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梅澤政府委員 お
手元に資料を二枚お届けしてございますが、縦長の資料はおなじみの資料でございまして、
税収が判明しております一番最近
時点の四月末
税収、もちろん言うまでもなく五十六
年度に所属する
税収の部分でございます。もう一枚は横長の表でございますが、これは四月末の
税収を起点にいたしまして昨年の十二月以降各月ごとの足取りを各税日ごとに示しているわけでございまして、主としてこの横長の資料で御
説明を申し上げます。
この横長の資料は単位は億円以上でございます。
一番下の合計欄をまずごらん願いますと、一番左に書いてございますのは言うまでもなく当初予算でございまして三十二兆二千八百四十億円、前
年度の決算に対する
伸び率は一二〇・二。
御案内のとおり、その次の欄が補正額でございまして、四千五百二十四億補正で減額いたしまして、内書きは特別減税額四百八十四億円でございます。したがいまして、現在の補正後の予算額と申しますか歳入見積額は三十一兆八千三百十六億円、前
年度決算に対しまして一一八・五%ということでございます。
四月末までの収納済みの累計額が次の欄でございまして二十五兆六千八十八億円、補正後の予算額に対する進捗割合は八〇・五%。前年の同期の進捗率は、先ほどの縦長の表の一番右から三つ目の下でございますが、八七・一でございますので、六・六
ポイント進捗率がおくれておるということでございます。
各月ごとの足取りにつきましては後ほどざっと見て回ることにいたしまして、したがいまして、累計の
伸び率、四月末現在の
伸び率、いわば瞬間風速と申しますかは一〇九・四%でございます。先ほど申しましたように、当初の予算額の
見込みの
伸び率が一二〇・二、補正後が一一八・五でございますので、瞬間風速で四月末で単純に比較いたしますと、対当初予算に比べまして一〇・八%
ポイント下回っておる、補正後の予算額に対して九・一%
ポイント下回っておる、これは単純な引き算でございますが、そういう状態になっておるわけでございます。
そこで、十二月から四月までの足取りをざっとごらん願いますと、顕著なことは、十二月、一月とそれぞれ対前年の同月に比較いたしまして一三・八%、一二%というふうに比較的好調な
伸びを示しておったわけで、ここに表示はございませんけれ
ども、その直前のたとえば十一月、十月、九月といった
時点も一〇を上回りまして一一、二%前後で推移しておったわけでございます。二月に入りまして一けた台、五・四%、三月で五・六%、四月で六・九%、したがいまして、累計で先ほど申しましたように一〇九・四という水準にとどまっておる。
したがいまして、あと五月末の
税収をこれに加えまして五十六
年度の
税収額が完結するわけでございますが、いずれにいたしましても、
現時点におきまして、補正後予算額、もちろん当初予算額に対しましても、相当額の歳入欠陥は避けられないという現状にございます。
次に、税目ごとに若干御
説明を申し上げます。
まず源泉所得税でございますが、源泉所得税は、申すまでもなく、およそ七割強が賃金といいますか給与所得に見合います源泉税額でございます。あと二割前後が利子でございます。つまり、賃金の動向と預
金利子の動向によって、源泉所得税の税額というのは左右されるわけでございます。
まず、給与に対します源泉所得税の
動きでございますが、これは申すまでもなく、昨年の春闘では表面ベース七・七%ということを言われておるわけでございますけれ
ども、実際の毎勤統計で民間給与の足取りを見てみますと、各月大体六%前後で推移をいたしておるわけでございます。これについてはいろいろな
説明があるわけでございますけれ
ども、特徴的なことは、やはり所定外労働時間が特に今年一月以降顕著に下がり始めを見せておりまして、そういうことも作用いたしまして、
政府の
経済見通しにございます一人当たり
雇用者所得、当初七・五でございますが、これが
実績は相当下回るのではないか、そういう
動き、源泉所得税の足取りにまずそれが反映をしておるのではないかということでございます。
そういうこともございまして、先ほど申しましたように、昨年十月末の
税収が判明いたしました
時点で、当時の
経済実勢等を勘案しながら、源泉所得税について補正減額をお願いしたわけでございます。ところが、その後足取りは補正減額以上に下回るという低調な水準で推移しております。
それからもう
一つ御
説明を申し上げますと、この表でごらん願いますと、源泉所得税の欄でございますが、五十六年の十二月一六・四、それから三月三・一と
かなり数字がぶれておるわけです。これについては、一番大きな要因は預金
金利でございます。言うまでもなく、一昨年五十五年の十二月に預金
金利の引き下げがございました。そういたしますと、通常、前月に駆け込みと申しますか、前月十一月の預金が急増いたします。ということは、翌年になりまして十一月に払い戻される預金
金利がふえた。したがいまして、翌月の十二月の源泉税額がふえるという形でございます。三月は実はその逆でございまして、これも一昨年五十五年三月、四月に預金
金利の引き上げがございまして、それと逆のシフトを反映しておるというふうに考えておるわけでございます。
それから二番目は申告所得税でございます。
申告所得税につきましては、各月の足取りは
余り意味がないわけでございまして、
ポイントは三月の一〇一・二という
数字でございます。それまでの月は予定納税の
数字でございますので、
余り意味はございません。ことしの五十六年分の確定申告につきましては、実際の話といたしまして、
主税局はもちろんでございますけれ
ども、国税庁当局も、四月末の
段階で、申告所得税の確報と申しますか集計がまとまった
段階で所得、税額とも異常に低い水準で終わったことに偶然としたわけでございます。トータルで申しますと、所得で六%の
伸び、税額で二%ということなんでございますが、その中で特徴的なことは、いわゆる営業所得、これは
個人の通常の事業所得でございますが、これが所得で一%の
