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1982-04-27 第96回国会 参議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月二十七日(火曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員異動  四月二十日     辞任         補欠選任      岡部 三郎君     増田  盛君      片山 甚市君     大木 正吾君      田  英夫君     江田 五月君  四月二十一日     辞任         補欠選任      関口 恵造君     成相 善十君      後藤 正夫君     北  修二君  四月二十二日     辞任         補欠選任      北  修二君     井上 吉夫君      成相 善十君     園田 清充君      栗林 卓司君     井上  計君  四月二十三日     辞任         補欠選任      井上  計君     栗林 卓司君  四月二十七日     辞任         補欠選任      大木 正吾君     村田 秀三君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉田 正雄君     理 事                 坂野 重信君                 谷川 寛三君                 増田  盛君                茜ケ久保重光君     委 員                 井上 吉夫君                 井上  孝君                 岩崎 純三君                 植木 光教君                 中村 啓一君                 堀内 俊夫君                 松本 英一君                 村田 秀三君                 原田  立君                 三木 忠雄君                 上田耕一郎君                 栗林 卓司君                 江田 五月君    国務大臣        建 設 大 臣  始関 伊平君    政府委員        国土庁長官官房        審議官      川俣 芳郎君        国土庁水資源局        長        高秀 秀信君        林野庁長官    秋山 智英君        建設大臣官房長  丸山 良仁君        建設省計画局長  吉田 公二君        建設省都市局長  加瀬 正蔵君        建設省河川局長  川本 正知君        建設省住宅局長  豊蔵  一君    事務局側        常任委員会専門        員        田熊初太郎君    説明員        文部省初等中等        教育局小学校教        育課長      熱海 則夫君        林野庁指導部長  鈴木 郁雄君        建設省河川局砂        防部長      釣谷 義範君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○土地区画整理法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 吉田正雄

    委員長吉田正雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十日、岡部三郎君が委員辞任され、その補欠として増田盛君が選任されました。     —————————————
  3. 吉田正雄

    委員長吉田正雄君) 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉田正雄

    委員長吉田正雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事増田盛君を指名いたします。     —————————————
  5. 吉田正雄

    委員長吉田正雄君) 治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回、本案に対する趣旨説明は聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 本論に入る前に、建設大臣、あなたはきのう、私は朝日新聞で見たんですが、何か住宅建設について非常に悲観的にとれるような発言をされたようです。実は時間がなくて内容を全部見なかったんですけれども、どうも感じが、五十六年度の住宅建設に対して悲観的にとれるような発言をされたようでありますが、この点についてあなたの真意のところをちょっとお伺いしたいと思います。
  7. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) 住宅建設につきましては、例の住宅金融公庫法が両院を通過して成立さしていただきましたので、新しいシステムによりまして近くと申しますか、募集を始める段階でございます。もちろん、金融公庫公的金融という手段だけで住宅建設をやるわけじゃございませんが、一番有力な方法が実行可能になりましたので、いま私ども事務当局も張り切りまして、一生懸命にやっておる段階でございます。  別にこの記事は、私が記者の方にお目にかかってどうこうしたという関係のものではございませんで、一種の推測記事のようなものかと思いますが、大変な難事業であるということはもう前々から覚悟いたしております。まあまあ内需拡大の大きな柱であるということと、それから住宅についての潜在需要というものはまだあるに決まっておりますし、いろいろ御批判もございましたけれども、かなりいろいろな意味で手を尽くした対策を講じていただきましたので、これから一生懸命ひとつ責任を果たしてまいりたいと思っておるわけでございます。容易でないという認識はございますけれども、何か嫌々であるとか、悲観的であるとかいうことではございませんので、これはこういう書き方をされたんでございますが、そういう誤解を与えるとすれば大変遺憾でございます。とにかく一生懸命やるつもりでございますので、引き続いて御支援を賜りますようにお願いを申し上げます。
  8. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 わかりますが、やっぱり一般の人は、大臣がこう言うんじゃ、これはなかなか容易じゃないという感じを持つですよ。だから、私はもう始関大臣を大いに信頼していますからあれですが、一般の人はそんなことは思いません。ひとつぜひ、いまの言葉を具体的にやはり——住宅局長は来ているかな——大臣の言ったことをしっかり受けつけて、頼むぜ、せっかく審議して決まっているものがだめになると困るから。そういうことを冒頭に申し上げておきます。  次に、本論に入りますが、治山治水も過去五回延長して二十二年たちました。二十二年たっているんだが、またさらに五年延ばす。これは恐らく次々に五年、五年といくんだと思うんです。これは悪いとは言いませんよ。しかし、何かこの辺でこれだけのことができたと、過去の実績が。質問通告もしてありますけれども、過去のいわゆる最終目標に対して、二十二年やってきたんだが、どのくらいの目標に向かって実績ができているのか、またこれは総括的な、概括的な問題ですが、そういうことに対して建設省としてのお話を承りたいと思います。過去の実績とそれから今度の五年間延長するのを含めて将来、大体この辺までいったら何とかなる、これは水害のときのことがありますから、恐らくなくならぬと思いますけれども、大体の目標に向かってこのくらいのことはできるんじゃないかという見通しはつくと思うんです。その辺をひとつ建設大臣に、これは大臣です、わからぬところは局長でいいから、最初大臣にひとつ……。
  9. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) お答えを申し上げます。  この治水五カ年計画が始まりましたのは、御承知のとおり昭和三十五年でございまして、五十六年度までの二十二カ年を経過したわけでございますが、その間の投資額は約十三兆円に達しておりまして、五次にわたる計画投資額という点から見ますとほぼ達成されておるわけでございます。名目で十三兆円でございます。  十三兆円ということで、どこまで治水施設整備等が進んだかということでございますが、これは十三兆円に見合う程度で進んでまいっておるわけでございます。具体的には局長から申し上げますけれども、しかし、十三兆円に見合うところまで進んだには違いないけれども、一方におきましてまだ大変仕事が残っておる。洪水とか土石流というような自然災害に対して、これは日本の国は大変弱い体質を持っておるわけでございまして、また、今後において改修を必要といたします河川延長も八万六千二百キロメートルというように膨大でございますので、残念でございますが、二十年以上にわたってやってまいったにかかわらず、災害に対して安全な国土になったとは申しにくいと考えております。  このために、さらに治水事業計画的に推進することが必要でございまして、第六次治水事業五カ年計画を策定した。十一兆二千億でございますが、そういう経費を計上いたしましたのもこういう考え方に基づくものでございまして、われわれとしてはこの計画の遂行を通しまして、まだ完全にいくとは思いませんけれども、引き続いて、できるだけ急ぎまして国土災害に対してより安全なものにしてそれを子孫に引き継いでまいりたい、かように強く念願をし、また努力をいたす所存でございます。
  10. 川本正知

    政府委員川本正知君) 昭和三十五年の第一次の治水五カ年計画以来、ただいま大臣が申し上げましたとおり、二十二年間にわたって逐次五カ年計画を改定しつつ河川改修を進めてきておるところでございますが、大河川整備水準を御参考までに申し上げますと、これは戦後最大洪水を安全に流下させるということを暫定的な目標として現在鋭意整備を促進しているところでございますが、そういったものに対しまして全国の大河川整備率というものが昭和五十六年度末で約五八%程度でございます。大河川においてすらそういった現状でございまして、中小河川に至りましては、やはり時間雨量五十ミリメートルに対応するということを暫定目標にしておりますけれども、それに対しては一八%というような低い整備水準でございます。今後第六次の五カ年計画を通じまして計画的に着実に整備水準を上げていく努力をいたしたいと思っておりますが、そういうことで、将来といいますか、大河川につきましては、昭和七十年度ぐらいにはただいま申し上げた暫定目標を概成させたいというふうに思っておるところでございます。そういった目標のもとに第六次の五カ年計画を進めてまいりたいと思っておるところでございます。
  11. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 治山事業につきましても、昭和三十五年以来治山治水緊急措置法に基づきまして鋭意事業を実施してまいりましたところでありますが、特に当初におきましては、戦後相次ぐ大型の台風等によりまして大変山荒廃いたしまして、過去におきまして比較的災害の少なかった昭和の初期の時代の安定した状態に持っていくということを当初の目標にいたしまして、以来この目標に向けまして五次にわたりまして計画を実施してまいったところでございます。  目標を当初に設定しました昭和三十五年におきましては、荒廃の面積が約二十三万ヘクタールございました。その後新規の荒廃も発生いたしましたが、合わせまして治山事業を逐次実施してまいりましてその解消を図りながら、昭和五十六年度末におきましての荒廃地は十四万ヘクタールまで減少したところでございます。したがいまして、第六次におきましてはさらにこの荒廃地復旧中心といたしまして、さらには荒廃危険地域対策も推進いたしまして住みよい国土を建設してまいりたいと考えまして、さらに一層治山事業を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  12. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これからの質問内容はちゃんとみんなわかっているな、細かに。したがって答弁は簡潔に。どうも聞いているとむだが多い、答弁に。時間ばかり食っている。聞いていると、困るとよけいなことをしゃべるんだな。そういうことは必要ないから、いろいろと言ったら質問を中止するよ。だから簡潔に要点だけぱっぱっと。  次に、長期計画計画を策定すること自体が重要ではなくって、計画で示された目標を一つの指針とし、これをいかに計画的に実施するかであろうと思う。政府はそれに向かって最大限努力をする責任があると思う。その意味からすれば、この五カ年計画に盛り込まれた事業費整備目標が当初からすでに達成不可能と見込まれる計画を単に国の経済計画との整合性から立案するのはどうも納得ができない。そういう感がある、過去の実績を見ても。治水計画に示された事業費整備目標については、当然建設大臣は重大な政治責任があると思うんです。これに対する建設大臣の見解をお聞きしたいし、また、今次五カ年計画はいつごろ閣議決定をされる予定か、この点をひとつお願いをします。
  13. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) ただいま御指摘になられましたが、治水事業治山もございますが、それはその方面の客観的な事情から見まして十分な予算を確保すべきであって、そのほかの一般的な経済計画との整合性というものを考えて初めからきわめて不十分な予算を計上するのは納得できない、こういう御趣旨と承ったのでございます。大変同感の点も多いところでございますが、新五カ年計画投資規模は新経済社会七カ年計画のフォローアップと整合を図っているところでございまして、財政事情が大変厳しい状況でございますのでなかなか容易なことではないというふうに認識をいたしております。しかしながら、治水事業はわが国土を保全し、国民生活の安定と向上を図るための根幹的かつ基本的な事業でありまして、昨年全国各地に発生した災害実態を見ましても、その緊急性重要性は非常に大きいと認識いたしております。このために新しい五カ年計画を策定し、治水事業計画的に進めることによりましてその計画投資額及び整備目標を達成するよう最大限努力を払ってまいりたいと存じます。  そのためにも、今回上程されておりますこの法案の速やかな御可決を望んでおる次第でございまして、これを成立させていただいた後、河川審議会の意見をも聞いた上で速やかに閣議決定を行ってまいる所存でございます。大体その時期は六月から八月ごろというふうに予定をいたしております。
  14. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 六月から八月というと大分大臣、期間が長いな。六月から八月では大分間がある。そんなのんびりじゃ困ると思うんだな。やっぱり少なくとも六月の初めぐらいには閣議決定できなくちゃしようがないと思うが、どうなんですか。ひとつがんばってよ。どうです。
  15. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) 余り間が長過ぎるということでおしかりをいただきましたが、諸般の準備を急いで進めまして、できるだけ早く閣議決定にこぎつけたい、かように存じております。
  16. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 局長、いいな、君、遅いんじゃ困るから、なるたけ早くやって、大臣に一日も早く閣議決定できるように、ひとつそういうように……。  次に、治山治水五カ年計画投資規模については明らかになっております。整備目標についてはどのように考えておられるのか。第六次五カ年計画整備目標は明らかでないが、建設省林野庁からその整備目標について具体的な御説明お願いしたい。
  17. 川本正知

    政府委員川本正知君) 大河川並びに中小河川の現在の整備率は先ほど申し上げたとおりでございますので省略さしていただきますが、新五カ年計画の現在考えております案を達成しました後の整備率は、現在鋭意作業を進めておる最中でございまして、まだ確定はしておらないわけでございますが、大筋として申し上げますと、先ほど申し上げた当面の暫定目標に対しまして、大河川につきましては六三%程度まで上げたいと思っております。中小河川につきましては二五%程度まで上げたいというふうに思っております。この中でも特に都市河川には重点を置きたいと思っておりますが、それにつきましては整備率を五三%程度まで上げることを目標にしたい、そういうことで作業を進めておる最中でございます。
  18. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 第六次治山五カ年計画におきましての目標を三つ申し上げます。  まず第一点は、山地災害に対する安全水準向上でございますが、まずは荒廃山地復旧促進予防治山拡充を図りながら、五十六年度末の荒廃山地が先ほど申しましたように十四万ヘクタールでございますが、これを六十一年度末に八万ヘクタールの水準まで持ってまいりたい。  第二点でございますが、水源対策中心としました事業でございますが、今後の水源涵養機能拡充強化を図るために、ダム上流地域森林整備、緊急を要する二万ヘクタールの森林につきまして保水量の高い森林整備、造成してまいりたい。  第三点は、安全な地域社会をつくるために、災害防止とあわせまして保健保安林保健休養機能を高める森林、約一万ヘクタールでございますが、これを実施してまいりたい、かように考えております。
  19. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 次に、今度の計画予備費調整費になっている。これは名前が変わっているんだけれども、従来予備費で使ったものが調整費となっている。何か特別な意味があるのか、あるいはまた何か内容が変わるのか、この点どうですか。
  20. 川本正知

    政府委員川本正知君) 新しい五カ年計画の案におきましては、調整費を九千九百億円見込んで計上しておるところでございますが、従来は先生お話しのような予備費ということで、治水事業に関しましても、昭和四十年から始まりました第二次の五カ年計画、これから毎次の五カ年計画ごと予備費ということで盛り込まれてきておるところでございますが、五十六年度からスタートいたしました下水道とかいろいろの公共投資に関する新しい五カ年計画につきましても、調整費ということで変わったのに伴いまして、治水の第六次の新しい五カ年計画にも先ほど申し上げたように調整費として計上しているところでございます。  その両者の性格でございますが、予備費につきましては、計画を策定いたしました当初に想定もできなかったような大変な相当の事態が生じた場合に使用するということになっておりまして、そういった事態が生じない限り、逆に言えば執行されないというような性格のものでございますけれども、調整費につきましては、今後の経済財政事情あるいは事業進捗状況といったものなどを考慮して必要に応じて支出がされることになる、そういうような性格のものであるというふうに理解をしているところでございます。
  21. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 結局金が使いやすいということだな。君たちの説明によれば、予備費はなかなか使いにくいが、調整費は使いやすいと。余りむだ遣いされると困るから、その点はしっかりやってもらわぬと、国民の税金だからね。多少といえどもむだ遣いは困る。大体わかるからいいが、その点をひとつ注意してください。  次に、第五次治水事業五カ年計画には予備費としてこれは五千八百億。運用実績は、これはいま聞いたようになかなか使いにくくてゼロであった。しかし、今回の第六次計画からは国の経済計画で示された公共投資調整額内数となり、しかも事業費に対する割合も増大していることを考えると、従来のように実績ゼロということではなく、これを積極的に運用していくべきと考えるが、いま言ったように、といってむだ遣いは困る。これはいまの時点で、この調整費を何か過去の実績からこういうふうに使いたいという予定でもあるのか、あったらその点をお示しを願いたい。
  22. 川本正知

    政府委員川本正知君) 先生おただしのように、過去におきましては毎次の五カ年計画に盛り込んでおりました予備費を使用した例というのはございません。今回の五カ年計画におきまして調整費が従来の予備費よりも広い概念で設定されておるということでございまして、先ほど申し上げたような財政環境といったものの変化、あるいは事業進捗状況といったものに応じて弾力的な運用が図れるということになっておりますので、今後調整費を使用するということが必要になるような事態が生じた場合にはそれを積極的に、またかつ、ただいま先生おっしゃいましたように有効に使用してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  23. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 治山治水五カ年計画にはそれぞれ重点事項が決められております。しかし参考として示された重点事項は、第五次計画のそれと全く同文であるし、きわめて抽象的で具体的には少しも明らかではありません。公共投資が抑制され、事業費ベースでは減少すらしているという今日の情勢下にあっては、従来のようにまんべんなく事業を進めるというのではなく、より重点をしぼって整備を進めていくことが必要だと思うのでありますが、この五カ年計画建設省林野庁は何を最重点に据えて治山治水事業に取り組むのか、具体的に説明していただきたい。前にも幾つか出たけれども、その点を中心にしぼって答弁を願います。
  24. 川本正知

    政府委員川本正知君) 第六次の五カ年計画重点事項につきましては、四つの柱を持っております。  第一番目は、著しく整備の立ちおくれております中小河川、特に先ほど申し上げたような都市河川整備を積極的に推進する。二番目には、土砂害によりまして最近非常に多くの人命が失われておる実態にかんがみまして、土石流対策といった土砂害対策を積極的に推進する。第三番目は、大河川災害、これは最近石狩川等多いわけでございますので、そういった重要な河川整備を促進する。第四番目は、生活用水を初めといたしまして増大する水需要に対応するための水資源開発といったものを強力に推進したい。  こういうことを考えておるところでございます。  治水事業のように長期的な視野に立ちまして計画的にその推進を図る必要があろう、そういった事業におきましては、その重点事項時点時点で極端に変化するような性格のものではないということを考えておるわけでございますが、ただいま申し上げました四つ重点事項の中でも、たとえば、先ほど申し上げたように石狩川などの近年大災害が生じた重要な河川あるいは中小河川も、たとえば佐賀県の佐賀江川等を初めとして各地で頻繁に災害が起きております。そういった災害を生じた中小河川対策といったこと、あるいは東京都内の神田川であるとか、あるいは大阪の寝屋川であるとか近年水害が頻発しておると言われております都市河川対策、それから昨年の長野県の須坂市におきまして一挙に十名の方が土砂害によって亡くなられたという大変な災害がごさまいしたが、そういったことから考えましても、土石流発生危険性が高い危険区域に人家が集中しているような地域砂防渓流重点を置きまして整備を進めることにしております。  また、こういった河川渓流におきましては、必要に応じまして激特事業といったものなども活用いたしまして、集中的な整備を進めることによって水系全体としてバランスのとれた整備を進めてまいりたいと思っております。  また、水資源開発につきましては、南関東、京阪神あるいは北部九州あるいは現在沖繩でも水需給逼迫ということが各地域において現実に発生しておるわけでございまして、そういった逼迫地域におきます水資源開発施設に特に重点を置いて整備を図ってまいりたいと思っております。
  25. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 水資源が出たからちょっと質問するが、群馬県の八ツ場ダム、もうずいぶん時間がたっている。大分金も使ったと思うんだ。これは私が決算委員長時代に現地を調査しようと思ったら、自民党の諸君の反対でできなかったんだが、残念ながら非常なもうむだ遣いをしておるわけだな。重要なダムなんだ。私らは立場上ずっと反対してきたんだが、最近はそうあんまり反対もない。建設大臣、これは質問はしないよ、質問はしないが、この八ツ場ダムができないのは群馬県にボスが二人いるんだな。これは名前は言わぬでもわかるが、政治的ボスの確執が実はそこにある。現在は社会党や野党が反対しているわけじゃないんだ。群馬県に存在する政治的二人のボスの確執が原因なんだ。これはあなたに質問しては悪いからしない。  そこで、いま局長水資源についてとおっしゃるから、これは結構だ、結構だが具体的になかなか進まぬわけだ。特に八ツ場ダムは一億トン近い貯水量の多目的ダム、私も個人的にはこれは完成をした方がいいんじゃないかと思うけれども、こういう立場でいままできました。もうそろそろこれは解決しないと、いま言ったように恐らく何十億の金をいままで使ってきていると思うんだ。したがっていま、局長、この八ツ場ダムの事務所の開設時期とそれ以来の費用がかかっている。さらに調査の実態、話がつけばすぐにでも仕事ができるのかどうか。さらにまた、話がついても何年かの調査を要するのか、この点。それから現在の状況と見通し、もうごちゃごちゃ言わないで、簡潔にひとつお願いします。
  26. 川本正知

    政府委員川本正知君) 八ツ場ダム昭和四十二年度から実施計画調査に入っておりまして、引き続き昭和四十五年度から建設事業に着手しております。現在までに、四十二年度から五十六年度までに使いました事業費というものが約三十六億円でございます。  八ツ場ダムの現状でございますが、地元関係者の生活再建あるいは関連地域整備を図るということがダム建設事業の促進のために一番重要なことでございまして、そういった生活再建対策の基礎調査あるいは関連地域開発の計画調査といったもののもろもろの調査を実施しますとともに、関係機関と協議をしながら、地元の方々の理解と協力を得られるように努力を重ねておるところでございまして、いろいろと測量あるいは地質調査その他のもろもろの調査を実施しておりますし、また、一部貯水池の末端部におきましては護岸工事等の工事も施行中でもございます。  群馬県が独自の立場で八ツ場ダムの生活再建案というものをおつくりになりまして、それを現在地元の各地区において説明会を一巡した、やっと終えたところでございまして、これらの推移を見守りながら聞係機関等の協力を得て、できるだけ地元の皆さん方の協力、理解が得られるようにさらに努力をしていかなきゃいかぬと思っておりますが、いま先生お話しのように、地元の御理解が得られましたならば、この八ツ場ダムは首都圏の水需要に対応するという大変緊急の役目を持っておりますので、できるだけ早く工事に着工をさしていただきたいというふうに思っておるところでございます。
  27. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大体話のつくめどはついていないの。群馬県も清水知事がなかなかよくがんばっているのだが、少し対処の仕方が私から見るとどうも余りよくない点がまだあると思うのだな。私はこうしろとは言わないけれども、でないとまたいままでにもう十五年ぐらいたっているのだ。幾ら何でも長過ぎる。いま局長答弁した水資源と言っているけれども、委員会ではその答弁で済んじゃうのですね。済んじゃうけれども、具体的にはこういう事例がたくさんあるわけだ。これではどうも話にならぬ。それはみんなも決して怠けておるとは思わぬよ。一生懸命やっているけれども、具体的にはもう事務所をつくって十数年たっている。三十六億という金を使っておる。いまだに見通しもつかぬでは、私はここで始関大臣責任は言わぬけれども、これは相当考えてもらわぬと困ると思うのだ。このままのんべんだらりといくのじゃこれは承知できない。きょうはこのことを深く追及するつもりはないけれども、これはこのまま進めば、改めてこの問題を私は建設委員会なりあるいは決算委員会等で深く強く追及する必要があると思う。そんなことがないようにひとつ特に心してやってもらいたい。  それで、いまあなたの答弁で、水資源とおっしゃる。それは結構だけれども、具体的な点でやはりもう少ししっかりとやってもらわなきゃ困るということを言って、何か答弁できる、私の納得できる答弁できるなら答弁していいですよ。
  28. 川本正知

    政府委員川本正知君) 大変私どもを叱咤激励していただくお話でございまして、ありがたい気持ちで拝聴したわけでございます。  先ほども申し上げましたように、八ツ場ダムの生活再建案というものも、従来は各地区の説明会にも入れないというような状態が続いておったわけでございますが、それが最近やっと説明会にも入れるというかっこうになってまいりまして、その事業を担当しております工事事務所の職員は必死になっていろいろとふだんから、何とかダムが順調に工事に着手できるようにという努力を重ねてきておるところでございます。そういった地元情勢も少し変化をしてきておるところでございますし、私どもとしてもさらに最大の努力をいたしまして、先生おっしゃいますようなできるだけ早くダムの実現ができるように努力してまいりたいと思っておるわけでございます。
  29. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大臣、この件については群馬県の清水知事が非常にがんばってくれているのです。これは建設省の仕事なんだな。知事は知らぬとは言わぬでも、知事はそんなに力を入れぬでも済むことなんだ。しかし清水知事これは最初は自民党で出たのですが、いまは無所属になったのですが、その点非常にむしろ建設省の立場よりも地元を考えて積極的な対策をしていただいている。これがいま局長もおっしゃった、わりあい地元が協力的になってきた原因なんです。機会があったらいつか大臣から清水知事に、公文書でなくて口頭でもいいから、ひとつお世話になります、今後ともよろしくという言葉をぜひかけてもらいたい。どうですか、機会あると思うから、ぜひ私はこのことを含めて、群馬県知事に感謝とねぎらいの言葉をほしいと思うんだが、いかがですか。
  30. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) ダム地点の問題処理につきまして、ただいま大変積極的な御意見をもって建設省を激励していただきまして、まことにどうもありがたく存じております。  大変長い時間がかかりますのは残念でございますが、地元に非常に大きな影響がございますし、また、そこに生活の根拠を持っておる皆さんにも影響の多い問題でございますから、諸般の点を十分に考慮いたしまして、知事さん初めまた有力な政治家の皆さんにも御協力いただきまして、一日も早くこの問題を解決いたしまして、首都圏の水の供給について将来も心配がないように万全の努力をいたしますので、引き続きましてよろしくひとつお願いを申し上げまして、お答えといたします。
  31. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そのことは私は、金も要らぬし時間もかからぬ、非常に効率の高い今後の対策と思うんです。私はよく実情を知っているだけに、これは大事なことですよ。  そこで関連して、これは河川局長じゃなくて、国土庁の方に一言。来ておりますか。——きょうは来ていないからいいです。  いままた局長答弁で、都市河川のことがあったんですが、これは非常に重要なことですね。それで先ほどの答弁都市河川もと、こう言っておられたから重ねて聞く必要もないと思うけれども、非常に大事なことでありますから、改めてここでお尋ねします。  都市河川整備については、すでに四十六年八月に出された河川審議会の「都市河川対策の進め方」という答申の中で、時間雨量五十ミリ程度改修を五十五年までに整備するというふうに述べられているにもかかわらず、どうも計画どおり進んでいないようなんです。都市河川整備するということは非常にむずかしいということもありましょうが、いま第六次五カ年計画都市河川整備を最重点にするということでありましたから、恐らくそういうふうにいくと思うけれども、対策が思うようにいかぬという原因はいろいろとあると思うけれども、一番大きな原因は何か、都市河川整備の進まない原因。さらに、それに対してどういうふうな対策をされようとしておるか、これを伺いたい。
  32. 川本正知

