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1982-03-24 第96回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年三月二十四日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 水野  清君    理事 加藤常太郎君 理事 畑 英次郎君    理事 吹田  愰君 理事 渡辺 紘三君    理事 阿部未喜男君 理事 鈴木  強君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       秋田 大助君    亀岡 高夫君       鴨田利太郎君    佐藤 守良君       渡海元三郎君    丹羽 雄哉君       長谷川四郎君    原 健三郎君       福永 健司君    森  美秀君       森山 欽司君    久保  等君       森中 守義君    米田 東吾君       大橋 敏雄君    中井  洽君       村上  弘君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 箕輪  登君  出席政府委員         郵政政務次官  水平 豊彦君         郵政省郵務局長 魚津 茂晴君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君  委員外出席者         労働省労政局労         働法規課長   齋藤 邦彦君         参  考  人         (日本放送協会         経営委員会委員         長)      吉武  信君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         技師長専務理         事)      高橋  良君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   武富  明君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   坂倉 孝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     田中 武志君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     海林澣一郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     渡辺 伸一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     荒井 治郎君         参  考  人         (日本放送協会         経営総務室室         長)      片岡 俊夫君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   青柳 保夫君         参  考  人         (阪神高速道路         公団理事)   寺田 久彌君         参  考  人         (住宅・都市整         備公団理事)  武田 晋治君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   鴨田利太郎君     久保田円次君 同日  辞任         補欠選任   久保田円次君     鴨田利太郎君 同月二十三日  辞任         補欠選任   大橋 敏雄君     坂井 弘一君   中井  洽君     永末 英一君 同日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     大橋 敏雄君   永末 英一君     中井  洽君     ――――――――――――― 三月二十三日  電話加入権質に関する臨時特例法期限延長に  関する請願加藤常太郎紹介)(第一四六七  号)  同(秋田大助紹介)(第一六二四号)  脊髄損傷者に対する郵政行政改善に関する請願  (池端清一紹介)(第一五二八号)  同(岡田利春紹介)(第一五二九号)  同(北山愛郎紹介)(第一五三〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 水野清

    水野委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丹羽雄哉君。
  3. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 NHKの五十七年度予算計画書を拝見いたしますと、事業収入事業支出ともちょうど二千八百七十二億三千万円とぴったりと数字を合わせたかっこうになっているわけでございます。五十五年に受信料値上げして、ことしは三カ年計画最終年度に当たるわけでございますが、五十五年の収益が二百七億、五十六年は百十一億円、そしてことしはゼロになっているわけです。しかも、ことしの場合は、債務償還分の七十六億円が不足となって、繰越金百十一億円ですか、繰越金を取り崩し、充当するという計算となっているわけでございますが、これは五十八年以降は赤字決算になることをすでに明示したよう予算書と言わざるを得ないわけです。しかも、受信料収入伸び悩みもあって、五十七年度事業収入が前年に比べてわずか一・五%の伸びにもかかわらず、事業支出の方は五・七%という大幅な増加を見込んでいるわけですが、まず最初に、その理由をお聞きしたいと思います。
  4. 坂本朝一

    坂本参考人 先生の御指摘ように、NHK財政的基盤というのは、テレビジョンの受信機がほぼ全国の家庭に行き渡るようになりましたために、受信契約数受信料収入伸びが鈍化せざるを得ない。したがいまして、構造的には料金改定を行わない限り収支均衡が避けにくいという状況にいま陥っているわけでございますけれども、毎々申し上げておりますように、赤字になったから値上げだというような簡単な事態でないという認識は、少なくとも私を初め役員一同職員におきましても認識しておるつもりでございます。  ただ、何といいましても、そういう状況でございますから、いま先生指摘収入増をどうするかということとあわせて、支出の抑制ということも両々相まって考えますとともに、しばしば御指摘いただきます副次収入増加等々についても格段の努力をしたい、こういうことで、先般、御説明いたしました長期ビジョン審議会からも御指摘をいただいておりますので、それをもとにいたしまして長期ビジョン検討会議なるものを私の責任において設けて、いま御指摘の問題に鋭意取り組もうという状況でございます。  なお、数字的なことについて補足することがあれば、山本専務からの御答弁をお許しいただきたいと思います。
  5. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 いま会長は、赤字になったから値上げをするような安易な考えは持たないというよう決意を表明なさったわけでございますけれども、しかし、この事業計画書を見ると、どうも来年は赤字になることは避けられない、私はこういうふうにお見受けするわけでございますけれども、しばしば当委員会でも指摘されていると思いますが、来年以降の見通しをまずお聞きしたい。  それとともに、いま会長は、長期ビジョン審議会、この報告書の中でも、いろいろ副次的な収益を上げているということをおっしゃいましたけれども、私もこれをずっと読ましていただいたのですけれども、これを読みますと、「今後、物価上昇に応じた受信料額の周期的な改定を行わない限り、NHK財政収支均衡の拡大の傾向は回避しえない」、こうはっきり書いてある。これは暗にこれから周期的に、三年ないし四年ごとに値上げを行っていきますよというようなことを、はっきりとこの長期ビジョン審議会でもうすでに指摘している、そういうふうにお墨つきである、このようにこれを読んで私は感じたわけでございますけれども、その辺のところと、いまの会長決意との食い違いといいますか、その辺のところについてどういうふうにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  6. 坂本朝一

    坂本参考人 一番核心をつく御質問で、正直言ってなかなか御答弁しにくいところがあるわけでございます。しかし、冒頭申し上げましたように、構造的にはそういう事実を私としても否定できないのでございますが、何とかそこのところはもう一ついろいろな工夫がないであろうかというようなことで、いま申し上げましたよう長期ビジョン検討会議なるものを設けまして、五十八年度以降の問題に対応したい。その緩急が当然あるわけでございますから、緩急に合わせて夏ぐらいまでには、少なくとも五十八年度の問題については明確なお答えができるようにしたいと思いますので、そこら辺のところをひとつ御了察の上、この段階では御理解賜りたいと思う次第でございます。
  7. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 どうも最初お答えよりちょっと後退したよう感じを私は率直に言って受けるわけでございますけれども会長、いまマスコミ等NHKのことを、第二の国鉄じゃないか、こういうふうに言われている、よく御存じですね。これはどうも経営姿勢が厳しさが足りない、行政改革でいまずさんな経営がやり玉に上がっている国鉄、それから、これは黒字でございますけれども電電公社経営形態をどういうふうに変えていくかという問題が、これは真剣に臨調等検討をされている最中です。そういう中で、最初に私がお聞きしまして、事業収入伸びないならば当然に事業支出の方を抑えていくというのが筋ではないか、こういうふうに考えるわけですけれども会長、先ほど一番最初の御決意を表明したわけでございますから、ひとつここで、ここ二、三年は企業努力で乗り切ります、事業支出を抑えて何とか乗り切って受信料値上げは当分しない、こういう決意をぜひともこの席で明らかにしていただきたいと思います。
  8. 坂本朝一

    坂本参考人 その点につきましては、冒頭申し上げましたように、言葉でそういう言い方を私が決意表明することは簡単でございますけれども、それでは余りに経営の一端を担う者として無責任ではないか。したがいまして、そのために長期ビジョン審議会も設け、いろいろ御献策もいただき、それに対応するための長期ビジョン検討会議を設けて、少なくとも夏ごろまでにはもう少しはっきりしたことを申し上げるようにしたいというふうにこの席で申し上げましたところの苦衷をお察しの上、御理解賜りたいと思います。
  9. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 会長がそこまで悲壮な決意で臨んでいらっしゃるということで、この問題はこのくらいにしておきたいと思います。  放送事業は人手に非常に依存する分野が多いということで、ほかの分野と単純に比較するわけにいかない。特に、NHKの場合は、民間放送に比べますといろいろの分野ですべて自分のところで制作しているということで単純に比較するわけにいかないのでございますけれども、どうも何かNHKというと、人が多過ぎるのじゃないか、こういうような声がよく聞かれるわけでございますけれども、五十七年度における予算で、人件費事業支出に占める割合はどうなっているのか、これは単に給与だけでなく、社会保険費退職手当などを含めてどういうふうになっているのか、その割合をお知らせ願いたいと思います。
  10. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  五十七年度予算で申しますと、給与が九百七十九億四千万円でございまして、事業支出に占める割合が三四・一%でございます。いま先生おっしゃいます社会保険料退職手当等要員関連経費がそのほかに三百三十億ほどございます。これが一一・五%の比率を占めておりますので、合計しますと要員関連経費を含めて事業支出の四五・六%になっております。
  11. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 いま四五・六%という人件費割合をお示しいただいたわけでございますけれども、これは受信料収納委託者への報酬、これも当然人件費、これも入れますると、承りますところによりますと五〇%をはるかに超える。しかも、番組の中でいろいろ臨時職員を使う、これは制作費の方に入れるというようなことでなかなか数字が出てこないという話も聞いておるわけでございますけれども、こういう人件費をすべて含めますと五〇%をはるかに超える。五〇%を超える企業なんというのは日本国じゅうどこを探してもなかなかないと思います。全くこれは異常な状態としか言いようがない。  NHKは、効率化計画として五十五年度から向こう六年間に千二百人の効率化をするということをそういう中で明らかにしているわけでございますけれども、これもよくお聞きしてみますると、この千二百人というのは、効率化という名前で、効率化と言いまするとそのまま純減すると普通の人はだれでも受け取るわけでございますけれども、これはただ定年退職者が千二百人いるというだけのことでございまして、これはどこの企業でもあたりまえのことでございましてこのくらいいるわけでございます。それで、事前にちょっと教えていただいたわけでございますけれども、五十五年から三カ年で六百人減員したけれども、これは当然増員もしているということで、増員分が二百六十人ということで、純減は三百四十人。最初から純減が三百四十人でしたら三百四十人ということを明らかにすればいいのであって、千二百人も効率化すると言いますると、一般的には、千二百人純減する、こういうふうに受け取るわけでございまして、どうもこういう効率化計画そのものが、千二百人というものを前面に出して非常に紛らわしい表現を使っている。これでは上辺だけを塗装したよう効率化計画としか言いようがないような気がします。この辺にそもそも経営の甘さがあるのではないかと私は思いますけれども会長、この問題についてどういうふうにお考えになっておるか、お聞きしたいと思います。
  12. 武富明

    武富参考人 お答えいたします。  会長への御指名でございますが、担当でございますので、私から一言お答えさせていただきたいと思います。  いま先生お話の中で、千二百名の効率化というのは実人員じゃないのだからおかしいのじゃないか、こういう御指摘でございます。ただ、この効率化と申しますか減員計画というものは、どこでも五年計画なり三年計画なり長期計画をもって計画を立てていくのが通常でございます。一方、その中にはどうしても毎年業務の増というものが起こってまいります。これはどこでも業務が拡張してまいりますから、その部分は必要な部分が出てこようかと思うのです。それをどういうふうにふやしていくかということは、年次計画によってふやしていくというのが通常企業のやり方でございます。たとえば公務員の場合におきましても、電電の場合におきましても、やはり何年計画で何人を減らす、こういうことがまずございまして、その中で単年度にはどれだけの業務が要るからそこには何人の増をしなければならぬ、したがってその差し引きをいたしまして減員というのはやはり常に後から出てきているというのが私通常のあり方ではないかと思うのでございます。したがいまして、私ども決して千二百名ということでごまかしをしようというのでなくて、私ども計画としては、ただいま先生がおっしゃいましたように、五十五、五十六、五十七では六百人中の業務を見直すことによって生み出そう、その中で減員は、五十七年度まで入れれば三百四十名でございますが、三百四十名減らそう、しかし、その一方、どうしても増要素として必要な二百六十というものは効率化をした中で配置転換というものによってその戦力を生み出していこう、こういう考え方で実は実施をしておりますので、先生の御指摘でございますが、決してわれわれとしてはごまかすとかなんとかということでなくて、まず減の計画を立て、そして単年度の中で増の要素というものはやむを得ず出てくる、その差が減になっている、こういう状況でございますので、御賢察をいただきたいと思います。
  13. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 いまのお話をお聞きしておりますと、要するに減らす方は幾らでも計画を立てられるけれども、なかなかふやす方はわからないということなんですけれども、こういう長期ビジョン審議会なんというりっぱなところで時間をかけてこういうよう報告書もつくったわけでございますから、ある程度の目安は当然つけられるわけです。それでなければこういうものをつくる必要もないのであって、これはちょっとごまかしにすぎない、このように私は考えるわけでございますけれども、これ以上この問題を論議しておりましても時間がかかりますので、この辺で打ち切らせていただきます。先ほどから私が指摘しておりますけれどもNHK経営問題を論じるときに避けて通れないのがいわゆる労使関係、どうも労働組合に対して経営側が余りにも甘過ぎるのではないか、甘過ぎるというよりは組合が強過ぎるから言いたいことも言えないんじゃないか、遠慮しているのではないか、そういうことから思い切った合理化もできないんじゃないか、それが私が先ほど申しました世上第二の国鉄と言われるゆえんではないか、こういうふうに考えるわけでございますけれども、次に労使関係について若干お尋ねしたいと思います。  ここに労働協約があるわけでございますけれども労働協約の第三十七条に、労使間で経営協議会を設けるというふうになっております。まずお尋ねしますけれども、この経営協議会の中で、最高経営協議会という名前のついた協議会があるわけでございますけれども、この協議会というのはどういう協議会ですか。
  14. 武富明

    武富参考人 お答えを申し上げます。  最初に、経営協議会というものでございますけれども、わが国のほとんど九〇%を超える大企業において、いわゆる労働組合との間に業務の円滑な運営を図るあるいは労働組合意見を聞く場というものを持つ、こういう意味から労使協議制というものをとっているというのは、これは非常に確かなところでございます。また、これを生産性本部その他が推奨しているということも事実でございます。  この場合に、この労使協議をする場というものにどういう名前をつけているかというと、大部分労使協議会あるいは経営協議会という名前をつけているというのが現状でございます。いまお尋ねの協会においてはどうかということでございますけれども協会でも、労働協約によりまして、この労使協議制度という労使協議をする機関というものを置いて経営協議会と呼んでおりまして、ここでその最高名前がついておりますのは、各段階いろいろレベルがあるわけでございます。地方局レベル、それから前地方本部というように言いましたいま管内担当放送局と呼んでおります、たとえば近畿だったら大阪、中国地方だったら広島、そういうふうな中央局でございますね、そういう意味で各段階いろいろ分かれております。その本部中央でやるレベルという意味最高協議会という名前をつけております。これは名称のつけ方でございます。おわかりをいただけたと思います。  そこで何をやっているかということでございますけれども、これは、たとえば協会全体の組織の改正とか、あるいは予算事業計画など、こういったものにつきまして組合に十分に説明をいたしまして、理解を求めて業務運営円滑化を図る、こういう場としてこれを使っているわけでございます。  この問題につきましては、いま最高経営協議会という、その最高というのがしばしば誤解を呼ぶおそれがありますので、いま中央と改めよう考えておりますが、この協議会性格というのは以上御説明をいたしましたとおりでございますので、その性格というものは有効に生かしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  15. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 いま人事本部長からお話しいただいたわけでありますけれども、どこの企業でも労使協議会的なものは設けているわけでございますけれども最高経営協議会という大変すばらしい名前がついている協議会を持っておるのは、私はNHKただ一つじゃないかと思います。この名前だけをお聞きいたしますと、経営委員会よりもむしろ上の位置に位置するような、こういう感じを持って、文字どおり権威のある最高協議会、これはだれでもそういうふうに受け取るのは私は率直な受け取り方ではないか、こういうふうに思うわけでございます。  きょうは経営委員長おいででございますけれども、これではもう本当に経営委員会に対して大変失礼ではないか。そういうわけで、いま人事本部長から、名前を、最高経営協議会誤解を受けやすいから今度は中央協議会、こういうふうに変えるというような御答弁でございますけれども中央協議会も何か大して変わらないのじゃないか。最高じゃまずいから中央に変えてくれ、これは組合に何か遠慮しながらお願いしているような印象を私は受けるわけでございますけれども、こういう最高経営協議会という協議会労使協議会、こういうことが存在すること自身について、会長、どういうふうにお考えになっておりますか。
  16. 坂本朝一

    坂本参考人 ただいま人事本部長が申し上げましたとおり、そういう労使の場があるということはNHKだけではございませんで、各企業においても同様の趣旨の場があるわけでございますから、それは私は不当ではないんではないかというふうに考えています。
  17. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 人事本部長からお話がございましたように、問題は、私は第三十九条じゃないかと思います。「次の事項については、経営協議会に諮って、甲(経営者側)は乙(組合)の意見を十分反映させるものとする。」お話にもございましたけれども、「予算の編成に関すること。」「定款、職制、分課分掌規程その他重要な規程の制定、改廃に関すること。」「事業運営基本方針に関すること。」こういうふうに明記されているわけでございますけれども、私は、これはもう組合経営者が話し合う問題ではなくて、経営そのものに関することだ、これはもうNHKそのものじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。  これは、先日来私の同僚の鴨田議員が、経営委員会はちょっと形骸化しているんではないかというような御質問に対しまして、吉武委員長は、そんなことはないというようなことをおっしゃいましたけれども、こういう労使協議会が存在すること自身経営委員会そのものが非常に無視されているというか形骸化されている、そういうふうに感じるわけでございますけれども、この点につきまして、経営委員長の御見解をお聞きいたします。
  18. 吉武信

    吉武参考人 お答えいたします。  ただいま御指摘の点、世間からいろいろ言われるようなことのないよう執行部に私どもはお願いしていきたいと思っております。ただ、経営委員会は形骸化していないとこの間お答えいたしましたけれども、そういうふうには考えておりません。労使問題というのは本質的には執行部関係でございまして、執行部経営委員会関係というのはなかなかむずかしい接点だと思う点がございます。経営委員会がそういう具体的な問題に一々口出しすることが果たしていまの経営委員会の職責の中に入るかということになりますと、学者の方その他の方の御意見はいろいろございまして、原則的には、むしろ会長を任命し、会長を信任し、原則的な点で見ていく、議決権を行使していく、具体的なことはむしろそちらの執行部にお願いする、やっていただくということが大体の見解ように私ども思っております。ただ、いろいろな批評が世間から出たりいたしますと、私どもも無関心ではおれないのでございまして、そういうことのないよう世間誤解を生むようなことのないように実は時たま執行部にお願いはしております。一々そういう点にわれわれが口出しすることはちょっとどうかという立場をとっております。
  19. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 それでは会長にもう一点お聞きしますけれども、じゃ、これは近いうちに最高経営協議会中央経営協議会に変わる、こういうふうにこちらの方で考えてよろしゅうございますか。
  20. 坂本朝一

    坂本参考人 そうすべきだというふうに私は確信しております。
  21. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 会長が確信なさるのは結構なんですけれども、問題はそうできるかどうかという問題でございまして、まあ、これはいろいろ組合との兼ね合いもあると思いますけれども、ひとつ腰を据えてじっくりと説得して、こういうばかげた最高経営協議会なんというよう名前を一日も早く変えて、そして健全な労使関係の姿にしていただきたい、私はこういうふうに考えております。  それから、もう一点ですけれども、これは最高経営協議会と並んで、第二十一条ですか、これには人事委員会というのがある。これも最高人事委員会という名前がついているわけでございまして、どうも最高という名前が大変お好きなようでございますけれども労使同数の委員を出して、そこで人事を一切決める。私が先ほどから御指摘申し上げておりますように、人事の問題も組合と相談して決める、これではどうもNHK経営者はいないよう感じを受けるわけでございますけれども、こういう状態、先ほどから会長も、変えるというようなお考えを示していらっしゃるわけでございますけれども、大至急にこの問題もあわせて再検討していただきたい、このよう考えております。
  22. 武富明

    武富参考人 担当でございますのでお答えさせていただきたいと思います。  ただいまの最高人事委員会でございますが、人事その他について組合と相談をする気は毛頭ございませんし、やる気もございません。ただ、これはあくまで苦情処理機関である、こういうふうにお受け取りいただきたいと思うのです。これは条文の中でもその点は明らかになっていると思うのです。したがいまして、いま先生の御指摘でございますが、これも、最高という名前がつきましたのは、かつて中央放送局と言っていたものですから、中央放送局レベルのいろいろな協議会というものに中央という名前が使えないという歴史もあったようでございます。しかし、先ほどの経営協議会と同じように、非常に誤解を招きやすいということでございますので、中央に変えたい、私としても、ぜひとも近い将来において変えたい、この努力は続けたい、こう思っております。
  23. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 それでは、次に、昨年の春闘の際、三月の中旬から五月の十日まで断続的にストライキが行われたわけでございますけれども、このストライキには大ぜいの方が参加したわけでございますが、このストライキで、一般の組合員以外の指名者、組合の幹部、こういう方々によるストライキの賃金カットが総計でどのぐらいになっているのか、数字がおわかりになればお知らせいただきたいと思います。
  24. 武富明

    武富参考人 お答えいたします。  ただいまの先生の御指摘の時限ストあるいは指名ストにつきましては、約九千万円になっております。
  25. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 九千万円ということでございますけれども、賃金カットでございますから、これは普通、三月にストライキを行ったものは三月の末に支給される給与で、四月に行ったストライキの賃金カット分は四月の末に支払われる給与で、こういうふうに毎月ごとにきちんと賃金カットされているのですか。
  26. 武富明

    武富参考人 お答えいたします。  賃金カットの問題につきましては、賃金カットの中に二つございます。つまり、一般に勤務時間中にたとえばストが打たれた場合には、非常に多くの人間が参加しておりますし、その時間というものは明らかでございますから、これはきわめて算出の仕方が容易である、こう申し上げてよろしいと思います。それは給料から直接減額をいたすということにいたしております。後でまとめてお話しします。  それから、もう一つの種類といたしましては、いま先生が御指摘になりました、たとえば指名ストあるいは非常に朝早い時間帯あるいは夜遅い時間帯にストが組まれた場合には、その時間帯に参加した人間というのはきわめて少のうございます。つまり、逆に、それに参加した人間というのは選び出して給与の精算をしないとできないという状況がございます。この少数の人間を選び出して減額するということはなかなか手間のかかることでございますが、この後半、指名ストあるいは時限ストをやりました者につきましては、これは直接参加者からの賃金からカットをしないで、その分を一括して組合から請求をして取る、こういう方法をとっております。  いま先生お話の中にございました三、四分、これを三月、四月と分けて取れないか、こういうことでございますけれども、実は三月中の給料というのは二十日に支給をいたしております。したがいまして、三月中ストがどう行われるかということは、三月が終わりませんとちょっとわからぬということがございます。それから四月以降につきましては、この賃金カットというのは、新しく決まりましたベースによって引かなければなりません。これは御理解いただけると思うのですけれども。それで、実際に、たとえば妥結提案というものが四月にございましても、これは正式に決まったものではございません。つまり、五月に入りまして実際に組合中央大会その他で承認を得て確定するものでございますから、これまでのところ、六月の給与からこの減額を行う、こういうことにいたしております。  それは一つには、ただいま御説明をちょっとしかけましたように、非常に煩瑣な事務というものが伴います。これは何部も分かれれば分かれるほど非常に煩瑣な業務というのを重ねなければならぬものですから、その点われわれとしても、事務的な繁雑さというものを避けるという意味も一つございまして、六月にカットいたしております。これがいままでのやり方でございます。
  27. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 いま、事務的な処理の問題から、これは毎月ごとの賃金カットは行われないで、ストライキが終わって、六月ですか、一カ月以上たってから賃金カットをするというような御答弁でございますけれども、どうも何か、これもちょっと不自然な感じが率直に申し上げて私はするわけでございまして、これではどうも何か、ストライキを思う存分やってください、終わってから――これは事務的な処理の問題でしょうけれども、普通、賃金カットというのは、私どももかつて総評傘下の新聞労連に参加したことがあるわけでございますけれども、毎月きちんきちんと賃金カットされておったわけでございますので、その辺はいろいろNHKNHKなりの事情もございますし、この点はこれ以上この問題を質問するあれはございませんけれども、こういうストライキが終わってから賃金カットをするというのは、これは昔から続いておりますNHKの慣行になっているのかという点が一点と、それから、ストライキが終わってから組合協会側に一括して支払う、こういう組合の立てかえ払い制度ですか、これについて、何か協定とか、その根拠となるものが存在するのかどうか、お聞きしたいと思います。
  28. 武富明

    武富参考人 ただいま申し上げました賃金カットの方法というのは、かなり前からそれに従ってやっている一つの慣行と申してもよろしいかと思います。ただ、私どもとしても、いろいろ御指摘もございましたし、それから、より一層迅速に処理をするいろいろな方法はないかという努力は続けてまいりました。それで、五十六年、一つはコンピューターのいろいろなシステム改善等もございましたもので、昨年からは六月の賃金カットと同時に先ほど申した立てかえ払いというのを解消している、こういうことでございます。
  29. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 だから、私がお聞きしたいのは、組合との間で立てかえ払いをするということについて何か協定のようなものがあるのかどうかということなんです。
  30. 武富明

    武富参考人 昨年度からはっきりした協定を持っておりますけれども、ただ、それ以前は組合からの要請があり、当方も妥当だと認めることによってそれをやっております。
  31. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 その協定はいつごろなされたわけですか、組合側と協会側と。その時期を教えてください。
  32. 武富明

    武富参考人 ただいま申し上げましたように、はっきりとした協定文という形をとりましたのは昨年度からでございます。それより前は、組合から依頼文書が参りましてそれをこちらが認めてやる、これはちょっと私、定かではございません、いま調査が足りませんで申しわけありませんが。それが文書の確認によるものかどうかは私ちょっと確かでないのでございます。ただ、それは一つの慣行だ、私はそういうふうに理解して、一昨年前の状況でも続けてまいったというのが実情でございます。
  33. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 いや、去年の協定の時期がいつなのかということです。
  34. 武富明

    武富参考人 大変申しわけありません。ちょっと私その協定文書を置いてまいってしまったものですから、時期がいま明確ではないのですが、後でお知らせいたします。
  35. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 それでは、決していじわるをするわけではないのですけれども、私はNHKからいただいた協定書があるのですけれども、五月十二日に組合中央書記長から人事本部の労務部長に対して、今回のストライキについて一括して納入することにしたいからお願いしたい、これはおわかりですね、こういうのを出していらっしゃる。そして、これに対して今度は人事本部の労務部長から、六月二日に中央書記長殿に、減額カットいたしますから、賃金をカットいたしますからよろしくお願いしますという通知書を出している。そこで、私が非常にこれが不自然だというふうに申し上げたいのは、ストライキを行う前から取り決めがあるならばまだわかるわけです。ところが、ストライキが終わってからこういう申し入れをして、そして経営側も通知をしている。これはどうも何か非常に納得いかないわけでございまして、これは私もちょっといろいろ調べたのですけども労働組合法の第七条の三号に、不当労働行為という項があるわけでございますけれども、これは「労働組合運営のための経費の支払につき経理上の援助を与える」、こういう便宜供与に当たるのではないか、私はこういうふうに考えますけれども、この点につきまして、労働省の方おいでいただいていると思いますけれども、労働省の見解をお聞きしたいと思います。
  36. 齋藤邦彦

