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三浦(隆)
委員 その答えの中で、
大学の自治、私は、
政府の干渉によっても
大学の
教員の
研究、
教育は守り切れないこと、そして内にあっては、
大学内のそうした過激派集団がばっこしても
研究、
教育が守り切れないものであるということを言ったわけでありまして、それを守るためには、いま言ったように仮に
政府のどんな圧力があってもその圧力に屈しないように、場合によっては公の
意思の
形成に対しても逆らうことが出てくるのだ。それではそういうのは
教員になってはいけない者なのか。
外国人であろうと一
教員となって来れば、一
教員として、あるいは
教授会メンバーとして、同じような
立場に立つことなきにしもあらずであります。かつての
大学紛争は産学協同的な問題を中心として高度経済成長の中で行われました。しかし、これからもし
日本が再びいわゆる軍国主義への道を逆行しようとするならば、軍学協同という中で
大学紛争は再燃する可能性を持ってきますし、その中における
大学教員というのはまた大変むずかしい
立場になってまいります。そのときにもう一度振り返りまして、
大学教員が単に
研究、
教育だけでいいものならば、そういう紛争のときには、
学校へ来ないで家へ帰っちゃう、あるいは
大学へ来ても
研究室だけに閉じこもって自己の個人的な
研究だけに没頭してしまうようになって、
大学はみずから物理的に崩壊をたどることになってしまうのではないかということを私はおそれます。
さて、時間でございますので、あとは
質問ということではなくて、冒頭申し上げましたように、
質問の主な要点だけを発言さしていただき、終わりたいと思います。
初めに、
法案提出に至る
経緯について。第一次案が五十三年四月に、第二次案が五十三年五月に、第三次案が五十三年九月に、第四次案が五十四年三月に、そして
本案が出てきたわけですが、この間の異同
関係について
意見を承りたい。むしろ、この資料によりますと、第一次案の方が
管理職への道も認められておったりして進んでおったように思うのですが、時間をかけた
法案がなぜおくれなければならなかったのかという
問題点であります。
その次の問題は
法案の解釈で、第二条第一項の文
理解釈からは
管理職となることを制限していないわけであります。また、第二条第三項の文
理解釈からも
任期制の採用とは言えないわけであります。それがなぜどういう解釈によって変わってくるのかという問題であります。
それから
外国人の人権に絡みます。
外国人の人権で著名判例は例のマクリーン事件判決、第一審、第二審と揺れ動きまして、一応最高裁の判例が確立されておるわけですが、
一つに、各
大学が
外国人教員の採用を自主的に仮に決めたとしても
大学の自治であります。国は国の判断でその入国を時として拒否することもあり得るのではないかということです。次に、同じようにして、
滞在期間の更新を申請したときに、時として国は更新の許可をしない旨の処分をすることもあり得るのではないかという
問題点。
それから、
外国人が
日本の憲法上の取り扱いを受ける場合、人権の享有主体たり得るかについては三つの説があります。不適用説、部分的適用説、性質的適用説の三説があるのですが、御
提案者はどの説に立たれようとするのかということです。もし性質的適用説に立とうとされるならば、
大学への
外国人教員の
任用は、
日本国民のみを対象とする参政権のような場合と異なって、学際性から来る人的
交流としての
意味を持つものですから、もっと早くから認められてよかったのではないかという点です。
それから、少し細かいのですが、仮定の問題としまして、産学協同による共同
研究の
成果としての情報交換の
限界についてであります。去る六月、電算機産業スパイ事件でアメリカのFBIに産業スパイ容疑で
日本人六名が逮捕され、ほかに
日本にいる十名に対しても、盗難資産移送の共謀という容疑がかけられておりますが、こうしたような産学協同下におけるいわゆる
研究活動と情報交換というものとの
限界点についてです。二番点、同じようにおとり捜査が容認される場合、産学協同や軍学協同による共同
研究にはどのような注意を払ったらよろしいものか、その
限界についてであります。同じく、国公法百条一項に秘密の
規定というものがある。共同
研究等によって秘密が漏れる、
外国人教員が本国に帰った後にこれを漏らしたような場合どのように
考えたらよいのかという問題。
あるいはまた、国公法百二条一項の「政治的行為」、同じく人事院規則一四の七の「政治的行為」に
外国人教員が触れた場合に、
一つ、その処置はどうなるのか、二つ、また学内の処置と国の処置とが異なった場合にはどうなるのかという問題があります。
またその次に、
服務宣誓の問題で、
日本人教員の場合と同じ取り扱いをするものかどうかであります。国公法九十七条の「服務の宣誓」及び地公法における「服務の宣誓」の問題、これは一般
公務員でありますが、同時に、国
公立教員の場合の
教特法十一条の問題がかかっております。どのように行われるのか。そしてそれがアメリカの場合ですと、
服務宣誓を行うとアメリカの国籍を失うという
関係をどうするのか。
あるいはまた同時に、逆に
服務宣誓を行わなければ、国公法九十六条あるいは地公法三十条に言います「服務の根本基準」との
関係に絡んで、国民全体の
立場と学際性との
関係をどのように
理解するかという問題があります。
また、
外国人教員の
任用に絡んで、
外国人が
外国国籍を持つ場合と、無国籍者を含むとするならば
外国人としての無国籍者を
任用した場合に具体的にどのような問題が想定されるであろうかという問題があります。
そのほか、まだ幾つも残されておりますけれ
ども、
質疑時間が終了という紙が入っておりますので、大変残念でありますが幾つもの
質問を少し言い残しまして、これをもって
質問を終わらせていただきます。