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1982-04-20 第96回国会 衆議院 内閣委員会逓信委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月二十日(火曜日)     午後三時二分開議  出席委員   内閣委員会    委員長 石井  一君    理事 愛野興一郎君 理事 佐藤 信二君    理事 田名部匡省君 理事 山崎  拓君    理事 上田 卓三君 理事 渡部 行雄君    理事 市川 雄一君 理事 小沢 貞孝君       上草 義輝君    狩野 明男君       川崎 二郎君    倉成  正君       塚原 俊平君    堀内 光雄君       宮崎 茂一君    岩垂寿喜男君       上原 康助君    中路 雅弘君   逓信委員会    委員長 水野  清君    理事 加藤常太郎君 理事 畑 英次郎君    理事 渡辺 紘三君 理事 阿部未喜男君    理事 鈴木  強君 理事 竹内 勝彦君       亀岡 高夫君    鴨田利太郎君       佐藤 守良君    渡海元三郎君       福永 健司君    森  美秀君       楯 兼次郎君    森中 守義君       大橋 敏雄君    藤原ひろ子君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 箕輪  登君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中曽根康弘君  出席政府委員         内閣法制局長官 角田禮次郎君         臨時行政調査会         事務局次長   佐々木晴夫君         臨時行政調査会         事務局首席調査         員       山本 貞雄君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         行政管理庁行政         監察局長    中  庄二君         通商産業省機械         情報産業局長  豊島  格君         郵政省郵務局長 魚津 茂晴君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   西井  昭君         日本電信電話公         社営業局長   信沢 健夫君         日本電信電話公         社業務管理局長 稲見  保君         日本電信電話公         社データ通信本         部長      高橋 敏朗君         内閣委員会調査         室長      山口  一君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  行政事務簡素合理化に伴う関係法律整理及  び適用対象消滅等による法律廃止に関する  法律案内閣提出第七二号)      ————◇—————
  2. 石井一

    石井委員長 これより内閣委員会逓信委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  行政事務簡素合理化に伴う関係法律整理及適用対策消滅等による法律廃止に関する法律案議題といたします。     —————————————  行政事務簡素合理化に伴う関係法律整理及び適用対象消滅等による法律廃止に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 石井一

    石井委員長 本案についての趣旨の説明は、お手元に配付してあります資料により御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。  質疑時間は、申し出の範囲で御協力お願いいたします。  なお、政府におかれましては、答弁は簡潔にお願いいたします。  鈴木強君。
  4. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ただいま議題になりました法案につきまして、逓信委員会の方から内閣委員会連合審査お願いをいたしておきましたところ、委員長以下理事委員の皆様の御協力によりましてその機会をつくっていただきまして、冒頭厚くお礼を申し上げます。  最初に、中曽根行政管理庁長官、それから郵政省にお伺いをいたしたいのでありますが、実はこの法案提出の仕方でございます。御承知のように、この法案は、十三府省三百二十に上る法律案改正一括法案として提出されたものでございますが、この中で、特に公衆電気通信法の一部を改正する法律案、この内容はまさにわが国電気通信政策基本にかかわる問題でありまして、ただ単に許認可事務簡素化合理化というようなことで取り扱われるべきものでは断じてないと私は思うのでございます。当然この法案逓信委員会に付託をされ、慎重な審議がなされるべきであります。それなのにこのような一括法案として提出されたことは、現在の所管別委員会別中心主義国会審議方針を無視した非民主的なやり方ではないかと私は思うのでございます。したがって、この際長官から、一括提出した理由は何か、お答えをいただきたいと思います。郵政省の方からも若干意見があれば出していただきたい。  なお、この点につきましては同僚の阿部委員から後ほど官房長官法制局の方にも質疑をすることになっておりますので、基本的なことについては私は阿部君に譲りますが、最初に、このことについてひとつ長官からお答えをいただきます。
  5. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 確かにデータ通信に関する部分等におきましては、電気通信政策基本に絡む問題も含まれておると思われまして、ごもっともな発言と思われます。ただ、側面から見ますと、許可、認可を外す、そして、できるだけ自由化していく、そういうような行政簡素化あるいは整理合理化趣旨からも出てきておりまして、臨時行政調査会の第二次答申に含まれて一括として出てきたものでございます。したがいまして、行政事務簡素合理化及び許認可からの自由化という線におきましてほかのものと趣旨目的が一致しておりまして、そういう線からすでに数回の先例もございまして、一括法案としてお願いをいたした次第でございます。
  6. 守住有信

    守住政府委員 郵政省としてお答え申し上げます。  今回の公衆法改正につきましては、第一の点が、臨時行政調査会の第二次答申を最大限尊重して所要の施策を実施に移すという閣議決定を踏まえたものでございます。  二番目といたしましては、改正内容でございますけれどもデータ処理のための回線利用自由化に関するものでございまして、データ通信のための特定通信回線共同使用にかかる個別認可廃止など、行政事務簡素合理化目的とするものであるということでございます。  また、当初私どもが考えておりましたような、民間通信業を認めるなどといいますか、公衆電気通信に関する重大な政策変更という問題は含まれていないという面もございますので、臨時行政調査会答申を受けた行政事務簡素合理化のためのいわゆる一括法案に含めることが適当である、その目的等につきまして共通するものがある、こういうことで一括法案に含めた次第でございます。
  7. 鈴木強

    鈴木(強)委員 いま守住政策局長からとんでもない答弁をいただきましたが、私たちは、前回放送大学学園法の場合もそうです。法案の附則において、わが国放送体系基本にかかわる問題が提出されておった。これはいけないということで郵政省にも何回か意見を申し上げておりました。     〔石井委員長退席水野委員長着席逓信委員会におきましても、今回の問題については事前にそういうことのないようにということで強く申し入れしておったのです。所管官庁である郵政省が、あなたは一局長だから大臣から答弁してもらいたいのだが、あなた方もそういう方向でこれは努力をしたじゃないか。郵政省としては、この問題については当然逓信委員会審議をしてもらうというのが筋だから、そういうことで努力したのだが、政府方針によって一括になったんじゃないですか。そんなへっぴり腰の答弁じゃいただけない、これは。郵政大臣、ちょっとその点、答えてください。
  8. 箕輪登

    箕輪国務大臣 今回の改正内容は、昭和四十六年以来十年間にわたるデータ通信利用制度の運用の実績を踏まえ、データ処理のための回線利用についてその制限を緩和するとともに、行政事務簡素化合理化という要請に応じ、許認可の一部廃止などの措置をとろうとするものでございます。したがって、民間通信業を認めるなど、公衆電気通信法基本に関する重大な変更を行うものではなくて、行政事務簡素化合理化目的とする一括法になじむものであると考えるわけであります。ただいま申し上げましたように、民間通信業を認めるなど、公衆電気通信法基本に関する重大な変更、先生御承知のとおり、未来の産業として言われているVAN、ああいうVANなどを含む場合には、当初私どもは新しい法律でやろうと思っていたんでありますけれども、今回の措置は、そういう行政事務簡素化合理化、これを目的といたしておりますために、一括法になじむものと判断したわけでございます。
  9. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これはいろいろ言っていらっしゃいますけれども、具体的には公衆法第五十五条の十一の二項を改正して政令に移してみたり、あるいは公衆法第五十五条の十一の二項の二を廃止してみたり、かなり基本にかかわる部分があるんですね。だから私たちは、当然分離をして出しなさい、こういうことで委員会としても長いこと大臣にもそのことを申し上げ、事務当局にもそのことを申し上げ、官房長もできるだけ努力をしたはずなんです。  そこで、局長が書いたかどうか知らないが、そんなものを読み上げてみたって何も意味はないんで、ひとつ中曽根長官、いろいろと前例があるとあなたもおっしゃいました。確かに前例はあります。しかし、やはり所管別にこの委員会が設置され、専門的に審査をすることになっているわけですから、少なくともこれは連合審査をするということはそれなりの理由があったから連合審査が成り立ったんでございましょう。ですから、そういう問題についてはできるだけ当該所管委員会審査ができるような配慮政府もしていただいて、われわれもなるほどと思うことについてはあえて反対するわけじゃないのです。これは後からまた言いますけれども、かなり重要な問題ですから、それで私は申し上げておるのでありますから、今後ひとつぜひできるだけ所管別審議ができるような配慮をしていただくように、これは特に中曽根長官要請をしておきます。これはまたいずれ阿部君がやりますから、時間をかけてももったいないですから、次に移ります。  そこで、通産省に最初にお伺いしますが、現在コンピューターは、オンライン、オフラインを含めてどのくらい利用されておるものでございましょうか、その概数がわかっていたら示していただきたい。そして、そのうち国産機外国機の数がどのようになっておりますか、その点をひとつ示していただきたい。
  10. 豊島格

    豊島政府委員 昭和五十六年六月末の汎用コンピューターの実動台数は九万一千六百三台ということで、大体最近十年間、年平均二五%の伸びを示しております。この汎用コンピューターの実態を見ますと、ちょっとこれは同じ時期ではございませんが、五十五年三月末で全産業設置コンピューター数に占めるオンライン化コンピューター比率は四一・八%ということでございます。なお、情報処理サービス業におけるオンライン比率は三〇・六%ということで、若干低くなっております。  なお、いまおっしゃいました国産機外国機比率ですが、これは国産が大体五二%、四八%が外国機、こういうのが現状の設置台数における比率でございます。
  11. 鈴木強

    鈴木(強)委員 国産の場合、IBMあるいはユニバック等外国機の数というのが大体主なものでございましょうか、そのほか外国機の中で、ユニバックIBMのほかに何か特別なものがございますか。
  12. 豊島格

    豊島政府委員 外国機が四八%と申し上げましたが、その中で、細かい数字ですが二八・七がIBM、それからユニバックが一〇%ぐらい、それからパロースが三、四%、NCRが二・二%、その他が一・五%ということでございまして、半分以上はIBMということでございます。
  13. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、政府関係機関につきましては、大体どういう機械を使っておりますか、そのシステム状況を含めて教えてもらいたいのです。
  14. 豊島格

    豊島政府委員 政府及び政府関係機関につきましては、本来、日本コンピューター産業育成ということから、国産愛用といいますか、優先の方針をかつてとっておりました結果、国産機の比重が多いと思います。しかし、最近におきましては、そういう最近の開放体制のもと、特に市場開放ということもございますので、そういう方針はいまのところ、最近はとっておりませんので、最近では外国の機種も入ってきておるということでございますが、現存の機数の中では依然として過去のものが多いわけですから、国産機比率が高いのじゃないかと思います。
  15. 鈴木強

    鈴木(強)委員 政府関係機関のうち国産、外国産比率はわかりますか。
  16. 豊島格

    豊島政府委員 手元に詳しい資料、持っておりませんが、過去においてそういう政策をとっていたこと、それからさらに、一たん使いなれた機械をそのまま使うということが多いので、恐らく政府及び政府関係機関では、八割以上国産機になっておるのではないかと思います。
  17. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これは行管の方に聞いた方がいいかもしれませんけれども政府関係機関の場合にはレンタル方式をとっているのか、あるいは自前で購入しておるのか、その辺の事情は、どちらでもいいですけれども、わかりますか。
  18. 佐倉尚

    佐倉政府委員 政府関係機関の場合、レンタルか買い取りかというお話でございますが、ちょっと手元資料がございませんのではっきりしたことを御答弁できませんが、かなりレンタルが多いのじゃないかというふうに考えています。
  19. 鈴木強

    鈴木(強)委員 国産、外産の、ちゃんと質問に答えてください。
  20. 佐倉尚

    佐倉政府委員 先ほど機械情報産業局長お答えしたとおり、国産が圧倒的に多いということでございます。
  21. 鈴木強

    鈴木(強)委員 中曽根長官、いまお聞き取りのとおりですが、実は四十三年八月三十日に閣議決定がございますね。この決定する当時の情勢としては、たとえば総理府統計局IBMを使っておる。労働省がユニバック、国税庁がIBM、それぞれ各省庁レンタル方式でいろいろな種類のものを使っておったわけですので、当時の閣議がこのことについて一つ方針を決めてあります。その方針によりますと、各省庁がまちまちに行っていた事務簡素化省力化等のためのシステム開発について調整を行うことになり、そのための予算の計上も行われておったのでありますが、そういう閣議決定によって、政府関係機関についてはできるだけ国産機を原則として使う、こういうような方針ですが、まだ実質的には外国機も使っているように思うのですけれども、もう十年たっておるわけでありまして、その後の情勢の変化その他がありますならば、この閣議決定変更するなり何なりする必要があるのではないでしょうか。私、ちょうど前回公衆電気通信法審議されました当時、参議院逓信委員会におりまして、ここに議事録もありますが、五月十八日の質疑の中でそういうことをお答えになっているわけです。それから、地方自治体についても、政府関係機関等についても、行政指導国産機を使うように、システム開発等についても調整を行っていくという決定がありますが、この決定に基づいてどういう指導をしましたか。残っているところはどういう事情によって外国機を使っているのか、それを明らかにしてもらいたい。そうしないと、閣議方針に反するじゃないですか。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 四十年代の初めにおきましては、国産奨励という意味におきましてそのような指導政府としてなされておったと思いますが、五十年代に入りまして、市場開放自由化要請外国筋から非常に強くなってきて、その時代に入りますと、大体良識に基づいて一番いいものをやりなさい、そういう形で、自由競争を自由にやらせるという形に入ってきておると思います。特に示達をして政府の訓令として外国産を使えとかなんとかということはやっておりませんけれども、完全に自由競争の中で自由に選択させるというやり方がフェアなやり方で、それでいいのではないかと思っております。
  23. 鈴木強

    鈴木(強)委員 四十三年八月というと中曽根長官はどういうポストにおったか、ちょっと私も明らかにならないのですけれども、少なくとも閣議決定というものはやはり一つ決定であり、権威あるものですね。ですから、この決定はまだ生きているのでしょうか。生きているとすれば、その決定に従って、いま私が申し上げたようなことを政府みずからがやると同時に、地方自治体政府関係機関に対して指導することはあたりまえでしょう。もし、その決定時代の趨勢によって合わないならば、さらにそういう方針を決めて指導すべきじゃないですか。その辺の経過はどうなっているのですか。
  24. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御説ごもっともの点もあるように思いますから、その経緯をよく調べてみまして、もしそれがそのまま残っておるような状態で誤解を生むようなことがあるようでしたら、速やかに適切な措置をとるようにしたいと思います。
  25. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私は、不幸にしてこの決定変更したということは聞いておりません。ですから、その決定によってやられているものと確信するがゆえにきょう質問したわけでありますので、その点よくわからないというのですから、ひとつ調べていただいて、変更するなら変更するようにしていただきたいと要望しておきます。  それから、コンピューター産業については情報産業振興協会というのもつくりまして、わが国はかなりハード、ソフトの面について、特にソフトのおくれ等については政府も積極的に支援体制をとってきた。これはわれわれも長いことそういうことを要望し、政府もその方針に基づいてやってこられた、これは結構なことでございますね。しかし、その結果、IBM日本に上陸をしてまいりましていろいろと活動されておられるのでありますが、今日、日本におきましては、技術的にわが国がすぐれておりますからIBMも太刀打ちができない、こういう状態にあると思うのです。ヨーロッパは、せんだっても西ドイツの議員の皆さんと懇談をする機会を持ちましたが、西ドイツでも六〇%がIBM、ほかのところは八〇%以上のところもあるようですね。ほとんどIBMが支配している、こういう状況でございますが、日本の場合には早くから各社協力し合って優秀なコンピューター開発をやってこられた。その陰に政府の強い協力のあったこと、こういったことが両々相まちまして、りっぱなコンピューター産業が発展してきていると私は思うのであります。ですから、今後ともますますりっぱなコンピューターが作製できるような体制業界にもがんばっていただくと同時に、政府としても、より強力な支援体制をつくっていくことが必要だと私は思うのでございます。  特に、情報化社会を迎えまして、これからいろいろな業態のものが国民のニーズとして出てくるでありましょう。私は、そういうことを強く期待をしておりますが、最近新聞を見ますと、日本アイ・ビー・エムが、今日までずっと直販体制をとってきたのでございますが、本年三月一日に小型のオフィスコンピューター販売で兼松江商東京日産自動車販売など十五社と特約店契約を結びまして、同日から営業活動を始めておるわけです。これは明らかにIBMわが国市場での巻き返しを図っておるものと思うのでありまして、日本化作戦の一環というふうに認識していいのじゃないかと思うのです。したがって、自由競争市場におけることでありますから、IBMのおやりになることについてわれわれがどうとかこうとかいうことはいけないことですから、私はそんなことではないのでありますが、少なくとも、よりよい製品をより安く消費者に提供していただける、そして情報化社会への道を開いていくという意味において、日本の方でもさらに一層の体制をつくっていくことが必要だと私は思うのです。  ですから、長官としてもぜひ、関係業界皆さんにもよくその辺は相談をし合って、いい意味における共同体制をつくっていただき、国としてもさらに積極的な支援体制をつくっていく、こういうふうな方針でこの問題に取り組んでいただきたい、こういうふうに強く願っておりますので、長官意見をお聞きしたいと思います。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本におきましては、IBMはわりあいに日本になじむような方法で日本の固有の会社と共存でいこうという政策をとってきたように思います。さりながら、日本各社進歩発達が非常に目覚ましいところがありまして、ほとんど各社の勢いが最近IBMを圧倒するようになってきましたので、IBMもいろいろ商法の筋を多少変えて真剣になっているのだろうと思います。ほかのアメリカやイギリスの外国会社日本でいろいろ商売をやるやり方から見ると、IBMはそういう点では非常にうまいやり方をやってきておる。ほかの各社IBMみたいにまねしたらいい、そう思うくらいでありまして、大いに健闘を祈りたいと思っておる次第であります。
  27. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ぜひ政府としても、振興対策について積極的なてこ入れをしていただくようにお願いしたいと思っております。  それから、その次に、行管庁昭和五十六年の七月、データ通信に関する行政監察結果報告書というのを出しておりますが、これはどういう意図でこの時期に出てきたのかということについて、若干疑問に思うわけでございます。  電電公社の全体の経営問題につきましては、いま臨調におきましてもいろいろ検討をしていただいているようでございますから、それはそれに任すことにいたしますが、昨年七月、データ通信のみの監察をしたということは、どういう意味を持ってやられたのか。要するに、電電公社全体の経営に対する監察をして、その中で特にデータについて出したのではないと思うのですけれども、その点、どういう意図データだけ取り上げたのでございましょうか。
  28. 中庄二

    ○中政府委員 お答え申し上げます。  私ども二つの視点からの監察をいたしました。一つは、昭和四十六年の公衆法改正以後のデータ通信回線の問題と、もう一つは、電電公社のやっております設備サービスの両方の面でございます。  前者につきましては、民間の企業なり情報処理サービス業者からの要請等もございまして、通信回線をもっと自由にすべきじゃないかという意見等がございました。  もう一方では、電電公社データ通信設備サービスに非効率な面があるのではないかという観点、その二つ観点から監察をいたした次第でございます。
  29. 鈴木強

    鈴木(強)委員 第二臨調が、第一次答申としてお出しになりました諸点につきましては、私たちもよくわかるわけでありますが、データ通信情報関係のこういう問題について、業界その他からもかなりの強い要請のあったことは事実です。後からまた公衆法基本的な問題から質問したいと思いますが、この中で特にデータ回線自由化等に対する勧告、それからもう一つは、データ通信設備サービス公正競争条件の確保と経営のあり方、こういうことで勧告が出ておるようでございます。  その中で特に経営問題等につきましては、何かデータ通信についてはかなり赤字をつくっておる。経営がどうもうまくない。それから、赤字を電話の方から繰り入れる場合の区分というのが明らかでないとか、そういう点をちょっと触れておるわけですけれども、たとえば電報のごとくずっと赤字を抱えておりますが、これは電電公社がやらざるを得ない。なぜならば、公共性という観点から採算性を度外視しなければならない問題である。データもまさにそのことだと思うのであります。私たちは、電気通信事業に一生をささげてきた人間ですから、そこら辺については自分なりに理解をし、電報というものが果たしてきた使命というのはそれなりにあったはずでございます。今日もまだある。国続く限り電報は続いていくわけでありますね。それを黒字によって補てんしていくということは、経営全体から見てそういう方針が許されているからであります。政府が一千七百億の余剰金を一般会計に吸い上げていく。合計四千八百億。そういう中で、データ通信というものの公共性の強さから、できるだけ安い料金であまねく公平にサービスを提供するためには、電電公社がこれを公衆電気通信役務の一つとして加えてやっていくことがよろしいということで、前回法律改正になってやられてきておるわけですね。何かそのことについてけちをつけるような、そして、だから開放して民間データ通信をやらせた方がよろしいというようなごとき筋道にとられるようなこの監察の仕方というものはおかしいと私は思うのですね。経営の問題で赤字が出るならばなぜ電報について述べないのですか。そういう点についてのこの報告書の出し方について私は疑問を持っていますから、そこのところを明らかにしていただきたい。
  30. 中庄二

    ○中政府委員 先ほども申し上げましたように、通信回線の面と設備サービス二つの面から私ども監察している。確かに設備サービスの面では相当な赤字になっておりますし、非効率の面もございます。ですが、通信回線の問題は、これは現在非常に大きな黒字でございます。私ども、全体から見ておりまして、赤字だから通信回線をというような気持ちは毛頭ございませんで、全体としてながめて結論を出したつもりでございます。
  31. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ですから、後から触れますけれども、そういった一連の筋書きの上に立って、VANないしはこの公衆電気通信法の回線自由化という問題が出てき、しかも公衆電気通信役務の中に入り込むような重大な問題までこの法案の中に入って提案されておるわけでございまして、こういうやり方については、これは時節柄まずいね。もう少し慎重な監察をやる必要があったと私は思うのです。  私は、大臣から特別に意見を聞こうとしませんけれども情勢がそういう情勢に向かっている中で、行政管理庁が何かお先棒を担いだようなかっこうでこういうものを出すということは、非常に国民に対して疑惑を与えることですから、十分注意をしていただきたいということを申し上げておきます。  それからその次に、十年前から比べますと、非常に多様化した通信というものが国民の間からも求められておりますし、当然それに対する対策を講ずることはやらなければならない義務だと思うのです。私は、公衆法に入ります前に、VANという新法、すなわち付加価値通信という法律を今回つくる。同時に、公衆電気通信法の一部の改正をする。そして、回線の開放をさらに自由化すると同時に、取り扱う業務についても、電信電話的という名前は使っておりますが、かなり公衆電気通信役務の中に入り込むようなものまでやらせるような形になっておる。まあVAN公衆電気通信法改正とが同時に出てまいりますと、確かにこれは私たちとしても理解しやすいし、わが国電気通信事業というものが、電報、電話あるいは専用線、加入電信、それからファクシミリとか、これは公社がやっておる公衆電気通信役務の中でもう少し民間側に協力要請してもいいということはあると思うのですよ。ですから、そういうことについてはもっともっと十分に各方面の意見を聞いてコンセンサスを得た上でお出しになる、そういうことが必要であったと思うのです。  ところが、このVANについては、私どもも詳しく内容は聞いておりませんけれども、概略だけはつかんでおるわけでございますが、立法作業の過程におきまして、郵政省、通産省の意見がなかなか合わない。食い違いが出てきた。そういうことから、ついには中曽根長官のあっせんとなり、自民党田中政調会長の手も煩わして、そして一応幕を引くというような形でVANは取りとめになり、公衆電気通信法というものが国会へ提案されてきている。そこに大きな矛盾がはらんできているということをまず認識しておく必要があると私は思います。  そういう意味から、VANに対する郵政省基本的な考え方、同時につぶれてしまうまでに至る経過、これを簡潔に郵政省から説明をしてもらいたい。
  32. 守住有信

