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1982-04-15 第96回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月十五日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 水野  清君    理事 加藤常太郎君 理事 畑 英次郎君    理事 渡辺 紘三君 理事 阿部未喜男君    理事 鈴木  強君 理事 竹内 勝彦君       秋田 大助君    亀岡 高夫君       鴨田利太郎君    佐藤 守良君       渡海元三郎君    早川  崇君       福永 健司君    森  美秀君       久保  等君    楯 兼次郎君       森中 守良君    中井  洽君       藤原ひろ子君    村上  弘君       依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 箕輪  登君  出席政府委員         郵政政務次官  水平 豊彦君         郵政大臣官房長 澤田 茂生君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君  委員外出席者         外務省条約局法         規課長     野村 一成君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         技師長専務理         事)      高橋  良君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     田中 武志君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事)    平井 正一君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法等の一部を改正する法律案内閣提出第  五二号)  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第七  四号)      ————◇—————
  2. 水野清

    水野委員長 これより会議を開きます。  放送法等の一部を改正する法律案及び電波法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
  3. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それでは、最初に、御多用中のところ宇宙開発事業団平井正一理事さんにおいでをいただいておりますので、若干御質疑を申し上げたいと思います。  御承知のように、BS2CS2の打ち上げのために大変御苦労をいただいておりますが、現在、この打ち上げの進捗状況はどうなっておりますでしょうか、具体的にちょっと御説明をしていただきたいと思います。
  4. 平井正一

    平井参考人 平井でございます。  御質問通信衛星それから放送衛星開発状況を御報告申し上げます。  通信衛星CS2につきましては、本機と予備機とございますが、本機を明年、五十八年二月に打ち上げますし、予備機の方は五十八年、明年の夏季にそれぞれ打ち上げる予定でございます。本機の衛星ロケット、これはことしの十月、秋でございますけれども、それから予備機につきましては来年、五十八年の六月までに製作、それから試験その他を終えまして、種子島の宇宙センターへ運ぶという手はずになっております。開発の方は予定スケジュールに沿いまして順調に進んでおります。  次は、放送衛星BS2について申し上げますが、本機の方は五十八年度、それから予備機の方は昭和六十年度にそれぞれ打ち上げる予定になっております。衛星ロケット開発予定に沿ってスケジュールどおりに進んでおります。  簡単でございますが……。
  5. 鈴木強

    鈴木(強)委員 順調に進んでおるそうでございまして、御苦労さまだと思いますが、BS2の方ですが、五十八年のとおっしゃいましたけれども、その時期は何月ころになるのか。  それから、両ロケットとも重量等関係で、国産ロケット開発をされまして、NASAの御厄介にならなくてもいいような時代を迎えたわけでして、その点は非常に結構だと思うのですが、いずれも重量がどの程度になっておりますか。ロケット開発はさらに次のCS3、BS3の打ち上げに備えていろいろな開発が進められておるのでしょうか、どうでしょうか、その辺を伺いたいのです。
  6. 平井正一

    平井参考人 先ほど報告申しました実験用通信衛星CS2、それから放送衛星BS2の方は、私たちNロケット2号でこれを打ち上げる予定にしております。(鈴木(強)委員衛星重量は」と呼ぶ)衛星重量は、正確な方はまた後にならないとわかりませんが、おおよそ三百五十キログラム、これはロケットに載せたときではなくて、宇宙へ上げまして静止軌道に乗せたときの重量でございます。BS2の方も重量はほぼ同じでございます。少し重い方でございます。
  7. 鈴木強

    鈴木(強)委員 BSの方は五十八年の何月に打ち上げるのですか。
  8. 平井正一

    平井参考人 BS2の本機の方は、五十八年度でございますけれども、年で申しますと五十九年の二月でございます。それから、予備機の方は六十年度、六十年の夏季でございます。
  9. 鈴木強

    鈴木(強)委員 宇宙開発事業団予算というのは年間大体どのくらい認められているのですか。
  10. 平井正一

    平井参考人 予算の件で御報告申し上げます。  五十七年度予算ということでございますが、概算要求要求申し上げました額は、内訳でございますけれども債務負担行為の方、これが八百七十五億円ということでございまして、これは全部現金ベースで申し上げますと千九十億円でございます。それで、査定の方でございますが、そのうちの債務負担行為で五百八十四億でございます。現金ベースで申し上げますと一千百八億円、こういう額になっております。
  11. 鈴木強

    鈴木(強)委員 千九十億だったのでしょう。千百億にふえたのですか。これは何でふえたのですか。
  12. 平井正一

    平井参考人 これは中にドルが入っておりまして、ドルベース要求時より査定時の方がアップになっております。その差額がその差になって出ております。
  13. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ロケット開発等についても、これは東京大学などでもおやりになっていると思うのですけれども、何か科学技術に対する国の政策というものが、かけ声はいいのですけれども、どうも私は具体的な予算になるとちびってくるような気がしてならないのです。それから、組織機構等についても、もう少し統一的な機構をつくってやったら、同じ予算であっても効率的な運営ができ、成果があがり、研究ができる、こんなふうにいつも感じているのですけれども、千百十億円、大した金ではないと思うのですけれども、それで宇宙開発事業団がお仕事をしていただくわけですから、大変御苦労があると思うのですが、特にロケット開発ですね、スペースシャトル等がアメリカでは二度成功しておりますし、電電公社の方もかなり大きな通信衛星を考えて、場合によったらスペースシャトルでというような話もちょっと新聞等に見えるわけですけれどもロケット開発に対するあなたの御所見というのがあったら、ちょっと聞かせていただきたいのです。
  14. 平井正一

    平井参考人 はっきりお答えできるか、ちょっと私には自信がありませんが、私は衛星の方の担当を主にしておりますので、ロケットの方は余り詳しく存じておりませんが、そういうことでありますけれども、われわれとしては、御承知のように、事業団といたしましてはHIロケットという形で、これを何とか自主開発国産でもって需要に応じていきたいということで、一心にやっておる次第でございます。
  15. 鈴木強

    鈴木(強)委員 専門でないようですから……。わかりました。また機会を改めて……。  そこで、これは郵政省大臣にも聞いておきたいのですけれども、一昨年の六月、電波利用開発調査研究会というものが持たれまして、特に実用衛星部会を設けて討論を重ねてきた結果、ことしの三月二十三日に、「第二世代実用放送衛星利用の在り方に関する調査研究」という報告書が出されておりますが、これを見ますと、その中で、一つは「チャンネル利用段階的拡大を図ること」。今度のものも二チャンネルしかとれないわけですね。放送大学がいよいよスタートするわけですが、その分はないというようなことがございまして、「チャンネル利用段階的拡大を図ること」。それから二つ目に、「NHKによる衛星の一層の有効利用を図ること」。三つ目に、「放送大学学園による衛星早期利用を図ること」。四つ目に、「一般放送事業者事業組織早期に設立すること」。それから、「衛星送信電力について適切な決定を行うこと」。それから、「衛星製作及び打上げ経費に関し利用者負担の軽減を図るふと」。これはやはり国がもう少し金を出せということですね。それから、「衛星放送普及のための各種受信対策を講ずること」。これはNHKがやっておられるようですけれども、いずれにしてもこういった答申が出ておるわけであります。これはいずれ宇宙開発委員会等でも審議され、全体的な今後の放送衛星事業について前進した対策が打ち出されると思うのですけれども、こういう答申が出ておるだけに、郵政省としても早急にこれらの報告書に基づいて対策を樹立すべきではないか、こう思うのですけれども、大体どこら辺にめどを置いてやろうとしているのか、ひとつ概略説明してください。
  16. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 CS2、BS2計画については、ただいま事業団の方からお答えがありましたわけですけれどもCS3あるいはBS3についての計画でございますが、先ほどお話しになりましたCS2ないしBS2、これは実用でございますけれども衛星寿命は五年を目標としておるわけでございます。したがいまして、それに続きます、私ども第二世代と申しておりますけれども実用通信衛星の、まずCS3でございますけれども昭和六十二年度ごろに打ち上げる必要が出てまいるわけでございます。それについてどういう段階にあるかということでございますが、先ほど先生もちょっとお触れになりました電波利用開発調査研究会の中の実用衛星部会報告書にもございますようなことで、本年三月に決定された宇宙開発計画に基づきまして現在衛星システム最終検討を行っているというのが、通信衛星の方の現時点での実情でございます。  また、放送衛星BS3の方でございますけれども、これも昭和六十三年度ごろには後継機として打ち上げる必要があるということで、本年度BS3のシステムについて多角的に検討を開始することとしておるわけで、これについてはいま先生から詳しくどういう提言があったか御紹介いただいたわけで、そのとおりでございます。それで、私どもといたしましては、本年度中に宇宙開発委員会の御審議を経まして、来年度放送衛星システム最終検討に入りたい、一年おくれというか、そういう形になっておるわけでございます。
  17. 鈴木強

    鈴木(強)委員 非常に手際よく対策を考えておられるようでして、敬意を表します。特に五年間寿命ですから、CSにしてもBSにしても、いずれにしても打ち上げなければならぬ時期が差し迫ってくるわけですから、お話のように早目対策を決めて、積極的にひとつ推進をしていただくようにお願いをしておきます。  それから、外務省いらしておりますか。——実は最初郵政省にお伺いしますが、きのうの質疑の中でもちょっと問題になりました在日外国公館の中で不法電波を発射しているものが幾つかあるという話を聞きました。国名を挙げるのは、外交上の問題がありますから私もどうかと思いますので、よろしゅうございますから、大使館公使館領事館等、大体幾つぐらい、郵政省電波監視の結果不法電波を発射していると確認したのでしょうか。その数をひとつ知らしてください。
  18. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 在日外国公館不法無線局をどの程度把握しているかということでございますけれども、私ども年間にある期間を決めまして監視しておるわけでございまして、幾つかの例が毎年上がっております。その都度、外務省にその辺の情報はお入れしているわけでございますけれども、数につきましては毎年数件程度というようなことでひとつ御勘弁をいただきたいというふうに思う次第でございます。
  19. 鈴木強

    鈴木(強)委員 毎年数件ということですが、問題は、不法電波を発射しているものに対して直接郵政省折衝するのは非常にむずかしいだろうと思いますので、当然外交ルートを通じてやることになるのですが、そこで、外務省の方としては、郵政省からそういう報告を受け、協力を要請されて、具体的にどういうふうな折衝をされ、どういうふうなことを先方が言っておるのか。こちらから不法電波ですからやめてくださいという申し入れをして、やめたところがあるかどうか。やめなければ、依然として毎年毎年続けているとすれば、いま電波監理局長のおっしゃったような数というのは減っていかないわけですね。その点、ひとつ外務省の方からお答えをいただきたいと思います。
  20. 野村一成

    野村説明員 お答え申し上げます。  郵政省の方からの通報を受けまして、私ども、該当する公館に対しまして、電波法の規制上無線機設置してはならないのだということをはっきりと伝えまして、その是正を求めてきているということでございます。
  21. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ですから、是正を求めてきているが、そういう外交ルートを通じて是正を求めて、それに応じているのですか応じていないのですか、その点はどうなんですか。  郵政省の方でも、たとえばAという公使館でやっておった、その公使館外交ルートを通じて話をしてもらった、そうしたらそれからその不法電波はとまったかどうか、その確認は当然していると思うのですが、外務省としては、向こうの方へ不法電波ですからやめてくださいと言ったときに、ああそうですか不法ですか、それじゃやめます、こうおっしゃるのか、聞きおく程度になっているのか、そこのところが大事なところで聞いているのです。
  22. 野村一成

    野村説明員 先ほど電波監理局長の方からお答えがありましたように、数件あるということでございます。私ども公館に対しまして、先ほど申しましたように、是正を申し入れておるというのに対しましても、実情はそういうことであるということでございます。外国公館というのは、先生承知のように条約上特殊なステータスがございますが、なるほど外交関係条約というのがございまして、そこの四十一条でその国の法令を尊重しなければいかぬのだというふうにはなっているわけでございます。私ども現実電波法を守ってもらわなければならないと思ってそういうふうに求めておりますということですが、先ほど監理局長の方から指摘ございましたように、遺憾ながらそういうふうなことになっておるということでございます。
  23. 鈴木強

    鈴木(強)委員 在日各国公使館の館員であっても、とにかく電波を割り当てることができない、放送局を開設する資格がないわけでありますから、当然違法行為をしているわけです。大使館公使館の中は治外法権になっているのですか。昔は、戦前戦中われわれ経験したことですが、かなり不法電波を出してやっておりましたけれども、いまは国際的にも通信というものが非常に高度化しまして、ダイヤルで多くのところはかかるわけですね。あえて特別な違法の無線局をつくって、そして本国連絡をしなければならぬということについては、それなりの何かあると僕は思うのですね。そういうことが放置されては困るわけですよ。ですから、もっと強力な手段を講じて、少なくともやめてもらうということにならなければならぬ。  ですから、外務省の姿勢もちょっと弱腰じゃないですか。あなたは一課長ですから、あなたを責めても仕方がないことだけれども大臣にももう少しよく話して、違法のものは違法ですから、ちゃんと撤去してもらうことをやらなければ困るんですよ。もう一遍しっかりやるということを答えられますか。
  24. 野村一成

    野村説明員 先生指摘のとおりでございますが、特に今般電波法改正になるという暁には、私ども問題意識としましては、その改正される電波法にのっとってそれに従って無線機設置するということがきわめて重要であると考えておりまして、特に、いま現在は先生指摘のように違法無線局ということに該当するわけでございますけれども、それらの公館につきましても、必ず私どもの設定する要件に従って無線局が運営されるよう、外交折衝を通じてぜひ確保するし、またしなければならない、そういうふうに考えております。
  25. 鈴木強

    鈴木(強)委員 郵政省の方では、外務省にお願いして折衝してもらっても、依然として不法電波が出ている、そういうことですか。
  26. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  通常、そうした機関本国等との連絡無線局を使うということになりますと、日本などの場合は、特に周波数的に言えば短波が多いわけでございますけれども、この短波監視というものをどうやっているかということで、現在日本に四カ所あるわけでございますけれども短波周波数帯につきましては、自動的な機械も持ちまして昼夜の別なく監視できるというような体制になっておるわけでございます。そうした形の中で、重点的に、リストにないと申しますか、不法対象局はどういうものかというようなことで特別な監視機関を設けましてやっているというようなこともあるわけでございます。その結果に基づきまして外務省にも御通知するというようなことをやっておるわけですが、ある年におきましてある国の事実が確認された、その次の期間において幾つかがなくなっていることがあるわけでして、そうしたときには、効果があったんだなというふうに考えておる次第でございます。また一、二別のものが出るというようなこともございますけれども、そういうような形で成果はある。  いずれにいたしましても、今度、相互主義によりましてやれるようになったのですということで、この辺は御審議をいただいて、この国会の御審議を経た後におきまして、特に外務省方等にも、こういう形になったんだからということで、その辺の成果を期待したい、このように考えておる次第でございます。
  27. 鈴木強

    鈴木(強)委員 相手相手ですからなかなかむずかしいと思いますけれども、毅然たる態度でやってほしいと思います。  それで、今回、外国公館無線局開設については、特定固定地点間の通信、しかも相互主義を前提としている、こういうことですね。ですから、日本がやりたいと思っても相手側がいやだと言えばできないわけだから、その辺が非常にむずかしいと思うのですけれども特定地点間の通信というのは、定義としてはっきりしておきたいのですけれども、どういうものなんですか。
  28. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 多分御質問は、通信というのはいわゆる話しする電話だけかというような御質問かと思います。それにつきましては、通信手段でございますので、最近はファクシミリとかテレタイプ等も恐らく要求されるでしょうし、外務省の方からまだその辺はよく聞いておりませんけれども外務省自体が御希望なさるのも、ファクシミリとかテレタイプというようなものが多分入るのではないだろうかというふうに考えております。そうした場合に、相互主義に立ちまして、電話のほかファクシミリテレタイプというのは現在の通信手段としては通常のものだというふうに理解しております。
  29. 鈴木強

    鈴木(強)委員 その点、わかりました。  ただ、私はこの改正は非常に便宜主義だと思うのですよ。今日、世界的にこれだけ通信が発達し、いまや本国とある国との間に無線局をつくってやらなければならぬというような時代じゃないですよ。これは認識不足もはなはだしいですよ。ですから、相手側がどうしてもやめない、何ぼ注意しても不法電波を出す。したがって、こういうものを出して、どうですか、今度は私の方にも置かしてください、そうすればこれは制度的に合法化になります、こういうことで持っていこうということだと思うのだ。外務省はそんなことをちょっと言ったのだが、まことに便宜主義であって、こういうことまで法律改正やることがいいかどうか、私は非常に疑問に思っているのです。  それでは、この法律改正されて、相手局がこれに乗ってくるという自信がありますか。大臣からも聞いておきたいですよ。幾つぐらい予想されるのですか。
  30. 野村一成

