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政府委員(
佐々木晴夫君) いまの御質問並びに従来の御質問等につきまして一括してお答えを申し上げたいと思います。
いま先生言われました長期債務それから年金の問題、この問題につきましては、特に年金につきましては、もう
昭和六十年にはパンクをするわけであります。五年の移行期間を
臨調としては言っておりますけれども、それを待つことができないというのが現実の問題であろうかと思います。この年金問題は早々に解決をしなければならぬというのが
臨調の
考え方であります。そのための対策につきましては、類似制度との統合を図るということでありますけれども、この年金の問題、まあそうしたことで今後の対応を逐次進めていかなければならぬというのがこれが基本的なその物の見方であります。
また、長期債務の
お話が一応ございましたけれども、この長期債務の問題、すでに五十六年で十六兆数千億、それから六十年に現在の経営改善計画でもってしても二十四兆円、これはだれも結果としては負担をしてくれないわけであります。したがいましてこの負担を何らかの形でもって解決をしなければならぬ、これは結果としては
国鉄自体の御
努力とそれからもう
一つは一般会計その他
国民の負担に帰さざるを得ないわけであります。これにつきまして
国鉄のあるいは今後
分割されるところの経営体が一体どの程度これを負担ができるのか、それからまた残余をどのようなやり方でもって国庫が負担をしてまいるのか、そのあたりについて、この段階で抜本的に
考えなければ、
国鉄の再建といいますか、これはもういかんともしがたいというのが
臨調の
考え方であります。
あわせて、では
分割民営ということですべてが一応決着がつくのかというふうな御質問が先ほど来いろいろとございました。これにつきましてもあわせまして若干お答えいたしておきたいと思いますけれども、
臨調としましては、
部会段階で、北海道、九州、四国を
分割し、独立させ、それから本州を数ブロックに
分割をするという
考え方を一応示しております。先ほど来先生が言われますように、たとえば北海道、九州、これは確かに現在でも、たとえば五十五年でもって北海道は二千百九十八億程度赤字を一応出しておる、九州が千九百八十九億程度の赤字を出しておる。しかしながらさらに申し上げますと、本州自体が八千二百一億円の赤字を出しております。つまりこれは問題は北海道それから九州、四国の問題だけではないのであります。それぞれのところにおいて相当大幅な赤字を発生をいたしております。これを何らかの形でもって解決をしていかなければならぬ。その場合に、一体なぜこういうことになったのかというのを
臨調においていろいろと討議をいたしたわけであります。
その原因としては、もちろん先生方よく言われますように、輸送需給のアンバランスが恒常的に続いてきておる。たとえば運賃を上げた場合に、これはそれぞれの結果としては客離れを一応起こしておる、収益がしたがって予定どおりに上がらない。一方、労働生産性がこれがさっぱり上がらない。これはどういうことかと申しますと、たとえば私鉄の場合とそれから
国鉄の場合と比較した場合に、私鉄は、中小も全部一応トータルをいたしまして、生産性が、たとえば四十五年と五十五年とこれを比較した場合に、一四〇%の生産性の増を来しておる。それに対して同じ期間に
国鉄にあっては一〇四%であります。一けた違うというふうな生産性の伸びのぐあいであります。
さらに、この原因を一応究明してみました場合に、いまの輸送需給の問題と、それからいわば労使問題、生産性の問題、このあたりはなぜそうしたようなことになってきたのかということになりますと、これは結局のところ、たとえば当事者能力がそれぞれ不足しておる。その当事者能力という
意味は、いまの利益とそれから報酬との
関係、あるいは設備投資能力、その他経営の基本的な制約が種々
国鉄に対しては加わっておるということであります。
したがいまして、今後
国鉄のあるべき姿を
考えます場合にあっては、いまのようにどこもここも赤字だというふうな形を改めまして、それぞれが適正な規模でもって相互に当事者能力を持って経営
責任を全うし、生産性を向上させて、しかもその輸送需給に弾力的に対応していく、こうしたような形を
考えてまいらなければならぬというのがいわば
臨調の
分割、それから民営とありますけれども、
分割民営化。当初の段階では当然特殊会社でありましょう。そうしたような
考え方であります。この
分割体に対しては十分な当事者能力を与える。設備の能力も与えれば、それから料金の決定の能力も基本的には与える。それからいまの職員の給与についての能力も基本的には与えるということでもって、相互に生産性を競うということによって、それぞれの地域にあって
最大限の合理化を来してもらいたい、このようなのがいまの
臨調のこの
分割民営化の
考え方であります。
緊急措置十一項目というのも提示をいたしておりますけれども、基本的には今後の輸送需給にそれぞれの地域でもって地域ごとに対処し、それから十分な生産性を上げていくということにつきましては、
臨調では
考え方としまして、いま申しましたように十分な当事者能力を持ったある程度の規模を持つ経営体がお互いに競い合って生産性を上げていくということによって、結果としていまの
国民的資産であるところの公共輸送も一応確保されていくんだ、こうしたような物の
考え方をいたしたわけであります。