見舞われたことによるものと考えられますが、これに加えて平地部が狭く山に囲まれた長崎を初めとする被災地の地形的条件が重なったため、甚大な被害につながったものと受けとめております。わが国は長崎市のように山を背に、その前面の狭い平地に立地した集落がほかにもあり、今次の災害に照らして治山、砂防、急傾斜地崩壊対策事業都市河川改修事業等の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。  また、異常な豪雨に対しては早期に避難させることが人命を守る上できわめて重要であり、今後の教訓としてその体制づくりを研究してまいりたいと考えておりますが、これはいま御指摘のように、もとからある地域についての対策を最重点にやらなければならぬということは長崎災害で痛切に感じましたのは、山の上、ずっと住宅できましたけれども、それは県、建設省の指導によって建てた家は被害がいま聞いたところではないのですけれども、しかしいままで木の生えておったところに住宅を建てましたから、したがっていままで雨が降っても山に木がありましたからそんなに早くすり鉢の底の商店街に水は流れてこなかった。今度は家が建っておりますから急速にすり鉢の底のところへ来た。そこへ満潮時が重なったということですから、やはりここに二つの都市河川の抜本的な改修をしないと、今後に不安が残るということで、その対策をいま一生懸命やっておりますので、御了承をいただきたいと思います。
  194. 市川正一

    市川正一君 長崎のその報告を聞いているんじゃないんですよ。私がお聞きしたのは……
  195. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) これは一つの例として。
  196. 市川正一

    市川正一君 ですから、じゃもっとわかりやすくお聞きすると、たとえば防災集団移転促進事業費だとか、あるいはがけ地近接危険住宅移転事業費、これはとにかく前年度比でうんと減らされているということは先ほどお話があったとおりなんです。そういう減っていることはそれでいいというふうに、国土庁長官はいわば本意なのか、本意でないのか、そのことを聞いているんですよ、端的に言うと。
  197. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 大変不本意でございます。
  198. 市川正一

    市川正一君 不本意、わかりました。  そうすると、私続けてお伺いしますが、この防災関係予算の一般会計予算に占める割合は、防災白書、これ引用してまいりましたが、ここでは昭和四十年前後には約八%だった。そうですね。ところが、最近ではこれが五%台に落ち込んでいるのです。これもそうですね。そうしますと、明らかにおっしゃったように、もっとここにてこ入れをせなければならぬというふうに長官おっしゃった。実際にはどんどん減っているのです。  また、治山治水を除く災害予防予算よりも、これは災害復旧予算の方が上回っていることにも見られるように、予防よりも復旧中心になっている。しかも、その復旧も結局は原形復旧主義をとっているために、再び被害に見舞われる危険性が常につきまとっている。これもお認めになる。  そこへ今度臨調答申のように、災害復旧補助金を削減して、そして災害予防予算もマイナスシーリングということでどんどん削っていくならば、これは私災害列島日本というのはいつまでたっても解消せぬと思うのです。そこで私、時間がありませんので、国土庁長官として災害予防及び復旧のための予算措置について、臨調答申に縛られることなく、その本意と所信と原点を貫くために、これを十分に確保するためにがんばると、そういう決意のほどを改めてお伺いしたいのです。
  199. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 私も力の及ぶ限り同感でございますから、一生懸命やります。よろしくお願いします。
  200. 市川正一

    市川正一君 そうすると、私、この臨調答申に対して長官はきわめて国家百年国民の利益を守る見地から毅然と物を言われたと、こういうふうに理解をして大いに応援をさしていただきますが、私引き続いて具体的な問題で若干お伺いしたいんであります。  私は関西の出身でありますので、今度の水害で近畿地方における集中被害一つに奈良から大阪を通っております大和川の流域があるんです、現地調査に行ってまいりましたが、その最大の原因は、この大和川の流域で大規模な宅地開発が進んでいる、そして森林が伐採される、さらに遊水地が埋め立てられて、結局土地の保水力が著しく低下する、鉄砲水となって流量を増加さしたことにあると、こう見てまいりました。  たとえば、大和川水域の上流にあります奈良県の王寺町、この以南の大和平野では一九六〇年には五十六万だった人口が、いまはもう百万を超えている。また、市街化地域面積も、六〇年の四・六%からいまや二〇・一%に増大している。その結果、私も直接に聞いたんですが、王寺町の保井町長は、以前は雨が降ってから増水するまでは一日半かかった。しかし、最近では半日とかからないと、こう言っておりました。大和川の能力を超えるこの水量が一挙に流れ込んであふれ出し、そして大きな被害を起こしたということは、私明白だと思うんですが、政府、建設省その他関係方面は、この点どういうふうに認識されていらっしゃるでしょうか、まずお伺いしたい。
  201. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) お答えいたします。  いま先生御指摘ありましたように、一般的に申しまして、河川の流域が開発されますと保水機能は低下いたしまして、出水が早くなります。また、開発されますとはんらん区域の中の資産等もふえますから、洪水時に水害が多くなるという傾向にあるわけでございまして、大和川の流域もかなり開発されている方でございますので、それはありますが、それに追いつくように河川改修も鋭意やっているわけでございますけれども、また、今回の台風十号出水は、過去でやはり一番大きい雨で、雨で言いましても非常に大きい雨ということで、相当な雨による洪水も出たということで、これらが重なりまして災害を起こしたものでございます。
  202. 市川正一

    市川正一君 なお、わしの言うたのは大体合うとりますんかいな、合うてないのかどっちやね。(「指摘が正しいかどうかって聞いているのよ」と呼ぶ者あり)
  203. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 正しいと申しますか……
  204. 市川正一

    市川正一君 大体そのとおりやな。
  205. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 流域が開発されますと洪水になる……
  206. 市川正一

    市川正一君 こういうふうになると。よしわかった。  それで、これと関連して私大和川水系の総合的な治水対策の問題があると思うんですよ。たとえば王寺町では町の中心部が二メートル以上も冠水する。あそこに王寺の電車区があるんですが、この車両が数十両水浸しになるというような事故が起こりました。  この大和川の本流を調べてみると、奈良と大阪の県境に亀の瀬というところがあって、ここが川幅が急に狭くなるんですね。そこでせきとめられた形になって、このため支流である葛下川に流れ込まない、あふれ出す。大浸水を招いたというのが実態なんですね。これはほかの支流、たとえば初瀬川——長谷寺の初瀬川ですが、あそこも流域の田原本町の被害、これも同様の原因であります。近畿地建は大和川の治水基本計画を立てて取り組んでいるようでありますが、工事の進捗率は五八%、ことしから始まった第六次治水五カ年計画の終了時点でも六三%しかならない。だから、私はいま抜本的な計画を立て直して緊急な対処をやるべきだと、こう考えるんですが、結論的にいかがですか。
  207. 萩原兼脩

    説明員(萩原兼脩君) お答えいたします。  大和川につきまして総合的な治水対策の面から検討したらどうかというお話をいただいておりますが、奈良県下の大和川流域につきまして、五十七年度からそのような目で流域に協議会等もつくりまして皆さんの御意見も十分聞いていろいろ対策を立てていこうというふうに考えております。  ただ、大和川全体といたしましては、今回の出水非常に大きかったわけでございますが、私ども先生もおっしゃいました基本的な工事実施基本計画を五十一年に改正しております。それを大幅に上回るという水ではございませんでしたので、基本的な面まで含めて今回全部見直すということはいまのところ考えておりません。対応でできるだけ保守的なことをやろうと考えておるわけでございます。
  208. 市川正一

