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1982-08-26 第96回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年八月二十六日(木曜日)     午前九時四十一分開議  出席委員    委員長 枝村 要作君    理事 麻生 太郎君 理事 楢橋  進君    理事 岡田 利春君 理事 中西 積介君    理事 田中 昭二君 理事 小渕 正義君       北村 義和君    倉成  正君       古賀  誠君    三枝 三郎君       藤尾 正行君    山下 徳夫君       塚田 庄平君    岡本 富夫君       稲富 稜人君    小沢 和秋君       石原健太郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  安倍晋太郎君  委員外出席者         通商産業省立地         公害局長    福原 元一君         資源エネルギー         庁長官     小松 国男君         資源エネルギー         庁石炭部長   弓削田英一君         中小企業庁計画         部長      本郷 英一君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       増田 雅一君         参  考  人         (北炭夕張炭鉱         株式会社管財         人)      大澤 誠一君         参  考  人         (三井観光開発         株式会社代表取         締役会長)   萩原吉太郎君         参  考  人         (夕張炭鉱労         働組合執行委員         長)      三浦 清勝君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 委員の異動 八月二十六日  辞任         補欠選任   金子 岩三君     三枝 三郎君   三原 朝雄君     藤尾 正行君 同日  辞任         補欠選任   三枝 三郎君     金子 岩三君   藤尾 正行君     三原 朝雄君     ————————————— 八月二十日  一、石炭対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(北炭夕張炭鉱株式会社の  経営問題)      ————◇—————
  2. 枝村要作

    枝村委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  本日は、北炭夕張炭鉱株式会社経営問題について調査を進めてまいりたいと存じます。  参考人として北炭夕張炭鉱株式会社管財人大澤誠一君、三井観光開発株式会社代表取締役会長萩原吉太郎君、夕張炭鉱労働組合執行委員長三浦清勝君、以上君名の方々の御出席をいただいております。  この際、参考人各位一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位におかれましては、本問題につきましてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人各位からそれぞれ五分程度の御意見をお述べいただきました後、委員質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願います。  それでは、まず大澤参考人お願いいたします。
  3. 大澤誠一

    大澤参考人 ただいま御紹介をいただきました更生会社北炭夕張炭鉱株式会社管財人大澤誠一でございます。  日ごろより先生方には石炭産業に対し種々御高配を賜り、その上に今回の北炭夕張炭鉱株式会社更生事件について特に御心労を煩わせておりますことを、この席をかりて厚く御礼申し上げます。  また、本日は国会明けにもかかわらず本委員会を開催していただきまして、閉山提案という異常事態を迎えました本件につきまして、参考人として私の意見を述べさせていただくとともに、実情についていろいろと御審議いただく機会を与えていただきまして、感謝にたえない次第であります。  本年四月三十日、管財人として選任されましてから、石炭業界を初め関係方面の御援助によりさまざまな検討を行ってまいりましたが、その結論につきましては去る八月二十一日の組合に対する提案の中でるる申し述べたところでございます。  すなわち、一、現在稼行中の残存十尺層の採炭でありますが、現存の骨格坑道射程範囲内にあって当面採掘対象とし得る区域を洗い出して検討いたしましたが、もともと北炭夕張社は、事故の起きた北部十尺層が順調にいっておれば捨てる予定区域が大半であり、保安面採算面を考慮すれば残炭量は六十万トン程度に限られ、本格的採炭に至るリードタイムを賄うには不十分であります。  次に、平安八尺層でありますが、結論を申しますと、平安八尺層の本格的開発は、販売手取りの低い一般炭一層で、しかも確認されている可採炭量三再五十五万トンでは最終的に赤字でありまして、当面の開発計画対象としては価値がないと判断いたしました。  三、このように当初考えられた平安八尺層が本格的開発価値がないということが明らかになるにつれて、事故を発生した北部十尺層並びにこれに連なる十尺圏についての開発可能性が問題となってまいりました。  そこで私は、この新区域十尺層の開発計画検討を行ったのでありますが、過去に例のない大規模ガス突出を発生したという事実を謙虚に受けとめ、十分な準備と慎重な配慮が必要であります。  したがって、現在考えられている限りの理想的な基幹坑道を展開し、事前のあらゆる条件把握を的確にするとともに、これに応じて十分な時間をかけてのガスの去勢が必要と考え、そのような考え方に立って、新区域十尺層の採掘予定範囲に賦存する千二百万トンを対象に、適正規模と考えられる二切り羽年産七十五万トン体制開発計画を策定いたしましたが、開発を開始して一切り羽稼働までに四年九カ月、二切り羽稼働までに五年七カ月を要します。  したがって、私の策定した計画では、この間の負担を軽減するため、残存十尺層の比較的採算性のよい切り羽採掘と、平安八尺層のうち西部十尺層の既採炭部分の上部に限っての採掘をこの間に組み入れて計画いたしました。  その結果は、金融債労務債、その他債務を完全に弁済することは非常にむずかしく、相当厳しい条件を必要とします。  しかし、会社更生を進めるにはこの計画しか考えられないと存じますが、ここで問題となりますのは、二切り羽年産七十五万トン体制完成年度までの設備投資のうちの自己資金六十六億、同じく完成年度までの赤字資金百二十四億、スタートの際の適正人員にするための合理化退職金約三十億、過去の労務債百十五億、五十七年上期中の不足資金十二億、計三百四十七億はどうしても必要であります。  しかし、先の資金まで云々しても始まりませんので、当面絶対必要な資金と、このところ一、二年の所要資金は用意するように北炭グループに要請したのであります。  これらの資金は、政府補助金制度融資は織り込み後の不足資金であり、これに対する補助金制度融資現行法では期待できません。また、市中金融の道を開くことも当面全く不可能であります。したがって、この資金調達北炭グループから支援していただく以外には全く方法がないのであります。  これができないとすれば北炭夕張社存続は不可能となり、会社は解散しなければなりません。そうなれば全員解雇となりますので、過去の労務債百十五億と新たに発生する退職金概算五十七億、それに社内預金約八億、合計約百八十億を必要とします。この資金閉山交付金をいただければ、そのうちの退職金等見合い資金が出てまいりますが、それ以上の金の調達方法はなく、これも北炭グループ支援に頼る以外にないのであります。  以上のように、前進するにしても後退するにしても莫大な資金調達を必要といたしますので、私は北炭粕谷社長に早くから、また何回となくこの調達を要請し続けてきたのであります。しかしながら、ついに最後の望みを託していた三井観光開発株式会社からも八月十三日、山本社長より文書による拒否回答を受けたのであります。  文書の文面は、短絡的な処置による協力はいたしかねるという、いかにも余韻を残したような表現となっておりますが、山本社長にただしたところでは、現金による支援は一切できない、土地を売っても手元に現金は残らないし、急場に間に合わない、人員の引き取りには協力する、いまや真幌で手いっぱいであり、新鉱は放棄しましたとも言われました。  さらに、この趣旨は萩原会長とも十分打ち合わせ済みであり、当日新聞記者会見まであらかじめ準備されているというありさまでした。ここにおいて私も万策尽きて、しかも一方では山元の資金は枯渇し、放置すれば給料、賃金にも事欠く末期的混乱に陥るおそれがあり、涙をのんで閉山の決意をせざるを得なかったのであります。  私としては、今般の閉山提案はまさに提案するに忍びない過酷な内容のものでありますが、金がない以上いかんともなしがたかったのであります。いまはただ、何とか閉山交付金の適用をしていただき、その上に三井観光開発株式会社を含む北炭グループ支援により労務債が完済されますよう切に切に念願してやまない次第であります。  しかしながら、ここになお何とか山を残したいという組合地元その他各方面の要望もあり、私としては最後の希望をつなぐ手段として、北炭夕張社露天掘り部門を残して坑内部門閉山するという事業縮小という手段を考えたのであります。露天掘りを残すことにより、その収益によって立て坑、斜坑並びに最小限の必要施設の維持を図り、閉山に伴う諸問題の解決を待った後、改めて新会社による新区域十尺層の開発可能性を追求し、実施に移されんことを切に期待してやまない次第であります。  このことは言うはやすく行うにかたいむずかしい問題であり、この新区域十尺層に価値を認め、資本を投下してやろうという人がいなければならず、また金融機関協力がなくては成り立たぬものであり、管財人としては管財人立場努力する所存でありますが、関係方面の御協力、御支援を切にお願い申し上げる次第であります。  最後一つお願いでございますが、閉山の影響をもろに受けます下請の組の救済町方救済でございます。この方々の中にはもちろん北炭夕張社に債権をお持ちの方がありますが、更生計画債務の弁済の中でできるだけのことをしてあげたいと思っても、実際には更生法の手続を踏む限り原資は限られておりますし、行き渡らぬことになると存じます。特に下請の組の方は、昨年事故の直後から一生懸命協力されたのに、その請負金更生申し立てにより凍結され、組の労働者賃金期末手当支払いに困って倒産防止資金を借りてしのいだのですが、その返済が十二月に迫っていると聞いております。仕事がなくなり借金に追われるというのでは余りにも気の毒であり、何とか救済の道はないかと苦慮している次第であります。この下請及び町方に対する救済について、あわせて先生方の温かい御高配お願いする次第でございます。  ほかにも申し述べたいことが多々ありますが、先生方の御質問にお答えする中でまた述べさせていただくことといたしまして、私の陳述を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。
  4. 枝村要作

    枝村委員長 ありがとうございました。  次に、萩原参考人お願いいたします。
  5. 萩原吉太郎

    萩原参考人 萩原吉太郎でございます。  陳述に先立ち、先般の事故でとうとい命を失われた方々の御冥福を祈り、あわせて御遺族の方々のお悲しみに対し心から御同情申し上げる次第でございます。  また、事故発生以来各方面方々に多大の御迷惑と御心労をおかけいたし、従業員方々には不安な思いをおかけしておりますことを、北炭関係する者の一人としてまことに申しわけなく、この席をおかりいたしまして改めて深くおわび申し上げる次第でございます。  夕張閉山提案がなされました今日、一番問題となっておりますのは百億円を超える労務債でございます。いまさら申し上げるまでもなく、この労務債の処理は北炭経営に携わった者の責任であります。北炭夕張にその能力がない現在、北炭グループなどから何とか支援できないものかと検討を重ねてまいりました。しかしながら、北炭関連十八社は昨年暮れ、政府、道庁、金融機関などの御支援を受け、辛うじて連鎖倒産を防いできた状態にあり、また三井観光開発経営的に見て楽観を許さない状態にあります。一番大切なときにあってこうした実情にあることが残念でございます。  ここに至るまで、北炭関連十八社は十五億円の資金援助を行い、三井観光開発は九十億円の資金援助と三百億円の担保提供を行い、できる限りの努力をしてきただけにまことに残念でございます。もとより、簡単には解決できない問題もあり、今後各方面の御協力も仰がなければなりませんが、北炭グループとして資金を捻出するために全力を傾けてまいります。  ここで一言三井観光開発について説明させていただきます。  三井観光開発北炭があって生まれたことは事実ですが、北炭不動産部門を独立させ設立した会社ではなく、潜在する北海道の観光資源開発することを目指す新規の事業として設立したものであります。当初は、北炭所有の広大な土地山林は譲渡されておりません。昭和三十年代の創業当初、北炭から短期のつなぎ資金を借り入れたのでございますが、すべて返済いたしており、また借入金に対し保証をもらいましたが、これもすでに完済しているので消滅いたしております。  三井観光開発創業時代はまことに北炭支援で基礎が固まったのでございますが、北炭経営状態が悪化し資金を必要としたとき、三井観光開発創業当初の支援感謝し、積極的に北炭援助してまいりました。昭和四十三年、平和鉱事故があり、北炭土地山林を売却しなければならなくなりました。そのころ王子製紙に売却する話もありましたが、価格の折り合いがつかず商談は不調に終わり、三井観光開発王子製紙の提示した価格をはるかに上回る金額で買い取ったのであります。現在、三井観光が所有する元北炭土地山林の大部分は、この当時買い取ったものであります。それらの土地山林の大部分は、今日、北炭借入金三百億円の担保として役立っております。  創立当初北炭支援を受けて、今日、三井観光開発が存在するのは事実でありますが、三井観光約三千名の人々の長年の努力により三井観光の今日が築き上げられたこともまた事実であります。三井観光開発企業努力北炭に対する支援を今日まで可能ならしめたのであります。三井観光開発北炭からただ同様で土地を譲り受け、余裕があるのに北炭夕張支援しないと非難されておりますことはまことに残念であります。  三井観光開発は、ことしから毎年七億円の北炭未収利息を負担して処理していかなければなりません。しかし、いずれにいたしましても、私は北炭夕張労務債のために全力を傾注いたしてまいります。現状を御理解くださいまして、格別の御指導とお力添えをお願い申し上げる次第でございます。  以上で私の陳述を終わります。ありがとうございました。
  6. 枝村要作

    枝村委員長 ありがとうございました。  次に、三浦参考人お願いいたします。
  7. 三浦清勝

    三浦参考人 夕張炭鉱労働組合三浦でございます。  北炭再建の問題、なかんずく昨年十月発生しました九十三名もの犠牲者を出す大災害以来、諸先生には大変な御心痛を煩わしまして、まことに感謝にたえない次第でございます。  先ほど大澤管財人から陳述がありましたように、私ども八月二十一日の日に、夕張炭鉱閉山をする、二千名の従業員全員を解雇する、そして百二十三億に及ぶ労務債は、今後北炭努力いかんによってどうなるかわからない、いわば返済はできないという内容提案を受けました。まことに大きな不満を持つものでございます。また、私ども組合員、そして家族、また四万の夕張市民もきわめて大きな動揺をしているところでございますし、組合員家族はその不安のために、またこの提案に対する怒りのために、いまや私ども指導者立場もこの怒りを抑えるのに大変な力を注がなければならない状態になっております。  私ども今日まで七年間、北炭再建、そして山の再建を図って、その中でわれわれの生活を立て直そうと全力を尽くしてがんばってまいりました。とりわけ、昨年の災害発生以来十カ月半になりますけれども、この間、毎月の賃金等について通産省初め大変な御配慮をちょうだいしておりますけれども賃金は毎月三〇%以上もの減収になっておりますし、かつまた、幌内、真谷地炭鉱への出向あるいは経費削減のための自宅待機、これらの努力をしてまいったのも山の再建、山の存続を願うがためでございます。  さて、労務債の問題でございますけれども、私どもこの七年間、山の再建を願うがために歯を食いしばり、生活を切り詰め、会社資金事情から当然われわれが報酬としてもらわなければならない賃金期末手当等についてがまんをしながら、後払いを約束をさせながら今日まで努力をしてまいったものでございますし、かつまた、北炭に三十五年も、あるいは四十年近くも、いわば人生のほとんどをささげて、そして定年退職をし、残された余生を退職金で過ごさなければならないたつた一つ退職金でございますが、その退職金についても、清水沢炭鉱で退職された退職者は、五十三年の八月以降の退職者には退職金は一銭も支払いがされておりません。また、新炭鉱で退職された定年退職者皆さんは、五十三年の十月以降の退職者には退職金が一銭も払われておりません。これも退職者皆さんには大変申しわけございませんでしたけれども、御理解をいただきながら、山の再建を、そして山に残った従業員の今後の生活のためにある程度協力を願いたいというお願いをしながらがんばってきたものでございます。退職者の中には、千三百万の退職金がありながら、自分自分の家を札幌に建てるために銀行からローンで借りまして、そしてその退職金で支払う予定のところがまるきり返済ができない、そのためにいまや、会社がこういう状態になって労務債が凍結された、支給がされないという状態になりますと、この住宅が取り上げられてしまうような数多くの退職者もおります。このような、いわばわれわれに死を求めるような大澤管財人からの提案については、先ほど申し上げましたようにきわめて大きな不満を持っているものでございます。  また、夕張市民全体の問題でありますけれども、この新炭鉱に依存して生活をしている市民は、夕張市民約四万でありますけれども、半分以上の二万強が夕張炭鉱生活を依存しております。とりわけ新炭鉱には、直接新炭鉱社夕張社から仕事を請け負っております業者が二十四社ございます。従業員は四百五十名、孫請を入れまして七百名の従業員業者におりますけれども、この従業員皆さんも私ども組合員家族と同様の、あるいはそれ以上の苦しい状態になっているのでございます。いま夕張炭鉱閉山した場合、夕張市の町が完全に崩壊することは火を見るより明らかでございます。  私どもの願い、それは新炭鉱存続であります。そして労務債の完済でございます。そして夕張市の町を守ることでございます。どうか諸先生には、いままで以上の御理解をちょうだいしまして、この提案内容を御審議いただきまして、私どもにお力をかしていただくことを心から心からお願い申し上げまして、私の陳述を終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  8. 枝村要作

