○立木洋君 私が無理なことを言っているのかどうかということは、それはこういう公式の場ではなかなか言いにくいだろうと思うのですよ。
私は園田さんにこの
質問をしたのです。そして、あなた本当の気持ちはどうなんだと、そうしたらその点についてはもう一遍よく勉強し直してみますというのが公式の
答弁だった。その後園田
外務大臣に、当時の
外務大臣に会って、どうです勉強してくれましたかと言ったら、いやあ立木君、これは一番むずかしい問題だ、あなたの言わんとすることはよくわかる、しかし
日本の
政府がとってきた道筋があるからなかなかこれは大変なんだ、君の言わんとすることは正しいよと、こういう話なんです。
外務大臣という立場を離れるとこうなっちゃうのです。
ところが、私はこれはむずかしいからやってはならないということではなくて、この打開の道を求めないと
領土問題が
解決できないということがあるからなんです。
なぜかといえば、これは先ほど同僚議員も言われたように、
サンフランシスコ条約二条(C)項で千島を放棄しているわけですね。権利、権原も請求権も放棄したということになっているわけです。それが結局
ソ連との交渉が開始されたとき、あの松本さんが書いていますよ。あれをよく読んでみるとわかるように大変な苦労があった、あの経緯があった、あの経緯の中でどういうことになったか。結局
日本としてはいわゆる四島一括返還という立場をとることになったために、あのときなかなか
領土問題が
解決するに至らなかった。
たとえば仮にあの歯舞それから色丹、これはもう千島でも何でもないのですから、これは
北海道に所属している島なんですから、
日本政府は放棄したことじゃないのだから、直ちにあの歯舞、色丹でも返せということはこれはできるのですよね。千島問題は千島問題としてきちっとやっぱり
平和条約を結んで
解決するという方途もとることはできた。しかし四島一括返還という立場をとったがために歯舞も色丹も返還することができなかった。歯舞でも色丹でもそれ一刻でも早く返れば、あとの問題
平和条約を結ばないで返してもらうのですよ、何もわれわれ放棄した島じゃないのだから。そうしてあと千島問題は
平和条約の問題と結びつけて全千島の
解決のために努力をするという立場をとっても私はしかるべきではなかったか。
ところが、そういう方途はとらなかった。なぜかといえば、つまりその当時から変わってきたのは、放棄したのは北千島であって南千島はそうではないという見解をとり始めたからなんです。
ところが、これは国際的にこの立場というのは認められないのですよ。フランスなどにしてもそれは無理ではないかという話が来ている。そうすると、南千島は放棄した千島ではないのだから四島一括して返還してくれ返還してくれと言ったって、国際的になるほど
日本のおっしゃることは正当だ、吉田茂さんの言ったことから一貫しておる、だからそれなら
日本を応援しましょうとならぬのですよ。
日本はこじつけている、放棄しておきながら南千島を放棄してないと後で言葉を書いてそれを
北方領土だという形でやる、そういうふうな
日本政府の主張にはやはり同意いたしかねるという、そういう国際的な
世論が一方ではあるわけです。認めている人もいるかもしれない。そうなると国際的にも
日本の主張をバックアップして本当に
ソ連が行っているいま不当な
占拠を
解決していく、そういう力を私
たちがやっぱり持たなければ
解決できないと思う。
外務省当局は先ほど国内の
世論を一致さしてこの問題を
解決するために一助になるというふうに言われた。確かに問題の
解決のためにはそういう側面もあるでしょう。同時に国際的にも
日本の主張が正当だというバックアップがあって初めて第二次世界大戦の戦後
処理において千島を放棄さしたあの
処理の仕方は間違いであった、ましてや
ソ連がそれを
占領しているなんというのはこれは不当なものだ、やはりこの問題は正当な
解決をしなければならないという
領土不拡大の原則に基づいて
解決の道が開けていくのですよ。
こういうもう一方では国際的な
世論に支持される
政府の態度をとるということであるならば、いまは大変であるけれどもあの第二条(C)項の立場をとった
日本政府が態度を改めるということをやっぱり
考え決断すべき
状況に来ていると思うのです。これは
提案者に対してそういうことを要求しても無理ですから、そういう
考えであるということを篤と御理解いただきたい。
ですから、私
たちはこの問題の中で最小限少なくともこの四島については「等」という言葉を入れてもらえないか、そうして決してわれわれは北千島を放棄したのではありませんよということをいかなる場合でも私
たちは整合性を保っておきたいと思うのです。そうすることが子々孫々に対して現在の政治家がなし得る最大限の努力すべき点ではないだろうか、少なくともそれだけはしなければならないのではないだろうかというふうに思うのです。
そういう
意味で、私はこの法案がそういう重大な問題点を含んでおるということですから、そのことをちゃんと受けとめていただきたいし、
外務省の
田中さんもよくこの問題については御検討をいただきたいということを
外務省としてもしっかりと受けとめてほしいと思うのです。
私は、もちろんそういう点で今後のこの問題点の最大の問題の
一つは、これが
ソ連がやっぱり不当に
占拠しているという点が
一つの最大の問題ですから、これはやはり
解決するための努力をしていかなければならない。
日本としても正しく
解決できる、国際的にも堂々と主張して国際的にも支持されバックアップされるようなそういう立場を一刻も早く確立できるように努力すべきではないかということを重ねて強調しておきたいと思うのです。
こういう見解について、最後に
提案者とそれから
外務省の方と御見解を伺って私の
質問を終わりたいと思います。