    守住政府委員 先生御指摘のような点のことでございますけれども、私どもといたしましては、まず電電公社基本的な電気通信サービスというもの、それを基盤にいたしまして、一方ではデータ処理のためのデータ通信回線利用制度、これは個々の企業のための情報処理と申しますか、データ処理のためのものでございます。さらに、それが自由に使用できるという後の段階でさらに高度な電気通信サービスと申しますか、先生御指摘のVANというようなものが必ず必要になってくるというふうにとらえたわけでございまして、その三者がどのような調和を持って新しい情報化社会に取り組んでいくか、こういう原点を踏まえまして、各界の意見、要望等も踏まえながら実は政策立案に当たったわけでございます。  御指摘のとおり、民間が新しい高度通信サービス、VANとも称しておりますけれども、それが行われることができるような制度を創設しまして、その法的なはっきりした制度の中で、利用者の保護の問題、通信の秘密を守るいろんな各般の保護体制の問題、あるいはまたいわゆる基本的な電電公社のサービスとの切り分け、調整等々の問題につきましての一つ政策を立てたわけでございますが、いろいろ時間的な制約もございますし、あるいはまた臨調の方から、データ処理のための回線利用の規制の緩和あるいは簡素合理化という意味での答申もございまして、その方も最大限尊重して可及的速やかに法的措置をとるということでございますので、このVANに関連します高度通信サービスの展開というものは遺憾ながら今国会へは出せなかった、こういう事情、経緯があるわけでございますが、なおまたこのデータ通信の利用の規制の緩和の問題、自由化、この法案を御可決いただきますならば、郵政省としましては再び高度通信サービスの問題につきまして取り組んでまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  33. 鈴木強

    鈴木(強)委員 いま守住政策局長お答えになったような郵政省の態度に対して、通産省としてどの辺が気に食わなかったですか。
  34. 豊島格

    豊島政府委員 今後の情報産業の進展、円滑な発展のためにはできるだけ通信回線を自由に使えるようにすることが必要だと思います。それで、VANとか高度通信サービスというのは定義の問題が非常にむずかしいのですが、私どもとしては極力民間の創意と工夫を生かしてやっていくことが必要であるという観点から、まず情報処理の一環として、また情報処理に伴うものであれば自由にする。臨調答申で申しますと、不特定多数の者に対してもっぱらメッセージスイッチングを行うもの以外は自由ということでございまして、そこは自由にしていただきたい。そうすると、もっぱら不特定多数を相手としてメッセージスイッチングを行うものはどうかということでございまして、この点につきましても基本的な考え方は同じであっていいのじゃないか、ただし公社の基本サービスあるいはそこの観点が、もっぱらメッセージスイッチングを不特定多数を相手にしてやることになりますと、公社業務あるいは通信的な色彩が強いということで何らかの調整は必要であろうかと思いますが、これもたとえばアメリカでは基本サービス以外は全部自由化になっている、こういう実態も踏まえまして、もちろん日本とアメリカでは事情が違うこともよくわかりますが、極力そこも自由化していくべきではないか、何らかの調整が必要であっても必ずしも事業規制とか免許ということは必要ないのじゃないか、そういう議論があったわけでございますが、こういうところで申し上げるのはいかがかと思いますが、基本的精神は、先ほど申しましたように、なるべく民間等の創意と工夫を生かす自由化という線で広く処理していただきたい、こういうところであったと思います。
  35. 鈴木強

    鈴木(強)委員 通産省は、情報産業全体に対する指導、監督、助成、それが政策基本ではないですか。電気通信事業というのは郵政省政策基本の問題でありまして、これはいま始まったことではないのですけれどもデータ通信を四十六年に始めるときにも通産省は業界の立場に立って物を言う。しかし、電気通信事業というのは明治二年に始まりまして百十一年の歴史を持つ公共性の強い仕事である、国家独占であった、その後公社経営に形態は変わりましたけれども、依然として低料金であまねく公平に国民にサービスする、そういう公衆電気通信法第一条の目的を達成するために通信というのはあるわけであります。ですから、公衆電気通信の役務としてとらえていく分野というのは明確にしておく必要があるわけです。たとえば電話、電報、加入電信、専用線、データ通信、回線をお貸しして利用していただくというのは回線サービスになると思うのでありますけれども、それからDDXとかファクシミリ網、こういったものは本来電電公社がやるべき仕事なのです。そういう中でどこまで入り込んでいけるかというのは非常にむずかしいのです。ですから、専門の所管は郵政省だと私は思う。ですから、郵政省の判断を重点的に考えて物をやらないと間違いを起こす。  今度もいろいろ誤解をはらむようなことがありますし、五十七年三月十五日に出されました中曽根行政管理庁長官からの依頼を受けて調整した田中政調会長の集約をここに持っておりますけれども、この中にも「業務上緊密な関係にある中小企業者のために」と書いてあるが、果たして中小企業とはどこまでの分野をいうのか。中小企業だけで、たとえば弁護士とか会計士とかお医者さんとか薬剤師、こういう人たちが、個人が持っているデータはどうなるのか。もし、この人たちが無視されれば通信上の不公平が生じるではないですか。これはそういった問題にまで波及してくるのですよ。一たん「業務上緊密な関係にある」ということでたがを緩めてまいりますと、いつの間にかそれがだあっと拡大されていってしまうことは事実なのですよ。現在でも、特定通信回線について郵政大臣が個々に認可を与えるものの中で、私たちが後から見てびっくりするようなものがやられておる、一加入者だという見解に立ってそれが許可されている。  ですから、出されたこの中で幾つかが今度の公衆電気通信法の中に入っている分野もあると私は思うのです。しかし、大多数のところはVANとして残されておる。したがって、通産省として通信施策に対して余りくちばしを入れない方がよろしい、意見として出すことはいいのだが、最終的には郵政省の考え方が基本になって政府の国策としての通信施策が決まっていくわけですから、その所管は郵政省であり、郵政省意見を尊重するという立場をとるべきだと私は思うのですよ。じゃ、通産省のことに郵政省が、ああでもない、こうでもないと口を出したら、あなた方はどう思いますか。それぞれの所管庁はそれぞれの任務を与えられてやっている。政調会長にまで持ち込んで、何でこんなことが行政サイドでできなかったかということです。いまの鈴木内閣はそんなに弱体なのですか。自党である与党の判断を得なければできないような、データ通信自由化に関する問題だけでも結論が出せないのですか。これは後からまた具体的にはお尋ねしますけれども、郵政、通産、行管の三省庁間でいろいろと協力して、他人使用の回線事業その他の問題についても一定の条件で暫定的になんということでやろうとしているのです。これはごまかしですよ。そんなことで日本電気通信政策の中に食い込まれては迷惑千万だ。  ですから、これからVANをつくるためにもいろいろと御協議なさると思うのですけれども、第一義的には郵政省意見を尊重する、意見は大いに出してもいいけれども、最終的には郵政省意見を尊重して、それによってやるという筋書きだけはちゃんとしていく必要があろうと私は思うので、これは論議をすれば限りないですけれども基本的な考え方についての調整依頼に対するこの田中さんの回答に対する長官の考え方をお聞きしたい。
  36. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 データ通信あるいは付加価値通信の世界は、日本の大きな未来を開いていく世界であると思っております。この分野が百花繚乱として咲き誇ることによって日本は文明の先端も行けますし、あるいは景気の回復自体が大きな機関車となって次の時代に作用してくるとも考えられまして、このデータ通信や付加価値通信の将来性について私どもは異常な関心を持ち、これを育てていかなければならぬと考えておるものであります。  この政策を展開しますにつきましては、郵政省には郵政省固有の権限があり、また通産省は産業育成という固有の権限がありまして、この境界領域をどういうふうに調整するかという点で苦労したわけでありますが、臨調答申を基準にいたしましてもっぱらメッセージスイッチングを行うもののみにしてあとは自由にする、そういう基本的な構えを尊重いたしましていろいろ調整が行われたのでありますが、不幸にして三省庁の間で必ずしも意見が一致しませんでした。しかし、これは非常に重要な問題で軽率な処理はすべきでないという考えもありまして、最終的に三大臣が党にお任せしようということになりまして、政党政治でございますから、政策関係の責任者の調整を受けまして、その線で行った。これで自由民主党は一致して、自由民主党に支持されている内閣がその政策を遂行してきているという形になっておるわけであります。
  37. 鈴木強

    鈴木(強)委員 最後の長官お答えについては、私も、政党内閣ですから当然、与党に相談することが悪いと言っているのじゃないのです。基本的にこれぐらいのものが行政、内閣のサイドで決められないのですかということを私は言っているわけであります。同時に、通信政策は、いまおっしゃるように、やはり電電公社が直接的にはやっておるわけですけれども郵政省が決めるわけでございますからね。ですから、そういう意味におきまして、主管である郵政省意見をやはり尊重していく。しかし、意見としては、通産省が情報産業育成のために努力していただいているわけでありますから、その努力の結果生み出されてくるコンピューターについて、できるだけ国民の皆様方に喜んでいただけるような使い方をしていただくためには、こういう考え方もあるだろう、ああいう考え方もあるだろうということを具申することについては私はいいと言うのです。しかし、少なくとも公衆電気通信法、有線電気通信法という法律があって、通信の分野については一定の範囲というものがあるわけですね。基本的な問題があるわけですから、そういう問題までいまの段階でいじる必要があるのかないのか、そういうことも論議していいと私は思うのです。いいのですけれども、やはり物の考え方、基本というのは、通信政策郵政省という省があるわけですから、そこの意見を尊重して最終的に決着するようにしたらよかったじゃないでしょうか、こういう点を問うたわけですね。ですから、もう一度その点についてお答えいただきたい。
  38. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この分野はともかく日本の未来がかかっているぐらいの非常に大きな大事な問題でありますので、慎重に処理してまいりたいと思っております。将来の問題として、いわゆるVAN、付加価値通信体系の問題等が出てまいりますが、これらにつきましても各省間でよく話し合いをして、その必要ありやなしや、必要ある場合にいかなる形態をとるか等については慎重に対処してまいりたいと思っております。
  39. 鈴木強

    鈴木(強)委員 自由民主党としても田中政調会長の御意見があるわけですから、これに沿って具体的な検討を進めてまいるでありましょう。したがって、いま私の申し上げていることも、長官も全くむちゃな意見だとはおとりになっておらないと私は思うのです。ですから、そういう意見もあることを十分に認識をしていただいて、より国民が喜んでいただけるような形のものをつくっていただくように、こういうことを願っておきます。  それから、昭和四十六年に公衆電気通信法の一部の改正が行われまして、さっきもちょっと触れましたが、データ通信サービスというものが公衆電気通信役務に加えられました。当時、民間からも回線を開放してもらいたい、そして、みずからの力によって情報というものを国民に提供できるような形にしてもらいたいという意見が出されたことも、これは間違いない事実でございます。私どもはこの法案審議したのでありますが、当時一番問題になったのは、一つは、民間業者に特定通信回線の使用を認めて通信を行わせるということになった場合に、本来的な電電公社の業務との関係をどうするか、これが一つでございました。  それから、もう一つは、通信の秘密とプライバシーの保護、これをどういうふうにして確保するか、これが大きな論点になりました。  ここに議事録がありまして、古いものでしたけれども、私は改めて参議院当時の質疑を見たのでありますが、結局結論としては、前者の問題につきましては、一応省令等による場合、それから個々に郵政大臣認可する八つの業種、そういったものに限って特定通信回線開放しようということになりました。しかし、プライバシーの保護、秘密の保護、こういったものについてはついに対策ができずしてスタートをしてしまったわけです。現行有線電気通信法にも罰則がありますね。その扱う人たちについては、秘密を守るというのがありますが、ここまで来ると、政府として基本的な情報通信に対する基本法といいますか、そういったものをつくるべきではないか、そういう意見がかなり強く出されました。時間的に間に合わなかったというようなことでございましたが、この議事録を見ますと、当時郵政大臣は井出一太郎先生でした。昭和四十六年五月十八日の参議院逓信委員会におけるオンラインによるデータ通信サービスの実施のための公衆法の一部改正、その議事録です。その中で私が、情報化社会を迎えて多様化する国民のニーズにこたえ、各種の利用が考えられるが、しかし、人権やプライバシーの保護、秘密等について早急にその情報化に関する基本政策を決めて法律をつくるべきではないか、そのためには具体的な審議会等をつくって早々とそういう政策の立案、検討に入るべきではないかという提案をしたのです。そうしましたら、当時の井出郵政大臣は、御趣旨はごもっともだ、その御意見を踏まえて今後対処してまいりたい、ここに議事録がありますが、そう答えております。  また、その前の年に情報処理振興事業協会法案というものが商工委員会に提案されまして、私も委員差しかえで質問をしたのであります。当時通産大臣はいまの宮澤官房長官でございました。その法案審議するに当たって附帯決議をつけたわけです。その中にもプライバシーの保護、通信の秘密の保護については、別に法案の名前は出しておりませんが、要するに、たとえば情報処理基本法ともいうようなものを速やかに制定すべきであるという附帯決議がはっきりついておるわけであります。にもかかわらず、今日までその問題はどうなっておるのでしょうか、それを聞かしてもらいたい。
  40. 守住有信

    守住政府委員 いまプライバシー保護あるいはデータの保護等々の関連での御指摘があるわけでございますが、この問題はいわゆる通信の秘密にかかわってくる。データの保護、プライバシーといいましても、また企業の秘密とか国家機密とかいろいろ広範なものを持っておりますけれども、すべてこれを通信という立場から見ますと、通信の秘密にかかわる重要な問題でございまして、この点につきましてはハード、ソフト両面の技術面あるいはまた人的な面、物的な、あるいは組織体制と申しますか、そういう管理体制も含めた面等々の種々の角度から検討していかなければならない、私どもはこう考えておりまして、実はそういう新しい高度通信サービス、VANの場合もこういう角度を念頭に置かなければならない、こういう考え方であったわけでございます。  他方、データの保護という問題につきましては、標準的なデータ保護仕様の研究調査ということを進めておりまして、実はこれはいわゆる暗号化という問題でございますが、さらに今年度からは総合安全対策、いろいろなバックアップシステム等を含めましての問題に取り組んでいることでございますが、さらにプライバシー保護という問題になりますと、先生御指摘のとおり、基本的人権という問題と、また一方では表現の自由という問題にもかかわってくる重要なテーマでございますが、現在、政府全体としては行政管理庁等も中心にこの問題についていろいろ取り組んでおられます。そういう御意見、御指摘あるいは動向等十分踏まえながら、通信というサイドから私どももこの問題に取り組んでいかなければならないと思っておりまして、まだいろいろ個別の問題といいますか、データの保護、暗号化等々の問題で取り組んでおる次第でございます。
  41. 鈴木強

    鈴木(強)委員 通産省、情報処理振興事業協会法の法律のときに附帯決議がついておりますが、それについてどういうふうに努力してきましたか。
  42. 豊島格

    豊島政府委員 先ほど郵政省守住局長から御説明ございましたように、現在の公衆電気通信法あるいは有線法で通信にかかわるものはかなりやられていると私ども思っておりますが、電子計算機の利用に関しましては、先ほども数字で申し上げましたけれども、そういう通信を利用するもののほか、オンラインで結びついていない、いわゆるバッチ処理というものもございまして、これは共通する問題でございます。したがいまして、私どもとしましては電子計算機システム安全対策基準というのを設けまして、たとえば電子計算機の部屋に入る入室、退室等をどうするかとか、あるいは盗難防止のためにどういう方策を講ずるか、あるいはデータ管理をどうするかというふうなことをそういう基準をつくってやっていますが、この問題は、今後ますます情報化社会の進展に伴いまして大きな問題となりますので、プライバシー保護あるいはデータ保護等の問題を含めまして、産業構造審議会等の場を活用してもう少し総合的な観点からの対策を今後も進めていきたい、このように考えております。
  43. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ですから、十年前に国会で意思としてこういうものを早くつくりなさい、そういうことをはっきり意思表示をしておきながら、まだ具体的にどういたしました、こうしました、ここまでこう検討しましてあとこうですからあといつごろには法案として提案できます、そういう筋書きくらいを言えないのですか。あなた方は禄をはんで、それでこういう国会の意思というものを尊重しているのか。
  44. 豊島格

    豊島政府委員 ただいまのお答えと若干重複するかもわかりませんが、いま申し上げましたように、プライバシー保護あるいは秘密保護の観点から、通産省の一つの基準でございますが、電子計算機システム安全対策基準というのを設けまして、これをもって先ほど申しましたように、いかにして電子計算機利用にかかわる秘密の保護をするか、人の出入りあるいは盗難防止あるいはデータ管理をどのようにしてやったらいいかということを示しまして、現在のところ行政指導でやっておるわけでございますが、それで不十分かどうかという問題がございますので、なお一層の検討をしていきたい、法律の問題も含めましてやっていきたいということで、現在までのところ行政指導でやっておるということでございます。
  45. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ですから、オフラインの場合でもいつかレコーディングしてある、コンピューターに入れてあるものを取られてしまったこともあったのですね、盗難。最近は電電公社の職員がキャッシュカードをごまかして悪いことをしたというようなこともあるし、銀行でもそういった不正事件も出てきているわけですね。  ですから、そういった問題も含めて、これだけ情報化社会が進んできてVANまで出そうとし、公衆電気通信法の一部を改正して自由化しようというのに、一番大事な、しかも国会の中で郵政大臣は、御趣旨ごもっともだから、趣旨を踏まえて対処してまいりたいという答えをしている。宮津通産大臣は、この附帯決議を実施すると答えている。審議する際に、便宜的に大臣答弁があったとは私は思わない。言ったからには、それをちゃんと実現するように努力をしなければならぬ。これは両大臣には気の毒だ、当時大臣ではなかったのだから。それは事務当局がもっと真剣に国会の意思というものをそんたくして、国民の期待しているそういう問題に一生懸命取っ組んで、ここまでやったけれどもいまここまでしかできていません、努力はしましたけれどもこうです、もう少し待ってくださいと、できれば法案を提案する前にそういうものをつくって、その上に立って回線の開放をやるべきだ。VANだってそうですよ。その基本的なものを抜かしておいてまたこういうものを出してきて、それは後でございますでは、これは通らないです。私はちょっと言葉が乱暴で大変反省しますけれども、一生懸命やっているだけに本当にくやしいですよ。われわれの意見というものに実際にこたえておって、こういうふうにやりましたけれどもできませんでしたならできませんでいい。それなら、これからどうやりますからということを答えてくれればいい。国会のわれわれの意思をあなた方は軽視するのですか。  大臣、そういう経過があるわけですから、どうぞ中曽根長官箕輪大臣も、そういう経過のあることは十分御理解していただいておると思いますけれども、一年たてば大臣は変わってしまうわけだから、なかなかそういうことの引き継ぎまではないと思うので、知らぬこともあると思うけれども、やはりそういう大事なこともあるのですよ。法案を出すに当たっては、そのくらいのことは最初に、実はこういうことがありましたけれどもここまでしかできません、しかし、こうやりますからどうぞこれだけでスタートしてくださいと、情理を尽くした答弁があればわれわれはわかるけれども、そうでない。そんなことじゃだめですよ。  ですから、どうぞ、両大臣とも経過は御了承いただいたと思いますから、事務当局を督励して、早く、国会答弁をしたような趣旨あるいは附帯決議に沿えるような方向で努力していただくことをここで明言してもらいたい。
  46. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 鈴木委員が非常に御努力なすったことやいままでの経過については、私も認識を新たにいたしました。ともかく電気通信政策上、この問題は非常に大きな問題を未来にはらんできていると思いますので、慎重によく検討いたしたいと思います。
  47. 箕輪登

    箕輪国務大臣 鈴木委員の情熱のこもった御提案、私も感銘をいたしました。事務当局を督励し、慎重に検討させたいと思います。
  48. 鈴木強

    鈴木(強)委員 どうぞ心からお願いしておきます。  それでは、もう少し具体的な改正点についてお尋ねをしたいと思います。  まず、共同使用の面でございますが、御承知のように、共同使用の範囲というものは八つの業種ということになっておりました。しかし、今度はそれが自由になりまして、八つが廃止されて、業務上必要な者の間であればすべて自由に回線利用ができるようにする、こういうことになりました。これは田中政調会長の言われた一項目にも該当すると思いますが、そうなりますと郵政省令の改正ということになるわけですけれども、一体業務上必要な者の間というのはどういう者でございましょうか。これは抽象的でよくわかりません。したがって、省令というものもまだ私ども見ていませんから、これはこれからつくるようですけれども、本当は省令も同時にここに出して、業務上必要な者というこの法律上の解釈は省令でこういう者でございますということをわれわれに示すべきですよ。それを、政府の方に任せてください、政令ならまだわかるけれども郵政省令で決めますよ、それを改正してやりますというようなことは、ちょっとこれはおかしい。おかしいことをいままでずっとやっているのが事実ですけれどもね。ですから、その業務上必要な者の間というのはどういうように解釈しているのか。  それから、その次には使用態様ですけれども、メッセージ交換、メッセージスイッチングは禁止されておりました。それから、中途コンピューターのメッセージ交換やデータ処理を伴う端末間通信など、データ処理のためであれば今度は自由な回線利用ができるように改める、メッセージ交換の禁止されたものをこういうように改める。それから、特に業務上緊密な関係を有する者の間においては、電信電話的利用、この電信電話的利用というのは一体何のことを言うのですか。これも省令の改正で決めるというのですけれども、まず、そこのところをはっきりしておいてもらいたい。  それから、今度個別認可制度は廃止になりますね。申し込みの承諾については現行法では五十五条の十一の二項で決めてありますが、これを改正して廃止する、こういうことになるわけですけれども、この電信電話的利用とは何か、緊密な関係業者とは何か。個別認可制度を撤廃して今度は全く自由化するということについてはちょっと問題があると思うのですが、ひとつ最初にその辺を明らかにしてください。これは共同使用の場合です。
  49. 守住有信

    守住政府委員 共同使用の問題でございますけれども、先生御指摘のまず第一点については、従来八つの業務関係に限定をしておったわけでございますが、そういう制限の範囲を超えまして企業グループ間で相互にデータ通信を行いたいという要望が出ておるところでございます。過去十年間の運用実績というものもございますが、データ処理のための特定通信回線の使用でございますれば、業務上の関係と申しておりますのは、いわば料金を安くするためだけに回線の相乗りをするということは問題でございますけれども、そういうものでない限り、電信電話等の公衆電気通信業務に支障がないことが明瞭であれば、それについて自由な、制約なしの共同使用を認めよう、こういう考え方で省令に取り組んでいるところでございます。したがいまして、電信電話的利用とは電信電話利用もできろ、こういうものでございます。  これは、業務上緊密な関係という範囲内でございますが、その緊密な関係と申しますのは、電話の専用線の共同専用と申します業務上緊密な関係、それを持ってこようと申しますか、公衆法の第六十六条にございます専用線の共同専用の場合と同様のものとする、こういう考え方に立っておる次第でございます。
  50. 鈴木強

    鈴木(強)委員 省令はこれからお決めになるようでございますが、ちょっと電電公社の方にも伺っておきたいのですけれども共同使用の範囲ですね、それから使用態様、それから今度の改正によりますと当然個別認可制が要らなくなってしまうということで五十五条の十一を廃止することになると思うのですけれども、これは非常に大事なことで、通信施策でありますけれどもやるのは電電公社でございますから、いま私が申し上げましたような共同使用の範囲、それからもう一つは、その次に出てくると思うのですが、メッセージスイッチングの場合ですね、中間に電子計算機を置いてやるような場合、いままでは「行って来い」だけだったのですが、今度はそうでなくていいわけですね。ですから、いまも共同専用のような場合だとおっしゃるのですけれども、専用線の使用の場合は資本関係とか取引額とか現在の規定がいろいろありますので、いま守住局長がおっしゃったのですけれども、そういうふうなものを含めて公社としてこういうふうにしてほしいというふうな意見があったら、考えていることがあれば、この際ひとつ聞かしておいてもらいたいのですよ。
  51. 西井昭

    ○西井説明員 ただいま守住政策局長から御答弁のありました内容は、電電公社も、わが国の情報通信を発展させるためにそういう方向にあるべきであろうということで郵政省にもお話し申しましたし、それから、この回線開放につきまして郵政省の中に審議会を設けられまして、関係の方にお集まりいただきましていろいろ御討議をいただきましたわけですが、その中に公社からも代表者が出てまいりまして、そういったいろいろな討論を経ました上で出ましたものでございまして、公社としては申し上げることも申し上げましたし、また、この内容につきまして郵政省と全く同意見でございます。
  52. 鈴木強