    枝村委員長 ありがとうございました。
  9. 枝村要作

    枝村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。倉成正君。
  10. 倉成正

    倉成委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、北炭夕張炭鉱問題につきまして大澤参考人萩原参考人三浦参考人並び安倍通産大臣に対して質問いたしたいと思います。  大変限られた時間でありますので、ひとつ簡潔に要点をお答えいただければ幸いだと思います。  ただいま大津管財人萩原参考人並び三浦参考人からそれぞれ御陳述をいただきまして、私もまことに胸の病む思いでございます。私の地元長崎にも炭鉱がございますし、かつて多くの炭鉱閉山した経過も承知しておるだけに、皆様方の心中を察しまして、大変私自身の心も痛むわけでございますが、昨年の十月、九十三人という未曽有犠牲者を出したガス突出火災事故以来、北炭に関心を持つすべての人がこの北炭再建ということについて、何とかしてこの再建を達成したいという思いを込めて努力をしてきたことは事実だと思います。  また大澤管財人は、去る四月、管財人に選任されましてから今日まで、保安の確保と安定経営、この二つの命題を掲げまして、石炭業界の衆知を集めて技術的、また経理的な検討をされたと聞いております。ただいま御報告を承りますと、まことにその内容北炭関係者にとっては過酷な内容になっておるわけでありますが、他の山と比べれば有望とされる夕張炭鉱が、今回の事業縮小従業員全員解雇というまことに残念な、厳しい内容を含む方針を打ち出さざるを得なかった基本的な問題は何か、何が一番のネックであったか。確かに平安八尺層の問題もあり、いろいろな問題があることもただいまの陳述でよく述べられているところでありますけれども、この提案を出さざるを得なかった最も基本的な問題、中心の問題は一体何であったか、どこがうまくいかないのでこういう方針を打ち出さざるを得なかったのか、率直にお答えいただきたいと思います。
  11. 大澤誠一

    大澤参考人 閉山をいたさなければならない原因は幾つもございます。  私は、管財人になりましてまず第一番目に、残存十尺層といわれるいわゆる西部十尺層関係採炭、どれくらい残炭といわれるものがあるかということ、それから先ほど申しました八尺層、十尺属の将来の展開、こういったものを考えたわけでございますが、着任して早々は、問題はやはり月月資金繰りがどうなるか、こういうことでございます。それで残炭掘りをやりながら、月々普通の経理状況であると十四、五億必要でございますが、現在、この八月、九月でいいますと収入は八億ぐらいで、七億前後が毎月赤字となります。それで、市の関係、あるいは労災、健保、こういった支払いが約二億余り、定年退職される人の退職金はもちろんとめておりますが、そういった月々の金がどうなるかということでございますが、これは九月で大体四億ぐらいの金しか残らないというのが現状でございます。九月に四億ということになりますと、十月以降の炭価アップという問題もございますけれども賃金も支払えない、物品代も払えないという末期的な状態になるのじゃないか、これが一点でございます。  それから、当初私は、やはり更生会社に申請された以上、初心に返って更生会社として歩くべきであるということで、残炭八尺、十尺層というものの開発検討いたしました。これはいま述べたとおりでございます。ところが、いずれにしろ一日四千トンの山が現在千トンぐらいしか出ない。二千人の従業員をそのまま抱えて経営は成り立つはずがない。やはりそれに見合った人員によって経営を続けなければならぬ、こういうことが二番目でございます。いろいろな総合開発案があろうとも、まず適正な人員に当てはめなければならぬ、これは会社であろうが、炭労の方たちであろうが、お考えになっている。そうすると、やはり整理するには三十億の退職金が要る。約九百人の人たち、それから下請人たちにも契約を解除していただく、こういったようなことをして切り詰めなければならぬ。  それから、今後の開発資金、六十二年度末までに先ほど申しました開発資金が要ります。また、赤字分も必要でございます。そういった資金調達できるかどうか。今後の再建計画内容に入る前に経営資金的に行き詰まってしまう。このために北炭グループ皆さん方に何とかして資金援助を仰ぎたい、こういうふうにお願いをしてまいったわけでございますが、現実には資金関係援助はゼロである、こういうことになりました。  では、九月、十月になればどういう結果になるか。これはまさに末期的な症状で、みずから破産の姿になるのじゃないか。その道をとるか、やはりここで踏ん張って、二十一日の閉山の申し入れをして、そこで局面の展開を図るか、いずれかであろう、こういうふうに決心したわけでございます。いろいろございますけれども、いわゆる資金が行き詰まった、かようなことでございます。
  12. 倉成正

    倉成委員 死児のよわいを数えるわけではありませんけれども、もし夕張炭鉱ガス突出事故がなかりせば、このような状況になったかどうか、管財人としてどう御判断になりますか。
  13. 大澤誠一

    大澤参考人 仮定の問題で非常に答えにくいのでございますが、私は、もしあのガス突出事故がなかったとしても、あれだけの膨大な借金を背負い、そしてまたあの坑内の骨格構造であるならば、やはりお隣の三菱大夕張との比較をいたしましても、経営の危機がいずれ参ったんじゃないか、かように考えております。
  14. 倉成正

    倉成委員 結局、ガス突出事故がなくてもなかなか経営がうまくいかない、また、今日の段階では資金繰りがどうしてもつかないから、涙をのんでこのような再建計画を出したのだという大澤管財人のお話でありますけれども、今日、エネルギー資源をほとんど外国に依存しておるわが日本としましては、石炭資源というのはかけがえのない資源であることは御承知のとおりであります。この貴重な国内資源である石炭を確保するということは、経済安全保障の面からも大切なことであると思います。  もろもろの困難の中で、何らかの形で山を残すという前提で、今後とも更生の道を探っていただくことが大切だと思いますけれども、そのためには、あの不幸な事故がありました経験を生かして、保安の確保と安定経営、この二つを両立させなければならないと思います。これを実現させるために解決を、要する要素というのはどのようなものがあるか、管財人の率直な御意見を承りたいと思います。
  15. 大澤誠一

    大澤参考人 新鉱は炭量といい炭質といい、日本で有数の資上源でございます。やはりこの資源は将来開発をしていきたい、こういうことを私は強く考え、また、だれかに開発をしていただきたいということを考えております。  ただ、そのためには、いま申しましたように、新鉱の会社を設立する時点において、石油ショックの問題もありまして、設備投資が非常に過大になっている、それからまた、夕張一鉱、二鉱、平和、清水沢と、閉山をすれば必ず赤字が残っている、こういったものを抱え込んで、五百億余りの負債を抱えての経営でございます。償却資産もべらぼうなもので、他の炭鉱と比較にならない。  先ほど私は、もし事故がなかったらどうかという御質問に対して、やはりむずかしいのじゃなかったろうか、こういうふうにお答えしましたが、今後この十尺層を開発する新会社ができたとしても、現在の新しい金で設備を投資していくと、六十二年の終わりには二百億余りの赤字が出てくることは火を見るよりも明らかでございます。そのためにさらにいまの赤字、資産を継承する、こういったようなことでは、私は新しい会社は絶対できないと思います。  ただ、いまの更生担保権なりを一切整理をしまして、身軽にして継承していただくということであるならば、私はやはりまた新しい炭鉱開発していただきたい、かように強く期待をいたしております。しかしながら、これは非常にむずかしい問題と考えております。
  16. 倉成正

    倉成委員 大澤管財人にもまだ御質問したいと思いますけれども三浦参考人にお尋ねしたいと思います。  先ほど切々たる心境を三浦参考人組合長としてお述べになりました。退職金につきましても、歯を食いしばって再建のために協力をしてきたというお話でございますが、他社には例を見ない多額の未払い労務債、この処理ということがやはり今後とも最大の問題になると思いますけれども、その解決がどのような形で図られるべきか、ひとつ率直に三浦参考人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 三浦清勝

    三浦参考人 お答えを申し上げたいと存じますが、端的にお答え申し上げたいと思います。  先ほども申し上げましたように、労務債内容、性格からいきまして、私どもは完全に返済をしてもらいたい、それは当然北炭会社でわれわれから借りたわけでございますから、北炭が完全に清算をすべきである、こう考えております。問題はいろいろありましょうけれども、私どもいま炭労ともども北炭に要求を出しまして、北炭グループを含めて全体で一〇〇%返済すべきだと要求を出しまして、いま行動をとっておる次第でございます。
  18. 倉成正

    倉成委員 萩原参考人にお尋ね申し上げたいと思います。  ただいま大澤管財人三浦参考人からいろいろ御意見の開陳がございました。また萩原参考人からも、労務債の処理については基本的な考え方について明確にお答えがありました。これは北炭の責任である、しかし現在の状況は三井観光を含めて非常に苦しい状況にあるので苦慮しておるというお話でございましたけれども、ただいまの管財人あるいは三浦参考人の御意見を聞かれまして、今後どのような形でこの労務債の解決のために協力をされるかということについて率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  19. 萩原吉太郎

    萩原参考人 関連十八社、三井グループの中ですが、三井観光状態については先ほど簡単に申し上げました。そしてその中で、また北炭支払い能力がなければ関連のところが力を合わせて払わなければならない、これも申し上げておりました。この二つのことから、われわれとしてはできない中でもどうやって支払うか、これはいろいろ各方面等の御援助、またうっかり申しますと心証を害する取引先というか関係先も入っておりますけれども、私としていま考えておりますのは、関連会社でもそうですが、三井観光でも資産の売却による捻出という以外ないと思っております。と申しますのは、すでに九十億、これも銀行から借りて北炭へ融資してございますが、もしさらにこの上やっていくと、金利負担を年々七億ずつこれから毎年払っていかなければならない。現在三井観光状態だけで見ましても、二百四十億の売り上げがありながら一年の利益の計上は一千万円にしかならない。なぜであるかというと、もっぱらそうしたものの影響を受けておるのでございます。そうすると、これ以上借りて援助をしたのでは、長いうちに今度は三井観光が存立を危うくいたしますので、資産の売却よりほかないと現在のところ考えておりますが、その資産について、これにはいろいろ担保もついておりますし、それらの解除も行わなければならず、買い取り先をどこにするかというようなことでいろいろ検討いたして、何分にも来月の二十一日には二千名が解雇されると言い渡されておるのですから、それまでに全力を挙げて、でき得る限りの資金援助を捻出したいと思っておる次第でございます。
  20. 倉成正

    倉成委員 通産大臣にお尋ねします。通産大臣は、ただいま大澤管財人を初め三浦参考人萩原参考人の御意見をそれぞれお聞きになったと思いますが、大澤管財人の示された方針についてどのようにお考えになるか。  また、わが国の石炭政策は二千万トン体制ということを打ち出しておりますけれども、現実にはもうすでに千八百万体制になっておりますし、また北炭が仮に閉山ということになれば、この二千万トン体制というのは事実上崩れたことになるということを非常に危惧いたしておりますけれども、この点についてどうお考えになるか、お答えをいただきたいと思います。
  21. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 大澤管財人が今回打ち出された方針は、営業の休止によるところの事業縮小、さらに従業員全員解雇という非常に厳しい内容を含むものでございます。このような事態に立ち至ったことに対してはまことに残念でありますが、管財人の今回の方針は、労務債の処理等困難な問題が山積する現状のもとで、山を残すという前提で将来の開発への展望をも含めた更生の方途を探るために真にやむを得ないものである、こういうふうに受けとめざるを得ないと存じます。政府といたしましては、以上の認識に立ちまして、大澤管財人のこの方針を支持することといたしております。今後管財人が、労働組合及び北炭グループを初めとする関係者の協力を得て、この方針のもとで会社更生法の定めるところに従い、一日も早く何らかの更生計画が策定されるように心から期待をいたしておるわけであります。  なお、二千万トン体制が揺らいでくるではないか、こういう御質問でございますが、これにつきましては、御承知のように昨年八月に石炭鉱業審議会のいわゆる第七次答申におきまして、石炭供給の経済性と安定性の調和に配慮しつつ国内炭の活用を図るとの考えに立って、現行の私企業体制のもとで、当面現存炭鉱の現在程度の生産水準の安定的な維持を基調としつつ、今後の石炭企業の体質改善や需給環境の好転に応じて、将来における二千万トン程度の生産の達成を目指すことを基本的な考え方とすべきである、こういう答申を得ておるわけでありまして、通産省としてもこの答申の趣旨を十分尊重して、今後の国内炭政策の展開を図ってまいる所存でありますが、本答申の基本的な考え方自体は、今回大澤管財人の示された方針によりまして北炭夕張閉山になる、こういうことになりましても、その方針について変更する必要はない、こういうふうに考えております。  われわれとしては、今後ともあらゆる努力を傾倒しつつ、審議会の答申を尊重しながら、二千万トン体制に向かって努力を重ねていく考えであります。
  22. 倉成正

    倉成委員 通産大臣は、大澤管財人方針をやむを得ないという基本的なお考えのようでありますけれども北炭夕張の問題は、単に夕張の問題にとどまらず、全国の石炭関係の労使のみならず、少なくとも石炭の問題に関心を持つ人が息を詰めて見詰めておる問題であります。したがって、この処理いかんによりましては、わが国の石炭政策、またこの石炭の問題について大きな影響を及ぼすことを私は危惧しておるわけでございますが、特にこの問題が直接的に北炭真谷地炭鉱あるいは幌内炭鉱へ波及するということになれば大変なことになると考えるわけであります。これらの影響を最小限にとどめるためにはどのようなことを考えたらよいか、どのような手当てをされておるか、通産大臣のお考えを承りたいと思います。
  23. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 幌内社及び真谷地社は、夕張社に対しまして融資、物的保証、物的担保の提供を行っているほかに、北炭社を含めた四社の間で相互に連帯保証関係にあるなど、これら両社は夕張社と密接な関係にあることは御承知のとおりでありまして、北炭夕張社事業縮小することになった場合は両社への影響は多大なものがある、こういうふうに予想されるわけであります。  こうした両社の実態にかんがみまして、昨年十二月の夕張社更生手続開始申し立てに際しましても、政府としましても直ちに関係金融機関、取引先に対して、保証債務の追及を見合わせるよう要請するなど、幌内、真谷地両社への波及を防止するための努力を傾注してきたところでありますが、今回の事態を踏まえて、去る二十一日に両社の各債権者に対して引き続いての協力を要請をいたしましたほか、二十四日には債権者懇談会を開催をいたしまして、正式に協力要請を行ったところであります。  両社の経営の安定のためには、両社労使が一体となって経営改善努力及び関連グループの協力が基礎となることは申し上げるまでもないわけでありますが、政府といたしましても、今後とも関係金融機関、地方公共団体の協力のもとに、夕張社再建問題が両社へ与える影響を最大限食いとめるように、これは私もかねがね両社に対する波及は何とか避けたい、どうしても避けなければならぬということを言い続けてまいって、それなりの努力政府としてもやってまいったわけでございますし、今後ともこれに対してはひとつ全力を尽くして波及を防いで、真谷地、幌内両社が今後ともこの石炭の採掘を安定的に行うように努力を続けていく考えでございます。
  24. 倉成正

