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1982-04-23 第96回国会 衆議院 文教委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月二十三日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 青木 正久君    理事 石橋 一弥君 理事 中村喜四郎君    理事 西岡 武夫君 理事 三塚  博君    理事 佐藤  誼君 理事 長谷川正三君    理事 鍛冶  清君 理事 三浦  隆君       臼井日出男君    浦野 烋興君       狩野 明男君    高村 正彦君       坂本三十次君    谷川 和穗君       野上  徹君    長谷川 峻君       船田  元君    渡辺 栄一君       木島喜兵衞君    中西 積介君       山口 鶴男君    湯山  勇君       有島 重武君    栗田  翠君       山原健二郎君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         文 部 大 臣 小川 平二君  出席政府委員         文部政務次官  玉生 孝久君         文部大臣官房長 鈴木  勲君         文部省初等中等         教育局長    三角 哲生君         文部省大学局長 宮地 貫一君         文部省学術国際         局長      松浦泰次郎君         文部省体育局長 高石 邦男君         文部省管理局長 柳川 覺治君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君  委員外出席者         議     員 狩野 明男君         議     員 西岡 武夫君         議     員 石橋 一弥君         議     員 中村喜四郎君         大蔵省主計局主         計官      浜本 英輔君         文部大臣官房調         査統計課長   上野 保之君         自治省財政局交         付税課長    紀内 隆宏君         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ————————————— 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     森山 欽司君   浦野 烋興君     菅波  茂君   高村 正彦君     木村 守男君   栗田  翠君     村上  弘君 同日  辞任         補欠選任   木村 守男君     高村 正彦君   菅波  茂君     浦野 烋興君   森山 欽司君     臼井日出男君   村上  弘君     栗田  翠君 同月二十三日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     木島喜兵衞君   河野 洋平君     中馬 弘毅君 同日  辞任         補欠選任   木島喜兵衞君     嶋崎  譲君   中馬 弘毅君     河野 洋平君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本学校健康会法案(第九十三回国会閣法第二  二号)(参議院送付)  国立又は公立大学における外国人教員任用  等に関する特別措置法案石橋一弥君外四名提  出、衆法第一四号)  私立学校振興助成法の一部を改正する法律案  (石橋一弥君外三名提出衆法第五号)      ————◇—————
  2. 青木正久

    青木委員長 これより会議を開きます。  まず初めに、去る十六日付託になりました内閣提出参議院送付日本学校健康会法案議題といたします。  お諮りいたします。  内閣提出参議院送付日本学校健康会法案は、第九十四回国会におきまして、本院において修正議決し参議院に送付いたしましたが、参議院におきましては継続審議に付され、今国会におきまして昭和五十七年度施行のための所要の修正を行って本院に送付されてまいりました。  したがいまして、本案提案理由説明は省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青木正久

    青木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————  日本学校健康会法案     〔本号末尾掲載〕      ————◇—————
  4. 青木正久

    青木委員長 次に、石橋一弥君外四名提出国立又は公立大学における外国人教員任用等に関する特別措置法案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。狩野明男君。     —————————————  国立又は公立大学における外国人教員任用等に関する特別措置法案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  5. 狩野明男

    狩野議員 国立又は公立大学における外国人教員任用等に関する特別措置法案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  急激に進展する国際化の時代にあって、わが国が、今後国際社会の一員として、諸外国と協力・協調しつつ国際社会に対して貢献していくためには、教育学術、文化の国際交流を一層活発化することが、現下の重要な課題といわなければなりません。特に大学における研究教育に関しては、国際化必要性は、きわめて大きいものがあります。  しかしながら、現在の国立または公立大学教授等任用制度について見ると、わが国では、従来より公務員に関しては、公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とするものと解すべきとの解釈がとられてきているため、今日まで、これらの職に外国人がつくことは認められなかったのであります。  このような現状については、第一に、大学における研究教育は、真理の探求を旨とし、世界に通ずる普遍的なもので、国際的に開かれたものであるべきであるにもかかわらず、教授等任用についてこのような閉鎖的な姿勢をとることは、大学の本質から見ても問題があることと考えます。  第二に、いわゆる欧米先進諸国状況を見ても、すでに早くから外国人に対して、正規の教授等として任用する道を開いており、わが国のような閉鎖的な制度をとっている国は皆無といってよいのであります。  以上、申し述べたようなことから、国立または公立大学においても、できるだけ有能な外国人教授等として積極的に採用できる道を開くべきであると考えたものであります。そして、こうした措置を講ずることは、研究教育面での国際交流活発化促進するのみならず、学問研究の上で、よい意味での国際的な競争関係をつくり出し、学問研究向上に役立つことと考えたのであります。  以上が本法律案提出した理由であります。  次に、本法律案内容について申し上げます。  第一は、国立または公立大学においては、新たに、外国人教授、助教授または講師任用することができることといたしました。  第二は、国立または公立大学任用された教授等は、外国人であることを理由として、教授会その他大学の運営に関与する合議制機関構成員となり、その議決に加わることを妨げられないものといたしました。  第三は、国立または公立大学任用される教授等の任期については、大学管理機関の定めるところによることといたしました。  第四は、国立大学共同利用機関及び大学入試センターにおける外国人職員任用等についても、大学におけると同様の取り扱いをすることといたしました。  第五は、従来の国家公務員法第二条第七項に規定する勤務の契約による外国人教師外国人講師制度等は、引き続き存続することといたしております。  以上が、この法律案提出いたしました理由及びその内容概要であります。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  6. 青木正久

    青木委員長 これにて提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  7. 青木正久

    青木委員長 これより石橋一弥君外三名提出私立学校振興助成法の一部を改正する法律案及びこれに対する石橋一弥君外三名提出に係る修正案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております本案及び本案に対する修正案の審査のため、来る二十八日、参考人出頭を求め、意見を聴取することとし、その人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 青木正久

    青木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  9. 青木正久

    青木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中馬弘毅君。
  10. 中馬弘毅

    中馬委員 法案の中身に入る前に、基本的なことを少しお伺いさせていただきたいと存じます。  わが国ではいわゆる私学助成制度化されておりますけれども私学といいますものは、国の公的な教育のほかに、一つの宗教的な理念に基づいて人格形成をしようとか、あるいは一つ教育理念に基づいて自分でひとつ子弟の人格涵養をやってみよう、こういった方々がそれぞれの基金で、あるいはまたそれぞれの費用負担を生徒あるいは児童から受けてされるのが私学だと存じておるわけでございますけれども、この私学といわゆる制度化されております私学助成との関係、何といいますか、少しあいまいなような気もするわけでございまして、ここに一つ基本的な考え方なり理念があるはずでございますから、行政立場として、いわゆる日本における私学助成というのがどういう理念なり考え方に基づいて行われているのか、このことをまずはお伺いしたいと存じます。
  11. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 わが国教育進展にとりまして、私学の果たす役割り重要性にかんがみまして、私立学校法制定の当初から私立学校法第五十九条で私学に対します公費助成根拠規定が設けられました。その後、私学の経営の健全化あるいは教育条件維持向上、あるいは経費負担の軽減という観点に立ちまして、より一層私学助成の実を上げるということで、議員立法によりまして私学振興助成法が制定され、以来これに基づきまして経常費助成等施策につきまして国、地方公共団体挙げて努力を重ねておるということでございまして、今後とも学校教育進展に果たす私立学校役割り重要性にかんがみまして、さらに一層の努力を重ねていくということであろうと存じております。
  12. 中馬弘毅

    中馬委員 お金でもって助成するというこの私学助成なのでございますけれども、もちろん義務教育化しておって、公的なもので間に合わないどころ、私学が補完してくれているところを、国の立場として一時的にでも、あるいは一つ役割りの分担としてでも費用を補助するというのはわかるのですけれども、そうでない場合において、かなり恣意的な形で助成をするというようなものがありはしないか、何かそこら辺のもう少しはっきりした明確な基準といったものが必要ではないかと思うのですが、その点はいかがお考えでございましょうか。
  13. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 学校はきわめて公の性質を持つということが、法律上も私立学校につきましても言われておるわけでございまして、私立学校がその私学建学の精神、独自性を十分発揮すると同時に、公共性をより高めていくということの趣旨にかなった助成策ということが基本であろうと思います。  いろいろな形での助成方法があるわけでございますが、それぞれ私学自主性及び公共性を高めるという観点目的にかなった助成策が講じられてきておるというように私ども解しておる次第でございます。  いま先生指摘の恣意的なという面が具体的にどのような点か、ちょっと理解をしかねておりますが、経常費助成につきましては先ほど申しましたような三つの主眼から、また特にこのたびこの助成法改正法案提案されておりますが、幼稚園につきましては、特に個人立幼稚園あるいは宗教法人立の占める実態は、なお四三%の幼稚園がこの個人立宗教法人立、いわゆる学校法人立以外の形で教育がなされております。その実態にかんがみまして、一方で第一条の学校であります幼稚園につきましては、国、地方公共団体のほか学校法人のみがこれを設置できるという基本の法がございますので、その基本の本来のあるべき姿へのより促進を図るというような観点も含めて、学校法人化促進という観点を含めた助成策が講じられておるわけでございまして、この面へのそういう目的立法政策趣旨を盛った助成がそれなりにそれぞれなされておるというように理解しております。
  14. 中馬弘毅

    中馬委員 中教審答申では、「幼稚園入園を希望するすべての五歳児を就園させることを第一次の目標として幼稚園拡充をはかるため、市町村に対して必要な収容力をもつ幼稚園設置する義務を課するとともに、」、こうなっておるわけでございまして、幼稚園国民幼児教育として明確に位置づけていると判断するわけでございますけれども、その点はこの時点から現在の行政基本的な態度も変わっていないのかどうか、そこをひとつお伺いしておきます。
  15. 三角哲生

    三角政府委員 私ども、この線に沿って幼稚園教育振興計画を進めてまいりまして、今日もなおその方針で施策の充実を図りたい、こう思っております。
  16. 中馬弘毅

    中馬委員 これではそれぞれの五歳児が、子供立場義務ではなくて自治体なり行政義務として位置づけられているわけでございますけれどもではその目標というものが達成されているのかどうか、五歳児適齢人口のうちの何%が幼稚園就園しているのか、その数字をひとつお願いいたします。
  17. 三角哲生

    三角政府委員 昭和五十六年五月の調査によりますと、五歳児の幼稚園への就園率全国平均で六四・四%でございます。ただ、実質的に申し上げますと、幼稚園就園率の非常に高い県と低い県とがございますが、これは一方において幼稚園設置状況の相違があることと関連をしておりまして、幼稚園設置が非常に少ないところにおいては、逆に保育所設置率が非常に高い、こういうような状況がございますので、そういうところでは保育所へ通っておるという子供が多い。でございますから、この約六五%弱という数字は、私どもがいま考えております、希望する五歳児のすべてが入園できるように、こういう線でいま進めておりますけれども、この線にはかなり近いところまでは行っておるのではないか、もうあと少しの努力ではないか。ですから今後の目標は、五歳児をもうちょっと踏ん張りまして達成して、あと四歳児、三歳児の方にできるだけまた入園条件がよくなるような方策を講じていく必要があろう、こういうふうに思っておるのでございます。
  18. 中馬弘毅

    中馬委員 幼稚園就園率が六五%といたしまして、保育所の方もそういう位置づけをするとするならば、かなり高い数字となることではございましょうけれども、しかしこの理念をずっと推し進めていきますと、結局は義務化すべしということではないのでしょうか。五歳児に対して幼稚園就園ないしは保育所でのそういう教育というものを、結局は一〇〇%を目指しているわけですから、義務化すべきだと考えていいのですか。
  19. 三角哲生

    三角政府委員 幼稚園義務化考えるといたしますと、その場合には、すべての幼児幼稚園教育を受ける、そのことを義務とすることが果たして幼児教育上、あまねくやるということが適切かどうかということ、それからもう一つは、心身発達やあるいは地理的な条件等から考えて、すべての幼児を通園させることが実際問題としてできるかどうか、あるいは第三点としましては、財政面教員確保等の面で困難ないしは支障が生じないかどうかなど、非常に多くの問題を検討をし、そして見きわめなければならないことでございます。このために私どもは、幼稚園教育義務化につきましては、将来の課題としてはひとつ慎重に検討するということがあると思いますけれども、当面は、先ほども申し上げましたように希望するすべての幼児就園できるように幼稚園整備拡充を進めていきたい、こういうふうに思っているのでございまして、ただいまのところは義務化ということは考えていないのでございます。
  20. 中馬弘毅

    中馬委員 それぞれに現状ですぐそれをやるとなれば問題があることはもちろんわかるわけでございますけれども、しかしこの理念をずっと延長しますと、希望しない人はほとんどないわけでございまして、そうした場合に一〇〇%近いものを就園させるということになると、これはほとんど義務と同じような形になってくるわけです。そして、逆に自治体にそれを義務づけているわけですから、そのところがお答えとして何か矛盾するように思うのですが、いかがですか。
  21. 三角哲生

    三角政府委員 先ほどの私のお答えが中馬委員の御質問全部に申し上げていなくて不十分であったかと思いますが、中教審答申で言っております「市町村に対して必要な収容力をもつ幼稚園設置する義務を課する」、この点はそこまでは現状では無理であるという判断のもとで、これは義務を課しておらないのでございます。したがいまして、かなりの規模の市などにおいてもまだ幼稚園一つもないとかあるいは私立しかないとかそういうところがあるわけでございまして、そのような状況は希望するすべての幼児入園させるというためにはぐあいの悪いことでございますので、私どもはそういう意味で未設置市町村の解消、こういうことは、極力当該地方公共団体に対して設置を勧めていく、こういうふうにいたしたいと思っております。  それから、おっしゃいますように、ほとんどの者はどうせ当然希望するだろうし、それを入れれば実質は義務と同じになるのではないかということでございますが、これを幼児に対して義務として園に通わなければならない、そういう体制にするかどうかは、先ほども申し上げましたけれども、やはり慎重な検討を要するのではないか、こう思っておるのでございます。
  22. 中馬弘毅

    中馬委員 現状がどうなっているかというよりも理念の話をしているのでございまして、そういうことであれば、いま私が言う意味で、幼稚園は将来義務化のような形になるわけでございますけれども、それがいいのか、小学校就業年限を五歳に引き下げる方がいいのか、いずれそういう方向に行かざるを得ないというかなりの世論もあるわけでございまして、そういう点について文部省いかがお考えでございますか。
  23. 三角哲生

    三角政府委員 仰せになりましたように、幼児心身発達の今日における状況というものを考えますと、そのような理論と申しますか、考え方と申しますか、あるわけでございまして、私ども当然そういったことが望ましいかどうかについて、これは私どもなりに考えていく必要があると思っております。ただ、五歳児を小学校段階に繰り込んで小学校教育というものを一年延長するかどうか、こういうことになりますと、これは学校制度基本、根本にかかわる問題でございますので、教育実態としての検討が当然必要でございますが、そのほかに、行政的、財政的あるいは国民全般が一体どのように受けとめるかというようないろいろな角度からの非常に慎重な検討なり判断なりが必要でございまして、私どもはただいまのところは幼児教育に関してそういった方向一つの形をつくっていくということはまだ考えておらないわけでございます。
  24. 中馬弘毅

    中馬委員 私があえてここをこうして質問しているのは、幼稚園助成ということに対しての理念が何か一貫してない、そこがはっきりしてない点に問題があろうかということで、そこをはっきりさせてもらいたい気持ちで質問しているわけでございます。行政立場とは離れて、これを御提案になりました西岡先生教育ということについては一つの非常にはっきりした理念をお持ちでございますし、また確たる信念の持ち主でもございます。これを御提案になりましたお立場として、幼児教育、五歳児教育に対して、私が申し上げました、あるいは中教審がこうして出しておりますことの延長線におきましてどう位置づけたらいいのか、個人的な見解で結構でございますから、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  25. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  憲法二十六条に基づきまして、教育基本法四条がこれを受けまして九年間の普通教育義務教育とするということが定められているわけでございます。ただいま中馬委員指摘の問題は、教育というものが心身発達段階に応じて行われるべきものであるということを前提といたしますと、満五歳の児童に対してこれを義務教育化すべきであるかということについては、わが国におきましては幼児教育考え方について、なおいろいろな御意見があるわけでございます。これを義務教育として位置づけるかどうかということについては、決定的な国民的な合意あるいは義務教育を何歳から開始すべきであるかということについての結論が得られていないというふうに私は現状判断いたしておるわけでございます。そういうことを前提といたしまして、なお幼稚園就園をさせたいという国民の多くの皆様方の期待に行政としてはこたえる、そういう施策を進めるべきであって、そのこととこれを義務教育の中に制度として組み入れるという問題は別個の問題として考えていいのではないか、このように考えております。
  26. 中馬弘毅

    中馬委員 これを義務化するかどうかという問題とは別に、この中教審答申が言っているように、行政立場として義務を負うという意味であえて申しているわけでございますけれども、そうしますと就園者と非就園者、三五%の非就園者、あるいは保育所を除けば約一〇%、何十万人になりますか、この方々との間に不公平が出てきはしないか就園している人は、国民の税金でもって助成を受けている、そしてそれによって授業料といいますか入園料負担も軽くなっている、しかし、そこに希望しても入れない現実があるわけでございまして、そういう人たちに対しては、何の助成も行われない。法というのはやはりその条件にあてはまる人にすべて均てんするのが法体系だと思うのですね。しかし、それが現実にできていないというのは、若干のこういうトラブルが起こってきますし、またその方々の不満も出てこようし、法的な意味で今回のこの改正以前の問題でございますけれども、あり方がいいのかどうか。自治体義務を負うのであればそのことをはっきり位置づけてしまって、就園を希望する人たちは、少々山の中であっても無理してでも、三人か五人の者でも収容できるような小さな育児所みたいなものをつくるか、あるいは行かない人たちに対して何らかの、金銭的なものでいいかどうかは別でございますけれども、いずれにしてもそういう、これにかわるような恩典がちゃんと施せる、そのようなことの対策が必要ではないかと思うのですが、いかがでございますか。
  27. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  一つはすでに中馬委員御承知のとおり、幼児教育についての行政実態というものが、それぞれ幼稚園保育所との設置された目的というものは異なっているわけでございますけれども実態としてはかなり部分保育所幼稚園化という実態が進んでいるという状況の中で、行政が二元的に現実の問題として行われているという問題点現実存在をしているわけでございます。  したがいまして、先ほど初等中等局長からも御答弁がございましたように、現在幼稚園保育所とを合計をいたしますと、満五歳児の幼稚園への入園保育所への入所ということを合計いたしますと八九・八%の五歳児がすでに幼稚園ないしは保育所に通っているという実態があるわけでございまして、通いたくても通えないということが現実存在をしているということについては、御指摘のとおり、何らかの行政的な措置が行われなければならない。すなわち保育所ないしは幼稚園についての設置基準等についても特例の措置を設けてこれに公的な助成を行うというような行政的な配慮が行われてしかるべきではないかという意味での御指摘であろうと思いますが、これは中馬委員指摘の問題は十分検討しなければならない行政の今後の課題である、このように考えております。
  28. 中馬弘毅

    中馬委員 ぜひそのような形で、行政義務としてでも、地域的にその恩恵を受けない、あるいは公立が未設置であってその恩恵に浴しない、あるいはまた負担の問題等々いろいろありましょうけれども、この方々に対する一つ行政としての義務を果たしていただきたいとこいねがうわけでございます。と同時に、今度は就園した方々の中でも公立私立費用負担かなり違っております。明らかに一つ教育理念を、それぞれの園の特色を求めて、父兄がそこにあえて高い費用負担を払ってでも就園させようという場合はもちろん別でございますけれども、少し差があり過ぎるのではなかろうか。その差があり過ぎるというのは、私学幼稚園が高過ぎるという意味ではなくて、逆に公的な幼稚園入園料ないしは授業料というのですか、これが安過ぎるということも一つの見方としてはあろうかと思うのです。受益者負担といったような形から考えましても、この差があり過ぎる点をどのようにお考えになるのか。そしてそういう意味から言えば、先ほど私が申しましたような意味で、公的なものが十分に設置できないがための、国の役割りとして、負担を軽くする私学補助の必要性というものはもちろん認めるわけでございますけれども、そのところをもう少し明確にしておかないと、何か幼稚園であれば国が全部めんどうを見るというような形になってしまうので、その辺のお考えをひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  29. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  中馬委員指摘問題点は、確かに公立幼稚園私立幼稚園幼児児童を通わせる家計の負担について非常な不公平が存在をしている、これはかねてからの懸案でございまして、できるだけこの格差を是正しなければいけないということで、今日まで自民党といたしましても努力をいたしてまいりましたし、また文部省としても行政的な努力をしてきたところでございますが、その一つの柱として私学振興助成法の中に幼稚園に対する国の補助というものも行うという措置をとるということを法において定めるということを行い、一方におきまして予算措置といたしましては就園奨励費というような制度も設けまして、これについては公私立のそれぞれの家計の収入の差に応じて公私について差をつけて就園奨励費を支給するというような施策も同時並行的にとってきているところでございます。ただ、そういう施策をとってまいっておりますけれども、なおかつ公私について家計負担の不公平が存在をしているという現実は認めざるを得ないわけでございまして、今回御提案を申し上げました三年間の法の延長が各党の御賛同をいただいて成立いたしました暁には、この三年間に家計負担の公平のあり方という問題も含めて解決を図っていかなければいけない、このように考えております。
  30. 中馬弘毅

    中馬委員 この法案のことに少し入りますが、いままで法人化がかなりのゆとりの期間を与えてやったにもかかわらず進まなかった理由をお聞かせ願います。
  31. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 現在、五十六年三月末現在で補助金を五十一年度から受けております個人立幼稚園学校法人化がなお困難であろうというように見込まれております幼稚園が五百園足らずあろうかというように推測を立てておるわけでございますが、このことにつきましては、それぞれの個人立幼稚園学校法人化を目指しまして懸命な御努力を重ねておるわけでございますが、何よりも一番の問題は、基本におきまして学校法人教育に必要な校地、校舎を自己所有するという原則がございます。これに対しましては、それぞれ学校法人化に際しましての緩和措置等を進めまして、たとえば自己所有の園地面積は二分の一まででよろしいというような緩和措置もとってまいってきておるわけでございますが、なお幼稚園を取り巻く客観情勢にかなり法人化を困難とする要因がございます。幼稚園に入学する園児の絶対数の相対的な減少傾向がこの間にあったということ、また、個々の幼稚園を取り巻く環境の中になお園児数を築き上げる家族構成等に流動的な面がございます。人口集中等の移動の問題がそれなりになお流動的でございます。また、大家族形態から核家族形態へということの大きな変化がございます。それらのもろもろの面から将来にわたって幼児数の減少が予測以上であったという園もあるわけでございまして、そういう中でそれぞれの設置者の方々、またもとより教育は人にありでございますから、それぞれ将来の幼稚園教育の永続性、安定性を期して大変な努力をされておりますが、なお努力にもかかわらずその実現を見ないということが、先ほど申しましたような状態でございまして、個々の学校法人化につきましては、さらにこれらの幼稚園側の努力、また周辺の環境情勢の安定化、またそれとの調和というようなもろもろの問題があろうかと思う次第でございまして、これらに関しまして私ども行政立場からも、より実態を十分踏まえた適切な対応、指導がこれから一層必要になってくるというように感じておる次第でございます。
  32. 中馬弘毅