    野村説明員 お答えいたします。  先生便宜主義とおっしゃられましたけれども、確かに、通信専用商業回線とかテレックスを通じて行われておるのも事実でございます。他方、私ども常に感じておりますことは、緊急の事態と申しますか、クーデターその他のときには通信が全くとだえてしまうということになるわけでございまして、そういうときに備えないといけないという問題意識も同様に強く持っておりまして、そういうときに備えての措置であるということでございます。  実は、先生、申し上げたいのでございますけれども、私どもこの改正をお願いするに当たりまして調べたのでございますけれども国際慣行としましても、大多数の国が無線機設置につきましては相互主義をもとにしまして許可しておる、そういうことでございます。わが国につきましても、そういう特殊な事態に備える意味におきまして、ぜひ御改正をお願い申し上げたい、そういうことでございます。
  31. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これは郵政大臣が提案しているのだけれども、本元は外務省なんですね。要するに、郵政省不法電波の取り締まりができなくなってしまって、外務省もお手上げだ、形式的にやったと言うけれども、やってないんだ。相手がどこの国かわかりませんけれども、どこの国であろうと、日本公館を置く限りにおいては日本法律に従ってもらわなければ困るのです。こちらの方で認めますからどうぞ認めてくださいといったときに、果たして相手国が応ずるかどうか、そのことを私は聞いているのだ。そういう確信があるのですか。
  32. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先ほどから、私ども不法無線の問題について、いろいろ先生の御高見をいただいているわけでございますけれども、今度の私ども法改正につきましては、基本的には、ポーランド事件等に端を発しまして、外務省の方から、日本在外公館、あるいは外国へ出ていかれる方々も非常に多くなったわけですけれども、そうした時点におきまして、自国民の生命の保護その他の観点から、私どもの理解といたしましては、今度の法改正外務省の御要請もございまして措置したものである。外務省を通じまして、今後のいろいろな外国との、あるいは要望によりまして、私ども郵政省としての所管の範囲内の協力をやりたい、このように考えておる次第でございます。
  33. 鈴木強

    鈴木(強)委員 郵政大臣に最後に。これは非常にむずかしいと思うのですよ、法律が通りましても相手国によっては。ですから、この点は外務大臣と十分に御相談をなさって、そして、不法電波をそういう手段によらなければ防ぎ得ないというふうにおっしゃっております。軟弱外交だと思うのですが、相手のこともありますから、しかくわれわれの考えるようになかなかいかないかもしれませんけれども、いずれにしても、法改正はしてみた、しかし、この法律がそのとおりに動いていかないということであってはわれわれの期待に背くわけですから、ぜひ今後、外交ルートを通じて、郵政大臣も、十分大臣と打ち合わせをして、この趣旨が生かせるような方法をやっていただくように、ひとつ確たる御答弁をいただいておきたいのです。
  34. 箕輪登

    箕輪国務大臣 今回、法律改正をお願いいたしまして、相互主義に基づいてそれぞれの国で対応してもらおう、こう考えているわけでありますが、法律が通って、わが方では設置を認めても、相手国わが国公館電波局を認めないというような場合も考えられるわけでありますから、そういう場合には、相互主義に基づいてこれは従来どおり御破算になってしまうわけであります。そこでまた、先生指摘のような不法電波を出される。相互主義でお互いに設置を認めた国はよろしいが、わが国が認めるとしても、向こうが認めない場合にはこっちも認めないわけですから、そういうところでまた不法電波をやられるということになれば同じことになるわけでありますから、今回の法律改正にかんがみ、自今こういうことが絶対にないように、そういう場合には断固腰を据えた交渉をしていただきたいということを、私からも外務大臣に申し入れをしたい、こう考えます。
  35. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。  それでは、放送法の問題に移りますが、今回、音声と文字の多重放送がいずれも実用化されることになりまして、そのための法律改正が提案されておるわけです。御承知のように、この経過の中ではいろいろといきさつがあったように私は聞いておるのです。ですから、このことが将来、法律制定後に運用の支障になってはいけないと思いますので、ちょっとこの機会に伺っておきたいことがございます。  それは、NHKの場合は、音声はもちろん一つですから問題ないのですが、文字多重の方は、二Hのうち一Hは補完的に、そして一Hは第三者機関に与えてもよろしい。しかし、音声と文字は義務化されて本来業務になっておりますね。一般の放送事業者の場合には、きのうも論議されましたように、一補完、一第三者、義務制ではありませんがそういう方針でやれるということになっておるわけでございますね。  そこで、放送の多様化に関する調査研究会議報告書も出ております。私もその内容を読ませていただきました。もし私の発言の中で誤解があったり間違ったことがあったら指摘をしていただきたいと思います。  まず、郵政省としては、この調査研究会議答申に基づいて、マスコミの集中排除の方針というものを堅持して、第三者利用の道を開くこととして、既設の放送事業者にも放送施設の提供を義務づける、こういう考え方であったように聞くわけですね。ところが、一方、民放連の方では、文字多重放送対策委員会というものをつくりまして、設備提供を義務づけるのは、憲法で保障された財産権と言論、出版の自由に違反をするということで、猛烈に反対をしておったようです。また一方、新聞協会の方におきましては、ニューメディア委員会というものをつくりまして、積極的に参加を決め、メディアの多様化を図るのは国民の福祉に役立つということを主張しておったように思うのですね。早期主張。民放連は慎重ということですね。  かつて、カラーテレビの発足の当時に、いまは亡き正力さんが積極推進論者でありました。マウンテントップ方式までつくって、政府が言うことを聞かなければ、おれは自分で回線をつくってやる、こういうふうに言ったことを私はいま記憶を新たにしているわけです。要するに、積極論者か消極論者か、時期尚早論者か早くやるべきか、そういうふうな論があったように聞くわけです。結論としてここへ提案をされているような形になったと思うのですけれども、今後こういった意見が再び頭を出してくるようなことはないのかどうなのか。  それから、NHKとしては今回こういう法制の中で義務づけられ、一つは第三者にも貸してよろしい。しかし、これはNHK会長がだめだと言えばだめですね。本来的に、NHKが補完的なものと同時に、第三者よりも自分でやった方がよろしい、そういう考え方はなかったのかどうなのか。いまは非常にNHK、経営が苦しいときですから、ちゅうちょした点もあると思うのですが、私はそんなことも考えておるわけですけれどもNHK側からも、会長いらしていただいておりますから、いきさつの中でどういうふうな考え方を持たれたのか、そういう点もひとつ聞かしてほしいのです。
  36. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まず最初に、今回放送法改正案で多重の御提案を申し上げる経緯につきましては、先ほど先生がおっしゃいましたとおりでございまして、放送行政の一環といたしまして文字多重という新しい技術の普及を図る、と同時に、マスメディアの集中排除の必要もあるであろう、そうしたところから第三者利用の道を開くことといたしたわけでして、民放連、新聞協会など、それぞれ関係の立場での御発言、御意見があったことも、私どもといたしましてはそれなりに十分参酌いたしまして、今日御提案申し上げている形になった、このように理解しておるわけでございます。
  37. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私が聞いているのは、今後運用の中で問題が起きませんね、そこのところ……。
  38. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ちょっと言葉足らずで申しわけございませんでしたけれども、そうした民放連の御要望についてのお話し合い、これは設備提供義務、それからもう一つ民放連につきましては方式の問題がございましたけれども、これはいま別といたしまして、放送設備提供の義務づけというのは非常におかしいということでございました。  新聞協会の方は、文字多重の実現で、文字については、新聞でございますから、簡単に言いますと自分たちの仕事だ、そういうようなことであったわけです。いまの時点にそうした形で非常に早急に新聞協会の方はやってほしいというような形があったわけですけれども、現在のところ、私ども、特に御反対といいますか、御提案申し上げている内容はそれぞれにおいて御承知のはずでございますけれども、私ども御提案申し上げて新聞報道等にもいたしました後においては、そうした声は全然聞いておりません。そうした形で御了解をいただいたもの、早く御審議いただいて通すようにというお考えであるというふうに理解しておる次第でございます。
  39. 坂本朝一

    ○坂本参考人 NHKといたしましては、今回の放送法の改正に関しまして郵政省に御要望申し上げた点は、多様化する視聴者の要望に計画的、継続的にこたえていくために、放送法第七条に規定されているNHKの目的を達成するため、テレビジョンの多重放送においても放送法第九条一項の必須業務にしてほしいということを御要望申し上げました。  なお、現在NHKが出資することが可能な範囲は、御承知の第九条の三の規定に基づくきわめて限られた形に限定されておりますけれども、今後こういう観点に立って経営の展開を図るために、出資を可能とする範囲をNHK業務に関連する業務として考えてもらいたいという、その二点を御要望申し上げたわけでございます。  そして、御承知の長期ビジョン審議会におきましても、この問題はかなり御議論がございまして、昨日も先生方から御質問いただいたわけですけれども、何も第三者に開放するという形で考える必要はないじゃないかというように長期ビジョン審議会でも意見が出されているではないかという御指摘をいただいたわけでございます。ただ、最終的に、こういう技術革新に余り閉鎖的であってはいけないのじゃないか。だから、仮にそれが認められる場合には、NHKの本来の目的、あるいはNHKチャンネルイメージを損なわないように十分配慮して第三者に開放したらいいだろう、そういう御答申をいただきました。私どもも経営の中で、先生がおっしゃるように、すべてNHK自身が本来業務としてやるということも考えられなくはないんじゃないだろうかということで検討はいたしましたけれども、いかにいたしましても、二つのチャンネルが出てくるというようなそういう技術的な可能性があるのを、すべて私どもが自前でやるということについても多少御異論があるだろうというようなことから、二番目のところは第三者にお貸ししてもいいのじゃないか、それにはそれなりの条件を考えればいいのじゃないだろうかというような結論になった次第でございます。
  40. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。  それで、これはいずれ二十一日に新聞協会それから民放連、それぞれ代表の方においでいただいて、参考人として意見を聞くことになっておりますので、いまの電波監理局長の御意見、会長の御意見等も参考にして質疑をしたいと私ども思っております。これは、要するに、将来に悔いを残さないためにできるだけ合意を得ておく必要があると思いますから、また、これは改めて参考人が終わった後質疑をしていただくようになっておりますから、またそのときに食い違いがあればただしたいと思います。  それから、新しい試みといっても大体予想されておったことでございますが、欧米等におきましては文字多重放送はすでに開始をしておるわけです。時間がなくなりましたから、諸外国の例を幾つか挙げていただきたかったのですが、そういういとまがありませんので省略をします。  問題は、この放送をする伝送方式ですね。さっきは田中電波監理局長からもお話がございましたが、欧米は大体コード方式を採用しておる、こう見ていいですか。
  41. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そのように理解しております。  ちょっと補足させていただきますと、欧米はアルファベットで二十六文字という形、これですべての言葉が表示できるわけでございます。日本の場合あるいは中国なども同じかと思いますけれども日本の場合、特に漢字のほか、かたかな、ひらがなが入るわけなんです。そうしますと、非常に語数も多いわけでございます。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕 そうしたことで、パターン方式というものが出てまいっておるわけでございますが、ちょっとそれは余談になりますので……。欧米は、日本以外は幾つかの国でやっておるようですが、コード方式だというふうに私理解しております。
  42. 鈴木強

    鈴木(強)委員 一番進んでいるのはイギリスですね。BBCが非常に先進的に使命を果たしてやってくれておるわけですが、そこでコード方式を使っておる。コード方式かパターン方式かということも、ちょうどカラーテレビの、NTSC方式か、SECAM方式か、PAL方式か、あのときいろいろ論議されまして、国際的な標準が決まった上でやったらどうかという意見もあったわけです。しかし、日本はアメリカ式で、NTSC方式で行ったわけですね。その後技術が進歩しまして、われわれが心配したことが全く無用になりました。ボタンを押せばすぐ切りかえになりまして、そういうふうに技術は進歩していくわけですから、とりあえずパターン方式を採用したものだと私は思うのですが、これは技術審議会の審議は終わっていますね。このパターン方式は、送信の速度は遅いけれども正確に文字を送り出す、こういう長所がありますね。コード方式の場合には、送信速度は早いが、ビル陰などで電波障害が起きると間違った文字が発生するというような欠点があるらしいですね。  これは、NHK技師長さんも来ていただいておりますが、先般も私たちがいろいろ勉強させてもらいましたけれどもNHKではパターンとコードと両方の研究をなさっておって、要するに、ビル陰などの障害で、いま局長が言ったような文字が多くなるからというようなこととの関係はやはりあるものですか。その辺、ちょっと簡単に技術屋の立場で説明してくれませんか。
  43. 高橋良

    ○高橋参考人 先生お答え申し上げます。  先生の御指摘のとおり、簡単に申し上げますと、パターン伝送方式というのは、先ほど電監局長の御説明もございましたように、日本とか中国の表意文字のようなもの、非常に俗っぽくたとえて大変恐縮でございますが、たとえば「高橋」というのを送り出した場合に、パターン伝送方式でございますと、「高橋」の頭のところのひげがなくなるぐらいの事故でございますから、これは「高橋」だろう、こういうふうに読めるわけでございます。コード方式の欠点は、この事故——事故というか、ゴーストとか、いま先生指摘のビル陰障害のような非常に電波が弱くなった場合には、「高橋」の「高」が全部なくなるという事故、もう一つには「高」が「中」になりましたり「諸」になったりするというような事故を起こすわけでございます。したがいまして、先生指摘のように、NHKといたしましてはパターン伝送方式は表意文字の国においては適当であろうということで、先に開発研究に着手させたわけでございます。  ただし、御指摘のように情報量が少ないという問題がございますので、引き続きコード方式で誤り率の少ない方式が考えられないかということで、五十一年から継続して研究したのでございますが、結論的に申し上げますと、非常に誤り率を少なくする方式というのは考えられるのでございますが、家庭用の受像機、放送としてのシステムとしては受信機が非常に高くなるという問題がございますものですから、去年の十一月にNHK研究所の方から発表させましたのは、パターン伝送方式とコード方式のいいところだけを取り集めました、われわれの方ではハイブリッド方式と名をつけたわけでございますが、たとえば国家予算のような非常に大事な数字を送るという場合にはパターンで送る、それから、レジャー情報みたいなものでちょっと軽易なミスは犯してもよろしいだろうというものについては情報量の多いコードで送れる、こういうようなシステムというものも考えられるのではなかろうかということで、電波技術審議会の方にも提案をさせて、御検討もしていただいておる最中でございます。
  44. 鈴木強

    鈴木(強)委員 確かに、一秒間に四百八十字プリントができるというのですね。いまの新聞、朝刊は広告欄を除いて普通十七万字だそうですね。そうしますと、コード方式を使うと約五分半で十七万字が送れるというような、物すごく情報量を多く扱えるのでありますから、魅力があるわけですね。しかも、外国でやっているということですし、行く行く研究すれば、いま技師長がおっしゃったようなそういう点も解決されて、コード方式に移行する、そういうふうな考え方はお持ちですか。これは免許基準の全体の問題とも関連があるので後で聞こうと思っているのですけれども、これから法案が通りますね。通って、そういう検討研究も重ねて、もしそれでいけるならばコード方式というものでいけるのかどうなのか。受信設備の方が、コードとパターンの場合また違うものでやらなければならぬということになると、これはちょっと問題ですから、その辺どういうふうになりますか。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  45. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ただいま御提案申し上げています法案というのは、文字多重なり音声多重に道を開くということで、その方式についてのコード方式あるいはパターン方式というようなことはもちろん書かれてないわけですし、そうしたものはそれぞれのこの法案が通りました後の段階での整備、こういうことになるわけでございます。特に、文字多重で申し上げますと、私どもとしましては、耳の不自由な方に対しまして早くおこたえする、早く技術の成果を還元申し上げる、そういうことだとパターンでいかざるを得ない。これはいろいろ専門家によりまして違いますけれども、コード方式の基準の答申を出すまでには二、三年という方と四、五年という方がおられるわけです。中をとりまして三年程度かな、こういうふうに考えるわけですけれども、その間のおくれというものはある。私どもといたしましては、いま、二Hが使える、こういうことになっておるわけですけれども、技術的に検討いたしますと、現在普及しておる受像機の少し古いものについてがちょっと問題なんですけれども、やがてあと六Hくらい加わりました八Hがこの多重に使えるだろう、こういうふうなことも聞いておるわけでございます。したがいまして、二Hでともかくパターン方式でやりまして、スタートして、あとの六Hがまた使えるというようなことになりましたときに、その辺の可能性も含めまして、コード方式の基準の中には、パターンが現に法案が通ってから普及してある程度の方々が持っておられるということを前提にした上でのコード方式、つまりパターン方式とコンバーティビリティーを持ったコード基準というようなもの、あるいは、いまNHK技師長がおっしゃいましたけれども、両方いいところだけとるハイブリッド方式、その辺も全部含めまして、電波技術審議会方式という形で御審議いただければ、その辺の御心配もなく、しかもそうおくれないで早急にという御希望にも沿えるのではないだろうか、このように考えておる次第でございます。
  46. 鈴木強

    鈴木(強)委員 後から実施時期その他についてもお伺いしたいと思っているのですが、全体の体制をつくってやりませんと、特にNHKの場合なんかは、国民があまねく公平に電波を見るようにしなければならぬわけですから、その期間は相当に置かなければならぬと私は思っているのです。  そうしますと、結論としては、パターン方式かコード方式かということについてはこれからの問題であるが、とりあえずは仮に五十八年実施するとすれば、コードについてはまだ技術的に問題がある。したがって、パターン方式でスタートしておいて、その後いろいろ検討した結果、要するに、VとUが混在した当時にコンバーターを置きましたね、ああいうふうなことでなくて、一つの受像機で両方見られるような、そういった機械も技術的に開発されていく、そういうふうに考えて、その時期にその両方が出ていく、あるいはコードならコードになっていくというような考え方で概念としていいですね。いいか悪いか、それだけ聞いておきます。
  47. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 VHFとUHFの受像機の問題、あるいは白黒で、カラーが発展しましても、カラーになりましても白黒では見られる、こういうような形で、いつも私どもコンパーティビリティーと申しますか、電波技術審議会の先生の方々にもそうした点を特に重視いたして御検討いただきたい、このように考えております。
  48. 鈴木強