    政府委員川本正知君) 四十六年の八月に、河川審議会の小委員会から「都市河川対策の進め方」ということで答申をいただいたわけでございますが、それ以後、都市河川対策につきましては四十七年度からの第四次の五カ年計画並びに前回の第五次の五カ年計画を通じまして、重点を置いて格段の努力をしてきたところでございます。しかしながら、都市河川整備が必ずしも満足すべき進捗を示していないことも事実でございまして、御指摘のようなおくれが見られておるところでございますが、これは小委員会の答申の後の経済情勢におきまして、二度のオイルショックを初め、近年の公共事業抑制といったものなどの厳しい財政事情時代に遭遇したということがございます。また、依然として都市化の進展が見られておりまして、新たに対応すべき治水施設事業量の増大があったということもございました。そのほかにも用地費用の増大とかあるいは騒音、震動等の建設公害防止のための工事費用の増大といった工事の実施に伴う問題そういったものによりまして改修の費用の単価が多額になってきた、そういうようなことなどのいろんな要因が重なりましておくれを見たというふうに考えております。  建設省におきましても、第六次の五カ年計画におきましても、先ほどから申し上げておりますように、都市河川対策を重要な柱として位置づけまして、さらに一層の努力をしてまいる所存でございます。
  33. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 次の質問、余りいろいろ言わぬから、あわせて予算面なり制度面でどうなっているか、予算面、技術面でどのようにするんですか。
  34. 川本正知

    政府委員川本正知君) 都市河川対策につきましては、いろいろと制度的にも思い切った措置を講じてきておるところでございまして、その拡充の経過というものを一応御説明いたしたいと思うわけでございますが、第五次の五ヵ年計画の中におきましてもいろいろな措置を講じまして、都市河川改修の促進ということでやってきておるところでございます。  順次御説明申し上げますと、昭和五十二年度におきましては、住宅密集地を貫流しているような河川の場合に、河道拡幅が困難な場合、遊水地を上流域に設けまして、その遊水地の中に公園とかあるいは住宅等の都市施設もあわせて設置することができるようにいたしまして水害の防止、軽減並びに平時におきます土地の有効な利用を図るといった目的で、多目的遊水地事業というものをスタートさせております。  また、五十三年度には準用河川におきまして雨水の流出抑制を図るということで、雨水貯留事業というものを創設しております。五十四年度におきましては、総合治水対策特定河川事業というものをスタートさせて、流域の保水、遊水機能の確保を図るとともに、治水施設整備計画的に推進するといったことを進めてきております。五十五年度には、市街地再開発事業などとの活用ということで、河川改修を同時に実施するというふうなことで、都市河川総合整備事業というものを発足させておりました。さらに五十六年度におきましては、急激に変化しております大都市の排水のメカニズムに対しまして、緊急的に調整池やあるいは放水路といったものを整備する、そういうことで都市河川緊急整備事業というものをスタートさせております。そういったことで、いろいろと都市河川改修に関します制度の拡充ということをやってきております。また、事業費につきましても、格段の都市河川事業費を集中して拡大をしているところでございます。  そういったことで、第六次の五カ年計画におきましても、都市河川改修に関する予算の確保と制度の拡充、検討といったものを考えてまいりたいと思っております。
  35. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 しっかり頼むぞ。  次に林野庁。去る十三日に発表された五十六年度林業白書を見ますと、最近の山村の疲弊ぶりが強調されております。造林面積についても前年比で八%も減少していると報告されております。こうした状態では、わが国の国土の保全、水資源の確保、森林資源の将来にも大きな影響があると思うんです。このため最近では下流域の公共団体が上流の水源林造成の費用を分担する動きも出ているようでありますが、林野庁としては今後森林資源の確保についてどのような方針と対策を持っておられるのか、ひとつお示しを願いたいと思います。
  36. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 先生御指摘のとおり、森林には国土保全機能水源涵養機能その他大変いろいろな機能を持っておりまして、今後私どもといたしましては、そういう森林の持っておりますところの多面的な機能を高度に発揮できるような森林の取り扱いをしていかなければならぬということで、鋭意努力をしてまいっておるところでございますが、特に私どもこれから進めてまいるに当たりましては、やはり造林とかあるいは林道というような基盤整備、それから戦後植えられました造林がもう九百万ヘクタールを超えていますので、その間伐をどうやって進めていくかというような問題、それから林業構造を改善していきながら、あるいは林業の担い手を確保しながら定住条件を整備するということがきわめて重要でございますので、そういう側面から整備しながら森林をよりよい状態に持っていこうというふうに考えておるわけでございます。  それから、先生いま御指摘のもう一点、下流の人たちが上流の森林を造成する、いわゆる受益者負担によるところの造林方式でございますが、木曾の三川におきます造林公社とかあるいは琵琶湖周辺の造林、さらには福岡県の上流地域の造林等につきましては、基金をつくるというような形で、すでにいろいろの方法で造林が進められておるわけでございます。  私どもも、受益者によりますところの森林造成の費用の負担方式につきましては、昭和四十九年以降どういうふうに分担すべきか、あるいは実態的にどんな形になっているか、さらには推進するための方法としてどういう形がいいかというようなことを鋭意現在検討してきておりまして、基本的にはそういう方向に持ってまいりたいと思っております。そこに行くまでの間におきまして、コンセンサスを得ながら全国的に普遍化するにはどうしたらよいか、受益勘定をどういう形で割り振ったらよいかというふうなことをやはりもう少し詰めていかなければならぬと思いまして、現在鋭意基礎的な調査に努力しているところでございますが、将来ともこういう問題につきましては前向きで取り組んでまいりたい、かように考えております。
  37. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そんな状況でありますから、治山対策という観点から言えば、保安林の指定拡大やその機能の質的向上を図ることがきわめて重要だと思うんです。しかし、保安林の指定状況を見ると、なかなか計画どおりには進んでいないように思うんです。  去る五十二年三月の第五次計画の審議の際、林野庁の当時の指導部長は、保安林総数八百万ヘクタールを計画していると答弁しております。が、実際はそこまで行っていないように思われる。また、今次五カ年計画ではどの程度予定をしているのか。前の実績と今後の計画をあわせてお伺いしたい。
  38. 鈴木郁雄

    説明員(鈴木郁雄君) 保安林の整備につきましては、別の法律でございますが、保安林整備臨時措置法という法律がございまして、これに基づきまして第三期保安林整備計画によって進めているところでございます。その計画におきましては、昭和四十八年度末に保安林七百万ヘクタールでございましたが、これを五十八年度までに百二十三万ヘクタール増加させるということで、八百二十三万ヘクタールを目標として整備を進めたわけでございますが、五十六年度までに第三期計画の増加目標の約八割に当たります九十三万ヘクタールにつきまして指定の手続ができる見込みでございまして、全体目標のおよそ九六%でございますが、七百九十万ヘクタール程度に達する見込みでございます。残された期間、あとこの法律は二年間でございますが、この残された期間で目標を達成すべく今後とも努力してまいりたい、かように考えております。
  39. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 長官、現在は木炭もほとんど焼いていませんね。それから、ついこの間までは家庭燃料はほとんどまきでした。それがいま農村に行っても山の中に行っても、まきをたいているところは少なくなってます。さらに建築資材。これは以前はほとんど国産材だったわけですが、最近は非常に外材が多い。こう見ますと、国内の森林資源がそう私はめちゃくちゃになるとは思わないんですが、実際はなかなかそうではない。そのために洪水や土砂崩れがあるというんですが、これは通告してないから概括でいいんですが、いまから十年から二十年前の日本の森林の状態と今日の状態はどうなっているのか。いわゆる木の植わっている面積が大分いま少なくなっているのか、これはどうなんですか、これは概括でいいです。
  40. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) わが国の森林の状態につきましては、戦後鋭意造林をしてまいりまして、現在すでに九百万ヘクタールを超える人工造林地ができているわけでございます。崩壊地も少なくなりまして、森林そのものはそういう形で造林され、よくなっておるわけでございますが、問題は、戦後植えられました造林地が現在間伐をする時期に参ってきておりまして、当面緊急にしなければならぬ間伐の面積が約百九十万ヘクタールぐらいございます。私どもはやはり間伐をしながら健全の状態に林分を誘導していきませんと、非常に細くなりますと風に弱くなる、それから病虫害に弱くなるとかというようなことがございますので、現在はそういう造林された間伐時期に入りました林分を、総合的な施策を講じながら間伐を積極的に進めてまいるということに最重点を置いているわけでございます。  それからもう一つ、やはりこれからの林業を進めるに当たりましての最大の重要なところは、農山村に定住条件を整備しながら働く人の場を設けにゃならぬ。そういう点にわれわれは鋭意努力しながら、将来の国産材時代に向けまして林業経営を積極化してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  41. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 建設省、農水省、よく山のがけが崩れますな。それで家がつぶれる。これは治山関係か、あるいは河川の近くの建設省の関係か、これは私はかなり綿密に調査をすれば、このがけは崩れる可能性があるとか、崩れないとかわかると思うんだが、なかなか、大洪水とか雨が少し長く降ると方々でがけ崩れで、一家何人が死んだとか何戸壊れたとかということがあるんだが、あれはどっちの責任建設省、農水省、どうです。
  42. 川本正知

    政府委員川本正知君) 山地崩壊に伴いますいわゆる土石流を含めましての土砂害、そういったものの対策というのは確かに建設省で行っております砂防事業、それから農林省の方でやっておられます治山事業それぞれがそれに対する効果のある事業だと思っておりますが、私ども林野庁の方と常々意見調整をいたしまして、十分調整をとりながら、むだのないような効果的な予防対策といったものに努めておるところでございまして、それぞれが責任があるというようなことになろうかと思いますけれども、協調、調整をとりながら進めておるということでございます。
  43. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) いま河川局長がお答えのとおりでございまして、私どもも建設省と十分連絡をとりながら積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  44. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 きれいな答弁をしているけれども、実際なかなかそうじゃないことが多いように聞くんだな。よく方々で土砂崩れがある。これはやっぱりそういうところへ行って、それはそういう場所に家をつくるのがいかぬと言えばそれまでだけれども、それが実態の中でやむを得ぬことなんだから、これはいまの答弁のとおり、早急に、そういう場所はそう多いわけじゃないでしょうから、早く調査して手を打ってもらいたいと思う。これはやっぱり治山治水はいいけれども、大事な面だと思うから、今後いまおっしゃったように民主的にできるようにやっていただきたい、これは私の方からひとつお願いをしておきたい。  国有林野事業は、今年度予算を見ても一千七百億円の資金運用部資金の借り入れのほか、治山事業についても一般会計から一部財源を受け入れるなど、その経営管理に充てる財源確保に厳しいものがあるように見受けるが、その実態はどうなっているのか。また、昭和五十五年度から国有林内の治山事業について一部都道府県が補助治山で実施することになったが、管理主体と施行主体との間には事業個所等において十分な理解と認識がなければならない面があると聞くのだが、林野庁長官は本事業の執行に当たってどのように認識をし、行政措置をされておられるか。なお、第六次治山事業五カ年計画の国有林内治山事業について、予定個所等について事前に都道府県と十分な話し合い、事業の執行と推進に当たってもらいたいと思うんだが、その見解をひとつお尋ねをしたい。
  45. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 国有林野事業におきましては、従来から課せられております使命を全うするために、先ほど先生からお話のございました造林事業それから林道事業治山事業というふうな事業を鋭意努力してまいっておるわけでございますが、特に最近におきましては、いわゆる公益的機能の側面から、国土保全、水資源涵養という面からの森林の取り扱いが、行政が強くなっておりまして、そういう森林施業を導入しております。また一方におきまして、資源事情等から最近は伐採量も縮減する傾向にございまして、さらに最近は木材の不況等もございまして、国有林野事業財政事情も非常に厳しい状況に現在あるわけでございます。  そこで私どもは、昭和五十三年から国有林野事業改善特別措置法という法律に基づきまして鋭意現在改善努力をし、要員の適正化あるいは事業運営の能率化、収入の確保というふうなことを自主的に努力をしてまいりまして、さらに一方、これと並行しまして一般会計からの財政繰り入れあるいは財投資金の借り入れというふうなことで現在努力をしておるところであります。先生御指摘のとおり、五十七年におきましては一千七百億円の財投資金を借用しておるところでございます。また一方、一般会計からは五十三年以降保安林内の造林あるいは幹線林道の建設のための一般会計資金の繰り入れをしておりまして、五十七年には八十七億円を予定しております。また治山におきましても、四十一年以降治山勘定を設けまして治山事業を実施しておるわけでございますが、五十七年におきましては二百五十三億円の繰り入れをしていただきながら鋭意努力しておるわけでございます。私どもこういう考え方におきまして、やはり国有林野事業と申しますのは、木材生産はもちろんでございますが、同時に国土保全、水資源涵養というそういう要請もございますし、また、地域の農山村の振興に寄与しなきゃならぬという要請もございますので、こういう要請に向けて今後とも鋭意努力してまいらにゃならぬということで取り組んでおるところでございます。  それから、御指摘の第二点でございますが、この国有林野事業治山事業をやってまいった中におきまして、特に集落に近いところ、あるいは公共施設で直接保全しなけりゃならぬような個所につきましては、五十三年以来これを国有林野の補助治山事業ということで、これは都道府県が実施する事業としてやってまいっております。そこで私どもは、五十五年以来、この事業を実施するに当たりましては、施行主体でございますところの都道府県と、その施行地の管理主体でございます営林局長計画段階から十分連絡をとって進めてまいっておるところでございますが、さらに私どもは、この両者の間にそごのないように、まだ始まりましてわずか二年しか経過しておりませんから、今後一層そういう意味での連携を図りながら万遺憾なきを期してまいりたい、かように考えるところでございます。
  46. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 去る第八十回国会におきまして本改正案に対する附帯決議があります。治山治水事業の実施に当たっては、山地あるいは河川災害危険個所を重点的に整備することが重要である、これは当然のことなんですが、しかし緊急に整備すべき危険個所の整備状況もこれはどこどこという具体的なものはないにしても大体そういう個所はわかるわけですが、その整備状況計画どおりには進んでいないように思われる。災害危険個所の改修実績はどうなっているのか、建設省林野庁からそれぞれひとつ簡潔な御答弁を。
  47. 川本正知

    政府委員川本正知君) まず、建設省の方から河川と砂防に関する危険個所対策ということを御報告を申し上げたいと思いますが、河川につきましては、河川の工作物とそれから堤防の両方につきまして総点検をいたしました。その結果をもとにいたしまして必要な対策を実施しておるところでございまして、河川工作物につきましては、昭和四十九年に多摩川の災害がございましたが、それにかんがみましてその年に点検を実施いたしました。改善措置を行う必要のある施設が約二万三千カ所と見込んでおりました。これらについて昭和五十二年度から対策を実施してきておるところでございますが、五十六年度までに河川工作物のうちいわゆるわれわれの方が管理しております河川管理施設につきましては、七〇%強進捗しております。許可工作物いわゆる占用工作物でございますが、それについては約一〇%の対策を実施しております。  それから堤防の総点検は、昭和五十一年に起こりました長良川の大災害にかんがみまして、全国の直轄河川について点検を行ったところでございまして、その結果緊急に漏水対策を要する個所が約一千個所でございました。これらの総点検の結果を踏まえた対策を五十二年度から着手いたしておりまして、現在までに約三五%の対策を実施しております。  それから砂防関係の方でございますが、土石流の危険渓流や地すべりの危険個所につきましては、やはり昭和五十二年に総点検を実施しておりまして、その結果土石流の危険渓流は約六万二千三百渓流でございました。地すべりについては約五千六百カ所が危険個所と判明しております。しかし、地すべりの危険個所につきましては、その後昭和五十五年度の調査で追加をいたしまして約五千八百カ所となっておりまして、従来からこれらの危険個所に対して対策を実施してきておるところでございますが、五十六年度末におきまして整備率が、土石流の危険渓流につきましては約一四%、地すべりの危険個所につきましては二三%となっておるところでございます。
  48. 鈴木郁雄

    説明員(鈴木郁雄君) 林野庁におきましても、五十三、五十四年度、両年度に山地災害危険地の総点検を実施いたしまして、その結果全国で約十三万一千個所の危険個所があるということが判明いたしたわけでございます。これらの危険個所につきましては特に保全対象を考えまして、あるいは地質、地形、傾斜といったような面から考えまして緊要な個所から治山事業を実施しておりまして、五十六年度までにその約四分の一強に当たります三万六千カ所につきまして事業に着手済みでございます。
  49. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 それぞれ努力はしていると思うんですが、なかなか個所も多いし、しかもこれはやらなくちゃならぬことなんだから、まず精力的にぜひ進めてもらいたい。  それから、いま災害危険個所に対する御説明を聞いたんですが、何か全国的に見てばらつきがあるというふうな感じがするんです。たとえば、北海道は実施率が資料によると四六・九%、近畿地建の管内では二一・八%、これは一つの極端な例かもしれぬけれども、こういうふうなばらつきがある。これは何か原因があるんだと思うし、何もえこひいきとは思わぬけれども、やはり全国的なできるだけ平均といっても、あるいは北海道の方が危険個所の程度が非常に強いということなのか、これはもうどういうことになっているのか、簡潔な御答弁を願います。
  50. 川本正知

    政府委員川本正知君) 先ほど申し上げましたように、堤防の総点検につきましては五十一年度から五十二年度にかけて実施いたしましたので、その点検結果に基づく対策につきましては、さきの第五次の五カ年計画は五十二年度から始まっておりましたので、作業的にそれには見込むことができなかったといったことがございまして、計画的な進捗を図るに至らなかったという点も確かにございました。しかし、各地建の事情が許す範囲内で極力対策を推進してきたというところでございまして、堤防総点検の漏水対策を要すると思われる個所の全体を総点検によりまして包括的に把握したということでございます。そういったものと、直ちに危険が急迫しておるというようなものばかりではございませんので、他の改修を要する個所などとあわせまして、総合的に事情を勘案した上で改修の優先順位を検討すべきものだというふうにしてやってきておるところでございます。  また、河川改修につきましては、いろいろとその間に大災害が起こりますとその大災害の手当てが必要になることがございますし、また大きな遊水地あるいは水門、あるいはせき等を一連の工事の計画的施行を図っておりますと予算的にもそちらの方に食われるというような現状もございます。そういったこともありまして、各地建ともそれぞれの主要工事を抱えながら改修促進に努力しているところでございます。そういった当面の主要工事というものが地建によってはあるいは年によって異なることもございますので、御指摘のような地建間の差異というものも結果として生じてきたのではないかと思っておるところでございます。  こういった堤防補強は、今後とも第六次の五カ年計画におきましても重点的しかも計画的な推進を図ることとしておりまして、計画期間内に完了するということは無理かとは思いますけれども、過去において破堤実績のある個所であるとかあるいは旧河道があった跡といったところで漏水の実績のあるような重要な個所については、おおむね第六次の五カ年計画期間内に完了するよう努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  51. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 先ほどダム関係で群馬県の八ツ場ダムについていろいろお伺いしましたが、今度は一般的なダムの関係でお尋ねします。  戦後、発電用ダムの建設から灌漑、都市用水用のダム、さらに洪水調節機能を持った治水ダムの建設等、全国の各河川に数多くのダムが建設されてきておりますが、これら現在までに完成したダム数は用途別に分けてどのようになっているか、お伺いしたい。また、その経済効果をどのように見ておられるのか。さらに、現在建設中のダム数、計画中のダムについて、完成後の経済効果についてもどのような予測をしておられるのか、伺いたいと思います。先ほどダムのこともやりましたが、これはなかなか問題の多いことでありますから、恐らく予期した進展もないかと思いますが、一応そういったことに対して数字で御説明を願います。
  52. 川本正知

    政府委員川本正知君) 建設省で所管しておりますダムの建設事業につきましては、洪水調節、また流水の正常な機能の維持といったことの治水目的を持ちました治水ダム事業、それから治水目的のほかに発電とかいろいろの用水の確保などの水資源対策をあわせて目的としております多目的ダム事業といったものがございまして、それぞれ直轄とか、あるいは水資源開発公団、あるいは府県が行います補助事業といったもので施行しているところでございまして、戦後から昭和五十六年度までの治水ダム並びに多目的ダムの完成個所が二百二十七施設でございます。そのうち、治水目的と水資源開発を目的としておりますダムが百八十五施設でございまして、水資源開発を目的としない治水ダムなどが四十二施設でございます。  それで、水資源開発水量が全体で年間百一億立方メートルという水資源開発をしておりまして、その内訳でございますが、目的別に申し上げますと、上水道用水が年間四十六億立方メートル、工業用水が年間三十三億立方メートル、農業用水が二十二億立方メートルでございます。  また、発電を目的に含みますダムは百十九施設ございまして、最大出力の合計が約七百八十七万キロワットでございます。  また、洪水調節、これは二百二十七施設でやっておりまして、合計で二十七億五千万立方メートルの洪水調節容量を確保しております。  それから、現在建設中あるいは実施計画調査中といった施行中のダムは二百九十八施設ございまして、そのうち水資源開発が二百十五施設で、年間百四十五億立方メートルの開発が可能になろうと思っております。また、洪水調節は四十六億四千万立方メートルの容量をさらに確保することができるという予定で進めております。
  53. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これは経済効果はかなりあるというわけですな。これは数字ではちょっとあらわせぬだろう。しかし、いろいろな意味で、ある。  利水効果、治水効果に対して、建設時点と二十年、三十年、さらには五十年たった時点とは大分違ってくるんじゃないかと思うんだ。したがって、利水効果として、そういう場合ダムもいろいろと弱るというか、耐用年数があると思うが、その点についてはどういうふうに考えておられるか。
  54. 川本正知

    政府委員川本正知君) ダムそのものが弱るということよりは、ダムの貯水池の容量に関して年月とともにいろいろと影響が出てくるということが多いわけでございまして、たとえば治水ダムにおきましては洪水流量をダム貯水池に貯留いたしまして、そして下流の洪水を軽減するということでございますので、そういった容量が必要である。また、利水のダムにおきましても、これは河川の水の量が豊富な時期にダムの貯水池に流量をためておきまして、河川流量が減少しました渇水のときに下流へ放流いたしまして下流で利水者が取水できるようにするというようなことでございますので、やはりそういった利水のためのダムに関する容量が必要なわけでございます。  先生ただいまお話しのように、年月が経過いたしますと土砂が堆積するというふうなことで容量が減少することも考えられまして、そのためにはダム計画するに当たりましては、百年分の堆砂容量を計算いたしまして、最初からその堆砂容量分を総貯水量から除いて、先ほど申し上げたような治水あるいは利水のための容量を設定しておるわけでございまして、そういうことで堆砂容量の計画といたしましては百年分を見込んでおるところでございます。
  55. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 いまもちょっと触れましたが、ダムをつくってからいろんな条件によって変わる。たとえば砂がたまる、流れが変わる、そういうふうなことでありまして、いま言ったように、治水、利水の有効機能が後退することがあるのは当然だと思うんです。それで、そのことは自然の摂理で片づけられては困るのであって、土砂埋没をいかに防止するかという方策は、これは必要であります。さらに、水源滋養と保安林の整備事業を積極的に推進して、これは林野庁の範囲ですが、山腹崩壊等に対して治山事業を、また渓流荒廃に対しては砂防工事を、これは先ほどもちょっと問題にしました。こういうことをひとつ積極的にやっていかなければならぬだろうし、また埋没土砂の著しいダムに対しては、機能回復あるいは砂利資源の確保から、埋没土砂の排除、掘削あるいは採取する。これはなかなか容易なことじゃないと思うけれども、ダムを有効にするためにはこれはやっぱり必要だと思うんです。これらの問題について、建設省あるいは林野庁はどのような施策をしておられるか、またしようとするか、お聞かせを願います。
  56. 川本正知

