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1982-02-26 第96回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和五十七年二月二十四日(水曜日) 委員会において、設置することに決した。 二月二十五日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       江藤 隆美君    鴨田利太郎君       後藤田正晴君    塩川正十郎君       澁谷 直藏君    渡辺 栄一君       武藤 山治君    山田 耻目君       草野  威君    金子 満広君 二月二十五日  後藤田正晴君が委員長指名で、主査選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和五十七年二月二十六日(金曜日)     午後五時一分開議  出席分科員    主査 後藤田正晴君       江藤 隆美君    鴨田利太郎君       澁谷 直藏君    渡辺 栄一君       渡辺 秀央君    串原 義直君       鈴木  強君    山田 耻目君       市川 雄一君    草野  威君       金子 満広君    中路 雅弘君    兼務 野坂 浩賢君 兼務 中野 寛成君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 小坂徳三郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 角田 達郎君         運輸大臣官房総         務審議官    石月 昭二君         運輸大臣官房会         計課長     大塚 秀夫君         運輸省鉄道監督         局長      杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省航空局長 松井 和治君  分科員外出席者         自治省税務局府         県税課長    金子  清君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     吉井  浩君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     橋元 雅司君     ————————————— 分科員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   塩川正十郎君     渡辺 秀央君   武藤 山治君     串原 義直君   草野  威君     市川 雄一君   金子 満広君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 秀央君     塩川正十郎君   串原 義直君     鈴木  強君   市川 雄一君     春田 重昭君   中路 雅弘君     瀬長亀次郎君 同日  辞任         補欠選任   鈴木  強君     武藤 山治君   春田 重昭君     草野  威君   瀬長亀次郎君     金子 満広君 同日  第三分科員野坂浩賢君及び第四分科員中野寛成  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十七年度一般会計予算  昭和五十七年度特別会計予算  昭和五十七年度政府関係機関予算運輸省所  管)      ————◇—————
  2. 後藤田正晴

    後藤田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしく御協力をお願いいたします。(拍手)  本分科会は、総理府所管国土庁並び運輸省、郵政省及び建設省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省庁所管事項説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  昭和五十七年度一般会計予算昭和五十七年度特別会計予算及び昭和五十七年度政府関係機関予算運輸省所管について政府から説明を聴取いたします。小坂運輸大臣
  3. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 昭和五十七年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は二十二億八千五百四十七万一千円であり、歳出予算総額は、他省所管計上分一千百七十九億二千六百四万四千円を含め一兆五千五百五十三億八千九百六万二千円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、比率で〇・二%の増加になっております。  次に、特別会計について申し上げます。  自動車損害賠償責任保険特別会計につきましては、歳入歳出予算額一兆六千八百八十四億三千六百万円余、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千二百九十七億円余、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入歳出予算額三百四十三億三千万円余、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額二千四百五十四億九千三百万円余をそれぞれ計上いたしております。  また、昭和五十七年度財政投融資計画中には、当省関係公社公団等分として一兆七千六百八十三億円が予定されております。  運輸省といたしましては、以上の予算によりまして、まず第一に、日本国有鉄道再建を推進することといたしております。  国鉄再建につきましては、昭和五十四年十二月の「日本国有鉄道再建について」の閣議了解及びこの閣議了解を実施するための法的措置として、昭和五十五年末公布された日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づき、国鉄自身の徹底した経営改善措置とこれを前提とする国の行財政上の措置とを総合的に実施することにより、昭和六十年度までに国鉄健全経営基盤を確立し、可及的速やかに収支均衡の実現を図ることといたしております。  このため、昭和五十七年度においては、予算人員一万二千人の縮減を初め国鉄経営合理化を一層推進するほか、所要運賃等の改定による増収一千五百二十億円を見込むとともに、総額七千三百十九億円の助成を行うことといたしております。  第二に、交通基盤施設等整備を促進し、国民生活安定向上を図るため、港湾、海岸及び空港の各部門について、新五カ年計画に基づいてそれぞれの事業計画的かつ着実な推進を図ることといたしております。  また、東北新幹線の本年六月、上越新幹線の同十一月大宮開業を初めとする鉄道整備を推進するとともに、整備新幹線につきましては、建設着工のための所要調査を進め、国鉄財政再建進捗状況事業採算性等を慎重に検討するとともに、公的助成及び地域負担程度、方法の整備を進め、これを待って工事に着手することとしているところであります。  第三に、海運、造船対策といたしまして、貿易物資安定輸送確保するため、財政資金により外航船舶整備を促進するとともに、造船業経営安定化のため、船舶輸出確保を図るほか、過剰施設処理に関する助成を行うことといたしております。  また、船員対策といたしましては、練習帆船日本丸の代船建造に着手するとともに、雇用対策についても積極的に推進していくことといたしております。  第四に、広域化、多様化する海上警備救難業務に対処し、船舶航行安全体制を確立する等のため、海洋情報充実を図るとともに、巡視船艇及び航空機整備を推進するほか、海洋調査充実強化を図ることといたしております。  第五に、経営改善に努力している地方バス中小民鉄離島航路等に対し、地方公共団体と協力して助成を行い、国民日常生活に不可欠な公共交通サービスの維持、確保に努めてまいります。  第六に、安全防災及び環境保全対策といたしましては、広域的な気象観測に重要な役割を果たす静止気象衛星三号の整備を行うこととするほか、地震火山対策交通安全対策交通被害者救済対策空港周辺対策等充実強化を図ることといたしております。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります「昭和五十七年度運輸省予算説明」及び「昭和五十七年度日本国有鉄道予算説明」によりまして御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして、昭和五十七年度の運輸省関係予算についての説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 後藤田正晴

    後藤田主査 以上をもちまして運輸省所管についての説明は終わりました。
  5. 後藤田正晴

    後藤田主査 なお、政府当局に申し上げますが、質疑の時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いを申し上げます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  6. 野坂浩賢

    野坂分科員 輸送機関航空機船舶、電車、バスハイタク、こういうふうにありますが、この中で必ず必要な必須輸送機関あるいはハイタクのように選択的輸送機関、こういうところに分かれるだろうと思うのですけれどもバスの場合は必須輸送機関、こういうふうに私どもは位置づけておりますが、そのとおり考えてよろしゅうございますか。
  7. 石月昭二

    石月政府委員 輸送機関が必須であるかどうかというのは、需要との関係において決まると思いますけれども、基本的にはバスは基幹的な輸送機関と考えております。
  8. 野坂浩賢

    野坂分科員 昨年の七月に運政審から答申をされました中で、バスが、言うなれば甲種、乙種、丙種とございますね、この中で乗車人員が非常に少ない第三種生活路線とでもいいますか、そういう場合については「自家用車を使用する者とその利用を希望する者を地域的組織の力により結びつける自家用車利用の導入を検討する。」こういうことが出されておるわけであります。「相互扶助の見地から」という意味と、たしか五十七年度の予算では五百万程度予算が組んであるというふうに理解しておりますが、具体的にどういうふうにやろうとするのか。運輸省考え方を、どなたでも結構ですからお話しいただきたい。
  9. 石月昭二

    石月政府委員 昨年の七月に運輸政策審議会から答申をいただきましたが、その中の地域交通体系あり方でございますが、運輸政策審議会答申の基本的な考え方は、各輸送機関の特性を生かして、できるだけ効率的な輸送体系を形成するというのが基本的な考え方でございます。  先ほど先生バス三種路線のあるところというようなお話でございましたが、答申にはそのように書いてございません。輸送機関あり方といたしましてバスは、利用者が五人以下になってきた場合に企業としての経営が成り立たない。そういうようなところにつきましては、やはりバス輸送というのは本来、通勤通学といったような定型的、ある程度のまとまった輸送量のあるところに適性があるわけでございますので、そういう適性のないところにつきましては、むしろ機動性随意性におきまして面的輸送に非常に特色を有する自家用車というものを、相互扶助というような考え方も含めて活用することによって、豊かなモビリティーを達成する必要がある、こういう趣旨答申でございます。  したがいまして、私どもといたしましては、現在その答申趣旨に沿いまして、どのような地域で、どのような旅客といいますか輸送目的方々を対象にして、どんなシステムでやったらよろしいかということを実験的に研究してみる必要がある。これにつきましては、たとえば事故が起きた場合の保険の問題もございますし、その他道路運送法有償無償といいますか、既存事業との関係その他もございますので、そういうような点につきまして勉強するという形で、五十七年度予算案におきまして五百七十万の予算を一応計上させていただいているわけでございます。
  10. 野坂浩賢

    野坂分科員 相互扶助というのは、私たちはお互いに助け合うという意味でほとんど無料ですね、相互扶助という精神は。ここの相互扶助というのは、いまお話があったように保険とか、あるいはどこに登録してだれが世話をするのか。たとえば私とだれさんは顔を見るのもいやだ、この人の自動車には死んでも乗らぬ、こういうふうに考えておるけれども、そこからやってくるというようなことでは、なかなか相互扶助にもなりにくいですし、具体的にどういうシステムでやろうと考えておるのか。その辺がはっきりしないので、五百七十万円という予算がつくからには一応の構想があるのではなかろうか、こういうふうに思ってお尋ねをしておるわけです。その辺はどうですか。
  11. 石月昭二

    石月政府委員 相互扶助という考え方が出てまいりましたのは、運政審審議の場合に、たとえばイギリスなんかにおきまして教会等の教区なんかが中心になりまして、そこでだれか世話人がおりまして、そういう方々が、自家用車を持ってない方と持っている方を結びつけて自家用車利用の枠を広げるというような例がございまして、そういう考え方に基づいたものと思います。  それで、具体的にはどのようにやっていくかというお尋ねでございますが、私どもも現在のところ、そこはこれから研究会をつくって決めていこう、こういう段階でございまして、大ざっぱに申し上げまして、やはり何らかの公的機関と申しますか、たとえば地方公共団体であるとか農協とか、そういうところが仲介をするような、需要者とそれからその運転者とを結びつけるシステムが何か要るのではないか。そういうシステム仲介といたしまして、バスもない、それからタクシーもなかなか利用できないというようなところ、もしくは、たとえば第三種路線というようなものが走っておりましても、その需要の態様というのが面的、時間的に非常に広く広がっておりまして、ニーズに全然対応できないというような場合に使えるようなシステムを考えた方が、モビリティー向上になるのではないかというような考え方を現在持っております。したがいまして、これから勉強していくところでございます。
  12. 野坂浩賢

    野坂分科員 それはバスがないところですね。しかし、いままでバスが通っていて、だれもが普通な気持ちで乗っていくというのと、近所の人たちの車に乗って、私は都合が悪いですというような場合と、いろいろ出てまいりますから、十分に慎重に検討していただかなければなりませんが、いまお話があったようにバス基幹的輸送機関である、必須輸送機関であるというととが確認されたわけでありますから、この公共的な輸送機関、基幹的な輸送機関について社会的な格差是正という、過疎地域過密地域とのこれをどうやって調整をするかということですから、できるだけ公共輸送というものを考えてほしいというふうに考えておりますが、最後に運輸大臣の御答弁をいただいて、この問題を終わりたいと思っております。
  13. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいま総務審議官からお答え申し上げたとおりでございまして、また、いま委員が御指摘になりましたバス必須輸送機関であるということは十分踏まえて、さらにまた昨年の七月の運政審答申にも十分配意しつつ、間違いのない運営をさせていただきたいと思います。
  14. 野坂浩賢

    野坂分科員 この間、一般質問のときにも運輸大臣お尋ねをしましたが、十分詰めておりませんので、この際伺っておきたいと思います。  物流の問題について、特に貨物自動車問題でありますが、御案内のように、この間もお話をいたしましたが白トラ自家用貨物自動車というのが大体八百三十万台、青ナンバーいわゆる営業用貨物自動車は大体五十九万台、これは運輸大臣からお話があって、そのとおりであります。そこで、交通事故一体どの程度なのかということが一番問題になってくるわけでありますが、この交通事故件数は、時間がございませんから私が申し上げますので、肯定されるか、否定されるか、修正されるか、そういうぐあいにしていただきたいと思います。  特定大型というのは交通事故の場合、営業車が約六〇%、自家用車が約四〇%、大型営業車が多くて六三、自家用車が三七。普通車になりますと事故が九万五千件程度ございまして、営業車は一〇%、それから自家用車が九〇%。軽車両になりますと事故が三万件ありますが、これは自家用車が一〇〇%であります。こういうかっこうで、特定大型とか大型自動車というのはほとんど自家用車はございませんから、普通車なり軽車両ということになってまいりますが、このとおりでしょうか。
  15. 飯島篤

    飯島政府委員 申しわけありませんが、手元資料を持っておりませんので、先生のおっしゃるとおりだと思います。
  16. 野坂浩賢

    野坂分科員 そうです、資料のとおりでありますから。大体、普通車、軽車両というものの事故件数が全体の約八五%程度でありますから、自家用車事故件数が非常に多いということは、自動車局長からお認めいただいたわけであります。  それで、この間運輸大臣一般質問の中で御答弁をいただきましたように、できるだけ白トラック営業行為は抑えていくというお話もちょうだいしております。営業にいたしましても、いま路線、区域を通じて三万五千社、その中で監査するのが二千社、処分が十社というようなことで、監査なり検査が十分できないという状況はあるということもお認めいただいておるわけですが、そういたしますと、できるだけ交通秩序を守っていかなければならぬわけでありますから、いまの規制緩和については、百六十六万台程度あるから五トン以上を十分チェックをしたいというお話があったやに承っております。したがって、この白トラック営業車にするということは非常に問題がある、こういうふうに御答弁をいただいたと承知しておりますが、そのとおりですね。
  17. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 確かに先般の予算委員会におきましては、五トン以上のものについては今後十分取り締まりができるような方向で規制を進めたいということを申し上げました。
  18. 野坂浩賢

    野坂分科員 営業しておる事業会社が三万五千社あって監査も二千社程度しかできないという現状でありますから、これについても輸送秩序の問題、そういう意味から規制緩和ということについてはやらない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  19. 飯島篤

    飯島政府委員 先生先ほどから御指摘のとおり、トラック運送事業あるいは通運事業、わが国の物流体系の中できわめて重要な役割りを果たしておる事業でございます。事業の適正な運営公正競争確保あるいは利用者の保護、安全の確保、公害の防止というような観点から、現在の道路運送法あるいは通運事業法等に基づきまして、免許制を含みます基本的な規制の枠組みについては将来にわたって必要であるというふうに考えております。
  20. 野坂浩賢

    野坂分科員 簡単に言って規制を緩めることはないというふうに考えてよろしゅうございますか。
  21. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 そのとおりでございます。
  22. 野坂浩賢

    野坂分科員 そうすると運政審答申の中で、自家用トラックは「できる限り自家用トラックから営業用トラックヘ、トラック利用の転換を図らせる必要がある。」というふうに書いてございますが、この答申に基づいて運輸省としては規制をするというふうに理解してよろしゅうございますね。
  23. 飯島篤

    飯島政府委員 自家用から営業用へ誘導する方策はいろいろあるかと思いますが、効率的な輸送というシステムを確立していくことによって、自家用から営業用へ誘導するというのがまず本筋かと思います。  御指摘自家用トラックについての規制強化という問題につきましては、輸送秩序につきまして輸送秩序監理官を全国に配置し、また民間指導員、五十七年度から陸運局長が委嘱する形にいたしまして体制強化し、また先ほど大臣がちょっと触れましたように、自家用トラックについて現在使用の届け出制道路運送法に定められておりますが、八百万台を超えるトラックについて実際上その届け出審査することは不可能なのが実態でございます。一方では行政簡素化ということもありますが、五トン以上のトラックについて、これからは届け出の際にきちっとチェックをしていこうというふうに考えております。
  24. 野坂浩賢