    中馬委員 この法人化が進まなかったいろんな理由を挙げられましたけれども、それぞれの園の経営者の立場もわからぬではないのですが、しかし、一部に善良な方々でそして一生懸命いまも努力なさっている方ももちろん多いでしょうが、かなり個人資産的な、これが法人化されてしまって今度それを自分が売る場合に困るのだといったような、かなり私利に走った考え方があることも現実の問題として聞いているわけでもございます。そのような方が幼稚園経営、幼稚園教育ということに従事されることがいいのかどうか。そしてそれを認可することの是非、これはもちろん悪いことなんですけれども、それをどういう形でチェックできるのか。幼稚園の認可基準といったものに何か問題はありはしないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  33. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 幼稚園の全体の普及という問題が四十六年から十年計画で進んできております。国公私立含めまして、四十六年に一万一千の幼稚園がございました。これが現在一万五千の幼稚園に普及を見ておるわけでございますが、このうち公立につきましては二千校の増を見ております。それから私立幼稚園につきましては千九百校ほどの増を見まして、一万五千のうち八千九百近くの幼稚園私立幼稚園でございますが、この十年間に学校法人立幼稚園は約三千法人ふえてきております。これは五十一年以降、私学振興助成法の制定を見まして、この法律のたてまえとして、個人立幼稚園で補助を受けましたものは一定の期限内に学校法人化を義務づけるという学校法人化促進への基本政策がこの立法措置によって立てられました。そのこともございまして、以後新しく幼稚園を開設するところにつきましては、各都道府県におきましてこれを学校法人立で認可していくということの基本姿勢がとられております。その面もございまして、この十年間に三千からの学校法人がふえまして、いま全体といたしまして私立幼稚園の五七・六%が学校法人立幼稚園になるということでございます。十年前はこの学校法人立の占める割合は三〇%台でございましたが、いま過半数を超えるというような実態になってきておるわけでございまして、この間、具体に個人立幼稚園から学校法人化を図りましたという幼稚園も七百三十ほどの進展を見てきておるわけでございます。  このように私学振興法の制定によりまして、学校のあり方の基本に立った立法政策ということの進展から、いま申し上げましたような体制でのそれなりの意味を持った幼稚園の普及と同時に、幼稚園教育のより安定化、永続性の裏づけが進みつつあるというように受けとめておる次第でございます。
  34. 中馬弘毅

    中馬委員 私が言ったことと全然違う御答弁をされていますけれども、ちゃんと聞いてやってください。  要するに、そのような利益目的幼稚園という幼児教育の大事な場面に出てこられる方を安易に認可してしまっていることに問題がありはしないか、いままで法人化が進まなかったことに具体的にどういう指導をしてきたのか、その反省に立って今後三年間延ばしたときにそのような人がまた安易にやってくるようではいつまでも法が守られないということになってくる、そのことを恐れるが余り、いまのような認可基準までもはっきりする必要があるのじゃないかということをお聞きしているのですけれども、いまの御答弁は何ですか。
  35. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 もとより認可に当たりましては、幼稚園設置基準に照らしまして要件を備えておるということの上に立って認可をいたしますし、また、新たに学校法人の法人格を付与する認可に当たりましては学校法人の認可基準に準拠してこれを扱っていくということが当然行われておる次第でございまして、五十一年以降、各都道府県はそれぞれ幼稚園の新設に当たりましては学校法人立幼稚園を認可していくというたてまえで、この面の幼稚園教育の普及と同時に充実を図っているということを先ほどお答えいたした次第でございます。  なお、従来戦前からの長い歴史がございまして、幼稚園につきましては、今日なお四二%という幼稚園個人立あるいは宗教法人立等の設置形態で幼稚園教育をそれなりに伝統と歴史を持って続けてきておられるわけでございまして、これらの個人立宗教法人立等の幼稚園学校法人化の促進策が課題としてあるわけでございます。その面の学校法人化の促進というような点も十分配慮いたしまして、私学振興助成法による経常費補助の実現、あるいはより幼稚園教育の父兄負担の軽減に資する就園奨励費の補助、あるいは私立幼稚園の整備のための施設整備費の補助等の施策がそれなりに行われておるわけでございまして、私ども、それぞれの幼稚園はそれなりに幼稚園教育重要性、人間形成における幼児教育重要性観点に立たれて努力されておるというように理解しておる次第でございます。
  36. 中馬弘毅

    中馬委員 提案者の西岡先生にお聞きした方がいいかもしれません。いままでかなり安易に、少し土地があるからというような形で幼稚園をやられてきた方も、不まじめな方だけとは申しませんけれども、中にはそういう人たちも安易に幼稚園という場面に出てこられたのではなかろうか。そういうことがこういう結果を招いておるわけでございまして、今後その反省に立って、学校法人の認可ではなくて幼稚園設置することの是非といった意味での当初の認可、そのあたりにもう少し配慮が必要ではないかと思うのですが、いかがでございますか。
  37. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  先ほど来管理局長から御答弁があっているわけでございますが、中馬委員御承知のとおり、文部省といたしましては学校法人としての認可基準、また昭和三十一年に文部省令で定めておりますところの、その後改正が何回か行われております幼稚園設置基準、これはかなり詳細にわたってその設置基準が定められているわけでございます。その設置基準に基づいて都道府県においてこれを認可することになっているわけでございまして、都道府県の幼稚園設置基準についての監督、認可についての基準の厳守等の行政が適確に行われているであろうという前提に基づいて、文部省といたしましては行政としてこれに助成、補助を行われているものであろう、私はこのように判断をいたします。  もう一つ問題点は、先ほど中馬委員指摘のございました問題と、実は率直に申し上げて場合によっては相矛盾するわけでございますが、離島あるいは僻地等において幼稚園をどうしてもつくってもらいたい、しかし人数等が少ない、設置基準に合った幼稚園をつくることがなかなかできないという中で、それでもなおかつ幼稚園を求めるというような場合に、行政としてどのような弾力的な配慮がなされるべきであるか、物理的な条件を整備するということと、幼稚園教育についての精神的な面ですぐれた幼児教育が行われるということが必ずしも一致しない場合もあるわけでございまして、そうした問題がこれからの幼稚園行政を充実させていく上での非常に大切な検討しなければならない問題点ではないだろうか、このように考えております。
  38. 中馬弘毅

    中馬委員 文部省が直接手を下すことじゃないかもしれませんけれども、各自治体がそういった幼稚園基準をもう少し厳格に適用して、安易な形での、利益追求の意味での幼稚園をふやすことのないように、ひとつ要望いたしておきます。  今後三年延長してもなお法人化しない幼稚園に対する処置は何かお考えでございましょうか。
  39. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  今回お願いを申し上げております三年延長について各党の御賛成をいただきまして延長が認められました暁には、三年間の延長ということを厳守して当然行政が対応されるべきものである、このように考えております。
  40. 中馬弘毅

    中馬委員 では、今後の補助金の問題でございますけれども、善良にも法で定められたとおり実行した園と、実行せず今後も補助金をもらうものとの間に何らかの格差をおつけになりますか。
  41. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 振興助成法の規定によりまして五年間という期限の中で学校法人化を図っていくことの義務づけがされたわけでございまして、努力にもかかわらずなお法人化の実現を見ないところにつきましては、今回の改正によりまして三年の猶予期間ということ、あるいは六十年の三月末日までの猶予期間の間に最大限の努力を払いまして学校法人化を実現していくことにつきまして、設置者はもとより、監督庁であります都道府県知事あるいは文部省もそれぞれの責任があるわけでございまして、私どもこの立法の趣旨を十分踏まえ、この具体化、顕在化につきまして努力をする必要があろうということでございます。その努力の中において、委員会での御論議の過程で種々の御示唆、御意見も賜っておりますので、これらの面も十分踏まえ、適切な推進の促進のための施策につきましては都道府県とも十分協議を重ねて誤りなき対応をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  42. 中馬弘毅

    中馬委員 法律の番人は裁判所でしょうけれども教育の番人は文部省だと思うのですね。政治というものはかなり現実妥協も必要でございます。しかし、そういった中にあっても一つのはっきりした筋を通してやるのが、それこそ教育の番人である文部省の役目だと思うのです。この法案がいわゆる通産省や運輸省、それにかかわる問題として出てきた法案であれば、僕はそう余りむずかしく考えなくてもいいかと思うのです、現実対応の方を重視して。しかしこれは文部省にかかわる、教育にかかわる問題でございます。そうしますと、学校では、約束は必ず実行しましょうとか、決まったことは必ず守りましょうということを教えている、これが学校じゃないですか。その教育の根本の立場にある、そしてそれを教育の番人として監督している文部省が、この議員立法のこの点だけを問題にするならば、もう少しはっきりしたものを出されてよかったのじゃなかろうか、態度として。こういうのはどうもすべきではない。もしする場合にははっきりと、さっき僕が申しましたように、善良にもいままでやってこられた方と、しかし、現状の園児のことあるいは父兄のことを考えた場合に今後も延ばすことはもちろんある程度必要であろうけれども、そこにはひとつ何らかの格差をつけるとかいったようなけじめがあってしかるべきだと思うのですけれども、そこはいかがでございましょうか。
  43. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 先生指摘のとおり、学校教育それ自体、人間を育てるという大変大事な仕事でございます。そのゆえに学校設置者または学校を経営される方々はほとんどの学校が、その教育がより実効が上がること及びこれが末永く続く永続性と安定性を期して御努力されておるというのは当然でございます。その面から、経常費助成個人立幼稚園にも及ぼすということは、これは議員立法で成立いたしました振興助成法趣旨もまた幼稚園教育の充実と同時に永続性、安全性を保障するということにつながる御趣旨のものでございまして、私どもこの補助金の執行に当たりましては、都道府県がその基本姿勢に立って助成されるということを常々指導してまいった次第でございます。  具体に先生指摘のとおり、学校法人化できなかったものに対して今後助成するに当たって補助金に格差をつけるかという問題でございますが、五年間の期限の中で努力にもかかわらず法人化ができなかったというところには、それなりに大変いろいろの多種多様な事情があると思います。基本においてそれなりにむずかしい困難性を持っておるということであろうと思いますので、私ども、これから新しく法人化を志向して補助対象を五十七年度から新しく受けるというところと、従来五年を経過してなお三年間の猶予期間に法人化を図る努力をするものとの間に補助金の格差をつけるということは、技術的にも困難でございますので、いまのところこの面につきましての考え方を持っておりませんが、今後猶予期間において学校法人化の実現をより顕在化していくということの方途につきましては、いまの御意見も含めまして都道府県と十分協議をさせていただきまして、適切な対応をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  44. 中馬弘毅

    中馬委員 あえて申しますけれども、ここで正直者はばかを見るような形あるいは何か違法者が得をするような形というのはまずいのじゃなかろうか。これはあしたからでもその方が法人化されれば、ちゃんと補助金は満額出るわけですから、それを促進させる意味においても何らかの格差をつけた方がいいのじゃなかろうか。それでなかったら、三年間また従来どおりもらって、結局いろいろ地域の事情があったりしてできませんでした、しかし子供たちに迷惑をかけることはいかぬということで、また延長ということに現実問題としてなる可能性が高いじゃございませんか。その点どうですか。
  45. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 先生の御指摘の点、十分理解できるところでございますが、それぞれ学校法人化への補助を受けられた幼稚園はなお努力を重ねられておるわけでございまして、この面大変いろいろな困難な要素があるわけでございます。その困難な要素を乗り越えて改めて学校法人化への御努力を重ねられる、それにつきましてそれを助長していくという面からもこの経常費助成ということの大きな意味があり、またそれは不十分ではございましたが、先ほど申し上げましたとおり、六百数十園が五十一年からの補助金を受けました間に学校法人化してきたという実績もそれなりに進んでおるわけでございまして、私どもこの立法の趣旨というものを踏まえますと、何か個人立のままであるということそれ自体は、百二条で当分の間認められておるわけでございます。しかし、学校法人化して、その自分がつくった幼稚園がより永続していく、あるいは安定していくということの願いはそれぞれの設置者の方に当然にあるわけでございまして、この間学校法人化がされた、また、経常費助成の効果もありまして学校法人化がされたということは、私どもは決してそのことが損をしたというような観点の問題ではない、これは私立学校というものが公の性質を持つものであるという、その基本の形態を実現されたわけでございまして、それ自体、学校教育を推進していく設置者としての形態を整えられたということで、その限りにおいておめでたいことでございます。他の者がそこに行かないということとの間の不公平論というものはそれなりにまた見方としてはあるかと思いますけれども、それは学校法人という、学校教育が本当に永続性をもって安全性を確保しながらという設置形態を実現されたということは、これは大変喜ばしいことでございます。     〔委員長退席、中村(喜)委員長代理着席〕 その面において不公平論というのは解消するのではないか、甘いかもしれませんけれども、そういう考え方基本文部省としては持っておる次第でございます。  なお、今後五百園足らずの園につきまして、明らかに学校法人化が無理であるというところにつきましては、それなりの御意思の表示があって、都道府県はそれなりの対応をしていくと思いますが、この辺につきましてはこの委員会でも種々御指摘もございます。都道府県とその辺の実態把握につきましての努力を十分重ねていきたいと思っておる次第でございます。
  46. 中馬弘毅

    中馬委員 そこまでおっしゃるのなら、あえて申しますけれども、三年たっても法人化されないところには、はっきりと補助金を打ち切ることはお約束されますね。
  47. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 この振興助成法立法政策は、個人立幼稚園に対しましても、その幼稚園教育教育条件維持向上を図る、また、父兄の、保護者の経費負担の軽減を図る、と同時に、幼稚園の経営の健全化を図るという観点助成が個人幼稚園にも適用されるということでございます。  同時に、その補助金を受けた幼稚園は、設置者の変更を行いまして学校法人とすることを義務づけられたものでございますので、この猶予を与えられました期間になお学校法人化が実現しないという時点につきましては、私ども行政の責任としては、この立法政策趣旨からも当然に補助金を打ち切らざるを得ない、そういうように解するのが至当であろうというように考えておる次第でございます。
  48. 中馬弘毅

    中馬委員 提案者の西岡先生にもお伺いしておきますけれども、今回は本当に異例の措置として、父兄や園児に混乱を起こさせたくないという気持ちもございまして、これの趣旨はわれわれも理解するところでございますが、いま言ったようなけじめというものを、従来五年間というような期間がありながらそれをされなかった、しかし、今後もそれをせずに補助金をもらい続けようという方との間に何らかの格差をつけてでもそれを促進させなければだめじゃなかろうかということと同時に、今後再度延ばすようなことがありましたら、それこそ法の遵守の一番の手本とならなければならない教育の根本を預かっております文部省としても、国民から非常に信頼をなくしてしまうことにもなりますので、再度延長することは一切ないということを明言されますでしょうか。
  49. 西岡武夫

    西岡議員 お答えをいたします。  今回、三年間の延長をお願いをいたしまして、各党の御賛成をいただきましてこれが実現いたしました暁には、再延長をする考え方は全くございません。  なお、前回の委員会におきましてもお答え申し上げましたが、今回の措置につきましては、それぞれの幼稚園個人立宗教法人立幼稚園の皆さん方が学校法人化を目指して努力をしていただいているということは、昭和五十三年に個人立から法人化になられた幼稚園が百四十三、昭和五十四年にこれが百六十三、昭和五十五年に百九十二の園がそれぞれ学校法人化をしてきておられるわけでありまして、そういう意味においては、この法の趣旨にのっとってそれぞれの個人立宗教法人立幼稚園が法人化を目指して努力をしていただいているということを私どもとしては信じて、今回の施策をさらに三年間延長させていただきたい、このように考えているわけでございまして、この三年間の延長の期間の間に格差を設けるということについては、先ほど管理局長からもお答えがございましたように、行政の技術的な点から申しましても、率直に申し上げて困難ではないであろうか、このように考えております。
  50. 中馬弘毅

    中馬委員 いずれにしましても、こういった一つの決まったものを安易な形で、しかもまじめにこれを遵守された方々に逆に不満に思わせてしまう、このようなことがないように、今後の一つ日本の大事な教育の問題でございますから、ここをしっかりと踏まえて、同時にそういった意味での行政をやっていただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。
  51. 中村喜四郎

    ○中村(喜)委員長代理 湯山勇君。
  52. 湯山勇

    ○湯山委員 さきの委員会におきまして、中西委員から学校教育法第百二条一項の規定についての質問がございました。今回の問題の根源はやはりここにあると思いますので、このことについて若干のお尋ねをいたしておきたいと思います。  百二条一項の規定によれば、私立幼稚園それから盲学校、聾学校、養護学校については「当分の間、学校法人によって設置されることを要しない。」、つまり例外規定が認められております。  そこでお尋ねしたいのですが、「当分の間、」というのは一体いつまでのことを言っておるのか、どう考えているか、これをお伺いいたしたいと思います。
  53. 三角哲生

    三角政府委員 「当分の間、」という、いま湯山委員、例外規定とおっしゃいましたが、こういう形の条文はほかにもあるわけでございますが、「当分の間」という場合には、いつまでということが決まっていない、そういうことであるから「当分の間」、こういうふうに表現をするというのが通常でございます。
  54. 湯山勇

    ○湯山委員 永久に「当分の間」というのでやってもいいのですか。
  55. 三角哲生

    三角政府委員 永久と申しますと、本当に悠久の、私ども有限の在存からは考えられない、そういう期限になりますが、それは理論的な問題としてはそういう場合も全然排除する、こういうことではないと思っております。
  56. 湯山勇

    ○湯山委員 この百二条一項について、これはいま検討する余地はないのですか。
  57. 三角哲生

    三角政府委員 このような規定が設けられましたのは、この法律制定当時のいろいろな実態を踏まえて、必要なこととしてこの規定が設けられておるのでございますが、現状におきましても、先ほど来御論議のありました幼稚園について特にそうでございますが、若干の特殊教育学校についても学校法人以外の設置者によって設置をされ、そしてそれぞれ大切な教育的あるいは社会的機能を果たしておられるものが現にありますので、この規定を改めると申しますか、あるいは「当分の間」ということについて、これを有限に、近い将来の有限な課題として考えるという検討は、いまの段階ではまだ無理な状況にあると思っております。
  58. 湯山勇

    ○湯山委員 それじゃお尋ねいたします。  この百二条一項の規定によれば、対象は幼稚園それから盲学校、聾学校、養護学校となっております。  幼稚園に法人によらない幼稚園がある、これはいま論議されておりますから、当然あることはわかりますけれども、盲学校で該当するのがありますか。
  59. 三角哲生

    三角政府委員 ただいまの時点で、学校法人によって設置をされていないものは、養護学校三校でございまして、盲学校、聾学校私立でございますけれども、これらは学校法人によって設置されております。     〔中村(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
  60. 湯山勇

    ○湯山委員 もう一遍言いますよ。私が聞いたのは、盲学校で、ありますかというのを聞いているのです。
  61. 三角哲生

    三角政府委員 盲学校では本条該当のものはございません。
  62. 湯山勇

    ○湯山委員 次、聾学校ではどうですか。
  63. 三角哲生

    三角政府委員 同様でございます。
  64. 湯山勇

    ○湯山委員 それじゃ盲学校、聾学校は百二条一項の該当校はないのですよ、局長。それなのに百二条、これは検討の余地はないというのはどういうわけですか。何の効果もない、役に立たないもの、「当分の間、」を何で置いておくのですか。
  65. 三角哲生

    三角政府委員 これらにつきましては、委員の御主張の意味合いはわからないわけではございません。現実にないのですから、要しないという規定を設ける必要がないではないか、こういうことでございますが、しかし、こういう規定が残っておって、そしてそのために弊害があるということでもございません。それは規定の整理ということでそういうポリシーをとるということは可能かと存じますけれども、私どもは、現にこの規定の改正ということをその部面だけでやるということ、これはやってやれないことではないと思いますけれども、いまのところは考えておらないのでございます。
  66. 湯山勇

    ○湯山委員 怠慢じゃないですか。
  67. 三角哲生

    三角政府委員 先ほど申しましたように、状況がすでに本則の状況になっておりまして、そしてこの規定がありましてもそれは働いておらないわけでございます。一切、そういうすべてのことを、そのときそのときに規定の上であらわすということは、必ずしもこういった法律、現在の実定法のあり方の上からいって、どうしてもそうしなければならないということでもなかろうという考えでございます。それは適当な機会がございまして、それを実態に合わせて直すということ、それは検討課題としていいと思いますけれども、いますぐこれをそれに合わせなければ怠慢であるというふうには考えておりません。
  68. 湯山勇

    ○湯山委員 何を答えたのかちっともわからないのですが、提案者はどう思いますか。西岡さん、これはもう要らぬでしょう。今後も使うことないのですよ。
  69. 西岡武夫

    西岡議員 私学振興助成法改正、延長をお願い申し上げております提案者の立場といたしましては、ただいまの御質問について直接かかわりのあることではございませんが、御質問でございますので、あえてお答えいたします。  私は、湯山委員指摘のとおり、実態として存在をしていない、またこれからもその規定が生きる可能性が考えられないと考えますので、そういう意味におきましては、学校教育法の別の面からの改正が近い将来行われるときには、あわせてこの規定、この項目を削除するという法改正が当然行われてしかるべきである、このように考えます。
  70. 湯山勇

    ○湯山委員 初中局長、この規定は、本来学校教育法の本旨ではないのですよ。望ましいことではないのです。法人によってつくられることが望ましいから、私学振興助成法においてもいまのような除外規定を設けて、法人志向の幼稚園に対しては助成する。それにはいまのように、法人志向という条件をつけている。法人であることが望ましいので、この規定を永久に置くとか、いま局長が言うように置いておく、変える意思、検討する意思がないというのは、本当の趣旨をわきまえてないのじゃないですか。法人になることが望ましいのでしょう。どうなのです。
  71. 三角哲生

    三角政府委員 学校教育法の基本的な原則は、本則に示されておりますとおり、学校は、国または地方公共団体または学校法人によって設置されるべきである、こういうことでございます。おっしゃいますように、一つの例外としてこの百二条の一項の規定があるわけでございます。本則に状況を近づけていくということは一つ課題でございますけれども、ただ、この百二条があります間は、これを整理するかどうかについて、一つのプロセスとしては検討をしなければならない問題もあり得ると思うのでございます。たとえば、いま御指摘のように、盲、聾学校がないではないか、こういうことでございます。養護学校は社会福祉法人立のものがある、こういうことでございますが、たとえば盲学校なり聾学校なりを宗教法人なり社会福祉法人のような団体が建てたいということは、現在、この附則があるということで可能なわけでございます。そういうことが可能な道を閉ざすことがいいかいか、これはこれでまた検討しませんと、いまないから即座に本則一本でいっていいかどうか、やはりそういう過程も経なければならないと思っておる次第でございます。
  72. 湯山勇

    ○湯山委員 御答弁が少しもわからないのですがね。西岡さんもあれだけはっきり、将来もその可能性はないと言っているし、私もそう思っているのです。検討段階じゃないと言いながら、いまの御答弁では検討検討と、そればかりたくさん言われて、これもわけがわからないのですが、私はもっと重大な問題があると思うのですよ。  盲、聾、養護学校義務制になったのは一体いつですか、局長
  73. 三角哲生

    三角政府委員 盲学校、聾学校はたしか二十三年に義務制が発足いたしまして、完成したのが三十一年ではなかったかと思います。養護学校につきましては、五十四年度から義務化をしたわけでございます。
  74. 湯山勇