    政府委員川本正知君) ダムの土砂埋没を防止するためにも、貯水池の土砂の流入を山においてとめるということが必要になるわけでございまして、そういったことからいきましても、砂防事業というものが非常に有効に働くわけでございまして、砂防事業の面からも従来より重要な水源地域の保全ということを積極的に対応してきておるところでございますが、五十二年から、ダムが有しております諸機能を長く保持するために貯水池対策砂防事業というものを設けました。いわゆる治水効果のあるダムの上流に砂防対策を実施するということで、ダムへの土砂流入ということをできるだけ少なくするという事業を実施してきておるところでございまして、すでに幾つかのダムの上流においてそういったものを実施してきておりまして、第六次の五カ年計画におきましても、そういったものについて、ただいま申し上げたような方針に基づいて実施してまいりたいと思っておるところでございます。  それから、ダムに入ってしまいました堆砂に対する対策ということも必要でございまして、たとえて申し上げますと、天竜川水系などは非常に堆砂の著しいダムがあるわけでございますが、そういうダムに対しましては、貯水池に入ってしまった堆砂の対策を実施することが非常に重要でございまして、直轄の、たとえば美和ダムとか小渋ダムとかいうのがございますけれども、こういったものについては、すでにしゅんせつを行う、あるいは貯水池の上流端に貯砂ダムを設けまして、そこでさらに骨材の活用も考えながら堆砂の排除を行うというようなことをやっております。  また、五十四年度から建設省の所管ダムにつきまして貯水池保全事業というものを新設いたしまして、現在十一のダムにつきまして、先ほど申し上げたような貯砂ダムを設けたり、あるいは堆積いたしました土砂の排除とか、そういったことで骨材、砂利資源への活用というものを積極的に促進することにしております。  電力のダムにつきましては、容量が低下したということから、直ちに直接発電の機能が低下するということはないわけでございますが、やはり堆積によって貯水池の周辺に対する影響というものが出てくるおそれがある場合、そういったダムにつきましては、それに対していろいろな対策もしておりますし、また、電力会社等が砂利開発業者と提携いたしまして埋没対策というものを実施しているケースもございます。今後ともそういった関係者との調整を図りながら、必要な措置を講ずるように指導してまいりたいと思います。
  57. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 土砂の流出あるいは崩壊のおそれのあるそういう森林につきましては、私どもも、土砂流出防備林あるいは土砂崩壊防備林というものを保安林に指定いたしまして、その流出を防ぐというような方法をとると同時に、水源涵養上必要な森林につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますとおり、水源涵養保安林に指定いたしまして、土砂の流出防備と水源涵養のための施策を講じ、そのための森林の取り扱い方につきまして十分指導し、実施してまいっておるところでございます。  また一方、保安林に指定いたしましてから、その保安林の中の機能を高めるためにはいろいろと取り扱いが必要となってまいります。  まず第一には、荒廃地復旧整備でございますが、これにつきましては、先生のお話のとおり、治山事業を積極的に進めておるわけでございますが、特に私ども、ダム上流地域の水源地帯につきましては、最近力を用いてまいりまして、昭和五十四年からは重要水源山地整備事業ということで小さいダムをたくさんつくりまして、低ダム群を幾つかつくりまして、それによって土壌の流出を防止するというような方法を採用しておりますが、さらに五十六年からは、その中で特に重要なところにつきましては、特別重要水源山地整備事業というのをつくりまして、これはもちろん崩壊地の復旧整備、保水力の高い森林をつくるわけでありますが、特に森林のつくり方につきまして、従来の一段の山に、今度二段林というような形で、二段階の山をつくりながら土壌を緊縛させ、水源涵養を高めるというような方法を導入いたしまして、森林の活力をより持たせ、緊縛力を持たせまして、ダム等への土砂の流入を防止するというふうなことを積極的に取り組んでおります。  これからの水資源の需要につきましては、ますます重要となってまいりますので、私どもといたしましては、いま申しましたような方法をこれから積極的に取り組みましてその保全に努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  58. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 せっかくつくったダムがそういうことで効果を減退させては困るんで、ぜひお願いしたいと思います。  それで河川局長、埋没土砂の排除とか掘削とかいうことを簡単に言うけれども、なかなかやれないと思うのだな、実際。現在までにかなり土砂が埋まって非常に困ったダムがあったと思うんだが、そういうのは掘削なり改修して、原形に服さないまでも、原形に近づくまで改修したような実例がありますか。あったらちょっと……。
  59. 川本正知

    政府委員川本正知君) ダムの貯水池にたまりました土砂を完全に取り除いたというケースはないかと思いますが、先ほど申し上げましたように、直轄ダムの例で申し上げますと、天竜川の水系に美和ダム、小渋ダムという二つの大きなダムがございますが、これについては、砂利資源活用ということもあわせまして相当の土砂掘削、しゅんせつといったものをやっているところがございまして、そういった意味で効果を上げつつあるダムはあるということでございます。
  60. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 いずれにしても、水害日本にとっては、災害から国民の生命、財産を守るため、河川改修、砂防対策等を積極的に進めていかなければならぬと思うのであります。また同時に、治水治山対策を進めていくためには国民の理解と協力が不可欠でありましょう。  そこで提案するんですが、建設白書は毎年出ていますね。もちろんその中に河川関係もかなり書いてあるようですが、河川白書というものをつくって発表する。国民の理解と協力を得るためにひとつこういうことも考えたらどうかと思うんですが、始関大臣、あなたの在任中に、これはいいことだと思うんです、河川白書、これは簡単にそう言ったからといってすぐ、役所だから、はいはいということじゃないけれども、努力は必要だと思うんだ。昔から水を治める人は——政治家は水を治めることが非常に大事だと言われておる。したがって、始関建設大臣の代に河川白書というか、水に対する一つのあれを国民に示すことは非常に大事だと思うし、いいと思うんですが、これは私の提案だから、もうノーでも何でもいいんですよ。一応この委員会で茜ケ久保委員が提案をしたと、これに対して御所見のほどを、これは後から河川局長が追加してもいいよ。君が先にやるか。じゃ特にひとつ河川局長先に。
  61. 川本正知

    政府委員川本正知君) 大変失礼いたしましたが、先生ただいまお話しのように、河川行政をやっている者が一般国民に対するPRが下手だという御批判があるわけでございまして、私どももよく耳にもするわけでございます。治水事業の必要性ということにつきましては、いまお話しのように、建設白書の中でも「国土保全と水資源対策」という一つの項を起こして重点的に記載をしておるところでございますが、それだけではございませんで、そのほかにも、いわゆるわが国におきます災害を受けやすい社会的条件といったものと、それに対して治水事業実態といったものを広く国民の方々に理解していただけるいろんな資料を作成しております。たとえば、「水害のない国土をめざして」、「二十一世紀の河川」、あるいは「わが国の河川と外国の河川」、こういったようないろんなパンフレットといいますか、広報資料というふうなものを作成いたしまして広報活動には努めておるところでございますが、先生のただいまの河川白書というような貴重な御意見、これを十分体しまして、今後とも広報面についても積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  また、いま申し上げた印刷物以外にも、現在でも四月は「河川美化月間」、現在実施中でございますし、六月には「がけ崩れ防災週間」というものを設けております。また、七月には「国土建設週間」、それのほかにも「河川愛護月間」、七月いっぱいをそういうことにいたしまして、いろいろなそういった催し物を通じまして国民河川に対する認識を深めていただく。地域の住民の方々と一体となって河川を美しくする、あるいはわが国土を安全にかつ美しく保全するといったことの必要性を、さらに広く国民の方々に訴えてまいりたいと思っておるところでございます。
  62. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大臣の御所見をひとつ最後に。
  63. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) 大変深い蓄積されました知識を持っていろいろな点にお触れになってただいま質問をされておりまして、該博な知識に私も敬意を表しております。  いまお話ございましたように、建設省の仕事はいろいろございますが、その本家本元とも言うべきものはやっぱり河川だろうと思います。昔から「水を治める者は国を治める」と申しますか、政治の大本が治水ということであったというふうなこともございますし、一方、私は選挙区が小さくなったんですが、もとは利根川と江戸川の分かれるところですね、あの辺が、野田とか関宿とかというところが選挙区でもありまして、あの辺ちょいちょい行ったんですが、川が見えない。いつ行っても川を見ることができない。非常に堤防が大きくなりまして、山のようになっている。もう大体治水事業というのはいいんじゃないかと思っておりましたが、建設省へ参りまして、そうでないことがわかったわけでございまして、依然として治水事業、利水、両方大変重要だということがわかったわけでございます。そんなことでございますから、世間の人を啓蒙するためにも、建設白書の中から河川の部分だけを除いて別の河川白書というものをつくるのがいいかどうかは別といたしまして、いろいろ苦労してやっておられる。また山の方の行政と申しますか、治山とも非常に深い関係があるというようなことでございますので、そういう点を一緒にいたしましてもっともっとPRいたしまして、こういう事業に対する国民の関心を深めるということは大変適切な御提案だと思うのでございまして、検討さしていただきまして御趣旨に沿うように努力したい、かように存じております。
  64. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 それは私も、こういう提案をしたからすぐできるとは思いませんが、やっぱり私は必要だと思うんです。しかし金もかかることだし、いろいろあるから容易でないけれども、そういうことを踏まえて建設白書の中に治水面を大きく取り上げるということはできると思うんだな。そういう努力をやって、河川白書が出せぬけれども、そのかわりに建設白書の中に大きなウエートを占めていくということはできると思うから、これは官房長、心しておいてくれ。いいか、本当だよ。これはぜひひとつ強い要望として……。  最後に、河川局長、これは細かい地元の問題だけれども、実はことしはサケの放流がはやった。もうどこでもずいぶんやっている。そうでしょう。利根川でも群馬県がやったんだ、この間知事を先頭にサケを返せというので。それで十万匹ぐらい前橋の県庁裏で放流したんだが、問題は、三、四年後におサケ様が帰っていらっしゃるが、どうも利根川の大ぜきでストップさせられるというんだな。何か聞いたら建設省は大丈夫らしいよと。流したからそう言われるんだな。しかし流したんだから帰ってきてもらいたい。そこでいま群馬県では、豊岡の利根大堰、魚道はあるけれども、あれではサケが帰ってこれないんだという非常な大きな危惧がある。そこで建設省に聞いたら、大丈夫ですと言うんだな。大丈夫か大丈夫でないかは知事さんにはわからぬ。  そこで、これはいますぐ改修とは言わぬが、もし何かの試験的なことでもやって、サケが帰ってこれないかもしれない、遡上できないというようなことがわかったら、これはやっぱり改修をしてもらいたいと思うんだな。サケの帰る程度改修ならば洪水なんかにとってもそう大して影響はないと思うんです、もう全部外せというんじゃないから。これは私も素人だからわからぬから、県民の非常に強い要望があるので、知事初めぜひそうしてもらいたいというあれがある。  大臣、あなたは八ツ場ダムには知事に仕事さしておいて、片方では知事の言うことを聞かぬというのでは困るね。だからそういうことも、知事が言っているんじゃないよ、私がうがったことを言うんだが、あなたはいま言ったように上るという確信をお持ちのようだが、これは実際はわからぬ。一応地元の者と一度立ち会って見てもらいたいと思うんだ。そして、こういう実態だから必ず上りますということがわかってもらえばいいし、わからぬ場合には、具体的になったときに、もしどうしてもだめな場合には改修するというこれはお約束かな、でも大変いいと思うんだが、その点をお聞きして、私の質問を終わります。
  65. 川本正知

    政府委員川本正知君) 利根川におきまして、前橋から下流、河口に至るまでの間に大きなせきが二つございまして、水資源開発公団が管理しております利根大堰と利根川の河口ぜきというものがございます。これらのせきにつきましては、いま先生がおっしゃいましたように、全国のせきの中では最もりっぱな部類に入ると私は考えております魚道が設置されております。幅が十メートルから十五メートルぐらいのものになるわけでございます。こういった魚道がありますために、現状では格別に支障が起きているというふうなことも聞いておりません。  今後しかし、先生おっしゃいますような利根川におきますサケの遡上状況といったものを見まして、いま御要望の多かった群馬県であるとかあるいはせきの管理者といった関係の行政機関とも協議をいたしまして、魚道の拡大等の対策の必要性については十分調査研究してまいりたいと思うわけでございますが、特にいまお話がございましたように、地元の方々がそのせきをごらんいただいて、サケの遡上に対して御心配がないように、これはもう十分、それこそ先ほど話があった広報というふうな面のことでもございますし、せきを十分御案内いたしまして、御心配ないようなことにさしていただくように努力をしてまいりたい、また管理者の方にもそういう指示をしたいと思います。
  66. 吉田正雄

    委員長吉田正雄君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十二分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  67. 吉田正雄

    委員長吉田正雄君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  68. 原田立

    ○原田立君 法案の質問に入る前に、談合問題で若干大臣並びに局長にお伺いしたいんでありますが、二十三日の報道によりますと、日本建設業団体連合会の公共工事委員会が、指名競争入札にかえて、制限につき一般競争入札を原則とするという基本方針を出したと言われております。    〔委員長退席、理事増田盛君着席〕 これについて、これは新聞の報道ですからあれですが、これは建設大臣の方に報告して、そうして中央建設業審議会に提案されるということのようでございますが、そういうこと。それから本日の新聞によりますと、公取委員会が土工協の木村平元協会長に対して強制聴取を行ったということが報道されております。また、きのうの新聞で、東京都の入札制度検討委員会が二十六日午前に、談合、積算価格漏洩防止を目指した十項目の改善策を都知事に申請した、こういうふうな一連の動きがずっとここであるわけでありますけれども、これらについて、いままでの指名入札制度から一歩踏み出した制度の導入というふうに思えるわけでありますけれども、御所見はいかがですか。
  69. 吉田公二

    政府委員吉田公二君) ただいま御指摘の点でございますが、日本建設業団体連合会の中の公共工事委員会、ここにおきまして指名競争入札制度の見直しの検討に入るというような記事を新聞紙上で拝見いたしました。この内容につきましては、いわば検討に入るという段階でございますので、私どもの方に正式に報告と申しますか説明をいただいているわけではございませんが、日本建設業団体連合会におきましてこういった方向で検討を進められまして、正式に意見をまとめられたといたしますれば、同団体はそもそも中央建設業審議会に委員も入っておられるわけでございますので、こういったところの意見がまとまりますれば、中建審の方に御意見が出てくると思います。そういう御意見が出てまいりますれば、中建審の方でこれは御議論が当然されるものと思っておるわけでございます。  それから、けさの新聞の公取が聴取をしたということでございますが、土工協から事情を聴取しているということは公正取引委員会から連絡を受けておりまして、この事実については承知しているわけでございますが、詳細につきましては、これは公正取引委員会独自で調査されているわけでございますので、この内容はどうであるかということは私ども存知しないわけでございます。本件につきましては、公取委の調査を見守るということと思います。  それから第三点、東京都の方で十項目、これも資料を私どもいただいております。東京都を初め公共団体におきましても、一つの談合問題を契機といたしまして、入札問題の合理化について非常に真剣に取り組んでおられるわけでございまして、こういった結果、東京都の方でこれは中間答申という形で知事に御答申があったようでございますが、東京都の方でもこういった面に努力をされておられるわけでございまして、私どもは以上の三つの点よく踏まえまして、今後の中央建設業審議会におきましては、入札方式でございますとか、入札手続の検討でございますとか、こういった問題について御審議に入られてまいるわけでございますので、審議会として結論がまとまり次第御建議があると思います。建設省といたしましても、この審議結果を受けまして所要の改善措置を講じたいというふうに思っているところでございます。
  70. 原田立

    ○原田立君 それでは法案に入りますが、第六次五カ年計画事業規模についてでありますが、治水事業第五次計画投資規模に比べて一・四七倍の予算規模で五カ年の計画がなされておりますが、今日の財政状況から判断して、この計画規模はただ単なる計画で終わることになりはしないかと心配するわけなんでありますが、その点についていかがでしょうか。現在再建途上あるいはゼロシーリングを強いられている今日、五十九年度まではとてもこの計画どおりにいかないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  71. 川本正知

    政府委員川本正知君) 第六次の治水事業の五カ年計画案につきましては、新経済社会七カ年計画との整合性を持たせまして、総投資規模が十一兆二千億ということでお願いしておるわけでございます。そのうちで治水事業費は八兆二千五百億円でございますが、それの年平均の伸び率を申し上げますと、五十六年度の事業費を初項といたしまして九・四%でございました。これは、現在五十六年度まで行っておりました第五次の五カ年計画の年平均の伸び率が二二%であったわけでございますが、これに比較いたしますと相当大幅に下回っております。  しかしながら、いま先生おっしゃいましたように、現実の問題といたしましては、五十七年度の治水事業予算もゼロシーリングということからいたしまして、対前年度に比較いたしましてわずか一%増ということにとどまっておるわけでございまして、こういったこと、あるいはいまおっしゃいましたように、財政再建が行われておるというそういった財政の厳しい現状から見ますと、まことにむずかしい環境に現在おるということを実感として感じておるわけでございます。  しかし、治水事業といいますものは、先ほど来お話もございましたが、「水を治める者は国を治める」という言葉のとおり、国土の保全と開発を図って国民生活の安全と向上に資するという最も根幹的な基本的な事業でございます。しかしながら、昨年の各地に起こりました大水害実態を見ましても、また現在の各治水施設整備水準がいまだきわめて低いという現状から見ましても、治水事業重要性といいますか緊急性といったものはきわめて大きいと思っておるところでございまして、これの計画的な、かつ積極的な推進を図っていかなければならぬというふうに思っております。  厳しい財政環境の中ではございますが、本年度はすでに予算の大幅な前倒し執行というものも実施しておるところでございまして、そういったものも含めて、あらゆる機会を通じて計画の達成に最大の努力を払っていきたいと思っておるところでございます。
  72. 原田立

    ○原田立君 大臣、いまも局長答弁したけれども、この治水事業、私のいまの指摘は、一・四七倍というそういう伸び率が確保できるのかどうかと、これをまず指摘したわけなんだ。それに対していま局長はいろいろ答えていたけれども、実際問題、要するに等伸率で水の問題のときには、計画は九・四%ずつ増加していくようになっておる、予算でね。ところが、第六次五カ年計画計画では一兆三千六百七十億の計画がしてあるのに、実際には一兆二千六百三十二億、もう千三十八億円少なくなっていますね。年次の計画当初から減っているんです。  それからまた、治山関係から言いますと、等伸率で一〇・三%、そうして五十七年度では、計画では二千三百九十三億円、これが実際に予算化されておるのは二千百七十三億円、二百二十億円もう減っているんです。そうしますと、閣議決定やなんかでされている計画、あるいは建設省林野庁でつくっているこの計画、これがいわゆる計画ですから、これから先の絵をかいているんだから、絵なんだと言ってしまえばおしまいなんですけれども、だけれども、絵にしてもやはり実現性のあるもの、公約したことは、約束したことは実行していくというところになければこの約束は無意味になってしまう。実際には非常に無理なんじゃないかということを予測するんですけれども、いかがですか。
  73. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) この治水事業につきまして五カ年計画というものをつくっておりますのは、長期にわたりまして確実に治水事業の遂行を図っていこうという趣旨と思います。そしてその五カ年計画に掲げられました数字はその年々の予算案によって確定する、こういうことになるべきでございますが、ただいまの財政再建、それから公共事業の三カ年間ないし四カ年間の前年並み据え置きというような事態になりまして、こういったふうに予定いたしました伸び率に達しないということはもう私ども大変残念に思っております。しかし、やはり新しい五カ年計画もつくりまして、それを一つのてこにいたしましてできるだけ、財政の窮屈な中ではございますが、治水事業予算を確保していきたい、こういったような態度でおるということを申し上げるほかないと思うんでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  74. 原田立

    ○原田立君 理解をしないから質問しているんです。  じゃ局長治水関係で先ほども指摘したように、一兆三千六百七十億円という計画が一兆二千六百三十二億でしょう。それで現実に千三十八億もう当初の年からずれ込んでいるわけです。それで九・四%の伸びだなんていうのは明らかに無理だろうとさっきから指摘しているんです。計画ぐらい立てなきゃしようがないいんでしょうと大臣は言うけれども、そんなことではちょっと御答弁とは受け取りがたいんです。もう少し当局として……。
  75. 川本正知

    政府委員川本正知君) 先生ただいまおただしのように、第六次の五カ年計画の年平均九・四%という伸びを想定、年平均でそうなりますので、そういった金額から想定いたしますと、五十七年度の予算実績が約一千億円ぐらい下回っておるという実態でございまして、これは先ほど来申し上げましたように、現在の財政環境の厳しさといったことからそういう結果に相なったということでございまして、まことに残念でございますが、しかし、今後の六十一年までの五カ年間におきまして、先ほど来申し上げております治水事業重要性といいますか、そういったものから考えますと、できるだけそれに達成をするような努力をしていかなきゃいかぬというのが私ども直接担当しております立場の者の責務でもございまして、そういったことから今後の努力を傾注してまいりたい、そういう覚悟を改めてまた申し上げる次第でございます。
  76. 原田立

    ○原田立君 治水関係では、第一次計画では三千六百五十億の計画のところ四千三百五億、これはずっと予算より上回ったわけです。第二次の場合も上回っている。第三次の場合は若干下回ってはいるけれどもほぼ同じだと。第四次になって三兆円の目標が二兆八千三百五十五億でこれは大変目減りしていますが、第五次では五兆八千百億円が五兆八千百六十四億、まあまあ大体計画どおりいっていることになるんだけれども、それにしてもみんなずっと表を見てみると、当初の計画に対して、たとえば第五次なんかにしても昭和五十二年七千五百五十四億円という計画に対して九千二百五十七億という実績がある。これに比べてみると、第六次の方は一兆三千六百七十億という目標を掲げながら実際には一兆二千六百三十二億、千三十八億も減っているわけなんです。最大の努力は払うと、それは結構、十分やってもらいたい。だから大臣局長は一生懸命やると言うんだけれども、大臣はその後をしっかり後押ししてもう少し増加を目指すように努力してもらわなきゃいけないですよ。いかがですか。
  77. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) いま局長が申したのでございますが、近いうちに公共事業費の上半期前倒しの一つの後始末的な意味も含めまして補正予算による追加投資等も行われるかと思いますが、そういういろいろな機会をつかまえまして、いま申しましたとおり、せっかくの五カ年計画でございますからできる限りこれを確保してまいりたい、このように努力をしたいと思いますので御理解をいただきたい、かように存じます。
  78. 原田立

    ○原田立君 治山事業五カ年計画にしても、第一次、第二次は計画よりも上回っていますが、第三次が若干下回っておる。第四次も下回った。それから第五次が、これも下回っている。第六次において先ほど申し上げたように二千三百九十三億円の計画が実際には二千百七十三億円、二百二十億円マイナスしておる。これも等伸率は一〇・三%でずっと伸びていかなきゃいけないんですけれども、一兆四千七百億円の第六次の計画どおりの治山事業予算の獲得は大丈夫ですか。
  79. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 治山事業につきましても、本年度の予算につきましては先生御指摘のとおり、若干計画に対して下回っておるわけでございます。しかしながら、やはり治山事業重要性と申しますか、これからの山地崩壊防止、水資源涵養、環境保全等きわめて重要な問題が山積しておりますので、私どもも今後の重要性にかんがみまして、できるだけ機会をとらえましてこの計画を達成し得るように最大の努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  80. 原田立

    ○原田立君 ぜひ最大の努力を払っていただきたい。計画よりももっともっとよけいに予算投下してやってもらいたいと思う。それは人間だって五十年たてば五十歳で、ぼけて、ぼけてくるというか老化していくんですから、自然界だって当然だろうと思います。だから、五カ年計画だなんというよりか何と言うのか、永久法律であってしかるべきようなものであって、五カ年、五カ年で見かえをしているわけなんでありますけれども、計画以上の予算獲得にせっかく御努力を願いたいと思うんです。  それから、治水事業の方で若干お聞きしますけれども、第五次治水事業の達成率を見てみると、全体を一〇〇とすると、河川が一〇五%、ダムが八七%、砂防が一〇三%、機械が九一%ということになっておりますが、この達成率のアンバランスのあるところ、たとえばダムの方が八七%、機械等においては九一%というふうなアンバランスは一体どこから生じているんですか。
  81. 川本正知