    野坂分科員 この運政審答申の中に「総合運送取扱業制度」というのが顔を出しております。いまお話を申し上げましたように、この運送会社というのは三万五千社もある。十分なことをやっておるかというと十分監査もできない。先ほども言いましたように白トラック営業類似行為をやる、そういう状況、しかも過当競争でありますから運賃ダンピングが始まっておる。このダンピングに対して一定の収入を得るためには、法律で定められておる積載量を超えておる、いわゆる過積載ですね。過積みをやっておるというのが現状と言われております。したがって、激しい競争の中でダンピング過積載というかっこうがどんどん進行しておるというのが現況だろうと思うわけであります。したがって、こういう過当競争なりあるいは過積み事故につながるという結果が出ておるわけですから、これについて現状どのようにして行政指導をやるか、まずそのことを聞いてから、総合運送取扱業制度はお聞きしたいと思います。
  25. 飯島篤

    飯島政府委員 先生指摘お話は、、要は輸送秩序の問題かと思います。過積載あるいは白トラ傭車、名義貸し、事業範囲の逸脱あるいは運賃ダンピング等青ナンバー事業者の問題もありますし、営業類似行為を行う白トラの問題もあるかと思われます。特に御指摘のあった過積載につきましては、警察等関係当局と密接な連携をとりまして鋭意取り締まりに当たっておるところでございます。荷主の理解を得ることも一方で必要であるということで荷主懇談会等も開催し、できるだけ過積載をしないように指導をしているところでございます。
  26. 野坂浩賢

    野坂分科員 そういう答弁模範答弁ですけれども、現実には類似行為過積載を調べることはなかなかできない。あなたの方で十七名ですか監理官をつくられておりますけれども警察の手をかりても、なかなかむずかしいというのが実情ですね。  もう時間がありませんから多くを申し上げることはできませんけれども、そういう現状ですから、それを増員するとか、あるいは軽油引取税の見返りで交付金がありますね、その中から出ておる諸君たちにある程度権限を付与して、それに対応するということが必要ではないか。また、年間五千円しかやっていないというのですけれども、その辺についてはもっと検討する必要があるのじゃないか。ある程度引き上げてやらなければいけない。月に五千円じゃないです、年に五千円ということを聞いておるので、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  27. 飯島篤

    飯島政府委員 輸送秩序取り締まり関係につきまして、私どもの方では陸運局陸運事務所輸送監理官を十七名配置いたしております。来年度につきましては総合事務局に一名増員が予定されております。それから各県のトラック協会に現在自主的に輸送秩序改善に当たっております民間指導員がございますが、これに何とか公的な裏づけをつけたいということで、来年度百十五人につきまして、先生指摘年間五千円という謝金と関係庁費お願いをしているところでございます。何分これからスタートするところでございますし、その効果的な運用について努力してまいりたいと考えております。なお、同じような他の少年補導員その他ございますが、大体年間五千円ぐらいというのが普通でございます。
  28. 野坂浩賢

    野坂分科員 権限は付与するわけですね。
  29. 飯島篤

    飯島政府委員 陸運局長から業務を委嘱することにはなりますが、国家公務員になるわけではございませんので、法的な権限はございません。私どもの職員と一体となって事に当たれば相当な効果が出るのではないかと期待しているところでございます。
  30. 野坂浩賢

    野坂分科員 法的な権限はない、一体となってやる、これは二人一緒にやるわけじゃないからね、別々にやるわけですから。それを申告をして処理をする。しかし、とめて十分に注意、警告をするというような権限は与えるわけですね。
  31. 飯島篤

    飯島政府委員 パトロールをするなり事業所に立ち入って、違法行為あるいは改善すべき事項があれば当然勧告、指導をする、また手に余る場合は当方に通知をしていただけばそれ相応の措置をするということで対応していきたいと思っております。
  32. 野坂浩賢

    野坂分科員 総合運送取扱業制度というのが答申をされておりますけれども、具体的にどういうことをやるのですか。
  33. 石月昭二

    石月政府委員 先生御承知のように、現在の運送取扱制度におきましてはその資格要件でございますとか運賃でございますとか、そういうものにつきましては、各交通機関別事業別に決まっておるわけでございます。したがいまして、戸口から戸口まで一貫した責任体制のもとで、いろいろな交通機関を利用して輸送しようとする場合には、各事業別の取扱人の資格を全部持っていないとできないというのが実態でございます。  また御承知のように、昨今の経済の高度化と申しますか、多様化と申しますか、そういうことから貨物輸送需要の面におきましては非常に多様なる輸送が出てきた。たとえば宅配便であるとか、そういうさまざまな要請が出ておりまして、荷主のサイドにおきましても、輸送の経路であるとか交通機関であるとかそんなことには関係ない、問題は時間と運賃だというようなニーズも非常に出てきている。運政審物流に関する答申の柱といたしましては、やはり荷主のニーズに対応するということを一つの柱にすべきである、それがこれからの運送事業の発展につながるという認識に貫かれておりますので、そういう動静を踏まえて、制度の面におきましてもそういうニーズに対応できるようなものを考えていく必要がある、その一つとして、たとえば総合運送取扱業、あらゆる交通機関についての取扱事業ができるようなものを考えろ、こういう答申が出されておるわけでございます。
  34. 野坂浩賢

    野坂分科員 そうすると具体的に言って、デパートではお客さんからいろいろ品物を買ってもらうから、デパートがその権利を取って、これは飛行機というお客のニーズ、これは自動車、これは船だというように選択する。輸入をする商社は自動車も何もないけれども、総合運送取扱業でこれをやるということになると、現状でも厳しい状況は、談合問題でもあるように頭をまた切られて、手数料、ペーパーマージンを取られまして、またみんなそういう事業会社は下請化されていくというかっこうになれば、屋上屋を重ねて、結局は、ちょっと便利そうに見えるけれども下請化をされる、こういう可能性があるではないかということを心配するわけですが、その辺はどうでしょう。
  35. 石月昭二

    石月政府委員 ただいま先生が御指摘なさったようなおそれが十分あると考えます。したがいまして、この問題につきましては、私どもといたしましてそういう問題を含め現在の取扱制度との関係、それから実際の運送人との関係、そういう非常にむずかしい問題がいろいろございますので、そういう制度を考える場合にはどのようなことにしたらよろしいかという、資格要件等につきまして長期的な観点でじっくりと検討をしていきたいというスタンスでございます。
  36. 野坂浩賢

    野坂分科員 もう時間がありませんから、最後に運輸大臣の御見解をお尋ねをして終わりたいと思います。  いまお話を聞いていただいたと思いますが、総合運送取扱業制度というのは、何にもなくてもその免許を取って全部下請でやっていくということは屋上屋を重ねることになりますし、現在の過当競争の中でさらに流通費がその結果上がるということにもなりましょうし、一層複雑になってくるんではなかろうか、こういうふうに思いますので、いまやっておる会社を中心にそれらの問題は進めるべきだ、屋上屋を重ねるべきでない、できるだけ簡略に、できるだけ単純にということがいまの政府考え方ではないか、こういうふうに思いますので、その辺については十分対応していただけるものだろうと思いますが、大臣の見解を聞いて終わります。
  37. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいま委員の仰せられました下請化の問題あるいは流通費の増大の問題、さらにはまた種々の社会的な混迷を招くような事態は好ましいことではございません。また、ただいま御指摘の点につきましては運輸省といたしましても十分心にとめて、さらに勉強を重ねてこれらの運営に当たってまいりたいと思います。
  38. 野坂浩賢

    野坂分科員 これで終わります。
  39. 後藤田正晴

    後藤田主査 これにて野坂君の質疑は終了いたしました。  次に、中路雅弘君。
  40. 中路雅弘

    中路分科員 限られた時間ですので、大都市における交通体系の拡充、その中での地下鉄問題に関連して幾つかお聞きしたいと思います。  大都市における人口の過密と同時に、モータリゼーション優先の道路政策の中で、公共交通というのがいま大変さまざまな矛盾と困難に直面しているわけですが、市民の直面しているいろいろな要求、安全、快適そして安い、こうした交通の要求になかなか対応し切れなくなっていますが、その中で、特に大都市における地下鉄が大変いま重要な役割りを果たしてきていると思います。  昭和四十一年の七月に運輸省の都市交通審議会が出された答申ですが「横浜及びその周辺における旅客輸送力の整備増強に関する基本計画について」というのが出されていますが、この答申の中で横浜及び川崎付近の高速鉄道網、地下鉄ですね、この新設の計画路線というのはどういう計画か、簡単にお話し願いたい。
  41. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 昭和四十一年の七月十五日に、ただいま先生のおっしゃるような都市交通審議会の答申が出されております。  この答申の概要でございますが、新設すべき路線としましては五つございまして、そのほかに検討路線が一つ掲げられております。それから、延伸あるいは線増すべき路線、これも五つございます。その他輸送力増強あるいは路面交通機関の整備助成措置、こういうような必要性について答申が述べているところでございます。  五号線の御指摘かと思いますが、五号線につきましては経路といたしまして大師河原から川崎駅、それから末吉橋、元住吉、長沢を経まして百合ケ丘に至る路線というふうに経路が指定されまして「川崎市が、建設、運営することが適当である。」というふうに答申でうたわれております。
  42. 中路雅弘

    中路分科員 いまお話しの計画路線は五本答申に出ていますが、その中でいまのお話の五号線、川崎市内の路線計画では大師河原から百合ケ丘までの路線ですが、この五号線の路線の必要性といいますか、目的については答申でどのように触れられているわけですか。
  43. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 この五号線の中身につきまして、その後川崎市がいろいろと調査を実施いたしております。答申の中身につきましては、本路線につきましては「川崎市を縦断して丘陵部、内陸部、臨海工業地帯を直結し、南武線の混雑緩和をはかり、あわせて市街地部分における路面交通の混雑緩和をはかろうとするものである。」このようにうたわれております。
  44. 中路雅弘

    中路分科員 いまお話しのように、この路線が市内の交通混雑の緩和とともに、その後にも四号線とも連絡することによって、横浜も含めた神奈川県内全体のこうした交通緩和にも役立てるという趣旨のことも書かれているわけですが、この答申と関連して、いまちょっと触れられましたが、川崎市がこの計画を市の新総合計画にも将来計画として位置づけまして、昭和四十九年から五十六年までで六千七百万の独自の調査費をつけて、いま平面測量や現況調査、それから、始まりました川崎駅前の地下街計画などの都市再開発との関連も含めて調査をしてきています。概略設計などを行っているわけですが、ほぼ具体化の一歩手前まで来ています。  将来の町づくり、市民の足の確保のための努力を自治体が続けているわけですが、こうしたことについては十分答申とも関連していますから御存じだろうと思いますが、運輸省の方はよく承知しておられますか。
  45. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 いま先生おっしゃいましたように、四十九年から川崎市が調査をしているということは十分承知しておりますが、まだ調査の途中の段階のようでございまして、その内容、結果につきまして、川崎市からは私どもまだ説明を受けておりません。     〔主査退席、鴨田主査代理着席〕
  46. 中路雅弘

    中路分科員 また、これとも関連があるのですが、昨年末から神奈川県と川崎、横浜両市で、羽田空港の将来の沖合い移転とも関連しまして、羽田、川崎、新横浜を結ぶ新しい地下鉄を含んだ高速鉄道構想の研究が自治体レベルで始まったわけです。もちろんまだ構想の段階ですから、羽田への他の路線との関係の問題や、あるいは事業主体等も不明確ですし、立ち入った具体的なコメントはできないと思いますけれども、新聞報道でも大きく報道されていますし、簡単な要望書も出ているというお話などで、この計画についても一応こういう構想がいま出されてきているということは御存じでしょうか。
  47. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 ただいま先生の御指摘のように、新横浜から川崎を経まして羽田に向かうような鉄道の新線構想、これが横浜、川崎両市を中心といたしまして検討をされ、さらに神奈川県がここに入りまして、三者でこの構想を具体化するための研究調査を行うという予定であるというふうに聞いております。ただ、具体的な内容につきましては、まだ私ども十分承知をいたしておりません。
  48. 中路雅弘

    中路分科員 いま挙げましたように、モータリゼーションと大都市の過密化が進む中で、川崎市だけではなくて多くの大都市で、都市交通体系整備や拡充、こうした問題について努力をしているわけです。特に地下鉄やモノレールというのが検討されていますが、大変大幅な予算も伴う交通機関の検討をせざるを得ないというのが現状だと思います。  この際お聞きしておきますが、地下鉄の建設の場合、免許制度をどのような条件、また申請の基準、許可までの手続、簡潔でいいですが、ちょっとお聞きしたいと思います。
  49. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 免許の基準でございますが、何といいましても、当該鉄道輸送力とその輸送力が対応いたします輸送需要というものの両者が適切にマッチしているものであるということがまず基本でございます。それから二番目には、鉄道事業の遂行上、この路線を初めとしました適切な計画を有するものであるということ。三番目といたしましては、そのような事業を自分で的確に遂行できる能力があるということ。それから四番目といたしましては、全体的な総合的な判断でございますが、その鉄道事業そのものが公益上必要であり、かつ適切であるということが言われる。その四つの基準に大体集約することができると思います。     〔鴨田主査代理退席、主査着席〕  免許の手続といたしましては、当該事業を営みたいという事業者から、管轄の陸運局を経由いたしまして本省に申請が出されるわけでございます。その後運輸審議会にこれが諮問をされまして、審議の上答申を得まして、その答申を尊重いたしまして運輸大臣が免許する、こういう仕組みになっておるわけでございます。
  50. 中路雅弘

    中路分科員 最初御質問した問題と関連してもう一問お聞きしておきたいのですが、川崎の縦貫鉄道計画の場合に、答申が出されてからすでに十六年たっているわけです。その間の都市構造の変化あるいは人口集中化の中で、たとえば先ほどお話しのように、もう一つの大師河原の反対の起点が百合ケ丘になっているのですが、川崎の北部の方はいま大変人口の急増地ですから、ことしの七月にも北部の二つの区は分区をされるわけですね。そして多摩区で言いますと、百合ケ丘の隣の新百合ケ丘というのが新しい区の中心になります。また隣の高津区も二つに分区されまして、田園都市線の宮前平に新しい区ができるということから、いま進めています市の計画は、宮前平を通って新百合ケ丘までつながるという若干の手直しが行われているわけですが、これは住民の要求、それから都市構造の変化ということで、自治体が若干の路線計画を変更して、答申関係では申請してくるだろうと思うのです。  当然、そういう点でも免許申請の際に十分協議して、最終的には調整されると思いますが、先ほどおっしゃった答申路線は若干手直しがされてくるだろうと思います。住民の要望でもありますから、その点では十分調整してやっていただけると思いますが、いかがですか。
  51. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 この答申が出されました四十一年の六年後に、昭和四十七年に東京圏に関します都市交通審議会の答申が出されております。この答申におきましては、先ほどの四十一年の答申を尊重して整備を進めるということを原則といたしておりますが、その後情勢の変化に対応するよう計画を検討しながら実施する必要があるということも触れております。  答申後の事情変更によりまして、ただいま先生がおっしゃいましたようないろいろな変化があろうかと思います。そうした変化に対応しまして弾力的に対処するということが当然必要かと思うわけでございまして、いま川崎市で調査検討が進められておりますが、そうした調査検討の結果、これが申請等にはね返った場合は、私どもも十分に尊重してまいりたいというふうに考えております。
  52. 中路雅弘