    ○湯山委員 だから、そこにはっきり区別がありますのと、それから幼稚園義務制ではないのです。したがって、義務教育になればやはりきちっとした教育基本的な形態をとるというのが重要なことなんで、その義務制の学校がこんなように実態として役に立たない法律の枠をはめられているということは決してよくありません。これを一つ指摘しておきたい。  第二は、国際障害者年というのが昨年ありました。この盲、聾、養護、いずれも障害者です。障害者教育にこういう扱いというのは差別しておるのですよ。盲、聾について、これは本来のものじゃないのだけれども実態のない百二条によって、例外規定で認めてあげるというのは、ある意味で差別なんです。障害者年に当たってそういうことを考えなければならないのが文部省立場、それはどう考えますか。
  75. 三角哲生

    三角政府委員 私どもは、差別であるということは毛頭考えておりませんし、そういう認識が生ずるということは思ってもみないことでございます。  さらに、現在、社会福祉法人という形で養護学校をやってくださっておるところがあるわけでございますが、養護学校のようなものにつきましては、社会福祉法人の事業と密接してそういう教育を行うということが現実としてやはりふさわしい場合もあるわけで、現に一生懸命やってくださっているところが三校ございます。これをしても私どもは差別というふうにはとっておりませんのでございます。
  76. 湯山勇

    ○湯山委員 いま養護学校のことを言っておるのじゃないのです。養護学校についても言わなければなりません。しかし、幼稚園の場合も、法人が設立しておるものと法人化されてないものが設立しておるものとの間には差別があるでしょう。西岡さん、どうですか。仮にいまの助成法があったにしても、法人立でないものは条件をつけられておりますね、法人化されておるものと比べて。差別はあるでしょう。
  77. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  先ほど御答弁申し上げましたように、私といたしましては、湯山委員指摘のとおり、この項目につきましては、学校教育法に何らかの改正が他の項目について行われるときには、当然同時に改正されてしかるべきである、このように考えております。
  78. 湯山勇

    ○湯山委員 初中局長幼稚園で、学校法人が設立しておる幼稚園は無条件助成がもらえますよね。現行法によって助成されますね。それから非法人の設立しておる幼稚園については、助成をもらうためには五年以内に法人化しなければならないという条件がつけられておりますね。したがって、助成の扱いにしても、非法人のつくっておる幼稚園と法人のつくっておる幼稚園とでは差別があるでしょう。いかがですか。
  79. 三角哲生

    三角政府委員 これは御指摘のように、設置形態に基づきます取り扱いの差異でございます。差別というと何か一方を卑しめているような語感が伴いますけれども、そういうことではございません、設置形態に基づく取り扱いの差異である、こう思っております。
  80. 湯山勇

    ○湯山委員 私は、これが議員立法審議でなかったら、ここで委員会をとめます。そういう重大な問題です。しかし、提案西岡議員ほか自民党の皆さんの御提案ですから、委員会をとめるということはしませんけれども、初中局長の認識は全然なっていません。そういうことでこの百二条一項を見ているのだったら、これはもう障害者教育なんというものはあなたの頭にはない。それから差別というものの認識——一体、障害者年のスローガンは何ですか、初中局長
  81. 三角哲生

    三角政府委員 昨年の障害者年で言われましたのは、完全参加と平等、こういう言葉でございます。
  82. 湯山勇

    ○湯山委員 扱いに違いがあるというのは差別でしょう。
  83. 三角哲生

    三角政府委員 言葉の意味はいろいろとり方がございますから、そういうふうにも申せると思います。
  84. 湯山勇

    ○湯山委員 まあ、そこまで局長が言われるのなら、それでいいことにします。  大体予定時間が来たようですから、ここで休憩にしていただいてどうでしょうか。
  85. 青木正久

    青木委員長 午後二時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議
  86. 青木正久

    青木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。湯山勇君。
  87. 湯山勇

    ○湯山委員 午前中に学校教育法百二条一項について、すでにもう死文化している部分があるということから、その検討の必要があるのではないかということでお尋ねをいたしてまいりました。大変念入りな御答弁をいただいたので予定時間の倍くらいかかっておりますが、実はお聞きしたいのはむしろその次であったわけです。というのは、なお百二条一項で残っている養護学校についてですけれども、時間がありませんので、これは意見を申し述べて済ませたいと思います。  養護学校は社会福祉法人立が三つあるということでございました。社会福祉法人というのは、中央省庁で言えばどこの所管になり、県段階ではどこの所管になりますか。
  88. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 社会福祉法人につきましては厚生省所管でございまして、また県段階ではたしか知事部局の民生部が所管されておると思います。
  89. 湯山勇

    ○湯山委員 学校法人はどうなっておりますか。
  90. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 学校法人の所管は、大学、短期大学、高等専門学校設置する学校法人につきましては文部大臣が監督庁でございます。高等学校以下の学校設置する学校法人あるいは専修学校、各種学校で、いわゆる準学校法人としての法人格を付与されたものにつきましての所轄庁は都道府県知事でございます。それぞれ知事部局におきまして所管をいたしております。
  91. 湯山勇

    ○湯山委員 たてまえとして、学校法人というのは直接間接に文部省の所管下にある、それから社会福祉法人というのは厚生省の所管下にある、こういうことですが、ここで先ほどの初中局長の御答弁では、この百二条一項を置いておかなければならない理由として、養護学校等は社会福祉法人で非常にうまくいっておるということでございました。しかし問題は、養護学校義務教育です。その義務教育機関設置しておる主体は、教育ですから当然学校法人であって文部大臣であるべきだと思いますけれども、それが厚生大臣の所管であり、都道府県においては民生部所管であるということは、やはりいい形態ではないと私は考えます。百二条の一項は義務教育でない間の規定であって、義務教育を文部大臣が所管するというのは原則であって、義務教育機関設置者である法人が社会福祉法人であって厚生大臣の所管下にあるという形は、義務教育としては好ましくない。このことについていろいろ質疑応答をするつもりでおりましたけれども、私の考えを申し述べまして、午前中のに加えて検討の必要があるということを申し上げたいわけです。  つきましては、ひとつ西岡提案者、いまのことについてはどうお考えでしょうか。
  92. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  湯山委員の御意見に賛成でございます。
  93. 湯山勇

    ○湯山委員 どうもありがとうございました。西岡さんだと五秒くらいで済むのですけれども、初中局長だとずいぶん時間がかかる。いまのようなことですから、ひとつ今後御配慮を願いたいと思います。  さて、その次に、具体的に法案についてお伺いいたしたいと思います。  これで最初の段階助成を受けるようになった千九十五ですか、ありますね、これがいまどうなっておりますか。途中でどうなったかも含めて御報告願います。
  94. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 先生お示しのとおり、五十一年度補助を受けました幼稚園が千九十五園ございます。いずれも学校法人化することを志向して努力を重ねてきたわけでございますが、すでに五十五年度末におきまして学校法人化を実現いたしておりますところが四百六園でございます。それから、この間補助金を辞退いたしました幼稚園が四十三園、それから、種々の事情によりまして幼稚園を廃校したところが十四園でございます。したがいまして、未学校法人化の状態に五十五年度末にございますところが六百三十二園の状態になっております。  なお、文部省で、本年の五十七年一月末現在で都道府県から事情報告を受けました結果におきまして、この六百三十二園のうち、四百七十八園は五十六年度末までに法人化することが困難というように推計されております。  以上でございます。
  95. 湯山勇

    ○湯山委員 辞退の理由はどういう理由でしょうか。
  96. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 学校法人化が努力にかかわらず実現していないという実態につきましては、その事由も多種多様でございますし、またその事由が重なり合って複合しているなど、一様ではございませんので、これの分類がなかなか——失礼いたしました。辞退の理由は、当初学校法人化を志向しておるということでございますが、種々の事由から、必ずしも学校法人化の実現を早急に一定の期間内に図ることが困難というようなことが主な理由ではないかと推計されます。
  97. 湯山勇

    ○湯山委員 助成を受ける手続、それはどういう手続がとられておりますか。
  98. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 学校法人化を志向いたします幼稚園が県に補助金の交付申請を行います。県は、申請のあった幼稚園につきまして学校法人化を志向する幼稚園として認められるかどうか、県それぞれ独自の判断によりまして審査を行いまして、志向園と認めた場合に補助金を交付することといたしております。国庫補助金につきましては、当該都道府県が志向園と認めた幼稚園に対しまして交付する補助金の一部を、県の申請に基づきまして都道府県に交付するということに国庫補助金はいたしております。都道府県は、国庫補助の対象となった幼稚園学校法人化への努力状況を毎年七月末までに国に報告をするようにさせております。国は、この努力状況報告に基づきまして、それぞれ県の認定しております状態につきまして、さらに努力されておるのかどうかということの判断も、国なりにこの報告に基づいていたしておるということでございます。
  99. 湯山勇

    ○湯山委員 提案者にお尋ねいたします。  いまの局長の答弁によりまして、五十五年だと半数よりもはるかに多いのですけれども、推測で、五十七年一月においても、約半数近い、五百近いものが法律どおりに実施をしていないということが明瞭になりました。それも、任意に勝手にやったというのじゃなくて、それぞれ自分たちで申し出て、しかもそれを知事が確認をして承認をして、そして助成を受けるようになった。しかもその結果が、五年たった今日、総数の半数近いものが守っていないというのは、私はいかにも心外だという感じがいたします。こんな例がほかにあるでしょうか。法律が守られてない例としてよく言われるのが食管法ですが、食管法は守られていない代表ですけれども、これも、申し出て知事がちゃんと審査をしてというのじゃないわけです。こういう形のもので半数近くのものが守らないというようなものが果たして法律としての資格があるかどうかということさえ疑問に思いますが、提案者はどうお考えでしょうか。
  100. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  私学振興助成法附則二条に定めております、法人化の措置をしなければならないという義務規定につきましては、湯山委員指摘のとおり、これが現実に、私どもが当初予想いたしましたよりも守られていない、法人化が達成されていないという現実は率直に認めざるを得ないわけでございまして、提案をいたしました私どもといたしましても、非常に遺憾なことである、このように考えております。  ただ、この措置はあくまでも学校法人化を促す誘導のための政策が一つ目的でございますし、一方におきまして、現に幼稚園を経営しているという現実をとらえて、子供たちを中心にして考えた場合に、家計負担の軽減、また子供たちを取り巻く幼稚園教育条件というものを整備していくということを目的としているわけでございまして、最終的には、もちろん学校法人化をしなければならないという義務を課しているわけでございますけれども、結果として、そういう当初予想したよりも法人化がおくれているという結果が出てしまったということでこの法律そのものの否定にそのことがつながるということには必ずしもならないのではないか、このように考えております。
  101. 湯山勇

    ○湯山委員 子供たちのためにということであれば、むしろ非法人の設立しておる幼稚園であって、人数も少ないし、いろいろ苦労しているのもたくさんあるわけで、だから、これで一律にということならば、むしろもっと適用範囲を拡大して、条件をつけないでやるということがそれには合うと思いますから、この議論は別にいたしまして、こうして約束して守らないで、そのものがまた、新たな恩恵を今度受ける、そういうことにすれば、それはひょっとすると、先ほども御指摘がありましたけれども法律の軽視ということになりはしないか。それからまた、きのう、その前あたり陳情に来た人の中に、三年たっても私たちは法人にはならないということを言っている人もあります。現にあるのです。そこで、そういうことになると、提案者を含めて私ども議会人として、一体こういうことでいいかどうか。この議会軽視というのは、結局、議会軽視という風潮を生むことになれば、お互いが、みずからみずからを軽視する、国権の最高機関である国会が、果たしてそういう風潮をつくることに加担すると言うのは悪いけれども、力づけるというようなことがあっては大変だと思う。まして、もし金を出したり圧力をかければ法律というのはどうにでもなるのだといったような風潮につながるとすれば——ということを言うのは、正直言ってそういうことを聞くのです。そういうことになれば、これは大変だと思いますので、その点について提案者はどうお考えでしょうか。
  102. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  湯山委員指摘の点は全くそのとおりでございまして、今回三年延長するということを契機といたしまして、本委員会における各党の御意見等も所轄庁であります都道府県が十分踏まえて、これからの行政を行ってくれるであろうということを提案者としては期待をいたしているところでございます。
  103. 湯山勇

    ○湯山委員 また後で触れるかもしれません。  そこで、本法によって法人化の期限を昭和六十年三月三十一日まで延長する、それによって、先ほど局長から御報告のありました、残っておるのが約半数、五十五年末で言えば残っておるのが六百三十二です。約束を守っていないのが六百三十二、しかし、その後ふえたのもあるでしょうから五百程度としましょうか。その中のどれだけがその三年間に法人化するというお見込みでしょうか。
  104. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  提案者といたしましては具体的な見込みの数字を持ち合わせておりません。大変残念でございますが、予測するというにとどまるわけでございまして、私どもといたしましては、あくまでもこの立法の精神に従って、行政の面においては、都道府県においてこれが厳正に行われるように補助対象についての選択が行われるべきであるし、また、当該個人立宗教法人立幼稚園におかれては、今回の三年延長が認められました場合には、本委員会における審議の経緯も十分踏まえて、これを尊重し厳守していただくということを期待をすると申し上げ、具体的にどれくらいが法人化が行われるかということについては、残念ながら、いまこの段階でお答えすることは不可能でございます。
  105. 湯山勇

    ○湯山委員 文部省はどう見ていますか。
  106. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 六百三十二園の未学校法人化のうち、本年一月末現在で事情聴取いたしました結果、百五十四園がさらに学校法人化が進むというように見込まれまして、したがいまして、四百七十八園が残るということでございますが、それなりに従来、学校法人化が促進されてきております。この四百七十八園につきましては、それぞれ学校法人化の努力にかかわらず大変困難な事情がさらに複合してあるというように推測されるわけでございますが、今後設置者の御努力と、また都道府県、私ども、広い先生方の御指摘の点も十分配慮させていただきまして、より学校法人化の促進に最大の努力をするということでございまして、いま三年先にこれがどのような状態になるか、予測を立てかねておることを恐縮に存じます。
  107. 湯山勇

    ○湯山委員 文部省は毎年その報告をさせておりますね。実態はわかっておるわけです。しかもいま局長の御答弁では、残りの四百七十八についてはきわめて困難だということです。そうすると、これはいままでの実績の約半数じゃなくて、半数もいかぬのじゃないですか。そういう予想はできませんか、局長
  108. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 さらに都道府県を通しまして個々の実情を十分把握し、それに対して努力ということでございますが、大勢といたしまして、いまこの経常費助成等立法政策によりまして、幼稚園設置形態が個人立幼稚園が四二%というように、むしろ学校法人立幼稚園が五七・六%という状態になります。恐らく本年度末には……(湯山委員「ちょっと待ってください。聞いていないこと……」と呼ぶ)いや、背景でございます。(湯山委員「幾ら残るか」と呼ぶ)大勢が、六割からの幼稚園学校法人化という状況が出現いたします。したがいまして、それぞれ自由、歴史、伝統もあるわけでございますが、幼稚園におかれまして、個人立等につきましても、さらに一般に学校法人としての形態を整えるという方向での御努力がそれなりに重ねられていくということも背景にございますので、この三年延長という猶予措置が講じられますれば、その立法趣旨を踏まえてそれなりの努力ということでございますので、ここで半数が残るかどうか、明確なお答えをいたしかねる次第でございます。
  109. 湯山勇

    ○湯山委員 最後だけ言ってもらえばよかったのです。あなたは責任者だから統計もとっておるし、各県に当たって、この四百七十八はどうしてもできないという事情まで確認したのだから、それで一体何分の一、どれぐらいという見当は立たぬですか。立つでしょう。結論だけ言ってください。
  110. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 理由別の、四百七十八園がどのような事由から現在……(湯山委員「何%ぐらい、半分か三分の一か、それだけ言ってもらったらいいのです」と呼ぶ)具体の理由別に一応とらえておるところを申し上げてよろしゅうございますか。(湯山委員「いいえ、要りません。後で聞きます。どれぐらいできそうですか」と呼ぶ)私ども、とにかく、大部分が学校法人化するという方向努力を重ねるということの責任があろうというように存じております。
  111. 湯山勇

    ○湯山委員 それはそうですけれども、その努力をしたらどれぐらいできる、と。あなた、非常にむずかしいと言っているのですよ、この四百七十八は、各府県に当たって。いままでだって努力してきたという答弁がありましたよね。それでいて、これだけどうしてもできない、むずかしいと言われたのですから、百ぐらいできるかとか半分とか三分の一とか、およその見当が立たないかどうか。立たなければ立たないと言ってください。
  112. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 四百七十八園につきましては、ことしの一月の状態でございますが、五十七年三月までに法人化することがかなりむずかしいということでございまして、その中の四割近くの幼稚園につきましては幼児の減少が当初の予測よりも大幅な状態が予測されてきた、そのため、今後の幼稚園経営の継続に不安を抱いているという幼稚園もあられるようでございますが、この辺は周辺の環境の流動化あるいは安定化等々の点、また、近郊の幼稚園の適正配置等の問題も含めまして将来の幼稚園経営の不安を取り除いていくということの施策等と相まってそれなりの学校法人化を推進していくという課題であろうかと思いまして、先生指摘のとおり、そう容易でないということではあろうと思います。
  113. 湯山勇

    ○湯山委員 きちっとお答えいただけなくて大変残念です。これだけの経過を経て、これだけ来ておって、しかもこれは貴重な国の金を使うのです。それでいて一体どれだけ効果があるかわからない。これは、提案者は議員ですからわからなくて結構です。けれども、これを主管しておる文部省でその掌握ができていない、できないというのは大変遺憾ですけれども、やむを得ません。  そうすると、これはいまおっしゃったよりも若干はっきりさす方法はあると思うのです。というのは、今度延長に当たって法人化の意思を再確認するということは私はあってしかるべきだと思う。その御意思がおありになりますか。提案者からお答え願いたいと思います。
  114. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  当然所管庁でございます都道府県においてそのような御指摘措置が行われるべきである、このように考えております。
  115. 湯山勇

    ○湯山委員 文部省はどう考えます。
  116. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 従来とも、県によりましては学校法人化を図るという確認書を取っておる県がかなりございます。このたびの延長の上でより実効あらしめるために、そのような方向での指導をしてまいりたいと思っております。
  117. 湯山勇

    ○湯山委員 数のお答えがなかったので残念ですけれども、私は再確認すれば数がかなり減ると思うのです。というのは、先ほど局長から途中で辞退したのが四十三園ある。四十三園の辞退の理由というのは、法人化の努力をしたけれども見通しが立たない、これではうそを言ったことになるというか、自分たちの良心が許さない、そこで辞退しておるのです。私は、教育に携わる者の考えとしてはとうといと思う。いままでこういうのはほっておかれたのですよね。教育的に評価されなければならない者がほっておかれた。しかし、今度の四百七十八園はいまのように県に対してむずかしいと言っておりますから、あと三年でやれ、それじゃ辞退しましょう、再確認のときにできませんというのが出ると思いますけれども、そうお感じになりませんか。提案者はどうお考えでしょう。
  118. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  湯山委員指摘のケースは当然考えられるところでございます。
  119. 湯山勇

    ○湯山委員 私もそうだと思います。  そこで、この法案についていろいろ陳情がございました。あなた方はじゃ三年後には法人になれますかという質問をいたしましたら、中には、努力してなりますというのがありました。しかし、それはなれませんというのが大多数です。それじゃ三年たったらまた同じことを繰り返すようになりますがと言うと、いやそんなのじゃ困る、こう言うのです。で、それじゃどうなるのですかと聞きますと、ここが提案者に特に申し上げたいのですが、西岡先生は三年間に幼児教育問題を全面的に見直して、あなた方がやっていけるようにしてやる、こう言ってくれた、だから三年たって法人にならなくても何とかしてくれるのだという大きな期待を持っているのです。そういうふうに受け取られるように提案者はお話しになったでしょうか。
  120. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  今回御提案申し上げております私学振興助成法の一部改正につきまして幼稚園助成に関して三年間の特例の措置を設けるということに関しましては、あくまでも学校法人化を促進するという意味を持っている政策でございまして、そのこととこれからの幼稚園についての行政のあり方、また幼児教育のあり方についての施策とは別個の問題であると考えております。もちろん無関係ではございませんけれども、さきの委員会でお答えを申し上げましたように、これから少なくとも三年間延長していただきました場合には、三年の間に人口動態の大きな変化という背景も踏まえまして、幼児教育についての行政のあり方について一つの新しい方向を見出さなければならない時点に来ている、こういう意味のことを関係皆様方に申し上げたことは事実でございます。
  121. 湯山勇

    ○湯山委員 この法律を通してもらいたいという陳情者がいまのように申しております。そうすると、今日ここで三年間延ばすというのは先ほどのお話だと、父兄負担の問題もあるし、あるいは子供たちの問題、それからそれによって混乱が起こるというか困る者がたくさんあるからそうするのだということですけれども、このままいって三年向こうで法人化できなくて助成が打ち切られるということになれば同じことの繰り返しじゃないでしょうか。それについてはどうお考えでしょうか。
  122. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  湯山委員御承知のとおり幼稚園に対する施策といたしましては、この私学振興助成法に基づく施策のほかに、予算措置といたしまして本年度の場合百四十五億の就園奨励費というものも計上しているわけでございます。そうした施策と相まって、長い伝統を持ってそれぞれの地域社会の中で幼児教育のために貢献をしてこられた幼稚園というものが存在をすることがやはり大切であるということを私どもといたしましても考えて、私学振興助成法に基づく施策と並行して新たな施策考えられなければならないと考えておりますので、この三年間というものはあくまでも、本来教育については学校法人がこれを行うということが正しい姿であって、その精神はどこまでも貫いていくということと、現実幼児に対しての教育について貢献をしている幼稚園の経営について、その存立が確保されるような施策が並行して行われるということは必ずしも相反する施策ではない、このように考えております。
  123. 湯山勇

    ○湯山委員 非常に識見をお持ちになっておるし御研究もなさっておる提案者の御説明ですから、それなりに内容をお持ちのことだと思います。  そこで、一体非法人幼稚園で三年後に法人化されなくて経常費の助成がなくなったというのに対しては、もうそれで助成面に関してはほっておくということでございますか。
  124. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  少なくともこの私学振興助成法に基づく施策については、三年間の延長後になお学校法人化が行われないという場合には、前回の質疑を通じてお答えを申し上げましたようにこの施策自体は打ち切られる、このように御理解をいただきたいと思います。
  125. 湯山勇

    ○湯山委員 打ち切った場合にそれらの幼稚園は非常に苦しい立場になる。それはそれでもよろしいのでしょうか。
  126. 西岡武夫

    西岡議員 お答えをいたします。  ただいま湯山委員が御指摘の問題が、実はこれから私どもが将来の幼稚園についての行政のあり方、幼児教育のあり方というものについて取り組まなければならない宿題である、このように考えているわけでございます。そして、この三年間の延長を各党御承認いただきましてこれが実現をいたしました暁には、この三年間に少なくともそうした施策を確立させたいと念願いたしております。
  127. 湯山勇

    ○湯山委員 個人的にはおっしゃることをそのまま信頼したいと思います。けれども法案審議の場ですから、教育について卓越した識見を持っておる西岡さんですから、何か、それはこうだという骨組みだけでもお示しいただけないでしょうか。
  128. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  今回お願いを申し上げております私学振興助成法の一部改正提案は、自由民主党の党の議員立法として御提案を申し上げた法案でございます。ただいま湯山委員指摘の具体的なビジョンについて、私個人といたしましては具体的な考え方を持っておりますが、今回御提案申し上げております法改正が自民党の提案である限りにおいて、自民党の党議決定を経ていない考え方をここで申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  129. 湯山勇