    ○齋藤説明員 お答えをいたします。  先生指摘ように、労働組合法七条によりますと、ストライキ期間中の賃金カット、俗な言葉で言いますと賃金カットをしないということは経費上の援助に当たって不当労働行為であるということは、再三われわれがいろいろなところで申し上げてきたところでございます。ただ、問題は、いま先生御議論になっておりますように、後から組合の方から精算をさせるという方式が果たして不当労働行為になるかどうかということであろうと思います。この件に関しましては、従来からわれわれといたしましては、会社側と組合側との間に明確な特約があって、それに従って会社に対して組合が厳格に返済をしておる、そういうような場合であったら、労組法七条三号の不当労働行為には該当しないのではないかというふうに解釈しておりますが、いずれにいたしましても、こういうような行為はいろいろのところで問題が生ずるという意味で、脱法行為として行われるようなおそれがあるということもございまして、好ましくないのではないかというようなことを常日ごろから申し上げておるということでございます。
  37. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 いまの労働省の見解で、立てかえ払い制度について、脱法行為として行われるおそれがあるから非常に好ましくないという見解を明らかにしたわけでございます。ことしもこれから春闘が行われるわけでございますけれども、こういう見解があるわけでございますから、ひとつことしの春闘ではこのような立てかえ払い制度をおやめになるのが当然である、私はこういうふうに考えますけれども、この件につきまして会長の御見解をお聞きしたいと思います。
  38. 坂本朝一

    坂本参考人 当然のことでございますけれどもNHKが不当労働行為をしたり脱法行為をするということは絶対あってはならないというふうに考えております。ただ、人事本部長が御説明いたしましたように、このことは組合側のこともさることながら、事実問題として経営側の計算等の考え方の中で非常に困難を伴うもので、そこでまたミスを起こすというようなことがあってはならないというようなことがございますから、私はある程度この現実もお認めいただけないものだろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  39. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 いまの会長答弁をお聞きしますと、労働省の見解を真っ向から無視するような、反対するよう答弁にお聞きするのですけれども、この問題について郵政大臣どういうふうにお考えですか。主務官庁として大臣のお考えをひとつお聞きしたいと思います。
  40. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 私は、やはり労使関係の問題は、主務官庁としては労働省が主務官庁ではないか、そのよう考えております。
  41. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 郵政大臣にこの問題をこれ以上お聞きしてもなにでございますけれども、しかし、現に労働省の法規課長が、事例を挙げて、これは脱法行為になるおそれがあるから好ましくない、こう言っているわけでございますから、ひとつこの問題を何とかこの辺でピリオドを打って、新しい形で、毎月賃金カットをするというのが正常な形でございますから、事務的にいろいろ問題はあるにしてもそういう方向で検討するのが筋ではないか、私はこういうふうに考えるわけでございますけれども会長がそういうお考えでしたら、恐縮でございますが、経営委員長考えをお聞きしたいと思います。
  42. 坂本朝一

    坂本参考人 私の言葉が足らなくて誤解を招いたらおわびいたしますけれども、基本的には、労働省がそういう御見解でございますから、当然それに沿う努力をすべきであろうというふうには考えております。
  43. 武富明

    武富参考人 ただいま会長お答えをいただいた後、私がお答えするというのは、順序が逆でございまして、大変申しわけないと思うのでございますけれども、この事情、それからいま労働省の御発言というものも十分に承りました。ただ、われわれとしても先ほどるる御説明申し上げましたように、非常に次元の低いことではございますが、事務的に非常に煩瑣ということもまたいろいろ考えていかなければならない問題でございますので、それぞれ労働省あるいは郵政省に御指導をいただきまして、われわれとしてもいま可能な最もいい方法というのを探してまいりたいと思いますので、その点でひとつ御了承をいただきたい、こう思うわけでございます。
  44. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 答弁に私は必ずしも満足するものじゃございませんけれども、先ほど私が指摘いたしました最高経営協議会と並んで、この問題も労使関係を正常な姿に戻すためにも、第二の国鉄と言われないためにも、ひとつ腰を据えてこの問題について取りかかっていただきたい、こう考えます。  次に、NHKは大事故が発生した場合には民放と違ってスポンサーの了解を得る必要もないし、非常に人員が多くて機動力がある。こういうところから、報道については迅速で正確である、こういう一応の評価を得ているわけでございます。ところが、この問題につきましてはもう再三他の同僚議員からも質問があったわけでございますけれども、今度の日本航空機の事故では、NHKが現場に到着したのは民放に比べて一時間半も遅い。放映になったのが一時間半も遅かったということでございまして、その原因はいろいろあると思います。  これは新聞のコピーでございますけれども、これを読みますと、「あたり前ですよ。人員を削減されないよう、カメラマンひとりでできる仕事を二人がかりでやるんですからね」と現場の報道部記者。大事故が起きた場合、FPU(フィールド・ピック・アップ)と呼ばれるテレビ用のマイクロ中継機をカメラにセットすると、現場から放送局や基地局に直接、映像・音声を送り込める。ところがこれを使うと中継に携わる人間が不要になり、人員削減の対象になりかねない。そこでNHKではわざわざハイヤーで現場と放送局を往復してVTRを運ぶ。羽田と東京・渋谷のNHKセンター間なら、この時間が一時間半。」こういうふうに書いてあるわけでございます。  これは権威のある新聞でございますけれども、この問題について、これが正しいのか誤報なのか、その事実をお聞かせいただきたいと思います。
  45. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  いま先生がお読みになったことは事実ではないというふうに思います。と申しますのは、今回の日航機の取材につきまして陸上からの映像がおくれましたのは、それまで日常的にやっておりました私どものニュースの中継車が現場で規制を受けまして中に入れなかったということでございます。それまではカメラマンとニュースの中継車とが一体となって映像送りができておったわけですが、そのときにカメラマンだけが中に入れて中継車が入れなかったということがございました。この事故を契機に、われわれとしては、これではいけないということで、その後直ちに取材をいたしますカメラマン、映像を撮影いたしますカメラマン、それからその映像を送るコンパクトな車とを一緒にいたしましてすでに活躍しております。放送の責任者として、今回のこういう事態については大変申しわけないと思っておりますが、われわれとしては、これを契機として、二度とこういうことがないようにもうすでにいろいろな手を打ってやっておるということでございます。
  46. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 そうすると、ハイヤーを使って放送局と現場とをVTRを運んでいるというような事実は全くないということでございますね。
  47. 田中武志

    田中参考人 現在、こういうふうに緊急出動、初動態勢のときには、現場から映像をFPUを使って送れるということになっております。
  48. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 ありがとうございました。  それでは、NHKの問題についてはこれで終わらせていただきまして、最後に、一つだけ郵政大臣にお尋ねやらお願いやらしたいと思います。  ここに目の不自由な人たちのための点字カレンダーがあるのですが、ちょっとこれを見ていただけますか。――このカレンダーを見ていただいてわかりますように、このカレンダーは上の方に写真が入っている。そういうことで無料の範疇に入っていないわけでございますけれども、普通、目の不自由な方の郵送は郵便法の第二十六条の規定によりまして無料になっているわけでございます。その点字カレンダーは、愛の小鳩事業団が製作して日本点字図書館を通じて、点字のわかる全国の目の不自由な方全員に無料で配付されているわけでございまして、昭和五十一年から行われて、その部数はもう一万六千部にも及んでいるということでございます。  ところが、先ほど申しましたように、ここにちょっと写真が入っていますからこれは目の不自由な方だけの対象にならないということで、いままで一部当たり二百円郵送料がかかっているわけでございますけれども、いろいろ点字図書館の方を初め目の不自由な方々のお話を聞きますと、この点字カレンダーを通じて対話の道も非常に広がってくるし、いろいろな面でいままで経験しなかった話とかいろいろ話題も豊富になってくる、ぜひともこの点字カレンダーを無料にしてほしいということであります。これは日本点字図書館が社会福祉事業の一環として行っているわけでございますので、これまではずっと有料で行っているわけでございますけれども、郵政大臣は社会福祉にも大変御熱心であるということで、私、日ごろから尊敬申し上げているわけでございますので、この問題についてひとつ大臣の御勇断をお願いしたいと思います。
  49. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 この愛の小鳩点字カレンダーは私も見たことがあります。ということは、実を言うと私の父親も盲人なんです、先年亡くなりましたけれども。それで見たことがございます。これが有料であることも覚えております。私が郵政大臣になりましてから、これは何とかならぬものか――確かに郵便法第二十六条で、絵があるものですから、これは単なる点字ではないということで、解釈上これは有料ということになっていたわけでありますけれども、これだけみんなに喜ばれております。盲人の方々は非常に喜ぶんですね。このカレンダーを壁にかけておきまして、絵がなくてただ点字だけであった場合に、本当に部屋の飾りにも、家族は全部晴眼者が多いわけですから、この程度のことはできぬものかなと思いまして、二十六条の解釈上の問題でございますから、鋭意検討させたのであります。せっかく先生の御質問でございますから、検討させた結果、この愛の小鳩点字カレンダーは郵便法第二十六条の規定の趣旨に反しない、こう認めますので、自後この点字カレンダーは点字郵便物として無料の取り扱いをいたしたいと存じます。
  50. 丹羽雄哉

    丹羽(雄)委員 大臣から大変感銘的なお話をお聞きし、また英断、これからは無料にするというようお話をお聞きしまして、大変うれしく思います。これによりまして、全国の点字のわかる目の不自由な方もどれほど喜んでいるか。ひとつ大臣に感謝申し上げまして、ちょうど時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  51. 水野清

    水野委員長 これにて丹羽雄哉君の質疑は終了いたしました。  経営委員長に申し上げますが、次の久保等先生経営委員長は御出席なくてもよろしいそうでございますので、午後一時の森中守義君の質問まで御不在で結構でございます。  次に、久保等君。
  52. 久保等

    ○久保委員 私、NHKの明年度、五十七年度予算案に対する質疑を若干いたしたいと思うのですが、ただ、その前に一言、いまいろいろ労使問題について非常に突っ込んだ御質問等もございました。労使問題はなかなかむずかしい問題でございまするだけに、私はあくまでも労使における自主的な判断、そういったことで問題が円滑に処理をされていくことが最も好ましいと思うのですが、先ほどもちょっと経営協議会の名称問題等のお話も出ておりましたが、こういった問題も、いわゆる一般常識的な立場からの名称がつけられるのだろうと思うのです。しかし、事が労使関係の問題で、そういった問題についても常識的に運用をされてまいることが好ましいと思うのでして、どうも公式の場で正式に取り上げて議論をするという問題なのかどうか、そういったことにも実は若干疑念を持つのです。と申しますのは、NHK、申し上げるまでもなく放送法の第一条に示しておりますように、いわゆる不偏不党という問題が、特にNHKの公共放送には、一般の言論報道機関もそうでありますが、NHKの場合には法規そのものにも明確に規定をされておるわけでありまして、そういう立場からまいりますと、いろいろ質疑をしてまいりますることが一体どういう影響を及ぼしていくだろうかという点を考えますと、われわれも慎重にならざるを得ないのです。最近の風潮として、残念ながら、これはNHKあるいは日放労という労使関係の問題とは別でございますが、郵政大臣の所管の企業の中でも手当等の問題について〇・幾らがどうだとかこうだとか、非常に長い聞けんけんがくがくの議論が与党の諸君の中で行われておる。非常に関心を持つことは結構なんですけれども企業そのものの細かい〇・幾らの問題で長い時間をかけてけんけんがくがくの議論をやっておる。私は、こういったことについて、最近いわゆる労使間における脱線をしたり不偏不党の問題については厳しく監督、大臣にいたしましても使用者側の立場に立ってもいわゆる自主的な判断において処理をされていくことは当然だと思うのですが、それが政党等が乗り出してまいるというような風潮がありますことはどうも好ましくない、かように実は考えております。したがって、そういう意味合いで、郵政大臣、事業体に対するいろいろ監督の立場にもおられるわけですが、もちろんNHKに対しては、監督と申しましてもこれはまた一般の企業に対する監督とはおのずから違っておりますが、NHKそのものに対する国民の公共放送としての自主性というものを最大限確保してまいろうというのが放送法の大精神でもあると思うのです。したがって、NHK企業体と他の企業体の問題を私は一緒に申し上げると若干誤解を招くかもしれませんが、私の申し上げておりますのは、要するに、労使関係の問題について、労使の間における最大限の自主的な話し合いによって解決をしてまいるという立場を尊重してまいるべきだ、かよう考えるのですが、郵政大臣いかがお考えになりますか。簡単に一言所信をお聞きしたいと思うのです。
  53. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 NHKは私の郵政省の所管でございますけれどもNHKNHKとしての言論報道機関としての性格から放送法経営の自主性が高度に保障されているわけであります。郵政大臣の監督権限も、先生おっしゃるとおり他の特殊法人の場合に比べてきわめて限定されたものになっております。NHKの監督に当たっては、このよう放送法の精神にかんがみ、極力その自主性を尊重することを基本といたしております。したがって、労使の問題は、先生おっしゃるとおり労使間でよく話し合ってもらう。そして健全な経営ができることを私は期待しておるわけでございます。
  54. 久保等

    ○久保委員 それでは、予定いたしております質問についてお尋ねいたしたいと思うのです。  最初に、郵政大臣のNHK予算に対する意見書、そのことについてお尋ねしたいと思うのですが、いつもとちょっと変わった意見書の中身になっております一つの問題は、公共放送機関としてのNHK、これが一昨年の七月以来本年の一月にかけて例の長期ビジョン審議会というものを設けて、ここで今後のNHK経営の問題についてあらゆる角度からいろいろと議論し、この一月に答申が出された。そういう経過から、この大臣の意見書の中でも、「協会の審議の結果を踏まえて、」云々ということが言われておるわけですが、ただ「協会の審議の結果を踏まえて、」という表現では、私はいま申し上げた意味から考えると、少し表現が十分でないよう感じもいたすのですが、それは別として、この「協会の審議の結果」というのは私がいま申し上げたことだろうと思うのですが、そういう長期ビジョン審議会の答申の審議の経過を踏まえて、今後十分に視聴者の意向というようなものを掌握し、これを番組の中に反映するよう努力せい、こういうことを言われておるのですが、あのビジョン審議会の答申なるものは非常に膨大な中身になっておりますから、もちろんここで詳細な御説明を承ることはできませんが、ただあの答申は、あくまでもNHK会長に対する意見答申がなされておるわけでして、大臣に直接は関係ないわけなんですが、しかし、この意見書の中であえて大臣がこの問題を取り上げて、この審議経過を踏まえてとにかく善処せいというようなことを申しておられるのですが、このビジョン審議会の答申の中で郵政大臣としてはどういったところに注目をせられて、「協会の審議の結果を踏まえて、」と指摘をしておられるのか、簡単にひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  55. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 長期ビジョン審議会報告書は、一九八〇年代のNHKのあり方について考究し、現在の放送界の実情にかんがみ、NHKの地位を従来と同じ姿勢のままで維持し続けることについては非常に困難である、そういう基本認識のもとに、NHKが直面する諸問題を指摘し、その検討方向を示唆したものと私は理解しておるところであります。  特に経営面については、NHKを取り巻く環境について非常に厳しい認識と、NHK放送事業体としての特殊性を前提としつつも、経営効率化あるいは適正化へのより一層の努力が傾注されなければならないと要望しております。NHKに対して適切な対応を求めていると解しているわけであります。特にNHKが具体的かつ詳細な検討を加えて、長期的な経営安定の方策について検討を進めてもらいたいと私は考えております。  この中でも具体的に、業務的な問題としては六項目提案されておりますし、経営的な問題についても同じく六項目提言されております。また、NHK対国、国民という項目についても四項目、三つの柱がありますが、提言していると私は考えておるところでございます。したがって、この提言を踏まえて、より一層努力をしてほしいという考え方でございます。
  56. 久保等

    ○久保委員 郵政大臣の意見書の中では、昨年もことしも、私はさっきちょっと触れましたが、協会は、視聴者の意向を積極的に吸収して、これを事業運営に反映させるとともに、視聴者の理解と信頼を確保することに努めよということが、本年も指摘をされておりますが、同時に、昨年の当逓信委員会で、やはり本年度、五十六年度予算案審議の際にも同じようなことが実は附帯決議としてつけられております。そういった点で、郵政大臣もあるいはまたわれわれ当逓信委員会も、いま申し上げたことを非常に強く協会の方に要請をしてまいりました。このことについて詳細に伺うことはこれまた時間もありませんからできませんが、簡潔に、このことについてNHKは今日までどう取り組んでまいっておるのか、主要な点についてNHKの方からひとつお答えを願いたいと思うのです。
  57. 荒井治郎

    ○荒井参考人 視聴者本部担当しております荒井でございます。  NHKにとりまして、視聴者の方々の理解と信頼、それから支持といったものは、私どもの存在の基盤になっているのじゃないかと考えております。そういった意味で、五十五年七月から視聴者本部というのが発足いたしまして、その視聴者本部を中心にいたしまして、視聴者との結びつきの強化というのが精力的に行われてまいったわけでございます。  その具体的な例を幾つか申し上げたいと思いますけれども、一つは、会議の場を通じての対話活動でございます。全国五十三カ所にございます放送局を中心に、年三回その地域の代表の方々とお話しをいたしまして意見を承る視聴者会議と、それから、東京とか大阪とか名古屋という大都市圏でさらにきめ細かく視聴者との対話活動をやろうということで、放送懇談会というのを昨年から実施してございます。それから、問題に従いまして随時機動的にお話し合いをするというような視聴者懇談会、これも年間千八百回ぐらいやってございます。こういったものをやりまして、視聴者との結びつきの強化を図っております。  これは組織的なものでありましたけれども、もう一つは、日常に個別的に参ります電話だとか投書でございます。これは五十五年度は四百四十万件ほどございますけれども、その電話、投書につきましては、これは個々の視聴者の意向でございますので、その日に参ったものが一つの日報というかっこうで、会長以下の役員とそれから現場の責任者の方に回ってまいります。それで、処置のできるものは処置をして、さらに、そうした意向は、先ほどの会議や何かに出ました意向と合わせまして、全体的に検討いたしまして集約をいたします。それを月に一回理事会に報告をいたしまして、事業運営に反映のできるものは反映をしていく、そういうようなかっこうでもって現在まで視者聴との結びつきを図ってまいっております。  そのほか、広報番組とか広報の印刷物、公開番組、催し物、それから、放送センターとか放送会館での見学を通じての視聴者との交流活動と申しますか、そういうことも積極的に行ってきているわけでございます。
  58. 久保等

    ○久保委員 余り細かくお尋ねすることも時間の関係がございますから省略をいたしますが、いずれにいたしましても、視聴者との関係をいかに深め信頼関係をますます強化してまいるか、これはNHKの存立の死命を制する重要な問題だと思うのです。そういう点でいろいろ工夫をしておられると思うのですが、問題は、やはり具体的なもろもろの計画そのものが全体として見てそこに有機的な結びつきがある、そういったいわば全体の諸活動そのものが本当に生きたものとして動いてまいることが必要だと思うのでして、具体的にいろいろやっておられることそのものが非常に活発であっても、いわば血の通った、本当に誠心誠意そういったことがやられておるかどうか、これは非常に大事なことだと思うのですが、そういう点で、有機的なものとしてそういった諸活動を、いろいろ新規の工夫もこらしていただきながらひとつ御努力を願いたいと思うのです。  次にお尋ねしたいのは、例の受信料の徴収問題です。非常に受信料の滞納が多いわけでして、当委員会で常にやかましく指摘されておる問題です。特に、過去ここ四、五年間の経過を見てみますと、昭和五十二年度から二、三年後の間においては、実は年々数万の滞納が増加をしておるという傾向にあったようでありますが、昭和五十二年度から五十六年度に至る間についての傾向を簡単にひとつ御説明を願いたいと思うのです。
  59. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答えいたします。営業担当の海林でございます。  滞納につきましては、いま先生のおっしゃいましたように、五十一年から眺めましても万という台で参ったことでございます。それが五十五年に七千、それから現在でございますと、五十六年の九月で締めました数字が五千の増加ということで、最終、この三月という数字がもちろん出ておりませんが、現在私が把握しております手作業の数字では、ほぼ横ばいという形で今年度を終わろうというふうに思っております。
  60. 久保等

    ○久保委員 五十二年度あたりでは、前年度に比べて約十万ぐらい滞納契約者が増加しておったようですが、いまお話があったように、本年度の場合には約五千程度の増加にとどまるであろうというようなことが言われておるわけですが、明年度、五十七年度予算、いま審議をしておるわけなんですが、五十七年度あたりでは大体どの程度におさめることができるか。すなわち、現在約百万近い数字になっておるわけでして、九十九万六千程度だと言われておるようでありまするが、この滞納契約者が百万台の大台を超すかどうか、そういったところにもあると思うのですが、百万台を超えるというようなことになりますると、これは非常に精神的にも大変な、われわれ自体が非常なショックを受けるわけなんですが、ここらあたり、明年度あたりの見通しとしてはどんなふうにお考えになっていますか。
  61. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答えいたします。  非常にむずかしい御質問でございます。つまり、受信者の数がふえていくということで、それだけの尺度から申し上げますと、契約数がふえていけば滞納もふえるだろうということが一つございます。しかしながら、先ほども先生の御質問にございました、私もお答え申し上げました、鋭意努力いたしまして、去年、ことしと五千というような台になってきた。それは私どもがやはり公平負担ということを基本に考えるということで、全協会的に努力をする。たとえば、毎度申し上げておりますけれども、五十二年から特別営業対策員を設けた、昨年は十月にその数をさらに四十人ふやしたというようなこと、あるいは特に大都会で、単身世帯の方あるいは核家族の方、なかなかお会いできない家がある、そういうところには電話もかけようあるいは手紙も出そうというようなことでやっている、その現実的な努力からいたしますと、私どもとしては、何としても、公平感というものを維持していくためには、百万を超えてはいかぬということを基本にして鋭意努力を重ねている。しかしながら、くどくなりますけれども、前段で申し上げた契約数が、ことしは有料、無料を合わせましてやがて三千万を超えようという中で、まさに先生のおっしゃる、どういう歯どめがきくかということをこれから真剣に考えていきたいというふうに思っています。
  62. 久保等

    ○久保委員 受信料を、できるだけ不公平にならないように、全受信者の方々からぜひ納めていただくということに向かってあらゆる努力を続けてまいっておるわけでありますが、いろいろなケースがあって、一概にどういうことが原因でということではなかなか説明がし切れないと思うのですが、いろいろやっておられる中で、どういったところが非常に隘路といいますか、非常にむずかしいというのか、苦心のあるところはどういったところにあるのか。われわれは、もちろん従来からもいろいろな御説明を伺っておおよそのことは見当がつくのですが、いま申し上げたように、ぎりぎりのところ、何とか滞納者がふえることを防止してまいる、さらに、従来滞納しておる者もぜひ納めていただくということで、最大限の努力を今後一層やってもらわなければならぬと思うのですけれども、どういったところに非常なむずかしさがあるのか、二、三特に考えておられる点がありましたら、ひとつ御説明願いたいと思うのです。
  63. 海林澣一郎

    ○海林参考人 先ほども申し上げましたけれども、やはり大都会であります。大都会の単身世帯それから御夫婦だけの若い御世帯というような方たちとの面接がきわめてできない。これも、先ほど申し上げましたたとえば特別営業対策員が五十二年からやりました実績をとりました。五十五年までで締めますと、訪問して会えたパーセンテージが四一%でございます。これはもうかなり遅い、夜の八時半とか九時というような時間まで入れての行動の中で、四一%きり会えないというような実績もございます。したがいまして、先生が二、三とおっしゃいますけれども、何としても、大都市における若年層、そういった対策を立てていかなければいけない。それから、さらには、全国的にはNHKを理解しないというような形での滞納が、わずかでございますが、ないではない。この辺はしかし、私どもとしましては、何としてもいい放送を出すということでNHKを理解していただく、それから、先ほども荒井から答弁申し上げましたように、視聴者との結びつきを深めるというようなことで、一つ一つ解決をしていくということではなかろうかというふうに考えております。
  64. 久保等

    ○久保委員 郵政省の方にひとつお尋ねしたいと思うのですが、最近新聞で実は見たことなんですが、ことしの六月から、郵政省では、例の公共料金の自動払い込みを実施しようというようなことを新聞で私、見たのですが、とりあえず六月からは全国で二十四都府県について実施しようというようなことの計画があるようですが、これに対する計画の全貌と申しますか、とりあえずは六月に実施をして、それが全体的に見てどの程度の比率になるのか知りませんが、いつごろまでに、全国的にこういった公共料金の自動払い込みを実施するような運びになるのか、そういった計画について御説明を願いたいと思うのです。  これはもちろん、公共料金ということになれば、NHK受信料も当然含まれるだろうと思うのですが、そういうことになれば、いま私がお尋ねしておりました受信料の滞納問題の解決というよりも、何といいますか改善の一助にはなってまいるのじゃないかと思いますし、特に郵政の、全国に点在する郵便局、そういうものの機能を使ってやるということになりますると、収納そのものの能率化という点にも貢献をするだろうと思うのですが、そういう点で関係があるものですから、お尋ねいたしたいと思うのです。
  65. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 公共料金等の自動払い込みでございますが、御承知のように、現在やっております通常貯金の払い戻しとそれから郵便振替の払い込み、この二つのサービスを組み合わせたサービスということで、昭和四十八年から実は計画をいたしておりまして、具体的に郵便局の窓口に端末機の設置を始めましたのは昭和五十三年度からでございますけれども、このオンライン化計画が進捗をしてまいりました。そういう中で、いま先生お話にございましたように、当面は全国の二十四の都府県におきまして、NHKを含めまして各種公共料金、それからそれ以外のものにつきましても、一定の条件のもとでできるだけ幅広く、いま申し上げましたサービスを開始しようということにいたしております。五十七年、ことしの六月からは二十四の都府県ということでございますが、その後、五十七年度中におきましては、八月に五つの県、それから十一月に同じく五つの県、それから年度末、五十八年の三月に五つの県ということでございまして、予定といたしましては、五十七年度内では都合三十九の都府県におきましてこのサービスを行おう。ただ、オンライン化自体が五十八年度末までをめどにいたしておりまして、その関係では、いま申し上げましたサービスが全国的に行き渡りますのは昭和五十九年度ということになろうか、われわれ鋭意努力をいたしていこうと考えているところでございます。
  66. 久保等

    ○久保委員 これには、当然若干の手数料、こういったことも考えておられると思うのですが、手数料は幾らぐらいになりますか。
  67. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 公共料金等につきましての手数料は十円を予定いたしておりまして、NHKの場合もその公共料金の中に含まれますので、一件十円ということでございます。
  68. 久保等

    ○久保委員 そのほか、公共料金とは別に、生命保険の保険料とかそういったものの料金はどういうことになりますか。
  69. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 そのほかの料金といたしましては、取り扱いサービスとして生命保険料あるいは損害保険料、通信販売の料金といったものは一定の条件を考えておりますけれども、それらにつきましては二十五円という料金を考えております。
  70. 久保等