    鈴木(強)委員 その点はわかりました。  そこで、法律が施行されますと、NHK、民放ともいよいよスタートしていくわけですね。そこで、補完的な利用の放送というものと、それからまた第三者のものと、二つあるわけですけれども、どうなんでしょうか、特にNHKにちょっと聞いておきたいのですが、耳の不自由な人たち、いわゆる聾唖者は、長年にわたって不自由をされて、こういうものを期待しておったわけですから、そういう面から言うと、いまパターン方式でスタートせざるを得ないということはよくわかります。したがって、そういう方のために当面とりあえずどういうふうな番組をつくってあげるのか。ドラマなどのせりふを文字で影像にしてやるとか、あるいはニュース等も出してあげるとか、そういうような、とりあえずいま放送開始になったらどういうものをやろうとするのか、その構想があったらちょっと聞かしてくれますか。
  49. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  いまお話がありましたように、文字放送のサービスの内容につきましては、私ども、現在部内にプロジェクトをつくりまして、番組の試作等もやりながらいろいろ多角的に検討しているということでございます。そのうち、いま御指摘がありました聴力障害者向けの字幕サービス、それから画面に出ております主番組の内容を補完充実するというような補完的な利用の面、それから、文字放送の特性であります随時性、選択性というような機能を生かしましたいわゆる独立的利用という両面にわたりまして、このプロジェクトの中で試作番組をつくりまして、多角的に検討しているということでございますけれども、こういったことにつきましては、いろいろな問題点がたくさんございます。経済性の問題なり、専門家をつくるとか、出てまいります文字を要約する問題だとか、その辺も含めていま検討しているところでございます。
  50. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これはビジョン審議会の報告の中にも入っておりますね。その検討を早くしてくれというようなことがあったと思います。ですから、そういう趣旨も体してひとつお願いしたいと思うのです。  そこで、さっきの受信機のところで聞けばよかったかもしれませんが、プリンターによる印字ですね。要するに、文字信号をホームプリンターなどで取り出してハードコピーで印字するという、いわゆる電子新聞とか言われているのですが、そういったものがテレビの附属の機器の中で出てくる、そういうことは事実上やれるわけでしょうね。私は、新聞でちょっと拝見しましたが、今夜の天気予報とか、こういうふうに出てくるわけですね。それが横にあるプリンターに出て、後まで記録が残っていく。そういう放送もやれるわけですか。それはどうなんですか。
  51. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ただいまのお話は、送りの側に関係するものではございませんで、受けの側でございますから、当然、先生がおっしゃいましたような形、通常はテレビのブラウン管に出して見るかと思いますけれども、それを記録しておこう。あるいはお料理番組あたりで材料のグラムというようなことになりますと、これはメーカーサイドの問題にもなろうと思いますけれども、文字の多重の場合にもそういうものはあるだろう。本番的には、ファクシミリ放送あたりになりますと、もう読むというより印字するということになろうか。文字多重放送の段階でも、記録性ということで印字する、そういう形の使い方はあり得ると考えております。
  52. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私は、NHKの方ですでにやっているのをどこかで見ましたけれども、たとえばNHKニュースにしてもこういうように出てくるのですね。これは技術的に可能であるということですね。その点ちょっと……。
  53. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  逓信委員会の先生方にも直接ごらんになっていただいたように、技術的に可能でございます。
  54. 鈴木強

    鈴木(強)委員 その点はわかりました。聾唖者を対象にした、耳の聞こえない、音の聞こえない方々に対する問題については特別の配慮をしていただくように、特にお願いをしておきます。  それから、NHKが第三者機関に設備を賃貸することになるわけですけれども報告書によれば、その選択については、NHKの性格に十分留意した対応を図る必要がある、こういうふうに書いてあるわけであります。はっきりしたことはわからないのですけれども、第三者利用の場合、ビジョン審議会の報告書等にもいろいろ書いてありますが、NHKとしてはいまどういうものを想定しているのですか。ちょっと、共同通信あるいは時事通信等、そういう系統がやったらどうかというようなのを、何か新聞の情報の中で見たのですけれども、そういうことも考えられているのですか。
  55. 坂本朝一

    ○坂本参考人 具体的なことは現状ではまだ何もございません。前々から申し上げておりますように、第三者に利用させるためには、御指摘いただいているNHKチャンネルイメージを損なわないこと、それから、NHKの番組の編集の基本的な考え方、方針というものを尊重させるというような数点について、お貸しする法人との間に契約上恐らく明記するというようなことになるのではないかと思うわけでございます。それでは具体的にどういう法人かということにつきましては、これから検討しようということでございますので、具体的にはいまここで申し上げるような形のものはまだ何もございません。
  56. 鈴木強

    鈴木(強)委員 われわれは、立法府として法律を決めるわけですけれども、いま言われたような点、将来われわれが一番心配する点、それは、この法律が通った後また検討いたします、それから、たとえばいろいろな問題についても、政令とか省令によって決めますと言うが、法律審議の際に、立法府としては、それがどうなるのかその内容すらわからないで法律が通ってしまう、私たちは法案審議をしていてここいらに非常にジレンマを感ずるのですよ。ですから、少なくとも法案を提出する際には、おおよそこういうようなところでこの程度のものをやるというものをはっきりしていただくことと、郵政省あたりでも、政令、省令等については先に議員に渡して、こういう内容で省令に移してまいりますというようにしていただかないと、後になってから、われわれにどうなったかということがよくわからない場合もあるわけですね。そういう意味で非常に残念に思うのですけれども、いまそれを言ってみても仕方がないわけでしてね。  そこで、特にこの賃貸料等の問題はどういうふうに、これは民放も含めてですが、これを決めていくのか。一つのスタンダード的なものを——土地だって地価公示みたいなものがある。それとは違うけれども、何かおおよその基準というものを定めておく必要があるのではないだろうかというような気もするわけですね。その点どうなのか。  それからもう一つ、NHKが設備を賃貸した場合は、当然郵政大臣が両院の同意を得てやるということになっているのですが、今度両院の同意を得ないでやるということは、これは国会軽視ではないですか。事業計画を国会に出してその中でやる、こうおっしゃるかもしれませんけれどもね。極端に言えば、その事業報告を承認した後にやることになった場合、国会の承認を得なくてもやれる、こういうことになるのでして、その辺の問題をはっきりしておいていただかないと、これはやはり国会軽視になると思うのです。その点をひとつ明らかにしてもらいたいですね。
  57. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 NHKの放送設備の賃貸、特に今度の多重についての場合には両院の同意を要しないとした理由についてでございますけれども、その考え方は、NHKの放送設備の第三者利用、多重のための第三者利用でございますけれども、国会での御審議の中で十分にその是非につきまして、全般的と申しますか、一般的に御判断、御審議いただいているということが一つございます。  それから、各年度NHKは事業計画を出してまいります。現に音声多重につきましても、実用化試験局でございますけれども、ことしはどこそことどこそこの場所を拡充いたします、その経費についてはこれほどですというようなのがたしか入っておったと思いますが、そうした形と同じような形で、翌年度予想される多重の地域と申しますか、そうしたものを御記入いただきまして、毎年度の御審議を国会でいただける、そして一括して御判断いただく、そうしておけば、あとNHKの放送設備の賃貸を郵政大臣が許可するということにつきましては、国会で御判断いただいた結果を具体的に執行するということでございますだけですので、あえてそれにつきまして両議院の手を煩わさなくても、事前にインフォメーションあるいは御審議が入っておる、こういうような理解のもとで、こうした両院の同意を必要としないという形でいかがかということで、御審議いただいている次第でございます。
  58. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そうしますと、簡単に言って、放送法に基づくNHK予算審議を国会でやりますね。その中に事業計画が入ってくる、その事業計画に入ってないものを、予算が通った後、翌年度予算編成前に国会の両院の承認を得ないでやるというようなことはない、必ずその事業計画に入ってくるということでいいわけですな。それならいいですよ。それならいいですけれども、全然事業計画に入ってないで、それで後、次の年度にかかって予算が提案される前にやってしまったということになると——これは明らかに現行法制の中にちゃんとあるんだから。その点はそういうふうに理解していいですか。
  59. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 第三者に多重をやります場合には、契約というのがまず先行するわけでございます。第三者団体ができまして、どういう形のものがNHKにアプローチしてくるか。そういう形で、多少時間はかかりますけれども、基本的にはやはりちゃんと入っておるべきものだというふうに考えます。実際問題としては、非常に急ぐというようなものもあり得るかもしれませんけれども、ともかく国会の御審議郵政大臣にお任せいただいたということの重要性をよく考えた上で、具体的な問題については対処してまいりたい、このように思っております。
  60. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これはもう具体的も何もないので、基本的に事業計画が承認されない限りは中途ではやらぬ、こういうふうにちゃんと確認しておかなければいかぬ。  そこで、時間が来ましたので、NHKについても今度これが義務化されますと、補完的なものであってもあまねく全国にやらなければならぬ。送信機をつくれば大体いまの全国の視聴者には通ずるようになると思うのですね。ただ、中継局の電波の出力を少し強くしないと、これには電波の減衰があるらしいですね。そういう点を注意していけばできるのじゃないかと思うのですね。したがって、各ローカルの場合も、NHKの場合はローカルについてはどうするか、全中と同じようにローカル放送もあまねく全部見られるようにしなければ、NHKの使命は達成できないですよ。そういうためにはかなり金もかかるでしょう。きのう十一億とか言いましたけれどもね。いずれにしても、そういう全体に視聴できるような体制をまずNHKはつくること。そして、そのためにはかなりの準備期間がないといけない。これは受像機の方についても、ちょっと時間がないので通産省呼んでいませんけれども、かなり実用化のための機械はできておる。普通のテレビの中に入り込めてある機械によって、三万円くらい余分に出せば量産もできる、こういうような話も聞いております。アダプターについてもそういうふうに準備はできておるようですけれども、要するに、全体の需要予測がどのくらいあるのか、まあNHKの場合だったら、見えるようにしてやっても、おれはそんなものは要らないという人がいるかもしらぬ。これは全部見てもらえるようにしなければいけないけれども、そういう人もいるかもしらぬので、需要予測というものをちゃんと立てて、そしてこのスタートをさせなければならないので、五十八年度と抽象的に言っておりますけれども、私は、そういった準備がかなり完了して、多重放送が有効的に国民のためになるような体制をまず確立した上でもってスタートしていただくように、特に希望しておきたいのでございます。  いろいろまだ質問したかったのですが、時間がありませんでこれで終わりますので、大臣、これは法律の公布の日から六カ月でやるということになっておりますね。ですから、その公布の日を十分考えながら、この趣旨が生かされるようなタイミングをよく見て実行に移すようにしていただきたい。最初の試みですから大変な困難もあると思いますけれども、ぜひひとつそれを克服して、この法律に基づいてりっぱに多重放送ができ、国民のためになるような方途を図っていただくことを、大臣に特にお願いし、決意をひとつ聞いて、それで終わります。
  61. 箕輪登

    箕輪国務大臣 数々の貴重な御意見を拝聴いたしました。その趣旨を体し、これから臨みたいと存じます。
  62. 鈴木強

    鈴木(強)委員 どうもありがとうございました。
  63. 水野清

    水野委員長 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。  次に、中井洽君。
  64. 中井洽

    ○中井委員 私ども民社党は、今回出されました二つの法案に基本的には賛成という立場でございますが、幾つかわからない点等、時間内でただしていきたい、このように考えます。  最初に、この法案が通った後、郵政省はどういうスケジュールで免許を交付をしていこうとお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
  65. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 この法案は公布後六カ月ということでございますけれども、当然それまでにも、この法を受けましていろいろな技術基準を決めるとか、その辺の私どもがやるべき問題がございます。それからまた、実際のことを考えてみますと、第三者利用等につきましては契約があるだろう、それから、実際に魅力のある番組ソースをつくる者が出てくるという問題があります。それから、当然受けてくれる人がいなければならないわけでして、メーカーの体制というようなものも必要になるわけでございます。そうした諸準備等で早ければ一年ぐらいから私どもの方に申請なり何なりが出てくるかなというふうに考えておりますので、一両年というようなことになるのかなと、こう考えておりますが、私どもといたしましての郵政省としてやるべき問題については、せっかく法案を通していただいたということを受けまして、誠心誠意できる限り早くやる、このように考えております。
  66. 中井洽

    ○中井委員 その場合に、既存の放送事業者がおやりになる補完的な文字多重、それから第三者利用、これの免許それぞれは、同時という形ですか、別々でもいいということになりますか。
  67. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 放送事業者自体がおやりになる特に補完利用あるいは独立利用の分もあるわけでございますけれども、その場合には、郵政省に申請をするという手続は必要でございますけれども、第三者というものが入りませんので、事業者自身がおやりになる特に補完的利用などは、私どもといたしましても早く希望しておるわけでございまして、多分そういう形になろうかと思います。
  68. 中井洽

    ○中井委員 NHK自身のこの文字多重を実現するためのスケジュールといったものはどのようになっておりますか。また、スタートする時点での費用、あるいは、いま鈴木先生のお話にもございましたけれども、全国的にこの文字多重放送が実現できる期間、あるいはそれにかかる費用、そういったものはどういうふうに計算をされておりますか、教えてください。
  69. 高橋良

    ○高橋参考人 スケジュールにつきましては、ただいま御審議中でございますこの放送法が改正されまして、さらに電波技術審議会の答申郵政大臣に出まして、省令、政令が定まってからということになるわけでございますので、前回御質問がございましたように、五十七年度の事業予算につきましては、研究整備費の中に入れてあるわけでございますが、これを実際に実施するという経費になるとどうなるかということでございますけれども、これも若干、きのう畑先生の御質問に対しまして誤解を招く点があったのじゃなかろうかと思いますので、補足させていただきたいと思います。  畑先生のきのうの御質問について、私、受け取りましたのは、きょう現在、イギリスのBBCがやっておるように、ロンドンで番組をつくりまして、それをイギリスの全土に同じ番組を出すという形、それをなぞりまして、東京でつくりました番組を全国で使えるように放送網整備をするとすれば幾らかかるんだという御質問を承ったものでございますから、建設投資額の直接経費でございます、つまり制作費、金利、減価償却費、運用費、保守費、これを除いた直接建設投資額として約十一億と試算しておりますということを申し上げたわけでございます。ただし、先生のいまの御質問お答えいたしますと、さらに、現在管内担当局、昔の中央局でございますが、こういうところに、七局あるわけでございますけれども、ここでもローカルがいわゆるブロック的に実施できるという考え方がございます。その次に、全国の県域の四十局でローカルをやる、こういう考え方もあるわけでございます。その辺を含めて御説明申し上げますと、管担局七局で管中を制作するという経費は約七億と勘定しております。それから全国県域四十局で将来ローカルもやるんだということになりますと、四十局分につきましては約四十億という試算をしているわけでございます。したがいまして、昨日御質問のございました約十一億というのは、いわゆる全中としてとりあえず東京で制作いたしまして、現在の放送網を利用して全国に同じ番組を流したときの直接建設投資額であるというふうに御理解賜れば幸いだと思っておるわけでございます。  スケジュールにつきましては、今年度研究整備費の中に入れてございますので、省令、政令が定まったならば、これを実験局でやるか試験局でやるかということも経営の中で判断をいたしまして、番組制作の問題もございますので、その辺についての運用費その他のシミュレーションもやった後でないと、これは全国的に及ぼしてまいれないだろうという判断をしておりますので、若干は東京の部分での実験から始まるのじゃなかろうか、私はそう判断しております。
  70. 中井洽

    ○中井委員 すでに五十三年から音声多重が始まっておるわけですけれども、音声多重が現在NHKとしてどのくらいの形で行われておるのか。大体音声多重の進みぐあいと同じような形でこの文字多重というものが進んでいくと理解をしていいものかどうか、その点についてお尋ねいたします。
  71. 高橋良

    ○高橋参考人 先生指摘のように、現在実用化試験局でやっております音声多重の放送につきましては、NHKのカバレージは、きょう現在で六〇%までいったわけでございます。ただし、先ほど申し上げましたように相当の経費もかかるわけでございますので、逐年単年度の事業計画の中で先生方に御審議賜って逐次拡大していく、それは受信機の生産並びに普及、その辺のかかわりも判断して決めてまいりたい、さように考えている次第でございます。
  72. 中井洽

    ○中井委員 大体現在の費用で計算をすると六十億近いお金が要ろう、こういうことであります。また、文字多重をやろうとすれば、かなりの人員等もここにお割きになるんじゃないか、こんな感じがするわけでございます。発想そのものもまたサービスとしてこういうことをやられることは非常にいいことであります。これがやられることによって、値上げの一つの材料にされないか、私どもはこのことを実は心配をするわけであります。また、後でも御質問申し上げますが、幸い投資等を幅を広げてできるという改正が同じく盛り込まれているわけであります。そういったことを利用して、直接的にこの文字多重というものをNHKの値上げの一つの材料にしない、こういったことをお約束いただけますでしょうか。
  73. 坂本朝一

    ○坂本参考人 いま御質問の、実施費とのかかわりにおいて受信料にはね返らないように約束してほしいという御指摘でございますけれども、現段階でなかなかそういうことを簡単に私の口からお約束するというのは、いささか不遜ではないかと思いますので、できるだけそういうことにならないように努力するというのが私の責任であるという、そういう認識は持っておるわけでございますけれども、しかし、やはり御要望に沿って実施するということが、ある意味では御納得いただくような形で御理解賜るならば、そういう受信料問題との絡みも将来において検討されるということまるきりございませんというのは、ちょっとこの席では申し上げかねると思いますが、基本的態度としては、先生の御指摘のような点を踏まえて検討していくべきであろうというふうには考えておりますので、御理解賜りたいと思います。
  74. 中井洽

