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1982-04-02 第96回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月二日(金曜日)    午前十時五分開会     —————————————    委員異動  四月一日     辞任         補欠選任      杉山 令肇君     仲川 幸男君      井上  孝君     植木 光教君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大鷹 淑子君     理 事                 伊江 朝雄君                 中村 啓一君                 丸谷 金保君                 宮崎 正義君     委 員                 板垣  正君                 稲嶺 一郎君                 岩崎 純三君                 志村 愛子君                 仲川 幸男君                 堀江 正夫君                目黒今朝次郎君                 山崎  昇君                 二宮 文造君                 立木  洋君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖縄開発庁長        官)       田邉 國男君    政府委員        内閣総理大臣官        房会計課長兼内        閣参事官     鴨澤 康夫君        北方対策本部審        議官       橋本  豊君        沖縄開発庁総務        局長       美野輪俊三君        沖縄開発庁総務        局会計課長    宮島  茂君        沖縄開発庁振興        局長       藤仲 貞一君        外務大臣官房審        議官       藤井 宏昭君        外務大臣官房審        議官       松田 慶文君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 源三君    説明員        臨時行政調査会        事務局総務課長  重富吉之助君        防衛庁防衛局防        衛課長      澤田 和彦君        防衛施設庁総務        部施設調査官   窪田  稔君        防衛施設庁総務        部人事課長    吉住 愼吾君        防衛施設庁施設        部連絡調整官   田中  滋君        法務省民事局参        事官       大森 政輔君        法務省刑事局公        安課長      川崎 謙輔君        外務省欧亜局ソ        ビエト連邦課長  丹波  実君        大蔵省関税局企        画課長      長富祐一郎君        厚生省医務局総        務課長      山内 豊徳君        厚生省医務局国        立療養所課長   佐々木輝幸君        厚生省援護局庶        務課長      岸本 正裕君        厚生省援護局援        護課長      沢江 禎夫君        林野庁林政部管        理課長      米田 博正君        林野庁指導部治        山課長      小沢 普照君        水産庁海洋漁業        部国際課長    真鍋 武紀君        資源エネルギー        庁石油部開発課        長        深沢  亘君        海上保安庁警備        救難部参事官   広瀬 好宏君        自治省行政局振        興課長      浜田 一成君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十七年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和五十七年度特別会計予算内閣提  出、衆議院送付)、昭和五十七年度政府関係機  関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管北方対策本部沖縄開発庁)及び  沖縄振興開発金融公庫)     —————————————
  2. 大鷹淑子

    委員長大鷹淑子君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨一日、杉山令肇君及び井上孝君が委員を辞任され、その補欠として仲川幸男君及び植木光教君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 大鷹淑子

    委員長大鷹淑子君) この際、御報告いたします。  去る三十日、予算委員会から、本日一日間、昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、北方対策本部沖繩開発庁及び沖繩振興開発金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  田邉国務大臣から説明を求めます。田邉国務大臣
  4. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) 昭和五十七年度の沖繩開発庁関係及び総理府北方対策本部関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。  初めに、昭和五十七年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち沖繩開発庁予算要求額は二千百四十六億七千六百九十二万三千円であり、これを前年度の予算額二千百七十三億三千二百六十二万一千円に比較すると、二十六億五千五百六十九万八千円の減額となっております。  次に予算要求額の主要な項目について御説明いたします。  第一に、沖繩開発庁に一括計上されております沖繩振興開発事業費総額は一千九百八十五億二千七百万円で、前年度当初予算額に対し一・七%の減となっております。  この減額となった主な要因は、沖繩教育振興事業費のうちの公立学校施設について、復帰以来重点的に整備の促進を図った結果、整備水準がおおむね本土並み水準となったことに伴い、これに係る事業費が大幅に減額となったこと等によるものであります。しかしながら、公共事業関係費については、昭和五十七年度が第二次振興開発計画の初年度である点を特に配慮して二・六%の増となっております。  沖繩振興開発事業費の内訳は、治山治水対策事業費道路整備事業費港湾、漁港、空港整備事業費農業基盤整備費等を主な内容とする公共事業関係費一千七百八十九億七百万円、公立学校施設整備費等内容とする沖繩教育振興事業費百五十億三百万円及び保健衛生施設等施設整備費等内容とする沖繩保健衛生等対策諸費十四億一千五百万円、並びにウリミバエ等の根絶を目的とする植物防疫対策費等内容とする沖繩農業振興費三十二億二百万円であります。  昭和五十七年度の沖繩振興開発事業費予算は以上のとおりでありますが、特に、一、水資源開発、二、道路港湾空港等交通関係施設整備、三、農林水産業基盤整備、四、生活環境施設整備等につきまして配意をいたした次第であります。また、沖繩振興開発事業に係る特例補助負担率については現行の補助負担率を継続することとしております。  第二に、これら当庁に一括計上される振興開発事業費以外の諸経費について申し上げます。  第一点は、沖繩における経済の振興及び社会の開発に必要な資金を融通するために設けられている沖繩振興開発金融公庫に対し、その業務の円滑な運営に資するための補給金として八十七億八千百万円を計上しております。  同公庫昭和五十七年度における貸付計画は、特に産業開発資金中小企業等資金の充実を図ることとし、総額一千四百億円を予定しております。  また、本年度に引き続き地方公共団体民間企業と協調して産業の誘導を図るための出資金として、四億円を予定しております。  第二点は、いわゆる沖繩の戦後処理問題の解決を図るために必要な経費として、まず、土地関係等事案にかかる特別支出金の二年次分として十二億五千万円を計上するとともに、不発弾等の処理、対馬丸遭難学童遺族給付経費等合計十七億九千百万円を計上しております。  このほか、沖繩開発庁所掌一般行政経費等として五十五億七千八百万円を計上しております。  引き続き昭和五十七年度の総理府所管北方関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十七年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち北方関係予算要求額は、六億一千二百二十七万二千円であり、これを前年度の予算額五億百三十六万五千円に比較すると、一億一千九十万七千円の増額となっております。  次に、予算要求額の主な内容について御説明いたします。まず、北方対策本部に必要な経費は五千三百三十六万五千円であり、北方領土問題対策に必要な経費は五億五千八百九十万七千円であります。  北方領土問題対策に必要な経費のうち、その大部分が北方領土問題対策協会補助に要する経費で、北方領土問題その他北方地域に関する諸問題について啓発宣伝等を行うに必要なものであります。なお、昭和五十七年度においては、特に返還運動推進の母体となる県民会議を全都道府県に設置するための経費を計上いたしております。また、「北方領土を目で見る運動」の一還として、北海道別海北方展望塔を建設することとしておりますが、そのための建設費も計上いたしております。  以上をもちまして、昭和五十七年度沖繩開発庁関係及び総理府北方対策本部関係予算案説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いを申し上げます。
  5. 大鷹淑子

    委員長大鷹淑子君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 丸谷金保

    丸谷金保君 北方問題についてお伺いいたしますが、まず最初に、いま期成会に対する五億以上の——期成会ではございませんか、対策協会ですかに対して事業的な経費はほとんど行ってしまうようでございますが、対策本部に残している必要経費というのは事務費的なものが大半ですか。
  7. 橋本豊

    政府委員橋本豊君) 本部に残しておりますのは本部職員活動、それから調査研究費、そういうものが主でございます。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 総理府所管北方対策本部というのは一体何なんだろうと実はここで思うのですが、予算大半協会の方へやってしまう、そちらの方で仕事やってくれということになると、調査研究に多少やると言うけれども、どうも総理府所管という大きな看板看板なんですが、中身としてはもう全くただトンネル機関にしか過ぎないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  9. 橋本豊

    政府委員橋本豊君) 総理府北方対策本部は、先生のおっしゃいますように、特殊法人北方領土問題対策協会活動を監督しながら啓発宣伝等をやらしておりますけれども、そういう北方対策本部としてもこの北方領土問題に対する国民世論啓発総理府広報室の協力を得まして実際にも実施しておりますし、それから北方領土問題対策協会が行ういろいろな活動について指導監督を実施しております。それから、元居住者に対する援護というものも、実際に元居住者に対する予算的な援助活動北方領土問題対策協会にやらしておりますけれども、そのやらせ方その他につきましては北方対策本部は基本的なことを計画立案をしまして、また予算等要求等につきましても私どもの方がすべて企画をして予算化に努力しているということでございます。  ちなみに、北方対策本部職員は、私以下定員七名で仕事をしているわけでございます。
  10. 丸谷金保

    丸谷金保君 外務省の方からも三千四百八十九万という、これは期成会、こちらの方は期成同盟に対する補助が出ておるんですよね。何か非常にそこら辺で北方問題に対する取り組み方がすきっとしていない感じがするんです。どうしてこういうものを全部北方対策本部という形できちっと取りまとめできないのですか。いかがでしょうね。
  11. 橋本豊

    政府委員橋本豊君) 総理府北方対策本部の方は北方領土返還を実現するために外交交渉を有利に展開する、そのてことしての国民世論啓発ということが中心でございます。もちろんそのほかに援護活動等もございますけれども国内国民世論啓発という面では総理府中心になっておるわけでございます。  外務省の方も北海道の方に北方領土復帰期成同盟という団体はお持ちのようでございますが、国内的な啓発活動というのは私どもの方が中心になって行っておるということでございます。
  12. 丸谷金保

    丸谷金保君 何かいまの御説明ではよくわからないんですが、結局外務省所管期成同盟の方だって、別にこの期成同盟外交交渉をするわけじゃないんですから、国内世論啓発ですわね。総理府の方もそうでしょう。同じことをこれは交付団体が違うというだけで、一方は特殊法人だからこれは総理府だというそういう分け方の理屈。というのは、私は別に分けているからどうということじゃなくて、そういう取り組み方の問題を言っているんです。これは長官いかがなんですかね、こういう分け方。
  13. 丹波実

    説明員丹波実君) 外務省ソ連課長でございます。  一言お答えさせていただきたいと思いますけれども外務省の認可に係りますところの社団法人、先生言っておられます北方領土復帰期成同盟、確かにございますが、これは御承知のとおり昭和二十年以来北海道の中でいわば草の根から出てきましたところの運動が現在のような同盟の形になっておりまして、北方領土の原点は北海道にありますことは御承知のとおりで、北海道民意識は非常に高いわけでございまして、やはりそういう北海道の中で活動する団体というものは非常にそういう北海道の高い意識に合わせた特殊な団体であるということで、北方対策本部が認められましたときにも、同盟はやはりあわせて存続する必要があるということは国会の中でも御了承いただいたそういう団体であると私たち考えております。そういうぐあいに御理解いただきたいと思います。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは経過はそうでしょう、経過はね。だけれども、一番最初期成同盟できたころにはまだ北方四島というふうなことでなかったんですよ。あのころはもっとみんな千島へ帰りたいという、こういうことの運動が先で、いま国が言っているように北方四島の返還というふうなことでなかったはずなんですよ、始まりの草の根運動というのは。だから、当然これができたときにそういう論議もされたという話ですけれども、いつまでもこれは別々に外務省所管だというふうなことでやっていくとそれこそ国論不統一になるんじゃないですか。
  15. 丹波実

    説明員丹波実君) この点につきましては、外務省といたしましては総理府随時意見調整その他を行っておりまして、不統一になるということは現実には私たちは起こらないように、ふだんの接触を通じて意見交換をしておるつもりであります。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 意見交換をしなきゃならないんですよね、明らかに。  それで、その問題は、私はこの北方対策本部というのはやっぱり全体の総合調整か何かきちっとやる機関でなきゃならぬと思うんですが、実際にはそういう総合調整をやっていく一つの省庁としての外務省との意見調整なんですか。北方問題については外務省北方対策本部は併立した機関として意見調整をやっていくんですか。どうなんですか。
  17. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) これは私の考え方でございますが、当初北方領土復帰期成同盟また北方領土問題対策協会、この二つのものがそれぞれの立場でいろいろと北方領土返還に対するいろいろの運動の展開をしておりました。御指摘のように目的一つでございます。したがいまして、私どもはやはり理想的には一本にすることが一番いいのではないかと思っております。将来この問題につきましてはいろいろと意見調整が行われ、そういう方向に動いていくであろうと私は推測をいたしております。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃ、転籍問題についてお伺いいたしたいんですが、これは政府でもって大体方針転換をして、四月から実施の方向に向かうということになっているんですから、それぞれの準備進んでいると思うんです。これはいまは日本国内でそれぞれが本籍地を持っておりますね。そうすると、本籍地北方四島の方へ移すという場合には、これは旧島民ということに限るのですか。どうなんですか。
  19. 大森政輔

    説明員大森政輔君) 法務省参事官でございます。  まず、現在の北方三島六村に関する戸籍取り扱いについて若干御説明いたしたいと思いますが、戸籍法第一条によりますと、戸籍事務は「市町村長がこれを管掌する。」ということになっております。したがいまして、北方三島六村に本籍を置くということになりますと、その六村におきまして戸籍を編製し、それを前提とする戸籍事務を処理する必要がございます。ところが残念なことに、その六村には現在村長が置かれておりませんので、現実にその戸籍事務を処理することができません。したがいまして、現在の取り扱いは現在本土に在籍している者が北方三島六村に転籍届け出をしましても、それを受理することができないという見解をとっているわけでございます。なお、政府は……
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 聞いているのはそういうことを聞いているのじゃない。それはわかっているのだから、もう先聞いているのだから、質問に答えなさい。
  21. 大森政輔

    説明員大森政輔君) そこで、政府方針転換をしたということを前提の御質問でございますけれども、私どもといたしまして、まだ法務省方針としまして北方三島六村に対する転籍届け出を受理するという方針を決めるには至っておりません。と申しますのは、現在の法制のもとでそういう受理をいたしましても、本籍地において戸籍事務を処理する機関がございませんので、何らかの法的手当てをした上でなければそれを行うことができないわけでございまして、そのあたりを慎重に検討しているという段階でございます。  以上でございます。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、法務省としてはまだ全くこのことについてはあずかり知らぬというふうに理解してよろしいですか。
  23. 大森政輔

    説明員大森政輔君) あずかり知らないという言葉は若干私どもとして語弊があるわけでございますけれども……
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 あずかり知っているのなら知っているだけでいいから、長くならないようにひとつ。
  25. 大森政輔

    説明員大森政輔君) 御承知のとおり、旧在籍者はすべて戦後指導によりまして転籍届け出等によりまして本土本籍を移しているはずでございます。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 わかっているの。だから質問にだけ答えなさいよ。
  27. 大森政輔

    説明員大森政輔君) したがいまして、現在の日本国民にとりまして戸籍事務に関しそう不便は生じていないはずでございます。
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 そんなことを聞いてないというの、そんなこと。
  29. 大森政輔

    説明員大森政輔君) したがいまして……
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 もういいや。じゃ、質問を変えるから。  私が一回目に聞いたのは、旧島民に限るかということ。これも答えてない、何にも。いまあずかり知っているのか知らないのかと聞いたら、このことも答えないで、ぐるぐる質問の回り回っているうちに時間たっちゃうんだよ。  あずかり知らないのなら後の質問やめるのだし、あずかり知っているがごとく知らないがごとく、妙な答弁をしたって困るんだよ。だから、検討しているなら、いいですか、本島民だけに限るのかどうかというふうなことについて法務省はどう考えているか、限るのか限らぬのか、さっと言ってください。
  31. 大森政輔

    説明員大森政輔君) もし北方三島六村に転籍を認めるということになりました場合には旧在籍者に限る必要はないと思います。
  32. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでいいんだ。そうでなかったら、やっぱり法のもとでちょっと平等のあれにならなくなってくるし、いろいろな問題が出てくると思う。  そこで、自治省に聞くのですが、そうすると大量な転籍が起こる可能性があります、大量な。そうすると国調人口本籍地人口が全く合わなくなってくる。これはいまでも必ずしも合っているとは思いませんけれどね、合っているとは思いませんけれども、それでも本来ある程度これはもう整合性を持っているものなんです。これが全く合わなくなった場合、どういうふうに処理しますか。どっといっちゃうと国調人口と合わなくなっちゃうでしょう。
  33. 浜田一成

    説明員浜田一成君) お答えします。  現在戸籍に関する事務につきましては、いま法務省の方でお答えになりましたように法務省でまだ内部的な検討をされている段階でございますので、自治省といたしましては法務省ろ協議を受けた段階でその具体的な検討をさしていただきたいと思っている段階でございます。
  34. 丸谷金保

    丸谷金保君 本籍地は富士山の上でもいいんです。ですから本来的には全国的なトータルで合うことになるんですよ。しかし一方で「外国とみなす。」というような関税法上のみなし規定もあるんですよね。そういう非常に整合性のない問題が出てくる。そういう点についてもまだとにかく検討中だということですね。そのほかにいろいろ自治省関係では出てくると思いますよ。事務を取り扱う町村にしてみればこれは大変なことです、どこかの町村に委託することになるんですから。これはそれじゃまだ煮詰まってないということなので、次に移りたいと思います。  レポ船の問題なんですけれども大蔵省、いわゆるレポ船というふうなことがいろいろ問題になってきたのはつい最近何年かなんですが、これで関税として実際に収納している金額はどれくらいになりますか、北方四島に関連して。
  35. 長富祐一郎

    説明員長富祐一郎君) 関税を徴収した事例はございません。
  36. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、この間の予算委員会での答弁とちょっと食い違うんですが、たとえば竹島については現実的にそういう問題が起こってないからみなし規定要らないんだ、北方四島は現実的に起こっているから要るんだ、こういう答弁なんですね、大蔵省は。ところが実際にはまだ関税全然現実的には起こってないですよ。それで、みなし規定はいつできましたか。
  37. 長富祐一郎

    説明員長富祐一郎君) 昭和三十七年四月一日でございます。
  38. 丸谷金保

    丸谷金保君 そのころはまだ何もそういう問題は起こってなかったんですよ。だからやっぱりそういうことが起こったら困るというふうに予測してつくった法律だと私は思うんですが、どうなんですか。
  39. 長富祐一郎

    説明員長富祐一郎君) 御指摘のとおりでございます。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、これは長官ひとつ御記憶しておいていただきたいんですが、予測してつくった法によって、関税に対する問題はないけれども別な事案をこの法律との関連にして問題にしているというふうなことがあるわけなんです。それで、これはちょっと私は罪刑法定主義立場からいうとおかしいのじゃないか。  法務省おいでになっていますね。おたくの方でレポ船関係についてどうなんですか、そういう点は。
  41. 川崎謙輔

    説明員川崎謙輔君) 関税法につきましては罰則の定めはございますが、罪刑法定主義というのは法律に基づいて処罰をするということでございますので、これによって処罰することは格別罪刑法定主義に反するものではないと考えております。
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 関税法違反という現実の問題は起きてないわけですよね、何にも取ってないんですから。しかし現地のたとえば入国管理令違反とかいろいろな形のもので処罰する、その根拠として関税法外国とみなす規定がある、こういうことになっていますよね。それはちょっとおかしいのでないかということなんですが、どうなんですか。
  43. 長富祐一郎

    説明員長富祐一郎君) 関税を徴収した事例はございませんが、関税法上の処分した事例はございます。もう一点、外国とみなす規定関税法以外の法律にもあることを申し上げておきます。
  44. 丸谷金保

    丸谷金保君 自治省に伺いますが、自治省の方ではあれはまだ外国とみなしてないんですよね。法の整合性から言ってどうも私納得いかないのは、自治省北海道の領有の中へ入れて、道の交付税基準算定の中に面積入れておりますね。一方では、同じ政府が「外国とみなす。」というふうに外国とみなしている。非常に何か法律の中で御都合主義的な対応がされているのでないかと思うんですが、自治省としてはいかがでしょうか。自治省外国とみなさないんですよね。
  45. 浜田一成

    説明員浜田一成君) お答えいたします。  北方四島が日本の領土であることについては間違いのない事実でございますので。  それから、法律によって違うということでございますが、それぞれの立法の目的、趣旨等でそれぞれの省庁でお考えになってそういう取り扱いをされているものと存じておるわけでございます。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 海上保安庁、この取り締まりの関係はどうなっておりますか。
  47. 広瀬好宏

    説明員(広瀬好宏君) レポ行為につきましては、北方四島陸岸至近海域で行われておりますため、私ども巡視船の哨戒海域外でございます。したがいまして、その動静というのは非常に把握が困難でございます。したがいまして、私どもとしましては地元の漁民などからレポ船に関します情報を入手しましたり、情報活動を強化したり、関係機関との連携のもとに、虞犯性の高い船舶でございますが、これに立入検査をする、そういうことで監視取り締まりを実施しているところでございます。
  48. 丸谷金保

    丸谷金保君 要するに領海外に出てしまったら手がつけられない、こういうことですね。
  49. 広瀬好宏

    説明員(広瀬好宏君) さようでございます。
  50. 丸谷金保

    丸谷金保君 外務省、こういうレポ船問題が新聞紙上その他で大きく取り上げられるようになりました。この件について外交上相手国に対して何らかのアクション起こしておりますか。
  51. 丹波実

    説明員丹波実君) 約二年前になりますが、昭和五十五年三月に、外務省といたしましてソ連側にこのレポ船問題を提起いたしまして、これは非友好的な行為であるという指摘をして申し入れを行っております。
  52. 丸谷金保

    丸谷金保君 それ一遍だけですか。
  53. 丹波実

    説明員丹波実君) 現在までのところ、最近の事例としてはこの件だけでございますが、今後とも関係各省庁と連絡を密にいたしまして実情を調査、把握いたしまして、さらに必要とあらば今後とも同趣旨の行為を考えたい、こういうふうに考えております。
  54. 丸谷金保