    倉成委員 その点に関しては、きめ細かい配慮を特に要望申し上げたいと思います。  さらに、三浦参考人からもお触れになりましたけれども、今回の問題は、単に夕張炭鉱に働く従業員並びに家族の問題のみならず、下請関係方々、またこの夕張炭鉱関係の深い中小企業の方々にはかり知れない大きな影響を及ぼすと考えるわけでありまして、これらの下請企業関係また中小企業の方々、また夕張市の財政、夕張市民に及ぼす影響ということも大変な心理的、経済的、あらゆる面で大きいと思うわけでありますけれども、これに対する支援措置をどのように考えておられるか、通産大臣に率直にお伺いしたいと思います。
  25. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 この北炭夕張社閉山ということになりますれば、いまお話がございましたように、下請皆さん、さらにまた夕張市の北炭夕張に非常に依存をしておる関係者、あるいはまた夕張市そのものに大変な大きな影響が出てくることは当然予想されるわけでございます。私もこれは最も心配をしておるところであります。  したがって、これに対しましては、すでに夕張社更生手続を開始をいたします際に、政府といたしましても関係金融機関あるいは地方公共団体等にも協力も要請し、政府みずからも直接努力をいたしまして、もろもろの対策を講じてまいったわけでございますが、今後とも大きな打撃の予想されるこうした関係者あるいは地域に対しましては、あらゆる角度から、私もすでに大臣としての談話で申し上げておりますような支援夕張市に対する財政的支援であるとか、あるいはまた中小企業関係に対するいろいろの金融措置であるとか、そういうことにつきまして努力を重ねてまいりたい。  同時にまた、政府だけが努力をしてもこれはどうにもなるわけではございません。関係金融機関等にも強く協力を要請して、何とかこの地域が壊滅的な打撃から免れるように今後努力を重ねてまいりたい、こういうふうに思っております。  政府としても、ただ通産省だけでそういう問題に取り組めるわけではありません。あしたも閣議で要請したいと思っておりますが、関係省庁等にもこれに対する協力を強く求めて、関係各省一体となってこれに対して努力を重ねてまいる考えであります。
  26. 倉成正

    倉成委員 時間の関係上、私の質問は以上で終わりますが、九十三人のとうとい犠牲者の涙の乾かぬうちにこのような重大な局面を迎えたわけでありますけれども、貴重な石炭資源の確保という面からも、一日も早く山の将来の明るい展望を確立することによって、従業員方々並びに地域の方々に不安を与えないように、政府当局において最大限の努力をされることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  27. 枝村要作

    枝村委員長 岡田利春君。
  28. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 本日議題になっている北炭夕張炭鉱の問題は、私に言わせると、いままで一貫した石炭政策の個別企業対策の矛盾のあらわれである、こう指摘せざるを得ないと思うのです。したがって、このまま推移すれば、今後も第二、第三の夕張炭鉱問題が起きる、こう私は率直に指摘をしなければなりません。そういう認識の上に立って、私は各参考人に対する質問を行いたい、かように思います。  そこで、まず第一点は大澤参考人に。今回提案された内容労務債は百十五億と書かれておるわけです。これは恐らく社内預金を百二十三億から引くと大体百十五億になるわけです。という意味は、管財人として社内預金については支払いすることができる、こういう認識の上に立って労務債は百十五億、こう述べられたのかどうか、お伺いしたいと思います。
  29. 大澤誠一

    大澤参考人 社内預金の七億八千万と、いわゆる一般の労務債百十五億、これは使い分けております。
  30. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 含まれていないわけですね、百十五億に。提案された文書は百十五億になっておるわけです。しかし、労務債は百二十三億だ。数字の違いは社内預金だと私は思うわけです。したがって、社内預金については管財人として支払いできる、こういう認識で百十五億と述べられたのでしょうか。
  31. 大澤誠一

    大澤参考人 百十五億の労務債というのは、退職金とか期末手当賃金等の未払いのことでございます。社内頭金は七億八千万、このうちに退職者の方が幾らかあると思いますが、これは会社を継続するならそのまま継続する、すぐ支払い対象ではない、こういうことになると思います。
  32. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 社内預金をおろさない労働者の心情を私は思いながらお聞きいたしたわけです。  そこで、三浦参考人にもお伺いしますけれども、この北炭社の場合には過去四山の閉山が行われておるわけです。夕張一鉱が昭和四十八年十月、平和鉱昭和五十年三月、夕張新二鉱は五十二年六月、清水沢鉱が五十五年四月、このように閉山が行われておるわけです。どうしてこれだけの債務が、労務債がたまったのかと調べてまいったわけですが、夕張一鉱と平和鉱の場合には、鉱員に対しては退職金は全額払っておるわけです。職員に対しては四百万の頭打ち以内で払っておるわけですが、ただし、これは金利三・五%で、最終的には三・五%の元利合計分を差っ引く、こういう内容になっておるわけです。夕張新二鉱の場合には、鉱員に対しては三分の二支払いが行われて、三分の一は未払い。清水沢については、二分の一が支払われて、三三%、三分の一が未払い、残りの一七%が社内預金。こういう形になって、約四億社内預金に占めている、こういう実態になっておるわけであります。  そこで、私が非常に問題だと思うのは、今日の閉山交付金の制度は、それぞれ申請が行われて個人個人の口座に振り込む、こういう制度になっておるわけであります。ところが、ずっと歴史的な内容を調べてまいりますと、そうはなっていないのですね。これは閉山交付金制度の運用について重大な問題がある、こう言わざるを得ないのですが、通産省、労働省は御存じでしょうか。
  33. 弓削田英一

    ○弓削田説明員 先生御案内のとおり、閉山交付金にかかわります賃金債の代位弁済につきましては、新エネルギー総合開発機構が当該弁済を行う旨の公示を行いまして、申し出のありました賃金債に対しまして、法令に従いまして直接に代位弁済を行っているような状況でございます。  御指摘の北炭関係の四山の閉山についてでございますが、以上の手続きによりまして、申請のありましたものに対しましては法令に従って代位弁済を実施しているわけでございまして、これまで本制度の厳正な運用を行ってきたところでございます。
  34. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 これはそういうことにならぬですね。自分が四百万もらえるのに二百万しか申請しないというばかな人間がおりますか。もしそういうことがあったならば、これはおかしいと思うでしょう、もうすでにめどでは計算しておるわけでありますから。それが全部一律二分の一払われるというばかな話はないわけですね。制度の運用について重大問題があるわけです。もし部長が厳正な運用をしておると言うならば重大問題であります。  時間がありませんから問題点として残しておきますけれども、第三次肩がわり以降、大型閉山したのは、この四山以外にないわけです。あとには閉山はないわけです。閉山収支では約二百億の赤字であることば間違いがありません。だが、基本的な北炭社のこの夕張の問題は、開発が二年長くかかったということ、常に計画が未達成であったということ、そして災害が起きたということ、これらが主要因でありますけれども閉山収支の問題については他のいかなる炭鉱とも違った要因を持っているということは、かねがね私が指摘した点であります。そういう点を前提にして御質問いたしたいと思うのですけれども、私の指摘した点について三浦参考人、これは間違いがないと思うのですが、いかがですか。
  35. 三浦清勝

    三浦参考人 先生が御指摘のとおりでございますが、ただ、夕張新二鉱の閉山の時期でございますけれども先生は五十二年の六月とおっしゃいましたが、五十三年の九月でございます。
  36. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そこで萩原参考人にお伺いします。  いま萩原参考人から、労務債の完済は北炭グループの責任である、したがって、そのために最大限の努力をする、こう明確に述べられたわけであります。私も十数年来、この新鉱開発の問題をめぐって以来、参考人とはよくお会いをしたこともあるわけであります。これはいわば北炭再建の決め手である、そういう前提に立ってこの開発が行われたわけであります。そういう意味で、萩原参考人は今日北炭グループの実質上の頭領である、こういう認識を私は持っておるのであります。それだけに、この山の将来について萩原参考人としても非常にいろいろ思いめぐらすこともあるのではないか、こう思います。しかし、いずれにしても、いま当面問題なのは労務債を処理するという点が問題であります。参考人が述べられた最大限の努力という意味は、百二十三億の旧労務債があるわけでありますが、この百二十三億の労務債を目標にして最大限の努力をするという意味だ、私はこう受け取りたいのでありますけれども、いかがでしょうか。
  37. 萩原吉太郎

    萩原参考人 まあ労務債退職金と給与の一部保留額と社内預金、この三色ございまして、労務債といえばこれ全部ということになるのでございますが、私どもとして、まずこの全額の百四十九億円、これはとうてい先ほど申し上げたような事情でグループではこれだけの捻出ができない。これは初めから思っております。できないということは不可能ということでございますけれども、さて私はこれを考えている中で、まず社内預金、これはどんなことがあっても払わなくちゃならない。それから退職金のうち旧債、これから起こるものではなくて古い方の分、これも何とかしたい。これがわれわれの考えている——これは力があるとかなんとかじゃなくて、やらなければならぬなと考えておるところでございます。それから給与の一部保留額、これが二十億ございますが、これについては、これは資金の状況でございますので、本来当然債務でございますけれども、これは当時の事情が後払いという約束で、途中からカットしたというような問題ですから、これについては無論力があれば払わなくちゃならないと思います。  ただ、ここで問題になりますのは、その中で保留しました分を組合が労働金庫から借りてそれで渡した、こういう問題があります。これが保留してある額のうちの十五億ぐらいになるのじゃないか。これは組合対労働金庫の問題で、組合が借りて払っているのですから、これもというと全部むずかしくなってまいります。  私の方でどのくらいの何を対象としてやっておるかといえば、百四十九億の労務債のうち、新たに起こる新債というものは、閉山ということで閉山交付金でやる。これは閉山交付金によってやっていっていただくとすると、残るのは古い退職金、それから社内預金、それから給与の一部保留額、これが問題を含んでおる点としてあるのでございます。そういうわけですから、われわれがどうやったらこの全額払えるかというと、これでも、旧債と社内預金だけ見ましても七十一億円になる。社内預金は一〇〇%の支払いはできるのでございます。私は炭労の座り込みを三回受けております。そして野呂委員長以下とも話した。一部では、もう何にもしないぞとすっかり伝わっちゃっている。ところが、この組合の席上でも、しないと言ったことは一回もない。できるだけやろう。ただ最後のときに、組合の言うとおりなわけにはいきませんとおれは思うということを申した次第であります。そう言っております関係からしても、いかにしてこれを捻出するか。私が言った以上、苦慮いたしておりまして、鋭意やっておりますが、一〇〇%と言われても、すでにその節申したとおり不可能な数字になっていると思うのでございます。
  38. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 いま参考人が述べられた給与、賃金未払い分十四億五千八百万のうち、会社が保証して、賃金が払えないから労働者が労働金庫から借りたのが約十億と私は承知をいたしておるわけです。これは会社が保証しているわけですね。賃金が払えないから、保証するから労働組合は、労働組合個々の組合員が労働金庫から金を借りてほしい、こういう内容であることをひとつ御認識を願いたいと思うのであります。  そこで、いま参考人が述べられた点で、現金がすぐ自分の手元にあるわけではないわけですから、その案として資産の売却、優良会社の売却等の問題もすでに報道されておるわけです。この点について政府協力も得たいという意見が述べられておるし、同時にまた報道においても、安倍通産大臣萩原会長からそういう要請を受けたという点もすでに報道されておるわけですが、いまのこの参考人意見に対して通産大臣はどのようにその場合協力的な対応をするおつもりですか。
  39. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いま萩原参考人からも、この労務債については責任を感じておる、できるだけのことをしなければならない、そういう決意であるという意見陳述もあったわけであります。私も一昨日萩原さんにお目にかかりまして、大澤管財人結論をやむを得ないものとして政府が支持しておるし、同時にまた、山は残すという立場で今後更生計画が策定されるように、政府としても大澤管財人努力を要請いたしておるわけでありますが、その最大のネックとなるのは労務債であります。その労務債については、何といいましても北炭グループ協力がなければこれは処理できないわけであります。そういう観点から萩原さんに対して、これまでの経緯等から見て北炭グループがひとつ責任を持って、責任を強く感じてこれらに対して積極的に対応していただきたい、これなくしては今後の山は残すという課題に対して、あるいは閉山ということすらも困難になってくるのじゃないか、こういうことで強くお願いいたしました。  先ほど申し上げましたように、萩原さんも責任を強く感じて、これに対してはできるだけのことをしたい、そして現在ここで同様の趣旨の御説明があったわけでございまして、われわれとしては、それではどういう形で具体的に今後実行されていくかという問題について、これは事態も切迫をいたしております。その点で私たちも大変注目をいたしておりまして、今後の交渉によりましてだんだんと具体的にその内容が明らかになってくると思いますが、その間にあって政府としてもできるだけの協力をいたして、この目的が実行できるように配慮してまいりたい、こういうふうに考えております。
  40. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 協力する場合には、税その他の問題がありますから、そういう誠意をもって協力する場合には政府としても対応して相談に乗るべきだ、こう私は思うのであります。  ところで、私が強調しておきたいのは、たとえば大澤管財人提案どおり全員解雇閉山ということになっても、この炭鉱は非常に新しい炭鉱なわけですね。したがって、いまの合理化臨時措置法の制度で閉山交付金を計算すると、鉱員の場合には大体四百万、若干余る人も多少おるか知りませんけれども、大体は四百万程度以内におさまる、こう言えるのであります。問題は、先ほど指摘したように、職員の場合にはいままでの閉山の場合にも全然支払っておりませんから、これが結局大きな金額になってくるのであります。いままで閉山になっても一銭の退職金ももらわないで、個人が四百万もらえるのをもらわない状態にあって、それが債務として残っている。職員部分は、その場合には全部四百万以上でありますから、恐らく一千万以上の平均があるでありましょう。新しい労務債が発生する場合にはそこに問題があることを特に関係者の皆さんは十分理解をしてもらわなければならないということを強調しておきたいと思うのであります。  そこで私は、いま萩原参考人からも御意見が述べられたわけでありますけれども、通産大臣がまた談話でも述べておりますけれども、少なくともまず前提となる旧労務債が処理できなければ、真谷地、登川に影響を与えないと言いながらも影響を受けざるを得ないでしょう。いや、真谷地、登川だけでなくして北炭社全体グループに重大な影響が起きてくることはきわめて当然だと思うのです。北炭社の一〇〇%の出資会社でありますから、私はそう思うのであります。そういう認識については、通産大臣はいかがですか。
  41. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これはおっしゃるように、労務債の処理というのが閉山に至るまでの間の非常に重要な最大のかぎを握っている課題だと私は思います。したがって、この問題の処理について、先ほどから萩原さんもお述べになっておるように、北炭グループがひとつ全力を挙げて御協力をしていただかなければならない、そういうふうに存じておりますし、これに対して解決がつかなければ、いまお話のありましたように、これはやはり地域全体、同時にまた幌内とかあるいは真谷地とか、そういう炭鉱にも非常な影響が出てくることも十分考えられるわけでございまして、そういう点でまさに私は、この労務債の処理というのが北炭問題を処理する最大の課題である、大前提である、こういうふうに考えております。
  42. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は、萩原参考人の名誉のためにひとつお聞きしておきたいと思うのですが、報道によれば、NEDOの貸し付けの三百三十九億のうち二分の一の約百七十億円については貸付条件として萩原個人の保証として残っているということがすでに報道されているのであります。この点について萩原参考人はどういう御理解でしょうか。
  43. 萩原吉太郎

    萩原参考人 ただいまのも新聞で知りたんですけれども、実は私は出たり入ったりと言われてまして、すでに四十二年に社長をやめ、そうしてまた新鉱のために戻って、四十七年に相談役になって、幌内の爆発でまた会長に戻ってきて、また林君の自殺未遂事件の後へ出ていって、いま北炭の方が忙しくて、自分債務がどういう性格か、ただ借りるときに持ってくると判を押しておるので、実はこれがもう少し落ちついたら、自分で個人保証の意味というのはどうなのか、どういう形でそういうことが行われているのか調べたいと思っているのですけれども、何分にも北炭がもう少し落ちつかないと、個人の問題なんかで経理に間い合わせられませんので、まことにうっかりしているとかなんとかというより、借りる以上は判を押すものと思って全部押しておりましたので、どれがどうなっているのか私にもわからないのでございますが、これは至急自分でも調べてみたい、こう考えております。
  44. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 大澤参考人にお聞きしますけれども、旧労務債について北炭グループ協力を得て処理できた場合、労働組合も納得できたという場合には、あなたの提案内容は変更になりますか、どうですか。
  45. 大澤誠一

    大澤参考人 労務債が完済されたならば骨子が変更されるか、これは骨子は変わらないで、労務債の項が解決するというふうに理解しております。
  46. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そうしますと、大澤管財人提案内容が変わる前提となる北炭グループ協力というのは、先ほど大澤管財人が述べられた百八十億ですか、そういう協力があれば変わるという意味であって、旧労務債だけでは変わらない、その部分が変わるだけだ。しかし、あなたが言われた当面の労務債の問題について、初めその他の北炭グループ協力があれば提案内容が変わるという協力の金額は、では幾らですか。
  47. 大澤誠一