    ○湯山委員 まあ三年後には何とか心配のないようにしてやるという受け取り方を陳情者がしたのももっともだというような御答弁ですね。  そこで、それでは一体どうなるのか。それについて、自民党の御提案になった法律ではあるけれども、しかし、三年後どうしてくれるかというのは、自民党提案であろうが政府提案であろうが、審議する者としては、いまのこの法律に関心を持っておる者、苦労しておる者のために明らかにする責任があるということも考えられるので、ここでは自民党の立場というのじゃなくて、やはり国全体の幼児教育、特に非法人幼稚園、三年の期限が来て助成を打ち切られた、困ったものに対してどうしてやるということが何かないでしょうか。
  130. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  実は、個人立宗教法人立に対する特別の施策を立案いたしまして、五年間の時限を切って学校法人化を促進するという施策を打ち出しましたときに、この五年間に、先ほど申し上げましたあるべき幼児教育行政の仕組みのあり方、教育のあり方というものをでき得べくんば確立いたしたいという考え方があったわけでございますが、残念ながらそのことが実現をいたしておりません。湯山委員御承知のとおり、このことに関しては、単に幼稚園という問題だけではなくて、保育所との調整という問題もございまして、残念ながらこの五年間にはその目的を達成することができなかったわけでございまして、先ほどからるる申し上げておりますように、三年間延長をお認めいただいた場合には、この三年の間には少なくとも明確な政策を確立したい、このように考えているわけでございます。先ほども申し上げたことの繰り返しになりますけれども、いまこの時点で私の個人的なビジョンを申し上げるのは差し控えさせていただきたいということを申し上げているわけでございます。
  131. 湯山勇

    ○湯山委員 そういうことであればやむを得ないと思います。ただ、各党がどういう態度をとるにしても、これが成立したときには自民党の私すべきものではないということはよくおわかりだと私は思います。もちろん西岡さんは、私も非常に敬服しておりますし、教育に対して非常な識見をお持ちの方ですから、それなりのビジョンはお持ちでしょうけれども、ここまで来て、これに基づいて、さて幼児教育幼稚園をどうしていくかというような問題については、私どもとしてはこの委員会の中にかつていろいろな小委員会をつくって成果を上げた例もあります。文教委員会の中にそのための小委員会をつくって、西岡さんの御意見も聞きながらよりよいものをつくっていく、そういう体制はお考えの中にはありませんか。
  132. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  ただいま湯山委員の御提案につきましては、委員長を中心として、各党理事会等で御検討をいただければ私自身も幸いである、このように考えております。
  133. 湯山勇

    ○湯山委員 大変御謙虚な御答弁ですが、委員長においても、いまのような御答弁もありましたことですから、今後理事会等で御協議を願って進めていただくようにお願いいたします。  そこで、もう時間がなくなりましてお聞きしたいことが大分残ったのですけれども、せっかく大臣もお見えいただきましたので、今日こういう状態になってきているということについて、私は文部行政の責任というものを申し上げて、大臣にもお願いをしたいと思います。  それは、まず法律ができましたときに、提案者は五年間のうちに私学経常費助成を大体五〇%にするということを委員会でお述べになりました。このことについては文部省もよく御存じでございまして、努力しなかったわけではございませんけれども、五年たった今日経常費の大体三〇%程度しか助成されていないと私は見ておりますが、局長いかがですか。
  134. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 御指摘のとおり私立大学等につきましては三〇%、それから高等学校以下につきましては国庫補助金及び地方交付税による財源措置を含めまして三三%という割合でございます。
  135. 湯山勇

    ○湯山委員 提案者にお尋ねします。  提案者もこの法律審議の中で、二分の一以内が問題になって、以内をのける、のけないというのはずいぶん論議しました。そのときに提案者としても五年以内に五〇%に達するようにするという御答弁があったこと御記憶でしょうか。
  136. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  湯山委員指摘のとおりこの私立学校振興助成法を立案し、御提案申し上げましたときの私ども考え方は、二分の一の助成を五年以内に実現いたしたいということを明快に希望いたしておりました。
  137. 湯山勇

    ○湯山委員 政府じゃないから希望でいいと思いますけれども、もうちょっと明快におっしゃったことを私も記憶しております。しかし、それが五年たった今日、法人化も半分くらいでとまっている、それから助成も半分よりちょっと多いけれども三〇%でとまっている。つまり本当に政府が当時の立法の精神を守って五〇%にしておれば、国もそうだ、われわれも守らなければならないということにもなるし、先ほど来経営の不安というのはありました、これは三〇%の助成じゃなくて五〇%助成しておれば経営不安もなくなるし、そうなれば法人化もうんと進んでおったと私は思います。こういう点において努力がなかったというのじゃないけれども、国も立法のときの趣旨をそのまま守っていなかったということも事実だと思います。これらは私から言わせれば議員立法だから軽視したとまでは言いませんけれども、とにかくこういうものは、特に教育行政ではきちっとしていくということが重要なので、このことを前もって申し上げておきたいと思います。  それから次に、文部省で、助成をもらっていながら法人にならなかった幼稚園の数が都道府県別にうんとばらつきがあるのを御存じですか。
  138. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 県によりまして学校法人化を施行するというたてまえで先ほども申しましたとおり確認書をとりまして、その上で補助金を交付し、学校法人が大いに促進されておるという県もございますが、御指摘のとおり地域の実情等もございまして、それぞれの人口急増地域あるいはその周辺、その他事情によりまして各県まちまちの状態であろうかと存じております。
  139. 湯山勇

    ○湯山委員 具体的に言いますと、一番多いのが埼玉の百二十六、それからその次は少し申し上げにくいのですが新潟の六十、それから大阪の六十、茨城の四十二、長崎の三十二、青森の三十一、北海道の二十、そのほか二けたのが三つ四つありますけれども、あとは大体皆一けたです。そうでしょう、間違いありませんね。
  140. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 先生指摘のとおりでございます。
  141. 湯山勇

    ○湯山委員 そうすると大部分が一けたであるのに百二十六という埼玉、これはいま団地がたくさんできているということでしょうけれども、何か特別な対策がとれなかったのか。そんなにたくさんの数じゃないのです、この府県の数は。特にこれについての適切な指導がなされたならばこんなことにはなっていないと私は思う。これも府県任せで文部省の指導、助言が足りなかったということを率直にこの際認めるべきではないかという感じを持っております。その点、局長いかがですか。
  142. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 ただいま先生も御指摘のとおり埼玉県等におきましてはまさに人口の急増地域、流動の地域でございまして、そこの個人立学校法人に対しまして当初百六十四園の補助対象がなされておりますが、なお百二十三園が個人立の状態でおるということでございまして、これにつきましては御指摘のように割合が大変高うございます。さらにこれらの個々のケースにつきまして、都道府県の指導徹底につきまして私ども努力してまいりたいと思っております。
  143. 湯山勇

    ○湯山委員 文部省から人を派遣して実態調査や直接指導、こういうこともやりましたか。
  144. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 主管課長会議あるいは事務担当者会議等におきまして、この問題は当初からなかなかに困難な問題であるという自覚がございましたので、設置基準の扱いの問題、あるいは学校法人所有財産の扱いにつきまして緩和措置を講ずる等の具体の施策も講じつつ、各県におけるこの学校法人化促進の実効が上がるよう指導してまいったところでございます。ただ各県別に都道府県の所管に属するものでございますから、一般的な指導はいたしてきておりますが、個々のことにまで立ち入りまして文部省が都道府県とともに個別の指導をいたしたというところまでいたしてこなかったということでございます。
  145. 湯山勇

    ○湯山委員 毎年都道府県から報告を受けて、どうもこれはなかなかできないなということに気づいたのは何年前ですか。
  146. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 ただいま御答弁申し上げましたとおり、それなりに困難の伴う問題、課題であるという意識のもとに所要の措置を講じつつ、法人化を進めてまいったわけでございまして、五十六年の実態先ほど六百三十二園なお残っておるということの実態を承知いたしまして、これは今後都道府県とともに大変な努力を要する課題だということを痛感した次第でございます。
  147. 湯山勇

    ○湯山委員 私は、やはり直接行って指導すれば処理できた問題が幾つもあると思うのです。たとえば、県によっては法人になるときに隣接した幼稚園の承認が要るという規定を設けておるのがあります。そこで隣接した幼稚園へ行って頼んだところが、うちはそういうのは認めるわけにはいかないというので、ついに断念して法人化できなかったという例もあります。そういうのについては文部省の方から行って指導すればこれはできておったと思うのです。それからいまおっしゃった、途中で辞退したもの、それらについても方法があるのじゃないか。そうしないと、先ほどもあったように正直者がばかをみています。こういうことについての指導、それから初めからうちはできないのだから申請しないというようなのもあります。しかし、中には自治体で、たとえば基準に足りなくて、東京都内のある市ですけれども、運動場の面積が足りない、市の水路の上を覆いしてそこへ土を盛って幼稚園に提供してそれでもって運動場を広げて、そういう協力をしておる市も東京都内にあるのです。こういうのでやっていけば、たとえばあなたの県、あなたの県、隣接幼稚園の許可をとるというのは許可をとらなくてもいいようにさせるとか、基準に足りないからというので認めないというのではなくて、何とかしてそれを補ってやればもっともっとできるのじゃないか、そういうところまで手が届いていなかったということについては行政の責任じゃないかということさえも感じますが、どうでしょうか。
  148. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 この経常費助成の支出に伴いまして学校法人化が促進されるという立法政策の具現化につきましては、それなりの努力を国、都道府県、行政の責任で果たしてきたわけでございますが、いまこのような五年の経過期間を間近にいたしましてなお法人化に困難を来しておるという、それぞれの幼稚園があるわけでございまして、いま先生の貴重な御指摘をいただきましたが、それぞれにそれなりの理由がある、その理由につきまして学校側の御意向を十分踏まえ、かつ、より適切な行政立場からの対策、施策等を生み出していくということの努力を重ねる必要があろうということを感じておる次第でございまして、今後この立法化が、さらに猶予期間も置かれまして、その間におきまして私ども都道府県と一体になりましてこの立法の政策趣旨に沿うような行政の責任を果たしたいと考えておるところでございます。
  149. 湯山勇

    ○湯山委員 そこで、また原則に返るようですが、提案者にお尋ねいたします。  法人化が進まない最大の理由は何にあるとお考えになっておられますか。
  150. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  多くの原因があろうかと思いますが、ただいま湯山委員指摘の最大のという問題につきまして一点だけ特に挙げよということであれば、将来の経営が不安であるということが最大の原因であろう、このように考えます。
  151. 湯山勇

    ○湯山委員 将来の経営の不安と言われるとそれに当てはまるのかもしれませんけれども、ある幼稚園団体で調べた資料があります。これは都道府県から回答をとっています。その中で最大のもの、一番大きいのは三七%に及んでおります。二十七府県にわたっております。それは土地、財産等を寄附するのに抵抗があるというのが最大の理由です。  こうなると容易な問題じゃない。この辺の認識をどう改めていくかということが、これも最大の課題一つというように考えますが、この点について提案者はどうお考えでしょうか。
  152. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  湯山委員指摘のところがまさに先ほど御答弁申し上げました内容でございまして、これにつきましては昭和四十六年に出されました中教審答申の中におきまして、満五歳児の義務教育化という方向が示されているわけでございます。こうした将来の学校制度、学制のあり方についての方向がいまなおこの時点においても明確に示されていないというところに一つ問題点があるのではなかろうか。もちろん他に多くの問題がございますが、マクロの点から申しますとこの点に最大の理由があるのではないか、このように考えます。
  153. 湯山勇

    ○湯山委員 文部省ではいまの点についてどう把握しておりますか。
  154. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 先生指摘のとおり、学校法人化した場合に残余財産の帰属が、教育事業その他の公益法人に対して帰属するということでございますので、その辺の関連から、設置者が財産の保全という観点からの一番むずかしい問題ということであろうかと思います。その面につきましては、学校法人の自己所有を二分の一にとどめる、あるいは永久的な借用の状態が安定しておるという場合にはこれを認める等の緩和措置を講じてきておるところでございまして、それなりの面から法人化も進んだということであろうかと思いますが、なお先ほど提案者からのお話がございましたとおり、幼稚園をめぐる諸般の状況につきまして先行き不安というような状態もなおあろうかというように存じておる次第でございまして、これらにつきましては今後の大きな課題としてそれなりの施策進展を図っていくということの対応が望まれるところであろうというように感じております。
  155. 湯山勇

    ○湯山委員 個人でいまのような幼稚園を持っている、当然、代がかわったとき、つまり経営者がお父さんであって、お父さんが亡くなった、子供になったときに財産上のトラブルで幼稚園が非常に混乱したとか廃園しなければならない状態になったとか、そういう例はありませんか。
  156. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 具体例としていま存じ上げておりませんが、学校法人化につきまして、宗教法人の本山あるいは法定相続人であります家族の方々の同意が得られないという理由をそれなりに申されておるところが三分の一近くあるのではないかというふうに推定されます。
  157. 湯山勇

    ○湯山委員 いまのような問題を考えても、やはり法人化を促進していく必要がある、法人でなければならないということは非常に明瞭だと思います。私の知っておるのでも、父親が亡くなって、きょうだいがいまの問題でトラブルを起こして、その一人の所有財産をみんな売ってしまって、幼稚園を続けていくかどうかで大変苦しんでおった例もあります。この問題は一般論で律し切れない、しかもまた非常に立ち入りにくい問題なので、そういうのがあるということは実は幼稚園が健全でないということにつながるわけです。こういうことを考えますと、この法律は非常に大きな課題をたくさん抱えておって、三年間の延長だけで容易に処理できるということでもないと思うのです。  しかし、ほうっておけない、中には何とかしてあげなければならないというのもあります。一例を挙げますと、何番か知らぬけれども、賛美歌に「山路こえて」というのがあるのです。それの作者は西村という人で、その人のつくった幼稚園があります。これは宗教法人です。ところが経営困難でどうするかというのですが、一応役員会は廃園を決めました。しかし、由緒があるものだから何としても続けていきたいというので、今年度は信者の人が手分けして園児募集を大々的にやって、相当たくさんの園児が入って、何とか続けていけないだろうかということで苦労しています。こういうところはちっとも助成の対象にならないで、そういう人たちの熱意でやっているというようなものもあるし、それから、いまのように、三年たったって法人にしないけれども西岡先生が何とかしてくれるというようなものもある。  私は、これは非常にむずかしい問題だと思うので、ひとつ今後一層御検討をお願いしますし、この幼稚園問題はいまのように文部省のやり方というのが非常に大事だと思います。きょうの御答弁等で努力はしておったにしてもまだまだ適切でないし、不十分だという感じがいたします。大臣に、幼児期の重要な教育という御理解をお持ちでしょうが、この問題について一層ひとつ御努力を願いたいと思いますが、最後に、大臣の御所感を承って終わりたいと思います。
  158. 小川平二

    ○小川国務大臣 個人立宗教法人立等の幼稚園学校法人化につきましては、文部省といたしましては、法律趣旨を踏まえまして学校法人認可基準の緩和について通知もいたしたわけでありまするし、機会あるごとに都道府県を指導いたしまして法人化の促進を図ってきたわけでございます。今日なお、五百に近い幼稚園が法人化しておらないという事実は、文部省としてもきわめて不本意に存じておりまするが、ただいま御審議がなされております法案が成立いたしました暁には、従来に増して努力をいたしまして、設置者自身の努力、都道府県の指導と相まって目的を達成したい、こう考えておる次第でございます。
  159. 湯山勇

    ○湯山委員 では終わります。
  160. 青木正久

    青木委員長 山口鶴男君。
  161. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 私、文教委員になりましてまだ日が浅いのでありますが、質問するたびに面食らうことの一つは、きょうは第三委員会室だと思うと、きょうは第十六委員会室だとか、質問するたびに実は委員会室が渡り鳥みたいに変わっているわけでありまして、せっかく委員会室もたくさんあるのですから、第三なら第三に居を定めるとか、場所をきちっとした方がお互い便利ではないか、こう思うのです。何で質問するたびに委員会室が変わるのか、その点をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  162. 青木正久

    青木委員長 山口君にお答えいたします。  新館の方が委員先生方も楽でありますので、新館に固定したいと思っておりますけれども、何としても委員室の数が少なくて現状では固定し切れぬというのが実情でございますので、その間の事情を十分お含みの上、審議をお続けください。
  163. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ひとつ第三委員会室に固定するように御努力をお願いしておきます。  提案者の西岡さんがちょっと御都合だそうですから、大臣にお尋ねします。  幼稚園に対して国が措置しております予算全体は一体幾らでしょうか。  国立幼稚園は、国が直接支出をしていると思います。公立幼稚園に対しては、国が就学奨励あるいは施設整備等で市町村助成をするのもあるでしょう。それから交付税、市町村分の「その他の教育費」の中で幼稚園の経費を見ているのもあるでしょう。それから私立、これが今回議論の対象になっているわけですが、私立幼稚園に対して国が就園奨励、施設整備等で助成をしている。また、経常経費についても一部助成をしている。それからまた都道府県が助成をする。それは、都道府県の交付税「その他の教育費」の中で私立高等学校等に対する経費という形で見ているものがあると思います。総計いたしまして何ぼでございますか。
  164. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 経常費助成の部分だけでございますが、いま高等学校以下につきましては、国の補助金が八百五億でございます。それから地方交付税によります財政措置が二千二百三億円、合わせまして三千八億円が財源措置となっております。
  165. 三角哲生

    三角政府委員 ただいま教育経常費助成費補助金につきまして説明がございましたが、そのほかに幼稚園就園奨励費補助金が百四十五億円ございます。それから私立幼稚園の施設整備費補助が三十五億八千五百万円、公立幼稚園施設整備費補助が三十五億八千四百万円でございまして、そしてそのほかに、ただいま説明のございました私立高等学校経常費助成費補助の幼稚園分が二百二億二千六百万円ございます。それから、私立の特殊教育費補助のうちの幼稚園分が四億一千七百万円、こういう状況でございまして、そのほかに若干研修関係の経費等を加えまして、全体が四百二十三億六千八百万円、これが国の公私立幼稚園に対する予算措置でございます。
  166. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 国立もあるでしょう。
  167. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 国立の附属幼稚園が四十八園現在あると存じますが、いずれも国立学校特別会計の中でそれぞれ教科当たり積算経費あるいは学生当たり積算経費等の中に積算されております。また、施設設備費につきましては、これまたその一括の中でそれぞれの事業に対して措置されるというような仕組みでございますので、いま先生指摘国立幼稚園について直ちに数字を挙げることが、いま手元にございませんので、恐縮でございます。
  168. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ただいまばらばらにお答えになったのですが、一括して全体幾らなのかと私は聞いているわけでありまして、それに対するお答えがないのは残念ですね。全体幾らですか。質問したように答えてください。
  169. 三角哲生

    三角政府委員 公立幼稚園に関しまして、先ほど御答弁申し上げました以外に、この設置運営に関する経費は、御承知のように地方交付税で措置されておりまして、その地方交付税の仕組みの中で積算をされておるわけでございます。これに関しまして、全体の地方公共団体基準財政需要額がどのような額になるかにつきましては、私ども文部省としてこれを算定するということは困難なのでございます。
  170. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 私も、地方行政をやっていましたから、交付税の基準財政需要額、どう算定するかというのは、ある程度わかっているつもりですがね。ですから、それは各省にまたがってもいいですけれども、いまこれだけ幼稚園のことが問題になっているのですから、国立公立私立、それから文部省助成する額、交付税が基準財政需要で見ている額、国が直接支出している分というものをして、幼稚園に一体どれだけ国がお金を使っているのか、まあ交付税の場合は使うというよりはこの基準財政需要で見ていると言う方が正確だと思いますが、それ全体で一体幾らかぐらいのことは、調べてないというのはおかしいじゃないですか。調べて、ひとつ速やかに答弁してください。
  171. 三角哲生

    三角政府委員 昭和五十四年度の文部省の地方教育調査、これの調べによって数字を申し上げますと、全国で公立幼稚園にかかる消費的支出のうち、市町村支出金は千二十億八千四百三十六万一千円でございまして、そのほかに都道府県支出金が五億二千八百二十一万二千円、国庫補助金が二千四百九万五千円ということで、全体の合計が千二十六億三千六百六十六万八千円、こういうことでございまして、公費によるそういう直接の消費的支出は、そういう状況になっております。  そのほかに、資本的支出の分が二百六十二億六千九百十五万二千円、こういう状況でございまして、そのほかにもう一つございますのは、債務償還費というカテゴリーがありまして、これが八千二億七千五百四十九万三千円、それらを全部合計しました学校教育費のうちの国庫補助金、都道府県支出金、市町村支出金の合計が千三百七十一億八千百三十一万三千円、こういう数でございます。
  172. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 私は全部足して幾らと言っているのですよ。公立私立国立、全体で幾らか、そうしてそのうち交付税が幾らで国の補助金が幾らか、こう聞いているわけですから、聞いているように答えてください。——大臣、三十分でちょっと御用のようですから言っておきますけれども、私は幼稚園の問題を議論しているときに、国が幼稚園に一体幾ら出しているのか、もちろん交付税で出しているのはこれは自治省ですけれども、自治省が都道府県の「その他の教育費」の中で幼稚園に対する基準財政需要額幾ら見ているか、それから公立の、市町村幼稚園ですね、市町村に対するその他の教育費で基準財政需要額一体幾ら見ているか。それはもちろん経常経費もあれば投資的経費もあります。それから、文部省が直接出している補助金もある。国立大学が直接支出しているものもある。種類は違いますけれども幼稚園全体で幾らであるかということは、少なくとも、交付税は自治省でしょうししますけれども文部省と自治省とは相談しているはずですからね。だから、全体幾らかということは、すぱっとお答えになれるような態勢でないと、私は、文部省どうかしているのじゃないか、こう思わざるを得ないのですけれども、その点、大臣として、いまの状態を見てどういう御感想ですか。
  173. 小川平二

    ○小川国務大臣 法案の御審議に際して用意しておくべき基礎的な数字についてただいま御質疑があったわけで、即座に明確な答弁を申し上げられなかったということは、まことに遺憾に存じております。恐縮に存じております。
  174. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これは速やかに提出をいただくようにお願いいたしておきます。それが出るまで質問しないなんということは申しませんから、それだけは速やかに、この問題を論議しております間に文教委員会の方に提出をいただくように、ひとつお願いをしておきます。わかっていますね、私がどういう項目を聞いているか。
  175. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 いま個別につきましては初中局長からも御報告がありました。いま交付税の分野も含めまして計算しておりますので、後ほど御報告いたしたいと思います。
  176. 三角哲生

    三角政府委員 私立幼稚園につきましては、先ほど説明がございましたように、交付税措置並びに経常費助成費補助金、これで措置されておるわけでございます。  公立幼稚園に対しましては、先ほど説明申し上げました施設整備費補助というのは直接国の予算措置でございますが、通常の管理運営に要する経費は、これは御承知のように交付税措置で積算をされておりまして、その全国総額を私どもが推定することはむずかしいのでございます。したがいまして、先ほどは五十四年度の実際に支出された経費についての文部省調査、それの総額を申し上げたのでございます。  以上でございます。
  177. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 五十四年度の決算がどうだと私は聞いておるわけではないのでありまして、五十七年、国立公立私立幼稚園に対して交付税、それから国が出しております補助、あるいは国立の場合は国が直接支出するわけですから、それは幾らか、内容的には国の補助金それから交付税、分けていただいて結構ですから、国立公立私立、交付税、国の補助金、全体で幾らになっておりますかというのを提出してください。
  178. 三角哲生