    中路分科員 いろいろ情勢も変わってくると思うのですが、これは大変長期にわたる事業なわけですが、いま地下鉄建設、大体一キロどれぐらいの建設費を必要とするのか。自治体の側から見れば、実施までに大変たくさんの課題や検討事項がありますが、特に深刻な問題は財政負担の問題ですね。最初、簡単に、一キロが二百億とか三百億とも言われておりますけれども、いまどれくらいの費用がかかりますか。
  53. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 お答えいたします。  路線によりまして、またその通過する土地によりましてもいろいろと違うと思いますが、大体現在の東京周辺におきます値段は一キロ当たり二百五十億円程度というふうに聞いております。
  54. 中路雅弘

    中路分科員 現行の国の補助制度はどうなっているか、結論的なところを簡潔に教えていただきたい。
  55. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 ただいまのような大変巨額な資金が必要でございまして、それを大部分借入金によって賄うということでございますので、これらの資本費負担というものを、今後経営を圧迫する要因ということを考慮いたしまして補助制度ができ上がっておるわけでございますが、補助対象建設費の七割に相当する金額につきまして、翌年度から十年間にわたりまして国と地方公共団体が半分ずつ補助するということになっております。  なお、この補助率につきましては、五十二年度までは従来六六%補助でございましたが、昭和五十三年度、これを七割補助に強化いたした経緯がございます。
  56. 中路雅弘

    中路分科員 これは国と地方の折半になるだろうと思うのですが、結論的に言いますと国が大体どれぐらい、地方との比率はどれぐらいになりますか。
  57. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 制度的にちょうど同額、半分ずつということになっております。
  58. 中路雅弘

    中路分科員 この補助の問題のいろいろ財政的な中身の論議は、時間もありませんのでやりませんけれども、地下鉄の建設には、いまおっしゃったように、建設財源は企業債が一〇〇%ですから、すべて借金なんですね。だから、元金の一〇〇%返済とともに、これにかかわる利子などを試算しますと、私、独自にやってみたのですが、一五〇%以上、これだけになるわけですから、元金償還と合わせますと二五〇%にもなって、この借金返済分といいますか、償還金のうち補助金で賄われるのは二十数%にすぎなくなる。その折半ですから、現行制度での国の補助は、本当の中身で言いますと実質一〇%余りということにも、計算のしようによってはなっていくわけなので、この点でも自治体が非常に大きな財政負担になる。  こういうこともありまして、昨年の七月ですか、こうした交通機関を抱えた指定都市が共同して、お手元に行っていると思いますが、昭和五十七年度の国家予算に対する要望書というのが出されていますが、その第二項で「高速鉄道建設補助制度の改善と企業債の確保」という要望が出ています。これを見ますと、第四項目と第五項目については自治省の関係のものだと思いますので、大変財政事情がいま困難なわけですからあれですが、簡単にこれも御見解をお聞きしておきたいのですが、第一項目の、「総建設費を補助対象とし、公共負担を総建設費の実質七〇%に」引き上げてほしい、この要求についてはどういうお考えですか。
  59. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 先ほども申し上げましたように、五十二年度に補助制度の強化を図っておるわけでございまして、こうした補助をもとにいたしまして、その後効率的な経営を行うことによりまして経営の安定を図ることができる、というふうに私どもは判断をいたしておりますので、現在のととろ、この七割の補助制度を拡大するというふうに検討はいたしておらないところでございます。
  60. 中路雅弘

    中路分科員 第二項目の、「補助の公共負担割合は、街路事業に準じて国三分の二、地方公共団体三分の一」にするという要望が出ていますが、この点はどういうお考えですか。
  61. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 道路と地下鉄というものの違いがあるわけでございますが、大都市機能の維持発展のために必要であるということばかりではなしに、その地域の発展あるいは住民の足の確保ということにも資するわけでございます。現行のように国と地方公共団体がそれぞれ応分の負担、つまり折半という形でやることが妥当であるというふうに考えておる次第でございます。
  62. 中路雅弘

    中路分科員 五十三年度に改定された現行制度ですが、現行の助成制度では、さしあたってはこの一、二の項目についてはなかなかむずかしいようですけれども、第三の問題ですね、「輸送力の増強、保安度の向上及び利用促進のために行う改良工事について、補助制度を確立するとともに補助対象の拡充を」図ってほしい。  お話で私、聞きましたら、いまの銀座線、これはすでに五、六十年たっているのじゃないかと思いますけれども、こうした銀座線のトンネルなどはもう対象になっているようですし、たしか大阪の地下鉄も対象になっているというお話を聞いているのですが、いまは大体どういう基準でこの改良工事についての補助が行われているわけですか。
  63. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 現在、改良工事につきまして五十六年度から補助の対象とされたわけでございますが、この場合におきます条件といたしましては、地下鉄の大規模改良工事のうちで輸送力増強を目的として行う改良工事でありまして新線建設に準ずるもの、というような工事につきまして補助対象とする、このようになっておるわけでございます。
  64. 中路雅弘

    中路分科員 私はこの点では、これから地下鉄もどんどんふえてくるわけですし、だんだん年数のたってくるものも相当出てくるということですから、新線に等しいそういう大規模だけじゃなくて、ここで言われていますように、改良工事についての補助制度と言われていますけれども、たとえば相当大きな駅舎をつくるとかそういった問題などについても、今後補助制度について検討していく必要があるのではないか。きょう、この三項目についてオーケーというわけにいきませんけれども、将来の検討課題として、この問題は十分に必要になってきているのじゃないかと考えますが、いかがですか。
  65. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 この補助制度の拡大につきましては、現在の財政状況からいいましてなかなかむずかしい問題かと思いますが、保安度の向上なりあるいは利用促進のための工事につきましては、今後、将来的な問題といたしまして検討をいたしたいと思います。
  66. 中路雅弘

    中路分科員 大都市の共同の要望でも、いまおっしゃった保安度の向上利用促進のための改良工事について補助制度をつくってほしいという要望です。今後検討するというお話なので、これはぜひ進めていただきたいと思います。  時間もそろそろ来ていますので、最後、大臣にもお聞きしたいのですが、いま若干聞いていただいたと思いますが、特に、国民、市民の足を守るという立場で、地下鉄を初め、またモノレールの場合もそうですが、大都市交通がいま大きな問題になってきています。その中で、何といっても財政負担、これが大きな問題ですが、大都市の、指定都市の方からも要望が幾つか出ています。建設財源の問題、国と地方自治体の補助の拡大、企業債への依存、利子負担を大幅に圧縮してほしい、こうした幾つかの要望が出ていますが、将来に向けてこうした問題についても十分検討をしていただいて、大都市交通の——皆さんが答申を出されてもなかなか事業主体である地方自治体が具体化できないという一番大きい原因は、負担の問題、こういう点にあるので、そういう意味でも、関係省庁とも力を入れていただいて、ひとつ努力をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
  67. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいまの御所論、まことにごもっともでございまして、特に大都市における地下鉄その他の交通、公的輸送機関の拡充整備ということは、一面におきましては非常に重要でございますが、お説のとおり、資金的な問題、財政負担、すべての問題が現在非常に困難な状態にあるわけでございますから、今後、こうした大都市における交通事業の発展に運輸省として大いに努力していきたいと思います。
  68. 中路雅弘

    中路分科員 終わります。
  69. 後藤田正晴

    後藤田主査 以上で中路雅弘君の質疑は終了いたしました。  次に、市川雄一君。
  70. 市川雄一

    市川分科員 最初に、運輸事業振興助成交付金の問題についてお伺いいたします。  この問題で、たしか昭和五十二年三月に当時の田村運輸大臣に伺ったことがあるのですが、運輸省トラック事業の実情について非常にお詳しいと思いますが、国内貨物輸送量で、トン数で約九〇%、トンキロで約四〇%をトラック輸送が占めている。結論として、トラック輸送がわが国の物流体系の主役になっておる、あるいは地域経済の動脈的役割りを果たしておる。こういう中で、全般的にいろいろな課題を抱えていますね。一昨年に引き続いて輸送需要が低迷しているとか、燃費を初めとするコスト上昇などで、経営が非常に困難を強いられているとか、あるいは輸送秩序の問題がございます。過積載とか、運賃ダンピングだとか、あるいは従来の企業集約型構造改善事業に比べて、輸送情報システム化など知的集約型構造改善事業の推進の必要性とか、あるいはトラック運転者の労働条件の改善のために休憩施設やトラックステーションの整備とか、こういう課題を当面抱えているわけですが、そういう問題解決に当たりまして、この交付金の果たしている役割りは非常に重要だと思うのです。  そういう点で、五十七年度で期限切れになるこの運輸事業振興助成交付金制度を五十八年度以降もぜひ継続してほしいという強い要望がございますが、この点について運輸大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  71. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 この問題、御指摘のように大変な国家的なものだと私どもも認めておりまして、今後は、五十八年度以降の継続につきましては、関係省庁と協議してぜひ継続に努力してまいりたいと思っております。
  72. 市川雄一

    市川分科員 この交付金の問題は、継続には自治省の同意が必要だと思いますが、自治省の方の御見解はいかがですか。
  73. 金子清

    金子説明員 この運輸事業振興助成交付金につきましては、五十一年度におきまして軽油引取税の税率引き上げが行われました際に、営業用バスあるいはトラック輸送のコストに与える影響というものを考慮して設けられたものでございますが、五十一年度から五十七年度の七年間におきまして、この交付金を原資といたしまして積み立てられました、バス事業者あるいはトラック事業者に対します低利融資を可能といたします基金額も相当多額のものになっております。また、トラックステーション等の建設も各地で行われておりまして、この交付金創設の趣旨というものは相当程度達成されるのではなかろうかと考えておるところでございます。  したがいまして、自治省といたしましては、この交付金の五十八年度以降の取り扱いにつきましては、このような七年度間におきます事業の実施状況を十分検討いたしまして、またさらに、軽油引取税の暫定税率の五十八年度以降の取り扱いをどういたすかという問題、あるいは地方財政に与えます影響というような問題も考慮する必要があろうかと考えております。したがいまして、今後、地方団体あるいは関係省庁とよく協議をいたしまして、慎重に対処してまいりたいと考えております。
  74. 市川雄一

    市川分科員 運輸大臣は、継続に努力したい、いまこういうお話だったのですが、自治省の方もそういう意向は持っていらっしゃるわけですか。
  75. 金子清

    金子説明員 ただいまお答え申し上げましたように、自治省といたしましては、この七年度間の実績というものを十分今後検討いたしまして、五十八年度以降この交付金制度を存続する必要があるかどうか、運輸省あるいは関係地方団体とも十分協議をいたしまして、検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  76. 市川雄一

    市川分科員 次に、輸送秩序改善問題でお伺いしたいのですが、その問題の御質問をする前に、輸送需要の低迷とか、軽油価格、人件費の高騰などで、トラック業界を取り巻く経営環境は非常に悪化していますが、運輸省ではこうした実態をどの程度把握されているのか。経営が悪化し運送事業を停止している事業者は現在どのくらいの数になっているのか。あるいは、事業休止届が義務づけられておりますが、この休止届はどのくらい報告されているのか、おわかりだったらお答えをいただきたいと思います。
  77. 飯島篤

    飯島政府委員 先生指摘のとおり、いま輸送需要が停滞しておりまして、トラック事業を取り巻く環境は非常に厳しいものになっております。  御質問の、五十五年度に事業を廃止した事業者は百二十社でございます。また、事業を休止した事業者は八十一社でございます。
  78. 市川雄一

    市川分科員 道路運送法の第十九条によりますと、一般自動車運送事業者陸運局事業計画を提出した内容の業務を行う義務があり、それに違反した場合は運輸大臣がこれを取り締まる責任を持っておる。ところが、神奈川県のトラック協会等の自主的な調査活動によりますと、たとえば事業者が倒産している、これは五十二年九月二十八日現在で調査したわけですが、その結果、五十三年十一月三十日の東京陸運局報に免許取り消しの公知が出ている。しかし、免許は取り消されたのですが、この事業者車両が未処分のままになっている。こういう実態があることを承知しておりますか。
  79. 飯島篤

    飯島政府委員 先生指摘のとおり、所在不明事業者等あるいは悪質な違反のある事業者に対して免許の取り消し処分を行っております。特に五十三年度は、この点に重点を置いて地方陸運局指導したところでございます。  免許が取り消されますと、通常、当該事業者事業自動車につきましては、廃車それから自家用自動車への切りかえの措置がとられておるのでございます。先生指摘のように、もしも事業自動車自動車登録番号標のままで運行している実態がありますれば、調査の上、適切な措置をとることといたしたいと考えます。
  80. 市川雄一

    市川分科員 要するに、免許取り消しにはなっているけれども車両が未処分のまま、こういうケースが多いために、本来なら免許が取り消しになっているわけですから、法人の資格がないわけですが、倒産と同時にこの会社の社長が代表者の印鑑を持って行方をくらます、しかし、どこかへ行った先で車検を受ける、こういうことで、言ってみれば管理行為の伴わないトラックが走っている。これが適正な競争を妨げたり、あるいは非常に事故にも結びつくわけでして、そういう意味での輸送秩序の改善ということを業界で自主的に努力している。こういう免許を取り消し後も市中を走り回っている車があるという御認識はないのですか。全くないという認識に立っていらっしゃるわけですか。
  81. 飯島篤

    飯島政府委員 具体的な事実は承知しておりませんが、そういう場合があり得るかと思います。
  82. 市川雄一

    市川分科員 そういう車に対する対処の仕方というのは、具体的に何かお持ちですか。
  83. 飯島篤

    飯島政府委員 当該自動車営業類似行為をしておれば、道路運送法違反で取り締まりをすることになりますが、ただ運行しているというだけでございますと、車検時までなかなかチェックのしようがないというのが実態でございます。
  84. 市川雄一

    市川分科員 車検時にチェックできますか。
  85. 飯島篤

    飯島政府委員 車検時に輸送課と連絡をとりながら、青ナンバーの交付というか確認をいたしますので、できると思います。
  86. 市川雄一

    市川分科員 それがなかなか実態はそのようになっていないようです。まあ分科会ですから時間が限られておりますので、ある程度具体的な実例を持っておるのですが、車検時にもっときちっとチェックができる体制をしっかりとってほしい、こういう強い要望がありますが、この点はどうですか。
  87. 飯島篤

    飯島政府委員 努力したいと思います。
  88. 市川雄一

    市川分科員 たとえば、運送業者の事務所として陸運局に届けられている住所がマンションになってしまっているとか、あるいは倒産しても休止届を出さない事業者が野放しになっているとか、休止届を出した会社への措置が野放しになっているとか、免許を取り消した事業者車両がまたこれ野放しになっているとか、そういう実態があるわけですが、これに対してもっと運輸省としての一つの具体的な対策というのですか、これが必要じゃないかと思うのですが、この辺はどうですか。
  89. 飯島篤

    飯島政府委員 先生指摘のようなことが情報でつかまりますれば、立入検査を実施し、事業計画に基づく業務確保命令を出すなり、あるいは適切な処分をするなり、最終的には取り消しということで対応いたしておるところでございますが、さらに努力してまいりたいと思います。
  90. 市川雄一