    政府委員川本正知君) 第五次の五カ年計画につきまして、達成率が全体では一〇〇%というかっこうでございますけれども、いまおただしのように、河川、砂防についてはそういうことになっておりますが、ダム事業が相当下回っておるといいますか、相対的に非常に低くなっておるというかっこうになって、八六%という達成率になっておるわけでございます。  先ほど第五次の五カ年計画が、五十二年度あるいは五十三年度非常に年度の事業費がたくさんついた、そういったことがお話ございましたけれども、五十二年度と五十三年度には補正予算が組まれました。そういったことから第五次の五カ年計画の達成に非常に幸いしたわけでございますが、    〔理事増田盛君退席、委員長着席〕 その際に、ダム事業につきましては、その工程をあらかじめ綿密に立てておきまして、それに基づいて計画的に実施するというような性格のものでございまして、また、山間部におきまして工事をやるというケースも多うございますので冬期間施工しにくいプロジェクトが多いというふうなこともございまして、補正予算は秋遅くぐらいに成立するというケースが多うございましたので、そういったことから河川改修あるいは砂防事業といったものに補正予算を多く回したということがございました。そういったことから結果的に、ダム事業計画で見込んでおりましたよりも相当低い実施額になったということであろうと思います。しかし、実施額を平均伸び率で見てみますと、ダムの伸び率は、五十一年度の予算額を初項とした場合に二二%の平均伸び率になっておりまして、五次五カ年計画治水事業全体の伸び率が二二%でございますので、それと同じ程度の伸び率は確保はしておったということでございます。
  82. 原田立

    ○原田立君 第六次の治水事業五カ年計画重点事項は次のとおりとするとして、四項目挙げておるわけでありますけれども、その個々に対してどういうふうに取り組むのか、具体策を示してください。
  83. 川本正知

    政府委員川本正知君) 第六次五カ年計画の重要項目は四項目でございまして、それは、一つは「中小河川都市河川対策の強化」でございます。二つ目が「土石流対策等、土砂害対策の強化」でございます。三番目が「重要河川整備」でございまして、第四の柱が「水資源の開発」でございます。  これらの整備目標等の具体的な内容については、現在鋭意検討作業中でございまして、大筋といたしましては、今回の五カ年の末、六十一年度の末におきまして、中小河川につきましては、時間雨量五十ミリメートル相当の降雨に対して当面の目標ということで改修を進めておりますが、それに対する整備率を二五%程度にしたいと思っております。都市河川については、その中でも重点を置きまして、五三%ぐらいまでは上げたいと思っております。また、土砂害対策施設を要する砂防渓流につきましては、整備率をやはり一九%ぐらいに上げたい。三番目の柱でございます重要河川、いわゆる大河川につきましては、戦後に起こりました最大洪水を対象にいたしまして、それを当面の暫定目標として改修を進めておりますが、その整備率は六十一年度末で六三%程度にしたいと思っております。それから最後の柱でございます水資源の開発につきましては、五カ年の期間中に年間約三十六億トン程度の水開発をするものになるよう、その程度の見込みをつけておるところでございます。
  84. 原田立

    ○原田立君 予算においては実際、額は取れた、だけれども物価がだんだんわずかずつでも上昇しておる、あるいは人件費なんかも増加している、こうなると、予算の方は取ったけれども工事の進捗率についてはぐっとダウンするというようなことが考えられるわけなんであります。現在たとえば都市河川の問題についても第五次で三八%ですか、整備率は、これを五三%にしようというわけなんですが、この一時間降雨量五十ミリ程度の降雨量に耐えられるような整備は一体、金額はわかるんですよ、実際の工事の進捗状況はどうなんですか。
  85. 川本正知

    政府委員川本正知君) 都市河川の現在の整備率が五十六年度末で三八%ということでございまして、都市河川整備を要する延長が約一万一千キロメートルの延長がございます。その全体に対しまして時間雨量五十ミリに対応できる延長というものが、概算でございますが、約四千百五十キロメートルというかっこうになっておるわけでございまして、これを中小河川の中でも都市河川重点を置いて第六次五カ年計画の中では促進を図ってまいりたいと思っておりますので、それに重点を置きまして、先ほど申し上げたように、六十一年度の末では五三%ぐらいまで上げていくように、目標をその程度に考えていきたい、そう思っておるところでございます。
  86. 原田立

    ○原田立君 そうすると、この五三%というのは、全体の一万一千キロメートルある都市河川の五三%程度は第六次で整備したいということなんですね。私が聞いているのは、予算は取れたにしても、人件費も上がるであろうし、資材費も上がるであろうし、物価も上がるだろうし、そうなると工事の進捗率がおくれるんじゃないか、これは心配がないかと、二点聞いておるんです。
  87. 川本正知

    政府委員川本正知君) いろいろと費用が上がってくれば目標としておる達成の延長が下がるんではないかという御指摘もあったわけでございますが、先ほど第一番目の御質問の五三%といいますのは、おっしゃるとおり一万一千キロメートルのうちの五三%、約五千八百キロメートルぐらいになろうかと思いますが、そのぐらいまで整備を進めてまいりたいということでございます。  また一方、物価あるいは人件費等の上昇というものがあってそういうものが落ちるのではないかというふうなことでございますが、私ども五次五カ年の事業実績値というものを出しております。そういったものから整備率も出し、また工事等にかかる費用も推算していこうということで、そういったもので現在作業をしておる最中でございますので、そういったことから考えて、大体五三%ぐらいまではいけるであろうというふうに考えておるところでございます。
  88. 原田立

    ○原田立君 ひとつそういうふうに図っていただきたいと思います。  鶴見川流域の変遷図を資料としてちょうだいしたわけなんでありますが、それによりますと、昭和三十三年に市街地は一〇%、四十一年には二〇%、昭和五十年では六〇%、将来においては八〇%が市街地になるであろうというふうなことが言われております。市街地と自然地の変遷からも、人口、産業の集中に伴い都市河川水害対策重要性があるわけでありますが、鶴見川の場合流域整備計画が進められていると聞いておりますけれども、具体的にはどのようなことになっているのか。実は建設省、あなた方の方からいただいた資料の中に、昭和五十三年七月に流域内の東京都、神奈川、横浜、川崎、町田を含めた鶴見川流域総合治水対策協議会準備会を設置した、そうして二年後の五十五年九月に鶴見川流域総合治水対策協議会を設置した、五十五年九月ですから、いま五十七年四月ですから約二年ですか。結局ずるずるおくれをとっているようなふうにどうしても受け取れてならないんです。具体的にどんなふうな状態になっていますか。
  89. 川本正知

    政府委員川本正知君) 鶴見川等のいわゆる都市河川は、昭和三十年代以降の流域が著しく都市化をした、そういったものに伴いまして相対的に治水の安全度の低下が著しいということが現象として起こってまいりました。治水施設整備を積極的に進めることは当然のことでございますが、その河川流域の持っております保水、遊水機能を適正に確保するといったことの総合的な治水対策を推進するということが、最も水害の防止または軽減のために必要となってきているところでございます。  鶴見川につきましては、おただしのように、五十三年の七月に総合治水対策協議会の準備会を設置いたしました。五十五年九月には本協議会を発足させたわけでございます。この協議会には流域の市町村といいますか都県も含めましてそういった行政担当者、それの河川サイドの担当者はもちろんでございますが、流域の利用といいますか、開発事業の担当者といったものを含めましてそういった協議会をスタートさしてきておりました。五十六年の四月に鶴見川の流域整備計画を策定いたしました。この鶴見川の整備計画におきましては計画目標年次を昭和六十年としておりました。  先ほど先生おっしゃいましたように、流域の開発状況が六十年時点では七五%ぐらい市街化になるであろうということを想定をしておりました。一時間雨量五十ミリの降雨に対しまして上流部分の改修をする。下流の区間については戦後の最大降雨を対象にして安全になるような対策を講ずるというような内容にしておりました。  具体的にその内容を申し上げますと、治水施設につきましては、下流区間につきましては大規模なしゅんせつを行いまして、また計画的な遊水地の建設も促進したいと思っております。それから一方、流域におきましては、適正な土地利用の誘導ということを行いまして、先ほど来申し上げております流域の持っております保水、遊水機能の保持、あるいは営農等に支障のない範囲で盛り土の抑制というふうなものに努めてまいるということでございます。また、開発によります流量増を招かないように流域で貯留機能を相当量確保したい。また三番目といたしまして、そのほか浸水実績を公表するとかあるいは警戒避難システムの確立等を図るとか、そういったことと同時に、パンフレット等によりまして流域住民に治水施設実態といったものも理解をいただき、また協力を求めるという働きかけを行うということとしておりまして、そういうものが整備計画内容になっているところでございます。
  90. 原田立

    ○原田立君 昭和六十年度市街化、市街地は七五%を目標にして現在進めておる。実際はそこまで進捗していますか。これは進捗していますかというか、進捗達成していなきゃならないわけです。これは非常にまた貴重な資料となるのでありますけれども、他の都市河川における諸対策はどのように進められているのか、対象河川数、対策実施数、進捗状況、あわせて二点御答弁願いたい。
  91. 川本正知

    政府委員川本正知君) 鶴見川のケースにつきましては、七五%と申し上げましたのはちょっと説明不足で失礼いたしましたが、六十年時点で流域の市街化状況が流域の総面積に対しまして市街地が七五%ぐらい占めるであろうということを想定して設定しているわけでございます。整備計画の対象としております六十年目標ということで治水整備というものを現在鋭意進めておるところでございまして、特に先ほど申し上げたような大規模なしゅんせつ工事といったものを含めまして、現在相当進捗が見られてきておるというふうに思っております。  それから、ほかに全国都市河川といったものの対応がどうかということで、特に先ほど来申し上げております総合治水対策といったものを実施しているのはどの程度のものかということでございますが、現在総合治水対策を実施しております河川は、五十七年度からは新しく二河川入れまして、そういうものを含めまして全国で十四河川でございまして、このうち鶴見川のような流域整備計画が定められている河川が六河川ございます。残り八河川のうち、五十七年度から実施することになりました、先ほど申し上げた二河川を除いた六河川につきましては、すでに流域の総合治水対策協議会も正式にスタートしておりまして、なるべく早期に流域整備計画を策定するように努力したいと思いますし、大体そういう見通しもついてきているところでございます。  なお、流域整備計画の策定済みの河川については鶴見川と同様でございますが、その計画に沿って総合治水対策を積極的に実施してまいりたいと思っております。
  92. 原田立

    ○原田立君 鶴見川の流域整備状況をさっきお聞きしたらば、余りはっきりした御答弁じゃなかったですね、数字が入っていなくて。もう少し……。
  93. 川本正知

    政府委員川本正知君) 鶴見川の整備状況でございますが、六十年度を一つの目標にいたしまして、しかも、その対象が鶴見川の下流部分で申し上げますと、戦後最大洪水ということで、毎秒に九百五十トンの流量に対して安全なように、そういったもので目標を進めておるところでございまして、しゅんせつ工事で川の中を広げまして、そして川の河道面積を確保いたします。これが一番の重要な事業のポイントになっておるわけでございますが、これは順調に進んでおりまして、昭和六十年度予定どおりの目標で何とかいけるんではないかというふうに思っております。  また、河道改修といいますか、堤防をつくり、あるいは護岸をつくるということも、用地買収に関係のないところはきわめて順調に進んでおりますけれども、下流で大規模な用地買収というものがございまして、そういった地区においてはいままだ進められていないところもありますけれども、全体としては先ほど申し上げたように河道の疎通能力といいますか、こういったものはきわめて順調に向上をしているところでございます。
  94. 原田立

    ○原田立君 具体的な数字を私が聞いているのに、肝心なところはすうすうすうと横道にそれたような御答弁だから余り納得しないんだけれども、時間がないから先に進みます。  重点項目の第二項として、土石流対策等、土砂害対策の強化を挙げておりますが、この種の災害は直接人命に聞することが多く、緊急かつ重要な事業であると私は思います。地すべり危険個所、それから土石流の危険個所、急傾斜地崩壊危険個所等について調査をなさっておられるだろうと思いますが、現状どうなっているか、御答弁願いたい。
  95. 川本正知

    政府委員川本正知君) 土石流、地すべり、急傾斜といったものの危険個所、これは土石流の危険渓流につきましては、昭和五十二年に総点検をいたしました。対象といたします危険渓流が約六万二千渓流であるということが調査の結果判明しております。また、地すべりの危険個所につきましては、昭和五十二年に一度調査をいたしましたけれども、五十五年にさらに見直しの調査をいたしまして、全体で約五千八百カ所の危険個所ということになっております。急傾斜地の崩壊の危険個所でございますが、五十二年にこれも調査をいたしまして、約六万四千カ所ということになっております。  五十六年度末におきますそれに対します整備率でございますが、土石流の危険渓流については約一四%、地すべりの危険個所については約二三%でございます。そういうのが現状でございます。
  96. 鈴木郁雄

    説明員(鈴木郁雄君) 林野庁におきましても、五十三、五十四年の両年に山地災害の危険地の総点検をいたしまして、その結果、全国で約十三万一千カ所の危険個所があるということが判明いたしております。このうち五十六年度までにその四分の一強に当たります三万六千カ所につきまして治山事業を実施済みでございます。
  97. 原田立

    ○原田立君 局長、さっき二十何%の整備率というお話があったけれども、それは何の整備率ですか。
  98. 川本正知

    政府委員川本正知君) 五十六年度末におきます土石流危険渓流に対する整備率が約一四%でございます。これは、先ほど申し上げた約六万二千渓流に対して一四%ぐらい整備ができておるということでございます。  地すべりの危険個所の場合は二三%ということでございます。
  99. 原田立

    ○原田立君 あなたの方からもらった資料は、整備率はそれぞれ一八%となっている。二十何%ですか。
  100. 川本正知

    政府委員川本正知君) 地すべりの危険個所につきましては、大河川中小河川といいますか、そういった地域防災とに分かれておりまして、確かに地域防災いわゆる中小渓流の方でいきますと一八・二%という整備率になっております。
  101. 原田立

    ○原田立君 要するに一〇%台ですね、地すべりが一八%、土石流が一四%、危険傾斜地崩壊が一三%、いずれにしても整備率が一〇%台。まあいろんなところにいろんなのがありますからね。私も全部が全部、早くなくすようにしてもらいたいとは思うけれども、なかなか大変だなということは十分承知はしているんでありますけれども、いずれにしても一〇%台というのは余りにもお粗末過ぎるんじゃないか。人命に関するきわめて重要な問題でありますので、事故の後追いの施行ではなく、計画性を持って進めていくべきだと思うんでありますが、大臣、この数字、進捗状況、いま申し上げたように地すべりは一八%、土石流は一四%、急傾斜地は一三%という数字をお聞きになってどうお考えですか。
  102. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) 進捗率が大変少ないようでございまして、私も大変残念に思っておりますが、主たる理由はやはり予算が少ないということにあると思いますので、今後、財政事情等々にらみまして、その運用におきまして一層の努力をしてまいりたい、かように存じております。
  103. 原田立

    ○原田立君 第六次五カ年計画において、各事業整備計画については、先ほど局長からそれぞれの目標が示されましたが、中小河川は約七%増し、都市河川については一五%増し、土石流、重要河川においては五%ずつの増しというふうなことで、土石流対策とか重要河川整備、特に中小河川対策なんというのはもう少し目標を上げるべきじゃないでしょうか。  と言っているのは、ついこの間、目黒川で溢水した。詳しいことはちょっと余りよくわからないんですけれども、集中豪雨的になって下水から吹き出しちゃって、満々とした水をたたえてしまった。あの目黒川などは大河川の部類には入っていないと思うんです。都市河川ではあろうとは思いますけれども、小さい方の川でしょう。まだまだそれ以外の中小河川による被害というのが年々歳々多いんです。大きい河川については政府努力しているからまあ何とか事故がなく済むけれども、小さいところに特に多い。その代表的なものとして目黒川の名前を出したわけなんですが、もう少し中小河川対策などにも力を入れるべきじゃないか。土石流対策、重要河川整備が五%ずつしかなっていないけれども、もっと力を注ぐべきではなかったか、こう申し上げたい。
  104. 川本正知

    政府委員川本正知君) 大河川に比較いたしまして中小河川の方が非常におくれておるではないかという御指摘でございまして、まことに整備率から申し上げましても、先ほど来御説明いたしましたように差が相当ついておるわけでございます。ただ、大河川といいますのは、やはり流域に相当の人口、資産といったものを抱えておりまして、一たん災害が起こりますと社会的影響といいますか、ダメージが大きいものでございますから、どうしてもまず順序といたしましては大河川整備が先行すべきであるというかっこうで従来からやってきたところでございます。  しかし、中小河川がそれではおくれていいかということでは決してございませんで、一八%の現在の整備率を何とか五カ年計画内に二五%程度まで上げたいということでございまして、これもまことに低いではないかという御批判もあろうかと思いますけれども、その中では先ほどもお話がございました目黒川等の、最近集中豪雨等で温水災害を起こしております都市河川といったものに一番重点を置いた改修を六次五カ年の中でやってまいりたいと思っておりまして、都市河川につきましては、三八%の整備率を五三%まで上げたいということで重点を置いてまいりたいと思っております。  また、砂防渓流につきましても、土石流の危険渓流につきましては危険度の高い渓流並びに保全対象の人口の多いところを優先的に整備を図りまして、六次五カ年の末におきましてはおおむね一九%まで整備率を上げたいと思っておりますし、地すべりの危険個所につきましても、重要河川やあるいは貯水池等への影響が大きいもの、また保全する人家戸数が多いもの、あるいは幹線道路のような幹線交通網に影響を与える、日常生活に非常に支障が起こるような地域にあるもの、また、もちろん当然でございますが危険度の高いもの、そういったものから優先的に整備を図ることにしておりまして、五カ年の末では二八%ぐらいの整備率にしたいということで、限られた枠の中ではございますけれども、中小河川並びに中小渓流整備水準のおくれを何とか挽回するように努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  105. 原田立

    ○原田立君 危険個所が数が多くてなかなか大変だと思います。また、着手するにしてもみんなやってくれ、やってくれ、早くと言ってくるでしょう。そうすると、何か力関係なんてそんなものが動くわけはなかろうと思うけれども、着手の順序については一体どんな方法でお決めになるんですか。
  106. 川本正知

    政府委員川本正知君) 土石流の危険渓流といったものの着手の順番という御質問でございますが、確かに私どもといたしましても、要望はきわめて全国各地から多いわけでございますが、その中でもやはり危険度の高い渓流、たとえば傾斜がきつい、傾斜の度合いによってどうかということ、あるいは過去に崩壊歴があったかどうかというふうな実績、あるいは湧水、いわゆるわき水がありますと非常に土石流が起こりやすい危険性が内蔵しておりますので、そういった湧水の多いところかどうか、そういったもろもろの要素を考えまして、危険度の高いものから順番にと。それから先ほど申し上げたように集落といったものがあって、その渓流が一たん土石流となって下流へ押し寄せますと、人命災害を起こすといった可能性の強いところ、そういったものを優先的に整備を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
  107. 原田立

    ○原田立君 林野庁、先ほど御説明いただいたけれども、山地災害危険個所が全国で十三万一千カ所程度おありであるようなんですが、対応の態度はどうなっているのか、また整備着手の順位、基準について御説明願いたい。
  108. 鈴木郁雄

    説明員(鈴木郁雄君) 先ほど御説明申し上げましたように、十三万一千カ所の危険個所が調査の結果出てまいりましたが、それにつきましての治山事業の対応の順序でございますが、人家等の保全対象の近接度合いと申しますか、山に家が接近しているそういう度合い等を判断いたしまして、また地形、地質等から見まして危険性の高いところからやってまいるということで、今次第六次計画では約二万個所につきまして五十七年度から実施してまいりたい、このように考えております。
  109. 原田立

    ○原田立君 これは両方に、河川局長にもお聞きするんですけれども、建設省のいわゆる土石流対策では、地すべり危険個所あるいは土石流危険個所、急傾斜地崩壊危険個所という三項目で調査しています。それから林野庁では山腹崩壊危険地、崩壊土砂流出危険地、地すべり発生危険地というふうな三つの項目で数が集計されているんですけれども、これはどうなんですか、性質的にいくと大体同じようなものがあったりするんじゃないかと思うんですけれども、それとも全然異質なもので、これは当然二つの省庁でやらなきゃならないということになるんですか。
  110. 川本正知

    政府委員川本正知君) 土石流に対する災害が起こる、あるいは地すべり、あるいは急傾斜地崩壊、そういったもので災害が起こりやすいところを危険渓流ということでやっているわけでございまして、そういった内容から申し上げますと、私どもの方は下流に部落があるとか、あるいは社会的な公共施設があるとかといったものに対する危険個所を対象としているわけでございまして、林野庁の方は山林の保全、造林といったような立場から必要なところを御調査なさっているわけでございまして、地域的にダブるというようなことはないはずでございます。また、いわゆる土石崩壊、がけ崩れといったような性格そのものは特別に差があるとは思っておりません。
  111. 鈴木郁雄

    説明員(鈴木郁雄君) 林野庁といたしましても、建設省と十分個所別に協議をいたしてやってまいるわけでございますが、主としてこちら林野庁の側では、造林の見込みのある個所につきまして対応してまいりたい、このように考えております。
  112. 原田立

    ○原田立君 建設省所管が十三万二千件、林野庁が十三万一千件、合計で二十六万三千件という大変多くの危険個所があるわけです。だけれども、これを建設省林野庁ということで縦割りで中央府としてはおやりになるんだろうけれども、地方に行くと、市町村段階では同じ隣接しているところが多くて、地方自治体では、よく協議して一本化して仕事をすっと進めてくれという要請が強いんです。林野庁はやった、だけれども建設省は後回し、あるいは建設省はやったけれども林野庁は後回しだなんて、両方一緒にやってくれ、こういう声が地方には多い。むべなるかなと私も思うんです。そういう願望が強いんでありますけれども、それについてお考えはいかがですか。
  113. 川本正知

    政府委員川本正知君) 事業の実施に際しましては、私どもの方も林野庁の方と十分御協議しながら、いま先生おっしゃいましたような食い違い、そごというものが極力ないように調整をとりながらやっておるところでございまして、中央におきましては、年一回ではございますけれども、林野庁建設省の砂防関係とが協議会を開いてその年度の事業の調整をしておりますし、各府県単位でまた別にそういった協議会を設けて毎事業の実施対象ごとに調整を図っておるというところでございます。先生の御指摘のような実態がないように今後とも努力してまいらなきゃいかぬと思っているところでございます。
  114. 原田立

    ○原田立君 ちょっとこれは乱暴な意見になるかもしれませんけれども、何か大体同じようなことをおやりになっているように思えるんで、やっぱり一本化していくようなことを今後進めていくべきではないか、そのように思うんです。大臣、いかがですか。
  115. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) 林野庁の仕事と建設省河川関係の仕事が非常に密接な関係がありますことは御指摘のとおりでございまして、特に工事の施行に当たりまして時を同じゅうしてやるべきもの等も多いと思うんでございますから、かねてからいろいろ機構もつくりまして連絡協調に努めておりますけれども、今後御指摘の点は一層注意いたしまして、まずいことのないように協調してうまくいくように一層督励していってまいりたい、かように存じております。
  116. 原田立

    ○原田立君 土石流の問題で申し上げるんですけれども、私は福岡なものですから、同じ九州の中の桜島のあの土石流の状態、何回も写真も見たり現場にも行ったりして大変なものだと心配しておるわけです。あそこも火山でいつもぼかんぼかんとかやるわけです。浅間山もついきのう、おとといですか、ばっと噴火しちゃった。人家には被害はなかったそうでありますけれども、野菜、レタス、白菜、キャベツ、天然シイタケというふうなものは非常に降灰によって被害をこうむっていると報道されておりますが、浅間山の場合のこの土石流というのは、私はまだ実際行ったことがないものだからどんなふうな実態なのかよく知らないんですけれども、その心配はないのかどうか。それからまた、今度は九年ぶりでぼかんとこうなったそうでありますけれども、何かあそこいら辺は溶岩の粘性が強く、最後まで勢いがたまってからぼおんと噴出するということであって、余り前兆はなかったらしいんだそうです。益子軽井沢測候所長の話では、今後もう爆発がない、噴火がないとは言い切れない、あるであろうというような意味のことをお話しになって新聞で報道されているわけなんですけれども、土石流対策という面から言って浅間山、それらについてはどんなふうにお考えですか。
  117. 川本正知

    政府委員川本正知君) 浅間山の爆発に関しましては、規模としては中規模といいますか、中規模よりは少し小さいぐらいの規模であったというふうに聞いておりました。本日現在ではもう大体おさまってきたというふうな報告を受けておるところでございます。  土石流災害危険性があるかどうかということでございますが、私どもも群馬県並びに長野県の砂防課を通じましていろいろ調べさせたところでございます。そういったものについて、先ほどお話しのように野菜等に対する被害があったようでございますけれども、いわゆる桜島におきますような大変大規模な土石流災害を起こすような心配はないというふうに御報告を受けております。
  118. 原田立