    鈴木(強)委員 メッセージスイッチングの場合、一の場合と二の場合とありますね。ですから、加入者から業者が持つ計算機を通って二つぐらい行って帰ってくるような場合も今度は自由になるわけでしょうね。そこで、現在共同専用の場合には、いま守住さんのおっしゃったような電信電話的業務もたしかやっているのですが、そういうふうな電信電話的なものをやる専用線は緊密な関係にある共同専用と同じようなものである、そういうふうに理解をしていいわけですか。
  53. 西井昭

    ○西井説明員 中途コンピューターでのメッセージ交換の中身でございますが、当初四十六年に現在のデータ通信法制ができましたときには、いわゆる大型コンピューターを皆で共同して利用すれば単位処理当たりのコストが安くなるということを想定いたしましてつくりました法制でございまして、したがいまして、当初つくりましたときの制度では、中途コンピューターの問題というのは、端的に申しまして余り念頭になかったというのが実態でございます。ところが、その後コンピューターの非常な発展によりましてミニコン、マイコン、いろいろなものが出てまいりまして、中途コンピューターにおいてそこで判断をいたしまして、このデータ処理はどのコンピューターに振り向ければいいか、あるいはこのデータ処理はあちらのコンピューターの方に振り向けた方がいい、こういったようなものが出てまいりましたわけです。また、そのコンピューターで処理をした結果をそれぞれの端末の方に帰していく、こういう実態が出てまいりましたので、そういった、本来データ通信のためでございますが、一見そこのコンピューターだけ見ますとメッセージ交換を行っておるというようなものは、まさにこれからの情報通信の発展のために必要であろうということから、この中途コンピューターでのメッセージ交換を認めるべきであろう、こういうことでお願いをしたわけでございます。
  54. 鈴木強

    鈴木(強)委員 この電信電話的利用ができるというところが非常に問題でございまして、ですから共同専用の場合と全く同じと理解していいかということを聞いたのです。そこだけちょっと答えてください。
  55. 西井昭

    ○西井説明員 中途コンピューターでのメッセージ交換、それに伴います回線の共同使用関係につきましては、最初に先生から御質問のございましたように、業務上必要な者の間であれば自由に回線利用ができるようにいたしたいということでございます。  それから、そのほかに、一般的な共同使用よりももう少し本人使用に近いような業務上緊密な関係を有する者、これは先ほど政策局長からお話のございましたように、現在範囲が確定をいたしておりますが、本人使用に準ずるような業務上緊密な関係を有します者の間の共同使用につきましては現在でも電信電話的利用を認めておるところでございますので、現在でも認めております電信電話にたまたまコンピューターがつながるといったものは、当然のことながらこれは認めて差し支えがないだろう、こういうことでお願いをしておるところでございます。
  56. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかります。ただ、そこのところが紙一重のところで非常にむずかしいところでして、そこがだんだんと押されていく危険性というものがあるわけですから、おっしゃることもわかるし、共同専用の場合と同じ考え方であれば私もわかりますけれども、こういう改正になると大変なことになるということの心配を私はしておりますので、そういうことのないように今後運用の中で省令で決めるときにやってもらいたい。  時間がなくなりましたので、最後ですけれども、他人使用の場合ですけれども、これについてはここにいろいろありますが、VANとの関係であったと思いますが、中小企業を救済するということを理由にいたしまして、業務上緊密な関係のあるところは、一定の条件のもとに他人の通信の媒介を行うことを暫定的に認める、こうなっているのです。これは省令で決めるわけですが、一体一定の条件とは何なのか。それから、通信の媒介を暫定的に行うということは一体何なのか、いつまでやるのか、その辺を明らかにしてもらいたいと思います。  特にこれも四十六年五月十八日の議事録にありますが、私が他人使用の場合について質問したのに対して——これは他人使用の場合は、御承知のとおり公衆法の六十四条で明確な制限がございますね。有線電気通信法第十条にもこのことがはっきりと規定されておるわけです。そこで、当時、このデータができる場合に、通信一元化の問題と絡めて法改正によって得られるのはいわゆる「行って来い」に限るものですね、こういうことでそうなったわけです。その後これが変わっていくわけですけれども、特に井出郵政大臣がこう答えております。通信の一元化はわが国基本政策であり、仮にデータ通信があらわれましょうとも、これが他人の通信を媒介するような仕事であれば公衆法に触れるので、この点はしっかり見守っていきます、こういう答弁があるわけでして、非常にこの公衆通信役務との関係でいまの点は問題な点でございます。したがって、十分御配慮いただくわけでありますが、最後に、いま申し上げた一定の条件のもとに通信の媒介を暫定的に認めるというのは一体どういうことなのか、これをひとつお答えいただいて、終わりたいと思います。
  57. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  何回か申し上げておりますけれども、新しい高度通信サービスというものにつきましては、いろいろな基本的な前提条件のもとに、公衆電気通信秩序の維持という観点から基本的には法律によって措置すべきだということで考えてまいりましたが、継続検討になった次第でございます。  一方、他人の通信の媒介に関しましては、先生御指摘のように、単なる共同使用と違いまして、五十五条の十三に他人使用の制限ということで、禁止ではございませんが、制限ということでございます。そして、その中で、五十五条の十三の第二項でございますが、特に公共のために必要と認める場合、郵政省令でそれを認めた場合はという、ちょっと法律上は正確でございませんが、そういう趣旨でのまことにこれは例外の規定がございます。したがいまして、そういう例外的なものまですべて全部排除だ、こういう現行法の体系にはなっていないわけでございますが、限定された範囲でこれを認める、しかし、公衆法の先生御指摘のような体系あるいは趣旨というものは踏まえていかなければならない、このように考えておる次第でございます。  さて、いまお尋ねの田中政調会長の裁定は、中小企業対策といたしまして、一定の条件、臨時暫定的に高度通信サービスを認めるよう措置するというものでございますが、私どもも前に考えました高度通信サービスの前提条件等を踏まえてのものというふうにこの一定の条件を考えておる次第でございます。それからまた、暫定的にという意味でございますが、この裁定の後のところにも実は出ておるわけでございますが、他人使用の回線利用全体の自由化のあり方につきまして継続して検討して早急に結論を得るという、それを前提といたしまして、それまでの間、公衆電気通信法の枠内で可能なものに限って措置するということでございまして、したがいまして、本格的な法制度、VAN等も含めました制度の結論が得られました段階では、当然その結論の中に組み込まれていく、そういう意味で暫定的なもの、こういうふうに理解をしておる次第でございます。
  58. 鈴木強

    鈴木(強)委員 さっぱりわからぬですよ、あなたの言っていることが。わからぬ。  それで、これからいろいろ検討していくでしょうけれども、特にさっき私が途中で言った弁護士とか会計士とか、そういった人たちの場合どうなるかという問題も大変なことですよ。公衆通信役務上、不公平なサービスを提供することになったら問題ですから、それらの問題を含めて十分な検討をして、省令等をつくる場合にはわれわれが納得できるようなものをやってもらいたい。また、中途でもできるだけわれわれに相談をしてくださいよ。与党の意見を聞くこともいいことだけれども、野党の意見も聞いたりして、いいものをつくるようにしてください。それをお願いして終わります。  どうもありがとうございました。
  59. 水野清

    水野委員長 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。  次に、阿部未喜男君。
  60. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まだ官房長官がお見えになっていないようですから、中曽根行政管理庁長官にまずお伺いをいたします。  中曽根行政管理庁長官、いずれは行政府の最高の地位にもおつきになろうかというお方でございますから、この際、立法府と行政府のかかわり合いにつきまして、先ほども若干意見が出ておりましたが、長官の見解を伺っておきたいのでございますけれども、これはかねてから私の主張でございますが、行政府は、国家行政組織法によりまして各省庁を置きまして、各省庁は設置法によって所管する事項を明確にしております。立法府の方は、その行政機構に対応して委員会の制度を設けて各省庁の所管する事項について審査をするという取り決めになっておりまして、いわゆる委員会中心主義で運営をされるたてまえになっております。これは私は、行政府と立法府の連携を密にしながら国会における法案その他の審査を容易ならしめるためにこういう方法がとられておる、そう理解しておるのでございますが、長官のお考えと、あわせて内閣法制局の見解を承っておきたいと思います。
  61. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本の制度は、英国流の議院内閣制にアメリカ流の大統領制度の一部が国会システムに入ってきて、いわゆる委員会中心制度という混淆形態になっておると思いますが、大体において先生がいまお話しになったとおりであると思います。
  62. 角田禮次郎

    ○角田(禮)政府委員 お説のとおりだと思いますが、現在の国会は委員会中心主義がとられており、その委員会の分け方は大体省庁に対応している、こういうことだろうと思います。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、長官、先般の臨時国会の際には行財政の審査をするための特別の委員会が設置をされました。今回は、この通常国会でそういう特別の委員会は設置をされていないのですが、これはどう御理解をなさっていますか。
  64. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先般は七月十日の臨時行政調査会答申がありまして、それに基づきまして行革関連を一括法案にいたしました。この中にはすでに御審議を願いましたさまざまなことが入っておりますが、大体において七月十日の臨時行政調査会答申に基づきまして、それを受けて政府法案をつくって行う、そういう形でなるたけ一括して御審議を願う方が便宜的であり、連絡あるいは調整もうまくいくというところで、特別の委員会お願いしてやっていただいたわけでございます。  今回は、この前の七月答申のような、それほど複雑な範囲の広い問題というよりも、むしろ許認可行政事務簡素化、そういう一点において目的趣旨が同じであるという性格でまとめまして御審議願っておるというわけでございます。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先ほどもお話がありましたように、委員会中心主義がとられております。したがって、前回は行財政の改革のための特別の委員会を設けて、そこで臨調答申に基づくいろいろな問題を議論された。今回はそれが設けられていないわけですから、先ほどの理論に従って、当然それぞれの法案審査はそれぞれの委員会に付託をされるべきであると思うのですけれども、これはどうでしょうか。
  66. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 法理的に見ますと、そういう説もなるほどと首肯されますが、国会運営及び政府法案をまとめてこれを国会へ提出して御審議願う便宜上、そういうさまざまな観点も入りまして、大体同じ目的で同じ趣旨でできている内容については一括して法案として提出して、一つ委員会で御審議を願う、つまり、行政事務簡素化、そういう観点を中心にして取り扱っていただいたというわけでございます。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 行政事務簡素化で、非常に軽微なものと言うと問題がありますけれども、一本にまとめる方が妥当であると思われる、そういうふうにいま長官はおっしゃったのですが、通常国会が始まって間もない時点で、政府全体の統一をされた見解かあるいは政府の中の一つの機関だけであったかはわかりませんけれども、この国会の冒頭に、郵政大臣の所管に係る公衆電気通信法の一部を改正する法律案というものが提案をされるというふうに私どもは承っておりましたし、若干の説明も聞いております。しかるに、この公衆電気通信法の一部を改正する法律案がいつの間にか消えまして、長官のおっしゃる長い名前の、行政事務簡素合理化に伴う関係法律整理及び適用対象消滅等による法律廃止に関する法律案などというものの中に組み込まれていった、こういう経過があるわけでございますけれども、どうしてこれが当初予定をされた一つ改正案として提起をされずにこの中に組み込まれたのか、その経過を承りたいのです。
  68. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 データ通信の処理等につきまして、公衆電気通信法改正という方法でいくのが適当かという御議論も一部ございました。ただ今回は、許認可整理あるいは許認可からの解放、事務簡素化、こういう観点から三月十日の臨時行政調査会答申が出まして、その中にこのデータ通信処理の問題も含まれておりました。車検の問題も実は一緒に含まれておりましたけれども、車検の問題につきましては、単に許認可からの解放というだけでなくて、ほかの専門的な部門の改正点もございました。あるいは電波法の一部改正の問題もございましたが、これも同じように、ほかの関係の条項も多分に入っておりまして、そういう点では今回の公衆電気通信法改正云々という問題と多少性格が異なっておりますので、許認可からの開放あるいは事務簡素化という一点にしぼりまして、この中に組み込まれたものであると思っております。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは単なる許認可の問題であるかどうか、これは後ほどの議論に移したいと思います。  その前段として、先ほどもちょっと御質問が出ておりましたけれどもデータ通信自由化問題について、中曽根長官は自民党の田中政調会長に調整を依頼されたようでございますが、依頼をするに至った経過、そして、仲裁といいますか調停の内容の概略はどういうことだったわけですか。
  70. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通産省と郵政省の間に見解の相違がございまして、二月十日の臨時行政調査会答申の中のデータ通信に関する部分の具体化につきまして、なかなか意見調整ができませんでした。われわれは、できるだけこれを自由化しようという方向が好ましいと思っておりましたが、郵政省側が非常に頑強な態度で、その点は譲りませんでした。それで、いかなる点で妥協点を見つけるか、特に他人使用、中小企業関係の問題等につきまして、どうしても郵政省側が頑として頭を振らぬということでもありましたので、ついにこれは政党政治の準則にのっとりまして、党の方で調整を願うということになったのであります。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 答弁漏れです。その調停の内容はどういうものでしたかと聞いているのです。
  72. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ただいまのお話の文書でございますが、「データ通信自由化問題について」といことで、中身は概略三点だと思います。一つが、業務上緊密な関係にある中小企業者のために使用されるものに限り、一定の条件のもとに、他人の通信の媒介を認めるよう措置すること、との場合に、その手続を定めるのは、今回の行政改革の精神にのっとってやりなさい、通信の範囲については、公社との調整を踏まえて検討しなさい、それから、この措置は、他人使用の回線利用全体の新たなあり方につき結論を得るまでの間の臨時暫定の措置であるということでございます。  それから、第二番目の点が、この(一)の項目を具体化するに当たりまして、郵政、通産両省及び私ども行管がよく相談して協力してやれということでございます。  それから、第三点目が、政府は、他人使用の回線利用全体の自由化のあり方につきまして、早急に結論を得るよう努力されたい、この場合に、通産省は、郵政省が必要かつ合理的な法的措置をとる場合には、誠意を持ってこれに対応しなさい。  以上三点がこの中身でございます。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ただいまのは自民党の田中政調会長の調整意見でございますから、その内容に触れるつもりはございませんけれども、これを受けて自民党の中では、いわゆる橋本行財政調査会長の裁定というものがあったように聞いております。  問題は、それを受けて政府事務レベルにおいて、行管局長、通産の機構局長、郵政の電政局長の間でこの橋本裁定と全く同文の確認が行われたと聞いておりますが、この内容を説明してください。
  74. 佐倉尚

    佐倉政府委員 ただいまの文書でございますけれども、「データ通信回線利用制度について」ということで、これが大きく二つに分かれておりますが、その第一点の中が四つに分かれております。  まず、大きな第一点としまして、「業務上緊密な関係にある中小企業者のための他人使用について」、こういう表題で、そのうちに四点ばかりございます。  まず、その一つが、「通信の範囲については、公社との調整を急ぎ早急に結論を得るものとする。」二番目が、「他人の通信の媒介を認めるため今次行政改革の精神に則り、通信秩序維持に配意しつつ、必要最小限度の手続きを定めるものとする。」三番目が、この(1)と(2)のことですが、「上記の考え方に基づき、郵政省は、行政管理庁、通商産業省と十分に相談調整の上、措置の具体化を進めるものとし、省令の具体的内容を早急に定めるものとする。」それから、四番目が、「他人使用の回線利用全体の自由化のあり方について、できる限り早期に結論を得るよう努めるとともに、この結論が得られた段階で、上記暫定措置の全面的見直しを行うものとする。」以上が大きな一でございます。  次の二番目の項目でございますが、「今回の公衆電気通信法改正における共同使用、他人使用の使用態様等について」、これは三点ばかりございます。そのうちの一つが、「共同使用、他人使用の使用態様、コンピュータ間接続、公−特」公衆電気通信回線と特定通信回線でございますが、「公−特接続の態様について 中途コンピューターでのメッセージ交換やデータ処理を伴う端末間通信等、データ処理のためであれば自由な回線利用ができるようにする。」それが第一点でございます。第二番目が、先ほどの公衆電気通信回線と特定通信回線、さらに公衆電気通信がくっついた公−特−公の接続については、データ処理のためのものにつきまして個別認可で認めることとします。認められる形態については、できるだけわかりやすい内容、形式で周知に努めなさい。それから、三番目が、上記のいろいろな実施していく上の細目につきましては、郵政省行政管理庁、通産省と引き続き十分相談調整するものとする。  これがただいまの先生の御指摘の文書の中身でございます。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もとより長官御存じでしょうし、また、いま読み上げていただきましたけれども、たとえば「他人の通信の媒介を認めるため」、新たに他人の通信の媒介をこれは認めるわけでございますね。それから、その次の第二の項では、共同使用、他人使用の使用態様、コンピューターの接続あるいは公−特の接続、その次には公−特−公の問題、これは明らかに行政事務簡素化とか手続を簡略にするという内容ではなくて、コンピューター回線の使用の態様を変更しようという内容であって、長官のおっしゃるような簡単な許認可の手続の簡素化とかそういうものではないということがおわかりになると思うのですが、これはどうですか。
  76. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは許認可からの解放をするということをどういうふうに具体的な場合に行うか、公−特−公の場合はどうするのか、接続の場合はどうするのか、他人使用の場合はどうするのか、つまり許認可というものとの対応においてどうするかという処置が決められており、われわれの方からしますと、やはり許認可からの解放、事務簡素化整理、そういうことが視点にあるわけであります。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 長官、それは詭弁ですよ。これは回線使用の態様を変更するのがねらいであって、結果的に手続に若干楽になるところもあるかもわかりません。しかし、新たに手続をしなければならない法文が定められておる。たとえば、法制上でいうならば、新たに法文を追加しなければこの手続がとれない、そういう内容を含んでおる。いわば回線利用の、電電公社経営の根幹にかかわるような重要な問題だ。あなたのおっしゃるような簡単な許認可事項の簡素化とか手続の簡素化とか、そういう内容のものではない。ここに完全にあなた方の中における認識の相違がある。だから、郵政省が頑として頭を振らなかったとあなたはおっしゃったけれども、頭を振らなかったのは僕は当然だと思うのです。それをどうして振らせたのですか。
  78. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大乗的見地に立った政党政治の精神であります。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 政党政治の精神、なるほど多数を持って出ておるから何をやってもいいのだというお考えかもわかりませんけれども、やはり国民の意思を無視して力で押し切っていくというやり方はいかがなものでしょうか。もう少し、私が冒頭申し上げました、それぞれの官庁に対応する立法府の審査が十分にできるような配慮が必要であったのではないでしょうか。どうお考えになりますか。
  80. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この点は政党間でお話を願いまして、御審議を願いたいと思っております。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 宮澤官房長官、あなたがお見えになる前に、実は中曽根行政管理庁長官の御意見も伺ったのですが、あなたと私との間では、かつて同じことを議論したことがあるのですけれども、いま中曽根長官と私の間で議論しておりますように、この法案の性格はいわゆる一括法案などにすべきものではない、立法府の委員会中心主義の制度の精神にのっとって、専門的な分野において専門的な検討が行われるように法案提出について配慮を願うべき筋のものであったと思うのですが、取りまとめの責任に当たる内閣官房の方はどうお考えですか。
  82. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは先ほどから中曽根長官お答えになっていらっしゃることでございますけれども、今回この法律案一括して盛り込みました措置は、いずれも臨調の第二次答申など行政改革の推進のための当面の措置であるという点が一つ、それから許可、認可行政事務簡素合理化目的とすること、そういう観点から法案として趣旨目的が同一であると認められるもの、それらを一括法案といたしたわけでございますが、このいま御指摘の電気通信法の一部改正も、先ほど行管庁長官が言われましたように、いろいろな観点からの見方がございますことは阿部委員の言われるとおりだと思いますけれども、いわゆる行政事務簡素合理化という観点から見まして、そういうことを目的としているというふうに考えられる。先ほどそれはちょっと論弁だというふうに仰せられたように思いますけれども、これはどの観点から見るかということでございますから、そういう観点から見て、そうであることには違いがない、こう思いまして同法案に含めることにいたしたものでございます。
  83. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 さっき行政管理庁長官にも申し上げましたが、「他人の通信の媒介を認めるため」、これがまずあるわけですね。これは自民レベルの申し合わせですけれども、「通信秩序維持に配意しつつ、必要最小限度の手続きを定めるものとする。」これは簡素化じゃないのですよ。必要最小限の手続を定める。なぜ必要最小限の手続を定めなければならないか。それは通信回線の利用の態様を変更しなければならないから、これをやらなければならない。したがって、長官のおっしゃるような、あるいは官房長官のおっしゃるような、簡単な手続や許認可の問題とは質的に内容が違う。だから、私は郵政省も首を縦に振らなかったのだと思うのです。まあ政党政治の原則だと言われますけれども、どうしても郵政大臣、これを私はかねてから主張しておるのですが、やすやすとくみして、逓信委員会での審議ができないような状態に追いやった責任をあなたはどうお考えになっていますか。
  84. 箕輪登