    大澤参考人 先ほど陳述のときに申し上げましたように、五十八年までに百三十億ぐらいの金が開発資金として要る。ですから、労務債が完済されてさらに今後の開発資金が可能であるとなれば、やはり仮定の問題ですが、一応考えなければならぬ問題かと思います。
  48. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 大澤提案によれば、二十一日に、全員解雇閉山という提案であります。しかし、われわれは、石炭政策の流れから見て、残念ながら個別対策、企業対策をやらなければならぬわけでありますけれども、たとえば明治が五山の企業ぐるみ閉山をしたわけですね。そうして北海道二山が閉山になって、九州三山は残したわけです。企業ぐるみ閉山を残したわけですね。これは余り投資を伴わないいわば残炭部分といいますか、上がり採掘、こういう方向で残したわけです。地域経済のために残したという経緯があるわけです。もちろん、いまの制度もいろいろ運用上の問題があるでしょうけれども大澤提案であっても、西部閉山、その中で残炭採掘できるともし仮定すれば、どの程度の雇用がありますか。
  49. 大澤誠一

    大澤参考人 残炭だけの採掘をした場合の雇用、これについては一切り羽だけの意味でございますかどうか私はわかりませんが、もし一切り羽ということであれば、場所にもよりましょうが、せいぜい四、五百人。これは回答が間違っておるかもしれませんが、西部十尺層の残炭の一切り羽をするならば幾らの人間が要るか、いわゆるボタ捨て場までの人間を考えるならば四百人ぐらいは要るだろうと考えます。
  50. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 管財人提案は将来に残したわけですね。通産大臣もそういう意味で、将来は北部開発するのだ、そのリードタイムは、述べられているように大体四年九カ月から五年七カ月で一切り羽、二切り羽ができる、七十五万トンの体制になるという展望を述べて、通産大臣もそういう希望があるのだということを盛んに強調されておるのであります。しかし、これもいろいろの制度の関係があってのこういう書き方だと思うのですけれども、しかし坑底から、たとえば水平の立て入れを切る、それから斜坑で入るということは、全部既採掘区域内であります。やる気になれば直ちにこれはかかることができるわけですね。そうして進めながら、ある程度のボーリングを打って、立て坑の位置を決めて、第三排気立て坑を掘る。そして通気体系というものを中央式から対偶式に切りかえていく。そうなってまいりますと、当然雇用の問題も違ってまいるわけでありますし、リードタイムも違ってくるわけですね。ですから、いま言ったように立て入れが直ちにかかることができる、西部を除いてできると仮定すれば、このリードタイムは大幅に縮まる、こう私は思うのでありますけれども、御認識ばいかがでしょうか。
  51. 大澤誠一

    大澤参考人 先ほどの返事がちょっと食い違っておりましたので訂正しますが、いわゆる残炭十尺層、それから平安八尺層、将来新区域の十尺層を開発するといったときの所要人員がどの程度か。これは職員が百三十六名、鉱員が八百十四名、従業員が四十四名、坑外雑給四十九名、千四十三名ということを考えております。  いまの開発までに時間がどれくらいかかるか。残炭だけの六十万トン——一切合財何もかも合わせると、残炭というのは百五万トンぐらいございます。しかしながら、これは保安上あるいは収支面から見ると、昨年十月の事故がなければ当然十尺層においていまごろは二切り羽開発されておったであろうという場合には、すべてというよりほとんどが捨てた炭量でございます。これをあえてとろうということであれば百五万トンはございますけれども、私たちはそのうち六十万トンぐらいは採掘可能であるというふうに考えております。一切り羽一年三十万トンぐらいとすると二年ぐらいです。  そうすると、将来平安八尺層に一切り羽つなぐということはできますが、問題は新十尺層の開発をどうするか、いわゆる立て坑ができ、水平坑道ができて、完全な対偶式通気が完成した上に初めて開発し得るか、ここが問題だろうと思いますが、当然いままでの過去の実績、また昨年の災害、今後の保安というものを十分に考えるならば、やはり立て坑なり水平坑道を貫通させて対偶式通気経路というものを確立して初めてやるとするならば、先ほど申しましたように四年九カ月、五年七カ月の期間がかかります。その間、先ほど申しましたように六十二年の終わりごろまでは二百億の赤字は確実に残る、こういう試算でございます。
  52. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私はいまの二つの質問はセットして考えているわけじゃないわけであります。弾力的に考えて質問いたしているのであります。特に北部区域というのはすでにバージン坑区ではないのですね。山を開発してボーリングも打って坑口を設定して、いままで六年間炭を掘ってきたわけです。災害があった現場にも到達したという実績も持っておるわけであります。ですから、立て入れを切っていく、そうするとまた新しい炭層にぶつかるでしょう、これは切っていかなければならぬでしょう。そういう点で判断していく場合に、直ちにかかれば、並行的にボーリングを打って立て坑の位置を決めれば、これは盤下でもって骨格坑道を築くわけですから、保安上重大な問題がそんなに起きるはずがない。要するにそういう骨格坑道ができて、通気が対偶式になって切り羽が設定される、それにはどういう採掘方式かということは、その間に決定されるでありましょう。そういう判断に立つ場合にはリードタイムとしては長過ぎる、これは短縮することが可能であるということを指摘をしたという点について、まず御理解を願っておきたいと思うのです。私のそう言う意味について十分ひとつ御検討願わなければならないと思います。  萩原参考人にお尋ねしますけれども、記者会見では萩原参考人も、どういう形であってもこの山を、優良資源が賦存しているし、地元経済の問題もあるし、雇用の問題もある、そういう点からもこの山の存続を強く希望しているということを述べられておることを私は読んでおるのであります。将来のこの山を残すという点について、萩原参考人の御意見があれば承りたいと思います。
  53. 萩原吉太郎

    萩原参考人 私は、ただいまお話しのようにガス突出がなくても大変だったと思いますけれども、私は、実は四十七年の五月以降、何かあれば出ていくけれども、役員会も一回も出ていないので詳しい事情はわかりませんが、たまに社長からの話によれば、少なくとも爆発前には非常な自信を持って語っておりました。まあそれはすでに起こった後で、しようがありませんが、私は、あそこの北部の方の開発というもうは、言うなれば事故が起こらなければやがてあそこを出したときにはドル箱になるぞ、こういうふうな考えを持っております。ですから、北炭の人々とすればやりたいけれども、私は、それじゃ北炭の系列でやるのはやめなさい、多くの犠牲を出し、事故、人災を起こしている、それからさらにこれを整理するには非常な御迷惑をかけるんだから、北炭の系列でやらなくても、どこかの会社かまたは第三セクターででも、第三セクターという構想は夕張の市長がしきりに言っていることです。それがやれるんだったらそれにこしたことはない、どんな形でもいいからあそこは開発してもらいたい、こう思っております。  それはまあ、技術の点から管理の点から見て率直に劣っていた、これは自分でも認めざるを得ません。しかしながら、第一立て坑一本でも、あれを開くのに三年と四万六千五百人の人員があそこへかかってきておる。これはおかしいようですけれども、五十五気圧という異常な高圧の湧水がありまして、学者の先生方も考えられないことだ、それを乗り越えてやってきたような思い出のある山なんです。ですから、ああいうことまでやってきて、しかも下にきわめて優秀な炭があるんだから、ぜひこれはどうしても開いていっていただきたい、こう考えております。
  54. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 萩原参考人の御意見を聞きながら、私は結局、いずれにしても大澤管財人提案自体もまだ展望というのが私に言わせると霧の中に封じ込められておる。問題は、労務債の処理という問題が大前提になっている。もちろん新規の労務債の問題についても、特に職員の問題、これが問題として発生してくるわけであります。しかし、そういうハードルを越えながら行く場合には、いま大澤管財人、通産大臣が強調している面から言えば、どうしてもこれは石炭業界協力を得なければならぬし、これに政府協力援助を与えるということでなければ夢のまた夢に終わってしまうことは当然であります。いまの状態の中では、いまの示している、われわれが承知している展望であっては、何かカンテラのともしびがともっているようなものであって、強い風が吹けば消えてしまうということになるわけであります。したがって、そういう展望について、業界の協力姿勢というものについて通産大臣は十分確信を持たれているか、あるいはまた管財人としても一つの感触を持ってこういう点について語られておるのかどうか。そして、それがそうであるとするならば、私が幾つか事例を挙げて指摘しているように、この北炭グループ協力と相まって、もう一度その展望の具体的な内容について検討することが可能である、こう思うのでありますけれども、その点についてはいかがでしょうか、通産大臣。
  55. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いま、この閉山問題をめぐりまして大変大きなハードルを越えていかなければならぬわけでございます。まず、これを何としても越えなければならぬ。そうして、先ほどから私も強調いたしておりますように、将来につきましては、山を残すという大前提のもとに北部の再開発をぜひともやり遂げなければならぬと思います。  しかし、おっしゃるように、これもなかなか容易なことではないことは言うまでもないわけであります。資金的な面からいいましても、いま大澤管財人も申し上げましたように、まず二百億の債務を背負って始めていかなければならぬ、こういうことにもなります。あるいは経営主体をどうするかという問題も、これまたこれからの大変大きな課題であろうと思うわけでございます。  しかし、政府としましては、特に私はこれまでも強調しておりますように、何としてもあの北部はこれから開発したい、明るい将来に対する展望をあの山によって求めてまいりたい、そのために政府としても大いに協力をするということを言っておるわけでありまして、これを実行していくには、もちろん政府は当然でありますが、石炭業界の御協力がなければとうていこれは実行できないわけであります。技術の面においてあるいはまた経営の面において非常に困難な問題が山を残すというために大きく横たわっておるわけでありますが、これだけは何としても突破して、そして将来にわたっての展望をはっきりとさせてまいりたいという考えでありまして、そのためにこれからもひとつ全力を尽くしてまいりたい、そういう決意を持っておるわけであります。
  56. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私の指摘する点を大臣は十分のみ込まれてないと思うのであります。私は、二百億の借金を背負ってやろうなんてむちゃな、整合性のないことを言っているのではないのです。ある段階に来たらもちろん、どういう受け皿になるか知りませんけれども、受け皿ができる。閉山するという提案をしておるのでありますから、立て坑の施設とかそういうものはNEDOならNEDOが担保として当然押さえているわけでしょう。新会社にそれを譲渡しなければならぬわけでしょう。その場合に、開発をして一応採算ベースで安定的にやれるかどうか、こういう前提に立って組み立てなければならぬでしょう。多少の制約があっても、明治の例を出しましたけれども、投資の伴わない残炭掘りは認めていく。雇用があるでしょう。多少切れても、その雇用は次につながっていくんです。人間を全部はがして再開発するなんということは、いまの常識では判断できないのであります。そういう総合性を持って、私はいまの大澤提案の趣旨にのっとって実は質問をいたしたわけです。私の述べている点は専門的に検討されれば十分御理解できるだろうと思うのですね。大澤管財人として、私の述べている点は制約があるからできないけれども、そういう制約条件が私が言っているように取り除かれていけば、私がいま言った方法が一番ベターである、あなたの提案でも一番ベターである、こう言えるのではないでしょうか。いかがでしょう。
  57. 大澤誠一

    大澤参考人 私も、今後の十尺層の開発について必ず炭鉱の灯をともしたい、開発したい、これを最終的な目標として、念願として努力していきたい。しかしながら、その過程は労務債を片づけ、一般債権を片づけ、担保権の債権をどういうふうに処置をして最終的な締めくくりをするか、それによってやはり引き継ぐ新会社がどういうことになってくるか、この辺がここ数カ月の間に決まっていくだろうと思います。そういう灯をともすという目標に向かって、そういった債権の処理をしていきたいというふうに考えております。
  58. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 時間がありませんので、終わります。
  59. 枝村要作

    枝村委員長 塚田庄平君。
  60. 塚田庄平

    ○塚田委員 きょうは大変お忙しい中、各参考人におかれましては大変御苦労さまでございます。与えられた時間は非常に少ないのでございますから、あるいは失礼な言葉も端々に出ると思いますが、この点は時間に追われておるということに免じてひとつ御勘弁を願いたいと思います。  まず第一でございますが、先ほど萩原参考人の方からいろいろと労務債についての今後の対策といいますか、心組みといいますか、そういった答弁がございました。そばで聞いております大澤参考人の現在の心境ですね。北炭グループの総帥といいますか、いわば最高責任者だからここへ呼んだのですけれども、そういう人の言葉として、あなたは一体これをどう現在受け取っておられるか、御答弁をお願いしたいと思います。
  61. 大澤誠一

    大澤参考人 労務債の問題と思いますが、この問題については、現場の事情を考えますと非常に不満足だ、かように考えております。
  62. 塚田庄平

    ○塚田委員 私は率直に聞いておりまして、大臣が萩原参考人の答弁について、言葉どおり今後とも努力することを期待するし、私どももそれなりにひとつやりたい、こういう話があったのですけれども、真ん中にいる大澤さんだけが不満である。当面の責任者であるこの二人が顔を合わせたのは、恐らくきょう初めてじゃないかと思うのですよ。なぜ一体こういう事態で今日までじんぜん日を過ごしてきたのか。いや、社長がいるからいいんじゃないかと、ここではっきり出ているように、それは確かに社長はおります。しかし、なぜもっと腹を割って、大澤参考人萩原参考人は事態の好転のために話をしてこなかったのか。あるいはその間のあっせんといいますか、事態をよく知っているのですから通産省はなぜそういう労をとらなかったのかということについて、私は非常に残念に思うのです。これがもっと一月、二月あるいは三月前であったならば、いまここで、あと一月足らずの九月二十一日を前にして、こんなばたばたした議論、しかもこういう議論をやっても、九月二十一日までに何十億という金をつくるのですから、これは容易ならぬ離れわざをやらなければならぬと思うのですよ。なぜもっとじっくりと話をしなかったかということについて、これはだれから答弁をもらったらいいのか、それぞれひとつ参考人の考え方を御披露願いたいと思います。
  63. 大澤誠一

    大澤参考人 私は管財人になって以後、この労務債あるいはまた新鉱の対処の仕方については、やはり北炭の本社といいますか本店の粕谷社長を中心にして歯車は回るもの、かように考えておりました。北炭本社というのは各関係会社を采配をしておる。この辺私の初めの認識と、その後の最近の事情というものは、若干認識が変わってはきております。当初はやはり北炭本社であるといちずに考えておりました。しかしながら、最近のような情勢を見まして幾らか考えなければならぬ。私は、ですから萩原会長さんにお会いしよう、そういった気持ちは、初めからしばらくは持っておりませんでした。これはある人から注意を受けた後、そうかなというふうに考えました。私たちの会社であれば、本店がすべて子会社のことは采配を振るうというのが常識であるというふうに考えておりましたから。
  64. 萩原吉太郎

    萩原参考人 大澤管財人と私というか、むしろ大きく見れば同じテーブルに着いてのよく腹を割っての相談がなかった、こういう御指摘だと思うのでございます。私は、確かにこの国会に来て大澤管財人に初めてお目にかかりました。それは、それがどうのこうのというのじゃありませんけれども、私は、大澤管財人が社長を相手にすべきだという行動で来られた、これは管財人としてはごもっともだと思うのでございます。  私は、それでもさらに言うのですが、最初から、いま問題になっておるような問題点は管財人から管財人代理に一任されてしまっておるようなことになっておりますので、そういうふうなことがあって今日に至りましたが、私とすれば、過去どうであった、こうであったというよりも、ここへ来て、これからは、言ってきたらこれを批評してみるというか、片方の方も顔色を見ておる、また対立しておるような関係でなくて、同じテーブルに着いてどうするかというふうに事を運んでいただきたい。過去の経過についてはもう済んだことですから御勘弁願いまして、むしろこれからはそういうふうにやっていただきたい。それでなければ問題の解決が遅れるばかりです。それでだれが被害を受けるか、救われないのは労務者でございます。そういう点を考えて、われわれは考え直して、そういうふうに持っていきたい、また持っていっていただきたいと考えております。
  65. 三浦清勝