    ○久保委員 先ほどもちょっと申し上げたように、特に全国の僻地といいますか大都市以外の地域等では、こういった取り扱いを郵便局がやるというようなことは、国民の立場から見れば非常に便利になりますので、そういう点では非常に結構なことだと思います。したがって、この受信料の問題なんかにも好影響があろうと思いますし、私は、国民の喜ばれるこういった制度は、郵政省としても積極的に大いにおやりになってしかるべきだと思うのです。しかしまた、新聞の伝えるところによりますと、全銀協ですか全国銀行協会、こういった方面では反対だといったよう意見も出ておるようですが、何かそういう縄張りとかなんとかという考え方ではなくて、やはり国民の立場に立って一体どうなのかという立場で物事を判断すべきだと思うのでして、そういう点からまいりますと、私は予定に従ってぜひ進めていただきたいと思うのです。このことによって口座数が当然ふえてまいると思うのですが、どの程度ふえてまいるか、これはもう全く予測ですし非常にむずかしい問題かもしれませんが、そういったことについての多少具体的な見通し等をお持ちであるならば、郵政省の方からひとつお答えを願いたいと思うのです。
  71. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 民間等からのこの問題に対しますいろいろな意見がありますことは、私ども承知をいたしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、昭和四十八年のこのオンラインの計画をいたしましたときから予定いたしておりましたサービスであります。同時に、現行法のサービスを組み合わせるということで、郵政大臣が決められます郵政省令という形で実施をいたすものでございまして、もちろんその目的は、先生指摘ように、国民のつまり利用者のためのサービスであるという観点と、事業の合理化効率化という観点からのものでございます。  ただ、これからの見通しでございますけれども、実はこのサービスは、同じようなサービスをすでに民間でかなり以前から実施をしておりますので、その意味では大変遅くなったという状況にございます。そういった意味で、どれだけの御利用をいただけるかという点は、先ほど申し上げました順次やっていくというふうな点、それから後発であるという点がございますので、いまここで具体的な数字まで申し上げる状況にはございませんが、あくまでも利用者のためになるというのが私どもの立場でございますので、そういった意味で、収納機関の一つとしてのNHKにも大いに利用していただいて、利用者の皆様の利便に供したいというふうに考えております。
  72. 久保等

    ○久保委員 念のために郵政大臣も一言お答え願いたいと思うのですが、いま局長の御答弁にあるように、具体的な計画を立てて実行に移しているのです。ぜひ円滑に、できるだけ、むしろ予定を早めてでもやってもらえれば、これはやはり国民のニーズにこたえるゆえんであるし、先ほども申し上げましたように、公共料金の一つであります受信料収納についても若干寄与するところがあろうと思うのですが、郵政大臣のお考えを簡単に承りたいと思うのです。
  73. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 久保先生の御指摘と全く同じ考えでございます。全国のオンライン網の完成が五十八年度中でございますので、五十九年の初めには全国あまねくやりたいと考えております。特に、先生指摘の銀行協会との問題がございましたけれども、これはもう銀行協会は十年前からやっておられます。こちらの方は後発も後発ずっとおくれておりまして、しかも銀行の支店のないところが多いわけです。銀行が支店を出すわけがない過疎地、離島、そういうところまで郵便局が持っておりますので、全国あまねくやるのが国民公平の原理からいって当然ではなかろうかと考えております。
  74. 久保等

    ○久保委員 次に移りますが、職員に対する給与問題で、私は少し数字的な御説明もいただきたいと思うのです。  まず最初に、職員の基準賃金、これが一体同種民間企業あたりと比較してどういうことになるのか、どういう現状にあるのか、少し御説明をいただきたいと思います。
  75. 武富明

    武富参考人 お答え申し上げます。  給与の比較につきましては、入手し得るデータの範囲、あるいは従業員の年齢、勤続、学歴等の差異がございますのでなかなかつかみにくいところ、があるのでございますけれども、われわれがいま入手しておるところを申し上げますと、たとえば大卒のモデルで申し上げます。わかりやすいように年齢を幾つかに区切りまして、在京大手の同業他社との比較を申し上げますと、二十二歳、初任給のレベルでは、NHKが十三万一千円、在京の大手が十三万円から十四万円、大体とんとんだと言えるかと思います。三十歳のところをとりますと、NHKが十九万八千円、在京大手各社が大体二十一万円から二十四万円、一万円から四万円ぐらいの差があろうかと思います。それから三十五歳で比べますと、NHKが二十四万九千円、他社は二十六万円から三十二万円と、かなりの差が出てまいるというのが実情でございます。さらに、ほかの一般企業に比べますと、大卒でございますけれども、これは日経連の調査によったものでございますが、二十二歳でございますと、NHKが十三万一千円、全産業の平均が十二万七千円、これはややNHKが上位にございます。しかしながら、三十歳をとりますと、NHKが十九・八万円、全産業が二十一・六万円、約二万円の差が生じてまいります。それから三十五歳になりますと、NHKが二十四・九万円、全産業が二十七・六万円と、だんだんと広がってきているというのが現状でございます。  大ざっぱに申しますとそういうことになっております。
  76. 久保等

    ○久保委員 さらにボーナスについて、引き続いて簡単に御説明願いたいと思います。
  77. 武富明

    武富参考人 ボーナスの方は他社のあれがなかなかとりにくいのでございますけれども、われわれがつかんでいるところでは、同業他社と比べますと、NHKが年間百三十三万円でございますが、新聞関係としては年間約百九十万円、それから民間放送は年間二百万円と、ボーナスでかなりの差を生じております。
  78. 久保等

    ○久保委員 この問題については、先日も同僚阿部委員の方からもお尋ねがあって、お答えもございました。このデータを見ますと、もちろん細かく的確な資料は、いまお話があったようにお集めになること自体がむずかしいということもありますが、私もまた、別の角度で調べたところによって見ましても、だんだんと開きが大きくなってまいっておる、こういうことに実は数字を見ていささか驚いているのです。  この基準賃金の問題についていまお話がございました。特に、民放の一般の職員の諸君もNHK職員の諸君も毎日同じ仕事をやっておるのですが、実は非常に大きな格差があるわけでして、余り具体的な名前を挙げることは差しさわりがあると思いますから省略をいたしますが、とにかくA放送あるいはB放送という仮名で申し上げてみましても、五十六年度の平均基準賃金の比較を見ますると、A放送二十八万二千四百二十円、これに対してNHK二十二万二千十円、その差六万円余になります。さらに、もう少し下がったところで見てみましても、これをB放送とでも名づけますか、二十五万六千六百三十円、したがって、NHKの賃金二十二万二千十円と三万五千円ばかりの差があります。  さらに、新聞関係と比較をいたしてみましても、これまた非常に大きな差がありまして、新聞の一流どころは金額にして三十万六千三百八十円ということでございまして、NHKの基準賃金と比べますると実に八万五千円程度の差があります。しかも、実はこの格差が年々開いてまいるというところに非常に大きな問題があると私は思うのです。  さらに、ボーナス、賞与の点で比較をしてみましても、これまた非常に差がございまして、民間放送の五十五社平均と比べても、NHKの場合には平均すると百三十三万円程度のようでありますが、民放の平均ボーナス百七十八万円、したがってその差約四十五万円。これを同業のA放送なりB放送というところと比較をいたしてみますると、A放送二百五十五万円、B放送二百二万円ということで、したがって、その差は実に百二十二万円、あるいは少し下がったところの民放と比べても七十万円程度の差がございます。大変な格差でございますし、そのことが年々歳々拡大をしていっておりますところに、これまた実は非常に問題があると私は思うのであります。ある程度の差がずっと水平状態で推移しておるのであればまた何ですが、非常に格差が開いております。  これまた数字でもって申し上げてみますると、マスコミ関係の平均基準賃金との比較をいたしてまいりますると、たとえば昭和五十二年度NHKがベースとしては十八万四千六百円に対して、A新聞は二十一万八百六十円、したがってNHKよりも二万六千二百六十円高いという数字なんです。ところが、これが、五十六年度になりますとどういうことになるかと申しますると、NHKは先ほどもちょっと申し上げましたように二十二万二千十円ですが、それに対してA新聞の場合には三十万六千三百八十円ということで八万四千三百七十円の開きになっております。したがって、四年ばかり前には二万六千二百六十円の格差であったのが、現在では八万四千三百七十円という格差に広がっております。  放送関係で比較をしてみますると、A放送、B放送でありますが、A放送の場合には、昭和五十二年度の場合に当時二十一万八千七百四十円だった。NHKは当時十八万四千六百円ですから、その差は約三万四千百四十円であったものが、五十六年度になりますると、NHKよりも約六万円余りこれが高いのでありまして、金額にいたしますと二十八万二千四百二十円、こういう形です。  それから、B新聞としておきますが、B新聞と比較をして、五十二年度当時、B新聞が十八万五千六百円で、わずかに千円程度NHKよりも高かったようでありますが、それが五十六年度になりますと、その格差は三万六千六百九十円、金額にして二十五万八千七百円となっておる。千円の開きであったものが、四年ばかりたったら三万六千六百九十円の開きになっておる。実はこういうデータもあるわけでありますし、しかも、これが単に基準賃金だけでなくてボーナス、これは特に民間放送との比較におきまして実は非常に大きく開いておるわけです。  これを基準賃金もボーナスも含めて全体の年収ということでちょっと私申し上げてみますと、三十五歳というところで、昭和五十五年度NHKの全収入でありますが、千円単位は切り捨てまして三百九十九万円。これが一年たって五十六年では四百二十四万円という状態です。これをA局とする民放と比較をしてみますると、民放は五十五年に六百五十四万円だったわけですが、これはNHKに比べると二百五十五万円高いのであります。これがさらに一年後の五十六年、本年と比較をしてみますと、六百八十八万円になっておりますから、その差は二百六十四万円。一年をとってみましても、年収の点でこういう開きが出てまいっております。同時に、さらにB局、これももちろん民放ですが比較をしてみますると、五十五年度は六百五十一万円であったものが本年度は六百九十四万円になっておりまして、昨年は二百五十一万円の格差がありましたが、本年は二百七十万円の格差にさらにこれが拡大をしておる。二百万円前後という話を私も前々からある程度耳にしておったのですが、この数字を見ますと、全く同種の企業、民放との比較において二百数十万円から、いま申し上げたように二百七十万円といいますと、まさに三百万円になんなんとしておるよう状況にあるわけでして、こう年収が年々開いてまいりますことは単に放置をしておくというわけにはまいらないと思うのです。全く同種の企業であれば、たとえば国会なら国会で、同じように机を並べたりあるいは行動をともにして取材その他の仕事をやっておる。ところが、いま申し上げたように年間約三百万円近い格差があるというようなことでは、これは本当に知識産業という中でも最も知能そのものをフルに発揮して取り組まなければならぬ言論報道機関の立場では、本当に腹の底からの士気高揚になるのかどうか、ここらに隠れた問題として、ぜひ非常に注目をしなければならぬ大きな問題があると私は思うのです。  もちろん、NHK財政的に大変苦しい。先ほど来いろいろとお話もございましたが、常に財政問題はNHK予算では非常に宿命的な問題なんですが、さればといって、日本の公共放送の受信料制度というものは私はあくまでも確保してまいるべき制度だと思います。苦しいからといって安易な方向に流れることは許されない。公共放送としてのそれこそ重大な使命があると私は思います。そういう点から言えば、経営者としても非常に苦しい苦しいと言う。寝ても起きてもそういったことを耳にしたり、非常に苦労されるわけですし、また、全職員の方々も、受信料の徴収問題一つをとってみても、あるいは大事な番組編成の問題は、知能を総結集して、あらゆる能力を動員してやってもらわなければならぬ非常に高度の、いわば頭脳企業と言っていいと私は思うのですが、そういった事業でありますだけに、いろいろむずかしい問題はありますが、しかし、これは端的に言って、いま私が申し上げましたように、同じような仕事をやっていながら大変大きな格差がある、しかもそれが年々歳々拡大していくということを放置しておくわけにはまいらないと思うのです。したがって、私はぜひこのことについて格段の御努力をいただかなきゃならぬと思うのですが、この点についてNHKの方から、どういうことを一体お考えになっておるのか御答弁をいただきたいと思います。
  79. 坂本朝一

    坂本参考人 先生指摘ように、協会職員というのは公共放送としての使命を達成していく責任と能力が求められているわけでございます。したがって、同種産業との格差ということに私はいま非常に頭を痛めている次第でございます。しかし、一方、協会受信料を唯一の財源としておりますし、給与についても社会的な納得の得られるものでなければならないというようなことでございますので、そこら辺のところの判断が常に私としては苦しいところでございますけれども先生指摘の点は十分踏まえながら、なおかつ社会的に納得のいくという線をどう取り進めていくかということで努力したいというふうに考えておる次第でございます。
  80. 久保等

    ○久保委員 時たまたま臨調等の問題もあって、全般的な行革が進められておるさなかでもありますし、また、NHKはすでにいろいろと御説明がありまするように、要員の削減を、非常にむずかしい問題ではございまするが、推進をしておられる。もちろんそのことは職員の協力なり理解というものが得られなければこれまたできないことでして、そういった点で非常にむずかしいながらも要員の削減、合理化等も行っております時期でもあるだけに、要員の方も削る、賃金の方はますます悪くなっていく。そして、しりをたたいて番組だけはいい番組をつくれ、あるいはまた受信料の収納についてもがんばれと言ってみたところで、そんなに人間というのは簡単なものじゃありませんし、しかも、先ほど来申し上げるように非常に高度な知能的な分野でありますだけに、非常に苦しい財政ではありながらも、しかし、とにかくいろいろと大変な努力をしてもらっているという感覚なり受けとめ方があって初めて仕事に対する意欲もわいてくると私は思うのですが、そういう点では、私はもう少し同種企業とも、そういう意味においてはいい意味での競争関係にあると思うのでして、ただ番組だけをよくする、事業の成績だけは上げろ、片方は別ですよというようなことでは、これではとても血の通った人間に働く意欲を出せと言っても私は無理だと思うのです。そういう点で、いま会長からお話がありましたが、ぜひこの面について格段の御配慮をひとつお願いをいたしたいと思うのです。  繰り返しお尋ねして恐縮ですけれども、ぜひひとつ、いろいろ注文ばかり多くてなかなか大変なんですけれども、しかし、何といっても一日といえどもあるいはまた一瞬といえども気を抜くことのできない事業だと思うのです。それこそ新聞に休刊日はあっても、NHKは放送を休むということがないということ。しかも、いつ災害があっても、これまた直ちに、先般も羽田沖の問題については若干意見が当委員会でもありましたが、とにかく一瞬といえども休むことのできない公共放送。また、職員にしても一瞬もたるむことのない意識でもってこの仕事に取り組んでもらわなければならぬと思うのです。そういう意味ではひとつ格段の御配慮を願いたいと思うのですが、もう一遍会長の方からお答えを願いたいと思うのです。
  81. 坂本朝一

    坂本参考人 これはNHKだけの問題でございませんで、世界的に、イギリスのBBC等の例を見ましても、公共放送はその種の問題に大きな悩みを抱えているということでございますから、私も私だけの泣き言でなしに、そういうバックグラウンドを十分認識しながら、先生の御指摘にもどうこたえていくかということを考えたいというふうに思っております。
  82. 久保等

    ○久保委員 格段の御努力をひとつお願いをしておきます。  時間がなくなってまいりましたので、最後になるかもしれませんが、国際放送関係についてお尋ねしたいと思うのですが、国際放送の問題につきましては昨年来、亀岡さんおいでにならなくなったのですが、ASEANの方へおいでになって国際放送の充実強化のお話が閣議でもちょっと出たようでありますが、そういったようなことから、国際放送を何か分離独立させて、国際放送協会といったようないわば国営的なものをつくったらどうかという動きが与党の内部にあるように新聞等が伝えております。したがって、端的に大臣にお尋ねしたいと思うのですが、そのことについて大臣はどんなふうにお考えになっておりますか、お伺いいたします。
  83. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 国際放送をいかに充実すべきか、これは各方面においていろいろな考え方が出されておるようでありますが、その一つが国際放送協会、こういうことであろうと思います。しかし、郵政省といたしましては、現在わが国のNHKがやっている国際放送がかなり高い評価を受けているという実態を踏まえまして、これから各方面の意見を聞きながら五十七年度において鋭意調査検討よう、こういう考え方でございます。
  84. 久保等

    ○久保委員 電波監理局長の方からお答え願ってもいいのですが、五十七年度で一千万円余りの金を使って何かこの国際放送の問題について調査をするとかというような話も聞いておるのですが、その計画をちょっと御説明願いたいと思います。
  85. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 国際放送のあり方に関する調査研究費ということでございますが、制度の面と技術的な面の両方に分けまして総合的な調査研究を行いたいということでございます。ほぼ四百万、四百万で、主要各国の国際放送の諸制度あるいは国際放送の実態等について、ある程度わかっているわけですけれども、なお調査しまして、今後の国際放送のあり方について検討を行う部門の四百万円と、技術的な面につきまして、国際放送のより効果的な実施を図る、受信状況の改善を図ることが必要だということで、現行送信装置の改善あるいはSSB方式導入の可能性等の面について調査研究を行いたいということでございます。
  86. 久保等

    ○久保委員 何か委員会を設けていろいろ調査をせられるような話も聞くのですが、それと外務省との関係ですね。外務省は一体どういうふうにこの問題にタッチをしてやっているのか、ひとつその点もちょっと触れて御説明願います。
  87. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  先ほどの制度のあり方に関する調査会の中にも外務省の局長さんなど入っていただきたいと思いますけれども、外務省関係予算では二百三十五万円ほど別についております。私ども伺ったところによりますと、外交政策及び国際情勢の対内報道並びに外交政策及び国内情勢の対外報道に必要な情報収集、整理、研究に関連する事務経費ということで、調査員の国内旅費、国内研究費あるいは外国旅費等を含めまして二百三十五万円ほど要求しておるというふうに聞いております。
  88. 久保等

    ○久保委員 余り細かい質問をすることはできませんが、私は、その一千万円前後の金でもって国際放送の何か調査研究と言うが、従来からわれわれがやかましく言っておりますように、国際放送に要する経費の負担の問題で、政府に交付金の増額を毎国会この逓信委員会でも強く要望しておるのですが、一向にどうもこの方面は据え置かれたと言ってもいい程度でして、五十七年度もふえるとはいうものの数百万円程度、一千万円になるかならぬか程度の増額にしかなっておらないのですね。それでえらい大仰に制度その他の問題について調査研究するのだと言うが、しかし、公共放送でありますNHKが国際放送についても実施をすることが好ましい、それこそNHK長期ビジョン審議会の調査報告書にも、国際放送の実施主体、こういったことで意見書が出ております。  「国際放送の実施主体のあり方については、海外に公正なニュースを伝達し、文化交流を図る国際放送の意義と役割からみて、政府から独立した放送事業体が行うことが望ましい。NHKが、その自主性の下に、これまで国の内外における取材網や国内放送での多年の蓄積等を基盤としながら実施してきた国際放送は、諸外国の人々にわが国に対する理解と認識を深めさせ、また、在外邦人に適切な情報と娯楽を提供して、高い評価を得ている。このような実績やNHKの政府から独立した総合的な公共放送事業体としての性格を考慮すると、国際放送は、今後とも、NHKが実施主体となることが適当であると考える。」こういうふうに、一年半もかかっていろいろ議論をしたあげくに、この国際放送の問題についての実施主体、明確にNHKが今後とも行うことが適当である、こういうことが言われておるのです。  このことについて郵政大臣はいかがお考えになりますか。
  89. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 私も同様に考えるのであります。特に、長い歴史の中で今日までNHKが実施主体になって国際放送をやってまいりました。その放送の内容その他について高い評価を得ていると思います。したがって、その長期ビジョン審議会の御答申どおり、私は、NHKにこれからもやってもらうことが適当ではないかな、そう考えております。
  90. 久保等

    ○久保委員 それから、NHKの国際放送にしてもそうですが、費用の負担の問題がこの長期ビジョンの中でも言われておりますが、特に放送施設の問題、こういったものについてはやはり国が負担すべきじゃないかということも指摘されておるのです。この費用の問題はいろいろあります。きょうは時間がなくて触れることができませんでしたが、たとえば放送衛星の問題、五十八年度あたりの計画を昨年電波監理局長にお尋ねをしてお答えを願ったときの話でも、五十八年度は実に百十六億円程度のNHKの分担金の支出が予想せられると御説明がありました。五十八年度NHK財政にとってこれまた一体どういう姿になっていくか、まだここで議論をする問題ではありませんけれども、しかし、翌年度の五十八年度はどうなっていくか、そういう中で、これまた放送衛星で百十六億円という巨額の分担金を出さなければならぬという状況にあるわけです。この問題については、また私、別途いろいろお尋ねしたいと思っております。しかし、そういう中で、国際放送、これまたNHKが全体の約七割前後のものを負担しながら国際放送をやっておるわけなんです。したがって、せめて、この長期ビジョンで指摘されておりますような施設、そういったものぐらいは、国際放送、国外放送なんですから、国が負担することは金額的にも大した金額――現在のある施設だけを見ますと、十億円未満の金額だろうと思うのです。同時に、例のポルトガルのシネスに中継局を設けて細々とやっておりますが、ああいったものなんかも拡充をしていくということが必要だと思います。そういう点を考えますると、国が負担できるところは極力負担をしていくという方向で努力すべきだと思うのですが、これ、郵政大臣の方からでも、電波監理局長でも結構ですが、ひとつ簡単にお答え願いたいと思うのです。
  91. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 国際放送の交付金でございますけれども、法の三十五条の規定によりまして命令放送分というのがあるわけですけれども、その中には、先生御承知のとおり、番組制作費あるいは送信施設費等を含んでおるものでございます。それで、これを送信設備の費用というつかまえ方をいたしましてそれをすべて国の負担とすることは、NHKがその業務として行います国際放送、その点の趣旨から見ていかがかというようなことで、現行の命令放送の制度に関する問題を含んでおる。したがいまして、分け方の問題ですけれども、慎重な検討を要する問題だろうというふうに考えておるわけでございます。  繰り返しますけれども放送法規定によりまして、NHKがみずから行う分と郵政大臣の命令によって行うものとがあるわけですが、国費の全額負担でないラジオ日本という名前で海外にも高く評価されているという面がございますので、国がNHKの本来業務部分も含めて経費の全額を負担するという体裁をとりますと、果たして得策かどうか、また、ただいまのところでは困難な面があろうかと思います。  いずれにしましても、基本的にこの国際放送は各方面から非常に重要視されているわけですが、その辺の問題も含めまして、どうすれば抜本的に強化できるのかという方途を探りたいという考え方でございます。
  92. 久保等

    ○久保委員 では最後にいたしますが、この長期ビジョン審議会の答申の中でも、国際放送についてこういった部分があります。それは「国際放送の一層効果的な実施を保障するために、送信施設に要する経費はすべて国の負担とする考え方を含め、国庫負担分の増額を図ることを検討」したらどうかというようなことも言われておるわけです。  いま局長からの御答弁がありましたが、命令部分とそうでない部分とがある、これは現実にはそういう区分をして処理してきているのです。しかし、国際放送の持つ意義、そういったようなことを考えますと、わずかばかりの、とにかく五十七年度十億円をやっと超えたようですが、その程度の金ですから、それで一方においては、さっき言ったように、制度、運営についての調査研究をするんだと言って、何か事新しくそういうことを始めているわけですね。だから、基本になることはそう根本的に改正しなければならぬような点があるとは思えないのです。先ほどもちょっと申し上げたように、シネスあたりに年間一億円足らずの中継料といいますか、支払っておりますが、そういったような程度ならもう少し――国際的な問題ですから外務省あたりが中心になってやらなければならぬかもしれぬけれども、そういった中継局を設けるとかなんとかいうことを手っ取り早く進めたらどうかと思うのですが、いや、国内的には命令部分とそうでない部分があってどうとか言っているんですけれども、一般の受信者から見ると、国際放送というものに対して自分たちが負担をしなければならぬ理由は一体どこにあるのかという気持ちが一面からいくとあると思うのですね。あくまでも受信料一本やりでやっておるNHKであれば、単に歴史的な経過は、これはかっての日本放送協会当時からそういった経過はあります。しかし、この際、それこそ思い直して、見直して、そういった、しかも施設費自体は大した金額じゃありませんよ、現在の施設程度であるならそう大した金額じゃないのですから、この答申で言われているような面を十分に取り上げて考えていただきたい。これは要望だけ申し上げておきますが、私の質問は以上で終わります。どうもありがとうございました。
  93. 水野清

    水野委員長 これにて久保等君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時四分開議
  94. 水野清

    水野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を続行いたします。森中守義君。
  95. 森中守義

    ○森中委員 いろいろお尋ねしたいことがございますが、一時間ということで、何事も承ることはできませんので、ごくはしょって大事なことをお尋ねいたします。  まず最初に、予算の立て方ですけれども、調査室の方で調べてもらった内容をずっと吟味してみますと、受信料収入のところが、五十一年以降五十六年に至るまでずっと予算に決算が至っていない。たとえば、五十一年は百三十二億三千九百万、こういう落差を生じ、五十二年、五十三年、五十四年、五十五年というようにずっと減少しております。それから、契約を見ましても、五十一年以降ずっと落ち込みが続いている。これはどういうことなのかということが一つの大きな問題ですが、一言で言えば、財政はきわめて不健全である、こういうことに相なろうかと思うのです。  そこで、五十五年の審議の際に経営三カ年計画というものをおつくりになった。したがって、自後における受信料契約もしくは収入、これらについては、予算に決算が到達する、そういう相当の措置がとられてしかるべきであったろう、こう思うのですが、その後、内容的に見てそういう気配が全然ない。ですから、NHK財政の危機と言われるようなことがこの辺に存在しているように思うのです。しかも、年度予算も、決算前に予算をおつくりになるわけだから、あながち非難もできませんが、五十二年に対して五十三年が五十一億の増、五十三年に対して五十四年が四十八億の増、五十四年に対して五十五年が五百七十億、五十五年に対して五十六年が三十一億、そして現行年度と次年度は四十八億、こういう予算の上昇になっている。こういうことを見ていけば、言われている健全財政というものがNHKの中に果たして存在するのかどうなのか。つまり、予算編成というものはどういう角度からおやりになっているのか。なるほど、決算前に予算がつくられるわけですから、さっき申し上げたように、私は非難をいたしませんけれども、少なくとも過去数カ年間の実績がこういうものに出る以上、現行年度と次年度予算の編成内容というものはいま少し吟味されてもいいのじゃないか、こういうように思うのですが、いかがでしょうか。
  96. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  NHK収入の九八%が受信料に依存しているというところで申しますと、先生のおっしゃるとおり、収入についての見積もりはかなり厳しくやるのが当然だと思います。しかし、受信料の公平負担という原則から申しまして、受信契約者となり得る方々を見積もった場合の数字というものはございますが、それはできるだけ営業努力をして上げていくということもまた一方では大事なことでございます。そうでございますので、決算結果の見込みについては十分に予測しながら、翌年度増加につきましても精いっぱい努力する、しかも営業の施策をこれに合わせてやるということで、収入をできるだけ多く組むという施策をとっております。  結果につきましては、おっしゃるように、残念ながら予算と決算が違うことの方が多かったわけでございますけれども、今後も、なるべく収入が違わないよう努力はしてまいりますが、いま申し上げました、片っ方では受信料の公平負担という原則をかなり強く打ち出してまいりますので、今後、研究課題としては検討してみたいと思っております。
  97. 森中守義