    ○原田立君 桜島は途中まで登ったことがあるんですけれども、もう表面の表土がかさかさにぼろぼろになっているんですね。富士山も途中まで行ったことがありますけれども、やっぱりあれもぼろぼろになっているんですね。いつ何どきがしゃっといくかわからないという非常に危険を私は感じるわけです。幸い浅間山の場合には粘着力があって何か強いそうだけれども、それが功を奏したのか何かしらぬが、土石流がないということなんだけれども、ひとつそういうような面での、そういう性質のものに対しての土石流対策については十分な対策を講じていただきたいと思う。  それから、水資源対策のことについてお伺いするんでありますが、具体的にはどういうふうなことを実施するのか、また、重点項目に挙げている以上、制度的にもかなり抜本的な改善を行うことを計画していると受けとめているわけなんですけれども、どうですか。
  119. 川本正知

    政府委員川本正知君) お答え申し上げます。  水資源開発といいます事業は、ダムその他大規模なせき、湖沼といったものの開発、建設であるわけでございますので、計画いたしましてから完成いたしますまでに長期間を要するということもございまして、長期的な展望に立って計画的に立地促進を図ってまいる必要があるわけでございます。第六次の五カ年計画におきましては、おおむね昭和五十七年度から昭和六十一年度までの計画期間におきまして六十四の施設を完成させまして、年間の開発水量で申し上げますと年間約三十六億トンの水を開発するということの予定で進めたいと思っております。  また、抜本的な制度の改善を考えているかというおただしでございますけれども、昨年の八月に河川審議会で「総合的な水資源対策の推進方策について」という中間答申をいただきまして、いろいろとそれに出された答申内容があるわけでございますが、その中で、ダム貯水池の包蔵いたしますエネルギーを適正に利用した水資源開発の促進をすべきであるということの項がございまして、それに関しましてはダムのいわゆる水力エネルギーを利用いたしましてクリーンエネルギーとして発電に資するために、ダム管理用の水力発電設備の設置事業というものをすでに実施しております。  また、ダム貯水池機能の保全の推進ということに関しましては、ダム貯水池が、堆砂の問題もありますけれども、水質の問題でいろいろ問題が出てきております。いわゆる臭い水になっているとか、あるいは貯水池の水が富栄養化しておるというような傾向のところがございます。そういった水質に対する貯水池保全という水質改善といったものに対する事業ということで、すでに近畿の室生ダムというところで水質改善のためのパイロット事業というものを実施することに具体化しておるところでございます。  また、ダムの建設執行体制の合理化ということが答申の中でも盛られておるわけでございますが、これにつきましては府県が実施しております補助ダムにつきまして、非常に最近専門の高級技術者が不足してきておりまして、ダム事業の促進について支障が出てきておるケースもございますので、そういったものの解消のためにダム技術センターというものを府県で出資をしていただきまして設立をして、それに対して国から補助をして五十七年度秋からスタートさせたいということも具体化することにしております。  そのほか、地域特性に適合した水資源開発の推進ということで、特に大都市圏では、福岡の渇水で事実が出てまいりましたように非常に大都市の渇水に対するもろさというものが際立ってきておりまして、そういったことに関することとして渇水対策に資するダムの建設ということの推進を図ってまいりたい。  また、水源地域対策の施策の拡充強化ということに関連いたしましては、水没関係住民の生活再建対策、水源地域の特性に適合いたしました水源地域整備の推進、あるいは上下流の地域の連帯の場の設置、いわゆる基金等を設けまして水源地と受益地である下流地域の連帯の場をつくるといったものの推進、そういったものなどにつきましても、今後とも答申の内容を検討した上で対応していくことにしているところでございます。
  120. 原田立

    ○原田立君 「ブロック別水需給の見通し」で明らかなように、南関東がマイナス六・九、それから京阪神がマイナス三・一、それから北部九州がマイナス二・二というふうなことになっているわけでありますが、この三ブロックについての見通し今後の対策についてお伺いしたい。
  121. 川本正知

    政府委員川本正知君) 長期水需給計画、いわゆる昭和六十五年を見通しました長期水需給計画におきましては、昭和六十五年の水の需要量が年間約一千百四十五億トンという想定をしておりまして、それに対しまして第六次五カ年計画では所要の水資源開発を行いまして、おおむね十年後には不安定取水量を現状程度に抑制するということを目標にして、先ほど申し上げたように約三十六億トンの年間開発量を開発したいということを予定しておるわけでございますが、南関東、京阪神、北部九州といった三ブロックにおきましては、依然として需給バランスがとれないで不安定取水を余儀なくされる状態になるのではないかと思っております。  そのためには、今後とも基本的には水資源開発施設の建設の促進が必要でございますが、さらに下水処理水の再利用、あるいは水利用の安全度の向上を図るために、先ほども申し上げた渇水対策に資するための事業とかそういったものを進めなきゃいかぬ。また、工業用水におきます用水の再利用、あるいは節水型機器の開発利用など、生活用水におきましてたとえば洗濯機あるいは水洗トイレといったものも節水型のものを開発、普及する、そういったものを通じて適正な水の使用を図っていく。あるいは農業用水におきまして、用水の管理の統一化などによりまして水利用を合理化する。また水道管や農業用水路などの漏水防止といったものも一つの大きな大事な節水策でございますが、ロスの低下といったものなど、地域の特性に適合した総合的な水資源対策を推進していく必要があると思っておるところでございます。
  122. 原田立

    ○原田立君 河川審議会の中間答申の中で、先ほど局長も読んだけれども、「特に五十三年の福岡渇水は、大都市地域等の渇水に対する脆弱性を露呈し、大きな社会問題になったことは記憶に新しい。渇水がしばしば発生し、長期化する原因は、異常気象等の自然現象にも起因するとはいえ、より根本的には水資源開発の遅延、河川水の水利用度の高まり、水資源開発施設の水今日旧施設との整備の不均衡等に起因する」云々、こういうふうに言われているわけでありますが、実際問題、この五十三年のとき、ここにいる松本先生も福岡市で、私も福岡市内にいて約三カ月から四カ月ぐらいもう水なしで大変苦労した。あんな思いは二度としたくないという思いをしている。  この北部九州という指定が一体どんなのかなと、それも聞きたかったんですけれども、実際問題、北九州市を中心にする工業地帯には遠賀川という大きな川があって、それから大分水を取るんでありますけれども、今後の工業発展からするとまだ足りなくてダムを新しく一つつくっておるやに聞いております。それで何とかなるだろうと。それから久留米あるいは大牟田方面、いわゆる筑後関係については、これは筑後が筑紫二郎という有名な川があってあすこで何とか取れる。真ん中に挾まった福岡市のところはそんな大きな川がないばっかりにいわゆる水不足で大変困ったのであります。  いまここに指摘されているように、異常気象にも原因があるだろうけれども、「水資源開発の遅延、河川水の水利用度の高まり、水資源開発施設の水供給施設との整備の不均衡等に起因する」というこの指摘が非常に重要だと思うんです。だから大臣、先ほどからせっかく努力するとかなんとか、そういう計画に沿って一生懸命やるとか精神論ばっかり仰せだけれども、実際問題、そこに住まっておる人間からしてみれば、三月も四月も水なしでやられたんではたまったものじゃないというような地域がまだまだほかにもあるんじゃないか。ついこの間は沖繩がやっぱり雨が降らないために、あれも一日のうちに十時間ぐらいしか給水しないで、あと全部ストップでしょう。というようなことでは住まっている住民は大変なんです。これは何とかしてもらわなきゃならない。国でやってもらうしか手はないんだけれども、ただ一生懸命努力すると言うばかりじゃなくって、もう少し具体的に御答弁願いたい。
  123. 川本正知

    政府委員川本正知君) 北部九州を例にとって水需給の問題をおっしゃったわけでございます。沖繩のこともおっしゃいましたけれども、沖繩につきましては確かに現在も渇水による給水制限ということが行われておりまして、つい先日までは一日のうち二十時間給水をして、次の日二十八時間が断水になるというふうな状況でございましたが、最近雨が降ってやや回復してまいりました。二十四時間給水、次の日二十四時間が断水というふうなかっこうでやや回復の兆しが出てきたというところでございますが、具体的におっしゃった、いまのところ確かに沖繩につきましてもまだそういった非常にひどい状況が続いておるところでございます。  北部九州の問題でございますが、これにつきましては、福岡、佐賀大分、熊本といった地域に対しまして、将来の水需要というものを見通して筑後川水系におきます水資源開発基本計画というものを五十六年に国土庁で策定されておりますけれども、それにおきましては、昭和六十年度を目標年度といたしまして新規の水需要の見通しが、水道用水が毎秒八・八トン、工業用水が毎秒五・一トン、農業用水については毎秒約一〇・五トン、合計約二四・四トンが必要であるというふうなことでございます。  これらの新規の水需要に対処するための供給の方の目標でございますが、やはり毎秒約二四・四トン供給することにはしておるわけでございますが、寺内ダムとか筑後大堰とか福岡導水とか、そういった十一に上ります事業を実施することによりまして約一七・六トンの水資源を開発することにしております。残りの毎秒約六・八トンにつきましては、新たに上流ダム群の開発や、先ほど来申し上げております合理的な水利用といったものの推進のために具体化を図っていかなきゃならぬというところでございます。  そういう実態でございまして、都市用水に着目いたしますと、昭和五十一年度から六十年度に至る間の新規必要水量が、一四・九トンに対しまして、現在すでに完成しております寺内ダム並びに山神ダムといったもので約三・九トン開発しておりますが、それに加えて五カ年計画の期間中で約〇・九トンが新たに開発されることになっております。そういったことで、まだ残り約十・二トンというものを今後さらに新しく確保しなければならない。そういったことで新しいものとして今後の開発に努めてまいらなきゃいかぬと思っておるところでございます。
  124. 原田立

    ○原田立君 水源地域対策の強化策としてダムの指定基準の緩和についてお願いがあるわけでありますが、全国知事会水問題研究会で水源地域対策に関する報告が出されているんでありますが、その中で「ダムの指定基準 水源地域対策特別措置法の対象となるダムの指定基準は各省庁の申合せにより、水没戸数三十戸以上または水没農地三十ヘクタール(北海道六十ヘクタール)以上とされているが、ダムの建設による周辺地域の生産、生活両面にわたる影響の緩和、関係住民の生活水準の維持等のための措置等は水没規模の大小を問わず欠くことのできない対策であるので、ダム関係地域および住民の生活の実態に応じ、林地等を加えるなど指定基準の緩和をはかり、施策の公平を期す」るようぜひ望みたい、こういうふうな要請が、報告が出ているんだけれども、これはごらんになっただろうと思いますけれども、これについての所感はいかがですか。
  125. 高秀秀信

    政府委員(高秀秀信君) 先生いまお話しのように、水特法第二条第二項の指定ダムの要件といたしまして私どもは、「相当数」というふうに法律では書いてございますけれども、水没戸数または水没農地の面積がいま先生おっしゃったような数字を一応の条件というふうに考えております。これは地域の生活環境であるとか産業基盤等の基礎条件に著しい影響を及ぼすというようなことで考えたわけでございまして、これ以下のものについては一応通常の行政で対応できるんではないかというふうに判断されているわけでございます。しかし、いま御指摘のように、知事会等も含めまして、本法の適用を受けないダムの水源地域対策についてひとつ指定基準の緩和等をやったらどうかというようなお話もあることも了知いたしておりますけれども、いまお話しのような本法の適用を受けないようなダムにつきましては、個別の案件として私どもとしては水特法に準ずるダムとして行政的対応処置を講ずるということも含めて検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  126. 原田立

    ○原田立君 このダムの指定基準について、水特法の対象となるダムの指定基準が、いまも読んだように水没戸数三十戸または農地三十ヘクタール以上となっておりますが、水需給の不足している三ブロック、その中でも五十三年に大きな社会問題になった福岡渇水など緊急の対応が必要だと私は思うんであります。明らかに供給不足がはっきりしている福岡県の場合などはもうこの基準では対応できない。要するに水没農家三十戸、それから水没農地三十ヘクタール以上という場所がないんです。だけれども実際に水は足りない。どうしてくれるんですか。
  127. 高秀秀信

    政府委員(高秀秀信君) この問題につきましては、関係省庁で水源地域対策連絡協議会というものを設けて運営をいたしておるわけでございますが、ただいまお答えを申し上げましたように、協議会では、水特法に基づく指定ダム及びこれに準ずるダムに係る水源地域対策の基本的な方針及びこれに基づく具体的な処置の決定並びにその円滑な実施を図るため関係行政機関の連絡及び調整を行うということにいたしておりますので、先生いまお話しのいろいろ福岡県の実情も承知をいたしておりますが、準ずるということで行政対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  128. 原田立

    ○原田立君 じゃ具体的にお願いするんですけれども、水不足が具体的なことでは、筑後川水系の高良川に渇水用ダムの建設を地元として計画し、昭和五十五年から実施調査費の予算要望を行ってきましたけれども、いまだに見送りになっている。この問題をどのように今後進められていくのか、今後の見通しはいかがですか。
  129. 川本正知

    政府委員川本正知君) 北九州におきますような渇水によって深刻な事態が現に起こった、また今後とも起こることが予想される地域につきまして、渇水対策ダムの建設のみならず既設ダムの再開発であるとか、先ほど申し上げた下水処理水の再利用などの総合的な水資源対策というものが必要になろうかということで、今後とも努力してまいりたいと思っておりますけれども、御指摘がありました高良川ダムにつきましては、昭和五十五年度からその渇水対策に資するためということで異常渇水時の最低限の生活用水を生み出すということを目標に置きまして事業化を図ってきているところでございます。まだ事業化が実現していないという段階でございまして、いろいろと今後費用負担などの制度のあり方を含めましてさらに検討すべき課題があるわけでございますので、そういったものの検討を進めまして、早急に事業の具体化を図ってまいりたいと思っております。
  130. 原田立

    ○原田立君 そんなのんびりした返事では了解しがたい。  それじゃお聞きしますけれども、その三十ヘクタール以上あるいは三十戸以上、これについては国土庁水資源局長、大蔵省主計局次長、厚生省環境衛生局長、農林水産省構造改善局長、通商産業省立地公害局長が五十四年三月二十六日の申し合わせでこういうようにしたと書いてある報告書を私はもらいました。だけれども、実際問題、お金も足らないかもしれないけれども、だけどそんな三十戸水没とか三十ヘクタールなんて大きな場所はないのです。何とかもう少し小さいところならばあちこち見つけられるのです。だからこういう決め方をするのも私は不当だと思う。不当と言ってはちょっと言葉が強いかもしれないけれども、もう少し規模を縮小するようなことが、福岡渇水という実例もあるのだから、そういうようなところについては特例的なものがあってしかるべきだと思いますけれども、いかがです。
  131. 高秀秀信

    政府委員(高秀秀信君) いま先生からお話しのように、三十戸または三十ヘクタール以上というようなものでかなりの数が福岡を初めとして全国にもあるわけでございまして、いま私どもが申し上げましたようなものはなかなかこの基準をどこに引くかというのはむずかしい問題だと思いますが、一応現在先生いまお話しのように三十戸、三十ヘクタールということで対応いたしておりますので、それ以下のものでなおかつ先ほど私が申し上げました原則的な地元へのいろいろな影響の大きいものにつきましては、準ずるダムというようなことで関係各省庁で地元府県等とも相談をして対応していきたいということでございます。  なお、先生お話しのように水源地問題、この指定基準だけじゃなくていろいろな問題がございますので、私ども現在水源地について研究会をいろいろな先生方にも入っていただいて勉強をいたしております。いま御指摘の点についても引き続き検討をしていきたいというふうに考えております。
  132. 原田立

    ○原田立君 これで私は終わりますが、大臣、いまのような水資源対策、渇水問題、これらの問題については本当に大事な問題であります。現に福岡県は五十三年に実際それの体験を受けた。またそういう地域もほかにたくさんあるでしょう。沖繩の人たちだっていま困っているでしょう。ですから三十ヘクタール以上とか三十戸以上の水没とかそういうことにこだわらないで大いに推進してもらうようにしてもらいたい。こちらの方ではせっかく研究会をつくってやるということだけれども、いまから研究会だなんていうのじゃなくて、まあ研究はしてもらわなきゃいけないと思います。だけども、じゃ戸数を減少しようとかまた範囲を少し狭めようとかそういうことは十分やっていただきたい、こう要望するんですが、建設大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  133. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) 水不足なり渇水なりという事実がございますと、地域の皆さんは大変お困りなわけでございますが、こういったような問題は地域の問題でございますから、それぞれ地域別に具体的に検討を進めて、また具体的な対策を進展させるべき筋合いだと思います。  ただいま北九州の問題につきましてもお話がございましたが、本件につきましては建設省国土庁の方とよく御相談をいたしまして、連絡をとりまして、全力を尽くして御要望に沿うように努力してまいりたいということを申し上げて、お答えといたします。
  134. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案質問に入る前に、四月一日の委員会で室町産業の宅建業法違反の疑いについて質問したことの調査のその後をお伺いしたいと思います。大臣並びに局長が調査をお約束してくださいましたので、御報告をお願いします。
  135. 吉田公二

    政府委員吉田公二君) 室町産業につきましては、免許権者でございます東京都がこの問題について調査をしているということはかねて報告を受けていたわけでございますが、先週末に、この四月二十日、室町産業株式会社から宅地建物取引業法第十一条第一項の規定に基づきまして廃業の届け出があったということでございまして、その時点で調査を中止したという報告を受けております。  なお、この前の委員会のときに御指摘がございましたいわゆるM子さんという取引主任者の問題についての点でございますが、これも東京都の方で調査をいたしましたところ、これは他の社員とともにM子さんそれ自身から事情聴取を受けたということでございますが、M子さんは昭和五十六年六月一日に室町産業の専任の取引主任者として入社をいたしまして、途中健康を害して入院とか通院をしたことを除けば勤務をしていたという供述があったというふうに報告を受けております。
  136. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 四月二十日付で室町産業は宅建業法に基づく企業を廃業したということなんですね。  まず四月一日に質問をして、あの週に週刊朝日があれだけ書いたんですけれども、なぜ東京都の調査はあんなにおくれたんでしょう。私、前回の委員会でも質問しようと思ったんですが、まだ調べがついていないという御返事だったのできょうまで延びたわけですけれども、おくれた理由は何でしょうか。
  137. 吉田公二

    政府委員吉田公二君) 東京都の報告によりますと、四月に入りまして事情調査のために事務所調査ということに行ったところ、社員不在ということでございまして、その後取引主任者を帯同して東京都に出頭するようにということを通知したそうでございますが、その後、代表者が病気療養中であるとかあるいは取引主任者が病気であったということでございまして、十二日に吉田某という方と、それからM子さんが東京都に来庁されて、事情を聞かれたそうでございます。ただその際、不明な部分が多かったわけでございまして、その後さらに補足した部分の説明等を求めたわけでございますが、二十日に至りまして廃業届が出てきたということでございまして、その間数次にわたりやりとりはあったというふうに聞いております。
  138. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、この前にも質問をし指摘したんですけれども、廃業届するもしないも実際には業務は一切やっていない幽霊会社なんです。私どもも赤旗の記者を含めて何回もあの会社に行ってみましたけれども、かぎがかかっていて何もないわけです。新聞もとっていない、つまり配られていないんです。郵便ポストには電気、水道の伝票が差し込まれていただけだという状況で、全くいない。かつて前の専任取引主任であった池田一雄氏がいたときには、この人がたった一人ぽつんと留守番をしていたんです。ところが今回のM子さんにかわってからでしょう、もう一切何にもしていない企業なんです。私はまず指摘したいのは、元総理大臣の関係しているこういう企業が、全く幽霊企業で何の仕事もしていないということが放置されていたということです。これは非常に重大問題だと思う。ジャーナリズムで問題になり、国会で問題になるとあわてて廃業届を出してくるということで、東京都の調査がおくれたのも事務所へ行っても戸にかぎがかかっていて連絡がとれないわけだから、それでおくれたんだと思うんです。  M子さんに東京都は事情聴取したと言うんですが、四月九日付の週刊朝日には、M子さんとのインタビューが出ているわけです。これには「取引主任者として出てるが」、「私、してません」。「あなたの名前が」と、「いやらしい」。「就職したことになってる。」、「わかんないなあ」と。「不動産関係の会社に勤めてないですか。」、「ないです」と。「まちがいないですね。」、「はい」。「市谷本村町のマンションへ行ったことないですか。」、このマンションに室町産業があるんだが、「行ったことない。見たこともない。市谷なんてもう何十年もいっていない」。そういうことをはっきりインタビューで答えているわけです。  ところが、東京都のいまの事情聴取によると、六月一日に入社した、健康を害してという経過があったというんですけれども、これはどうも問題になったので、そういうふうに答弁のつじつまを合わせるように何らかの作為があったのじゃないかと思うんですが、東京都の調査では、この週刊朝日のインタビューについては御本人はどう言われたと報告になっていますか。
  139. 吉田公二

    政府委員吉田公二君) 東京都の御報告では、専任の方が死亡して六月一日に入社をしました、入社して以降、体を壊して入院したり通院したりしていた期間はあるけれども、一応社員として事務所に行っていたということを本人が述べたということを言っております。私もその週刊朝日は読みましたけれども、それについてどうこうというのを東京都からは特に報告は聞いておりません。
  140. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、これは再度調べてほしいですね。これは週刊朝日で本人とインタビューしてこういう事実無根であることが明らかになって、御本人の供述というか、御本人の言葉に基づいてこれは虚偽申請だということが問題になり、私もこれに基づいて質問したんですから、このときのインタビューと今度の供述との事実の違いを再度東京都に調べさせてほしいと思います。
  141. 吉田公二

    政府委員吉田公二君) 東京都がすでにそういったことについて調査がしてあったとすれば、それは私どもは東京都がそういう調査の結果どうだということは聞きますが、現に宅建業者でなくなりましたものに対して、宅建業法に基づく調査をするということを別途また行うということは、現在の宅建業法上の権限からしてはちょっと無理だと思います。
  142. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうも局長のお話は変で、宅建業法で業を続けているという時点で四月一日に私は問題にしたわけだから、そのとき根拠が問題になったわけで、それについて東京都は調べたわけでしょう。東京都は恐らく本人に聞いて、本人にこの週刊朝日とのインタビューを調べたはずです。そのときの過去のことを改めて東京都に問い合わせていただきたいということです。
  143. 吉田公二

    政府委員吉田公二君) 過去のことでわれわれに報告が脱漏していたというような問題があるかどうかということについては、確かめてみます。
  144. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 四月二十日付で廃業したというのは、この問題逃れられないと思ってそういう手を打ったんだと思いますけれども、過去の問題としても、東京都並びに建設業法に基づく監督はやっぱり建設省もやらなければならないので不問に付することはできない。宅建業法第十五条では、取引主任者を専任で置くことになっている。つまり事務所に常時勤務する、詰めていることが条件なんですね。これが全然守られていない。それを、入院したということでいなかったことにしたんだと思うんです。  この池田一雄という人からM子さんにかわった理由はわかりましたか。なぜかわったか。
  145. 吉田公二

    政府委員吉田公二君) 池田一雄氏は死亡したというふうに東京都からは報告を聞いております。
  146. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 週刊誌によりますと、このM子さんのお兄さんは労働省の課長だというんですね。それから長岡鉄道にちょっと勤めたことがある。お兄さんも労働省の課長だというので、恐らくつてを頼って虚偽申請に使ったんだろうと思われるんですけれども、われわれはきょうM子さん御本人に電話をしてみました。「取引主任のことが聞きたい。」、「会社に聞いてください。」と。おかしいんですね。会社に聞いてくださいと言うんだが、四月二十日にもうないわけでしょう。ところが御本人はどうもあると思っている。「会社はだれも出ない。」、「出るときには出るんですよ。そのことについては週刊誌にでたらめを書かれて迷惑しました。一切だれにも申し上げられません。」と。「でたらめというと何ですか。」と聞きましたら御本人は、「申し上げられません。」と言う。「それじゃ、だれに聞いたらいいのですか。」、「室町産業という会社です。東京都の人にも話をしたが何も申し上げられません。」と。「あなたは出社したことがあるんですか、出社していないようだが。」と聞いたら、「もう会社をやめました。」という御返事で、「いつやめたのですか。」と私の秘書が聞きましたら、「答える必要ありません。もう電話を切ります。」というので電話を切られたんです。  経過全体を考えてみますと、池田一雄という取引主任の方が死亡した、そうすると、とにかく何かしなきゃならぬというので、つてを頼って、御本人の承諾なしに虚偽の申請をした。それが週刊朝日に取り上げられ、また国会でも問題になった。逃れられないので廃業ということをしたんだと思うんですね。一度廃業したら、過去に宅建業法違反のどんな問題があっても一切建設省は関心なしで、そのままでいいという法律的な決まりになっているんですか。
  147. 吉田公二