    市川分科員 全国に輸送監理官というのはわずか十七名ですよ。十七名ではとても掌握ができない。だから、事実は認めがたいのでしょうが、そこでお伺いしたいのですが、今回運輸省が五十七年度一般会計予算の中に輸送秩序改善業務委嘱費として七十八万七千円を予算計上した。これは業界、全ト協が自主的にやっている専任指導員に対する謝礼金というふうに聞いているのですが、このお金を予算化したということの意味ですね。どういう意味を持つのか。これはやはりいま言ったようないろいろな実情があって、輸送監理官が全国でわずか十七名、これではとてもできない、したがって、専任指導員がかなり活躍しているわけですが、これに何らかの公約な権威というか公的な役割りを担わせようという積極的な御意思があってのことなのかどうなのか、この辺はいかがですか。
  91. 飯島篤

    飯島政府委員 輸送秩序の確立の問題につきましては、最重要事項ということで私ども認識いたしておるわけでございますが、貨物輸送監理官先生指摘のとおり全国で十七名でございます。沖縄の総合事務局に来年度さらに一名増員が予定されておりますが、実際の取り締まりに当たりましては、輸送課あるいは事務所、それから担当の部課長も動員してやりますので、たとえば陸運局につきましては百十一名、陸運事務所では二百九十七名というような人間も動員をして、適宜取り締まりに当たっているところでございます。  さらに、輸送秩序改善指導員の問題でございますが、他のいろいろな秩序維持のための指導員制度がございます。たとえば無保険者の指導員あるいは自動車労務改善推進員、少年補導員というような制度を参考にいたしまして、現在各県のトラック協会で自主的に実施をしております輸送秩序改善指導員につきまして陸運局長業務を委嘱をするということによりまして、いままで以上の効果が上げられるのではないかということで、来年度予算所要の経費を計上したものでございます。  なお、年間五千円というのは、他の指導員の場合も大体そういう状況でございまして、現在これらの民間輸送秩序改善指導員に対しましては、先ほどの御質問にもあったのでございますが、実は運輸事業振興助成交付金から、五十一年度から五十五年度にかけまして九億八千二百万円充てられております。これが人件費それからパトロールカー等の経費に充てられておるわけでございます。報酬というような性格のものではございません。陸運局長が正式に委嘱をするということによって、準公的な裏づけができるのではなかいというふうに考えたものでございます。
  92. 市川雄一

    市川分科員 要するに、これは運輸省として陸運局長が全ト協で任命した専任指導員に対して、ある程度業務というかを委嘱する、こういうはっきり公的な位置づけをもって行われるものである、こういうことでございますか。
  93. 飯島篤

    飯島政府委員 業務を委嘱するという意味では公的なものでございます。
  94. 市川雄一

    市川分科員 一人年間五千円ですから、余り金額的には意味がないわけですが、しかし、運輸省としてそういう公的な委嘱という、権威というか、そういうものを与えることによって、非常に専任指導員が動きやすい、こういう点が出てくることは間違いないと思うのです。そういう点、ぜひ一層推進をしていただきたいというふうに思います。  いろいろな具体例があるのですが、省略をいたします。  次に、国鉄にお伺いしたいのですが、新横須賀線、横浜から品川に変わったわけですが、この変わったことによって、御承知のように、市ノ坪地区、あの辺の住民から、新横須賀線が通り始めてから非常に苦情が多くなった。細かい経過がございますが、川崎市に苦情が来て、川崎市が代表して運輸省国鉄と交渉した。いろいろ川崎市でも騒音の状況を調べたのですが、実際、新幹線の騒音基準である八十ホンを上回っている個所が結構ある。国鉄で何か騒音対策をやったら逆に騒音が高まってしまったという場所も何カ所かあるようですが、いまもって非常に苦情が強い。  そこで、あの新横須賀線を敷くときは、騒音は大丈夫です、いままで以下に騒音は抑えますからということで、たしかあの辺の住民に説明したことを私も記憶しているのですが、国鉄は、五十五年十二月十日、五十六年六月二十九日付の二回にわたって、市ノ坪並びに苅宿付近の騒音防止対策を実施する旨を文書で川崎市に回答していますが、今日までどのような工事を行ったのか、工事の内容と完了の時期、及びその効果をどのように予測しておられるか、その点をお聞きしたいということがまず第一点。  それから第二点は、新幹線の騒音に環境基準がある。これは在来線にもと言うと、国鉄としては、全国に及ぶことですからそれはできませんということになるのだろうと思うのですが、やはり何らかの努力目標というものがはっきりあっていいんじゃないかと思うのです。その点について、これは運輸省の方でどうお考えになっていらっしゃるのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  95. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いまお尋ねのございました市ノ坪付近の騒音対策でございますが、実は、五十五年十月に東海道線の通勤輸送対策で横須賀線が分離いたしまして走り出したということでありますが、その前から沿線の各市あるいは区と御協議申し上げまして、その対策を協議し実施してきたわけでございますが、実際走り出しますと、その結果思わざるところに騒音が発生するというようなこともございまして、その後も川崎市といろいろお打ち合わせして、先ほど指摘のありましたような文書の交換もいたしまして対策を実施してきております。  簡単に申し上げますと、鉄げた部分が一番うるさいわけでございますので、川崎市区域内で申し上げますと、鉄げたの改良あるいは防音工等をやりましたのが七カ所ございます。そのうち現在六カ所施工中でございますが、これはこの三月末までにはほとんどが完了する予定でございます。それから、防音壁として従来あります擁壁のかさ上げなどをやっております。川崎市の区域内では五カ所、延べ延長千百メーターということでやっておりますが、そのうちの四カ所分が本年度内に完成いたしまして、一カ所が五十七年度にちょっとずれ込むという形でありますが、それは二百メーター足らずでございます。一応そういうようなことでいろいろ対策を打ってきたわけでございます。  それから、特に市ノ坪付近というのは、用水路の上の部分で音が出まして、それが反対側まで反響するというようなことがございまして、これについてもいろいろ手を打っておりますが、最終的にいま遮音板でこれを取り囲んで音を低めるという対策工事を現在実施中でございます。これも間もなくでき上がる予定でございます。  それから、お尋ねのございました在来線に対する基準ということでございますが、新幹線につきましては環境基準が出されております。しかし、在来線につきましては出てないわけでありますが、私ども、実は在来線でも御指摘のように音の高い個所が全国的に大分ございまして、苦情をいただいておるところが多いわけでございますが、しかし、この百年の間に約二万キロ敷設されてきた鉄道でございまして、いまこれを一斉に騒音対策をやるといたしますと、大変莫大な工事費と期間を要するわけでございまして、なかなか一斉に取りかかるというわけにいかない状況でございます。しかし、今回東海道線の分離のときにやりましたように、建設、改良、取りかえといったような時期には、環境対策に十分配慮した構造、施工をやるということでいま努力しているところでございます。
  96. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 ただいまの騒音関係の基準が在来線にないではないかという問題でございますが、いま国鉄の常務理事からも申し上げましたように、実際問題起こる騒音対策につきましては、極力沿線住民の環境の保全に十分な配慮をしてやっておるわけでございますが、これを全国的に基準をつくろうといたしますと線路全体、全国に及ぶというようなことにもなりますし、それから、その運送の態様あるいは構造の態様というものが非常に千差万別でございます。たとえば、都市部では高架で電車が走る、田舎では単線で電車も走ってないというようなところとか、あるいは車両の種別も、特急電車あり貨物列車ありということで、態様が非常にたくさんございますので、これを一律に騒音対策のための環境基準をつくることは非常にむずかしいのではないかというふうに思う次第でございます。したがって、環境基準はできておりませんが、さっき常務が申し上げましたように、実際上の問題といたしましては、各種の環境対策を現実の問題といたしまして講じてまいっておるところでございまして、今後もいろいろなことで努力をするよう国鉄指導していきたいと思います。
  97. 市川雄一

    市川分科員 環境基準をつくれということよりも、新幹線にはあって在来線にはなくていいんだという意識はもちろんないと思いますけれども、そういう何か努力目標を持ってやってほしい、こういうことを要望しておきたいと思います。  次に、南武線の問題なんですが、百万都市川崎を縦に貫く大動脈なんですが、いろいろな意味でサービスが非常に悪いというか、市民からの評判が余りよくない。赤字財政であることはよく承知いたしておりますが、特に登戸駅と小田急電鉄との乗りかえの連絡通路が狭くて、ラッシュ時において乗りかえ客等の不便と危険がある。現在、国鉄の構内改良工事が行われておりますが、ぜひこの機会に連絡通路及び改札口の拡幅を要望したいと思いますが、この点が第一点。  第二点は、溝ノ口駅と田園都市線の溝の口駅との距離がかなりあって、乗りかえに不便しておる。その連絡の通路がまた非常に狭い。そういう点で何らかの改善策がとれないものなのかどうなのか。国鉄、私鉄あるいは川崎市、この三者が知恵を出し合って何とかできないのか。朝夕のラッシュ、非常にすごい混雑でございます。この点についてのお考えを伺いたい。  第三点は、身障者のための点字ブロックが現在川崎駅にしかないわけです。また、冷房化率なども他の線に比べてサービスが非常におくれている。こうした問題についての改善について、今後どういうお考えなのかを承りたいと思います。  それからもう一つ、先ほど同僚委員からもお尋ねがありましたが、新幹線の新横浜駅から川崎を経て東京の羽田空港、これが沖合い移転、その新羽田空港へのアクセスの一環として新しい鉄道をという話が神奈川県、川崎市、横浜市に起きているわけです。これについては、昨日の横浜市会で市長は、運輸省が羽田空港へ将来乗り入れる路線として、拡張移転計画の中にどう位置づけるかが最大の課題である、これは今後働きかけをしたいと言い、そういう前提で建設省も東京港一帯の交通体系として、新横浜−羽田線が重要であるとの認識に立ち、関係自治体と歩調を合わせて運輸省との調整を進めている、こういう発言もなさっていらっしゃるわけですが、まだ構想もはっきり出たわけじゃないし、運輸省としても具体的に何か事業計画をもらったという段階ではないと思いますが、これはぜひ前向きに対処していただきたいと思います。  この四点、あわせてお答えいただきたいと思います。
  98. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 最初の二点、登戸それから溝ノ口の改良の問題でお答えいたします。  登戸でございますが、これは大変おそくなりましたが、昨年じゅう工事をやってまいりまして、大体この三月には改良工事が終了するという段階に来ております。お尋ねのありました改札口でございますが、これは現在約六メートルの幅員でありますが、これが九メートルほどに広がります。それから、小田急との乗りかえ通路でありますが、これは場所によって不規則でありますが、現在約六メートルぐらいでありますが、大体十メートル近く広がる予定であります。これによりまして、いまの混雑あるいは危険は大分緩和されると見ておるわけでございます。  それから、溝ノ口でございますが、実はこれは登戸とちょっと違いまして、一般の街路と申しますか、そこを通じまして東急電鉄との接続をする、乗りかえのお客さんが一般通路を歩くという形になっております。  問題は、その街路のところが幅員が約四メートルほどでありまして、これが狭いということでいろいろ苦情もあるところであります。ただ、これは道路でありますので、私どもの方だけで対処するのは非常にむずかしいのでありますが、かねて溝ノ口の高架北というお話が出ておりまして、これもすでに市からの委託を受けて私どもの方で調査を済ませたというような状況でございます。したがいまして、今後都市計画をおやりになる側といろいろ御協議申し上げまして、高架化というものが進めば、その段階では当然この周辺都市との形も整備されているわけでありますから、これによって解決できるのではないかというふうに考えておるわけでございます。いまその実態についてははっきりいたしておりませんけれども、そういう見込みでございます。
  99. 橋元雅司

    ○橋元説明員 身体障害者用の設備の問題と冷房化の問題につきまして、簡単にお答え申し上げます。  まず身障者用の設備の問題でございますが、南武線は線内に二十五駅ございます。全駅の券売機に点字テープを装置いたしております。さらに、点字ブロックの問題でございますが、先生いま川崎とおっしゃいましたが、川崎ほか線内の二駅、登戸と谷保の駅でございますが、ここに装置をいたしておるところでございます。一私ども、厳しい予算事情の中でございますけれども、今後ともこの改良工事等の計画がございますので、そういった工事の機会に合わせまして推進してまいりたい、このように考えております。  それから、冷房化の問題でございます。これは五十三年に初めて六両投入をいたしまして、逐次ふやしてまいりました。五十六年、昨年の夏は、これは約三五%になっております。ことしの夏は、さらにそれを上積みすべくいろいろ検討中でございますので、これも他線区とのバランス等を考えながら、老朽車両の取りかえの時期に合わせまして向上に努力してまいりたい、こう思っております。
  100. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 羽田空港の沖合い展開に伴いまして、新横浜から川崎を経まして羽田に向かうという新しい鉄道の構想を横浜、川崎両市が御検討になっておるということは承知いたしております。ただ、中身につきましては、まだ御検討中でございまして、詳細に承知しておりませんし、また、他の交通ネットワーク等の関係もございます。もう少し具体的な御検討の結果をお伺いをいたしまして対応してまいりたいと思います。
  101. 市川雄一

    市川分科員 終わります。
  102. 後藤田正晴

    後藤田主査 以上で市川雄一君の質疑は終了いたしました。  次に、串原義直君。
  103. 串原義直

    串原分科員 国鉄中央東線の塩嶺トンネルは、竣工間近いと思うのですけれども、貫通はいつになりますか。また開業はいつになるでしょうか。なお、塩尻新駅の営業開始日は決まりましたか、お答えを願います。
  104. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 塩嶺トンネルでございますが、大分難航いたしましたけれども、貫通予定は本年の四月中でございます。それがいまの見通しでございます。ただ、やや地質の悪いところで難航いたしておりますので、その時期につきましては、もう少したったら確定できるかと思いますが、いまの見通しでは四月中でございます。  それから、全体工事が完成するには、貫通後、コンクリートよる構築あるいは軌道、電気等の工事が続いてあるわけでございまして、これらの工事を完了するのに、貫通後約一年というふうに踏んでおります。その後、開業の諸準備をいたしまして、開業の時期を決めるわけでありますが、現在時点では、まだ貫通も見てないということで、もう少し工事が進み、諸般の準備の態勢を見た上で開業時期は決めたいというふうに考えておる次第であります。  それから、塩尻の駅の移転、新しい駅の営業開始の時期でありますが、これは本年の五月と予定いたしております。
  105. 串原義直

