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稲葉委員 大臣、大臣は文学の方が御専門ですからあれかもわかりませんけれ
ども、
検事と警察官というのはなかなかむずかしいのですよ、
関係は。
検事の方は知能犯の
捜査については得意なんですよ。自信があるのです。ところが、いわゆる強力犯というか強殺だとか暴力犯、こういう
関係については
検事は余り得意じゃないのですよ。こういうのは大体警察に任せっ放しが多いのです。こういうのをやる
検事というのは
検事の中でも余り頭脳が優秀じゃないと言うと言葉が悪いけれ
ども、とにかく余りやらぬわけですね。だから、知能犯
関係だとか会社犯罪とか、こういう涜職
関係は得意なんですよ。こういう
事件になると警察に任せっ放しです。だから、代用監獄で任せっ放しですね。そうして、その間何が行われているか、
検事は全然知らないわけですよ。全然知っていない。報告なんか全然ありませんよ。これは恐らく起訴する段階ごろの途中で、ある程度報告を受けているかもわからぬけれ
ども、起訴する段階ごろになって
記録を受けて、それでやっているわけですから。大体普通ですよ。
第一、あなた、法務省の刑事局に来ている人、いっぱいいるでしょう。その中で強盗殺人
事件とかそういう
事件の得意な人なんか、あなた、聞いてごらんなさいよ、一人もいないから。そういう人は一人もいないですよ。大体みんな知能犯専門の人なんですから。だから、こういう
事件になってくると、もうほとんど警察に任せっ放しです。実際いまでもそうだよ。
そこで、私の聞いているのは、わからないとかなんとかじゃなくて、
判決にこう書いてあるじゃないですかというんだよ。こういうことを
一体検事は知っていたか知っていなかったかということが一番問題なんで、恐らくこれは知らなかった、任せっ放しですから。ある程度
事件が固まってから
検事のところへ報告があるので、それを簡単に調べて起訴するわけですから。そういう
関係が大体実情として行われているわけですから。だから、そういう点を
検事が知っていたか、知っていなかったか。
これは当時の地検の
検事かだれだか知りませんけれ
ども、私はよく調べていないから知りませんけれ
ども、いまやめてしまった人かどうかわからぬけれ
ども、恐らく窃盗の方は簡裁でやったわけでもないでしょう。その間の経過、ちょっとよくわからぬけれ
ども、簡裁ですか。
区検の
検事がやったの、これ。副
検事か何かでもやったんですか、窃盗の方は。強殺
事件は副
検事がやるわけないから、これは恐らく東京地検の刑事部の
検事がやったのだと思うんですけれ
ども。よくわかりませんけれ
ども、こういう事実
関係を知っていたか知っていなかったかが一番大きな問題なんですよ。
余りやかましく警察の方へ言わないのですよ。これは警察の方へ余りやかましく言うと、大臣、よく聞いてください、警察の方は嫌がるのですよ。
検事は
捜査の指揮権はありませんから、指揮権がないのに警察の方へ余りやかましいことを言うと嫌がる。そのために余りやかましく言わない。
それから、警察から送られてきた
事件を
検事が不起訴にしてしまうと、あの
検事は腰が弱いとやられるのですよ。警察から腰が弱いとやられる。シッコが弱いと言うんですがね。それで悪口を言われるものだから、無理して起訴する場合もあるし、
検事は独自の立場ではねる場合もありますけれ
ども、いずれにしても、こういう
事件は
検事は余り得意じゃないです。これはもう事実なんだ。
これは
刑事局長に答弁を求めても、そんなことはありませんと答えるに決まっているので、そんなことはありますと答えるわけはないから、聞いても
意味がありませんから聞きませんけれ
ども、私は、だから問題にしているのは、こういうような
高裁の
判決で
指摘されているような、警視庁の留置場へこんなにもどうして長く置いておく必要があったのですかということが、疑問になるまず第一点だ。小菅の拘置所へ移せばいいんだから、どうして移さなかったかということです。まず第一がこれでしょう。
それで、午前一時まで調べたと
判決で
指摘されているんですから、そういう事実があったかないかということは、あなたの方で調べなければいけませんよ。第二点でしょう。
暴行を受けたとかなんとかという点については、これは
本人が言っているけれ
ども、
判決の中で否定されているわけです。だけれ
ども、とにかくこういう時間的にここまで調べられて苛烈な取り調べを受けたということは
判決の中で認定されているわけですから、こういう事実
関係についてはあなたの方としても——あなたの方も調べにくいと思うんだ、警察に対して。警察の方は、おれの方は
関係ない、そんな
検察庁の言うことなんか聞くかということで、なかなか聞かないですよ。
東京地検と警視庁というのは仲が悪いのです。御存じかどうか知らぬけれ
ども、とにかく仲が悪い。ことに東京地検特捜部と警視庁というのは仲が悪い。これはもう有名な話、公知の事実。それをまた聞かれても、そうですとも言えないからあなた答えないけれ
ども、有名な事実、あたりまえの事実ですね。だから、いい
事件は東京地検特捜部がやってしまって、警視庁には
本当のあれしかやらないわけですよ、こういう
事件はね。ロッキード
事件だってそうでしょう。
本当のいいところ全部やって、警察にやらせるといろいろなところへ情報が流れて危なくてしようがないからというので、
検事の方は警察官に対する不信感を持っているわけですよ。逆に強盗殺人とかこういう
事件になってくると、警察の方はおれの方の領分だ、
検事なんかにわかるかというふうなことで、おれの方の領分だという考え方が出てくる、こういうようなことです。
多少よけいなことになりましたが、失礼だけれ
ども、大臣に勉強の機会を与えるという
意味でちょっといろいろお話ししているわけですから、お聞き取り願いたい、こう思うのです。
だから、私がいま言ったように、
検事はこういう事実
関係をちゃんと把握しているかどうか、これが問題なのですよ。これが刑事施設法と留置施設法に
関連してくるので私、聞いているのですよ。恐らく知らないですよ。本来なら当然小菅の東京拘置所へ送らなければいかぬですよ。これは送りはしないのだから。全然ノータッチじゃないか。
それから、ここでお答えできると思うのだけれ
ども、十二月六日に一たん釈放していますね。これもよくわからぬのだな。何で釈放しているのかということだ。釈放しておいて、その後起訴しているわけでしょう。ここら辺のところはどういう経過があるのか、よくわかりません。それなら、そのときに起訴すればいいので、
証拠が整っていれば釈放するその日に——これは恐らく満期だったと思うのですが、処分保留でしょう。身柄は窃盗で拘束されて、そのまま勾留されているわけですから。それで、何で釈放して後から起訴したのか、それから補充
捜査したのかしないのか、さっぱりわからぬですよ。こういうやり方、おかしいんじゃないですか、どういうふうになっていますか。