    三角政府委員 五十七年度の国の予算措置としては、公立に対しましては幼稚園施設整備費補助の三十五億八千四百万円でございます。管理運営等に要する経費についての交付税措置につきましては、これは自治省の方と相談いたしまして、数字が得られましたら用意をさせていただきます。
  179. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 私立幼稚園の経常費に対する補助金でございますが、都道府県の支出いたしております補助額は、五十六年度の実績で先生にお答え申し上げさせていただきますが、六百九十九億円でございます。このうち、国庫補助額が百八十九億円でございまして、その差額は交付税による裏づけをされたものというように理解いたしております。
  180. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ただいまの管理局長さんですか、五十六年度、私立高等学校経常費助成費補助金、これは三〇%に当たる部分ですね。これが百八十九億六千七百七十九万一千円。そして六百九十九億というのは、都道府県に対する「その他の教育費」という形でこの基準財政需要に見込まれて、ほぼ支出された額が六百九十九億、こういうことですか。
  181. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 いまの六百九十九億円は、これは都道府県が私立幼稚園の経常経費に対する補助といたしまして助成した金額でございます。このうち先生いま御指摘のとおり、三〇%ほどに相当する百八十九億円が国庫補助金ということでございまして、交付税といたしましては六百二十七億円ほどが五十六年度予算の地方財政需要額の中での私立幼稚園分に相当するというように聞いております。
  182. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 聞いているというのじゃ困るのですが、自治省おりますが、幾らですか、これに対応する額は。
  183. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十六年度におきまして、私立幼稚園について交付税の基準財政需要額で算入いたしました額は六百二十七億円でございます。
  184. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 今年度は幾らになる見込みですか。
  185. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 昭和五十七年度は、御案内のようにまだ算定しておりませんから、見込みで申し上げますと六百六十九億円程度一応見込んでおります。ただ、この数字現実の算定になりますと変わってくると思います。
  186. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ですから、私もちゃんと見込みということをつけてお尋ねをしたわけであります。  提案者の西岡さん、お聞きになっておったかと思うのですが、幼稚園全体に一体国がどれだけのお金を出しておるかということがはっきりせぬのですよ。提案者は御存じですか。
  187. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  五十七年度の予算におきまして、経常費助成が二百七億円、就園奨励費、これにつきましては公私立を含めてでございますが、百四十五億円、施設につきまして私立に限って申しますと約四十九億二千万円、以上が私立についての国の予算措置でございます。
  188. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 交付税全体を含めて幾らかということを聞いているのですが、それ全体でないと総計が出ないのですよ。ですから、それをばらばら答えられては困るわけなので、少なくとも提案者としておられる以上、その全体は御把握になっておられると思うのですが、いかがですか。
  189. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  ただいまお答え申し上げました数字を国の助成として総計いたしますと、約四百億円でございます。
  190. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いまのは違うので、交付税で見ているのは幾らか、私立公立に交付税で見ていますね。それから御指摘のような国の助成もある、それ全体でどうでしょうかと聞いているわけです。
  191. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  先ほど自治省の方からお答えがございましたように、交付税としての見込みとしての数字が六百数十億という御答弁がございましたので、先ほど国の予算計上として申し上げました数字を含めますと、大体千百億から二百億というふうに想定をいたしております。
  192. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そのほかに公立幼稚園に対しては市町村に対する交付税が行っているわけですよ。そちらを加えなければ全体は出てこない。また国立幼稚園にかかっている経費もある。それを足して全体はどうか、こう聞いているのですが、どなたに聞いてもお返事がないので困っているのですが、おわかりの方、いないですか。
  193. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 就園奨励費も含めまして、公私立の施設整備費あるいは私立幼稚園に対する経常費助成、これを含めまして国庫補助金が四百五十四億円でございます。それから交付税につきましては千六百六十八億円、合わせまして二千百二十二億円でございます。なお、国立幼稚園につきましてはここに数字が入っておりません。
  194. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 先ほど局長は三千八億と言いましたね。この三千八億は一体どういう計算でございますか。
  195. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 私が先ほど三千八億円と申しましたのは、私立の高等学校を含めまして高等学校以下に対する国庫補助金及び地方交付税でございまして、幼稚園はその内訳の中に一応積算として入っておる。実際にどれだけ使われたのかはそれぞれ都道府県での助成実態に対応しておりますので、その面につきましては、先ほど六百九十九億という都道府県が具体に五十六年度に助成いたしました数字を実績として御報告申し上げた次第でございます。
  196. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 幼稚園を聞いているのですから、私立の高等学校まで含めたことをお答えいただいたのじゃ困ると思うのですね。私が指摘しなきゃ間違ったことがそのまま会議録に残ったわけでございまして、それは国会の権威のためにも大変困ることじゃないかと思います。大分時間がたちましてやっと国が国立幼稚園は除いて公私立に対して補助金並びに交付税で見ているのはおよそ二千百二十二億円だということが明らかになったわけでございます。  さてそこでお尋ねしたいと思うのですが、幼稚園、まず公立からお尋ねしましょう。公立幼稚園に対しては、経常経費については交付税の市町村分の「その他の教育費」の中で見ているわけでございまして、先ほどその額が千六百六十八億程度であろう、こういうお話がございました。これに対して、五十五年くらいはもう決算が出ているはずでございますが、公立幼稚園市町村分、この基準財政需要額で見ております額と、それから決算の額というのはわかっていると思います。基準財政需要額で見ている額を市町村は一体どの程度支出をいたしておりますか。
  197. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 御指摘のとおり、現在決算が出ておりますのは昭和五十五年度が最新でございます。  基準財政需要額と、決算の中の基準財政需要額に見合うものでございますから当然でございますけれども一般財源でございますが、これと比較いたしますと、決算額の方には就園奨励費補助が含まれておりまして分別ができません。それを含めたものでございます。基準財政需要額千二百八十六億円、これに対して決算における一般財源支出額が千二百七億円ということでございます。
  198. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 わかりました。五十五年度の場合で、文部省に聞きたいと思うのですが、基準財政需要で見ているだけ市町村が支出していないのですね。これについて文部省はどういう感想をお持ちですか。また、市町村に対して具体的にはどういう指導を一体いたしておるのですか、お聞かせをいただきます。
  199. 三角哲生

    三角政府委員 昭和五十四年度の文部省の調べ、先ほど申し上げました地方教育費の調査でございますが、これによりますと、全国で公立幼稚園にかかる消費的支出のうち市町村支出金は千二十億八千万円余り、こうなっておるわけでございます。これに見合う地方公共団体基準財政需要額がどのような額になるかにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、文部省独自には算定が困難なところでございます。  なお、右に申しました五十四年度の実績を幼児一人当たりに割り戻しますと、公立幼稚園にかかる消費的支出は十五万七千円となりまして、五十四年度の基準財政需要額の積算における消費的経費の一人当たりを算定すれば約十万円、こうなりますが、この交付税措置においては密度補正その他の補正が行われますので、これまた一人当たりの経費の比較は必ずしも適当ではないと考えるのでございます。  文部省といたしましては、かねてから幼稚園教育の振興のために地方交付税措置につきましてもその充実改善方について自治省に要望しておりますが、同時に、ただいま御指摘のありました実際に市町村がどのように幼稚園の整備充実に力を入れるか、あるいは教員給与等についてもしかるべき措置を講ずるか、こういうことにつきましては、その都度都道府県の教育委員会の担当課長会議等の場を通じて努力方を促しておるところでございます。
  200. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 努力方をお願いしていると言うのですが、どうも努力が足らない。それは基準財政需要額で見ている分よりも支出が少ないということがはっきりしていると思うのですね。  そこで、ただいまのことは少しおいおいにお尋ねするとして聞きますが、私の手元には文部省から来ております地方教育費の調査報告書、昭和五十三会計年度、これしかございません。したがって、これでお尋ねしたいと思うのですが、少なくとも小学校、中学校については基準財政需要額で都道府県別に一体幾ら見ているか、そうして支出では一体幾ら見ているか、都道府県の基準財政需要額ばかりではなくて、市町村基準財政需要額についても同様ですね。いつかこの問題を私はお尋ねいたしまして文部省が計算間違いをしておりまして、よく自治省と相談して計算し直しなさいということで御注意を申し上げて、その結果計算し直されたようでございまして結構だと思っておるのですが、小学校、中学校、都道府県、市町村について基準財政需要額と実支出との指数の計算ができて、幼稚園ができないということはないと思うのですね。なぜこれには幼稚園がないのですか。幼稚園はありませんね、なぜですか。
  201. 三角哲生

    三角政府委員 ちょっといま突然のお尋ねでよくのみ込めないところがあるかもしれませんが、幼稚園につきましても地方教育費の調査幼稚園教育費ということで、消費的支出、資本的支出、債務償還費に分けまして、決算額で全体の経費を調べ、その内訳としてたとえば国庫補助金、都道府県支出金、市町村支出金、こういう割り振りで幼稚園につきましても調査を行っておると思っておるのでございますが……。
  202. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 私が聞いているのは、この文部省さんがおつくりになった調査報告書ですよ。それを見ますと、私がそんな一々言わなくてもいいのではないかと思うのですが、建築費を含むもの、建築費を含まないもの、基準財政需要額で見ているものが一体幾ら、そうして実支出が一体幾ら、その比率が幾らという指数をずっと出しているでしょう。私が持っております昭和五十三会計年度で言えば、ページ数で言いましょうか、百七十ページ、百七十一ページ、百七十二ページ、百七十三ページ。ところが、これに対応する幼稚園のデータは欠落しているではありませんか。そのことを私は聞いているわけなんです。
  203. 三角哲生

    三角政府委員 この調査は大臣官房の調査統計課で実施をしておりまして、私、必ずしもいま山口委員指摘の点が幼稚園の場合に出ていないということについて、いま事情をよく承知しておりませんが、小中学校の場合は、これは義務教育でございますので、公立学校があまねく行き渡っておりますので基準財政需要額の数値等についてもはっきり確認した資料を得て載せておるのだろうと思いますが、幼稚園の場合には義務教育ではないということや、先ほど来御指摘もありましたように、地域によりまして幼稚園設置状況が非常にアンバランスがあったりしますので、交付税措置自体がいろいろな形での、密度補正と申しますか、こういった形での手法を用いて積算をされておるようでございまして、私どもも必ずしも、その決算という形では数字を調べておるわけでございますが、基準財政需要額としての積算増額が幾らかということは、これは自治省の方で計算をしてもらわないとならないことでございますし、その都度はっきりした情報も得ておらないこともございますので、果たして大臣官房の方でそこの扱いが実行が可能なのに載せていないのか、その辺のところ、ちょっと申しわけないのでございますけれどもつまびらかに承知しておらないのでございます。
  204. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 文部省の方、私の部屋にもおいでになりましたから、私がこれを机の上に置いていろいろ聞いているのも見たのではないかと思うのですが、ただいまのお答え、違うところがあります。義務教育だからと言いますが、高等学校についても指数をちゃんと載せていますよ。高等学校義務教育ですか。
  205. 三角哲生

    三角政府委員 そういうことでございますと、幼稚園について欠落している理由について、いま私、若干の想像をしてみたのですけれども、高等学校がそういうことであるならば、事情はほかのところにあるのだろうと思います。
  206. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 では、その事情を答えてください。
  207. 三角哲生

    三角政府委員 所管をしております者に急速来てもらうように計らいたいと思います。
  208. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 一言答えれば、お答えできなくて時間がかかる。お答えになれば間違う。これはまじめな審議だと委員長、思いますか。  文部省は財政というものを一体どう考えているのですか。私は数年前でしたが、この地方教育費の調査報告書が間違いだということを指摘をいたしました。文部省はそういう財政に弱いよ、注意しなさい——たまたま当時の文部大臣は自治省出身の奥野さんでした。お答えになるのは奥野さん一人だったですよ。これでは文部省いかぬよという御注意を私、申し上げたのです。数年たって質問してみると、全くそのときと変わらないというか、それより悪いというような状態じゃないですか。これは大臣としてひとつ責任ある御答弁をいただきたいと思いますが、大臣がお見えになりませんので、西岡さんからひとつ御感想を聞いておきましょう。
  209. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  ただいまの御質問は、文部省行政当局に対する御質問でございまして、私からお答えを申し上げるということではなくて、感想を述べますれば、山口委員指摘のとおりまことに遺憾なことである、このように考えます。
  210. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大臣が来ましたら、ひとつ文部省の責任者としての御感想を承りたいと思いまして、ほかへ進みます。  私立幼稚園がいま議題になっているのですが、私は私立幼稚園を充実強化して子供たちがよい環境のもとですくすくと成長していただきたい、そういう願いで文教委員会はみなこの問題を議論しているのだろうと思うのですね。そうしますと、まず私立よりは公立が一体どうなっているのか、公立幼稚園はこの父母の願いにこたえるような運営がされているのかということをやはり確認をしてから私立の問題に移るべきではないか、私はこう思ってもっぱら公立幼稚園のことをお尋ねをしてきました。そこで明らかになりましたのは、わずかに自治省から御答弁のあったことだけでありまして、要するに五十五年度においては基準財政需要額、これは就園奨励費補助が決算に含まれているので需要額にも同経費を含めて一千二百八十六億円、これに対して決算が一千二百七億円、基準財政需要額をA、決算額をBといたしますと、B分のAが一〇六・五%ということになる。言いかえれば基準財政需要額の方が多くて決算の方が少ない。せっかく国が見ている経費すら市町村公立幼稚園にお金を使っていない。文部省は指導しておられる、こういうお話ですけれども、その指導が全くよく行き届いていない、これだけははっきりしたのじゃないかと思うのですね。  そこで、先ほど初中局長さんお答えになったわけでございますが、幼稚園先生の給与は俸給表で申しますと、一体どの俸給表をお使いになって給与を支給すべきなんですか。
  211. 三角哲生

    三角政府委員 私どもは、幼稚園の教諭に対します給与は教育職俸給表の(三)表に準じて支給をされるように指導しておる次第でございます。
  212. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 現実はどうですか。各都道府県別に一体どのくらいの割合が教育職俸給表の(三)表を使っておられますか。各県別の割合をひとつお示しをいただきたいと思います。
  213. 三角哲生

    三角政府委員 私どもの指導のように実施しておりますのは、全国の市町村の約二割でございます。それで教員数にしますと四五%くらいでございますから、どちらかと申しますと規模の大きい市町村で、あるべき姿で実施されておる、規模の小さいところではまだ一般職の俸給表を用いている、こういう実情でございます。
  214. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 全体の割合は私は知っています。各県別はわからないから聞いたのです。各県別の割合は一体どうですか。
  215. 三角哲生

    三角政府委員 幼稚園設置並びに運営は市町村がいたしておりますので、同じ県の中でも扱いの違う市町村があるわけでございます。
  216. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いまのお答えはどういう意味なんですか。全国ではこの俸給表を使っている園が二二・八%、都道府県別ではその割合は北海道から始まって沖繩までそれぞれ何%でしょうか、こう聞いているわけなんですが、いまのはさっぱりお答えになっておりませんね。幼稚園市町村立で県立でないくらいのことは知っていますよ。
  217. 三角哲生

    三角政府委員 ちょっと県別の比率がいま数字として出ておりません。ただ、たとえば公立小中学校教員と同じ扱いにしている市町村数、幼稚園数、教員数、それから市町村吏員と同じ扱いあるいは幼稚園教員独自の俸給のスケールを用いている、それから保育所保母と同じ扱いにしている、こういう資料はございますけれども、いま委員おっしゃいます公立小中学校と同じものの率というのはパーセントではちょっとないのでございます。
  218. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それではお尋ねしますが、二二・八%というのはいかにもひどい比率ではないですか。これはまことに惨状だと私は思うのですね。じゃ全国でもいいですが、ここ数年間くらい、五年前は何%だった、四年前は何%というかっこうで少しは改善をされて二二・八になったのですか、それともずっと変わらず二二・八というようなひどい状況がそのまま続いているのですか。これは一体どうですか。
  219. 三角哲生

    三角政府委員 お答え申し上げます。  市町村数で申しますと、五十一年度に二百七十一市町村、それが五十三年度で二百九十二、五十四年度で二百九十四、それから五十五、五十六と二百八十九、こういう状況でございます。
  220. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 状況が悪いのに最近はかえって悪くなっているというのですから、これは問題ですね。これでは文部省は一体指導したのですか。指導するようにしているというのですが、二割ちょっと。しかも近年になってふえているというのならまだいいのですが、減っているということは一体どういうことなんでしょうか。まじめにやっているとは思えないですね。  それから、ついでだから聞きますけれども教育職の(三)表を適用している者、それから教職調整額を支給している園は一体どういう状況ですか。どのくらいの割合ですか。それから義務教育教員特別手当を支給している者については一体どうなんですか。給与法上は小中学校先生幼稚園先生は同じわけなんでしょう。それが全く違っておるということは、私は問題ではないかと思うのですね。文部省として今日まで一体どういう御努力をして、将来こういう目標でよくしていくというような一つ目標なり見通しなりというものを持ってやっておるのですか、どうですか。
  221. 三角哲生

    三角政府委員 教職調整額の支給につきましては、五十六年度で支給措置をしている市町村は百二十一市町村、七・九%でございまして、これの対象となる教員は本務教員で七千七百八十四人、比率で三〇・一%、こういう状況でございます。  それから義務教育教員特別手当の支給状況でございますが、支給措置市町村が九十一、五・九%、本務教員数にいたしまして五千六十九人で、これは率にして一九・六%、こういう状況でございます。  御指摘のように幼稚園の教諭も教育に携わる職としては小中学校先生と変わらないものでございますので、私どもとしては、先ほども申し上げましたけれども、都道府県の教育委員会の教職員人事担当の責任者の会議におきましては、その都度口を酸っぱくして市町村に対して指導を進め、この点についての改善を進めていくように申し上げておるのでございます。ただ、市町村の中には非常に規模が小さかったり財政力が十分でなかったりするようなものもありますし、保育所なり市町村吏員との均衡等も考えたりしまして、なかなか進まないのは事実でございますが、私どもとしては本来あるべき教員としての処遇がなされますように、これまでもその都度非常に強く言ってまいりましたけれども、今後もなおこれは努力しなければならない、こう思っておるのでございます。
  222. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 文部省さんは市町村教育委員会指導の方向を少し間違えているのじゃないでしょうか。義務教育職員等に対する監督などは大変一生懸命やられておるようですけれども幼稚園先生方の給与に対する御指導は全く欠落をしている、こう言って差し支えないのじゃないかと私は思うのです。  そこで、自治省にお尋ねしますが、先ほど実支出の方が基準財政需要より少ないということをおっしゃいましたね。この場合、基準財政需要の積算は人口十万、そして幼稚園の数は五つというようなことを基準にし、園児の数は八百を基礎にいたしまして計算しているようですが、幼稚園先生方の給与はこの基準財政需要を計算する場合には一体どういう数字を根拠にしておるのですか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  223. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 先生御案内のように、交付税の基準財政需要額の単位費用の計算に用います給与費等につきましては、基本的にはまず地方財政計画で見込んだ給与費の単価を基準にするわけでございます。地方財政計画におきましては、これも御承知のように給与実態調査、指定統計でございますが、これをもとにして計算をいたしまして、その結果幼稚園の給与費につきましてはその金額に当てはまるような形で園長、教頭、それから一般教員、このような形で算入をする仕組みをとっておるわけでございます。
  224. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 文部省はこの問題については自治省とは連絡をとり、また給与実態調査文部省がやった調査でしょう、それでもってやっておるのですか、それはどうですか。給与実態調査は自治省なのか、また自治省だとすれば、基準財政需要算定については当然文部省は自治省側と相談しながらやっているはずだと思うのですが、一体どういう相談を文部省はやったのですか。
  225. 三角哲生

    三角政府委員 園長につきましては教育職俸給表(三)の一等級七号俸、教頭につきましては同じく二等級十号俸、その他の教員につきましてはただいまお話しの自治省の地方公務員給与実態調査によりますが、これは教育職俸給表(三)の二等級七号俸に相当するということで、これについては私どももそのように承知をしておるわけでございます。  その他の事柄につきましては、たとえば義務教育教員特別手当の算定の仕方でございますとか事務職員の時間外手当でございますとかそういうような事柄、あるいは標準団体規模についての教職員の数の問題等につきましては、自治省に対してそのときどきの状況に応じまして私どもとしては要望と申しますか要請と申しますか、あるいは参考意見と言ってもいいかもしれません、それはお出ししていろいろと御相談はしておるのでございます。
  226. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 わかりました。  幼稚園の場合は、園長さんの本俸が年額ですが二百五十七万四百円、教頭さんが百八十万三千三百六十円、一般教員が百六十二万二千四百円。ところが、小学校、中学校幼稚園とは俸給表は同じなわけですよね。それでありながら、小学校と中学校はほとんど同じで煩瑣になりますから両方は言いませんけれども小学校の場合、校長さんは三百九十二万五千二百円、教頭さんは三百七十二万一千二百円、一般教員は二百四十六万七千二百円、こういうふうになっているわけです。小学校先生幼稚園先生方との間では、交付税算定の基礎が著しく違うわけですね。それはいまの議論で明らかになったのですが、自治省は、実態調査による、こう言うわけですね。  ところが、本来は教員俸給表を使うべきであるのに、二二・八%しか実は使っていない。それからさらに教職調整額あるいは義務教育教員特別手当、特に最後の義務教育教員特別手当については十数%しか実は支給をしていない、こういう状況ですね。これが間違っておることは文部省もお認めになっているわけでしょう、直せ直せと言っているわけですから。ところが、現実に交付税でこれだけしか見ていない、しかも交付税で見ている基準財政需要額よりも市町村の支出が少ないのでしょう。この基準財政需要を改善しない限り、二二・八%とか十数%というものが改善されるはずはないと私は思うのですよ。そうでしょう、市町村は、国から交付税でこれだけしか見られていないのだから、とてもじゃないが教員の俸給表なんか使えませんよ、隣にある保育所の保母さんと同じにしておけばいいというようなことになるじゃありませんか。  ですから私は、これは自治省が実態調査でおやりになっている、それで単価を出したという場合に、文部省としては、これは本来、現在の給与が間違っているのだから、これを改善するために交付税の基準財政需要の積算の根拠はもっと上げてくださいというぐらいなことが一体言えないのですか。どうしたら二二・八%を一〇〇%に改善できるのですか、どのようなお気持ちで改善措置をやろうとしておられるのですか。交付税の中にこんな少ない額の算定しか入っていないということになれば、改善しろったって市町村はなかなか言い分を聞かないのじゃないですか。本気で市町村に対して指導するおつもりならば、当然積算の基礎を改善する、この努力文部省は渾身の力を注ぐべきじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
  227. 三角哲生