    箕輪国務大臣 今回御提案申し上げたいわゆる一括法案、これは第一に、臨調第二次答申提言事項中、要法律改正事項、第二に、昨年末の許認可整理計画中当面法律改正を行うべき事項、及び第三に、第九十五回国会で廃案となった法令整理法案の再提出に関し、法律の改廃を一括して行うことを内容とするものであります。  この事項を一括する趣旨は、いずれもが臨調第二次答申及びかねてから検討されてきた許認可整理計画等に基づき実施される行政改革の推進のための当面の措置でありまして、許可、認可行政事務簡素合理化を図ることを目的としているものであって、法案として趣旨目的が同一であると認められることによるものであります。  今回予定される公衆電気通信法の一部改正についても、これら一括法案に盛り込まれた事項と趣旨目的を共通にするものであるので、本法律案に加えることとしたものであります。
  85. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 何か余りよくわかりませんでしたけれども、どうも本意でなかったことだけは間違いないようでございます。したがって、中曽根長官のおっしゃった政党政治の原則に立って強引にねじ伏せた、そういうことにならざるを得ぬと思うのですが、行政府はねじ伏せたかもわかりません。しかし、立法府までねじ伏せられてはこれは大変なのでございまして、それでひとつ、さっき申し上げたように、いずれは行政府の最高の責任者の地位にもおつきになろうとする長官、お二人おいでになるわけですから、今後この法案の取り扱いについて、私が申し上げたような精神が十分生かされるように努力をしていただけるかどうか、官房長官中曽根長官の、両長官の見解を承っておきたいと思います。
  86. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中身につきましてよく御審議お願いいたしまして、そして、できるだけ早く通過させていただきたいとお願いしております。
  87. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御質問の御趣旨は御趣旨として理解はできるところでございますけれども、私どもが申し上げた観点から一括したという点も御理解がいただけるであろうと思いますので、どうぞ御審議お願いいたしたいと存じます。
  88. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 中曽根行政管理庁長官、私はそんなことをお伺いしたのじゃないのですよ。今後の法案提出に当たって、たとえば行政管理庁の責任者としてでも結構です、私がるる申し上げた立法府と行政府のかかわり合いにおいて、そういう十分な配慮が願えるかどうか。  ただ、参考までに申し上げておきますが、先ほどちょっと出ましたけれども、たとえば公衆電気通信法の一部を改正する法律案と電波法の一部を改正する法律案二つ並べてみたならば、いずれが許認可の事項に近い内容のものであり、いずれが本体に影響を与える法案であるかは、百目の見るところ、歴然としているのです。にもかかわらず、電波法については、どういういきさつかわからぬけれども逓信委員会の方に単独法案で回ってきました。そして、非常に重要な公衆電気通信法の方が一括法案に入れられておる。その解釈の仕方は、それはまるでしゃくし定規というか、なっていないのですよ。しかし、そのことを議論しておっても仕方がないから、今後、法案提出に当たって、立法府と行政府のかかわり合いについて十分な配慮をしますというお考えがあるかどうか、それを聞いておるのです。
  89. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今後、法案の取り扱いにつきましては、立法府と行政府の間の調整につきましてよく検討を加えてまいりたいと思います。
  90. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 次に、これは先ほど非常に質問の多かった点でございますけれども、国会では昭和四十六年から特に逓信委員会を中心にして、先ほどお話があった、情報基本法と呼ぶべきかあるいは情報公開法と呼ぶべきか、いろいろ議論はありましょうけれども、こういう情報化社会においては、情報の基本にかかわるものを定めなければならない。いま問題になっておるのはプライバシーの問題。プライバシーの問題がどう保護されるか、あるいはデータがどう保護されるかというその問題と通信の秘密という問題が截然と区別ができない。そこに非常に問題の中心があるように私は思われてならないわけなんですよ。  したがって、まず、先ほどちょっとお話がありましたが、情報基本法によってプライバシーはこのように保護される、あるいはデータはかくかく保護される、その中において通信というものが占める分野はここまでだ、したがって通信の機密が守られなければならないのはここまで、そのあとは、ここからは当然プライバシーの問題として情報基本法によって保護される、そういうことになってこないから、これが非常に混乱をしておると思うのですが、この点どうお考えですか。
  91. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は、今後慎重に検討してまいりたいと思います。
  92. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 慎重に検討する前に、長官はどうお考えですか。今日このように混乱をしてきた。私の判断では、いま申し上げたように、情報基本法というものがないから、プライバシーの保護あるいはデータの保護が完全になされていないから、通信の秘密というものとプライバシーの問題が混同されて議論されておる。これは基本法がないからだと思うのです。したがって、そういうものの必要があるかどうか、慎重に検討するというのは儀礼的な答弁でありまして、もっと真剣にまじめに取り組んで答弁をしてもらいたいと思います。
  93. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 行政管理庁におきましても、プライバシー保護についてはかねてから重大な関心を持って研究会を発足させて、これに関する法的措置を検討しておるところでございます。  また、情報公開の面につきましても、こちらで一生懸命検討を加えておるところでございます。  また、通信の秘密保護あるいは産業関係の機密やらデータの保護という問題も新しく出てきた大事な問題でございまして、通信の秘密保護は前から憲法上存在する大事な仕事でございます。  ともかく、こういういろいろなものが新しく出てまいりまして、これをどういうふうに将来取り扱っていくかということは非常に重要な問題であります。したがいまして、あらゆる角度からこれを検討して慎重に扱っていきたいと考えておるのでございます。
  94. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはひとりわが国の国会で長年にわたって議論しておるだけでなく、OECDの勧告どもあるわけでございますから、先ほどお話がありましたように、早急に情報基本法というようなものをひとつ考えていただきたい。  いま私は情報基本法を申し上げましたが、たとえば中曽根長官、あなたはいつか留守番電話というものをおつけになって、これが問題になったことがございます。そのことを私は言うのじゃありません、そのことを言うのじゃありませんが、そのときに、たとえばあなたの留守番電話に、大平総理が解散を決意したようですというようなものが入ってきたと仮定をいたします。これは情報であることは間違いがないのです。しかし同時に、それは電話で入っておりますから、通信という手段を使って入ってきておるわけですね。これを情報通信と呼ぶかどうか、私はわかりませんけれども、情報と通信というものは非常に深いかかわりがあるけれども、しかし、それが通信、電話という手段でなくて、あなたの耳に、どうも今度は大平さんは解散をしそうですよと入ったら、これは通信の秘密とは何らかかわり合いがないけれども、プライバシーの問題としては守られなければならない問題になってくるだろうと思うのです。  そういう非常にむずかしい内容を含んでおりますから、私が申し上げたように、基本法をつくってプライバシーの問題あるいはデータの保護、そういうものについてしっかりしたものをつくって、その中で通信の秘密として守らなければならないものはどこまでか、こういけばこんな混乱はなかっただろう、こういう気がするのですけれども、これはどうお考えですか。
  95. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、これは非常に多方面から深くえぐって検討しなければならぬ問題だと思います。小にしてはカセットの問題もありますし、あるいはさらにいまの吹き込みの問題その他の問題もございます。そういう点で慎重に検討してまいりたいと思っております。
  96. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 官房長官お急ぎのようですから、あなたを帰すために先に質問をいたしますが、この第二次臨時行政調査会、これはどういうお仕事をなさるところでございましょうか。
  97. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 政府委員からお答えをいたします。
  98. 山本貞雄

    ○山本(貞)政府委員 お答えいたします。  御承知のように、臨時行政調査会設置法によりまして、行政の制度及び運営の基本的な事項につきまして、行政の実態を調査いたしまして、改革案を答申するということが臨調の仕事でございます。
  99. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それはだれに答申をするのですか。
  100. 山本貞雄

    ○山本(貞)政府委員 同設置法によりますと、臨時行政調査会から内閣に答申するわけでございます。  また、臨時行政調査会意見といたしまして、内閣を通じて国会に提出することを求めました場合はさらに国会に提出される、このようになっております。
  101. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それはまず内閣総理大臣の諮問機関だ、内閣の諮問機関だと私どもは考えておるのですが、国会の諮問機関にもなっておるわけですか、いまの御答弁では。
  102. 山本貞雄

    ○山本(貞)政府委員 ただいま申し上げましたように、臨時行政調査会は総理府に置かれておる附属機関でございまして、政府の諮問にこたえて答申する、あるいは設置法に与えられた所掌事務につきまして臨調の方から積極的に政府意見を申し上げる、こういうことになっております。  なお、国会に対しましては内閣を通じて報告することができる、こういうことになっております。
  103. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうでしょう。私は、国会の意思として第二臨調に諮問をするということを決めた覚えがございませんから、国会が諮問するはずはない。したがって、答申を受くる理由もない、こう考えておったのです。  そこで、宮澤官房長官、最近私はいろいろ考えるのは、これは決して意地悪で言うんじゃないけれども、行政府が第二臨調の陰に隠れて何でも臨調の責任に押しつける、逆に言えば臨調がこう言いました、臨調がああ言いましたということで自分たちの責任を逃れようとしておる、そういう風潮が感じられてならないのですけれども、率直なところ、官房長官、あなたはどうお考えになっていますか。今度は第二次臨調と行政府のかかわり合いについてどうお考えになっていますか。
  104. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 行政改革というものは、行政にあります者自分自身のあり方についての改革でございますから、やはり自分自身でどれほど努力をいたしましても、なし得ることには限界がございます。したがって、法律により国会の御同意を得て調査会をつくって、そこから意見を出してもらう、学識経験の豊かな方に第三者的な見地から意見を出していただいて、それを尊重して自分たちを改革していこう、そういう試みと承知をいたしております。したがいまして、そこの答申は最大限に尊重をされなければならない。その結果として行政におります者が、いろいろ、いわば小さい意味では自己に不利になることもあるかもしれませんし、相当痛手になることもあろうかと思いますけれども、それは国全体のためでございますから、その意見は尊重して実行していくということが大事なことであろうと存じます。もとより、だからと申しまして自分たちのすべきことあるいはしていけないことを臨調の名においていろいろ説明をするということは、これはもうあってならないことでございますけれども、本来的には前段に申し上げましたようなことが臨調に期待されているところであると思います。
  105. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まあ官房長官がそういうお考えならば私はそれを了としますけれども、しかし、どうも最近の風潮は、臨調がああ言った、臨調がこう言った。その意味では臨調に責任を転嫁をする。そして、自分たちがやることは、臨調が言ったのだからこれをやります、あれをやります。しかし、都合の悪いことはなるべく棚上げにして、都合のいいことだけは臨調が言いました、臨調が言いましたと言って、私はこういう言葉は余り好きじゃないのですが、昔軍隊いま臨調臨調が何か言えばもう何でも通る。また、臨調の言うことを聞かないと閣僚の首が飛ぶかもわからない。まして、役人に至っては臨調に若干の批判を加えただけでも中曽根行政管理庁長官が烈火のごとく憤って、不都合きわまるというようなことをおっしゃったとかおっしゃらなかったとか新聞で報道されておるのですけれども、そういう形になってはいけない、臨調といえども神様ではないと私は思うのです。臨調意見がすべて正しいとは思えません。私ども、極端に言えばいまの臨調は明らかに財界寄りの判断しかしていない。それはよって立つ基盤がそうだから仕方がないかもわかりません。しかし、そういう批判さえも許されないとなってくるならば、明らかに昔軍隊いま臨調という言葉に変わってくるのではないか。それを奇貨としてうまく利用し、ある場合には隠れみのにしながら泳いでおるのがいまの内閣ではないのだろうか、そういう気がしてならないのですが、官房長官の感想はどうですか。
  106. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 もとより隠れみのにするというようなことがあってはならないわけでございますけれども、とかく自分のことは自分にはわかりにくいと申しますか、これが最善だと信じやすい。しかし、第三者から見たときに必ずしもそれが常にそうであるとは言えないことはお互い経験でよく感じるところでございます。したがって、法律によって定められ、しかるべき人選をして選ばれた方々による臨調意見というものは、仮に一見自分にとって小さな意味で不利であっても、それはそういう観点からのみ考えるべきものではない、こういうことであろうと思うのでございます。
  107. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 なぜ私がこういう議論をするかと申しますと、いままでるる議論してまいりましたように、この公衆電気通信法の一部改正というものは、こういう一括法案に入れるような性格のものではなかった。そう考えて、さっき中曽根長官からお話がありましたが、郵政省もなかなか首を縦に振らずに、頑として応じなかったという言葉をお使いになりましたけれども、そういう性格のものだったろう。それが首を縦に振らざるを得なかった一つの柱は、これは明らかに第二臨調答申に基づいてという、この第二臨調答申があったからというにしきの御旗が、ある意味では田中政調会長の調整の基準になり、あるいはこれはおかしいと思っても、全体の政府の姿勢として聞かざるを得ない結果になってきた。そうすると、臨調というものがそういうところでも各省庁間の所管の問題にまで影響を与えてきておる、そう判断をしなければならないから、私は臨調が何か言ったからといってあわてふためいておやりになるいまの政府の姿勢に疑問があるし、臨調もやはりもっと真剣に考えていただかなければならない。とりわけ言論の自由が許されておる日本の社会ですから、中曽根行政管理庁長官、新聞に出ておったことが本当かうそか私は知りませんけれども、何か臨調に対する批判的な意見があったからといって厳重に注意をするとかいうようなことはお慎みになった方がいいのではないかと思いますが、いかがですか。
  108. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 政府及び自民党は、臨調をつくりまして国会の御協賛を得て人選を行い、そして、スタートさせていただきました。そうして、鈴木総理は、臨調答申は最大限に尊重すると天下に公約をなすって、われわれ自民党員打って一丸となってその政策推進に向かっておるところでございます。そして一次、二次の答申をいただいて、先般、二次の答申をいただきましたら、一次と同じようにこれを最大限に尊重して速やかにこれを実施に移す、そういうことを閣議決定し、党議でも決定したところでございます。その線に沿って先般来の努力が行われたのでございまして、これは決して内閣が立法権を侵すとかあるいは政治がゆがめられておるとか、そういう問題ではない。政党政治としてやはりあるべき姿を歩んでいると考えております。
  109. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あなたの御趣旨からいきますと、立法政治の精神だから、与党が何かお決めになれば公務員はそれを批判することも許されない、そういう理屈になるわけですか。それでは言論の自由もないわけでございまして、あなたが厳重注意をなさるとかいろいろおっしゃったということが伝えられておるけれども、それは行き過ぎではございませんか、こうお伺いしておるのです。
  110. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は言論にはよほど注意しているつもりでありますが、そのおっしゃったお言葉は、閣議の席だったと思いますが、もし、悪質で、そして行革を妨害するような官僚がいたら、それは適当に処置してもらう、そういうことを言ったので、もし、悪質という条件つきでありますから、そういう役人はいないものであると確信しております。
  111. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いや、さすがに行政管理庁の長官で、もし、悪質でということであったなら結構でございますけれども、そのまた悪質であるかないかの認定が問題になるのです。そうでしょう。これは悪質だとあなたが言えば悪質になってしまうと困るのです。だから、私はそういう批判はやはりある程度自由に、耳を傾ける。内閣の諮問機関なんでしょう。その内閣の諮問機関について意見があるなら述べたっていいじゃありませんか。悪質であるとかないとかのことが仮に冒頭にあったとしても、いま申し上げたように、悪質かどうかという判断は一体だれがするのですか。そうでしょう。そうなってくるでしょう。ですから、少し行き過ぎではございませんか。行き過ぎだったと言いなさい、あなた。
  112. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 悪質であるか悪質でないかは国民が判定してくださると思います。  われわれはやはり責任政治でございますから、命がけでこの行革を推進したいと思っておるのであります。
  113. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あなたが命がけで推進するから、ほかの者には物を言わせないの。そんな行革やったら大変ですよ。われわれは、国民として物を言う権利を保有していますし、それは私は公務員だって同じだと思うのです。したがって、やはり批判といいますか意見というものは自由に述べられる社会でなければならない、私はそう思うのです。それを押さえつけるようなあなたの発言はやはり問題がある。そのことを指摘しておるのですから、もう少し素直にこれは反省するなら反省するとおっしゃるのが本当じゃないですか。
  114. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 自由に意見が述べられる社会でなければならないというのは全く同感でございます。
  115. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ですから、閣議であなたのおっしゃったことは少し行き過ぎだということになりますよ、こう申し上げているのですが、いかがですか。
  116. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 警告として拝聴いたしておきます。
  117. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それはもう拝聴していただきましたから、今後十分気をつけてもらうというように私考えまして、もうあと申し上げません。  さて、これらの問題については、単に郵政省行管だけの問題でなく、通産の方も非常に深いかかわり合いを持って議論されてきた経緯がございます。先ほどちょっとお伺いしておったのですけれども、もう少しデータ通信に対する通産のお考え、これには私が申し上げたいわゆるプライバシーの保護の問題からデータの保護の問題、あるいは郵政省の関係から言うならば通信の秘密の保護の関係、これらについて通産と郵政、両当局の方で結構ですから見解を聞かせていただきたいと思います。
  118. 豊島格

    豊島政府委員 プライバシー保護あるいはデータ保護の問題についての御質問だと思いますが、先ほど来先生、通信の秘密の問題と、データといいますか、プライバシー保護の問題とは違うのではないかというような御趣旨の御質問があったかと思いますが、私どもも情報産業の立場からいいますと、コンピューターを使います情報処理というのは、もちろんオンライン情報処理といいますか、通信回線を使うものが今後どんどんふえていくということは変わりがないわけでございますが、しかし現在のところ、そうでない、いわゆるバッチ方式でやっておるものもあるわけで、これを総合して考えるべきである、こういうふうに考えております。そして、その中で、通信の保護に関する問題につきましては、私どもの考え方では、いわゆる伝送中の秘密あるいはコンピューターで処理されている秘密につきましては、それぞれ公衆電気通信法あるいは有線通信法によって現在規制が行われておる、このように考えております。したがいまして、それから外れまして蓄積されている、データとして別途コンピューターから外されているものにつきましては、現在法律的な規制はないわけで、これは通信でございませんからないわけですが、これはパッチシステムをやっている場合も、あるいは通信回線を使う場合も共通の問題でございます。  これにつきましては、情報化が進めば非常に大きな問題がございますので、私どもとしましては、現在までのところ電子計算機システム安全対策基準というのを設けまして、その範囲内で、先ほどもお答えいたしましたが、部屋の出入りの問題あるいは盗難防止の問題あるいはデータ管理の問題等についても一つ行政指導の基準を設けまして行政指導しているわけですが、このほかにもいろいろございまして、たとえばデータをコピーして持ち出すということになりますと、これはいわゆる窃盗罪になるというよりはむしろ侵入罪のようなことで、こういうことで果たしていいだろうか。あるいは、技術が発達しまして、いわゆる先ほどコンピューター犯罪でいろいろございますが、回線を通じ、あるいはいろいろな方法でそれを抜き出してしまう、こういうことに関しては、やはりそういうことにならないような一つの技術開発ということも必要かと思います。  そういうこともございますので、従来やっているものに加えまして、情報産業の発展に伴い、それに関する総合的なプライバシー保護の問題あるいは秘密保護の問題を取り上げていきたい、こういうふうに考えていま鋭意検討中であるということでございます。
  119. 守住有信

    守住政府委員 いま御指摘のデータ保護、プライバシー保護でございますが、私どもは通信の秘密という角度からとらえておるわけでございますが、この点につきましては、やはり特にデータ通信の発展等々に伴いまして、ソフトウエアの充実あるいは施設管理の強化あるいは従事する職員のモラル等を含めましての資質向上など、人的物的両面からの充実という問題と、これの強化策、あるいはその指導という問題と、罰則によりますところの担保という両面が必要だと考えておる次第でございます。  御承知のとおり、この罰則につきましては、通信回線部分公衆電気通信法できちっと規制されておるところでございますが、今度は、通信回線契約者が設置しますところの電子計算機の本体あるいは入出力装置の部分につきましては他方有線電気通信法で規定されておるところでございます。ただし、この有線電気通信法というものはそもそも自社内通信というものを主な対象とするということから、その保護の範囲、あるいは罰則のレベルと申しますか、その内容も公衆通信を対象とする公衆電気通信に比べまして不十分でございまして、特に今後、いろいろ御議論の出ておりますVANというふうな問題、いろいろな、六千システムあるデータのいわゆるデータ処理のためのシステムでございますけれども、それを相互間にずっと結び合わせていくような、いわゆる純粋なと申しますか、通信を業とするという分野につきましては、こういう側面について十分な対策、検討がなされなければならない。したがいまして、今後の法的措置に取り込む問題点としては、この点を十分念頭に置いておる、こういうことでございます。  なお、一般的には、先ほども申し上げましたように、データの暗号化あるいは総合安全とか、バックアップシステムとか、いろいろな問題に取り組んでいきたい、このように考えておる次第でございます。
  120. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先ほど電電公社にも質問があったようでございますけれども、こういうものを決めていくに当たっては電電公社意見も十分聞くようにということでございましたが、総裁、御相談を受けて、契約当事者になるわけですが、一切電電公社としては異議はないとお考えですか。
  121. 西井昭

    ○西井説明員 ただいま両省の局長から御答弁がございましたとおりでございまして、異議は全くございません。
  122. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、電電公社には異議がないということですが、実は今回の改正に当たって、たとえば共同使用の場合には、業務上の関係があればすべて自由に回線が利用できる、その次に、業務上緊密な関係を有する者の間では電信電話的利用もできる、こういうふうにされておる。これは私、よくこの内容は理解しておるところでございますけれども、たとえば緊密な関係については六十六条の規制があるといろいろお話がありましたけれども、いま三井系の中のいわゆる二木会のメンバーで、子会社として社名に三井というのをつけておる会社は百社を超えるんです。これは子会社ですよ。子会社ですから当然六十六条に該当する内容を持っておる会社が、明らかに三井という名前がついておる子会社だけで百社あるのです。その他三井グループと呼ぶものになってくれば、最近はトヨタ自工も入っておりますから大変な数になる。トヨタ自工はトヨタ自工でまた企業グループを持っておる。あるいは一勧、第一勧業銀行グループ、これもまた大変な子会社を持っておるわけです。  そこで、いわゆる事業上緊密な関係を有する者の間ということになりますと、これが電信電話的利用を、コンピューターを使って、特定回線を使ってこれを行うということになってきますと、これは明らかに電電公社の収入に大きな影響を与える。しかし、電電公社はもうかっておるからそれは構わぬでしょう。もうからなくなったときに、そういう人たちが特定回線を使って電信電話的利用をしたために電電公社の収入が減り、結果的に一般加入者が大変大きな電話料等の負担をしなければならない。しかし、考えてみると、回線というものは一般の加入者の負担によってでき上がったものにほかならないのです。それを特定の者だけに電信電話的な利用をさせるということが、あまねく公平な利用の原則にもとらないのかどうか。これは郵政省の見解をお伺いしたいと思います。
  123. 守住有信

    守住政府委員 一般的に申し上げまして、先生御指摘のような四十六年の改正のときからこの特定通信回線の利用の態様いかんによって、いわゆる再版売と申しますか、これによってクリームスキミングが起こりはしないか、その結果コンピューターが使えないような大部分の大衆の電話のコストにはね返りはしないかというのが一番のポイントであった、現在においてもまたその問題点は変わりはない、このように考えておるところでございます。  しかし、また一方では、このコンピューターの分散処理等々のシステムが普及してまいりまして、便利な使い方という要望もあるわけでございまして、私どもお尋ねの件に関しましては、現在電話の専用線が、これはまさしく専用線として電話そのものが利用できるという制度が前からあるわけでございまして、その電話の共同専用設備という、その業務上緊密というとらえ方を、電話の共同設備の現行法の前にできております解釈がきちんと出ておりますので、その解釈の範囲内の業務上緊密関係において共同使用の場合に緊密関係として電信電話的利用もできる、こういう電話の専用設備の概念、制度というものをそのまま持ってくる、私どもとしてはこういうふうに考えておる次第でございます。  それから、もう一点申し上げますと、業務上必要というのは、業務上いろいろな関係があれば自由に共同利用できると申しますけれども、業務上通信をやる必要がないのに単に名義を共同にいたされましてその回線をうまくといいますか、クリームスキミング的に使うことがないようにということを私どもは一方では念頭に置いておる次第でございます。
  124. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、いわゆる専用回線、特定回線の使用が始まったときと今日の資本の形態とでは非常に大きい変革が行われておると思うのです。先ほども申し上げましたように、一つのグループが何官社、たとえば三井という名前がつくものだけだって百社を超える。こういうふうに資本の形態が広範にわたって変わってきておる。それにいまなお業務上緊密な関係とはかくかくであるというような十年も前の規定を当てはめていくと大変なことになってくるだろう。もし、いまそういうものを改正する必要があるならば、あまねく公平という原則に立つならば、この改正の中でむしろそのことをもっと規制されなければ大変な事態になるのではないか、そう思っておるのですけれども、既存の法律については、あるいは既存の省令についてはそのままにしてこの解釈でいきますというけれども、あれをつくった当時の緊密な関係という定義というものと今日の緊密な関係を律するのには大きな差が生まれてきておるのではないか、それを見落としておるのではないかという気がするのですが、どうでしょうか。
  125. 守住有信