    丸谷金保君 農林水産省に伺いますが、この日ソの漁業暫定協定で日本海にソ連船が乗り入れてくる。これはまたこの春からいろいろな面でトラブルの種になりかねない問題だと思うんですが、というのは、やはりこれは暫定協定の場合に、北方水域での操業というふうなことと非常に何といいますか相関関係を持っていると思うんです。これらでいろいろな問題が起きてきた場合に、日本海の漁民に対してどういうふうに対応していく予定ですか。
  55. 真鍋武紀

    説明員(真鍋武紀君) お答えいたします。いま御指摘の点につきましては、昨年の日ソ、ソ日の交渉でまとまったわけでございますが、まずその交渉の当時におきましても日本海ではわが国の漁船がイカ釣り網等操業をいたしておりますので、お互いに混乱が起こらないように秩序だった操業をしていこうではないかというふうなことを十分申し入れをしておりまして、ソ連側もそれにつきましては配慮をするというふうに申しておりますので、そういう被害は起こらないようにこれからもいろいろ話し合ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  万一関係漁業に被害が生ずるようなことがございましたら、漁具の被害等につきましては、日ソの間で漁業損害賠償処理請求委員会というのがございますが、これを通じて損害賠償請求を行うことはもちろんでございますが、その他の被害の態様によっていろいろ検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  56. 丸谷金保

    丸谷金保君 要するに、万々問題は起こらないと思うけれども起こった場合の対応もきちんと考えている、こういうことでよろしゅうございますか。
  57. 真鍋武紀

    説明員(真鍋武紀君) そのように考えております。
  58. 丸谷金保

    丸谷金保君 防衛庁、外務省にお伺いしたいのですが、過般予算委員会で同僚議員の馬場さんからシーレーンに関係して三海峡封鎖ということについての質問が行われました。そして防衛庁はそういうこともあり得るというふうな、非常に微妙な言い回しでありますが、答弁を行っております。あり得るというか、作戦としては考えられるということですか。あると言ってはちょっと言い過ぎかと思いますが、いろいろな作戦の中には考えられると。  ところが、防衛庁がああいう発言しますと、やっぱり北海道では非常に微妙に人心に影響してくるんです、東京では考えられないような。一例挙げますと、途端に北方四島に対する軍備強化の動きが始まったというふうな話が流れるんです。そこら辺は防衛庁どのように判断しておりますか。
  59. 澤田和彦

    説明員(澤田和彦君) たびたび政府委員から御答弁申し上げておりますように、いわゆる三海峡の防備といいますものはわが国の防衛上重要なことでございまして、わが国の有事におきますこの海峡のいわゆる海峡防備と私ども言っておりますが、この海峡防備につきましては、わが国を防衛しますために必要最小限度の範囲内で、もしわが国に対しまして侵略、武力攻撃を加えている相手国に属する艦艇がこの三海峡を通過することを——これ通峡と言っておりますけれども——阻止することがわが国の防衛に必要な場合には、この三海峡の防備の一環としてこの艦艇の通峡を阻止する場合もあり得るということはたびたび申し上げているところでございます。  いま先生おっしゃいましたように新聞等でこういうことが報道されていることは承知しておりますが、いま申し上げましたように、これはわが国を防衛します場合にそういう行動が本当に必要な場合にはあり得ると考えられると申し上げているわけでございまして、有事に直ちにこの三海峡を防備する、まして封鎖するというようなことを言っているわけではございませんので、このような国会におきます答弁、それからまたそれを報道されましたことによりまして、相手国にいま先生が御懸念のような本当にそういう影響を与えているとは考えておりません。
  60. 丸谷金保

    丸谷金保君 外務省はこのことについて、相手国の反応というふうなものの情勢を分析しておりますか。
  61. 丹波実

    説明員丹波実君) ソ連のタスあるいはイズベスチヤ、プラウダ、そういった報道機関がまさに国会における審議あるいはそれを反映したマスコミの報道をときどき掲げております。ソ連側は一般的に日本の防衛のあり方が今後どうなっていくのかという、そういう一般的な関心の中で、三海峡の問題についてもどうなのかなという感じで注目しておると、そういうふうに考えております。
  62. 丸谷金保

    丸谷金保君 海峡を封鎖するということになりますと、特に宗谷海峡の問題について非常に懸念されることはクリリオン岬、そこのそばまでやらないと封鎖できませんでしょう。日本で言うと西能登呂岬ですか。一体防衛庁そんなこと本気で考えているんですか、あり得るということ。それがどういう大変なことかということはお考えになっておりますか。
  63. 澤田和彦

    説明員(澤田和彦君) ただいまお答え申し上げましたように、私ども直ちに海峡を、いま先生が封鎖とおっしゃいましたが、封鎖といいますと全くそこを通過できなくしてしまう、通過する相手国の艦艇を一隻も実力で通さないということを意味するわけでございますが、それは海峡防備の中でも最後の手段といいますか、そういうことを行動することがわが国の防衛上真にやむを得ないという場合でございまして、まず私どもは先ほど申しましたように海峡防備、哨戒監視から始まりまして海峡防備ということを考えております。  その海峡防備の中で本当に真にわが国の自衛のためにやむを得ない場合にはわが国に武力攻撃を加えている相手国の艦艇の海峡通過を阻止する、そういう意味での封鎖ということも考えられるわけでございますが、実際問題といたしましては、通峡の阻止と言っておりますけれども、現在そういうことを行いますためには、一般的には護衛艦でありますとか、あるいは対潜関係の航空機、あるいは潜水艦というようないろいろな種類の手段を有機的に組み合わせて行わなければなりませんけれども、これはどのような態様で行われるか、それからまた実際にどの程度可能であるかということにつきましては、そのときのわが国に対します武力攻撃の態様というもの等に非常に左右されますので、一概には申し上げることが非常に困難でございます。  ただ一般的に申し上げまして、現在の自衛隊のこの能力につきましては十分という段階ではございません。
  64. 丸谷金保

    丸谷金保君 お話はそれなりにわかるんですけれども、ただしかし当然相手国の艦船がそこを通過できないようにするわけですから、少なくとも相手国の領海内に対する実力行使も行わなきゃなりませんでしょう。そのことの持つ何といいますか意義の重大さ、いまの防衛庁の何といいますか法制上の専守防衛という立場いろいろございますが、これは大変その点で心配されるいろいろな要素を含んでいる。それらを整理しないで、そういうこともあり得るという発言というのは私はきわめて軽率でなかったか。  これは大変なことなんですよ。相手国の領海内、西能登呂岬なんというのはやっぱり通れるんですから。そうですわね。それから夏場で言えば間宮海峡だってある程度の船舶通れるんですよね。本当に実効を上げるとなると、ですからこの間の発言というのはちょっと私は大変衝撃的なことだと思うんです。いかがなんですか。
  65. 澤田和彦

    説明員(澤田和彦君) ただいま申し上げましたわが国のいわゆる三海峡——宗谷、津軽、対馬、こういう三海峡の防備でございますが、これは御承知のように津軽海峡以外はその海峡の対岸は外国でございまして、外国の領海でございます。したがいまして、いま私が申し上げております自衛隊がわが家の防衛のために考えております海峡防備といいますのは、相手国の領海へ入っていってそこで何かするということはいままで申し上げていないと承知しております。  一般的にはわが国の領海、それから御承知のようにわが国に対する侵略を排除するために必要な限度内において自衛権は公海にも及ぶわけでございますから、わが国の領海及び公海に接続する部分を中心にして行われるわけでございまして、相手国の領海の中に入っていくというようなことは、これはいま先生おっしゃいますように大変な問題でございますし、また実際問題にも非常にむずかしい問題でございますので、そういうことを申し上げているわけではございません。
  66. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうだと思うんですが、そうすると海峡封鎖というふうなことの、いわゆる何というか、日本の海上交通を守るためにそういうことも有事になったらあり得るという、そういう有事は私たちは起こると思いませんよ。起こると思いませんのにああいうショッキングな発言されると、もうたちどころに北方四島に隣接する地域の住民に非常な心理的な圧力を与えるのです。  実際にあれは、私はもうシーレーンを守るということは事実上防衛不可能なんで、理論的な帰結としてそういう表現以外にない、千海里だろうが二千海里だろうが、とてもじゃないけれども海上防衛で太平洋に出てしまった国籍不明船の潜水艦からの攻撃に対して守りようがない、守るとすればそれしかないという防衛庁の悲鳴にも似た、何というか、答えでなかったかなと思うんですが、それとの関連でああいう発言をしなきゃならなかったのだろうし、しかも一方では相手の領海に入っていかないで、だったら封鎖にならないでしょう、あなたの言っているような。自衛隊法ではそれ以上に踏み込めませんでしょう。だから実際には現状の中でそれは不可能なことなんですよね。  不可能なことをあたかも可能なような表現をされると、北海道の住民にとると非常に大きなショッキングなんです。そういうことを十分今後気をつけていかないと困る。あなたにいま言っても始まらぬことだろうけれども、これはよく帰って防衛庁の内部できちんと受けとめておいてください。それでないと、東京ではいとも気楽にそういう考えもあり得るというようなことを言われる。それは一過性で過ぎちゃうけれども北方四島に隣接している地域の住民なんていうと、あ、それでああいう今度またもう少しあやふやなことになるというふうな、事実であるなしにかかわらず心配を持つ。  これは長官、長官からもひとつ防衛庁長官に、きょうの北方四島に関連した問題として、そういう点については十分ひとつ申し入れをしていただきたい。北方に隣接する地域の住民に動揺を与えるようなことをやってもらったら困るということで受けとめていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  67. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) 防衛庁長官にその実情を十分お話を申し上げ、対応をしていただくようお願いするつもりでございます。
  68. 丸谷金保

    丸谷金保君 もう一問。  通産省、サハリン石油関係の現況、どうなっておりますか。
  69. 深沢亘

    説明員(深沢亘君) 先生御案内のとおり、サハリンのガスと石油の開発につきましては一九七五年、昭和五十年からずっと続けられております。それで、もうじき探鉱段階が終わるかというようなところに差しかかってございます。
  70. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 林野庁来ていますか。私も時間がありませんから要点だけ言いますから、答えを簡単にやってください。  私は去年の六月とことしの一月沖繩に行きまして、主として林業関係をずっと西表島を含めて歩いてきました。したがって、われわれの調査には熊本営林局の総務部長ほか三名も同行していろいろ現地で議論したわけでありますが、それなりの報告が来ていると思います。したがって、現地で熊本営林局と話した答えはここで繰り返してもらいたくない。本庁の林野庁としての考えを聞かしてもらいたい。  一つは、勅令三十二号による県に明治四十二年から八十年間期限つきで貸しておる土地があるわけでありますが、これらの問題については前回の沖特の問題でも土地が非常にないということで、現地の住民の皆さんはこの勅令貸付地の無償譲り渡しを強く要望しておるわけでありますが、この実現の可能性について御答弁願います。
  71. 米田博正

    説明員(米田博正君) いま先生おっしゃられましたいわゆる勅令貸付国有林ですけれども、これにつきましては明治四十二年に貸し付け以降まだ昭和六十四年五月まで無償貸付の契約が続いておるわけでございます。  それで、本契約は六十四年五月に終わりますけれども、この後の取り扱いにつきましては現在貸し付けを行っております趣旨でございますとか、いままで貸し付けを行っている中で県の方でいろいろ造林あるいは林道をつくられたとかいうようなそういうような実績、あるいは今後対策を講ずるに当たりましては沖繩県に対するいろいろな各種特別措置というのがあると思いますので、そういうものとの関連も含めながら、まだ若干時間もございますので慎重に検討をいたしたいということでございます。  申し上げるまでもなく現在の法令の中では無償払い下げという仕組みはございませんので、もしやるとすれば新しい法令制度が要るというようなことでございますので、そういうものも含めて検討さしていただきたいということでございます。
  72. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 われわれはあなたの答弁はもう現地で聞いている。だから現行で無理ならば、沖繩の十年の区切りのときもあるから、その際に特別立法が必要であれば特別立法の議員提案を含めて考えるから沖繩の皆さんの期待にこたえるように前向きに検討してほしい、こういう要請をしておったんですが、あなたの答弁は、必要であれば特別立法の考慮をも含めて前向きに検討したい、こういうふうに受け取っていいですか。
  73. 米田博正

    説明員(米田博正君) いずれにいたしましても県がいままで管理してきた実績等がございますので、そういうのも十分含めて、いかなることであるか、無償だけでなくてあるいは減額で売るということもありましょうし、あるいは通常であれば時価でございますし、あるいは引き続き無償で貸すとか、いろいろな方法があると思いますので、現地の知事さん初めとする県の方々の要望も十分踏まえて検討いたしてまいりたいということでございます。
  74. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ、そのようにわれわれも取り組みます。  それから、八重山開発KKに契約やっておるわけでありますが、あと残り期間が二十二年あるわけでありますが、二十二年の問題はそれなりに考えるとして、契約どおりこの中身が実行されてない、きわめて気ままにこの山を使っているということについては、現地の調査では契約どおり実行されていないのははなはだ遺憾であると。現地で確認したんですが、この報告は来ておりますか。
  75. 米田博正

    説明員(米田博正君) 現地での部分林契約をやった内容に従いまして、植栽とかあるいはその後の保育管理等について必ずしも適切でないということであったということは承知しております。
  76. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 契約どおり実行していない方にいつまでも貸しておく必要はないので、これもまた沖繩県民が一これは借りているのは本土の方ですわね。沖繩の人が借りておるのならそれなりに理屈があるんですが、何も大日本帝国の本州から沖繩まで行って私は借りる必要もなければ貸す必要もない。借りた中身があなたが言ったとおり契約どおり行われてないとなれば、これもやっぱり早い機会に、向こう二十二年間ありますが、短縮をも含めて早い機会に沖繩県民にプラスになるようにこの問題については活用を見直すべきだ、こう思うんですが、いかがですか。
  77. 米田博正

    説明員(米田博正君) 私どもといたしましては、すでに先生御承知かと思いますけれども、現在契約面積が大体九千八百ヘクタールぐらいございまして、この部分林契約は特殊なものでございまして、既存の立木を伐採してその後に新しく分収の対象になる木を植えているところでございます。そういうことで、現在の実情を申し上げますと二千二百七十ヘクタール程度は売却しておりまして、残り七千六百についてはまだ立木の売却も行っておりません。  それで、現実八重山地域の山については今後やはり自然保護の観点でありますとか、ヤマネコですか、そういうようなものの保護等から見ますと伐採をするということは必ずしも適切でございませんので、現在契約している中でまだ売却をしてないような部分については相手方と話し合いをしまして部分林契約の対象から除外するというようなことを話し合いを進めてまいりたいと思っております。それで、現実造林をいたしておるところにつきましては、保育管理を適切に行うように私どもとしても十分指導していきたい。  で、契約期限が切れた後の扱いについては、いままでの実績等踏まえましてどういう扱いにするかはさらに検討させていただきたいというふうに思っております。
  78. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これは沖繩県の山ですからね。本土資本とか本土の特定の人の利益などそんなに考える必要はないんですよ。それでなくとも沖繩には林業行政がないと言われておるんですよ。  だからそんなきれいごと言わないで、やはり約束を守らないところはきちっと直させる。伐採がよくないのなら、いま現に伐採しているところはやむを得なくても、今後伐採をするところは抑えるとか、そして契約どおりする、そしてやっぱり早い機会に契約を解除してこれは沖繩県民に返す。これぐらいの私は林野庁の姿勢があってもいいのじゃないか。それでなくとも土地が足りない。ですから、やはりこれも早い機会に県民に原則的に返す。その返す方法、契約の方法はいろいろ慣行もありますから、それは私は何も言いません。そういう形で林野庁はこの問題については取り組んでもらいたい。私も山に行ってみましたが、本当に大変だと思うんです。ですからぜひそういう方向で取り組んでお願いしたいと思うんですが、しつこいようですが、いかがですか。
  79. 米田博正

    説明員(米田博正君) 先ほども申し上げましたように、現在伐採を行ってないところにつきましては今後伐採することは適切でございませんので、その場所については契約の対象から除外するという方向で相手方と積極的に話し合いを進めたいというふうに思っております。
  80. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 沖繩に返すようにという、あなた沖繩に返すようにという温かい心がないのかね。あなたは沖繩、この八重山に行ったことある。行ったことないでしょう。行ったことないからそんな冷たい形になって。私はいま沖繩の議論をしているんだから、やっぱり沖繩の山は沖繩県民に返す、それぐらい私は温かみがあってどうですかということを声を大にして言っているのだから、それは沖繩県民に返すというたてまえで検討しますというぐらいは沖繩県民に答えてやりなさいよ。いかがですか。
  81. 米田博正

    説明員(米田博正君) 県民に返しますといいますか、国有林でございますので、私ども国有林としてそれを経営の対象にするようなかっこうで当然それは沖繩県民の役にも立つわけでございます。そういう趣旨で、先ほど申し上げましたように契約の対象から除外するような方向で相手方と積極的に話を進めたいというふうに思います。
  82. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それから沖繩営林署は、あれ鉄筋のビルに間借りしているんですね。山を管理する営林署が那覇の町の中のビルの三階だったか、あそこは。三階だか四階に間借りしているというのは、これはナンセンスもはなはだしい。やはり山の管理は山の中の近くにおるというのが私はたてまえだと思うんですよ。したがって、沖繩営林署は早い機会に現状を改正して、やはり山にふさわしいところに沖繩の営林署をつくって、いま言った八重山を含めて、あるいは西表島の問題を含めて監視をする、そういうのが正しいと思うんですが、沖繩営林署の移転拡充についてはどんなお考えを持っていますか。
  83. 米田博正

    説明員(米田博正君) これは直接私の課でございませんけれども承知している範囲でお答えさしていただきますが、沖繩営林署の庁舎につきましては現在ビルに間借りするようなかっこうで入っておりますけれども、これにつきまして今後の庁舎をどうするかという問題につきまして、地元等からも新しく新築したらどうだというようなことがございます。  御承知のように、現在国有林野事業は厳しい財政事情でございますので、いろいろな庁舎の新築についても抑制せざるを得ないような状況でございます。そういうことで、いろいろ建物の老朽度でありますとか都市計画との関係とか、あるいは地元の受け入れ体制などを総合的に勘案いたしまして、緊急性の高いものから逐次新築をしているところでございます。  で、いま問題になっております沖繩営林署については、建設省における合同庁舎の整備計画というのもございますので、そういうものとの関連も含めながら現在慎重に検討しているというようなことでございます。
  84. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 まああなた、どうも答弁聞いていると実態がわからないらしいね。実態のわからない人と議論したってこれは机上の空論になるのですが、特に営林署が本来の機能を果たさないところにあってはどうにもならないのですから、本来の機能を果たすところに営林署を移転し、間借りでもいい、金がなかったら間借りでもいい、やはり原則は新築ということで、そういうふうに、これは行革の面からもやっぱり営林署の所在ということは大事なポイントですから、そういう要請が強くあったと。五十六年度の予算、五十七年度の展望については私は私なりに資料を持っていますが、時間がありません、言いません。特に営林署には重大な関心を持ってもらいたいということが要請があったということをつけ加えておきます。  それから、防衛庁来ておったらちょっとお伺いしたいんですが、西表島の国有林内に核燃料の再処理工場をつくるという話が防衛施設庁から出ているという話があるんですが、これは未確認情報ですか。そんな考えがないということですか。この前の現地調査では新聞に一部出ておった程度で、地元の町長さんはまだそんな話聞いてないということでしたので、その後若干のやりとりがあったかどうか知りませんが、西表島の核燃料再処理工場の建設について情報があれば提供してもらいたい。情報がなければそれは単なる空情報だと、こう思いますから、いかがですか。
  85. 窪田稔