    ○森中委員 渡辺さん、五十六年の決算はできましたか。締め切っておりますか。中間的でもいいですよ。
  98. 渡辺伸一

    渡辺参考人 五十六年度は三月末で決算でございますのでまだ締め切っておりませんけれども、概況を申し上げますと、五十五万という五十六年度中の増加目標につきましては、いまのところ達成できるのではないかという状況でございますけれども年度末までなお楽観を許さないという状況でございます。ですから、収入につきましては、数が達成されましても、年度のどの時点でその数が伸びていったかということにかかわりますので、三月の決算が済みましたら、直ちに、年度間にどういう状況伸びていったかということを試算してみませんと、予算と決算の違いもまた分析できないかと思っております。
  99. 森中守義

    ○森中委員 電波局長、この「おおむね適当なもの」であるとする大臣の意見、これは、予算の規模、立て方として、いま私が指摘したようなことを含めて、適当であろう、こういうよう見解ですか。
  100. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 五十五年度料金改定をいたしまして、五十五年度、五十六年度、五十七年度の三カ年計画収支をとりまして三十五億円を五十八年度に繰り越すという内容でございますけれども、それなりに事業収入の大宗を占めます受信料伸びは一%台しか期待できない。それに比べまして事業支出の方は、物価上昇によりまして五・七%程度のものが避けられないというようなことで、一方、経営合理化を図り、人員の削減を図るというようなことで、そうした意味でそれなりの努力は評価できるという意味でございます。
  101. 森中守義

    ○森中委員 これは予算の編成上の基礎になる問題ですから、これ以上は申し上げませんが、少なくともできるだけシビアに、不健全だという印象が残らないような、もう少し吟味をした予算の編成を求めておきたいと思います。  そこで、事業収支を見た場合、支出の項目で予備費が、たとえばことしは二十五億、五十三年が二十億、五十四年二十億以降ずっと二十五億になっておりますが、この中で、受信料の未納分に充当される予算総則六条に基づく予備費の使用という中の、各年度の未収受信料欠損額の増による予算の不足、これに相当額充当しているのですね。それから、支出の中で未収受信料欠損償却費、これが予算上認められている。これは一体どういうことですか。元来、予備費というのはこういうものに充当するものなんだろうか。なるほど予算総則六条を見ればございますけれども、しかし、これはどうも変則だという感じがするんだな。というのは、予備費は予見しがたい予算の不足に充てる以外にはこれ使用することはできない、こう言っていますね。もちろん、その予備費を使用する場合には経営委員会の議を経なければならない、こうなっている。この予算総則六条に、未収分に充当するということが許容できるのかどうなのか、非常にこれは総則上疑義があると私は思う。しかも、年度予算の中にその分を一項目入れてある。そしてまた決算の際にも、不足を生じたということで予備費からこれを出しているというようなことは、一体これはどういうことですか。合点がいかない。
  102. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  受信料の欠損償却の仕組みを説明させていただきますが、先生おっしゃるように、五十七年度におきましても受信料収入を立てて、一方では欠損償却を八十億余り立てているわけでございます。これはどういうふうになるかと申しますと、受信料収入につきましては、初年度における収納を行いまして、大体九六%のところまでは初年度に収納が終わるわけでございますが、残る四%につきましては翌年度になおこれを収納してまいるということでございます。それを会計上どういうふうに処理するかといいますと、初年度が終わりますと、欠損償却の引き当てをするわけでございます。つまり、この受信料については最後にこれだけとれないという見込みを立てまして、それを引き当てをいたしまして、一応決算を終えるわけでございます。そうしまして、翌年度にまいるわけでございますが、欠損を立てましたものと同じ金額が結果的になりましたら問題ないわけでございますが、残念ながら、これも引き当て不足という結果が続いたわけでございます。そうしますと、初年度末において一応決算を済んだわけでございまして、翌年度にいわば過年度決算の修正という形で出てまいるわけでございます。それが科目としましては特別支出というところになるわけでございまして、特別支出は、翌年度に不足するという予算を立てておりませんので、これが予算の全く予見しなかった不足という事態でございますので総則を使わしていただいているわけでございまして、五十一年度から二、三年続くわけでございますが、受信料の収納が改善されまして、五十五年度決算からはそのようなことがなくなっているということでございます。
  103. 森中守義

    ○森中委員 確かにおっしゃるように予見しがたいという、意味はわからぬでもない。しかし、さっきから申し上げるように、事業支出の中に未収受信料欠損償却費と、こう一つ入れてある。しかもまた予備費からこれを入れるということになると、これは非常に煩わしいというか、一体どうなんだいという率直な疑問を私は持つのです。  もう一つ、じゃこれに関してお尋ねしますが、いままでお答えを聞いていると、未収というものはずっと追っかけていくんだ、切るようなことはありません、こういう答えでしたね。つまり、債権は留保していると。そういうことになれば、実際問題としていま累積された未収金は総額幾らになりますか。
  104. 渡辺伸一

    渡辺参考人 受信料の未収金につきましては、期間を限らずに追いかけていくわけでございますが、ただ、実際問題として収納の実績がどの年度にどう上がるかということでございますと、初年度はもちろん九六%まで上がるわけですが、次年度においてあるいは一%、二%というのが入ってまいりまして、三年目以降はごく限られた数字だけだということでございます。したがいまして、会計上は二年をもって債権の整理をしてしまうわけでございまして、あとは、営業当局が日常の活動の中でその債権を収納してまいるわけでございまして、いまここで過去のやつが幾らあるかというのはちょっと手元にございませんですが……。
  105. 森中守義

    ○森中委員 これはひとつ、一回整理した数字を出してください。ずっと債権を留保するという御意向のようだから、それならば過去のものが積もり積もってこれだけですよということが出てこないとまずいんじゃないですか。いますぐでなくてもいいから、一遍計算してください。  それで、滞納というのか、未収というのが非常に憂慮すべき状態にあるような記録ですね。五十六年で九十九億六千件か、この数字間違いありませんか。航空騒音による難視聴、受信障害等による難視聴、協会事業に対する無理解、常時不在、これを合わせて九十九億六千件。それから、意図的未契約の状況として五十六年末で十億九千件、こういう数字が示されておるようですね。合わせて百十億五千件。間違いありませんか。
  106. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答えいたします。  データで申し上げますと、先生いまおっしゃいました総数は九十九万六千という単位でございます。けたが違っております。したがって、契約を拒否しているものは十万九千でございます。読み方はそういうことでございます。
  107. 森中守義

    ○森中委員 いま私が申し上げた数字は、御指摘のとおり間違っていましたから、そのとおり訂正いたします。  そこで、こういうふうにだんだん財政の逼迫というのが解消されない。そこで問題は、さっきも申し上げたように、経営三カ年計画というものは何であったのか。財政の健全化を図る、ひいてはこういう処置を行うということなどがいわば経営計画の中心であったというように理解するのですが、それであのころ一定の経営計画に対して三カ年間の目標設定、あるいは到達目標、こういうものをお持ちになっていましたか、どうでしょうか。
  108. 山本博

    山本参考人 お答えいたします。  三カ年間の計画をつくる際には、それぞれの項目につきまして三カ年間総体の目標をつくっております。したがいまして、受信料をどのくらい三カ年間で収納するか、また滞納についてはほぼこのくらいの線でおさめなければならないというような、そういうようなそれぞれの項目につきまして目標を設定いたしております。  それで、結果といたしましては、三カ年間全体を通しますと、目標に達成いたしたものもございますし、達成いたしかねたものもございますが、全体として見ますと、先ほど来お話がございますように、三カ年間で相当な収入不足という事態もございましたけれども、これを節減その他で補いまして、五十八年度には三十五億円という繰り越しを可能にいたしましたので、全体として見ますとほぼ計画というものはそごなく達成されたのだと思ってよろしいのではないかというふうに考えております。
  109. 森中守義

    ○森中委員 それでは、こういうことをお尋ねしましょうか。予算あるいは決算の際に、国会でいろいろと問題が提起されて、正確な約束ではないにしても検討しますという答えがある。特に、その一例を申し上げますと、六十五国会、つまり四十六年ですが、このときにこの委員会で、予算審議の際のようですね、樋上さんという当時の委員が、前田義徳当時の会長に対して、普通料金とカラーは一元化した方がいいんじゃないか、こういう問題提起がある。このときに前田会長は、承知している、ただし現状においては無理だ、したがって総契約数がカラーが八〇%を超えた段階では検討よう、これに似たような返事をなさっているのですね。十年前ですよ。それで、いま普通契約とカラー契約をしさいに見れば、まさにその時期に来ている、こういうように私は見る。これが三カ年計画などの中で果たして国会で預けられた案件として吟味されたことがあるかどうか、これはどうですか。
  110. 山本博

    山本参考人 ただいま御指摘がございました、前田前々会長が国会でそのよう答弁をされたのも私たち承知いたしております。その後、その問題につきましては、何回かいろいろな審議会その他調査会、いろいろな機会がございまして、この問題について御意見を伺うと同時に、NHK側としても、この問題については各角度から検討をいたしましたが、結論をこういうふうにしようというところまで実のところは決断いたしかねたというのが実情でございます。と申しますのは、これは逆に、国会の方でも御審議の際にお話がございましたけれども、白黒のテレビを持っておられる方について受信料値上げというかっこうになるものですから、これについてはやはり慎重を期すべきだという御意見もございましたし、内部の検討の際におきましても、そういう御意見というものもございました。  それから、そういう制度改正をするときには、そこの部分だけではなくて、もろもろの制度改正とあわせてする方が、受信料の収納その他についてはむしろその方がいいんではないかというような方法論からの御意見もございまして、私たちも最終的に結論をいたしかねたというのが、残念でございますけれども現実でございます。  しかしながら、今度のビジョン審議会の御意見でも、この問題につきましては提起がございました。この問題についてはむしろNHKとして積極的に取り組む方向での御示唆がございまして、私たちも内部的にこの問題につきましては小委員会をつくりまして、今度はそういう御意見もございますので、いろいろ技術的な問題も勘案しながら積極的に取り進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  111. 森中守義

    ○森中委員 経過はわかりました。  ただ、山本さん、いま言われるその小委員会というのは、長期ビジョンの小委員会ですか。
  112. 山本博

    山本参考人 そのとおりでございまして、この長期ビジョン審議会の内容について、今後NHKの内部におきまして、六つの小委員会をつくりまして、これは従来いろいろなプロジェクトチームというのが内部的にございましたが、これを全部吸収いたしまして、ここで一本化した形で、放送の問題、技術の問題あるいは制度の問題、効率化の問題、放送制度の問題、こういうようなもろもろの問題を小委員会に分けまして、すでにスタートいたしてございます。そういう意味の小委員会の一つでございます。
  113. 森中守義

    ○森中委員 とにかく、予算を見た場合に、会長、これはすでに百十一億でしたか繰越金があった。これが残額として三十五億しか残らない。しかも、この受信料収入の状態からいけば、さて来年度の五十八年度がどうなるかというかなり苦しい財政状況になってくるという、こういう懸念があるんですね。そうなった場合に、五十五年に言われていた、つまり料金改定のローテーション三年ということであれば、五十八年はまさにその時期にくる。どうなさるつもりですか。さらに一年あるいは二年、三年値上げを避け得る状況にあるのかどうなのか、ここをひとつ、ここのところを一区切りつける意味で、最後に会長から承っておきましょう。
  114. 坂本朝一

    坂本参考人 その点につきましては、午前中のこの委員会でも同様の御質問をいただいて、私とすれば、赤字になったから値上げだというようなことがそう軽々に世の中に通る状況でない、したがって値上げをしないでやっていきたいというふうに申し上げるべきかと思うのでございますけれども、現実問題として、いまの時点でそういう言い方をするのはいささかやはり無責任ではないか。いま先生の御指摘長期ビジョン審議会の御答申等も踏まえて、いま山本専務が御答弁申し上げましたように、長期ビジョン検討会議を設けまして、少なくとも五十八年度の問題についての緊急のテーマは夏ぐらいまでに結論を出そうじゃないかということでがんばっておる次第でございますので、考え方の基本は先生のおっしゃるような方向で検討しなければならないというふうには考えておりますけれども、しかし、必ずそういう結論になるというようなふうに申し上げるのは、いましばらく時間的猶予をいただきたい、こういう次第でございます。
  115. 森中守義

    ○森中委員 これはどうでしょうかね、頭の中でいろいろ考えるものではなくて、実体的にどう努力をするかという問題じゃないんでしょうか。  そういう意味で、もう夏場といってもあと半年もない。そこで、さっき私が申し上げたように、三カ年計画というのはもう来年度で終わりますね。したがって、新しい何かをつくろうというお考えがあるのか。いま山本専務はビジョン小委員会、こうお話しになったけれども、もう少し詰めてみた、はっきり言えばビジョン小委員会というのは内部でおつくりになるのでしょう。もう少し枠を広げた、私はこれは後で議論しますけれども、もうちょっと内容のあるものが欲しいような気がするのです。  たとえば、このビジョンの中にこう言っているのですね。「適正、効率的な事業運営への努力」というのがある。これは一体どういう意味で言われているのか私もよくわからぬけれども、逆な見方からすれば、まだ不十分ですよというようにもとれるわけですね。しかも今日、国、財界挙げて行財政改革という一つの潮流がある。しかも、この中にもNHKが事業の特殊性だけ強調したのではだめですよ、やはり通常企業体と同じよう企業努力をやりなさい、こう言っているのですね。もちろん私は、いま直ちにすべてにNHKに減量経営を求めるという暴論は持ちません。けれども、何かこういうものに符節を合わせるような内部の対策が必要じゃないのか。頭の中で夏場に値上げするかどうかを考えるというのでなくて、現実的にどういう対応をした方がいいのかということを教えてもらいたい。  一例を私が乏しい知識からひねり出して申し上げるならば、一つには、業務組織の再検討というのをお考えになってみたらどうなのか。どこがいいとか悪いとか、そういう意味じゃありませんよ。じゃないけれども、一応、業務組織、非常に広大にわたっている。これをもう一回再検討してみたらどうなのか。また、これと符節を合わせるものとして定款がありますね。定款をもう一回見直してみたらどうなのか。それから、放送法二十四条における役員条項が現在のままでいいのか悪いのか。もちろんこれは定款にも関係をいたしますね。それと外郭団体といいましょうか、何か今度むずかしい論文が発表されたようですけれども、こういうことなどを考えると、一遍、協会と外郭団体との関係はどういうことであった方がいいのか、これはやはり検討に値するのじゃないですか。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)別に激励があったから続けるわけじゃありませんが、このように頭の中で考えるわけではなくて、実体的に内容を検討してみる、そういうものが集積をされて夏場くらいに意思をまとめたいとおっしゃるならわかるのですが、ただ頭の中で夏までこれを検討してみたいというのでは、ちょっと得心できませんね。いかがですか。
  116. 坂本朝一

    坂本参考人 先生のおっしゃる長期ビジョン審議会でも効率的な経営ということについて強い御指摘もございますし、すべてもろもろのことを含めてわれわれとすれば検討に値する――値するという言い方はちょっと不遜でおしかりを受けるかもしれませんが、検討しなければならないテーマであろうというふうに考えております。
  117. 森中守義

    ○森中委員 いわばこれが会長NHKの姿勢だと私は思う。そういうように、できるだけ概念じゃなくて具体的にこれもあれもやってみようということが必要だと思うのですよ。  それから、やはり姿勢の問題でひとつ聞いておかなければならぬのは、午前中に労使問題が大分出ましたね。この中で、承っていて少しく会長の歯切れも悪い。なぜかと言うと、たとえば労働協約あるいは協定、こういうものはある日突然というものじゃない、労使間の長い忍耐と努力という歴史の中に慣行化される、慣習化される、その慣行、慣習が確立されたもの、合意されたものが協約、協定でしょう。だから、この辺のことはよほどきちんと踏まえておかないとまずいと思う。ただ、郵政大臣の午前中の答弁、非常によろしい。それは一切そういうものに介入すべきじゃない、放送法はそういうものを許容しておりませんから、非常に賢明であった。だから、そういう意味で、会長、もう少し労使関係については質問があったから、言われたからということで迎合はいけませんよ。慣習、慣行は何なのかということをきちんと踏まえていただきたい。これも姿勢の一つでしょうね。これが第一点。  いま一つは、最近、新聞協会とかあるいは書籍協会とか挙げてマスコミ関係から、刑法をいじるのは反対だという見解が強く表明されて、私どものところあたりにもよく見えます。もちろんNHKも重要なマスコミの一つですし、これに対してはどういうお考えでしょうか。もちろん新聞協会の加盟団体の一つですから、新聞協会から見解は表明されておりますが、この機会に会長から、特に刑法問題についてNHKの姿勢という観点から御意見を承っておきたい。
  118. 坂本朝一

    坂本参考人 これは先生の御指摘ように、NHKも新聞協会のメンバーの一人でございまして、新聞協会でかなりかんかんがくがくの議論がございましてあの要望になったわけでございますから、私もその点については同意見でございます。
  119. 森中守義

    ○森中委員 そこで、NHKの将来をどうするかという問題としまして、ビジョン審議会調査報告がある。この扱いを、いま山本専務は小委員会をつくっておやりになる、こういうことですが、そのもう少し具体的な構想をこの際お聞きしておきたい。
  120. 山本博

    山本参考人 先ほど少しお答え申し上げましたが、全体としてお答えをいたし直しますと、ビジョン審議会で提起された問題というのは、ビジョン審議会にも実は小委員会が設けられまして、相当具体的な問題について専門的に掘り下げて御意見を交換され、報告書の中にそれが盛られたわけでございまして、NHK側としましても、これは、いま御指摘がありましたように、これからのNHKの方針として非常に重い比重を持ってわれわれが取り組まなければならない一つの大きな指針として受けとめております。したがいまして、小委員会を設ける際にも、いまお話があったような具体的な問題を、単に抽象的な問題ではなくて、先ほど会長も申し上げましたけれども、ことしの夏以降までに五十八年度事業計画予算、そういうところにほとんどのものが組み込めるように準備をすべきであるということで、五十七年度予算はもうただいま御審議いただいておりますし、報告書が出る前に組みましたので、これはその中ですでに生かされているものをより充実していこうということで、内容の充実というところに五十七年度は主眼を置いていま取り組んでおります。それから、それ以外の法律改正の問題とか、予算を必要とする問題、こういう問題につきましては、五十八年度以降にこれを取り上げていこうということを目標にいたしまして、具体的な問題を全部網羅いたしまして、いま申し上げた放送の問題を処理する小委員会、技術を処理する小委員会、それから新しいメディアを処理する小委員会、これをどこいらまでにどういう問題を結論を出すかという一つ一つの問題について、全部時間的なスケジュールと業務範囲のスケジュールと両方立ててございます。それから、NHKの基本的な、たとえば効率化の問題、それからいまお話のありました外部団体との関係の問題、こういうものと取り組んでいく小委員会もつくってございます。それから、受信料のあり方というものを、単に収納という方法論の問題ではなくて、こういう制度というものをこれからどういうふうに具体的な形で、改正すべきところはどこであるか、あるいはNHK側の努力によって解決すべき問題はどこなのか、こういうものを全部掘り下げて各小委員会で取り上げることにしまして、先ほど申し上げましたように、従来ございましたもろもろのプロジェクトをやっておりましたが、これを全部ここへ吸収いたしまして、NHK自身が従来考えていた問題と審議会で提起された問題とあわせて、ここでNHKの総合的な対策として解決をしてまいりたいという意気込みでございます。
  121. 森中守義

    ○森中委員 わかりました。ただ、このビジョン審議会に対して会長が求められたのは三項ですね。つまり「国民の要請にこたえる今後の放送サービス、」「開かれた経営を保障するためのNHKと国民との基本関係、」「NHKを支える経営財源等のあり方に関し、放送事業の基本を規定している放送法制との関連も含めて意見が求められた。」こうなっている。ところが、ずっと一読しますと、非常に重い。重いし、かなり範囲は広いですね。特に共鳴を感ずるのは、こう言っているのですね。国際的というのか世界的にいまや公共放送は危機になっている、長期安定の時代は終わった。したがって、わが国の場合には、「多様化時代を迎えて、NHKは、その時代的要請に最も適合的な総合性のある公共放送事業体たらんとするところから出発すべきである、」問題はこれでしょうね。  そこで、いま山本さんの説明を聞いていると、このビジョンで三項目を諮問されたその受けとめ方というのは、どうしても経営課題を中心にしている。それでもいいと思うのですよ。ところが、これは郵政省とNHKが一緒に相談してなさったのかどうか知りませんけれども、ビジョン審議会をおつくりになったのが五十五年七月、しかも出されたのが五十七年の一月でしょう。これと符節を合わせたように郵政省が放送の多様化に関する調査研究会議、これも五十五年七月、提出が二カ月おくれたことしの三月、この二つをあわせて見なければ本当のNHKの将来というものは生まれてこないのではないか、私はそう見ているのですよ。ですから、協会自身が小委員会をおつくりになって、山本専務が言われたような内容を吟味されることは大いに結構。けれども、要するに、新しい出発をしなさいよ、長期的に継続してきた公共放送事業体はもう終わりました、危機ですよ、こう言っているわけだから、そこで、問題になってくるのは、研究会議の報告というものとワンセットにしたものでないと答えにならぬというように私は考える。特に研究会議の内容というものは、ビジョンと同じように三つの項目から成り立っていますけれども、この中で、ビジョンの方は八〇年代と言われておる、調査研究の方は九〇年代、こう言っているわけです。しかも、調査研究は放送政策はかくあるべきだというようなことですから、ちょっと次元が違うのですね。しかし、そのように見てくれば、当然なこととして、政策部門としての調査報告というものがある程度先行し固まってこないと、八〇年代から九〇年代に踏み込んでいく放送の危機を乗り切ろうというビジョンには沿いがたい、こういうように思う。そういう意味で、まずこちらが先に行くべきだ。後先を言っては悪いですけれども、二つあわせないと、NHKの未来像、将来展望というものは出てこないんじゃないかというように私は思うのです。だから、そういう意味で、山本専務の言われる協会内部でこれを消化するということも必要でしょうけれども、もうちょっと次元を変えてこの問題を見ていくべきじゃないか、こう思うのですが、大臣と会長から、それぞれこの二つの報告書についてお考えを承っておきたい。
  122. 坂本朝一

    坂本参考人 先生のおっしゃるように、全く符節を合わせるようについ最近郵政省の報告書をちょうだいいたしまして、これはいま先生がおっしゃるように九〇年代を見通すということでございますし、私どもの方の長期ビジョン審議会のテーマは八〇年代ということでございますから、そういう意味で、当然郵政省のこの御答申は、われわれとして参考にすると言うとまた多少言葉はおこがましいかもしれませんけれども、十分勉強して対応しなければいけないのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  123. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生おっしゃいますように、郵政省の方の多様化に関する調査研究会議とビジョン審議会はいみじくもスタートが同じで答申の時期が二カ月程度ずれたということ、これは結果的にそうなったということでございまして、先生指摘ように、私どもの方の調査研究会議は、九〇年代をにらんで、放送の新しい技術の進歩に備えてどんなかっこうになっていくだろうかという課題を御検討いただいたわけでございます。  いずれにいたしましても、わが国の放送はNHK及び一般放送事業者によって普及発展を見ておるわけですけれども、六十年度からは放送大学学園による放送も行われるようになっておる、今後いろいろな視聴者の需要の変化、それから放送技術の新しい開発によりまして、テレビジョン音声多重はもちろんのこと、文字多重あるいは衛星放送といったような非常に多種多様、高度な放送サービスが実現するといいますか、技術的にも進歩し、また実際的にも取り入れなければならない、そういうようなところから、私どもの方は、こういう時代の進展を迎えまして、技術の進歩の中にあって新しい放送サービスがどうあるべきか、そうした問題について関係者の意見を徴しながら、既存の放送体制との調和を図りながら今後持っていくべきであろうというふうなことを考えておる次第でございます。
  124. 森中守義

    ○森中委員 お言葉ですけれども、この多様化の調査研究というのは非常に重要ですよ。こういうものが先行的にきちんと確立されないと、NHKはもちろん、民放もそのあり方にずいぶん迷うのじゃないですか。私もまだ全部検討しているわけじゃありませんが、まず第一番に、「放送分野における多様化の動向」、それから「放送政策の展望と課題」、内容が非常に重いですね。しかも、事業主体であるとか利用の形態とか、まさかこういうことでNHK経営形態にまで踏み込むということになるとは思わない。思わないが、いまのままでNHKはいいかどうか。特に最後の提言などは急がなければ大変ですよというような言い方になっている。  こういうよう考えていけば、これはどうなんでしょうか、超法規的に、放送法の命じている枠を超えてでも、郵政省とNHKあるいは民放連、こういうところなどとできるだけ早い機会に具体的に立案をする、個々が持っている何かをすり合わせる、そういうことが必要になってきたなという感じがします。これは恐らく来年の協会予算審議の際、もしくは次の放送法の審議の際あたりには内容的に入らざるを得ないだろう、こう思うのですよ。いま個々の内容をどうするこうするということはまだとてもでき上がっているとは思わないからお聞きをしませんが、要するに、どういうようなスケジュールでこれを発展さしていくのか、政策展開をやっていくのかというふうなことを、もう少し具体的に、大枠の枠組みだけでもいいから聞かしていただきたい。局長の手元になければ、大臣、どうお考えになりますか。
  125. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 ビジョン審議会並びにこのたび提出された放送の多様化に関する調査研究会議報告書先生おっしゃるとおり、これはワンセットだというお考えようでございますが、ワンセットであるかどうかはともかくとして、このビジョン審議会と調査研究会議報告書というものは、八〇年代、九〇年代にわたるNHKの示唆に富んだ貴重な御意見だ、こういうふうに私は考えておりまして、いずれもこの報告書意見書、その趣旨を踏まえながら取り組んでいくべき問題だと思います。私どもは、この両報告書意見書の趣旨を踏まえて、今後NHKとも相談をしながら、その趣旨を十分参酌しながら検討すべきだ、こういうふうに考えております。
  126. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ちょっと補足させていただきます。  放送の多様化に関する調査研究会議で、先生のおっしゃるとおり九〇年代に向けての取り組むべき課題について理念と方向をお示しいただいたわけでございますが、いろいろな貴重な御意見をいただいておるわけですけれども、特に取り上げますと、どんな形で実現していくのかということでございます。  この報告書の中にはいろいろな問題が取り上げられておりますけれども、たとえば、テレビジョンの音声多重、文字多重につきましては、すでに現在国会に付託をされております放送法の改正案として提出いたしたというような多少先取りの感がございますけれども、そういうところでございます。  それから、もう一つの大きな柱、衛星放送は一体どうなるのかという課題についても、非常に示唆に富んだ御提言をいだたいておるわけでございますが、これにつきましては、今後NHKあるいは民放連その他各界とも十分相談しながら、ここの理念で方向づけをいただいたような方向に検討を進めてまいりたいということでございます。
  127. 森中守義