    三角政府委員 お話しの交付税積算措置を充実改善していくことは大事なことだと思いますし、そして確かにそれは実際の市町村におきます幼稚園教育の振興のために重要な一つの支えになる措置である、こういうふうに言えると思うのでございます。ただ、全体でのマクロの話もございますが、私ども教員統計調査はたしか三年ごとだったと思うので、五十二年度の数字が手元にございますが、教諭で申しますと当時の地方交付税積算上給与、本俸月額が約十万九千円のところ、実際の支給の調査結果は十二万五千五百円、こんな数字もあるわけでございます。ですから、やはり交付税というのは一般財源の付与でございますから、交付税も充実することは大切でございますが、それにも増して各市町村幼稚園教育を大事にする、こういう姿勢で取り組んでもらいたい。先ほど来御論議になっておられます、いろいろな措置が行き届きません市町村は、やはりどうしても小規模なところで、そして幼稚園の数も少なかったりするものでございますから、そのためにわざわざ特別の俸給表を設定するということに踏み切ってくれないところがまだ残っておる、そういう感じといいますか見方を私どもはしておりますので、これについてはなお今後とも指導を続け、強く要請を続けてまいりたい、こう思うのでございます。
  228. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 自治省に聞きましょう。  ただいまの初中局長が答えた積算の単価、それから支出、おかしいという議論は、一体どういうふうにお聞きになりましたか。審議官でも交付税課長さんでも結構です。
  229. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 若干御説明も加えながらお答えさせていただきますと、先ほど小中学校との比較で申し上げました。小中学校の場合、御承知のように二分の一の国庫負担制度がございます。したがいまして、これは同じく文部省で御所管でございますが、義務教育負担金の算出基礎に合わせまして交付税の単価もつくっておるわけでございます。  ところが、幼稚園の方につきましては、これは地方財政計画の上では、先ほど申し上げました地方公務員給与実態調査というものに結果としてよらざるを得ない。幼稚園教員の給与の格づけについては、園長、教頭、これは一応しておりますが、その他の教員につきましては交付税上見るのかということになりますと、これは御承知のように無数の算定項目を需要の中に盛り込んでおるわけでございますから、私どもの方としてもいま申し上げましたように、確かにおっしゃられるとおり支出が実態を反映しておるだけではないのか、こういう点はよくわかりますけれども、その方法を使わざるを得ないというぐあいに考えておるところでございます。
  230. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ですから、結局交付税の算定がそうなんでして、交付税がそう見ている。しかも、その交付税で見ている額よりも支出が少ないということを繰り返し自治省ははっきり言っているのですから、そのこともけしからぬ。それから、算定自体もひど過ぎるのですから、二二・八%ということなんですから、それを改めるには一体どうしたらいいかということを文部省は一体真剣にお考えになったことがあるのですか。私の考えでは、交付税の基準財政需要額の算定をもっとよくするように全力を挙げて努力をする、そうして、こうなったのだから二二・八%はひど過ぎますよ、ちゃんと教職員の俸給表をお使いになる、あるいは特別手当を支給する、調整額等も見るという指導をして初めて実を結ぶのじゃありませんか。だからこそ、指導はやったやったと言いますけれども、最近の事例を見るとむしろ減っているというじゃありませんか。こんなことでは私は文部省の指導というのは全く無責任きわまる、こう言わざるを得ないと思うのです。来年、再来年、どういう指導でこの二二・八を何%ぐらいに持っていくつもりですか。
  231. 三角哲生

    三角政府委員 給与の制度なりあるいは個々の具体の給与をどう決めますかということは、私から改めて申すまでもなく、これはそれぞれの任命権者の責任に係る事柄でございます。したがいまして、先ほど来申し上げておりますが、市町村にその気になってもらうように私どもとしては繰り返し指導を続けるということである、こう思っておるのでございます。実際の処遇をよくするということ、あわせてその上に、御指摘のように幼稚園教員にふさわしい俸給表の適用あるいは諸手当の支出、このためには引き続き重ね重ね努力をしてまいらなければならない、こう思っております。
  232. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大蔵省の主計官お二人来ておられますね、文部省担当主計官、それから交付税担当主計官。とにかく幼稚園実態がお粗末きわまるということについて感想はありませんか。大体、大蔵省が締め過ぎるからこういう情けない結果になっているのじゃありませんか。
  233. 浜本英輔

    ○浜本説明員 お答え申し上げます。  幼稚園につきましては、先ほど来山口先生もお話ございましたように、義務教育の方ではございませんから、確かに主として地方公共団体の責務にゆだねている面が大きい、かように存ぜられますが、その中でいろいろお話も出ておりました公立私立の間のバランスの確保、そういった幾つかの政策的意図のもとに、国は規模にいたしまして四百億余りの金を、交付税を除きましてでございますけれども予算に計上してまいっておるわけでございます。  財政当局としてわが身を振り返って考えますのに、五十七年度予算の場合、一般歳出の伸びが一・八%、これに対しまして文部省予算の伸びがたしか二・六%、全体の中での文部省予算としての取り分はふえたわけでございますが、それでも苦しい予算でございました。この中で、たとえば幼稚園関係では、先ほどからしばしば話題に出ました就園奨励費につきまして所得制限を昨年度よりは多少緩和するとか、あるいは減免限度額を多少手直しするとか、できる限りのことをやったつもりでございますけれども、いまいろいろ御議論を伺っておりまして、財政的な厳しさが全体として幼稚園の運営に厳しい影響を及ぼしているということも確かにございましょうかと存じます。しかし、財政がさらに当面厳しい状況を続けると見込まれます、そういう状況の中からは、財政当局として何か明るい見通しをお答えすることはなかなかむずかしい、かように存じます。  ただ、幼稚園の場合、園児数がいま全体的には減る傾向にあるというようなこともございまして、一人一人の園児当たりの受け取ります助成額と申しますか、そういうものを計算いたしました場合には、五十七年度予算の場合でも五十六年度に比べて多少緩和されている面もあるわけでございまして、そういった小さな努力が生かされるように配慮しているつもりではございます。私としまして非常に苦しい答弁ではございますけれども、その辺の事情を御拝察いただきたいと存じます。
  234. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 五十六年度と五十七年度を比べると、幼稚園の予算は減っているのですよ。そうでしょう。内容は細かく言いませんけれども、たとえば幼稚園教育内容改善等、それから新規採用教員研修事業補助、幼稚園就園奨励費補助、私立幼稚園施設整備補助、公立幼稚園施設整備補助、その合計が前年度は二百四十四億一千六百五十三万五千円、ことしは二百十七億二千五百十万一千円という形で減っている。そして、幼稚園部分の経常経費助成費補助、私立特殊教育教育費補助というものを合計した金額で言いますと、五十六年度が四百五十四億八千四百五十三万五千円、今年度が四百二十三億六千八百十万一千円という形で減っているということは、私は非常に残念なことだと思うのです。臨調答申は、ほかのことはいろいろ言っていますけれども幼稚園は予算を削れなんということは、たしか私の記憶では言っていないはずだと思うのですが、いかがでしたかな。
  235. 三角哲生

    三角政府委員 さきに行われました臨調の第一次答申では、お話のように、幼稚園のことには言及されておりません。ただ、ゼロシーリングという状況、これは全体にかぶってくることでございます。  それから、ただいま御指摘の予算額の減でございますけれども、これは御承知のように施設整備費補助の減でございまして、これは園児数の減少に伴いまして新増設を計画する園が減っておる、その状況に対応した措置を行ったのでございます。
  236. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 臨調がうるさいから予算がどうこうということをよくおっしゃるのですが、鬼の臨調も何も言っているわけではないのですから、それで減っておるということでは、私はどうも努力が不足だ、こう言わざるを得ないと思います。来年はそんなことのないように、ひとつお願いしたいと思うのです。  それから大臣、私は予算のことをいろいろ聞いたのですけれども、どうもお答えが出てくるのに大変時間がかかって困る。どうも文部省は肝心の教育財政、財政の面について少し不勉強過ぎるのではないかという感じを私は率直に持たざるを得ないのです。西岡さんにもお尋ねいたしまして、西岡さんの御感想も承りました。私は数年前に同じような質問を奥野文部大臣のときにいたしまして、それから数年たっても全然改善の跡がないわけでありまして、小川文部大臣、大臣に就任されて、私の問答も聞いておられたと思うのですが、少し文部省は財政の問題について不勉強過ぎる、こういうお感じはございませんか。また、それを改善するおつもりがあるかどうか、それもあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  237. 小川平二

    ○小川国務大臣 幼稚園に要する経費の総額を的確に把握しておらないということについて御指摘をいただき、また、ただいま不勉強であるというおしかりもいただいて、恐縮に存じております。今後幼稚園行政を進める際に必要な基礎的な数値につきましては常時把握に努めまして、適切な行政の推進に努力をしてまいるつもりでございます。
  238. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 こちらの担当の方はお見えになりましたか。——それじゃ、お尋ねしましょう。  小学校、中学校、高等学校については、この建築分を含むもの、含まないもの、基準財政需要額で算定したものと実支出、これに対する指数を出しておられますが、幼稚園についてこれが欠落しているのは一体どういう理由ですか、これが一つ。  それから、ついでですから聞いておきますけれども私立幼稚園に対する都道府県の助成も、財源としては「その他の教育費」で見ているわけですね。それからまた、市町村幼稚園に対する経費、基準財政需要、交付税で見ておりますのも、これも単位費用としては「その他の教育費」で見ている。やはりそこに先ほど来私が議論をした一つ問題点があるのだろうと思うのです。この調査報告書、なぜ幼稚園が欠落しているかということをお答えいただきますと同時に、やはり都道府県の教育費、市町村教育費について、幼稚園を「その他の教育費」の中に入れるのではなしに、独立した単位費用として明らかにすべきではないのか、私はこう思うのですが、その点はひとつ自治省と文部省、両方のお考えと、提案者のお考えもあわせて聞いておきましょう。
  239. 上野保之

    ○上野説明員 お尋ねの第一点でございますが、まずこの報告書でございますが、これは私どもの方で確かに調査しております。  これは地方教育費の実態を調べるということでもちろんやっておるわけでございますが、お尋ねの幼稚園のところでございますが、これは先生指摘のとおり「その他の教育費」と申しますのは、小学校、中学校、高等学校についてはそれぞれの学校種別ごとにきっちり基準財政需要額が算定されることになっておりますが、幼稚園につきましては、いわゆる「その他の教育費」として一括といいますか、その算定の基礎は人口割といいますか人口数で基準が算定されることになっておるわけでございます。それですので、この報告書にそういう形で人口割の基準でそういう需要額を算定してそれで比率なり何なりを全く出せないわけじゃもちろんございませんが、これは従来、幼稚園発達の経緯等ございまして、たとえば現在でこそ六割以上幼稚園は普及しておりますが、われわれこれを調査し始めた当初は非常に比率も少なかった。さらに幼稚園の場合は高校以上に私立公立私立が非常に多いわけでございますが、しかも都道府県、市町村による格差といいますか、非常に普及しておるところと普及していないところといろいろあるというようなことから、こういう比率を求めることが必ずしも過去適当でなかったというようなことから、現在までそういう比率を求めずにきております。経緯としてはそういうことでございます。私の方は第一点だけお答えさせていただきますが、経緯から申しますと以上でございます。
  240. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 幼稚園費を小学校費、中学校費あるいは高等学校費などと同様に独立の費目とすべきではないのか、こういうお尋ねでございます。  この点につきましては、従来よりそういった御意見のあることは私どもよく承知をしておるわけでございます。ただ、現在、小学校費、中学校費、高等学校費を独立の費目としておりますこと、これは一つは歴史的な経緯もございまして、古くから発達しておるというようなこともございますが、同時にやはりその内容を的確に算定するためのさまざまな基準、測定単位等に、法律で定められたところの教職員の標準あるいはそのもとになっている学級編制の基準、こういったものもきちっと決まっております。こういったものを測定単位に用いつつ、また一方では指定統計でございますところの児童数とか学級数とか学校数とか、こういったものを用いて測定をできる仕組みができておるわけでございます。  幼稚園費につきましては、一つには、先ほど文部省の方からお答えがございましたが、その普編度合いというものが小中高に比べるとやはりかなり低いということ、それから、こういった費目を独立の費目とするための小中学校、高等学校などと同じような一番基本になりますところの教職員数等の基準が設けられていない等々の理由でございます。  交付税におきまして基準財政需要額に独立の費目を設けるということ、これは私どもの方としてはなかなか大変なことでございまして、そういった測定単位の種類がどういったものが選べるか、それだけの内容があるかどうか、また、制度的にどれだけ整備されておるかというようなことなどを考えながらやらなければならないわけでございまして、そういうことから、私どもの方としては当面、この幼稚園費を独立費目とするということについてはやはり慎重に考えなければならない、こういう姿勢で対応してきたわけでございます。公立幼稚園制度あるいは私立幼稚園に対する助成制度、こういったものに関する制度の整備の状況とにらみ合わせて考えいかなければならない問題でございまして、現状ではまだその段階ではないのではないか、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  241. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  山口委員の、今後の問題として速やかに独立したものとすべきであるという御提案に私も全く賛成でございます。  ただ、今日までの経緯から申し上げますと、五歳児の就園率が一番高いところで九五・七%、低いところで二二・二%と、都道府県における非常な全国的なばらつきがあったという現実の姿からいたしますと、いままでのところはやむを得なかったのではなかろうか、今後の問題としては、山口委員指摘のとおりに、速やかに改めるべきである、このように考えます。
  242. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いろいろお答えがありましたけれども公立幼稚園の数は全国で五千七百七十三、小学校が二万四千五百九十一、中学校が一万百五十一、こういう数ですね。そうしますと中学校の数と比べますと半分くらい、六割くらいにはなっておるわけですね。私立はたくさんありますが、私立のことはまた後で議論しましょう。  市町村の交付税の中に幼稚園の単位費用を起こす場合には、これは公立の問題で議論しなければいかぬでしょうから申し上げるわけですけれども、そういう意味では、少なくとも、幼稚園を単位費用として見る必要は毛頭ないというような状況ではなくなっている、こう私は思います。ですから、文部省としても自治省に対して、市町村の交付税の単位費用幼稚園を新たに設けるべきだ、こういうことくらいは当然おっしゃっていいはずだと私は思うのですが、大臣、いかがですか。
  243. 小川平二

    ○小川国務大臣 私も、ただいまこの場で自治省の説明を聞いたわけでございます。独立の費目を設けることはなかなか大変なことだという説明でございましたが、そうもあろうかと存じております。しかし、ここで御指摘をいただいたわけでございますから、一つの新しい課題として自治省とも十分相談をいたしてみたいと考えております。
  244. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ひとつ前向きに積極的に取り組んでください。また、西岡さんも同じようなお気持ちですから、自民党文教部会としても努力をしてください。  それで、先ほどお答えになりました方にお尋ねするのですが、この地方教育調査で、幼稚園の実支出と基準財政需要額との比較をすることが全く不可能だということではないわけですね、やればできるわけです。市町村にどういう紙を配って、小学校、中学校、高等学校調査しているか私は知っております。「その他の教育費」ではありますけれども、それぞれ都道府県を通じて市町村は交付税、特に普通交付税の申請をやるわけですから、その際に都道府県と市町村とを突き合わせた作業の中で、教育費については基準財政需要額としてはおおむね幾ら計上しているはずだということは、計算をすれば少なくともわかるのですから、そのつもりで統計をとろうと思えばとれるはずだ、実支出については当然とれるわけですから。とすれば、幼稚園についてもそういった指数を計算すべきだと私は思うのです。教職員の給料表(三)表を適用している園が全体の二二・八%などというばかげた状況は、そういう努力をすることから改善されると私は思うのですね。この基準財政需要額の積算の根拠を上げる努力文部省がする、これも一つの方法でしょう。同時に、このように基準財政需要額で組んでいるものも実際に市町村は使っていない、使っている方が少ない、こういうことが全体的には言える、自治省はこう言っているわけなんですから、それを都道府県別に出して、なるほど、どの県の市町村教員の俸給表を使っている割合が少ないなということをやはりきちっと認識をさせて、本来一般職の俸給表を使うことはおかしいのですから、教職員の俸給表に逐次直させていくということになるのじゃありませんか。どうですか。不可能ではないでしょう。やろうとすればできるということでしょう。
  245. 上野保之

    ○上野説明員 先ほどもちょっと触れましたように、この基準の算定の基礎は人口が基礎になっているわけです、「その他の教育費」という形で。そういうことでございますので、もちろん、そういう意味でできないわけじゃございませんが、先ほどもちょっと触れましたように、都道府県によるそういう普及率が地域によって物すごく違っているということと、その中身も、公立のものと私立の普及の度合いが、地域によっては私立が非常に多いとか、そういうことがございますので、先ほどのそういう比率を求めましても非常に足ががたがたになりまして、必ずしも適切にそういう比率で比較できないというような問題がございます。私としてはそれ以上ちょっと申し上げられませんが、全くできないわけじゃございませんが、私の個人的な感じとしては、意味のあるというか、小中高みたいな数字としては使えないのじゃないかな、そういうふうに考えております。
  246. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 余り感じだの何か、そういうことばかりだらだらお述べにならない方がいいと思うのです。  自治省にお聞きしますが、交付税課長さんか審議官か、どちらがいいのか知りませんが、市町村のその他の教育費の中で、幼稚園基準財政需要額が幾ら入っているということはわかるはずですね。わかるでしょう。
  247. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 「その他の教育費」の中から、幼稚園に係る単位費用と、これも御承知のように、幼稚園の園児数を用いてできるだけ実態に合うように密度補正をしております、その密度補正係数を使えば計算は可能でございます。
  248. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大臣、わかったと思うのですね。自治省の答弁ははっきりしたと思うのです。やればできるわけなんですよ。幼稚園基準財政需要額が幾らというのはわかるのです、実支出もわかるのですから。結局、幼稚園先生方の給与は、教職員の俸給表を使っていないというような状況が、二二・八%というのですから、ひど過ぎるわけですから、それを改善するための一つの方法として、この調査報告書の中に幼稚園の問題も入れるという努力をされたらどうですか。できないことをやれと言ったって私は無理だと思うのですね。できると言うのですから、やったらどうでしょうか。
  249. 小川平二

    ○小川国務大臣 十分研究をさせていただきます。
  250. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 どうも私立の方を議論する時間がなくなりましたが、公立実態というものを反映して、都道府県の「その他の教育費」の中に私立幼稚園の経費について、先ほどの湯山さんへのお答えでは、三二%程度を国が見ているというお話だった。私学助成法では二分の一を目標にしているのに、私立幼稚園の場合は三三%程度だ。しかも、その三三%のもとの基準たるや大変劣悪な公立幼稚園というものを基準にして出ていると私は思うのですね。そうしますと、私立幼稚園を充実して、そして子供たちを健やかに伸ばすような環境をつくってやる、父母の願いにこたえるということのためには、まず公立幼稚園基準財政需要額をよくして、それに右へならえして私立をまたよくしていく、そして割合が三三%というようなことではなくて、これをやはり二分の一以内という——大学の場合は二分の一以内ですが、高等学校以下については二分の一という数字がありませんのが残念だと思いますが、しかしそれに近づけていく、そうしてもう何回もここで議論されたように、本来学校法人でなければ助成をするのはおかしいわけですから、そういう意味学校法人化を進めていくということをすべきじゃないのですか。そうすることによって、私は幼稚園教育というのは充実するだろうと思うのです。  ですから、私が提案者の西岡さんと大臣にお願いしたいことは、こういう法律を出して三年延長をする、学校教育法等のたてまえを崩していくということは、私は遺憾だと思います。そういうことに対して法律改正を出す以前に、公立幼稚園に対する国の基準財政需要額をもっと充実したものにしていく、そうして私立助成についても充実したものにしていくということが何よりも先ではないだろうか、そういうことをまずやることが必要ではないだろうか、こう私は思っておるわけです。それに対する西岡さん並びに大臣のお考えを聞いて、時間でございますようですから、質問を終わっておきたいと思います。
  251. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  山口委員からの数々の御指摘につきまして、提案いたしております私どもといたしましても全く賛成でございまして、公立幼稚園私立幼稚園それぞれさらに力を入れて、これを振興していくための諸施策、財政的な裏づけを行っていくべきである、このように考えます。
  252. 小川平二

    ○小川国務大臣 ただいまの御発言の御趣旨は十分理解をいたしましたので、念頭に置いて研究をさせていただきます。
  253. 青木正久

    青木委員長 佐藤誼君。
  254. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 提案者並びに文部省に、質問の過程で相互振り分けながら質問をしていきますから、お答えをいただきたいと思いますが、最初に、若干提案された法案に係る基本的な問題についてお尋ねいたしますので、時間も大変遅くなっておりますから、私の方も質問を簡潔にいたしますから簡潔に答えていただきたいというふうに思います。     〔委員長退席、石橋(一)委員長代理着席〕  それでは、文部省提案者両方にお聞きいたしますけれども学校教育法第二条、御承知だと思います。それと私立学校法五十九条、これは学校法人あるいは学校法人に対する国の助成ということを決めた条文だと思いますが、そのことをどのように文部省並びに提案者は理解をしているのか、まずそれを一応質問いたします。
  255. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 御指摘のとおり、学校教育法第二条では、私立学校設置者は「学校法人のみが、これを設置することができる。」というように規定されております。また、私立学校法第五十九条によりまして、「学校法人に対し、」「必要な助成をすることができる。」という規定がございます。また、これを附則の十八項で、各種学校、専修学校設置する準学校法人に準用するというのが、私立学校法の五十九条の関連規定でございまして、法律に定める学校は公の性質を持つものであり、その永続性と安定性を確保して公共性を高めていくということの趣旨によるところのものと存じております。
  256. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  ただいまの管理局長の答弁に尽きていると考えます。
  257. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 そうしますと、学校教育法第二条、私立学校法五十九条、つまり、これは教育基本法第六条、「学校は、公の性格をもつ」ということを基本に据えて、したがって、私立学校の場合には学校法人、そしてまた、そういう公の性質という観点から、国の助成学校法人助成をするのだ、こういうふうに基本的に考えていいですね。
  258. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 基本的にはただいま御説明申し上げましたとおりでございまして、具体の助成に当たりましては、私立学校振興法において経常費補助等に関する規定が定められておるものでございます。なお、学校法人には当分の間学校法人立以外の私立学校設置者を含むものと私立学校法の附則でもされております。その面からも、私立学校振興助成法の附則におきまして、個人立宗教法人立等の幼稚園設置者に対しましてその規定が適用されているという経過になっております。
  259. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 私はそこまでは質問していなかったのです。私は幹になるところの第二条と私立学校法の五十九条の基本的な考え方を聞いているのであって、その先の敷衍したことを聞いているのじゃないので、それは後で答えてください。  そこで、学校教育法百二条、いま説明がありましたね。それから私立学校法本法附則十八項、これはいまの説明からいうと、つまり学校教育法第二条、私立学校法五十九条からいえば、この百二条と私立学校法本法附則十八項は、法制定の趣旨に照らすならば、言うなれば特例であり例外規定であるというふうに理解しておるのですが、どうですか。
  260. 三角哲生