    ○中井委員 先ほど補完的な文字多重の放送を、NHK中央で、そして地方局七つ、あるいは県域放送でやる、こういうことを言われたわけでありますが、再度確認をいたしますが、そうしますと、NHKの第三者利用の文字多重放送というのは、中央と地方の七つの局、そして県域、それぞれ別に行われる、このように理解してよろしゅうございますか。第三者利用の会社が別々にそれぞれの地域でつくられる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  75. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 NHKの設備を使って文字多重放送をやる第三者の法人、これを一つにするのか、各ブロックごとにするのか、あるいは各県域ごとにするのか、それは今後の問題として考えてまいりたいというふうに考えておりますが、その送り出します内容、これはやはり文字多重放送というのは、地域に密着した生活情報というふうなものが非常に重要な要素になるということは当然考えられます。ただ、生活情報、あるいはレジャー情報にいたしましても、近畿地方の人が北海道のレジャーの情報を得る、そういう必要もあるだろうというふうに考えますので、全国的な情報と、それからその地域に非常に関係の深い情報と、そういうものをミックスしてやはりそれぞれの地域で提供すべきではないかというふうに考えております。
  76. 中井洽

    ○中井委員 この法案を見たり、それから審議の中身を聞いておりますと、結局、NHKが第三者利用の会社と契約をなさる、しかしNHKの御性格やら何やらから判断をして、また、出資の対象枠を広げるという法案改正を含めて考えたときに、その別会社というもの、法人というものは、NHKが出資をする会社、これが一番いいんじゃないか、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  77. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 今度の法律改正で、NHKの設備を使用して文字多重をやる第三者、そういう者にNHKの施設を貸すことができる、そういう道が開かれるわけでございます。その場合に、たびたび申し上げておりますように、そういう第三者というのは、NHKの基本的な性格、使命、それから番組の編集の基本方針というものを十分理解して放送を行ってもらう必要がある、そういう第三者であるべきであるという考え方からいたしますと、その法人に対してNHKが影響力を持つ、そこに出資をしてNHKの影響力がそこへ及ぶ、そういう法人であることが望ましい、それでこの出資の条項についての改正も同時に行われているということであろうというふうにわれわれは考えております。
  78. 中井洽

    ○中井委員 これもまたきのうの質問の中で議論があったところでありますが、そういたしますと、第三者利用の多分NHKが出資をするであろう法人は、その経営基盤としてコマーシャルを取り入れていく以外にないと私は思うわけであります。また、このコマーシャルをNHKチャンネルイメージを損なわないような形で、たとえば地方公共団体とか国といったもののお知らせ的なものをコマーシャルとして扱っていく、それだけではとうてい足りない、したがってどうしてもコマーシャルを思い切って取り入れていく以外にないと、私はこの法案や審議を聞かしていただいて判断をしているわけであります。  そういたしますと、NHKチャンネルを入れて、文字多重の第三者利用チャンネルを押すとそこへコマーシャルが入ってくる。NHK自体にとって、これは大変新しいといいますか、大胆なイメージの転換を図らなければならないと思うわけであります。文字多重でありますけれどもNHKチャンネルからコマーシャルが流れるということは大変なことだと思うわけであります。しかし一方では、NHKの経営基盤あるいは受信料のあり方といったものを考えたときに、この文字多重をスタートすることによって思い切ってコマーシャルをやっていくということは大変いいのじゃないか、おもしろいのじゃないか、こんなふうに実は私は考えているわけであります。  大体そういうふうな理解の仕方をしながらこの議論をしているわけでありますが、それでよろしゅうございますか。
  79. 坂本朝一

    ○坂本参考人 その点は、正直言って非常に重要なポイントにわれわれも受けとめておるわけでございます。第三者に利用させるといって収入の問題を全く何も考えないでやるというわけにいきませんから、それではいま先生のおっしゃるような告知によって収入を得るということに当然なるであろう。それが無制限な形になれば、収入の面では確保されるかもしれませんけれども、それがNHKチャンネルから出てくるということになりますと、冒頭申し上げましたNHKチャンネルイメージあるいはNHKの従来のあり方等に非常に疑問を感ずるというようなことになりかねませんし、場合によれば、それが受信料制度そのものに、本来の総合テレビその他の受信料制度そのものに国民の御理解がはね返らないものでもない。放送法は、先生に申し上げるのは釈迦に説法ですけれども、受信料制度によって支えられるNHKと、広告収入によって経営する民放という、二つの大きなシステムで支えられている中で、NHKが両方にまたがるということは、ある意味ではかなり重要なポイントになるのじゃなかろうかというふうに思っておりまして、そこの点が一番大事な点だろう。しかし、何といっても基本的にはNHKチャンネルイメージなり何なりを損なわない、われわれとすればそこに問題の中心を置くべきであろうということでございますので、いまどういう形で広告収入を得たらいいのかということを真剣に検討しているということで、御理解賜りたいと思います。
  80. 中井洽

    ○中井委員 これまた先ほど鈴木先生の御質疑にもあったわけでありますが、今回の法改正で、NHKが第三者利用の会社に賃貸をする場合に両院の同意が要らない、こうなっているわけであります。そうしますと、私は、先ほど申し上げましたように、またいま会長から御答弁をいただきましたように、この改正で文字多重をやる、第三者利用の道を開くことによって、NHKの基本的な性格に係るコマーシャルの問題、ずいぶん重要な問題が出てくるわけであります。  NHKの長期ビジョンの答申の中にも、NHKというものは国民を代表する国会によってつくられたものだと理解すべきである、こういう一文があるわけであります。その国会において審議されることなしに契約等が完了するあるいは新しい方向へ行くということ自体、私は大変おかしなことではないかというふうに考えます。NHKがこの文字多重を始めることによってお選びになろうとしておる道というものについては、私は賛成なんです。しかし、その過程で審議ができない、その決定について国会が審議ができない、大変おかしなものになるんじゃないか。局長先ほど、現在審議をしておるのだ、こういうお話がございましたけれども、現在審議をしていると言ったって、それはこれから考えますとか仮定だとかそういう形でやればいいわけでありますから、そこのところは僕はどうも納得できないものがあるのですが、いかがお考えですか。
  81. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 国会の両議院の同意を要しないと申しますか、この限りでないという形になるわけですけれども、それは私どもといたしましては、先ほども申し上げましたけれども、事業計画の中で御審議いただけるわけでございますし、どういう考え方のもとにおいて郵政省が省令ないしは方針とかいう形で第三者との契約その他を妥当と認めるか、この辺につきましては、省令制定段階におきましてもいろいろな関係者等の御意見も徴する形になろうかと思っておりますし、その辺につきましての郵政大臣の恣意ということは十分排除できる、十分皆様方の御意見を反映しながらあるべき姿というものは出ていくであろう。ただ、非常に先取りといいますか、実際問題としていますでにあるものについて枠をはめようとする場合ですと、こういうことについての手当てができてないじゃないかというようなことが非常に具体的にわかるかと思いますけれども、御説明申し上げましたように何とか早くこの技術の成果を還元いたしたい。そのためには、一つの考え方としては実用化試験局というようなものもあるわけでございますけれども、これは、すでにおやりになっている事業者にある種の新しいことをやっていただく場合には実用化試験局でもよろしいわけですが、多重の性格を考えてみますと、特に第三者ということになりますと、その辺のお考え方をともかく決めておきませんと、第三者がどうなるのか、自分自身でやる分には、すでに免許を得ている事業者が自分の中でやる分にはそういうことも言えるかと思いますけれども、新しい第三の事業者というものを前提にしておきますので、どうしてもこういう手法をとらざるを得ない。それが早急に希望している向きにこたえるやり方である、このように理解しておるわけでございます。
  82. 中井洽

    ○中井委員 僕は頭が悪いのかもしれませんが、どうもちょっとぴんとこない面があるわけであります。僕はこれは本当にNHKのあり方にとって大変なことだと思うわけであります。NHKが出資をする別会社が文字多重をやって、そしてそこがコマーシャルをとれる、またそのコマーシャルで経営基盤をやっていかざるを得ない、こういうことになると思うのです。そうしますと、見ている方から見れば、NHKがコマーシャルをとっておるという認識を持つわけであります。また、逆に言えば、たとえばその第三者の会社もNHKがある程度の株で出資をする、しかし残りの株をNHKはこれまたこれから出資できるであろう、あるいはまた、きのう畑先生、西村先生から、出資をすべきだ、こう言われた関連十何社の会社に全部持たせて、全くNHKの子会社という形でその第三者会社を経営しようと思ったらできるわけであります。そういう形になったときに、これは世間はこのコマーシャルというのはNHKがやっておる、こういうふうになると思うのであります。私自身は、文字多重でどんどんコマーシャルをとればいい、民放のコマーシャルとの、経営基盤の関係もあるでしょう、やればいいと思う。これから若い世代がどんどん中心になっていく、そうしたときに、それらの世代の人たちは、初め放送においてあるいはテレビにおいてNHKしかなくて、受信料を取ってやってきたんだということを知りませんから、もうテレビやラジオにコマーシャルがあるのはあたりまえだと思って育ってきた世代がいっぱいおりますから、これからは先取りという意味ではいいかもしれませんが、現在のNHKに対する国民の感覚からいけば大変な議論になってくる、このように思うわけであります。この後、利用計画等で御承認をいただく、こういう話でありましたけれども、それはすでにもう契約を終えてやってきた場合の話であろうかと私は思うのであります。  したがって、第三者利用の会社と契約をする、こういう形でやるんだという場合に、やはり事前に国会において十分な審議ができる、あるいは議論をできるということをぜひお考えをいただきたいと思うのでありますが、電波局長、もう一度御答弁をお願いいたします。
  83. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 具体的にこれを施行されるということになりましたときにどういうことになるだろうかということでございますが、結局、設備の貸与、譲渡に当たりまして、現在のところ、非常にきっちりとと申しますか厳格に書いてあるわけでございますが、多重をやる、第三者が利用して、たとえばある地方におきまして第三者ができましてそちらに契約させる、そういたしましたときに、いまの規定では、そのある地方といたしましたときに、それぞれの設備を全部あげるといいますか、ある県一つとりましても、NHKの場合、中継局でも百数十局あるわけでございます。それを多重いたしますときに、全部の機械を使う形になるわけでございますが、現在のところの規定につきましては、その百十局なら百十局ある県にある、そうした場合に、それを全部、いまのところそのまま解釈いたしますと御審議いただかなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、その辺のことが、仮にある年度におきまして、四国なら四国、愛媛なら愛媛というところにおきまして多重を始めるということがNHKの事業計画の中に出ておれば、その会社はどういう会社なんだというようなことは、またNHKといたしましても、年度のうちでこういうところを計画していますといったときに、ある種の第三者というものができておってほぼ契約に近い形になってないと計画として出せないと私思うわけで、ということは、裏返しにしますと、その段階において、どういう性質の第三者と契約しようとしております、それはどういうものなんだ、新聞社はどこか入っているのか、あるいはNHKは何%出資するのか、あるいはここにこういうものが参入しようとしているけれども、それはどういう個人でありどういう団体なりか何なのかということは、その事業計画の中で十分御審議いただけるのではないだろうか、このように考えておるわけでございます。  そうして、そうしたことが説明された後で、ある時点におきまして、まあ通常三月までに御審議いただくわけですね、五月になりあるいは六月になる、場合によっては少し詰めが遅くなって十月ごろ郵政大臣の方に出てくるかもしれません。そのときに、一つ一つ両議院の御了承を得なければいけないといたしますと、国会が開かれていないというようなこともあり得る。その辺を配慮した意向でございまして、先生方の御審議を軽視するというか、そういうようなつもりは決してないわけでございまして、あくまでも国会の御審議を得たものについて、その年度において郵政大臣が個々の設備の貸与、譲渡等についての行為をお任せいただきたい、こういう趣旨だと私は理解いたしておるわけでございます。
  84. 中井洽

    ○中井委員 時間がありませんので、一応御答弁を了解して、次へ進ませていただきます。  NHK以外の民放の第三者利用ということに関しても、いまNHKがお考えになっているような形とほぼ同じような形で契約というものが行われる、こういうふうに理解をしていいわけですね。すなわち、第三者利用の会社にほとんど既存の施設を貸す放送会社が出資をしていく、そういうことになるであろう、こういう形で理解をしていいのか、それとも、全く既存の放送事業者が資本を出していない別の会社との契約というもの、そういったものを認めていく御方針なのか、どちらでございますか。
  85. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 すでに免許を得ております一般放送事業者が、どういう形の文字多重放送会社、第三者に対して、どのような形になるかということでございますけれども、この多重の実際面を探ってみますと、どうしても、すでにある放送事業者の設備を借りなくてはいかぬという技術的制約があり、そういう観点からいたしまして、既設の放送事業者と契約をした者、それが私ども郵政省の方に多重放送事業者として申請をしてまいる、こういうことになりますので、性格上すでに免許を得ております放送事業者の意向というものが大きく働くということは、これはどうしても無視できないと思います。ただ、その放送事業者が自分がやるという形を出すか、いやその辺はもう別にできた手段なので任せるよ、契約内容さえ、条件さえよければいいんだと、その辺もある程度自由になろうかと思いますが、私どもといたしましては、こうした趣旨で第三者利用、物理的にはその設備を使わなくてはいけないのだけれども、あえて第三者に道を開こうとする意図は、やはり既設事業者のマスメディアの集中を排除といいますか、より多くの情報提供者といいますか、マスコミに参入する方々を広く求めたい、こういう趣旨でございますので、おのずから制限があるという二面がございます。  したがいまして、既設の放送事業者がその新しい会社に投資をするという、ある程度自分のところでやりたいという形のときには、まあ適当な比率というもので、昨日も実は御高承のとおり三〇%というような数字もでましたけれども、そんなような形、あるいは新聞社というものがお入りになるという意向を表明されたとしましても、やはりその辺も適当な比率というものがあり得るのではないだろうか、このように考えておる次第でございます。
  86. 中井洽

    ○中井委員 いま御答弁で、放送施設を貸すということで、どうしてもそれが既存の放送事業者が入らざるを得ない、こういう話でしたけれども、私はもう一つ別の観点があると思うのです。  それは、たとえば全く別会社なら別会社にやらす、こうしたときに、民放の現在行われておる放送を見ておって、コマーシャルになったら国民は文字多重に変えちゃうと僕は思うのです。そうすると、表の一般放送のコマーシャルの価値というものが非常に下がってくる。そういうものをチェックし、そして民放会社のコマーシャルというものが価値をなくさない、あるいは料金というものが減らないという形にしようと思えば、その会社が契約をするわけですから、どうしても関与する形が出てこざるを得ない。持ち株の比率を制限する、そういった形での行政指導なり何なりをおやりになる、こういうことでありますが、株で指導したって、たとえば二〇%なら二〇%、三〇%なら三〇%としたって、ほかの株主をそれ以下に抑え込んでしまえばやはり一番影響力を持つ、こういうことであろうかと思うのです。それはそれで一つのやり方でありますが、そうした場合に、余りにも既存のテレビ局というものが集中という形になりはしないか、そのことを実は心配するわけであります。  テレビのチャンネルに関してのいろいろな争い、あるいは醜い話等を私ども往々耳にするわけであります。そういったことと関連して、郵政省は、これから出てくるであろう契約の計画等に対して、どう対処されようとするのか。基本的なところをお聞かせをいただきたいと思います。
  87. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まさに先生がただいまお聞きになりました観点から、私どもといたしましては第三者に開放しよう、逆にそれをやらないと、物理的にすでに設備を持っているところがやらざるを得ないわけです。したがいまして、第三者を認める、そしてそれを実効あらしめようということかと思います。  いまちょっと御質問にはなかったのですけれども先生がおっしゃられました、ちょうどコマーシャルの時間になったときにそちらの方のボタンを押す、そういうようなことは、私どもでもやはりあり得るなというようなことは話題になりました。そうすると、やはりその辺、お互いに同じコマーシャルに財源を求めるということになりますと、ちょうど現時点でもある程度、あれは協定じゃないと思いますけれども、民放各社も、やはり三十分なり十五分なりのところはどこをひねってみてもコマーシャルになっている、そういうようなことがございますので、やはりお互いの立場を尊重するということになりますと、本来の放送事業者と、多重を乗せた方とも、同じようにその時間にコマーシャルにするというようなことがあり得るかもしれないな、協調の問題だというふうに思っておるわけでございます。
  88. 中井洽

    ○中井委員 重ねてお尋ねをいたしますが、大変な技術革新によって、私どもが小さいころには夢のように考えておったいろいろなものが実現をしてくるわけであります。これからもいろいろな形でマスメディアの媒体というものがたくさん出てくると思うわけであります。そういうものを郵政省が許可をしたり免許を与えたりしながら整理をしていく、それはそれでいいわけでありますが、そういったときに、マスコミの集中排除という問題と、それから既存の郵政省が免許をお与えになったいろいろな機関、それらの経営基盤、こういったものとどういうふうにバランスをとっていこうとされるのか、私は大変むずかしい問題ではないかと思うわけであります。  この文字多重一つをとりましても、現在は二つのチャンネルということでおやりになるけれども、まだまだあいているチャンネルがあって、これに新しい免許を与えていく。大変なことだと思うのです。そういったものをどういうふうに整理をしていこうとするのか。特に免許をお与えになったいろいろなマスメディアの経営基盤というものを、郵政省は新しい免許を与えるときにどういうふうに考慮されるのか。いや、それは免許を与えただけで、経営努力はそっちでやるのだ、こういうことであるのか。そういったところの基本的なお考えを、ひとつ最後に大臣から御答弁をいただきたい、このように思います。
  89. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 申しわけございませんけれども、ちょっと……。  先生大変むずかしい御質問でございまして、私どもも結局、財源と申しますか、コマーシャル、そうしたものが日本全体でどういう経済成長のもとにどういう線を引っ張っていくのかというようなことも関係がありますし、また、放送事業者の場合、一般にある限定された地域を基盤にし、マーケットにいたしまして、実際に営業をしておるわけでございます。先生ちょっとおっしゃいましたように、郵政省としては、その辺はそれぞれの各事業者の御努力を期待するばかりだ、そういう面が非常にございます。ただ、しかしながら、すでに私どもやってまいりましたテレビの各地域におきます置局をだんだんに置いてきておる考え方、これは当然地方の方も中央の方もできるだけ情報の格差をなくすべきだという台本はあるわけでございますけれども、そうは言いながら、やはり現実には大抵のところは、一般的に言いますと、各県域二局でございますし、その辺についてだんだんに近づけておる。その際に、すでにいろいろな経営的基盤というものも考えておりますし、その地方におきますコマーシャルの打ち方というようなことを考えておるわけですが、つまり、一定の尺度というものは、過去におきます成長度その他黒字の度合いというようなものを考えながら、徐々に、普及といいますか、国民の要望にこたえていっている、このようなことでございます。ただ、それで満点かということになりますと、いささかそう言えない面もあることは考えますけれども、かなりの程度においては、いまのところ百十八社ございますけれども、それなりのことを考えながらうまくやっていっているというふうに御評価いただければ大変ありがたい。ただ、基本的に、新しいマスメディアの開発がありましたときに、それを還元するのも一つ大きな責務でございますので、先生指摘のようなことも考えながら、徐々に実現に向けていきたい、このように考えておる次第でございます。
  90. 中井洽