    説明員(窪田稔君) ただいまのお話、私いまここで初めてお聞きしました。いま私が承知している限り、それからわれわれの仕事をやっている過程、まあ三十年近く勤めていますから、そういうことはあり得ないと思っております。
  86. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 あり得ないということを西表島の島民のために確認します。空情報でありがとうございました。  それでは、それではセメントの問題で、ちょっと私も沖繩のセメントの皆さんにお世話になっているので、このセメントの問題ちょっとお伺いするんですが、これは開発庁が直接のになると思うんですが、沖繩のセメントの原料の石灰石、これは現地のいろいろな調査によりますと二百五十年から三百年ぐらい掘っても尽きないという、いわば無尽蔵に近いくらいの石灰石が埋蔵している、こういう情報を得ているんですが、これは単なる情報でしょうか。大体科学的な根拠で、まあ二百五十年は無理だけれども二百年ぐらいは掘ってもいい、こういう情報を得ているのか、これを開発庁にちょっとお伺いします。
  87. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) あるいは通産省の方からお答えいただくのがよろしいのかと思いますけれども、私ども手元に数字ございませんけれども沖繩におきます石灰石の埋蔵量は相当の量があるということは私ども聞いております。
  88. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これはわれわれがもらったレポートでは、県内のセメントの消費料が百十万トンだ、しかし名護の一番端にある沖繩琉球セメント、あの工場から出る県内の需要はわずか三五、六%で、あと六十何%は本土から入っている、こういう報告を受けているんです。  それで、琉球セメントのあの場所に、キルンとかという工場器具があるんですが、キルンとかというものを新しく投入するとか、あるいはコストの問題で、この前も沖繩電力へ行ったんですが、重油を石炭にかえるとか、これは国内では大体七〇%はセメント工場は重油から石炭にかえている。そういうかえることを本土側では技術的にほとんどマスターしている。そういう現状がありますので、こういう方向にこの前議論になった開発金融公庫の融資とかというものを重点に使ってもらえば、もっともっと琉球セメントは国内的にも可能だ。三五から四〇%しか県内産のシェアがありませんから、本土セメント業界には都合が悪いですけれども、やっぱり沖繩は自給できるならば、しかも資源があるというならば、やっぱりこれは第二次沖繩開発の目玉商品ぐらいにしてもらいたいものだと、こういう強い要望がこれは労使からあるんです、経営者側も組合側も。しかも労働省が言っておる雇用創出という点にもストレートにつながっていく。  こういう問題がありますので、この問題について通産省を呼ばなかったのは悪かったですけれども開発庁として重大な関心を持って取り組んでもらいたい、こう思うんですが、これはいかがでしょうか。
  89. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) ただいま御指摘のセメント工業、県内の有力企業の一つでございます。私ども県内の産業、地元の既存企業の振興ということも非常に重要な課題と、こう考えておりまして、すでにこの御指摘の重油から石炭への転換というのにつきましても、公庫からの融資を行いまして一部すでに完成をいたしておるというふうに承知をいたしております。そのような御指摘のような方向で私ども今後とも努力をしていきたい、このように考えております。
  90. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それから自由貿易との関係もあると思うのですが、セメント業界のいろいろな資料を見ますと、約九千万トン近く日本は生産をして、そのうち約八百から九百万トンぐらいは外国に出している、国外に出しておる。大体輸出先を調べてみますと、中近東とか東南アジアが主なお得意先なんですよ。  セメント業界がこれだけ外国に一割から二割程度出しているならば、たとえばいま局長が言ったような形で沖繩のセメントの生産をぐっと上げれば沖繩から東南アジアにセメントをどんどん持っていける。国内にも十分な需要の市場がある。海外にも十分な需要の市場がある。そうすればやはりセメント工業というのは沖繩の地元資源ですから、石灰石という地元資源を使ってあるいは大きな産業開発、雇用の創出という点もやはり可能ではないのか。これは生きた金じゃないかな、こう思うんですよ。そのためにもこの前言った港湾整備をするとかあるいは積み出し港をつくったり、そういうものをつくるということもまた雇用の創出につながってくる。あるいは経済全体が勢いがついてくるという点で、セメント資源、石灰石というものを国内と国際を含めて自由貿易港の設置も含めて立体的に考えたらどうかと、こんなふうにもセメント業界の資料を見ながら私は気がついたのですが、この点についても考えを聞かしてもらいたい。  それは無理だと、こういう考えか。なるほどな、そうなら考えてみようと、こういうことなのか。海外の輸出も含めてセメント工業の振興ということについて考えてもらいたい、こう思うんですが、いかがですか。
  91. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 先生御指摘のように、原料となる石灰石が非常に豊富でございまして、今後におきます一つの地元での立地条件という面から見ましてもセメント工業は有望な企業ではないかというふうに考えます。  先生御指摘のような、将来海外への輸出も考えていきたいという考え方が一部にあるということは私どもも聞いております。詳細なお承知をいたしてございませんが、業界の関係者の方々とも十分相談をしながらできるだけ企業の伸長を図っていく、産業振興を図っていくという方向で考えてまいりたいというふうに存じております。
  92. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 セメント業界も必ずしも景気がよくありませんから、ちょっぴり抵抗があると思うのですが、長い目で沖繩振興と雇用ということを考えれば、やはりこの際政府においても通産省とよく相談をして大乗的に判断をすべきであろう、こう思うんですが、これは大臣にも通産大臣との関係がありますから、大乗的に考えてこのセメント資源というものを大事に育ててもらいたい。そのための資金の投下ということも考えてもらいたいと思いますが、大臣いかがですか。
  93. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) いま沖繩産業振興に重点を置いておる際でもございますし、また雇用の拡大も図らなければならぬときでもございますので、大事なセメントの原料となる石灰石、これが事業として計画され推進をされることは望むことでございますので、私ども十分検討をさしていただきたいと思います。
  94. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 通産省とよろしく調整方お願いします。  それから、食べ物で細かい話ですが、やはり沖繩県民も食べ物が大事ですから、余り新しい資料がなかったのですが、五十三年の資料を見て、食料品で県外に出しておる金はどのくらいあるかと、こう拾ってみたら、少し古い資料かもしれませんが、新しい資料があったら教えてもらいたいんですが、年間千二百四十五億、その部門別は粗糖、サトウキビ関係、これが四百八十一、それからバター関係が九十二、お酒のウイスキー八十二、ビールが七十三、清涼飲料水が六十七、それから肉製品が五十四、こういうデータが見つかりまして、この関係を考えますと、やはりほとんど沖繩の地場の農業、畜産、それが県外移出の大きなウエートを占めているんですね。  そういう意味では、沖繩の農業という点は、やっぱり第一次産業である農業にもっと金を投入してめんどう見るということが沖繩振興につながっていくのじゃなかろうか。別な面では雇用もやはり創出していく。こういうふうにこの数字から私は見るわけでありますが、沖繩農業の十年間の総括と今後の展望ということについて、農水省はどう考えておるか、農水省の見解を聞きたい、こう思うんです。——農水省来ていない。じゃ、いいです。  開発庁で掌握されているので結構ですから、開発庁で沖繩農業のことを掌握していれば見解をちょっと聞かしてもらえばいい。なければ、手違いですから無理を言いません。
  95. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 私も的確な用意がございませんので簡単にお答え申し上げますが、確かに沖繩におきましては農業に依存する割合がきわめて高い地域が多いわけでございます。  そういうことで、私どもも第一次振計の期間中から沖繩の農業については農業用水の確保、それから圃場整備等生産基盤の整備を初めとする各般の施策を推進しまして、その振興に努めてきたところでございますが、農業基盤整備水準は先生御案内のとおりまだ本土に比べて立ちおくれている状況でございます。ただ最近本委員会でも御議論があったかと思いますが、沖繩では冬春季、要するに本土における端境期における野菜、花、そういうものの耕作面積が非常にふえまして、本土への移出も非常に順調に進んでおります。こういうような作目の多様化というようなこともあわせまして、今後沖繩農業の振興を図るために、さらに一層の努力を傾注してまいりたいというぐあいに私どもは考えております。
  96. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これは大臣、農水省いないから聞いてもらいたいんですが、細かい話ですけれども、やっぱり沖繩復帰してから、県外に移出している面もあるけれども沖繩県内では逆に日本本土の資本に攻撃されている。たとえばビールなど見ても、復帰時はほとんど沖繩県のビールを飲んでおったんですが、一番新しいところでいま五分五分だと。私飲み助だから、ひどいのは、一体どのくらいだと言ったら、そうですね、半々かあるいは三、七で沖繩ではいま本土のビールの方が多いと言う。これは感覚の違いで、これがあとどうなるかと聞きたかったんです。  それから、みそ、しょうゆ。みそ、しょうゆは、復帰当時の統計見ますと六〇から七〇は県内産だ、ところが現在はみそは四〇%、それからしょうゆは三〇%、逆に言えばみそは六〇%、しょうゆは七〇%本土品だと。だから、みそ、しょうゆに至るまで家庭の隅々まで地場産業が侵害されて県外からどんどん入っている。こういう現状なんです。ですから、道路とか企業ということはいざ知らず、こういう生活の隈々まで県外品が多く入っている、これはやっぱり見直すべきじゃなかろうか。そういう点から農業というものを考えてもらいたいなと、こう思っていま農業の現状を聞こうと思ったんです。ですから、こういう地場産業の農業ということにも視点を合わして検討してもらいたいな、こう思うんです。  特に、沖繩は糖みつが出るんですね、まあ専門家がおりますが。これをわざわざ本土まで持ってきて加工しているんですよ。糖みつをわざわざ本土まで持ってきて。せっかく糖みつという地場の資源があるんですから、アルコール工場を沖繩に持っていって、そうして糖みつからアルコールをつくるという仕事、沖繩に資源がある、資源があるところに工場をつくるということについても、これは通産省ですが、私もアルコール工場を全国七工場全部歩いています。特には鹿児島の鹿屋の工場、あるいは千葉の工場あたりに行きますと、やっぱり糖みつというものがずいぶんどんどん使われておりますよ。工業用アルコール。ですから糖みつが沖繩からどんどん出るのですから、アルコール工場を沖繩に持っていってつくる。そういうことも通産省と今度は新エネルギー事業団ですか、この新エネルギー事業団と、そういう雇用創出という点を含めて、資源のあるところに工場をつくる、こういう原則で十分考えてもらったらどうかなと思うんです。こういう点についても大臣ひとつ検討してもらいたい、こう思うんですが、いかがですか。
  97. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) いま沖繩県の資源活用の問題がございました。私ども沖繩産業振興の上からもこういう問題につきましては通産省等とも十分協議をして、できるだけその産業振興一つの政策としてこれを推進をしてまいりたいと考えております。
  98. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それからもう一つ。糸満の水産加工団地を一生懸命造成しているんですが、団地をつくっても肝心要の魚が揚がらないんですね。魚が揚がらないのでは、これはしようがない。  調べてみたら、魚の資源が沖繩はいっぱいあろうと思うんですが、私の生まれ故郷の仙台湾なんかに比べると本当にうらやましいくらい。塩釜、石巻港にもどんどん揚がりますが、塩釜、石巻港に比べると段違いくらいの資源が沖繩の周辺にはあるんですな。年間どのくらい揚がっているかと言ったら、二十億程度沖繩に水揚げするだけで、あとは全部九州の方に真っすぐ来てしまう。そういう現状らしいんですよ。これは私確認していますから。これまたせっかく魚の資源があるんですから、糸満に水産加工団地をつくるということでやっているのですから、せっかくある資源を九州まで運んでくる必要は私はないと思うんですな。  これまた漁民の方々とよく話し合って、冷凍、缶詰、精練という、そういう一貫作業をやっぱり協同組合方式を含めて漁協なりあるいは農林水産省が指導して、やはり資源を有効に地場産業として育成するという配慮が私は必要ではないか。そうすれば、もっともっと沖繩の水産加工業というものは私は発展して、そして十代、二十代の女の方々も含めて若年労働力をどんどん使える、あるいはパートの中高年齢の方々を使える、そういう地場産業との私は非常に密接な可能性を持っている資源だと思うんですよ。この漁業資源についても、これまた農林大臣とよく話し合って、せっかくもうけておる九州の関係者には悪いけれども、九州は九州で食べる方法があるんだから、やっぱり沖繩で有効に産業を育成するということを考えてもらいたいなと思う。  これも大臣、ひとつ農林省おりませんからあなたに言っておきますが、ぜひ考えてほしい、こう思うんですが、いかがですか。
  99. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) この問題につきましてもよく農林省とも打ち合わせをして、検討をさしていただきたいと思います。
  100. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 最後に施設庁にお伺いしますが、公用地暫定使用法の関係とか、特措法の関係、それから位置境界明確化の関係、こういう関係については質問も通告しておりますから、現在までの経緯は要りません。現在の問題になっている問題をどう処理するかというふうな処理の方向について見解を聞いて私の質問を終わります。
  101. 窪田稔

    説明員(窪田稔君) まず公用地暫定法が切れた後の問題答えさしていただきます。  これは自衛隊関係と米軍関係ございまして、自衛隊関係につきましては、該当する土地とか施設の所在位置、それからその状況から見まして所要の移設措置を講ずることによりましてさしあたって基地の機能を維持する上で必要最小限度の土地は確保できる、こういう見通しでございますので、五十七年五月十四日までに返還することとしてございます。それから米軍関係につきましては、一部返せるものは返す方向で米軍と折衝しておりますが、大部分のものは五十七年五月十五日以降引き続き米軍の用に供する必要がございますので、これにつきましては駐留軍用地特措法により使用権原を得ることとしまして、現在沖繩県収用委員会に裁決申請をしてございます。  それから、次に沖繩収用委員会の裁決、審理の状況でございますが、五十六年六月十日に先生が現地にいらっしゃったときには大部分の三次の分の申請をしておりました。その後四次、五次と申請しまして、それにつきまして沖繩県の方で五十六年八月四日に第一回の公開審理を開いて、それ以来二月二十七日までに第一次から第四次の裁決申請したものにつきまして六回の公開審理、それから第五次分、これは那覇市関係でございますがにつきましては、五十六年十一月三十日の公開審理以来三月八日までに三回の審理が行われております。  それから、次に地籍明確化の進捗状況でございますが、私どもが担当しております防衛施設に係る位置境界不明地域は三十六施設、百十七平方キロメートルございますが、現在九六%、百十二平方キロメートルにつきまして明確化措置が完了いたしました。したがいまして、手続が完了していないのは十三施設の一部、四%の五平方キロでございます。ただ五平方キロでございますが、これは実はブロックごとにやっておりますので、実際判を拒否なさっている分につきましては〇・三三平方キロでございます。  以上お答えいたします。
  102. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 終わります。
  103. 中村啓一

    ○中村啓一君 私からは北方領土問題を主としてお伺いをいたしたいと存じます。また同僚板垣議員からは沖繩問題を中心にした援護問題を分担をしてお伺いをいたす段取りにいたしております。  北方領土をめぐります最近の情勢、これにつきまして政府としてはいろいろ努力をされている、特に北方関係予算についてもこういう予算状態でありながら、わずかではありますが経費の増額もされた。私は田邊大臣を初め関係の皆さんの御尽力に大変感謝をいたします。また懸案の沖繩振興法を十年間たって新しい立法をつくっていただきましたことも、よくおやりいただいたと感謝をいたしております。いずれにしても政府は努力をされていることは認めております。  特に北方領土問題につきましては、昨年総理また総務長官も現地にお出かけになりました。さらに昨年園田外務大臣、グロムイコソ連外務大臣が話し合いをされました。それに基づきまして、ことしの一月でありますか、二年八ヵ月ぶりと聞いておりますが、日ソの事務レベル協議が行われました。  そこで、外務省にお伺いをいたしますが、この協議で北方領土問題につきましてどこまで論議が深められたか、一歩の前進があったか、その点についてお話を承りたいと存じます。
  104. 丹波実

    説明員丹波実君) まず初めに、北方領土問題につきましては、御承知のとおり長年にわたります日本政府の一貫した返還の主張にもかかわらず、ソ連側が現在までかたくなな態度をとっておるということを日本政府としてきわめて遺憾であると考えております。  御質問の、先般一月に行われました日本外務省及びソ連の外務省の次官レベルのモスクワにおける会談では、私たちは基本的に次の三点を主張したわけでございます。  まず第一点は、一九七三年の御承知の田中・ブレジネフ共同声明におきまして、ソ連側は戦後の諸問題を解決する、そして平和条約を締結すると言っておりまして、その中では、それが四島なんだということを田中総理が確認しておられますけれども、その原点に立ち戻ることが必要であるということ、それから後退しているじゃないかという点を主張いたしました。  第二点には、最近両三年、御承知のとおり北方四島を中心といたしましたところにソ連が軍隊を配備しておりますけれども、その軍隊を速やかに撤去する必要があるという点でございます。  第三点は、その平和条約締結交渉、最近中断されておりますけれども、これを早期に再開する必要がある、そのためにグロムイコ大臣が日本を訪問する順番であるのでぜひ早期に訪日してほしいということを申し入れたわけです。  それに対しまして残念ながらソ連側は従来の態度を何ら変えておりません。北方領土問題についてソ連側を代表して出ておりました外務省のフイリュービン次官はニエット、ニエット、ニエット、ニエットと四回繰り返してその存在を否定しておりまして、人によってはなぜ四回ニエットを繰り返したのか、これは北方に四つの島があるので一つ一つについてニエットを言ったのだという解釈をしておる人もございますけれども、以上のとおり大変かたくなな態度をとっておりまして、残念ながら先般の協議によって突破口が開かれたというような認識はわれわれは持てなかった次第でございます。
  105. 中村啓一

    ○中村啓一君 外務省が努力をされている、しかし北方領土問題は一歩の前進もまだ感ぜられない、大変残念に思います。  先般ブレジネフ書記長がウズベク共和国のタシケントで、日ソ間の信頼性を確保する、そのための交渉をうたっておりますが、政府としてはそれに対して何かこれを生かしていくための方策をお考えになっておりますか。これも外務省にお伺いをいたします。
  106. 丹波実

    説明員丹波実君) 先生おっしゃいますとおり、去る三月二十四日、ブレジネフ書記長がタシケントにおきまして、主としてアジアの問題、国際関係で触れたわけですが、その中で対日部分につきましては、極東におきますところの信頼醸成措置というものの提案を先般ソ連が昨年二月に行われた共産党大会のときに提案しておるけれども、これを日ソ二国間で交渉し始めてはどうかというような点、それから日本との善隣関係、あるいは最も広範な互恵的な協力関係をもう少し発展させていくための方途を探りたいというようなことを言っておりますけれども、私たちは、この演説の基調は基本的には昨年二月のブレジネフ演説その他と変わっておりませんで、特に新味はないと考えております。  これに対しますところの日本政府の対応でございますが、たまたま昨日ナジョフソ連代理大使が外務省の加藤欧亜局長のところに参りまして、本国政府の訓令によるとして、このブレジネフ演説の対日関係部分を説明したわけでございますが、これに対しまして私たちは基本的に次の四点をソ連側に指摘いたしました。その四点が日本政府の基本的に対応と考えていただいて結構だと思います。  まず第一点は、日本としてはソ連が望む以上に日ソ関係の発展を望んでおるという点。第二点は、しかしながらソ連が北方四島を占拠して平和条約も締結されていないという状況、あるいはアフガン侵略あるいは最近のポーランドにおける行動、ポーランドとの関係におけるソ連の圧力といったものを考えれば、幾ら日本が日ソ関係を発展させたいと考えても、日本政府としての行動の余地はソ連側のそのような行動によって制約されざるを得ないじゃないかという点でございます。それから第三点は、ブレジネフ書記長はその演説におきまして、日本の外交が外部の勢力によって影響されておるというような趣旨を言っておりますが、日本政府の外交は西側諸国の一員としての日本政府独自の判断によって行われておりますものであって、外部の勢力によって影響されているというのは認識の誤りであるという点。それから最後に第四点でございますが、極東におきますところの信用醸成措置なるものの提案につきましては、そもそもソ連が日本の固有の領土でありますところの北方四島を占拠し、かつ最近はそこに軍隊を並べておる、日本側から見た場合そういう基本的な信頼を持てないような関係をつくっておきながら、他方で極東における信用醸成措置といっても、われわれはそういうものにはとても乗れないということ、その四点を申し入れたわけでございます。  以上が日本政府の対応でございます。
  107. 中村啓一

    ○中村啓一君 外務省の努力は理解をいたします。しかし私自身は北海道を選挙区にいたしておりまして、北方領土のことは肌にしみて感じておりますが、北方領土交渉をめぐる問題は理屈と力の空回りといった実感が大変強い。そういう面で非常に努力はされているがなかなか実ってこないという大変ないら立ちを覚えております。しかし、ここは何としても領土交渉のテーブルに着けるように、外務省としてはこの上とも最大の御尽力を願いたいと存じます。そしてぜひ北方問題御担当の田邉大臣におかれましてもソ連を訪れられて、北方領土の問題について力説をしていただくような機会をお考えいただきたいと要望をいたします。  次に、北方領土をめぐる地元の動き、動向については特に田邉大臣のお耳に入れておきたいと思います。  領土問題、戦後三十七年、大変長期化いたしました。地元の、特に根室管内の地域の人々の不満、不安、動揺というものは、先ほど丸谷議員も触れられましたが、実は年とともに拡大をしていっております。現に昭和五十六年、五十七年で、いまでも出漁をしております漁船が拿捕され、二百三十七人が抑留をされました。現時点で帰っていない人は五十五年以来十四名にもなっております。ソ連はあの海域に監視船を配置し、日本漁船をにらみつけておりますが、あの四島付近ではソ連は操業はほとんどやっておりません。ソ連はサバやあるいはその他のソ連に必要な魚をほかの地域ではとっておりますが、日本漁船と競合をするあの海域ではただ監視船が目を光らしているだけだと私には感ぜられます。いずれにしても、ソ連の経済的な利益によってこういう悲惨な事態が起きているとは考えられません。  そして、それらと関連をいたしまして、たとえば羅臼町で日ソ親善協会会員証が発給をされる、それによってソ連が主張する領海内の何らか免罪符であるという言い伝え、疑惑がいまでもあります。さらに根室の市議会はもうとてもがまんができないということで、超党派で議会がソ連邦に出かけていきたい、そういま何ともがまんならない状態で論議をいたしております。さらに根室市内に日ソ友好会館をつくろうという動きもあります。  そういうことがだんだん絡まりまして、たとえば日本の国策としてはとても考えることのできない二島でもいいではないかという論議が地元で行われたり、あるいは領土より魚というような声が根室に起きるというような実情になっております。国論が分かれる、領土よりは生活だ、そういう地元のいらいらした、何ともならない煮え返るような苦しみ、私は、丸谷議員も同じく同じ選挙区で、本当に無念に思っております。しかも四島からすべての人が強制移住をさせられまして、遠く北海道に住んでおります。一万七千人の人が帰ってまいりましたが、この三十七年で三分の一が死んでしまいました。一万二千人になりました。私の友人の、引揚者の理事長をやっていた山下君やあるいは専務の梅原君も亡くなってしまった。  いずれにしても根室は領土返還運動の原点であります。初代の安藤石松町長がマッカーサーに直訴をしてこの運動が始まりました。その原点がいま揺らいでいるということはもう何とも私にとっては耐えがたい問題でございます。  その点は大臣は十分御認識をされているとは存じますが、ぜひともこの現地の実情をよくお調べいただき、現地の人が何とか前途に希望を持っていけるように御尽力を願いたいと存じますが、御決意のほどを承りたいと存じます。
  108. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) いま中村委員から北方領土の問題に関しまして、特に根室地域の皆さん方の心情、切々とお話を承りました。私自身大変胸を打たれるものがございました。この領土問題が未解決であるということから種々の困難な状況に置かれていることは私も十分承知をしておるつもりでございます。領土返還の要求運動の原点であるこの地域の活力発展維持に私どもは何かといろいろの措置を講じていかなければならない、かように考えておる次第であります。  政府としては現在北海道開発庁を窓口といたしまして北方領土の隣接地域安定振興対策等関係各省庁の連絡会議を設けまして所要の措置を講じておるわけでございますが、総理府といたしましても関係省庁と十分協議をいたしまして、今後とも地元の御要望、切なる願いに対応をしていかなければならないと考えておるわけであります。  私も実は担当大臣として現地をつぶさに視察いたしたいと思いましたけれども予算委員会等の関係で今日まで現地に赴くことができないことはまことに残念でございます。私も五十七年度の予算が通過いたしました際には、でき得る限り早く現地の生の声を伺いまして、皆様の御期待に沿えるべく今後一層の努力をいたしてまいる考えでございます。
  109. 中村啓一