    守住政府委員 御承知のとおり、現在電話の再用線及びデータ通信特定通信回線は定額料金制度になっておりまして、公衆回線あるいは電話回線等々は従量制ということになっておるわけでございます。したがいまして、お尋ねのような点につきましては、この料金体系という問題にも絡んでくる問題ではなかろうか。現在まだディジタル化の途中の段階に電電公社の回線はあるというふうに見てはおりますけれども、本山に全部がディジタル化ということになれば、全部従量制料金ということになって、クリームスキミングは一切起こらない時代が来るのではないか。しかし、これまでの間、いまのような先生の御指摘もございますし、今後そういう問題につきましても十分公社の実態も聞きながら検討してまいりたい、このように考える次第でございます。
  126. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 契約当事者であり経営の責任を負わなければならない電電公社としては、いま私が申し上げましたように、資本の形態が明らかに変わってきておる今日の社会で、緊密な関係にある者の間では電信電話的利用もよろしいのだというこのやり方について、経営上何ら影響はないとお考えですか。
  127. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  ただいまの業務上緊密関係と申しますのは、ただいま先生のおっしゃいましたように、たまたま三井なら三井という名前を冠しておるだけでは業務上緊密関係ということになりませんのです。ただ、そういういまの基準の業務上継続的な取引を行う範囲が、世の中の経済活動の活発化によってだんだん範囲が広くなるだろう、したがって、昔はそういうのは同一人に準ずるという解釈でもよかったけれども、現在のような経済社会、さらにこれから発展します経済社会の実情から見ると、範囲が次第次第に広がっていって、非常にその辺のところに問題が生ずるではないか、こういう御趣旨かと思います。  確かに、そういう点はそういう心配も全くないことはございませんが、現在までのところ、この業務上緊密関係ということによりまして、特に公社業務上支障があるということは起こっておりません。将来にわたってそういう問題が出てくるかどうかという問題がございますが、これは将来の問題といたしましては、公社は現在電気通信のネットワークというものをディジタル化をいたしまして、そうして一本の線によりまして電話もデータも何でも送れる、こういう総合ディジタル網という方向に向かっております。そうなってまいりますと、ただいま政策局長からもお話がございましたように、現在の電信電話あるいは専用線は当然でございますが、そういったものはもう一度見直さなければならないだろう、公社といたしましてはそういうディジタル化の進歩によりまして、日本の重立ったところがディジタル化できます昭和六十五年ごろまでには、ただいま先生のお話のございましたような問題も含めまして、現在の公衆電気通信法というのは料金体系も含めまして見直さなければならない時期が来るのではないか、このように考えている次第でございます。ただいま先生のお話の点も含めまして、そういう事態が参りましたら現在の法体系というものも郵政省の御指導を得て見直してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  128. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私が先ほど例で申し上げたのは、いわゆる三井と名のつくものがと言ったのは、それが全部条件にかなう、緊密な関係にある、たとえば一〇%以上資本を出しておるとか二〇%の取引があるとか、そういうことを言っておるのではないのです。資本のあり方が変わってきておる。だから、グループの中で子会社というものがふえてきておる。そういう子会社と親会社は明らかに六十六条に該当するものになってきますよ、そういう人は全部再用回線を使ってどんどん電話ができる、きわめて安い料金で電話をすることができる、そうすると電電公社の収入はだんだん減ってくる、それは結局は一般の加入者に転嫁されていくのではないですかと、そういうことを私は申し上げたのであって、その心配がないとおっしゃるなら結構ですけれども、これから十年と言えば、私は電電公社の技術開発も大変進んでくるだろうと思いますが、さらに利用者の方も知恵をしぼっていろいろなことをやってくるだろうと思います。しかも、今回の改正は明らかに、いままで八つの条件にある者の間しかできなかったものが、これはもう業務上関係があればオープンでしょう。その中で業務上緊密な関係がある者の間では電信電話的な利用ができる、こうなっておるのですから、どんな使われ方をしたって、おまえのところは電信電話に使っておるのが多過ぎるのなんの、そんなことは実際問題としては言いっこないのです。初めから電信電話に使いますと言わぬ限り、結果的に電信電話に使われたって物の言いようがないでしょう、こうなったときに。それで電電公社の収入ががたっと落ちた、一般の加入者に電話料金の値上げをします、こうなるおそれがありませんか。責任を持って、ありませんと言い切れますか、これを公社に聞いておるのです。
  129. 西井昭

    ○西井説明員 ただいま申しましたように、現在までのところは問題がございませんが、将来そういう問題が出てくるおそれがあるということは、まさに先生の御指摘のとおりかと思います。  さらに、公社がいま考えております総合ディジタル網、いわゆるINSと言っておりますが、高度情報通信システムと言っておりますINS化になってまいりますと、データ通信も電信も電話もだんだん境目がわからなくなってくる、こういう事態になってまいります。したがいまして、公社といたしましては、そういう事態になりましたときに、ただいま先生のおっしゃいましたようないわゆるクリームスキミングによって特定の方が非常に利益を得られ、一般大衆にそのしわが寄ってくる、こういうことのないような料金体系も含めて、制度化というものは、これは当然のことながら検討していかなければならない、このように考えておるところでございます。  現在その考え方としましては、これから検討を進めるところでございまして、具体的な内容が固まっておるわけではございませんが、その一部のはしりといたしましてDDX網でありますとか、それからファクシミリ網といったような料金体系あるいは情報量をベースといたしました課金方式、こういうものをとってまいりまして、INS化になりますと、いまのDDX網なりファクシミリ網なりの料金体系あるいは課金の考え方、そういったものの基本的な考え方に沿いまして、料金あるいは制度、それから、ただいま申されましたいろんな点について、当然のことながらそういうものに合わせたものを考えていかなければならない、こういうふうに思っておるところでございます。  ただいま先生のおっしゃいました問題、いま公社の考えております高度情報通信システム、そういうものがある程度日本に普及いたしますのがただいま申しました昭和六十五年でございますので、そのときにはいま申しました料金、それから制度を含めまして公衆電気通信等につきましても、これは先生の御趣旨に沿いまして当然のことながら検討し、そのような制度、料金化をいたしていかなければならない、こういうふうに考えているところでございます。
  130. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 時間がなくなりましたので、あわせて質問をしておきますが、田中さんの裁定の中で、他人の通信の媒介というのがあるのですけれども、この説明、これは法文じゃないのですよ。郵政省からいただいた説明の中には、たとえば電信電話的利用あるいはメッセージスイッチングあるいは公衆電気通信以外のというような言葉があります。一応説明は聞きましたが、まず第一点は、他人の通信の媒介を認めるということになっております。これはいわゆる公衆電気通信以外の通信の媒介を行うことを暫定的に認めるとなっておりますけれども、これは有線法第十条の規定に違反をしないかどうか、これが第一点月でございます。     〔水野委員長退席、渡辺(紘)委員長代理着席〕 これをまずちょっと簡単に答えてください。
  131. 守住有信

    守住政府委員 有線法十条との関係でございますけれども、私どもは有線法十条には違反せず、また公衆電気通信法第五十五条の十三の二項におきまして、公共の利益のため特に必要がある場合には、郵政省令で、特定通信回線を使用する者が他人の通信の媒介を行うことを認めておる、こういうふうに五十五条の十三の二項に規定されておりまして、公衆電気通信法は他人の通信の媒介を行うことをすべて排除しておるのではない、一定のまことに例外的なものではございますが、すべて排除しているものではない、このように受けとめておる次第でございます。
  132. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは議論すると長くなりますが、私は、これは明らかに有線通信法の十条に基本的に違反をする。なぜならば、これはデータに限ってのみ許されておるのであって、通信の媒介が許されるわけではない。だから、データに関するなら別ですよ。データに関しない通信の媒介は許されない。  そこで、非常に苦しい言いわけにあなたの方は「公衆電気通信以外について」と、こう書いてありますけれども公衆電気通信を除いてどういう通信の媒介が考えられるのですか。ほとんどないでしょう。たとえばファクシミリみたいなもの、こういうようなものはあるかもわかりませんが、しかし、公衆電気通信を除いてあとどういうものが考えられるか、ほとんど利用価値はないだろう。せっかく中小企業のために通信の媒介が認められるということで、他人使用を認めたけれども、実際にはほとんど効用のない内容だ、こう思うのですが、この点はどうですか。     〔渡辺(紘)委員長代理退席、水野委員長着席
  133. 守住有信

    守住政府委員 お尋ねのように、公衆電気通信役務、法定役務等々があるわけでございますが、これはできないということでございまして、私どもが考えましたような技術の進歩あるいはまた通信処理等々の発展ということで、メール・ボックス・サービスだとかいろいろなことが言われておりますけれども、そういうものはあり得る、こういうふうにとらえておる次第でございます。
  134. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 メールサービスとかいろいろお話がありましたが、実質的に電信電話はだめですよ、それ以外のものは通信の媒介をしてもいいですよといったって、ほとんどそんなことはあり得ぬと考えておるのですけれども、理屈をつければ新しく技術の開発が出てきて、どうだこうだと言えば、これは別ですけれども。  さて、中曽根行政管理庁長官、いままでるる論議をしてまいりましたように、まだ省令にゆだねる部分が非常に多いのでございまして、その省令の内容さえ今日明らかにされていない部分が多うございます。したがって、私は、本来ならば拙速をせずにもっと慎重に審議をして、しかも最近郵政省の中には電気通信審議会というものをわざわざ設置法を変えてつくっておるのですから、十月発足ですけれども、そこら辺にかけて十分な議論をすべきだと思います。思いますけれども、そう言っても長官がいまそうしますと言わぬことも大体目に見えてわかっておりますから、そこまでは言いませんが、いままでの議論を踏まえて、特に通産、郵政両省の間あるいは電電公社との間でいろいろな意見がある点については、公衆の不利にならないように十分な配慮お願いして、特に省令にゆだねられる部分等については、公衆の不利にならないような十分な配慮お願いしたいと思いますので、長官の決意を聞いて終わりたいと思います。
  135. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 公衆の利益を守るということは、この法律の眼目でもございますから、政省令を決めるに当たりましては、やはり各省とも大乗的見地に立ってその本旨に沿って協調するように努力してまいりたいと思います。
  136. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 終わります。
  137. 水野清

    水野委員長 これにて阿部未喜男君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内勝彦君。
  138. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今回、電気通信法の一部改正、この問題に関して一括法案にしたことに関しましての問題点、るるいままで同僚委員からございました。  その中で、私、率直に尋ねておきたい点は、行政管理庁長官として田中政調会長にどうしてデータ通信自由化問題について調整を依頼したのか、その点がよくわからないのです。どういう理由からですか。
  139. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 調整を当初は行管とそれから二省等でやっておりましたが、最終段階に至りましてもなかなか調整ができませんでした。そこで、法案提出は急ぎますし、政党政治の本則にのっとって、自民党の内部の部会の問題もございまして、これは政調会においてお取り上げ願って党としての御裁断を示していただく、こういう考えに立ちましてお願いしたわけであります。
  140. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この問題は、郵政省なりあるいは通産省なり、その問題を管轄しておる最も重要な面におきまして徹底的な論議を時間かけてやっていくべき問題なんです。ところが、そういう形で進んでいったことにこれは問題点が多くあるということを指摘しておきますが、その中で特にこの田中裁定によりますと、いわゆる他人使用の回線利用、この問題で「回線利用全体の新たな在り方につき結論を得るまでの間の臨時暫定」、こういうことを言っておりますね。この臨時暫定ということは、今回のこの他人使用について臨時暫定的なものというものは、この法案そのものが臨時暫定、こう考えてよいのでしょうか。
  141. 守住有信

    守住政府委員 そうではございません。この改正法案でなくて現行法の中の五十五条の十三の第二項に、公共の利益のために特に必要と認める場合で、郵政省令で定める場合に該当するときの特定通信回線につきましては、この制約の中で他人使用、他人の通信の媒介が認められることになっておりますので、改正法案そのものが何か臨時暫定という意味では全くございません。その臨時暫定と申します意味は、他人使用の回線利用全体の自由化のあり方、私どもが新法等でいろいろ構想をしたものにつきまして、通信の秘密や信頼性の確保等、公衆電気通信秩序が維持されるということを前提としまして、今後継続して鋭意検討を行って、できるだけ早期に合理的な結論を得たいと考えておりますが、それまでの間の臨時暫定である、このような意味でございます。
  142. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 同じく田中裁定に「政府は、他人使用の回線利用全体の自由化の在り方につき、早急に結論を得るよう努力されたい。」こうございますが、「回線利用全体の自由化の在り方」、このことは郵政省としてどう考えていますか。
  143. 守住有信

    守住政府委員 先ほども御説明いたしましたように、他人の通信の媒介を業として行うというのはまさしく通信業の世界でございますので、今後こういう点につきましては通信の公共性と申しますか、いろいろな点、あるいは公衆電気通信秩序とのかかわり合い、こういうものを念頭に踏まえまして、今後鋭意検討して取り組んでいきたいということを考えておる次第でございます。
  144. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いまの説明でよくわかりません。  通産省として、いままでいろいろ練ってきた中で、回線利用全体の自由化のあり方に関してどういう考え方を持っていますか。
  145. 豊島格

    豊島政府委員 今回の自由化措置臨調答申を受けて実施されたものでございまして、換言すれば、不特定多数の者を相手としてもっぱらメッセージスイッチングを行う者以外は自由ということで、その線で進められている。したがって、不特定多数の者を相手方としてもっぱらメッセージスイッチングを行う者については、今回措置がされなかったわけでございます。しかし、通信回線を介したコンピューターの利用というのは技術革新の著しい分野でございまして、今後の情報化社会の基盤を形成する、私どもの言葉で言いますと非常に重要なインフラストラクチュアである、こういうふうに考えております。したがって、残された部分につきましても、民間の創意工夫を生かした活動が十分に行われるということが望ましいわけでございまして、そういう意味でこの点につきましては私どももできるだけ自由にやってほしい、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、関係各省と十分相談をして検討をするということにおいては変わりがないということでございます。
  146. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 電電公社郵政省にあわせてお伺いしておきますが、現行法の中におきましても、データ通信の分野においてはコンピューターの発展に伴って実態に即して具体的に利用していきたい、こういった面からいわゆる許可願という形で各方面から届け出が現在の範囲内で何件か出ておることは伺っております。ここ三年間程度で結構でございますが、どれぐらいの届け出件数があって、そのうちどれだけ認可して、いまだにまだ積滞として残っておるのはどれぐらいか、数字を示してください。
  147. 信沢健夫

    ○信沢説明員 お答えいたします。  ここ数年間個別認可をいただきましてデータ通信に関する特定通信回線の利用をいただいております件数は、共同使用に関するものと、公衆回線と特定通信回線の相互接続に関するものと二種類ございますけれども共同使用に関する個別認可件数は、五十四年十五件、五十五年二十件、五十六年度が三十一件と年々ふえてきております。それから、相互接続に関する認可件数は、五十四年が百六件、五十五年が百一件、五十六年度は百四十三件ということになっておりまして、五十六年度は、共同使用認可と合わせて年間百七十四件の認可をいただいております。  積滞と申しますと、現在申請をお願い中のものということでありますが、そういう趣旨でございますと大体二十件程度が現在申請を行う準備をしておるところでございます。
  148. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると、いまの件でどれだけ申請があって——認可できない分があるはずでしょう、それも含めて言ってください。
  149. 信沢健夫

    ○信沢説明員 特定通信回線についての認可の申請につきましては、私どもの通信局あるいは本社にユーザーの方が個別に御相談に参ります。そして、公社と御相談の上、大体認可の基準に該当するものについて公社の方で認可の申請をしております。したがって、申請をしたものにつきましてはすべて認可をいただいております。いまの基準から見てこれはちょっとむずかしいというものについては、申請をする事前の段階でユーザーとのお話し合いの中で処理されてしまいますので、それがどのくらいの件数あるかということについては正確にはちょっとわかりかねております。
  150. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これが大事なんですよ。要するに、この要望が非常に多いということに関して、それにこたえていくために今回これを法案として自由化に持っていこうということで論議しておるわけでございます。したがいまして、いままでのニーズがどれだけのものがあるのかということがわからないと——いままでの話し合いの中でもうだめならだめですということで、はねている。この人たちが大事なんだ。この意味で、後でもいいですが、その数をぜひ提出していただきたいと思います。答えてください。
  151. 信沢健夫

    ○信沢説明員 回線の利用の自由化につきましては、いろいろなユーザーの団体、ユーザー協会でありますとかそのほか各団体がございまして、そういう団体の方々から、こういうケースは自由化してほしいという要望がいろいろ出されております。そのような要望の件数は別途またここで報告させていただきたいと思いますけれども、個別に正確なデータというのはちょっとむずかしいかと思います。
  152. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 じゃ、郵政省
  153. 守住有信

    守住政府委員 御承知のとおり、この個別認可の制度は、電電公社やKDDが回線を使いたいという企業等と御相談されまして、個別認可の判断が要るという場合に出されるというものでございまして、電電公社から郵政省に出てきました段階では、もう十年の体験を経ておりますので、いままでのルールに従いまして迅速な処理をやっておるということでございまして、いまお尋ねの窓口である電電公社との間の関係につきましては、いま公社の営業局長の方から答弁されたような実態ではないかと思っておる次第でございます。
  154. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、公社にお伺いしておきますが、電電公社総裁もデータ通信設備サービス、このデータ通信に関しては、データ通信部門には回線サービス部門とそれから設備サービス部門、これがございます。その中でたとえばDRESSだとかDEMOS、DIALS、こういった面の要望等は非常に多いわけですね。そういう中で、特に総裁も考えておるようですが、非常に設備サービスの方が経営がよくない。数字までいろいろと述べておるようですが、むしろそれを回線サービスでカバーし、なおかつ、それでも足りないから公社のいわゆる電話通信、こういった電話電信部門においてそれをカバーしていくという、こういう実態ですね。  そこで、むしろ設備サービスの面に関してですか、あるいは回線サービスなのかよくわかりませんけれども、分離をしていった方がいいんじゃないかという考え方を持っておるやに伺っております。また、行政管理庁としましても、民間に比べて不効率なので、経営のあり方を再検討すべきだと勧告をしておりますが、そういう面も含めてどのようなお考えをこの分離論に関してお持ちでございましょうか。
  155. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  公社の提供しておりますデータ通信サービスにつきましては、先生御指摘のとおり、回線サービスと設備サービスとございます。この二つを含めましてデータ通信事業ということにして収支を計算しているわけでございますが、先生御指摘のように、従来からデータ通信事業としても赤字を計上をしてまいっておりますし、五十六年度、いま決算を集計中でございますけれども、五十六年度におきましては、この回線サービスと設備サービスを含めまして、一応単年度黒字ということが達成できる見込みでございます。これは先生も御指摘のとおり、回線サービスの利益で設備サービス赤字を埋めての上のことでございます。  したがいまして、五十七年度以降におきましては、設備サービスだけにつきましても十分収支の改善を進めていくということに、現在鋭意これを進めているところでございます。もちろんこれを実施してまいります上では、昨年行政管理庁からの勧告の中でも具体的な指摘をいただいております。そういう線にも沿いまして、鋭意今後五十七年、八年、九年の三カ年間で設備サービスについての収支の改善というものを進めているわけでございます。     〔水野委員長退席、石井委員長着席〕  この公社の行います設備サービスにつきましては、従来からもいろいろなサービスを提供いたしまして、わが国の情報化の進展にお役に立ってきたところでございますが、最近の情勢等にかんがみまして、公社になじまないサービスはこれはやめていこうということで、従来からも公社がデータ通信設備サービスを提供いたします際には、公共的なもの、全国的なもの、技術先導的なもの、そういうものが公社にふさわしい役割りであるというふうに考えてやってきておりますが、こうした考え方は、昨年の郵政省電気通信政策懇談会あるいは通商産業省の産業構造審議会情報部会というふうなところでも御承認をいただいているわけでございます。したがいまして、今後ともこうした公社にふさわしい部門のサービスを実施しながら、設備サービスとしても十分収支の面でペイをする、こういうふうな形で進めていくというふうにしておりますし、さらに今後の電気通信サービスにおきましては、電信電話的な業務のほか、非電話系のサービスというものも多彩になってまいりまして、なかなかこの間の境界は引きにくいという現状にございます。  そういう面から、公社としては高度情報通信サービスの提供の上でも大きな役割りがあるというふうに考えているところでございますので、広い意味での電気通信事業全体の中で、やはりデータ通信のうちの公社の役割りというものはあるというふうに考えているところでございますが、先生も御指摘のとおり、公社の経営形態問題全体につきましては、第二臨調でいま審議をされておりまして、その答申、あるいは政府・自民党あるいは国会の御審議等によりまして将来の形が決まっていくというふうに存じておりますけれども、公社といたしましてもただいま申し上げましたように、十分収支を改善しながら果たすべき役割りということについてはますますその重要性がふえていくだろう、こういうふうに考えているところでございます。
  156. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 長々説明してくれましたが、要するに、もうかる部門はやります、もうからぬ部門はやめることを検討しています、こういうふうに解釈していいのか。同時に、それから検討される面で、これは設備サービスなどは、特にDRESS、DEMOS、DIALS、この三部門を考えてみても、収支率はペイするのか。特にDRESSなどは収支率はほとんどペイしないのじゃないですか。その辺どういう点が問題なのか、ちょっと明らかにしてください。
  157. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 ただいま先生御指摘ございましたデータ通信設備サービスの中でも赤字の一番大きな原因になっておるものは、先生の御指摘のとおりでございます。  まず、DIALSにつきましては、最近の利用実態等を見ますと、電卓等の普及によりましてほとんど利用されていないという実態もございます。したがいまして、これを廃止いたしましても利用者に迷惑をおかけすることはほとんどないんじゃないかということで、近く廃止する考え方で郵政省の方に認可提出したいというふうに考えているところでございます。  それから、DRESS、DEMOSにつきましては、これはいまから十年ほど前、まだコンピューターの値段が非常に高い、それからコンピューターを利用することが、高度な知識が必要でなかなかむずかしい、こういうために大企業等しか利用できない、中小企業のコンピューター利用による効率化ということがなかなかできないじゃないか、そういう仕事は電電公社がやるべきだということで始めたものでございますが、その後技術革新によりまして、先生御存じのとおり、ミニコンでございますとかオフコンでございますとか、そういうもので処理をいたしますと、わざわざ大型コンピューターまで往復をして処理をするというDRESSというようなものは明らかに公社としては競争力がなくなっているわけでございますから、こういうものについてはオフコン、ミニコンで間に合うものはそういう御利用に今後任せていく。公社といたしましては、個々のシステムについても十分収支面での配慮を行いながら、全体としての公共的、全国的、技術先導的なものを提供する、そのトータルの中で収支の改善というものを行っていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  158. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一点聞いておきますが、この行政管理庁の監察結果でも、民間には禁止しているメッセージ交換、これは七システムは実施している、こう言われておりますけれども、どういうものを利用しているのですか。
  159. 高橋敏朗

    ○高橋説明員 いま先生の御指摘の七つのシステムでございますが、多分、現金自動支払いシステム、全国信用金庫システム、相互銀行現金自動支払いシステム、新全国銀行システム、都銀現金自動支払いシステム、六都銀現金自動支払いシステム、地方銀行現金自動支払いシステム、こういうものの御指摘だと存じますけれども、そういうことでお答え申し上げますと、以上のシステムは、一つが、全国の民間の金融機関が主として為替業務等を行うためのものでございます。それから、残りは、キャッシュカードというものがいま広く国民大衆に利用されておりますけれども、これを個々の銀行ではなくて、幾つかの銀行あるいは信用金庫等が共同して利用をしているシステムでございます。このシステムの中におきましては、情報処理のほかにメッセージ交換を含んでいるわけでございます。御利用になる方が端末のキャッシュディスペンサーを操作いたしますと、これはどこの銀行への支払いの要求であるかということを振り分けるというメッセージ交換という機能が必ずあるわけでございます。したがいまして、公社としては郵政大臣認可をいただきまして、またお客様の御要望に応じましてこういうサービスを提供しているわけでございます。  今後、こういうものが、回線開放問題になりますと断然民間でも考え得るわけでございますけれども、公社としてもこうしたネットワークサービスについては、十分利用者の方々、また国民の広い便利な利用という観点から、できるだけのサービスを提供していきたいというふうに考えている次第でございます。
  160. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 郵政省に、いまの問題に関連して聞いておきます。  こうなってきますと、いままで認めていない中でメッセージスイッチングを七システムに関しては、いまの説明のとおり、特別に公社としてはこういうように利用してきている。これを今回「データ通信回線の利用については、不特定多数を相手にもっぱら」——「もっぱら」という意味もいろいろ問題です。「もっぱらメッセージスイッチングを行うシステムを除き自由にする。」こうなってくると、いまの公社の問題と今後の民間が利用しようとする問題とどう調整していきますか。
  161. 守住有信