    串原分科員 このトンネルには大変な経過が実はあったわけであります。昭和四十一年三月、国鉄は、中央線岡谷駅から分岐するルートを決定、発表いたしました。しかし、その決定までに関係者の並み並みならぬ努力がございました。国鉄は初め三案のルートを示した。ところが岡谷地区も含めまして伊那谷地域から強力な反対意見が続出をいたしまして、まことに憂慮すべき状態となったわけでございます。  その経過に少し、時間がありませんが触れてみますというと、関係市町村で組織をいたします伊那谷開発同盟会は、役員会五回、鉄道部会二回、中央束線現線複線化飯田線強化貫徹伊那谷住民総決起大会二回、運輸大臣、衆参議員、衆参両院議員という言い方が正しいのでしょうが、国鉄本社などへの要請二十一回、ことにおきまして県選出の衆参両院議員がこれを重視し、事態収拾に尽力をされまして、「塩嶺トンネル建設は中央線輸送増強の上必要であるがそれのみでは片手落である。塩嶺トンネルを建設すると共に飯田線も塩嶺トンネルに建設と同額の経費をもつて改善すべきである」との結論に基づきまして、国鉄側と話し合った結果、次の国鉄本社の意向が表明をされました。つまり昭和四十年十二月二十五日、衆議院の第一議員会館におきまして国鉄は、「塩尻トンネルは六十億円で建設する。」それから「飯田線は電力の増強、保安設備の増強、留置線の増設、線路の改良増設、ホームの延伸等を二十五億円で行なう。」「飯田線の地上設備の増強に伴い、車両増強に十五億円かける。」「岡谷−辰野間、辰野−飯田間は中津川線が建設されれば、あい路となるので、二十億円程度かけて複線化する必要がある。」等々七項目であります。  次いで、昭和四十一年一月三十一日、衆議院の会館におきまして、県選出の衆参両院議員一国鉄関係者磯崎副総裁、長野県知事、地元関係者が懇談するなど、幾たびかの会議、関係者との懇談を重ねまして、結果は、長野県知事をあっせん者として地元は受諾をし、昭和四十一年三月十八日?国鉄磯崎副総裁名で県知事にあっせん受諾回答を文書で行いました。  その文書は、つまりあっせんの内容は、一、「国鉄及び本県出身の国会議員との話し合いにおいて、国鉄当局は岡谷−辰野間複線化については、第三次計画への組入れは出来ないが中津川線が建設されれば複線とする、との意向を表明しているので要望の線に沿って努力したい。」「国鉄当局は、現在までの話し合いで辰野−塩尻間は廃線とせず、より以上増強を図ることを認めておるので要望通り実現するものと信じている。」さらに「国鉄当局との話し合いにおいて飯田線飯田以北の改善を図るため、第三次計画による資金計画四十億円が決定しており、また岡谷−辰野、辰野—飯田間の複線化のため二十億円の資金計画の策定を約しておるので、これを確保するほか、さらに要望の線に沿いより以上の充実改善を推進してゆきたい。」というような内容を持つものでありますが、時間の関係から詳細に述べられませんけれども、この経過は承知をされているわけですね。
  106. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 長い経過がございまして、いまお話のありましたいろいろな御要望ないしは文書をもって出ていることは十分承知いたしております。
  107. 串原義直

    串原分科員 トンネル完成を、先ほど答弁なさったように、目前にしております今日に至るも、知事あっせんから十六年過ぎているけれども、その約束がほとんど果たされていない。いま地元では、トンネル建設のための知事あっせんは道具であったのか、関係住民を適当に操るものであったのかという不信の声が非常に強いのですよ。どうしてこの約束を履行するというわけにいかなかったのですか。
  108. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いまの先生お話でございますが、いろんな経緯がありまして、いろんな御要望に対しておこたえ申し上げてきておるわけでございますが、その内容はいろいろございまして、私どもとしては、いままでに、この飯田線に対しまして相当の対策といいますか投資を行ってきております。  項目別に申し上げますと、まず、レールを重量、化して軌道を強化する、あるいは行き違い設備を設けて列車が入りやすくするとか、あるいは立体交差を行うとかあるいは信号装置を改良する、電車線を改良する、あるいはホームを延伸する、ホーム工事をする、あるいは駅の改築、跨線橋の改築、それから機関庫類も形式を新しいものにかえまして、また電車も従来十七メートル車であったものを二十メートル車にかえるというようなことを、このお話し合一以来今日までに実施してきているわけでございます。  ただ、お話の中にありました複線北の件につきましては、実はその後この飯田線の輸送事情というものを見てまいりますと、残念ながら、各線同じような傾向にありますけれども、やはり輸送量は減じつつあるというような状況でもございますし、いまの段階でいきなり複線化というまでにはとても踏み切れないということで、これにつきましては、今後の事情等見ながら対処していかなければいけないのむやないかというふうに考えているわけでございます。
  109. 串原義直

    串原分科員 いま御答弁をいただきました、こんなことをやりましたということについては、私も実は手元国鉄関係の皆さんからいただきまして持っていて、ほとんど私の手元にあるものを御答弁願った、こういうことでありますが、実は私は、いまお答えになりましたことはほとんど——ほとんどですよ、ほとんどこのトンネル問題がなくても、飯田線維持強化のためには当然やるべき、言うならば、通常業務にかかわる保全、保安、改修というものに属するものであって、当時約束した事項とはほとんど別のものである。ちょっと触れていただきましたが、複線の問題等々を含めてほとんどなされていない、こういう私は理解をするわけですよ。  つまり地元の期待というのは、岡谷−辰野あるいは辰野−飯田間の複線化です。もう一つは、線路の改良。御承知のように非常にぐあいのよろしくないカーブが幾つも飯田線にはある。線路の改良、カーブの除去、あるいは線路の重量化、増設ですね。つまりスピードアップなのである。ですから、あなたが御答弁になったよような状況では、とても地域住民は納得できない。当時のあっせんに基づきまして基本的な事項計画し施行しなければいけないと思う。  つまり飯田線の乗客の数の問題がいま触れられましたけれども、私は輸送力の強化と乗客の数は両刃の剣だと思っているのですよ。もう一つ一足前へ出て積極的な立場で対処をしなければいかぬ、するべきだ、こう思うのですが、いかがでしょう。
  110. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いまいろいろ私が申し上げました中に、やはりこのスピードアップに貢献するものが幾つか入っているわけでございます。ただ、基本的にいまお話のありましたように、カーブを改良するとか勾配を改良するということは、これはスピードアップに非常に役立つわけでございますけれども、これには大変な工事費を要しますし、また輸送量等がどうなるかということもあわせて考えませんと、なかなかこういった大変な工事費を投ずる工事にかかるというわけにもまいりませんので、それらの状況を見ながら、できるだけスピードアップに貢献する対策を打ってきたというのが実情でございます。  今後、なおいろいろ対策を打たなければいけない点も出ておりますけれども、それらにつきましては、私どもとしてはできるだけやっていきたいというふうに考えております。
  111. 串原義直

    串原分科員 繰り返しますが、先ほど私が申し上げましたように、線路の改良、カーブの除去、それから複線化、こういうことを実は約束したわけですよ。でありますから、その立場に立って積極的に検討、計画されたということはあるわけですか。そして地元の皆さんとそういう話をしたことはありますか。
  112. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 これはその当時総裁名で御回答申し上げておりますけれども、事情の許す限り御趣旨に沿って対処いたしたいということで御返事申し上げたわけでございまして、私どもとしては、いままで精いっぱいがんばってきたつもりでございますけれども、最も基本的な、地元の方々から見れば、一番期待しておられる複線化ということが取り残されたということが一番大きく目立つのではないかと思いますが、これにつきましては、なかなか問題が大きゅうございますので、現在私どものところで実施計画を立てるというところまで行っておりませんけれども、今後の状況を見ながら対処していきたいと思っております。
  113. 串原義直

    串原分科員 時間がありませんから、きょうは余り深入りしませんが、できるだけということをあなたいまちょっと言われたけれども、それはそのとおりでしょう。そういうような回答をなさったと思うけれども先ほど私が申し上げましたような状況の中で、知事あっせんをやって何とかこうおさまったわけですよ、そんな簡単なものじゃなかった。でありますから、その詭弁みたいな答弁は、きょうは私承知できません。それは私は機会を改めて委員会等で議論を深めていきたいと思いますけれども、いま御答弁なさった立場に立って、積極的にあのときの約束をやはりできるだけ果たさなければならぬ、こういう立場で積極的に検討なさることを要望して、またの機会に譲ることにいたします。  そこで、飯田線は今後岡谷を分岐点とするのか、あるいは塩尻となさるのか、これは大事なところですね。そしてそれを決めるとすると、その決める場合の基準をどこに置くのか、お示しを願いたいと思うのです。
  114. 橋元雅司

    ○橋元説明員 先ほど半谷常務からもお答え申し上げましたように、トンネルの開通が来年四月ということでございまして、目下列車運行とダイヤの詳細につきまして、検討中でございます。恐らくは、私ども調査によりますれば、やはり岡谷口が基本になりまして、飯田線と本線との接続関係は岡谷において十分きめ細かくとりたい、このように考えておるところでございます。
  115. 串原義直

    串原分科員 いまのような方向で決めるのはいつ決めますか。
  116. 橋元雅司

    ○橋元説明員 明年四月の貫通でございますが、実は本年の十一月、東北、上越両新幹線の本格的な開業がございまして、全国的なダイヤ改正を考えております。この際には、飯田線には大きなダイヤ改正をやる予定はございませんけれども、恐らくはダイヤ改正を発表申し上げる五月末ぐらいには、明年四月の塩嶺トンネルの開通に伴うダイヤにつきましても、その骨子を申し上げられようかと思います。
  117. 串原義直

    串原分科員 そうすると、飯田線を岡谷にするかどうかということは五月ごろ決める、こういうことですね。
  118. 橋元雅司

    ○橋元説明員 五月の末ごろには御連絡、御案内申し上げもれると思います。
  119. 串原義直

    串原分科員 では、次に移りますけれども、過般飯田線のCTC計画が示されました。これはなかなか大変な計画のようでありますけれども、これはたとえば飯田線ですから飯田駅を起点にいたしますが、飯田駅を起点にして、この計画を実施することによって辰野まで、いま一つは豊橋までスピードアップはどのくらいできるのですか。
  120. 橋元雅司

    ○橋元説明員 CTCの計画につきましては、先生かねて御承知のとおり、かねての地元の御要望でございまして、これによって、基本的にはスピードの向上と申し上げるよりは運転、保安度の向上ということを目指しておるわけでございますので、この工事費約六十億強でございますが、目下測量に入らせていただいておりまして、一日も早くてこれを完成いたしたいと思っておるところでございます。
  121. 串原義直

    串原分科員 つまりスピードアップはこれではできない、するわけではございませんということですね。そこで、これに便乗した各種の合理化案には反対であるという立場で、労働組合は強い姿勢でいるわけです。そして、地元の市町村、つまり伊那谷開発同盟会は、二月三日静岡鉄道管理局に無人駅化、それから業務の委託などの合理化計画には反対する旨申し入れをいたしましたね。御承知だと思います。これは私はよく時間をかけまして関係者と話し合うべきだと思う。地域から離れての国鉄というのは存在しない。言うまでもありませんね。いかがでしょう。
  122. 橋元雅司

    ○橋元説明員 先生おっしゃいますとおり、昨年の十二月でございましたがいわゆる飯田北線の関係につきまして地元の関係市町村に御説明に伺ったところでございますが、それに対しまして二月の中旬にわざわざ静岡の管理局までおいでいただきましていろいろお話があったようでございます。私どもCTC化という巨額な工事に伴いまして、できるだけ営業体制そのものを近代化したいということで、飯田線全体の体質改善を図るということを考えているわけでございますが、その内容が、いま先生おっしゃいました停留所にするとかあるいは業務委託をいたすとか、あるいは貨物駅の廃止というような内容でございますので、もとより地元の方々のいろいろなお考えもございましょう。それについて十分話し合いをこれから詰めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  123. 串原義直

    串原分科員 そこで伺いますけれども国鉄は、先ほどから質問をしております飯田線をどう位置づけていらっしゃるのか。私は重要な点だろうと思うのです。天竜川沿岸に豊富に生産される農林産物の輸送地域開発のための基礎資材の輸送地域住民四十万人の足を守る、確保する、それから東海、伊那谷、北陸へのルート、それから中京、伊那谷、東海経済圏との結びつき等々に必要な地方幹線として、その使命は重く大きいと私は実は考えているわけであります。この際、飯田線の位置づけについて当局のきちっとした方針を伺っておきたいと思うのです。
  124. 橋元雅司

    ○橋元説明員 飯田線は、先生おっしゃいました大変観光資源に恵まれた路線でございますが、先生御承知のように、特に五十年八月恵那山トンネルが開通いたしました。そしてまた五十一年九月には高速道が伊北インターまで延びるということでございまして、この前後で交通事情の非常に大きな急激な変化が見られるわけでございます。この十年でほぼ三分の二に鉄道の御乗車、御利用が減ったというぐあいでございます。  そこで、昨年四月に運輸大臣の御承認を得ました私ども再建計画の中で、飯田線は基準期間の五十二年から五十四年までの旅客輸送密度でございますが、四千九百六入になっておるわけでございます。したがいまして、これはその運営の改善のために適切な措置を講じたとしても、なお収支の均衡を確保することが困難である営業線だということでございまして、今後この地域の公共輸送機関としてその使命を果たすためには、徹底した効率化と同時に収入の増加施策を大いに講じたいと考えておるわけでございまして、先ほど申し上げました営業体制の近代化と申しますのも、そういった効率化を進めることによって今後ともできるだけ地域交通のお役に立ちたい、そういう営業線として体質改善をいたしたいということにほかならないわけでございます。  いずれにいたしましても、私ども、支出の削減、経費の削減と収入の増加と、両面にわたってこの線区について具体的な方策を今後とも勉強してまいりたい、このように思っております。
  125. 串原義直

    串原分科員 なかなか厳しい営業状態であることは、私も理解はしています。それを踏まえて、あの地域における地方幹線として非常に重要な鉄道である、そして輸送力を増強することが実は利用客も増加するということにつながるわけでございまして、そのことは裏表の関係ですね。そういうことも含めて、国鉄当局としては飯田線の位置づけをこう考えているんだというものがあったらお示しを願いたい、こういうことなのでございます。先ほど答弁ではちょっと理解がむずかしいのですけれども、いま一度位置づけについての明確な答弁を求めたいと思います。
  126. 橋元雅司

    ○橋元説明員 繰り返して申し上げるようなことでございますが、現在、飯田線の収入は約四十億円でございます。支出、コストが百八十億円だと思いますが、その収支差額が実に百四十億円、先生おっしゃるように大変厳しい情勢でございますので、私どもといたしましては、先ほど申し上げたように、できるだけ合理化を徹底させ効率化を進めるという反面、収入の増加にも努めまして、今後ともその役割りを維持させたい、このように考えておるところでございます。
  127. 串原義直

    串原分科員 ずばり聞きますけれども現状経営状態は厳しい、しかし、あの地域にとっては非常に大事な地方幹線である、こう考えていらっしゃるのですか、どうですか、その点。
  128. 橋元雅司

    ○橋元説明員 そのように考えております。
  129. 串原義直

    串原分科員 その立場に立って、先ほどから質問を申し上げているように、今後のことについてひとつ御検討を願いたいと思っております。  そこで、南アルプス、中央アルプスの連なりの中に舟下りで有名な天竜川が流れているというようなこともあり、わが国有数な観光資源の豊富な土地である伊那谷でございます。さっきの答弁の中に、観光地ということばもちょっとございましたが、その開発促進を図りまして利用度を高めるためにも、飯田線はより輸送力の強化が求められておりまして、さらに国鉄の立場におけるPRの徹底なども期待をされているところであります。  塩嶺トンネル決定時に国鉄の約束した飯田以北の複線化、繰り返しますけれども、カーブの大改良、レールの重量化によるスピードアップを図る等々、CTC計画による経営改善だけではなくて、飯田線の積極的な輸送力増強、観光宣伝につきまして、伊那谷開発同盟会を初め地域の諸団体と改めて話し合いをし、今後推進をしていくべきではないかと思うのであります。いかがでございましょう。
  130. 橋元雅司