    ○中村啓一君 根室地域がいま本当に困っております原因は、基本的にはかつては根室は根室県と申しまして県庁の所在地でもありました。北方四島を含んだ経済圏でありました。北方四島は御承知のとおり五千平方キロメートル、福岡県あるいは千葉県あるいは愛知県と同じ広さであり、それなりの資源を持っている地域でございます。その経済圏が切り取られた、そして三十七年間でその経済圏の縮小のひずみがいま露呈をしているというのが現状でございます。したがって商店一つとりましても商圏が半分になっているというのが実情なのでございます。  そういう面で特に高碕達之助先生が御尽力いただいた貝殻島コンブの再開問題、私も昨年ソ連邦外務省に参りましていろいろ話し合いました。結果的には九月から二十日間だけ再開になりました。ぜひこの問題は適期の早い時期に再開されるように大臣にもぜひお力をいただきたい。  同時に、基本的にはいま申しましたように経済圏が半分にへこんでいる、これをカバーしなければとても根室地域は成り立っていきません。したがって、いま各党の御尽力もいただき、きょうここに御列席の当委員会の理事の丸谷先生、宮崎先生も北海道を根拠にされておりますが、自由民主党も中核になりまして、いま北方地域振興法をつくりつつあります。  内容は申すまでもなく二点ありまして、一つは、この地域の公共事業あるいは非公共事業を沖繩並みにかさ上げしていただきたい。これは財政再建とか行政改革とかいう次元とは違って、どうしてもやっていただかなければならない問題だ、そう思って立案をいたしております。もう一つは、市町村の施策財源として基金を設けなければならない、この二点の法案を準備していることは十分御承知でございます。私どもは今明日中にも取りまとめまして今国会に提案をし、今国会で成立をさせていただきたい。政府としては、私も財政事情は承知をしておりますが、ほかの地域とは違った問題としてぜひ積極的にお力を賜りたいと存じます。  なお、ほかにお伺いしたい点もございますが、時間も限られておりますので、ほかの点はまた次の機会にいたしまして、この地域の振興法、これにつきまして大臣の御努力をお願いいたします。さらにこの点につきましては、従来北海道開発庁としていろいろな開発計画も立てておりますので、それらの点を十分お酌み取りをいただいて、早く実効が上がりますようにお力を大臣として賜りますように心からお願いをし、大臣の御決意を承って質問を終わりたいと思います。
  110. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) いま御指摘がございましたように、根室地域の実情というものはまことに困難な状況をきわめておると考えております。したがいまして、御質問のような法律が提案をされ、それが成立をした場合には、政府もその法律の趣旨に沿いまして十分に対処をしてまいる考えであります。
  111. 中村啓一

    ○中村啓一君 終わります。
  112. 大鷹淑子

    委員長大鷹淑子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時一分開会
  113. 大鷹淑子

    委員長大鷹淑子君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、北方対策本部沖繩開発庁及び沖繩振興開発金融公庫を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  114. 板垣正

    ○板垣正君 まず初めに、第二次沖繩振興開発計画、これは現在沖繩県で作業を進めておられる、近く上がってくるということでございますが、三月三十一日に全会一致をもってこの十年間の延長を中心とする改正案が成立されたことは非常に意義のあることだと思います。これからの十年、第二次沖繩振興開発計画をどういう基本的な考え方のもとで進めていかれるかということについて、まず政府のお考えを承りたいと思うわけでございます。  第一次計画がまず沖繩振興開発方向と基本施策として、本土との格差を是正する、沖繩の自立的発展を可能とする基礎条件の整備をする、こういう基本方向のもとで、社会資本の整備産業振興が図られてきたことは改めて申し上げるまでもないところでございます。  資料によりますと、この十年の結果、人口においては十年前九十五万人が百十万人に、生産所得が三千百億円から一兆三千七百七十億に、また就業人口が三十九万人から四十三万人に、県民所得が三十三万円から百十五万六千円と数字で見るだけでも社会資本の整備は大きく進展し、総体として沖繩県の経済社会はこれまでになく発展したことは評価し得るところであろうと存じます。  ただ、この産業構造でございますが、第一次産業は八%が五・七%、第二次産業が一八%が二一・七%、第三次産業が七四%が七五・四%というふうに基本においては十年間そう本質的な変わりはない。さらに雇用失業の問題等、労働人口の増加とともにいろいろな問題が出ていることは先日来論議されてきたところでございます。  そこで、こうした十年の成果の上に立って、反省の上に立って第二次計画をどういう構想で立てていくか。これについては一部でこういうことも聞くわけであります。いままでの十年間は格差を縮める、言うなれば本土に追いつこう、本土と同じことをしよう、そういう発想できたと言えるのではないか、これからはもうそういう発想は転換を図っていく必要があるのではないか、いわゆる重化学工業、これには期待を置いたけれども結果的には裏目に出た、余りできないことを大きく期待するよりは、午前中にもお話がありましたけれども、農業、農林水産業、観光開発——観光開発等も単なる物見遊山というよりはいわゆる保養地区、リゾートの地区づくりとか、あるいは養殖産業、花の栽培、畜産あるいは国際センターの建設、こういうふうな沖繩の特色を生かした発想の転換の上に立って進めていく必要があるのではないかと、こういうことが言われており、私もそうした感じを持つわけでございますが、総務長官、大臣としてこの基本的なお考えをまず承りたいと思います。
  115. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) 第二次振興開発計画につきましては現在沖繩県におきまして県案を検討中でございます。今後沖繩県とも十分調整をいたしまして、振興開発方向と施策のあり方を明らかにしたいと考えておりますけれども産業振興の問題を初めいま御指摘がございましたもろもろの問題につきまして、私ども十分配意をいたさなければならないと思います。特に雇用問題また水、エネルギー問題もまだ未解決でございます。多くの問題を抱えておる沖繩の経済社会の現状を見ますと、やはり引き続いて本土との格差というものをなくしていかなければならない、また自立的な発展の基礎条件を整備していく必要があろうかと考えております。  このように、第二次振興開発計画におきましては、基本的には第一次振計を踏襲いたしてまいるわけでございますが、今後活力ある地域社会を実現してまいるとともに、今後就業の場を確保していくためには、やはり十年間の社会資本の整備の成果というものを踏まえまして、沖繩の特性を積極的に生かした産業振興を推進してまいり、沖繩振興開発を図っていく必要があろうかと考えております。  そのためには、御指摘もございましたけれども沖繩が亜熱帯地域に位置いたしておりますので、豊富ないわば太陽エネルギー、広大な海洋というものを持つという特殊性を積極的に活用をして産業振興を図っていくことが必要であろうと思います。たとえば御指摘がございましたように、観光につきましては、やっぱり豊かな亜熱帯海洋性自然の特有ないわば伝統文化等を活用いたしまして、そして観光、レクリエーションの場の開発整備、またその受け入れ体制の整備を図ってまいりたいと思います。また同時に、観光関連の産業振興を図っていきたい。  いずれにいたしましても、沖繩開発、また県民生活の向上にはこの二次振計が大きな責任と、私は重要な使命を持っておると考えておりますので、御指摘の点、十分配慮をして対応してまいる考えであります。
  116. 板垣正

    ○板垣正君 どうぞ積極的な意気込みでお取り組みを願いたいと思うわけでございます。  そうした沖繩の将来の展望を考えながらも、しかしなおかつ沖繩には戦後まだ残された問題が幾つかございます。その中で私は二つほど具体的に取り上げてお伺いしたいと思うのでございます。  一つは、いわゆる沖繩の戦没者の処遇の問題でございます。沖繩は祖国から切り離されておりましたけれども、幸い昭和二十八年から遺族等援護法、恩給法等も本土と変わりなく適用されるとともに、いろいろな関係者の御努力によって沖繩の実情に即して毎年のような法律改正が行われてきていることは御承知のとおりでございます。  昨年の八月でございますが、残されておりましたいわゆる六歳未満の戦没者の処遇について、これはいままでお見舞い金等は贈られておりましたけれども処遇がなかったわけでございますが、現地の切実な声、そして本土でただ一県地上戦闘が行われた住民を巻き込んだあの戦禍、そうした立場から沖繩に限ってこの六歳未満の方々にも戦傷病者戦没者遺族等援護法を適用して国の処遇をと、こういう道が開かれたことは私も関係者の一人として大変感謝しているところでございます。  ただこのことについては、先般予算委員会で喜屋武委員からも御質問が出ておりましたけれども、昨年の十月から受け付けが始まっているようでありますけれども、まだ本省の方には実際に出てきておらない、この辺どういうふうになっているのか、実情なりこれからの方針等をちょっと承りたいと思います。
  117. 沢江禎夫

    説明員(沢江禎夫君) 六歳未満の方々の援護法の適用につきましては、いまお話ございましたように、昨年の八月から国の方針をお示しいたしまして、県におきましては昨年の十月から巡回相談を実施しておるということでございます。したがいまして、申請が本格化したといいますのは一月に入ってからでございます。現在相当の件数が来てございます。資料は若干古いわけでございますけれども、二月末で申し上げますと、遺族給与金につきましては二百二十八件、それから障害年金につきましては八件ほど受理しておるということでございます。いずれも現在県におきまして資料を整備しておるという段階でございまして、まだ国の方には進達がないということでございます。  いま申し上げましたように、六歳未満の取り扱い自体スタートをいたしましてまだ間もないというようなこともございまして、厚生省の方にまだ進達するに至っていないということでございます。
  118. 板垣正

    ○板垣正君 まだスタート間もない、こういうこともわかりますが、同時に私どもにいろいろ現地の声も入ってまいりますが、何分三十何年前のことでございますし、しかもこれで資料を整える、そうしたことについて承認を得なきゃならない、こういうことで大変苦労をしているということを耳にするわけでございます。  せっかく処遇の道を開いていただいたわけでございますから、厚生省でもこの前見舞い金を贈るとか、あるいは沖繩県でもこういうものの調査もされたというような経緯もあるわけでありますから、そうした資料も活用していただいて、証拠書類をそろえて持ってこいというのじゃなくて、そういう人たちがどうすれば処遇が受けられるか、温かいひとつ配慮でぜひ今後進めていただきたいと思うのでございます。そうしたことでやっていただけると存じますので、御回答はよろしゅうございます。  もう一つ沖繩戦没者の遺骨の収集の問題でございます。全島焦土と化して軍民合わせて十八万人が亡くなられた。しかもアメリカの施政下にあった。そうした中で沖繩の方々によって当初遺骨収集が行われ、慰霊塔が各地に建てられた。こうした本土とはまた違う経緯を経てきているわけでございます。しかしいまなお御遺骨が残されておる。遺骨収集が毎年行われているわけであります。  特にいわゆる埋没遺骨、ごうが崩れてその中に埋没したままになっている御遺骨、こうしたことについてもやはりもう早く解決していただきたい。厚生省の方でもいろいろ御配慮いただいているようでございますが、その状況、これからのお取り組み等について承りたいと思います。
  119. 岸本正裕

    説明員(岸本正裕君) 先生御承知のように、沖繩におきます遺骨収集につきましては政府としては昭和四十八年以降毎年計画的にこれを進めてまいっておりまして、現在相当な進捗を示しているわけでございます。  まだかなりの数の遺骨が残っているわけでございますけれども、これらはいずれも落盤等のために入り口が閉塞されたいわゆる埋没ごうの中に残されたものがほとんどでございます。現在はこれらの埋没ごうにつきまして集中的に遺骨収集を実施しているわけでございます。これらの埋没ごうはいずれも機械力を要する非常に作業の困難なものばかりでございます。したがいまして、発掘作業を行います場合には、不発弾とか有毒ガスの処理を慎重に行う必要がございまして、防衛庁の協力を得てこの方面に当たっております。さらに土質が悪く、ごう内の落盤の危険が大きいので、発掘技術の指導という観点から、国鉄の技術者の協力も仰いでいるわけでございます。  私どもといたしましては、現在承知いたしております埋没ごうがまだ二十四ヵ所残っているわけでございますけれども、今後とも広くいろいろと御協力を得ながら計画的に早く完了するように努力していきたいというふうに考えております。
  120. 板垣正

    ○板垣正君 遺骨収集については現地の自衛隊あるいは本土から鉄道の専門家、そういう人たちの協力も得ながら困難な中で進めていただいていることは大変結構だと思いますが、ぜひ早く解決していただくように。  なお、埋没遺骨のみならず、私ども経験によって承知しておりますが、地表遺骨ですね。南方で玉砕された摩文仁を中心とした地域等にも、ほんのちょっとしたところに地表遺骨がいまなお残されている。これは県の方で受け持って、本土からも協力者が行ってやっておるわけでございますが、将来の沖繩の発展とともに、やはりそうした残された問題が早く解決できますように今後ともひとつ力を入れていただきたいと思うのでございます。  次に、私は北方領土の問題に関連をいたしまして、午前中に中村委員からお話がございましたが、私もぜひひとつこれをお願いいたしたいと思うのでございます。  私のところに根室の北方領土隣接地域振興対策、この協議会の根室市長さんですけれども、代表して陳情書をいただいております。総務長官のところにも恐らくいっているのじゃないかと思うんですけれども、これを見ますと物心両面にわたってもう非常に厳しい状況、もう地域経済が行き詰まっていると。   このような地域経済の行き詰まりと、ソ連邦の北方領土に対する軍事基地化が進められるなど、領土問題が長期化されていく状況の中で、物、心両面からの疲弊感が深まってきており、北方領土返還運動の拠点地域としての役割が果し得ない状態になりつつある。  又、戦後、北方領土返還運動の担い手であった、元居住者の三分の一が死亡しており、世代交替という転換期を迎え、この国民的課題を次の世代へ引き継いでいくため、地域の青少年に領土問題をいかにして根強く定着させていくかという大きな問題が残されている。こういう非常に北方領土返還運動の原点とも言うべき根室の現地においてもうもてない、こういう非常に深刻な状態に立ち至っておる。これは私も何度か現地に行ってつぶさにお話も伺い、本当に深刻なところへ来ておるということを痛感をしておるわけでございます。  そこで、先ほど中村委員のお話にもありましたいわゆる地域振興対策の問題でございますが、これは昭和五十二年ごろから特に強く具体的な要望として出てきております。北方領土隣接地域の振興という問題については、五十二年、いわゆるソ連側も二百海里を設定する、それから特にもう厳しくなったようでございます。五十五年、昨年は北海道庁を中心に進められ。こちら側でもいわゆる連絡会議等が設けられたわけでございます。しかし特にこの地域としての特別措置が制定されないで来たわけでございます。そうした中で昨年は「北方領土の日」が制定される、総理が歴代総理として初めて現地に行かれる、こういうことで、現地の期待は非常に大きなものがあるわけであります。もうこれあと進めるのは具体的に北方領土隣接地域の振興特別措置法を定めるということにかかっているわけであります。  午前中中村委員のお話にありましたように、これは自民党におきまして近日中にこの成案を得ようということで法案のまとめを図っております。これは三つの柱から成っております。まず一つは、国民世論の一層の啓発を図っていこうということ。もう一つは、いわゆる北方地域の元居住者、こうした方たちの援護の充実を図っていこう、そうして第三番目に、いわゆる北方領土の隣接地域、物心両面にわたって非常な逆境に置かれておるこの地域に対する振興及び住民の生活の安定。  この三つの柱、帰するところは一日も早く北方領土返還が実現できるように、この目的を達成するためにやはり国民も広く理解をしてもらう、また引き揚げてこられた方々の援護もやる。そして地域がこの運動を支えていかれる、これは国民にかわって言うなれば全国民的な問題をあの根室の地で支えていただいておる、こういうわけでございますから、そうしたことでこの特別措置については内閣総理大臣がこの地域振興の基本方針を定めて、そこでいままで進められた各省、特に北海道開発庁、いままでいろいろ積み重ねてきていただいておる開発庁を中心としてこの振興計画を立ててその他特別の助成を行う、あるいは財政振興の基金を設ける、こうしたことでいろいろ盛り込もう、こういうわけでございます。  北方領土の問題は民族的な課題であり、しかもソ連はまさに理不尽に力をもって彼らの意思を日本に押しつけようとしておる。これは単なる利害、打算を超えた、正義の前にはあくまでこれを守り通していく、貫き通していく、力には屈しない、こういう民族の魂を支え抜いていかなければならない。これが北方領土返還運動にかける国を挙げての思いであり、そうしたものを支えているのが現地の、しかももういままでかけ声だけで心配します、いろいろやりますよと言いながら本当に国としての思い切った措置がとられておらない。もう運動はいまどうなるかというぎりぎりのところに来ているわけであります。こうした一番ぎりぎりのところに総務長官先ほど御決意の御披瀝もございました。大変私どもも力強く存じている次第でございますけれども、私どももこの法案議員提案になり、何としても今国会においてこれを仕上げて、そうしてこの運動についての一つの画期的な体制づくりを進めなければならないと強く念願をいたしているところでございますが、政府のお立場においてもこれを受けて非常なる決意のもとで、ひとつ田邉長官のもとにおいてこれを実らし、かつ具体的な姿で前進を図っていただきたい。  このことに対する長官の御決意を承って私の質問終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
  121. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) いま板垣委員の根室地域の実情、そしてまた北方領土にかける情熱、いろいろ承りました。承りますと御質問のような法案がいま提案をされ、成立を見た場合におきましては総務長官でありまた北方対策本部長といたしまして法律の趣旨にのっとりまして十分対処をしてまいる決意であります。
  122. 板垣正

    ○板垣正君 よろしくお願いいたします。終わります。
  123. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 総務長官から北方関係の予算説明がありまして、いみじくも同僚委員の方からのお話の中で、長官として視察をやらなければならないということをお述べになりましたけれども、大体いつごろのめどを立てておられるのか。ともあれ現地がわかりませんと、鈴木総理が総理としての第一人者として行かれまして担当の長官が行かれるということは、それなりの理由がその地元ではあって受けとめるわけでありますから、決意はわかっておりますが、大体いつごろのめどか、その辺のことをまずお聞かせを願いたいと思います。
  124. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) 北方領土の視察でございますが、私もいま五十七年度の予算が成立を見た上でできるだけ早い時期に視察をいたしたい、こういう考えでございます。
  125. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 予算の審議も大体そのめどはついておりますし、日曜日をねらって行っていただいてもいいわけで、ほかの日を何もねらわなくてもいいわけですから、行こうと思えば、行く気があればいつでも行けるわけです。それをこの予算審議の状態等見ながら考えましょうというのでは少し熱意が不足しているように受けとめるわけですが、その辺のところをお含みおきいただいて、この件についてはひとつまず見なければならないと思います。  私も沖繩はパスポートの時代には行ったことがありますけれども復帰してからまだ行っておりません。まあ行ったことは行ったんですから、この委員会に席を汚さしていただいていることを非常にうれしく思っております。両方の戦後が終わっていない、日本の戦後は終わっていない。この両方の問題をしっかりと受けとめながら、その一人として皆さんと一緒になってやっていきたいという気持ちでおりますので、そのことを申し上げたわけであります。  まず最初に欧亜局長がいらっしゃらないのが残念なんですが、むしろ実際の面では与えられている力のある丹波ビエト連邦課長さんが見えておるので、むしろ私としては実際問題の処理としてはすぐ行える立場の人が見えたということで喜んでおります。どうかひとつそういう意味でよろしく御回答のほどをお願いいたします。  まず、ブレジネフソ連共産党書記長の病状がどうであるか、一番新しい情報がわかっているかどうか。それからレーガン大統領が時を同じくするみたいな形で入院をされたけれども、先ほどのニュースだと何事もないということを聞いて、病院に入られるときには二時間後ぐらいには結果がわかるだろうというようなことを明らかに言いながら、片や大統領は明朗潤達のような姿で全国民に知らせるというような形です。ソ連の書記長の方はちょっとまだぼやぼやとしているような形ですが、一番その辺おわかりになっている課長の方から御答弁を願いたいと思います。
  126. 丹波実

