○佐藤(誼)
委員 では最後に文部大臣に聞きますけれ
ども、いますぐじゃございませんから、ひとつ整理をしておいていただきたいのです。
私は端的な言い方をすると、
先ほどありますように、ここで打ち切ると
幼稚園教育に混乱を招くから云々ということのみに焦点を当てた議論で、したがって三年延ばすか延ばさな
いかという短絡的、きりもみ的な議論がされていくのは問題があると思う。
基本的に
私学振興は必要だということは私も
先ほど力説しているとおりでありますし、特に父母
負担を軽減し、公私の格差をなくして
公立同等の
教育水準に持っていく、これは公の性質から当然だ、このことについては賛成なんです。ただし、それは補助の政策
目的に合致していることと、
施策が公平であるということを追求しながら
行政が行われて
いかなければならぬのではな
いかということを
基本に
考えるわけです。そこで、そうは言っても、きょう傍聴の方もたくさんおいでですけれ
ども、本当に百人なり百五十人なり
幼稚園を経営している皆さんは、いまのマンモス化、過当競争の中で、しかも園児は減る、はてあしたからどうなるのだろう、父兄の皆さんも保育料が上がるのじゃな
いか、行き先があるのか、経営者は経営者なりの悩み、
子供を持つ父兄は父兄の悩み、たくさん持っていると思う。やはり、そういうものにまず当面具体的にどうこたえるかということを
考えなければならぬと思うのです。
そういう点から言うならば、この間
公立幼稚園の定数を
改正する
法律案を私
どもの政党から出して議論しましたけれ
ども、確かにいまの
状況を見ると、園児は減少しているけれ
ども一学級当たり明治以来の四十人以下というこの
基準で、しかも学級数や園規模に何らの規制もなく、極端なことを言えばそのままの状態で出されているわけです。したがって、
私立幼稚園の方からいえば、四十人以下とあるけれ
ども、四十五人なり、なるべく園児をよけいにして、そしてなるべく園規模、つまり学級数をよけいにして、その他の経費をかけないでだんだんマンモス化していく、しかもその園児を
小学校の学区のみでなくて、バスを使って広範囲にわたって集めてくる、こういう
状況ですね。そうすると、それが放置されておれば、規模の小さいところはますます園児が少なくなってくるし、しかもそういうマンモス化の過当競争の中でその
幼稚園は閉鎖をせざるを得ない
状況になってしまうと思うのです。ですから、これは
教育効果の点からいっても、また、実際まじめにやっている小規模の園をつぶすようなことがあってはならないということからいっても、私はそこにまず政策上のメスを入れるべきじゃな
いかと
考えるわけです。
そこで、この前も議論いたしましたけれ
ども、私たちの
考えから言うならば、まず
就園児が少なくなってくることを機会にして、一学級当たりの園児の数を四十人以下とあるけれ
ども少なくすべきだ、少なくともヨーロッパ並みに。この間も議論しましたからやめますけれ
ども、少なくとも経済大国
日本が明治以来の四十人という、ここは直さなければならぬと思うのです。そういう
意味で一学級当たりの定数を減らす、そして園規模、つまり学級数もどのくらいが適正なのか、
一つでは余りにも足りない、四十も五十もじゃ多い。あの明治の
設置基準のときもそのことが議論されて一定の園規模は決めたわけですから、その園規模ということを具体的に言えば、学級数はどのぐらいが適正なのか、それに対して
教員配置はどのぐらいがいいのか、こういうことをまずやることによって適正規模の
幼稚園をつくる、このことを
基本にして
いかなければならないのではな
いか。そうなりますと、これは
私立の
幼稚園経営ですから、当然園児が少なくなれば実入りも少なくなります云々ということが出てきますから、そういうものに対しては園児数ではなくて、私は、この前も議論ありましたが、やはり学級数なり教職員の定数なりというものを
考えて補助してやる、こういうことが
施策上どうしても必要ではな
いか、そのことによって将来に対する、いまで言う
幼児数が不足、不況、こういう中でも本当に真剣に取り組む
幼稚園が生き延びていける、社会的な貢献ができる
条件をつくることが大切だと私は思う。
もう
一つは、そういう
条件整備からいうと、何といっても適正配置の問題がありますね。何ぼがんばったって、隣に
公立幼稚園が出てきた、
保育所がどんどん出てきた、これでは成り立たぬわけですよ。したがって、その辺のところは幼保一元化の問題等いろいろ議論されておりますけれ
ども、やはり適正配置というものを
考えてやらないと幾ら自助
努力したってだめだと思うのです。この辺の
施策はきちっとやらなければならぬと思うのです。
そうして、
先ほどからありますように、もう
一つの問題は、どうしたってこれは公の性質を持つものですから、学法化というものは大いに誘導し、
努力し、また努めて
いかなければならぬと思うのです。これは
公共性、永続性、安定性からいって当然だ、論外だと思うのです。そうなりますと、
先ほどから言っているように、最初からやる気のない、しかしという、ここの部分はなるべく減らさなければだめだと思うのですよ。しかし、がんばってもどうしてもできない層があるわけだね。それに対しては
先ほどからありますように、つまり経営が成り立つような
条件整備を一方でしながら、認可の
基準については
実態に合わせた形でなるべく可能な限り緩和していく、こういうことをやりながら、はてどうするか、こういう議論を総体的に
考えなければ、いまここで、期限切れたから混乱するから三年延長すればという、もしこの
提案の
趣旨にこういう短絡的な発想があるならば問題があると思うのですね。やはりそこまで深く掘り下げたことでないと、
日本の就学前の
幼児教育の問題、経営者の問題、将来を見通した問題、それから法の本来の
趣旨にもとるところの
教育行政からいうと、私は幾つかの問題を残してしまうのじゃな
いかということを
考えますので、時間になりましたから、最後に
提案者と文部大臣からの所見を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。