    政府委員吉田公二君) ちょっと、先ほど申し上げましたのは、室町産業が解散したというわけではございません。
  148. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 廃業。
  149. 吉田公二

    政府委員吉田公二君) 廃業というのは宅地建物取引業を廃業したわけでございますから、会社自体がなくなったということを申し上げているわけではございませんで、この点は、東京都の方も宅地建物取引業の所管でございますので、会社そのものがどうかということについては東京都の報告では、ございません。  それから、宅地建物取引業法によります監督処分の規定ですが、「免許を受けた宅地建物取引業者が」云々ということになっております。それでまた、同法十一条によりますと、宅地建物取引業者の廃業等の届け出の規定でございますが、届け出があったときは、三条一項の免許はその効力を失うということになっておりまして、廃業の届け出とともに免許は効力を失うわけでございまして、監督処分の対象となる、あるいは検査でございますとか報告を求めるという権限を行使する対象は宅地建物取引業を営む者でございますので、法律上現に営んでいない者に対して強制的な調査をするという権限は、免許権者でなくなったわけでございますから、ないと思います。
  150. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 すでに免許がなくなったとしても、国会でも問題になり、かつて宅建業を営んでいた者について重大な疑惑があるということで、私は、この問題は証拠隠滅をしたんじゃないかと思います。  それから、何ら業を営んでいないのにそれが宅建業という看板だけ掲げていたということにもなると思います。東京都に再度先ほどの問い合わせをすることと同時に、建設省としてもこの問題の真相を明らかにする努力をしてほしいと思いますが、どうも局長は余り気が進まないようですけれども、大臣はいかがですか。大臣は、前回、私の趣旨に沿って善処したいという御答弁をいただきましたが、問題の解明の努力をぜひしていただきたいと思いますが。
  151. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) 新潟の方の問題につきましては、しばしば大変御熱心にお話がございますが、いま局長が申したとおりだと思うんでございまして、宅建業法の主管官庁が、宅建業法上の権限をある程度分担しておる東京都を使いまして調査をいたしました結果が、宅建業を廃止したという報告でございますから、なかなか建設省も忙しいので、それ以上いろいろとこの上調査をするということは実際上無理な点も多かろうというふうに考えております。御理解をいただきたいと思います。
  152. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 理解をしません。東京郡に先ほどの点を、とにかくまず、先ほどの答弁どおり、ひとつ局長、やっていただきたいと思います。
  153. 吉田公二

    政府委員吉田公二君) すでに調査した事項の中で、調査がされてあって、その中身について私どもの方に報告が脱漏しているものがもしあるとすれば、それについては調べたいと思います。
  154. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それではこの問題、大臣から御熱心という評価をいただきましたけれども、なお熱心に今後とも追及したいと思います。  次に法律の問題ですが、まず治水五カ年計画の問題について。  第五次五カ年計画の達成率一〇〇%となっております。私は、五年前の当委員会でのときにもこれは問題にしたんですけれども、事業費では一〇〇%達成率になっているけれども、事業そのものについてはどうも一〇〇%には行っていないわけであります。整備目標とその実績は、五カ年計画では結局どういう数字だったでしょうか。
  155. 川本正知

    政府委員川本正知君) 第五次の五カ年計画整備目標実績というおただしでございますが、大河川につきまして、第五次の五カ年計画では五二%を六〇%まで上げるという目標で立てたわけでございますが、五十六年度末の実績といいますか現況の整備率でございますが、これは五八%でございます。  中小河川につきましては、時間雨量五十ミリメートルの降雨に対する整備率を指標としておりますけれども、これが第五次では一四%から二〇%に上げる計画でございましたが、五十六年度末の実績は一八%でございます。  あと、砂防施設につきましては、基本施設につきましては三七%を五〇%に上げるという計画が、実績は四八%でございます。  地域防災の砂防施設につきましては、九%を一五%まであげるということに対しまして、実績が一四%でございます。  また、水資源開発でございますが、これは第五次五カ年では年間三十八億トンを開発するという計画目標でございましたが、実績は年間開発量二十四億トンということになっております。
  156. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大河川、この基本施設と中小河川地域防災施設を見てみますと、いまの数字ですと五二%を六〇%以上にしたい、八%以上上げたいというところが、実績五八%ですから、六%だけ完成した。そうすると達成率は七五%ですね。四分の三です。中小河川については、一四%から二〇%に六%上げたいと考えていたところが一八%だったので、達成率は六%に対して四%で三分の二ということだと思うんです。五年前にお聞きしたときには、第四次については事業実績で進捗率六割、私はそのとき、今度もせいぜい七割程度じゃないかということを申し上げたんですけれども、やはり大河川で七五%、中小河川で六六%ぐらいですね、そういうことになったと思うんです。五年前には、事業費では一〇〇%になるのになぜこういうことになるのか、やっぱり物価上昇が原因なんだというお話でした。当時、長谷川建設大臣も私の質問に対して、物価の上昇率を見て計算しなければならない、当然だ、そういうものを基礎に置いて積算していくつもりだと答弁されたんですけれども、第五次についても同じような経過をたどっているわけです。  それで、私が不思議に思いますのは、前回は、大蔵省の西垣主計官にも来てもらって、予備費をなぜ使わないのかと言ったら、大蔵省主計官は、予備費は使えるんだという答弁があった。これまで五カ年計画でいつも予備費を計上されて一切使っていないわけです。今回も五カ年で五千八百億円の予備費が計上されていたのにまるっきり使っていない、予算化しなかったわけです。しかし、事業の達成率は七割程度だということになると、なぜ使わなかったのかと思うんですが、第六次について九千九百億円の今度は調整費というものが計上されているんですが、今後もこういうことを繰り返していくんですか。整備目標をパーセントを決めておいて実際には六、七割で済んでしまう、それは物価上昇のおかげだ、予備費調整費は何ら使わない。このことについて振り返ってみてどういう総括をなさっておられるのか、お伺いします。
  157. 川本正知

    政府委員川本正知君) 第五次の五カ年が達成率が悪かったのは物価上昇が原因だろうという御指摘でございました。第五次五カ年計画は、先生おっしゃいましたように、名目値では達成率が一〇〇%になっておるわけでございますが、いわゆる物価上昇、デフレーターのみでまいりますと達成率が八一%ということでございました。実際の物価上昇の影響というものはそういった数字であらわれておるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げたように、大河川で八%の上昇を予定しておったのに、実際の上昇は六%で二%の未達成量があるじゃないかという御指摘は事実そのとおりでございまして、その未達成の内容を分析いたしますと、原因のほぼ半分近く、四割強が物価上昇によるものでございました。残りの五割強といったものは、大河川の場合災害等によりまして護岸の補強というものが非常にウエートが高くなってまいりました。当初はそれほど考えていなかったことも事実であったわけでございますが、護岸の整備を促進いたしまして堤防の質的強化ということを重点的に推進してきたがために割り高になったということが現実としてございます。  それから、中小河川について未達成量があるということでございますが、中小河川の未達成量が生じました原因は、この場合は物価上昇の影響というものが約八割程度を占めておりました。残りの二割が都市河川におきます仮設備の増ということがございました。特に中小河川の中で都市河川だけを取り出しましてそういった分析をしてみますと、未達成量の生じた原因の六割ぐらいが物価上昇でございまして、残り四割が仮設備の費用が増大した、都市の中で、市街地の真っただ中で工事をやるということから公害問題あるいは安全問題、そういったもののための仮設備が増大した影響があるということでございます。  物価上昇の問題につきまして、第六次五計についても同じようなことなのかということでございますけれども、第六次五カ年計画におきましても十一兆二千億円という総投資規模、これは五十六年度の価格で出しておるわけでございます。この五カ年計画のもとになります新計画というものが新経済社会七カ年計画でございまして、この場合におきましても、二百四十兆円という総投資規模公共投資を行うという新計画があるわけでございますが、この二百四十兆円につきましても、これは五十四年度からの七カ年でございましたが、その前年の五十三年度価格によって設定しておるということでございまして、昨年もいろいろと新しい五カ年計画がスタートいたしましたが、それぞれの五カ年計画におきましてもやはり前年の価格を基礎としておるというところでございまして、物価の変動というものを見込むということは年々の事業費の変動というものも仮定しなきゃいかぬし、また物価の年々上昇率も仮定しなきゃいかぬ、きわめて仮定が多くて不確定な要素が多いものでございますから、先ほど申し上げたような中期計画につきましては前年度価格で設定するというルールになっております。新しい第六次の五カ年計画についてもそういうやり方でやっておるところでございます。
  158. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 予備費はなぜ……。
  159. 川本正知

    政府委員川本正知君) 予備費につきましては、第二次の治水事業の五カ年計画から予備費というものが設定されておるわけでございまして、先生御指摘のように、いままで全然使われたケースはございません。予備費というものは性格といたしまして、計画当初に想定もしなかった大変な事態でも起きない限り——そういったものが起きれば使うというような性格のものでございまして、今度新しく入りました、予備費ではなくて調整費という額で入っておりますけれども、この調整費というものは経済情勢あるいは財政事情の変化、事業進捗状況といったものに応じて弾力的に運用ができる、予備費よりは幅広い運用が図られるものというふうに私ども理解しておりまして、そういう性格でございますので、今後の環境の情勢の変化に対応した的確な運用を考えていかなければならないというふうに思っておるところでございます。
  160. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 答弁はなるべく簡単にしてほしいんです、時間がございませんので。  繰り返しになりますけれども、五年前に大蔵省に聞いたときには、予備費は「急いで治水整備水準を上げなくちゃならない要請が強まってきたとか、あるいは開発が急速に進んで、その結果として治水整備を進めなくちゃならないとか、そういった事情を考えたものだ」と言っているんです。何も突発的な大変なことが起きた場合とは言っていない、大変な場合は災害復旧で別の費用があるわけですから。大体整備目標の三分の二あるいは四分の三しか進んでいないんだから。しかし洪水もいろいろあるわけですので、これは整備目標を上げるどころか未達成なんだから、予備費を当然使えるケースだと思うんです。余り遠慮しないで建設大臣予備費の使用を進めてほしいと思うんです。これまでまるっきり使ってこなかった、いよいよ財政再建で今度はマイナスシーリングで全く使えないというようなことに弱腰だと、なおなるので、やっぱり国民の要望にこの五カ年計画についてはこたえていただきたい。  じゃ第六次五カ年計画整備目標はどうやって設定するんですか、内容です。
  161. 川本正知

    政府委員川本正知君) 第六次五カ年計画整備目標につきましては、現在鋭意作業中でございますので、正確なことを申し上げられる段階ではございませんけれども、私どもといたしましては、十一兆二千億の総投資規模の中で八兆二千五百億円が治水投資、治水事業ということになっております。そういったものを河川ダム、砂防、そういったものにいろんな要素を勘案いたしまして適正な配分をいたします。こういった作業をこれからやるわけでございまして、そういったものに応じて実際のいままでの河川改修実績単価……
  162. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そういうことはわかっていますけれども、パーセンテージなんか決まるのかどうか、簡単に答えてください。
  163. 川本正知

    政府委員川本正知君) はい。整備率の話でございましたら、それは大河川につきまして、たとえて申し上げますと、五カ年の最終見込みが六三%程度目標として、いま現在作業をしております。  中小河川につきましては、一八%を二五%まで上げる、その中の都市河川につきましては、三八%の現在の整備率を五三%ぐらいに上げるといった目標を一応考えて作業を進めておるところでございます。
  164. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 少し飛ばします。  いま中小河川都市河川の問題もちょっと触れられましたが、おくれの原因。その総合治水対策問題で私、昨年の十月九日に練馬に行って調べた問題を昨年の十一月二十六日の当委員会でもちょっと聞いたんですが、こういう総合治水対策、特に流域対策で、流出率がかつて一割だったのが三割にもなっているということが大問題になっているわけなんだが、この流域で、総合治水対策の流域対策として多目的な調整池だとか、あるいは団地の間の貯留、校庭の貯留とか、各戸の貯留、あるいは透水性舗装だとか、さまざまな施策があります。これについて五十二年六月十日の河川審議会の中間答申でも、こういう根幹にかかわる問題の詳細な検討が必要だということを述べているんですけれども、都市河川のこういう総合治水対策を進める上で、道路の舗装問題だとか棟間貯留を進めるとかいう法的な、たとえば新規立法とかあるいは法改正だとか、そういうことをすれば済むんじゃないかと思うんですが、そういう検討は建設省でしておりませんか。
  165. 川本正知

    政府委員川本正知君) 総合治水対策といたしましては、河川サイドでは治水施設整備の促進ということは当然考えなきゃいかぬわけでございまして、その中に先生おっしゃいました流域での洪水の流出抑制といったことでいろいろと遊水地対策、多目的の遊水地であるとか治水緑地であるとか防災調節池であるとか……
  166. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、それはわかっているんだ、時間がないんで……
  167. 川本正知

    政府委員川本正知君) 雨水貯留とか、いろいろな遊水地対策を図っております。
  168. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 立法措置をやる必要があるかどうかだけ答えてください。
  169. 川本正知

    政府委員川本正知君) 一方、棟間貯留であるとか校庭貯留であるとか、河川サイドで直接河川事業にならない対策がございます。そういったものにつきましては、総合治水対策の一環といたしまして各流域ごとにつくっております対策協議会の中で十分協議をして、コンセンサスを得て流域整備計画に乗せておるわけでございまして、そういった協議会の合意のもとで各種の施策を進めることにしておりまして、そういった協議会を十分活用いたしまして、われわれとしては総合治水対策の推進を図ってまいりたいということを考えておるわけでございます。  法律の問題につきましては、そういったことから河川事業ということそのものではございませんし、いろいろな角度からそれを十分検討を重ねなければいけないというふうに考えておりまして、必要となれば制度等を充実させる等の措置も今後考えてまいりたいと思っております。
  170. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もうあと六分しかないので、治山五カ年計画のことを農水省の方が見えておりますのでちょっとお伺いしたいと思います。  私、昨年の秋に檜原村や奥多摩町、それから東京都の西多摩事務所などへ調査に参ったんですが、大変驚いたんです、森林荒廃、特に三多摩地域森林組合あるいは町村、それから東京都が非常に苦しみ憂えている実態に触れたんです。  ここに東京都森林組合連合会の「林業振興対策に関する請願書」がありますが、これを見ると、もう消滅の危機にある、このままいくと植栽木はもうくず藤の山に化けそうだということを嘆いている。  東京都の西多摩経済事務所の林務課の方も、昔は奥多摩を一日歩いているとあちらこちらで木を切っていた、いまは一日歩いても一カ所もぶつからないということを嘆いておられた。  東京都は全国の中でも特にひどいようですけれども、そのとき西多摩経済事務所の林務課の方は原因として二つ挙げられました。  一つは外材の輸入です。これももうきょう時間がございませんが、昭和三十八年に外材の輸入が自由化されてから、かつて九〇%近くあった材木の自給率がいまではもう三〇%というところまで落ち込んできているわけであります、これは貿易摩擦の一つの問題だと思いますけれども。  二番目に挙げられたのは間伐材、つまりヒノキや杉の間引きですけれども、それがもうまるっきりできなくなっちゃったということを指摘していました。それから林道の問題もあるんですけれども、材木の値下がり、三十年か四十年たった杉が、去年聞いたときは一本千円だったと言っていたけれども、ことし聞きましたら、もう千円も割っている。そんな値段では間伐して、運搬費、切り出し人に物すごく金がかかるのでだれもやらないということで、だからもう間伐ができなくなって山が放置されているということです。  林業白書を見ましても、日本全国の間伐の必要になっている山が四百七十五万ヘクタールある、そのうち公私有林については間伐を必要とする森林面積が百九十三万ヘクタールになっている、ところが年間十万から十五万ヘクタール程度しか間伐していないという大変な数字があるわけです。こういうことを考えますと、治山五カ年計画で第六次が出ているんですけれども、林業白書にも書かれているような林業についての産業対策をやらないと、資源対策そのものもどうも崩壊するという非常にむずかしい状況に立ち至っているように思うんです。私も急速林業白書を少し拝見さしていただいたんですけれども、なかなか大変な状況にある。  先日、サンケイ新聞四月十一日で、信州大学の只木教授がこの間伐問題を非常に重視されて、政府資金を突っ込んでもやるべきじゃないかということも指摘されておられる。やっぱり治山五カ年計画を進めるためにも、そういう間伐問題なども含めた林業に対する産業政策を考えなきゃならぬ、国全体の施策として大変大事なところに来ているのではないかと考えるんですけれども、そこは林野庁としてどういう方針、政策でこの森林の問題、林業の問題を進めようとしておられるのか、お伺いしたいと思います。
  171. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 林業問題につきましては、先生御指摘のとおり現在大変停滞でございます。まずは木材需要の面から見ますと、五十六年ついに一億立米を切りまして、建築着工戸数も百十五万戸というようなことになっていまして、非常に需要も低迷しています。  一方におきまして、いま御指摘のとおり問題の一点は間伐でございますが、わが国の人工造林の大半が戦後でございまして、したがいましてちょうどそれが間伐適齢期に入っていまして、これを積極的に進めることが健全な森林をつくる上にきわめて不可欠な問題であります。そこで、問題点につきまして見てまいりますと、やはり林道、作業道というような搬出の関係の密度が非常に少ないということ、それから間伐材そのものが、いまお話がございましたように、一般材に比べまして割り高になるというような問題、さらにはこの間伐材が計画的に大量に出てまいりませんと需要側でもなかなか利用開発の面で取り組みがたいというような問題、それから間伐の未経験者等も多いというようなこともございまして、私どもは五十六年から間伐総合対策というようなことで、林道ももちろん計画しますが、さらに間伐を組織的にできる体制整備、それからさらにはそれを利用開発するにはどうやったらいいか、それから間伐を進めるに当たりまして集団的に、団地的に進めていくにはどうしたらいいかという問題。  それからもう一つ、いま先生御指摘がございましたが、間伐の促進のための資金を考えなければならぬという問題がございまして、昨年からそういう総合対策を、昨年は五十四億ほど使いましてやり、さらにことしも同程度の金額をこれに投入いたしまして進めてまいっておるところでございまして、特にことしは、需要者側と生産者側がリンクした情報がうまくかみ合いませんとまずいものですから、そういうふうな情報システムを開発すると同時に、間伐専門の国産材産業振興資金を五十億ほど予定しまして、それをそれに投入するというふうなことでこれは鋭意やっております。まだ始めましてことしで二年目でございますので、さらにこういう面で積極的に進めながら、二十一世紀に向けましての健全な森林造成をするということに私ども最大限努力をしなければならぬと思っております。  もう一点、これとの関係で重要なことは、農山村の過疎化問題が絡みますので、私どもといたしましては、やはり山村の定住条件整備という面からこの問題について取り組まなければならぬということで、ことしも、特用林産が最近は三千億産業になりまして、山村の非常にこれは大きな重要な産業になっておりますので、そういうものと長期の林業をうまくかみ合わせながら地域の定住条件を整備する。また、治山事業におきましても、総合的に重点を決めまして定住条件を整備するような方向に持っていくとか、いろいろそういう面での対応を積極的にこれから取り組んでまいろうと思っております。  もう一点、外材との関係でございますが、確かに御指摘のとおり、私どものいまの日本の森林の構成条件から見てまいりますと、まだまだ伐期到達する以前の林分が多うございます。したがいまして、ここ当分の間は外材に相当程度依存しなければならぬと考えておりますが、問題はやはり安定的に計画的に入れる方法が一番重要でございますので、現在は四半期別に関係の分野の方々を集めて、短期に比較的確度の高い需要を把握しながら計画的に外材を入れていく。同時にもっと必要なことは、国産材の供給体制を整備する必要がございますので、間伐材を中心に、もちろん含めましての国産材の生産計画をもっと的確にしながら、上流から下流まで含めましたその流通加工体制を整備しなきゃならぬということで、これも五十七年度は相当重点を置いて取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
  172. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この問題は大きく言いますと、大石元環境庁長官は、人類絶滅の危険というのは、一つは核戦争で、一つは森林の破壊だということまで強調されておりますし、そういう人類の生存にもかかわる。同時にこの国産材問題などは、私ども建設委員会として非常に関心の多い建設業、ということとも非常につながりがあります。そういう大事な問題ですので、ぜひ林野庁としても、非常に重大な状況なので、ひとつ抜本的な問題まで踏み込んで前向きの政策を進めていただきたいと思いますが、その要望を述べて質問を終わります。
  173. 栗林卓司

    栗林卓司君 まず、治山事業五カ年計画からお尋ねをいたしたいと思います。  第六次五カ年計画の御提案でありますが、第五次を振り返りまして、達成率は一応金額で見ますと九八%ということになっておるわけですが、実際には物価の値上がり等あるわけでありますから、実際の事業実態というのは九八よりもっと下回って、七割かあるいは八割かということだろうと思います。それも含めながら、五カ年計画を振り返っての実績についてどういう評価をお持ちなのか、まずお尋ねしたいと思います。
  174. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 第五次の治山五カ年計画におきましては、達成率は九八%ございますが、先生御指摘のとおり、物価の上昇等を見てまいりますと、七七%の達成率になっておるわけでございます。  私どもこの五年間の実行経過を見ますと、山地災害も大変その後ふえておりますし、水資源の涵養、水需要というものがきわめて重要になってまいりまして、水源林地帯の整備拡充をしなければならぬ、さらには、都市周辺の自然環境保全との絡みにおきまして、やはり保健保安林等の整備をしなければならぬというふうに、きわめてニーズが高うございます。  したがいまして、私ども過去の五年間の実績を踏まえまして、今後の五カ年間におきましては、今回の予定しました計画量をぜひとも計画どおりに進めてまいりたいという気持ちで取り組んでおるところでございます。
  175. 栗林卓司

    栗林卓司君 年度別の数字を拝見しますと、五十四年度が二千百九十四億、五十五年度が二千百六十九億、五十六年度が二千百七十七億、五十七年度が二千百七十三億、ずっと横ばいで続いているわけですね。これは恐らく公共事業の抑制という点からこうなったのか、あるいはその他の事情があったのか、ひとつお答えいただきたいことと、今回の五カ年計画ですと、五十七年から五十八、五十九、六十、六十一、ずっとしり上がりに年度別の事業費がふえております。いまの森林の育成に対して先行投資をしなければいけない事情等を考えますと、しり上がりに伸びていくというのはちょっとぴんとこない。むしろ思い切って各年度力いっぱい資本投下をしながら将来の効果を期待していくという方が予想に合うんですが、先ほどの質問とあわせてこの辺はどういうことなんでしょうか。
  176. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 第一年次の本年におきましては、当初の計画を若干下回りまして二千百七十三億円でございまして、進捗率は一四・八%というふうなことでございます。したがいまして、非常にこれからも財政事情は厳しい中でございますが、私どもといたしましては、先ほど申しましたような非常に要請も高うございますので、財政事情等も勘案しながらこのような計画をつくったわけでございますが、五年間におきましてはぜひとも達成したいということで、最大限努力をしたいと考えております。
  177. 栗林卓司

    栗林卓司君 ちょっとイロハのことを伺いたいんですが、五十七年度二千百七十三億、治山会計を見ますと、治山勘定は五十七年度で千五百二十四億、そうすると、この差額というのは国有林野事業特別会計の方から出ているということなんでしょうか。
  178. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私が最初触れました二千百七十三億円は、これは国有林、民有林のトータルでございますが、そのうち民有林が一千七百九十億、それから国有林が三百八十三億と、かようになっておるわけでございます。
  179. 栗林卓司

    栗林卓司君 その国有林の方は国有林野事業特別会計の中で支弁をしている、そういうことでしょうか。
  180. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 国有林の中では、これは治山勘定で仕事をしているわけでございますが、やはり民有林の治山事業と同様に、約三分の二は一般会計からの導入でございまして、残りの部分につきまして国有林野事業事業費からそれを実施しておるわけでございます。
  181. 栗林卓司

    栗林卓司君 ちょっとよくわからないんですけれど、民間の治山事業の場合、三分の二は国の補助ですね、残り三分の一は地方公共団体の負担となっておりますけれども、国有林野の場合には、三分の二相当の補助が出るとして、残り三分の一は国有林野事業特別会計の中から支弁をしろということになっておるわけですね。
  182. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) ほぼそういうことでございます。ほぼと申しますのは、後進地域差額の計数もふえておりますので三分の二より若干上回るわけであります、約七割でございますので、残りの三割が国有林野事業の資金からこれを賄っておるところであります。
  183. 栗林卓司

