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渡辺国務大臣 総理
大臣が内諾を与えているという事実は、私はないと思います。少なくとも大蔵
大臣の私がしょっちゅうそばにおって、いろいろな話を聞いておるわけですから、私の知っておる限りでは、そういう事実はございません。
それから、このグリーンカードをどうしてつくるようになったかというと、御承知のとおり、これは総合課税移行ということからスタートをしたわけです。そのためには、特に非課税貯金がわからないで、これが乱用されたのでは非常に困る。大体三百三十七兆という個人の貯蓄残高の中で、これは正確な
数字ではないのですが、課税
ベースから推計をした
大蔵省の内々の
数字ですから、ここでしゃべることはまずいかな、これは内々の
数字で、推計によるもので余り正確だということは申し上げられない。それから、集計の時期が多少ずれがあるものですから、十二月とか三月とか六月とか、ずれが少しありますから、この
数字はぴたっと一律に十二月で並んだわけじゃないのです、
数字が出ませんから。十二月の分は出たものもあるし、出ないのもある。
そこで、三百三十七兆八千億円、これはいいのだけれ
ども、その中で郵貯、マル優等が、郵貯が五十六年の十二月末で六十七兆、マル優が実は五十六年の三月で百七兆とかいうようなことで、特別マル優が六月で五兆八千億、財形貯蓄が四兆三千億とかということで、これをずっと並べて推計してみると、大体非課税貯蓄というのが百八十兆か百八十五兆か、それくらいあるのじゃないか。課税貯蓄というのは大まかに言って百兆円、そのうちの総合課税分というのはやはり七十兆円くらいかなというところなんですね。大ざっぱな見方です。まるっきり根拠がないわけじゃないのですよ。課税
ベースから類推して計算しているわけですから。
それだけ大きなものがあって、去年は、みんな可処分所得がない、何がない、貧乏してしまったという話なんだが、大体三十五兆円個人の貯蓄がふえた。そのうち、郵貯のように七兆五千億ふえたとか、これははっきりわかっているわけですね。マル優が十二兆ふえたとかいうのはわかっているのだけれ
ども、全部そういう非課税貯蓄というものをずっと類推すると二十兆から二十二兆、まあ二十二兆前後ですな。一年でどんと二十二兆ふえるということになれば、国民一人二十万円という話ですかね、一億一千万人だと。そういうふうにふえるというのですから、金はうんとあるのだけれ
ども、皆非課税のところにばかりどんどん来てしまうのですね。そして分離課税などというのは、総合課税をやるよやるよと言っても二兆円ちょっとぐらいしかふえないのじゃないか、どうもそういうことらしい。そうすると非課税のところにばかりいってしまう。これは乱用されているという実態ではないかという気が私はするのです。
したがって、こういうように非課税という
制度を置く以上は、グリーンカードというよりもゴールデンカードじゃないのか。カードを持っている人だけは特権的に九百万円まで非課税です。ですから、これは決していやなものではなくて、庶民大衆にとっては福の神カードじゃないのかな。そして、それ以上のものについては総合課税ということです。しかしながら、ともかく総合課税をやっている国で、税率が七五%などという国は
世界じゅうの
先進国にないわけですから、やはり世間並みにするのだから、税率もどんと落として世間並みということが筋ではないかということを私は持論として言ってきたわけであります。
したがって、グリーンカードというこの中身を知らないで騒いでいるのが多いのじゃないか。実は二日ぐらい前に、大阪のテレビ朝日というのがありまして、それで私の家へ来まして、議員宿舎で私と大衆との実況放送をやったのですよ。そこで三百軒の家に電話を無差別に頼んで、そこでいろいろぽんぽんぽんぽんとやるのですが、グリーンカードに関心のある人は手を挙げてごらんと言ったら、やや関心がある、関心があるということで、九割なんですね。関心がうんとあるという人は約四割なんです。九割の人は関心がある。関心がないというのは一〇%なんですね、三百人の各家庭につないでボタンを押させたら。
ところが、私が五つの質問をしたのですよ。百万以下の人、百万から三百万持っている人、三百万から五百万の人、五百万から一千万の人、一千万以上の人、そして一のボタン、二のボタンといって押してみろと言ったら、百万以下というのが三五%もあるのですね。三百万以下というのは半分以上あったな、ちょっと忘れたけれ
ども。金を持っていない人が何でグリーンカードにそんなに関心があるのかね。ちょっと私はそこのところがおかしいのですよ。持っているのを、テレビに出したらわかってしまうと思って隠したのか、あるいは持っていなくても本当に関心があるのか、何が何だかわからなくて、グリーンカード、グリーンカードとみんなが言うものだから、名前だけ覚えていて押したものか、そこら辺のところは深く掘り下げていないからわかりません。わかりませんが、私としては、グリーンカードというのは何が何だかわからない、ともかく貯金高を調べられてしまうぐらいに思って、百万以下の人まで関心ができてしまったのではないかという気も実はなきにしもあらずなんです。
ですから、これはまだ時間がある話ですから、一年も二年も先の話ですから、もっと国民に知らせる。国民がよく知らないというところで余り軽挙妄動されても困るのです。
経済というものは知らなくたって、軽挙妄動したら何兆円という金がどんと動きますからね。だから、そういうようなことで、まず安心感を与えるということが先決問題であるということで、積極的にこれは考える。
それからもう
一つは、うんと持っていて取られてしまうという気になれば、それはどこかに逃げますよ。ですから、取られるものじゃないのですよということをもっと知らせてやる必要がある。やはり水は高い方から低い方に流れていくし、預金は
金利の安い方から高い方に流れていく、これは自由主義の原則ですね、
片一方は物理学かもしらぬけれ
ども。そこら辺のところで何か
工夫をして、もっと安心できる
方法等があるのではないか。
国債というのは無税だということを知らない人がいっぱいいますから、
国債ももう少し、御用金調達ということが言われますけれ
ども、こういうものについてももっと
工夫をすれば、この問題は円満解決というところにどうもなりそうだと私は思っております。まだこの親方とは会談をしてみないので実際はわからないのです。