    ○橋元説明員 現在、飯田線の列車本数でございますが、御参考までに申し上げますと、飯田北線北口の辰野口では、急行、ローカル合わせまして約三十本でございます。南線の豊橋口では、大体三十七本ばかり運転いたしております。  その御利用状況でございますが、辰野口では約五〇%、それから豊橋口では六五%程度でございます。  そこで、先生おっしゃいました観光宣伝等でございますが、過去五十四年の秋に「ひろがりの三河湾、尾張路」、これは特に南線関係でございますが、そういったキャンペーンをいたしましたし、また五十五年の春でございますが、「さわやか信州」キャンペーンにあわせまして大分大々的な宣伝を、地方自治体とも共同いたしまして展開いたしたわけでございます。先生おっしゃいますように、非常に観光資源に恵まれた伊那谷でございますので、今後もおっしゃるようないろいろな方策をきめ細かに立てまして、積極的にお客様の誘致を進めてまいりたい、このように考えております。
  131. 串原義直

    串原分科員 つまり、先ほどから申し上げておりますように、飯田線の輸送強化は、塩嶺トンネルのときの約束も一つはある。CTCの計画を進めるといっても、経営改善、一方で、言うならば合理化というかっこうで言えるかもしれませんね。そういうことである。  そういうことで、スピードアップ、輸送力増強ということには、CTC計画は結びついていかないと私は判断している。そういうことでありますならば、先ほど申し上げましたように、観光の問題も含めまして、輸送力増強という立場に立って、開発同盟会の地域の皆さん等々とその立場に立って、もう一度このCTC計画の際に改めて話し合いをしていくべきではないですか、こういうことを私は言いたいわけなんですよ。いかがです。
  132. 橋元雅司

    ○橋元説明員 おっしゃるような方向を含めまして、今後十分地元の方々と話し合いを重ねてまいりたいと思います。
  133. 串原義直

    串原分科員 時間が参ったようでございますから、終わります。どうもありがとうございました。
  134. 後藤田正晴

    後藤田主査 以上で串原義直君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木強君
  135. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 大変遅くまで御苦労きまです。  最初に、高木国鉄総裁にお伺いいたしますが、目下第二臨調で国鉄再建の論議が行われているようでございます。どうも臨調側では、最後の手段として、国鉄の民営化ないしは分割論というものが非常に有力になってきていると新聞が報道しておりますが、これに対する総裁の御所見はいかがなものでございますか。
  136. 高木文雄

    ○高木説明員 新聞ではいろいろ報ぜられておりますけれども、臨調の委員方々がどういうふうに方針をお決めになるのかはまだいま御検討中で、決まっていないのではないかと推察をいたしております。ただ、かねがね私どもはいろいろな機会に、そうしたお尋ねに対しましてお答え申し上げておるのでございますけれども、現在すでに大変な赤字を抱えておりまして、これをどうして小さくするかというのが今日ただいまの問題でございまして、それは必ずしも組織を変えなくてもできる、完全にはできませんけれども、経費を減らし収入をふやして現在の赤字を縮小する方向に持っていくことはできるという考え方のもとに、政府の御承認をいただいた経営改善計画に取り組んでおるものでございます。これもなかなか容易でないわけでございますけれども、何が何でもこれだけはお約束どおりやるということを当面の目標として考えておりますので、そうした伝えられる問題については、私どもはいましばらく、すぐの問題としてお取り上げいただくことについては御勘弁願いたいといいますか、それが当面の方法としていい方法であるというふうにはわれわれは考えていないわけでございます。
  137. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 きのうの午後、あなたは鈴木総理とお会いになっておりますね。約二時間にわたって国鉄再建のための経営改善計画について説明をされた、こういうふうに聞いておるわけでございますが、その際、、総理からどういう話があって、そしてあなたはどういうお答えをしたのか、差し支えなければひとつ示していただきたい。
  138. 高木文雄

    ○高木説明員 いろいろいま国鉄問題は非常に御心配をいただいておりますし、またその間、職場規律に関連するいろいろな問題が新聞紙上をにぎわしておることもございまして、そうした問題について現状を御説明いたしますと同時に、いまもうあと三十七、八日しかないわけですが、本年度内に要員計画を見直して、五十七年度は五十六年度よりも一万二千人少ない人で仕事をしようということで、もろもろの作業を進めておりますので、その辺の進行状況を御報告いたしたわけでございます。二、三のお尋ねがございましたけれども、いまの経営改善計画について、私どもは進行しておりますからということを申し上げましたので、お尋ねの組織論といったことについては私も余り申し上げませんでしたし、特別な御意見も承らなかったわけでございます。
  139. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 高木総裁の国鉄経営形態に対してのお考え方については、要するに臨調が考えている民営化とか分割論、こういうものについてはあなたは明確に反対という趣旨の態度を持つておられると私たちは聞いておるわけですね。  そこで、きのう総理に会って、余りそういうことを言うなよ、もう少し臨調の方の動きを見てからというようなことで注意されたんじゃないですか。きょうの発言をちょっとと見ても、あなたの従来のファイトが何かなくなっちやったような、それを感ずるのだけれども……。
  140. 高木文雄

    ○高木説明員 いや、率直に申しまして、現段階はちょっと差しさわわがあるかもしれませんけれども、新聞等では何か非常にそういう方向でどんどん進んでいるような報道がありますけれぞも、まだ私ども調査会として何も御意見が伝わってきていないわけでございますので、私どもは聞かれれば、まずいまの経営改善計画をやらせていただきたいという気持ちに変わりございませんし、いろいろな機会にそう申してはおりますが、臨調サイドからどういう御意見が出てくるのかはまだよくわからぬわけでございまして、一それについて、臨調がこういう意見だからということについていろいろ論議するということは、私どもの方も差し控えておるということでございます。
  141. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 臨調だって、国鉄の総裁以下経営者の諸君ほど仕事をしておらぬと思うのですよ。ですから、皆さんがこれが一番ベターだというそういう方針を、やはり臨調にも早くお話ししておかなければだめですよ。そうしないと、何を言い出してくるかわからぬですから。ですから、そういう点を配慮して、今後ひとつ、何か臨調が言ってくるのを待つようなのんきなことを言っていないで、民営とか分割論とかいうのはとんでもない話であって、もっと根本的に国鉄経営に対する——赤字の克服についても、みんな赤字をつくらせるようなことをやっておいて、あたかも国鉄の責任のようなことを言っておるけれども、これはそうじゃないですよ。そういう点は国民もだんだん知ってきていますから、ですから、総裁もきちんと確信を持って今後やってほしい、こういうことを強く要望しておきます。  それから、小坂運輸大臣お尋ねします。  中央新幹線の建設計画についてですが、この件につきましては昨年も私、塩川運輸大臣お尋ねいたしてありますが、御承知のように、数年前から建設に必要な調査が行われておりますが、現在までの調査結果はどういうようになっておるのか。それから、調査はどこに重点を置かれたのか。この点をまず報告してください。
  142. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 お尋ね調査でございますが、昭和四十八年に新幹線の基本計画がつくられまして、四十九年の七月に運輸大臣から特に山岳トンネル部分につきまして調査を指示いたしております。五十三年の十月に国鉄から調査の中間報告が行われたわけでございまして、引き続きさらに詳細にわたって調査中でございます。五十六年度、五十七年度ともに調査費が計上されておるわけでございますが、大体五十七年度をもって調査が終了する予定ということでございまして、そうした進捗を検討しながら今後の対応を考えていきたいと思います。
  143. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 御苦労に存じます。  そこで、大体五十七年度をもって調査が完了するというわけでありますから、ここでこういう質問をするのはちょっといかがかと思いますけれども、今後の調査によって、大体全体として新宿から恐らく大阪行きになると思うのですが、そういう予定通過地区というものは、その後すぐ引き続いて決まるものでしょうか。それはどうなりますか。
  144. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいま私ども運輸大臣より調査の指示を受けておりますのが、甲府市付近から名古屋市付近までの間にあります山岳部の地質、地形等の調査に関する事項でございます。したがいまして、この調査を五十七年度中にほぼ終了する予定でございますが、これを報告申し上げるというのは、この区間における地形、地質についての——今後建設に際して自然的条件として最も厳しい地域でありますから、それの可能性についてあるいは技術的な諸問題について検討した結果を御報告申し上げるということでありまして、起終点の間の全ルートについての調査あるいは都市計画その他、あるいは輸送需要をどう見るかというような調査をいたしておりませんので、この結果によって決まるというものではないということでございます。
  145. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 昨年のこの委員会における質疑の中で、山岳あるいは地質調査は大体終わって三カ所の地点については大体オーケー、したがって、これからまた五十六年度やるんだというお話でしたね。したがって、この山岳地帯の調査が済めば、後はそう大して問題はないように思うのですよ。しかし、これからのことでございますから、五十七年度で完了して、その後、それでは引き続いてどういう調査をして、そして具体的にいつごろ全体の通過路線というものが決まるのか。その概要でいいです。
  146. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 これにつきましては、昨年お答え申し上げたところでありますが、現地における地質調査というのは、ほぼもうすでに終わっております。今後この調査報告をまとめるまでに残っている仕事は、それをもとにいたしまして、この山岳部におけるルート、法制上の技術的な問題をもう少し詰めたいということでやっているものでございます。  なお、この区間を離れました前後の区間あるいは調査項目にふやしました内容につきましては、私どもとしては、運輸大臣からの御指示を得て実施することになるわけでございます。
  147. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 この中央新幹線は大変注目をされ、沿線の住民にとりましては一日も早く完成してほしい、こういう強い要望を持っているのでございまして、時あたかも臨調その他財政困難な折でありまして、私どもも心苦しい気はいたしますが、せっかくの調査を始められたものでありますから、できるだけ早く開通できるようなことをさらに積極的にやってもらいたいと思うのです。  ここで、お話に出ておりますように、リニアモーターカーを導入しようという計画もあるようですが、そのことはどうですか。
  148. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いまお話のありましたリニアモーターカーでございますが、これは御承知のように、現在宮崎の実験線で実験走行を続けております。  それで、実は五十四年の十二月に五百十七キロという最高速度を記録したわけでございます。それ以後、実は型式を多少変えまして実用化に近づけるという意味でU型と申しておりますが、いままでは中央に突起のある構造物をまたいで走るという形だったのでありますが、これをU型に直しましてその走行実験を続けておりまして、今年度は二両連結の走行に成功したというような状況であります。ただし、なおこれを実用化するまでにはいろいろまだ問題を残しておりまして、原理的なものの実験ということにつきましてはすでに確信を得ているわけでございますけれども、これを実用化するためには、それから実用化へ結びつける道程でいろいろな問題がございます。そういうものをなお解明する必要があるということで、これを実用化する確実な見通しをつけるというには多少まだ時間がかかるかというふうに見ております。  それから、これを中央新幹線に応用できるかどうかということでありますが、一つの候補としては、東京−大阪という非常に輸送需要の大きい個所でありますから、また距離的に見ましても一つの区間として有力な候補になるかと思うわけでありますが、先ほど申し上げましたように、やはりリニアモーターそのものの実用化への詰めがもう少し残っておりますし、また中央新幹線というものがいつの時期にどうなるかということの見きわめも必要でありますので、今後それらを勘案しながら判断することになるかと思います。
  149. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 そこで大臣、最後にお伺いしますけれども、この路線については、昨年塩川運輸大臣は、大いに賛成、できるだけ早くやれるように努力をします、こう言明をされました。非常に理解のある御回答で、私もいまでも覚えておりますが、小坂大臣のふるさとも長野でしたか、それは別としましても、運輸省調査を命じなければ国鉄は動かぬ。おもしろい組織になっている。だから、運輸省の方でももう少し馬力をかけて、できるだけ督励して、そして調査すべき点は調査して、できるだけ早く東京−大阪間の新幹線ができますように——東海大地震なんというのは、いつ来るかわからぬですよ。そのときにいまの新幹線がストップしたら、これはどうにもならぬ。そのためにも、これは早くやらなければならぬ。そういう意味で、大臣が本当に決意を新たにして、中央新幹線の促進に全力を挙げてやっていただきたいと思いますが、はっきりした所信をひとつ聞かしてください。
  150. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 きょうは、鈴木分科員からこうした御意見が出るであろうというので、事務当局ともよく話し合ったところでございますが、いずれにいたしましても、いまやっておりますことが基本的な地質調査その他でございまして、これをスピードアップして的確なものをつかむということが、何よりもこれからこの新幹線を進めるのに重要なポイントであるというふうに考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、この新幹線を前向きに進めていくということは、少しもむだなことではないと私は思っております。
  151. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 だから、もう一遍ひとつぜひ督励して、一日も早く開通できるように全力を尽くしてください。こういうふうに確認していいですね。
  152. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 御趣旨はよく体して、今後努力をいたします。
  153. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 その次に、中央線の三鷹駅以西の複々線化の問題についてお伺いします。  実は、昭和三十九年六月に中央線の複々線化の問題が決まりまして、四十四年四月に三鷹までは複々線になっております。しかし、その先、立川までの間は十三・三キロ、まだ複々線になっておらない。これは決定違反であって、住民からも大変な批判が出ているところでございます。したがって、中央線沿線の居住等の点を勘案すると、この前決めた立川までの間は早急に複々線化する、さらにこれを高尾まではひとつやってくださいよ。そして、やがて山梨県と東京都とは首都圏内で緊密な連携をするところでありますから、大月くらいまでは電車を乗り入れてもらう、こういう遠大な計画をつくってやってほしいと思います。財政困難の折、大変でしょうけれども、ぜひやってもらいたいと思いますが、どうでしょう。
  154. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いま御指摘のございました三鷹以西、立川までの複々線化でございますが、これにつきましては前々から地元の方々から大変な御要望が出ておりますし、また中央線御利用のお客様方からもいろいろ御要望のあるところでありますが、五十五年度に建設省の方で高架化、連続立体交差化という都市計画上の問題が出てまいりまして、複線を複々線にすると同時に、複々線にする段階で、現在踏み切りがたくさんございますからこれを立体交差にする。要するに、線路を高架にするという計画調査するための調査予算がついたわけでございまして、五十五、五十六の二年間にこの調査を私ども委託を受けましてやってまいりまして、近くこの調査結果をまとめまして都の方にお返し申し上げるというふうな段階でございます。  その結果によりまして、その後、東京都の方ともいろいろお打ち合わせして実施していくわけでございますが、何せ相当の膨大な工事費を要するものであります。また、都市計画上も、単に国鉄だけの問題じゃなくて、都市としても非常に大きな問題でございます。いろいろ沿線の市長さん方からも御意見が寄せられておるところでありまして、これらの問題を煮詰めた上で実施ということになっていくんではないかというふうに感じております。
  155. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 電車を大月まで乗り入れるのはだめですか。
  156. 橋元雅司

    ○橋元説明員 快速電車、緩行電車は、先生御承知と思いますが、屋根がちょっと高いのでございます。高尾から先はトンネルの断面が非常に小さいわけでございます。特殊な構造の低屋根電車と申しておりますが、屋根の低いタイプの電車を使っております。また、勾配が非常に強いものでございますから、特別なブレーキを装置しているというような関係もございますので、その辺がなかなかむずかしい、困難な情勢であろうと思います。
  157. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 困難な情勢だけれども、やるのかやらないのか、そこのところを聞きたい。
  158. 橋元雅司