    ○森中委員 だんだん時間がなくなりましたので、経営委員長にちょっとお尋ねしておきます。  ビジョン審議会の中に、経営委員会のあり方についてもかなり深刻な指摘をしているわけですね。ですから、そのことと、さっきちょっと姿勢のところで申し上げましたように、業務組織の再検討ですとかあるいは定款の再検討、それに法二十四条の問題でありますとかあるいは外郭団体の関係、こういうことなども坂本会長執行部としてやります、こういうお話ですから結構ですが、経営委員会もそういう立場から、ひとつこういう問題に目を通していただきたい、こう思うのですが、どうでしょうか。
  128. 吉武信

    吉武参考人 お答えいたします。  さっきからお伺いしておりまして、まことに教えられること多く、ありがたいと思っております。ただいまの業務組織の再検討、定款その他の問題をこの際再検討してやり直せというような御意見も、非常に貴重な御意見としてお伺いしておきたいと思います。  予算の行き詰まりというものに関しては、経営委員会の立場から申しましても、昨年私が委員長をお引き受けしたときから、来年はもう夏からすぐやらなければならない、十月、十一月になって予算を云々言ったって、これはとても追いつくものではないという皆さんの御意見で、今度の五十八年度に関してはこの夏からわれわれの立場を検討していって協会の方にお願いしていこう、こういう立場をとっております。  さっきから、この夏にどういう立場をとるかということにつきましては、会長以下理事の皆さんから御説明がありましたように、それではすぐここでこの夏受信料の問題を上げるとか上げないとか決め得るかとなると、これは協会の方々の真剣な討議の上で、われわれはわれわれとしての貴重なる議決権を行使していかなければならないと思いますが、現在の希望、気持ちといたしましては、なるたけ受信料は最後の問題である、こういうふうに考えております。  ただ、この受信料に関してあれはだめだというのが一つのパターンのようになっておりますが、私など公共放送がどうあるべきかということを考える言論人といいますか、立場に立ちますと、これは非常に重要な問題で、この問イギリスのアナン委員会委員長が来られてテレビに出ておられまして、向こうは郵便局で集めて云々するんだ。性質は恐らくこちらと同じでしょうが、民主主義の家庭のイギリスと日本というものの差なんかも考えさせられまして、受信料という形でやっていける範囲は原則としてこれでやっていって、ほかにいろいろ方法はありますけれども、いかなければならないんじゃないかというよう考えております。  さっきから話の出ました多様化に関する研究会議などで、衛星放送の有料化というようなことに触れておられます。経営委員会としても、何回もその問題は話し合いまして、何か方法はないものか、多重化、文字放送、どこかでもう少しNHK収入の道というものはないものかと、各委員の方は素人の方も多いのですが、一生懸命努力しておられる状況でございます。八〇年代はもちろん、九〇年代にかけてNHK考えていかなければならないというのはお説のとおりでございまして、経営委員会の立場といたしましても、五年、十年先にNHKが一体どうあるべきかという、あのときにああしておけばよかった、こうしておかなければならなかったということは、われわれが逃げて通るわけにはいかないんだという御意見もありますし、先生の諸般の御指摘の面に関しても、非常に真剣に協議をいたしております。また、私どもは決して経営委員会が形骸化したとは思っておりません。  以上でございます。
  129. 森中守義

    ○森中委員 時間がもう余りありませんので、国際放送についてちょっと一、二問お尋ねしておきますが、交付金が十億台の大台に乗ったと言いながら、率からすると逆に戻っている。そうなりますと、非常に重要性が指摘をされながら、なかなか財政的に困窮してくるであろうということが一つの問題になってくるわけですが、どうでしょう、この機会に、財政規模の中の何%であるのかは別として、一定率をきちんと決めておいて、しかもそれは、できるならば予算総則にうたい上げるというようなことはできませんか。これが第一点。  それから、第二点は、短波体制はもちろん強化しなければいけませんけれども、そのほかにたとえばインテルサットを利用するとか、あるいは特定の外国の公共放送との交換等でフィルムの交換をやるとか、こういういわば国際放送の強化というのは考えられませんか。
  130. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  先生おっしゃいますように、国際放送に対する負担の限界というものを決めたらどうかというお話でございます。五十七年度で申しますと、総額が四十億でございまして、交付金が予定されておりますのが十億ということでございますから、受信料から直接これに当たる金というのは三十億、受信料の約一%ということになっておるわけでございます。今後どういうふうな比率になるかの検討は別といたしまして、先生は、そのある一定の限度を予算総則等に盛ったらどうかということでございます。私いろいろ考えていますが、国際放送のみならず、国内五波につきましてもかなり重要な問題が山積しているわけでございまして、その全体の調和の中でどう財源を配分していくかという問題は、各年それぞれの重点が違ってまいります。これを一応総則に盛るということになりますと、予算の弾力的、機動的運用が多少阻害されるのではなかろうかということも懸念しておりますので、これは今後の問題として前向きに検討させていただきたいと思います。
  131. 田中武志

    田中参考人 いま御質問のありました二点目の方をお答えいたします。  短波だけではなくて、今後、フィルム番組、ビデオ番組等々の交換、提供、共同制作といったことをわれわれ多角的にひとつ取り組んでいきたいと思っております。特に、現在、海外の十七カ国、二十四機関との間でニュースとか番組の交換協定を結んでおりまして、昨年だけでも、テレビ、ラジオ合わせまして約六十カ国、四千三百本余りのニュース番組を提供しております。そのほか、中国ともいまフィルムのニュースの素材の交換、それから近いうちにASEAN五カ国ともそういった交換をやるというふうなことを考えております。そのほか、NHKインターナショナルを通じまして、五十五年度だけで千本を超えるいろいろな番組、教育番組とかそういったものを低廉に提供している。それから共同制作も、これも先生指摘ように、経費が軽くなりますし、また質の高い番組もできますし、またこれで二次利用で海外へ非常に売りやすくなるという利点がございますので、現在私ども「十代の反乱」というのをきのうからやっておりますけれども、そういったものとか、あるいは「第三の波」とかアニメーションとかいったものも海外との共同制作でやっております。
  132. 森中守義

    ○森中委員 最後に、放送衛星をちょっと聞いておきますが、五十九年の二月ないし三月が三百五十キロのBS2、六十三年が五百五十キロのBS3、こうなっていたと思う。それを、このごろ何かいろいろ話を聞いてみると、宇宙開発委員会はごく最近見直すという話のようですが、その見直す内容はどういうものなのか。それから、いままで決定を見ている放送衛星、五十九年の三百五十キロ、六十三年の五百五十キロは、決定どおりでいいのかどうなのか。これをひとつ最後に聞かしておいてください。
  133. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  宇宙開発委員会は、毎年宇宙計画について見直しを行っておるわけでございます。そういうスケジュールで毎年行っている定例的なものでございますけれども、BS2及びBS3につきまして、特にBS3の五百五十キロというものは宇宙開発委員会で決められている、特に見直しが行われない限りそのように理解しておるわけでございます。  内容的に、最近BS部会というようなところで御検討いただいたわけで、その点をちょっと御紹介いたしますと、BS3では、BS2に引き続きNHKが二チャンネルを利用する。そのほか、新たに放送大学あるいは一般放送事業者の利用が考えられるであろう。これは三ないし四チャンネルを前提にしておるわけでございまして、空中線電力を百ワット程度とする場合には、五百五十キロ級の衛星で三ないし四チャンネルが予定できる、こういうことでございます。
  134. 森中守義

    ○森中委員 大変時間が足りずに十分な質問ができませんでしたが、経営委員長坂本会長初め協会全員の御健勝と、国民の期待にこたえていただくように期待いたしまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  135. 水野清

    水野委員長 これにて森中守義君の質疑は終了いたしました。  参考人としておいでの吉武経営委員長に申し上げますが、以降の質問者は御出席の要求がなくなりましたので、これでお帰りいただいて結構でございます。大変御苦労さまでございました。  大橋敏雄君。
  136. 大橋敏雄

    大橋委員 私は、NHK予算に関する質問は全く初めてでございます。言うならば初年兵でございますので、感ずるままにお尋ねをしてみたいと思います。失礼な言い方があるかもしれませんが、それは御容赦願いたいと思うわけでございます。  まず初めに、初歩的なことでございまして、質問というよりも、私のNHKに対する認識の程度を確認してみたいと思うわけであります。  NHKというものは、国からの出資は受けていない、これが一つ。それから、NHKは、視聴者による受信料収入が存在基盤である。それから、NHK経営委員会というものは、人間にたとえれば心臓部に当たるかあるいは頭脳に当たるみたいな最重要部分の位置にある。したがいまして、その委員の任命というものは、国会の同意がなければ総理大臣もこれを任命することはできない。それから、NHK会長は、経営委員会がこれを任命する。それから、NHK予算案は、国の承認が必要である。郵政大臣の認可ではないということですね。それから、政府による規制は、国際放送命令など最小限にとどめられている。それから、NHKは、公社、公団あるいは事業団といったようなものとは全く違った性格である。半官半民の企業でもなく、国営でもない。まさに特別の公共的放送事業である。そして、国民によって支えられている公共放送事業である。このような認識を持っているわけでございますが、もし私のこの認識に誤解があれば訂正いただきたいと思いますし、なければそのとおりだと言っていただきたいのでございますが、いかがでしょうか。
  137. 坂本朝一

    坂本参考人 そのとおりだと私は考えます。
  138. 大橋敏雄

    大橋委員 大臣も同じ質問に答えていただきたいと思います。
  139. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 そのとおりであります。
  140. 大橋敏雄

    大橋委員 NHKはいま新しい意味での曲がり角に来ているのではないかと私は思っているわけでございます。特に、先ほどからも質問があっておりましたように、財政面からは、値上げでもしない限りこのままでは受信料収入伸びは期待できないし、といって、安易な値上げというものは視聴者の納得を得られないであろう。予算案を見ますと、確かに受信料収入伸びがもう一%台ですね。NHK財政事情を長期的に押さえるには不安を禁じ得ないわけでございます。  そこで、NHKNHKなりの体質改善をする必要があるんじゃないか、そういうふうに迫られているのではないかと思うわけでございまして、その体質改善の二、三を提案してみたいと私は思うのです。  まずその一つは、受信料の滞納問題があると思うのでございますが、この受信料の滞納について、五十六年度ではどうなっているのか、御説明願いたいと思います。
  141. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答えいたします。  滞納につきましては、現在、二千九百万件の契約をしておりますけれども、その中で、五十六年九月、一番新しい数字で九十九万六千件でございます。
  142. 大橋敏雄

    大橋委員 契約をしておる分は、いまおっしゃったとおり九十九万六千件ですね。意図的未契約の状況というものが私がいただいた資料の中にあるわけでございますが、これは一般的に言われている言葉は契約拒否というのですか、それはどのくらいあるのですか。
  143. 海林澣一郎

    ○海林参考人 もう一度整理して申し上げます。  実は先ほど、契約の総数が二千九百万と申し上げた、その中でいわゆる滞納、契約していてもお支払いくださらない方をわれわれは滞納という呼び方をしております。その数が九十九万六千でございます。これは複雑でございまして、その九十九万六千のほかに、契約をしてくださいということでお会いをしてお願いしても拒否される方が十万九千、これが五十六年の九月でございますけれども、そういう数字になっております。
  144. 大橋敏雄

    大橋委員 いまの説明で私も了解いたしましたが、要するに、九十九万六千件が滞納者、いわゆる不払いの方であって、あと十万九千件がいわゆる契約拒否による方々で、合わせますと大体百十万件を突破するわけですね。それをいまのカラーテレビの代金に換算しますと、金額にして大体どのくらいになると踏んでいますか。
  145. 海林澣一郎

    ○海林参考人 おおむね八十億でございます。
  146. 大橋敏雄

    大橋委員 私は私なりに計算してみたのですけれども、いまのカラーテレビの金額で計算してまいりますと百億円を超える額になります。これは私は決して軽視できない額だと思うのですね。軽視できぬ問題であると思うわけです。  というのは、一般の視聴者、まじめに納金している方々のことですけれども、こういう方々に対して、こういう実情がわかればわかるほど心理的な影響は深刻だと思うのです。また、公平の確保の立場からも、こういうのは一日も早く是正していかねばならぬ問題ではないかと思うのです。いままでもこの問題は議論されてきたと思うわけでございますけれども、余り改善の跡が見られていないわけです。私はやはり、これは従来の考え、マンネリ的な対策ではなくて、何か際立った手を打つべきではないかと考えるのでございますが、その点いかがでございましょうか。
  147. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答えいたします。  この滞納対策につきましては、いま先生が最後の方で際立ったというお言葉をお使いになりましたけれども、これはあるいは法律に関することをお触れになっているのではないかというふうに憶測するわけでございます。  実は、私ども協会として、そして営業を預かっている私どもとして、迂遠のことのようでありますけれども、まずいい放送を出して視聴者の理解を賜って、そういう中でNHKの御理解をいただくということが基本にあるのではないか。最近のことでも、例の中国孤児の放送を出しました。長い問滞納していた方が、NHKの姿勢わかった。その滞納の理由につきましても、どうもNHKの放送のあり方が気に入らないということでございましたけれども、あの放送を見て理解できた、したがっていままでの滞納を払うことにするという事例がございました。そういうことを見ますると、やはり際立ったという以前に、われわれが何をなすべきかということがもっともっとあろうかというふうに認識しております。  具体的な施策としては、毎度申し上げておりますけれども、五十二年以降東京、大阪、それから五十四年以降は札幌ということで、特別営業対策員を設けて訪問するというようなこと、あるいは文書を送る、電話をかける、われわれとしてでき得る限界まで挑戦をして成果を上げていきたい。その結果、先ほど先生がおっしゃいました九十九万でございますけれども、五十五年の末九十九万一千が九十九万六千になった。それ以前では万という台で、五万とか四万とかふえたわけでありますけれども、千という台に下がってきた。ことしの終息、あと数日でございますけれども、それにおきましても滞納は微増、横ばいという形で終わるのではないか。そういたしますと、申し上げましたNHK全体の番組をよくし、全協会的に施策をするということで、しばらくわれわれとしては努力をすべきではないかというふうに考えている次第でございます。
  148. 大橋敏雄

    大橋委員 これは会長さんにも確認の意味を含めて答弁をとっておきたいわけですが、いま際立ったということは余り好ましくない。確かに私の気持ちの中には、イギリスや西ドイツあるいはオーストリア、フランス、ベルギー等でとっているような強制徴収制度や罰則規定など、こういう考えが全くなかったとは言いません。しかし、いまの局長さんの御答弁を聞いていまして、なるほどなと思う節も理解できます。  しかし、NHK受信料というのは、見ようと見まいと設置すれば納めねばならぬわけですね。だから、気に入るとか入らぬとかいうものは抜きに法律が決めているわけですから、設置すれば徴収の義務が出てくるわけですね、あるいは取る権利が出てくるわけでしょう。そういう意味からいって、この点もう少し経営委員会の中でこれを解消する方向を真剣に検討していただきたいということです。会長さんからも一言。
  149. 坂本朝一

    坂本参考人 先生のおっしゃるとおり、この受信料というのは公平にいただくということでございますから、たとえ一件でも払わなくて済むという方がおありになれば、それはわれわれとしては何としてもいただく努力をしなければいかぬ。これは事業その他でいわゆる貸し倒れがある程度あってやむを得ないのではないかという考え方でこの受信料問題には対処できないという認識でございまして、そして、われわれも努力をしているわけでございますが、いま局長が御報告いたしましたように、少しずつそういう点についての御理解が深まりつつあるということも申し上げられるかと思いますので、そういう努力を一層続けるべきであるというのが、現時点における私どものまとまった、これは経営委員会にもお諮りしてまとまった形で努力しているわけで、もう少しその努力を続けさせていただきたいというふうに思う次第でございます。
  150. 大橋敏雄

    大橋委員 その成果に大きく期待を寄せたいと思います。それは何も私のためではなくて、もう財政運営上非常に厳しい状況になってきているだけに、こういうところは公平な立場からも早急に改善していく内容であるから指摘しているわけでございます。  それから、体質改善の二つ目ではおかしくなりましょうか、受信料の免除制度がありますね。この免除制度の中には全額免除、半額免除とあるわけでありまして、私は制度そのものは非常に結構なことだと思うのです。しかし、いま私が問題にしたいのは、免除された額に相当する額をだれが負担するか。いまはNHKすなわち受信者負担ということでこれがあがなわれているわけですね。私は、これは筋がちょっと違うのじゃないかなと思うのです。私はずっと社会労働委員会というところで社会保障関係をずいぶん長くやってきた関係もございまして、いまNHKの皆さんが対象にしている全額、半額の受信料免除の対象の施設等は、社会政策の上から、あるいは福祉政策の上から、あるいは教育政策の上からの要請から、こうした優遇的な措置がとられているということになれば、これは国家的要請とも言えるのだと私は思うのです。ですから、そうした制度はりっぱでありがたいことではありますからいいのですけれども、その免除した相当額についてはこれは国の方でめんどうを見るべきだと私は思うのですけれども、これはちょっと大臣、どうなんでしょうか。
  151. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 受信料の免除相当額のものは、国が福祉行政あるいは社会行政、教育行政の観点から負担すべきあるいは考慮すべき問題ではないかという先生の御指摘でございますけれども、私どももそうだというふうに思っております。したがいまして、歴史的なものがあるわけですけれどもNHKが実施しておりますいろいろな受信料免除の項目がございますけれども、いま申しましたように、基本的にはそれぞれの関係省庁で処置すべき問題であるというようなことで、そのよう考え方でここ数年まいっておるわけですけれども、まだ十分にはそのようにはなっておりません。今後とも、NHKに対しましても、関係方面とそれなりのお話をするように、それから郵政省としても、NHKをバックアップするというよう意味関係省庁との折衝を続けてまいりたい。先生のおっしゃるとおりだと考えております。
  152. 大橋敏雄

    大橋委員 郵政大臣、いま答弁の方は、私の考えのとおりだ、郵政省の方も協力するというような話があるみたいな答弁だったわけでございますが、五十五年度の免除額、件数と額を見るだけで、たとえば全額免除が八十四万五千四百件、これに対する額は五十五億九千三百万円です。半額免除の方で五十八万千百件、二十三億四千百万円ですね。合計しますと百四十二万六千五百件で七十九億三千四百万円からになるわけですから、これはいままではNHKの方で全額負担しているような形になっているわけです。先ほど私が申し上げましたような理由からいけば、これはむしろ国の方でめんどうをみるのが筋論だ、こう思いますので、やはり郵政省としては積極的にこういうものに対しては援助の手を差し伸べていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  153. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 先生のお考えは私も全く同感であります。積極的に関係各省と相談をしながら、その方向で努力をしたいと思います。
  154. 大橋敏雄

    大橋委員 郵政大臣は非常に物のわかる方だと思います。しっかり援助してくださるようになるそうですから、NHKがめんどうを見なければいけませんけれども、この免除額の方は政府の方で何とか見てくれるのじゃないかという期待が持てるようになりました。がんばりましょう。  次に、体質改善の三つ目ということになるでしょう。国際放送についてでございますけれども、これは先ほどもお話があっておりましたが、国際放送の資料を見てまいりますと、日本ではNHKが主体で行って、それに若干政府が援助を与えているという形のように見えてなりません。私はやはりこの考え方も抜本的に改めるべきであると思うのです。なぜならば、先進諸外国の国際放送の規模というものが政府提出資料の中に見れたわけでございますが、そうした他の国々は政府が率先してお金も出し、設備もやっている、こういうことであります。しかし、残念ながら日本はNHKが一生懸命がんばっていて、国の方は少し応援しているということです。私が勝手に言っているわけじゃありませんので、ちょっと読み上げさせていただきますが、日本の場合は実施主体は「NHK(公共的事業体)」こう書いてあります。放送時間を見ますと、週間でございますが、二百五十九時間。アメリカ、ソビエトは国営になっておりますから飛び抜かします。イギリスはやはり公共的事業体になっておりまして、NHKの二百五十九時間に対して七百十六時間の放送をやっているようですね。西ドイツも同じく公共的事業体で五百七十七時間。もう話にならないほどの放送時間ですね。それから使用語数、いわゆる外国語数ですね。日本の場合は二十一カ国語、イギリスは三十九、西ドイツは三十四。それから放送施設を見ましても、日本の場合は百キロワットが八台。イギリスでは二百五十キロワットが三十台、そのほかに百キロから七・五キロワットまで三十八台ある。そして西ドイツは五百キロワットが八台、二百五十キロワットが九台、そのほかにまだ細かいのがたくさんある。それから中継基地も、日本はこれに書いてないのだけれども、調べてみましたら、ポルトガルのシネスというところのたった一カ所ですね。イギリスの場合は海外中継基地が六カ所、西ドイツは五カ所。それから運営経費を見ますと、日本の場合は三十七億五千七百万円のうち政府交付金は九億九千八百万円、これは一九八一年の資料でございます。これに対しまして、イギリスでは政府交付金が四千二百九十万ポンド、日本円に直しますと約百八十四億円です。べらぼうに開きがあります。西ドイツも政府交付金で一億九千万マルクで、日本円に直しますと約百九十四億円ですね。とにかく本当だろうかと言いたくなるような、余りにも大きな開きがあるわけでございますが、経済大国日本と言われているわが国でございまして、いまの資料から見る限りは、余りにも国際放送についてはけちけち日本だ。日本のいわゆる文化を諸外国に認識させたり、あるいは日本人というものはこういうものなんだということを知らしめる意味においても、これを大いに大改革すべきである。もっともっと国が主体的になって行わねばならぬと思うのです。最近、文化摩擦という言葉が出てきたでしょう。経済摩擦を通り越して文化摩擦というのは、日本の国を余りにも知らな過ぎることから出てきている問題ですね。そういう意味からいって、国際放送、これは郵政大臣が命令できる中のきわめて重要な個所でもありますし、むしろこれは郵政省ががっちりと抱きかかえて拡大していくところではないか、こう思うのでございますが、これはNHKと郵政大臣に御答弁を願いたいと思います。
  155. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 今日、わが国の国際社会における政治的、経済的役割りは、ますます大きくなっております。同時に、世界各国の日本に対する関心が高まっているときでもあります。特に、先生指摘ような経済摩擦、こういったような問題も関心の高まっている一つだと思いますけれども、日本の実態というものを正しく認識してきていない。そういう国際環境の中で、国際放送の果たす役割りというものは従来にも増して重大である、私はこう考えているのであります。  このような観点から、わが国の国際放送の充実強化については、各方面からただいま意見を寄せられているところでありまして、大橋先生指摘のとおりだと思うのであります。郵政省としては、国際放送の充実強化こそ喫緊の課題、このように認識をいたしております。幸い五十七年度において、国際放送にどうあるべきかというような、制度あるいはまた技術的な面で、たとえばいまシネスに中継基地が一つあるだけだとか、これでいいのか、これは技術的な問題になります、というようなことに関して調査研究をするための経費に予算が八百万円いま要求されているところでございまして、予算案が通ればこれを実行に移す、そういう調査研究の中で喫緊な重要課題として私どもは取り組んで、この中でひとつ勉強して、来年度に向かって国際放送の充実強化に資したい、こう考えているところでございます。
  156. 坂本朝一

    坂本参考人 先生おっしゃるように、国際的な関係が非常に緊迫化しているというような現状の中で国際放送の持つ役割りが非常に重要だという認識は、私どもも十分持っておるつもりでございまして、そういう意味で、いままでNHKが現放送法のもとで行ってまいりました国際放送の中身は、諸外国においてかなり高く評価されているというふうに私自身は自負しておるわけでございますが、なお、NHKは御承知のようにテレビも実施しているという状況でございますので、将来の国際関係の理解につきましては、短波による国際放送とテレビの番組交換等をあわせて、NHKの持っている長年のノーハウをこれに生かしていくということが当然あってしかるべきではないか。そういう意味で、この国際放送はNHKがやはり担当すべきではないか、そういう考え方を持っておりますので、今後といえども先生指摘の方向で一層努力したいというふうに考えております。
  157. 大橋敏雄

    大橋委員 確かにNHKはそれは続けていただかなければならぬわけです。ですから、その技術だとかその経験などいろいろなものがすべていまのNHKで私は上々だと思うのですが、問題は予算の方ですね。NHK予算を持っていくのではなくて、もう国際放送なんですから、よその国は先ほど言ったように物すごいお金を使ってやっているわけですから、日本もそうなってほしいな。箕輪郵政大臣は非常に御理解の深い方ですから、急速にそういう方向に展開していくのであろうと私は期待をいたします。  そこで、先ほど大臣もおっしゃったように、中継基地が日本の場合はまだ一カ所しかないですね。しかも、先ほど言いましたように百キロワット程度ですから、それが中継基地で二百キロワットになって、まあ活用しているようでございますけれども、それでも映りが余りよくないという苦情が出ていることが、NHKからいただいた資料の中にありました。ところが、アメリカなどは国営でございますけれども、日本みたいに百キロワットではなくて、五百キロワットで六台もあったり、二百五十キロワットが四十四台もあるというような、とにかくすごい体制で国際放送が行われておる。こういう認識をもう一回深められまして、先進諸国に負けない経済大国日本にふさわしい国際放送体制を確立していただきたいと思います。  時間も大分迫ってまいりましたので、もう一つ次に移りたいと思います。  改善の四つ目でございますけれども職員の待遇改善のために運営方針の基本的な改革が必要ではないのかな、私はこう思うのです。一部には、NHKに対して批判している方もあるかもしれませんが、もうほとんどの者は、やはりNHKの働きに対しては尊敬の眼を抱いているのではないか。私もその一人です。本当によくやっているなと思います。ですけれども、たとえば私、予算総則を読んでおりましたら、第七条の二項にこうあるのですね。「前項に定めるもののほか、職員の能率向上による企業経営の改善によって、収入予算額に比し増加し、又は経費を予定より節減したときは、その増加額又は節減額は、経営委員会の議決を経て、その一部を職員に対する特別の給与の支給に充てることができる。」これは職員にとっては非常にありがたい条文だと思うわけでございますが、これが果たして実行に移されたことがあるのだろうかということなんですけれども、まず、あるかないか、ちょっと聞かしてください。
  158. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  一番新しいところでは、四十九年度に七条の節減に基づく振り当ての条項がございましたが、それ以降はございません。
  159. 大橋敏雄

    大橋委員 そのときには、職員のその分が支給されたというふうに理解していいのですか。
  160. 渡辺伸一

    渡辺参考人 そのとおりでございます。
  161. 大橋敏雄

    大橋委員 いま郵政大臣も会長さんもお聞き及びのとおり、NHKが発足してもう三十年になるのですか、たった一度これがわずかばかり発動されたということのようです。――違いますか。
  162. 渡辺伸一

    渡辺参考人 私の言い方が足りませんで申しわけありません。最近一番新しいところでは四十九年度と申し上げましたが、四十八年度、四十五年度、四十四年度、四十三年度、四十三年からは以上の年度でございます。
  163. 大橋敏雄