    説明員丹波実君) 御丁寧なお言葉ありがとうございます。  御承知のとおりソ連はアメリカとお国柄が違いましてアメリカのように情報が入ってまいりません。ブレジネフ書記長が入院したという報道は昨日一斉に行われておりまして、同趣旨の公電、私たちのところに入っております。きのうからきょうにかけまして、私たちも西側の主要各国のしかるべきところと密接な意見交換を今日未明までずっと続けておりましたけれども、その結果申し上げられますことは、昨日報道されたようなことについては確認はできない、その根拠として、たとえばブレジネフ書記長がタシケントから帰ったときにテレビに出なかったとか、あるいはブレジネフの主治医であるところのお医者さんがロンドンの国際医学会に出席するはずであったのがキャンセルされたとか、あるいは南イエメンの大統領が訪ソするはずであったのが延期されたという周辺的なところはそれなりに事実でございますが、その周辺的な事実をつなぎ合わせて一定の推測がなされておるというのが現状であろうと思います。  で、ブレジネフ書記長が病院に入っていたとしても、本当に病気で入っているのか、あるいは先般の地方旅行の疲労を休息しておられるのか、その辺はわからないというのが現在の結論でございます。
  127. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そこで、北方領土問題に関する日ソ間の外交というものは相当大きな影響を与えるわけであります。したがって書記長の演説をされた内容の点につきましても非常に大きな関心があるわけです。  それは午前中の質問の中にもありましたけれども、その中でこのブレジネフ書記長の演説、わが方の受けとめ方は先ほどの御答弁で大体わかりましたけれども、この間の三十日と三十一日に日中の事務レベル協議をおやりになりましたね。そのときの中国側の受けとめ方といいますか、それも新聞等では報道されておりますけれども、米中、そして中ソ、日中という、特に日本と中国の友好関係には米中あるいは中ソというもののことが大きな立脚点になって外交というものが進められてくるという一つの懸念もあるわけであります。そういう意味においてこの点に中国側の考え方がどういうふうになされておったか、受けとめておったかということを伺っておきたいと思います。
  128. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 御質問の点、米中それから中ソと二点あるかと存じますけれども、まず米中でございますけれども、中国側は米中国交正常化して以来すでに三年を経過しておりますけれども、その間アメリカは台湾に武器を輸出し続けており、これは中国の主権に対する侵害である、したがいましてこのような状況が続く限りにおいては米中関係が後退するということも覚悟しているという趣旨のことを述べておりました。  それから、中ソ関係につきましては、二十四日のタシケントにおけるブレジネフの声明に対して、二十六日中国外交部スポークスマンが声明をしております。三点ございますけれども一つは留意するということ、それから中国に対して非難をしている点については断固拒否するという点、それから中ソ関係及び国際問題については今後ソ連の行動を見るというこの三点、これに尽きているということを申しております。と同時に、ソ連と中国の関係というものは簡単に改善されないという見通しを述べておりました。  以上でございます。
  129. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 答弁にありましたように、一つの留意という言葉というものは相当深い意味があるように私はとれるのです。これはとり方の判断の仕方だろうと思いますが、いずれにしましても、レーガン大統領が台湾に武器を輸出するということ、その一点が米中の冷却状態を起こさしていくようなことになるんじゃないかという心配もあるわけですが、その辺の点から中国側の問題が出ているんじゃなかろうか、こう思うわけですが、審議官どんなふうにお考えですか。
  130. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 米中関係は確かに現段階において微妙でございまして、アメリカの台湾への武器輸出をめぐりまして後退の危険が存在するということは事実でございます。したがいまして日本政府といたしましてはいろいろな機会にアメリカそれから中国双方に対して、もちろんこれは米中二国間の問題でございますので日本が容喙するということでございませんけれども日本の関心を伝えてございます。  その関心と申しますのは、良好な米中関係はアジアの平和と安定、ひいては国際世界の平和と安定にとってきわめて重要である、したがってお互いに自重して話し合いを通じてこの問題を解決してもらいたいという趣旨のことでございまして、これはいろいろな機会に、今回の日中の定期協議におきましても先方に伝えているところでございます。
  131. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 話は前に戻しまして、先ほど丹波課長の方から、ソ連のチジョフ臨時代理大使、テキストをお持ちになって四つの条件で加藤局長が回答をなさったという御答弁ございましたね。その最後の点は確認をしておきたいのですが、日本政府は西側の協調と結束を重視しており、いずれにせよ今後のソ連の実際の行動がタシケント演説と合致するか注目していきたいと述べたと、最後こうおっしゃいましたね。  それで、いただいたものもそういうふうに出ておりますが、ソ連に対する考え方の一、二、三につきましては私も異を挟むところはないわけですけれども、この一点がひっかかるわけなんです。  と申し上げますのは、わが国はソ連に対して西側の一国として経済制裁を続けておる。ところが同じ西側で一番ソ連と対抗をしていかなきゃならないような立場にある米国が穀物輸出の拡大を図っておりますね。ことしも一千万トンふやしてやろうという話し合いもできているかに聞いているわけであります。フランスはどうかといいますと、大型コンピューターの装置を輸出していく、これは大体三億ドル以上じゃないか、それには天然ガスを輸入するとフランスは言っている。西ドイツにしても、そのシベリア産の天然ガスを金額にすると六百億ドルから千二百億ドルぐらいのことを考えながらすでに話し合いをしているというふうに聞いております。  同じ西側でありながら、そういう一つの経済交流というものをやり、そしてお互いの経済をお互いがそれぞれ自国同士で保とうとしている。わが国だけがどうして経済制裁を強くして、よく言われておりますこういう問題がございます。シベリア開発等の協力なんかも、これも日本がやろうとすれば、何か聞くところによりますと米国が横っちょから口を出してやるなみたいなことを言っているようなこともしばしば報道されております。そうかと思いますと、ヤンブルグパイプライン用の敷設機、これを日本がしたいと思えばアメリカは船積みを中止をするみたいな話もちらほらと報道されたりなんかしております。こういうふうに矛盾点があります。  その中で一番うまくいっているのは例の協力費ですね。御存じでございましょう。サケ・マス協力費。あの問題の協力費をソ連とのふ化場問題それ以外の漁具、漁機、そういうものに与えて開発を援助しながら、この関係者は非常にうまくいっている。これだけぐらいしかないんですね。それから、いま残されている問題で開発協力会社のサハリンの石油ですね。これだけはまだ進められつつあるというふうに私は承知しているんですが、こういう状態で、なぜ日本は経済交流をしないのか。  同じ西側のアメリカにしてもフランスにしても西ドイツにしても、おのおのがおのおのの立場で独自にやっているという、そういうことから照らしてみて、まず協力費のように、お互いの国民が喜び合えるというような姿で、だんだんと北方領土の問題も日本の厚意、誠意というものがソ連の国民の中にわかっていって初めて解けていくのじゃないか。そこから、なるほど日本というものを認識させながら北方領土を返していくという考え方、そういうふうな行き方等も考えなければならない、それをするのが私は何よりも先じゃないか、こういうふうに思うのですが、先ほどの三つの条件の中に、ある面から考えると非常に問題がありますけれども、一番最後の四つ目の西側の一員として、ほかの国がやっていて日本がなぜやっちゃいけないのかということを私はお伺いをしておきたいと思うんです。
  132. 丹波実

    説明員丹波実君) 先生のただいまの御質問、大変多岐な問題に触れておられると思います。かつ、先生の問題意識、私大変よくわかるつもりでございます。若干時間をかけて基本的な考え方を御説明させていただきたいと考えます。  まず第一に、ソ連に対しますところの経済的な措置につきましては、確かに先生おっしゃいますとおり国々をとりますといろいろなでこぼこがございますけれども、まず全体の基本的な認識といたしましては昨年のオタワサミットで表明された共同コミュニケがございますけれども、西側先進諸国、日本も含めましてやはり最近のソ連の行動には懸念を持たざるを得ない、そういう観点からいかにソ連に自省を求めていくかという方途を考えようじゃないかということが表明されておりますし、ポーランドの十二月十三日の戒厳令以降の基本的な西側の認識、これはやはりフランス、ドイツも含めて一致するところであろうと考えております。  ただ、先ほども申し上げましたけれども、いかなる措置をとるかに当たりましては各国それぞれの国情あるいは経済状態、そういったものがございますので、でこぼこがございますけれども、全体の認識としては同じではないかと考えております。日本につきましても決して対ソ経済関係を全部ストップしたわけではございませんで、ケース・バイ・ケースで現在まで進められてきておりますし、今後ともそういう基準の中で経済関係を進めていくということを考えたいと思っておるわけでございます。  それから、北方領土絡みの問題でございますけれども、やはり日本がソ連と経済関係を進めていくに当たりましては、文化、経済、政治、やはりそういったあらゆる全部の問題を全体としてとらえるべきものでございまして、無原則な政経不可分、政経分離という考え方はやはりとり得ないのじゃないかと考えておるわけでございます。  しかしながら先生がおっしゃいますところの問題提起、問題意識、よくわかりますので、今後ともそういう御意見を留意しながら私としては日ソ関係を進めてまいりたい、かように考えるわけです。
  133. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 アメリカはどんどん穀物を輸出する、これはそうしなかったらアメリカ経済は成り立たないし、ソ連はそれをもらわなかったらソ連も成り立っていかないという形で、これは堂々と推し進められて、それが年々ふえていくというような形の様相というもので、わが国とすればどの国からも資源を受け入れていかなかったならば成り立っていけない国ですから、何も私は西側陣営から逃げ出せと言っているわけじゃありませんし、やはり日本日本独自の外交政策というものをやっていきながら、そして矛盾しているそういうふうな問題点を解決していくというような形でなきゃいけないと思います。  むしろ天然ガスをどんどん受け入れている西ドイツにしましても、フランスにしても、今度はコストがうんと安くなってくるわけです。そうなりますと、日本の製品が今度はコスト高で負けてしまいます。こういったようなことを考えてみましても、この問題は将来大きな問題になってくると私は思うので、その辺のところの問題点をひとつ提起しておきたいと思って質問をしたわけです。大事なことだと思います。どうですか。
  134. 丹波実

    説明員丹波実君) 先生のおっしゃいます問題意識、よくわかりますけれども、やはり日本といたしましては、対ソ関係を進めていくに当たりましては二つのことはやはり大原則として考えていかなければならないと考えています。  まず第一点は、ソ連はわが国の国民が一致して求めておりますところの北方四島を三十七年間にわたりまして占拠し続けておる、かつ過去三、四年に至りましては、そこに約一個師団の軍隊を配備しておる。これに対して国民が憤りを感じておる。昨年九月の総理府の世論調査によりますと、なんと国民の八四%がそういうソ連というものに親しみを感じない、こういう国民世論があるわけでございます。私はやはり外交をやるに当たってはこのような国民世論、国民感情というものを踏まえてやっていく必要があるだろう、それにもかかわらず経済だけをどんどん進めていく、これはやはりできないのではないか、私は圧倒的な国民多数はこの考え方を支持していただけるものと、こういうふうに確信しております。  第二点は、日本の外交の基調は何といっても日米協調、あるいは国際的な側面におきますところの日米欧の協調でございまして、この路線につきましては先生御自身言われましたとおり外せないわけでございまして、まさにアメリカ、ヨーロッパ、日本がアフガンに侵攻したソ連軍隊は認められない、あるいはポーランドに圧力をかけておるソ連の行動は認められない、そういうことで国際世論が一致しております。御承知のとおりカンボジア問題をとりましてもベトナムの侵攻の背後にソ連がおるということは国際常識一般でございまして、国際連合におきまして過去三回の決議が行われまして、国際社会の百ヵ国以上がこれを非難しておるという状況でございます。アフガンにつきましても同じでございます。そういう状況をやはり踏まえて現実的な外交をやっていかなければならない、こういう考え方です。  先生の問題意識よくわかります。しかしながら私たちのそのような考え方もぜひ御理解いただきたい、こういうふうに考えるわけです。
  135. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 だから断っているのです。いまあなた一、二、三の問題をおっしゃったのだが、それは私は承知の上で経済というものを国益のためにそういうふうなことを考えていったらどうですかということを言っているわけです。だから最初から断っているわけです。あなたの演説を聞かなくても、一、二、三とちゃんと出ているんですから。初めからお断りして、国益のためにそういうふうなことを考えて外交を進めていかれたらいかがでしょうかと言っておったわけです。  アジア局の藤井審議官、五月に趙紫陽首相との会談があるというふうなことを伺っていますが、また来日するということも聞いているわけですが、これはいかがですか。
  136. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 本年は国交正常化十周年に当たりまして、日中間で首脳の相互訪問が行われます。御指摘のとおり五月の末に趙紫陽総理が来日なさる予定でございまして、今回の日中の定期協議におきましても、その日程等につきまして荒ごなしをいたしまして、なお鈴木総理も秋に訪中なさるという予定でございます。
  137. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 丹波課長さん、今月の下旬にブッシュ米副大統領が予定どおり見えますか。
  138. 丹波実

    説明員丹波実君) 私直接所管しておりませんけれども、そういう考え方で準備がとり進められておる、近くアメリカのその準備のための人間も日本に派遣されるというふうに聞いております。
  139. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 趙紫陽首相が見えられた場合、相当な問題点がそれぞれあるだろうと思うんです。恐らく経済の協力問題なんかが一番大きな課題だとか、あるいは技術開発の問題等が大きな問題で出されるだろうと思いますが、その辺等のことについては十分な処置がなされていると思いますが、どうですか。
  140. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 趙紫陽総理来日の際の議題につきましてはまだ詳細に中国側と打ち合わせをしておりませんが、御指摘のとおり日中の経済関係、経済協力の問題は当然大きな一つの問題として討議されると思います。  経済協力につきましては、昨年は中国の調整政策の強化に伴いましてプラントの輸出案件につきまして大分ごたごたがございましたが、結局日中両国間でうまくそれが解決したということがございますので、現在経済協力も比較的スムーズに運営されているという状況になっております。したがいまして、基本的な問題ということはないかと思いますけれども、種々討議することはあると思いますので、当然趙紫陽総理来日の際に一つの議題となることと存じます。
  141. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 申し上げるまでもなく日中友好ということは大きな日本的な国民的な課題でありますし、台湾と米国の問題等これはどういうふうに進展していくか、他国のことだから干渉するということはいかないだろうと思いますけれども、これを等閑視するわけにもいかないだろうと思います。そういったような問題等が相当残されて論議されるのじゃなかろうかと思いますが、いまお話を承って準備をなさっているということで、ありがとうございました。それから丹波課長さん結構です。ありがとうございました。  次は、沖繩開発庁の五十七年度予算について、その予算総額について、前年比一・二%のマイナスになって、何といいますか、沖繩振興開発事業が一・七%の減で、沖繩教育振興事業費が三四・五減、総体的に一・二ということになっているわけですが、この辺についての理由といいますか、その辺をお知らせ願いたいと思います。
  142. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 幾つかの要因がございますが、一番大きいものを端的に申し上げますと、公立学校の施設整備が近年大変進捗いたしました結果、五十七年度予算におきましてはすでに概算要求において八十億円を上回る対前年減の要求となっておる、この要因が御指摘の点では一番大きい要因であろうと思います。  私どもはそういう事態に対処するため、特に公共事業費について全国シェアを高めるという形で努力をいたしました結果、御案内のとおり全国の公共事業費は対前年同額でございましたが、沖繩開発庁の場合は関係省庁の理解を得まして、対前年二・六%の増額と相なっております。このような要因を差し引きいたしまして先生いま御指摘のような減額となっておる次第でございます。
  143. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 教育費の問題も、高校問題なんか十分お考えでございましょうね。高校生がふえてくる、学校がどうなのか、その辺のことは十分お考えでしょうね。どうですか。
  144. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 御指摘のとおりだんだんと高校生の数がふえてまいりますので、五十七年度予算におきましても高校の新設を図るための所要の予算を計上いたしております。
  145. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 きょうは時間の関係等もありますので、その中で私は主に沖繩の保健衛生等の対策費、この問題の中身を少しお聞きしてみたいと思います。  その前に、沖振開発につきまして今度は第二次を迎えるわけです。そうすると十年経過しています。北海道はどうかと振り返ってみますと、北海道は三十年以上の開発が特別に予算措置をされて開発庁ができてきております。御案内のように北海道というのは半年だめなんです。寝て暮らす方なんです、雪で。そうしますと、実質的には十五年ぐらいしかないわけです。その辺沖繩の方は一年じゅうやれるわけですから、工事が一たん中断されるのじゃなくてずっと持続できるわけです。ですから、進めていく仕事の上においては北海道開発をやっていくものと相当な進め方の速度というものの違いが出てくると思うんです。少なくともあと五年ぐらいで沖繩振興政策というものはできなければならないのじゃないかと私は思っているわけです。できなければいけないのじゃないかと思う。その開発をやっていけばやっていくほど今度は大きな建物を建てる、いろいろな開発をしていけば水が問題になってくる。その水の問題がもう大分論議を尽くされておりますけれども、本当言えば北海道は水が余ってしようがないから流氷でも氷でも湖水から持っていってもらって使ってもらえれば一番うまいんです、雪が降るのだから。雪でも持っていってもらえれば一番ありがたいのですが、そうもいきませんし、先ほど伊江委員と相談して、どうだと言ったら輸送が大変だというようなことで、これも考えものだということで、私が一番考えられることは、建設省の人と相談してみました。  一番水の出ているところは、宮古島と石垣島ですね。この付近の島が相当の水量を持っているわけです。ですからこの地下用水というもの、これなんかも宮古島では地下用水を農林省でつくって相当な成果を上げております。これも設計図から何からみんな見せてもらっています。石垣にしてもやはり同じだと思うんです。ですから私の考えは水道パイプを陸に引いちゃう。頭へもっていって本島へ持っていくようにしたらどうか。まず石垣の水量というものをどの点に押さえておられるか、宮古島の水量というものをどの辺ぐらいまで押さえてお考えになっているか。その辺のことを伺っておきたいと思うのです。
  146. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 突然のお尋ねでございますので、私いま石垣島なり宮古島におきます水の需給と申しますか、そういう正確な数字を持ち合わせておりませんので、後刻そういう資料がございましたら御報告をさせていただきたいと思います。ただ、いまの先生の御構想というものを実現するに足るほどの水量に余裕があるものとは思いません。
  147. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ともあれ開発には水が必ず伴う。電力も伴うのですから、そこから物を考えていかなきゃならないわけですから、一番大事な点、あっちの方の島は大分水があるということ。私パスポートの時代ですからね、先ほど言った。その辺まだ行ってないからわからないわけです。今度行ったらよく見せてもらいたいと思っております。  それはさておいて、厚生省の方は見えておりますか。ひとつ席を前の方に来ていただければありがたいのですが。  まず時間が余りありませんので、大体医療機関整備の問題、この辺と、それからもう一つは、厚生省ではわからないと思いますが、復帰時における医療関係の行政分担をどんなふうにしてやったのか。国はどこ、県市町村はどの辺のものを持つという医療の行政分担ですね。その辺どんなふうになっているのですか。
  148. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) まず、前後いたしますけれども復帰時におきます特に医療機関復帰に際しましてのつながりでございますが、端的に申しますと復帰時点におきましては当時の琉球政府立の施設、いまで申します県が設置します医療機関があったわけでございますが、そのうちいわゆるハンセン氏病、ライの施設につきましてはこれを国立療養所として引き継ぎと申しますか、引き受けたわけでございます。それからそのほかの琉球政府立医療機関の中で結核及び精神の施設につきましては、全部ではございませんが、これを一部国立療養所としてお引き受けするという形で今日に至っているわけでございます。  それから、第一段に御指摘の現状におきます沖繩における医療施設なり医師の普及状況でございますが、四十七年以来約十年近くたっておるわけでございますが、端的に申しますと医師の普及状況はやはり依然として全国のレベルの六割程度ということでございます。あるいは一般病院の病床、これは公立民間入りますが、これもやはり全国平均に比べて六割をちょっと超える程度にはなっておりますが、やはり平均の六割の水準であるというのが端的な現状でございます。
  149. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 わかりやすく言いますと、国立病院というのは沖繩にはない、ただし療養所は国で持とうという形で来たのじゃないか、こういうふうに解釈していいですか。
  150. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) 結果的には仰せのとおりでございます。  それで、ただいま私どもで当時の事情を少し詳しい者に調べさせてみたのでございますが、おっしゃるとおり私が申しましたライと精神、結核いずれも国立療養所としてお引き受けするということで、その当時におきまして国立病院としてお引き受けする話があったのかなかったのか、私どもの医務局の担当の理解では県立病院の幾つかについて全く議論がなかったわけではないようでございますが、これはやはり県立のまま、あるいはその後できました大学の附属機関として運営するということで、当時から国立病院としてはお話がなかったのは事実でございまして現状に至っております。
  151. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 御案内のように療養所というのは大体結核患者、特殊な人を入れるためにつくったわけですね。たとえば結核患者の例をとってみますと、だんだん減っているわけですよ、結核患者というのは。その反面今度は一般患者というものはどんどんふえているわけです。したがいまして実際の療養所の中には結核患者が減っちゃって一般患者が詰めかけていっているというのが実情だと思うのです。  北海道の場合でも同じことが言えるわけです。北海道の場合には、結核病の受診数が一番多かったのは昭和三十四年で四百八万八千三百四十四人もいたんです。いまはどうかといいますと、昭和五十四年の受診数ですが、九十万九千六百五十三人、もう約三百万も減ってきているわけですね。  沖繩の結核患者の状態わかりますか、減ってきている状態というのは。どんなふうな状態になっているか。
  152. 佐々木輝幸