    ○中井委員 時間ですので、最後に要望だけしておきます。  文字多重が出ることによって新しいメディアが誕生する。その中で、NHKにおいても既存の民放放送事業者においても、第三者利用というものの道が開ける。そして、その中に資本参加をするということで、新しいメディアといまのメディアとがうまく共存共栄できるようなことをお考えになっていらっしゃる。しかし、振り返って考えてみますと、テレビとラジオということに関したら、なかなかラジオなんかにおいても押されっぱなしで経営の苦しいところもある。ラジオにおいては、テレビを兼ねてやっておるところもあれば、ラジオ単独でやっておるところもある。そういう形で郵政省の行政を見ておると、ときどき混乱をされているのではないかなという感じが否めないわけであります。国民にとっても大切なマスメディアをどういう形で整理していくか、そこのところをひとつ十分お考えをいただいて行政をおやりをいただきたい、このことを御要望いたしまして、質問を終わらしていただきます。
  91. 水野清

    水野委員長 これにて中井洽君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  92. 水野清

    水野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法等の一部を改正する法律案及び電波法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を続行いたします。村上弘君。
  93. 村上弘

    ○村上(弘)委員 最初に、文字多重への関心度と法改正関係についてお聞きしたいと思います。  八〇年代はニューメディアの時代、こう言われておりますし、文字多重もそのうちの一つだろうと思うのです。今回の法改正が、文字多重を実用化するために備えるということにその主眼の一つがあると思うのですが、しかし、国民一般の関心度は大変低いのではないか。ところが、法改正は大変手っ取り早い。前回私はここで、都市難視聴解消の制度化、立法化をやるべきじゃないかと郵政大臣に要望したわけですが、こっちの方はとんと進まない。しかし、文字多重に備える法改正の方は大変手回しが早いという印象を受けてくるわけです。もちろん、文字多重の放送それ自体は、たとえば聴力障害者の方々が切実な願いを持っておるということはよく承知しておりますし、先般も同僚の藤原委員もこの委員会で取り上げました。全日本聾唖連盟からもたびたび請願が出されております。しかし、全体としては文字多重の知名度や関心度は大変低いのではないかと思いますが、その状況について掌握しておられたら、お聞きしておきたいと思います。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕
  94. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 私どもの方に、放送多様化の調査研究会議というのがございましたわけですけれども、この中での検討資料といたしまして、アンケート調査を甲府市と東京二十三区で行っております。その資料を御紹介申し上げたいと思いますけれども、文字多重放送についての関心度は、甲府では三三・五%、東京では二一・七%というふうになっており、知名度でございますけれども、甲府では一三・五%、東京では一二・九%、こういう形になっております。
  95. 村上弘

    ○村上(弘)委員 甲府で三三・五%と言われましたけれども、中身を見ると、実用化されたらアダプターを購入したいというのは、甲府で五・五%、東京で三・三%、こういう状態なんですね。しばらく様子を見てからというのが、甲府で二八・〇、東京が一八・四、こういうわけで、いまその両方足した数字を言われたように思うのですが、いずれにしろ大変低いと思うのです。  私は、障害者の方々の要望にはすぐこたえるべきだと思うわけです。しかし、それは実験放送で対応できるわけですから、障害者の方々のためにも実験放送は行うべきである、そう思うのですね。しかしながら、法改正だとかルール化の問題については、そういう実験放送などを行ってよく浸透した段階で、その状況もよくつかんだ上でルール化というようなことが日程に上ってくるのではないか、こういうふうに思うわけです。  ただ、私、勘ぐりかもしれませんが、いま文字多重の実用化を一番強く要求しておるのは、実は電子機械工業会などのメーカーサイドではなかろうか、こう思うのですね。五十一年ごろからカラーテレビの出荷台数などが大変低迷しておりました。しかし、音声多重型のおかげで五十五年は過去最高の出荷、六百八十五万台を記録しておりますが、その裏には、これは電子機械工業会の言い方ですが、多重放送は業界活性化の起爆剤、そう言って、業界ぐるみの運動を展開してきたと思うわけです。ある意味では、まさにメーカー主導、視聴者不在の文字多重化ではないのか。これは音声多重のころも文字多重問題を控えたいまも、そういう点では変わりがないのではないか。  ですから、実験や研究をもっとやって、そして、先ほども言われた調査研究会議報告書やいままでの音声多重の実験結果なども含めて広く論議を起こして、問題点も明らかにして、その上でルールの問題や法改正の問題をやっても決して遅くはないのではないか。まるでどこか密室で用意しておいて突如出してきたという印象を一般の人は受けておるのじゃないかと思いますが、なぜそのように法改正を急ぐのか、この点をお聞きしたいと思うのです。
  96. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 文字多重放送についても、これを普及する手段としてステップがあるだろう、音声多重放送を現に実用化試験局でやっているじゃないかというようなことかと思いますけれども実用化試験局というのは、実用に移す目的で試験的に開設するものでございまして、それは当然そのままでの実用化を予定するという形になるわけでございます。ただ、音声多重の場合、乗せられる番組というのはいまのところ一種類である。ところが、文字多重の場合にはいろいろな形の番組が送れるということで、第三者利用というのが非常に表面に出てまいったわけでございます。そうすると、従来とかなり違った対応、つまり従来の事業者そのものも、補完利用等も含めまして独立利用を考えてよろしいわけですけれども、いま一つ第三者利用という形態が十分考えられる。そうすると、将来のあり方といいますか、法によりますはっきりとした規定がない不明確な段階におきまして、たとえば実用化試験局というふうなスタートで始めますと非常に混乱を来すというようなことで、文字多重放送には第三者ということで新しい放送事業者も出てくる。そうなると、実施する以上はどうしても法改正が急がれるというようなことでございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕 また、先生もおっしゃいましたように、耳の不自由な方の要望を考えまして、ともかく急ぐべきである。先ほど出ました放送多様化会議におきましても論議されているわけですけれども、実態としましては、むしろその報告書が出るのを待ちかねたような形で、非常に急いで私ども御提案申し上げているということでございます。
  97. 村上弘

    ○村上(弘)委員 いろいろ言われましたけれども、なぜ法改正を急ぐのかというポイントがどうもよくのみ込めませんでした。障害者の方々の要望にこたえるべきはもちろんなんです。だから、実験放送をやるということは必要だと思うのですね。だけれども、それは必ずしも法改正を必要としないし、第三者利用の問題やいろいろな問題があることは明白なんです。であればこそ、その内容がいかにあるべきかということを広く深く検討することが必要であろうと思うのです。  そこで、私は、もっとよく研究検討する必要があると思う点を幾つか個別に聞いていきたいと思うのです。  まず第一は、文字多重放送の伝送方式の問題です。どういう伝送方式を採用するかということによって、いま言われた実施主体、第三者利用の問題や放送内容の面でも非常に大きな違いが出てくると思うのですね。ニューメディアそれ自体がつまり新しい技術であり、それが新しい対応を求めてきておるわけですから、伝送方式の技術にどういうものを採用するかということは、まさにそれへの対応の形も変わってくるということになるのは当然だと思うのですね。  いま、市民ラジオは免許を必要としない法改正が出されておる。これも一つの、社会的と同時に技術上の発展というものがあると思うのですね。ですから、この文字多重の伝送方式はどの方式を採用するのかということ自体は、改正される法案の体系や内容に非常に大きく影響するだろうと思うのです。  現在パターン方式やコード方式、あるいは両方式併用のハイブリッド方式などが研究されておるようですが、それぞれの方式の特質や内容、これは後で聞きますが、どの方式でやるのかということについて、まだ決めていないらしい答弁があったようですが、決めておるかどうか。それはどういう手順でいつごろ決めるつもりなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  98. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ただいま御提案して御審議いただいております法案の中におきましては、文字多重あるいは音声多重についての道を開くという形で、いま先生が申されました文字多重の、パターン方式でいくのかコード方式でいくのかは決めた形で出しておりません。しかしながら、始める以上、当然方式というものを決めなければ実施はできないわけでございます。私どもといたしましては、現時点におきまして、五十六年三月の電波技術審議会におきまして、パターン方式につきましては答申をいただいておるわけでございます。電波技術審議会方式という形で御答申をいただいておる。また、コード方式についても、非常に特色があるということで、並行いたしまして昭和五十五年度から電波技術審議会の場におきましてコード方式についての審議も続行されておるわけでございまして、その辺につきましての御審議を急いでいただいておる、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、そういう形で、コード方式につきましては三年程度はかかる、こういうのが実情でございますので、私どもといたしましては、この法案を通していただきましたならば、諸準備を進めまして、法案のほかに、番組をつくる側での準備、あるいはメーカーの側での準備等々もございましょうけれども、早ければ一年ないし二年程度でスタートいたしたい。そうすると、その時点においては、まだコード方式はいま三年かかるということでございますので、実態としてはパターン方式で先行する、こういう形になるわけでございます。そういたしました場合に、少し先回りした御返事になるかもしれませんけれども、コード方式の特色というものをどうするのかということになろうかと思いますが、たびたび御審議でも出てまいりましたように、私どもといたしましては、簡単に言えば、パターンとコードの両方の併存方式というものを前提にしておる、そうして、先行して投資したパターン方式を買った方々に御損のないような基準が決められるはずだ、そういう形で電波技術審議会の諸先生方にもお願いしておる、こういうことでございます。
  99. 村上弘

    ○村上(弘)委員 とりあえずパターンでスタートする、そして三年くらいたったらコードに切りかえていくということになるらしい答弁をいま承ったわけです。これはいろいろな相当の問題を含んでおると思うのです。  まず、切りかえていくということになれば、先回りして答弁されましたけれども、視聴者の方から見れば新たな負担をしなくちゃならぬわけです、メーカーの側は二重もうけになるかもしれませんが。こういう問題がまず出てくると思うのですね。  それとあわせて、私、非常に重大だと思うのは、新しいメディアというものを考える場合、全体としては電波利用の可能性が非常に広がっていくんだ。したがって、電波に対する規制という側面は緩められていくという傾向になってくる。これは外国でもそうで、ディスレギュレーションという言葉が共通して言われているように、規制緩和というのが時の流れになっていくと思うのですね。しかし、パターンでいくかコードでいくかによっては、利用の可能性の範囲というものに相当の開きがある。ですから、この内容は方式によって相当左右されてくるということが言えると思うのですね。ですから、パターンとコードの違いというものをよく吟味する必要があると思うのです。私はそういう点では素人でありますけれども、パターンでは一H、ワンホライズンですか、それで十番組活用できる。コード方式では一Hでその十倍、百番組が可能である、こういうふうに聞くわけですねハイブリッド方式を考慮しない場合に、この二つの方式の一番の違いは、一方は十番組、他方はその十倍の百番組利用の可能性の違いがある、こう言っていいと思うのですが、その点はどうですか。
  100. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ちょっと補足させていただきますが、先ほど私パターンで導入してコード方式に切りかえていくと申したのでしたら、ちょっと訂正させていただきたいわけですが、パターンで始めまして、それにコンバーティビリティーを持った形でコード方式が導入できる。その時点及びその以後におきましては両存するわけでございます。したがいまして、従来それまでにすでにやったパターン方式というものがあったといたしますと、それがむだになるわけではない、このように御理解をいただきたいというふうに思います。  それから、いまパターンとコードの特色でございますけれども、確かに、パターン方式に比べましてコード方式は、情報量としては五ないし十倍の量になるというふうに言われております。ただ、もうちょっと申させていただきますと、パターン方式は、何度も申しますように、漢字等非常に多種あるいは複雑な文字や精細な図形を容易に伝送できる、そして雑音等の影響も少ない、それから受信側の処理が非常に容易でございまして、比較的安いディジタルメモリーと申しますか、そうしたことが利用できるということで、象形文字を使っておりますわが国などにとりましては非常にいいんじゃないか、このように考えておるわけでございます。  コードでございますけれども、パターン方式に比べて五ないし十倍の情報量を送れるということが言われておるわけですけれども、やはり最近でも、ビル陰障害とかあるいは反射障害というようなものが出てきますと、受信条件のよくない地域では文字誤りが発生しやすい。非常に基本的にといいますか、誤っているかもしれないという予測を与えるのじゃなくて、全然予測できないような誤報を与えるということで、聞きますと、イギリス等々におきましても、こうした問題で非常に誤りが多い。誤りが多いとなると、それを修正するためにダブルチェックが必要になるわけです。そうすると、いま言われておる五ないし十倍というのは、誤りを訂正するために情報を食うというようなことで、必ずしも五ないし十になるとは限らないというふうにも言われておるわけでございます。それから、当初の導入に当たっては、受信側の文字発生器というもので、パターンに比べますとかなり額の高い受信端末といいますか、そういうものが必要であるだろう。  いずれにいたしましても、パターンとコード方式と両々相まったハイブリッド方式と申しますか、そうした形での導入を考えているわけでして、そうしたことが不可能であるならば、電波技術審議会は数百名の方々が御参加いただいておる権威のある審議会でございます。そこにはいろいろな立場での方が入っておるわけでございまして、そういう場において公正に十分審議されるべきである。当然技術者といえども先ほど申しましたように、早く導入して損失を与えるというようなことがいいわけがない、そういう算段を十分なさる方々がおいでになるので、私どもとしましては、技術的な問題につきましては電波技術審議会のそうした場において御審議をお願いしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  101. 村上弘

    ○村上(弘)委員 局長は、パターンのメリットとコードのデメリットをそれぞれクローズアップして、ある意味では、誇張とは言えぬかもしれぬが、強調されたように思うのですけれども、しかし、先ほどの答弁では、コード方式は三年もすれば一つの技術上の結論も出せる、解決も可能である、こう言っているわけですね。しかも方式決定がここ二年ぐらいのうちだと。わずか一年の違いでなぜそんなに一方の側からスタートするのか。しかも、いま半導体の技術力が相当進んでいっているわけで、その間にパターンのアダプターその他がそのままで両用できるようなかっこうになるかどうかよりも、もっと違ったものになる可能性も相当出てくるわけで、買いかえの不安というようなものは決して国民は捨てないだろうと思いますね。いろいろな問題があると思うのです。  そこで、私は、このパターンに比べて十倍の番組というか、別の言葉で言えばチャンネルと言ってもいいと思うのですが、その可能性を持っておるこのパターンとコードとの比較が、実際にはどういう違いを生んでくるかということについて聞いてみたいと思うのですが、現在東京ではNHKの総合と教育、それから日本テレビ、TBSテレビ、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京、七局あるわけですね。各局が二十一H中当面二Hずつを文字多重に利用する、こういうことになっているようですが、そう考えていいのかということと、将来は各局何Hぐらいまで利用していくことになると考えておりますか。
  102. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 垂直帰線消去期間におきます裏返しのチャンネルの空きチャンネルを有効に使うということでございますが、局の運用のために使っている部分を除きまして、現在のところ仰せのとおり二H、番号で申しますと第16Hと第21Hが文字多重放送に使えるということで、電波技術審議会の答申も得ておるわけでございますが、ただいまもう少し使える部分があるということで、10Hから15Hですから六つですね、六Hです。そうすると、いま使える二つの16Hと21Hを合わせまして八H分が文字多重放送のために使える期間と申しますか、そういうふうに考えております。
  103. 村上弘

    ○村上(弘)委員 そうしますと、当面一局二Hとして、パターン方式の場合でいきますと一Hが十番組として、別の表現で言えば十チャンネル、この方がわかりやすいですから。そうしますと、一局で二Hですから二十チャンネル利用できるわけですね。そうすると、東京では百四十チャンネル利用可能性があるわけですね。一チャンネル一社が第三者利用というかっこうになるとすると、東京だけでも百四十社の利用可能性があるわけですね。ところで、実際には外国なんかではすでにそうらしいが、一チャンネルも時間利用、朝使うとか午後だけ使うとかいうようなこともあるわけですから、この第三者の参与の幅というのはもっと広がるだろうと思うのですが、技術的にはそういう可能性があるということについてどうかということと、今度の改正案の補完的利用の場合一体どういうことになるのかということですが、一局二H利用できる、そのうちの一Hは既設局が補完的に利用する、つまり十チャンネル分は既設局が補完的に利用するという考えなのかどうか、それはどうですか。
  104. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 二つ御質問があったと思いますけれども、十チャンネルというような言い方をなさいましたけれども、十番組で一つのチャンネルといいますか、テレビチャンネルで二十番組送れるわけで、東京の場合なら七局テレビ放送局がありますわけなので、それへ掛けますと百四十というような数字になるなというのはそのとおりだと思います。  それから、次に、一つのテレビに乗せます十番組と十番組、こういう形で二十番組あるうちの十番組、Hで分けるのがぐあいがよろしいので、一H分は放送をすでにやっておられます既設のテレビ放送事業者がお使いになる。それから、ただいまのところは何分にも二つのHですから、もう一つのHは、新しく参入する第三者と申しますか、多重放送事業者が一H分お使いになるのがいいんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。  ところで、本来使うものにつきましては、これはやはり補完利用ということになりますと、新しい事業者にそれをやってもらうということよりも、すでにやっております番組自体を補完し豊かにしあるいは字幕をつけるという形でございますので、当然既設の放送事業者にお願いするのがよかろう。その場合に、そうしたものに使う番組数というのは、補完というのは二つか三つであろう。そうしますと、あと七つないし八つの番組が残るわけでございます。そうしたものについては放送事業者自身の工夫におきまして独立利用もお考えいただいたらどうか、このように考えておる次第でございます。
  105. 村上弘