    三角政府委員 例外というふうに考えてもよろしいかと思います。本来のあるべき姿は本則に書いてございまして、そして特殊事情によります場合を附則に書いておる、こういうことでございます。
  261. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 提案者、どうですか。
  262. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  私もただいまの初中局長の答弁と同じ考えでございます。
  263. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 そこで、続けて聞きますが、昭和四十六年六月の中央教育審議会の答申、いろいろ内容はありますが、これには私立学校に対する国の助成内容ももちろん入っております。その中に次のことが入っていますね。つまり「私立幼稚園のうち個人立のものは、その法的な基礎を確立するため、できるだけすみやかに法人立に転換するよう促進すべきである。」、こういう答申内容のあることは御承知のとおりだと思うのです。これは先ほどありましたように、学校教育法第二条、私立学校法五十九条という本法の趣旨からいえば当然の答申であり、また内容だと思うのですけれども、こういう答申を受けて、教育行政施策の中でこの答申がどのように生かされてきたのか、これは文部省に聞きたいと思います。
  264. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 御指摘の四十六年の中教審答申によりまして、幼稚園教育の振興、またその具体化に当たりまして公私立幼稚園の地域配置の調整あるいは財政援助の問題、また、ただいま先生指摘個人立幼稚園学校法人化の促進等の施策に指針をいただいたわけでございます。文部省といたしましては、私立学校振興方策懇談会を置きまして、この面の私立学校の振興策につきましての御協議を賜わりまして、この中では、個人立幼稚園等に対する助成の適否について十分検討していけということの御示唆がございました。それらの面から、一方では初中局の方で、幼稚園教育振興計画に基づきまして就園奨励費の実現等が図られましたが、この私立個人立幼稚園に対しましての助成措置と絡みまして、個人立幼稚園学校法人化の促進という課題、この辺の背景がありまして、議員立法私立学校振興法の成立を五十年の七月に見まして、個人立幼稚園に対する助成の実現と同時に、一定の期間に、助成を受けた幼稚園はこれを学校法人化に義務づけていくということの立法政策がとられたという経緯でございます。
  265. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 そうしますと、いま答弁の中ですでに触れられておりましたけれども学校教育法第二条、先ほど言いました、つまり「学校法人のみが、これを設置することができる。」、私立学校学校法人のみが設置することができるということ、それから、先ほどありました私立学校法五十九条によれば、これまた、国または地方公共団体助成は「学校法人に対し、」以下云々というふうになっていることは御承知のとおりです。こういう趣旨から見た場合に、いまも答弁の中にありましたが、私立学校振興助成法附則第二条五項を、いまのような観点に照らした場合にどのように理解したらいいのか、また理解をしているのか、これは文部省提案者と両方に聞きたいと思います。
  266. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 私立学校振興助成法は、附則二条一項におきまして、当分の間、個人立等の幼稚園についても第九条の経常費助成の対象といたすとともに、五項におきまして、補助金を受ける個人立等の幼稚園は、その翌年度から五年以内に学校法人化の措置をしなければならない旨定めたものでございます。この二条五項の規定は、補助を受けた個人立等の幼稚園設置者に対し、学校法人化の措置をしなければならないという法律上の義務を定めたものでありまして、私立学校学校法人のみによって設置されるという、学校教育法の本則の実現を期すということの趣旨をあわせ持ったものであろうというように考えております。
  267. 西岡武夫

    西岡議員 お答えをいたします。  先ほど来、佐藤委員指摘のとおり、学校法人によって幼稚園が経営されるということが大原則でございまして、当時、幼稚園の振興を考えます場合に、実態として、学校法人立幼稚園昭和五十年の段階におきましては四〇%を割っていたわけでございまして、六〇%以上が学校法人立以外の幼稚園によってその役割りが果たされていたという現実を踏まえまして、学校法人化を促進するという意味も含めて、幼稚園の振興策という形で私学振興助成法における特別の措置を行う、これがこの法律についての立法の趣旨であったわけでございます。
  268. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 そうすると、いままでの答弁でも明らかなように、学校教育法第二条、私立学校法第五十九条、つまり、学校法人並びに国の助成に関する本法規定ですね、これは、いまも答弁ありましたが、私立学校私立学校法人のみが設置することができ、しかも国の助成学校法人のみにあるのだという、こういう本則、基本的な考え方から言うならば、いまの私立学校振興助成法の例の附則二条五項のこの考え方は、学校法人でないのに国の補助を受けるわけであるから、速やかに本来の姿である学校法人にならなければならないということを義務づけている、そういうふうに私は理解をするのですけれども、そういう理解の仕方に対して、文部省なり提案者はどう考えますか。
  269. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 現実幼稚園につきましては、歴史的にも、個人立あるいは宗教法人立の形態におきましてそれぞれ由緒ある教育を行ってきておる実態があったわけでございまして、学校法人という法人格を創設する私立学校法あるいは学校教育法の制定に当たりましては、当分の間この実態を踏まえて幼稚園教育が普及されていく考え方がとられておったわけでございますが、本来の原則が学校法人のみであるということの原則に、できる限りその実現を図るということが幼稚園教育のこれまでの歴史であろうかと思います。そういうような観点から、附則の二条第一項は、私学経常費助成目的は、私立学校教育教育条件維持向上、父兄負担の軽減、私立学校の経営の健全化ということの目的、それ自体を持っておるものでございまして、幼稚園教育実態にかんがみて、個人立幼稚園にもこの経常費助成を及ぼすということの考え方に立ちまして、附則の二条第三項等で、別途会計の処理も適正にするということ、あるいは二項で、学校法人と同じような監督が及ぶ、そのための読みかえ措置も講ずるということで、公金の支出が適正に教育目的のために使用されるというような趣旨での立法がなされたわけでございます。その間に、先ほど西岡先生からお話ございましたとおり、できるだけ速やかに個人立幼稚園等におきましても学校法人化を促進するという、この促進化の政策とが一致いたしまして二条の五項が設けられまして、この助成を受けた個人立幼稚園等は、先生指摘のとおり学校法人化を図るという義務が課されたということでございまして、この個人立幼稚園に大いに助成を行って教育の質を高める、と同時に学校法人化の促進を図るという政策課題が密接に一体化されてきたということの立法の趣旨だろうと思っております。
  270. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  ただいま管理局長から詳細に答弁が行われましたが、私も全くそのように考えております。
  271. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 答弁なんですけれども西岡さん、提案者の答弁は先ほどから聞いておっても、内容の是非は別といたしましても、質問に対して的確に答えているのだけれども、管理局長初めいろいろな言い回しをするものですから、いたずらに時間がかかるし、どうも答弁の趣旨がはっきりしない。したがって、質問に対してはっきり、しかも適切に答えてもらいたい。これは要望しておきます。  そこで、るるありましたけれども私立学校振興助成法の例の第二条五項の規定は、言うなれば法人志向園として国の補助を受けた者は、先ほどありました、翌年度から五年以内でしたか、法人化をする措置義務を負わされた、また負わされているということですから、それはこの法律の規定に基づいて受けているわけですから、学法化をするということをまともに受けてそのために努力をしなければならぬという義務を当然負わされているということですね。同時にこれは、先ほどからるるありましたような、学法化するという政策目的を持ちながら金を出しているわけですから、行政立場から言えば、その措置義務が履行されるようにしかるべく行政としても指導し措置を当然していかなければならないと考えるわけですが、その点はどうですか。
  272. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 先生指摘のとおりでございまして、学校法人化を義務として努力しなくちゃならぬことになっておるわけでございます。  そこで、都道府県におきまして志向園として補助した幼稚園につきましては、学校法人化への努力状況を常に把握するようにいたしておりまして、また、その把握した状況文部省の方も報告を受けるようにいたしまして、一定の期間内に学校法人化が実現するというその年々の逐年の努力を要請し、また、それにつきましての指導を都道府県を通じて行ってまいってきておるところでございます。
  273. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 そこで、そういう国の補助を受けた幼稚園はそういう措置義務を全うするために当然努力しなければならぬし、それから教育行政はそういう措置を全うできるように指導し、そしてまた措置をしていかなければならぬと思うのですけれども、私は以下具体的な点で質問しておきます。どうもそういう受けとめ方に果たしてなっているのか、また、文部省の指導がそのように適切に進められているのかどうかいささか疑問があるので、次の点について具体的に質問しておきます。  それは日本私立幼稚園連合会の五十六年度要覧が出典なんでありますが、その中に「経常費助成費補助金の基本的事項について」というのがございます。その内容を見ますと、次のようなことが書いてあるのです。「文部省、大蔵省、内閣法制局、衆・参両院法制局の間で、次のとおり、合意されているのでお知らせします。」、こういうものがございます。そして、それは膨大なものですから、そこから抜粋をして必要な部分だけ指摘したいと思います。「補助金の性格について」ということについては、「学校法人にするため(なるため)のものではない」、こういうくだりがございます。それから、補助金をもらったことと、もらったが学法化しなかった場合どうなるのかということについては、規定違反であるが罰則はない、また返還を求められることはない、いろいろ中にありますけれども肝心の部分を言います。     〔石橋(一)委員長代理退席、委員長着席〕  「三、補助の対象となる幼稚園について」ということで、それは学校法人化のための努力をする幼稚園である、これは交付要綱四条一項にありますからそのとおりだと思います。ただその中に、先ほどありましたが都道府県の措置状況の報告義務の欄の中に「何の措置もしなかった」というふうになりますと国からの補助の対象にならないから念のため、こういうのがずっと書いてあるわけです。  それは純粋に法律的な面で、しかもある一面を強調したものではあろうかと私は思うのです。しかし、先ほどから例の第二条五項に言われているように、これは志向園として補助を受けたならば学法化するという措置義務を受けているのだという、このことの本来の姿からいうと、余りにも一面的なことのみが強調されているのではないか。むしろ私に言わせるならば、ちょっと短絡的ではありますけれども、法人化の努力をしているというあかしが報告の中で明らかになっていれば助成はもらえるのだ、しかしこれは法人化のためのものではない、法人化しなくとも罰則もなければ返還も求められるものではない、こういうふうに短絡的につないでいきますと、法人化ということを努力しながらもらっていって、最後に返還の義務がありませんから、平易な言葉で言えば、言葉は不適切かもしれませんけれどもこれはもらい得、こうつながるようなものが短絡的にずっと書いてあるのです。  しかも、これが昭和五十二年の二月一日ですね。乙の法の施行は五十一年四月一日ですから、この法の施行直後一年足らずのところでこういうものが出ておる。しかも、五十一年四月に助成を受ければ、期限の切れるのが恐らく五十七年の三月ごろでしょう。ずっと先に期限が切れるのに、もらった直後からもうこういうものが流れている。これでは、幾ら先ほど言ったように二条五項で措置義務を課しているのだ、しかも学法化のための誘導的な政策措置としてやっているのだと言ったって、もらう側から言えば、こういうものがどんどん流れれば、いやもらっても後で返さなくてもいいし、これは罰則もないのだというのが宣伝されたら、後の質問にもかかわってきますけれども、これは何も望まなければ学法化しようなんという気持ちはないと思うのです。この辺のところに私は受けとめ方として問題があるのではないかということが一つあるわけです。  区切るために、以上の点について、文部省それから提案者はどのように見るか、ひとつ感想を聞かしていただきたい。
  274. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  佐藤委員指摘の点につきましては、第一点の法人化のためのものではないという点は明らかに誤りでありまして、私学振興助成法の中におきまして、明確に学校法人化の措置をしなければならないということを附則において明記してあるわけでございますので、ただいまの御引用の解説は明らかに誤りでございます。ただ、その中で現実の問題として罰則あるいは返還をしないでもいいということは、事実に基づいて申しますればこれはそのとおりでございまして、この立法の趣旨につきましては、当時学校法人化というものを促進するということが前提で、都道府県における財政的な助成、援助が個人立宗教法人立等の幼稚園に対して行われる、それに対して国が補助を行うということでございまして、都道府県の行政が適確に行われているという前提に基づいて国の助成が行われてきた、このように御理解をいただきたいと思います。
  275. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 御指摘の、合意されたという内容がどのような経緯でなされたかということにつきましては、詳しくわからない面があるわけでございますが、御指摘幼稚園関係団体の要覧によれば、補助金の性格につきまして若干の説明がなされているところでございます。  私ども、いずれにいたしましても、いま西岡先生からお話がございましたとおり、経常費補助金は私立学校振興法第一条の目的から支出されているものでありまして、教職員の人件費や教育のための経費として毎年度有効に活用されるものでありまして、この補助金の性格から、仮に所定の期限内に学校法人化できなかった幼稚園があったとしても、返還を求めることは困難であるという考え方を持っております。  その他、学校法人になるためのものではないというところの物の言い回し方でございますが、この補助金が直接学校法人化のために支出されるという書き方はされておらないわけでございますが、補助を受けた幼稚園が附則二条五項によりまして法律学校法人化の設置義務を負っておるということには変わりないという、また補助金の交付と学校法人化が密接な関連にあるということは、そのように考えておるところでございます。  その他、努力の状態につきまして状況報告を求めまして、やはり学校法人化へのそれなりの努力が熱心にされておるということはその都度毎年度確認をして補助金を交付するということで、この具体に当たりまして学校法人化への義務措置が実効あらしめるような対応をしてきておるというところでございます。
  276. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 どうも管理局長の答弁はわからないのですけれども文部省とそれからこの改正案の提案者の意見が違ってもこれはおかしくはないわけなんだけれども先ほど提案者である西岡さんの答弁によれば、簡潔に言えば、学法化を前提に国の助成がなされているのだ、したがって、ここで言っている学法化するため、なるためのものではないという断言的な言い方は誤りだ、こういうことだと思うのですが、私もそういうふうに理解するのですけれども、どうもいまの管理局長の話だと、いろいろな言い回しあるけれども、ずばり言ってそのことに対してどうなんですか。そのことに対して、そこに焦点を当ててください。
  277. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 学校法人化のための、直接ためのものである、学校法人化を必要な条件とするということの物の言い方をいたしますと、そこに返還という問題を生ずるおそれがある、その面を考慮した物の言い回しがこの合意の中でされたというように考えております。
  278. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 そうすると、どうもその辺がはっきりわからぬのだけれども、少なくとも一つは国の政策としての学法化をねらったものだという、その側面があるのだという、これははっきりしておると思うのですね。これが一つ。もう一つは、学校法人化するためのものではないのであるという、こういう断言的なことに対してどうなのか。この二点、どうです。
  279. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 個人立幼稚園に対しまして、経常費助成目的を持った補助金等を個人立幼稚園につきましても支出する、助成するという規定が設けられたわけでございまして、その際、この補助金を受けた個人立幼稚園につきましては、学校法人化を行う義務が課せられたということでございます。したがいまして、個人立幼稚園に対する助成学校法人化ということはきわめて密接な関連にあるわけでございまして、個人立幼稚園に対する経常費助成の適用によって学校法人化を促進するということの立法政策がとられたということであろうと思っています。
  280. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 そうすると、この助成法で言っている、とりわけ関連する二条五項との関係で言うと、確かにこの助成法目的が、または助成する措置目的が、私学教育教育条件の引き上げとかあるいは父母負担の軽減とか、そういう教育的な効果をねらっていると同時に、もう一つ重要な側面として、学校法人化もねらっているという、この点はいいですね、管理局長どうですか。
  281. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 そのとおりでございまして、個人立等の幼稚園設置者に対しまして、二条五項は、補助金を受けた場合は学校法人化を図る法律上の義務を定められたものと言えます。
  282. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 そうすると、学校法人にするためあるいはなるためのものではないという断言ではなくて、学校法人にするためのものでもあるというふうな理解に私は立たなければならぬのではないかと思うのですが、その点どうなんです。
  283. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 経常費助成の補助金を受けた個人立幼稚園は、学校法人化を措置する法律上の義務を負うわけでございまして、その物の言い回しでございますが、学校法人化を促進するための立法政策はあるわけでございますが、学校法人化のために補助するという言い方ではございませんで、あくまでも個人立幼稚園教育条件維持向上、そういう目的にかなった、振興助成法第一条の目的にかなった助成をなすということが一項の趣旨でございます。それを受けたものは法律上の学校法人化の義務を負うということの立法形態になっておるということをこの合意は申しておるところでございます。したがいまして、この物の解釈の仕方、物の言い回しでございますが、学校法人化の法律上の義務がないということでは決してないわけでございまして、補助金を受ける幼稚園につきましては、最大の学校法人化の法律上の義務を果たす責任がある、また行政はそれを顕在にしていく行政責任があろうというように感ずる次第でございます。
  284. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 条文の読み方について私聞いているのじゃないのですよ。私が問題にしているのは、先ほど言った日本私立幼稚園連合会の要覧の中に、しかも事項の中に「学校法人にするため(なるため)のものではないのである。」という断言的なものがずっと流れているわけです。したがって、そのことを私は事実に基づいて言っているわけでありまして、少なくともいま言ったように、こういう私立学校振興助成法趣旨から言うとするならば、それは先ほど答弁しているように、教育水準の向上という面も持ちながら、同時に学校法人化も進めるという面をあわせ持っているのですから、「したがって、学校法人にするため(なるため)のものではない」という断言ではなくて、学校法人にするため、なるためのものでもあるというような表現にするのが最低限必要なことではないか。こういう否定的な断言になれば、ここから受けとめられることは、学校法人にするためのものではないのだ、「したがって、」云々ということで、やがてそれにつながる問題は、これは罰則もなければ返還をしなくてもいいのだ、こういうふうにずっとつながっていくわけですよ。だから、これは非常に後ろ向きの受けとめ方をされるという形になっていくのではないか。したがって、そういう点から言えば、教育行政に携わる者は当然学法化を進めるのだというこの趣旨から言うならば、こういう表現の仕方、こういう文言のとらえ方というのは、私は不適切ではないかということを言っているわけです。
  285. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  先ほど来管理局長からお答えがあっておりますことは、私から先ほどお答えを申し上げましたことを、より立法政策的に正確に詳細に述べられているわけでございまして、この私学振興助成法目的そのものは、あくまでも幼稚園の振興のために当時何をなすべきであるかということがまずありきでありまして、その結果として、当然私学助成を受けた個人立宗教法人立幼稚園学校法人化の措置をしなければならないということが伴っているということを、立法政策的に管理局長は答弁をされている、このように私は理解をいたしております。
  286. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 いま西岡先生からお話しいただいたとおりでございまして、補助金の支出の目的はそれ自体あるわけでございます。それに立法政策として、本来の学校法人化を促進するという立法政策がもう一方五項で定められたということでございまして、このことによって個人立幼稚園で補助金を受けました設置者は学校法人化の法律上の義務を負っていることには変わりないわけでございます。
  287. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 何かテープレコーダーをいろいろ回しているような感じで仕方がないのだけれども……。  それで、これは中教審の四十六年答申にもあるわけなので、端的に言えば私立学校に対する国からの補助というのは、父母の負担を軽減し、公平化を図ると同時に、公私の教育水準の向上という直接教育効果ということを公の立場から考えていると思うのです。やはり公という立場から言えば、同時に学法化をしなければならぬという、これは表裏一体になっていると思うのです。ところが私が強調するのは、純法律的云々ということよりも、こういうような文章が流れてくると、後半の方の学法化という問題が何かスポイルされちゃって、やらなくてもいいのだよという印象だけが強く浮き上がるようであっては、法の趣旨からいっても、行政立場からもいっても、不適切ではないのかということを私は指摘しているわけです。この点、私は異論なかろうと思いますが、時間がありませんので、先に進めていきたいと思うのです。  そこで、私は、それじゃ具体的にそういう学法化というものが行政施策の中で真剣に追求されているだろうかどうかという、この点に疑問を持つものですから、さらにいまの質問を続けていきたいというふうに思います。  そこで、「私立高等学校経常費助成費補助金交付要綱」というのがあります。その中に「学校法人立以外の幼稚園に係る補助」というのがありまして、先ほども触れましたが、第四条に「前二条の補助金算定の基礎とする学校法人立以外の幼稚園は、設置者が学校法人化のための努力をする幼稚園とする。」、これが対象になる、こういう言い方ですね。第二項に「都道府県知事は、補助金算定の基礎となった学校法人立以外の幼稚園学校法人化の状況について、翌年度の七月三十一日までに様式第一により、文部大臣に報告するものとする。」、第三項に「文部大臣は、前項の報告により、補助金算定の基礎となった幼稚園設置者が学校法人化のための努力を払っていないと認められる場合には、当該幼稚園を補助金算定の基礎としないものとする。」以下云々とこうありますね。ですから、簡単に言えば学校法人化の努力をしているという、このあかしが明らかであれば、いまの補助金の対象になる、そして補助金を受けた者は当然学校法人化の措置義務を負うわけであるから、その措置状況を文部大臣に報告する、文部大臣はその報告に基づいて、果たしてこれがこの学校法人化の努力をしているかどうかというあかしを判定する、そしてそのあかしが立たない場合には、次の年から補助金を切る、算定の基礎にしない、これが大体この趣旨だと思うのです。  そこで、私は文部大臣が、この様式というのはここにあるのだけれども、この様式に基づいて都道府県から報告されたこれが、どの点を見てこれが努力している、どの点を見て努力していない、こういう判定になるのか、この判定の根拠、あるいは事実、項目ごとに報告されているから、その項目について私は説明をいただきたい、これが第一点。それから第二点は、この報告された実態、つまり学法化の措置状況、これを計数的に押さえているのかどうか。三番目。また、その実態に基づいてどのように指導されているのか、したのか。その他たくさんありますけれども、四点にとどめます。第四点目は、文部大臣がこの報告を受けて、これは努力のあかしが明確でないから、したがって算定の基礎から外した、補助の対象から外したという件数が何件ぐらいあるのか。  これは私は非常に重要な部分だと思いますので、以上四点について質問いたします。簡単に答えてください。
  288. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 学校法人化への各幼稚園努力の仕方、また、その努力につきまして努力をしているかどうかの判定につきましては、一応の物の見方につきましては、この報告書の中で、学校法人化のための資産の充実状況、あるいは学校法人化のための方策の検討状況、あるいはもう具体に学校法人認可のための手続をとっておるかどうか等の視点に立って判断するように、また、それに基づく報告を求めておるわけでございまして、具体の努力の程度の判断につきましては、認可庁でございます都道府県知事にゆだねておるところでございまして、それにつきまして、文部省としてどの程度をもって努力と見るかということの物差しを特に示しておりません。  それから各都道府県におかれましては、それぞれ補助金の交付要綱を定めておりまして、学法化を志向する幼稚園に限って補助対象としておるわけでございまして、一義的に都道府県におけるこの面の指導が十分徹底するように、かねてから諸種の会議等を通じて指導をしておるところでございます。具体に報告が上がりましたものにつきまして、文部省といたしましては、この報告に基づいて個々の幼稚園ごとに学法化への努力をしているかどうかを判断をいたしておるところでございます。これまでのところ、都道府県の学校法人化へのそれぞれの志向園が努力を行っていることについての判断につきまして、文部省として都道府県の判断と異なる判断を下した事例はございません。  なお、各都道府県において努力が払われていないと判断した志向園につきましては補助対象から除外するということにいたしておりますので、具体にこれらの辞退園は五十五年度までに六十九園に上っておる次第でございまして、特に報告を受けまして文部省としての努力に対する判断は、各都道府県がなされておる判断と結果において一致しておるということでございます。
  289. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 そこで、各都道府県にゆだねている以下云々ということがありましたけれども、まず第一点は、交付要綱というのはあるわけですから、これによれば明確に様式第一によって文部大臣に措置状況を報告する、その措置状況の報告によって努力を払っているかどうかというのを判定する、こうなっているわけですね。この報告の様式がこれなんですよ。ですから、このままいけば文部省の方でこれを見て判定しなければならぬということになる、交付要綱がそうなっているのですから。これが一つ。それからもう一つは、この報告を見ると「学校法人認可のための手続の遂行状況」、この中には「認可申請書を提出した。」あるいはその次に「学校法人化のための資産の充実状況」「園地を取得した。」以下ずっとありまして、「学校法人化のための方策の検討状況」というので「園内で検討会を行った。」、同じその並びのところで「学校法人化のための外部での研究会等へ参加した。」以下ずっとあります。最後に「その他」のところに「何の措置もしなかった。」、こうありますね。そうすると当然、常識的に考えても、「その他」の「何の措置もしなかった。(特に将来も行う計画はない。)」、これであれば努力している状況がないというふうに判定されると思いますから、この部分につきましては、先ほど言いましたところの日本私立幼稚園連合会では、何もしなかったということになると問題があるからという内部指導を行っているわけですね。  それでは、「認可申請書を提出した。」以下ずっとあって、「園内で検討会を行った。」、こうありますけれども、たとえば「園内で検討会を行った。」ということだけでもこれは努力をしているというふうに判断されるのか。項目が並列的にあるものですから、どの部分とどの部分を満たしていれば努力として判定するのか、これが判然としないわけです。その辺の内部の状況はどうなっているのですか。
  290. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 先生指摘のとおり、「その他」のところで「何の措置もしなかった。」というような報告を出した園は、当然に私どものところには都道府県から上がってきておりません。いま御指摘のそれぞれの法人化のための実効を上げていくためには、各方面の理解また具体の条件の整備あるいは必要な手続等があるわけでございまして、それぞれの過程における努力につきまして報告を受けるということにいたしておるわけでございます。「園内で検討会を行った。」という報告もかなりあるわけでございますが、検討会を行うということでそれがより具体化への足がかりをつくりつつあるというように都道府県におきましてこの面の判断をいたして文部省の方に上げてきておるものにつきましては、私どもは、都道府県がさらにその上に立った適切な指導によって法人化が推進されていくというような判断に立っておる次第でございます。
  291. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 努力をしているということであれば補助金をもらえるわけですから、しかも努力しているということはいまの措置状況の報告によって判断するわけですから、したがって、いまも答弁ありましたが、「何の措置もしなかった。」となれば努力をしているあかしにならぬからこれはだめだ、これは常識です。ですからこの部分にはだれも丸をつけない。そうなりますと、以下ずっとあります「園内で検討会を行った。」というだけでこれは努力をしているというあかしになるというわけです。それから、学校法人化のための外部の研究会に参加したというだけで努力のあかしになる。これで金を出すというのはちょっと判断としてもおかしいし、こういうことでは本当に学法化のための努力をしているという具体的な姿として把握できるのか、簡単に言うとこれは私は問題だと思うのです。だから、先ほどから、悪いけれども日私幼の要覧をずっと引用しながら申し上げているとおり、悪く解釈すれば、それはいろいろありますよ、学法化に真剣に取り組んでいる人、志向しながら血のにじむような思いで学法化をしているところ、真剣にがんばったけれども学法化できないところ。しかし、問題はその次なんだ。最初からやる気はないがもらっているというのです。この部分はなかなかつかみづらい。しかし、事実私たちはあるだろうと思うのです。率直に言って、これは許されないと思うのです。それは先ほどから指摘しているように、いろいろな純粋に法律の解釈云々ということを言われましたけれども努力のあかしがあればもらえる、これは法人化のためのものではない、義務違反ではあるが罰則はないし返還しなくてもいい、これは一連でしょう。だとすれば、この報告だって、反対に言うと「園内で検討会を行った。」という報告をすれば金をもらえるのですよ。努力したけれども結果においてはできなかった、いやそれは経常費補助であって罰則も返還の義務も規定ありませんから返さなくてもいい、こんなことは昭和五十二年ごろから、できたときからわかっているのです。これじゃ何ぼそんなことを言ったって、学校法人化のための政策誘導を一面の大きなねらいとして法を制定したと言ったって、こういう抜け穴がどんどんあるのです。  これが私は本当の問題を提起していると思うし、学校教育法なりあるいは私立学校法なりに基づいて血のにじむような学法化の努力をしている、またした人から見ればきわめて不公平ではないかという意見が出るのはあたりまえだと思うのです。憲法八十九条ですかに基づいて国の金を使うならば、少なくとも政策目的に合致していること、しかも公平でなければならぬということ、このことを追求せずしていたずらに、これが切れると苦しいから何とかして欲しい、しかし本当はやる気はないみたいなこともあいまいにしたままやるということになれば、これは行政上の立場で言うと大問題ではないか、私はこのことを憂える余り、こういう報告書の中身を見ると非常に不十分ではないかということをあえて指摘をしているということでございます。  そこで、先へ進みます。そこで私は、先ほど言ったようなこともこれあり、努力して学法化をした人、それから努力したけれどもなかなかできない人、しかし残念ながらいま私が指摘しているようなグループもあると思う。そういうものが重なり合って、実際問題、学法化志向園として補助金をもらっている中での学法化の状況をずっと見ますと、私が調べたところでは、誤りがあったら指摘してください、昭和五十五年度末で学法化志向園の累計が二千四十三、その学法化志向園のうち法人化になったものが六百五十二、そうなりますと学法化した率は三一・九%、約三二%しかやっていないのです。それから、いま差し迫った問題になっておる昭和五十七年三月で学法化の措置義務が満期になる、これは六百三十二園、この方は昭和五十一年に補助金をもらっているわけですから、それを調べてみると千九十五園ありますから、それで見ますと昭和五十一年に学法化志向園ということで補助金の支給を受けて、そして満期になった五十七年三月でいまだに学法化はしていないというのが五七・三%なんです。大づかみで言えば、片や三〇%しかやっていない。しかし、いま言ったように満期が来てもやっていないのは約六割。こういう状況を見ると、私は、先ほどから言っているような、私学振興助成法趣旨に沿って血のにじむような努力をしたけれどもこうなったという数字であるのかどうか、残念ながら疑問を抱かざるを得ないのです。それは先ほどからるる指摘しているような、やはり受けとめ方に問題があるのではないか行政指導のあり方に甘さがあり、あえて言うならば抜け穴が多くあったのではないかということを私は指摘したいのですけれども、その点どうでしょうか。
  292. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 先生お示しのとおり、五十一年から五十五年までの志向園の累計は二千四十三園。そのうち学校法人化した園数は六百五十二園、三二%でございます。なお、六百三十二園が学校法人化が困難という状態が昨年の七月の報告の状態でございましたが、先ほど来御答弁申し上げましたとおり、五十七年一月現在で、三月末までに法人化が進むというものを除きますと、この六百三十二園のうち四百七十八園が学校法人化が困難ということで残るという推計になっております。そういたしますと、全体の五十一年度補助を受けました千九十五園のうち五六・五%の個人立幼稚園が、この一定の五年という期間内に学校法人化が実現するという推計になるわけでございまして、まことに六割近くということでございまして、その面につきましては、この法律上の義務が課された規定の実効の上では確かに問題を残しておると思いますが、個人立幼稚園は、大変ないろいろな状況の中で五割を超える学校法人化がそれなりに実現されまして本来の姿を実現されたことに対して、努力とその成果に対して、今後の発展が御期待できることを私ども心から喜んでおる次第でございますが、他の幼稚園につきましても、なかなか困難の中でございますから、この法律上の義務をそのまま期間内に実現するということができなかったことに対して、それなりの感懐をお持ちだと思いますし、今後猶予期間の間にさらに一層の御努力も賜るということを大いに期待いたしたいと思いまして、私ども先生指摘のようないろいろな観点からの対応をせざるを得ないということを感じておる次第でございます。
  293. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 私は、時間を見ながら質問して答弁を聞いているのですから、有効に使うためにもっと簡単に、簡潔に答えてくださいよ。  そこで私は、今日まで日本教育における私立学校の果たしてきた役割りははかり知れないものがあったと思うのです。また、これからも大きな役割りを果たしていくでしょう。それについては私立幼稚園の方が父母の負担から言えば大変大きいし、またどちらかと言えば公立との格差が非常にあるし、そこに学ぶ子供から言えば、水準から言えば非常に差がある、これを何とか埋めていかなければならぬという、そして今日的に言うならば、私立幼稚園の経営の困難さというのは私もわかるのです。これは何とかしなければならぬ。しかし、先ほどから言っているように、学法化に努力している幼稚園がたくさんあるわけです。しかし、残念ながらこれは人の心の内ですからつかめないかもしれませんけれども、どうしたってやはり先ほど私が指摘したようなグループがないとは言えない。そうすると、やはり行政の公平から言うならば、先ほど私が指摘したようなグループを何とかなくして、そしてこの財政の政策誘導に基づいた効率的な運用、公平化というものを図っていかなければならぬ、このことをしなければ本当に、やはり学校教育法なり私立学校法なりに基づいて、学校というのは公のものだということで真剣に学法化に努力している皆様に対して申しわけないと思うのです。このことを私はあえて強調したいから、私は先ほどから、非常に酷なような言い方でありますけれども、あえてそのことを言っているということを御理解いただきたいと思うのです。  それからもう一つ、これは先ほど私の方の湯山委員からもありましたけれども、学法化志向園、つまり志向園になっていながらなぜ学法化に移行できないか。これは先ほど数字がありましたが、これはさっきも質問がありましたから簡潔に申し上げますが、私の方のデータによりますと、やむを得ないというのもあるのですね。つまり設置基準上の条件を満たしてないというのが一一%で、これは中身を見るとそれなりの理由があるようです。それから物理的条件で財産等を寄附することが困難だという場合。これは御承知のとおり、その園の園舎が教会だとか寺だとかそういうところがある。これはある程度理解できるわけです。問題は土地、財産等を寄附するのに抵抗があるというのが三七・五%、それから園児減等幼稚園経営に対する将来の不安というものは二七・八%なんです。これが大体計算しますと、六五・三%が土地、財産を寄附するのに抵抗があるあるいは将来不安だというグループなんですね。私は、仮にいま三年延長をしても、学法化という観点から見ると、この六五%に相当する理由が除去されない限り、学法化というのは表向きの議論としてもなかなか困難だと思うのです。それは最初からやらない気持ちのものはあるかもしれない。それはおくとしても、そうなりますとこの部分を考えてみると、土地、財産を寄附するのは抵抗があると言えば、これは最初からできないのです。どんなに誘導的に補助金を出し時間を置いたって、私はこの気持ちが変わらない限りは法人化ができないと思うのですね。  それからもう一つの問題は、将来に対する不安です。この問題は、ますますこれから園児が少なくなりますからつのってくるでしょう。これを放置したままではこの理由を除去するわけにはいかぬのです。ですから、この辺の条件整備あるいは認可の基準の緩和、こういうところをやはりメスを入れていかなければ、延ばしたからあすにどうなるなどというものではなかろうと思うのですね。ですから、この辺に対してどう考えるのか、その所見を聞きたいと思うのです。
  294. 柳川覺治