    市川正一君 この点はやはり上流、中流、下流ですね、奈良県、大阪府、ここの関係市町村あるいは府県もあわせてひとつ検討していただきたい。よろしゅうございますね。だから、抜本的とか何とかということより、今度のやはり教訓にかんがみてどうするかということをぜひ至急に亀の瀬問題も含めて検討していただきたい。委員長も大阪の人やから、よう知ってはる。
  209. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 先ほどから先生御指摘ありましたように、やはり王寺の付近でございまして、葛下川の話が出ましたけれども、あの改修につきましても、その下流に本川で少しネックになっているところがございまして、ここの改修を鋭意急いでおりまして、三郷地区というんですが、それができまして、あわせて葛下川も拡張していくというふうな段取りでやっておるわけでございます。  そういうふうにそれぞれ支川の改良が本川にも影響しますし、全部水系に関連しておりますので、そういうことを考えながら、またある程度因果関係が離れておりましても、実際あるんですが、町が離れて協力を得られないとかいう問題もございますし、その辺水系一貫しまして地元も協力していただくように一緒に話していきたい思っております。
  210. 市川正一

    市川正一君 そういうことと関連して当面の対策として、私は遊水地とか、ため池の整備ですね、これも重要な一つのテーマじゃないかと思うんですが、たとえば大阪の大東市でここでは六二年の豪雨の経験から寝屋川の東岸に十六ヘクタールの遊水地をつくって、当時二千戸の床上浸水があったんですが、今回は十戸程度だったということを私聞いております。大和川の流域には昔からたくさんのため池があって洪水調整の機能を果たしてきたんですが、最近ではこれがほとんどつぶされてしまったんですね、宅地開発その他で。この際私は残っている老朽のため池を含めて総点検して、そして改修計画を立てるとともに、関係自治団体、住民とも協議して新たな遊水地の設置計画をやることが、これは効果的な一つの提起だと思うんですが、この点いかがでしょう。
  211. 萩原兼脩

    説明員(萩原兼脩君) お答えいたします。  寝屋川の本川の方でつくりました防災調整池といいますか、遊水地がきわめて有効でありましたことは確かだと思います。先ほど申し上げましたように、大和川の上流部につきましても、今回総合的な治水対策ということで、河道だけでなく、流域全体を眺めて、どうすれば一番いい治水対策が立てられるかということを真剣に考えようということでございますので、御指摘のようなため池等が非常に効果があると私も考えますので、その辺流域の皆様とよく相談をさしていただきまして、可能な限りそういうものが何とか治水効果を持つ形で残せたらということを検討してみたいと思います。
  212. 市川正一

    市川正一君 最後ですが、私奈良県の西吉野村の山崩れの問題を調査いたしましたが、ここは通称くれ山というのが高さ百五十メートル、幅三百メートルにわたって崩れ落ちて、そして大量の土砂が吉野川の支流である丹生川をせきとめたために、数十戸の浸水被害が出ました。幸いに地元の消防団の避難命令が早かったために人命には被害はございませんでしたが、二次災害のおそれもあるので住民を避難さしております。いまでも百数十名が炊き出しを受けており、仮設住宅をつくる必要も生じております。村当局は災害救助法の適用を強く要望しておりますが、現地と県と国との間の連絡の行き違いもあったらしくてまだ適用されておりません。災害発生時にさかのぼってこの西吉野村への救助法の適用をいただくのが私、適切だと思いますが、厚生省いかがでございましょうか。
  213. 田中健次

    説明員田中健次君) 災害救助法実施でございますけれども、これは法律上都道府県知事に全面的に委任をいたしておりまして、法の適用に当たりましては被災地状況を最も的確に把握し得る立場にある都道府県知事の判断を私どもは最大限に尊重して、被災者の救済に当たるということをやっております。  今回、西吉野村につきましては、先生からいまお話がありましたけれども、被害の実態でございますが、この村の場合には、住宅の全壊が四十世帯以上ないと災害救助法の適用にならないわけでございますが、この場合実際の被害が全壊が七、半壊が九、床上浸水が二十ということで、全壊に換算いたしまして十七世帯ということでございます。基準が四十世帯で実際の被害が十七世帯ということでございまして、こうした基準上は適用が無理でございますけれども、さらに弾力条項というのがございまして、多くの人の生命または身体の危険が生じておるというときには、知事さんの判断で、これは私ども厚生省に協議をいただきまして、それで適用ができるということでございますが、それで被災直後に県の知事の判断といたしましては、実態上弾力条項の適用も必要ないというふうにも私どもは相談を受けておったわけであります。したがって、その弾力条項でも基準の適用には至らなかったと、こういうふうなことでございます。  それで、災害救助法は御承知のとおり被災後の応急対策でございまして、現時点で適用すると、さかのぼって適用するのはなかなかむずかしい問題であろうかと思います。そういうことでさかのぼって救助法を適用するというのはなかなか困難でございますけれども、先生仰せでございますので再度奈良県当局とよく連絡いたしまして、実態の調査によく当たってみたいと、かように考えております。
  214. 下田京子

    下田京子君 端的にお答えいただきたいと思うんですが、    〔委員長退席、理事鈴木和美君着席〕 第一点目に、治水のかなめとも言われる河川問題でございます。  災害予算全体が四十年代に一般予算の中で八%だったのが最近五%に落ち込んでいて、大変これは予算上もおくれているということは大臣お認めになって、力のある限りおやりになると、前の市川委員の指摘についてお答えになっているわけなんですが、河川改修のおくれといったらまた大変なんですね。河川局長お見えだと思いますからお尋ねしますけれども、熊本県の菊池川と緑川の問題でございます。  戦後昭和二十一年から五十六年までにこの菊池川、緑川両河川について第一に水害回数が何回あったか、次に水害被害総額が幾らになっているか、三つ目には河川改修投資額が幾らなのか、いずれも五十六年価格に換算してお答えいただきたいと思います。
  215. 玉光弘明

    説明員玉光弘明君) 実務的なことでございますので、私がお答えいたします。  まず、水害回数でございますが、菊池川で三十九回、緑川では三十一回でございます。  それから水害被害額水害統計が三十六年からできておりますが、それ以前は推計になりますけれども、先生戦後とおっしゃいました、五十六年価格で菊池川が七百億円で緑川が三百八十億円でございます。  また復旧の投資と申されましたが、これは直轄河川改修費で申しますと五十六年価格で菊池川が三百八十億円、緑川が二百二十億円でございます。
  216. 下田京子

    下田京子君 局長の方にお尋ねしたいのですけれども、御承知のように、そうしますと菊池川も緑川も戦後三十七年と言っていますが、平均して毎年あるというような事態ですね。菊池川の場合には現地の地建にお尋ねいたしましたところが、五十七年度で約二十億円の予算、二十億三千万円。進捗率がどうなのかというと二六%だと、御承知のようにいまお話をお聞きになっておわかりだと思いますけれども、河川改修の投資額よりも被害額の方が倍だという実態になっておりますね。緑川も多くを言いません。これは嘉島町で穀倉地帯の皆さん方からも本当に満身の怒りを込めて訴えられたところでありますから細かくは申し上げませんけれども、この二河川一体今後どうなさるのか、明確に。
  217. 川本正知

    政府委員(川本正知君) 全国の直轄河川整備状況といいますものが、戦後の災害洪水を対象にいたしました当面の暫定目標に対しましても全国的に五八%というような低い現状でございまして、いま先生おっしゃいましたように、菊池川、緑川、それより相当低いじゃないかという御指摘もございますけれども、全国平均からいけばそういうことになっておりますので、今回の被災、特に菊池川の中流部あるいは緑川の支川関係、こういったものが今回被災としてはひどいところであったわけでございますが、そういったものに対しましても要は河川改修を促進しなければいかぬということが一事でございますので、    〔理事鈴木和美君退席、委員長着席〕 そういった意味で河川改修事業費を獲得するというふうなことが一つの要点であろうかと思いますけれども、細かく申しますれば菊池川、緑川等につきましても、もちろん災害復旧、これについて全力をふるって当面やらなきゃいかぬということと同時に、いろいろと支川等につきましても改良復旧、そういったものとあわせまして総合的な対策として現在の制度をできるだけ活用したものの事業でやってまいりたいと、そう思っておるところでございます。
  218. 下田京子