    ○村上(弘)委員 一Hは既設局だが残った分は第三者利用にさせてもよい、させるかさせぬかはしかし既設局の腹の中にかかっておる、こういうことにもなると思うのですね。  さて、この問題は、コード方式の場合には非常に大きな意味を持ってくると思うのですね。一局二Hですから、一Hが百チャンネル、まあ百番組でもいいですが、百チャンネル、合計二百チャンネル利用可能なんですね。そうすると、東京でいくと、七局ですから千四百チャンネル、別の言葉でいけば千四百社の参入の可能性があるのですね。それでいくと、先ほどの将来展望から言えば八Hまでは利用可能性があるんだ、こういうわけでしょう。そうしますと、将来のことも考えますと、東京では七局で八Hまで使うとするならば五十六Hが利用可能であって、合計五千六百番組もしくは五千六百チャンネルの大変大きな利用可能性が出てくるわけです。五千六百社と言ってもいいのです。これはもう電波放送界の姿が大きく変わっていく、技術の進展そのものがそういう状況をつくり出す、こういうことが言えると思うのですね。  電波は万人の共有財産である、これが戦後の電波法の基本概念、つまり万人の電波利用の自由ということをうたってきたと思うのです。それを基本に据えた。しかし、これはいまやもう単なる理念ではなくて、実際に万人利用の可能性が開けてきておる、こういうことも言えると思うのですね。そういう将来展望を考えると、いまの法改正の概念、考え方では、全くはみ出してしまうのじゃないか。それをまるごと、まあ半分は既設局に、これは八Hの場合は別としても相当の部分が既設局に補完的利用、こういう関係になってくると思うのですが、そういう点に対応したものとして出してきておるのですか。
  106. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まず、番組という形で私お答えしているわけですが、一Hにつきまして十番組程度というものが送れる技術的能力があるそうです。その内容を見てみますと、百二十字程度のビラ、これを一番組と考えた場合に十枚ぐらいのビラが入れられる、こういうことでございます。まあ号外程度の、新聞にもいろいろ広告が入っておりますけれども、その程度の、八掛ける十五の百二十文字程度のビラが一Hについて十枚入り得る、こういうことを申し上げたわけでございます。  それから、次の、六Hの可能性というものも、技術的にはまあ可能性があるというふうに申し上げましたわけで、その前提は、現在普及しております一部のテレビだとぐあいが悪い、つまり相互に混信が起こるというようなこともわかっておるわけでございますけれども、そうしたものが解決されて答申が出たとき、可能性としてなお二Hに対しまして六Hの開放の可能性があるということを申し上げたわけでございます。  それにつきまして、八Hとしましたときに、それに二十を掛けたり百を掛けたりするわけでございますけれども、それはやはり原則的に申しますとビラ程度のものがそれだけの枚数入れ得るということを、先生が現実的可能性はどうかとおっしゃいましたので、そのようにお答えしたわけでございまして、それだけの会社というようなものについて私お答えしたわけではないわけでございまして、現実の問題として、あしたと申しますか、この審議を経まして施行する段階で二H分だけでスタートする、そうした場合には、一H分は旧来の会社に、もう一H分については新しい会社に、こういうことを申し上げたわけで、あと六Hが開放され使えるようになった時点その他については、番組の送り得る可能性の数を申し上げた、そのように御理解いただきたいということでございます。
  107. 村上弘

    ○村上(弘)委員 既存局が相当のいわば占有の条件を持つということには変わりないと思いますし、それから、技術的には相当広範な利用の可能性が開けてくるということも明白であるわけですね。そういう問題をパターンとコードの違いははらんでおるにもかかわらず、パターンでスタートするということはどうも理解しがたい。  TBSの「調査情報」の三月号を見ますと、NHKや民放や学者などが座談会をやっていますね。その中で、フランスの例を挙げて、フランスのテレビの方式を最初PAL方式でスタートしたけれども、SECAM方式が決まってからもPALの方式を続けなければならないというむだがあったというようなことも紹介されておりますが、技術上のこういう大きな違いは、繰り返し言いますが、利用者にとってはむだを生み、さらには実際の利用の可能性の問題では非常に大きな違いを生み出してくる。にもかかわらず、パターンでスタートするという点は、どうも理解しがたいということを言いたいわけです。  その点、もっとコード方式の利用の可能性の技術的な詰めをやることを先行させるべきじゃないかと思いますが、どうですか。
  108. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先ほどから申しておりますように、コード方式、パターン方式、それぞれに特徴があるわけでございまして、すでにパターン方式の審議の途中におきましてもコード方式の長所というものは十分審議されたわけでございまして、私どももそれなりに早く御審議いただくようにお願いしておるわけでございます。何もパターン方式についてだけ先に御審議をお願いしたということではなくて、そのむずかしさがある、そういうことで、現在時点におきましてコード方式の表示方式あるいは符号誤り訂正方式については研究すべきである、そういう形で御審議いただいているわけで、早急な御審議をお願いして、どうでしょうかと聞いてみますと、二、三年という方と、三、四年、こういうふうな方がいらっしゃるということでございます。私ども、できる限り早急に御結論をいただきたい、このように考えておる次第でございます。
  109. 村上弘

    ○村上(弘)委員 二、三年が三、四年になったりしますが、NHKの技研などの話では、一、二年で結論が出し得るというような論もありますね。一説では五十八年度だとか科学万博に間に合わせるためだとかアメリカ筋の動きだとかいろいろなことも言われるわけですね。ですから、私は、繰り返し言いますが、将来に禍根を残すことのないような対応をやるべきだということを強く主張しておきたいと思うのです。  そこで、第二点の第三者利用の問題ですね。この側面からも、コード方式とパターン方式の両面とのかかわりも含めて聞いてみたいと思うのですが、今回の改正案は、東京で当面少なくとも二Hでいったとしても、千四百番組あるいはチャンネル利用の可能性があるわけですね。そうしますと、これを既存の放送局の枠の中に事実上閉じ込めるような法改正の考え方であってはならぬということを強く思うわけです。五十一年の多重放送に関する調査研究会議報告では、多少とも電波利用の自由という考え方に立って、放送設備の第三者への提供の義務づけという考えがあったわけですね。そうして、その報告では、大体第三者利用の態様として、処分方式、強制契約方式、折衷方式の三つの方式が出されておりますが、今度の改正案の場合はこの三つの方式のどれに当たると考えたらいいですか。
  110. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 五十一年の多重放送に関する調査会議の御報告で、第三者利用の道を開くためには設備提供の義務づけ等の法的な問題がありまして、この点につきましてより実務的な観点からの検討を重ねるべきだというような旨の御提言をいただいておるわけでございますが、そうした点を踏まえまして、私ども部内で実務的にいろいろ検討、議論を重ねまして、設備提供義務づけを設けるということにつきましては、設備を提供することになります既設のテレビジョン放送事業者の私有財産の制約ということにもなるわけですし、また、そうして義務づけた場合に、もともとの事業者と新しく多重放送事業者となった方の考えが非常に違うというような場合、チャンネルイメージを損なうといいますか、そういう問題も起こり得るというようなことで、これはそれなりの技術的制約というものをやはりどうしても無視することができない。そうなると、テレビジョン放送事業者と新しく多重放送事業者になる方が円滑にそれぞれの放送をやっていく、そういたしますとどうしても当事者に任せるといいますか、その間の契約という形が最も現実的であるというふうな結論に達したわけでございます。先生すでに御存じのように、民間放送連盟、既設の放送事業者でございますが、そうした方々からも、設備の提供義務を負わせる、そういう考え方につきましては、強い反対の要望と申しますか、表現されているわけでございます。
  111. 村上弘

    ○村上(弘)委員 五十一年の報告では、すき間の電波をすでに免許人である放送局が占用することを否定するという立場でやったと思うのですね。しかし、いまのお話でいきますと、結局は義務条項はないということになろうかと思うわけです。ということは、広範な第三者利用、非常に広範な可能性に対して窓を大きく開くということには実際上ならない、こういうふうに思うわけですね。  時間がないから急がなければなりませんが、民放労連からこの問題についての意見書が出されてきていますね。郵政大臣のところにも出したという話ですからごらんになっていると思いますが、その見解でも、第三者利用の点では逆に制限を加えるものだという意見を述べておるわけですね。そうして、本来は、将来展望から言えば東京だけでも五千数百番組あるいはチャンネル利用の可能性があるという状態ですから、これを事実上既存の局あるいはその系列の局が占有していくというのではなくて、もっと広範な人たちに開放できるような考え方に立つべきではないのか。たとえば市民団体だとか各種の職業、業者団体、あるいはいろいろな文化団体や社会組織、各地方自治体、あるいはもちろん情報産業も含めて非常に多面的な公共的利用の可能性が開かれるのではないか。そういう方向に目を向けて、もっと規制緩和の立場に立つ、義務づけを外すのじゃなくて、もっとみんなに開放させるのじゃなくて何かそこの意思に依存させていくというような見地は間違いではないかというように思うのです。  その点はこちらの意見として申し述べて、次にいきたいのですが、協会の方ですね、これまで放送法第九条の三で、協会が出資する対象を、宇宙開発事業団通信放送衛星機構及び有線テレビ放送の施設者と条文上に明記してきたわけですね。なぜこういうように法律で明記してきたのかということについて局長の見解を聞きたいと思います。
  112. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 現時点におきましてNHKの出資できる範囲につきましては、宇宙開発事業団通信放送衛星機構及び有線テレビジョン放送施設者というような形で限定的に挙げておるわけでございますが、NHKがよって立つ基盤、公共性、そういう立場から、また、第九条の第三項に掲げております、協会はその性質上業務を行うに当たりましては営利というものを目的としてはならない、そういう立場から限定的に挙げてきたもの、そのように理解いたしております。
  113. 村上弘

    ○村上(弘)委員 そういう精神で法定してきたわけですね。ところが、今度は法定制から外していこう、こういう方向が出てきたわけですね。これはなぜそう変わったのかを問いたいわけですが、これについてもう一つあわせて聞いておきたいのは、NHKの出資の問題が政令委任の方向に変わったという問題とあわせて、設備の賃貸しの問題でも、従来の国会承認の原則を突き崩すことになると私は思うのですね。坂本会長自身も去年十二月二日の記者会見で、五十一年の多重放送調査研究会議報告書を引用されて、NHKの放送設備は視聴者の受信料によって形成されたものであり、NHKの使命達成の基礎となるものである、こういう立場で第三者利用について慎重な検討が望まれる、こう言っておるわけですね。この点は、NHKの特質から来た一つの意見だと思うのですが、もう一つは、全国放送が容易にできるので第二のNHK的存在ができるという問題も指摘していますね。こういう問題について、郵政省は今度の法案をまとめるに当たってこういう意見をよく組み入れてやったかどうか、この点聞かしてください。
  114. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 NHKの置かれている立場というものにつきましては、先般御審議いただきました五十七年度NHK予算等の御審議におきましてもいろいろと御論議いただいたところでございます。それで、先ほど申しました出資対象というものを今回拡大しようとしているわけですけれども、その意味は、NHKに活力を持っていただきたい、そうしてNHK自身が持っておる技術なり番組あるいはノーハウ等々で大いに活力を与えて十分に価値のあるものがあるということでございまして、その点自体は活力を与えるものでありまして、ただ、いわゆる営業本位に営利を目的としてはならぬという形はいつまでも厳としてあるわけでございます。  次に、今回の出資条項の修正等々について、私どもといたしましては、NHKから特定に、たとえば放送設備の賃貸規定につきましてこれを設けてほしいという形でのはっきりとした要望を受けたわけではございませんけれども、第三者に利用の道を開く場合には、NHKの公共性というものを理解し、その使命に支障を与えるような第三者に道を開くということは当然困る、十分配意してもらいたい、その辺のお話は承っているということでございます。
  115. 村上弘

    ○村上(弘)委員 この点について、NHK会長は、先ほど述べられておったような立場からいって、今度の法改正をどのように受けとめておられますか。
  116. 坂本朝一

    ○坂本参考人 いまここで先生方いろいろ御議論いただいておりますように、技術革新ということによって視聴者の多様な要望にこたえる、そういう視点から言えば、当然、われわれは経営者の一人としてそれらの技術革新に積極的にそして適正に対応していくべき使命があるであろう、そういう認識には立っておるつもりでございます。  しかし、反面、NHKという立場から言えば、またこれもいまいろいろと御議論いただいておりますように、公共放送としての立場、その立場において御要望すべきところは御要望しなければならないのではないかということで、長期ビジョン審議会等の御答申の中にも、この第三者利用については公共放送としてのNHKの立場から考えると必ずしも望ましいものではないと思う、しかし、いま前段申し上げました技術的な革新等に対応するという視点から仮にそれを導入するということになれば、少なくとも、NHKの公共放送としてのあり方あるいはそのチャンネルイメージ等々を損なわないように配意する必要があるだろうという御答申をいただいておりますので、われわれといたしましても、そういう視点でこの法改正に当たっているという次第でございます。
  117. 村上弘

    ○村上(弘)委員 必ずしも望ましいものではないというところが本音だろうと思うのですが、設備貸与が大臣の認可だけになるとか、あるいは出資対象先についての法定制緩和といいますか、そういうことは、長期ビジョン審議会の答申に出ております、NHKは国民のものであり、国会によって設立されたものである、こういう点から言えば、その基本原則は突き崩していく、一角を崩していくものだということを言わざるを得ないと思うのですね。ですから、NHKとしてもそうした点からもっと言うべきことを言うべきではないのかということを主張しておきたいと思うのです。  とにかく今度の法改正は、伝送方式の面から見ても、あるいは実施主体の面から見ても、あるいはNHKと国会とのかかわりといいますか、こういう面から見ても、非常にたくさんの問題をはらんでおるということが言えるし、それから、これだけの広範な利用可能性は、実際には既設局が使っていく、したがってその文字多重の内容もスポンサー関係のそういうものにばかりなっていく危険性も十分あると思うのですね。将来は、キャプテンシステムと結合していけば、新聞か放送かどちらなんだ、こういう問題も出てくると思うのですね。そういう新しいメディア状況に対応していくスタートとしての今回の法改正の中身は、きわめて一面的で、しかも逆行する性格が濃厚だということを私は主張しておきたいと思いますし、こういう問題については、もっと開かれた審議検討を広範な層の参加によってやり直すべきではないかと思いますが、この点で、郵政大臣どうですか。
  118. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 こういう新しい技術革新の成果を広く門戸を開くべきだ、ところが、今回の第三者利用等を聞いてみてもそういう形にはなっていないのではないか、こういうようなおしかりでございますけれども、私どもといたしましては、これからの問題でございますけれども、つまり、いまから生まれようとするものについての道筋をつけようとしておるということでございまして、第三者として入ってくるいろいろな方につきましても可能性は十分あるし、またあってほしい、そのように考えておるわけでございます。数数えると非常にたくさんの情報量になるということでございますけれども、確かにそうも考えられますと同時に、また、毎日毎日非常に更新速度が早く番組提供しなければいけないわけでして、それに十分こたえ得るか。これは放送でございますが、最近雑誌その他いわゆる情報量は非常に多いわけですけれども、価値があり、魅力があり、聴視者がつくだけの量になり得るかどうか、その辺のことも含めまして、何とか適正と申しますかいい形での情報形態をつくり上げていきたいということで、繰り返しますけれども、私どもは大いに各界各層から御参加いただきまして第三者として協力していただきたい、このように考えておる次第でございます。
  119. 村上弘

    ○村上(弘)委員 成り立つかどうか、やはりもうけということが頭からついて離れぬような、そういう前提がついて回っているような気がするのですね。諸外国では必ずしもそれを営利的な側面だけからではなしに、労働組合だとか各種の社会団体がどんどんこういうことに参入して利用していく、こういう方向が進んでいますね。新聞の場合だったら、何も政府が許可も認可もする必要がないので、成り立つかどうかはそれぞれの経営者とか各団体の責任でやっているわけです。そういう可能性をもっと考えるべきだし、そういう方向にもっと広く門戸を開くべきではないかという、この考え方についてはどうですか。
  120. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 私もそのように考えておるわけでございますけれども、ただ、番組ソース一つつくるにしてもやはりそれなりの経費はかかるということは無視するわけにはいかないと考えるわけでございます。その経費の出し方が、コマーシャルによるか、株式によるか、あるいは団体が集まりまして拠金というような形になるか、いずれにしても経費はかかる。そして、現在の社会におきましては、経費をかけた形の情報が喜ばれ関心を持たれるということは無視するわけにはまいらない、このように思うわけでございます。
  121. 村上弘