    栗林卓司君 そうしますと、国有林野事業特別会計というのは、御承知のとおり千億を超える赤字が出ておりまして、その赤字の穴埋めというのは財投の資金で埋めているわけです。そうなりますと、三分の一は国有林野事業特別会計の中から出しなさいと言っても、事実上は赤字であるわけですから、結局財投の資金で埋めなければいかぬ。いわば借金を使って治山事業を進めている。いいかどうかは別にして、ありようはそうですね。借金を使って治山事業、言い直しますと森林造成事業を進めるというのは、森林というのは、恐らく成木が一人前になるためには相当の時間がかかる。というと、七%そこそこの金利をしょったもので穴埋めをしてまいりますと、その金利支払い分だけでもなかなか容易ならざる額になる。となってくると、国有林野事業そのものが立ち行かなくなるんではないでしょうか。一方民有林はどうかといいますと、三分の二は国家補助、残り三分の一は地方公共団体等となっているんですが、地方公共団体のファイナンスはどうなっているかというと、やはり起債に頼っている場合が多い。したがって、大づかみに言いますと、国有林も民有林も三分の二は国の方から一般会計で出るとして、残り三分の一は起債あるいは財投資金、こういう資金の融通のつけ方で林野事業というのは成り立つんでしょうか。
  184. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 現在財投資金から借用しております金、五十七年度で申しますと一千七百億円でございますが、これは林道と造林の投資資金に借用しているわけでございます。したがいまして、これはたしか金利七・三%でございますが、将来投資いたしました造林、それから林道、これは基盤整備でございますから、いずれ将来において経営改善をもちろん実施するわけでございますが、その過程におきまして返還するということで現在計画しておるわけでございまして、治山事業の約三割に相当する部分につきましては財投資金の借用からは充当しておりません。
  185. 栗林卓司

    栗林卓司君 第六次治山事業五カ年計画は、総額一兆七千六百億円でありますが、これに見合う地方自治体の負担というのは一体幾らになると想像されているんですか。
  186. 鈴木郁雄

    説明員(鈴木郁雄君) 約三分の一は地方自治体の負担になります。
  187. 栗林卓司

    栗林卓司君 どうお尋ねしていいかちょっと迷っているんですが、第六次の計画を見ますと大きく三項目に分かれておりまして、「国土の安全性の向上」、「森林の水源かん養機能拡充強化」、「生活環境の保全・形成」。国土の安全性の向上森林水源涵養機能拡充強化、生活環境の保全、形成というと、いかにも一般的に聞こえるんですが、具体的にある森林が果たす役割りと見てまいりますと、この受益グループというのは全国民ではなくて、ある特定の地域にある森林を造成することによる、あるいは森林を保全することによる受益関係というのが成り立ちますね。恐らく地方公共団体が三分の一を持つというのは、そういう受益関係を頭に入れて負担をするという考え方が基礎にあると考えて間違いないでしょうか。
  188. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 受益関係につきましては、やはり特定はできないと思います。と申しますのは、水源涵養保安林等の森林造成になりますと、たとえば利根川地区で申し上げますと、奥地の群馬県で造林された部分が下流、東京都までずっとそれの影響が出てまいりますし、土砂流出等におきましても同様なことが言えますので、受益者を特定するというのは非常にむずかしいと思います。ただし、現在治山事業におきまして三分の一を県が負担するというのは、県内で広くというふうな意味で、受益者が不特定と申しますか、範囲で受益されますので、三分の一を県が持つというような形をとっているわけでございます。
  189. 栗林卓司

    栗林卓司君 それは国有林の場合に財投資金で三分の一をいま埋めてはいるんですけれども、本当は大きな意味では、特定はできないけれども、広い意味の受益関係というのは広がっていることは事実だと思います。  そこで、水源涵養林をたとえば考えてみた場合に、水系がありますね、そうすると下流の住民、これも特定することはむずかしいんですが、いわばその人たちに負担をしてもらう。負担をしてもらいながらその森林を維持していくというのは、考え方としては間違ったことではない。そうなりますと、森林というのは山奥にある場合が多いのだけれども、その森林というものと、たとえば下流水域の農工業あるいは都市住民も含めて、それとのある結びつきというものは生まれてきますし、それは負担の面でも、あるいは森林がそういった形で存在しているのだという価値観の面でも、そういった結びつきを常に持っておくことが基本的に必要なんじゃないか。したがって、それが実際の費用負担としてどう制度に乗るかどうかは別にして、もともと森林というのはある水系の水源涵養機能がある、これはもう森林の持つ第一の機能であるといたしましたら、その負担もまた下流住民に求めていく、どう求めるかは別ですよ、考え方として、求めていくのが本来の筋道ではないか、全部とは言いません、という考え方についてはいかがですか。
  190. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 私は基本的には、いま先生御指摘の造林の一部につきまして下流の方々に負担していただくという考え方は、やはり将来方向としては必要な考え方だと思っております。  そこで、林野庁におきましてもそういう基本的な考えに立ちまして、これまで森林造成維持の費用分担の推進調査とか、あるいは分担実地調査とか、さらには公益的な機能の、これから進めるに当たりまして森林所有者が受益をする範囲というものはどういうものであるかという調査を四十八年以来現在までいろいろとやってまいっています。  そこで、問題になりますのは、やはりどの部分は受益させるか、また受益の範囲はどこにするかという非常にむずかしい面がたくさんございまして、現在これらにつきましてはいわゆる公益的機能の定量化問題、それから各種受益関係をどう明確化するかという問題、さらに特定化するかという問題、そういう問題につきましてこれは詰めていかなければならぬということでやっておりますが、基本的にはそういう、さっき触れました下流の皆さんが一部負担をしていただくという考え方で進むべきだろうと思いますし、すでに木曽三川におきまして、あるいは琵琶湖周辺におきまして、さらには福岡県におきまして、それぞれ下流の方々が造林資金の一部を負担するという形では出てまいっておりますので、そういうものもこれから十分検討しながら、ひとつさらに前向きで進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  191. 栗林卓司

    栗林卓司君 農業とか漁業というものを考えますと、わりあいと目に触れることの多い産業なものですから、その変化もよくわかるし、ああそうか、だんだんと二種兼業農家がふえてきたのかとかということも目に触れるのだけれども、林業となりますと、特に都会地に住んでいる、しかもいま、まごまごすると国民の半数近くが都会地に生活をしなければいかぬという状態であるわけですが、都会地にいると、その暮らしと森林というのは実は深く結びついているんだけど、それはなかなかそう言われないと実感として感じられないという面はどうしてもあると思うんです。  そこで、国民に対する林業の教育というとおこがましいんだけど、そういったものとして林業があるんです、しかも、これは一朝一夕には育たないんです、長い時間をかけてやらなければいけないんですということを国民教育の一環として本当はもっとする必要がありますし、それが浸透してくると、財源事情がどうあろうともこの計画はびた一文削るわけにはいかない。いわば年度単位の判断で動かすわけにいかないのが実は林業の問題である。治山五カ年計画というのは、いろいろ言っておりますけれども、中身は森林の問題でしょう。  文部省においでいただいていると思うんだけど、以上の前置きを置きながら、実は私も聞いてびっくりしたんだけど、小学校の教科書から林業という言葉が消えたんです。農業、漁業はある。恐らくこれは社会科だろうと思うんだけど、なぜこれが小学校の教科書から消えたんですか。
  192. 熱海則夫

    説明員(熱海則夫君) お答え申し上げます。  ただいま小学校の教科書から林業が消えたというお話でございますが、これは若干誤解がございまして、少し扱い方が薄くなってはおりますけれども、いま社会科の教科書を出版している会社が六社ございまして、全部林業についても取り扱っております。ただ扱い方が、いままで五年生で集中的に扱っておったものが三年、四年、五年というふうに、多少ばらつきが出てきた。これは内容的に、実は今回の学習指導要領の改定に伴い教科書も改定されたわけですが、その中で、特に全体の知識の量が多過ぎるから減らせということ。その際、小中校の内容を一貫的に見まして、中学校は従来どおり取り扱っておりますけれども、小学校については若干やや重点を、農業、工業、それから水産業という形で、産業としての林業はそれぞれの地域実態に応じて取り扱うというようなことに変更をした結果、その扱い方が多少薄くなってはおりますけれども、いま申し上げましたように、教科書の記述から消えたということじゃなくって、すべての教科書が取り上げておることは事実でございます。
  193. 栗林卓司

    栗林卓司君 だけど、いまお答えのように薄くなったわけですね。それで、地域の実情によって多少差があってという問題として扱うにしては、実は森林問題というのはもっと大きな問題、もっと息の長い問題である。常に言っておかないと忘れてしまう問題。一遍森林が傷んでくると取り返しがつかないという意味では、ここで議論するつもりはありませんけど、もっと特筆大書をしながら、しかも国土面積の七割が森林である、そういった意味では恵まれていた日本なんですが、十分それを反映するようなことを考えながら、今度の改定はいつかわかりませんけど、ぜひその際にはお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  194. 熱海則夫

    説明員(熱海則夫君) ただいまお話し申し上げましたことは、特に林業ということに関して申し上げたわけですが、もちろん森林の公益的な機能とかそういった面については社会でも理科でも十分取り扱っているつもりでございますが、ただ林業の扱い方がそういうふうな形になった。ただこの点については、実は指導要領を補説する指導書というものを文部省が出しておりますが、それをつい最近、三月二十五日付で若干改定を加えたわけです。その中で、特に森林の部分についてまた新たに強調をしておりますので、なお取り扱い方が従来より手厚くなるというふうに考えております。
  195. 栗林卓司

    栗林卓司君 私が言っているのは、林業なくて森林は保全できるんでしょうか。だから、別なことを言っているんじゃないんです。やはりそこに働いて生活している林業従事者がいて初めて森林というのは保全、発展していくんであって、別物ではないんですということをぜひ学校教育の中から教えていただかないと、いまのお答えのように森林と林業はまるで別なんです、ほうっておけば森林になるんですと言わんばかりのお答えが出てくるんで、ぜひそれはよろしくお願いを申し上げたいと思います。  長官、いまの日本の林業の実態というのはまことに寒心すべき実態にございます。林業白書を拝見しますと、とにかく零細な林業経営者が大変ふえてきた。二十ヘクタール未満の林業経営がいま百六万、これも減りましてね。中規模、二十ヘクタールから百ヘクタールの林業をやっている方が、これは横ばいなんだ、五十五年が四万七千。それから大規模というのは百ヘクタール以上、これはわずかに三千五百戸。林業は、農業も同じですけれども、農業と似たようなかっこうになるんですね。問題は零細・小規模の林業経営者をどうしていくのかということだと思うんですが、そこで拝見すると、何となく農林省の中核農家じゃないけども、同じ発想でお考えになっている気がする。林業の場合にはこれは、しょせん規模の拡大が答えでしょうから、どういった形で規模の拡大に向かって進めておゆきになるのか、御方針を教えていただきたいと思います。
  196. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 日本の森林所有形態は、先生御指摘ございましたように、非常に零細の森林所有者の皆さんが多いわけでございます。しかしながら、これらの森林所有の皆さんは農業と林業を複合的に経営しながら家計を立てるというふうなパターンが多うございますので、私どもはやはり零細・小規模所有者は森林組合のような一つの組合に入りまして、一緒になりまして団地として協業で経営をしていくというような形に持っていくことが非常に重要だろうと思います。それによりまして生産活動が活発化し、また山村地域の定住条件が整備されまして、そこに林業を経営する皆さんの働く場が得られるわけでございますので、零細・小規模所有の方々はやはり森林組合を中心といたしまして、そういう形で指導していくことが大事だろうと考えております。また大規模につきましては、やはりそれなりの施業計画をつくりまして計画的に進めてまいる、こういうことで、形態別にそれぞれの指導目標をつくりながら進めてまいるというようなことで進めてまいりたいと思っております。
  197. 栗林卓司

    栗林卓司君 林業の場合には、従業者の高齢化問題が一つの大きな悩みの種です。それも考えながら、また、林業経営も相当の報酬がなければこれは全く魅力がない。そうすると、大規模化の方向へ行こう、林業組合つくると、そうこうしながら考えてまいりますと、ある効率のいい林業経営をどうやって実現するかという問題に私は逢着する気がするんです。そのときに不可欠なのは林道の整備です。現在の林道の整備状況は白書を拝見すると、五十六年三月で九万八千五百六十四キロメートル、これは開設延長ですが、これは森林資源に関する基本計画整備目標のわずか三六%です。林道がなかったら、それは間伐するといったって入るのに容易じゃないし、全体を見渡しながら少数人数で森林を管理するといってもなかなかできない。そうすると、いまの時期に思い切って林道整備というのは重点的に資金をつぎ込んで整備しなければいけないものの一つではないんでしょうか。
  198. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 先生御指摘のとおり、これからの林業経営を安定的に発展させるベースになりますのは、やはりそこに生産基盤が整備されることが第一条件でございます。生産基盤と申しますと林道、造林という問題でございます。まずそれが整備されることが重要でございますので、私どもも現在の林業関係事業を推進するに当たりましては、治山事業ももちろん重要でありますが、造林、林道というものを相当重点的に指向しながら、そこにおきまして今度は働く人の場を確保するという形で、たとえば特用林産と林業を組み合わせました特用林産村づくり事業とか、そういうふうな形で定住条件を整備することで進めてまいりたい、かように考えております。
  199. 栗林卓司

    栗林卓司君 すると、第六次五カ年計画で、いま五十六年三月で整備目標が三六%、これは今度の五カ年計画が終わった段階では目標の何%までいくんですか。
  200. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) いまのお尋ねは治山ではなくて林道でございますね。  現在、林道計画につきましては毎年ほぼ三千ないし三千四百キロメーターずつ実施しております。今後におきましては、大体一万五千キロが五年間のほぼ計画でございますので、できるだけこの五年間の一万五千キロをさらに延ばすように今後進めてまいりたい、私どもはかように考えております。
  201. 栗林卓司

    栗林卓司君 ぜひそれはよろしくお願い申し上げたいと思います。  五年間で一万五千キロですと四十数%になるわけですから、とてもまだまだはかがいかないんでね。森林というのは、総体にやっぱりお金を食うものだとは思います、時期によっては。やがて木が育ってきて、それが市況の好転と相まって用材がどんどん売れるということになれば、それはまた林業も活況を呈するということもあり得るでしょうけれども、それは林業の大きな波の中の一つのいい時期であって、ある時期になると植林ばかりしていなきゃだめだということもあるでしょうし、だからある時期には相当お金を食う、それを覚悟した上で、じゃ林業政策をどうしていくのか、それをベースにした治山五カ年計画をどうするのかという息の長い展望を持った仕事をぜひお願いしたいと思います。  それで、ちょっと話が細かくなるんですが、マツクイムシがございましたね。マツクイムシの被害の進展状況というのは、まだとまってはいないんだけれども、とりあえず先般特別措置法が決まりました。一応現状なんだけれども、マツクイムシ被害によって治山能力が低下したということはあるんでしょうか。
  202. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 昭和五十三年以来、マツクイムシ被害がしょうけつをきわめまして、現在毎年二百万立方メートルぐらいの実は被害が出てまいっております。極力、これにつきましては努力し、終息方に持っていくということでやってまいったわけでございますが、その成果が十分でなくて、先生いまお話しのとおり、五十七年度を第一年度としますところの松くい虫防除特別措置法の五年間の延長をお認めいただいたわけでございます。  そこで、私どもその一環といたしましてすでに保安林等におきまして、マツクイムシの被害によりまして崩壊のおそれのある地域等もございますので、それにつきましては、マツクイムシ被害保安林等の復旧並びに崩壊防止というようなことで治山事業を進めておりますが、これにつきましては、五十七年度におきましては対前年比一一二・五%の十四億円を計上しておりまして、マツクイムシ被害によりますところの治山の崩壊の起こらぬように万全を期してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  203. 栗林卓司

    栗林卓司君 それで、マツクイムシの問題も含めて治山対策を進めますね。というと、堰堤をつくる、いろんな対策があります。そうすると、いままでもう山が崩れそうで何となく危なかったところが安全になるわけです。安全になるとそこが宅地化します。宅地化しますと、人が出入りしますから森林は後退してまいります。これは実際に堰堤をつくる治山事業を進めている者の気持ちとすると、非常に割り切れないものがあるんだそうですね。もともとは森林を守りながら、荒廃したところについては堰堤をつくりながらやっているんだけれども、やってよくなると市街地がどかっと攻めてくる。やっぱりどこかで土地の利用規制みたいなものが、治山計画を進める面でも必要なんではないかということを私はよく聞くんだけれども、この辺についてはどうお感じですか。
  204. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 治山施設を行いましたところは、原則として御承知のとおり保安林に全部編入いたします。それから普通林地におきましても昭和四十九年に森林法の改正をいたしまして、林地の開発許可制度というものを設けております。それでこの許可制度は、ねらいといたしますところは、やはり無秩序な森林の開発があってはならないという観点に立ちまして、土砂の崩壊あるいは流出のおそれのあるところはもちろん許可しない。それから水の確保に著しい支障を及ぼすおそれのある場合には許可しない。ない場合において許可する。それから環境に著しい変化をさせるおそれがないという場合に許可するというようなことでございまして、やはり治山施設をし、保安林をよりよい状態に完備すると同時に、いま申しましたような三つの点から、重要なところについては十分配慮した森林の取り扱いを今後ともしてまいりたい、かように考えております。
  205. 栗林卓司

    栗林卓司君 その許可はだれがするんですか。
  206. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 都道府県知事でございます。
  207. 栗林卓司

    栗林卓司君 実はそこに本当は問題があるんです。この間またシラス台地等についての議員立法の臨時措置法の期間延長がありましたけれども、聞いてみると、そこはもう家を建てちゃだめなんだ、だけれども建っちゃっているものだから、ここは保全してくれないと困るのだという要請が大分あって、それも全部ではありませんけれども、期間延長を求める有力な理由の一つなんですという話がありましたけれども、もともとシラスという特殊な土壌地帯をいかにして保全するかという立法の趣旨から言うと、これは建ててはいけないところですからもともとおかしい。その許可というのは都道府県知事が出すんですが、そこで果たして、いまお考えのようなことを十分配慮しながらその許可が出ているであろうか。というとなかなかそうではないというので、恐らくいろんな声になって私のところにも来たように、あるんでしょう。それは都道府県知事の許可で差し支えないんですけれども、これは全体を見ながら、一つの基準を明確に決めた方がやりやすいんじゃないかということがあるかどうか、一度これはぜひ御検討をいただきたいと思います。  最後に一点だけお尋ねします。  国有林野事業別会計のいわゆる赤字問題、この赤字の性格に対して長官はどうお感じですか。というのは、赤字が出てまことに申しわけないという角度なのか、いや、これはいまの国有林野事業段階では赤字はやむを得ないんですということなのか、ごく大ざっぱに分けていきますとどちらの立場でこの問題をごらんになっていますか。
  208. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 現在の国有林野事業につきましては、損益計算上赤字になっているわけでございます。  これの原因につきまして見てまいりますと、戦後三十六、七年から四十二、三年にかけましてまだ外材がなかなか入ってこない状況段階におきまして、わが国の木材需要が相当高まりまして、やはり国の森林として国民の要請にこたえなければならぬという面で伐採してまいった経緯がございます。そういう面から最近資源事情が悪くなったという面がございますが、一方におきまして、森林に対する要請の多様化と申しますか、木材生産だけじゃなくて水資源涵養、自然環境保全その他の要請も高まってまいっておりまして、私どもといたしましては、そういう中におきましてまた地域の農山村の振興にも寄与しなければならぬというふうな要請もございます。  これらの目的を達成するためには、やはり高度成長期に組織的にもこれが大きくなった経緯もございますので、昭和五十三年に国有林野事業改善特別措置法という法律をつくりまして、以来組織の改善、合理化、要員の適正化、さらに販売の努力、その他生産性の向上等もございますが、鋭意経営の改善に努力しながら、一方におきまして、やはり当面は木材価格も低迷しまして収入も落ちてまいっておりますので、自主的努力をすることを大前提といたしまして、一方、一般会計からの資金の繰り入れ、さらには財投資金を導入いたしまして、できるだけ早い状態におきまして国有林の経営の健全性に努力するということで、現在鋭意その努力をしてまいっているところでございます。  したがいまして、現在私どもは財投資金によりまして、また一般会計からの繰り入れによりまして造林あるいは林道を開設しておるわけでございます。これらはいま赤字でございますけれども、いずれは資源として戻ってまいり、また、国民の皆さんなり地域の皆さんにその森林造成を通じましてこれが貢献できる場がございますので、いまは私どもといたしましては、鋭意経営改善に努力し、また森林造成に努力しながら、非常に苦しい経営内容でありますけれども努力してまいるということでございますので、右か左かと言われますと非常にむずかしいわけでございまして、まずは健全性の確保に最大限努力をするというのが私どものいまの経営姿勢でございます。
  209. 栗林卓司

    栗林卓司君 いまお答えにありましたように、木材というのは何のために使うんですかというと、一つの経済財、切り出して材木にして資金を確保する、いわばそういう単純なことで国有林野事業が行われていたころはそれなりに事業特別会計を持っておった一つの理屈がある。ところが、おっしゃるように水源涵養機能あるいは生活環境保全機能となってくると、この木を切りたいんだけれども切るわけにいかない。最近の例で言うと屋久島の杉。あれは経済林だ、したがって、切り出して事業特別会計の改善に貢献しようではないかということを仮に考えても、いや、あれはいかぬ、あれは国立公園としての資源保全だというかっこうで切れない。そうなってくると、森林を造成をして成木になったらそれを切り出して資金を得るというだけではない、森林の多目的の公益性が実は出てきた、そうしたものを全部ひっくるめて、国有林野事業特別会計であたかもそれは企業会計的な感覚で全部処理しようとするというところにもうそろそろ無理が来たんではないだろうか。  したがって、他の事業のように、たとえば五十七年度だったら千七百億円、五十六年度が千四百億円赤字の穴埋めとして財投からお金を借りている。赤字だからいかにも調子が悪いように見えるけど、よく考えてみると、これが全部が全部国有林野事業特別会計の原因で出てきたんだろうかというと必ずしもそうは私は言えないような気がする。したがって企業の経営の改善、合理化に努力されるのはもちろんでありますけれども、森林が持っている多目的の公益性をどうやって維持増進するかということを考えていくと、どうやら国有林野事業特別会計という枠組みの考え方だけではうまくいかなくなってくるんではないか。やっぱりこの特別会計を一遍脱皮して、新しい国有林野あるいは民有林も含めてになるかもしれません、それにふさわしい特別会計なりあるいは資金調達の道なりを探していくのがまさにいまの問題ではないんだろうか、私はそんな気がするんですが、最後にこの点についての御意見を伺って、時間になりましたので質問を終わります。
  210. 秋山智英

    政府委員秋山智英君) 現在国有林野事業につきましては、いまお話しのとおりこれは特別会計制度でございます。これはあくまでも国有林野の管理、経営を企業的の経営原則に基づいてやるわけでございますが、何と申しましてもやはり国有林野事業の経営成績を正確に把握して効率的な経営を行うということはきわめて重要でございまして、そういう面から年々の経営成績を重視することは私は必要だろうと思います。単年度におきましてもやはり収入支出を明らかにしながら、しかしながら一方におきましては、林業経営というのは長期の視点に立ちながらやる面がございますので、私どもの現在のこの会計制度におきましては、この超長期性を配慮しまして造林、林道につきましてはそれに応じた経理制度を導入しておるわけでございます。  私どもは、たとえば造林投資につきましてはこれを資産化いたしまして、伐期に資産価格を費用として計上するとか、あるいは林道投資につきましては固定資産として減価償却するというようなことでやっておりますし、また、一般会計から一部導入をしていただいておりますが、やはり特別会計制度下におきましてもこれは可能でございますので、この国有林野事業を効率的に、合理的に経営するためには現在の制度は私は必要であるというふうに現在理解しております。
  211. 栗林卓司

    栗林卓司君 質問を終わります。
  212. 江田五月

    江田五月君 治山治水の仕事というものも、戦後三十六年たってずいぶん変わってきたような気がいたします。  私などはまだ小学生の低学年のころに、アメリカの方の女性の名前のついた台風が次から次へとやってきて大変な風水害を起こしておったのをかすかに覚えておるようなことで、その後、そういう河川が大規模にはんらんをして町が一面水につかってというようなものも全くなくなったわけではありませんが、そういうことよりも、何か風水害という点で見ると、局地的な災害が数多く発生してくるようになってきた。最近はどうも土砂崩れ、鉄砲水、土石流というものが何か風水害の主流なように見受けられますが、いつごろからこういう傾向の変化というものが起こってきて、あるいはその原因というものは一体どういうことなのか、お伺いいたします。
  213. 川本正知