    大橋委員 いずれにしましても、私はこれは当然あってしかるべき条文だと思うわけでございますが、私がこれから申し上げたいことは、確かに、NHKは「営利を目的としてはならない。」というのが放送法の九条三項の規定にあるわけですね。しかし、放送番組の二次使用等によって副次収入が認められていまして、確か五十五年度でも約十五億でしたか、副収入が上がっているわけです。これは後でちょっと幾らだったか教えてください。これらはほとんどがNHKの外郭団体にその業務を委託し、そして得ているいわば見返り収入と言えるものではないかと私は思うのです。そこで、何も外郭団体でなくて、NHKがあるものを制作する段階においては決して営利ではないことでいろいろなことがやられるわけでございますが、副次収入を得られる内容は、幾らでも事業がなされると思うのです。したがいまして、今後は財政事情等も考慮して、この副次的な収入についてはできるだけその確保を図るために、受信者の負担軽減の努力もあわせてNHKみずからの手で行えるように体制を改善すべきではないかと私は考えるわけでございますが、これについて会長さんと郵政大臣の御見解を聞いておきたいと思います。
  164. 坂本朝一

    坂本参考人 先生指摘ように、NHKの場合は特に放送法において、その「業務を行うに当たつては、営利を目的としてはならない。」ということが明確に規定されておるわけでございますが、この営利目的禁止規定について、今後のNHK経営安定に資するという見地から再検討してはどうかということが、長期ビジョン審議会の御答申の中にも、この副次収入の問題等を含めて御指摘もございますし、われわれといたしましては、今後検討の対象としなければならない、そういう考え方を持っておる次第でございます。  ただ、副次収入は現状では年間十億円程度の収入でございますので、今後いかに増収に努力するといたしましても、これでNHK財政安定に資するというにはやはり限界があろうかと思います。しかし、それはそれとして、幾らかでも経営努力をその面でも積んでいく必要があろうということで、いま申し上げましたように積極的に検討よう、こういうことになっております。
  165. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 NHK副次収入増加を図るということは、受信者の負担軽減のためにも望ましいことではあると考えております。ただ、実際問題として、たとえば外郭団体にゆだねておる事業をNHKみずからが営むと仮定いたしますと、そうした新しい事業に従事する職員も必要になるということ、それからもう一つ、NHKの方からもお話のありましたように、放送法の第九条三項に営利目的禁止規定などあるわけでございまして、いろいろそうした問題もあるわけでございますが、やはり努力でございますので、そうした提案が具体的にありました場合に、私どもはいま申し上げましたようなことを考えながら慎重に検討してまいりたい、このよう考えておる次第でございます。
  166. 大橋敏雄

    大橋委員 私は、もっと積極的にこの問題も検討されていいのじゃないかと思うのですよ。遠慮なさる必要はないと思うのですね。というのは、私「シルクロード」というNHKの番組を見させていただいて感動いたしました。あれは規模も大きかったけれども相当経費もかかっただろうなと予想いたしました。恐らくその経費のほとんどはやはりNHKさんが持たれたのではないか、もちろん国も援助したでしょうけれどもね。ああいうすばらしい番組がそれだけで眠ってしまっていくんではもったいない思いですね。たとえばそれを映画化して一般の映画館で上映するとか、あるいは海外に出すとか。というのは、恐らく世界の中であれほどすばらしいシルクロードの記録を取材したのはほかにはないと思うのです。そういうことから考えていきまして、これは副次的に出てくる問題ですから副次収入になっていくわけですから、それをいま言ったような形での展開はできないものなんだろうかということなんですよ。先ほどの法律の条文じゃございませんけれども、あくまでも営利はいけないと言われておりますね。ただそれだけに硬直しないで、もう一歩流動化されている副次収入の方の考え方を押し広げて、外郭団体ではなくてもっとNHK自身副次収入を得られる工夫は何かないものかな。これはぜひ大臣の方からも知恵をしぼっていただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  167. 坂本朝一

    坂本参考人 私の答弁がやや消極的だともしお受け取りいただいたら、私の答弁の仕方がまずかったので、そうではございませんで、いま先生のおっしゃる「シルクロード」なんというのも、おっしゃるように諸外国に出していくべきじゃないかということで、実はいま国際版をつくりつつありますし、それから、第二次「シルクロード」で、今度は中国以外のところへまた取材しようということでございますから、大きなテーマとして先生のおっしゃるような形で収入を上げていきたいというふうに思っております。
  168. 大橋敏雄

    大橋委員 大臣、最後に一言。
  169. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 私も先生と同じように「シルクロード」を見てえらい感動を覚えた一人であります。ただ、先生さっき、NHKがほとんど金を出し、国も金を出したんだろうと思うけれども、こういうお話でしたが、残念ながら国の方では予算は差し上げておりません、NHK単独でございます。それだけにすばらしいものであったなと考えるわけでして、いま先生御提案のようなことについては、先日来NHK坂本会長その他ともお話をしているところでありまして、その意味で、副次収入を得るというようなことは、第九条三項の規定があるけれどもこれは許容されるかどうか、されるんじゃないかというようなことで検討しているところでございます。
  170. 大橋敏雄

    大橋委員 わかりました。終わります。
  171. 水野清

    水野委員長 これにて大橋敏雄君の質疑は終了いたしました。  次に、中井洽君。
  172. 中井洽

    中井委員 最初にお尋ねをいたします。現在五十六年度の末でありますが、現在の見通しからいって、NHK事業収入というものが本年度予算に対してどのくらいの実績を上げられそうか、その予想をお聞かせいただきたいと思います。
  173. 渡辺伸一

    渡辺参考人 五十六年度予算はただいま実施中でございまして、三月までしばらくお待ちいただかないと結果はわからないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、受信料収入の九八%を占めるわけでございますので、受信料の趨勢が一番気になるわけでございます。数、五十五万を増加として掲げておりますが、この増加年度末までにどうやら達成できるであろうということでございますけれども、年間にこれがどのような分布でふえてきているかということ、つまり、早ければ早いほど実収入に貢献するわけでございますが、そういう分布の仕方についてただいま資料を分析中でございますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。その他の収入につきましては、極力増収を図っているわけでございますけれども、それらがどれだけの効果を上げて、総収入予算に対してどうなるかはしばらくお待ちいただきたいと思います。
  174. 中井洽

    中井委員 この予算額は達成できそうですか。
  175. 渡辺伸一

    渡辺参考人 いま申し上げましたように、受信料以外の収入予算よりもかなり超過して収納しておりますが、受信料の数がどの月で伸びたかという問題にかかわってきますので、いまのところはどうやらとんとんになるのではなかろうかと見ているわけでございます。
  176. 中井洽

    中井委員 私も、NHK予算に対する質問というのは初めてなものですから、いろいろと資料やらを見せていただいたのであります。この予算や決算あるいは経営三カ年計画ですか、こういったことの数字の合わせ方というのは、何か独得のもの、があって非常にわかりにくいわけであります。  そして、五十三年度からのを見せていただくと、決算というのは、収入予算を全部下回っておる、そういう状態であります。結局、三年たったら、各委員のおっしゃるように、受信料値上げをする以外に道はないじゃないか、これに合わせた予算を組んでいるだけにすぎないと言っては大変失礼なのですが、そういう単純な受け取り方を見ただけではせざるを得ない、こう思うわけであります。  いろいろと議論がありましたように、五十八年度赤字あるいは大変厳しい財政状況を迎えるわけでありますが、本年度、五十七年度予算を編成されるに当たって、そういう厳しい状況を踏まえて、当然やらなければならない経費の削減あるいは合理化、こういったものについて、具体的にどのように措置をとられたのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  177. 渡辺伸一

    渡辺参考人 まず、五十七年度予算の三カ年間の位置づけでございますが、五十五年からの三カ年間で収支均衡するということで、五十五年度料金の改定をさせていただいたわけでございます。このままその当初の目的どおりに五十七年度を置いていきますと、収入においては三十五億が赤字であっても、収支均衡という面では実はかなうわけでございますが、私どもでは五十八年度にできるだけ金を残そうということでございまして、収入は目いっぱい、支出はできるだけ詰めていったわけでございます。  支出を詰めた視点を具体的に申し上げますと、まず節約でございます。節約は各年でかなりやってまいりましたので、新しいものがなかなかないことは前回も申し上げましたが、それでも、三年間、七十億を予定をいたしましたのが、要員の効率化を含めて九十億というふうに節減の実を上げたわけでございまして、収入につきましても目いっぱいということで、総体として五十七年までの収支均衡が、三十五億を次年度に繰り越すというところまでやっと予算編成をしたということでございます。
  178. 中井洽

    中井委員 大臣は、いまのNHK予算編成のあり方、特に大臣の御意見にもあるように、五十八年度に大変厳しい状況を迎えられるときの予算編成のあり方、これをどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。NHK自体も御努力をなすったであろう。三年間で九十億だというお話もありましたけれども、三年間での予算の総額は八千五百億くらいになるわけであります。その中の九十億くらいの節約というのはそう大したいばった問題ではないと私は思います。また、この三年間の経営計画が立てられた時点での物価の上昇あるいは人件費の上がりぐあい、こういったものの予想と現行のギャップというものを考えれば、九十億くらいは節約をしなくても当然これは出てきてあたりまえの数字であろうかと思うのであります。そういった点を含めて大臣のお考えをお聞きいたします。
  179. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 中井先生御承知のとおり、非常に厳しいNHK財政状況だと考えます。収入の方は大体一%台しかふえない、物価上昇等からいって、どうしても支出の方は五・七%ふえるわけであります。そういう情勢の中ですから、たとえ五十七年度で三十五億円を五十八年度に繰り越しても、五十八年度は非常に厳しい状況になるだろう、私もそのよう考えます。しかし、そこで赤字が出るから安易に値上げということは、私どもはそういう考え方にはならないわけであります。何とかしてNHKに徹底した合理化をやっていただきたい。徹底した合理化に努め、真剣な経営努力、そういうことを私どもはいまお願いをいたしておるところでございます。郵政省としては、NHK経営長期的な安定に資する方策を早急に検討、策定することを期待しているところでございます。
  180. 中井洽

    中井委員 いまの大臣のお考えを聞いて、NHK自体はどうお受け取りになるか、お聞かせをいただきます。
  181. 坂本朝一

    坂本参考人 その点につきましては、たびたび申し上げておりますように、赤字になったから値上げだという安易な考え方をしても世の中は通らない、そういう認識には少なくとも私自身立っておるつもりで努力いたしておると申し上げておるわけでございます。  ただ、それでは五十八年はもう値上げしないのかといまここで御質問をいただいて、いたしませんとすぐここで答えるのは余りに無責任だから、そういう点において、検討する時間をお与え願いたいと申し上げているわけでございますので、そこら辺のところはひとつ御了察願いたいと思うわけでございます。
  182. 中井洽

    中井委員 たとえば、五十八年にまあまあ値上げ考えざるを得ないよう財政逼迫の状況下を前にしたことしの予算、こういうのを見せていただきますと、私は予算だとか数字だとかそういうのは素人でありますが、この資料の中の予算のいろいろな構成比、給与から国内放送費、国際放送費、営業費といろいろな項目があります。これは去年もおととしもさきおととしも、比率的にはほとんど変わっていないわけであります。そうすると、先ほど言いましたように、そういう厳しい財政状況を踏まえて、どこかで徹底した合理化をして、項目を減らすとかあるいは項目の率を減らすとかいうような形で予算をお組みになったのではなしに、均衡して少々金を残す、しかし、五十八年にはどうせ値上げをしてもらわなければならないのだ、こういうことを前提とした予算編成のように私は思えるのでありますが、その点についてNHKはどうお考えですか。
  183. 渡辺伸一

    渡辺参考人 五十七年度の各費目ごとの構成比率、先生おっしゃいますように、結果的には五十六年度とそう大きな違いがないようになっております。しかし、私、実際に予算を編成した立場から申しますと、五十六年度からかなり各項目について、NHKに課せられている仕事の最低の仕事をするための予算というところで積んでまいりまして、申し上げますように節減も各項目にやってまいりましたものですから、残っております予算というのはやはりこれ以上抜本的に手をつけるというところまでまいっておりませんものですから、それに、ある程度の物価は、幾ら節減をいたしましてもかぶらざるを得ないところがございますので、結果的にこうなっているわけでございまして、一つ一つの柱についてできるだけ効率的にやろうという気持ちは変わっておりません。
  184. 中井洽

    中井委員 変な話でありますが、十年ぐらい前あるいは六、七年ぐらい前、NHKへときどき見学へ行かせていただいたり用事で行きますと、帰りにタクシーに乗ろうといたしますと、NHKの前に並んでおるタクシーは乗せてくれないのですね。乗って、どこどこまでと言うと、チケットですかと言う。違うよと言ったら、降りてくれ、こう言うのです。あちこちのタクシーで聞くと、NHKさん一番はでにお使いになるからチケット以外だめだという話です。タクシーの運転手さんもうかるんでしょうね。そういうことで僕は文句言うつもりありませんし、そういう経費の節減というのはもう十分NHKではおやりになっておると、いまの説明で一応思わせていただきますが、しかし、るるお話がございましたように、受信料という一定の限度のあるものを大半の収入源としてこれから経営をやっていく、しかも長期的に余り値上げをせずにやっていこうとするときに、私は、もっともっといろいろなやり方があるんじゃないか、このように思います。三年ごとに値上げをすればいいというお考えもお持ちのようであるかもしれませんが、私は現行のカラーの受信料、八百八十円ですか、これが高いとか安いとかは言いません。八百八十円という数字はあるいは安いのかもしれません。しかし、こういうものを値上げを順々としていけば、民放放送の充実、あるいはいろいろなNHKに対する不信をお持ちの方がいらっしゃる、そういう状態の中で値上げをすれば、NHK離れというものがますます出てくる。私はこのことを心配をいたします。NHKの公共放送としての信頼感、そういったものが薄れてくる、このように思います。したがって、できる限り一定の料金の中でNHK自身が発想の転換をなすってNHKとしての使命を果たす道、こういったものをとるべきである、このよう考えておりますので、そういった観点から、過般わが党の西村章三議員も議論をいたしましたけれども、重ねて議論をさせていただきたい、このように思います。  一つは、現在NHKは総合テレビそれから教育テレビあるいはNHKのラジオ第一、第二放送、それからFM、五つの放送体系をお持ちでございます。現在、本当に五つの放送体系というものが公共事業として国民全体にとって必要なのかどうか。これについてお考えを伺いたいと思います。特に、私は昭和十七年生れでありますが、大変恐縮でありますが、物心ついてからNHKのラジオの第二放送なんて聞いたことはないのです。本当にこれが必要なのか、いまのNHKの苦しい予算の体制の中でやっていかなきゃいけないのか、このように思うわけであります。これについて、NHKと大臣、両方からお考えを承ります。
  185. 坂本朝一

    坂本参考人 いま先生指摘の、NHKの現在やっている放送の業務の範囲、これは率直に長期ビジョン審議会に実態をお知らせして御検討もいただいたわけでございますけれども、残念ながら、先生は第二放送に接触した機会がないというお言葉でございますけれども、あれは御承知のようにかなり教育上のテーマを取り上げておりまして、そして、学校放送等もまだかなり利用度の高い波でございます。そういう意味から言って、長期ビジョン審議会でも、やはり現在のNHKの五つの波というのは国民の期待にこたえるためにやるべきであろうという御答申をいただいて、私はその御答申にこの問題はこたえなければいかぬというふうに考えておる次第でございます。
  186. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 先生NHKの第二放送を余り聞いてないというのですけれども、私はあれはとても参考になるのでございまして、語学の勉強とかいろいろなことを聞かしていただきまして、あれは非常にファンが多いんですよ。やっぱり、あれは必要がないというのはちょっとあれじゃないかと思いますので、済みませんが。
  187. 中井洽

    中井委員 NHK会長、私は、私自身が聞いてないものだからやめろとかそんなことを言っておるんじゃない。現下の財政の中であの五つをやっていく、こういうことが大体無理なんではないか、民放テレビあるいはラジオがずいぶん充実をしているわけでありますから、思い切って民放に譲るべき部分、そういったものは譲るという発想に立たれて経費の節減を考えられたらどうか、このように申し上げたわけでありますが、もう一度御答弁いただきます。
  188. 坂本朝一

    坂本参考人 この点については、いささか私といたしましてはそういうわけにはまいりかねます。第二放送についても、かなりそういう意味で社会的な責任を負っておりますし、それにこたえている。五十七年度の番組編成においては、特に教育テレビと第二放送の充実ということを番組編成の第一の項目に挙げて、やはりNHKの社会的責任を果たしたいというふうに考えておりますので、いま先生のおっしゃる点につきましては、承服いたしかねるというふうに申し上げる次第でございます。
  189. 中井洽

    中井委員 それではもう一つ伺います。  NHKの番組を編成なさる場合に、不偏不党、これはもう一番大事なことでありますが、たとえばNHKの数多くの放送の中で、不偏不党ということを余り考えなくてもつくれる番組というのはたくさんあると思うのであります。たとえばスポーツ番組あるいは歌謡曲のショーだとか演劇観賞とか、ああいうのは映しておったらいいだけみたいなものがあるわけでございます。そういうのをNHK自身でスタジオを持って、あるいはNHK自身でお金を出して、たとえばNHK杯スポーツ何々大会とかそういうことをおやりにならなくても、きょうびは幾らでもスポンサーがあります。かつてはスポンサーがいなくてNHKがおやりにならなければならなかった時期もあったかもしれません。そういうのをもうやめちゃって、スポーツの中継なんかも、思い切って外郭団体というか、下請というのは変なことになりますし、NHKに下請はできないと思うので、民間に任してそれを買い上げる、そして経費を安くする、そういう発想というのはとり得ないものかどうか、お尋ねをしたいと思います。特に、まあまあいろいろなうわさを聞きますと、NHKの役員をなさった方は、外郭団体へ出られたらなかなかお金もうけが上手だ、こういうことを聞いておりますから、できるだけそういうところへ出ていって制作費を安くつくる。そして、ニュースだとかあるいはニュース解説だとか、そういう不偏不党、これに関与するものについてはNHKは高いレベルの番組をつくっていく。そういう形に分けるという意味での経費節減政策、それについてどうお考えか、お聞かせをいただきます。
  190. 田中武志

    田中参考人 ただいまスポーツ放送について例をとっていただきましたけれども、私どもいま二十数種目のスポーツをいろいろ放送しております。これの中身は、いま御指摘の中継等もございますし、それからスポーツ教室というふうにアマチュアスポーツの普及ということに力を入れた部分もございます。特に私ども力を入れておりますのは、プロのスポーツもございますけれども、アマチュアスポーツについてNHKとしては公共放送という立場からいろいろ力を入れております。そういった意味合いで、私どもその辺の、プロ野球等に代表されますプロのスポーツと、それからアマチュアスポーツ、これは残念ながらほかの方では余り取り上げていただけませんけれども、この辺も私ども積極的にスポーツ団体等と接触しましていろいろな形で取り上げていくというところに、私どもがスポーツ放送をする意義があるというふうに思っております。
  191. 中井洽

    中井委員 私の言っているのは違うんですよ。さっきからちょっと意味を取り違えて御答弁いただくんだけれどもNHKは映すなと言っているんじゃないですよ。そういう、たとえば僕だってバスケットボールやっておりましたが、日本じゃバスケットといったらメーンスポーツじゃないですから、見ようと思ったら大学選手権だとか日本リーグだってNHKでしか見られません。そういう意味では大変ありがたいことだと思っております。しかし、それを映したりあるいは実況をやったりするのをNHKが直接やらなきゃいけないのかと申し上げておるわけです。それを、他の民放のように安い経費でできるような形態というものを考えることができないかどうかということをお尋ねしているわけであります。
  192. 田中武志

    田中参考人 現在私ども、ほかの教養、教育番組、それから娯楽番組等々含めまして、番組制作は全部一応私どもの自主制作ということで企画立案いたしまして、それで制作しあるいは中継を実施しているということでございます。この辺はやはり、不偏不党の言葉がありましたけれども、この辺も含めて自分たちの企画の中で自主的にひとつ制作していくという中身でとらえておりますので、制作費等々、中継費等につきましては、いろいろ御指摘がございますので、現在私どもの中でできるだけ効率的にやっていくということで、一生懸命いま努力をしている最中でございます。
  193. 中井洽

    中井委員 NHKの問題が出ますといつも人減らしの話が出ますし、NHK自身も今年度も何人か減らすということが出ておりますが、人を減らそうと思ったら仕事を減らす以外にないわけであります。したがって、何遍も言うようでありますが、不偏不党に、何もスポーツ中継するのに、歌謡曲の番組を中継するのに、そこの中継をする人がNHKじゃなくたって、映る番組についてNHKが責任を持てばいいわけでありますから、そういった発想での合理化というものが考えられないのかどうか、大臣自身のお考えをお尋ねしたいと思います。
  194. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 大変めんどうな問題でございますけれども、私は合理化については期待しているのでございますけれども、たとえば先生いま御提言のような、番組を下請に出してその方が安くなるんじゃないかというようなことにつきましては、これは郵政大臣でも総理大臣でも番組編成等については介入できなくなっておるものですから、ちょっと発言を控えさせていただきたい、こう思います。
  195. 中井洽

    中井委員 そういう形で発想を変えれば、私は、幾つかの合理化案とか、あるいは現行受信料体系のままでいまのNHKの水準を落とさずに、あるいは人件費というものをある程度上げていく中で、経営がこれからもやっていけるんじゃないか、そんなふうにのん気に考えていろんな質問をしたわけであります。もしそういう合理化がいろんな形でできないとしたら、値上げをやらずに現行受信料NHK経営さしていこうと思えば、思い切って国の補助金といいますか助成金、これを出していく、あるいはNHK自身に法律改正の機会を与える、そして自分自身経営というものがやっていける、こういうことを考える以外にないと思うのであります。  大臣にお尋ねをいたしますが、NHKは公共放送として不偏不党だという発想の中には、国から大幅な補助金、援助金、これは出すべきでないんだ、あるいはもらうべきでないんだ、こういう基本的な理念があるのかないのか、その点どうお考えになるかお尋ねをいたします。
  196. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 国からもNHKに対して交付金という形で金を出す方法は一つあるわけですが、それは国際放送、命令放送と言われています。たとえば五十七年度予算案でNHKは国際放送に大体四十億円、その中で十億円が国からの交付金で賄うことになっています。三十億円はNHKが出さなければなりません。大体NHK収入の一%ぐらいに当たります。しかしそれは、国民がNHKのテレビを見たり放送を聞いている人たちが払う金ですから、一%でも、私はその意味において少しでも――五十八年度は大変でしょう。私は、在職中にどれだけできるか知りませんが、大蔵当局やその他の方々に申し上げて、国際放送の重要性、もう少し金を出せということを大いに強調して、少しでもお手伝いしたいなということをいま実は考えているのでございます。
  197. 中井洽

    中井委員 大臣自身はできるだけ値上げをさせずにNHK経営努力やら何やらで乗り切りたい、こういうことであります。しかしNHKの方は、一生懸命経営努力をしておるのだ、こうおっしゃっておる。私の言うような乱暴な思い切った経営の削除、こういうのもなかなかできにくい。そうすると、あと、値上げをしないでやっていこうとしたら、補助金、国が金を出す以外にないと思うのであります。国際放送のことについては、おっしゃるとおりでありますし、また後でも少しお尋ねをしたいと思いますが、国や地方自治体がたとえばいまNHKにいろんなお知らせというのをやっていただいておる。それについて思い切ってお金を出していくとか、そういった形の補助金あるいは助成金、こういうものをNHKに出せるのかどうか。不偏不党ということと国の金ということ、この関係についてどうお考えか、お尋ねをいたしたわけであります。
  198. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ただいま先生の方から、NHK経営の基盤を強化すると申しますか、何とかいわゆるサイクルみたいな形での値上げじゃなくて、何か方法はないのかということで、いろいろ御提言いただいているように私承っておりますけれども、やはり基本的に、国が金を出すということになりますと、それ自体におきまして、どうしてもその金の使い方がちゃんとしておるかというようなことになりますし、その辺でやはり問題があろうかと思います。私どもとしましては、いろいろそれなりに、こうしたらああしたらというようなこと、ビジョン審議会等に書かれてあるものなりについても私ども考えておるわけでございますけれども、やはりNHK自体がどうすればいいんだということの御提案をいただきまして、その御提案の範囲内において、私どもがいろんな観点から見て、それが法に触れないか、あるいはまことにいい案であるかどうかというようなことで判断してまいりたい。それでよければ大いに慫慂するような形にしたい。こういうことで、やはり基本といたしましては、NHK自体がこうしたいのだ、こうやればよくなるじゃないかという御提言がまず最初あってしかるべきだろう、このよう考えておる次第でございます。
  199. 中井洽

    中井委員 それでは、NHK自体は、いまの局長のお考え等についてどのようにお考えになっているか、お聞かせをいただきます。
  200. 坂本朝一

    坂本参考人 これは長期ビジョン審議会でも、財源の問題ということで、たとえば、いま多少話題に上ったかと思いますけれども、国の告知、そういうものについて、いわば、CMと言うと語弊がありますけれども、スポンサーとしての告知料を取る、地方自治体のお知らせ等についてもやはりそういうものをいただくということで、収入を図るという考え方もあるのではなかろうかという御議論も確かにございました。そういうことは、先ほど申し上げました長期ビジョン検討会議の中でも当然われわれ真剣に議論しなくてはいかぬだろう。ただし、現実いまの時期にそう申してしまっては身もふたもないのですけれども、これはよほど慎重に扱わなければいかぬのじゃないか。これは放送の体制、NHK受信料で賄う、民間放送はコマーシャルで経営するという放送法の基本的な哲学と申しますか、そういうものに、いわゆるNHK経営的エゴから一部CMをもらうんだというようなことは、逆に国民から理解されないということもあるのではなかろうか。しかし、いま先生のおっしゃる、そうきめつけずにもう少し検討したらどうかという御議論もございますので、慎重に検討したいというふうに考えております。
  201. 中井洽

    中井委員 そういう発想と同じく、経営基盤の安定に役立てる意味で、先ほどから議論のございました副次収入の増ということについても、いまのままでは大した金額にはなり得ません。したがって、法律改正ということが必要であろうか、このように思います。  かつて国鉄も、大変経営が苦しくなって何ともならなくなってから実はあれをやったわけでございます。NHKはまだまだそういう状態じゃないわけであります。しかし、そういうふうになるおそれもなきにしもあらずであります。したがって、いまから早く郵政省と協議をしてそういう法律改正をやって、国民がまゆをひそめないような形での経営収入の増というものを図るべきだ、このように思いますが、いかがでございますか。
  202. 坂本朝一

    坂本参考人 私もその点は全く先生と同感でございまして、すべて白紙からもう一遍考え直す、そういう姿勢が常にわれわれは必要なのではないだろうかというふうに考えております。
  203. 中井洽