    守住政府委員 いま電電公社から七システムのお話がございましたが、これがいわゆる他人の通信の媒介を業として行うという電電公社基本的な役割りというふうに認識をいたしておるわけでございます。データ処理と申しますかオンライン情報処理は、それぞれの顧客の企業の給与計算、在庫管理等をやっていくというものでございます。今回の公衆法改正は規制の緩和、自由化ということをやるわけでございますが、いまお尋ねの他人の通信の媒介を業とするというのは電電公社の独占ということになっておるわけでございます。  さらに、私どもは、こういう分野、高度通信とかVANとか称するわけでございますけれども、これにつきましても電電公社があらゆる民間の要望にすべて対応できるのかどうか、あるいはまた民間の活力、創意工夫を通信の世界に大いに導入していく、こういう考え方に立ちまして、ただし、これは他人の通信の媒介を公社の回線を借りまして業として行う分野でございますので、通信の持つ公共性、いろいろな特性の観点の前提条件を置きますし、かつ公社も両方やれるということに相なるわけでございますので、そこに両者の行政的な分野調整という役割りが必要になってくるということで、実は新法というものを考えたということでございますが、この新法につきましては、いろいろ時間的制約等々ございまして、今回の時点でで政府部内の意見の一致を見るに至らなかった、こういうことでございます。したがいまして、私どもは、そういう通信の持つ特性、前提条件を踏まえまして、あるいは分野調整等の問題も含めまして、今後通信の問題として新しい法制度に向かって継続して検討していきたい、このように考えておる大きなテーマでございます。
  162. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 後でその問題をやろうと思っていましたが、これは新法という問題で処理していかなければならぬ重要な問題になってくると思うのですね。公社はいままで特例的に、メッセージスイッチングはまずいのだといいながら認めてきておる。今度は「もっぱら」——「もっぱら」という意味もよくわからぬ。後でよく聞きます。「もっぱらメッセージスイッチングを行うシステムを除き」、こう言っておるにもかかわらず、必ずこれは民間と公社との間で競合する面が出てくる、いまも答弁がございましたように。そうなってくると、その調整というのは非常にむずかしくなる。そうすると、その新法、いわゆるVANを問題としたこの新法という問題がどうしても重要になってきますが、これの見通し、これは行管庁長官郵政省と答えてください。
  163. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この分野は新しい分野でございまして、非常に多様性もあり、また将来発展性も考えておかなければならぬところであります。したがいまして、各省間において十分検討してもらって、その必要性ありやなしや、必要とした場合にどのような規制措置を講ずるか、それらについては慎重に検討してまいりたいと思っております。
  164. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 郵政省VANの問題、新法の問題、これをお答えください。
  165. 守住有信

    守住政府委員 お尋ねの他人の通信の媒介を業として行うといういわゆるメッセージスイッチングを無制限に認めるということは、いわば電電公社以外に民間の小型電電公社と申しますか、高度通信の分野につきましてそういう役割りを果たすものが出てくる、いわば民間の公衆通信サービスを認めることと等しくなる、こういう点になろうかと思います。したがいまして、民間にこのメッセージスイッチングを認める、つまり高度通信サービスを認めるに当たりましては、やはり電電公社の電信電話等を中心といたします基本的な公衆電気通信業務との調整、切り分けの問題がまず出てまいりますし、さらには通信の秘密を守る体制いかん、あるいは顧客に対しますところの信頼性の確保等、やはり通信秩序の維持という観点などから、所要の規律のもとにそういう民間の参入を認めていくべきではないか、このように考えておる次第でございます。したがいまして、このような条件を確保するための制度創設というものが、大きな電電公社との高度通信サービス分野での競合と申しますか、一方では競合になりますし、民間のいろいろなきめの細かい創意工夫を導入していく道筋にもなってくる、このように考えておる次第でございます。
  166. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一度公社にお伺いしておきます。  今後、この公衆通信回線特定通信回線、いままで公−特の接続を認めてきた、これが公−特−公という形になってくれば、メッセージスイッチングではございません、そこに何らかのある程度の付加価値をつけたならば、これはもうメッセージ交換じゃございませんということで、むしろ、先ほども論議がございましたが、いわゆるメッセージ交換のみのものを、こちらの意図するものはメッセージ交換でいいのですが、ただ、そこに付加価値をつけてこれは公−特−公で利用しますよというようになれば、電話と同じようなものをこれによって利用できる形になります。これはいろいろな解釈がありますけれども、形になる。その形になったときには、いままでちゃんとまじめに料金を払って——いまの遠近格差の問題でも相当ございます。こうなってくれば、遠近なんて問題じゃなくなってくるんだ。そうなってくると、料金体系の問題も含めて、そして新法を含めてやってくると、これは相当検討しなければならぬ問題が出てくる。  そこで、お尋ねしますけれども、このVANを含めた新法に対する公社としての見解をお伺いしておきたい。
  167. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  先ほどからいろいろお話のございましたとおりでございまして、公社としましては、いわゆるメッセージ交換を主体とします付加価値通信業務というものにつきましては、そのすべてを公社で行うわけには事実問題としてまいらないと思いますので、そういう方がいわゆる高度付加価値通信というサービスをおやりになるということについては、基本的には別に反対をする何ものでもございません。  ただ、ただいま政策局長からお話のございましたように、公社が全国的にあまねく公平にサービスを提供すべく義務づけられております電信電話との境目が今後非常に問題になってくるという点がございますので、そういった点を含めまして、全体的な通信秩序の面からいきまして何らかのその間に切り分けと申しますか、チェックというものが必要であろうということを郵政省お願いをいたしまして、基本的にはそういうことで御了承をいただいておるというふうに理解をしておるところでございます。  ただ、この問題は、先ほどからいろいろ話が出ておりましたように、通信の非常に根幹にかかわる問題が多々ございますので、なお慎重に関係御当局において御検討になっておるというのが実情でございます。
  168. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 行管庁長官にお伺いしておきます。  先ほどの「もっぱらメッセージスイッチングを行うシステムを除き自由にする。」この「もっぱら」の意味もよくわからぬし、同時に、今国会に提出された公衆電気通信法の一部改正では、新しい高度通信サービスのうちの自由化に対して最大限に尊重していくんだと先ほども答弁がございました。これで果たして尊重されているのかどうなのか。そして、この自由化という中には、いま郵政省からもあったとおり、いわゆる付加価値通信、VANというもの、これは郵政省が言っている言葉でございますけれども、こういったものも含めて自由化とするのか、そういった面を含めて入っておるのか——ある面はですよ。それは全部は含まれていない、こう答弁するでしょうが、ある面においてはこういったものも自由化と考えていいのかどうなのか、この辺がこの文章だけでは非常にわかりにくいものがあるのですよ。行管庁長官としてどう考えておりますか。
  169. 佐倉尚

    佐倉政府委員 先生のいまのお話でございますが、現在考えておりますのは、主として回線の自由化の問題でございまして、これが行く行くいわゆるVAN、そういったものにつながっていくというわけでございますけれども、とりあえず考えておりますのは回線の自由化でございます。  それで、先ほど郵政省あるいは電電公社の方からもいろいろお話がございましたけれども、この回線のいままでできなかったものをできるようにする、あるいはその規制を緩和していくというのが今回の法改正の立場でございまして、その先これからどのように考えていくかということは、やはり今回の措置の後、十分検討していくべき問題だろうというふうに考えられるわけでございます。  「もっぱらメッセージスイッチングを行うシステムを除き」ということでございますが、メッセージスイッチングというのは、御存じのことと思い幸すけれども、情報を伝達の際に、情報を全く変えないでそのままスイッチするということで、そのスイッチするものが電子計算機である場合に多く使われる言葉でございます。「もっぱら」というのは、それを行うことが主たる目的であるというようなシステムを指しているのだろうというふうに解釈しております。
  170. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、五十六年七月に、このデータ通信に関する行政監察の結果報告、この問題が出ていますね。この中で行管庁勧告が出されました。具体的な事例として二十七事例が指摘されておりますけれども、これに対して通産省としてどのような見解を持っているか、同時に、郵政省としてはどんな見解を持っておるか、あわせてお答えください。
  171. 豊島格

    豊島政府委員 現行の通信回線利用制度につきましては、四十六年度当時のコンピューターの利用技術を前提としておるということでいろいろな制約があって、それがそのまま今日続いておるということでございます。それで、行政管理庁の行政監察で二十七の問題点が指摘されておりますが、いずれもこういう御指摘のようなことでは本当の意味での情報化が進まないということをわれわれは感じておるわけでございまして、このような事例に指摘されたようなものが自由に行えるようになることが今後の情報化社会のために絶対必要である、われわれとしてはこういうふうに考えております。したがいまして、今回の法律改正でその辺をねらって改正が行われるということをわれわれは期待しておるわけでございますが、いずれにいたしましても、詳細につきましては郵政省令にゆだねられておるということでございますので、この郵政省令の制定に当たりましては、郵政省行政管理庁とも十分御相談し、調整し、こういうわれわれの要請といいますか希望がかなえられるように努力してまいりたい、そのようにお願いしたいと思っております。
  172. 守住有信

    守住政府委員 五十六年七月のデータ通信に関しますところの電電公社の関連での行政勧告でございますが、一つは、先生御指摘のいわゆるデ本の設備サービス合理化、効率化、経営の改善ということがございました。  もう一つが、二十七の事例でいろいろな使い勝手が悪い等につきましての問題の指摘があったわけでございます。これをグループ別と申しますかに分けてみますと、共同使用、他人使用等の制限が厳しいというものがございます。共同使用につきまして四件、他人使用につきまして二件、それからまたコンピューター間接続が認められていないということでコンピューター間接続では十一件、あるいはメッセージ交換の中途の付随メッセージでございますけれども、そういうものが八件、相互接続で二件とあったところでございます。  もう一つは、手続が非常に煩瑣である、わかりにくい、こういう御指摘があったわけでございます。  これらの三つのグループでの具体的事例が提起されておる問題につきましては、私どもも十分問題意識として持っておりまして、今回の改正の際に、法律案の御審議をいただき、また省令等の措置も含みまして、ほぼすべて解決できるもの、こういうふうに考えておる次第でございます。
  173. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この他人使用の中で若干お伺いしておきますが、今回の法案の使用態様で「業務上緊密な関係を有する中小企業者のために、基本公衆電気通信以外について、一定の条件の下に他人の通信の媒介を行うことを暫定的に認める。」とある部分について、「業務上緊密な関係を有する」とは一体どういうことなのか。それから、「中小企業者」とございますが、この中小企業者の中でその範囲、いままでもいろいろ論議が行われましたが、たとえば外国の大企業の支店が日本にある。日本支店も、それがそういう範囲に入るならば対象になるのかどうなのか。それから、「一定条件の下に他人の通信の媒介を行う」、こうございますけれども、その一定の条件というのはどういうことなのか、メッセージ交換との関連はどうなのか、その点をあわせてお答えください。
  174. 守住有信

    守住政府委員 業務上の関係ということでございますが、法令上の言葉としては目下検討中でございますけれども、その意味しますところは、一つの点は、データ処理のための回線利用であれば、業務上の関係を相互にデータ通信を行う必要のある者の間のと定めまして、その間であればデータ処理のために自由にデータ通信が行えるようにするということでございます。さらに、電信電話的利用も含む回線利用につきましては、業務上の関係を業務上緊密な関係を有する者の間というふうに定めまして、その者の間であれば自由に電信電話的利用も行えるようにするというものでございます。  なお、この業務上緊密な関係につきましては、電話の専用線の共同専用、公衆法の第六十六条でございますけれども、その場合と同様のものとする考えでございます。  なおまた、中小企業者の範囲と基準という点があったかと思いますが、田中裁定におきますところの「業務上緊密な関係にある中小企業者のために使用されるものに限り、一定の条件の下に、他人の通信の媒介を認めるよう措置すること。」という内容の点でございますが、この趣旨というのは、共同使用回線を使用できる者と自分でコンピューターを保有できず、他人使用回線に頼らざるを得ない中小企業等との間に実質的な差が生じるのは好ましくないので、両者のバランスを図るべきであるというようなのが主たる理由だったと理解をいたしておりますけれども、この点につきましては、中小企業の範囲、基準を含めまして、認める条件につきまして現在検討中でございまして、さらには、関係しております通産や行政管理庁の方とも御相談する、調整する、こういうふうに相なっておりますので、公衆法全体の法体系あるいはこの裁定の趣旨を十分に踏まえて三者間で、もちろんこれは郵政省令の問題ではございますが、相談、調整をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  175. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そんな、これから検討なんというのじゃ、私いま具体例を挙げて、たとえば外国の大企業だと外すんだ、ところが日本に支店があってそれが中小企業の範囲に入るんじゃないかというようなものは対象になるのかどうなのか、それを聞いているのですから、明確に答えてください。
  176. 守住有信

    守住政府委員 外国大企業の日本支店というふうなことで、これが中小企業の基準の範囲なら対象となるかというふうなお尋ねだと理解するわけでございますが、まだ個別論も、全体の中小企業の基準等につきまして認める条件全体をいま検討している状況でございまして、いまこの席で直ちにこれが対象になり得るとか対象外であるとかいうふうにも回答いたしかねる状況でございますので、全体の制度そのものにつきまして郵政省令の案をつくりまして、三者間でまた相談してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  177. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう時間がございませんので、あと一点お伺いしておきますが、この付加価値通信、VANの問題を含めた新法、通産、郵政両省の間で新法に関してはどんな論議が行われたのか、なぜ新法提出を断念したのか、今後どうするのか、これをあわせて通産、郵政両省、お答えください。
  178. 守住有信

    守住政府委員 いわゆる電電公社の行うべき基本的電気通信サービス以外と申しますか、以上の高度な付加価値をつけた通信サービスの問題でございますけれども、私どもといたしましては、いわば電電公社の高度部分の、電電公社と同じような機能を果たす役割りを持った通信業務の問題でございますし、わが国公衆電気通信秩序という観点から、公社業務との調整の問題もございますし、また通信の秘密等の体制整備あるいはまた信頼性の確保等々の面から、やはりそこに一定の条件が要る。その条件のもとで新しい民間の活力の通信業というものの参入を認めてまいりたい。したがいまして、今後も継続して取り組んでいかなければならないと思っておる次第でございますが、いろいろな方面の意見も聞き、さらには電気通信審議会等々の場もようやく設けられたわけでございますので、そういう場も活用しながら積極的に取り組んでまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  179. 豊島格

    豊島政府委員 郵政省で用意されました法律において、高度通信サービスというのは、私どもの概念から言うと二つに分かれておると思います。一つは、情報処理のためのメッセージスイッチングといえども高度通信サービスである、したがって、それは許可制、それから、もっぱらメッセージスイッチングをやるものの高度通信サービス、二つあったと思います。  それで、その前段の情報処理のためのものにつきましては、先ほど来郵政省からの御説明も、自由化が進むというふうにわれわれは期待しておるわけで、この辺は省令以下の段階になると思いますが、そこはそうなるのじゃないかと期待しておるわけであります。  なお、それ以外の不特定多数を相手とするメッセージスイッチング、いわゆるVANでございますが、これにつきましては今後に残されておるということでございますが、いずれにいたしましても、技術革新の著しい分野で情報化社会の構築のために非常に重要なものであると考えておりまして、この部門につきましても、できるだけ民間の創意工夫を生かしていかれる、自由であるということが必要かとわれわれは考えております。アメリカですと、この辺のところは自由でございます。  ただ、私ども、誤解のないように申し上げておきますが、いわゆる基本サービス、全国にわたってあまねく公平にやる基本サービス、いまの電電公社がやっておられますものにつきましては、当然のことながら日本の場合は独占であるということでございますし、通信回線の設置というものも当然そういうものであろうかと思います。それ以外のものにつきましてはどういう処理になるかということでございますが、先ほど申しましたような、できるだけ民間の創意工夫を生かすということから考えまして、果たして郵政省が用意されましたような事業許可というものが、秘密その他の関係から要るかどうかということについては、われわれとしては意見があるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、この点については関係各省と十分御相談をして最終的に政府の案が決まるというふうに考えておりまして、いま細かい私ども意見は控えさせていただきたいと思います。
  180. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、最後に、郵政大臣に御決意をお伺いしておきますが、この最近の情報通信技術革新、いろいろ目覚ましいものの中で、今後産業のみならず医療、教育、行政、学術、あらゆる分野でこのデータ通信という問題が国民生活の向上にとって非常に重要な役割りを果たしてまいります。そういう意味で、ぜひ今回の問題が、本当に国民のニーズにこたえられるようなものに発展していかなければならない。今後いろいろ省令で細かい点を詰めていくわけですから、その面をぜひ前向きな姿勢で検討をしていただきたいのと同時に、先ほどの話があった、VANを含めた新法をぜひ新しい形で提出していかなければならぬ、これは重要な問題でございます。そういうものも含めて、郵政大臣の御決意をお伺いして、質問を終わります。
  181. 箕輪登

    箕輪国務大臣 ただいまの御質問、私も聞いておりまして、大変ごもっともな御意見だと思います。国民のニーズにこたえて新法をひとつつくりなさい、こういうお話でございますが、もちろんそのつもりで、新法をつくるつもりでおります。  ただ、いま御意見が通産の方からもございましたが、また郵政省の電政局長からも御説明がございましたけれども、やはり通信である限りにおいては通信の秩序というものを守らなければなりません。そういう信頼性の確保とか、あるいは通信の秘密、プライバシーの確保だとか、そういうことを念頭に置いて一定の最小限度の基準だけは決めなければならない。  自由な日本でございますけれども、たとえば一例を挙げて説明しますと、自分は車を持っている、車を持っているからタクシー会社を無制限にやらせるというわけにもいかない。また、自分はトラックを持っている、だから運送業を無条件で許可するというわけにはいかない。やはり通信の秩序というものを守らなければならない。そういう限りにおいて、一定の基準というものをつくらなければならない。  そういう考え方で、端末機があるんだ、コンピューターを持っているのだから自由にこれをやらせるんだ、VANをやらせるんだ、こういうふうには短絡できないわけでありまして、そういう最低限の基準をつくりながらVANというものをこれからひとつ大いに拡大していく方向で検討させていただきたい。もちろん関係の省庁とも相談をいたします。
  182. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ありがとうございました。
  183. 石井一

    石井委員長 小沢貞孝君。
  184. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私は、データ通信についてはもう各党各派から御質問がありましたので、触れようとはいたしません。しかし、せっかく連合審査でわが敬愛する箕輪郵政大臣がお見えでございますので、若干御質問を申し上げたいと思います。  大体私は、いままでやってきたことをいつかの機会には見直さなければいかぬ、こう思うわけですが、電報というのは、郵政省の前は何でしょうか、逓信省、明治の初めから電報制度というものがあったわけですが、いま電話は普及しているわ、情報産業はますます発展していくわという中で、明治の初めからあった電報制度というものをこれからも続けなければならないだろうか、前から私は大変疑問に思っているわけであります。それからまた、昭和五十六年度の決算は出ておりませんが、一千二百億もの赤字を出しながらこれを続けなければいけないだろうか、こういうことを絶えず疑問に思ってきたわけであります。  そういうことでいろいろ調べていたら、世にも不思議な、奇妙きてれつなことを私は発見した。いままでこれを知らないでいたのは私の勉強不足であったと思うのですが、大変奇妙きてれつなことを発見したわけです。  そこで、最初に、事務当局にお尋ねをしたいが、五十六年度の決算はまだわかっていないでしょうから、五十五年度で結構です。この電報の収支、収入幾ら、支出幾ら、収支率幾ら、これをちょっとお知らせいただきたい。
  185. 稲見保

    ○稲見説明員 お答えいたします。  昭和五十五年度の電報事業の収支状況でございますが、収入は三百四十一億円で、前年度に比べますと三億円、一・〇%の増加でございます。一方、支出の方は千四百九十五億円で、前年度に比べまして七億円、〇・四%の減でございまして、この結果、収支の差額は、五十四年度の千百六十四億円の赤字に対しまして千百五十四億円の赤字、それから収支率で見ますと、前年度が、五十四年度でございますが、四四四%に対しまして五十五年度は四三八%、それぞれわずかではございますが、改善をされております。
  186. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 続いて、五十六年度のいまの数字の見通しはまだわかりませんか。
  187. 稲見保

    ○稲見説明員 この段階では、まだ確たる見通しは得られませんが、利用実績の方、通数ベースの方で見ますと、横ばいの実績のように見受けておりますので、収支面といたしましても大きな変動はないかと考えております。
  188. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そういう中で、いまお聞きしたように、収入は三百四十一億、支出は千四百九十五億ですから、これは収支は全く合っていませんが、千四百九十五億の支出の内訳、大まかな三、四項目で結構です、事務当局から。
  189. 稲見保

    ○稲見説明員 お答えいたします。  昭和五十五年度の決算に基づきまして大枠的にお答え申し上げますと、人件費が八百二十一億円、減価償却費が二十一億円、金融費用が十三億円、次に郵政省への委託費でございますが、これが四百三十五億円、それ以外の委託費が五十三億円、物件費等が百五十一億円、諸税公課が一億円、総計いたしまして支出は千四百九十五億円であります。
  190. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 奇妙きてれつなことというのは、そういうことなんです。私が差し上げた表の別紙四にありますように、電電公社の職員、昭和五十五年度においては一万五千六百人、郵政省が五千六百人、合計二万一千二百人、それに民間の委託まで加えて、それだけの人が働きに働いて総収入が三百四十一億であります。  ところが、その中から郵政への委託が四百三十五億、そのほかの委託五十三億というのは、これも郵政ですか、よくはわかりませんが、後でお尋ねしますが、とにかく二万人の人がかかって総収入三百四十一億だけ得ているのに、郵政省に電話の委託の関係だけで四百三十五億、これだけ納めるということは、事務当局はそういうことについてある程度の理屈をくっつけただろうけれども、われわれ常識人が見たのでは、なかなかこれは理解できないわけであります。私が子供のときに、一反歩十俵しかとれないのを、地主は五俵も六俵もとったと言って小作人は大変怒っておったわけであります。ところが、一反歩十俵しかとれないのを、これは十五俵納めろ、こういう話ですから、こんな悪代官は世の中にはないのじゃなかろうかと思いますが、一体それはどういうことでしょうかね。総収入が、二万一千人の者が上げて三百四十一億稼ぎました、郵政省はその中から、その中だか外から合わせ四百三十五億、どうもさっきの数字五十何億というのも恐らく郵政省に納めてあると思うのだが、五百億も取っていくとは一体どういうことか。これはだれが答弁をしてくれるのだね。
  191. 稲見保

    ○稲見説明員 とりあえず私の方からお答えいたします。  いま小作の例でお話が出ましたけれども、私ども郵政省へ支払いをしております電報事業関係の委託費四百数十億円、これは決して上納金といったようなものではございませんで、双方の協定に基づきまして委託をし、その協定に基づいて受託側の郵政省の方の費用を完全に償うという考え方で支払っておるものでございます。もちろん今日的に見て現在持っておる委託協定の内容がそのままでいいのかどうかということにつきましては、私どもも問題意識を持っておりまして、今日的な状況に即した見直し方を今後郵政省と十分相談したいというふうに考えております。
  192. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 先ほど申し上げたように、理屈はいろいろくっつけてきただろうということは私も推測はできますが、常識で、みんなで稼いだものが、二万人幾らで稼いだ金が三百四十一億、そのうち、うちじゃないや、うちも外も合わせて五百億近い金を郵政省だけに納めてしまうというようなことは、経営として見た場合に、こんなばかなことがまかり通ってきたかと思うと、私はその実態に余りにも驚き入っているわけです。  お手元へ差し上げた表の別紙三を見ていただけば、たとえば上から一、二段目、電報取り扱いの現状であります。郵政扱いは五百八十九万通、全部の取り扱いがその下に書いてありますが、四千百四万通。四千百四万通が、その下に書いてある三百四十一億であります。支出は、その下の一千四百九十五億であります。赤字が、一千百五十四億であります。収支率は四三八%、先ほど御答弁があったとおりです。郵政委託費が、いま四百三十五億、いま申し上げたとおりでありますが、その下の段の民間委託の現状を見ると、委託した、配達でしょうが、八百七十万通でたった五十一億、こういうわけで、これはいろいろの関係があるから単純には比較できないでしょうけれども、郵政扱い五百八十九万通、それに四百三十五億、民間委託八百七十万通、それに五十一億、うんと簡単な数字で言えばそういうことであります。  これは一体経営的な感覚を持ってこの委託なりなんなりをやってきたか、こういうことに私は第一に疑問を持つわけです。  その前の表の別紙二を見ていただきたいが、これはどこで出してくれた表だかよくわかりませんけれども、一番右側の一番下の段に、表の主題が郵政委託費の推移、昭和五十二−五十五年度とありますから、これは郵政委託費だと思いますが、いろいろのものを合わせて六百六十二億四千三百万円。右の一番下であります。その上に括弧して四百三十五億二千九百万円とありますから、いまお聞きしている数字は四百三十五億、ここだと思います。その下の六百六十二億というのは、これもほかの名目で何だかんだでもって電電公社郵政省へ納めた金だ、こう見て差し支えありませんか。電電の事務当局でも何でもいいです。
  193. 西井昭