    ○橋元説明員 当面、これを行う考えはございません。
  159. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それでは、国鉄国民から愛されない。やはり愛される国鉄にならなければだめです。できるだけ知恵をしぼって、総裁、やってくださいよ。立川までは東京都の方がちゃんと金を出すと言っているのですから、それから先もできるだけ早く電車が走れるようにしてください、どうですか。
  160. 高木文雄

    ○高木説明員 やはり輸送需要の多いところから順にやっていくことにならざるを得ないわけでございまして、まず先ほど指摘のありました立川と三鷹の間をどうするか、これ自体がまだ、大変御熱心なお話が地元から出ておりますけれども、お金の面からいきますとなかなか容易ではない問題でございまして、根元からだんだん太くしていかなければなりませんので、まずそっちの方が先ではないかと思っておるわけでございまして、ちょっとその先の、いまのトンネルの問題についてはそれこそなかなか容易でないという実態でございますので、御賢察願いたいと存じます。
  161. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 とりあえず立川まで複々線化、これも積極的にやっていただいて、その先へまたひとつうまい方法を考えてやっていただきたい、こう思います。  次に、甲府駅の近代化の問題についてお伺いいたします。  この問題は長いこと国会でも論じられてきました。幸い国鉄当局の非常に御理解ある御配慮によりまして、すでに三点セットという基本的な条件について国鉄と甲府市の間で、知事立ち会いのもとに確認がされておりまして、これから具体的な実施計画を策定していただくという段階を迎えましたことはまことにありがたいことでございまして、この際、私は山梨県選出の議員として感謝をいたします。  ところで、三点セットというのは、一つは南北通路、一つは橋上駅舎の新設、もう一つは駅ビルの新築でございます。したがって、この三点セットを実際にやる場合にブロックプランはどのときぐらいにつくるのか、必要経費はどの程度になるのか、そういうものを早く作成して、地元にどれだけの負担をしてもらうのか、こういうことを早くやってもらいたい、こう思います。たまたま六十一年が山梨県の国体に当たりまして、日本で一番古い、老朽化した甲府駅舎を改築してもらうということで特に強い期待を持っておるわけでございます。私も何回か国会でもこの問題を国鉄お願いしてきましたが、大まかなところでいま申し上げたようなブロックプラン策定、それに基づく積算、地元負担をどうするか、こういった問題について、ひとつこの際教えておいてもらいたい。
  162. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いまお話のありましたように長い経緯がございまして、私どもの方としても地元のいろいろな御要望に応じまして御協議を申し上げていくわけでありますが、昨年いっぱいをもちまして地元の御意見が統一されたということで、三点セットの方針が決まったわけでございます。現在、私ども内部的にいろいろ作業に入っておりますが、主要な点でお話し合いをしてきておりますけれども、なお今度は実施に向かってのいろいろなお打ち合わせをしていく段階で計画も具体的に決まってまいりますし、また、それによって工事費も決まってまいると思いますので、いまの段階で申し上げるのはちょっと差し控えさせていただいた方がいいのじゃないかと思います。いずれにいたしましても、いまの時期でありますから、いいものをつくることはもちろんでありますけれども、なるべく工事費を節減できるような形で、しかし地元の方々にも御納得いただけるようなものでつくり上げていきたい。その場合に地元にやはりいろいろ御負担願うということが、こういうようなケースの場合にはあちこちで出てきておりまして、例もございますので、私どもとしては、この三点セットを実施する場合にもいままでの例にならって応分の御負担を願いたいということを考えているわけでございます。
  163. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それで、総裁にも大変御苦労かけまして感謝しておりますが、六十一年国体があるわけです。したがって、市、県当局としては、県都甲府にたくさんの人がいらっしゃるわけですから、ぜひ新しい駅舎で、そして整備されたところへお迎えしたいということで前から準備しているわけです。何とか六十一年に間に合うようにやっていただきたい、こういう願いを持っておるわけです。ですから、いまの段階で所要建設費とか地元負担がどうなるかということについては言えないということですから、それは私もわかります。しかし、できるだけ地元負担も少なくしてもらいたいという要望はしておきます。  そこで、いま言ったようなせっぱ詰まった一つの目標があるものですから、できるだけ六十一年国体前に駅舎の新築が完成いたしますように、こういう点を願っておりますので、総裁としてもぜひこの点を配慮していただいて御尽力をいただきたい、こう思います。  それで、その際懸案の、身延線の線路が別になっておりまして、これを本線に乗り入れさせてくれ、こういうのが強い要望になっております。それから、駅ビルに対してもテナント等の問題について、原則的に県の人たちを優先する、そういうこともお願いしてあるわけですけれども、そこらを総裁にお答えいただくのは恐縮ですけれども、時間がありませんから、その点を含めて総裁からひとつお答えいただきたいと思います。
  164. 高木文雄

    ○高木説明員 他の主要都市におきます駅の改良等も、しばしば国体の開催といったようなことと結びつけて進められてきた例もございますし、私どもとしても国体の機会にいろいろ御利用いただく方が多いわけでございますから、何とか地元との間のお話を早期にまとめて、御趣旨のような時期までにできますことを希望しておるわけでございますので、今後とも地元の方々の御協力が得られますよう、先生にも御協力方をお願いいたしたいと思う次第でございます。
  165. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 私どももまたできるだけの御協力は申し上げるつもりですから、ぜひひとつ早目に完成できますようにお願いいたしておきます。  それから、最後ですが、いま串原委員からも飯田線のことが述べられておりましたが、やはり私の地元にも身延線というのがございまして、甲府から富士まで行っておりますが、CTCの導入によってかなり手厳しい合理化が行われました。手小荷物取扱駅の廃止、私の町の駅もそういうことになりました。それから無人駅がさらにふえてきた。無人ではないが夜間と早朝には駅員がおらない、配置をしてない、そういうことで乗降客、特に身体障害者だとかお年寄りの方々は非常に困っておる。要するに、合理化というのはやるべきことはやらなければならぬと私も思います。しかし、少なくともサービスが低下するようなことについてはどうかな、こう思うのです。  身延線の合理化については、身延線を守る会というのができまして、沿線の市町村長、議長さん、いろいろな方々一体になりましていろいろな運動をいたしまして、この際申し上げておきますが、静岡鉄道管理局も非常によく勉強され、地元住民ともあらゆる連絡をとってやってくれました。そこで一応合理化計画が終わっておるわけでございまして、大変不便をしている点もございますけれども、現在の国鉄財政の状況からしてやむを得ない点もあると私たちも考えております。しかし一面、身延線を守る会というのが国鉄と非常に密接な連携をとって、いろいろなところに国鉄から来てくれるわけですね。私どもも一緒に行ってやったこともありますが、一般の人たちが知らないでいることについてもよく説明してくれる、ああそうか、それなら私どももよくわかった、そして譲るべきところは譲る、やってもらうべきところはやってもらう、そういう意味で身延線の十島駅の手小荷物の廃止などはやめてもらったこともあります。成果の面もあり、こういった運動を通じて国鉄と住民とのつながりが非常にうまくいったという例がここにある。これは総裁も御存じだと思いますけれども、ぜひもう一回見直して、こういう姿でこれからもCTCの問題等についてやったら成功するんじゃないか、こういうような気持ちを持っておるわけでございます。  そこで、ここで聞いておきたいのは二つあります。  一つは、この身延線は赤字線になっておりますが、聞くととろによりますと特別割り増し運賃を導入するやに聞いておるのですが、そうなりますとまたこれは大変迷惑をかけることになりますので、そうしていただきたくないのですけれども、その点は可能性としてどうでございましょうか。  それからもう一つ、下部、武田信玄の隠し湯というところですね。そこの駅舎の新築の問題について、町当局からも陳情が行っていると思いますが、先般身延の駅を新築していただきまして非常に喜んでおります。これも身延線の合理化の一環の中でやったのですが、何とか下部駅についても駅舎の新築をしていただきたいという要望が強く出ております。財政困難の折大変言いにくい点もありますけれども、何とかひとつ御配慮いただきたい、こう思います。この二つを伺って、私の質問を終わります。
  166. 橋元雅司

    ○橋元説明員 ただいま先生お話しのように、身延線のCTC化計画と、それに伴います営業の近代化計画につきましては、長い間地元の方々といろいろお話を重ねてまいりました。おかげさまで本日からこれを実施いたしておりまして、明二十七日からは新しくCTCによる運転開始が行われるわけでございます。  先生お話ございましたように、その過程で計画を一部変更いたしまして、十島の駅では手小荷物の廃止をしばらく暫定的にやめるということ、あるいは常永の駅では早朝、夜間の無人化を計画いたしておったわけでございますが、これを十二月までは現行どおりいたすというようなことで、先生おっしゃいますように地元の十分な御理解、御協力を得て実施に移すことができたわけでございます。今後とも十分お話し合いを詰めて、諸計画について十分御理解を事前に賜るように進めてまいりたいと考えております。  それから、特別運賃関係でございますが、やはりこれは法律に定められたとおり、今後とも実施いたしたいということで検討いたしておりますが、現在のところいろいろ情勢が微妙でございますので、実施時期、内容等につきましては今後慎重に判断をしてまいりたいと思っております。  それから、最後に下部の駅でございますが、経年四十五年になっております。そして経年は、実は全国で五千三百駅ぐらいございますが、四十五年以上というのは千六百駅でございまして、六十年以上のものをとりましても三百駅ございますので、緊急度の高さという点からはなかなか直ちにということには相ならぬのではないか。なお、御乗降と申しますか、御利用も若干減りぎみでございますので、その辺先ほど先生お話ございました六十一年の大問題も踏まえまして、御要望があることは十分承知しておりますので、よく勉強させていただきたいと思います。
  167. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 どうもありがとうございました。
  168. 後藤田正晴

    後藤田主査 以上で鈴木強君の質疑は終了いたしました。  次に、中野寛成君。     〔主査退席、鴨田主査代理着席〕
  169. 中野寛成

    中野(寛)分科員 私は、大阪国際空港問題についてお伺いしたいと思いますが、その前に、先般来の予算委員会でわが党同僚議員が質問をいたしました国鉄に関する質問のうち、確認をしておきたい事項がございますので、その部分についてお尋ねをしたいと思います。なお、時間の関係もございますので、五項目まとめてお尋ねをいたしますので、端的にお答えをいただければありがたいと思います。  まず第一点は、夜行寝台特急ブルートレインの運転検査をしているところは全国に十九機関区がありますが、やみ手当が支給されている内容について、二月八日の予算委員会におけるわが党岡田議員の質問の段階では、調査中であるとの答弁でありましたが、その後の調査はどうなっておりますか。  第二点、その調査はいつごろまでかかりますか。  第三点、調査が終了次第事実関係を明らかにすべきでありますが、その公表の仕方についてどのようにお考えでありますか。  第四点、東京機関区の過去三年間の運転検査に対する支払いは二千三百二十九万円であり、昨年十二月の一カ月間で四十四人の方が二百八十二回乗ったことになっているわけでありますが、実際は四回しか乗ってない。これは当然不当支給であり、総裁の御答弁ではこれを回収するということでありましたが、どのように回収されるのか。  第五点、その後もまだやみ手当が支給されているとの新聞報道等がありますが、これらも含めて、管理者としての当局の責任問題をどのようにお考えであるのか。  以上、五点についてお答えをいただきたいと思います。
  170. 吉井浩

    ○吉井説明員 五点の御質問がございました。  御指摘ございましたいわゆる運転検査にかかわる旅費の問題でございます。現在、中央地方を通じまして約七十名の専門家を動員いたしまして、十九カ所の機関区を中心に調査をいたしております。当初の予定をかなり延伸いたしまして、まだ実は完了いたしておりません。  いつごろというお尋ねでございますが、大体三月の半ばごろまでには何らかの結果を得たいということで、特に監査の方面の督励をいたしておるわけでございます。  それから、終了次第その結果をどのように公表するかというお話でございます。これは調査の結果を待ちまして、また、関係個所とも十分に御相談の上、これだけ御指摘をいただき、御関心を集めた事柄でもございますので、何らかの形の御報告は申し上げる、このような所存でございます。  それから第四点の、支給したものについては一体どのように返納をさせるのか、こういうことでございます。これはただいま東京機関区の十二月分の手当の御指摘がございましたが、やはり他の十九機関区の実情を十分に調査いたしまして、別に五十六年度分について調査いたしておりますので、その結果の判明を待ちまして、この不当と思われる支給の範囲、態様等々を十分に吟味いたしまして、しかるべき方途で損害の回収に努めたい、このように考えておるわけでございます。     〔鴨田主査代理退席、主査着席〕  それから、第五番目に御指摘ございました管理者の責任問題でございます。当然、これは私どもとして責任を深く感じておるわけでございまして、これはまた調査結果を待ちまして、どのような形、どのような広がりということを十分に勘案の上、責任者の範囲あるいはまた責任をとるあり方等々につきましても、その節十分に、厳正に対処いたしたい、このように考えておるわけでございます。
  171. 中野寛成

    中野(寛)分科員 七十名の方を動員して調査をしている、三月中旬までかかりそうだ、こういうことでありますが、この期間について厳格にお守りをいただけるかどうか。そしてこれがうやむやになったのではだめなわけであります。このことについて運輸省としても明確に指導をしていただきたいと思いますし、国鉄当局としても、これが明らかに公表をされ、そして国民の納得のいく対処をなされるということでなければならぬわけでありますから、政府に対し、そしてまた私ども国会に対し、この報告がなされることを強く要請をしたいと思います。  あわせて、四点目にお伺いしました不当支給の回収については、いま常務のお答えはしかるべきとお答えでございましたけれども、やはりこのことについてはより一層はっきりとお答えをいただきたい。むしろ、それは総裁なり常務なりの責任において明確にこれを回収させる、するということを確約をいただきたいと思います。  特に五点目についての責任問題でありますが、総裁御自身から、先般の御答弁では、その広がりによっては自分自身も含めてという御答弁だったと思いますが、そのことについて改めて総裁から御答弁お願いしたいと思います。
  172. 高木文雄

    ○高木説明員 すべて御趣旨のように考えております。  最後の責任問題のところでございますけれども、これは実は調べれば調べるほど大変歴史が長いという問題が起こってまいりまして、そこらでどう考えるかということをいまいろいろ考えておるところでございます。大筋といいますか、大体いま御指摘になりましたようなことでどの問題についても処理をしてまいりたい、このように考えております。
  173. 中野寛成

    中野(寛)分科員 運輸大臣に確認をしたいと思いますが、いまの質疑応答の内容について、運輸省としても明確に指導し、それを厳守させるという方向で臨んでいただけますかどうか、確認をしたいと思います。
  174. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいま総裁からお答え申し上げましたとおりであると思っておりますし、また、私らもこの問題については非常に深い関心を持っております。
  175. 中野寛成

    中野(寛)分科員 深い関心を持っているということは、それを厳守させるべく指導をし、そして対処していく、こういうふうに受けとめさせていただいてよろしゅうございますか。
  176. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 やはりいまも総裁からお答え申し上げたように、非常に歴史的ないろいろな事態から根が深いようでありますから、どこまでどのように調査ができるのか、実は私も国鉄の方がこれをどう処理するかということを注目しているわけでございます。
  177. 中野寛成