    説明員佐々木輝幸君) 沖繩につきましては、結核患者いろいろな度合いのものがございますが、入院して治療しております患者の状況を把握しておりますので申し上げますと、ここ三年の経過でございますが、五十三年に三百七十人入院しておりましたものが、五十五年度には一日の断面でございますが、二百八十人、そのような減少状況でございます。
  153. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 とにかく沖繩には国立病院はないわけです。したがって、国立病院の総合病院を建てる分だけその療養所も整備をしなきゃならない。北海道の場合はその療養所も建て直して一般病院化してきているという形になっているわけです。そういうふうなことなんかを考えていきますと、いまも私の申し上げましたようなことも念頭に置いて、そして一般病院化していくということが必要じゃなかろうか、こう思うわけなんです。国立病院ほとんどつくってないんですから、県立病院が六つですか。  施設なんかを考えていきましても非常に進んでいるんですね。すばらしい機械がもう備えられているんです。コンピューターのトモグラフィー、要するにCTですね。CT装置というものが沖繩では、その計画を教わりましたら県立の方にも、それから市立の那覇市立病院ですか、これは御案内のように頭部と全身とがありますが、あそこには全身まで入れようとしているという形なんですね。そのCTの問題を取り上げてみましても北海道の場合は国立病院四つあってCT装置がないんですね。そういう一面においては近代化してきている医療機器というものが沖繩にどんどん整備されて充実されている、非常にいいことです。  その反面まだ医師が先ほどのお話のように約六〇%しかいない、足りない、不足している。さらには無医村地帯、僻地の状態で医者が全然いないようなところがあるわけですね。ですから、一面ではそういう文化的な本当に近代的な設備ができていきながら、まだ片方においては沖繩の中でさえ医者の数が少ない。しかも無医地区というものが本島で二十七ヵ所、離島で二十四もある。北海道の場合なんかすごいのですよ。まだ二百九地区、八十四市町村、こんなにまだあるんです。これが三十年の歴史の中で、建築工事、道路工事なんというのは三十年のうちの半分しかできませんから十五年しかできないわけですけれども、施設関係はやはりおくれていきますけれども北海道の場合でもこういうふうに無医地区というものは相当なものなんです。これをまず解消していくことが何よりも先じゃないかと思うんです。  人の命ほど重いものはないというふうなことをよく言われております。そのとおりだと思うんです。それをするのにはやはりこの辺から整備していかなかったらば安心して生活はできないんじゃないかと思うんです。どうですか。
  154. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) いま先生の仰せは大きく分けますと二つの点があろうかと思います。  担当の課長が来ておりますが、まず沖繩中心に考えました場合に、療養所として運営されている国立施設を私どもの言葉で申しますと一般病床のような形で転換できないか、まあもちろん新しい国立病院をつくることが可能であればそのことも御指摘であろうと思うのでございますが、この点につきましては全くその考えはないわけじゃございませんし、現地の医療計画との関係も勘案しながらその方向検討しております。  ただ、こういう席で申し上げるのはいかがかと思いますが、現在厚生省所管の国立病院、療養所につきましては、どちらかといいますとこれを国の運営の姿で整備するよりはもう少しほかの形での地域医療計画の中での位置づけがあるのではないか。まあ平たく言いますと炭鉱整理合理化的な発想も実は行政改革の一環としてないわけではございません。そういう中で、先生も仰せのように、結核の患者さんが減ったら減ったなりに地域の医療に役立つ面を伸ばしていくということは大事であろうと思っております。特にCTスキャンなどの整備につきましては、もちろん全国的に一定の枠をかけられておりますが、沖繩あるいは場合によりましては北海道地区の国立施設につきましても何らかの積極的な配慮はしていきたいと考えております。  第二段の御指摘、つまりそういうことを考えるにせよ、沖繩にしましても北海道にしましても肝心の医師というものが全国的なレベルから見ると十分ではない面があるんじゃないかという点。これにつきましても、特に沖繩の場合はこれ文部省でおやりいただいていることでございますが、国費の医学生制度などもまた五十七年から復活をしていただくということもございましたりして、先ほど先生北海道沖繩を比較なさいましたが、昭和四十年代に比べますと、沖繩の場合当時三五%ぐらいのレベルだったものが今日六割まで急激に改善されてきた。特に五十五年度は一つの象徴的なことだったのでございますが、それまで全国のお医者さんの普及率におきまして最下位であった沖繩が初めて最下位を脱出したというような事態も起こっているわけでございます。  そういったことで、新しい沖繩振興計画もスタートする時期でもございますし、また北海道につきまして申しますと、一つの都道府県に二つの国立の医科大学を持っているというのは東京を除きましては北海道だけでございます。旭川医大が五十四年から卒業生を出していただいておるわけでございますので、そういったことの効果はこれからも出てくるだろうと思います。  具体的に私どもが担当しております助成政策としては、先生御案内の僻地医療対策費でございます。これにつきましては、道、県につきましても大体五十六年度実績で二億から三億の実績をもって臨んでおるわけでございますが、なおいま申しました医師の確保と結びつかないとただ建物を建ててもいけないという面がございますので、県当局、道当局とも御相談しながら十分対処してまいりたいというのが私どもの現在の考えでございます。
  155. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いみじくもお話が出ましたけれども、旭川と札幌にCTはないんですよね。北大へ頭部が去年やっと入ったんです。道立の札幌医大は頭部はあるが全身はないんです。全身のあるところはどこかといいますと、私立の脳外科病院の一ヵ所だけなんです。ですから大変なんです。この全身のCTで治療してもらうために順番待ちしている間に人が亡くなっていっているわけです。そういう面から考えていきまして、三十年の歴史があったといったところにしても、この辺は全くおくれている。  その辺は、沖繩の方は幸いなことには五十七年度かな、全身が那覇市立病院に入るというのですね。五十七年度、まだ入っていないんじゃないか。それから五十六年度には赤十字だとか県立病院の中に頭部の分が一ヵ所か二ヵ所入るようになっているということを聞いているわけです。それがあったところにしても、医師が少なければどうにもなりません。  それと僻地対策、僻地診療所の問題が何よりも先に解決をされていかなければいけない点だと思います。この僻地診療所の運営費の国庫補助が出ておりますね。この辺は沖繩なんかはどういうふうになっていますか。
  156. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) 僻地医療対策について申し上げますと、大きく分けますと僻地医療対策は僻地中核病院としてお願いしております病院に対する設備なり運営費の問題と、いま先生御指摘の僻地診療所、場合によりましては僻地の保健指導所と申しておりますが、そのようなものに対する運営費の助成があるわけでございます。  沖繩の数字を申し上げますと、五十六年度の実績では運営費を中心とします僻地医療対策費が二億九千万、約三億の補助額でございます。これはおおむね二分の一以上でございますので、大体五億前後の医療費になっているのじゃないかと思います。そのほかに施設整備面、これは予算的には開発庁の御計上の分だったと思いますが、約四千万の整備費が計上されておりまして、金額だけで申し上げますと、五十六年度実績で約三億三千万の助成の実績になっておるわけでございます。  ただ、少し先走りになるかと思いますが、僻地中核病院にしましても沖繩県当局では五ヵ所程度は整備したいというお考えがもともとあるわけでございますが、現在これが二ヵ所の整備に終わっているという事実がございますことをつけ加えさせていただきます。
  157. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 非常にこの辺やはり力を入れていただいて、安心して沖繩の人が島の隅々でも生活ができるようにしてあげていただきたいことを要請しておきます。  また、さらには救急医療確保対策事業費あるいは公的医療機関整備だとかいろいろ問題がございますけれども、時間がだんだんなくなってまいりまして割愛せざるを得ないんですが、いずれにいたしましてもこのCTの全国的な状態も全部資料をいただいて見てきておりますけれども、これを見ましていきましても要望は物すごいと思います。それから療養所の問題につきましても、青森あたりはもう結核患者なんていうのはどこか隅っこに追いやられて一般病人がいっぱい入っております。そこでもCT、CTということを言っております。そういうような全国的な状態を一度総点検のような形で見ていただいて、どこに最初に持っていかなければならないのかという配分方法は十二分にお考えを願いたいと思います。  次は、時間が余りありませんので、金融公庫の貸付業務についてさあっと申し上げてそれに御答弁を願うことと、それからもう一つは、沖繩県に対する地方交付税についても従来本土並みの算定で交付税を算定するように政府に要請しているようですけれども、いまだにこれが実現をしていないように思えるわけです。この点も後であわせて答弁をしていただきたいと思いますが、いずれにしましても先ほどの沖振の金融公庫における貸付業務の沖繩経済社会における企業面での役割り、これはもう年々増大をしてきておりますから、この融資残高だとかあるいは県内の金融機関の融資残高が占めるシェアですか、四十七年度末で約一五%、四千百八十六億円ですか。それが五十五年末では約三五%の一兆四千七百四十八億ですね。そうですね。  こういう状態の中で最近の年度における貸付件数と貸付金額の推移だとか、あるいはもう一つは年度ごとの貸付計画額と貸付金額、出資の状況、貸付出資実績が伸び悩んでいるという原因はどこにあるんだろうか、五十七年度における貸し付けの需要見込みがどんなふうになっているのか、融資条件の緩和、潜在的需要に対する今後の施策なんかはどんなふうに考えておられるのか、この辺を御回答をしていただきたいと思います。  これは資料を欲しいなと言ってきのうは申し上げておったんですが、この辺についてまた資料でもあれば出していただきたいと思います。
  158. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) お答えいたします。数問にわたりますので、それぞれごく概要をお話しいたしたいと思います。  これまでの貸付件数、貸付金額あるいは貸付計画額はどうなっておるかという点でございますが、全体的に申しますと、この十年間に着実にその事業を拡大し続けてきております。四十七年の貸付計画は、当初予算で四百五十億円でありましたものが五十七年度予算では千四百億円となっております。この十年間で約三倍弱となっているわけでございます。ただ、先生も御指摘のように、最近における貸付計画は貸付実績がなかなかふるわないという面を反映をいたしておりまして、計画額としても約千四百億という前後で伸び悩んでおる状況にございます。  それから、公庫の出資の状況どうなっておるかということでございますが、これは五十三年度から導入された制度でございますが、五十三年度に一億円、五十四年度二億円、五十五年度に一億円出資をいたしました。五十六年度、これは実績がないという状況を見込んでおります。  それから、貸付出資実績が伸び悩んでいる原因は何なのかというお尋ねでございますが、これが当初計画より落ち込んでおりますのは、主な原因といたしましては最近における産発資金、それから住宅資金がそれぞれかなり減少しておる、率で言いましておよそ約三割程度五十五年におきましては落ち込んできておるというような状況があるわけでございます。  産発資金につきましては大体五十五年当時の経済の状況等を反映いたしまして、製造業における設備投資がやや伸び悩んだという点、それからもう一つ、産発資金の大きな融資先でございましたCTSの建設が第一期工事を終わったというような事情があるわけでございます。  それから、住宅資金の落ち込みでございますが、これは五十五年度にかなり落ち込みまして、五十六年度も同様の実績見込みになってございます。実はこれをどう見るかということ、私ども来年度の予算編成の際に大変苦慮した点でございますが、大体私どもといたしましては復帰以来住宅資金の枠の確保に十分努力してまいりまして、本土よりもどちらかといいますと対人口比、対世帯数比におきまして相当多額の資金を用意したという点、それから住宅事情が非常に悪うございましたので、それに対しまして急激な——急激なといいますか、かなり大きな資金需要があった、それが一巡したというようなことも考えられるのではなかろうか、そのような見方を現在しておるところでございます。  それから、出資の最近の状況につきまして見てまいりますと、これは非常に件数として少のうございます。個別具体的に見ますと、計画の詰めがおくれたあるいは事業主体を立てる場合にいろいろな関係者の調整等が進まずに出資に至らなかった、さらに公庫からの出資ということで事業計画を進めてまいったものが他の制度による企業の設立となったといったような事情が重なったものというふうに私ども考えております。  で、それでは今後の需要とそれに対する対応をどう考えておるかという御質問がございました。私ども五十七年度におきましては千四百億の貸付計画と、それから四億の出資の計画を立てておるわけでございます。今後の日本全体の経済情勢あるいは沖繩県の開発促進の必要性等を配慮いたしましてこのような計画を立てておるわけでございます。これらの、特に出資の問題等につきましてはこれまで以上に公庫を通じまして、また私どもも直接地元におきます各種の計画の詰め等を支援していかなければいけないものと、このように考えておるところでございます。  なお、融資条件その他につきましても、沖繩につきましては沖繩公庫の発足当時におきまして沖繩の厳しい経済状況及び振興開発の必要性等に配意いたしまして、たとえば基準金利におきましても大体〇・四%程度本土の対応各公庫よりも低く金利を設定しておるところでございまして、そのほかの各種のいわゆる特利制度等につきましても、本土におきます各公庫の制度改善はこれを取り入れますとともに、また沖繩公庫といたしまして独自の制度改善を毎年要求をいたしております。今後におきましてもその実現を図ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  159. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 もう一つ交付税。——自治省いないの。  時間が来てしまって、いまの金融問題については住宅問題から具体的に取り上げていきながら詰めていきたかったのですが、きょうは時間がありませんのでこれで終わりますけれども、いずれにしましても最初に申し上げましたように、北海道の一年と沖繩の一年の開発の実働期間というものは労働力の面におきましても大きな違いがあるわけであります。半年は雪の中にこもるのと一年じゅう仕事ができるというところと、農業問題にいたしましても漁業問題にいたしましても一日一日の三百六十五日が全部開発ができるわけでありますので、その辺のことを御留意されて、速やかに沖繩の県民の方々がああよかったという沖繩をつくっていただけることを要請して終わります。
  160. 立木洋

    ○立木洋君 再々当委員会でも問題になりましたが、昨年の夏以降断水状態が沖繩で続いており、水の問題というのは非常に深刻になっておるという状況にあります。これはもちろん当面直ちに手を打たなければならないと同時に、これから長期的に見てもやっぱり水を確保していく、水資源の確保ということは重要な問題になるだろうと思うんです。  それで、水資源の確保についてはもう繰り返されておりますけれども、ダムが重要であり、あるいはさらに水資源を確保するために水源涵養林の保護育成の問題がやっぱり問題になるだろうと思うんです。ところが、この県民の水がめだと言われているダム群が集中しておるのが北部の訓練場内にあるという状況のもとで、この問題何としてもやっぱり解決していく、こういうことが迫られるだろうと思います。  で、昨年の十一月十三日に衆議院の沖特委で林野庁の方が御答弁いただいているのですが、北部の訓練場内の水源涵養林は水資源確保という点できわめて重要だと認識している、関係省庁とも相談をし適切な措置を講じたいというふうに述べられておりますが、こうしたお考えは今日も変わりがないのか、どういうふうに検討されてきているのか。その経過をちょっと御説明いただきたいと思います。
  161. 小沢普照

    説明員(小沢普照君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、沖繩県民の方々にとりましてこの水問題非常に重要な問題でございまして、また、ただいま御指摘ございました北部の訓練場内の森林が水源涵養上非常に重要であるということは私どもも十分認識しておるところでございます。しかしながら、この北部訓練場内の森林につきましては米軍に施設区域として提供されておるという実態もございます。したがいまして、この問題につきましては関係省庁いろいろ関連する問題でございますので、私どもといたしましてはこの問題につきましては関係省庁で研究しているということでございます。  なお、一方におきまして、北部の国有林の水源涵養機能を高めるということがまた現実問題として重要でございますので、この点につきましては私ども防衛施設庁等と十分協議をいたしまして、水源涵養機能が充実強化されますように必要な除伐その他の森林の施業を行うようにしたいというふうに考えているところでございます。
  162. 立木洋

    ○立木洋君 開発庁で前任者の中山さんが長官だったときに、この問題非常に重要であるので関係省庁集めて検討したいというふうに昨年お約束をいただいていたんですが、開発庁の方ではどのような検討になっておるのでしょうか。
  163. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 当日私も同席いたしておりましたので私からお答え申し上げます。  中山前長官がおっしゃいました趣旨は、水の問題には重大な関心を持っているので今後とも引き続き関係各省庁と十分連絡をとって県民が安定した水の供給が受けられるように努力をしてまいりたい、こういう御答弁であったわけでございます。  そこで、私どもその大臣の御答弁の御趣旨を体しまして、去る二月十九日であったかと記憶いたしておりますが、林野庁、外務省、防衛施設庁それから沖繩開発庁、この四省庁の課長レベルで連絡協議を行ったところでございます。そこで保安林指定に関する結論が出たということではございませんが、引き続き関係各省庁間で連絡をとりながらこの問題について適切な措置が行われるように検討してまいりたいと、こういう結果であったと聞いております。
  164. 立木洋

    ○立木洋君 四省庁間で御相談なさった、結論が出たわけではないというふうにおっしゃいましたけれども、どういうような方向で進めていこうというふうな、その途中経過でも結構ですから、内容もう少し御説明いただきたいんですが。
  165. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) もうこれは申し上げるまでもないことでございますが、問題は北部訓練場というのが地位協定に基づく米軍の施設区域として提供されておりますことから、同区域内の森林の保安林指定についてはなかなかむずかしい問題があるわけでございますけれども、一方において沖繩本島北部の森林は、先生御指摘のとおり水源涵養という機能において非常に重要な役割りを果たしておるわけでございますので、水資源確保という観点から今後どういう適切な措置をとり得るかということをひとつ関係省庁の間でさらに検討をしていきたい、こういう結果であったと聞いております。
  166. 立木洋

    ○立木洋君 そういうふうに、結局保安林と指定していわゆる水源涵養林の保護育成に努めていく必要性がある状態が一方ではあるわけですけれども、しかしそれと事実上反する方向で、結局これも昨年の暮れになりますか、米海兵隊が沖繩県民の反対を押し切って北部の訓練場内の森林を伐採して、AV8ハリア、垂直離着陸機の訓練基地の建設を強行したというふうなことが事実報道されているわけです。  これは北部の森林はいま言ったように水源涵養林として事実上なっているわけで、これを伐採することは水資源の確保という点から見ても重大ではないかというふうに思うんですが、事実上前向きに検討したいという、県民の要求のいまの水資源の確保という点から見て重要な逆行するような事態が進行するというのは、これはどうしても解せないわけで、林野庁の方としてはこの事態についてはどういうふうにお考えになっているのか御答弁をいただきたいと思います。
  167. 米田博正

    説明員(米田博正君) ハリア基地の建設と国有林のかかわり合いにつきまして若干御説明をさせていただきたいと思います。  いままで御説明ありましたように、ハリア基地を建設される場所は沖繩北部訓練場としてすでに提供されているところでございまして、そこで訓練に必要なための施設等をつくることについては林野庁の特別の何か許可が必要だとかそういうことではございません。事実としてどういうことで私ども対応してまいったかを御説明させていただきますと、昨年十月下旬に米軍のハリア機離着陸場建設のため現地を地ならしあるいはその周辺の立木を伐採する旨の通知が在日米軍からあったからということを、那覇の防衛施設局から沖繩の営林署に対して通知があったわけでございます。  ところで、在日米軍の用に供しております国有財産の取り扱いにつきましては一定の基準がございまして、それを申し上げますと、「防衛施設局等の長は、提供中の国有財産についての現状変更をしようとする場合には、あらかじめ関係部局等の長と協議するものとする。ただし、当該事案内容が軽微なものを除く。」というようなものでございます。  それで今回、先ほど申し上げましたように、通知を受けました状況は、立木の伐採について見ますと伐採量は八・八立方メートル、本数で六百五十五本、それから面積にしますと〇・二ヘクタール程度というようなことでございまして、国有財産の取り扱いのいま申し上げました基準から見れば「軽微なもの」であるというようなことでございまして、そういう基準に従いまして、私どもといたしましては那覇防衛施設局からの通知に基づきまして昨年十一月から十二月にかけまして立木の伐採を行ったというようなことでございます。
  168. 立木洋

    ○立木洋君 小沢さんね、先ほどつまり水資源の確保についてはこれは非常に大切だ、そういう認識は変わりないということを述べられ、現実にはそういう事態が来て、昨年の十月ですか、いわゆる那覇の施設局を通じて沖繩営林署に対するそういう通知があった。これに対しては、そういうことは中止してほしいというふうなことは全然言わなかったのかどうなのか。こういう問題に関しては一方的に向こうが那覇施設局を通じて言ってきたから、やむを得ずそれなら仕方がないからという形で認めてしまったのかどうなのか。そこらあたりはどうしてこういう沖繩での水資源の確保という点から見て重要な事態に逆行するような行為に賛成してしまったのか。そこらあたりがどうも理解しがたいんですが、ちょっともう少し御説明いただきたいんですが。
  169. 米田博正

    説明員(米田博正君) 先ほど申し上げましたように、米軍の基地として提供している国有財産の取り扱いの基準から申し上げますと「軽微なもの」というようなことでございますので、私どもからだめだとか言うようなことができないようなことになっております。しかし、私どもといたしましては現地の実情を十分配慮してやっていただくようにというような申し入れは口頭で現地の段階で行っております。
  170. 立木洋

    ○立木洋君 それからもう一つ問題が出てきておりますのは、昨年来米軍の方からはこの訓練場内で射撃訓練、つまり大砲ですか、こういう射撃訓練がしたいという要望が繰り返しなされておりますが、これについては当然賛成しないという立場を引き続いてとられていくということになるだろうと思うんですが、これは松田さんの方か、防衛庁、施設庁、これはいままで反対だといって言ってきておられるというのだから、そういう態度は引き続いてとられるのでしょうという点ですから、どうぞお答えいただきたいんですが。
  171. 田中滋

    説明員(田中滋君) 北部訓練場におきます米側の実弾射撃は、沖繩本土復帰以後現在に至るまで一切行われておりませんが、復帰時におきます日米間の協定によりますと、米側としましては指定されました射撃場におきましては実弾射撃が認められることになっております。特にいまの御指摘の大砲の実弾射撃につきましては、着弾区域が特定される場合にありましてはこれを行うというように解されるわけであります。しかしながら、防衛施設庁としましては北部訓練場におきます自然環境の保全、水源涵養としましての重要な地域であるという認識は十分持っております。現在米側から、この復帰時におきます北部訓練場の使用条件に関しましての協定に基づきまして、防衛施設庁に対しまして大砲の実弾射撃を行うための着弾区域指定につきまして具体的な申し込みはございません。  私どもとしましては先ほど申しましたような認識を十分持っておりますので、この北部訓練場が十分水源涵養の場所としまして保全されていかなければいけないという立場から、具体的な申し入れがありました場合にも慎重に関係省庁とも協議をしまして対処していきたいというように考えております。
  172. 立木洋

    ○立木洋君 慎重にというのはもうやらせない方向で——これは去年の暮れの十二月に南雲施設課長が述べておるんですね、これは。「北部訓練場は、日米間で調整ができたら、ここで射撃訓練をしたいので、早く調整をして射撃訓練ができるようにしてもらいたいと米軍から要求が出ている。同地域は、現実にきわめて有効な水源涵養林になっているので、ここで射撃訓練をすることについては、日本側としては不本意であるということで断り続けている」、ちゃんと南雲さんが述べているんですよ。だから要求がございませんというのは事実に合わない。だから、そういう要求があってもきちっと断り続けているんですから、だから断り続けるということをやっぱり明確に回答できる方に出てきてくださいということを私はきのうお伝えしたはずですが。
  173. 田中滋