    ○西井説明員 ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございまして、電報以外に電話その他いろいろなことを委託をしておりますので、それにかかわります経費が、その差の二百二十七億でございます。
  194. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 総務理事は前に郵政省にいたので召し上げる方をやってきて、今度は電電公社で出す側の方なのでいろいろ言いわけはあるでしょうけれども、たとえば簡易営業事務費、まん中どころにあります。六十六億八千二百万円、これは一体何だろうか。  それから、その他のところに過員補償費、減員補償費、こうあるわけです。それが十七億、四十九億、こうあるのだけれども、これは一体どういうことでしょうか。過員補償費、減員補償。整理資源というのが最近突如として出てきたが。うんと簡単でいいです。
  195. 西井昭

    ○西井説明員 郵政省に委託をしております経費の中で電報を除きます二百二十七億の大体内訳を最初に申し上げますと、郵便局にも電話を町の委託電話、赤電話と同じようにお願いしておりますので、電話の委託にかかわります経費が大体四十八億でございます。  それから、ただいまお話しの簡易営業事務と申しますのは、郵便局に委託をしておりました委託局を改式をいたしまして直営化をいたしましたときに、そこに過員が出てまいりまして、現在の公社と郵政省との委託協定でいきますと、その過員部分はもともと委託しておりました電話にかかわる人間でございますので、基本的にはそのうちの半分は公社が引き取る、それから残りの半分のうちのまた半分、全体の四分の一はそこで退職特別給付金等によってやめていただく。それから、残りの四分の一はそちらの方に過員が残りますので、それに対しまして一定期間内通員補償費を支払う、こういうものでございます。こういう一般的なルールに乗りまして現実の委託局を改式いたしますときには必ずしもそのとおりにきちっと人間が来たり、あるいはやめたりするわけではございませんので、その実態に応じましていろいろな措置をしております。簡易営業事務と申しますのは、そういったことで残りました過員につきまして、端的に申しますと交換手でございますが、余りました交換手がそのままでいきますと仕事がございませんので、公社の中の簡易な営業事務というものを公社から委託をいたしまして、そして、それにかかわる費用を支払うものでございます。これが六十七億、現在五十五年度でお払いをしておるところでございます。  それから、過員補償費と申しますのは、そういうことで出てまいりました過員は一挙に解消するわけにまいりませんので一定期間、郵政省の定員上は落ちますが、お金としてこれを過員補償費で支払っておるわけでございますが、これが十五億ございます。  それから、整理資源と申しますのは、これは先生御存じのように、かつて逓信省時代、もっと詳しく申しますと、国家公務員の恩給法の適用を受けておられた方でもともと本来的には電電公社の方で恩給とかその他のいろいろなものを負担すべき方がいらっしゃるわけでございます。そういう恩給法の適用を受ける方とか、それから恩給法の適用は受けないけれども、旧国家公務員の共済組合法の適用を受けておられる方、そういうことでもともと電信電話に従事しておりました方の年金とか恩給といったものは、これはもともと電信電話業務でございますので、電電公社がその部分を負担しておるわけでありますが、それがいわゆる非常にわかりにくい言葉でございますが、整理資源、こういう言い方をしておるわけでございます。  それからあと、電信瓶詰の料金というものは郵便局にも納めていただいておりますので、それにつきまして一定の割合で収入金取扱費というものをお払いしておりますが、これが五十五年度で五十三億ございます。  そういうものを全部合計いたしますと、先ほどお話しの六百六十二億と四百三十五億の差額の二百二十七億円というものが、いわゆる電報以外に電電公社から郵政省に委託費という形でお払いをしておる金額の内訳でございます。     〔石井委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  196. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 総務理事は前に郵政省にいて召し上げる方の側だったから、召し上げ方をいまなかなか詳しく説明したが、今度は電電公社の側に立てば、これはおかしいじゃないか、三百四十一億しか入らないのにいろいろ名目をくっつけて六百六十何億も納めていることはおかしいじゃないか、こういうように今度は立場が変わってお気づきになりませんか。私はこれを見て、過員というのは恐らくこれは郵政省に人が余るというその補償かな、減員というのは今度は足りなくなったその補償かな。過員と減員あれば、プラス・マイナス・ゼロでいいはずだが、郵政省の方に人が余っているという計算ができればそれも払って、郵政省の方で人が足りない、零コンマ何とかいう人だと思うのですよ、これまたこっちで払って、そんな話になるものですかね。  それから、整理資源というのは、いま逓信省以来の何とかかんとかと言ったけれども、ちょっと別紙二を見てもらいたいが、昭和五十四年になったら突如として六十八億も整理資源が出てきたけれども、率直に言って、これは何だかんだ理屈をくっつけて郵政省に召し上げられているものじゃないんですか。私は詳しく言い出せば、その整理資源のいきさつのことをいま恩給とかなんとか言ったけれども、そのほかに、ちょっと読んでみましょうか。四番目だ。「郵政省の申し入れ後、申し入れの内容、支払い方法等について検討を行ったが、整理資源は現在の事業運営とは直接かかわりをもたない性格のものであるので」、何も用がない問題だ、こう言っているのですよね。「電気通信業務に従事していた過去からの累積人員の規模に応じて支払うこととし、五十五年度予算から委託費単価と切り離して計上することとしたものである。」こういうのだから、これは支払わぬでいいものだとみずから認定しているが、郵政省から言われたからしようがない、払う、こういうふうにしか理解できないわけです。  この中をいろいろやり出せば切りがないと思うが、郵政大臣、あなたは取る側と監督の側なんだが、三百四十一億しか収入が入らないのに四百三十五億、これは直接電報の分、その他合わせて何だかんだで六百六十億、倍も召し上げていくような悪代官を一体これから認めていくわけにいくかどうか。何とするか、郵政大臣から。
  197. 箕輪登

    箕輪国務大臣 小沢先生のお話、いま聞いておりましたが、私、きょう初めてこのお話を聞きました。少し事務局に相談をし、また政府委員の方では詳しく知っておるかもしれませんから、一応うちの政府委員から答えさせたいと思います。
  198. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それは過去からの歴史はあるし、そんなことはわかっておるが、とにかく常識として、これが政治家の大事なところ、常識として、こういうばかなことをまかり通らせている郵政省、あるいはそれに言うことを聞いている電電公社も私はおかしいと思うのだが、それを直させるか、こう言うのだ。——事務局はいい、大臣だ。常識の問題だ。
  199. 箕輪登

    箕輪国務大臣 何分初めて聞いた話で、私ちっとも知らなかったのです。だから、一応ひとつ郵務局長答弁を聞いてやってください。
  200. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それはいい。事務局から話を聞いたってしようがない。  それじゃ、こういうように理解していいですか。大臣は、初めて聞いた話でよくわからなかったが、余りにも悪代官ぶりでいかぬから、これを直すように検討をさせる、こういうように理解していいですか。そのぐらいのことは大臣ともなれば言わなきゃ。
  201. 箕輪登

    箕輪国務大臣 ただいま申し上げましたように、先生そういうふうに御解釈されたようですけれども、私はきょう初めて聞いた話なものですから、いろいろ事情があってこうなったんだろうと思うのです。ですから、一回答弁を聞いていただいて、その上で私の答弁をひとつやらしていただきたいと思います。
  202. 魚津茂晴

    ○魚津政府委員 先ほど電電公社の方からの回答にもございましたけれども、委託についての金の出入りというのは協定に基づく協議によって決められているわけであります。  そこで、先生、この電報の収入と私ども受けている電通業務全体の金との間にまず問題があるわけでございます。私ども受け入れている額は、電報の関係の仕事だけでなくて、電話の関係の仕事も一切ひっくるめて収入というものを持っているわけでございます。  そこで、私ども、この協定による収入と支出というのは、結果的に、決算で調べてみましても、その年によって若干のプラスマイナスがあるということは事実でございますが、数年間でこの電電公社からいただいているお金と私どもの必要とする経費というのは大体とんとんになっているわけでございます。したがいまして、電報の経費との問題だけでなくて、私ども電電公社から委託をされている一切の業務ということでその経費を考えていただきたいということでございます。  ともあれ、私どもは、長年の歴史的沿革のあるこの電気通信の委託業務と新しい時代に対応するあり方というその調和を求めながら、電電公社郵政省との間で協定に基づいて協議を進めながら今後改善をしていく。一方では、電通の委託を受けている業務について合理化を積極的にやっていく。こういう姿勢で臨んでいきたい、こういうふうに思います。
  203. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 役人はいろいろそういう言いわけを言って、いけない。委託とかなんとか、ほかのいろいろのことを私は言っていない。電報だけで言うなら、三百四十一億の収入しかないものを何で四百三十五億も召し上げていくか。その項目についてだけ言ったって、これは理屈はいろいろあるけれども、政治家として見た場合に、こういうばかなことが行われていいか、こう言うのであります。ほかの委託やいろんなことはまたそれなりの理屈はあるんだろう。電報業務だけで見れば、総収入が三百四十一億ですよ、二万人の者がとっついて。それを郵政省だけで四百三十五億も持っていく、こういうことが政治家としていいかということを大臣に言っているわけです。ほかの委託とか、ほかの何とかという言いわけは、私は聞く必要はないと思う。大臣、よく考えておいて、後で答弁お願いしたい。  こんなようなことがあるので、冒頭に申し上げたように、私は電報をやめたらどうかと思うのです。これは大体慶弔電報が最近の率で言えば八割五分でしょう。「結婚式おめでとうございます箕輪郵政大臣」なんてみんな打たせているのですよ。そういうものが八割五分で、あと緊急の必要性あるというもの、よく調べてみても私は幾らもないと思う。いま電話は全部普及していますし、用はないと思うから、電報制度そのものをやめてはどうか。そうすると、さっきから言うように、一千二百億ですよ。電電公社は、財政再建に協力をするといって、昭和五十六年度から五十七、五十八、五十九年度四年間、一千二百億召し上げられるように国に協力をさせられているわけで、もし電報をやめるならば、その上へ持っていって、さらに千二百億御協力を申し上げるか、そういうことができるわけです。だから、政治家としてそういう判断をしなければいけない、こう私は思うわけで、あんな言いわけの上に立っていろいろのことを考える必要はないと思うわけです。さらに、その上に立って、まだ緊急のものが五%か幾らかあるとするならば、少なくとも慶弔電報だけはやめた方がいいのではないか。  私は、ちょっと恥ずかしかったけれども、私と一緒にいる国会議員が全部電報を打っているので、私も去年の六月からことしまで、全部調べてそこに表をつけておきましたが、「御結婚おめでとうございます 小沢貞孝」、それから「御母堂様の御逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます小沢貞孝」、こう言って、ほかの者が打つものだから打たざるを得ない。それを累積してみたら、私の松本の事務所の三つの電話と東京の二つの電話と、その他合わせて毎月十万円です。これだけ、十万円、私たち電電公社へ一生懸命払ってやっている。そうしたら、悪代官がそれを十五万円にして召し上げていっているのがいまの姿ではないですか。こんな悪代官に十五万円も持っていかれるくらいなら、電電公社は打たないように制度をやめた方がいいじゃないか、こう思うわけです。  どうですか、大臣。役所は返事するな、大臣のことを聞いているのだ。
  204. 箕輪登

    箕輪国務大臣 小沢先生は毎月十万円かかっているそうですが、私も十五万ないし二十万は毎月かかっておる。ただ、電報事業が、電信電話事業の中にあって大きな赤字を生じておることは先生御指摘のとおりであります。しかも、その利用通数も総じて減少傾向にあるほか、御指摘のように、八〇%を超すような、大半が慶弔電報で占められております。しかしながら、なお緊急の際の通信手段としてその役割りも若干残っているのであります。したがって、五十六年七月の臨調の第一次答申でも電報部門の合理化が取り上げられております。「電報部門について、夜間受付業務の縮小、配達業務の民間委託、電報受付局の統合等を行い、要員規模の全体的縮減を図る。」これは臨調答申でございます。こういう答申もございますので、当面は、従来にも増して設備の共用とか、電報受付局の統合だとか、電報配達の民間委託の推進などの合理化に努めなければならないと私は考えております。  今後の電報事業のあり方については、これからの利用の動向だとか、他の通信手段、これは新しい通信手段がたくさん出てきておりますので、そういう手段の普及動向だとか発展状況だとか、そういうことも考慮しながら、サービス及び料金水準などの見直しも含めて今後検討してまいりたいと考えております。
  205. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 その大臣答弁、役人の書いた原稿を読み上げたからそういう答弁にならざるを得ないと思う。私は文書質問でこの件について質問したところが、やっぱりそれと同じことが書かれています。今後の電報事業のあり方については、利用の動向、他の通信手段の普及発展状況等も考慮しながら、サービス水準等の見直しを含めて検討したいと考えています、こういうことですから、これは当たりさわりのないようなことがあるが、ここで最後に、見直しを含めて検討したい、こういう言葉が、正式な鈴木総理から衆議院議長あての文書質問の答弁にある。だから、これは廃止を含めて検討いたしますか、そのように理解していいですか。
  206. 箕輪登

    箕輪国務大臣 見直しも含め、検討したいと思います。
  207. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 せっかく電電公社真藤総裁もお見えでございますし、行管庁長官もお見えでありますので、この電報についての今後の問題についての御感想をお聞きしたいと思います。私は国鉄の再建については、高木総裁、抵抗ばかりしていて気に食わないし、専売公社もどうもそのようであります。ところが、真藤総裁並びに労働組合は、中身はどうか知りませんが、この臨調電電公社のあり方については積極的に対処をしていただいている、こう聞いて、さすが民間出身の総裁だなと、こう私はたたえているわけです。どうぞ御感想をお聞きしたいと思います。
  208. 真藤恒

    ○真藤説明員 お答えします。  電報の問題につきましては、私ども、先般よりいろいろ見直しを進めておりますが、この電報の中で、どうしてもいま代替手段のないのが船舶電報と国際電報でございます。あと、慶弔電報とそうでないものをどういうふうに見るかということでございますけれども、これは私ども当事者から、いま先生のおっしゃるような思い切った発想はなかなかやりかねますので、さしあたり私ども、いまの経常費をどうして減らしていくかということをいま詰めております。大体詰まりましたら、郵政の方といろいろお打ち合わせ願ってこの問題に手をつけようということで、かなり勉強を進めておる状態でございます。いずれ私どもの勉強の結果が表面に出てくると思いますが、しばらくお待ちいただきたいと思います。すでに手はつけております。
  209. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まことにデリケートな場所へ引っ張り出されましたが、考えようによっては、これは評価の問題で、「誕生日おめでとうございます」というふうに息子から電報がお母さんのところへ来たら、やっぱりお母さんはほのぼのとしたものを感ずる。そういう純風美俗に役立っているところもなきにしもあらず。だがしかし、また一面、それは価値基準の問題ですから、逆に考えてみると、人間を養うために電報を置いておくというのだったら、これは行政簡素化に反する。一体どっちであろうか。これはやはり総合的な判断を要するところだろうと私は思います。しかし、大勢としては、見直すと書いてありますように、正直に見直していって、そして簡素化の理想に合うように持っていったらどうだろうか。人間の生活に関する部分もあるわけでございますから、一挙に思い詰めたようなことをばっさりやることは避けなければなりませんが、しかし世の中というものが漸次進んでいきますし、また、いろいろな文明の利器もできてくる情勢でございますから、できるだけ簡素化の方向へ持っていく、これは生活の刷新にも役立つ、そういう方向でこれを計画的に進めていったらどうなのか、それが見直しという意味ではないだろうかと解釈しております。
  210. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 先に言えばよかったんだが、結婚式なんてもう一月も前にわかっているわけです。だから、ちょっと私考えてみたんだが、こういうレターをつくれば、ここへ中曽根長官、何を詳しく書こうと、結婚式おめでとう、間違いなく届くわけです。お算式の場合にはこれに黒枠でも入れる。だから、私は慶弔レターと言うんだけれども、これは日本の印刷工業界、喜んでつくりますよ。そういうものをみんなで使おう、こういうことになれば、ちょっと薄い黒枠を入れておいてこれはお葬式のときにやる。こういうのは一月も前にわかっているんだから、それはいかに中身を濃厚に書こうとお祝いのしるしになれば、どうもノスタルジアというか、何か残っているやつは、そういうものによって幾らでも改善ができるわけですよ。だから、これはそれぞれデリケートなことでありますし、答弁内容もわかりましたが、ぜひ旧来の陋習とは言わぬが、旧来の習慣を破る、しかも一千二百億年間国家財政に寄与するか電電公社は黒字がふえるわけですから、当然検討してしかるべきものだ、こういうように考えます。  この問題に関しては、箕輪大臣、後ろの方の役人に聞いたって、そういうことはとてもじゃないが、着想が出てこないと思う。やはり行革というものは政治家が判断してやらなきゃいかぬ、こういうように思います。  そのついでに、どうも聞き捨てならぬことが新聞に出てくるわけであります。私は、総体的に見てこの行政改革については役人の抵抗がある。このことについては、行管庁長官、もう一回閣議で何か申し合わせできちっとしたことを決めない限りは、なかなか役人の行政改革に対する抵抗の壁を破っていけないと思うわけです。これは三月六日の日に、電電公社の役人が、せっかくこの経営の効率化について電電公社が三つくらいの案をみずからつくって検討の素材を提供しているというのを見て、そういうことは明らかに反対だ、こういうような意思表示を郵政省の役人がやっているわけです。また、きょうの新聞を見ると、民営になると、「民営化は値上げ招く」「郵政省、電電改革に水さす試算」「電電民営化試算でも対立」、こういうようなことで、役人がこういう発言を平気でやることをどうして許しておくか。  私は、電電の改革なり専売公社の改革なり国鉄の改革というものは、今日の時点においてどういうような経営形態にするかというのは政治家の判断であって、役人はそれに対する参考資料だけを出せばいいわけです。にもかかわらず、箕輪大臣のもとにいる一官僚がこういう反対意見を表明するようなことを平気でさしておく、これは重大な問題だと私は思うわけです。  大臣、どうですか。
  211. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大部分の公務員の諸君は、今次行革の真義を体して大いに懸命に協力してくれていると確信しております。臨調に対しましても、資料の提供あるいはヒヤリングの実施等で非常に真摯な態度で来てくれております。しかし、一部の不心得な者は不用意な発言をすることはないとも言えない、それは御指摘のとおりであります。しかし、これらは、いま内閣が政治生命をかけてやろうとしておる行革に対しては、全公務員が誠心誠意協力すべきものでありまして、各省大臣大臣に任命されるときに、総理からの話によりますれば、行革には協力するという言質を得て任命されたということを聞いておりますが、それぐらいのことで、総理も真剣におやりになっていることでございますから、各省大臣におかれては、十分われわれの期待にこたえて部下を統率してやっていけるものであると確信しております。
  212. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 時間ですから、これ以上続けられませんが、これはやっぱり大臣ですよ、箕輪大臣大臣の下にいる役人にそれは反対だとかなんとかという意見を言わしておいて、これをほっといていいかどうかということです。いま長官が言われたように、政治生命をかけて総理がやろうというこの行革であります。また、これが国民待望の行革であります。それを、省庁あって天下を知らざる役人に勝手に言わしておくようなことをさしておいて、どうして行革が実現できるか。私は、これは箕輪大臣の決意も聞きたいし、それからさらに、内閣全体として、これから来月の初めから部会報告等が出てくれば、それは各省必ず役人は後ろへ回って反対運動をして歩くわけです。これは目に見えているわけです。それに対して、閣議においてびしっとしたことを決めて、反対しているのは首にするなり左遷するなり、そのくらいの決意でなければ、鈴木総理が政治生命をかけた行革を推進できないと私は思う。どうでしょう。
  213. 箕輪登

    箕輪国務大臣 私の郵政省の役人が発言したこと並びにきょうの朝刊各紙が書いているような問題、これは誤解をしていただきたくないのでございますが、臨調も公社からその経営形態の変革についての意見を求めておりますが、同時に、公社の監督官庁である郵政省にも意見を求めておりますし、臨調郵政省臨調と公社もときどきというか、しょっちゅうヒヤリングをやっております。そんな関係で、私の省の役人の一人が、オフレコで新聞社とお話のあったときに、郵政省の考えは臨調が理解しているかどうかという質問で、これはオフレコでございますが、なかなか理解を得られなくて困っておるという趣旨のお話をしたことはあるようであります。そういう事情でございます。  さらに、本朝の新聞については、臨調からも資料を求められ、その他からも、行管からも資料を求められておったそうでありますけれども、それぞれのところに出したわけであります。それから、自民党には、電電公社基本問題調査会というのがございます。加藤常太郎さんが会長でございます。そこからも資料を求められていたのであります。説明をいたしました。それから、臨調にも資料を出しました。それが、先週土曜日の日だと思いますが、一部の新聞に、一紙だけでございますが、それが出たわけであります。これは臨調に弓を引くという意味ではなしに、各社の人方がやはり説明をしてくれと求めるので、これは臨調のある人に了解を得まして、漏れてしまったので、わが省の郵政記者クラブの方々にも説明をしなければならなくなりましたということで了解を得て、すでにもう臨調には出しております。了解を得てクラブの人に記者会見で申し上げたのでございます。したがって、臨調に弓を引いたり——私は、少なくともいまの鈴木内閣の閣僚の一人でございます。閣議において、臨調答申はこれを極力尊重するということについて異議を申し上げたこともないし、そのつもりでこれからも臨むつもりでおります。事情をお話しすれば御理解いただけるものと私は信じております。
  214. 愛野興一郎

    ○愛野委員長代理 藤原ひろ子君。
  215. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 関係者のすべての皆さんには、おなかも減っておりますでしょうに、大変遅くまで御苦労さんでございます。なるべく重要な部分以外は重複を避けて質問させていただきます。  五十七年三月十五日に出されました、先ほど来討論になっております自民党田中政調会長の回答につきまして、郵政省にお尋ねしたいと思います。  その文中「業務上緊密な関係にある」云々というふうにありますが、まず三点について御答弁をいただきたいと思います。  その一点は、ここで言っております「通信」とは、もっと具体的に言うとどのような通信を指しているのかということです。二点目は、「緊接な関係にある中小企業」とはどのような関係を指しているのか、具体的に答えていただきたい。三つ目は、「一定の条件の下」とはどんなことを指すのか。先ほど来同僚議員からの質問に対して守住局長から答弁があったわけでございますが、私、聞いておりましてもよくわからないわけです。そういう点、簡単明瞭にお答えいただきたいと思います。     〔愛野委員長代理退席、石井委員長着席〕
  216. 守住有信

    守住政府委員 第一の点は、この中での「通信」とは何だ、こういう御質問かと思うわけでございますが、コンピューターの機能と入出力装置あるいは電電公社特定通信回線等を結びましたところのデータ通信、こういうふうに理解をいたしておる次第でございます。  それから、二番目は、「業務上緊密な関係」ということだと存ずるわけでございますが、この議論が起こりましたのが、共同使用の場合の業務上の緊密な関係は入れてあるけれども、それと他人使用の場合の中小企業、コンピューター等を持たない顧客の場合に実態上アンバランスが出るのではないか、こういう御意見を踏まえておりますので、共同使用の場合の業務上緊密、すなわち電話の専用線の共同専用の場合と同じ業務上の緊密、こういうふうにとらえておる次第でございます。  それから、「一定の条件」と申し上げますのは、まず通信の内容と範囲というものもあろうかと思いますし、また、それを行う際の通信秩序の観点からの一定の手続、こういうふうに理解をしておる次第でございます。
  217. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 第二点日は、密接な関係にある中小企業とはどのようなものかとお尋ねしたのですが、それでは「中小企業」という定義をどのように定めているのでしょうか。現在の中小企業の大部分は大企業の下請か関連会社であると言われております。このような下請もしくは関連会社の場合は、営業上の必要からいいましても親会社との共同使用ということでその範囲に入ると思われます。ですから、ここで言う「中小企業」というのはそれ以外の、まさに独立した中小企業が具体的には対象になるのだと思うわけです。この中小企業の定義というのは一体どうするのか。それじゃ、どんな企業が具体的に想定されるのか、このことをお答えいただきたいと思うのです。
  218. 守住有信

