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栂野分科員 汚濁の問題もまだまだ
調査研究不足で、とても淡水化に踏み切るという
状況ではありません。しかも、この干拓地は御承知のように、もともと水田づくりということで始めたわけですね。ところが、もうすでに二十年近くたちますから、
状況は一変しております。いまもう水田はできない。そこで農
用地として引き続き使用するということで一体何をやったらいいのか。現時点では農水省は、酪農中心で野菜、花卉、こういうことになっておりますが、言ってみれば試行錯誤の
段階で、完全に干拓が終わってから考えましょうということなんですね。しかも、これはでき上がったら農家に分譲するわけです。いま十アール当たりが百三十八万円、さっき農水省はそういう御
説明でしたが、十町歩単位で酪農に分譲するというのです。一億三千八百万円です。そんなものをいま農家が買って、じゃ酪農をやろうなんていう者はだれもいません。ですから、周辺の農家も
計画当初は非常に期待があったのですが、全然いま関心を示さないのです。何をやっていいかわからない。しかも、やるにしたって、とてもじゃないが採算のとれるような農業経営は考えられませんからね。これはとにかく二十年前の話ですから、二十年前には、そういうことで水田づくりというものも
意味があったのでしょう。農家の期待もあったのです。そこで、この中海の三分の一を埋め立てるということを
建設省が承認なさったわけですね。いま、まだ農業用水も一体八千万トン要るんだかどうだかさっぱりわからぬとおっしゃっている。三分の一も埋め立てるということは大問題ですよ。
そこで私は、どうもこれを見ますと、農水省はどんどん
事業をやっているのだから、
建設省は言ってみればチェック機能で、許可するかしないかすればいいのだ、こういう受け身の姿勢をとっておられるような気が、率直に言ってするのですよ。しかし、あくまでも二つの湖の管理者は
建設省なんですよ。本当に現時点で考えて、こんな埋め立てをする必要が一体どこにあるのか。そうして十倍もの水を淡水化するという、生態系が全然変わってしまいますよ。しかも汚濁が進むかもわからないという、これだけの大問題を、いま
お話を聞いても、
建設省としては自分で積極的に、これは大変な問題だ、何とかもう少し取り組み方を強めなければいかぬという姿勢が私にはほとんど見られないのです。私は、これは最終的には
建設省が責任を負っていただかなければならぬ問題だと思っているのです。農水省はもう二十年来
事業を始めておられますから、なかなか行きがかりもあり、メンツもあるということはわかります。しかし、ここでは捨ててもらって、この時点でもう一回どうするか真剣に考えてもらわぬといかぬと思いますよ。これは七百五十億の国家的
プロジェクトですよ。もう六〇%以上進んでいますが、行
財政改革の観点からも問題になりつつあるのです、むだじゃないかという形で。本当にこれを有効に使っていくのならば、ここのところでもう一回再検討が必要ですね。
そこで、先ほど私は農水
大臣にも御意見を伺ったのですが、水質汚濁の問題については環境庁がかかわってこなければいけません。そこで、いま農水省が淡水化あるいは水門操作について
建設省に許可を求めてくるだろう、その時点でどうするか考えようというのではなくて、一歩前に出まして、管理者である
建設省がイニシアチブをとって、農水省それから環境庁、境水道が入りますから運輸省も
関係が出てくると思いますが、そういう
関係省を一回集めて、しかも出先に任すのじゃなくて、
大臣レベルで一回、これを進めるべきか引くべきか、進めるとしてもどうすべきか、私は根本的に検討を進めていただきたいと思う。農水
大臣は、いまは事務レベルでやっておるけれ
ども、その時期が来れば、そういう
大臣レベルでの
協議もいたしましょう、こういうことでしたが、いまの全体的立場を考えますと、
建設大臣、これは呼びかけるのは
建設省以外にないと私は思っている。ひとつそういうことをやっていただけませんか。農水
大臣は時期が来ればと言われますが、時期はいまなんですよ、これは切迫しているのですよ。いかがでしょうか。