    三浦参考人 私も、先生の御指摘どおり私どもに死を宣告するような提案をする以前の最高当事者の努力が足りなかったと思います。
  66. 塚田庄平

    ○塚田委員 そこで大澤参考人、先ほどるる説明がありました中で、特に労務債の問題についてどう思うかと言ったら、ただ一言これは不満だ、端的に言うと答弁はこれだけですね。こういうことでは、これから両者がテーブルに着いていろいろと腹を打ち割って話し合うという空気を壊してしまうのじゃないですか、そういう考え方で臨んでいったんじゃ。私は率直に言って、大臣の言うとおりある程度の前進といいますか、少なくとも山本邦介君あたりから書面をもらったというのですから、ああいう通り一遍のものではなくて、努力を重ねるということが出てきておると思うのです。現にきのう団体交渉といいますか、たしか会社側と炭労を中心にしてやったはずです。これは三井観光ではありません。北炭本社もそれ自体が努力すると言っておるのですよ。それに、いま三井観光の問題が出てきた。いろいろと各方面全部努力をし合った上で、結局これだけだ。  そこで大臣、通産大臣はもちろんですが、大蔵大臣あるいは運輸省あるいは労働省、それぞれ協力し合って実質的に山を残すという方法を模索するのが管財人の責任じゃないですか。私はそう思うのですよ。したがって、先ほどの話のように、おれは不満だと言うことだけで事を終わらないように、ひとつ同じテーブルに着いて、この文句に出ておるとおり、山の灯を消さないとか、文句はいいですよ、いいけれども、その前後は全く山の灯を消すスケジュールをつくられておるということしか考えられないような文句じゃないですか。こういうことのないように、ひとつ今後、両者テーブルに着いてじっくりと話し合う、時間的な制限はありますけれども、このことをみんなに表明してもらいたいと思うのです。
  67. 大澤誠一

    大澤参考人 この労務債問題について基本的に考えるのはだれであるか。これは政府の問題でもない、金融筋の問題でもない。北炭グループ挙げていかにするか、歴代の幹部が労働組合組合長と調印をしながら、必ず払うということをやってきておる。しかも、長年にわたって積み重ねてやってきておることです。これは通常の会社経営からしても考えられる筋合いのものではないと私は思います。また、やらないと思います。  ですから、この労務債問題というものは、いま前進という言葉がございましたが、私は管財人になって百何十日になりますが、いまだかつて一度も前進した話はございません。また、二十一日の提案をする前に、せめて社内預金だけでも準備しなければいけない、提案はできない、では二分の一でもいいから準備をしてくれないか、これに対してもすべてゼロである。こういうことについて、やはりもう少し北炭グループがみずから反省して出ていただかなければ、私は自分からどうしよう、こういう気持ちは持っておりません。
  68. 萩原吉太郎

    萩原参考人 ただいま大澤管財人のお話を拝聴いたしておりまして、大澤管財人のおっしゃることの要旨は、端的に言えば、この責任はどこから起こっているか、確かに労務債が滞ったということは北炭に責任がある、だからそれはおまえさんの方のやることで、私のあずかり知らぬことだ、こういうふうに解釈されるのでございます。そして、いろいろなことを言ったが、常にゼロ回答だ。私はゼロ回答した覚えはありません。会っていない。そういうふうな意味で、まあ非常に率直に申し上げれば、何がゆえに大澤さんはそういうふうに頭から感情的にやっておられるのか、私は非常に心外でございます。しかし、なればこそ、過去のことはもう言わないで、ひとつここで労務者のことを考えて、労務者に対する思いやりの点において、私たち北炭並びにグループに対する御非難は甘んじて受けます。非難し、誹謗するだけで問題が解決するならば、それは私はいかように言われても何にも申しません。それでは問題は解決しないのでございます。それゆえに、これからはひとつ相談に乗っていってくれぬか、こう申したのでございますが、する意思はないと言われては、恐らく今度の退職金問題も一歩も前進しないと思います。これは先般、通産大臣のところへ行って、そういう空気をまずつくることが先で、そうでなければこの問題は解決しない、非難されるのはいいけれども、座り込みをするのもいいけれども、われわれとしてはそれだけではいけない、そもそも言えば事故を起こしたのが悪いのだから知らぬよ、こういうふうな経営だからいかぬよ、責めるなら責める、しかし、責めるだけでなく、救うべきは救っていただきたい、こう考えておるのでございます。この点については、ここで大澤管財人からもう相手にせぬというような御発言があったのは、まことに遺憾であると同時に、国会の場においてそういう発言をされて、これが天下に表明される、まことに私としてはお恥ずかしく思っております。ぜひそういうことのないようにしていただきたい。
  69. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いま大澤管財人萩原参考人からいろいろとお話が出たわけでございますが、大澤管財人がこの結論を出すに当たりまして、北炭グループの組織を通じて、事実上の北炭グループの責任者と粕谷さん等を通じましていろいろと話をされ、接触をされた。北炭グループを法律的に代表しているわけですから、これはそういう努力をされてきたことは当然のことであろうと思いますし、それは萩原さんもそのとおりだというふうに言っておられるわけでありますが、しかし、この段階になって、確かに大澤管財人労務債についての北炭グループの回答について不満である、こう言うことは、大澤管財人としてこれまで努力をされた結果から見てそれなりの御感想であろうと思うわけでございます。しかし、この回答も、私は文章を見せていただきましたが、確かに萩原さんのおっしゃるように余韻のある回答でありまして、私はその中では、大澤管財人としては不満であっても、しかし何らかやはり打開の道が講ぜられるような判断も文章の面からもできるので、政府としてもこの間にあってできるだけの努力をしなければならぬ、こういうことで萩原さんにも来ていただきまして、私から、先ほどからしばしば申し上げるように、率直に北炭グループとして責任を感じてこの労務債の処理に対してひとつ力を尽くしてほしいということを強く要請をし、萩原さんもそれに対しては責任を感じて、そしてできるだけのことをしますということをお述べになったわけでございますので、両者の間にはそれぞれの考え方といいますか感触の差というのはあります、それが行き違いになっておりますが、私自身としてはこれは一つの前進である、こういうふうに判断をしておるわけでありますし、私は、この問題を何としても解決をして、そうして将来への山を残すというこのわれわれの理想のために前進をしなければならぬと思っております。したがって、先ほどもしばしば出ておりますように、いままでのことをいろいろ言ってもこれはどうもなるわけではございません。とにかくわれわれの前に横たわっておる問題を解決していくにはやはり大澤管財人、それから北炭グループの間で話し合いというものが行われなければならぬ。しかし、大澤管財人とすれば、自分としての責任はもう果たしてきておるのだ、北炭グループ債務処理、労務債の処理をするのは当然のことである、こういうお考えでありましょうけれども、しかし、具体的にこれをどういう形で処理をするか、具体的にどうするかということになると、やはり話し合っていただかなければ方向が出ないのじゃないかと思うわけです。しかし、私は大澤管財人一人の責任にこれをゆだねるべきじゃないと思っております。政府としてもその間にあって努力をしなければならぬと思います。したがって、政府自体がもちろん正面に立ってやる問題ではありませんけれども、私も政府の責任者の一人として、いまここでいろいろと、これからの問題がむしろ困難になるようなそういう状況が出てくれば大変なことですから、間に入りまして、いま塚田さんのおっしゃいますように両者がテーブルに着いてそして前向きの話し合いができるような、そういう方向へ努力をしていきたい。ですから、この辺のところはいろいろの御意見はありますけれども、ともかくこれを前へ進めていかなければならぬわけですから、いたずらにここで分裂していけば問題が解決できないわけですから、ひとつ御理解をしていただきまして、そういう面から支援をしていただきたい、こういうふうに思います。
  70. 塚田庄平

    ○塚田委員 これ以上はもう私は質問をいたしません。それで、大臣から答弁があったように、とにかくこの問題については従来のいろいろなことはもう問わないことにして、本当にテーブルに着いて前進的に解決のできるように希望を申し上げまして、この件についてはこれで終わりたいと思います。  そこで、今度の裁判所に対する管財人の申し入れば、ここに出ておりますとおり、提案としては露頭を除いては全員解雇と非常に厳しい。露頭というのは、恐らく管財人も御承知だろうと思いますが、これは実は北炭がやっているとは言いますけれども、実際やっているのは全部請負なんですね。だから夕張市長なんかは、ああいう山はおれでもやるんだというようなことを言う、これは放言に近い言葉なんですが。したがって、いわば営業休止と言っておりますけれども、この営業休止をうたっておる百八十四条の「不適当とする特別の事情」というのをどう受け取って申請されたのか、参考人意見をちょっと聞きたいと思います。
  71. 大澤誠一

    大澤参考人 会社更生法という立場から考えるならば、やはりこのやり方は正論でないと私は思います。会社更生法の手順に沿うて債権の整理をし、そしてまた今後の会社更生の道をたどる、収支あるいは経理決算、将来の営業の見通しを立てた会社をつくっていくというのが一つの道であろうかと思います。  しかしながら、現実の夕張新鉱の現状は、先ほどからもるる申し上げますように月々七億くらいの赤字が出ていく、しかも資金ショートをする。これでは事業経営というものは成り立たない。これについて、閉山をしなければならぬ、しかし一方では新しい将来の炭鉱の火を残したい、そのためにはやはり露頭を残してでもつなげていきたい、種火として残していきたい、こういう感じでございます。もちろん、更生会社の手順を踏むということ、こういうやり方によると、担保権者の、いわゆる債権者の一〇〇%の同意を得ないで一人の管財人でこの処置がとれる。  くどくど申しましたが、要するに山が整々と何とか曲がりなりにもいけるというならば別ですが、これはもう一、二カ月後に資金ショートを来す、一方ではこれの受け皿といいますか、新会社というものの設立もまだ海のものとも山のものともついてない。こういう二兎を追うた更生計画というものは間に合わない。それで一部事業の休止といいますか、閉鎖を考えたわけでございます。
  72. 塚田庄平

    ○塚田委員 これはいみじくも大澤管財人が言われるとおり、この場合、百八十四条適用の営業休止というのは実態に沿わないわけですね。一番沿うのは、恐らく大澤さんの腹の中にあったのは清算を内容とする計画案ではなかったのか。ということは、この裁判所に出した計画案を見ると、もうすでにそうなんですね、提案内容も全員首切るのですから。そうなりますと、言われるとおり、これは法二百五条によって組合員全員のよろしいという承諾が必要です。特に実質的に考えて、いま休止して一部残すじゃないかと言っても、それはさっき言ったとおり組夫が働いている山なんです。北炭従業員というのは全部首切られるのです。そうなりますと、これは実質的に法第二百五条が適用されてしかるべきだ、つまり労働組合の承諾なくしてはそのようなことはできない、こう私は断言したいのですが、この点について管財人はどう考えていますか。
  73. 大澤誠一

    大澤参考人 更生計画というものができるまで、いまの新鉱の山がまだ当分もてる、資金的にも余裕があるというならば、私はやはり一般債権、更生債権の整理をしつつ将来に向かう計画を立てたい、かように考えます。しかしながら、二千人のこの大部隊のところが来月でもう金がない、じゃあ倒産か、こういうことになります。すると、やはり将来の新しい再開発というものに支障をば来す。いわゆる立て坑なり材料斜坑、選炭機というものを、いまであれば管財人の管理下に置くことができますが、そういう意味の将来のことを考えての処置でもございます。
  74. 塚田庄平

    ○塚田委員 この件については、これからなお法律的な問題として、これは通産省ともいろいろと議論をし合わなければならぬ問題だと思いますので、きょうは時間がないので管財人に対してはこれ以上の質問はしません。  さて最後に、あの山には二十三社に及ぶ下請業者がおります。人員は約七百名、これは孫請も入れて七百名です。それで北炭に対して約八億の債権を逆に持っております。北炭からもらう金です。しかし、これは一般債権であるために、ほかの債権と同様に取り扱われます。しかし何といっても、この二十三社の下請というのは非常に体質が脆弱だ、しかもここで働いている人たちは、いわばその日暮らしと言っていいのじゃないかと思うのです。したがって、これについては先ほどから特別な措置をしたいというようないろいろな答弁がありましたけれども、その中でもこの二十三社については特別の特別の特別の措置を考えてやらなければ、これは大変な事態になる、人道的な問題になるのじゃないか、こう思いますが、通産大臣はどう考えますか。
  75. 弓削田英一

    ○弓削田説明員 先生ただいま御指摘のございましたように、夕張社下請企業が非常に苦境にあるということは私ども実は承知しているわけでございます。現在、夕張社更生法の定めるところに従って再建の方途を探っている、こういう段階でございまして、下請代金につきましても、他の債権と同様に今後裁判所の管理のもとで適切な処理の計画がなされるものと期待はしているわけでございますが、私ども、実は昨年十二月でございますが、夕張社更生法に基づきまして更生手続の開始の申し立てをしまして以来、下請関係につきましては金融措置あるいは相談指導等の連鎖防止対策と同時に、下請企業に対します仕事のあっせん、こういうこともやってまいったわけでございます。今後とも地方公共団体と緊密な連絡のもとにこれらの制度を引き続き活用して適切な対策を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  76. 塚田庄平

    ○塚田委員 時間もありません、これで終わりたいと思いますが、冒頭申し上げましたとおり、時間に追われてあるいは失礼な言葉があったかもしれません。この点はおわびを申し上げ、最後に、何としても前進的に解決するように私の希望したあの線でひとつ話し合いを進めてもらうことを要請いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  77. 枝村要作

    枝村委員長 田中昭二君。
  78. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この北炭夕張の問題で、それぞれきょう御出席皆さんがいろいろ御苦労なさっておりますことには敬意を表します。最初にお願いしておきますが、時間が制約されておりますから予定の質問を順序を変えまして、いままで三人の委員からいろいろ意見を聞かれました。それに対する参考人の率直な御意見なりお考えを聞いて、私もその点に触れながら、その点を中心にしながらまずお聞きをしたいと思います。  それで、三人のそれぞれ専門的な立場からの話の中で私も同様な感じがしたのは、あの爆発事故が昨年あって以来、大変な問題として私たちも現地調査にも参りましたし、いろいろな手を尽くしたつもりでおりますが、その後、会社更生法の手続がとられる経過、そしてその後の大澤管財人のいろいろ努力されたこと、その中で、この前の理事懇談会の中でも想像以上に債務を抱えておることが明らかになったというように私は感じております。  そこで、その問題に対して、あの爆発事故以後現在までいろいろ報道されるところによりますと、やはり一番問題になったのは北炭の責任問題といいますか、そういう問題が余りにも進展しないというふうに承知をしております。それがきょうここで、この場で幾らか前進といいますか、解決の灯が見出されたというふうにも思いますが、そういうことをいままでの報道等から考えまして、まず政府を除いて三人の参考人の方に、大澤参考人には率直に、この問題解決の労務債については現実の北炭の対応が拒否回答であったということでございますが、これは何か最初からいままでの経過が、事実上の閉山という方向に持ってくる手続の上で、いままで管財人としてのお仕事をなされたような感じを受けてなりません。これが一つ。  それから萩原さんには、確かにエネルギーの上からもこの炭鉱が大事であるというお考えはあるようでございますが、いままでの経過から見てみますと、どうしても、言葉の上では大変労使が一体になってやっていることについては評価するけれども、この石炭の採掘事業については、何か知らぬ私企業としての限界といいますか、そういうものを含めて最終的には国が救済すべきであるというようなお考えがあるように私は受け取れます。  また組合の方は組合の方で、いままでの事故を起こしたことに対してのことも聞いておりますから、ひとつ簡単で結構でございますから率直に御意見をお聞かせ願いたい、こう思います。
  79. 大澤誠一

    大澤参考人 八月二十一日の提案が、いわゆる労務債についての北炭支援はゼロであった、だから提案したんだ、こういうことのみではございません。それももちろん大きな要素でございますが、先ほどから申しますように、現地に行きまして四月以降今日まで、今後のいわゆる商品となる、お金になる出炭量がどの程度であるかということを計算いたしますと、九月末には大体四億余りの資金しか残らない。そうすると、それから逆算をしていくと閉山の時期がいつであるか、こういうことが数字的に出てまいるわけでございます。それで毎日毎日、金利だあるいはまた不動産税だ、労災というものも払わないで借金をふやしておるのでございますけれども、さらにこれ以上の借金はふやしたくない、これはまた悪い言葉で言うと野たれ死にのようなことにもなる、やはり閉山をするときには整々としなければならぬ、こういうふうに考えてのいろいろの要素がございましてのことでございます。そのことだけではございません。
  80. 萩原吉太郎