    下田京子君 大臣、お尋ねします。  私、本会議でも質問しましたけれども、第六次治水五カ年計画の問題、見直してほしいと。ところが所管は建設省でございますけれども、いまお聞きのとおり緑川それから菊池川というのもこれは一級河川なんですよ。昨年大水害に遭いました東北の北上川はどうなのかと見ましたら、北上川の場合なんかも戦後の水害被害回数が三十五回なんです。大臣、いいですか。水害被害額が二千七百億円ですよ。ところが河川改修投資額は一千七十億円なんです。被害額の方が投資額より倍以上なんです、やっぱり。非常にこういう状態でおくれているわけで、私は昨年あれだけ水害があったのだから五十七年度の予算では若干でもふえているのかと思ったのです。そうしましたら、この北上川についた予算は五十六年度で八十七億三千五百万円だったのが、本年度予算では八十四億五千万円、むしろ減っているのですよ。こういう事態でありますから、先ほど御決意述べられましたその御決意が具体的に実りあるものになりますように、私は再度申し上げたいのは、建設省とそれから大蔵とよく詰めて、この第六次治水五カ年計画、これが終わった時点でも非常に毎年一%ぐらいしか伸びないわけですから、早期繰り上げ計画実施というぐらいのお気持ちでおやりいただきたい。いかがですか。
  219. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 個別の問題については建設省でございますけれども、国土庁としましては積極的にこの問題に取り組んで建設省ともよく連携をとってやりたいと思いますが、御指摘のように、災害の以前に災害対策を講じた方が安く金が済んでおる。金のことだけではこれは悪いんですけれども、それは幾多の例についても私も体験をしておりますので、御指摘のことについてはよく承知しております。したがって、治山治水などの国土保全投資については、これまで他の社会資本との均衡を図りつつ、十分意を用いてきたところでありますけれども、国土の安全を図るという観点から今後とも必要な配慮をしてまいりたい。  先般、閣議決定されました第六次治水五カ年計画については、国土の保全を図り、国民生活の安全に資するという点に力点が置かれているところであり、今後ともこのような治水事業の重要性にかんがみ、この計画を積極的に推進するよう国土庁としても努力してまいりますので、よろしく御了承を願います。
  220. 下田京子

    下田京子君 努力していくように働きかけていくという御答弁でしたので、期待したいわけなんですが、委員会でそういうふうに、国会でそういう話があっても、実際に予算が削られているというのがここ三年ぐらいの状況でありますから、私改めて強く再度お願いしておきたいと思います。  次に、がけ崩れの問題でお尋ねしたいんですけれども、これは大臣にまずお尋ねします。  長崎でかなりがけ地による死亡者が出ている。これは長崎県全体ですと、がけ崩れによる犠牲者、行方不明も加えますと約九十名に上っております。これ全国的に見ますと、九州地方豪雨とそれから台風十号によるもの、これを見ますと全体でお亡くなりになった方が三百九十八名いらっしゃるんですけれども、それが家屋との関係でがけ崩れによって亡くなられた方が百四十四名もいるんですね。そういう事態でありますだけに、これは他の委員からも何度も御指摘がありましたけれども、やはり特異な自然現象によるものだとか地形だとかというだけじゃなくて、全国で——これ私本会議でもやっぱり指摘しておきましたけれども、がけ対策というのは、危険個所、要対策個所、これが五万五百カ所あるわけですね。ところが、うち工事が完了しているのはわずかに六千三百九十七カ所で、一三%ということですよ。そういう工事のおくれということがやはりこのような自然現象と相まって多くの死亡者を生み出したと、そういう点での行政の責任が私はいま厳しく問われなければならないんじゃないかと思うんです。その点での御認識をお聞きしたいと思います。
  221. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 今回の災害は急激な、しかも短時間に集中した記録的な雨量豪雨に見舞われたことによるものと考えられますけれども、これに加えて、平地部が狭く山に囲まれた長崎を初めとする被災地の地形的条件が重なったため、甚大な被害につながったものと受けとめております。  わが国は、長崎市のように山を背にし、その前面の狭い平地に立地した都市がほかにもあり、今次の災害に照らして、治山、砂防、急傾斜地崩壊対策事業都市河川改修事業の一層の推進を図ってまいりたい考えでおります。  また、異常な豪雨に対しては早期に避難させることが人命を守る上においてきわめて重要であり、今後の教訓としてその体制づくりを研究してまいる所存であります。
  222. 下田京子

    下田京子君 大臣ね、どなたがどのような形で御質問をしても同じ答弁しているんです。いいですか、行政のおくれだということは明確なんですよ。局長にお尋ねしますけれども、この法律ができてから——四十四年でしょう、法律できたの——どうだったかということ。大臣お聞きください、いま局長に聞いていますけれども。昭和四十二年に神戸市初め広島、そして長崎なんかで百五十八人の人々の命が奪われたんです、がけ崩れによって。それでもって、それを教訓にして急傾斜地法が制定されたんですよ。それでも毎年毎年がけ崩れによる災害が発生しておりまして、実に昭和四十二年から五十六年までの間にがけ崩れによってお亡くなりになった方が千五十六人もいらっしゃるんですよ、大臣、いいですか。ですから、問題はがけ崩れ危険個所が現実に減少しているのかどうかということなんです。私は資料を見て驚いたんですけれども、法律制定後どうだったか、十年間です。昭和四十七年当時危険個所は約六万カ所でした。その時点で工事をやったところは五百六十カ所。五十七年はいま集計中でございますがこの秋にわかるでしょう、おおよそ七万カ所を超えるだろうと言われております。そうしますと、ことしの予算でいくとすでに工事完了が可能なのはざっと見ても七千四百か七千五百ぐらいなんですね。そうしますと、十年間の間に危険個所は一万ふえた。ところが、実際に工事をやった方はどうかというと七千しかやられてない。ですから差し引き逆に三千カ所ふえてきている、年々ふえているんですよ。このことが私は問題だと思うのです。ですから、これは行政に明確な責任があるんじゃないかと、こう思うのです。やはりこのことを考えまして、年次計画を具体的に立てていくべきではないかと思うのです。五カ年計画策定についてどうかと、これも先般の本会議で私質問しました。建設大臣こう言いました。現在の危険個所調査を待って、五カ年計画についても含めて検討したいと。私は、ここで明確に五カ年計画実施するというお答えをいただきたいのです。いかがです。
  223. 川本正知

    政府委員(川本正知君) お答えいたします。  先生御指摘のように、がけ災害に伴う犠牲者というものが大変毎年多いわけでございまして、特に今回の長崎水害に関しましては、おっしゃるとおり九十名といった多数の犠牲者を出しておるわけでございまして、急傾斜地の崩壊による災害防止に関する法律というものが四十四年にできまして、それ以来この事業を進めてきておるわけでございますが、まだ御指摘のとおり十分ではないという実態でございます。  その事業につきましては、従来から危険度が高くて、しかもいわゆる保全対象の人家戸数の多い個所から優先的に実施していっておるところでございますけれども、五カ年計画についてどうかということでございますが、私どもといたしましても、先般大臣が御答弁申し上げましたとおり、現在ちょうど昭和五十六年から危険個所の再点検実施しておる最中でございまして、それが先生おっしゃいましたようにこの秋には集計ができるかと思いますので、その点検結果を見まして早急に五カ年計画については検討したいと考えております。
  224. 下田京子