    柳川(覺)政府委員 学校法人化が進まなかった主な理由につきまして、先生からいま御指摘がございました。私どももいまこの辺の分析をいたしておりまして、一つは今後の幼稚園経営に不安を抱いているというところが三三%、それから学校法人化に際しまして宗教法人や法定相続人となる家族の同意が得られないというものが二九%、それから園地の取得または借用につきまして地主との交渉が難航している、または地価の値上がり等も影響いたしまして資金確保に困難を生じている、これが一六%、それから現状のままでは幼稚園設置基準を満たさないというものが六%、それから学校法人認可の手続が当初の計画よりおくれておりまして、近い将来に手続可能と明らかに答えておりますのが五%というような状態でございまして、今後このような状態の中で学校法人化が促進されるということは御指摘のように大変困難がございますが、都道府県におきましても私どももそれぞれの実態に即しましたきめの細かい指導あるいは行政としてこれを支援していく、取り組むべき課題をそれぞれ個別に見出しまして、幼稚園設置者の方との十分な連携また周辺の幼稚園関係者の協力支援というものと相まって、この面で一歩でも進み立法の趣旨が十分生かされるということに最大の努力をすべきことだろうというように考えております。
  295. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 そこで、昭和五十年七月十一日ですか、私立学校振興助成法が成立し、しかも特に問題になっている附則第二条一項、五項ですね、ずっといままで制定された以後のこれに基づく実態と経過、問題点、これをるる指摘をし、また意見も拝聴してまいりました。このたび議論になっている中心は、簡単に言えばこの法律を三カ年延長する、そういうことだと思うのですが、改めていまそういうことをずっと振り返って思い出して問題点指摘してみると、三年間延長するというこの積極的な理由がどこにあるのか。いままで、提案者から提案理由も文書で配られておりますし説明もあったのですけれども、その積極的な理由というものを私はここで改めて聞いておきたいと思うのです。それで、提案者はどうですか。
  296. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  先刻来佐藤委員指摘のとおり、実態としてこれから先三年間法を延長した場合にどれだけの個人立宗教法人立幼稚園が学法化を行うであろうかということについては、だんだん困難になっていくであろう、これに対しましては、文部当局とも十分今後相談をいたしまして、提案者といたしましても学校法人化のための基準等について再検討の余地はないであろうかということも課題一つになろうかと思います。  いまここで御提案を申し上げておりますのは、着実にこの五年間学校法人化というものが進んできているということはお認めをいただけることと思いますし、さきの委員会におきましてもお答えを申し上げましたように、いま人口動態が非常に大きく変化してきている、就学前児童幼児の人員がこれからかなりの長い期間にわたって三十万人台の減少を見るという現実の中で、法の期限が来たということによってこれまで果たしてこられた個人立宗教法人立幼稚園に対する財政的な助成措置というものを直ちに打ち切るということが現実に即して正しい施策かどうかという問題と、これまでの経緯の中で学校法人化が着実に進んできたというこの事実を踏まえて、さらに三年間延長するということが施策として正しいのではないか、このように判断をいたし御提案を申し上げているわけでございます。
  297. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 いろいろ考え提案理由だと思いますが、提案理由を見ますと、文章化されておりますが、皮肉で言うのじゃありませんからその点は誤解ないようにしてもらいたいのですが、「このままで推移すれば、五年の期限の到来により補助を打ち切られざるを得ない幼稚園も数多く出てくることが予想され、幼稚園教育に混乱をまねくおそれもあります。このため、学校法人化の期限」、こうなっていますね。この文言で見る限り、法律が明確に五年ということを切っておるわけですから、この五年の期限が来れば打ち切られるということはあたりまえになっているわけです。そしてまた、ことしの三月になって期限が来るという人は、もうその前から、切られるのだということでそれに対応していかなければならぬと思うのです、本来から言えば。したがって、そういう対応の準備のない人は学法化もしない、事前にそういう対応の準備のない人が混乱という状態になるというのは法のたてまえから言ってあたりまえだと思う、酷な言い方ですけれども。私は、幼稚園のいま置かれている状況を見れば、事情というものはよくわかるのです。しかし、先ほどからあなたの言われているような純法律的な解釈から押していけば、これは当然な事態なんです、酷な言い方ですけれども。  それから、先ほどから言っているように、趨勢的に学法化がそれなりになってきていることは認めますよ。先ほどから私学振興法の附則第二条一項あるいは五項で言っているところの、同時に学法化を政策的に誘導し推進するのだ、そのために措置義務を課しているのだ、しかしそれをやったけれども、もう三年延ばすならばさらに措置義務の履行というものはふえてくるだろう、簡単に言うとここで切るにはもったいないということで延長するならば、それはそれなりの理由があると私は思うのです。しかし、非常に酷なんだけれども先ほどから見ていると受けとめる方にも、この法の趣旨をまともに受けとめているかというと、そうでない方々やグループが残念ながら相当数いるのじゃなかろうか。それから、議員立法でもあるからということではないだろうとは思うのだけれども、私から言えば、文部省の本当に措置義務を履行させるという徹底の仕方にも問題があるような気がするし、また、法人化できないという理由を見ると、このことにもう少しメスを入れないならば、いたずらに三年延ばしたって期待できるだろうか、このことを総合的に考えるならば三年間延長して憲法第八十九条に基づく貴重なる財源でそれを補助していくときに本当に政策目的に合致するのか、あるいは公平の原則が期待できるのか、この辺の基本的な問題に残念ながら触れざるを得ないところの状況がここにあるのじゃないか。  もちろん皆さんもそうだと思いますが、私たちにもまた私にも、非常に厳しい幼稚園現状から、あしたから切られては困るのだ、子供たちがあしたからいる場所がないのだという切実なる気持ちで来ることはよくわかるのです。しかし、それはそれとしても、いまのような法としての行政の筋というものは基本に据えていかないといろいろな問題を惹起するのではなかろうかということを私は憂えるので、あえてこういうことを言っているわけでございます。感想ありますか。
  298. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  佐藤委員指摘の点は率直に認めざるを得ない点もございますけれども、実際の問題といたしまして文教行政のこれからの方向というものが、先刻もお答えを申し上げましたように、たとえば満五歳児の義務教育化というものを、年齢の引き下げというようなことについて明確にそうではない、あるいはそうであるというような政策が明示されることによってかなり幼稚園の経営者の皆さん方の一つの決断というものが行われるのではないだろうかということ、そういう問題点一つございます。  もう一つは、公立幼稚園、あるいは設置目的等は異なっておりますけれども保育所との関係、そうしたことについてより適切な行政方向というものが行われれば、さらに学校法人化というものは進んでいくのではないだろうか。少なくとも今回三年間の延長を御提案申し上げております以上、文部省当局においても十分抜本的な施策に対する対応というものがこの間なされてしかるべきであるということを期待いたしているわけでございます。  なお、公平の原則につきましては、佐藤委員指摘のとおり多くの問題がございますが、昭和四十六年に学校法人についての会計の基準が定められまして、さらに附則二条の三項において定められておりますように、特別の会計の処理をこの助成にかかわる部分については行うという措置が加えられていることによってかなり担保されている、このように考えているわけでございます。
  299. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 では最後に文部大臣に聞きますけれども、いますぐじゃございませんから、ひとつ整理をしておいていただきたいのです。  私は端的な言い方をすると、先ほどありますように、ここで打ち切ると幼稚園教育に混乱を招くから云々ということのみに焦点を当てた議論で、したがって三年延ばすか延ばさないかという短絡的、きりもみ的な議論がされていくのは問題があると思う。基本的に私学振興は必要だということは私も先ほど力説しているとおりでありますし、特に父母負担を軽減し、公私の格差をなくして公立同等の教育水準に持っていく、これは公の性質から当然だ、このことについては賛成なんです。ただし、それは補助の政策目的に合致していることと、施策が公平であるということを追求しながら行政が行われていかなければならぬのではないかということを基本考えるわけです。そこで、そうは言っても、きょう傍聴の方もたくさんおいでですけれども、本当に百人なり百五十人なり幼稚園を経営している皆さんは、いまのマンモス化、過当競争の中で、しかも園児は減る、はてあしたからどうなるのだろう、父兄の皆さんも保育料が上がるのじゃないか、行き先があるのか、経営者は経営者なりの悩み、子供を持つ父兄は父兄の悩み、たくさん持っていると思う。やはり、そういうものにまず当面具体的にどうこたえるかということを考えなければならぬと思うのです。  そういう点から言うならば、この間公立幼稚園の定数を改正する法律案を私どもの政党から出して議論しましたけれども、確かにいまの状況を見ると、園児は減少しているけれども一学級当たり明治以来の四十人以下というこの基準で、しかも学級数や園規模に何らの規制もなく、極端なことを言えばそのままの状態で出されているわけです。したがって、私立幼稚園の方からいえば、四十人以下とあるけれども、四十五人なり、なるべく園児をよけいにして、そしてなるべく園規模、つまり学級数をよけいにして、その他の経費をかけないでだんだんマンモス化していく、しかもその園児を小学校の学区のみでなくて、バスを使って広範囲にわたって集めてくる、こういう状況ですね。そうすると、それが放置されておれば、規模の小さいところはますます園児が少なくなってくるし、しかもそういうマンモス化の過当競争の中でその幼稚園は閉鎖をせざるを得ない状況になってしまうと思うのです。ですから、これは教育効果の点からいっても、また、実際まじめにやっている小規模の園をつぶすようなことがあってはならないということからいっても、私はそこにまず政策上のメスを入れるべきじゃないか考えるわけです。  そこで、この前も議論いたしましたけれども、私たちの考えから言うならば、まず就園児が少なくなってくることを機会にして、一学級当たりの園児の数を四十人以下とあるけれども少なくすべきだ、少なくともヨーロッパ並みに。この間も議論しましたからやめますけれども、少なくとも経済大国日本が明治以来の四十人という、ここは直さなければならぬと思うのです。そういう意味で一学級当たりの定数を減らす、そして園規模、つまり学級数もどのくらいが適正なのか、一つでは余りにも足りない、四十も五十もじゃ多い。あの明治の設置基準のときもそのことが議論されて一定の園規模は決めたわけですから、その園規模ということを具体的に言えば、学級数はどのぐらいが適正なのか、それに対して教員配置はどのぐらいがいいのか、こういうことをまずやることによって適正規模の幼稚園をつくる、このことを基本にしていかなければならないのではないか。そうなりますと、これは私立幼稚園経営ですから、当然園児が少なくなれば実入りも少なくなります云々ということが出てきますから、そういうものに対しては園児数ではなくて、私は、この前も議論ありましたが、やはり学級数なり教職員の定数なりというものを考えて補助してやる、こういうことが施策上どうしても必要ではないか、そのことによって将来に対する、いまで言う幼児数が不足、不況、こういう中でも本当に真剣に取り組む幼稚園が生き延びていける、社会的な貢献ができる条件をつくることが大切だと私は思う。  もう一つは、そういう条件整備からいうと、何といっても適正配置の問題がありますね。何ぼがんばったって、隣に公立幼稚園が出てきた、保育所がどんどん出てきた、これでは成り立たぬわけですよ。したがって、その辺のところは幼保一元化の問題等いろいろ議論されておりますけれども、やはり適正配置というものを考えてやらないと幾ら自助努力したってだめだと思うのです。この辺の施策はきちっとやらなければならぬと思うのです。  そうして、先ほどからありますように、もう一つの問題は、どうしたってこれは公の性質を持つものですから、学法化というものは大いに誘導し、努力し、また努めていかなければならぬと思うのです。これは公共性、永続性、安定性からいって当然だ、論外だと思うのです。そうなりますと、先ほどから言っているように、最初からやる気のない、しかしという、ここの部分はなるべく減らさなければだめだと思うのですよ。しかし、がんばってもどうしてもできない層があるわけだね。それに対しては先ほどからありますように、つまり経営が成り立つような条件整備を一方でしながら、認可の基準については実態に合わせた形でなるべく可能な限り緩和していく、こういうことをやりながら、はてどうするか、こういう議論を総体的に考えなければ、いまここで、期限切れたから混乱するから三年延長すればという、もしこの提案趣旨にこういう短絡的な発想があるならば問題があると思うのですね。やはりそこまで深く掘り下げたことでないと、日本の就学前の幼児教育の問題、経営者の問題、将来を見通した問題、それから法の本来の趣旨にもとるところの教育行政からいうと、私は幾つかの問題を残してしまうのじゃないかということを考えますので、時間になりましたから、最後に提案者と文部大臣からの所見を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  300. 西岡武夫

    西岡議員 お答えいたします。  ただいま佐藤委員指摘の問題提起、提案者といたしましても全く同感でございまして、その根本的な検討をする期間として三年間の法の延長をお願いしているということをるる申し述べてきたところでございまして、根本的なところにメスを入れていかなければいけない、そういう意味で、過去五年間、時限立法で私学振興助成法の中におきまして個人立宗教法人立についての施策を行ってきたわけでございますけれども、その五年間に、ただいま御指摘の点について十分な政策的な配慮あるいは方向づけというものがなされなかったことの反省に基づいて、なお三年延長をお願い申し上げている、このように御理解をいただきたいと思います。
  301. 小川平二

    ○小川国務大臣 先ほど来いろいろの御指摘を承りましたが、御同感の点が多々ございます。この法律が成立いたしました暁には、第一に立法の趣旨を十分徹底させる努力文部省としてもいたすつもりでございます。あるいはまた、学校法人化を志向する幼稚園において現実にどのような努力を払っておるかということを正しく把握するために、さらに工夫をする必要もあろうと存じます。あるいはまた、いろいろ御指摘のありました学校法人化を阻害する要因になっておるようなさまざまな問題点につきまして、どのように対応していくかという点についてもさらに工夫をこらしてまいるつもりでございます。
  302. 佐藤誼

    ○佐藤(誼)委員 ちょうど時間となりましたので、以上で終わりたいと思います。
  303. 青木正久

    青木委員長 次回は、来る二十八日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十分散会