○久保
委員 この問題については、先日も同僚阿部
委員の方からもお尋ねがあって、
お答えもございました。このデータを見ますと、もちろん細かく的確な資料は、いま
お話があった
ようにお集めになること自体がむずかしいということもありますが、私もまた、別の角度で調べたところによって見ましても、だんだんと開きが大きくなってまいっておる、こういうことに実は
数字を見ていささか驚いているのです。
この基準賃金の問題についていま
お話がございました。特に、民放の一般の
職員の諸君も
NHKの
職員の諸君も毎日同じ仕事をやっておるのですが、実は非常に大きな格差があるわけでして、余り具体的な
名前を挙げることは差しさわりがあると思いますから省略をいたしますが、とにかくA放送あるいはB放送という仮名で申し上げてみましても、五十六
年度の平均基準賃金の比較を見ますると、A放送二十八万二千四百二十円、これに対して
NHK二十二万二千十円、その差六万円余になります。さらに、もう少し下がったところで見てみましても、これをB放送とでも名づけますか、二十五万六千六百三十円、したがって、
NHKの賃金二十二万二千十円と三万五千円ばかりの差があります。
さらに、新聞
関係と比較をいたしてみましても、これまた非常に大きな差がありまして、新聞の一流どころは金額にして三十万六千三百八十円ということでございまして、
NHKの基準賃金と比べますると実に八万五千円程度の差があります。しかも、実はこの格差が年々開いてまいるというところに非常に大きな問題があると私は思うのです。
さらに、ボーナス、賞与の点で比較をしてみましても、これまた非常に差がございまして、
民間放送の五十五社平均と比べても、
NHKの場合には平均すると百三十三万円程度の
ようでありますが、民放の平均ボーナス百七十八万円、したがってその差約四十五万円。これを同業のA放送なりB放送というところと比較をいたしてみますると、A放送二百五十五万円、B放送二百二万円ということで、したがって、その差は実に百二十二万円、あるいは少し下がったところの民放と比べても七十万円程度の差がございます。大変な格差でございますし、そのことが年々歳々拡大をしていっておりますところに、これまた実は非常に問題があると私は思うのであります。ある程度の差がずっと水平状態で推移しておるのであればまた何ですが、非常に格差が開いております。
これまた
数字でもって申し上げてみますると、マスコミ
関係の平均基準賃金との比較をいたしてまいりますると、たとえば昭和五十二
年度、
NHKがベースとしては十八万四千六百円に対して、A新聞は二十一万八百六十円、したがって
NHKよりも二万六千二百六十円高いという
数字なんです。ところが、これが、五十六
年度になりますとどういうことになるかと申しますると、
NHKは先ほ
どもちょっと申し上げました
ように二十二万二千十円ですが、それに対してA新聞の場合には三十万六千三百八十円ということで八万四千三百七十円の開きになっております。したがって、四年ばかり前には二万六千二百六十円の格差であったのが、現在では八万四千三百七十円という格差に広がっております。
放送
関係で比較をしてみますると、A放送、B放送でありますが、A放送の場合には、昭和五十二
年度の場合に当時二十一万八千七百四十円だった。
NHKは当時十八万四千六百円ですから、その差は約三万四千百四十円であったものが、五十六
年度になりますると、
NHKよりも約六万円余りこれが高いのでありまして、金額にいたしますと二十八万二千四百二十円、こういう形です。
それから、B新聞としておきますが、B新聞と比較をして、五十二
年度当時、B新聞が十八万五千六百円で、わずかに千円程度
NHKよりも高かった
ようでありますが、それが五十六
年度になりますと、その格差は三万六千六百九十円、金額にして二十五万八千七百円となっておる。千円の開きであったものが、四年ばかりたったら三万六千六百九十円の開きになっておる。実はこういうデータもあるわけでありますし、しかも、これが単に基準賃金だけでなくてボーナス、これは特に
民間放送との比較におきまして実は非常に大きく開いておるわけです。
これを基準賃金もボーナスも含めて全体の年収ということでちょっと私申し上げてみますと、三十五歳というところで、昭和五十五
年度の
NHKの全
収入でありますが、千円単位は切り捨てまして三百九十九万円。これが一年たって五十六年では四百二十四万円という状態です。これをA局とする民放と比較をしてみますると、民放は五十五年に六百五十四万円だったわけですが、これは
NHKに比べると二百五十五万円高いのであります。これがさらに一年後の五十六年、本年と比較をしてみますと、六百八十八万円になっておりますから、その差は二百六十四万円。一年をとってみましても、年収の点でこういう開きが出てまいっております。同時に、さらにB局、これももちろん民放ですが比較をしてみますると、五十五
年度は六百五十一万円であったものが本
年度は六百九十四万円になっておりまして、昨年は二百五十一万円の格差がありましたが、本年は二百七十万円の格差にさらにこれが拡大をしておる。二百万円前後という話を私も前々からある程度耳にしておったのですが、この
数字を見ますと、全く同種の
企業、民放との比較において二百数十万円から、いま申し上げた
ように二百七十万円といいますと、まさに三百万円になんなんとしておる
ような
状況にあるわけでして、こう年収が年々開いてまいりますことは単に放置をしておくというわけにはまいらないと思うのです。全く同種の
企業であれば、たとえば国会なら国会で、同じ
ように机を並べたりあるいは行動をともにして取材その他の仕事をやっておる。ところが、いま申し上げた
ように年間約三百万円近い格差があるという
ようなことでは、これは本当に知識産業という中でも最も知能そのものをフルに発揮して取り組まなければならぬ言論報道機関の立場では、本当に腹の底からの士気高揚になるのかどうか、ここらに隠れた問題として、ぜひ非常に注目をしなければならぬ大きな問題があると私は思うのです。
もちろん、
NHKは
財政的に大変苦しい。先ほど来いろいろと
お話もございましたが、常に
財政問題は
NHKの
予算では非常に宿命的な問題なんですが、さればといって、日本の公共放送の
受信料制度というものは私はあくまでも確保してまいるべき制度だと思います。苦しいからといって安易な方向に流れることは許されない。公共放送としてのそれこそ重大な使命があると私は思います。そういう点から言えば、
経営者としても非常に苦しい苦しいと言う。寝ても起きてもそういったことを耳にしたり、非常に苦労されるわけですし、また、全
職員の方々も、
受信料の徴収問題一つをとってみても、あるいは大事な番組編成の問題は、知能を総結集して、あらゆる能力を動員してやってもらわなければならぬ非常に高度の、いわば頭脳
企業と言っていいと私は思うのですが、そういった事業でありますだけに、いろいろむずかしい問題はありますが、しかし、これは端的に言って、いま私が申し上げました
ように、同じ
ような仕事をやっていながら大変大きな格差がある、しかもそれが年々歳々拡大していくということを放置しておくわけにはまいらないと思うのです。したがって、私はぜひこのことについて格段の御
努力をいただかなきゃならぬと思うのですが、この点について
NHKの方から、どういうことを一体お
考えになっておるのか御
答弁をいただきたいと思います。