    下田京子君 五カ年計画が今回は実現するだろうというふうに私理解させていただいてよろしいですね。なぜならば、私ここであえて指摘したいんですが、法律が制定される四十四年のとき、六月二十六日建設委員会での議事録があるんです。当時のわが党の先輩議員であります春日議員が早くもこの問題を指摘しまして、三年計画かあるいは五カ年計画か立ててやりなさいとこう言ったのです。そうしたら、当時の建設大臣ね、そういうことで計画を立てることもいいけれども、そうすると五カ年計画ということで縛られちゃうから、私は三カ年計画ぐらいで終わりにできるようなそういう決意でやりますと答弁しているのですよ。しかし、それにまた重ねまして、政府全体としての任務でおやりいただけるかどうかという点でその五カ年計画が大事なんだと、いま建設大臣が熱心に三年計画でやるといっても、大臣がかわったらまたやられなかったということになったら困るからきちっと五カ年計画をお立てになってやるべきだと、こう言っているわけなんです。当時の会議録をお読みいただければおわかりだと思うので詳しくは述べませんけれども。ところが、その法律ができて十年たってなおかつまだなってない。しかもどんどんどんどん危険個所がふえていっている。こういう事態でありますから、私はあえてまた答弁は求めませんけれども、そういうことで今度こそこういう五カ年計画に基づいてやられるというふうに判断させていただきたいと思います。  次に質問したい点は、さっきも緊急度の度合いの強い点からおやりいただくというお話でしたが、今回いろいろと私も勉強させていただきまして、これは本当に大事だなと思ったんです。皆さんのところで、つまり建設省の中で土木研究所に砂防部急傾斜地崩壊研究室というのがあるわけですね。そこでもって崩壊の危険度を点数制によって判定されているわけですね。たとえば、がけの高さが十メートル以上だったら七点だとか、それから傾斜度が四十五度以上なら一点、表土の厚さが〇・五メートル以上ならば一点、過去に崩壊があれば三点というふうに基準を決めて、合計点が九点以上だったらAランク、あるいは六点から八点はBランク、五点以下がCランクということで、ABCランクで三つに分けているんですね。これは河川の場合にもそういうふうにおやりになっているようですけれども、そうしましたらね、このAランクがどのくらいあるかということで全国で聞いたら、現在危険個所が六万四千二百八十四カ所ある中で、三万八千五百六十三カ所もあるんですね。私は少なくともこういうAランクみたいな危険なところから随時計画を立ててやっていくべきだと、こう思うんですけれども、その点いかがでしょう。
  225. 川本正知

    政府委員(川本正知君) 急傾斜地の崩壊の危険個所につきましては、先生ただいまお話しのようなランク分けをいたしまして、A、B、Cというようなもので一応調査をしておるわけでございますけれども、これにつきましてはいまおっしゃったような高さとか勾配とか地質とかそういったものを内容にしております。そういうことからいきまして、やはりおっしゃるとおりAランクの方がより危険な要素が強いということはございます。ただ、そのときそのときの雨の降り方によっても、全然Cランクでも危険だということはあります。多少によりまして、少ないときにはAランクでも安全だということもございますので、それだけで一〇〇%判定するというのはいかがかと思いますけれども、一般的に言いますとやはりそういうことでございますので、できるだけそういったAランクを重点にやっていきたいと思っております。ただ、急傾斜地崩壊対策事業といいますのは緊急急傾斜地崩壊対策というのもやっております。これは被災を受けました後の対策ということでございますので、そういったものは最優先に当然しなきゃいかぬかと思っておりますけれども……。
  226. 下田京子

    下田京子君 もちろん、より総合的、科学的な危険度の判定というのが大事だということは私たちも承知しております。そういうことも含めておやりいただきたいんですが、大臣、お聞きいただけたと思うんですけれども、いまの点で調査されているその調査、どこにやらせているかというと、県単事業で県で調査していただいているんですよ。それから、いまのこの法律は補助事業になっておりまして、国が直接やっていくというふうにも仕組まれてないんですよ。そういう点から私は、いろいろと予算折衝の際にせめて調査のための費用を国が補助するとか、あるいはまたこの補助事業を引き上げるとか、そういう点ではよく災害担当大臣として、この関係の建設省や大蔵と協議をいただけるよう、決意だけ聞かしてください。
  227. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 建設省ともよう連携とりまして、大蔵との折衝にも全力を挙げますので、格段のまた御協力をお願いいたします。
  228. 下田京子

    下田京子君 次に、防災体制というか警戒態勢というかについてお尋ねしたいんですけれども、消防庁おいでいただいていますね。——長崎市の防災計画の中に以下の点、明確になっていたかどうかという点、端的にお答えいただきたいと思うんですが、一つは、長崎市内がけ崩れ危険個所は五十六年度調査で一千五十四カ所あると思うんですが、市の防災計画に載っているかどうか。  二つ目には、本来この危険個所というのは、地域防災計画に載せることを期待して建設省は提示しているというふうに聞いているわけなんですが、その中でまた知事が指定区域を決められますけれども、二点目の質問はその指定区域の中では事故があったかどうか。
  229. 土井豊

    説明員(土井豊君) 長崎市の地域防災計画における危険個所でございますけれども、がけ地関係につきましては、地すべり危険区域が二カ所、急傾斜地崩壊地区危険個所区域が十四カ所、その他の傾斜地に関して三十五カ所の危険区域が掲上されております。それから、ただいま掲上されております区域において今回人的被害があったかどうか電話で照会しましたところ、そこにおいては死者は出ていないという電話の報告を受けております。
  230. 下田京子

    下田京子君 建設省にお聞きしましたところ、長崎市の場合の危険個所というのは、さっき私言いましたように、五十六年度調査、もうここは出ているんですが、一千五十四カ所あるんですね。今回のがけ崩れ個所というのが二百四十カ所なんですよ。うち危険個所に入っていたところが百五十カ所なんです、入ってないところが九十カ所ということですが、つまり危険個所の中で約一・五割のところでがけ崩れ災害が起きたということがはっきりするわけですね。  そこで、端的にまた消防庁にお尋ねしたいのは、長崎市の教訓を生かして地域防災計画の中に一つはやはり危険個所をきちっと明示させるべきだと思うんです。いかがですか。
  231. 土井豊

    説明員(土井豊君) 私どももそのように考えておりまして、地方団体に対してこれまでも危険個所をできるだけ詳しく地域防災計画に書くようにという指導をいたしております。
  232. 下田京子

    下田京子君 実際には指導しててもやられてないということがはっきりしているわけですから、これは地方自治体の責任に転嫁しないで、きちっとなすべきことはなさなければならないと思います。  これまた大臣にお尋ねしたいところだけれども、時間もないのでこれは省きます。指摘だけしておきますが、住民参加の訓練云々ということをいろいろ言われてますけれども、私、大事なのは防災計画をつくる時点から地域住民が参加していくということ、これが大事だと思いますので、それは指摘だけにしておきたいと思います。  次に、台風十号被害と関連した農業被害問題を中心にお聞きしたいんですが、先ほどから他の委員に対してもいろいろ御答弁がございますけれども、気象庁にまずお尋ねします。  今回の十号台風というのは長崎中心とした集中豪雨とこれは無関係じゃないんだという御答弁がされていると思うんですけれども、私の方からいただいた資料を読ませていただきますから、確認だけしてください。「梅雨前線台風が相互に影響した点から判断して、七月五日以降の梅雨前線による大雨と、台風第十号来撃時前後の広範囲の強い風雨は、気象学的に一連のものであり、切りはなして考えることはできない。」と、こういう御報告を気象庁から国土庁等にも、関係省庁にお出しになっているというふうに聞いているんですが、間違いございませんね。
  233. 立平良三