    説明員(田中滋君) この復帰時におきます日米の使用条件に関しましての協定に基づきまして、防衛庁に対しまして具体的な申し入れはないというようにお答え申し上げましたつもりでございますが、御指摘の米側がそういう希望と申しますかにつきましては、現地レベルで過去に希望を表明してきたことはあるということでございます。
  174. 立木洋

    ○立木洋君 断り続けるということをはっきりさしていただければいいんですよ。どうです。
  175. 松田慶文

    政府委員(松田慶文君) 施設区域として提供いたしました施設について、その使用の条件が提供合意の枠組みの中であれば当然これは権限として許すわけでございますが、ただいま御説明のとおり、実弾射撃、大砲の射撃につきましては着弾地域を特定することを条件としております。その協議につきましては、私ども自然環境の保護とか水源の保育であるとか、万般の考慮をした上で応ずべきものは応ずる、断るものは断るというケース・バイ・ケースで対処することはもう申し上げるまでもございません。また、この地域の水源涵養上の必要性についてはっとに米側にも伝えておりまして、米側も十分理解しております。したがいまして、そういう万般のことを心得まして今後とも対処していきたいと思っております。
  176. 立木洋

    ○立木洋君 今後ともそういう実弾射撃が行われる、そして地域を指定するというふうなことは、先ほど来申し上げているように、これは重大な問題なので、よく沖繩の実情を踏まえてきちっとして断っていってほしいというふうなことを重ねて要望しておきたいと思うんです。  先ほどの問題に戻りますけれども、水源涵養林を指定する、この件に関して前の伊東外務大臣のときに、この水源涵養林に指定した場合、損害を与えないように予防措置をとるとか使用条件が書いてあるということで、いわゆる五・一五メモを引用されて、環境庁でも保護鳥の生息地の問題などがあることを判断されていると思うので、また水資源の問題に関しても農林省とよく相談をする、つまり指定すればアメリカ側は予防措置をとる、指定するかどうかという判断が農林省にあるというような御答弁だったというふうに私たちは理解しているわけですが、この保安林の指定をすれば、五・一五メモに基づく合意、保安林の指定をすれば米側としては予防措置をとるということになっているのかどうか、そのあたりの理解はどのようになっているのか、外務省に重ねてお尋ねしておきたいと思います。
  177. 松田慶文

    政府委員(松田慶文君) この四十七年五月十五日の合意によりますと、ただいま立木委員指摘のとおり、指定された水源涵養林につきましては、それが指定をなされた場合には米側として一定の予防措置をとる、あるいは大きな形質変更をもたらすような計画を立てる場合には事前に日本側と調整するとなっておりますことは御指摘のとおりでございます。
  178. 立木洋

    ○立木洋君 この保安林の指定するというのはどこの省庁が行うのですか。
  179. 小沢普照

    説明員(小沢普照君) 保安林の指定目的、あるいはその保安林が国有林であるかあるいは民有林であるかということによっても異なるわけでございますけれども、水源涵養保安林という場合には農林水産大臣の権限に属しているわけでございます。
  180. 立木洋

    ○立木洋君 そのとおりだと思うんですね。そうしたら、外務省の方は、あるいは防衛施設庁の方もあわせてですが、この水資源確保という見地から考えて、この地域がきわめて水資源確保の上から重要だ、だから保安林として指定したいというふうなことを米側にきちっと話をするような意向はおありではないのかどうなのか。また、そういう問題についていままで話し合いしたことがないのかどうなのか。四省庁で先ほど協議をしたということになっていますが、ネックは一つそこにあるわけですから、外務省、防衛施設庁、いかがですか。
  181. 松田慶文

    政府委員(松田慶文君) ただいままでのところ私どもは所管官庁におかれて当該北部訓練場の一部に保安林指定を具体的に行うという個別の計画があるとは承知しておりません。したがいまして、具体論ではなくて、一般的な姿勢についての先生のお尋ねにお答えいたしますならば、これは通常の指定ではございません。安保条約地位協定に基づき提供している施設区域の内部のアメリカに渡しております地位協定三条の管理権との調整という問題なくしては論じ得ない問題でございますから、林野庁あるいは農水大臣のみならず、外務大臣あるいは防衛庁長官、施設庁長官等々関係省庁の協議を経てそのことを進めるべきかどうかという当然の政府部内の調整があり得ようかと思っております。
  182. 立木洋

    ○立木洋君 ですから、四省庁でそういう協議をいま続行しておるというお話なので、だから外務省や防衛施設庁の方としてはそういう方向で問題を解決していくようなお考えの立場に立たないのかどうかということをお尋ねしている。
  183. 田中滋

    説明員(田中滋君) 御指摘の点につきましては事務レベルにおきましてそれぞれの省庁間で検討を続けているところではございますが、現在御指摘の北部訓練場につきましては、一方では重要な水源涵養の役目を果たしていると同時に、他方では米側の訓練場であるという場所でもございますので、現実にいかに森林を保全していくか、水源を保全していくかという問題と、この北部訓練場たる施設区域を提供しているその目的の達成をどうしていくかという間の調整のむずかしい問題がございまして、鋭意協議を続けているところでございます。
  184. 松田慶文

    政府委員(松田慶文君) 先ほど具体的にどういう協議をしているかというお尋ねでございましたが、ただいま私どもの理解しておりますところでは具体的な保安林指定という形での協議は行われておりません。より大きな視点から沖繩水資源の確保をどう米側と調整していくか、そういった全体的な協議はもちろん従前からやっておりまして、たとえばそれを外務省がまとめて米側に申し入れるとか、そういった努力は鋭意続けておりますが、もし先生のお尋ねが保安林の指定という特定の協議をしているかというお尋ねであれば、そういう状況にはございませんとお答え申し上げます。
  185. 立木洋

    ○立木洋君 長官ね、この問題終わるに当たって、これは開発庁だけでどうこうとならないということはもうよく私も理解しておりますが、四省庁がそのようにして協議をしている水資源の確保の問題、非常に大切な問題で、アメリカの訓練場があるわけですから、その状態にあるということはよく私もわかるわけですけれども、しかし水資源の確保ということを、沖繩の将来のことを考えた場合に、これはやはり打開していく方向で努力していただかないとどうしても困ると思うんですね。  先般来問題になりましたダムの湖上における訓練の問題にしても水質の汚染の問題だとかいろいろあるわけで、こういう形で基地の問題というのは大きな影響を及ぼしているので、この点についていま松田さんは保安林の指定という点では検討していないという御答弁でしたけれども、しかしそういうことも含めて、本当に問題解決のために御努力をいただきたいということをお願いしておきたいんですが、いかがでしょうか。
  186. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) 沖繩の水問題は県民にとっても重要なことでもございます。また米軍にとっても水は私は重要であろうと思います。  ただ、沖繩の基地は日米安保条約のもとにその中に入っておるという条件の中の問題でございますから、大変いろいろの問題がそこにあるということは、先ほど外務省また防衛庁からの発言でも御理解をいただけると思いますが、私は沖繩開発庁の長官という立場で考えましたときに、やはり沖繩の県民の民生安定の上で水が最も重要であるということの判断の上に立っております。したがいまして、本島北部の森林が水資源の役割りを果たしておる、こういう観点からこの水資源の確保をしていかなければならない、それにはやはり適切な措置が図られなければならない、こう考えております。  したがいまして、先ほど局長から申しましたように、関係省庁と十分な連絡をとりまして、そして水資源の確保に最善の努力を払ってまいりたい、こう考えております。
  187. 立木洋

    ○立木洋君 もう時間がなくなりましたので、あとちょっと最後の問題としてお尋ねしておきたいのは、去る三月に沖繩で開かれました定例県議会の席上で西酩知事さんが「那覇軍港をどこに移せとは地元住民とのかねあいがあるため、うかつには言えないが、天願の軍桟橋あたりにつくったらどうかと考えている。先日上京した際、防衛施設庁長官と話し合った」というふうに述べております。  こういう報道がなされているわけですが、これは先日衆議院の沖特委で質問した場合の答弁として吉野防衛施設庁長官が白紙だというふうに答えてあるわけですが、この新聞報道、こういう形で施設庁長官とも話し合ったというふうに述べてあるし、単なる知事個人の発言とは考えられないわけで、外務省や防衛施設庁の方では米側から公式あるいは非公式にこういうふうな話があったのかどうなのか。その点いかがでしょうか。
  188. 田中滋

    説明員(田中滋君) 那覇港湾施設につきましては、安全保障協議委員会の第十五回会合におきまして移設後返還されるということが日米間で了承されておりますが、現在県あるいは関係市町村の意向も勘案しながら日米間で協議を続けているところでございます。しかしながら、現在の段階としましてはいまだ具体的な成案あるいは見通しを得るに至っておりません。
  189. 立木洋

    ○立木洋君 いまお話しのように、那覇の軍港についてはもうすでに返還の合意ができているわけですから、そしてこの天願の軍桟橋に移転するというふうなことはこれは大変なことで、その地域は海兵隊などの出撃拠点としてますます基地が集中強化されるわけで、こういうような米軍からの要請があったら断固と拒否をしてほしいというふうに考えるわけですが、その点の御答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  190. 松田慶文

    政府委員(松田慶文君) 御指摘の那覇港湾施設につきましては移設を行った上で返還というふうな合意になっておりまして、その移設が適切に行われるまでは現状が続くわけでございます。したがって、移設を抜きにしての返還ということは合意上あり得ないわけでございますが、ただいまも施設庁からの御説明のとおり、具体的にどういう形でどこへ移設するかについてはまだ検討が進んでいない状況にございます。
  191. 立木洋

    ○立木洋君 つまりそういうことになると代替施設の一候補地として考えられているというようなことに結果はなっていくわけですから、そういうふうにならないようにしてほしいということを私の要望として述べたわけです。  それで、もう時間がきましたから、もう少しいろいろお尋ねしたかった点もあるわけですけれども、一番最初この委員会で長官に申し上げましたように、基地の問題というのが沖繩では欠かすことができない、やっぱり県民の生活にしても、沖繩振興の問題についても、重大な影を落としている。これは基本的に言えば、もう基地を撤去する、そして完全な平和な島につくりかえるということを私たちは強く要望しているわけですが、安保条約をお認めになっておられる政府立場としても、こういう県民あるいは沖繩振興という問題に重大な影響を与えている点を放置しておいていいということには私はやっぱりならないだろうと思いますので、この点は改めて今後常にこの基地の問題について可能な限り返還を実現していく、そのたびたびに起こる諸問題については適切な形で措置をされるというように最後に強く長官に要望しておいて、私の質問を終わらしていただきます。
  192. 三治重信

    ○三治重信君 長官にお尋ねするんですが、    〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕 この北方領土の問題について長官の決意を聞きたいわけなんですが、これはもういろいろ問題になっており、事は簡単ですから十分御承知だろうと思うのですけれども、しかし法律的にはいままでなかなか行政当局は踏み切らぬ。しかし政治的にはもう踏み切ってはっきりしていかないと、北方領土の日までつくり、そして対外的にも日本立場を主張していくということになってくると、日本国内的な体制というものが非常におくれておる、こういうふうに私は思うわけなんです。  それを順序を追って確認をしてまいりたいと思うんですが、戦後最初に行われたのがいわゆる歯舞村が根室市に編入される、これが三十五年。そして編入されたことによってこれはまた財政措置もとられた。それから第二点として、四十四年の国会答弁では、国土地理院の調査でこの北方四島の領土の地籍面積というものもはっきりしたからということで、その後北海道庁に対しては財政措置がとられた、地方交付税がとられた。だから六ヵ村のやつがとられた。  こういういきさつで、ここまでは非常に進歩してきたわけなんですが、それからがどうも一つもいかない。つい最近では、せめて戸籍事務だけでもこの北方六ヵ村にはいわゆる本籍が置けるような措置をとったらどうか、こういう問題が最小限上がってきたようなんですが、こういう問題に対して大臣はどういうふうに処理されるお考えでございますか。
  193. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) いま北方四島の問題の中で、歯舞は根室市に編入をされておる、他の三島等についてどういうようにこれをするのか、こういうようなお尋ねだと思います。  私の考えておりますことは、やはり択捉、国後、色丹、この三島に所在の六ヵ村を隣接するいわば根室市等の市町村に編入するということ、これは地元の大きな願いでもございますので、立法として提案をされ、現在この問題につきましては衆議院沖繩及び北方問題に関する特別委員会におきまして継続審議となっております。したがって、本件は地方自治法の特例に属する問題と承知をいたしておりますので、自治省で御判断をしていただく問題ではないかと、こう考えております。私どもでき得ればこの問題が一日も早く解決することが、いわば四島から根室市を中心とする地域に引き揚げた皆さんのためにも、また根室市全体のためにも大変必要なことではないか、こう考えております。
  194. 三治重信

    ○三治重信君 衆議院の方で自治法の特例の特別立法を議員立法でやっているわけなんですが、これはひとつ大臣、議員立法だから高みの見物ということでなくして、本来から言えばこれは政府がみずからやらなくちゃならぬこと。しかしこれは余りにも長年政府がやらなかった、またしかもわが領土だと言ったけれども、それは実際実務上のことについて手抜かっていたのだということで、政府としては体面上いまさら政府案として出すのはなかなかむずかしいということなんですから、実質は総理府総務長官になった人が議員立法で推し進めて、何とか北方四島の六ヵ村に、役場事務や、そのおった島民なり、それがわずか十人でも百人でも本籍を移したいという人があったら本籍を移せるようにし、そしてそういう人たちのめんどうを見る。またそこに今後復帰した場合の計画なり、そういうものについての行政措置がとられることがやはり何よりも、北方四島を返せ返せというPRより、向こうの前島民でおった人に対して大変なこれは元気づけになるし、だんだんそこにおった経験者も、もういまから十年、十五年というのはすぐ過ぎてしまう。そうすると、そこに住んだ経験者が一人もいなくなるとやはり何となく実態が身にしみない。こういうことからも、やはり島におった人が実感として、その島民またその村民であるということが行政措置でとられて、そういうことをされて本当に安心して二世、三世に送っていかれるようなことをわれわれはやってあげるべきだと、こういうふうに思っているわけです。  ことにその六ヵ村のやつも、道庁の方には道行政についてはそれはもう入っている、こういうわけなんだから、その何といいますか、自治法の特例で行政区画の——外務省の見解だと事実上占領されているからいままではどっちかというと外国扱いに、後でもう一つ質問しますけれども法律上はどうも外国扱いにしているような表現がある。それを日本国内に入れるというのはまずい、しかし元来北方四島は日本の行政区画の中にあるのだから、それをその地域に役場なり行政をやる場所がないからこれは北海道の中のどこかでやるというふうないわゆる事務取り扱い、それからあるいは暫定的に六ヵ村を他の村に区画を変更して合併するというようなことのやつをやるということになれば、これは道庁にも何かもう少し権限を与えるような特別立法をやるのもまた便法かと思うわけなんです。  まあそれは衆議院の方で特別立法があるのだが、これは聞くところによると自治省がえらい反対している、こういうことなんですが、ひとつそういうことについて行政としても、せっかくいま本籍が六ヵ村へ持っていけるようなことが非常に具体的に浮かび上がってきている。こういったことは、道で何とかできるような暫定的なものは、その自治法の特例法のやつの前にもひとつできるような努力をしていただきたいと思うのですが、どうですか。
  195. 橋本豊

    政府委員橋本豊君) 戸籍北方三島に移すことについての御意見だと思いますけれども、午前中の丸谷先生の御質問の中で法務省参事官から答弁がございましたように、現行の戸籍法一条に戸籍の管掌者は市町村長ということになっております。    〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕 それの例外規定が設けられれば転籍を認めることができるというふうな趣旨の御回答があったと思いますが、これは法務省の所管でございますので、北方地域に関する事務総合調整をやる立場から、法務省とも十分協議しながらどういうふうに対応していくか検討してまいりたいと思っております。
  196. 三治重信

    ○三治重信君 もうそれは当然のことなんで、法的根拠ができればだれだってできるということなんで、法務省がめんどうくさいからそんなことをやろうとしないのですよ。だからやるのは、そういう転籍ができるようなことを法務省としては法的な手続をとってやってくれればやる気になる。法務省みずからやろうとするというふうなことは言わなかったんでしょう。自分でやりますということは言わないでしょう。だから、それは転籍ができるように、本籍をそういうふうに北方四島にもできるというふうにするということが、イニシアチブをとりまた積極的にやるのはやはり総務長官の仕事ではないかと思うわけなんですが、あるいはそれは具体的にこの法案を出すにしても、それだけだとやはり法務省、法務大臣の所管かもしれないけれども、しかしそういうことについて政府の中で法務大臣がみずからこの特別委員会質問だけでやろうという気にはなかなかならぬ。どうしてもこれは総理府総務長官がやはり法務大臣に頼むなり、あるいはほかとの関連で総合してやるなりということをやらぬとだめだと、そのことを言っているんですからひとつ誤解のないように。  それからもう一つは、これは何というのですか、これもまたいままでに問題になっておることなんですけれども、「外国とみなす」とかいう立法が非常にたくさん北方四島についてあります。北方の区域を当分の間外国とみなしている法令、一つの例挙げれば、関税法関税定率法、こういうようなのがあるわけで、私は大蔵委員としてこういうのを大蔵大臣に質問すると、これは歯舞、色丹、択捉、国後から来るのはそれはわが国の固有の領土からということであるけれども、しかしそれは現実日本北海道なり本土に税関として通ってくるときに、それはそこで必ずわが国の領土の中で取られたかどうかの証明は税関としてするから外国とみなす措置をとっているのだ、これは取り扱いとしてやっているのだという説明はいいわけですよ。しかしこういうのはやはり一般的に直すのはだれかというと、大蔵大臣も直す気はない。しばらくこういうことだからひとつ税関の事務をやる上においては必要だと、こういうことなんですよね。  だから、こういうのをひとつ「外国とみなす」とか、これは言葉の問題だと思うんですよ。言葉をひとつ北方四島を外国じゃなくて特殊地域だとか、またいろいろの知恵を出せば、やる気になって知恵を出せば、特殊地域なりいわゆる北方四島というふうな言葉を少し入れれば、こういうような「外国とみなす」というような法のやつや、日本の国土から外す、日本の内地の施行地域から外す法令というのも命令とか何かにもたくさんある。こういうのも出ておりますから、行政事務としては皆さん御存じのことですから一々読み上げませんけれども、これも個々に大臣に聞くというと、事務当局の答弁ではみんなこれはしばらくの間どうしようもございませんという答弁なんだから、こういうのを証拠として出されたら日本自身法令でみんなこれ外国扱いしているじゃないかと、こういうぐあいに出されたら事実どうしようもない問題。  これは一時外国が全部何か日本北方領土を地図で日本の領土として塗っているのはパナマ一国だ、ほかの国はアメリカですらそういうことの地図になってないというふうなことだということで、最近外交活動も行われているようなんです。やはりこれもう少し事務的にきちんとしていかないと、私はこういう問題の姿勢が直らぬと思う。  これは「外国とみなす」という言葉を別の言葉に置きかえるだけの問題だから、これはもう各省一緒にやるということになれば、これはどの大臣だって反対するわけはない。こういう労をとるのはやはり総務長官しかないと思うんですが、どうですか。
  197. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) いまお話しの北方四島でございますが、御指摘のように法令上の規定はこれらの島がわが国の固有の領土であるということ、また本邦の地域に属することを前提とした上で、ソ連がこれらの島々を現に占拠しているという実状を踏まえて、実はそれぞれの法令の目的を達するのに必要な限りでそれらの適用施行地域等に関して規定をしたものでありまして、このことがこれらの島々に対するわが国の領有権には何ら影響を与えるものではないと考えております。  いま御指摘のこの問題について、各省が協力をしてこの問題の速やかな解決を図るべきだという御指摘がございました。私もこの担当の省でこういう法的な問題を解決するという立場ではございませんが、各省、特に自治省また法務省、関係省庁の意見も十分聞きながらこの問題に対応してまいりたい、こう考えております。
  198. 三治重信