    中野(寛)分科員 注目をしている、重大な関心を持っているということは、その経緯を含めて十分対応していくという御意思のあらわれだと思います。そのように受けとめさせていただきたいと思います。  国鉄関係の質問は以上で終わりますので、どうぞ結構でございます。  それでは、大阪空港問題についてお尋ねをいたします。  関西新空港の方に大きな関心が寄せられているわけでありますが、しかしその成否もまた現在の空港に対する対策というものが十分講じられるかどうかによって、いわゆる関西新空港についての地域住民の理解が得られるかどうかもかかってくると思います。同時にまた、現在、被害者である大阪空港の周辺住民、十二月に最高裁の判決が下されましたけれども、しかし生活実感としての住民の不満というものは、それによってむしろ解消されるどころか、拡大をされているという実態の中でお尋ねをしたいと思います。  大阪空港については、環境基準というものが環境庁によって設定をされ、昭和五十八年度を達成時期のめどとして努力がなされているわけであります。しかしながら、この中間時点においてもその内容の達成状況は大幅におくれております。現在、五十八年をめど、しかしそれがもしおくれてもきわめて速やかにという設定がなされているわけでありますが、そのめどについてお尋ねをしたいと思います。
  178. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 大阪国際空港の周辺対策、とりわけ民家の防音工事につきましては、私ども毎年最大限の努力を続けてまいっておりますが、御案内のように、他の空港に比べまして大阪国際空港の周辺住民、周辺世帯の数はかなり膨大な数に上っておりまして、御指摘のように、ただいままでの進捗率で申しましても、大阪国際空港分は全国の達成率に比べて数字が低くなっております。今後の見通しといたしまして、私どもといたしましては、他の空港につきましてはWECPNLの七十五までの区域につきまして、五十八年度までに達成をするという環境基準を守るべく、予定しておるわけでございます。残念ながら大阪国際空港につきまして、他の空港と全く同様の進捗を示すということは、私ども最大限の努力をしてもなおかつ困難ではないかと考えておりますが、Wの八十の区域につきましては、五十八年度中に達成をするということで進みたいというふうに私ども考えております。  また、先ほど先生お尋ねにございました、その期間を超えてもなるべく速やかにという御趣旨は、私どももそのように心得て進めたいと思っておりまして、昨年の暮れ閣議決定をいたしました第四次の空港整備五カ年計画、この計画の中で、私どもといたしましては大阪国際空港につきましてもW七十五をその五カ年計画の達成年次である六十年度までに仕上げたい、こういうような考え方で五カ年計画を組んだ、こういう次第でございます。
  179. 中野寛成

    中野(寛)分科員 第五次の終了時期である昭和六十年度までにということで計画を組まれているようでありますが、やはり被害住民の期待といいますか、それはあくまでも昭和五十八年であるということであります。そういう意味で、一方的に運輸省で六十年と言っているよということで、大変大きな怒りが爆発しているということもすでに御存じのとおりだと思います。そういう意味で、たとえ一年でも早い時期ということが望まれるわけでありまして、六十年だということにいまから言われると、またこれが六十一年、六十二年まで延ばされてしまうのではないかという心配を強く持っているのも事実でございます。そういう意味で、少なくとも六十年というふうなことを言わないで、より一層早く達成できるようになお一層努力をしていく、まかり間違っても六十年ということがあるかもしれないということであれば、それはそれでまた幾らかニュアンスが違ってこようかと思います。六十年では私も納得をするということではありませんけれども、そういうより一層厳格な姿勢というものが望まれるわけでありますが、重ねてお伺いをいたしたいと思います。
  180. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先生御案内のように、Wの八十までの区域が現在の告示をされておる区域でございまして、W七十五に広げるべく現在地元とお話し合いを進めておりまして、今年度中に何とか七十五の区域設定をいたしたいというふうに考えております。実を申しますと、まだ最終決定になっておりませんために、今回拡張になります区域の中の世帯数もおおよその把握はいたしておりますものの、確実な数はまだ最終決定はされておりません。そのようなことで、私どもできる限りの努力をしていくつもりでございますし、また同時に、先ほど申し落としましたが、五十八年度からは新しい767の機材も導入されます。これは騒音値から申しますと、現在のYSとほとんど変わりがないくらいの騒音の広がりを持つ飛行機ということでございまして、そういう意味合いで低騒音型の機材の導入ということについても引き続き努力をしてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、周辺住民の方々に対する騒音対策というものについては、できる限りの努力をしていきたいというふうに考えております。
  181. 中野寛成

    中野(寛)分科員 次に移りますが、先般の最高裁判決によって、夜九時以後の離着陸についての歯どめが外れたという受けとめ方をされているわけでありますけれども、その際の運輸大臣のコメントでは、当面九時までという線は守っていくというお答えでございました。しかし、この当面という言葉について大変重大な関心が寄せられているわけであります。いわゆる運輸省の告示によって、十時以後については明確に飛行が禁止されているわけでありますけれども、そういうことができるとするならば、むしろ運輸省の告示によって、現実にいま守られている九時という線を告示の時刻にするということも含めてむしろ検討されるべきではないか。当面ということによって、当面はそれこそ九時までが守られるけれども、いつの日かこれが崩されるかもわからないという心配を住民は持っているわけであります。そのようなことをあわせまして、この問題についてお尋ねをしたいと思います。
  182. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 最高裁の判決、昨年十二月十六日に下されたわけでございまして、航空機の夜間飛行の差しとめ請求につきまして、司法の判断する領域でないという意味合いで却下ということになったわけでございまして、ということは、とりもなおさず、行政の責任で決めろ、こういう趣旨というふうに私ども受けとめておるわけでございます。  その際の地域住民の方々とのお話し合いでも私も申し上げたわけでございますけれども地域の住民の方々の御事情も十分理解しているつもりでございますので、その判決が出たからといって、直ちに午後九時以降にダイヤを新しく設定する、あるいは現在の八時台のダイヤを繰り下げるというような措置は当面とらない。当面というのは、このダイヤの設定につきましては、大阪国際空港は国際空港でございますので、当然、外国の航空会社から将来どのような要求が出てくるかわからない。しかも、その要求については極力九時以前のダイヤを設定するように要請をしていくつもりでもございますけれども、将来どのような事態が発生するかということについての予測を立てるということ、これは現時点では非常にむずかしいという意味合いで、私どもとしてはいますぐにそれを変えるつもりはないし、しかも、そういう国際的な情勢とかその他もろもろの情勢を配慮して、あるいは航空機材の進歩もございましょうし、諸般の情勢の変化を考慮した上で、どうしても九時台のダイヤの設定が必要だと仮に判断をした場合には、地元の意見を必ず聞きましょう、こういうお約束をしたわけでございます。  この判決が下されたからといいまして、私どもがそれを意といたしまして、九時台のダイヤをどんどんつくろうとかいうことは考えているわけではございません。当面というのは、逆に言えば、もしそれを変えるときには、住民の方々の意見もお聞きしますよということで十分歯どめがかかっておると考えております。  また、お尋ねの、現在の夜十時というカーフューの時間を九時に変更してはどうかということでございますが、先ほども申しましたように大阪は国際空港でございまして、国際線の場合にはどうしても遅延便が生ずるということもこれまたやむを得ないことでございますし、夜十時以降は飛ばさないとしましても、また夜九時以降のダイヤをつくらないといたしましても、九時から十時までの一定のバッファーをとるということは国際的にも常識になっておることでございまして、決してどんどん飛行機を飛ばすということを考えているわけではございませんが、現在の段階で、カーフュータイムを九時に直すということについては私どもは考えておりません。
  183. 中野寛成

    中野(寛)分科員 この当面という言葉についても大変厳しく解釈をする、これは運輸省御自身もそうお考えのようでありますから、そのことを守られるのだということをわれわれも期待をしたいと思います。同時にまた、万一のことがあっても住民の意思を聞き、それを尊重するという言葉をわれわれとしても信頼したい、このように思います。今後ともなお一層厳格にお守りいただけるように強く要請をしておきたいと思います。  なお、もう一点、昨年航跡乱流が起こりまして、民家が大きな被害を受けているわけであります。これにつきましては、この二月中に調査結果が出される、このようにお約束を私どもは聞いているわけでありますけれども、明後日でもう二月は終わりでございます。この調査の概要、そしてその結果についてお聞きをいたしたいと思います。
  184. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 航跡乱流問題につきまして、御承知のように気象協会に委託をいたしまして調査お願いいたしてまいりました。できるだけ早く結果を出していただくようにというお願いをしてまいりましたところ、かなり無理を聞いていただいたわけでございますけれども、残念ながら二月中というのはちょっと無理のようでございまして、来月に入りまして結果が発表できるというような形に現在なっております。したがいまして、私ども、最終取りまとめの段階でございまして、報告書の中身についてまだ承知いたしておりません。  なお、幸いでございますけれども、昨年の十月以降、たしか十月九日であったかと思いますが、そのとき発生して以来、航跡乱流であるかどうかはともかく、屋根がわらに対する被害というのは現在までは一件も報告を見ておりませんので、私ども、ただいま申し上げました、来月の何日というところまでははっきりいたしておりませんが、報告が出ましたならばこれを公表するとともに、もしその報告書の中身が、航跡乱流による可能性が強いというような内容でございましたならば、私どもとしてもそれなりの対策を立てていかなければいかぬと考えております。
  185. 中野寛成

    中野(寛)分科員 このことについては、原因が不明であるということくらい住民にとっては、いつ自分の家がやられるかわからないという不信感も含めて、やはり不安感が強いわけであります。二月中には無理な状態だということでありますけれども、一日も早く、三月に入ってもせいぜい一週間とかからないという意味だろうと思いますが、早くこの原因を明確にして、そして対応策を講じていただくように、これまた強く要請をしておきたいと思います。  時間がもうほとんどありませんので最後になるかもしれませんが、周辺整備の大綱の具体化と実施についてお尋ねをいたしたいと思います。  これにつきましては、大阪国際空港周辺整備計画調査委員会が、昭和五十二年七月以来、この周辺地域における土地利用あり方について計画案の策定等を進めてこられているわけであります。もうすでに四年以上たっているわけでありますけれども、具体的になかなか手がつくところまでいかない、私どもも非常に大きないら立ちを感じているわけであります。最近になってやっと六地区のうち一地区だけが計画案の取りまとめに着手されたという段階でございます。たとえば、そういう中で、地域住民が近接地域へ移転したいという希望が強い、そうなりますと、みなし西地区についての検討が必要になってくる。また行政財産と普通財産との関係等々、制度的にもいろいろ工夫がなされなければいけない問題等を抱えております。しかし、この大綱がつくられたのが昨年四月三十日でありますが、果たしてこれはいつになったら具体化するのか、実現するのか、相も変わらずマンマンデーでやられていくのではないか。自治体も含めて、もうすでに大きな不信感をつのらせているというのが実態であります。このことについて運輸省航空局としてのしかとした御見解をお聞きしたいと思います。
  186. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 五十二年七月の調査委員会整備計画案のお話がございました。確かに五十二年の十一月に私ども一応の整備計画案の取りまとめをいたしましたが、残念ながら、住民の方々に御説明をした際に、住民の方々の意向が十分に反映されていないというようなことで、そもそもこの案が策定されるにいわば至らなかったという状況でございまして、その反省を含めまして、その後住民の方々の代表に参加していただきまして、先生のいまのお話のように、幾つかの地区につきまして策定協議会で検討を重ね、一部の地区については五十五年の末に計画の図が書ける段階まで来た。一方で、昨年の四月に大綱がまとめられて基本的な方向が一応でき上がったわけでございます。これに基づきまして、今年度に緑地整備計画調査検討委員会というものを設けまして、周辺の地域空港との調和を目指しました施設整備計画について調査を行っておるということでございますが、この調査はかなり進捗をいたしておりまして、今年度中に取りまとめができる予定でございまして、緑地化の基本的な方針、たとえばどういうゾーンにどういうものをつくるかというような基本的な構想等についても、現在取りまとめを進めておる段階でございます。  確かに、進み方が遅いではないかという御指摘につきましては、まことにそのとおりということを認めざるを得ないわけでございますけれども、何分この問題につきましては御案内のようになかなかむずかしい問題を含んでおりまして、特に空港サイドの騒音対策という面からのアプローチと、それから地域整備あるいは都市整備という面からのアプローチとの、ちょうど接点になっておるという部門でございまして、いろいろ関係の向きも多いわけでございます。私ども、鋭意地元の市ともお話し合い、御協力もお願いしながら具体的な検討を行っておるところでございまして、なおしばらく時間はかかるかと思いますけれども、少しでもできるところから着実に進めていきたいという気持ちに私ども変わりないわけでございまして、できる限りの努力を今後も続けてまいりたいと考えております。
  187. 中野寛成

    中野(寛)分科員 最後に大臣にお伺いしたいと思います。  いままでは技術的な問題にわたることが多うございましたので、局長お尋ねをしてまいりましたけれども、この問題についてはその被害住民が大変多数に及んでいるということ、そういう意味でやはり重要な問題であるというふうに思うわけであります。同時にまた、自治体の協力そして他省庁の協力も得なければならない問題でもございます。場合によっては法律や制度の改正にも及ぶ問題があろうかと思います。  特に私がお願いをしたいと思いますのは、この問題は、やはり航空行政という、言うならばその原因者は国であり運輸省なんだ、空港なんだ、この公害が起こる原因者は空港なんだ、そして、それを管理しているのが運輸省であり国なんだ。ゆえに、その問題解決については国が主体的に取り組んでいく、そしてそれに対して自治体等の協力を求めていくという基本的な姿勢がまず何よりも肝要であると思うわけであります。そういう意味で重大な関心を持っていただきたい。そしてでき得れば、できるだけ早く現地の実態についても大臣御自身がひとつ実感していただきたい、こう強く要請をしたいわけでありますが、そのことについての大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。
  188. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいまの中野委員の御意見はまことに傾聴に値するものでございまして、私もいまずっと航空局長との問答を伺っておりましたが、われわれとして、今後一日も早くこうした騒音公害とか飛行場周辺の問題、特にそこに住んでいらっしゃる方々との関係を良好な状態に持っていくということが非常に大事なことであることは、よく踏まえているつもりでございまして、今後とも努力をいたしたいと思います。  ただ、一言申し上げたいのでありますが、地域方々と同時に自治体の方々が、やはりこうした問題について前向きに、運輸省のいろいろな提案に対しても御協力いただいたり、さらにクェッショネアに対しては明確な御答弁をしていただいて、われわれとして仕事の進めやすいように御協力を願いたいなということは、先般来わずかな体験でありますけれども痛切に感じておるところでございます。そうした意味において、われわれはこの問題をゆるがせにするつもりは全くございませんけれども、いろいろな客観情勢によって引き延ばされることもあるのでございまして、その点も今後は大いにいろいろな面での十分なコミュニケーションということで前向きに対処してまいりたいと思います。
  189. 中野寛成

    中野(寛)分科員 終わりますが、いまの大臣のお気持ちについても私は私なりに理解をしたいと思います。ただ、運輸省からの協力要請等々に対して、いま大臣おっしゃられたような自治体や住民の対応がある。しかし、そのことについては、今日まで長年運輸省の対応そのものが延び延びにされるというふうなことや、今日までの対策が延び延びになっていることに対する不信感、それがやはり根底にあるからなんだということもぜひ御認識をしていただいて、今後の対応をお願いをしたい。お言葉を返すようですが、やはり住民の気持ちがそこにあるんだということをあえて私としては申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  190. 後藤田正晴

    後藤田主査 以上で中野寛成君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十七日午前九時三十分より開会することとし、運輸省及び建設省所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後八時十六分散会