伸び、税額で二%の減でございます。これは前年をやはり営業所得で見ますと、五十五年分では税額で実は六%
伸びておったわけでございます。五十五年という年は必ずしも
経済が好調な年ではなかったわけでございますが、それで六%でございましたが、五十六年分については逆に営業所得で二%の税額の減で、
中小企業特に零細
中小企業の事業実態が異常なほど悪化しておったということのあるいは反映でもあろうかと考えられるわけでございます。
農業所得の方は、逆に五十五年に比べまして災害等が比較的僅少に済んだということで
伸びておりますけれ
ども、この農業所得は確定申告税額に占めるウエートが僅少でございますので、大勢を左右するというようなことにはならないわけでございます。
それからもう
一つ、譲渡所得特に土地の譲渡所得でございますが、これも前年つまり五十五年分とほぼ横ばいということでございまして、やはり五十六年中土地の
動きが非常に低調であった、そういうことも反映いたしまして、申告所得税は昨年累計で三・八%という水準にとどまっておるわけでございます。
その次に法人税でございます。
法人税につきましては、
年度当初非常に低調なスタートを切ったわけでございますが、当時も対外的に大蔵省から御
説明も申し上げておりましたけれ
ども、
一つは、これは
金利の動向が敏感に作用するわけでございますが、五十六年の三月期決算法人が当時の
金利情勢を反映いたしまして即納率が非常にふえたということは、逆に五十六年分として入ってまいります延納分が
低下したということで、非常に低い水準からスタートをしたわけでございます。
ただ、その後、特に大法人等は徐々に上向きの
情勢にございましたし、それからもう
一つは、たしか五十六年十一月の日銀の短観によりましても、当時下期におきます全
産業の経常利益の
伸び率二五・四%というふうな景況の見方というのが大方でございまして、その意味で補正の
段階では、法人税につきましては源泉所得税のような処置をとらなかったわけでございます。
その後、事実問題といたしまして、十一月
税収、十二月
税収、一月
税収というのをたどってまいりますと、ここにも表示がございますように、六・六、一〇・九という対前年の
数字を示しておるのですが、二月に入りまして九二・七というふうに水準が落ちておるわけでございます。特に、これに十一月
税収は表示がございませんが、十一月
税収は七・九%の
伸びでございます。十一月
税収は言うまでもなく九月決算、それから十二月
税収は十月決算、一月
税収は十一月決算の法人でございますが、この法人のうち大法人の申告年税額の対前年比を見ますと、この九月決算、十月決算、十一月決算はいずれも二〇%台の非常に高い水準で
伸びておりまして、たとえば九月決算では大法人は二三%の増、十月決算で二九・七%の増、十一月決算で二一%の増、ところが、二月
税収つまり十二月決算に入りまして、ただいま申しました大法人の所得ベースで申しますと、一転いたしまして八七・五%、つまり一二・五%の減ということで基調が変わっておるわけでございます。同じくたどってまいりますと、三月
税収つまり一月決算で二%の増、それから四月
税収、これは二月決算でございますが、ただいままで判明しておる最新
時点で大法人六・六%、もちろんこれは決算期によりまして業種の特徴がございますので一概には言えないわけでございますけれ
ども、とにかく十二月決算以降基調が変わっておるということは、もう
実績として如実にあらわれておるわけでございます。
そこで余すところは、もちろん五月
税収つまり三月決算法人でございますが、大体三月決算法人を
中心といたします五月の法人
税収は年間の法人
税収のおよそ三分の一でございます。それから年間の全
税収の大体一割、五月に入ってまいります
税収の約八割という非常に大きなかたまりでございまして、三月決算の法人の業種の特徴といたしましては、通常好況業種と言われておりますのは、たとえば金融機関、銀行、電機、建設といったところもございますが、昨年の決算と為替差益の
関係でうらはらの
関係でことし決算の悪化がすでにはっきりいたしておりますのは電力、石油、それから石油化学といった
企業がございます。そのほか鉄鋼、紙パルプ、セメントといったところは、
企業によりまして決算の格差がございますけれ
ども、総体として、感触として
余り期待できないということでございますが、いかんせん、計数的に私
どもはまだ今日の
段階でこれを推測すると申しますか、計数的に御
説明申し上げる
段階にはないわけでございます。
それから、その次は酒税でございますが、酒税につきましても、年間を通じまして酒の移出
数量が非常に低調でございます。ある時期ビールがやや上向いた月もございますけれ
ども、年間を通じまして低調ということでございます。特に年が明けまして二月
税収、これは酒の場合は庫出し課税でございますので、二月
税収というのは昨年の十二月に出荷された酒類に対するものでございますが、二月、三月、四月、つまり出荷月で十二月、一月、二月、課税
数量は全部前年同期を下回っております。と同時に、もう
一つ特徴的なことは、最近
時点におきまして、特に清酒、ウイスキー等につきまして下級酒へのシフトが非常に顕著でございました。御案内のとおり、いわゆる下級酒につきましては、税率あるいは
税収面でそれは
マイナスの方に働くわけでございます。
それから、もう
一つ物品税でございますが、物品税につきましても、最近
時点におきまして小型乗用車それからクーラー、この辺は
かなりいい
伸びを示しておるわけでございますが、全般的にこれも低調でございまして、これも補正後予算をある
程度下回らざるを得ないのではないかということでございます。
以上を通じまして、まだ五月末
税収の
数字を確定的に入手できる
段階ではございませんので、最終的に五十六
年度の
税収がいかがな額になるかということを計数的に本日申し上げる
段階にないということを御了承賜りたいと思いますが、いずれにしても相当額の予算額に対する欠陥は避けられないという
情勢でございます。
以上でございます。