    ○三治重信君 それだけの大臣決心していただけば、やはりこういう文章の問題は考えてみると法制局で、法制局は文章の表現の問題は責任を持ってやるというけれども、意思決定を、これを直してくれと、こういうことをやるということは、それは大臣しかないわけなんで、ひとつこれは事務的な打ち合わせでは実現はできない。政府答弁もそう簡単にはできぬというようなことになっているわけなんだけれども、しかしこの法令上の表現というものを外国扱いにしないやり方というものはこれしかないということはないじゃないかと思うわけなんで、そういう政治的な配慮というものをひとつぜひやっていただく。  こういうことを各院でいままでずっと記録を見ると、もう三十五年からやっていて大分改善になったけれども、まあ一番むずかしいところへ入ってきているわけです。しかし、ここをやらぬことには、せっかく北方の領土の日まで去年やったのだが、それから一歩も進むところがないように、デッドロックみたいなかっこうになっているわけだから、ひとついままでのやつでもずいぶん委員会で問題になったのが、何と申しますか、市町村要覧の問題や地方公共団体総覧の記載の問題から、それから外務省外国の実情を見るとか、そういうものも委員会でこうやってずっとやられてきた。そういうことからいくというと、政府は常に後手後手になって、委員会で催促されて直してきた。  もう今度は法律の問題にひとつ入ってくるわけだから、これは政府も議員立法にしようが政府としてはやれなくても、それは議員立法で幾らでも対策はやり方はあるわけです。あるけれども、担当大臣が本気になってやる気がないと、こういうだれも一遍やったことを直すということは、これはもう非常にやらぬでまあじっとしておった方がいい、こういうことになるわけですから、ひとつぜひ、地方行政にも経験のある大臣ですから、ひとつ直していただきたいと思って特別お願いします。  こういうことについてこの次の質問のチャンスがあったら、その後どういう具体的な打ち合わせなりまたいろいろの会議をやってもなおこういう問題だったという実績といいますか、経過をまたこの次には、いずれこの委員会が行われたときにはまた質問さしていただきますことを申し上げておきます。  それから、時間ですからもう簡単に申し上げますが、沖繩のこのやつについて今度の計画にぜひ観光施設を入れてほしいということをこの間の法案のときにはやっておいたわけなんですが、ことに今度の点検のやつになっていきますと、那覇空港のやつなんか観光施設に非常に重要なわけなんですが、まだ不備なのが通信施設、監視レーダー、それからターミナルビルが別々に分かれている、それから貨物専用ターミナルのビルもつくったらどうかというようなことがあるのですが、これは第二次計画にぜひこの計画は入れてほしいと思うんですが、その点と、それからやはり私はハワイとかシンガポール、その他地中海のモナコとか、こういう世界的に有名な避暑地に匹敵するような総合的な地域的なやつをつくってもらいたいと思うのですが、それを第二次計画にぜひ入れてもらいたいと思うわけなんですが、そういうことについての検討をひとつ簡単に御説明していただければ、これで質問を終わります。
  199. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 先生ただいま御指摘の第二点にございましたように、沖繩は観光地としては大変本土から遠く離れておる、しかも東南アジアに一番近い位置にあるというようなこともございまして、国内の観光地とはもちろんでございますけれども、御承知のとおり国際的なしかも環太平洋上の観光地との競合ということも当然考えてこれから振興を図っていかなくてはならないということであろうかと思います。  幸いに最近におきます観光入れ込み客、本土からの観光客に加えまして、台湾等からの観光客もかなり増加をしておるという状況がございます。しかし、こういった増加傾向を定着させていくということのためにはまだまだ各面にわたっての整備が端的に申しまして必要であろう、これは基盤の整備というような問題もありますし、あるいはまた宿泊とかサービス等の充実といったような、非常に各面にわたる整備充実が図られていかなきゃいかぬのじゃなかろうか、このように考えております。  計画の中での位置づけという問題につきましては、現在県において素案の検討を行っているところでございまして、今後地元とも十分調整しなきゃいかぬというふうに考えておりますけれども、やはり観光が沖繩の経済を支える重要な柱になっておるということは私ども十分認識しておるところでありまして、先生御指摘の空港、道路港湾、そういった基盤の整備あるいは公庫の融資等を通じましての指導、助成といったようなことも今後の計画の中で十分に考えてまいりたい、このように思っておるところでございます。
  200. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 先生御指摘のとおり沖繩は広大な海域に散在いたします島嶼から成り立っておりますので、空港であるとか港湾であるとか、そういう基盤整備が非常に重要なわけでございます。  那覇空港につきましては沖繩の表玄関でございますので、現在滑走路二千七百メートルということになっておりますのを当面三千メートルに延長いたしますほか、誘導路等の新設改良を行いまして、空港機能の拡大と安全性を図る、こういう事業を現在実施中でございます。  また、ターミナルにつきましては、これも御案内かと思いますが、本土線、国際線、それから離島線とターミナルが三つに分かれておりまして、旅客に非常に不便な上に最近非常に狭隘化が進んでおるわけでございまして、いま総務局長から御答弁がありましたように、観光客がふえておりますので狭隘化しておる。こういう対策といたしまして、ターミナルについても早期に集約整備する必要がございまして、運輸省とも相談しながら具体案を進めておるところでございますが、何分本格ターミナルの完成にはなお相当の日時を要するという事情がございます。そのため、その間の暫定といたしまして現在のターミナル施設の拡張というのを現在検討中でございます。  その他主要離鶴の空港につきましては、現在宮古それから石垣さらに与那国もございますが、これら三空港につきまして機材の大型化に対応できるように拡張工事を実施中でございます。
  201. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 一昨日は県民待望の改正法案が、しかも全会一致で可決された、こういうことに対しては県民がほっとしている、そして心から喜んでおる、こういうことでございます。  そこで、問題は結局改正法案が県側の要望を入れてもらって可決された。ところが、次の段階はその法に基づく振興計画、いわゆる中身の問題になるわけですが、すでに法は発効しておるわけですが結局中身がこれからと、こういうところにまたもどかしさを感じておるわけです。  そこで中身づくりに当たって大事な大黒柱と申しますか、これをしっかり理解をしておかないというと、また軌道が外れるということになると十年後にもまた同じことを繰り返すことにしかならない。この羅針盤と申しますか、改正の沖振法の精神に基づいて名実ともに実現するそのとりではこの沖振法の第四条第一項に基づく振興開発計画の作成、こういうことになるわけなんですね。これに基づいてできるだけ早くその中身が決まらぬというとまた機能がおくれる、こういうことになります。  そこで、それに向けてのスケジュールがどのように計画されておるか、まず承りたいと思います。
  202. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) お答えいたします。  先生御指摘のように、まず沖振法の四条一項におきましてはこの振興開発計画の原案の作成を知事に委任いたしまして、県におきましてこの計画原案を作成をして内閣総理大臣に提出する、こういう手続になっておるところでございます。  ただいま今後のスケジュールについてお尋ねでございますが、現在県におきまして県案を県の審議会に諮問をいたしまして、現在審議会において検討中であるというふうに承知しております。県のスケジュールによりますれば、できれば六月中にも県知事の原案を作成して国に提出をしたいという意向のように聞いております。  私どもといたしましては、これを受けまして国の審議会に付議をするとともに関係省庁とも協議をしまして、でき得れば四月中にも、また遅くも八月中には国の計画として決定したい、このように考えておるところでございます。
  203. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そこで、大事な問題点はどういうことなのかということについてお尋ねしたいのですが、まず法に基づいて、いまおっしゃったとおりに知事に原案提出権を法は認めておるわけですね。これは地方自治のたてまえから当然だと思うんです。問題はその知事原案が最大限に尊重されなければいけないと思うわけですが、それをどの程度政府が吸い上げていくか、その原案を政府が策定するに当たってどの程度これを取り上げるか、ここに重大な問題があると思うんですね。  ところが、第一次過去十年の総括の中で集約されることは、目標とほど遠かったというこの結論は否めないわけですね。しかしそれをどう総括し評価するかというところに姿勢の相違があるわけなんですが、このことが私は重大だと思って、このことについて申し上げたいのですが、結局結果的には大きな隔たりがあった、いわゆる県原案を政府が吸い上げるその姿勢にすれ違いがあった、隔たりがあった、その結果の累積が総括の中に目標に達しなかったという、これ達しない原因、理由があるわけなんですね。  ところがその理由を総括しないままにあやふやと第二次振計がつくられた場合にまた同じことを繰り返すのではないか、こういう心配から私は申し上げたいのでありますが、すなわちこの振興開発計画の目標を明確にうたわれておりますね。これを一語で申しますならば、本土との格差の是正をどうするかということに集約されておりますね。ところが、それに対するとらえ方が当時の県案と政府の受けとめ方がすれ違いがある、大きなずれがあるということ、このことを私は指摘いたしたいと思うのでありますが、御参考までにこの「「振興開発計画」の目標は、本土との格差是正をはかるとともに、自立的発展の基礎条件を整備することにあるとうたわれ、そして、それを可能にするためには、第二次産業の拡大によって産業構造の改善をはかることに重点を置いている、」と、こういうことになっておるわけなんですね。  ところが問題は、沖繩側すなわち当時の県案と日本政府のそれに対する受けとめ方がこのように違っておるわけなんですね。「第二次産業の拡大によって産業構造の改善をはかることに重点を置いている、ということになっている」と、ここまでは結構です。「そもそも、何故にこのような格差が生じるに至ったかという基本認識においてすでに「沖繩県」と「日本政府」との間には大きな隔たりがあったのである。「県案」では、「壊滅的な戦禍、長年にわたる巨大な米軍基地の存在と軍事優先統治および本土との隔絶等の諸要因によってもたらされた本土との格差……」となっているのに対し、「政府案」では、「戦後長期にわたりわが国の施政権外に置かれた沖繩は、……」と、こうとらえておるんですね。この大事な素通りは太平洋の孤児として長い間置き去りにされたためにこのように大きな格差が出たという政府はとらえ方でしておるわけなんです。  ところが、私が指摘したいことは、その格差は長い間の空白もさることながら、この歴史に対する政府の責任といったものは、歴史的責任というものは少しも感じられないままに打ち出されておるということなんですね。そして「将来に対する展望も、「県案」が「本土」との格差、産業経済構造、生活、社会環境等の不健全性を早急に是正し、軍事基地の撤去を推進させ、経済の自立的発展の基礎条件を整備することによって、基地依存経済から自立経済への移行を実現し……」と、この自立経済というものの背景はこういう根本問題をとらえておるわけなんです。  ところがそれに対して「政府案」では、「沖繩の各面にわたる本土との格差を早急に是正し、全域にわたって国民的標準を確保するとともに、そのすぐれた地域特性を生かすことによって、自立的発展の基礎条件を整備し……」と、こうなっておるんですね。そしてまた「県案」が自立的発展の基礎条件に「軍事基地の撤去」を挙げているのに対し、「政府案」では「すぐれた地域特性を生かすこと」と変更されている」、このように県案と政府案との大事なポイントがすりかえられて、あるいはぼかされて、あるいは取り残されておる。こういう点がはっきりいたしておるわけなんです。  そこで、さらに申し上げたいことは「沖繩における米軍施設・区域は、大規模かつ高密度に形成され、しかもその多くが地域開発上重要な本島や南部地域に存在しており、那覇市を中心とする中南部都市圏の形成に影響を与えている」、こうとらえられておる面もあるわけなんです。「つまり、沖繩の軍事基地が沖繩の自立経済にとって重大な影響を与えていることを認識しつつも、「振興開発計画」の「目標」のなかから「基地撤去」が削除されている」というところに私はずばり申し上げて日本政府の真の意図が読み取れるような気がいたすのですね。  だから、このような基本問題を、一次振計の中にもあったものがこの二次振計の中にこれがまたすり違えられたり、これにさらに実効あらしめるという、このことでなければまた同じことを繰り返すことにしかならぬが、長官いかがでしょうか。
  204. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) 私は、第一次振計に基づきまして沖繩産業経済、また産業振興、あらゆる面におきまして一次振計はかなり着実な成果を上げてきたと思います。  いま御指摘の点でございますけれども沖繩が確かに日本の基地の五三%を抱えておる、こういう現実は私どもは十分承知をいたしております。それだけにこの基地問題に対しては十分な配慮とそして関心と、そしてその対応をしていかなければならないということだけは今日まで続けてきたわけでございます。  したがいまして、第二次振計におきましては、これから県知事から提出される原案でございますが、もちろんその原案の作成の結果を見まして私どもは、内閣総理大臣はこの原案に基づいていわば沖繩振興開発審議会の議を経て、そして関係行政機関の長に協議をして決定をするということになっておりますので、恐らく沖繩から出てくる原案というものは、私どもでき得るだけ第一次振計において十分果たし得なかったたとえば産業振興の問題、水資源の問題、エネルギーの問題、雇用の問題、こういう問題を十分取り上げ、その対応をしてまいることになると思います。また観光資源を十分に生かす、また沖繩の古来からの文化の振興、こういう問題にも十分配慮をしてまいると思うわけでございます。  いずれにいたしましても内閣総理大臣が行いますが、この場合やはり沖繩の実情というものを十分勘案をして策定をしてまいり、沖繩県民が望んでおる、そしてまた一次振計で十分満たされないものを補充しながら、着実に県民の期待にこたえる第二次振計を私どもは推進してまいる決意であります。
  205. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひ県民の要望を最大限に裏づけて、実りあるものにしていただきたいということを要望しておきます。  次に、沖繩の問題のすべての窓口として開発庁が法に基づいてできたわけですが、その存在の意義を十分に発揮してもらったかどうかというまたその総括も大事じゃないか、こう思って、その面からお伺いしたいのでありますが、開発庁の存在の意義と申しますと各省庁間の総合調整ですね。  その各省庁閥の総合調整ということになりますと、いわゆる総合的なものを考えたら縦割りと横の連絡ということがいつも問題になるわけでありますが、この十ヵ年を総括されましてその面からの機能を十分に果たしてこられたのであるか、あるいはまた隘路があった、困難点があられたのではないか。ということは一ころ開発庁存在無用論もありまして大騒ぎし心配したこともあるぐらいでありますが、そこは事務局の総合の持つ一つの隘路もたくさんあるのじゃないか、こう思っておるわけでありますが、調整がうまくいったかどうか。うまくいかないとするならば、その理由は那辺にあるのであるか、そういった点をお伺いいたしたい。
  206. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 私どもみずから評価するというのはなかなかむずかしゅうございますけれども、私ども開発庁設置法の設置の趣旨にのっとりまして、歴代大臣以下全職員この目的を達成するために最大限の努力を払ってきたというふうに私ども考えております。またそのことの中で、それはいろいろ不断に各種の問題等が発生してくるわけでございますけれども、それにつきましても最大限の対応を行い、沖繩振興開発を図ってきた、このように考えております。
  207. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いや、努力は認めますが、実際の具体的な問題にぶつかって非常に苦悩されたこともおありだと思うんです。特に米軍との関係をめぐってさらに他の県では見られない特殊事情があるわけですから、それだけにいろいろな引っかかりがあったりして非常に問題点を具体的に経験しておられると思う。努力されておることは認めますよ。そういう点からこれは今後のためにもそういうことは大事なことだと思いますので、いかがですか。
  208. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) あるいは御質問の趣旨に必ずしも沿わないかとも思うのでございますけれども、やはり沖繩開発庁沖繩の地域におきます非常に幅広い仕事を手がけておる役所でございまして、そういった意味では、いわゆる仕事を運びます上におきましても関係省庁非常に数多うございます。そういったことでその間の調整をしながら仕事を進めてまいっておるわけでございますけれども、幸いに関係各省庁の非常な協力を得まして、たとえば振興開発事業費の伸び等にも見られますように、関係省の非常な協力を得ましてスムーズに仕事を運び得たものというふうに思っております。  また沖繩に特殊の問題として、いわゆる戦後処理問題等々もございますが、開発庁で担当いたしております戦後処理問題等につきましても、非常に困難な、また沖繩に特有の歴史的な経緯、あるいはその他の特殊事情を含む問題がございましたけれども、これらも関係省庁の非常な御理解を得まして、その多くがほぼ解決の軌道に乗っておるというような状況にあるわけでございます。
  209. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 横のつながりという面から、各省庁にはそれぞれ省庁としての主体性があるわけなんですけれども、それを理解しながらも開発庁という窓口に一点にまとめなければいけないというところにまた私は開発庁の苦悩があられると思うんですよ。  だから、そういう立場から、非常にむずかしい窓口でありますけれども、それをうまくまとめてくださることがそのまま二次振計のスムーズな発展、そうして県民の目的達成、利益につながるわけでありますので、そういう点から私はぜひ開発庁の存在の意義を十分にも十二分にもひとつ発揮していただくということによって、そのことが県民の利益につながるわけでありますので、特にその点を要望いたして、次に移ります。  次に、今日、時の重要な問題になっております行政改革、そうして財政再建、こういうものとの関連から北海道開発庁、沖繩開発庁の国土庁への統合吸収論が主張されておる。特振法もできた途端に、きのうの朝日新聞にまた出ておりますとおりに臨調第二部会の考え方として打ち出されておる。  改正法もいま振興計画に向けて内容づくりにこれからハッスルしようとする時点で、まさか行革にひっかかるような心配はさらさらないとは思いますけれども、しかしそれは政治は動くものでありますからという心配もあるわけでありますが、じゃ、この国土庁への統合吸収論が主張されておることに対して沖繩開発庁としてはどのような御見解を持っておられるのであるかということ、そうして開発庁を現状のままでいく場合、あるいは統合することによって、そこにメリット、デメリットが考えられるならばそういった点もひとつお聞きしたいと思います。
  210. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) いま臨調では国土行政をテーマとした論議が行われておりますが、まだ審議中でございまして、その内容は固まっていないと聞いております。したがって、この段階意見を述べることは差し控えることが適当ではないかと考えます。  ただ今回沖繩の特殊事情及び経済社会の厳しい状況にかんがみまして、沖振法の十年延長が国会で議決をされ、政府においても第二次振計を策定をして、それに基づいて沖繩振興開発を行おうとしておるわけでございます。これを推進すべき責任官庁の必要性については、私は臨調においても十分理解をしておると期待をいたしておる次第であります。いずれにいたしましても、政府が責任ある立場沖繩振興開発というものを強力に推進することについてはいささかも変わりはないと確信をいたしております。
  211. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま力強い御決意を承りまして安心もいたしておりますが、できるならこの席に行管庁長官もおいで願って確認したいという気持ちもあったわけですが、きょうは無理のようで、最後に臨調事務局の担当の方が見えておられますので、いまの件につきまして、もしそのことが単なる新聞紙上での程度であるのか、あるいは具体的にそれが検討されて方向づけでもあるのかどうか、その点をひとつお願いしたいんですが。
  212. 重富吉之助

    説明員重富吉之助君) お答え申し上げます。  現在沖繩開発庁を含みます中央省庁の組織の問題、それから総合調整機能のあり方等につきましては、先生御指摘のとおり第二部会で扱っておるわけでございます。で、対外政策といいますか、それから国土の開発利用保全といいますか、年金行政といいますか、数多くの複数の省庁に関係する問題につきましては、いままで関係者からのヒヤリングとか、それから学識経験者からのヒヤリングとか、それからここにおられます沖繩開発庁の関係者の方からとか、いろいろとヒヤリングをやってまいりまして、調査審議も進めてまいったわけでございます。  それで、現在のところ第二部会の方では改革の具体的方策も含めて改革の基本的考え方、そういうことを含めましていま自由討議をやっておるところでございます。その自由討議の過程でいろいろな考え方が出ておるのはマスコミ等で御承知のとおり事実でございます。ただ具体的な改革案につきましてはまだ取りまとめる段階に至っておりませんので、私どもとしては何とも申し上げかねるというのが実態でございます。  ただ意見内容等につきましていまの段階事務局の方として意見を申し上げる段階には至っていない、考え方を申し述べるということは差し控えたい、こういうふうに考えております。
  213. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 長官、いかなることがありましても、答申はこれからですからいまの段階では具体的には話は進まぬと思いますが、決意だけはいかなる答申が出たとしてもこれにブレーキをかけるような、廃止をするような、統合するような、こういう方向に持っていかれぬようにひとつがんばっていただきたいと思います。  そこで最後に、私、心を込めて要望、お願いをいたしまして、質疑を終わりたいと思うんですが、と申しますのは、法に基づいて開発庁ができておる、そしてその出先機関として沖繩に総合事務局がある、あるいは防衛施設庁ならば、防衛施設庁があってそして沖繩に防衛施設局がある。  この関連において私がここで一応理解を求めたい一つは、いままでの沖特やあるいは予算審議の中でも、私は沖繩の基地をめぐるあり方について、企業とのつながりにおいて、あるいは施設の遂行につけて基地から受ける利益は本土業者が受けている、基地被害は沖繩県民が受けておるといったことに、あるいは誤解があってはいけないと思って申し上げたいことは、本土業者がみんな利益を吸い上げておるという、本土業者を悪者扱いをしておることに私はちょっとひっかかるものがあるわけですが、私が言いたい結論は、いろいろ黒い霧、疑惑も現に沖繩でもありましたよ。そういったものがだんだん浮き彫りにされて、具体的にあらわれてきた。そうしたら、それがまずいことをした者は一応退職した、あるいは解雇された、こういったいきさつもはっきりいたしておるんですね。ところが、それに対して、もう解雇したから、首を切ったから自分たちとは関係がないというとらえ方でおるとするならば、これ重大な問題である。それはだれがそうさしたかということを、私が言いたいことは、業者が利益を占めたとしても、占めるようにさせたものはだれなのかということなんですね。  このことを私は厳しく上司の立場から反省して受けとめてもらわないというと、ただ実際にそのことをやった出先の職員だれそれを厳しくきめつける、ある時期までは知らぬ存ぜぬをして、わからぬわからぬで通した、だんだん浮き彫りになったら解雇された、それで事が済むはずはないんです。最高の責任はだれが負うべきであるかという、この組織のつながりからも。  そういった厳粛な気持ちで襟を正してもらわぬというと、これは日本の政治のあり方からもそうなんですが、特に開発庁あるいは防衛施設庁の立場からも、もしその厳しい反省の上に立たないとするならば、また十年河清を待っても同じことを繰り返す、被害はまた沖繩県民がと、こういうことになりかねないとは言えないのではないか、こういう意味ですね。  大変失礼な言い分かもしれませんが、ひとつ厳しく受けとめていただいて、名実ともにひとつこの二次振計が実りますように御要望申し上げて、防衛施設局も見えておられますね、いまの点、ひとつ防衛施設局そして開発庁長官の所信といいますか決意といいますか、それを承りまして、私終わります。
  214. 田邉國男

    国務大臣田邉國男君) 私は、国家公務員は国民の奉仕者である、したがって国民に対するその義務として公平であり適正であり、そしてまた忠実であらねばならない、こういう点につきましては私は沖繩開発庁長官に就任の際にも明確に職員一同にその訓示をした経過もございます。私は十二年間山梨で実は地方長官をやってまいりました。これを実践躬行をしてまいりました。やはりみずから長たる者が範を示してその行動をすることが下これにならうのだと私は思っております。  したがいまして、沖繩開発庁におきましてはこういうことが絶対にない、またそうあってはならないという考え方で、今回第二次振計の出発に当たりましてはさらに思いを新たにいたしまして対応をしてまいる考えであります。
  215. 吉住愼吾

    説明員(吉住愼吾君) 職員の服務規律の保持につきましては常々注意を喚起しているところでございますけれども、今後ともさらに厳正な規律の確保の徹底を図っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  216. 大鷹淑子

    委員長大鷹淑子君) 他に御発言もなければ、これをもって、昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、北方対策本部沖繩開発庁及び沖繩振興開発金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 大鷹淑子

    委員長大鷹淑子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会