    守住政府委員 この御意見が出てまいりました趣旨は、先ほど御答弁申し上げましたけれども共同使用回線を使用できる大企業間あるいは大企業と関連会社等の間と、自分でコンピューターを保有できず、他人使用回線に頼らざるを得ないいわゆる中小企業、こういう者との間に実質的な差が生じるのは好ましくないので両者のバランスを図るべきである、こういう御趣旨だと踏まえておるわけでございます。  したがいまして、いわゆる計算センターの顧客にならざるを得ない中小企業、こういうふうにこれを理解いたしておりますが、この裁定の具体化に当たりましては、その中小企業の範囲や基準を含めまして現在認める条件につきまして検討中であるという状況でございまして、さらには三者間の相談、調整も要する、こういうことでございますので、公衆法趣旨あるいは裁定の意味を十分踏まえて今後研究をしてまいる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  219. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 その点がなかなか具体的に出てこないようですけれども、それでは、これらの中小企業が必要とするデータ通信とはどんなものがあり得るのか。販売とか在庫管理システムや技術計算システムはもうすでに電電公社がサービス提供しているわけですからこれ以外のものということになると思うわけですが、それは一体どういう使用方法があるのか、御説明いただきたいと思います。
  220. 守住有信

    守住政府委員 先生御指摘のように、まさしく電電公社はあまねく公平に、そういうコンピューターを持たないような中小企業等のものも含めまして、販売在庫管理等々のサービスを行っておるわけでございます。ただ、いわゆる民間の利用の場合の共同使用の場合と対比しての他人使用の中で、民間の計算センターを相手としますいわば顧客になる側の中小企業の利用という意味でこういう御議論が出たのだと理解をいたしておるわけで、まだ実態面その他も詳細には存じておらない、これからもお聞きしてまいるわけでございますけれども、いわゆる計算センターの顧客となる中小企業という意味でこれを理解しておる次第でございます。
  221. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いろいろ言われておりますが、大企業と関係を持たない中小企業のためにデータ通信を利用する道を開くといいましても、考えてみると、どうも具体的なイメージが出てこないのではないかと思うわけです。一方、大企業の場合は共同使用の使用形態の枠を広げることによって電話的な通信も可能になるというわけですから、これを比較してみますと、大企業と関係を持たない中小企業の場合は、通信の利用の面で言えば現実には大変差別を受けることになるのではないかと思うわけです。本当に中小企業のことを考えるのであれば、もっと別のやり方でやらなくてはならない。それはどういうことかといいますと、たとえば電話料金を引き下げるというふうな方法、こういったものなどが中小企業にとって善ばれるのではないかというふうに思うのですね。非常にあいまいもことしていて、さっきから幾ら聞いてもよくわからない。中小企業のためですよということをうたうならば、中小企業のための電話料金引き下げというふうなことを考えるのが一番中小企業に喜ばれる道ではないか、こういうふうに思うのですが、郵政大臣、その点いかがでしょうか。
  222. 守住有信

    守住政府委員 先ほど、共同使用の場合と他人使用の場合、実質的に差が出るというふうな論点からの御指摘が強かったわけでございますが、もともと共同使用というものと他人使用というものは基本的な性格が違うというふうにとらえているわけでございまして、共同使用の方は二人以上の者が同一の電気通信回線を使用する場合を言いまして、利用者はそれぞれ公社と面接の契約者でございまして、公社の直接のユーザーとして回線を利用することができる、それが本来の姿でございます。一方、他人使用の方は、回線を公社、会社から借りた者が、その回線を第三者に、いわば他人に又貸しをするという分野のことでございまして、ここの意味からも非常に基本的な性格が違う、しかし、実態的にはアンバラではないか、こういう御意見、御要望の中からそういう裁定が出たということでございます。  先生御指摘のように、もっと中小企業を全体としてとらえて、本来的にはおっしゃいますような遠近格是正等の、専用線だけではなくて、電話料金全体を含めてのテーマというものが別個にあるというふうに私どもは認識をいたしておりまして、現在も私どもの中に置きました料金問題の調査研究会の中で、料金体系その他遠近格差の是正等々の問題も、先生方お集まりいただきまして御研究いただいておるわけでございますが、それは一つ基本的な中小企業等も含めての対応というふうに受けとめておりまして、このデータ通信の問題につきましては一応田中裁定も出たことでございますので、私どもはこの問題にもまた取り組んでいかなければならない、こう考えておる次第でございます。
  223. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大企業と関係を持たない中小企業の場合でも、今回の改正によって利益が受けられるのだというふうにもし主張がされるとするならば、それは具体的な構想がどのようにして行われるのか、どんな人たちによってどのようにして行われるのかというふうなことがここで明らかにならなければならないと思うのですね。その点から見ますと、ずっと三時以降の討論を聞いておりましても非常にあいまいだというふうに感じるわけです。この点は強く指摘をしておきたいというふうに思います。  次に、相互接続という問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  従来は個別の認可で認めておりましたデータ処理のための公衆回線と特定回線の接続を自由にするとともに、いままでは認めていなかった公衆回線と特定回線と、そしてもう一つ公衆回線の接続を個別に認可ということですが、これを認めるということを考えているわけですね。  そういう場合に、たとえば東京と大阪を結ぶ特定回線を持つという人がこの特定回線を利用して電話的利用を行うということは絶対にないという保証はあるのでしょうか。先ほどの討論を聞いておりますと、この点の保証については非常にあいまいだ。公−特−公という場合に電話的利用をするようなことはさせない、しない、そういう保証というのは何によってされるのですか。
  224. 守住有信

    守住政府委員 この公−特−公、従来は公−特について個別認可でございましたけれども、十年間の利用実態から見て、電話利用というものは、この回線のシステムを見ましたりあるいは公社の方でのいろいろな対応、調査等でそういう実態はないという自信ができましたので、公−特につきましては個別認可廃止いたしまして行政事務簡素合理化にも資しよう、こういうことでございます。さらには、新しく特定回線の両端末に公衆回線を結ぶということでございますが、この問題につきましては、いわゆる料金面でクリームスキミングが非常に起きやすいという面があるわけでございます。御承知のとおり、特定通信回線は定額制でございますし、公衆回線は従量制だ、したがって、東京−大阪間に特定回線を持ちまして両端末を公衆回線で結んだ場合に、利用の仕方次第によりましてはクリームスキミングのおそれがあるわけでございまして、そういう一部のユーザーだけが通信回線、同じ公社の回線を借りながら利益を受けるということになっては問題であるというふうなことで、この点につきましてのチェックという意味個別認可によりデータ通信に必要なものに限って認めていく、いわゆる電話利用がないようにしていく、こういうものが個別認可の精神でございます。この点につきましても、従来公−特の場合、個別認可でやっておったわけでございますので、公−特−公についても同じような仕組みで対応できる、このように考えておる次第でございます。
  225. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ、自信が持てたとか、前にもやっていたからやれるだろうとかというのでなくて、制度的な保証としてはどんなものを制度としてつくられるのか、いかがでしょうか。
  226. 守住有信

    守住政府委員 従来の公−特の場合も、回線の申込書にシステムの構成、使用態様を記載してもらいまして、それによって判断ができる、こういうことであったわけでございまして、今回の公−特−公という問題につきましても同じようなやり方で対処ができる、あるいはまた、一方では利用者自身のシステム自体もPRされるものでもございますし、あるいは他の使用者からの申告等によってもわかるという側面もございますから、過去十年間の公−特の運用実績から見ても実際上の使用はなかったわけでございますので、最初申し上げましたように、システムの構成、その使用態様によって区別することができる、このようにとらえておる次第でございます。
  227. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 制度的な保証というような点でも御答弁いただけませんので、どうも私としてはこの点については余りりっぱな歯どめができる有効な手だてが余り考えられていないなと思うわけです。  それじゃ、次に全体の問題についてお尋ねをしてまいりたいと思いますが、今回の法改正によりまして、全国的には特定回線のネットワークができるということになるわけですね。つまりコンピューターを介したネットワークができるということになるのですが、もちろんこれはメッセージ交換の部分的な禁止と付加価値業者の禁止ということを含んでいますので、それ以外のことについてのネットワークという意味だと思うのです。  そこで、このコンピューターネットワークの中心に巨大なコンピューターセンターが誕生するということになるわけです。このセンターというのは、事実上通信業者に成りかわる可能性が出てまいります。ですから、このセンターを支配する通信業者が日本の情報処理あるいは情報交換、こういうことを支配するということになりかねないわけです。私は、国民生活に寄与する情報技術の発展のためには、国民的、民主的なコントロール、民主的なルールを確立することが不可欠と考えるわけですが、この点、郵政省は一体どのようにお考えになっているのでしょうか。
  228. 守住有信

    守住政府委員 先生御指摘のように、このデータ処理と申しますか、通産省ではオンライン情報処理と申されておりますけれども、この分野での一種の計算センターというのは全国的にもネットワークが張れてくるということにも相なります。特に相互接続等々を通じまして張れてくるということになりますし、もちろん本人使用、共同使用でも同様でございます。ただ、他人の通信の媒介をするということだけは、新法の世界の問題でございますが、これは禁じられておるということで、いわば回線網のネットワークとしては、実はいつでもそういうコンピューターと回線を結合させての、まさしく通信業をできるという下地と申しますか、そういうものは出てくるのではないか、こういうふうなとらえ方をいたしております。しかし、もちろん法制度上、他人の通信の媒介をするのは電電公社だけで、また今後そういう道を開く場合も一定の通信秩序等の前提条件のもとにということを考えておりますけれども、今回の公衆法改正案ではそういうものは認められていない、こういうことでございます。
  229. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、国民的なコントロールを欠落させて野放しにしていくと、全国ネットワーク通信の必要性のあります大企業だけが便利に、しかも安く活用していくということになるだろうと思うわけですね。その結果、一層大企業の支配力が強化されて、人間そのものをロボット化するというふうな企業主義的な管理社会の武器になっていくのじゃないかという点を大変危惧しているわけなのです。科学技術の発展が国民生活の向上やあるいは人間の幸福の増大につながる、そういう展望と結合させていくことが行政の責任であろうと思うわけです。いま出されておりますこの法改正には、こういう展望が全く欠けているという点に非常に重大な問題があるというふうに思うわけなのです。  こういうことに関係をして少し質問を進めていきたいと思うわけですが、今回の規制の緩和によってどのようなところが新しく利用するようになるのでしょうか。また、多く利用することになるのはどういったところなのでしょうか。それは企業なのかあるいは個人なのか、どちらが多いのでしょうか。中小企業や個人の情報処理ということについて言えば、マイクロコンピューター、パーソナルコンピューター、そういうもので現在は需要を満たしているわけですから、これらの人たちがネットワークを利用するということではないというふうに想像されるわけです。そうすると、一体どんな人たちが多く利用するようになるのでしょうか。その点、郵政省は明快に答えていただきたいと思います。
  230. 守住有信

    守住政府委員 御指摘の点、いろいろあったかと思いますが、特に中小企業の問題は、まず共同使用の関係におきましても、すべていろいろの中小企業同士あるいは親会社、大企業等の関係で取引先は非常に広範囲にあるわけでございまして、いままで八つのグループだけで限定しておったものを、今回、業務上何らかの関係がある、通信をやる必要があるということであれば、この共同使用につきましては非常に大幅な自由化ができるわけでございますので、中小企業等も含めましていろいろな取引関係、製造業、販売業、運輸業とか、あるいはまた横の系列の同じ製造業同士とか、いろいろなシステムの広範囲な多彩な構築ができるのではないか、こういうふうにとらえておる次第でございます。  また、先生御指摘の個人という問題は、当面はまだなかなかそこまでまいりませんで、もっぱら企業等の流通界その他の広範囲な企業活動の分野で利用されていくのではないか、このように見ておるわけでございまして、私どもは、このデータ通信の一種として、これは別でございますけれども、電話回線とテレビの受像機とコンピューターとを結びつけましたキャプテンというまさしく受け手主導の情報の自由な選択といいますか、そういうものも実験に入っておるわけでございまして、そちらの方面は個人とか末端のいろいろな企業活動の経営者の方も入られると思いますけれども、そういうものについても力を入れていきたいと考えておるわけでございます。
  231. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 中小企業は共同利用すればいいんだ、よくなるんだというふうな何か夢があるような話もありますが、私は先ほど申しましたように、マイクロコンピューター、パーソナルコンピューター、こういうものでいままでやっているわけですから、中小企業が大変喜ばれるような状態はないのじゃないかな。そうすると、どういうことかというと、やはり大企業を中心とした特定の人たちの利用がふえるということだろうというふうに思うのですね。  そこで、お尋ねいたしますが、この特定回線の料金ですが、いま幾らに決められているのでしょうか、基準を説明していただきたいと思います。
  232. 守住有信

    守住政府委員 この特定通信回線データ通信利用のものでございますが、これにつきましては定額制で、電話の専用線と同じ考え方をとっておりまして、その定額制は一日百分というふうな利用を前提に置きまして決めておる。それからまた、そのスピード等によりましていろいろな種類がございますけれども、D1規格と申しますか、電話級広帯域のものが一番多かった、こういうふうに記憶いたしております。
  233. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、電電公社の方にお尋ねをいたしますが、専用線と特定回線ですね、これの使用実態というのはどのようにつかんでいらっしゃるでしょうか、調査をされたものがありましたら御説明をいただきたいと思います。
  234. 信沢健夫

    ○信沢説明員 お答えいたします。  データ通信用の専用線の利用実態につきましては、昭和四十六年の公衆法改正以来大体年率二〇%程度の増加を示しておりまして、五十五年度末で約十万回線となっております。五十五年度末における回線数は十万二百回線でございます。  その内容は、品目別に見ますと、電話の帯域使用として利用されるD1回線というのが最も多く利用されておりまして、これが大体全体の半分を占めておりまして、伸び率も一番多いというのが実態でございます。
  235. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 電気通信ユーザー協議会がまとめましたユーザー白書というのが先日新聞にも載りましたけれども、これによりますと、一日当たり五時間二十分だというふうに言われております。専用線や特定回線の使用料は、いまの御答弁では一日一時間四十分、百分を基準にして定めるということですから、五時間も使えば大変な割り安になってくることになりますね。このように割り安で使える特定回線がますます使いやすくなる、大企業にとっては大変便利になるだろう。そればかりでなく、料金の面でも大企業は大助かりをするだろうということが想像されるわけです。この際、このような専用線であるとか特定回線の料金の仕組みを改めることが、あまねく公平にということを考えるならばどうしても必要だと思うのですが、郵政大臣いかがでしょうか。定額制を従量制にするなどして、こういう料金の仕組みというものを御検討いただかなければ、この法案を進めるに当たって大変な矛盾があるのではないかというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
  236. 守住有信

    守住政府委員 今回のデータ処理のための回線利用制度の大幅な緩和によりまして、いろいろな利用、使いやすさと申しますか、いろいろなシステムが広範囲に広がっていくものと見ておるわけでございますが、それがどのような実態になっていくか、今後、電電公社が直接の契約の当事者でございますので、公社も非常にこの問題は関心を持っておるようでございますから、そういう実態を見ながら、また一方、先ほどの御答弁でも申し上げましたけれども、料金問題の調査研究会というのを、学者グループその他専門家の方々にお集まりいただいていま続けておるところでございますので、そういう実態の変化もあわせながらこの問題も研究してまいりたい。なおまた、長期的には、全体がディジタル化ということに向かえば、すべて情報量課金というふうなことで定額制の問題も解消していくということは踏まえておりますけれども、その間どのようなステップでどういうふうな問題を検討していくかを先ほどの調査研究会とも御相談をしてまいりたい。また、電電公社からの実態を反映した御意見も承っていきたい、このように考えておる次第でございます。
  237. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、行管、電電、それぞれのお考え、それから郵政大臣、先ほどから何遍かお願いしているのですがお立ちいただけませんが、最後に、電話網とは別にこういう格安で使えるデータ通信の特定回線網が併立することになるわけですから、この間のバランスというものをとる必要があるだろう。この点について、いま申しました行管、郵政、電電、それぞれのお考えをいただきたいと思います。
  238. 佐倉尚

    佐倉政府委員 特定回線の問題で、データ通信の特定回線は割り安になる、電話との料金のバランスの問題等はどうであるか、こういう御意見でございます。電話につきましても専用線というのがデータ通信の特定回線と同じようにあるわけでございますけれども、もちろん先生御指摘のとおり、そういう料金体系とバランスをとっていくという観点は、今後こういうものを考えていく場合に非常に基本的に重要な点であろうかと考えております。
  239. 信沢健夫

    ○信沢説明員 ただいまの御質問の専用線あるいは特定通信回線の料金の問題につきましては、先ほど電政局長からもお話ございましたように、現在、電話の料金体系とリンクをさせながら設定をしているところでございます。電話の料金体系につきまして、御承知のとおり、遠近格差が諸外国に比べて大きい。遠距離は非常に高い、近距離が諸外国に比べると安いというような事実もございまして、それとの関連で特定通信回線あるいは専用回線の料金につきましても遠距離と近距離との間の格差というのが生まれてきております。  今後の方向といたしましては、御案内のとおり、全体的なネットワークを総合化する、ディジタル化する、INS化していこうということで現在公社としては検討を進めておるところでございますけれども、それに伴って総合的な料金体系につきましても、電話の料金あるいは専用線の料金体系等につきまして新しい角度から総合的に見直し、検討していく必要があると考えておりますので、今後その問題につきましては郵政省の御指導を得ながら検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  240. 守住有信

    守住政府委員 特定通信回線及び専用線と同じでございますが、その料金は従来から電話のダイヤル通話料と一定の均衡を維持するという考え方で定められてきておりますので、電話の通話料の改定といいますか、これにつきましては遠近格差の是正あるいはグループ料金制の導入等非常に大きな議論があるところでございますので、それから離れて専用線の料金だけを改定するというのは国民のコンセンサスを得るのがなかなかむずかしいのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、電気通信政策懇談会の議論、意見等もあったわけでございますが、特定通信側線の料金につきましては電話の通話料等の遠近格差の是正の方向を見定めながら、また電電公社の収支状況に及ぼす影響等も見ながら、あるいは利用者の急激な負担変動等も念頭に置いて漸進的に改定していく必要があるというふうな御意見をいただいておるわけでございまして、先ほども料金問題調査研究会のことを申し上げましたけれども、その中でも電電公社あるいは通信専門の方々、学者の先生方等の御意見を得ながら、この問題は基本的には電話の遠近格差あるいはグループ料金制の問題と同時にというふうなものではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  241. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま三省庁の御答弁で共通しておりますことは、電話の料金体系を今後見直していくというふうなことは共通しているわけです。もう一つ突っ込んで、一般国民向けにもいまよりも安くて電話がかけられるという措置をとらないと大変不公平になる。そこのところは三省庁相通じて明快には出ていないと思うのですが、私はこの際、改めて電話料金の引き下げを強く要求しておきたいと思うのです。そこで、電話の料金体系を見直します、今後いろいろ検討いたします、学者の意見もいろいろ入れて。しかし、見直したところ結局は高くなった、料金値上げにつながったということでは何にもならないわけですから、その点、遠近格差ということもありますが、私はもっと一般国民向けの電話料、これを安くすべきだということを要求したいと思います。  ところで、データ通信が高度化してまいりますと、それに伴う問題点の第一は、データの保護、それからプライバシー保護だというふうに言われております。これは基本的な人権に関する問題だと思うのです。ところが、残念ながらわが国にはまだプライバシーの保護法というものはございません。したがって、このような中でデータ通信を高度化するということになりますと、それなりの対応策は考えていらっしゃるというふうに思うのですが、郵政省はその点どのような対策を考えていらっしゃるでしょうか。
  242. 守住有信

    守住政府委員 全体的なデータ保護あるいは全体的なプライバシー保護の問題の中に、その通信の秘密の問題があるというふうに考えておるところでございまして、特に通信の秘密に関係する問題につきましては、このデータ通信のハード、ソフトの両面から、あるいは人的な面、物的な面、そういう企業体組織の管理体制等々の面から今後検討、対処していかなければならない、このように考えておりまして、その新法の問題等につきましても、この前提条件が非常に大切であるというふうにとらえておったところでございます。  それから一方、データ保護の問題につきましては、標準的なデータ保護仕様の調査研究、いわゆる暗号化と申しますか、その問題につきまして、かねてから技術的な面で研究を進めておりましたけれども、さらには、その問題も含めましたいろいろなデータ全体のシステムのバックアップ化と申しますか、システムダウンの場合の対応というふうな意味を含めましての総合安全対策システムの開発、調査をいま開始しておるところでございます。  また、プライバシーの問題は、関係省庁、非常に広い問題がございますが、私どもは通信という立場からOECDの動向等々も十分注意を払いながら関係省庁等に御相談をしてまいらなければならない、このように考えておる次第でございます。
  243. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまのOECDのこの保護八原則ですね、これがあるわけですが、これらが守られるのは当然だというふうに思います。個人情報に関して言いますと、思想、信条、宗教、職業、取引、経歴、犯罪、財産や所得、それから身体的な特徴や健康状態など、個人のプライバシーに関する事項というのは、いかなるシステム設置の場合にもその対象にしてはならないというふうに思いますし、本人の同意ある個人情報の収集、記録、こういうものに当たりましても、それが使えるのは公的機関だけというふうにするとか、個人情報の取扱業者の場合には必要最小限に範囲を限定するとか、こういう方策を早く確立すべきだと私は考えております。  そこで、中曽根長官にお尋ねをいたしますが、行政管理庁の諮問機関でありますプライバシー保護研究会、ここが三月には立法提案を行うというふうに報道されていましたけれども、これは現在どのようになっているでしょうか。長官としてはこの問題をどのように扱われるおつもりなのか、お答えをいただきたいと思います。
  244. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 三月に立法提案するという情報は間違いでありまして、いま研究会で鋭意詰めをやっている段階で、数カ月の間に結論が出される見込みであります。結論を得ましたら慎重に検討いたしまして、取り扱いを進めてまいりたいと思っております。
  245. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私はデータ通信の無統制の枠を広げるというふうな措置をとる限り、当然ながらこのプライバシーの保護法、これも提案すべきだというふうに思うのです。むしろプライバシーの保護法を先行させなければならないというふうに思うのです。欧米諸国ではすでに十年も前から立法化が進んでいるわけです。わが国でも総理府が昨年の二月に行いました世論調査、これにまとめられておりますが、これによりますと、国民の六割がプライバシーの侵害を心配しております。それからまた、八割の人々が保護策の必要性を感じているというふうな結果が出ているわけです。これは昨年の行管庁の調査の場合でも同じような傾向が出ております。私は、まずこのような国民の要求にこたえること、これを先にやるべきだというふうに思うのです。政府はこの情報処理と蓄積のルールに関しては全く無責任だと言わざるを得ませんし、プライバシー保護法をつくることをデータ通信自由化の条件にしないというような第二臨調答申も、私は国民に責任を持った主張だとは思えないというふうに感じております。  そこで、郵政大臣、いまのままでこの公衆電気通信法改正をされてしまうと、大変な禍根を残すのではないかというふうに思うのですが、この法案を見直すというようなお気持ちはないでしょうか、いかがでしょうか。
  246. 箕輪登

    箕輪国務大臣 公衆法では通信の秘密を規定しておりますし、今度の改正でもその通信の秘密という点から申し上げますと、緩和されるものでも何でもありません。したがって、改正の意思はございません。
  247. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまの御答弁ですが、一言で言えば、大丈夫だ、緩和されるものでも何でもないとおっしゃっていますが、三時以降の討論は非常な矛盾をはらんでいるということが浮き彫りになった。今日幾つかの問題点を私も指摘をさせていただいたんですけれども、今回のこの公衆電気通信法改正というのは、革に行政事務簡素化あるいは合理化というふうな単純なものではないと思うのですね。電気通信の今後のあり方という点にも大変大きく影響してくる大問題だというふうに思うのです。それをこのように一括をして処理していこうというふうなやり方は全く不当なやり方だというふうに思いますし、私は、このような法案は、撤回するべきであるというふうに思います。  強く要求をして、質問を終わりたいと思います。
  248. 石井一

    石井委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後八時八分散会      ————◇—————