    中井委員 もう一つ、これも公明党の議員さんと同じ形になりますが、免除の問題でございます。これは当初からNHKの姿勢として、福祉政策の一環としておやりになったというふうに聞いておりますが、NHKはいまの厳しい財政状況の中で現行の免除制度を続けていかれるおつもりでありますか、それとも、財政状況やあるいは諸情勢の変化に伴って、一つ一つ中身をチェックして、できるだけ縮小の方向へ持っていこうとなさっておるのか、どちらでございますか。
  204. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答えいたします。  先ごろから出ております長期ビジョン審議会におきましてもこういうことが言われております。「設定当初の社会的意義が失われていると考えられるものについては、逐次、免除措置を廃止し、有料化していくことが妥当な方向と考える。」このお答えが出ます間、非常に長い議論がございました。御案内のように、NHKとしては最近におきましても、昭和五十三年度には職業訓練所ほか六つの項目で免除を廃止した。それから五十五年度には大学、高専を廃止したということでございます。この後、いわゆる社会福祉的あるいは教育的な見地の使命を終えている領域というか部分にどういうものがあろうか、これがこれからの検討課題であろうというふうに認識しております。
  205. 中井洽

    中井委員 そういったものを検討して、だけれどもどうしても削れない免除のものもあろうかと思うのであります。それについては、これまた私どもも公明党さんと同じく当然国が負担を持つべきである、このよう考えておりますが、大臣、これはもう十分よろしゅうございますか。
  206. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 はい。
  207. 中井洽

    中井委員 それでは、この免除の問題とそれから国際放送の問題でありますが、先ほどから大臣がたびたび、NHK値上げをできるだけ避けて経営をするように指導したい、こういう御発想であります。そのためにはやはりお金が要るわけであります。特に国際放送なんかも、お出しになっておるというのは二五、六%という情けない金額でございます。私どもは、当然これは全額国がお持ちになってしかるべきものだ、このように思います。特に、国際社会の中における日本に対する理解、あるいは日本のPR、こういったものが大いに必要な時代でありますから、実力大臣として、この二つの問題を御在職中に大いに発展をさせていただく、こういうお約束をいただきたいと思います。
  208. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 最大限の努力をいたします。
  209. 中井洽

    中井委員 最後に、NHK予算とは直接関係ないのですが、ひとつ電波局長にお尋ねをいたしたいと思います。  日本じゅうに行政区画があるわけであります。そこへたくさんのテレビが、大きな地域や県単位やらという形で免許がおろされております。そういう場合の行政区の区画と、電波の届く範囲の区画といいますか、そこのところがうまくいく、いかないという問題は、ずいぶん技術的にはむずかしいのでしょうが、どのように基本的にお考えになって免許をお出しになっているのか。
  210. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 主としてテレビの電波の届く範囲ということかと存じますけれども、東京や大阪のようないわゆる広域圏につきましてはいささか事情を異にいたしますので、基本的には、やはりテレビの放送対象区域と申しますか、県域というものを原則としておりますので、それについてお話し申し上げたいと思います。  県域の場合、それぞれ予定されました県、そこの対象地域内に電波が届くように所要の技術上の条件を決める、つまり、電力なり指向性なり場所の高さ等によりまして、決めました対象区域のその県の中では、やはりその社のあるいは局の電波が届かなければいけないというのがまずあるわけでございます。ただ、そうした場合に、県域ですからうまくそこの境のところでとまってもらえればよろしいのですけれども、なかなかそうはいかない。海の中にシールドを立てるわけにはいかない。あるいは、電波は急にはとまれないと申しますかそういう面がございまして、対象地域外に多少漏れるのはいかにしてもやむを得ない面があるということで、その辺につきまして、あらゆる技術、指向性その他を駆使いたしましてかなりできるわけですけれども、その区域内にはどうしても必要な所要の電波を届かせなければいかぬということと背反する面があるので、繰り返しますけれども、多少電波が漏れるものについては御勘弁いただきたい、このよう考えております。
  211. 中井洽

    中井委員 それはそのとおりであろうかと思いますし、きちっと行政区画どおりはいかないと思うのですが、実はなぜああいう質問をしたかと言いますと、おととしの選挙のときに、私NHKに録画撮りに参りました。そういたしましたところ、御了解をいただきたい、こう言うわけでございます。何ですかと言いましたら、私自身の住んでいる地域で二千五、六百戸放送が入りません、といいますのは、私のところは三重県で東海地区なんですが、もう関西圏の外れと言った方が正しいわけであります。ふだん大阪のNHKの電波しか入らないわけであります。いままでは、名古屋のNHKで政見放送を放送して、それをもう一度大阪へ持っていって大阪でもやっていただいた。ところが、大阪ではそんな関係のない三重県どうだという、時間帯の問題やらあって大阪を打ち切っちゃう、こう言うわけです。それは法的にいいんですかと言いましたら、何か五%以内の有権者が見ないとか見るとかいうことをおっしゃっておりました。私もいさかいをするのがいやでありました。しかし、二千数百戸の戸数の人たちが、私やそれから自民党で言えば川崎二郎さんが地元であります。二万軒もないところの一割以上の人が選挙放送が実際に聞けない、こういうのも少し困ったものだなという気がするわけであります。  NHKを含めて地域と電波の関係をうまくいくように御指導いただきたい、また技術的な改革を積み重ねていただきたい、このことを御要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  212. 水野清

    水野委員長 これにて中井洽君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  213. 水野清

    水野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件に対し、本日、住宅・都市整備公団理事武田晋治君、阪神高速道路公団理事寺田久彌君の両君に出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 水野清

    水野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  215. 水野清

    水野委員長 次に、村上弘君。
  216. 村上弘

    ○村上(弘)委員 短い時間ですので、端的にお伺いします。  まず、長期ビジョンについてですが、長期ビジョン審議会の調査報告書NHKがどう受けとめ、どう具体化していくかについて、基本的な点をお聞きしたいと思います。  第一に、放送番組の基本原則について報告書は、「まず表現の自由と民主主義の擁護を譲ることのできない基本的立場として確認し、」そして、不偏不党あるいは表現の多様性などの五つの原則を強調しております。去年の二月「NC9」、たとえば「ロッキード事件五年」の報道特集が行われた際に、三木元首相のインタビューの直前カットというような問題もあり、マスコミなどからの批判もありましたが、協会はこういう原則をどう受けとめているか。つまり、表現の自由や不偏不党の問題について、譲ることのできない原則、基本的立場、こういう態度に確固として立ってきたかどうか、これから立っていく決意があるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  217. 坂本朝一

    坂本参考人 これは御指摘のとおり、NHK長期ビジョン審議会の御答申の中で非常に重要なテーマとして御指摘をいただいているわけでございまして、NHKが将来にわたって国民の期待に十分こたえていくというためには、いま先生指摘の表現の自由と民主主義の擁護が譲ることのできない基本的態度でなければ、国民の期待にこたえられないというふうに私は確信をしておるわけでございます。したがいまして、将来ともその点については、番組の公正を期するということで引き続き、従来もそのつもりでおりましたけれども、今後といえども努力をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  218. 村上弘

    ○村上(弘)委員 それでは、第二に、国際放送について報告書は、「今後も、政府から独立した総合的な公共放送事業体であるNHKが、これを実施していくことが適当である」、こう述べて、「その場合、NHKの放送番組編集の自主性が今後とも確保されなければならない。」こう述べておりますが、昨今、国際放送については国営化論などさまざまな意見も出ておるわけですが、国際放送の事業主体と番組編集の自主性という問題について、協会はこういう基本的態度を貫くのかどうか、とれを聞いておきたいと思います。
  219. 坂本朝一

    坂本参考人 この点につきましても、いままでたびたび御答弁申し上げたとおりでございまして、今後複雑化する国際社会の中において、国際放送の担います役割りが非常に重要であるという認識のもとに、そして、そういう点についてNHKが自主的な編成の中で放送しております国際放送を、国際間でかなり高く評価していただいているのではないかという自負を持っているわけでございます。なお、今後も引き続き、先ほども申し上げましたように、テレビその他の実績を踏まえているNHKが短波の国際放送も受け持ってやっていくべきではないか、そういう確信のもとにこの問題には対処したいというふうに考えております。
  220. 村上弘

    ○村上(弘)委員 この点、郵政大臣にもちょっとお聞きしたいのですが、御承知のように、戦前、NHKの前身は戦争動員の非常に重要な手段でもあったわけですね。いま国際放送に対する国の助成を強化せよという話もあるし、これは当然だと思うのですが、それが国際放送の事業主体だとか番組編集の自主性を損うものであってはならぬということは言うまでもないと思うのです。郵政大臣のお考えはどうですか。
  221. 箕輪登

    ○箕輪国務大臣 全くそのとおりであります。
  222. 村上弘

    ○村上(弘)委員 じゃ、第三点として、憲法理念とNHK関係についてもお聞きをしておきたいと思うのです。  報告書によると、NHK性格の項で、NHKは、国営放送ではなく私的事業体でもない、国民全体によって支えられる独自の公的事業体であり、国民の代表である国会によって設立されたものと認識されるべきである、こう述べて、NHK性格は、憲法の理念に照らしてそうあるべきであるという趣旨を述べております。この憲法理念というのは、NHK性格はもとより、NHKの番組編集全体を当然貫くべきものであると思うのですが、これがどうかということと。とりわけ、憲法理念では恒久平和の原則が貫かれている。これは主権在民や議会制民主主義など、NHKが強調している民主主義の原則とともに、きわめて重要な原則でなければならぬと私は思うのです。  最近やったNHKの「くらしと政治」の世論調査でも、核戦争の危険性について、全面核戦争あるいは限定核戦争の危険性というものの世論の回答は、その危険性があるというものはその八割前後を占めておりますね。日本が核戦場になるという危険性についても七二%、非核三原則が守られていると思うかということについては、守られていると思わぬというのが六四・二%、平和の問題についての関心が非常に強いわけですね。今日、核戦争の脅威すら叫ばれているときに、また、唯一の被爆国である日本の公共放送の役割りが非常に重要であるときに、世界でも注目されているときに、この根源的な問題について、NHKは恒久平和という憲法理念を性格及び番組編成の基本原則として当然明確に位置づけ、貫いていくべきものだと思いますが、その点はどうですか。
  223. 坂本朝一

    坂本参考人 御指摘のとおり、平和主義は憲法の基本理念の一つと考えておりまして、協会はこれを受けて、国内番組基準の前文において放送の基本原則として、その冒頭に、「世界平和の理想の実現に寄与し、人類の幸福に貢献する。」ということをうたっておる次第でございます。日常の番組の制作、編成におきましてもこの理念を貫くべく努力しているつもりでございます。
  224. 村上弘

    ○村上(弘)委員 三点についてお尋ねしたわけですが、公共放送の経営問題は、世界的にも危機的な困難な状態と言われております。こういう問題から、NHK性格だとか番組の内容がゆがめられるようなことがあってはならぬという点で、改めて確認をした次第です。その見地をぜひ貫いていただきたいと思います。  次に、受信障害問題についてお聞きします。  報告書は、都市受信障害の増加と複雑化を指摘して、その解決策についても提言しておりますが、高層ビルの建設に伴う受信障害は東京でも、最近では大阪でも非常に大きな問題になってきています。大阪ではいま建築中の三十二階建ての御堂筋ビルや造幣局跡の百五十メートル級のビルが九棟建設に入っていますが、NHKにお聞きしたいのですが、この御堂筋ビルと造幣局跡の大阪ビジネスパーク、この受信障害についての事前の予測調査をやっておられるかどうか、その結果はどのようなものか、お聞きしたいと思います。
  225. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  ただいま大阪府下でもって、視聴者の皆さん並びにビルの施工主の方々から調査の依頼を受けまして、技術指導の協力を行った五十五年度の件数が四百六十件で三万三千世帯でございますが、その中に、いま先生指摘ような、大阪御堂筋ビルに対しましての調査並びに技術協力の依頼があったわけでございます。これにつきましては、われわれが承知している問題といたしましては、ビル陰の障害の千二百世帯、それから反射の障害が障害範囲としては五千から六千戸ぐらい、ただしこの五千から六千のうちにはすでに既設のビルの対策によって実施がされておるものが二千から三千あるというふうにわれわれは把握しているわけでございます。それで、ビル陰に対する千二百戸の世帯につきましては、ほとんど対策が完了したという報告を受けております。ただし、反射側につきましては、そのような複雑な原因者という形もございますために、現在対策すべく準備中でありますというふうに報告を受けております。  もう一つ、大阪ビジネスパークの計画でございますが、これは先生指摘ように、百五十メーター級八棟が十年の工期でもって建設されるというふうに聞いております。それで、五十六年の三月に大阪ビジネスパーク開発協議会からNHKに対しまして、その障害の範囲の調査とそれから技術指導の協力、これにつきましての依頼がございました。ただし、現時点では計画は一棟だけでございまして、ほかの七棟につきましてはまだ確定していないということで、協議会の方からも、この計画が具体化されるに従いましてさらに調査を続けてほしいという要望をいただいておりますので、できるだけ視聴者の皆様にかわりましてNHKとしては協力を行ってまいりたい、さよう考えておる次第でございます。
  226. 村上弘

    ○村上(弘)委員 原因者が事前に予測調査などを依頼し、NHKとしてもがんばっておると思うのですが、こういう問題がいま非常に広範に出てきておるわけですね。二月の末に大阪のBK展で行った受信相談では、四百五十件中約四割が三月一日放送開始のテレビ大阪に関するものだったのだそうです。大変NHK自身がびっくりしている。  きょうは住宅・都市整備公団と阪神高速道路公団に参考人としておいでをいただいておりますが、まず、この問題に関連して住宅・都市整備公団にお伺いしたいのですが、公団の建物に本来附属している、従来からある共聴アンテナ、これはテレビ大阪が視聴できるように改修するかどうか、これが第一点。  第二点としては、公団が被害者になっている千里青山台千八百四十六戸、泉北茶山台千二百二十五戸、新千里西町五百三十四戸などについても、当然入居者の負担なしに改修すべきだと思うのですが、そうするのかどうか、これをお聞きしたいと思います。
  227. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問ございました、公団がすでに建物を建てておりまして、その後、後発でただいまのような大阪19テレビ等が出てまいりましたような場合に、私たちといたしましては、それに伴いますところの受信障害が生じましても、その関係の措置はちょっといたしがたいという問題がございます。  また、一つ御質問いただきました、公団の団地でございまして、テレビに伴いますところの被害が出てまいりました場合に、私たちの方で共聴施設をつくりまして、賃貸住宅は実はできているわけでございまして、そういう場合には、現在といたしましては県域内一局につきまして、あるいはまた良好な形で映像が確保できますUHFにつきましては、それを合わせまして二局受信できるように逐次改善をしていきたいというよう考えているわけでございます。
  228. 村上弘

    ○村上(弘)委員 本来附属している分については一局ないし二局の中で改修をやる、こういうお話ですが、そういうことも案外PRされてないのですね。居住者に早く周知徹底しておく必要があると思うのです。その点、後でお答えをいただきたいと思いますが、公団が被害を与えている分については、後発についてはもう改修するつもりはない、あるいは補償するつもりはないと早手回しにお答えなんですが、実際に住宅公団の建物が電波障害の原因者になっている状況というのが非常に広範なんですね。百戸以上の団地だけで見ても二十六団地、これは大阪ですよ、対象戸数二万四千六百八十三戸にも及んでおるわけです。先発であれ後発であれ、現実に公団の建物が存在していることが原因で新しいチャンネルが視聴できないというわけですから、これは当然公団として積極的な対処をすべきじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  229. 武田晋治

    ○武田参考人 第一点の御質問でございますが、テレビ大阪の受信のための共聴アンテナの改修を一応計画しているわけでございますが、そういう点につきましての住民への周知の問題であろうかと思います。  その問題につきましては、公団といたしましては、先生お話ございましたような形で、百一団地、ほぼ四万五千戸の住宅があるわけでございまして、そういう住宅につきましては、優先して早急に対応したいというように実は考えているわけでございます。したがいまして、その実施につきまして、団地ごとの改修時期等につきましては、決定次第掲示板等で居住者の皆さん方に周知を図りたいというよう考えているわけでございます。  それから、いまのほぼ四万五千世帯につきましてのUHFの改良でございますが、先ほど申し上げましたように県域内のUHF放送一局と、それから良好な映像が確保できます場合の一局につきましては、二局が受信できるようにぜひ措置をしてまいりたいというよう考えておるわけでございます。
  230. 村上弘

    ○村上(弘)委員 後発の分は。
  231. 武田晋治

    ○武田参考人 後発のビル、たとえばそれは浜甲子園……
  232. 村上弘

    ○村上(弘)委員 いえ、公団が加害者である場合。
  233. 武田晋治

    ○武田参考人 公団が加害者の場合には、その関係いたしますところの影響等につきまして調査をいたしまして、その調査の結果に基づきまして、障害を与えます範囲の住宅につきましては、障害防止の措置をとってまいりたいというよう考えております。
  234. 村上弘

    ○村上(弘)委員 被害者である場合と同時に加害者である場合も、いまお答えように、そういう措置をとるというお答えでありましたので、非常に結構だと思います。ぜひそのように進めていただきたいと思います。――再答弁、後で結構です。  それでは、阪神高速道路公団にお伺いいたしますが、三月七日付のサンケイ新聞によりますと、テレビ大阪「19チャンネルが映らない」、これは「尼崎の住民が改善要求 公団は拒否」という見出しなんですが、公団の山崎環境対策室長は、「住民のみなさんには不便をおかけしているが、建設省などの関係先との調整を急いでいるので、もう少し待ってほしい」、こう言っています。しかし、障害の原因はやはり阪神高速道路にあるわけですから、公団独自の責任で、関係方面と調整をするなどということを言わないで、テレビ大阪用の改修をやるべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
  235. 寺田久彌

    ○寺田参考人 お答え申し上げます。  初めに、委員が申されましたサンケイ新聞の山崎室長の言葉でございますが、後半の部分が、本人が言いましたのといささか違っておりまして、新聞の記事によりますと「待ってほしい」と、何か希望のあるようなことを申しておるようでございますが、そういうことは申したことはないようでございます。これは私の方から申し上げたいと思います。  それで、いまの19チャンネルの問題でございますが、三月一日に正式に電波が出まして、その後まだ日が浅うございます。現在それをいろいろ調査いたしておるのが現状でございまして、公団としましては、大阪府、大阪市あるいは住宅・都市整備公団、その四者でいろいろ協議いたしておるところでございまして、少し時間をかしていただきたいということでございます。
  236. 村上弘

    ○村上(弘)委員 いろいろな方面との協議もあってはならぬとは言いませんけれども、原因者はやはり道路公団であるわけですから、独自の判断というものが必要ではなかろうかと思うのですが、いかがですか。
  237. 寺田久彌

    ○寺田参考人 公団といたしましては、いろいろ調査なり協議をいたしておるわけでございますが、現状のところは、残念でございますが、それに対する対策がない、むずかしいということでございます。
  238. 村上弘

    ○村上(弘)委員 いままでの居住者に対しては、共聴アンテナなどをつくって被害に対する対策をやっているわけですね。同じ視聴者に対して、新しいチャンネルが見られない、こういうわけですから、その対策がないというのは全くわからぬわけで、住民なりと、場合によればテレビ大阪なども含めて、誠意のある話し合いをやって、解決の方向で努力するということぐらいは当然述べるべきじゃないのでしょうか。
  239. 寺田久彌

    ○寺田参考人 委員の方の御希望ではございます。しかし、現在の制度ではむずかしい問題でございます。  ただ、手をこまねいてというわけではございませんで、まだ日も浅いことでございますので、いろいろ調査いたしまして、四者で協議を続けてまいりたいということでございます。よろしくお願いいたします。
  240. 村上弘

    ○村上(弘)委員 では、住宅・都市整備公団どうぞ。簡単にお願いします。
  241. 武田晋治

    ○武田参考人 先ほどは失礼いたしました。  実は、先生の御質問の趣旨を、一般の建設時の段階におきましてどう考えるのかというよう意味に取り違えまして、申しわけないわけでございますが、電波障害対策後に公団が加害者である場合、そして新しいテレビ放送の開始が伴われるというような場合には、その措置は考えてはいないということでございます。申しわけございません。
  242. 村上弘

    ○村上(弘)委員 後の方は物わかりの悪い答弁で全く心外ですが、事ほどさように、テレビ大阪、あるいはどのテレビについても同じ問題であるわけですが、後発だからということで、受信障害に対する加害者としての対処がやられない、あるいはきわめて消極的な態度だということが出ておるわけです。  郵政大臣、ちょっとお聞きをするのですが、このテレビ大阪ですね。これは大阪というエリアを条件に免許をしたわけですよ。ですから、少なくともこの圏内にはその放送が行き届くように、関係機関に郵政省として積極的に働きかける、動くべきではないか、そう思うのですが、どうでしょう。
  243. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 都市受信障害という大変むずかしい問題が出てまいったわけでございますけれども、初めの段階におきましては比較的障害の態様も簡単であったわけで、いわゆる原因者となる建築主の負担によりまして大抵の場合お話し合いがついたということでまいったわけでございますけれども、近年は非常に規模が大きくなり、またその原因者も的確に決めにくいという事例が出てきておるわけでございまして、何とも明快な解決が――やはりお金の問題でございまして、建築主あるいは放送事業者、場合によっては国、地方自治体、受信者自体と、関係者が多いわけで、それぞれにお話し合いいただく以外にないということでございます。  先ほどもお話しになりましたように、すでに対策をした後で新しい局が出てきたり、あるいは見えないところに入ってまいった居住者ということになりますと、なかなか金の規模も大きくなってまいったので私どもも苦慮いたしておる、ただ、精力的に建設省その他ともお話し合いを進めてまいりたいということでございます。
  244. 村上弘

    ○村上(弘)委員 この受信障害の問題を解決するために制度的な解決策をとれというのは、この長期ビジョンの報告書でも提起しておるわけですね。NHK大阪の営業技術部の調査では、いま大体六十万世帯が、つまり大阪府下三百万世帯の二割が共聴アンテナを使っておる。特に北区、大淀区などというと五割がそういう状況にあるのですね。そういうところがいま言ったような問題で、後発のテレビはわしは責任持たぬとみんな言うわけですよ。こういう状況があるわけですね。  五十四年八月に受信障害解消制度案が出されて、今回の報告書でも、この方向を支持すると言っているわけですが、長年の懸案であるこの制度確立の問題について、郵政省は一体何をしておるのだという声はもう至るところで出ているわけですね。もうこの辺で本腰を入れて制度確立に取り組むべきときではないのかということですね。これ、大臣に第一点。  それから、その制度確立のための間、郵政省としては、受信者の立場に立って、建設省その他省庁との調整を行うなどして、弱腰にならないで、建設省が文句言うておるといつまでたっても片がつかぬというようなことのないように、箕輪郵政大臣は、積極的に対処するという決意をひとつ聞かしてほしいと思うのですが、どうでしょう。
  245. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生ただいまおっしゃいましたテレビジョン放送の受信障害に関する調査研究会議報告書の中に制度的解消案骨子がございますが、私ども、受信障害解消の一制度として評価しておるわけでございます。そうして、受信障害認定基準というような、これは技術的なものでございますけれども、お金をかけましてそうした認定基準等の機材も開発したというところで、郵政省、何しておるかというおしかりでございますけれども、私どもなりに努力しておるつもりでございます。  基本的な紛争処理機関についてでございますけれども、いま申しました予算要求もいたしましたけれども、紛争処理基準の策定がまず最初であるということ、それから、判定をいたしました際に、関係者の合意を得るといいますか、結局お金を幾ら出していただくかということで、それぞれの電波障害の発生に対するかかわりの度合いを決めるということが非常に御納得がいきにくい、こういうことです。多少とも関係はある、しかし何割なんだということになると、お互いにやはり折り合いがつかないというようなことで、経済に関連した問題が三つどもえ、四つどもえになって苦労しておるということでございます。  ただ、私ども放置しておるわけではございませんで、受信障害の制度的解消に向かいまして、今後とも粘り強く、関係当局なり事業者なりと話をして進めてまいりたいということでございます。
  246. 水野清

    水野委員長 郵政大臣、やりますか。
  247. 村上弘

    ○村上(弘)委員 大臣、どうもへっぴり腰ですな。紛争処理機関をつくっても基準がないとだめだと言いますけれども、現に処理できる範囲もあるのです。そういうことだって紛争処理機関があった方がいいのであって、機関を設置することが基準を確立することの促進にも役立つのだから、とにかく箕輪さん、新しく郵政大臣になったんだから、決意を持ってやりますと一言言ったらどうです。――いや、もういいです。  三つ目のことですが、経営基盤の強化と職員の待遇改善のことについてお聞きします。  去年、私はこの委員会で、第一線で苦労している外務職員と集金員の皆さんの意見や要望を取り上げました。先日も職場の声を聞いたわけですが、集金区の欠区が、梅田の営業所では十区あったのが六区に減ったとか、一定の改善はされてきています。しかし、新しい契約を取り次ぐための委託とSC、サービスセンターとの競合というのは、依然としてむだな競合があるし、あるいは収納困難地対策も余り進んでおらぬという話です。先日、三月二十二日の夜の番組で、「NHKへの質問状放送現場からお答えします」、これは意欲的な企画であったと思うのですね。視聴者との結びつきを強めるという原則の実践でもあろうと思うのですが、残念ながら、これでも、NHK経営基盤を強化し経営的自立の第一線でがんばっておる集金員の姿は出てこなかったですね、私はずっと見ていましたけれども。やはりこういう姿勢なのかなと思いましたね。  協会は、NHKと視聴者を結ぶ第一線でがんばっている集金員の位置づけをもっと明確にし、その役割りを高め、発揮できるようにすべきではないか。一言お答えいただきたいと思います。
  248. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答えいたします。  集金人の立場、位置づけをはっきりしろということでございますけれども先生御案内の、集金を取り扱う事務の取扱者、協会とは委託、受託の関係、つまり放送ができて初めからの集金という地域社会と密着した立場、そこで自由な立場で集金業務を行っていただく、この基本は現在でも十二分に生かされておりますので、基本的なとおっしゃいますこの位置づけについては、私は現行で機能しているというふうに思っております。
  249. 村上弘

    ○村上(弘)委員 姿にあらわれるようにしてほしいと思います。  最後に、時間がないのでまとめてお聞きしますが、この委員会でもしばしば附帯決議にもなってきたNHK職員の待遇改善の問題ですね。民間放送との格差は、協会も認めてきたようにかなりのものです。五十六年度の基準賃金の比較では、民放五十五社の平均が二十五万四千円に対し、NHKは二十二万二千円だ。そして、まあAさんならAさんと言いますが、この方は高卒で、子供さんが三人で、三十四歳。基準賃金が二十一万六千四百五十円、残業を七万三千円やって、それで税引き手取りが二十万六千四百円ですね。東京の標準家庭の生活保護基準は、五十七年度では十八万数千円になる見込みです、最終的に出ていませんが。これは七万の残業をして手取り二十万です。ですから、税金や社会保険料などを差し引くと、まさに生活保護基準に近いじゃないかという状況にあるのですね。  さきの、質問に答えるというあの番組を見ていますと、現場のスタッフの方は、月給は安いけれどもNHKならでは、さすがはNHKだというような視聴者からの励ましもあって、それでこの年でもがんばっているんだというようなことを語っている方がありましたけれども会長はこういうNHK職員給与の現状をどう受けとめておるか、その認識とその改善策ですね。それから、こういう低い状態の中でもなおかつまだ、特定の人脈や集団に所属しておるかおらぬかということでいろいろな格差が生まれておるということもよく聞くのです。そういうことがあるかどうか。あったならば、そういう不公正や差別は正すかどうか。この二点について会長の御意見をお聞きして、終わりたいと思います。
  250. 武富明