    説明員立平良三君) いまのお話しになった内容に間違いないというふうに考えております。
  234. 下田京子

    下田京子君 農水省でいただいていると思うんで、激甚指定につきましても、天災資金の問題にしましても、被害金額の調査をまって検討したいというお話さっきから繰り返されているんですね。実務的には私はそうだと思うんです。ただ基本的に大事なのは、いま気象庁のお考えを私は資料をもって提示し、御確認いただいたわけですが、これは気象学的に見て明確なんですよね。そこをしっかり押さえて、聞くところによれば大蔵が何だかんだ言っているという話も聞くんですけれども、そこを押さえた上でやはり一連の天災融資法なり激甚災害法の発動を速やかに行うべく努力すべきだと、こう思うんですが、それが一点。  それから二点目には、私は各地を回って歩きましたが、特にまた私の地元である福島にも行ってみまして、これは他の委員からも御指摘ありましたけれども、北日本一帯またはその他の地域もそうですが、もう三年連続だということなんですね。大変なんですね。ですから借金目いっぱい借りているんですよ。たとえば自作農維持資金なんかですと限度額いっぱい百五十万をもう目いっぱい借りちゃっている、どうにもならぬ。その資金問題についても、先般皆さんの方で御指導されているということは聞いておるんですけれども、実際に実効あるものに私はやっていただきたいと、また制度資金の償還の繰り延べ等も手だてをしていただきたいと、こう思うわけです。  それからもう一つ、共済制度の問題ですが、これは早期支払いの実務的な問題ですでに八月五日時点で通達も出されているのを承知しておるんですけれども、実際にいったらそういうことにならないんですよ。もう一つその関係でいけば二回払いになりますから、いずれにしましても農家に早く入るようにしてほしいことと、これは専売公社の管轄になりますけれども、たばこ、これは農水省と別途だよという考え方ではなくって、具体的に連携とって、農民ですから、その辺をきちっとこたえていけるように対応いただきたい。時間がございませんで、この二点まとめてお答えいただければ……。
  235. 大坪敏男

    政府委員(大坪敏男君) まず第一点の天災融資法の発動の問題なり農地農業用施設等につきましての激甚災の適用の問題でございますが、これにつきましては統計情報部の調査なりあるいは県報告の確定をまって判断をするということでございますので、若干の時間をおかしいただきたいと思うわけでございます。  なお、災害につきまして七月豪雨と十号台風を一本化した場合の問題につきましては、当然のことながら、被害額がふえるわけでございますので、天災融資法の発動なり激甚災指定の可能性はきわめて大となるというふうに考えております。  次は、自作農資金の限度額でございますが、確かに北日本等につきましては、二年連続の冷害等の事態もございまして、農家経済きわめて逼迫しておるということで、既存のこれまでの自作農維持資金の融通につきましてもかなり限度に近くなっているという実態もございます。そこでこれらにつきましては、今般の被害の実態、さらに被災農家の資金需要等を勘案しながら適切な対応をしてまいりたい、かように考えております。  次は、農業共済につきましての損害評価の早期実施ないしは共済金の早期支払いの問題でございますが、これにつきましてはすでに八月五日付で局長通達を出しておりまして、この線に沿って指導をしているわけでございまして、先生御指摘の点がないようくれぐれも被害の実態に即応した迅速な処理ができるよう督励をしてまいりたい、かように考えます。  次は、たばこ耕作農民に対する取り扱いでございますが、先生御案内のように、天災資金等につきましては、たばこ耕作農民につきましても対象としているわけでございますので、私ども施策の可能なものにつきましては決して差をつけることなく被害の実態に即応した対策を講じてまいりたい、かように考えます。
  236. 下田京子

    下田京子君 最後に、緊急に私は松野大臣にお尋ねしたい点があるんです。これは災害とは直接関係ございません。先ほどからいろいろ他の委員からもお話ありましたけれども、教科書問題の発言でございます。  大臣、教科書問題についていろいろお話されているようですけれども、去る九日ですか、名古屋市内のホテルで記者会見の際に、日中戦争での南京大虐殺についてお触れになりましたね。そのときに、当時の関係者からは日本兵が八千人、中国兵が一万二千人死んだと聞いており、大虐殺とは大分話が違うとお話しになったと言われているわけなんですけれども、終戦後の極東国際軍事裁判及び南京の特別軍事裁判で取り上げられまして、南京の裁判では約三十万人の軍民が虐殺されたとしておりますし、東京の裁判でありましても、南京占領から一カ月の間に男女子供を含む非戦闘員一万二千人、掃討戦の犠牲者二万人、捕虜三万人以上、計六万二千人以上が殺害され、さらに近郊に避難していた市民五万七千人以上が餓死あるいは虐殺されたという判決を下しておるんですよ。南京でのこの虐殺、略奪、婦女暴行あるいは放火などは歴史的に見ても事実であります。こういう状況にあるにもかかわらず、大臣はこれを南京大虐殺だというふうにお認めにならないのかどうか。
  237. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) これはきょうの委員会とはちょっとほど遠いですけれども、話がそういうことを実際の従軍——南京攻略に参加した人からそういう話も聞いておる。いろいろな話があるから、戦争のときというものは確実な情報というものはなかなか入らぬものだと思いますと、そういうことが十分伝わっていないのでありまして、極東裁判の話でもまたいろいろな意見があり、またそのときに参加した人も——要するに、私の方ではずいぶん南京攻略に負傷もして帰ってきた人もたくさんおりますので、そういう人たちから聞いた話を私は伝えたのでありまして、私はそれが確実とか、それがどうとかということを言ったんじゃありません。
  238. 下田京子

    下田京子君 私はですからあえて、軍事裁判結果でもこうなっているんだという点で、それを南京大虐殺でないと言えるのかどうかということを聞いているんです。  それからその席上、同じように、民族にはそれぞれ歴史観があり、自分の国を悪い国だという教育をしている国はないんだと、こういうことまで言っているんですね、大臣。だけれども、どうでしょうか、あの第二次世界大戦中に日本とともにファシズムの国であったイタリアだとかドイツ、ここは学校の教科書で明確に自分の国の侵略、占領について明記しているということ御存じありませんか。私はそういうことを事実を事実として教えることが真の平和と民主主義を守り、子供たちの教育にも役に立つし、真の国際連帯にもつながるんじゃないかと思うんですよ。これが一点。  それから、時間が参りますからもう一点聞きますけれども、小川文部大臣でさえ日中戦争はこれは侵略戦争であったと言っているんですよ。ですから大臣、はっきりしてください、日中戦争は侵略戦争と認めるのか認めないのか。
  239. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) この場はちょっと私いろいろ、災害が一番大事な問題でございますから……
  240. 下田京子

    下田京子君 だから、最後に聞いているんです。
  241. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) ちょっとお答えしかねますので、また別の場でお話があれば申し上げるということにしたいと思います。
  242. 下田京子

    下田京子君 いや、本人に聞いているんです。時間の中でちゃんと聞いているんですから、お答えください。
  243. 福間知之

    委員長福間知之君) 時間が参ったようですから、文教委員会あたりでまた……
  244. 下田京子

    下田京子君 おかしいですよ。ちゃんと答えれば一言で答えられる。認めるのか、認めないのか、イエスかノーか、お答えください。
  245. 福間知之

    委員長福間知之君) どうですか、一口で言えますか。
  246. 下田京子

    下田京子君 はい、一言で。それは、緊急に関係のないことを質問する場合もあるんですから、答弁求めます。
  247. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) この問題はいろいろな観点がありますから、簡単にお答えすると誤解を招きますから、ちょっと簡単にはお答えできませんから、そういうことですからちょっとお答えしかねます。
  248. 福間知之