    萩原参考人 ただいま御質問にありました、私がいろいろなことを国に持ってきよるというのは思想がどうなんだ、そうなのじゃないか。その御質問の一つは、今度の会社更生法以後においての問題としてそういうふうに御指摘受けますのは、粕谷管財人代理から出した、国の買い上げではないのですけれども、肩がわりで、しばらく次の新会社にするまでそれをと言ったのが国の方で引き下がった、こういうふうなことだと思うのであります。あの案をやるまでに北炭では三つの案を検討してまいった。そうして忌憚なく白紙で討議しようということでやったのでございます。実は、われわれとしていろいろ検討した対象は、労務費という問題じゃありませんで、全債務をどうするか。これは実は現在の北炭では解決し得ないことではありますけれども、なぜそういうふうにああいう案に持っていったかと言いますと、最初から雇用問題と債務の問題は北炭の考えることである、これは言い渡されておるのでございます。そうなるとわれわれとしては、それを受け取ってまいりますと、どうしても全債務のことを考えなくちゃならぬ。どうやっても手がない。それは膨大な額で手がない。そこで苦しんで、しかし山は残したい。この二つの間に挟まって考え出したのがその案で、それが国にすべてをかぶせるととられたんだと思います。あれは決して国が買い上げてくださいということは言っていないのでございます。そうでなくして、この山を将来開くというなれば、新しくできる会社、これは設備その他を全部ただもらって新会社であるということはあり得ないことであります。当然もしやろうという仮に受け皿があれば、その会社はこれの施設に対する金は払うのじゃないか。  その前に、この案は私も非常に一つの矛盾を感じているのでございます。政府資金によってつくったもの、それをさらに政府で新会社に譲るのを肩がわりしていってくれ、これで非常に苦慮したのでございます。あの案をよくごらんいただければわかりますが、政府も一般民間の金融機関も同率で債務をカットしていただいて、あれは三%ですか、政府にもお払いしよう。しかしそれをやるには金がない。労務債も、あのときには六〇%は払う、租税公課、まあさっきの社内掛けは一〇〇%払う、払っていくとこれだけかかる。さて、これが本当なれば一般の民間の資金その他労務債をきれいにしてからの話なら筋が通るのでございますが、金がないために、結果においては同じであるというところから、ともかくまずこの処理をさせてくれ、そしていただいた中からこういう率でお払いさせてくれ、そういうふうなものだったのでございます。そして、あそこの山は必ずよくなっていくという前提で、もし受けてくださるところがあるなれば、これは五年でも据え置いて十年くらいの間にお払い願いたい。われわれの計算では、もし二切り羽できるなれば年間四十三億の純益で、これからの維持費その他いろいろなものを差し引いても二十億から二十五億の利益があるのではないか、それで政府に返してもらえないか。結局虫がいいと言えば虫がいい案です。しかし、これをしなければ解決しない、一般の債務を処理できないというところから、虫がいい、無理を承知で、おまえの方で考える問題であるというのであれを出したわけです。しかし、これは非常にけしからぬということで、それ以来すぐ引っ込めて何も言っておりません。そういうことから、あるいは国にすべてをかぶせようとしたというふうにとられますけれども、あの案が出た経過というものはそういうところから生まれたのでございまして、あれについては非常に御批判をいただきましたけれども、余り混乱させないで、理屈を抜きにして考えれば、あの案なればすべてが解決したのではないか、こう考えて出したわけでございまして、決して国にこれを持っていってかぶせてしまおうという意思からではございません。
  81. 三浦清勝

    三浦参考人 先生の御質問は、災害鉱労働組合立場で山を残すのにどういう具体的な努力をしてきたか、こういう趣旨だと存じますので、そういう意味でお答えを申し上げたいと存じます。  冒頭陳述でも申し上げましたように、私ども山を残すという一点にしぼってあらゆる努力をしてまいったつもりでおります。その一つは、私ども先月、炭労全体で期末交渉を行いましたけれども、結果的に期末手当の支給はなくて、越盆手当という状況の中ですべての従業員が十一万という金額で妥結をいたしました。さらにまた生産問題についても、切り羽の状況がいろいろ推移をいたしましたけれども管財人の手で策定されました出炭再開以降の出炭計画に比較しまして、本来この計画からいきますと早ければ六月末、遅くとも七月いっぱいで管財人の手には資金がなくなるという状況にありましたが、私ども新鉱の全従業員努力によりまして、この計画を上回る出炭をしてまいりました。このような努力を続けながら、炭労全体として、労働組合サイドから、こういう構想で夕張炭鉱再建はでき得るという、学者先生の御意見も聞きながら再建構想を決定しまして、その構想を基本にしながら管財人あるいは関係方面ともいろいろ交渉を持ってきたところでございます。  その山の再建構想の具体的な内容については、時間がございませんので省略をさせていただきたいと思います。  以上です。
  82. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 萩原さんにお尋ねしますが、先ほど岡田委員の質問にお答えになった中で、労務費についてはもちろん自分としても全力で対応するというようなお話があって、社内預金の八億円くらいですか、それから旧退職金等については何とかやりたいというふうに私は受け取ったわけです。退職金そのものだけでも百二、三十億、新規のものを入れれば二百億近くになるかと思われますが、その中で具体的にどのくらいのめどをいまお持ちでございますか。  時間がございませんから、会長、先ほど私が申し上げたことと関連して申し上げておきますが、この夕張新鉱は、四十八年以降、補助金、交付金等で百十九億政府のお金をいただいておるのです。国の金融機関からは二百億を超す融資を受けておるのです。また地方自治体、そういうものを全部間接的なものも入れれば数百億の援助等を受けておるのです。それを食い逃げするのかという批判もございますから、どういうことがあっても先ほど会長がおっしゃった労務費については社会的にも払うべきである。ところが金がない。金がないということであれば一切の山を残すという問題も問題になりますし、どうか端的に二百億近い労務費についてどのくらいのめどをお持ちになっておるか、お答えできればお答え願いたいと思います。
  83. 萩原吉太郎

    萩原参考人 先ほど申し上げたことをお取り違えになったように考えております。それは私の言葉足らずでございましょうけれども、私の申していますのは、労務債というものはグループでやっていかなければならないけれども、それを一〇〇%払うということは不可能である。それで私が先ほど申しましたのは、政府で立てかえて、ひとまず新会社をつくるまで払ってくれないかという案のとき、どう払おうかという案に基づいて申し上げたのでして、さてその中で新債の方は制度資金でやっていただきたい。そういうふうになると、残るのは旧債とそれから社内預金の八億。われわれのいま考えているのは、いまでもまだ調達ができないで交渉中でございますから、とても労務債も一〇〇%はできないから、カットしたとしてわれわれとしては幾らくらいできるかということを工作しているので、この百四十九億円のどれだけ払うのだと申されましても、百四十九億を三井グループが責任を負って払うということはとうてい申し上げられないのでございます。ただ、われわれは力の及ぶ限り努力していこう。御質問がいろいろありましたので、少なくともこの辺のところの目標はそこに向かって努力したい、こういうことでございまして、百四十九億円をグループで見るというようなことを申し上げたつもりはなかったのでございます。  それでないと、今度はそういうことで百四十九億円できなかったときは大変でございます。ただ、われわれの方としては、何もしない、グループはゼロだ、ひどいじゃないかと世間の御批判を受けている。私は、いまだかつてゼロ回答とか支援しないということは一回も言ったことございません。それは現に座り込み三回に及ぶ中でも、あんたたち一〇〇%というわけにはいかぬぞ、しかしわれわれとしてもこれについては努力しますよということは、内容には触れませんが、それだけを答えてまいった。むしろこれから幾らわれわれができるかというところで努力している最中でございまして、幾らをいたしますということはまだ申し上げかねるような次第でございます。その辺のところは、これだけ出すとおまえ言ったじゃないかというようにやられますと後で困りますので、一応補足説明申し上げさせていただきます。
  84. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私も、幾らとここで言わなくてもいいのですけれども、どのくらいのめどをもって払うぐらいは言っていただかないと、いままでの経過と同じじゃないですか。ゼロ回答じゃない、努力はする、だけれども実際はできない、こういう結果になるのです。それじゃあなた、大澤管財人なり政府なり、いままで対応してきたこととは、社会的批判は残りますよ。国会の場でも、この場だけで言っておけば済むというようなことでは、私は批判はやはり萩原会長に来るということを率直に指摘しておきます。  そこで、時間がございませんから、政府最後にお尋ねしておきます。このように事実上の閉山を余儀なくされておる、報道によりますと夕張市の八割の人たちがこの影響を受ける、こういうふうに聞いておりますが、こういう地域経済の崩壊にもつながるようなことに対して、政府としてどのような対応と具体的処理を考えておるのか。確かに言葉の上では説明を読んでおりますけれども、もう少し具体的にお願いをしたいと思います。  さらに、この解雇されるであろう二千人の従業員の方の就職のあっせん、これについても具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  85. 弓削田英一

    ○弓削田説明員 ただいま先生御指摘ございましたように、管財人提案が実施をされ、事実上の閉山、こういうことに相なりますと、地元の地域経済に深刻な影響が出てまいるわけでございまして、何とかこれを緩和する必要があるわけでございます。  このため、通産省におきましては、大澤管財人提案がございました次の週、二十四日でございますが、東京と札幌におきまして関係各省庁の連絡会議を開催をいたしまして、関係各省庁にこれまでの経過を説明すると同時に、今後の対応策の検討を実は依頼したところでございます。今後、この連絡会の場におきまして、地元の要望を聞きながら、関係各省庁、地方自治体とも協力をいたしまして、公共事業の推進でございますとか、企業誘致対策、それから先ほどもお答えをいたしましたが、中小商工業者に対する対策でございますとか、地方公共団体に対します財政支援等、事態の推移に即応して各種の制度を十分活用しながら地域対策を推進していく、こういう考えでございます。
  86. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いま石炭部長から答弁いたしましたように、地域に与える影響はきわめて甚大であります。そのために、政府としても、これを防ぐために最大の努力をしなければならぬ。まず幌内、真谷地といった関連企業に対して、これが波及をしないようにすでにいろいろ努力をいたしておるわけでございますが、協力を求めていかなければならぬと思います。  同時にまた、地域も非常な経済的なダメージを受けますので、これに対して、いま石炭部長が申し上げましたような財政的な支援であるとか、あるいは公共事業の特別な枠の確保であるとか、そういうことを積極的にやっていかなければなりません。  同時にまた、閉山によって起こるところの膨大な失業、これにどういうふうに対処していくか。もちろん、北炭グループがまず第一にできるだけこれを引き受けてくれるということが大事なことでありますが、しかし政府としても、これが対策については労働省等とも緊密な連絡をとって、できるだけそうした失業が広範に出ないように努力をしていかなければならぬと思います。  いずれにしてもむずかしい問題であります。そして、これは通産省だけでなくて、関係省庁の協力もなければできないわけでありますから、私としても関係省庁に強く協力を求めるとともに、関係の機関にも協力を要請しながら、一体となってこの問題に対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  87. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もう時間が来ましたのですが、最後に、先ほど大臣、石炭の二千万トン体制ですね、このことでちょっと触れられましたが、私もこの点やはり心配するのですよ。国内炭を千八百万トンぐらいしか掘れないというような状況の中でこのたびのような問題が起こりますと、恐らくどれだけになるかわかりませんが、百万トンぐらいの減少になるだろう。そうしますと、千七百万トンということになりますと、いまの第七次の国内炭の二千万トン体制というのはその柱がやはり大きく崩れるのではなかろうか。あくまでも努力目標だから見直しはしないというふうに先ほどお聞きしましたが、現実にこのように三百万トン近くも落差があるということ、また、そのかわり何か増産でもできるという見通しがあればいいのですけれども、そういう見通しもないままに努力目標とだけしておくということはいかがなものだろうか、いわゆる有名無実となってデメリットばかりふえるのではなかろうか、そういう心配をするわけです。そこで、いろいろな指摘等、言われておりますことも、生産目標を高い水準にしておくこと自体が問題がある、こういう業界の指摘もあり、こういうことをそのままにしておくとまた事故再発にもつながっていくのではなかろうかという心配もございます。そのほかの多くの問題もございますが、長期エネルギーの需給見通しという現実的な対応から見ればひとつ見直すべきではないか、このように思います。  そのことについての大臣の御所信と、それから大澤管財人等が努力されたにもかかわらずこの山が事実上の閉山に至る、先ほどの萩原会長のこの山に対する考え方等も聞きましても、政府のとってきた施策に大変安易さがあった、いわゆる石炭を掘らなければならないから国が何とかするだろうというようなことの積み重ねがこういう結果を招いたのである、そういう意味において政府の責任は重大であろう、私はこう思いますが、そのことについても、ございましたら御所見を伺いたいと思います。
  88. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 二千万トン体制を堅持していくという点ですが、これは審議会の答申もあります。われわれとしては、北炭事故というこうした不幸な事態が起こりましたけれども、石炭というのはわが国のエネルギーの中で唯一の国内資源であると言っても過言でないわけでございますし、埋蔵量等についてもまだまだ可能性はあるわけでございますので、この答申の基本線は進めてまいりたい。いまの石炭政策、石炭産業に対する助成対策、こういうものも、いまの基本方針のもとにこれは進めておるわけでございますし、これをいま変えていこうという考えはありません。将来に向かっていろいろと困難はあると思いますが、この体制を維持するために力を尽くしてまいりたい、こういうふうに存ずるわけであります。  同時にまた、この北炭の問題につきましては、政府としてもこれまでも、先ほどからお話がありましたように制度の中で許された限りの助成策を講じてきたわけでございますし、今後の処理についても政府としてもできるだけの対策を進めてまいりたいと思うわけでございます。しかし、基本はあくまでも企業でやっていただいておるわけですから、政府みずからが運営をして国営でやっておるわけではないのですから、やはり最終的な責任というのは企業側、それに対して政府が石炭政策を推進するというたてまえからできるだけの協力をしていく、助成をしていく、こういうことが基本になっておるわけでございますので、そういう点はひとつ御理解をしていただきたいと思うわけでございます。政府としても、今後制度の中でのあらゆる努力はひとつ重ねていく考えであります。
  89. 枝村要作

    枝村委員長 小渕正義君。
  90. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 参考人の方、大変むずかしい問題に直面されておる当事者で、大変御苦労さまでございますが、特に大澤管財人の場合には、管財人を選任するに当たって、ほとんど引受手がなかった、そういう中で業界の大変な努力の中でやっと大洋さんがこのむずかしいお仕事をお引き受けされたわけでありますので、そういう意味で今日までの御労苦に対しまして心から敬意を表するものであります。  先ほどからお話をお伺いしておりまして、端的に言いまして、現在の北炭夕張鉱では月々約十四億のお金を必要とする、しかしながら実際にお金として入ってくる、要するに生産といいますか、そういった意味で入るお金は七、八億しかない、毎月七億なり六億の赤字がずっと出ておるのだ、こういう状況の中で、少なくとも現在の二千人の人員規模からいくならば当然四千トン出炭できなければいかぬと思われるのが二千トンしか出てこないのだ、そういう点でそういうものを適正規模にしていくためには九百人ぐらいの余剰人員があるので、これをもし適正規模にするためにはまた三十億円の資金を必要とするのだ、大要こういうようなお話だったと思います。  そういう点で少し突っ込んでお尋ねいたしますが、昨年の十月の事故発生以来こういうような状態になっておるのかどうか、そこらあたりの状況について少し御説明いただければ、かように思います。
  91. 大澤誠一

