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永田亮一君 ただいま
議題となりました
昭和五十三
年度決算外二件につきまして、
決算委員会における
審査の
経過及び結果を御
報告申し上げます。
初めに、各件の
概要を申し上げます。
まず、
昭和五十三
年度決算でありますが、
一般会計の
決算額は、
歳入三十四兆九千七十二億六千五百万円余、
歳出三十四兆九百六十億三千万円余、差し引き八千百十二億三千四百万円余の
剰余金を生じております。
特別会計の数は三十九で、その
決算総額は、
歳入七十一兆九千五百八十三億四百万円余、
歳出六十二兆五千五百二十七億三千二百万円余となっております。
国税収納金整理資金の
収納済額は二十二兆五千三百三十七億千七百万円余、
支払命令済額及び
歳入への
組入額は二十二兆四千七百四十四億九千八百万円余となっております。
政府関係機関の数は十五で、その
決算総額は、収入十八兆千八百七十三億七千四百万円余、支出十七兆七千三百十二億九千六百万円余となっております。
次に、
昭和五十三
年度国有財産増減及び現在額総
計算書でありますが、
増加額は二兆四千四百億六千百九十九万円余、
減少額は六千六百四十三億八千十二万円余で、
年度末現在額は二十六兆四千四百九十二億八千四百万円余となっております。
次に、
昭和五十三
年度国有財産無償貸付状況総
計算書でありますが、
年度末の現在額は三千八百七十七億八千七百万円余となっております。
次に、
昭和五十三
年度決算についての
会計検査院の
検査報告では、
不当事項百六十四件、
意見を表示しまたは
処置を要求したもの十四件、
検査院の指摘に基づき
改善の
処置を講じたもの十五件、また、特に掲記を要すると認めたもの一件となっております。
各件のうち、
決算は
昭和五十五年五月十三日、
国有財産関係二件は同年一月二十九日に
委員会に
付託されました。
委員会におきましては、同年十一月四日各件について
大蔵大臣よりその
概要説明を、
会計検査院長より
検査報告の
概要説明を聴取した後、
質疑に入り、各
省庁別に二十四回にわたり
審査を進め、
政府の
予算執行と
行政運営に関する重要な問題を
中心として終始熱心かつ活発な
質疑が行われたのでありますが、その詳細は
会議録により御
承知を願いたいと思います。
かくして、昨十九日締めくくり総括
質疑を終了し、
決算については、
委員会審査の
内容をまとめて、
委員長より議決案を提出いたしました。
以下、その
内容を申し上げます。
すなわち、
昭和五十三
年度の
一般会計歳入歳出決算、
特別会計歳入歳出決算、
国税収納金整理資金受払計算書及び
政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。
本院は、毎
年度決算の審議に際し、予算の効率的執行並びに
不当事項の根絶について、繰り返し
政府に注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として
改善の実が上がつていない点があるのはまことに遺憾である。
一
昭和五十三
年度決算審査の結果、予算の効率的使用が行われず、所期の成果が十分達成されていない
事項が見受けられる。
左の
事項がその主なものであるが、
政府はこれらについて、特に留意して適切な
措置をとり、次の常会のはじめに、本院にその結果を
報告すべきである。
1
会計検査院の検査の充実強化は、行財政改革との関連においても重要な課題である。
政府は、
会計検査院の検査体制の
整備について配慮するとともに、同院の検査の
実施に際しては検査
目的を十分達成することができるよう、
所要の
措置を講ずべきである。
なお、
政府は、
会計検査院の
決算検査の結果を予算編成に反映せしめるよう、
改善策を講ずべきである。
2
昭和五十三
年度の財政投融資には、多額の不用額及び繰越額が生じている。
このような事態を生じないよう、特殊法人の見直しとも対応させ、財政投融資の運用面について引き続き
改善を図る必要がある。
3 公共事業の入札に当たり、指名業者間で不当な行為が行われている事例があるが、このような事態は、入札
制度の根幹を危うくするものである。
政府は、今後かかることのないよう、入札
制度の運用の適正化に努めるべきである。
4 日本電信電話公社においては、架空の名目により旅費・
会議費を支出して、会食の
経費に充当する等の不正経理を行つたが、これはまことに遺憾である。
政府及び公社は、今後再びかかる事態の生じないよう、綱紀の粛正と管理の徹底を図るべきである。
5 豪雪地域におけるなだれによる災害を防止し、この地域の恒久的な民生安定を図るため、
所要の対策を検討して、なだれ防災体制の
整備に努めるべきである。
6 三公社四現業の直営病院は、いずれも収支に大幅な赤字を生じており、また職員等の利用
状況も、総じて逐年減少の傾向にある。
直営病院の運営に関して、一般開放・診療単価の適正化等を含めた経常収支の
改善策を早急に検討すべきである。
7 過疎化、疲弊化する山村地域の振興と国産材供給体制の確立を図るため、林道等山交通網を自然環境の保全に配慮のうえ
整備するとともに、間伐対策等を一層
促進すべきである。
8 関西
国際空港計画については、地域社会の理解と協力を得ながら調査検討を進めるという従来の方針に基づき、今後とも十分に地元との意思疎通を図り、結論を下すべきである。
また、現大阪
国際空港については、周辺住民の生活環境に被害を及ぼす事例が生じているが、これについては適切な対応
措置を検討すべきである。
9 日本国有鉄道においては、財政再建が緊急の課題となつているにもかかわらず、人件費その他の経常的
経費の支出に不適正な点が多く見受けられるのは、まことに遺憾である。
当局は、この際綱紀を粛正して、
経費支出の適正化に努め、財政再建に資すべきである。
二
昭和五十三
年度決算検査報告において、
会計検査院が指摘した
不当事項については、本院もこれを不当と認める。
政府は、これらの指摘
事項について、それぞれ是正の
措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような
不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
三
決算のうち、前記以外の
事項については
異議がない。
政府は、今後予算の作成並びに執行に当たつては、本院の
決算審議の
経過と結果を十分考慮して、財政運営の健全化を図り、もつて国民の信託にこたえるべきである。
以上が議決案の
内容であります。
次いで、
決算外二件を一括して
討論に付しましたところ、自由民主党は、
決算について議決案のとおり議決するに
賛成、
日本社会党、
公明党・
国民会議、
民社党・
国民連合、
日本共産党、新自由クラブ・
民主連合は、議決案のとおり議決するに反対の
意見を表明されました。
次いで、
採決の結果、
決算は多数をもって議決案のとおり議決すべきものと決し、
国有財産関係二件は、いずれも多数をもって是認すべきものと議決いたしました。
以上、御
報告申し上げます。(
拍手)
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