    委員長福間知之君) それじゃ、またそれは場所を改めて質問してください、その議論は。
  249. 下田京子

    下田京子君 問題ですよ、しかし。ちゃんと時間の中で聞いたんです、私は。イエスかノーか答えられないということがわかったわけですが……。
  250. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 最初に国土庁にお伺いをしたい点でございますが、これは基本的な問題ですが、戦後四十年間の、約四十年ですね、この水害の歴史を振り返ってみまして、私は段階的に区切ってみたいと思っているわけです。  戦後やっぱり、二十年代、三十年代の台風によるあるいは豪雨による被害というのは、伊勢湾台風のごときは相当の人が亡くなっておるわけですね、五千人以上と言われているわけです。その前の二十九年では洞爺丸が沈没してこれも一千人以上、二十年の戦後初めての枕崎はもう二千人以上ということで、台風が来れば相当の被害が出ると。これはやっぱり戦後の荒廃した国土の中で当然だと思うんですが、そういう時代を経まして、昭和三十年代の後半から今日にかけまして、私は台風に強い国土をつくり上げるために行政はかなりの真剣な努力をされて成果を上げてきた、これはもう評価するにやぶさかではありません。しかし、そういうように死者の数は減ってまいりましたけれども、災害の中身がかなり違ってきているのではないか。質的に変化をしている。たとえば局地的なしかも集中的な、しかも意外性の、去年の小貝川のようにとても切れそうもないと予想されたのが切れちゃうという、あるいは相当の、もう大変な水が押し寄せてくるという、意外性のある——これは新聞などによるとゲリラ災害と、こう言っているそうでありますが、このゲリラ災害が起こってきている。あるいは、二十年代、三十年代は大規模の災害があったからそういうようなものがあるいは目に入らなかったかもしれません。一緒くたに問題にされたということであると思うんですけれども、しかし、三十年代後半から今日にかけてはそういうようなゲリラ災害が起こってきている、こういうように変化してきた原因はどこにあると思うのか、その点をまずお伺いしておきます。
  251. 荒井紀雄

    政府委員(荒井紀雄君) おっしゃいますとおり、戦後二十年代、三十年代はきわめて死者の数も多く、また、台風水害等による被害も非常に多かったわけでございますが、近年四十年代、五十年代に入りまして大体二百人台に減少してまいったわけでございます。その災害の態様も、台風と言うよりむしろ、いわゆる先ほどから問題となっておりますがけ崩れ、山崩れ等の土砂害の被害、それから、中小都市河川の出水による被害ということにしぼられてきているのではなかろうかというふうに考えているわけでございまして、その原因といいますか、どういうところにあるかと。おっしゃいますとおり、大変意外性も私はあると思います。私も現地長崎へ参りまして視察してみますと、かなりの急傾斜地もあるわけでございますけれども、中には非常に山の姿が穏やかで、こんなところにそういった土石流が発生するとは思われないというふうなところで被害が生じている例もあるわけでございまして、そこの集落の皆さんも昔から住みついて自然に人がふえていったということで、かつてこんなことは経験するとは思わなかったというふうな感想を持たれておられるわけでございます。その意味におきまして、全く意外性ということもよくあらわされると思うのでございますけれども、やはり基本は、近年住宅地の都市近郊への発展の結果、そういった後方に山を控えた山地などに立地しますとか、あるいは都市河川沿いに宅地化が進行すると、こういうことによりまして、近年の災害の特徴でありますがけ崩れあるいは都市の市街地におきますはんらんが起きているのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  252. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そこのところの認識なんですが、私はいま言われた原因もそのとおりだと思うんですね。都市に人口が集中してくる、したがって、傾斜地とか高いところに住宅を持たなければならぬということですね、そういう状況一つある。あるいは、水の近い、低いところに新しく開発してそこへ住宅を建てなければならぬ、そこに住むようになると、これも一つの原因だと思うんですね。あるいは、そういう遊水地だとかそういうものをつくろうとしても、その地域では反対運動が起こって、やはり地域住民全体のことを考えないという、そういう反対もかなり起こってきた、くれもまた一つの原因。あるいは、過疎地が荒廃をしていって、そこはもう治山治水がどういう状況になっているかもわからないというところでがけ崩れが起こってくるということです。それから、あるいはレジャー人口が増大をして、自分の住んでいるところ以外のところに移動して台風シーズン、こういうような豪雨の起こりやすい夏に外に出ていく、そして災害に遭う、こういうようなさまざまな原因が積み重なってこのような五原因をつくっているのではないか、こういうように私は考えておるのですが。  そこで建設省にお伺いをするわけですが、いまから十五年前に、やはり豪雨による台風七号が熱帯低気圧に変化してかなりの地域被害を及ぼして、特に神戸ですね、港町から山にずっとつながるというがけ地の多いところなんですが、長崎とは違うんですけれども、全体的に見るとそういう地域だ。そういうところのあの四十二年、十五年前の経験が——あのとき神戸でも三百何十人の死者が出たわけですが、そこのときに指摘されたのがやはりそういう新しい地域に宅地の開発がどんどんされていく、コンクリートの道にどんどんなっていく、それがいかぬじゃないか。やはりそういうところの開発についてはある程度の規制をしなければならぬ、あるいは保水機能だとか遊水地だとかそういうもののあらかじめ機能をつくった上で住宅の建設を許可する、こういうことをやらなければならぬのではないかという十五年前に指摘をされた。この四十二年の苦い経験が今回の場合に生かされていないのではないか、こういうふうに私は思うわけでありますが、こういうような規制を加えていく、これからはそういうところについては保水機能、遊水機能をまずつくっていく。そういう意味の施策が必要ではないかと思うのですが、その点の建設省の御見解をお伺いします。
  253. 小鷲茂

    説明員(小鷲茂君) ただいま都市開発、なかんづく宅地開発水害との関係についてのお尋ねでございますが、一般的には宅地開発を行います際には、都市計画法によりまして開発許可というのが必要になってまいりまして、この際に開発をなさいます方と河川管理者と協議をしていただきまして、必要に応じまして遊水地なり遊水貯留施設そういうものをつくっていただくということにいたしておるわけでございます。また、全体として流出等が避けがたいような部面におきましては、一般の公共事業におきまして、特に宅地開発に関連する地域におきまして優先的なお取り扱いをいただいておりますほかに、一般の公共事業とは別枠といたしまして住宅宅地関連の関連公共施設整備促進事業という事業枠を持っておりまして、五十七年で申し上げますると、国費で一千億の予算がございますが、こういうものを使いまして必要な事業を行っておりますのが現状でございまして、基本的には宅地開発サイドでもできるだけの努力をすると同時に、いま申し上げました公共事業の方でもできるだけの努力をいたしてまいりまして、両々相まって調整を図っていくということがきわめて重要なんではないかというふうに考えております。
  254. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 時間がありませんので、この問題についてのさらにの質問は省くといたしまして、もう一つこれは国土庁にお伺いをするのですが、このような今日のような風水害を防ぐには河川改修はもちろんこれはもう進めていかなければならぬわけですが、と同時に、防災に関連する多くの関連システムというのですか、こういうものを整備していくことによってかなりの部分死傷者を防げるのではないかと思うのです。たとえばこの間の災害でも河川で何か釣りをしていて上のダムが放流したのがわからないでそのまま流されてしまったというのがありますね。だからそういう意味の情報伝達ですね、これは相当年代かけて金もつぎ込まなければならぬと思うのですが、そういう情報伝達のシステムですね。あるいはいまでも大分これは消防庁中心になってやっておるんですけれども、防災無線電話網ですね、これを農山村の隅々まで普及していく、こういうこと。あるいは先ほど私が触れましたけれども、夏から秋にかけての観光シーズンで自分の知らない土地へ出て行って災害に遭うという場合があるわけですから、そういうときには、ここは危険個所ですよ、こういう情報が出たときにはこういうところへ避難しなさいという徹底したそういうものをやはり設けていく必要があるのではないか。あるいは常日ごろに災害情報を公表して、雨が二、三日降ればこういうような状況になるんですよ、ということを常に公表しておく。こういうような意味の何というんですか、災害関連情報システムともいいますか、そういうものを完備することによってかなりの災害が、不慮の災害というんですか、それを防ぐことができるのではないかと思うんですが、これもしかし計画的にやっていかないとできない問題でありまして、急にはできる問題ではないと思うんですが、その点についての御見解をお伺いします。
  255. 荒井紀雄