    大澤参考人 事故が起きてから操業停止になっておりましたが、一月の半ばごろに操業が始まって、一切り羽なり二切り羽の操業が始まった、かように承知しております。  私が四月に参りましてからの状況は二切り羽でございまして、そして先ほど三浦委員長からも言われておりますように、若干無理をした採炭方式をとって二切り羽の維持をやり、そして収入をふやすことを考えてまいりました。それで四、五、六月は大体二切り羽、七月の半ばから一切り羽になりまして、現在一切り羽。そしていま先生の言われましたように、月の収入が八億足らずで支出が十四億余り、こういったような状況が続いております。  今月も来月も操業を続ける限り、こういった状況が——その残炭掘りでいわゆる十尺層の開発にたどり着くまでは二年ぐらい採炭できますが、現状のままでいけば毎月七億ぐらいずつ赤字が出る、こういう状況でございます。
  92. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私企業の経営形態をとる以上、いまのようなそういう状況の中では、これは倒産するのはあたりまえだと言わざるを得ないわけです。  それで、前々からいろいろお話を伺っておるわけでありますが、今回大澤管財人が決断された一つの大きなきっかけは、過去の労務債百二十三億に対する北炭グループとしての支援というものが全然望みがない、そういうことから、何をやるにいたしましても、まずこの労務債の処理が一番大きな問題だということで、今回二十一日提案されたその一つのきっかけとなったのはそういった内容じゃなかったかと思うわけであります。北炭関係ではいろいろたくさんの債務を抱えておるわけでありますが、そういうものをいかに身軽にしながら新しい会社なりでスタートしていくか。いろいろ御検討されたと思いますが、ここで仮定の話で非常に恐縮でございますが、先ほどから萩原会長が盛んに前向きな発言をされておりまして、労務債については全部ではないけれどもめんどうを見ていく決意を披瀝されておるわけであります。  それからあと一つ、先ほどお話のありました、現状採炭状況の中における適正規模人員でとりあえず操業を続けるとした場合に急遽必要な資金が約三十億、こういった何らかの手当てがほかのところでもしもつくと仮定するならば、今回のようなそういう提案はまた考え直してもいいのじゃないか。これは私なりの素人判断になりますが、そういう点についての大澤管財人としての御見解があれば承りたいと思います。
  93. 大澤誠一

    大澤参考人 労務債が完済されてさらに開発をする、こういうことになりますと、先ほど冒頭に私が申し上げましたように、一つのやり方としますと、先ほどいわゆる西部残炭を一切り羽やっていく、また平安八尺層も一切り羽、残、それから将来十尺層の切り羽を六十二年ぐらいに一切り羽、六十三年に二切り羽、そういうつなぎ方をしていくと、まず開発の六十三年度の完成の時期ですが六十六億、それから完成までの赤字資金が百二十四億、それからスタートの際適正人員にするために三十億の退職資金、それから過去の労務債百十五億、それから五十七年度、いま操業をやっている労災とか健康保険組合の未払いの分、鉱産税十二億、これだけは払いたい。三百四十七億。しかしながら、これはいま一度に言っても無理であろう。当面五十八年度までのつなぎの金を用意しなければならぬ。そうすると人員の整理、過去の労務債のうちの、過去にやめられた人たち退職金の額四十億余り、それから上期の十二億の不足資金、それから五十七年の下期、五十八年の不足資金、いわゆる赤字資金というのが三十億くらい。ですから、やはり百億余りの金が、いわゆる労務債を完済されて自力でまた前進をしていく、継続するということになると、そういう金が要るということを申し上げます。
  94. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 先ほどからそのお話をお聞きしておるわけでありますが、そういう意味では、最小限いま言われましたそういう前提の上に立ってなお百億ほどこれからの資金需要が出てくるが、それの見通しを実際に立て得られない、そういうことから今回のこういう提案になった、こういうふうにも理解せざるを得ないわけでありますが、そういう意味でよろしゅうございますか。
  95. 大澤誠一

    大澤参考人 ですから、毎月の資金ショートという問題、九月の末に四億の金しかなくなる、こういったこともございますが、更生会社を申請した以上は、やはり初心に返って更生会社としてやるべきことはやらなければいかぬでしょう。そういうことで、いま申しましたような一つのいわゆる採掘計画を立てたわけですが、これにはやはりこれだけの、当面五十七年、五十八年にしても百億を超す金が要る。これも調達できない。じゃあ初心に返れと言っても初心に返れない。しかならば、もう労務債の一本にしぼってどう対処するか、こういうことに決心したわけでございます。
  96. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それでは次に、この労務債の問題でちょっとお尋ねいたしますが、私がいただいている資料の中では、百二十三億と言われている中に、現在在籍者の方と、やめられている退職者の方との、それぞれ六十九億、五十四億というふうな数字が出ておるわけであります。この在籍者の中の退職手当が労務債の中で二十六億六千七百万という数字が出ておるのですが、在籍者の方でのこういった退職手当の労務債というのは、要するに先ほどからお話がありました閉山に伴ってこちらの新しい炭鉱に来られた人たちの分が、現在働いておられるけれども、そういった分がこれに入っている、そういう意味ですか。その点、三浦委員長でもどなたでも結構でございます。
  97. 大澤誠一

    大澤参考人 これはそのとおりでございます。平和とかあるいは清水沢で閉山になったときの退職金が未払いになっておる、こういうことでございます。
  98. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 先ほどから萩原会長大澤管財人との若干の行き違いの面があったのですが、要するに萩原会長は、自分は一切拒否した覚えはない、そういう意味のことを盛んに言われておるわけであります。そういう意味でかなりずれがあるわけであります。新聞等でも、何らかの考えをしていかなければいかぬ、労務債についても当然考えなければいかぬというようなことが出ておるわけであります。  端的にお尋ねいたしますが、この前、大澤管財人から最終的な北炭グループとして特に三井観光に対する支援要請の依頼か何か、そういったものについて書類による回答が社長名で来たわけですね。大澤管財人の方から三井観光に対して、北炭に対してのいろいろな相談といいますか、そういった書類によるお願いがあって、それに回答された、そういう事実関係は会長として御承知であったわけですか、その点はいかがですか。
  99. 萩原吉太郎

    萩原参考人 観光の山本社長が大深管財人さんにお会いしたのは五日でございます。そしてそこで要請して、お返事が十三日になった。それで、実はそこへ私行っておりませんのでわかりませんけれども、どうも真意が、言う方が悪いのかどちらかわかりませんけれども、私もだめだと言ったようにも聞きますし、あるいはその話の過程でそういうことになったのか、それはわかりませんけれども、要するに結論を申し上げますと、三井観光初めグループは労務債についてはできる限りの支援をしていこう、こういう線で、私自身としてでございますがゼロ回答をしたことは一回もない、こういうことでございます。言った山本社長もやらなくちゃならぬということは心得ているのでございます。そして、あの回答が非常にわかったようなわからないような回答になっている。これはなぜかといいますと、端的に言いますと、ある物件を処理する、そうしますとこれは担保がついている、そうすると担保権者の方との了解を得る前にすべてのことが伝わっては困りますし、いろいろ微妙なものがあるので非常に遅延しておりますが、やらずにいるわけじゃないのです。考えるだけじゃない。それで非常に遅れて、いよいよせっぱ詰まってきておるのでございますが、要するにやりたい、やる。これだけは基本線でございますが、さてその労務債のすべてをおまえの方で見ろ、これはできません。これだけははっきりしております。それは、関連事業は全部、北炭、見ていますけれども、もし一つの企業が体力がなくて、そういうために、ある企業をつぶしてまでやったというのでは何らの意味がなくなる。北炭の方を助けるために一つの会社がつぶれたんじゃしようがないじゃないか。だから、その生存を脅かさない、つぶさないという範囲でやって、それはどういうことをやったらいいかというので、いまやっている最中でございます。ですから、あれを全部払うといったら、恐らく根こそぎ全部つぶれちゃうだろうと思います。その点は、非常に大きく全部払うと言ったというようなこと……
  100. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 そういうことを聞いているのじゃないのです。大澤管財人として北炭社に対して、労務債についての処理について何らか支援をしてほしいということででも、要請に対して文書をもちまして社長が回答されたわけですよね。その回答された状況は、あなた相談の上、そういうものは承知であったのかどうかということを聞いているのです。
  101. 萩原吉太郎

    萩原参考人 私は知っております。
  102. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 知っておられたわけですね。
  103. 萩原吉太郎

    萩原参考人 それで、あの文章は断った文章になっていないと思います。
  104. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 まあ結構です。  それでお尋ねするわけですが、私もあのときの、テレビの記者会見の中で社長が応答されておった状況を聞いておりますが、どんなに好意的にといいますか楽観的にとろうとしても、ちょっととれないような発言だったと思います。だから、そこらあたりで会長のあなたと社長のずれがあったのかどうか知りませんが、世間的には、あなたがいま言われたようなことで、いまになっていいかっこをしているようなことは、ちょっとそういうようにはとらぬのじゃないでしょうか。やはりあなたも会長である以上は、少なくとも社長がそういう態度でこられたわけですから、それについては当然、自分は相談にあずかってなかったとか、自分はそういう余地はまだ十分あるつもりでおるとか、そういうことは内輪の話では通用しても、公式のところでは世間的にはちょっと通用しないのではないでしょうか。その点をちょっと申し上げておきたいと思います。
  105. 萩原吉太郎

    萩原参考人 ちょっとお待ちください。私は、相談にあずかってないと申しておりません。私は知っておりました、相談にあずかったと申し上げておる。それが逆になっておりますから、どうぞ。
  106. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それから、これはもう時間がありませんので、先ほどから——どうぞお座りください。
  107. 枝村要作

    枝村委員長 座ってください。
  108. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 先ほどから労務債問題についても前向きに、資産売却その他を含めて取り組んでいくようなことが言われておるわけでありまして、きょうの会長のお話からいきますと、私たちも少し前向きに受け取れるわけです。それで、これが単なるこういった公式の場における言葉だけなのか、先ほどから会長言われておりますように本当にそこまで、北炭はかわいい、山はかわいいし、夕張市の地域経済のことも考えなければいかぬし、労働者のことも考えなければいかぬということを盛んに言われておるわけでありますので、そういう意味で、本当にそれを体をもって示されてこそ、初めて皆さんがその点についてわかるわけです。  そういう意味で、これは要望になりますが、会長が資産をどの程度お持ちか、私その点全然白紙でございますからわかりませんが、実際は無一文かどうかもわかりませんけれども、少なくとも私財をすべてなげうって一切裸になって、そうしてでもなお北炭のそういった労務債については取り組んだ、そういう姿勢がないことには、いま言われたようなことが本当に社会的にも評価されるようなことにならぬのじゃないかという気がいたしますので、そういう意味では、きょうの会長の積極的な前向きな姿勢を評価いたしますとともに、そういったことも含めて、ぜひひとつお考えいただければと思います。これは要望でございます。  それから最後になりましたが、三浦委員長、大変御苦労でございますが、今日まで雇用をいかに守るかという立場の中で終始してこられたと思いますが、先ほどから田中委員の質問に対しましては、組合組合なりの再建案というものを持っているのだということを言われたわけであります。それで、その内容については私どもは後からでもまた聞かせていただきたいと思いますけれども、非常に私たちが異常に思うのは、退職者労務債がこんな長期間ずっと放置されておるということは、これは労使の使もですけれども、労もやはり十分責任を負わなければいかぬ問題だと思うのです。そういう意味で、そういう悩みの中で今日の雇用をいかに確保するかということで、なお深刻なお立場だったろうと思うのですけれども、だからひとつこういった再建案の中で、少なくともこういうやめていかれている人、しかも定年でやめていかれているような人たち退職金だけは何としてでも長期計画でもいいから返済させることも含めた再建案として考えてほしいということをお尋ねしたいわけですが、その点はいかがでしょうか。
  109. 三浦清勝

    三浦参考人 お答え申し上げたいと存じますけれども、たしか五十五年の暮れ、十一月ごろだったと思いますが、本委員会参考人出席をしまして申し上げましたが、先生せっかくそういう御意見をお持ちですけれども、前回出席した際申し上げましたのは、私ども労働組合の本質を発揮すれば、国も含めて、その時点時点で新鉱は、というよりも北炭全山が閉山に追い込まれたと判断をしました。というのは、残念ながらといいますか北炭全山は再建整備会社に指定されておりまして、より厚く政府資金が投入されておりました。そういう関係から毎年度毎年度実施計画会社が策定しまして、その実施計画を提出して政府の承認を得て営業してきたと思っております。その中でやはり実施計画の中には当然、生産計画に合わせた資金計画が出されていたと思います。その資金計画を提出する際、それぞれの山元で私ども退職金やあるいはいま労務債と言われる未払い賃金などについての支払い交渉を行いまして、ある程度山元で理解をさせながら取り組んできましたが、やはり何といっても私どもが指摘をされましたのは、北炭労働者の甘さがある、努力が足りない、こういう指摘をされたのも事実でございます。諸先生も十分御承知だと思いますが、この毎年度毎年度の実施計画の中で私どもが七年間経過しまして、つまり七回にわたって労働者努力を指摘をされて、その結果労務債がこのようにたまってしまった。つまり冒頭申し上げましたように、労働組合の本質を発揮して、その時点時点でストライキをかけて、退職金や未払いとなっている賃金支払いを求めて長い闘いをしたら、必ずその時点時点で閉山になったと私ども判断したから、こういうふうな労務債の多額な金額になったと思っております。したがって、先生にも労働組合として山を残さなければならぬ、その時点時点での判断についての御理解お願いして、御答弁にかえます。
  110. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 終わります。
  111. 枝村要作

    枝村委員長 小沢和秋君。
  112. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私たち共産党は、この夕張新鉱の問題については一人の首切りも出さずに再建をということを基本にして今日まで努力をしてまいったわけであります。今回閉山提案が出されてきたことは、そういう立場から大変残念に思いますし、強く撤回を求めたいと考えております。  まず大澤参考人にお尋ねをしたいと思うのですが、私たちは、閉山を避けるためには北炭グループ労務債支払いに必要な協力をする、これが最低の条件だというふうに大澤さんが考えていると、これまで理解をしておったわけです。ところが、先ほどからのお話を伺っておると、どうもそれだけではなしに、本格的な再建の操業ができるまでの不足資金北炭グループに持ってもらいたいという立場でおられるような発言だったというふうに私、とったのですが、その辺についてもう一度はっきりしたことを御説明願いたいと思います。
  113. 大澤誠一

    大澤参考人 労務債については北炭グループ調達するということはおわかりと思いますが、ただ、ほかの再開発の場合は、これは会社のいわゆる生産計画に基づいての掘進あるいはまた設備等についての政府の補助あるいは制度資金の融資を差し引いた額でございます。全部そういった政府援助があるという前提に立って、いわゆる自己で賄える資金のことを言ったわけでございます。あと、金融筋の援助があるかと言いますと、私は非常にむずかしいのじゃないか。ここ一、二年の実績いかんによって金融筋の見方が変わるかどうか、この辺はわかりませんが、さしあたりやはり金融筋の支援。それで政府支援は算入されております。
  114. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次に萩原さんにお尋ねをしたいと思うのです。  私は、今回の閉山は、その管財人閉山提案の中でも、このような過酷な条件炭鉱閉山史上例を見ないというふうに言われているとおりのひどいものだと思うのです。私も筑豊の閉山をずっと見てまいりましたけれども閉山の何年も前からの退職者退職金が払われていない、そして閉山するときの在籍者にもまともな支払いがなされずに閉山がされる。こんなことというのは私はいまだかつて例がないと思うのです。この前のテレビを見ていたら、年老いた退職者の一人の方が、自分退職金を当て込んで家を買ったけれども、結局これをまたとられてしまうということを切々と訴えておられました。私も本当に胸が張り裂けるような思いをしたわけでありますけれども、萩原さんは実際上の北炭の最高経営者として、こういう事態は何としても解決しなければいかぬというふうに責任を感じておられるのかどうか。労務債再四十九億円は全部は出せませんよ、何か私に言わせると、そういう言い方の中に人ごとみたいな感じがちょっとしないでもないのです。北炭が、この百四十九億とあなたが言われた、先ほどからいろいろな額が出ていますけれども、少なくともいわゆる労務債と言われているものについてはすべてそれを支払わなければならない責任がある、この立場に明確にあなたが立っておられるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  115. 萩原吉太郎

    萩原参考人 責任は痛感いたしておりますけれども、先ほど申し上げた払えないというのは、払うには資金を集めてもその力がないということを申し上げたわけでございます。そういう意味でございますが……。
  116. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そうすると、もうちょっとあなたの答弁の中身を確かめる意味でお尋ねをしておきますけれども、百四十九億円は無理としても、先ほど答弁の中で社内預金とか古い退職金などというふうに例示をしながら、これについては責任を持たなければならぬというふうな発言をされたと思うのですが、少なくともこれについてはまず完全にカバーするということはここでお約束できるのでしょうか。
  117. 萩原吉太郎