    ○村上(弘)委員 やはり経費ということが、他のたとえば新聞を頭に置いてみた場合には全然前提が変わってくるという認識がないように思うのですね。それはそれぞれの事業主体なり団体なりが自分たちの責任でやればいいわけで、特に今度の文字多重はローカル的な放送の利点が多いわけですから、地方的にもっともっと窓を開いていくという考えが必要だと思うのです。  そこで、次の問題に入っていきたいと思います。なるべく郵政大臣の目が覚めるように問うていきたいと思いますが、放送事業者のあり方の問題、電波行政のあり方の問題について聞きます。  ことしは三年ごとの放送局の一斉再免許の年なんですね。今回の再免許は百数十社、一万数千局にも及ぶと聞くわけです。その上にまた新しい局がどんどん開局をしようとしておるわけですね。いま岡山その他で新たなテレビあるいはFM局の開局の申請がありますが、その競願の状況はどうなっているでしょうか。
  122. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 事務的な説明をさせていただきます。  いま先生の御質問の件は、テレビ及びFMについてのチャンネルプランを発表したところでまだ会社ができ切っていない地域がございますわけですが、その辺についての状況はどうか、こういうことかと思います。岡山地区でございますが、三百五十二件の申請がございます。名古屋地区百五件、神奈川地区、FMでございますけれども、二十五件の免許申請書がそれぞれ提出されておるわけでございます。こうした地区では地元におきまして関係者の協議が続けられているわけでございまして、いましばらく時間がかかると言わざるを得ないと思いますけれども、私どもといたしましては、地元住民の要望に十分こたえるように、できる限り早く、しかも、チャンネルを発表いたしましたので、予備免許にこぎつけられ得るように努力をしてまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
  123. 村上弘

    ○村上(弘)委員 何社申請していますか。
  124. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 いまの岡山地区については三百五十二社、名古屋につきましては百五社、神奈川につきましては二十五社でございますが、その他のものにつきましても、テレビで申し上げますと、チャンネルプランのあるところでは、茨城が八社、栃木が十四社という形で、徳島が百八十社。佐賀につきましてはテレビのチャンネルプランが発表されておりますが一社もございません。それで、テレビのチャンネルプランを発表していないところにつきましても、ごくわずかですが出ておりますけれども、トータルで申請件数は六百七十六社、これが四月十四日現在のテレビの申請状況でございます。
  125. 村上弘

    ○村上(弘)委員 いま岡山三百五十二社、大変な競願になっておるわけですが、なぜそんなにたくさん申請するんだろうということも聞きたいのですが、これは一口に言えば、やはりもうかる産業だということがあると思うのですね。通信白書で見ますと、昭和三十一年と五十五年の比較では、国民総生産は二十四倍ですが、民間放送、テレビ・ラジオ収入は六十倍になっていますね。まさに高度成長産業ということが言えると思うわけです。結局のところ、免許を受けた電波を占有してそれを商品として販売するというところから来る利益、そこに競願の基礎があるだろうと考えられるわけです。しかしながら、これは普通の利益会社とは違うわけで、国民の世論形成に非常に大きな影響を持つ事業であるわけですから、こういう競願に対して免許を与える際、あるいは再免許を行う際、公共性というものをしっかり踏まえておく必要があると思うわけです。そういう点でいささかも政官あるいは企業などの癒着というようなものがあってはならぬと思うのです。そういう点では、再免許だとかあるいは免許についてはいささかの疑惑も与えるようなことがあってはならぬ、そう思いますが、郵政大臣、ひとつ目を覚ましてしっかり答えていただきたいと思います。
  126. 箕輪登

    箕輪国務大臣 先生おっしゃるとおりであります。
  127. 村上弘

    ○村上(弘)委員 いささかの疑惑も受けてはならぬということを言われておるわけですが、放送事業は不偏不党、公正でなくてはならぬ。これがそれこそ外してはならない原則であるわけですね。そうすると、こういう放送事業者がいろいろな政党に対して政治献金をするということについて、これは好ましいことかどうか。その実態なども含めて、大臣知っていますか。どう考えますか。
  128. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 民放会社から政党への政治献金その他について把握しているかという御質問かと存じますけれども、御高承のとおり、民間放送の事業経営についてでございますが、言論報道機関といたしましての放送事業者の自主性というものを高度に尊重するというのが放送法のたてまえであり、私どももまたそうした観点から考えておるわけでございまして、民放経営者の自由にゆだねられておるわけでございまして、事業者に対します規制というものも必要最小限度に限定されているわけでございます。したがいまして、御質問にありますような寄附金等の実態については、把握をしておらないということでございます。
  129. 村上弘

    ○村上(弘)委員 ちょっと資料を渡したいのですが、いいですか。——昭和五十五年、五十四年、自治省に届けられた政治資金を見ますと、自民党の政治資金団体である国民政治協会に三十六社、金額で二千五百九十八万円、民社党の政和協会には二社で六百九十七万円、合計しますと三十七社、三千二百九十五万円、こういう政治献金がされているわけですね。日本にある放送会社の約三割という状態です。同じようなマスコミでも新聞社の献金というのは余りないですね。新聞協会加入社百十四社のうち二社だけがあるところに政治献金しておる、こういう状況ですが、放送会社の場合非常に献金が多いのですね。法律上はまさに不偏不党、公正ということが非常に強調されておる放送会社が、特定の政党に政治献金をする。これは法的には規制はないかもしれません。しかし、こういう非常に社会、公共にとって大きな影響を持つ放送会社が政治献金をするということについては、もっと自粛すべきだろうと思うし、また、そういうことを要請すべきじゃないかと思いますが、どうですか。
  130. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先ほど申し上げたことの繰り返しになるかと思いまして、大変恐縮でございますけれども、その辺の民間放送のあり方というものにつきましては、私どもとしましては、あくまでもその事業者なり経営者なりの自覚と申しますか、自主性に任すべき問題である、このように考えております。
  131. 村上弘

    ○村上(弘)委員 これは驚くべき感覚であると思います。今回の冒頭の本会議の代表質問や、また、私も予算委員会の総括質問のときに、政治献金の問題あるいは談合の問題とあわせて公選法違反の選挙資金の献金問題を取り上げて、いまこれは警察当局も調査をやっておるという過程にあるわけですが、そういう公選法百九十九条、二百条違反ということにはならないかもしれないけれども、いま言ったような性格の放送会社が選挙の献金もやっておる。五十五年と五十四年の選挙の収支報告書をそこへお渡ししておりますが、この一部を調べてみますと、現職閣僚も含めて多数の違反献金が明らかになってきたわけです。放送会社の選挙寄附でもこういう献金がされておる。収支報告書全部を調べたわけではありませんが、そこに出しておる資料でいきますと、八社十一件、こういう状況になっておるわけです。元郵政大臣や元郵政次官なども入っております。大体八名に対して八社から選挙献金をやっておる、こういう状況です。  こういうことで、これは選挙報道もやるわけですね。単なる政見放送だとか経歴放送だけじゃなしに、選挙に関する報道をやるわけですよ。そういうところに対して選挙に関する資金が献金されておるという問題は、きわめて重大な問題じゃないか。もっとこういう問題については襟を正して臨む必要があるんじゃないかと思いますが、これは郵政大臣、どうですか。
  132. 箕輪登

    箕輪国務大臣 ただいま電波局長が答えたとおり、民放も含めて放送事業者はきわめて自由ということが与えられている事業でございまして、そういう自由を与えられている放送・電波事業者に、献金をしてはならないとかいうことについては、私としてもコメントできない、こう思うのであります。
  133. 村上弘

    ○村上(弘)委員 鈴木内閣及び自民党の政治姿勢をこれはよく示した答弁だと思うのです。  天下り問題というのもいま非常に大きな問題になっておるのですね。郵政省の場合でも、こういう点がいろいろ問われておる。さきに人事院が出した天下り白書によると、過去十年間の傾向を見てみると、放送会社への天下りは郵政省全体の天下りの中の三割を占めているのです。それもそこの資料に出しておるとおりです。これで見て気がつきますことは、昭和五十年を別としますと、四十七年、五十三年、五十六年と三年置きにほかの年よりも飛び抜けて天下りが多いわけですね。これはなぜでしょうか。
  134. 澤田茂生

    ○澤田(茂)政府委員 お答え申し上げます。  郵政省を退職した者で放送会社に再就職をいたしている者はおるわけでございますが、これは放送会社の方から適任者と見込まれて就職をするわけでございまして、ある年度に多かったとか少なかったということについては、私どもといたしましても、どういう原因であるかということについては承知をしないところでございます。
  135. 村上弘

    ○村上(弘)委員 おしなべて無関心であるようですけれども、今国会では三井建設の営業日誌などもいろいろ問題になって、手みやげつき天下りというようなことが大いに問題になっておるわけですね。ですから、こういう天下りを受け入れる民放関係会社は、何かのメリット、利益というものを予定しておるということは当然考えられるわけですね。四十七年、五十三年、五十六年、一斉に天下りがふえておる。それは偶然かどうかわかりませんけれども、一斉再免許の前の年に皆当たっておるのですね。つまり、電波監理局から役員として人を迎える、こういう状況になっておるわけです。昨年の場合、各省庁からの天下り二百四十九人のうち企業役員は三分の一であるのに、郵政省から放送会社への天下りはすべて放送会社の役員なんですよ。こういう状況もあるわけです。情報産業という今後ますます多様に発展していく分野で、郵政省がこういう状況でいいのだろうか、電波法が言う公正で能率的な電波行政が進められるということが本当に言えるのだろうか、こういうことを改めて思うわけです。  わが党は、昨年五月、天下り禁止期間を現行の二年から五年にすべきだというような天下り禁止法を提唱しておるわけですが、郵政省は、こういう状況をよく把握して、みずからを厳しく戒めていく、そしていささかも国民から疑惑を持たれるようなことがあってはならぬと先ほど大臣も答えたわけですが、そういう点についてみずからを正し、国民の前にその実態を明らかにすべきであると思いますが、大臣、どうですか。
  136. 澤田茂生

    ○澤田(茂)政府委員 先ほども申し上げましたように、郵政省を退職いたしまして放送会社へ就職をしているという者も若干おるわけでございますが、これらの者について、必要なものにつきましては国家公務員法の規定に基づき人事院の承認を得る等、必要な手続を踏んでいるところでございまして、私どもといたしましては、いささかも公務の中立性を損なうものではない、今後ともそういうことで対処をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  137. 村上弘

    ○村上(弘)委員 これから、そういうことが適切であったかどうか、いろいろと事実も明らかになっていくだろうと思いますが、きょうはこの問題、ここまでにしておきます。  それで、あと二分くらいしかありませんので、電波法改正のことについて、一、二だけ聞きたいと思うのです。  この間、船舶通信士労働組合の方にお会いしていろいろ話を聞きました。今度の改正案の四十八条の三の第二号、船舶無線従事者証明の失効期限として、五年間、こうなったわけですね。現在、特に海上における電波行政の体制では、果たしてこれが本当に実行できるのだろうか、チェック体制があるのだろうか、こういう疑問も出されておるわけです。  その一つの事例としては、通信士が乗船するあるいは下船する際の選任や解任届の提出状況はきわめてずさんである、ずっと以前の選任届の通信士の名前が依然として登録されたままになっておる、こういう状況があるわけですね。  この問題は同僚の藤原委員もかつて取り上げたことがあるわけですが、こういうことに関連した問題で、韓国の船舶通信士協会の乗船一覧表というのがここにあるわけですけれども日本の船籍の船に韓国の通信士が乗っておる、こういう状況があるわけです。これは重大な電波法違反じゃないか、こういうことも思うわけです。これも、ここに船舶通信士乗船一覧表という韓国船舶通信士協会が出した名簿があるのです。それで日本船籍と照らし合わせてみると、ここに表がありますが、日本船籍の船に相当たくさんの韓国の通信士が乗っておる、こういう状況もあるわけですね。ですから、今度の法改正の五年間で実際にチェックできるかどうか、その体制があるのかどうかということと、こういう問題が出ておるが、これは一遍よく調査して厳正に対処する必要があるのじゃないかと思いますが、その二点についてお答えを聞いて終わりたいと思います。
  138. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 船舶局無線従事者証明の失効のチェックと申しますか、あるいは選解任届はちゃんとやっておるかというようなことでございますけれども無線局の免許人につきましては、無線従事者を選任または解任いたしましたときには遅滞なくその旨を届け出ることが義務づけられております。第五十一条によるものでございます。  今回の改正でも、無線局の定期検査または臨時検査の検査事項に、船舶局無線従事者証明の有無を含めることといたしておりまして、これは法十条の改正関係でございますけれども通常の場合は、これらの規定によりまして船舶局無線従事者の証明の効力の有無の一応の把握は可能である、このように考えておるわけでございます。  また、船舶局無線従事者証明を有する者に対しまして、事実持っておるのかどうかというような疑義が生じましたときには、郵政大臣報告聴収権というものを決めておるわけでございまして、特に証明が失効している疑いのある者につきましては、証明の効力を確認するための書類の提出が求められるようになっております。そうした書類の提出がないときには、当該証明の効力を一時停止する、こういう形で、なお証明の効力の有無が不確かな場合でありましても、これらの規定の適用によりまして証明の効力の有無が明らかになり得る、このように考えておるわけでございます。  それで、先生ただいま申しましたいわゆるマルシップと申しますか、そうした場合に、無線従事者で外国人が乗っておるじゃないかということでございますけれども、この種の船舶の実態の把握というものは非常にむずかしいわけでございますけれども、前々から御指摘もいただいており、努力しておるわけでございます。そして、電波法令を遵守してもらうということで、機会のあるたびに免許人等に対しまして、日本郵政大臣の免許を受けた適格な無線従事者を配置するように指導して、特に船舶局の検査に当たりましては、無線従事者につきまして入念に確認するよう処置をいたしておるわけでございますが、ただいま御提案申しておりますSTCW条約というのが、そのいわゆるマルシップ等が世界的に実態になり過ぎたためにぐあいが悪い、そのための対策の面もあるわけでございまして、私ども、こうしたSTCW条約に基づく無線通信士の部分に関する改正提案を申し上げておるわけでございますけれども、伺いますと、当然これは船員の資格証明に関するものでございますので、機関士とか船長とか航海士という形では、運輸省所管の船舶職員法等にも影響があるわけでございまして、こちらの方の手当ても行われるということで、かなり長期間にわたりまして問題となっておりましたところのいわゆるマルシップの問題については、今回のSTCW条約に基づく改正等によりまして、所期の成果と申しますか、正しいあるべき姿に修正されるものと期待しておるものでございます。
  139. 村上弘

    ○村上(弘)委員 マルシップ問題については別途究明もしたいと思います。ひとつ厳正に実態を把握して正していただきたいということを申し上げて終わりたいと思います。
  140. 水野清

    水野委員長 これにて村上弘君の質疑は終了いたしました。  次に、依田実君。
  141. 依田実

    ○依田委員 きょうは、放送法改正の中の文字多重の問題についてお伺いをさせていただきたい、こう思うのであります。  まず最初に、各国の文字多重放送の実施状況、どの程度普及しておるのか、あるいはまたどの方式を使っておるのか、この辺を含めてお話をしていただきたいと思います。
  142. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 各国の文字多重放送の状況、方式等についてでございますけれども、現在、イギリス、フランス、西ドイツ等の西ヨーロッパ諸国及びアメリカにおきまして、本放送ないしは実験放送が行われておるというふうに私ども把握しております。  国別で申しますと、まず、イギリスでございますけれども、BBC及びIBA、独立放送協会でございますけれども、それぞれ、BBCが一九七六年、IBAが八一年から本放送を開始しておる。そして、内容でございますけれども、ニュース、スポーツ、買い物案内等のサービスのほかに、最近は聾唖者向けの字幕放送サービスも始めているように聞いております。  次に、フランスでございますけれども、テレビ電気通信共同センターが七九年から本放送を開始しておる。そして、内容でございますけれども、株式情報、気象情報、地域情報等のサービスを行っているようでございます。  西ドイツでございますが、西ドイツ放送連盟、第二テレビジョン放送及びドイツ出版協会が八〇年から実験放送を開始いたしまして、番組案内あるいはニュース速報等のサービスを行っている。  アメリカでございますが、PBS、公共放送サービスと申しておりますが、そことABCあるいはNBCが民間の非営利団体であるNCI、全米キャプショニング機構協力を得まして、聾唖者向けの字幕放送を実施しておるわけでございます。そのほか、ユタ州の独立局でございますけれどもKSL・TV、あるいはCBSなどが、イギリスあるいはフランスの技術を導入いたしまして実験放送を開始しておるということでございます。  なお、方式でございますけれども先ほどもちょっと御質問があったようですが、文字数が少ないというようなこともありましてコード方式で実施しているようだ、このように把握いたしております。台数については、データがちょっと私どもの方にないのですけれども……。
  143. 依田実

    ○依田委員 いまの外国の例を見ますと、コード方式、これは文字の数が少ない、こういうところからコード方式が採用されておるのだろうと思うのであります。日本は大体パターン方式でスタートということになるのじゃないか、こう思われるわけでありますけれども、この両方式の長所、短所、それぞれにいろいろあると思われますが、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  144. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 パターン方式でございますけれども、漢字などのような複雑と申しますか数も多いそうした文字、図形も精細な図形を容易に伝送できる、それから雑音による影響が少ない、受信側での処理が容易で比較的安いディジタルメモリーが使用できる、こういうことで、わが国の文字放送の形式としては適しておると考えております。  次に、コード方式でございますけれども、いま申しましたパターン方式に比べまして五ないし十倍の情報量を送れるという長所がございますが、受信側が文字発生器というようなものを必要といたしまして、いささか高価になる。それから、受信条件のよくない、と申しますのは、送信所から遠くて電界強度が低いというようなこと、あるいは途中にビルによるビル陰になったり反射障害がありますと、文字の誤りが発生しやすいというように把握しておるわけでございます。  もうちょっと申しますと、パターン伝送方式は、テレビの一水平走査線当たり一画面標準文字として百二十字、こういたしますと、それを約三秒間で伝送する、十番組程度のものが提供できる、現在のテレビチャンネルは二Hということになっておりますが、二十番組というふうに把握しております。これに比べましてコード伝送は、テレビ一チャンネル当たり一画面を〇・三秒ないし〇・六秒、先ほど三秒と申しましたから、十倍ないし五倍、こういうスピードになるわけでございます。そういう短時間で伝送いたします。したがいまして、五十ないし百番組も提供できると予測されておるわけでございます。以上のようなメリット、デメリットがそれぞれにある、このように理解しております。
  145. 依田実