    政府委員(荒井紀雄君) おっしゃいますとおり、ハード面の対策と相まちましてソフト面の対策が重要であろうかと考えたわけでございます。特に長崎を例にとりましても、この異常出水でありますとか急激な河川はんらんによる水害にとりまして、気象警報の伝達システムが迅速、確実なシステムが確立されておりましたならばというふうなことも痛感されるわけでございまして、また同時に、吉野川の問題でございますが、これも事前におけるその気象警報の周知といいますか、そういうものを徹底をしておく必要があったんじゃなかろうかということも考えられるわけでございます。あるいはまた、登山客がかなり山に入っておったとか、それからハイカーが、あるいはキャンパーがずいぶんいわゆる遭難をしたという例を見ましても、やはり気象警報の周知あるいはその地域の持ちます危険性をその関係者に徹底させると、こういうふうなことが必要じゃなかろうかと思うわけでございまして、しかしこれは非常にいわゆる不特定多数の人を相手にするというふうな問題でもございますので、その徹底方というのは非常にむずかしい問題を含んでおるかと思います。  この問題につきましては、国土庁としましては、今回の災害を貴重な教訓としまして、関係省庁とも十分に協議しながら、ひとつ今後のシステムのあり方というものを検討してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  256. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 それでは次に、厚生省にお伺いをするわけですが、今度の長崎豪雨による災害によって、こういう例があるわけですよ。  災害弔慰金支給の問題ですが、姉さんと弟さんが世帯を構成をしている。親御さんもいない。子供ももちろんいない。二人で世帯を構成をしていて、姉さんが水害に遭って亡くなってしまった。残ったのが弟であって、弟は姉さんの弔いもしなきゃならぬ、先祖代々の墓も守っていかなきゃならぬ、そういう立場に立たされた。ところが、残されたたった一人の遺族のこの人には弔慰金支給をすることはできないんだと、法のたてまえから。これはもちろん議員立法で全会一致でつくったものですけれども、それができないんだと、こういうんですけれども、これはどうなんでしょうかね。
  257. 田中健次

    説明員田中健次君) 災害弔慰金の遺族の範囲の問題でございますけれども、いま先生お話しありましたように、この法律は昭和四十八年に議員立法ででき上がったものでございます。そのときに、弔慰金の遺族の範囲をどうするかということで私ども伺っております議論では、民法七百十一条で生命侵害に対する慰謝料の規定がございまして、この規定はその遺族の範囲が配偶者と子供と父母になっておるということでございますが、立法当時、それでは狭過ぎるのではないかということで、国家公務員の共済組合法などの遺族の範囲に準拠しまして孫と祖父母を加えたということでございまして、現在の法の遺族の範囲は、祖父母、父母、子、孫と、こういうふうなことになっておるわけでございます。そういうことで、現行法で兄弟姉妹が対象になっておらないわけでございまして、先生いまお話しになりましたようなケースも出てくるわけでございますけれども、これは法定事項でもございまして、私どもとしてはやむを得ないというふうに考えております。
  258. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 大臣、いま御答弁のあったとおりだと思うんですよ。しかし、今度の災害、そういう例はあると思うんですね。残された者はたった一人でしょう。それで、法の立法の趣旨からいきましても、残された者に対して弔慰をあらわすということでしょう。残された者はたった一人。ただ、何かあれですか。慰謝料の民法七百十一条をそのまま持ってきて、その範囲でなければ支給をできない、こうかたくなな考えで一体いいのかどうか。法というのは、できてしまうと非常に冷たいものになることはわかっているんです。しかし、こういう種のものは政治的な配慮もあるだろうし、その範囲を拡大するには政令でやれるだろうし、あるいは別の面で、市町村長の裁定の範囲の中でもあるいはできるかもしれません。そういうような温かい配慮というものをこういう場合にも加えるべきではないか、そのためには法改正ももちろん必要だと、そういうことだと思うんですが、その点の御見解をお伺いしたい。
  259. 松野幸泰

    国務大臣松野幸泰君) 先ほど御説明いたしましたように、法はできてしまうと法のとおりにやらなきゃならぬということで非常に矛盾を感じた御意見でございますが、何とかいい方法はないか十分ひとつ検討をさせていただきたいと思います。
  260. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 こういう例はこの災害にとどまらずいろいろあるわけですよ。本当に法というのは冷たいなと言って遺族が嘆いている場合もたくさんあるわけです。やっぱりそういうところに手を差し伸べていく、配慮をしてやるということがなければ政治をやっている意味がないと思うんですね。大臣、それ真剣に考えていただきたい。これは要望しておきます。  そこで次に、これは国鉄にお伺いをするんですが、今度の十号台風によりまして、東海道線、中央線、このいわゆる言うならば国鉄の大動脈がずたずたやられてきた、その被害額は二百億円以上に上るだろうと、こう言われていますね。財政状況が悪いという状況はよく承知をするんですが、国鉄が存在し、列車が動いて、そこに乗客が乗って運ばれている、毎日そのように動かされているという現状の中で、やはり国民の生命と足を確保するために何としてもこの安全管理に万全を期さなきゃならぬ、こういうことは当然だと思うんです。  そこで具体的にお伺いをするんですが、今回流失をしました富士川鉄橋の橋梁ですね、午前中の質疑でもございましたが、列車が本当はあそこを通っている間にもろとも濁流にのまれたら大変な惨事になっていたと思うんですが、それは一瞬のうちに助かったということなんですが、この富士川橋梁はその健全度がAランクだったと聞いておりますが、このような老朽構造物というものは全国でどのくらいあるのか、数字おわかりになっていましたらお伺いします。
  261. 村上温

    説明員(村上温君) 国鉄の部内で検査をいたしましてそういうランク分けをしておるわけでございますが、たとえば橋で申しますと、橋は全国で四万九千カ所、橋げた、いわゆる上部構造は約八万二千連、下部構造、橋脚や橋台は十三万二千基ございますが、私どもの検査では、老朽が進んでおって、その進行状況をよく観察してなるべく早く措置をすることが望ましいということでAにランクしておるものは、その中でもA1、A2というのがあるわけですが、橋ですと全数の約五%がA1で、九%がA2と、こういうふうな把握をしてございます。トンネルにつきましては、全国で約三千六百カ所、千四百キロメートルございますが、A1が六%、A2が一二%ということでございます。ただ、新幹線は最近できました線路でございますので、これには含まれておりません。
  262. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 A1、A2を含めますと一四%ということは、約五万カ所のうちの一四%ですね、相当の数ですね。それらの一四%に上るAランクの老朽構造物ですね、それの日ごろの管理状態はどうなっているのか。たとえば今回のような、富士川鉄橋のような場合ですね、何らかの補修だとかというものを事前にやっていたのかどうか、その点をお伺いします。
  263. 村上温