    萩原参考人 先ほど申し上げた社内預金と旧退職金については、まず何としても考えなくちゃならぬ、社内預金はもちろん一〇〇%でいかなくちゃならないと思いますが、旧退職金については、それだけの金額が集まればいいですけれども、これはいまのところどうなるかわかりません。私のかつて出した案の中では六〇%というふうになっております。
  118. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それから、新しい退職金については閉山交付金でというふうに先ほど言われたように思いますが、これももう萩原さん自身よく御存じのとおり、この閉山交付金というのは退職金全額をカバーできるものではないわけでしょう。そうすると、いまのお話でいくと旧退職金でさえ全部はちょっと無理だ、これについてはもう全然考えない、そういうお考えですか。
  119. 萩原吉太郎

    萩原参考人 考えないというよりは、それだけの資金調達の力がないということであります。
  120. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 その点についてなんですけれども三井観光も苦しいとか、全部払ったらそっちの方がつぶれてしまうとか、先ほどからそういうふうに言っておられたと思うのですけれども、私は、そういうことを幾らここで抽象的に言われても私たちを納得させることはできないと思うのです。会社年鑑などを見てみますと、この三井観光という会社は札幌のグランドホテルとかパークホテルを初めとして二十近いホテルを持っている、あるいは非常に広大な土地ども持っているということが明らかになっているわけですね。それがいわゆるカタに入っているのだというようなことも言われるわけですけれども、これこのとおりなっているのですということで、その資産の状況やら経営状態やらをこうなったら全面的に明らかにして、そして自分たちとしてもつぶれるところまで、ここまで努力をしたということで、具体的に金額もそれとあわせて提示をする、こういうことにならなければ、あなたが幾らここで苦しい苦しいと抽象的に言ってもこれはだれも納得しないと思うのですが、そういう用意がありますか。
  121. 萩原吉太郎

    萩原参考人 これは先般私がNHKの北海道支局のテレビ放送で約三十分やって、その中でも申し上げておきました。おまえのところは余裕があるのに出さぬとかいろいろ言うけれども、それよりもまずよく中を知ってもらいたい、どういう方法か知らないけれども調べてもらいたいものだということを申しております。こういう内容でこうですよと一般に公開したりなんかすることではありませんけれども、中をよくお調べいただければわかりますということを申しております。
  122. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 萩原さん、その調べてもらいたいというのは一体どういうことですか。あなたの方は道義的にも政治的にも支払わなければならない責任があるわけでしょう。その責任のある者は、みずからこれこのとおり最大の努力をいたしました、私がいま持っている会社はもうこういう状態ですと言って、あなたの方から全部明らかにするというのが話の筋じゃないんですか。調べてごらんなさいと言っても、調べる手段を一般の人たちだれでもが持っておりますか。第一、調べなければならないこっちの側に責任があるんですか。あなたの方に出す責任があるんですよ。全くそこは本末転倒しているんじゃないですか。
  123. 萩原吉太郎

    萩原参考人 われわれの方としても、さて社会へ公表することでもなし、どこへ持っていっていいかわからないので、むしろその担当の通産省なりまたそういうところでそうなったら、いつでも資料はお出しするようになっております。
  124. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 公表すべきことでないというふうに言われたけれども、私は一般的にどこかの何のかかわりあいもないところに対して公表せよと言っているんじゃないんですよ。具体的に、あなたのところがそういう責任を負っているけれども、それができないとおっしゃるから、できないというのであれば自分から明らかにすべきだ、こういうふうに言っているわけです。いまあなたは通産などが言ってくれば云々というふうに言われたが、それは出すという思想表示ですか。
  125. 萩原吉太郎

    萩原参考人 監督行政官庁からそういうお問い合わせがあれば出します。
  126. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そうすると、政府に念のためお尋ねしておきますが、この前から三井観光がそういうような資産の内容をどれだけ持っているかということについて調べなさいと、あなた方はそれも含めて努力をすると再三言ってきたんだから、いま萩原さん自身が通産が出せと言えば出すと言ったんですから、政府は当然要求しますね。ここで言明しておいてください。
  127. 弓削田英一

    ○弓削田説明員 私ども、先般来いろいろ申し上げておりますように、三井観光開発株式会社の資産内容等につきまして現在のところまだ必ずしも具体的な資料を持ち合わせてない現状でございます。今後どうするか、こういうことでございますが、いずれにいたしましても、本件につきましては今後大澤管財人三井観光開発との間に話し合いが行われていくだろう、こういうことを期待しているわけでございまして、その間の過程でおっしゃるような問題も明確になっていくんじゃないか、こういうふうに思っております。
  128. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 質問にまともに答えなさいよ。いま萩原さんは通産が言えば出しましょう、せっかくこう明言されたんですよ。そうしたら、あなたの方が要求すれば、一発でこの問題は大きく前進するんですよ。そうしますね。
  129. 弓削田英一

    ○弓削田説明員 ただいまお答えいたしましたようなことで、今後の折衝の過程を通じて明らかになっていく、かように考えます。
  130. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ばかにしたことを言ったらいかぬですよ。それであなた、日本語として私の質問の趣旨をはっきり聞き取って答えたと思いますか。私の言っていることをあなたが正確に理解したら、そんな答弁できないでしょう。萩原さんは通産が要求すれば出すと言ったから、あなたの方はそれを要求しますねと聞いているんですよ。それははっきり答えなさい。
  131. 弓削田英一

    ○弓削田説明員 先ほど来答弁しているとおりでございます。
  132. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ちょっと委員長お願いですけれども、こんな答弁でまともな答弁だというふうに委員長は判断されますか。ちょっと委員長の方から注意していただけませんか。
  133. 枝村要作

    枝村委員長 石炭部長、もう少し詳しく、たとえば大澤管財人三井観光の話し合いの過程の中でそういう話が出たとき、大澤さんが言うか何かわかりませんけれども、通産省が資料を出せばという、そういう過程で問題が起きたときにそれに応ずるかどうかということですよ。あなたの答弁をいい意味で解釈すればそういうことになる。そういう過程を通じてですか、はっきりしてください。
  134. 弓削田英一

    ○弓削田説明員 先ほどこの問題につきまして大臣からもお答えがあったわけでございますが、今後大澤管財人三井観光開発の間におきまして折衝が行われるわけでございます。いろいろ問題は過去のいきさつ等があろうかと思いますが、私どもはこの間の話し合いが円滑にいくように、またかつ非常に急いでいる問題でございますから早く結論が出るように通産省として当然のことながら努力するのがあたりまえのことでございます。そういう過程の中で、ただいま先生の御指摘のあったような問題も明らかになっていくというふうに考えております。
  135. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 つまり、明らかになっていくということは、あなたの方がそういうふうに責任を持って処理するから見ていてくれ、こういうことだというふうに私はきょうは理解をしておきます。  さて、萩原さんにもう一つお尋ねをしたいのですけれども、いまあなたが携わっておられる会社が苦しいというお話なんですが、私は個人的なことはなるたけ言いたくなかったのだが、一言お尋ねしなければならぬと思うのは、萩原さん御自身もずいぶんな財産をお持ちだということを私よく聞くのですよ。あなた御自身はずっと北炭の最高経営者として活躍をされる中でその財産をつくられたわけですから、そこで働いておった人たちが一生働きづめに働いて結局一銭も退職金ももらえないかというような瀬戸際だったら、あなた御自身もそれについて責任を感じておられるというのだったら、それを投げ出すということも含めてお考えになるべきじゃないかということを私は考えるのですが、その点いかがですか。
  136. 萩原吉太郎

    萩原参考人 ただいまの御質問は、昭和五十一年の当委員会においても御質問がありました。そのときお答えしたのを思い出しますが、これは自分の財産をどうするかこうするかということは自分の判断によってやります、他から強制されて言われてするものではありません、そうお答えしました。私は、それは当然だと思っております。しかし、そう言ってそのときは私の一つの処世観からお答えしましたが、その後において、言うべきことでないかもしれませんけれども自分は家を担保に入れて二億五千万三井銀行から借りて、非常に詰まったときに出しております。そういうことで、そういうふうな個人のどうするかこうするかということは私自分で考えて、他から強制されてやるということはいたしません。  それからさらに、私は事のついでに申しますが、北炭の中で育ったけれども、四十四年以降は新鉱を開発する、これからやるんだということで給与、報酬すべて辞退して今日に至りました。自分なりの人生観というか、そういうことにおいて自分自身の行動を律しながらやってきているつもりでございます。
  137. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それから、萩原さんにもう一つお尋ねしたいと思いますのは、きょうまで具体的に北炭グループとしてどの程度努力をするかということについてほとんど発言らしいことをしてこられずに、きょうのこの場でもってある程度のことを初めて言われたように私は思うのです。それまでは世間では、三井観光会社としてはもう協力できないという回答をしたというふうにみんな思っておったわけです。萩原さんは、いや自分自身は直接会って要請を受けたこともないし、ゼロ回答をした覚えもないとおっしゃるのだけれども、世間全体が三井観光は拒否したと思い込んだような状態ができたときに、萩原さんが本当に前向きで少しでも自分として努力して何とか出したいという気持ちを持っているというのだったら、もっと早く早速記者会見なり何なりしてでも、そういうことを言う機会は幾らでもつくれたのじゃないですか。何で今日までそれを言われなかったのかということを、私は先ほどからのお話の中で理解できないので、お尋ねします。
  138. 萩原吉太郎

    萩原参考人 確かに私は、まあ新聞記者の方と会ったことはありますけれども、会見とかそういうことは一切してまいりませんでした。というのは、自分はすでに北炭として見ればやめてしまっている人間、籍のない人間です。いやしくもその社長がいるところへ自分が出てやるべきことでないという、みずから言えば老生は出しゃばるべきでないという観点で、そういう行動をとってまいりました。そういう意味で、何も言わないように言わないようにと自分から意識して努めてまいったわけであります。その間に三井観光というものが一銭も出さない、冷たいと言われることを非常に残念に思っていることは冒頭申し上げたとおりでございます。
  139. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、これで終わりにしますけれども、世間では、あなたが沈黙をしておられた間に、あなた御自身があそこの夕張新鉱の鉱業権やら施設やらを何か政府に買えというようなことで自民党の有力者などを訪ねて回っているというようなニュースがその当時流れておったのですよ。だとすると、私たちは、ははあ萩原さんは今度もまたそうやって政府に何かぼたをかぶせて自分は逃げようと策動しているんだなという感じを持ったとしてもやむを得ないことだったのじゃないかと思うのです。あなたがその当時からそういうようなお気持ちであったとすれば、私は政府の要路にそういうふうに回るのもいいけれども、御自身がまずそういう意思表示をそのときされてしかるべきだったのじゃないかということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  140. 枝村要作

  141. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 大澤参考人にお尋ねいたします。  先ほど萩原参考人労務債支払い努力目標をおっしゃったときに不満だというふうにおっしゃいましたけれども大澤参考人は、北炭グループはもっと支払い能力を持っているとお考えになって不満だとおっしゃったのかどうか。それから、北炭グループの全資産とか支払い能力、そういったものを十分把握していらっしゃるのかどうか。その二点お尋ねいたします。
  142. 大澤誠一

    大澤参考人 二番目の資産問題について、全く知らないということじゃございませんが、よく勉強しているというほどではございません。  それから、労務債について不満であるという問題については、私は支払い能力の問題あるいは支払い方法という問題もいろいろとあるかと思います。で、いま言われた程度のことでは、私は解決の道はないのではないか、かように考えます。
  143. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 萩原参考人にお尋ねいたします。  先ほどそういった資産とか支払い能力等につきまして、通産省なり何なりから要望があれば提出するというお話がありましたが、大澤参考人からそういうことを教えてほしいと言った場合にも同じお気持ちかどうか、お尋ねいたします。
  144. 萩原吉太郎

    萩原参考人 先ほど申し上げましたとおり、これは早く解決するためには、通産省の石炭部と管財人と私、というのもおかしいかもしれませんけれども三井観光なり北炭なり、同じテーブルの場についてやっていただきたいと申し上げたわけですから、したがって、そういう場において、あなたのところはそんなに出せないというが、これはどうなんだと言われれば、それはお話しするつもりでございます。そういう場まで一回もなく、ただ、あるのに出さぬのだというもとに、頭からかぶせて言われていたのでは非常に残念だと申し上げたようなわけであります。
  145. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 先ほどの石炭部長のお話では、そこに石炭部もまざっているというお話はなくて、管財人北炭グループとの話し合いの中でというふうに言っていられたと思うのです。ですから、そこに通産省がいないとすれば、大澤管財人との話し合いになるかと思うのです。それで、多額の税金が使われていることでもありますし、やはり多くの委員方たちあるいは通産省自体にしても釈然としないのは、北炭がなぜこれしか支払えないのかという点にあると思うのです。ですから、自分の能力はこれだからこれしか払えないということを管財人などにもはっきり言っていただきたい、こうお願いいたします。
  146. 萩原吉太郎

    萩原参考人 私の方としては実際を知っていただきたいくらいです。それは、ホテルなんというものは建物はりっぱでございますけれども、建物が目につくから金持ちだろう、金があるだろうというふうに大ざっぱに言われて、資産がどうだと言われても困る。実際の内容を通産省も、今度の問題を取り組んでおる石炭部、それから管財人も、わかっていただきたいと思っております。
  147. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 次に大澤参考人にお尋ねするのでありますけれども、いままでのお話をずっと聞いておりまして、私の理解が間違っているのかもしれませんが、北炭グループがこれ以上事業縮小するとかあるいは倒産をするとかいうことなしに山を残していくということ、政府大澤参考人もそれから組合の方も皆さん山を残したいというふうにおっしゃっているのですけれども、そうして山を残すためにはどうしても、さっきちょっと第三セクターというお話もありましたが、銀行もお金を貸さないようなところに、まして出資をする人がいるとは思われませんので、政府なり何なりそういう公のかなり相当な額の出資が必要になってくるんじゃないかと思いますが、その辺はいかがお考えになっておられるのでしょうか。
  148. 大澤誠一

    大澤参考人 将来山の火を燃やしたい、こういったことは皆さんみんな共通にお考えと思いますが、私もそうでございます。ただ、先ほどから申し上げますように、労務債の問題、後ろ向きで労務債の清算、あるいはまた前向きで清算をやると言いましても、その資金が要る。膨大な資金が要る。そしてまたこれだけの、八百億の債務がございます。こういうものをやはりどういう形かで一切合財整理をしなければいけない。この整理の仕方がこれからの問題であろうというふうに考えます。これは大変なことで、今後の開発という問題はその後の問題というふうに考えます。
  149. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 政府の方にお尋ねいたしますけれども、別会社のような形で山を残したいというようなことも言っておられるやに聞いておるのです。そして先ほど来、できる限りの努力をするということもおっしゃっております。山を別会社で再度始めるという場合、あるいはそういった多額の出資が必要になった場合までの覚悟ができているのかどうかをお尋ねいたします。
  150. 弓削田英一

    ○弓削田説明員 今後裁判所の管理のもとで現在当面する諸問題が解決した後に、事故のございました北部開発の展望を含めました更生計画が早期に策定される、こういうことを私どもは実は非常に期待をしておるわけでございます。もしそういうような更生計画案ができまして、裁判所の認可があり、かつ再建の見通しがどういう経営形態であるにしろできました暁には、私どもといたしましては、現行の石炭政策の枠内で支援をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  151. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いま石炭部長から説明をいたしましたが、何としてもこの問題を解決していまの再建案が出されることを期待しておりますし、そして、北部が再開発されるためのいろいろの準備をしなければならぬと思います。これはなかなかむずかしいわけでございますが、ただ業界だけの努力に任すというわけにはいかない、政府としてもそれなりの努力を前向きにしていかなければできないことだと私は思っております。したがって、私としましては、そうした案ができればこれをぜひとも実行するために政府として努力を傾注してまいりたい、そして何としても将来において山を残す、そして北部の再開発ができるという方向に私みずから努力を続けてまいりたい、こういうふうに決意をいたしております。
  152. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 終わります。ありがとうございました。
  153. 枝村要作

    枝村委員長 この際、参考人各位一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ当委員会に御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。     午後一時十七分散会