    ○依田委員 いずれにしましても、実施になるとわれわれ受信する方ではアダプターを取りつけなくちゃならぬわけであります。例の音声多重が開始になりまして、テレビメーカーなどではこれをテレビに組み込んで売ってくる、こういうことで、それだけ価格が高くなるわけでありますけれども、できましたならばそういうことではなくて、すでにうちにありますテレビにアダプターを取りつけることによって文字多重が見える、こういうふうにしていただくのが一番いいのじゃないか、こう思うのであります。このために、どの程度の量産ができ、そしてどの程度の価格でわれわれが求めることができるようになるのか。実施段階についてはどの程度でそれが求められるようになるのか、その辺の見通しをお持ちになっていらっしゃるでしょうか。
  146. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 普及段階になると、アダプター形式ではなくて、先生おっしゃるとおり内蔵型が望ましい。普及型としてはそういうことかと思いますけれども、内蔵型受信機の場合、予測がなかなかむずかしいところでございますが、パターン方式だと、レコーダー機能の増加分として一応三万円程度、現在売られておりますある受像機が仮に十五万ないし二十万、こういたしますと、それにプラス、このパターン方式の受信ができる能力を加えた分として三万円程度高くなるであろう。コード方式の場合は、先ほどもちょっと申し上げましたように、文字発生器というものが必要になるわけでございますが、その分だと七万円程度、こういうふうな予測をしておるわけでございます。
  147. 依田実

    ○依田委員 16Hと21H、この二つでもって、最初はパターン方式で放送がなされるわけでありますけれども、16Hの方は既成のテレビ局がやる。その中にいわゆるこれまでの番組の補完的放送をやることが書かれておるわけでございます。  その一番は、いわゆる聴力障害者、これに対する字幕放送というものが考えられてこられるのじゃないかと思うのであります。先般この委員会でも、文字多重の実施についてどの程度の費用がかかるのかということで、ハードの方はお金が出てきたようでありますけれども、なかなかそれだけじゃ番組というものはでき上がってこない。機械ができても番組はでき上がらないわけでありまして、いわゆるソフトの方の費用が莫大な費用がかかるのじゃないかと思うのであります。  私もこの間文字多重をちょっと拝見させていただく機会がございましたけれども、聴力障害者に対して、いろいろといわゆるスーパーインポーズのような形で画面が出てくるわけでございますが、しかし、なかなか素人が考えるような、いわゆる洋画のスーパーインポーズとはまた違うむずかしさがあるのじゃないか。つまり、聴力障害者の持っておる特性というものを——特性と言うとあれでございますけれども、ハンディキャップというものを考えてあげないと、ただ画面に出ている場面の説明だけしていればいいというわけにはいかない。たとえば音の問題、つまり普通の洋画などでは、音でざあざあという音がしたとかという場合に、それを翻訳してダブらせればいいのですが、聴力障害者にはそのざあざあという音自体がどういう音なのかわからないということで、聴力障害者自体に対する問題があって、それにまた、それ専門の翻訳の仕方といいますか、補完の仕方があるのじゃないかと思うのであります。  こういう点で、ソフトの方で大変な費用がかかると思うのでありますが、NHKの方ではどうでございましょう、この聴力障害者に対する補完業務と簡単に言いますけれども、なかなかむずかしいと思うのでありますが、どうでしょう。
  148. 田中武志

    田中参考人 いま御指摘のように、聴力障害者用の字幕サービス、字幕放送をやりますと、私どもも現在試作番組をつくっておりますけれども、非常に人手もかかりますし、設備、経費といったような面についても相当かかるというふうに思っております。まだきちっとしたそういう積算はしておりませんけれども、御参考までに申し上げれば、先ほど電監局長の方から御紹介のありましたアメリカの全米字幕機構といったところが、いろいろ番組の字幕サービスをやっておりますけれども、そのところへABC放送あるいはNBC放送が字幕制作料として払っているのが、大体一時間二千ドルというふうに私ども聞いております。事ほどさように、かなり人手、設備、経費というものがかかるというふうに私ども認識しております。
  149. 依田実

    ○依田委員 そこで、編集あるいは制作体制というものをこれから早急に整備することが必要じゃないか。それを各放送局に任せてそれぞれそういう体制を、いま言った全米字幕機構みたいなものを持つということは大変だろうと思うのであります。それだけの費用がかかる、特に民放などでは、それだけの費用がかかるなら少し省略してしまえということになったんじゃ困るのでありまして、そういう意味で、各放送局が各個でやるよりも、協力してやれるような体制をつくることが大事だろうと思うのであります。  そういう意味で、何か機関を皆さんが共同でつくるような方向に行くことがいいのじゃないかと思うのでありますが、そういう点で郵政省はどういう指導をなさるおつもりですか。
  150. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 テレビジョン多重放送を利用いたしまして聴覚障害者に対して福音をもたらしたい、こういう形で、法の中にも責務といたしまして補完利用といいますか、番組を豊かにするようにという規定をいたしたところでございますけれども先生おっしゃいますとおり、あるいはまた、いまNHKの方から答弁がありましたように、技術的にも非常に特殊な能力も要し、また経費も要するということでございます。また、アメリカの方におきましても、そうした特殊な努力を重ねておるわけですけれども、なかなかむずかしいという話も聞いているわけでして、その辺の御指摘かと思いますが、せっかくこうした条項も設けましたわけでございまして、先生のおっしゃるように、ハード面あるいは番組制作におきまして、関係者の間で努力している中におきまして私ども郵政省としてお手伝いできる面あるいはケースがございましたら、その中に入りまして、私どもができるなりのアレンジなり御協力は惜しむべきではない、努力すべきである、そのように考えておる次第でございます。
  151. 依田実

    ○依田委員 次に、法文の中の第九条の三に、NHKに関する出資のことが書かれておるわけでありますけれども、「その他協会の業務に密接に関連する政令で定める事業を行う者に出資することができる。」こういうことが書かれておるわけであります。この「政令で定める」というのは、どういうものを政令に盛られる御意向なのか、そこを承らせていただきたいと思います。
  152. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 いろいろNHK自身の方からの御希望といいますか、こういう事業が密接な事業として必要であるというお申し出もあろうかと思いますけれども、私ども考えますのは、まず、放送協会は毎日番組をつくっておるわけでございますけれども、非常に再生して価値のあるビデオテープあるいはビデオディスク等の制作、販売というような事業もあるであろう、また、放送番組の制作事業あるいは放送番組の素材の提供の事業というようなものも考えられますし、また、今回御提案申し上げております多重放送に当たっての放送設備を共用する第三者に出資するというようなことも十分予測されるところだ、このように考えておる次第でございます。
  153. 依田実

    ○依田委員 いま電監局長のお話を伺っておりますと、多重だけでなく、これまでNHKがやっております業務、外郭団体としてやっておる仕事というものにもこの際出資の法的根拠を与える、こういうふうに受け取れるわけでございます。先ほど説明がありましたけれども、いままでNHK宇宙開発事業団など一、二しか出資をしていない。つまり、外郭団体というのは、いかにもNHKが出資しておるようでありますが、実際にNHKの出資というのは行われていなかったわけでありますけれども、今回はそういうものにも出資ができるということだろうと思うのであります。私もぜひそういうふうにしていただいて、そのかわりNHKがそういう外郭団体に対する管理監督というものが十分にできるようにするのがいいのじゃないかというように思うのですが、私の解釈でよろしいでしょうか。
  154. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 そのとおりに理解いたしております。
  155. 依田実

    ○依田委員 21Hの方は第三者利用ができる、こういうことで、広く新しいメディアを開放するという趣旨から言えば、第三者利用ができるようになっている、これはいいことなんでありますが、これは、実際問題として第三者利用の第三者というものはどんなものが考えられるのか。つまり、新聞社はもちろんそうでございましょうけれども、これは番組の内容によっては非常に多方面にわたってくるんじゃないか、どんなものでも第三者として認めるのか、あるいはまた、ある範囲を郵政省としてはお考えになっておるのか、この辺について伺わせていただきたいと思います。
  156. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 これから、この法の準備ができました時点におきまして、どういうふうなものがNHKに契約したいというような形で持ち込まれるのか、あるいは、NHKの方から私どもの方にこういう話があるんだがというようなお話が、これからの問題として出てくるわけでございますけれども、抽象的な話になって失礼でございますけれども、やはりNHKの第三者となりますと、そのチャンネルを使うわけでございますから、受信料によって成り立ちますNHKの放送設備を使う多重放送は、NHKのイメージダウンになるようなものは困る、あるいは当然NHKの毎日の業務に支障を与えるような可能性があっても困るわけでございますし、何をおきましても、よって成り立つ受信料の徴収に悪影響を与えないかどうか、そういうような立場から判断いたしまして、審査と申しますか、対処をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  157. 依田実

    ○依田委員 私が伺いましたのは、NHKに限らず、民放も含めての第三者とはどういうものかということをお尋ねをしたのですが、いまさしあたってNHKの第三者利用の範囲について、好ましい範囲というのをお答えがあったわけでありますけれども、この前も、このところで私伺わせていただきましたが、そういう好ましいものとして、地方公共団体などのいわゆる告知、そういうものなどを告知料を取って放送したらどうだろうというようなことも出ておりましたけれども、しかし、それではなかなか番組自体がおもしろくならない。やはり番組制作当局としては、見てもらうというところからだんだん欲が出てくるということになると、そういう地方公共団体とかそういうものだけじゃなくて、民放と競合するような分野のものも放送していくように、おのずからなる、こういうふうに思います。その場合に、いわゆる広告料といいますか、そういうものを取るというようなことになりますと、いままでの民放とNHKとの分野、こういうものが入り組んでくるんじゃないかというふうに考えるのでありますけれども、その辺の将来像というものはどういうふうにおとりになっていらっしゃいますか。
  158. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お互いに競争し合って、いい番組といいますか、いい内容の放送をしてもらいたいと同時に、また、経営的と申しますか、そうした形でも努力していただきたい、こういうふうに考えているわけですけれども、もう少し御質問をしぼりまして、民放の広告料等との競合関係をどういうふうに、どう思うかというようなことかと思いますけれども、やはりNHKの第三者につきましては、先ほども申しましたように、NHKの公共的性格というものを十分配慮してもらいたい。そうしたのがやはり大きな基盤である。その枠を踏み外してもらったのでは、NHK自身も困りましょうし、また、NHKの第三者自体につきましても、最終的には墓穴を掘る、そういう形になろうと思います。  これに対しまして民放の方でございますけれども、それはやはり自由に広告が行えるわけでございますので、NHKの第三者との収入源の競合、それについては、民放側から見た場合に、十分調整がつくだろう。つまり、NHKの第三者によって民放の事業なり広告料が脅されるということにはならないのではないか。その辺は十分努力して、それなりの企業努力というもので切り抜け得るもの、このように考えておる次第でございます。
  159. 依田実

    ○依田委員 もう一度、その第三者利用の範囲について、今度は民放の方の場合を考えさしていただきたいのでありますが、この文字多重を利用するいろいろパターンがあるのじゃないかと思うのであります。証券情報などもそうでしょうし、あるいは電鉄の案内などにも使えるだろうし、映画の広告などの番組も出てくるだろうし、いろいろなことでそれぞれ第三者としてやってみたい、こういう範囲が出てくるのじゃないかと思うのでありますが、その第三者というのが、無規則にどういう業態でもいいのか、あるいはそれにある程度の規制をかけていくのか、その辺をどういうふうにお考えになりますか。
  160. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 民放の場合の多重の第三者というものはどういうものが考えられるか、規制するのかどうか、こういうような御質問だと思いますけれども、本質的に既設放送事業者の設備を契約によって借りるわけでございますから、その契約の応諾は必要となるわけでございますので、既設放送事業者、設備を提供する側の意向というものを利用者も無視するわけには当然いかないと思いますけれども、それは、この趣旨というのは、そうした制約がありながら、あえて第三者に対して道を開こうといいますか開放しよう、その気持ちは、マスメディアの集中排除であり、その情報源あるいはこうした事業に参加する層を広めたい、こういう意向でございますので、実際の契約内容あるいは申請の段階において、いろいろお聞きする立場から、先ほど申しましたような今回の改正の趣旨、マスメディアの集中を排除し、広く情報源あるいはマスコミソースを求める、そういう立場から判断してまいりたい。もう少し詳しく申しますと、特別にある社が非常に高いパーセンテージを占めるというようなことについては好ましくはない、このように考えておる次第でございます。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕
  161. 依田実

    ○依田委員 民放連がことしの一月十九日に郵政大臣に出しました要望書、これには御承知のように、「既存の放送事業者の放送設備提供を法的に義務づけてまで、第三者利用を認めることには、絶対に反対である。」こういう要望書が出されました。  そこで、この法案は、その中間といいますか、テレビ局の同意が必要だということで第三者利用を行う、いわば部分開放ということだろうと思うのであります。そうなりますと、民放に出資をしておるような新聞社、こういうところは密接な関係があってオーケーになるのでしょうけれども、ローカル新聞など、あるいはまたそのほかの第三者が参入を希望しても、さまざまな条件とか、あるいは拒否に遭う、こういうケースがあって、当初の広くこれを第三者に開放するという、マスメディア、ニューメディアを開放するという趣旨になかなか沿わないのではないかと思うのでありますが、その辺はどうお考えになっておられましょうか。
  162. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 やはり既設放送事業者の設備を借りない以上文字多重の放送はできないという基本的な問題がありますので、いろいろな議論の過程におきまして、義務づけるべきである、あるいは既設の放送事業者の設備を借りないと多重はできないのだけれども、その既設の放送事業者の本来的な権利なのかどうなのか、そうではないというような意見もいろいろ行われたわけでございまして、そうした論議の過程を経まして、現在御提案申し上げているような形の条文になっておるわけでございますが、契約をし、あるいは言葉を別の形で申しますと家主とたな子、適当かどうか知りませんけれども、そういうような面もありますし、あるいは親ガメ、子ガメというような感じもあるわけでございまして、やはりその辺、私ども両者から内容はいろいろお聞きできるわけでございまして、それなりにそれぞれのお立場をお聞きした上で調整すると同時に、また、長い期間毎日やっていただくわけでございますから、いい関係にないと、無理をした契約では長続きは実際問題としてできない、こういうことは認めざるを得ないと考えておるわけですが、その辺におきまして、私ども、両者と申しますか余り調整する立場が多くないことを期待しておるわけでして、いずれにしても、公器を預かるわけでございますから、それなりの御自覚の上に立って事業をやっていただきたいと御期待申し上げると申しますか、そういう立場にならざるを得ないと思っております。
  163. 依田実

    ○依田委員 もう一つ、これは新聞協会の方から十二月二十四日に出されておる「多重放送に関する要望書」の中に「伝統的に新聞がもつ表現の自由を尊重するうえからも、たとえば、現行放送法に規定される、いわゆる放送番組の編集基準(第四十四条)などの適用は望ましくないと考えられます。」こういうようなことが出ておるわけであります。それは新聞は四十四条にとらわれたくないということであろうと思いますけれども、しかし、電波という公共物を利用して茶の間の中へ入ってくるわけでございまして、この四十四条の番組編成方針というものが準用されるべきであろうと思いますが、郵政省としてはいかがお考えでございましょうか。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  164. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 私どももただいま先生がおっしゃいましたとおりの理解でございまして、新聞協会といたしましては、文字多重放送である、文字情報であるというようなことから、新聞社としてそのような御要望も出たかと思うわけですけれども先生おっしゃいますとおり、あくまでも有限貴重な電波を使用する放送でございますので、ほかの放送事業、あるいは中波放送、超短波放送、あるいは放送大学学園放送等々と同じでございまして、四十四条の特に三項等はそのまま御適用願いたいということでございます。  ただ、四十四条四項のいわゆるバランス、報道、教育、教養、娯楽等のバランス、ここの点につきましては、読んでみますと「特別な事業計画を除く」ということで、仮にニュース報道中心の一Hの利用という形になりましても、この条項はそのままあてはめてもおかしくはない。つまり、結論的に申しまして、四十四条の適用は、放送は電波利用する以上適用させていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  165. 依田実

    ○依田委員 時間がなくなりましたので、最後に一つだけ、中途半端でありますけれども、例の民放の外人持ち株比率、今度これについての条項がいろいろできてきておるわけであります。現在の各民放会社の外人持ち株比率がどの程度になっておるのか、その点だけお聞かせをいただきたいと思います。
  166. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 現在株式を上場している社は六社、五社と店頭販売しているのが一社あるわけですけれども外国人が株式を所有しておるのは東京放送と日本テレビ放送網の二社でございまして、その持ち株比率はそれぞれ一四・九%と一一・二%と、いずれも日銀ベースでございますけれども、私どもそういう形で把握しております。三月末現在でございます。
  167. 依田実

    ○依田委員 以上で質問を終わります。
  168. 水野清

    水野委員長 これにて依田実君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時七分散会