    政府委員川本正知君) わが国におきましては、地形的な状況あるいは自然現象といった宿命的なファクターによりまして大変災害が多い国でございまして、毎年災害によりまして多くの人命や財産が失われておるということも事実でございます。ただ、戦後から三十年代の半ばごろまでは、たとえば三十四年におこりました伊勢湾台風災害、これは死者だけで五千名以上数えたわけでございまして、こういったきわめて大きな災害、あるいは大河川のはんらん等によりました大規模な、かつ広範囲な地域に被害をもたらす災害が相次ぎまして、毎年の平均でいきますと千人を超える死者、行方不明者を出しておったわけでございますが、三十年代の後半ごろからは、戦後次々に毎年のようにわが国を襲いました超大型の台風といったものが幸いにして上陸するケースが少なかったということ、あるいは三十五年から始まりました治山治水緊急措置法によります五カ年計画によりまして、まず大河川整備が進められてきたということも確かにその一因であろうかと思います。四十七年の豪雨災害というのは際立っておりますけれども、そういったものを除きますと、平均的に申しまして毎年三百人程度の死者、行方不明者というふうに減ってはきております。  最近の風水害による被害、特に土砂害といったものの特徴といたしましては、いま申し上げたように大河川のはんらんというものの災害は少なくなっておりますものの、局地的な豪雨といったものによります山崩れ、土石流、あるいは中小河川のはんらんといったものが相対的に目立つようになってきたのではないかというふうに考えておるところでございます。また、いわゆる情報網の発達といいますか、そういった情報が得やすくなったということもあるかとは思いますし、また核家族化も一つの影響かと思いますが、いろいろな意味で家屋が、住家が相当の地域まで広がってきたというふうなことで、かえって災害が起きやすいということも一つの要因にあるように考えております。
  214. 江田五月

    江田五月君 先ほどの栗林委員の御指摘の中にもありましたが、治山治水で手を施していくと開発がずっと奥まで進んでくる、そのためにかえってまた手を抜けなくなってしまうというようなこともあるいはあるのかと思います。  たとえば私は、いまここで例として、昨年の七考えてみたいんですが、十三日午後、わずか五、六時間の間に二百ミリを超える集中豪雨に見舞われて、全体でこれはたしか死者が四名になりますか、災害が起こったわけです。この災害の全体的な姿というものは後で明らかにしていただきたいと思いますが、いまのお話の核家族化が進んで住居が広がってきたという点について一つだけまず具体的にお尋ねをしますと、この災害のときに、真庭郡湯原町という町で教員住宅土石流に襲われました。そこで、これは二十四歳の女性の小学校の先生、村の誇りとしておった女の若い先生だったようですが、この人が押し流されて死んだわけです。この人が住んでおったのは教員住宅、つまり公共の住宅です。その場所が、山のすぐ一番根元のところに建っておって、そして土石流の直撃を受けたというわけですが、そういう住宅の開発、特にこういう公共的な性格を持った建物までがそういうところに開発されておるという点をどうお感じになりますか、この点はお調べになっていらっしゃいますか。
  215. 川本正知

    政府委員川本正知君) 先生いま御指摘の、具体的な女子教員の方々の場所等について詳しくは私も存じておりませんけれども、最近の傾向といたしまして、先ほど申し上げたように、非常に岡山県の真庭郡の災害のケースにおきましてもきわめて局地に集中的に大変な雨が降った。連続雨量が二百二十八ミリというような雨量でございました。そういった、きわめて集中的に、しかも局部的に豪雨が柱のようになって降ったと言ってもいいぐらいのことでございました。そういったことで、大変がけの崩れるということが、不測といいますか、全く思いもかけなかったような事態が出てきたということもあろうかと思いますけれども、家屋の建築等につきましては、それぞれその地元の公共団体等も、危険区域については危険区域の指定をするとかいうことも含めまして、そういった災害が起こることがないようにいろいろと配慮されておるところが多いわけでございますが、何といたしましても、全国、特に山間部は広うございまして、そういった中でいまおっしゃったような事故が起きたということはきわめて残念なことだと思っております。  そういった実態から考えましても、土砂害対策、またがけ崩れ対策といったものが非常にたくさんの個所が挙がっておりますけれども、そういったものを重要なものから適時対策を講じていかなきゃいかぬ。きわめて整備水準としてもまだ低いという段階でございますのでさらに努力していかなければならない、そういうふうに感じたところでございます。
  216. 江田五月

    江田五月君 いま私は、全国のどこに集中豪雨がある日突然襲ってくるか恐らくわからない。襲ってきたときに、本当にバケツをひっくり返したような雨が降ります。別にこの岡山県の真庭郡の例だけではなくて、どこでも、普通ならばこんなところが、渓流が、——渓流とも言えないんですね、水なんか流れていないようなちょっとしたくぼみが、突然たけり狂う土石流になるとは思いもかけない、そういうところは全国至るところにある。そういった山合いのすそのところに住宅が建っているというような状況があるんだと思うんです。この住宅が山のすぐ根に建っているような状況について、一体何か対策はないんだろうかという、もう一番具体的な対策の話を質問したんですが、お答えの方はその前の抽象的なお答えになったようですが、もう一遍ちょっとその具体的なことについて伺ってみたいと思います。
  217. 川本正知

    政府委員川本正知君) そういった具体的な家屋の背後の急傾斜地のがけ、そういったものに対する安全対策ということは、私どもとしても現在がけ崩れの対策として考えて事業も実施しているところでございますが、ただ、ある程度の戸数、ある程度の規模といったものがありませんと現在はまだ採択できないということでございまして、それにいたしましても大変な数の対象個所があるわけでございますので、なかなか一戸の家だけに対して手当てをするというふうなことは、がけ崩れの急傾斜地の対策事業として取り上げるというふうなことにはいま直ちにはできておらないわけでございます。そういったもの、さらに基準に合っております、現在やっております事業を進捗させまして、だんだんと対応を広げていかなければいけないというふうに思っておるところでございます。
  218. 江田五月

    江田五月君 ごめんなさいね。どうも私がきのう申し上げた順序で聞いていないもんですから困るんだろうと思いますが、そういういまの女子教員の住宅などの場合は、特に公共の建物なんですから、そういった山のすぐ際に建てなきゃいいんじゃないかと思うんです。至るところ危険な場所はあるわけで、しかも、普通なら危険と思えないような場所でも土石流は起こるわけです。それを一体どういうふうにとめていくかというのはもとより大切なことなんですが、そういった土石流をとめるということだけではなくて、今後、そういう山のすぐ際に家を建てるようなことをなるべくやめていく。すぐに移転させると言ってもこれはなかなか困難でしょうけれども、少なくても公共の建物などは、川のすぐへりへ持ってくるのも大変でしょうが、そんなにいま、田もつぶしていいわけじゃありませんが、それでも少しは耕作するのをやめなさいというような時世ですから、もう少し経済性よりも安全性を考えて立地を指導していくようなことを考えてはどうでしょうかということを伺いたいんですが。
  219. 川本正知

    政府委員川本正知君) 土石流に対する人命被害ということが各地で発生しております現状にもかんがみまして、従来いろいろな対策工事をやっている、そういったもののほかに、土石流の危険渓流の周知ということ、あるいは警戒避難体制の整備といったことも、いわゆるソフトな面での総合的な土石流対策ということをわれわれは考えておりまして、すでにある県におきましては、そういった危険渓流の表示ということをテスト的にやっているケースもございます。従来から学識経験者等集まっていただきまして技術検討会を設置いたしまして、そういった避難体制の整備、情報の収集、防災意識の高揚、そういったあらゆる面を含めましての諸施策の促進について協議をしております。五十七年度から順次こういった危険渓流の表示といったものを含めまして、警戒避難体制の充実といったことを実施してまいりたいというふうに思っておるところでございます。  また、土石流の影響を受けますおそれのある地域住宅の移転につきましては、先ほども申し上げましたけれども、建築基準法によります災害危険区域の指定といったもので住宅の建築を禁止するとか、あるいはがけ地近接危険住宅移転事業というふうな事業もございます。そういったもろもろの事業によります住宅移転の促進とか、そういったもので関係機関の部局とも十分連絡調整をして、地方公共団体を指導しているというところでございます。
  220. 江田五月

    江田五月君 少なくても教員の住宅などというような公共の建物については、やはりこれはどこに建てるかというのは、私は具体的な場合にこれが県であるのか町であるのか調べておりませんけれども、そういうところも責任なしとは言えないと思うんです。これはよく考えていただかないと今後困ると思うんです。  さて、もう少し一般論に戻りまして、いまも先に答弁の方がずいぶんあったもんですから、質問前に答弁があってどうも戸惑っているんですけれども、全国土石流が発生する危険のある渓流というのが一体どのくらいの個所いまあると把握されておるのか、これをお知らせください。
  221. 川本正知

    政府委員川本正知君) 土石流の発生の危険がある渓流というものは、昭和五十二年に総点検いたしまして、五戸以上の人家あるいはこれと同等の施設に被害を与えるおそれのある渓流を選び出しまして、結果といたしまして全国で約六万二千三百渓流ということになっております。
  222. 江田五月

    江田五月君 それは五十二年の調査ですね。そうしますと、いまの六万二千三百渓流と調査をされていた部分に、この岡山県真庭郡の土石流の被害の住宅のあった場所は含まれておりましたか、それとも含まれていないですか。
  223. 川本正知

    政府委員川本正知君) 具体の事実でございますので、説明員から御説明をさせていただきます。
  224. 釣谷義範

    説明員釣谷義範君) お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃいました岡山県真庭郡の災害の際でございますが、土石流災害のあった渓流は五渓流ございましたが、保全対象五戸以下のものは先ほどの六万二千カ所の中にはカウントしないことにしておりましたので、それは入っておりません。  それから、災害前は、先ほど先生おっしゃいましたように渓流の形をしていなかったという個所がございまして、その一カ所は入っておりません。あと二カ所の渓流につきましては、土石流危険渓流に指定されております。  それから、先ほど先生がおっしゃいましたがけ下の人家等につきましては、これは急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律という法律がございまして、急傾斜地崩壊危険区域に指定されておる場合は、そこへは新しく人家が入ってくるのを制限いたすことにしております。
  225. 江田五月

    江田五月君 急傾斜地のすぐ下ならば非常にいろんな制約も受けますが、とるべき方法もはっきりする。しかし、そうでないところでどんどん土砂崩れが、どんどんと言うとおかしいんですが、予想もしないところで起きてくるわけで、急傾斜地の対応だけではちょっと足りない、何か考えなきゃならぬときに来ているんじゃないかと思うんです。いまのカウントされないところでも実際にいろいろな被害が起こっているというぐあいでして、これから、かつての治山治水のあり方よりももっともっと中小河川、特に小さな河川あるいは河川と言えないようなところに至るまで災害を予防する形での治水、あるいはまたこれはちょっと観点は違うかもしれませんが、やはり予防的な治山というものが今後必要になってくる、そういうきめの細かさがこれからの治山治水事業に必要になってくるんじゃないかと思いますが、建設省が現在まで、そういった全国に数多く存在しておる、しかもカウントで漏れて、しかもそこで人命の被害が出てくるというような土石流危険渓流に対してどういう対策をとってきたか、あるいは今後第六次の五カ年計画でどういう対策をとろうとされているのか、これを明らかにしてください。
  226. 川本正知

    政府委員川本正知君) 建設省におきましては、従来から土石流災害を防止するための土石流対策の砂防工事というものを積極的に推進してきておるところでございまして、その整備率昭和五十六年度末におきましてやっと一四%というような水準でございました。また現在、一方では、先ほど来先生おっしゃっておりますように、毎年土石流による人命被害が発生しているという現実もございまして、建設省におきましては、従来の土石流対策砂防工事をさらに促進していかなければいけない。第六次の五カ年計画におきましても、土石流対策というものを一つの重点事項に掲げまして促進を図ってまいりたいということを考えております。  また、そういう砂防工事の促進に加えまして、先ほどちょっとお話を申し上げたわけでございますが、ソフトな面の対応といいますか、いわゆる土石流の危険渓流の周知徹底をいたしまして、やはり危険なときにはまず退避する、避難するということも一つの方途であろう、大事な安全対策であろうというふうに考えておりまして、警戒避難体制の整備というものも含めまして、総合的な土石流対策といったものを実施するように考えておるところでございます。  いろいろといままで検討を重ねてまいりましたけれども、五十七年度からはだんだんと実施ができるという態勢になってまいりましたので、そういった促進を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
  227. 江田五月

    江田五月君 土石流対策はやはり大切なのが砂防工事ですね。どういう規模の砂防工事を今後重点を置いていかれるかという点はいかがですか。
  228. 川本正知

    政府委員川本正知君) 砂防工事も河川工事と同様でございますけれども、いわゆる大河川に対する砂防工事というものと中小河川に対する砂防工事というものがあろうかと思います。大河川の砂防工事というものは、やはり基本的に一たび災害が起こりましたときの流域に対する影響というものも大きいわけでございますので、そういったものをまず重点的に促進を図っていかなければならないというふうな構想で来たわけでございますけれども、もちろんそれにあわせましてといいますか、対応いたしまして、中小渓流の安全対策といったものも促進しなければいけない。ある程度のバランスのとれた対策、それをもって全国的にバランスのとれた安全度の向上といったことが必要であろうかと思います。そういったことで、中小砂防渓流に対しましても先ほど申し上げたように、現在での整備率一四%を五カ年の終期の六十一年度末では一九%程度にまで上げたいというふうなことで、現在作業に取り組んでおるところでございます。  ちなみに、大河川の方の対策ということで申し上げますと、現在の四八%の整備率を五四%まで上げたいというふうに考えておるところでございまして、中小渓流対策というものがまだまだ大河川に対しておくれていることも事実でございますので、中小もあわせて対応を図ってまいりたい、五カ年計画におきましていま申し上げたような整備水準をぜひとも達成するように努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  229. 江田五月

    江田五月君 中小河川対策というものが大切だという話、これから力を入れていかれるのだというお話を伺って心強いんですが、中小河川対策を考えます場合に、治水の面からの対応とそれから治山の面からの対応がばらばらであってはならぬのじゃないか。治山の面から土どめ工ですか、堰堤ですか、そういうものをつくっていく、これが比較的小規模、まあ数百万円規模の砂防ダム的なものをつくっていく、治水の面はもう少し大きなものをつくっていく、それが相互に機能的にうまく関連しておらないと一つの渓流をうまく治めていくということはできないわけです。この治山事業治水事業との連係プレーというのはどうお考えですか。
  230. 川本正知

    政府委員川本正知君) いまおっしゃいましたように、ある一つの地域を考えましたときに、一つの渓流治水の砂防事業でやっておる、また、別の渓流治山事業としてやっておるというケースも確かにあるわけでございますが、そういった事業の調整といいますか、そういったことにつきましては本省段階、中央段階ということと、それから各府県別での地方段階、こういったものにそれぞれ建設省と農水省の林野庁の方との協議機関をつくっておりまして、そこで毎年の事業の実施の内容につきまして協議をいたしまして調整を図っておるというところでございまして、いまおっしゃいますように、全体がバランスを持った砂防対策といったものが必要であるということは当然でございまして、極力そういった協議会の場をさらに活用いたしましてその調整を十分徹底してまいりたい、事実やっておるところでございますが、さらに努力をしてまいりたいと思っております。
  231. 江田五月

    江田五月君 この連係プレーというのはぜひしっかりやってもらいたいと思うんです。さらに言えば、道路を守っていくという観点からもいまの山を、どう土砂崩れを防いでいくかという点が出てくるわけでして、そういうものがそれぞれに縄張りでやられたのでは困るわけで、いかにすればその地域が上手に治山治水ができていくかということで連係プレーを果たしていただきたいと思うんです。  ちょっと話は違いますが、砂防ダムが少しずつそれまでの雨によって埋まってしまって、砂防ダム機能をなかなか果たしにくくなっているというようなことも聞くんです。先ほどの真庭郡のケースでも、道路の上の方に治山目的の砂防堰堤があって、これが崩れて一拳に大量の土石流が押し流されてきて、そして消防団員の人が亡くなったとか、もう一つは、この場所じゃありませんが、この直後の八月には今度は別のところで、道路を走っておった新聞社の方が道路の上の方から落ちてきた土石流で流されて川に落ちて亡くなったとか、いまの二番目のケースは砂防ダムの崩壊ではありませんが、最初のケースは砂防ダムが崩壊をした。そこでダム自体の機能回復といいますか、これもこれからやっていかなきゃならぬ対策の一つになろうかと思いますけれども、これをいかがお考えでしょうか。
  232. 川本正知

    政府委員川本正知君) 砂防ダム機能は、先生おっしゃいますように、山腹や河床を安定させて土砂の流出を防止するという機能も確かにございますが、さらには上流からどんどん流れてまいります土砂を貯留する貯砂機能のほかに、満砂した後でも、大洪水に伴いまして出てまいりました土砂を一時的に砂防ダムにためまして、その後の中小洪水といいますか、大洪水の過ぎた後のその後に起こります中小洪水などによりましてこれを徐々に長期間かけて下流に流下させるといった調節機能もございます。これらの機能がいずれもその効果に大小がありますけれども、長期間持続するということでございまして、土砂がたまってしまったダムにおきましても砂防の効果はそれなりにあるのだということでございます。しかし、土石流発生の危険が特に大きいような市街地の直上流部の渓流であるとか、あるいは土石流が頻発いたします活火山地域渓流、こういったものにおきましては砂防ダムを新設いたしますとともに、満砂した砂防ダムの土砂掘削を行うということも現在実施しておりまして、砂防ダムの貯砂機能のそういった意味での回復ということも必要であるという地域もございまして、防災のための一層の効果をこういうことによって図ってまいりたいと思って実施しておるところでございます。
  233. 江田五月

    江田五月君 大臣、いまのやりとりをどういうふうにお聞きになっていらっしゃったか。災害というのは思わぬときに起こるわけですから、いつも結果論であのときこうしておけばよかったというようなことがどんどん出てくるのかもしれませんが、しかしいまのようなお答えですと、遠くの方で文章づらだけで何か言われているように、恐らく災害の実際の地元の人たちはお感じになるんじゃないかという気がするんです。もっときめの細かい、後からだから言えるのだということはたくさんありますけれども、それにしてももっときめの細かな治山治水対策というものがこれからますますだんだん必要になってくるんじゃないかという気がするんです。ちょっと抽象的な質問で恐縮なんですが、治山治水事業についてのきめの細かさ、配慮の細やかさということについてどういう御覚悟でいらっしゃるのかを大臣からひとつ聞いておきたいと思います。
  234. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) 先ほど来江田委員政府委員側の質疑応答によって明らかになりましたように、悲惨な土石流災害から国民の生命、財産を守るためには、大渓流対策とあわせまして中小渓流に対する施設整備が必要でございまして、従来から促進を図ってきたところでございますが、今後ともきめ細かな、かつ予防的な砂防工事を積極的に進めてまいりたい。  その内容は、新しい五カ年計画にも盛り込みたい意向でございますが、いま御指摘にもございましたように、非常に方々にございまして、しかもそれがちょっと目が届きかねるような場所にも起こるわけでございますので、都道府県、市町村等をも協力の相手といたしまして、それらの力をも活用いたしまして、建設省また林野庁と力を合わせまして、そういう点について本当に血の通った、何か聞いておっていかにも怪しげだということのないように今後一層努力してまいりたい、かように存じておるわけでございます。御理解をいただきたいと思います。
  235. 江田五月

    江田五月君 ひとつよろしくお願いいたします。  さて、ちょっとこう観点が変わりますが、砂防工事、河川工事というものが速やかに実施をされて、そして再度災害が起こらないようにしていくことが非常に重要と思いますが、そういった観点から、工事の発注時期を一体どういうふうにしていくのかという点も重要なことになると思うんです。  いまの、私何度も申し上げて恐縮ですが、岡山県の北部の方の山間部はやはり冬は雪が相当に降ります。雪に閉ざされる場所でありますが、しかし、どうもこのあたりの中小零細の土建業の皆さんに聞くと、非常に雪の多いときに発注をされて工事がやりにくくてかなわぬ、何とかこれは考えてもらえないのかという話があります。伺いますと、しかし、出水期にやることはかえって二次災害をもたらす危険があるんで無理だ、さあそうすると出水期でなくて、しかも雪の降らない間に工事をしようということになると、これは発注の量が非常に少なくなってしまう、そのことはもちろん業者の望むところではないわけで、こういう中小零細の土建業の皆さんも雪の中で仕事をするのをいとうわけではないんです、一生懸命やるんです。しかし、たとえばことしの冬なんかを見ても、作業量の三〇%、四〇%ぐらいが除雪作業に追われてしまうと言うんです。それじゃ一体その除雪費はどうなっているかということなんですが、北陸とか東北とか、雪の地方ならばそういうことも十分お考えくださっているんだろうと思いますけれども、残念ながら中国地方の山地などについてはなかなかそこまでお考えいただいていないということなんです。  これも建設省に伺ったら、いやそうではありません、五年程度期間をとって、その間の平均積雪量をとって除雪費はちゃんと計上しております、さあきちんと計上しておるというような話を聞いて、地元に電話をかけてみますと、そんなことはない、一体どういう費目でそれが入っているのか、諸経費で入っていると言われても、それじゃちょっといかにも少ないじゃないか、とてもとてもと。県庁の方に聞いてみますと、いや、それは雪のあるときに工事をするように計画しておりませんので除雪費は入れておりません。建設省と県庁との間の意見の違いの谷間で零細な土建業者が一生懸命雪をかきかき仕事をしながら、その除雪費は全然もらえていないという。ほかのところでもうけさしてやるからいいじゃないか、それじゃちょっとこれはおかしな話なんで、もう少し雪の中で工事をするというような場合に、この費用の面で暖かい手当でというものができないものかどうか、陳情めいて恐縮ですが、どういうことになりますか、お答えいただきたいと思います。
  236. 川本正知

    政府委員川本正知君) 先生からいまお話がございましたように、冬期間に、積雪期にどうしても工事をやらなければいけないというような地域もあろうかと思いまして、そういった場合には、やむを得ず工事をしなきゃいかぬというケースには、現場におきましても、現地の除雪費はその地域の積雪の状況を勘案しまして工事費の中に入れてもいいということにはなっておるわけでございます。山地部の特に積雪の多い地域におきます砂防工事におきましては、全国的にもそういう指導はしておるところでございます。特にそういった積算に見るかどうかということと同時に、発注の時期というものもやはり考えていかなければいけないのではないかというふうに思います。  砂防工事は、特に工事をやっておる最中に集中豪雨等によって土石流が押し出してきたりいたしますと、非常に人命災害も起こしやすい、安全の問題もあるということもございますので、出水時期を避けるというのが普通やっているケースではございますけれども、それは降雪の少ない時期に、少ない地域においてはそういうことでいいと思いますけれども、先生おっしゃるような降雪のあるような地域におきましては、できるだけ施工のやりやすい時期に工事を発注するということがやはり基本的な問題になるのではなかろうかと思います。本年度は特に大幅な前倒し発注をするということで現在進めておりますので、特にそういった意味での早期発注ということを心がけて、御心配のようなことができるだけないようにしてまいりたいと思っております。
  237. 江田五月

    江田五月君 終わります。
  238. 吉田正雄

    委員長吉田正雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 吉田正雄

    委員長吉田正雄君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  240. 吉田正雄

    委員長吉田正雄君) 委員異動について御報告いたします。  ただいま、大木正吾君が委員辞任され、その補欠として村田秀三君が選任されました。     —————————————
  241. 吉田正雄

    委員長吉田正雄君) それでは、これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  242. 吉田正雄

    委員長吉田正雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 吉田正雄

    委員長吉田正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  244. 吉田正雄

    委員長吉田正雄君) 次に、土地区画整理法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。始関建設大臣
  245. 始関伊平

    国務大臣始関伊平君) ただいま議題となりました土地区画整理法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  市街地における都市基盤施設整備の立ちおくれ、住宅地供給の停滞等の状況に対処するためには、土地区画整理事業の円滑な施行を確保しつつ、その一層の推進を図ることがきわめて重要であります。  このため、地方住宅供給公社を土地区画整理事業の施行者に加えるとともに、土地区画整理事業の換地計画に関し専門的技術を有する者の養成確保等を行う必要があります。  以上がこの法律案を提案する理由でありますが、次にこの法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、地方住宅供給公社は、住宅の用に供する宅地の造成と一体的に土地区画整理事業を施行しなければ当該宅地を居住環境の良好な集団住宅の用に供する宅地として造成することが著しく困難である場合に、土地区画整理事業を施行することができることとしております。  第二に、建設大臣は、土地区画整理事業の円滑な施行が進められるよう、当該事業に関する専門的知識の維持向上に努めるものとし、換地計画に関する専門的技術を有する者の養成確保を図るため必要な技術検定を行うことができることとしております。  その他賦課金、清算金等に係る督促手数料に関する規定の整備等所要の改正を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  246. 吉田正雄

    委員長吉田正雄君) 以上で説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十二分散会      —————・—————