    説明員(村上温君) たくさん構造物を抱えておりますので、国鉄では検査の回数とかそういう標準をつくりまして、全国の鉄道管理局に構造物の検査センターというものがございます。それから全国に保線区というのがその下部組織としてございますが、この中に土木の構造物をふだん検査をして担当するグループを配置してございます。それでふだんから検査、監視を行い、その結果、先ほどのようにこれはAランクであるとかBランクであるとかというようなことにしてあるわけでございます。  富士川の鉄橋につきましても静岡の鉄道管理局の所管でございまして、静岡の構造物検査センター及び地元の富士に保線区というのがございますが、富士保線区で、特にこの橋は急流の河川の中にございますので、河床の検査等を年々行い、昭和四十二年ごろからブロックを積み並べて補強をやっておったわけでございますが、ここ二、三年は河床が落ちついておったということで、補強はこの二、三年はやっておりませんが、四十二年ごろからかなりのブロックの補強等をやっておったということでございます。
  264. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 後でこの問題も関連してお伺いするんですが、中央本線は昨日復旧をされました。まあ職場規律についてこの二年間相当やかましく言われました国鉄にしては、今度の災害に対してはかなり迅速に一生懸命復旧に努めてくれたということは私は認めます。そこで、ただそういう中央本線とか東海道本線はいいんですが、小海線でもやられているわけですね、この小海線の問題について余り新聞にも明らかにされないし情報がよくわからないんですが、一体そういう小海線のようなものはどうなっているのか。あるいはこれは地方交通線だから大したことはないやと、いま財政も苦しいしほっといても構わないとか、ゆっくりやろうとか、これでは困るわけですね。あの地域住民も、小海線の、しかもあれは日本一高いところを走っている線路ですから、地盤も弱いということで災害に弱い。そういう橋なんですが、そういうものをほっといていかれたんでは大変困ると思うんですが、この現状はどうなっているのか。やっぱりローカル線といえども住民を毎日運んでいるわけですから、これも幹線と同じように力を入れて努力をするというのが当然の姿と思うんですが、この点についてどうなっておりますか、お伺いします。
  265. 村上温

    説明員(村上温君) 小海線の現状でございますが、小海線では信濃川上−佐久広瀬というところの間に千曲川に鉄橋がかかってございます。第二千曲川橋梁と申しますが、この橋台と橋脚がかなりの変状をいたしました。それから、橋台の背後の築堤部が崩壊をしたわけでございます。  そのほかに、松原湖と小海の間は川沿いに走っておりますが、この辺がかなり護岸が倒壊したということでございますが、決してローカル線だからということで復旧をゆっくりやるというようなつもりはございませんで、最大限の努力をして復旧をしたいと考えておりまして、松原湖と小海の間は実は本日夕方、いまごろには開通をしておるというふうに考えております。  それから、千曲川の橋梁の方は被害が非常に大きゅうございますので、やはり新学期、八月いっぱいぐらいには何とか開通させたいと考えてございますが、仮の応急の復旧ということで、ローカル線ということですが、安全の確保のためにはいずれ本格復旧も考えてございます。
  266. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 結局先ほどの富士川鉄橋の問題で、ここのところ安定をしていたということで二、三年は補強をしていなかったと、こういうことなんですが、まあ鉄道が風水害に弱いというところは橋を取りかえるとか、トンネルを改修してまた新しいものをつくり直すとかいう、そういう取りかえ工事というものに投資していないのではないか、そういう取りかえ投資というのが少ないのではないか、こういうように思えてならぬですね。これは、しかし万一の場合、そのことが原因で多くの死傷者が出るということになれば大変なことになる、こう思うんですが、いままで一体こういう老朽施設についてどの程度の投資が行われてきたのか、その結果どのくらいの老朽施設が取りかえることができたのか、特に橋の場合はどうなのか、その辺のところがおわかりだったらばお教えをいただきたい。
  267. 村上温

    説明員(村上温君) 先生御承知のような非常に財政が厳しい状況にございまして、なかなか万全の体制でどんどん取りかえるということはむずかしいわけでございますが、何せ安全のことでございますので、先ほど申しましたように厳重な検査をいたしまして、技術的な判断の上で本当に必要なものから取りかえを鋭意行っております。予算の方も運輸省等にお願いをいたしまして、たとえば五十七年度で申しますと、橋梁とかトンネルあるいはのり面等私どもの所管しておりますそういう防災関係全般で五百七十億ぐらいの予算をいただいておりまして、橋梁の場合には大体三百連ぐらいの取りかえを進めてございます。まあ十分でない部分につきましては補修を加えるとか、あるいは点検を強化するとか、あるいは運転の規制をするとかということで万全の体制をとりたいというふうに考えておるわけでございます。
  268. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そこで運輸省にお伺いするんですが、いまの実情のようですね、なかなか実際上は取りかえをしたいけれども予算の制約がある。しかし、いざ災害が起こって人身が損傷された場合はこれまたどこに責任がいくのかということを考えますと、やはりマイナスシーリングだマイナスシーリングだと言っても、人を運んでいるという特殊な国鉄のような場合の安全確保、これにはもう真剣に努力をしていかなきゃならぬですけれども、いま言われますように、それらの持つ予算は五百七十億、災害が起きたらこの中で全部やれと、これがいまの運輸省の姿勢のようですが、要するに災害が起こったら国鉄の自前でやりなさい、こういうことだと思うんですよね。別に百億に足らない防災事業補助金というのがあるんですが、これはまた別の意味の通常の補強だとかそういうことでしょう。そういうようにきわめて少ない予算の中でやっている。だから、国鉄全体としては一向に災害に強くならない、こういうことだと思うんですね。だから、これからも意外性のある局地的な相当の災害があると予想しなければならぬわけですが、この点についてやはりマイナスシーリングと言いながらも、これらの点については、やっぱり何としてもできるだけの予算を確保する、こういう姿勢が必要だと思うわけでありますけれども、運輸省当局のお考えをお聞きをしたい。
  269. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) 国鉄の経営というのは、御承知のとおり現在きわめて厳しい状況にあるわけでございますが、特に投資に伴います資本費の増加というのが経営圧迫要因の一つでもございます。したがいまして、投資の総枠はできるだけ今後圧縮する必要があると考えておりますけれども、安全の確保というのは交通機関の基本的使命でもありますので、今後は総枠は圧縮する方向に持っていくとしても、その中での重点を従来より一層安全取りかえ投資に置いていきたいと考えております。  なお、助成という点でございますが、安全取りかえ投資につきましては、従来から工事費補助金という形で助成措置を講じておりまして、今後ともこの制度を適切に運用、対処してまいりたいと考えております。
  270. 福間知之

    委員長福間知之君) 伊藤君、時間が参っております。
  271. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 時間が参りましたので、最後に、せっかくお呼びをしておりますので、済みません、一点だけ質問をさしていただきます。  大蔵省に質問をしたいんですが、損害保険は、これは民間がやっているんですけれども、風水害については対象外にしているところが多いですね。一部商品化しているところもあるようですが、範囲が非常に少ない。したがって大蔵当局として、こういうように毎年災害があるわけですから、風水害の特に災害があるわけですから、風水害災害についても損害保険として対象にするように積極的に指導をしていく必要があると思うんですが、その点のお考えを聞きまして終わりたいと思います。
  272. 田中寿

    説明員田中寿君) 風水害をてん補いたします保険といたしまして、一般家庭物件につきましては、長期総合保険ですとか住宅総合保険ですとか店舗総合保険ですとかあるいは特約保険とかといったのがございます。それからまた企業物件につきましては、通常火災にさらに風水害特約をつけるというようなことで、現にそういう形での風水害の危険事故をてん補いたします保険がございます。それで大いに御利用いただいているわけでございますが、昨年、五十六年六月には、住宅総合あるいは店舗総合、長期総合につきまして、支払い限度額の引き上げ等を行うなど、その点の改正をやっているわけでございます。  今回の風水害に関しましては、現地におきましては、保険相談所を設置するなど、適切にしかも迅速にこの保険金の支払いを行うよう指導しておりまして、十分その被災者の皆様方におこたえできるようにという形で配慮をしているものというふうに思っております。
  273. 福間知之

    委員長福間知之君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十四分散会      —————・—————