    武富参考人 所管でございますので、お答えさせていただきたいと思います。  ただいまの先生の御指摘でございますが、確かに残念ながら同種他企業に比べまして低位にあることは、私もそのように認識をいたしております。この差を一体どうしていくのかということが御質問の一つだったというふうに思うのでございます。  われわれの企業性格からいたしまして、放送事業に非常に必要な有為な人材を集めなければならぬという一面と、同時に受信料というもので成り立っているという一面の性格を持っておりますので、やはり給与というものを相定めますときには、社会的な納得が得られるということもまた非常に重要な条件かと、こう考えております。したがいまして、現在のところわれわれとしては、まず給与というものを上げても、皆さんに十分な御納得が得られるようなそういう実績というものもまたあわせて上げていかなければいかぬ、こういうふうに考えておりまして、それが先ほど先生がおっしゃった、いま苦しくても視聴者のためにいい番組をつくっていかなければいかぬのだという職員決意になってあらわれたんだと思います。われわれとしては、非常に苦しい家計の中でやはりその中を考えなければいかぬものでございますから、やりたいことはたくさんございます。ローカルサービスも充実したいと考えますし、放送の内容を充実したいと考えますし、また同時に、それとあわせて、職員の処遇というものも考えてまいりたい。あれもこれもやりたいわけでございますが、その乏しい予算の中からわれわれ英知をしぼって、それぞれに配分をした人件費の中でできるだけの処遇というものを知恵を働かして図ってまいりたい、こう考えておるわけでございます。  それから、いまそういう苦しい中で人脈みたいなもので差が出るのじゃないか、こういう御質問がございました。決してそういうことはございません。われわれとしては、仕事の実績それらも評価をいたすことはいたしますけれども、そこはきわめて公正にやりながら、なるべく見るべきところを見て、上がるべき人は上げるという一面も持ちながら、職員の処遇というものを公平にやってまいりたい、これを念願いたしておりますので、先生のお言葉でございますけれども、人脈による格差というものはないということを御報告申し上げたいと思います。
  251. 村上弘

    ○村上(弘)委員 終わります。参考人の方、どうもありがとうございました。
  252. 水野清

    水野委員長 これにて村上弘君の質疑は終了いたしました。  次に、依田実君。
  253. 依田実

    ○依田委員 きょうは主に番組内容の面からいろいろ最近のNHKの動きをお尋ねさせていただきたい、こう思うのであります。  まず最初に、最近話題になりました日航機の羽田沖事件、これでNHKの初動態勢が他民放局に比べまして一歩おくれたんじゃないか、こういうことが言われておるわけであります。伝えられるところによりますと、FPUが行かなかったとか、あるいはまたヘリコを回送したところが途中で油切れになったとか、大型中継車を入れたところが検問にひっかかってそれ以上入れなかったとか、どうも考えてみるといろいろ重なってああいう結果になった、こういうことでございますけれども、実情はいかがなものか、お尋ねをさせていただきたいと思います。
  254. 田中武志

    田中参考人 日航機事故の報道につきましては、当日、十数本の番組を中止いたしまして、約八時間にわたりまして放送したわけでございます。  いま御指摘ように、確かに、初動報道態勢の中で、地上からの映像が民放におくれました事実はございます。これにつきましては、放送を預かる責任者として、申しわけないと思っております。直ちにその原因等を私どもで調べましたところ、いま若干お触れになりましたように、映像を送るべき機材を積んでおりますニュース中継車が、当日羽田のゲートで規制にひっかかりまして、せっかく早く現場に着いておりましたビデオ取材カメラマンの撮った映像が早く送れなかったという事実がございます。さらに、いまお触れになりましたヘリコプターにつきましては、当日朝のニュースの取材のために石廊崎の方へ行っておりまして、たまたま東京の方にいなかったということもありました。いずれにいたしましても、いろいろ不利な条件が重なったことは事実でありますけれども、当日、地上からの映像が一番おくれたという厳然たる事実があるわけでございまして、私ども、その点を反省点といたしまして、私が中心になりまして、その後対策委員会をつくって協議をした結果、ビデオ取材のカメラマンが一緒に乗っていける小型の中継車を早速改造いたしまして、すでに数回出動して現実のニュース取材の中で成果を上げております。そのほかヘリコプターの中継につきましても、もう一台のヘリコプターについても映像が送れるようなことがやれないのか、装置がとれないのかということで、いま検討を加えております。  いずれにいたしましても、ニュース報道番組について非常に信頼感のあるNHKに対して視聴者の信頼がまだまだ期待が高いうちに、私ども二度とこういうことのないように、今後十分注意をしてまいりたいというふうに思っております。
  255. 依田実

    ○依田委員 いろいろ不幸が重なったんじゃないかと思うのであります。いま対策を考えられて、FPUを小型にして一緒に積んでいく、こういうことでございますけれども、たまたまこの間、放送記念日に出させていただきましたらば、FPUの小型実用化、この研究によって会長賞を、特別表彰をおもらいになっている方がいるわけでございます。せっかく他社に比べてNHKの技術陣というのは進歩しているわけでございまして、それだけりっぱなものをお考えになりながら、いざ実践のとき、結局民放に先に使われてしまうのじゃ、何のために研究しておるのかよくわからない、こういうことで非常に残念だと思うのであります。前の国会でも問題になりました、この小型のビデオカメラなど、これなども、われわれがやっておったときから、NHKで使ったらどうだ、こういうことを早くから言っておったのですが、なかなか、画像が安定しない、あるいは現場へ行って揺れ動く――われわれは、そうじゃない、揺れ動くからこそ現場の臨場感が出てくるんだから使ったらどうだ、こういうことでやりあったことがあるわけでありまして、今度の事件などを見ておりますと、私は、NHKNHKなりにいろいろ技術的に努力はしているんだけれども、かえって、技術完璧性というものを重んじる、つまり完璧な絵が出ないと放送に乗せない、こういうところが現場の技術のかたぎとしてあるんじゃないか、これは昔から伝統的にあるわけでありまして、そういうところをいわゆる報道の迅速性とどういうふうにしてこれから勘案していくか、大事なところじゃないか、こう思うのであります。  その辺の教育を、技師長、技術教育といいますか、技術の方に、報道番組とその技術の絵の完璧性という、その折衷案をどういうふうにふだんから御講義されておるのか、その辺をちょっと聞かしていただきたいと思います。
  256. 田中武志

    田中参考人 制作技術の方は私の管轄の中でございますので、私から答えさせていただきます。  さきの小型FPUの特別表彰でございますが、これは先生指摘ように、大変軽い、一・二キロぐらいの軽いものを私どもの技術の方で開発して表彰を受けたということでございますけれども、この到達距離が、小型であるだけに一キロぐらいという非常に短いものでございまして、現在事故等で使っております小型FPUというのは約五十キロ電波を飛ばすというようなことで、これは十五キロありますけれども、それの補助的な面でいろいろ使えば有効じゃないだろうかというようなものでございまして、現在のところはカメラケーブルのかわりとして、移動するカメラ等々、あるいはビルの上等のカメラから中継車の方へ伝送するとかいうようなところに使えば非常に中継が機動化されて多彩化されるんじゃないかということで、私ども鋭意訓練等も積んでいるわけでございます。  二点目の完璧主義ということでございますけれども、私も、現場の責任者として、技術の職員ともども、緊急報道等については、いろいろ話し合いをし、速やかなニュースの送出ということで、放送、技術が一体でこういった緊急報道の際にはやっていくようにということを指導しております。さらに、今度の事件等を契機に、さらに厳しく訓練、指導をしていくつもりでございます。ただ、御指摘ように、そういう完璧主義で非常に機動性がないんじゃないかということは、私はないと考えております。いろいろなニュース用の機材等々を開発していく経緯の中でも、放送と技術の間で十分に話し合いをして、その中で、特に報道でありましたら機動性とか速報性といったものを優先していろいろ機材の開発をやっていただいておりますので、決してそういったことはないのではないだろうか、こういうふうに思っております。
  257. 依田実

    ○依田委員 次の質問にかわらしていただきますが、最近の番組を拝見さしていただいて、この間もNHKの正倉院の番組を拝見さしていただいて、大変よくできていた、こう思うのであります。特にNHKのハードの教養番組というのが、先ほども「シルクロード」の話が出ましたけれども、非常に見ごたえのあるような、そういう演出をふるってできているようになったわけであります。これは、裏には聴視者の嗜好がそういうふうに変わってきた、こういうところにあるんじゃないか、こう思うのであります。  最近のNHKの調査で、一つは、私お聞きしたいのは、全体としてテレビ離れというのが一時より進んでおるのかどうか。テレビは、大体昭和五十一年がわれわれ考えて一番見られた時間帯が長かったんじゃないか、みんなに見られた時間数が多いんじゃないか、こう思うのでありますが、それ以降テレビ離れというのが進んでおるのかどうか、これが一点。  二点目は、番組内容、聴視者の嗜好の変化というものが具体的に数字の上にあらわれてきているのかどうか。この二点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  258. 田中武志

    田中参考人 一点目の方でございますけれども、私どもの方で毎年夏と冬、いろいろ視聴者の調査をしております。この視聴率調査等々の中で、テレビの視聴時間量というものをいろいろ調べておりますけれども、いま御指摘ように、昨年、五十六年十一月の調査のところによりますと、大体一日のテレビの視聴時間が三時間三十分ということでございまして、この十年間の数字をとってみましても、一番多かったのが、御指摘ように昭和五十年の三時間四十三分というところがございますけれども、ここ数年、五年ぐらいのところは大体横ばいではないか、若干二、三分の相違はありますけれども横ばいではないか。それから、夏の方の調査につきましては、昭和五十一年以降、五十一年の部分を除いて一昨年の夏は三時間十八分ということで、この十年間で二番目に高い時間量になっております。こういったことを推測いたしますと、いま御指摘ようにテレビ離れというのはやや言い過ぎではないでしょうかというふうに私は思います。こういった情勢を、時間量の変化を見てみますと、必ずしもそういうふうには言えないのではないだろうかと思っております。  それから、二点目の、最近のNHKの報道、教養番組のハード傾向ということにつきましては、確かにそういうような傾向が最近は少しはあるんじゃないだろうかと私ども思っております。特に、「NHK特集」等に見ますと、物にもよりますけれども、特に最近の例を取り上げますと、「日本の条件」等は非常に私どもの予想した以上の高視聴率をとっておりますし、またシベリア鉄道あるいは中国の孤児の問題等々を取り上げました「NHK特集」等は非常に多くて、中には二〇%、夜の八時台の娯楽番組の非常に強い時間帯の中で二〇%を超えている部分もございます。  こういったことで、私ども、これからのこういったハードの傾向につきましては、先行きを十分見守りながらひとつ番組編成というものを考えていきたい。特に、教育テレビの一週間で一回でもテレビを見たという接触率も、昭和五十年が二四%でありましたのが、昨年の十一月には三〇%というふうにもふえております。こういったことを見ましても、こういう傾向が若干あるんじゃないだろうかと思っております。
  259. 依田実

    ○依田委員 われわれがやりましたときには、教育テレビの方はほとんど〇・〇幾つという視聴率であったわけですが、最近は教育テレビなどもなかなか表へ持っていっても見られるような番組が出てきているわけでありまして、そういう中で、長い目で見なくちゃいかぬのでしょうけれども、四月からの番組編成の中へ、そういう時代の流れを勘案しながら対応策が生まれているのか。具体的に言えば、報道、娯楽、教養、学校放送、こういう分野のパーセンテージをある程度変更していくような動きがあるのか。あるいはまた、そこまではなかなか早急にはいけないでしょうけれども予算の裏づけの上で、教養、報道番組への国内番組費をふやしていく、そういう動き、対応策をお考えになっておるのかどうか。その辺をお尋ねさせていただきたいと思います。
  260. 田中武志

    田中参考人 私ども、五十七年の四月からの番組改定の中で、いま申し上げたような情報化社会の中でのしっかり取材をした内容の深い番組をもっともっと開発していきたいということを考えております。  それで、先ほど触れましたように、「日本の条件」というのがこれまで三つのテーマでやりまして大変好評でありましたので、この四月には、「日本の条件」の中で貿易問題、その後は医療、お医者さんの問題をひとつ国際的に取り上げてみたいと考えておりますほかに、五十七年度の新番組といたしまして、土曜日の夜九時台でありますけれども、「土曜リポート」という、一週間単位ぐらいで二つのテーマで、複雑化する国内外のいろいろなテーマを取材してみたいと思っております。  そのほか、ラジオの第一放送も生放送をたくさんふやしまして、いつでもニュースが出るようにいたしましたし、また、夜の十時台に一時間の「NHKジャーナル」という報道番組を定着いたしまして、ここでいろいろやっていく。そのほか、生涯教育の番組等もいろいろ含めまして、予算も非常に厳しい中で、番組の制作の方には、こういった中ではわりあいたくさん回してもらったというふうな関係にございます。
  261. 依田実

    ○依田委員 三番目に、放送学園のことをお尋ねをさせていただきたいと思うのであります。  いま、一般の定時制高校は人員がだんだん減ってまいりまして、昭和五十一年に二十一万四千あったのが、昭和五十六年には十四万三千、三分の二に定時制高校というのは減ってきておるわけであります。これは全日制の方へ進学をする。それだけ結局家庭的に豊かになってきた、働かなくても高等学校へは行ける、こういう家庭が多くなってきたからだろう、こう思うのであります。これは即、やはり通信教育であります放送学園高等学校の生徒数に影響してきているのではないか、私はこう思うのであります。そしてまた、これは将来にも大変な問題になってくるわけで、放送学園自体の存立の基盤を揺るがしてくるのではないか、こう思うので、この放送学園の利用状況をひとつ伺わせていただきたい、こう思うのであります。
  262. 荒井治郎

    ○荒井参考人 放送学園の利用状況について御説明申し上げます。  先生御存じのとおり、NHK学園の場合には、昭和三十八年にできまして、日本では初めての広域通信制ということで高等学校として開校したわけであります。放送を学習に全面的に取り入れた画期的な高校といたしまして注目されまして、二十年近くずっと歩みを続けて今日に至っているわけでございますけれども、現在までに入学いたしました生徒の数はおよそ八万人おります。それから、現在、二万五千人を超えるここの卒業生が社会に巣立ちまして、いろいろな職場で活躍をしているわけでございます。  今年度状況を申し上げますと、確かに御指摘のとおり入学者の数も減っておりまして、五十六年度では千六百人でございます。それから在校生が五千五百七十三人、このうち、この三月二十一日に八百八十六人の方がめでたく卒業される、こういう現状でございます。  それで、先ほどもお話しのとおり、開校当時、三十八年の当時は、高校の進学率というのは六六・八%あった。それが昭和四十年代の後半になりますと、一挙に進学率が上がりまして、九〇%を超えるよう状況が出てまいりました。したがって、通信高校の生徒さんたちは減少の傾向にある。これはもうはっきり出てございます。  したがって、NHK学園といたしましても、そのあり方につきましてやはり工夫を加えなくてはいかぬということで、昭和五十年度から、生涯教育への社会的な高まりに対応いたしまして社会通信講座というのを開設いたしました。今年度では、書道だとか簿記、英語といった十一の講座を設けまして、現在、八万四千人を超える人たちが受講をしておるわけでございます。  御指摘ように、NHK学園の今後のあり方につきましては、なお検討を要すると私ども考えております。先般、NHK長期ビジョン審議会からも御指摘をいただいておりますけれども、今後の教育界とか社会情勢の推移を勘案しながら、関係方面の御協力も得まして、検討してまいっていきたいと思っております。
  263. 依田実

    ○依田委員 ぜひひとつ、時代の流れに対応できるような教育内容にしていただきたい、こう思うのであります。  参考までに、最近各種専修学校がいろいろふえておるわけでありますが、東京都などの調査によりますと、最近はどういうものが専修学校で受けておるのだと聞きますと、まず第一が医療関係、つまり歯科技工士だとか看護婦だとかそういう教育をする専修学校、各種学校が受けている。二番目が社会福祉教育、そういうものを教える学校が人気がある。三番目が電子工学あるいはまた電波、電気、こういうものだ。こういうふうに時代の流れによって若人が興味を持つ種目も変わってくる、こういうことを言っておりましたけれども、この放送学園高校の方も、生徒数の減りを防ぐのも大事でございます。それと同時に、いまの生涯教育もちろん結構でございますけれども、いま申し上げたような幾つかの流れがあるということを御勘案いただいて、いろいろ御研究をしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  四番目に、NHKこれからいろいろ新しいメディアに取り組まれていかれると思うのであります。文字多重を初めとして、これからは放送電波の分野は日進月歩だと思うのでありますが、この新しいメディアに取り組むNHKの姿勢についてお尋ねをさしていただきたい、こう思います。
  264. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  NHKといたしましては、ただいま先生から御指摘いただきましたように、新しいメディアにつきましては積極的に取り組んできておるつもりでございます。特に、デフサービスなどに適しております文字放送につきましては、昭和五十一年から東京と大阪に実験局を開設いたしまして、各種の技術実験を実施しまして、それの制作用の文字の編集装置とか番組制作機、これなどの開発も積極的に取り進めておる段階でございます。  それから、緊急警報放送でございますが、これにつきましても、野外実験を実施をいたしまして、その実験の結果につきましては、電波技術審議会の方にも報告をしておるという状況でございます。  衛星放送につきましては、すでに四十一年度から開発に着手いたしまして、五十九年度二月か三月ごろの打ち上げに対処するような形でもって、国会の先生方の御承認を得ながらいま計画を取り進めておるという状況でございます。  また、最近になりましてNHKで開発いたしました高品位テレビが、大体研究開発がほとんど終わりまして、その成果につきましては国の内外から多大な注目を集めておる状況でございまして、先生御高承のように、アメリカでは衛星でもってこれの放送もやりたいというような形での技術協力、並びにヨーロッパ放送連合ではこのための技術委員会を設置するというよう状況までまいっておる次第でございます。  なお、NHK長期ビジョン審議会報告書にもございますように、これまでの現行メディアで果たしてまいりましたような開発とその実用化の先駆的役割りを果たせ、それから二番目には、計画的、継続的な利用について積極的に検討を進めなさい、三番目には、導入に当たっては現行放送との十分な有機的連携を総体的に判断し、その役割りを果たすべきである、このような御提言もいただいておりますので、それを尊重しながら、ニューメディアの実用化につきましては、NHKが果たすべき公共放送の使命の一環といたしまして、その実用化を推進し、またできるだけ将来のNHKの財源に結びつくような形で総合的に取り組んで進めてまいりたい、そのよう考えている次第でございます。
  265. 依田実

    ○依田委員 一つだけ、新メディアの中の文字多重について、長期ビジョンの報告書の中に、第三者にやらしたらどうだ、こういう意見があるのですが、これについてはNHKいかがお考えでしょうか。
  266. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  これは放送法の改正が行われた後ということでございましょうか、その後でNHKの設備の第三者利用につきましては、先生御承知のように、NHKの公共放送としての編集の基本方針とか、それからチャンネルのイメージ、こういうものの関連性にも十分留意いたしまして、今後検討を積極的に進めてまいりたい、さよう考えている次第でございます。
  267. 依田実

    ○依田委員 いまの問題について、郵政大臣に一言だけお尋ねさしていただきたいと思います。
  268. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 文字多重の第三者利用をNHKがやる場合についてどう考えるかという御質問かと思いますけれども、文字多重放送につきましては、テレビの一チャンネル当たり現時点でも少なくとも二十種類程度の番組が送れる、将来的にはコード方式などを採用いたしますとその四倍から四十倍程度の番組の提供が可能であろうかというふうに思っております。したがいまして、その一部を耳の不自由な人々のための字幕放送等いわゆる補完利用に利用するといたしましても、これをすべて既存のテレビジョン放送事業者に利用してもらう、こうなりますと、情報の独占にもなりかねないということで、いわゆる既存の放送事業者以外の第三者の方にも利用できる道を開きたい、こういう考え方でございます。  NHKの場合は、すでにテレビジョン二系統、音声放送三系統を実施しているわけで、なお文字多重放送をすべてNHKにやっていただくということになると、メディアの過度の集中ということも考えられますし、組織の巨大化だ、余りにも大きくなり過ぎるというよう考えもあろうということで、NHKにつきましても、やはり文字多重については第三者利用の道を開くことが適当であるという考え方から、今回そうした趣旨の放送法の改正案を実は提出いたしておる次第でございます。  なお、NHKの第三者でございますけれども、やはりNHK及び放送大学学園以外のものということになるわけでございまして、それは言葉をかえて言えば民放、一般放送事業者になるわけでございます。  しかしながら、NHKの放送設備を利用するものであるということが非常に大事な点でございまして、その財源として予想される有料広告放送などにつきましても、やはりNHKの公共的性格、チャンネルイメージを失わないように、たとえば地方公共団体の告知放送等に限るというよう考え方が必要ではないだろうか。そういうことに十分配意して、NHKの公共的性格を損わないようにというよう考えのもとに、第三者利用の道を開きたい、このよう考え方でございます。
  269. 依田実

    ○依田委員 いま監理局長が言われました後段の部分をぜひ尊重していただきたい、こう思うのであります。NHKの公共放送の性格に合わないような画面が出てくるんじゃ困るのでありまして、そういう意味で、ひとつこの問題については、第三者利用についてはぜひ慎重にしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  もう一つ、次の問題は、放送衛星と難視聴解消、この問題であります。  時間がないので端的にお尋ねをいたしますが、五十九年の三月に放送衛星が上がる、今度はパラボラをつければ各戸どこでもテレビジョンを受信できるわけではございますけれども、しかし、いままで、辺地難視聴解消については、サテライトをつくって細かくこれは解消してきたわけであります。いずれにしても、放送衛星が上がった段階では、解消のできない部分が、つまりサテライトではできない部分があるわけです。今度は放送衛星が上がったから、全部できるんだから各戸パラボラを持て、これでは辺地の人は出費がかさむわけであります。そこで、本来ならばサテライトを細かくこれからやっていくスケジュール上にあったところは、放送衛星が上がった場合には、そのパラボラなどについては、NHKなりあるいは公共的資金でこれを助成する、これが大事じゃないかと思うのであります。放送衛星が上がったから今度は自分たちでパラボラを買え、これでは辺地の人はかわいそうだろうと思うのでありますが、その辺はどうされるつもりでありますか。
  270. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  衛星放送用の受信機でございますが、これにつきましては、御高承のように、低価格で使いやすい放送衛星用の受信機というものの開発を進めておりまして、その成果を受信機メーカーに、国内メーカーが十七社、海外のメーカー三社に技術指導いたしまして、メーカーは現在その大量生産を通じての低廉化の検討を行っている次第でございます。  現時点で、電子機械工業会の発表では、年間十万台普及のぐらいでございましたならば、パラボラのアンテナとそれから地上の受信機に結びつけるコンバートを合わせまして約七万円ぐらいということを発表しております。  ただし、放送衛星の二号を打ち上げる五十九年ごろになりますと、御承知のように世界は放送衛星時代に入ってまいりまして、外国も日本のNHKの方を通じましてこの低廉化された受信機の購入ということも技術協力を依頼してまいっているよう状況にもあるわけでございます。そういうことになってまいりますと、大量生産によって低廉化されるということが私は十分にあり得るというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、現段階では、先生のお言葉ではございますけれども、辺地の方々に対しましては受信の指導を積極的にやるというようなことはNHK努力するつもりでございますが、受信機の購入につきまして、受信機にさらに直接補助をするという考え方は、また逆に、きょう現在地上施設でごらんになっておる受信者の方々も、送信所から非常に遠い視聴者の方と近い方で、アンテナ角度なども非常に違った形でもってごらんいただいている状況でございますので、現在では受信機購入に補助をするという考え方にはNHKは立っていない次第でございます。
  271. 依田実

    ○依田委員 これは郵政省も同じ考え方ですか。
  272. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先ほどNHKの方からも御説明がありましたように、何といいましてもパラボラアンテナなりアダプターなり立体回路なりの低廉化を図る、そのためには放送大学にも使うというような問題、あるいは業界を指導するというようなことで、まず第一に、量産等によりまして価格の低減を図るという方向で指導してまいりたいと思っております。  ただ、お言葉を返すわけではございませんけれども、現在の辺地におきましても、やはりそれなりに電波を享受するためにはややある程度の金はお出しいただいておる。それが七万、十万台、量産のときに七万円というのが多少まだ当初においては違いがあろうかと思いますけれども、できる限り早く量産を図って低廉化を図る、そういう努力をしてまいりたい、そのよう考えております。
  273. 依田実

    ○依田委員 時間がなくなりましたので、最後に一つだけ。  財団法人放送文化基金、こういうのがございます。NHKが昭和四十九年に基本財産として百二十億拠出をされまして、毎年七億ぐらいの利息でもって、放送界にいろいろ貢献のあった各種学術団体とかいろいろなところへ助成金なりあるいは報賞金を出しておるわけでございます。その中の一つに、放送文化及び放送技術に対して著しい貢献をしたということで表彰をなさっておるのですが、その表彰者の中に民間放送の番組あるいは民間放送のプロデューサー、そういう方が入っておるわけであります。これはNHKですから放送全体の覇者である、すべての放送をわれわれが指導していくのだ、これは結構であります。しかしながら、現在民間放送財政的に非常に豊かな時代に、民間放送の番組にNHKの金で百万なり五十万なりお金を出すことがいいのかどうか。もしあるならば、放送文化基金に民放からその拠出金をある程度拠出させたらどうだろう、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  274. 坂倉孝一

    ○坂倉参考人 いま先生がおっしゃいましたように、NHK最初百二十億を出捐いたしまして設立された財団法人でございますけれども、その文化基金は、広く放送文化の発展向上に寄与するということを目的として設立されているわけでございまして、NHK、民放にかかわらず、そういったすべての放送に関しての助成、援助、あるいは表彰を行っているわけでございます。  それから、文化基金に民放からも基本財産を出捐させてはどうかという御質問かと思いますけれども、これは民放関係者の方の御意向によるわけでございますけれども、これは寄附行為上は当然受け入れることができる寄附行為になっておりますし、また、設立に当たりましての趣意書におきましても、設立の暁には、広く各界各層の賛助、支援により、国民の財団として充実、発展することを望むものであるというふうに記されているわけでございます。
  275. 依田実

    ○依田委員 放送全体のために、こういうことですから、財政豊かな民放からぜひ拠出金を出させるように、ひとつ郵政省の方でも指導していただきたい。  これで終わります。
  276. 水野清

    水野委員長 これにて依田実君の質疑は終了いたしました。  これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  277. 水野清

    水野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  278. 水野清

    水野委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  279. 水野清

    水野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  280. 水野清

    水野委員長 次回は、来る四月一日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十六分散会