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佐藤(観)
委員 私は、ずっと
経済を勉強していると、実は世界が相手になければ
日本というのは
経済はやっていかれないわりには、どうも世界のことは余り頭にない、そういう
感じがしてならないのです。
ガットのデュンケル事務
局長が、これは西ドイツのハンブルクで開かれた東アジア協会の夕食会で演説をして、この方は非常に見識の高いことを言われていると私は思うのであります。
たとえば
日本問題では、ガット事務局としては「工業国間で生じている緊張、
通商紛争を承知している。だれもが
貿易減退、失業者増大、インフレ高進の
責任をかぶせる相手を求め、すべての
政府が自分の政策が予期した成果をあげないことによって、スケープゴートを見つける必要に迫られている。こうして
日本との競争の問題が危機的様相をおび始めたのだが、実際は、それはより広範な問題の
一つの兆候に過ぎない」「また、「対日
輸出が特別の問題をもたらしていることを知っている。
日本政府自体、外国
製品輸入促進のためにしなければならないことがあるのを認識しており、すでに実行し始めた。これは、歓迎すべきことだ」と述べ、「しかし、これは万能薬でない。私の
見解では、いわゆる“
日本問題”に対する唯一の恒久的解決は、欧米
経済が生産性を
日本の水準にまで
引き上げ、(
日本の)挑戦を受けて立つことである」」。私は非常に見識の高い
見解ではないかと思うのであります。
ただ、いまちょっと触れましたように、そうはいっても
日本は世界があって初めて
日本経済がやっていかれるということを
考えるならば、やはりこの
見解に甘えてはいけないという気がするわけですね。
それでいま総論的に、いま起こっている
貿易摩擦の問題についての
見解をお伺いしたのでありますが、たとえば、これを一時的な問題としてとらえるならば、これはひとつ
日本も一時的に
輸出を控えたらどうだろうか。これは富塚文太郎さんが
見解として一月の末くらいに言われていることでございますので、さらにその
見解が強まったかどうかわかりませんけれ
ども、富塚先生の見るところは、恐らく
アメリカは
輸入課徴金をかけてくるんではないか、彼はその蓋然性については七〇%ということを言っているわけですね。
輸入課徴金とガットの問題というのはいろいろな問題がありますけれ
ども、それはさておきましても、
輸入課徴金をかけるならば、この財政難の折でありますから、
輸出の課徴金をかけたらどうだという
考え方は、
考え方としては当然起こってくるわけですね。ただ、
貿易立国で将来ともいろんな形で成り立っていく
日本が、みずから
輸出課徴金をかけるということは、これは基本政策としてどうだ、私はいわば反論的にお伺いをこれからするわけでありますけれ
ども、この
輸入課徴金の可能性というのは、相互主義法案との関連でどうなっていくかという予想を立てることはなかなかむずかしいと思いますけれ
ども、
輸入課徴金をかけられるよりも、むしろ
輸出に対して
輸出の
調整金、これを取った方がいいのではないか。何か
新聞の
記事でありますけれ
ども、前年度比一〇%以上
輸出の
伸び率があって、なおかつ
輸出全体の増加寄与率が〇・五%以上の品目が自動車など四十二品目あって、その
輸出総額が二十兆円、一律五%掛ければ一兆円の財源が出るということで、財政を担当する大蔵
委員会としても少し乗りたいような気もすることでありますけれ
ども、まあこれは昨年の十一月でございましたか、
経済閣僚
会議でお蔵入りをした、大蔵入りじゃなくて、お蔵入りをしたようでありますけれ
ども、一体こういうことで
アメリカなりECなりは納得するようないまの状況なのであろうかどうか。
これは、交渉に当たられている外務省及び通産省に、一体これが
一つの手だてになるのか、その辺の感触はいかがでございましょうか。